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1966-11-17 第52回国会 衆議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十一月十七日(木曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長代理理事 山田 彌一君    理事 壽原 正一君 理事 田邉 國男君    理事 濱野 清吾君 理事 久保 三郎君       小渕 恵三君    高橋清一郎君       高橋 禎一君    南條 徳男君       細田 吉藏君    増田甲子七君       山村新治郎君    井岡 大治君       小川 三男君    勝澤 芳雄君       泊谷 裕夫君    野間千代三君       竹谷源太郎君    中村 時雄君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 藤枝 泉介君  委員外出席者         運輸事務官         (航空局長)  堀  武夫君         運輸事務官         (航空局監理部         長)      町田  直君         運 輸 技 官         (航空局技術部         長)      松本  登君         運輸事務官         (航空局技術部         航務課長)   浜田 幸晴君         海上保安庁長官 佐藤 光夫君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 十一月十七日  委員内海清辞任につき、その補欠として中村  時雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中村時雄辞任につき、その補欠として内  海清君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  航空に関する件(全日本空輸機遭難に関する問  題)      ————◇—————
  2. 山田彌一

    山田(彌)委員長代理 これより会議を開きます。  古川委員長所用のため出席できませんので、その指名によりまして、私が委員長の職を行ないます。  航空に関する件について調査を進めます。  すでに委員各位も御承知のとおり、去る十三日、全日本空輸機事故が発生し、そのため五十名の方が遭難せられました。また、海上捜索に当たっていたヘリコプター衝突事故により遭難されたこれらの方々に対し、深く哀悼の意を表し、委員会としてなくなられた方々の御冥福を祈り、黙祷をささげたいと思います。  全員、御起立を願います。   〔総員起立黙祷
  3. 山田彌一

    山田(彌)委員長代理 黙祷を終わります。御着席願います。  この際、全日本空輸機遭難事故に対し、運輸大臣から発言を求められております。これを許しますが、同時に、大臣としての委員会初めての出席ですから、ごあいさつもかねてお願いします。運輸大臣
  4. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 去る十月十四日、運輸大臣を拝命いたしました。まことに未熟者でございますが、全力をあげてこの重責を果たしてまいりたいと存じます。委員皆さま方の特別の御指導、御鞭撻をお願いする次第でございます。  去る十一月十三日、松山空港付近において発生しました全日空機事故について、その状況報告申し上げます。  報告に先立ちまして、同機に搭乗してこの事故に遭遇し、とうとい生命を失われました方々に対しまして、つつしんでその御冥福をお祈り申し上げますとともに、遺族方々に対しまして心からお悔やみを申し上げます。  全日本空輸株式会社所属YS11型機は、同社の大阪松山便として機長森保男ほか四名が乗り組み、乗客四十五名を乗せて、十一月十三日十九時十三分大阪国際空港を離陸し、松山空港に向けて計器飛行方式により飛行しました。同機陸地側から進入を開始し、二十時三十二分、松山空港滑走路のほぼ中央に接地しましたが、直ちに海側に向かって着陸復行を行ない、離陸後管制塔に、復行する旨を通報してまいりました。管制塔は、第三旋回経路に入ったとき再び通報するよう指示し、同機はこれを了承しました。離陸した同機は、約一マイル直進して左旋回を行なった後、消息を断ちました。  松山航空保安事務所は、同機遭難と推定し、直ちに東京航空交通管制部連絡し、同部は、東京航空保安事務所に置かれている救難調整本部連絡し、同本部は、二十時五十五分直ちに海上保安庁等関係機関に出動を要請しました。  海上保安庁は、直ちに巡視船艇等三十一隻を出動させ、捜索に当たらせましたところ、二十二時五分、松山防波堤燈台二百二十六度三千メートル付近で、同機破片を発見しましたので、遭難が確認されました。  十三日は徹夜にて捜索救難に当たり、十四日早朝からは、海上保安庁警察等航空機ヘリコプター船艇等を増強し、船艇航空機による洋上捜索音響測深儀による探信捜索潜水夫による潜水捜索、漁船による底びき捜索等、立体的に行ない、遺体機体等捜索揚収に当たり、十六日十五時十分現在で二十五遺体及び機体の一部を揚収しました。遺体松山市内の正宗寺に安置されております。  政府は、この事故に対する処置といたしまして、直ちに十三日二十三時、閣議決定に基づき、運輸大臣本部長とする松山空港全日空機事故対策本部を設置し、事故善後処置に重点を置いて応急対策の推進をはかっております。また、運輸省航空局は、十四日早朝二時二十八分、空路により松本技術部長ほか三名を事故調査のために現場に急行させ、調査を開始させました。十五日十一時、私及び総理府総務長官運輸省官房長海上保安庁警備救難監等が空路松山に向かい、現地視察遺族の弔問を行なってまいりました。  全日空機事故についての現在までの状況は以上のとおりでありますが、政府といたしましては、一日も早く遺体揚収するよう努力いたしますとともに、早急に専門調査団を編成し、事故原因究明に当たらせたいと考えております。  次に、十五日十六時五十分ごろ、遺体捜索中の大阪府警所属ヘリコプター全日空所属ヘリコプターが空中接触し、愛媛県北条市沖合い百五十メートルの海上に両機とも墜落し、乗員四名全員死亡いたしましたことはまことに残念でございます。ここに殉職された方々に対しまして、つつしんでその御冥福をお祈り申し上げますとともに、遺族方々に対しまして、心からお悔やみ申し上げる次第でございます。  なお、このヘリコプター事故による四遺体は、同日揚収されました。  以上をもちまして、松山空港における全日空機事故及びヘリコプター接触事故に関する経過報告を終わる次第でございます。     —————————————
  5. 山田彌一

    山田(彌)委員長代理 質疑の通告がありますので、順次これを許します。田邉國男君。
  6. 田邉國男

    田邉委員 私は、質問に入るに先だちまして、今回の松山空港全日空事故に際し遭難せられました五十名の痛ましい犠牲者に対しまして、心から哀悼の誠をささげたいと存じます。  この事故につきまして、私は、党の調査団の一員といたしまして、去る十五日、松山空港遭難現場に参りまして、ヘリコプターによりまして捜索模様等を見てまいりました。潮流の変化の激しい中で捜索が困難をきわめておる模様でございますが、遭難せられました方々遺体が一刻も早く完全に収容されますことをお祈り申し上げる次第でございます。  なお、十五日さらに捜索ヘリコプター空中衝突いたし、二機の墜落、四名の犠牲者を出しまして、事故が重なったことにつきましては、まことに胸を締めつけられるような悲惨なことでございまして、捜索の任に当たりながら犠牲となられた方々に対しまして、心から御冥福をお祈り申し上げる次第でございます。  ただいま藤枝運輸大臣より事故の現状につきまして御報告がございましたが、今年に入りまして相次ぐ異常な航空事故の発生を見ておりますことはまことに遺憾でございます。今年の二月四日に全日航の羽田沖事故で百三十三名、また三月四日には羽田空港カナダ航空六十四名の犠牲者、また三月五日にはBOACのボーイング707型機の百十三名、今回の松山空港全日空事故五十名、またさらに十五日のヘリコプター空中衝突四名の犠牲者考えましたときに、この原因の徹底的な究明と、そして根本対策というものを早急に樹立することが、国民航空に対する不信を除去することであると痛感する次第でございます。一体航空機事故をなくすることができないものであろうかということは、国民のだれしもが疑問を抱いていることと考えます。  そこで第一に、今年の二月の事故以来、航空に対する保安体制というものは一体いかなる手を打っておるか、またこれに対して運輸省の抜本的な対策というものがあるのかどうか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  7. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 今年に入りまして航空関係の大きな事故が春に三回、今回またそれに加わったということはまことに残念なことでございます。春の事故以来、特に航空安全対策あるいは保安対策といたしまして、特別の処置といたしまして、予備費等の使用をもちまして、保安要員増員その他をいたしたわけでございます。さらに航空審議会答申もございまして、抜本的にそうした面についての計画的な施策を立てるべく目下最終段階に入っているような次第でございますが、とにかく現在におきましては、とりあえず来年度の予算要求といたしまして、航空行政組織を強化すること、あるいは航空保安大学校の新設、定員の大幅な増員等を要求すると同時に、空港及び航空路施設面につきまして、滑走路延長、あるいは航空保安施設整備を促進するとともに、航空乗員の養成のための特別な機構等を現在考えておるような次第でございまして、これらをあわせまして、さらに、ただいま申し上げましたような航空審議会答申に基づいた抜本的な航空基本政策と申しますか、基本方針というものを強力に今後進めてまいり、そうして航空に対する不安を除去するとともに、事故の絶滅を期したいと考えておる次第でございます。
  8. 田邉國男

    田邉委員 今回の事故を起こしました飛行機は、日本で開発をいたしました優秀な国産機YS11である。このことにつきまして、私は、いまこの航空機が非常な優秀性を誇っておる国産機であるということで、アメリカ及び欧州にこのYS11の販売の努力をやっておるこの際に、この飛行機が落ちたということは、外国に対して非常に大きな衝撃を与えたことは間違いない、かように考えるわけでございます。そこで、今回の事故というものが、この飛行機構造上の問題からきておるのか、はたまた操縦士のミスによるものか、こういう点について、私はすみやかにこの原因というものを見きわめておく必要がある。けさラジオ放送によりますと、アメリカ航空局の参事官ですか、ボイル氏は、YS11には構造上の欠陥はないのだ、だから政府においてはこれについて購入に対しては何ら異議を差しはさむものではないというようなことを言っておるということを、けさのニュースで流しております。私どもYS11の機構欠陥がないと信じておるわけでございますが、やはり調査を早く進めた結果を発表してこそ、初めてその裏づけになるわけでございますから、この点について調査の進め方、過去の調査のしかたというものは、二月のあの事故以来何ら調査結果というものはまだ出ておりません。こういうことを考えたときに、私は航空局機構整備もさることながら、やはりこの航空事故調査団というものの結論を非常に急速に出す態勢をとっていただきたい、これについて航空局長はどう考えておられるか。
  9. 堀武夫

    堀説明員 おっしゃいましたように、このたびの事故は特に国産機である、その信用の問題として非常に重要な問題を特に含んでいる。したがって原因究明を早くやるように、全く同感でございまして、この春の三大事故はいずれも外国の製造の飛行機でございますが、今回の飛行機国産機でありますので、特に早く結論を出すように進めていきたい、かように思っております。春の事故につきましては、おのおの原因究明のための調査団を編成いたしました。今回も同じように、調査団を早急に組織をして原因究明に当たりたい、かように存じております。  なおこの春の三大事故結論がまだ出ていないじゃないか、非常に長くかかっておるが、もっと早くできないか、ごもっともでございます。まだ発表する段階までには至りませんが、その調査団長の話を伺いますと、ほぼいろいろな調査が終わって報告書をまとめる段階にきておるということでございます。そのあとにいろいろの手続もございますが、できるだけこれも早く発表できる段階に持っていきたい、かように存じております。
  10. 田邉國男

    田邉委員 この松山空港は第二種空港としては非常に優秀な、やや整備された空港ということになっておるわけですが、現在千二百メートルの滑走路になっておる。これを千五百メートルに拡張するという計画、あるいは二千メートルに拡張するという計画に現在なっておると聞いております。その進捗状況というものは一体どの程度になっておるのか、その点を伺いたい。
  11. 堀武夫

    堀説明員 松山空港は現在千二百メートルの滑走路でございます。これは計画として二千メートルに延長するということで、すでに着手をいたしております。いま海側と山側のほう両方延長するということで、海側の部分の土地買収の交渉をいたしております。土地買収もほぼ七〇%進捗しておる、こういうことでございます。なお滑走路かさ上げ着陸帯拡幅、いままでは三十メートルの幅であったのですが、これを四十五メートルに拡幅をすでに終わっております。かさ上げも今日終わっております、全体のこの整備計画としましては約三十五億の予算をもって、二千メートルの滑走路を持つ優秀な地方空港にいたしたいということで、すでに計画を実施中でございます。
  12. 田邉國男

    田邉委員 二千メートルの滑走路整備をするということになれば、今回のような事故は起きないとお考えになっておるのか。私ども考えでは、あの空港はやはり夜間着陸というものは非常に無理があるのではないか。要するに夜間誘導装置、それから誘導灯、そういうようないろいろの設備が必要だと私は思う、ところが民間航空が経営上、採算上夜間も使用したいという強い要望にどうしても押し流される危険がある。そういう意味で運輸当局というものがき然たる態度で、こ の空港に対しては、夜は非常に危険なんだ、だから何時までしか運航できないのだ、それ以上のものは幾ら祭日、日曜、乗客が非常に多い日であろうとこれを断わる、こういうようなき然たる態度で臨んで指導監督をやるべきだと思う。しかも私ども調査によりますと、夜間着陸に対してはその施設というものがきわめて不十分だと思う。この点について、どの程度の時間まで安全着陸ができるのか、その点について伺います。
  13. 堀武夫

    堀説明員 現在松山空港の持っておる保安施設はどういうものがあるかと申しますと、第一にはNDB、無指向性中波無線標識、これがございます。それから対空通信無線電話施設、それから基地間の通信をやりますところのテレタイプ通信施設通信関係としてはこれだけでございますが、なお夜間着陸に備えまして滑走路灯滑走路末端灯、それから進入角指示灯、それから誘導路灯飛行場灯台、こういうような夜間着陸のための灯火というものをつけておりますので、この空港気象条件さえよければ夜間着陸は可能でございます。
  14. 田邉國男

    田邉委員 そうしますと、十三日当夜の気象状況というものは着陸可能な状態にあったのですか。
  15. 堀武夫

    堀説明員 当夜は雲高が三千メートル、それから視程が六マイル、それから風速が六ノット、そういう状態でございまして、専門家の判断によりますと、悪い気象条件ではないということでございます。
  16. 田邉國男

    田邉委員 そうしますと、その際この空港着陸するということについては、運輸当局としては差しつかえないという指示を与えてあるのですか。
  17. 堀武夫

    堀説明員 この空港の運用時間は、夜は七時半までということになっております。七時半というふうにきめてあるのは、保安施設等関係ではなしに、もっぱら職員定員問題、交代制関係から、定員があればこれは終夜でもできますが、定員の制約から七時半までということにしております。平常時におきましても、到着機がおくれて着く場合は七時半をこしても職員が残って勤務しておる、こういう状況でございます。
  18. 田邉國男

    田邉委員 それでは問題を変えまして、この飛行場には途中に横断歩道があると聞いておりますが、今回二千メートルに延長をするという際には、この横断歩道というものを地下道にするとか、滑走路からよけるとか、そういうような措置考えておられるのですか。
  19. 堀武夫

    堀説明員 この滑走路を横切る農道がございます。道路がございます。飛行場には通常場周道路といいまして、飛行場の外側をぐっと回る道路を必ずつけることになって、おります。しかし、農民の方々が自分の畑に行くためにどうしても遠道はなかなかされません。どうしても近道を行くということで滑走路を横断して通行されるという事態が非常に多いという現実にかんがみまして、これはいろいろさくをしたり何をしたりしてもどうしても破られてしまうということで、むしろ現実がそうであるならば、これに即応して措置すべきであるということで、交通信号のような信号機をつけまして、そうして遮断機をつけまして、それから管制塔からボタンを押せばチンチンと警報が鳴りまして、赤信号が出てしかも遮断機がおりる。いうなれば踏み切りのような装置をしてございます。この上げおろしは管制官がタワーにおいて行なっております。飛行場着陸する場合、離陸する場合は、必ずそのボタンを押しまして遮断機をおろすという措置を講じております。将来二千メートルにこれを拡張する場合、これはこのままにしておくのかということでございますが、われわれといたしましては、やはり地下道にいたしたい、そういう計画で進めておる、かように存じております。
  20. 田邉國男

    田邉委員 いまの地下道計画は必ず実施していただきたい、かように考えます。  次に、当日のYS11のパイロット処置でございますが、私の調査によりますと、管制官報告を聞いて、そうしてこのパイロット進入方向に従がって入っていくわけです。それに対して非常に応答が十分でなかったから成規の、要するにルールに従ってパイロット着陸態勢を十分とらなかったのではないか。この点について、当初岩国管制官のほうから連絡があって、そうして松山に飛ぶ。松山エリアに入ったら、今度は松山管制官からの指示によって入っていく。そういうものに対する応答が不十分であった、こういうところに私はこの事故があったのではないか。そこで岩国管制官からどういう連絡パイロットにしてあるか、このテープレコード調査した結果があらわれておるのですか。
  21. 堀武夫

    堀説明員 松山空港に対する進入管制岩国において行なうことになっております。岩国管制塔管轄エリア松山が入るわけでございまして、ここで進入管制進入に対する連絡をいたしまして、そうして松山に向かうということになっております。これのテープレコードにつきましては、これはその内容がどうなっておるかということを正式にいま回答依頼をいたしておりまして、それをよく調べればこの状況がよくわかると思います。まだその回答がきませんので、それの回答を待ってお答えをいたしたいと思います。
  22. 田邉國男

    田邉委員 こういう事故に対しては、やはりみな非常な不安を持っておる。ですから、たとえば岩国録音テープというもの、これは私はすぐ取れると思うのです。それから松山録音テープというものは警察で押えてあるというのですね。しかしこの調査については、やはり両方テープを取って、そうして早くつじつまを合わして、一体どこに欠陥があったかということの調査を進めていく。調査団ができてからでなければそれはやらないのだということでなくて、運輸省にもりっぱな調査官がいるのですから、これを早くやることが必要だと私は考えるが、いかがですか。
  23. 堀武夫

    堀説明員 松山テープレコード警察が物証として押収していっております。これはいつの事故の場合も同じでございますが、警察当局刑事訴訟法手続としてやはりそういう措置が並行してとられる、私たちは事故原因究明ということで、また並行してこれを進めていく、その場合にそのテープレコードを調べる必要があれば、いつでも警察のほうが貸してくれます。そういうことになっております。(「岩国テープもいっているのか」と呼ぶ者あり)岩国テープレコードについては、米軍にそのコピーをとって送ってもらうように、いま正式に依頼をいたしております。
  24. 田邉國男

    田邉委員 私は、いまの調査については、ひとつ局長、これは至急やっていただきたい。  それからいまの話を聞いておりますと、刑事訴訟資料として片方で押えるのだ、こういうお話なのですが、私の考えでは、技術的な事故調査というものと警察及び検察庁遭難調査というものを、明確に区分しなければいかぬのだろうと思う。現在はそういう警察及び検察庁調査というものと、技術的な事故調査というものが一緒くたになっておる。たとえば大事な飛行機の部品が水中に落ちておる、その水中に落ちておるものを一つとってみても、航空専門家が見れば、これはどういう事故であるからこうなっておるのだということがわかると思う。それを証拠品として押収するような形でやるところに、この航空のいわゆる事故原因究明というものが非常におくれておるのじゃないか。ですから、これは運輸省として私が考えてもらいたいことは、たとえば海難審判庁というようなものは、海のことについて検察庁警察が手を入れない、その審判庁が全部調査した後に、刑事事件としてやるものは刑事事件としてやる、こういうような形で処理をしておる。私も今度のこの航空事故考えたときに、どうしても航空事故審判所というものを設けて、そうして新しい角度から、この飛行機事故現場というものの形をくずさないようにして、それを貴重な資料として、どこにその事故原因があったかということを究明できるような形のものにすべきだと思う。これについてそういうものの考え方がおありになるか、ひとつ大臣に伺っておきたい。
  25. 堀武夫

    堀説明員 船の海難の場合と違うじゃないかというお話がございましたけれども、そういう刑事訴訟法上の手続というのは、海難の場合も同じように警察が並行して進める、ですから同じでございます。  それから現場の保存ということが必要ではないか、これはごもっともでございます。ですから、ただいま海上保安庁が海底の調査等をやっておりますが、そこで機体の一部等が発見されますと、引き揚げる前に水中写真をとる、そしてあるがままの姿をまず確認してから引き揚げていただくように、引き揚げる者と調査担当者とはそういう連絡をとりながらやっておりますから、先生の御心配はないのではないか。そういう細心の注意をしております。
  26. 田邉國男

