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1966-03-30 第51回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月三十日(水曜日)    午後零時三分開会     —————————————    委員の異動  三月三十日     辞任         補欠選任     林  虎雄君      大森 創造君     林   塩君      石本  茂君      ——————————   出席者は左のとおり。     主 査         鬼木 勝利君     副主査         内藤誉三郎君     委 員                 梶原 茂嘉君                 草葉 隆圓君                 木暮武太夫君                 田村 賢作君                 大森 創造君                 小林  武君                 小柳  勇君                 石本  茂君    国務大臣        労 働 大 臣  小平 久雄君        自 治 大 臣  永山 忠則君    政府委員        行政管理庁行政        監察局長     稲木  進君        労働大臣官房長  辻  英雄君        労働大臣官房会        計課長      上原誠之輔君        労働省労政局長  三治 重信君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        労働省婦人少年        局長       高橋 展子君        労働省職業安定        局長       有馬 元治君        労働省職業訓練        局長       和田 勝美君        自治大臣官房長  松島 五郎君        自治省行政局長  佐久間 彊君        自治省選挙局長  長野 士郎君        自治省財政局長  柴田  護君        消防庁次長    川合  武君    説明員        自治省大臣官房        参事官      宮沢  弘君        会計検査院事務        総局第三局長   佐藤 三郎君    参考人        公営企業金融公        庫総裁      三好 重夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十一年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十一年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十一年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 鬼木勝利

    主査鬼木勝利君) ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。  本日の議事の進め方でございますが、午前自治省、午後労働省としまして、労働省が済めば文部省に入ることといたしたいと存じております。  昭和四十一年度総予算中、自治省所管を議題といたします。  まず政府から説明を求めます。永山自治大臣
  3. 永山忠則

    国務大臣永山忠則君) 自治省関係昭和四十一年度歳入歳出予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和四十一年度の自治省所管一般会計予算は、歳入三千二百万円歳出八千五十二億一千一百万円であります。  歳出予算では、前年度の当初予算額七千三百三億四千三百万円と比較し、七百四十八億六千八百万円の増額となっており、前年度の補正後の予算額七千三百一億五千六百万円と比較し、七百五十億五千五百万円の増額となっております。  この歳出予算額を組織に大別いたしますと、自治本省八千三十七億六千五百万円消防庁十四億四千六百万円となっております。  以下この歳出予算額のうちおもな事項につきまして、その内容を御説明申し上げます。  まず、交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるために必要な経費であります。  その総額は、七千九百二十二億八千一百万円でありまして、前年度の当初予算額七千一百六十二億一千一百万円と比較し、七百六十億七千万円の増額となっております。  この経費は、昭和四十一年度における所得税法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の三十二に相当する額の合算額に、昭和三十九年度における地方交付税でまだ交付していない額並びに昭和四十年度において借り入れる借り入れ金にかかる昭和四十一年度分の利子の支払いに充てるため必要な額を加算した額七千五百八億八千一百万円と昭和四十一年度における住民税減収等を考慮し、地方財政の健全な運営を確保するために地方公共団体に交付する臨時地方特例交付金四百十四億円とを合算した額を計上いたしたものでありまして、すべて交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れられるものであります。  次に、選挙の常時啓発に要する経費でありますが、その総額は、四億五千三百万円であります。  この経費は、正しく明るい選挙を強力に推進し、かつ、国民政治常識向上をはかるために必要な経費であります。  次に、永久選挙人名簿の調製に必要な経費でありますが、その総額は、四億九千一百万円であります。  この経費は、永久選挙人名簿制度を採用するための基礎調査として、選挙人の全国一斉調査を行なうため必要な経費であります。  次に、奄美群島振興事業関係経費であります。  まず、奄美群島振興事業費補助及び指導費等補助につきましては、十六億五千九百万円を計上いたしております。  この経費は、昭和三十九年度に策定された奄美群島振興五カ年計画に基づき、産業振興及び公共土木施設整備等を行なうために必要な経費であります。  次に、奄美群島振興信用基金出資金につきましては、五千万円を計上いたしております。  この経費は、奄美群島における産業振興に必要な金融円滑化をはかるため、奄美郡島振興信用基金に対する追加出資に必要な経費であります。これにより同基金に対する昭和四十一年度末における政府出資総額は、五億二千万円となります。  次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金につきましては、十五億円を計上いたしております。  この経費は、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に交付するため必要な経費でありますが、前年度に比し、一億円を増額しております。  次に、公共土木施設及び農地等の小災害地方債元利補給金につきましては、十四億二千一百万円を計上いたしております。  この経費は、昭和三十三年以降昭和四十年までに発生した公共土木施設農地等の小災害にかかる地方債に対する昭和四十一年度分の元利償還金相当額の全部または一部を当該地方公共団体に交付するため必要な経費であります。  次に、市町村民税臨時減税補てん債元利補給金につきましては、四十八億六百万円を計上いたしております。  この経費は、市町村民税課税方式統一等に伴う市町村民税減収を補てんするため、昭和三十九年度及び昭和四十年度に発行された地方債及び昭和四十一年度新たに発行される地方債に対し、昭和四十一年度分の元利償還金の三分の二に相当する額を関係市町村に交付するために必要な経費であります。  次に、地方公営企業財政再建につきましては、一億五千万円を計上いたしております。  この経費は、地方公営企業財政再建促進するため、赤字公営企業を経営する地方公共団体が起こす再建債利子の一部について国が補給金を交付するために必要な経費であります。  次に、新産業都市等建設事業債券調整分利子補給金につきましては、二億四千七百万円を計上いたしております。  この経費は、新産業都市建設及び工業整備特別地域等整備促進をはかるため、建設事業債特別調整分について国が関係道府県利子補給を行なう経費であります。  以上のほか、住居表示制度整備に必要な経費として四千六百万円、地方財政再建促進特別措置に必要な経費として一千九百万円、固定資産税特例債元利補給金に必要な経費として五千八百万円等を計上しております。  なお、公営企業金融公庫に対する政府出資金増額するための経費二億円が、別に大蔵省所管産業投資特別会計に計上されております。  以上が自治本省関係一般会計歳出予算概要であります。  次に、消防庁予算概要を御説明申し上げます。  まず、消防施設等整備費補助に必要な経費につきましては、十億七千二百万円を計上いたしております。  この経費は、化学車、はしご車、救急車ヘリコプター等科学消防力の強化並びに消防ポンプ自動車小型動力ポンプ防火水槽等消防施設整備及び無線通信施設整備等について、地方公共団体に対して、補助するために必要な経費であり、前年度の当初予算に比し一億一千四百万円の増額となっております。  次に、退職消防団員報償に必要な経費につきましては、一億六百万円を計上いたしております。  この経費は、非常勤消防団員が多年勤続して退職した場合にその功労に報いるため、国が報償を行なうのに必要な経費であります。  次に、消防吏員及び消防団員に授与する賞じゅつ金につきましては、一千万円を計上いたしております。  この経費は、消防吏員及び消防団員が職務を遂行したことにより災害を受け、そのために死亡し、または不具廃疾となった場合において功労があったときに、賞じゅつ金を授与するため必要な経費であります。  次に、消防団員等公務災害補償等共済基金に対する補助につきましては、四千万円を計上いたしております。  この経費は、基金が行なっている非常勤消防団員等に対する公務災害補償及び非常勤消防団員に対する退職報償金制度実施に必要な事務費補助するために必要な経費であります。  次に、科学消防等研究に必要な経費につきましては、四千万円を計上いたしております。  この経費は、科学消防技術開発向上をはかるため、消防研究所の行なう経常研究特別研究及び委託研究に必要な経費であります。  以上のほか、消防研究所の庁舎を新築するため一億三百万円が建設省所管官庁営繕費に計上されております。  次に、特別会計予算概要を御説明申し上げます。  自治省関係特別会計といたしましては、大蔵省及び自治省所管交付税及び譲与税配付金特別会計がありますが、本会計は、歳入八千八百七十億九千二百万円、歳出八千八百七十億九千二百万円となっております。  歳入は、一般会計から地方交付税交付金等財源として受け入れる収入地方道路税石油ガス税及び特別とん税の租税収入並びに前年度の決算上の剰余金見込み額昭和四十一年度において受け入れる収入借入金その他であります。  歳出は、地方交付税交付金臨時地方特例交付金地方道路譲与税譲与金石油ガス譲与税譲与金及び特別とん譲与税譲与金並びに前年度における借入金元利償還金及び一時借入金利子合計額国債整理基金特別会計へ繰り入れるための経費その他であります。  以上、昭和四十一年度の自治省関係一般会計予算及び特別会計予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  4. 鬼木勝利

    主査鬼木勝利君) これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 小柳勇

    小柳勇君 自治省関係のおもなる問題を質問してまいります。  まず、地方財政運営であります。  今度の国の予算を見ますというと、公債を発行いたしまして、大型積極予算であります。景気を刺激するために積極的に仕事をやるという予算であります。そこで、その仕事をやるのは地方でありまして、地方自治体などに交付税あるいは補助金が交付される。ただいま大臣説明されましたこの予算概要の中に、それが如実に示されております。で、たくさんの金が交付金補助金地方に出てまいりますと、地方自治体がそれに相応する金を組まなければ事業はできぬのであります。  そこで、地方自治体としては、国から出てまいりまする交付金補助金消化するためにみずから地方債を発行しなければならぬし、また、何とかこれをやり繰りする努力をするのでありますが、いま地方自治体が一番苦悩いたしておりますのは、今度のこの大型予算刺激予算によりまして地方自治体仕事をする、そのために一体どうしたら仕事ができるか。自主財源がほとんどないのであります。この点を自治大臣はどのように把握しておられるか。国のほうでは国債を発行してどんどん仕事をやろうとしておられるが、実際仕事をやるのはその先兵である地方自治体でありますから、この地方自治体が動かなければ仕事ができない。したがって、景気回復はできない。この点を自治大臣はまずどのように把握しておられるか、お聞きいたします。
  6. 永山忠則

    国務大臣永山忠則君) 自主財源が十分でございませんので、特別事業債千二百億円を計上いたしまして、旧来の起債関係充当率をも強化いたしまして、具体的数字はまた局長から申しますが、すなわち、公共事業その他の諸事業充当率を非常に高く引き上げまして、地方財源処置が十分できるようにいたす。なお、公共事業縁故債が七百億ございますけれども、これらにつきましては、地方財務局並びに日銀の支店、その他関係団体金融機関一体になりまして、これが消化政府自治体一体になって十分消化ができるように促進をいたす。かつ予算が通り、法律案が通りますと、直ちに交付税の四分の一は四月に送り、さらに九月には特例交付金二百四十億のうち半額の百二十億を地方配分する等、四、五、六、七、八、九、十と、この間に大体交付税及び特例交付金等七二%ぐらい、数字局長から申しますが、それぐらいを地方にお送りいたしまして、地方事業を進捗するのに支障のない財源的措置をいたすようにいたしておる次第でございまして、詳細につきましては、また局長から御説明申し上げます。
  7. 小柳勇

    小柳勇君 詳細の問題は、あとでまた局長から聞きますが、私は、その基本を聞いているわけです。  大型予算公債を発行して景気を刺激しなければならぬ、公共事業をこの年度の当初に六割か七割早期にその仕事をする。そのためには、仕事をすると中央ではおっしゃるけれども、実際仕事をやるのは地方自治体です。その地方自治体仕事をしなければなりませんが、地方自治体だって金がありません。税の減収があります。不景気で税が納まらない。特に工事が、たとえば、一〇〇だけフルにやってたときに事業税などを計画しておりますが、たとえば、いまそれが操短いたしまして七割といたしますと、七割の税しかないわけでありますから、仕事をやりたいが、仕事ができないわけです。そこで、地方債縁故債を求めるわけですけれども、そういうのをまず自治大臣が認めておいて、あといま県知事や市町村でもそう言っているのですけれども、現在の地方自治は三割行政である、七割は国のひもつきで、ただ、サル回しサルみたいに、政府の言うままにその金々握って動いているだけだと、まことに地方自治というよりも、ただ、これは中央官庁の出店である、支所である、と言っているわけです。それは現在の憲法からはほど遠いことですね。現在の憲法というのは、地方自治を認めて、地方自治は自主的に行政をやるということを認めているのです。ところが、金の面でこれがちゃんと握られてしまって動きがとれない。こういうものを自治大臣はどういうふうに把握しておられるか、こういうことを質問しているわけです。
  8. 永山忠則

    国務大臣永山忠則君) お説のような関係でございますので、自主財源事務及び税の再配分をいたしまして、自主財源を確立して自治体本質を確立するように、ぜひひとつ進めねばならぬと考えておるのでございまして、これらの点につきましては、第十一次の地方制度調査会に、財源配分に関するものを中心とする中間調査を進めていただいて、自治体自主性の確立に努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  9. 小柳勇

    小柳勇君 問題は二つあるのですが、一つは、地方自治体という、いわゆる憲法に保障された地方自治体として、地方首長がみずから政治をやる、やらなければならぬ。このみずからやるということは、自治大臣としてちゃんとお認めであるかどうかということ、これが一つ。  第二は、財政ひもがついて、この金で自主的にやりたいけれども、金で動きがとれないのだが、その金の問題は別途税の再配分などで再検討いたしますと、これは大臣あと答弁でいいわけですが、その前の問題ですね。地方自治体憲法で保障しておる地方首長が、ちゃんと自分政治方針を持って、地域住民のために、地域住民福祉地域住民の生活安定のために政治をやるのだという、その原則は、ちゃんと自治省自治大臣としては認めておいていただかなければ困ると思うのですが、その点いかがですか。
  10. 永山忠則

    国務大臣永山忠則君) お説のように、地方自主性を確立いたして、自治体本質を十分安定をさしていくことが必要であると考えるのでございますが、国と地方はまた一体でございますから、いわゆる一体的感覚においてよく緊密な連絡をとって運営していくこともまた必要であると考えるのであります。
  11. 小柳勇

    小柳勇君 それは原則です。そのまま衆議院選挙参議院選挙などありますと、その地方に行ってみると、あなたのほうの内閣の閣僚すらが中央に直結する政治というようなことで、たとえば、自民党の首長でなければ、地方自治はできないようなことを宣伝して歩くわけです。そういうものが地方住民の頭を非常に混乱せしめまして、憲法では地方自治体というものは独立して自治をやっていくのだということをきめてあるのだけれども、中央のほうの皆さん、自治大臣内閣総理大臣と同じような政党の者、同じような考えの者でないと、地方自治はできないようなことを宣伝して歩く。また、素朴な国民は、それは全部は信用しません。六割あるいは五割くらいは、なるほどそういうこともあるかなあと思いますから、そういうことは絶対あってはならないと思うが、それはそう確認していいですか。
  12. 永山忠則

    国務大臣永山忠則君) 国と地方一体でございますから、やはりその感覚を持ちながら、地方自治体自主性を確立していくということでございまして、政党の違う知事や首長がおれば、これは運営がうまくいかないということは、これは別でございます。これは決してそのことが自治体自主性に反するものでも何でもないのでございます。国民の総意によって選ばれ、しかも、国と一体でやるという感覚行政をやっておるものと信じておるわけでございますから、そういうことはないと思います。
  13. 小柳勇

    小柳勇君 第二の問題は、さっき大臣がおっしゃいました金の問題ですね。ひもつき財源があまりに多過ぎて、これに追いついていけない、地方財政が。だから、いま大臣がおっしゃいましたように、税の再配分考えなければならぬとおっしゃいましたが、もう少し技術的なことを局長から答弁を願います。
  14. 柴田護

    政府委員柴田護君) 結局、仕事は国も地方も一緒になってやるわけであります。法令の命ずるところに従って仕事をしていく。だんだん社会福祉国家ということになってまいりますと、行政が、地方行政そのもの住民の生活の細部にまで及んでまいります。また、国も最終責任者として、全国的にそれについて最終的な責任を持たなければならないということに相なってまいります。その間に、補助金その他の金の問題を通じて、それを推進するという手段がとられるわけでございます。しかし、地方地方自治という立場から申し上げますならば、なるべくは企画そのもの中央官庁でいろいろ立てましても、実施に当たりましては、それぞれの地方におきまする実情に応じて、その創意くふうのもとに実施に移されるということが望ましいわけでございます。そのためには、やはり国からの必要以上の干渉というものは、できるだけさけていかなければならない、そういうかっこうで言いますならば、今日のように、国と地方との税の配分が、国が七割の税金を取って、三割の税金地方が取る。使うほうは逆であるという状態は必ずしも望ましい状態とは思えない。そこで、補助金合理化というものを中心にして、国と地方との財源の再配分というものが考えられなければならない、こういうことになろうかと思うのでございます。特に最近の地方財政の状況では、府県、市町村ともに困っておりますけれども、なかんずく都市財政が非常に困っている。これはいろいろな原因があるわけでございますけれども、やはり都市財政に対して、伸長性のある、伸びのある財源というものを与えてやるという仕組みが要るのではないか、こういうことがいわれておるわけでございますし、私どももそのような考えでおるわけでございます。ただ、この地方財源の再配分と申しましても、なかなかむずかしい問題が多々あるわけでございます。補助金整理と申しましても、補助金には補助金のいいところがあるわけでございます。その辺のところを、悪いところを捨てて、いいところだけ残すには、どうすればいいかという問題もございますので、ちょうど事務の再配分ということにつきまして、第十一次の地方行政調査会の答申がなされておりますが、これは自治省におきましても、財源配分をそう伴わないものにつきましては、逐次実施に移しておるわけでございますけれども、やはり財源の再配分が行なわれませんと、これが生きてまいりません。そこで、財源の再配分ということで、第十一次調査会に諮問をして、そうしてそこでみっちりと案を練ってもらう。先ほど自治大臣からお答え申し上げましたようなことを自治省としては考えておるわけでございます。具体的にどういう税金がいいのかという問題になろうかと思いますけれども、これはいろいろ考え方ございましょうけれども、なるべくは普遍的な税で、しかも伸びのある税金というものが地方に与えられることが望ましいのであります。しかし、一方国家財政都合もありますから、自治団体都合だけを考えましてもできない相談でもあります。そこは関係者がよく集まりまして、よく御相談を願って実施可能な、また理論的にも望ましい案を御審議、御答申いただいて、それに従って必要な措置をとってまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
  15. 小柳勇

