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橋本国務大臣 ただいま
森総務長官から二十四号並びに二十六
号台風に対する
被害状況の
概要を御
報告申し上げましたが、今回の疾風迅雷のごとくやってまいりました特に二十六
号台風によって
死者、行くえ不明合わせて三百十数名、
負傷者七百余名を出しましたこと、
災害に当たられました
方々に対して深く弔意を表する次第であります。
もちろん、この
原因等について
政府並びに
県当局と十分なる
連絡をとりつつ調べておりますが、大体報道せられるように、
山津波あるいは
台風による
家屋の
破壊等によって
災害が起こっておるわけであります。もちろん、
建設関係から申しますと、従来ともいわゆる
上流地区における
防災はできるだけ
予算の配分を得て
措置いたしてまいりましたが、近時におきますところのいわゆる
集中豪雨というものはどこへやってくるか
非常に
検討しにくい。いわゆる
富士五湖といっておりますが、あの
地域における
風水害は、従来は比較的少なかったのであります。今回は、二十六
号台風があの
付近を通過し、また、大きな
集中豪雨を来たしましたために、
非常に
富士山麓関係は特殊な土壌であることその他の事情からして、たいへんな
災害が起きたわけであって、心から
被害者に対してはお悔みを申し上げ、
政府としては、先ほど申し上げましたように、直ちに
非常災害対策本部を設置して急速なる
対策を講ずる
方針でまいっております。
これを
建設省関係から見ますと、いわゆる
建設関係の
土木災害は、人々に対してそれほどのたいへんな
死者もしくは
負傷者を出したにかかわらず、
土木関係の
災害は比較的少なくて済んでおります。少なくと言ったところで相当なものでありまするが、そうした
人命損傷から考えれば比較的に少ない
状態であります。
直轄災害から申しますと、
河川が四十七ヵ所で三億二千百万円、
道路が十七ヵ所こわれまして四千二百二十万円、
海岸が一ヵ所で七千二百万円、
直轄関係はいわゆる
破損個所六十五ヵ所で合わせて四億三千五百二十万円、ただ、最近、これは今回の
台風のみならず、近時
集中豪雨を伴った
災害では
直轄災害よりは
補助災害が
非常に多く、今回の場合も
補助災害は全体で二千七十五ヵ所ありまして、その金額も四十四億五千八百万円という
ぐあいに、
直轄一に対して十の
割合いになっております。この点はやはり従来ともに
中小河川、
補助河川あるいは
地方道に対して
予算の上においても十分にやってまいったつもりではありまするが、全体の面から見ればなかなかそうはまいらないということのために、不十分であることはこれを認めざるを得ません。そういう
意味から考えましても、来年度の
予算におきましては、
中小河川、
補助河川あるいは
地方道等については積極的な
予算をつけてまいりたい、かように考えて目下
予算的な
措置を
検討中であります。いずれ
事務当局からもこまかい点の
災害報告は申し上げてもよろしいかと思いまするが、本日は私に対する御質問が
松代地震に対する
お話でありますので、それについてご
あいさつを申し上げます。
私、
建設大臣になりまして、従来この
松代付近地震対策連絡協議会の
会長は
建設大臣がやっております
関係上、
建設大臣が交代いたしましたので、私がその
推進役、
対策協議会会長を引き受けることに相なったわけでありまして、今後ともに
皆さんの御支持、御協力によって
最善の
措置をいたしたいと、かように考えております。
実は私、
松代地震がひどくなりましてから一年二、三ヵ月になりますが、当時私
官房長官のときに、このような頻発する、群発といいますか、いわゆる
地震、しかも強度が四あるいは五、こういうような
地震が頻発的に起きるということに対して、もちろんこれは地元における
災害は目に見えて増大をしてまいっておったわけでありますが、しかし、今日の立法からいたしますと、これを直ちに
災害扱いができなかったのでありまするが、
皆さんとも御
協議申し上げ、また各
方面の
意見も聞き、いわゆる
