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1966-10-19 第52回国会 衆議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十月十九日(水曜日)    午前十一時二十五分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 押谷 富三君 理事 濱地 文平君    理事 勝澤 芳雄君 理事 田原 春次君    理事 山田 長司君       原 健三郎君    安宅 常彦君       神近 市子君    中村 重光君       楢崎弥之助君    長谷川 保君       畑   和君    華山 親義君       山内  広君    吉田 賢一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 藤枝 泉介君         国 務 大 臣 愛知 揆一君  委員外出席者         防衛政務次官  長谷川 仁君         防衛庁参事官         (長官官房長) 海原  治君         防衛庁参事官         (経理局長)  大村 筆雄君         防衛庁参事官         (装備局長)  國井  眞君         検    事         (刑事局刑事課         長)      石原 一彦君         外務事務官         (中南米・移住         局旅券課長)  内藤  武君         大蔵事務官         (国有財産局         長)      松永  勇君         農林事務官         (農地局長)  和田 正明君         運輸事務官         (航空局長)  堀  武夫君         会計検査院事務         官         (第一局長)  斎藤  実君         会計検査院事務         官         (第五局長)  佐藤 三郎君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  成田  努君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  石原 耕作君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  岡田 瑞穂君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 十月十九日  委員長谷川保辞任につき、その補欠として楢  崎弥之助君が議長指名委員に選任された。 同日  委員楢崎弥之助辞任につき、その補欠として  安宅常彦君が議長指名委員に選任された。 同日  委員安宅常彦君、畑和君及び山内広辞任につ  き、その補欠として長谷川保君、森本靖君及び  栗原俊夫君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有財産増減及び現況に関する件  政府関係機関経理に関する件  国が資本金の二分の一以上を出資している法人  の会計に関する件      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  国有財産増減及び現況に関する件、政府関係機関経理に関する件、公団等国資本金の二分の一以上を出資している法人会計に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。勝澤芳雄君。
  3. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、先般上林山長官のお国入りに対しまして、与党の押谷委員、あるいは各委員会質問をされておるようでありますが、なるべく重複する部分は避けて質問をいたしたいと存じますので、ひとつ簡単明瞭にお答え願いたいと思います。  最初に御質問いたしますが、上林山長官はいま何の目的でどちらにいらっしゃるのですか。
  4. 長谷川仁

    長谷川説明員 上林山長官は、きのうはニューヨークにおりまして、本日はワシントンに入りまして、そうして二十日にマクナマラ長官と会見する予定であります。
  5. 勝澤芳雄

    勝澤委員 きのうときょうの日程を、こまかく御説明できますか。
  6. 長谷川仁

    長谷川説明員 ただいままだ手元に持ってきておりませんので、すぐ用意いたします。
  7. 勝澤芳雄

    勝澤委員 何か、伝えられるところによりますと、ナイアガラの滝も見物をされているというようなことですが、いま長官のいろいろな問題についてこれほど批判を受けておる中で、そういうことがかりにあるとするならば、私はたいへん不謹慎だと存じますが、おわかりにならなければ、あとで十分ひとつお調べ願いたいと存じます。  そこで、いまおいでになっているのは、どういう方たち長官と一緒においでになっておりますか。
  8. 海原治

    海原説明員 上林山大臣に随行いたしておりますのは、渉外担当参事官の小木曾、海上幕僚監部防衛課長の鮫島一佐、長官秘書官西廣、このほかに令夫人が御同行になっております。
  9. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それで、これは、旅費といいますか、費用関係はどういうようになっておりますか。
  10. 海原治

    海原説明員 アメリカ国内におきますところの一行の御旅行は、これは米国政府の御招待でございますので、全部米国政府持ちでございます。それまでの往復の旅費は、これは日本政府の負担でございます。
  11. 勝澤芳雄

    勝澤委員 旅券関係はどういうように発行されておりますか。外務省のほうから御説明願いたいと思います。
  12. 内藤武

    内藤説明員 防衛庁長官と同夫人につきましては外交旅券でございます。その他の防衛庁職員につきましては、公用旅券が発行されております。
  13. 勝澤芳雄

    勝澤委員 お国入り日程についてお尋ねいたしますが、九月の二日に羽田を出発されて、九月五日にお帰りになっております。第二回目は、九月六日に御出発されて九月八日に帰っておりますが、この日程公用ですか、私用ですか。
  14. 海原治

    海原説明員 公用でございます。
  15. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは全部の日程公用ですね。
  16. 海原治

    海原説明員 そのとおりでございます。
  17. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、私が言いました、上林山長官が九月二日から九月八日にとった行動というものは全部公用であったということですね。もう一度確認をいたします。
  18. 海原治

    海原説明員 このことは、先生のおっしゃいます公用ということば意味解釈になるかと存じますが、大臣の今回の御出張は、防衛庁長官として部隊を御視察になります面と、国務大臣として鹿児島県で行動されました面と両面ございますが、このいずれも私の用ではございませんので、私ども公用と考えております。
  19. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、御自分のお宅にお泊まりになったり、それから、行程の中には民間の車をお使いになったり、あるいはまた地元の学校で演説をいたしたり、後援会のいろいろな会合へ御出席いたしておりますが、これが全部公用でございますか。
  20. 海原治

    海原説明員 再度同じことを申し上げて恐縮でございますが、公用すなわち公の用という公の解釈になると思いますが、お泊まりになることが公用かどうか、これは私も的確にお答えできませんが、先ほど申しましたように、国務大臣衆議院議員としてのお立場と、防衛庁長官としてのお立場と、これは分類をいたしてまいりますと、そのように分かれるかと思います。部隊視察の面は、防衛庁長官としての御視察がなされておることは当然のことであります。国務大臣衆議院議員としての御行動の場合には、これは防衛庁のためということには相なりませんが、しかしそれは私用かということになりますと、私ども判断では、これは公用かと存じます。
  21. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、防衛庁長官国務大臣というのは分けませんけれども、そうしますと、日程大臣としての公用だ、こういうことになるのですか。もう一度明確にしていただきたいと存じます。
  22. 海原治

    海原説明員 私ども判断といたしましては、全日程は、国務大臣防衛庁長官としての日程として計画されたもの、このように考えます。
  23. 勝澤芳雄

    勝澤委員 全部の日程公用で、大臣という肩書きをもって、国民血税を使って選挙運動をやった。まことにうまいお話だと存じます。何をやっても公用で、旅費をもらって国費を使って何でもできるというのが、あなたがいま言っていることです。この九月二日から九月の八日までの日程というものは、まさにしたいほうだい、やりたいほうだい、三幕僚長を引き連れて、統幕議長を引き連れて、いまだかつてない行動を行なっておるわけであります。明治以来私は初めての——これは大元帥ですか、こういう行動が行なわれておって、これが一切がっさい公用で、全部国民血税が使われているということです。そうですね。これが全部公用なんですね。
  24. 海原治

    海原説明員 先ほどもお答え申しましたように、公用ということば解釈ということもございますし、それから、これも再度同じことを繰り返して恐縮でございますが、国務大臣というお立場防衛庁長官としてのお立場、ないしは衆議院議員としてのお立場と、(勝澤委員衆議院議員という公用はないですよ」と呼ぶ。)このような資格がいろいろと——いずれにせよお一人のことでございますから、その全日程としましては、これは防衛庁公用として、そのような計画が組まれたわけでございます。その間におきます個々の大臣のいろいろな御行動につきましては、それぞれそのときそのときの解釈はあり得る、このように感ずるわけでございますが、私どもは、再度申し上げておきますが、今回の鹿児島県への御出張公用であった、こう考える次第でございます。   〔委員長退席濱地委員長代理着席
  25. 勝澤芳雄

    勝澤委員 防衛庁長官国務大臣、この全部の行動である。上林衆議院議員という行動は、私はあり得ないと思う。上林衆議院議員で一体公用があるのか。ですから、もしあるとするならば、それは上林衆議院議員としての行動はどれをさすのか。もしないとするならば、国務大臣防衛庁長官としての全部の行動だということになる。その点をもう少し明確にしていただきたいと存じます。あなたたちがいままでほかの委員会答弁してきたことには、ある程度公用私用という分け方をされて答弁がされております。ですから、いまの答弁を聞いておりますと、その分け方が今度は変わったふうな答弁に私には見えるわけであります。正確な議事録はまだできておりませんからあれですけれども新聞記者の皆さんが書かれた内容を見てみますと、公用私用と分けておるわけです。ですからいまあなたの御説明ですと、全行程私用はなし、こういう御答弁に承れるわけであります。ですから、もし衆議院議員上林榮吉としてやられた行動があるとするならば、その部分はどことどこだということを明確にしていただきたいと思う。
  26. 海原治

    海原説明員 私の御説明が不十分で、御理解いただけませんのはまことに残念でございますが、私は全行程が全部公用であって、私用は一つもないということを実は申し上げたつもりはございません。たとえば具体的に申し上げますと、お着きになりました日に、県と市と商工会議所共催大臣祝賀パーティーというものがございました。ここにおいでになっておる上林山大臣は、まさに大臣防衛庁長官としての御資格だと思います。その後でも郷里の方々と会食と申しますか、歓談をされておりますが、その場合の資格がどうかということになりますと、これはちょっと私どもとしてどうだこうだと申し上げる立場じゃないと存じますが、いろいろとそのときそのおりの御行動につきましては、御判断があろうかと思います。しかし先生の御質問になりました点は、九月二日−五日の第一回の御視察、それから第二回目の御視察、それを総体的に申しますと、私どもとしては、これは公用である、このように判断をしたということでございます。したがいまして、それが公用であるかないかということにつきまして、私ども判断はそのようなものであるということを再度申し上げる以外、政府と申しますか、公権的にそれが公用かどうかということを判断する資格は私にはないかと存じます。
  27. 勝澤芳雄

    勝澤委員 民間自動車官庁の車から乗りかえておりますが、民間の車に乗ったというのは、公用私用を区別するために民間の車にお乗りになったのですか。これはどういう意味なんですか。
  28. 海原治

    海原説明員 民間の車は地元でお借りになったものと考えておりますが、どの車にお乗りになりますかは、一応私どもの用意しました車もございますし、地元で用意された車もございますし、このどれに乗るかはそのときの大臣の御判断によるもの、このように考えます。
  29. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、民間車に乗ったというのは、公用私用を区別するためにこういうふうにしたのかと考えておりましたので、少し私も誤解しておりますけれども、それではこの九月二日から九月八日までの行程について、費用はどの程度かかっておるのですか。できるならば総括でなくて、飛行機費用がこれだけだ、自動車費用がこれだけだ、こうだ、こうだというのを、ある程度のところまでひとつ御説明願いたと思います。
  30. 大村筆雄

    大村説明員 九月二日から五日までに公用なさいました飛行機その他の直接に要した経費でございますが、飛行機YS11を御使用になっておりますが、それの燃料費等の直接運航費が二十一万五千円、それからヘリコプターを使っておいでになりますが、これが直接運航経費が四万二千円、それから西部方面音楽隊熊本から派遣しておりますが、これは輸送経費だけでございますが四万七千円、それから長官随行者旅費でございますが十四万七千円、したがいまして以上合計四十五万一千円でございます。
  31. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それは九月二日から五日までというお話でしたが、あとはどうなりますか。
  32. 大村筆雄

    大村説明員 あととおっしゃいますのは、第二回目に熊本部隊視察にいらっしゃって、それから鹿児島へいらっしゃったとき……。二回目のこれも熊本までYS11で行かれておりますが、これの直接運航費十九万二千円、ヘリコプターをお使いになっておりますが、これが直接運航費一万七千円、音楽隊は第八師団から派遣されておりますが、これが輸送費一万五千円、それから長官並びに随行者旅費が十一万五千円、会議費が十万円、以上合計いたしまして四十三万九千円でございます。
  33. 勝澤芳雄

    勝澤委員 第一回目と第二回目と比較をいたしますと、第一回目は二日から五日までの費用です。第二回目は六日、七日、八日、三日間の費用でありますけれども、少し私は費用について納得のできない点があるわけです。ですから、これはひとつもう少しこまかく計算をされて、資料としてお出し願いたいと思うのです。そのことは、これは両方合わせますと、大体八十九万円ぐらいですけれども、この日程費用が八十九万円でできるか、常識で考えてもできないのです、これだけの随行者旅費を計算して、と私は思います。ですから、ひとついまの明細をできるだけ早く二、三日じゅうにお出し願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  34. 大村筆雄

    大村説明員 承知いたしました。
  35. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それから次に、長官秘書は何名おありになりますか。そしてだれとだれが秘書なのですか。
  36. 海原治

    海原説明員 大臣としての正式の秘書官は、当時におきましては、王子田進でございますが、御存じのように、役所におきましては、役所から、いわゆる秘書官と称しておりますが、秘書的な仕事をする者を出しております。これが先ほど申しました西廣でございます。したがいまして、一応私ども秘書官あるいは秘書と考えておりますのは二名でございます。
  37. 勝澤芳雄

    勝澤委員 YS11の搭乗者の名簿によりますと、上林議員秘書という人たちが乗っているようでありますが、ダブッているのを除きまして九名の秘書上林議員秘書、こう書かれておりますが、上林榮吉議員秘書というのは九名おありになるのですか、あるいは何名おありになるのですか。
  38. 海原治

    海原説明員 ただいまの秘書というおことばには、いわゆる国会秘書のおことばもあるかと思います。さらには、通称、国会議員の方にはいわゆる議員秘書ということで呼ばれている方もございます。したがいまして、私が先ほど申しました正式の秘書官以外に、こういう人々が行動されます場合に、肩書きとして議員秘書ということをお使いになることは、一応慣行と申しますか、例になっているようでございます。先ほどおっしゃいました九名というのは、いずれも航空機搭乗申請の際に秘書ということで届けられております。それをそのまま使用したものでございます。   〔濱地委員長代理退席押谷委員長代理着席
  39. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いま九名だと思いましたら、もう一人、十名、上林榮吉議員秘書という肩書きYS11並びにヘリコプターに乗っているわけであります。そこで、一体この長官特別機なりあるいはヘリコプターに乗る場合に、どういう手続が要るのですか。その手続について御説明願いたいと存じます。
  40. 海原治

    海原説明員 防衛庁自衛隊が持っております航空機搭乗につきましては、「航空機使用及びとう乗に関する訓令」というものが定められております。部内の者がこれに乗ります場合につきましても、それぞれの手続が定められておりますが、部外の方につきましては、この訓令の第八条に、それぞれ搭乗許可する基準が定められております。例を申しますと、たとえば自衛隊業務を遂行するために必要な場合、さらには自衛隊広報業務を遂行するにあたって必要な場合、さらには国会議員または関係官庁職員が職務上自衛隊に関して調査または視察を行なう場合、こういうことがございますが、その一番最後の第七号には「その他長官が特に必要であると認める場合」というのがございます。この部外者の今回の搭乗につきましては、この「長官が特に必要であると認める場合」に該当いたしまして、関係者から申請の書類が出まして、それが決裁されて搭乗したということであります。  なおその際、申し上げておきますが、議員秘書という資格で乗ったということではございません。一般の部外者の方が飛行機にお乗りになる場合と、何らこの場合の手続は変わっておりません。したがいまして、一部では、議員秘書という肩書きであるから乗れた、このようにお考えになる向きもございますが、これはそのようになっておりませんので、あわせて御説明したいと思います。
  41. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、議員秘書という肩書きが、いま御説明の第七号の「その他長官が特に必要であると認める場合」に当てはまる、こういう意味なのですか。いまの御説明違いますか。——じゃもうちょっと御説明願います。
  42. 海原治

    海原説明員 私が申し上げましたのは、一部の新聞等を見ますと、議員秘書という肩書きがあって初めて飛行機に乗れる、このように解釈されるような報道もございますので、そうではないということを申し上げたわけでございます。議員秘書でなくても、特に長官が必要であると認められた場合におきましては、部外者の方が自衛隊飛行機にお乗りになることはできる、そういう意味でございます。
  43. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、今回乗せたこの九人はいかなる条項に当てはまるのですか。
  44. 海原治

    海原説明員 先ほど申しました訓令の第八条第七号、長官が必要と認めた場合ということに該当いたします。
  45. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、長官が必要と認めればどなたでも乗せられる、そうですね。そういうことになりますね。いかがですか。
  46. 海原治

    海原説明員 必要と認めればどなたでも、こういうことでございますが、当然これは事務的にいろいろ基準もございます。たとえば三歳とか五歳の子供を乗せたいと言われましても、これは乗せてはならぬということに相なっております。したがいまして、手続と申しますと、それぞれ航空機に御搭乗いただきます場合には、詳細な申請書が出まして、それに基づきまして、目的等を一応事務的に見ましてから、これは長官が認めることにつきましての代決を、事務次官部内の規定でいたすことになっております。したがいまして、事務次官の決裁で搭乗さしておる、こういうことでございます。
  47. 勝澤芳雄

    勝澤委員 事務的に基準があると言われましたが、事務的にはどういう基準にこれは当てはまったのですか。
  48. 海原治

    海原説明員 これは先ほど来申しておりますが、防衛庁長官鹿児島県の部隊視察おいでになる、その際に、具体的に申しますと、衆議院議員上林榮吉という名前で、防衛庁長官あて搭乗申請が出ております。このことから、私どもはこの条項に該当するものと見まして、事務的に搭乗許可を出したわけでございます。
  49. 勝澤芳雄

    勝澤委員 衆議院議員上林榮吉から、防衛庁長官上林榮吉に出したわけであります。自分自分に出したわけでありますが、いまあなたは、この場合には、長官が特に必要であると認める場合でも、だれでもかれでもいいのではない、事務的に基準がある。一体、事務的の基準とはどういう基準かと聞いているのです。ですからいままで乗られた十人の人たちは事務的に基準に当てはまるということになるのですか。ですから事務的に基準があるとは一体どういう基準になっておるか、こう聞いておるわけです。
  50. 海原治

    海原説明員 先ほど私が事務的の基準と申し上げましたことが、いささかことばとしては適当でございませんでした。先ほど例で申し上げましたように、六歳とか七歳とか十歳とかいう子供をかりに乗っけろといわれましても、これは常識航空機にお乗せできない。それが事務的な基準という意味ことばであります。ここで申しますように、長官が特に必要であると認める場合にこれが該当するというふうに私どもとしましては判断をしたということであります。
  51. 勝澤芳雄

    勝澤委員 結論的に、長官が必要であればだれでも乗せられるということになるわけです。事務的に基準があるといっても、基準がない。いまあなたは常識的なことを言われておるだけです。四歳や五歳を乗せては悪い、これも母親がついたり父親がついたりしていれば悪いともまた言い切れない、こういうことになるわけであります。言うならば、自衛隊飛行機というのは防衛庁長官私物だ、私のものだということになっておるわけであります。まことに驚いたことであります。自衛隊飛行機防衛庁長官私物だ、統幕議長、三軍まさに長官私物だ、こういうことが明確になりました。日程全部が、これが公用である、飛行機に乗せるのも長官が何でもできる。  それでは、次に、搭乗する手続、私は当然搭乗申請書が出され、それが許可されると思いますが、その搭乗申請書をひとつ資料として御提出願いたいと思うのですが、いかがですか。
  52. 長谷川仁

    長谷川説明員 許可申請書は私ども手元にございますので、提出はいたしかねますので、ひとつごらんいただきたいと思います。
  53. 勝澤芳雄

    勝澤委員 搭乗申請書が、写しを本委員会に出せないという理由は、いかなる理由ですか。
  54. 長谷川仁

    長谷川説明員 従来出したことがございませんので、この点はよくまた事務当局とも検討いたしまして御返事申し上げたいと思います。
  55. 勝澤芳雄

    勝澤委員 搭乗申請書が相談をしなければ出せないということは、私は理解に苦しむわけであります。開発銀行でも、融資について融資先なり担保の状態についてすら、われわれ決算委員会にはお出しになりなさい、出しますと言って、きのうは出ておるわけであります。事務的な基準によって許可した搭乗申請書が、この委員会に出せないというのは、私は理屈が立たないと思うのです。いかがですか。搭乗申請書を出すことについて、拒否する理由があるならともかくも、機密に属するということがないとするならば、その写しを出すことについて私は何ら差しつかえないと思いますが、いかがですか。
  56. 長谷川仁

    長谷川説明員 この点に関しましては、従来この申請書を出したことがございませんので……(発言する者あり)防衛庁長官代理もおりますので、森長官代理とまた協議いたしまして、御返事を差し上げたいと思います。
  57. 勝澤芳雄

    勝澤委員 防衛庁長官代理とはどなたですか。きょうどこにおりますか。
  58. 長谷川仁

    長谷川説明員 森総理府長官で、ただいまほかの委員会に入っております。
  59. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは、政務次官では間に合わないようでありますから、防衛庁長官代理をすぐ出ていただくようにお取り計らいをいただきたいと存じます。
  60. 長谷川仁

    長谷川説明員 ただいま直ちに長官と連絡いたしまして、長官が出せということになりましたら、お手元に差し上げます。
  61. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは、上林議員秘書という肩書き防衛庁長官申請をして搭乗許可を受けた人たちの、いかなる人であるかという点について、ひとつ御説明を願いたいと存じますが、立山慶二という人、それから森田林、久保俊広、福永民雄、上野匡司、原口栄、上林山くに、大坪熊太郎、重松明、門実代次、というのですか、この十名について疑問がありますので、年齢、職業、長官との関係、こういう点についてひとつ御説明願いたいと存じます。
  62. 海原治

    海原説明員 順次申し上げます。  立山慶二氏は、年齢は五十七歳、その御身分と申しますか、御資格は大明工業会社の方でございます。
  63. 勝澤芳雄

    勝澤委員 長官との関係は。
  64. 海原治

    海原説明員 長官との関係ということは、どうも私ども事務当局といたしまして、どうこうということは申し上げることをひとつお許しいただきたいと思います。  門実代次氏は三十八歳、この方は、私ども調査によりますと、国会報道という新聞の関係の方でございます。次は森田林氏でございますが、この方は四十六歳でございまして、私どもの知るところでは、衆議院の予算委員会関係調査関係をしておられると承知いたしております。久保俊広氏は、年齢は四十二歳でございます。この方は国会ニュースという新聞の社長をしておられると承知いたしております。福永民雄という方は三十四歳でございます。この方は朝日テレビの記者の方でございます。次に上野国司氏、この方は三十歳でございますが、やはり朝日テレビのカメラマンの方でございます。次が、お話のございました原口栄という方でございますが、五十七歳、日東工営の顧問をしておられます。長官の御友人と承知しております。上林山くに、この方は年齢五十一歳、御存じのように、長官の令夫人でいらっしゃいます。次は大坪熊太郎氏、この方は五十六歳でございまして、職業につきましては不詳でございますが、やはり長官の御友人の方と存じております。その次には重松明という方でございますが、この方は四十歳の方でございます。やはり長官の御友人の方ということで私どもは承知いたしております。
  65. 勝澤芳雄

    勝澤委員 出身地を教えてください。
  66. 海原治

    海原説明員 住所はございますが、出身地につきましては、私ども申請の上では記載をさせておりません。現住所はわかっております。
  67. 勝澤芳雄

    勝澤委員 このお乗りになられた人たちというのは、大部分鹿児島の御出身の方たちばかりだ、こういわれておりますが、もう少し鹿児島関係がおわかりになっているのでしょう、どういう関係だか、いかがですか。
  68. 海原治

    海原説明員 そのような報道もございますが、何ぶんにもそれぞれの方々との連絡がとれませんので、本委員会で責任を持ってお答えを申し上げるような状況でございません点を、ひとつ御了承願いたいと思います。
  69. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この中に出てくる門さんというのは、上林山さんの秘書ということで衆議院のほうに届け出が出ておりますが、その点といまの関係はいかがですか。
  70. 海原治

    海原説明員 届け出が出ているそうでございます。
  71. 勝澤芳雄

    勝澤委員 肩書きが二つあるようでありますから、これは上林山さんがおいでになってから、もう少し詳しく御説明を聞きたいと思います。  そこで、この中におられる方でいま久保さんという方についていろいろな問題がいわれておりますが、この内容について、どういう人か、ひとつ御説明願いたいと存じます。
  72. 海原治

    海原説明員 私どもといたしましては、この申請書に書いてありますことによりまして、なおこの「国会ニュース」という関係をやっておられる方であるということの認識だけでございます。
  73. 畑和

    ○畑委員 関連。いま同じ搭乗者の中で久保俊広という名前の方ですが、「国会ニュース」の社長ということにいま御答弁がありました。ところで、新聞などの報道によりますと、かつて政界ジープ事件ということに関係をいたしまして、昭和三十一年ころに検挙をされて、その後保釈になって、裁判が長引いておって、つい去年かに判決があって、実刑の判決があった。その後また再保釈をいただいて、現在保釈中である、控訴中である、東京高裁の六部か何かに係属中だ、こういう報道がなされておりますけれども、この点について——刑事課長おられますね。刑事課長にお尋ねをいたしたいのですが、はたしてそういった新聞報道等が真実であるかどうか。もしありとすれば、事件の概略、それから保釈の有無、それから制限住居は保釈関係でどうなっておるか、こういう点について承りたい。
  74. 石原一彦

    石原説明員 新聞報道で拝見をいたしまして、けさ調べたのでございますが、現在事件は東京高等裁判所に係属中でございます。私どもが電話で聞いたところによりますと、昭和三十一年、数件の恐喝罪で起訴されまして、昨年であったかことしであったか、ちょっと資料がないのでわかりませんが、懲役三年の実刑に処せられ、その後控訴中に保釈になったと聞いております。  それから、その事実の詳細につきましては、現在記録を高等裁判所の裁判官がお持ちでございますので、まだ見ておりません。  それから、制限住居の件でございますが、これはまだ記録がないのでわかりかねるのでございますが、裁判所の訴訟記録にとじられておりますので、私どもからお答えするのが適当か、あるいは裁判所に御照会いただいたほうがいいのではないか、かように考えております。
  75. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 関連。先ほどの点を確認をしておきますが、航空機使用及びとう乗に関する訓令のうちの部外者搭乗に関するあなた方の法規上の根拠は、七条の一項の(9)ですね。それから(9)を受けた八条の一項の(7)ですね。そうですね。
  76. 海原治

    海原説明員 そのとおりでございます。
  77. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、十条の二項に申請書に記載すべき内容がございますね。この中で一点聞いておきますが、もし七条の一項の九号それから八条の一項の七号の場合に、この申請書によれば「とう乗を必要とする理由」のところにはどういうことが書かれるのですか。
  78. 海原治

    海原説明員 ただいま御討議になっております件につきましては、防衛庁長官部隊視察に随行のためというのが理由になっております。
  79. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それが理由ですか。それが搭乗させるべき必要とする理由ですか。念を押しておきます。そういうことであなた方はお認めになるのですか、そういうしきたりですか。
  80. 海原治

    海原説明員 これは先ほども御説明いたしましたが、「長官が特に必要であると認める場合」ということとの関連でございますが、長官が特に必要と認められまして、長官部隊視察に一緒に来るということになるわけでございますので、理由といたしましては、長官部隊視察に随行ないしは同行、こういうことになるわけでございます。
  81. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、部外者搭乗させる場合、長官が承認した者、この人たち申請書を出す場合には、つまり同じことですね理由としては、長官が必要とするということになれば。そうでしょう。ほかに理由はない。そうすると、さっき勝澤委員がおっしゃったように、もう何も基準がないわけです。長官のオールマイティーで、必要と思う、それだけですね。その点を確認しておきます。
  82. 海原治

    海原説明員 その点には、おのずから常識からくる御判断というものがあると私どもは考えております。
  83. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、上林山長官自分常識でそのような、いまおっしゃったような人々を搭乗させた、それでけっこうです。  そうすると、長官はこれは知って乗せたわけですね。こういう人たちを確認して、知って乗せたわけですね。
  84. 海原治

    海原説明員 この点はいささか役所の中の事務処理の問題になりますので恐縮でございますが、大臣がこの方及びこの方の現状等を知ってお乗せになったかどうかということにつきましては、必ずしも私どもがお答えする筋ではございません。と申しますことは、大臣がこういう部隊視察になります場合、特に今回の場合は、いわゆる最初のお国入りとも関連いたします。その際にどのような方がお供になるかということにつきましては、私ども秘書官といろいろ打ち合わせいたしまして、随行者、同行者等の名簿を作成いたしまして、事務手続もいたします。先ほども申しましたように、書類といたしましては、事務次官の決裁をもって終わるわけでございますから、このことが大臣までいっておりましたかどうですか、その点につきましては私は承知いたしておりません。おそらく、新聞報道等によりますと、長官は、秘書にその点は全部まかしておいたということを言っておられます。私どもが直接連絡をいたしますのは秘書でございます。したがいまして、私どもが全部の随行者、同行者の名簿を用意し、計画を作成し実施をした、こういうことに相なる次第でございます。
  85. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あなた方はそういう事務的な手続をしているのですか。そうすると、いまの訓令の十条の二項と三項はどうなっております。申請書長官に提出するのですよ。さらに長官に進達するのですよ。そういうことをしないのですか。
  86. 海原治