    小柳勇君 もう少しこまかい話を聞きますけれども、今度の国債発行予算の膨張ですね、財投が膨張いたしました、二割近く膨張しておりますが、これが地方ひもつき財源としてまいりますね。そういたしますと、地方自治体としてはまあ補助事業なり、単独事業は別ですけれども——単独事業も含んでもよろしいが、補助事業も含みまして、自分県税収入のほかにどのくらいあったらよろしいと把握しておりますか。
  16. 柴田護

    政府委員柴田護君) これは財政計画全体を通じまして、一般会計地方債は約二千九百億でもって大体まかない得るという前提で財政計画が組まれておりまして、これを基礎にして交付税の計算をするわけでございます。したがって、ちゃんとした普通の団体でありますれば、この財政計画に従った財政経理をやられますれば、支障なく財政運営が行なわれる。それは楽じゃございませんけれども、しかし行なわれるということにもなる一わけでございますが、ただ問題はいままでのいきさつ等があるわけでございますので、すべての団体がそういくかというと、実はそうでないだろうと私も思っているわけでございます。それは、いままでは仕事する財源というのは一般財源、つまり、交付税なり税源で与えられておった。それが昭和四十一年度におきましては、税の伸びが悪くなりますのに、仕事をしていかなければならぬということで、その間の間差を特別に地方債増額して埋めるということになったわけでございます。そこで、地方債というのはひもつき財源でも別にございませんけれども、要するに使途が特定されておるという意味ではひもがついておるわけでございます。したがって、従来一般財源投資的経費に使われるであろうという財源消費的経費に使われておったという団体におきましては、今度はその税源起債財源に振り返られるわけでございますので、従来の投資的経費に充てられることを想定されて配られた財源消費的経費に充てた部分だけが苦しくなると、こういうことになるわけでございます。それは各団体によりまして、それぞれ態様を異にいたしまして、一がいにすべての団体がそうだということを申し上げるわけにはまいりませんし、またすべての団体がうまくいかないかと言えば、うまくいく団体もあるわけでございますので、団体々々に応じてやはり考えてまいらねばならぬ。そこで、ことしは事前にそういうような私どもの考えている措置関係地方団体に徹底もさしたつもりでございますけれども、なお、実際に地方団体予算を組み執行していく段階におきまして、やはりこまかい配意というものを加えていく必要があるだろう。したがって、各県の予算の組み方、執行状況というものにつきまして、緊密な連絡をとりながら、適時適切なる措置というものも考えていかねばならぬだろうというように考えておるわけでございます。今回の財源の振りかえにつきましても、主として公共事業中心に行ないまして、府県中心財源の振りかえを行ないました。市町村につきましては、大体従来のようなやり方をしておるわけでございます。府県に相当大きな変化がくるような財源手当てになっておりますので、そういう問題が主として府県については起こってくるだろうと思います。なぜ府県について起こるかといいますと、やはり全地方団体にそういう激変が起こってまいりますると、中央でいろいろ手当てをするにいたしましても、たいへんな問題が残ることがございますので、四十六府県なら団体数も少のうございますし、目も行き届く、そういう形で府県について、財源振りかえ措置をとった。したがって、それらについては今後やはり慎重な配慮と、それからきめこまかい配慮とを加えて、指導に遺憾なきを期していきたい、かように考えておるわけでございます。
  17. 小柳勇

    小柳勇君 第一は、いまのことばの中で二千九百億の地方債財政計画であります。これを基礎にして補助金交付金を組んでいくというふうにとったのですが、それでいいかどうか。  それから二千九百億というのは、国債をことしは七千四百億、それに政府保証債がありますから、そういういわゆる景気刺激策の財政投資に対する二千九百億と把握していいかどうか。  それから第三点は、府県段階でその財政配分、金の使い方を大きな変化をせしめるとおっしゃいました、その点もう少し詳細に御説明願います。
  18. 柴田護

    政府委員柴田護君) 二千九百億という数字は、全部が全部景気刺激策としてとられました国の措置に適応したものではございません。しかし、いずれも間接的には景気の浮揚に役立つものでございます。すべて需要財源でございます。直接に政府の公共投資を強化するということに見合うもので、先ほど大臣からお話がございましたように二千九百億中の一千二百億特別に地方債をかさ上げしたという部分でございます。  それで県の事業をやってまいります上におきます措置といたしましては、その一千二百億というものの事業の内訳はどういうものに幾らというものがすべてきまっております。一般補助事業に何億、直轄事業の分担金にあたりますものが何億、それに対する充当率は何億というようにきまっております。それは全国的な計算のもとにおける計算でございます。したがって、従来のやり方でいたしますと、そういうものも負担額が全部交付税の中にぶち込んで計算される。そこで交付税がきまってまいりませんと、自分のところでどのくらいの財源の余裕ができるか見当がつかない。しかし、そのための手当は地方債でありますと、充当率もきまり総額もきまるわけですから、簡単に計算ができますから、仕事をする財源手当といたしましては、従来の交付税の計算よりもより簡単明瞭であるということが言えるわけでございます。ただ問題はちょっと先ほど申し上げましたように、いままでは交付税財源で来ておった。しかし、その財源はその府県は交付税仕事をせずに食ってしまった、言うならば消費的経費に使ってしまったという団体は、それは従来の投資的経費でつまり仕事をする財源として予定された財源を、そうでないものに食ってしまったものだけが財源が捻出することができなくなる。そこに苦しさが出てくる、こういう現象が起こってくるだろう。それをどのように消費的経費合理化を進めながら、当面を救済していくという、こういう問題がむずかしい問題として残ります。それを全地方団体にばらまきますと、非常に措置がむずかしくなりますから、少数の団体にしぼった。たまたま公共事業は府県中必でございますので、それで半分そういう気持ちもありましたけれども、期せずしてそういうことになってしまった。だから措置も、今後のフォローのしかたもやりやすいし、仕事もそうむずかしくなく消化はできるのじゃないだろうか。ただ全体の財政のバランスということを見ますれば、問題は残る点がある、こういうことであります。
  19. 小柳勇

    小柳勇君 その最終場面の四十六都道府県の中で、ある県をセレクトいたしまして、そして配分を一応見当をつけているというお話でありますが、もう少し詳しく御説明願います。
  20. 柴田護

    政府委員柴田護君) 財源配分補助事業の個所づけがきまってまいりますと自動的にきまります。特にどの県はどう、どの県はどうということではなくして、自動的に自分の県の、たとえば、道路事業なら道路事業が幾らということがきまりますと、その県の負担分が幾ら、それに対して起債が幾らつくということが自動的に計算ができる。したがって、従来のやみくものぶっ込み計算よりははるかに県のほうとしては計算しやすい。そのかわり仕事は早く手につく。しかし、予算全体としてどうなるかというと、先ほど来申し上げましたように、財源の振りかえが行なわれるものですから、その間の変化というものに耐え得ない団体が出てくるだろう、それをどうして救済をしていくかというのが今後におきまする、四十一年度の財政指導の問題だと、こう申し上げているわけであります。
  21. 小柳勇

    小柳勇君 私もそこのところを聞いているのですが、九月以前に、上半期に六割から七割の公共事業地方にやらしたいと、これは政府の方針です。そこで、あなたのほうは補助事業などきまったら、それで金やります、あるいは起債やりますから、大体もうそれですぐきまりますとおっしゃいましたけれども、もう少し具体的におっしゃいませんと、時間的にもう非常に切迫しておりますからね。だから、いま言われている話を聞くというと、もう地方のほうだって三月一ぱいで予算きまっちゃうんです。単独事業どう、あるいは起債どう、補助事業どうときまってしまう、三月ごろからわかる。これも、あなたのほうも予算のほうが四月の上旬に通りますと、これは予算使えるんですか。その中でいまおっしゃったように、この地方どうだ、この地方どうだと見当つけておきませんと、起債はこの県はよろしい、あるいはこの補助事業よろしいという見当つかぬでしょう。そういうものをある程度——ある程度といいますと、少し抽象的になりますからいけませんが、たとえば、工業県、この県は非常に不振である、あるいはここはたとえば農村であまり変わらぬと、変化がありますね、年間の変化があります。そういう幾つかの要素があるでしょう、判定の基準、そういうものを聞いているわけです。
  22. 柴田護

    政府委員柴田護君) 私のお答えのしかたが少し悪うございました。それは、お尋ねの点は、各補助事業、各直轄事業災害復旧、義務教育、住宅、下水道、これだけあるわけです。これはそれぞれ関係各省で個所づけをしてくれるわけです。個所づけをしますと、何県には幾らという事業量がきまるわけです。そうしますと、自動的に地方負担分が幾らというのがはじき出される。それに対して起債充当率幾ら、九〇%なら九〇%、九五%なら九五%ということで計算をして、そこで起債がきまってしまう。そこで、早く仕事をいたしますためには、早く個所づけをいたしませんといけませんから、早く個所づけの作業を急げということを各省にいっております。各省もそのつもりでやっております。おそらく四月の中旬には個所づけも全部きまって、いま申し上げました起債は大体は各県別の金額がきまり得るような段階になると思います。ただ、義務教育の施設関係だけはその基礎に統計を使うようでございます。その統計の関係で四月の半ばには間に合わない、ちょっとおくれるようになるようでございますけれども、大体まあしかし四月一ぱい、おそくとも五月ちょっと入りますまでには、この特別事業債配分は全部完了する、こういうことになると思います。したがって、従来のペースから比べますれば、私たちは四カ月ぐらい、少なくとも四カ月以上早いということになろうかと思います。
  23. 小柳勇

    小柳勇君 その問題で若干ございますけれども、時間がありませんので先に少し進みます。ただ確認しておきますが、私は起債の額千七百億と思っていたけれども、千二百億ですか。ちょっと確認しておきます。
  24. 柴田護

    政府委員柴田護君) 特別地方債として予定いたしておりますのは現在千二百億でございます。
  25. 小柳勇

    小柳勇君 次にですね、問題は、いま地方財政の中に問題が大きく二つあります。一つは、景気沈滞によりまして税収が減少している、したがって、地方財政収入が減ってまいる、これが一つですね、もう一つは、地方公営企業などは、これは特別会計で一応やっておりますけれども、地方公営企業がほとんど赤字なんですね。これが物価値上がり阻止で、これは料金上げてもらっちゃ困るが、軒並み地方公営企業は赤字なんですね。これをどうするかということが、この問題が一番どこの地方公共団体でも困っておる問題で、この二つの問題だけに限ってお聞きしますが、まず第一に、景気沈滞による税収の減収の対策をどうするか。まあ地方では、予算を膨張さして二割から、財投まで加えますと二割五分までの増になりますから、やれるわけですね。中央の役人あるいは大臣はその予算規模を見ておるわけですね。ところが地方に参りますと、税収が減少いたしまして単独事業ができないんですよ。あるいは補助事業だけ、その補助事業の裏づけもできぬような情勢、これを一体どうやってカバーしていくかという問題、大臣から御意見をお聞きしたあと局長から細部にわたって説明を願いたい。
  26. 永山忠則

    国務大臣永山忠則君) 税収減に対しましては、とりあえず交付税率の引き上げの関係と、それから四百十四億の臨時交付金でございます。それで財源的な措置が足らないところを、先刻申しましたような特別債、特別事業債千二百億円を出しまして、そうして一応事業がやれる体制はとっておるのでございまするから、これに対しましては、いま局長が申しましたように、一般経費が制約される可能性がありますので、単独事業を非常に制約されるのではないかということは考えられますけれども、大体におきまして、単独事業も昨年よりは、数字はまあ違うかもしれませんが、一二、三%から一五%伸びておるようでございますので、それから一般会計におきましては、とりあえず本年度つじつまが合っておる。しかし、ストック等全部食い詰めてしまっておりますから、将来の健全なる財政については根本的にお説のように考え直さなければいかぬのではないか。したがって、公債費等も出して、公債費のウエートも漸次に大きくなってまいりますので、これらを勘案しながら、健全財政の道を考える必要がある。  さらに、公営企業に対しましては、お説のような点ございますので、いま法律案を出しまして、そうして負担区分を明らかにしまして、たとえば、先般御質問ございましたような看護婦養成等の費用は、これは一般会計で持っていくと、また水道のほうの関係でも、消防等に使う、一般に公共に使う水道料金等は一般会計で持つというふうにして、負担区分を明瞭にする、そうして政府の公共性に対する長期の融資あるいは利子補給、あるいは事業の性質によりましては補助金ですね、このほうもたとえば、地下鉄等に対しましては、やはり大幅な補助を出す必要がある、あるいは政府はそれに対して出資する必要があるのじゃないかということで、いま本年度はその検討をしてもらう。また、公共企業におきまして借金の重なっておる分には対しては再建債をもって利子補給をやる。まあこれらの公益性に対して政府がもっと積極的に進んでいって財政的援助をいたす、そしてあと原価計算をいたして、どうしても、現場におきましては、最小限度のやはり料金の調整をせなければならぬところができるかと、こう考えるのでございますが、この公営企業の健全化は大問題でございますので、公営企業法を提案いたしまして皆さんの御審議をいただくという形で、将来の安定した経営、企業へ持っていきたいと考えておる次第でございます。
  27. 小柳勇

    小柳勇君 答弁のときに、今度の予算でどのくらい金を組んでいるか、その点も局長答弁してください。
  28. 柴田護

    政府委員柴田護君) 税収減の問題につきましては、これは大臣からお答えがありましたとおりでございます。税収が減るものですから、従来のやり方と違った特例債というようなものを組まざるを得なかった、望ましい姿ではないけれども。税収が減ったにかかわらず、景気振起のために地方も公共投資を盛んにしなければならぬという要請のもとにおいては、こういう措置もやむを得なかったと、こういうことでございます。で、従来は一般会計地方債というのは大体政府資金で出ておったわけでございます。政府資金で出ておったわけでございますが、本年度はいわゆる縁故資金といわれるものが七百億入ってきた。それはなぜそういうものが入ってきたかと申しますと、やはり国債の発行という昭和四十年度の事態、これとの関係で資金運用部資金が非常に窮屈になった、その窮屈の一端を地方財政が背負わざるを得なかった、こういうことでございます。しかし、事は公共事業でございますので縁故資金だから縁故資金ができればいいし、できなければしょうがないのだというような態度では済まされないだろう。そこで、これについては先ほども大臣からお話がありましたように、地方と国とが一緒になって、消化に万全を尽くすと、こういう体制をとっておるわけでございます。  それから公営企業の問題につきましては、公営企業法を提案いたしておるわけでございますが、この思想は、赤字が非常にふえておりますので、この赤字も何とか始末をしなければならぬ、しかし、赤字を始末しましても、始末するしりから新しく赤字がふえていくような態勢では、これは困っちまうわけですから、将来やはり赤字が出ないような措置考えざるを得ない。そこで、公営企業法を改正いたしまして、やはり公営企業についての管理体制というものを明確にする。それから特にやかましい問題としましては、公共性と企業性の調和という問題があるわけでございますが、これについては、公共性としてはっきり意識される分、つまり、一般会計で負担すべきことが経費の性質上当然だと考えられるものにつきましては、これは一般会計で負担さすことを明確にする。それに対しては、やはり一般会計で必要な措置を講じていかなければならぬ、またそうしよう。一方また、人事等につきましても、従来はとかく人事配置の一つのこまとして考えられていた。それじゃやっぱりまずいじゃないか。だから、その地位を高めて、それにふさわしい人間をそこへ持ってきて、ほんとうに経営一筋に当たっていただくという体制をつくろう。こういうことから、管理体制等についての必要な改正を行ないますとともに、一方再建計画を立てて、過去の赤字は長期債に振りかえる、それに対しては利子補給をする、こういうことでございます。したがって、再建債につきましては一応二百億円のワクを財政計画措置をいたしました。それに必要な部分については、本年度は本年度分しか見ておりませんけれども、ごくわずかでございますけれども、予算に一応利子補給金として計上いたしますとともに、一方、水道の起債につきましては、政府資金について償還期限を、去年でございましたか、延伸をしたわけでございますが、水道資金は政府資金とともに、公営企業金融公庫の資金を相当大幅に入れております。公営企業金融公庫の資金は七分三厘でございます。これを何とか七分ぐらいにできないかということで折衝いたしました結果、本年度から公営企業金融公庫の資金を七分に下げる、そのために公営企業金融公庫政府から二億の出資を仰ぎまして、そしてその回転によって七分三厘を七分に水道債だけ下げる。というのは、水道については資本費がおもでございます。どうしても償還期限の延伸、借りかえ、あるいは金利の引き下げというような問題が、その水道の経営に非常に大きく作用する、こういうことでございます。それからまた地下鉄につきましては、これも先ほど大臣からお話がございましたが、地下鉄そのものについては、収支を合わせろと言いましても、今日の現状では無理でございます。したがって、地下鉄については、これは地下の道路と関連ができないだろうか。地下の道路と関連をいたしますならば、地下鉄の隧道の部分だけは、それをすべて料金にはね返らすということは適当ではなかろう。そこで、そこでは政府なり一般会計なりというものとの負担区分があってしかるべきじゃないか、そういうような趣旨の御答申が、公営企業制度調査会の答申にあったわけでございます。その線に基づいて折衝いたしましたけれども、まあ突然のことで、どうのこうのということで、折衝は必ずしも思うようにいきません。事は運輸省の問題でございます。運輸省と大蔵省との三者間で話がつきませんで、これはもう少し研究をしよう。しかし、とりあえずは地下鉄に対する国庫の補助金というものはふやそうじゃないか。去年の倍、八億——去年は四億でございますが、これを八億にふやしまして、当面それで幾らかでも地下鉄の経理が助かるようにという配慮をいたしたわけでございます。私どもといたしましては、今回行ないました公営企業に対する配慮としては、これでできるものが全部できたとは実は考えていない。まだ残された問題がございます。しかし、少なくとも必要な措置の相当部分はやったつもりでございます。金額の少ないとか多いとかという問題は別といたしまして、措置といたしましては相当のものをやったつもりでございます。したがって、その措置を前提として、それから経営体制の確立ということをやりまして、これを前提として再建を軌道に乗せたい、こういう気持ちから、公営企業法の一部改正法案をつくりまして、御提案を申しまして御審議をわずらわす、こういう手順に、いたしておるわけでございます。
  29. 小柳勇

