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1966-10-18 第52回国会 衆議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十月十八日(火曜日)    午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 天野 公義君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君    理事 櫻内 義雄君 理事 板川 正吾君    理事 田中 武夫君 理事 中村 重光君       内田 常雄君    遠藤 三郎君       小笠 公韶君    大平 正芳君       島村 一郎君    進藤 一馬君       田中 六助君    中村 幸八君       石野 久男君    五島 虎雄君       桜井 茂尚君    沢田 政治君       山口シヅエ君    麻生 良方君       栗山 礼行君    加藤  進君  出席国務大臣         通 商 産 業         大 臣     三木 武夫君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  委員外出席者         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  竹中喜滿太君         警  視  監         (刑事局長)  日原 正雄君         経済企画政務次         官       金子 一平君         大蔵事務官         (造幣局東京支         局長)     大島  弘君         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         通商産業事務官         (大臣官房長) 大慈弥嘉久君         通商産業事務官         (通商局次長) 原田  明君         通商産業事務官         (企業局長)  熊谷 典文君         通商産業事務官         (重工業局次長)赤沢 璋一君         通商産業事務官         (繊維雑貨局紙         業課長)    石原 尚久君         通商産業事務官         (鉱山局長)  両角 良彦君         通商産業事務官         (公益事業局長)安達 次郎君         中小企業庁長官 影山 衛司君     ————————————— 八月二日  委員浦野幸男君、小沢辰男君、海部俊樹君、始  関伊平君及び田中榮一辞任につき、その補欠  として小平久雄君、久保田円次君、坂田英一君  櫻内義雄君及び進藤一馬君が議長指名委員  に選任された。 同月八日  委員坂田英一辞任につき、その補欠として鴨  田宗一君が議長指名委員に選任された。 同月十日  委員鴨田宗一辞任につき、その補欠として坂  田英一君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員内田常雄君及び三原朝雄辞任につき、そ  の補欠として原健三郎君及び石田博英君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員石田博英君及び原健三郎辞任につき、そ  の補欠として三原朝雄君及び内田常雄君が議長  の指名委員に選任された。 同月十二日  委員石野久男君及び加藤進辞任につき、その  補欠として岡良一君及び川上貫一君が議長の指  名で委員に選任された。 同日  委員岡良一辞任につき、その補欠として石野  久男君が議長指名委員に選任された。 十月一日  委員川上貫一辞任につき、その補欠として加  藤進君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員久保田円次辞任につき、その補欠として  島村一郎君が議長指名委員に選任された。 同月十四日  委員桜井茂尚君辞任につき、その補欠として山  本幸一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山本幸一辞任につき、その補欠として桜  井茂尚君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員大村邦夫辞任につき、その補欠として山  口シヅエ君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山口シヅエ辞任につき、その補欠として  大村邦夫君が議長指名委員に選任された。 十月十八日  理事浦野幸男君及び理事田中榮一君八月二日委  員辞任につき、その補欠として小平久雄君及び  櫻内義雄君が理事に当選した。 同日  理事加賀田進君同日理事辞任につき、その補欠  として田中武夫君が理事に当選した。     ————————————— 七月二十九日  一、通商産業基本施策に関する件  二、経済総合計画に関する件  三、公益事業に関する件  四、鉱工業に関する件  五、商業に関する件  六、通商に関する件  七、中小企業に関する件  八、特許に関する件  九、私的独占禁止及び公正取引に関する件  一〇、鉱業と一般公益との調整等に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  通商産業基本施策に関する件  経済総合計画に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 天野公義

    天野委員長 これより会議を開きます。  理事辞任の許可並びに補欠選任の件についておはかりいたします。  理事加賀田進君より理事辞任申し出がございます。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 天野公義

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、ただいまの理事辞任に伴いまして、その補欠選任を行ないたいと存じますが、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 天野公義

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、田中武夫君を理事指名いたします。  また、理事でありました浦野幸男君、始関伊平君、田中栄一君が、去る八月二日委員辞任されましたのに伴いまして、理事に欠員を生じておりますので、その補欠選任を行なうのでありますが、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 天野公義

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、小平久雄君、桜内義雄君を理事指名いたします。  なお、残る一名は追って指名いたします。      ————◇—————
  6. 天野公義

    天野委員長 この際、おはかりいたします。  今国会の閉会中に行ないました委員派遣派遣委員から報告書が提出されておりますので、これを会議録に参考のため掲載することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 天野公義

    天野委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。   〔派遣委員調査報告書本号末尾に掲載〕      ————◇—————
  8. 天野公義

    天野委員長 経済企画庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。藤山経済企画庁長官
  9. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 たいへんごあいさつがおくれまして申しわけない次第でございますが、先般の内閣改造にあたりまして、企画庁長官として留任をいたしました。今後とも政府経済運営物価対策等につきまして、一そうの努力をいたす所存でございますので、よろしく御指導、御鞭撻のほどお願い申し上げます。  御承知のように、最近におきますわが国経済は、昨年来の不況を脱却し、景気は順調に上昇の道を歩んでおります。先ほどの閣議で説明してまいったばかりでございますが、本年度は、現在の見通しでは、鉱工業生産は一四・五%程度実質成長率は八・七%程度経済成長になるものと考えられております。今後の経済運営につきましては、物価輸出入、民間企業設備投資等動向を慎重に見守りながら、持続的な安定成長路線をたどるよう対処していく所存でございます。  当面の最も緊急かつ重要な経済政策課題物価の安定でございます。消費者物価は、今年度に入りましてからは一高一低を繰り返し、いまのところ急上界の気配は必ずしも見られませんが、基調としては、依然上昇圧力が衰えていないと考えられますので、政府といたしましても、消費者物価を安定させるため、今後とも低生産性部門生産性の向上、流通機構改善競争条件整備等、各般の物価対策を強力に展開してまいる所存でございます。  卸売り物価につきましては、昨年夏以来、非鉄金属等国際価格上昇及び景気回復影響等によりまして、かなり上昇をいたしましたが、最近に至り騰勢が一服している状況でございます。政府といたしましては、今後とも卸売り物価全般動向につきましては十分注意をしてまいるとともに、競争条件整備等について所要の施策をとってまいる所存でございます。  このような情勢のもとにおきまして、長期的経済運営の方針を定めるため、政府経済審議会に対しまして、新しい長期経済計画作成を求めておるのでございますが、同審議会は、物価の安定、経済効率化及び社会開発推進中心課題として目下鋭意作成中でございまして、近く答申がなされるものと期待しておるのでございます。政府は、その経済計画の線に沿いまして、長期的な経済運営を進めてまいる所存でございます。  以上、はなはだ簡単ではございますが、先般の留任にあたりまして、経済企画庁の当面の問題につきまして申し上げてごあいさつにかえる次第でございます。(拍手
  10. 天野公義

    天野委員長 この際、新たに御就任になりました通商産業政務次官宇野宗佑君を御紹介いたします。
  11. 宇野宗佑

    宇野説明員 先般通産政務次官に就任いたしました宇野宗佑でございます。  どうぞ今後ともよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願いいたします。(拍手
  12. 天野公義

    天野委員長 続いて、経済企画庁政務次官金子一平君を御紹介いたします。
  13. 金子一平

    金子説明員 金子一平でございます。  先般の異動に伴いまして、企画庁政務次官に就任いたしました。今後ともどうかよろしく御指導をお願いいたします。(拍手
  14. 天野公義

    天野委員長 通商産業大臣から発言を求められております。この際、これを許します。三木通商産業大臣
  15. 三木武夫

    三木国務大臣 昨年六月通商産業大臣に就任し  て以来、これまで私は経済運営にあたっては、当面する課題の解決をはかりつつも、長期的観点から経済社会のあるべき姿を求め、それを実現する基盤をつくっていくことが肝要であると念じつつ産業行政を進めてまいりました。  もとより、わが国を取り巻く内外の諸情勢は一段ときびしさを加えており、私の意図する理想実現への道は決してなまやさしいものではないことは十分覚悟しており、本年八月留任を機会に、今一後とも日々決意を新たにして邁進してまいりたいと念じております。何とぞよろしくお願いをいたします。  最近におけるわが国経済動向は、鉱工業生産、出荷は引き続き上昇を続け、企業設備投資に対する態度も幾ぶん積極化し、資金需要中小企業中心に増勢に向かうなど、景気は順調に上昇の道を歩んでおります。しかしながら、わが国経済若年労働者中心とした労働需給の逼迫、資本の自由化の要請、発展途上国の製品との競合等、大きな構造変動に直面しており、これらの諸問題に対処するため、わが国産業は根本的な体質改善を迫られております。  かかる諸情勢に即応しつつ、今後の経済運営にあたっては、わが国経済持続的成長路線に乗せるべく、適時適切な施策を実施いたしますとともに、長期的観点の上に立ってわが国産業の将来の発展のための基盤づくりをいたすべく措置してまいる所存であります。  すなわち、激動する内外の諸情勢に対処し、特に今後一段と進むと考えられる開放経済体制下において、わが国産業国際競争力を強化するため、産業構造改善の促進、産業の再編成、企業体質改善中小企業対策拡充技術開発力培養等の諸施策を強力に推進してまいる所存であります。なかんずく中小企業対策については、業種別構造改善、協業化の積極的推進指導対策技術対策拡充等中小企業構造高度化のための施策を総合的、集中的に強力に実施する所存であります。  さらに、激化しつつある国際競争場裏において、輸出の振興により国際収支の天井を引き上げることは、わが国経済持続的成長を遂げるための根本的条件であります。このため金融、保険等制度面改善等輸出体制整備をはかるとともに、発展途上国に対する経済協力拡充強化し、貿易を積極的に拡大してまいる所存であります。  また、産業立地適正化総合エネルギー政策推進のための強力な施策を展開することにより、わが国産業長期的発展のための基礎的条件及び環境を改善するとともに、産業公害対策流通消費者行政拡充により、経済活動国民生活の調和をはかる所存であります。  何とぞ各位の御協力をお願いいたす次第でございます。(拍手)      ————◇—————
  16. 天野公義

    天野委員長 通商産業基本施策に関する件、経済総合計画に関する件、私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田中武夫君。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 両大臣の所信の表明に対して一般的な質問をいたしたいと考えておりましたのですが、開会がおくれまして、時間の都合がございますので、直ちにそのものずばりに入っていきたいと思うわけです。  実は、きのうも決算委員会で若干問題になったようですが、バナナ輸入をめぐって黒い霧ということをきょうの新聞も一斉に書いておるわけなんです。  そこでお伺いしたいのですが、まずバナナの現在の輸入の形式といいますか方式といいますか、これは三十八年四月に自由化いたしましてから、AIQ方式とかいうのですが、これはどういうような方式でございましょうか。
  18. 三木武夫

    三木国務大臣 政府委員から補足をいたさせることにいたしますが、御承知のように自由化をいたしたのでございますが、台湾のほうがやはり自由化をした直後において割り当て制度をいたしたのでございます。したがって、相当日本においてはバナナ需要があるものですから、全く売り手市場になったわけであります。屈辱的な台湾参りというものが行なわれて、そうして非常に混乱が起こってまいりましたので、これはやはり割り当てなどは弊害も起こりますから、できるだけこれを自由化するということが好ましいのですが、こういう状態が続いて、しかも需要がわりあいに旺盛ですから、価格はつり上がる、みな過当競争台湾に持ち込まれる、こういうことは輸入秩序を害するということにおいて、割り当て制度を実施せざるを得なかったのでございます。したがって、今後は輸入組合もできましたから、この輸入組合というものを育成して、秩序のある輸入をし、日本果樹栽培者に対して非常な打撃を与えない程度で、需要があるのでありますから、できるだけバナナ輸入を拡大して、消費者にも低廉なバナナを供給するようにしたい、こういうことが大づかみに申したバナナの経過でございますが、必要でございますれば、補足をさしてよろしゅうございます。補足しましょうか。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 何かありましたら……。
  20. 原田明

    原田説明員 別に補足いたすことはございません。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、大臣のいまの御答弁と、実際に現在行なわれているのとは、ちょっと違うのじゃないですか。現在は、売り手側、すなわち台湾から売りますという承認をとって、そうして申請をすれば、それはそのまま認められる。これをAIQ方式とかいうのじゃないですか。
  22. 原田明

    原田説明員 御承知のとおり、輸入制度には三種類ございます。最初自動承認制度と呼ばれている制度でございまして、承認申請を出しますと、幾らでも自動的に輸入承認が与えられるという制度で、自由化の本来の性質に合ったものと考えております。第二番目の制度は、輸入貿易管理令の第九条に基づきまして、形式的には通産省輸入割り当てを要しますが、申請さえすれば、通常の場合は幾らでも望みに応じて割り当てがなされるという制度でございまして、現在通称でAIQ自動割り当てと称しております。それから第三番目の制度は、同じように輸入割り当て制度で、第九条に基づいてはおりますが、数量的な制限がございまして、必ずしも希望どおりには割り当てがなされないという制度でございます。  現在のバナナ輸入割り当て制度は、第九条に基づく自動割り当て制度をとっております。したがいまして、形式的には通産省割り当てを要する制度でございます。この制度の運用といたしまして、昨年の七月から輸入秩序維持のために、当分の間申請どおり割り当てないことがありますという告示をいたしまして、それに基づいて数量制限的な割り当てを実施しておるというのが、現在の台湾バナナ輸入制度でございます。
  23. 田中武夫

    田中(武)委員 輸入貿易管理令の九条とかなんとかむずかしいことをおっしゃったが、ずばりいえば、売り主側契約をとって、帰って、それに基づいて申請をすれば、それはそのまま認可する、大体そういうことでしょう。
  24. 原田明

    原田説明員 台湾以外のバナナについては御指摘のとおりでございますが、台湾バナナについては、当事者間における契約のいかんにかかわらず、必ずしも申請どおり割り当てがなされないことがございます。
  25. 田中武夫

    田中(武)委員 大体あらかじめ台湾側売買契約といいますか、それを話をしておいて申請する、そういうのが一般的に行なわれているのでしょう。したがって、台湾側に顔がきく者といいますか、そういう人が多くの申請ができる。そこで大臣も先ほど過当競争ということばを言われたが、それを得るために、台湾側人たちに接待だとか、みやげ物を贈るとか、いろいろなことをやって、いわゆる売買契約の予約といいますか、売買契約をとろう、そういうように行なわれておるのが実際じゃないですか。
  26. 原田明

    原田説明員 現在の状態のもとでは、先に割り当てをもらいまして、その割り当て範囲内で台湾側交渉をしているようでございます。自由化されていた時代におきましては、向こう契約をもらうために運動したということがあったと思います。現在では過去の実績に基づく割り当てがなされておりますので、その割り当てをもらいましてから、その範囲向こう契約をするというのが実情のようでございます。
  27. 田中武夫

    田中(武)委員 その割り当てられたのを一括してバナナ輸入組合へ示すのですね。バナナ輸入組合は、そのうち何割かを平等に分けて、あとの大部分を実績割り当てる、そういう方法をやっているのじゃないですか。
  28. 原田明

    原田説明員 さようではございませんで、現在行なわれております割り当て制度は、通産省貿易管理令によって行なっております割り当て制度でございます。たとえば、今回割り当てました十月から、来年の三月までの割り当てにつきましては、去年の七月からことしの六月までに割り当てを受けた実績によりまして、そのシェアに応じて割り当てが行なわれておる、したがいまして、割り当てをもらった業者のほうは、それを組合に出しますとか均等にするとかいう問題は全然起こらないわけでございます。
  29. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、実際は、国府の貿易業務監督機関である外貿会というのですか、これと日本バナナ輸入組合との間に、毎年秋に総輸入量がきめられる、これに基づいて輸入組合業務委員会で加入六百九十七社への割り当てを決定する、総量の一〇ないし二〇%を平等割りにして、あと実績割り当てにする、そういう報道が出ておるのですが、これは間違いですか。
  30. 原田明

    原田説明員 現在の状態のもとにおいては誤りのようでございます。
  31. 田中武夫

    田中(武)委員 じゃ、この報道誤りだとおっしゃるわけですね。
  32. 原田明

    原田説明員 説りでございます。
  33. 田中武夫

    田中(武)委員 しかし、いずれにしろ、その実績ものを言う、あるいは台湾との交渉において顔なじみが多いとか顔がきくとかいうことがものを言うことは間違いないですね。
  34. 原田明

    原田説明員 昭和三十八年及び三十九年並びに昭和四十年の初めの間、日本側自由化しておりました時代は、日本輸入業者台湾へ参りまして、台湾側からのオファーをもらわなければなりません。したがって、その時代には台湾オファーをもらわなければならぬので、そういうことがあったかもしれませんが、現在は過去の実績に基づく割り当てが行なわれておりますので、割り当てをもらった上で、割り当て範囲内で相手と契約をするという状態であります。契約をする場合の相手方は各契約者の自由にまかされておるということであります。
  35. 田中武夫

    田中(武)委員 要は、過去の実績ものを言う、そういうことですね。
  36. 原田明

    原田説明員 さようでございます。
  37. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで大臣実績ものを言うのだから、結局その実績だけを持っておって、ほんとうに商売をしていないという業者も、業者といえるかどうかわかりませんが、たくさんあるようなんですね。先ほど申しましたように、輸入組合には約七百、六百九十七社ですか。そのうちほんとうに商売しているのは一割くらいの七十社くらい、あとは過去の実績による割り当てを横に流すといいますか、そういうことでやっておるものが多いということです。それを俗にペーパー業者というのですか、ひどいのになると、何か事務所もろくに持たずに、どこかの電話で割り当てを聞いて、それをまた他の業者へ連絡する、そういうことだけで相当な利潤があがる。何でしたら、私のほうで調べておるので、大体その人たち幾らくらいのマージンといいますか手数料があるかということを申し上げてもいいのですが、大体、少なく見ても、一かごで、これは四十五キロ入りですが、五、六百円から千円程度手数料が入る。こういうペーパー業者が実際はバナナ輸入組合の九割を占めておる。あるいはかえ玉業者といいますか、ダミーと呼ばれているそうですが、そういうのがたくさんある。こういうことで一人の人が幾つかの会社を持っておる。ところがそうそう顔が出せないので、自分の秘書だとか、あるいは奥さんだとか、運転手の名前で一応会社を、法人登記をやっておると思うのですが、実際は一人の人が身がわりの人を立てておる。ダミーと言われておるそうですが、大臣、こういうペーパー業者とかダミーという問題についてどのように把握しておられますか。
  38. 三木武夫

    三木国務大臣 貿易の場合は自由化するのが一番いいのです。割り当てというものはそんなにいろんな矛盾が出てくるわけであります。しかし、それなら自由化すればどういうことになるかというのは、最初に申し上げたように、非常な弊害が起こってきて、価格がつり上げられる、そうしてみながいろんな顔を使って台湾参りをする、日本の国辱的な状態を呈するわけなんです。そこで、これはそのままおけぬというので、割り当てにする場合にはどうしても実績というものによらざるを得ない。実績昭和三十八年と九年をとったわけです。三十八年、三十九年とも自由化時代、だれでも自由に輸入できる。そういう二ヵ年を通じての実績で、何も実績のない人というものは、これは大体バナナを従来やらなかったということで、この二年をとったわけで、それが基準になるわけですね。それが実績主義ということは、田中さん御指摘のように、これはやはり弊害もあります。しかし、何らかのここに割り当てをしようというときに基準は何かというと、やはりこうならざるを得ないのです。ほかにいい知恵があったら、これは私は変えていいと思うのだが、どうもいい知恵がないのですよ。自由にほうっておけない、何かやはりこれを規制しなければならぬ。そうなってくると、過去の実績ということでなければ、みながやはり承服しないですから、こういう点で——これでもやはり一部の人にはいろんな文句があるが、大体のバナナ輸入業者はこれでおさまっておるわけです。こういうことで、ダミーもあることも承知しておるし、なかなか内容は複雑怪奇だと思いますよ。しかし、こういう点でだんだんと輸入組合を育てて、そしてバナナ輸入と  いうもの秩序づけていくよりほかにはない、かように考えておる次第でございます。
  39. 田中武夫

    田中(武)委員 いわゆるペーパー業者だとかダミーのあることは大臣も御承知。しかし、しょうがないといってほうっておかれるのですか。これは数字はそちらのほうが十分お持ちだろうと思うのですが、輸入原価が四十五キログラムを一かごとして大体二千五百二十円程度だそうです。それに七〇%の関税がついて、浜相場というのができて、それが五千円から五千五百円、いいのなら六千円するそうです。そして小売りにいきますと、もちろんきずものとか、ロスが出ますから、それが八千円から一万円する。こう渡ってくる中で、大体いわゆる輸入業者が一かご当たり五百円ないし千円のもうけを持っておる。そして、過去の実績を何十万かごとか持っておれば、それだけで何千万円かの金が入ってくる。そういうことがいま問題になっておるのではないかと思うのです。そこでそういうことばかり言っておってもしようがないのですが、そういうようにうまみがあるから、だからバナナ業界は輸入業者といわゆる加工業者がいつも対立したり、割り当てをめぐってがたがたやっておることは御承知のとおりなんですね。まずダミーとかあるいはペーパー業者について今後大臣はどうしようと考えられるか。やむを得ないんだということで終わられるのかどうか。それからこれは、経済企画庁長官せっかくお見えになっておるのですが、全般的な経済の上に立って、そういうような、ただ電話一本で、手数料だけで一かご千円近い金もうけをしておるというのが、日本経済流通機構の中にあって許されるのかどうか、両大臣の御所見を承ります。
  40. 三木武夫

