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1966-03-31 第51回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月三十一日(木曜日)    午前十一時二十七分開会     —————————————    委員の異動  三月三十一日     辞任         補欠選任      大森 創造君     林  虎雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         鬼木 勝利君     副主査         内藤誉三郎君     委 員                 梶原 茂嘉君                 草葉 隆圓君                 木暮武太夫君                 田村 賢作君                 船田  譲君                 小林  武君                 小柳  勇君                 林  虎雄君                 石本  茂君    国務大臣        文 部 大 臣  中村 梅吉君    政府委員        防衛庁装備局長  國井  眞君        科学技術庁研究        調整局長     高橋 正春君        文部政務次官   中野 文門君        文部大臣官房長  安嶋  彌君        文部大臣官房会        計課長      岩間英太郎君        文部省初等中等        教育局長     齋藤  正君        自治政務次官   大西 正男君        自治大臣官房長  松島 五郎君        自治大臣官房会        計課長      薄  津芳君        自治省行政局長  佐久間 彊君        自治省選挙局長  長野 士郎君        自治省財政局長  柴田  護君        自治省税務局長  細郷 道一君        消防庁次長    川合  武君        文部省大学学術        局審議官     岡野  澄君        文部省大学学術        局審議官     木田  宏君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十一年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十一年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十一年度政府関係機関予算内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 鬼木勝利

    主査鬼木勝利君) ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。  昭和四十一年度予算中、自治省所管を議題とし、昨日に引き続き質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 林虎雄

    林虎雄君 大臣お見えにならないようですから、次官、それから事務当局に少しお伺いしたいと思います。  地方財政状況、いわゆる財政白書が二十九日に閣議決定になったそうでありますが、新聞には出ておりますが、これはいつごろ配付になる予定でございますか。
  4. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 昨日国会に送付いたしたはずでございます。なお確かめまして、後ほど御報告申し上げます。
  5. 林虎雄

    林虎雄君 新聞で報じておるところによりますと、昭和三十八年度以降の地方財政の悪化はますます顕著となって、このままではじり貧と警告を発しているようであります。四十一年度予算も、いわゆる地方財政計画が出たのであります。これを見ました場合に、超過負担の一部解消臨時交付金や、あるいは交付税率引き上げ等努力あとは見ることができますけれども人件費自然増、また公債費元利償還累増等がありまして、四十一年度努力はされたが、この四十一年度地方財政見通しというものはあまり明かるくないように思われますが、その点、局長さんいかがですか。
  6. 柴田護

    政府委員柴田護君) 大筋はお話のとおりであります。まあ基本的な原因はどこにあるかということに結局帰するわけでございますが、経済情勢が非常に沈滞しておる。この沈滞を脱却するような措置をとる必要がある、こういうことでございますので、どうしても税収入等につきましては伸びが期待できませんので、結局、仕事をするのには将来の繁栄引き当てにする、調整ということに持っていかざるを得ない。こういうことになろうかと思うのであります。三十六年を頂点にいたしまして、逐次悪くなってきておりますが、一般的な景気の下降というのがやはりその背景になっております。にもかかわらず、設備を増大していく。そこにはさみ状の格差と申しますか、というものが生じてくる。それがだんだん底をつくと申しますか、広まっていく、それが四十年度の終わりごろの情勢考えておるわけでございます。本年に入りましてからは、だんだん景気もゆっくりながら上昇カーブをとり出したようでございます。したがって、あとどのくらい時間が要るか知りませんけれども、再び景気がよくなってまいりますれば、財政のバランスというものもある程度はもとへ戻るだろう。しかし、三十六年以降において生じた変化というものを考えますと、現行制度のままで一体いいのかどうかということにつきましては、やはり問題があるだろうと考えておるわけでございます。
  7. 林虎雄

    林虎雄君 結局、地方財政制度的に再検討しなければならない点が多いと思いますが、そこで、三十九年度決算では、前年度に比較して悪くなっているかどうか、三十八年度に比較してどんな状況でありますか。黒字団体赤字団体傾向はどんな状況になっておりますか。
  8. 柴田護

    政府委員柴田護君) 一般会計では赤字額が約百億ふえております。百億ふえております内訳は、府県で七十四億増加大都市では十一億ばかり減っております。都市で三十一億ふえております。それから町村では五億減っている。赤字団体の数は四百団体が三百七十六団体に減っております。若干合併の関係等ございますけれども、大体、したがって団体数は減ってくる傾向にある。しかも、特定の団体においては赤字額はふえてきている。特に中都市以上の団体におきまして、特に市でございますが、非常に赤字累積をしていく傾向にある、こういうことがいえると思います。なお、国民健康保険会計におきましては二百億をこす赤字になっております。これは四十年度におきまして相当いろいろな措置が講ぜられましたので、四十年度決算では、国民健康保険会計赤字額というものは、ずっと好転をするというように私どもは見ておりますけれども、三十九年度赤字は非常にふえている。それから公営企業会計公営交通を中心にしまして、約六百六十億の赤字になっている。これは三百七十億から六百六十億ですから、ほとんど倍近い増加であります。したがって、一般会計との関係考えますと、赤字額全体といたしましては、普通の会計ではそんなにびっくりぎょうてんするようなことでもないのでございますが、特別会計との考慮を頭に入れますと、繰り出し金が非常にふえてきておりますので、特別会計赤字というものが一般会計の足を引っぱっている、こういうことがいえるわけだと思うのでございます。たとえば東京の例を考えますと、東京が一番赤字が多くて、百三億でございますけれども、この百三億の中で、交通会計水道会計に出しております繰り出し金が、国民健康保険を入れてまいりますと大体百億、したがって、この三特別会計さえ健全でございますれば、東京都は赤字ではないということがいえるわけであります。どうしても特別会計健全化というものを第一義的に考えてまいらねばならぬというふうに考えるわけでございます。
  9. 林虎雄

    林虎雄君 赤字団体もだいぶ多いわけでありますけれども、この赤字の額についても、いろいろ見方があると思います。たとえば、三十五、六年ごろの好景気のときに、たしか財政調整積立金ですが、そういうものを積み立てた団体相当あったと思いますが、それの先食いというか、先食いではなくて、それを食いつぶす、そういう傾向はかなり顕著になっていませんですか、どうですか。
  10. 柴田護

    政府委員柴田護君) 財政調整積立金の食いつぶし関係は、若干ふえておりますけれども、たいしたことはございません。むしろ、財政調整積立金を取りくずすというのは、四十年度相当大きくあらわれてくるだろうというふうに私ども考えております。
  11. 林虎雄

    林虎雄君 四十年度は不況の影響で、地方税地方交付税が大幅に減少してまいったわけですが、逆に災害対策人件費等の増は必至でありますが、交付税先食いその他で一応糊塗しているように感じますが、四十年度は、これからの推定でありますけれども、三十九年度決算と比較いたしまして、より悪くなるという推定ができますか、その点どうでございましょうか。
  12. 柴田護

    政府委員柴田護君) まあこの決算が出てみませんと何ともわからないのでございますけれども、私どもの感じでは、国民健康保険会計相当好転するだろう。一般会計普通会計ではあまり大差があるまい。公営企業会計は悪化するだろうというふうに、ごく大ざっぱな言い方でございますけれども考えております。特に、公営企業会計では赤字額相当ふえはせぬかというふうに心配をいたしております。
  13. 林虎雄

    林虎雄君 白書をまた見せていただいて検討してみたいと思いますけれども、四十一年度地方財政計画については、総括でちょっと質問申し上げたわけですが、好転していない。この計画では将来不安が相当にあるだろうというふうに考えておりますが、大蔵大臣などは、思い切って新しい年度は万全の措置をしたといわれておりますけれども、必ずしもそういうことは言い切れないのではないかと思います。こまかい点は省きますが、四十一年度は、地方財政計画特別事業債が新設されたわけであります。千二百億円計上されておりますが、これは国の七千三百億円の建設公債と見合う地方負担というふうに考えられますが、そういうふうに理解してよろしいかどうか。
  14. 柴田護

    政府委員柴田護君) 国が異例措置として建設公債を発行したということと対応するということは言えると思いますけれども、国の建設公債に見合うのだという意味合いでございますれば、一般普通会計地方債二千九百億というものそのものが見合う。しかし、四十一年度だけの特別措置なん、だということで特に地方債をふやしたという意味においては、千二百億はそういう意味を持つと思うのであります。そのこと自身が国の建設公債に見合うとは必ずしも言い切れないのでございますけれども建設公債に見合うという意味合いでございますれば、もっと広い意味合いにおいて二千九百億全部が見合う。しかし、特別の措置ということで国債の発行を考えました場合には、お説のとおり千二百億が見合うというふうに考えていいのじゃないかと考えております。
  15. 林虎雄

    林虎雄君 じゃ、見合うものというふうに断定もできないでしょうが、そういう要素がたぶんあるだろうと思います。大蔵大臣にもこの点質問じたわけですけれども、千二百億円というものは一般財源として国で措置すベき性質のものではなかろうかと、したがって、この元利償還については国が見るべきものではないのか、こういうふうに考え大臣にお尋ねしたわけでありますけれども、答弁が何かはっきりしませんで、元利国負担するともしないともあのときは答弁されなかったと記憶しておりますが、この性質から見て、自治省としては元利を国が考えるべきものだというふうに見ておられるかどうか。
  16. 柴田護

    政府委員柴田護君) この問題は、元利を見るとか見ぬとかいう問題の前に、この資金源政府資金縁故資金とあるわけでございます。従来は、普通会計地方債というのはほとんど政府資金でございました。縁故資金がありますのは新産業都市建設事業等かさ上げ債に約二十億はかりの縁故債を予定しております。これが実情でございます。したがって、従来のたてまえを基本的にはくずしませんで、しかも暫定的に特別地方債という名前でもって地方債をふやして将来の繁栄引き当てにする借金政策をとった、こういうことになるわけでございますので、従来のたてまえをくずしません限りにおきましては、やはりこの千二百億というものは異例のものだ。しかも、資金源は公募もあり政府資金もある。そういうことになってまいりますと、私どもといたしましては、やはりその元利償還について特別の見方をしていかなければならぬのではないか。いままでは元利償還金相当額基準財政需要額の中に償却の形で見てまいっております。それをやはり千二百億については別な扱いをしていかなければいかぬだろうというふうに考えておるわけでございます。それをどういう形でやるかというのは、これもあちこちでいろいろ聞かれるのでございますけれども、私どもといたしましては、いまこういう方法で見ますということをきめるのは早いのじゃなかろうか。つまり、ことしだけ千二百億といったような措置をとって、昭和四十二年度からはまたもとの姿に戻るのか、あるいは昭和四十二年度からはまた別の考え方をとっていくことになるのかどうか、そこらのところを見きわめてまいりませんと、財政措置考えます場合に長期的安定的なものがとれない、こう考えるわけでございます。  措置のしかたは、元利補給という形もございましょうし、あるいは地方財政全体の中で財源配分を通じて見るという見方もありましょうし、いろいろな見方があろうかと思うのでございます。そうして四十二年度以降の財政措置をどうするか、投資的経費に対する財源措置をどうするかという問題とからみ合わせて考えたいというふうに考えておりまして、いずれにいたしましても、このままでほうっておくつもりはございません。
  17. 林虎雄

    林虎雄君 いま局長さんのお答えで、いろいろ自治省が真剣に考えなければいけない、国で配慮しなければならないという原則的なお考えは大体わかったわけですが、何といいましても、公債政策という新たな国の政策転換のために、理屈はどうつけようとも、こうした問題が起こったわけでありますから、新しい方向が出たわけでありますから、この犠牲は地方団体が負うということには無理がまいりますので、その点極力心配お願いいたしたいと思います。  それから、地方公営企業状況について、きのうも小柳委員からもただされたと思いますので、こまかいことは申し上げませんけれども、いまのお答えでは、公営企業は四十一年度相当深刻になるだろう。国保のほうは好転するだろうという見通しのようでありますが、財政白書によって昭和三十九年度より悪くなっているようでありますけれども、特に悪くなっている傾向は、お答えになったように、交通関係水道関係が著しいようでありますが、そのように見ていいわけですか。
  18. 柴田護

    政府委員柴田護君) 六百六十億の累積赤字内訳を申し上げますと、交通が四百三十八億、水道が百三十七億、それから病院が四十一億、工業用水道が十四億、あとはちょっぼちょぼしたものでございます。  圧倒的に交通が悪い。その中で六大都市が非常に悪い。水道赤字の問題は百三十七億でございますけれども、この中で東京都の水道赤字相当額を占めております。これがさらに悪くなるだろうということを申し上げましたのは、交通につきましては、路面電車、これが赤字をつくるためにあるようなかっこうになっております。いなかへ行きますと別でございますが、六大都市では京都を除きましては大体赤字のために存在するような形になっております。それから、地下鉄はだんだん建設が進みますけれども、これは現在の制度もとにおきましてはなかなか完全にペイできる経営ではございません。それから、水道につきましても、東京都の料金改定が御承知のような経緯で非常におくれておったわけでございます。結局、今年の二月から実施するという形になりました。その関係で、東京都の水道事業赤字額が大きく累積するであろう。一方小さな市町村の水道関係好転をすると思いますけれども、何ぶんにも東京都の赤字が非常にふえる部分が大きいのでございますので、水道関係全体といたしましてはやっぱり赤字累増になるだろう。そうなってまいりますと、この六百六十億の赤字というものは、昭和四十年度決算ではさらに累積するであろうというふうに考えるわけでございます。
  19. 林虎雄

    林虎雄君 この国会地方公営企業法の一部改正案が出されておりますが、この改正案が成立した場合に好転するというふうに自信を持っておいでですか、この点どうですか。
  20. 柴田護

    政府委員柴田護君) 私は、今度の改正案で残されました問題で、一つ大きな問題がございますのは地下鉄でございます。地下鉄は四億の補助金を八億にいたしましたけれども、これにつきましては、まだ負担区分に関します制度的なものができ上がっておりません。したがって、その点につきましてはさらに明年度明後年度にしてまいらなければならないのでございますが、あとの問題につきましては、一応経営態勢の刷新、あるいは再建債用意、また借りかえ債の用意、それから水道債の値下げといったような一連の措置をいたしましたので、再建計画の実行を通じましてはある程度経営基盤の確立ということも可能じゃなかろうかというように考えておるわけでございます。
  21. 林虎雄

    林虎雄君 提案されるにつきましては、地方公営企業制度調査会答申を参考にされたと思うわけですが、四十一年度の今度の改正案については、答申書をどの程度尊重されたか、ひとつ……。
  22. 柴田護

    政府委員柴田護君) ほぼ答申の線に立脚して原案は立案いたしました。ただ、関係各省との折衝その他におきまして、折衝関係で成案をまとめる過程におきまして妥協せざるを得なかった部分相当ございます。しかし、基本的には調査会答申の線を貫いておるつもりでございます。
  23. 林虎雄

    林虎雄君 公営企業といいますのはいろいろと性格があって、一律には言えないと思いますが、たとえば水道料金等の場合はかなり性格が違うと思うのですが、これに対して答申では、原価主義に徹することなく、料金が著しく高くなった場合にはまあ国が財政的な援助を講ずべきであるとしておるようですが、この点どうですか。
  24. 柴田護

