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1966-11-29 第52回国会 衆議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十一月二十九日(火曜日)    午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 田村  元君    理事 小金 義照君 理事 服部 安司君    理事 廣瀬 正雄君 理事 松澤 雄藏君    理事 岡本 隆一君 理事 川村 継義君       逢澤  寛君   稻村左近四郎君       木部 佳昭君    谷垣 專一君       湊  徹郎君    森山 欽司君       山本 幸雄君   茜ケ久保重光君       石田 宥全君    金丸 徳重君       佐野 憲治君    三木 喜夫君       山下 榮二君  出席国務大臣        建 設 大 臣 橋本登美三郎君  委員外出席者         内閣官房副長官 石岡  実君         検     事         (刑事局刑事課         長)      石原 一彦君         外務事務官         (大臣官房外務         参事官)    内田  宏君         運輸事務官         (観光局長)  深草 克巳君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信参事官)  渡辺  淳君         建設政務次官  澁谷 直藏君         建設事務官         (都市局長)  竹内 藤男君         建 設 技 官         (河川局長)  古賀雷四郎君         建 設 技 官         (道路局長)  蓑輪健二郎君         建設事務官         (住宅局長)  三橋 信一君         建 設 技 官         (営繕局長)  小場 晴夫君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 十一月二十九日  委員佐野憲治辞任につき、その補欠として  茜ケ久保重光君が議長指名委員に選任され  た。 同日  委員茜ケ久保重光辞任につき、その補欠とし  て佐野憲治君が議長指名委員に選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 田村元

    田村委員長 これより会議を開きます。  この際、おはかりいたします。  当委員会におきましては、今閉会中建設省関係公共事業等調査のため各地に委員派遣を行なったのでありますが、その報告書委員長手元に提出されております。これを参考のため会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  4. 田村元

    田村委員長 建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。金丸徳重君。
  5. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 実は先般私の県を襲いまして天下の耳目を聳動し、また大方の御同情をいただきまして目下復興の途上にありまする先般の二十六号災害に関連し、その後の状況などを申し上げながら、明日召集されます臨時国会を通じてどういう対策建設省においては講ぜられつつありまするか、及び目下編成中の来年度予算などを通じて、今後にまたも起こるであろうこの種の災害に対して、基本的に抜本的にどういう対策を進められつつあるかなどについて、大臣にも御出席を願ってお伺いをいたしたかったのでありますが、ちょうど閣議が開かれておるそうでありまして、大臣がお見えになりませんので、大臣お尋ねいたしますことは、大臣がお見えになりましたらばまた若干の時間をちょうだいしてお伺いをさせていただくことといたしまして、私はお尋ねの順序を少し変えまするが、河川局長が担当されております河川改修につきまして、これは私のお尋ねの最後にいたしたかったのでありますが、そのほうからひとつお尋ねを申し上げます。  実は建設省の長年の計画でありました甲府盆地の一番低いところに注ぐところの戸川利根川改修が何年間かのお骨折りによりまして、たしか三十九年かと思いますが、完成いたしました。付近住民はこの工事の完成を非常に喜んでおりまするし、確かにその後における災害、ことに今次の二十六号災害などに対しまして、この改修計画がみごとにその効果を奏しておるのを私もこの目をもって見届けました。この点につきましては、建設省の御計画に対してあらためて感謝を申し上げる次第でありますが、ただ一つこれに関連いたしまして、つけかえ工事後の、昔の利根川計画によりますと、これは廃河川になっておるのでありますが、廃河川にするという計画で何年か前にこの計画を進められたのであります。この利根川のその後の処理について建設省ではいかなる見通し、計画を持っておられまするか、まずお尋ねを申し上げたい。
  6. 古賀雷四郎

    古賀説明員 利根川改修利根川洪水を隣接する戸川放水路をつくりまして誘導するということで、戸川下流部改修と合わせまして昭和二十六年度に着手しまして三十八年度に完成いたしました。   〔委員長退席服部委員長代理着席〕 その後洪水にも比較的効果を出しまして御指摘のとおりのことでございますが、残りました旧利根川の処置の問題でございます。先生御承知のとおりに、旧利根川天井川でございます。したがいまして、地域の各種の経済活動その他にたいへん御不便をかけているという点もよく承知いたしております。したがいまして、戸川利根川と合わして今後どうするかということは、先ごろの国会におきましても御答弁いたしましたとおり、われわれとしましても地域の開発も考慮しまして旧利根川天井川でなくする方法を考えていきたいということで検討いたしております。ただ三十四年の台風におきまして一部水が旧利根川のほうに入りました。そのころはもちろん戸川が十分できてなかった時代でございまして、直ちにそれが旧利根川を使わなくてはいかぬという理由になるかどうかよくわかりませんが、しかしながら最近の集中豪雨実態を見てみますと、相当従来の記録より上回ったものがある。したがいまして、そのほかになお上流砂防がまだ完ぺきでない、そういった点を考慮しまして、ただいま直ちにこれを廃川にしましていいのかどうか、その辺が一番問題点でございまして、これらの問題を詰めまして今後どうするかということをきめてまいりたい。  それから天井川解消につきましては、これからの利根川の水を十分検討いたしまして、戸川に入り切れない分は利根川天井川解消しまして、できるだけ従来の低い、いわゆる平地並みの川にしまして持っていくように計画検討いたしております。まだ着工の段階に至りませんが、なおさらに最近の洪水調節とか山津波の対策とかいろいろな問題もありますので、それらの点も十分考慮して計画検討いたしてまいりたいということで、大体の方針としましてはそういう方向で考えております。  なお、今後の治水計画その他におきましても全国的に見まして相当天井川があります。これらの天井川災害が起きた場合に非常に危険な問題をはらんでおりますので、これらの解消につきましては積極的に取り組んでいくように考えてまいりたいと思います。
  7. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 二十六年に計画を始めたころからしますと、そし後の三十四年災、あの地方では富士川台風と申しておるのでありますが、ものすごい台風が来まして、いまお話のありましたように若干溢水といいますか、オーバーした水もあったようであります。その経験にかんがみまして計画をやや変え、金もよけいにいたしまして溢水しないような形で計画が完成しておるのであります。その完成したときにも、私はそのころの治水課長お尋ねをして、今度はだいじょうぶであろうから、あの地方交通上の大災害といいますか大障害になっておるところの廃河川をすみやかに、少なくとも天井川でない形にしてもらいたいのだということを強く要請いたしておきました。三十九年の春と私は記憶しておるのでありますが、そのころ治水課長は、そういたしますが、もう一両年事態を見定めて安定したところで計画を進めますからという約束をしてくれました。私もその約束が実行される日を待っておったのでありますが、いまに至るもいまのようなことで目下検討中であるというようなことであります。ただ、天井川でなくする大方針は堅持されておるようでありますから、その点については私も御期待をいたします。ただ現地町村長その他は、あのままの川が存在するものとして道路計画などを進めておるやに聞くのであります。といいますのは、どうもあの川を平水といいますか普通の川に直すということがかえって心配の種になるような感じを持つらしいですね。川というものは低いところを流れるのが常識だと思うのでございますが、先祖代天井の上を流れておると思い込んでおる者は、天井を流れてくれないとどうも心配だ。これもあるいはそういう感じを持つこともやむを得ないと思う。ただ、河川局というような立場からしますれば、そうした現地人々の一種の妄想に基づく心配はすみやかにこれを解消してもらいまして、低いところを流れる、そうして付近の悪水をもこれを受け入れて排水路として役立てばいいの、だからという程度の計画が進めらるべきだと思うのでありますが、残念ながらいま申しましたようにあのままの状況で下をトンネルを掘ろうとか、あるいは高いところへわざわざ坂を上って橋をかけて次の町へ持っていこうとかいうような計画案がちらちらとしておるようであります。それに関連いたしまして、またいわゆる政治家と称する者が入り込んで盛んにいろいろな計画を持ち込んできておる。私はこれを心配いたします。せっかく河川局長が将来のために天井川解消するという方針を立ててくださるならば、すみやかにその方針地域人々にもはっきりと言っていただいて、あの万里長城に類するような障害は将来に向かって根本的に取り除くのだという方針をお示しになって、そこから街路計画市街計画もその他の産業計画も進めるようにしてやらなければいけないと思うのであります。今日まで三十九年以来もう三年間、それが示されておりませんために、流言飛語が飛んでおる。したがって付近人たちは、あれをあのまま置かれるのか、根本的に解消されるのかということについてさえも危惧の念を持ちながらとほうに暮れているというこであります。この際この席をおかりして、いつごろまでにそういう計画が進められるのか、これをひとつ明確にしていただきたい。これは現地住民の切なる願いであります。そしてもう三年たちましたし、せんだってのあの大洪水の場合にもびくともしなかったのですから、もう安心です。そういう意味において工事に着手されても決して早過ぎるようなことはないと思うのですが、いかがですか。
  8. 古賀雷四郎

    古賀説明員 御指摘のとおり完成しまして三年になるわけでございますけれども、最近の集中豪雨実態を見てみますと、従来の最大の日雨量に対しまして、私、二十河川ぐらいにつきまして新しい集中豪雨の降った実例について調べてみました。そうしますと、これは実例が適切であるかどうかは別としまして、西谷村で降りました従来の記録よりも約三倍の日雨量が降っております。その他全国的に平均いたしますと、二十河川を平均しますと約一・七倍ぐらいになる降雨量示しております。どういう気象上の変化かわかりませんけれども、最近異常的な集中豪雨が非常に多い。われわれはそういうことも考えなくちゃいけませんので、そういう点を加味して、やはり治水工事が将来の百年の大計となり得るような形でものごとを進めてまいりたいということでそれらの検討をいたしておるわけでございまして、これは戸川が三年間だいじょうぶだからもうだいじょうぶだとは、私はいまの考え方でいけるかどうかという問題は疑問に思っております。したがいまして、その戸川の一部を旧利根川に流すことも考えまして計画に見合った十分な計画になれるようにして早急に計画を立案しましてとりかかりたいというふうに考えております。いつまでという御明示をこの席でということでございますけれども、われわれとしましても極力そういう努力をいたしておることだけ御報告を申し上げまして、早急にひとつ御要望に沿うように努力いたしてまいりたいというふうに考えておりますので、お許しをお願いいたしたいと思います。
  9. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 最近の気象異変といいますか、集中豪雨などの関係からいたしまして、三年ぐらいの経験では必ずしも安心ができないのだという、大事をとったお考えにつきましては、私もそれは大事をとっていただくことはありがたいことだと思います。大事をとって、しかもすみやかに方針示してもらいたいというのがほんとう願いなんです。ただ私は、あなたが言うように一ここに地図を持ってきておりますが、これが改修工事の原形なんです。これをこういうふうに切りかえてこれが廃河川になって、これがこの付近万里長城になっているんです。もしこれに切りかえてまだ不安だから余った水はこの旧河川に流すというならば、その後この河川管理についてもう少しやはり身を入れてやっておいてもらわなければ困る。現にこの川はもう二十六年に計画を進められて、着手したのが三十四年ですか、そして三十八年の末には完成したんです。その工事中といえども今日までほとんど十年に近くこの川は水が一滴も流れておりません、切りかえても必要としないものですから。したがって水の流れない川の川敷というものには草がはえ、木が育って河川の体をなしておらぬ。あなたがいかに洪水の場合に万一を考慮してこの川を流すんだといっても、それはただ机の上でそう念願しているだけであって、実際の水はそんな草一ぱいの、木が茂ったような川を流れてくれない。勢いのおもむくところ、かえって天井川であるだけに、まるで温水して屋根から、天井から水をぶっかけるような川の状況なんです。それですから、もしそういう心配があるならあるで、やはりこの川をそういう方向で見てくれるとか、それとも私は思うんですけれども、何も川を、溢水したものを、これからあふれてのみ切れない水を流すというんなら、いまのような高いところを流さなくてもよろしいですね。もっと低いところを流せばいい。もうこの辺は滝のごとくこの富士川へ流入するんですから。なぜいままで天井川で置かなければならなかったかというと、いつ洪水がくるかもしらぬ、ほかにての洪水を受ける道がないからやむを得ずこれを直いたんだ。そのほかのこれも全部天井川ですか、そういう状況だ。今日では通常の洪水は、もっというならば、もっと異常の洪水でものみ込んでこっちへいけるような状況になっておるんですから、これはすみやかに根本的にこの万里長城を取り去るだけの余裕がある。そうして低いところへ河をつくってやればもう心配がないのです。かりに溢水してきても、上から滝のごとく水を受けるような付近状況ではなくなる。そのほうが私は賢明だと思う。だからもし大洪水がきて、これをのみ込めないから、だからこの川を、旧河川を置くのだとしても、いまのような状況のままに置く必要はないと思うのですが、どうです。
  10. 古賀雷四郎