    小柳勇君 いまの局長のことばにありました、地方公営企業に対する人事態勢を変えていきたいという問題を、もう少し具体的に御説明願いたい。
  30. 柴田護

    政府委員柴田護君) それは公営企業というものは、いままでの公営企業を見てまいりますと、独立採算という概念をあまり大きくかぶせ過ぎておったという点が一つある。それから逆に、公営企業の運営につきまして、いわば役所の延長という考え方で運営されておった向きがある。それは人事が、一般部局の人がどんどん栄進をする一こまとして管理者のポストを考えておったというところもある。それではやっぱりいかぬのではなかろうかということで、公営企業のやっております仕事の中でも、一般会計で持つことがふさわしい仕事、当然一般会計で持っていいという仕事が、経費の性質からいってあるわけです。先ほど私が申しました地下鉄などもそうでございます。病院なども、一部のものはそうでございます。水道なんかにおきましても、やはりそういう経費がある。そういう経費ははっきりと一般会計で持つべし、持ってよろしいのだというようなたてまえでなくて、持つべしということを明確にしようじゃないか。そのかわり、その残った部分、企業会計の負担において支出すべき経費というものは、これは企業会計の負担に求めるべきであろう、また求めさすべきである。その部分については、したがって、できるだけ経営の合理化を徹底していく、これは企業としてあたりまえだ、こういう考え方でございます。そこで、そういう考え方に立ってまいりますれば、その企業の経営に当たる責任者としては、ほんとうに企業経営の責任という立場に徹底してもらわなければ困る。したがって、その職を特別職にいたしまして、そうして一般職と違った、つまり経営の才幹のある人をだれでも持ってこれるような形に実はいたしまして、ある程度の権限に独自性を与えて、地位、権限を強めまして、そうして自由に才腕をふるってもらう。また、経営の監査に当たる部分につきましても、監査員等につきましてもその道の専門家を充てるべしというような条文を置きまして、ただ表づらだけの監査で事を済ますのじゃなくて、経営的な観点から監査をする、こういう体制もつくりたいということで必要な改正規定を置いたわけでございます。
  31. 小柳勇

    小柳勇君 まだ問題がありますが、あとでやることにいたしまして、ちょうど地方公営企業金融公庫総裁が見えておるようでありますから、公営企業金融公庫から見ました地方公営企業再建策について御見解をいただきたい。     —————————————
  32. 鬼木勝利

    主査鬼木勝利君) 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  ただいま審査いたしております案件の審査について、公営企業金融公庫総裁三好重夫君から意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 鬼木勝利

    主査鬼木勝利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  34. 鬼木勝利

    主査鬼木勝利君) 三好参考人
  35. 三好重夫

    参考人(三好重夫君) 公営企業の経営の再建策につきましては、大臣なり局長からお答えになりましたとおりでございますが、私ども見ましても同じことでございます。  ただ、現在の欠点がどこにあるかと申しますと、一つは、経営の合理化が思うようにいっていない、いわば役人商売になっておるという点がございます。  それから、資金面におきまして、資本金制度が十分に確立されておりませんで、資本金にかわるものとして地方債の制度が認められておる。その地方債の供給を私どものほうでも一部いたしておるわけでありますが、それが一つのまあガンではないかというふうに考えております。  それからもう一つは、料金でありまして、料金が安いにこしたことはございませんけれども、もっと上げられていいというところがやはりいろいろな事情で低く押えられておるというようなことがございます。  こういうことに対してメスが入れられなければ、ほんとうの再建はできないんじゃないか。当面赤字が出ておりますものにつきましては、財政局長が御説明になりましたように、とりあえず赤字の穴を埋めますために再建債を認めるという手もございます。しかしながら、将来にわたってどうしても現在のような状態におちいらないようにするということについては、以上のような点にメスを入れなければならないというふうに感じておるのであります。したがいまして、地方公営企業制度調査会の答申があり、また、それに基づいた地方公営企業法の改正等がございますが、これも、率直に申し上げますれば、まだ十分なものと思いませんけれども、相当画期的な立ち直りが見られるようになるんではないか、かようなふうに観察いたしておる次第であります。
  36. 小柳勇

    小柳勇君 たくさんまだ問題がございますけれども、先に進んでまいりまして、次は、いまの交付金の問題、地方交付税の問題に関連いたしまして、一問。  これは、石炭産業がいま非常に斜陽化いたしまして、産炭地は、人口の減、あるいは鉱産税の減収など、たいへんなことでありますが、産炭地における人口激減の実情にかんがみ、産炭地町村の地方交付税が減少しないよう特別措置を講じていただきたい、こういう陳情が市町村長から出ているのでありますが、これに対する大臣の御見解と局長の具体的な措置についてお伺いいたします。
  37. 永山忠則

    国務大臣永山忠則君) 国勢調査で人口が減じておるところがございますし、ことに産炭地のようなところでございますので、人口の激減緩和の補正をやりまして交付税が減らないように努力をいたしたいと考えており、その他、不況地帯に対しては、傾斜配分考えまして、総合して交付税に対して強化するような努力をいたしたいと考えております。
  38. 柴田護

    政府委員柴田護君) 大体、大臣からお話があったとおりでございます。人口急減補正という特別の補正——人口の激減した所に対する交付税の激変を緩和するための補正、これはどういうことであるかと申しますと、要するに人口を計算単位にしているわけですが、この計算単位について新しい人口を使うわけですが、そのときに補正係数をかける、こういうやり方でございます。それで激変を緩和をする。しかし、激変緩和でありますので、もとの交付税と同じだけでございますれば、それは激変緩和にならないわけでございますが、若干そこに移動があるわけでございます。しかし、その係数と、あと単位費用が上がっておりましたり、あるいは、先ほど大臣からお話がありましたように、その他の貧乏団体に対する措置、こういうものを合わせまして万全の措置を講じてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  それから、財政当局といたしましては、そういうお話のあるたびに感じますることは、やはり基礎は産炭地に対する振興策というものをどう考えるかということが一つ基本であろう。この基本の上に立って措置をしてまいりませんと、措置をする金が生きてこないのではないか。いままで私どもでやっております産炭地対策というのは、どちらかというと、現状よりか陥没しないようにどう配慮をするかということであって、問題はむしろ現状をさらに振興さすということをもっと勇敢にやる必要があるというふうに感ずるわけでありまして、関係省庁にはすでにそういう意味合いの前進策をとっていただくように折衝をし、進言をしている次第でございます。
  39. 小柳勇

    小柳勇君 いまの問題、どうぞ産炭地市町村が非常に困っておりますから、早急に手を打っていただきたいと思います。  次は、消防庁の次長が見えておりますから、消防庁次長に一問質問いたします。消防施設等整備費補助が今回十億七千二百万円計上されております。私どもの地方、これはどこでも全国そうだと思いまするが、消防団の詰め所などは、市の補助金やあるいは町内会などが資金カンパなどいたしましてつくっておるわけですね。消防団まで国の費用で雇うということについては、若干これは問題がありましょう、市町村など消防団がたくさんありますから。その消防団の詰め所とか消防器具ぐらいは、全額国が買う、あるいは市町村がちゃんと買う、そしてあとはそれを使って消防団が十分に活躍するというシステムにしていきませんと、地方自治体でもない民間の町内会などに消防団の詰め所をまかせることでは、いわゆる消防活動というものは万全にできないのではないかと思うんですが、その点について、せっかく消防庁次長見えておりますから、御意見を拝聴いたします。
  40. 川合武

    政府委員(川合武君) 御指摘のとおりでございまして、私ども、消防施設につきまして、国の補助金、これを活用いたしますと同時に、交付税措置によりましてこれの充実をはかっていきたい。器具と申しますか、地元町内会等において負担をする、こういうことは、私ども厳に避けるべきだという考え方でございまして、さような指導を続けておるわけであります。御指摘のように、率直に申しまして、まだその点についてさような問題が残っておるということも承知いたしておりますので、今後さような点について解消する。それと同時にと申しますか、基本的に、財源というものについて十分配慮をしていきたい、かように考えております。
  41. 小柳勇

    小柳勇君 これはもう一つは基本的な問題でありまして、一緒に公安委員長としても問題だと思うのですけれども、消防団というものの団員は、非常に素朴な町内の青年団の皆さんが出ている。その団長などというのは、地方のいわゆるボスの人が団長になっておりまして、いわゆる消防団となると、ちょっと特異な体臭を持っているようなことを聞くわけですね。したがって、近代的な消防組織としては、やっぱり近代的な組織化が必要ではないか。もちろん服装なども昔のままの火消しの服装でありますが、これも非常に仕事がしやすいかもしれません。こういうのは、いわゆる組織の近代化と同時に、そういうふうな体制の近代化ですね、そういうものを研究しておられるのかどうか。  なお、ここに消防研究所というものが出ておりますけれども、私はその消防研究所でどういうこと研究されるかわかりませんが、もちろんいろいろありましょう、それは。消火の方法などもありましょうから、それはそれとして、そういうものでどういうものがいま御構想にあるのか、お聞きしておきたいと思います。
  42. 川合武

    政府委員(川合武君) 消防団の問題でございますが、組織といたしましては、私ども現在の消防組織として欠くべからざるものというふうに思っておりますが、同時に、近代化といいますか、最近の情勢に対応いたすために消防本部署、いわゆる役人でございますが、こういうものを充実していくということで二年目に入っておりますが、二年ほど前から一定の市に対しましては消防本部署を義務で設置する、こういう法律改正をいたしまして、現在おおむね六百余のところが消防本部署を持っておるわけでございます。もちろんこれも消防団とおおむね併存でございますが、でございますから、基本的には消防本部署を数をふやしていく、その持つ都市をふやしていくということ、それと同時に、消防団につきましても近代化というものをはかっていくつもりでございます。  なお、消防研究所でございますが、これは多少余談になりまして恐縮でございますけれども、非常にまあ奮闘しておるつもりでございます。と申しますのは、大学等におきまして現在は火災というものにつきましての研究がございません。ほかの部門につきましては大学の機関等あるのでございますが、ございませんので、ほとんど私どもの消防研究所で火災の問題、災害の問題について取っ組んで、したがって、その基礎研究からやらなければならない悩みを持っておりますが、しかし、最近の情勢に対応しまして、いわゆる特別研究と申しますか、実際の研究、かような点に特に力を入れてまいりまして、また、その段階に入りまして、一例を申し上げますならば、二年ほど前からやっております空中から消火する方式、航空機による消火方法、これは現在世界でどこでもやっていないまだ未開拓なものでございます。まだわれわれの研究もほんの基礎でございますが、野心作たらしめんとしておるつもりでございます。それから最近の大きな問題になっております地下街、無窓建築、このほうの火災は煙との戦いでございますが、そういう点についての排煙の問題、さらに避難設備、避難器具等の基本的な改良、かような点について特別研究、あるいは海上火災等の、タンカー火災等の消火方法の研究、かようなことは一例でございまして、少し自慢たらしく申し上げまして恐縮でございますが、がんばっていきたいと思っております。
  43. 小柳勇

    小柳勇君 わかりました。昔の火消のし姿、姿はそれでいい。伝統がありますからいいのですが、近代的に組織化し、近代的な施設でひとつ安心してわれわれが生活できますように、御奮闘を期待いたします。  最後の問題ですが、具体的ですが、たとえば、保育料とか、水道料とか、火葬料とか、ごみ、いわゆるし尿処理の代金など、この手数料が各市町村全国まちまちのようでありますが、自治省として基準などをおつくりになってあるかどうか、また、お示しなさるべきだと思うがいかがか、お伺いいたします。
  44. 柴田護

    政府委員柴田護君) 手数料、使用料等につきましては、各法令でもって最高限度がきまっておるものがございます。これは公共団体手数料と、その他機関委任事務というものの手数料については法令できまっております。それからそうでないものにつきましては、地方団体が条例もしくは規則できめるというたてまえになっております。  基準等について何か配慮がないかというお尋ねでございますが、特にそれについてこれくらいの基準ということを示してはおりません。それはそれぞれ地方団体で判断をしてきめていったらいいじゃないか、こういう考え方であります。ただ、具体的には、交付税の単位費用を積算いたします場合の基礎には手数料を幾らという標準的なものを計算に入れて単位費用を計算しているわけでございます。したがって、標準的なものがないかとおっしゃられれば、単位費用の積算基礎には標準額があると申し上げざるを得ない。市町村で勉強してくれますれば、それを見ればおおよそ見当がつく、こういう仕組みになっておるわけでございます。しかし、それをさらにどれくらいが適当かということを示すことがいいのか悪いのかということにつきましては、現段階ではそこまでしなくてもいいのじゃないだろうか、単位費用の積算で十分じゃなかろうかというふうに現在では考えております。
  45. 小柳勇

    小柳勇君 いまの問題ですが、先般われわれ社会労働委員会で清掃法という法律をつくりまして、あの中に特別清掃地域というものがあるのです。それからごみ収集のための清掃料金の基準というものがあるのですが、まだ一カ月くらい前ですけれども、ある市へ参りまして、その清掃法の中の特別清掃地域とか料金の基準などというのは知らないのですよ。担当課長が御存じないわけです。この法律をつくりましても、もう二年もたってなおその市の担当部課長が御存じないようなことでは、一体これはどうかと思う。だから、その特別清掃地域にしようという法律、なるべく基準をつくって市民に迷惑をかけるなという法律をせっかくつくりましたけれども、有名無実です。直轄事業とか、請負とか、あるいは認可事業とか、そういうものだけが前面に出まして、あとのほんとうの法律の精神というものが死んでしまっているわけですよ。厚生省が所管でありましょうけれども、やっぱり地方自治体を指導するものは自治省ですから、そういうものの指導は早く的確に指導をされて、法律をつくりましたものがそのほんとうの真意がすみやかに地方自治体に伝達されてこれが実施されるように、今後ともひとつ指導を強化してもらいたい。これは私の希望です。  希望いたしまして、私の質問を終わります。
  46. 木暮武太夫

    木暮武太夫君 私は、府県税の料理飲食等消費税のことについてお伺いしたいと思いますが、これは、御承知のとおり、大東亜戦争の苛烈のときに、戦時の特別税としてこれと通行税というものをつくったわけなんです。そして、民間の業者に協力させて、業者が徴収して国に納税しているという税金なんですが、これは自治省の方が御承知のとおりに、半分は市町村自治体へ交付して収入にしておったことは長く戦後続いておったのですが、これはいつの間に料理飲食等消費税というもの、前の遊興飲食税というものが、全部一本に府県のほうに納まっておるわけです。これを、ひとつ前のように、半分は市町村の、いま財政が非常に困っておるのですから、こういう市町村自治体のほうの租税収入にしていただくことはできないだろうかということが質問の要旨なんです。これは、御承知のとおり、料理飲食等消費税というものを支払うのは、いま、ほうぼうに観光ブームができておるために、観光地とか温泉地とかいうものは、納税する人というのは、大部分よその旅行者、観光客というものが納税しているわけで、その観光地、温泉地などにおいては、ごみの焼却から始まってそういうレジャーブームのいろいろのし残しというものの片づけが非常に多いわけなんですね。ですから、この料理飲食等消費税というものを、いまの都道府県一本にせずに、直接にその土地の業者が協力して徴収、納税しているということにかんがみて、その観光地とか温泉地とかいうものに半分を与えてやって、そうして近ごろのはやりのことばで言うと環境衛生の設備の整備改善というか、上水道とかあるいは下水道とか、あるいはそういう観光地に必要な遊歩道とか、あるいはいろいろの観光施設のほうの使途に使わしたらどうだと。現に、あなた御存じのとおり、温泉地は入湯税というものがあるのですね。入湯税というものも、初めは市町村収入じゃなかったのですが、あれは私らがいろいろ自治省のほうに話して、いまは、目的税のように、温泉地の入湯税という宿泊客からわずかですけれども徴収する金は、その温泉地の市町村収入になって、それが環境衛生の整備改善のほうに使われておるものがあるのです、現に。だから、そういう趣旨からいっても、いま都道府県一本やりになっておる料理飲食等消費税というものを府県と半々にしたらどうだろうかというふうに私は考えるのですがね。前には半々であったのですね。そうでしょう。それを一本にして府県にしたわけなんですがね。こういうことをお考えになってみてはどうかと思うのですが、これを一つ質問します。
  47. 宮沢弘

