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国務大臣(
福田赳夫君) 財務当局として見た場合に、日本が援助といいあるいは協力といいますが、低開発国に対して、あるいはドイツが、あるいはフランスが、あるいはイギリスがというようなわけにはなかなかいかない。特に、私は先ほど申し上げましたが、条件の問題ですね、これは一番安くすると、グラントというかあるいはチャリティーといいますか、そういうような性格になっちゃう。私は、日本の国力からいうと、そういう形の援助をする力はまだなかなかない。いろいろの要請はあります。ことにインドのごときはたいへんいまひどい
状態になっておりまして、各国ともグラントの性格の援助をしておりますが、まあしかし、日本がこれを黙って見て傍観するわけにはいかないというので、わずかですが、二百万ドルの援助をすると、こういうことにしたのです。インドネシアが、御
承知のようにこれはもうたいへんな困窮
状態。そこへ風水害がある、こういうようなことなんで、これもわずかですが、二百五十万ドル程度の援助。これはほんとうの援助です。インドと同様にグラントをしようと、こういうことにしたのです。方々にそういう事情がある。あるが、そういう形の援助はなかなかむずかしいと思うのです。
しかし、日本の国はまずみずからを養わなければならぬ。その養うための大きな力はどこから出てくるかというと、これは日本の通商を拡大することである。そういうことを
考えますときに、やはり通商というものは相手がある。日本が日本の力によってこれらの低開発国の
経済の復興にも貢献すると。そういうことによって日本の通商を拡大する。これも
考えておかなければならぬ非常に重要な点だと思うのです。そういうことから、そういう意味の、
経済的な意味の、すなわちグラントとかそういうような条件でない意味の
経済協力につきましては、私は積極的にこれをやっていかなければならぬ
立場にある、こういうふうに思っているわけです。つまり、今度裏を返していいますと、どこまでも日本の通商を拡大するというところに重点を置く、そうして恩恵的な援助というようなことは、これはほんとうに必要な最小限の場合に限ってやるべきである、こういうふうに
考えております。
そういう角度からいいますと、日本は低開発国に対して、
国民所得から見て〇・四、五%だというような
状態では続いていかないと思います。それで、現に
昭和四十一年度は一体どうなるか。これはまた民間がどういう
動きを示すかわかりませんが、おそらく〇・六%から〇・七%ぐらいの線までいくのじゃないかと思います。そういうことを
考えますときに、私はここ二、三年のうちに、民間援助を主軸とする対外
経済協力、これはOECDのいう一%という線にいくことはそうむずかしいことではないし、また、それに大いに消極的になるという必要はないと、こういうふうに
考えております。つまり、日本の通商を拡大するこれが
一つの手段でもある、こういうふうに観念しています。