    田邉委員 私はその問題は違うと思うのです。というのは、飛行機事故というものはもう破片の落ち方、それから翼の落ち方、そういうものと、それから遭難者の左足が骨折をしているとか右足が骨折をしているとか、いろいろのこまかい状況というものが全部この事故につながっておる。ですから事故原因究明をやるのに、いままでのようなあり方よりも、やはり海難審判庁のような形のほうが、技術調査団というものが非常に調査しやすいのだと思う。私の調査によると、アメリカはそういう形で調査をしておると聞いております。ですから、この点については私は大臣にもひとつ再検討を省内でやっていただいて、そうして新しい形としてこれを取り上げていただきたい、かように考えます。
  27. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 海難の場合も、その法律的な観点から言えば、ただいま航空局長がお答えしたようなことでございます。そうして捜査は並行して行なわれますが、刑事訴訟法手続をやる場合に、むしろ海難の場合には審判庁が優先して考えるというようなことが慣行として生まれておるわけでございます。この航空機事故につきましても、刑事訴訟法手続をとる場合においても、この事故原因を十分探求されるということが前提でございますので、いま田邉委員のおっしゃったような問題につきましては、今後十分研究をいたし、あるいは捜査当局、特に法務省、検察庁等とも連絡を密にいたしまして、御趣旨のような方向で検討をしてまいりたいと考えます。
  28. 田邉國男

    田邉委員 今回の事故によりまして、空港整備という問題について運輸省は積極的に考えておられるようですが、現在の千二百メートルの滑走路というものはやはり非常にゆとりのない空港である。そうしますと、どうしても二千メートルというようなものをやはり二種の空港においても整備をしなければならぬ。こういう点について今回の四十二年度の予算の中に、新しく第二種空港というもの、それから第三種空港というものも、航空機の発達に伴って、そしてともすればちょうど自動車道路が自動車の量に応じ切れないと同じように、飛行機の発達に滑走路というものが私はマッチしておらないという感じがする。そういう意味で、このローカル空港の二種、三種について、今回の事故にかんがみて、ひとつ積極的に整備拡充をする決意がおありになるのかどうか、私はその点をお伺いしておきたい。
  29. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 従来とも、先ほども申し上げましたように、ローカル空港整備について努力してまいったわけでございますが、特に航空機による輸送というものが社会的な要求でもあり、しかもそれが定時的に運航されるということが必要でございます。そういうことを考えますと、従来にも増してこのローカル空港整備というものの速度を進めなければいけないのじゃないかと考えます。もちろん財政的な制約もございますから、全国のすべてを一度にというわけにはまいりません。ローカル空港の繁忙の状態、利用の度、そういうものを考えながら、いま申しましたように、全体計画は全体計画として、その中でも特に優先的にしなければならないというようなものを摘出しまして、それの整備は従来以上の速度で整備をするという方針を、今後立ててまいりたいと考えております。
  30. 田邉國男

    田邉委員 いまローカル空港滑走路の問題が非常に議論をされておるわけでございますが、現在、宮崎空港にジェット機が入っておる。私はジェット機を絶対飛ばしてはいかぬということじゃないのですが、たしか政府の方針というものは、主要幹線にジェット機を飛ばすということに基本原則はなっておるのだと私は思う。その際宮崎空港にボーイングの727型機が現実に離着陸をしておる。私の調査によると千三百メートルだ。こういうところで一体安全性が保てるのかどうか、この点をひとつ伺いたい。
  31. 堀武夫

    堀説明員 宮崎空港滑走路の長さは千三百メートルではございませんで、千八百メートルになっております。なお、今後二千メートルにする予定でございます。  なぜジェット機を宮崎空港に入れているか。われわれの考え方といたしましてはジェット機は原則として幹線に使っている。ローカル線には原則としてターボプロップのYS11とかフレンドシップをということでまいったわけでございます。宮崎空港にジェットを先般許したのは、秋のいわゆるシーズンの最盛期でございまして、航空会社としては旅客がはみ出すと、フレンドシップでは積み切れないから大型機を使いたい、そして能率をあげたいというので、臨時にシーズン中だけ期間を限って許可をいたした次第でございます。では、将来ジェット機というものは幹線以外には絶対に飛ばさないのかと申しますと、われわれとしてはやはり今後民間航空というものは発達して、航空需要というものはどんどん伸びていく。そういうことになれば、どうしても大型機1やはり四十人の座席のものよりも百二十人、三十人という大型機を使ったほうがコストダウンにもなりますし、能率もあがりますし、これはそういつまでも地方空港にジェットを入れないということをいっているべきではないのではないか、主要の地方空港については将来そういうことになっていくのではないかと考えております。
  32. 田邉國男

    田邉委員 私はいまの局長の話はまことにおかしいと思う。というのは、この期間は観光シーズンであるから輸送力を増強しなければならぬ、これは航空会社が言うことだ。運輸当局は、たとえそういう申し出が民間会社からあっても、これをき然として断わる。国民に対する航空の最大のサービスというものは安全ですよ。それをはき違えて、輸送力を増強する、短時間で行くからジェットをやるんだ、こういう説明をされておる。私はこれは航空当局としてはまことに遺憾な説明だと思う。  それからあなたのほうでは千八百メートルと言っておるけれども、あなたのほうで出している資料では千三百四十メートルということが書いてあるじゃないですか。これは、千八百メートルということは、ちょっと数字を山をかけた説明をしているのじゃないですか。その点は私はどうもおかしいと思う。
  33. 堀武夫

    堀説明員 現実にはもう千八百メートルになっておるそうです。ただ告示が、手続がおくれていまして、まだそうはなっていないそうでございます。  それから、宮崎空港にジェット機を危険をおかして入れているのじゃないか、こういうお話だと思うのです。宮崎空港はいろいろの精測進入装置がついておりまして、ASR、PAR、SSRがついております。しかも滑走路の長さが千八百メートルであれば、これは危険ということではございません。
  34. 田邉國男

    田邉委員 私はなぜ告示をおくらせなければならぬかということを言いたいのです。われわれ運輸委員はだれもその千八百になったということを知りません。これは臨時便を飛ばすにしても、国会の中で、こうなるのだ、だからひとつこういうことはこうするのだということを言わないと、さっきのように、観光シーズンだからジェットを飛ばすのだという話に至っては、私はまさに語るに落ちたような感じがする。これはやはり運輸省の、政府基本方針にのっとって、ジェットは幹線を飛ばすのだというものを変えるときには変えるらしく説明をして、そうして委員会の納得を得てからやるというのが私は順序だろうと思う。そういうものを運輸当局航空局か自己の判断だけによってやるということは、今後大いに私はその点について是正をしてもらいたい。
  35. 堀武夫

    堀説明員 告示をなぜ早く直さないか、ごもっともだと思います。別に隠しておるわけではございませんで、これはなるべく早く告示の手続をとりたいと思います。いま手続を進めております。
  36. 田邉國男

    田邉委員 私は、今回の全日空事故についてでございますが、やはり航空会社の経営者、その責任者というものは、二つの事業を兼ねるということはこの際厳に慎むべきだと思うわけでございます。去る二月にあれだけの全日空航空事故を起こして、そうしてまた今日起こす、こういったときに、一体生命財産をあずかる、しかも大事な航空事業というものを一身にしょっておる経営者というものが、二足のわらじをはいて、そうして航空事業をやろうなんという甘い考え方の指導をなぜ運輸省がしておるのですかと言いたい。その点について今後運輸省はいかにこういう問題については対処をなさるか、その点を伺います。
  37. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 航空会社の経営者というものが、特に国民の生命をあずかるそういう職にあるわけでございますから、全精力を傾けて、その経営なりあるいは運航について十分の注意をしなければならないことは、もう御指摘のとおりだと存じます。現在そういうところであるいはいま田邉委員からお話しのような点もあろうかと存じます。しかしいずれにしても責任者は常に全精力を傾けて、安全について配慮ができるような、そうした経営体制をつくるという、その基本方針は十分に堅持してまいりたいと存じます。
  38. 田邉國男

    田邉委員 今回の航空事故によりまして、私は日本の航空の再編成というものが当然行なわれなければならぬ、かように考えるわけでございます。特に全日空は二月、また今回事故を起こす、また国内航空の経営状態等も考えましたときに、やはり航空機の業界の再編成というものを真剣に考えていただきたい。それにつきまして、ひとつ運輸大臣の所信を伺い、私の質問を終わりたいと思います。
  39. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 航空再編成につきましては、御承知のように、本年五月の閣議了解事項の線に従いましてやっておるわけでございます。松山事故が起こったという現在の段階において、この問題についていま私が意見を申し上げることは控えたほうがいいと思いますが、しかし今回の事故の応急処置が済んだ後におきまして、その事態においては十分再検討をしてまいりたいと思っております。
  40. 山田彌一

    山田(彌)委員長代理 次に、久保三郎君。
  41. 久保三郎

    ○久保委員 私も社会党を代表して、今回の事故に際して遭難された方に心から哀悼の意を表したいと思います。  それにしても、ついこの間、最後は三月の七日でありましたが、当委員会で同じような質問をし、冒頭、もはや問題は出尽くしているのである。それを再びこの席で政府当局に質問することは、何とも心の中にむなしさを感ずる。われながら無力感にひたって実は政府当局に質問をしたわけであります。  〔山田(彌)委員長代理退席、田邉委員長代理着席〕  いままでの御答弁を聞いておりますと、三月七日の議事録をそのまま繰り返しお述べになっているようにさえ感ずるわけであります。私も同じような質問をすることはあまりにもみじめではないか、こういうふうに考えるわけであります。  そこで問題の要点は幾つかあります。たとえばいままでお話があった空港を中心にする施設の問題、さらにこれを運営する航空管制官を中心とした要員の問題、さらには乗員の養成あるいは乗員の健康管理、そういうものを含めた乗員の問題、さらには機体自身に関する機械的な問題、そういう幾つかの問題が同じようにあるわけで、私の当委員会における記録を拾ってみるのに、たしか昭和三十三年の八月幾日かと思います。そのときに、やはり全日空かと思うのでありますが、遭難がありまして、その直後政府安全対策の審議会、名称ははっきり覚えていませんがつくりました。そこで、いままで繰り返しここで論議したような問題を一切出してまいりました。さらにそのあと、たしかこれは三十九年であります。そのときに民間航空事故調査専門委員会、そういうものが約半年にわたって、すべてを網羅した答申というか、報告政府に出され、それの最初から終わりまで読んでいけば、そして問題点が何十かある、それを逐一克明につぶしていくということを政府なり航空企業がやっていれば、今日ただいまの事故は私はなかったと思う。さらに近くは、いま申し上げたように今年度当初の二月及び三月における連続の事故に、そのあとの問題で、やはり同じような問題点を提起して、いま大臣がお述べになったような閣議了解事項に基づいて多少の手直しというか、手当てはしたようでありますが、基本的には何もしておらない。基本的には何もしてない政府自体が、事故を起こした会社の監査をするというのであります。ばかばかしい話であります。まず隗より始めよであります。  そこで聞きたいのは、二月、三月の事故のあった直後において政府が立てられた方針とその実施の状況は具体的にどういうものであるか、それをまず第一にお聞きしたい。  さらに続けて第二番目は、あの事故の直後、航空会社に対して、それぞれ勧告、あるいは訓示というか知りませんが、指導をしたそうでありますが、その文書の通達はいかなるものか、その文書の通達は、今日に至るまで立ち入り検査等は一切してないように新聞には出ている。この事故を機会に立ち入り検査をするというが、いままでやっておらなかったのか、おらなかったとするならば、いかなる理由でやらなかったのか、まずその二つをお答え願いたい。これは大臣からお答え願いたい。大臣としては、いわゆる二月、三月の時点におけるところの、その後の反省に基づいた対策というものはいかなる形でやっておられたか、それだけ大臣から御答弁願いたい。
  42. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 詳細につきましては政府委員よりお答え申させますが、去る二月、三月の事故にかんがみまして、政府といたしましても、たとえば凍結定員の解除であるとか、予備費の使用による保安、特に航空保安の要員等の確保につとめてまいると同時に、当時も、事故のありました727型機を中心にした、般空局の会社に対する立ち入り検査等も実施したと私の記憶では存じております。また、いろいろな指示に対しまして、会社からこういうことにいたしましたという報告もきておると記憶をいたしておりますが、それらの詳細につきましては政府委員よりお答えさせます。
  43. 堀武夫

    堀説明員 この春の大事故の後、二月十一日でございますが、運輸大臣から特に示達いたしまして、いろいろな指示をしております。これは項目だけを申し上げます。  第一は、航空機の運航の安全性の確保については、運航規程及び整備規程の順守。操縦士査察の強化。それから、随時必要な特別査察が実施できるよう査察操縦士を増強する。それから定期航空運送事業会社の整備作業についての立ち入り検査の実施。この検査の項目は整備作業、品質管理に重点を置くということになっております。それから第二に、過当競争の防止措置について。これは便数の調整とか、あるいは投入機材の抑制とかいうことでございます。それから幹線企業間の連絡協調。それから経営基盤の強化のために日本航空と国内航空は一体化について直ちに話し合いを進めよ。それから全日空事故の善後措置について万全を期するとともに、今後の経営基盤の強化策を講ずること。これだけがこの事故直後にしました大臣の示達事項でございます。  この中には役所自体がやらなければならないことと、それから役所が会社にやらすことと、二とおりございます。たとえば運航規程及び整備規程の順守というのは、役所が会社を督励をしてこれを守らすということでございます。それから操縦士査察の強化も会社側でやるべき事柄に入るわけでございます。それから先ほどお話しのありました立ち入り検査につきましては、行なっていないじゃないかということでございますが、行なっております。それから過当競争の防止措置並びに経営基盤の強化措置、これらにつきましては、五月二十日に閣議了解というものができておりまして、各企業における保有機数の増加を抑制することにより需給の調整を行なうということと、それから日本航空と日本国内航空とは将来合併することを前提として適正な条件により運営の一体化をはかるということと、それから日本航空と全日本空輸とは営業及び技術の両面において運営の協調化をはかるということ、それからローカル線につきましては、各企業の経営合理化の徹底をはかるとともに、ローカル線運営企業の幹線企業への統合を促進するということ、それからなお政府においても飛行場の改善整備乗員養成施設の充実強化等の施策の強力な推進をはかるということが、閣議了解できめられております。  なおこのほかに、具体的にこれらのことを進めるために、航空審議会に対して、航空整備とか安全ということに対して当面とるべき具体的方策というものを諮問をいたしまして、すでにその答申を得ております。そしてその答申に従いまして、いま航空関係の五カ年計画というものを作成の作業をいたしております。なお、事故直後におきまして、先ほど大臣からお話がありましたように予備費の措置をいたしまして、全部で六億五千万円の予備費並びに当該年度の流用等が認められておりまして、それがおのおの進行中でございます。  それから定員につきましては、この予備費措置と同時に、百四名の凍結定員の解除ということが認められております。(「凍結解除では実働はふえていないんだな」と呼ぶ者あり)航空局の欠員はもう洗いざらい使っておりますので、ほかの局の欠員の凍結解除というものをもらっている、そういうかっこうであります。  なお、いろいろなそういう対策ができておっても、ほんとうにそれを実施しているのかどうか、もう問題は出尽くしておる、これは私も全くそう思います。そこで私が今度考えておりますのは、すぐ立ち入り検査してどうのこうのというよりも、もうわかっている問題点ですね、もう出尽くしておるのだから、それがいまほんとうに行なわれたかどうかということを追及すべきだ、追跡すべきだ、これが一番先である。ですから私自身航空局自体の各課に対して、役所がやらなければならぬということになっておることがどういう事項があって、どこまでできたか、できていないのはどういうことであって、それはなぜできないのかということを全部洗ってくれということで洗ってもらっているわけです。そしてここに各課のその洗った途中のあれがあります。そして各課ごとにいままで問題点としてあげられたことを全部列挙しまして、それがどこまでできて、何が残っておるかということがある程度までできております。これを全部読み上げますと非常に時間がかかりますので、また別途御説明をいたしたいと思います。
  44. 久保三郎

    ○久保委員 最後に局長がおっしゃるように、どうしてできないのかが問題であって、問題点はわかり切った話なのです。そこまでわかっていながら、いままで御説明を聞いていると、一番おくれているのが、政府の、一番最後のほうにおっしゃったいわゆる五カ年計画の作業がおそくなっている、そうですね。これはまだできていない。いわゆる空港及び乗員を含むところの整備計画というのは、いま作業中だ。これが一番おそいじゃないですか。当面の話をする前に、長期展望に立って全体をどうするのかきめて、そこから逐一やっていくならやっていくことだと思うのです。そういうのが一番おそい。それからもう一つこの中で、運航規程や整備規程を順守するように査察をするというか、そういうものも方針として出していく。ところが私が聞いている範囲では、いわゆる運航規程の基礎になる基準というものは、航空法百四条にあるわけだ。その基準は航空局でつくってありますか。あるのですか、ないのですか。  もう一つは、二、三月のあの事故のあと、全日空並びに日航は運航規程の中の離着陸回数というのを従来よりはふやした規程に直した。回数をふやした規程を運航規程として変更した、こういうふうに聞いている。しかも、これは航空局が承認している。いままでの事故調査あるいは安全対策、そういうところの結論からいっても、飛行時間じゃなくて、むしろ離着陸の回数が問題である。その回数を押えるのがほんとうなのに、事故のあと四回から六回と、そういうふうにふやした規程を承認したというのはいかなる理由があるのか。しかも、もちろん実際には通常の場合はいままでどおりの規程の範囲でおさめているのである。しかし一たん錯綜した場合には延長した範囲にとどめて、規程違反と言われたくないのでやったのではないかという話を聞いているのだが、それはほんとうか、お伺いいたします。
  45. 堀武夫

    堀説明員 離着陸の回数の制限でございますが、これはふやしたんではございませんで、いままでその規程がなかったのをきめたということであります。昨年の三月にきめたということでございまして、ふやしたんではございません。それを六回ときめたわけです。その六回の範囲内でまた、会社がさらに自主的にしぼりたいということであればしぼる。それで全日空の場合はこれを四回に自主的にしぼっておる、こういうのが現状でございます。  それから運航規程の基準というものはできておるかということでございます。これは省令で規定すべきことでございますが、まことに申しわけないのですが、いま準備しておるという次第でございます。
  46. 久保三郎

    ○久保委員 基準ができないものが、どうして運航規程を承認できるのですか。ものさしがなくて、六回がいいとか四回がいいとか、どうして言えるのですか。これはいかなることですか。  それからもう一つは、いまの答弁では私は納得しないのは、いままで回数をきめなかったが、今度は運航規程に回数を入れたというのです。われわれが聞いている範囲では四回としてある。これは運航規程になくても実際行為は、おそらく推測するところ四回でやってきた。それを六回という規程にした。それは航空局長承知のはずだ。いま言ったように、とにかく航空法百四条におけるところの運航規程の基準さえできていなくて、何で立ち入り検査したらばいいか悪いか判断できるのか聞きたいのだ。
  47. 堀武夫

    堀説明員 運航規程の基準というものは、ICAOの規定というものに標準がございます。したがいまして、この標準に基づいて省令をつくればいいわけでございますが、そういうICAOの基準というものは非常にはっきりした標準がありますので、そのものさしに基づいて運航規程というものを認可しておるというのが現状であります。もちろん、これは省令をちゃんとつくりまして当然やるべきだと思います。そのようにいま進めておる段階でございます。
  48. 久保三郎

