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1966-10-11 第52回国会 衆議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十月十一日(火曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 古川 丈吉君    理事 壽原 正一君 理事 關谷 勝利君    理事 田邉 國男君 理事 山田 彌一君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君    理事 矢尾喜三郎君       川野 芳滿君    高橋清一郎君       高橋 禎一君    南條 徳男君       福井  勇君    細田 吉藏君       松浦周太郎君    井岡 大治君       板川 正吾君    小川 三男君       勝澤 芳雄君    高田 富之君       泊谷 裕夫君    野間千代三君       山田丈太郎君    内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 荒舩清十郎君  委員外出席者         外務事務官         (中南米移住         局長)     広田しげる君         外務事務官         (中南米移住         局旅券課長)  内藤  武君         運輸事務官         (大臣官房長) 沢  雄次君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      増川 遼三君         日本国有鉄道総         裁       石田 禮助君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     仁杉  巌君         日本国有鉄道参         与         (施設局長)  伊地知堅一君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 十月十一日  委員勝澤芳雄君及び泊谷裕夫辞任につき、そ  の補欠として板川正吾君及び高田富之君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員板川正吾君及び高田富之辞任つき、その  補欠として勝澤芳雄君及び泊谷裕夫君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件  日本国有鉄道経営に関する件      ————◇—————
  2. 古川丈吉

    古川委員長 これより会議を開きます。  陸運に関する件及び日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。田邉國男君。
  3. 田邉國男

    田邉委員 九月二十五日未明に来襲いたしました二十六号の台風が関東一円を襲いまして、特に山梨におきましては三十四年災以上の非常に大きな災害を招いたわけでございます。現在までその総被害は二百五十億、そして死者、行くえ不明百七十五名に達しておりまして、全壊、半壊八百六十九世帯に及んでおります。しかも国鉄身延線は現在なお開通不能という状態の大きな被害を受けておるわけでございます。先般運輸省、特に運輸大臣現地においでいただきまして、つぶさに現状を見ていただいたわけでございます。  つきましては、この身延線は現在なお不通で、それにつきまして私ども同行をいたし、調査模様を見ておりますと、特にひどい個所鰍沢から身延間、これが現在不通になっておるわけでございますが、鰍沢、六郷町付近割石トンネル、それから身延に寄りました下部−身延間の帯金トンネル、これは非常な土砂崩壊で、非常な難工事を続けておる。私ども現場作業を見ておりますと、国鉄の職員が数百名、昼夜分かたず非常な作業を続けておる。これにつきましては、私ども深甚なる敬意を払うわけでございますが、現在なお不通であるということは、相当の大きな災害をこうむっておるということの証明だと思います。つきましては、一体この身延線はいつごろ開通できるか、その点につきましての国鉄当局の見通しにつきまして所見を述べていただきたい、かように考えます。
  4. 広田しげる

    石田説明員 身延線災害につきましては、まことにこれは遺憾しごくであります。ことにその修理に非常に手間をとりまして、多数の人に御迷惑をかけたことは、ほんとうに私は申しわけないと思っております。この点につきましては、国鉄としてはできるだけ早く復旧努力いたしたい。田邉さんにはわざわざ現地へいらして、ことに当事者を非常に御激励くださったことは、まことにこれは感謝にたえないところであります。私からかわって厚く御礼を申し上げます。  詳しいことにつきましては、事務当局から御説明いたさせます。
  5. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま総裁から申し上げましたとおり、現地復旧状況は、先般田邉先生わざわざ現地へおいでくださり、また運輸大臣もおいでくださいまして、またその後天候にも恵まれまして、非常に順調に進んでおります。先生にお供いたしました施設局長からもう少し詳しく具体的に御説明いたさせまして、その後の問題につきましてまた私から答弁をお許し願いたいと存じます。
  6. 伊地知堅一

    伊地知説明員 施設局長でございます。現在行なっております復旧事情につきまして御説明いたしたいと思います。  副総裁がいま話しましたように、工事は順調に進行しておりまして、当初十六日開通予定で進んでおりますが、帯金トンネルは大体十五日一ぱいに開通し得る見込みでございます。列車としては十六日の一番列車から開通予定であります。  なおこの工事につきましては、トンネルを将来延伸して今後の土砂崩壊に備えるといったような工事を考慮いたしまして開通するという見込みで、引き続きトンネル延伸工事を行なう予定でございます。その他一般事情としまして防災的に非常に弱い部分が多々ございますので、現在行なっておる応急復旧に引き続いて将来の防災工事計画を早急に立てていきたいと考えております。
  7. 田邉國男

    田邉委員 ただいま御答弁をいただいた中に、トンネル開通につきましては非常な努力を払っておられる模様でございますが、私はあの身延線甲府から身延までの間の特に災害のひどいのを見ますと、山合いのところ、富士川沿い等の非常に無理なところに鉄道が敷設してあるという感じがいたします。谷の合い間に線路が敷いてある。そうしてトンネルが非常に——集中豪雨を受けたならば当然その地域土砂崩壊があるだろうというような、非常に地形的に悪い条件のところに鉄道が敷いてある。ですから、この二十六号台風以前にも、集中豪雨があれば必ず身延線不通になっております。そういうことを考えますと、私はあの帯金割石トンネル等復旧工事については、このトンネル延長をやはり早急に考えて、そして集中豪雨があっても、少々の土砂崩壊ではトンネルの口が崩壊しないような措置がひとつ講ぜられないものかどうか、その点をお伺いいたします。
  8. 伊地知堅一

    伊地知説明員 身延線防災的の事情につきましては、いま先生のおっしゃったとおりでございます。非常に地形的に山間の狭隘なところを通過しているという事情がございます。したがいまして、ちょっとした集中豪雨で非常な出水が一部のところに集中するといったことが非常に問題だと思います。したがいまして、最小限度そういったところにつきましては流水をよくする方法を講ずることと、もう一つは、ただいま先生のおっしゃいましたトンネル延伸——やはり隧道口がそういった土砂におかされやすいという欠点がございますので、隧道口につきましては、隧道延伸をはかって、土砂線路にいきなり流れ込まないような処置を早急に考慮したいと考えております。  とりあえずの今回の復旧につきましては、本工事はすぐには間に合いませんので、とりあえずの応急工事をいたしまして、逐次本工事に移行するという計画を立てたいと考えております。
  9. 田邉國男

    田邉委員 そうしますと、当面は応急工事をするけれども、この応急工事が終われば本工事に入るということ、これはたまたま四十二年度の予算に入るわけでございますが、そういう場合に根本的に直していくという国鉄考え方、四十二年度の予算の中にやはりこれを織り込もうという考え方はおありになるのか、その点を伺いたい。
  10. 伊地知堅一

    伊地知説明員 御承知のように本年度非常に各地災害がございまして、防災計画全体として身延線関係も織り込んでいきたい。したがって、四十二年度予算に当然考慮される問題かと考えております。
  11. 田邉國男

    田邉委員 身延線というのは甲府から富士までで、東海道富士駅へ結ばれておる路線です。これは延長八十八キロ、正確に言えば八十八・一キロ。ところが、これが不通のために東京を回ると仮定をすれば、甲府東京間は百四十四・四キロある。それから東京から富士までは百四十六・二キロある。合計二百九十・六キロあるのです。ですから、この八十八・一キロという非常に最短距離路線というものは、長野東京山梨東海道に結ぶ最短距離路線としては、非常に重要な路線だと思う。また貨物輸送の場合の路線としても、私は重要な路線だと思います。ですから、この路線ほんとうに整備されておったならば、国鉄にはもうなくてはならぬ重要な路線になると思う。そういう意味で、集中豪雨台風が来るつどこの身延線不通になる、先月の二十五日以来今日までまだ不通であるということは、私はたいへんな問題だと思います。  そこで私が国鉄にお願いをしたいことは、これはいろいろ問題点があると思う。現在あの身延線には地下ケーブルというものはありません。ですから、二十五日に各地が寸断されたときにも、二日間というものは連絡がとれない。警察電話にたよるというけれども、ほかの災害地がひどいから警察電話は使えないのだと断わられた。そういうことを考えたときに、すぐやらなければならぬ問題がたくさんあると思う。まず、四十二年にも地下ケーブルというものを整備していただく。これをしなければ身延線のどこからどこが切れておるのか、これがわからない。私はこういう意味において、今日まで置き去りにされておりました身延線というものに対して、国鉄はもっとあたたかい親心を出してもらいたい。その点については、副総裁国鉄身延線買収等につきましても、そういう内容を十分御存じだと思う。そういう意味で一体どうお考えになっておるか伺いたい。
  12. 磯崎叡

    磯崎説明員 身延線性格につきましては、ただいま先生がおっしゃったとおり、これを建設されました当時の先覚者は、やはり長野県、山梨県と太平洋岸をなるべく短絡したい、こういう思想一つであります。またもう少し大きな思想としては、静岡以西と東北とを結ぶという、東京で言えばバイパス的な意味思想もあってつくられたものというふうに当時の記録に残っているようでございます。その思想はいまもって変わるべきではないと思いますが、たまたまこれが私設鉄道として敷設されましたために、非常に建設費が節約されておるというふうなことで、おっしゃいましたとおり、大体川沿いに相当無理をしてつくってある。しかもトンネルもなるべく切ろうという意味で、相当無理な地形を承知の上で建設されているという意味で、水害のつど方々不通になって、これは国鉄としてももちろん困っておったわけです。実はこれと似た線が四国土讃線でございまして、やはりこういった地方のローカル線ではございますけれども幹線幹線を結ぶ重要路線というものにつきましては、少し見方を変えて、ただいまおっしゃったような、たとえば東海道が切れた場合にこれをショートカットに使うというふうな性格にまで強めるということが必要ではないかというふうに考えております。  ただ一つこの線につきまして私ども非常に困っておりますことは、非常に駅の数が多いことでございまして、これは当時の敷設のときの状況からいってやむを得ないとは存じますけれども、いろいろ根本的な改良計画をする際に、必ずその駅の存廃が問題になるわけであります。思い切って長い隧道で抜こうというふうにいたしますと、駅をやめなければいけないというふうな問題がございます。駅をやめればその付近方々が非常に不便されるというふうなことで、あくまでも当時つくりました非常に無理な、くねくね曲がりました路線中心にして強化するということになりますと、非常にむずかしくなりますので、やはりある時期には、思い切って土讃線のようにある程度現在駅を犠牲にしても、まっすぐなトンネルで山の中を抜くというふうな根本的な解決方法考えまして、ほんとうにこの線ができましたときの思想が生きるようにしなければならないというふうに考えます。それらにつきましても、実はいまおっしゃいましたとおり、身延線等につきましては、どうも駅が多くて手がつかないというふうな思想がございまして、多少われわれの目が行き届かなかったという点は率直に認めざるを得ないというふうに考えますが、今後別な角度から、いま申しましたように根本的にこの線を幹線幹線をつなぐショートカット短絡線というふうに見て整備増強をしていく必要があるということを前提とした場合には、はたしてどういうルートに進むべきかということにつきましては、根本的な立場、少しいままでのこう薬ばり的な立場でなく、身延線自体体質改善という面から考え直す必要のある問題だというふうに考えますが、この点、われわれ今回の台風を契機としてこういうことを申し上げるのは非常におそまきではございますが、そういうことを痛感している次第でございます。  また地下ケーブルにつきましても、今度のようなあれほど大きな山くずれ等がございますと、先生ごらんになりましたとおり、ケーブル自体も押し流されてしまうということもございますけれども、やはりああいった大災害でなくとも、中小程度災害でも電線、いわゆる外側に出ている電線は切れやすいということがございますので、重要区間、特に災害的な見地からいたしまして非常にあぶない区間につきましては、当然通信線ケーブル化ということも考えるべき問題だというふうに考えておる次第でございまして、今後、ことにことしは、いま施設局長が申しましたとおり、各地災害が多くて、非常に御迷惑をかけておりますが、やはり国鉄としてももっと防災見地に力を入れると同時に、建設省その他政府機関にも十分お願いいたしまして、河川砂防工事、その他につきましても御尽力願うというふうな多方面の努力は今後やっていかなければならないということを考えておる次第でございます。
  13. 田邉國男

    田邉委員 副総裁の非常に苦慮した答弁、しかも非常に配慮された答弁でございますが、何かまだ隔靴掻痒の感がある。と申しますのは、やはり民鉄から移管をされた国鉄である以上、国鉄とすれば自分の籍へ移した子供でありますから、これは思い切ってひとつ直していただく。ところが現在の路線というものは、いま副総裁がおっしゃったように、非常に曲がっている。トンネルを抜こうとすれば駅を飛ばしてしまう。この際あの路線というものを、起死回生の策をとるとすれば、やはりある程度犠牲はやむを得ない。そういう意味では、やはりこの際思い切って新しい路線をひとつつくったらどうか。そうして部分拡幅と申しますか、複線の形をとっていく。そうして新しいまっすぐの路線をつくってみる。そういうことでこれを一挙にやるということになれば、相当大きな経費がかかる。しかしこれを年次計画でやっていけばできることだと私は思います。将来ここには清水−上田線という国道が——並行して高速道路もできると言われております。こういう際に、旅客の輸送、それから貨物輸送、重要な路線だと私は思います。そういう意味で、ひとつ部分拡幅あるいは思い切ったまっすぐの、長大トンネルも含んだ路線というものの計画をやっていただきたい。その点について副総裁の決意を伺いたい。
  14. 磯崎叡