    政府委員柴田護君) 水道料金問題につきましては、調査会審議におきましてもいろいろ御議論がございました。そこに結論として出ております答申の線は、ほんとうにごく異例の問題についてそういう措置考えるというようにまとめられたわけでございます。私ども公営企業法の中で、その産業立地条件において、どんなに合理的に経営をしても、どうしても収支が合わないというようなものについては、負担区分の問題として取り上げるということを、政令で負担区分の問題として規定するということを法律案に書いております。それはまさにそういうようなことに対する対応した施策のつもりでございます。したがって、従来の独立採算制という観念を一応御破算にいたしまして、そして経費の中で一般会計で持つべきものは一般会計で持つべきことを明らかにする従来のたてまえと逆でございまして、まず独立採算というのがあって、それから補助金を出してもいいというたてまえを引っくり返して、まず負担区分をきめて、そして企業会計に帰すべきものについては企業会計収支を合わしていく、こういう経営方針がなされておる、こういうふうにたてまえがなっております。したがって、いまお話のありましたような水道の非常に能率的経営をやりましても、水を遠くから引っぱってこなきゃいかぬといったようなことで、どうしても採算が合わないといったようなものは、一般会計負担という形をとりたい。で、負担区分をとって明らかにいたしまして、一般会計負担ということをきめました以上は、それに対する財源措置というものは一般会計の分野において考える、こういう考え方をとったわけでございます。
  25. 林虎雄

    林虎雄君 水道は他の公営企業とは違いますから、いまのお答えになったと思いますけれども、確かに工業用水道については国が補助金を出しておるわけですね。一定限度以上になるというので、四十年度ですか、八十三億ですか出しておるわけですから、これと同じような考え方で、まあ今後著しく高くなった場合については国も考えるというふうに理解していいわけですか。
  26. 柴田護

    政府委員柴田護君) 工業用水補助金の場合と上水道の場合とは、考え方は同じでございません。工業用水道に出しておる意味合いにおける上水道に対する国庫補助金ということは現在ないわけでございます。これはまあ水道料金をどう考えるかという問題とからむ問題でございます。水道料金につきましては、そういうような考え方を今日までとってまいっておりませんし、また現在もとっていないわけでございます。しかし、財政経理という面から見まするならば、非常に高いところ、たとえば島の水道考えますと一番明らかでございますが、島と申しますのは島嶼でございます。島嶼水道考えてまいりますると、本州から島まで水道管を引っぱっていかなければいかぬといったようなところもあるわけでございまして、こういうところの水道を全部水道会計に負わすということは無理で、それはやはり一般会計負担すべきものとして考えるべきじゃなかろうか。そういう部分を区分けをして一般会計負担にする、そこまで今度の改正案考えておる。それ以上水道料金物価政策上の観点からする水道料金に対する補助金という問題は、所管としまして私ども所管でもございません。これは厚生省で検討をさるべき問題というように思うのでございますが、むしろ、しかし自治省といたしましては、工業用水道補助金のあり方という問題について積極的な検討が加えらるべきものであろうというように考えておるわけでございます。今回の公営企業法の立案の過程におきましても、何回かそういう問題を工業用水道所管省である通産省との間に交渉があったわけでございます。結局、結論がそこまでつきませんで、法案の提出を急ぐままに、その問題は可及的すみやかに両省が、大蔵省をまじえまして、三省間で検討するということになっておるのでございます。
  27. 林虎雄

    林虎雄君 次に、超過負担解消についてついでにお伺いしたいわけですが、これは総括でもちょっと承ったわけですが、地方団体が多年強く指摘し、要請してまいった超過負担については、四十一年度ではようやく日の目を見たといいますか、自治省努力で若干措置されたのでありますが、しかし、地方団体計算によるものとはかなり隔たりがあるように考えをいたすわけであります。大体四分の一程度は解消したというふうに見ていいわけですか。
  28. 柴田護

    政府委員柴田護君) 超過負担解消額は三百三十億といわれるのでございます。その中で人件費系統のものが八十三億、それから施設費関係のものが二百十六億、それから委託費系統が三十二億と、こういう計算でございます。これではもちろん不十分でございますけれども、まあ今回の超過負担解消に関しましてとりましたのは、何もかも一ぺんにと申しましてもなかなか実現は不可能であります。そこで、重点をしぼって、これだけはぜひにということを六団体側で八項目かにしぼりまして、私どももその方針関係各省にもお願いをし、大蔵省にもお願いをしてきたわけでございます。結果的には、最終的にしぼりましたものにつきましては、大体超過負担解消された、まだしぼられてないものがたくさんあるわけでございます。これはまあさらに努力を続けて解消方向努力してまいらなければならぬというように思うわけでございます。まあ全部で千二百億ぐらいあると、こう言われるわけであります。これはどういう根拠から出ているのかと申しますと、三十九年度の実態から超過負担率というものをおもな費目について拾いまして、それを四十年度に置き直しますると、大体千二百億ぐらいのものになる、こういうことでございまして、具体的に調べてみますと、若干そこに問題がある。千二百億が絶対不動の数字かというと、若干動くだろう、しかしまた、じゃ三百三十億でいいかといいますと、これはやはりいいとは言えない。で、まあさらに足らない分につきましては努力いたしますと、こういうことでございます。
  29. 林虎雄

    林虎雄君 大体千二百億ぐらいの超過負担推定される、前年度推定でそういうことでありますが、そのうち三百三十億特別に重点的にしぼったのは、おおむね目的が達成したということはそのとおりだろうと思います。ただまあ千二百億——自治省の調査によりますと、千百四十三億と出ておりますけれども、この数字はいろいろ見方大蔵省と食い違いがあろうと思いますが、大体千億からの超過負担というものについては、大蔵大臣も認めておるような口吻であったわけです。ただ、一挙にということはむずかしいので逐次解消していきたい。そのあらわれとして今度三百三十億というのが措置を見たわけでありますが、お聞きしたいことは、自治省計算の千百四十三億というもの、この数字は大蔵事務当局も一応認めておるのか、あるいはどの程度が地方負担であるべきものだというような、見方がいろいろあろうと思いますが、その折衝過程においてある程度千百四十三億を中心として大蔵省も認めるに至っておりますかどうですか。
  30. 柴田護

    政府委員柴田護君) そこには異論が残っておりまして、千百億なり千二百億なりというものについては話がついておりません。それはその数字全体を問題にしますと焦点がぼやけますので、それは全体としての推計として置いておいて、個々具体の問題としてものを片づけていきたい、こういうやり方をとったわけでございます。そうしませんと、焦点がぼやけますと、全体としての措置がどうこうということになりまして議論が詰まりません。いままで実は数年間そういう方法をとって一向ものが進まないというような体験もありまして、四十一年度予算の場合におきましては従来のやり方を変えてしまって、個々の問題として是正をお願いする、こういう方針をとったわけでございます。したがって、今後の問題は、残された問題についてやはり個々の問題として是正を進めてもらおうという方向を推進をしてまいりたいと、こういう気持ちでおるわけでございます。もっとさらに具体的に申し上げますると、結局地方財政法でいいますと、負担金系統のものと、それから補助金系統のものとあるわけでございます。負担金系統のものは、いやしくも超過負担というようなものがないようにいたしたい。それから補助金系統のものは、これはいわば奨励的補助金でございますので、そこのところはあまり超過負担という問題をやかましく言う必要がないのではないか、それは受けるほうの態度ひとつにかかっている。また、補助条件の適正化、超過負担を強いるような補助条件をやめるという方向にむしろ持っていくべきものではなかろうか。このように考えるわけでございます。負担金系統のものは、これはやはり国が負担をするたてまえであります。地方はその負担を前提として仕事をする、こういうたてまえでございますので、これにつきましてはまあいわば割り勘定でございますから、割り勘定ははっきりしてもらわなければ困る。こういうことで、負担金系統の超過負担解消というものについてさらに力を尽くしたい。純粋の奨励的補助金系統に属するものにつきましては、考え方といたしましては、補助単価、対象という問題よりも、むしろ超過負担を誘発するような補助条件の是正ということに重点を置くべきじゃなかろうかというように考えております。
  31. 林虎雄

    林虎雄君 いまのお答えのように、補助金関係負担金系統との間、特に補助金関係においては、自治省大蔵省の見解というものはかなり折衝の余地のある問題だというふうに思いますけれども、しかし、この千百四十三億というものは、そういう点を考慮しても、かなり正確といいますか、自治省としては自信のある数字としてあげられたと思うわけでありますから、今後の折衝においても逐次解消するということでありますが、この見通しですね。一体大蔵省は、結果的には千百四十三億、千二百億円というものに対して、一応三百三十億円の措置をしたが、まだ超過負担はあるという考え方は持っているように想像ができるわけですが、その場合に、ぎりぎり折衝して一体どの程度までの解消が、自治省大蔵省の間でできそうに思えるかという見当はつきませんですか。
  32. 柴田護

    政府委員柴田護君) これは大蔵省当局も、三百三十億ですべて超過負担が終わったとは考えてない。これはお話しのようにまだ残っているという意識を持っているようでございます。私どもも千二百億という推計の数字をあくまでもこれが絶対動かすべからざる数字だというようには固執はいたしておりません。多少そこには、先ほど申し上げたように弾力的な考え方でございます。  これからどうなるかという見通しの問題でございますけれども、これは残された問題を先ほど申し上げましたような順序でさらに整理をしていって、そうして逐次詰めていくという方向で行くべきものだろうというふうに思っております。この超過負担問題がなぜそういうような必ずしもはっきりしない態度をとるかと言いますと、これは各省がその気になってもらわなければできません。各省の中には、超過負担というものの存在について意識のあるものもございますし、意識のないものもある。意識のないものにつきましては、意識してもらわなければいかぬわけでございます。それからまた、先ほど申し上げましたような考え方をとってまいりますれば、意識してもらわなくてもけっこうなものもある。むしろ補助条件を直してもらえればそれでいいという問題もあるわけでございます。したがって、そこを振り分けていかなければなりませんので、これからさらに作業を続けて、その辺のところを明確にしながら逐次是正の方向を強めてまいりたいと、かように思っております。
  33. 林虎雄

    林虎雄君 各省にまたがっている補助金関係でありますから、確かに大蔵当局だけで話がきまるものでもないと思いますが、一体、地方財政が今日のような苦境になっているのは、当然国が負うべきものを地方団体に押しつけてほおかぶりしているというのが超過負担であろうと思います。したがって、これは大蔵省のほうに申し上げるべき性質と思いますけれども、逐次解消するという考え方がおかしいので、はっきりしたものは即座に解消すべきものであるというふうに思うわけであります。自治省が長い間超過負担という問題を地方から要請されて、ここまでこぎつけた努力は十分に認められていいと思いますけれども自治省も今後さらに積極的に地方団体が納得のいくような解消について努力を希望しておく次第であります。  その次にお伺いしたいのは、これも国会に提案されておりますが、地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案についてでありますけれども、今回提案の法律案の作成にあたって、第四十八国会において改正案が通ったときに、附帯決議がなされておるわけでありますが、四項目だと思いますが、その附帯決議を今度の提案をされる場合に、どのように検討をされましたか。この点をお伺いいたします。
  34. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 私からお答えさしていただきますが、不正確な点がありましたら後ほどまた行政局長参りましてから、訂正さしていただきます。  第一番目には、年金制度について、スライド制をとるようにという御趣旨であったと思いますが、この点につきましては、今回の改正案で、物価とか、そういう状況に応じて改定をする、措置を講ずるというような趣旨の規定が入っております。それから第二番目には……。それでは行政局長にかわらせていただきます。
  35. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) たいへん失礼いたしましたが、前回ちょうだいいたしました附帯決議の点でございますが、第一の、いわゆるスライド制の点につきましては、今回の御提案いたしております法案の中に改正規定を入れてございます。  それから第二の、引き上げ額に改定額を年度別に制限をいたしておりました点でございますが、これも今回の改正法案におきまして、改善をいたすように措置いたしております。  第三の、短期給付につきまして、国庫負担検討しろという御趣旨でございますが、この点につきましては、その後、政府部内におきまして、他の共済制度との関連もございますので、いろいろ検討をいたしておりましたが、医療保険全体に通ずる問題でもございますので、なお、慎重に検討を続けたいということで、今日まだ結論を出すに至っておりません。  次に、地方議会議員の通算制の問題でございますが、この点につきましても、その後いろいろ検討をいたしたのでございますが、技術的に、また、理論的にもいろいろな難点が、問題点があるようでございまして、現在まだ結論を得るに至っておりませんので、今回御提案いたしましたものには含まれていない次第でございます。
  36. 林虎雄

    林虎雄君 市町村共済の最近の財政運営状況は、どんな状態ですか、医療費の増高等でだいぶ苦しくなっているように思いますが、その点どうですか。
  37. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 市町村職員共済組合につきましては、御指摘のとおり、地方公務員共済組合の中で最も財政の運営が苦しい状況にございます。四十年度決算見込みでございますが、赤字が八億七千百八十三万円出る見込みになっております。なお、各組合員ごとに見てみますと、財源率が千分の百をこえるものと思われますものが四組合ほどございます状況でございます。
  38. 林虎雄

    林虎雄君 苦しくなってくれば、結局掛け金の引き上げ等をしなければならないと思いますけれども、そうなると、組合員としての負担が増すことになるわけでありますが、これが附帯決議の三に大体該当する問題だと思いますけれども、国庫負担制度といいますが、三で指摘してある点、この点、他の医療関係の保険と全体を通ずるもので、さらに検討したいというお答えですけれども、この見通しはどうでございますか。
  39. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) この点につきましては、先生御承知かと思いますが、昨年社会保険審議会から答申がございましたが、その中で、共済組合に対して、将来国庫負担制度について検討すべきであるという被保険者代表委員並びに事業王代表委員の意見が付せられておったのでございます。政府管掌健康保険につきましては、御承知のように、すでにその点のいろいろ配慮がなされているわけでございますが、共済組合については、将来の問題として検討をすべきだと、こういうことでございまして、大体現在の私ども考え方も、いますぐはなかなかこれの解決の見通しを得ることが困難な状況でございますが、将来の問題としては、検討を続けてまいりたいという状況でございます。
  40. 林虎雄

    林虎雄君 結局組合などの要望というものは、御承知のように、給与が低い関係もあり、五分、五分のうち、組合員の負担となるべきものについて、一部国庫で見てもらいたい、こういう要望ですね。結局市の段階まではともかくとして、町村の職員というものは給与が低いだけに問題が相当大きいと思うのでありますが、その点どういうふうにお考えになっているか。それから、あわせて町村職員の給与改善について、自治省としてはどういう考えを持っておるか、この点承りたい。
  41. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) お説のように、地方公務員の共済組合の中でも、特に市町村職員を対象といたしまする市町村職員共済組合におきまして問題が相当深刻な段階になっておるということでございますが、そこで、これの原因でございますが、同じ市町村職員共済組合によりましても、県によりまして必ずしも財源率がそう高くはなっていない、かなりでこぼこがあるのでございます。そこで、どういうところにほんとうの原因があるのか、私どももいろいろ検討はいたしておりまするが、しかとは突きとめがたい状況でございます。おっしゃいましたこの町村職員の給与が低いということも一因にはなっておろうかと思いますが、それが決定的な原因というわけでもないようでございまして、特に診療率と申しますか、病気にかかる率の多い地域も地域によってはあるようでございます。その辺の原因はなるべく早くよくつかみまして、今後の対策を検討してまいりたいと思っておりますが、私どもが一つの暫定的な案といたしまして検討いたしましたのは、市町村職員共済組合連合会に一つの調整資金を置きまして、そして財源率が著しく高くなる組合につきましては、こういった調整資金をして、非常に高くなるのを緩和する措置を講じたいという構想を持ったのでございます。で、その調整資金につきましては、地方交付税の中で措置を当面考えていこうという案でございましたが、この案につきまして関係団体の間になおいろいろ意見がございまして、今国会で御審議をいただくという段階にはまいりませんでしたけれども、この案も一つの案と考えておりまするので、この案につきましても引き続き検討は続けてまいりたいと思っております。  なお、第二のお尋ねの、町村給与の点でございますが、従来から町村の給与につきましても、できるだけ国家公務員ベースに近づけるように指導をいたしてまいりましたので、ここ数年間漸次改善されてきておる次第でございます。全体といたしますると、すでに国家公務員ベースについて大体九〇%程度のところになっておるようでございます。ただ、町村によりましては、なお相当低位にあるところもあるようでございますので、今後なお改善につきましては指導をしてまいるつもりでございます。
  42. 林虎雄