    ○久保委員 局長、あなたはICAOを持ち出してまいりましたが、ICAOは国際的な標準であって、わが国の空港の実態、飛行の実態からいって、ICAOの標準でものごとをきめるわけにはまいりません。アメリカにおけるような広いところと、日本のような狭い、しかも空がアメリカ軍や自衛隊にとられて、狭いところをやっていくようなところのいわゆる基準というのとは、おのずから違ってくるわけです。しかも空港の実態も違っておる。非常に小さい。そこに問題があるのだから、四回を六回にするがごときは、これは実際どうかと思う。ICAOに基準があるから、これにならっていけば間違いないのだという。間違いないのだというならば、事故がないはずだ。ところが、ここに事故が起きた。だから私冒頭申し上げたように、隗よう始めよだ。政府自体が始めなければならぬ。これはあなたはなってから間もないかもしれませんから、歴代の運輸大臣の責任なんだ。だから、これはきめるのですか。きめるのにはどうするのですか。少なくともそういう方針が確立しましたか、どうなんです。
  49. 堀武夫

    堀説明員 根本にはICAOの標準がございます。そしてそれを標準といたしまして、日本のいろいろな特殊事情、飛行場の事情、そういうものを勘案して、そして認可をしておるというのが実情じゃないかと思います。  なお、細部については技術部長が専門家でございますので、さらに補足したほうがいいということであれば技術部長から答えてもらうようにいたします。
  50. 久保三郎

    ○久保委員 一番大事なその基準がさっぱりできてないということなんです。それが一番問題だと思うのですよ。これは、大臣、責任を感じていただきたいのですが、どうですか。
  51. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 まあ国際的な基準がある、そして日本の特殊な事情等を勘案して運航規程の認可等はいままでやっておったということでございます。しかし、はっきりした省令によりましてきめることがもっと妥当であると私は考えます。督励をいたしまして至急に、国際的な基準をもとにいたしながら、日本の実情に合ったそうした基準の作成を促進いたしたいと考えます。
  52. 久保三郎

    ○久保委員 大臣、せっかくの御答弁でありますが、国際的な基準をもとにしておつくりになるのもけっこうであります。しかしながら、いままでの事故のあとにおけるところの、いろいろな対策に関する答申あるいは報告書、こういうものに出ているたとえば乗員の健康管理、その中でも人間工学的な研究がおたくのほうではちっともできていないのでしょう。そういうものができていないのに、どうして基準ができるのでしょうか。これは単なる目の子勘定で四回がいいとか六回がいいとかの問題じゃないのです。むしろ乗員の健康管理というか、その中での人間工学的な研究の上に立って、これは何回ならば安全である、何回以上はやるべきでない、こういう結論が出なくちゃならない。ところがそういう研究は、いままでもたび重なって、こうやるべきだ、いわゆる人間工学的な研究もやって健康管理は厳重にやれと、再三そういう報告が出ているのに、いまだにわれわれが知っている範囲ではやっておらない。そういう予算もないようだ。はなはだしきに至っては、必要ならば自衛隊に聞けと言われたそうだが、それはほんとうか。必要なら自衛隊の資料をもとにしてやれと言われた。自衛隊の任務はおのずと異なっている。航空局は安全に輸送をするところだ。天と地のごとく違う。そういうところのいわゆるデーターをもって基準にすることはできない。だから、いままでの、そういう問題に対してはどうなっておるのか、簡単に説明してもらいたい。
  53. 松本登

    松本説明員 お答えいたします。  航空機乗員の適性管理につきましては、明年度予算で二百七十万ばかり要求いたしまして身体検査の基準の調査をいたすようにしてきておるのでございます。  そのほか今年度予算として、科学技術庁に特別研究調整費というものがございますので、それをお願いいたしまして、千九百九十万ばかりでございますが、人間工学的な研究、それからこの前の東京湾の全日空事故状況にかんがみまして、計器装置等に対する人間の錯覚の防止等を主題にいたしまして、千九百九十万ばかり科学技術庁に研究費をお願いしております。
  54. 久保三郎

    ○久保委員 さっぱりわからぬ。そんなのではわからぬ。とにかく網羅した対策を早急に出してほしい。その対策の中にはぎりぎり決着の日限を入れてほしい。何月何日までにはこのことをやるとかできるとか……。  それで大臣にお聞きしたいのですが、先ほど航空局長からお話があったように、空港並びに乗員の養成の強化をはかるための作業をいま進めている。空港とは、いわゆる滑走路の問題も含めた施設設備の拡充強化だと思います。このことは、仄聞するところによると、長期計画というか、五カ年計画で三千億ということで内々話をしているそうだが、それはこれから固めるのかどうか。本来ならば、二月、三月の航空事故のあと、閣議了解事項には何ということが了解事項になっておるんだかぼくは知らぬけれども、少なくともそういうものが早急に立てられて、もはや来年度予算の中には第一年目としてどことどこをどういうふうにするというくらいの話ができていなければならないはずだ。ところがいま作業中なんでは、はなはだしくお粗末ではないかと思う。事故対策は、まず政府、その補強以外にないと思う。操縦士の問題やら航空会社の問題もさりながら、補強するのは運輸省を中心にする政府自体ではないかと思うのです。いかがでしょうか。
  55. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 航空の安全をはかるための政府としてとるべきいろいろな施策があることは御指摘のとおりでございまして、春の事故以降、先ほど航空局長からお答え申し上げたように、航空保安要員の確保について、凍結定員の解除であるとか、予備費の使用等をいたしたわけでございますが、空港そのものの整備というような問題につきましては予備費などでやるべき性格でもないのでありますが、とにかく十月に航空審議会から答申をいただいて、それに基づいて現在最終段階に入りました航空整備五カ年計画を最終的に決定をいたすことにいたしておるわけでございます。それと同時に、先ほども田邊委員にお答えいたしましたように、来年度予算といたしまして、目下空港整備の問題、特にローカル空港整備の問題につきましても予算要求をいたしておるわけでございまして、この確保をはかりまして、早急に、先ほどもお答えいたしたように、順序をつけて整備をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  56. 久保三郎

    ○久保委員 時間もありませんし、なお関連の皆さんも質問があるそうでありますからはしょってまいりますが、先ほど航空局長はいわゆる要員の問題に言及して、定員の凍結解除をしたとおっしゃった。凍結解除をしたら一ぱいになったのかどうか。われわれの持っている資料では、航空管制官署の職員の人数、これは千五百六十三が定員、ところが現在員が千五百九十八です。これは結局三十五人くらいよけいになっているかっこうだが、実際には、具体的にはこういう事例があります。人間の長距離レーダーは、お金をかけて設備ができたそうであります。私は見ておりませんが、できたそうであります。ところが、要員がなくてこれがほこりをかぶっている。これはほんとうか。ほんとうだとすれば、要らない施設か。設備はできたが要員がないのでほこりをかぶって遊んでいるというのだが、航空局自体の大きな怠慢ではないかと思う。何をぼやぼやしているのか。  それからもう一つは、あの事故の直後閣議で問題になって、さしあたりの手当てとして、時の中村運輸大臣は、航空管制の諸君の代表を十人ほど呼んで話を聞いた。そこで、先ほど話があったように凍結解除で何人かふやした。ところが労働条件というか、管制官の処遇があまりにも役人的で低い。そこで定員をもらっても補充ができないというような面もできてきているというのです。だから問題は、要員をふやすと同時に、管制官を中心にするところの保安要員の処遇改善もあわせてやらなければいかぬ。処遇改善についてはもう何年か前から当委員会でも取り上げている。ところが遅々として進まぬ。その進まぬうちに、優秀な管制官等は民間会社に全部転出してしまった。そういうような事態が今日あることはどう考えるか、具体的にどうやるのか、そういうことをひとつ簡単に答弁してほしい。これが一つ。  それから二つ目は、有視界飛行で先般の全日空機着陸しようとして失敗した。結局有視界飛行の基準というのはそれぞれの空港で違うと思うけれども、前にも有視界飛行のために富士山ろくでBOACが墜落した。だから一がいには言えないと思うのだが、安全基準を高めるためには有視界飛行の基準を高める、きびしくするという必要が私はあると思うのだが、そういう考えはないのかどうか。いままでどおりの各飛行場の有視界の基準では、もはや安全は確保されない。だからもっときびしくこの程度を上げていくということも考えるべきだと思うのだが、これは考えているかいないか。  さらに、先般事故になった全日空機には、副操縦士と副操縦士見習いというものが一緒に乗っていたが、こういう臨時に振りかえた際にもこういう者が乗らなければならぬのかどうか。というのは、私が聞いている範囲では、機長の運航代役というか、それと、副操縦士なり見習い副操縦士は違うそうであります。先般も御報告があったように、機長は大阪から鹿児島へ飛んだ、鹿児島で着陸できないので、福岡へとって返して、そこで任務を一ぺん終わって、それから便乗でしょうか、大阪に来て、それで三十分くらい後にYS11で松山へ行った。そのコースとは、副操縦士と見習い副操縦士は違うという話を聞いておる。違うものを、こんな緊急というか、振りかえた異常の場合に乗せておく理由はどこにあるのか。特に見習い副操縦士を乗せたということについて、私は疑問がある。今日のいわゆる操縦士の養成問題について、それについては調査してあるかどうか。訓練のために乗らなければならなかった理由があるのかどうか。それから見習い副操縦士というか、それは搭乗して何を見習うのか、見習う項目は何と何であるか。  それから三番目には、先ほど田邊委員からも指摘されたが、われわれは安全が第一だと思う。よって、もはや日没後におけるところの条件の備わっていない二種、三種の空港は全部運用をとめる。設備ができない限りは、いわゆる日中だけの運航に切りかえるべきだと思うんだが、千二百以上に滑走路が延びない、あるいは誘導装置ができない、そういうような空港はすべて、今日ただいまより日没後におけるところの運航はやめさす。それによってなお航空企業に問題が起きるであろうが、その問題は国と企業の責任で解決する以外にない。だから私は、これは大臣に答弁してもらいたい。もはやそういう、まあまあやっておるからこの程度ならできるんだということは許されない。それで航空会社がつぶれるのはやむを得ない。危険をおかしてまでの飛行はやらせるべきでない。いまの政府態度では、長期計画の実施について、これはどうしても中間で腰を折る、急がなくなる。やっているうちはやれるんだからという。むしろそういう整備計画を進めるためにも、日没後におけるところの運航は一切やめさす、ダイヤの遅延によるものも差しとめる、これをはっきりすべきだと思うが、いかがですか。そういうことについて、私はさしあたりやるべきだと思う。  それから、二月の時点と同じように、先般も遺体捜査のために出動したヘリコプターが今回も墜落している。救難体制の整備ということに欠くるところがあるのではないか。だから救難体制をもう一ぺん練り直し、もっと計画的な、もっと徹底した体制というのをやる必要があると思う。二回にわたって捜索機が墜落するがごときは、役所のミス以外の何ものでもない。同じ空域、同じ高度にそういうものを飛ばせているところに問題があった。だれが統括し、だれが指揮したのか聞きたい。四人ものとうとい人命を、あたら追い打ちかけて死なせたのはだれの責任だ。すでに二月の事故でそういう経験があるのに、だれも注意しなかったのがふしぎだ。だれが責任を持つ。これに対して答弁をもらいたい。  なお、操縦のミスがあるのか機体欠陥があるのか、これは今後の調査の結果に待つ以外にないと思うのだけれども、おおよそ、操縦のミスや機体欠陥がよしんば今後あるにしても、いままで私が申し上げたような問題を、さらには三十二年以来政府が受け取っている事故原因、その対策をなおざりにしなければ起きなかったということをもう一度申し上げておきたい。もう一度言うが、それをやらぬままに何の事故調査であるか。私はほんとうに憤りをもって聞きたい。航空局長は同じような気持ちでいると言う。運輸大臣は最近御就任になったばかり。だれも責任をとってくれる人がない。遭難した者の無力感もさりながら、国民全部がやはり無力感に浸っている。そういうことが政治かどうか、お互いに反省する必要があると思うんだが、運輸大臣はどう思いますか。
  57. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 航空の安全を確保するために政府としてやるべき幾多の問題がございます。それについて従来一つ一つ問題を取り上げて解決すべきものは解決してまいったのでございますが、まだ確かに十分でなかったということは申し上げられると思います。したがいまして、この事故を中心にして航空の安全についていろいろ審議会その他からの意見の出ました問題につきましては、早急に一つ一つを解決していくような努力をいたしまして、これは一運輸大臣というようなことでなくて、政府全体の継続した責任と心得てやってまいりたいと思います。  なお、具体的にお話のありました二種、三種の空港について、夜間の飛行を禁止したらどうだというようなお話でございます。先ほど航空局長からお答えいたしましたように、たとえば今回の松山空港につきましては、施設としては安全に離着陸できる施設があるけれども、要員の関係で七時半以降を禁止しておるというような状況でございます。したがいまして、それだけの施設のない空港は、御承知のように、日没後の使用を禁止しておるというような状況でございます。しかし、今後さらに検討をいたしまして、それらの問題も含めて、二種、三種のローカル空港の安全のための処置政府としてなすべき処置をとってまいりたいと思います。  また、捜索中のヘリコプターが衝突事故を起こしたというようなことははなはだ残念でありますが、実は航空局から現地に参りました者が、直ちに航空機の種類その他によりまして、高度等の規制を厳重にいたしまして、また、捜査をやる操縦士並びに乗員の当然守るべきことではありますが、捜査に気をとられ過ぎてそれが守られないというようなこともございますので、フライトプランを持ってまいりましたときに、さらにそういう注意を喚起するというような処置をとってまいったのでございますが、それにもかかわらず、このような痛ましい事故が起こりましたことは非常に残念でございまして、今後さらにこうしたことに常に注意を——現在も捜索活動が航空機によって行なわれておるのでございますから、それらの乗員に対しまして一々注意を喚起しつつ、このような事故の再発を完全に防止いたしたいと考えております。  他の御質問につきましては、政府委員よりお答えを申させます。
  58. 久保三郎

    ○久保委員 ちょっと答弁する前に、時間の関係がありますから……。  事故のあと何かやってきたような話を運輸大臣されますが、ちっとも効果のあることはやっていないんですよ。一番大事なこともやっていない。たとえばさっき私が追及しました整備規程にしても、その規程の基準になるものはないのに、それを立ち入り検査したり、何になりますか。何もやっていないのです。それでさっき間違いましたが、航空官署の要員はトータルで二十一名欠員です。そんなところで一いままで申し上げたやつは逐一御答弁いただくことにいたしますが、なお、これだけは一つ言っておきたいのであります。  松山空港では大体進入管制というか、進入誘導装置は全部できているからいいというような話をあなたはされるが、私の聞いておる範囲では、いわゆる滑走路に入る誘導路の標識というか、電気はないそうです。羽田あたりは海の中にずっと電灯がついていますが、滑走路に電気がついているだけですよ。だから、初めての人ならば、近くへ行かなければ滑走路が見えないのでありますから、誘導路というのは標識がないのでありますから、これは天候が悪ければなお困る。だから、見ようによっては、これは推測でありまして決して事実ではないと私は思うが、そういう誘導路を示すところの電灯がなかったから滑走路の間近に来て高度を下げていったのではないか、そういうこともある。これは別のケースであるかもしれない。私はよくわかりませんけれども。それで、急降下していったのだが、間に合わなくてまん中のほうに着いた。それで今度上がろうとしたが上がらなかった。そこで海面に落っこったというようなこともあるでしょう。だから、そういうことを考えてもらわぬと、これで松山空港では夜間でも心配がないなんて言われたんじゃかないませんから、事故を起こした空港は当分夜間はやめてあたりまえですよ。それで、それ以上の保安施設ができたときに初めてそれを許可するということが当然だと思うのです。常識です。  それから、何か事故原因をなくするのには、日航と全日空を合併すればいいという話を先ほどもしているようですが……。そうでしょう。一本にすると言ったでしょう。日航と全日空を一体化する……。
  59. 堀武夫

    堀説明員 国内航空です。
  60. 久保三郎

    ○久保委員 この間の新聞を見ると、あなたかどうか知らないが、談話で、一体化するというようなことを言っている。企業の再編成というようなそういう問題は、いままでの運輸省なり航空局には手がける資格はないですよ。堀航空局長は最近来たから違うかもしれませんが、歴代の航空局長運輸大臣で、私がやりましたという者がいるならいつでも聞きたい。大体政府航空企業の再編成をどうするかなんということを考えられる人はありません。ないから、あっちへ行ったり、こっちへ行ったりするから企業の安定がなくなって、事故の遠い原因になっておることは事実だ。だから、この際企業の再編成ということを言う資格はないのだ。そんなものを言う前に、事故原因はすべておわかりだ。その原因を一つ一つ解決することがまず政府の責任であることを十分考えてもらいたい。  その前に申し上げた幾つかの点について簡単に答弁を願いたい。
  61. 堀武夫

    堀説明員 非常にたくさんの御質問がありましたが、一つ一つ申し上げます。  有視界飛行の基準のミニマムを高める必要があると思うがどうか。それはすでに航空量の多いところでは高めております。全部を高めたらどうかということにつきましては、さらに検討をしたいと思います。  それから、見習い操縦士というのをなぜ乗せているのかということでございますが、これは外国では、サード・パイロットという制度があるそうでございます。操縦士を機長まで育てるためには、いろいろな訓練をしなければならないのです。したがって実機に乗って、ほんとうに練習機だけでずっと育っていけばそれにこしたことはないわけです。しかしそういう練習機をパイロット一人一人を養成するためにリザーブすることは、なかなか困難だと思うのです。そこで通常、実際の路線に飛んでおる飛行機に乗せて、そして慣熟させる。それは免状を持っていないのに操縦させるということではございません。見習いといいましても無線通信士の資格をとっておる者はあるわけです。その免状を持っておる範囲内の仕事は手伝わすことはございますが、あとは決して自分の免状を持っていない仕事について操作をするということはさしておりません。ただ実用機に乗せて路線を飛ぶ、そういう実務を見て慣熟させる、こういうことをやっておるのは日本の航空会社だけではございません。そういうことで乗せておるわけでございます。  それから日没後の運用を全部とめたらどうか、飛行機が遅延してきても、そのものの言うことを聞くな、追い返せというきついお話でございますが、もちろん安全第一でやらなければならないことは当然でございますが、いま日没後運用をいたしておる空港夜間着陸の設備がないところでやらしておるところはございません。
  62. 久保三郎

    ○久保委員 松山はあなたの言う設備がない。
  63. 堀武夫

    堀説明員 それはまたあとで申し上げます。  それから次はヘリコプターの接触事故でございますが……
  64. 久保三郎

    ○久保委員 松山に設備があるかどうか、ごまかしたらいかぬよ。
  65. 堀武夫

    堀説明員 これは先ほど説明いたしました。またあらためてやります。  ヘリの接触事故ですが、これはだれの責任であるかということでございますが、救難捜査につきまして、各関係省庁によって協定がございまして、互いに調整本部というものを置いてやることになっておりますが、もう生存者がないという以後の遺体揚収作業に入りますと、この協定が働くことにはなっておりません。それで当日、これは非常に危険があるということで、その前からヘリコプターは一番低いところと高度をきめ、そして小型機はその上、取材の飛行機は一番高いところ、こういうふうに高度を区分をいたしまして、そしてまた捜査の担当範囲もきめまして、その範囲には一機しか入れないというようなことを互いに申し合わせまして、そして飛ぶときには、必ずフライトプランを保安事務所に出してもらうわけであります。パイロットがみずから来て……。そのときに一々これはこういうふうになっておるからという注意を与え、そしてヘリコプターは右回りだとか、固定翼は左回りだとかいうこともきめまして、その注意を与えてあったということでございます。当日、遭難の夜中に現地に飛びました松本技術部長報告をあとでお聞き願いますと、その間の事情はわかると思います。  それから原因は何であるか、それは調べなければわからぬだろうが、推測でも言えないかというお話ございましたけれども……
  66. 久保三郎

    ○久保委員 そう言わぬ。ぼくが推測した。
  67. 堀武夫

    堀説明員 これはわれわれとしては最後の結果が出るまでは何とも申し上げるわけにはいきません。  それから滑走路のアプローチ・ライトのことだろうと思いますが、アプローチ・ライトは精測進入施設のある場合につけておるということで、これのついているのはILSの装置のある空港のみつけておるそうでございます。したがいまして松山に、われわれといたしましては五カ年計画でILSを将来つけたいと思っておりますから、そのときに同時につけていきたい。  松山空港事故があったにかんがみ、松山事故をやった空港だからすぐに夜はやめてしまえということでございますが、これは夜間着陸装置が、先ほど申しましたように、ほかのローカル空港よりも施設がいいほうでございます。ですから、いますぐにやめるということはいかがかというふうに考えます。  それからあとは要員の問題と待遇の問題、これは監理部長からお答えいたします。
  68. 町田直

