○山田(長)
委員 経済行為でも事が違うのです。あるいはあなた方
会計検査院が調べている、デパートの本建築の建物が建ったとか、あるいは山口の錦帯橋ができて、あの錦帯橋のくいが少ないなんていって、えらく苦労したことがあるでしょう。それは現物が、錦帯橋ができておって、くいの本数が足りないということは調べられるのですよ。しかし今度の場合は、調べるときには、日本じゅうの人にばらばらになっちゃうのですよ。ばらばらにまかれてから、これが調べられるといったって、調べる方法がない。月末になってこれを処理しようとしたって、これは方々へ渡ってしまう。まずデパートへ渡ってしまう。現在の百三、四十軒のデパートにかりに渡ったとするならば、ここへ
会計検査院の機能の千三百人の人全部動員したって、これはなかなか調べ切れるものじゃありませんよ。道路だとか橋だとか建物だとか、土地改良だとか畑地かんがいだとかいうなら、
あとでその川の深さが違うじゃないか、石の組み方が違うじゃないかということはわかるかもしれぬけれ
ども、今度の場合は方々へ渡ってしまうから問題なんですよ。
会計検査院、ダイヤのことについてわからないということで、いやわからなければ大蔵でやってくれるからいいだろう
——大蔵でやってくれることについて、私は不審を持つ点があったから、こういうことを聞くのですよ。なんで不審を持ったかというと、これはマレー大佐が、日銀の地下室から
——これは占領下だからそれでいいんだとあなたはおっしゃるかもしれないけれ
ども、マレー大佐がダイヤモンドを盗んでいって、サンフランシスコのデッキで、ポケットからころがり出して、横浜の軍事裁判で二年半懲役を食った事件がある。宮内省のダイヤも、王冠が持ち出されてどこかへ行っちゃって、そのままのものがある。こういうわけで、ダイヤモンドについて
国民が非常な関心を持っておる。青木というダイヤのありかを
調査をした人は、大阪でほかの事件で検挙されて、ついに変死をしてしまった。一日早く焼き捨てられてしまった事件がある。ついにこの事件はいまだに世の中に、ダイヤの事件に関連のある姿として伝えられずに、ほかの事件として葬られている。この夫人は、うちのおやじはダイヤの問題を
調査したために葬られてしまったんだと言っている。そういう事件がいまだに隠れた事件としてあるのです。ですから、私は、出てきて以来十数年の間、このことに取り組んでおるわけでありますけれ
ども、いまだに不可解な事件として、結論が出ない問題を問題としてかかえているわけなんで、いまこれが処理されようとする段階に至りまして、検査院当局は、知らない、大蔵省にまかせきりだ、そんなことでは許されないですよ。もっと真剣な
立場で、
会計検査院当局としては、大蔵省が調べた
あとを調べ直しをして、それで、いよいよ手放す段階になっては、その価格も大蔵省で見たのと違いがなかった、それから品質の上においてもそう違いがなかった、これなら第三者に手渡してもいいんだといって、これは経済行為以前に取り調べるべき筋合いのものですよ。何がゆえに法規だけの慣例に従わなければならないのですか。当然これはいいことはいいこととして、調べて、黙っていたっていいじゃないですか。黙っていて、そうしてしかる後に、これが最後の結論を出す段階に行っていいですよ。なぜ、経済行為だから、これは取り調べは
あとにするのだという結論を出すのです。これはあなただけではおそらく出せないだろうと思うのですが、
会計検査院長にも来てもらって、やはりこの結論は出してもらって、それでこれについてもう少し真剣な態度で取り組んでもらいたい。これは日本じゅうの
国民が半強制的な供出をさせられたものですよ。そのさせられたものが、名前がないというだけで
——名前があった人は全部返しちゃったじゃないですか。大判、小判も返した。金の茶がまも返した。宝船も返したじゃないですか。ところが、貧しい
人たちの
部分だけは、金のバックルもあるいはかんざしも歯もあるいはまた金ぶちのめがねの金もみんな延べ棒にして、ちっとも返さずにあるじゃないか。当然これはもっと真剣な
立場で
会計検査院当局は大蔵省が手放す前に処理しなければなりません。私は何としてもふに落ちないのは、これを一般
会計に繰り入れてしまうということについては私は反対なんです。特別な
会計を設けて、貧しい人のために当然これは消費すべき筋合いのものだと思うのですよ。
会計検査院当局、あなたに答えを出せなかったならば、
会計検査院長と相談して、大蔵省が売り出す前に
——これは緊急事態ですよ。これは私は少なくとも四、五百億あると見ているのですよ。それを七十二億、七十二億と、昭和二十三年以来、物価高になった今日までも唱え続けている。そんなことが許されるものじゃないですよ。もっと真剣な態度で取り組んでいただきたい。あなたの御所見をもう一ぺん伺います。