    三木国務大臣 これは永久にこれでいいとは思ってないわけで、当分の聞こういうことで、その間、需要があるわけですから、輸入もふやしていかなければならぬ、そういうことで秩序ができてくると考えておるわけで、これはやはりもっと明朗なものにするために、たえず輸入のいろいろなやり方については改善を加えていきたい。しかし、いまあの大騒ぎの中で一応の秩序をつくるために、こういう実績を基礎にしてやったわけでありますが、これがバナナ輸入というものが世間からいろんな疑惑を持たれるということは、私どもとしても非常に残念なことでありますので、だから今後はやはりもっと明朗なバナナ輸入にするようにたえず改善を加えていきたいという考えでございます。
  41. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 やはり私も、バナナの取引の内容については詳しく存じておりませんけれども、できるだけ商売というものは明朗でなければならぬし、かつ公正でなければならぬと思います。それらの方法についてさらに御検討願うことは私は必要だ、こう思います。
  42. 田中武夫

    田中(武)委員 いろいろとそういうことでバナナ輸入に対しては、実績を持っておるものとか、あるいは現在においては輸入組合にいろんな疑惑が向けられておるわけなんです。それを払うためにもこの辺で通産大臣バナナ輸入についてはっきりした考え方を持っていただかねばならないと思うのです。こういうことばかり言っておってもあれですから、その政策面のことについてはこちらも提案を持っておりますが、また後ほどにいたします。  そこで、現在の制度からいけば、日本バナナ輸入組合、これが大きな力を持っておるということです。そこでちょっとお伺いするのですが、このバナナ輸入組合の設立の経過、私の聞いておるところでは、この設立には輸入業者だけが、いわゆる実績のあるものだけ、それに加工業者も入るとかなにかで、当時、日本バナナ輸入組合、これが認可になっておる。それからそのほかに全国バナナ輸入組合、全日バナナ輸入組合、こういうような三つの団体ができて、いわゆる輸取法の十九条の二ですかによる法人格をとるためにいろいろとトラブルというか、画策があったように伺っておりますが、バナナ輸入組合の設立認可の経過、これを簡単でよろしいですから伺いたい。次長からでもよろしい。
  43. 原田明

    原田説明員 バナナ輸入組合の設立につきましては、当時の業界がたいへんな過当競争にありましたということは、御指摘のとおりでございます。したがいまして、われわれといたしましては、このような輸入秩序の確立のためには、まず、従来のようなただ政府の統制一辺倒に返るというだけでは好ましくない、業界の自主的な努力による輸入秩序の確立というものが望ましいということで、輸入組合の設立を呼びかけたわけでございます。ただ、当時業界は非常にもめておりましたので、そのころ一番バナナの業界の多数を占めていたグループ幾つかが集まって、日本バナナ輸入組合創立総会というものを六月十五日に開いております。しかし、この創立総会のグループに入ることを必ずしも快しとしないという別のグループが二つございまして、それぞれ全国バナナ輸入組合及び全日バナナ輸入組合という名前で、六月二十五日と七月五日に創立総会を行なって、自分のところがバナナ輸入組合になりたいという運動を起こしたようでございます。ただし、このように三つの団体が併存しておりましたのでは、当初の目的である輸入秩序の確立はとうてい期待されませんので、通産省といたしましては、これらの三つの組合グループに対しまして呼びかけをいたし、また業界の間でもお互いにこれではいかぬということで、相談が、かなり難航はしたようでございますが、進みまして、結局九月十五日に一本化した日本バナナ輸入組合に対して通産省が認可をくだしたという次第でございます。
  44. 田中武夫

    田中(武)委員 そういう経過の中で三つが名乗りをあげた、そのうち一つに白羽の矢が立った、そういうことで、この出発のときからいろいろな疑惑を持たれて誕生したのがバナナ輸入組合なんです。そこで、バナナ輸入組合、正式の名前は日本バナナ輸入組合ですね、これは輸取法の十九条の二による法人としての認可を受けた。そこで、このバナナ輸入組合の出資金あるいはその払い込み方法、こういうのは一体どうなっておるのか。条文でいうならば輸出組合の条文が適用になっていますね。定款の必要的記載事項、これを全部言ってもらうのもなんだから、あと日本バナナ輸入組合の定款を資料としていただきたいのですが、この出資金と出資の払い込み方法、これは定款にどう定まっていますか。
  45. 原田明

    原田説明員 バナナ輸入組合は非出資組合でございます。したがいまして、出資金というものはございません。ただし、加入申請者がはたして組合員たる資格を十分に有しているかどうかということを審査し、その他各種の手続がございますので、そういう手続料その他といたしまして、加入金として五万円ずつを取ったと了解しております。
  46. 田中武夫

    田中(武)委員 私は、その五万円が出資金額じゃないかと思っておったのですが、非出資組合であって、その加入にあたって一業者五万円を取るというのはどういうことなんです。かってに日本バナナ輸入組合を認可をしたんでしょう。そこが入会金を幾ら取るとか、そういうことについては、通産大臣が認可をしておいて、そしてそれが幾ら取ろうと、たとえば五万円を取るには、それを取るだけの基礎があると思うのですが、そういうことについては何ら監督せずに、かってに五万円を納入させた、こういうことについて何も言えないのですか。それらについて通産省としてはどうなんです。
  47. 原田明

    原田説明員 定款の第十六条に、組合員となる場合には加入金を納付しなければならないというふうに書いてあります。この意味は、組合員となりますと、先生御指摘のとおり非常に意味のあるバナナ貿易に従事をするわけであります。営業書を有する輸入業者であって、かつ輸入した実績を有するものという資格も持っておらなければなりません。したがいまして、そういうことを兼ね、かつ設立準備のために必要でもございますそういう手続、会議費等々のための経費として加入金が徴収されたものでございます。
  48. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、その加入金を徴収したことはいいんですよ。五万円というのがどういう基礎から出たかということについては、監督官庁として別に調べたり説明を聞いたりしたことはないかということです。
  49. 原田明

    原田説明員 組合が五万円ずつ取ったということは当時聞いていたと思いますが、この程度の金額は妥当であるということで認可したものと思います。
  50. 田中武夫

    田中(武)委員 五万円が高いか安いかということを論議してもしようがないと思います。加盟することによってバナナ輸入割り当てをもらえるというなら、その権利金として安いものだとも言えると思うんです。しかしこの五万円の納入をめぐって、いろいろな問題が出ていることは御承知でしょう。
  51. 原田明

    原田説明員 五万円は加入金でございますから、加入が認められないものについてはすみやかに返すべきもの承知いたしております。ところが、御存じのとおり、バナナ輸入組合は設立当初からことしの初めないし春ごろまでは、こう申すとなんでございますが、かなり内部において混乱がございました。その混乱のために、組合が一本化して、いろいろの業務を非常に円滑に遂行するという態勢を確立するには至っていなかったようでございます。したがいまして、組合員の加入の申請を受けたものを逐次審査をいたしまして、加入を認めるかどうかという最終的決定を行なって、加入を認めないというものについてすみやかに加入金を返すという手続が非常におくれているようであります。この点は私どもも注意を喚起した点でございます。現在すでに加入を認めなかったものについての加入金はすべて返還済みでございます。
  52. 田中武夫

    田中(武)委員 現在ではすべて返還済みだということですが、実を言うと、その加入金を返さない、あるいは加入金の一部がどこかへいったのじゃなかろうか、そういうことでバナナ加工組合組合長といいますか会長ですか、山本勝という人、私は本人をよく知らないし、どういう人かも知らないのですが、そういう加入金の問題をめぐって警視庁の刑事部捜査第二課へ日本バナナ輸入組合理事長の樋口某を横領あるいは贈賄等々で告訴したと伝えられておるのですが、そのことについて通産省は御存じか。さらに警察庁はその告訴を受けてどういうような態度をおとりになりましたか、お伺いいたします。
  53. 日原正雄

    ○日原説明員 今月の八日に日本バナナ加工卸売団体総連合会の会長が警視庁の捜査二課を訪れまして、日本バナナ輸入組合の問題で告訴したいという申し出がありました。しかし、その内容が犯罪事実の親告とは認められなかったので、いまだ受理しておりません。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 その山本某なる者が口頭で言ったのですか。
  55. 日原正雄

    ○日原説明員 告訴の形の書面を持ってまいったようでございます。なおその際、犯罪事実の親告になっておりませんので、口頭でいろいろお聞きいたしたわけでございますが、十分な説明ができなくて、そのままその書類は持ち帰ったようでございます。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 それは告訴状だったのですね。
  57. 日原正雄

    ○日原説明員 形式的には告訴状でございました。
  58. 田中武夫

    田中(武)委員 刑事訴訟法によると、告訴、告発は司法警察官に対して書類または口頭でやることができる。したがって、その行為は告訴行為である、こういうように思うわけなのです。そうしますと、やはり刑事訴訟法で、告訴を受けた場合は司法警察官はその書類と証拠を検察庁へ送らねばならぬという規定がありますね、そういう点についてはどうなんですか。
  59. 日原正雄

    ○日原説明員 告訴と申しますと、法律上その告訴権を有する者が検察官なり司法警察職員に対して犯罪事実を親告をして、犯人の処罰を求める意思表示になるわけでございます。告訴権者と申しますと、犯罪により害をこうむった者が告訴権者であるわけでございます。したがって形式的には、この場合は告訴という形で書面を持ってまいっておりますけれども、その実質は告発と考えたわけでございます。告発となりますと、捜査機関以外の者が捜査機関に対して犯罪事実を親告をして、犯人の処罰を求める意思表示であるわけでございます。したがいまして、その内容が犯罪事実の親告ということになりますると、告発状を受理して、自後一連の手続が進められるわけでございます。ただ、この犯罪事実の親告という点についてまだ十分な説明が得られなかったということで持ち帰ったようでございます。
  60. 田中武夫

    田中(武)委員 それは今月の八日ですか、先月の八日ですか。
  61. 日原正雄

    ○日原説明員 今月の八日というふうに聞いております。
  62. 田中武夫

    田中(武)委員 これは警視庁刑事部捜査第二課長司法警察員警視正鎌倉節ですか、その人の名前で、捜査関係事項照会書というのが九月二十七日に出ておりますね。聞くところによると、四十枚こういうものバナナ組合について出たそうですが、そうすると十月の八日に山本某なる者が、形式は告訴であったが、刑事訴訟法からいう適格性を欠く——しかし私は、この刑事訴訟法の条文から見て、告訴も告発も、いわゆる害をこうむった関係者であるかどうかという点は違うが、しかしそれを受けた場合の司法警察官のとるべき態度については、告訴、告発についてはと書いてありますね、したがってそれは区別すべきじゃないと思うのです。そういう告訴、告発がなくても犯罪ありと思量したときは司法警察官は直ちに捜査をやる。九月二十七日にこういうのが出ておるのですがね、もうすでに。それは告訴、実際は告発か知らぬが、その山本某なる者の告訴あるいは告発行為以前に何か調査をせられたのですか。
  63. 日原正雄

    ○日原説明員 この問題につきましては、最近の新聞、雑誌等でも取りざたされていることでございまするので、警察としても関心を持っていろいろ犯罪捜査の端緒把握につとめておった事項であります。お話しのとおり、告訴という形をもって出してまいりましても、告発として取り上げられるべきものは告発として取り上げるという方針でございます。ただ、その内容が問題でございますが、その内容について、犯罪事実という点ではっきりした説明がなされておりませんので、実態から見て取り上げられなかった、むしろ私どもの持っておる情報の域を出ていなかったという点で持ち帰ったという状況になっておるようでございます。
  64. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで警察当局としては、山本某なる者が告訴状を持ってきたが、実はこれは告発とみなす、ところが聞いてみると、犯罪事実として証明するに値しないというか、適格でなかった、そういうことで取り上げなかった。しかしそこにいろいろなうわさがあり、ある程度具体的なものも出ておったと思うのです。そういうことについて今後どうせられますか。
  65. 日原正雄

    ○日原説明員 先ほどお答えいたしましたように、警察としても関心を持って情報の収集につとめてまいったわけでございまして、やはり関係者の取り調べ等の捜査に着手するということになりますと、具体的な容疑事実を警察が認知して、そうしてそれに関する証拠を入手するということが必要であるわけでございますので、この点についてはさらに一そう努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  66. 田中武夫

    田中(武)委員 原田さん、あなたその間の事情について何か聞いておられますか。
  67. 原田明

    原田説明員 聞いておりません。
  68. 田中武夫

    田中(武)委員 これは、金額は合うか合わぬか私も知りません、実は私も捜査権を持つわけじゃないですからね。しかし日本バナナ輸入組合の加入金の中から二千二百万円——ちょっと数字はどうかと思いますが、それが政治家とか通産省関係へ贈られた。ともかくそこに金が合わない、加入を認めなかった者に金を返さない——いまでは返しているようです。だからそれが業務上の横領になる。それともう一つは、その二千二百万円というのは、私も的確な数字としてはつかんでおりませんが、それが贈られたということが贈賄になる、こういうことの告訴というか、告発といいますか、であったと思うのです。しかもその中には、たとえばことしの春というから、日時ははっきりしておりません。しかしまあ四月ごろだろうと思うのですが、通産省の関係者を伊東温泉の山岸園ですかに招いて宴会をやった。その第二次会は同じ伊東の金竜館でやった。そこへは通産省のだれが出ておった、あるいはバナナ輸入組合のほうからは樋口理事長、それから横矢、吉村の両副理事長も出ておったというようなことが言われておるのです。そういうことが告訴状に書いてあったかどうかは知りませんが、そういうようなことについては警察庁としてはどうなのです。ともかく犯罪ありとして、告訴だけれども、実は告発とみなしてもいいです、あれば、ただその本人のものだけでなく、捜査を開始することになっておるのじゃないのですか。さらにそれがでたらめとするならば、今度は告訴ないし告発をせられた者が、その告訴、告発をした人に対して、今度は証告罪であるということはあり得るのです。しかし司法警察官は刑事訴訟法のたてまえからいえば、それを受けたら捜査を開始する、そして書類及び証拠は検察庁へ送付せねばならない、こうなっているのです。それを警察の窓口だけで処理できるものでしょうか。
  69. 日原正雄

    ○日原説明員 警察として、当然犯罪の容疑ありと認めた場合には、捜査に着手するわけでございまして、必ずしも告発の有無に限らないわけでございます。そういう意味でいろいろ情報も収集をいたしておるわけでございます。ただ、たとえば使途不明金ありというだけのことでありますと、すぐにそれが犯罪ということにはならないわけでございます。あるいは飲み食いをしたというだけでありますと——収賄ということになりますれば、その職務に関しわいろを収受したということが必要であるわけでございます。あるいは横領にいたしましても、背任にいたしましても、それぞれの事項についての説明が必要なわけでございます。そこで、そこら辺のところがはっきりいたしませんことには、捜査に着手する段階にまで至らないわけでございます。もう少し情報を収集いたしませんと、その点の内容に入れないわけでございます。
  70. 田中武夫

    田中(武)委員 もちろん親告罪なら六ヵ月間と期間がきめられておる。しかし贈賄ということになれば、これは親告罪じゃありませんね。しかもあなたの話では、今月の八日にそういう山本某なる者が警視庁へ行った。ところが九月二十七日にすでに捜査関係事項照会書というのが捜査第二課長の名前で出され、「右各名義人との」これは名前は書いてないのですがね、「各種預金取引状況について元帳写各二部(昭和四十年六月一日以降現在又は解約日まで)を作成回答願います。」おそらく銀行筋にいったのじゃないか。「なお自己宛小切手(ギフトチェック)の作成あらばその詳細も回答願います。」こういうものを出しておられるところを見ると、告訴、告発を待たずに若干の捜査が開始せられたのではなかろうか、こういうように思うのですが、これはどうなんです。
  71. 日原正雄

    ○日原説明員 お話のとおりでございましてすでにこの時期以前に、風評その他に基づいてそれそれの情報収集をいたしておるわけでございます。ただ、強制捜査あるいは任意取り調べというような段階に至りませんけれども、情報をいろいろ入手しておる、努力してまいっておるということは事実でございます。お話しの点もその一環でございます。
  72. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで、捜査したが犯罪事実がないというのでもうやめられたのですか、さらにもっと捜査を続けるということなのか。
  73. 日原正雄

    ○日原説明員 これは現在、先ほども申しましたとおり、要するに情報の収集につとめて、いわば内偵の段階に入っておるというふうには言えると思います。
  74. 田中武夫

    田中(武)委員 あとに質問者もありますので、ここで私は委員長に提案したいのです。  と申しますのは、いま言ったようなことについて、いろいろな疑惑が、いわゆる黒い霧がただよっておる。しかもそれは当委員会の所管するところのバナナ輸入問題についてであります。そこで、私はこのバナナ輸入組合の樋口某なる者も知りません、また加工卸売団体連合会の山本某なる者も知りません。しかし、双方主張があるようです。そこで、ここで提案したいのですが、近い機会に当委員会に樋口バナナ輸入組合理事長、山本加工卸売団体連合会会長、この二人を参考人に呼ぶ、そしてここで、そういう黒い霧がただよっておる問題があるならば、ひとつはっきりさすのも当委員会の任務ではなかろうかと思うのです。そこで、この二名を参考人に呼ぶことについて提案をいたします。
  75. 天野公義

    天野委員長 あとでまた理事会で御相談をいたします。
  76. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、そのことはあとで相談するとして、われわれは別に警察の捜査権を云々するのとは違います。いろいろと新聞にいわれておる黒い霧、しかも一番輸入物資で利権の王者はバナナともいわれておる。そんなこともないだろうと思うのです。しかもそこにいろいろな人の名前も出ておる。あえていまは申しません。しかしそういうようなことが事実ありとして、司直の手にまで告訴しようとしておる。実際は告発行為であったかもしれません。した人が現にここにおる。しかもそれに対して全面的に否定しておる被告発者がおる。ならば、日本バナナ輸入組合は、当委員会の所管する通商に関する、しかも輸取法の十九条の二による法人でございます。そういうものに対する疑惑は払わねばならないと考えます。疑惑であってほしいと思います。そのためには、ぜひ両者対決——これは同じ日でなくとも、時間を違わしてもよろしい、ともかく双方の主張を当委員会において明らかにすることは、私は当委員会の任務でもあると考えますので、後ほど理事会で御相談をいたしますが、委員長において十分私の提案の意味を御参酌願いたいと思います。
  77. 天野公義

    天野委員長 板川正吾君。
  78. 板川正吾

    ○板川委員 ただいまは田中委員からるる追及があったのですが、台湾バナナ輸入問題に関連しまして、いわゆる黒い霧の流行語ができておるのであります。この黒い霧の中心は、大臣通産省です。通産省がその中心なんです。ですから、私は他の議題を質問しようと思ったのでありますが、やはりこの機会に黒い霧の根源を明確にし、そして取り除くなら取り除くで、問題があればこれを出して、やはり社会の批判に当てなければいかぬ、でなければこの問題は解決しないと思うのです。そういう意味で質問をいたしたいのでありますが、当面この問題では私は問題が二つあると思う。一つは、いま田中委員が言われましたように、台湾バナナ輸入組合長の樋口氏を中心とした告訴事件、これに関連する通産官僚の綱紀の問題があります。第二は、大臣バナナの割当制度はなかなか改善の方法がないというのでありますが、私はこれは改善の方法はあると思う。その改善の方法がなぜないのかということは、この割当制をめぐって利権がからまっておるからだ、そして通産官僚がそういうことを温存するような方式をとっているからだと思うのです。考え方を変えてやる気なら幾らでも方法はあると私は思う。その二点についてひとつこれから質問してまいりたいと思います。  そこで、まず第一点の告訴の事件でありますが、警察庁に伺いますが、九月二十一日から二十六日に、告訴されました樋口理事長について調査をしたと思うのです。それから九月二十七日には輸入組合の業務委員長である柴田氏について調査をしたと思うのです。それから十月五日ごろには同じく輸入組合の総務委員長に対して調査を開始したと思います。こういう告訴事件をめぐって警察庁が調査を進めておりますが、この調査の結果、将来この問題をどういうふうに処理をされようとするのか、わかればその問題をひとつ伺っておきたい。
  79. 日原正雄

    ○日原説明員 現在まだ情報を収集中でございまして、はっきりした見通しを立てておるわけではございません。もっぱら情報入手につとめておる状況でございます。その内容につきましては、まだいまここでは申し上げたくないと存じます。
  80. 板川正吾

    ○板川委員 通産大臣に伺いますが、新聞で伝えられるように、輸入組合の幹部と通産省の幹部がいわゆる歓送迎会をやり、しかもその参加者が五十一名参加しておる、そして二次会までやったそうであります。これは今村次長の歓送迎会ということでありましょう。しかしバナナ業者と通産官僚が一緒に飲んで食って、それを払わせるなどということは、通産省の職務執行、幹部の職務執行、綱紀の粛正という点から私は問題だと思うのです。これは通産官僚の中でも言われておるのじゃないですか。バナナの関係で業者と飲んだり食ったりすると、あとで痛い目にあうぞ、だからそういうことはお互いにしないほうがいいだろう、通産官僚の中ではそう言われておったのですね。われわれ国会議員の仲間でも、バナナやノリやコンニャクにあまり口を出すといかぬぞということを言われておったのでありますが、そういうように問題の起こりそうな業者と一緒に飲んだり食ったりするのは、不謹慎じゃないですか。これは通産大臣どう考えますか。
  81. 三木武夫

    三木国務大臣 私も、カナダの閣僚会議から帰ってきて、新聞にそういう記事が出ておったわけでありまして、そういう事実の有無を調べたのでございます。そうすると、輸入組合ができて一年、理事あるいは職員も全員でレクリエーションするので、来賓として通産省出席してくれという要請があってこれにおもむいたことは事実のようであります。いま御指摘のように、私も申したことは、社会的な慣習としていろいろなことがあるにしても、そういうことは好ましいことではない、やはりこういう割り当てなどもいたしておるのでありますから、飲み食いどころか、用事があれば役所で話せばいいのでありまして、そういうところへ出向いて行くということは、理由はいろいろあったでありましょうが、非常に好ましくないことである、今後そういうことは厳に慎まなければ国民の疑惑を招くことになるということで、厳重な警告を与えたことがあることは率直に申し上げておきます。
  82. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると、この新聞にある本年の春伊東温泉山岸園に通産官僚数名が招待されて、歓送迎会を開いた、この事実は大臣認めたわけですね。これは社会的な慣習があるとかいう話を大臣ちょっと言われましたが、佐藤内閣ができたときに綱紀の粛正というのを公約しておったのではないですか。それから次官通達かあるいは官房長通達か知りませんが、みだりに業者とそういう飲食等はすべきでないという通達が大臣出ておるのではないですか。だからこの歓送迎会というもの向こうの費用で、しかも問題のある業界と一緒に行って飲んだり食ったりするというのは、私は今村次長及び出席者の数名というものは不謹慎な態度だと思うのですよ、そう思いませんか。
  83. 三木武夫