災害と同じような
考え方でこれに当たるべきであろう、こういうことからして、私が
官房長官のときに、
関係各
大臣に集まってもらいまして、そこで
松代付近の
地震に対する基本的な
考え方、これは一種の
災害とみなして
措置を行なおう、こういうことで、御
承知のように、あるいは
プレハブ教室を増設する、あるいは地割れ等起きました際に特殊な
措置を講ずる、あるいはまた、
中小企業がこれがために大きな影響を受けておりますので、これに対して特別な率をもって金融の
措置を講ずるとか、あるいは
消防等に対しても格段の
措置を講ずる等やってまいったのであります。最近になりまして御
承知のようにかなり大きな
地すべりが起きまして、あるいは一時は、
地震がまあまあ落ちつくのではないかという空気もあったのでありましたが、それから間もなくして
地震の
地域も拡大され、しかも震度も相当高いものが起きつつあって、せんだって御
承知のような
地すべりが起きたわけであります。そこで私たち
非常に
心配いたしますのは、このような
地震が今後
——もちろん、これはわれわれ人知をもって、あるいは
地震学をもってしてもなかなか予知はむずかしいようであります。必ずいつごろ大きなものが起きるんだ、こうも言い切れない。しかしながら、相当
心配すべき
状況であるということも事実である。そういうことからして、
予防対策といいますか、
事前対策は何をやるべきかということ、もちろん、これは学術的には
科学技術庁をして
深度ボーリング調査を進める、この点につきましては
科学技術庁にも私からお願いをして、従来やってまいった
深度調査を今後も続けてやってもらいたいということによって、学術的なある程度の根拠を得ることができるだろうと思うのですが、
頻発地震あるいは
地すべり等によって起きましたそれ自体の
復旧は、これはもちろん当然
関係各省において、法の命ずるところ、また
行政措置として行なえるのでありますから、
最善の
措置を講じてこれが
対策を行なっております。それよりもやはり私たちが
心配になるのは、今後、
万が一にもそういうことはないことをわれわれは希望するのでありますけれども、
万が一にも大きな
地震が起きました場合に、そういう人を
事前にあるいはそのときに収容し得るような住居といいますか、そういうものを考えなければいかぬのではないだろうか。実はいわゆる
プレハブ教室といいますか、
仮設教室といいましょうか、これは大体あの
付近の全体の一割ぐらいを一億数千万円をもって
老朽校舎の生徒はそこに入れるような
措置を講じております。
老朽校舎に対してはそうでありますけれども、これからもっと積極的に
調査をして、なおそれらに該当するものも
考慮に入れ、かつまた、
万が一の場合には臨時に収容し得る、こういう
意味でも、何かそういうものが積極的に必要ではないだろうか、こういうことで、せんだって来具体的な
対策等の
検討を目下進めておるような
状態でありまして、せんだって
澁谷政務次官が
調査班の班長として
現地に参りまして、種々希望をお聞きいたし、かつまた、こちらの考えておることをも
打ち合わせいたしまして、
県当局並びに
市町村当局と十分なる
打ち合わせの上、
最善の道を講じていく、かようなことで、いろいろ
措置を講じてまいりたい所存でおるわけであります。しかしながら、先ほど申しましたように、何といいましても、予知することのできないものであるのみならず、
あまり事を大げさにすることによって不安を増大せしめるということもどうであろうかということも
心配になります。しかし、まあ用心にしくはないのでありますから、できるだけ
事前措置というものを
検討を加えてまいりたい、かように考えておる次第でありまして、
皆さんの十分な御
注意によりまして、あるいはありがたい御
意見があれば十分これを尊重し、その事において
最善の
措置を講じてまいりたい、かように考えておる次第であります。どうか今後とも御支援、御協力あらんことを心からお願い申し上げます。
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