    林虎雄君 次にお伺いしたいのは、団体職員の共済組合員の期間と公務員の共済組合の期間の相互通算の問題でございますが、今度の改正案で一応前進の形は見えておりますが、いわゆる公庫、公団方式といいますか、そういうことで、公務員から団体へ移る、さらに戻った場合には、通算措置を講ずるというだけでありまして、団体職員というものは全く無視されているといいますか、そういう傾向で、いわゆる一方通行という形になっているのは、これは適当でない、不公平であるという声も相当強いようでございますが、この点の見解はいかがですか。
  43. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) この団体職員と地方公務員との間の通算の問題でございまするが、私どもといたしましては、先生が御指摘になりましたような、団体職員から地方公務員に行って、また団体職員に帰るという場合もあわせて検討をいたしておったのでございます。ただ、一つには、他の共済組合の制度との権衡の問題がございます。もし公務員と、公務員でない団体職員との間の通算を認めるということになりますると、たとえば公務員と公共企業体との間の通算、あるいは公立学校職員と私立学校職員との間の、あるいは公務員と農林漁業関係団体職員との間の問題、同様な他の制度にこれは影響する問題でもございまするので、政府部内でいろいろ検討いたしました結果、従来すでに存在いたしておりますいわゆる公庫公団方式による限られた範囲ではございまするが、通算の道をまず開くということがこの際妥当な措置であろうということになって、御提案をいたした次第でございます。  なお、この団体職員の実情を見てまいりますと、団体職員で採用されたものが地方公務員になって、さらにまた団体職員に帰るというケースは、実際問題としてはほとんどないんじゃなかろうか、通算措置が講ぜられまして、むしろ制度が活用されますケースとしては、地方公務員から団体職員になって、そうして地方公務員に帰ってくるというケースが多いし、またそれが相当な実情に合うんじゃなかろうかというふうにも考えまするので、今回そのような御提案をいたした次第でございます。
  44. 林虎雄

    林虎雄君 その程度にしておきます。どうもありがとうございました。  最後に、消防庁に少しお聞きしたいと思います。この間、たしか地方行政のほうでも質問があったと思いますけれども、最近頻発する火災でありますけれども、群馬県の水上、あるいは和歌山県の白浜温泉の旅館等で起こった火災の事故でありますけれども、これはいわゆる死傷者が多くなっているわけですが、その特徴といいますか、従来ならば、木造建築のほうが火災の類焼率も多いし、危険度も多いという、ふうに概念的に思っておったのが、かえって耐火構造の建築物のほうが犠牲が多いという傾向があるような気がいたしますが、消防庁のほうではどう考えておりますか。
  45. 川合武

    政府委員(川合武君) お話のとおりでございまして、最近の火災の特徴は、残念ながら、死者が非常に多いということでございます。その一つの大きな原因といいますか、理由といたしまして建物の問題でございまして、高層あるいは地下、あるいは無窓等によりまして、また、御指摘のように、耐火構造ということによりまして、延焼というようなことにおきましては非常にわれわれとしても歓迎すべきことでございますが、その副作用といたしまして、密室化してくるための死者、こういう問題に当面いたしております。かような耐火構造の多いところの諸外国の火災の実情を見ましても死者がふえてきておるということを思い合わせまして、さような問題について私ども対策に努力いたしておる次第でございます。
  46. 林虎雄

    林虎雄君 諸外国にもこういう傾向が多いのですか。
  47. 川合武

    政府委員(川合武君) そのとおりでございます。
  48. 林虎雄

    林虎雄君 普通ならば、鉄筋ならば燃えにくい、燃えないということで安心感を持って鉄筋を建てる、鉄筋の旅館等もたくさんできておるわけですが、その燃えにくいのが、なおああした火災になることは、どこか防火建築ということに欠陥があるような気がいたしますが、その点いかがですか。
  49. 川合武

    政府委員(川合武君) 耐火構造が燃えにくいことは、これはそのとおりでございまして、私どもの見地から大いに望ましいことでございますが、一たん火事が出ました場合に、御承知のように、中に燃えくさがあるわけでありまして、かえって人命に影響のあるような火災の態様を示す、こういうことは事実でございます。  なお、付加いたしまして申しますが、われわれの経験からいたしますと、わりあいと下町なんかのあけっ放しのようなところでは火事が出やすいのですが、発見も早い、しかし、密室化しております——密室というと大げさでございますけれども、そういうようなところでは、相当燃えてからでないと、そこに人がいませんと発見がおそいというようなこともございます。それはともかくといたしまして、一たん燃えてからの場合において死者を出す危険性が多いというようなことは言えると思います。
  50. 林虎雄

    林虎雄君 水山温泉の場合のは、私はあそこに泊ったこともありますので、大体承知しておりますけれども、一室一室一応鉄筋で囲んであるので、燃えやすいというものは、部屋の中にあるいろいろの調度品とか寝具とかいうものであろうと思いますが、今度の水上温泉の火災は、ずっと廊下を伝った煙でもって窒息をして死んだというケースですが、ああした建築を許可する場合に、たとえば階段などは階下から火が出ると煙突の代用のようなことになりますし、廊下をそれこそ伝っていくということになりますが、それぞれ個室といいますか、部屋部屋を閉ざしてあるものは木のとびらですが、だから木のとびらが燃えないようになっておれば部屋の中まで延焼しないと思いますが、階段口の、何といいますか、防火壁といいますか、防火戸といいますか、そういうものとか、あるいは中途における防火とびらというものについては、法的には何か規制がないわけでしょうか。
  51. 川合武

    政府委員(川合武君) 避難階段、あるいは直通階段と言っておりますが、さような階段の問題、それから、ただいまお話のような、要しまするに建築そのものの構造につきましては、建築基準法によって規定があるわけでございます。水上の例を見ましても、その点につきましての基準といいますか、には合ってやっておるわけでございます。ただ、それ以外の要素というものがまた加わりまして、火災上非常に危険性を生じております。  なお、ごたごた申し上げまして非常に恐縮でございますが、鉄筋防火というものが必ずしも私絶対にそういう人命というもの——現実といたしましては、高層の建物にそういう建物が多いわけでございまして、先ほど申し上げましたことに多少不正確でつけ加えますと、高層のさような建物、こういう場合に危険性が多いと考えておる次第でございます。
  52. 林虎雄

    林虎雄君 高層建築は旅館ばかりでなくて、最近は非常に高い建物が至るところに建築をされておるわけであります。これは東京だとか大きな都市はもちろんでありますけれども、最近では地方都市もかなり高層の建築物を建築をしておるような傾向になっておるわけであります。地上十数階というようなのがちょいちょい建築されておるわけでありますか、そこで、高層建築——いま水上の場合には、階段口の何か煙を遮蔽するような設備が今後の規制として考えるべきではないか、あるいは廊下に対して防火とびら等の規制をもっと強化すべきではないかというふうに思いますが、一方、高層建築の場合は、下から燃え上がったような場合に、これに対する科学消防といいますか、この対策についてはどのようないま対策を持っておられるか。あわせて、欧米諸国はおおむね高層建築でありますが、それらの消防の状況を比較して、日本のいわゆる科学消防の現状というものはどの程度でありますか、この点わかりましたら。
  53. 川合武

    政府委員(川合武君) 諸外国の状況と比較いたしまして、私、さして遜色はないと思います、技術的に、その他水準におきまして。ただ、何ぶんにも、お承知のように、施設その他においてもまだ不十分な点はあるように思うわけであります。私ども、この高層建築の火災に対します問題といたしましては、一つには、いわゆるはしご車の整備、科学消防力の整備といたしまして、昨年度からこの点に力を入れておる次第でございます。なお、その他の予防措置に関連いたしますのがスプリンクラー施設義務づけの強化、あるいは連結送水管等のしかけ、かようないわゆる科学消防を高層建築に義務づける、かような点に努力をいたしておりますと同時に、避難、人命救助のわれわれの戦い方につきましても一生懸命やっておるつもりでございます。
  54. 林虎雄

    林虎雄君 人命救助の点ですけれども、たとえば例をとると、地上十七階なんていうホテル・ニューオータニですか、ああいうところで、もし万一火災が発生した、あるいは十五、六階で下へ逃げられるような階段は煙におおわれている、窓から救出しなければならないというような場合に、一体これを救出する具体的な方法がありますか。はしご車の延びる限度というものはあると思いますが、それとも、オータニを一応想定した場合に、オータニの十六、七階にいた場合に窓から救出するとかいうような点については、何か自信、見通しは持っておいでですか。
  55. 川合武

    政府委員(川合武君) 御承知のように、はしご車は現在十一階、これは諸外国もほとんど通例十一階、十一階と申しますのは、メートルでいいますと三十三メートルでございます。したがいまして、ホテル・ニューオータニは私は十七階と承知しておりますが、先生のお話にちょっとはずれて失礼でございますけれども、当然、高層の建物につきましては、特に特別避難階段という、こういうものを、これは建築基準法でございますが、私のほうも強くこの点について希望も申し入れまして、原則といたしましてこの特別避難階段という問題をもって一番基本としております。その他いろいろの方法もつけ加えておりますが、そこで、お尋ねの、窓のところでどうという具体的な問題でございますが、はしご車は限界がございますが、階段の、これはあと技術の問題になりまして少し恐縮でございますが、必ずしも私ども地上そのものへおろさなくてもいいのではないか。ある一定の——全部上、下の階へ燃え移っておるということは、これはほとんどないわけでございますから、安全階へまずおろす方法ということがあり得るわけでございまして、さような点については、これは戦闘技術といいますか、人命救助の技術になるわけでございます。たとえば携帯用といいますか、いわゆる特殊なはしごでございますが、それでもって、大阪の消防署なんかのあれを見ますと、忍者風だなんということを言う人もいるわけでございますが、そういうようにつなぎ合わせてはしごで上っていくというような技術もやっております。さような忍者風ばかりでも科学消防とは言えませんので、さらにこれらについての器具並びに技術について練摩をいたしたいと思っております。
  56. 林虎雄

    林虎雄君 以上で終わりますけれども、避難階段、これは建築の法規で当然それぞれきめておられるだろうと思いますけれども、水上の場合も、避難階段はあったけれども、そこの避難階段へ出るところのとびらがあかなかったということですが、かぎがかかっておったかおらなかったか、その点はっきりしませんけれども、かりにかぎがかかっておらなくても、火災の場合には、もうみんな気持ちが転倒しておるので、そこで、避難階段を知っておる人もあるだろうし、知らない人は宙に迷うということになりますからその点をお聞きしたわけですが、いまお答えになったように、三十三メートル以上の高い窓からおろす場合に、全部が全部下へおろす必要が必ずしもない、途中でリレー式のことも技術的にやり得るということでありますが、こういう点は東京都とか大都市ではかなり訓練されておると思いますが、地方などでももう油断ができないと思います。相当の建築もできておりますし、それから、地方都市などははしご車などもまだ不十分であろうと思いますが、地方都市あたりの消防体制というものについては、いままでは予想しなかったような地方都市大都市並みな火災の起こり得る可能性もないとは言えないと思いますが、そういうところの指導というものはかなり積極的にやっておいでかどうか。
  57. 川合武

    政府委員(川合武君) 非常に超高層の建物、先般の建築基準法改正によって許されておるいわゆる摩天楼というようなものにつきましては、これはまた個々具体的な特殊な方法並びに戦闘器具を私ども準備しておりますが、御指摘のように、それ以下のものでも相当高層のものでございまして、これは先ほど申しましたはしご車で戦い得るものでございまして、いま当面それの整備をやっておるわけでございます。また、ことに地方の都市におきましてもそういう必要を感じ、やっておるわけでございます。  なお、御注意の点をよく体しまして、今後、はしご車並びにその他の器具及び技術というものを整えまして、充実練摩していきたいと思っております。
  58. 鬼木勝利

    主査鬼木勝利君) 以上をもちまして自治省所管に関する質疑は終了したものと認めます。  午後十四時まで休憩いたします。    午後零時四十七分休憩      —————・—————    午後二時二十七分開会
  59. 鬼木勝利

