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1966-07-29 第52回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年七月二十九日(金曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 田村  元君    理事 井原 岸高君 理事 廣瀬 正雄君    理事 岡本 隆一君 理事 川村 継義君    理事 下平 正一君      稻村左近四郎君    大野  明君       木部 佳昭君    福永 一臣君       湊  徹郎君    森山 欽司君       山本 幸雄君    渡辺 栄一君       井谷 正吉君    金丸 徳重君       神近 市子君    三木 喜夫君       山本 幸一君    山下 榮二君  出席国務大臣         建 設 大 臣 瀬戸山三男君  出席政府委員         建設事務官         (大臣官房長) 鶴海良一郎君         建設事務官         (都市局長)  竹内 藤男君         建 設 技 官         (道路局長)  蓑輪健二郎君  委員外出席者         建 設 技 官         (河川局砂防部         長)      木村 正昭君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     内田  襄君     ――――――――――――― 七月二十九日  委員三木喜夫君及び山中日露史辞任につき、  その補欠として神近市子君及び山本幸一君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員神近市子君及び山本幸一辞任につき、そ  の補欠として三木喜夫君及び山中日露史君が議  長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 七月二十二日  主要地方道岐阜揖斐川木之本線等国道昇格に  関する請願宇野宗佑紹介)(第四〇号)  自転車専用道路法制定に関する請願竹内黎  一君紹介)(第五五号)  幹線高速道主要地域自転車専用道路建設に  関する請願竹内黎一君紹介)(第五六号)  公団住宅集会所使用料値上げ反対に関する請  願(大出俊紹介)(第七二号)  同(島上善五郎紹介)(第七三号)  同(野間千代三君紹介)(第七四号)  同(山花秀雄紹介)(第七五号)  同(長谷川正三紹介)(第七六号)  公団住宅家賃及び集会所使用料値上げ反対に  関する請願中村高一君紹介)(第七七号)  公団住宅空家家賃及び集会所使用料値上げ反  対に関する請願平林剛紹介)(第七八号) 同月二十三日  長野県の地方道に対する道路改良事業拡充に  関する請願小川平二紹介)(第一〇一号)  同(唐澤俊樹紹介)(第一〇二号)  同(吉川久衛紹介)(第一〇三号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第一〇四号)  同(小坂善太郎紹介)(第一四〇号)  同(増田甲子七君紹介)(第一四一号)  同(松平忠久紹介)(第一四二号)  公共土木施設災害復旧事業早期完成に関する請  願(小川平二紹介)(第一〇五号)  同(唐澤俊樹紹介)(第一〇六号)  同(吉川久衛紹介)(第一〇七号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第一〇八号)  同(小坂善太郎紹介)(第一四三号)  同(増田甲子七君紹介)(第一四四号)  同(松平忠久紹介)(第一四五号)  中、小河川改修促進に関する請願湊徹郎君紹  介)(第一四九号)  国道一三号線栗子隧道換気施設設置に関する  請願湊徹郎紹介)(第一五〇号)  公団住宅空家家賃及び集会所使用料値上げ  反対に関する請願(林百郎君紹介)(第一五四  号)  公団住宅家賃及び集会所使用料値上げ反対に  関する請願川上貫一紹介)(第一五五号) 同月二十五日  公団住宅家賃及び集会所使用料値上げ反対に  関する請願本島百合子紹介)(第二〇一  号)  公団住宅空家家賃及び集会所使用料値上げ反  対に関する請願門司亮紹介)(第二〇二  号)  長野県の地方道に対する道路改良事業拡充に  関する請願中澤茂一紹介)(第二〇三号)  同(原茂紹介)(第二〇四号)  公共土木施設災害復旧事業早期完成に関する請  願(原茂紹介)(第二〇五号)  同(林百郎君紹介)(第二〇六号)  同(中澤茂一紹介)(第二〇七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月二十五日  市町村道採択基準改定等に関する陳情書  (第五二号)  明石・鳴門ルートによる連絡橋架設に関する陳  情書  (第五三号)  同(第一一三号)  建設業法に関する陳情書  (第五四号)  地盤沈下対策に関する陳情書  (第五六号)  水資源開発公団の理事増員に関する陳情書  (第五七  号)  淀川右岸堤防強化に関する陳情書  (第五八号)  水道事業に対する国庫補助金交付に関する陳情  書(第  五九号)  古都における歴史的風土の保存に関する特別措  置法の政令に基づく区域指定促進等に関する陳  情書(第八四号)  国道五五号、五六号、一九二号、一九四号及び  一九五号線の整備促進に関する陳情書  (第一一  四号)  国土開発幹線自動車道四国縦横貫道早期実現  に関する陳情書  (第一一五号)  瀬戸大橋の早期建設に関する陳情書外一件  (第一一六号)  低家賃公営住宅建設戸数増加に関する陳情書  (第一二二号)  市道の整備促進等に関する陳情書  (第  一三〇号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  参考人出頭要求に関する件  河川に関する件(砂防ダム工事問題)  都市計画に関する件(東京都外郭環状線問題)  道路に関する件  請願   一 主要地方道岐阜揖斐川木之本線等国道     昇格に関する請願宇野宗佑紹介)(     第四〇号)   二 自転車専用道路法制定に関する請願     (竹内黎一君紹介)(第五五号)   三 幹線高速道主要地域自転車専用道路     建設に関する請願竹内黎一君紹介)(     第五六号)   四 公団住宅集会所使用料値上げ反対に関     する請願大出俊紹介)(第七二号)   五 同(島上善五郎紹介)(第七三号)   六 同(野間千代三君紹介)(第七四号)   七 回(山花秀雄紹介)(第七五号)   八 同(長谷川正三紹介)(第七六号)   九 公団住宅家賃及び集会所使用料値上げ     反対に関する請願中村高一君紹介)(     第七七号)  一〇 公団住宅空家家賃及び集会所使用料値     上げ反対に関する請願平林剛紹介)     (第七八号)  一一 長野県の地方道に対する道路改良事業の     拡充に関する請願小川平二紹介)(     第一〇一号)  一二 同(唐澤俊樹紹介)(第一〇二号)  一三 同(吉川久衛紹介)(第一〇三号)  一四 同(羽田武嗣郎紹介)(第一〇四号)  一五 同(小坂善太郎紹介)(第一四〇号)  一六 同(増田甲子七君紹介)(第一四一号)  一七 同(松平忠久紹介)(第一四二号)  一八 公共土木施設災害復旧事業早期完成に関     する請願小川平二紹介)(第一〇五     号)  一九 同(唐澤俊樹紹介)(第一〇六号)  二〇 同(吉川久衛紹介)(第一〇七号)  二一 同(羽田武嗣郎紹介)(第一〇八号)  二二 同(小坂善太郎紹介)(第一四三号)  二三 同(増田甲子七君紹介)(第一四四号)  二四 同(松平忠久紹介)(第一四五号)  二五 中、小河川改修促進に関する請願湊徹     郎君紹介)(第一四九号)  二六 国道一三号線栗子燧道換気施設設置に     関する請願湊徹郎紹介)(第一五〇     号)  二七 公団住宅空家家賃及び集会所使用料値     上げ反対に関する請願(林百郎君紹介)     (第一五四号)  二八 公団住宅家賃及び集会所使用料値上げ     反対に関する請願川上貫一紹介)(     第一五五号)  二九 同(本島百合子紹介)(第二〇一号)  三〇 公団住宅空家家賃及び集会所使用料値     上げ反対に関する請願門司亮紹介)     (第二〇二号)  三一 長野県の地方道に対する道路改良事業の     拡充に関する請願中澤茂一紹介)(     第二〇三号)  三二 同(原茂紹介)(第二〇四号)  三三 公共土木施設災害復旧事業早期完成に関     する請願原茂紹介)(第二〇五号)  三四 同(林百郎君紹介)(第二〇六号)  三五 同(中澤茂一紹介)(第二〇七号)      ――――◇―――――
  2. 田村元

    田村委員長 これより会議を開きます。本日の請願日程全部を一括して議題といたします。各請願につきましては、文書表等により、委員各位もその内容は御承知のことと存じます。また先刻の理事会におきまして、理事各位に検討願ったところでありますので、この際、各請願について紹介議員よりの説明聴取等は省略し、直ちに採決いたします。請願日程中、日程第一、第三ないし第八、第一一ないし第二六及び第三ないし第三五、以上の各請願は、いずれもその趣旨は適切妥当と認められますので、衆議院規則第百七十八条の規定により、採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、以上の各請願に関する報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  5. 田村元

    田村委員長 なお、本委員会参考送付されました陳情書は、お手元に配付してありますとおり十四件でありますので、御報告申し上げておきます。      ————◇—————
  6. 田村元

    田村委員長 次に、閉会審査に関する件についておはかりいたします。  今国会が閉会となりました後も、  国土計画に関する件  地方計画に関する件  都市計画に関する件  河川に関する件  道路に関する件  住宅に関する件  建築に関する件  建設行政基本施策に関する件  以上の各件につきまして、議長閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、議長閉会審査申し出をすることに決定いたしました。     —————————————
  8. 田村元

    田村委員長 次に、閉会中の委員派遣に関する件についておはかりいたします。閉会審査案件が付託されました際、審査のため、現地調査を行なう必要が生じた場合の委員派遣承認の申請に関しましては、すべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  10. 田村元