    海原説明員 これは楢崎先生も十分御存じと思いますが、私ども役所の組織の訓令になりますと、長官と書いてあります場合に、全部の書類が大臣である長官のところまでいくわけではございません。それぞれの役所におきましては、部内でもって文書につきましての処理の手続をきめてございます。長官あての書類ではありましても、たとえば局長限りで決裁をしてよろしい、ないしは事務次官まででとどめてよろしい、長官のところまで持ってくるもの、こういうものはそれぞれの役所でもって事務的にきめてございます。本件の場合は、先ほど説明いたしましたように、航空機使用搭乗に関する決裁は、長官あての申請書事務次官の専決、代決ということで防衛庁の規定ができております。
  87. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、このように特別に長官が承認したというような、こういう特別のこれは例外ですよ。そういう例外規定が、長官も知らないでできる、秘書官でできる、そんなことがあり得ますか。特に例外として長官の承認するという項目があるのに、それを長官が知らないで秘書官でできるなんて、そういうことがありますか、この特別の例外規定に。そういうことがあり得ますか。そういうことをやっておったのですか、防衛庁は。
  88. 海原治

    海原説明員 あり得るかあり得ないかとなりますと、これは御判断の問題でございますが、私が申し上げておりますのは、従来防衛庁におきましての事務処理の手続を申し上げておる次第でございます。
  89. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは最後に一点だけ。これは特別の例外規定です。長官が承認する者という特別の例外規定だから、これは当然長官自身が事情を知り、それが私は最大の要件であろうと思う。そこで一点聞いておきますが、きのうのNHKのワシントンの特派員の報道によると、上林山長官は記者会見でこういうことを言っておる。自分はその久保なる者が見送りに来ておったと思っておった、そうしたら、気がついてみるとYS11に乗っておった、もう乗っておったからしようがないからそのまま連れていった——何ですか、この事実は。そうすると一体どういうことになるのですか。これはどういうことになるのですか。こういうやり方を愛知官房長官、一体どう思いますか。しかも保釈中の人物を……。こういうことで済みますか。こういうルーズな取り扱いで済みますか。一体事務的にはどこでチェックするのですか。愛知官房長官、御見解を聞きたい。
  90. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただい防衛庁事務当局から御説明いたしましたように、それぞれの官庁では、事務取り扱いの内規と申しますか慣行がございますから、例外的の規定であって、長官がこれを特に認めたときと書いてある場合でありましても、これを事務次官あるいは局長にあらかじめ委任しておくことが間々あることでございます。ですから、その限りにおいて、一般論としてはいま答弁いたしましたことが、私は正確であろうと思います。  ところで、第二段の問題として、ただいま問題になっております具体的なこの件について、防衛庁長官が事実知っておったかどうかということについては、これはまあ本人に聞いてみなければ実ははっきりしたことは申し上げられないと思います。しかしながら、国会その他で先般来いろいろの問題が出ておりますので、この機会に申し上げたいと思いますが、今回のこの防衛庁長官出張は、一昨日当委員会でも申し上げたとおりです。かねて上林山君就任直後から、アメリカ国防総省の招待があり、かつその招待はマクナマラ国防長官と会談をするということが頂点になって、そして一連の日程をも大体付した御招待であったわけでございます。したがって、いまその招待に応じておる最中でございますから、国会の方面からもいろいろのごもっともな御要請がございますが、すぐ切り上げて帰ってくるということが、なかなかこれは複雑な点も対外的にあろうかと思います。そういう関係もございますので、実は昨日も防衛庁事務当局にも命じ、また別個に長谷川政務次官からも、旅行先の上林山長官に国際電話で連絡をとらせたわけでございます。そして逐一できるだけ詳細にこちらにおける状況を知らせまして、それによってアメリカとの関係を調整することができるならば、なるべくすみやかに帰ってくるような決心をするように私としてもしむけたわけであります。これは対外的の関係もございますから、私から指図をしたというようなものではございませんが、こちらの状況を逐一特に報告をさせたわけであります。これは長谷川政務次官もここにおりますが、昨日夜おそく電話連絡もつきまして、そして直接本人の所感も聞いておりますので、まず今日のところは、長谷川政務次官からとりあえずその電話の内容をお聞き取りいただきたい。それから別に、あらためて、帰りましたならば、防衛庁長官本人からいまのような法律上あるいは行政の手続上の問題は別といたしまして、事実これを知っておったのか、どういう経緯でどういうふうな上林山長官は心境であったのかということについては、私も十分聞きただしたいと思います。それからどうか国会の皆さまにおかれましても、御納得のいくようにひとつ本人から説明を御聴取いただきたい、こう考えておりますので、この機会に御質問の域を少し脱したかと思いますが、一言申し上げる次第でございます。
  91. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、長官代理とお話が済みましたか。
  92. 押谷富三

    押谷委員長代理 いますぐ参ります。
  93. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは、いまの楢崎委員との話の中で、長官が必要とするということ以外に、部隊視察とかというお話が出ておりましたが、それは目的はどういうふうになっておりますか。目的はどうなっておりますか。
  94. 海原治

    海原説明員 ちょっといま連絡をしておりましたので、おことばが聞こえませんで、恐縮でございますが……。
  95. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは、ちょっとその一部だけでも見せてください、搭乗何とかというものを。  いま私は、この航空機搭乗承認申請書を見せていただきますと、たとえば久保俊広さんなどの場合は、搭乗者の所属は秘書という名目にされておりますし、それから搭乗理由が、防衛庁長官部隊視察に随行のためと、こう書かれております。この立山さんという五十七歳の人は大明工業で、これは鹿児島の御出身で、後援者だといわれております。それから、あとの門さんというのは三十八歳で、これはどういうことかよく知りません。森田さんというのは、お休みで鹿児島に墓参に行くということを私は聞いております。あるいはまた久保さんは、これはどういうわけか知りませんけれどもあとは福永さん、上野さんというのは、これはカメラマンでありますから、上林榮吉議員のPR映画をつくるために一緒に行ったという話を聞いております。これが防衛庁長官部隊視察に随行——防衛庁長官部隊視察をこの秘書の方々はおやりになりましたか。おやりになったとするならば、一体どの行程、この日程の中でどこからどこまで、この部隊視察にお入りになりましたか。官房長、これはあなたも一緒においでになっておるわけでありますから、この五人が部隊視察随行のために出たと言われておりますから、この部隊視察に行ったか行かないか、どういうふうになっておったか、ちょっと説明してください。
  96. 海原治

    海原説明員 まず、はっきり申し上げられますことは、熊本まで一緒に参りました。これは当然でございますが、それから先はそれぞれ、私にいたしましても用務がございまして、何ぶんにもあの大ぜいの中でございますから、それぞれの方がどういう行動をとられたかにつきましては、これは実は私は承知いたしておりません。御存じのような状況で……(勝澤委員「御存じじゃない、現地を知らないんだから」と呼ぶ)県、市、商工会議所共催の歓迎会もございます。それ以外の歓迎会もございます。そういうところに、それぞれ大臣は出ておられます。秘書も手分けをして参っております。そういうことでございますので、一緒に行かれましたそれらの方々がどうであったかということにつきましては、関係者に十分聞きたださなければ実は正確な報告ができないのは、まことに恐縮でございますが、何ぶんにも西廣秘書官は現在大臣に同行してアメリカに行っております。当然詳細な、長官の身辺におりました者の全部のことばを総合するよりございませんので、きょうのところは、それぞれの方々につきましての行動について申し上げるだけの材料を持ち合わせてございません。それは事実でございますのでひとつ御了承願いたいと思います。
  97. 勝澤芳雄

    勝澤委員 しかし、この人たちを、長官と御相談の上、長官の指示に従ってこの飛行機搭乗さした秘書はいらっしゃるじゃありませんか、日本に。おるんでしょう。王子田君というのはおるんでしょう、日本にまだ。お聞きになればおわかりになるじゃありませんか、部隊視察をどういうふうにやられたのか。いかがですか。
  98. 海原治

    海原説明員 王子田秘書官鹿児島に現在帰っておりますが、西廣秘書官王子田秘書官あるいはそれ以外に秘書的な仕事をいたしました山王部員、この辺のところが全部手分けをしておりますので、いま王子田を呼び出しても、全部の状況はわからないというのが実情でございます。そこで、正確を期しますためには、関係者が一緒になりまして、あのときはどうであったこうであったということにいたしませんと、何ぶんにもほかの方々に関係することでもございますので、ひとつその点は御了承賜わりたいと思います。
  99. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この立山さんのような場合は、大明工業株式会社で塗装販売、こういう人が防衛庁長官部隊視察に随行——どういう必要があるのですか、御説明願いたい。
  100. 海原治

    海原説明員 どういう必要があったかということを、私どもなりに感じておるところを申し上げてみたいと思いますが、たとえば、今回の大臣部隊視察に際しましては、それぞれの部隊には地元の後援者の方々、関係者の方々が、やはり栄誉礼その他の儀式の参観に参っておられます。そういうところに参加されますことは、それなりに意味もあろうかと思います。そのことを表現いたしますと、長官部隊視察に随行という表現になるのでございまして、これはそのことばが正しいか正しくなかったか、人それぞれ御判断あろうかと思いますが、私どもとしては、そういうふうに解釈いたしております。
  101. 勝澤芳雄

    勝澤委員 だけれども、ペンキ販売をやっておる人が、防衛庁長官にくっついて部隊視察をする必要性があるかないかというのは、常識的に考えてもおわかりになるでしょう。結局許可したけれども実はわからなかった、あとで知ったのだ、そういう御答弁ならよくわかるんです。いまのような理屈をくっつけて、いやペンキ屋さんの仲間が来ているかもしれない、出迎えに来ているかもしれない、見送りに来ているかもしれない、だから乗せてやったんだ、こういうことでは説明にならないと思う。実は上林榮吉君からこういう申請があった、どういう関係かわからなかったが、防衛庁長官でもあるので、あまり調べないでとにかくやったというなら、すなおな答弁だと思う。そのとおりだと思う。だからそれをはっきりしなさいというのです。
  102. 長谷川仁

    長谷川説明員 すなおな答弁をしろと申されますので、ひとつすなおに私答弁させていただきたいと思う。先ほど官房長官からもお話ございましたとおりに、これは楢崎先生の御質問にも関連いたしますけれども、一番重要なポイントだと思います。それは今回の議員秘書あるいは久保何がしが保釈中であったことを知っておったかどうかということにつきまして、昨日私は、午後の七時四十分から八時五分まで国際電話でいろいろと東京の空気また国会の緊迫した情勢を御報告いたしました。その中で、帰国の問題につきましては、御質問ございましたらまたお答え申し上げますけれども議員秘書の件に関しましては、私二度も確認いたしました。ここにメモをとってございますから、メモを読ませていただきたいと思います。以下は長官ことばでございますが、この問題に関しては、自分としては全く知らなかった、一体全部で何名だったかも知らないし、久保氏とは——ここのところがちょっとNHKとのインタビューの食い違いがございますが、久保氏とは飛行場で顔を合わせたときに初めて一緒に行くのがわかったくらいだ、また彼が保釈中であることなどはいま君から聞いて——私から聞いてびっくりし、たいへん残念に思っている、私としてはっきり言えることは、今度の鹿児島行きの日程から、飛行機に乗った同行者のことも一切——先ほど勝澤委員からお話がございました、秘書王子田にまかせていたのだ、このことをこの際ぜひ皆さんにお伝え願いたい、もちろん私の注意の足りなかった点は返す返すも遺憾に思い、これほど世間を騒がせたことはほんとうに申しわけないと思っております、ということを言っております。
  103. 勝澤芳雄

    勝澤委員 秘書に責任をかぶせたのは、何か選挙違反事件で出ておりますから、そのために秘書を十人くらいお持ちになっておるのでしょうから、それは本人からよくお聞きいたしますけれども、それから次にお帰りのときです。  九月八日に帰ってくるときには、今度は部隊視察でなくて、防衛庁長官に随行のためということで乗っておるわけであります。これは帰りの飛行機だけです。九月八日に鹿児島空港から羽田空港、YS11、これには明らかに防衛庁長官に随行のためという理由なんです。最初のほうは防衛庁長官部隊視察に随行のため、とこうなっております。最初のほうは部隊視察だということで、まあペンキ屋さんが出迎えに来ているかもしれないというので、ペンキ屋さんが乗っている。さっき官房長が理屈をくっつけました。今度のほうは理届はどうでしょう、つきましょうか。これは防衛庁長官に随行のためということで、この原議を見てみますと、みな顔ぶれを見れば、原口栄さん、五十七才、これが秘書肩書きで、もう一人また秘書肩書きで肝付さん五十一才、これは消してあります。それから上林山くに五十一才、大坪熊太郎五十六才、それから丸茂五十二才、これも消してあります。それから福永民雄三十四才、そこで新しく重松明が入っているわけです。この二つ消した丸茂さんと肝付さん二つを見てみても、これは明らかに——一、二、三、四、五人というのは秘書であるべき人じゃないわけで、これを見ればこれはおかしいなと——まあ鹿児島から東京に帰るならばひとつぜひ乗せていってやろう、乗せてくれ、まさに私物化じゃありませんか。乗席があいているから君乗ってけや、後援会で君が乗ればこれで百票になるとか、千票になるとか——みんな同期生の後援会ですよ、これは。明らかにこれは選挙運動じゃありませんか。どうですか、この中身についてはおわかりにならなかったのですか。
  104. 海原治

    海原説明員 防衛庁長官に同行する必要があったかどうかということになりますと、これはいろいろ御判断もあろうかと思いますけれども先ほど説明いたしましたように、私どもといたしましては、従来ともにそのような場合にこの訓令の規定に基づきまして、長官が特に必要と認めたということで、所定の手続をして航空機搭乗、同乗さしておるわけであります。どんな用務があったかということになりますと、行きは、先ほど申しましたように部隊視察に同行されました。帰りは、これは帰りだけでございます。その際にどういう用務があったかということになりますと、私どもとしては、一々これを伺うことは従来もいたしておりません。この辺につきましては、いろいろ御指摘を受けますと、事務的にも今後考えねばならぬ点があるようなことで、慎重に検討してみたい、このように感じておる次第であります。
  105. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今回の秘書搭乗さしたということについては、これはいいと思いますか。あるいは悪いと思うならば、やはりこういう搭乗者についても、いろいろと搭乗者搭乗のしかたについて検討すべきだと思うのですが、いかがですか。
  106. 海原治

    海原説明員 先ほども申しましたように、決して過去の実例にこだわるわけではございませんが、過去におきましてもいろいろの例がございます。そのこともいわば慣行として私どもは軽く考えておったきらいがあると、いま感じております。先日以来、いろいろとこの件についての御指摘がございますので、この部内訓令の規定につきましても、事務的にも、いろいろと御注意の点を参考といたしまして、慎重に検討し、改めるべき点は改めたい、このように私官房長として考えております。
  107. 勝澤芳雄

    勝澤委員 あなたもこのYS11に一諸に乗っておったわけでありますけれども、久保さんというのがお乗りになっておって、知らなかったのですか、このたくさんの秘書人たちが乗っておって、ふしぎに思わなかったのですか。いかがですか。
  108. 海原治

    海原説明員 これも言いわけになりますが、過去におきましての例もございますので、私はこの程度の方が長官に同行されますことにつきましては、格別奇異な感じは持たなかったことは事実でございます。
  109. 勝澤芳雄

    勝澤委員 まさに綱紀紊乱です。私物化であります。それが過去の例だという積み重ねになっておるわけでありますから、まさにいまの自衛隊というものはもう防衛庁長官の個人のものなんです。そして飛行機にだれを乗せてもかまわぬ、それが例になっておる。まことにおそろしいことが私はわれわれに告げられておると思うのです。  そこで、一体この秘書人たちに対する旅費といいますか、費用といいますか、こういうものはどういうふうになっておりますか。
  110. 海原治

    海原説明員 この方々は、先ほど来御説明しておりますように、部外者航空機搭乗するということを許可しただけでございますので、旅費その他の点は全然防衛庁とは関係ございません。
  111. 勝澤芳雄

    勝澤委員 日程の中へ少し入りますが、九月二日の日程の中で、第八師団が音楽隊のパレードに参加をいたしておりますが、この行進の行路と長官パレードの編成、音楽隊の位置はどうなっておるのですか。
  112. 海原治

    海原説明員 九月二日の音楽隊につきましては、鹿児島市におきましてこれに参加いたしましたものは、西部方面音楽隊と第八師団の音楽隊と国分部隊音楽隊、この三つがございます。この三つが一緒になりまして、いまおっしゃいましたパレードということの行事に参加しておりますが、これは鹿児島市の市民広場というところがございますが、そこで編成をいたしまして、それから駅前の広場までの間をパレードいたしております。
  113. 勝澤芳雄

    勝澤委員 その編成はどういうようになっておりますか。それからこれは防衛庁長官としておやりになったわけですね。
  114. 海原治

    海原説明員 編成を申し上げますと、西部方面音楽隊は米山一尉以下三十二名、第八師団の音楽隊は西ノ原三尉以下三十二名、国分音楽隊につきましては、中村一曹以下の十八名、合計八十二名でございます。この音楽隊自衛隊父兄会鹿児島県連合会長、自衛隊協力会鹿児島県連合会長、隊友会の鹿児島県支部連合会長、この三人の方が代表となりましたそれぞれの団体から要請がございまして、それぞれの部隊におきまして差し出しを決定いたしております。これはいまお尋ねがございましたが、大臣が命令をしてやらしたということではございません。音楽隊は、地元の要請に基づきましてパレードをいたした、こういうことでございます。
  115. 勝澤芳雄

    勝澤委員 その要請の内容はどういう要請なんですか。何に使う目的なのですか。
  116. 海原治

    海原説明員 上林山大臣御就任最初のいわゆるお国入りに際しまして、これらの方々の歓迎会等もございます。いわゆる行を盛んにするということで、音楽隊の派遣の要請があったわけでございます。こういうことは、従来各地で実施いたしております。
  117. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、どういう人が、そういり場合、たとえば私が地元の選挙区に衆議院議員勝澤芳雄ということでお国入りをするときに、そういうような団体の人たちがひとつ自衛隊来てくれということになれば、一切がっさいあなたのほうの旅費持ちでやってくれるのですか、いかがですか。
  118. 海原治

    海原説明員 このことは別に広報、いわゆるPRでございますが、広報行事等に関連しまして、こういうことをしていいかということの訓令がございます。この訓令に基づきまして、部外の行事に参加する場合、あるいは音楽隊をどういう場合へ派遣するかということが詳細にきまっております。具体的な例で申し上げてみますと、たとえば本年に入りまして、これは七月一日でございますが、京都市の保護司連盟からの要請によりまして、第三師団の音楽隊は愛のパレードというものを京都市内でやっております。さらには福岡におきましても、福岡市民の祭り振興会及び福岡市の要請によりまして、西部方面音楽隊第四師団等が福岡市内で市中行進をいたしております。このようなことは数々ございまして、自衛隊といたしましては、広報活動として、いわゆる公共性のある団体等が主催する行事でありまして、特に一般国民の方々との親和と申しますか、自衛隊国民とり関係を密接にするということの、いわゆる広報上の効果がある場合、そういう場合には、各部隊の長がそれぞれの判断で出してよろしいということが規定できまっております。このことは過去数年来の私どもの慣例でございます。こういう場合にはそれぞれ音楽隊の派遣をいたしております。
  119. 勝澤芳雄

    勝澤委員 じゃ、今回の結果が、実情が、過去の広報活動と比べてみて間違いでないのですか、行き過ぎたのですか、その点どうお考えになりますか。
  120. 海原治

    海原説明員 このことにつきましては、すでにいわゆる選挙の応援であるとか、事前運動であるとか、このことに結びついての御質問がございますので、実は私どもにしましても、御説明に非常に弱るわけでございます。防衛庁事務当局といたしましては、地元の方々の御要請によって、このような機会に音楽隊が出ていく、それぞれのお祝いごとがにぎやかになる、そのこと自体決して悪いこととは思っておりません。したがいまして、ただいま御質問がございましたけれども、私どもとしては悪かったというふうな感じは持っていないということが、率直な私どもの感情でございます。
  121. 勝澤芳雄

    勝澤委員 具体的に申します。じゃあ私が、衆議院議員勝澤芳雄がお国入りをするなり、後援会の総会をやるなりするとき、形式だけ整えば、この音楽隊、出てきてくれるのですか。
  122. 海原治

    海原説明員 先生の御質問が、形式だけ整えるということになりますと、それはなかなかお答えしにくいわけでございまして、私どもはそのときそのおりの状況を判断いたしまして、それぞれの部隊の長が出していいという判断になれば出していいということで、指導をいたしております。
  123. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この音楽隊は一体——三十台も自動車が並んだようですけれども、どういう配列になっていますか。
  124. 海原治

    海原説明員 私は、実はこのパレードのあとに従って行をともにしておりません。別途用がございましてほかに参りましたので、どのような編成であったか、実は目撃しておりませんが、記憶によりますと、たしか六列くらいの縦隊で行進をしたように私の記憶では感じております。
  125. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私の質問はそういうことではないのです。一番最初に長官自動車のオープンカーがあるでしょう。その次に何が並ぶのですか。その順番を……。
  126. 海原治

    海原説明員 少しこまかくなりますが、申し上げます。  一番先頭には広報車が参ります。その次に白バイが参ります。その次には警務隊の車が参ります。その次には地連部長の車。次が音楽隊でございます。そのあとが警察のパトカーでございます。その次に長官車が参りまして、あと統幕議長、その他の車がこれに続いて、後援会関係の車両は一番あと。警務隊があとの押えをしておりますが、そのあとについてきたというのが、このパレードの編成でございます。
  127. 勝澤芳雄

    勝澤委員 パレードに長官自動車が出て、そのあとへ統幕の議長や三幕僚長などが参加したというのは、一体どういう意味なんですか。どういう意味でそういう行事が行なわれたのですか。それが広報活動とどう関係があるのですか。音楽隊とどう関係があるのですか。それが許されるのですか。それが常識なのですか。どうでしょうか。一体統幕議長とか三幕僚長というのが長官あとへついて——鹿児島というのは、これは選挙区でしょう。お国入りもほどほどにしたらいいじゃないですか。これが、あなたはいまは行き過ぎでないと言われておりますけれども、運輸大臣が来ればよくおわかりになります。祝賀行事は一切やめようじゃないかと、今度の運輸大臣の藤枝さんは言われて、地元や県庁都市にあいさつしただけだ、いまこう言われているのですよ。しかもあなたは、いまもなおかつあれはいいのだと言っている。一体何事ですか。やはりこれは統幕の議長、三幕僚長にここへ来ていただいて、一体そういうやり方がいいのか悪いのか、長官の選挙区で選挙運動とまぎらわしき行為、しかも長官が出たそのあと統幕議長から三幕僚長までうしろへ並んで、一番うしろのほうに後援会。それがよそでやるならばいいですよ。しかし選挙区の地元ですよ。これが選挙運動でなくて何でありましょうか。これが自衛隊の広報活動ですか。一体何と心得ているのですか。御答弁願います。
  128. 海原治

    海原説明員 私先ほど先生の御質問音楽隊を出したことがよかったか悪かったかというふうな形に拝承いたしましたので、過去の例及び現在の規定ではこうなっているということを申し上げました。音楽隊がそれぞれの場所で音楽演奏しましたことは、私どもの感じとしましては決して悪かったとは思っていない、私はこういうふうに申し上げたのであります。その点につきまして、非常にはででなかったかということの御質疑がございますが、私どもも向こうに参りまして、地元の新聞その他を全部読んでおりますけれども、当時におきますところの地方紙その他の報道は、音楽隊をつけての晴れの凱旋であるとか、にぎやかなたいへんなものだということの報道は、私の見るところではございません。したがいまして、私どもとしましては地元におきましてそれほど——はでだ、けしからぬ所業である、こういうふうにおしかりを受けている次第でございますが、当時の地元におきます新聞の報道面からは、そのような感じを実は受け取っておりません。先般、参議院の内閣委員会においても申し上げましたけれども、いわゆる大臣のお国入りという一般的な社会的な行事というもののよしあしは、とても私どもはこれを申し上げる資格はございませんが、そのお国入りにつきまして、それぞれの土地柄、国柄によりまして、いろいろ差異があるのは事実でございます。今回のこの鹿児島県のお国入りにつきましては、私も官房長という広報関係の仕事を担当しております職責上、地元紙がどういうような報道をするだろうかということで、実は一応調べたわけではございますけれども、当時におきましては、何も今日のような御批判めいたところは実は出ておりません。この点は、実は私どもとしましても、いまになりますと、いろいろと反省される点はございます。ございますので、今後のことはなお上司その他と御相談して考えてみたいと思います。鹿児島県におきまして、それぞれの部隊長が音楽隊を編成し、差し出し、音楽の演奏をし、あるいは市中行進をしたということは悪かったとは言えない、こういうことでございますので、ひとつ御了承を願います。
  129. 勝澤芳雄

    勝澤委員 あなたは新聞報道で報道されなければそれはいいのだ、こういう判断をされているわけです。あなたがさっき例を出したのは何ですか。お国入りとは全く関係のない例を二つばかり出したではありませんか。これはお国入りなんです。選挙運動なんです。しかも防衛庁長官という肩書きを使って、三軍を引き連れて、まさに私物化ではありませんか。一体なぜ長官のパレードの中に統幕の議長や三幕僚長などが入らなければならぬ理由があるのですか。
  130. 長谷川仁

    長谷川説明員 統幕議長、それから幕僚長がなぜパレードに加わったかということでございますが、まず今回、そういった前例があったのかどうかということにつきましては、率直に申し上げまして前例はない。しかし上林榮吉先生大臣になりましてから、最初に八月の六日に練馬の部隊、それから八日には横須賀の基地、十三日には入間の基地を、これは統幕議長、三幕僚長を連れて視察をしております。したがって、鹿児島にもこれは当然連れていくべきものじゃないかというふうに考えたわけでございます。また、先ほど先生は、鹿児島はすなわち選挙区じゃないか、こうおっしゃったのでございますが、おことばをお返しするわけではございませんが、統幕議長、それと幕僚長選挙運動云々ということは全然関係ございません。と申しますのは、主たる目的は国分と鹿屋の基地視察に随行するというところに目的があったわけでございます。
  131. 勝澤芳雄

    勝澤委員 その前例のないパレードの中になぜ入ったかということです。統幕の議長と三幕僚長がどういう理由で入っておるのですか。それは部隊視察とどう関係あるのですか。
  132. 海原治

    海原説明員 なぜ列に入ったかという点を御説明いたしますためには、現地に到着の時間その他その日の行事のことも申し上げなければならない次第でございます。私ども飛行機鹿児島に着きましたのが夕方の五時過ぎでございます。その晩は、先ほども申しましたように、県と市と商工会議所共催大臣祝賀パーティーがございます。そこへおいでになるいわば途中でございます。その祝賀パーティーには、私はほかに用もありまして参りませんでしたが、統幕議長以下の随行者も招待されております。これは当然そこへお供するのが普通でございますから、その会場に行く途中の行進が、空港から駅前の広場でございますか、そこからいわばパレードになった。パレードは駅前で解散しましたが、そのあと一行は城山の観光ホテルの祝賀会場に行っております。したがいまして、空港に到着をして歓迎会場に行く途中の一こまでございますから、これはなぜそこについたのか、こう言われましても、私どもの車両の編成からしますと自然にそうなる。そうなったことがいろいろとまた問題を起こしましたということは、これは今後の事柄として私ども考えねばならぬと思いますけれども、なぜついておったかということは、いま私が申し上げましたような事実関係で御了察贈わりたいと思います。
  133. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、いままで防衛庁関係自衛隊については、わが党のほうはできるだけ触れないようにいたしてまいりました。今回の行動を見てみますと、まさにこれは防衛庁長官私物化されておる。総理大臣でさえやったことのないようなことを、いまだかつてないようなことをおやりになっておるわけでありますから、幸いこれはカメラにもおさめているようでありますから、ひとつカメラのフィルムを資料として出していただいて、ここで映写していただいて、一体上林山長官だけの責任なのか、一体防衛庁の中の統幕議長なり三幕僚長というのは責任があるのかないのか。これは国民の税金が使われておるわけでありますから、これはやはり徹底的に究明しなければならぬと思います。  それともう一つは、これは統幕の議長と三幕僚長を呼んでいただいて、この経過について私は説明を聞きたいと思います。  それから、この行程の中で参加をされた局長以上の人たちに、こまかい行動表をひとつ出していただきたい。よろしゅうございますか。
  134. 押谷富三

    押谷委員長代理 それは後刻理事会を開きまして、いま勝澤君のおっしゃったことについては、理事会で決定いたしたいと思います。御了承願います。
  135. 華山親義

    ○華山委員 関連。このパレードに——後援会ですか、これは別にいたしまして、このパレードに参加した人の名前をあげていただきたい。
  136. 海原治

    海原説明員 自衛隊関係者はわかりますが、それ以外については、私どものほうは承知いたしておりません。
  137. 華山親義

    ○華山委員 参加しておらない、これ以外は。
  138. 海原治

    海原説明員 承知いたしておりません。
  139. 華山親義

    ○華山委員 調べていただきたい。いつまでに調べられますか。
  140. 海原治

    海原説明員 ちょっと御質問の趣旨が聞き取れませんでございましたが、防衛庁関係者は、私どもの当然掌握しているところでございますが、それ以外の方々につきましては、ちょっと調べる方法がございません。
  141. 華山親義