    主査鬼木勝利君) これより予算委員会第四分科会を再会いたします。  昭和四十一年度予算中、文部省所管を議題といたします。  まず、政府から説明を求めます。中村文部大臣
  60. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 昭和四十一年度文部省所管予算案につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、文部省所管一般会計予算額は、五千八十七億六千七百十八万八千円、国立学校特別会計予算額は千九百五十三億六千四百三十八万九千円でありまして、その純計は、五千四百二十六億五千百七十八万六千円となっております。この純計額を前年度当初予算と比較いたしますと、およそ六百二十六億円の増額となり、その増加率は一三%になるわけでありますが、義務教育費国庫負担金の給与費を除いた一般会計予算額の増加率は一七・五%となっております。  以下、昭和四十一年度予算案におきまして、特に重点として取り上げました施策について御説明申し上げます。  まず第一は、初等中等教育の改善充実であります。初等中等教育の改善充実につきましては、かねてから努力を重ねてまいったところでありますが、来年度は特に恵まれない境遇にある児童生徒の教育対策に留意し、僻地教育及び特殊教育の振興、要保護・準要保護児童生徒の就学援助につとめましたほか、引き続き教科書の無償給与を推進し、学校給食の普及充実をはかり、また、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数を改善し、施設、設備を整備する等の施策を進めることといたしました。  そのうち、僻地教育の振興につきましては、まず、小規模学校の教員の充実とその待遇の改善を行ない、教員宿舎を整備する等、僻地勤務教員の優遇措置について配慮いたしますとともに、僻地の教育環境の改善のため、引き続き各種の施設、設備の充実をはかりましたほか、学校ぶろ、ジープの設置、薬剤師の派遣、高度僻地学校の児童生徒に対するパン、ミルク給食の全額補助等の新しい試みを加えて、総合的かつ重点的に施策を推進することといたしたわけであります。  次に、特殊教育につきましては、養護学校及び特殊学級の計画的な普及と就学奨励費の内容の改善のため必要な経費を増額いたしますとともに、社会生活への適応性を一そう助長するため職業教育の充実をはかり、また、教育効果の向上に資するため新たに視聴覚教材の利用、研究指定校の設置等を行なうことといたしております。  次に、要保護・準要保護児童生徒の就学援助につきましては、学用品の単価の級地差の解消をはじめ、それぞれの品目について補助単価の改訂を行なうことといたしております。  次に、父兄負担の軽減をはかる趣旨から、小規模小学校の教材の充実を含めて教材費の増額をはかりますとともに、国、公、私立学校を通じて、中学校及び特殊教育諸学校の中学部の第一学年までの児童、生徒に対して教科書の無償給与の措置を拡大することといたした次第であります。  次に、学級編制及び教職員定数の充足につきましては、学級編制の基準を原則として、小・中学校いずれも最高四十七人に改めるとともに、単級、四・五学年複式学級への教職員定数の増、特殊学級の増設充て指導主事の充実等のための増員をはかり、また、給与の改善につきましては、多学年学級担当手当、旅費の増額等を行なうことといたしました。  なお、教職員の関係のある事項といたしましては、その勤務の実態等に関する調査に必要な経費を計上いたしまして、四十一年度にその実態調査を行ないたいと思います。  次に、公立文教施設につきましては、引き続き既定計画の線に沿ってその整備を進めてまいりたいと考えております。公立文教施設整備費二百五十億円を計上いたしておる次第であります。そのうち、木造建物を中心とする建築単価の引き上げ及び構造比率の改善は、地方団体超過負担解消という観点から特に配慮を加えた点でございます。また、屋内運動場につきましては基準の改訂を行ないまして、体育の円滑な実施に支障のないように配慮を進めてまいりたいと思います。  このほか、前年度に引き続き、教育課程の改善、道徳教育及び生徒指導の充実並びに教職員の研修及び研究活動の推進に必要な諸経費を計上いたしております。  また幼児教育の重要性にかんがみまして、父兄の要望にこたえて、引き続き幼稚園の普及整備のために必要な助成を前進いたしますとともに、所要の教員を確保するため、公私立大学及び短期大学の教員養成課程に対する設備の補助を行なうことといたしております。  第二は、大学教育の拡充であります。国立学校特別会計予算につきましては、前年度の当初予算額と比較して二百七十八億円の増額を行ない、約千九百五十四億円を計上いたしました。その歳入予定額は、一般会計からの繰り入れ千六百十五億円、借り入れ金二十億円、附属病院収入二百二十億円、授業料及び検定料五十二億円、学校財産処分収入二十二億円、その他雑収入二十三億円であります。歳出予定額の内訳は、国立学校運営費千五百二十二億円、施設整備費四百二十億円などとなっております。  国立大学の拡充整備につきましては、まず、大学入学志願者の急激な増加を予想いたしまして、大学及び短期大学の入学定員の増加をはかり、後述の小学校教員養成課程の増募三百八十人を別にして、なお四千五百九十二人の増募を行なうことにいたした次第であります。このため、大学について一大学の創設、公立一農科大学の国立移管を含む二学部の開設、四文理学部の改組、二十五学科の新設及び二十四学科の拡充を行ない、短期大学について六学科を新設することといたしました。  また、教員養成学部の整備につきましては、教育職員養成審議会の建議に基づき、その教員組織の整備を行ないますとともに、養護教諭養成所及び養護学校教員養成課程、幼稚園教員養成課程等の新設、一部小学校教員養成課程の学生増募など当面必要な教員の養成に力を注ぐことにいたしております。このほか、中堅技術者の育成のため十二の工業高等専門学校に学科を新設する予定であります。  次に、教官当たり積算校費、学生当たり積算校費、設備費等各大学共通の基準的経費につきましても、引き続きその増額をはかっておりますが、とりわけ設備の充実に留意し、指定図書購入費、理工系学部設備費、工学部第二部設備費等の新規の予算を計上いたしております。  また、新制大学における大学院修士課程の拡充、附属病院、附置研究所の整備につきましても特段の配慮をいたしております。  次に、施設の整備につきましては、財政投融資資金及び不用財産の処分収入を財源の一部に含めて予算額を大幅に増額いたし、一段とその整備の促進をはかることといたしておりますが、なお、施設整備の円滑な実施をはかるため、後年度分について百八十八億円の国庫債務負担行為を行なうことができるようにいたしております。  次に、育英奨学につきましては、大学院奨学生及び教育特別奨学生の増員を中心として引き続き事業の拡充につとめ、また、日本育英会につきましても、奨学金の返還業務の促進等に要する経費を補助する等により、全体で約十六億円を増額いたしております。  第三は、私学振興の拡大であります。私立学校の振興は、今後の文教政策の重要な課題であり、その基本的な助成方策につきましては、なお慎重に検討中でありますが、現下の状況等にかんがみまして、明年度予算案におきましても特に重点として取り上げた一つであります。まず、私立学校振興会に対する政府出資金及び財政投融資資金からの融資につきましては、合わせて二百二億円と、これを前年度のほぼ二倍に拡大し、私学全般の施設の改善充実に充てることといたした次第であります。また、私立大学等理科特別助成費及び私立大学研究設備助成費につきましても合わせて三十七億円を計上し、その他、私立学校教職員共済組合に対する補助金の増額、私立大学幼稚園教員養成課程に対する設備費の補助の新設等の施策を講じております。  第四は、学術研究及び科学技術教育の振興について申し上げます。わが国の学問及び科学技術の水準を高め、ひいては国民生活の向上に寄与いたしますため、学術研究及び科学技術教育の振興につきましては、引き続き努力をいたしております。  明年度予算につきましては、まず、学術研究について、科学研究費の拡充を行ない、特にガン特別研究費を別項目として、その増額をはかっておりますほか、引き続き研究所の新設、整備を行ない、また、ロケット観測、南極地域観測及び巨大加速器の基礎研究等につきましても、それぞれ目的に応じて必要な経費を計上いたしました。  なお、在外研究員の派遣のための経費は、一般会計から国立学校特別会計に組みかえて増額計上いたしております。  次に、初等中等教育の分野におきましては、理科教育設備及び産業教育の施設、設備の充実につきまして、あらためて新基準による計画的な改善充実を行なうことといたしましたほか、引き続き自営者養成のための農業高等学校の整備をはかり、また、新たに高等学校の衛生看護科教育に対し設備費の補助を行なうことにいたしております。  第五は、青少年の健全育成であります。青少年の教育問題は、近時ますますその重要性を加えており、これに対処するためには、学校教育及び社会教育の両面にわたって深く意を用いるべきところであると存じます。  まず、家庭教育、婦人教育につきましては、引き続き家庭教育学級、婦人学級等の充実をはかるとともに、家庭的環境に恵まれない留守家庭の児童に対する対策として、新たに児童会の育成事業のための補助を行なうことにいたしました。また、勤労青少年の教育のため、学校教育の面におきましては、引き続き新基準により定時制高等学校の設備の充実につとめるとともに、通信教育用学習書の給与につきまして、その対象となる生徒の範囲を拡大し、また、夜間定時制高等学校につきまして、夜食費補助及び運動場照明施設整備費補助等を増額計上いたしております。  次に、社会教育の面におきましては、勤労青少年に宿泊による研修、訓練の場を与えるため、国立第五青年の家を新設いたしますとともに、公立青年の家につきましても、弾力的にその整備を進めることといたしております。さらに、青年学級及び勤労青年学校の内容の充実、新就職者の研修の実施のほか、新たに青年教室の委嘱も行なうことにいたしました。また、青少年の団体活動を一そう促進するため、青少年団体等の育成もはかりたいと考えております。このほか、青少年に対する映画の影響力にかんがみ、積極的に優良映画の普及をはかるとともに、その製作の奨励を促進することといたしました。また、社会教育の施設について、公民館、図書館、博物館等の施設、設備の整備を一そう推進いたしますとともに、引き続き適切な指導者の養成に意を用いております。  次に、スポーツの普及につきましては、広く青少年一般にスポーツを普及奨励し、その体力の向上をはかるため、水泳プール、体育館、運動場及び公立高等学校の柔剣道場等の整備を促進し、また、スポーツテストの普及、スポーツ教室等の実施、スポーツ団体行事の助成、指導者養成等について、引き続き必要な経費を計上いたしております。  このほか、国立登山センター及びオリンピック記念青少年センターについて建物の整備を行ない、明年行なわれる予定のユニバーシアード東京大会についてその準備を進め、さらに、都市の動労青少年のスポーツ施設の不足を補なうために学校体育施設の開放を行なうこととして、それぞれ、必要な予算を新たに計上いたしております。  次に、学校給食の普及充実につきましては、完全給食の実施を目途として、引き続き単独校及び共同調理場の給食施設、設備の充実をはかり、また、栄養職員の設置を共同調理場のみならず単独校にも広げる等の施策を行なっております。また、小麦粉につきましては、従来のとおり補助を継続することにいたしますとともに、ミルク給食につきましても、国内産牛乳の使用をさらに増加することとして、所要の補助金を計上いたしております。  なお、前述いたしました高度僻地学校児童生徒パン・ミルク給食費補助のほか、高度の僻地及び産炭地の財政力の弱い市町村に対しましては、引き続き予算措置について特別の配慮を加えることにいたしました。  第六は、芸術文化の振興であります。すぐれた芸術を広く国民に普及し、また、わが国の伝統的な文化財を保存いたしますことは、国民生活の向上の上からもきわめて必要なことであります。まず、国立近代美術館につきましては、その移転整備を行なうために必要な予算を計上し、また、芸術団体に対する助成のほか、歌舞伎、文楽等のすぐれたわが国の伝統芸術の保存とその振興をはかるため国立劇場の設立を行ない、さらに国立博物館の整備を進めることといたしております。  次に、文化財保存事業につきましては、文化財の修理、防災施設の整備等を一そう充実いたしますとともに、最近国土開発の急速な進展に伴ってその必要性を痛感されております史跡、埋蔵文化財の保護につきましては、特段の配慮を加えております。また、平城宮趾の買上げ及び発掘調査、無形文化財の保存活用等につきましても、引き続き必要な予算を計上いたしました。  第七は、教育、学術、文化の国際交流の推進であります。まず、外国人留学生教育につきましては、国費外国人留学生の人員を増加いたしますとともに、その受け入れ体制の強化をはかっております。また、国際学術文化の交流を促進するため、引き続き教授、研究者の交流を推進いたしますとともに、教育、学術、文化、スポーツ等各種の国際会議への積極的な参加を行なうことといたしました。なお最近、特にアジア、アフリカ諸国に対する教育協力の要請が高まってまいりましたおりから、新たに教育指導者の招致、教育指導者研修コースの開設、理科設備の供与及び指導者の派遣等を行なうために必要な経費を計上いたしております。  さらに、ユネスコ国際協力につきましては、発足二十周年を迎えて、国際理解促進のための特別事業の実施、国際大学院コースの継続等、一段とその事業の推進をはかることといたしました。  以上のほか、文部省の機構につきましては、調査局を廃止し、新たに文化行政の一体的推進のため文化局を設置することといたしました。  その他、沖縄の教育に対する協力援助費につきましては、これを画期的に拡充し、別途総理府所管として計上いたしております。  以上、文部省所管予算案につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。
  61. 鬼木勝利

    主査鬼木勝利君) これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  62. 小柳勇

    小柳勇君 あとの時間五分くらいしかないようでありまして、休憩に入りますから質問できませんが、この第四分科会で私が質問いたします大綱だけを申し上げておきたいと思います。また休憩後引き続き質問いたしますが、先般の総括質問で、私は宇宙開発問題を質問したかったのでありますが時間がありませんで、ついに質問ができませんでした。総括質問から一般質問、分科会にまいりますと、全般的な問題が明らかになりますが、きょうは文部大臣にだけ宇宙開発の問題を質問する羽目になりました。この点まことに遺憾でありますが、科学技術庁と防衛庁からの担当官の出席をいただいておりますから、必要があれば両庁にも質問いたします。  で、私が質問いたします大きな課題は、一つは、学術研究の機会均等ということであります。現在学術研究、特に宇宙開発につきましては、東京大学の宇宙研究所が中心で研究しておられますが、地方大学などの教授、学生は、ほとんど宇宙開発などについて研究する機会がないのではないか。特に実験的なものは東大に限られているのではないか。学問、学術の研究というものは、すべての者が機会均等でなければならぬ、これは文部大臣の責務ではないかと思う。これが第一点であります。  第二点は、いまロケット観測あるいは人工衛星の開発が進んでおりますが、これが東京大学宇宙研究所が中心で、歴史もありますからやむを得ない点もありましょう。ことしの予算を見ますというと、四十億三千七百十一万の中で文部省関係だけで二十八億円組んであります。ほとんど大部分が、四分の三が文部省の予算であります。同じようなことを研究しているところに科学技術庁があるし、防衛庁があります。その研究体制というものが分散化されておりますが、その研究された実体を実際につくりまして、機械化いたしまして、これを打ち上げるなどいたしますこの事業のほうは、民間会社に委託して、技術、機械の研究は民間会社がやっているわけです。だから、アイデアなり学理はこれは学者がやるのは当然でありましょうが、ところが、それが東京大学宇宙研究所における研究、及び科学技術庁における研究、あるいは防衛庁の装備局における研究が、実際仕事をするのは民間会社、しかもそれは同じであります。そして、一方では文部省が開発いたしましたロケットは海外に貿易品として輸出される、一方防衛庁が開発いたしましたロケットは自衛隊機密として、この文書をもらいましたけれども部外秘であります、公表を避けるということになっておる。つくるところの工場の技師は同じことをつくっておる、研究しておるような情勢であります。したがいまして、この宇宙開発というものは、このように分散をしておっては、諸外国の進みました人工衛星なりロケット開発に追いつかぬであろう、ただもうこれは学術研究の域を出ないのではないかということを考えます。したがいまして、宇宙開発の一元化に対して、東京大学宇宙研究所を中心とする文部省は、どういう御見解であろうか、こういう二つのテーマを私は質問していきたいのでありますが、もう予鈴のようでありますから、テーマだけを私は申し上げます。休憩後質問を続けていきたいと思うのであります。以上であります。
  63. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 実は、この東大の附置研究所である宇宙研究所は、以前は御承知のとおり生産技術研究所という姿で進行してまいりましたが、これは広く開放して、官公私立各大学の権威ある学者に参加していただき、協力していただく必要がありますので、昭和三十九年度に全国の大学関係の研究者等の共同研究機関という使命をになって発足したわけでございます。したがいまして、あるいは一部には自分らも大いに研究に参画したいがという気持ちはあっても参画し得ない方もあるかもしれませんが、制度としましては、そういう開放的な制度でありまして、国公私立各大学の研究者に御参加をいただいて、そうして宇宙の物理現象の研究等をするためのロケットの開発、こういうようなことをやっておりまする次第で、まあ不十分な点もあるかもしれませんが、開放的にやっておるというのがたてまえでございますから、なお欠陥がございましたら、その改善をわれわれとしては志してまいりたいと思っております。
  64. 鬼木勝利

    主査鬼木勝利君) 質疑の途中でございますが、本会議後直ちに再開することといたしまして、暫時休憩いたします。    午後二時五十五分休憩      —————・—————    午後五時十五分開会
  65. 鬼木勝利

    主査鬼木勝利君) これより予算委員会第四分科会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和四十一年度予算中文部省所管を議題として質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  66. 小柳勇

    小柳勇君 休憩前に私は二つの点で政府の考えをただすことを明らかにいたしましたが、第一点について深くお尋ねいたします。  まず、学術研究は機会均等でなければならぬということでありますが、今年度の文部省の予算の中に、重要基礎研究の推進ということで四十九億九千七百万計上されております。その中で、たとえばロケット観測で二十七億四十一万計上されておりますが、この予算が全部の大学の教授並びに学生の研究に充てられるものかどうかお伺いいたします。
  67. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) これは宇宙研の予算として盛り込みました分は、宇宙研を中心に各関係大学からまいっております学者、研究者の共同利用のために使われるものでございまして、学生の研究とはこれは別であると思います。
  68. 小柳勇

