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1966-07-29 第52回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年七月二十九日(金曜日)    午前十時四十分開議  出席委員    委員長 古川 丈吉君    理事 壽原 正一君 理事 關谷 勝利君    理事 田澤 吉郎君 理事 田邉 國男君    理事 山田 彌一君 理事 久保 三郎君    理事 肥田 次郎君 理事 矢尾喜三郎君       有田 喜一君    浦野 幸男君       小渕 恵三君    川野 芳滿君       木村 俊夫君    高橋 禎一君       南條 徳男君    松浦周太郎君       井岡 大治君    小川 三男君       勝澤 芳雄君    野間千代三君       山口丈太郎君    内海  清君       竹谷源太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中村 寅太君  出席政府委員         運輸政務次官  福井  勇君         運 輸 技 官         (港湾局長)  佐藤  肇君         運輸事務官         (航空局長)  堀  武夫君  委員外出席者         運 輸 技 官         (航空局監理部         新国際空港計画         課長)     塘  恒夫君         労働事務官         (職業安定局雇         用調整課長)  広政 順一君         専  門  員 小西 真一君     ――――――――――――― 七月二十二日  油による海水汚濁防止条約批准等に関する請  願(池田清志紹介)(第八四号)  精神薄弱者援護施設入所者国鉄運賃割引に関  する請願池田清志紹介)(第八五号) 同月二十三日  野岩羽線建設促進に関する請願八田貞義君  紹介)(第九五号)  自動車パンクによる交通事故防止に関する請  願(臼井莊一君紹介)(第一三六号) 同月二十五日  鳥取県に農業気象観測所設置に関する請願(足  鹿覺紹介)(第二一二号)  お母さん貯金旅行国鉄運賃割引に関する請願  (足鹿覺紹介)(第二一三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月二十五日  野岩羽線米沢、喜多方間の早期建設に関する陳  情書  (第五〇号)  東北本線盛岡、青森間の複線化促進等に関する  陳情書  (第八一号)  国鉄及び近鉄のダイヤ変更に関する陳情書  (第八二号)  四国循環鉄道早期完成に関する陳情書  (第一一  一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  航空に関する件(新東京国際空港に関する問題)  港湾に関する件  請 願   一 油による海水汚濁防止条約批准等に関     する請願池田清志紹介)(第八四号)   二 精神薄弱者援護施設入所者国鉄運賃割     引に関する請願池田清志紹介)(第八     五号)   三 野岩羽線建設促進に関する請願八田     貞義紹介)(第九五号)   四 自動車パンクによる交通事故防止に関     する請願臼井莊一君紹介)(第一三六号)   五 鳥取県に農業気象観測所設置に関する請     願(足鹿覺紹介)(第二一二号)   六 お母さん貯金旅行国鉄運賃割引に関す     る請願足鹿覺紹介)(第二一三号)      ――――◇―――――
  2. 古川丈吉

    古川委員長 これより会議を開きます。  本日の請願日程全部を議題とし、審査を行ないます。  本日の請願日程に掲載されております請願は、六件でございます。これらの各請願につきましては、委員各位もすでに文書表でその内容は御承知のとおりと存じますが、理事会において慎重に検討いたしましたので、これより直ちに採決をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 古川丈吉

    古川委員長 御異議なしと認め、これより採決いたします。  本日の請願日程第一ないし第六の各請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 古川丈吉

    古川委員長 御異議なしと認め、さように決定いたしました。  なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 古川丈吉

    古川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  6. 古川丈吉

    古川委員長 なお、本委員会に参考送付されました陳情書は、委員各位のお手元に配付してありますとおり、四件であります。御報告申し上げておきます。      ————◇—————
  7. 古川丈吉

    古川委員長 次に、閉会審査に関する件についておはかりいたします。  すなわち、陸運に関する件、海運に関する件、航空に関する件、日本国有鉄道の経営に関する件、港湾に関する件、海上保安に関する件、観光に関する件、気象に関する件を閉会中も引き続き調査を行ないたいと存じますので、その旨議長に申し出たいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 古川丈吉

    古川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、これらの閉会審査案件が本委員会に付託されました場合、委員現地に派遣して実情を調査する必要があります場合には、その委員派遣承認申請の諸手続に関しましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 古川丈吉

    古川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、閉会中の委員会において緊急やむを得ず参考人より意見を聴取する必要が生じました場合には、その参考人招致に関する件の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 古川丈吉

    古川委員長 御異議なしと認め、さように決しました。      ————◇—————
  11. 古川丈吉

    古川委員長 次に、航空に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。小川二男君。
  12. 小川三男

    小川(三)委員 ここに運輸省の「新東京国際空港補償について」という資料がある。これと一緒に入っているこの新空港予定地地図、これは運輸省で作成したものですか。
  13. 堀武夫

    堀政府委員 ただいまお示しになった資料は、私のほうでつくったものでございます。
  14. 小川三男

    小川(三)委員 公団法の第二条に、「長期にわたっての航空輸送需要に対応することができるものであること。」「将来における主要な国際航空路線の用に供することができるものであること。」この二項がございますね。それから先日の委員会で、航空審議会答申は尊重するということをあなたのほうからお答えになられておるわけです。  この航空審議会答申によっても、「ワシントン・ダレス空港は四、〇〇〇ヘクタールであり、パリー、ニューヨーク、ハンブルグ等においても二、五〇〇〜四、〇〇〇ヘクタール程度の大空港計画を進めている。」新東京国際空港の場合も、「今後再び新空港東京周辺に求めることはほとんど不可能に近いといわなければならない。したがって、この際中途半端な空港を造ることはかえって将来に禍根を残すこととなるので、可能な限り能力の大きい空港とすることを基本的態度として考えるべきである。」という答申が出ているわけです。ところが、さらに「今後二十年を出ずして、現在の東京国際空港の十倍以上の航空機発着があるものと推定される。」さらに「結局滑走路の長さ、数及び配置の三つの基本的な要素によって決定づけられる。」「滑走路の数は少なくとも主滑走路二本、副滑走路二本、横風用滑走路一本計五本は必要であり、その配置は互に独立して同時使用できるだけの間隔をとった平行滑走路とするのが最も効率的である。また超音速旅客機の受入れを可能とするためには、主滑走路の長さは四、〇〇〇メートル程度のものとする必要があると考えられる。」こういうように答申は出ているわけです。ところが、いまあなたのほうで出されているこれは、二千五百と四千の滑走路二本、こういうことになっている。これで新東京国際空港としての、答申に基づいた機能を果たすことができるのかどうか。
  15. 堀武夫

    堀政府委員 航空審議会答申は、ただいまお読みになったとおりでございます。もちろん政府としてもそれを尊重するのが当然でございます。それを尊重して、その構想に基づいて新しい空港をつくるということであらゆる努力を払ってきたわけでございますが、地元情勢その他、何ぶんにも狭い日本でございまして、なかなか思うとおりのものが得られない。まことに残念でございますが、縮小した形で今回の決定を見ざるを得なかったわけでございます。まことに残念なことではありますけれども、これは全くやむを得ないということで、この案に基づいてできるだけ能率的な飛行場をつくって所期目的に沿っていくということにせざるを得ないわけでございます。そういう意味で航空審議会答申に沿うべくあらゆる努力をしたけれども、そのとおりにいかなかった。しかし決して航空審議会精神と背馳することを考えておるわけではございません。
  16. 小川三男

    小川(三)委員 そうしますと、先日伺ったいわゆる成田構想成田総裁が発表した、これ以上の世界有数国際空港をつくるのだという成田構想は、成田さんの単なる放言にすぎないと理解してよろしいのですか。
  17. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 あれは成田氏の放言とは考えられませんが、私はあれは個人的な一つの見解であったろうと思います。理想としてはそれが好ましい、こういうことをおそらく言ったのだろうと思いますが、政府としては成田氏の構想というようなものは考えておりません。かねてから発表いたしておりますとおり千六十ヘクタール、あの案で拡張しないという方針に間違いございません。御了承願いたいと思います。
  18. 小川三男

    小川(三)委員 堀航空局長、あなたこの前、三千六百の横風用が必要であるということを言って一おられるのですが、横風用はどうなさるのですか。きのうの県会で、知事ははっきりと横風用はつくらないという答弁をしています。一体それはそのとおりかどうか。たとえばここに運輸省は三千六百の横風用滑走路をつくる計画だが、拡張は絶対にあり得ない、SST発着もないと思うということを答えているのです。横風用はつくらないのか。
  19. 堀武夫

    堀政府委員 三千六百の横風用滑走路をつくると私が申したという先生のいまのお話でございますが、その三千六百というところまでは私は言った覚えがないのであります。それで空港をつくる際の常識論といたしましては、横風用滑走路というものをつくるのが常識でございます。これはいろいろ保安上の観点から、強い横風があった場合にはそういう滑走路がどうしても要るだろう。それで先生のお手元にある図面には、横風用滑走路は入っておりません。それはその中にターミナルビルとかその他いろいろの施設をつくって、レイアウトがどうなって、どのくらいのものがとれるという見当がまだつかぬから入ってないのでありまして、われわれとしましては、まずどのくらいの長さにとれるかということはこれからのことでございます。  それで、横風用滑走路というものは主滑走路のごとくしょっちゅうは使わない。ですから横風用滑走路方向にいる地元住民方々は、いろいろ騒音問題に対する御心配はあるだろうと思いますが、横風用滑走路というものは主滑走路のごとくしょっちゅう使うものではございません、使う頻度がきわめて低いものでございますので、御迷惑をかける度合いは非常に低いのではなかろうか、かように考えております。
  20. 小川三男

    小川(三)委員 横風用滑走路を使う率が非常に少ないか多いかが問題ではなくて、あなたのほうのこの図に従えば、四千メートルと三千五百メートルの間はわずか二千メートルちょっとしかないのです。その間に、たとえば三千メートルでもいいのですが、それを要する横風用は入らないのです。したがって、横風用滑走路はこの飛行場に関しては要らないのかどうか、つくらないのか、その点をはっきりさせてもらいたい。
  21. 堀武夫

    堀政府委員 横風用滑走路は、われわれも空港をつくる際の常識論として心要なものであるというふうに考えております。具体的な計画を立てる際に、どういう方向にどれくらいの長さのものをとるかということは、これから十分検討したい。必ずしも直角でなければならぬことはございません。若干はすかいにいってもいいわけでございます。そういう具体的な問題はすべて、今後全体の計画を立てる際に検討していきたいと思います。
  22. 小川三男

    小川(三)委員 そうすると、あなたのほうで考えている横風用滑走路の延長は、何メートルを最小のものとして考えておりますか。
  23. 堀武夫

    堀政府委員 最近の航空機はだんだん大型化いたしておりまして、相当の横風にもだんだん耐え得るような性能になっております。ですから相当強い横風の場合のためにわれわれは考える、そういう場合に使うということで考えていきたいと思います。それらの観点から、どの程度の長さで耐え得るかということは今後具体的に検討をしてみたいと思います。
  24. 小川三男