    磯崎説明員 実は国鉄の現在やっております路線は、身延線に限らず、相当これと同じような性格の線がございまして、たとえば新潟県の能生、いわゆる地すべり地帯の問題でございますが、これらにつきましても、結局海岸線をくねくねと通っておったものを、やはり山の中を一挙に抜いてしまう。これ以外に抜本的な災害に対する解決方法はないということで、現在すでに親不知のほうはでき上がっておりますし、その手前の糸魚川と直江津の間につきましても、現在ほとんど全区間トンネルにするという工事を着工いたしております。しかしそのためには、対岸にございました、数で申しますと五つ六つの駅がやはり廃止になるというようなことがございまして、いろいろ社会問題、政治問題等もございましたが、やはり抜本的にはそういうふうに海岸線あるいは河川に沿ってくねくね曲がっているものをやめて、隧道でまっすぐ山の中を抜くという以外に根本的な防災方法考えられないように思います。したがいまして、当身延線につきましても、現在やっておりますいまの北陸線あるいは四国土讃線等々と同じように、こういった非常に災害のおそれのある個所につきましては、多少の犠牲を払うことを前提といたしまして、直線の隧道で抜くということを今後の問題として具体的に検討してまいらなければならないというように考えている次第でございます。この点、応急復旧が済みました上で関係者集まりまして、そう全部のルートを変えるというわけにはもちろんまいらないと思いますが、非常に危険の多い個所等につきましては、そういった具体的な計画を立てるというふうにいたす必要を考えている次第でございます。
  15. 田邉國男

    田邉委員 さらに伺いますが、いまの身延線鉄橋というものが各地にあります。これは小さいものもあれば、大きいものもある。そこで一つの例をあげますと、甲斐常葉地域に天井川みたような川が流れている。それがちょうど身延線と交差している。この地域は、地元の要望というのは、この路線をもう少し上げてもらいたい。そうしませんと土砂路線に全部突き当たって、そして水が逆流します。そのために、その地域は約二、三十戸浸水をした。そして流失をした家屋もありますし、それからまた死者が出ておる。そういうことを考えますと、これは国鉄には直接責任はないといえばないのですが、やはり鉄道の敷設してある場所が非常に低い、そのために川のほうがむしろ高くなる、それですから、すぐ土砂鉄橋のところで流木等でダムみたいなものをつくる形になる、そのためにその一帯の河川逆流をして、大きな災害を起こしておる。それからもう一つは、身延の駅を出て富士のほうへ向かって約二百メートルないし三百メートル行った個所に、これも国鉄鉄橋が低いために、山から来た土砂が全部ここで詰まってしまう。それがまた逆流してその付近の民家に全部床上浸水を招いてしまう。こういう問題はひとつ十分調査をしていただきたい。そして、これについてはすべての原因が身延線鉄橋にあるとは私は申しません、今回は異常の災害でございますから、予想外の雨量が入ったために河川のはんらんを来たしたわけでございますから、全部国鉄身延線責任だとは言いませんが、しかし地元のことばを聞いておりますと、鉄橋がもう少し幅を広くとっておいてくれたならばあの水を全部のんでくれたんだ、ところがあそこへ全部流木土砂が詰まって、そして逆流をしたものだから、製材所などは全部水浸しになってしまった、そうして材木が流れてしまった、こういうようなことでございますから、その点は十分調査をいたしまして、国鉄がある程度これにつきまして、補償できるものはできるだけのひとつ思いやりのある補償をしていただきたい、かように考えるわけでございます。それに対する国鉄の御所見はいかがでございますか拝聴いたしたい。
  16. 伊地知堅一

    伊地知説明員 私も現地を見まして、非常な災害地元方々が受けておられることを拝見して御同情にたえなかった次第でございますが、ただいま先生御指摘の点につきましては、もちろん国鉄解決し得る問題はわれわれは誠意をもって解決したいということでございます。ただ国鉄だけで解決できない面も多々あろうかと思います。河川あるいは治山関係の御計画に対しては、国鉄は全面的に協力して最善の解決をはかるようにつとめたいと思っております。
  17. 田邉國男

    田邉委員 私は大体以上で質問を終わるわけでございますが、身延線開通は十五日の見込みだと聞いております。そうしますと、約二十日以上の間不通になるわけでございます。地域住民にとりましては唯一の交通機関であるこの身延線が閉鎖されることによって、これは経済的にも、あらゆる面において、損害を地域住民がこうむっておる。これは民生安定の上からも一日も早く開通することが望ましいわけでございますが、しかし私のお願いすることは、この際やはり身延線という非常にもろい路線国鉄が前向きにひとつ御検討をして、先ほど副総裁からもこれについては十分な検討をして、そして前向きにこれを手直しをしたい、こういうお話でございますので、きょうの御答弁にあるように、ひとつ一日も早くこれを完全な、災害のつど不通にならないような鉄道にしていただくことを心からお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  18. 古川丈吉

  19. 久保三郎

    久保委員 きょうは荒舩運輸大臣に、言うならば運輸大臣政治姿勢というか、そういうものについて若干お尋ねをしたいのであります。  就任以来何かと話題の多い大臣のようでございます。話題になった問題等中心にしてお尋ねしたほうがよろしいかと思いますのでお尋ねするわけですが、一つ就任早々でありましたか、運輸大臣としても一番問題で、世間でも一番問題なのは交通事故の問題が一つございますが、それとうらはらの関係にある通勤輸送の問題であります。就任直後、どこかのテレビか何かにお出になりまして、その席で、朝七時半ごろまでは通勤列車ただにしたらどうかというようなことで、だいぶすべり出しがよかったようでございますが、七時半までただにするというのは、これはたいへん画期的な発言でありまして、私どもも実はそういう御発言の中身について伺いたいと思っていたのでありますが、この通勤輸送を七時半までただにするということ、それから関連して通勤輸送はどういうふうにおやりになるのか、この辺のところをひとつお答えいただきたい、かように思います。
  20. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 ただいまのお尋ねでございますが、通勤輸送等まことに重大でございまして、実は東京だけでも千二百万近い、千百七十六万人も通勤をせられる。しかもそういう人こそ国家の産業上にも、あらゆる部面で日本産業土台石ともなっている人たちで、こういう人をああいう込む汽車に乗せるということはまことに相済まぬ、したがってなるべくあの交通地獄とも言うほど込んでおる電車汽車緩和のできるように、こういうことで考えておるわけでございます。したがって、私がたまたまテレビかラジオで発言いたしましたことは、どうせ電車はからでも動かすのだから、そういうようなこともひとつ大いに研究してみるべき問題ではないか、こういう程度発言をしたのでございまして、これをただで乗せるとかどうとかというのじゃなくして、交通緩和ができるということであれば、それこそあらゆる方策を講ずべきだ、こういう意味発言でございまして、ちょっと誤解が生じたかもしれませんが、そういう考えで申し上げたわけでございます。
  21. 久保三郎

    久保委員 いまの御答弁だというと、無料ならば緩和できると思っていらっしゃって、そういう意味での発想から朝の七時半まではただにする、こうおっしゃったような御答弁があるわけでございますが、無料ならば緩和できるというのは——いまの政府の中でといっては語弊がありますが、いまの通勤輸送の体制の中では、無料にしたら無料にしたところが一番込んでくるんじゃないでしょうか。この無料の根源というのは、どうもいまの大臣の御答弁では少し違うんじゃないか。大臣になったんで何かふわふわされて、ただにでもしてしまえというようなことで、気やすくおやりになったのかと私は思うのですが、そうじゃないのですか。気やすくやったとするならば、運輸大臣そのものの値打ちを自分から放棄された形で、これはたいへん問題だと思うのですよ。
  22. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 つまり通勤時間の混雑な時間でない朝七時までとか、あるいは五時から六時までとか、具体的なことは言いませんでしたが、そういういわゆる普通の通勤時間でない時間に通勤をしてもらうことができるのなら非常な緩和ができるんじゃないか、こういう意味で申し上げたつもりでございます。
  23. 久保三郎

    久保委員 それはだんだんお話が変わってきて、七時半から六時半ころになったりしますのですが、大臣はあまり御研究なさらぬで、大臣になってすぐジャーナリストから、一番問題なのは交通事故通勤輸送ですね、こう聞かれて、ついては通勤輸送はどうなされますかという質問にたしか答えられたんじゃなかろうかと私は思うのです。その現場というかテレビを見ておりませんが……。新聞で見ると七時半までただということでありますが、いまの御答弁だと、それとだんだん違ってきて、ピークの山をくずすということで、そのためにはただでもいいんじゃないか、こういうふうにとれるような、大体一応勉強された結果としての答弁らしい。だけれども、七時半というのはもうピークになっておりまして、どこで七時半なのか、発駅で七時半か着駅で七時半か、これは七時半の設定のしかたによってはたいへんな問題だと私は思います。いまでもただにしたらば山がくずれるとお思いでありますか。
  24. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 確かに勉強してなかったことも一つでございますが、たとえばということでございまして、確定したことばを吐いたわけではございません。あくまでも通勤方々に、あれほど込む電車、あれほど込む汽車に乗せるということは相すまぬというような信念のもとに、たとえばこういうふうなことをしたらどうかということを、一例を申し上げたのでございまして、それを実行するとかしないとかというようなことは申し上げたことはありません。
  25. 肥田次郎

    ○肥田委員 関連して。いま運輸大臣は、そんなたいした根拠があって話をしたんではない、ただ勉強足らずでというふうに話がありましたが、あなたの言われたことはこういうふうに新聞に書かれているのですよ。朝七時から七時半までの国電通勤客をただにする、これができなければいつでもやめます、こう言っているんです。それはどういう関係なんですか。  それからもう一つ。これは国鉄とそれから鉄監局長にお伺いしますが、大臣がああいう時間的なものを限ってただで乗客を乗せるということ、いわゆる無賃輸送の法的根拠というもの、それをひとつ説明してもらいたいと思います。
  26. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 私から先に申し上げます。  誤解があるようですが、さっき申し上げるように、新聞にそういう談話を発表したことはございません。ラジオ、コマーシャルか何かで呼ばれていきまして、何かコマーシャルですか何ですか、テレビ——ラジオに呼ばれていきまして、たとえばと、こういうことで、運輸大臣責任といたしましては、何としてもあの込む電車を解消すべきだ、あの込む電車に乗ってもらう人こそ国力を培養するたいへんな方々なんだ、これを優遇しなければならない、こういう意味で申し上げたんで、それをやらなければやめるとか、責任をとるとかということは、そういうことではございません。ただの、無料電車のことで申し上げたんじゃない。こういう込む電車を解消しなければ運輸大臣責任をとるべきだということまで決意をしておりますと、こういう意味で申し上げたわけでございます。
  27. 増川遼三

    ○増川説明員 私どものほうではかねてより、時差通勤につきまして非常に苦慮いたして努力をしてまいったのでございまして、そのための一つの手段といたしまして、従来の非常に込んでおります時間よりも早く乗った方々には早朝割引をしたらどうかという意見が出まして、かねてから検討をしてまいったのでございますが、なかなかこれも実効があがりにくいということで、その点現在の荒舩大臣になられましてから所管事項の御説明を申し上げたわけでございます。その際に、割引率が低いからそうなんじゃないだろうか、これをただにするというようなことにすれば、みなこの時差通勤にもっと積極的に応じてくれるだろうかどうか、こういう御意見が出たわけでございまして、その点につきましても私ども検討いたしましたけれども、現在のところ、国鉄とも協議いたしました結果、まだ適切な解決方法を見出していない次第でございます。
  28. 磯崎叡

    磯崎説明員 無賃で輸送することにつきましては特別な法令上の根拠——運賃法第八条によりまして、国鉄全体の収支に大きな影響がない場合には、国鉄総裁限りである程度の減免ができることになっております。しかしながら、十割引きということにつきましては、いわゆる八条に該当するかどうかということにつきましていろいろ問題があると思います。もし実行するとすれば、あるいは立法上の措置が必要かというふうにも考えます。
  29. 肥田次郎

    ○肥田委員 私は大臣の先ほどの話は一応話としてはわかりますが、いま鉄監局長の話、それから国鉄総裁の話を聞いてみても、あなたが言われるような、いわゆるまるっこでただにする、いわゆる十割引きのただの運賃輸送というようなこと、これが法的にできる余地というものは、いまのところはないのです。それをあなたは知らなかったと言われればそれまでなんですが……。  それから、この、やります、これができなければ私はやめます、これは勇み足だろうと思うのです、このことばは。そういうふうに受け取ったかどうかは別にして。あなたがそういう勇み足で言われたことがそのまま残っておるのかもわからない。しかし、これはいいとしましょう。  ところが、ここで私がひとつ聞きたいのは、国鉄側として、大臣がああいうような発言をしておるのにもかかわらず、これを知らぬ顔をしておられたということは一体どういうことなのか。それから、鉄監局長、あなたも、こういう大臣発言を知らぬ顔をして聞きのがしておったということは一体どういうことなのか。そうすると結局、大臣発言というものはラッパの吹きっばなしということになる。大臣になったとたんにああいうことをおっしゃった。それは実現しない。しないからというので大臣をほっておくということは、あなた方の大臣の補佐の責任なんだ。そういうことになるでしょう、鉄監局長。その点を少しはっきりしておいてもらいたい。大臣発言責任のある発言なのか、あるいは荒唐無稽な大臣の思いつきの発言なのか、その点をはっきりしてもらいたい。
  30. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点につきましては、私決して大臣の御発言が荒唐無稽とは存じませんで、もしそうした場合には財政上どの程度の損失があるかということは計算いたしまして、現運賃で約二百数十億であろうということまで計算いたしたわけでございまして、その後それが運賃法第八条に該当するかいなかということについて検討いたしまして、それは第八条では無理だろうということまで運輸省に申し上げております。
  31. 肥田次郎