    小柳勇君 いままでの研究の実績で、ほかの学者、他の大学の学者などがこれで研究した実績ございましょうか。
  69. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 岡野審議官から、各大学から参加しておる状況など御説明申し上げます。
  70. 岡野澄

    ○説明員(岡野澄君) 東大の宇宙航空研究所は国立学校設置法第四条第二項の研究所でございますけれども、元来、日本学術会議の勧告に基づいて設置しました研究所でございます。したがって、そういう研究所が大学に十一ほどございますが、いずれも学術会議の勧告に基づいてつくったものでございます。そういう研究所は非常に新しい形でございまして、その研究所におきましては、その研究所の目的たる研究と同一の研究に従事する者についてもその研究者に利用させるということになっております。したがいまして、宇宙研究所におきまして現在関係しておる大学は東大以外に京都大学、東北大学、名古屋大学、山梨大学等の研究者がこれに関係しております。それからなお国立機関としましては気象庁、それから郵政省の電波研究所の研究者、公立大学では大阪市立大学の研究所、私立大学としましては立教大学、同志社、あるいは理化学研究所の研究者、これらの研究者がこの研究に参加しておる実情でございます。
  71. 小柳勇

    小柳勇君 このただいまの審議官のおことばによりますと、この東大宇宙研究所は、日本学術会議の勧告に基づいてということでありましたが、宇宙開発審議会の三号答申がございます。三号答申の四章の(ハ)に、「宇宙科学の探究のために観測ロケットを用いて行なう学術上の研究は、従来主として東京大学生産技術研究所を中心として続けられているが、重点開発目標5を達成するに際しては、基礎的科学はもちろんのこと、必要な技術及び資料を提供する基礎工学研究を一本にまとめ、より一層効果をあげるため各大学の関係者の密接な協力体制を整えることが肝要であると考えられるので、新たに大学の共同利用研究所として宇宙航空研究所(仮称)を設置し、これを中心として研究を充実すべきである。」と書いてある。ただいまのこの学術会議の答申、これは勧告でありますが、勧告で、「宇宙科学研究所(仮称)案」なるものが勧告されておりますが、確めておきたいのですが、どちらのほうでございますか。
  72. 岡野澄

    ○説明員(岡野澄君) 勧告が出されましたのはこの三号答申以前でございます。学術会議のほうのその趣旨が、この宇宙開発審議会に盛り込まれたということでございます。
  73. 小柳勇

    小柳勇君 東大の宇宙研究所が発足しましたのは三十九年でございますね、この三号答申が三十九年二月三日ですね、このあとですね、そうすると、この宇宙開発審議会の答申を受けて、東大の宇宙研究所は発足したと考えていいですか、どちらですか。
  74. 岡野澄

    ○説明員(岡野澄君) 初めに学術会議の御答申がありまして、その趣旨を繰り込んで構想いたしまして、さらに宇宙開発審議会の御答申があった、こういう経過でございます。
  75. 小柳勇

    小柳勇君 そういたしますと、まず勧告を受けて整備いたして、この改組整備は考えておって、構想を持っておって、そうして三号答申を受けて、それから発足した、こう確認していいですね。
  76. 岡野澄

    ○説明員(岡野澄君) そのとおりでございます。
  77. 小柳勇

    小柳勇君 そうしますと、今後の論議はこの学術会議の勧告と宇宙開発審議会の答申、これが東大の宇宙研究所の発足した大きなもとである、基礎である、そう確認してよろしゅうございますか。
  78. 岡野澄

    ○説明員(岡野澄君) そのとおりでございます。
  79. 小柳勇

    小柳勇君 わかりました。  それでいま各大学が、この東京大学宇宙研究所を中心にして研究する実態がわかりましたが、この二十七億の予算の使い方はどういうふうになっていますか。
  80. 岡野澄

    ○説明員(岡野澄君) これは予算といたしましては、東京大学に計上いたしております。それで大まかに申しますと、一般ロケット観測経費が八億七千万円、ミューロケットの開発経費が十五億円等でございます。それから飛しょうの経費、共通経費、こういうものから成り立っておるわけでございますが、それは各大学の先生方がここに行って観測をするという旅費等はここに計上されておるわけでございます。
  81. 小柳勇

    小柳勇君 東京大学の宇宙研究所、三十九年発足いたしまして、活動いたしましたのは約二年になりますね。二年近くでありますが、その間の各大学の教授、研究員が東大の宇宙研究所を中心にして研究をいたしましたその動き、動向について、あるいは旅費の支給ぐあいなど、資料として提出願えましょうか。
  82. 岡野澄

    ○説明員(岡野澄君) 承知いたしました。ごく大まかに申しますと、たとえば電離層の研究というようなことになりますと、京都大学が非常にその方面が強いわけでございまして、そういう研究者のアイデアを取り入れまして東大が設計する。あるいは宇宙線のようなことになりますと、立教大学の先生がその道にすぐれておるので、そういう方のアイデアを東大が一緒にやるというような形をとっておるわけでございます。
  83. 小柳勇

    小柳勇君 ではただいまの約二年間の研究の実態をひとつ資料として御提出願いたいと思います。  それから、研究の主体が東京大学にありますから、これを打ち上げる、あるいは打ち上げる前に本体などをつくらなければならぬのでありますが、東京大学が、宇宙研究所の先生方が研究いたしますその学理、研究いたしましたものを実際形になさなければならぬのでありますが、その形になすところですね、会社あるいは工場、そういうものを概略でよろしゅうございますから、ひとつ御説明を願いたいと思います。
  84. 岡野澄

    ○説明員(岡野澄君) 観測用ロケットの開発につきましては、ただいま申し上げたとおり、東京大学が中心になりまして全国の宇宙科学、宇宙工学関係の科学者によって総合的に基礎研究が進められまして、それによって得た成果をもとに、打ち上げに使用される観測用ロケットの設計がまとめられ、研究所はこれに基づいて各方面のメーカーにそれぞれ発注製作している次第でございます。ただいま資料が手元にございませんが、おそらくメーカーの数にすれば二十数社をこえると存じております。
  85. 小柳勇

    小柳勇君 三十九年に発足いたしました、この宇宙研究所、発足いたしまして以来、いまおっしゃいましたように、会社に本体なり計器なりいろいろ発注してございますが、参考のためにその資料も御提出願えましょうか、よろしゅうございますね。
  86. 岡野澄

    ○説明員(岡野澄君) はい。
  87. 小柳勇

    小柳勇君 それでは第二の問題でありますが、東京大学宇宙研究所が中心でまずロケット観測をやろうとしておる。そこで、ロケット観測にまずロケットを打ち上げることを計画いたしまして、過去何回か打ち上げがございます。これは生産技術研究所からの計算でありますが、昭和三十一年度から四十年度まで約百四十一基のロケットの打ち上げを持っておるわけですね。この百四十一基の打ち上げは相当金額になりますが、その打ち上げで、先般三月の九日の日に打ち上げております。これがL3H型一号機でありますが、これがレーダー応答機の不調で観測が失敗しておるわけでありますが、研究でありますから失敗もあります、成功もございます。この百四十一基を打ち上げておりまして、まあ昭和三十一年以来でありますから相当の前進をしてまいっておる、その研究御努力に心から敬意を表しておるわけでありますが、普通の役所でありますと、打ち上げ実験いたしましたりあるいは仕事をいたしますと、一切報告をするわけです、役所に。で、研究所の報告などは出すようになっておるのかどうか、私もよく研究室のことはわかりませんものですから、三十一年から百四十一基のロケット打ち上げがなされておりますが、そういうものが研究の段階から実際工作して打ち上げました、そうしてその結果について報告がなされておるのかどうか、それはまあ言うまでもないことでありますが、ことしの予算二十七億、これは国民の税金でありまして、普通の役所の慣行を見ますと、相当の印鑑をもらって予算支出がなされるわけでありますが、そうして予算を実行いたしましたあとは報告が出るのでありますが、そういうものの報告は出るのかどうか、お聞きしておきたいと思います。
  88. 岡野澄

    ○説明員(岡野澄君) 大学における研究は、御承知のように全部公開されるわけでございます。で、ロケットの研究につきましては、研究所の機関誌がございまして、それにまず発表いたします。それから御承知のように、日本は国際学術連合という機関に加盟しておりまして、その国際学術連合に日本を代表して加盟しておりますのは学術会議でございますが、その中に宇宙空間特別委員会というものがございまして、国際的な機関でございますが、このロケット観測事業は国際的な事業でございますので、日本の研究成果は全部そこに報告するという仕組みになっております。
  89. 小柳勇

    小柳勇君 そういたしますと、その報告というものは、国内の各大学の関係者にも全部報告はまいるわけですね。
  90. 岡野澄

    ○説明員(岡野澄君) 研究所の報告でございますから、関心のある方はいずれも入手できることになっております。
  91. 小柳勇

    小柳勇君 先般三月五日のL型の計器の失敗などについてもいろいろ問題があるかと存じまするが、正月の新聞に人工衛星の夢を描いて、ロケットを打ち上げて、これから二年ぐらいしたら人工衛星に移行するのだというようなことで、新聞に大々的に発表されておりました。それが三月のこの五日の失敗から、当分延期になっておるように聞いておるのでありますが、そういう点はいかがでございましょうか。
  92. 岡野澄

    ○説明員(岡野澄君) 先般三月に行ないました実験でございますが、ラムダ3Hという型でございます。この飛しょう実験におきまして、二段目までは予定どおりの性能を確認することができましたが、最終段につきまして、搭載された電子機器の不調のために最終速度を確認することができなかった。したがってこの実験の目的は、その最終のところでうまくいかなかったということでございますので、再びこの実験をいたしまして、それが成功しますと、ラムダ4S型ロケットの実験に入るということでございます。で、新聞に伝えられておりますのは、このラムダ4S型ロケットのことでございまして、これは高度数千キロメーターにおける諸現象の観測研究と、衛星打ち上げ用ロケットの開発に必要な基礎的な技術の研究を行なうためになされた計画でございます。最終段の球形ロケットの姿勢制御テストにあたって、そのロケットを水平にする速度、その際の速度が順調に行なわれれば、あるいは人工衛星を軌道に乗せるために必要な速度を持つことだろうと推算されておるだけでございます。したがって、これが直ちに人工衛星になるということはないわけでございます。
  93. 鬼木勝利

    主査鬼木勝利君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  94. 鬼木勝利

    主査鬼木勝利君) 速記を起こして。
  95. 小柳勇

    小柳勇君 それでは、大臣にお伺いいたすのでありますが、この大学の研究については敬意を表しますが、宇宙開発というものは、これは国の大きな施策ですね。その国の大きな施策を、いまの東京大学宇宙研究所に対しましては、どちらの方向を期待しておるのか。具体的に言いますと、教授間の学理研究を主体とするのか、宇宙開発として諸国との、ほかの国との競争ですね、宇宙ロケットを開発して人工衛星に持っていくというようなそういう事業を主体にしていま予算を組み、あるいは先生方の研究をしてもらっておるのか、どちらか。その基本のところをひとつ説明してください。
  96. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) これは科学者の技術的な研究とあわせて、宇宙物理現象の研究、これが中心目的でございまして、したがって他国と競争するということよりは、国際地球観測年の研究とも関連しまして、技術の研究及び物理現象の研究ということにあると私は思っております。
  97. 小柳勇

    小柳勇君 御存じのように、米国やソ連は相当先を歩いておるわけです。ロケット段階でなくて、月ロケットから人工衛星もあるわけですが、学理の研究ということを主体といたしますならば、日本で特殊なものをつくって打ち上げることを何回も——ここにいま申し上げましたように、相当回数やっておるのでありますが、中には失敗もございます。それよりももっと外国の進んだ学理の研究、それを取り入れて、そこから出発して実用にしたほうがいいのではないか。あるいは人工衛星など、もう回っているのですから、それを借りることも必要でしょう、ある場合には。二十七億の予算東京大学の宇宙研究所に使う、その予算とてんびんにかけてみまして、外国の研究を取り入れることも、かえってそのほうが予算は安くはないかと思いますが、いかがですか。
  98. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 外国の開発された技術も、もちろん入手できる限り応用して研究しておると思いますが、日本は日本独自の立場でそうした研究をすることが、いろいろ計器の関係とか、電気関係の機器の関係とか、いろいろな進歩をもたらすことができますので、そういう意味では非常に価値があろうかと思うのであります。同時に宇宙物理現象の研究は、地球の一カ所だけでは効果がありませんので、各国で個所をきめて、そうしてやって、日本も一つの分担をしまして、内之浦を中心に打ち上げまして、そうして宇宙の物理現象がどういうふうになっているか。何百キロがどのくらい、何千キロのはどのくらい、電離層がどうなっているかというような研究をいたしておるわけでございますので、直ちに外国の研究だけにたよることもいかがなものかと考えております。
  99. 小柳勇

    小柳勇君 直ちに外国にたよることも——それはわかります。日本でも独自の研究が必要でありましょうが、ただ、いまやっておりますのがもう相当おくれたものである。これは日本の敗戦でしょうがない。米ソは相当進んだところにありますから、それに比べたら、いままだ日本の研究段階というのはおとなと子供ほどではないか。したがいまして、その全般的なそういう学理に対する勉強を進めるとするならば、横の広がり、さっきおっしゃいましたあとの資料を見てまた論争しなければなりませんが、横の広がりを考えなければならぬ。もし宇宙科学というものを諸外国に追いつこう、日本独自の立場から追いつこうとするならば、いわゆる東京大学の宇宙研究所というものに限らないで、もっと広く、これこそ各省庁のオーソリティを糾合いたしまして、おのおの分担をきめながらそれを統合して開発していかなければならぬのではないかと思うわけですが、その点いかがでございますか。
  100. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 観測用ロケットとしましては、米ソは別格としまして、私の聞いておるところによりますと、米ソの次にフランス、その次に日本という、世界第四位ぐらいな見識と評価されて、いま観測用ロケットの打ち上げをやっておるわけであります。それともう一つは、私も現地に視察に一度参りましたが、四十人、五十人の専門的な学者が集まりまして、非常にたくさんの専門分野に分かれまして合同研究をやって、そうして設計をし、発注をし、組み立てをしてやっておる。これは日本の単なるロケットだけの問題でなしに、それに関連をするいろいろな科学技術の進歩のデータとしては非常に貴重なものが生まれてくるんじゃないか、こう思っております。
  101. 小柳勇

