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1966-08-11 第52回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年八月十一日(木曜日)   午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 日野 吉夫君    理事 稻葉  修君 理事 中村 幸八君    理事 山口丈太郎君 理事 山花 秀雄君       井出一太郎君    内田 常雄君       大石 武一君    藏内 修治君       進藤 一馬君    壽原 正一君       田中 六助君    西岡 武夫君       野見山清造君    細田 吉藏君       本名  武君    三原 朝雄君       井伊 誠一君    石田 宥全君       稻村 隆一君    竹谷源太郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 松野 頼三君        建 設 大 臣 橋本登美三郎君         自 治 大 臣 塩見 俊二君         国 務 大 臣 森   清君  委員外出席者         総理府総務副         長官      上村千一郎君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房参事官)  上田 伯雄君         大蔵政務次官  小沢 辰男君         大蔵事務官         (主計官)   嶋崎  均君         大蔵事務官         (主計官)   長岡  実君         大蔵事務官         (国税庁直税部         所得税課長)  江口 健司君         文 部 技 官         (管理局教育施         設部指導課長) 大串不二雄君         厚 生 技 官         (公衆衛生局防         疫課長)    春日  斉君         厚 生 技 官         (環境衛生局水         道課長)    大橋 文雄君         厚生事務官         (社会局施設課         長)      飯原 久弥君         農林政務次官  草野一郎平君         農林事務官         (大臣官房長) 檜垣徳太郎君         農林事務官         (大臣官房参事         官)      石田  茂君         農林事務官         (農林経済局         長)      森本  修君         農 林 技 官         (農林経済局保         険業務課長)  松永 正隆君         農 林 技 官         (農政局植物防         疫課長)    安尾  俊君         農 林 技 官         (農政局普及部         長)      石井 一雄君         農林事務官         (農地局長)  大和田啓気君         農 林 技 官         (農地局建設部         災害復旧課長) 松井 芳明君         農林事務官         (畜産局参事         官)      太田 康二君         農 林 技 官         (畜産局畜産経         営課長)    藤井 伸夫君         農林事務官         (畜産局流通飼         料課長)    中川 正義君         農 林 技 官         (食糧庁総務部         長)      田中  勉君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      手束 羔一君         水産庁次長   山中 義一君         通商産業事務官         (中小企業庁計         画部長)    本田 早苗君         運 輸 技 官         (気象庁予報部         予報課主任予報         官)      加藤 茂数君         建 設 技 官         (都市局街路課         長)      三宅 正夫君         建設事務官         (河川局次長) 多治見高雄君         建 設 技 官         (河川局治水課         長)      渡辺 隆二君         建 設 技 官         (河川局防災課         長)      坂井 秀正君         建 設 技 官         (河川局砂防部         砂防課長)   倉上  靖君         建 設 技 官         (道路局企画課         長)      豊田 栄一君         建設事務官         (住宅局住宅総         務課長)    角田 正経君         自治事務官         (財政局長)  細郷 道一君         日本国有鉄道参         事         (施設局土木課         長)      長野 逸人君     ————————————— 八月二日  委員伊東隆治君及び小沢辰男辞任につき、そ  の補欠として谷垣專一君及び中山榮一君が議長  の指名委員に選任された。 同月十一日  委員金子岩三君、倉石忠雄君、小坂善太郎君、  櫻内義雄君、舘林三喜男君、羽田武嗣郎君、藤  本孝雄君及び増田甲子七君辞任につき、その補  欠として細田吉藏君、本名武君、田中六助君、  西岡武夫君、野見山清造君、三原朝雄君、藏内  修治君及び進藤一馬君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員藏内修治君、進藤一馬君、田中六助君、西  岡武夫君、野見山清造君、本名武君及び三原朝  雄君辞任につき、その補欠として藤本孝雄君、  増田甲子七君、小坂善太郎君、櫻内義雄君、舘  林三喜男君、倉石忠雄君及び羽田武嗣郎君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 七月二十九日  一、災害対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十一年六月及び七月の豪雨等による災害 対策      ————◇—————
  2. 日野吉夫

    日野委員長 これより会議に開きます。災害対策に関する件について調査を進めます。本日は、昭和四十一年六月及び七月の豪雨等による災害対策について調査を進めてまいりたいと存じます。  この際、本災害について、森総理府総務長官松野農林大臣橋本建設大臣及び塩見自治大臣から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。松野農林大臣
  3. 松野頼三

    松野国務大臣 今般はからずも農林大臣を拝命いたしまして、当委員会皆さん方に在任中はおそらくいろいろ御協力、御指導を仰ぐことが多々あると思います。どうぞ農林行政の推進のため各位の御協力をこの席からお願いいたします。  今回の大雨災害に対する農林省のただいままでの経過を御説明いたしますと、水稲などに甚大な被害を受けまして、現在判明いたしております被害額総額約三百九十七億円で、施設関係約二百五十二億円、農林水産物関係約百四十四億円となっており、とりわけ新潟地方大雨災害では総額百八十三億円、台風号災害では総額百五十七億円と、大きな被害を受けております。国民経済的に見ましても、また被災農民の立場からしても、まことに心痛にたえないところであります。  農林省としましては、これらの被害に対処するため、まず農地農業用施設、林道及びこれらの小災害について激甚災害法適用することとしておりますが、なお、天災融資特例土地改良区の行なう湛水の排除についても目下調整中であり、今月下旬には追加して適用できるものと考えております。  また、被災した農家営農意欲を振い起こすため強力な援助をし、現金収入確保対策自作農維持資金ワク追加農地農業用施設等早期復旧措置被災地病害虫防除措置農業共済金早期支払い措置、米の予約概算金返納にかかる特別措置既貸付金返納条件緩和措置被災農家飯米確保対策、家畜の飼料対策等についても逐次その体制を整え、実行に移し、必ずや被災者要請にこたえ得るものと確信いたしております。  以上、簡単ですが、御報告し、なお、詳細につきましては事務当局から追加説明をいたさせます。
  4. 日野吉夫