    田村委員長 河川に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。山本幸一君。
  11. 山本幸一

    山本幸一委員 冒頭質問をやらせていただいて恐縮です。皆さんにお礼申します。私が御質問申し上げるのは、この前の建設委員会岐阜県の根尾川筋におけるダム建設についてそれぞれ手抜きがあるということで御質問申し上げて、その後建設省から約二十日前後にわたって調査検査を願ったわけです。   〔委員長退席井原委員長代理着席〕  そこで率直に申し上げると、昨日砂防部長からその報告書をちょうだいいたしました。したがって私はあまりくどい御質問をしないで、主としてこの報告書に基づいてきわめて簡潔に御質問を申し上げたいと思うわけです。  この前も申し上げたように、結論から申し上げると、岐阜県には私どもが心配するような砂防工事ダム工事、そういうものがたくさんあるように思います。したがって本件については建設省におかれてもできるだけ今後すべてにわたって、調査とはいいませんが、ある程度下見くらいはして、全体的に見てダム砂防等についての危険のないような措置を御検討いただきたい。したがって私が御質問申し上げることについてはそういう意味おいてもひとつ誠実な御答弁をいただきたいと思うわけです。まず本来なら部長から報告書をそれぞれ御説明願うわけですけれども、暑いときですから、私からこの報告書に基づいて申し上げてみたいと思います。  第一に、問題の和井谷ダムですが、これは報告書によりますと表面コンクリートについては堤体表面が非常に粗悪風化しているということばに尽きておると思います。それから第二番目の堤体内部につきましては、コンクリート水通部から左岸にかけて施工が非常に粗雑であって、つき固めが全くしていない。それから空隙の存在があり、骨材分離が認められる。こういうことに要約できると思います。それから三番目は、注水試験の結果ですが、表面を除いて全部漏水している。堤体全部に空隙がはなはだしい。これに尽きておると思います。  そこで建設省として結論として出しましたものは、表面コンクリート風化を放置すれば深部に達するので、したがって風化部分を全面的に取り除いて腹付けを行ないたい。天端に対しては袖部水通部に被おおいをする必要がある。それから堤体内部全体に十分グラウト注入を行なう必要がある。こういう結論をお出しであります。  それから問題の能谷ダムでありますが、これもやはり要約してみますと、表面コンクリート堤体表面が非常に粗悪風化がはなはだしい。和井谷より風化がなお進行している。原因は和井谷と一緒である。堤体内部については玉石混入量コンクリート量とも不足している。表面は〇・三メートル——一メートル程度を除き非常に粗雑で土砂、石礫木材等混入があり、各所に空隙がある。それから注水試験の結果は漏水が全体としてはなはだしい。堤体内部空隙はきわめて危険なものである。こういうことが要約されます。  そこで建設省で出された結論としては、堤体内部不良部分に相当するコンクリート量をもって堤体全部の被おおいをする。内部グラウト注入をする。この場合風化部分を取り除き下流面二メートル、上流面一メートル、天端〇・五メートルのコンクリートで被おおいの上、内部グラウトを注入する。こういう結論が出ておるわけです。  そこで、私がお尋ねしたいのは、まずこの結論は間違いございませんね。
  12. 木村正昭

    木村説明員 その結論はそのとおりでございます。
  13. 山本幸一

    山本幸一委員 そうすると、いまの二つ堰堤結論による両ダム補強工事をおやりになる、そういうことですね。その場合の費用はどれくらいかかるのですか。
  14. 木村正昭

    木村説明員 これはきちんと設計してみないとはっきりした数字は申し上げられませんが、私どもで概算したところによりますと、約七百万ぐらいかかるんじゃないかというふうに考えております。
  15. 山本幸一

    山本幸一委員 さらに二、三お尋ねしたいのですが、いまの要約した報告書によれば、これは明らかに不良工事であった。まあ形容詞はどう使いますか、不良工事であった。それから手抜き工事であったと認めていいのですか。
  16. 木村正昭

    木村説明員 おっしゃるとおり施工が不良な部分があり、それからコンクリートについては幾らか手抜きがあるというふうに考えられます。
  17. 山本幸一

    山本幸一委員 部長としてはなるべくきびしくないことばを使っているわけですけれども、私が見て全体として仕様書には沿っていない。逆に言うならば、仕様書に反している、こういうふうに思うわけですが、その点いかがですか。
  18. 木村正昭

    木村説明員 仕様書どおりなものができていない部分があるということは確かでございます。
  19. 山本幸一

    山本幸一委員 そうすると、先ほど申し上げたように、この工事仕様書どおりにできていない。明らかにそれは仕様書に反しているのですから、正しい工事でなかった。いわば一部手抜きがあった、こういうふうに認めて決して差しつかえないと思います。それからもう一つは、この工事を完成させるまでには、一期、二期、三期、四期とそれぞれ県が立ち会って検査をいたしております。この検査がきわめて無責任な検査であった、こういうことが言われると思うのですが、その点はどうお思いでしょうか。
  20. 木村正昭

    木村説明員 県が検査する場合、ボーリング等をやって確認するという方法は従来とっておらなかったようでございます。したがいまして、内部につきましてははっきりした確認をしないで竣工検査をしておるというふうに聞いております。
  21. 山本幸一

    山本幸一委員 部長の御答弁検査が十分でない、こういう御答弁であることは明らかだと思います。私が冒頭に申し上げたように、これは氷山の一角であって、岐阜県にはこういう工事が非常に多いということです。他府県のことは存じません。したがって、私ども理想どおりに御要求申し上げると、ひとまず岐阜県のこの種の工事について調査を願いたいと思います。しかし、それは現実にはむずかしいことですから、そういうむずかしい要求はいたしませんが、少なくとも機会があればやはり下見ぐらいはなすったほうがいいんじゃないか。そうして災害防止に力を注いでいただきたい、こういうことをまず私は希望として申し上げます。もちろん、この希望はぜひやっていただきたい、こういうことです。  ですから、二つ堰堤についてはもはや議論の余地がありません。私どもが指摘したとおり、不良工事であり、手抜き工事であり、仕様書に反した工事である、そのために補強工事をするには七百万の金がかかる。七百万分だけ手抜きしたんだ、七百万分だけいわば完全な工事でなかった、こういうことを裏書きしておるのですから、そういう点で至急にこの補強をおやりいただきたいと思います。  それから第二の問題は、私どもの一番問題にしておりまする東谷調査です。この東谷調査の結果の前に、私は仕様書を拝見しましたので、念のために少し仕様書内容を抽出して申し上げて御返事を承りたいと思います。  つまり一期工事昭和三十二年七月十六日から三十三年三月三十一日まで、二期工事が三十三年八月二日から三十四年三月二十三日まで、こういうことになっております。この堰堤工事仕様書によれば、玉石コンクリートの割合は五対五とこうなっております。しかし、実際の説明によると、この五対五の分量の計算は実際は三対七ぐらいになるそうです。玉石が三、コンクリートが七。玉石玉石の間に空間があります。したがって、その間にコンクリートを詰めますから、五対五といっても、実際は三対七、こういうことであります。さらに規定によりますと、この工事に使う玉石東谷堰堤から約十キロほど離れた西谷からこれを採取し運ぶことになっております。これは全然この西谷玉石が使われていない、こういう事実でありますが、仕様書がこのように規定されているという点の、事実についてのお答えと、それから建設省が今度の調査の過程で、仕様書規定されている玉石の個所から運ばれたかどうかこういう点をひとつ御説明願いたいと思います。
  22. 木村正昭

    木村説明員 東谷堰堤につきまして、ただいま山本先生からコンクリート玉石の量が五対五になっているとの御指摘はそのとおりでございます。ただ玉石コンクリートを五対五でやりますためには、玉石五に対しましてコンクリート七使わなければ五対五にならないということであります。設計もそういうふうになっているはずでございます。  それから、玉石につきましては、西谷から運んだかどうか、その事実は実ははっきりしないのでございますが、ボーリングいたしましてコアを取った結果、その玉石の質をいろいろ調べたのでございますが、質としては玉石として十分なものが入っている、ただ一、二粘板岩が入っておったというふうに聞いております。
  23. 山本幸一

    山本幸一委員 部長写真をお渡しします。これは東谷工事工事中の写真です。この写真提出者建設省につとめておられた一柳正雄さんです。この写真を見ると、玉石ばかりでなく、付近の岩石が混入されている。写真が事実を物語っております。それをひとつ参考に見ていただきたい。   〔山本幸一委員木村説明員写真を示す〕  それから、東谷報告書を要約しますと、表面コンクリートについては漏水があるけれども比較的良好である。表面については良好である。こういう結論です。それからボーリング調査については、玉石混入量は特に不良とは認められない。玉石の品質については、一部いま御説明のあったように玉石にあらざるものが混入されている。それから、一部骨材分離によるコンクリートの不均質及び空隙部分的に認められる。こういう説明をされております。それから注水試験の結果については、漏水の事実が認められる。ボーリングの際の注水は、表面平均一メートルを除いては全部漏水している。それから堤体内部には空隙がある。大体こういうふうにまとめていらっしゃいます。  それから、私ども要求いたしました、その堰堤前庭部が非常にえぐられているという問題で潜水夫を入れていただきたい、この要望どおり建設省では潜水夫を入れていただきました。それによりますと、結局そのえぐられている部分については、深さ約四メートル、奥行きが二・五メートル、こういうことであります。これは落下水及びその断層破砕帯の影響と思う、こういう結論が出ております。  したがいまして、この報告書の今後の措置については、建設省側のまとめられたものは、堤体内部空隙に十分にグラウト注入をする、それをしなければいけない、こういうことが一つ。それから前庭部の洗掘、いまのえぐられた部分については早急に保護対策が必要である、どういうことを指摘していらっしゃるのでございます。いま私が報告書を要約した点は、大体間違いありませんか。
  24. 木村正昭

    木村説明員 そのとおりでございます。
  25. 山本幸一

    山本幸一委員 そこで、私はひとつこの問題について質問を申し上げたいのですが、表面漏水があるが比較的良好だ。比較的良好というのは完全という意味ですか。あるいは完全でないという意味ですか。ちょっとお尋ねしておきたいと思います。
  26. 木村正昭

    木村説明員 完全か不完全かという割り切り方は非常にむずかしいのでございますが、表面コンクリートはそれほど悪くない、不完全なものでない、こういう意味でございます。
  27. 山本幸一

    山本幸一委員 それからコンクリートが不均質である。なおその空隙をつき固めをしていない。この二つを指摘していらっしゃるわけですね。コンクリートが不均質であるということは、私どもがかねがね指摘したように、官給品セメントを使っていないということです。これは実はお役所の人が証人ですから、お役所の人の名前をあげることは差し控えます。差し控えますが、事実官給品セメントが他に流れておる現場を、私ども写真にとっております。しかもそれを発見しておるのは、お役人の中でも警察官ですから、したがって私は名前をあげません。こういうことから官給品を全部使っていない。したがって不均質だということになると思います。  それから空隙に対してつき固めをしていない、これはいわば玉石を一応並べて、玉石玉石の間につき固めをすべきものを、並べてその上から単にコンクリートを流し込んだにすぎない、それの繰り返しをずっと重ねたにすぎない、こういうふうに思われるのですが、この点はいかがですか。
  28. 木村正昭

    木村説明員 コンクリートが非常に不均質だということは、セメント量の不足によるものもあるかもしれませんが、一応シュートで流します関係で、シュートで流したものを十分につき固めすればそこで均質になるわけでございますが、おそらくつき固めが十分でなかったということが考えられます。  それから空隙が多いということは、先生のおっしゃるように玉石を並べて上にコンクリートを打ったということとあわせまして、つき固めを十分にやっていない。バイブレーターその他を使ってやればかなりコンクリート空隙に入ってきまして、先ほど申しました均質なものができ、なお空隙もなくなるというものでございますが、その辺が少し手抜かりになっているというふうにも考えられます。
  29. 山本幸一