    ○肥田委員 副総裁、ことし運賃の値上げをしたところですよ。私鉄の運賃は二〇%、国鉄の運賃は政策運賃であるにもかかわらず三一%値上げした。そうしたあとで、そういうことが、あなたがいま言われたようなことができますか。
  32. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの御質問はできるできないの問題ではなしに、大臣の御発言をどういうふうに事務的に検討したかというふうにとりましたのでそう申し上げたのであります。できる、できないの問題として御答弁いたしたわけではございません。
  33. 増川遼三

    ○増川説明員 私どもといたしましては、種々検討した結果をもちまして大臣に十分御説明を申し上げまして、現在のところ、その実行ということにつきましては一応保留をしておる次第でございます。
  34. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 誤解があるようでございますが、これは実は別段国鉄と深い相談をしたわけでもございませんし、鉄監局長とも相談したわけじゃない。たとえば、あれほど込むのは——時差通勤も百二十万人の目標で、現在百一万人くらいが実行されております。本年は百三十万人まで時差通勤をしようというような計画もありますが、なかなかそれだけでは、あの込み合う汽車電車を解消するわけにはいかないので、たとえば込む時間でないときにただで乗せる、無料で乗せるというようなこともでき得れば解消できるのではないかという意味発言をしたのでございまして、先ほど来御質問のように時間を切ってどうとかというような具体的なことは言わなかったのでございます。  以上でございます。
  35. 久保三郎

    久保委員 大臣、時間の関係もございますから、この問題ばかりにかかずらわってはいられないのでありますが、あなたはいま時間を切っては申し述べてはいないとおっしゃいましたが、新聞やテレビ、そういうもので、事実世間では七時半までというふうにとっているのです。別にそれにこだわるわけでもありませんが、少なくともそういう前言取り消しみたいなお話は、そうなったならば、きちっと、これは間違っていたと率直にお取り消しいただいたほうがすかっとするんじゃないですか。その後勉強もされたし、さっき国鉄の副総裁からもお話があったように、それに二百二十億くらい出すといって出せばピークの山がうんとくずれるというのなら問題のない話なんですよ。だから何も御訂正ばかりが問題ではないのでありまして、そういうものをやるつもりでいたんだが、それはなかなかむずかしいとかいう話ならいいけれども、七時半までというような時を切って話なんかしませんとかいうようなことでは、どうも少しおかしいのじゃないですか。私はそういう姿勢をきょうはひとつ正してもらいたい、こういうふうに思うのですよ。言いっぱなしで、できもしないことを言ったなあと言われたら、あとで何とか訂正すればよろしいんだというような考えでいろいろ発言されたり行動されることは、間違いのもとではないかと思うのです。一代議士にしても、御案内のように、それぞれ立場発言についても十分考慮しなければならぬのでありますから、ましてや台閣に列して運輸行政を担当される大臣でありますから、やはり相当慎重に、権威を持って御発言ただいたほうがいいと私は思うのです。いかがでしょう。
  36. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 そのとおりでございます。
  37. 久保三郎

    久保委員 それじゃ次に、記憶もまだ新しいのでありますが、武州鉄道事件というのが国会で中心に取り上げられた。その後司直の手によって調査をされているようでありますが、結論については私まだよく存じておりません。しかし武州鉄道についても大臣は、賛成の立場で公聴会にも臨まれたように聞いております。いま運輸大臣となられて、武州鉄道はああいう事件を生んだんだが、やはり武州鉄道は今後どうあるべきかというふうなことを織りまぜてあなたは賛成の公述をしたようでありますから、この問題を前面に推進させるお考えですか、どうなんですか。
  38. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 この問題は推進ができればいいと思っております。しかし、私の心境を一言述べさせてもらいますならば、ちょうど昭和三十四年秋ごろ私は、武州鉄道が吉祥寺、三鷹、国分寺方面から青梅を経て私の郷里であります秩父市へ乗り入れになるという申請をされた、こういうことを聞きまして、さきには西武鉄道が飯能から秩父市まで引き入れられる計画になっており、その上また一本武州鉄道が来るということであれば、私の郷里といたしましてはこれ以上願ったりかなったりのことはない、非常に喜ばしいことだと思っておりました。  御承知のように、埼玉県の秩父郡は約十五万の人口で、面積は埼玉県の三分の一でございます。山岳地帯が非常に多くて、しかも秩父多摩国立公園の指定を受けて風光明媚であります。その上、武甲山という石灰岩の山は、量におき、品質におきまして日本一だといわれておるのでございます。加えて奥秩父の秩父鉱山は鉄鉱石が非常に優良でございまして、あるいは千五百万トンないし二千万トンの埋蔵量があるということで、日本の優秀な鉱山である。また金、銀、銅、亜鉛等も産出されるのであります。その上に秩父セメントが秩父市にございまして、毎月十数万トン生産されております。なお、木材も埼玉県の三分の二近い生産がありまして、約二十万石くらいの生産があるのでございます。また秩父めいせんも約五十億の生産があります。しかしながら、悲しいかな単線の秩父鉄道が一本しか入っておりません。したがって、その秩父鉄道は十数万トンのセメントを運ぶことで一ばいであり、なお、乗客は満員の状況であります。そういう関係からいたしまして、ぜひ西武鉄道が早く入ってもらいたい、加えて秩父の町へも西武鉄道が入ってもらいたいというようなことは、私だけではございません、埼玉県あるいは秩父郡の熱望しておったところでございます。しかも秩父鉄道が単線ばかりではございません。秩父から熊谷に抜ける二級国道——その当時の二級国道でございますが、これが半分舗装ができている程度でございまして、ただ一本の東京へ通る二級国道でございます。したがってこれらの産物を運ぶのにも非常に不便でございまして、秩父鉄道はセメントを運ぶので一ぱい、あとはトラックによって秩父鉱山の鉱石も運び、あるいは武甲山の石灰石も運び、その上木材もめいせんも、そういうものもトラック輸送だけで運んでおるというような状態でございます。したがって、西武鉄道計画を聞きますと、こういうような貨車の荷物を運ぶほうは西武が大体目標にしてやるのだ、それからいわゆる観光開発のような問題等については、これは武州鉄道がやるのだというような話も聞いておりました。しかも武州鉄道が入ってくることになれば、いままで秩父から東京へ出るにいたしましても熊谷で乗りかえをするのでございまして、どんなに都合よくいっても三時間以上かかる。それが武州鉄道が入ることによって一時間短縮されるというようなことからいたしまして、これは久保委員でもそうだと思いますが、自分が生まれて自分が育った町でございますので、そういう計画があれば、自分の土地に鉄道がくるということでございますので、ぜひともひとつ一生懸命やりたいということで、秩父郡民をあげて、あるいは埼玉県の県庁とも連絡いたしまして、そして一生懸命陳情をやり、各方面に働きかけたことだけは事実でございます。これは決して私は否定するものではございません。  そういう意味で一生懸命努力をしたつもりでございますが、しかし、その後武州鉄道事件というものが起こりました。したがって、いろいろな忌まわしい問題が起こりましたが、私はそういう問題には一向に関連性はありません。絶対にそういうことで調べを受けたというようなことはございません。ただ、どうしてそんなに本気にやったかというので、秩父郡方面で十数人意見を聞きたいということで聞かれたことはございまするが、事件等に、直接関係のあることによって私が取り調べを受けたなんということはございません。  しかしその後におきまして、武州鉄道が、何だか私は様子はよくわかりませんが、いろいろ発起人等が変わり、いろいろな事件が起こったことによって関係者も変わってきたということで、いまはなかなか実現性が困難であろうということを聞いております。  以上、概略でございますが……。
  39. 久保三郎

    久保委員 いまの最後のお答えでありますが、武州鉄道事件には関係がないというお話でありますが、当初お述べになりました、必要であるから強力に一生懸命誘致というか実現方に骨折った、こういうことでありますが、いまお話しのように、武州鉄道はその後着工も計画もするような腹はないようでございます。それは大臣いま御指摘のとおりでありますが、ただ問題は、一生懸命にやったそうでありますが、こう路線にはほかの企業の申請があっても、もはやこの武州鉄道が一切を取り下げない限りはこれに対して鉄道はできないということも御承知でしょう。そうなった場合に、一生懸命やったのに対してあなたはどうも変に思いませんか。いかがです。
  40. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 その後の状況は、何だか会社がはっきりできておるのかないのかというような問題も聞いてまいりましたが、いま代表者は小笠原三九郎さん、であると聞いておりますが、なかなか資金の関係やいろいろなことで進捗しておらないようでございまして、私といたしましては非常に残念に思っておる次第でございます。
  41. 久保三郎

    久保委員 運輸大臣におなりになってからは、この武州鉄道には関心を持っておられないわけですか。
  42. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 できればひとつぜひ実現がしたいということは、いまだに変わっておりません。
  43. 久保三郎

    久保委員 頭の中でそう考えるだけでありまして、あとはよけいなことはしないのでありますか。
  44. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 いろいろ風説は聞いておりますが、実は会社が資金の関係や何かで実現ができなそうだということを聞いております。非常に残念だと思っておる次第でございます。
  45. 久保三郎

    久保委員 それじゃ、これも不徳のいたすところではなかったかと私は思うのでありますが、たまたま運輸大臣になってこられたのでありますから、かかる事件が起きないように十分御配慮いただきたい、かように私も思っております。  次に、これは国会役員として、決算常任委員長時代に、たしか私も決算委員でありましたが、大阪拘置所の土地の交換の問題がございました。先般どこかの席で、あのときには委員長の肩書きで大阪に御出張なさったというので、田中彰治事件と関係ありということに世間はなっているのでありますが、これはどうなっていますか。
  46. 古川丈吉

    古川委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  47. 古川丈吉

    古川委員長 速記を始めて。  運輸大臣
  48. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 お答えをいたします。  私は昭和三十五年十二月九日に、久保委員さんの御承知のとおり決算委員長就任をいたしました。続いて昭和三十五年十二月二十六日に、国有財産の増減及び現況に関する調査委員長に田中彰治君が就任をいたしました。これは社会党の小川さんやなにかの強い推薦がありまして、私が十二月九日に決算委員長になるとすぐ、こういうような話も聞いておりまして、満場一致で田中彰治君が小委員長になったのでございます。続いて私は、昭和三十五年十二月二十九日に台湾に出張いたしまして、一月上旬に帰国をいたしました。  昭和三十六年一月中旬ごろと覚えておりますが、牧野寛索代議士が上野という人を連れてまいりまして、大阪拘置所の問題等についてひとつ調べてもらいたいというような話が、衆議院におるときに参りました。そこで私は、地所の問題であるとか、あるいは国有地の問題であるとか、そういうことはきわめてふえてでございますので、それは小委員会ができておるので、そちらにひとつ調査を依頼したらどうか、私にはそういう能力がございませんと、きっぱりそういう話をいたしました。  その後数日たって、田中小委員長から電話がございまして、大阪拘置所交換の問題はまことに重大であるから本腰を入れて調査すべきだと言ってまいりました。私は、この問題はいやしくも法の秩序を立てる法務省が行なった問題であるので慎重でなければならないということを田中君に言いました。しかも、いま交換をしたその所有権がある延原氏であるから、これに会って真相を聞いてから調査を始めることにしてもおそくはないじゃないかという意見を私から、電話でございましたが、いたしました。そこで、よく事情を聞いてから小委員会で議題にしたらどうかということを、重ねて私のほうからも電話をいたした次第でございます。  そこで私は、決算委員長という名前だと実はかどが立つから、決算委員長という名前でなくて、ひとつ田中君、この延原という人に私も会ってみるから、あなたもおいでなさいということを言いましたら、しぶしぶ返事をいたしまして、それじゃ行ってみるかというような話でございました。そこで私から延原という人に、丁重な手紙を秘書に書かせまして、こういう問題で御意見を承りたいからお目にかかれますかという手紙を出しました。しかしそれはあくまでも決算委員長という手紙ではございません。お調べをいただけばよくわかりますが、あくまでも円満に、調査をする前によく話し合いをしてからのほうがいい、いやしくも、さっき申し上げるように法務省がやった仕事でございますから、慎重のほうがいいというつもりで、そういう意味の手紙を出しました。そういたしますと、私に延原という人から電報が参りまして、昭和三十六年の一月三十日に大阪のグランドホテルでお目にかかりますという手紙が参りました。そこで私は、それではそれに間に合うようにということで、私がグランドホテルへ行っておりましたが、午前十時に参りませんので、相当時間を待っておりました。そういたしますと、午前十一時ころと思いますが、田中君があとから来たようでございます。そこでその延原という人を待っておりますと、実はむすこさんという延原——名前はよく覚えておりませんが、延原というむすこさんと、番頭さんであるか弁護士の方であるか参りました。私は、自分の部屋でお目にかかるということは、疑惑が起こったり何かしてはいけませんので、グランドホテルのロビーでお目にかかることが適当だと思いまして、ロビーの奥のほうのところでお目にかかりました。そういたしますと、どうもおやじは都合が悪くて来られない、何かこわい人が来るという話のようではお目にかかれないというので、私が代理で来ましたが、なおこの人は私に関係のある人ですから、こういう話をしておりました。そこで、それは円満に解決をすることがいいからおとうさんを呼んでもらったらどうです、こういう話をしておりましたら、それはどうもおやじが出てくるというのをいやがっておりますので、実はきょうは私でひとつという話をしておりました。そういたしますと、私がお目にかかっておるところがロビーでございますから、田中小委員長がうしろのほうで立っておりまして、私に非常な難詰をいたしました。延原という人が会うからいやいやなんだが君来てやったんだ、君は何でそういう人に会わせることができないのかというので、私に食ってかかるような激しいことばでそういう発言がありました。そのうちに延原さんのむすこさんという人と弁護士か番頭さんかしれませんが、その人がこそこそ帰っていくのであとを追いかけましたが、そのまま帰ってしまいました。  以上がそのときの状態でございまして、その後は小委員会で、久保さんの御承知のとおり質問、意見いろいろなことが取りかわされましたが、どうも私といたしましては、どの人がほんとうであって、どの人が信じられぬかというようなことは、私は判断に苦しみました。ということでございまして、そのまま、その後に田中小委員長のむすこが引っぱられたとか、あるいは上野という人か拘置所に留置されたということは聞きましたが、以上でございまして、私が決算委員長でなければそういうことに関係がなかったと思いますが、決算委員長であります関係上、そういうことでございました。  なお、その後におきまして、ちょうど国会中と思いました。田中君が呼ばれているので、これを留置するかしないかということを実は大阪地検ですか、どうですか、そういう状況でございました。そこで電話がかかってまいりまして、決算委員会でどうして取り上げたのかということが、名前は覚えておりませんが、検事局から電話がありまして、東京まで出てきてその状況を聞きたいというから、いや私のほうからそれじゃ出張いたしましょうというので行きまして、こういう状況ですということを、いま申し上げたようなことを三、四十分お話をして、それから田中君はその後留置されないで帰ってきたようでございます。  以上大体の経過を申し上げますが、そういうことでございます。
  49. 久保三郎