    三木国務大臣 私は、社会的な慣習があるからそれがいいと言うのではない。いかに社会的慣習があっても、そういうことはいけない、こういうことを言っておるので、慣習があっていいという肯定論ではない。どんな慣習があろうとも、そういうことはよくないということを申し上げておるのであります。
  84. 板川正吾

    ○板川委員 それでは、その点は時間もありませんから先に参りますが、きょうの日本経済新聞にこういう記事が出ている。「バナナ輸入は「電話一本でできる」「一生食いはぐれがない」といわれるが、それはバナナ輸入業者のなかに「ペーパー業者」と「ダミー(かえ玉業者)」があるからだ。ペーパー業者割り当てワクを横流しして、ワクの権利だけでもうける業者ダミーは少しでもワクを多くとろうとする業者がつくったワクとりだけの“子会社”。電話一本で商売するこれらの“輸入業者”は全体の九割にも達する」これは警視庁の話と書いてあります。電話をかけるとパチンコ屋の音がジャラジャラするとかいうようなことも書いてありますが、こういった事実、これは大臣どう思いますか、認めますか。
  85. 三木武夫

    三木国務大臣 ペーパー業者、ペーパーといっても、輸入しておるのですから、ペーパーだけでは……(板川委員輸入しておりませんよ」と呼ぶ)輸入業者でありますから、いろいろな手続が要りますから、手続を共同ですることはあるでしょう。しかし電話、ペーパーだけというわけではない。(板川委員「ペーパーだけです。商売をやっておりません」と呼ぶ)ペーパーだけではなくて、いろいろな輸入に関する業務というものは、程度の差はあるけれども、ペーパーだけということでもないと思いますが、それは非常に大々的にやっておる輸入業者と、まあそうでもない業者がある。しかしそれをペーパー業者なりと断ずることについては、ペーパー業者とは何ぞやという定義にもよるわけでございますが、程度の問題であると考えます。
  86. 板川正吾

    ○板川委員 ペーパー業者というのはワクは申請しますよ、輸入割当申請書、これを出しますよ。割り当てを受けますよ。しかし実際に輸入しないのですよ。紙だけで食っておるのです。だからペーパー業者というのですよ。バナナの問題は、本来通産行政の中で通産大臣承認した輸入組合の問題ですよ。ペーパー業者というのがわからないようでは、大体通商局長何をしておるのですか、もっともきょうは問題だから出ていないのだけれども。大臣、そういう勉強をしてもらわなければ困るのですが、このペーパー業者の内容をちょっと言ってみますと、大体一かごで、もうかるときにはプレミアムが千円だそうであります。安いときが七百円、これが常識なんだそうであります。ところがこの中に政界に相当な関係者を持っておるペーパー業者がいる。政界に関係を持っているペーパー業者というのは、大臣、一割安いのだそうです。さすがに目一ぱい取っては悪いと思って一割引きで売っているようです。たとえば千円のときには九百円、八百円のときには七百円くらいで売っているそうですよ。これは公然たる事実です。大体考えてみていただきたいのですが、これは次長、事務局の答弁でいいのですが、今年の輸入が七百十万かごですかな、この新聞によると六百九十七社だそうです。約七百社ですな。六百九十七社、七百社でこの割り当ての総額を割ってみてください。そしてそれが月に幾らになるか出してみてください。そしてそれに七百円ないし千円をかけてみてください。一人の輸入業者が、一ヵ月平均しますと千かごに足らないじゃないですか。輸入業者は、一かご千円にしても月に百万円じゃないですか。七百円か七百五十円にすれば、七十万円か七十五万円です。一つの会社が店舗を持って月に七十五万円くらいではあまりもうけにならない。しかし電話一本で七十五万円、百万円ということになれば、これは大いにいい商売ですよ。私は、この問題がいまの法律に反しているという意味で言っているのじゃないのです。こういう制度があるところに通産行政として問題があると言っているのです。計算した結果をちょっと言ってみてください。
  87. 原田明

    原田説明員 先生御指摘のとおり、バナナの業界は通常よりやや高い利潤をあげているということはおっしゃるとおりでございます。ただし、この問題につきましては、以前は特定物資の臨時措置法などによってその差益を吸収していた時代もございますが、自由化と同時に関税を七〇%に上げまして、自由化による輸入の増大をはかって、それによる価格の低廉をはかるという方策に切りかえられたわけでございます。同時に、おっしゃいますような輸入業者が非常に数がふえて台湾に殺到いたしたわけであります。ただしバナナ輸入の実務はバナナ専用船で行なわれております。しかし輸入業務に伴ういろいろの運送でございますとかその他の実務を共同でやるというほうが効率が非常によろしいという問題もございます。したがいまして、これらの業者は、契約をし、信用状を開き、その他輸入に伴う実務をし、また自動割り当て制をもらって、通産省との関係において法律上正式に輸入業者として代表され、その上で輸入業務を営んでおりますが、おっしゃるとおり、輸入の実務を一部やっておらないで人に代行してもらっておる者がございます。バナナの利潤が非常に高いために、これをペーパー業者と通称呼んでおるところでございます。しかし、割り当てをいたします場合の基準とする条件その他法律的関係におきましては、こういう業者輸入業者でないと断定することは困難でございます。  それからまた、こういう業者の数が非常にふえておりますが、しかしこの業者の中に非常に少ないかごを扱う者があって、そういうもの輸入業者といえないじゃないかとおっしゃる点も、確かにそのような実情もございます。しかし輸入業者が、現在のところでは、平均どのくらい以上輸入をする実務をする者だけが輸入業者であるというふうな概念を確立することは非常に困難でございますし、またたとえいかにもうけておりましても、現在の制度のもとでは、もうけた人からはちゃんと税務署がそれに相応する税金を取っておられるはずでございます。したがいまして、現在の制度のもとでは、やや高過ぎるので、私どもとしてもその点を考慮いたしまして、できるだけ輸入の増大ということで価格を下げていくというのが一番の捷径であると、かように考えております。その途中、現在の段階では、まだその高い利潤をめぐって、インサイダー相互及びアウトサイダーは非常に争って、少しでも商取引をやりたいといっている時代でございます。つまり極端な過当競争時代にございますので、こういういわば戦国時代をおさめるには、いささか荒療治かとは存じますが、過去に実績を持っておる、つまり一定の期間において実際に輸入の業務を行ない、かつ台湾から契約をとり、輸入割り当てをもらったという業者割り当てをして、それ以後のものには割り当てをしない、かつまたその割り当てもその実績に応じてやるという方法をとるのが最適だということで、当分の間これを続行せざるを得ないと考えておる次第でございます。
  88. 板川正吾

    ○板川委員 警察庁に伺いますが、きょうのこの新聞によると、警視庁の話として、実際に輸入しておるのは全体の一割、七十社くらいのものであって、九割はいわばペーパー業者なりあるいはダミー業者である、こういう報道がされておりますが、この点はどうお考えですか。
  89. 日原正雄

    ○日原説明員 私はその新聞を読んでおりませんけれども、警察の立場といたしましては、犯罪事実そのものについてどうこうという結論が出るまでは、いろいろ行政上の問題につきましては見解を発表いたしたくないと存じますので、だれがそういう発表をしておるか存じませんけれども、いまの私の立場としては、犯罪事実というものの有無の決着が出ますまではお話ししたくないのでございます。
  90. 板川正吾

    ○板川委員 通産省は、こういう実態が報道されておるのですが、一体七百社近い輸入業者の中で実際に輸入をやっておるものとそうでないもの、これを区分けをしたことはありませんか。ここに四十一年十月一日現在の日本バナナ輸入組合組合員名簿があります。この中でほんとう輸入しているものとそうでないものというものを区分けしたことはありませんか。
  91. 原田明

    原田説明員 輸入ということの定義によることと存じますが、私どもが輸入と申しますのは、相手国当事者といかなる品質のいかなるもの幾らの量、いつ、いかなる条件で買うかという交渉が最も重要でございます。それを通常の輸入取引交渉でございますその取引交渉に基づいて契約をいたしまして、銀行手続その他を終え、通関手続その他をいたしましたということが輸入でございまして、特にまた割り当て物資等におきましては、自己の名義において割り当て申請書を出して割り当てをもらったもの輸入業者でございます。したがいまして、私どもが輸入をやったというふうに解釈いたします場合には、現在の輸入組合組合員はすべて輸入業者でございます。輸入の実務のうち、たとえばごく一部の実際の運送みたいな物理的な品物の動かし方というものをやらなかった、ある場合にはそれはむしろ能率をあげるために共同行為をとりますし、あるいは船が専用船でございますので、話し合いをしてそれに委託輸入をしなければならないといったような実情はあるかと思いますが、そういう物理的な輸入をやらないからといって輸入業者でないと断定することは非常に困難であると考えております。
  92. 板川正吾

    ○板川委員 これは私ある方面から情報を得たのですが、この組合員名簿の中で、国会議員関係、運転手の名義だとか、秘書の名義だとか、女房の名義だとかいうものがあるそうであります。この輸入組合の内容についてそういう事実はわかりませんが、たとえばここに砂田産業というのがあるのですね。これは私調べてみたのですが、故砂田代議士のむすこさんだそうであります。しかし、これは実際に仕事をやっていますね。これはペーパー業者じゃないですよ。これはこの間の最初割り当てでは一万七千かご割り当てを受けていますが、これは実際に仕事をやっている。しかし、幾つも聞いていますよ。某代議士で、現職で、しかも過去に大臣をやった、あるいは議長をやった、台湾にもしばしば行っておる、こういう人が割り当て二万かごのワクを持っておった。しかしこの名簿を調べてみたら、この名簿にはないですね。それは変わりました。代表者が変わって、前の秘書が今度ほかの名前になりました。これはやはりぐあいが悪いと思って永久権利を売ったんですね。永久権利というのはどのくらいの相場かというと、大臣、大体一かご三千円だそうです。二万かごなら六千万ということになるんですね。  それから、この名簿をつくるのについて、これは保守党、自民党の議員ですが、正確に自分の名前を書いて出したそうです。そうしたら、自分の名前を書いて出したんじゃ、あなたもの笑いになるし、たいへんなことじゃないですかと言われて、いまその名前は変えたそうです。これは特に大臣の地域だ。身辺じゃない、地域。四国のほうには非常に多いですね。相当な人数の者がいわゆるペーパー業者に入っております。こういう者をみんな輸入業者にして、そうしてワクを与えてぼろもうけさせておる。そんなのは台湾政府は処理弁法という法律で統一、統制しておりますが、どうも台湾政府に小づかいをもらって日本で活動しているようなかっこうのものですね。こういうところに私は黒い霧の根源があると思うのですよ。これは、大臣、はっきりこういうものをなくするような措置をとらなければだめですよ。次の総理大臣になるときは、綱紀粛正というものを公約しなくちゃいけません。そういう意味では私は、この問題は大臣ひとつしっかり解消するように努力してもらいたいと思う。その方法として、さっき通商局次長は、輸入割り当て申請書を出して、そうして台湾のほうのオーケーをとっておれば、これはみんな輸入業者だ、これしか方法がないという。大臣も再三言っておりました。方法がないのだ、いまの法律でそういうことになっておるのだから、こう言うのです。しかし、この輸入割り当て申請書を出した人がほんとうに品物を輸入したかどうかわからないのですか。わかる方法はないのですか。
  93. 原田明

    原田説明員 通関申告書等によってその人の名前が出ているかどうかということはわかります。物理的運搬をしたかどうかというようなことは調べることはきわめて困難であります。
  94. 板川正吾

    ○板川委員 大臣、こまかいことはわからないんだろうと思います。この割り当て申請します。要件が整って許可がされました。輸入貿易管理令第四条第一項の規定による輸入承認申請書というものを出します。こういう紙です。そうしてこれで信用状の開設、為替決済に関する銀行の証明、そうして最後に通関、ここでだれがほんとう輸入したかどうかわかるのですよ、ペーパー業者はここに入っていないのですから。ペーパー業者は入ってないはずです。この実態は通産省は調べたことがあるのですよ。通産省は昨年の六月にこの輸入業者と称する者の全体を調べてみたのです。そういう調べた結果、私は結果がわかると思っておったのに、わからないというのですね。わかっちゃ困るのですよ。なぜなら、ペーパー業者、ペーパーで利益を上げておる連中が困るからですよ。こういう組織にしておるということが、私は通産省が黒い霧といわれるもとになっておると思うのです。大臣は、方法はない、手続上やむを得ないんだ、こう言っておりますが、それだけじゃ黒い霧は晴れませんね。だからほんとう申請をして、ほんとうに自分で輸入する、こういう者をしぼって、そうしてそういう者に割り当てをしていけばペーパー業者は締め出しできるのじゃないですか。大臣どう思います。
  95. 原田明

    原田説明員 いま先生が御指摘のとおり、実際に通関申告書の面で輸入割り当てを受けた者が名前が出ているかどうかという意味でのチェックならば、時間をかければ可能でございます。ただ一般にいわれておりますペーパー・ブローカーというのは必ずしもそういう者ではございません。輸入の実務を委託しているという者を言っておるようであります。一般に割り当て制度のもとにおきましては、割り当てをもらった者が自分で輸入の通関をするようにということを義務づけております。ただし自動割り当て制度のもとにおきましては、割り当て幾らでも申請すればもらえることになっております。したがいまして、割り当てを受けた者がその輸入の実務を他の人に委託してもよいという制度を特に認めてございます。このバナナ自動割り当て制度でございます。したがいまして、輸入の実務を他人に委託することは、それが輸入の実務を能率的にするというような場合には、むしろ望ましいことでもあるわけでございます。ただし、割り当て制度を戻しました現在では、先生御指摘のとおり、自動割り当て制度のもとにおける割り当てをもらっていながら通関をしないというのは望ましくないという議論もございます。またそれによってどんどん輸入業者が広がるという議論もございます。したがいまして、現在私どもは、実績を持っている者同士の間ならば実務委託をしてもいいが、だれでもないという人がどんどん実務を委託をするというのは非常ににおかしいではないかという議論を検討中でございます。しかし、一切このような実務を委託することを禁止することがすぐに妥当かどうかという点は、なお検討を要するかと存じております。
  96. 板川正吾

    ○板川委員 四十一年十月一日の「昭和四十一年下期台湾産生鮮バナナ輸入割当について」という通産省公報があります。これに一として「申請期限」二として「割当対象者」というのがある。この「割当対象者」を見ますると、「割当月日として昭和四十年七月一日から昭和四十一年六月三十日までの間の日付が記入され、かつ、原産地および船積地が、当該証明書交付時において、台湾と指定された輸入割当証明書により、生鮮バナナ輸入割当てを受けた者以外の者には、標記割当てを行ないません。」こういう公示が出ておりますが、今後もこれはペーパー業者を温存しよう、そのまま制度を続けようということをこの公報は示しております。大臣、これは政治問題ですよ。手続が、省令がどうだの、規則がどうだのということではないのですよ。国民が通産行政にこういう疑惑を持っており、そして電話一本で何十万もあるいは何千万ももうけておるというような実態は、手続が悪かったら手続を直しなさい。そういうことでこの制度を根本的に変えていかなければ大臣だめですな。われわれもずいぶん聞きましたけれども、率直に言って通産大臣はこれには関係ありません。その点は私も認めます。しかし、三木さんだからこういう点はもう少しきれいにしなければいけません。国民の不信というのを払わなくちゃいけませんね。最近のテレビ、ラジオを見てみなさい。われわれ議員として、国会議員として恥ずかしいですよ。国会議員というのが全く全部が悪いことをしておるような言い方になっておるのじゃないですか。いまの制度はそういうものをさらに温存しようというのです。三木さん、徹底的にこの問題は直さなくちゃいけませんね。どう思いますか。
  97. 三木武夫

    三木国務大臣 私もこれにくさいものにふたをしようという考えはない。徹底的にこういう不明朗なことは国民の前に明らかにさるべきだということについては、板川さんと意見は違わない。こういうものでいかにもいろいろな疑惑があるような、そういうことは通産行政の上においても、これは非常に支障があることです。また国会議員としても、国会議員がバナナの利権に結びついておるというようなことは、国会議員のお互いの名誉のためにも、これは明らかにされなければならぬわけでありますから、ただいまいろいろ捜査もされておるようでありますから、これはすみやかに明らかになることを私もあなたと同様に望んでおるものであります。ただ、このことで通産省がいかにも一部の業者に便宜を与えておるようなことは、これはやはり通産行政の名誉のために申し上げておかなければならぬ。これはもう板川さんも御承知のように、非常にバナナ業界というものは混乱に混乱を続けて、これに対して何とかして秩序ある輸入をしたいと通産省の払ってきた努力というものは、私はたいへんなものがあったと思うのです。それはみないろいろ利害に結びついておりますから、その間対立があるわけですから、そういってそのままにおいておけば、非常に輸入秩序を乱していくわけでありますので、いかにバナナ輸入秩序を与えるかということに通産省の係官の払った努力は非常なものがあるということを私も認めておるので、通産省が一部のバナナ輸入業者と結託しておるというような、そういう疑いを板川君が持っておるならば、私もここでものを申さなければならぬ。さようなことは通産行政はいたしておらない。何とかしてこれに秩序を与えたいというために苦労をいたしてまいっておるのであります。しかし、いまの方法が最善の方法だと私は思っておらないのです。これはやはりいろいろな弊害もある、もっと明朗な形にできないかということは私も当然に考えておるのでありまして、だからいまのような方法は当分の間と言って、当分というのをつけてあるので、これがいいというならば永久にこれでいたしますと、こういうのでありますが、いろいろな弊害もあるので、もっと明朗な輸入方式というものにできないかということで検討も加えておるのであります。これは今後とも十分検討を加えて、いやしくもバナナ輸入について疑惑を生じないような改革を加えたいと考ておることだけは申し上げておきたいと思います。
  98. 板川正吾

    ○板川委員 まあ通産省役人個々については弁解すべきものもあるでしょう。しかしいまの制度は、そういう一部の利権屋のために非常に便利な制度になっております。しかもこれは大体が台湾ロビーといわれておる連中にはぐあいがいいことです。私はこの問題は、申請して実際に品物を輸入して商売をするという人にこの割り当てがいくような制度に早急に改正してもらいたいと思うのです。それは手数が若干めんどうかもしれぬ。——原田次長、何を笑うのだ。何がおかしいんだ。おかしいなら言ってみろ、何だその態度は。
  99. 天野公義

    天野委員長 質疑をひとつ続けてください。
  100. 板川正吾

    ○板川委員 何だ、その不謹慎な態度は。——これはめんどうかもしれません。しかし、やってできないことはないでしょう。これは大臣ぜひやってもらいたいと私は思う。そういうふうに手続があるなら、悪かったらそれを改正したらいい。そうして国民の政治に対する不信、通産省に対する不信をなくすようにやってもらいたいと思う。もしこの問題がこのままでいくならば、将来これに関係している議員の名前も私は発表したいと思います。私はそういう気持でおりますから、ひとつ大臣、常識ある清潔な政治家で鳴っておる三木さんとしては、この問題とひとつとっくりと取り組んで改善してもらいたいということを要望いたします。  次に質問いたします。大臣、たいへん恐縮ですが、三月ぶりに開いた商工委員会で、御苦労でももう少しおつき合い願いたいと思います。たくさんの案件があったのですが、きょうは時間を食いましたから簡単にいたします。  公益事業関係の問題に入りたいと思います。これは公益事業局長でもいいです、時間の都合がありますから。公益事業局の任務というのはどういうのですか。
  101. 安達次郎

    ○安達説明員 公益事業局は、その所管業種である電力事業及びガス事業の健全な発達をはかり、国民の利便を最大ならしめるための指導、監督をする所管官庁でございます。
  102. 板川正吾

    ○板川委員 こういうのじゃないでしょうかね。自由経済、自由な企業、これは競争が行なわれますね。もうかれば新しい企業がそれに参入しますね。そうして数少ない企業者が独占するというわけにいかない。そこに競争経済というものがあると思うのです。しかし、公益事業局で管轄をしておる電気なりガスなりというのは、これは独占企業ですね。だからこれは、もうかっているからといって新たにその地域で商売することは、政府も許可しません。ですから、国家社会がその地域あるいはその社会における独占を承認しているのですね、公益事業局の管轄下の電気、ガスというのは。だから私は、公益事業局というのは、一般の消費者なり需用者なりの立場から、この独占企業体である企業を監督をし、指導する、こういう任務があるんじゃないでしょうか。これは間違いないと思いますが……。  ところで、時間がないからはしょりますが、実はこれは埼玉県のあるガス会社ですが、千四百か千五百世帯しかなかった小さいガス会社です。ところが、最近そこへ団地が三千世帯ばかりできまして、来年の四月からまた団地が三千世帯ふえて、来年からは七千五百世帯になる。   〔委員長退席、櫻内委員長代理着席〕 前の小さいガス会社のときには需用者も少ないし、それから原料であるブタンの価格も高かったから、値段を高くしておったのですね。ところが今度その三千世帯も入り、来年はさらに六千世帯。地下鉄が開通して、どんどん住宅なり工場ができるという条件でこの団地に入った居住者が、東京が多いのですが、東京ガスは安いのです。そこへ行くと非常に高い。三割ぐらい高い。これが、高いということでガス会社交渉したら、まけてもいい、値下げしてもいいということを社長が言ったそうです。ところが通産省へ来たら、通産省はガスの値下げはまかりならぬ。こういった事実があるのですね。通産省公益事業局というのは、ほんとうの任務は、需用者、消費者にかわって独占企業体であるものを監督、指導するのじゃないか。企業者の立場に立っておるような行政のあり方というのは、私はどうも問題だと思います。この点、局長どうです。
  103. 安達次郎