    古賀説明員 御指摘のとおりでございまして、河川管理が十分であれば、私らとしましても国と十分相談いたしまして、河川管理の適正を期していきたいというふうに考えます。もちろん先ほど申し上げましたように、天井川については、これは低いところを流したほうが危険性も少ないし、御指摘のとおりでございますので、これに幾ら水を流すかという計画検討をやりまして、低く流すような方法計画を立てていきたいというふうに考えております。低く流せば、用地の面積も浮いてきますし、道路交通だって楽になります。それからいろいろな内水の問題もなくなります。非常に効果が多いと思います。そこで、そういう計画もとに具体的な検討を始めておりますから、計画の確定につきましてはしばらく時間をかしていただきたいと思うわけでございます。  管理の不十分な点につきましては、検討いたしまして、出水対策としましても完全に管理すべきでありまして、この点は十分監督をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  11. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 河川局長方針がはっきりいたしました。低く流すほうがよろしい、そういう方向で急いで進めるという御意向のようでありますので、私もそれは了承いたします。つきましては、これは改修効果がこれほど顕著な例は私は全国的にもないのではないかと思うくらいのところなんですね。それであればこそ、こういう小さいところへあれだけの巨額な経費を投じてくださったのであります。いま仰せのとおり天井川で、河川の下は非常に広い、そこから高く上がって上を流れるのですから、川の水の流れるところはごくわずか。もしそれだけの水を受けるのに、低いところに置くならばそれだけの川幅でよろしい。こちらのほうは利用できる。大体下のほうは四分の一か五分の一の面積といいますか、流路があればいい。その他は全部宅地なり耕地なりに使えるわけであります。ここに何十町歩の、この付近にとりましてはたいへん大事な土地が得られるわけであります。したがって、経費もそれから十分割り出せると思う。計画遂行上にも支障がないものと思いますので、すみやかにその低いところを流す将来の方針であるということを、現地のほうにも、これは河川局方針としてお示し願いたい。同時に、この計画をすみやかに進めていただきたいということを、これはお願いを申すのであります。あわせて、実は先般の災害につきまして、これは河川局長及び建設大臣にも現地町村長から陳情を申し上げておるのであります。この甲府盆地全体につきましては、これはあらためて地図をお目にかけるまでもございませんが、天井川があまりにも集中いたしております。この地図のように、これが甲府の町でありますが、甲府の町から何キロも離れないところにこうした天井川がありまして、その天井川洪水たびごとに切れてしまう。なぜかなれば決壊しなければおさまらないような状況にある。これは河川局長専門家ですから申し上げるまでもないのでありますが、そういう宿命にある天井川で、上のほうは、ここに図面にもありますが、広いのですね。もとは広い川だったのですけれども、だんだん下のほうが、天井になっていきますから川の底は広いのですけれども、水の流れるところはごく狭い。したがって、上からの水をのみ切れないものですから、あふれ出すということですね。年々どこかが決壊して、そうしてようやくその水を治めているといいますか、治めるわけじゃないので、一時的に決壊した以外のところを安心させるというようなことでありまして、一カ所の犠牲において、どこかの犠牲において他がようやく安心するというような状況を繰り返しておるのです。せんだっての二十六号台風におきましてもそうでありましたが、この地図にもありますように——これはきっと河川局長のお手元にもいっておると思います。甲西町という町だけにもこれだけの天井川をかかえまして、そしてここのマルじるしのところが毎年、去年がここ、ことしはここ、来年はここであろうなどというような想像をしなければならないような事態がかもし出されておるのですね。これは天井川という特殊な川の生成の状況からしますれば、全くこれは宿命的であるかもしれませんが、それだけにこの天井川改修ということについては、よほど身を入れてやってもらわぬと困ることなんです。私は先般も、ほかの討論でありますか、あるいはここでのお尋ねのときにも申し上げたのでありますが、天井川という川はこの付近の者にとりましては百害あって一利なき川なんです。いかなる川といえども、かんがいに使えるとか、あるいは排水に使えるとか、何かその付近人たちに益をもたらすものでありますが、天井川に関する限りは百害あって一利もない。交通障害となり、産業障害となり、雨が降ればたちまちもう水防に出かけなければならないような状況であるのです。一つも利益がないのにもかかわらず、これは先祖代々そういうものかともうあきらめつつも、あまりにも自分たちのみじめな状況に、いまはどうやらがまんができないような気持ちにおちいっておるのが、この付近の何万の人々なんです。そういう気持ちを起こしたのには、実は建設省の同情ある最近の政策が、そういう気持ちをば起こさせるに至ったことだろうと思うのです。ということはありがたいことであります。前は、災害が起きれば、それはもう災害付近の者は、これは全く天災だとあきらめておったのですけれども、最近は、あたたかいお気持ちからでありましょう、災害もとに返すということでありまして、この災害もとに返す、災害が起きたらばもとの状態に返すということが、何十年前から実行されておったらば、天井川というものは起こり得なかったのです。低いところを流れた水がはんらんした、それを、もとのとおりに掘ってくださるというこの現在の状況が実行されておったならば、天井川というのはあり得なかった。にもかかわらず、戦争前から、そういう災害復旧とはいいながら、とにかくその場限りのこう薬であってきたということから、河床が上がってくれば堤防を上げていた。堤防を上げればまた河床が上がる。また堤防を上げるというようなことをやってきたのです。これは復旧じゃありません。こう薬をはった。そのこう薬ばり政策がついにあのような天井川以上の、まあ二階、三階の屋根の上を流れているような川をつくってしまった。ですから、もと政策の不十分さをいまこの付近人たちが骨身にこたえて受けているということが私は気の毒にたえない。そこで、国力充実して災害復旧する。ほんとうにもう災害がないような状況にやろうというまで国力が充実してきた今日においては、この何十年前から続いてきた政策の不十分さをこの機会に取り戻す方針をとってもらわぬと不公平じゃないかと思うのですが、どうですか。
  12. 古賀雷四郎

    古賀説明員 御指摘のとおりでございます。天井川は、従来の堆積の累加によりましてできてしまったという状況だと思います。これは地区によりましては、土地内水の排除の川と関連いたしまして、立体交差とかいろいろな問題も起こりますので、それは地区状況によって違うのだと思いますが、これらの天井川は、従来の過去の堆積土砂の累積によりましてできたというふうに考えられます。こういう堆積土砂を生じましたのは、富士川のような急流河川には非常に多いわけでございまして、根本的には、やはり富士川そのもの天井川である。たとえば釜無川等はもう二メートル近くいまの地盤よりも高いわけでございます。したがいまして、もう常に内水の問題あるいは日本住血吸虫の問題が累積して発生するというような状況でございます。こういうことにつきましては、河川の水系を一貫して考えてまいらなくちゃいかぬわけでございまして、先ほど御指摘のとおり、たとえば富士川下流の禹の瀬の狭窄部の問題もそれの原因の一因でございましょうし、また、上流砂防工事が進んでいないという点も一因でございましょう。そういう点につきましては、砂防工事は鋭意ただいま相当の巨額の金をつぎ込んで富士川砂防をやっております。それから禹の瀬の開さくの問題もありますが、これらにつきましても、どういうぐあいにあれを施行していったほうがいいのかという問題をただいま検討中でありまして、それらの問題を含めまして、群小の中小河川天井川につきましては、本川の河床計画とあわせて検討していかなくちゃならぬ問題だと思います。したがいまして、その河床が将来どういう変化をするという想定を立ててやらなくちゃいけませんので、ただいま直ちに切り下げ得るかどうかという問題も検討しなくちゃいかぬ。富士川河床地盤よりも二メートルも高いやつが急に一年、二年で下がるとは必ずしも考えられません。これは相当長年月を要するだろう。まあ下げる努力もしなくちゃいけませんが、下げる努力をするためには相当の土工を行なわなければならぬ。相当の土工とともに、従来のあります堤防がこわれないような措置をやっていかなければならぬ。したがいまして、護岸その他の金を相当ばく大につぎ込まないと河床を下げるということはできないわけでございます。そこで、それらの問題と関連しまして、各支川の天井川の問題を解決していくというぐあいに考えてまいりたいというふうに考えております。
  13. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 時間がないからなるべく早くやれということでありますから、早くいたします。もうちょっと時間を……。  いまのお話の、富士川がそれ自体が天井川だと言われますが、だんだん改修されてきまして、そういうときもあったのです。あったのですけれども、そして現にまた、それは確かにもっと河床を低下すべきであるという説もあり、私もそのほうがよりいいと思います。ただ、しかし、現に起きておるところのこの地方の幾つかの天井川というものは、天井川に関する限りは、富士川河床関係なくあまりにも高くたまり過ぎております。富士川へはまるでもう急傾斜で、かえってあぶないぐらいの流下速度でやっておりますから、そちらのほうが高いから上のほうを低くやれないなどということではないのです。あなたは現地をよくごらんになればわかるのですが、そんなものじゃないのですよ。あまりにひどいから私はこういうことを言っておるので、ひとつ通常の天井川と言いながら、これは超天井川、超天井川には超天井川としての緊急対策が行なわるべきではないか、こう思うものですからこれをお願いをいたしておるのであります。まあ、すみやかにこれは実行に移していただきたいということを、ここでこれ以上にお答えも現段階においては得られないと思います。ただ、私のお尋ねの締めくくりみたいなものになるのでありますが、今度の二十六号災害を見て、これは日本全国の地質もそうでありましょうが、特に山梨とか長野とか、埼玉もそうであるかもしれませんが、そういう方面の、例の第三紀層とか学者のいうところの地質の地帯におきましては、あまりにも集中豪雨なる天災に弱いのです。そうして私は今度、足和田とか芦川とか上九色とかいう、天下の耳目を聳動したような激甚なる災害、人命の多数を失って現在でもなおその遺体が発見されないのが多数あるというようなみじめな災害の地も見ました。しかし本県における災害地はそれらを頂点といたしまして、ほとんど全県にわたっております。これらにつきましては詳細にいまも報告がされておりますから、私はここで繰り返しません。その各地の災害状況を見てみますと、集中豪雨量もさることながら、平素の谷川に対する対策の欠乏が、災害をしてかくのごとくならしめたということを私は痛感いたしました。ですからあの集中豪雨は、集中豪雨とは言いながら、実は小災害の集積がああなってきたのです。伊勢湾台風などは伊勢湾におけるああした大災害が一カ所に起きたのですけれども、今度の場合、山合いに起きてくる災害というものは、小さな、一またぎにも足りないような谷川の水が、上の木が倒れてきた、根っこが橋にかかったとかいうことで、寝耳に水の災害を起こしてきた。その一番いい例は、先般の甲府に起きた災害です。つい先般、積翠寺という山が、これはまだ問題になっているのですけれども、国有林を乱伐したということであります。付近人たちは乱伐に対する警告を発しておった。そのさなかに起きてきた。見ると木の根が倒れてきて橋に突っかかったということがあんな災害を起こして、そうして甲府市中になだれ込んだのですね。水はたいしたことではないのですけれども、そういうふうに集中的にいろいろな小さな水がたまってきて、それが一挙に切れて集まってきたからあんな災害を起こしてしまったということで、この集中豪雨といいますか、最近の山合いに起こる災害は、あらためての対策を必要とするのではないか。これは私はそう金のかかるものではないと思いまして、先般の災害対策委員会におきましても建設省のほうにこの調査をお願いし、対策の樹立を要望いたしておきました。その後こういう事態に対して建設省はどういう対策をお進めになっておられますか。私は臨時国会におきましても、臨国はどういう状況を呈するかわかりませんけれども、もしそういう機会がありまするならば——私は、建設省建設行政の基本の点について、山合いの小災害の原因をなすところのものを排除する、それに対する予防策を講ずることによって、それが集積して起こるところの大災害の予防を心がけなければならないと思いまするし、その対策を練り上げなければいけないと思っておるのでありますが、いかがでありましょうか。
  14. 古賀雷四郎

    古賀説明員 御指摘のとおり、二十六号台風によりまして足和田村等に非常に大災害を生じて貴重な人命が失われたのですが、建設省といたしましても従来からそういう実例はあったのですが、最近のように非常に悲惨な状況になったことは今回が初めてであります。したがいまして、大蔵省と折衝しまして、早急に予備費を出してもらいまして、これが約一千万でございますが、山津波対策調査をやっております。これらにつきましては、たとえば地質的に問題点のある個所、あるいは地形的に問題のある個所、そういった問題につきまして、航空写真から個所を選びまして、特に被害を受けそうな人家のあるところ、そういったととろを集中的に選びまして、これらにつきまして対策をどうすればいいかというようなことをただいま検討中でございます。全国につきまして調査をいたしております。これらの結論は十二月の下旬くらいに大体まとまるのではないかと思いますが、まとまりましたならば、来年の予防砂防事業というようなことについてそれらを重点的に考えてまいりたいというふうに考えております。  なお、山林の乱伐の問題でございますが、これらにつきましては、そういう地形につきましては林野庁と打ち合わせしまして、要するに計画伐採みたいなことも考えていかなくてはいかぬじゃないか。山はだを全部伐採するとかいうようなことでなくて、小部分的に伐採していく。いろいろな方法を考えなくてはいかぬじゃないかということで、林野庁とただいま協議いたしております。今度危険地帯を調査しまして、そういう個所を指定するかどうかちょっとあれですが、そういうことがきまりましたら、それらの地区の伐採についても十分林野庁と協議の上にやっていきたいというふうに考えております。  それからなお、一番問題なのは、先ほど御指摘のありましたように、大きな流木が流れるという問題でございます。この問題をどう防ぐか。もうすでに伐採されたところは可能性が相当あるわけでございまして、なお、集中豪雨が多くて土質が悪ければ、かりに伐採されなくても流れる可能性がある。そうすると、やはり二十メートルも三十メートルもある巨木が流れてくるわけであります。そうした場合にどういうぐあいにその材木を防ぐかということは、技術的にも困難でございまして、これらの問題につきまして、ただいま鋭意検討いたしておるところでございます。いろいろ方法論を議論しているところでございまして、ただいま確たる問題がございませんが、そういった危険性のあるところにつきましては、つとめて少なくとも伐採した木が流れないような措置は林野庁で考えてくれ、伐採した木が丸木のままで流れてくる、そういうことは絶対ないようにしてもらいたいということを強く申し入れております。たとえば平川の災害に見ます三メートルか四メートルかの大きな材木が流れてきた、そういう状態は少なくともないようにしてもらわないと困る、自然にはえた木が雨のために流れるのは、地質的に地形的にやむを得ないとすれば、少なくとも人工的に生じたものだけは完全に処理できるように、それによって災害が出ないようにしてもらいたいというぐあいに、林野庁といま協議中でございます。まだ具体的な話し合いまでいっておりませんが、ただいま協議を行なっておるところでございます。早急に対策を講じたいというふうに考えております。  以上、そういったことで、山津波対策並びにそれらに関連する問題につきまして早急に結論を得たいというふうに考えております。
  15. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 いろいろ対策を練っていただいておるようでありまするから、それにつきまして要望を兼ねて申し上げるのでありますがへ伐採した巨木が流れてくるなどという状況をそのままにしておくということは言語道断です。これは林野庁なりその他山林所有者において厳重に戒めてもらわなければならないのですが、いま言ったように、切ったあとの根がくずれかかっているとかあるいは岩がくずれ落ちようとしているのが、私は山歩きが好きなものですから山の中を歩くのですが、至るところに見受けられる。そこでこれは根を何とかしておけば下のほうでも安心するのだがということを話しますと、いやあそこは他人の土地でございますとか民有地でどうも入るわけにいかぬとかいうような言いわけを、一緒に行ってくれた係官は言っているということでありまして、私が言わんとするところは、そういうところまで気を配ってくださる、それは金がたくさんかかるわけでもありません。少しそうした経費を町村を通じて流してやりますと、山合いの視察というようなものもきめこまかにできるのではないか。そのきめこまかなる配慮が大災害の防止の土台になるのではないか、こういうことを思うからであります。それでここにも地図を持ってきているので、時間があれば詳しく申し上げたかったのでありますが、地図にも載らないような小さな川がはんらんいたしまして、これは戸川のすぐ下にある鰍沢という町なのですが、ここは地図にも載らない小さな川がいまのような流木あるいは木の根が国道の橋にかかりましてダムアップしてしまった。そのために五千人ばかり住んでおる市街地にもろに水が入ってしまった。そして床上どころか人の乳くらいにも達するほどの水がきてしまった。これはほんとうに夢にも考えないようなことが起きてきた。それは水が多いからかもしれませんけれども、それ以上に、上のほうの上流の谷川の管理が悪かったからこんな事態が起こってきたのであります。そういう意味においてきめこまかなる対策をこの場合は練っておく必要があろうじゃないかと思います。一千万円の予備費を出したそうでありますが、私はこれはほんの呼び水であろうと思う。来年度予算におきましては、これに数十倍するところの実行予算をもって、きめこまかなる山合い対策を、これは治水当局としての責任において進めておいてもらいませんというと、下流何十万の人々は安心して眠れません。上から水がひっかかる。いつひっかけられるかわからぬような状態というものは、決して明るい安心した社会ではあり得ないと思うものですから、そうお願いいたすのであります。時間がまいりましたようですから、大臣に対するお尋ねはまた大臣が来ましたら機会を得てさせていただきたいと思いますので、私のお尋ねはこれで終わります。
  16. 服部安司