    山本幸一委員 それから潜水夫調査を願ったのですが、先ほど申し上げたように、その原因は、落下水並びに断層破砕帯の影響である、こういうふうに指摘していらっしゃいますが、私ども調査によると、この部分は最初から一間幅ほどの空間がありました。最初からあったのです。そこで工事請負人は付近の岩を持ってきてそれに詰めておる、こういうことを証言しておりますが、その点は御調査なすったですか。
  30. 木村正昭

    木村説明員 下流の洗掘につきましては、実は地質の専門家を現地にやりまして、地質的にもよく調べてもらい、なおボーリングをした一番基礎部のコアから判断したのでありますが、基礎部は非常に良質な岩盤にくっついておるということは間違いございません。それから地質的な調査によりますと、断層線が走っておるところはどうしても掘れやすいということで、その断層線を堰堤をつくるときに見落としておったということはあると思いますが、もとから掘れておったからいまも掘れておるのだということについては、ちょっと確認はできなかったようであります。
  31. 山本幸一

    山本幸一委員 見落としておったことは事実であろうという説で大体私もわかると思うのです。見落としがあったということは間違いがないと思います。  そこで私は部長に念のために、私どもが証人、証人と言いますから、具体的に証人の証言を少し読み上げてみます。これはいつでも国会に来る人です。これ以外に数人おります。けれども時間の関係で二人だけ読み上げてみます。こういう証言をしております。  土田信夫、これは根尾村、現地の製材工です。これが堰堤工事に雇われております。  私は、東谷堰堤で一期、二期の工事中働いていました。仕事は、一期のときは床掘りののみの先持ち、二期のときは型込みをやりました。それから一期、二期の工事中、底に岩盤が出てこなかったので端から岩を持ってきて——端からというのは周辺のことを言っております。岩を持ってきて埋め込んで岩盤に見せかけました。こうはっきり証言しております。  それから四番目は、両側の形押しから二尺くらいはコンクリートを入れたが、その内側は全部玉石と山石を入れて中埋め石としました。こういうふうに証言しております。  五番目は、使用した石は、一期工事中は玉石を多く使ったが、二期工事のときは詰め掘りの岩や、奥より船で運んだ山岩をもって大部分を埋めました。もちろん一期工事のときに床掘りをした岩石はこの中埋め石に使いました。こういうふうに言っております。  六番目は、この岩石の層を八十センチくらい積み上げ、その上にコンクリートを流し込んだ。先ほどの部長の御指摘のとおりです。  七番目は、このコンクリートの上にまた岩石を八十センチくらい積み上げて、またコンクリを十か二十センチほど流し込むという工法を繰り返しました。これも私や部長が指摘したとおりです。検査のときは——検査とは県の検査を言っております。検査のときは、コンクリート表面にところどころ玉石が点々と頭を出しているところを写真にとって、受けたかっこうになっております。検査が済むと、またさきのやり方を繰り返して積み上げてまいりました。こういうふうに土田信夫君という人、三十二歳の製材工、当時雇われた人は証言しております。  二番目の証言は、青木正義、四十二歳、これは根尾村の市場におられる労働者です。  私は、東谷堰堤工事中、初めから終わりまで従事しました。仕事は石運び、コンクリート打ち等で働いておりました。石は、玉石は一部使用したのみで、多くは付近の岩石をもって玉石がわりに使った。付近の岩石は私が船に積んで運びました。それは私がいまお見せした写真にあるとおり。玉石以外の岩石はたくさんあるということであります。付近になくなったので上部——上部とは堰堤の上部をさしておりますが、約二百メートルほどの右岸の山腹にハッパをかけて岩を採石しました。それでこれを使いました。こう証言しております。  五番目は、一期と二期の工事の大部分の中埋め石はこれらの岩であります。  六番目は、表面なんかには西谷川の能郷、長嶋の下流から採石した石を使っております。表面というのはわかりやすいところ、そういうことを言っておるのであります。  七番目は、工事のやり方は土田さんの述べられたとおりである。形押しは一メートルのものを使った。それで形押しのそば五十センチから八十センチくらいはコンクリートを入れたが、中の大部分は雑石で埋め、上面にコンクリートを流し、済むとその上にまたこれを繰り返しました。こう言っております。  この二人の証言は、いつでもこれは国会へお呼び願ってけっこうだと本人が言っているのですから、必要ならばお呼びいたしますけれども、明らかに規定どおりの玉石を使っていない。それから部長が指摘したとおりに、玉石玉石の間につき固めをしていない。いわばコンクリートを張り込んだだけでそれを繰り返している。こういう点がたいへんな手抜きである、こう私は思いますし、玉石も、この証言にありましたとおり、西谷川から運んでいない。玉石すらも運んでいない。そればかりでなく、ハッパをかけてその岩石を混入さしておる。こういう点を明らかに証言しております。これは参考のために私は読み上げましたので、あなたのほうに差し上げます。  こういう点からいくと、私は先般ボーリング中に一回現地を拝見いたしました。ボーリングは約四カ所ほどやっておりましたが、残念ながら私どもが一番拝見したいという、一期、二期工事、それは下部のほうです。その部分ボーリングは、その下部の一番端に当たる部分しかボーリングしておりませんでした。したがって中央のボーリングは全然なされていない。そのなされなかった理由は、出水期でありますから危険だということで、ボーリングをなすっていない。ところが私はこの間も申し上げたように、日本は災害国であって不幸な国である。それだけに災害を防止するととは政治の最大の任務である、こう申し上げたのですが、出水期にもし不可能なら、渇水期を待って中のボーリング、中央のボーリングを今後おやりになるかどうか。それからいま一つは、申し上げたようにそれだけの証言が出ておるが、これは明らかに手落ちの工事である、こういうふうに認められるかどうか。そういう点をひとつお答えいただきたいと思います。
  32. 木村正昭

    木村説明員 ボーリングの場所につきましては、実は調査団が参ります前に検討したところでは、先生のおっしゃるように放水路の中央で掘るという計画をつくって現地に参ったのでございますが、たまたま梅雨の出水期でございますし、御承知のように堰堤の放水路からとうとうと水が落ちております。そこへ足場を組んでやるということは非常にいま危険を伴うということで、次善の策といたしまして、ことに右岸のほうが漏水が非常に多いということから、むしろ右岸の袖部から堰堤の中央へ向かって斜めにボーリングしてコアを取ってやろうじゃないかということにしてやったわけであります。これでひとつ御了承願いたいと思います。  それから、手抜きがあったかどうかということでございますが、確かに空隙もある。それから空隙も、注水試験の結果によりますと、入れた水がだいぶ戻ってこないということもあるようでございまして、非常に空隙が多いということで、仕様書どおりに万全なものができておらない部分もあるということは、確かでございます。
  33. 山本幸一

    山本幸一委員 時間が長くなりますから結論を申し上げますが、そうすると、あなたのほうの対策としては、いま部長の指摘のように空隙がある、それから十分でない、こういう点が明らかになったわけです。これはことばの使い方で、私は手抜きだと思います。明らかに手抜きである。なぜ手抜きであるかというと、これは仕様書どおりやっていないということです。仕様書どおりやっていないということは、手抜きだということです。  それからいま一つは、あなたのほうから出された今後の対策の結論として、堤体内部空隙を十分に埋める、これはいわゆるグラウト注入をする。それからえぐられた部分については早急に保護対策をやる。新聞によりますと、これは副堰堤をつくる、こういう説明でございますが、これをやるには費用はどのくらいかかるのですか。
  34. 木村正昭

    木村説明員 ボーリンググラウトにつきましては、ちょっとはっきりした数字がわかりかねます。と申しますのは、空隙の多い少ないによりまして入る量が非常に違ってまいりますのでわかりかねますが、大体あの規模の堰堤ボーリングしたところだけの空隙から推定いたしますと、約三百万ぐらいのグラウトの費用はどうしてもかかるのではないか。あるいは空隙が多ければもっとかかるのではないかというふうに考えます。  それから副堰堤及び根継ぎにつきましては、まだこまかい設計はやっておりませんけれども、これは相当な費用がかかるだろうというふうに考えております。
  35. 山本幸一

    山本幸一委員 その費用は大体見当はつきませんか。おおむね……。もちろん間違ってけっこうですが。
  36. 木村正昭

    木村説明員 それは副堰堤だけで一千万以上はかかるのではないかというふうに考えております。
  37. 山本幸一

    山本幸一委員 そうすると、このグラウトの注入だけあるいはえぐられた部分補強だけで三百万円かかるということ。それから副堰堤に一千万かけなければならぬ。いわば一千三百万手抜きしたのじゃないですか、金額的に言えば。そのとおりとは言いません。算術計算どおりにはいきませんが、きわめて抽象的な発言をすれば、その金額に相当するものはこの工事手抜きがあった。いわゆる正しくなかった。もし手抜きということが気に入らなければ、正しくなかった、こういうことは言えますね。
  38. 木村正昭

    木村説明員 この金額合計が全部手抜きというお話でございますが、そうではなくて、普通にコンクリートを打っていけばもっと安くあがるであろうというのを、空隙があるのをあとでグラウトの機械を持ち込んだりしてやるので、それだけかかるということで、これが全部ということではないと思います。
  39. 山本幸一

    山本幸一委員 私もそういう意味で言っているのです。算術計算じゃありません。少なくともこれだけの費用をかけなければならぬから、どれくらいの費用になるのか知りませんけれども、当時の計算がどれくらいの費用に当たるか知らぬが、手抜きがあった、正しくなかった、こういうことが言えると思います。その点はいまの部長さんの答弁でけっこうです。  そこでこの補強工作、これはいつごろからおやりになる予定ですか。
  40. 木村正昭