    小川(三)委員 この最初の新東京国際空港富里案は七百万坪、それを減少したといっても約半分弱です。けれども、この横風用は必要である。それから先ほど運輸大臣成田さんの放言ではないと言われたが、成田構想とかいろいろなものが出てきている。したがって、一応ともかくこれをつくってしまって、そうして騒音等で耐えられなくなったときに初めて追い出すのだ、逃げ出さざるを得なくなるときにこれを拡張するという考えを持っているのじゃないか、そういう当局に対する根強い不信感地元では持っていると思う。したがって横風用滑走路を、この中に三千メートルなり四千メートルなりのものを入れられるならば、いまの地図は重大な修正をしなければならない。その点、これは一体羽田空港補助空港なのか。新東京国際空港として、この最初答申案にあるとおりの大きな規模を持つものに漸次拡大していくのかどうか、その点を明確にしてもらいたい。
  25. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 成田空港を拡大する意思はないということは、再々申し上げているとおりでございます。ただ当初六百万ないし七百万坪の完全な飛行場をつくりたいという意思でございましたが、三百二十万程度飛行場になった経過は、かねて御承知のとおりであります。そこで政府羽田空港整備強化をあわせもちまして、そして所期目的を達していきたい、かようなことでございます。三百二十万坪の空港をつくって、それから先、地元人たち騒音等で耐えられなくなったら拡張していくのではないかという御心配でございますが、そういう意思は毛頭ないということをはっきり申し上げておきます。
  26. 小川三男

    小川(三)委員 それともう一つは、今度の三里塚に持ってきた分を、いかにも当局国有地県有地があるから民有地はほとんどかからないがごとき宣伝をしております。ところが、全体の中で民有地は六八%を占めている。国有地が二二%、県有地が一〇%、民有地が六八%を要するのです。この民有地を取得するために、あなたのほうではどんな対策を持っておるか。
  27. 堀武夫

    堀政府委員 国有地県有地のみをもってこの空港をつくるということは申し上げてないはずでございまして、できるだけ民有地を少なくして、地元方々の御迷惑をできるだけ少なくするように努力した、その結果でもやはり民有地は、ただいま先生のおっしゃったとおり相当入らざるを得ない。それでこれらの民有土地買収する際に、いろいろ閣議決定をいたしました地元対策の中にもいろいろ書いてありますとおり、買収に際しては十分な補償、あるいはいろいろ御迷惑をかける点に関しての補償、そういうものでもってできるだけ地元方々の犠牲を少なくしていく、そういうふうに考えております。
  28. 小川三男

    小川(三)委員 七月の二十五日に社会党の空港対策委員会現地調査をして、帰りに知事に会ったときに、知事は非常な高姿勢で、これ以上の拡張は絶対に許さない方針である、こう言っている。一体千葉県知事はこの問題についてそれほどの指導権を持っているのか。千葉県知事協力を得られないならば、空港公団はどんな事業もできないのか。それほど千葉県知事高姿勢で、強硬な態度で臨んでいる根源はどこにあるのか。佐藤総理との間に、あるいは運輸省との間に、千葉県知事はそれほどの約束をしているのか。
  29. 堀武夫

    堀政府委員 土地買収その他、この空港をつくるにつきましては、どうしても地元方々協力がなければ円滑にまいりません。そういう観点から千葉県知事十分相談をしてやっていこう、こういうことになっておる次第でございます。
  30. 小川三男

    小川(三)委員 新国際空港に関して、千葉当局から出されている四原則というのがありますね。この四原則はいまもなお生きているのか。
  31. 堀武夫

    堀政府委員 その四原則精神を取り入れて、閣議決定されました地元対策というものが行なわれております。
  32. 小川三男

    小川(三)委員 あなたのほうの「新東京国際空港補償について」というプリントが現地の農家へ配布されています。これは何ら具体性がないのです。ようお願いいたします、したいと思います、というようなことで、ここには具体的なものは何ら明示されておらない。特に騒音に対する対策に至っては、何もないですよ。「万全を期します。」万全を期すというのは、具体的に何を、どんな万全を期すのか、具体性というものがひとつもない。特に飛行場の場合に、航空公害としての騒音は非常に重大な問題なんです。航空審議会答申でも特に、「ジェット機の出現に伴い、空港周辺における騒音は深刻な問題となっているが、新空港建設にあたっては、緩衝地帯を設ける等、政府は当初よりその解決に十分な配慮をすべきである。」ということが答申されているわけです。ところがあなたのほうでは、騒音対策については、「一定ホン以上のものについて、格別配慮をいたします。」「格別配慮」というのは具体的にどういうことをさしているのか。
  33. 堀武夫

    堀政府委員 地元対策に関するいろいろな補償あるいは騒音の問題、いろいろのことを書いてありますが、これは地元方々の誤解を解くとか、あるいは御協力願うための資料といたしましてこれをつくったのでございます。具体性がないというお話、ごもっともでございますが、いろいろの補償問題というものは、その場所とか具体的なケースについて額が具体的にきまってくるものでございまして、一々数学的に幾らというふうなことをこれに書くということは非常にむずかしいので、抽象的にならざるを得なかったわけであります。今後の具体的なケースごとにそういうものがきまっていくことになると思います。  それから騒音のことにつきましては、これも非常に抽象的にしか書いてございませんが、現にやっておる防衛庁関係のそういう基準がございますので、そういうものとの権衡上、当然そう大差のないものが出てくるとは思いますが、これもどういうところはどうなるかということは今後具体的にきまっていくことでございますので、ここにはっきりと具体的に書くことが非常にむずかしかったので、こういうふうに抽象的に書いてあるわけであります。
  34. 小川三男

    小川(三)委員 そうしますと、飛行機を飛ばして初めて騒音被害が出て、そして地元民からの要望があったときにこの問題を解決するということになるのですか。
  35. 堀武夫

    堀政府委員 「現在国が実施している騒音対策基準等を勘案して、一定ホン以上のものについて、格別配慮をいたします。」こう書いてあるわけでございます。国が現在実施しているといいますのは、防衛庁米軍関係の基地の周辺騒音対策基準はあるわけでございます。こういうものを勘案してどういう基準でやるかということをこれからきめるわけでございますが、この「一定ホン以上」というのは、まだ最終的にきまっていないということで、この「一定ホン以上」ということばを使っておるわけでございます。
  36. 小川三男

    小川(三)委員 防衛庁一体何ホンで押えているのですか。
  37. 堀武夫

    堀政府委員 防衛庁基準は七十ホン以上とかというふうにきまっておるそうでございますが、予算範囲内でというふうに書いてあるそうでございます。そのために実行では九十ホン以上というふうにされておるそうでございます。予算範囲内でということがかぶっておりますので、そういうふうに内輪なやり方になっておるわけであります。ですから、金とのにらみ合わせも必要になるかと思います。
  38. 小川三男

    小川(三)委員 この騒音の問題については、ここに土地資料もございますが、何十ホン以上に対してはどういう対策を講ずるのだということを明確にしない限り、地元民は納得するはずがないのですよ。これはもちろん飛行場滑走路から何キロの範囲内といっても、音響の場合、地上のキロでは根拠ないですよ。したがって、実際に受ける音響平常価があるでしょう。いまの説明によっても、防衛庁は七十ホンで押えているが、予算関係で九十ホンだ、金がないから出せないと言っているでしょう。そうしますと、新国際空港においてはどうなのか。あなたのほうで、これを持って説得に出て、地元を説得しなければならないわけでしょう。けれども、こんなことで地元民が納得するはずがないですよ。あなたのほうでは、十アール百万円という土地価格だけを示してある。土地価格を示したら農民は飛びついてくるだろうと考えて、騒音やその他については全く触れていないといってもいいのですよ。「一定ホン以上」「万全を期します。」万全を期すという以上は、少なくとももっと具体性がなければならない。その点どうなんですか。
  39. 堀武夫

    堀政府委員 空港をつくっていくにあたりまして、きめなければならないことはたくさんございます。もちろん騒音の問題についても当然でございますが、当初においてすべてのことをみなはっきりさすということはきわめて困難でございます。われわれとしてもできるだけこれからそういう具体的な問題を、納得のいく線に持っていくように努力をいたしまして、漸次そういうような問題をはっきりさせていきたい、かように考えております。
  40. 小川三男

    小川(三)委員 これは茨城県行方郡の空港対策調査会調査した資料ですが、これに川西市の例をあげて、「川西川西中学校伊丹空港より二キロ)の一例」として、「防音装置は効果がないし、全然補償はされない。」「一時間に十回も授業を中断、神経をいらだて身が入らない。」「学力の低下被害も甚大。」「生徒に持久力がなく、乳幼児期神経の刺激を受けているので発育向上に支障あり。」こういうぐあいに報告されているのですよ。それから、さらに四十年の四月十四日に、ここにおける参考人として法政大学の松浦教授が出てきております。松浦教授は「空港を選ぶ場合にはやはり安全性と申しますか大きな事故を防止することを第一の要件にします。航空機には離着陸時の空中衝突が一番多く、ジェット機の場合直ちにその下へまっさかさまに落ちる。そうなりますとその下の住民被害が非常に大きくなります。」と意見を述べているのですよ。このようにジェット機による騒音被害というものが、すでに伊丹においては出ているわけです。伊丹ばかりじゃない、全国飛行場の至るところに出ているのです。それらの資料があなたのほうの手元にあるはずです。したがって、いまつくろうとする、あなたのほうで発表した新国際空港に対して、もっと具体的な騒音対策というものがなければならないはずです。資料がないのでこれから十分検討いたしますじゃないのです。すでに伊丹においても、板付においても、至るところ全国飛行場には騒音被害がごうごうとして起こっているわけです。それに対する何らの対策も講じないで、成田空港に対してのみは対策を講ずると言っても、住民は信用しません。しかも万全を期しますという程度であっさりと片づけられたのでは、これは地元住民が承認するはずはないですよ。したがって、もっと具体性のあるお答えを私は求めたい。
  41. 福井勇

    福井政府委員 小川委員のお尋ねはごもっともでございます。ようやく皆さんの御協力と御支援でここまでこぎつけてきたわけでございますが、私たちの技術的な立場で申し上げますと、万全を期すというふうに書いてございますのは、やはり技術家的の立場で、今後、建築と同様でございまして、ブループリント、設計製作図面というものは、これから、いまお尋ねのあったような点につき、諸種の問題を集めた資料のもとに、また、各飛行場の現在並びに今後予想される騒音等についての対策を、設計製作図面に十分織り込んでやるということをうたって、万全を期するというふうに対策を立てておるのでございますが、そういうふうな御了承をお願いしたいと存じております。   〔委員長退席、田澤委員長代理着席〕
  42. 小川三男