    小柳勇君 さきに、宇宙開発審議会の三号答申に基づいて、東京大学の宇宙研究所が発足した。  この答申の中には、学問的な、「各大学の関係者の密接な協力体制を整えることが肝要」、と同時に他の基礎的な研究を、広く日本のそういうふうな人たちを全部総動員して研究を行なうと、これは開発審議会の答申に、「重点開発目標5を達成するに際しては、」と、こう書いてあるんですね。したがって、いま私どもがずっと情報をとってみますると、宇宙開発審議会が考えておる重点開発目標、この達成のための具体的方策というものと、東京大学宇宙研究所が考えておるものとの完全なつながりというものが切れてはおらぬかという気がするわけです。そういうものについて大臣お聞きになったことございますか。
  102. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 私も現地に行って見、また聞くところによりますと、非常に何十何百の各部品が必要なわけでありますが、そういうものについての、おそらくその道の最高レベルの代表的な人を総動員して、集まってやっておられるように思うのであります。そこで問題は、御指摘の点は多分科学技術庁との関係かとも思うのでありますが、この点につきましては、科学技術庁に宇宙開発推進本部というものが設けられておりますが、お話のような一体化の必要があるという見地から、東大の宇宙研の所長であります高木教授が、科学技術庁の宇宙開発推進本部の本部長を兼務いたしまして、つとめて一体的な関係を結んで緊密にやっておりまするような次第でございます。元来、東大の宇宙研でやっておりまするのは、宇宙のそうした諸般の物理現象の観測ということが中心目的であります。それから科学技術庁の宇宙開発のほうは、たとえば船舶の航法とか、あるいは電波の通信とかいうような実用的な方面の研究をしよう、こういうふうなことでございまして、おのずからその目的も違っておりまするけれども、しかし、また同時に、やはり同じロケットを打ち上げるという点から見れば関連の部分が非常に多い関係もありますので、現在のところ、高木博士が両方の所長及び本部長を兼務いたしまして、そして関連を十分に持たせつつ遂行しておる、こういうのが現状でございます。
  103. 小柳勇

    小柳勇君 東京大学の計画が、宇宙開発審議会の審議と十分な密接な連携がないという——これはまあいままでの私の調査でありますから、いろいろ若干の主観もあるかもわかりません。また日本の学術会議などのメンバーの問題もありましょう。あるいは研究のキャリアもありましょう。日本学術会議のほうのメンバーの意見というものがほとんど東大の計画の中に反映できないのではないかという心配もありますし、話も聞きます。そういうことでは全般的な日本の宇宙開発の前進はないのではないか。それは秀才や天才がおられまして、一人あるいは二人のアイデアが飛躍的な科学の開発のヒントになることもわれわれは聞いておりますから、それももちろん認めますが、しかし、こういう国家的な事業、しかも国からの二十七億の予算を東大だけで使うというような、そういうことが、ただ一人の天才あるいは特殊な人の研究であることよりも、広く審議会やあるいは学術会議などの意見を聞きながら、ともに研究していく体制こそがいまの段階では一番大事ではないかと思うわけです。この基本的なものについての大臣の見解を聞きたいと思います。
  104. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) つとめて、このロケット打ち上げ並びに宇宙物理現象の研究についての権威ある人は全部集まっていただいて、そうしてそこで相協力してやってもらいたいと私ども考えております。ただ、まあ学者も、考えようによっては芸能人などと同じように、相当にお互いは、自分は自分でそれぞれの自負心を持っていらっしゃいますから、一部からそういう御指摘のような不満があるかもしれませんが、極力そういうことのないように、これはとにかく日本の全知能を総動員する、こういう体制で進むべきものと思いますから、この点につきましては、御批判のようなことのないように、われわれとしましても十分注意を払っていきたいと、こう思っております。
  105. 小柳勇

    小柳勇君 その縦のつながり、学術会議や審議会などの縦のつながり、学問的な縦のつながりと同時に、今度は文部省と科学技術庁と防衛庁、あるいはその他運輸省や郵政省などとの横のつながりもまた必要じゃないかと思います。日本の全体的な予算は、総合いたしますと四十億ばかりあるわけですね。この総合的なものがいまどういうふうになされているか、いろいろ調べてみますと、ロケットの打ち上げ発射につきましても、それぞれ別なところを持っています。まあ科学技術庁は防衛庁のロケット発射場を借りておるようでありますけれども、文部省のところ、あるいは科学技術庁のところ、防衛庁のところと、研究体制もおのおの技術員を持っておるわけです。それが東大の宇宙研究所にまいりまして、そういう技術員は勉強されるかわかりませんが、そういう横のつながりというものが、いまかっちりとあるのかどうか、あらねばならぬと思うのですけれども大臣の見解をお聞きいたします。
  106. 鬼木勝利

    主査鬼木勝利君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  107. 鬼木勝利

    主査鬼木勝利君) 速記を起こして。
  108. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) ただいまお話の点は、そうあらねばならないと私どもも思っております。この点は宇宙開発審議会の組織がございまして、ここを中心に十分な連絡や協議が遂げられて、この宇宙開発審議会が、形は二本立てのようなかっこうでありますが、どちらもこの宇宙開発審議会の審議検討が基本になって進んでおりまするわけで、私どもとしましては、先ほど申し上げたように、目的は違うにいたしましても、そこに行きまする道程においては、関連の部分が非常に多いと思われますので、つとめて緊密な連絡をとって、むだのないようにお互いが開発をしていくということが必要であると思いますので、この点は今後とも十分注意をしてまいりたいと思います。
  109. 小柳勇

    小柳勇君 具体的なものをお聞きしたいのですけれども、防衛庁あるいは科学技術庁のいわゆる責任者、長官が見えてませんから——局長が見えてますが、局長から各省庁の見解を聞いてもどうかと思いますから、各省庁の見解としては聞きません、技術的なものはあとで聞きますけれども。私どもがいま調べました情報によりますと、どうも東京大学の宇宙航空研究所のほうが権威者として自負もありましょう、いろいろな計画もちゃんと自分独自に持っておると、そして、よそのほうはついてこいと、極端に言いますと、そういうふうな体制にありはせぬかという懸念があります。学者的なかたぎもいろいろありましょうが、それまでいろいろ言うわけにはまいりません、研究体制というものは十分尊重しなければなりませんから。ただやはり、組織の中で日本の全体的な宇宙開発というものを考えましたならば、そういう学者の独善というものは許すべきじゃなかろう。したがって、いま大臣がおっしゃいましたように、これはまた別の機会で各省庁の代表、責任者の皆さんからいろいろ御意見を拝聴しながら、その結論を見出していきたいと思うのであります。  次に、各民間の会社に品物を発注いたします。さっき岡野審議官からお話がありましたように、たくさんの工場に研究したものを、アイデアを示して仕事をしてもらわなきゃなりません。普通の役所でありますと、たいへんな判こをもらいまして発注されるはずでございますが、学問的な研究でありますから、やっぱり学者のいろいろの、相当の指導権といいましょうか、権威というものがありまして、学問的なものがストレートに民間の会社に発注されるような事実はないか、こういうものについて——事実はあるんでありますけれども、さっき岡野さんがおっしゃいましたように、たくさんの会社に仕事をさしておられるようであります。そういう場合の予算の使い方などについての文部省としてのコントロールなどは、あるのかないのか、お聞きしておきたいと思います。
  110. 岡野澄

    ○説明員(岡野澄君) 観測用ロケットは、研究開発の途上にありますために、その経理事務につきましては、一般の工事あるいは資材の購入の場合とは異なって、専門的な知識を必要とする面が多いのであります。したがって、事務処理にあたっては、研究所と始終緊密な連絡をとって実施しております。このような現状でございますが、予算の執行につきましては十分注意しておりまして、適正に実施されていると存じます。
  111. 小柳勇

    小柳勇君 民間でつくりましたこのロケットですね、外国から発注されている、これはもう大臣も御存じでありましょう。通産省のオーケーだけとりますと、貿易品として外国に販売されているわけでありますが、そういうものについて、文部省としてはどういうふうな見解を持っておられるのでありましょうか。
  112. 岡野澄

    ○説明員(岡野澄君) 御指摘の問題は、インドネシアにロケットが輸出されたことに関連しての御質問だと思いますが、国の立場といたしまして、あるいは文部省の立場といたしましては、観測用ロケットが、設計が全国の研究者の衆知を集めてまとめられ、研究所はこれに基づいてメーカーに発注、製作を行なっている。で、製作されるその観測用ロケットは、観測対象によってその性能は区々でございますけれども、いずれにしましても、その打ち上げによって学問的に必要なデータが取得できれば、国費を使用してのロケットの観測の目的は達せられると、こう考えている次第であります。
  113. 小柳勇

    小柳勇君 外国から東京大学宇宙航空研究所に、こういうロケットをつくってくれないかといって注文をすると、それをメーカーに頼んで、そこから先、もう文部省の所管でなくて、今度は貿易品として通産省のオーケーで販売する、こういうことでございますか。
  114. 岡野澄

    ○説明員(岡野澄君) 観測用ロケットは、観測研究のための手段として研究開発されたものでございまして、商品化することを目的としたものではないわけでございます。しかし日本が、先ほど申しましたように、国際的な宇宙空間研究委員会というのがございまして、それに加盟しておりまして、その申し合わせでは、その加盟した国からわが国の観測ロケットを用いての観測実施について協力を求められた場合には、日本としましては、東大としましては、その国際協力の原則によってこれに協力する立場にあるわけでございます。で、インドネシアの場合におきましては、昭和三十八年の夏に、インドネシアの学術会議の関係者が、東大の宇宙航空研究所を訪問しまして、インドネシアの宇宙科学研究に対しまして協力を求めてまいりましたので、研究所はこれに対して助言を与え、研究の実施に必要な知識を与えたということでございます。これに基づきまして、インドネシア政府が、わが国の商社に購入発注したということでございます。
  115. 小柳勇

    小柳勇君 いまの、その前のほうをもうちょっと、私、聞き取れなかったのですが、こちらの大学の研究所の所員がインドネシアに何か研究に行ったと、そのときに向こうの研究所から頼まれたのですか。そこのところをもう少しはっきりお願いします。
  116. 岡野澄

    ○説明員(岡野澄君) 昭和三十八年の夏に、インドネシアの学術会議の代表者が日本を訪れて、東大の研究所を訪問したということでございます。
  117. 小柳勇

    小柳勇君 そういうのは、東大のほうの研究所でオーケーと——研究的な協力体制というものは、文部省はもうノータッチでいいような体制でございますかね。
  118. 岡野澄

    ○説明員(岡野澄君) 観測用ロケットの成果は、観測用ロケットの設計研究成果を含めて公表しているわけでございますから、それを見て、これはほしいということになるわけでございまして、別に制限は加えておりません。
  119. 小柳勇

    小柳勇君 研究するためには、国の費用が二十七億出るわけでございますね、研究費として。だから、それを研究いたしましたものが公表されるから、それをメーカーがつくりまして商売にすると、そういうときには、国の研究成果というものは自由に商品として外国に販売できるんでしょうか。
  120. 岡野澄

    ○説明員(岡野澄君) 大学における学術研究は、研究者の自主的な判断によって発表されるのが現状でございます。で、多くの研究のうちには、企業上これを利用すれば有利となると思われるものもありますので、このようなものについては国有特許という制度があるわけでございます。しかし、研究の進展が非常に激しいので、このような成果が特許になり得るかどうか、非常に困難な問題があるわけでございます。したがって、国立大学において研究した成果について、これを国有特許にするかどうかということについては、その性質上、各大学長に委任しておるということになっております。
  121. 小柳勇

    小柳勇君 国有特許につきましては各大学…、ちょっといまのところ、どういうことでございますか。もうちょっと詳しく教えていただきたい。
  122. 岡野澄

    ○説明員(岡野澄君) 科学研究の成果が、企業化してそれで利潤をあげるかどうかという判断は非常に困難でございます。それで、国立大学における研究成果について、これを国有特許にするかどうかという判断は、各大学長に委任しておるということでございます。
  123. 小柳勇

    小柳勇君 いまインドネシアの話がありましたけれども、ユーゴその他にも日本のロケットがいっておるようでありますから、これも資料としてお出し願いましょうか。いままでに研究された成果が、商品として外国に出た、そいつを資料として御提出を願います。  いまのは大臣、どうでしょうか。二十七億の研究費で開発——これは実際はここにも書いてありますように、重要基礎研究費ですね、文部省の予算は。だから開発されたものが公表される。しかし、それでもそれがそのまま外国に、商品としてメーカーがそれをつくりまして外国にいく。もちろん国有特許ではない。ないでしょうが、それがそのまま商品として販売されるというようなことについては、大臣どうお考えになりますか。
  124. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 先ほど岡野審議官から申し上げましたように、宇宙物理現象の研究調査並びにそのためのロケット構造その他の研究、こういうものを研究目的としているわけでございまして、できました資料、データは、ことごとく公表することになっておりますのと、もう一つは、国際協力の意味で宇宙空間研究委員会というものが、俗にコスパルといっておるようですが、そういう国際的な委員会の組織がありまして、日本の国も加盟をいたしております。ここにはやはり国内に公表すると同じように研究の成果を公表するということになっておりますので、やはりほかの加盟国がコスパルのメンバーとして、日本で開発されたものを商社に注文をし、商社が、宇宙研なら宇宙研が発注をしました何十カ所の場所に同じような部品を注文して、そうして輸出をされるということにつきましては、これだけ国費をかけて研究しておるものでありますから、そうした姿になることが望ましいのか望ましくないのか、私どもも若干疑義を持つのでありますが、まあしかし、たてまえがこうなっているものですから、インドネシアの場合には、日本の商社にそういう注文をしまして、そうして組み立てを行なった、こういうことでございますから、どうもそれはけしからぬと、こう言えるようなぐあいにもなっていない。特に日本の宇宙研に関係しております糸川教授は、国際機関であるコスパルのロケット実験場技術委員会の委員長というものをやっている、こういう関係で、日本の開発したものは、この国際委員会にそのまま報告をされておる、こういうことになりますから、日本としてはこれだけの研究費を投じておりますが、ロケットの構造を研究し、あるいはその成果を確かめ、あるいは宇宙の現象の実験をして、その開発並びに資料を整備するということが、この研究の目的でございまして、いま申し上げたような国際機関などができておる関係からいいますと、絶対どこへも出しちゃいかぬのだ、これは極秘にかかえておくべきものなんだ、こうも言えないような組織になっておりますので、まあ支障がないものと見てしかるべきではないかと、私はそう思っておる次第でございます。
  125. 小柳勇

    小柳勇君 防衛庁の装備局長にお尋ねいたしますが、防衛庁の装備局でもロケットをいろいろ研究しておられるようです。つくろうとしておられるようですが、東大の宇宙研究所などの御指導も仰いでおられると思うのですが、そういうような技術的な横の連帯についてはいかがですか。
  126. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 御指摘のように、私のほうでもロケットの研究開発をいたしておりますが、これの開発につきましては、ただいまお話がありましたような大学関係、あるいは科学技術庁の研究開発関係というものからの援助を実は受けておりません。独自な立場での研究開発をいたしております。と申しますのは、私のほうですでに開発を完了いたしまし対戦車誘導弾、あるいは空対空のロケット弾などというものがありますし、それから現在開発中のもので、30型のロケット弾、及び赤外線ホーミングの空対空誘導弾などがございますけれども、こういった特殊な目的といいますか、私のほうで開発をいたしますのは、非常に特異な目的のためにつくられるものでございます。こういったときに、私のほうで重視しますのは、目標に対する命中精度というようなこと、あるいは目標に対する打撃効果というようなことが非常に重視されることでありまして、そういった点から、たとえば誘導方式のものも、ホーミング方式のものでございますれば、相手に対して追尾をする能力等が付随して一体となったものの完成が要求されるというようなことでございまして、そういった独自な要求性能に応じた性能、諸元、構造というものがございますので、独自な立場で研究をいたしております。なお、私のほうの目的から秘密というものが要求される点が多々あるわけでございまして、そういった点からもやはり独自の立場でやることが非常に必要だというような場合がございますので、現在のところ、横の連携と申しますか、技術提携なり、あるいは指導を受けるというようなことはやっておりません。
  127. 小柳勇