    ○安達説明員 当事者が料金の値下げをいたしたいというのに役所が足を引っぱってやらせないということは、具体的にはございません。ただ、一般論といたしまして、ガスの料金につきましては、やはり長期的に料金が安定することが望ましいわけでございますし、同時に、その料金は、ガスの保安なりサービスなりの確保が十分にできるような料金であることが必要であるわけでございます。その場合に、一般論といたしましては、そういうような保安の確保なりサービスの確保なりが十分にできないような収支状況のもとでは、やはり一般的には、そういう値下げについては時期尚早ではないかというような意見を言ったようなことがあるようでございます。しかし、いまの関東地方におけるその具体的な実例などについて調べてみますと、確かに現行料金がきまりましたときと比べ需要戸数が著しく増加し、それに伴う設備投資の増額あるいは繰り越し欠損等も現在はあるわけでございますけれども、そのいわゆる償却の見通しなども明らかにはっきりとしている状況にもあるわけでございます。その辺のところ、なおいろいろと具体的な事情についてさらに検討を重ねまして、御趣旨に沿うような指導をいたしたいと考えております。
  104. 板川正吾

    ○板川委員 問題だけ出します。それは関東ガス株式会社というんです。料金の単価が四十七円九十五銭です、七千カロリー。その周辺は四十四円台があり、それから三十八円台がある。大体三十八円です。館林、伊勢崎、桐生等を見ると、三千世帯ぐらいになっているんですね。今度関東ガスというのは、四千五百世帯をこえているのに古い料金のままでいる。ところが、過去に累積赤字がありますから、その赤字をなくした後値下げしたいということのようであります。しかしこの新しく団地に入った人は、過去の赤字を自分たちの一年か二年の負担で全部なくしてから安くされたのでは、その当座入った人が非常な負担になるわけですね。炭鉱地帯ならば別だけれども、来年四月からさらに三千戸ふえるし、地下鉄が入ってどんどん住宅や工場ができているんだから、先に不安はないんです。それならば、いまのうちにある程度値下げをして、赤字の解消が一年あるいは一年半おくれても、いま東京方面から団地に入った人は三割も高くガス代をとられるという人のために、私は長期に赤字をなくすような指導があってもいいんじゃないか、これは理屈に合っていると思うんです。まあ、ぜひひとつ、そういう方向を公益事業局の任務として指導してもらいたいと思いますが、いかがですか、大臣
  105. 三木武夫

    三木国務大臣 いろいろな条件の変化が起こっておるようでありますから、関東ガスの場合も十分検討すべきものだと思うので、検討をいたすことにいたします。
  106. 板川正吾

    ○板川委員 それからもう一つ二つ、あまり時間を食いませんから、公益事業局長に伺いますが、中国電力が申請どおり三・九一%で値下げ承認された。これは前々から当委員会大臣も、この秋からは値下げをさせる、こういう約束であったわけですから、今度それが実現を見たわけです。しかしこの三・九一%、実はいまちょっと値下げ幅が大きくてもよかったのじゃないかと思うのですが、審議をしてそのまま認めたということは計数的にどういうことですか。たとえば、いままでは値上げのときはなるべく値上げ幅を検討して内輪にする、値下げのときには検討してなるべく大きくしたほうがいいんじゃないですか。これを申請どおり認めたというのはどういう根拠ですか。
  107. 安達次郎

    ○安達説明員 実は料金値下げの申請というのは、昭和二十六年の電力再編成以来初めてのことでございまして、実は事務手続上も若干戸惑った感じはあったわけでございます。仰せのとおり、料金値上げの際には、申請が出され、それを十分に検討いたしまして査定をいたしております。その場合の査定の基準といたしましては、昭和三十三年の電気料金制度調査会の答申によって定められました算定基準に準拠してやっております。そこで、今回の中国電力の料金改定につきましても、その基準は同じ算定基準で検討いたしたわけでございますが、ただ、料金値上げの場合には、いわば当事者、会社側の希望というか、会社側の数字と査定する側の意見が、ある程度食い違っても、いわば意見の一致を見なければ、いつまでも値上げの認可は出ないわけであります。結論が出ないわけであります。ところが、値下げの場合におきましては、両方の意見が一致しない限り、当事者が申請書を出してこなければ、いつまでも値下げをできないわけでございます。そんな事情も考えまして、実は会社の当事者からいろんな原価構成要素の個々の問題につきまして事前にいろいろと私のほうと意見調整をしていただきまして、相当いろいろ意見が分かれ、いろいろと調整を重ねたわけでございます。したがって、一言にして言いますと、申請書が出る前にすでに私たちが料金算定基準に準拠した意見によって大体意見調整が終わっている、そのような形での申請書をお出しいただいたという実情でございます。したがって、その後それでもって結論を出したわけでございますが、現地における公聴会等による需用者の御意見なども十分織り込みまして、なおその原案のままで変更の必要なしという結論で原案どおり認可いたしました。そのような状況でございます。
  108. 板川正吾

    ○板川委員 事前に申請をして、そうした検討をしておって、長引いたのではかえっていかぬ、早くひとつ許可しようということであったと思いますが、中国電力の社長も、できれば将来さらに再値下げをしたいというのでありますから、私はもうちょっと値下げ幅があってもいいんじゃなかろうかと感じたものですから伺っておいたわけです。  ついでに伺いますが、そのほかの電力会社で料金値下げをする会社はありませんか。
  109. 安達次郎

    ○安達説明員 新聞報道では、先般の中国電力の料金改訂以来いろいろと報道されておるわけでございますが、確かに中国電力のほかにも現在におきましてある程度経理の状況の良好な会社がございます。しかし、電気料金は、やはり安い、低廉であるということであると同時に、長期にわたって安定しているものであることが必要であろうかと思われます。したがって、値下げを行なうという場合には、その会社の値下げ後もなお相当期間にわたって収支の安定が保持できるということについてある程度はっきりした見通しを立てることが必要でございます。そんなことで、通産省といたしましては、絶えず各電力会社のそういう長期の収支の見通しなどについて検討を重ねておりますが、ただいま現在におきましては、特定の会社について料金値下げの行政指導をするのが適当であるというような結論にまで到達した会社はいまだございません。
  110. 板川正吾

    ○板川委員 まあこれは長期に安定も大事な要素です。しかし、低廉な電気料金というのを供給することも同時に大切な要件であろうと思います。大体日本の電気料金は諸外国に比較して若干高いのじゃないですか。  ところで伺いますが、昭和三十三年の電気料金制度調査会で、料金制度を早急に新しい方式に改めるべきだ、こういう趣旨が答申をされておるのですが、業務供給規程によって新料金制度を現在とってないところはどことどこです。
  111. 安達次郎

    ○安達説明員 厳密な意味で申しますと、新料金制度についての改正点がたくさんあげられたうちで、一応原則として全部採用している会社が六つでございます。全部については採用してないという会社が北海道と関西と四国でございます。
  112. 板川正吾

    ○板川委員 関西は違うでしょう。関西は新制度を少しやっているでしょう。
  113. 安達次郎

    ○安達説明員 九社とも全部部分的には採用しております。そして全部についての採用をしてないのが三つということでございます。
  114. 板川正吾

    ○板川委員 新聞報道にもあったのでこの際伺っておきますが、関西電力に新料金制度を適用さしたらどうだ、こういうことが報道され、通産省でもこれは検討中と聞いておりますが、この問題を通産省はどういうふうにいま検討しておりますか。
  115. 安達次郎

    ○安達説明員 新料金制度が料金制度の合理化をはかるためのものである以上、まだ新料金制度に全面的には移行していない残りの三つの会社につきましても、できるだけ早い機会に新制度に極力移行するということが望ましいことは当然のことでございます。そのような事情から、先ほどもちょっと部分的に触れましたが、新制度がきまりました場合に、新制度できめたいろんな料金制度の改変はいわゆる料金の改定を行なう時期に実施するということにいたしておりましたので、従来昭和三十六年の九州電力以後六つの会社が料金改定をいたしましたので、原則としてそれに移行した。残っている三つがそれから料金改定をいたしておりませんので、全面的には移行しておりませんが、昨年部分的に一部移行さしているわけでございます。そのような状況で、残りの分についてはどうかということがただいまの御質問の御趣旨かとも思います。残されました料金制度と申しますのは、たとえば公衆街路灯の割引とか、あるいは停電その他の使用制限の場合の制限割引の条項、契約電力の決定方法の合理化とか、あるいは負荷率割引制度の合理化というような項目がなお残っているわけでございます。しかし、これらの制度は内部的に、詳細は省略いたしますが、それぞれ密接なつながりを持っている制度でございまして、部分的に実施することはなかなかむずかしいということで昨年の場合ははずしたわけでございます。しかもこれを全部一斉にやるといたしますと、値上がり需用家を出さないようにするためには電力会社の経理上も相当の負担が出るという実情でございます。したがって、やはり残った三社のそれぞれの経理状況によってここで判断をしなければいけないということになろうかと思います。その三社の残りの分の新制度への移行について、なお今後慎重に検討を重ねてまいりたいと思っております。
  116. 板川正吾

    ○板川委員 新料金制度を全面的にやってないのが三社だ、しかし三社も部分的には一応やっております。全面的に三社がやった場合に、関西と四国と北海道ですか、どのくらいのプラス、マイナスが経営上にあるのですか。プラスはないだろうけれども、どういうふうに影響を与えるのですか。大体の計数です。
  117. 安達次郎

    ○安達説明員 これは残りの項目が幾つかまだあるわけでございますが、要するに今後新しく新料金制度でまだ実施してない分を採用する場合に、採用する程度の問題がございます。したがって、同じ程度でもその幅をどうきめるかというような問題がございますし、いろいろとあるわけでございますが、先般の中国電力の際に、料金値下げというようなことがあったわけですが、あのときに言ったような要領で大体目見当をつけてみますと、全面的にはまだ移行していない三社につきましては、現行の料金収入の大体一・四、五%から一・七、八%になろうかというような試算もございます。これはあくまでいろいろな仮定を置いた試算でございまして、あまり正確にはちょっとただいま申せません。
  118. 板川正吾

    ○板川委員 四国、北海道となると、需用も少ないし、配電範囲が広いということもあるかもしれませんが、関西電力はいわば計数的には有税償却もしておるし、十分その新料金制度に全面的に移行しても、その負担に耐え得られるのじゃないですか。一・五%程度というと、関西電力の年間総収入が約二千億でしょう。だから二千億の一・五%というと約三十億、その程度のことは、この新制度をとり得る条件を備えておるんじゃないですか。それは、非常に経理がいいというのは、企業努力だということもありましょう。ありましょうが、しかし社会によって独占権を与えられておる。こういう社会に対する奉仕というか、ある程度よくなったら、それに対する奉仕ということも考えられてしかるべきじゃないか。公益事業局の任務としてそういう立場から指導すべきじゃないか。石炭を割り当てれば、これは割り当てが高いからやめてくれ、こういうふうなことを言う会社もありますが、どうも私は、そういう社会から独占権を与えられておるということに対する奉仕の精神が欠けておるのじゃないか、こう思うのですが、どうですか。特に大きい支社でも全面的に新制度に各社みんなやっているのですから、やるように、しかも負担に耐え得る条件を持っているのですから、そういうふうに指導してもらいたいと思いますが、大臣いかがですか、需用者、消費者の立場から。
  119. 三木武夫

    三木国務大臣 料金の問題というものは、これは長期的な観点から立てなければなりませんし、慎重に検討しなければならぬのですが、常に考えるべきは、需用家に対してできるだけ安定して、しかも低廉な電力を供給できるようにするということが、絶えず通産省として心しなければならぬ問題である。絶えず電力料金というものは、関西電力に限らず、検討をすべき性質のものだと考えております。
  120. 板川正吾

    ○板川委員 消費者、需用者の立場から、ひとつぜひ公益事業局も積極的な行政指導をしていただきたいと思います。  最後に、時間をたいへん食ってしまっておくれちゃったものですから、一つだけ……。  今度トヨタと日野が業務提携することになりました。この業務提携、結論として、これに対する大臣の所見といいましょうか、どういう感想を持たれておるか、この際伺っておきたい。
  121. 三木武夫

    三木国務大臣 自動車産業というものは、将来国際競争に耐えていける産業になるよう、これは力を入れて育成をしなければならぬ産業の一つであります。そのためにはどうしても、やはり量産体制のメリットというものは、自動車工業は一番持っておりますから、企業基盤企業の規模というものができるだけ強いものになるということが好ましい。そういう意味において、日産、プリンス、ここにおられる委員長なども、通産大臣のときに努力をされて、その功績を非常に高く評価しておるわけでございますが、それに引き続いて第二陣として、トヨタと日野との業務提携ができたということは非常に好ましい傾向である。こういう傾向を将来自主的に——こちらからどうこうというのでなしに、自主的にこういう傾向が自動車業界に生まれることは助長したいと思っておる次第でございます。
  122. 板川正吾

    ○板川委員 前通産大臣櫻内さんが委員長席に着いておりますが、あのときには日産、プリンスの突如たる合併ですね。企業の利益といいましても、突如たる合併というのは、どうしてもこれは目的を追って山を見ないがごとく、結果的にはやはりうまくないですな。私は、前通産大臣を前に置いて言いますが、結果的にはマイナス。労働組合の関係もうまくはいかない、無理に押え込むということ、しかもまた、プリンスの関係の下請業者がどんどん倒産をしておる、こういったことで、やはり無理に突如たる合併というのはよくないです。結婚でも、ある程度交際期間があって、お互いに相手の気心を知った上で最終的に約束するというようなことでなければならぬ。そういう点から言えば、私は、今度の業務提携のほうが、実利的にも実は目的にかなった方法だと思いますね。無理やりに突如たる合併をして、ごたごたが続いて、根を将来に持っておる、こういうものよりも、やはり業務提携なり、ある程度自主性を尊重しながら徐々に足並みをそろえる、こういう式のほうが私はいいと思う。今後日本の自動車業界は国際競争力を持たなくちゃならないということは、大臣言うとおり、まだまだそういう面ではおくれておりますが、どのくらいに整理というか、そういう業務提携をされてブロックになったらいいか、企業数になったらいいか、大臣どう思います。
  123. 三木武夫

    三木国務大臣 これは私の口からここで言うことはなかなかむずかしい問題ですが、しかし、いまのままでいいとは思っていないので、こういう業務提携のような形で、販売とか技術開発とか、あるいは部分品や材料の購入をやはり共同して、協調してやるということになれば、経営も非常に合理化されていくわけですから、こういう傾向がこれだけに終わらぬで、またこれに続くものもあって——これはやはり自主的にやったほうがいい。あまり無理をして行政指導といっても、会社の業務提携とか合併というものはたいへんな問題ですが、やはり自主的にこういう傾向が行なわれてくることは非常に歓迎すべきもので、これに終わらないで、あとに続くものもあるだろう。しかし、通産大臣の口から、自動車業界は幾つくらいが好ましいということを申し上げることはちょっと適当でないと思います。
  124. 板川正吾

    ○板川委員 実はまだ資本自由化の問題、あるいは板紙、白板紙の問題その他を取り上げたいと思ったのですが、私の時間が大体終わりましたから、以上できょうの質問は終わりますが、先ほどもちょっと言いましたように、結論として、バナナの問題はぜひひとつ通産大臣が責任を持って黒い霧を払うような措置をしてもらいたい。今後も私はこの問題は大いに監視をしてまいりたい、こう思いますから、当委員会でいま田中委員からも出されている問題等もありますが、問題点の所在を明らかにして、ひとつ大臣も実相を知ってもらいたいと思うので、そういう意味で今後も議論していきたいと思います。  私の質問はとりあえずきょうはこれで終わります。
  125. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっと大臣がおられるところで資料の要求をいたしておきたいと思います。  実は先ほどちょっと質問の中で申し上げましたが、日本バナナ輸入組合の定款、それからバナナ輸入業者のうち日本バナナ輸入組合に入っているもの、アウトサイダーがどのくらいあるか、それから問題になりましたペーパー業者幾らくらい、ダミーまでは調べられないかもしれぬが、できるならばダミー、こういうことについて資料を要求しておきたいと思います。と申しますのは、私が両参考人を呼んでいただきたいということを委員長に提案しました。委員会終了後に相談しようということですが、この状態ではおそらく理事が集まらないということで流会戦術をとられるのではないかと思うのです。これは私の想像なんですが、当たっていなければ失礼ですけれども、そうすると、閉会中のことでもあるし、この問題があと続かないことになってしまう。あとまだ続きますよということの意味において、少なくとも資料だけは提出していただきたい、こう思います。
  126. 三木武夫

    三木国務大臣 承知いたしました。できるだけ御希望に沿うように資料を提出いたします。
  127. 櫻内義雄

  128. 山口シヅエ

    ○山口(シ)委員 私は全国紙器、ダンボール箱業界の材料値上げ問題について御質問申し上げたいと思っておりますが、お答えをお願いいたしたい方々は通産大臣公正取引委員並びに通産省の紙業関係の行政担当の皆さま方でございます。大臣も長時間の委員会で、お食事もなさらないでさぞお疲れとは存じますけれども、私は本日はできるだけ余分なことを申し上げないように整理をいたしまして御質問申し上げますから、どうぞお答えのほうも懇切にひとつお願いをいたします。私も重複しないように質問させていただきたいと存じます。  きょうは公取の委員長は先ほど委員部のほうから御出席できないという御連絡がございましたが、どなたが……。
  129. 竹中喜滿太

    ○竹中説明員 事務局長の竹中であります。
  130. 山口シヅエ

    ○山口(シ)委員 それでは竹中さんに御質問申し上げます。  それから、部長さん、局長さんが出られないで、きょう御出席はどなたでございましょうか。
  131. 石原尚久

    ○石原説明員 繊維雑貨局の紙業課長の石原でございます。
  132. 山口シヅエ

    ○山口(シ)委員 もうすでに御存じと思いますけれども、大手印刷メーカーを除き、中小、零細企業が大多数を占めております紙器、ダンボール箱業界の陳情の問題は大臣もお聞き及びのことと存じます。この業界で製品化される各種の紙器、ダンボール箱は中小企業、零細企業などの集まりとはいいながら、この業者の数は七千をこえております。そしてその分布は全国的で、しかも従業員の数は十一万以上の多数を示しております。しかも四十年度の販売高というものは一千九百三十億円、このような実績を示しております。その使用する材料は大部分が白板紙でございまして、先ほどこの紙器、ダンボール箱製造業者が七千社に及ぶと申しましたが、大手印刷メーカーとの使用対照のパーセンテージは昭和四十年には五六%という実績を見せております。しかしこの白板紙をつくる大手メーカーはわずかに四社でございます。それは大昭和製紙、本州製紙、北越製紙、三興製紙、この四つのメーカーが七千に及びます業者に供給しているのがただいまの実情でございます。通産大臣は、まず、千九百三十億円にのぼります売り上げ実績を示す七千をこえる業者、十一万二千人の従業員を全国に持つ業界に対してどのくらいの関心をお持ちでいらっしゃるか、お伺いをいたしたいと存じます。
  133. 三木武夫

    三木国務大臣 山口さん御指摘のように、典型的中小企業として七千くらいのものがあると考えております。それが先般、紙価格の値上げに反対の総決起大会をする、私、報告を受けたのでありますが、通産省にも見えたようでございます。それで、この問題は通産省としても、中小企業維持育成という立場からも捨ておけない問題であるというふうに考えておる次第でございます。
  134. 山口シヅエ

    ○山口(シ)委員 それでは大臣はこの業界に関心も強くお持ちいただいておりますと同時に、先般の決起大会に対してもそのようにお心にとめていただいていたと解釈をいたします。そしてこれらの業者が材料値上げによりましてこぞって値上げ断行するということになりますと、物価値上がり防止の政府の基本的政策、すなわち物価抑制政策にどの程度の悪影響を来たすと大臣はお考えになっていらっしゃるか、これもひとつお答えをいただきたいと存じます。
  135. 三木武夫

    三木国務大臣 値上げという問題でありますが、御承知のように、一昨年の末以来各企業は非常な不況にあったわけであります。紙の業界も、これは山口さん御承知のとおり、ようやくこのごろそういう不況から抜け出そうかというときで、したがって今度の値上げが非常に不当なものだとはわれわれは考えていない。しかし、物価はなるべく安いにこしたことはないのですが、しかしそういって、全然採算を割るような価格でも安定をいたしませんから、この問題の処理について私どもはこういうふうに考えております。大体、紙器の製造業者と紙の業者というものは同じ一つのカテゴリーの中に入る業種でありますから、お互いに助け合っていくべき性質のものであって、これが反目して、ことに紙器業者がなかなかやっていけぬというようなことでもこれは紙業界自体にもいろいろな悪い影響があるわけですから、両方が共存共栄していく立場である。だから通産省が中へ入って、この紙の業界あるいは紙器の製造業者との間に円満な話し合いをつけようということで、われわれもこの対立に介入をいたしたいという考えでございます。
  136. 山口シヅエ