    小川(三)委員 政務次官にお願いされても困るのだがね。一体何をお願いされているのか、意味がわからない。それと、これはもっと具体的に、何ホンに対してどんな被害が起こっているかということは、すでに各飛行場の中にあるわけですよ。防衛庁にも資料があるはずです。したがって航空局が、運輸省が少なくとももっと具体的な騒音に対する資料を用意しないということはないですよ。ないのかどうか。その資料すらもないのか、あっても出せないのか、その点はどうなんです。
  43. 塘恒夫

    ○塘説明員 民間空港におきますジェット機の就航というのが日が浅いものでございますので、いろいろ防衛庁の事例にかんがみまして対策を講じたいと考えておりますが、現在私のほうで考えておりますのは、一定区域内の範囲のうち、一般民家の移転を必要とする範囲と考えられますのは、滑走路の末端から約二キロ、幅約一・二キロ、特に静ひつを必要とする学校、教育施設、病院、診療所の移転または防音工事を必要とする範囲は、滑走路の末端から約五・五キロ、幅約二・五キロの範囲と現在は考えております。
  44. 小川三男

    小川(三)委員 それに対してどういう対策を講じようとするのです。そのいまあなたの言われた範囲内においてですよ、どんな対策を講じようというのですか。
  45. 塘恒夫

    ○塘説明員 一般民家は一応移転を考えております。なお、学校、病院及び診療所につきましては、移転または防音工事等を考えております。
  46. 小川三男

    小川(三)委員 それに対する予算措置はどうなるのです。
  47. 塘恒夫

    ○塘説明員 先般、七月四日新空港の位置が三里塚に決定しました際、あわせて地元対策というものを閣議できめております。その内容を見ますと、騒音対策につきましても一応配慮するということは載っております。閣議決定でございますので、大蔵大臣ももちろん入っております。今回予算要求をするに際しまして、当然その間を配慮いたしまして予算要求をいたしたい、かように考えております。
  48. 小川三男

    小川(三)委員 それと、さっき航空局長は、千葉当局の出した四原則精神的には生きているということを言われたが、この四原則運輸省がこれを継承していくのか、空港公団が継承するのか、その点はどうなんです。
  49. 塘恒夫

    ○塘説明員 もちろん運輸省が継承しまして、その実施機関として公団が施行する、かように考えております。
  50. 小川三男

    小川(三)委員 そうしますと、この四原則の中の3ですね、騒音について、「騒音被害区域は、一般住家については九十ホン、学校病院等については八十ホン以上の区域とする。」「騒音被害区域内の住家については、原則として移転先を国が措置し、移転料を支払う。」これはいまあなたの言ったのと大体合うわけですね。ところで、これを実施するのはあなたのほうじゃないでしょう、空港公団でしょう。
  51. 塘恒夫

    ○塘説明員 「国が」と申しますのは、一応公団を含めてというふうに解釈していただきたいと思います。
  52. 小川三男

    小川(三)委員 そうすると、これは空港公団が当たるということですね。責任を持って当たるのは空港公団だということでいいのですね。
  53. 塘恒夫

    ○塘説明員 責任は国でございますが、実施は空港公団でございます。
  54. 小川三男

    小川(三)委員 そうすると、あなたのほうでいま地元へ来て各地で座談会を開いたり何かしているあの機関は、一体どの程度の責任とどんな権限を持ってやっているのです。あなたのほらの出張員が来ているでしょう。
  55. 塘恒夫

    ○塘説明員 現地に派遣しています人間は、一応航空局の分室というかっこうで、航空局の職員が現在派遣されております。  なお、現地の一般の方々につきましては、空港の性格あるいは騒音被害の状況、そういったものをなかなか御存じない方がございますので、空港とはどういうものか、その被害はどの程度のものかということを一般にPRする意味で、地元民方々に一応説明するということで派遣しておるわけであります。
  56. 小川三男

    小川(三)委員 そうしますと、十万都市を建設する、道路をつくる、河川も改修するということを言っているが、これは一体建設省、農林省、その他も含めたあらゆる関係官庁の総合された意思としてあの人たちは発表しているのかどうか。
  57. 塘恒夫

    ○塘説明員 先ほど申しましたとおり、新空港の位置が三里塚に決定されました際、あわせて地元対策決定しております。その内容を見ますと、大きく分けまして地元住民対策、それから道路、鉄道、用排水、都市計画というものがございまして、新空港を誘致されるにあたりましての、たとえば道路の問題それから用排水、要するに空港からの下水あるいは汚水の処理のための河川の改修の問題、あるいは空港従業員その他人口増加を考慮しての新都市計画の問題、その点もあわせて閣議決定しておりますので、現在千葉県からの要請に基づきまして、関係各省のほうで畑地かんがいあるいは道路、河川、都市計画というものを計画しておるという段階でございます。
  58. 小川三男

    小川(三)委員 そうすると、都市計画やその他は千葉県の計画であるのか。道路は建設省の計画でしょう。河川やその他もそうでしょう。都市をつくるのもそうでしょう。この間十万の都市をつくるかと言ったのに対して、それは一つの見込み、見通しというような答弁をしておったが、一体十万都市をだれが責任を持ってどこへつくるのですか。
  59. 塘恒夫

    ○塘説明員 周辺都市にどの程度の新都市が形成されるかという問題につきましては、これから千葉県ないしは建設省あたりで計画を練るという段階になると思いますけれども、現在の羽田空港の従業員数から勘案しまして、大体二万数千名の従業員が新空港におきましては就業するであろうということから勘案して、家族をも含めて、さらに関連します事業をも含めまして、大体十万人程度の新都市が建設されるのではなかろうかという一応のめどを言ったまででありまして、この辺の詰めば今後千葉県、運輸省及び建設省において十分詰めて、それに応じたような施策を講ぜられるというふうに考えております。
  60. 小川三男

    小川(三)委員 現在の河川改修にしても、すでに根本名川はこの間の雨ですらもはんらんしているのです。根本名川の流域の人たちは、あれ以上水を流されることは迷惑千万であると言って反対しているわけです。栗山川本支流ともそのとおり。そういう中で、あなたのほうでは河川も改修します、堤防はコンクリートで打ちますというようなことを出先は言って歩いている。一体、それほどまでの具体化したものが、資料があるのか。
  61. 塘恒夫

    ○塘説明員 閣議決定に基づきまして、空港建設に伴います下水処理の問題、汚水処理の問題等につきましては、現在施行主体であります県、国等におきまして十分検討しておりますので、その間のどういう構造にするかというようなことは、担当省であります建設省のほうで現在検討しておると思います。
  62. 小川三男

    小川(三)委員 建設省は具体的にそれはいま検討しているということを、あなたのほうで保証できますね。
  63. 塘恒夫

    ○塘説明員 先般この閣議決定に伴いまして建設省、農林省等さしあたってすぐ調査費が要求されるというかっこうで、私ども建設、農林、運輸あわせましてことしの調査費をいかにすべきか、来年度の事業費をいかにすべきかという打ち合わせば数回持っております。したがいまして、河川等のそういう計画につきましても、当然建設省において計画されておる、私はそう存じております。
  64. 小川三男

    小川(三)委員 では立場を変えて、あなたのほうで現に民有地の移転戸数を何戸と押えておりますか。
  65. 塘恒夫

    ○塘説明員 現在、現地におきます立ち入り調査ができませんので、私ども航空写真図から移転戸数を拾っておりますが、それによりますと、約二百五十戸と私どもは推定しております。
  66. 小川三男

    小川(三)委員 千葉当局は二百七十七戸と発表しております。この押え方がすでに違っております。これはどういう食い違いですか。
  67. 塘恒夫

    ○塘説明員 航空写真でございますので、一軒の中で納屋があるとか、そういうふうな戸数が判明しません。したがいまして、その間の戸数の差というものは当然起こってくるというふうに私どもは思っております。
  68. 小川三男

    小川(三)委員 大臣もいないし、もう時間もないので終わりますが、一体これを新国際空港として——滑走路二本くらいの程度国際空港は、国際空港としての資格はないですよ。これは航空審議会答申案もそのとおりである。法案自体にも背反しているわけです。したがって、さらにSSTのような超大型のものを飛ばすために飛行場をつくらなければならないのかどうか、この飛行場を使用するのかどうか、この点を明確にしておいていただきたい。
  69. 塘恒夫

    ○塘説明員 新空港の必要性は、私ども先般来強調しておりますように、昭和四十五年ごろに羽田空港が量的な行き詰まりを来たす、その打開策として私どもは考えておりますので、現在開発途中にあると予想されます超音速旅客機の受け入れにつきましては、当面考えておりません。したがいまして、この就航計画がおくれるというふうに聞いております超音速旅客機の受け入れにつきましては、開発が進みましていろいろな諸要目が明らかになった暁におきまして別途考慮したい、さように考えております。
  70. 小川三男

    小川(三)委員 そうすると、これはむだな投資ですよ。いわば二重投資ですよ。新国際空港としての機能を果たすことのできないような飛行場をつくって、さらにまた別途考慮しなければならないというようなこと自体がおかしいじゃないでしょうか。どうなんです。
  71. 福井勇

    福井政府委員 現段階ではこの計画でむだでないと考えまして、遂行させていただいております。
  72. 小川三男

    小川(三)委員 政務次官がむだでないと言っても、むだなんですよ。そうでしょう。SSTはすでに発注してあるという。しかもこれは、一年や二年おくれてもこの飛行機は飛ばさなければならないですよ、離着陸しなければならないのですよ。それをいまの二本の滑走路しか持たない三里塚空港——あなたのほうでは成田空港と言っておるが、この成田空港で充足できるのかどうか、将来にわたって充足できるのか、その点ですよ。
  73. 塘恒夫

    ○塘説明員 新空港滑走路は御承知のとおり二本でございます。この新空港の供用開始の時点から考えまして、この空港の持つ能力はおおむね十年程度と私どもは考えております。このように新空港の能力が限界に達しますのは、現在から考えますと十五年くらい先になりますので、その後の航空の需要がいかに変化するかということを今日の時点において想定するのはなかなか困難でございます。したがいまして、その後の対策というものはある程度先の時点において別途考慮したい、さように考えております。
  74. 小川三男

    小川(三)委員 最後に伺っておきますが、羽田空港が手狭になるのは昭和四十五年ころと、佐藤総理は発表しておりますね。これはそのとおりですか。
  75. 塘恒夫

    ○塘説明員 昭和四十五年ころと考えております。
  76. 小川三男

    小川(三)委員 そうしますと、昭和四十五年までにこの成田空港をつくらなければならない。しかもこの成田空港自体が国際空港としての機能を持っておらないとしたら、さらにもう一カ所どこかへつくらなければならないでしょう。結果としてそうなるでしょう。私のほうはそれをむだな二重投資であると言っているのです。どうなんですか。
  77. 塘恒夫