    小柳勇君 科学技術庁の調整局長に伺いますが、おたくのほうでもロケットの開発をやっておりますが、東大物理学研究所との関連はいかがですか。
  128. 高橋正春

    政府委員(高橋正春君) 具体的に申し上げますと、先ほど文部大臣からも御答弁のございましたように、当庁の宇宙開発推進本部長を東大の宇宙航空研究所長高木所長に兼任していただきましたということに端を発しまして、たとえて申し上げますならば、私のほうの宇宙開発本部の中に技術委員会というものを設けてございます。これは、所長の一つの諮問的な、技術的な機関と理解していただいてよろしいと思いますが、さらに、東大のほうから岡田教授以下五名の先生方に委員としてお加わりいただきまして、これに私どもの本部並びに同じく当庁の所管いたします航空宇宙技術研究所の研究員も加えまして、ここにおきまして、私どものやりますロケット開発につきましての御示唆をいただいております。  なお、関係各省との間には、宇宙開発本部の設置規制に基づきまして、運営委員会というものが設けられておりますので、本部のロケット開発に際しましては、運営委員会におかけいたしまして、関係各省からの御示唆なりをいただくいうとことになっております。  なお、今後の開発につきましては、宇宙審議会の第三号答申にもございましたように、「一元的な機構が整備されるまでの過渡的措置として、当面各省庁行政機関において行なう宇宙開発の実用化と、大学において行なう宇宙科学の研究を相互に密接な連繋のもとに進めるため、本審議会をその相談しあう統一の場として随時活用することとする。」という御答申がございますので、昨年以来、各省庁のいわゆる長期計画というものを宇宙開発審議会におはかりいたしまして、目下御審議をいただいております。以上でございます。
  129. 小柳勇

    小柳勇君 防衛庁のほうは、東大宇宙研とは別個に研究しておられるのですか。科学技術庁のほうでは東大宇宙研のほうから御指導をいただきながらやっておられる、科学技術庁宇宙開発推進本部が、第一回のロケット飛しょう実験をやっておりますが、それは防衛庁の新島試験場を借りているわけです。そして、やりましたときに、現地に協力した人が、科学技術庁とそれから防衛庁、会社関係では三菱重工、三菱電機その他気象庁などもあります。それから海上保安庁が海上警戒に当たっております。したがって、これは防衛庁も運輸省も、それから科学技術庁一体となって飛しょう実験をやっているのですけれども、防衛庁のほうは、これはそっちのほうに行っておられるのですから、防衛庁がやられたのは科学技術庁が聞いておる。こうこうことで、これはやはり専門家が見ればどういうものかわかりますよ、飛しょう実験というものは。同じように新島試験場を使っているのですから。そこで私、防衛庁のほうに聞きたいのだけれども、おたくのほうで研究いたしまして本体をつくりますのは、一体どういうところですか、工場は。
  130. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 私のほうの研究体制は、基礎的な研究と、それからそれに関連しました試験は私のほうの研究所でやっております。そのあとで、試作の仕様書を一定の能力を持った会社に渡しまして、それで調達いたしておりますが、現在までに開発をいたしましたものでは、30型のロケット弾についてはプリンス自動車工業でございまして、それから対戦車誘導弾は川崎航空機株式会社、それから空対空の開発中の誘導弾につきましては三菱重工、それから、空対空の誘導弾でございますが、これの訓練弾でございますが、これはプリンス工業でございます。
  131. 小柳勇

    小柳勇君 そうなんです。防衛庁のほうも文部省のほうも科学技術庁のほうも、プリンスとか三菱重工とか、つくるところはみな同じなんです。そうして防衛庁は秘密だといって、速度などは未公表なんですけれども、研究体制は別だとおっしゃる。頭三つで研究しておりまして、研究したものをつくるときは、プリンスとか三菱重工とか、みな同じなんですが、そうして今度は、防衛庁は秘密だとおっしゃるのです。文部省はこれは特許ではないから売ってもそれはとめられませんとおっしゃる。科学技術庁としては、これからひとつ防衛庁と一緒になって、ロケットの研究をしなければならぬといっておられる。これこそ、頭隠してしり隠さずです。頭三つありますけれども、からだは一緒になりまして、下のほうは一緒になっているわけです。そうして実際研究している機械、部分品など一切の青写真を引いて、研究しているのはむしろプリンス工場の技師などという人ではないかと思うわけです。それも資料もありますけれども、そういう体制で、ほんとうに防衛庁としても、これはことに科学技術庁としても、おのおの独自の研究でございますということで済まされるでしょうか。合計いたしますと四十億の予算、いうならば、防衛庁のほうは秘密でございますといっておられますけれども、そのままある場合には外国に売られているかもしれない、同じような工場でつくるのですから。ここに、今回の資料は未公表でありますけれども、おそらくもう外国では日本の防衛庁の研究結果というものも全部わかっているでしょう。私どもは、防衛の武器ですから、攻撃のための武器云々というのと少し違うかもしれませんけれども、防衛庁がいま秘密でございますといって、研究体制も東大の宇宙研と別に研究しておりますとおっしゃるけれども、実態は同じでしょう。そういう体制をばらばらにしておいて、一体日本の宇宙開発などといって、ほんとうにナンセンスではないかと思うわけです。そうして学者は、それはもう多いのですから、ほかからチェックできないでしょう。学者がこれだけのものを、アイデアを与えまして、これは一億である、あるいは十億である、きめたらおそらくはかの事務当局の事務官はチェックできないでしょう。研究した成果は、今度は貿易品として外国に売られていく、片や、防衛庁は一生懸命日本の秘密でございますといって研究している。そういう実態を私ども国会としても見過ごせないものですから、私もずいぶんこれはどうしようかと思って、総括質問もしなかった。一般質問もしなかった。しかし、きょう私はこれをやはり一石投じておいて、これから一緒に研究しなければ、日本の宇宙開発とかなんとかいったって、ほんとうに四十億の予算を使っているというだけじゃないか、国民に申しわけないのじゃないかという気がする。もちろん学問ですから、私ども決して学者の研究にブレーキかける、そんなことは絶対みじんも考えておりません。十分研究していただきたいが、そういう体系のないことで一体どうなのか、文部大臣いかがですか。
  132. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 方向は類似なことをやっているわけでありますが、私も詳しくは存じませんけれども、おそらく防衛庁でやっておられるのは、たとえば戦車なら戦車を目標に、遠距離から命中率がどうなるか、ミサイルということばが当たっているかどうかわかりませんが、そういうような遠距離から一定の目標物に命中をさせる、こういうことが一つの目標であろうと思うのです。私ども所管に当たりまする東大宇宙研としましては、ロケットを打ち上げることにより、また、打ち上げの技術をいろいろ研究開発する施設、そのロケットを打ち上げることによって、打ち上げるロケットにはいろいろな観測用の計器等を塔載いたしまして、宇宙物理現象を研究するということが目標であります。それから科学技術庁のほうでやっておられるのは、ロケットの利用といいますか、まあ私ども感じておりますところでは、気象観測に使うとか、あるいはまた通信用に使うとかいうことであるわけでありまして、目標はそれぞれ違っておるわけであります。しかし目標が違っておりながらも、東大宇宙研の超高空物理現象の研究と、それから通信とか気象現象の研究ということとは、非常に近い点があると思うんです。したがって、東大宇宙研でこういう超高空の物理現象を研究しておる段階において、たとえば四段式のロケットを打ち上げて、最初の頭は方向を転換して人工衛星にすることができたということになりますと、これは人工衛星として直ちに科学技術庁が研究しておりまする通信用とか、あるいは気象現象の調査とかいうことに利用できるわけでございますから、そこまで届きますとまあ一体になった姿になり、あるいは場合によっては一体にした——場所等別がいいのか、あるいは内え浦の宇宙研でやっておるところで、ロケット打ち上げ用の設備がある以上は利用して、このロケットの宇宙利用といいますか、気象現象を見たり、あるいは通信用に使う人工衛星を打ち上げたり、こういうことに、その辺で大体こう一緒になっていくんじゃないか。ですから私も、いまの科学技術庁と東大の宇宙研のあり方というものは、永久にこれでいいかというと、やはりどこか相当の成長過程において合体をし、あるいはこちらの技術が先へ進んで人工衛星というものができるならば、その人工衛星は今度は気象現象を調査したり、あるいは通信に利用したりするほうの、科学技術庁のほうのロケットのほうに技術なり仕事を移してもいいんじゃないか、こういう時期がいずれ来ると思うんです。これらも聞いておりますというと、いまのロケットの打ち上げ状態、それから四段式の開発、四段式になれば一番の頭を方向転換をして人工衛星にすることができる。まあ大体昭和四十二年ぐらいにはその目的が果たせるんじゃないかといわれておるようですが、はたしてその予想どおりにそういう時期にそういう目的が果たされれば、これは科学技術庁のほうのお仕事と合体をしてきてその部分についてはよろしいんではないかというような感じをいま持っておるわけでございますが、現状のところでは、それぞれその目的が違うものですから、また、防衛庁の分は、これは確かにわれわれのほうでやっておるのと違う。われわれのほうは人工ロケットを打ち上げていろいろなデータをとり、いろんな計器を載せていって調査をする。あるいは科学技術庁にしても、それを打ち上げることによって気象研究なり気象現象なり通信に将来は利用しようということでありますが、どうも防衛庁のほうのはちょっと目的が、つくっていく過程やなんかでは似たような部分がたくさんあるのかもしれませんが、目標はやはり違うんじゃないかと思いますので、まあ現階段では、こうした方向でそれぞれ熱心に研究をしていただいて開発をすることがよかろうと、こう現在は思っておるわけでございます。
  133. 小柳勇

    小柳勇君 時間がありませんから、もうきょうのところの質問の結論にいたしますが、文部省としても二十七億の予算を研究体制としておとりになりましたら、あと学者の研究によってアイデアが全部民間の会社に流れていきます。それは一部はロケットとして飛んでいって海の中に落ちる、あるいは観測する場面もありますね。一部はアイデアが外国に貿易品として売られるでしょう。科学技術庁のほうは、これからその四十二年、文部省の成果の上に人工衛星を飛ばせようとして研究されている。これもいいことでしょう。ただ、その予算でも、ことしの推進本部の予算四億五千六百万のうち、二億一千五百万は委託費です。民間委託研究費です。防衛庁のほうも、債務負担行為まで加えますと相当なものですが、独自な研究とおっしゃる、ところが、それは研究されたらやはりプリンスあるいは新三菱などにいってつくる、あるいはやっぱりこれは民間の研究者などが一生懸命研究しているわけですね、仕事をしているわけです、実際は。そこで、学術会議の答申は、一番初めに審議官がおっしゃった、こう書いてあるのですよ。「中央機関となる宇宙科学研究所は、大学又は文部省に次のような方針で設置する。1、新設研究所は、共同利用制とし、わが国宇宙科学研究の中心機関とする。2、その構成は、理学系基礎研究部、工学系基礎研究部、観測部の3部とする。3、全国の関係各研究機関との有機的連繋を確保するため、運営委員会をおく。4、同上の目的のため、客員研究、共同研究、分室等の制度を設ける。」と書いてある。でいけばですね、いまのようなこの三つの頭でしりのほうが一緒になっておるような情勢は早急に統合されまして、もう少しすっきりした日本全体の開発計画というものができはせぬかというのが一つ。  それから研究体制は、ある学者がそれは優秀な頭脳で研究されるでしょうけれども、実際それを形にあらわすのは民間の技師、研究者でありますから、だから役所だけの横の連携では、これはやっぱり何にもならぬのではないか。したがって、民間のそういう有能な設計、あるいはつくる人、製造するようなそういう人まで含んだ研究体制というものが確立されなければ、防衛庁のほうだって、それは安心して、私のほうは秘密でございますなんて言えませんよ。また科学技術庁としても、この推進本部がどんなに形だけありましても、文章としてはりっぱにありましても、それは推進本部にならぬではないかという気がいたします。したがって、そういうものは、私もこれから一生懸命勉強いたしますが、文部省としても、東大の宇宙研究所の皆さんに、本日のこの委員会の審議のありさまをお伝えいただきまして、そういう体制を一日も早くつくっていただきたい。そうしてこの学術会議とか宇宙開発審議会とかというものをもう少し権威あらしめて、そういうものが中心になってやっぱり研究する体制を持っていきませんと、地方大学などでは、東大宇宙研究所けしからぬという声もあるでしょう。学術会議の中にも、そういう声があるかもしれない。したがって、そういうものを、私はまず一石を投じようと思って質問したわけですから、あとまだ問題たくさんありますけれども、もう時間ありませんから、きょうは私の質問は終わりますけれども、質問しましたいまのところを、文部省、科学技術庁とも御理解あって、次にまた質問いたしますときに、また資料を提出など、きょうお願いいたしましたから、出していただきまして、その資料でまた一緒に勉強していきたいと思います。
  134. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 先ほど来の御意見に対しまして、一点だけお答えをいたしたいと思います。  先ほど来申し上げましたように、私のほうは特殊の目的を持ったものでございますので、試作の過程でまあ一般的に利用される、知識としては利用されるものもあろうかと思いますが、でき上がってまいりますものの機能なりあるいは構造、構成というものは非常に特殊なものでございますので、その点はなかなか一般に利用できないものが相当含まれるというふうに考えております。  なお、秘密の問題は、そういった点に主として出てまいりますので、まあこれが外に漏れないような方法といたしまして、私ども試作の契約をいたしますときに、会社との間で秘密保持の条項を特に入れまして、外に出ないようにという配慮をいたしております。そういう点も引き続きやっておりますので、一言だけお答えをいたしておきます。
  135. 小柳勇

    小柳勇君 またあとやりましょうよ、そういう問題は。
  136. 石本茂

    ○石本茂君 私は、文部大臣にお伺いしたいと申しますのは、四十一年度予算の重点施策といたしまして、第二のところに、大学教育の拡充ということがあげられております。で、これは文章の中で拝見いたしましてけっこうなことでございますし、もちろん教育の体系というものは、国策の線に沿いまして立てられていくものでございますことも承知するものではございますが、私も一点ちょっと疑問に思いますことがあります。と申しますのは、この大学教育、この中で、特に教長養成等の点につきましても相当考慮されておるようでございますが、現在、国立の中にも、新たに保健衛生に関します学科目としまして、四十一年度から熊本に一つの大学ができるように伺っておりますし、いままで東大の衛生看護学科——当時は衛生看護学科と申しましたが、いまは衛生保健学科となりましたが、そういう大学にもございますし、それから民間にもございます。それから、三年制の短期大学も数校ございます。それでございますのに、どうしてこれらの大学において教べんをとっております保健看護の専門家に対しまして、教職員としての教育等のことが考慮されてこなかったのか、あるいはまた、今年度におきましても、いま申しましたそういう専門学校、これは三年制でございますが、三年制専門学校、四年制大学が現にあるにもかかわりませず、なぜそれらの学校における看護教師のために配慮されておりませんのか非常にわかりませんので、これだけぜひお聞きしたいと思うのでございます。お願いいたします。
  137. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 御承知のとおり、養護教諭の数が非常に現在のところ足りませんので、本年も設置法を改正いたしまして、三つの大学に養護教諭養成所をさらに増設をしようと、今後もさらに増設をいたしませんと、養護教諭の充足ができないようなわけでございますが、そういう趣旨で努力をいたしておるような次第でございます。  なお、こまかい点につきましては、関係局長から答えさせます。
  138. 石本茂