    ○華山委員 一番おしまいには後援会の連中がついたというのでしょう。その後援会の連中のついたのはおあげになれないと思いますが、その前の中には、防衛庁の正規の職員以外は入っておらないのですか。
  142. 海原治

    海原説明員 後援会の車両を除きまして、パレードということばはあれですが、自動車の列の中には、防衛庁関係者以外としましては、先ほど申しました隊友会の会長、協力会の会長、父兄会の会長、この三人の方の車がございます。
  143. 中村重光

    ○中村(重)委員 官房長は、上林山長官のお国入り選挙運動とは何も関係はないんだと強弁している。また、従来からの慣例であると盛んにさっきから答弁している。そのパレードの計画は長官自身が要請をしたか、あるいは、あなたが自発的にそういう計画をお立てになったか、それをひとつ……。
  144. 海原治

    海原説明員 そのいずれでもございませんで、先ほど来御説明をしているところでございますが、地元のほうの計画でございます。
  145. 中村重光

    ○中村(重)委員 先ほど長谷川政務次官説明によると、横須賀その他の基地を上林山長官視察をした、こう言っている。だから、自衛隊の広報活動といったような点から、音楽隊というものはいつも行動しているんだ、そういう説明を官房長はされたのでありますが、上林山長官が各基地を視察した際、音楽隊行動といったようなもの、そういうパレードというものが行なわれたのかどうか。
  146. 海原治

    海原説明員 大臣は、鹿屋の部隊、これは海でございます。それから、国分の部隊、これは陸上の部隊でございます。この部隊視察の際には、それぞれのところでいわゆる栄誉礼というものが実施されます。これは儀式でございます。それ以外におきまして、音楽隊が出ました状況を申しますと、九月二日の先ほど来御説明をしておりますところのいわゆる市中のパレード、四日は指宿の柳田小学校におきまして、これは国分の音楽隊十八名が音楽の演奏をしております。さらにこの日には、頴娃町におきましても国分の音楽隊が演奏しております。九月の七日、これは伊集院町におきまして第八師団の音楽隊、加世田市におきまして第八師団の音楽隊、公民館におきましても同じでございますが、以上はいずれも地元の父兄会の会長からの要請を地方連絡部が受けまして、取り次いでおります。九月八日の木曜日、この日には枕崎市におきましてやはり第八師団の音楽隊が、枕崎市の父兄会の会長の要請によりまして音楽を演奏しております。これが音楽隊の今回の演奏のすべてでございます。
  147. 中村重光

    ○中村(重)委員 いま説明をされたところは、これは上林山長官の選挙区であります。また、音楽隊というのが、いろいろ公共的な形の中で、要請があれば行動しているということは私も知っている。ところが、鹿児島県におけるようなそういうパレードといったような大々的な行動が、過去においても行なわれてきたのかどうか。また、上林山長官自体が各地を視察した場合にも、そういうパレードというものが行なわれたのか。
  148. 海原治

    海原説明員 音楽隊大臣の御出張の際に出た例というのは、これはいろいろございます。前大臣のときにも、熊本の駅頭に西部方面の音楽隊は出てまいりまして、演奏いたしております。(「パレードじゃないじゃないか」と呼ぶ者あり)パレートにつきましては、それぞれの場合にいろいろなところへ出ております。この詳細につきましては、私うろ覚えで申しわけございませんが、今回か最初ではございません。
  149. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、こういう大臣のお国入りにパレードが使われた例というのは、過去にあるのですか。
  150. 海原治

    海原説明員 いわゆる大臣のお国入りに際してのパレードというのはございません。
  151. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、これは前例のないことなんですね。音楽隊が使われて、三幕僚長が、あるいは統幕議長がうしろへくっついていったということはあるのですか。あったらほかの例を言ってください。
  152. 海原治

    海原説明員 いわゆる大臣のお国入りに際して、音楽隊が出てと申しますか、音楽を演奏したことは、さきの松野長官の際に熊本で実施しております。しかしその際はパレードはいたしておりません。さらに統幕議長、各幕僚長がおそろいになったということは、先ほど政務次官からも御説明しましたような状況でございますので、このように全部のことが同時に行なわれましたのは、今回が最初でございます。
  153. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それで、そのようなことが新聞報道から見れば行き過ぎではないと、いまあなたは思っているのですか。
  154. 海原治

    海原説明員 私が申し上げたかったのは、当時におきましての新聞報道、これが何も世論のすべてを代表するわけではございませんが、いわゆる大臣のお国入りに際しまして、地元紙がどのような報道をするかというその紙面の感じから申しますと、行き過ぎという感じは受けなかったということを申し上げておる次第であります。しかし今日いろいろと御指摘を受けますと、いわゆるお国入り部隊の御視察、この二つが同時になりましたために、これはいろいろと御批判を受けることに相なった次第でございまして、私ども補佐の任に当たっております事務当局としても十分考えるべきであったという反省は、現在持っております。しかし当時におきましては、そのことが行き過ぎであるとか、はで過ぎであるということは考えなかったということを申し上げたいわけであります。
  155. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、今後の大臣のお国入りというのは、どこからどこまでやめさせるのですか。それを聞いておかないと、これが例になるのだ。いまあなたが松野さんの例を言いました。松野さんへ今度はプラスをつけたわけであります。そうして一つの事実を積み重ねをしていって、まさに私物化したというのはいまが最高なんです。これを黙視したら、まさに、私はおそろしいことになると思う。あなた、うんうん言っているけれども、おそろしいことになっているのです。だから、藤枝さんが、お国入りでもって後援会の総会も行事もやめたとか、あるいは荒舩さんが深谷駅の停車についての祝賀会も何もやめたとか、こう言われておりますが、一体今後はどうなさるのですか。
  156. 長谷川仁

    長谷川説明員 官房長の説明をお聞きになりまして、何から何まで全部正しかった、いや、はでではなかったのだというふうにおとりになっているふしもあるのではないかと思うのでございますが、私どもといたしましては、今回のこのお国入り——たまたま基地視察とお国入りというものがちょうど時間的、日にち的にも合いましたために、いろいろ局部的には誤解あるいは行き過ぎ、これはあったことは私ども認めざるを得ないと思います。   〔押谷委員長代理退席、委員長着席〕 本日も、私どもは、これは何も私どもが新聞論調というものを特に取り上げて云々言うわけではございませんが、防衛庁の首脳すらもやはり反省をしろ、こう言っておりますので、その中で指摘しておりますことは、いろいろ動機もあったろう、また過去にも前例があったろうけれども、悪い面は改めろ、こういうふうに指摘されております以上、私どもも、今後防衛庁長官の地方視察あるいはいろいろな行事の場合に、行き過ぎた点あるいは反省すべき点は、これを直す点につきましては、決してやぶさかではございません。
  157. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この音楽隊申請は、いつ、だれが、何日に、どういう形で申請されておりますか。出動要請ですね。
  158. 海原治

    海原説明員 音楽隊の点につきましては、先ほども御説明いたしましたが、地元部隊長の権限でございますので、中央には、この件については報告は参っておりません。
  159. 勝澤芳雄

    勝澤委員 九月四日に柳田小学校において第八師団の自衛隊音楽隊五十人、これはどういう理由で、何時から何時まで行動されたのですか。
  160. 海原治

    海原説明員 これもいま申しましたように、出動しておりますのは国分の音楽隊でございますので、要請者は指宿市自衛隊の父兄会長からでございます。これが地連を経由しましてかあるいは直接かわかりませんが、国分の陸上自衛隊の隊長に申請が出ております。したがいまして、この点につきましては調査をとらなければわかりません。
  161. 勝澤芳雄

    勝澤委員 初めから行程に合わして、計画的に音楽隊が入れられているわけです。いかにあなたのほうが何だかんだ言っても、それは防衛庁長官の会をますます盛んにするためにやっているわけですよ。ですから、音楽だってそうむずかしい音楽をするわけにはいかないから、「しあわせなら手をたたこう」だとか「こんにちわ赤ちゃん」だとか、「汽車ポッポ」、こういう音楽を実はやっているわけです。ですから、それはまさに上林山長官選挙運動を有効にするためにやっているわけですから、いかに強弁をしてもそれはいかないわけです。それは長官だけの責任でなくて、官房長以下これに参加した人たちの責任もあると私は思うのです。  それから、次の問題は、九月七日の串木野高校、ここへ降りて——これはほかの委員会で問題になりました。校庭に降りたのはけしからぬ、まさに私もそのとおりだと思う。あなたのほうは、授業時間前だからいいと思った、こういう答弁をしております。しかしこの高校の校庭で、降りたあとでごあいさつをいたしております。そしてまた、この校庭へ行くまでにわざわざ自衛隊機を使っているわけであります。この九月七日のこのあとの一切の行動というものは、まさに私の用のためなのです。これは、長官なら何でもかんでも自衛隊機を使ってもいいというように扱われているわけであります。  そこで、官房長官がお見えになりましたから……。間にいろいろお話があって、あなたもいろいろ経過については聞いておると思うのです。そこでこういう新しい事実——というよりも、これは一番よく知っているのは上林山長官です。どういう人を自分が引率しておったか、ああいう者をこの飛行機に乗せていったのがいいのか悪かったのか、あるいはまた、帰りの飛行機の中に、奥さんやそのほか地元後援会人たちが東京に行くのだからといって、ついでに乗せてやった、こういう行為がいいのか悪いのか。これは上林山長官が一番よく知っているわけであります。実は新しい事実でも何でもないわけであります。こういう事実を知りながら、なおかついろいろ弁解をして、そうしていまもなお問題になっておるにかかわらずお帰りにならない。まことに私はけしからぬ話だと思うのです。しかも先ほどからのお話のように、これらが一切公用だと、こう言い切っております。公私混同もはなはだしいわけであります。しかもそのあとあなたがいらっしゃらない間に、これは前例のなかったことです、松野さんのときには、軍楽隊は出ましたけれども、パレードには参加をしませんでした、統幕議長や三幕僚長まで参加するようなことは今回が初めてであります、音楽隊の出動もこんなにたくさんの人は初めてであります、こう言っているわけであります。これはまさに荒舩運輸大臣以上の悪質な自衛隊私用化であります。まことに私は重大な責任だと思う。ひとつ官房長官——これはあなたが直接命令をされていないようでありますけれども、今日の防衛庁長官のアメリカでの行動を見てみれば、そういういろいろな不始末を起こした人が、これからアメリカの高官に会ったとしても、話をしたとしても、一月か二月たてば、いやまごまごすれば日本に帰れば、この人は防衛庁長官をおやめになるかもわからないというような人と、マクナマラ長官が幾ら話をしても、ほんとうの話ができますか。やはり政治家として、防衛庁長官として、日本の代表としてお会いになるのだから、もっと身をきれいにして、そうしてそれにふさわしい形をもってお会いになることこそ、私は一番大事だと思うのです。ましてや、今回の旅行はアメリカからの要請だといわれておりますけれども、いろいろの話から聞きますれば、いや要請ではないのだ、要請してもらったのだ、自分だけではまずいから、また奥さんまで呼んでもらうことをお願い申したのだ。こういう防衛庁長官がアメリカに行って、一体何の対等の外交的な交渉ができるのでありましょうか。何のために——アメリカの兵隊のために、アメリカのために、日本がどうしますとお願い申して、向こうから命令を受けるのだったら、防衛庁長官が行かなくてもいいのです。私は、政府として直ちに帰還させるべきだと思うのです。いかがですか。
  162. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 防衛庁長官の今回のアメリカ出張については、先ほども申し上げましたとおりの経緯で、これはアメリカ側の招待によって出かけたものでございます。そして、ただいま早く帰さないかというお話がございましたが、先ほど申し上げたような経緯から、なるべく急いで上林山長官自身も帰るという心境のようでございますので、これは予定は、閣議了解の日程は、二十六日か七日に帰る予定であったわけでございますが、いまの私の気持ちでは、おそくも二十三日、日曜日じゅうには日本に到着するようになることと期待いたしております。正確な飛行機の番号あるいは到着時間等はまだ決定しておりませんが、おそらく二十三日じゅうには帰着のことに相なると思います。
  163. 勝澤芳雄

    勝澤委員 官房長官、一体この事実を一番よく知っているのはだれかといえば、それは上林山長官です。しかし国会で問題になるであろうということは出発前からわかっておったわけであります。しかし問題になった時点にアメリカにおりましたけれども、そのときには帰ろうと思えば帰れたわけであります。いまになって新しい事実が出たために、これは急いで帰らなければならぬということは、結局わからなければほおかぶりで通そうという考え方じゃありませんか。そういう大臣が、一体資格があるでありましょうか。新しい事実が出たから、二十六日の予定を二十三日に帰れ。だったらもっと早く前に帰ってきて、その事実を国会に、国民に明確に伝えて、二十日にどうしてもはずせない用事があったら、それだけはまたあとから出かけるとしても、なぜそういう措置がとれなかったのですか。それは上林山長官が、まだまだおれの問題はたいしたことはない、お国入りだけだ、それに同行した久保君の話はまだ出ていないし、後援会人たちの話も出ていない、逃げれば逃げおおせるという考え方を持っているわけであります。しかしそれが出てしまったから、政務次官もあわを食って連絡したら、それなら帰りましょう、帰らなきゃならぬ、こうなってきたでありましょう。早く帰るということはそういうことであります。早く帰るということは、結局そのことは明らかに承知をしていながら、とにかく逃げられるなら逃げおおせよう、私はまことに不道徳きわまる問題だと思う。これは荒舩大臣のようにはっきりすべきですよ。ひとつ官房長官、これはもう直ちに帰還命令を出して、君は防衛庁長官としての資格がないのだ——一体会ったって日本の国益にならぬわけですから、会うこと自体が国益にならぬわけですから、とんでもない取りきめをして、それで承知をされたらけしからぬ問題ですよ。ですから直ちに帰還命令を出すと同時に、この真相を十分調査をして、それと、これは防衛庁長官だけの問題ではございません。この計画をいたしました官房長はじめ統幕議長や三幕幕僚長以下局長以上の行動、この計画、一切がっさいというものをお調べになっていただいて、綱紀の粛正——一体自衛隊というものはどういうものかということをこの際真剣に考えて、言いなりほうだい防衛庁長官が使われるようなことになったらば、これはたいへんなことです。いかがですか。
  164. 長谷川仁

    長谷川説明員 官房長官の……。
  165. 勝澤芳雄

    勝澤委員 政務次官はいいですよ。官房長官から……。
  166. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 先ほど来るる申し上げておりますように、ともかくおそくも二十三日に帰国をいたします本人についても調査をしなければならないということは、政府としても考えておるわけでございますが、実態をなおよく調査をいたしまして、私としては、それがまず何よりのとるべき措置ではないかと考えております。おそくも二十三日じゅうには着くと思いますから、しばらくお待ちをいただきたいと思います。
  167. 勝澤芳雄

    勝澤委員 二十三日まで帰らない理由は何ですか。官房長官、いまお話を聞きますと、二十日に何か会合がある。一体そういういまのような国内の情勢の中で指摘をされている人が、相手と会うことによって一体何ほどの利益があるのですか。それを明確にして、なおかつ会うことのほうが私はより大事だと思うのです。相手側でもそうです。君のうわさが日本でこう言われているけれども、君どうなんだ、いや、あれは大したことない、いや、君の二十六日の予定が二十三日までに帰らなければならぬそうではないか、こういう話が出たら、一体いかに厚顔無恥な人といえども、やはり何か考えて、まことに申しわけないけれども、またあらためて来ますと言うのが、これは当然じゃありませんか。当然これは官房長官として、直ちに帰還さして、これを釈明をして、そうしてその真相を明確にすべきですよ。もう一度ひとつお答え願いたいと思います。
  168. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 防衛庁長官出張については先ほど来るる率直に申し上げておりますように、いろいろの経緯があり、そしてマクナマラ国防長官と会談をするということを頂点にした一連の日程を伴った招待でございまして、二十日に、その一番の頂点と見られておる国防長官との会談がございますから、実はその後のスケジュールについても、これを切り上げることは、その点から見れば、なかなかこれはむずかしいことであるわけでございますが、しかしこの一両日来の国会の論議等を通じて、これはまたたいへん重大なことであると思いましたので、これが終了後、直ちに帰るほうがよろしいと、上林山長官として決意をしたようでございます。二十日と二十三日というと、ちょっと間があるようでございますが、これは私が申し上げるまでもなく、時差の都合その他から申しまして、これはマクナマラと会ったらば直ちにその次の日に出発をするということにならなければ、日本時間で二十三日中にこちらに到着しない。それは、現在のところとしては、防衛庁長官としても最善の努力をいたした結果ではなかろうか、かように考えております。
  169. 勝澤芳雄

    勝澤委員 最後にもう一言申し上げておきますが、これほど重大な問題になっている上林山長官がお帰りになったら、政府も十分お調べになると思いますが、ひとつすみやかに、上林山長官が国会の席を通じてこの真相を明確にするように、やはり政府としても早急な処置をとるべきだと思うのです。それが好ましいと思いますけれども、いかがですか。
  170. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 それは先ほど申し上げましたように、国会を通じても、いろいろの真相というものは、本人からもお聞き取りを願いたいと思いますが、どういうふうな段取りで、どういうふうに委員会その他をお開きいただきますかは、これは国会側におきまして御相談をいただきたいと思います。
  171. 勝澤芳雄

    勝澤委員 終わります。
  172. 田原春次

    ○田原委員 関連。午後の再開に、官房長官、もう一回出席を要望いたします。  それから、そのときまでに次の資料を出してきてもらいたい。  それは、上林山長官のアメリカにおける変更前の日程、それからなお農林大臣の変更前の日程もあわせて出していただきたい。要望しておきます。
  173. 神近市子

    ○神近委員 いま、勝澤委員の官房長官に対する問題の取りまとめ方についての御要請があったのですけれど、私は、上林山長官が三十八年に北海道の調査に行かれたときの問題が、やはりその当時の新聞に出ていたことを御存じであったかどうかということが承りたいのです。  三十八年の七月だと思いますけれど、北海道に行って、神居古潭の上流に非常に有名な石があるのです。青い有名な石の種類で、いつか矢木沢ダムでもその石がたくさんありましたけれど、それは天然記念物で、取り出しはできない石なんです。その石を、石狩川の上流十キロもあるところから、二トンも取り出しまして、そしてそれを運んできたという事件があったのです。その当時ちょっと週刊誌か新聞で問題になったことがあるのですけれど、今度のお国入り騒ぎがきっかけになったとみえて、知らない人からこの写真が送られてきたのです。これは天然記念物でありまして、それにはいろいろ規定があることで、非常に高価な石だそうで、手を入れると大体一貫目二万円ということになっております。それが二トンでありますから、約五百貫目あります。それをいま屋敷の庭にこうしてあるようでありますけれども、これを御存じなかったのかどうか。長官はこういう国家のものをかってに自分たちのものに取り出すという——そういうくせのある人であります。(笑声)たいへんおかしいのですけれど、そういう前歴のある人を防衛庁長官なんというちょっと重要なところに御任命になったというところに、私は問題があるのじゃないかと思うのです。きのうの松野さんの問題だって、帰ってこられて空港で、いや日程自分の持っている日程と農林省の日程とが食い違っていたのですとか、ラスベガスなんかに行く予定はなかったのですとか、私どもから見れば子供だましのようなことを言っていられる。それで一般が通るというようなことをお考えになっているのかなあと思って、私はその点で御批判したかったのですけれど、あんまり騒ぎが大きかったので、もう引っ込めたのですけれど、そういうところにいまのあなた方がかかえていらっしゃる内閣の問題があると思うのです。この石の問題は、あなたはいま初めてでいらっしゃいますか。
  174. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 そういうお話を承りましたのは初めてでございます。
  175. 神近市子

    ○神近委員 この写真をあとでお目にかけまずけれど、これは天然記念物でありますから、文化財保護法の八十条で——これは罰則も百七条できまっておりますので、実物がある以上、この罰則を適用することができれば、これは罰則を受けなくちゃならない。この問題はちょっと調査なさる必要がある。そうして内閣の姿勢を正そうとなさるならば、この罰則もお考えになるのが当然じゃないかと思うので、私はほんのこれに付随した一言として、上林山さんがあしたマクナマラとお会いになるというのですけれど、この前の外国視察の場合に、あの人がどういうエチケットであったかということの批判もあります。とにかくあしたまた食事にでもなれば、つまようじを使って、これが日本の特産でございますなんて、たいへん的はずれのことをやらないとも限らない。こういうようなことがないよう、私は外国に要請して呼んでもらうというときには、やはりそういうエチケットもある程度心得るようにと思うのですけれど、私は官房長官が内閣をおつくりになるという場合には、やはり人物の選考というものはもっと派閥にとらわれないで、ほんとうの日本人の心持ち、日本の国民を代表するところの人をお出しになるべきだと考えるので、私はいまの長官の御信念というか御反省というか、そういうものを一言承っておきたいと思います。
  176. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 人物論はともかくといたしまして、いまおあげになりました石の問題は、さっそく調査をいたします。
  177. 華山親義

    ○華山委員 関連。官房長官に伺いますけれども、自民党といたしまして、現在の自衛隊というものは非常に大切なものになっている。そうして先ほどからお話を伺いますと、全くだらしがない。これだけの問題になった。こういうようなことが自衛隊の隊員の士気に関係いたしませんか。自衛隊の隊員の士気に影響があるとお考えになるかどうか。影響があるというふうにお考えになるならば、自民党としては当然かえなければいけないと思う。その点についての御所見を承っておきたい。
  178. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 御懸念の点は十分承ります。何はともあれ、間もなく帰国いたすわけでございますから、十分まず実情を調べる、明らかにするということがまず第一にとるべき措置である、かように考えております。
  179. 華山親義

    ○華山委員 とにかくいままでのことでも、これだけのことでもう、私は士気に影響があると思うのです。これから事実を調べてと言ったところが、言いわけにしかすぎない。私はそういうふうな意味で、自民党として、自衛隊の士気ということを考えるだけでも、やめてもらわなければいかぬのじゃないかと思う。これは社会党として言うべきことじゃないかもしらぬけれども、自民党を持っておられる総理大臣のかわりにお出になった官房長官の御意見を聞きたいのですけれども、これから帰られて、あれはおれは知らなかったということになるならば、全軍の士気には影響がない、こういうふうな意味で御答弁になっておられるのですか。
  180. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 何べんも繰り返すようでございますけれども、事態をできるだけ明らかに詳細にすることが、何よりもただいまのところ必要でございます。この点は私、誠意を持って対処いたしたいと存じます。
  181. 吉川久衛

    吉川委員長 田原春次君。
  182. 田原春次

    ○田原委員 午後再開後も官房長官が来るというので、私は質問を差し控えておったのですが、簡単ですから、私二つ申し上げます。  一つは、上林防衛庁長官の滞米日程であります。これを出していただけますといいのでありますが、最初われわれのほうに伝わったニュースによれば、マクナマラ国防長官は、面会ができない、サイゴンに行かなければならないから面会ができない、と断わった。しかるに、選挙の関係もあるから呼んでもらいたいということで行って、ナイアガラ瀑布に行っておる。それからコロラドスプリングズというところに行っております。これは温泉と観光地帯で、ロッキー山の中腹にあり、部隊はあまりたいしたものはありません。新聞の伝えるところによれば、きのうようやくニューヨークからワシントンに入っている。したがって、十月上旬に出発してから今日までは、見物に回っております。しかも奇々怪々なるニュースは、戦闘機F5の製造メーカーと、それから、ナイキでありましたか、名前は忘れました、あとで調べますけれども、メーカーからの招待で行っておるのであって、実態は三次防のメーカーの招待が主であって、いま遊んで回っているのは、メーカーと遊んで回っているのです。こういうふうに、国内における問題は、先ほど勝澤君の質問によって明瞭になりましたけれども、アメリカ行きというものは、何の必要もないのに行っておる。もしマクナマラ国防長官が会いたいというならば、十九日か二十日に出発すればいい。防衛庁の内部からいわせても、全く必要もないときに突然行った、防衛庁長官の自発的な意思で行ったのであって、国防上何も関係がないのだ、儀礼的なものだ、といわれておる。証拠を出せと言われれば出しますけれども、これが一点。これに対するあなたの綱紀粛正からの御所見、きょうは総理大臣に報告するものと思いますから、お尋ねしておきます。
  183. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 この防衛庁長官の訪米につきましては、一昨日並びに先ほども、私も触れたとおりでございまして、私の理解いたしておりますことは、上林防衛庁長官就任直後からアメリカ側の招待がございました。それからその後アメリカ側から、こういうふうな日程で訪米をせられたいという招待があったのでありますが、その後マクナマラ長官日程が変更になりまして、これはたとえばマニラ会談とかあるいはベトナム行きとかいうようなことがございまして、その間調整をいたしたことは事実でございます。しかし御招待した以上は、自分のほうもできるだけ差し繰って、ぜひお会いしたいということで、当初の日程が多少変更になりましたけれども、そこで、行くことに、最終的に招待を受けることに決定をいたしたわけでございます。その間、実は上林山長官といたしましても、どうしたものであろうか、あまりアメリカ側に無理をしてもらってまで都合をつけるというようなことはどうであろうか、というような遠慮の気持ちもあったことは、途中の経過においてはございました。しかしアメリカ側がせっかく御招待をしたのだからぜひということになりまして、これを予定どおり受諾することに、上林山君も決意をした、こういう経緯がございましたことは私も承知しておるところでございますが、本人が無理やり個人の意思によって云々とおっしゃいますことは、私の承知しておりますこととは事実が相違いたしておる、この点だけ明らかに申し上げておきたいと思います。
  184. 田原春次

    ○田原委員 私は見解を異にしますが、いずれ長官が帰りましたら、まとめてあらためて質問することにいたします。  次は、松野農林大臣日程でありますが、これもカナダのオタワでの会議から次の訪問地のメキシコに行くならば、あのコースは間違っておるのです。オタワからトロントに出て、トロントからシカゴに出て、ロサンゼルスに出てメキシコに行けば、一日で着きます。しかるに西インド諸島のナッソーに行って海水浴をする、それから今度はメキシコシティーから六百キロ離れた南のほうのアカプルコに行ってまた遊んで、それからメキシコに入る、こういうようなコースを行ったことは、観光が主であって、たとえばその次の最後の日程のロサンゼルスに四泊といっても、四泊の間にラスベガスに行っておる。農林省のこの間の説明員の答弁によりますと、日米経済の関係がある——ラスベガスはばくち場でありまして、経済の関係はない。野っ原にただばくち場があるだけである。そういうふうに、何も事情を知らぬだろうぐらいのことでごまかしては困る。松野は日程を少し早めたのですが、この間松野農相の答弁の中に、連れていった榊田何がしの旅費の件が出ておりました。その後調べてみますと、旅費はようやく問題となった一昨日の十月十七日に、日銀の本店に、榊田の勤務先の坪田という株屋さんのほうから納めておりまして、出発前に辞退したという事実はありません。なおまた、英語でありますから、オタワでの公式会談は大使館から通訳がつきます、非公式の会談の途中は別といたしまして。メキシコはスペイン語でありますから、榊田氏の通訳としての意味がないのであります。  こういう意味におきまして、答弁はうまく言っておりますが、実態は違っておりますので、お尋ねしたいことは、えりを正すという佐藤さんが、ほんとうにえりを正すならば、佐藤派の直系である松野と、それから佐藤派の直系である上林山をまず切る、辞職させる、そうして新しい気持ちで再出発するならわかりますが、このままかばうならば、国会は承知いたしません。これに対するあなたの御見解をいま聞いておきたい。
  185. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 松野農林大臣日程の問題等につきましては、これはこちらにおるのでもございますから、なお御不審の点は直接お尋ねをいただきたいと思います。  それから、ただいまの後段の御意見につきましては、とくと承ることにいたします。
  186. 中村重光