    説明員(宮沢弘君) ただいまの地方税制は、御承知のように、シャウプ勧告によりまして、国、府県、市町村地方税体系ができておるわけでございます。ただいま御指摘のように、それ以前におきましては市町村が付加税をかけていたのであります。お説のように、料理飲食等消費行為というものは直接地元の市町村との受益関係ということもあることも、これは明瞭でございます。ただいま申しましたように、現在までの税制が、シャウプ勧告以来、県、市町村ということになっていままで推移をしてきております。先ほど来、いろいろ今後の国、地方、あるいは地方団体同士の税源の充実と申しますか、税源配分の議論も出ておりましたけれども、今後、やはり、ただいま御指摘のような御主張も私ども拝聴いたしました上で、府県、市町村あるいは国と地方団体全般の税源配分の問題を検討いたします際にあわせてよく研究をいたしていきたいと思います。
  48. 木暮武太夫

    木暮武太夫君 ぜひこの問題は御検討を願って、私が申し上げたように、これは市町村に半分与えてやって、そうして実際に市町村の環境衛生の施設というものを観光客が利用している関係から、このほうに使わせてもらうということが税の趣旨からいっていいんじゃないか。これを全部県へ取って、いまの県の歳出の四割五分とかなんとかいうものが県庁の人件費だなんというところへ、よそから来る旅行者から取った金を使うというのは、筋が立たないと私は思うのですね。これはひとついまの温泉地の入湯税のように、全部とまではいかぬけれども、五〇%は、その観光客の被害と言っちゃおかしいですけれども、観光客が来るためにいろいろ設備をしたり、あと始末をしなくちゃならぬ市町村にこれは給付してやるほうがいいんだというふうに私は多年思っていて、そういう声が地方にも相当にあるんですから、どうぞ御検討をお願いして、この質問は終わります。
  49. 永山忠則

    国務大臣永山忠則君) この五月から第十一次地方制度調査会が発足いたしますから、そのときに地方財源の確立の問題は出すことになっております。それで、税の再配分の問題等を検討いたしますので、地方税全体の問題とあわせて十分検討さしていただきたいと存じます。
  50. 木暮武太夫

    木暮武太夫君 消防庁の方はおいでですね。消防のことについてお聞きしたいのですが、この間、皆さんも御存じのとおり、私のほうの群馬県の水上で旅館が火災を起こして、まあ旅館の火災としては戦後、あるいは戦前を通じて、一番大きな宿泊している人の生命を奪うという悲惨なことが起きまして、いろいろああいう温泉地とか観光地の旅館、宿泊所の消防ということがいま一番の大きな問題になっているわけなんです。  そこで、伺うのですが、つまり、ああいう観光地とか温泉場というものは、いわゆる国勢調査による人口というものはこれは昼間の人口で、夜になるとその数倍になるのですね。そういうわけになる。ところが、消防というものは、おそらく昼間の人口を目標にして消防団といいますか施設をしているのだと思うのだけれども、まあ火事の起こるのは、昼間もありますけれども、夜が多いのだが、夜になると宿泊客が人口の数倍になるというような場所がいまの観光地とか温泉場とかいうもののすべてであるようなときに、消防の能力が夜になれば不足するというようなことでは困ったものだと思うのですが、これは消防庁のほうでもいろいろお考えになっておることと思うのですが、この点をひとつ伺いたいと思うのです。
  51. 川合武

    政府委員(川合武君) 観光地は景色のいいところが多うございますので、多くは消防団地区であることが現状でございます。で、先ほどもちょっと触れたわけでございますが、私ども消防本部署を置かなければならない都市、町というものを、法律で必ず置けと、こういうふうに法改正をやっていただきまして、市街地人口——いわば人口でその設置基準を定めてきておったわけでございますが、しかし、それではお話のように不十分だと思いまして、今回新たにさような指定をいたさんとしております所におきましては、観光地等の条件を考えまして、そういう要素を加えました本部署の設置を義務づける、こういう措置をいたしたわけでございます。しかし、それで十分ではない。これは漸次進めていくわけでございますので、直ちに現下の情勢に対応いたしますためには、応急措置でございますけれども、私ども、観光シーズン、ことに夜間というものにおきましては、消防団でありましても常備体制と申しますか、一定のある期間——一年じゅうというと無理でございますが、ただいま申しましたような時点におきましては年来を通しましての常勤体制をとる指導をしておりますが、しかし、いま時点を限りましての常勤体制の強化、かようなことを指導をいたしておりますし、今後もさらにそれを強めたいと思っております。
  52. 木暮武太夫

    木暮武太夫君 それと、いまの旅館の設備というものは、日ごろと違ってだいぶよくなって、消防庁などの要請にこたえて設備のほうは完ぺきだろうと思うのです。避難場所であるとか、あるいは非常口であるとかいうようなものがあると思うが、今度の火災を見ますと、そのりっぱな設備で、完全な設備であるにかかわらず、ああいう三十人も一どきに人の生命を奪った悲惨なことが起こった主たる原因は、その管理と申しますか運営が非常にへたであったということに原因が帰するように私は思うのです。今度の水上の場合などは、百人、二百人宿泊客がおるのに、わずか一人しかそこにおらなかった。その一人が居眠りをして、しかも石油ストーブを倒したということがわかったんですから、それじゃそんな一人もいないほうが火事にならなかったんじゃないかというような皮肉な話さえ出ているようなわけで、労働基準局や何かの関係かもしれませんけれども、旅館の勤労者というものの過重な勤務を防ぐためでありましょうか、寮を別のところへつくらして、そこへみんな夜は運んでしまうんです。それで、どんなに設備がよくなっても、人間がごくわずかしかおらぬわけなんです。旅館なんというものは、大体百人、二百人宿泊させるような大きな旅館ならば、使用人が私ら考えても三割やそのぐらいはいつも夜そこへ泊まっていれば、人の生命、財産を預かっている仕事として完ぺきになると思うのだけれども、いま私らが旅館の関係を調べてみますと、至るところで旅館使用人の寮というものができて、そうしてそれらが百メートル、二百メートル離れた所にあって、非常の場合にかけつけるということが不可能であるというようなことが多いんです。消防庁はこういうことをやはり考えていただかなくちゃならぬと思うんです。労働基準局などが行政指導をしておるのかどうかわかりませんけれども、そういうようなことでなく、また、普通の場合での旅館の勤務者というものの三割とか何割とかいうものは常時そこにいるようにというようなことを消防庁のほうで指導してもらうことが大切だと思うんですが、いままでそういうようなことはなさっておらないだろうと思いますので、こういうようなことが起きましたのを機会に設備のほうは十分できていても、その運営とか管理とかいうものの不備のためにこうこう生命を奪われる悲惨なことが起こることにかんがみて、消防庁のほうは進んでこういうそこで働いている人たちの非常体制というようなものについて指導していただくことが必要じゃないか、こういうことを私は考えているんですが、御意見を伺いたいと思います。
  53. 川合武

    政府委員(川合武君) お説、全く私同感でございまして、夜間の警備体制と申しますか、そういうような点におきまして従業員宿舎との関連、これはまた現実そのとおりでございます。私ども夜間におきまするところの——夜間だけに限りませんけれども、防火管理体制につきましての指導は、いままでもやってまいりました。やってまいりましたが、結果あのような結果を招いたことにもかんがみまして、それがいまだ抽象的だったというふうにも思いまして、もっと具体的に現実的なさような体制について私ども指導いたしたい。先日、旅館関係の五団体でございましたか、おもな方に集まっていただいて、いろいろ私どもの注文もいたし、懇談もいたしたのでございますが、そういうようなおりに、こまかい点は省略いたしまして、流れました空気といたしましては、相次ぎました事故にかんがみまして、いわゆる防火管理といいますか、ことに人命にかかわるような場合の避難その他の問題につきましては、これをいわゆるサービスの中にとけ込まして、ただ単に切り離していわゆる防火管理というよりも、旅館サービスの一番基本のものの中にとけ込ましてやっていこうというような空気も流れておりまして、私どもの全く期待するところでございまして、それらの点についても今後具体的に努力し、また、十分現実的な運用ができますように、関係方面ともよく連絡を密にいたしたい、かように思います。
  54. 木暮武太夫

    木暮武太夫君 それからもう一つ、これは要望ですけれども、今度の火事などを消防の方とか警察の人とか県の人とかに話を聞いてみますと、ほとんど全部は、火のために死んでいる人はいないんですね。窒息した上で火に焼かれたというのが多い。それはどういうのかというと、私ら知識がないからわからないんですけれども、ここを消防庁研究してもらいたいと思うんですけれども、いまの部屋の中のいろいろの建具だとか道具だとかいうものが燃えるとき、非常な異臭を発して、黒い煙を出して、それで窒息してしまうのだということを言うんですがね。そうして、ちょっと私は建築家の人に聞いたが、その建築家の言うのに、実はそれがただ鉄筋コンクリートばかり奨励して、中身に入るものの研究ができていないことは非常に申しわけないということを言っていたんですね。それで、東大の先生にも聞いてみたけれども、これは当然やるべきだ。ある人は、いまの化繊のじゅうたんというものが原因だというようなことをある先生は言うのですけれども、まあ私らわからぬ。しかし、今度の白浜のほうの話を聞いてみましても、木造建築の畳やふすまは従来のものが燃えるときとは違う極端な異臭のものを発して、そうしてしかも煙が違うと、こう言うんですね。そのために窒息する人が多いというようなことを、実際に見た消防や警察の人が言うておるんですがね。われわれは、どういうことか、知識がないからわかりませんが、幸いに消防の科学の研究所もおありになるのでしょうから、これを十分にしかも早く究明して発表していただきたいと思うのですね。そして、こういうものは使わぬほうがいいとか、あるいはこういう程度はいいとかいうようなことをはっきり言うてもらわぬと、またああいうような事故が必ずしも起こらないとは断言ができないのではないか。この点、ひとつぜひ、これは質問ではありませんが、消防庁の善処をお願いいたしまして、私の質問はこれで終わります。
  55. 鬼木勝利

    主査鬼木勝利君) 自治省所管に関する質疑は、都合により本日はこの程度にいたします。  午後十四時四十分まで休憩いたします。    午後一時四十二分休憩      ——————————    午後三時一分開会
  56. 鬼木勝利

    主査鬼木勝利君) これより予算委員会第四分科会を再開いたします。  昭和四十一年度総予算中、労働省所管を議題といたします。  まず、政府から説明を求めます。小平労働大臣
  57. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 昭和四十一年度一般会計及び特別会計予算中、労働省所管分につきまして、その概要を御説明申し上げます。  労働省所管の一般会計歳出予算額は一千十五億五千百六十八万円でありまして、これを前年度当初予算額九百八億六千百三十六万三千円に比較いたしますと、百六億九千三十一万七千円の増加となっております。  次に、そのおもな内容について、概略を御説明いたします。  その一は、積極的な雇用対策の推進に必要な経費であります。  最近の雇用情勢は、経済の停滞を反映して、雇用の増勢鈍化が続いておりますが、他面、若年労働者や技能労働者については、依然として労働者不足の状況にあります。しかし、同時に、中高年齢失業者等の就職困難、地域間・産業間における労働力需給の不均衡等の問題があるのであります。かかる事態に対応して、当面の景気動向を慎重に注視しつつ、就職困難な労働者に対しては機動的な雇用促進対策を講ずるとともに、さらに今後の産業及び労働面における構造的変化に対処するため、雇用に関する基本的方策を策定して、労働力需給の質量画面にわたる均衡を促進することとし、これが実効を期するため、職業転換等の円滑化をはかるための給付として、広域求職活動費、職業訓練受講者のための移転費、特定職種訓練受講奨励金等の給付を新設するとともに、訓練諸手当等従来の給付を拡充し、また、中高年齢失業者等に対する就職指導、転職訓練の推進など、職業転換対策の充実をはかり、さらに、労働市場センターの整備とその業務の全面的開始、公共職業安定所の機能の強化、移転就職者用宿舎の大量建設、雇用促進融資の拡大等の措置を講ずるとともに、中高年齢労働者の雇用促進、中小企業における労働力の確保、労働者が、その能力を有効に発揮できるようにするための対策の充実など積極的な雇用対策を展開してまいることとし、これらに必要な経費として百八十四億八千五百五十一万四千円、また、財政投融資計画中に雇用促進融資として百億円を計上いたしております。  また、当面の問題に対処するための雇用政策といたしましては、さきに申し述べましたように、中高年齢失業者等に対する就職促進のための対策を充実強化するとともに、炭鉱離職者につきましては、就職促進手当の最高額の引き上げのほか、就職指導、転職訓練等の就職促進対策、移住資金、雇用奨励金の支給などの援護対策、及び炭鉱離職者緊急就労対策事業を引き続き実施することとし、これらに必要な経費として四十六億八千二百七十三万円を計上いたしております。  次に、港湾労働対策につきましては、港湾運送に必要な労働力を確保するとともに、港湾労働者の福祉の増進をはかるため、港湾労働法に基づき港湾雇用調整計画の策定、日雇い港湾労働者の登録、及び雇用調整手当の支給、技能向上のための訓練の実施などの措置を講じ、さらに港湾労働者福祉センター、簡易宿泊所の建設、雇用促進融資の活用等福祉施設の拡充をはかるとともに、関係公共職業安定所における職業紹介体制の充実強化をはかるなど、総合的な港湾労働対策を実施することとし、これらに必要な経費として六億三千四百二十三万七千円を計上いたしております。  なお、大学・高校卒業者及び身体障害者の雇用促進をはかるとともに、出かせぎ労働者の雇用安定をはかるための対策を進めることとし、これらに必要な経費を計上いたしております。  その二は、失業対策の推進に必要な経費であります。  失業対策につきましては、失業対策事業に就労する者に対し、雇用奨励制度を中心として、一般雇用への復帰を引き続き促進するとともに、失業対策事業については、その事業費単価の改善などを行なうこととし、これらに必要な経費及び失業保険国庫負担金に必要な経費として七百六億三千百二十七万七千円を計上いたしております。  その三は、技能労働者の育成と技能水準の向上に必要な経費であります。  本格的な開放経済のもとで、技術革新の進展に対応し、技能労働者を確保することは、現下の喫緊の要務であり、特に中小企業における技能労働者の不定は深刻なものがあります。かかる事態に対処するため、事業内職業訓練については、中小企業に重点を置き、補助対象となる訓練人員五万人を五万七千人に拡大し、施設融資の増ワクをはかる等、その助成を強化するとともに、公共職業訓練については、総合職業訓練所五カ所、一般職業訓練所十カ所の新設を行なう等、積極的に技能労働者の養成につとめるとともに、就職困難な中高年齢失業者等に対する職業訓練を実施して、その雇用の促進をはかり、さらに技能検定の職種の拡大をはじめ、民間の実施する技能競技大会に対する積極的な指導援助を行なうとともに、職業訓練大学校に生産技能講座を新設し、監督的な技能者の養成を行なうほか、通信技能講座の開設など技能水準を一そう向上させるための施策を積極的に推進することとし、これらに必要な経費として九十一億一千五百九十二万三千円を計上いたしております。  その四は、労働災害防止対策及び労働条件近代化対策の推進に必要な経費であります。  労働災害の防止につきましては、従来から鋭意努力を重ねてきたところでありますが、最近における新技術の導入、新原材料の採用等の急速な進展に伴い、新しい種類の労働災害があらわれつつあり、その中には、一たん発生すると予想外に大規模化するおそれのあるものも少なくありません。かかる現状に対処し、人命尊重の基本的観点から、これらの労働災害の防止をはかるため、労働災害防止に関する諸施策を強力に展開することとし、特に、昭和四十一年度においては、第一線監督指導機関を強化するほか、産業安全研究所屋外実験場の設置、労働衛生研究所中毒実験部の新設等研究体制を拡充整備するとともに、労災防止会館の建設、安全衛生施設に対する融資制度の創設、労働災害基本調査等の実施、中小企業災害防止活動の促進、監督指導及び検定検査の強化など、科学的、総合的労働災害防止対策を強化することといたしております。  また、産業構造の近代化の過程における労働条件に関する問題の合理的な解決をはかるため、賃金等に関する所要の調査実施、最低賃金制に関する計画の推進と基本的な検討、賃金制度の改善指導、長時間労働の排除などの施策を積極的に推進し、さらに、家内労働対策、社内預金管理の指導、勤労者財産形成に関する調査及び啓蒙をはかることとし、これらに必要な経費として十二億六千三百四十三万六千円を計上いたしております。  その五は、中小企業労働対策の推進に必要な経費であります。  中小企業の労働条件等は、逐次改善されつつありますが、最近における中小企業の深刻な労働力不足等の事態に対処するため、事業内職業訓練及びその施設の設置に対する助成を拡大して、中小企業における技能労働者の養成確保とその技能水準の向上をはかり、また、中小企業の労働面における近代化を一そう推進するため、中小企業集団に対して助成を拡大し、その労務管理改善の自主的活動を促進するとともに、動働力の確保、労働条件の改善、労使関係の安定、労働福祉向上等に関する行政指導を統一的、一元的に実施することとし、さらに、中小企業レクリエーションセンターの設置、勤労青少年ホーム及び働く婦人の家の増設、福祉施設に対する融資の拡大、中小企業退職金共済制度の普及、最低賃金制の推進、小規模事業場に対する労災保険及び失業保険への加入促進等、福祉対策の充実をはかるなど、中小企業労働対策を総合的に推進することとし、これらに必要な経費として二百三十七億九千六百三十二万三千円を計上いたしております。  その六は、合理的労使関係の樹立に必要な経費であります。  国民経済の繁栄と民主主義の発展のため、労使が相互信頼と協力の精神を基調とし、平和的、合理的な話し合いを通じて労使問題の解決をはかるという慣行を樹立するため、労働教育等の指導啓蒙に意を用いるとともに、労働紛争議の予防とその円満な解決に努めることとし、これらに必要な経費として三億百六十四万四千円を計上いたしております。  その七は、婦人及び年少労働者対策に必要な経費であります。  婦人及び年少労働者対策といたしましては、婦人労働力の有効活用をはかるとともに、家事サービス職業訓練の実施、内職相談施設の拡充等婦人の職業対策の充実をはかり、あわせて、勤労青少年ホーム及び働く婦人の家二十カ所の増設、年少労働者産業カウンセリング制度の普及、年少労働者集団活動の健全化等婦人及び年少労働者の福祉対策を強化するほか、出かせぎ労働者の留守家族対策の推進など、農村婦人に対する指導援助、婦人の地位向上対策を進めることとし、これらに必要な経費として三億二千七百五万一千円を計上いたしております。  以上のほか、国際労働行政の充実、その他一般行政事務費等に必要な経費を計上いたしております。  次に、労働者災害補償保険特別会計について御説明いたします。  この会計歳入及び歳出予算額は、ともに一千百七十八億九千九百三十二万七千円でありまして、歳入のうち、保険料収入は七百五十四億九千七百八万四千円で、また、一般会計よりの受け入れは十五億八千六十三万八千円であります。  また、歳出のうち、保険金に必要な経費として六百十三億五千百四十四万七千円、労災病院等の施設の整備拡充のための労働福祉事業団出資金に必要な経費として二十九億九百八十五万四千円を計上いたしております。  最後に、失業保険特別会計について御説明いたします。  この会計歳入及び歳出予算額は、ともに一千八百三億四千九百四十八万円でありまして、歳入のうち、保険料収入は一千三百二十三億五千四百万円であり、失業保険国庫負担金受入は三百六十四億六千三百万円であります。  また、歳出のうち、保険給付に必要な経費として一千四百四億二千二百万円、総合職業訓練所の整備拡充、移転就職者用宿舎の建設、中小企業レクリエーションセンターの設置等のため、雇用促進事業団に対する出資金に必要な経費として百三十七億二千六百十九万七千円を計上いたしております。  なお、最近における日雇い労働者の賃金の実情にかんがみ、日雇い失業保険金日額の引き上げ等を行なうことといたしております。  以上、昭和四十一年度労働省所管一般会計及び特別会計予算につきまして、概略御説明申し上げたのであります。  何とぞ本予算の成立につきまして格段の御協力を御願い申し上げる次第であります。
  58. 鬼木勝利