    ○石本茂君 大臣、いまおっしゃいましたのは、養護教諭といいまして、小・中学校あるいは高等学校における養護関係の担当者でございまして、看護学校教育のためのものではないのでございます。しかし、それはまた後ほど御意見をちょうだいいたしますが、もう一つ、ぜひお伺いしておきたいと思いますことは、従来国立学校などで、民間には大学、専門学校などがございますので、国立におきましてぜひ短期大学というようなものを設置してほしいというようなことは、ただだてや酔狂ではございませんで、実際に保健衛生の面で働いております保健婦、助産婦、看護婦等の教育の必要性におきまして、それをたびたび当事者どもお願いしてきたわけでございますが、今日に至りましてもなかなか実現が不可能なのでございますが、そういう国立大学教育の系列の中で、いま申しました保健、医療の現場で働いております保健婦、助産婦、看護婦等の教育は必要ないという考えが、文部省の中に……、特に大臣、このことについてどのように考えていらっしゃいますか、お伺いしたいのでございます。  保健婦と申しますのは、保健所等におりまして、一般国民の保健に関する指導をいたしております。助産婦は、御承知いただいておりますように、母子保健の場で働いております。看護婦は、病院の中におりまして、病に倒れております——子供もおります、おとなもおります、老人もおります、非常に広い階層の者を対象にいたしまして、医師とともにそれらの方々の健康回復に努力をいたしておるつもりでございます。大ぜいおりまして、いろんなものがおりますが、真実、こうした仕事の場におります者にとりましては、非常に豊かな教養と幅広い人間性というものが、単に技術だけではなくて、非常に強く要求されてきているのが現状でございます。それでございますのに、国の文部省がそうした面の教育につきまして、何かあまり意を用いていただけないというようなふうに考えるものですからこういう質問をいたしておるわけでございますが、それらにつきまして、大臣、どのように総合的にお考えになっておられますか、お伺いいたします。
  139. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 実は先ほど勘違いをいたしまして申しわけございませんでしたが、看護関係、また、保健婦、こうい方々の養成は、現在の諸情勢から見まして非常に緊迫をしておる大事な問題であると思います。高等学校にはたくさんの衛生看護科ができて、活発に養成をしておる段階にございますが、さらに、この高等学校の衛生看護科でそうした衛生看護に関する教べんをとっていただくような人材の養成も非常に必要でございます。熊木大学の衛生看護科教員の養成課程、このほかに、今年もまた、ほかにも、実は短大等の組織で予算要求をいたしましたが、いろいろな関係で目的を達することができませんでした。今後もわれわれとしましては、こういう教べんをとっていただく方々の、衛生看護教員の養成、さらにまた衛生看護の方々を大いに養成するほかの道、こういうようなことにつきましては、引き続き一そう力を注いでまいりたいと思っております。  詳細の点につきましては、関係局長からお答えをさせまして御理解をいただきたいと思います。
  140. 石本茂

    ○石本茂君 もう一つだけ大臣に、私お願いというかっこうになるかもわかりませんのですが、たとえば大学教育の拡充という文書の中に、中途辺でございますが、工業高等専門学校というのが全国に相当数ございます。五十校近いと思うのですが、この教育はもちろん産業開発というようなこととあわせまして、国策の線の中でこういう学校ができたと思うのでございますが、しかしながら、先ほど申しました保健衛生というような分野に働いております者の必要性というものは、全然性格が違いますし、働く場所も違いますが、こうした人方のより健全な条件というものを確保するためにこそ、保健があり、医療があると私ども一国民としては思うのでございます。そうした面で、生産上関係はありませんが、もっと必要な基本的な条件の中でこそ、これらの人々が非常に重要な役割りをしておるというふうにも考えられますので、こうした学校の進展と同時に、片や、それらの人々の幕府的な条件を確保していくであろうところの病院に働くところの医師、歯科医師、薬剤師、これは立て役者でございます。主導権を持つ人々でございます。そのためにわきにおりますところの保健婦、助産婦、看護婦などが、現に各種学校を通りまして——高等学校を出て、三年ないしは四年の教育を受けておりますにもかかわらず、先ほど来由しておりますように、文部省自身が、国の大学等の系列の中にそれをお入れになる意思がないばっかりに、非常に下積み的な役割りをしておるというような感覚を社会の皆さんがお持ちのように思います。そういうことは私、片手落ちのように思いますので、今年度は、予算のときには配慮されなかったようでございますが、先ほど申されました高等学校の旅費のほうは、配慮していただきましてありがたいと思っておりますが、それよりもう一つ高いクラスの学校もあるのでございますから、その学校の教師のことも——そういう学校につきましては本年度は無理でございましたら、ぜひ来年度におきまして、大臣おやめになっておられるかもわかりませんが、あとの方にどうぞ強くバトンタッチしていただきたいということを含めまして、たいへん失礼なことばを吐きましたが、ぜひこのことを何とか実現できるように御配慮方をお願いいたしたいのでございます。一応、大臣お願いしたいのは以上でございます。  あとは各部局の長の方にお伺いいたします。
  141. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) まことにごもっともな御指摘でございます。現在、工業技術者の養成のために、中学を終わりましてから、五年制の高等工業専門学校、高専制度ができて、相当の数竣工いたしておりますが、大学生急増対策の一つとしましても、大いにこういう、御指摘のようないわゆる職業教育で、そうして四年制の大学であればなおけっこうですが、それに近いクラスの人材養成ということはたいへん大事なことだと私自身も思っております。そういう方向に向かいまして、今後、文部当局としましては努力をいたすように  いたしたいと思っております。
  142. 鬼木勝利

    主査鬼木勝利君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  143. 鬼木勝利

    主査鬼木勝利君) 速記を起こして。
  144. 石本茂

    ○石本茂君 文部省の担当局の局長さんにお伺いしたいのでございますが、今度の四十一年度予算の中で特殊教育に関します予算相当額とれております。これは非常に嬉しいことなんでございますが、実は、私は都道府県に参りまして聞くことの一つですが、また、そういう母親方からも訴えてきておることの一つでございますが、特殊児童の中に言語障害児、いわゆる狼咽でございますとか三つ口とかいうような子供が、いわゆる言語障害のために、頭脳は一人前でございますが、ことばが十分いい発声ができないままにだんだん取り残されていっております。この子供の救済方につきまして、教育の面にもなりますが、都道府県庁に参りますと 文部省からはそういう児童についての対策は指示されておりませんということで、多くの数ではございません、こういう子供は非常に特定な子供で少数ではございますが、一県一学級ぐらいはできると思うのでございますが、そういうことで取り残されてしまっておる。千葉で何かモデル的なものが一校だけできておりまして、そこにおります子供は非常に幸いしておるようでございますが、こういうことにつきまして、将来を含めて、四十一年度予算関係の中で何か御配慮をいただいておりますものか、全然そういうふうなことを考えておられませんものか、お伺いしたいのでございます。
  145. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) ただいまお話がございました言語障害児でございますが、これはいろいろな種類がございまして、主として特殊学級で扱うのは、どもり、発音障害、それから声の障害、それからいま御指摘のありました口蓋裂というものでございます。この口蓋裂は、文部省といたしましては特殊学級の中で扱うように指導しておりまして、もし、その指導が県によって徹底いたさないような実情でございますならば、さらに強力に指導いたしたいと思います。で、教育方法につきましては、いま御指摘ありましたように、千葉を含めまして三県で実験的にやっております。  それからなお、教授能力の向上という面では、本年度内地留学の制度を設けまして、これは金額としては多うございませんけれども、長年の懸案が解決いたしまして、いま研究機関等に御依頼をいたしまして、これをお引き受けを願っておるような実情でございますので、そのことも、いまお話の分野の教育に役立つことだろうと思います。  それから特殊学級自体は、年次計画によりまして、本年度もさらに一千学級増加するような予算措置を講じましたから、いまお話の言語障害児等につきましても、現在は数が少のうございますが、小・中合わして十七だと思いますけれども、今後、特殊教育の分野の中で、いまお話のような事情で困っておる方々の就学を促進するように私たちも努力いたしたいと思います。
  146. 石本茂

    ○石本茂君 ちょっと確認しておきたいと思いますが、その都道府県の多くに言われますのは、めくらでございますとか、ろうあの子供につきましては、県立等で考えておりますし、また、学校によりましては特殊学級を設けてありますけれども、いま申しました言語障害児というのは、そういう県立などには当然入っておりませんしということであったと思いますが、じゃ、もうすでに指示はされた、現に、そういうようなことについてはもう手をつけておいでになるということを確認さしていただいてよろしゅうございますか。
  147. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) お話のように、難聴、脳性麻痺、あるいはことばの発達の遅滞の児童、そういう観点に立ちますところの言語障害児は、いま御指摘のありました養護学校というようなところ、あるいはろう学校で扱っておるのでございますが、その他の言語障害児につきましては、文部省といたしましては、小・中学校の特殊学級で扱うというようなことにいたしております。現在、言語障害の特殊学級が小学校十六、中学校一つでございます。
  148. 石本茂

    ○石本茂君 わかりました。  今度はちょっと方向が変わりますが、先ほど大臣にもお伺いしておったことでございますけれども、四十一年度予算で結局ゼロ査定に終わったことでございますが、例の看護短期大学の三校のうち、一校も入ることができなかった原因といいますか、なぜゼロ査定に終わりましたかということをお知らせいただきたいのでございますが。
  149. 木田宏

    ○説明員(木田宏君) 端的に申しますと、私ども努力が足りなかったからというふうにお答え申し上げるほかないのでございますけれども、最後になりまして、いろんな狭いワクの中で新たな体制を考えました際に、高等学校の看護課程がずっとふえてまいりましたので、そちらの教員の養成のほうを先にということで、まあ二者択一を迫られざるを得なかったといったような実情にあったわけでございます。現在、まあ私ども考えておりました看護短大は、大きい大学の付置の看護学校を充実したいということでございましたが、これは現にその活動があるわけでございますから、現在体制のとれていない看護の教員養成の課程を新たにつくるということを先にしたほうが少しでも意味があろうかというふうに考えた次第でございます。
  150. 石本茂

    ○石本茂君 私、申すまでもございませんが、この高等学校の系列を出てまいります人たち、将来看護の道に行きます場合には、准看護婦といいますか、指導権を持たないほんの補助作業の人々なんです。もう一つは、先ほど来言っておりますのは、これは指導性を持っておりますいわゆる正規の看護の課程でございますので、二者択一と言われますけれども、事の時点は違うと思うのでございます。看護の関連ではありますけれども、そういう意味で、通らなかったものについてとやかく言ってもしかたがないのでございますけれども、そういうふうな一連の関連において見てくださるのでなくて、やはり看護と一口に言われましても、そこには段階がございますので、一番下の段階で、だれでもできるような下働きのようなことのために、そのための教育の振興に一そう力を入れていただくよりも、やはり中心的な役割りをするもののほうにも、五分五分のお力をいただきませんことには、先ほど来申しております医療、保健の現場の完全な発展もないし、そこにおいでになります多くの人方のしあわせもないというふうに考えますので、どうぞそういう点につきまして、もう一度、将来の構想も含めまして、どういうふうにお考えでありますか、お聞きしておきたいと思います。
  151. 木田宏

    ○説明員(木田宏君) 石本委員御案内のように、看護関係の職員を正規の学校制度で養成するということが始まりましたのは、もちろん短大あるいはすでにできております聖路加等、正規の大学、短大として教育しているものもございますが、大部分はこの各種学校というようなシステムで運営されてまいりました。しかし、厚生省の御当局のほうもこうした要員の内容の充実をはかります上から、正規の学校制度の中でそういう専門の職員養成を考えたほうがいいという御説明もございました。高等学校の段階では、三十九年度あたりから急速に逐年伸びてまいっておるわけでございます。いま高等学校ではやがてこの卒業生もだんだんと出てまいると思いますが、そういう方々が正規の学校として入るべき短大ということを当然私どももまた学校制度の中で考えていかなければならぬと思います。先ほど申しましたのは、事柄としては、確かに委員御指摘のような実情にあるわけでございまして、高等学校の看護課程の教員養成と、それから高等学校から出てまいりまして大正レベルで正規の看護婦として養成しなければならないものの体制とは、おのずから別なんでございますが、すでにまあ既存の制度もあること、それからなお現実に予定いたしておりました各大学自体の看護学校という実態があること等を考えまして、やむを得ずこちらをあとにしたということでございます。今後できるだけ学校制度の中で少しでもそうした方々の教育の足場を築いていくということにつきましては、積極的に取り組みたいと思っております。
  152. 石本茂

    ○石本茂君 次にお伺いしたいと思いますのは、大学、特に医学部を主体にしておりますところに付属の病院がございます。この付属の病院では、ほとんどいまの日本の助産婦教育をもう一〇〇%をまかなっていただいているといっていいぐらいに、この助産婦育成には非常な特段の配慮をいただいているわけでございますが、ところが、この人方が、やはり先ほど来申しておりますように、各種学校規程の上に立った各種学校教育でございますので、非常に高度な教育と高い技術を持っておりますにかかわらず、なかなか地位とか身分のことも問題があります。  それからもう一つ、自分の病院の中で、付属機関の中で育成されましたこの助産婦さんが日本全国に散らばっていらっしゃるわけでございますが、大学病院の中で病院職員の職種の実態といいますか、あるいは要員の構成と申しますか、特に予算を背景にいたしまして助産婦という人が別途に考慮をされておりますのかどうかお伺いしたい。といいますのは、厚生省関係でございますと、看護婦の職種の中にほうり込んであるわけです。どこが助産婦やら、どこが看護婦やらわからないというかっこうでございますので、おそらく文部省はそういう不見職なことはやっていらっしゃらないと思いますので聞いておきたいと思いますが、お伺いいたします。
  153. 木田宏

    ○説明員(木田宏君) 前段の助産婦の教育の体制、これも御指摘のように漸を追いまして考えなければならぬ課題だと思います、看護婦と助産婦とどっちが先ということもあるいはあるかもしれませんが、私どもといたしましては、看護婦の養成の問題を何とかもう少し軌道に乗せたいという気持ちが一ぱいでございます。それとの関連で考えられることがございましたら、またあわせて検討してみたいと思っております。現に大学病院に位置づけられております助産婦とか看護婦の区分でございますが、給与法の扱いの上では同じように医療職の(三)ということで取り扱われておりまして、また、現実に私ども大学にその定員として配置いたします場合は、技官、雇員ということで、別角度からの定数の配分をいたしております。したがいまして、その中でどのように看護婦あるいは准看護婦、助産婦に区分しているかというのは、個々の病院の実情にゆだねているというのが率直なところでございまして、何か問題がありますればまた勉強してみたいと思います。
  154. 石本茂

    ○石本茂君 以上をもちまして終わります。ありがとうございました。
  155. 鬼木勝利

    主査鬼木勝利君) これをもちまして文部省所管に関する質疑は終了したものと認めます。  以上をもちまして、本分科会の担当事項であります昭和四十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中文部省、厚生省、労働省及び自治省所管に対する質疑は終了いたしました。  これをもって本分科会の審査を終了いたします。  なお、予算委員会における主査の口頭報告の内容及び審査報告書の作成につきましては、これを主査に御一任願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 鬼木勝利

    主査鬼木勝利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これにて散会いたします。   午後六時五十四分散会