    ○町田説明員 ただいま御指摘のございました、本年度の予備費で凍結定員を解除されましてふえました人間は百四名でございまして、その充員状況について御説明いたしますと、管制関係は全部で六十六名でございます。その他事故調査官あるいは航空機検査官、航空従事者試験官、それからローカルではやはり事故調査関係の要員ということで八十四名充員いたしました。これは実は一応全部充員したという形でございまして、残っている二十名は訓練要員、訓練のための定員でございます。現在管制官は、ことし採用しました管制官が訓練中でございますが、これが訓練を終了いたしますと、直ちにあとの管制官を採用して入れる、こういうことで、二十名につきましては四十二年の一月に採用して入れる、こういう予定にいたしております。したがいまして、鋭意努力いたしまして、凍結定員の百四名につきましては一応充足いたすということでございます。(久保委員「人間のレーダーについてはどうした」と呼ぶ)  人間のレーダーにつきましては、人間ではございませんで、おそらく箱根のレーダーのお話だと思いますが、これは実は現在のところ保守要員十八名、運用要員五十名の必要なところでございますが、保守要員につきましては十八名全部充員いたしておりますが、運用の要員は四十名でございまして、十名まだ不足しておるわけでございます。現在は試験運用いたしておりますが、来年度の予算でさらに十名を増員いたしたいと考えております。
  69. 田邉國男

    田邉委員長代理 泊谷裕夫君。
  70. 泊谷裕夫

    泊谷委員 時間がありませんから一緒に三点お尋ねをしたいと思うのでお答えをいただきたいのですが、ここからお尋ねするのは、三月の運輸委員会ですでに答えが鮮明になっているものの実施状況についてお尋ねをしたいのです。  そのときパイロットの養成が私どもの久保議員からたいへん問題にされまして、そこで、滞空時間だけが資格を取得する条件というものを考えてみる必要がある、事故の大半は離着陸にあるから、離着陸の回数というものを重視しなければならぬ、したがってその訓練用の飛行場を早急に設置すべきだという主張がありまして、佐藤前航空局長中村運輸大臣もその必要を認めて、早急に、これは企業だけでできないから考慮しょう、こういう説明があったのでありますが、この実施内容はどうなっておるのか、これがまず一つお尋ねをしたいところであります。  それから二つ目は、先ほど田邊委員から海難審判のような調査機構の充実、しかも独立した機構の設置を強く要請されましたが、前回当委員会で問題になりまして、大臣航空局長の口から出ることばは至ってさわやかに出るのでありますが、調査官といっても二名しかいない、そして先ほどは水中撮影だなんという歯切れのいい話が出ましたけれども、とんでもない話で、白黒のフィルムもやっとで、カラーフィルム一本も買えない、だから事故の原形保存のためにスケッチしておるのが現状の体制であるということを指摘しておいたのですが、今回予備費を流用してということで、総理はじめ気負い込んで説明をされておりますが、その体制ができているのか。体制ができてないところで関係官庁とどうかけ合ってみたって始まらぬ話だから、私は田邉委員の話のように是が非でもその機構をつくってもらいたいと思いますが、三月以降どういう措置をとられたか、これを明らかにしてもらいたいと思います。  三つ目、これは私は大臣に責任をもってお答えをいただきたいのでありますけれども、六月二十七日の運輸委員会で、俗に言われます航空企業の再編成問題が論議されました。しかし航空企業は何をさておいても安全を第一に確保してもらわなければならぬという前提に立ちまして、与党の關谷先輩のほうから、いまの航空企業の再編成に対処すべき政府の方策、これが明らかにされたわけであります。企業としては減資、増資の問題もあります。だから政府としては地域開発のために、採算の合わないローカル線についても、離島振興法などというものでなくて、特別立法をもって助成法の設定など数多い提案がなされました。当面予想される問題で私はこういうふうにお尋ねしたのです。「それでは、いま關谷さんから具体的な提案があったわけで、それが出るまでは航空局長としても大臣としても、当該企業の責任者に人員整理だ何だということで必要以上の動揺を与えないような措置を当然とっていただけるものと思うのですが、誤りないでしょうね。」と尋ねました。中村運輸大臣は、「各航空企業の集約化によって従業員が動揺することのないように、政府といたしましては万全の処置をとってまいりたいと考えております。」こういうふうに答弁があったのであります。ところが昨日、この運輸委員会に参加するので私は札幌丘珠空港から国内航空YS−11に搭乗してきたのでありますが、国内航空の諸君が私を取り巻いて泣かんばかりに訴えておるのです。預けられました「再建事業計画の概要」というものを見ましたら、私はけしからぬと思うのですが、こういうふうに書いております。「人件費を含む諸経費を安全運航を阻害せぬ極限に近い線まで圧縮する。」これが新しい編成の問題で国内航空が従業員に通達をした指示なんです。一体「安全運航を阻害せぬ極限に近い線まで圧縮する」とは何だ。あなた方がいかに豪語しようとも、企業はかってにこういう措置をとる。先日の与党の關谷議員の発言からいきまして、当然日航との間にローカル線の始末についても話が進むでありましょうし、であれば、それに対する雇用関係ども最終段階において日航側へ吸収する、そういう措置も当然考えられてしかるべきなのを、幹線乗り入れの部分だけ委譲いたしました現在、その本質的な政府のやるべき手段を国会で大臣が約束をしておりますのに、企業としてやっていることは全然私どもの意に反して、安全は第二義的に、まず収与を合わせるということに狂奔しておる。この実態については、すみやかに大臣から当該企業に注意して——私は社会党に所属しようとも、人員を絶対動かすなということを言う考えはありません。しかし、いま一番大事なことは、いささかでも従業員に動揺を与えることなしに、一丸となって、経営が苦しければ苦しいなりに安全の確保に努力することで、これだけ世論のきびしい時期にこういう問題を提起するというのはお粗末な限りだと思うのでありますが、大臣は早急にこの延期なり善処方を当該企業に要請してしかるべきだと思うのですが、この三点についてお答えをいただきたいと思うのです。
  71. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 最後のお尋ねであります企業に従事する従業員の問題であります。御指摘のとおりであると私は考えます。ただいまお示しになりましたこと自体は、私はまだ承知をいたしておりませんけれども、そういうただいま御指摘になりましたような方向で直ちに私は十分な注意を喚起いたすつもりでございます。
  72. 堀武夫

    堀説明員 パイロットの養成に関連して、訓練飛行場を早くつくれ、こういう御趣旨かと思います。(泊谷委員「つくるとこの前約束している、それがどうなっているのということです」と呼ぶ)まず飛行場の候補地をさがさなければいけません。まず恒久的には専用の訓練飛行場をつくりたい。したがいまして、これを完成するためにはかなりの期間が要ります。最近、飛行場滑走路延長につきましてもいま、新設空港に至ってはもちろん、いろいろ地元に反対運動その他がございまして、非常にその設置が困難である。そういう事情がございまして、こういう訓練飛行場をつくるにいたしましてもかなりの時間が要ると思います。いまその候補地について二、三心当たりもございます。そういうところも調べてみます。(泊谷委員「いつごろまでにそれはやるの」と呼ぶ)われわれとしてはこの五年計画の中に入れて、五年以内につくりたいという考えでおります。それから、それまで待てないという問題が当然出てまいります。したがいまして、当面、米軍飛行場なりあるいは自衛隊の飛行場を共用さしてもらうということをいま交渉いたしております。  それから原因究明調査機関が貧弱である、きのうかの新聞にも出ましたように……(泊谷委員調査官は何名」と呼ぶ)非常に少ないわけでございます。それでこの予備費の措置によりまして、事故調査担当者が十六名……(泊谷委員「専任か」と呼ぶ)はい。十六名増員になりました。その十六のほかに本局に四名、合わして二十名、(井岡委員「これはこの事故だけの調査官か」と呼ぶ)これは恒久定員としてでございます。(泊谷委員「スケッチやなんかさしておるのでは全然前時代的じゃないか」と呼ぶ)水中写真機その他の機材、そういうものにつきましては、予備費でこれはこの前も要求をいたしておりましたが、まだついておりません。今度これを予備費でさらに要求をするつもりでございます。(泊谷委員「それからさっき田邊さんの言ったような海難審判庁のようなものの設置はどうですか。歯切れよく答えてください」と呼ぶ)  調査機関のみならず、航空局の行政組織自体は、まことに現在の事務量に比較して非常に弱いと私は思います。いろいろ先生方からおしかりを受けますわれわれとしても、それをサボっておるということではなしに一生懸命やっておるわけです。ところがいろいろの、たとえば地方の現場事務というものを全部直接中央においてやっておるわけです。たとえば進路の正面にひっかかる煙突一本切るにも、中央から行ってやる。煙突一本切るのに何年もかかる。そういうようなささいなことでも非常なエネルギーを使わなければできない。私、見ておりまして職員がかわいそうなくらい非常に働いておるのです。それにもかかわらず、こういうようなことでございます。したがいまして、調査機関のみならず全般について行政組織整備したいということで、航空庁案というものをいま要求して折衝をしておるわけでございます。その中の一環といたしまして、この事故調査機関というものも考えております。それで、事務的な組織としては一挙に海難審判庁のような航空事故調査庁というようなもの、それが一ぺんにできればまことにけっこうだと思いますけれども、それにはあまりにも現実を一ぺんに飛躍し過ぎる、実現可能性ということも考えまして、われわれはとりあえずまず課をつくりたい、事故調査課というものをまずつくりたいということで、この組織改正の一環としていま要求をいたしておるわけでございます。
  73. 野間千代三

    ○野間委員 関連して一点だけ。  簡単な問題ですが、当日の大阪松山行きの定期便は五時四十分発で六時三十五分松山着ということですね。そうしてその定期便の飛行機は、当日事故の起きたYS11のオリンピアであったのかどうか。
  74. 堀武夫

    堀説明員 この大阪松山便というのは、事業計画によりますと、使用機材はフレンドシップまたはYS11ということになっております。それで、当日のこの便に使用予定のフレンドシップがおくれまして、ちょうどこのYS11が板付から帰ってきておりまして、それでこれを機材繰りとして入れかえてYS11を使ったということでございます。
  75. 野間千代三

    ○野間委員 このフレンドシップが機械的な故障でおくれたというのですね。そうすると、フレンドシップの乗客定員は何名ですか。
  76. 堀武夫

    堀説明員 フレンドシップの定員は四十名でございます。
  77. 野間千代三

    ○野間委員 フレンドシップの定員が四十名で、当時乗っていたお客さんはたしか四十五名なのです。なくなった方がたしか四十五名のはずです。つまり、フレンドシップの四十名の定員では四十五名のお客さんが乗せられないから、乗せた。それをきょうテレビで社長が言っているのです。局長が言う機材が不備であったのは、それはむしろYS11オリンピアのほうが不備だったのです。ですからYSのオリンピアのほうの不備の問題と、それからフレンドシップの四十名の定員を四十五名乗せなければならぬからこれはかわったのですよ。そのために、たしか一時間何ぼか出発がおくれているはずなのです。それを、おくれないで定期便どおりに、フレンドシップを整備をしているはずなのですから、フレンドシップで出発しておれば、あるいは事故がなかったかもしれない。それはどうですか。
  78. 堀武夫

    堀説明員 その予定されておったフレンドシップがおくれて到着したために、これが使えなかったということが一つと、もう一つ、先ほど申し忘れておりましたが、客もフレンドシップの座席以上の客があった。そしてたまたまそのフレンドシップの到着がおくれていたという両方の事情があったと思うのであります。
  79. 野間千代三

    ○野間委員 それならば、きょうのテレビの社長の放送は間違っている。社長の放送は、お客さんが多かった、こう言っている。お客さんが多いために飛行機の出発がおくれたり、機種をかえたという例はたくさんある。私が経験したのでは、ことしの九月十七日仙台から東京までの定期便で八一〇便、これは十八時五十分に仙台を出て東京へ十九時五十分に着のはずなんです。お客が定数よりも五名オーバーして、その五名のオーバーのお客をおろすために、ついに出発が二十時五十分までおくれた。つまり、今度の事故も一つは営業政策にあるのですよ。しかもお客さんのほうはたしか一カ月前に予約で買うのでしょう。一カ月前から売っておって——定期便はどの飛行機でその定期便は何名乗れるというふうにきまっているはずです。そのとおりに売って、計画どおりにやっておけば、少なくとも仙台の例であるとかあるいは今度の例の場合、ないはずだ。それをやたらに売っておって、定数が多くなった、したがってお客をおろさなければならぬ。おりる人がなかなかないから、それを選定するために、私の例ではやはり二時間五分おくれている。そして七時三十分までの飛行場の運用時間が一時間二十五分もそのために運用時間をオーバーしている。そういう例がたくさんあるのですよ。したがって、航空要員あるいは飛行場の要員は増務にならなければならぬ。しかもその増務手当を払っていない。これはこの前ぼくはこの問題でさんざんやった。大臣は労働基準法違反だから払いますと言った。まだ払っていないですよ。一カ月間で大体四時間くらいしか払ってくれない。大臣、聞いてください。ところが実際には、地上勤務の人で百何時間も増務をしている人がいる。それはこういう営業政策から出てくる。そのしわは地上従業員あるいは航空管制官、そういう人に負わされてくる。一方操縦者のほう、この森機長さんを見てごらんなさい。十三時十分に勤務が開始になっている。その間に、十四時十分に大阪を出て鹿児島に向かった。ところが天候が悪いために、十六時五分に福岡に着いた。乗務員は一時間前に勤務時間について、出発の二十分前に乗るはずであります。それで出発をする。そして着陸をしてから三十分なお勤務が続く、これが乗務員の勤務のはずですね。そういう勘定から十六時三十五分に一つの便としての森機長の勤務は終わったはずです。それから十七時に福岡から便乗で大阪に向かって、そして十八時二十分に大阪に着いた。これでこの人の勤務は終わりです。これで一つの勤務が終わりのはずである。この時間は、たしか五時間十分以上の勤務をしておるでしょう。これで森機長の勤務は終わりです。それにもかかわらず十九時五分に——いま局長機体がどうとかごまかしておるが、実際には営業政策でしょう。五名オーバーしておったものだから——それが新婚でおろせない。新婚旅行で行っておる人は十二組ある。お嫁さんをおろすわけにいかないでしょう。だからやむを得ず——ほんとうならば五人おりてもらって定期便で出発をするはずなんだけれども、それが新婚でおりられないから、森機長がすでに勤務がちゃんと終わっておるにかかわらず、十九時五分に大阪を出ておるのです。そうすると十八時二十分から十九時五分までの間に四十五分。そうすると私が最初に言った、一つの便に乗る前に一時間ちゃんとおって、勤務について、二十分前に乗って出発をするというとおりにいかない。この機長はこういう無理をしておるのですよ。合計七時間三十分以上もこの森機長は勤務をさせられておる。大阪へ福岡から帰ってきたのは便乗ですから勤務のはずです。七時間三十分以上も勤務しておる。これは確かに久保先生の質問された運航規程の時間からいうと、勤務時間は十時間以内だそうだからそれは間違いがないのでしょう、ここが問題なんです。こういう無理なことをさせておいて、規程のほうではたくさんの時間をとっておいて、運航規程上は間違いがない、こう新聞発表をする。だから会社のほうは間違いがない、それを認可した運輸省は間違いがない、こう言っておる。ところがこの乗務規程、飛行時間、乗務時間、その規程そのものが無理なんだ。機長にはそういう無理をさせておいて、会社の者は規程上間違いないとか、運輸省は規程上間違いないとか、そういう抜け道を言う。ここに事故のほんとうの原因がある。そうではないですか。そして最近の発表では機長の操縦のミスなんて言っておる。こんな勤務時間、こういうことをやらせておいて操縦のミスとは何ですか、答えてください。
  80. 堀武夫

    堀説明員 森機長の当日の飛行時間だけ申しますと三時間十五分、それでその前後の拘束時間は、いまお話しになりましたように一日のマキシマムというものをきめております。マキシマムは十二時間ということになっております。飛行時間の合い間合い間があるわけであります。それは十分な休養をとるように、仮眠所とかいろいろな施設がございます。しかし仮眠所で休めたといっても、ほんとうに自宅で休めるほどからだは休まらないとは思います。そういう点の配慮は今後十分やっていきたいと思います。
  81. 野間千代三

    ○野間委員 いまおとなしく言われたからおとなしく聞きますが、いま局長のおっしゃったのは会社できめてある労使の協定であるとかあるいは運航規程であるとか、そういうものには確かに入っておるとぼくも認める。それは認めるのだが、その規程そのものに無理があると言うのです。ですから先ほど言われた、ICAOと合わせてもだめだ。日本の労働条件はもっと悪い、飛行場も悪い、賃金条件も悪い。ですから少なくとも運航規程くらいはもう少しゆとりを持った運航規程をつくるように指導するのが運輸省の任務ではないか、こう言っておるのです。これが一点。  それから非常にきつい運航規程——全日空あるいは日航とも前には一日離着陸回数は四回、飛行時間が一日六時間、飛行勤務時間がジェット機で十時間、こうきまっていたはずですね。それを全日空の場合は三月に変えましたね。そうじゃないですか。もう一点、八月に日航が変わっているはずですね。そうじゃないですか。
  82. 堀武夫

    堀説明員 全部そらんじておりませんので、担当の課長が来ておりますから、間違えた答えをしないために課長から答えさせます。
  83. 浜田幸晴

    ○浜田説明員 全日空が六回という離着陸の制限を規定いたしましたのは、昨年、四十年三月十二日付の運航規程の認可でございます。従前の運航規程では全日空は離着陸の制限を規定いたしておりませんのを、その際初めて規定いたした次第でございます。
  84. 野間千代三

    ○野間委員 いまのお答えですが、実情は、いま言われた四十年三月に全日空がきめられた。それがことしの三月に、離着陸回数だけ、全日空は、一日四回を六回に変えているのじゃないですか。
  85. 浜田幸晴

    ○浜田説明員 その離着陸回数六回という規定をいたしました認可が、四十年三月十二日付の運航規程の変更認可でございます。
  86. 野間千代三

    ○野間委員 わかりました。そこで、ことしの八月に日航が変えていないですか。
  87. 浜田幸晴

    ○浜田説明員 日付ははっきり記憶いたしておりませんが、大体七月の下旬か八月の初旬ごろに、日航が運航規程の一部変更をいたしております。
  88. 野間千代三

    ○野間委員 それで、七月か八月に変えたというのは非常に重要なんです。ことしの二月からあの四大事故が始まっているのです。その四大事故が始まっている二月からあと、八月に改悪をしているわけです。つまり、これは極端に言えば、事故が起きてもこれだけ延ばしておけば規程上は差しつかえないということになるのです。そのことをぼくが言ったのです。こういうところにもっと目をつけなさいというんです。これが一点。  それからもう一つは、これはまだ局長の研究が足らないようですから、こういう問題についてICAOはどうのこうのと言っていないで、ちゃんと日本の実情に合った、操縦士あるいは管制官、そういう人たちの勤務に余裕があり、そして安全に輸送できるような体制にするように、標準をきめてやるべきではないか。八月に変えたときには、そのために、ここの操縦士の労働組合は分裂している。こうされては困るというので、労働組合の大分裂があった。労働組合の大分裂を強行してまでこれを直している。これが一つの営業政策ですね。労働者には過酷な労働をさしておいて、お客さんはたくさん取ってしまう。そうして取った結果、うまくない場合には、こういう無理な操縦をさして、それが事故の一つの原因だといわざるを得ないでしょう。そこで営業政策のために従業員にあらわれてくる運航規程というものはもっと厳重に監査をして、認可をする際には、もっときちっとした認可をしてもらいたい。これが一つ。  それからもう一つは、お客さんをやたらに取ってしまう、こういう営業政策は、いつも大臣局長も言われるでしょうが、国鉄の事故の場合でも何でも、営業政策ではありませんと言っておる。今度の場合でもそうでしょう。ですから、こうした営業政策はきちっと、監督官庁である運輸省がもっと厳格に監督する必要がある。私は、今度の事故の場合でも、ここに運輸省の怠慢があると言わないわけにはいかない。ですから、事故原因になる、こうしたお客さんを無理に取ってしまう営業政策は、その結果事故が起きたために、またお客さんが減っているじゃないですか。全日空計画では、ことしの下半期からは黒字になってきて、四十三年にはとんとんになるという計画だったんでしょう。それができないですね。もっと確実に、お客さんを丁寧にちゃんと安全に輸送する、そういう体制で、その実績を積んでいって、そうして黒字になるというふうにすべきでしょう。この営業政策の問題について、大臣、もっときちっと答えてください。
  89. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 今回の事故等は具体的にどういうことか、これから調査を進めませんと申し上げられませんが、原則論を申し上げますれば、確かにいま御指摘のとおりでございまして、営業政策のために安全がそこなわれるというような、そういう経営のあり方があってはならないわけでございます。そういう点については、十分厳重に今後も検討をしてまいりたいと思います。
  90. 野間千代三