    久保委員 いま大臣は、当時決算委員長の職にありながら、個人荒舩清十郎として延原に会見を申し入れて、延原のせがれか何か知らぬが、代理の者と大阪で会った、こうおっしゃいましたが、ある新聞に、そのあなたの出した手紙の写しが書いてあります。よろしゅうございますか、いま手元にありますから読んでみますと、  拝啓  寒気逐日相募ります折柄益々御清栄の上御活躍の御事慶祝申上げます。  扨突然にて誠に恐縮の至りに存じますが此の度国政諸般を視察のため元衆議院決算委員長の田中彰治、並現委員長荒舩清十郎同行の上大阪市に参上致すことになりました就いては誠に御迷惑の御願ひに存じますが一月三十日午前十時大阪市グランドホテル迄御来駕の栄を賜はり何かと御高説を拝聴いたしたく是非共懇願申上げます。  取り急ぎまして要用のみ御願いたし余は御拝眉の節を期待いたします。   一月廿五日             敬具                  荒舩清十郎 これは出し人としては肩書きは書いてありませんが、中身は、現委員長のあなたが、田中前委員長と一緒に行くから大阪グランドホテルまで来てくれ、こういう手紙を出しているのですね。だからそのことは、これから決算委員会なり法務委員会なりその他で逐次お調べというか質疑もかわされることだと思うのでありますが、私は、この手紙は大体読んでおりますから、こうだろうと信用いたします。大臣のことばを信用しないわけではありませんけれども、何か強調されたことがこっちは強調しているようなので、これはどうもおかしいのではないかという気持ちを世間並みにいたすわけであります。それでそのあとの結末は、いま田中彰治君がそれぞれの向きで調べられているということでありますが、当時単なる、よく話したらいいだろうというだけじゃなくて、おそらくこの延原に会ったときには、あなたの面前で田中彰治君は、たしか語気荒く何か難詰し、脅迫といっては語弊があるが、それに類似するような言辞を吐いたことは事実だと思います。何かあなたのうしろに立っていて、つまなぬ、そんな、というようなことを言ったような話でありますが、それだけですか。これはまた、あなたはどうして決算委員長の肩書きに拘泥されるのですか。この書面にそう書いてある。それでどうして決算委員会が始まる前に行かれたのでしょうか。さっきお話もありましたが、普通ならば一回委員会で取り上げてみて、やはり本人によく会ってからやったほうがいい、あるいは次の手続を踏んだほうがいいということになるのが、いままでの慣例というかしきたりのようにも私は見受けているわけですが、てっぺんから、田中彰治君がやっつけようとする相手方と会うということ自体私はどうかと思う。それはあなたが発意したようだけれども、これは先に、言うならば、田中彰治の名前がきっちり出ているんですよ。本来なら田中彰治氏が行かぬで、あなたがどうしても聞いて調べておきたい委員長として取り上げるべきか取り上げないか判断に迷うというなら、あなたが行って単独でお調べになるのがほんとうなんですが、当該者、いわゆる反対側にあるような田中前決算委員長を御同行されたことも疑いの種になります。これはいかがですか。
  50. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 その新聞に出ている決算委員長ということは私は書いてございません。これは何か新聞の間違いじゃないかと思っておりますが、お調べをいただきたいと思います。衆議院議員荒舩清十郎と書いたつもりでございます。(「つもりだろう」と呼ぶ者あり)つもりじゃない、そうでございます。  それから実はこの問題は法務省の問題でありまして、どうも牧野寛索君の言ってきたことも、それから上野という人も何かいろいろ風説のある人だということも聞きまして、もし田中彰治君があんまり本気になって、所有権のある人にも会わないでやたらに調査をしたりなにかするようなことはまずい、こういうことで、できるなら真相を究明してから小委員会にかけるのがいい、こういうことでございまして、現に、決算委員会でこれを調査してもらいたいということでございましたか、どうも、さっき申し上げるように、国有地の問題や地所の問題でございまして、こちらもしろうとでございます。したがってこれは小委員会にかけるのがいいということと、この事件が終わるまで決算委員会にかかったのではございません。したがいまして、実はいろいろ田中君が自分調査網を張って非常に意気込んでおりますので、私といたしましては、大阪まで行って、所有権のある人やあるいはその周辺の事情もよく調査してかり小委員会で議論をするほうが正しいということで、そういう意味からいたしまして、実は決算委員長として出張するのでは、旅費や何かも請求しなくちゃですが、私は個人として、日帰りでいいんだからというつもりで大阪まで行ったわけでございます。したがって、これらの点につきましてほ、私はその後の状態は一切知りません。これは当時の決算委員会の皆さんがよく知っておるところであると思います。そういうような事情で、なるべく調査は公平に円満にできるほうがよろしい、こういうつもりで、自分としては誠意を持ってやったつもりでございます。これが誤解があると非常に私も迷惑でございますので、はっきりこういう点を申し上げる次第でございます。
  51. 久保三郎

    久保委員 あなたは個人衆議院議員荒舩清十郎としておいでになった、こう言うが、決算委員長という肩書きは、どこへ行っても、やはりやっている限りは、しかも決算委員会に出そうか出すまいかというような事件をお調べになれば、特に決算委員長と名のらぬでも、決算委員長荒舩とこうなるんじゃなかろうかと私は思う。だから手紙の中身がにせであるかどうか別にして、そこに書いてあることと実態があんまり変わってはいないと私は思うのです、個人であなたが行ったということは。それから、もう一つ常識的に変なのは、何で自かから買って行ったのだろうかという疑惑があります。それほど重大だということは、確かに重大かもしれませんけれども、大阪まで、しかも田中彰治君と同行して行ったということ自体が、何かあるのじゃないかというふうに常識的に考えられるのですが、あなたに頼めば何でもやってくれるのですか。これは気がよくて、だから行ってやりうかというような調子でやったのですか。だれがに頼まれたのじゃないのですか、田中彰治か何かに。
  52. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 私はだれにも頼まれません。それから田中君に頼まれたのではございません。私は、問題が起こってはならない、しかもさっき申し上げるように、法務省の問題があって、田中君がばかにハッスルいたしまして、自分調査網というのですか、非常にいろんな人を集めて大騒ぎをするというような状況でございますので、これはよく根本を調べてから小委員会にかけるのがいいという気持ちで、ほんとうに誠意を持ってそういうふうにしたつもりでございます。  なお、先ほど御質問に対して落ちましたが、グランドホテルにおきましては、私に田中彰治君が難詰をしたことは事実でございます。どうして延原という人に手紙を出して、電報まで返事がきているにもかかわらず君は会わせる力がなかったのだということで、非常に私を難詰しました。そのことばの中に、最初延原さんのむすこさんが来たときに、こわい人が来るのではおやじは会わないと言っています、こういうことでありまして、こわいということは田中君をさしているのじゃないかというふうに見てとったと私は思っておりますので、よけい田中君が興奮して私に食ってかかったのでございます。大きな声をしましたから、向こうは驚いて帰ったのだかもしれません。これには間違いございません。
  53. 久保三郎

    久保委員 中身についてはこれから決算委員会等でもあなたに対して質問をすると思うのでありますが、もしもあなたが言うような考えで大阪にいらっしゃって延原と会うということならば、単独でいらっしゃって、そして、片方の話は田中君から聞いたのでございますから、片方の話もあなたが行ってお聞きになってきて、これはいいか悪いかあなたの頭の中で判断して決算委員会におかけになるというのが手順じゃなかろうかと思うのです、お話のようなことであるならば。ともかくも、田中彰治を連れていってやっているということも、どうも解せない一つ問題点ではなかろうかと思うし、もう一つは、最近は検察庁その他からはお問い合わせばないのですか。
  54. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 検察庁から問い合わせも何もございません。それから、この事件には天地神明に誓って関係はございません。しかも、私がさっき申し上げるように、これは、決算委員会で取り上げるということは非常に私はちゅうちょしておりました。なぜかというと、これは小委員会でやるべきだという判断をし、最後まで決算委員会で取り上げなかったことも、こういう問題等は法務省であり、しかも拘置所、拘置所といいますが、監獄の交換等でございますので、手落ちがあったとは私には想像がつかなかった。しかも、それに対して田中君が非常なハッスルをしておりまして、何というのですか、自分調査網を十分活躍さしてやるような様子ですから、間違いがあっては相ならぬということで、好意を持って、誠意を持って、実はその前に所有権のある延原さんと会ってみたらどうか、こういうことでございまして、私は決算委員会で取り上げておらないのですから、私一人で行くべきでないので、田中君とよく話し合いができれば円満に済むのではないか、こういう深い気持ちを持ちまして、田中君を勧誘して実は案内をしていったという意味でございます。
  55. 久保三郎

    久保委員 たいへん順序を追ったような話であるが、かえって、すればするほどおかしな話でありまして、あなたがどういう関係があるかどうかは私は存じません。存じませんが、やはり何かどうも田中彰治君と一緒にある時点では行動したようにも見受けられる。これではどうも政治姿勢としても芳しくないじゃないかというのが世間の見方だと私は思うのです。今日あなたが田中彰治君と同じような疑惑があるとかないとかの問題の前に、いまお話しがあったように個人荒舩清十郎であるかどうかは別にして、何で大阪まで行ったのか。しかも一人で行って聞いてくればいいものを何で田中彰治君を連れていったのか、この辺もおかしいのでありまして、あなたが、関係ない、何もおかしなことはないとおっしゃるのでありますから、そのとおりだろうと思うし、また私も期待しています。しかしどうも、説明をしてもらえばもらうほど何かへんちくりんですね。普通の一般的な常識からいえば、さっき私が申し上げたように、田中君からえらい荷物を持ってこられた、これは片方だけの意見だ、牧野寛索から話を聞いた、これじゃ決算委員長としてもまずいから、本来ならば東京に延原をあなたが呼んで聞くのがほうとうなんです。それを田中彰治を連れて大阪グランドホテルに行ったということも、どうも何か手数が込んでいるように見受けられる。だから、いまは違うでしょうが、あのときの心境としては、何かお話がありましたように、うまく妥協ということで一骨折ってやろうかというような気持ちがあるいは動いたかどうか、そういう心証を持って大阪まで行ったのかどうかということも私は考えるのですが、その点はいかがでしょうか。
  56. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 私は別段妥協も、これに興味も持っておりません。いま申し上げるように、だから決算委員会で取り上げてくれろという問題についても私は決算委員会で取り上げなかったわけでございまして、特にどう考えても法務省の問題でありますし、あまり手落ちがあったとは私は思えないので、あまりに田中彰治君がハッスルしておりますためにいろいろな問題等が起こっては相ならぬということで、実は田中彰治君に一緒に無理に行ってもらいまして話を聞いたほうがいい、こういうことでありまして、決して妥協とか——その地所がどのくらいな大きさのものであって、どういう問題であったというようなことについては、私はいまだに存じておりません。興味もありませんし、そういうような問題に触れたいとも考えておりません結果、決算委員会でも何度言われても取り上げなかった次第でございます。
  57. 泊谷裕夫

    泊谷委員 関連。荒舩さんは延原さんと前に会ったことがありますか。
  58. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 ありません。
  59. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それじゃ初めての対面ですね。
  60. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 初めても一ぺんも——最初も最後も、一ぺんも会っておりません。むすこさんにただ一ぺんグランドホテルで二十分ぐらいお目にかかっただけでございます。
  61. 泊谷裕夫

    泊谷委員 むすこさんにお会いすれば常識的に私ども名刺を交換しますね。名刺はお渡しになったのでしょうね。
  62. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 名刺は差し出したかもしれませんが、覚えておりません。
  63. 泊谷裕夫

    泊谷委員 差し出したかもしれない——まあいいでしょう。あなたの手持ちの名刺の肩書きは当時何でしたか。
  64. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 名刺はどういう名刺であったか……。私は荒舩清十郎という名刺と衆議院議員荒舩清十郎というのと決算委員長という名刺と三種類持っておりましたが、どういう名刺であったかは覚えておりませんが、たぶん衆議院議員荒舩清十郎であったと思っております。
  65. 泊谷裕夫