    服部委員長代理 恐縮ですが、だいぶ超過しましたから持ち時間でお願いします。山下君。
  17. 山下榮二

    ○山下委員 簡単に住宅局長に二、三伺いたいと思うのであります。  過ぐる通常国会で住宅五カ年計画を立てられたことは御承知のとおりでありますが、きょうの新聞を見ますると、第二種住宅、いわゆる低家賃住宅政策が三カ年計画で行なわれることが新聞を通じて発表になっております。その具体的なことをちょっと伺いたい、こう思います。
  18. 三橋信一

    ○三橋説明員 お答え申し上げます。  実はただいま御質問にありましたように、政府といたしましては四十一年から四十五年まで住宅建設五カ年計画というのを立てております。これにつきまして、これをどういう事項別にやってまいるか、地方別にどういう配分をしてまいるかということにつきましては、ただいま住宅対策審議会等においていろいろ議論しておりまして、なおかつあわせて各地方の意見等を聞いておる最中でございます。  そこでこの住宅建設五カ年計画を進めるにあたりまして、御存じのとおり二百七十万戸が公共資金による住宅、四百万戸が民間自力建設による住宅ということになっておりまして、その二百七十万戸の公共資金によります住宅の進め方につきまして、特にそのうちの公営住宅につきましての問題でございます。一種と二種というものが公営住宅にあることは御存じのとおりでございます。一種につきましては、比較的収入の低い階層、つまり年所得四十二万円以下の階層、それから二種につきましては年所得四十二万以上六十五万以下の階層、その階層に対しましての住宅というふうに区分をしているわけでございますが、この五カ年計画を進めるにあたりまして、毎年一種二種のどういう種別に重点を置いて進めてまいるかということについては、いまだこれをきめていないわけでございます。  そこで昨日、建設省におきましてきめましたことは、ただいま申しました二種の住宅というものは、やはり低所得者の中でも特に所得の低い方に対する住宅である。したがいまして、現在六畳に親子が四人五人住んでおるというような状況を一刻も早く解決すべきではないかというような観点に立ちまして、この二種階層を一番早く救うという意味において、住宅建設五カ年計画でございますけれども、二種住宅については四十四年度まで、つまり四十二年度からの三カ年で緊急にこれを解決してまいりたいというのがこの趣旨でございます。
  19. 山下榮二

    ○山下委員 そこで伺いたいのですが、四、五日前の私の郷里の兵庫県の新聞を見ますると、兵庫県で今度明石、舞子に団地をつくって、そこに入居資格者の募集をいたしておるようであります。資格者は月額二万円から三万六千円までの所得の人に制限をしておるようであります。このときにAという人が婚約をいたしまして、明年五月にでき上がるこの家に、でき上がったら入るために来年結婚をしたい、こういうことで申し込みをされたというのでありますが、その人の所得は一カ月分のボーナス、いろいろなものを合算いたしまして、月割りにして大体三万二千円、婚約者がどこかに勤務いたしておるけれども、共かせぎになると、これが三万六千円をこえるから受け付けることはできない。婚約を解除するか、もしくは婚約後、共かせぎをしないという誓約書を入れなければ受け付けない、こう係官が言った。こういうことでAさんという人はやむなく引き返した、こう新聞に書いてあります。  私は、これは人道上の問題ではなかろうかと考えるほど重大な問題だと思うのでありますが、こういうことに対して、一体建設省はどういう指導をなさっておられるか、あまりにもむごいやり方ではなかろうか。それでなくとも五カ年計画の中には、持ち家であるとか、あるいは婚期を失わないように若い人たちに住宅を与えるようにとか、美辞麗句を並べられておる。その美辞麗句を並べられていることとおよそ反対の結果があらわれておるのではないかと思うのですが、一体建設省の住宅局としては、こういうことに対して府県に対してどういう指示をされ、監督をされる考えがあるか伺いたいと思います。
  20. 三橋信一

    ○三橋説明員 ただいまの御質問でございますが、私どもの指導といたしまして婚約を解消しろとかというようなことの指導はいたしておりません。と申しますのは、やはり年所得四十二万円以下、あるいは六十五万円以下と申します階層が全国にかなりございまして、そうしてこれの住宅困窮者というものが相当数おるわけでございます。したがいまして、政府の住宅政策が公営住宅だけでやっておりますならば、いまのような御質問もこれはまことにけしからぬ話であるということになると思いますが、やはり低所得者をいかにして、困窮者を救ってまいるかということが公営住宅の趣旨でございます。したがいまして、ただいま申し上げましたような、共かせぎで所得以上の方は公団住宅なり、あるいは自分でうちを建てたいという方につきましては公庫の融資なり、あるいはさらに府県におきまして住宅供給公社というのがございまして、これに金融公庫から金が流れておりまして、これによって分譲なり賃貸の住宅を建てております。したがいまして公営住宅というのは、先ほど来申し上げました六十五万円以下の所得の方を目標にやっておる施策でございまして、それ以上の方につきましては、公団なり公庫なり、そういうような面の施策を講じておりますので、そのほうを御利用いただくというふうに私どもは考えておる次第でございます。したがいまして出先の県か、市か存じませんけれども、そこいらで婚約を解消しろあるいは誓約書を出せというようなことがありましたら、これはまことに遺憾な次第でございます。
  21. 山下榮二

    ○山下委員 時間がありませんから深追いはいたしませんが、こういうことのないように、各府県あるいは市町村には指導が願いたいものだ、こう思います。  次に私が伺いたいと思うのは、石川県の小松市の御宮町というところに市営住宅と引き揚げ者住宅があるそうでございます。その住宅は戦後のもので相当古くてたいへんなことらしいのですが、これの払い下げ運動が起きておりまして、過般小松市の助役と石川県の東京事務所長とが建設省の住宅局の総務課長と同補佐官に交渉に行かれまして、それでは一ぺん申請書を出しなさい、こういうことで、公営住宅の処分申請が四十三一尺引き揚げ者住宅処分申請書が五十二戸、これがちょうど小松市の市のまん中らしいのであります。ところがこれに対して、建設省が払い下げを、ちゅうちょして、いまだに何らの返事もない、書類は十月五日に本省にちゃんと届いておる、何の返事もないが、一体いかように相なっているか、こういう私に問い合わせであります。  そこで私が申し上げたいと思うのは、先ほども申し上げましたように、政府は住宅五カ年計画の中で勤労者にできるだけ持ち家を与えて、住居の安定の道をはかって、産業にあるいは企業に精励できる体制をつくっていきたい、こう述べておられるのであります。そういうことありといたしますならば、私はこういう人たちが払い下げを受けて、自分が持ち家を持って、小松製作所につとめている人らしいのでありますが、自分のつとめ先に安心をして精励していく、こういう体制をつくりたい、こういう考え方であると思うのですが、一体建設省のほうでは、どういうわけで御返事もなさらずに置き去りにされておるのか、そのいきさつを伺いたい。できることならば、政府の方針に従ってそういうことありといたすならば、一日もすみやかにその申請書どおりこれは許可されるように御配慮がいただきたいものだ、かように思っておるのですが、そのいきさつを伺いたい。
  22. 三橋信一

    ○三橋説明員 お答え申し上げます。  政府として持ち家対策を懸命に進めておるというのは、お説のとおりでございますが、しかしながら持ち家対策と申しましても、賃貸住宅と持ち家対策と両々相まって進めていくというのが私どもの考え方でございます。と申しますのは、やはり家を持ちたくても持ち得ない階層、これが先ほど来申し上げましたとおり非常に多いわけでございます。したがいましてそういう方には、やはり賃貸住宅にまず入っていただくということが必要じゃないか。一人でも多く救うというのが私どもの基本的な考え方でございます。したがいまして、ただいま御質問のございました小松市の住宅が約百戸この地区にあるはずでございます。坪数にいたしまして四千五百坪ぐらいの敷地でございます。しかもそれが市の相当いい部分にあるように聞いております。そのうち引き揚げ者住宅が約四十戸と聞いております。最近よく払い下げのいわば陳情と申しますか、そういうことがよく出てまいりますが、この引き揚げ者住宅と申しますもののある地域と申しますのは、御存じのとおり大体市内の目抜きのいいところにございます。と申しますのは、その当時終戦直後にやはり土地があいておったのでそういうところに建てたものが多いのでございます。したがいまして、こういう目抜きの四千五百坪に百戸より建っておらぬ。これをもしも中高層で建てますならば数百戸の家が建てられるわけでございます。したがいまして、一人でも多く救いたいという私どもの基本的な考え方から申しますと、ただいま住んでおられる方が家を持ちたい、そのまま住んでおりたいというお気持ちはよくわかりますけれでも、やはり一人でも住宅困窮者を救うべきであるというたてまえから、ただいま県、市あわせましてこれの建てかえ計画を実はつくっておるわけでございます。そういう意味で実は御返事がおくれておるわけでございます。したがいまして、繰り返して申し上げますと、私どもの立場といたしまして絶対払い下げはしない、いかなる場所でもしないのだということは申しておりません。やはり狭い土地に少ない住宅が建っておる場合、これに管理の手間がかかる、こういうような場合には、これはケース・バイ・ケースで御相談いたしまして払い下げをしておる例もございますけれども、ある程度まとまった土地で、それが相当目抜きの場所にあるという場合には、すべて建てかえて、一人でも多く救ってまいりたいという立場をとっておる次第でございまして、この点ひとつ御了承いただきたいと思います。
  23. 山下榮二

    ○山下委員 事情はわからぬわけじゃないです。その事情はわかりますが、それならそれのように、やはり建設省は親切に地元になるべく早く連絡をとって指示を与えてもらわなければならぬ。しかも助役と東京事務所長が伺って、総務課長に申請書を出しなさい、こう言われて、申請書を出した限りは、払い下げができると大きく期待をいたしておるのでございます。したがって、そういう期待を与えておっていま局長の言われるような結果になるということは、本人に大きな失望を与える結果になることは火を見るよりも明らかであります。それならそれでなるべく早く県、市それぞれに建設省としての方針等をもっと明確にされるべきである、私はかように考えるのであります。時間がありませんからそれはそういうことにして、なるべく早く処置をしていただくようにお願いを申し上げておきます。  最後に、最近の新興都市というのですか、新しく住宅地の造成等について、きわめて私はふしだらな点を数多く見受けるのであります。たとえば、地元のことを申し上げて恐縮だと思うのですが、過般建設委員会委員が大阪、近畿に行政視察に参りましたときの豊中市の不法建築等を見ましても、これは都市計画、区画整理という道路網を決定しないところに私は欠陥があった、こう見たのであります。最近の私の近くの宝塚市あるいは川西市は、最近新しくりっぱな文化住宅が建ちつつありますが、何ら区画整理も行なわれなければ、都市計画も行なわれていない。悪いことばで言いますとかってに家を建てておる、こういう姿が今日の実情であると私は思っておるのであります。こういう関係からいたしまして——大臣見えたようでございますが、大体土地造成、道路計画、都市計画、区画整理等々と住宅建設計画というものがいかようなかね合いのもとにどこで調査をされ、どこで計画を立てられておるものか、ただ各個ばらばらに行なわれているからこういう結果を招いておるのじゃないか、こうも思われるのであります。宝塚付近におきましても、自動車で行っても突き当たりもう行く道がないというような場所ばかりであります。これらも建築認可はもらっておりましても豊中市の庄内にある住宅と同じように不法建築にひとしいような姿の土地というものができ上がりつつある、これが実情であります。これはひとり宝塚あるいは川西市だけではございません。全国がそういう姿であると思うのであります。山間部を切り開いては宅地造成をやる、しかもそこには都市計画もなければ、区画整理も行なわれていない、こういう姿で山を切り開いて宅地造成をやって住宅経営をやらせて、しかも民間のいかがわしい業者もたくさんあります。この姿で将来の日本を考えるとき私たいへんなことではなかろうか、こう思うのであります。こういうことに対して建設省が一貫性がないからこういう結果になるのではなかろうか、もう少し建設省はこういうことに対しての百年の計を立て、一貫した方針を立てなければだめだ、こう思うのであります。これに対して一体、大臣は途中からお見えになったのですが、いかようにお考えになっているか、今後ほんとう計画を立ててやる——私は新聞の切り抜きもここへ持ってまいりましたけれども、なるほど新聞では宅地、工場移転のどうやどうやということを書いておられますけれども、これは絵にかいたもちであって現実は何ら実行されていない、こういうのが今日の実情であると私は思っておるのであります。私は、未開地ということに対してなるべく早く都市計画あるいは区画整理その他の道を開いて、道路網というものを青写真だけでもいいからつくって、その上に乗っかって住宅というものの建設計画というものが進められなければ将来都市建設に大きな悔いを残す、こう考えておるのですが、一体いかようにお考えでしょう。
  24. 竹内藤男

    ○竹内説明員 ただいま先生が仰せられましたような現象が、大都市の周辺部に特にあらわれておりますことは事実であります。私どもといたしまして現在までにとっておりますのは、公共的な機関が宅地造成をいたします場合には、これを新住宅市街地開発法に基づく諸手続、あるいは一団地の住宅経営に基づく手続というようなもので都市計画の場に乗せまして、そして都市計画としてきめて進めるようにいたしております。  それから民間の宅地造成につきましては、住宅地造成事業法によりまして一定規模以上のものにつきましては設計その他を知事が認可するという形で、最近この区域が漸次拡大されてまいりまして、そういうような方法で民間の一定規模以上の宅地造成につきましてはそういう規制が行なわれているわけでございますけれども、御指摘ありましたように、個々ばらばらに宅地造成が行なわれ、あるいはばらばらに家が建てられ、しかもそこには道路計画もないようなところに家が建てられる、排水の問題も考えない宅地造成が行なわれるという問題がございますので、われわれといたしましては何とか市街地を計画的につくり上げられるような形にしていきたいということで、ただいま宅地審議会の土地利用部会で都市地域における土地利用計画、これに基づく規制という問題について御審議を願っておりまして、われわれといたしましてはそれができましたならばこれを法律案の形にまとめまして通常国会に出したいという気持ちでいま検討しているわけでございます。   〔服部委員長代理退席、委員長着席〕
  25. 山下榮二