    ○野間委員 終わります。
  91. 田邉國男

  92. 中村時雄

    中村(時)委員 私は、今般の、十一月十二日午後八時三十分ごろ、松山空港西約二キロの海上で、全日本空輸株式会社所属YS11型旅客機オリンピック号が墜落、乗客四十五名、乗務員五名、合わせて五十名のたっとい生命が一瞬にして失われた事故に対して、運輸大臣並びに関係局長にお尋ねをしたいと思っております。  そこで、お尋ねする前に、各党でそれぞれその立場を表明されたわけでありますが、私もちょうどその当日その現場におったわけであります。そういう立場から、党を代表いたしまして、このたびの事故によって不幸不慮の災難にあわれました五十名の痛ましい犠牲者に対して、つつしんでその御冥福をお祈りするとともに、御遺族の人たちに対し心から哀悼の誠をささげ、まだ発見されていない遺体の収容が一刻も早からんことを心からお祈り申し上げる次第であります。同時にまた、そのとき私はちょうどその海上約一キロのところにおったわけであります。興居島という小さい島でありますが、ちょうどそこにおったわけであります。その帰途、午後十時半ごろ現場付近を通って、みずから実情を見ておりますので、そのときにおける、捜索活動に寝食を忘れて懸命に努力されましたところの海上保安庁警察庁、自衛隊をはじめ地元の漁民の方々、また遺族方々に一刻も早くその安否をお知らせするために御努力くださいました報道関係の皆さんに、満腔の敬意と感謝をいたす次第であります。  そこで、私は質問を二つに分けてお尋ねをしてみたいと思っておりますが、その第一は遺体収容という問題であり、第二点は原因究明という問題であります。そこで、その質問に入る前提として、まず大臣にお尋ねしたいことは、これはおそらく大臣就任の最初の大きな問題として、あなたの手腕と誠実さを示す最も重大な問題であることを、まずあなた自身が認識をされて、明確に御答弁を願いたいと思うのですが、それに伴うあなたの御決意はどうかということを承りたい。
  93. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 当面まだ収容されておらない遺体の収容ということに全力をあげなければいけないわけでございまして、私も十五日現地に参りまして、現地の状況等から見まして、羽田沖事故以上に相当広範囲の捜索が必要であるという判断をいたしまして、当時でも、すでに羽田沖のときよりも以上の艦船、船艇を出しまして捜索をいたしておりましたが、さらにこれを増強するように現地において指示をいたし、昨日からは百五十隻を上回る船艇によりまして、あるいはまたその捜索の方法等についてもくふうをこらして捜索をさせておるわけでございまして、一日も早くすべての方々遺体を収容するように、最善を尽くしたいと考えております。  もう一つ、事故の探求でございますが、これについても、先ほど来お話がございましたように、事故調査結論と……(中村(時)委員「その点は逐条的に聞いてまいりますから」と呼ぶ)  それでは、それだけをお答えしておきます。
  94. 中村時雄

    中村(時)委員 それではまず第一にお尋ねしたいのは、すでに五日を経過しているわけですね。五日を経過した今日現在、現時点において、遺体が何体収容されましたか。
  95. 堀武夫

    堀説明員 二十五体でございます。
  96. 中村時雄

    中村(時)委員 いま大臣もおっしゃいましたように、十五日には現地に視察に行かれたわけであります。その際、あなたは松山西署の遺体仮安置所において、遺族方々と御面会をなされましたはずです。その際に遺族方々から切実な声をもって、あなたにいろいろな問題をお尋ねになったと思っております。  そこでお尋ねをしていきたい。そのときに私も聞きました。その当時こういうことを言われておる。あなたのおっしゃったのは、遺族を前にして、何とも申しわけない、何とお悔やみを述べてよいかことばであらわせない気持ちです、遺体引き揚げについては現地関係係官を督励してきたところで、もうしばらくお待ち願いたい、こういうふうにおっしゃっていらっしゃる。これに対して遺族代表から、事故が起こるたびに同じことばをよく繰り返しているが、改善されていない。航空会社にまかすことなく、政府の力で改善を進めてもらいたい。あるいは、全日空遺族に対して非常に冷淡である。あるいは、全国の船を集めて捜索に当たってはどうか、船が少な過ぎるじゃないか。そのときには確かに船が少なかったはずであります、それまでは。また特に、白崎一郎さんから、あなたに対してこういうことを言っているはずです。けさ現場に行ったが、捜索船より報道船が多いようでは遺体があがるはずはない、六十一歳の父が三十二歳のむすこを失ったくやしさはたとえようもない、もしむすこの遺体があがらなくてもしようがないが、この際言いたいのは、二度とこんな事故が起こらぬようにしてほしいと、泣きながらあなたに訴えたはずであります。このことを御確認願えるかどうか。
  97. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 そのとおりでございます。
  98. 中村時雄

    中村(時)委員 そこで、私は具体的な問題としてお尋ねをしてみたい。  二月の東京湾墜落事故捜索体制に比べて不十分であるという不満は、遺族方々がいま言ったように表現をしていらっしゃる。そうして現地の潮流の関係、そういうものは、私はその付近で生まれておりますから、よくわかる。あそこは表面の潮流と底流というのが逆流するのです。実際の潮流がストップするのはわずか一時間ないし二時間であります。そういう複雑な潮流になっておる。それで、現在協力しております民間の漁船は、ほとんどエビ網漁船であります。十分な捜索は、エビ網漁船では、御承知のようになかなか望めないのであります。そこで、愛媛県には、幸いに宇和地区においては、底びきローラー五智網漁船という大型のやつがあるわけです。この五智網漁船をこれから動員しても一体も残さず徹底的に収容するという決意を持っていらっしゃるか、あるいは県を通じてもそれらを借り入れて、ほんとうに捜索に当たるかどうか。そういうことをまずお尋ねをしておきたい。
  99. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 私もその漁船の能力等について十分つまびらかにはいたしておりませんが、より強力な、たとえばそうしたただいまお話しのようなものがありますならば、それは十分愛媛県を通じ、それらの漁業組合等を通じまして協力を求めて、その手段に出るようにさらに指示をいたしたいと思います。
  100. 中村時雄

    中村(時)委員 それは本日調査をされて、直ちに県と打ち合わせをし、明確にしていっていただきたい。これはどうですか。
  101. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 直ちに現地の捜索を担当いたしておりまする方面等に命じまして、現地におきまして県庁その他と連絡をさせ、いま現在操業されておるかどうかわかりませんけれども、もしそのほうに回せる余裕がありますならば、直ちに回していただくような手配をいたしたいと思います。
  102. 中村時雄

    中村(時)委員 私がなぜそういうことをお聞きするかといいましたら、あなたが十五日の六時に出発されて以来、あなたの言質だけでは十分納得ができず、遺家族が十五日の午後七時、県庁に久松県知事をたずね、こういうことを言っているのです。あす十六日から、もっと大型船をふやして、一日も早く遺体を引き揚げられるよう、知事から関係方面へ要請してほしい。それから、大臣から何か捜索強化の指示はなかったか、こういうことを言われておるのですね。それに対して久松知事が、県としては漁船参加についてはいつでも協力するし、運輸大臣捜索本部へすぐ御要望をお伝えしたい、こういうことを言っているのですが、県から運輸大臣に対して、大型船をふやしていただくように要請があったかどうか。いまの御答弁を聞いておりますと、まだ十分御認識していらっしやらないように承るわけなんですが、県からそういうような要請があったかどうかをお尋ねしたい。
  103. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 私に対しましては、久松知事からは、こういうことをしてはどうかという御提案はございませんでした。ただ私は、あそこにおります六管本部長に対しまして、遺族方々のお気持ち、御意見もあるし、さらに底びきその他の増強をするように、その際におきましては、県当局にも十分にお願いして、そういう処置をとるようにという命令をいたしてまいったわけでございます。
  104. 中村時雄

    中村(時)委員 続いて、運輸大臣は十四日の日に現場に行く予定であったということを承っておるのですが、これはいかがです。
  105. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 十四日に直ちに出発いたしたいと考えまして、防衛庁の航空機を使用いたすことを申し入れまして、防衛庁のYS11が羽田空港まで到着いたして、私もそこに参りました。ところが、当日の天候状況は、松山というよりもむしろ途中の天候状態が、とうていYS11で飛ぶには、ふさわしくないという報告でございましたので、その判断に従いまして中止をいたしまして、十五日に参ったわけでございます。
  106. 中村時雄

    中村(時)委員 これは明確にしておかないと、あなたを守るわけではありませんが、非常な誤解を受けるわけなんですね。ということは、十五日に、あなたは一時から四時まで現地視察をされておる。私は大臣の行動を陰ながら見守っておったわけなんです。航空局の技術部長、大阪府警、遺族らは、十四日に、あなたが延期をされましたその日に到着しているのです。実際にはその内容が明確に打ち出されていないから、なぜ来なかったかという、そういううわさが出てくるのは当然ですね。遺族としてみたら、何といっても、あなたが国の所轄の大臣であります。その大臣がいらっしゃるということは、大きな期待をかけている。その期待をかけているあなたがいらっしゃらないという問題が起こったわけです。そこであなたの決意を、この際やはり明確にしておく必要があるのではないか。なぜ私がそういうことを言うかといえば、当然あなたはその現地に行く義務があるはずなんですね。それはたとえば航空法の第百二十二条、これに「運輸大臣は、第七十六条第一項各号に掲げる事故があったときは、遅滞なくその原因について調査しなければならない。」その第七十六条第一項、これを受けてみますと、あなたは現地に行くべき一つの義務があるということになっていますね。そういうたてまえから私は言っているのですが、一体ほんとうにそういうような危険な状態の中でも、あなたは行こうという決意を持っておったのかどうか、そういうことを言明されておくほうがはっきりするのではないか、こう思って私はお尋ねしておるわけなんですが、どうですか。
  107. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 私はぜひ十四日のうちに参りたいという決意を持ちまして、準備を進めていただいたわけでございます。そうして防衛庁のYS11は、木更津にございますのが——しかし当時木更津におきましては、非常な突風が吹きまして、なかなか出発困難でございまして、午後一時過ぎになったわけでございますが、そのときにおきまして、その機の機長が気象関係と十分な連絡をいたしましたところが、途中が非常に気象状態が悪く、当日はローカルの飛行機は一つも飛ばず、何万フィート以上飛ぶような大型のジェット機以外は飛んでいないという状況でございました。これでは第一松山まで行けるかどうかもわからないという機長の判断でございます。これは私、しろうとにはわかりませんので、機長の判断によりまして、その日の運航を中止いたしたような次第でございます。
  108. 中村時雄

    中村(時)委員 それでその日の行動というのは明確になったわけです。そうでないと、こういう重要なときですから、あなた自身がいろいろの面で誤解を受ける面がたくさん出てくると思うのです。だから出処進退は明確に、この委員会を通じてされたほうがいいというふうに私は考えております。  さらに十五日の午後四時五十分、こういう息詰まる伊予灘の全日空の墜落事故現場の、松山空港沖十キロの北条市の磯河内沖百メートルの上空約百メートルの高度の中で、大阪府警航空隊のベル式47G2型ヘリコプター、この名称は「あおぞら1号」、それから全日空のベル式47D1型ヘリコプターの衝突による二重遭難が起こったことは御承知のとおりであるわけですが、その二重遭難は、いま言ったように四時五十分であります。そのときには運輸大臣はまだ松山にいらっしゃったはずです。松山においてこの事故をお聞きになったかどうか、これをお伺いしておきます。
  109. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 承知いたしております。
  110. 中村時雄

    中村(時)委員 ならば、私は一つ残念に思うことがある。それはどういうことかといえば、一方でこれだけの大惨事があり、捜査をやっていらっしゃる二つのヘリコプターの四名が墜落、惨死されておるわけです。そうすると、あなたがほんとうにそういう——見る者は苦しいです。苦しくても、それを突破して、もう一日ぐらい滞在を延長して、そうしてその善後処置を明確に行なわれる。その目で見られ、経験をせられ、そうして明確にあなたの態度をとっておったら、より以上よかったのじゃないか。ただいろいろな御都合もあろうと思います。そういうことができないほどの御都合があったのか。ある大臣は一週間ぐらい遊びにでも行こうかというときです。あなたが実際にそういう心がけを持ったならば、ほんとうに一つの新しい明確な路線が出てきたのじゃないか。いかにも残念に思うのですが、この処置はどうなんですか。
  111. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 捜索機の衝突事故につきまして、最後まで私が現地を見、あるいはそういうその他の処置をとったほうがよりよかったということは考えられます。私の日程にも限りがございました。その意味で、実は中央において各方面と連絡をとりながら、さらにこの捜索を進めるために、当時派遣をされた技術部長も私と同行して帰る予定でありましたが、私の行動が制約されておりますので、技術部長を残して、その善後処置についてさらに調査をし、あるいは改善すべきものは改善するように命じて残してまいり、技術部長はすでに機種による高度等についての規制について注意を与えておりましたが、さらに一機一機の行動等について、パイロットあるいは同乗員の行動等についてさらに注意を喚起するような方向によって、あるいは捜索をする空域をさらに限定をするというようなことによりまして、こうした捜索機の事故が再び起こらないような処置をとってまいったような次第でございます。
  112. 中村時雄

    中村(時)委員 私の言うのは、ただ単に大臣という名称に基づいて、こういう事故が起こったために、そこで急遽松山に行ったのだ、それは職務の一端を自分は果たしてきたんだ、こういう安易な概念でなくして、ほんとうにこれと四つに取っ組んでみようという誠意というものを示すならば、当然そのいい時期でなかったかと私は思う。同時にまた、そのことが遺族に対する一番大きな安心感になってあらわれておったんじゃないか、こう私はいまでも思っております。  そこで、十六日のあなたの行動、どういうことをやったのか、それをひとつお聞きしたいのと、少なくともそういうようなものの考え方は、あなたと一緒に同道された方々が、それくらいなサゼスチョンをあなたにしてしかるべきであったと思うのですが、そのことは別にしましょう。実際向こうから十五日に帰られたのですから、十六日には、松山から離れなければならぬほどの重要な事項に出っくわしておったかどうかをお聞きしたい。
  113. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 私の職務としては、もちろん運輸大臣として種々の職務がございました。それと同時に、私が視察をし督励をしてまいった、あるいはお見舞いをしてまいったその体験からいたしまして、さらに運輸部内の各方面に、それに基づいた各種の指示をいたすということが必要であると考えまして、帰ってまいったわけでございます。もちろん中村さんのおっしゃるような姿勢をとることが、あるいは私のこの事故に取り組む姿勢であったかという御批判については、甘んじてお受けいたすわけでございますが、私は私なりにこの事故に取り組む態度として、やはりさらに運輸省部内を督励するためには、私の体験をなまに各部局に話して、そうして捜索その他を推進させることが私の職務と考えて、帰ってまいったような次第でございます。
  114. 中村時雄

    中村(時)委員 実際いいましたら、どちらが有意義であったか。私はいま言ったように、いまはやはり死体を揚げることと遺族を慰める、それをどう打ち立てるかということのほうが——大臣は技術者じゃないわけです。事故究明というのは技術者の方々にまかしておいて、そういう一つの立場をとったほうが、国民としてはほんとうは喜ばれる筋合いであったと私は思うのです。しかし、そのことはお互いの主観の違いでありますから、これ以上は言いません。本来ならば、十六日に帰られて、いかなる局長、いかなる部長を呼ばれて、どういう処置をしたかを明確にしていくのですけれども、そういうことはこれで打ち切ります。  次に私は、事故の探求の問題についてしばらく御質問したいと思っております。私は四つの問題かあったと思うのです。一つはパイロットのミスである。一つは機体欠陥である。一つは空港の設備の不備である。一つは、全日空の経営と政策の不備、この四つに大別されるのじゃないかと思っております。  そこで、逐条的にこの四つの問題に関して、大臣にしばらくいろいろ質問をしてみたい、このように思っておりますが、その前に局長にお尋ねしたいのは、この種の事故の件数がここ十カ年くらいでどのくらいあったか、これが第一点。その事故の発生の場所はどこで行なわれたか。たとえば一番多い事故は、着陸時なのか、あるいは離陸時なのか、あるいは地上滑走のときなのか、あるいは航路上において行なわれたのか。それを統計的に、ひとつ過去十年のそれがありますれば、お知らせを願いたい。
  115. 堀武夫

    堀説明員 事故の統計はございますが、いまあいにくここにそろえておりません。後ほどお届けいたしたいと思います。  事故原因はどういうものが多いかと申しますと、いままで出ておる結果によりますと、操縦士のミスというのが六割以上でございます。それがどういう場合に——事故というものはまた別途の観点から、どういう場合に一番多いかと申しますと、離着陸の際がやはり一番多うございます。国によって違いますが、わが国では半分、五〇%以上が離着陸時の事故でございます。なお、これにつきましても、数字的なものは後ほどお届けできると思います。
  116. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、あなたのおっしゃることは、事故原因というものはパイロットのミスが五〇%以上、そうして事故の場所というものは離着陸のときがその大半を占めておる、こういうことに了解していいですか。
  117. 堀武夫

    堀説明員 操縦士のミスは六〇%以上と申し上げたわけであります。(「ほかにわからぬから操縦士のミスだと言っているだけじゃないか。ミスを立証できぬだろう」と呼ぶ者あり)それは、事故をできる限り究明をいたしまして、そういうふうに判定をしておるわけでございます。
  118. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、パイロット事故というのが原因としては一番大きい。その次には離着陸という問題が事故の場所としては一番大きいのだということになりますね。  そうしましたら、一つお聞きしたいのは、先ほどちょうど野間委員からおっしゃいましたが、それを例にとってみたいと思う。たとえば、野間委員からおっしゃったように、森機長がその日行なわれた行動、労働時間、そういうことを明確にひとつ発表していただきたい。
  119. 堀武夫

    堀説明員 飛行時間だけはわかっておりますが、その朝からそのときまでの行動は、いま調査中でございます。
  120. 中村時雄

    中村(時)委員 いま調査中と言ったって、その人間の勤務の状態をそこで調査をしているという意味なんですか。何もわからないという意味なんですか。問題はそれですよ。そういう怠慢な姿があり得るかどうかということを、私は追及しますよ。そうでしょう。事故が起こったのは十三日である。それから五日たっているのですよ。五日たった今日、まだそれすらわからないようじゃどうなるのですか。
  121. 堀武夫

    堀説明員 その日の勤務は、大阪から鹿児島に行く、乗務する予定でございましたが、鹿児島が天候不良のために板付のほうに着陸をいたしております。それから板付から大阪に空輸、からで来ております。それで、その後大阪から松山に参ったわけです。そこでこの事故が起こっておるわけでございます。
  122. 中村時雄