  5. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 今回、官房長官から建設大臣を拝命いたしました。官房長官時代皆さんには公私ともたいへんお世話になりまして、大体不規則発言が多いようでありましたから、御迷惑をかけたこともあろうと思います。その点、心からお礼やらおわびやらを申し上げたいと存じます。また建設大臣といたしましても、私、前にちょっとやりましたけれども、これはかけ足でそっと通っただけでありまして、もちろん建設関係にベテランということでもありません。ことに大体が大ざっぱなほうでありますから、国会答弁等ではとちることが多いだろうと、いまから大いに小心翼々たるものがありますが、その点、皆さん方の御愛情によってひとつ御指導を願いたいと、心からお願いを申しておきます。  この機会に、建設省関係公共土木被害について御報告を申し上げたいと存じます。  六月十九日から七月二十二日までの被害の概要でありますが、六月十九日から七月二十二日の間に発生しました建設省所管公共土木施設等被害は、現在までのところ四百十五億円で、その内訳は、六月十九日から二十四日にかけての南九州及び南木曾地区の十八億円、台風第四号による関東地区等の二百十一億円、六月三十日から七月二日にかけて西日本の三十三億円、七月七日から十三日にかけて南九州及び北陸地方の三十七億円、七月十五日から十九日にかけて新潟県を中心とした百四億円、七月二十二日山梨県の集中豪雨十一億円等であります。  これに対する対策及び措置でありますが、直轄災害につきましては、河川緊急応急復旧の必要のある個所及び道路交通不能個所については既定経費を立てかえて応急工事を行ないまして、交通確保被災個所の補強を実施し、今後の出水に対処しております。また、現地調査をすべて完了し、七月二十九日予備費一億一千百二十九万七千円を支出して復旧工事実施中で、残余につきましても目下予備費を要求中であります。  補助災害についてでありますが、被害激甚な次の県について災害査定官現地に派遣し、被害状況調査並びに応急復旧工法指導に当たらせております。  六月十九日から二十四日豪雨災害宮崎県、長野県、これは南木曾地区であります。なお、台風第四号災害栃木県、茨城県、神奈川県、埼玉県、福島県。七月七日から十三日の豪雨災害鹿児島県。七月十五日から十九日までの豪雨災害新潟県、山形県。  その他の県については、緊急復旧を要する個所について工法協議を行ない、応急工事を施行中であります。  なお、七月中旬より九月上旬にかけて緊急査定を行ない、予備費を要求する予定をいたしております。  八月十一日現在の査定状況は、査定済みが八都県で、長野県、福島県、宮城県、岩手県、東京都、埼玉県、栃木県、茨城県。査定中が四県でありまして、神奈川県、山形県、新潟県、山梨県。九月上旬まで実施予定が七県で、山口県、青森県、鹿児島県、宮崎県、富山県、石川県、秋田県。  なお、都市施設に関する災害ですが、特に緊急を要する個所については応急工事を施行するよう指示をいたしております。なお、七月下旬より九月上旬にかけて査定実施中でありますが、八月十一日現在の査定状況は、査定済みが四県で、鹿児島県、長野県、福岡県、三重県。査定中が二県で、高知県、静岡県。九月上旬まで実施予定が七都県で、新潟県、神奈川県、山形県、山梨県、宮城県、広島県、東京都であります。  なお、住宅災害について御報告申し上げますが、被災者に対しましては、住宅金融公庫から個人住宅特別貸付及び住宅改良資金特別貸付を行なっておりますが、さらに災害復興住宅資金の貸し付けを行なうよう検討いたしております。また、長野南木曾町に対しましては第二種公営住宅十戸を割り当てましたが、その他の地域についても地元公共団体の要望に応じ措置することにいたしております。  なお、がけくずれによる災害予防措置といたしましては、建築基準法に基づく条例により地方の実情に即した建築規制を行ない、これが及ばない既存住宅できわめて危険なものに対しては必要な保安上の措置を命じておりまして、これらに関しましても地方公共団体と協議し、かつこれを指導して、完全実施を行なう方針であります。  以上、大体のことを御報告申し上げまして、なお御質問がありますればお答え申し上げたいと存じます。
  6. 日野吉夫

    日野委員長 それでは、塩見自治大臣
  7. 塩見俊二

    塩見国務大臣 今回自治大臣を仰せつけられました塩見でございます。参議院出身でございますので、皆さん方から直接に御指導いただく機会がいままで少なかったのでありますが、今後におきましては委員会等を通じまして特別の御指導、御支援をいただく機会が多いかと思う次第でございまして、何とぞよろしくお願い申し上げたいと思います。  災害の問題につきましては、地方財政も御承知のとおり相当に困窮した状況でございますので、超過負担にならないような国の十分な措置を一面におきましては御検討願い、また御協力を願わなくてはならぬわけでありますが、地方財政といたしましても、災害という特殊の問題であり、したがって早急にこれは復旧解決をしなければならぬ問題でございますので、各地方自治体の財政負担にならないように、特別に自治省といたしましては、あるいは交付税の繰り上げ交付、あるいは起債、あるいは交付税の配分、そういったような問題を通じまして地方団体財政運営に支障を生じないように万全の配慮を尽くしてこの災害問題に対処したいと考えておる次第であります。何とぞよろしくお願い申し上げます。
  8. 日野吉夫

  9. 森清

    森国務大臣 このたび総理府総務長官を拝命いたしました。何とぞよろしくお願い申し上げます。  本年六月中旬から七月下旬にかけての豪雨等による災害に対して政府の講じた措置につきましては、先般の当委員会におきまして御説明いたしたところでありますが、特に被害の大きかった新潟地方大雨災害につきまして、お手元に配付いたしております資料によりましてその後の状況等を詳細御承知いただきたいと存じます。  激甚災害指定につきましては、六月末の台風第四号及び六月中旬から七月下旬までの豪雨等による災害を一括して激甚災害として指定し、これに対し適用すべき措置としては、農地等災害復旧事業及び災害関連事業補助特例水防資材費補助特例農地農業用施設等災害債元利補給の三措置指定することとし、明十二日の閣議において政令を制定する予定であります。さらに、でき得れば今月中に天災融資法特例及び土地改良区等の行なう湛水排事業に対する補助特例の二措置追加指定することにしております。  いずれにいたしましても、政府としては、この災害のすみやかなる復旧被災者の方々の生活の安定のために、今後ともでき得る限りの努力をいたす所存でございます。
  10. 日野吉夫

    日野委員長 この際、北海道東北地方中心とした異常低温下の稲の生育状況及び稲作対策につきまして松野農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。松野農林大臣
  11. 松野頼三