    泊谷委員 私は検察庁のまねをしてお尋ねをしようとは思いません。国会の権威と委員会における仕事の問題でお尋ねしたいのですが、調査をされるなり、また両当事者間の話をまとめる場合、二つのコースがありますが、院議がなしに、院の決定がなしに国会議員として、衆議院議員として調査ができますか。
  66. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 この問題を調査するために私は行ったのではございません。これは何かいろいろな疑惑があるようだから、それから田中彰治君があまりに本気になっていろいろな手を使ってやっているようですから、その前に所有権のある人と話し合うべきだ、そうしてそれをもとに小委員会で調査をするなりすべきだ、こういうことでございました。
  67. 泊谷裕夫

    泊谷委員 先ほどの先輩久保さんの質問に答えてあなたは、新聞に出ておる手紙は誤りだ、決算委員長と書いてはないはずだ、衆議院議員荒舩清十郎と書いた、こうおっしゃるのですか。
  68. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 そうでございます。
  69. 泊谷裕夫

    泊谷委員 そうですね。両当事者間の何か折衝を取り持つというならば、私の聞いておるところではあなたは酒屋の御主人だそうですけれども……(荒舩国務大臣「酒屋じゃございません」と呼ぶ)そういう商社の社長なら、あるいは国会の衆議院議員という肩書きをはずして、ほかの商社の主人だとか、紛争を処理するための何かの機関の責任者としておやりになるなら話はわかるのですが、何でそのとき手紙に衆議院議員ということを使わなければならぬのですか。
  70. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 向こうへ参りまして、決算委員長ということでなくて、なるべく円満にというつもりで衆議院議員と書いたつもりでございます。なおまた、向こうへ話をするのに、ただ荒舩清十郎といっても知らないし、目的もわからないと思いますので、衆議院議員ということを書いたのでございます。
  71. 泊谷裕夫

    泊谷委員 結局あなたのおっしゃるのは、衆議院議員と書かなければわからないということは、何かの背景をもって話を進めよう、何かの力のあるものをもって話をしようということでしょう。
  72. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 いや、何かの力をもってということはございません。さっき申し上げたように、久保委員質問で言われたとおりに、決算委員会にかくべきだと思っておりませんので小委員会のほうへ話したのでございまして、そういう意味からいたしまして、この問題等には私は衷心から触れてみたくないということを最初から考えておりますし、どの人が正しいとかどの人が信じられぬかということを実は疑っておりました。したがって、円満に解決すべく田中君を勧誘して一緒に行ったわけでございます。そういうわけで、これには間違いございません。
  73. 久保三郎

    久保委員 この問題はいずれ決算委員会等でも関連の深い問題でありますからあると思うのでありますが、どうもわれわれとしてはいまのお話で、何か進んで一緒に行かれた事実に対してどうも不可解に存じているわけです。ずいぶん御親切な積極的な態度である、こういうふうに思わざるを得ないのであります。  時間の関係もありますから次にまいりますが、大臣大臣就任してからいろいろの業界をお呼びになったそうでありますね。たとえば海運界とか自動車業界とかそれぞれお呼びになったそうでありますが、それはどんな会合ですか。
  74. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 先ほどの第一段の質問はどういうことでございましたか。よく聞き取れなかったので……。
  75. 久保三郎

    久保委員 大阪拘置所問題はあとにしまして、それだけにしまして、この間業界の方々とあなたは会合されたように聞いております。たとえば業界というと、自動車とか海運とか、運輸省の業界いろいろありますね。その席で、いうならば荒舩清十郎後援会にお入りになるようにというおすすめをだれかがした。もちろん大臣そのものは、そんなことは不見識だからやらぬだろうと思いますが、あなたに近い方が後援会に入ってくださいということでふれを回したという話を聞いておるわけです。  まず第一に聞きたいのは、業界を何でお呼びになって、どういうお話をしたのですかということを聞きたい。
  76. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 業界は、各種業界の代表者の人に全部日を切って、時間を切ってお呼びいたしまして、その目的は、運輸行政というものは各般非常に広いのでございまして、私しろうとでございますから、業界の多数の人の意見を聞いて、そうしてりっぱな行政をしてみたい。それから、かゆいところに手の届くというりっぱなことでもございませんが、できるならそういう方法をとりたい。そして各業界からいろいろな意見を聞きたい、こういうことでお集まりを願ったわけでございます。しかしながら、いま申されるとおりに、私の後援会の瀞白会というのがございますが、これは会長のもとに理事会がございまして——もちろん私が指揮して後援会をつくっているのではございません。後援会自体が私を後援するのでございます。しかもその業界の人を呼んで、そこで私が後援会に入ってもらいたいなんということをおくびにも出したことは絶対にございません。なおまた、その後援会の人が来て、この私の後援会に加入してくれろというようなことは、聞いておりますが、一言も言った覚えがないようであります。これは絶対に何かの誤解でございまして、その点どうぞ御了承願いたいと思います。
  77. 久保三郎

    久保委員 沢官房長、おいでになっているから聞くのだが、いままで大臣がかわられるたびに、いま大臣お述べのような、業界の代表を集めた会合をされるのですか。
  78. 沢雄次

    ○沢説明員 各大臣がおやりになったこと全部は覚えておりませんが、大臣が御就任になりますと、役所のほうで所管事項を御説明申し上げますが、大臣が直接に個々の業界の代表を集められて実情を聞かれたということは、よくあることでございます。荒舩運輸大臣は、個々に呼ばれるのは時間もたいへんだからといって、業界全体をお呼びになったのだろう、このように思っております。
  79. 久保三郎

    久保委員 その会合の席にはだれが同席していたのですか。
  80. 沢雄次

    ○沢説明員 運輸大臣以下両次官及び担当局長、運輸省の幹部が同席いたしておりました。
  81. 久保三郎

    久保委員 それだけですか。
  82. 沢雄次

    ○沢説明員 役所の者だけでございます。
  83. 久保三郎

    久保委員 それじゃ大臣お尋ねしますが、その際にはあなたの秘書か何かやっている方も出ていたのじゃなかろうかと私は思うのですよ。あるいはあなたが退席した直後入ってきたのじゃなかろうかと思う。後援会の話は、先ほどの御答弁では、何か後援会のあることだけわかったのだが、私が聞きたいのは、新聞等にも出ているように、業界の代表が集まった席で、おそらく大臣が話を終えたあと、もっと配慮すれば大臣が退席したあと、あなたに近い方がいて後援会の趣意書か何か回したのじゃないだろうかと思うのですが、その点はどうですか。
  84. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 そういうことは絶対にないようでございます。これは何かのお間違いだと思います。私の後援会は四年くらい前にできておりまして、大体埼玉県及び埼玉県の出身の人に後援会に入ってもらいたいということで、毎月十通くらいパンフレットや趣意書を送っておったようでございますが、その会合ではいろいろな業者の意見を聞き、そうして改善すべき点は改善しなければならないということでありまして、そこへ後援会が入ってきてこれを勧誘したなんというようなことは絶対にございません。
  85. 久保三郎

    久保委員 絶対にないという話だが、そうするとそういう報道をされたことは誤報である、何でわかったのだろうかわかりませんが、そういう新聞なり何なりが出ておりますね。これに対して、そういう新聞をごらんになりましたか。あるいは人にそういう話を聞いたのじゃなかろうかと私は思うのですが、そういう話は聞いておりませんか。
  86. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 誤解があるといけませんからはっきり申し上げますが、毎月十通くらいのパンフレット及び趣意書は出しておったようでございます。私がはからずも八月一日に大臣就任をいたしましたので、その後パンフレットを送り、あるいは何かしたことはありませんが、前の月かその前の月に出したのが、あるいはおくれてそれを見たという人があるかもしれませんが、いろいろそういう新聞等が出まして、間違いがあってはならないということで、大臣就任後は絶対に趣意書も送りませんし、それから送らせないように後援会に申し込んでございます。  以上でございます。
  87. 久保三郎

    久保委員 趣意書がどうか私は存じませんけれども、そういう会合をしたあとで、あるいはその席上あなたの後援会に勧誘したと報道がございますから、煙のないところにはうわさが出るはずがないのでありまして、結局うわさが出るもとがあったのじゃなかろうかと私は思っておる。これはあなたが見ておる前でやらなくても、見ていないときにやったかもわからぬと思うのです。いずれにしても、こういう新聞が出ること自体、どうもいままでに例のない運輸大臣話題だろうと私は思うのであります。全然ないものは出るはずがないのでありまして、これはあなたどういう御心境ですか。そういう新聞を見ていま私がお尋ねしておるわけですが、あなたにとっても、ほんとうにそういうことが全然ないものなら、これは新聞なら新聞の取り消しなら取り消しを御要求なさるのが筋かと思いますが、どうなっておりますか。
  88. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 誤解があってはまことに相すまぬと思います。そこで私もよく後援会に聞きまして調べたところが、前月ないし前々月出してあるパンフレットが間違ったのじゃないかと思っておりまして、なお再三にわたりまして注意をし、なお後援会の姿勢が、運輸大臣であって業者とそういうことがあっては相ならぬということで、絶対に出しておらないようでございます。しかし、残念なことにそういう新聞が出たということはまことに不徳のいたすところでございますし、また後援会としてもそういうことを慎まなくちゃならないと思っております。しかしながら、その後におきまして一通もそういうようなものはどこへも出しておりません。これだけははっきり申し上げておきます。
  89. 久保三郎

    久保委員 そういうふうにはっきりなさっておればいいのですが、新聞に書かれているところを見ると、市井の一市民の話なら間違ったとか何かいっても書くほうも違うのでありますが、運輸大臣ですから、そういう運輸大臣の直接関係なさることに対して報道するということなんだから、何もないことはないだろうというのが世間の通り相場であります。これは何ぼあなたが否定しても、やはりあったんだろうというふうにとられてもやむを得ないことでありますから、もしほんとうにあなたがないというならば、そういう新聞の記事などは取り消しを要求されるのが当然ではなかろうかと私は思うのですよ。それはまだ取り消しの要求はされておらないのですか。
  90. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 別段取り消しの要求も、もう新聞に出てしまったのでしいて要求はしておりません。しかしながら、まことに私といたしましては不徳のいたすところであると思います。したがって、今後誤解を受けるようなことのないように慎みたいと思っております。
  91. 久保三郎

    久保委員 どういうお考えで取り消しを要求されないのかわかりませんが、話題にすればずいぶんいやな話題だと思うのですよ、ほんとうにまじめに考えれば。私らだったら取り消しを要求いたしますね。なお大臣に私がかりになったとすれば、なおさら出しますね。だからそういう点はもっと個人の自由意思でございますから、こちらからどうせいという指示などする筋合いのものではございませんから、それまでにとどめておきますが、どうもその点は釈然といたしかねます。  それから、私の質問の最後になりますが、過日、日韓の経済閣僚懇談会、これはソウルで開かれて、あなたは運輸大臣として御出席なさったようでありますが、主たる目的と、会談の内容はどんな内容で、結論はどんな結論がつきましたか。
  92. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 会談は、主としていわゆる船舶の問題でございまして、次は飛行機の以遠権の問題でございます。しかし、最初からなかなか難問題でございまして、したがって、私の主張いたしますことは、互恵平等の精神にのっとりまして、そうして荷運びという船を使うことも、なるべくいま申し上げた互恵平等の原則によって荷運びをするというようなことを主張してまいりました。飛行機の以遠権の問題もございましたが、主として船の問題が重点でございました。しかし、以上私の主張いたしました点は、そのまま向こうと結論に達しないで帰ってまいったわけでございます。
  93. 久保三郎

    久保委員 外務省の移住局長お見えですね。——いま運輸大臣から御答弁がありました日韓の経済閣僚懇談会に、運輸大臣は随行を二人ほど連れておいでになったというが、一人は蝶理という繊維会社の東京支社長の内海という方、もう一人は蝶理の子会社である堀田産業、そこの社長の堀田さん、そういうお二人を随行としてお連れになったそうでありますが、それは事実であるかどうか。  それから、時間もないのであわせてお尋ねするが、この随行の二人のパスポートはどういう種類のものであったか。それから、パスポート申請にあたって特別な意見というか、特別な注文が運輸大臣その他から出たかどうか、いかがでしょう。
  94. 広田しげる

    ○広田説明員 運輸大臣が韓国に行かれましたときの随行は、大臣の秘書官と官房長、外航課長、国際課長、そのほかの事務官でございまして、いま御指摘の両名については随行者の中に入ってございません。ちなみに、随行者ではございませんが、御指摘の内海、堀田何がしの旅券は一般旅券で、目的は業務渡航となっております。  なお、この旅券発給につきまして、私のほうで運輸大臣から御依頼を受けたことはございません。
  95. 久保三郎

    久保委員 まさにそのとおりですかな。——まさにそのとおりであるかどうか。けさの新聞を見ると、移住局長の言うような中身ではない。運輸大臣と全然関係のないといういまの返事なんだが、まさにそのとおりか、いいがですか。
  96. 広田しげる

    ○広田説明員 この両名につきまして、ここに私、発給申請書を持っているのでございますけれども、業務渡航ということだけで、その他運輸大臣に随行等々のことは出てございません。いわゆる外国との通常の手続による旅券申請でございます。
  97. 久保三郎

    久保委員 それはいつ申請があって、いつ発給したのですか。それから、運輸大臣から特別な連絡があったのかないのか。運輸大臣もけさの新聞では談話を発表して、外務省でもしかるべき者が談話を発表しているのだが、それに移住局長責任を持つ必要はないのか。
  98. 広田しげる

    ○広田説明員 この両名の申請月日は九月三日でございます。発給が九月五日になっております。なお、これにつきまして運輸大臣から依頼があったかどうかということで、私はそれに関する限り依頼はございません。ほかの人がどうやったか、私はわかりません。
  99. 久保三郎

