○重枝
参考人 全
炭鉱の
委員長の重枝でございます。
全
炭鉱としての
石炭鉱業の安定化についての基本的な
立場、さらに今次出されました
答申に対する
態度、
関連する幾つかの問題点、この大きく三つの点について全
炭鉱の
見解を述べまして、今後国会における
石炭産業安定のためのりっぱな施策ができますように、その過程で十分取り入れていただくようにお願いいたしたいと思う次第であります。
全
炭鉱は基本的な
態度といたしましては魅力ある
石炭産業をつくるということを
考えております。そして具体的には魅力ある
炭鉱というものはどういうことをして基本的にできるかという点については、六点
考えておるわけであります。
第一は、
石炭の
位置づけということでありますが、これは
総合エネルギー政策における
国内炭の
位置づけとしては、五千五百万トンの需給規模を確立をするということ。第二は、
石炭鉱業に対しては今後近代化その他を進めていくわけであります。国民的な
立場から抜本的な国家助成とこれに見合う公共的な規制を行なって、ほんとうに国民のものとして
石炭産業を安定させるということ。第三は、保安と
産業衛生
対策というものを確立をして、ほんとうに安心して働ける安全職場ということを実現するということ。第四は、労働条件の向上、あるいは
炭鉱労働者年金制の実施、そういうことによって、それを直接的な施策をも含めながら有効に行なって、魅力ある
炭鉱の実現をはかっていくということ。第五は、
企業の収支を改善をして経営的な基盤を確立をしていくということ。第六番目は、
労使の民主的な協力と努力に対して、それを正しく評価するとともに、
産業の中で民主主義を実現をするという意味で具体的な施策をはかっていく。この六つを基本的な
態度にしておるわけでございます。
そうしてこの六つを
中心にして今日まで
石炭産業の危機の中で安定化のために努力をしてまいりました。このことは本
委員会におきましても何度か全
炭鉱の
見解を述べ、各
委員の方々の御理解を得ていることだと思っているわけであります。そのような活動を続けておる時期に
石炭産業の危機を抜本的に解決をするという意味での
石炭鉱業審議会の
答申が出されることになったわけであります。
この
答申に対する私
どもの
態度は、第一は
石炭対策という点についていろいろ検討されておりますが、たとえば過去の異常債務の肩がわり、あるいは
安定補給金、あるいは
石炭を使う側の負担増
対策、あるいはそういうものを総括的にまかなっていく
特別会計の設定、あるいは年金、あるいは
炭鉱を近代化していくために、あるいはより安全な
炭鉱にするための近代化、保安に対する助成、このような各項目を見ますと、一応
石炭対策の体系としては抜本的というに足るような基本的な骨格を備えておると、こういうふうに理解をしておるわけであります。そういう意味においてわれわれは骨格、大筋においてはこの
答申を了承するという
態度をとる。しかしながらそういう
政策の体系というものはかなり抜本的なものが出ておりますけれ
ども、内容になると、いささか問題点が多いのではないか。いうならば、下世話にいえば、仏つくって魂を入れずということもございますが、どうも魂のほうが少し足らなくなっておるのではないだろうか。そういう点を
考えまして、基本的には
対策の骨格としては承認をしながらわれわれは大きく四点にわたってこの
抜本策を実施し、運営をしていくという過程で充実をしていただきたい。
政府の予算編成あるいは国会の中における論議、そういうような中でこのことを実現してもらいたいという意味で、四つの点について要望を付したわけでございます。
その四点は、第一は
石炭の
位置づけについて、第二は、経営基盤の確立に関して、第三は、特別年金制度について、第四は、
労使協力の具体化について、この四点についてわれわれは要望を付したのであります。
第一の
石炭の
位置づけにつきましては、先ほど申しましたように、われわれの基本的な
態度におきましては、五千五百万トンというもので
石炭の
位置づけをすべきであるという基本的な
立場を持っております。
そこで、
わが国における
石炭の
生産規模並びにその消費につきましては、国及び
関係者の努力によって将来五千五百万トン
程度を実現することとして、そのための具体的な措置をやっていく。今日五千万トン
程度ということになっておりまして、先ほどから審議の経過を私
たちも傍聴いたしましたけれ
ども、五千万トン
程度という