    松野国務大臣 八月一日農林省統計調査部の発表いたしました、最近の障害型冷害発生の傾向が見受けられます北海道東北については、六、七月の引き続く低温により生育はかなりおくれており、「やや不良」の状態にあります。北日本ではかなりの低温が続き、東北同様障害型冷害発生も考えられます。北日本では天候不順年にはいもち病発生が多いが、本年はこれまでの引き続く低温気象経過のため発生がおくれておりますが、今後気温の上昇とともに急に発生することも考えられます。昨年は、当初不良型と見受けられ、途中で回復をいたしまして、昨年の収穫はその障害を除去することができました。本年は優良型といわれながら、途中において低温が続いたということは、昨年の現象と本年は時期的にその内容が異なっておることについて、なお非常に留意しなければならないと思います。  したがいまして、八月三日付をもって、直ちに稲作対策について東北北陸関東地方農政局長及び北海道知事通達を出し、冷害防止のため諸般の措置をとるようにいたしました。その内容は、水温、地温の上昇処置いもち病等徹底予防穂肥適正実施等技術対策の強化を指示し、さらに、北日本関係地方農政局及び各県に対し、稲作冷害及び病害防止のための技術指導を強化するよう指導しております。  さらに、現地調査班を派遣いたしまして、各般の状況を把握しております。  今後の対策といたしましては、すみやかに、あらゆる試験技術者あるいは実際の農民諸君協力のもとに、一体となってこの予防措置に万全を尽くす措置をとっております。その他、関係機関協力要請としては、報道の適正化、あるいは防霜のための薫煙等については、関係官庁協力を得て、その被害を最小限にとどめたいと措置いたしております。  簡単ですが、本年の特殊な低温による障害型冷害について御報告をいたします。     —————————————
  12. 日野吉夫

    日野委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。石田宥全君——石田君、塩見自治大臣が急いでおりますので、もしあれなら……。
  13. 石田宥全

    石田(宥)委員 自治大臣がお急ぎのようでありますので、まず、自治省関係について一、二承りたいと思います。  災害復旧事業など地方負担額に対する起債充当償還に対し、財源措置は現年度一〇〇%であるが、翌年度からは七〇%となることになっておるようであります。この七〇%を一〇〇%にする御準備はおありであるかどうか。  それから次に、国庫補助起債対象外都府県等が行なった災害復旧費充当財源は、激甚法の第二章第三条の適用いかんにかかわらず、特別交付税措置することとなるべきであると思うのでありますが、これについての御所見をお伺いいたしたいと思います。  さらに、収穫皆無地固定資産税は当然免税となるべきものであり、これについては地方公共団体に御指示もなさったようであります。また、交付税については繰り上げ交付のお手配もなさっておるようでありますが、以上二点について率直簡明な御答弁を願いたいと思います。
  14. 塩見俊二

    塩見国務大臣 お答えいたします。  ただいまの御質問の第一点、翌年七〇%という御質問のように承ったわけでありますが、初年度一〇〇%、翌年七〇%、これは災害規模状況等に応じまして、従来からそういうふうな計算で、これが妥当であろうということでやってまいっておりまして、いま直ちに御質問の御趣旨におこたえできるようなふうに目下のところ考えていない次第でありまして、なお検討させていただきたいと思います。  それから交付税の繰り上げ交付の問題につきましては、これはすでに本年災害につきましては新潟災害に至るまで全部処理済みでございますので、御了承いただきたいと思います。  それから固定資産税の減免についてお話がございましたが、これは関係市町村におきまして減免するように、そういう条例を出すようにということで自治省からすでに通達済みでございまして、各市町村ではそれぞれその措置を講じておるように承知いたしております。
  15. 石田宥全

    石田(宥)委員 答弁漏れがあります。それは、国庫補助起債対象外都府県が負担した災害復旧財源、これはあとで総理府のほうにお伺いをいたしますが、激甚災害財政援助に関する法律の第二章第二条、これの適用があるかどうかは別としても、その地方団体の負担した部分については当然特別交付税または起債部分については交付税で見るべきものであると思うが、どうか、この点を承りたいと思います。
  16. 塩見俊二

    塩見国務大臣 お答えいたします。もし不十分でございましたら、なお事務当局から補充させていただきたいと思います。  激甚指定を受ければ、これは全額お尋ね趣旨に沿えるわけでありますが、そうでない場合におきまして、やはり従来から事業の性質なりあるいは災害の程度なりというようなことで若干の区分をして見るということになっておるわけでありまして、災害は特殊の事態でございますので、なおこの現在の状況でいいのかどうかということは、今後あらためてさらに検討いたしたいと思いますが、いまの激甚災害指定を受けないという場合について全部交付税なりその他国のほうで見るかどうかということも、いま少しく検討させていただきたいと思います。  なお、お答えが十分であるような自信もございませんので、一応財政局長から補足してお答えいたさせます。
  17. 細郷道一

    細郷説明員 御承知のように、公共災害につきましては、その地方負担について現年度一〇〇%の起債を認め、さらに、その元利償還金につきまして、翌年度以降普通交付税基準財政需要額において九五%の算入をする、こういう措置をいたしております。単独事業につきましては、現年度分単独事業につきましては、最近におきましては、その地方団体の申請を基礎といたしまして、中には起債対象とならないような臨時のものもございますが、そういうものは若干の査定をいたしますが、おおむね一〇〇%に近い起債を認めます。そうして、翌年度以降その元利償還につきましては、基準財政需要額におきまして二八・五%の元利償還金についての需要算入をいたします。ただ、その団体財政力によりまして、財政力の弱い団体につきましては、その二八・五%を五七%まで財政力の弱さの度合いに応じて引き上げる、こういう措置をとっております。
  18. 石田宥全

    石田(宥)委員 それでは、自治大臣は、お忙しいそうで、ほかの委員会のほうで待っているそうでありますから……。  総理府に伺いますが、ただいまの自治相の御答弁の中にもありましたように、激甚災に対する財政援助のこの法律適用いかんというものがすべてに影響するわけです。今日まで伝えられるところでは、先ほど農林大臣の御発言にもありましたように、農地及び農業用施設に関する災害については、いわゆる農業災害に対する激甚法適用は、これは五条、二十一条、二十四条は問題ない、こういうことであります。八条の天災融資ももうおきめになっておるようでありますし、十条の点も近く正式におきめになるということでありますから、これは別に御質問を申し上げません。  そこで、第二章第三条の公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助、この規定の適用があるかないかということが、今後の災害復旧事業全般に及ぼす影響はきわめて大きいわけであります。御承知だと思いますけれども、河川の堤防と農地埋没流失というようなものは関連しておる。それが一定の金額によって補助率が変わるというような面がございますので、私どもは、この公共土木施設災害復旧に対するこの第二章第三条の適用ということを非常に重要視いたしておるわけです。ところが、先ほど来の御発言の中ではこの点には触れられておりませんが、建設大臣農林大臣もお触れになりましたように、六月の中旬から七月の下旬までということになりますと、六月中旬から七月下旬における梅雨前線による集中豪雨災害、こういう表現になれば、これは先例もあることでありますし、当然二章三条の適用がなさるべきであると思うのでありますが、この点はどんな状況になっておりますか、適用をするように御準備になっておるのか、あるいはその意思がないということか、この点を明らかにしていただきたい。
  19. 上村千一郎