    主査鬼木勝利君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  59. 大森創造

    大森創造君 労働大臣とそれから基準局長にお尋ねしますけれども、これは労働基準行政について、どういう点がやりづらいと思いますか。こうあってほしいなということをおっしゃってください。
  60. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) たいへん広範な問題でございますので、私の御希望が通りますかどうかおそれるものでありますが、労働基準行政発足当時の昭和二十三年ごろは、基準法適用事業場が約五十万でございました。それが昭和四十年では二百十七万というふうに、四倍以上もふえております。適用労働者の数も、昭和二十三年には九百七十七万でございましたが、それが昭和四十年におきましては二千六百三十万というように、労働者の人数におきましても二倍半、二六九%といったような増加を見せております。このような実にはなはだしい適用対象の拡大と相比較しまして、労働基準行政推進にあたりましての人的その他の態勢を見ますると、必ずしもこれとパラレルの関係伸びていないというようなことからいたしまして、このような経済の発展を反映いたしまして、非常に適用範囲が拡大し、業務量が増大しておるという中にありまして、御承知のような災害多発の現象、出かせぎ労働者問題、賃金不払いといったようないろいろな問題が生じておりまするので、まあ事務体制を合理化しあるいは改善するにいたしましても、どのようにしてこのような体制に追随していくかということが私どもの現在の悩みであると、まあ率直に申し上げますとそういう点にあると存じております。
  61. 大森創造

    大森創造君 労働大臣、同様ですか。
  62. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 現在の労働基準行政を進めるにあたって、どういう点にネックがあるか、あるいは悩みがあるかという点は、直接その衝に当たっておる基準局長がいま申し述べたところであろうと思います。もちろん基準行政というものは、時代が進むに従ってこれはますます徹底してやらにゃならぬと、こういうことは当然だと思いますので、単に、このパラレルにいかぬというような意味もありましょうが、むしろ積極的にやるという点から考えれば、より一そうまた悩みがあるのではなかろうかと考えております。
  63. 大森創造

    大森創造君 まあそのとおりだと私も推察をいたしますので、御同情申し上げます。  そこで、実際に災害が多発している昨今でございますけれども、実際のその基準監督官なり技官なりの検査というものはできないだろうと思うのです。東京でも大阪でも名古屋でもけっこうでございますから、全国平均でもけっこうでございますから、事業所というのは一人当たりどのくらい受け持つものでございますか。
  64. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 先ほども申し上げましたように、適用事業場の昭和四十年におきます数は二百十七万二千でございます。これに対しまして監督官の人数は二千六百八名でございます。いまこれは算術平均で出るわけでございますが、そういったことで、全国平均の数から見ますると、一人約千事業所平均受け持つということでございます。そういったことになっていると存じております。
  65. 大森創造

    大森創造君 千以上の事業所ということになると、一年に一回も回れないところが多いということになりますね。で、役所に帰ってきて事務をとるということになると、これは一年に一回も回れない。三年に一回しか回れないということに必然的になるわけですね。
  66. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 算術平均いたしますと、いまのような膨大な数を一人が受け持つという形になります。そこで、特に最近行なっております措置といたしましては、中小零細企業の産地集団といったような場合には、適用事業所の件数から申しますと何十事業所となるのでございますけれども、産地ごとに集団指導するという形でいわばこなしてまいる。それから重点産業と申しますか、たとえば製造業も建設業も商店も、みな同じように扱うということではなくして、従来とも工業的職種に重点を置き、間々年少労働関係の問題の発生するような特殊な業態をこれに加えつつ監督をする、こういうことで重点監督と集団監督の両者を併用いたしまして、できるだけ監督の回数をふやしていきたいと考えておる次第でございます。
  67. 大森創造

    大森創造君 いまの説明はわかりますけれども、産地集団として指導するとか合理化をするということもわかりますが、ここでひとつ資料のお願いがございますが、それはここに、五年といたしましょう、五年間の事業所と、それから労働人員ですね、いまおっしゃられました年ごとの変化の状況を示してください。同時に、監督官の定員のふえぐあい、これをひとつ一覧表にしてお出しを願いたい。  私はぽつぽつ聞いていきますから、あっちへ飛んだり、こっちへ飛んだりいたしますから悪しからずひとつ……。  そこで今度は小さい問題に移りますが、群馬県の基準局の竣工式がございましたな。いつありましたかな、きのうかな、おととい……。
  68. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 私は出席いたしませんでしたのですが、三月十一日の予定で行なわれたと承知いたしております。
  69. 大森創造

    大森創造君 その基準局の竣工式に要した費用は幾らで——竣工式に使った費用は予算のうちに入っておるのですが、それは幾らですか。わからなければ資料にして出してください。
  70. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) ここに群馬の局の庁舎建設費、実は用意してまいっておりませんので、承知いたしておりませんが、竣工式の予算もちょっと私ども個別にタッチいたしておりませんので、承知いたしておりません。
  71. 大森創造

    大森創造君 また資料要求いたします。この基準局の庁舎に要した予算ですね。同時に、三月の十一日に行なわれた竣工式の予算が本省で幾らくらい組まれているか。このことはひとつ資料として出していただきたいと思います。  そこで、それ以外に三十万円の金を集めたというのは、竣工式のあとの落成祝いをおもだった人でやったんだろうと思うが、その三十万円というものを集めたそうだが、どっから集めたか、御存じありませんか。
  72. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) ただいま申し上げましたような次第でございまして、寄付を集めること自体は、かねてから望ましくないということで抑制いたしておりますので、本省の方針に反しましてそのような処置をとったとか、あるいは金額が幾らかというようなこともなかなか、これは私どもも、そういった方針違反を行なっているかどうかという点にかかわるものでございますので、調べてはみますが、どのような形に相なっておりますか、ちょっとこれは御報告申し上げるにいたしましても、よく調査してからにいたしたいと思います。
  73. 大森創造

    大森創造君 これはよく調査願うことにしてよろしゅうございますか。私の調査では、三十万円、予算以外に集めたことになっている。どこから三十万円の金を集めたか。それからその落成祝い、二次会みたいなものでしょう、おそらくそれに出席された本省の方々のお名前と役職、それから県の段階でございますから、知事だとか、その他の人が呼ばれたと思うが、そういう人のお名前をひとつお示しをいただきたい。資料としてお出しいただきたい、いかがですか。  それからもう一つ、これは単に群馬の基準局ばかりではなくて、今度は福井がございましょう。福井はいつ竣工する予定でございましょうか。ここ両三年のうちに竣工した局などについて、同様のことで寄付を集めて、二次会みたいなことをやっているのだろうと思う。何も群馬ばかりではないと思いますが、そういうものを、この三年このかた、三年前からのものを……。新しい庁舎の竣工にあたって、本来の予算以外のもので地元の業者やあるいはその他の関係の方面からお金を取って、そうしてやった、こういう例について、具体的にひとつ資料をお出し願いたいと思うが、どうですか。
  74. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 庁舎の竣工落成式があり、かつ、この二次会の宴会のようなものがあったという点についての御質問でございますが、いろいろな形で行なわれる可能性がございますが、ただ地方の労働基準局が行なっておりますものか、あるいはそうでなくて別の形態で行なっておりますものか、そこら辺ちょっとただいまは判然としませんので、そういった点、いわゆる役所がそういうものをことさらに設けたという観点から、いわゆる不当と考えられる——不当と申しますか、好ましくないと考えられる、あるいはそうでなくて、県あたりも、あるいは関係する官庁も相当幅広くあることでございますから、そういった別の形で行なわれたのか、よく調査いたしまして善処いたしたいと思います。
  75. 大森創造

    大森創造君 いまお話しのことは私もよくわかるのですけれども、竣工式の予算というものは、たとえ局であろうと、本来予算の中にあるだろうと思う、そうでしょうね。そこで、その予算以外に寄付を集めるということ……。
  76. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 庁舎の建設につきましては、私の記憶では、五、六年くらい、特に予算単価につきまして、その適正化をはかるという観点から、建物自体につきましてはもちろん独自で建てますように、配慮いたしておるような次第でございますが、その落成式の予算をどうかということでございますが、これにつきましては、落成式のための予算というのはございませんが、御承知のように、職員に対しましては人当庁費とか、そういう経費が平均的に計算されまして、地方庁に配賦されるわけでございます。したがいまして、そういうものからごく零細なものを支出するという場合につきましては、これは地方局長に支出を一任しておるというような形になっておるわけでございます。
  77. 大森創造

    大森創造君 しろうとでよくわからないんだが、人当庁費ってどういうことなんです。
  78. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 予算の積算上職員一人につきまして庁費が幾ら、旅費は幾らというような計算をいたしまして、予算の中に見込んでいくというような計算のしかたになっております。特別にたとえば災害監督であるとかといったような監督につきましては、別途旅費、庁費を一つ一つ支出するということにいたしておりまして、一般平均的な状態における旅費の計算は、もう頭から職員一人について幾らといったようなかっこうで予算上も見込まれておる。したがいまして、地方予算を配賦するというような段階におきまして、もう職員の人数割りで幾らというふうな計算を出しまして地方にまず渡す、こういう形をとっておるわけであります。
  79. 大森創造

    大森創造君 そうすると、群馬の基準局が竣工する場合にも、竣工式の費用というものは、本省とは関係なしに群馬の基準局のほうでいま言うた人頭割りでもって予算を支出するということでございますか。
  80. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 建設費はそれぞれ個別に査定して流しておりますが、竣工式その他については、本省はノータッチである、地方局に予算を配賦しておりますから。もし最小限必要であるならば、最小限のものは地方局に配分いたしました予算の中でしかるべく処理するということでございまして、労働省としては個別に地方局の竣工式をどうこうするということには関与しない、こういうふうにいたしておる次第でございます。
  81. 大森創造

    大森創造君 それでは、とにかく竣工式という予算はいずれにせよあるわけですね、局の段階で。そうでしょう。局のほうにまかしてあっても、とにかく竣工式なるものは行なわれるのだから、そのときに使うお金というものは正式に予算があるはずでしょう。
  82. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 先ほども申し上げましたように、竣工式のための予算という、そういう費目の予算はもちろん配賦しておりません。おりませんが、先ほど申しましたように、一般の庁費等配賦いたしておりますから、全般の経理を見て最小限必要なものであるならば、出すことも可能だという意味でございます。
  83. 大森創造

    大森創造君 だから、私が申し上げるのですが、局の段階で一定の竣工式のお金は捻出しているのですね、そういうことになるでしょう。
  84. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) さようでございます。
  85. 大森創造

    大森創造君 そこで資料として要求いたしますが、そのお金と、それからもう一つは、私が調べたところによると、それ以外に三十万円の金を各方面から集めたということになっているが、その明細を資料としてお出しいただきたい、よろしゅうございますか。
  86. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 先ほども申し上げましたように、労働省としてはそういう寄付の徴収その他まかりならぬというふうに示達いたしておるわけでございます。したがいまして、先生の御質問でございますけれども、三十万円集めたそうだが、その報告を出せと言いました場合に、先生がそういう前提にお立ちになりまして、私にいまいろいろ申されておりますそのようなかっこうで御報告がなし得るかどうか、ちょっと私は検討の余裕をお与え願いたいと思うのであります。
  87. 大森創造

    大森創造君 しかし、そのことを聞くことは差しつかえないでしょう。寄付を集めないなら集めないという回答があなたのほうにあるでしょうし、集めたならば幾ら集めたという回答があるだろうと思うのですが、そのことをお調べいただきたいということです。群馬ばかりではございませんので、ここ三年間ばかりのうちに、いまから竣工式があるところもあるだろう、いままでに竣工式をやったところもあるだろうから、そういうものについて資料をお出しいただきたいということです。
  88. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) ちょっと私お答えしづらいのでありますが、つまりこれからの分につきましては、私ども竣工式をやるとかどうとかというのは、従来ともそういった指示とかそういうのはいたしておらぬわけであります。しかも、乏しい予算でありますから、社会的に見まして最小限やむを得ないという程度のものであるならば、これは新築落成でございますからやむを得ないということで、渡した予算の中でしかるべくやりくりをしろと、こういうふうに申しておるわけでございます。そういった関係にございますので、幾ら幾ら使ったか明細出してみろと言いました場合に、これは官庁間のことでございますから、ほかにたとえば災害関係予算をさらに追加要求するとか、監督の経費を要求するといった場合に、本省に追加要求したところが、落成式の費用がかかり過ぎているじゃないかということで削られちゃまずいとか、いろいろな関係が実はありますので、地方に調べろと申しましても、極力私ども正確を期しますために努力をいたしますけれども、先生がお考えになっておられるような角度から、それに即応すると申しますか、御満足できるような形で資料の作成をなし得られますかどうか、ちょっと私確信がございませんので、その点だけお含みおきいただきたいと思います。
  89. 大森創造

    大森創造君 何も私はそういう資料が、百万かかろうと一千万かかろうと、十万かかろうと、そういうことを問題にしているわけではありませんよ。それからさっきちょっと口が走りましたが、そこら辺のところはわかりますがね。ただこの間あった群馬の基準局の竣工式について、いまあなたがおっしゃったことを全部肯定いたしますよ。けれども、費用はかかったのだから、その費用をお示しいただきたいということです。百万円じゃ足りないですよ。思い切って、けさの新聞に出たように一千五百万使ったらどうです。私はそういう意味で申し上げているのじゃないのです。事実を事実として拝見したいと思うのです。私が聞いた限りでは、そういう本来の局の予算以外に、何がしかの金を集めておりますから、金を集めたのは悪いといったって、現実に集めたというふうに私調べてございますから、それは直したほうがよろしいのでこのこともあわせて御調査いただきたいということでございます。無理な注文じゃないでしょう。
  90. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 役所の性質上、特にそういう点につきましてえりを正したいという気持ちでございます。したがいまして、御指摘の点につきまして、ことさらに事実を隠蔽するという気持ちはさらさらございませんので、至急調査をいたします。ただ事柄の性質上、いわゆる強制寄付だとか、あるいは自然な何かを求めるとか、いろいろな経理があろうかと存じますが、それが社会的に強権によってこういうことをしたのだというふうな前提に立ちまして、事がそらされるということをおそれましたので、先ほど来申し上げたような次第でございまして、調査は至急いたします。
  91. 大森創造

    大森創造君 私もおとなびて考えておりますから、そういうことを一々クレームつけるわけじゃないのですよ。そのことを事務的にお出しいただきたいということです。  そこで次に移りますけれども、「労働基準」こういう雑誌ですね、発行所は日本労務研究会ということになっているのだけれども、これは年間どのくらい出しているのですか。
  92. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) ちょっとこれは間違いがありましたら、発行部数はあとで訂正さしていただきたいと思いますが、その「労働基準」という雑誌は、二つの型に分かれております。一つは、全国版でございます。一つは、地方版でございまして、全国共通の内容のものは全国版に載せておりますが、地方版につきましては、地方ごとの記事を載せるというようにいたしております。その全国版は、ちょっとここで明確にわかりませんが、数千というようにお答えさしていただきたいと思います。地方版を含めますと三万近くになるのじゃなかろうかと思いますが、これも地方ごとに部数が明確にわかりませんので、従来私ども、全部合わせて約三万ではなかろうか、こういうふうに把握いたしております。誤りがありましたら、後日訂正の機会を与えていただきたいと思います。
  93. 大森創造