程度に非常に問題が集中されておるように思いました。私
たちもいろいろな理解の中で各
方面の
意見を聞きましたが、五千万トン
程度というその
程度にかなり多くのニュアンスがあるということをわれわれ自身も理解をしておるわけであります。現実に今日の
石炭産業の
出炭の能力というものが残念ながらそう大きなものでないというような点もあるわけであります。このことについては、そういう事態を十分勘案をされた当
委員会における再建
対策に対する
決議の中にもそういう点が具体的に認められたという意味で、五千二百万トンというような
数字も出てきたのではないか、そういうふうにわれわれ理解をしておるわけであります。しかし、そういうものを今日の段階において固定的に
考えるということは適当ではないではないか。やはり五千五百万トンというものを将来の
目標にしなければならない。その点については、単に五千五百万トンというものを
政府の責任だけに押しつけるということでなくて、
石炭産業全体、特に経営者のほうで
需要の拡大という点が、まだまだ努力をすれば
政策需要以外の点で伸びる点が多々あるではないか、そういうような努力をしながら
——国にだけおぶさるというのではなくて、努力をしながら将来にわたって五千五百万トンという規模を実現をするんだ。こういう
石炭産業全体に対する励みの
目標を掲げておくということはきわめて必要であり、それに一歩一歩近づいていく施策こそが、
石炭産業の安定を確立をする方向である、こういうふうに
考えて、国あるいは
関係者の努力によって将来五千五百万トンを実現すべきである。こういう点を強く要望をしたわけでございます。
第二は、経営基盤確立のための措置でございますが、これは先ほど申しましたように、
特別会計の設置によって
安定補給金の交付というような点もあります。あるいは累積負債の肩がわりというような措置もとられておるわけであります、しかし、これがどのように行なわれるかということが実は問題になるのであります。そこで、真に経営基盤が確立をするような形にこの制度を生かしていくということが、今後の予算の確立あるいは国会における
決議というもののほんとうの役割りではないだろうか、こういうふうに
考えまして、これに対して十分経営基盤の確立という目的が達成されるようにやっていただきたいということでございます。同時にその場合に、たとえば累積赤字の肩がわりをするという場合でも、現実に赤字のあるものを対象にしていく、
石炭の
抜本策というものが、将来の再建への大きな筋道を開くということと同時に、今日の
石炭産業に対する
一つの救済措置であるという点については、これはそういう性格があることはやむを得ないことであると思いますけれ
ども、あまりにも救済のみに走っていくということは問題があるのではないか。過去、
石炭労使が大いに努力をして比較的赤字が少なくて済んでおるという
炭鉱もある。そういうような努力の結晶によって、今日何とかやっていこうあるいは赤字が比較的少ない、こういうような
炭鉱というものを目の前にして、そういう赤字のないところはそれでいいんじゃないか、赤字の少ないところはそれだけ救済も少ないんだ、こういうことでは私はほんとうに将来の
石炭はほんとうに将来の
石炭産業を安定させるという意味の政治姿勢ではないのではないだろうか。そこで先ほど申しましたように、経営基盤の確立という目的をほんとうに達成をするために具体的な裏づけをしていくという過程におきまして、過去における
企業努力や
労働者の協力の成果というものを十分配慮しながら、そういうものを再びどんどん今後も一そう続けていって、りっぱな
石炭産業、りっぱな
企業をつくっていけるんだという励みを与えるような施策でなければならない。こういう点を強調したわけでございます。
第三は特別年金についてでありますが、これはわれわれ多年主張をしておりまして、それが第二次
答申に少し顔を出し、昨年の中間
答申において少しそれが積極的になり、今度はかなり具体的な形でやるというところまできたわけであります。しかしながら、その内容は残念ながら坑内作業に従事している者についてだけをやっていくということでございます。坑外
関係が除外をされておるというところに非常に大きな問題があるわけであります。なるほど坑内作業というものは、これは特殊な作業であります。そこで坑内に特別な年金をつくるという点については、これはたいした
説明をせずして、すべての国民の方々に理解を得ていただけるという点は、これは明らかであろうと思います。しかしながら、それではその段階にとどまって坑内だけに年金をつくればいいかということになりますと、決してそうではないと思います。御