    ○山下委員 時間がまいりましたからあとの方に迷惑をかけてもいけませんから打ち切りますが、どうも最近の各省のいろいろな意見を聞きましても審議会でみな逃げ込まれる、こういう姿が最近の一連の政治の姿だと思うのであります。審議会けっこうでありますけれども、審議会、審議会ばかりでは実際は一つも前進しないのであります。もう少し建設省たる権威のある——いわゆる技術者というものがそろっている、スタッフがそろっている、それがなぜ今日のような実情を見てそれを放任されているのか、私はこの点が納得いきにくいのであります。もう少し建設省は英断をふるって、新しい新興都市あるいは土地造成、こういうことに対しましては、どの市町村にもどの府県にも完全な都市計画、完全な区画整理、道幅を幾ら、何を幾らにしてやらなければそれを許可してはならぬ、これくらいの強い指示あるいは通達を出して、そうして規制をしていかなければ私はだめだと思っておるのであります。審議会、審議会ばかりで日を暮らしておったのでは、もう土地に家はだんだん建ってしまうのでありましてあとの祭りになるのであります。私はそのことを警告を申し上げ、もう少し建設省が英断をもって全国各地の新興都市に対しましては対処されるべきである、かよう申し上げて質問を打ち切ります。
  26. 田村元

  27. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 建設大臣にお伺いするのでありますが、橋本建設大臣は前に建設大臣をされまして今後二度目であります。そんなわけで、おそらくこれから私が質問申し上げる沼田ダムの件については十分の御認識とそれに対する大臣としての御所見があろうかと思うのであります。  沼田ダムの問題は、私の調査によりますと大正年間からダム屋さんといわれるいわゆるダム建設の専門家がすでに考えていたようであります。これが具体化しかかったのは、戦後相次いで起こりましたキャスリン台風とかキティ台風による利根川のはんらんがこれを具体化する一つのきっかけになったようでありますけれども、そのときには一応計画が内面的になされただけで表面化するに至らなかったようであります。これが具体的に表面化したのは、三十四年に松永安左工門さんが主宰している産業計画会議が構想を出しまして政府に要請というか勧告をするような形で出ましたのが最初でありますが、戦後の内面的な企画が現地には伝わりまして、かなり反対の空気が出てまいったのでありますけれども、やはり現地でもこれに対する大きな関心を持ったのは三十四年の産業計画会議計画発表以来であります。その当時から政府に沼田ダムの建設についてたびたび質問をしたり要望をしたのでありますけれども、当時すべての内閣が、そういう計画はない、あるいはただ単なる民間の構想であって政府としては関知しないということで逃げておられたわけであります。たまたま本年の二月の衆議院の予算委員会で前瀬戸山建設大臣が沼田ダムを建設する意図がある、あるいはやりたいということを公式に表明され、しかもそのときに瀬戸山建設大臣は、佐藤総理から建設大臣に任命された当時特に沼田ダムについてぜひこれを検討してもらいたいという御要望があったということまでおっしゃったわけであります。これが初めての政府の見解でありましたが、それ以来四十一年度に二千万円の沼田ダムの調査費も計上されておりますし、おそらく四十二年度にも相当調査費の要求があろうかと思うのであります。これは後ほど河川局長お尋ねいたしますが、そういう計画があります沼田ダムに対しまして、橋本建設大臣はいかような御所見とこの実行に対するお考えがあるのか、この点を冒頭にお伺いしたいと思うのであります。
  28. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 ただいまの茜ケ久保さんの御質問ですが、私この前一回建設大臣をやったといわれましたが、顔見世狂言程度のことでありますから、十分に全体的なものを検討する時間を持っておりませんので、あまり経験がございませんが、今回八月から再び建設大臣の仕事を仰せつかりましたが、ただその間に、瀬戸山前国務大臣からも総理大臣からも、沼田ダム計画についての引き継ぎは聞いておりません。ただこれは、もちろん専門家でありますから皆さんも十分御承知のとおり、昭和四十五年度までに、いわゆる水需要というものは、大体建設省としては、毎秒百二十トンを心要としておる。そのうち建設省計画して確定されたものは約八十トンであります。したがって四十トンはこれから計画を立てなければならない。そこでこの四十トンの中に、いまおっしゃるように沼田ダムがあるのではないか、こういうお話だろうと思うのでありますが、実はダムをつくるについては、御承知のように各地においていろいろ問題があります。ダムとして適地であるかどうかという地理的条件がまず第一、もう一つは社会的条件としてこれが実施が可能であるかどうか、また相当困難であっても、これが建設し得る、あるいはまたこれが実現するための方法がある程度可能でなければ計画を決定しようがない、かような情勢で、実は四十トンというものはこれから昭和四十五年度までに必要であるにかかわらず、実際はいま申し上げたような事情から、なかなか計画をはっきりと立てるに至っておりません。ただその中で、あるいは利根川の水を持ってくるとかその他相当年間用水量等を考慮して、そこから誘水計画を立てるということも一つ方法である。同時にまた、上流地区の適地のところに大きな多目的ダムを設定して、そこから水をある程度持ってくる、総合的な施策をしなければ四十トンという水はなかなか出てまいらないのであります。そういう意味で、沼田ダムその他幾つかのダムについて、いわゆる大きな広い意味での検討は事務当局はしておるかもしれませんが、いわゆる沼田ダムとしての計画はまだ別に確定はしておらないし、その方向で進むということもまだ考えておらない。また、先ほど申しましたように、そういう地理的条件のみならず社会的条件が整わなければいかぬのでありますから、それらの状況等を、これから各地のそうした適地について検討を進めて、将来この四十トンというものをなるべく早い機会に考えなければ間に合わないという事情もありますが、ただ適地だけでは困る、やはり実現性がなければいけないということで、目下慎重に各地の候補について検討を進めておる段階である、かような次第であります。
  29. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 橋本建設大臣は、内閣改造というか党内の人事の改造等で、かなり党の重要な立場にお立ちになるように新聞等にも出ておるのですが、佐藤内閣というか佐藤総理の非常に重要なブレーンの一人であるわけであります。したがいまして、いまの内閣においても大臣としてはかなり重要な立場にいらっしゃるわけでありますが、先般瀬戸山建設大臣は、答弁の際、大臣就任のときに特に総理から沼田ダムについて検討し、できるならばこれを進めてもらいたいという御要請があったということをおっしゃっているわけです。それなら瀬戸山建設大臣の沼田ダムをやりたいというその答弁は、決して瀬戸山氏個人のお考えあるいは思い当たりの答弁ではないと思うのです。まして橋本建設大臣が瀬戸山氏よりもより一そう佐藤総理にとっては重要な人でいらっしゃるのでありますから、佐藤内閣が基本的な態度として沼田ダムをやりたいという意思がありますならば、橋本建設大臣のいまの御答弁はどうも何かすっきりしないものが感じられるわけです。その答弁をお聞きして橋本建設大臣気持ちもわからぬわけではありません。わからぬわけではありませんが、どうも何か最近までダム問題を中心に現地でかなり問題が出ておりますし、反対の運動等もかなり盛んになっております。もちろん計画では二千五百戸の水没といっておりますが、私が精密な調査をしたところによると、産業計画会議の百五十メートルのダムサイドになりますと、数千戸に達する水没が予想される。これはもう当時とはずいぶん違っておりますし、水位が高くなると数千戸、これは世界的に史上最大の水没家屋だと思うのです。したがってそういうことも勘案されて御答弁が少しすっきりしないと思うのでありますが、また反面四十一年度の予算に二千万という金が調査費として——四十年度までは利根川水系総合開発費という形で出ておったのですが、四十一年からは二千万円というものがその中で具体的に沼田ダムの調査費として出ております。となりますと、これはいわゆる建設省は沼田ダムは考えていないとは言えない。予備調査費が出ておるのですから……。しかし橋本建設大臣が、私は沼田ダムをやる意思はないということをおっしゃるならそれでけっこうなのです。そこのところ答弁が、やるのかやらぬのか判断に迷う点がありますので、その点はっきりおやりになるのかならぬのか、ひとつ端的におっしゃっていただけませんか。
  30. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 おっしゃるとおり昭和四十一年度には二千万円の予備調査費というものが出ております。これは御承知のように農地法関係で大規模干拓をやる場合に、やはり予備調査をして、これが実施に移る場合もあるし、実施に移らぬ場合もある。これは全く予備調査であります。実施調査でありません。予備調査の段階でありますから、必ずしもそこまでやるともやらぬとも私が言いにくいのでありますが、ただ御承知のように茜ケ久保さんがおっしゃったように、水没戸数が二千五百戸とか三千戸とかいわれております。のみならず、もしやるとなれば鉄道も相当部分が水没個所に入りますから、これはっけかえるとしても、とにかく二千以上三千というような戸数を動かすということはなかなか大事業です。したがって地理的条件だけがいいからそこできめるというわけにもいかない。要するに問題はつくらなければいかぬのですから。したがってこの社会的条件、時勢の変化に伴って社会的条件が可能になるならば別問題ですけれども、そういう意味でいろいろな点から地理的条件並びにそうした社会的条件その他をいわゆる予備的に調査するための費用でありますからして、したがって予備調査費がついたからといって必ずしもそれが計画を実施に移す前提である、かようにわれわれは考えておりません。十分慎重審議した上でいずれかに決定したい、目下建設大臣方針をきめておらぬ、こういうように御了承願いたいと思います。
  31. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 では端的にお尋ねいたしますが、やらないこともお考えになっていない。沼田ダムはやらぬのだ、やる必要はないというお考えもございませんか。
  32. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 先ほど御答弁しましたように、とにかく地理的条件、社会的条件を十分に検討した上でやるやらないをきめる、こういうことでありますからやら、ないということは言えないわけでございます。
  33. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 それならそれで河川局長にちょっとお伺いしますが、これは四十一年九月二十五日付の読売新聞でございますが、それに「建設省はこのほど、日本能率協会(東京都港区芝公園二十五号地)に対し、来年三月三十一日までの期限付きで、水没補償方法について正式に調査を依頼した。」こういう記事が出ておるのであります。それを受けた同協会は、これは「鈴木雅次日大名誉教授らを中心に沼田ダム補償対策委員会をつくり、水没農地の代替地、補償額などについて具体的方法論の検討をはじめた。」こういうふうに出ておりますが、これは事実でありますか、お尋ねします。
  34. 古賀雷四郎

    古賀説明員 能率協会に調査を依頼したことは事実でございます。ただ、いま先生がおっしゃいました水没補償方式とか代替地の問題とか、それらの方法論の問題につきましては、われわれとしましては、河川総合開発調査費の予備調査費の二千万をもちまして、そのうちの約一千万以上は利根川の流出解析、それから洪水調節計画がどういうぐあいになるのか等に関する基本的な水利調査を実施いたしております。そのほかに、まあ沼田ダムをかりに進めるとすれば、先ほど申されたとおり、非常に水没戸数も多いわけでございます。われわれは、地域開発がどういうぐあいに今後推進されなければいけないかということも調査しなければいかぬ、そういう観点で地域開発の関連調査を実施いたしております。この地域開発関連調査に重点を置いて総合開発計画検討するのでありまして、その中には能率協会に依頼しないものにつきまして、周辺地域全般の航空写真測量、それから地域の農業、工業、観光等の実態調査あるいは気象の観測、土壌の調査、あるいは観光の立地条件の調査を行なって現況を把握しております。それらに基づきまして関連地域の開発の可能性とその方向がどうあるべきかということに  いて能率協会に調査の依頼をいたしているわけでございます。したがいまして、私らとしましては、あの地域を全般的に今後どういう方向に持っていったほうがいいのか、地域の開発方向を十分検討してもらいたい、そうでなくては、これらの問題もこの中でどういうぐあいにすべきかという問題もきまってこないのじゃないかということを検討しているわけでございます。能率協会に依頼しました金は、約二百五十万でございます。
  35. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 それでは現在直接調査をされた状態と能率協会に委託をされた一これは九月二十五日付の新聞でありますから、かなり時間はたっておりますが、現在それらの、いわゆる二千万円の予備調査費をお使いになって、直接または民間団体等に委託をして調査された結果、今日の段階ではどのようなことが判明しておりますか、ひとつ簡単でけっこうですから、御説明願いたい。
  36. 古賀雷四郎

    古賀説明員 それらの問題につきましては、能率協会に委託した分につきましては、まだ調査の結論をいただいておりませんので、具体的にここでお答えする状態になっておりません。
  37. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 その調査は、直接の調査といわゆる間接の調査とがありますが、それは現地にかなりの要員が行って、現地調査をしているのですか、あるいは東京で図上その他の関係でやっているのか、その調査の具体的な方法等はいかがでありましょうか。
  38. 古賀雷四郎

    古賀説明員 図上並びに各種資料によりまして、おおむねいろいろな調査を行なって、なお現地でチェックすべきものは現地に行ってチェックしていると思います。
  39. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 昭和四十二年度の沼田ダム調査の概算要求はすでになされたと思うのでありますが、これはどういう調査目的で、どれくらいの要求をされたかお尋ねいたします。
  40. 古賀雷四郎

    古賀説明員 来年度の予算要求につきましては、まだ予算がはっきりしませんから、具体的にわかりませんが、おおむね六千万近く要求いたしております。これも今後の予算折衝できまるわけでございますけれども、いわゆる内容としましては、要求の段階におきましては、先ほど申し上げました流出解析、洪水調節等の計画並びに地域関連調査をやるつもりでございます。
  41. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 河川局長、流出解析その他の調査はもう十年くらいやっていらっしゃるんですよ。それを、いまだにそういうことをやるというのはおかしいじゃないですか。あなた方は、流出解析というような、ぼくらしろうとにはちょっとわかりにくい専門語でおっしゃるのだが、しかしもう毎年毎年十年もやっておって一それは毎年やって悪いとは申しませんよ。しかし大体もうわかったはずです。そのことはもうわかっている上に、さらにまた四十二年度に六千万というかなり大きな費用をかけてやるというのは、逃げ口上で、それはちょっとおかしいと思うんですよ。もうさっぱり言ったらどうですか。たとえばいまおっしゃった代替地の検討とかあるいは観光施設なら観光施設のいろいろな調査とか、もっと前向きの姿勢で答弁してもらわないと、幾ら何でも十年も同じことばかりやっておってはむだな費用もかかる。そんな十年も同じことをやってわからぬようでは、これは永久にわからぬと思うんですよ。結論をはっきり言ってくださったらどうですか。
  42. 古賀雷四郎