    上村説明員 先生のおっしゃるとおり、公共土木施設関係につきましてこれが災害措置ということは非常に重要な問題であるわけでございますけれども、この適用すべき措置指定を行なうにあたりましては、あらかじめ決定されましたところの、昭和三十七年十二月の、先生も御案内のように、中央防災会議決定の激甚災害指定基準というものがございまして、これに従いまして指定を行なっておるわけでございます。今回の災害にあたりまして、公共土木施設関係は、現時点におきましてこの基準に達しておりませんので、指定を行なうという段階にただいまなっていないというのが実相でございます。  なお、詳細な点につきましては、上田参事官もおりますので、そのほうから詳細な点を御説明させたいと思います。
  20. 上田伯雄

    ○上田説明員 副長官からいさい御説明があった.とおりでございますが、おっしゃるとおり、本年の六月半ばから七月の半ばまでの集中豪雨がございましたが、これらのものを公共土木施設に関しまして被害額を総計いたしましたところ、われわれの持っております。すでに何年か前につくられました基準によりまして現在の地方団体の標準税収入等と比較いたしまして、これにかなりの隔たりがございますので、現在そのような指定をいたすという運びにはなっておらぬのでございます。
  21. 石田宥全

    石田(宥)委員 時間の関係もあるそうでありますし、この点はあるいは法律改正等と関連があるのではないかと考えますので、あとで懇談の機会委員長で設けていただくことにして、この程度にいたしておきます。  次に、農林省関係でありますが、農林大臣はかなり専門によく御勉強になっておられますから、できれば大臣に答弁を願いたいと思うのでありますが、災害対策といっても、新潟の場合は、六千ヘクタールの収穫皆無という、おそらく日本では初めてという深刻かつ広範な災害を受けているわけです。しかるにもかかわらず、実は農地埋没流失等については、それぞれのかなりな法律適用がございますけれども、個々の農家については救済規定というものがあまりないわけです。そこで、救済の道というものは金融にしぼられるわけです。天災融資法、それから自創資金。ところが、今度の被害を受けた地域では、三十三年の集中豪雨被害、三十六年の室戸台風被害、それから三十九年の地震の被害と、ダブルパンチを受けているという状況です。したがって、天災融資も自創資金もほとんど目一ぱいに借りているという実情にあるわけです。従来でありますと、そういう資金は一年間据え置きまして、あとは残年期間に均分する、若干期限の延長をするという措置をとられておったのでありますが、これは今回の災害に限ってほとんど不可能にひとしい。そこで私はこれが業務方法書などの規定で行政的に措置できるかどうかという点を明らかにしたいと思うのでありますが、行政措置で三年間ないし五年間据え置きをする、たな上げをしておく、その利子は、国が三分の二、県が三分の一というような利子補給を行なうことによって、三年ないし五年の据え置きをやり、据え置き年限はこれをあとに繰り下げる、こういう措置をとることが農民の再建のためにどうしても必要であろうと考えるわけでありますが、これに対する所見を承りたいと思います。
  22. 松野頼三

    松野国務大臣 今回の新潟の場合は、私の記憶でも皆さん方の体験でも例のないことだ。ということは、災害というものは一ぺんに来て一ぺんに去るものであるという感じから、今回はその災害状況が停とんした、しかも冠水状況が一週間以上にも及ぶということは、非常に例の少ない特殊地帯の災害だと思って、その点においては非常に考えさせられる面があります。しかもそれが非常な広範囲であった。私は、新潟の場合は、いままでの災害的な考えに特別に一歩新たな考えを私たちも抱かなければ、復旧はいままでどおりではいかないのではなかろうかという気が実はいたしました。このことは閣議でも議論がございました。こういうものはあまり例が少ない。災害が八日間も停とんする、災害状況は終わっても、天候は終わっても、状況はより悪化しておる。これは私は非常な特別の場面だと考えます。おっしゃるように、ことに新潟災害常襲地帯のように毎年災害を受けられておるお気の毒な地帯であります。したがって、天災融資法適用しても、前のが積み重なっておる、おっしゃるとおりです。したがって、重複する場合には、特別な額の引き上げを行なうということもやらなければなりません。それから据え置きも、今回の据え置き、前の据え置き、その前の据え置き、三つ据え置きが重なる場合がありますので、おっしゃるような特別な考え、あるいは据え置き期間をまた借りかえをしてやるとか、そういうふうなことを考えていかなければいけないんじゃないか。はたして法律があるかどうか私は知りません。私は、できるならそのことは最高限度でやり得るのではなかろうかと思いまして、法律を一条一条読んだわけではありませんけれども、私はそんな考えを抱いて事務当局に検討さしております。方向はその方向で私は解決をいたしたいと思いますので、法律を変えなければいかぬのか、行政でできるのか、これはもうしばらく役人のほうにまかしていただいて、私の責任でその方向に努力いたすつもりでございます。
  23. 石田宥全

    石田(宥)委員 たいへん御理解のある答弁で、ぜひひとつ高級官僚に作業を進めさしていただきたいと思います。  それから、これに関連しまして、これは農地局長にお伺いをいたしますが、今度の激甚被害を受けた地域には、基盤整備事業、排水事業等がかなりたくさん施設があるわけです。しかし、何年も何年も重なってみますと、やはりそこに問題があろうかと思われる。一つは、もちろん加治川の改修の問題でありまして、これはあとで建設大臣にお伺いをしたいと思うのでありますけれども、まず一つは、あれだけの大きな耕地の水は、直接海に切り落とすという措置が何といってもやはり先決問題じゃないか。いま新産都市などで東新潟港というものの工事に着工をされておりますが、それとは別に、あの周辺でいいのではないか。この間四、五日ずっと回って見てまいったのでありますが、お考えがあるかどうか。  もう一つは、新井郷川の東洋第一といわれる排水機があるが、地盤沈下がもう五、六年前から起こっておるわけです。今日では約二十センチ程度の沈下を見ておるといわれておる。沈下すればするほどその能力は減退するわけです。これに対する補強工事がどういう形がいいかは、これは私ども専門ではありませんから、よくわかりませんけれども、補強する必要があるのではないか。それから第三番目には、今度もかなり建設省の抵抗があったようでありますけれども、阿賀野川を切り落としたわけです。あれは少なくとも一メートル二十から一メートル三十くらいの落差があるのですから、洪水にあたって急に切り落とすということについてはいろいろ問題があろうかと思うのでありますけれども、やはりそれによって相当にその排水が促進されたわけです。そこで、阿賀野川の下流に、この間切り落としたところが適当かどうか、これは別ですが、やはり可動ぜきのように、湛水した場合はすぐこれは排水ができるが、阿賀野川が増水をした場合には自動的にそれが封鎖するというような、あるいはだれかが行ってやってもよろしいですけれども、そういう施設がない限り、福島潟の干拓事業などもございますけれども、どうも効果的に行ない得ないのではないか、やはり抜本的な改正がこの際必要ではないかということを強く感じ取ってまいりました。地元もまたそういう要望をしておるようでありますが、これはひとつ専門の農地局長から御答弁を願います。
  24. 大和田啓気