    中村(時)委員 答弁するときによく注意しなさいよ。あなたのいまおっしゃっておることから、すぐに二つの問題が出てくる。一つは、いまこの場で調査をしようという考えだったのか、あるいはまだ調査中なのか、それはまだほんとうにでき上がっていないのか、いまのあなたの答弁はそういう誤解を受ける答弁なんです。そこで調べてみたらはっきりとそれが出てくるじゃないか。出てくるならば、いまここで云々しておるからという答弁をすれば明確になるのです。そういう点の答弁のしかたというものは十分注意してやっていただきたい、ただおもしろがってやっておるのじゃないのですから。  そこでお尋ねしておきたい。そういうふうな一つの問題が出てきた場合に、私が一点お尋ねしたいのは、会社の経営の内容からして、そのダイヤの変更のために、人間が従属的にこのような扱い方をされていいものかどうか、その点をまず第一点お聞きしたい。
  123. 堀武夫

    堀説明員 当日のフライトの時間は三時間十五分でございまして、大阪から別な便が松山に行く予定が振り変わったわけでございますが、機材繰り、人繰りというものは、平常も当然あるわけでございます。それで、このような変更ということによって、森機長をこの便に従事させたということに、そんなに無理があるというようには私たちは考えておりません。
  124. 中村時雄

    中村(時)委員 それではお尋ねしますが、その日によって人間の肉体労働的な疲労というものは出てくるわけじゃない。やはり蓄積されて出てきます。それでは一週間におけるところのこの森機長の勤務状況はどうなっておりますか。
  125. 堀武夫

    堀説明員 一週間前からの勤務状況はわかっております。六日の日からここに資料がございますが、六日には三時間三十五分、七日には六時間、八日は四時間、九日は休みでございます。十日は三時間五十五分、十一日は二時間三十分、十二日は四時間二十五分、十三日は、先ほど申しましたように三時間十五分、これを、休みの日を除きまして七日間の平均をとりますと、一日四時間十一分という乗務時間になっております。
  126. 中村時雄

    中村(時)委員 この最後の十三日の三時間十五分というのは、大阪をたって松山へ行ったその労働時間も含まれるという意味なんですか。
  127. 堀武夫

    堀説明員 含んでの時間でございます。
  128. 中村時雄

    中村(時)委員 そこでお尋ねしたいのです。たとえばいまあなたのお話を聞いておりますと、大阪から鹿児島に向かって飛ばれた。そこで天候が悪くて、鹿児島から板付に向かって飛ばれ、その後大阪に帰っていらっしゃった。人間というものは精神的な動揺というものが非常に多いのであります。たとえば天候が悪くてついに自分の職務を果たし得なかった、こういう動揺は必ずあります。たとえば野球をやっておる者が、それでは平常の立場においていつだってホームランが打てるかというと、打てるものではないのです。それと同じように、そういう非常な不安定な状況の中で帰られた方が、今度は——その前には天候が悪いということから延期になっておった。フレンドシップはそのために延期になったでしょうが、着陸がおくれたでしょうが、先ほどのあなたの御答弁を聞いておりますと。そういうような天候の悪い中を、突っ込んででも、また再びそこで操縦をしなければならぬという立場に立たされておったわけなんです。そうでしょう。そういう精神の不安定というものをあなた方は考えていらっしゃるかどうか。
  129. 堀武夫

    堀説明員 鹿児島が天候不良ということで、もう鹿児島まで行かないで板付に着陸をいたしまして、そして板付から大阪まで客を乗せないで帰ってきておるわけです。こういうような天候というものは通常よくあるケースでございまして、特に鹿児島まで行って、天候のために非常にひどい目にあってきておるというわけではございません。ですから先生の御心配になるような事情はなかったのじゃないか、かように承知をしております。
  130. 中村時雄

    中村(時)委員 私がいま言うのは、技術面にはそういう自信があっても、ちょっとしたことで人間というものは動揺するわけです。これは皆さん方自身が長年の経験上からでも明確におわかりだろうと思う。その一つのあらわれが、着陸態勢に入ったときに非常に高度が高かったともいわれておるんですよ。私は、これは結果が出ないと、原因がこうだという的確なことは申しません。そういううわさすらされておる。そして入ってきたときに、滑走路千二百メートルのうちで、五百メートル以上もオーバーして着陸態勢になっておるというような状態になってきておるわけですね。そういうふうな精神的な動揺が、このような熟練者にしてもあり得るのじゃないかという、これは推察でありますが、推察すら行なわれるのじゃないかというふうに考えられる。  そこで私は、そういう立場から、三つ、運輸大臣にお答え願いたいと思う。一つは、こういう状態から考えて、パイロットの健康管理はいま現在各社にゆだねられておりますね。そこで特にこれが航空局に配慮がなされていないというのがいまの現状じゃないかと思っておりますが、そういうパイロットの健康管理に万全を期するために、身体検査の基準であるとか、先ほど言われましたが心理適性の基準であるとか、こういうことを各社に実施をさす必要性が私はあろうと思う、こういう機会に。そういう立場に立って、そういう問題の解決をはかろうと運輸大臣はされておるかどうか、これをまず第一点にお聞きをしておきたい。
  131. 堀武夫

    堀説明員 ことしの春の事故以来、各社もいま先生がおっしゃったような点に非常に留意をいたしておりまして、適性管理あるいは健康管理ということを具体的にやっております。たとえば全日空の場合について申しますと、新たに操縦士になろうという者には、いろいろな適性検査をやっております。たとえば脳波検査あるいは心電図をとるとかというようなことでもって、不適格者をはずしていく。それから防衛庁に依頼をいたしまして、航空適性検査という特殊な専門的な検査の実施をいたしております。それから、すでに操縦経験者である者に対しては、慈恵医大の専門医師を頼みまして、心理テストというようなものをやっております。それから、現にずっとパイロットとして従事している者に対しても、いろんな適性検査、健康管理をやっておりまして、先ほど申しましたような心電図などもとっております。それから、定期的な身体検査というものも、権威ある医者をお願いしまして、そうして集中的な健康管理をやっております。それから、健康診断の場合の受診科目というものの中にも、心電図、脳波試験というものを、ことしの八月から全員にそういう受診科目を追加しまして、全員に心電図、脳波試験を受けるようにいたしております。それから東京、大阪以外でも、勤務を終わって旅館に泊まるというような場合、非常にざわざわとした環境の中で夜休ますということにいろいろ問題がありますので、全部ホテルの個室をとりまして、静かに休ませるような措置をとっております。それから、疲労度の測定検査というものを慈恵医大に依頼をしまして、各種の業務割りを選んで検査をし、そうしていろんなデータをとって改善を進めております。それから健康管理のいろいろの基準というものも、慈恵医大に依頼して、乗務員として乗務しないほうがいいかどうかということを判断するための基準というものを作成して、実施に移そうといたしております。それから、健康管理カードをつくりまして、常に乗務課において各乗務員の健康管理をしております。それから、勤務を終わってうちへ帰る場合、これは満員電車に乗っていくようなことでは困る、また朝自宅から乗り組みのために空港に出てくる場合にも、満員電車等で非常にゆられて疲労をしないように、送り迎えの車を出すようにして、自宅から空港まであるいは空港から自宅までというような送迎をするような措置を、夜の二十時から朝の九時までの場合に、それをやっております。それから、休日は普通二十四時間、一日でございますが、それを三十六時間、一日半をもって休日、だから一日半の休みを与えるというふうなこともやっております。それから東京、大阪の運航所には特に休憩室を設けて、フライトとフライトの間休息を十分とれるように施設整備いたしております。それから、もちろんこれはほかの会社も当然でございますが、勤務時間中の食費は会社で負担しておる、このような措置を具体的にやっております。
  132. 中村時雄

    中村(時)委員 いまお話を聞いておりますと、私は総体的にはけっこうなことだと思います。しかしいまのあなたの答弁を聞いておりますと、まず新入をされた方、それから平常時、それから実際の操縦をして後の健康状態、これらを中心に、心電図とか脳波とかいろいろなことをおっしゃっておる、これはこれとしてけっこうです。しかし一番大事なことは、離陸をする前の状態がどうであるかという問題に関して、たとえば森機長が実際に乗り込もうという前に、こういうふうな検査をされたかどうか。
  133. 堀武夫

    堀説明員 毎日の乗務をやっておりますし、そして毎日、ある地点からある地点、それからまた別の地点に、何べんもフライトがあるわけであります。そのフライトのつど心電図をとるとか脳波試験をやるということは、実際問題として非常に困難ではなかろうか。そういうふうにフライトごとにチェックをするということができれば、それにこしたことはございませんけれども、これは非常に困難ではないか。したがいまして、定期的の健康診断の場合にやっておる、こういうのが実情でございます。
  134. 中村時雄

    中村(時)委員 だから大臣、お聞きのとおり、一番重要なときは、フライトの状態のときに、自分が乗り組むときに、その前の状態がお客さんを預かる一番重要なときなんでしょう。平常のこういうデータも必要です。必要だけれども、一番肝心かなめのときというものは、その飛行機に乗り組むときの状態が私は一番大事だと思う。そういう意味において、具体的な資料をとりましたけれども、それ以外に一つの方法を考えなければならぬと私は思っておるが、その一番重要なポイントをはずして云々されておったのでは、ほんとうの基本は出てこないと思うのですが、大臣はどういうお考えを持っていらっしゃるか。
  135. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 健康管理には、ただいま航空局長からお答えしたようなことで現在実施いたしておりますが、さらにどういう方法がありますか、私ども医学のほうに全然知識がございませんのでわかりませんが、ただいま御指摘になりましたようなことについてどういう方法があるか、十分医学の専門の方々に検討を願うような方法を考えたいと思います。
  136. 中村時雄

    中村(時)委員 局長、いまお聞きのとおりです。私はそれが一番大事だと思っておる。そこで、私もこういう健康上のものはしろうとであります。だから具体的にこうだというきめ手は何もわかりません。わかりませんが、あなたにもわからないと思う。だけれども、わかった人たちが日本にはたくさんおるわけです。そういう人たちと、いまの大臣のお答えを受けて立って、明確にそういうふうな方向を打ち出される決意があるかどうかを伺います。
  137. 堀武夫

    堀説明員 そういう身体の条件をチェックする機会が多ければ多いほどいいと思います。しかし実際問題として、毎日毎日やるということも事実上困難であります。ですから、できるだけ今後そういう回数をふやしていくというふうに努力いたしたいと思います。
  138. 中村時雄

    中村(時)委員 私の言っておる質問をよく聞いておってください。抽象論で言っておるのではない。乗り組むときが一番大事なんでしょう。あなたが実際に医者であって、これはこういう方法があるということなら私はわかりますが、あなたにも全然わからないでしょう。だからそういう専門家の方に対して、あなたがそういうふうな方法があるかないかを具体的に聞いて、その結論を出すという行き方をとられる決意があるかどうかを私は聞いているのです。
  139. 堀武夫

    堀説明員 全く新しい方法ができてきて、簡便にフライトごとにチェックする方法があれば、ぜひそういたしたいと思います。そういう研究をしてみたい、かように思います。
  140. 中村時雄

    中村(時)委員 局長、あなたどういうお考えな  のか知らぬけれども、してみたいとか、みたくないとかいうことじゃないのです。あなたは専門家じゃないから言っているのですよ。そうでしょう。だから専門家の方に聞いてそういうことができるような具体的な、たとえば審議会なら審議会でもけっこうですよ、そういう何らかの方式を打ち立てるような事柄を、大臣のいまの考え方を受けて立って、そういう行為をする決意があるかどうかを聞いているのです。
  141. 堀武夫

    堀説明員 大臣のおっしゃったのと同じ決意でもって進めていきたいと思います。
  142. 中村時雄

    中村(時)委員 それをやった結果は当委員会に御報告を願いたい。  それからいま一点。先ほど五十名のなくなられた方、そのときの最初の新聞の報道あるいは全日空の報道は、乗客四十六名と発表している。ところがそのあとで実質的に調べて、翌日四十五名と発表されたわけなんですね。実際にはフレンドシップの場合には四十名の乗客だった。しかるに実際は四十五名を乗せていた。そのことの疑義が、一般から見れば営業政策上客さえ多く乗せればよいではないかという疑義が生じる。ところが実際にはフレンドシップが非常におくれて入ったので、機種を変更して四十名というものを乗客をオーバーして四十五名にされた。そこに営業政策的な問題があるのじゃないかということが、疑義として私はやっぱり残っていくと思うのです。そういう立場を考えた場合、これを機会にやはり定員数として四十名なら四十名で打ち切った場合には、それ以後は切符を売らないというような明確な線を運輸省のほうから明確に、この営業所というより全日空に対し、あるいはほかの航空会社に対し、そういう基準は基準として、規律は規律として厳格に守るような指示をされるかどうか、お尋ねをしておきたい。
  143. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 座席以上に切符を予約するというようなことは、これは非常におかしな話といいますか、あり得べからざることでございます。今回の四十五名乗ったのがどういう事情かもう少し究明をいたさないとわかりませんで、予約を四十五名あるいは四十六名とったのか、その他の理由によるのか、なお究明しなければなりませんが、原則論として、ただいまお話のようなことは厳重に順守させるつもりでございます。
  144. 中村時雄

    中村(時)委員 それは事務的にも非常にルーズなんです。そうでしょう。四十五名あるいは四十六名と変えてみるとか、それは一つのリストがきちっとできていないということですね。これは経営の内容ですからここでは申しませんが、私の言っていることは、せめてこれを機会に、いま言ったように——先ほど大臣の御答弁の中にこういうことを言っていらっしゃる、フレンドシップがおくれた、ところが空港のほうではいまの11機を出すのだ、そうすると定員数が四十五名になる、あるいは四十六名になるのだ、こういうことなんですね、切りかえたのですから。そこでこういうことが考えられるのですけれども、営業上という意味も一つあるでしょう。空席を出して飛行機を飛ばすということは営業上損失であります。そこで満ぱいにしておいて出したいという考え方が確かにあろうと思います。それと同時に、もう一つサービスの考え方として、次から次へその日になって押し込んでくる乗客もおるわけですね。それも含めて、できれば、機体も大きくなったのだから、それだけのものを入れようじゃないかという考え方も私は納得します。しかし納得するがゆえに、いままでの原則的な機構なり規約というものを変更さすような事柄はやらないほうがいいのじゃないかということを言っているわけです。ただそういうことをやるならば、これはだれしもあるのです。よく観光ブームに乗って船に積載人員より以上に積んで転覆をして人命を失ったということは多々あるでしょう。だから少ないほうが技術的に安全かどうか知りませんけれども、そういう観点を考えてみて、切符を余剰に売るとか、そういう売り方をしないように厳に注意をしていく必要があるのじゃないか、こう思っているのでお尋ねしているのですが、そういう点をそれぞれの企業形態に明確にされるかどうか。
  145. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 そういう定席以上に予約をとるというようなことにつきましては、厳守させたいと思っております。
  146. 泊谷裕夫

    泊谷委員 関連して。いま大臣中村議員の質疑を聞いていまして、飛行機の場合、座席よりオーバーして乗せるということはないですね。座席の数だけ乗せられない場合がある。条件がそろっていればいいけれども、高松はYS11でも人員は制限する場合がある。かりに座席が六十あっても、空港によって積載する人員と荷物の調和をとらなければならない。それについていまお話のあったように各空港ごとに通達を、けじめをきちっと入れるということですか。乗客は何名、荷物は何トンというようにきめるということに聞いていいのですか。
  147. 浜田幸晴

    ○浜田説明員 ただいまお話のございました高松空港の場合でございますと、温度が高い場合にはフレンドシップの場合でもYSの場合でも満席にできないことがございます。したがいまして、これは温度の度合いによりまして席数がたいへん変化いたしますので、会社は確実にしかも簡便にこれを処理し得るように、運航規程の添付資料といたしまして、温度、風、重量、この三つの関係が一目でわかるような別表をつくっておりまして、重量で押えておりますので、人間の数と載せる貨物、これを全体をひっくるめてどれだけの重量か、その日の気温と風によってすぐ計算する表に基づいて処理いたしております。
  148. 泊谷裕夫

    泊谷委員 そういう意味ならばいいです。
  149. 中村時雄

    中村(時)委員 次に第二点に入っていきたいと思います。松山空港施設についてであります。一般的な問題は各委員からおっしゃっていましたので、私は松山空港に限定をして進めてみたい、こう思っております。事故発生の場所は、この運輸省から出ておるところの「主要航空機事故の概要」というのに載っているのを見ますと、ほとんどが、時間として夕暮れどきになっている。いま言ったように離着陸のときが事故の場所としては一番多い、こういうことになっているわけなんです。そこでお尋ねしたいのは、空港施設原因があるということが、大体大目に見てはっきりしてくるわけです。離着陸ということが中心になってくれば、空港そのものに問題が出てくる、こういうことになってくる。東京、大阪以外の二種と三種のローカル空港では、どこでも事故を起こす危険性が、私はある意味では含まれているのじゃないかと思う。今度の事故に対しても全日空が云々したのだとおっしゃったけれども、その遠因を探ってみれば、私はやはり運輸省のこの空港政策に伴うところの拙劣さがその遠因として生まれてきているのじゃないか、このように思っているわけです。そういう立場から、どこでも事故を起こすようなそういう危険性が秘められておるのじゃないかと思っているわけです。現在のように、スピード時代と観光ブームでローカル空港の発着機数はふえる一方であり、使用機も大型化しているにもかかわらず、空港設備は、先ほどからのお話を聞いていると、非常に不備な点が多々ある。これは大臣もある意味ではお認めになっているようなので、これ以上追及はいたしませんが、松山空港の場合におきましては、毎日午前八時から午後七時半まで十八便、三十六回就航して、昨年一年間の乗降客数は二十七万人という、国内線ではおそらく全日空としてはドル箱的な空港になっておった、このように考えていいのじゃないかと思っております。その滑走路は、これも御承知のように千二百メートル、先般やっと直りまして幅を四十五メートルにする拡張工事が、たしか十月の五日であったと思うのですが、五日に完成しておりますが、しかしGCA、要するに地上誘導管制施設あるいは計器着陸装置、これはおそらく設置されてないのじゃないか。拡張はされましたけれども、肝心のそういうものは設置されていないのじゃないかと思うのですが、これはいかがなんですか。
  150. 堀武夫

    堀説明員 計器着陸誘導装置は、いまのところ東京、宮崎、それぐらいでありまして、松山にはまだついておりません。それで今後二千メートルに延ばして、そしてそういう保安施設もつけていくということで、いま計画いたしております。
  151. 中村時雄

    中村(時)委員 二千メートルになった暁にはつける、こうおっしゃる。そうすると、問題は二千メートルに早くするということに帰着するわけです。大臣、そうお思いになりませんか。ちょっとお尋ねしておきたい。
  152. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 私の聞き及んでおるところでは、計器着陸装置をいたすのには千二百メートルでは足りないと聞いております。したがいまして、ランウエーを二千メートルにする、その際に施設もいたすということになろうかと存じます。
  153. 中村時雄

    中村(時)委員 先ほど局長、一つ答弁を忘れているのですが、地上誘導管理施設はついておりますか。
  154. 堀武夫

    堀説明員 PARとかASRとかいわゆる地上誘導装置施設のことではないかと思いますが、これはついておりません。
  155. 中村時雄

    中村(時)委員 それでは、もう一つお尋ねしたいのは、これは事務局でけっこうです。昭和三十九年度の拡張整備計画松山空港では立てられておったはずでありますが、その内容と、計画どおりに進んでいるかどうかという進捗状況、その二つをお尋ねしておきたい。
  156. 堀武夫

