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滝井委員 簡単に終わります。貯炭の問題もあったのですが、これはやめます。水の問題だけです。
実は新井さんが
石炭局長の時代に、
伊藤先生も質問したことがあるし、私も質問したのです。いま万国博覧会の事務局長になっております。実は山野
炭鉱で、非常に付近の
炭鉱がやめたために坑内水が多くなってきたわけです。三十五年当時三・三三立方メートル一分間に出ておったのが、第二
会社になってから七・二立方メートルというように非常に増加をしてきた、これは一体どういうようにあなたは見るかという質問をした。当時新井局長は、これは鉱害である、付近の山がやめてその水がその
炭鉱に入ってくるのだから、これは鉱害だ、こういう鉱害論を展開したわけです。当時私はその鉱害論については異論がありましたけれども、しかし
政府当局がそういう鉱害論に立ってやるということになれば、これはやむを得なかろう。しかし、鉱害だけれども、この水の処理というものは、付近の
炭鉱に金を出せといっても無理でしょう、したがって北九州に工業用水がないのだから、これはひとつ北九州の、工業用水として
政府が使うようにさせたい、こういうことでそのとき、質問は終わったわけです。ところが白来、何か検査してみたらその水が工業用水に適しない、適するためにはトン当たり二十円以上もかかるというようなことで、ずるずるとそのままになってきている。ところがいまのように合理化が非常に急激に進みますと、そういう山野鉱と同じような
事態が常磐にも起こっております。それから大辻
炭鉱にも起こっております。それから三井田川にも起こってきたわけです。私案は
炭鉱に資料もらって調べてみましたが、山野鉱では三十五年当時三・三三立米あげておったものが、三十八年閉山の当時になりますと七・二立米になるわけです。四十年になりますと八・三九になる。四十二年になると一六・六七、こういうように非常に飛躍的に増加してくるわけです。これはもう
大臣御存じのとおり、筑豊の山は非常に古いですから、付近の山がやめて空洞に水のたまるまでには一年とか一年半かかる。そして空洞に水が満水してしまうと、今度はそれが操業している
炭鉱に重圧になってかかってくるわけです。そこで山野では三十五年当時四千二百万円程度であったものが、四十年では一億一千三百万円の揚水費がかかるようになりました。それから今度は三井
炭鉱を見てみますと、三十二年に第二
会社になったときは毎分三・八立方メートルであったのが、四十年では六・八、四十二年になると毎分十七立方メートルになるわけです。そうして揚水費もトン当たり三十九年百四十四円が、四十一年になりますと百八十八円、四十二年が二百八十九円、四十三年が三百七十六円と、こういうように設備をやってもずっと上がってくるわけですね。どこの
炭鉱でもそうなるかと思うと、どこの
炭鉱でもそうならないのです。非常にふけを掘っておる、その地域の支柱的な
炭鉱に全部重圧がかかってくるという形になるわけです。そこで揚水費が多くなるというので、その支柱的な
炭鉱がやめれば、その上層を掘っているすべての
炭鉱がだめになる、こういう事実がはっきりしてきたわけです。そうしますと、ことしの閣議決定その他見ますと、
政府のほうにおいて石
炭鉱業の安定をはかるために
炭鉱の近代化、機械化を一そう促進するほか、炭層探査及び坑道掘進に対する助成制度を拡充強化するというのがあるのです。それから通産省の予算要求などを見てみますと、近代化、合理化を促進し、あわせて保安
対策を強化するための坑道掘進の積極化が必要である、これが保安確保及び安定出炭の基準となる、だから坑道掘進費等を出さなければいかぬというようなことを言っているわけです。そこで私はこの際提案をしたいのは、——大蔵省も来ておられますか。閣議で坑道掘進費というものをきめておるわけですね。それは予算を何とかしなければいかぬ、こう閣議決定をしている。通産省もその気持ちであることははっきりしておるわけです。そうしますとまず
大臣のほうで、これは保安上水がだあっと来たらたいへんですから、やはり水を絶えずあげなければいかぬ、あげればたくさんな揚水費、電力料かかかるということになると、それでつぶれちゃうわけです、山は。もちろんこういう第二
会社になった山は、支柱的な山でもこれは肩がわりをしてもらえるわけではないわけです。今度幾らプラスアルファしてもらっても百円かそのくらいしかもらえない。そうすると揚水費がいままでよりか二倍、三倍かかってきますとたいへんなことになるわけです。そこでこの際坑道掘進費に坑道掘進費等の補助という、等を入れてもらえば保安
対策上水も入ると思うのです。保安局長のほうもそれならばやっていけるのじゃないかと思うのです。こういうことをぜひ
ほんとうはやってもらわなければいかぬ。鉱害論は展開したけれども、鉱害論では、その山はやめてしまったのだから、そこに金をとりに行ったって、これは自分の山がつぶれておるのに、金を払ってくれといったって無理じゃないか。そこで、前の局長がそうおっしゃっておりますけれども、この際前のは前のとして、何かそういう坑道掘進費等の補助として、等を入れてやってもらえぬかどうかということです。こういう
実態が大体われわれの調査で明白になりました。こういうことはどこの山ででもないのです。やはりその地域で残っている支柱的な
炭鉱ということに私は限定してもいいと思うのです。しかもその山がやめれば他の中小の山もがたっとやめざるを得ない。しかもその山は支柱的な山ですから地域経済に非常に重要な影響を及ぼすというので残しておる山です。そういうような山に限定をしてもいいですから、これはひとつぜひ予算要求に入れていただきたいということ。大蔵省もその点はぜひ了承してもらいたい。ひとつ
大臣から……。