    ○大和田説明員 ただいまいろいろお話がございました北蒲原地帯では、阿賀野川の排水事業でありますとか、加治川のかん排事業でありますとか、また近く福島潟の干拓事業が始まります等、国営事業がずいぶんいろいろございます。それで、いま御指摘になりました直接海岸に切り落とす排水溝を掘る問題でございますとか、あるいは今度の湛水の防除につきまして、新井郷川の大排水機がずいぶん活躍して湛水の防除に強力な援護射撃をいたしたと考えておりますけれども、その補強の措置でございますとか、あるいはさらに阿賀野川に切り落として湛水排除の一助とした措置をこれからどういたすかという問題につきましては、国営事業がいろいろ同じ地区にかみ合わさっております経緯もございますし、また農林省だけのかんがい排水事業だけで始末できない面もございますので、建設省等々ともよく協議をして十分検討をいたしたいと考えております。
  25. 石田宥全

    石田(宥)委員 それでは、それはひとつよく御検討願っておきまして、次に農林大臣に伺いますが、先般本会議でこの救農土木工事について総理大臣にもお伺いしたところ、総理もこれは大賛成であるというお話でございました。現在、県は緊急事業として一億円支出いたしております。しかし、これは一億円なら一億円なりにそれは役立ってはおりますけれども、すでにもう三、四日でなくなってしまう。それで、二戸一名に限って就労させるというような制限をせざるを得ないという状況であります。これははなはだ遺憾千万なことでありますが、国として早急にやはりそれをやっていただきたい。事業内容については、農地の基盤整備であるとか、排水路の整備であるとか、そういう農業に関する仕事、計画中のものもかなりたくさんありますが、しかし、大きな事業になって、それが土建業者の救済に終わるようなことでも困りますので、やはり就労の機会というものを相当のパーセンテージ見てもらうような特殊の配慮を行なっていただかなければならないと思うのです。政府でもうお調べになっておられると思いますけれども、七月十七日の北蒲原郡における系統資金とそれから公庫融資、いわゆる制度金融、これを二つ合わせますと相当な金額になっておる。制度金融だけで、これは北蒲原郡全体でありますが、需要額としては、自創資金が二十七億八千万、天災融資が十二億五千万というのを、再三検討して出しておるわけです。それからまた、郡として、これらの制度金融のほかに系統金融がありますが、合わせて償還残額が二十一億あるわけです。そうすると、従来資金の融通を受けたもので償還残額がばく大なものがあるわけでありまして、どうしてもこれはさっき大臣がおっしゃったような特別な配慮と、もう一つは、やはり救農事業を早急に予算化してもらいたい。もし政府で急にできないというような場合には、やはり県当局にその内示をされて、あとで国が見るから、まずとりあえず県でやりなさいというような便宜的な措置などもお考えを願いたいと思うのです。特に土地改良団体などが計画中の事業をたくさんかかえ込んでおりますから、そういう御指示があれば、県としてはやはり適切な手を打つことができるわけでありますので、この点についてのお考えを承っておきたいと思います。
  26. 松野頼三

    松野国務大臣 救農土木につきましては、本会議でも総理もある程度お答えになったと思います。また、坂田前農林大臣もお答えしたと思います。七月二十九日に予備金支出約二億円いたしまして、これは救農土木的な農業土木工事の予備金として支出をいたしました。そのほかに、農林省の現在あります予算の中から、それに該当するような費目を合わせて十七億から二十億程度のもの、これは圃場整備まで入れまして、団体営、直営を入れまして二十一億程度の計画をいま立てて、現地のほうと打ち合わせて調査をいたしております。したがって、救農土木につきましては、これは当分収穫のない地帯ですから、やはりある程度長期間にこれをやらなければならない。したがって、国営はもちろんですけれども、団体営、あるいは県にも委託しまして、私は査定というものの前に着工できるものがあればやりたい。ただいま各農家からは、やはり非常な生産意欲がありますので、できるならばいまからでも何らか作付できるものを植えつけたい、いずれ冠水のあとにはおそらく雑草がはえるから、早く雑草を大きな耕うん機でひっくり返したいという希望も出ております。そうしてあと半年の間に何らかの収穫を得たいというような生産意欲の旺盛なところでありますので、私どもいたずらに規則ばかりにとらわれずに、実情に合わせた方向で、救農土木あるいはもう一度植えつけができるように、何らかの形でいきたい。もちろん米の植えつけには間に合わぬと思いますけれども、ほかの転換作物が植えられて何らか収穫が得られるように、いま早急に打ち合わせて対策を立てております。御趣旨のとおり、あるいは御趣旨以上に農林省はいま積極的にその姿勢を示して実行いたします。
  27. 石田宥全

    石田(宥)委員 なお、念のため申し上げておきますが、何か政府部内では、あの辺の農民は常時出かせぎをする地帯であるから、むしろ、救農事業というようなものよりは、出かせぎをしたほうが有利だということになりはしないかというような異論もあるようであります。しかし、御承知のとおり、新潟の地震の災害復旧は、これは政府並びに県の努力で一応終わっておりますので、そういたしますと、やはり東京周辺とか関西ということになるわけです。ところが、来年の九月ごろまで収入が全然一銭もないということになるわけですが、家族によって、出かせぎを遠くにできるものとできないものとがある。ですから、それらの点はなお実情に即してやる以外にはない。賃金が安ければ、むしろ遠くへ出たほうがいいという人もあるかもしれないけれども、頭からそういうふうにきめつけていいかげんな措置をとられては困るので、そのようなことのないようにひとつ御配慮をいただきたいと思います。  次に、これは農地局長に伺いたいのでありますが、土地改良区は災害によって事業分量が非常にふえておるわけです。ところが、土地改良区の事務、人件費の大事な賦課金は、収穫皆無だから取るわけにまいりません。そこで、とりあえずは何か非常に高利な金を借りて動いておるようでありますけれども、そういうことがあってはどうも困りますので、少なくともあまり利息の高くない特別な資金で土地改良区の事務、人件費をまかなえるような措置をとらなければならないが、どうか。  さらにもう一つこれに関連して、この間豊栄町で被災者農民の大会を開いたわけですが、行ってみますと、その主催者は、十三の土地改良区が主催者になっておる。ここには非常に零細な土地改良区がございまして、北蒲原郡土地改良区という、郡を一体とするものがありながら、その中にまた実に小さなものがたくさんあって、さらにまた小さなものの連絡協議会があって、五段にも七段にも負担がかかっておる、こういう状況にあります。これがかなり農民の負担になっておることはもう間違いのないところで、ことで多くを申しませんけれども、農地局長よく御存じなところでありますが、やはりこういう機会に、援助すべきは援助をしながら、そうした土地改良団体の整理統合というようなことも、何かチャンスがないとちょっとできにくいようでありますが、ぜひこれはこういう機会におやりを願いたいが、これは全国的にもある問題でもあるので、ひとつこの二点を承りたいと思います。
  28. 大和田啓気