    木村説明員 グラウトにつきましては、きょうおそらく県を呼んで話しておると思います。さっそく手をつけさせるということにいたします。
  41. 山本幸一

    山本幸一委員 それから、これは私はしろうとだから法律も調べておりませんが、今度の調査に、聞くところによると調査だけに三百万ほどかかっておるそうです。三百万とか三百二十万円かかっておるそうですが、この費用は全部県側が負担をしておる、これはたいへん地元が疑いを持っているわけですね。私ども建設省に直接調査検査をお願いしたい、これは当然補助工事であるからそうすべきである、こういうことで御要求申し上げて、その結果建設省調査なすったのです。ところがお役人の保険代まで、共済金の掛け銭まで含めて三百二、三十万円程度全部県が負担しておるそうです。おそらく建設省としては法に基づいておやりになったと思いますが、一体それはどういう法規に基づいておやりになったのか。地元の諸君は、何だ、一体建設省がやるといったって、県が金を出せば当然情実がからむのじゃないか、そんな情実のからむような検査なんかろくなものではない、こういうようなうわさが地元では相当出ておるから、そのうわさを晴らすためにもこの際ぜひお答えをいただきたいと思います。
  42. 木村正昭

    木村説明員 実際の現地でのボーリングその他の調査費につきまして、われわれのところでもいろいろ検討したのでございますが、結局、砂防法の第五条で、維持管理の責任は知事さんにある。それから砂防法第十二条で、その維持管理の費用は「府県ノ負担トス」となっております。それで維持管理の責任が知事にある、これがはたして十分な維持管理ができるかどうかをわれわれは調べるのだということで県に調査命令を出すという形をとったのでございますが、しかし県に調査させるよりも国が調査したほうがいいということで、そこで委託契約を結びまして、建設省で調べるという形をとったわけであります。しかも、その調査期間中われわれとしては十分に気をつけるように言いまして、本部から調査に行く連中も、わざわざ名古屋に泊まりまして、名古屋から直接現地へ行く、岐阜県とは全然接触をとらないという方法をとりましたし、それから、現場でボーリングの監督をする職員も、わざわざずっと下流の部落へ泊めまして、できるだけ県あるいはその土地の人との接触を避けまして、独自の調査をするという方向で進めたわけでございます。
  43. 山本幸一

    山本幸一委員 もう一、二点で終わります。  私は実は七月二十一日付の岐阜日日新聞、これは岐阜県で一番最大の地方新聞です。最大というより、一つしかありません。十数万部を発行しておる新聞でありますが、主として岐阜市から本巣郡、この方面が一番読者が多いのですが、この新聞記事によりますと、建設省がすでに発表いたしております。その発表の重要部分を読みますと、「このえん堤で“手抜き工事”が行なわれた疑いは、ほとんどなかった。」こういうことを名古屋の地建は発表いたしております。それから「えん堤の基底部が、えぐられたことについては、工法上のミスでなく、地盤が軟岩でできているため、えん堤から落下する水勢によってえぐられたものと判定した。」こういうふうにいっております。一まあ二番目の問題は別にして、最初申し上げた、この堰堤手抜き工事が行なわれたという疑いはほとんどない、こういうことを建設省が新聞記者の問いに対して発表してみえる。これは私は非常にけしからぬことだと思うのです。少なくとも発表については本省のほうで責任を持たれたのですから、本省が、先ほど私がいただいたような報告書をまとめて、総括をなすって、今後の対策をきちんと立ててから公に発表すべきものである。それを中途で、まるっきり岐阜県知事を擁護するかのごとき、しかもこの誤った発表をしておる。これは一体どういうことなんですか。私は、との問題は名古屋の地建には相当責任がある、こう思います。  なぜ私がこの点を強調するかといいますと、要するに、うわさによると、県庁側と地建とは——地建と言いません、地建のある係とは、常に連絡があった、こういうことが地元ではたいへんなうわさになっております。私はそういうことを信じたくありません。同時に、岐阜県はいま、八月の二十四日から知事選挙が始まるのです。したがって、その知事選挙についての援護射撃を建設省がやったかのごとき疑いを持たれておる。まことに遺憾だと思います。私は建設省はそんな気持ちは毛頭ないと思いますが、結果において、こういう記事を出したということは、これは全く私どもを無視したやり方だ。私は当初名古屋の地建の諸君から承ったのですが、完全に報告総括するまでは発表しないと言明しておる。それを中途で発表された。しかもその発表が、いま申し上げたように、県側を援護射撃するような発表である。この点について私どもはちょっと納得しかねる。したがって私は名古屋の地建の責任はきわめて重大だと思います。その点についてひとつ部長の御意見を承りたいと思います。
  44. 木村正昭

    木村説明員 実はこの新聞発表が二十一日にあったということはわれわれも知らなかったことでございますが、先生のお話のように、われわれは独自な立場で十分な調査をして、その結果はわれわれのところでまとめて、われわれのところで発表するということをきめまして、そのとおりに進めたつもりでございます。二十一日と申しますと、まだ現地でボーリングを——実は潜水夫を入れたのが十九、二十日でございますので、まだ現地の調査が終わっておらないという段階でございます。したがいまして、二十一日にだれがどういう形で話したのかはわれわれとしてはわかりませんけれども、実はまだわれわれとしても全然現場のコアを見ておらない段階でございます。そうして、実は二十五日に現地のコアの写真その他を持ってまいりまして、二十七日の夜までかかって最後の結論を出した状態でございます。二十一日の段階で、どこでだれがどういう話をしたのかちょっとわかりませんけれども、われわれとしては非常に遺憾だと思っております。
  45. 山本幸一

    山本幸一委員 これ以上申しませんが、さきの四月の上旬に県庁が調査機関をつくって調査なすった、そのときの調査機関の構成員の一名に、名古屋の地建の渡辺部長、現在は栄転なすって四国の局長をやってみえます、この人が一名学者の中に加わっておる。その人は当時記者会見をやりまして、東谷は全く不正はない、安全なものである、こういう言明をなすってみえる。それが四国の局長に栄転なすったわけです。ところが、先ほど私が質問し、御答弁のあったように、その濃淡は別にして、少なくとも手抜かりがあった、正しい工事でなかった、そのために建設省は今度多額な費用をかけて、これで補強対策をしなければならぬ。この具体的な事実からいって、渡辺さんの発言はあやまちだと私は思う。そうすると、この新聞記事は、一貫して渡辺さんの発言を擁護し、県庁側を擁護しておる。その裏には、渡辺部長と県庁側とが、何か当初から連絡があったような印象を受ける、こういうことは私はぜひ調査してもらいたいと思うのです。これはたいへん地元民が疑いを持つことですから、私は何もこの責任をいまここでとやかく言うのではないのですが、今後きびしく注意をしてもらわぬと、問題がすなおに解釈されない、かえって紛糾する方向へ持ち込まれる。そういうことですから、それはぜひひとつ注意をいただきたいと思います。  それから、最後に一つ。これはあなたに聞かせることじゃありません、むしろ大臣の耳をかりたいくらいですが、大臣、これは先ほどから私は四、五十分、えらい時間をかりて質問を申し上げて、部長もかなり誠実な御答弁をいただいて、私の言わんとすることにやや一致しております。その点ではけっこうですが、ともあれ、その三つの堰堤とも、不正ということばが適当かどうか知らぬが、いまの答弁によっても、手抜かりのあった工事であることは明らかです。そこで、岐阜県にはこういう堰堤が何百と、たくさんあるのです。松野知事は、あなたのほうの派閥に所属しておるかどうか知らぬが、何でも佐藤派に所属しておるといううわさを聞いておりますが、そのことは別にして、これらの工事を請け負わせるには、松野後援会の会員以外には請け負わしておらぬ、これはあらゆる事実をお調べくだすっても、私が言明したとおり。もし会員でなければ直ちに会員に入れる、会員に入れて、そうして工事を請け負わせる、これが何十、何百と普通に行なわれておるわけです。そこに多大な疑惑があるわけですね。そうして工事中または工事が終わると、直ちにその村で松野会の総会を開き、総会には酒が出る、折り箱が出るこういうかなりはでなことが何十カ所で行なわれておる。これは、ものの見方によると、自分のほうの後援会の会員でなければ請け負いをさせない、そうすると、悪く疑うと、私は疑いたくないけれども、何かやはり一つ工事に政治献金の話があったかのごとき疑いを人々は持つ、これはやむを得ぬことだと思うのです。その金が松野会の総会の弁当にかわり、酒にかわっているのじゃないか、こういう疑いを世間は持ちます。したがって、私は今回の事件を通じてみて、ぜひそういう疑いを人々が持たないように建設省はもっと厳重な監督をなさること、そうすることによって災害防止ができると私は思うのです。ですから、私が特に要望しておきたいのは、ぜひ大臣がこの際全国に正しい工事をやらせるような通牒を出されて、建設省がきびしく監督せられる、そういうことを要望すると同時に、この際大臣の意見を一言承って質問を終わりたいと思います。
  46. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 まず第一に、現松野岐阜県知事が佐藤派であるとかないとか、これは余談におっしゃったわけですけれども、そういうことは総理みずから非常に自粛といいますか、姿勢を正すという努力をしておりまして、従来言われておりましたいわゆる佐藤派などというものはございません。と同時に、松野氏が佐藤派というようなものと従来非常に接近しておったという事実は全然ございませんから、誤解のないようにお願いしておきます。  それと今後の三ダムの問題でありますが、先国会において私は、こういうものは事態を明らかにする必要があるということで、厳正公平な検査をさしたわけです。検査の結果は御報告申し上げたと思いまするが、これが故意にやられたかどうかということはわかりませんけれども、もちろん三地区のダムに、軽重の差はありますけれども、結果的に見ると不適当な工事が行なわれた、こういう事態であります。したがってとれについては、将来安全を保つための十分なる工事を県においてせしめる、こういう措置を講ずるように、最近の報告に基づいて指示をいたしております。  そのほかについていろいろお話がありましたが、私どもは直接県工事を一々見るというわけにいきませんが、砂防にかかわらず、すべて国費をつぎ込んでおります工事については、省といたしましてもそれぞれ監察をいたしております。なお御承知のとおりに、これも全部の工事というわけにいきませんけれども、国の会計検査院でも抽出調査をいたしております。しかし多くの工事の中でありますから、やはり故意であろうがなかろうが、不適当な工事は厳に戒めなければならない、当然であります。  私は率直に申して、岐阜県の事態がありましたことは、これは事務当局にも申したのでありますけれども、災いを転じて福となさなければいけない、全部がそうしているとは思わないけれども、多くの中にはやはり故意であると、あるいは工事のじょうず、へたがあるとを問わず、そういう事態があるということは、将来もし万一災害でも起こったら申しわけのないことであるから厳に戒めるように、同時に場合によっては——岐阜県の工事が全部そうだとは思いません。山本さんもそうだとはおっしゃらなかった。しかし少なくとも問題になりました三カ所が、程度の差はございますけれども、指摘された部面があります。特に悪い個所もございますが、そういう事態でありますから、どのくらい工事をしておるか私は知りませんけれども、ある程度の無差別抽出の検査をしてみたい。これも全部というわけにはなかなかまいりませんが、それで県の信用も回復するでありましょうし、県民の疑惑も解かれるだろう、こういうことで事務当局に指示してありますから、御了解を願いたいと思います。
  47. 山本幸一