    ○塘説明員 新空港の工事過程から申し上げますと、一応のめどでございますが、用地買収が終われば、さしあたって四千メートル滑走路一本は、四十五年までには完成させたい。したがって、羽田空港の満ぱいの時期におきまして、新空港滑走路一本はでき上がっておる、かように考えて準備を進めつつあります。
  78. 小川三男

    小川(三)委員 最後に伺っておきますが、用地買収についてあなたのほうでは強制執行、土地収用法を発動してもやり抜く覚悟を持っていますか。
  79. 塘恒夫

    ○塘説明員 現時点におきましては、地元の皆さま方にできるだけこの事業の必要性を認識していただきまして、納得づくでというかっこうで私どもは進めたい、かように存じております。
  80. 小川三男

    小川(三)委員 終わります。
  81. 久保三郎

    ○久保委員 関連。一つだけ聞いておきますが、いままでの政務次官やら航空局長計画課長お話を聞いておると、何か新国際空港ができるような話でもあり、そうでもなさそうな話です。それで、新国際空港ということになりますれば、先ほど来小川委員から申し上げたとおりであると思います。そこでわれわれの手元にいま入ったあの図面では、新国際空港としては成り立たぬではないか。特にSST時代においてはどうなんだというお話。ところが、SSTについては、まだ開発途上にあるから、これは追ってそのときに考えましょうという話です。なるほどいまの図面からいえば、これはそう言わざるを得ないと私は思うのです。  そこで、いま大臣も航空局長も退席された理由は、空港公団を発足させるということで行ったそうだが、これはちょっとやめてもらいたい。公団発足はやめてもらいたい。というのは、その公団は、いわゆるわれわれの手元で成立していった新東京国際空港公団法にのっとるところの公団でなければいいが、これは、この法律に基づくところの公団であるならば、公団をつくるということはどうかと思う。前提がくずれている。そういう公団をつくってやる仕事ではない。しかも、新東京国際空港公団法によりますれば、その第二条には次のように書いてある。「新東京国際空港は、次の要件を備える公共用飛行場として、東京都の周辺の地域で政令で定める位置に設置するものとする。」これは政令では、いわゆる千葉成田市と、こう政令を出したというのです。ところが、成田市に出した当該の地域のおおよその形は、いままで審議されたとおり、四千と二千五百か知らないが、二つの滑走路だけである。そうしますと、この第二条の「政令で定める位置に設置するものとする。」というのは、いわゆる要件ですね、次の要件を備えるもの。要件とは、一に書いてある「長期にわたっての航空輸送需要に対応することができるものであること。」これが一つ。二番目は、「将来における主要な国際航空路線の用に供することができるものであること。」特に第一点については問題はないと思うのです。一本でも二本でも、長期にわたってというんだから、片方が四千メートルであるならば、これは長期にわたって一本は使える。しかし、二番目は、「将来における主要な国際航空路線の用に供することができる」というんだが、いままでの特にあなたの御答弁では、二番目の要件は欠く、こういうふうに思うのですが、そういうふうに思うとするならば、いま十二時から会議を始めて——最後か最初か知りませんが、公団設立の委員会が始まるというんだが、これはやめてもらいたい。やめて、こちらに来て、責任者が答弁して、はたして新東京国際空港公団法に基づいて成田市に設置しようとするのかどうか、だからその公団はつくらなければならぬのかどうか。これは説明してもらわなければいかぬ。一の場合は、こうしたしっかりした四千メートルの滑走路をきちっとつくれば、これは長期にわたって空港としてその効用は果たすことができると思う。ところが二番目の、「将来における主要な国際航空路線の用に供することができる」ということは、将来SST時代において、あるいは五百名とか七百名というような超大型機というものになったときに、国際的にいわゆる主要な空港とはなり得ないと私は思う。そういうものが全然発着できない、離着陸できないような、そんな飛行場というものは新東京国際空港ではない、こういうふうに解釈できると思うのです。  そうだとするならば、公団の設立準備会をやっているそうだが、これはおかしい。直ちに政務次官から連絡してとりやめて、責任者である運輸大臣航空局長は直ちに本委員会に取って返すことが妥当だと思うんだが、これは政務次官、あなたもそのとおり思うでしょう、どうですか。時間が長くなると困るから、あなたはそのとおり思うか思わぬかだけ言ってください。
  82. 福井勇

    福井政府委員 一の長期にわたるという問題については御了承願ったというお話でございますので、非常に安心いたしました。  二番目の問題につきましては、いま設立委員会も諸種の計画の中の大事な一つでございまするので、せっかく各位の御協力によって参りましたので、いますぐ連絡にいくというようなことは、進んでおりますことでございますので、御了承相願いたいと思うのでございます。
  83. 塘恒夫

    ○塘説明員 御質問の第二点につきましては、新空港が三里塚に建設された場合、現在の羽田空港における国際線の大半を受け持つということになっております。したがいまして、現在おもな国際路線に就航しておりますDC8とボーイング707というものは当然新空港において発着し得る。  なお、将来の空港の飛行機の想定につきまして、SSTができるかどうか、大型機ができるという問題もございますけれども、いかなる時点にどのような機種が就航するかということは今後の問題でございますので、その時点において対処いたしたいと思います。
  84. 久保三郎

    ○久保委員 時間がなくてちょっと困っているんだが、これはほんとうに問題だと思うのです。大体政務次官は法律がわかっちゃいないのじゃないか。これはたいへんな間違いを起こすと思うんです。いかにも新国際空港のような話をして、公団をつくればそうなる。ところが、図面を見てもらえばわかるんだが、これは、とてもじゃないが、羽田の補助飛行場ぐらいですよ。そうすると、SST時代には、とてもじゃないが、これだけでは国際路線の重要なところにはならない。これはならないということがはっきりしているのです。いまの計画課長の答弁よくわからなかったが、もっとも実際はあなたに聞いたのではまずいことなんだ。航空局長か少なくとも大臣に聞くのがほんとうなんだが、あなたが正直だから聞いているわけなんだ。だから、公団法は取りやめだということだな。これは政務次官、いまから、進んでいるという話だが、話は進んでいるかどうかわからぬよ、だから行って呼んできて中止しなさい。これに回答することができればいいが、できないならば、公団法の設立準備委員会は直ちにやめて、取って返してここで答弁してもらう。合ってないよ、あなた。合ってないものを合っている合っていると言ってもしようがない。合ってない。それから、資料として権威あるのかどうか。いま小川氏からぼくが見せてもらった紫っぽい、プリントしたものは権威あるものなのかどうか。これは計画課長でよろしい。これで閣議決定したのか。これは航空局から出たというのでもらってきたんだ。
  85. 塘恒夫

    ○塘説明員 その図面は七月四日の閣議決定の際、参考図面として提出しました資料でございます。一
  86. 久保三郎

    ○久保委員 そうするとこの図面は、そのとおりということで、これを前提にして閣議が了解したというか決定したわけだな。
  87. 塘恒夫

    ○塘説明員 さようでございます。
  88. 久保三郎

    ○久保委員 そうしますると、さっきから小川君からもお話があるように、横風用滑走路を一本つくる。つくり方についてはいろいろ言っているようだが、ここにどこにも書いてない。二本しか書いてない。短いのと長いのとしか書いてない。横風用なんてどこにも見えない。
  89. 塘恒夫

    ○塘説明員 先ほど航空局長から説明しましたとおり、横風用滑走路につきましての必要性は当然でございますけれども、なおその配置としましては、その二本の滑走路の間の空間に大体ターミナルエリアが配置されると思いますので、その計画との関連におきまして横風用滑走路配置したい、かように存じておりますので、いまの時点においては図面が引けないということでございます。
  90. 久保三郎

    ○久保委員 図面の引けないものを出して、図面に引けないものを引いちゃって閣議決定するなんていうのは、これはとてもおかしい話ですよ。そんな話聞いたことはない。こういうものが権威あるかどうか。いまの話だと、これは権威ないんだね。
  91. 塘恒夫

    ○塘説明員 お断わりしておきますけれども、空港の規模を表示する場合の必要なものとしましては主滑走路の長さ、本数、それと総敷地面積でありますために、特に横風用滑走路につきましては触れなかったわけでございます。というのは、先ほど申しましたとおり、ターミナルビル配置計画等が固まっておりませんので、それらとの関連において今後検討したい、このように考えております。
  92. 久保三郎

    ○久保委員 重要なものは、ターミナルエリアはどの辺ということが想定できなければ滑走路はできないのですよ。私もその程度のことなら知っているんだ。というのは、将来のことだから、滑走路がいままでの羽田の飛行場を思わせるようなものをつくるならまた別だ。お客がおりてからしばらくの間、何だかわからぬところをかさをさしてすっと歩くということになっているのならかまわないのですよ。これはターミナルエリアをどこに置こうとかまわない。ところが新国際空港と銘打ったからには、そんなものじゃ困ると思うのです。出すならばちゃんとしたポジション、おおよそのポジションがきまっておらぬければいかぬですよ。どうもあなたとやっていると時間が損だからこの辺にしておくけれども、公団法をつくるについては、この時期においては、法律があろうともなかろうとも、これはやめてもらいたい。こんな中途はんぱで何だかわからぬものをつくって、公団法による公団をつくれば何か新国際東京空港になりそうだなんて、そんなばかな話聞いていられませんよ。時間がないからこれだけにしておきますが、委員長、あとで大臣と航空局長を呼んでください。これで終わることなしにお願いします。      ————◇—————
  93. 田澤吉郎

    ○田澤委員長代理 次に、港湾に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。井岡大治君。   〔田澤委員長代理退席、委員長着席〕
  94. 井岡大治

    ○井岡委員 さきに当委員会港湾運送事業法を審議をする際に、港湾労働法が施行後港湾運送事業というものの関連ということでお尋ねをした際に、十分そのことは配慮をしてやらなければ運送事業というものは円滑にいかないし、同時に近代化しない、ですからわれわれとしては十分その点を考慮してやります、こういう御答弁があったと思います。実は当時十五分ということだったものですから、私はそれ以上問題を追及しようとしなかったわけです。ところが現実にやはり私たちが一番心配をしておった問題が出てきておるわけです。  そこで労働省の調整課長おいでになっておりますね、お尋ねしますが、現在の港湾労働法施行後における状況等について一通り聞かしてください。
  95. 広政順一