    ○大和田説明員 収穫皆無の農家が相当できまして、土地改良区の運営がなかなか困難になっておりますことは、私もよく承知いたしております。まず、土地改良事業償還金については、当然猶予の規定を働かしておりますけれども、事務、人件費につきましては、これは団体の運営費でございますから、なかなか公庫から金を貸すということはできかねる状況でございますので、できるだけ安い金利で系統金融の金を貸すように私どもも中へ入って努力をいたしたいと思っております。  それから二番目の、土地改良区の小さいものが北蒲原郡に群立しているという問題で、これは新潟県の中でも、亀田郷でありますとか西蒲原でありますとか、一万町歩か二万町歩の非常に大きな土地改良区で、よく事務を整備されておりますものがあるわけでございますが、この北蒲原につきましては、どうも沿革的に内部的なむずかしい事情がございまして、私ども、できるならば、亀田郷あるいは西蒲原と同じような、整備された土地改良区をつくりたいというふうに思っておりますけれども、なかなか内部事情でそう役所の行政措置で無理押しもできない事情がございます。ただ、あまり少さいものがたくさん群立して農民の負担がふえるということは、はなはだ好ましくない状況でございますから、今度の機会につきましても、できるだけその方向で私どものほうとしては指導いたしたいと思っております。
  29. 石田宥全

    石田(宥)委員 これは公庫の業務方法書か何かで公庫で土地改良区の運営資金を見ることができないものか。いまでは、この系統金融というものは利子が非常に高いですから、非常に困っておるのです。仕事の分量がうんと大きくなった、そうしてその高い利息の金で土地改良区の運営をしなければならないということについては、これはあとで懇談会などでよく詰めてまいりたいと思いますが、これはいまではそういうことはできないのだというように突っぱねていいような問題ではないと私は思うのです。しかし、御意見として承っておきましょう。  次に、これは小さな問題ですけれども、水稲の共済ですね。概算払いについては、本会議でも質問をし、前の農林大臣も、それは考えようということでありましたが、この間回ってまいりましたら、ほとんど収穫すべき何ものもないようなところまでもずっと査定をして歩いておって、はなはだしきに至りましては、私は現場で見たのでありますが、十アール当たりの中で一アールくらいが四、五寸砂から出ておって、あとは全部砂に埋まっておる、そういうようなところでもこれは収穫皆無とみなさない。一体、全部が砂に埋まってしまって、十分の一くらいが四、五寸頭を出しておるときに、これを収穫皆無でないなどというような査定のしかたというものは、常識はずれだと思って、実は私も憤慨してきたのですが、農林省で何かそういう指示を与えられているかどうか。
  30. 森本修

    ○森本説明員 御案内のように、水稲の損害評価は、こういうふうな途中で災害を受けましたときには、技術的にきわめてむずかしいわけでございます。水がひきましたり、あるいは天候が回復したりということになりますとまた若干の収穫があるといったような例も従来しばしばあったわけでございます。そういうことでございますので、できるだけ、私どもとしては、損害評価については農民側に有利なといいますか、あまり不親切にならぬようにやれということを従来言っておりますけれども、御指摘のような指示を私どものほうからした覚えはございません。ただ、損害評価にあたりまして、従来から、ある程度ルーズにわたるというふうなこともありますので、そこらの点は、組合に対しては適切に、かつ、農民に対してはそう不親切にならぬようにということで、きわめてむずかしいわけでございますけれども、そういうようなことで運営いたしております。
  31. 石田宥全

    石田(宥)委員 もっとも、この間回りましたときには、概算払いをいなかのお盆までに間に合わせたいということで、ごく大まかにやって、ほんとうの損害評価でないことは私も承知しております。しかし、先ほど申し上げたようなひどいところまでも収穫皆無でないなどということは、ちょっと常識はずれなので、一体どういう指導をしておられるかということを実は承ったわけでありますが、重ねて、政府の再保険金概算払いの準備をなさっておられるかどうか、それから損害評価費の助成を行なうべきであると思いますが、この点はどうです。被災地には特に事務費の国庫交付金を繰り上げ交付していただきたいという要望が強いようでありますが、これらについて、もうお考えになっておると思いますから、承りたいと思います。
  32. 森本修

    ○森本説明員 第一点の概算払いでございますが二、三日来新潟の連合会から手続がとられております。私どものほうでは、できるだけ早く概算払いをしたいということで、目下準備を進めております。見込みといたしましては、一両日中に概算払いができるであろう、こういうふうに思っております。  それから損害評価に要した事務費でございますが、従来も、ある程度の規模の災害で、特に概算払いあるいは仮払いをするために特別に事務費を要したというふうな場合には、出した例もございます。今回は、精査いたしませんと、いまのところ確定的に申し上げられませんけれども、そういうふうな例もございますので、十分検討さしていただきたいと思います。  それから第三点の事務費の繰り上げ交付でございますが、これも組合の運転資金その他お困りの点もあろうかと思いますので、私どものほうで十分検討さしていただきたいと思います。
  33. 石田宥全