    山本幸一委員 ありがとうございました。それじゃ質問を終わります。      ————◇—————
  48. 井原岸高

    井原委員長代理 都市計画に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。神近市子君。
  49. 神近市子

    神近委員 私は、この間の六月一日に当委員会で、小山、帆足、長谷川三委員からいろいろ御質問申し上げた東京都の外郭環状線の問題で、多少御質問申し上げたいと思います。  あのときの記録を、大臣がずっとおいでいただいたので、よく御記憶だろうと思うのですけれども、あのときに東京西部の出身の議員がみんな気にしたことは、あの道路の問題がほとんど秘密のうちに決定されたということに非常な不満を持ってみんな憤慨していたということが、今日記録でよくわかっております。私はその辺に関係があるかどうか知りませんが、その後ほとんど間髪を入れずにこの計画が決定され、そうして大臣に答申されたのだと思いますが、その答申は、いつ大臣はお受けになったでしょうか。御記憶になっておりますか。
  50. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 日はいま記憶しておりませんが、事務当局からお答えいたしたいと思います。
  51. 神近市子

    神近委員 それで変な話ですけれども、私はあの問題では、いま山本議員からも何か汚職だとかわいろだとかいう話が出ていましたが、ちょっと疑問を持っていることがあります。けれども、これは農林水産のほうに関係のあることで、ここではそれは出すまいと思うのですけれども、大臣があの道路計画について御決裁になったというようなことを東京都のある人が——名前もわかっておりますけれども、いま出しませんが、言っているのです。その決裁をお出しになったということはほんとうですか。
  52. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 決裁をいたしました。あれは告示を要しますから、告示の決裁をいたしたわけでございます。
  53. 神近市子

    神近委員 何かはっきりわからないのですけれども、あの道路計画でよろしいというような決裁、これでこの道路をやるのだというような御決裁ですか。
  54. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 結局都市計画の認可をいたしたということでございます。
  55. 神近市子

    神近委員 それならば、大臣がこの決裁をなさるのじゃないかということが、いろいろのいまの政治情勢からみんなおそれられていたことで、私は地元は非常に失望するだろうと思います。きょうは、私のほかにこの間の委員がここには来ておりませんが、これはきょう委員会の連絡がなかったからだと思うのですけれども、これが出たということがほんとうだということになれば、私はたいへんないろいろの問題が起こってくると思います。あのときに三人の質問が一番集中したことは、これが決定に至るまでに秘密のうちに行なわれた、ごく少数の人たちとの間の話し合いだけで行なわれたということであったのですけれども、大臣から御下問になったときの案文と答申の案文とは同一のものであったのか、あるいは多少の変更があったんですか。
  56. 竹内藤男

    竹内政府委員 答申されましたのは前文がついておりまして、さらに付帯的にこういう点に留意しろという点がついておりますけれども、中身は原案と答申案と同一でございます。
  57. 神近市子

    神近委員 あの道路については、材料をあとで提出してもいいんですけれども、いろいろ問題があるのです。南極探検隊の雪上車を設計した電気通信大学の芳野赳夫先生が言っておられます。これは一つは、あの道路の計画というものは今日の日本の道路法に違反している。たとえば全幅が二十四メートルですね、中央の分離帯が三メートル、両側に幅三・五メートルのレーンが二つずつ、二車線なんです。そしてその外側に二・五メートルの側線がついている。これで百キロを許すということは非常に危険があるということ、これは日本の道路の規格に合っていないということをこの芳野さんがわれわれに教えてくださっているのです。これは、私はついこの間第三京浜道路を乗ってみたんですけれども、あれは三車線なんです。間の中央分離帯がやはり三メートルくらいで、両側がやはり同じような二・五メートルしかなかった。それで、あれを乗ってごらんになった方があるだろうと思うのですけれども、うしろから来る車が行き過ぎると——たとえばわれわれは乗用車ですからそんなに急ぐ必要がないからあまり急がないでくれというので行ってもらう。そうするとうしろから若い人の乗用車あるいはトラックというようなものがやってくる。あれは三車線ですよ。だけれど、かなり込んでいたので非常にこわかった覚えがあります。それが二車線で、しかも同じような側線であって、それで百キロメートル出す。百キロメートルの規定があるということだったら非常にこれは危険である。すれ違うときの五十フィートくらいというものは非常に動きが早いということで危険があるということ、それから下に転落するということがあって、通行の人とかあるいは下にある家、そういうものの被害が非常に大きいということ。これは道路局長はどういうふうにお考えになりますか。これは二車線ですよ。
  58. 竹内藤男

    竹内政府委員 外郭環状線の構造基準は、場所によって若干違いますけれども、一車線の幅員が相当広くとってございまして三メートル五十、それから中央分離帯が三メートル、路肩が二メートル五十、曲線半径が七百メートル以上、視距が百六十メートル、縦断勾配が三%ということになっておりまして、道路構造令できめております基準に合致いたしておりますので、危険だというようなことはないというふうに確信しているわけでございます。
  59. 神近市子

    神近委員 あなたも経験を誇っていらっしゃるでしょうけれども、芳野博士という人はそのほうの権威者ですよ。そして、この路線で百キロメートルを走らせるということに非常に危険が多いということ、これが第一の難であります。ともかくいろんな災害が非常にひんぱんに起こるということ、そして下を歩く人とかあるいは下の店舗とかというものが非常に危険だということは、これは聞いておくべきだと思う。そして日本の道路法にこれは適していない、あるいは規定にはまっていないということを芳野さんが言っていらっしゃる。それはどうなんです。
  60. 竹内藤男

    竹内政府委員 道路構造令の基準に適合いたしておりますので、私自身設計技術者ではございませんけれども、これだけの設計基準になっておればそういう危険なことはないというふうに考えておるわけでございます。  それから設計速度というのは、一応構造上速度をきめまして設計を立てるわけでございますが、実際にこれまた供用させるといいます場合には、警察の交通関係のほうがすべての条件を検討いたしまして、また制限速度を別途定めるということになりますので、そういう面から申し上げましても、車両に危険が及ぶというようなことはないというふうに確信しております。
  61. 神近市子

    神近委員 あなたは危険でない、あるいはこれは警察がやりますと言うけれども、大体いまの計画で百キロメートルということが打ち出されていれば、若い人の車なんかは規定以下では決して走りませんよ。だから八十キロメートルというようなことを規制しておいても、これはもともと百キロメートルで計画されたものだというような頭があれば百キロメートル出しますよ。だからその危険が非常に大きい、このことを私は第一にみんな頭に入れておいていただいて、そして大臣に伺いたいことは、許可をおろしになった、あるいは認定なさったというようなことをおっしゃっていますけれども都市計画法の三条には、都市計画審議会の議を経て主務大臣がこれを決定し内閣がこれを認可することというふうなことが書いてあります。そうなると大臣の責任ということ一これはいろいろまだ問題がございますからあとで申し上げますけれども、この衝に当たった大臣の責任であると同時に、内閣そのものがこれを認可すべしと書いてあるところを見れば、佐藤内閣がこの道路をつくったということになりますか。
  62. 竹内藤男

    竹内政府委員 都市計画法三条には、審議会の議を経て建設大臣がこれを決定する、先ほど大臣が言われましたのは、その決定のことでございます。それから、内閣の認可を受くべしという規定が法律にございますけれども、許可認可等臨時措置法というのがございまして、それに基づきまして都市計画の内閣の認可ははずれておるわけでございます。したがいまして、最終的には建設大臣が決定するということできまるという形になっておるわけでございます。
  63. 神近市子