    ○山口(シ)委員 ただいまの大臣の御答弁を私は信じまして、今後の措置に極力お力を注いでいただきたいと考えております。実は私も一日も早くそのような解決の方法を見出したいと存じておりましたので、本日特にこうして質問させていただいております。  それでは次に公正取引委員会の方にお尋ねいたしたいと思いますけれども、通産省の行政指導により、これらの本州製紙ほか四社の不況カルテルが実施されますと、ワイシャツの箱を例にとって申し上げますと、メーカーから昭和四十年八月一キロ当たり四十二円で業者の手に渡っておりました。この当時、製品の販売価格は、ワイシャツ箱一個当たり三十円という価格で紙器業者の方々は売りさばいていたわけでございます。四十一年二月になりますと、メーカーは五十二円という値上げをいたしてきました。これに対しましても相変わらず紙器業者は据え置きの状態で、やはり三十円という値でございます。四十一年九月に入りますと、メーカーは六十二円に値上げをいたしてきております。そういたしますと、四十年八月から四十一年の八月までの約一年間に二十円の値上がりを見せておりますけれども、業者は相変わらず三十円に据え置きでございます。本年九月二十一日現在六十五円にまたまた値上げをしてきたわけでございますが、御承知のように今日の買い手市場のおりでございますから、業者は値上げすることもできませんし、この状態でいきますと、倒産をするという業者が続々とふえると思われます。この値段のつり上げの推移を見て、公正取引委員会の皆さま方はどのようにお考えになっているのか、私はその点をお伺いいたしたいと考えております。
  137. 竹中喜滿太

    ○竹中説明員 白板紙業界は、先ほど通産大臣からもお話がありましたように、一昨年下期以来状況が非常に悪くなりまして、昨年の九月から不況カルテルを実施してまいりました。これは、御承知のように製紙器の運転日数の制限でございまして、結局それに基づきまして、価格がある程度上がるということは、不況カルテルの性格から申してやむを得ぬと思うのでございますが、その間に、協定によりまして価格を引き上げるというようなことになりますと、これは独占禁止法違反の問題が生じてくるわけでございます。これはよけいなことであるかもしれませんけれども、先ほどお話がありました紙器業者が集まりまして総決起大会を開いて、それで紙器の団体が私どものほうにも陳情書を持ってまいりました。それから、それよりさき比較的大手の紙器業者から、私のところにいろいろお話もございました。従来あるいは今回の値上げにつきましては、われわれは重大な関心を持っておるわけでございます。
  138. 山口シヅエ

    ○山口(シ)委員 それでは局長、引き続きお伺いいたしますけれども、私は大手メーカーの値上げについては、独禁法の盲点をついた管理価格であり、大手メーカーの赤字財政立て直しを認めるためとして、このような値段のつり上げが行なわれ、公正取引委員会で不況カルテルを実施することを認めたと思いますが、これに対しまして公正取引委員会では、どのような考え方を持っているかということを、さらにもう一度局長にお伺いいたしたいと思います。
  139. 竹中喜滿太

    ○竹中説明員 山口委員、ただいま管理価格とおっしゃいましたけれども、管理価格ということばは非常にいろいろな意味に使われておりまして、私どもは、本来の意味の管理価格ではなくて、もしそういう不当な値上げがあるとすれば、話し合いで値上げをしておるのじゃなかろうかという感じを持っております。先ほど申しましたように、先般陳情書も参っておりますし、具体的な話も聞いておりますので、われわれはこれについて重大な関心を持っておるとお答えしたわけでございます。
  140. 山口シヅエ

    ○山口(シ)委員 局長はそうお答えになりますけれども、これは考え方の相違でございますからやむを得ないと存じますが、私はこの点が盲点であると考えております。  さらに局長にお伺いをいたしますけれども、それではメーカーが協定でこのように値段をつり上げるのを認めるとするならば、もしこの紙器、ダンボール箱業者、この人たちがこぞって値段をつり上げて、その状態を繰り広げたとするならば、はたして独禁法に触れるか触れないか、こういう問題を私は考えますが、局長はどういうふうにお考えになりますか。
  141. 竹中喜滿太

    ○竹中説明員 白板紙業者が話し合いをしまして価格を引き上げて、競争を実質的に制限するというようになれば、独禁法違反になります。  それからそれを買いまして紙器をつくっておる業者が、その値上がり分を製品に転嫁して、幾ら上げようというような話し合いをいたしますと、これまた独禁法違反の疑いが出てまいります。
  142. 山口シヅエ

    ○山口(シ)委員 私は、四社の大企業がどういう形で相談をしたとしましても、堂々とああして協定価格のような形で値上がりをしている、しかもそれが黙認されている、それを公正取引委員長は依然として何も言わない、これはまさしく法律的には違法行為で、独禁法に触れるとあくまでも考えるのですが、この点についてもう一度局長からお答えを願いたいと存じます。
  143. 竹中喜滿太

    ○竹中説明員 この問題は、御承知のように独占禁止法違反にかかわる行為でございますので、これにつきましては、先ほど私申し上げましたように、重大なる関心を持っているという以上に申し上げると、私どもの業務に差しつかえる面もございますので、その点の答弁で御了解願いたいと思います。
  144. 山口シヅエ

    ○山口(シ)委員 それでは、その点に対しましてはこの程度にさせていただきまして、局長はこの四社で全体の何%原材料がつくられているか御存じでいらっしゃいましょうか。
  145. 竹中喜滿太

    ○竹中説明員 先般白板紙の不況カルテルをやりましたときには、大昭和製紙ほか二十八社、これで大体九六%くらい占めておったのでありますが、この四社では七〇%ぐらいを占めておると考えます。
  146. 山口シヅエ

    ○山口(シ)委員 引き続き局長に質問申し上げますけれども、正確には七七・四%でございますから、やや七〇%のお答えで納得いたしますが、過半数以上がつくられているということは、わずかな数字の違いですけれども御納得いただけると存じます。業者はこのような大手メーカーとその製品を買い上げるエンドユーザーの間に入りまして、申すまでもなくサンドイッチの状態になっております。この包装材料業者というものはどうしてもコストダウンのしわ寄せを食うという立場をしいられてしまう。通産省としては、こうした再三の価格のつり上げに対して、一日も早く何らかの行政措置をできなかったものであろうかどうかということを私は特に追及申し上げます。このように物価抑制の基本政策を犯し、独禁法を明らかに踏みにじっている大手メーカーのやり方を、行政措置で何とかならないものか。先ほど局長もおっしゃいましたように、七〇%以上の生産量に対しまして公正取引委員会は今後どういう措置をとるか、局長の答えの範囲でけっこうでございますから、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  147. 竹中喜滿太

    ○竹中説明員 先ほどもお答え申し上げましたとおり、七〇%あるいは七七%の原材料をつくっている業者が、白板紙に限ったことではございませんけれども、価格について協定をするということになりますれば、独占禁止法第三条後段の共同行為の構成要件を充足すると考えられます。そういう事実があれば、これは独占禁止法違反の疑いが十分あることと存じます。
  148. 山口シヅエ

    ○山口(シ)委員 中小零細企業によって構成されておりますところのまことに弱い立場にありますこのダンボール箱業者並びに紙器業者のために、このような独禁法の盲点をついて価格つり上げを行なうことにおいてこの業界が滅亡の一途をたどらなければならないということを、大臣も公取関係の皆さんもさらに認識を深めていただきまして、と同時に、このような弱い業界に対しまして現在のような結果を生み、倒産があとを断たないという状態は明らかに犯罪的な行為でもありますので、どうかすみやかに行政措置をおとりをいただきたいことをお願いを申し上げる次第でございます。一日も早く大手メーカーと話し合いを持っていただきまして、この問題を解決つけていただきたい。これは大臣にもお願いを申し上げておきたいことでございます。  最後に、私は、大臣はもちろんのこと公取関係並びに紙業関係のお役所の方々に申し上げておきたいのでございますが、最近は国際的に見て大企業企業合併をいたす傾向が強くあらわれております。特に、このようにして国際競合にはうちかつ方針がとられるではございましょうけれども、このような形において派生してまいりますものは、やはり中小企業に対する圧迫だろうと私は考えます。国際的な視野からうちかてたといたしましても、国内的なこのような事情をよく考え合わせていただきまして、独禁法の運用については十分留意されて、これらの問題の起こりませんような方向に促進をしていただきたい。重ねてお願いを申し上げます。これは大臣並びに関係各位の皆さんに対する私からの要望でございますので、このことに対しまして大臣ひとつ代表してお気持ちをお答えいただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと考えております。
  149. 三木武夫

    三木国務大臣 これはやはり、日本経済が伸びていくためには産業の再編成ということも、どの産業についても一様ということではないのですが、ある産業によればそういうことが必要になってまいりますが、だからといって、日本の場合は、輸出でもあるいは生産の面においても、半分は中小企業がウエートを占めているわけですから、そういう産業の再編成というものは大企業だけのものではなくして、中小企業も大企業と関連をして体質の強化をはかるように、置き忘れないようにすることが絶対に必要である、こういうことで、われわれも、産業の再編成途上において中小企業が体質の改善から取り残されるということのないように、今後注意を十分いたしてまいりたいと考えております。  また、独禁法については、いま独禁法そのものを改正するという意図は政府は持ってないのでございますが、この運用というものに対してよろしきを得るならば、現行の独禁法のもとで十分消費者保護の方法は取り得るのだというふうに考えております。
  150. 板川正吾

    ○板川委員 関連して公取に伺いますが、この板紙関係の資料をもらうておりますが、一番の標準的な品種とすれば白ボールですね。白ボールで資料を見てみますと、不況カルテルをやったときが生産が月四万八千トン、国内需要が大体四万八千トン、そして値段が四十四円から四十六円だったんですね。現在十月は六十円から六十二円くらいになっているんじゃないですか。その六十円から六十二円くらいになっておるのを見ると、これは三十九年一月が値段が六十円から六十一円ですね。三十九年一月に値段が六十円から六十一円であったのが、だんだんと値下がりをしてきて四十四円ないし四十六円になった。そこで不況カルテルということになって、不況カルテルを公取が承認した、こういう形だと思うのです。ところが途中で、四十一年の二月に五十二円から五十六円に回復をしたのです。このときに半年間延長しましたね。この半年間の延長が運用として実は若干長かったような感じがする。それは在庫指数にもあらわれておりますが、三十九年の在庫が二万トンです。不況カルテルをやったときが二万五千トン、延長したときが一万七千トンですね。   〔櫻内委員長代理退席、委員長着席〕 ですから、在庫の指数から見ましても、延長半年後不況カルテルを解除したときが在庫が一万五千トンですか、この不況カルテルが解除されたのは一万五千トンの在庫のときですから、こういうところを見ますと、どうも不況カルテルの期限がやや長過ぎた。いまちっと縮めたらば、おそらくこれほど大幅に急激に上がらなかっただろうという感じがします、この資料から見ると。問題は、この不況カルテルが終わってから、あるいはそのまま地下カルテルとして結ばれているかもしれません。だから値下がりをしないのかもしれません。こういう点を、ぜひカルテル解除後の実態等ももう一ぺん見てもらいたい。まあ中小企業者からいうと、四十四円−四十六円が六十円−六十二円ぐらいになってしまったのですから、五割近くの値上がりであることは事実なんです。確かに不況カルテルで四社、七七%は救われたかもしれませんが、一面、多数の零細な加工業者というのが値上がりで困っているのは事実でありますから、まあ地下カルテルが残っておると問題です。この点ぜひ今後調査機能を発動して調べてもらいたい、適当な手を打ってもらいたいということを要望いたします。いかがですか。
  151. 竹中喜滿太

    ○竹中説明員 不況カルテルが長過ぎたかどうか、これは判断の問題で、非常にむずかしい問題だと思います。  それから、相手方によって五十八円、六十円、六十二円という格差で値上げをしたと伝えられるのは、不況カルテルが済んだあとでございます。板川さんが言われるようなそういう事実があるかどうか、私どもまだ確信を持っておりませんが、御期待に沿うように努力したいと思います。
  152. 天野公義

    天野委員長 桜井茂尚君。
  153. 桜井茂尚

    桜井委員 大臣もお疲れでしょうから、私は簡単に質問をいたしますので、御答弁くださる方もなるべく簡単にお願いしたいと思います。  まず鉱山局長にお伺いいたしますが、いまニッケルが非常に不足な模様でございますが、ニッケル地金の需給状況は現在どうなっておりますか。
  154. 両角良彦

    ○両角説明員 御指摘のように、ニッケル地金は、本年におきまするインコ及びニューカレドニアにおけるル・ニッケルのストライキの影響を受けまして、わが国におきまする供給の面で、輸入の減少もしくは鉱石の品位の低下等によりまして、相当な不足が見込まれておる次第でございます。特に下期につきましては、全体の需要に対しまして、在庫の問題は別にいたしますると、約一割くらいの不足状況というふうに考えております。
  155. 桜井茂尚

    桜井委員 それでは、ニッケルが一割不足でございますが、現在ニッケル地金の需要というものは、どういう方面でどういうぐあいになっておりますか、簡単に御説明願います。
  156. 両角良彦

    ○両角説明員 ニッケル地金は、御承知のように、最も多く使用いたしまする分野はメッキ業界でございまして、四十一年度におきましては、約四千トン以上の需要を見込まれておる次第でございます。これに続きましては特殊鋼の業界あるいは電気機械の部品等において使用されるわけでございます。
  157. 桜井茂尚

    桜井委員 中小企業庁長官にお伺いしますが、いま御答弁がありましたとおり、最も多いのはメッキ関係でございます。ところで、このメッキ関係の中小企業はどのくらいあるか、また、そのメッキ製品を必要とする関連企業はどのくらいあるか。
  158. 影山衛司

    ○影山説明員 メッキの企業の数でございますが、現在全国鍍金工業連合会の所属になっておりますところの組合員の数から推定いたしまして、千九十企業ということになっております。関連企業の数につきましては、これは相当数ございますので、ちょっと……。
  159. 桜井茂尚

    桜井委員 では、これらのメッキの中小企業のメッキ地金の入手状況はどのようになっておりますか。
  160. 影山衛司

    ○影山説明員 現在のところ、最近まで非常なニッケル不足で悩んでおったわけでございますが、大体材料商から購入しておるというものが大部分でございまして、実績に基づいて見ますと、少なくとも平均五割程度以上は入手できる状態にあるということでございます。あとは、大体材料商以外のやみ物を買っておるものもあるということでございます。
  161. 桜井茂尚

    桜井委員 私がちょっと聞いたところによりますと、たとえば甲府におきましては、メッキの業者が約五十軒だそうでございますが、それをもとに、そのメッキ製品を使うアクセサリー業者が約五百軒あるそうであります。また、そのアクセサリーをつくるにつき、あるいはまた水晶、めのう等で玉をすっていく仕事をしている関連業者となりますと、五千軒だそうでございます。これは甲府だけの話でございます。これらの人々が、現在メッキの入手がほとんどできない。普通ですとキログラム当たり千円程度ものでございますが、現在では四千円から四千五百円出しても、そのメッキ地金そのものが入手できない。そのために仕事ができない。結局、仕事ができないから食えないということになるようでございます。これは一例でございます。このようにしまして、大量の零細な業者の倒産というものが現在進行中なんでございますけれども、これに対する対策を通産省としてはどのようにするつもりですか。
  162. 両角良彦

    ○両角説明員 ただいま御指摘がございましたように、ニッケルの不足状況は、特に経済力の弱い中小企業において不利なかっこうで影響を与えておるという点につきましては、私どもも十分これを配慮いたしまして、不足しておるニッケルの公平な配分というために必要な行政指導を行なってまいりたいと考えております。  その第一は、御承知のように、わが国におきまするニッケル地金メーカーは、志村化工と住友金属工業の二社でございまして、この二社に対しまして、出荷にあたっては、従来の取引実績等をも勘案しつつ、きわめて公平な基準によって行なってもらいたいという要望を出しておる次第でございます。  あわせまして、下期の関税割り当て制度につきましては、需要者に対する発券を行なうにあたりまして、やはり公平配分の見地から、需要者に対して特別な差別的な不利のないように処置をしてまいりたいと考えております。  なお、それとあわせまして、ニッケル地金の供給そのものをふやすということが必要でございますので、別途カナダ政府及びフランスのニッケル社に対しまして、対日供給について格段の配慮を要望しておる次第でございます。
  163. 桜井茂尚

    桜井委員 公平な配分ということをおっしゃいましたけれども、確かにニッケル地金の生産をしておるのは二社でございますが、従来、先ほど私が申し上げましたような零細な業者は、必ずしもルートを通じて買っていない。したがって、公平な配分といいましても、そこへは事実問題として入らないわけです。そうすると、やはり入手できないということで、いま申し上げました問題は、これは解決しないのじゃないか、このように思うのですけれども、その点はどのようにお考えでございますか。
  164. 両角良彦

    ○両角説明員 ただいま御指摘がございましたように、従来、市中で手当てをしておりました零細な需要家の方々の場合には、生産者もしくは輸入業者から直接買い付けるわけではございませんので、ただいまのような指導の直接の効果はないと思いまするけれども、全般的な需給の緩和の見通しということによって、市中相場がより落ちついて、品物の出回りが始まるというためには、何といっても輸入をふやし、ないしは国産地金の供給をふやすということでございますので、さような面についての努力をいたしてまいりたいと考えております。
  165. 桜井茂尚

    桜井委員 総供給量をふやすということが抜本的解決策である、このことは私もそう思います。だがしかし、現在、カナダのほうにしましても、ニューカレドニアにいたしましても、まだごたごたして、直ちに輸入日本において大量にできるという状態じゃないのじゃないか。その見通しはいつごろになったら軌道に乗るというような見通しを持っておりますか。
  166. 両角良彦

    ○両角説明員 先ほどお話し申し上げましたインコ社のストライキは、すでに九月十七日に妥結をいたしまして、以後わが国に対する地金の輸出も部分的に再開をされておる次第でございます。また、ニューカレドニアにおきますストライキも、九月に始まっておるのでございますが、昨日非公式の入電がありまして、これまたストライキが終了したということでございますので、地金及び鉱石の対日供給は、十一月の終わり、十二月ごろから漸次好転をしてまいるという予想を持っております。
  167. 桜井茂尚

    桜井委員 インコ社にいたしましても、ストライキは解決いたしましたけれども、ストライキをやっている過程で二千人からの労働者がやめていったということで、実際問題としてまだ生産がうまいぐあいには軌道に乗っていない。ですから、対日供給といいましても、おそらくカナダ政府に要請していると思いますけれども、しかし、それにしても、そう簡単に見通しがよくなるというわけにもいかないのじゃないか。徐々によくなるということだろうと思うのですが、大体においで、ほんとうによくなる見通しというのは、いっとお考えでございますか。
  168. 両角良彦

    ○両角説明員 ニッケルの需要は今後もいよいよ増大いたしますし、また、世界的に見まして、ニッケルの需給は当分の間タイトな状態が継続するであろうという見通しでございますので、わが国の需給状況が完全に好転をいたすというのはいつであるということは、にわかに予想はできない次第でございますが、少なくとも、その間われわれといたしましては、輸入の手当てあるいは地金の増産につとめますとともに、必要なる場合には、緊急的なつなぎ措置といたしましては、ストックの放出というようなことについても関係方面の協力を得たいと思います。
  169. 桜井茂尚

    桜井委員 おそらくいまお話にはございませんでしたけれども、輸出規制などもしているだろうと思う。しかしそれにしても、輸出規制じゃ年間一トンか二トン、そしてまた、生産国に対しまして、いろいろ要求いたしておりましても、ゆるんでまいるのはおそらく来春だろう。そしてまた、いまお話がございましたが、ストックということになりますと、ストックはどこが持っているか。それは一つには、大体において大手の需要家があるとすればあるのですが、それさえおそらくいまは底をついているのじゃないか、そして山元も同様だろう。そうすると、ストックを持っているのは大蔵省だけじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
  170. 両角良彦

    ○両角説明員 大蔵省の所管事項でございますので、責任を持ってはお答えできませんが、現在造幣局においては多少のニッケルのストックがあると聞いております。
  171. 桜井茂尚

    桜井委員 造幣局のほうでは大体ストックはどのくらいございますか。
  172. 両角良彦

    ○両角説明員 非公式に伺っておる数字といたしましては、九月末約三百トン、それが今後下期で買い付けを手控えることを検討いたしておりますので、下期の使用を勘案いたしますと、年度末の在庫としましては約五十トン余りに減少するであろう、こういうことでございます。
  173. 桜井茂尚

    桜井委員 大蔵省の関係の方、来ていますか。そうすると大蔵省としまして、結局大蔵省のほかストックを持っているところはないのですから、大蔵省のほうで貨幣鋳造を若干延期する、あるいはスローダウンするということはできないものでございますか。
  174. 大島弘

    ○大島説明員 お答え申し上げます。  ただいまの御質問、新貨幣製造計画を少し延期したらということでございますけれども、これは実は、新貨幣の製造計画につきまして、まだ大蔵大臣から造幣局長あてに製造命令も何も参っていない現状でございます。したがって、その点につきましては、私限りで答弁いたしかねますので……。
  175. 桜井茂尚

    桜井委員 ただ、いま御質問したところが急所なんでございまして、おそらく来春になればニッケルの地金の輸入もほぼ軌道に乗り、そして何とかめどもつくのじゃなかろうか、ここ数ヵ月が非常に苦しい状態なんです。そうなりますと、小さな業者などというものは、たとえば甲府の話を先ほど申しましたが、一トンの手当てをするのにどうしたらいいのかということで四苦八苦しているわけです。そして先ほど申し上げましたように、五千人の人たちがどうにもならぬというような状態です。そういたしますと、大蔵省の持っておる三百トンというものがいかに重大な影響を日本のニッケル加工業者並びに関連業者に与えるかということでございます。中小企業の倒産がずっと続いており、そしてまたこのニッケル地金がちょっと入手難であるということでもって関連した業者が大規模につぶれるということになれば、これは社会不安さえ起こすのじゃないか、このように私は考えるわけです。  そこで通産大臣にお伺いいたします。いま質問をしている過程でおわかりと思いますが、いまお話によりますと、大蔵大臣からまだ新貨幣鋳造の命令は出てないのだ、だから政府の政策のいかんによっては繰り延べることも可能である、このように私は類推できるわけであります。そこで、これは大蔵省のほうで、来春になれば必ずその手当てはできるのですから、一時、三月なり幾らなり短期間でけっこうですけれども、流通がうまいぐあいになるまでの間、造幣局でニッケルの地金を民間に放出してやる、それもほんとうに困っている中小企業者の、従来は市中から買っていて、どういうぐあいのルートから買っていたかわからぬという点があるかもしれぬけれども、県の商工会あるいは各種の団体、そういうものを一応お調べになれば、どういう形で流していったら一番適切にいくかということはくふうがつくと思いますので、そういうようなことで大蔵省で一時このニッケル地金の放出をしてもらうということを通産大臣からひとつ大蔵大臣に話してもらいたい、こう私は思うのでございますが、通産大臣はいかがでございますか。
  176. 三木武夫