    ○中村(重)委員 関連して。官房長官にお尋ねしますが、あなたは、上林防衛庁長官はいまアメリカにいる、それが帰ってきてから調査をし、また詳細に聞いてみたい、そういう答弁をしておられる。何を調査しようとお考えになっておるか。上林山長官が、いままでかつて前例のないようなはでなパレードをやって、いわゆる自衛隊の各機関というものを私物化したという事実は、これははっきりしている。いま一つ、自衛隊搭乗機に、いわゆる防衛庁長官が必要ある者として九名のまぎらわしい人物、しかも刑事被告人を搭乗さしたという、これも事実なんです。防衛庁の官房長は、いわゆる防衛庁長官が必要ある者としてこれを認めたんだと、先ほどからはっきり答弁をしておる。ところで、長谷川政務次官が電話等で問い合わせてみたところが、自分は知らなかった、秘書にまかした——秘書がやった行為だから、上林山長官は責任がないと、あなたはお考えになっておるのかどうか。しかも防衛庁としては、いわゆる防衛庁長官が必要ある者として認めたんだとさっきからはっきり言っているのだから、上林山長官がこのまぎらわしい人物、さらには刑事被告人を乗せたというこの責任は免れないのだ。だからこの事実に対してあなたは上林山長官をなおかばう余地があるとお考えになっているのか、何を調査しようとお考えになっているのか、この点をひとつ伺っておきたいと思います。
  187. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私は繰り返して申し上げますが、この防衛庁事務当局答弁は、事務当局として誠意のある答弁であると私は信じます。しかし同時に、上林山長官が報道機関等に漏らしておるところの見解、あるいはまた先ほど来問題になっておりますが、防衛庁長官として必要とみずから認め、みずから指令をしたのか、あるいは秘書事務当局と適当に相談をされたものであるか、まあその辺のところも、たとえていえば、やはり本人について聞いてみなければさらにはっきりした事態にならないのではないだろうかと考える点もございますので、それらの点もあわせまして、十分にもう少し調査をする必要がある、特に本人がもう直ちに帰ってまいることでもございますから、それらの点もひとつ御了察をお願いいたしたいと思います。
  188. 中村重光

    ○中村(重)委員 官房長官秘書がやった行為は上林山防衛長官には関係はないんだ、責任はないんだとあなたはお考えになっているのか、その点をはっきりしてもらわなければならぬ。しかも先ほど資料によって明らかなように、いわゆる部隊視察の形あるいは防衛長官に随行のためという形において搭乗させておるというこの事実は明らかになった。ならば、上林防衛庁長官がかりに知らなかったとしても、秘書がやったというようなことがかりにあったにしても、秘書上林防衛庁長官との間には連絡のあったということだけは事実なんだけれども、あなたの言うとおりに、全員すべてを防衛庁長官がかりに知らなかったとしても、上林防衛庁長官の責任はもう免れない。はっきりしている。したがって、先ほど来指摘されたように、上林防衛庁長官に対し責任をとらせる、そうして綱紀を粛正するということは、これは当然ではないか。はっきりしてもらいたい。
  189. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 綱紀の粛正については、もうもちろんはっきりした態度で終始するつもりでございます。しかし、同時に、こういう問題について、あまりに結論急ぎをするよりも、事態をできるだけ明白にするということが、より大切な、まずとるべき手段ではなかろうか。先ほどからたびたび申し上げておりますように、本人も直ちに帰ってくるわけでもございますから、ひとつわれわれにもしばらくの余裕を与えていただきたいということをお願い申し上げる次第でございます。
  190. 田原春次

    ○田原委員 綱紀粛正についてあらためて質問いたしますが、午後は、防衛庁における黒い霧、綱紀粛正の問題であります。これは午前中答弁しました海原官房長に対する黒い霧がたくさん……。海原氏が今度——になります。そこで、防衛庁内の綱紀粛正委員会をつくられて、委員長になっておる三輪事務次官、これを参考人に午後ぜひ呼んでいただきたい。要求しておきます。
  191. 吉川久衛

    吉川委員長 吉田賢一君。——ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  192. 吉川久衛

    吉川委員長 速記を始めて。  暫時休憩いたします。    午後一時四十六分休憩      ————◇—————    午後二時十九分開議
  193. 吉川久衛

    吉川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  調査を続行いたします。吉田賢一君。
  194. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は、綱紀粛正の観点から、一、二官房長官に伺いたいのであります。本来ならば、これはやはり防衛庁長官に伺うべき筋であります。また、その最高の統率指揮者である佐藤総理大臣に伺うべき筋でございますけれども、余儀ない実情でありますので、官房長官にお伺いいたします。  今回の上林防衛庁長官鹿児島県下における問題は、いろいろな角度から考えられますが、若干方面を変えまして、私は批判をしつつ御意見を伺いたいと思うのであります。  問題になりました個人、特に刑事被告人として保釈中の身分の人などを、自己の秘書として飛行機に乗せて帯同しておったというのも事実、手落ちのいかんにかかわらず、こういうようなことはきわめて重視すべき規律の乱れ方と思います。そういうように考えてみますと、数日間の長官行動にまつわりまして、幾多批判をしまた検討を加え、現在及び今後に処すべき問題を提供したものと思われます。また結論的には、このような問題について、一体長官は責めを負うべきかどうか、こういう問題もございます。しかしそこは一応は避けまして、こういう点から問題を考えてみたいと思うのであります。  報告によりますと、統合幕僚会議議長、陸上、海上、航空の三幕僚長を帯同して行っております。詳しく実情は存じませんけれども防衛庁設置法の精神なりないしは自衛隊の存立の目的なり、またその精神から考えてみますと、幕僚長というようなものは、用兵、作戦、指揮命令の最高の指揮官でなければなるまいと思います。また統幕の議長は、それを総括すべき重責がある立場であります。これを全部帯同していくということは空前のできごとであります。有事即応の体制とかよくいわれますが、東京をあけて、あき家にして全部首脳部を連れていくということは、よほどよくよくの必要性がなければ筋が通らぬと思います。これを、言うならば簡単になさったというところに、私は大きな何か欠陥があるのじゃないか、こう思われます。まず、その点について官房長官はどう考えられますか。
  195. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 統幕議長をはじめ、三幕僚長が同時に防衛庁長官に同行した、そのことは何か特別な異例な意味があったのではないか、こういうお尋ねでございますが、この点については、防衛庁事務当局からも答弁があったことかと思いますけれども、九州方面における海空陸の総合的な行動、あるいは計画というようなことについて、この機会に全部一緒に同行して、検討をしたい、視察をしたいというような要務もあったのではないだろうか、そういうところに一つの意義を持って、皆さんで行かれたのではないかと私は解釈するわけでございますけれども、これらの点につきましても、先ほど来るる申し上げておりますように、防衛庁長官としての意図あるいは方針というものが、私ども想像する以外にもあろうかとも思われますので、こういう点につきましては、すみやかに帰ってまいります防衛庁長官自身からも、ひとつ説明をお聞き取り願いたいと存じます。
  196. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は、やはり防衛庁長官国務大臣でございますから、したがいまして、当人の口から説明を聞くということでないと、この重要な行事、できごとの真相ないしは評価ができないようでは、これはいかがなものであろうか。やはり内閣といたしまして、ことに長官の上位には総理がありますから、この総理の立場から考えましても、あなたはどのような意図で、何が企画されて、何の目的があって行なわれたかということは適切に御理解になっておらねばなるまい、こう考えるのであります。だんだんとこまかい枝葉の問題もございますし、いろいろと入り組んだ政治その他のこともニュアンスがあるようでありますから、もちろん御本人から聴取することも必要でありますけれども、私は、大体いまの防衛庁におけるいろんなスケジュール、報告等を基礎にいたしまして、政府としては、この重要な最高のスタッフを全部帯同して行くとは一体どういうものだろうか、どうしてもその疑問が解けませんです。これは本人からこさいな説明を聞いて、とやかくの弁解というよりも、こういう問題についてはずばっと確答ができる、即答ができる、こういうことでないと、一体自衛隊の指揮命令というものができるのであろうか、こういうふうにさえ考えるのであります。   〔委員長退席押谷委員長代理着席〕  さらに第二点は、目的は他にもあったかも存じませんけれども、一地方部隊の鹿屋の海上自衛隊あるいは国分の駐とん地部隊、この視察ということが、一応表にはっきり出ておるようでございます。言うならば、一地方部隊であります。一地方部隊視察というものに最高のスタッフを全部帯同していくということは、厳正な規律をモットーとしていることは、自衛隊法上の規定にも明確にされておりますし、そういう辺が相当混乱したままになっておるようにも思われますので、したがって内閣として、この点について、小さな地方部隊に最高のスタッフを全部帯同していくということは、相当な理由が裏づけにあらねばなるまい、こういう判断に立つのであります。重ねてその点についての御見解を聞いておきたいと思います。
  197. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まことにごもっともでございまして、実は私といたしましては、事前にこの計画を承知しておりませんでした。いまにして思いますと、私の立場からいいましても、もっと事前に十分こうした計画を承知をして、そうしてそれに対して若干の助言なりあるいは注意をすべきであったかとも存じまして、その点は私としてはたいへん遺憾に思っております。  そこで、いかなる目的であったかということについては、防衛庁内の手続といたしましては、防衛庁長官に随行をする、こういうことが出張目的になっております。これは統幕議長も三幕僚長もそうでございます。もっとも、その中身につきましては、これも詳細説明がすでにあったかと思いますけれども統幕議長それから三幕僚長が全部一緒に行動いたしましたのは、九月のある日の日中一日であって、陸幕と海幕の幕僚長は同日の午後から別行動で、一行から別れて、それぞれの目的を遂げ、あるいは帰京いたしたというふうに承知をいたしておるわけでございます。したがいまして、一つの部隊だけに対して全部顔をそろえて視察行動したというのは、かりにございましても、ただ一回限りということになっておるようでございます。
  198. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その行程の全部、一部ということにかかわりませず、私は、東京の空をからにして、そして全最高首脳部が九州くんだりまで行くということには、よほどよくよくの理由がなければならぬということを申し上げておるのであります。したがいまして、これは官房長におきましても、何かと世話役の事務をおとりになるので、やはりその上位に総理もあることですから、しかるべく総理に向かって、このように全最高スタッフを帯同して九州に行くということはよいのだろうかという判断を、事務的にまずせねばならぬ。それがほんとうの、われわれの見るあなたのお立場じゃないかと私は思う。もし長官の命ならば何でもやるということであるならば、これは新憲法の精神ではございません。少なくとも用兵、作戦ということについては、直接には幕僚長でしょう。長官そのものは幕僚長を通じて指揮し命令するのでございましょう。でありますから、この点は旧日本の軍隊とは違いますよ。文官が一枚上におるのでございますから——文官的な立場がね。でありますから、旧軍隊の何でも一切の命令をし得るというような、そういう仕組みではないと私どもは理解するのです。したがいまして、そこには、それは長官おなれにならぬけれども、その御計画は無理でしょう、あるいはそういうことは自衛隊の規律を乱すものであるというようなことは直言せねばいけません。そういうようなことができないようなことであったら、私ども自衛隊を置く置かぬとか、認める認めないとかいう根本論は別といたしまして、ともかく現状におきましては、相当多数の人が規律厳正とか、あるいはまた人格の尊重とか、厳格にみずからの行動を律しながらつとめている人があるのです。その上の最高の人が、ともかく一地方の視察に全部連れていくということになると、一体影響はどうだろうか。もしYS11号に事故があって、全部死んでしまったらどうなるのです。極端に言うならばそんなことも思います。  そこで官房長にも官房長官にもお尋ねしますが、これは少なくともこのように全員帯同、九州くんだりまで行くというときには、総理大臣に伺いを立てて、そしてその許可を受けるとか、指揮を受けるとかいうのが順序ではないか。そうあるべき筋ではないか。そのような重要なことでないかと思うのですが、この点はどういうふうに理解されるのでしょうか。まず官房長官から……。
  199. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 先ほど申し上げましたように、私率直に申し上げるのでありますけれども、こういうように全最高首脳部が長官に随行して遠くへ旅行するということについての御批判を承りましたが、私はごもっともと思います。これを事前に私承知しておったならば、何がしかの助言やあるいは相談もできたかと思うのでありますが、そこまで至らなかったことについては、私としてたいへん遺憾に存じております。ただいお話しのような点は、少なくとも今後におきましては十分注意を払ってまいりたい。必ずしも、こうしたことをあらためて総理大臣許可事項にするとかどうとかいうことまでは考えませんけれども防衛庁長官の良識とそれから防衛庁の幕僚各位の良識とあわせて、私どもが内閣の中の一員として十分連絡を緊密にいたしまして、注意をしてまいりたい、かように考える次第でございます。
  200. 海原治

    海原説明員 先生のおことば、一々ごもっともでございまして、私どもとしましても、先生御指摘のような点についての配慮がなかったことは、まことに申しわけないと思っております。
  201. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私のおそれることは、一つは自衛隊そのものを長官の独断専行によって自由に使い得るような風習がもしありましたならば、これは戦前の日本の軍隊と同じようなものが生じるおそれがあります。少なくともそういうようなことは官紀紊乱もはなはだしい、こういう見地に立って、厳正な規律を守っていくということでないと、これは全くがたがたになりますよ。少なくとも思想的に内部で混乱してしまいますよ。これは少々の上部の人々の自粛とかあるいは自覚とかなんとかいうようなことでは、とうてい解決しないものを植えつけてしまうと私は思います。そういうふうにさえ考えるのであります。  そこで、私はもっと論じていきたいのですけれども、多少いまの段階を考えてみまして、やはり私は最も規律を厳正になすべき場所におきましては、最上位の者がこれを実践するということをやってもらいたいのです。たとえば司法権の行使にしましても、書記官のことよりも、やはり裁判官が法規を守るということに何よりも厳重なものをわれわれは求めなければならぬと同じことであります。こういうことでありまするから、私は今回の事件につきましては、あらためて御本人からだんだんと聞きはしますけれども、しかしいま持っておる一つの結論的な方向は、相当これは責めを負って、国民に、不明を謝してもらわねばならぬ。それはやはり辞任するより手がないであろう。もし辞任もしないで弁解これつとめていきなさるということになりましたならば、これはその反対の反撃の現象は、一政党だけの問題じゃございませんよ。これが全自衛隊に対する反対空気ということにもなってきます。また政府あるいは佐藤内閣、それに対する不信はもちろんであります。言いかえるならば、マイナスになるところのものが相当大きいと思いますので、これが国務大臣としての上林山君の地位の問題で解決するならば、私はそれがしあわせだと思いますので、あなたらのお立場からするならば、ひとつ泣いて馬謖を切るとして、断固として処理をせられて、そしてあやまちなり不明なりを全国民に向かって謝す、こういう態度をもって臨むことがどれだけ将来のために大きなプラスになるかわからぬと思いますので、内閣の方針としてはそうあってしかるべきでないか、こういうふうに思うのであります。官房長官としてのあなたの御見解を聞いておきます。
  202. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 いろいろと御熱心に御心配をいただきまして、まことにありがたく存ずる次第でございます。先ほど来申しておりますように、まずこれでも十分であるというような御意見もあろうかと思いますが、私どもとしては十分実態を掌握いたします。そのことがまず緊急にこの際とるべき措置である、かように考えますので、御意見のほどはとくと承ります。まず本人も帰国いたしましたならば、事態は詳細にわたって明白になるのであろう。その中には筋の立ち得るところもございましょうし、またしからざるところもあろうかと思いますので、現在は想像は抜きにいたしまして、客観的に事態を明らかに調査をいたしたい、これを第一の措置にいたしたいと存じます。
  203. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 終わります。
  204. 押谷富三

    押谷委員長代理 田原春次君。
  205. 田原春次

    ○田原委員 各省それぞれ大なり小なり綱紀紊乱の事実があり、綱紀を粛正しようとするこの内閣、佐藤総理に聞くつもりでおりましたが、病気のようでありますから、官房長官からしかるべく伝えてもらって、御判断を願いたいと思うのであります。  第一点は、数ある各省のスキャンダルや綱紀紊乱の中で、最も代表的なものが防衛庁関係のものであります。したがって、とりあえず防衛庁の問題だけをきょうは取り上げてみようと思います。  そこにおる海原官房長に対しては非常な批評があって、前の松野防衛庁長官のときにも罷免するわけだったらしい。ところが防衛庁長官が急に農林大臣になって、新たに上林山君が防衛庁長官になった。これに対しては、庁内で、鹿児島の山ザルが来たけれども、これは適当にあやつっておけばいいのだということを、数回海原官房長は放言しておるんですね。たまたま今度防衛庁長官自身がみずからの選挙区入りを主として、鹿屋やその他はつけたりの出張をする。これはしめたというわけで、防衛庁あげての運動をやったのは、その中心が、首切られ一歩手前である海原官房長の陰謀であると見る者が多いのであります。そこで、具体的な例をあげて、主として海原官房長に質問いたしますから、これは官房長官よく聞いておってもらいたい。
  206. 押谷富三

    押谷委員長代理 暫時休憩いたします。    午後二時四十六分休憩      ————◇—————    午後四時三分開議
  207. 吉川久衛

    吉川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  調査を続行いたします。  先刻の神近市子委員質問に対して、防衛庁海原官房長から発言を求められておりますので、これを許します。海原官房長。
  208. 海原治

    海原説明員 先ほど神近委員から御指摘のございました、北海道神居古潭付近でとれました天然記念物の石を上林山長官のところに持っていったのではないか、こういう事実を知らないかということのお尋ねがございました。この件につきまして、私のほうでできますところ調査をいたしましたところ、東京の大臣のお宅にも、鹿児島のお宅にも、そのような石はございません。なお、この石は、天然記念物ではないということを承知いたしております。したがいまして、一応のところ、いままでのところでは、先ほど神近委員から御指摘のあったような事実はないものと私ども判断いたしておりますが、なお具体的に疑わしい事実がございましたら、それを教えていただきまして、それに基づいて私のほうといたしましても調査をいたしたいと思いますので、一応中間の御報告をいたしておきます。
  209. 吉川久衛

    吉川委員長 山田長司君。
  210. 山田長司

    ○山田(長)委員 新聞の報道によりまして、承知をしておるわけでございますが、接収解除になるダイヤモンドにつきまして、本委員会をはじめ予算委員会等においても、さらに参議院においても、たびたび審議をせられておりまするが、このダイヤモンドにつきましてはいまだに、私の調べておる範囲では、不明朗な霧が依然として晴れていないのでありまして、どうしても、いよいよデパート発売をされるという段階になりましては、最後に伺っておかなければならぬ事態になったと思うのであります。  これにつきまして一、二伺っておきますが、会計検査院当局来ていますか。——私は、いまから十五年前に国会に初めて出てきた当初から、当時の行政監察特別委員という形でこの問題を取り扱ってきた一人といたしまして、いよいよ最後にこれが日銀の地下室から放出される段になりましては、どうしても伺っておかなければならないので、この点につきましては、これはひとしくこのダイヤモンドを供出したところの国民全体が、出した人たちにとりましては、同じような形で考えられておるものじゃないかと思うのでありますが、大体もう七、八年前でありますが、ばかやろう解散という解散がありましたけれども、そのときにこれは法案として、このダイヤは当然戦争の犠牲者やあるいは戦病死者遺族、傷痍軍人を含めた社会福祉事業に使うという意図で、これらのことの法案が一応できたのでありましたが、あの解散にあいましてついに日の目を見ずにしまっておって、今度は、売り上げたら一般会計に繰り入れられるという話でありますけれども、これらにつきましては、何としても私は理解に苦しむところであります。  それで、一度これはデパートで売り出されてしまったらば最後、再び会計検査院当局がその品物を取り戻して調べるということになりますると、なかなかこれは困難な事態だと思うのであります。そこで、この価格につきまして、低廉な価格をどういう形でつけられるか知らぬが、大体二十三年のときに七十二億という当時の価格が出たが、その当時から思うと、世の中の物価というものは何十倍も違ってきている。今度の放出をされる段階になる直前に一応専門家にこれが査定をさしたようでありますけれども、一体どのくらいな価格に全体の査定ができたものであったか。それからこの価格は、デパートで売り出す価格等につきましては、どんな角度で売り出される品物は選び出されて、それに定価がつけられて手放させる段階になるのか。この機会につぶさに国有財産の衝に当たっている局長から伺っておきたいと思います。
  211. 松永勇

    ○松永説明員 ダイヤモンドにつきましては、この国会におきましてもしばしば問題になったところでございます。私のほうといたしましては、この処分を最も公正に行なうということを第一にして今秋から処分を始めますということは、申し上げたとおりでございます。その準備を進めてまいりました結果、今月末からこの処分を行なうということにいたしまして、去る十月の三日にこの旨を新聞発表した次第でございます。  処分の方法といたしましては、しばしば御説明申し上げましたように、一般競争入札及びいわゆる委託販売方式と申しますか、特定の処分方式をとって処分をいたします。そのことも申し上げたとおりでございます。本年は、本年の予算に見込んでおりますように全体で二万九千カラット、その第一回分としてこの十月から一万四千カラット、うち七千カラットを委託、残り七千カラットを一般競争入札。第二回は一−三月に予定いたしております。  そこで、こういう疑いのないように公正な処分をするということを第一にいたしてまいったのでございますが、特に問題になります評価につきましては、従来の評価が一部業者のみによって評価されたではないかといういろんな批判もございます。そういう点を考慮いたしまして、一般学識経験者を含めまして総計十一人、この中にはすでに御説明申し上げましたように、特に占領中におりました米軍のヘンダーソン氏をも入れまして評価をしていただいたわけでございます。今回評価いたしましたのはこの十月下旬に売り出すものの評価でございます。御承知のように、会計法によって入札等をいたしますその直前において政府の予定価格を定めるということでございますので、今回処分をいたすものの評価をいたしております。本年度の第二回に評価をいたしますものは、今回の売り渡しが終わってから評価をまたいたす、こういう計画になっております。したがいまして、今回評価をいたしましたものをもって全部の評価をいたしたわけではございません。十六万一千カラットというのは今後数年にわたって売り出そうということでございますから、そのときにおける時点でまた評価をいたすということに予定いたしているのでございます。  なお、申しおくれましたが、今回売り出しますものはこれが国民の供出にかかるものであるという観点から、広く国民にこれを買い取っていただきたいという趣旨から、特に国内において三年以上こういう業を営んでいる者を対象に委託をする、あるいは入札をするという措置をいたしております。それから売り出す品物はできるだけ一般的なもの、すなわち大衆的なものを選びまして大きさも〇・三カラットから一カラットまでのもの、品質もおおむね中あるいは中の下という一般的なものを今回は選んで販売することにいたしております。  そういう関係で私たち評価の問題につきましては、公正なる十一人の鑑定人によって公正な評価がはかられたというふうに判断いたしておりますが、私たちこの鑑定人にいろいろものを聞いてみますと、ダイヤは最近非常に値上がりしている、また品質が非常にいいものについては相当大幅な値上がり傾向にある、しかし品質が悪いものはなかなかそんなに値上がりしないということをそういう鑑定人は申しております。今回選びましたものが比較的中の下のような、品質としてそれほどよくないものでございました関係もありましょうが、私たちが予想したよりもその値上がり率は比較的低いという状況になっております。この金額はまたごく一部を評価した程度でございます。また私たちがこの十月の三十一日から行なおうとする入札の予定価格となっておりますので、価格の面については特に省略させていただきたいと思っております。
  212. 山田長司

    ○山田(長)委員 鑑定人をどういう角度で選ばれたものか、それ自体に私は疑問を持っておるのでありますが、第一にあなた方が参議院の決算委員会に出された国有財産の小委員会における資料の中に、ダイヤの置いてある日銀の倉庫には数名の大蔵の職員が従事しており、大蔵省の政府職員が一人で中に入ったことは絶対にありません。絶対にないということがこれに書いてある。ところが、あなた方が出された書類の中に、この日銀の地下に一人で入ったということがちゃんとある。これが問題なんです。この統計を見まして、第一、昭和二十六年の六月に鈴木智吉という人は三回入っている。計三回がその合計の中に出ていますが、三回入ったこの過程は、一人で入っておる。それからさらに十月に鈴木智吉という人と大久保孝男という人が入っておるが、鈴木は三回で大久保孝男は二回である。ですから二人で入ったとしても、これは一人だけ入った日があるはずです。それからさらに同年の十二月に、この鈴木智吉のほかに大久保孝男、吉永晴郎という人が入っていますが、鈴木は一人で四回入っておって、あとの二人は一回ずつである。こういうことを見ますると、これは必ず一人で入った人がなければならない。なぜ私はこんなことを追及して言うかというと、日銀の地下室から百万円の束が紛失して銀座におっこちておって、それがいまだにだれが持ち出したものであるかわからない。そういう事態がありますだけに、私は一人で入ったという問題について強く追及するのですが、いかにももっともらしく、接収解除をされるダイヤの金庫の中に入るときの実情というものはこういうふうに全部封印してあって、私は封印してある図を持ってきてあるのですが、名前と入った日付と判こが押してある。押してあるけれども、こういうもっともらしく封印がしてあると言われるけれども、一人で入ったということは統計上に出てきている。これらについては、いままで入ったことが絶対にないという書類まで出ているけれども、そういう入ったことはあるという事実は、あなた方が出された書類の中にあるのですから、これは入ったということは言い切れると思うのですけれども、この点はどうですか。
  213. 松永勇

    ○松永説明員 先生先ほどおっしゃっています、この日銀の地下へ入った状況、だれがいつ、何時から何時まで入ったかというような資料を特に提出しろという御依頼がございまして、国会に提出したものでございます。その資料によりますと、先ほど先生のおっしゃったように、二十六年の十一月に鈴木何がしという係員が、この資料では一人で入ったということが出ているのはそのとおりでございます。当時、二十六年は、これは私のほうとしましては理財局の所掌でございました。その当時の事情、一人で入ったという事実を調査いたしましたところ、それは大蔵省から参りまして、日本銀行へ行ったときは一人であったが、あの金庫に入るときには必ず日本銀行の職員が立ち会い、日本銀行の人の許可を得て入るので、そういう意味で、一人で入ったということはないというふうに私たちは確信しておったわけでございます。従来一人で入ったことがないというふうに申し上げておったのはそういう意味で、すなわち盗難とかあるいは窃盗等が行なわれる状態ではなかった。それほど厳重にこのダイヤモンドの保守、管理ということは注意してまいっておったという趣旨で申し上げてまいったわけでございます。
  214. 山田長司

    ○山田(長)委員 会計検査院当局に伺いますが、月末にダイヤモンドはいよいよ一般国民に販売される段階になっておるということを大蔵当局からいま伺ったわけですが、会計検査院はこの販売される前に、いわゆる販売されてからではこの品物が幾らでどうあったということについて、しかもこれは科学的な調査によるものではなくて、ダイヤモンドは最近はダイヤモンド・ライトという機械でダイヤの品質等は肉眼によらなくてもちゃんと調べることができる機械があるのですけれども、これらのものは使わないで、肉眼査定によってダイヤが売り出される。そうなりますと、もしこういうことではなかったではないかというような結論が出てきても、もう第三者の手に渡ってしまってから、会計検査院がこれを検査するといってもできないのです。そこで、会計検査院当局は発売される前に何らかの形で一度見ておく必要があるのではないかと、私は決算委員会立場において心配をするわけですけれども会計検査院当局は大蔵当局の売り出すまま、そのまま見ておっていいのですか。それとも何か見たのですか。最近の実情はどうなんです。
  215. 斎藤実

    ○斎藤会計検査院説明員 先生のおっしゃるように、済んだあとでもし間違いがあっても、これを訂正することはできないというのは確かにそうでございますが、会計検査院といたしましては、経済行為が行なわれたあとで検査をするというのがたてまえになっております。これはダイヤに限りませんで、いろいろ物品の売却とかあるいは物品の買い入れとかにいたしましても、その経済行為の行なわれたあとで検査をするということがたてまえになっております。そうしませんと、一々事前に検査院がああせい、こうせいというようなことになりますと、内閣の行政権に対する干犯というようなことも出てきますので、たてまえといたしまして、以後に検査をすることにいたしております。
  216. 山田長司

    ○山田(長)委員 そんなばかなことがありますか。それは法規上はそういう形になっているかもしれませんけれども、今度は何万個というものが出てしまったあとで、そのことが問題になったときに調べる方法はないじゃないですか。それじゃあなた方会計検査院は、一々その事態のときに回って歩いてみますか。これは普通の物品の売買の場合とちょっと違いますよ。一個が何万もするものをあるいは何十万もするかもしれないものを、デパートに委嘱してデパートから売り出されてしまった。この経済行為が行なわれてからでなければ見ることができないというような事態では、ずいぶん手間どるじゃありませんか。何らかの形で、当然定価がつけられる前でもやはり見ておく筋じゃないですか。この点はかまわないのですか。
  217. 斎藤実

    ○斎藤会計検査院説明員 見ましても経済行為が行なわれない前にはああしなさい、こうしなさいということはちょっと言いにくいのじゃないかと思います。
  218. 山田長司

    ○山田(長)委員 ああしなさい、こうしなさいと言わなくたっていいじゃありませんか。これは一応国際価格というものがあるのですから……。第一、今度の販売はダイヤモンドの国際価格表にのっとって、こういう表に従って当然その査定がなされなきゃならぬのですが、私は日銀へ調査をする状態を見に行ったときに非常に危惧の念を持ちましたのは、全く肉眼で査定をしておった。それで前の隣の壁に定価表に品種別に分けるべきものが、最初は九十七種類あったものが八種類に分けられて、今度はそれが五、六種類に分けられてきておる。こういう表に従った形は、あの査定の人たちにはちっともなされておらなかった。国際価格というものが、国際市場における単価があるのにかかわらず、こういう国際的な表にのっとらないで肉眼査定で、しかも一個何十万も何百万もするものが売り出されたらたまったものじゃありませんよ。これは黙っててもいいですから、会計検査院当局は一応見て、しかもそれを専門家に、あるいは肉眼でなくて正規の機械等を利用してもいいですよ。それを会計検査院当局は見ずにそのまま手放してしまってそれでいいのですか。何らかの形で見ておくべき筋のものではないかと思うのですが、その点どうですか。
  219. 斎藤実