    ○広政説明員 港湾労働につきましては本年の七月一日から全面的に施行いたしたわけでございますが、まず登録の状況について申し上げますと、日雇い労働者につきましては、現在登録が出ております者が全国を通じまして一万八千人、それから常用につきまして四万九千九百五十八人、合わせまして、八万一千に対しまして六万七千九百六十五ということで、私どもの予定いたしました数字の約八四%という現状に相なっております。私ども大体この八四%という数字で、荷役に特別の込み方というものがない限りは、通常の荷役作業はこれで処理するに足りるのではないかというふうに判断いたしておりますが、施行当初若干の問題がございまして、ただいま鋭意私どものほうで問題点の整理並びにこれの是正方ということで進めております。せんだって二十六日に、大臣からこの点閣議でも申し上げまして、各閣僚の方々の御了解を得た、こういう状況になっております。
  96. 井岡大治

    ○井岡委員 八四%で特別の事情がない限り支障がない、こういうことですね。  そこで港湾局長にお尋ねしますが、現実に今日かなりこれで混乱が起こっておるわけです。あなたのほうは御存じだろうと思うのですが、労働省はだいじょうぶだ、こう言っておりますが、この点どうです。
  97. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 港湾労働法の施行を控えまして、先ほどお話がございましたように、定数に満たない、登録がおくれておるということで、私どもも労働省と協力いたしまして、業界並びに出先の海運局に協力方を強く要望したわけでございます。その後の情勢を見ますと、若干労働者が不足だ、そのために滞船時間が多少延びたということもございますし、またギャング数につきまして人数を調整したために荷役がおくれたということはございますが、特に不荷役船が出たというような実績はございません。何とかやっているという実情でございます。
  98. 井岡大治

    ○井岡委員 いかにして労働省と口を合わそうかというのでだいぶ苦労されておる御答弁ですが、私はそういう答弁では了解しがたいわけです。  そこで労働省の調整課長にお尋ねしますが、定員が集まらない原因というものはどこにあるのか、それをひとつお聞かせ願いたい。同時に、いままでいろいろ原因を究明しているとおっしゃったわけですが、どういうことがいま問題になって、どういうことが結果になっておるか、これを全部教えてください。
  99. 広政順一

    ○広政説明員 私が先ほど若干問題がございますと申し上げましたのは、先ほど申し上げました数字そのものがそのままで動いているという意味ではございませんで、労働者の安定所への出頭状況という点を考えますと、いまだ十分ではない、したがいましてかなりの求人未充足というものが見られることは事実でございます。そこでそれの原因といたしまして、いま先生どういう原因だと、こういうお話でございますけれども、いろいろの原因が重なっておるのではないかというふうに思います。私ども、港湾労働法の施行にあたりましていま一番問題にいたしておりますのは、一部の港におきまして、公共職業安定所への求人の内容となります賃金が、法律施行前に比べて若干下がった、そういう港があるというところでございます。この下がったという点につきましては、私どもの日雇い港湾労働者の紹介のしかたというものを、いままでのようなギャング編成ではございませんで、輪番ということで次々に回していくという形でいたしております。むろん十ぱ一からげに何もかも輪番ということではございませんで、ある程度の職種別というものも考慮しながらの輪番でございますけれども、それだけにどういう労働者が来るかわからないというような問題点もそこにあるかと思います。港湾労働法施行上の問題としては、輪番というのはどうしてもやっていかなければならない筋道だろうと私ども思っております。できるだけきめのこまかい紹介ということをただいま行政指導もいたしておりますし、また業者の方々ともいろいろお話し合いもしておる。こういうことで、この大原則に即しながら進めてまいりたい。その過程で賃金が下がっているという事実も逐次直ってまいっておりますが、いずれにいたしましても、労働者が集まらなかったということの原因の一つとして賃金の問題というのがあるのではないか、あと、そのほかにいろいろ言われておりますけれども、拘束されるのはいやなんだという感覚も一部の労働者にはあるようでございます。いろいろな原因が集まって、先ほど申し上げました一万八千人というものが、現実には安定所へ顔を出してこない場合がある、そういうことかと存じております。
  100. 井岡大治

    ○井岡委員 この施行にあたって、では業者並びに労働者にどのような指導をなさったか。集まらないということが、私自身わからないのです。いままで集まっておったものが法を施行したために集まらない、ここに何か欠陥があると思うのです。したがって、いまこれを施行するにあたってどのように業者に説明をし、理解をさせ、あるいは労働者にどのように理解をさせたか、これが一つ問題だと思う。何のために賃金を下げなければいけないのか、しかも集まらなくなってきたからといって、この原因を究明していくうちに、逐次賃金の問題も戻ってきた、こういうお話ですね。そういうことであるとするなら、なぜ最初からそういうことを指導しなかったか、これが問題だと思うのです。この点をひとつお聞かせを願いたい。
  101. 広政順一

    ○広政説明員 私ども、御承知のとおり四月一日から実はこの登録という問題を開始いたしました。四月から七月まで三カ月間というものは、登録はしていただくけれども、実際にこの法律に書いてございます雇用規制という点は七月一日から動くのだということで、その前提のもとに各港湾の業者の方々あるいは労働組合の方々と何回となく打ち合わせもやりました。また現地におきましては各種のPRの手段を講じて万全を期してまいったわけでございますけれども、七月一日を迎えまして遺憾ながら先ほど申し上げた事実があったということでございまして、私どももできるだけこのPR、あるいは理解していただくということについては力をいたしたつもりでございます。
  102. 井岡大治

    ○井岡委員 そうしますと、私ちょっとお尋ねをしたいのですが、社内臨時とか門前雇用とかいうのがあるようですが、これはどういうものですか。
  103. 広政順一

    ○広政説明員 先生ただいま御指摘の社内臨時ということば、実は私どももこれは労働組合の諸君から伺ったことばでございますが、労働組合の方々のおっしゃっている意味から判断いたしますと、特に神戸の場合でございますが、新たに港湾労働法ができまして、港湾労働法の本来のねらいといたしております常用化の促進ということと関連いたしまして、いわゆる常用ということで届け出が安定所へ出てまいります、その常用というものの実態が実は臨時みたいなものじゃないか、こういう御指摘が昨日総理府の港湾調整審議会におきましてもございまして、そのことをさしておられるものというふうに考えております。それから川前雇用と申しますのは、安定所を通さないで雇用するというのを、俗称門前雇用あるいは直接雇用というようなことばで呼んでおるわけでございます。
  104. 井岡大治

    ○井岡委員 それでは社内臨時という実態について、あなた方は労働組合が指摘したとおりだというように、理解されておるのですか。
  105. 広政順一

    ○広政説明員 何ぶんにも法律が施行されました直後でございまして、常用化促進というその筋道は私はそれで了とすべきじゃないか、非常にけっこうなことじゃないかと存じております。問題は、常用の実態が一体どうなんだろうかという点にあるわけでございます。この点、いましばらく時間をおかしいただきまして、私どものほうではこれについて中身を調べてみたい、このように考えております。
  106. 井岡大治

    ○井岡委員 それは十六条の二項に該当する常用、こういうように理解していいのですか。
  107. 広政順一

    ○広政説明員 十六条とは直接、常用の問題は関係ございません。法律の十三条に常用港湾労働者証の交付というのがございます。この常用港湾労働者証の交付というのは、事業主が労働者を自分のところの常用として使っているというときは安定所へ届け出る。この常用だけでは処理し切れないという荷さばき、これは波動性がございますので、そこで処理し切れないという場合に日雇いいうものを使う。その日雇いにつきましては、安定所に労働者が登録していただくということで処理いたしておるわけでございます。十三条に言う常用労働者というのをお考えいただければよろしいかと存じます。
  108. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、社内臨時というのは十三条による常用、こう理解していいのですか。
  109. 広政順一

    ○広政説明員 法律の条文では十三条に常用労働者証の交付ということで書いてございますので、事業主が自分で使っておりますいわゆる常用というものをお考えいただければよろしいのではないかと思います。
  110. 井岡大治

    ○井岡委員 ぼくの言っているのは、それだと、なぜ社内臨時という名前を使うのですか。常用であれば職員であるはずです。その会社の従業員であるはずです。それをなぜ社内臨時ということばを使うのか。これはおそらく私は十三条じゃないと思う。十六条の二項の問題からここへひっかけてきているのだろうと思う。この点どうですか。
  111. 広政順一

    ○広政説明員 先ほど申し上げましたように、私どもは常用と日雇いということで港湾労働法に基、つきまして仕事を進めておるわけでございますが、この過程で、労働組合のほうで社内臨時ということばで呼んでおられる、その実態は港湾労働法で言っている常用ではないじゃないか、こういう言い方を労働組合はしておられるわけでございます。それだけに、私ども、先ほど御答弁申し上げましたように、いましばらく時間をかしていただいて、この点の実態をはっきりさせてまいりたい、こういうことでございます。
  112. 井岡大治

    ○井岡委員 私のお尋ねをしているのは、あなたの言われる十三条の常用ということであるならば、これは運送事業法に基づく従業員——ある一定の従業員を持たなければ運送事業を行なってはいけない、こういうように法律を改正したわけです。私はそれがいわゆる常用だと思うわけです。ですから私は港湾運送事業法の審議のときに、港湾労働法の常用とこの従業員は同一であるのかどうかということを聞きました。そうしたら港湾局長は同一のものだ、こう私は理解をしております。またそうでなければなりません、こういう御答弁であった。そこで常用としての実態を備えておらない、だからこの点について検討するのだ、こういうことだと、これは常用ではない、私はこういうように理解をするのが正しいと思うのです。運送事業法にはそうなっていないのですから。常用というものはあくまで常用ですし、社員であるし、あるいは従業員でなければいけない。これが常用です。その内容がそういうものでないとするならば、これは常用とみなすことは私は間違いだと思うのです。そう思いませんか。
  113. 広政順一

    ○広政説明員 港湾労働法におきまする常用が、ただいま先生御指摘のとおり、運輸省でおやりになっておられます港湾運送事業法の免許にあたっての労働者、これと同じものであるということにつきましては、当時法案を御審議いただいたときに御答弁申し上げているとおりでございます。問題は、私の御説明があるいは足りなかったかと存じますけれども、常用ということで事業主から届けが出てまいります以上は、その常用として当然中身を備えたものであるべきであり、また現実そうだというふうに私どもは存じております。  ただ問題は、賃金の支払いのしかたが、いわゆる常用といわれる人たちの中にありましても、日給月給という形の支払い形態をとっておる場合もございます。それだけにおそらくこの人たちが——私どもも実態的にはまだ七月も終わっておりませんので、よくそこいら調査いたしておりませんが、あるいは日給制で払っておる形の方々もあるのではないだろうか。そういうようなところから臨時といいますか、社内臨時ということばを労働組合の方もお使いになっておるのではないか、このように私申し上げておるわけでございます。
  114. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、まだ一カ月しかたっていないからということですから、私も正確にあなた方にお答えをいただくわけにはいかないのですが、あなた方のところに常用として届けをしておる、しかし実態はそうでないから組合のほうは臨時だ、こういっておるのだ、こういうことですが、届け出をされたその内容というものはどういうものなんですか。やはり常用としてのなにははっきりしておるのかどうか、この点をお尋ねします。
  115. 広政順一

