○前田(正)
委員 内海
委員とか石野
委員からも大体お話がありましたから、私はもう整理して、この際ちょっと一言言うておかなければ、また質問しておかなければならぬことだけに限りまして申し上げておきます。
それは、七月十四日に原子力
委員会が原子力船についての方針を再確認してきめておられるわけですけれ
ども、この中で私がこの際非常に考えなければならぬと思うことは、先ほどから御指摘のありました
予算の増額の
問題、あるいはそれに対する民間出資の
問題、これはたいへん
問題が多いと思うので、これはぜひひとつ、すでに質問があって御
意見があったところですが、強力に御
解決を願わなければならぬと思うのです。いままでの中であまり触れておられなかった
問題でひとつこの際考えなければならぬと思うのは、その趣旨としては、この「原子力第一船建造について」の中の第四番目のところの、現時点におけるいろいろな必要性というものについて、先ほど来内海
委員から非常に見識の高い御質問があって、われわれも非常に
参考になり、大いに勉強になったわけですけれ
ども、これを単にこういう抽象的な文句でもってやるということになりますと、いま申したように、船価が増額した
問題とか出資の
問題だけでも相当
問題点があるところへ、さらにこれはどうしてもいまから急いでやらなければならない必要性があるのかどうか、もう少しそういう
問題を詰めてやるべきじゃないかというふうな話になってくるわけです。しかし、この情勢から見ますと、当然一日でも早くやらなければならぬという情勢が出てきておるわけです。ところが、こういうふうに情勢が出てきておるのにかかわらず、それが抽象的な文句で書いてあるという点に私は非常に
問題があろうと思います。これは先ごろ原子力
委員会の中に原子力船の懇談会ができてこの
問題の
検討をされたようでありますけれ
ども、その同じ原子力
委員会の中でも動力炉の懇談会のほうは、新型炉はこうする、高速増殖炉はこうするというような一応の
考え方をまとめて、まあこれもずいぶんいろいろと
意見が違ったようですけれ
ども、いろいろ議論してそこまでのものをまとめてきておられる。それであるから、来年度の
予算においては動力炉の推進本部をつくらなければいけない、それに対してこういうふうな特殊法人をつくってやっていかなければならぬ、こういう具体的なものが出てきておるから、
予算を獲得していく上において、あるいはまた、みんなに理解を求めていく上において、私は非常に強力だと思う。ところが、この船の場合は、こういう
問題を
解決することに懇談会、原子力
委員会が努力されたことは、私もよくわかりますけれ
ども、しかし、これはやはり動力炉の場合と同じケースじゃないか。やはり
予算を要求されるまでには、その懇談会でいまから勉強してもなかなかまとまりにくいと思いますけれ
ども、いよいよ
予算が年末の最終
段階で政治的に決定するまでにはまだ時間があることでありますから、なるべく一日も早く原子力船懇談会が
中心になって、動力炉懇談会と同じように、将来の原子力船は——事情は、抽象的な文句であるが、ここに書いてあるとおりだし、また、先ほどから内海
委員が非常にりっぱな見解を述べられたとおりの事情があることはわれわれもわかっておるわけですから、そのような事情をもとにして、懇談会としては、具体的にどういうふうにこれから船体の
問題をやっていかなければならない、あるいは炉の
問題をやっていかなければならない、それにはいまからスタートしていかなければ間に合わないのじゃないかという、そのところをはっきりしていかないと、ことしは実際
問題として、原子力
関係だけでも、こういう動力炉の
問題と船の
問題と重なってきて、そのほか、
科学技術庁関係の
予算は、宇宙開発、いろいろと
問題があるので、私はそういうことをもう少し勉強を詰めていただかなければならぬのではないかということを非常に考えておる。そういう点において、原子力
委員会あるいは原子力船懇談会、こういうものが、この
段階においてひとつぜひ御努力願いたいと思っておるわけです。
その
問題について、私、具体的な
問題にちょっと触れて申し上げてみたいと思うのでありますけれ
ども、この船の船体のほうの
問題については、先ほど、高速コンテナの
問題、大型化の
問題、こういうふうなこと触れてきておられる。これは当然私たちの国においても造船のほうの
問題については相当経験も多いし、また海運
関係のほうにも相当経験もある。したがって、皆さん方が、そういう懇談会を開かれ、あるいは