    古賀説明員 私ら技術屋としましては、水の流れを常にチェックする必要がある、これはもう私ら生涯の仕事でございます。したがいまして、これをおろそかにして治水問題を論議するということはできないわけでございまして、これはどんなに金をかけてもこういう解析こそ本格的にやるべきことであって、それらの解析を一日もおろそかにすることはできません。これはもうわれわれ技術的な良心をもってお答えしなければならぬ。だから毎日、いまでも、きょうでも観測しているわけでございまして、これらの観測は——それから洪水の解析はそれに基づいて、あるいは低水の解析もそれに基づいてやるわけでございまして、これらの観測から解析は——これはわれわれは先生そういう御指摘でございますが、わからぬのはおかしいじゃないかという御指摘と思いますけれども、水の問題は非常にむずかしゅうございますので、その辺の解析はひとつ十分やらしていただきたいと思うわけでございます。
  43. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 それはわかるのだ。しかし、いわゆる予備調査の費用の中には、それはそう大きなウエートを占めていないと思うのですよ。流出解析は、ダムをつくる、つくらぬにかかわらずやると思うんですよ、河川のいわゆる状態に対する処置としては。私が聞いておるのは、沼田ダムの建設ということに関連してのことですからそう言っておる。これはおやりになるのはけっこうだし、おやりにならなければならぬことはわかっておる。しかしそれがダムの建設に関連してもう十年もやっておるんですからね。  それで建設大臣、いまお聞きのとおりですが、来年度は六千万円という概算要求をされておるようですけれども、そうなりますと私は、現地ではどう説明しても、沼田ダムを大臣がここでやらぬ、もうやりませんとおっしゃる以外には——やる方向でどんどん進んで、現地の諸君は、これはなしくずしでやり、既定の事実をつくって押しつけでするんだという不安を待つのは当然です。そこで、決して私は橋本建設大臣に、やるということを言えとは申しません。言えませんが、今日まで実は現地ではこう言っているのですよ。瀬戸山大臣がダムをやりたいと言ったのは、瀬戸山放言とは申しませんが、瀬戸山構想であって、大臣がかわった今日では、沼田ダムはもう立ち消えだということを、これは自民党筋の方々が放送していらっしゃるわけなんです。しかし現地の諸君は、四十一年度も調査費、四十二年度も調査費、こうきますと、決して信じないわけです。不安を持っている。この不安がやるということで解消するか——もちろんやらぬと言えばたちまち解消するが。そういう意味で、私は何も好きこのんでお尋ねしているわけじゃない。やはり利根、沼田の住民なり、その下流にある前橋、伊勢崎の市民も不安を持っている。こういう意味でお尋ねしているのですが、これ以上質問しません。建設大臣はその点もう少し明快な御答弁をお願いしたいと思います。
  44. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 はたして直接のお答えになるかどうか、私も実は考えておったのですが、むずかしゅうございます。  あえて知識のあるところを御議論申し上げるわけじゃありませんが、御承知のとおり日本は年間平均して二千ミリの天水、空からの水をわれわれは与えられております。アメリカは大体千ミリ、またヨーロッパは七、八百ミリといわれるくらいでありまして、そうした点から、自然に水をちょうだいするという意味では非常に地理的に恵まれておる。が、逆にまた、なるほどアメリカは千ミリでございますけれども、その水がとどまる時間が非常に長い。たとえば、利根川の例で申しましても、利根川上流から下流に影響する水というものは、わずか一日で河口に到達する。しかしミシシッピ川とかアマゾン川は四十日から二カ月間たたなければ下流に影響しない。その間水があるということであります。しかも日本は御承知のように工業国として進んでいく場合には水は必須条件である。また社会開発の点から、環境衛生の上からいっても必須条件である。そこで何としても水を得なければならぬということは至上命令であります。  そこで問題は、どこにダムをつくるかという問題はまず一応おきまして、とにかくダムをつくる。アメリカはTVA開発の大きなことを言っておりますが、私はたいした問題はなかったと思う。自然条件の中にダムをつくればいいのですから。日本と違って社会的条件というものはない。日本はそうした非常に複雑な社会的条件を伴っておる。ですからして、日本の技術者をもってアメリカのTVA開発をやれといったら、あれ以上のものをやれるだけの力を持っておる。しかし別な意味で社会的条件がある。そこで、これはダムに限りませんけれども、あるいは先ほど来山下さんが質問なさった土地造成等、あるいは宅地造成、不良住宅の改造等、そういう場合にもすでに社会的条件は日本は常に非常に大きなウエートでつきまとっておる。であるからして、どこにダムを設定するにいたしましても、そういう社会的条件をまず先行条件として解決すべきである。いま九千万なり一億の国民がそのところを得るという政治、そのところを得て、そこに従来住んでおったより以上の生活を生む条件をまずつくり出すべきである。これは私の年来の主張であります。私が前に建設大臣のときに、いわゆる蜂之巣城といわれたあのダムの計画にしましても、私の主張は、とにかく水というものは国民全体、国家の要請、至上命令であるから何としてもつくらなければいかぬ、そこでそういう条件が適切であってしかも社会的条件が伴う場合は、その社会的条件を解決する、あらゆる力をもって総合的な方針でこれを解決する、すなわちそこに住んでおる一人も悲しむことなくより豊かな生活をする条件をまず設定することが第一の条件である、こういうことを私はまず考えております。したがって、これは沼田ダムの直接のお答えではありませんが、私の考え方、建設省の考え方はその点に立って慎重なる検討を進めていきたい、またダムについてもそういうぐあいに慎重なる検討を進めて、そうして社会的条件がまず解決されるという前提に立って初めて建設するかしないか定まる、かように考えておりますので、いまやるやらぬということは、いま申したような私の基本的方針でやってまいりたい、かように考えておりますので、その点も御了承願いたいと思います。
  45. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 これは大臣に伺う最後のお尋ねですが、先般、これは民間の団体でありまして産業計画会議とは違いますが、いわゆる東京湾の埋め立てを推進して——産業計画会議計画は約二億坪の予定ですが、今度発表した団体では、坪数は言っておりませんが、かなり膨大な埋め立てをして工場地帯をつくる、それに対して水がかなり必要なので沼田ダムを建設してもらいたいし、さらにまた沼田ダム以外にも総合的なダムをつくってもらいたい、こういう要望が出ておるんですね。このことは、建設大臣建設大臣であるとともに一面首都圏整備委員会委員長であるわけでありますが、首都圏整備法では過密都市になり過ぎた東京都の工場なり施設をなるべく分散する、人口もこれ以上ふやさないという。そういたしますと、この産業計画会議の二億坪の造成ももちろんでありますが、最近発表した民間団体のこの方針も首都圏整備法に照らして矛盾するわけですね。これが一つの東京都に水を持ってくる、特に沼田ダムなんか絶対必要条件だという、条件整備のための発想のようにも思われる。この点建設大臣と首都圏整備委員長という二枚看板のあなたはどのように御理解になりますか。これは大臣に対する最後のお尋ねです。
  46. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 民間その他で東京湾埋め立て計画というものがあることは承知しております。しかし建設省としては必ずしも東京湾を大規模に埋め立てるという考え方は持っておらない。一つはいま申したような水の事情もあります。その他の立地条件もある。いわゆる低地帯にはたしてそういうものを行なうことが将来ともいいか悪いか問題があります。そういう観点から特に埋め立て計画を持っておりません。小規模のものはこれは当然行なわれましょうけれども、何千万坪だとか何億というものは考えておりません。いま申しました百二十トンの需要というものは、そうしたことを抜きにして、今後のいわゆる社会環境の整備、また工場の整備等から見て、のみならずこれは東京都が使うだけでなく、千葉県下のような京葉地帯にしましてもその水は当然その方面からもらわざるを得ないのでありますから、したがって埋め立て計画とはこれは全く関係がない。そのほうから要請されて沼田ダムが考えられておるのじゃないかというお話でありますが、その点は全く関係ありません、こうお答え申し上げます。
  47. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 次は河川局長に八ツ場ダムの建設についてお尋ねしたいのですが、八ツ場ダムはもう実施計画に入りまして、建設省のほうではかなり仕事をお進めになっているようであります。御承知のように八ツ場ダムもかなり現地で反対の強いダムのようであります。何か最近伺いますとちょうど富里の空港で実施されています多人数の方の土地所有とか立木所有等のことも進めておいでのようですが、現在どのように進行しているのか。さらに四十二年度はどういうふうな計画であるのか。これもひとつ簡単でけっこうですからおっしゃっていただきたい。
  48. 古賀雷四郎

    古賀説明員 八ツ場ダムにつきましては、利根川の現在の治水計画におきましても洪水調節上どうしても必要なダムでございます。現在の水没関係者の八ツ場ダムに対する考え方といたしましては、大体、反対、条件つき賛成はそれぞれまあ半数程度じゃないかと思われますけれども、しかし地元の関係者は八〇%は反対であるといわれている人もあります。これはちょっと詳細にわれわれわかりませんので、いまの段階でそのようなことがいわれているという程度の憶測にすぎません。八ツ場ダムの建設反対の決議に関して群馬県議会あて反対決議の請願がなされたわけでございますが、これは六月、十月の両県議会で一応保留になって継続審議となっております。そしてまた水没の該当になっております長野原町でも八ツ場ダムの計画を聞こうという機運が出てきております。ただいま八ツ場ダムにつきましてはそういうことでございますので、適当な機会を選んで計画の御説明をしたいと思っておるわけでございます。状況はそういうことでございます。
  49. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 四十二年度の計画予定は……。
  50. 古賀雷四郎

    古賀説明員 来年度から実施計画に入りたいと思って予算を要求いたしております。
  51. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 予算は。
  52. 古賀雷四郎

    古賀説明員 予算は八千万要求いたしております。
  53. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 いま局長もおっしゃるように、かなり現地では反対も強いようでありますし、いま水質は上流のいわゆる水質改善の施設でかなり進んでいるようでありますが、しかしなかなかやはり問題があると思うのであります。この際現地の要望を聞いて八ツ場ダムの建設を中止されるよう措置されることを要望しておきます。まあこれはそう要望しても、建設省が、はいそうですかとおやめになるとは私は思いませんが、私どもはやはり立場上いろいろ問題を持っておりますので、これはぜひひとつそういう方向へ進められるようにこれは勧告と要望をしておきたいと思います。  次に道路局長お尋ねしたいんですが、これは建設大臣もお聞き願いたいと思うのです。最近道路行政もだいぶん進行してまいりまして、国道等かなり舗装、幅の広げ方あるいはそのバイパス等進んでまいっております。私どもの関係する国道十七号線も非常に整備されまして、これは非常にけっこうだと思うのであります。ただ私は先般、これは小山建設大臣のときだったと思いますが、国道の整備が完備されまして非常にりっぱになるのはけっこうだが、その国道沿線の住民に迷惑をかけてはならぬ、いわゆる利用者は喜ぶけれども、その沿線にある住民にいろんな点で迷惑をかけちゃいかぬ、この点について遺憾はないかという質問をしたときに、いや万全の処置をしてあるということでございました。そのとき私は一つの、三国トンネルの下にあります小さな部落の取りつけ道路のことを例に出して申し上げたのですが、これはさっそく処置されたようであります。先般また私、十七号線のある地点で国会報告座談会をしたときにこういうことが出た。この地区は群馬県利根郡新治村の浅地というところでありますが、以前は道路が部落の中を通っておった、十七号線を整備するについて上のほうに上げてバイパスをつくった。そのときに、国道が上に回るので旧国道の地点に対する農道その他がかなり不便を感じるので困るという話をしたところが、建設省は、それはちゃんとやるから、御要望のように処置をするから協力してもらいたいということでやったんだそうですが、できてみたら全然約束どおり処直されない。今日付近の農民は非常な苦労をしておる。こんなことじゃ困るじゃないかという質問と要望を受けた。おそらく建設省当局はこれは承知していないと思う。現地の事務所の担当者がおそらく怠慢だと思うのです。こういうことは、やはり先般も言ったのですが、あなた方は国道をりっぱにして喜んでいらっしゃるけれども、そういうところの特に建設に協力をした住民がほったらかしを受けているということでは、非常に困るわけです。  もう一つは、同じ浅地の部落ですが、暗渠をつくったのですね。暗渠をつくったところが、道路掃除をする、道路の整備をする場合に、いつもものを落とす。その落としたものが暗渠につかえてこれまた困るということがあるわけです。こういうことに対して、これは小さい問題のようですが、全国にえんえんとしてつながる国道の沿線で、これはほかの地区でもあると私は思うのです。したがって、先ほどの住宅の問題ではないけれども、建設省はもう少し行き届いた、いわゆる血の通った処置をしてもらいたいと思う。たとえ問題は小さくても、全国に散らばれば非常に大きな問題です。そういうところに問題があるのだか、建設大臣、こういうことについてどのような御見解をお持ちであるか。
  54. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 いまおっしゃられたことはもっともと思います。私は、建設大臣になりましてから、もちろん重要道路の完成を急ぐということは、産業経済から考えまして、当然ではあります。と同時に、もう一つ必要なことは、かなり、先ほどもお話がありましたように、付近住宅というものが、それがために、ある意味においては被害をこうむる場合もあります。公害がいろいろの点であります。そこで私がいま指示しておりますことは、そうした重要道路の完成を急ぐとともに、それによって生ずるひずみ——ひずみと言うと変かもしれませんが、それによって受けるところの公害あるいはそういう不便というものは同時に解決していけ。これは金額の面からいっても、まあそれは積もり積もれば相当になりますけれども、ある意味においては重要道路が多少食われても、そうした地方道の完成、これについては積極的にやれということで、その方針で最近は対処いたしておりますので、どうかそうした住民のいろいろの損害あるいは公害等の問題あるいは不便等の問題は、与野党の別なくひとつ私に御注文願えれば、もうほんとうにこれは住民のためですから、国民のためですから、最善の力を尽くしてやりたい、かように考えておりますので、どうぞ事がありましたら御注文願います。
  55. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 そこで道路局長、もうくどく申しませんが、ひとつさっそく現地の建設事務所に御連絡いただいて、調査の結果、まだその当時おりました課長も課長をしております、すぐ調査をし相談をして、要望にこたえるようにお願いしたいし、もう一つ重ねて、同じ新治村地内に下新田というところがある。これはかつて生方代議士という有名な代議士がおった地元ですが、ここがカーブになっておって、新潟から来ますトラックがいつも人家に飛び込む。同じ人家に三回も飛び込んでいる例があるのです。ガードレールが一部ありますが、非常にそういう危険がありますので、この下新田のいわゆるトラックの飛び込みに対する処置もあわせてお願いしたいということです。だから、はっきり、いま大臣の非常にいい御答弁ですから、大臣のお気持ちをくんで、具体的に処置できるかどうか、ひとつその点を念を押しておきます。
  56. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 お答えいたします。  ただいまの下新田の場合、トラックが飛び込むというようなお話がございました。これはさっそく調べまして、例の安全施設の問題でもございますし、さっそく処置したいというふうに考えております。  もう一カ所、浅地の場合、いろいろ農道がそのために不便になったということでございますが、これもいろいろ事情を調査いたしまして、ただいま大臣からお話がありましたように、せっかく協力してもらった者に対してあとから不便になるということも非常に問題がございます。ただこの国道だけでできるかどうか、そのほかのいろいろ地方道とあわせてやるのがいいか、その辺はよく検討してから対策を講じたいというふうに考えます。
  57. 田村元