    ○広政説明員 私ども常用として届け出がきた場合に、これは常用の届け出証の中で、たとえば社会保険の問題という点につきましては、これは厚生年金あるいは健康保険あるいは失業保険という点については、常用の線でやっていただかなければならぬ。御承知のとおり、健康保険については日雇い健保がございますし、失業保険についても日雇いの特例がございます。そういうものを全部総合的に見まして常用だということで受けつけているわけでございます。したがいまして、まずその面においての指導ということは当然いたしておりますし、またそういう形で届け出が出ているのではないか、こういうふうに私どもは考えております。しかしなお実態につきましていろいろ労働組合の御指摘もございますし、私どもとしてはその点もう少し時間をいただいた上でひとつ中身をさらに調べてみたい、このように存じております。
  116. 井岡大治

    ○井岡委員 もう一つこの点についてお尋ねしますが、その場合の賃金は個人とそれから会社、こういうような条件になるのですか、それともいわゆる労働組合と会社が団体交渉して賃金の決定をするのか、この点はどうですか。
  117. 広政順一

    ○広政説明員 労働組合がある場合には当然、団体交渉ということで賃金はきまっていく場合が多いと存じます。しかし労働組合がない場合にどういうふうに賃金がきまるかということは、ほぼ一般の労働問題と同じというふうに私どもは考えております。
  118. 井岡大治

    ○井岡委員 それではもう一つお尋ねいたしますが、さいぜんのお話の中に、職業安定所を通さないで直接雇うのがある、こういうようにおっしゃったのですが、それはどういうことですか。それはどれに基づいておやりになるのですか、法律のどの項に基づいて。
  119. 広政順一

    ○広政説明員 直接雇いではただいまどの程度あるかということは、私ども調べておるところでございますが、先ほど先生御指摘の十六条で、本文は、安定所の紹介を受けた者でなければ港湾運送の業務に日雇い労働者を使ってはいけないのだ。これにただし書きがあるわけでございまして、「適格な求職者がいないためにその紹介を受けることができないとき、その他公共職業安定所の紹介によっては日雇港湾労働者を雇い入れることができない」、そういう場合に届け出ということで直接雇い入れということも可能だという法律上の仕組みにはなっております。ただ私ども十六条につきましては、これはよほどの例外の場合ということでございまして、十六条のただし書きが常時発動されているという状態は港湾労働法そのもののねらっているところではございませんので、この十六条については厳重に運用をしていきたい、このように考えております。
  120. 井岡大治

    ○井岡委員 法律の一般論はそのとおりなんです。私は原則としてはこういうものはあってはならないものだと思うのです。しかし現実に波動性等があって、ぱっというようなときに、これは要る。こういうときには何とかしなければいかぬということだろうと思うのです。そのためにこれがこしらえられたんだろうと思うのですが、私がお尋ねをするのは、この項を非常に悪用しておるのじゃないか。たとえば腕章をつけて、連絡員というのですか、あれをつけておりますと自由にできる、こういうことなんでしょう。その点どうなんですか。
  121. 広政順一

    ○広政説明員 先生いまおっしゃいました連絡員と申しますのは、会社の人間のことをおっしゃっているのでございましょうか。
  122. 井岡大治

    ○井岡委員 会社が従業員が集まらない場合、日雇いを集める場合、どうしても安定所から回ってこない、でも何とかやらなければいけない、その場合に、安定所の許可ですか何かもらって、腕章をもらうと自由に集めることができる、こういうようになっているのじゃないですか。
  123. 広政順一

    ○広政説明員 安定所が許可をしてこの連絡員という人たちが集めることができるようにするということはないと存じますけれども、ただ問題は、適格な労働者がどうしても得られないという場合に、安定所といたしましては一定の数を——これは事業所から求人申し込みを安定所にいたします、その結果安定所で求人に対して労働者を紹介する。紹介できる範囲の数と求人の数との差というものにつきまして、厳格にこれはその差だけということで十六条に基づきましてやっている、こういう例はあるかと存じますけれども、いま先生御指摘のように安定所の許可を受けて、それで連絡員がかってにやっておるということはないものと存じております。
  124. 井岡大治

    ○井岡委員 ところが現実にあるのです。たとえばこの間大阪府の労働部長が私の部屋に来まして、港湾労働者の日雇いのほうにいかないで、釜ケ崎のほうに集めにいって直接雇用をしている。そうでなければ集まらないんだ。これなどは解決しなければいけない問題だと思う。そのためにはこういうような方法を講じなければいかぬということを、私のところに言っておいでになった。それはどういうことなんですか。
  125. 広政順一

    ○広政説明員 施行当初におきまして、特にこの釜ケ崎が一番問題であろうということは、私ども実は考えておりました。大阪の労働部とも十分連絡をとりながらこの仕事は進めてまいったつもりでございますけれども、先ほど申し上げましたような、賃金が下がった、あるいは労働者が安定所へ集まってこないというようなことから、若干釜ケ崎について直接雇い入れをした例があるということは、私もその点は聞いております。ただ、安定所で釜ケ崎で募集することを許可したということについては、実はまだ私どもとしては聞いておりませんで、安定所が中へ入り込んでそれでオーケーだという姿はないはずじゃないか、こういうふうに思っております。
  126. 肥田次郎

    ○肥田委員 関連して簡単にお伺いしますが、横浜でもそういう事実があるということの報告がきている。職業安定所の公認の判こをついてもらって、その判こかどうかわかりませんけれども、職安の公認の判こをついてもらった連絡員という腕章をつけて、そうしてその腕章をつけた男がアンコ集めをやっておる、こういうのです。こういう事実はあなたのほうでは御存じないですか。
  127. 広政順一

    ○広政説明員 横浜につきましては、先ほど私御答弁申し上げましたようなことで、実際に求人数と充足数との差というものを明示いたしまして、その分だけ十六条のただし書きに基づいて直接雇い入れるということについて認めたということはございます。ただその場合に、安定所が許可をしたからどうこうということではなくて、安定所といたしましては、この何人かの分だけを直接集めてもけっこうだと申しております半面、いわゆるやみと申しますか、もぐりと申しますか、そういうものがないようにという配慮のもとに、横浜の場合そのようなことをいたしたということはございます。
  128. 肥田次郎

    ○肥田委員 そうすると、そのこと自体は違法ではないという解釈に立っておるわけですね。違法ではないという解釈に立っておられるから例外を認めたということになるのでしょうが、そうすると一つの手段として、職安公認というような腕章を使用することを公然と認めておるということになるのですね。そうすると、それは制限がむずかしいんじゃないですか、実際にそのこと自体を制限するということは。だからそのやっていることは十六条の例外ということになるけれども、しかしその内容自体は、この港労法自体の運用を危うくするような、そういうふうに発展するというふうには考えられませんか。このことは重大な問題だと私は思うのです。
  129. 広政順一

    ○広政説明員 ただいま先生御指摘のとおり、私どもも十六条ただし書きが常態として動いていくということになりますれば、これは港湾労働法本来の精神というものから考えましてまことに適当でないというふうに存じております。ただ、問題は横浜の場合、特にいわゆるやみ雇用というふうなことがないようにという配慮のもとに、何人という人数の限定をいたしまして、それを関係の安定所に必ず届け出てもらうという形で運用せられているわけでございまして、私どもも決してこれが常態としてあるということであってはならないという点は、先生と全く同感でございます。
  130. 肥田次郎

    ○肥田委員 趣旨は了解できますが、集まらない人を集める非常手段として、現実にやみ雇用を認めるというそのやり方、そのことにこれは問題があるのですね。これを常態化するということについてはこれは問題があるというふうにおっしゃっておるから、それは了解をいたしますけれども、いわゆるやみ雇用、直接雇用というものがやり得る手段をそこに残しておくということになると、これは結局は港労法そのものが無視されることになるのですから、そういう手段であっても、私はやはりおやめになったほうがいいと思う。公然と腕章を巻かせて、そうしてそれによって人を集めさすということは、これは直接職安の職員がやるわけじゃないのですからね。これはもう制限を加えようとしたって加えられないはずなんです。私は、これはおやめになったほうがいいと思います。
  131. 野間千代三

    ○野間委員 関連。いま肥田先生の言われるとおりなんですが、問題は、いま先生が指摘されたように、やや公認的なやみ雇用ということになりますね。そしていま課長お答えですと、それが常にあるというふうにあってはならないというふうに言っていらっしゃる、それはそのとおりだと思います。問題は、それでは常にそうあるべきではないということにするために、どういう手段をとったらいいか。つまりそれは、十六条ただし書きのような状態があればやむを得ない、それはぼくも認めます。その場合もあるでしょう。しかしその場合は、これがあるためにやみで手配をして、それを使っていったほうが安易ですから、そういうふうになる可能性を持っているわけですね、このただし書きは。したがって、どうしてもやむを得ないのだということに、つまりチェックして、そのチェックを常に狭めていって、そういうことが常態化されない、たまにはあるということにするには、やはり相当強い監督なり、あるいはチェックの方法なりがなければならぬと思うのですね。それはいまのところ、肥田先生が言われるように欠けているのじゃないかと思うのですね。したがって、チェックの方法について近いうちにきちっとして、これがなるべく常態化しないように、たまにやむを得ずというようなことにして、それを職業安定所がつかんでおくというかっこうにしなければならぬと思うのですね。それはどういうふうに考えておりますか。
  132. 広政順一

    ○広政説明員 先生の御指摘ごもっともでございまして、私どもも、先ほど御答弁申し上げましたように、十六条は常態化するということがないように、行政運営のポイントをそこに置かなければならないというふうに存じております。そこで、実際問題といたしまして業界の方々にもこの点は十分浸透いたしておりますけれども、原則として直接雇いではやれないという港ごとの業者間の協定と申しますか申し合わせと申しますか、というものが実際にはございます。その申し合わせを守ろうじゃないかという点について、業界の方々自身もその点自覚しておられますので、私ども、さらにその協定の順守ということについて御指導申し上げたい。と同時に、私どものほうで、安定所の紹介機能という点についても現段階におきましては反省すべき点がございますので、この点は十分、紹介というものをもっときめこまかく進めるという形、さらにまた賃金水準の指導と申しますか、そういう点を含めまして、総合的にこの問題の前向きでの推進ということをさらにはかってまいりたい、このように存じております。
  133. 井岡大治