    久保委員 二日間で発給できるようにいまなっているのか、実情はどうなのか。それから局長は依頼がなくても、旅券課長か何かいるだろう、それは全然連絡を受けてなかったのか。いま直ちにやれば二日か三日でこれが発給できるかどうか、聞きたい。
  100. 広田しげる

    ○広田説明員 旅券法三条によりまして、緊急の場合に外務大臣が旅券の申請を受けることができまして、このときは業務上の関係で非常に早くしたいということで、外務省が受け付けまして、二日間で発給したわけでございます。なお、運輸大臣から依頼があったかどうかにつきまして旅券課長に確かめましたところ、そういう依頼はないということでございます。
  101. 矢尾喜三郎

    ○矢尾委員 関連。本日のここにあります日本経済新聞、東京新聞の両方にそれが詳細に出ておりますが、あなたの答弁によりますと、これは虚構の事実を報道したということになるんですね。事実はどうなんですか。これは真実じゃないですか。真実が報道されておらないのですか。あなたはどう思いますか、その点お伺いしたい。
  102. 広田しげる

    ○広田説明員 私、けさの新聞を詳細に読んでおりませんけれども、一般旅券で申請したということは、そのとおりでございます。
  103. 矢尾喜三郎

    ○矢尾委員 そういたしますと、間違ったことは、さっきのように運輸大臣からあっさりと、これはこうであった、これは自分の軽率であったとかいうことであればよろしいけれども、その両方の新聞のあとには荒舩運輸相の話として「手続の上では確かに軽率だった。しかし、それが運輸省とか政府に直接利害関係のあることではないから、つい簡単に考えてしまった。別に悪意があったわけではない。何とも申しわけない。」と、運輸大臣はこう言っているでしょう。これは全然関係ないとあなたは断言できるのですか。運輸大臣、この点についてどうお考えになっていますか。これは東京新聞と日本経済新聞が報道しておるのですよ。
  104. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 私から答弁してよろしゅうございますか。——これはこういうことなんです。実は私が韓国へ参りますについて、新聞に、一週間くらい前ですか、こういうわけで行くということが出たようでございます。そこて私の長い友だちであります堀田捨吉という足利の人が参りまして、私もその人とは私の父親の時代から非常に懇意な人でございまして、商売は糸をよったり、それからメリヤスを織ったり、そういうようなことをやっている商売の人でございます。実は十月の半ばごろヨーロッパに行きたいと思う、そうして日本の特産品を陳列をしたりいろいろなことをして、日本の繊維業のあり方を展覧会でもしてみたいと思うが、その前にぜひ韓国へ行ってみたい、こういうことでございます。それはどういうことかというと、堀田という人と蝶理とは会社の関係があるようでございまして、蝶理が一昨年くらい前から韓国に出張しておりまして、韓国の人と合弁のような形式でこちらから織物の生地を送ってやり、それから韓国のほうヘミシンを送ってやって、そうして向こうは婦人の失業者が非常に多い。そして労賃も非常に安い。で、副総理兼日本の経済企画庁長官のような仕事をしている張基栄という副総理も、こういうようなミシンか何かで簡単なものなら非常に女の失業者も救われるしするので、そういう仕事をやって、まあ韓国で非常に喜ばれておる。で、堀田は実は韓国は生地にいろいろ刺しゅうをする仕事が世界的にじょうずであるので、その刺しゅうをぜひこちらから生地を送ってやって、そして刺しゅをしてこれを海外に売りさばきたいというようなことで、そういうような関係、しかもそれが労賃が非常に安いし、向こうで非常に喜ばれておるので、ぜひそういうことで一ぺん行きたい、こう話がございました。それじゃひとつ行ったらいいだろう、こういう話をいたしました。なかなか韓国へ参るのには旅券をもらうのに相当の日数がかかる、こういう話でございまして、私は、別段運輸省に関係があるとか、あるいはまたこれが日本政府にいろいろ重大な関係を及ぼすということではございません、しかも韓国とも日韓交渉もできて、向こうでも喜んでおり、また向こうの労力が非常に安く使えるということであれば、これはけっこうなことじゃないか、こういうふうに直観をいたしました。したがって、これは決して運輸省に関係があるわけではなく、日本政府が別段被害を受けるようなことでもございませんし、そういうことで、それじゃひとつ電話をかけて早くこれが行けるようにしてやったらどうだということを私の秘書に話しました。その後私が飛行機に乗りましたときに、実は飛行場で、いま堀田という人と、蝶理の内海、この人は初めてですが、堀田という人が出てきて、これが一緒に行く内海さんですという紹介を受けました。ずいぶん早く行けたものだな、これは特別機じゃないかと言いましたところが、これは別段特別機ではない、臨時便でみんな乗れたのです、こういう話でございます。それから韓国に渡りましても、ホテルが別でございますし、別段関係もございませんし、向こうの閣僚と協議をしているときは秘書官もそれに立ち入るわけにいかないほど厳重でございまして、別段何らこの人たちがどうしたとかこうしたとかということはございません。最後の会議が終えまして、日本大使館がパーティーをいたしましたときに、日本大使館が大ぜいあちらに行っている日本人を、何千人というような人を呼びまして、そのときに初めてそこで実はこの連中の顔を見ただけでございます。別段これは旅券の問題で私が外務省に頼んだとか、あるいはどうとかというようなことは絶対ございません。  以上のとおりでございます。
  105. 矢尾喜三郎

    ○矢尾委員 いま大臣の説明によりますと、韓国に日本の品物を売るとか買おうとかいうような問題について私は問うておりませんのでありまして、この旅券の下付に対して、外務省がとった態度そのものが——それによると、「入管に出された出国カードによると、二人の旅行目的は「荒舩運輸大臣随行」となっており、韓国でも同国政府高官主催のパーティー」にも出席した、こういうことが出ております。それでいま言われたような理由によって韓国へ行くということについて、もう二日三日で済まさなければこれができないというような急速を要するような問題でありましたら、これはそういうような手段をとられたということも必要であったかもわかりません。しかしながらそういうようなことではなくして、二人が向こうに行くについて、早く連れていくという意義について——あなたの随行ということで、あなたは知らなかったかもしれぬけれども、随行と書いてありますから、秘書を通じてそういう手続をとられた、そしてそのカードにはあなたの随行となって向こうへ行っておる、こういうことです。そして帰ってきてそれが問題になって、あなたが、確かに手続の上で軽率だった、政府に直接利害関係がないのでつい単純に考えたが、悪意があったわけではない、しかし何とも申しわけがないということを言っておられるということは——あなたがいま説明せられたことは、これは必要なことかもわかりません、これは必要なことでしょう、日本の将来のためにも、貿易の上においても。しかしながら出国、入国に対しては外務省はあらゆる面において相当強硬な方針をとっておるのです。しかしながら、そういうようなほんとうの随行でもないものを随行に仕立てて同行させるというようなことが許されるのか許されないのかということを、私は外務省に申します。外務省はそれはないと言われるのですが、この新聞の記事は事実無根であると考えられてもしかたがない。それで大臣が何とも申しわけがないという声明を両新聞に出されておるのは、申しわけないというような事実が、こういうような申しわけない事実だったのかどうか、こういうことをお尋ねしておるのでありまするが、その点を……。
  106. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 手続がどうなっておるかというようなことは、私は全然知りませんし、また商社を随行したというような形式をとるようなことはいたしません。しかしながら商社がどう書いたか、それは私もしろうとでございましてよくわかりません。旅券の問題等はしろうとでわかりませんが、申しわけないということは、そういう誤解があったということは申しわけないということでありまして、この旅券をとるという問題については……(「事実関係ないのかどうか」と呼ぶ者あり)事実関係ございません。旅券をとるということについては何ら関係ございません。しかしどういうことで業者の人が手続をしたかは、私の知るところではございません。そういうことでございます。これはほんとうに私が外務省へ電話をかけたわけでもございませんし、また韓国の代表部に私が頼んだことでもございません。
  107. 矢尾喜三郎

    ○矢尾委員 先ほど外務省のほうから答弁されたことに対しては、絶対間違いありませんね。これはだめを押しておきます。
  108. 広田しげる

    ○広田説明員 旅券発給につきましては、先ほど申し上げたとおりで間違いございません。大臣の随行とは関係ございません。渡航目的は業務でございます。
  109. 久保三郎

    久保委員 参考に旅券課長に聞きたいが、これはいま局長の言ったことには間違いないだろうと思うけれども、なぜ三日に出して五日に出すというような器用なまねができるのかどうか。どういう理由で——早いのはけっこうだ、だれがやってもけっこうだが、そういう早いことはいつでもやっているのかどうか聞きたい。
  110. 内藤武

    ○内藤説明員 お答え申し上げます。  緊急交付という手続はいま外務本省で毎日やっておりまして、特に緊急を要しないものについては都道府県でやるたてまえでございますが、その本人から事情を聞きまして、緊急と認められたものについては、たとえば外務省においても現在数十人くらいずつ毎日緊急に旅券申請を受理しあるいは交付しており、必要な場合においては二日ないし三日で出すという場合もございます。
  111. 久保三郎

    久保委員 そうしますといまも聞いたが、外務省の見解として随行というから早いところやってやったのだというような新聞記事は誤りなのかどうか、旅券課長に聞きたい。
  112. 内藤武

    ○内藤説明員 この件について、随行ということは、われわれが申請を受け付けました際において、それを証拠立てるところの申請書には業務となっておりまして、一切大臣一行に随行するということにはなっておりませんので、われわれとしましては、業務であり緊急であるというだけの材料に基づいて緊急としたわけでございます。
  113. 久保三郎

    久保委員 どの新聞かに外務省の見解というものが出ているのだが、それは誤りであるのかどうか。
  114. 内藤武

    ○内藤説明員 私はけさほどの新聞を見ましたが、あの中に、私の記憶どおりでございますと、閣僚その他が外国におもむく際においては、その国の担当課を通じて便宜供与その他を依頼することがあるということで、その記事自身は私は記憶はございませんが、あえて申しますならば、閣僚その他要人が外国へ赴任される際におきましては、たとえば通関の便宜であるとか、あるいは警備の問題であるとかによりまして、その在京の大使館に便宜の供与を依頼することがある、そういう一般的な意味にとったわけでございます。
  115. 久保三郎

    久保委員 これは大臣、そうすると大臣の談話などはみんな間違いですかな。入国査証がついてきたので、早く何とかならぬかということで、秘書官を通じて便宜をはかった。それから新聞の書き方によっては、仕事が終わったあと日本大使館でパーティーがあった。そこへ出てきた。こういうぐあいになっておりますが、そうではなくて、向こう側のパーティーにもその二人が出て行ったということなんだが、どういうことなんですか。これは単に新聞がいいとか悪いとかの問題じゃなくて、いうならば、いままで話題を相当まいてこられた運輸大臣が、どうも運輸大臣という地位を軽々しく何かに使うようにも見受けられるし、御自覚というか、運輸大臣というのはなるほど枢要な地位であるということも何か軽く見られているのじゃなかろうかということもあるし、それから関係のない者を、友人であろうが知己であろうが、随行の形でとにかく行ったらしい。特別機じゃなく臨時便だからそれに乗ったらいいだろう、そういうことをちょいちょいおやりになるということは少し軽率じゃなかろうかと思うのです。けさ新聞に出たので、外務省もこれはたいへんだということで口うらを合わせてきたのじゃなかろうかと思うのですが、そういうのがちょいちょいありましたら——全般的には毎日二十件も三十件もある。それは知っている。だけれども全般的なものを話しているのじゃなくして、韓国のそういうものがどうして緊急だったのか、旅券課長に聞きたい。  それから大臣、あなたは率直で、率直なところをなかなか買われておるようだと思うのだが、さっきの答弁と新聞の談話とだいぶ違っているのですね。新聞のとおりでちゃんと筋書きは合うのですね。お話があったから外務省は、中身は随行であるという形で一緒にとにかく行くのだ、単なる繊維業の問題だけじゃなくて、形の上からいっても実は荒舩さんが連れて行くのだ。だから、これは一緒の飛行機に乗せなければいかぬ、だから、三日に出てきて五日に間に合わせよう、こういうことだと思うのですね。だから、そういう点はあなたが直接御交渉なさらぬでも、秘書官が御交渉なさったということにとられるのじゃなかろうかと思うのだが、どうも軽率過ぎるのじゃなかろうかと私は思うのです。これはいかがですか。
  116. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 私は決して一緒に行こうなんということは考えてもおりませんで、飛行場で初めて会って、これはずいぶん早く行けたもんだな、こう思っただけでございます。したがって、秘書官でもない者を随行させるとかなんとかいう考えでもない者を随行させるとかなんとかいう考えも、これは初めから持っておりません。なおまた、向こうのパーティーというのは、日本大使館が日本人を全部——全部というわけではありませんが、向こうで何か仕事をしている人を、何千人という人を呼んだのでございまして、その中に入っていたということで、韓国のほうで呼んだパーティーにはむろん呼ばれてもおりませんし、出席もしておりませんでした。最後に終わって、お別れパーティーということで実は日本大使館が日本大使館の場所である朝鮮ホテルでパーティーをやったときに、何千人というようなたいへんな大勢の人でございまして、それに二人がまじっていたということだけは事実でございます。  なお、誤解があるといけませんので、その新聞は何ですか。(「東京新聞」と呼ぶ者あり)東京新聞にもこのことで会ったことはございませんし、(「日経」と呼ぶ者あり)それからその新聞社にこの問題で会ったことはございません。これはしかし、ほかの新聞社の方に会いまして、どうも誤解があって——まずいときにはみんないろいろまずいことが重なってきて、どうもこれは困ったことだな、しかし誤解を受けるというようなことは何としても申しわけない、こういう程度の話をしたのでありまして、(「何であやまるのだ」と呼ぶ者あり)新聞で誤解を生じたというようなことについては、これは申しわけないことだ、こう言っただけで、その新聞社にはその問題ではだれとも会っておりません。  以上でございます。
  117. 肥田次郎