    堀説明員 すでに滑走路かさ上げ、それから着地帯の拡幅は、先ほど先生おっしゃったように済んでおりますし、滑走路延長につきましても陸側四百五十メートル、海側三百五十メートルにつきましても、その用地買収の交渉をすでに行なっておりまして、七〇%くらい用地買収の交渉が進んでおります。なお、進入角指示灯というものも、その後、三十九年以後つけておりますし、滑走路灯滑走路末端灯、それから誘導路灯、それから飛行場灯台というものも全部そろっております。もうあとは滑走路の長さを延ばすということでございまして、さらにその後計画を追加いたしまして、今後ILSという計器着陸装置をさらに加えて整備したい、かように考えております。
  157. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、先ほどのお答えを総括いたしますと、二千メートルにした場合は、いまの地上誘導管理施設や、あるいは計器着陸装置、そういうものもつくということになれば、いま言った延長が、松山空港としては一番問題になってくるわけです。その延長の用地買収という問題が、私は非常なネックになっていると思うのです。局長はどういうふうに御答弁なさるか知りませんが、現地におって、私たちは数回となくこの問題に立ち会っております。そういう立場から、あなたが考えていらっしゃるような用地買収というものは安易なものではないのです。  これは、御承知のように、この計画ができる以前から、その用地の買収に入らんとしたときに農民側からの反対が出ました。その反対はどこにあったか。一点は、新幹線等におけるところの用地買収は非常に高額であるが、いなかの松山あたりの用地というものは、非常に低額で買収されている。さらにまた、この地区におけるところの農地を持っておる人たちは、これはもと海軍に強制収用されてしまったものですから、返せという運動が起こった。そのときに、県が中へ入って、あるいは市が中へ入っていろいろ折衝しましたが、その下のところに四メートルのコンクリートをぶち込んでおるのです。そういう観点から、難航するこの二点が生まれてきた。  また、もう一つは、ここは半農半漁であります。だから漁がまずいときには、この農地によって生計を立てなければならない。その生計を立てるところであるから、いま言ったように、買収の金額が折り合わないわけです。さらに、たとえばそれだけ減らされるならば、少なくとも多角経営の農業として、あるいは養鶏をやり、養豚をやる、そういう別の角度でこれに打ち込んでいかなくちゃならない。ところが飛行場になりますと、鶏が卵を生まなくなる。そういうような問題をからませて、なるべくならば飛行場をつくりたくないというのが当初の意見だったのです。それがだんだん発展してしまって、世論に押されて、ついにいま言ったような方向をとってきておるのですが、そこで考えられるのは、そういう農場を用地化していく方向でなくして、たとえば海のほうに向かって埋め立てを行なうとか、何らかの方法も別にあると思うのですが、そういう研究をされていらっしゃるかどうか。
  158. 堀武夫

    堀説明員 飛行場の拡張につきましては、この松山空港のみならず、すべての空港に非常な困難を伴います。私自身この用地買収は甘いものだとは決して思っておりません。どの空港においても非常に大きな障害にぶっつかっております。ですから、でき得ればそういう用地問題に関係なしに、あるいは埋め立てということができれば、これは一番いい話だと思います。ただし、海の埋め立てにいたしましても、やはり漁業権の問題というものがあります。ですから、どっちへ向かっていってもむずかしい問題はあると思うのでございます。で、この松山の場合は、海側の方と陸側のほうと両方に延ばすということを考えておるわけでございます。これはどうして海側だけに延ばすことにしなかったのかというおそらく御質問ではないかと思われますが、その間の事情につきましては、私まだ詳しく事務のほうから聞いておりません。おそらく海のほうへ持っていった場合の工費の問題、われわれはいつも予算というものに縛られておりまして、そういうものを勘案しながらやらなくちゃならない関係もあって、おそらくこういう計画になったのじゃないかと思います。もしそうでなかったら、またあとで訂正いたします。
  159. 中村時雄

    中村(時)委員 いま非常に重要なことをおっしゃいました。予算問題に縛られるとおっしゃいましたが、運輸省におきまして、たとえば鉄道等に投ずるところの用地、あるいは新幹線ですね、そういう費用とそれからあなた方の所管のこういう費用と、どの程度の相違があるか、ちょっと知らせていただきたい。
  160. 堀武夫

    堀説明員 たとえば新幹線の買収価格とこの松山空港の買収価格とがどう違うかという御質問だと思いますが、新幹線用地といいましてもいろいろな場所がございまして、それをどういうふうに比較するかというのは問題でございますが、平均価格というもので比較をする方法もございますが、いま手元に資料がございません。調べて答弁いたしたいと思います。
  161. 中村時雄

    中村(時)委員 いま言った一番の重点は、要するに二千メートルにするためにはどうすればいいかという問題が焦点になってくることはあたりまえなんですね。そうすれば、当然用地というものが問題になってくることもあたりまえなことなんです。ならば、そういう一番重要な観点の資料だけはちゃんと整えておいていただきたいということをお願いしておきます。  そこで、これは私おわかりになる点だと思うのですが、いま国鉄のそういう予算面からくるところの経費、それが一体国鉄には幾ら出ておるか、実際に航空関係のほうでは総額的に幾ら出そうとしておるか。昨年度幾らになっておったかということをお尋ねしておきたい。
  162. 堀武夫

    堀説明員 飛行場関係施設、公共事業としまして四十一年度は三十六億。国鉄のこういうような施設関係の額は幾らであるか、私にはいまわかりません。航空局のことだけしかいまのところ資料を持っておりません。調べてお答えいたしたいと思います。
  163. 中村時雄

    中村(時)委員 昨年度のはわかりますか。
  164. 堀武夫

    堀説明員 国鉄のこのような数字をいまここに持ち合わしておりませんので、別途調べてお答えしたいと思います。
  165. 中村時雄

    中村(時)委員 おそらく、調べられたら非常に格差があると私は思うのです。調べてごらんなさい。私が調べた範囲内のことは申しませんが、あなた方自身がそれを腹に入れて調べてごらんなさい。それはおそらく十分の一にも満たぬのじゃないか、こう思っております。いま一番脚光を浴びておる飛行場がこういう状態で、機種のほうはどんどん進歩しているが、肝心のところがこういうふうにおくれた状態になっている。  そこで、私は運輸大臣に一言お尋ねをしておきたい。国鉄同様に、運輸行政の上においてこの航空行政というものを明確に打ち出そうとされていらっしゃるかどうか。
  166. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 現在の国情におきましては、航空というものは、国鉄あるいは船等と同様に非常な重要性を持ってきておるわけでございまして、そういう意味においての航空の位置づけを私はやりたいと考えております。ただ、いまお話が出ておりまする全体の投資額がどうかということでなくて、同種の、たとえば田を一反歩幾らで買うかというようなことにつきましては、これはできるだけそろえていかなければいけないんじゃないかというふうに考えております。
  167. 中村時雄

    中村(時)委員 ということは、いまおっしゃったように六十三億くらいのこれで、各県一つのローカル空港をつくっておるのに、実際にやれるかどうかといったら、予算上の措置から見て非常に少ないということが言えるのじゃないか、私はそう思うのです。これは大臣はどう思っていらっしゃるのですか。
  168. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 従来の特に空港に対する社会資本の投資額と申しますか、御指摘のように、確かに他の交通機関に比べて少なかったということは率直に認めます。したがいまして、ただいま申しましたように、航空の日本における位置づけというものをはっきりして、その計画に基づいて空港に対する社会資本の投資について十分考慮をしてまいりたいというふうに思うわけでございます。
  169. 中村時雄

    中村(時)委員 ただ、お気づきがおそいようです。局長を援護するために言っておるのじゃないのですよ。これは非常に重要な問題です。問題は、これがなければ、幾らあなた方が拡大計画をやろうとしても、滑走路がとてもじゃないが追っつかぬということなんです。それから比較してみると、非常に少ない金額じゃないかということはおわかりだろうと思う。本来ならば大蔵大臣を呼んで、一緒にここで討議をさしていただきたかった予算の問題が出てくるので……。しかし、その問題はまた別途取り上げる。私は、与党、野党という問題ではなくて、ほんとうに真剣に日本の交通の政策の上からこの問題は討議されていっていただきたいし、討議していらっしゃると思っておりますので、この問題は深くは追及いたしません。ただ、予算はできる限り拡大をしていっていただきたい、こう思うのです。それと同時に滑走路が、これは木村教授ですか新聞で発表されておりましたが、二千メートルあれば、先ほど言ったように、かりに五百メートル以上のところへ着陸をしようとしても十分の距離があったんではないか。ところが、要するに機種の機能の上からいけば千二百メートルでもいいんだとおっしゃるけれども、やはり万全の策を講ずるということが私は一番じゃないか、こう思っておるのです。そこでくどくどしたことは申しません。これを機会に、せめて松山空港で起こりましたこの犠牲に対して、この五年計画の期間を短縮する御意思があるかどうかということをお聞きしておきたい。
  170. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 全体の五カ年計画を短縮できますかどうか、この点についてはさらに考えなければならないと思います。ただ、先ほどもお答えいたしたと存じますが、この中で急を要するものについて優先的に考えていくという、そういう考え方は十分とってまいらなければならないと思っております。
  171. 中村時雄

    中村(時)委員 松山空港が、いま言ったように遺族の方に対してもこういう状態が明確になってきたのだし、それではあなたの考えていらっしゃる急を要する優先的な条件の中に入れようとされているかどうか。
  172. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 私の記憶に誤りなければ、松山空港はローカル空港の中でも相当繁忙をいたしておる。しかも四国という特殊な地理条件にもあるわけでございます。十分検討さるべきものと心得ております。
  173. 中村時雄

    中村(時)委員 技術上、予算上、そういう内容からいきました場合の松山空港の問題、これが一点ですよ。もう一つは、こういうことは行政上あり得べきでないとおっしゃるかもしれませんが、やはり先ほど言ったように、この事故は完全に全日空のものであるとはいえ、運輸行政の政策上からくる遠因というものは、政府は免れるわけにはいかないと思っております。そういう立場からいっても、これら犠牲になられた遺族方々の念願するものの焦点は、あるいは全国の焦点は、その一時点に集まったところへ集まってくるわけです。そういう立場の感情も含めて、これは政治の上でありますが、そういう立場も含めて、やはり優先的にこの問題の解決の方針を打ち立てられることを要望するのですが、そういうたてまえからいって、私は明確にこの際御答弁されるほうがいいのじゃないか、こう思っております。ただ、いま言った機構上とかそういう問題は事務当局の問題もあるでしょう。しかし、大臣の一つの政治的な感度というものはまた別個のものとして私は取り上げることも可能じゃないかと思っております。そういう立場に立ってひとつ御答弁をお願いしたいと思っております。
  174. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 いま御指摘のようないろいろな観点から考えまして、また国内のローカル空港の中の松山空港の位置づけからもいたしまして、十分そういう方向で取り上げるものと考えております。
  175. 中村時雄

    中村(時)委員 じゃその問題は、いままで各委員からも言いましたように、ただ抽象的に、総花的にこうでございますというのじゃなくして、速急にその問題の打ち出し方をしていただきたい。それで、期間の短縮がいつになるのか、事例によって明確にされることを私はお願いしたいのですが、どうです。
  176. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 予算上の措置その他につきましては、いま申しましたようなことであります。ただ、先ほど航空局長からもお答え申しましたように、用地買収等についてはなかなか困難を伴いますが、これも地元の御協力をいただいて、そうした用地買収も円滑にいくような御協力をいただいて進行をいたしたいと存じます。
  177. 中村時雄

    中村(時)委員 次に、これを総括いたしまして、大体松山空港の問題は一応終わりますけれども、あとは二、三点全般的なことをお聞きしたいのですが、大臣はこの実情にかんがみられまして、この委員会並びに事務当局と打ち合わせをされ、もう一度松山のほうに行って明確にされるという御意思があるかどうかをお伺いしておきたい。
  178. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 いまの御質問、空港の問題かどうか存じませんけれども、必要に応じてさらに私参ることがあろうと存じております。
  179. 中村時雄

    中村(時)委員 次に、私は遺族に対する補償についてお尋ねしておきたいのです。  弔慰金のほかに、適当な賠償金を会社が支払うであろうと思っております。損害保険協会の調べによりますと、こういうことを産経でありましたか打ち出しておりましたが、全日空YS11機墜落事故に対する損害保険各社が全日空に支払う額は、総額六億三千百七十五万円、内訳は機体保険として四億九千万円、航空保険による乗客賠償保険として一億四千百七十五万円、一人当たりが大体三百十五万円になりますと試算されております。生命は金を包んで取り返すことはできない。しかし、せめても残された遺族の生活が保障されるようなあたたかい手を差し伸べなければならないことも、政府としては当然だと私は思っております。全日空という民間会社の問題でありますが、事が重大であるだけに、万全を期し、適正、公正に行なわれるように行政指導すべきではないか、このように思っております。というのはどういうことかといいましたら、かりにこれは全日空だけの事故だというたてまえに立てば、会社側からだけの話になるわけです。そうでしょう。ところが、いま言ったように遠因を探求してみると、政府のほうにもそういう原因があるのだということが立証されるならば、少なくともそういう事柄に対して、全日空に明確に、将来そういう批判を受けないように、そういうような方向の指示あるいは指導、そういう方向をとられる御決意があるかどうかをお尋ねしたい。
  180. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 まあ春の羽田の事故の例等もございますが、いずれにいたしましても、遺族に対して会社側が十分御納得のいくような補償をいたすようには指導をいたしてまいりたいと思います。
  181. 中村時雄

    中村(時)委員 あとの方がまだいらっしゃるので簡単にいたしますが、二月四日の全日空のボーイング727墜落に関しての遺族に対する処置、これもまだ未解決のものもあるわけなんです。それはいま言ったように、金に対して折り合いがつかないという状態があるわけです。そういう面に関しまして、片一方は営利業者であります。何だかんだ言っても、独立採算制をとっていこうとされるのですから、そういう場合に政府のほうで、たとえば何らかの処置を講ずるとかいういろいろな問題が出てくるだろうと私は思うのです。そういう場合のことを言っているわけなんで、運輸大臣としてはそういうものにまであたたかい手を差し伸べるかどうか、それを明確にしておいていただきたい。
  182. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 遺族の方の更生についていま厚生省のほうで十分調査をいたしております。たとえば母子家庭でございますとか、あるいは全然孤児になられるような小さい方がおられるというようなことにつきましては、前例にもかんがみまして十分いたしますし、また全日空自体の補償その他の処置についても、十分遺族の方の御納得がいただけるような、そうした処置をとるように指導をいたしたいと思っております。
  183. 中村時雄

    中村(時)委員 というのは、私の友人がこの中で四名死んでおります。そういうたてまえからいっても、遺家族のことは十分考慮をしていただきたいと思います。たとえば笹本、鈴木、中村警部の遺族、また松山西署村上巡査に対して二階級上がっただけで事足れりというような官庁の在来のあり方じゃなくして、その遺族をどうしていくかというところまであたたかい手を差し伸べる、その行政指導の上において私は運輸大臣が考慮をしていただきたい、このように思うわけなんです。  それでは時間がありませんので、機体の問題、経営と事故対策等に関しては、また次の機会に御質問したい、こう思っております。
  184. 田邉國男

    田邉委員長代理 壽原正一君。
  185. 壽原正一

    壽原委員 今回の事故は、犠牲者にはたいへんお気の毒な状態で、私も心から哀悼の意を表するものでございますが、十三日の事故のあと総理大臣の指令か、政府のほうから運輸省に対して、聞くところによると、何か御指示があったやに聞いておりますが、運輸省に対して何か御指示がございましたか。
  186. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 総理から私に対しましては、直接の御指示はございません。ただ先ほど報告申し上げましたように、対策本部を設け、運輸大臣本部長として万全を期するということを決定をいたしたことでございまして、この趣旨に基づいていま最善を尽くしておるということでございます。
  187. 壽原正一

    壽原委員 この春の事故以来、航空問題については非常に世論が関心を持っておいでになる。そこで先ほど泊谷君もちょっと触れておったのですが、今回国内航空でもって目論見書を出しておる。交通事業というものは、すべて安全を第一主義にやらなければならぬことは、私が言うまでもないことですが、この目論見書を見ると、ここに書いてあるのは、いわゆる企業体の健全を第一主義とするということが書いてあるのです。これは、大臣はまだ御就任早々で知っておるかどうかわかりませんが、この問題の中には、航空局も御承知で、タッチしておるやに伺っておるのだが、局長さん、この事業計画の概要の問題について御相談を受けたことがございますか。
  188. 堀武夫

    堀説明員 国内航空の再建策というものにつきましては、この九月に重役陣が一新いたしました。そして新しい陣容でもってこの再建計画を立てております。そういうものにつきましては、このために銀行融資団からつなぎ資金を融資してもらうという問題もあります。それと、それに関連して日航が保証をある程度しなければならぬという関連がありますので、一応その内容をいま目を通しております。この会社自体の再建というのは、なかなか前途きびしいものがございます。それで将来の見通しでございますので、いろいろ不確定と申しますか、そういうような要素が一ぱい入っております。それで将来のことですから、そういうようないろいろ変わるようなものもありますけれども、それはいまから確かにこういくという見通しもなかなか立ちがたい点も多うございます。それで会社の責任者が、こういう考え、こういう方針で企業をやっていこうということでありますので、われわれとしても、常識的に見ても、これは非常に無理だというところは、ある程度指摘いたしたり、あるいは指導いたしたりいたしました。ですけれども、すべての問題につきまして、これでだいじょうぶだとか、必ずこういくのだという予想もなかなかつきがたい面も多うございますので、会社の責任者として立てた計画でありますので、ある程度指摘した点もありますが、一応これでいく、こういう程度でございます。
  189. 壽原正一

    壽原委員 ある程度指摘した点もあるということであるが、これは、計画の概要を見ると、いわゆる経営第一主義ということをまっ先にあげてあるのですよ。この点は知っておるでしょう。これは見ておるでしょうね。極秘の書類が出ておるのだが。春も事故を起こして、安全性という問題は世論の非常にきびしい批判の的になっているやさき、あなた方が指導されてそうしてつくった計画書が、将来、金融その他の面で経営の面についてはいろいろ苦しいところも出てくるだろうと思うが、やかり第一番に唱えなければならぬのが、いわゆる安全第一主義ではなかろうかとわれわれは考える。それを人件費の問題から考えてみて経営というものは大事なものではあるが、より以上大事なのは安全でなければならないとわれわれは考えておるんだが、こういう点を指摘しないでどの辺を指摘したかわかりませんが、いわゆる安全にことを欠かない程度に人間を整理するという——現在、安全運航に対して何名ほど国内航空には従事しておいでになりますか。
  190. 堀武夫

    堀説明員 現在九百名ばかりの人員がおります。ところがこの会社は、再建しなければならぬというまことに苦しい立場が一つあるわけであります。もちろん安全性というものを踏みにじった再建ということはあり得ないわけであります。航空会社である以上はそういうことはあり得ないのでありますが、その安全性を保持しながら再建をしていかなければならぬという、そこにこの会社の非常に苦しいところがあると思うのであります。たとえば銀行融資を受けるにいたしましても、銀行側から見ますと、こういうような事情に落ち込みますと、相当合理化をしなければ銀行というものは金を貸してくれません。そういう面から、できるだけ会社としては合理化もやらなければならない、しかし安全ということも保持しなければ、これは元も子もなくなるのでありますから、そういう面で会社自体としては非常な苦労があると思います。それで、幹線のほうは日航に委託します。その面の人員は日航に移します。そうすると、あとに残っておるローカル線を運営していく人員につきましても、若干合理化をしなければならぬというので、二百二十五人くらいの整理をしなければならぬ。しかし、そのうちの百二十人を何とか整理すればいい。ですからあと百五人につきましては、いろいろの部面にこれらの人を就職のあっせんということでお世話をした。あと百二十人について、会社としては希望退職その他でもっていま話し合いをしておる、かような状態だというふうに伺っております。
  191. 壽原正一

    壽原委員 営業の経営というものは、採算に合わない経営というものは営利会社では当然考えなければならぬ問題ではあるけれども、この交通事業というものは、先ほど来各委員からやかましく言われているほど人命を尊重しなければならぬとりとい職業ですよ。この職業の中で、一番最初にうたっておるのが、再建計画という名のもとに、いわゆる商業ベース、採算に乗らなければいけないということを第一にうたって、しかも第二にはその中で、人件費を含む諸経費を安全運転を阻害せぬ程度に、近い線まで圧縮する、こう書いてある。この安全性を阻害しないだけの、安全性を確保するに近い線まで圧縮するという人数は、現在の国内航空では何名が必要かということを聞いておきたい。
  192. 堀武夫

