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橋本国務大臣 御
承知のように、今度の加治川を
中心としての雨量は、大体従来から二百ミリを計画的に考えてやってまいったのですが、今度のものは二百五十三ミリと、計画を五十三ミリオーバーしておるわけです。さようなために、異常降雨といいますか、
集中豪雨というか、最近天候異変でここ二、三年来
集中豪雨が出てくるのですが、それに対処できなかったといううらみがあるわけであります。今回の洪水の結果から見まして、従来の二百ミリ程度のもので治水計画を立てることは無理である、やはり二百五十ミリ以上、三百ミリというものを頭に置いて治水計画を立てなくちゃいかぬということで、上流には、防災ダムといいましょうか、治水ダム、一千万トン級、まだはっきりした計画はできておりませんが、治水ダムを設けることによって計画流量というものをきめていきたい、大体二千トンぐらいの計画流量にしていきたい、かように考えてやっておるわけであります。
今度の
災害については、まことに地元の
皆さん方に対してはお気の毒にたえないのでありまして、先ほど来お話がありました公共
事業に対する
激甚災指定の問題もあります。政治としては、やはり情におぼれちゃいかぬということばもありますけれども、個人的感情からいけば情におぼるることがまた政治の要諦でもあるように思う。が、これは限度があるわけであります。したがって、
皆さんから、いわゆる
公共土木事業についても
激甚災指定ができないかという御
質問は、非常に心情を打った御
質問であり、この点については、いわゆる情におぼるる道もとりたいとは考えておりますけれども、また、これを全国的視野から考えればそうもまいらぬところがあり、いかにしてその情を他の方法で埋めることができるかどうか、実際的には
激甚災指定をしたと同じような効果、すなわち、
被災者の立場に立っての処置ができるかどうかということが一つの大きな要点であろうと思います。この点、もちろん
被災者の方々に対して後顧の憂いのないように、まず現状の
措置を行なうと同時に、いま御
質問のありましたような将来の計画について、大体五カ年間でこれを完成しよう。また、先ほどは分水のお話も出ておりましたが、これなども
現地を十分に検討した上でないといずれとも判断はしかねますけれども、いま建設省当局がやっておりまする上流に一千万トン級の治水ダムをつくることにより、あるいは
災害地におきます屈折した地帯を直流さすことによりまして、大体において
皆さんに御心配かけないような計画ができ上がるのではないか。
問題は、いまお話があったように、実はあの川を切ることについても、時期を失したのではないか、もっと早くやれなかったかという御
質問もあったようであります。ただ、これなどは、実は天候さえ、長期にある程度の天候が続くという見通しがあれば、あの際に切れたと思うのですが、建設省といたしましては、やはりこの天候状態の見定めがつかない、もし万が一切った直後において相当の降雨があれば、その
被害は倍加、三倍加するという心配もあり、かようなことで、天候等を見定めるために多少おくれたきらいがありましたが、あれを切開することによって地元の
皆さんに一応精神的な安心を与えた。必ずしも実際上の効果がどこまであったか疑問の点はありますけれども、それは別であります。人間やはり感情でいきますから、このような罹災者の方々の感情といいますか、気持ちに立って、救農的な土木
事業にいたしましても、いま御
質問がありました将来の計画も、そういう点からひとつ政治はやっていきたい。それがためには、もちろん、おっしゃるように完全なものをできるだけ五カ年以内に完成するという大きな方針でこれを処理していきたい、かように考えておる次第でございます。御了承願いたいと思います。