    ○斎藤会計検査院説明員 私のほうで現実に見ておりませんけれども、大蔵省から売り出しの方法についての書類はちょうだいをいたしております。また私のほうで見に参りましても、これはたいへん恐縮な話ですが、ダイヤモンドの値打ちというようなもの、たとえば私が参りましてもわかりません。そうしますと、今度はだれかほかの専門家に依頼をするということになるかと思いますが、そこで大蔵省でお選びになった方と意見が違った場合、またこれをほかの人に依頼をするというようなことになるのではないかと私は考えるのです。検査院で見ましても、私はしろうとでございますし、また専門家がおりませんので、現物について見ようという意図はいまのところ持っておりません。
  220. 山田長司

    ○山田(長)委員 会計検査院の機能をもってしては、最近の状態ではわからないものはたくさんにありますよ。それは土木事業であるとかあるいは建築物であるとかそういうものであれば、比較的旧来の会計検査院当局の人たちでもわかったかもしれない。ところが最近のように原子炉の問題だとか、あるいは二マッハの飛行機であるとかというものが、旧来の会計検査院の機能をもってわかるとは私は考えておりませんよ。そういう場合には当然——私はいつか総理に質問したことがありますけれども、そういう場合には当然特別な知識を持っておる人たちに委嘱をして、二マッハの飛行機についても、あるいは原子炉についても、これは専門家が調べるべき筋だと思いますよ。あなた方がダイヤモンドのことについてわからないということは正直な答えだと思うのです。そのとおりだと思いますよ。しからばダイヤモンドのわかる人たちに委嘱をして、あなた方はあなた方自身、査定というものを当然しておくべきじゃないでしょうか。わからないものはわからない。大蔵省がやったから、それでいいんだというようなことでは無責任じゃないですか。何で私は無責任かと言うと、非常に価格が、昭和二十三年当時の七十二億が今日の大蔵当局の腹の中にあって、ときどきその価格を発表しておる。世の中で昭和二十三年当時の価格のものが一体何がありますか。昭和二十三年から今日に至るまで世の中に値段が上がっていないものは一つもありませんよ。当然会計検査院当局は売り出しの大蔵当局に対しても、ちょっと待て、われわれはわれわれなりに、ひとつ調べるというような態度が当然あってしかるべきですよ。それで一応あなた方はあなた方の常識をもって会計検査院としての立場を堅持しながら、大蔵当局が売り出すものを見ていくべき筋じゃないですか。わからなければわからないでいいのですが、あなたはそれでいいと思っているのですか。一体そんなばかなことはないでしょう。全日本の国民が供出して、一時はわれわれが、これは日本の貧乏人に救済のために使おうと考えながら法律までつくった問題ですよ。それがばかやろう解散でとうとう世に出ずにしまった。当然世に出していいですよ。これはわからなかったら、なぜそれをわからせる努力をしないのですか。会計検査院の機能はそんな貧弱なものですか。もう一ぺんお答え願います。
  221. 斎藤実

    ○斎藤会計検査院説明員 やはり検査院の権限、機能、職能ということにかんがみまして、経済行為が行なわれたあとでもって必要な検査をいたしたいと考えております。
  222. 山田長司

    ○山田(長)委員 経済行為の行なわれたあとじゃ、もうダイヤは人に渡っちゃうのですよ。今後の場合はデパートで売り出す価格だって、だれがつけるかわからないけれども、とにかくつけられたものはほかへ渡っちまうのですから、これは少し安過ぎたのじゃないか——あなた国際価格も見ているでしょう。ダイヤモンドの国際価格表を見ているでしょう。それじゃこれから取り寄せて相違を発見するといったって、なかなかこれは安易ではないですよ。これはそういう知識を持たないで、経済行為が行なわれてからこれを処理するなんて考えることはおかしいじゃないですか。経済行為が行なわれたあとでどういうふうに調べますか。
  223. 斎藤実

    ○斎藤会計検査院説明員 その行為が妥当であったか、契約の方法が妥当であったか、価格が妥当であったかというようなことについて、妥当でなければこれは妥当でなかったとして批難をいたして、国会に御報告をいたすというのが検査院の仕事だと考えております。
  224. 山田長司

    ○山田(長)委員 会計検査院がそんなもたもたしているうちに、片っ方はデパートへ持っていってもう売ってしまうのですよ。売り出しているのですよ。御承知のように、五日も一週間もかかって、今度売り出す価格についての、品物の検査をやったのですよ。ですから、あなた方が今度専門家を委嘱して、その人たちが、月末ごろデパートへ出る前に行って、この値段が妥当か妥当でないかなんということは見られるのですか、どうなんです。会計検査院当局。
  225. 斎藤実

    ○斎藤会計検査院説明員 品質についての表示等もあると思いますので、そういうものが妥当であるかどうかということは事後にもわかるのじゃないかと思います。現実に私五月ごろの検査で現物を見ただけの話でございまして、現在のところどういうものをどういうぐあいに評価しておられるかというようなことはわかりませんので、来年の検査ということになるかと考えます。
  226. 山田長司

    ○山田(長)委員 経済行為でも事が違うのです。あるいはあなた方会計検査院が調べている、デパートの本建築の建物が建ったとか、あるいは山口の錦帯橋ができて、あの錦帯橋のくいが少ないなんていって、えらく苦労したことがあるでしょう。それは現物が、錦帯橋ができておって、くいの本数が足りないということは調べられるのですよ。しかし今度の場合は、調べるときには、日本じゅうの人にばらばらになっちゃうのですよ。ばらばらにまかれてから、これが調べられるといったって、調べる方法がない。月末になってこれを処理しようとしたって、これは方々へ渡ってしまう。まずデパートへ渡ってしまう。現在の百三、四十軒のデパートにかりに渡ったとするならば、ここへ会計検査院の機能の千三百人の人全部動員したって、これはなかなか調べ切れるものじゃありませんよ。道路だとか橋だとか建物だとか、土地改良だとか畑地かんがいだとかいうなら、あとでその川の深さが違うじゃないか、石の組み方が違うじゃないかということはわかるかもしれぬけれども、今度の場合は方々へ渡ってしまうから問題なんですよ。会計検査院、ダイヤのことについてわからないということで、いやわからなければ大蔵でやってくれるからいいだろう——大蔵でやってくれることについて、私は不審を持つ点があったから、こういうことを聞くのですよ。なんで不審を持ったかというと、これはマレー大佐が、日銀の地下室から——これは占領下だからそれでいいんだとあなたはおっしゃるかもしれないけれども、マレー大佐がダイヤモンドを盗んでいって、サンフランシスコのデッキで、ポケットからころがり出して、横浜の軍事裁判で二年半懲役を食った事件がある。宮内省のダイヤも、王冠が持ち出されてどこかへ行っちゃって、そのままのものがある。こういうわけで、ダイヤモンドについて国民が非常な関心を持っておる。青木というダイヤのありかを調査をした人は、大阪でほかの事件で検挙されて、ついに変死をしてしまった。一日早く焼き捨てられてしまった事件がある。ついにこの事件はいまだに世の中に、ダイヤの事件に関連のある姿として伝えられずに、ほかの事件として葬られている。この夫人は、うちのおやじはダイヤの問題を調査したために葬られてしまったんだと言っている。そういう事件がいまだに隠れた事件としてあるのです。ですから、私は、出てきて以来十数年の間、このことに取り組んでおるわけでありますけれども、いまだに不可解な事件として、結論が出ない問題を問題としてかかえているわけなんで、いまこれが処理されようとする段階に至りまして、検査院当局は、知らない、大蔵省にまかせきりだ、そんなことでは許されないですよ。もっと真剣な立場で、会計検査院当局としては、大蔵省が調べたあとを調べ直しをして、それで、いよいよ手放す段階になっては、その価格も大蔵省で見たのと違いがなかった、それから品質の上においてもそう違いがなかった、これなら第三者に手渡してもいいんだといって、これは経済行為以前に取り調べるべき筋合いのものですよ。何がゆえに法規だけの慣例に従わなければならないのですか。当然これはいいことはいいこととして、調べて、黙っていたっていいじゃないですか。黙っていて、そうしてしかる後に、これが最後の結論を出す段階に行っていいですよ。なぜ、経済行為だから、これは取り調べはあとにするのだという結論を出すのです。これはあなただけではおそらく出せないだろうと思うのですが、会計検査院長にも来てもらって、やはりこの結論は出してもらって、それでこれについてもう少し真剣な態度で取り組んでもらいたい。これは日本じゅうの国民が半強制的な供出をさせられたものですよ。そのさせられたものが、名前がないというだけで——名前があった人は全部返しちゃったじゃないですか。大判、小判も返した。金の茶がまも返した。宝船も返したじゃないですか。ところが、貧しい人たち部分だけは、金のバックルもあるいはかんざしも歯もあるいはまた金ぶちのめがねの金もみんな延べ棒にして、ちっとも返さずにあるじゃないか。当然これはもっと真剣な立場会計検査院当局は大蔵省が手放す前に処理しなければなりません。私は何としてもふに落ちないのは、これを一般会計に繰り入れてしまうということについては私は反対なんです。特別な会計を設けて、貧しい人のために当然これは消費すべき筋合いのものだと思うのですよ。会計検査院当局、あなたに答えを出せなかったならば、会計検査院長と相談して、大蔵省が売り出す前に——これは緊急事態ですよ。これは私は少なくとも四、五百億あると見ているのですよ。それを七十二億、七十二億と、昭和二十三年以来、物価高になった今日までも唱え続けている。そんなことが許されるものじゃないですよ。もっと真剣な態度で取り組んでいただきたい。あなたの御所見をもう一ぺん伺います。
  227. 斎藤実

    ○斎藤会計検査院説明員 おっしゃるまでもなく、ダイヤモンドがたいへん大切なものであることはよくわかっております。しかし会計検査院の立場と申しますと、決算の検査をするということになっておりまして、経済行為の行なわれない前に各省庁に対して命令をするというようなことは法律上できないと私は考えております。もしそれができるといたしますと、内閣は会計検査院の下につくことになるというぐあいに考えられるわけでございます。それでやはり経済行為の行なわれたあとでやるべきではないかと私は考えております。
  228. 山田長司

    ○山田(長)委員 こんな値段の高いものを、大蔵当局では、いまだに売り出す前にして、競争入札にするんだと言っておるが、もし競争入札にしても、ダイヤのことについては一般の人はわかりませんよ。品質についても傷の問題についてもわかりません。それがかりにえたいの知れない——私はあえてえたいの知れないと言うが、その鑑定人の人たちの中には、ほんとうにダイヤのことがわかっていてやっているのかやっていないのか私にもわからない。私も、わからないからわからないのだというのかもしれませんけれども、それはわからないのです。なぜかというと、肉眼でやっておるという点ですよ。何がゆえに、機械があるのに、機械を採用してダイヤの鑑定をやらないのですか。私はヨーロッパにダイヤの価格表を二年前に見つけに行った。国会の決算の調査のときに、各国における決算のあり方の調査をしましたが、そのときダイヤの商店に頼み込んで国際ダイヤの定価表をもらってきたのであります。その価格表によって世界中のダイヤが査定されておるというのに、日銀の地下室のダイヤだけは、その査定表に従わないで、肉眼で査定をされておる。これは大蔵当局に伺いますけれども、何がゆえに肉眼査定というものが正確で、機械の査定というものが採用されないのですか。この点ひとつ松永局長に伺っておきます。
  229. 松永勇

    ○松永説明員 私もダイヤについてはいろいろな鑑定がなされておるということは聞いております。現に参りましたヘンダーソン氏なんかも、そういう新しい機械を使いながらやられる方であるというふうに聞いております。日銀の鑑定をしております際にも、私現場に参りましてその状況を見ましたが、もちろん私にはよくわからないのでございますけれども、いろいろな機械等を使って肉眼でも見るし、いろいろな角度から見られて、これを評価なさっておる状況を見たのであります。私たちはこの評価が適正に行なわれ、適正な公正な処理をはかるということを第一義に、昨年来心がけてまいりました。先ほど申しましたように、鑑定人の選考につきましても、こういう価格面というものは、何といっても業者というものが一番詳しいということが実情であります。しかしそういう業者の鑑定をチェックできる人はほかにいないかという観点から、いわゆる学識経験者というものの中で少なくともチェックできるような方を選考したいということで努力しました結果、数名のそういう方を加えたわけであります。私たちとしては、先ほど来申しておりますように、鑑定が公正に行なわれ、公正な価格で売り出されるということを唯一の念願にいたしまして、昨年来これを進めてまいったわけでございます。
  230. 山田長司

    ○山田(長)委員 価格の査定で、ヘンダーソン氏が機械を採用したと言われておりますが、実は私も日銀で査定している状況を見ました。ヘンダーソン氏のそばに機械もあったようでありますが、事実ヘンダーソン氏のそばにいない人たちの鑑定の状態は、機械を使わないで、全くの肉眼でやっておりました。何がゆえに機械があるのに機械を採用しないかという、非常に疑いの念を私はそのとき持っていたのでありますが、大体、業者が査定して業者が価格をきめたときに、あなた方はそれを公平な価格査定と見るかもしれないが、一体この人がほかの業者と連絡がないということをだれが断定できますか。もしその連絡があって、ほかの人がこの競争入札に参加したときには、これは業者仲間でありますから、大体このくらいな価格査定というものは、彼らは彼らなりのおそらく価格をつけるだろうと思うのですよ。業者なんというのは、そんなに公平な人たちだということは私は考えないのですよ。だから会計検査院当局としては当然、この業者の査定に対しては、あなた方の案を持つべきですよ。案を持たずに、会計検査院は経済行為がなされるまで待っているんだというようなことでは、私は相ならぬと思うのです。それでは、経済行為が、かりに競争入札がされて第三者の手に渡ったときに、これについて価格の査定が誤りであるか誤りでないかということを会計検査院は見るのですか。ただあなたは、大蔵省の担当でわからないからというだけで、それでいいというのですか。これをこのままおっ放してしまうんですか。どうなんですか。私の言っていることはよくわかりませんか。どうです。
  231. 斎藤実

    ○斎藤会計検査院説明員 先ほどから申し上げますように、もちろんそういったものの検査をいたします。いたしますけれども、検査院の検査も一応限界があるだろうと考えております。できるだけの努力はして、適正な行為が行なわれたかどうかということを検査をいたします。そして適正でなければ、国会に報告いたすということに相なるかと存じております。
  232. 神近市子

    ○神近委員 ちょっと関連。  どうも少し、きのう、きょうここの空気の特殊性がありまして、私がちょっと疑いを出すのは、その結果かもしれないのですけれど、最近週刊誌が出ているのです、それに、ダイヤの値は下がるという題で、いまにダイヤは安くなるんだぞ、安くなるんだぞとうたってある。一つは合成化学の発達、それから宇宙飛行ができるようになると、月の世界にはダイヤモンドがひょっとしたら一ぱいあるかもしれないから、ダイヤが石みたいになるという結論なんです。きょうはこの問題をここでやると思わなかったので、私はその雑誌を持ってきませんでしたけれど、ははあ、これは大蔵省が安く売る口実にするための記事かなと私はすぐ考えたのです。それで推理作家的な想像が動いて、金のためにはあらゆる不道徳あるいは不正が行なわれていると、もう、一つの雑誌くらいを操作することは何でもない。それはあなた方ごらんになったことないのですか。なければ私はあしたでも持ってきてお目にかけます。ダイヤの値は下がる、もういまにそこらのガラス玉みたいになるぞというふうなことが書いてある。これは私はあなた方の何かの意図を受けて書いたかなと思って見たのですが、あなた方それをごらんになったことはないですか。お聞きになったこともないですか。ダイヤは下がるというんです、いまにガラス玉みたいになる……。
  233. 松永勇

    ○松永説明員 私その週刊誌は見ておりません。しかしこの夏ごろ以来、そういう記事がいろいろ出ておる、特にまた大蔵省から売り出すダイヤは型も古いしあれはあまり得ではない、もしそれを売るときには安くたたかれるものであるというような、いわば私たちの商売のじゃまになるような記事があちらこちらに出ているというようなことは、私たちも聞いております。それからなお人造ダイヤができるとかいうような記事も承知いたしております。そういうことにつきまして、私そういう専門家の方にも話を聞いたこともございますが、私たちはまあ週刊誌等にそういう話が出たものが、どういう意図で書かれたかよくわかりません、しかし私たちのダイヤの処理は、これは、国民から供出を受けたダイヤを公正に処理するということを第一義としてつとめてまいっておるということは、先ほど来申し上げておるとおりでございます。
  234. 神近市子

    ○神近委員 もう一問。山田委員とのいまの問答で、商売人でなければ価格がわからないから商売人をやらせたということだったのですけれど、実際はヘンダーソンという人を呼ばなくちゃならぬということは、ここでワクをはめたのです。あなた方が自分たちの任意で呼んだようにおっしゃっているけれど、決算委員会でヘンダーソンを呼ばなくちゃならぬというワクをはめてあった。それからもう一つ、商売人でなくてこの石の品位のわかる人、一番初めに駐留軍が来たときの鑑定に立ち合った城谷四郎という人をのけて、あとはみんな商売人だけでやっていらっしゃる、私は城谷さんに電話をかけて、どういうわけであなたは第二回以後はこの検査に立ち合わなかったんだということを聞いたのです。そうしたら、私は品質はよくわかるけれども価格がわからないからはねられたんでしょう——いま品質のお話が出ているけれど、価格だけわかる人が重宝だということはわかりますよ。だけれども、品質のよくわかる人を参考として値段をきめるということは必要で、そこに値段の決定に客観的な批評があったほうが公正だったと思うのです。どういうわけか城谷さんをはねのけて、もう一切それにタッチさせていない、私はそこのところにも何か不明朗なところがあるように感ずるのですけれど、どういうお考えですか。
  235. 松永勇

    ○松永説明員 今回の鑑定人を選びますに際しましては、私たちは四、五十名の名簿をつくりまして、その中から種々な角度から検討して、この十一人というものをきめたわけでございます。その際に、先ほど申し上げましたように、従来の鑑定は業者のみでやっておったわけでございます。いろいろな批判もございます。私たちとして業者以外でそういう鑑定のできる人、すなわちいわゆる一般学識経験者というものの中から、適当な者はないかということに特に腐心をいたしまして、ヘンダーソン以下四名の学識経験者の参加を求めて、評価に従事してもらったわけでございます。先ほど城谷先生がのけられたというのは、この方ばかりでなく、従来の鑑定にタッチされた方で今回ははずしたというような方も他にございますが、いずれにしろ、私たちは公正なる評価をしていただくという観点からいろいろな配慮をして、いまのような十一名、従来の鑑定人よりもこれをふやしておりますが、そういう方々で評価をしていただいたわけでございます。
  236. 山田長司

    ○山田(長)委員 鑑定人を選定する場合でも、私は細心の注意を払っておりましたので、鑑定人が近くきめられるのではないかということで、大蔵省の人に私の部屋へわざわざ来てもらって話をしたことがあります。そうしましたら、それは土曜日だったのですが、いま日を明確に覚えておりませんけれども、まだとてもそんな段階じゃないという話だった。ところが月曜日から、中一日おいて月曜日から、日銀で鑑定が始まっておるというのを聞いて私はびっくりした。当時の委員長にそのことを私は申し上げて、それで調査に行くことになったわけだったんですけれども、そういう事態もあった。  そこで、時間の関係で私はこれ以上質問することができないのですけれども決算委員会で、このダイヤにつきましては、いまから七、八年前に、ばかやろう解散のときですから七、八年前になりますが、決議をされて、それで法規までこしらえて、これが貧しい人たちやあるいは戦争犠牲者やあるいは要保護世帯の人たちに、この売り上げというものは何らかの形で恩恵に浴さすべきだということだった。それがついにこの法案は日の目を見ずにして、やみからやみに葬り去られてしまったような形になっておりますので、ぜひ、この売り上げの代金につきましては、一般会計に入れるというようなことでありますが、これはその目的に反しない形において、売り上げ代金というものは処置していただきたい。これはきょうは大臣に来てもらって確約をしたかったのでありますけれども大臣が来ていないから、このことについてはこれ以上言えないけれども、とにかくこのことにつきましては、どうしても大蔵当局におきましては、そういう意思でこれが処置のしかたをしてもらいたいということです。  それから、会計検査院にさらに申し上げておきますことは、あなただけで法規を無視した形のことはできないというお話でありますけれども、これは検査をしないということは、私にはおかしいとしか考えられません。この点も会計検査院当局で、ひとつ十分検査を事前にする体制をおつくりになっていただきたいと思うのです。これは私の要望です。  それから、ダイヤの入れてあるものは、いつの間にか——この前視察に行ったらば、私たちが見に行ったときのダイヤはこういう金庫に入れてあった。それが全く違ったロッカーにダイヤが移されておった。これはいろいろ管理上あるいは日銀の地下室を使用するたてまえから、こういう入れものから変えたのかもしれませんが、これらのときにこれらの日付がしてあったのかどうかわかりませんけれども、十六万一千カラットのダイヤを動かす措置につきましては、慎重なる動かし方がなされたこととは私は思っておりますけれども、とにかく日銀のダイヤではないかもしれないが、銀座に落ちていたダイヤも、いまだにその紛失主、落とし主が出ていないということをあなた方知っているでしょう。百万円の札束が銀座に落っこっていて、いまだにその落とし主が申し出てきていないという事実を知っているでしょう。あの地下二階の下でありますから、だれも入らないだろうと思っているけれども、入らなければ、日銀の地下から百万円の札が出ていくはずがないです。日銀の地下室だったということに間違いない百万円が、とにかく銀座に落っこっておって、警視庁にいまでも保管されておるのですから、やはりこれは絶対に間違いがないんだなんということは言い切れない筋もあるのですよ。そういう点で、ぜひこの措置につきましては、われわれの意図を十分に組み入れてやっていただきたいということです。いまからでもおそくありませんから、会計検査院当局は、機械による査定等も取り入れた形での査定の方法をやっていただきたいと思います。これは私の希望でありますけれども、これにつきまして、お答えが出せるものならば出してください。
  237. 松永勇

    ○松永説明員 先ほど山田先生のおっしゃった中に、ダイヤの処分代金の処理につきましての御意見がございました。これにつきましては、私その当局者ではございませんが、その御趣旨のほどは大臣にお伝えします。大臣からすでに山田先生に対して、予算委員会並びに当決算委員会において、その趣旨はお答えになっておられます。まさにその附帯決議の趣旨に沿うて、措置いたしたいということを答弁なさっておる。私もそれを聞いております。大蔵省としましては、今後もその趣旨に沿って処置いたしたいというふうに考えております。  なお、ダイヤモンドのその金庫を取りかえたという点も、この前の委員会で山田先生から指摘を受けまして、私実はその現在の金庫に入ったものしか知らなかったために、その写真をお見せ願いまして、当時からおりました担当官に聞きましたところ、その金庫からそういういまの金庫に取りかえたという事実が明らかになって、その旨も当委員会で御答弁申し上げたとおりでございます。  私たち、このダイヤが日本政府に返還になって、日本政府の責任と権限のもとに入ってからは、国民の供出されたダイヤとして、これを適正に管理し、細心の注意をもって処理いたすということを続けてまいったつもりでございます。また今後もその気持ちで処理いたしたいというふうに考えております。
  238. 斎藤実

    ○斎藤会計検査院説明員 おっしゃるとおり、ダイヤはたいへん貴重な品物でございますから、検査は十分にいたします。しかし、行為の行なわれない以前に検査をするということは、法律の改正その他を要するものと考えますので、これは私の考えでは、事前には検査をいたさない、かように御了解願いたいと思います。
  239. 山田長司

    ○山田(長)委員 私は、この問題を十数年前から扱ってきました一人といたしまして、いよいよ十六万一千カラットのダイヤの中の一部が大蔵省の手を離れて、そうして一般国民に渡るという段階になりまして、まだ、いまの会計検査院当局の話を伺いますと、法にたよることであって、措置ができぬというような話でありますが、これは特例な処置として、当然知っておくべき筋合いのものとは思うのですが、この点は念を押して、さらに一段の御配慮を懇請したいと思います。  そこで私はこれは決算委員長にお願いをするのでありますが、ぜひこのことは決算委員会の決議において——七、八年前に決議なされて、それが法案として日の目を見ずにしまったという前例もあることなのでありますから、これが社会福祉のために、あるいは戦争犠牲者のために、あるいは戦争のことによって非常に困っている婦女子のために、これが使用されるよう、この決算委員会で、最後に、いよいよ一部が発売されるという段階になりましたときに、黙って見ている筋は一つもないと思います。決議をされて法案審議にまで立ち至った事態もあることでありますから、この点につきましては、決算委員長は、全員——自民党は出ておりませんけれども、全員招集されたときに、これが処置についてのあとの問題について、十分なる意見を付して、これが政府当局に要望されるよう私は切望いたします。どうぞよろしくお取り計らいをお願いいたします。
  240. 吉川久衛

    吉川委員長 先般、総理に御出席を求めましたときにも、山田委員からその趣旨の御質問並びに御意見がございまして、総理からも、山田委員の御発言を尊重するというお答えがあったのでございますが、なお締めくくりの意味におきましても、委員長において特別の配慮をいたしますから、その節は一緒に御相談に乗っていただきます。
  241. 山田長司

    ○山田(長)委員 もう一言。  これに関連いたしまする春の決算委員会のとき、日銀の貴金属その他についての帳簿七十七冊の閲覧はまだしておりません。これらの問題につきましては、いずれ機会を見て、委員長において取り計らいの上、どこかでこの帳簿を見ることのできますように要望しておきます。これもこの機会に取り計らい方をお願いいたします。
  242. 吉川久衛

    吉川委員長 了承いたしました。
  243. 神近市子

    ○神近委員 ダイヤモンドのことに関連して。終戦直後に出ていた隠退蔵物資摘発報奨法という臨時法、これは御存じですか。大蔵省の方に伺いたいと思います。
  244. 松永勇

    ○松永説明員 私、その衝に当たっておりませんので、正確な内容は存じておりませんけれども、予算として、報奨しておったということがあったことを記憶いたしております。
  245. 神近市子

    ○神近委員 それで、これはどの程度実際に利用されて、どのくらいの人が報奨を受けたということはわからないでしょうね、もう昔のことだというので。それは口話にでも、何か覚えていらっしゃいますか。
  246. 松永勇

    ○松永説明員 この予算並びに法律の所管は、当時の経済安定本部で所掌いたしておりましたものでございます。したがいまして、そういうことはしたと私も記憶にとどめておりますけれども、それがどういうように運営され、どのような件数があり、予算がどのくらい計上され、支出がどのくらいあったかという事情については、私関係ございませんので、承知いたしておりません。
  247. 神近市子

    ○神近委員 もうここでダイヤモンドのことはピリオドを打とうというときですから、私どもいろいろ疑惑を持っておることがあるので、これはお出させになるべき必要があると思うのです。そういういわば二十年も前のものをどうして私が問題にするかというと、それでどうも殺された人があるというような疑惑があるのです。私は、戦争中の裁判とかあるいは駐留軍のやり方については、ほかにもケースを持っていますので、ちょっといろいろ考えているところですけれど、このときに、隠退蔵物資を摘発していて、そして殺されている人がいるのです。いま日銀にある十六万一千カラット全部がこの人の摘発だとは言いませんよ。だけれど、少なくとも安田銀行の倉庫にあったところの四万五千カラットは、この人が摘発したということはみんな知っている。この間、一ぺん参考人に出ていただこうと思った世耕弘一さんと青木斌という人が協力して、安田の四万五千カラットは摘発して無事に取り戻したのです。そのほかにも、この人はたくさんやった。三井銀行の魔法びんの中のもこの人じゃないかと思うのですけれども、ともかくも、その報奨法によって二十一億ぐらいの金を請求する要請状を書いているところがあります。これは最初に吉田茂総理大臣あてに書いたところが、それは管轄が違うからというので、また大蔵大臣あてに書いた。そして書いているうちに、前の法務委員長をしておられた世耕弘一氏の、関西大学ですか、そこの暴力団の話があって、卒業免状を売ったという問題が出て、そして学校の中がたいへんもめていた。それで世耕さんが隠退蔵物資の摘発で知り合いになった青木斌に、先生方の間の和解をやらせてくれと言って頼んで、それが成功したらしい。そのときのことを何か世耕さんが態度を変えて、自分が頼んでおいた学校のケースなのに、世耕さんがまた東京に帰ると、ほかの理由があって、それで青木斌、そのほか八人くらいを暴力行為というようなことで六カ月前に訴えてあった。そのケースがちょうどその二十一億何千万円かの要請状を書いているときに出てきて、そして大阪に連れていかれて、五日目に死んでいますよ。その取り調べをしたのが別所汪太郎という人で、そのときどうして別所さんがやったか。別所さんの事務でなかったのです。もう一人何とかという人がおった。その人にまだ私会っていませんが、その人がかぜを引いて寝ていたから、別所汪太郎になったというのですけれども、まあ殺し役をするというので、いやだったらかぜぐらい引いたろうということも私は想像している。さっきから推理ばかりやっていますけれど、私はこれは当然のことだと思うのです。  私がこういう問題を扱うようになったのは、この人の奥さんの青木美代という人から要請状が法務委員会に出たのです。どうも私は殺されたと思って、夢まくらに立ってしようがないから、これを調査してくれ、そういうことで私どもいろいろ調査した結果として、病院——大阪の拘置所がまたいま問題になっておりますけれども、あの古い拘置所の隣に病院があります。そこの病院の状態を調べてみても、はっきりと女医さんが言いましたよ、おかわいそうなことをしましたって。そのほかのことは言いませんでしたが、その一言が、私どもには非常に意味深長であって、そしてそのときの病院長をまたたずねて言いますと、この人の名前で死亡届けは出ているけれども、ほんとうはこの人は扱っていない。扱ったのは畑谷さんという女医さんだったということがこの間行ってはっきりわかった。そういうことがあったのですよ。国のためにと思ったか、金がほしかったかどうか知りませんが、自分の財産をなげうってこの人はやっている。そしてあと子供と奥さんとが非常に貧困な状態におちいって、いまやっといけ花だか小うただかが盛んになったので、お弟子さんができて、生活は何とかできているのだけれども、私どもこの問題を考えますと、どういう点がこの報奨法の問題であるか。廃法となれば一切の関係はないとおっしゃるかもしれないけれども、農地報償法の問題を考えてごらんなさい。終戦直後にあれはみんな取り上げたものです。今度は二円五十銭かそこらで、一円五十銭だか知らないけれども、返そうというアイデアが次官会議では出ているでしょう。それだけ何があれば、国民のものは国民に返すという非常にいいテーマであれば、私こんなダイヤの処理だって、値段が高いものであるだけに、もう少し御配慮なさるべきだと考えるのです。それで第一、実際に何万カラットかを摘発して、国家、国民のために功労のある人が、そのために命をなくしたといえば、私は何らかの形で、これは遺族の人にでも——この遺族の人は金をほしがっていませんよ。ただ夫が不当に殺されたということが頭にきているのです。まだ夢まくらに立って、そしておれは殺されたんだぞというようなことを言うというのです。私はその点で何かあなた方で考えられることがないかということを伺いたい。ダイヤモンドで、もう金が出てくるというときに、私はこの隠退蔵物資摘発のために死んだ人、こういう人には、何らかの慰問のお金がいくようにできないかということを伺いたい。
  248. 松永勇