    大森創造君 私の手にした「労働基準」という雑誌は、愛知版ということになっているんだけれども、いま局長のおっしゃられるのと違って一律のものを出していて、それを今度は全国的なものを半分くらい使って、あとの、後半の部分を地方版にしているのと違いますか。
  94. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 先ほど私が申し上げましたのはそういう意味でございます。
  95. 大森創造

    大森創造君 そこで、これの販売方法は、労働省関係がほとんど一手に引き受けているのですか。一般市販——これは全部資料で出していただけますか、むずかしいかと思いますが、こういう問題については、いまおわかりにならない点はそのとおりお答えください。これは労働省で、どのくらい労働省のルートを通じて流しておられるか、おわかりにならなければ資料として出してください。
  96. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 販売のほうは出版会社がやっておりますので、まあ出版会社の系統を通ずるわけでございますが、地方版が先ほど申しましたようにむしろ数として多いわけでございます。地方版につきましては、労働基準協会とかいろいろな名称の団体がございますが、そういった会員組織を通じて配付をするといったような組織がとられておるというふうに私どもは承知いたしております。
  97. 大森創造

    大森創造君 「労働基準」というものを三万なら三万、五万なら五方というのを、本省でどのくらい買っているのか。そして、大阪の基準局では幾らか、名古屋では幾らかということのこの資料をひとつお出し願いたいと思います。局長、いまここで御答弁、むずかしいと思います。こういう雑誌でございますからむずかしいと思いますが、いかがですか。そういう資料をお出しいただきたい。
  98. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 本省では五百部買い上げているそうでございますが、地方版は、地方の局に先ほど申しましたように経理をまかしておりますので、何部買っておりますか、ちょっと承知いたしておりません。必要があれば至急調査いたします。
  99. 大森創造

    大森創造君 これは発行はいつかな。そしてこれは月刊雑誌ですか。このこともわからなければ資料として出してもらいたい。わかりますか。
  100. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 月刊として出しております。
  101. 大森創造

    大森創造君 それでは、労働基準協会というのは、まあ協力団体みたいな外郭団体でございますね。これは中央にあるのですか、東京に。
  102. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 労働基準協会といったようなものは中央にはありません。御承知かと存じますが、過去十数年前、労働基準法が施行せられて以来、新しい法律でございまするので、その普及等につきまして講集会を開いたり、いろいろな解説書を頒布したり、そういった関係で労働基準協会と名乗る団体が数多く出てまいりましたが、中には、安全の関係を主にいたしまして安全協会であるとか、あるいは労働衛生協会であるとか、あるいは工業会であるとか、いろいろな名称のものがいわば自主的な団体としてつくられてきて今日に至っておるというわけでございます。
  103. 大森創造

    大森創造君 その労働基準協会というものの設立は、だれがしましたか。
  104. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) ただいま申し上げましたように、基準協会という形で全国一律につくられておるわけじゃございません。そのことからおわかりのように、いわば地区ごとのまあ任意の団体として設立されてきたということでございます。で、監督署単位のものが多うございますが、中には、全県で一本で監督署ごとにはないというように、組織、内容等もきわめてまちまちになってございます。
  105. 大森創造

    大森創造君 そこでこれも、おわかりならばお答えいただきたいと思うのだが、労働基準協会というものの業務内容、これいま口頭で御説明いただきましたが、書いたものがあるはずですから、それをひとつ資料としてお出しいただきたい。
  106. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 業務内容と申しますか、労働省のほうでひな形をつくりまして、こういうものをつくれというふうにしてつくらしたものじゃございません。したがいまして、業務内容は非常にまちまちでございます。組織からして、全県一つというものもございますれば、あるいは監督署単位にあるといったようなことで、組織もまちまちである。業務の内容も、基準法全体の普及徹底といったようなものを目的とするものがあるかと思えば、産業災害防止という問題に集約されたものもあるというように、まちまちでございます。何ぶんにも私どもは積極的に指導してつくらせたといったような形でなくて、戦後幾つかの形で芽ばえてきたというものが、今日存在しておるということでございまするので、内容、規模等さまざまでございますので、いまここですべてに適合したものはこうだというふうに申し上げるのは適当でないかと存ずるのでございます。
  107. 大森創造

    大森創造君 そういう御答弁になるでしょうけれども、ここで労働基準協会というものが東京にはないと、各県ごとにできているところもあるし、それから各局ごと、署ごとにできておるところもあるとおっしゃいましたね。そこで、これもいまでなくてけっこうでございますから、相当いろいろな事業を活発に行なっている面もございますが、各署、各局に少なからざるお金を出していますね。それは御存じでしょう。
  108. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 私どもも、こういう団体の存在というものについては、十分関心を払い、問題が生じないように、絶えず注視をいたしておるような次第でございますが、ただいま申し上げましたように、規模、内容、事業の構成が非常にまちまちである。多いところは専任職員を置きまして、専任の職員の人件費を負担する、かなりの予算を持って事業を営むというものもありますれば、きわめて規模弱小にして、活動状態も貧弱であるというようなのもございますので、しかも、特に問題は率直に申し上げますと、私どもが、こういう団体を法人化しろということを、特に昨年以来目下強力に指導をいたしておりますが、法人にいたすことの意味合いは、法人の理事機関となるなと、なってはいけないということをかねて申しておりますが、法人を設立することによりまして、役員になっちゃいけないということが、定款その他で明瞭になってくるということと、事業内容に関連いたしまして、予算経理の内容が、主務官庁に報告せにゃいかぬということで非常に明確になってくるわけでございます。ところが遺憾ながら、現在大部分のものが任意団体でございます。したがいまして、会計処理、報告の内容等も非常にまちまちであり、事務を処理するにいたしましても、当然報告せしめて経理内容を審査するといったようなことは非常にむずかしい、こういう形になっておりますので、いま先生が御指摘のような形で、全国的な調査の結果を報告せよという場合に、かなり問題がございますことを御了承いただきたい。
  109. 大森創造

    大森創造君 そのとおりだろうと思うのです。しかし、わからないはずはないのですよ。いまお答えのとおり、労働基準協会からお金を全然受けていない局も署もございますから、全国的には。だけれども、ひとつ具体的な例を申し上げますと、福岡、大阪、名古屋についてお調べいただきたいと思う。これは相当膨大な金額が出ていますね。これあなたおわかりにならなければいかぬでしょう。これ一つ例を申し上げますというと、「労働基準」という一月号ですね、これを見ますと、全国的な問題について書いてあるのは二十八ぺージ、あとの三十四ぺージは全部広告です。この雑誌は雑誌のうちでも異例です。二十八ページしかない、本省の方々がお書きになったり、学者が書いた文章などは。そこで、二十八ページがそういう一般的な全国に通用するような労働基準行政のあり方とか、あるいは経営者の態度云々などということを書いておりますが、三十四ページという過半数は広告取りをやっておりますよ。そこで、広告の代金が幾らか、ご存じですか。
  110. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) ちょっと誤解があるんじゃないかと思います。その雑誌そのものは労働基準協会で出しているんじゃないので、日本労務研究会という出版社で出しているわけであります。したがいまして、広告その他、ちょっと労働基準協会とは別なものではなかろうかと存じますので、その点、私どもはちょっと調べるとか、あるいはそういう観点から出版会社についてかれこれいま説明できますかどうか、何か誤解があるんじゃないかというように存じあげます。
  111. 大森創造

    大森創造君 それは言い方を間違ったので撤回いたします。確かにそのとおりでございますね。あとからそちらに聞きますから。  前に移りまして、基準協会のほうは会費を出しておりますね。出さないところもあるが出しているところが多い。たとえば名古屋、大阪、福岡などは、必ず相当額の会費を出しているはずですが、これはご存じですか。ご存じでなければひとつお問い合せになって資料として出してください、どのくらい出しているか。
  112. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 法的には、いわば権利能力なき社団という形で会員が運営しているわけでありますが、会員組織であります以上、何らかの分担金と申しますか、会費を徴収しておるということは当然に考えられることでございます。しかしながら、先ほども申し上げましたように、法人になっておりまして、主務大臣の認可を受けるというものは、私ども内容的にこれは把握しております。ただ、そういった任意団体で、権利能力なき社団的なものにつきまして、内容をどうかこうか、会費徴収がどうかという点につきましては、運営上の問題としては注意を喚起しておりますが、ことごとくそれを精査して内容を把握するという形になっておりません。大要としては私も承知しております。しかし、その雑誌のどうこうということを、先生の御納得のいくような形で提出し得るかいなかという点については、やや自信がありません。その自信がないというのは、いま申し上げましたような実態からいたしまして、把握上いろいろ問題があるということでございます。ただ事柄は、これはさればといっていたずらに隠蔽、糊塗するというような立場ではいけないと思いますので、できるだけ実態を把握しまして、後日また御連絡を申し上げたいと思います。
  113. 大森創造

    大森創造君 よくわかりますけれども、基準協会の事業内容などは、労働省と密接な関係にございますからこれは調べることができるだろうと思います。そこで、基準協会の会計の内容を調べるということは、あなたのほうではできないけれども、基準協会から各局が受けた金額はわからないことはないだろうと思うのです。もっともあなたはわからないかもしれない。これはよほど精細に調査しないとわからないと思うのです。  会計検査院の方はおいでですか。会計検査院はおわかりにならないでしょうか。
  114. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) いま御質問の点、部外の金になる関係上非常に検査がしにくいのでございましてむずかしいのですが、いままでの経験では、たとえば物品のようなものでございますと物でございますから、これをどの予算で買ったかということを調べてまいりまして、これがもしいま話が出ております協会からの借りものだというようなものが見つかって、そしてそれを返さしたというような実例はございます。しかし、全体的にそういうことが行なわれているかどうかということになりますと、本院としてもまだそこまで把握しておりません。
  115. 大森創造

    大森創造君 私はよけいなことを言うのではありません。署なり局なりの会計の中に、事実、事業内容と申しますか、そういう役所の中の会計の部分に組み入れられて、そしてあたかも予算であるかのごとく使われている金額が相当多額になるということです。だから、基準協会そのものの会計を精査するということは、会計検査院たりともできないでしょう。労働省の上司たりともできないでしょう。だけれども、繰り返して申しますが、福岡それから名古屋、大阪などについて見ますと、これは会費を取っております。大きな事業所については何万です。小さな事業所については、その基準がわからないのだが、少なければ少ないでも数が多い。大阪にしても、あるいは名古屋にしても、これは膨大なものだと思いますが、そのことについては、そのお金は署長なりあるいは職員なり、そういう方が使っておるのですから、これはおわかりにならないはずはないと思うのです。しかし、現地の局、署ではこれはなかなか出さないのです。おわかりになりますか。そこで、そのことをお調べいただきたいことを、会計検査院と行政管理庁と労働省のほうにお願いしたいと思います。金額が少なくないのです。
  116. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 私は局長になりましてから毎年のようにこの問題の質問を受けます。したがいまして、これは非常な関心を持ちまして年に少なくとも二回は通達を出しまして、この問題に対してえりを正さしているつもりであります。  いまの先生の会費徴収の問題でありますが、それが単純な協会自体の運営費であるのか、あるいは御承知のように災害防止のための催しを何回も開くとか、あるいは講習会を開くとか、特殊な催しが年間に再々行なわれます。そのような経費として徴収するものであるかどうか、当然集めたがペイされる会費もございましょう。しかし、協会には職員を置いておりますから、人件費とか経常費を捻出するために取る会費もあろうかと存じます。いま御指摘の点で、事業所から一万円とかいうような金額が明示されましたが、それは至急調査いたしまして、私たち、それが協会の運営費的なものであって、そういう金が当然監督機関に流れているのじゃないかというふうにお考えになられますと、そうでなくて、たとえば安全大会などを労働基準協会と地方局と共催で行なう場合がございまして、その際の会場借り上げ費、資料の印刷費等を協会のほうで一切行なう場合も少なくないのでございます。そういう共催関係において協会が徴収する特殊経費もあるわけであります。したがって、そういった関係をつまびらかにするという点については、二重三重の面から調査を必要とするわけでありまして、その間の事情をひとつ御了承いただきたいと思います。
  117. 小柳勇

    小柳勇君 関連。ちょっと話がわからないので質問するのですが、日本労働協会は労働省予算で六千万円補助しておりますね、助成を。その話をやっているのですか、違うのですか。
  118. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 違います。
  119. 小柳勇

    小柳勇君 わかりました。
  120. 大森創造

    大森創造君 いまの局長のお話はわかるのですけれども、私の言うのは、共催で安全大会をやるとか、あるいはもろもろの行事をやるということについて、協会が持っている場合もきっとあるだろうし、それから署のほうで持っていることもあると思いますが、そのことも資料として出していただきたい。同時に、年間幾らでやっているか、事実おわかりにならなければ、労働大臣、私のほうから申し上げてみますが、これは相当膨大な金額を取っているのです。名古屋、大阪でも、事業所がどのくらいございますか、これが何人以上という、寄付なんかを取る場合には、おそらく二人とか三人程度のところは取らないと思いますが、相当規模以上の事業所が相当多い、名古屋、大阪あるいは福岡というところでは。ここから会費を取っていることは間違いないんですね。そこで、いま局長のおっしゃられたように、共催でやるとか、協会で受け持つ事業であるとか、そのことも私は資料として知りたいと思うのです。というのは、密接不可分の関係にあるんだから、こっちが要求すればきっと出すだろうと思う。私の知りたいのは、会費を出しているんですよ、これは事実なんです。何万か大きいところは出しておりますよ。それで、そういうものをひとつ資料としてお出し願いたいということと、それからもう一つ、いま局長おっしゃられましたように、協会というものと、それから局なり署なりが共催でやるものについてのそういう予算のやりくりというものもお調べいただきたいと思うのです。
  121. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 先生の御趣旨はわかりますが、先ほど申しましたように、各局態様がまちまちでございます。それから、かねてこれは本省からきわめてやかましく言っておる事項であります。したがいまして、いま先生調査をお求めになりました項目について、かりに先生の御指摘の点が事実なりとして、そのまま報告した場合にどういう結果になるかということは、地方局長以下はまず十分わかるわけであります。身分上の問題に関連する可能性も十分ございます。したがいまして、この問題について、先生の御希望するような資料ができますかどうか。実は私どもは監察機関を使いまして再々調べております。調べておりますし、問題がありますところは直ちに是正を命じております。しかしながら、何ぶんにも大部分が民間の団体、しかも任意団体という形で埋没いたしておりますので、それを掘り起こしまして、実態いかんということをきわめるのに私ども非常に困難を感じておる面がございます。
  122. 大森創造

    大森創造君 その困難なことはわかりますけれども、このことはやらなければいけませんよ。というのは、局や署が受け入れているんですから、現実にね。たとえば文部省にしても労働省にしても、寄付を受け入れたならば、受け入れただけの金額を明らかにする義務がありますよ。私の調査では、これは確実に受け入れているんですよ。あなたのほうでは再三厳命しているということを言っているけれども、現実に受けている。改まっておりませんよ。あなた、それ自信ございますか。   〔主査退席、副主査着席〕
  123. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 毎年のように御指摘を受けます。これをいかにして正すべきかということで、最近におきましても、協会の役員になることはもちろん、つまり理事機関とか、そういう役員になることはもちろん、顧問、参与等になることもやめさせる。それから今後は、必要があって設置すべき、存続すべきものについては法人化すべし、こういう観点からいま厳正に措置しようとしておる段階でございます。そういう行政的な指導が進行している途上にいまあります際でございますから、過去にどうあったかということを洗いざらい出せといいました場合に、いま転換しつつあるような状態であるのに、経理上どうかというようなことにつきまして、いまここで私軽々に受け合いまして、資料がそろわなかった場合におけるいろんな問題がありますので、極力努力いたしますということをひとつここで申し上げさせていただきます。
  124. 大森創造