    堀説明員 現在員が九百三名でありますが、この再建策によりますと六百七十八名まで落としていきたいということでございます。
  193. 壽原正一

    壽原委員 それでは、整理するのは、機体整備その他に当たっておる人間を整理するのではなく、いわゆる事務担当者がほとんどだというふうに解釈をしてよろしゅうございますか。
  194. 堀武夫

    堀説明員 大部分は事務系統の人であります。
  195. 壽原正一

    壽原委員 それでは、国内航空に対する運輸省当局の考え方は、日航と合併させるとか、日航にかかえさせるというような問題は第二義として、これからこのような形でずっと営業を続けさせるというふうに考えてよろしゅうございますか。
  196. 堀武夫

    堀説明員 昭和四十六年を目途として日航と合併するという覚え書きが締結されておるわけであります。したがいまして、それまでにその合併し得る条件を整える、言いますならば、それまでにできるだけの再建をする。幹線はもう日航にまかせてありますが、あとローカル線の経営につきまして、みずからできるだけの再建の努力をしてみるということじゃないかと思うのです。したがいまして、四十六年を待たずしてそのような合併条件が成熟すれば、そのときに合併ということも可能であるかもしれない。また四十六年までにそれができない。そういう条件が成熟しないという場合もあるいはあり得るかもしれない。そういうときにはどうするかという問題は、またその時点において真剣に検討されなければならぬ問題だと思います。
  197. 壽原正一

    壽原委員 今回の事故はどういう事故状態か、これは最終的な調査を行なってみなければわからぬだろうと思います。思いますけれども、実際に話を聞いてみると、千二百メートルの滑走路では安全性が確保されないというやに、私らは見ても聞いてもおります。そこで、北海道に現在飛行場と称するものが十あるわけですね。これが千歳、丘珠——函館はいま整備されておる最中ですから何ですけれども、その他は全部千二百メートルですね。これらの空港、せっかく地方自治団体にいろいろと出資をさせたり相談をしたり、こういうことで金をかけておるのだが、これらの函館、丘珠、千歳を抜かした。それ以外の飛行場に対して、安全性を確保するために、将来これを直していく計画は現在持っておりますか。
  198. 堀武夫

    堀説明員 空港関係整備につきましては、先ほど来申し上げておりますように、五ヵ年計画というものをつくって、既存の空港につきましてはできるだけの改良をしていきたい。新しい飛行場はもうつくらない、既存のものの改良ということに重点を置いてやっていきたい。二種空港、これは地方空港の中では主要な空港になるわけでありますが、まずそういう主要な空港から重点的に整備をしていく。函館のごときは二種空港でありますので、これらは重点的に整備してまいります。稚内も二種でございますけれども、現在の利用状況から見ますと非常に客が少ない。そういうところは例外的に、二種であっても重点的に整備するほうには入れないと思います。その他の三種空港につきましても、漸次整備していく。それで、できるならば三種空港につきましても、滑走路の長さを千五百に持っていく。そして必要な保安施設をつけて、できるだく定時性を確保していきたい。気象の条件によって非常に離発着が左右される、当てにならない、当てにならない飛行機を待つというのでは客がますますこなくなりますから、そういう施設をしてだんだん客をつけていく。いろいろ役に立たぬ空港をつくったではないかという批判的な空気も、ある空港についてはあるわけであります。こういうものについても、地域開発のための先行投資ということでやっておりますので、将来その地方が開発されてきますと、漸次航空需要も出てくると思います。そういうような時期に合うようにだんだんと整備していく、こういうような方針でおります。
  199. 壽原正一

    壽原委員 今回国内航空のいろいろのこれからの問題を検討してみると、飛行機の種類について、これからはYS一本にしたい、こういうことをいわれておるようですが、われわれも国産機であり、非常に性能がいい飛行機というように聞いております。しかし現実に、何ら支障のないような個所で今回の惨事が起き上がっておるというような現状にかんがみて、これは事故究明を完全に行なわなければ、あるいは飛行機に一つ欠陥があったのか、あるいはどうかという問題は別な問題であるけれども、これの究明が完全になされるまで、こういう飛行機の統一という問題については考える余地はございませんか。統一するしないという問題について……。
  200. 堀武夫

    堀説明員 ローカル路線については原則としてYS11を使っていく、国産機愛護の立場からそういう方針であったことは、先生御承知のとおりだと思いますが、こういう不幸なことがあっても、それでもなおYS11を将来使っていくのかという御質問だと思いますが、今回の事故原因というものは徹底的に究明をしなければわかりませんが、国産機の初めての事故だけに、われわれは特に急いで原因究明して、もしその機体欠陥があるならば、そういうことに結論が出るならば、早急にこれが改善ということを通産当局にお願いをしたい。そのようにしてだんだんに、日本の航空機産業も改善されて進んでいくだろうと思うのであります。この事故のために将来もう国産機を使うことはやめるということに腹をきめるということは、まだ早計ではなかろうか。いろいろ原因を調べてから対処していきたい、かように考えます。
  201. 壽原正一

    壽原委員 私は国産機をやめろというのではないのです。大いに奨励しなければならぬのだが、いままでYSの性能について聞くところによると、非常にいいという部門と、あるいは——あれはロールスロイス社のエンジンを使っているのですね。ロールスロイスのエンジンというと、自動車のエンジンに使っておるとおり、世界的に非常に精巧なエンジンに違いない。しかし、もう日本の国内に入ってきた何台かのエンジンには亀裂が入ったとか、あるいはシャフトがどうなったとかというようなうわさもいままでは聞いておった。しかも聞くところによると、YS11の性能その他の問題に対しては、各飛行士の方々が非常に注文をつけるというか、あるいはこの点をこうしてくれとか、この点がこうだとかいう意見を出しているやに聞いております。だがそれが全然用いられていないやにも聞いておるのだが、そういう点聞いておりますか。
  202. 松本登

    松本説明員 YS11のエンジンでございますが、先生おっしゃいますように、昨年の夏エンジンのタービンシャフトに亀裂が入ったことがございます。すぐロールスから技術屋が参りまして、現物も調べ、あらゆるテストをやりまして、また持ち帰りまして、ロールスもイギリスでテストをいたしました。すでに問題は解決いたしております。補強された部品もすでに使っております。この問題は去年の夏あらわれただけで、もうその後発生しておりません。  それからもう一つの御指摘の、各ユーザーからいろいろエンジンに関します苦情があるというお話でありますが、確かに御指摘のとおり航空機製造会社は、御承知のようにメーカーの集まったものが会社の主体でございまして、それも国産機の製造は何しろ戦後約七、八年間停止になっておりまして、壊滅状態から始まったものでございまして、初めての国産機でございますので、民間に対しますいろいろなそういうアフターサービスの問題とか、そういう点が従来は確かに私たちも不十分だと思って、かねがね運輸省といたしましても指摘をしておったのであります。最近になりまして、会社もそういうことに対しまして体制が整備されまして、サービス部門も一つ独立するというふうなことになってまいりまして、今後はそういう点も大幅に改善されるのではないかと思います。
  203. 壽原正一

    壽原委員 国産機というものは、われわれも大いに奨励して使ってもらわなければならぬ、また外国にも輸出をしなければならぬ、諸外国では非常に評判がいいというように聞いておりますが、こういう事故究明というものはやはりはっきりとした発表もしなければならぬだろうと思うし、大いに研究もしなければならぬだろうと思う。ただ飛行機そのものの欠陥であるから——先ほどあなたは事故の六〇%以上は大体操縦士のミスであるということをおっしゃっておったが、ただ、なくなられた方々に対してそういう責任を押しつけることばがはたして適当であるかどうかということもよくお考えおき願わなければならぬ重大な問題だろうと思う。  そこで、北海道でも十カ所も飛行場をつくって、現在使っておるのは二、三カ所、あとは道費であろうとも国費であろうとも、あるいは市町村費であろうとも、いずれもむだ金を使った飛行場をつくっておる。そういうことは、飛行場をつくるときには、あなたのほうへ一々御相談もし、また認可も得、あるいは航空会社とも契約して飛行場をつくるのだろうと思うのだが、せっかくつくった飛行場が一つも使用されぬで、ペンペン草をはやしておくようなむだな飛行場は、国家的見地から見ても、将来はよほど飛行場の設置問題に対しては重要に考えてもらわなければならぬだろうと私どもは解釈しております。大臣におかれても、就任早々こういう大問題に直面しておるのですから、飛行場の問題についてもよく御研究の上、そういう処置をとっていただくことを要望しておきたいと思います。  また、この国内航空の事業計画案の中を見ますと、私並びに泊谷君が先ほど指摘したように、安全を第一義にしなければならぬという精神が非常に欠けておると思う。こういう点も大臣がよく把握されて航空事業、特にこういう大惨事がたびたび起こり得るというようなことであっては、世界における日本の航空界の信用失墜にもなります。どうかそういう点に十分御留意くださいまして、将来こういう惨事の起こらないように、航空会社にしっかりした指導、教育をしてほしいことを望んでおきたいと思います。また経営の面についても、金融その他でいろいろと経営者は頭を悩まさなくてはならぬので、そういう安全性の問題について第二義になりがちなことはごく慎んでもらわなければならぬと同時に、あなた方が認可をした会社ですから、あなた方が政府資金なり何なり、必ずそういう経営面についてお手伝いをするような考えにもならなければ、こういう問題の根本的な解決にはならぬだろうと思います。どうかそういう観点に立ってこの後の航空行政というものは慎重を期して御指導、御鞭撻を願うように特に要望を申し上げて、これだけの大惨事を起こした今回の事故の糾明に対しては万全を期して、世の疑惑を招かないように、また遺族各位の御納得のいくように、よく皆さまもその旨を体して航空行政の任に当たられたいことを御要望申し上げ、最後に大臣から、これからの航空行政に対し信念のほどを御披瀝願って、質問を終わりたいと思います。
  204. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先ほど来お答えもいたしておりますが、要するに、現在非常に地位の高まった航空関係であります。しかも戦後、一時翼をもがれたというような空白状態を持ちながら立ち上がった関係上、なお層が浅いと申しますか、あるいは行政面においても十分でない面も率直に認めるものでございまして、ただいま御指摘のような点につきましては十分留意をいたしまして、日本の航空界の位置づけと申しますか、そういうものを確立いたし、その方針に従って着実に実行してまいりたいと考える次第でございます。
  205. 泊谷裕夫

    泊谷委員 おそくなって恐縮です。実は理事からきょうは全日空の問題にしぼってという話でありましたが、いま先輩の壽原さんから話がありましたように、北海道にすれば国内航空の問題は重要な問題で、先々月の十一日の運輸委員会でやっていただこうと思ったのですが、荒舩さん御難の日でこれがだめで、きょうもそういうことがあったのですが、先ほどそれで総括して大臣にお尋ねしましたけれども、私、いま壽原さんから話がありましたので、あとで誤解があっては困りますから、ひとつ整理をする意味で特に委員長に無理をいって発言をさしてもらいました。  航空局長の答弁を聞きますと、会社側の書類によると、ということでありますけれども、事務的なものであり、過剰になるというふしが会議録に残ると、私は事実に相違しておると思うのです。安全確保という前にひとつ話をしておきたいと思う。  もともと北日本という航空会社は資力の弱い会社で、荒むしろを敷いて、従業員が自分の給料でペンチを買って飛行機を飛ばしてきた。しかも事故は一回もない。そういう歴史を誇ってきて、昇給を三年ストップして、歯を食いしばってやってきた会社ですが、日東、富士と合併して企業の確立を求めた。私どももその場合むしろ企業の統合に、立場の相違はありましても、それに空に飛ぶ夢を求めて協力をさしてきたわけですね。人間が善意で働いておる限り、その意に反して首をもがれるということは、むしろ私ども政治に携わる者の問題があるのではないか。人が一生懸命やっておる限り雇用に不信を持つということは絶対あり得ないために、政治というものはあると思うのです。そこで、先ほどはそうずばりと私は申し上げませんでしたけれども、關谷先生からこの前話が出まして、これは従業員の問題ばかりでなくて、経営者のほうも、それから政府のほうも——政府のほうというのは何かというと、地域産業開発のためにどうしても採算の合わないローカル線を持たせるならば、それに対する条件といいますか、空港整備も一つでありましょうけれども、直接的な財政措置というものも考慮されなければならぬだろうし、経営者の皆さんは苦しいだろうけれども、減資増資の問題にも踏み切ってもらわなければならぬ、こういう話が出まして、それが日航と国内航空との再編成のすべてとして出されて、しかる後に関係者が全員集まって検討して、そこで人員がどうにもこうにもというなら話がわかるけれども、その話がないうちに無用の混乱を生じて、そのことが思わぬ事故を発生さしては困るから、特に注意をしてほしいということが前回の約束であったのです。いまお話のありましたように、北海道の者から見ますと、今回——これは地方自治団体の出資をした会社なのです。一億五千二百九十二万出されているのに、一言半句のあいさつもなしに稚内便が切られ、女満別便が切られ、秋田便が切られております。  私、本来ならば、これは一つ一つ尋ねたい。この前も秋田便を切って問題になっております。運輸省へ申請がなされて、運輸省が同意を与えておるかどうかという問題もあるし、北海道の整備基地は全部なくなった。安全確保をそれほど口にするならば、絶対条件であるべき整備の基地を東京に集結して安全が保てるなんていうことは、北海道の人間としては了解できる問題ではありません。しかも今度の飛行機の発進は、いままで丘珠を基地にいたしまして放射状に放しておりましたものを、東京から出ていって、郵便を積んでいって、その合い間に途中のローカルの結びをやるというのです。タイヤ一本、部品一個足りなくても、その飛行機はそのコースでもうとまるのです。ですから、本来いただける案ではありませんけれども、きょうは痛ましい、まだ全日空遺体も上がらない時期で、こういう話はどうかと思いましたけれども、ともあれ従業員との間に混乱を生じせしめていることだけはとめてもらわなければならぬ。そこで壽原先生がつかれたように、ただとめるだけでは会社もとまらぬでしょう、私はそう思うのです。銀行の融資の問題がありましょう。政府がその施策を出せば、青写真を出せば、それで銀行はそれに基づいて、政府が一応の責任を持ってくれるならば融資の道も思い切ってやるでありましょう。腰を入れたのか入れないのかわからない形でもって、銀行だけ責めたって金を貸すものではありません。勢い、そこに労使間のけんかだけを残して、藤枝さんがせっかく大臣になられて、不幸にして松山事故があり、今度国内航空でと、これは予測したくないことでありますが、であるとなれば、私ども運輸委員ももうどうにもこうにも立場がない。でありますから、私はこの際、いま委員長に無理を言って一問にしぼったのですが、当面その混乱を生ずるような、従業員が心配するようなことはまずとめてもらいたい。とめて、まず最初に政府が、企業を含めて、どうすれば採算が合うのか、路線の調整もあるかもしれませんが、融資の問題も含めて会社側の意見も十分聞いて、そして真剣に相談に乗るという態勢をつくりますと、当然四十五年度あるいは四十六年度と、日航と国内航空の統合問題、再編成の問題で——いまそれでなくても、日航は相当の人を採用しようとしておるし、整備などは足りなくて困っているし、パイロットも足りなくて困っておる。であれば、高校卒を持ってくるよりも、いままでいた者をそのまま移行させれば、何でこの従業員が不安におののくでありましょう。それこそ、苦しいけれどもがんばって、事故のないように、そして新しい経営基盤ができるようにと言って努力させるところに導くのが、政治のあり方だと思うのです。地方自治団体のほうでも、先日北海道議会で問題になりました。路線を切られた問題であります。ところが道議会の会議録を見ますと、道の商工部長は答えていわく、何ら当該企業からも運輸省からもその相談がなかったというのであります。この辺に何か形の上は航空再編成だなんということを航空局の皆さんや運輸省の皆さんはおっしゃるのだけれども、すべての始末を企業とその関係者だけに押しつけておるところに、こういう苦悩が出てきておると思うのであります。先ほどそういう意味で私は大臣にお答をいただいたのですけれども、もう一つ進んで、銀行の融資の問題と、それから混乱をとめるための抜本的な方策ができるまでは、お互いにトラブルを排除して、新しい希望に燃える体制を確立するという指導をしていただくということにお約束をいただきたいと思うのですが、いかがなものでしょうか。  なお、あわせて一番気になりますのは、北海道の整備基地が廃止をされるということであります。これは航空局長、あなたはとぼけて、会社の報告によりますと営業関係だけ切るというような話をしていますけれども整備自体全部切られている。カウンターも切られる、整理をする対象になっていることは認めます。認めますけれども、肝心なところを逃げちゃいけません。ちゃんと北海道に整備基地を置いてもらわなければ、函館、帯広、女満別、稚内と分かれておりますのに、整備基地一つ置かないで、運輸省はそれでよろしいということになれば、けさから真剣に討議したことは何の価値もないことでありますから、それは会社と相談して考慮するという返事が当然いただけると思うのですが、いかがですか。
  206. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 根本的な考え方は、ただいま泊谷さんのおっしゃるとおりだと思うのです。私もまだ具体的な内容についてつまびらかにはいたしておりませんが、十分にその辺のところを把握いたしまして、そうして政府としてこの航空再編成になすべき役割りというものは当然あるわけでございまして、あるいは金融の面についても、政府の施策、あるいは政府態度というものが金融機関に十分影響するものと心得ますので、そういう点を把握いたしながら、適正な再編成になりますように努力いたします。
  207. 堀武夫

    堀説明員 整備基地を集約統合するということが、安全性の面からいいか悪いかという問題はあります。ライン・チェック、タイム・チェック、メジャー・チェック、三種類のものがありますから、整備基地を分散をする、その人員とか機材の分散をしたほうがいいか、集中しておいたほうがいいか、あるいは現地における整備基地というものをどの程度にしたほうがいいのか、こういうような問題が合理化に関連していろいろ出てきていることだと思います。この点についての詳細について、まだ私よく聞いておりませんので、よく事情を聴取いたしまして、先生の御心配になる点があるかどうか、よく検討いたしまして善処をいたしたい、かように思っております。
  208. 泊谷裕夫

    泊谷委員 航空局長整備基地はないのです。なくなったのです。YS11が東京から出るでしょう。郵便積んで朝の五時ごろ着いて、それからくしの歯のように道内を運航して、また東京に戻るのです。どこかでボルト一本締めるといっても、その部品がなければ北海道じゅう飛ばないのです。だから、航空である限り、一つのポイント、ポイントには最小限度の整備かなければ、それなくしてもいまの整備時間は、折り返しのダイヤの関係で、二十分か四十分しかとれないのです。真剣に安全を考えるならば、それを東京に集結して、タイヤ一本パンクしても別の便で運んでこなければできないことになるでしょう。だから局長、あなたの言うような抽象的なものでなくて、具体的なものなんだから、真剣に考えてもらわなければ困りますということです。  それから大臣のほうは、とにかくいま解雇提案だ何だということは、この際これを控えて、ちょっと待ってもらって、通常国会になればお互いに議論が起きてくるでしょうから、そのあとにやりましょう。決して私はその問題を頭からのまないという話をしているのではない。真剣にやはり航空企業のあり方、それで働いている者も一生懸命である限り、終生空を飛び回ることができるというようになるでしょうし、むだがあるならばむだがあるように、その人にはその事情を了解してもらって、新しい生き方を求めてもらうのが筋だと思うのですが、同時ターンでなくて片方だけ先にやるということも、私の感情としても理解できません。今日、事故一回やらずに、歯を食いしばって、自分の金でペンチを買ってやってきた者は、あきらめ切れるものではありません。その点はきっちりと会社側にもよく要請する。会社は必ず金融の問題なんかも言ってくるかもしれませんけれども、その点については大臣も可能な限り骨を折ってもらいたいということを申し上げておるので、無理なことを申し上げているつもりはありません。この点はきっちりとしておいていただきたいと思います。
  209. 田邉國男

    田邉委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後三時六分散会