    神近委員 地図をこの問建設省からずいぶんたくさんいただいたのですけれども、てんでコピーが悪かったのか、それともわれわれ部外者にはそれが読めなかったのか、はっきりしなかったのですけれども、ただ学校をマークしたところだけは非常によく出ていたのです。その中に大体学校、これは大臣よく頭に入れておいていただきたい、こういうふうに中央が過密になったので学校は郊外に郊外にというような、まあ土地の値段もあったし、また環境を選んでみんな学校は郊外に出ているのです。ですからあの地図を見ますとほとんど西部、武蔵野の残っている部分に学校が集中している。それはよくおわかりになるはずだと思うのです。そして、今度の道路がその学校を横断するものが五つありますよ。それからゼロメートル地帯でも十三か四、学校があります、学校のすぐ前を道路が通るところが十三か四。それから、それに近いところはもうほとんど無数であります。学校がべったりある。それをひとつ私は考えていただきたいと思うのです。郊外といいまずけれど、いまあなた方はこうおっしゃるでしょう、たとえば排気ガスの問題あるいは騒音の問題というようなことが起こる、そうすると、いま排気ガスの問題で自動車をアメリカでは改造しようとしている、そういうふうなことをおっしゃるでしょう。ところがこの間アメリカから来た経済電報を見てごらんなさい、大きな自動車会社がこの制限のために七百台の車をむだにしなければならなかった、そのために大きな自動車会社が二つか三つ非常に苦況におちいっているという電報が入っていましたよ。そうすれば、そう言っては悪いけれども、日本の今日の佐藤内閣が、自動車の排気ガスあるいはそのほかの、たとえば上にあかりをつけるとかあるいはうしろに何をつけるとかいうような制限をやるはずがないじゃありませんか。  これは宇垣一成という人が言うた文句ですけれども、保守というものには政治はないと言っていますよ。進歩があるときに初めて政治というものがあるのであって——それはちゃんと宇垣一成という昔の保守の人が言っているのだから、私はこれはりっぱなものだと思うのです。  だから今日、自動車を改造いたします、あるいは排気ガスをどういたします、音響をどういたしますといったところが、これはもう絵にかいたもちと同じで、実現はおそらくここ三年や五年や十年には行なわれない、そうなると子供たちが受けるところの、あのべったり学校があるところの地域をこれが通るということになったときは子供たちあるいは青年たちが受けるところの災害というか、大体排気ガスのためにぜんそくが非常に起こるのです。自動車道路が近いところの小学校では必ず一番先にぜんそくが起こる。それから音響からくるところの頭の、足し算をやらせても頭の動きが悪い、それからもう一つは胃液の分泌が悪くなって非常に消化が悪くなる、あるいはこの音響のために夜寝られないので頭がふらふらする、そういうような環境を子供たちのためにつくるということをあなた方は何も考えないでこれを計画なさったのかどうか、ひとつそのことを考えてみていただきたい。
  64. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 いろいろお話がございましたが、おっしゃるとおり政治は進歩を期待してやるものである、私どもさように確信いたしております。現在の状況というものは、日本のみならず、いわゆる科学技術といいますか文明と申しましょうか、これの進歩と人間の生活をどう調和させるかというところに苦心がなされなければならない、こういうことであろうと思います。  この外郭環状線の問題だけでなく、御承知のとおりそれ以内の都心というものは騒音、ばい煙、あるいは一酸化炭素等の問題がたくさんあるわけであります。問題は私自身も、一体文明の進歩というものは人類にそれほどしあわせを来たすものかということについて非常な疑問を持っておりますが、これはやはりそういう考え方で、文明の進歩をいかに人間に有利にするかということをお互いに努力をしなければならないことだ、これはわが国のみならず、いま人類が一番考えなければならない問題だと思っております。  それから、この外郭環状線の問題は、私も非常に心配をいたしました。それで現地も私自身見ております。おっしゃるとおり学校もありますし、あるいは先生がいつも問題にされる石神井の公園もありますし、あるいは最近つくった住宅地域もございます。そういう中においてこの東京を中心に考えまして、交通難あるいは輸送状況、あるいは問題の物価問題に関する物の運び方、こういうものをどう調和するかというところにいろいろ苦心があるわけでございます。道路をつくらないで、あの平地に波乱を起こすようなことをしないで済むものであればそれが一番望ましいと私も考えております。したがって、あるいは用地のために家を移転する、あるいは引っ越さなければならない、あるいは土地を買収される、こういう直接の方々には、私は率直に非常にお気の毒だと思っております。しかしそういう事態は、わが国のみならず、人間の進歩と同時に、また社会の発展と同時にそういうことがこれはやむを得ず起こる事態でありますから、私どもはそういう方々に対しては事業執行上最大の努力をして、できるだけそういう御迷惑が少ないようにして工事をすべきだ、あるいは設計をすべきだ、これが私どもが努力すべき最大の課題であろうと思います。またあの外郭環状だけで東京都あるいは首都圏の道路の問題が片づくわけじゃございません。もっとほかにやったらどうかという御意見も十分に検討いたしました。しかしやはりあの付近にどうしても必要だ。またほかにつくるところもたくさんございます。また前にいろいろ御説明申し上げたと思いまするが、御承知のようにこの世界で一番だだっ広い東京ですが、道路面積というものはいかなる国に比べても一番少ない。そのために各種の弊害が起こっておる。これをこの困難の中でどう解決していくかということが私どもが苦心をすべきところでありますから、そういう点は御理解を願いたい。私は現にあの路線を全部歩いてみました。おっしゃるとおりに、小学校のすぐ横を通るところもあります。あるいは立教ですかどこかの女学院のある校舎の横を通るところもございます。石神井公園の中にも入ってみました。鳥の声なども聞いてきました。私のところに毎日のようにあの関係者の人から手紙が来ております。そういうところも考え合わせていろいろ現地も見てまいりましたけれども、あの路線を選ぶには非常に苦心をいたしております。その中でもできるだけそういう影響の少ないところはどこだということであの線を引いておるわけでございます。そういう事情で私はやむを得ず決断をいたして、先ほどお尋ねのとおりに認可をいたしました。今後の問題は、いまおっしゃるような問題をできるだけ再小限度の弊害にとどめる。金がかかっても工事をすべきだということが私どもの責務であろう、かように考えております。  それから排気ガスの問題で自動車云々の問題がありましたが、今後の自動車というものは、排気ガスで人々に迷惑をかけるという自動車はだんだんなくしていくという時代になって、アメリカは現にそういうふうに進んでおります。イギリスあたりでも検討しておる。まだそこまで科学技術が進歩しておらないという事情もあるようでございますけれども、いま政府が、通産省が主でありますが、全力をあげてその検討を進めている。五年、十年してもそういうことは保守党の政治家は考えないであろうとえらいおっしゃいましたけれども、そういうふうに私どもは甘く考えておりません。それは企業の問題もありますけれども、やはり大切なのはいまおっしゃったように人間でありますから、それにその弊害が起こらないような措置を加えていかなればならぬ。いま通産省とも思い切って自動車の排気ガスに対する処理を、自動車メーカー等にも指示しておるというのが現状でございまして、決して私どもはつくって悪いところに道路をつくるとか、人さまに迷惑をかけるために道路をつくるとかいう考えはみじんもございません。その間の苦心というものは、きょうこうやってすわっておりますけれども、並みたいていのものじゃないということをぜひ御理解願いたいと思います。
  65. 神近市子

    神近委員 大臣のお気持ちはよくわかりました。私さっき言ったように、科学は、いまのような日本だったら、ひょっとしたら民族をつぶすのじゃないかというふうなこと、それからあの無数の学校を見たときに、私、前からこれは考えていたことですけれども、ともかく子供たちだけを、教育機関だけを疎開させたらどういうものだろう。どこか、それこそ筑波山でもいいし、富士山ろくでもいいし、疎開させてある成長期まで迎えさせる。たとえば義務教育の年限、これはひとつ大臣頭に入れておいていただきたい。戦争中われわれが疎開させて、その年齢では別に異状はなかったのですから。  それからもう一つ大臣に申し上げたいことは、この道路は五十五年あたりの東京都の交通の過密を予定しての計画でしょう。ところが五十五年になったら——私よく出すけれども、インドのニューデリーという都は、歴史を見ると十二回移転していますよ。東京も、今日の中央の状態なんかを考えると、これはずっと武蔵野の西のほうにいくのじゃないかということを私は昔から考えていたもので、それで学園都市でございます、住宅都市でございます、杉並、練馬、あっちの方角がさかんに宣伝されたときに、やはり思うようにいかないものだなあと思っていたのです。ところがこの状態では五十五年までにはあの辺はもうほとんど準中央になりますよ。だから、いまあれがどうしても必要だというふうなことをおっしゃるけれども、そのときになったら、ああやっぱりもう少し西のほうに持っていったらよかったというふうなことをお考えにならないとも限らない。  それから大臣、いまあなたは、ともかく西部の、この間ここへ出ました小山、長谷川、帆足、私、これは中村梅吉さんもそうですけれども、この区の人たちの恨みというか、これはもう一身にしょわなくちゃなりませんよ。選挙のときには都城まではがきを書くかもしれない。いま不売同盟というものができているのを御存じですか。これはあの辺の六区ですかの土地の所有者が全部署名しています。だから土地収用法でも、これはこのお考えどおりにはいかない。私は、なるほどねえ、ああいうことをだれが考えてやられたのか、そうかなあと思ったのですが、これはおそらく五年でも十年でもこの土地の人たちはがんばりますよ。その点あなたはどうなさるおつもりですか。大臣、ちょっとその点お考えを聞かしていただきたい。
  66. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 私は、いま政治家が一番考えなければならぬことは、自分の個人的な立場を忘れるということが一番大切だと思っております。そういう立場で私は、不肖ですけれども、政治をしております。もちろん、さっき申し上げましたように、私どものほうに何百通といろいろな手紙が来ております。あるいははがきも来ております。みずから書いた切々たる御婦人の手紙がたくさん来ております。それに涙を流しながらやはりこれをやらなければならない、これがいま東京における政治家の責任だ、かように考えております。それは都城にいかなることをされても、それで驚くものではございませんが、いばるわけではございませんけれども、東京都には残念ながらそういう政治が今日まで行なわれておらなかった。それが今日のこの禍根を残しておる。おそいですけれども、いまにしてでもこれをやらなければ、東京都民の、東京都に集まる人々の苦悩というものはますます倍加される。私はそういう決意でおりますので、さっきお並べになった方々は十年たったら決してお恨みなさらないと思います。もし恨まれることをおそれないで東京都の政治をやっておったらこういうことにならなかった。私は東京都に四十二年もおりますけれども、そういう感じを持っておるわけでございます。
  67. 神近市子

    神近委員 いま私が申し上げた、あなたの選挙をじゃましますよというのは、これは冗談でして、そんなことをするような人は東京にはいないと思うのですけれども、もしあの不売同盟というものができて——たとえば百人のうちの五人とか三人とかなら土地収用法でできるでしょう。百人あるいは三百人の人たちの土地を全部土地収用法ではできないでしょう。これはどういうふうにお考えになって、どういうように突破するとあなたは考えていらっしゃるのか。
  68. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 私のところにもそういう御決意と申しますか、関係者の方々からそういう申し出を受けております。きわめて私は不幸なことであると思っております。もちろん事態の真相をよく御理解願って努力を続けていくつもりでございます。この問題だけでなくて、ほかにもいろんな問題がございます。これは全体のためにと言ってはおかしゅうございますが、地域社会全体のために何をなすべきかというときには、個人個人には非常にお気の毒な事態が起こる。お気の毒な事態を踏みにじっていこうという政治は、私は間違いであろうと思います。どういう理解を求めるか。これは地域社会のためにこうあるべきだということを誠意を持って申し上げれば、おおむねの人は御理解ができるだろう、これが実際の社会の現状でございます。いまああやってたくさんの人が、何か集団を組んでおられますけれども、その中には、失礼でありますけれども、何らの理解なくしてやっておられる方々が大半だと私は思います。言い過ぎだとおっしゃってもかまいません。私は確信を持っておるわけでございます。
  69. 神近市子