    田村委員長 岡本隆一君。
  58. 岡本隆一

    ○岡本委員 ことしの五月に完成いたしました京都の国際会議場でございますが、最初七月に日米経済合同委員会に利用されまして、その経験にかんがみて、この程度の設備では非常に不便である、こういうふうな強い外務省の意向が出て、その後来年に予想されるところのエカフェの総会であるとかその他いろいろな会議が日本であるにかかわらず、京都の国際会議場は利用されない模様である、こういうふうなことを聞くのでございますが、五月以来現在までこの国際会議場を外務省としてはどのように利用してこられましたか。それからまた、来年開催予定の国際会議がどの程度あるということが現在のところわかっておって、そのうちどれとどれを京都で開催しようとされますのか、この会議場の利用の現状と将来の見通しについて伺いたいと思います。
  59. 内田宏

    ○内田説明員 お答え申し上げます。  本年日米貿易経済合同委員会が七月に京都会議場で行なわれたわけでございますが、これにつきまして、初めてのことでございまして多少不便があった、特にプレス関係で不便があったことは事実でございますが、その後御改善していただいておると存じております。  それから日米合同委員会の際最も難渋いたしました点は、合同委員会で本国政府に請訓を要するような場合がありましたときに、大阪、神戸におきまして各外国の領事館等がないために、訓令を受け取るとか何かのことについて非常に不便をいたしたということがございます。しかし外務省といたしまして、一般の会議はなるべく京都でやるように慫慂いたしております。それから民間の会議でもやりますときには、外務省にいろいろと経験について御相談がございますときには、必ずまず京都でやっていただく可能性について御検討いただくということはいたしております。ただ何ぶんにも国際会議で、特に政府を代表いたしまして本国政府に請訓いたし、本国政府の最近の訓令のもとにある国際決定を行なうような場合におきましては、やはり京都の場合は暗号とかその他の点におきまして各外国の代表団の方が難渋するというようなことがございますので、さような政府を代表して決定を行なうような会議につきましては、京都においてやることはかなり技術的にむずかしい点がございます。その他学術会議であるとかあるいはお出になる方が自分の責任において発言なすって、それで会議がまとまるような場合には、なるべく京都でやっていただくようにいたしております。  それから御質問の最後の点の、明年あたりにどういうものが見込まれているかということでございますが、まず一番近いのは東南アジア農業開発会議でございます。これは事務次官レベルのきわめて事務的なことでございます。特に日本の農業について各種の情報提供を要請しておられますので、京都まで多数の方々に来ていただくことはできないために東京でいたします。  それから明年四月、東京でエカフェの総会をいたしますが、これも先ほど申し上げましたように、これは三十五カ国が集まりまして、毎夜請訓をいたしまして、その翌朝その請訓の結果によって発言するというような形になりますので、各国の代表団の希望によりまして東京にいたしております。
  60. 岡本隆一

    ○岡本委員 そういうことになりますと、せっかく国際会議場をつくるのだということで四十億近い投資をやり、将来日本としては京都を国際会議の場にするという考え方で出発しておきながら、その設備がまだ完成しておらないということのゆえをもって、どうもこれじゃ使えないということになってきた模様でございますが、そういうことでは何のために議場をつくったかわからないということになるのでございますが、いま承ったところによりますと、設備を、たとえばいまの報道関係の設備をやる、あるいはまた本国と電話で打ち合わせをいろいろやるとか、暗号での打ち合わせをやるとか、あるいはいわゆる領事館その他の外国の出先機関でございますが、そういうようなものもやはり京都に出張所を設けるとか、何らかのことをやればそういうふうな不便の解消ということは必ずしも不可能なことではない、こういうふうに私どもは考えられるのでございますが、外務省としてはそういう設備を早急にやってもらいたい、その上に立ってこの会議場を使っていこうというのが外務省の方針なのか、あるいはもう京都ではとても困るのだ、やはり東京に近いところに移してもらわぬと困るのだ、こういうふうな方向へ出ておられるのか、その辺の外務省の将来の方針ですね、早急に足らざるところを補えというのか、もうこれではとても不便だから将来使いものにならないというお考えなのか、その点外務省の方針を承りたい。
  61. 内田宏

    ○内田説明員 お答え申し上げます。  方針といたしましては、できるだけ京都会議場を使うような方向努力いたしております。  それから先ほど申し上げましたように、政府間のみならず、民間の会議でも、外務省が御相談にあずかった場合は、まず京都を使っていただけないかということを申しております。  それから物理的なことにつきまして、大阪、神戸あるいは京都に領事館をつくってくれということは、重ね重ね各国の大使館に申し入れております。それから大阪府、神戸の地元からもそういう要望がございますので、これをまた外務省で取り次ぎまして、なるべく日本の経済力の向上とともに大阪、阪神地区に各国の領事館ができるようにということを相手国政府のほうに申し入れております。
  62. 岡本隆一

    ○岡本委員 それでは、その足らざるところをどういうふうにこれから補完していけばいいかという問題でございますが、この会議場は最初おそらく百億くらいは要るのではなかろうか、しかしそれでは無理だから八十億くらいというふうな予算の要求があったにかかわらず、現在四十億でまず第一次の計画として出発したというのが現状であります。したがいまして、当初から当然第二次計画というものが考えられておったのでございますが、外務省としては当面どれくらいの期間にどのようにしてもらいたいかという要望の方針というとおかしいですが、あなたのほうでどうしてもらいたいかという要望の大綱をまとめておられますか、どうですか、それを承りたいのですが。
  63. 内田宏

    ○内田説明員 お答え申し上げます。  できるだけ外務省といたしましても、京都会議場を使用するためにまとめたものではございませんが、そのつど申し上げまして、たとえば日米合同会議の際、それから時を追って大阪にも駐在員を置いてありますので、それを通じて御要望を申し上げたり、なるべく京都の会議場が使用回数がふえるように努力いたしております。
  64. 岡本隆一

    ○岡本委員 それでは建設省お尋ねをいたしますが、建設省としては、第二次計画をお立てになっておられますでしょうか。現在のところはまだその域に達していませんか。
  65. 小場晴夫

    ○小場説明員 お答え申し上げます。  全体計画は当初ほぼ六十億ということで出だしておりました。第一期計画三十二億六千万ということで本年完成したわけでございまして、残りの分につきましては、使用状況、それらを見ながら建設計画をもう一回立てる、こういうことで、現在は細部まできめてございます計画というものは持ち合わせておりません。ただ当初六十億ということを考えておるわけでございますから、当然どのくらいの会議場をどのくらいの数ふやそう、こういうような大きいめどは立てておるわけであります。
  66. 岡本隆一

    ○岡本委員 郵政省にお尋ねいたしますが、いま国際間の会議には、いろいろ通信面で非常に不便だ、こういうふうなことでございましたが、そういう設備をするのにはどれくらいの経費が必要でありましょうか。
  67. 渡辺淳

    ○渡辺説明員 お答え申し上げます。  実はどういう設備をつくるかという問題にもよると思いますが、ただいまそれについてはっきりした資料を持ち合わせておりませんので……。
  68. 岡本隆一

    ○岡本委員 あらかじめそういうことでお願いしておいたのですが、そのために来ていただいておるのですが、それを答えていただかなければ来ていただいたことは何にもならないのです。  それでは、御調査願っておらない模様でございますから、ひとつ外務省に、どういうふうな設備が必要なのか、たとえば東京にはすでに備わっておる、そうした設備、そうして東京でなら不自由でない、しかし京都でならこの分が足りないのだ、だからそういう点を京都に補完するとなれば、どのような設備でどの程度の費用が必要かということを資料としてお出しを願いたいと思います。  一応承りますと、必要な範囲のものは、大体電話の設備とそれから宿泊の点において非常に不便だ、こういうふうなことでございますが、最初からこういうことは当然考えられておることなんですね。本年国政調査の節に京都へ参りまして国際会議場も見てまいりました。そのときに館長からも、外国の学者なんかが来てここでいろいろな会議をやるのには、どうも日本のホテルは高過ぎて困る、だから会議場に付属の比較的安く泊まれるような宿泊設備をぜひつくってもらいたい、こういう要望もございました。そこで建設大臣お尋ねをいたしますが、当初の六十億くらい必要であろうというものを、三十二億にしぼって第一次計画として完成した。しかしながらその第一次計画の範囲をもってしては、とても使いものにならぬということで、それでは不十分なままの施設をそういつまでも放置しては十分な利用価値が出ないということであれば、早急な完成が望まれるということになってまいりますが、建設大臣としてはどうされるつもりですか。これを当分このまましょうがない、中途はんぱでできたけれども、京都名所にしておいて——非常にたくさん見にみえますから、観光施設のような形になっておりますね。だから観光施設としてきれいな建物、日本の建築技術を誇るようなきれいな建物として、国民の皆さま見てくださいということで置いておかれるのか、ほんとうに使える国際会議場に早急に仕上げようとなさるのか、建設大臣の御意向を承りたいと思います。
  69. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 せっかくの岡本さんの御質問でありますが、実は建設省は営繕を承っておりまして、いわゆる運営状況その他については、各省協議会でこれをきめることになっております。もちろん各省協議会の一メンバーではあります。そこで、先ほど来からお話がありました、当初計画六十億から、それが第一期計画で三十二億、その残りの中には宿泊所とかそういう設備が入っておるかということになると、どうも当初計画ではないようであります。実はいまの会場を七つふやすとか、その他新聞、プレスの関係を約二百平米ふやすという問題があるようです。ただ私いろんな方面からのお話を聞いてまいりますと、確かに不便な点があるようです。一つは、先ほど外務省から答えましたように、外交関係の場合に領事館が遠いことから暗号電報を打つ場合に非常に時間を要するということ。その問題は先ほど来大阪地区にも、阪神地区に領事館云々という話がありますから、それで解決ができるかもしれません。そういう政府関係会議となると、この意味ではいろいろの支障が現状のところありますが、これは建物の問題ではなくて、他の外交関係の問題であるわけです。建物関係といいますか、会議の運営の上からいいますと、やはり足らぬのはプレス関係だろうと思うのです。プレス関係のものは、いまの電話設備は六百回線ぐらい入っておりますから、大体において間に合うわけではありますけれども、ただ電話があり電線があるから、それでプレスがうまくいくというわけではございませんので、もっと記者諸君が能率よく働く状態はどういう条件が必要か、たとえば一種のプレスクラブのようなものが必要なのか、少なくとも、向こうから参りました人の下級職員とか、もしくは外国の特派員、内地の特派員も含めて、そういう者が現場から離れていくことが非常に不便があるという点もあろうと思います。そういう点は、ひとつこれから運営状況を十分に検討した上で、各省協議会で成案を得たいと思っております。  ただもう一つ、私閣議に出ておりまして、先ほど外務省から答えましたように、できるだけ国際会議は京都でやってほしい、外国から日本でやりたいという開催の申し込みがありました際には、さようなことで、常に、数回にわたって外務省に注文しております。ところが、もちろんこれでいいというのもありますが、中には、やはり期間が短いので、東京でやって、東京見物と会議を一緒にやりたいというところもあるのです。さような相手国のいろんな事情もあったりなんかいたしておりますけれども、せっかくこういう国立国際会議場をつくったのでありますから、その趣旨に沿うように——いまのところ、国際会議場か国内会議場かわからぬくらいに国内会議のほうが多い。したがって会館としては収支が償っておる状態ではありますけれども、しかし、国立国際会議場として発足した以上は、いま岡本さんのおっしゃるような御不備な点は十分に考慮しなければいかぬ。そういう意味で、今後の運営状況等を十分考え合わして、そうして今後の補完設備というものをやっていきたい、かように関係省では考えておるようでありますから、徐々に、あるいは急速に改善せられることであろう、かように考えております。
  70. 岡本隆一

    ○岡本委員 運輸省の観光局長お尋ねいたしますが、箱根に観光センターをつくり、その中には国際会議場も設ける、こういうふうな意向の模様でございますが、どういう規模のものを、どういう目的でつくられるのか、お尋ねいたしたい。
  71. 深草克巳