承知のように、
石炭鉱業というものは比較的都市から離れた
地域にありまして、むしろ
一つの
炭鉱社会というものをつくっておる。そういう中で
炭鉱の労働力というものはあるいは労務構成というものは、坑内、坑外というものが一体の形になって
石炭経営というものが行なわれておる、
石炭の生産というものが行なわれておる、こういう実情にあるわけであります。したがって、坑内だけにそういう措置をし、坑外についてこれをやらないということは片手落ちになるわけであります。なるほど坑外の作業は、都市の一般
産業の作業と同じようなものがあるではないかということを言われるわけでありますけれ
ども、しかしながら賃金
水準というものを
考えてみますと、
石炭産業全体の高い、低いということは後ほど触れますけれ
ども、坑外員を例にとって
考えますと、同じ電工、同じ機械工にしましても、一般よりも低い
水準にあるわけです。これは
石炭企業というものが、先ほど申しますような一体性の中にあるから、坑内を重点にしながら、そういうがまんをしながらやっているという実情であります。したがって、坑外作業に従事しておる
労働者の特殊な事情というものは、この一事をとっても明らかであろうと思うわけであります。したがって、坑内、坑外を通した
炭鉱労働者の年金というものをつくってこそ、はじめて
労働者に魅力を与えるということになるわけであります。それでは形式的にはどうなるかと申しますと、われわれ仄聞するところによりますと、坑内員に対して、これは坑内の職員も含めまして、一万円
程度の年金をつけるということになると、トン当たり大体三十円ないし四十円くらいだといわれております。全体の
石炭対策費からいえばきわめて微々たるものであろうと思います。それではこれを坑外に及ぼすという場合にどうなるかと申しますと、もちろん坑内、坑外の均衡ということを
考えますと、その支給額も若干低くきめるということになるでありましょう。また人員の
関係を今日七〇%対三〇%ぐらいの
比率におそらく坑外が少なくなってきておると思います。そういたしますと、大体坑外を新たに適用するという場合に、
財源のふくれ方というものは大体二〇%ないし三〇%ということになるであろうと思います。具体的に言えば、わずかトン当たり十円
程度で坑外に対する年金制の実施というものが可能になるわけであります。そういう点を
考えますならば、坑内、外を含めた
炭鉱労に対する特別年金制というものをぜひとも実行していただかなければならない。こういう点を強調をしたわけであります。
第四の
労使協力の具体化という点につきましては、今度の
抜本策を見ましても、随所に
労使協力をしてやれということが出ております。これは
石炭の危機を突破する過程においてしばしば言われたことであります。現に
石炭産業の中におけるわれわれ全
炭鉱の
労働者もこのことを肝に銘じて、先ほ
ども申しますように大いに協力をする、協力すべき点は協力をするという体制のもとに今日の
企業というものを守ってきた、われわれの職場を守ってきた、こういうふうに
考えておりますが、しかしながらこの段階になりますならば、
労使協力というものの実をあげるためには、やはり
労働組合はちゃんと
労働組合という主体性があるわけであります。経営者の側に
労使協力をすべき、
労働組合に対応すべき主体的な組織というものがないのであります。
石炭危機の突破のために
石炭業界の再編成一本化ということが進められてまいりまして、この過程でわれわれはそういう相手方の主体性ができるのかと期待をいたしておりましたけれ
ども、そういうものができない。むしろありました
石炭経営者協議会というようなものを解散をして一本になった
日本石炭協会では、労働
関係というのは扱わないんだ、労働部はただ
調査だけをやるんだ、こういうような形で最終的には逃げられるようになっておる。こういうことになりますならば、幾ら
労使協力をやっていけと言われても、これはから念仏に終わりまして、やりようがないということになるわけであります。そこで
労使協力の実をあげるためには、経営者側における体制を整備するとともに、
労使協議の場を各
企業において、あるいは炭田ごと、あるいは地方において、あるいは全国的な規模において経営者と
労働者がほんとうに協力し、論議を尽くすべき場をつくっていただかなければならない。体制の整備と同時に、そういう具体的な