    ○井岡委員 私たち三人が言っているのは、これには「当該日雇港湾労働者の雇用期間その他労働省令で定める事項を公共職業安定所長に届け出なければならない。」したがってその連絡員なるものは、集めて、そしてこの人間は二カ月——この法のいう二カ月ですね。二カ月なら二カ月これを雇用します、こういう形をとっているのです。そうして日雇い労働省はできるだけ職業安定所に行かないのです。ですから足らないわけですね。これだけ要る、とこう言っているのに、職業安定所に行かない。行かないから、会社のほうは足らない。そこでその連絡員なる者は——この十六条の項で直接雇用をおまえのところは認めてやろう、こういうようにする、そしてそのもとの手配師がそこいらをかけずり回って集めている、これがいまの実態なんです。ですから私は先ほど、連絡員というのは何ですかとこう言っておるのです。そういう項があるために、依然として手配師が温存され、その手配師は依然として暴力団員ですよ。ここに問題があるのですね。ですから、この十六条、しかもこれは雇用期間というものがある。二カ月間は、その人間は自由に行けるわけですね。AならAの会社で、自分は二カ月間この人を雇いますということを会社が届け出れば、毎日日雇いに行かなくてもいいわけです。そうしてその二カ月の間、おまえはおれが雇ったのだから金を出せということで、ピンはねをやっておる。会社からも、これだけ人を集めてきたのだから金を出せ、両方からやっておる。現にそれが実態ですよ。ですから、この点は、単に法の、そういうものがあってはならないのだというのでなくて、そのためにこれをどうして撲滅するかということが先に考えられない限り、依然としてこれはどうにもならぬということですよ。
  134. 広政順一

    ○広政説明員 私ども先生御指摘の二カ月いっぱなしというのが、いまどういう実態をおさしになっていらっしゃるのか、実は報告も受けていないのでございますけれども、有期紹介という形で安定所に登録した労働者が安定所から紹介されて、ある一店社に行っておるという事例はございます。日々紹介をたてまえにしておりますが、有期の形で行っておる例はあると思います。登録の労働者が、いま先生御指摘のような形で、有期紹介紹介票を切ってもらうことなしに直接に会社へ行っておるという事例は、いまのところ私としては報告を受けておりませんけれども、もしそのようなことがありますれば、これは明らかに港湾労働法違反の事実でございます。その点は、私どももさらに実情を調べてみたいと存じます。なお、私どもとしては、行政指導という面の強化と、どうしても一部には悪質と目されるような業者も中にはあるかと存じますが、もしそのようなことがございますれば、私どもとしては、これは法に照らして厳正に、ひとつ関係当局ともお打ち合わせを申し上げて、法の施行が曲がらないように進めてまいりたい、このように存じております。
  135. 井岡大治

    ○井岡委員 言われるとおり、私は港湾日雇い労働者が職業安定所に登録を渋っておる原因というものは、あなたの言われた第二条の五項に日雇港湾労働者の定義として「日日又は二月以内の期間を定めて雇用される港湾労働者をいう。ただし、同一の事業主に二月をこえて引き続き雇用されるに至った者を除く。」ここに問題が依然として残っておるわけですね。これが十六条の二項のところに悪用されておる。ですから、この点は、やってからまだ一カ月ぐらいだからということでなしに、早急にこの問題を解決をしないと、依然として港湾のあの非近代的ななにが続くのじゃないか、せっかくこの法律をつくり、あるいは運送事業法を改正しても何にもならぬことになるのじゃないか、こういうふうに言っておるわけです。この点を特に考えていただきたい、こう思うのです。  その次に、そこでこの問題が、いわゆる賃金の問題にひっかかってきておるわけです。同時に、専門家が入ってこない。専門家がみな日々のほうに行っちゃっている。だから未経験者ばかりやるものだからなにのほうは困っている、こういうのと違うのですか。これは港湾局長でもよく御存じだと思います。
  136. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 この賃金問題につきましては、先ほど労働省のほうからもお話がございましたように、業者といたしてましては従来と異なって、だれが来るかわからない、こういうことがございます。従来の港湾運送事業におきましてはワン・デイ幾ら、ハーフ・ナイト幾ら、オール・ナイト幾らということでございまして、八時間労働でどういう職種のどういう能力のある者が幾らというやり方をしていなかった。ここに一つ問題があるかと思います。そこでだれが来るかわからぬということになれば、いわゆる平人と称するような非熟練労働者の賃金というもので求人をした。それで安くなったのではないか。片方の業者のほうからすれば、八時間たつと、仕事がどうあろうとさっさと帰ってしまう、これでは仕事になりませんという不信感があったと思います。これはわれわれも実はそこまで思い至りませんでしたが、やはりこういう新しい制度に移りかわるときに、現実とわれわれが考えたことの違いとして出てくるものだと思います。これにつきましては労働省も、基準局もさらに加わりまして、一体賃金というものはどういうようにきまるものか、それから時間と職種というものを明示してはっきり求人の賃金というものを掲げる、こういうように指導してくれておりまして、最近はこの問題はだいぶ改善されたようでございます。私といたしましてはやはり正直に申しますと、この制度が船主その他も非常に不安を持っていたわりにはうまくといいますか、さしたる支障なく荷役ができているというように考えているわけでございます。ただここで安心してはいけないので、さらに前向きに港湾労働法の精神というものが真に生かされるように、われわれも労働省とともにやっていきたいし、業界も一部にはやはり昔をなつかしむと申しますか、そういう考えもなきにしもあらずでございますが、大多数はこの際すっきりした新しい姿になっていきたい、かように考えておりますので、一緒に努力をいたしましてこの法の精神が生かされるようにやっていきたいと思います。
  137. 井岡大治

    ○井岡委員 最後に要望だけを申し上げておきます。  いわゆるこの二条の五項、これと十六条が悪用される一つの関連を持っているということ。しかも現実にそれが悪用されているということ。この点を十分注意をして御指導をいただきたいということ。同時に、港湾運送事業法が、あれはたしか施行は二年後だったですか。
  138. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 十月でございます。
  139. 井岡大治

    ○井岡委員 それを十月に厳格におやりいただくということだと思うのです。前の港湾運送事業法の改正のときに失敗をしたのは、三年ということを置いた。そのために依然としてこれがこうやられたわけですね。ですから、十月に厳格に企業合同をやらなければやれないようになっているから、それをやりますと、そういう手配師等についてこれは十分防止することができる。十分とは言いませんが、ある程度防止することができるんじゃないか、こういうように考えますので、この点をひとつ強く要望しておきます。
  140. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 港湾運送事業法の改正は十月一日からの施行でございますが、集約合併につきましては二年の猶予があるわけでございます。これをやっていく上には、港湾審議会の中に港湾運送部会を設けました。これは総会でその部会の設立が認められましたので、第一に諮問いたしましたのはこの集約の具体的方法でございます。審議会にもお願いいたしまして早急に具体案をつくって前向きに近代化を進めていくようにいたしたいと思います。
  141. 井岡大治

    ○井岡委員 もうやめますが、やっぱり二年だったと思う。これが二年待ちます、こうやられると、また同じことになりますから、できるだけ早くこれをやっていただく、こういうようにひとつ要望しておきます。
  142. 肥田次郎

    ○肥田委員 私は簡単にお伺いしたいことが一つあるのですが、港湾局長の言われるように、今度の港湾労働法は思っていたよりはうまくいっているほうだ、率直にそういうおことばがありましたが、このことは港湾労働法を実施すれば問題の船の荷役そのものが大きな支障を生じてくるのではないか、こういう予測が前からあったわけですね。その予測されるところの原因というものについては、あなたのほうがよく承知されておることだろうと思うのです。ですからその点はあまり触れませんが、しかし現実にわれわれが一番心配していることは、港湾労働法ができたけれども、いろいろな例外の永久化によって、実質上いままでとあんまり変わらないような形でやろうというような動きがある、こういうことがわれわれの耳に流れてくるわけです。ですから、これは一つ意思でしょうから、意思が法を曲げるわけにはいかないと私は思いますが、そういうことが盛んに耳に流れてくるのです。そういうところからいろいろな問題が起きてくる。そのいろいろな問題とからみ合わせてのさらに問題点というものができてくると思うのですが、現実にこういうことを——これはもう直接答弁は要りません、聞いておいていただきたいと思うのですが、いま一番問題になるのは、例の賃金という問題を重点にして、そしてそれによっていわゆる職安からは公に人が集めにくいような手段を講じておるという結果になっておるというふうに報告されておるのです。たとえば求人側が、先ほど港湾局長の話のような大体しろうとの賃金というもので求人申し込みをする。そうすると求職者のほうでは、そんな安い賃金で行けるかということで、行かないものができてくる。それからまた、お前らはそんなところへ行ったって賃金はこんなに安いんだぞ、だからいままでどおりおれらの手を通じて行けば一人前の賃金をとってやる、こういういろいろな工作がされて、そこで職安には人が寄りつかなくなる現象があるんだというふうに報告されております。ですから、これは重要な問題ですから検討していただかなければならぬと思うのですが、要はそういうことがないように賃金体系というものを改めることが考えられなければ、私は港湾労働者を集めるわけにはいかぬと思うのです。そういう体制をつくることで港湾労働法の完全な実施の方向に進められるというふうに考えるのです。ですから、その点をひとつよく検討しておいてもらいたいと思います。  それからもう一つは、依然としてそういうやみ手配師を通じて人を入れるのですから、作業能率の関係は企業とつながってきます。そうすると依然として、例の見張り人というのがおるそうですね。その見張り人の賃金はどこから出るかというと、結局これはぴんはねによっているようです。たとえば十七名の紹介で二十名の賃金をとって、そしてその三名分と、それからその他の若干ぴんはねしたものを充てて、この見張り人というものの収入になっている。見張り人は八時半か九時ごろに出ていって、そして甲板やそこらをうろうろして、仕事は直接やらない。いわゆる督戦隊のようなかっこうでうろうろしておる。そして、その者の賃金は、ぴんはねによって、あるいはぴんはねというよりも、先ほど私が言うような十七名の実員に対して二十名の賃金をとるというのですから、これはサバ読みをした賃金を公然と支払わしているわけですね。こういうことがあるということ。これは私が見たわけではないので、そういうことがあるというふうにいわれております。ですから、いろいろな問題がたくさんあるようです。いま私が申し上げたのはほんの一部の例ですけれども、そういう問題があるようですから、さしあたって私が提案したいことは、横浜港、それから名古屋港は非常に問題が多いようです。それから大阪、神戸……。(「若松」と呼ぶ者あり)若松、北のほうへ行ってもいろいろあるようですが、さしあたって最後の若松をつけ加えて、これだけの港湾の状態について至急に調査をして、その報告をしてもらいたい。これは委員長を通じて要求をいたしたいと思います。このことについては私は運輸省とそれから労働省の協力によるところの調査というものを要求いたしたいと思いますから、よろしくひとつお願いいたします。  それからもう一つは、これは港湾局長にお伺いしたいのですが、いわゆる運輸省の海の関係の出身の職員で、退職後港湾運送事業の団体に行っておる人が若干ありますね。これが違法行為の手伝いをしておるというようなことは、こんなことは私は言いませんけれども、そうではなしに、むしろそういう順法精神が頭の中にたたき込まれた役人上がりの人々がそういう団体におるのですから、これらの人々がかつての順法精神の気持ちを呼び起こして、そして港湾労働法の完全な実施が可能になるような、いろいろの知恵というものを出してもらわなければならぬと思うので、私はだれとだれが行っておるでしょうからこうというようなことは申し上げませんが、あなたのほうからよろしくこれらの人との連絡をとって、港労法の完全実施についての協力方をひとつ努力をしてもらいたい。私の申し上げたいことは以上です。
  143. 古川丈吉