    大森創造君 まあこういうことを厳重に取り締まるということだし、毎年そういう指摘があるから厳重にやっているんだということだ。しかし、あなたのお話はゾルレンだな。こうあってほしいということを本省のほうから通達をしたり、監察をしたりしているんでしょうけれども、これはなかなか直りませんよ。そこで、そういうふうに姿勢を改めようとする途上にあるほどならば、この際全部洗いざらい出したらどうですか。全国とは言いません、名古屋、大阪、福岡についてそういうことをお調べいただきたいと思う。現に言っているんじゃございませんか、会計検査院の方が、備品などについて、基準協会のほうから買ってもらったやつがあるということを。これは相当な備品。これはもともと予算が足りないわけでしょう。人員も足りないわけでしょう。私がいま申し上げておるようなことは、これは人員と予算の足りない労働省を責めるわけじゃございません。通産省も大蔵省もそれから建設省も山ほどございましょうと、そう推察申し上げるが、しかし、一番予算的にビュアな労働省でもこういうことがあるのだから、その他の省庁にだんだん及ぼしますよ。だから、いまあなたがおっしゃったような姿勢を正す、寄付を受け入れることはいかぬ、前段、私が申し上げたように、わずかばかりの寄付の金を集めるということ、それを問題にしておりません。しかし、私は、幾ら本省のあなた方がお調べになったところで、これは隠れると思うのです。というのは、教えてやります。会計検査院の方々、行管の方々に申し上げておきます。これは特〇〇と予算措置をしておりますからね。表面からいったって隠しますよ。  それから身分上の云々の問題になるからこの際調べができないというなら、これは国会に出てこぬほうがいい。何もこんな国会に出てくる必要はない。当たりさわりのないことをやったってしょうがない。これはいま姿勢を正すと言っておるが、これはどうしても国民税金なんですから、姿を変えた税金なんですから、正してもらわなければならぬ。これを洗いざらいやって身分上云々の問題になったら、国会の審議はできませんから。これは特に現実に受け入れているのですよ。  そこで、だれが知っておるかといえば、各局の庶務係長が知っております。それから課長も知っておるはずですよね。それから局長も知っておるはずだ。そういう中で一般の職員はわからないのですよ。会計検査院の方よく覚えておいてくださいよ。行管の方もわからないのですよ。ましてや基準局長などの一片の通達などがいったって、これはばい菌のごとくもぐってしまいますよ。そういう性質の金なんですよ、これは。特〇〇と称するものを庶務課長、課長補佐、局長によって伝票形式で決裁をされておるということです。それをお調べいただきたいということです。基準協会はなるほど外郭団体でしょう、しかし、これは密接不可分なんだから。これは何億という金ですよ。冗談じゃないです。これは決算委員会でもまたあらためてやりますが、これは相当な金額ですよ。だから、これをひとつお調べいただきたいということですね。機会があれば、私がいま申し上げました三局の局長と、それから庶務課長と係長には国会に出ていただきたいと思う。この点をどうしても明らかにしなければいかぬ。というのは、基準局によっては、こういういまお話しにあるごとく、会費も取らなければ、寄付も取らなければ、ほんとうに予算が足りないままでまじめにやっておるところもたくさんあるのですからね。ところが、事業所の多いところは、事業所ごとに金を取る、さらに今度は会費を取るということ、備品も使う、それから臨時職員を使っておりますね、私の調べたところによると、名目はともかくとして、臨時職員を使っておるのですよ。基準協会からお金をもらって臨時職員を使っておる。こういう事実、御存じでしょうか。
  125. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 臨時職員を従来使っておった例は私どもも承知しております。ただ、その使うという形態が、役所の仕事ではなくして協会自体のいろいろな会員連絡とか、そういう連絡の場合に、監督署のほうに机があったほうが便利だとか、いろいろな点からそういうことをしておった例があったようでございます。しかし、これはいけないという点で、関係方面からのいろいろなお話もあり、私どもはそういった点を是正すべきだと、それで形を整えるために、協会の職員なら職員らしくきちんとすべきである、監督署の職員であるといったようなこととまぎらわしい形で措置しておくから誤解を受ける、こういう点を特に厳正に措置するということは、従来からの指示の中の一つの大きな柱として指摘してきたような次第であります。
  126. 大森創造

    大森創造君 じゃ、あなたにお聞きしますが、その臨時職員を頼んでおったところは、どこだったですか。
  127. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) これは私が局長になります前に、前任局長が三原則と称しまして、そういった人的な援助を受けることを禁止するという通達を出しておりますので、私にかわりまして以後は、その方針からはほとんどいま御指摘のような処置を認めないということで、私自身はそういう事実をつまびらかにいたしておりません。
  128. 大森創造

    大森創造君 これはひとつ調べていただきたいのだが、臨時職員ですよ。これは三原則云々ということをおっしゃいましたけれども、基準協会の職員の仕事をやっているのだろうという説明をあなたはするに違いないと思うんです。ばかでもなければしますよ、これは。しかし、あなた方お認めのごとく臨時職員、労働省の職員あるいは臨時職員であるのと同じ仕事をやっているいわゆる臨時職員が協会のほうからお金をもらっている。旅費や超過勤務の手当までもらっている。ということは何を示すかというと、これは何でもやっているということですよ、ここから金をもらって。金がなくなれば何度でも執務時間中に寄付をもらいにぞろぞろ歩いていますよ。そして署長のマージャン費用とか料理屋の払いとか、それから本省の皆さんのうちにもおられるかもしれないけれども、接待費、こういうものに使っている、相当の部分。これはいいかげんの金じゃありませんよ、たいへんな金額ですよ。それで局長あるいは大臣、自信がおありならば、私の言うことに誤りがあるとすれば——私はこんなことを問題にするのが小委員会だと思うんですよ。こんなことを実行いたします、通達いたしますといったって、さっぱり実行しなければだめなんですから、このことが正しいとしたら実行してください。しかし、これを幾ら通達しても改められなければ、これを機会に改めるようにしてもらいたい。さっきからお話のように備品、いろいろな設備費の問題も基準協会というところから金が出るということ、それから職員の超過勤務手当や月給まで実質的には協会から出る、こういうことは行政の姿勢としていかがなものですか。
  129. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) これは御指摘を待つまでもなく、かねてから適当でないということで厳達をしておった事柄でございます。重ねて御指摘をいただきますことはまことに恐縮に存じます。ただ、臨時職員と申しましても、これは基準局や監督署の臨時職員ではないのでありまして、協会がみずからの専任職員を置いた場合に、置く場所がないから、特に職員の数が三、四名で、ことさらに一軒家を建てるほどもないから、ちょっと監督署に置かしてくれとか基準局に置かしてくれという場合があるわけでございます。それに関連した御指摘だと私は存じますが、そういった点についていろいろ弊害が指摘されるから改めるようにと言ってきたところでございます。そこで、監督署の臨時職員とか基準局の臨時職員という性質のものじゃございませんが、同居をすることによってその実態は同じじゃないかという御指摘を受けますので、できるだけ別の場所に置くようにというふうに指導してきたところであります。これは現実には庁舎の改築とか新築といったような場合に処理するということが適当ではなかろうかということで、そういう際にできるだけセパレートするように、そしてあらぬ疑いをこうむらぬようにこの際処置しろということでやってきたわけでございます。
  130. 大森創造

    大森創造君 あなた、説明はそういう説明になると思いますが、私があなたの立場になってもそういう説明を——するかな、私はしないと思うな。事実はこうですよ。基準協会の職員というのは多くて二人か三人でしょう。そこでいまあなたの説明によると、協会の仕事をしているのだというふうなお話でございますが、そうでない、事実は。協会のメンバーはそれぞれの事業者でございまして、そうでしょう、それぞれの事業者なんですよね、当然。   〔副主査退席、主査着席〕 だから労働省が監督すべき事業者を網羅して基準協会というものを作っておる。だから寄付も会費も出さざるを得ないのですよ。そこでその職員は一人が二人、三人ということなので人が足りないので、むしろ局の職員や署の職員が協会の仕事を手伝っているのと違いますか。もしくは協会からお金をもらって、そして本来の労働省仕事をやっているというのが実態とは違いますか。あなたの説明はわかるのです。こんなことをしてはいけない、そういう御説明、それはわかる、しかし事実はそうでない。それから三原則とかいうことで事務所をセパレートするなどということを言っておりますが、セパレートしている事務所というのは全国で幾つくらいございますか。ほとんど同居しているのじゃございませんか。
  131. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 最近は局署の建物から出るようにということでかなり進んでおりますが、全国で約三百五十団体があるとつかんでおりますが、そのうちの約百四十五程度のものが、まだ局署の一部にいるというのを調査の結果把握いたしております。したがいまして、そういったものが今後さらに廃止しなければならぬという態勢になっておるわけでございます。
  132. 大森創造

    大森創造君 そこで資料を要求いたしますが、そのいわゆるあいまいな臨時職員というものの人数と、現存する人数は、あなたのほうの通達以後まだ実行されてなくて、協会のほうから出ている臨時職員がございますから、現実にその人数と場所をお示しいただきたいと思います。よろしゅうございますね。  それから今度は次の問題に移りますが、さっき話した「労働基準」という雑誌、これは半分以上、三十四ページが広告を取っております。広告の値段を申し上げますが、これは一コラム二千円ですよ。一ページ一万円ですよ。これを御存じですか。
  133. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 知りません。
  134. 大森創造

    大森創造君 これは愛知の労働基準局でございまして、この一コラム二千円でございまして、原価四百円、印刷費。そこで署の段階でマージンを六百円取っております。局の段階で千円、合計しまして二千円なんですよ。そうすると相当になりますよ。これは正月の年賀広告だけで、この裏表紙のほうはよけい高いですから、常識ですからこのほうが高いのは。これは月刊でしょう。これらの収入、これはひとついま私が申し上げましたように、あなたのほうはどういうことをお調べになったか知らないが、会計検査院とひとつ行管のほうにもこの際お立ち会い願ってお調べいただきたいと思うのです。というのは、もう一回申し上げますが、この二十八ページは文章を書いてございますが、三十四ページは広告を取るわけでございますから、これは謹賀新年でございますが、暑中見舞もやっておりますから、これだけでも三十四万円になりますね。そこでこの金額が相当になりますよ。これを取り歩くのは職員なんですよ。執務時間中にこの広告を取り歩いておる。私のところへ——何ならお見せしましょうか。いやでいやでしかたがない、こういう広告を取るのが。これは上役のための遊興費に使われる部分が相当あるのでいやだというのです、こういうことをするのが。ことに災害が非常に多発しておるおりから、こういうことをやったんでは困ると、あまりに事業所と密着し過ぎているという投書があなたのほうの部下からずいぶん来ておりますよ。これはお調べ願えませんか。
  135. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 先ほども申しましたように、日本労務研究会という団体にこの発行を一切まかしております。したがいまして、広告関係は私は存じてなかったのであります。ただ、これは出版会社の営業政策と関連する問題でございます。広告料を取るというそのために役人が回るということはこれは好ましくないことでありますが、広告を掲載するかいなかというのは、これは出版会社のことであろうと私は考えます。またその出版会社がはなはだしく暴利をむさぼっておるかどうかということになりますれば、これは話は別でございまするが、ただ広告取りに回ってその広告料をどうこうしたというのは、はなはだ不穏当な問題であります。私どもも御指摘の点は調査をいたしまして、善処したいと思います。
  136. 大森創造

    大森創造君 これいつからやっているのですか。このこともひとつお調べいただきたい。資料として出していただきたいと思うのですが、いまの局長答弁と私の質問していることが全然違うのですよ。これは出版社がやっているのじゃないのです。これを見るというと、「労働省労働基準局愛知労働基準局編集」ということになっているのですよ。そこでちゃんと割り当てのページがきまっているのですよ。ある署は五ページ、ある署は四ページ、大臣もよく聞いてくださいよ。そこで広告は一ページ一万円とすると、だんだん物価が値上がりすると、こんど二万円になるかもわからぬ。そこでいろいろなことが不文律として行われているのですよ。あなたのほうにはわからなくても。で、常時七十人以上程度をこえるところの事業所、そういうところにこの広告を取りに行っているのですね。これは私のところにずいぶん投書が来ていますよ。これは広告をいやいや取りにやられている。これではほんとうに衛生管理や安全管理なんかできっこない。名古屋の炭鉱事故なんかあたりまえだという切々たる叫びが私のところに来ていますよ。そこでこれは非常に丁寧なんだけれども、ちゃんと昭和四十一年労働基準年賀広告の問題ということにして来ているのですよ。あなたの署は何ページ消化しなさいということでずっと来ている。そこで広告料は署で取りまとめて、これは発行所じゃないのですよ、あなたのほうの局や署なんですよ。これは局および署において特々会計なる呼び名でやるのだ。これは会計検査院や行政管理庁や、まして労働省の小平労働大臣や基準局長などはわからないように、そういうものはこれは何も通り一ぺんの通達などを出してやってもやめるものか、選挙違反がやまざるごとく、これはやまないのです。表をさっとなでるだけで、これは下にもぐりますからね。事業所がたくさんあるし、ぐんぐんふえてくるでしょう。これは一万円を二万円にしたって一ぺんに百万、二百万に簡単になっちゃう。私の投書を何ならこの席上にも出しますよ。基準局長や、まして労働大臣は、労働行政において非常にスタンダードなことをおっしゃいますけれども、現実にこんなことをやっておったんでは、これはほんとうに労働災害防止なんてできませんよ。そうだと思いませんか。これは決算でありませんよ。予算の問題ですよ。こんなことが現実に行なわれていて、ほとんど大半が広告料を取りに行く、署員がいやいやながら行く。私の知人はこう言っていますよ。ある銀行に行った、そうしたら、あなたは監督官庁だけに、日ごろお世話になっておりますから、ひとつコーヒーを出しましょうと言ったのでいや、きょうは私は恥しながら寄付を取りに来たんだ、こういうことが随時行なわれている。私は酷だと思うのですよ、こういうことをやるのは。そこで私は発行所がどうのこうのでなくして、こういうものについて、これは月刊でございますから、いろいろなことで広告取りばかりじゃありません。基準協会というものをトンネルにして相当な多額の金を集めているのですよ。これは通り一ぺんのことじゃだめですよ。あなたのほうに、会計検査院と行政管理庁のほうに私はお願いしたいと思うのですよ。何かございますか。
  137. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 先ほど来の先生の御趣旨は、協会そのものの不要とか、雑誌の不要という角度ではなく、役人がこれに関与することによってもろもろの問題があろうという趣旨ではなかろうかと承りまして、私どももそれはごもっともで、御指摘のとおりというふうに考えるわけでございます。そういうことで、こういった問題について折り目を正すために、任意団体ではごちゃごちゃしてわからないから、法人にしろ、それから役職員になってはならないということを一方においては正すと同時に、一方においてはそういった広告取りをしたりなんかして、監督行政そのものがひずみを生ずるということを私どもは心からおそれるものでございます。そこで執務態勢についても、手心を加えてどうこうというようなことがあってはもちろんならぬことでございますので、協会自体の適正化の問題とあわせて、行政そのものをそういった御指弾、御批判を受けないようにさらに前進せしむべきである、という観点から鋭意努力しているような次第でございますが、その一端を申し上げさせていただきますと、従来送検件数の数からみましても、最近までは四百件台でございまして、昨四十年は送検件数が九百六十五件、これは十二月末までに報告のあったものだけでございます。それをこえておりまして、労働基準法施行以来最高の送検件数になっております。それからまた安全問題につきまして、手ぬるい勧告ではそういうことはだめだ、法規違反がありました場合には、機械や設備を使用停止処分させるという立場で、実はまだ未発表でございますが、ここ数年来は十件とか二十件とか、そんな程度でございます。それを特に三十九年度から行政方針として、違反があったならばすぐ使用停止処分をして即刻直させろ、こういう措置をとらせているわけでございます。三十九年度においては二百三十九件でございましたが、昭和四十年度に入りまして四月から九月までの半カ年におきまして、使用停止処分は千六百二十一件でございます。従来とは全然比較にならぬ数になっておりまして、昭和四十年度年度間を通じますと、おそらく三千件に達するだろうと思います。そういうような形で、なすべきことはなすという形にいたしましたならば、いま御指摘の広告取りに行くとか何とか、そういったような形とは、おのずから違う雰囲気のものになり、姿勢を正すには団体そのものの規制と、それから行政の姿勢を正すことが非常に重要であるというふうに考えまして、いま数字を申し上げたわけでございますが、これは別に問題をそらすとか、糊塗する気持ちはさらさらございません。御指摘の点につきましては、よく実態を調査いたしまして、善処いたしたいと思います。
  138. 大森創造

    大森創造君 雰囲気だとか、そういうことを国会で答弁することはよくわかるのですが、先ほどから私が申し上げていることは、基準協会という外郭団体から、繰り返しますが、会費を何万取る、取らないところもある、相当多額の金を取る。それから何か行事があるたびにまた寄付を取る。それから例をあげましたように、「労働基準」という一冊の雑誌を見ても、半分以上が広告を取っている。それでその広告取りの内容が、一ページ一万円であって、それでその署のほうはどうだこうだと、集まった金は特々として、会計検査院のほうにも、それから本省にもわからないように処分しろ、そうしてその少なからざる部分の金が労働大臣の交際費ではないのだ、労働大臣の交際費ならわけがわかる、これは寄付ができるけれども、署長局長ですよ。あなた方わかりませんかね。労働省の上にいてこういうことが。私はわかりますね、これは。だから大ぜいいたんですよ、年々歳々あなたのほうにウイスキーなんか贈ってくるかもしれませんけれども、たいへんなものでありませんか。去年かな、一昨年かな、北海道で労働安全大会がありましたね。話は飛びますが、このときに行った署長は何人行ったか御存じですか。これは資料を出してください。品の悪い話ですよ、みんな金のことだから黙っているが、金のことが大事なんですよ、予算委員会では。ほとんど飛行機じゃありませんか。本来の旅費ではまかないきれないはずですよ。飛行機で全部行っていますよ、札幌かどこか。行かない署長が少ないくらいですよ。そこであなたが言う雰囲気だとか、これから襟を正しますというより、さっき申し上げましたように、具体的な例があるのだから、会計検査院がさっき御指摘のように、調度品、備品でも労働基準協会から買ってもらったものがあるし、それからあいまいな臨時職員というものも、労働省本来の予算の中からではなくて、外郭団体の基準協会から旅費や超過勤務手当までもらっているような、そういうものがあるのだというこの現実をお認めならば、そのことを直ちに訂正してしかるべきだと思う。これをうやむやに済ませるような、十年、十五年前から官庁というのはそういうことをやっていてもいいような、労働省は通産省に比べて、大蔵省に比べて予算も金も少ないから、人も少ないから、この程度はまあまあしかたがないのだと、こういう何といいますか、惰性的な観念がおありと違いますか。小林章氏程度の選挙違反はばれたときにはまずいことなんで、ふんだんに起こるのだという感覚なら別ですよ。ばっしりこういうことは、いいことならいいことでやってください。私もそのとおりに扱いますから。現実の問題ですよ。広告を取っている、その金はどういうように使われているか、これは早急に資料を出してくれませんかね。それからこれは、私は、きょうで終わりませんから、四月四日の日に決算委員会で少なくとも手続をとりまして、現地の局長やそれから庶務課長や庶務係長などにマル特々会計というやつの内容を私はただしたいと思うので、あなたのほうでおわかりにならないかもしれませんけれども、こういうことについてはわかっただけでも、まずいことならすぐやめさせるようにしていただけませんか、いかがですか。
  139. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 御指摘の点、悪い点は直ちに直させるように至急措置したいと思います。いずれにいたしましても、御指摘の大阪とか福岡、名古屋とか愛知でございますとか、私の監督下にあることでございますから、地方局長が御説明申し上げますが、私ができるだけ精査いたしまして御報告申し上げますが、私の監督下にあります者の問題ですから、検討さしていただきたいと思います。
  140. 大森創造