労使協議の場を確立をしてもらわなければならないということを要望したわけであります。
われわれはこの点に
関連をいたしまして、たとえば西ドイツにおけるような
労使の共同
決定というようなものを法律でつくっていけ、こういうことまでを一挙に主張しようとは思っておりません。しかしながら、
労使協力ということを随所にうたうならば、それを具体的に行なう方法というものをやはり示していく、こういうことでなければ、これは全くのから念仏になってしまう、こういうふうに思うわけで、この点を大きく強調をしたわけであります。
以上の点はもちろん私
たちの基本的な
立場でありますので、当
委員会に対する全
炭鉱として御協力を要請することになるわけであります。
この四点以外について若干ここで申し上げておきたいと思いますが、その
一つは、
炭鉱労働者の労働条件の問題でございます。
炭鉱の安定化のための
政策が出ました場合に、現在御
承知のように労働条件といいますか、賃金の上昇は年率七%というものを試算の
基礎にいたしております。これは一応経理計算の計数であるということになっております。なるほどそうでありましょう。労働条件というものは具体的に
労使が
話し合いをして
決定をするということになるわけであります。しかしながら、現実には非常に幅のない
炭鉱の経理でありますから、この七%ということが具体的な交渉をする場合の
一つの
中心にならざるを得ない
状態であります。私
たちは
炭鉱の賃金と他
産業の賃金、特にその労働の質からいってきわめて低いと
考えております。諸外国におきましては、
炭鉱賃金は大体全国の各
産業の中で最高の地位を占めております。これは優遇されておるというのではなくて、当然の地位を
確保しておるわけであります。しかし、われわれ七%ということで上がっていったのではなかなか追いつけないというふうに
考えます。そこで、この七%というものはわれわれは実質賃金七%の上昇であるべきだというふうに
考えております。七%であろうと一〇%であろうと、物価がどんどん上がる。昨年のように一四%も上がってくるというようなことになれば、生活というものは崩壊をしていくわけであります。そういたしますならば、やはり実質七%の上昇ということで初めて
石炭産業の
労働者に対する賃金の配慮というものがなされてくることになると思うわけであります。そういたしますならば、そういうようなことが実現できるような配慮を
石炭政策の中で、たとえば経理基盤の確立という中でこれをやっていただかなければならないわけであります。そういうものがなければ労働条件というものはちっともよくならない。年金と
関連をいたしまして、そういうような施策が直接的になされなければならない。もちろん金には色はついておりませんので、これは年金のために使え、これは賃金のために使えということにはならないと思います。したがって、総合的に経営基盤の確立に応じてそういうものがなされていく。しかしながら、いわゆるどんぶり勘定ということでなくて、ある
程度直接的に指示される形でこの労働条件の向上と年金の確立というものが経理基盤の確立に対する助成の中で確立をされなければならない、こういうふうに
考えるわけであります。
次には、
炭鉱における医療保険の問題であります。これは、
石炭危機が続くに従いまして、
炭鉱の健康保険
組合というものが非常な赤字を生じてまいりました。そこで、国会の
皆さんにもお願いをいたしまして、特別の国庫の補助というものを要請をし、ある
程度のものはいただいてきておるわけであります。しかしながら、これでは全体的に言って焼け石に水であります。しかも
石炭産業の中には、健康保険
組合というものを独自につくれるところはまだいいほうでありまして、
中小炭鉱やあるいはその他大手の一部におきましても、いわゆる
政府管掌の健康保険になっておるわけであります。そうしますと、
政府管掌の健康保険よりも条件のいい健康保険
組合というものが赤字を出してきた。それに対して国からいろいろな補助をしていくということになりますと、当面応急的な、緊急的な措置としては、私はそれは当然やっていただかなければならないことだと思いますけれ
ども、それでは
政府管掌に甘んじておる者との均衡という点につきましては、やはり問題がどんどん出てくると思います。
そこで、健康保険
組合というものがだんだん赤字ができて崩壊をしていってしまうという前に、もっと抜本的な
対策を立てるべきではないか。それは
石炭産業全体を一本にした
産業別の健康保険