    ○深草説明員 箱根の国際観光センターの問題でございますが、経緯を申しますと、昨年の暮れの予算編成のときにこの問題が起こりまして、政府といたしましては、国際観光センター、つまり国際会議場を中に含む国際観光センターを東京またはその周辺に設置する必要性があるかどうかという名目で調査費がついたわけであります。私どもとしましては、部内でございますが調査会を設けまして、中に部外の方もまじっていただきましていろいろ検討したわけでございます。  結論を申しますと、わが国の観光関係の国際収支は、外国へ行くことが自由化されまして以来非常に悪化をいたしております。それで、いろいろ海外の観光宣伝の強化をはかることはもちろんでございますが、国内の観光外客の受け入れ施設をより一そう魅力あるものにしなければいかぬという観点に立ちまして、現在国際観光ルートというものの整備方針がきめられておりますが、個々の国際観光ルートにそれぞれ特徴を持たせまして魅力的なものにするという方向でこの問題を検討したわけでございます。  御承知のように、最近の外客の観光の嗜好と申しますか、これは単に自然の景観とか文化財、こういったものを見るだけでございませんで、風俗習慣とか伝統芸術、それから工芸、こういったものを観賞するところまで至っておりまして、もちろんそういったものは各地に散在をいたして保存され紹介されてはおりますけれども、これを国際交通の、海でも陸でも最も近い玄関口に代表的な観光地にこれを集約して、名実ともにわが国の観光ルートの一つの拠点といたしたい。それからまた、国際観光ルートの中の一つのメッカにしたいという観点からこの問題を取り上げたわけでございます。それで、私どもの構想といたしましては、そこへ参りまして、外国のお客さんがこのセンターで日本のほかの行けない観光地のイメージを確認する、あるいはいまから出発する日本のほかの地域につきましての予備知識を得る、そういったことで、そこで一つの縮図を見ることによりまして、さらに予定していなかったけれどもここへ行ってみたいとか、あるいはもうちょっと日本にとどまりたいとか、そういった意欲をかき立てることにもなります。また、その付近で整備されましたレクリエーションの施設によりまして、日本滞在の魅力を満喫できる。それからもう一点は、一時上陸客というのがございまして、一日か二日しか滞在しないものが多数ございますが、短期間の滞在者に対しましても代表的な自然景観のほかに日本の全貌をながめていただく。それによりましてこの次は、ぜひ長い旅行を組みたいというようなことにもなるわけでございます。  そのほかに、国際会議場、これは中規模の国際会議場を考えておるわけでございます。国際会議には、御承知のようにその前後に大なり小なりのエクスカーションが伴うものでございまして、こういったところでやりますと、それが同時に解決できるというような問題、それから国際会議には奥さんを連れてこられる方が非常に多いわけであります。こういった人のだんなさんが会議をやっておるときのひまつぶし、そういったかっこうのレクリェーション施設が整えられる。そういった意味で非常に多目的なことを考えておるわけであります。  それからもう一点は、国民の国際観光についての認識が必ずしもまだ十分でございませんので、これらの施設を日本国民にも見せまして、特に青少年あたりにこれを見せますことによりまして、観光の理解を深め、将来の国際観光振興の地固めにしたいというようなことが骨子になっております。したがいまして、考え方といたしましては、国際観光センターというのが前面に押し出されておるわけであります。  それに国際会議場も中程度のものを併置するということで、国際会議場についても収容力約千人程度を考えております。それも非常に多目的に使えるような総合ホールみたいなことにいたしたいと思っております。そのほか国際会議場でいま一番問題になっておりますのは、やはり大会議場もそうでありますが、同じところに分科会のできる小会議場がほしいという要望が非常に多いわけであります。そういった点も加味いたしまして、五百人程度、あるいは二百人程度、五十人程度の部屋をそれぞれ併置する。  それから国際観光センターのおもな内容でございますが、日本の風俗習慣、学術文化の展示、博物館や美術館、こういった展示場でございます。それから日本古来の各種芸能の実演、伝統工芸品の制作実演、こういったような紹介場、それから日本の代表的な物産の陳列、観光案内所あるいは東南アジアの観光案内所、観光映画等を上映します映写室、そのほか野外音楽堂、庭園、駐車場、遊歩道、展望所、各種のレクリエーション施設、こういった構想を考えておりますが、どういった内容になりますか、その辺まではまだ詰めておりません。  それで、お尋ねのこれと京都の関係でございますが、議論をいたしましたときにも、京都の問題が出まして、せっかくできたのに京都と矛盾するようなかっこうではいけないというようなことで私どもも考えておりまして、特に国際会議と申しましても、先ほど外務省からも説明がございましたように、ほんとうの純粋の政府間の国際会議もございますし、あるいは民間団体の国際会議もございます。私どものねらいといたしておりますのは、むしろ民間団体の中規模程度の国際会議というようなことを考えておるわけでございまして、必ずしも京都と矛盾をいたさないのではないかということを考えております。私ども自体といたしましても、国際観光振興会というものがございまして、ここにコンベンション・ビューローというものをつくっております。京都市からも応援に来ていただいておりまして、国際会議場の誘致活動とともに京都のほうの利用を進めておるわけであります。
  72. 岡本隆一

    ○岡本委員 予算規模三十億くらいというふうなことを新聞には報道されておりましたが、その程度のものですか。
  73. 深草克巳

    ○深草説明員 先ほど申しましたようにまだ具体的なあれがはっきりきまっておりませんし、こういった国際観光センターでございますので、はたして国費を、いま申しました設備に全部つぎ込むべきかどうかという問題はこれからの議論になります。先般韓国に行ってまいりましたが、韓国には御承知のようにウォーカーヒルと申しまして、これは政府出資の団体が全部費用を出してつくっておるわけでございますが、   〔委員長退席佐野委員長代理着席〕  周辺のいろんな施設につきましては、地元の神奈川県その他でやはり相当の応援をいただかなければいけないということで、三十億という見当をつけましたのは、中の国際会議場あるいはそれに直接関係のある付属施設、そういったものは少なくとも国がやらなければならないということで、国のやる部分につきましてのみ一応考えたわけであります。決してまだはっきりした数字ではございません。
  74. 岡本隆一

    ○岡本委員 内閣官房副長官にお尋ねをいたしますが、いまのようなお話でありますと、これも先ほど外務省が言われたような内容の充実した会議場であるというふうに見ることもできない。中途はんぱなものを二つつくってそれが二つとも使えないから東京で従来の行き方でやっておるんだというふうなことでは、何のために京都に会議場をつくったかわからない、こういうことになってくると思うのです。それで、さきに新聞で副長官が談話を発表されたのか、あるいは問われてお答えになったのかどちらか明らかでございませんが、とにかく不十分な点があれば改善はしていかなければならぬ。さらにまた、これは国土総合開発計画の中でつくったものである。という意味は、やはり関西には観光資源が、ことに古文化財その他日本らしきものが京都、奈良方面には多い。だからそういうものを活用しつつ京都を国際会議の場にしていきたい、こういう考え方から国際会議場を設置したということになると思うのでございます。いま各省間でいろいろ話し合いをし、その調整の上で今後の方針が立てられるということになると思うのでございますが、総理府としては、それではいかなる見解をお持ちでございますか。せっかくつくったものが、京都にあるものがきわめて不備である。そこへまた三十億国費を投入して中途はんぱなものを箱根につくられる。結局どっちもどっちつかずで役に立たぬ、こういうようなことではこれはまた国費のむだ使いになると思うのです。それは箱根に観光センターをつくられるのもいいでしょう。いまの御趣旨を承りますと、決して私はそれに反対するものではございません。それはいいと思うのです。しかしながら中途はんぱなものばかり幾つつくってみたところで何にもならぬ。だからこれを早急に完成させることは必要であると思いますが、そういうような方向へ今後進んでいかれる御意思があるかないか、ひとつお伺いいたしておきたいと思うのです。
  75. 石岡実

    ○石岡説明員 いまお尋ねのところで、新聞に私の発言がどういうふうに出ておったか、私その点一はっきりいたしませんが、その点につきましては何とも責任のある御答弁ができないのでありますが、   〔佐野委員長代理退席、委員長着席〕 ただ、せっかく国際会議場ができたわけでありますから、これを極力利用するということはあらゆる機会に申しております。そういう形で、いま外務省からお話がありましたような、どうしても利用できない場合は別でございますけれども、そうでないときには逐次やってまいりたいと考えております。ただ、従来、これが御存じのとおり八月から完全機能を発揮するというようなこともありまして、こういう国際会議の問題ですから、かなり古くから交渉が出ておりまして、そういういきさつからどうしても京都に持ってこれないというふうなこともありますけれども、そういうことはそういうことといたしまして、できるだけ京都の国際会議場を利用するように、われわれとしては全面的にあらゆる機会に各省に働きかけておるわけであります。  ただ施設云々の問題につきましては、先ほどたびたびお話がございましたように、まだ若干動き出しただけの話で、大使館がないとか領事館がないとかいう問題は全然別で、それ以外の問題につきましては、もう少しあらゆる角度から検討していかなければならないということであります。ただ箱根の問題につきましては、いま運輸省からお答えがありましたように、これは観光というものを中心とした付属の国際会館というふうに承っておりますけれども、これもまだ固定的なものではございません。ただ全体的に申し上げるならば、日本にどんどん外国のお客さんが来て、国際会議場が京都でも箱根でも足りないんだという形になることを希望するわけでありますけれども、現実的な問題といたしますと、京都の国際会議場をできるだけ活用するように協力をいたしておるわけであります。
  76. 岡本隆一

    ○岡本委員 使えといっても不備で使えぬと外務省は言っておるのです。これは早急に使える程度に整備するということは当然だと思うのです。  そこで建設大臣お尋ねいたしますが、官房副長官は、できるだけ京都の会館を使うようにしたい、そういうふうにやっていきたい、こういうことですが、しかし使おうにも現実に使えぬと外務省は言っておるのです。ですから、使えぬものをどうにか早く使えるようにできるだけ充実していかなければならぬということになっております。最初とにかく、ことし日米合同会議に使ってみて、プレスハウスが小さくて、プレスハウスはプレスの部屋がございますが、あれではどうにもならぬ。プレスハウスをできるだけ早く建ててくれということを、この間、国政調査に参りましたときに館長が申しておりました。このプレスハウスは来年度つくられますか、いつつくられますか。プレスハウスを早くつくらぬと一そう活用されないということになるのです。
  77. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 いま岡本さんのお話のありましたプレス関係が窮屈だといいますか、不十分であるという話は、私個人も聞いております。そこで先ほど営繕局長からもお話がありましたように、三十二億というものは、一応会議をやるのに差しつかえない程度はこれでできる、しかしその後のことについては、なお運営状況等を見た上で、そこで積極的に検討しようということになっております。そういう関係から国際会議場の問題については各省連絡協議会というものが総理府に置かれております。したがって、先ほど来岡本さんから質疑のありましたことは、まことにごもっともな御質疑でありますから、これを総理府に伝えまして、そこで早急に検討して、少なくとも最小限度のことはなるべく早い機会にこれを実現して、国際会議場の機能を十分に発揮できるように十分な措置をいたしたい、かように考えております。
  78. 岡本隆一

    ○岡本委員 総理府に伝えてというが総理府はうしろで聞いておられます。運営状況を見た上で考えたい、こういうことでございますが、運営状況を見てこれでは使えぬ、こういうことになっておるのです。だから使えるようにしなければならぬということ、非常は切実に迫られておるということがはっきりわかっておるわけですね。だからこれは総理府と建設省とよく相談していただきまして、早急にひとつ使えるようにしていただくことをお願いいたしまして、この問題は一応打ち切りたいと思います。  もう一つ、きょうは土地区画整理の問題でお尋ねしておきたいと思います。  この前の、だいぶ前の委員会でございましたが、土地区画整理法についてお尋ねをいたしました。私はその節、大阪の駅前の区画整理の問題で住民負担が非常に過大であるから土地区画整理法というものには非常にいろいろな問題があるということを指摘いたしましたところ、いやそういうことはないのだ、住民負担はたいしたことはない、こういうふうな政府並びに大阪の区画整理担当の局長の答弁でございましたし、その後私のところへもいろいろな資料を持って説明に来られまして、一応大体清算金というような固定資産の評価額を基準にしてかけていくものだからたいしたことはない、こういうふうな説明で、そのように了解しておったのです。ところが最近東京におけるところの区画整理の、実例をいろいろ聞きました。それによりますと、非常に大きな負担が地域住民にかかってきて、みなもう弱り切っておるというふうな事情がわかってまいりました。たとえば渋谷で安田ミヤ子という人が借地を四十六坪しておった。それが戦災区画整理にあって十八坪減った。だから三九%、約四割土地を減らされて、そうして最近になって百二十万の請算金を払え、こういうことを要求された。また矢木庄司と、いう人は、五十六坪半と四十七坪半の合わせて百四坪の土地を二筆で持っておった。ところがその二筆の土地につきまして三十八坪余り、約三七%の減歩をされて土地を提供した。三七%土地を提供して、片一方は五十八万余りの還付金を受けておりますが、そのかわり片一方に二百七十八万の支払いが出てまいりまして、結局両方で二百二十万というふうな清算金の要求をされておる、こういうふうな状況でございますが、こういうふうに非常に住民負担が大きくなったのでは——土地は三割から四割も提供させられるわ、しかも百万、二百万というような膨大な清算金を支払わされる。これはその人の境遇、境遇によっていろいろでありましょう。どんどんその地域が開発されて、商売をしてそれでじゃんじゃんもうかるというふうなことになっていれば支払いは何でもないでしょう。しかしながらそれが普通の勤労者であったり、あるいはそれが、たとえば安田ミヤ子さんという女性がかりに未亡人で細々と暮らしていられるというふうなことであった、そういう場合にとてもそんな百万というようなお金は払えっこないということになってまいると思うのですよ。だから、土地区画整理ということの中には、こうした清算金その他の問題をめぐっていろいろな住民にとって耐えがたい問題が発生しているのじゃないか、こういうふうに思うのでございますが、その辺の事情をひとつ御説明願いたいと思います。
  79. 竹内藤男

    ○竹内説明員 御指摘になりました東京の事例は、戦災復興の区画整理事業でございます。御承知のように、区画整理をやります場合に減歩がございます。減歩をきめます換地計画を立てます場合に面積主義、地積主義でいくか、あるいは評価主義でいくか。地積をある程度従前の地積に近いもので与えるか。そういたしますと、いま問題になっておりますような清算金あるいは交付金ということで相当大幅に清算金の徴収というものはかかってくるということになってくると思いますし、それから従前の価値と同じような価値を与えるということに重点を置きますならば、面積のほうは増減ございますけれども、清算金徴収交付というものが少なくなってくる、こういうふうな関係になるわけでございます。現在、たとえば大阪一駅前等で戦災復興事業のあとやっております都市改造事業におきましては、最近は評価主義に近いやり方で換地計画を立てておりますけれども、戦災復興の場合には、とにかく早く家を建てなければならぬ。そのためには仮かえ地を早く指定しなければならぬということで、地積主義によりまして、しかもある程度画一的に面積をきめていったというような事情がございますために、ただいま御指摘になりましたような清算金あるいは交付金というものが大幅に出てくるという問題が生じたものと思われます。そういうようなことがまた突然出てきたというような問題につきましては、PRその他が足りないというような問題もあると思いますけれども、戦災復興事業、それから現在のやっております都市改造事業では、その換地のやり方がかなり違っておりますので、この前都市改造事業の場合に、あまり清算金は取られないというふうに大阪で言いましたのは、そういうような事情によるのでございます。
  80. 岡本隆一

    ○岡本委員 その地域でアンケートを出しているのですね。そうすると、だいぶ前のことでございますが、ほとんどの人が減歩をさせられたら清算金なんか要らぬものだ、こういうふうにみな思って区画整理に応じたわけです。ところが、いまになってばさっと大きな清算金がかかってきておるというふうなことから、支払う能力もなければ支払う意思もないというふうなことになっていると思うのでありますが、これはあくまで強制執行してでも取られるのか、あるいはそういうことになると、せっかく住んでいた人はその家をほうり出してまた別のところへ移っていくというふうにならざるを得ない。立ちのき料をもらって換地計画に基づいてせっかく家を建てた。それもおそらく立ちのき料が足りないから少し足し前をして建てていると思うのです。せっかく建てた家を今度また売ってどこかで借家住まい、アパート住まいをしなければならないというふうなことまで発生してくると思うのでありますが、そこまでしてでも区画整理というものはきびしい取り立てをやらなければならぬのか、これはやはり何らかの解決方法を考えられるべきではないかと思いますが、いかがですか。
  81. 竹内藤男

    ○竹内説明員 清算金の徴収につきましては、現在のところ五年間割賦で支払うという方法が認められておりますし、またその金利は六分というふうな低金利になっております。ただ、それだけの措置では相当多額の清算金がかかってきた場合にはなかなか処理できませんので、これは各地の実情に応じまして、たとえば三ヵ月とか、月賦支払いとするとか、ある場合によりましては法律上は国税滞納処分によって徴収もできることになっておりますけれども、延滞金を課さないで待ってやるとか、それは実情に応じて適切な措置をとるように指導してまいりたい、こういうことに考えております。
  82. 岡本隆一