    三木国務大臣 これは大蔵省にも協力を求めたいと思っております。話してみたいと思います。
  177. 桜井茂尚

    桜井委員 以上をもって質問を終わります。
  178. 天野公義

    天野委員長 栗山礼行君。
  179. 栗山礼行

    ○栗山委員 通産大臣の御日程を御高配いただいて御変更いただいたということで、非常に敬意を表しております。特にお疲れの感じも若干見受けるわけでありますが、できるだけ大臣にぜひお伺いを申し上げるという要点だけにしぼりまして、あとは、計画局長もお見えになっていらっしゃいますし、また橋本参事官もお見えになっていらっしゃいますし、中小企業庁長官にちょっとお残りいただければ、そういうことでいろいろお尋ね申し上げたいということで御了解をいただきたい。  万博の問題について、主として大臣の高度な政治的判断と勇断を求めなければならない、こういうような時点に相なってまいったのでなかろうか、こう承知をいたすのであります。御承知のとおり、万博協会を中心といたしまして、第三次計画が一部の変更をいたしまして策定をいたしたやに承知をいたしております。そういたしますと、結局計画の段階からいま実施の段階に強く推進をする、こういうような中に取り組んでまいらなければならないのでないか、こう考えてみることが妥当でなかろうかと思うわけでありますが、私、ずっとながめてまいったのでありますけれども、四十五年の三月の十五日という開催まで、もう三年と数ヵ月、こういうようなあわただしい時間的な制約、こういう条件を避け得られない状態でございますが、どうもいままでの状況から計画策定の経過をながめてまいりますと、たいへんテンポがスローでありまして、必ずしも前途に明るさというものがなくて、いまなお残された危惧すべき諸問題が介在をいたしておるのでないか、こういうふうに私は了承をいたしております。  その第一は、国と開催地との関係、協会等々の連絡及び総合的推進の欠如を冷静に反省を新たにしなくてはならないのではないか、こういう問題を考えざるを得ないと思うのであります。  第二番目の問題につきましては、いまなお総合計画の策定の大きな障害的要因は、輸送問題をどのようにいたしてまいるか、現地におきましてもいろいろ意見が介在をいたしておりますことは御承知のとおりでありまして、大阪市の地下鉄第一号線の延長問題が起きてまいりましたり、あるいはまた路面電車の敷設の問題が起きてまいりましたり、バス輸送において十分その用を達するのではないかというような問題が起きてまいりましたり、モノレール方式も考えられるとか、まことにさまざまなバラエティーに富む輸送対策の問題について論議の花が咲いておりまして、これがどうあるべきかという最終的段階に参っておらない、こういうことでございましょう。建設省の橋本大臣が過般大阪で記者会見をされましたときにおいても、直接の関連事業について建設省は四千二百二十億円の予算をひっさげて取り組んでまいる、こういうような方針で進んでまいると思うのですが、何さま道路と関連する地下鉄の問題が解決しないので、どうも取り組み方がないの、だ、こういう説明が新聞で報道されておる、こういう問題がございます。  第三番目には、あと地利用の問題をめぐりまして、これまた同様いろいろな意見を表明されておる、こういうようなことでございまして、この三つを一番すみやかに高度な政治性をもって方向づけるということが現時点に対する計画策定の重大な要因として私はとらえておるのであります。したがいまして、国あるいは地方団体との間で、協会との関連において、これを総合的に方向づける新たなる推進をいたしてまいらなくてはならぬというこの考え方について、大臣はどのように御理解把握をなすっていらっしゃるのか。それからずばり申し上げまして、建設関係の輸送等も伴いますし、あるいは三千万人という想定のもとにおきます乗客輸送の問題について、どのようにこの輸送問題の解決をいたしてまいるか。あと地利用の問題についても、総合計画の策定の一環として取り組んでまいらなければ、計画の推進をはかってまいることが至難な内容ではないか、こういう点から見て、いまやおそきに過ぎる感でありますけれども、申し上げましたように、大臣はこの事業の非常に大きな役割りの最高責任者でございますので、指摘いたしました問題の三点について、ひとつ高い見地から勇断ある見解をお聞かせいただければけっこうだ、かように存ずる次第でございます。
  180. 三木武夫

    三木国務大臣 栗山君御承知のように、万博協会があって、その中には自治体が入っておるわけですから、これとは絶えず緊密な連絡を通産省もとっておるわけでございます。何ぶんにも、最近私はモントリオールに寄って話を聞いてみたのですが、にわかにあすこにも万博の協会ができたわけですけれども、方々から寄ってくるのですから、それが一体となって有機的な活動を開始するのには多少の時間がかかったということがいわれておりました。いまは万博協会も専任の会長をきめたりしまして、陣容も強固になってきたし、これからはいよいよ実施段階に入るものですから、今後は十分通産省、あるいは政府と言ったらいいのか、それと地元の大阪府とか大阪市との関係も、万博協会を通じてもっと緊密にいたす必要も起こってまいりますし、これは十分に緊密にやってまいるようにいたしたいと思っております。  第二の輸送機関ですが、万博は六ヵ月で終わるわけですから、そのあとのことも考えなければなりませんので、いま検討を加えておるのであります。いろんな案が出て、将来の大阪のために、万博が終わった後においても非常に利用価値の高い方法があれば、そういうことを考えたいというので、いろいろ出てきた案をすべて検討を加えておるわけであります。これはもちろん期限が限られておるわけでありますから、近いうちには結論を出したい。いまはみな専門家がやって検討を加えておる段階でありますので、そんなに万博に差しつかえるようなことにはしない。輸送関係については、万博に支障ないような方法論を十分考えていきたい。輸送関係では、そう遠い将来でないときに結論を出したい。もうおそくても十一月中には結論を出すということでございます。  それから、第三のあと地利用は、これはモントリオールの場合でもまだきまってないんだということを市長が言っておりました。しかし、日本の場合は、私はもっと早くきめたい。これはどうしても敷地を大阪府が買い上げるものですから、大阪府の考えというもの中心になる。その中で建築施設の中でも将来永久に残すような建築もできてくるでしょうから、そういうことを考えてみると、あと地利用の問題というものは、モントリオールのように、済んだあとで十分検討するというのでなしに、やはり事前に検討を加えたい。大阪府よりもいろんな案が出ておるようでありますが、これも終わった後とか、博覧会の開催中というのでなしに、日本の場合はやはり事前にきめたいと考えております。  まあ一年経過したわけですが、いままではいろいろ国際的な手続、招待、あるいは全体の計画、こういうものに費やされた一年でありますから、いよいよ各国にも招待状を出しまして、カナダのごときは政府が決定をしてそういう意思表示を受けたところもございます。これから各国に向かって奥村政府代表を中心にして回るわけです。  それから用地の買収もほとんど最終段階であるという話を聞いておりますので、それができれば会場内の道路工事にもかかっていく。いままでは目に見えない準備の段階、これからはやはり目に見えたことをいろいろとやってまいらなければならないので、昭和四十五年の万国博覧会に支障を来たさないような準備を進めてまいとるいうことに全力を尽くしたいと考えております。
  181. 栗山礼行

    ○栗山委員 その準備にはたいへんな大計画を中心として進めてまいるわけでありますから、すべり出しに相当の時間がかかり、いろいろな説が生まれてまいるということでありますが、少なくとも私は、やはり国の大きな事業でございますから、そういう相違点のない総合的なりっぱな計画策定樹立こそ、大臣が負わるべきリーダーシップであり、最終的な責めではないか、こういうふうなことを申し上げて、一そうの推進をいただきたい。  輸送の問題ということは十一月にお出しをいただくということで、もう十月の半ばを過ぎておるということでございますから、短かい期間でございますけれども、やはり総合的な道路計画との関連や輸送の取り組みということについて非常に時間を食ってまいる問題、あるいはそれの予算措置の問題等もございますから、これもひとつすみやかに万博の開催の十分なる輸送機関としての方向づけの政治的な御決定をいただくということを強くお願いを申し上げたいと思います。これは要望として申し上げてまいりたい。大臣どうでしょうか。  三番目のモントリオールにおきますあと地利用の問題ということがいまだに決定されてないということについては、相手さん方の置かれた諸条件という中にあろうかと思いますけれども、やはりあと地利用をどうするかということが関係機関の大きな論議の対象になっておる、それは計画性の中であるいは負担及び予算等の措置の中において考慮すべき条件もある、建設計画の中にこれを見てまいらなければならぬ、こういう点が介在いたしておると思うのでありまして、伺っておりますと、何か腹で案があるんだよという理解もできるのでありますが、やはり各機関に明確にかくあるべきだ、こういう方向を一日も早くお出しいただく、こういうふうに重ねて御要望を申し上げて御検討をいただきたい、かように考えます。  それから問題は、第三次計画で協会が運営費と建設費を分類いたしまして、いろいろ金額の所要経費の決定について発表いたしておると承知をいたしておりますが、運営費の問題はいろいろトントンベース、こういうかっこうでそれぞれの裏づけを想定されて、この点については未確定要素もございますけれども、一応の計画の方向としてはそういうふうな決定を見た、こういうことでございますから、これはそういう計画路線に合う運営と成果を上げていくということで進めてまいらなければならぬ。建設計画には五百数十億と承知をいたしておりますが、この問題をめぐりましていろいろ意見が政府側からも流れておりますし、新聞で伝えておると承知をいたしておりますが、何か前回の準備段階におきます地方団体、開催市の府市が二分の一負担、国が二分の一負担ということは、とりあえずの方向の割合としてこれは政治的解決をみた、こう理解をいたすのでありますが、万博もやはりあり方から見て、五十一国会で私はいろいろ大臣にお尋ねを申し上げたのでありますが、できるだけ国の事業たる万博の本筋に考えて、精一ぱいの国の責めと方向づけをいたしてまいるつもりだ、こういうふうな御所見を拝聴いたしました。地方もそれによって非常に明るい理解をいたしたと承知をするのでありますが、またぞろ結局この分担金をめぐりまして大蔵省あたりの、新聞に伝えますところによりますと、二分の一国の負担であって、二分の一は関係地方の分担だ、こういうようなことが伝えられておるのであります。そういたしますと、モントリオールにおける、これまた日本の新聞記事になったのでありますが、大臣は、自分としては、二分の一ということでなくて、三分の二国がこれを裏づけるという方向で努力をいたしてまいりたい、こういうふうなことが新聞で伝えられておるわけでありますが、真偽のほどはよくわかりません。これについてモントリオールにおきまする大臣の新聞発表と相違があるのかないのか、こういうことをひとつ一口で御答弁をいただきたい。
  182. 三木武夫

    三木国務大臣 新聞発表というほどでもないのでありますが、新聞記者がモントリオールについてきていまして、いろいろ話した中にそういう問題もあったわけです。御承知のようにモントリオールは国が半分で、あとの半分は州とモントリオール市が出しておる。まあ一つの割り切り方としてはそういうのが理想的かもしらぬと私は思うのです。地方と国とが半々。ところが、日本の場合は、向こうの州という感じと日本の府というものはなかなか力が違うのではないか。だから二分の一というのではちょっと無理なんで、もう少し国の負担をふやさなければならぬのではないかというのが私のいまの考えです。そういうことで、今後の予算折衝にはそういう立場で大蔵省とも折衝をいたしたい。そういうことがモントリオールの新聞記事に出ておったことは、まあ私の気持ちの一端をあらわしておるのでございます。
  183. 栗山礼行

    ○栗山委員 新聞記者に伝えられる内容等についていま伺いまして、その真意を了承いたしたのでありますが、大臣お帰りになってから、御承知のとおり、前回から分担金の問題をめぐりまして万博の性格問題、それから国の責任の所在の問題、あるいは協会の性格、任務の問題、それから開催地という条件における地元の能力と負担の問題の適正化と取り組んでまいらなければ万博自身の国家的事業がぼけてまいるのではないか、こういうことで、これは大きな問題でございます。大臣、お帰りになって御承知かと思うのでありますが、この十三日の大阪府会におきまして、国の行事である万博について、開催地としての与えられた任務と条件を踏まえて全面的協力をするということが前提でありますけれども、万博の分担金については全額国家が負担すべきである、こういうような意味の全会一致の一つの議決をいたしておる、こういうような状況にございます。前回の、二分の一のあの負担のときにも大臣も非常に御苦労なさいましたが、国会の一後輩として出ておる私どもも、現地に理解をせしめる——これは反対、あるいは継続審議、こういうような状況等をもちまして、大きな万博の方向づけの立場からこれを了承するという経過をたどったことは御承知のとおりであります。ブラッセル市における万博というものは国家が直接これを行なったということでございましょう。それから来年のモントリオールの問題におきましては、特殊法人という性格でこれと取り組んでいくのでしょう。お説のように、やはり国と地方、二つの関連というものと、それからカナダにおける国と連邦、市との関連というものはおのずからその相違が明確にあるのじゃないか、こう考えておるのでありますが、御案内のように、日本の万博は民間の公益法人という協会の性格を持ってまいった、このことをせしめて、これは日本のより国家的事業の国民的な参加と、英知を結集する。開催地におきましても、あるいはまたその運用の面におきましても、協会という事務運営的機能においてこれと取り組んでいくのが望ましいのではないか、こういうふうな経過を踏まえまして民間の社団法人と財団法人、こういうふうなことに相なってまいった、こういうふうに私は理解をするわけなのでありますが、結局ここまで参りますと、三木大臣がおっしゃっていらっしゃいますような三分の二を中心とする分担率ということになると、これまたその金額や分担比率の問題よりも、一体万博をどうとらえるか、こういうような考え方が非常に大きく進展をいたすと思います。私は大阪出身でございますが、大阪オンリーという立場でなくて、この問題をもっと国の事業として、民族的な誇りを持って世紀の事業をいかに成果をあげてまいるかという立場において参画をいたす私どもの条件、こういうことを踏まえていろいろお尋ね申し上げるわけであります。  三木大臣は、結局この万博の国家的事業にかんがみて全額これを負担する、そうして協会は運営の事務機能としての役割りを大いに完遂せしめるような方向をとる、地方団体といたしましては、結局置かれた財政事情という泣き言でなくて、たまたま開催地という一つの条件下において、その形において精一ぱいの万博の成果をあげる役割りは何か、こういうような一つの総合的な観点からこの問題を進めてまいらないと、何かオリンピックのような考え方で国がこれを助成する、そうして主体は、オリンピックの場合には東京都にある、こういうふうなとらえ方でまいりますと、たいへん憂慮すべき成果の問題を考えざるを得ないのでないか、こう考えるのであります。大臣はいろいろ大蔵省との困難な問題がございましょうけれども、政府の基本方針としてはかくあるべきだという態度をもってひとつこれと取り組んでいただく、こういうような御理解が最も望ましい時点にいま直面いたしておるのでないか、かように考えますので、ひとつ御所見をお伺い申し上げたい。
  184. 三木武夫

    三木国務大臣 私はそのようには考えていない。地元もやはり協力をすべきではないか。大阪に誘致のときには、あらゆる協力をするということで、大阪府も市も一体になって——相当候補地はあったわけです。それを大阪ということで、それがきまるまでのいきさつは御承知のとおりであります。そういうことで、いまになって全部やれというようなことも、それはやはり地元の財政に非常に圧迫を加えるようなことは考えなければいけませんが、やはり大阪でやるのですから、地元の大阪府も市もできるだけの協力をして、国と一体になって、大阪府、大阪市、万博協会、政府、みな一体になって、これのほうは政府の責任だ、これは万国博覧会条約に基づいたものであるから政府の責任だ、こういうことではなかなかうまくいきませんから、やはりみなが一体になって、地方の公共団体も応分な寄与はするんだということで、大阪に影響力をお持ちになっておる栗山さんでございますから、そこは、何でも国にみなやってもらったらいいんだという気持ちも起こりやすいものでありますが、そこにどうか栗山さんもステーツマンシップを発揮されて、やはりできるだけのことは地元もすべきである、そうして一体になってやるというふうに御啓蒙をお願いしたいと思うのでございます。
  185. 栗山礼行

    ○栗山委員 重ねて、私、五十一国会でこの問題について御意見を伺いましたときと同様な御意見がございます。しかしいまの段階では、いまなお最高責任者であられる通産大臣がその見解を堅持するということで、客観的な諸条件をながめて望ましい状況であるかどうか、こういうことについては、私からその要因なり将来あらゆる問題が生ずるであろうというようなことを前提にして申し上げなくても、御了解がつく問題である、かように考えるのでありまして、これはひとつ誤解のないように。大臣承知のとおり、やはり大阪にきまったという御配慮についてよくわかります。兵庫さんもいろいろございました。あるいはまた滋賀県さんもございました。これは当然なことであります。しかも用地について、これを提供する、こういう角度から、財政事情を別といたしまして、ぜひ大阪でというようなことで、空地がございませんので、みずから多額の先行投資をいたしまして、これで用地確保をと、こういうような方向で取り組んでまいっておることは御承知のとおりでありますし、準備段階における分担金も三木大臣の仰せに従う、こういうことで取り組んでまいっておる。私は、府民感情と府の行政との関係、それから府と国との関係ということを、実は非常に重大にながめておるわけであります。同時に、万博がそういうような性格でまいりますと、何というてもやはり条約に基づく万博である。しかもいろいろございましたけれども、最終的には開催地を大阪に定める、こういう御苦心でありますけれども、国がおきめになった、こういうことでございましょう。これはたいへん理屈を申し上げて恐縮なのでありますけれども、私はそういうふうなへ理屈を申し上げるということじゃなくて、もう少し高い次元で、財政事情あるいは府民感情、精一ぱい地元に協力をせしめ得る内容の方向づけこそ、たいへん重要な問題であって、ただはした金で、国がしみったれて、住民福祉を犠牲にするという一つの分担の方式に問題がある、こういうことでございましょう。まあ私のような者は貧乏人でございますが、足で歩くということは元気だから、これをひとつ最大奉仕いたしましょうということで、それぞれの置かれた奉仕能力で最大限のやはり任務分担があるのだ、こういう理解でひとつこの建設費に関する限りにおいては検討を新たにしていただいて、国と地方と、あるいは何かやじ馬的にながめていればおもしろいじゃないか、かりそめにもこの事業についてそういうような結果が生まれちゃならぬ、こういうことも含めまして、実は公式に大臣のいまの高度な政治的判断と決意なくして、この事業が完遂するということについて何らか一つ暗さを感ずるのじゃないか、私の気持ちを率直に申し上げて御賢慮をいただこう、こういうことでございますが、重ねてひとつ御意見を承りますか、あるいはとくと御検討いただく、こういうことになりますか、ひとつ……。
  186. 三木武夫

    三木国務大臣 これは割合については、これからの予算折衝で検討しなければならぬが、地方公共団体もやはりある程度の負担は当然にすべきものである、これは私の考え方であります。全部国がというのでなくして、地方の公共団体もある程度の負担はやはりして、そしてみんなで協力するというたてまえが、今回の万博を成功せしめる意味においても好ましいのではないか。割合については、予算折衝の場合にいろいろ検討を加えていく、かように考えておる次第でございます。これはあまりあやふやな答弁をして、地元にそういう期待を持たすことはかえって混乱が起こります。私の考え方の基本はこういう考えであると申し上げます。
  187. 栗山礼行

    ○栗山委員 腹の中を理解をさせていただくというような御答弁じゃなかったので、私もひとつこの立場で明確に取り組んでまいらなくてはならぬ。御承知のとおり、わがほうも野党でございますけれども、与党的建設的野党という自覚を持って府に取り組んでおりますし、市のほうについても、歴代副議長を市会に出しまして、これは小党ながら与党第一党を堅持をいたしておるというような条件からながめまして、私は私なりに府市会の動向や府民感情を察知する、こういう立場で私はとらえておるのであります。もう少しものを申し上げますと、私は地方の責任分担というものは、国の負担をかぶせるにあらずということが私の基本論になります。もっと率直に申し上げると、私は民間公益法人という性格に持っていかれたことは、単にそういう分担の問題じゃなくて、ブラッセルやあるいはモントリオールのような形じゃなくて、日本の国民性と運用のよろしきを得ることがより効果があがる関係を持たすのではないか、こういうところに、法人格を別にいたしまして、その運用の成果をあげてまいるというねらいからあの法人化をされた、こういうふうに私は考えるのであります。それを政府が責任をすりかえてしまって、ひとつ国もこれだけの大事業をやるのだから、おまえさんのほうもこれだけの負担をしてしかるべきだという論点は、政治論として、あるいは市政の一つの立場から、若干私も大臣と異にする立場から取り組んでいかなくてはならぬ。いまさら発展的改組というようなことを私は願っておりません。何といいましても一番大きな問題は、やはり国家的に大きな意欲と盛り上げとビジョンを与えて万博成功へという推進に、あなたを中心にして取り組んでいかなくてはならぬ、これが置かれた条件でございます。何しているのだ、ごたごたしているじゃないか、こういうようなことがかりそめにもあらわれることは許すべからざることだ、こういう観点からこの負担の問題については、三木大臣、けちなことをあなた言いなさんな。ひとつ総理大臣に直言し、大蔵省のそういう異説についてあなたの政治力で説得をして、このとおり進んでいかなければいかぬという旗を先陣に立てていただかなくてはならぬ、こういうことであろうかと思うので、御答弁を要求いたしませんから、ひとつ重ねてあなたの再修正と再検討のお願いを強く申し上げたいと思います。  次に、大臣に一言だけ、資本自由化の問題についてお尋ねを申し上げてまいりたいと思います。  資本自由化問題というものは、日本経済の重大な方向づけをする問題だ、こういうように私了解をいたしておるのであります。私、政府の感覚を伺いますときに、資本自由化貿易自由化と安直に同意的な考え方で御認識をされておる一部の御意見があるように感覚的に理解ができるわけです。何というても自由化の方向にどう対処するか、それから日本産業経済の中における自由化とはどのように対処し、あるいは対応策を持って自由化推進をとらえてまいるか、こういう高い次元で自由化問題に対処いたしてまいらなくてはならぬ、こういうように私は考えておるものでありますが、そういうような点から資本自由化の基本認識といいますか、あるいは自由化に対する総合的な施策の骨格をなす御意見を大臣からお伺いをいたしておきたい。
  188. 三木武夫