組合というものをつくっていく。そして今日
炭鉱には医者が来ない。病院の設備が足らないということでたいへんな問題が起きておりますが、そういうものを
石炭産業全体ということでやってまいりますならば、そういう力によって都市に専門の病院をつくるというようなこともできる。そうなりますと、医者の人
たちも特定の
炭鉱に行ったらもう一生そこにおるということでなくて、あるいは研究も十分できないということでなくて、そういう
日本全体という
立場から医療に当たり、また研究に当たるということになりますならば、私はりっぱな先生方に来ていただくことができるのではないかと思う。
また、今日健康保険
組合の場合には多くの保養所というものを各所に持っております。しかしそれは大体北海道であれば北海道
地域、
九州であれば
九州地域にしか持っていないわけであります。これを全国的な規模で経営をし、運営をしていくということになりますならば、北海道の人が
九州へ行って十分保養もできるし、あるいは
九州の人が北海道に行ってもできる。よくそういう面の社会保障の保養所の確立ができておるところを、例としてソ連をとらえております。御
承知のように黒海沿岸のソーテその他のところに
労働者の保養設備というものがたくさんあって、
労働者がそこに行って保養できるということで非常にうらやましがられております。私も行きましたけれ
ども……。しかし、いま申しましたような形で
石炭産業が全体的に、そういう今日あるようなものを
中心に運営をいたしましても、優にソ連においてうらやましがられておるような
状態というものは今日できるのではないか。そういうものを
石炭政策の一環として運営をしていく、あるいは国がそれに助成をしていくということになりますならば、一部の健康保険
組合に対する赤字補てんというようなものが、細々とあるいはその場限りで続けられるということとは根本的に違って、りっぱな
炭鉱における医療保険の制度というものが確立をされると思うわけであります。こういう点をぜひお
考えを願いたいと思うわけであります。
以上、
抜本策に
関連をいたしまして私
たちが要望をした四点とさらにつけ加えた二点、こういう点について国会においてぜひとも実現をしていただきたいと思うわけであります。
さらに、私はこの際若干
ことばをつけ加えさしていただきたいと思いますのは、経営者の方々もいろいろ御
意見を述べられました。ただいま述べられたもののほかに、いろいろな機会に
意見を述べられておるものを私
たち聞いておりますが、何か非常に
抜本策というものが悪いんだ、こういうようなことを盛んに言っておられるように思うのです。なるほど私
たちもいま申しましたように、魂を入れるという面では大いに不備な点があるから、これに対して十分なる体系的な骨子の中に入れものを入れていただきたいということを言っております。経営者の方々が不満だとか反対だとか言っておられますが、それはこれが悪いということではなくて、期待したほどいい
抜本策が出なかったという不満であろうと私は思います。その気持ちは十分わかるのであります しかしながらそういう気持ちのあまり何かこの
抜本策がまずいんだ、あるいは極端に言えば、極論になると、
抜本策が出て、これを実施されるから
石炭産業はつぶれるんだ、赤字がふえていくんだと言わんばかりのことになりますと、いささか問題があろうかと私は思います。そうしてそういうようなものの
態度から
石炭産業の中に再び不安ムードというものが出てまいりますならば、これは取り返しのつかないことになると私は思うのであります。そういう意味で、やはり今日の
エネルギー革命の中におけるわれわれの置かれておる
石炭産業の位置、それに対する国家的助成と公共的な規制の方向というものを十分踏んまえた中でこういうものを充実しながら、りっぱに
石炭産業を安定させていくんだ、そういう自主的な決意とそれに伴う、その決意に促される具体的な努力の実践、こういうものがあって初めて
石炭産業というものは安定をしていくと思うのであります。したがって、そういう点にこの
委員会におきましても思いをいたされて、この問題を十分御検討をいただきたいと思います。われわれは、先ほど申しましたような基本的な
立場でこれを
皆さんの、あるいは
政府あるいは国会の力によって充実させながら、りっぱな魅力ある
石炭産業を築いていきたい、こういうふうに
考えておるわけであります。
一応私
たちの
考えを述べまして、
皆さんの御
参考に供したいと思います。どうもありがとうございました。(
拍手)