研究していかれれば、相当具体的に、どういう
段階においてどのようにしていかなければならない、したがって、ここで早くこういう
計画を立て、船体のほうの
問題については、こういうふうな原子力船特有の事情等も勉強していかなければならないし、また、海運界における将来の占めていく地位というようなことも大体わかってくるのじゃないかと思うのでありまして、そういう線をひとつ早く船体
関係で出していく必要があると思うのでありますけれ
ども、船の炉のほうの
問題については、現在のところ、
日本においては動力炉と同じ
問題であって、やはりほとんどまだ経験がない、こういうことであります。したがって、この船の炉のほうの
問題について原子力船懇談会が結論を出していく、あるいはそういうふうな動力炉懇談会と同じようないろいろの
計画を立てていくについては、自分たちの置かれておる
立場というものを足元からもう一ぺんよく考え直して立てていかなければならないのではないか。これは私は何べんも皆さん方に注意したこともあるように思うのでありますけれ
ども、第一、今度の原子力
委員会の決定にも「国産舶用炉」、こういうふうに書いてある。私はこれは非常な誤りだと思う。国産舶用炉じゃないわけです。これは国産化された舶用炉だ。この化という字が
一つ入るか、入らぬかでも、自分たちいまおる
日本の舶用炉の
現状というものを自分たちでよく認識していないで、こういうようなことばをいつまでも原子力
委員会とか原子力船懇談会あるいは造船工業会が使っておったのでは、国民の認識も間違ってくると私は思いますけれ
ども、同時に、自分たち自身も自分たちの
立場というものをよく考えていかなければならぬ。今日できょうとしておる、国産炉国産炉と言っておりますけれ
ども、この国産舶用炉というものは、いわゆる
技術導入をして、
技術情報をもらって、そうしてこの際つくるわけであります。しかも、まだ
一つもつくってない。したがって、初めてつくるわけでありますから、当然
技術導入して国産化した炉である、国産化炉である、こういうことをまず考えないと、朝日の社説にもちょっと書いてありましたけれ
ども、
一般のこういうものに
関係ない人から見ても実におかしいことばのように見える。私は、まずそういうことは認識を欠いておるのではないかと思うのです。そういうふうな点で、これを国産化炉という点から考えていけば、いまの動力炉と同じなんです。いまの動力炉においても、とりあえず、電力をつくるためにはやむを得ないから、
技術を導入して今度軽水炉をつくっておる。しかし、同時に、いま動力炉
問題の懇談会のほうで、新型炉をこの際つくらなければならぬ、こういうことを考えておられる。これは舶用炉についてもすでに新型炉ができつつある。われわれが聞いておる
範囲でも、ウエスチングハウスとか、あるいはGEとか、あるいはまたバブコックとか、おのおのみな改良型を考えておるようでありますが、そういったようなものに対して、ここで、いまの動力炉の場合と同じように、やはり新型炉についてはできるだけ
技術情報をもらわなければならぬ。そういうふうにしてわれわれはある
程度現実に次の
段階を考えていく。しかし、その新型炉がそれでは将来の原子力船の動力炉の決定的なものであるかというと、私はそうではないと思う。動力炉における高速増殖炉みたいなもので——高速増殖炉であるかどうか、これは別であります。船の場合ですからちょっと違うと思いますけれ
ども、しかし、いま考えられておるような新型炉が将来の船の炉であるかというと、そうではないと私は思う。もっと別な
考え方のもの、たとえばGEのいま考えておるようなものは、相当
考え方の違う炉のようでありますけれ
ども、そういうような改良型じゃなしにもう少し原理も構造も変わったような型ができてくる
可能性もある。しかし、それは何もGEのものがいいわけではない。そういういろいろ新しいアイデアが出てくる。そこを世界はほとんどこれからやろうとしておるのでありますから、その
問題に私たちがこの際力を入れて、そして
日本の独自の国産の
研究開発というものをやって、その力で、
日本が世界より進んだ、ほんとうの国産炉というものをつくり上げていく、こういうふうにしなければならない。いま動力炉懇談会では、高速増殖炉について、できればひとつ
日本独自のものをつくり上げていこうという気魄でいまいろいろと
研究しておりますが、私は、そういうようなものをこの際——しかし、それにはやはり十年とか二十年という歳月がかかるわけです。それですから、そういう十年、二十年の歳月がかかるならば、この機会には、われわれはとりあえず一日でも早く