    神近委員 それはこの地区の住民に対して大臣はずいぶん変な表現をなさったと思うのです。付和雷同してきておる人たちというよりは、自分たちの子供、自分たちの家、自分たちの庭というようなものが問題なのであって、大臣が言われるような付和雷同で陳情書を書けと言われて判を押すというふうな人たちでは今度はないのは、私どもも意外に思うのですよ。御存じのように、私は政治よりももっとほかにいろいろ興味のあることがあるのですけれども、動かされてこうやって大臣にいやなことを申し上げるというのは、あの人たちがただ上っつらでやっているというようなことでなくて、腹から動かないぞ、土地収用法を持ってくるなら持ってきてごらんなさいと思っている。こういうものは決して付和雷同というようにお考えになるべきではない。これは実務に当たられる道路局長なんかもよく考えておおきにならなければならないととだと思うのです。  この間、大臣に帆足先生委員会で後藤新平のことを朗々と何か言いましたね、後藤新平がもし生きていたらなあというふうなことを。なぜ後藤新平があのときに問題になったかというと、今日の京浜国道、あれができたときのことを思い出していただきたい。国会の運転手がよく笑いますけれども、あの京浜国道ができたときに、ごみが一ぱいあるところで自動車をとめておしっこをしながら、こういうふうな道路をつくって一体何にするんだろう、後藤新平というのは頭が少しどうかしているんじゃないかと、よく自分たちはそのときに言ったものだ、ところが今日になると、なるほど後藤新平はえらい人だった、二十年あるいは三十年先を見通したということを自分たちも感じる、こういうふうに言っていました。  いま過密で東京都内がたいへんだからというので、五十五年の先を見越していまの外郭環状線をつくろうとなさるのは、ちょっとこれはズレがあると私は思うのです。この間長谷川正三さんの言ったことを読んでみると、さすがにあの人は都下の、二十三区外の人で、あの地区に詳しいと見えて、この外郭環状線をもっと外側に持ってきたらいかがですかということを言っていました。私はなるほどなあと考えて、A案、B案、C案といったものの一つがあの外にあったのではないかというふうなことを考えるものであります。ですからそのときに、去年の秋ころあなた方かあるいは東京都の道路局長が見せた案というものが、やはり外郭を歩いておる案であり、それを見たものが五人あります。須田区長がどうしてもこれを区会議員に出して見せない。これこそボスでありますけれども、特定のボスの二、三人と、それからその親戚の一人が見ております。これはもう裁定をなさったということであるけれども、土地の不売同盟はおこっておる。ですからこの前の案をひとつぜひあなたのほうで取り寄せて、こういうことでここに支障があったためにこの案になったのだということが納得のいくように、私はぜひその資料を出していただきたいと思います。
  70. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 私は、あの関係者の人々がいま付和雷同をしておるということを申し上げておるのではないのです。自分の庭を削られ、せっかく庭をつくって、ここは住みよいところだということで家をつくられた、そこに道路ができるのですから、それを非常に心配され、反対の気分があることはよくわかっております。決してそれが付和雷同ということではない。しかし、この東京の現状あるいはそれに対する対策、それから道路のつくり方等こまかに御説明申し上げて御理解を願えばよいのですが、いまのようなそういうことがわからないでやっておられる方がたくさんあるということでございます。それを最大の努力をして御理解を求めようということでございます。いまやっておられることが何か付和雷同のように簡単にやっておるというふうには私は解していないのです。  それから五十五年云々というお話でありますが、東京の将来ということは、なかなか人間の知恵ではそう明確に判断ができません。私どもいま想定しておるのは、東京都の近県の首都圏の人口は四千万になるのじゃないか、これを防がなければなりませんが、しかし世界の趨勢として都市集中は人間の性質であります。そういうことで東京、神奈川、千葉の三都県だけで二千八百万ないし三千万の人口が集まりそうだ、こういう想定をしていまの計画をしておりますので、この外郭環状線だけでそんなものが解決するものとは思っておりません。そのほかにもつと大規模な道路をつくる計画をしておるわけであります。これですべて将来が解決するというようには思っておりません。  後藤新平先生のお話がありましたが、私事にわたって恐縮でありますが、私は、後藤新平先生が大正十二年の大震災のあとの経営をなされたことは現によく承知いたしております。しかし後藤新平先生が非常に大規模な震災あとの計画をなされたそのときに、残念ながら東京市民はそれが理解できなかったためにその計画が非常に縮小された。それが今日の禍根になっております。第二次大戦であれほどまた荒廃に帰して、その後の経営がなされなかった。それが今日の禍根を残した。そうして現状はこういう状態になってしまった。その中でやる仕事でありますから、いかに苦心を要するかということは私は御理解が願えると思います。あの第二次大戦の焼け野原でもそれが計画されなかった。私はよけいなことを申し上げて恐縮でありますが、そういうことを含めて私の考えを本にして、皆さんに呼びかけておることはそれがためです。なぜみんなが文句を言うのか、みなが自分の地域社会をよくしようという気になってもらえないか、目先のことだけ考えるから、どん詰まりでみんなが苦しむ状態になっておることを私は呼びかけているわけであります。ですから個人個人の問題はきわめてお気の毒に思います。したがって、そういう人々に対しては、その人だけの犠牲で、この大きな地域の問題を解決するというわけにはいきませんから、いわゆる事業をする場合は、そういう人々に従来以上に悪くなるようなことのないように、できるだけのことをして、この事業を執行すべきである。これが私どものいわゆる関係者にお願いしたいことでございます。
  71. 神近市子

    神近委員 もう一問ですから。大臣に長くおつき合いをしていただいてありがとうございました。あなたのお考えと、それから国民に対して非常に親切なお考えはよくわかりました。だけれども、私は一番初めあなたに陳情に行ったときに、案に対して再審を求めることもあり得るというようなことをおっしゃったので、きょうまさかあなたがあれを裁定をおろしていらっしゃるとは思っていなかったのです。小役人が自分の憶測でだれかにいばってみせたのだろうと考えておったのですが、出したとおっしゃったので、私は実は意外であります。だけれどもやむを得ません。今度は、来年四月は都知事選挙でありますから、この問題で都知事選挙に勝って、この案を変えさせるというようなことをしたいと私は思います。そのときはまた大臣にもいろいろお世話になると思いますけれども、ひとつよろしく……。きょうはおつき合いいただいてありがとうございました。      ————◇—————
  72. 井原岸高

    井原委員長代理 次に、道路に関する件について調査を進めます。  この際、本件調査のため、本日、日本道路公団理事内田襄君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 井原岸高

    井原委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、参考人からの意見聴取は質疑応答の形式で行ないたいと存じますので、御了承を願います。
  74. 井原岸高

    井原委員長代理 質疑の通告がありますので、これを許します。井谷正吉君。
  75. 井谷正吉

    井谷委員 大臣も御承知と思いますが、最近本土と四国の架橋の問題で、各路線の方々が猛烈な運動をやっておるわけであります。これは相当多額の費用も使っておると思うのでありますが、最初建設省が——あの当時はたしか五線あったと思います。いま三本になっている。それを五線とも、土質とかあるいは海流の関係、気象とかいろんなものを調査して、その結果でどこということをきめるというような意味のことを言われたと思うのです。ですから、各路線のものが、自分のところがどの路線よりもいい、こういうようなことで、熱が上がっておるのだと思うのであります。  私は本土と四国の架橋は、ただ橋をかけたらいいというだけが問題と思わぬのです。これは日本の国土全体の構想の上に立って、大所高所からきめるべきもので、最近の調査の結果によれば、どの路線もこれは技術的に可能だ、こういうような線が出されておるわけです。そうしますると——これは私は前から大臣にも申し上げたと思うのです。長崎から大分に出ます高速道の議員立法ができた。これは馬場元治氏が提案になりまして、そのときに私が質問いたしましたら、大分が終点と思っていない、これはやがて四国を横断して京阪神の経済圏に直結すべきものである、こういう御意見でありました。それによってわれわれも賛成をしたわけであります。先般四国の高速道の構想も御発表になって、八幡浜から徳島が横断の幹線になっておるわけです。高松、高知もありますけれども、そういう意味からいえば、これは横断の連絡道路になる。そうしますると、南九州のねらい、また四国のものの考えておることは、阪神の経済圏に直結したいということが腹にあるわけです。またこれは非常に合理的なことだと思います。鳴門−明石の橋が技術的にできるというならば、私はこれは国策上当然なさるべきものだと思う。また今治から尾道の架橋の問題がございます。私はこれも賛成です。ということは、鳴門架橋とこれは目的が違うのです。御承知のように中国、四国、九州のこの路線は、起点が松江であります。私は昨年山陰へ参ったのでありますが、県庁で、山陰へ来てどういう感じがしたかと言われますから、失礼かもわからぬけれども、びょうぶの陰のような気がすると言った。山陰を開発するのにはどうしても瀬戸内海へ出てこなければいかぬ、こういうことで、山陰地方の人はこれへ出たいという気持ちもわかります。それで松江、広島県の三次、尾道、今治、それから三崎から佐賀関、大分に至るというこの中国、四国、九州の一貫した国道昇格運動というものは前から続けられてきたわけですね。これは私はぜひやらねばならぬと思うのだ。目的は京阪神の経済に直結するんじゃない。山陰、中国、四国、九州のあれでございます。さらにまた、児島から坂出という路線が出ておるけれども、これも趣意書によりますと、瀬戸内海の工業開発が目的であって、阪神の経済圏に直結するということとは違うのですね。おのおの目的が違う。これはできれば三本みなできればいいわけです。けれども、日本全体の地域開発と阪神の経済圏が直結することからいえば、これは私がいま申し上げました長崎、大分、三崎、徳島、それから鳴門、明石、これは高速道としての観点から私は賛成する。鳴門の架橋は聞けば六車線というから、これは使えるわけだ。こういう構想において山陰から今治、尾道、これはこれとして私はやるべきだと思うのです。これは金の問題がありましょうけれども、すでにこの路線においては、尾道から向島に橋をかけつつある。公団と思いますが、やっておられる。さらに因島に行く、これは積み重ねでもできる。そういう場合に、国に協力をしてもらって、これはこれとして早くやり上げる方法はつくと思うのです。でありまするから、五本のうちで現在三本だけれども、これのどこをおきめになるかというようなやぼなことは私は聞けぬと思う。さらに来年はいろいろな選挙がありまして、知事の選挙もある。そういうのがからみ合っていろいろなお打ち上げが現在行なわれておるのでありますが、それらについて、私はわが国の大きな建設を担当しておられる大臣の御構想を——との線をきめられるかというような、そんなことは問いません。どういうお考えであるかということを承りたいと思います。
  76. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 おっしゃるとおり、ただ瀬戸内海のある地点に橋をかければいいというだけのことじゃもちろんないと思います。橋をかけることによって、その関係地域、広くまた日本経済、また国民生活にどういう好影響を及ぼすか、こういうことがあの問題の基本であろうと思っております。同時に、いまおっしゃったように、尾道から今治に至る、あるいはいわゆる宇野−高松と言ってもいいでしょう。こまかく言いますと地名は違いますけれども、あの地点、あるいは明石−鳴門、いずれもそれぞれの特色、また効果があると思います。そういう意味で、たとえば山陰のお話がありましたが、私は、松江から三次を経て広島に至る道路、これはやはり早急に整備すべきであると思います。私は現にあの道路をつい最近歩きましたけれども、やはりそういうことが広い範囲にわたって効果があるということで、日本の道路行政上幹線については必要でありますから、そういう意味であのルートも、もちろんそういう日本海から瀬戸内海、太平洋につながる道路としてきわめて重要な路線である。もう一つは宇野−高松、これは従来から定期路線もありますので、四国地帯と中国あるいはそれにつながって阪神との連絡がございます。そのルートであるし、これもそういう意味おいてただ単にあの両岸だけの問題ではなくて、いわゆる中部以西の——近畿以西と言ってもいいですが、重要な計画、意義のある仕事である。明石ルート、おっしゃるとおりであります。そういう意義がありますから、私ども相当ばく大な経費をかけて調査、計画を進めておるわけでございまして、それぞれの特色がある。  なお、考え方については、いま東京の話が別にありましたけれども、この一点集中主義、関東に集中する、あるいは大阪を中心とする近畿に集中するということが将来の日本の産業経済、文化の経営上適当であるかどうか、むしろそういう集中地点を中国筋に求めるべきではないか、そういうところに新たなる大都市といいますか、集中地点を考えることが、また一つの地域のみならず、全体からも必要ではないか、こういう御意見もあります。ただ、既存の東京なり大阪につなぎさえすれば、それで国全体がバランスのとれた状態になるというよりも、むしろ過密を増してますますひずみといいますか、いびつのかっこうになるのではないかという御意見もあります。そういう点を私どもはいろいろ検討しておるわけでありますが、したがって三カ所とも意義がある。三カ所ともやるべきだ、こういう考え方に立っております。  ただ、いまおっしゃるとおりに、きょうはどこをどうするということはお尋ねにもなっておりませんし、またいまお答えする段階に事実上なっておりませんが、一挙にできないから、順次やる場合に、その中で一体国全体、あるいはその地域とかみ合わせてどれが効果が先にあるかという判断が下さるべきだろう。そういう材料がいまの段階ではまだ決定的に集まっておらない。いま専門家が集まっていろいろ苦心をしておる、こういう状況でございます。
  77. 井谷正吉