    ○松永説明員 私もこの報奨の衝に当たっていなかったので、その事情はよくわからないのでございますが、かつて経済安定本部、現在の経済企画庁の前身で、そういう事務を行なっておったということは記憶いたしております。この前の神近先生の御質問にも、この問題はそういう当時の報奨についての処理のしかたが不当であったのか、本件がそれに該当するのか、現在もそれはなお生きておるのかということにつきましては、私のほうは所管外でございます。経済企画庁のほうで答弁をしていただきたいということを申し上げたのでございます。いまの先生お話、法務委員会等において問題になったこともよく承知いたしております。私の所掌外でございますので、私が答弁する知識を持ち合わせてないことをお許し願いたいと思います。
  249. 神近市子

    ○神近委員 じゃ、この問題は経済企画庁ですか。そこにどなたかいらっしゃいますか。
  250. 吉川久衛

    吉川委員長 おりません。
  251. 神近市子

    ○神近委員 これはすべての上の大蔵大臣おいでになれば、これは嘆願するという形をとるか、あるいはそちらの発意によってなされるべきかということは、私はそのときに決定するはずだったのですけれども、ともかくもほんとうにはっきりと夫を殺されたということがわかっている、それを今日そのままにおかれるということが、私どもは何とも納得ができない。きょう帰ると、またあしたきっと新聞に山田長司先生のダイヤモンドの論議があったということが出ると、また私のところには投書がたくさん来るのです。私のダイヤモンドは、貧乏なためにおばがやっと買ってくれましたので、一生の喜びのもとにダイヤモンドをつけておりました。ところが戦争になって、どうしても勝たなくちゃならぬというので、私はこれを供出しました。そのダイヤが、いまここに受け取りはあるのですけれども、どうしても手に入りません。そんなはがき、あるいは手紙、投書がたくさん来るのです。一人の人はおとうさんがちょっと金があったときに、十六のときに、このダイヤモンドはいいダイヤモンドだから、お前の一生の宝にしろと言われて大事にしていた。それも自分はそのときは出したくなかった。だけれども、夫に、そういうものを持っていて戦争が終わったときにどうするのだと言われて、出した。私その受け取りをたくさん持っていますよ。きょうはダイヤモンドの論議をすると思わなかったから、私持ってきませんでしたけれども、その人は八枚持っていますよ。それに一つも今度は返さないというところは、菅原通濟が「ダイヤモンド天国日本」ですかに書いているじゃありませんか。少なくとも受け取りがあるものだけにでも、それに類するカラットの石を返すべきだ。それを優先権で、安い値段だったけれども、幾らか値段を引き上げてでもいいから、今度そのカラットに応じたものを払い下げる優先権を与えたらどうか。何も国が損するというわけではないから、というようなことを言っていられるけれども、これは一体貴金属局長ですか、この問題はだれがお扱いになることができるか。私はそれは大蔵省内で論議をされるべきだということを何度も申し上げている。もう札のない人はしかたないですよ。受け取りをちゃんと、おばさんにもらったダイヤモンド、その供出したときの受け取りは持っている、そういう人には、私は、全部じゃないのだから、お返しになるべきだ、カラット数だけは。安く昔の値段に近い値段で、その値段が上がっていれば上げてもいいです。私はそうなさるべきだというように考えるのですけれども、どうお考えになりますか。
  252. 松永勇

    ○松永説明員 神近先生のそういう御意見は、当委員会でもしばしば拝聴いたしております。私たちもこのダイヤ、特に戦時中に国民の愛着おかなかったものを供出されたという事情を考慮いたしまして、このダイヤの処理のしかたとしていかにすべきかということは、昨年来長きにわたって検討を続けてまいったわけでございます。いろいろな考え方もできるわけでございます。しかし私たちが現在最終的にきめました処理のしかたは、先ほど申しましたように、一般競争入札による分と、いわゆる委託販売によって全国の各県庁所在地において売り払うやり方、この二つを並行して行なう。このいわゆる委託方式を考え出しました一つの考え方としましては、そういう国民が供出された中には、先生のおっしゃっているように領収書も残っておるというような方々もおられる。そういう方々に、かつて同じ供出したものをお返しするということは不可能でございますが、同じようなダイヤモンドを、十六万一千カラットございますそういうダイヤの中から、少しでも直接国がそういう方々に買い取っていただくチャンスをつくりたいという趣旨から、いわゆる全国の県庁所在地において委託販売を行なうということを考えたわけでございます。  先生のおっしゃるように、領収書を持っておる旧所有者に返還するという措置はとらなかったのでございますが、私たちがいわゆる委託販売制度を考えて、今回そういう処理のしかたを始めたという中には、そういう国民の供出された心情というものをもそこにくみ取りたい、そういう趣旨で販売等を考えたわけでございます。
  253. 神近市子

    ○神近委員 逆じゃありませんか。土地なんかは二円五十銭でお返しになるかどうか知らないけれども、あれは動かすことはできないですよ。あるいはこの土地と山地と平地と、あるいは川沿いの土地というような返還ができないですよ。お前のほうは山だったけれども、こっちが余ったからこっちを——私はダイヤモンドはほしくないです。私はもう指輪というものは一切、戦争のときに金を供出して以来、私ははめませんから、もらってもはめないから、私はそういう興味は一つも持たないのです。だけれども、次官会議で土地を一ぺん返そうと考えたくらいの頭なら、国民のものは国民に返すというくらいの頭があるなら、ダイヤモンドなんて返すのは——あれを持っている人はたくさんいませんよ。みんな火事で焼かれている。残っているのはほとんどどこかに疎開していた人たちだけなんです。私はそのほうがいまの内閣としても点かせぎになるのですよ。あなた方が常識的なことを少し進言なされば、内閣の点数をかせぐことができるのですよ。みんな点数の減ることばかりやっていらっしゃるのです。私はあなたに見せてもいいです。その投書の切々とした、中年ぐらいの女の人がダイヤモンドをやっと買って喜んでいたときの喜びを書いてあるような手紙がたくさん来ています。私はその点で、いまの処理は納得できないのです。何も本物を返せというのじゃない。それに類似するものを、土地のように二円五十銭か三円でお返しなさいというのじゃない。せめて時価とそのときの値段との間を見ておつけになったらどうかと言っているので、ともかくも私どもはここで何か申し上げるということは、私はそんなに自分の良心——何もここで選挙運動をしようとも思わないし、名前を売ろうとも思わないし、私はその点では聞いていただいて差しつかえのないアドバイスを申し上げているようなつもりで、私はきょうも、大蔵大臣おいでになれば、その点を、少なくもダイヤモンドのお金をどうお使いになるべきかというようなことを申し上げたかったのですけれど、御出席がなければしかたがない。ともかくあなた方の官僚というものは、非常に仕事がむずかしいことはわかりますけれども、ともかくも国民のためというようなことは一ぺんも考えたこと——ただ法律があればどうでもいい。法律なんか国民のためにつくられたものじゃありませんか。法律だって、変なことばかりやっていらっしゃる。土地の解放だってそうでしょう。土地を、そのときの法律で坪二円五十銭か一円五十銭で返すなんというので、この世論の反撃を食って、いましゅんとしていらっしゃる。私はその程度の常識をあなた方は働かして、そして上部に対してアドバイスをなさらなければ、私は今日の政治というものが、官僚というものの不当によって非難されるところが生まれてくると私は考えます。ともかくも、これは幾ら言っても同じことで、少なくもダイヤモンドを売ったお金の、国民の善意によって集まったところのお金の使用方法は、私どもは簡単にあなた方と妥協できないということを考え、委員長に、あれは二十二年か三年、あのころの決定書がありますから、私どもももらっておりますから、それをごらんの上で、ぜひ善処していただきたい。この希望をもって、私の質問を終わります。
  254. 吉川久衛

    吉川委員長 田原春次君。
  255. 田原春次

    ○田原委員 先ほど、私の防衛庁汚職涜職問題に対する質疑に入ったのですが、質疑に入ったばかりのところで、官房長官が退席されるということがあって、休憩になっております。前後の関係もありますので、前の分は前の分として、これからまた別個に始めようと思っております。  第一にお尋ねしたいことは、たしかことしの三月の一日じゃなかったかと思いますが、衆議院の予算委員会におきまして、同僚の山田長司君が綱紀粛正の質問をなし、特に防衛庁海原官房長その他にわたる怪文書問題を質問をいたしました。その結果、防衛庁の三輪事務次官を長とする綱紀粛正委員会が設立されるということになっておるのでありますが、まずそれについてお尋ねしたい。綱紀粛正委員会委員の構成それから今日までに何回会合をやったか、政務次官でわかるならば、お答えを願いたい。
  256. 長谷川仁

    長谷川説明員 綱紀粛正及び秘密保持に関する委員会でございますが、委員長事務次官、副委員長は官房長、さらに委員には防衛局長、人事局長、陸海空幕僚副長、それに統幕事務局長、防研副所長、防大副校長、枝本、調本副本部長、施設庁次長、このほかに幹事会がございまして、幹事長は長官官房防衛審議官、その下に二十一名の幹事がおります。  審議の状況について御報告申し上げますと、四十一年の三月七日に第一回の幹事会をやっております。その審議の状況につきまして項目別に御説明申し上げますと、まず第一に、各機関ごとに綱紀粛正及び秘密保全に関する委員会の設置を審議決定いたしました。それから勤務時間の厳守、それから敬礼、服装、態度の厳正、これは陸幕でございます。そのほかに業務のマンネリ化の防止、これは海幕でございます。同じく海幕におきましては、会計業務などの事故防止、さらに部外者に対する接遇、接触の要領でございます。そうして陸海空等に関する秘密保全の問題、こういったことを審議しております。  それから第二回の幹事会は四十一年の三月二十八日にやっております。この幹事会の内容のおもなる点は、第一に業者との応接の要領、それから業者からの各種便宜供与の限度、あるいは重要配置者の保全調査の実施というような点につきまして打ち合わせをしております。  それから第一回の本委員会は三月三十日、その本委員会におきましては、次のような申し合わせをいたしております。この申し合わせを関係会社、工業会あてに総務課長名をもってその写しを送っております。申し合わせの内容というのは、いやしくも世間から誤解を招くおそれのある会合とか接待、贈答等については、各自の良識に基づいて厳に自粛自戒し、防衛庁職員としての品位を正しく保持するようにつとめることとする。なおこの際部内職員間の贈答、お互いにプレゼントをかわし合うということも行なわないことにするという申し合わせを行なっております。  以上です。
  257. 田原春次

    ○田原委員 それは心得を並べただけでありまして、世にうわさされておるいろいろな汚職、涜職についての調査はやっていないようですね。だからひとつここでお尋ねいたします。  第一、バッジシステム、これは半自動警戒管制装置ということは次官も御承知のとおりであります。このバッジシステムに関しまして昭和三十八年春ごろより昭和三十九年にかけて、海原官房長は浦茂当時の空幕長、高橋正次空幕装備課長、大中忠夫空幕調達課長、永盛義夫技術本部長としばしば相談した結果、バッジシステム採用にあたって、米国のヒューズ社、日本では伊藤忠商事と日本電気会社が関係があるのであるが、これに各種の便宜を与え、都内外のゴルフ場、料亭、ホテルなどで供応を受け、腕時計を含む五百万円相当の金品を収賄した。共犯の浦茂は伊藤忠商事から三百万円程度のギフトチェックをもらったということがあがっておるが、これに対する調査をしたかどうか。
  258. 長谷川仁

    長谷川説明員 ただい先生の御指摘の点は、いわゆる怪文書といたしまして、私が着任いたしまして、政務次官として就任いたしましてから、私の手元には三通、その以前に二通参っております。合計五通でございます。このいわゆる怪文書事件につきましては、去る二月に、第一回は口頭で、さらに第二回は六月二十四日に文書をもちまして、警視庁へ調査を依頼しております。最近その捜査はほぼ核心に触れてきているというふうに伺っております。
  259. 田原春次

    ○田原委員 この怪文書の中に海原官房長の名前が出るのであるが、その疑惑の中の人を、綱紀粛正委員会の副委員長にした、もしくは副委員長をやめさせなかったのは、どういう理由でありますか。
  260. 長谷川仁

    長谷川説明員 上林山大臣も私も、この問題につきましては、一体事実なのかどうなのかということを、いろいろ私ども調査し、またここに本人おりますけれども、本人に対しましても、こういったことがあるのか、風評が立っているけれどもこういうことがあるのか、絶対ございません、という彼の言質を得ておりますので、私どもは副委員長に任命したわけであります。
  261. 田原春次

    ○田原委員 そういう調査の方法はないと思うのです。調査となれば、第一は警視庁に届けるのもよろしいでしょう。また本人の弁明を聞くのもよろしいけれども、同時に、疑いのかかっている間だけは、その副委員長たる地位を遠慮さすべきであって、そして副委員長が同席しない場所において、部内で一応協議をする。それから部内の協議だけで満足できなければ、問題になっておるヒューズ社の日本代理店、あるいは伊藤忠商事あるいは日本電気等の関係者を一応呼ぶ、ということが調査ではないのか。これらの連中を呼んだことがあるかどうか、呼んだ結果はどうなっているか、それをお聞きしたい。
  262. 長谷川仁

    長谷川説明員 先ほども申しましたとおりに、この怪文書につきましては、私どもは警視庁に調査を依頼しております。その調査の結果によって、私どもは措置をいたしたい、こういう考えでございまして、現在はいろいろ疑惑とか風評とか、あるいはそれは飛んでおりますけれども、しかしその風評、うわさをもって云々というわけにはまいらないわけであります。
  263. 田原春次

    ○田原委員 当時、海原官房長と通じて、これらの会合にしばしば出た元空幕長浦茂は、その後退職して、米国のロッキード社の代理店の丸紅の顧問になっておる。これは一連のつながりがあるのじゃないか。なぜ浦茂なる者を呼んで聞かなかったのか。
  264. 長谷川仁

    長谷川説明員 私は聞いておりません。
  265. 田原春次

    ○田原委員 それでは調査にならぬじゃないですか。綱紀粛正機密保持の委員会というのは、主として部員の心得、それから業者間に対する接遇等の心得をいっておるのであって、現実に、たとえ怪文書であっても、出ているからには、その一つ一つをトレースして、よく追跡して調べるべきであって、全然調べないということは、それは海原官房長の威力に屈したのではないか。海原官房長は、海原天皇といわれて暴威をほしいままにして、あらゆる悪事にみな顔が出ているということは、よほどのことでなければこういう投書ができるものではない。投書が捏造されるものではないと思う。投書するからには、よほどの事実があって、自分の名前を出せぬが、これを国会等で問題にしてもらいたいというのでありますから、われわれはそういう意味において質問するのであって、調査は粗漏じゃないかと思うのですが、どうですか。
  266. 長谷川仁

    長谷川説明員 ただい調査粗漏という御指摘でございますが、いまおことばの中にございました、たとえば海原が天皇であるというような点でございますけれども、これはこの文書の中の一つのことばでございまして、はたして天皇であるかどうかということにつきまして、私ども政務次官といたしまして、そういう横暴をきわめている事実はございません。また今後、私どもはやはり調査はあくまでも公正にしなければならないと思いますので、やはり警察に依頼する以外に方法はないのでございます。しかしおまえたちは、それじゃ怪文書をほうり投げて机の中に入れているのかといえば、そうじゃございません。あらゆる手を通じまして、私も政務次官に就任以来、いろいろの職員あるいはいろいろの角度から調査していることは事実でございます。しかし公平な調査というのは、やはり警察におまかせする以外にない、こういうふうに考えます。
  267. 田原春次

    ○田原委員 海原君は、私の知るところでは、たぶん内務官僚出身、警察官僚出身だと思うのであります。警察界の先輩が防衛庁におる。そうして威力を持っておる。退職した場合には採用してくれるかもしれぬ。そういう場合に、警視庁に書類を出して適当に扱えというようなことでやれば、警視庁といえども、ほかに仕事が多いから調べやしない。私は警視庁に依頼すること、そのことをいかぬと言うのではない、なぜ独自の判断部内でやらないか。部内にそういう委員会ができたならば、単に心得だけを言うのではなくて、もっと調べるべきじゃないか、このことを聞いておるのです。調べるつもりはないか。
  268. 長谷川仁

    長谷川説明員 ただい先生おっしゃいましたように、私どもはただこれを放任しているわけじゃございません。私どもは、私ども立場からもちろんこれは捜査もし、またたとえばこの怪文書が一体どこから出ているのだろうかというようなことにつきましても、私どものできる範囲において、調査はいたしております。
  269. 田原春次

    ○田原委員 できる範囲でやった捜査の結果、それから調査の結果をここで報告してもらいたい。
  270. 長谷川仁

    長谷川説明員 こういう怪文書というものにつきまして、あるいは汚職あるいは云々、犯罪的な問題につきましては、これは確証のない限りにおきまして、私どもといたしましてはどうも処置することができないのであります。そこで私どもといたしましては、先ほども再三申し上げますとおりに、まず警視庁に依頼して、いわゆるこの怪文書のもとは一体どこにあるのか、そういったこと、それからさらに発展いたしまして、いろいろな問題の調査に移るというのが順序だろうというふうに思っております。
  271. 田原春次

    ○田原委員 次に移ります。  第二の質問は、61型戦車関係に関してであります。昭和三十六年、海原官房長は、戦車百両を三菱重工業に発注した関係から、昭和四十年、装備局の事務官村上信二郎と共謀して、二次防計画にない61型戦車四十両を、入札もせず三菱重工業に発注し、さらに昭和四十二年から実施予定の三次防計画に61型戦車四百両およそ三百億円の発注を内示し、一両当たり百万円のリベートを強要したということが、防衛庁の内部から摘発されておるのでありますが、これに対する調査をしたかどうか。
  272. 長谷川仁

    長谷川説明員 おそらく、いま御指摘のものは、いわゆる怪文書の防衛庁版、汚職の道教えますの中の一文だろうと思いますけれども先生も御承知のとおりに、役所において、一官房長がこういうことをかってにできるというふうには私は考えられません。
  273. 田原春次

    ○田原委員 61型戦車関係については、二次防と三次防に関係があるから、三菱重工業並びに名前の出ました村上信二郎を私のほうでも調べますが、引き続き綱紀委員会で調べられることを望んでおきます。  次は第三点、ホーク、地対空ミサイル関係であります。海原官房長は、村上信二郎事務官と共謀の上、前記三次防で、ホーク、価格およそ二千三百億円、採用に関し、ホークミサイルのメーカーである米国のレイセオン社、同じく米国のノースロップ社、これは練習機T38と戦闘機F5のメーカーであります、並びに三菱重工業、三菱電機等に便宜を与え、三菱重工業、三菱電機両社から、都内外のゴルフ場、料亭、ホテルなどで供応を受け、現金五千万円を収賄し、うち二千万円を村上に渡したといわれておるが、これに対する調査をやったかどうか。
  274. 長谷川仁

    長谷川説明員 私ばかり、ありません、ありませんじゃ申しわけございませんから、ひとつ装備局長から……。
  275. 國井眞

    ○國井説明員 ただいま御質問のございましたT38並びにホークについての調達でございますが、御承知のように、まずホークにつきましては、第二次防の期間内に二個大隊、これは米国と日本との間の経費分担という形式で入れておるものでございますが、それに引き続き、私どもの計画希望といたしまして、第三次防で相当数の大隊を導入をいたしたいということで、現在第三次防の一環として検討をいたしております。しかしながらそれにつきまして、いまだ三次防そのものが決定をいたしておりません段階でございまして、どういう会社等に発注をするか等の問題は、すべて今後の問題として、私ども慎重に検討をしていきたいという段階でございまして、その辺の諸般の資料等を集めまして、検討をしておる段階でございます。  なお、ただいま高等練習機T38についてのお話でございますが、これも同様に、今後の高等練習機を何にするかという点についての最終的な決定が、長官の決断としてまだございませんので、そういった御決断を待ちまして、事後の措置を進めていくというような段階でございます。
  276. 田原春次

    ○田原委員 ここに名前の出る村上信二郎は、装備局の事務官でありました。この行動についてはあとでまた事実をあげてお尋ねいたしますが、國井局長の部下であったはずです。國井局長は、これを呼び出して、おまえは二千万円のわいろをもらっておるというが、はたして事実であるか、なぜ確かめなかったのか、一度も確かめなかったのですか。
  277. 國井眞

    ○國井説明員 私もいわゆる怪文書というものは見ておりますので、そういった点につきまして、はたしてそういう事実はあるかということは、当人に私確かめたことがございます。そのとき当人は、そういう事実はございませんということを申しておりますので、私はそういう事実はないものというふうに考えましたし、現在もそういうふうに信じておるわけでございます。
  278. 田原春次

    ○田原委員 これは驚くべき取り調べ方であって、本人を呼んで、おまえは二千万円もらったかと聞いた場合に、もらいましたと、簡単に言う人はおらぬと思うのです。もらいませんと言ったら、その生活態度を調べるとか、何に使ったのであろうか調べるとか、あるいは家族を調べるとか、およそ疑いがあった場合は、裏表調べなければならぬわけです。単なる一応の問い合わせ程度でどろをはくわけはないと思う。これは調べ方が足らぬと思う。これに対して政務次官はどうお考えになるか。
  279. 長谷川仁

    長谷川説明員 そういうこともあわせまして、現在捜査当局で取り調べを行なっているわけでございます。
  280. 田原春次

    ○田原委員 だから、そういうことをあわせて、まだあとにもあるのでありますが、警視庁に持っていって、だれが書いたか調べてくれ——まあおまえのところの先輩の海原だからお手やわらかにやってくれというようなことを、ことばに言わなくても、含んで出せば、調べやしませんよ。そうすると、取り調べ中であるというだけでじんぜんとして引き延ばすと思う。この投書は、防衛庁内部にもいったと思いますが、衆参両院議員等にも全部五、六通来ておるのです。そう簡単な費用ではないと思うのです。よほどのことでなければ、うわさを捏造して出すとは思えないのです。うわさが出たならば、徹底的に調べていくのが局長なりあるいは政務次官なりの任務でなければならぬと思う。調べ方が足らぬと思うのです。今後どういうようにおやりになるか。まだあとありますが、今後の心得を聞いておきたい。局長と次官と両方から答弁を願いたい。
  281. 長谷川仁

    長谷川説明員 ただいまおしかりをいただいたのでございますが、先ほどから私言っておりますとおりに、私どもといたしまして、たとえばおまえ二千万円わいろを取ったろうと言った場合に、おそらく取ったにいたしましても、これは取ったと言うことはあり得ないと思うのです。そうすると、私どもといたしまして、それ以上取り調べをする権限は、私どもにはないわけです。そこでいろいろ黒い霧、あるいはいろいろいわれておりますので、私どもといたしましては、こうしたことが防衛庁にとっては非常に重大なことであるということは、先生御指摘のように、私どもも心を痛めております。しかし私どもといたしましては、もう先ほどから何回も申し上げますとおりに、これは警視庁にお願いする以外にないのでございまして、先ほど先生おっしゃられたおことばの中に、海原は警察官僚だから、したがって警視庁では手心を加えて調べないだろう——私はそうは信じません。少なくとも今日の検察庁はどんなことがあっても、疑惑があり、証拠があれば、堂々とこれを摘発する、こういうふうに私は確信しております。
  282. 田原春次

    ○田原委員 政務次官の確信は多とするけれども先ほど答弁がありましたように、綱紀並びに機密保持に関する委員会の回数が少ない、申しわけ程度でありまして、それは真剣に取り組んでいると思えません。したがって、同じかまのめしを食っている者が、同じ現役の者で、しかも天皇と言われ、悪事の数々を重ねるという海原官房長を——とする————でありながら調査の副委員長になっている、こういうこともおかしいのですが、その場合にほんとうに調べができますか。それは、第三者を入れて調べる。警察以外の第三者、庁内においても関係のない者が調べる。先ほどの構成からいうと、統幕とか陸幕、海幕等も入っておるようでありますが、みな海原のことだからやっておるだろう、しかし恨まれてもばかくさいからというので、おざなりになっておると思うのです。したがってこの綱紀粛正並びに機密保持の委員会の構成そのものが不満足ではないかという印象を、私は持っておるのです。それで満足しますか。
  283. 長谷川仁

    長谷川説明員 ただいま御指摘の、綱紀粛正の委員会あるいは幹事会の会合が非常に少ないという御注意につきましては、私ども今後十二分に留意し、ひんぱんにまた会合を持つようにいたしたいと思います。  なお、ただいま官房長から、これは一身上の名誉にも関することなので、本人からひとつ発言させていただきたい、こう言っておりますから……。
  284. 田原春次

    ○田原委員 それはあとにもありますから、これを済ませてから……。  次は村上信二郎事務官事件であります。上林山長官が得意満面防衛庁長官になった八月一日、村上事務官の辞任の辞令が出て、実際は八月二十九日に辞職しておりまするが、八月三十日と三十一日の二日間、総理府の参事官に出しておる。それは肩書きをつけるということかもしれない。そうして九月一日に退職して、直ちに立候補を予定されておる愛媛県二区に帰っております。このことは愛媛日報にも出ておるのでありますが、それをお認めになりますかどうか、政務次官の御答弁を願いたい。
  285. 長谷川仁

    長谷川説明員 兼務したことは事実でございます。
  286. 田原春次

    ○田原委員 昭和四十年八月、去年の八月であります。愛媛県の今治市と東京都に、村上選挙事務所というものを開設し、あいさつ状を印刷して、防衛庁内各職員及び出入りの業者並びに愛媛県内に、およそ一万枚のビラをまいたということがあるが、これを事実であるとお認めになるかどうか。
  287. 長谷川仁

    長谷川説明員 そういう事実は存じません。
  288. 田原春次

    ○田原委員 これは防衛庁内に配ったビラの写しでありますが、村上信二郎事務所、愛媛県第二区今治市ほか郡、東京事務所赤坂どこそこ、愛媛県事務所今治市どこそこ、その東京事務所の交通目標、と書いて、業者等に配り、お金を強要するようななぞを出しておるのですが、これを政務次官が知らぬとなれば、政務次官の怠慢です。あなたにも二、三人くらい庁内に部下がおるわけだから、ビラは当然いっているはずでありまして、かばう必要はないと思う。一応そういうことがあったならあったと言ってくださらねばなりません。これは私どものほうとして、証拠として残しておきます。  さて、次は防衛庁装備局——国井局長の部下だ。調達補給課の事務官大島何がしを、海原官房長の了解のもとに長期休暇をさせ、前記八月中旬から九月末までおよそ五十日間、愛媛県に村上事務官はこれを連れていって、選挙運動会計係をやらしておる。事前買収の金係をやらした。ところがまじめな男だから、買収したお金の受け取りをみなとっておる。一々受け取り、領収書をもらっておる。そうこうするうちに、なれぬ仕事でありますから、過労で倒れて、現在入院中であります。近く防衛庁に出勤の見込みというのでありますが、この大島事務官という者がおったかどうか、八月中旬から九月末までおよそ五十日間、休暇をとって愛媛県に行ったかどうか、この点について、設備局長並びに政務次官から御答弁を願いたいと思います。
  289. 國井眞