    ○肥田委員 関連。いま大臣の言われたことについて、われわれがいつも考えていることだが、あなたが運輸大臣になられて、われわれは運輸委員に籍を置いている関係から、いろいろと地方で聞かれるのです。運輸大臣は一体どういうことなんだという話をよく聞きます。そこで、この問題ははっきりしておかなければいかぬと思いますから。  いま外務省の答弁を聞くと、確かにこの新聞とは異なった内容で旅券が出されている。ところが、これには、カードにはやはり運輸大臣随行となっている、こう書いているのですから、この新聞が間違いなら間違いだということをこの委員会ではっきりしておきたいと思います。  そこで、いま法務省の関係を呼んでいますから、それが来るまで、私は同じ大臣の姿勢という問題で少し聞いておきたいと思います。  大臣は先般東武鉄道とバスが衝突をした越谷という駅へ、事故のあと視察においでになりましたね。そのときどなたとどなたがおいでになりましたか。
  118. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 鉄道監督局民鉄部長と秘書官と三人で参りました。
  119. 肥田次郎

    ○肥田委員 そのときに、私聞きますと、大臣なかなかいいことを言ってもらったようです。たとえば私鉄の経営その他について、固定資産税をまけてやるとかなんとか、いろいろなお話があったようですが、これは事実ですね。
  120. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 よくわからなかったので、もう一度言ってください。
  121. 肥田次郎

    ○肥田委員 この事故の視察に行って大臣がお話をされたことですが、固定資産税の問題だとか、補助金の問題だとか、こういうことについて大臣がお話になったようですね。
  122. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 あの痛ましい事故について、実は踏切が道の大体半分以下ぐらい、それで上りと下りが二分おきでございますから、その間を通るのには大体一分きり通れる時間がないわけでございます。したがって、こういうような踏切事故をなくすためには、まず高架化する、上を通るようにするとか、地下を通るようにするとか、こういうような問題も考えあわせてしなければならないことと、なお、簡単にできるところは踏切の幅を広くしなければならない、こういうこと等を考えております。同時に、たとえば高架化するとか地下をくぐるとかいうような問題についても、これに固定資産税がかかるというようなことではなかなか実現も困難だから、来年度の予算等につきましてはこの踏切等を高架化する、あるいは地下をくぐらせるということに対しては固定資産税の減免をすべきだということを大蔵省に申請をしてあります。また交渉もしております。同時に、そのかかる費用の法人税の減免もある程度まですべきだ、約三〇%は減免してもらいたいということも大蔵省に申請をしてあります。  同時に、いま私鉄に関しましては、全国的に見て踏切等の関係はわずか二億八千万円しか補助金がない。もう少し補助金も割り増しをしてやるべきだというなことも大蔵省へ申請をしております。  こういうようないまわしい事故がないようにということで、できる範囲で、税金の面あるいは補助金の面、あらゆる面からもう少し前向きで実現のできるようにという申請をしてあります。そのことを新聞記者会見で申し上げたわけでございます。
  123. 肥田次郎

    ○肥田委員 確かにその大臣のお考えはここ十数年来絶えず問題になっておったことですから、これはりっぱな大臣のお考えだと思います。したがって、これはぜひ実現をするように努力をしていただかなければ、またこれがから手形になってしまうわけですから、この辺はよくお願いしておきます。  ところで大臣、そのあとで、実はちょっと変なことを私は新聞記者から聞いたのです。前もって前書きということばを申し上げますが、私はここらが大臣荒舩清十郎個人とのけじめをつけておられない証拠になるのじゃないかと思うのです。先ほどからいろいろな話を聞いております。大臣のお答えも聞いておりました。われわれ大臣の姿勢というよりも、いわゆる運輸委員会として、大臣に軽率にものを言われては困る、われわれが尊敬すべき、信頼すべき大臣はこういう考え方で今日までやってきたのですから。そういう意味で、私は最後のことで大臣に聞いておきたいのです。  名前は申し上げませんが、大臣がたまたま視察に行ったその相手会社の某有力な人に対して、解散も近いからあのほうを頼むぞ、こういう話をされたということを実は聞いた。(笑声)これは笑いごとじゃないのですよ。酒を飲んでおってあのほうを頼むと言えば、これは大体このほう(と、小指を示す)になるようであります。ところが、ああいう場所で大臣が一通り自分のりっぱな所感を述べられて、そしてそのあとで言われたことが、解散も近いからあのほうも頼むぞ、こう言われたということは、あのほうと言えば大体これ(と、親指と人さし指で丸を示す)になることは間違いない。そうしたら、それを聞いておった新聞記者が、大臣あなたはまた失言をしましたね、こう言った。(荒舩国務大臣「そんなことはありません」と呼ぶ)待ってくださいよ。あなたはそんなことはないとむきになって言われる。私はそういうことがなかったという確認があればいいわけです。もしそういうことを大臣が否定されるなら、私のほうにそういう事実があったという情報が記者から入っておるのをどうしますか。(荒舩国務大臣「天地神明に誓ってそういうことを申し上げたことはございません」と呼ぶ)私の話を聞いてから……(荒舩国務大臣「私はそこは選挙区の場所でもありませんし……」と呼ぶ)私の質問の途中ですから——そう言うことは待ってください。私は中傷で言っておるのではない。私が言ったあとから大臣がすぱっと返事をしてくれればいいのです。よろしいですか——そういうことが言われている。そうしてあなたに随行しておった役人がびっくりして、新聞記者にどうぞこんな話はないことにしてくれと言ってあとで苦労したということなんです。よろしいですか。(荒舩国務大臣「そんなことはよろしくありません、そんなことは言いません」と呼ぶ)そういうことがあったということが耳に入った。大臣に重ね重ね失敗をしてもらって困ったものだとわれわれは思っておる。だからそういう点について、荒舩さんのためにまことに残念だと思っておる。一応そこらを、これは新聞には載らないことですから、よろしいですから、ないならないではっきりしておいてください。
  124. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 ただいまの御質問でございますが、私はそういうことばを申し上げたことは絶対にありません。そんなところではないし、さんたんたる状態でございまして、これは早く処理してもらうし、この踏切の幅も広げてもらうべきだということを主張し、できるなら、けがをなすった方の病院にも見舞いに行きたいと思いました。しかしそれは同じ埼玉県でありまして、また病院に行ったり何かして疑りを受けるようなことになってもいかぬと思いましたから、それも遠慮したわけであります。  その事故は東武でありまして、私はいかなるときでも、東武から一銭でも一厘でも選挙のときに援助を受けたことはございません。しかしいまの御質問、私はまことに遺憾でございまして、もしそういうことを言ったとしたら、ひとつその人を証人に呼んでいただいて、私がそういうことを言ったか言わないか、もう少しお調べをいただいて御発言等を願いたいと思います。現にそのときにここにおいでの板川議員さんもおいででありますし、私は新聞記者会見をするとすぐに帰ったのでございまして、そういう話をするようなひまもございません。どうかひとつ手厚いお弔いもし、いろいろな慰労金あるいは慰謝料というようなものもどうぞねんごろにお願いをいたします、手落ちのないようにお願いをいたしますということを言ったのでありまして、決して選挙が近いから選挙のときに頼みますとか、やれ何とかいうことばは、天地神明に誓ってそういうことを言った覚えはございません。
  125. 肥田次郎

    ○肥田委員 これは締めくくりをしておかなければならぬから、大臣のおっしゃることで一応わかりました。ただ私がここで言っておきたいのは、軽率に言ったわけではないのです、問題が重大ですからね。  そこで大臣、あなたが言われることにも若干の矛盾がありますよ。あなたが視察されたときにはさんたんたる状態というものはどこにありましたか、ないのですよ。事故の起こったその結果はさんたんたるものでしょう。大臣、あなたが行かれたときにはさんたんたる状態というものは、物的条件というものはなかったのでしょう。  それからもう一つは、あなたが日ごろのあなたの状態なら死んだ人のうちに見舞いに行くとか、それからけがをしておる方の病院に見舞いに行くとか、大臣、あなたが行かれなくても、だれが行ったってそういうことに対して世間の非難というものは少しも起きてきませんよ。これはりっぱな大臣だということになる。それは誤解を招くといかぬからやめたと言う。大臣は口がすべったのだと思うけれども、世の中というものはそういうものではありませんよ。りっぱな行為としてそれこそ新聞も書き立てますよ。ただ私も、大臣がいわゆる天地神明に誓ってそんなことはない、こう言われる。これはことばですから、ない、これで私も了承します。しかし証拠を出せとおっしゃれば出しますよ。(荒舩国務大臣「どうぞお願いいたします」と呼ぶ)そういうふうに言われるならば……。
  126. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 実は、これは新聞記者会見をいたしましてすぐに帰ったので、そういうことばを出すひまもありませんし、またそういうことばを言うべき場所でもございません。  なおまた、さんたんたる事情というのは、ここでどなたかなくなったというので三角やマルがつけてありまして、新聞のあの写真とそれからその場所の状態を見て、日本人である以上は、さんたんたる状況であったということを感じない人は一人もなかったと私は思うのです。そういう意味でございます。
  127. 肥田次郎

    ○肥田委員 これは重大な問題だから、大臣が証拠とかなんとかいうことじゃなしに、そういうことを軽率に言うはずもないし、こうことなら、これで私もそのとおりだということでおさまります。ところが、そういう証拠があったら出せと言われるなら出しますよ、こう言っているのですが、委員長、それはどう思いますか。
  128. 古川丈吉

    古川委員長 委員長の判断することじゃないと私は思います。
  129. 肥田次郎

    ○肥田委員 大臣、それならあなたはどう思いますか。
  130. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 そういうようなことは絶対に申し上げてありません。そういう場所でもございませんし……。それで御了承ができたと思います。しかし、また証拠を出せ、やれどうだといって、こうして毎日呼ばれたり、そういう事情でごてごてすれば運輸行政が停滞いたしますから、したがって、そういうことばを使いました。しかし、決してあなたと争いたいとも何とも思っておりません。そういうことばはいかなるときでも使ったことはございませんから、どうぞひとつ御了承願いたいと思います。
  131. 古川丈吉

  132. 高田富之

    高田委員 私は急行の深谷駅停車問題につきまして、ごく簡潔に御質問申し上げまして、問題を明白にしたい、こう思います。と申しますのは、このごろ新聞を見ましても、まだ相変わらずあやまれば済むのか、深谷へとまるじゃないか、何じゃという投書があとを断たない。考えても無理のないことでございまして、間違ったことをしたということで——政治停車をさせたんだ、申しわけない。しかし、そのやったことは訂正はしないんだというのでは、国民が不信の感情を持つのは、これはあたりまえだと思うのです。でありますから、今日政治に対する不信、あるいは国鉄のあり方に対する不信というようなことを一掃するためには、事態をやはり明白にする必要がある、こう思います。  そこで、まずお伺いしたいのですが、急行をとめるということについての最終的な事務的な権限と申しますか、自分事情調査して、判断をしてそうして決定をする、最終会議に臨んでその責任をとれる立場にある方は、国鉄の部内ではどなたでございますか。
  133. 磯崎叡

    磯崎説明員 事務的には私でございます。最終的には総裁でございます。
  134. 高田富之

    高田委員 もちろん形の上での最終の総裁はわかっているのですが、いま磯崎さんが、副総裁、私だ、こう申されましたので、あなたにお伺いいたしますが、急行がとまるための基準というのはあるはずでございます。簡単でけっこうですが、その基準は何と何と何かという御説明と、深谷はそれに該当するのかしないのか、これをひとつ御説明願いたい。
  135. 磯崎叡

    磯崎説明員 基準は大体二つございまして、一つは町の側から見た基準でございます。人口あるいは将来の工業発展の問題、あるいはその駅の列車時間帯の問題、こういう町側の事情でございます。一つ国鉄側のほうから見まして、たとえば非常に長距離を走る列車、あるいはその列車の使命が何であるかという列車の側から見た、この二つがございます。この二つから見まして、今回とめました二本の急行につきましては、深谷はいわゆるその客観条件に該当いたしております。
  136. 高田富之

    高田委員 あなたが内容を審査される最高責任者として該当するといまはっきりおっしゃったのでありますが、そういたしますと、先般参議院の運輸委員会であなたが答弁をなさっておる中に、「今度の急行の停車は純粋に事務的にやったものであって、たいへん失礼な言い分ではありますが、荒舩代議士が当方の大臣におなりにならなくても停車にきまったというわけでございます。きまったものを大臣になってお曲げになったということは誤伝でございます。非常に迷惑をいたしております。」ここまではっきりあなたは言っておるのですが、これはそのとおり信頼してよろしいことなんですか。
  137. 磯崎叡