    三木国務大臣 いま栗山さんから御指摘のように、資本の自由化は商品の自由化とはそれが違うことは御指摘のとおり。商品の場合は、場合によれば、緊急関税をかけてもよいし、輸入の制限を加えてもいいわけですが、資本は一たん入ってくると、そういうわけにはいきませんから、慎重な態度でいくべきで、また日本のような過当競争、たくさん中小企業が存在しておるというような場合において、一ぺんに資本の自由化をやるということになれば、非常な産業構造、産業秩序の混乱を起こしますから、段階的にやらなきゃならぬ。しかしながら、やはり将来の方向としては資本取引の自由化である。そのことによって、日本が打撃を受けないような産業の体質を持てばいい。世界の開放経済というものは、やはりそういうことになっていくものであります。ただ、それに対して日本産業の抵抗力も何もないときに、一ぺん入ってくれば、重要産業というものはみな外国資本に握られるということでは、産業政策遂行上非常に支障になりますし、中小企業にも非常な打撃を与えるものですから、将来の方向はやはり自由化の方向である、開放経済の最後の仕上げである、こういうことで結局将来はこれに踏み切らざるを得ないのだが、それに踏み切っても日本産業が致命的な打撃を受けないだけの産業の体制整備あるいは体質改善というものをいま進めるというのが現段階だと思います。資本取引を自由化することによって幾多のメリットもあることは事実ですから、悪いことばかりではないのです。やはり日本経済にプラスになる面もたくさんあるわけです。だからこれはもう遺憾だということでなくして、やがてはやはり資本の自由化に取り組まざるを得ないのだ。その間に、その日本産業に与える悪い影響というものが起こらないように体質を改善したり、体制の整備をやるということが日本産業の現段階だ、これが私の基本的な認識でございます。
  189. 栗山礼行

    ○栗山委員 けっこうでございます。  それでは短い時間で要約いたしまして質問を続行さしていただきます。  宇野政務次官お一人でございますか。計画局長はおいでになりませんか。
  190. 宇野宗佑

    宇野説明員 企業局長がおります。
  191. 栗山礼行

    ○栗山委員 企業局長にちょっとお尋ねいたします。  通産省の業種別調査の中間報告ということで新聞を拝見いたしました。その中には、第一に企業の体質、第二は製品の性能の問題、それから第三は生産価格の問題、第四は技術水準について、この四つの業種別調査の中間報告の中において、国際競争に対応できる業種はない、こういうような中間報告を新聞に記載されておったのでありますが、この点について、新聞どおりであるかどうか、御意見を承りたい。
  192. 熊谷典文

    ○熊谷説明員 現在相当の業種について実態調査をやっておるのは事実でございます。しかしながら、まだ実はヒヤリングが完全に済んでない段階でございます。したがいまして、そういう新聞報道があったということは私も存じておりません。また、そういうことが役所サイドの意見として、正式なものとして出たということにはなっておりません。もう少し検討いたしまして、どういうように取り扱うかを慎重に考えてみたい、こういう段階でございます。
  193. 栗山礼行

    ○栗山委員 ちょっと局長、おかしいですね。そうすると、新聞の誤報ということがございますけれども、実態調査に基づく中間報告という形で新聞に記載されておるということでございますが、新聞の資料を提示してもいいわけでありますが、先ほど申し上げたようなことが通産省の実態調査中間報告というかっこうで分類されて載っておるのです。
  194. 熊谷典文

    ○熊谷説明員 この問題は、総括的には企業局が責任をもってやっておるわけでございますが、私のほうからは、そういう発表をしたことはございません。
  195. 栗山礼行

    ○栗山委員 そういたしますと、この点は、発表せざるものが中間発表という形において新聞に記載されておるが、後日、この真相をあなたのほうで何らかの方法で御調査の上、明確にひとつ御報告をいただくということに御了解いただけますか。
  196. 熊谷典文

    ○熊谷説明員 承知いたしました。
  197. 栗山礼行

    ○栗山委員 資本自由化の問題をとらえまして、いま指摘いたしましたような、あるいは御答弁いただきましたような、日本産業実態は対応性がないというようなとらえ方であなたのほうは見ていらっしゃるが、大臣の資本自由化の基本姿勢といいますか、基本認識との間に相当食い違いがあると思うのですが、その点はいかがなものでしょうか。
  198. 熊谷典文

    ○熊谷説明員 先ほど来お説のように、この資本取引の自由化という問題は、今後のわが国経済にとって非常に大事な問題でございます。したがいまして、われわれがこの作業を今後いろいろ進めていく過程におきましては、大臣はじめ首脳部の意見を十分に調整いたしまして、大臣のお考えをわれわれは実行するという形になっております。そういう意味合いにおきまして、大臣も申し上げましたように、この問題は、姿勢としては前向きに取り扱っていかなければいけないが、日本経済のいまの実態からいうと、そこら辺の対策に即応して漸進的に進めなければいかぬ、こういう御意向でございます。私どもといたしましても、そういう意味合いにおきまして、実態調査もやっておるわけで、また、その後の作業も進めたい、かように考えておるわけでございまして、大臣の御意思と事務当局の意思は完全に一致しておるわけでございます。
  199. 栗山礼行

    ○栗山委員 ことしの二月にOECDの貿易外取引委員会対日審査があったということを承知をいたしておりますが、そのことは加盟各国から日本代表団に、直接投資について自由化できる部門あるいはできない部門について業種別に分けてもらえないか、こういう提案が提示された。さらに、外国投資家への情報サービスの問題とか手続筒素化の問題が要請された、こう伝えられておるのであります。  第二番目には、たしか七月の五日と承知をいたしますが、日米貿易合同委員会におきます米国側から、日本、アメリカとも相互主義の原則に立脚して、直接投資の自由化を進めるべきである、こういうような強い要請が日本になされた。それから、合弁会社あるいは合弁比率の問題、会社経営権の問題にわたっても、アメリカ側が責任を持てることを要望する、こういうふうなことが日米貿易合同委員会で要請をされた、こういうふうなことが伝えられておるのでありますが、この点について局長、真偽のほどをひとつ……。
  200. 熊谷典文

    ○熊谷説明員 OECDの関係につきましては、二月に先方が参りまして、対日調査をやっております。その間、いろいろな意見もございましたが、その最終結論はこの十一月に委員会が開かれまして、それがOECDの理事会に来年出される、こういうことになっております。したがいまして、二月に来て、その後の模様を見ますと、いま御指摘になったような点を指摘したというのは事実でございますが、まだ正式な形で要請したも  のではございません。  なお、日米会議の空気でございますが、私も大臣に随行してまいりましたが、向こうの要求はそのとおりであります。
  201. 栗山礼行

    ○栗山委員 大臣は、その要請に対しまして、資本自由化の原則的な方向を認めつつ、来年の会議まで日本の計画策定と申しますか、受け入れるべき諸要素を十分に対案をつくって提出する、こういうような答弁をされたというように新聞は伝えておるのでありますが、同席されました局長の御理解はどういうことですか。
  202. 熊谷典文

    ○熊谷説明員 大臣委員会における態度は、先ほど御答弁がありましたように、この問題はとやかく言われなくても、日本の自主的な立場から見て、やはり将来にわたる場合は考えなくてはいかぬ問題だということは自分も理解しておるし、そういうつもりである。しかし、日本には中小企業問題あり、また過当競争の問題がある、こういう意味合いにおいて、これを解決しながら、混乱なくそういう形に持っていくのには相当の時間がかかる、したがって時間をかしてもらいたい、そういうことでございますが、なお、一部の報道では、大臣の答弁がいかにも自由化スケジュールをつくるというような誤解を与えた面があるようでございますが、そういう感じのことは大臣はおっしゃっておりません。来年になれば日本の考え方をもう少し明らかにしてお話ししましょう、こういうことでございまして、自由化スケジュールをつくる、特に自由化スケジュールとなりますと、ある物品をいつ自由化するかという、いわゆるタイム・スケジュールになるわけでございますが、そういうものを来年つくるという言明はされていないわけでございます。この点は多少誤解された向きがありますので、はっきりその点は、私同席いたしましたので、ここで申し上げておきたいと思います。
  203. 栗山礼行

    ○栗山委員 越えまして、この月の七日の読売新聞を拝見いたしますと、前の中小企業庁長官であり、現に山本通産次官の、これまた記者会見というかっこうで、通産省が資本取引自由化の基本方針と、こういうことで基準を業種別に定めてまいる方向である、それから大まかに三つの分類をされまして、一つは比較的自由化が楽な業種、それから二番目には条件つきの業種、三番目は自由化が困難な業種、こういうふうに大まかに三つのグループに区分して自由化に対処する指針をひとつつくっていきたい、日時その他について時間表までいまつくってまいるということについては、それは困難だ、こういうふうな意味を記者会見で語っておられる。こういうふうに新聞は伝えておるわけですね。それから同時に、このことはやはり何といいますか、あなたが植村経団連の副会長なんかとお話をなさいまして、できるだけ自由化の基本のスケジュール方針等をひとつ定めて示せ、こういうことに相関連して山本事務次官が発表されたと新聞はこう伝えておるわけであります。  そこで、この真偽のほどもお伺いをいたさなくちゃなりませんが、自由化を受け入れるに比較的楽な業種とはどういうふうに理解をされ、それからどういう業種をお考えになっておるか。それから、自由化が条件つきの業種とは、これは何を意味するのか、いわゆる条件にもいろいろあろうと思うのでありますが、この意味の条件つきな問題とはどういう理解をし、またどういう業種をさしているのであるか。三番目に、自由化がきわめて困難な業種、この理解と、それから困難なる業種とはどういう業種と理解して、この三つの分類の運用基準といいますか、適用基準といいますか、それを発表されたが、これはひとつ局長から詳細に承りたい。
  204. 熊谷典文

    ○熊谷説明員 先ほども申し上げましたように、いわゆるこの業種をいつ自由化するかという自由化スケジュールは、現在のところつくる意思もございません。といいますのは、おそらく日本の実態から見まして、そういうものは現段階においては無理だ、こういう実態の判断を私どもはいたしておるわけであります。  そこで、御承知のように、自由化に対処します方法としては、われわれとしては、できるだけ申請が出ましてからイエス、ノーを短期間で言うような点に配慮いたしまして、そういうことは実行いたしておらぬわけでありますが、そういうことになりましても、外国投資家から見ますと、どうも日本の審査の方法はあいまいで困る、あるいは事前に多少相談に行っても、出してみないとわからぬというようなことで、出してから大きな摩擦が起こる、これは両国のためにも得ではないじゃないか、したがって、できるものならば考え方をはっきりしてもらいたいという要望が実はあるわけであります。したがいまして、私どもとしては、自由化スケジュールはつくらないが、そういうものについてはできるだけの配慮を払うべきじゃないかということで、実は実態調査も進めております。そういう意味から考えますと、これは今後の作業の問題になるわけでございますが、次官が申し上げましたのは、できることならばそうチェックしなくても、業界の実力から見て差しつかえない、もう相当競争力がついて、どんなものが来ても——どんなものといいましても、非常に大きなものが来た場合は別でございますが、通常の形で向こうが出てまいります場合は受けられるというような業種、それからもう一つは、一定の条件で、しかもその一定の条件を相当厳格にチェックすれば受けられる業種というものがあるんじゃないか。その具体的な条件といいますのは、今後、業種の実態調査をやっておりますので、これは業種によって非常に違ってくると思いますが、一般的な基準というのはできょうかと思います。例示的にいま私の感じを申し上げますと、たとえば、合併比率が日本会社を支配されないような程度の五〇、五〇であればいい、あるいは、その出てまいります資本の規模が、その業界の普通の規模から見てそう大きなものではない、それが生産を始めまして同業者に非常に大きな迷惑をかけるものでないというような、いわゆる資本の率とか規模、そういうものを相当チェックすれば入ってきてもらっても差しつかえない、こういう業種もあろうかと思います。  それからもう一つは、最後の分類でございますが、現段階においては企業の体質がまだ非常に弱い、あるいはそれが一つの外国の企業が入ることによって、日本の状況では、すべての企業が外資を入れなくちゃならぬというような状況になる、お互いに競争して外資を入れなければ商売にならぬというような産業もやはりあるんではなかろうか。したがって、できることならば、将来の運用の基準といいますか、これを公表いたしまして、自由化スケジュールにするわけではございません、外資法は現在のままで置きまして、個々のケースが出ました場合に運用をできるだけ早くやれるような一つのめどとしてそういうものをつくりたい、こういう意味で次官が申し上げたわけでございます。したがいまして、現在作業中でございますので、どういう業種がどういう分類に入るかということは申し上げる段階に実はなっておりません。それと同時に、私どもとしては、こういうものはいまの段階では一気に外国に発表することは差し控えたい、かような気持ちがございますので、たいへん抽象論で恐縮でございますが、考え方だけ申し上げまして御了承を得たい、かように思います。
  205. 栗山礼行

    ○栗山委員 宇野政務次官局長にお考えをお聞かせをいただきたいと思うのですが、いま伺っておりますと、三木通産大臣も、資本の自由化というものは、世界経済の質的条件と日本の置かれた条件を踏まえつつ態勢整備等を行なって、これに対応策をはかりつつ自由化の問題と取り組んでいかなくちゃならぬ、こういうふうな大体基本的なお考えをお示しになったと思うのです。私は、資本自由化のその質的要因というものは率直に認めてまいりたいという立場に立つものなんですが、ただし、資本自由化日本の形態、産業の大きな安定発展の方向づけの一環としてこれをとらえるべきであって、単にアメリカ経済への依存性とか、あるいはアメリカやOECD加盟諸国の要請に基づいて資本自由化への対応策に入るべきでない。もう少し日本経済産業の実態をそういう世界経済動向の中で踏まえて、日本産業のいわゆる再編成、あるいは構造改善、技術革新等々、いわゆる日本経済が国際場裏の自由競争において対比して劣らない、こういう条件を整えた立場の中でその自由化に対処する、こういうような方向をもっととるべきでないか。しかるに何かノーズロで、結局日本の自主性を持ち得ない。何か押し寄せる波というものについてこれに右顧左べんと申しますか、追随せざるを得ないという感がどうもその姿勢として感じられるわけなんです。やはり資本自由化の対応策としては、もっと日本経済戦争としての条件でその体制づくりを可及的すみやかにやり、それとの見合いにおいて自由化方式というものと取り組んでまいるべきでないか、こういう見解を私は持つのですが、大臣いらっしゃいませんから、宇野政務次官がどういうようなお考えをお持ちになるか、局長もどういう角度からいまお進めいただいておるかということです。
  206. 宇野宗佑

    宇野説明員 資本自由化が外圧によって行なわれるということはあくまでも避けなくてはなりません。またそのような気持ちで資本自由化をわれわれもやるべきでない、こういうふうに考えております。しかしながら、先ほども大臣がおっしゃいましたとおり、現状の日本産業の実態というものをやはり勘案いたしまして、十二分にそれを分析いたしまして、万が一のことがないような体制をしいておくことだけはこれは当然のことでございます。先ほどもお話ありましたとおり、貿易自由化とはおよそその性格が異なっておるのでございますから、あくまでもわれわれといたしましては慎重に、しかも漸進的にこの問題を取り扱っていきたい、かように存じておるものでございます。  もちろん、それがためには体質の改善あるいは体制の整備、さらに技術の革新、そうしたことを積極的にやっていかなくちゃなりません。今日まで自由化に対しましてとやかく評論されておる面も、私たち考えてみますと、ややともいたしますと、自由化すれば日本にこういうような打撃があるのだというようなことばかりが強調されております。この面も確かに今日このままの姿であったならばあるような感じもいたしますが、しかし反面、メリットもあるのだというような立場におきまして、われわれといたしましては、いま局長が御説明いたしましたとおり、運用の基準というものをはっきりと把握をいたしまして、それに基づきまして漸次そのような方向に向かっていきたいというような考え方を持っておるものでございます。
  207. 熊谷典文

    ○熊谷説明員 政務次官の御答弁で私補足申し上げることはないわけでございますが、われわれ事務当局といたしましては、外圧によってやるというようなことは毛頭考えておりません。ただ、日本の今後の状況を考えてみますと、弊害の面もあるわけでありますが、一方、最近の状況を見ますと、いい技術は、最近は外資と結びつかなければなかなか入らないというような問題もございます。また、中小企業等につきましては、日本でやらなければ日本の近くの国に行ってやって、製品を逆輸入してくるというような状況にもなりつつあるわけであります。また日本産業としては、逆に海外に投資しなければならぬというような面もあるわけでございまして、われわれ事務当局といたしましては、外圧によるということはないようにできるだけの努力を払いたいと思っておりますが、いま申し上げたような、そういう日本が置かれておる周囲の客観情勢というものは十分、反面認識していく、それと日本の体質の問題、そういうものを勘案しながら、漸進的、計画的に産業体制の強化の問題と並行してやっていきたい、こういうのがわれわれの気持ちでございます。したがいまして、事務当局といたしましては、今後の問題は、自由化をどうしてやるという問題よりは、産業の体質を通産省としてはいかに強化してタイミングよくいけるか、こういう点に問題があろうかと思います。こういう問題を中心にいたしまして努力をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  208. 栗山礼行

    ○栗山委員 局長の御意見及び宇野次官の御意見をそのまま伺いますと、自由化に対処する具体的な産業再編成、あるいはそれの肉づけの施策というものの準備をされていらっしゃいますか、どうなんですか。
  209. 熊谷典文

    ○熊谷説明員 これは、私どもの感じは、自由化するためにそういうものをやるという意味ではなくて、むしろ現在の日本産業といいますのは、欧州の合理化投資というもので今後二、三年の間によほど日本産業もがんばらないと競争力を失われるのだ。またケネディー・ラウンドの問題も実はございます。それと同時に、日本の国内におきましては、労務事情の変化、特にこれは中小企業方面に相当大きく響いてまいるかと思いますが、そういう問題もございます。また中小企業製品につきましても、先ほども申し上げましたように、後進国が工業化が進みまして、日本中小企業製品は追われる立場にある、こういう問題もございます。そういういろいろな問題を考えました場合に、やはりいまの日本産業の現状から見ますと、この際国際競争力といいますか、体質改善といいますか、構造改善といいますか、そういうものと真剣に政府産業界も取り組む段階に参った、かように考えておるわけでございます。したがいまして、そういう面には力をいたしてまいりたいと思いますが、単に外国から、いわゆる資本取引の自由化をやるという意味ではなく、日本経済発展のためにやる、こういう意味でございます。
  210. 栗山礼行

    ○栗山委員 局長にちょっとお伺いいたしますが、アメリカがEEC諸国に欧州圏の資本の自由化をいたしまして、いろいろとEEC側の産業経済が撹乱状態に一部陥っていると私は承知をいたすのであります。したがって、フランスにおいて、あるいはまたそれはイタリーにおいてそういう事実がまざまざと見えて、アメリカにおきます経済戦略の世界的な規模における一環として取り組んでまいっておる、こういうことでEECの経済、欧州圏の設定の方向づけも全く後退をして、新たな方向で取り組んでまいらなければならぬ、こういうふうな情勢下にあるやに私どもは少し勉強をさせていただいておるのでありますが、資本自由化に伴います欧州の問題点をどのように局長は把握されておるか、それからアメリカの世界戦略の一環としてアジアに参っておる、こういうことについて、日本産業経済に及ぼす利点と、それからまた大きな脅威下にあると方向づけをされるということを欧州の事情から見て想定がなし得るのでありますが、そういうような認識、理解をどのように局長が把握されておるか、具体的にひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  211. 熊谷典文

    ○熊谷説明員 欧州に対するアメリカ資本の進出の状況につきましては、われわれ十分注目していかなければならぬ、かように考えております。したがいまして、その弊害あるいはメリットがあるというような点も十分今後の施策にくみ取ってまいりたい、かように考えております。実はそうい意味合いもございまして、現在の生産性本部の派遣チームにおきまして、業界、銀行、学識経験者を含めまして、欧州の実情調査にも行っていただいておるような次第でございます。私どもの現在知り得たところでは、やはり欧州サイドで相当アメリカ資本を入れた結果、いろいろな摩擦と弊害が出ておるということは事実でございます。その点も学ばなくてはいけないと思いますが、それに対しまして向こうの対応策といたしましては、むしろEEC諸国の間では国境を越えた合併までする、しかも手を握る場合は国内同士手を握る、特にドイツ等はそういう観念に徹しつつあるようでございます。またそういう対応策自体も、日本産業としては、私どもとしては学ばなければいかぬ、かように考えておるわけでございます。そういう過去の例がございますので、そういう点は日本が対策を進める場合は十分頭に入れて、業界が何をすべきか、政府が何をすべきかということを考えてまいりたい、かように考えております。
  212. 栗山礼行