    ○國井説明員 第一点の、大島事務官という者は、村上君が課長をしておりました調達補給課の事務官として存在いたしております。  それから、何日からかは私資料がございませんのではっきり申し上げかねますが、その前後の時点におきまして休暇をとったということは記憶にございます。それからその間に四国に行ったかどうかという点については、私つまびらかにいたしません。  以上でございます。
  290. 長谷川仁

    長谷川説明員 ただいまの件に関しましては、私政務次官就任早々のことでございまして、私、存じません。
  291. 田原春次

    ○田原委員 この装備局調達補給課大島事務官の在職中の旧部下で、同じく装備局調達補給課の渡辺浩明事務官、それから人事局の沢田和彦事務官、この両名を通じて、選挙事務所開設案内を出入りの業者間にも配布し、暗に資金集めをした事実があるが、これをお認めになるかどうか。これもまた装備局長並びに政務次官にお尋ねをいたしたい。
  292. 國井眞

    ○國井説明員 ただいまの点につきましては、私全然存じません。
  293. 長谷川仁

    長谷川説明員 私も、まことに申しわけございませんが、存じません。
  294. 田原春次

    ○田原委員 一体、装備局長という仕事はどういうことなのか。部下が五十日も出張先不明の休暇をとる、あるいはビラまきをやったということを知らないというのはおかしいと思う。私は知っておると思う。知っておるが、まあ外に漏れぬことなら黙っていようということだと思うのです。知らぬということをそれ以上言ってもしようがないけれども、私は知っておるものと断定いたします。  次は、この村上は、立候補のために金集めをいたしまして、親分である海原官房長の了解のもとに、およそ八千万円の選挙資金を集めたというのであります。これはとても海原官房長はそうですと言わぬだろうけれども、一応官房長にお尋ねいたしますが、いまあげた数々の事例を見ると、海原官房長優秀なり、海原官房長は実に練達たんのうな官房長であるということは一つも出ておりません。どこで金を幾らもらった、どこで業者のわいろを受けた、どこで米国のメーカーの便宜を受けたという点だけで、八点あるうち、ぼくは時間の関係で四点あげておるのであります。このほかにもまだあります。したがって、こういううわさが立つからには、ちょうどきょうの午後、私が質問の初めに申し上げましたように、前の松野防衛庁長官も、もう海原はやめさせようという気になっておったらしい。たまたま内閣の改造で、海原官房長に言わせれば、鹿児島の山ザル、上林榮吉なる者があらわれたので、これはいなか者を相手に少しえさをやればおれの首もつながるというので、この間の演出をやったのじゃないか、こういうふうに推理小説家は推理すると思うのです。私はやはり防衛庁の信用、また多数の防衛隊士の信頼のもとである中央機関に、いやしくも五回も投書が出るということは、まるっきり全然根も葉もないことじゃないと思うのですが、こういううわさが立った以上、いさぎよく——松野防衛庁長官がやめさせようと言ったのを、引き続いて今度の上林榮吉——これもいずれ不信任か辞職勧告を出しますけれども、これに先んじて進退伺いか辞表くらい出すべきだと思うのですが、一身上の弁明を兼ねて、海原官房長の意見を聞きたい。
  295. 海原治

    海原説明員 ただいま伺っておりますと、先生には、いわゆる怪文書の中に書かれております事実を、あたかもそのとおり真実であるかのごとく御前提の上で、いろいろと御質問が出ております。私がはっきり申し上げられますことは、いわゆる怪文書に書いてあることは、すべて根も葉もないことでございます。さらに、本日、私は防衛庁の官房長という政府委員で参っておりますが、その官房長が、先生のおことばでは、あたかも——というようなおことばがございましたが、もしそれが事実としますと、これはお取り消し願いたいと思います。私はむしろ今回の事件につきましては、最大の被害者だと考えております。と同時に、ここは国会の委員会でございますし、——とか原告とかいったことばはきわめて不適当なことばだと存じますので、この点は、私の名誉のみならず、私は現在防衛庁の官房長という職責を汚しております。防衛庁全般のことにも相なると思いますので、ひとつこの点は御配慮いただきたいと思います。  さらに、おことばの中に、私が松野前大臣から、いわゆる首を切られるようなことになったということをおっしゃっておりますが、私は松野前大臣の御信任を得まして、防衛局長から昨年六月に官房長に就任いたしました。御在任中に、私といたしましては、一生懸命大臣を補佐したつもりでございます。引き続き今回の大臣につきましても、私も微力でございますが、誠心誠意を込めて、役人としての日々を送っておることは事実でございます。先ほど来、いろいろ怪文書というものの内容が、そのままそのとおり事実であるという前提での御質問が繰り返されておるように私には感じとられるわけでございますが、ひとつこの点は私個人といたしまして、あるいは防衛庁の官房長といたしまして、どうかお考え直しをいただきたいと存じます。何となりますれば、防衛庁の官房長がそういう悪いやつであるということをまくし立てられますことは、これは防衛庁全般のために決してならないものでございます。この点はくどくど申し上げませんが、私個人顧みまして、何らやましいことはございません。  以上で、私のお答えを終わります。
  296. 田原春次

    ○田原委員 一身上の弁明に関して二つ疑点があります。第一は、海原官房長を——扱いにしたのは困るから、これは取り消してもらいたい、それではこれは被疑者あるいは問題になる行動をとったものという程度にいたしまして、——ということばは取り消しましょう。  第二点は、すべて田原は投書を盲信して、何ら具体性がないのを事実のごとくに質問しておるのはけしからぬ、こういうような意味のことを所信の形で申しておりますが、およそ疑いのあるときはその疑いを晴らす、謙虚に疑いを晴らすことが必要であって、自分が官房長の地位にあるから疑いは困るというだけでは納得いたしません。何もないまじめな者に対して投書など来るわけがない。長谷川政務次官にはあまり投書は来ておりません。これは問題にされないのか、着任日が浅いのか知らぬけれども、投書を見ておりません。見受けるところ、あまり悪党でもないような顔をしておりますからこれはいいとしまして、海原君に対しては、やきもちからきておるのか勢力争いからきておるかそれは知りません。しかしながら、防衛庁内の事情に明るいと思われる者が、前後五回もあらゆる問題について確信ある態度でもってきた場合に、私どもはこれを疑いを持って質問するのはあたりまえだと思う。国会が当然取り上げるべき問題です。むしろ弁明の機会を与えたことに対して感謝すべきであって、逆襲するとはもってのほかだと思います。  なお、時間がありませんからこの程度にしておきますが、これは打ち切りはいたしません。今後とも十分調べまして、そしてきょうの海原君の答弁を基礎として、もし間違っておったなら即時切腹してもらうつもりです。  以上申し上げまして、私の質問を終わります。
  297. 吉川久衛

    吉川委員長 長谷川政務次官に申し上げますが、ただいまの問題は、海原官房長の名誉にかかわるのみならず、防衛庁にとりましても重大な問題でございますから、この疑惑を解くために万全の措置をとっていただきたいということをお願いいたしておきます。  関連質問を許します。華山君。
  298. 華山親義

    ○華山委員 ただいまたいへん高姿勢なお話がございましたけれども、私の耳にもしばしばそういう問題が入ります。いまここでそういうことを私は申し上げません。最近おやめになった某局長は、一生懸命に選挙運動をしておる。これは自民党の派閥の争いですから、何もそんな人のことをかれこれ言ったって、私には関係のないことなんですけれども、そういうふうなときに、私は非常に残念だと思うことは、その人は業者から金をもらったのだといっても、一般の人は、防衛庁だ、そうだからそうだろうなということを頭から肯定するんですよ。そこに、何か防衛庁に欠陥があるのじゃないか。そういう意味で、ほんとうに自戒していただきたいと思うのです。それで私は言うのだけれども、そういう人々はきっとせんべつをたくさんもらったのだろうというくらいに私はごまかしておる。普通の役人がああいうふうな選挙運動はできないと思う。せんべつにつきまして、何とか委員会かそういうところで、もらってはいけないとか、何かそういうことを研究していらっしゃいますか。
  299. 長谷川仁

    長谷川説明員 先ほどお答え申し上げましたように、第一回の四十一年の三月三十日の本委員会におきまして、接待、贈答等については、各自の良識に基づいて厳に自粛自戒せよ、また部内職員間の贈答も行なわないことにする。これにせんべつも含まれます。
  300. 華山親義

    ○華山委員 それでは、業者からのせんべつはそこに入るのですか。あなたのほうでは細則をきめて、いろいろと実施されたそうですけれども、その中に書いてありますか。
  301. 長谷川仁

    長谷川説明員 この贈答の中に、せんべつも含まれるものと思います。
  302. 華山親義

    ○華山委員 いや、もっと具体的に書いて、みんなに示したかというのですよ。
  303. 長谷川仁

    長谷川説明員 いまこの申し合わせを読みました中に、各自の良識に基づいて、とこう申しておりますので、特にそこは明細に書いてあります。
  304. 華山親義

    ○華山委員 やめたあとのせんべつですよ。やめてからせんべつもらったって、自衛隊の人々を拘束しないじゃありませんか。そういう点どう思うのですか。私はせんべつでもたくさんもらった以外には、あの人の金の使い道はないと思うのです。そういうふうなせんべつ——たくさんの会社に関係があるのだから、日ごろからせんべつでも出ているんじゃないかと、私は良心的に、その人を弁護する意味で言っているのです。そういうふうなものは、もらってもいいことになっているのか、もらってはいけないのか、どっちなんです。出そうと思えば幾らでも出せますよ、局長級に。どうなんです。
  305. 長谷川仁

    長谷川説明員 防衛庁をやめた以後の行動につきましては、私ども、これはいかんともいたしがたいわけなんです。
  306. 華山親義

    ○華山委員 そうすれば、防衛庁の役人は、防衛庁をやめたあとでいろいろな業者からせんべつを集めても、あるいは選挙資金を集めても、それは差しつかえない、防衛庁としては何ともしかたがない、こういうことでございますね。
  307. 長谷川仁

    長谷川説明員 防衛庁をやめたあとは、社会人としての常識が、私は基準になると思うのです。
  308. 華山親義

    ○華山委員 私は、そういうところに防衛庁に対する疑惑が起きるんだと思うのです。それだから疑惑が起きるんですよ。防衛庁の役人が、やめて選挙運動すれば、あの人には金が出たんだろう、どこかから金をもらったんだろう、そういうふうにいわれること自体が、もう防衛庁はだめなんです。ほかの役所の人は、あまりそういうことはいわれない。防衛庁の人がそういわれる。そこに何か原因があるのじゃないか。私は、防衛庁につきまして、ひとつ十分に、そういう点はそのあとといえども厳重にしてもらわなければ、防衛庁に対するうわさというものが絶えないと思う。その人が金でもじゃんじゃん選挙に使っている、あれは防衛庁のときに金をもらったんだろう、あたりまえじゃないか、やめたあともらったんだか何だかなんと言ったってしようがない。防衛庁のシビリアンというものはよほど気をつけないと、大きな金を扱うだけに、疑いの目で見られる、これは事実だ。それだから怪文書も出るし、選挙区ではそういううわさで一ぱいになる。そうして、自衛隊の権威を落としている。そういうふうなことは、私は昔の軍人をかれこれほめるわけではないけれども、昔の兵隊さんが、兵隊をやめて選挙に立つときに、金をもらってやったなんということはないですよ。それは今後政府としても、自衛隊に就職した人の終身の義務を課する必要があるのじゃないか、そうでなければ、自衛隊の権威が保てません。どうですか、御意見を伺いたい。
  309. 長谷川仁

    長谷川説明員 先生のおことばを承っておりますと、防衛庁に対しましてきわめて御好意をお持ちになっておることにむしろ私は感謝いたします。そして善意に基づいて、とにかく防衛庁は自戒せよという御忠告はそのとおりでございます。今後私どもは、この黒い霧を一日も早く払拭するように努力いたす所存でございます。
  310. 吉川久衛

    吉川委員長 中村重光君。
  311. 中村重光

    ○中村(重)委員 私は、綱紀粛正の問題を四点にわたって質問する予定でしたが、時間の関係から、一点だけにしぼって、農地局長にお尋ねをしますが、きょう一点お尋ねすることと違って、きょうこういう点の質問をしようと考えておったことで、農地局に関係をすることを一応お尋ねをしておきます。  かつて全国信用組合連合会の理事長をしておった山屋八万雄という人物であります。この人物が理事長当時に、興国農機という農機具をつくる会社に不正融資をやった。その不正融資が背任罪に問われて、昭和三十六年十二月に逮捕された。四十年十月に東京地裁で懲役二年半の判決がなされておる。目下これが高裁において審理中であると思う。この同じ山屋八万雄氏が経営する永代信用四十周年記念式典に、福田大蔵大臣ほか、当時の二大臣が出席をして祝辞を述べた。そうして、不正融資によって背任罪で有罪の判決を受けた山屋八万雄に対し、まことにりっぱな人物である、その実力がものをいって隆々たる発展を永代信用はしておるのだといった祝辞を述べておるのです。ところが、その背任罪に問われたいわゆる不正融資の金の穴埋めをするために、全信連が担保に取っておった東京都足立区伊興町谷下三十三番ノ一柴田政太郎外三十三名の農地が、これが地目変換がなされておる。しかもその農地は緑地帯という計画になっておったという。その緑地帯もどういう関係か、これが取り消されて、伊興自動車教習所という自動車教習所に変わっておる、そういう事実があるのでありますが、このいわゆる転用になった経過がどういうことであったのか、まずその点を伺っておきたいと思います。それだけにとどめますが、それは後日この問題を、大蔵大臣に出席を求めて質問をいたしたいと思っておりますので、あなたのほうに経過だけを一応伺っておきます。
  312. 和田正明

    ○和田説明員 ただいま御質問のございました足立区伊興町谷下三十三ノ一、約五十六筆、二町九反一畝十八歩は、昭和四十年の十二月二十五日に、株式会社伊興自動車教習所から農地の転用許可申請が出てまいりまして、四十一年三月二十二日に、伊興自動車教習所に対して、軽用の許可をいたしております。その土地が昭和二十五年の十二月二十二日に都市計画法に基づきます緑地の地域に指定をされておるのでございますが、その法律の規定に基づきました東京都のつくりました規則で、いろいろな場合には緑地帯の中でも建物を建ててもよろしいという規則があるのでございますが、その規則の中に、自動車の駐車場あるいは自動車の教習所等で。建物が全体の面積の十分の一以下である場合には、緑地地帯でも差しつかえがないという規則がございます。その規則に基づいて、東京都庁からもこの転用申請は適当であるという具申もございましたので、昭和四十一年三月二十二日に伊興自動車教習所に対して、株式会社でございますが、許可をいたしておるようでございます。なお現在はその土地は整地中でございまして、まだ建物等は建っておらないようでございます。
  313. 中村重光

    ○中村(重)委員 当初の計画が、いわゆる緑地帯であるということであったので、あなたのほうでも緑地帯としてこれが利用されるということであれば問題がなかった。ところがいまあなたがいろいろな理由をつけられたのだけれども、それが緑地帯が取り消された。そして自動車の教習所という形になるということになってくると、全く目的は違ったものに使われてくる。したがってこれを、農地を転用するということについては、あなたのほうとしても重大な関心を持って取り組まなければならなかったと私は思うのです。山屋八万雄氏は、東京都の汚職事件にも関連をした相当なしたたかものなんです。圧力をかけて、緑地帯になったら金にならないのだ、したがってこれを自動車教習所にすることにおいて、この土地の利用価値というものが上がる。そこでいわゆる穴埋めのためにこれをやったということは間違いはないわけです。だから、あなたのほうとしては、慎重な態度をもってこれに取り組んだというふうに考えられない。その点どうですか。
  314. 和田正明

    ○和田説明員 いま私申し上げました東京都の規則で、自動車の駐車場なり教習所等、これはその規則にそういうことがはっきりと書いてございますが、面積十分の一以下の建物ができるような場合には、緑地地帯の中でも差しつかえないという東京都の規則がございまして、昭和四十年の十二月当時に、この土地の転用目的申請書が出てまいりまして、この申請書先ほど見てまいったのですが、その申請書にも、東京都から、その規則を掲げまして、緑地地帯であっても差しつかえがないという趣旨のことが書いてございます。なお許可をいたしました相手は、株式会社伊興自動車教習所というものでございまして、いまお話しのようないきさつは、私どもとしては全く承知をいたしておりません。
  315. 中村重光

    ○中村(重)委員 あなたのほうも汚職に協力したという形に、私はなっていると思う。しかしこの問題はあらためて質問をしますから……。  次に、四十一年度の農業土木予算の総額並びにその執行状況、それから契約はどういう——これは執行状況の中でわかるわけですが、契約は大体いつごろすべてが完了することになるのか、まずその点……。
  316. 和田正明

    ○和田説明員 四十一年度の予算額は、御承知のように、農地局の公共事業関係には、国営、県営、団体営がございますが、それを全部合わせまして、千三百三十九億四千八十七万三千円でございます。そのうち県営及び団体営はいずれも補助事業でございますので、県なりあるいは地元、事業を実施いたします土地改良区なりが契約をいたしますので、私のほうでは、それの全体の把握はいたしておりませんが、いま申しました金額のうち、国労事業に見合いますものが約四百八十四億七千万ございます。これらにつきましては、ものによっては、たとえば秋の刈り取りが終わりましてからでなければ工事ができないものもございますし、また刈り取りと関係なしに工事を進められるものもございますので、態様はいろいろでございますが、特に本年度は公共事業の契約を全体としてスピードアップをいたすようにという閣議の決定の趣旨もございましたので、大体七割近いものがすでに契約を終わっておるというふうに、私は理解をいたしております。
  317. 中村重光

    ○中村(重)委員 農地局長は、農林省の土木関係の業者が中心となって、株式会社農業土木会館の建設計画が進められておることを御存じですか。
  318. 和田正明

    ○和田説明員 私もまだ農地局長を拝命いたしましてからやや一カ月になりましただけで、あまり詳細には存じませんが、たしか本年の四月の半ばごろに、株式会社としての設立の登記手続を終えました農業土木会館という株式会社がございまして、授権資本三億円で、現在払い込み済みが七千万か七千五百万ぐらいの株式会社がございまして、できれば近いうちに建物を建てて、農業土木関係のいろいろな団体がございますが、そういうところへ事務所を貸したり、あるいは地方から上京をしてくる人たちに宿泊の施設を与えたり、あるいはいろいろな関係会議用の会議室をつくったりするような一種のビルを建設したいという考え方を持っておるということは、承知をいたしております。
  319. 中村重光

    ○中村(重)委員 会館の建設計画の中心的な役割りをやっておる人物はどういう人ですか。
  320. 和田正明

    ○和田説明員 全国農業土木技術連盟というものがございまして、これは法人でも何でもないものでございますが、農業土木の技術者たちが集まりまして、全国的に会員を置いていろいろな親睦なり相互の研究なりをいたしたいという趣旨でできておる団体のようでございます。もちろん財団法人でも社団法人でもございません。申し合わせ組合でございますが、そこの委員長をいたしております古賀という人が、いま申しました農業土木会館の専務取締と申すのでございますか、主としてその人が中心になってやっておるようでございます。なお株式会社の社長に当たります人は前田建設工業株式会社の社長がその職についておるというふうに聞いております。
  321. 中村重光

    ○中村(重)委員 いま中心的な人物である古賀俊夫氏は、かつて農林省に勤務しておった人物ですね。そして農林省をやめて参議院議員の全国区候補として立候補して落選した。この古賀氏はいままで、いまあなたがあげられた全国技術連盟の、まあ役員をしておって今日に至っておる、そういうことなんですか。
  322. 和田正明

    ○和田説明員 古賀さんは、昭和三十年の十一月に農林省を退職いたしまして、そのあと先ほど申しました全国農業土木技術連盟の委員長という仕事をしておられますが、選挙に出ましたかどうかは、私は全然承知いたしておりません。
  323. 中村重光

    ○中村(重)委員 時間の関係がありますから、そのものずばりお尋ねをします。  いまあなたがおっしゃるとおり、もうすでに授権資本三億、それから払い込み金七千五百万ということで、これはまあいわゆる法人権を獲得している、こういうことになっている。ところが、この会館の建設にあたって農林省が関係があるというように伝えられる。表面的には、いまあなたが言われた古賀という人であるとか、あるいは大成建設株式会社の取締役をしている白石という人、なおこの会長になっている前田建設の前田という人は、土地改良建設協会の会長もやっているわけですね。こういう人たちが一応表面的には中心的な役割りをやっているということになっているんだけれども、農林省のあなたの部下である建設部長、あるいは設計課長、こういった人たちが、実質的な資金、いわゆる建設資金獲得のための大きな役割りを果たしているということが伝えられる。その事実はあなたは御存じありませんか。
  324. 和田正明

    ○和田説明員 これは、先ほども申し上げましたように、純然たる株式会社、純然たる民間機関でございますから、私どもに直接の監督権もございませんし、指揮権もございませんし、農業土木の技術者たちが集まりまして、そういうことをやろうではないかという話になったということに承知いたしております。資金面等につきましても、まだ具体的に建設の設計書もできておりません。それから用地の問題についても、まだ土地所有者との間に最終的な話がまとまっておりませんので、資金計画等にそれほど農林省の関係者がタッチしておるというふうには、私自身考えてもおりません。また、きょうこの点について御質問があるということに関連いたしまして、私も関係の課長などを呼びましていろいろ聞いてみましたが、みんな知らない者ばかりでございましたので、連盟なり会社のほうから来てもらいまして、いま申し上げます程度の資料をようやく集めた程度でございますから、そういうような事実はないと私としては確信いたしております。
  325. 中村重光

    ○中村(重)委員 きょうは、その建設部長も、それから設計課長も出てもらいたいということを要求したのです。ところが、何か建設部長は、きのうは出るという話だったが、きょうは病気だ。設計課長は目下出張をいたしております。それでまだ農地局長になって間もなく、事情がわからないあなただけだ。これでは、あなたがそれは知らぬ存ぜぬの一点ばりで口を緘して語らぬということになってくると、この問題の真相をここできわめることはできない。ところが、あなたもまあ大体常識的にはおわかりになるだろうと思うが、この会社というのは、目的は農業土木会館の建設及び運営、貸し室及び貸し店舗の業務、前各号に対する付帯の業務となっている。これは端的に言って、この専務になるところの古賀俊夫氏は、かつてのいわゆる農林官僚であった。これは何というのか、農林省の高級官僚のおば捨て山的な役割りになるということが多分に考えられる。もう一つ、この運営いかんによっては、これは利権会館として活用されるという可能性もある。それはなぜかといいますと、この会館を建設する、いまこの株主になっている人、それから役員になっている人というのは、そうした古賀俊夫さんといったような特殊な者を除いては、ほとんど土建業者をもって進められているわけですね。それで、いまあなたのほうでは、土地のことについてはまだ最終的にきまっていないのだという話があった。この土地の問題について、地主との間にいろいろな条件をもって解決した。いわゆる地主が一階を使うというような条件。ところがやはりこの土地に対しても、地主が三千万の要求をやった。そうしてその三千万というのは、大成建設がこれを調達をするというのを、白石という大成建設の取締役が一応引き受けた。ところが、大成建設がその土地代三千万を一社だけで引き受けるということになってくると、どうも全体の協力を受けるのに問題が起きそうだ、こういうことから、大成建設のほかに奥村、勝村組外二社が各五百万円当て支出をして、この土地の地主から要求された、その条件の一つになっているのですが、三千万という金を調達をした。ところが、そのほかに七、八千万の金がとりあえず必要である、これをどうするかということになったということは、いまあなたが授権資本として七千五百万円だということをおっしゃったのだが、それとの関連というものも私は出てくるだろうと思う。ところが、そのような話し合いの中に、あなたの部下である建設部長であるとか、設計課長というものがこれに関与していると、私がこう申し上げるのは、確たる証拠を持って実は申し上げているわけです。土建業者というものも、あなたのほうから指名を受けたい、工事をしなければ経営が成り立たないのだから、こういう呼びかけがあなたのほうからあると、これはそれを断わりたくても断われない、弱い立場なんだから。だから、それではしかたありませんというわけで、それに応ずることになる。ところが、やはり不満を持っているから、ついそれをほかへ漏らすのだ。それがずっと伝えられてくる。だからこの事情を知っている者は私だけではない。相当な広い範囲の人がこの事情を知っている。あなたはそういうことは決してないであろうということを言っておられるのだけれども、そうじゃないですよ。私もある程度の実務経験を持っているのだけれども、こういうことは中央だけではなくて地方にもある。だから、あなたの耳に全然入らないことはない。きのうから私はこの問題について質問通告もしておったので、いろいろと調査をされたと思うのです。おそらく、建設部長の出席を求めたのだから、建設部長がその事情を知っているのではないかというので、病気をしているといってもそう大病ではないだろうし、いろいろと建設部長との連絡もされたのではないかと私は思うのですが、もう少し真相をひとつ話してみてくれませんか。
  326. 和田正明

    ○和田説明員 設計課長は、実はだいぶ前から出張命令を受けまして、現地へ出張しております。建設部長は実は先週後半に北海道の冷害地の視察に出かけまして、帰ってまいりまして、ちょっとその疲労もあったかと思いますが、からだをこわして、きのうから病気がちでございまして、きょう休んだわけでございまして、特にきょうこの質問があるからということで病気になったというような種類の病気ではないのであります。  なお、いまお話しのように、この会館の建設が利権の問題とからむおそれがあるというお話でございますが。その土地代金なり、あるいは授権資本三億を、今後株式としてだんだん募集してまいります過程の中で、関係の会社に事実上割り当てをするようなことに役所が関与をいたすようなことがもしあるといたしますれば、それはやはり、たとえ不正がないにいたしましても、いろいろ疑惑を招かざるを得ないことは当然でございますし、せっかくの御注意でもございますので、これは純粋の民間の株式会社であり、民間の土木業者たちが株式会社として会館を建設していこうという趣旨のことでございますから、役所が関与して、おっしゃるような問題を起こすことがないように、十分私の部下にも注意もいたします。私も、その点につきましては十分目を光らせまして、そういうことが万が一にも起こりませんように、今後指導してまいりたいと思います。
  327. 中村重光

    ○中村(重)委員 私が建設部長あるいは設計課長が相当な役割りをやっておるということを申し上げるのは、ことしの六月ごろ、全国の農政局の建設部長会議が開かれた。その建設部長会議にあなたのほうの建設部長が出席をしている。これは当然出席しなくちゃいけないわけです。そこで、この会館建設のことについて具体的な説明をしておられる。その際、この建設について、建設資金の調達は、土建業者が、いわゆるあなたのほうの農業土木を請け負う請負業者が、その落札をしたたびに、そのつど百分の二を建設資金として拠出するようになった。したがって、各農政局においては、この設計をし予定価格を組む場合に、手かげんをしなさいということを口頭通達をしておる。そういう事実がある。あなたはおそらくそういうことは考えられませんと答弁するかもしれないけれども、事実そういうことが口頭で通達をされておる。ただ、そのときに建設部長が出席をして、そう言ったから、これの主たる役割りを果たしておるのだと私が言っておるのじゃない。その前からこの話し合いの中には加わって、相当な主たる役割りをやっている。その後開かれたこの農政局の建設部長会議において、そういう口頭通達をした。そういう事実がある。どうですか。
  328. 和田正明

    ○和田説明員 今年の六月ということでございますと、私、まだ農地局長を拝命いたさない前でございますので、事実関係についてはよく調べてみますが、ただ、いかに口頭にせよ、公式の会議の席で、工事費の百分の二ずつを会社に出せなどという指示をしたとは私思いませんし、また、そのようなことは信じたくもない気持ちでございますが、よく事実は調べまして、李下に冠を正さずということばもございますし、今後そのようなことがございませんように、私も含めて、十分指導いたしたいと思います。
  329. 中村重光

