○原田説明員 御説明申し上げます。
勝澤先生御指摘のとおり、三十七年自由化をいたします前にとっておりました制度は、輸入の割り当て制度でございます。その当時は、台湾だけの割り当てということではございませんで、グローバルと申しまして、世界一本で割り当てをいたしております。そのときにバナナを扱っておりました商社の数は約二百三十社でございます。正確には二百三十四社割り当てております。そのうち台湾からのバナナを扱っていたものを推定いたしますと、約百三十社といわれております。三十七年当時の自由化の風潮及び国内果樹産業に及ぼす打撃、将来の影響といったようなものを勘案いたしまして、バナナは自由化するほうが消費者に安いバナナが提供されるわけであります。かつまた、台湾にとりまして非常な重要な輸出品でございますバナナが日台貿易の健全な発展にも役立つという判断をいたしまして、三十八年の四月から自由化をいたしたわけでございます。この三十八年、自由化をいたしました当初、台湾側におきましては、
日本側の自由化に応じまして直ちに自由化をするということではございませんで、それまで行なっておりました品質、規格等の規制に加えまして、割り当て制を新たにしいてまいりました。三十八年には
日本側のインポーターに割り当てをいたし、三十九年に至りまして、弁法と称しておりますが、対日バナナ輸出規則、
日本ならばそのように訳してしかるべきような規制を制定いたしまして、数量割り当てに踏み切ったわけであります。したがいまして、
日本側においては、非常に急激に増大してまいりました需要に応じ、輸入業者が、台湾の割り当てをもらった輸出業者からのオファーというものをもらいますために狂奔いたしまして、ただいま
大臣から御説明申し上げましたような過当競争の弊害を来たしました。特にこの弊害は四十年の四月−六月、そのころには非常に激しくなってまいったわけであります。したがいましてかかる激しい過当競争のもとでは、
日本側にとっては値も高くなりますし、外貨の損失にもなります。かたがた不公正競争を通じ法律違反等の問題も生じて、まことに望ましからざる状態である、かかる輸入秩序の混乱は早急にこれを防止して、輸入秩序の確立をはからなければならない、こういう要請が各方面で起こりました。業界内部におきましても、次第に、このような過当競争自体はみずからを滅ぼす道であるというふうに理解をされてきました。また台湾側におきましても、
政府、特に心あるりっぱな輸出業者の方々、こういう方々の中では、バナナ貿易がこのように混乱をしておるということは、長い目で見て
日本と台湾との間のバナナ貿易の健全な発展に役立つものではないという認識が生じてまいったようでございます。このような機運が横溢いたしまして、私どもといたしましては、この輸入秩序収拾策に乗り出したわけでございます。ただ一ぺん自由化いたしましたものを、昔のようにただ
政府の割り当てに戻すということだけではよろしくないと考えまして、今後はできるだけ業界の自主的な
努力によって輸入秩序を回復したい、その方策といたしましては、輸入組合の育成によるものが最もよろしいということで、一方において輸入組合の設立の勧奨をいたしました。ただ非常に過当競争をいたしておる業界でございますし、業界の中におきましても、利害を異にし立場を異にする幾つかのグループが争っておりますので、なかなか話がまとまりませんで、結局去年の九月十五日、
日本バナナ輸入組合が正式の認可を受けて成立をいたした次第でございます。
ただ、バナナ輸入組合は、そういう経緯をたどって成立したのでございますが、組合自体の手で十分に輸入秩序を確立するほどに強力なものとはなり得ませんでしたので、このような業界の自主的な
努力による秩序の確立をいたしますまでの暫定的な
措置としまして、当分の間ということで、四十年の七月から自動割り当て制度のもとにおける数量割り当て制を開始いたしました。このことで輸入秩序の確立をはかるという制度をとってまいったわけであります。
その方策としましては、三十八年、三十九年及び四十年の初期における過当競争の結果、約百三十社と推定せられておりましたバナナ輸入業者の数が五百二十八社程度にまで非常に増加をいたしてまいりました。そういう輸入業者相互間の過当競争を防止するには、何らかの
基準が必要でございます。結局三十八年及び三十九年の二年間における実績をとって、それを
基準として割り当てをする以外にはないという結論に達しましたので、四十年から実績というものを
基準にして割り当てを実施しておるという状況でございます。このような輸入秩序維持の
努力によりまして、本年くらいに至りまして、輸入組合自体が一本化をして台湾側と交渉できるくらいの体制になってきたという実情であると
了解いたしております。