    ○栗山委員 もう一つ、局長、アメリカ資本がねらっておる業種とはおよそどういうものであるか、こういう分析をされていらっしゃると思うのですが、ねらわれておる日本産業の業種別状況ということでひとつお話を伺いたい。
  213. 熊谷典文

    ○熊谷説明員 全般を網羅するわけにも参りませんし、実はそういう意味で外国の企業動向というものを計画的に調査したものも、残念ながら現在のところございません。したがいまして、いままで諸外国にアメリカ資本が出ておる形態から見まして、日本にそれを直した場合にどういうことになるだろうかということになろうかと思いますが、御承知のように、アメリカ資本が欧州に出ました場合は、大体成長部門に出ております。例を申し上げますと、電子計算機、自動車、石油化学、そういう面に重点的に進出をいたしております。したがいまして、日本の場合におきましても、そういう今後の成長部門というもの向こうとしては魅力がある、かように考えております。それからもう一つの、これは日本の特殊の事情かもしれませんが、やはり私どもの感じとしては、日本産業というものが、輸出の面でいろいろ先進諸国と競争してまいっております。したがって、日本輸出産業であって、日本を起点としてこの近郷に伸びてきたという産業についても、これまた魅力があろうかと思います。そういう意味合いにおきまして、私どもは中小企業問題も全然出てまいらないというように即断するということは早計である、かように考えておる次第でございます。実は、このアメリカ資本——アメリカだけではございません、諸外国の先進国の資本の動向がどういうものであるかということは、私ども正直に申し上げまして、もう少し計画的に調査しなくちゃいかぬ、かように考えております。特に今後そういう問題を自分の力で解決していただかなければならぬ産業界においては、私は非常に大事な問題であろうと思います。そういう意味合いにおきまして、諸外国の資本の動向というのは、それぞれ関係の業界で十分系統的に御調査願うようにお願いを申し上げる、こういうことであります。
  214. 栗山礼行

    ○栗山委員 中小企業自由化との関連性についてお伺いをいたしたいと思いますが、申すまでもなく、日本経済の六割をになうのは中小企業である、少なくとも日本の雇用問題の中心もまた中小企業である、国民生活の大きなウエートを占めておるのも中小企業である、これが日本の置かれた産業経済の実態であることについては、もう申すまでもございません。日本はそういう構造的な一つの条件に置かれておる。したがいまして、日本中小企業というものがいろいろ日本経済の特質の中で育ってまいって、いまや自由化に対処する、あるいは世界に対応する諸条件について、あまりに脆弱性を持っておる。資本、技術、あらゆる角度から見て、とうてい私は世界に対応する能力的条件を持たないものだ、こういうふうに判断をいたしておるわけなんですが、そういう観点から中小企業について自由化との取り組みは、先ほどの三項目のどれに属して、それは自由化の困難なる業種、業態、こういう大まかな理解をされていらっしゃるのか、あるいはどのような理解を中小企業における自由化対策にお考えになっておるか、この点はひとつ局長の考え方を伺うということで御答弁いただきたい。
  215. 熊谷典文

    ○熊谷説明員 先ほど申し上げましたように、三分類にできればしたい、こういうことで作業を進めておりますが、中小企業をくくって、それが一の分類に入るか、二の分類に入るか、三の分類に入るか、それをしようという考え方はございません。これは大企業でございましても中小企業でございましても、業種によって——一般的に中小企業が弱いということは、われわれも認識しておるわけでございますが、業種によってやはり相当の差があるということでございます。したがいまして、中小企業でも二の分類に入るものもあろうかと思います。あるいはもうだいじょうぶだ、そういうものはあまりないかと思いますが、二の分類ぐらいには入れる、あるいは三の分類でなければ困るというもの、おそらく中小企業でも二つの分類に分かれてくると思います。  ただ問題は、機械的なそういう分類というのは非常に実は私は危険だと考えておるわけでございます。と申し上げますのは、中小企業につきましては、いわゆる構造改善事業というのが非常におくれておりますので、ここ一年か二年業界もがんばり、政府もがんばる、そうして二の分類にいける条件がつけば、入ってきてもだいじょうぶというものもございましょう。しかしその改善には、やはり相当長時間かかるという問題もあろうかと思います。したがいまして、二の分類にするか三の分類にはっきりするかという問題は、私は、今後業界がいかなる構造改善事業を進められるか、それがまた実際実行できるか、政府がどれだけ応援できるかという問題とからむ問題であろうかと思います。したがいまして、そういう政策判断といいますか、今後やり得ることを勘案いたしまして、その分類をいたしたい、かように考えております。そういう意味で先ほど申し上げましたように、この二の分類に入れるか三の分類に入れるかというのは、将来の問題を踏まえての一つの勉強資料でもございますので、これをいたずらに対外的に公表することは非常に誤解を与えますし、またそれが実際実現できない場合に相当の混乱を起こす問題でございますので、公表はしない、あくまでも業界と役所が今後運用なり勉強をしていく基礎資料にしたい、かように考えておる次第でございます。
  216. 栗山礼行

    ○栗山委員 いま日本の一番自由化を前にして対処しなくてはならないものは、日本経済国際競争力に対処する体制、その充実と強化をはかってまいるということが前提にならなくちゃならない。そういう上に立って、自由化との対応を、これはプロセスの中身を方向づけて取り組んでいくのだ、これが基本の姿勢でなくちゃならぬと思うのでありますが、私の意見について、宇野次官及び局長、どうですか。
  217. 宇野宗佑

    宇野説明員 先生の御意見に対しましては全くそのとおりだと思うのであります。しかしながら、準備をし、計画をしなくちゃなりませんが、いわゆる時間表の発表だけはとうていでき得たものじゃない、こういうような考え方を持っております。
  218. 熊谷典文

    ○熊谷説明員 その点につきましては、おっしゃるとおりだと思います。したがいまして、先ほども申し上げましたように、通産省の今後の課題も、業界の課題も、いかにして体質改善と取り組むかというところにあろうかと考えております。
  219. 栗山礼行

    ○栗山委員 時間表の問題について、これを設定し、また発表すべからざるのものである、この二つの要因がいま宇野次官から言われ、局長も大体同様な御理解の上に立って御答弁をいただいたと思うのでありますが、私は時間表の問題とは、日本経済の安定と振興、なかんずく日本のちんば経済、二重構造、地域格差、所得格差というようなもろもろのひずみの是正こそ日本が一番急務の問題として方向づけをいたしてまいらなくちゃならぬ。いままでの経済政策と政治の貧困が日本の今日的な二重構造の状態を生んだ、こういうふうに私は理解をいたしておるわけです。そういう点からいくと、時間がないんだ。いま月に五百件からの倒産がある。倒産にあらざる倒産の危機に追いやって、それを歯を食いしばって歯どめをして、その企業と生活防衛を行なっていこうという苦悩の中に呻吟しておるのが中小企業の実態の大きな問題点でなかろうか。こう考えますと、まず自由化を頭に入れるという、自由化の方向の中にいまの経済の実質的な改善と改良策をどのようにいたしていくのだということが先行的な基本になってまいらなくちゃならぬということであろうかと思うのです。ところが、いまのお説を伺うと、そういう中身も、これはあるのかないのか知りませんけれども、公表の限りじゃないということは、日本経済あるいは日本産業の進路というものを明確に大胆に示していく、そうして日本中小企業者についても、産業人の奮起を促し、自主的能力も高め、施策の方向を大きな勇気と内容をもって前進さす、こういうふうに考えると、いまの時間の発表はすべきじゃないというような問題と日本の現在置かれた実態とのとらえがたい大きく異なった問題が伏在しているような感じ方をするのですが、その点はどうでしょうか。
  220. 熊谷典文

    ○熊谷説明員 これは対外的な問題と対内的な問題があろうかと存じます。体質改善策は、その気になって政府産業界も一日でも急いでもらわなければいかぬ問題でございます。そういう意味合いにおきましては、おっしゃるとおり、たとえば二年の間に日本中小企業をどこまで持っていくのかという計画は私はあっていいと思います。ただこれは、いたずらに対外に発表いたしますと、いわゆる対外的な発表になりますと、これは自由化スケジュールという形になって、いやでもおうでもその時期には自由化をせざるを得ないということになるわけであります。業種によりましては二年後はだいじょうぶというような業種もあろうかと思いますが、全般的にそういうわけには参らないと思います。したがいまして、国内的にはわれわれはそういう面に真剣に取り組む。しかし対外的には、その点は少し余裕といいますか、将来非常に酷なことにならぬように配慮をしていくべきじゃないか、こういう感じでございます。そういう意味合いにおきまして、スケジュールのほうは対外的には発表しない、こういうことを申し上げたわけでございます。
  221. 栗山礼行

    ○栗山委員 ちょっと混乱するのです。ですから、対外的にはよくわかるのです。しかし、それは自由化というものを踏まえ、その自由化の立場に立って対外的に発表しないということであって、日本経済産業のあるべき方向づけをするということがまず基本条件でないのか。そうすると、対外的発表ということよりも、事実をもって、国際競争力日本経済産業の繁栄発展策に前進するということが対外的にどのように影響をもたらすのか、こういうふうに理論的なひとつの取り組み方でいくと、どうも説明がわかりにくい。そうすると、頭の中では、自由化に迫られる、そしてその自由化に対応することの質的条件の中にあるから、これはそっとのけておきたい、こういうような考え方を中心ものを把握していらっしゃるのではないか、こう思うのです。要するに、そういうある部分がございましょう。それは戦略的方向としてどう対応するかということがございますけれども、基本的にはそういうようなことをミックスせぬで、大胆に日本産業の編成と拡充発展の方向にどういうふうに一つの政治が方向づけをなすべきかということを中心に取り組むべきである。いわんや中小企業について、あなた言われたように、第一に認め得る一つの状態改善改良を行なっていくという条件の上においてのみそういうことがあり得る。第二の条件的な条件もある。しかし、現状における中小企業というものは断じてそれだけの競争的能力と対応する能力を持たない。局長承知でございましょうけれども、一つの事例といたしましては、中小企業の分野にまで異なった業種との合弁方式をもってこれを強く迫っておる。局長もこれにどう対処するかということで御検討いただいておるということについては私もよくわかるのですが、たまたまその業界の話の中で端的に物語っておる内容を伺いまして向こうの意図を知ることができました。生産数量の制限に応じましょう、皆さんとも一つの組合参加をいたしましょう、同時に皆さん、私のところの部品メーカー的な要素を持ってください、あるいは下請的要素として参加してください、こういうようなことは、少なくともその合弁会社を核として、ある部分についてはおれのところについてこい、そうすると、その限りにおいて、従属性の限りにおいてのみ一つの企業の分野を認めていこうじゃないか、こういうふうな意見がかわされたということを私は記録で承知をいたします。いみじくも合弁会社方式とは何を意図し、何を物語っておるかということを私は十分に骨の髄までこたえるような認識を新たにいたしました。こういうふうに参りますと、日本中小企業の諸条件の改善、それから方策ということにしても、結局自由化とは、もうあなたのほうの従属で、あなたのお説のとおりに従いますという経済支配の体制が資本自由化であり、合弁方式としてねらってきておる条件じゃないか。日本の開国以来、日本業者が営々として何代かにわたって今日的条件まで発展させたかぎ業界は局長御存じでしょうが、そのかぎ業界とのそういう技術提携が破れるといたしますと、異なった業界のメーカーとの合弁方式をもって強くこれを迫っておるという事実等をながめまして、その過剰生産と過当競争と三割生産のような状態にいま呻吟しているというようなところへもし自由化の問題というものが対処されたら、局長、どうなっていくのですか。これはすべてお手あげだ。あなたの従属性の上においてのみ私の工場は働かしてもらいます。向こうはそういう日本市場やアジア市場への進出という条件のある一定の限りにおいてのみ役割りは持たせますけれども、もし自分のほうの体制と条件が整えば、これは経済合理主義から、遠慮会釈なしに、おまえたちは御用がない、任務は終わったのだ、こういうことで、イタリアに起きておるような、あるいはフランスに起きておるような閉鎖や、世界的な規模から一国の企業を方向づけていくということになりますと、筒単に日本産業閉鎖、日本工場閉鎖、解雇、こういうふうに方向づけされるということは、もう論理じゃなくて具体的な認識としてわれわれは把握しなければならない問題じゃないか、こういうふうに私は考えますので、少なくともそういうふうに、先ほど前段に申し上げましたような自由化についてその対応性のよろしきを得る、そしてその裏づけと国際競争力拡充の方向がまず先行して、少なくともその中における中小企業分野というものについて、これの構造的な改善あるいは技術革新、生産性の向上と安定的な方向に取り組むまで断じて資本自由化を認むべからざるものだ、こういう考え方があってしかりだ、こういうふうに私は考えるのでありますが、宇野次官及び局長、見解はどうですか。
  222. 宇野宗佑

    宇野説明員 ただいまたとえば中小企業の一つの例といたしましてかぎの例を先生おっしゃっておられるわけであります。確かに日本企業とアメリカの専門の企業が合弁会社をつくりまして進出をいたし、将来においては相当な打撃を与えることは事実でございます。したがいまして、こういう面におきましては、単に自己資本の中のいわゆる外国資本が何%占めておるとか、そういう問題とおのずから性格の異なる問題である、こういうふうにいま先生が御指摘されたのですが、確かにそのとおりに思っております。この問題に関しましても、やはり通産省といたしましては、極力相手方の要請に対しまして日本の実情を訴えて、その申請承認をおくらしておるというようなことでございます。しかし、一面におきましては、やはりわが国中小企業であろうとも、各業界にそうした海外からの進出に対処するような体制をとらせなくてはなりませんので、いろいろの業界とただいまいろんなスケジュールに関しまして折衝さしておるようなことでございます。
  223. 熊谷典文

    ○熊谷説明員 かぎの例が出ました。私先ほど申し上げております趣旨は、いわゆる国際的な自由化といいますのは、完全にチェックできないという意味ではございませんが、自由化をいたしますと、一応、よほどのことがないとチェックできないという形になるわけでございます。また、今後進めていく作業というのは産業構造の改善の問題と結びつかなければならない、こういう意味合いにおきまして、そういう面には力を入れるが、いつから自由化するということは言えないと申し上げたのは、そこに理由があるわけでございます。かぎの例で申しますと、政務次官がお答えいたしましたように、業界自体もやはり勉強していただけなければならない。しかし、その間は業界に非常に混乱が起きないようにやはり外資法のチェックを相当やっていく、こういう姿勢でいきたいと思います。その間に業界自体としてもひとつその方向で進めてもらいたいということで現段階ではお話し申し上げているという状況でございます。
  224. 栗山礼行

    ○栗山委員 そうじゃなくて、中小企業の分野の中に外国資本たるとを問わず大企業の進出がどういうものをもたらすかということで、中小企業構造改善の対応策を持たなければいかぬ。たとえば中小企業産業の分野においてもそういう方向づけが迫っておるじゃないか。しかも、ほんとうに完全な中小企業の分野に属する業界の実態が、自由化、合弁会社によって大混乱が起きるということよりも、日本の過剰設備、過剰生産、そして過当競争、こういうようなことで、業界自身コントロールをどのようにし、業界安定の方策を近代化方式によってどのように取り組んでいくか、それから政府もこれにどのように肉づけして業界の強化整備の方向をとっていくか、こういうことに問題点があるのじゃないかという事例を申し上げたのであって、私の申し上げたのは一つの事例でありまして、日本中小企業の実態を踏まえずして、これを自由化という形から取り組むということは誤っておる。したがって、日本中小企業について、それは構造改善して体質を強化された中においてのみ、自由化の対応という条件が生まれてくるので、それまでは中小企業に断じて資本自由化を許すべからざる内容を持つものなりと判断するが、それはどうだろうか、こういう意見をお伺い申し上げておるということでありまして、御答弁と私のお尋ね申し上げていることとはちょっと相違があるように思います。
  225. 宇野宗佑

    宇野説明員 確かに先生のおっしゃるとおりでございます。したがいまして、中小企業問題につきましても、資本自由化ということを頭の中に入れつつも、また国内的には大資本に中小企業が抑圧されない、そういうようなことも頭に入れつつも、実は通産省といたしましては抜本的な——ことばが大きくなるかもしれませんが、抜本的な中小企業体質改善を進めたい、こういうような考え方をいたしておるわけでございます。  例を申し上げますと、いままで中小企業対策の中には指導、経営面、あるいは税制面、あるいは金融面と、重大な柱が幾つもございましたが、これが有機的に結合されておらなかったというようなうらみがございます。つまり、将来のために中小企業体質改善をし、また体制整備をせんがためには、こういう形をとりなさいという企業指導はあったわけでございます。またそれに対処する金融措置もあったわけでございますが、その間が医薬分業的なものでございましたので、これはどういたしましても、医薬兼業的な姿に改めて、いまおっしゃったような事柄を積極的に進めていきたい。さような意味合いで実は具体策といたしましては、高度化資金を肩がわりいたしまして、中小企業振興事業団というものを設置して、そうした面におけるところの有機的な結合によって、ひとつ大いに生産性を向上し、びくともしないような体制を整うべきである、こういうふうに考えております。  幸い民社党さんのほうは、常に中小企業論に対しましては、先陣を切っていただいておりまして、特に中小企業基本法の制定にあたりましても、非常に貴重なる御意見をちょうだいしたわけでございますし、先般も民社党の幹部の方とお出合いいたしまして、いろいろとほんとうのお話も承りましたので、そうしたことを十分頭に入れまして、今後先生のおっしゃいました御意見並びに御趣旨のとおり力強い政策をひとつ打ち立てていきたい、こういうふうに考えております。
  226. 栗山礼行

    ○栗山委員 おっしゃることは、理論展開としてはわかるのですよ。その必要性を感じながらも、そういう中小企業における政治不在、業者ほんとうに立つ力のないものに、おまえも立って汗をかかねばいかぬというような条件的なものが、およそ可能性が生まれるかどうかというようなことはよく御存じだし、これは常識論なんですね。ですから、思い切った日本の対応策をとるということの施策の貧困が、やはり今日の二重構造というものの格差増大の方向に発展している。しかも、先ほど言われた後進地域の問題、あるいは先進国の巨大資本の方向の中でこれをどう対処して守ってやるか、あるいは発展せしめなければならないか。  私は、きょうは中小企業庁長官が所用だということで、これは認めたのでありますけれども、お伝えをいただきたいのでありますが、四十二年度の中小企業庁の予算要求は四百億であります。ことしが二百九十三億一千二百万、財投二千五百四億、こういうようなことで、四百億では、いろいろな中小企業のいま置かれておる条件下において、どう対処するかという行政の方策からいけば、何という状態の予算を要求しているのか、こういわざるを得ないし、財投の数字はよくわかりませんけれども、またこれが一兆財投というようなことも望まれるべくもない。こういうふうに考えてまいると、やはり皆さんのそういう行政分野においても大きな勇断と英知をもって検討されなければいかぬし、政治を転換させる、そして、日本産業経済政策の大きな構造的な変革を推進する一役割りをどう持っていくかということを踏まえぬと、いまの自由化に対応する施策が生まれてこない。あれよあれよという間に子供がダンプカーにひかれちゃうという運命的条件という暗さを私は感ずるので、特にこの点は、自由化に対応するということと、基本的にはもっと誇りあるナショナル・インタレストといいますか、そういうような矜持を持ってこれに対処する。同時に、いまの置かれた実態の改善策について積極的に取り組むべきである。こういう内容でなければ、これは何ぼ議論したって、政府答弁とわれわれの野党的一つの必然で前進しない、こういうことでなかろうかと思って非常にくどく御意見を伺う、こういう態度をとったことを御承知いただきたいと思います。  重ねて、私は、資本自由化には前提条件がある、こういうことを踏まえて、日本産業の再編成並びに中小企業に対する思い切った施策の方向づけということの中においてのみ、将来自由化の対応策というものは生まれてくるだろう、こういうような私どもの見解について、できれば同感の意を表示を願いたい、私はこう思うのです。
  227. 宇野宗佑

    宇野説明員 資本自由化をはじめ一般諸情勢に関しまして、先生の御認識、まことに御卓見と存じます。したがいまして、今後その御意思を尊重いたしまして、われわれも同感の意を表しつつ、力強い政策を推進いたしたいと存じます。
  228. 栗山礼行

    ○栗山委員 最後に、もう二、三分間でありますが、自由化と外資法との関連において一問だけお尋ね申し上げておかなくちゃならぬと思います。  これは外資法第八条の2の三に明記をいたしておりますが、「日本経済の復興に悪影響を及ぼすものと認められる場合」こういうことを明確に規定をいたしております。いろいろ細論から申し上げますと——もう御承知のとおりでありますから、外資法との関連において自由化の見解を明確にひとつ表示を願いたい、こう思います。これは局長でけっこうです。
  229. 熊谷典文

    ○熊谷説明員 先ほども申し上げましたように、自由化の問題は運用面で考えてまいりたい、かような考え方を持っております。そういう意味合いにおきまして、いま御指摘の条項は、運用してまいる場合はやはり基本になる問題であろうかと思います。したがいまして、現在のところ外資法を特段改正するという考え方を持っておりません。この範囲内で日本の実力をつけながら、この条項に当たらないように運用していきたいと考えております。
  230. 栗山礼行

    ○栗山委員 たいへん長い時間をとって申し上げましたが、しかも、短い時間で意を尽くしたいということで、非常に気持ちもあせって、不十分な点があるのでございますけれども、資本自由化に対応する一つの姿勢の明確化を特に強調を申し上げたい。再度申し上げるようでありますけれども、日本中小企業の置かれた実態について施策の裏づけに強く取り組んでまいるということが、日本経済産業、あるいは国民生活の安定と発展をもたらす必須的条件だということを踏まえて、ひとつお取り組みをお願い申し上げる、このことを御要望申し上げまして、私の質問を終わる  ことにいたします。
  231. 天野公義

    天野委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十九分散会      ————◇—————