    井谷委員 いまお話がございましたが、私が最初に言いました九州−四国横断の高速道路、さらにはまた鳴門にかけるにしても、これはこの間御発表になった今度の高速道路のうちにも入っておりません。かりに入っていたとしても、これは相当先の話であります。いま私が申します松江−三次−尾道−今治、これは国道の−私は高速道路のことを言っておりません。一貫した国道の整備、これは大臣もあそこをお通りになったそうですが、これは早急にやらなければならないし、最初申し上げました高速道路とは目的が違う。しかも尾道から向島に橋をかけようとしておる。因島にもがけようとしておる。これはこれとして、二十年か三十年か先にでき上がるかわからぬことよりも着実にやっておるこのほうに、これとは別に推進に御協力を願いたい、こういうことをいま申し上げたのです。三本の路線のうちどれがいいかという順位の問題じゃないので、これはこれとしてやるべきだ。すでに地元においては着工しておる。ことに愛媛県におきましては、知事はじめ県議会等においても単独でもやりたいという熱意さえ持っておるわけです。さらにいまの鳴門の一これは南日本国道推進連盟ですか、これには愛媛県の知事も大分県の知事も松山の市長もみんな役員になっておるわけです。これに反対しておるわけじゃないのです。これはこれとしてやるべきだ。大分の知事も明石−鳴門の役員にもなっておるし、また中国−四国の道路の役員にもなっておるのです。これは目的が違う。こういう意味で御推進を願いたい、こういうことを申し上げておるわけであります。
  78. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 おっしゃるとおりに私ども考えております。ただいまの点は、現在国道になっておりますが、広島県側はいま相当進んでおりますけれども、島根県側はまだ非常におくれておるという実情でございます。したがって、完了するまでに今年もまだ五十億ないし六十億はかかるようでありますが、できるだけ早くあれを整備したい。これが山陰、山陽をつなぐ非常に重要な路線でありまして、三県の開発に非常に寄与する。これは将来の課題ではなくて、現在ただいまの問題でありますから、これはここ数年の間にできるだけ完了する。こういうことで四十一年度にも従来の数倍の予算をつけていまやっておるという実情でございます。それから尾道から向島に至る線、これは公団で橋をかけておりますが、今年完了する予定であります。それから因島までぜひ橋でつなぎたい。これはいま言った高遠な道路計画というよりも具体的に着実にやっていったほうがすみやかにあの島の利用ができる。しかも因島というのは、御承知のように相当高度の産業があるわけで、しかも水路が比較的狭い。これを早く橋でつなぐ、こういう考え方でいま進めておるわけでございます。
  79. 井谷正吉

    井谷委員 この中国−四国のいまの路線が一貫して機能を発揮するということは、やはりこれらの目的にもあるわけですが、三崎から佐賀関のフェリの連絡、これは前々から私申し上げておるわけですが、どうなっておるのか一向わからぬですよ。いまどの程度に進行しておるのか、これをひとつ承りたい。
  80. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 こまかい点について必要でありますれば、道路局長からお答えいたしますが、これはいまお話しのとおり数年来の懸案であります。考え方についてもまちまちでありまして、いろいろ紆余曲折があったわけでありますが、できるだけ早く実現さした、こういうことでいろいろ関係県と申しますか、大分、愛媛両県の国会議員の皆さんが御心配されて、この解決に御尽力願っておるわけであります。いまの考え方といたしましては、いま進めておりますのは、従来の考え方をやや変えまして、それが両県といいますか関係者に一番納得のできる考え方だということでございますから、さっきの環状道路ではありませんけれども、地元の御協力を得るということが一番大切なことでありますので、そういう線で進めております。いろいろあのルート等についての両県の施設が要りますから、それについては、従来とはやや趣を変えまして、いわゆる道路整備と同じような考え方で大分県、愛媛県に施設の負担をしてもらいまして、これは公団で施設をするについて道路の形と同じように三分の一施設に対する負担、これは数千万円と思いますが、そういうことで公団が航路を維持して−そうしていま何と申しますか、まだまだそれほど交通がたくさんあるわけではございませんけれども、そういう問題も考えておるわけでございますが、公団と民間のチャーターが一隻ずつ成立をし、公団が航路を維持して、できれば運航は民間に委託してやろう、こういう線でいま話し合いを進めております。両県ともその線で御了解を得ました。一部負担もよろしい、こういうお話し合いができまして、それでいま大蔵省とその線で話し合い中でございます。できるだけ早く結論を出して、航路権で運輸省の問題がございますから、運輸省とも事前に相当お話し合いをしておりますが、正式にまだ出す段階になっておりませんけれども、大蔵省との話し合いを詰めまして、正式に運輸省に公団の航路権の申請、そして早くあれを実現に移したい、こういうのがいまの現状でございます。
  81. 井谷正吉

    井谷委員 私も大体お話しになった筋道は知っているわけですが、一部うわさされておりますのは、この問題が起きて三年になりますから、そうすると、毎年毎年ごたついて着工にならないということになると、大蔵省のほうがもう金を出さぬようになるのじゃないかというような話し合いもあったわけです。それで、いまお話しのように、両県が一部を負担して岸壁の設備をするということは、ことしから着工できるのでございますか。あるいはまた、来年になったら、大蔵省のほうがむずかしい問題が起きるのかどうか、その辺を……。
  82. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 一部の予算は御承知のとおり前からついておるわけでありますから、その話し合いが——まあ大蔵大臣とはそういう考え方について事前にもちろん了解済みといいますか、大筋については了解済みでありますが、いまやっておりますのは事務的打ち合わせをやっておるわけであります。必ずできると思います。したがって、今年度から着工するというかまえで急いでおる、こういうことでございます。
  83. 井谷正吉

    井谷委員 それから、両方の岸壁ができて、船もできて、運航ができるようになりましても、問題は、三崎から八幡浜の道路が非常に悪い。あのままでは人家に入ったらトラックも軒一ぱい。いま改修はしております。県のほうでも非常に努力はしておりますけれども、これがどっちが先になるか。船はできてもあの道路では通れぬということでは困りますので、これは国道になっておるわけだから、この促進についての格段の御協力をお願いしたい。
  84. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、いま御承知のとおり先がああいう状態でありますから、それほど交通もない。しかしあれが開通するということになりますと、非常に便利なルートになるわけでございますから、漸次ふえるだろうと思います。ただしかし、相当の距離がありまして、御承知のように、全く海岸もむずかしい地形でございます。それこそさっきの環状線じゃありませんけれども、みな漁村でありますから、いずれもへばりついているような村落がある。そこをどう経過して切り開いていくかという非常に困難な問題もあります。でありますから、一挙にこれをというわけにはまいりません。そこで、バスが通ずる程度に早く局部的な改良をしようということで非常に努力をされる。まず、バスが通れるような状態をつくるというのがいま現状でありまして、公団のルートがきまりまして船が運航することになりますれば、やはり国道といたしまして計画的にこれが改修をできるだけ早く進めなければならぬ。これは次の五カ年計画の中でこれを検討して実現するようにしたい、これが現状でございます。
  85. 井谷正吉

    井谷委員 これは私の希望でございますが、いませっかく大臣が運輸省関係に御努力になっておる、これは感謝するわけでありますけれども、ただ、ここに問題は、大分県知事がそこまで譲歩したということには、航路権を公団がお持ちになる最初から民間に力を持たした委託ではなくて、公団が航路権を持って、運営をおまかせになる。これで納得したわけなんです。裏を申しますと、会社の名前は申しませんけれども、特定の会社があるわけなんです。それに対する知事の、また知事さんを取り巻く方々の中において非常にそれを快しとしない、こういう向きがあったのは事実であります。だから、今度民間に委託せられる場合には、よほど慎重な御考慮を願わねばならぬと思うのであります。  それで、現在出願しておるのが五社ぐらいございますか。
  86. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 六社です。
  87. 井谷正吉

    井谷委員 六社あるのですか。だから、これの扱い方については、この場で申すことは控えますが、お含みの上御善処願わねば、またあとに戻る危険性があることを申し上げまして、私の質問を終わります。
  88. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 公団が運輸大臣の認可を得まして、航路権をいま入れさしていただきたいと思っております。そうしなければ、これはなかなか解決いたしません。また、国家機関でありますから、それは当然であろうと思います。その際に、民間にできれば委託したいと思っておりますけれども、率直に申して、それは全然白紙でございます。白紙の状態で、だれに運航させるのが一番適当であるか、これは慎重に検討したい、このように考えております。
  89. 井谷正吉

    井谷委員 終わります。
  90. 井原岸高

    井原委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十六分散会