    石田(宥)委員 次に、建設大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、先般本会議でも申し上げたように、加治川の改修工事の計画が立てられてから十一年目になっております。十一年目になっているけれども、一〇%も進んでおらない。私はこれは必ずしも政府側が悪いからとばかりは申しません。地元の怠慢もあったでしょうし、いろいろ事情はあったと思いますけれども、あのようなあばれ川でありますから、これについては早急に災害復旧事業として完成すべきであろうと思うのでありますが、先般何か発表されたところによりますと、加治川の五カ年計画というものができたようであります。加治川の上流は災害助成事業とするが、下流は中小河川改修事業とするといわれておるのでありますが、そういたしますと、これは補助率関係からではないかと思うのでありますけれども、やはりいまでもまだ仮締め切りのあとはわずか二十ミリくらいの降雨量で仮締め切りをみんなオーバーしております。そういうような状態の中にまだ戦々恐々としてあの沿岸の人たちはおるわけですが、これはやはりすみやかに災害助成事業として五カ年計画で実施することはできないものかどうか、お伺いをしたいと思います。
  34. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 御承知のように、今度の加治川を中心としての雨量は、大体従来から二百ミリを計画的に考えてやってまいったのですが、今度のものは二百五十三ミリと、計画を五十三ミリオーバーしておるわけです。さようなために、異常降雨といいますか、集中豪雨というか、最近天候異変でここ二、三年来集中豪雨が出てくるのですが、それに対処できなかったといううらみがあるわけであります。今回の洪水の結果から見まして、従来の二百ミリ程度のもので治水計画を立てることは無理である、やはり二百五十ミリ以上、三百ミリというものを頭に置いて治水計画を立てなくちゃいかぬということで、上流には、防災ダムといいましょうか、治水ダム、一千万トン級、まだはっきりした計画はできておりませんが、治水ダムを設けることによって計画流量というものをきめていきたい、大体二千トンぐらいの計画流量にしていきたい、かように考えてやっておるわけであります。  今度の災害については、まことに地元の皆さん方に対してはお気の毒にたえないのでありまして、先ほど来お話がありました公共事業に対する激甚災指定の問題もあります。政治としては、やはり情におぼれちゃいかぬということばもありますけれども、個人的感情からいけば情におぼるることがまた政治の要諦でもあるように思う。が、これは限度があるわけであります。したがって、皆さんから、いわゆる公共土木事業についても激甚災指定ができないかという御質問は、非常に心情を打った御質問であり、この点については、いわゆる情におぼるる道もとりたいとは考えておりますけれども、また、これを全国的視野から考えればそうもまいらぬところがあり、いかにしてその情を他の方法で埋めることができるかどうか、実際的には激甚災指定をしたと同じような効果、すなわち、被災者の立場に立っての処置ができるかどうかということが一つの大きな要点であろうと思います。この点、もちろん被災者の方々に対して後顧の憂いのないように、まず現状の措置を行なうと同時に、いま御質問のありましたような将来の計画について、大体五カ年間でこれを完成しよう。また、先ほどは分水のお話も出ておりましたが、これなども現地を十分に検討した上でないといずれとも判断はしかねますけれども、いま建設省当局がやっておりまする上流に一千万トン級の治水ダムをつくることにより、あるいは災害地におきます屈折した地帯を直流さすことによりまして、大体において皆さんに御心配かけないような計画ができ上がるのではないか。  問題は、いまお話があったように、実はあの川を切ることについても、時期を失したのではないか、もっと早くやれなかったかという御質問もあったようであります。ただ、これなどは、実は天候さえ、長期にある程度の天候が続くという見通しがあれば、あの際に切れたと思うのですが、建設省といたしましては、やはりこの天候状態の見定めがつかない、もし万が一切った直後において相当の降雨があれば、その被害は倍加、三倍加するという心配もあり、かようなことで、天候等を見定めるために多少おくれたきらいがありましたが、あれを切開することによって地元の皆さんに一応精神的な安心を与えた。必ずしも実際上の効果がどこまであったか疑問の点はありますけれども、それは別であります。人間やはり感情でいきますから、このような罹災者の方々の感情といいますか、気持ちに立って、救農的な土木事業にいたしましても、いま御質問がありました将来の計画も、そういう点からひとつ政治はやっていきたい。それがためには、もちろん、おっしゃるように完全なものをできるだけ五カ年以内に完成するという大きな方針でこれを処理していきたい、かように考えておる次第でございます。御了承願いたいと思います。
  35. 石田宥全

    石田(宥)委員 建設省関係でもう一、二伺いたいと思います。  ただいま大臣も言及されましたが、加治川上流に防災ダムをつくるというような地元の強い要望がある。これは一朝一夕にできるものではなくて、やはり相当調査期間も必要かと思いますけれども、本来ああいう荒い川でありますから、これを御検討願うと同時に、さらに上流における治山の関係ですね。山を治めなければ水を治めることはできません。かなり荒れておる山ですから、これは北陸地建等でよく見てわかっておるわけでありますので、やはり防災ダムとあわせて、小さな治山事業というものをひとつお考えおき願いたいと思います。それで、大臣はお忙しいようでありますから、お帰りになってけっこうですが、いまの点、なおちょっと御意見を伺いたいと思います。
  36. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 いまおっしゃるように、治山治水は国を治むるのもとでありますので、私前回にちょっと大臣をやっておりました際にも、赤城さん等が非常にとの問題に詳しい専門家でありまして、意見も聞き、相当大幅に当時いわゆる治山のためのダム、防災ダムを治水ということでやってまいりましたが、今度の河川五カ年計画を立てるにあたりましてもこの点は十分に考慮して、やはり中流、下流を治めるだけでなく、上流の水源を治めなければ基本的には成り立ちませんので、たいへんありがたい御注意でもありますので、この点は今後予算の上でも十分に配慮いたして解決をしていきたい、かように考えております。
  37. 石田宥全

    石田(宥)委員 建設省の参事官か何かでいいと思うのですが、災害復興住宅資金の貸し付けであります。これは五百戸以上という一応の基準がありますけれども、前に二百戸に引き下げて融資をした例もあったようであります。今回も部分的にかなり深刻な被害を受けておるわけです。加治川の沿岸などは、住宅の中へ土砂が一メートル半から二メートルくらいまで入っておって、それが相当時間そのままになって甚水しておったものですから、専門家に見させると、どうも古いうちは建てかえる以外にないだろうといわれておる状況です。そういう状況にかんがみまして、今回も二百戸というふうに基準の切り下げについて御検討になっておられると思うのでありますけれども、御意見を承りたいと思います。
  38. 角田正経

    ○角田説明員 先生の御指摘の住宅金融公庫の復興融資でございますが、法令上は御指摘のように五百戸以上というふうな基準になっておりまして、これは住宅金融公庫の融資だけではございませんで、公営住宅のほうも同じ基準になっておりますので、基準自身をいま直ちに引き下げてということまでは実は考えておりませんけれども、ただ、全般的に今回の災害につきまして激甚法適用があるということでございますので、全般にその地域の災害をひっくるめますと、概算で約四百戸程度までの災害戸数になりますので、全般をひっくるめまして災害指定をしたらどうかということで、ただいま大蔵省と検討いたしまして、できるだけ先生の御指摘のような方向に持っていくように検討いたしておるわけであります。
  39. 石田宥全

    石田(宥)委員 あと二、三で終わりたいと思いますが、一つは農家の飯米貸し付けの問題であります。先刻来話をしておるように、相当面積が収穫皆無ということになりますと、自家保有米が全然取れない農家が相当あるわけです。従来はこれは配給基準より大体三〇%くらい引き下げてそうして貸し付けをするというようなことが行なわれておるために、若干トラブルが起こった例もありますので、そういう配給基準というものをお守りいただきたいということと、それから同時に、やはり貸し付けであるけれども、これは配給価格で貸し付けを願いたい。そして来年の出来秋にはもちろん現物で償却する、これには異存ございませんが、これらの点はわずかなことでありますけれども、農民にはかなりこたえておるようでありますので、ひとつ承りたいと思います。
  40. 田中勉