    ○岡本委員 金利は六分といえば決して安いことはありません。これは商業ベースの金利にちょっと低いぐらいのことで、とても公共事業に応じたから、それで支払えない場合に払えという支払い不能の人に貸して負担させられる金利ではないと思うのです。こういう場合、建設大臣いかがでしょう。まあ各個に調査の必要があると思うのでありますが、支払い能力のある人、ない人、たまたまあると思うのです。そういうふうな場合には延滞金はもちろん免除する。それから段階によって、場合によれば金利も免除するというふうなこと、またそれに対して組合とかその他で財源が困る。金がそういうことでは、収支に穴があくということでは困るとすれば、やはり利子補給の道を講ずるとか、何らかの形で、戦災復興の区画整理のみならず、区画整理事業を国がやっていこうとしたならば区画整理によって現在ある程度都市改造が進められているのでありますから、そういうようなことをやるとするならば、やはりそういう道を早急に開かれる必要があると思うのでございますが、いかがです。
  83. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 お話のような事情がいろいろあると思います。また都市局長からもさような事情があることは認めているようであります。御承知のように法律の手段によってやっておるものでありますから、どの限界までさような岡本さんのおっしゃるような措置ができるかどうか、もちろんこれは考え方としては円満なる解決並びにそうした区画事業に協力なさったのでありますから、前向きでもってこの問題は処理するように当局においても十分取り計らうでありましょうし、私たちもそのつもりでこれを処理していきたい。いま直ちに利子補給をやるとかなんとかということも答えにくいのでありますけれども、少なくとも関係者がある程度満足し得るよう、そうしてまたこれが円満に解決できるような措置を研究してまいりたい、かように考えます。
  84. 岡本隆一

    ○岡本委員 ぜひそういう方法検討していただきたいと思うのであります。  テレビによく出ている桂小金治がテレビで何か区画整理のことを放送したらしい。桂小金治に来た手紙が回り回って私のところへ来ておりますが、これは福岡の例です。福岡で佐世茂子という四十一歳の未亡人、二十三歳で主人に別れて、それから女の子を育ててきた。六十三坪の土地を十五坪、二四%減らされて二十一万三千円の清算金がかかってきた。しかし、娘がやっと高等学校を出てつとめたところで、細々暮らしているのにこんな二十一万というような金はとても払えない。また最初から全然そんな話を聞いておらぬ。各地で清算金の話を聞くと、福岡の区画整理には非常に無理があって、反対同盟ができて、市のほうでも困って調査に行った。市会議員が調査に行ってまいりましたら、換地処分とかいろいろなやり方が日本一悪いということを市会で報告しておる、こういうようなことでございます。それにはいろいろのことが書いてございますが、建設省では福岡でもってこういう問題が起こっておるということを承知しておられますか。あるいはまたそれに対してどういうふうな対策を講じておられますか、伺いたい。
  85. 竹内藤男

    ○竹内説明員 福岡でそういうような問題が起こっているということは承知しております。それにつきましては市会のほうにそういうような請願が出まして、市会のほうでは市の案でやるというふうにきめておりますけれども、徴収のやり方につきましては大口の法人等につきましては徴収は早くするあるいは交付金はおそくするというようなことで、徴収のやり方につきましてはできる限り適切な措置をとっていくというような方針で交換が進んでおるということは聞いております。
  86. 岡本隆一

    ○岡本委員 時間がありませんから簡単に済ましていきますが、これは区画整理法自体に問題があるのです。これは昭和二十九年にできた法律です。だから地価がまだ比較的安定しておってこんなに暴騰しない時期に、御順に詰めてください、そして公共用地をつくってくださいというようなことで出発した。さら地であれば、田や畑で区画整理をやるなら区画整理も簡単に早く済みますからこれで十分いける。いまでもいけると思います。しかしながら比較的都市化したところで区画整理をやろうと思えば、立ちのき、家を移転しなければならぬ、いろいろ問題が起こるから、それの取りまとめに数年かかるということになりまして、その間に地価がどんどん上がっていくということのために最初のつもりとそれから終わる時分と非常な地価の開きが出てくる。そうすると清算金をどこできめるかということで問題が出てくるわけです。当初でありますとそのときの時価で考えております。時価でもってみな頭で考えています。ところが数年たった倍、三倍になっておるというような時点で清算金を計算すると非常な高額の清算金になって、いま申しました福岡の場合でも東京の場合でもみなそれなんです。だからもし清算金をきめるとするならやはりその起業の時点においてきめるようにしなければ無理なんです。大阪の場合でも一体清算金はどのくらい払わなければならぬのかと言って聞きますと、いやそれは事業が完了してきちんとなったときでなければわかりません、こういう返事以外全然清算金の見通しについてもおよそどの程度、たとえば十万円程度になるか二十万円程度になるか、少々のはしたやなには出るとしても、あるいは五十万、百万程度、その程度の数字すら全然明示されないというところに区画整理に応ずる、応じないということで住民の間にたいへんな不満が出るわけでありますが、これは区画整理法をそういった意味で今後改正していく必要があるのではないか。また都市がどんどん開発されておる、都市化されておるところでは、公共用地を生んでいくのに区画整理で生むことは無理だ。これはやはり立体交換でも併用していろいろな住宅投資なんかを含めた形の公共用地の生み出し方という新しい都市開発の方法というものを建設省としては早急に打ち出されるべきである。やりたいという意向があるということは存じております。そしてそういうふうな意見を出しておられることも聞いております。しかしながらそれが実際において日の目を見てこない。だからそういう方針を早急に出していただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  87. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 おっしゃるように期間のあるために地価の高騰という原因もあるようであります。また同時に、一つは区画整理をして公共用地、たとえば道路が広げられたといって利益を受ける人と利益のわりあいに少ない人との区別があります。たとえば店舗というようなものになれば、それは道路が少し広くなって人間が非常に歩行しやすくなったという人は、確かに地価の高騰が直ちに利益に反映してくる。ところがいわゆる住宅を専門とする人になれば、自動車で帰ってくるときに都合がいいかもしれないけれども、商人のような直接の利益を受け得ないというようなところに問題があるということであろうと思います。そういうことでいろいろな問題がありますが、しかしながら、いずれにいたしましても区画整理を行なって公共用地を広げられ、道路が整備され、下水道が完備するということは地価の高騰に対する一つの要因である。その要因となったものが利用されるかされないかという問題が他にある。店舗等は十分に利用されるが、住宅等はわりに利用されない。そこで受益者としての清算金の場合、いま岡本さんのおっしゃったようにどこを起点としてやるか。区画整理の終わったところとすれば十年間かかるから高い清算金になるというような御質問もあろうと思います。そういう意味でいま建設省では区画整理法の改正、あるいは都市計画法の改正ということを考慮しまして、もっと弾力的な措置のできるようなことも考えたいと思っておりますが、ただそういう法律が規定された場合に、地方公共団体が施行団体ですが、その範囲内において十分なるPRがいっていないということも一つの原因であろうと思います。これは土地だけ取られればいいのだというふうに解釈をされると考えておったのが、当然清算金というものであとで多少金も取られるということもあるいは不徹底であったということもあろうと思います。いずれにせよ受益者の立場によってそれに対する判断が違うということも一つの原因であろうと思います。その点十分に検討してまいりたい、かように考えております。
  88. 岡本隆一

    ○岡本委員 区画整理法にはいろんな矛盾があります。その矛盾の結果いろんな弊害が出てきております。  その例の一つといたしまして、新聞に出ておったのでございますが「区画整理に〃黒い霧〃」。これは日本政府に黒い霧が出ておるが、区画整理にも政府のまねをして黒い霧が出てきておる。これはことしの三月十五日だから早く出ています。政府のお先ばしりで出ておりますが、とにかくこういうふうなことで補助金を取って、それを組合の役員がお手盛りで分配しておったというふうな事件が出てまいっております。  それからまた、北区の田端でもって、区画整理の組合で補助金を途中で中間のボスが横領しておるというふうな事件が発生しております。これは法務省にお尋ねいたしますが、去年の一月に発生した事件であり、すでにことしの三月にその事情を具して告発いたしておりますが、捜査はどの程度まで行なわれていますのか、すでに起訴されましたのか、あるいはまだそこまでに至らないのか、その辺のところをお尋ねいたしておきます。
  89. 石原一彦

    ○石原説明員 法務省の刑事課長でございますが、御説明申し上げます。  ただいま先生のおっしゃいましたように、本年三月三日に江川という方と本田という方から告発があり、それから三月十日に、被害者だと思いますが、増子という方から告訴がございました。事案は非常に複雑なようでございまして、罪名は横領、詐欺、恐喝、私文書偽造、同行使、印章偽造、背任——いずれに当たるか非常に捜査にも苦労しておるようでございますが、目下東京地方検察庁で鋭意捜査中でございますが、処分はもう少しお待ち願いたいということでございます。
  90. 岡本隆一

    ○岡本委員 この告発状を読みますと、また、おそらく本人が検察庁でやった口述であろうと思いますが、その口述を読みますと、とにかく悪質なことをいたしております。この区画整理組合から、借家人でありますから営業補償、移転補償、そういうようなものとして四十七万円ですか、もらうことになっておる。ところが、その区画整理組合の職員と一緒に増子本人の家へやってきて、どうだおまえ、十七万円で応じるなら立ちのき料をやる、そうでなければ一切補償なしに強制執行でほうり出すぞ、こういうようなことを職員を連れてまいりまして言って、その場で全然金額の記入していない書類に判こを押させて、そうしておそらくその場で職員から封筒入りの金を受け取って、四十七万円入りの封筒であろうと思うのですが、その中から十七万円だけ払うて残りをぱくっていった、こういうような事犯なんですね。これはあとで、その事実がほんとうかどうか捜査願わなければならぬと思うのでございますが、非常に悪質なことをやっている事犯であります。この区画整理事業というものは次々と進んでいく。その場合、区画整理事業の中にこういうふうな悪質なボスが発生し、悪質な人間が介在してまいりますと、善良な住民はどんどん区画整理で利用されてひどい目にあっていくということになりますから、これは法務省としてもこういう問題をあまり長く放置しておかれるということはよくないと思うのです。  それで最近、その後の新聞の報道でも、ことしの五月に、池袋の区画整理審議会の委員の選挙で、「供応・買収大っぴら」「ルールなしの〃力相撲〃」という見出しで、「〃変な選挙〃」「町は大騒ぎ」というので、こんなに大きな写真入りの記事が出ております。こういうふうなことで、区画整理組合というものは、諸種の権利者間に利害の関係が非常に大きい。だから、その利害の関係が大きいから勢いその中にボスが介入し、この審議会委員になることが供応、買収をやっても得がいくというふうなことで、いまの自民党の選挙みたいな調子ですわ。だから、とにかくこういうふうなものになるということがもうかるというふうなことから、こういう事件が出てくると思うのですね。(松澤委員「取り消せ、委員長取り消させろ」と呼ぶ)だから私は、こういうふうな一連の区画整理をめぐるところの黒い霧というものを一掃される必要があると思うのです。この際大きな黒い霧ももちろんふき払ってもらうためにうんとがんばっていただかなければなりませんが、こういう町にはびこるところの、公共事業に伴うところの黒い霧というものもひとつ検察当局では大いに馬力をかけてやっていただきたいと思うのでございますが、いかがでしょう。
  91. 石原一彦

    ○石原説明員 先生の御趣旨はよくわかりました。御承知のとおり、検察庁はことし非常に忙しく大きな事件をやっておりまして、実はその大きな事件は主として特捜部でやるわけでございますが、直接告発もしくは告訴のあった事件につきましても特捜部がやっておるわけであります。人手不足その他もございまして、ややおくれておる感があるかもしれませんが、手があき次第捜査を早く進展させるものと存じますので、もうしばらくお待ち願います。
  92. 田村元

    田村委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  93. 田村元

    田村委員長 速記を始めて。
  94. 岡本隆一

    ○岡本委員 建設省自身、こういうような区画整理組合の中に黒い霧が発生してきておるということは、新聞記事なんかをごらんになってよく御承知だと思うのです。   〔委員長退席、松澤委員長代理着席〕 だから、検察当局にまかすだけでなしに、建設省自身が乗り出していって、適正な指導をやり、間違っておるところは矯正させるようにしなければならぬ。それを全然やっておらない模様ですが、どういうことですか。ほんとうはこういうことを御承知で、そういうようなことをやっておるのはいかぬではないかということを指摘して、そういうような組合の粛正に乗り出しておられるのでしょうか。そうではないのですか。どちらですか。
  95. 竹内藤男

    ○竹内説明員 区画整理組合の監督は法律上都道府県ということになっておりますので、従来は建設省が直接組合に乗り出しまして調査をしたり検査をしたりするということはやっておりません。ただ、第一次的な監督機関である都道府県知事に対しまして検査をし、そうしてそれに基づいて必要があれば告発等の措置をとるようなことを今後十分指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  96. 岡本隆一

    ○岡本委員 大体この田端の区画整理組合は、設立のときにもうすでに印鑑を偽造したり不法なことをやって設立されておる。早くに一ぺんやろうといって判こをとった。ところが、それが話ができなかったからまたあらためて別な地域を少し変更して組合を設立した。だから、二回目の地域を変更して組合を設立するときにはもう一ぺん承認を求め直さなければならないのに、前の一度とった同意書をそのまま日付だけかってに書きかえて流用しておるというような、いわば一種の文書偽造でありますが、こういうことをやって、住民が知らないままに組合がつくられておる。その上に立っていま言ったような不正事件が発生してきておるというところに私は非常に重要な問題があると思うのです。だから建設省で、もっと土地区画整理事業というものが公正に行なわれ、そして住民が十分了解し得るというふうな形で清算金その他の収支が行なわれる。そうしてまたこういうふうな非常に過酷と思われるような清算金を課するようなことがないように、また支払いが不可能な者については何らかの救済の措置をやはり考える必要があるのじゃないか、こういうふうに思うのでございますが、建設大臣から最後にお答えをいただきたいと思います。
  97. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 先ほど竹内局長からお答え申しましたように、第一義的な監督権は都道府県知事にある。しかしながら政府の金が支払われるのでありますから、都道府県知事に対して、いま申したような事実があることは、公共事業推進の上から結果的に最も障害になることでありますから、十分に地方団体の長を督励すると同時に、いま申したようなことがないように今後万全の措置を講じたい。  なお清算支払い等のことにつきましては、お話のように十分に研究して善処してまいりたい、かように考えております。
  98. 岡本隆一

    ○岡本委員 終わります。
  99. 松澤雄藏

    ○松澤委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十二分散会