    磯崎説明員 そのとおりで間違いございません。とまるべくしてとまったというように御了承いただきたいと思います。事務的にもうちょっと時間的なことだけを申し上げさせていただきますと、急行停車は、いま申しましたとおり、最終的には私のほうできめることになっておりますので、高崎の管理局がこれの主管でございますが、高崎の管理局が高崎の管理局としての案をきめましたのが七月二十八日でございます。そのときには自分の管内で急行のとまるべき駅につきましては、これは白紙で出してまいります。いかが取り計らうべきやということで出してまいります。今回も急行につきましては深谷ほか五駅、特急につきましては十七駅というものが未定のまま出てまいりました。それを八月一ばいかかりまして私のほうで具体的に審査いたします。そのときに当然いろいろな御陳情があったことは、これは先生方もあるし、地方の方もあるし、いろいろな方からいろいろなことを伺っております。そういうことも十分しんしゃくいたします。しかもさらにさっき申しました純粋な客観的な基準に合うか合わないかということを最終的に判断いたします。そうして今回の決定につきましては、八月の十八日に最終決定をいたし、それを八月二十九日の常務会で総裁に正式に御報告いたしまして、八月三十日に発表したわけでございます。大臣が御就任になったのは八月一日でございます。したがいまして、大臣就任後、たしか八月三日だと思いますが、私のほうの常務にどうなっているかということを御下問があったということも事実でございます。しかしこれによってとめないものをとめたということは絶対に間違いでございます。私のほうも、ちょうどその間、いま申しました全国で二十数駅につきまして論議の最中でございます。大体八月の十八日に各駅につきまして最終決定をいたしたわけでございまして、したがいまして、過般参議院で申し上げましたとおり、たとえ大臣におなりにならなくてもとまったであろう、とまるべくしてとまったものである、私はこういうふうに考えております。
  138. 高田富之

    高田委員 それで事務的なことはわかったのですが、総裁のお話の中にはだいぶそれと食い違うお話がありますので、念のためにもうちょっとお伺いします。  そうしますと、磯崎総裁はその決定をなさるまでの間に今村常務さんなり、あるいは直接総裁なり、あるいは大臣なり、どなたであるかは別としまして、その決定についてぜひこういうふうにしなさいということについて何かあなたに話はあったことはあったのですか。
  139. 磯崎叡

    磯崎説明員 八月三日の日だったと思いますが、大臣から私のほうのこういったほうの担当の今村理事に対しまして、前から陳情しているあの件はどうなったかという、こういう御下問があったようでございまして、今村理事から、大臣からこういうお話がございましたという、こういう連絡がございました。したがいまして、それを伺いましてそのほかの十何駅とともに一律に同じレベルでもって審査いたしました。総裁にはこういうふうなお話もございましたのでとめる、全般の問題としてとめることにいたしました、こう申したわけでございます。
  140. 高田富之

    高田委員 そういたしますと、事務上の最高の責任者の方がここまではっきりと断言しておるにもかかわらず、参議院の委員会におきまして石田総裁はこう言っておる。「これは理屈詰めにいけば断わるのがしかるべきだと思うのでありまするが、実はこれは情に流れて、私の責任においてこれを決定した。」さらにこういうことも言っておるのですね。「一つくらいはよかろうということで、これは私は心底から言えば武士の情けというかね。これははなはだどうも国鉄犠牲においてそういうことをやったということは私の不徳のいたすところだ思いまするが、とにかく何となくそういうことになったという、こういう次第でありまして、」こう言っている。いまでもあなたはそういうふうに考えておりますか。
  141. 広田しげる

    石田説明員 いまの御質問に対して端的にお答えする前に、大体の成り行きをちょっとお聞き願いたい。  八月の初めに今村常務が私のところに参りまして、運輸大臣からあの深谷へ停車の問題はどうなったか、こういうことであったのであります。それで、総裁、どうしましょうか、こういうことなんです。それで私は、もう国鉄としては、たとえ運輸大臣の御希望であっても筋を通すことは通したらいいだろう、通らぬことはやめたらいいだろう、大体深谷へ停車するということはどういうことなんだと言ったら、これは何もいまに始まったことではなくて、運輸大臣大臣になられる前から再三お話があったのだ、そのほかまた埼玉の有力なる人からもそういうことについて話があったんですが、まだきまっておらなかったのだということなんです。大体話を聞くと、深谷にとめるということは、私はどうも大体筋が通っておる。しかしいずれにしましても、このダイヤの問題に対しては私は触れてない。副総裁以下の事務局に一任して、全然私は関知せず、私の責任においてやることは差しつかえないが、私自身はこれにタッチしない。だからして、この問題は、副総裁以下に相談して、やって差しつかえないということなら、私の責任において、総裁責任においてやったらいいだろうということで私は今村君とは別れたのでありますが、その後四国のほうへ出張中きまったということでありましたので、あれは何も運輸大臣からの指示であったわけでもなし、命令でやったわけでもなし、私の責任においてやったんだ、こういうことを新聞記者にはお話しした次第であります。
  142. 高田富之

    高田委員 だから、あなたが責任においてやったというのに、理屈詰めにいけば断わってしかるべきものを、情におぼれて私の責任においてこれを決定した。それからいまここにもありますように、国鉄犠牲においてそういうことをやったのは私の不徳のいたすところだけれども、何となくそうなった。こういうことも言っている。それから今村君に指示した、実はそのときすでにダイヤというものはきまっておったんであります、それを改正するということになったんです。ですからあなたの言われておりますことは、あなたは間違ったことをしたんだ、おれは間違ったことをしたんだけれども、情におぼれてやっちゃったんだ、きまっちゃったものを直させて、そうして筋を曲げてやったんだとあなたは言っているのですね。だからそれを私は、いまでもそうなのかというのです。そのことばは取り消す必要のないことばなのか、それともあなたのほんとうの気持ちなのか、これを端的にお聞きしたい。
  143. 広田しげる

    石田説明員 それは私の考えと私の申したこととちょっと違うのであります。要するに、責任は私がとる。せっかく運輸大臣から言ってきた、話があったのです。その前に四つばかり問題があったんだが、それはみんな断わっておる。この問題はひとつ検討してみたらいいだろう。どっちに間違ったところで、急行を三分間おくらせるかおくらせないかという問題はたいした問題ではない。国鉄犠牲といえば犠牲だけれども、たいした問題じゃないんだから、筋が通っていればやったらいいじゃないか。筋が通っていなければ断わっちゃえということを私は今村君に指示しまして、今村君が副総裁以下の事務当局と相談してきめた。きめた以上は、もうこれはかりに国鉄犠牲になったところで、私の責任においてやったんだ。こういうことで、私の本意としては、とにかく運輸大臣責任を持たせないで、私がすべて責任をとる、こういう動機でそういうことを申した次第であります。
  144. 高田富之

    高田委員 ただいま事務当局の最高責任者は、あのとおりはっきり言っているのですね。非常に明確でございます。急行停車条件というものを審査をして、それに適合しておる、確かに適合しているのですよ。深谷なんというのは問題じゃないです。適合し過ぎてますよ。人口だって六万で、近く十二万になろうという計画になっているのです。あたりまえなんです。ですから、そこで私が一番問題にしたいのは、国鉄総裁ともあろう方が、情におぼれて、国鉄犠牲でやったんだ、そんなようなことを平気で言えるとすれば、事実はいま明らかなように、あなたのことばでなったんじゃないということになっているのですから、事実はあなたの言ったことでなったんではない、とまるべくしてとまったんだ。しかしあなたのことば自体は重大ですよ。これは政治停車をいつでもできるあなたの姿勢なんですよ。だから、国鉄総裁は、私はそれでいいかというのです。これは取り消しておかなかったら重大なんです。それをあなたがああだこうだ、ああだこうだ言いますけれども、こんな重大な失言をしておきながら、ほうりばなしにはできぬ。いまあなたは、伺いますと、大臣だけの責任にしちやかわいそうだ、大臣責任も、情において半分くらいしょってやらなければいかぬ、おれの責任だ、おれの責任だとあなたはおっしゃるけれども、それが実はかえって大臣をいじめていることになるでしょう。逆に政治停車の裏づけを首肯しているのです。大臣が深谷に行って、深谷の選挙区で演説をなさったのがもとなんです。そもそもの発端ですよ。ところが、すぐそれを正式に国鉄総裁が裏づけた。そして、理屈では断わるべきものを情において私はやったのだ、国鉄犠牲でやったのだ、こう言うから完全な政治停車になってしまったじゃないですか。あなたはどういう気持ちでやったにしても、動機がかりにどういう動機であるにしましても、国鉄をあずかる最高責任者としては、これは、このことばを取り消さずにこのまま通ると思ったら大間違いでございます。このあなたのことばは、明らかに政治停車なんです。事実は政治停車じゃないんだから、言ってみれば政治停車未遂事件です。これはあなたは重大視しなければならぬ。このことばははっきり私はここでお取り消しを願いたいのですよ。いかがですか。
  145. 広田しげる

    石田説明員 これは私の言い方が足りなかった点もあると思いますが、要するにこの問題が起こったのは、運輸大臣が郷里に帰られてからいろいろのことをおっしゃったということが、これが問題なんです。だけれども、そのもとは、結局私が私の責任においてやらしたのだ、もしもそういうことで国鉄犠牲があるというなら、これは私の責任なんだ、こういうことが私の本意であります。
  146. 高田富之

    高田委員 ですから事実は、総裁がそう言ったからなったのでもないし、荒舩運輸大臣が深谷でもって演説をしたことは事実ではなかったし、これは全部がはっきりした。そこで荒舩大臣のほうは、この速記録を私は詳細に読んでみたのでありますが、自分はそんなことを大臣になってから指示した覚えは一つもないのだ、代議士のときには陳情に行ってきた、そして大体とまるだろうということは、七月だったか六月ごろには、心証として陳情に行ったときわかっていたのだ、だから深谷に行ったらついああいう演説をしたのだということを実にはっきり述べておる。これは事実だと思うのです。私自身も、ほんとうのことを言いますと心証は得ていたのです。私自身も国鉄出身の瀬谷英行君を通じて、七月だったと思うのですが、本社に行ってもらったのです。そうすると、今度の十月のダイヤ改正はだいじょうぶだよ、オーケーだよ。はっきりは言いませんでしたけれども、オーケーだということはぼくに連絡してきているのです。ですから私は、この問題は当然のことが当然行なわれたにすぎなかったと思うのです。だからこのことははっきりさせませんと、全国の国民は、あやまればいいのか、間違ったことをいまだに訂正しないで汽車がとまるのかということで、十月一日の問題は、全新聞、全週刊誌、取り上げなかったものは一つもないでしょう。どんどん投書がくるでしょう。私も深谷市民だけれども、もし間違った停車なら、国鉄全体に迷惑をかけ、国民全体の公器である国鉄に対して迷惑をかけてまで深谷市民は得をしようなんてさもしい根性はないのだから、取り消してしかるべきです。そうではない、事実は当然とまるべくしてとまったものであるということを、やっぱりはっきりすべきところははっきりしなければならぬと思います。そこで、これははっきりしました。はっきりしたのです。当然とまるべくしてとまったのです。むしろ、それどころではない。そういうところまで触れませんが、通勤列車が大事な時間に一本減っているのですよ。とんでもないことなんです。大事なことは、急行の二本や三本とまることではなくて、とめるならもっとたくさんとめてほしいのですが、いまの深谷の問題は通勤地獄ですよ。かつては始発まであったものが、始発がなくなり、さらに今度は通勤列車が減っているのですよ。非常な虐待です。あれだけの都市で、埼玉県で熊谷と深谷だけが首都圏整備委員会において市街地開発の指定を受け、深谷が十二万になり、熊谷が十八万になるという計画が立てられている中で、国鉄の深谷に対する処遇というものは、これは逆に冷遇なんです。優遇どころの騒ぎじゃないのです。ですから事態をはっきりしてもらいたい。そうした上で私の申し上げたいのは、まず、これは大臣の院内における発言ではないのです。院内ではちゃんと事実を述べおられますが、院外における発言というものが、これだけの大きな政治不信をかもし出す因をなしたということは、私はそれはそれなりに政治姿勢の問題としてはきわめて重大だと思います。またそれを裏づけた国鉄総裁の失言、暴言、これまたきわめて重大であると思います。したがってこのお二人、片や大臣、片や総裁なんですから、お二人がそう言われれば、政治停車ということで言論機関が扱うのはこれまた当然。国民がそう思うのもこれまた当然。これは言論機関が悪いとか雑誌が悪いとかいう問題ではございません。ですからどうかここでは、大臣並びに総裁は、そういう院内外における言動については、幾ら強く反省されても反省し過ぎるということは私はないと思うのです。現在の政治不信というものをかもし出したこれが一つのきっかけにもなっておる。きっかけの一つにはなっておる。非常に重大であります。どうかひとつそういう点で、急行の深谷停車という問題を、これは正当なものである、これがここまで大きな政治不信を買ったのはお二方の発言の問題であったということをこの際明瞭にしていただいて、大臣の御所見をこの機会にはっきり伺っておきたいと思うのです。
  147. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 まことに、政治不信というおことばでございますが、この深谷駅停車等については遺憾千万であったと思います。その状況は先ほど磯崎総裁が述べられたとおりでございますが、不信を招き、あるいは疑惑を生じたということに対しては、今後そういうことのないように姿勢を正していくべきだと考えております。
  148. 広田しげる

    石田説明員 私の真摯なる考えを申し上げます。  さっき申し上げたように、この問題の最後の決はひとつ副総裁以下の事務担当者できめたらいいだろうということで、私は四国のほうへ出張してまいったのでありますが、出張の途中で、だいぶこの問題は大きな問題になっておる、しかも新聞に載っておるところを見ると、まるで運輸大臣運輸大臣の権威をかさにして政治的に解決したというようなことに受け取られないわけでもない、しかし実際はそうじゃないのだ、あれは国鉄総裁の権限において、国鉄自体の見識においてやったんだ、こういうことが私の——そして、もしもそれで間違っておったということであれは、これは結局国鉄犠牲においてやったということなんで、これは国鉄総裁として責任を負うべきものである、こういうことを私は申したのでありまして、別にそのほかに意味はない。もしも参議院における私の答弁において間違ったということがあれば、これは私は訂正したいと思います。
  149. 古川丈吉

    古川委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十三分散会