    田中説明員 お答えいたします。  今度の水害によりまして米作農家の保有の飯米が流失いたしましたものにつきましては、これは早急に一般配給をいたしたい、こういうことでございます。  なお、当然、農家でございますので、一般配給ということになりますと、一人一カ月当たり十キロのワクの中でというのが一般の配給のたてまえになっておりますけれども、農家災害復旧とかいろいろ労務作業がなかなか強度になっておる実情もございますので、こういう農家に対しましては、そのほかに一カ月一人当たり五キロの加配米も用意いたしておるわけであります。そういたしまして、この配給につきましては、農家が飯米を流失しまして代金の支払いも非常に困難であるというような場合におきましては、知事の申請によりまして政府はこれを知事に売却をいたします。その知事に売却した代金の国への返納につきましては、これは財政当局とも目下協議中でございますけれども、一カ年の範囲内において延納の措置を認める、こういう措置がございます。それから実際の配給価格の問題になりますが、知事に政府が売却をいたしますと、政府は極力これを農家の末端に、中間諸経費を節約いたしまして、政府の売却価格に若干の運送賃程度のものを加算して配給をする、こういうたてまえをとらせるようにいたしておりますので、実際に農家が買い受ける価格は、一般配給米よりはその点は安くなる、こういうことになるわけであります。
  41. 石田宥全

    石田(宥)委員 地方を回っておりますと、かなりそういう問題が問題になっておりますが、いま御答弁のような措置をとっていただければ、これはたいへん喜ばしいことであります。  次に、先ほど来申し上げております融資の問題です。これは農地局長と経済局長と関連するわけでありますが、天災融資、それから自創資金、これのワクがどういう状況にあるか。これはもちろん毎年増額をしておるわけでありますから、あまりそれにこだわる必要はないと思いますが、貸し付けの手続において、従来ややもすると、窓口が農協でありますので、農協が債権を確保する上において、農民同士の相保証を許さないというようなことをやっておる農協が多かったわけです。しかしながら、前例としては、激甚災害を受けた際には、地方公共団体の長、すなわち市町村長等が裏書きをすれば、必ずしも保証人がなくても貸し出しが可能であるという前例もあるわけであります。今回はぜひひとつそれをやっていただきたいと思うわけですが、どうでしょうか。
  42. 大和田啓気

    ○大和田説明員 自創資金の今年度のワクは百十億でございまして、まだ災害等のために保留している分が相当ございますから、新潟その他の災害につきましても十分必要な要望に対して対処できると考えております。  なお、融資の実情等につきましては経済局長からお答えいたします。
  43. 森本修

    ○森本説明員 天災融資法、それから自創資金のワクにつきましては、できるだけ実情に合ったように、御希望に応ずるように努力をしたいと思います。  それから保証の点でありますが、従来、災害の際に、相保証するといったようなことについての希望は実はございますけれども、保証のたてまえとしましては、できるだけその部落なり市町村における保証人を立てて、被災農家が相互に保証するということは好ましくないというふうなことで保証問題は指導いたしております。ただ、特別の災害等でございまして、他に有力な保証人が求めがたいといったような事情もあろうかと思います。そういった事情が十分私どものほうでも実情を調査してわかりますれば、またその実情に適したような保証の取り扱いをしていったらどうか、こういうふうに考えております。
  44. 石田宥全

    石田(宥)委員 これは激甚災の場合には、市町村長が裏書きをした場合には保証人を必要としないという取り扱いをした前例があるのです。そうしてまた、相当な面積を耕しておる農家が、それがかりに百万借りようと百五十万借りようと、農地を持ち、家屋を持ち、宅地を持っておる者が、農家に対する貸し付け金で貸し倒れになった例がありますか。ないのですよ。農家に対する融資なんというものは絶対に心配ないです。それを、やはり保証人を適当に立ててというようなことは、これは手続はきわめて繁雑になると同時に、お互いに災害を受けた同士が保証し合うことができないなんといったら、全村全部が被害を受けたときに一体どうしますか。あなたはそういう前例を知らないかもしれないが、これはひとつ答弁をやり直してもらわなければならぬ。そんなことは当然なことだ。
  45. 森本修

    ○森本説明員 実は私その前例を承知いたしておりませんので、あるいは、先生重ねての御指摘でございますので、前例があるのかもしれないと存じます。そういった前例、それから先ほど申し上げましたような被災地の具体的な実情、そういった点を十分調査検討いたしまして、保証問題について適切な措置を講じていきたい、こういうふうに考えております。
  46. 石田宥全

    石田(宥)委員 この融資問題は大臣がかなり親切な答弁をしておりますから、これは大臣の意向も参酌されて処理を願いたい。  それから、農地局長にもう一つだけ伺いたいのでありますが、実は、これは井伊先生の地元なんですけれども、新発田市のある部落で暗渠排水事業をやったところが、この暗渠排水事業を進めるにあたって賛成と反対と二派に分かれておって、ずいぶんごたごたやったのでありますけれども、結局やることになったわけです。やってしまって、それは若干効果も出てきた。若干効果も出てきたが、ようやく償還年次に入って、反当たり三万円くらいの借金を持っておる。ところが、この洪水で全部壊滅してしまった。さて壊滅した場合には、これは農業用施設災害復旧で高率補助ができるだろうけれども、かりに高率補助適用であまり金を出さなくとも復旧できるにしても、いままでの借金が残っておるものを一体どうするかということで、災害復旧をやるかやらないか、いま実は内輪もめをやっておるのです。この旧債の償還について何らか便宜な方法はないものでしょうか、ひとつ知恵をしぼって御答弁を願いたいのです。
  47. 大和田啓気

    ○大和田説明員 実情をよく私のほうで調査して対策を講じたいと思いますけれども、いまお伺いした限りで申し上げますと、反当三万円程度の旧債の償還条件は、一応支払い猶予その他の緩和をいたすことと、それから激甚地帯として指定されておるところでありますれば、当然相当な高率補助がまいるわけでございますから、それで災害復旧事業をやってもらうということではないかと思います。なお、いま初めてお伺いしたことでございますので、よく実態も調査してみたいと思います。
  48. 石田宥全

    石田(宥)委員 いろいろこまかな点に入ると切りがありませんので、ただいままで御質問を申し上げた中でもそのままにしておけない問題もありますし、当初に委員長にお願いしたように、午後にでも懇談会等を開いて、それらの問題を十分審議をして、善処すべきは善処し、あるいは立法措置をやらなければならない問題もあるかもしれませんので、それらの点についてもひとつ御懇談を願ってまいりたいと思いますので、私の質問は以上で終わります。
  49. 日野吉夫

    日野委員長 質疑はこの程度にとどめ、懇談に入りたいと思いますので、暫時休憩いたします。    午後零時七分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