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堀政府委員 非常に盛りだくさんの御
質問でありますので、
答弁漏れがあるかもしれませんが、また
あとで補足をいたします。
航空政策は
ネコの目のように変わるが、今度の
方策というものは相当長く変わらないのかという
最初の御
質問でございますが、
航空事業というものは非常に発展のテンポが早い。そのために
航空をめぐる諸
情勢、これもまた非常に変転きわまりないものでありまして、したがいまして、それに対処するところのいろいろの
行政とか
方策というものも、ある
程度これに順応して変わっていく。しかし、もちろんそれはそういう見通しを持っていろいろな
方策を考えていかなければならぬのですから、見通しさえ正確にあれば、あまり変わらないでもいいということはもちろん言えますが、テンポの早いこと、非常に複雑な
情勢が展開をいたしますので、なかなか正確に予見あるいは予知をして
計画をすることが困難な面がございます。われわれとしては、基本的な考え方というものは相当長期にわたって変わらないものを持たなければいかぬ。そしてその上に立って諸
情勢に対処していくべきである、このように考えてはおりますが、その現実は非常に転回が早うございまして、幹線はいま申しましたようなことにはなかなか行きにくい。ために、しょっちゅう変わるような印象を与えておるのではないか。もちろん硬直した考えを持って対処するべきではなくて、やはり
情勢に常に順応した
行政と
政策というものがあるべきだと思います。
今回の再
編成につきましても、
航空審議会の答申が昨年の十二月二十七日に出ております。これは新聞にも出ておるようでございますので、内容についてはすでに御存じだと存じますが、その考え方を簡単に申し上げますと、現状の認識といたしまして、
航空行政はいまや一転期に直面しつつあるのだが、国際線については新規路線の積極的開発、超音速機の導入等の開発投資が不可欠である、そうして国際競争力を飛躍的に強化する必要がある、また国内線におきましては、従来の開発的段階において非常に
輸送需要の伸びというものは急激であったけれ
ども、最近は漸次需要の伸びが非常に安定的になってきておる、特に公共性が高いにかかわらず収益性が低いところの
ローカル線については、
経営基盤の充実強化が特に必要である、こういうような認識のもとに、基本的な方向といたしまして、「国際線は一社、国内線は二社をもってそれぞれの路線を運営せしめることが適当である。」こういう基本的な方向の答申があったわけであります。この方向に従いまして、措置といたしまして、国際線、国内線に分けていろいろな措置をやるべしということが書かれております。その後、この答申が出た後におきまして、この二月以降におきまして、大きな事故が三件相次ぎましたので、至急にこれらの答申に沿った措置をすべきであるということで、
大臣から石坂、植村両氏にこの再
編成についてのあっせん方を依頼され、この石坂、植村両氏からその意見が出ておりますが、この意見も、各社を統合して一社のもとに適切なる
方策を実施することが一番いい方法である、しかしこれはずっと将来を見通した考え方でありまして、現実問題としてはすぐこれに飛躍することもなかなか困難であろうということでもって、会社統合の早急なる実現いかんにかかわらず、左記
事項は直ちに実行に移せということでその具体的
方策が書いてあるわけであります。それによりますと、大体この
航空審議会の答申の線に沿っておりまして、考え方の根本はほとんど変わっておりません。これらの答申並びに両氏のこの意見に従いまして、いまその実現方に努力をいたしておる次第でございます。
国内航空の幹線運営を日航に委託をするようであるが、それはウェットチャーターでやるのかどうか。これは業務を委託するとともに人も動かすということでございまして、厳密に言うと、ウエットチャーターの方式ではないというふうに私は理解しておりますが、就任早々で詳しいところまではまだ私聞いておりませんので、よく
確かめてまたお答えを申し上げたいと思います。
それで、幹線の運営を日航に委託すればそれが好転するのかどうか。われわれの見通しではその業務を委託して、機材に日航のマークをつけて運航をすればロードファクターもある
程度上がりましょうし、またそのコストも、
国内航空に比較いたしまして非常に低くこれを運航できますので、好転をするものという見通しを持ってやっております。
それから
ローカル線は好転をする見込みがあるのかどうかということでございますが、現在幹線はいろいろな今度の事故だとか、あるいは新幹線だとか、不況というようなことで、いろいろその影響が激しいようでございますが、
ローカル線自体はこれらの影響をそれほどこうむっておりません。伸び方は相当鈍化はいたしておりますけれ
ども、漸次着実な伸び方をいたしておりますので、きびしい
合理化をいたしますれば何とか好転をするのではないか、かような見通しを持っております。
なお、全日空がだいぶ苦しいようだが、全日空の
経営の見通しはどうかという御
質問でございますが、全日空のみならず日航あるいは
国内航空とも、幹線につきましては非常に苦しい
情勢になっておりますことは御承知のとおりであります。これらの原因として考えられますことは、東海道新幹線の影響、それから不況の影響あるいは先般の大事故の影響というものが非常に大きく響いておるものと考えられます。それらの原因のうちで、不況の影響というものは、これはこの不況がだんだん上向くに従っておのずと解決されていくと思いますし、それから事故の影響ということにつきましては、従来とも事故があるたびに、その直後におきましては必ず客が減っております。しかし、ある一定の期間が過ぎればまた回復をしておるというのが実情でございますので、今度の大事故が三件も続いたという影響は大きいとは思いますが、ある
程度の期間がたてば、これも漸次回復をするのではないか。また新幹線の影響でございますが、これが一番根が深いものであると思います。これらについては、いろいろなサービスの
改善とか、あるいは料金の引き下げというようなことで旅客の吸収をはかっていかねばならないと思います。
全日空におきましても、そのようなことで、幹線の見通しというのは、ある一定の期間が過ぎれば漸次回復してくるのではないかと考えております。
また全日空の
ローカル線につきましては、これは幹線に比較してわりと安定的な伸びを示しております。もちろん従来に比較してその伸び率は鈍化をいたしておりますけれ
ども、幹線に比べますと、比較的安定した伸び率を示しておりますので、幹線の立ち直りがあれば、これも全日空の
経営状況は
改善されてくるものと、かように見通しを立てております。