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穗積委員 私はきょうは
ベトナム戦争が
侵略戦争であるか、あれが自衛権の限界をはるかに越えたものであるかどうか、そうしてまたいろいろ付属いたしました
条約解釈の問題もあります。しかし
総理にせっかく出ていただいて、その上にしかもきょうは時間がないということですから、
アジアの
情勢なり平和の問題をほんとうにあなたが
責任をもって考えて、そして外交不在であるといわれている
日本の自主的な外交を取り戻すべきだ。そのときこそ、すなわち東西南北の交差点に立っておる
日本としてはじめてできる役割りだと思うのです。それが外交上における権利であり責務であると思う。そういう
意味で私は聞いている。このまままいりますと、
アメリカに追随したような和平工作をやっておる間に、おそらく私の判断では、ドゴールのイニシアチブというものが、
アジアの平和解決のためにこれからだんだんとクローズアップされてくると思うのです。
それで、ドゴールは、言うまでもなく、私は御参考までに申し上げておきますが、彼のステーツマンシップというか、思想の根源にあるものは、あの
戦時中ロンドンに亡命して反ナチス闘争をやっているときに、
アメリカ並びに
イギリスと一緒にやった、その経験の中から出てくる汎アングロサクソンの根性というものが非常に強い。しかも
ベトナムにおきましては、いままで
アメリカがやったように、キューバからスペインを追い出し、フィリピンからスペインを追い出して、
あとそこにすわり込んだと同じ手を使っている。五四年のジュネーブ
協定をつくるまでは、それはもう
援助し、支持し、てこを入れておいて、そうしたと思ったらフランスが撤退をした。これが、
アジアにおける第一の失敗者が
日本であり、第二の失敗者がフランスであるとドゴール
自身が言っておる。すなわち内政不干渉、領土不侵略、独立のもとの平和こそほんとうの平和である。これはもう動かすべからざる原則である。
中国や北
ベトナムが言っているのは、先ほど言いましたように、
戦争を欲しておるわけではない。相手の力が強いからといりて、その強きに屈して、譲るべからざる国際的な原理に反する民族
支配というものを認めるわけにいかぬ。独立のもとにおける平和でなければいかぬ。そのことをソビエトも、それからフランスもどれを理解しておるのですね。特にフランスはそういうことです。したがって、昨年の
中国承認以来のねらいというものは、
一つは
中国、
一つは
東南アジアにあったと思うのです。今日の事態を彼は静観をし、機の熟するを待っておった。それが今度動き出して、モスクワを訪問し、続いてホー・チ・ミンとの会談をうわさされておる。そういうときに、地元におる
日本が一体何をしておるかということです。前の
戦争のあやまちはお互いに反省をし、あやまちは再び繰り返さないのがほんとうのあやまたざるものでございます。二度繰り返すものがほんとうのあやまちを犯すものです。そういう
意味で、私はあなたのほんとうの、
日本の
総理としての、外交不在であるといわれておる
日本政府の外交を取り戻していただきたい。ヨーロッパのドゴールにしてやられるようなことのないように。それは原理に立たなければいけません。それを私は強く要望するわけです。
それから、きょうは時間の制限がありまして、そのとおり守りたいと思いまして、
あと二分しかありませんから、ちょっといろいろあったのですけれども、これと関連して重要な点として
中国の問題を
一つだけ聞いておく必要があると思いますから、一括してお尋ねします。
ベトナムの平和解決の問題に対する基本的原則と、それから
中国の問題。
中国の問題は、あなたの内閣ができたときに前向きにやると言った。あなたの直系である久野さんは北京を訪問して、北京の首脳部に、わが佐藤は
アジアのドゴールになるんだということを言い、それから、あなたの内閣の番頭である橋本登美三郎さんは、元来は早稲田出で、あなたよりはいささか在野精神がありますから、稲門会の諸君を集めて、超党派で
協力を求めていわく、佐藤内閣にどうしても
中国の国交回復を解決さしたい、これがわれわれの
政治的な決意であると言っておった。ところが、今度の
京都会談におきましても、第一の主題は
ベトナム戦争の問題に対する
協力の問題、第二の問題は
中国に対するきびしい
態度、そうして包囲的な
軍事体制をつくること、南太平洋における
日本の防衛の
責任を持たせること、それから
経済的な負担を
日本にもしょわせること、こういうことにあなたは唯々諾々として追随をした。そこに私は非常な不安を持っております。先ほど言ったように、自主的な外交不在の佐藤内閣でないように、これは佐藤さんのために言うんじゃない、
日本国民のために言うのです。
アジアの平和のために言うのです。あなたはここで大死一番ひとつ達観するところがなければ、外交が重大な
危機に立っておると私は思うのですね。そこで、
ベトナムの問題は言うまでもなく、
中国の問題でございます。私は具体的にお尋ねいたしますが、
中国は最近あなたのことを、非常に敵視
政策を強めておると言っておる。あなたはそうでないと
国会で答弁をしておる。それを証明するものは具体的行動で示さなければなりません。そこで、私は時間がありませんから、吉田書簡をはじめとする
経済、人事、文化の交流並びに国交回復を展望しつつ、その問題に対するあなたの総括的なお答えをいただきたい。特に吉田書簡に関連する延べ払い問題は、実はLT
協定をこの秋にやらなければならない。たまたまその秋には広東の交易会があります。具体的な取引に入るわけです。したがって、輸銀の問題というのは、
政治的、
経済的なタイミングからいたしますと、方針を明らかにするときが十月前後でなければなりません。そういうことも含んで、再質問しないで済むように、一括して
ベトナム問題と
中国問題すべてに関してお答えをいただきたいと思うのです。
これで私の質問は終わります。