    ○中村(重)委員 あなたが誠意のある答弁をしておられるので、これ以上きょうは追及しないことにいたしますが、公式の会合というても、全国の農政局七カ所ですか、しかもそれは同じ農林省の仲間同士なんだから、そう肩を張るような会合じゃないですよ。全く内輪話としてそれはできるわけなんです。だから、口頭通達なんということばを私が使ったから、いかにも公式の席上ということにぴったりするようなことになるのでしょうけれども、七人か十人の会合です。そうして仲間同士です。だから、十分それは考え得られることなんです。そこではっきり伝えてある。私が利権会館になるということを言ったのは、百分の二という金は、ちょうどいま四百八十億ですね。いま五〇%以上、あと残っておるのが三〇%程度、百分の二ということになってくると、年度末までの工事でも、大体授権資本だけはまかなえるような金額になる。そうすると、どうなるか。これに参加しないものには指名をしないという形が出てくるのだ。だから、いやがおうでもこれに協力せざるを得なくなる。そうすると、どうなるのか。これは必ず輪番制になってくる。今度はこの工事は君がやれ、その次の工事はだれだ、こういうことになる。そうすると、必ずそこに談合がある。だから、ほんとうの意味の競争入札が行なわれるならば、予定価格よりいわゆる以下で落札される。金が余る。有効にその金が使える。しかしながら、いわゆる談合というものが行なわれるから、これは予定価格一ぱいで落札しなければならぬ。そればかりではなくて、予定価格の際にいわゆる手かげんをしなさいということを言っておるのだから、だから、その予定価格もできるだけ手かげんをして、もっと低くしたいものをもっと高くするということは、いわゆる予算一ぱいの中で予定価格をつくるという形になってくる。そうすると、この会館というものは——これは正当な競争入札という形が行なわれるならば金が余る。ところが、そういう形で行なわれるということになってくると、国民がこの会館を国民の税金でつくるという結果になるわけです。だから、この種の会館というものが、いわゆる農林省の高級官僚がやめた、そうしてこの会館のいろいろな業務に従事するという形も考えられるでしょう。それから、業者の人たちがこの会館を利用して、いろいろないわゆる利権的な話し合いがなされるということは、十分考えられることなんです。ましてや、農林省の官僚が、株式会社、いわゆる農業土木会館、そういうことから言うと、あなたが言ったように、これは全く民間の会館なんだから、農林省とは関係はないんだ、こういう御答弁であったが、形式的にはそのとおりなんだけれども、実質的にはそういうことじゃないということになる。だから、いまあなたは、十分この後注意していきたい、こういうことであったから、あなたのことばを信頼するということにいたしますが、この会館はもうすでに数千万円という金が投ぜられて、おそらくこれを途中でやめるということは私はないと思う。やはりいろいろな形において、そういう利権的な不正な行為が行なわれるということを、十分考えなければならぬと私は思う。だからして、この問題に対して、あなたはその後どう対処していこうとお考えになっているのか。一応の考え方は先ほどの御答弁でわかりましたけれども、もう一度ひとつあなたの確信のほどを伺っておきたいと思います。
  330. 和田正明

    ○和田説明員 先ほどもお答えを申し上げましたように、形式的にも実質的にも、私は、これは純粋の民間の株式会社というふうに考えておりますので、御指摘のように、その建設とからんで、入札に手心が加えられたり、あるいはその工事費の一定割合が強制的な割り当てのような形で、ここの会社の株主となるような形になるとは考えてもおりませんでしたし、またそのような事実があるとはいまもって信じたくない気持ちでございます。もちろん十分今後調査もいたしますが、先ほども申し上げておりますように、やはりそういう誤解を招くようなことは今後もないように、十分注意もいたさなければなりません。また、工事の入札等につきましては、御承知のように、会計法の規定その他もございますので、それらが厳重に今後も守られていきますように、十分留意をしてまいりたいというふうに思います。
  331. 中村重光

    ○中村(重)委員 これでやめます。ただ、いまあなたがお答えになった、そういう誤解を招くようなことがないように——誤解じゃない、私がいま申し上げたことは事実なんだから。私は、あなたが強弁されるならば、証人を委員長に出席要求したいと思う。だから、あなたが、これは誤解だ、事実無根なことだ、そういうような考え方であるならば、このことをはっきり——この関係者がこういう事実を明らかにしているのだ。場合によれば証人に立ってもよろしいと言っておる。だから、私は委員長に、最も近い機会に証人を招致してもらいたいということを要求したいと思っておる。だから、もう一度、あなたはどういう態度で、いま私が指摘した問題に対して対処されるのか。
  332. 和田正明

    ○和田説明員 建設部長や設計課長が何か公式の席で、いま先生のおっしゃるようなことを言うたかどうかということについては、私は事実を確認いたしておりませんので、そのことが誤解があるとか、そういうふうに申し上げたのではなくて、農林省の仕事のやり方として世間に誤解を招くようなことが起こりませんように、全体として工事の入札その他についても十分注意をいたします、そういう趣旨で申し上げましたので、私のことばが足りなかった点はおわびをいたします。
  333. 吉川久衛

  334. 勝澤芳雄

    勝澤委員 だいぶ時間も経過いたしましたし、それから参考人の方々もお疲れでしょうから、私もできるだけ簡明に、率直に御質問いたしたいと存じます。  まず最初に、委員長に、農林大臣の出席を、私が終わるまでの間に、せめて二十分ぐらいの間に——もう終わっておりまして、連絡もついておるはずですから、きのう御出席にならなかった点について、農林水産委員会できょう質問した内容と食い違っておりますから、ぜひひとつ御出席をしていただきたい、官房長も一緒に出席するようにお手配願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  335. 吉川久衛

    吉川委員長 本日午後、農林大臣は農林委員会がありますので、こちらへは来られないからようございますかという申し出がございましたから、きょうはよろしいと了解を与えたのでございますが、勝澤理事からあらためて要求がございましたので、いま手配中でございます。
  336. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは、その手配の結果を、私の質問が終わるときにまた御説明願いまして、最初に新東京国際空港の問題についてお尋ねいたします。  新東京国際空港の用地がどこにきまるかというのは、たいへん政治的なむずかしい問題でありまして、空港公団法ができましても、公団の敷地がきまらなければ発足ができないという点で、混迷をいたしておりましたが、場所がきまりまして、総裁の発令がされました。新東京国際空港は千葉県。千葉県というと川島さんの地盤だ。そうすると、一体運輸大臣はだれになるだろうかということで、運輸大臣はまさか川島派の運輸大臣がなるとはだれも思っておりませんでしたけれども、荒舩さんがなりました。荒舩さんがおやめになったから、今度は川島派でない人がなるだろう、こう思っておりましたら、たいへん失礼な言い分ですけれども、世間ではいまの運輸大臣も川島派だ、こういわれる。あるいはまた、では空港公団総裁にだれがなるだろう。これも心配いたしておりましたところが、いや総裁の成田さんも川島さんの関係が一番深いという。そこで、もしもまたこの公団をめぐって問題が起きては困る。いや、いま現に問題が、私は起きそうな気がしてならないわけであります。だから、その意味で実は質問したいと思う。それはなぜかといいますと、過去にその例があったわけであります。一つは、昭和三十八年十一月衆議院総選挙の前に、選挙資金を集めるために、住宅公団が大阪の光明池団地という団地二十万坪十二億円の買いものをしたわけであります。三十八年のたしか五月ごろだと思います。この土地は、住宅公団の監事、言うならば監査役が、これは不適当な土地だ、住宅公団で買うべきでないという指摘を実はしたわけであります。これが立ち消えになっております。ところが、三十八年十一月に総選挙があるので、選挙の資金集めをしなければならぬということで、五百円の土地が東洋棉花から日本電建、日本電建から東洋棉花、東洋棉花から日本電建、それから興亜建設の、御案内のように最近問題になっております大橋富重さんからこの土地が住宅公団に売られたわけであります。一番最初は五百円の土地が五千円、約十億の金が不当利得だといわれております。だれだろう。建設大臣が河野さんで、住宅公団の総裁が挾間さんで、そうして任期はまん中で切れるようになったから、総裁にもう一度任命をするという条件でやらしたといわれております。時の大蔵大臣がご案内の田中角榮さんで、日本電建の元社長であった。こういうことが近く予想される衆議院選挙の前にやられたらこれはたいへんなことですから、もうやらないと思いますけれども、言いにくいことをいま言っておくことが、私は国民の税金をむだ使いさせない——なぜならば夢の超特急といわれた新横浜駅を見てみなさい。あれは先買いをされたのだということでいろいろ問題になりました。しかし、いま全国各地の大学の用地を見てみましても、あるいは道路用地を見ましても、その中にはいつも黒い霧がかかっております。売り渡し直前の所持者は別として、それを四、五代前にさがしてみたら、どうもこれはおかしいじゃないかという点が実はたくさんあるわけであります。私は機会を見て、この問題は十分ひとつ申し上げてみたいと思いますけれども、きょうは一応、とにかくそういうことがあっては困る。閣議できまりそうになる。きまるであろう——事務段階であそこの土地、ここの土地が買いあさられて、それが土地値上げになって被害者がない。いや、国民が被害者なんですから、国民立場で申し上げます。  そこで、まず一番最初の空港公団が、公団法が通ったとき、新東京国際空港をつくろうとしたときの規模と今度の規模とを比べますと、最初の計画からいって、一体この飛行場がものになるのかならぬのか、とりあえず、こういう話が説明されておりますけれども、最初の規模と今度の規模とどう違ったのか、そうしてなぜそうなったのかということを、理屈でなくて、率直に、現実に一体どうなったのかという点を、まず説明願いたいと思います。
  337. 堀武夫

    ○堀説明員 当初われわれが考えておりました新東京国際空港というのは、約七百万坪の規模がほしいということを考えておりました。航空審議会の答申も、これから新国際空港をつくるならば、できるだけ思い切って大規模のものをつくっておくべきである、したがって、七百万坪という考え方は非常に妥当な考え方である、こういうことでございました。われわれといたしましても、何とかしてそれくらいの規模の国際空港にしたいということで、いろいろ適地をさがし、いろいろ話を進めておったわけでございますが、御承知のように、われわれが一番適地であると考えておりました富里地区は、内陸地帯でございまして、非常に農地率の高いところでございます。立ちのき戸数も約千五百戸ぐらいになるということでございまして、地元の反対機運も非常に高うございました。一たんは富里ということに内定はしたものの、その後の地元情勢が非常に悪化をいたしまして、とてもこれでは土地買収その他のことは進まないということで、その後いろいろ紆余曲折を経まして、このたびの三里塚地区になったわけでございますが、その考え方といたしましては、できるだけ立ちのき戸数が少なくて、そして民有地を買い上げるということの範囲の少ない、したがって、できるだけ地元の方々に迷惑をかけることの少ないようにという配慮から、国有地及び県有地をできるだけ取り入れるということで考えました結果、位置は若干ずれましたけれども、このたびの三里塚の御料牧場及び県有地を中心とした地区ということになったわけでございます。しかも、その規模は、いろいろの観点から七百万坪という初期の規模というのはきわめて困難であるということで、われわれとしてはまことに残念でございますけれども、これはやむを得ない、まことにやむを得ないということで、このたびの三百二十万坪という規模にならざるを得なくなったわけでございます。これは千葉県知事の協力をこの程度ならば得られるということで、総理と千葉県知事とが話し合いをされまして、千葉県知事の了解をこの程度ならば得られるという見通しのもとに、このような決定がなされた次第でございます。
  338. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは滑走路もついでに説明してください。
  339. 堀武夫

    ○堀説明員 最初の七百万坪という規模で考えておりましたときは、滑走路は四千メートルの滑走路が二本、二千五百メートルが二本、それから横風用滑走路の三千六百メートルのものが一本、都合五本ということでございましたが、このたびの計画では、それを縮小いたしまして、四千メートル一本、二千五百メートル一本、横風用の滑走路が一本——これはどの程度の長さのものがとれるかということはまだ決定いたしておりません。実際の土地に即して、これはきめたいと思っております。
  340. 勝澤芳雄

    勝澤委員 当初計画が七百万坪で、滑走路が四千メートル二本なり二千五百メートル二本あるいは三千六百メートル一本、こういう計画で、なるほどこの程度のものが必要であろうということが納得されておったわけでありますが、それが三百二十万坪になって、滑走路も二本、それから横風帯が一本ということですか。そうなりますと、一本この空港の価値というものはあるのですか。もしこれでいいということならば、一体一番最初の計画というのはどういうものですか。前の計画とあとの計画とのつながりは一体どうなるのですか。その点の説明をしてもらわないと、七百万坪ほしかったのだけれども、これでも間に合うということになるならば、運輸省というのは、これからそういう取り扱いをしなければなりません。航空局というのはそれでいいのか。  いま日本は、皆さん御承知のとおり、東海道新幹線をつくった国鉄が、このごろでは東海道にもう一本鉄道線路をほしいと言っている。東名高速道路をつくってまだ完成しない間に、もう一本道路をつくらなければならぬ。二車線の場合と三車線の場合の道路効率を考えたら、どれほど効率があがるかということを考えていったら、いかにむだ使いをしているかということです。必要なものはつくらなければならぬわけですから、一体なぜこうなってきたのかということと、いま運輸省の考えているこの新東京国際空港というものは、それでは一体何年ぐらい使えるのか。価値があるのかないのか。ないとはまあ言えないわけでしょう、せっかくつくるわけですから。ないよりあるほうがましだなんという議論では困りますから、せっかくつくる国際空港でありますから、そういう点についてもう少し御説明願いたい。
  341. 堀武夫

    ○堀説明員 新しい空港をつくらなければならぬという必要性につきましては、現在の羽田が間もなくもうどうにもならなくなる。新しい飛行場がどうしても要る。それで飛行場を一つつくりますと、その飛行場の上の空域というものは、相当広い空域というものが占有されるわけであります。したがいまして、第二の国際空港をつくって、これでまだ足りないということで、第三の空港をつくるということは、将来ますます空域の関係からいってむずかしくなる。そういう意味から、第二の国際空港をつくるならば、思い切って将来の百年の大計として、できるだけ大規模なものをつくっておいたほうが将来の空域の関係からして妥当であるということで、七百万坪ということを考えたわけでございまして、七百万坪という規模は、われわれは山をかけたとかそういうことではございません。できるだけ将来長く使えるようにということで考えたわけでございます。ところが、いま申しましたように、現実的な問題として、現実的な目前の障害が非常に多過ぎる。そのために、まことにやむを得ないことではありますけれども、三百二十万坪程度のものにならざるを得なかった。しかし、この程度でありましても、羽田のパンク——パンクというのはおかしいですが、羽田が行き詰まったときの救済にとりあえずなりますし、将来かなり長期にわたって使っていけるものと、かように考えております。
  342. 勝澤芳雄

    勝澤委員 何年ぐらいですか。
  343. 堀武夫

    ○堀説明員 これは将来の航空需要がどのように伸びていくかという予測の問題がありまして、簡単には何年というふうなはっきりしたことはなかなか申しにくいと思いますけれども、少なくとも二、三十年はもつものというふうに私は考えております。
  344. 勝澤芳雄

    勝澤委員 まああなたが二、三十年と言うのですから、まあその半分あるいは三分の一ぐらいしか使えないのではないだろうかと思うのです。それは日本の政治の貧弱といいますか、そういう点からこういうものが起きていると思うのです。外国を回ってつくづく考えることは、飛行場というものは、相当長い将来を見渡してつくっているわけでありますから、いま日本で一体こんな狭い飛行場をなぜつくらなければならぬのか。あなたは腹の底ではそう思っておるのでしょう。たいへん残念だと言われておる。しかし七百万坪の規模が三百二十万坪になったということから考えて、やがていつかの将来に、これでは狭過ぎることになることは、これは間違いないわけであります。そこで、それでは一体、予算の規模はどうお考えになっておりますか。
  345. 堀武夫

    ○堀説明員 このたびの成田空港の規模から考えまして、いまわれわれが立てておる積算によりますと、約千二百億使うという予定でございます。
  346. 勝澤芳雄

    勝澤委員 御承知のように、東海道新幹線が、千七百億でしたかの当初計画が、実際には三千四百億程度になって、これが問題になりました。それは用地費の異常な値上がりでありましょう。あるいはまた不当な要求を通さなければならなかった必然性もあったと存じます。やはり今度の中でも千二百億といま言われておりますけれども、私はたいへん危険を感じておるから、いろいろ話しておるわけであります。  それでは次に、私は、特に最近土地の価格の問題に対して、千葉県の方々とお話を願ったようでありますが、公団の総裁のほうから、土地価格については、いまのところ、何か坪単価幾らとかという御発表をされているようでありますが、どうなっておりますか。
  347. 成田努

    ○成田参考人 土地価格につきましては、先般来、関係閣僚懇談会において大体おきめいただいた、反当たり最高百十万円から六十万円の間で、土地の高低その他においていろいろ差がありますので、その範囲内において売買をするようにというお指図がございましたので、それによって目下地元の農民の方々と折衝中でございます。
  348. 勝澤芳雄

    勝澤委員 もう少しちょっとこまかく説明していただけませんか。水田なり畑なり、山林原野なりあるいは宅地なり、坪単価をどういうふうにお考えになっておるのか。
  349. 石原一彦

    石原参考人 ただいまの御質問でございますが、九月の三十日に第一回の説明会を千葉で開催いたしまして、水田につきましては十アール当たり、反当百十万円でございます。それから畑につきましては反当百万円、それから山林につきましては八十五万円、それから住宅地、つまり宅地につきましては百五十万円という大体の目安の価格を発表いたしまして、公団の今後の心づもりといたしたわけでございますけれども、御承知のように、現在までのところでは、深く立ち入りまして詳細な価格の検討をいたす機会にまだ至っておりませんので、一応従来の経過であるとか、千葉県知事の御要請であるとか、そういうふうなものを勘案いたしまして、いまのような大体の価格を発表いたした次第でございますが、なおこれにつきましては、不動産の鑑定と申しますか——しかしながら、これも現場に立ち入りましてしさいに検討することができませんで、不動産の鑑定につきましても完全なものではございませんけれども、一応不動産の鑑定の結果も聞きまして、これらを勘案いたしまして、ただいまのような価格を発表いたしたわけでございます。しかしながら、今後いずれはわれわれも立ち入り測量をいたさなければなりませんし、現場に入りまして十分用地の検討をもいたしまして、今後さらに詳細な価格をきめていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  350. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この反当の、水田なり畑、山林、宅地の値段というものは、私たち常識で考えている値段から言うならば、二倍半なり三倍の値段なのです。このことがいかに公共用地取得のための、道路の建設なりそのほかの問題に影響しているかと考えてみると、この値段そのものは相当高いものなのです。一体、こういう値段を出して、政府が土地政策の中でこんな高い値段で今後のあらゆるものの建設が進むと思いますか。  私は、東海道の静岡ですから、東海道新幹線がつくられ、東名高速道路がつくられるために、いかに宅地が暴騰したか。もはや二十年や三十年つとめたサラリーマンでは土地一坪も買えない。住宅が建たない状態だ。その恨みは何かといえば、国鉄なりあるいは建設省、道路公団なり国が土地を上げているわけであります。一体、土地政策はないわけであります。しかも片方では坪二円五十銭で払い下げるという。片方ではいまの相場よりも二倍半ないし三倍に上げている。それでも話がつくかつかぬかわからぬですよ。話がつかなければ上げるでしょう。それはもう川島さんが副総裁ですから、もっと上げい、もっと上げい、上げれば上げるたびにおれの票がふえる。運輸大臣でも総裁でも、言うことを聞かなきゃやめなければなりませんから、言うことを聞くようになるでしょう。そのことがいいか悪いかは別として、そのためにほかの者は一体どうなるのですか。一体、閣議なんというものはいまの土地相場を知っているのですか。まさにこれは非常識きわまる値段ですよ。この非常識きわまる値段というのは、理屈を聞けば確かに理屈が通っております。何か国道の五十一号線の十余三の買収実例集によったのだ。昭和四十年十月の例によってこうやったのだ。不動産研究所でやった——不動産研究所の鑑定は、つくられた鑑定であることは間違いありません。しかし、まだそれがつくられたかつくられないかというものまで研究するほど私も進んでいませんから、申し上げませんけれども、これは明らかに不当なもので、今日のほかの公共事業の宅地造成なり、あるいはまた公共用地取得にたいへん影響しているのであります。ですから、その問題について、この値段でも高過ぎるのだということを、この際私は明確にしておきたいと思うのです。買えないから幾らでも高く買うのだということであったならば、これはたいへんなことです。土地政策というものをもっと基本に考えなさいと言うのです。  それから、この中にゴルフ場がありますね。このゴルフ場は坪幾らに計算をされておるのですか。
  351. 石原一彦

    石原参考人 ただいまの御質問でございますが、われわれ用地を買収するにあたりましては、一般の民有地を先行いたしまして、ゴルフ場の用地につきましても、一応不動産鑑定士の鑑定等を願いまして、民有地の先行と並行と申しますか、あるいはおくれることもあると思いますけれども、ゴルフ場の土地そのものにつきましても、今後なお一そう研究いたしまして、そして適正と考えられるような価格を打ち出したい。現在のところは、そのようなことでございまして、特別にゴルフ場の用地を発表いたしたこともございません。以上であります。
  352. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大きなのが八万坪あるわけですね。ゴルフ場の土地が八万坪あるわけですね。ですから、そのゴルフ場を一体幾らで公団は買うだろう。いろいろ用地を私聞いてみますと、用地の所有者は国有地なり県有林なり民有地です。民有地で個人の持っているものについては、いろいろの平均的な値段でありますから、政治的なものも入る余地はありません。しかしゴルフ場については政治的なものが入る余地があるわけであります。あるいは、このゴルフ場の役員の名簿を見てみましても、政治的な要素が入る余地のあるゴルフ場の役員がおるわけでありますから、私はここでゴルフ場を幾らに——いまあなたが言った閣議決定の標準からいって、幾らにするかということを聞いておきたいのです。きっちりしておきたいのです。そのことが、いまあのゴルフ場を中心にまた不当なもうけをさせるじゃないだろうかという——おれたちばかり損をしてという、そういうことを払拭するものだと思うのです。きっちり御答弁できますか。
  353. 石原一彦

    石原参考人 ただいまの御質問でございますが、私、前に申し上げましたように、現在のところは民有地につきましていろいろと検討をいたしておりますので、ゴルフ場の敷地につきましては、繰り返すようでございますが、ただいまの御注意もございましたので、不動産鑑定等も十分参考にいたしまして、民有地とバランスのとれた価格で買収いたしたいと考えているわけでございますので、ゴルフ場の用地につきまして、反当幾らであるというふうなことを現在まだはっきり考えておりませんので、申し上げられませんことはたいへん残念でございますが、以上のとおりでございます。
  354. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ゴルフ場の用地を幾らで買収をするのかという点については、たいへん問題があるのです。それと同時に、あなたは不動産研究所、不動産研究所という話をしておりますが、不動産研究所ほど、また政治の力が入っているのもないわけであります。それはあなたが一番御存じだと思うのです。どんな鑑定でもできるわけでありますから……。極端な例がありますから、私は一度不動産研究所に来てもらって、ごもっともな演説を聞かせてもらおうと思っておりますけれども、それは世間を欺く、何といいますか、私は隠れみの的な存在にしかすぎない、そう思うのです。ですから、世間の常識を離れた補償をするならば、私はこれはたいへんな問題だと思う。しかし、あなたたちは理屈をくっつけてやるでしょうから、また理屈をくっつけてやられるように思えてならないわけであります。しかもこれは十六万坪のうち八万坪とられるわけでありますから、ゴルフ場としても致命的なこともあるでありましょう。あるいは投資した資産を回収しなければならぬという問題もあるでしょう。そういう点はよくわかります。わかりますけれども、やはり問題になりそうなところだ、こういわれておるわけでありまして、そしてまた問題になりそうな、政治が入る余地のあるような立場になっている、過去においてあらゆる事件の中にいろいろなうわさをされた人が役員の中におるといわれておるわけでありますから。それはなぜかといいますと、いま言いましたように、あそこが千葉県で、やはり川島さんが実力があるところ、運輸大臣が川島派だ、総裁も川島派だと、こういわれておるわけでありますから。  そこで、用地担当の理事石原さんなり山本さんというのはどういう方ですか。
  355. 堀武夫

    ○堀説明員 ただい答弁されておった方が石原さんでございますが、石原さんは、前に千葉県の開発部長をしておられた方でございます。地元の、この辺の土地の事情に非常に明るい方でございます。それから山本さんは、ごく最近まで小見川の町長さんをしておられまして、千葉県の町村会長もやっておられました。千葉県の地元のいわゆる市町村長あるいは市会議長、市会議員とかあるいはその土地の地主さん方にも相当顔が——よく土地の事情を知っておられるという、そういう方でございます。
  356. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それで総裁がわかって、用地担当の理事がお二人わかりました。  それでは、用地部長と用地部の次長、下川さんなり根本さんというのはどういう経歴の方ですか。
  357. 堀武夫

    ○堀説明員 用地部長の下川さんは、最近まで千葉県の農林部長をしておられた方であります。それから次長の根本さんは、千葉県の警察本部の刑事部長をやっておられた方であります。いずれも、用地買収ということになりますと、土地の事情に精通しておっていただいたほうがいいわけでありますので、こういう観点から、こういう方々が選ばれたものだと考えます。
  358. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それじゃ、用地の一課長の林さんというのはどういう御出身なんですか。
  359. 堀武夫

    ○堀説明員 この方は、千葉県の総務部におられた方でございまして、これも地元の事情をよく御承知の方と思います。
  360. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私はこれで質問を終わりますが、結局御注意を願いたいということです。問題が起きますよということです。きょうはせっかく副総裁も出られておりますけれども、総裁がつんぼさじきじゃ困りますということですよ。用地問題についてはとかくの問題がある。新東京国際空港については、まだまだこれから問題が起きると思うのです。起きる要素が、あるいは起きるような配置がなされているといえば、これは言い過ぎかもしれませんけれども、しかし、第一に出てきた買収の、この閣議の価格そのものについても問題がある。それは、あまり言いませんけれども、一つの例として、すぐとばっちりが起きているわけでありますから、ひとつそういう点で特に私は御注意を願いたい、慎重な取り扱いをしていただきたいということを、特に運輸大臣から確認をしておきたいと思います。
  361. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 新空港の問題につきまして、これが適正に行なわれることについて御注意をいただきましたことは、ありがたく存ずる次第でございまして、そういう点につきましては、今後も十分公団に指示をいたしまして、ただいま御指摘になりましたようなおそれの絶対に起こらないように、私といたしましても、注意をしてまいりたいと思う次第でございます。
  362. 勝澤芳雄

    勝澤委員 言いにくいことを私は率直に言いましたけれども、これはいまみなが思っていることを申し上げたわけでありますから、十分心していただきたいと存じます。  そこで、委員長にお願いしておきました、農林大臣なり官房長はいかがですか。
  363. 吉川久衛

    吉川委員長 お答えいたします。  ただいままで極力さがしましたが、まだ見当たりませんので、御了承願います。
  364. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは委員長に申し上げておきますが、昨日共和製糖グループの問題の質問にあたりまして、当然な出席を農林大臣に要求しました。ところが、農林大臣は、とにかくおかあさんの命日だから、その用事があるからということで、お話がありました。しかし、先ほど農林水産委員会で、ある委員質問に対して、農林大臣は、私はきのうは閣議にも出ました、法事もやりました、決算委員長から要求がなかったので出席しませんでした、こう言っておるわけであります。これは私は重大なことだと思います。われわれが要求したことは間違いない事実であります。ですから、最後には政務次官まで出席したわけであります。これは重大な問題でありますから、ひとつあなたと大臣の間でどういう行き違いになっておるのか、明確に次の機会までにしていただきたいと思います。いま御答弁できるならばけっこうですけれども……。
  365. 吉川久衛

    吉川委員長 明日の閣議には出席いたしますが、その後母の命日でございますから法要をいたしますから、あすは休ましていただきたい、あさっては出ます。私は了解を与えました。
  366. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、大臣は、私は出席の要求があれば出ます、出席の要求がなかった、と、大臣の出席の意思があるのを委員長が拒否したことになる。これはやはり重大な問題ですから、詳細にもう少し調べて、ひとつ国会全体の問題として協議してもらわなければなりません。  それからもう一つ、官房長の要求もいたしておきました。いまもって参りません。なぜ官房長の要求をしたのかと申しますと、山田委員が農林大臣自動車の問題について質問をいたしました。そのときに、その答弁の中で、自動車が古くなりましたから政務次官に下げまして、大臣自動車を買った、こういう答弁がありました。しかし、古くなった自動車というのは、昭和四十一年の四月十六日に買ったといわれております。ことし百八十万で買った自動車に坂田農林大臣が乗っておって、大臣がかわったとたんに、坂田農林大臣が乗っていたのだからまずいというのでしょう、それを払い下げて、三百五十万といわれておるニッサンプレジデントを買った。しかもその自動車に乗っているのは、農林大臣と総理大臣と衆議院議長、参議院議長だけだ、こういわれている。これがもし事実とするならば、これはまさに農林大臣綱紀紊乱ですよ。これはけしからぬですよ。これを私直接聞きたかった。しかも農林大臣も官房長も、農林水産委員会が終わって帰っておるわけでありますから、確かめたいわけであります。ひとつこの問題については、委員長のほうから、そのいきさつを十分調査していただきたい。これは坂田農林大臣に聞いてもらえばわかりますから、聞いていただいて、やっぱりいきさつだけはやはり明確にして、間違いは間違いで、思い違は思い違いでけっこうですから、明確にしていただきたいと思います。その場だけつくろっていけばいいんだというふうに考えておるなら、これは重大な問題ですから、ぜひお取り調べいただきたいと思いますが、どうですか。
  367. 吉川久衛

    吉川委員長 農林水産委員会における農林大臣の発言は、私との間にたいへんな食い違いがございますので、明快にいたしておきます。  それから答弁の食い違い等につきましては、いずれ後日の委員会において、その点も明らかにしていただきたいと思います。御了承願います。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時二十一分散会