技術算入して国産化炉というものをつくっていかなければだめではないか、そしてそれをまた実際の船に積んで、いろいろな運用その他によっていろいろな
問題が起こってくる、そういうことを勉強する。さらに続いて、改良型といいますか、新型といいますか、そういうものをいますでに
外国で考えておるわけですから、そういうものを考える。これは何か
事業団ではやれないとかいう
一つの
法律になっておるようですけれ
ども、
科学技術庁とか原子力局とか、そういうところではやれるわけですから、そういうものを推していくということを原子力
委員会としては考えていくことができる。さらにそれらのものをもとにして独自なものの
研究開発を進める、そういうふうな、いまの動力炉と同じような構想を考え出していって、そうしてそういう観点から見て、ここでいま一日も早くスタートしなければできないし、そして一日も早くスタートするのには国産化炉をつくらなければならないのだ、こういうようなことを私たちは率直に話している。国産炉ができると、こういうふうに新聞に書いてある。それでは、
日本は独自の
研究をしたとか、できるとか、そういうふうに誤解を受けても困るし、また、われわれから見ましても、これがほんとうの国産炉だったら、
基礎的な
研究実験もしていない、
一つもつくったものがない炉が第一船に積み込まれる、こんな不安なことはない。原子炉ほど安全性をとうとぶものはないのに、そんな
日本で
基礎的な
研究も実験もしていない、それが第一船に積まれるということは、たいへんなことなんです。原子力というものは、そんな安全性を無視したものではない。これは十分に
外国で
研究し、実験し、しかもいろいろな方面に、軍艦だけでなしに商船その他いろいろなものにずっと積まれてやってきた、その
技術、経験というもの、
研究実験を導入して三菱でつくるから、国産化するから、これは第一船に積んでも安全なんだ。何べんも船に使われたから安全だ、こういうことをわれわれは考えて、第一船に積むことについてあまり安全性の
問題に触れないのは、経験があるから触れない。しかし、そういう国産化される、
技術化されるということだけでわれわれの国はいいかというと、そうではないので、やはり将来
計画というものを立てて、そしてそれにはやはり十年、二十年の歳月が要る。いまの動力炉懇談会と同じです。だから、やはりこれはどうしても船に使う動力炉の
問題だけでも早く政府が
一つの
計画を立てて、そういう観点から、これはいろいろと
予算の金額がふえたとか、あるいは出資の
問題とか、いろいろな
問題があっても、おくれておるからどうしてもここで早くスタートしなければならない、こういうことを出していかなければならない。炉の
問題でもそうです。あるいは船体の
問題も、あまり私から触れる必要もないけれ
ども、先ほど内海さんから言われたとおり、もう高速コンテナの
問題など現実に運輸省においては、ことし、これは
一般の船でありますけれ
ども、高速コンテナの輸送の
問題を相当
研究しようとしておられる。現実にもうかがっておられる。高速コンテナの
問題あるいは大型化の
問題、あるいは潜水貨物船の
問題、こういうような
問題があるわけです。やはりこの
問題も同じように懇談会でやっていく必要がある、そういうものが原子力
委員会の決定に入っていないと、実際
問題としてこれを
予算的に納得を受けていくということは非常にむずかしいと私は感ずるのであります。できたら、七月十四日の決定のときには、そういう原子力船懇談会を
中心にしてなるべく早くひとつそういう
計画をつくっていくのだ、そういう必要性があったらつくっていくのだということを、実はここであわせて第五番目の決定にしていただきたかったのであります。そうするとこれは非常によく理解をしてもらえたのではないかと思っておるのでありますけれ
ども、その点、現時点において非常に急ぐ必要があるような感じもいたしましたので、私から追加して質問をしたわけであります。したがいまして、きょうは大臣も来ておられることでありますから、原子力
委員長として、原子力
委員会として、原子力
委員会の中にある原子力船懇談会にお願いして、そういうふうな情勢をもとにした
計画を早く立てていく、そういう点の必要性を具体的に理解してもらえるような
計画を立てていくということについて尽力すべきではないか、私はこう思っておるのでありますけれ
ども、大臣の御見解を伺って質問を終わりたいと思います。