  144. 野間千代三

    ○野間委員 時間がないようですから、一点だけにしぼっておきますが、いま肥田先生が言われるように、港湾労働法が制定をされて、それに対応をする運送事業の強化が必要だということで、運送事業法の改正が行なわれておるわけです。問題は、実はそういうわれわれが意図した方向に、大筋としては港湾局長が言われるように進んでいるかもしれません。ただ、港湾労働法が企業に与える影響は当然あるということから、免許を持っている正規の業者の中にも、これを悪いことばで言えばサボるといいますか、そういう傾向はなしとしません。それがつまり労働者の賃金の問題になったり、各種の問題が起きてきておって、これは一度労働省と運輸省に来ていただいて、新しく起きている問題について指摘をして善処方をお願いしたこともございますけれども、実は港湾労働法が実施になってから一カ月の期間に、また新しい問題があとからあとから出てきている実情があります。ですから、一度これは理事会にはかっていただいて、肥田先生が言われるように、閉会審査の中で皆さんのほうから御報告をいただき、われわれの持っている実態についても述べて、港湾運送事業法と港湾労働法が所期目的のとおりに進んでいかれるように、一そう関係当局のいわば監督を強化するといいますか、そういう点についてお願いをしなければならぬと思いますが、これはぜひそういう機会をつくってもらいますから、労働省運輸省とも、実態の把握をもう少し正確にしてもらいたいというふうに思います。  その中の一つなんですが、まだ免許をもらっていない運送事業者がたくさんございますね。これはこの前の法律の基準によって認可をして、それで一回全部洗い出す。洗い出してそうして実態をつかんで、その中で新法に系列化をしていくという方向でいま指導されているとは思います。思いますが、たとえば私の選挙区の横浜でもそうですか、いまだに免許をもらえない業者、つまりもぐり業者というのですか、そういうものが相当たくさんにございます。ですから、これはあるいは港政課のほうでも資料をつかんでいるとは思いますけれども、相当にあるのでございますが、これが今度の港労法に影響を与えているわけです。その影響の与え方は、私が前段に申し上げた、港労法をサボる業者が利用をするわけです。その利用の方法は、非免許の業者を下請に使って、そしてそこの労働者を定数として届け出をする。しかし雇用関係は免許業者と届け出をした労働者の間ではなくて、免許を持っていない下請の、つまりもぐり業者の間に雇用の協定が行なわれる、雇用関係がある。しかし、定数による届け出は免許を持った業者がやっている。つまり免許を持った業者は、それだけ定数が要らないわけです。そういう操作をやっている実態がございます。これはわれわれが持っている資料でも、どこの会社がどうやっているということははっきりしておりますけれども、まずそういう実態を運輸省なり労働省なり、把握をしていらっしゃるかどうか。
  145. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 御承知のように、免許切りかえ以降、港湾法の一部改正を控えまして、基準を上げるという観点から、新免については基準を上げたものでなければ認可をしない、したがって基準を上げるように、幾つかの免許を申請しているものが一本になって、合同をするというような手段をとりなさいという指導をしてまいっておるわけでございますが、神戸において二社、名古屋において一社、京浜には二十三社がいまの免許がペンディングになっているという事実がございます。それがいま御指摘のように港湾労働法の施行に悪い影響を与えているということは、たいへん不敏でございますが、いま初めて知ったわけでございます。これについてはそういう観点からゆるがせにできませんので、早急に実態を調査の上で措置いたしたいと思います。
  146. 野間千代三

    ○野間委員 二十三社の免許がペンディングになっている。業者がそういう実態になっていることもございますけれども、これに至らない業者もまだあるわけです。これに至る新免前からやっているのですから、古い免許基準によってもこの免許に達していない。したがって、もぐりでやっている。それを免許業者が下請で使っている。そういう実態が多いのです。そこからいま言ったようなことが生まれてきている。ですから、これは当然運送事業法違反でもあり、あるいはそれが今度は定数として届け出をしているのですから、したがって港労法違反にもなります。あるいは職業安定法違反にもなると思います。そういう実態があってこのまままいりますと、そうすると、きちっとした正規の業者が当然持つべき定数を持たないで営業をするというふうになって、しかも非免許の業者がそのまま存続し得るというかっこうになる。これはおたくのほうで努力をしても、免許基準に当然達しない。しかもそれは免許した業者が糾合するのではなくて、あくまでも下請という実態、したがって労働者の賃金は二重に搾取されるということになります。そういう実態がある。したがってこれはもう少し直接——われわれが調査をした資料関係当局に提出をして、直接監督なり指導なり、あるいは規制なりあるいは廃止なり、そういう手段をとってもらわなければならぬと思いますが、そういう面について、ひとつ運輸省、労働省とももう少し目を向けてもらいたいというふうに思います。  それからいまの問題ですが、たとえば横浜の地区審の場合には、これははしけ業者、はしけ回漕の場合には、はしけの労働省は日雇いでなくて当然常用でなければならぬというふうになりますね。したがってこれは地区審においてもそういうことで決定を見て出発をしているわけです。ところが一番悪いのは、そのはしけにおいていま言ったようなことが行なわれておるという問題なんです。ですからぼくが指摘したようなことがいつまでも存続をする可能性があるというふうになるわけですが、一番極端にあらわれているはしけ回漕の部分について、それの乗り組み員の実態についてもう少し精細に調査をしてもらう必要があるというふうに思います。  そこで、それを抜本的に解決する手段としては、もぐり業者をどうするのかということが、港湾局のほうでは一番の任務になると思いますが、これはどうなんですか。もぐり業者を調査をする、あるいは摘発をする、そうしてそれをなくしていくという方向についてはいまどういう——一応二十三社のペンディングになっているものが終われば旧免、新免のものも、免許業者が大体港湾ではっきりするという状態になりますね。したがって役所から見ると、大体運送事業法から見て港はきれいになったという解釈をとられると思うのですが、実態はそうではなくて、そこまでははっきりしますけれども、それ以外にいまぼくが指摘したようなものがたくさん残っている。これが実態なんです。ですからそれは今後どういうふうに始末をしていこうとされるのかです。それはどうなんですか。
  147. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 先ほど申し上げました京浜の二十三社というのは、私のほうとしては、さらにもっと多い申請があるわけでございますが、これについては大体免許し得るところまで要するに内容が改善されてきたと解するものでございまして、その他については却下いたしたいと考えております。  なおやみはしけ云々の問題は、この前も問題になったことがございますが、われわれといたしましては、やみはしけがないように極力その排除につとめてまいっております。ただやみはしけと称されるものの中に、はしけについては、港湾運送事業者は自己のはしけであるという表示をしなければならぬわけでございますが、用船をしたために表示をしていないものがあるわけでございます。これがやみはしけといわれるものの中に入るようでございます。われわれとしては実態を調査をして、こういう無免許営業、やみ営業については取り締まりをするわけですから、われわれももちろん調べますが、具体的にこういうものがあるということが御指摘願えれば、早急に処分をいたしたいと思います。
  148. 野間千代三

    ○野間委員 裸用船の場合はそう問題はないわけですよ。実際に労働者を乗せて、そして下請けに使われている、あるいは使うというのがあるのですから、そういう点についてうちのほうでも資料を提出するようにいたしますが、おたくのほうでももう少し調べてもらいたいというようにお願いをします。  問題は、いままでやみでやっておって、それが下請けをやっておった。したがってその間においては、仕事の流れについては一応一貫しているわけですね。それが今度は、いまのような状態になってきたものですから、いままでやみであったものが、申請をして新しく免許をもらうというふうになります。これは港湾運送事業法から見れば正当な手段ですから問題はないわけなんですが、これが実は過当競争をより激化するという結果になってきているわけです。これは横浜では相当あるのです。それがやはり賃金に影響を与えたり何かしてきますね。そうなるから新法によって系列化をきちっとするということになってきて、それは論理的にはそういうふうに解決がつくはずなんですけれども、しかしながら今度の新法による系列化というのは二年間ありますし、いろいろな条件がありますから、必ずしも極端にきちっとした系列化にはなりにくいという実態がございます。したがって、過当競争が激化をしたまま推移をしていくということもあり得るわけです。役所としてもその過当競争を解消する問題はなかなかむずかしいだろうとは思いますが、実態としては、新免あるいは旧免が免許がおりることによって二重の企業が生まれるわけですから、したがって過当競争が非常に激化をする。激化をしているという実態にございます。ですから、これはむしろ企業を弱体化させるということにもなりかねないのです。したがって、それに対する港湾局としての指導が必要ではないかというふうに思うのですが、それはどうでしょう。
  149. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 本来、免許にあたりましては、運送事業法の六条にございますように、港湾運送の供給量と港湾運送の需要量というものを比較いたしまして、供給が過剰にならないということが免許をするためのわれわれのほうの一つの大きな指針でございます。したがいまして、いまのようなことがないように当然指導していくわけでございますが、現実にはしけを持っている、労働者を持っているというのが、いまのやみのようなことをやっておった。こういうものをそれではやみとして取り締まるのか、そうすれば現実の供給量が減るじゃないか、こういうようないろいろ複雑な問題を含んだ御質問と思いますが、私どもはやはり、今回改正していただいた趣旨にのっとりまして、系列化によって規模を拡大していくということ以外には、たくさんあるものがみんなおのおの別々という動き方をするということでは、正常化ということはできないのではないか、やはりあの方針に従って指導していきたい、かように考えるわけでございます。
  150. 野間千代三

    ○野間委員 時間がないようですし、また別の機会に聞きたいと思いますから終わりますが、論理的にはいま局長の言われたとおりなんです。しかし運送事業体の実態としては問題があるということが一つと、それが港湾労働法をサボるとか、あるいは骨抜きにするとかいう結果になってきているというのは申し上げたとおりですから、これを一つの例として港湾の実態をもう少しきめこまかく調査をしていただいて、そうして労働法なり運送事業法が目的どおりに実施されるように、指導の強化を願いたいというふうに思います。  以上で終わります。
  151. 古川丈吉

    古川委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十八分散会