    大森創造君 あなたの監督下にある問題ではあるけれども、なかなかできないじゃありませんか。いままで十分襟を正して通達をしているにかかわらず、現実にあるのですから。私はこれは自信を持って申し上げる。こういうことが行なわれているから、だからこれは一回局長なり庶務課長なり、係長なりに来てもらって、そこで問答してみたほうがいいと思う、全国のみせしめになる。そういうことがいいことなら別ですよ。これが一般の職員全体に均てんさせるように使われているならいいです。この金が運動会とかあるいはいろいろなリクリエーションのお金に使われているならいいけれども、局長個人やその周辺ではっきり料理屋、マージャンに使われていますよ。本省の接待費用にその金がどのくらいあるかというと、全国で億だと思います。どのくらいになるか、億ですよ。そこで国会の場で言うと、あなたのほうは姿勢を正すとか、いろんなことをおっしゃいますが、私は現実を問題にしているのです。その現実をやめていただきたい。この事実がないなら私はここでおわび申し上げましょう。あるから言っているのです。これはひとつ大臣のお答えをいただきます。どういうことですか、やってもいいことかどうか。
  141. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 先ほど来からいろいろ職員の綱紀の問題、あるは特に基準協会等との関連においてのお話を承ったのでありますが、結論的にいって、ただいまこういうことがいいのかというお話、これはまあもちろん事実とすれば悪いことにはさまっておると思います。そこで、先ほど来お話を承っておりまして、根本的には局長からもいろいろお話し申し上げましたが、基準協会の仕事と、局の仕事というものをはっきり区別をしないでやっておるのがだいぶ多いだろうと思います。それから会費を、これは会費を取るというのは、基準協会がもちろん取っているだろうと思いますが、その……。
  142. 大森創造

    大森創造君 協会から取っているのですよ、局が。
  143. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 会費というものを局なり署なりが直接取るということは……。
  144. 大森創造

    大森創造君 だから問題です。
  145. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 事実とすれば問題です。常識的に言えばそういうことはあり得ないのではないか。つまり協会が会費を集めて、そのうちから何らかの名目で局なり署なりがもらっているというか、援助を受けているというか、名目はいずれにしても、そういうことはあるいは行なわれておるのではないか、私はそう思うのです。それから人の問題も、これも臨時職員ということ、これは先生の御指摘ですと、業者である、すなわち協会のほうであった者を臨時職員ということで、局なり署なりの仕事をさしておるということ、あるいは局なり署なりの職員が協会のほうの仕事というか、いま雑誌のお話ですと、広告取りまで歩いておると、こういう御指摘があったわけですが、これもいずれも事実とすればあるべからざる姿であると、私もさように考えます。ましてや、広告等を取りに歩いて集まった金を、それをマル特々会計ですか、そういうことで闇から闇に不正に使っておるという事実は、これもありますならば、これはもう論外であります。そういうことで、これは先ほど来先生からいろいろ資料を出せというお話でございますが、一面先生はなかなかつかまらんだろうというか、出てこないだろうというお話でございましたが、しかし、いずれにしても、監督の立場にある役所は役所としてこれを調べますし、それから先生の御指摘のようなことがありますならば、単なるこれは行政処分等では済まない問題もあるいは伏在しているかもしれません。そういう疑いがあるならば、これは当然検察の力を行使してでも不正は正さなければならぬものだと私は考えます。そういうことで、いずれにいたしましても、役所は役所としての立場におきまして、でき得る限りの事実をつかまえて、事実に基づいた処置はいたしますし、また役所の権限外のことであって、検察等のことならば、検察の発動をされることは、これはむしろ当然のことだろう、私はさように考えております。
  146. 大森創造

    大森創造君 まあ単なる委員会でのやりとりではなくて、労働大臣局長がいまのようなお話であるならば、これは委員会の私の発言が意味があるということになりますから、これはそのとおりにやっていただきたいと思うのです。これは私のところへ来た投書にはこう書いてあります。これはていのいい収賄行為である、形を変えた収賄行為である、基準協会という一つ団体を利用して収賄をしているんだと、うちの局長等は大臣などになりたくない、ばかだ、局長なんかになるのはばかだ、これはもう明るみに出た事実ですから、何十万円の金を料理屋に払い、これは基準協会のほうにぴしゃっといってもらってくる。それから二十万足りなければまたもらってくる。それでまた足りなければ、広告料を取るのですから、こんないいことはないですよ。これは厳重に取り締まっていただきたいと思うのです。繰り返しません。  それで、次に移りますけれども、だから私は思うのですが、いいことをおっしゃっても、労働災害あとを断たないだろうと思う。名古屋でたまたま造船所のタンカー事故が起きましたね。あのときも国会でいろんな問答が行なわれましたが、結論はどういうことですか。あれは監督署の手落ちではありませんか。事業者のほうが事故報告というか、災害報告を一回づつ出したということが最初新聞記事に出た。ところが、監督署長のほうは、そういうものは出してないと突っぱねた。ところが、事業所のほうは確実にだんだんと出したにかかわらず、これはインスペクトできないというのは、人員の不足からきているのじゃないですか、この点どうですか。
  147. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 名古屋の造船所での火災問題につきましては、結論的にははなはだ遺憾でございます。ただ手続としまして、死亡事件等特殊なものを除きましては、軽いけがであるとか、そういうものを四半期に一回報告させるよう規則で取り扱っております。したがいまして、通常の事故で、しかも人身事故を伴わないものでありましたので、四半期に一回報告するものの部類に入れて扱ったのではなかろうか。その点それにしても適当でないというような点について、注意力が足りないじゃないか、事務処理が足らぬじゃないか、適切でないじゃないかというような御批判はあろうかと思います。それは私どもそのまますなおに受け取りまして、今後誤りのないようにしたいと思いますが、ただ監督の態様といたしましては、昨年の夏に火災が起きましたときの事業所と、それから先般事故を起こしました事業所は十二月に変わっております。で、監督としては、別の事業所に対する監督というものになっております関係で、その八月の事故と十二月から着工しました下請事業のほうは引き続いておりませんので、関連性なしに別個にまた作業にとりかかったというような、工事の断続性といったような観点もありまして、夏における事故の教訓が生かされなかったという点があります。しかし、いずれにしても遺憾なことであります。過日御指摘をいただきましたことも、愛知のみならず全監督署に至るまで、国会の質疑応答の速記をつけまして、今後こういうことのないように、さらに注意をうながしておるような次第でございます。
  148. 大森創造

    大森創造君 私はどうもいままでクレームをつけてきて、どうも小うるさいことを、よけいなことを言うように受け取る向きもあるかもしれないが、事業所が多くなって、労働人員が圧倒的にふえてきておる現在、冒頭に局長がお答えになったように、それから大臣もお答えになったように、人手も不足、それからお金も足りないというおりから、これはまず予算をふやさなければいかぬ、それから人員ももっとふやさなければいかぬという方向に労働行政は向けなければならないと思うのです。そのためには、やっぱり人から云々言われるような状況が内部にあったのではだめですよ、剔抉しなければ。おそれず大たんに、ばかんとやりなさいよ。そうでなければこれは前進しませんよ。いままで幾つか例をあげましたから、ここのとは御承知いただきたいと思うが、できないのじゃないかな。できるかな。  もう一つ、ついでに申し上げます。こういうことをやっているのですよ。これはひとつ大臣もよく聞いてほしいと思う。会計検査院もよく聞いていただきたいと思うのだが、場所は大阪、大阪では署員が大体三百人ぐらいおるのだそうだね、労働基準局並びに署の職員が。その人数は問題ではありません。これに年末手当一人平均一万円で三百万円出しておるのだが、この金を基準協会からもらってくるのだそうだよ。そうすると、労働省から予算がくると思うが、これはこれだけでけっこうでございますと受けておいて、あとはみんなわきのほうから取っちゃうのです。私が問題にするのは、警察にしてもあるいは厚生省の各種団体にしても、協力団体なんかありますよ。だけれども、災害が多発するおりから、労働省がもっと権威と自信を持ってやらなければならぬ。事業所から、執務時間中におじぎしながら、お宅は一万五千円でございます、二万円でございます——これは取り歩くようなことは問題だという角度から質問を申し上げておる。そこで、大阪の例はこれは月給が足りないせいかもしれないけれども、私のところにはこう書いてきている。一人一万円ずつもらったけれども、もらっていいのかどうかという疑問があるのだね、大阪の署員の中には。だけれども、署長はじめもらっているのだから、この金はもらってもいいのだろうと思ってもらっちゃった。一人平均一万円とすると、上のほうは十万円くらいもらっているのじゃないか。こういう事実が私の調べではございまして、で、私の調べた事実が間違いならば、これも次回の委員会であやまらなければならない。しかしこれはほんとうだろうと思う。だから何でもやっているということですよ。局長大臣答弁のいかんにかかわらず、事実は金が足りないから何でもやっているということの私は証明だろうと思う。ていのいい収賄だという手紙がきておりますから、私のところに。それは御両者の答弁に待つことにいたします。  次にお伺いしますが、この人が——私はここまで言ったからざっくばらんに申し上げますが、大橋武夫さんの選挙違反に問われた西辰夫さんという人がいるのですね。ぼくの耳に入っている。この人は広島の課長だったのだが。異例の出世を遂げたのだね。鳥取の局長になった。これは不評さくさくだな。あまりに虫がいい。軽べつしていますね、少なからず署員が。こういう事実を御承知ですか。選挙の論功行賞であると言って。大橋さんは偉いのだから、西辰夫さんが異例の出世を遂げるのはあたりまえだと。近ごろはどうか知らないが、局長になったとき役所に出てこなかったというじゃないか。
  149. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 前段の問題と後段の問題についてお答えいたしますが、私は先刻来いろいろ御指摘を賜りましたことを掛け値なしに非常にありがたいことだと存じております。と申しますのは、これは皮肉でも何でもございません。私どもは毎年これは注意をしているわけであります。ただ遺憾ながら先生から御指摘いただいたようなことを、しさいにわたりまして一々意を尽くして地方局長に話す——ということは、たとえは局長会議を開きましても、先生のように歯にきぬを着せず一席さしていただくということは、率直に申しまして機会がございませんでした。しかし、その事例を述べるということについて、しかし最近私どもは国会内部における行政関係質疑応答は速記録をそのまま写さしていただきまして、全国の監督署に配付いたしております。最近のことでございますが。したがいまして、きょうのお話は速記録をまた借用さしていただきまして、全監督署の職員にこれを徹底するという手段が取られるわけであります。先ほど来の御質疑に対しまして、お答え申し上げました私どもの答えも全職員に労働基準行政ニュースとして速報されます。したがいまして、この点につきまして、どういうことが大森先生から御指摘され、どういう点が問題であるかということは一読わかるわけでございます。こういうふうに問題が処理され、こういう認識のもとに問題になっているということからして、私どもが従来指示いたしておりましたこと、これからまた指示しようとすることの趣旨は十分わかることと存じます。したがいまして、御指摘のいろいろな点につきましては、事実かどうかということについてはさらに調査いたしますとしても、勇断を持ってやるかどうかということについては私も可能な限り、少なくとも形にあらわれるというようなことで処理させていただきたいと思います。  それから第二の人事の問題でございまして、私ども基準行政八千の職員がございますが、全体として大体能力と序列を見まして、責任ある地位に昇進させていくということを心がけておりますが、たまたま西君の名前が出ましたけれども、同君自身は相当行政経験も長い人でございます。私どもも事情をよく熟知いたしておりますけれども、家庭の事情で自宅を遠く離れられないというような関係がございまして、中国のあの近県だけを動いておったというのが事実でございます。しかし行政経歴からいたしまして、課長からいきなり局長に任用したような形になっておりますが、一回クッションを設けまして、さらに別の局の課長にしたという——家庭の事情もありまして、処置したわけでありまして、本来ならば、しかるべきポストに一回つきまして昇進することが可能であったと、曲りくねったような一回クッションを置きましたので、異例の出世のように考えられるかもしれませんが、私どもといたしましては、できるだけ従来やっておりましたような手順なり筋道を通しまして処遇したと、こういうふうに考えておったわけであります。たまたま特定の方の名前が出まして、いろいろ御指摘がございましたけれども、そういった点については、私ども格別どうこう感じておらなかったような次第でございます。そのような事情でございますが、そういった出勤がどうこうとか、そういうような事情もございますれば、今後十分私どももその面を監督いたしまして、指弾を受けないように善処いたしたいと思います。
  150. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 先ほど来私の決意も申し述べたわけでありますが、なお先生から、できるかなといったようなまだお疑いのような御発言もございましたから、私は重ねて申し上げるのでありますが、これは先ほど申し上げたのと同じでありますが、われわれができる限りのことはわれわれでやります。しかしおのずからやはりそれには権限としての限度があるだろうと思う。したがって、われわれのできないことであって、かりに問題の性格上、検察当局がお調べになるということがあっても、これはやむを得ぬことだし、またこれは検察当局の御判断によるほかありませんが、いずれにいたしましても、でき得る限りこういう問題については事態を明らかにすべきものだと、かように思っております。
  151. 大森創造

    大森創造君 大臣の御答弁はわかりますが、そこで局長にお尋ねしますが、西さんの問題は一応妥当な人事であったのか、そうでなかった人事なのか、どういうことなのか。一般論ではわからない。
  152. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 個別的な人事につきまして、このような席で申し上げるのは初めてでございますので、私もいかがかと存じまするが、広島の局の庶務課長をつとめておりまして、本来ならばもう一つ上に上がり得る人でございました。それが逆に、率直に申しますと、お母さんが老齢で中風になっておられて、西君でなければおふろに入らないというような非常に親孝行の面がございまして、そのポストよりもむしろ母親のおるところにもう一回戻してほしいというようなことからいたしまして、格下げの人事を一回、形式的に見ますと、広島よりももっと小さな局の課長になったようなわけであります。これはやむを得ないそういううるわしい点もありましたので、事情やむなしというので、むしろ小県の課長にしたというような経緯があったわけであります。したがいまして、もしそれにならなければ、広島の課長よりももっと上のしかるべきポストに行っておったはずであります。いろいろ内部的にもそういったことを予定したのでありますけれども、それを振り切って国に帰られた、こういうような事情もありますので、次の機会に適当なポストを当てたいということからして、先ほど来御指摘のようなポストに当てたわけであります。したがいまして、その経過を抜きにして、いきなり小さい県の課長から局長ということははなはだ疑わしいと申しますか、異例じゃないかというような感じを持たれるかもしれませんが、そういった経緯がございますので、まず妥当な筋道ではなかったかというふうに考えておる次第でございます。
  153. 大森創造

    大森創造君 妥当な人事だということだね、ただし書きを抜きにして。
  154. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) さようでございます。
  155. 大森創造

    大森創造君 そうですね、この人は選挙違反をやったね、おわかりになりませんか。
  156. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 私ども休職の事実があったことは承知しておりますが、いわゆる選挙違反というものが、巷間いわれますものと、いろいろ法的な処置でもってあるわけであります。そこで、選挙違反があったかという御質問でございますけれども、その点は休職の事実はありましたけれども、人事異動を行ないます際については、支障になるようなものではなかったというふうに考えております。
  157. 大森創造

    大森創造君 選挙違反をやって、それで労働大臣の威光をかさに着た言動をして、そうして当初鳥取局長になったときにはあまり出てこなかったらしいね。それから最近は世論がうるさいので、月の半分くらい出てきているそうだね。それはいいでしょう、あなたのほうで妥当な人事だというふうにお認めならば。  その次に移りますが、事のついでで私は洗いざらい申し上げます。あなたのおっしゃるとおりに歯にきぬ着せずに申し上げますが、齋藤邦吉さんとそれから澁谷直藏さんの選挙のときに、労働省の、ことに福島県出身の人はずいぶん選挙運動をやったね。その事実をお認めですか。
  158. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) これは私の所管でありますかどうか、ちょっと私は差し控えたいと存じます。
  159. 大森創造

    大森創造君 だれの所管……。
  160. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 私も当時その立場にありませんし、よく存じません。いま官房長をさがしておりますから……。
  161. 大森創造

    大森創造君 それでは次に移ります。官房長が来たら連絡してください。  そこで、こういうことはいいことなのかな。これは労働省で、これは私のところに文書があるのだけれども、「向寒の砌、益々御健勝のこととお慶び申し上げます。さて、広島労働基準局長武林範定氏におかれましては、来る十二月二日より約一ヶ月の予定にてI・L・O委員会の政府代表として出席されるため渡欧されることになりました。つきましては、その壮途を祝福するため、従来の例に則り、下記により御餞別を贈呈することを発起いたしましたので、出費御多端の折柄、誠に恐縮に存じますが、何卒御賛同下さるようお願い申し上げます。」と、こう書いてあって、せんべつ贈呈額が書いてあって、今度は局ごとの割り当て額がずっと書いてあるのだね。そうして最後にこう書いてある、「各局の拠出金は、十二月二十五日までに東京局庶務課長あて送金下さるようお願いいたします。」、それで「労働基準局長殿」と。お宅のほうの省ではこういうていさいはいいのかな。だれかがILOに行くというのですよ。そのときにこういう文書を流すのですね、「労働基準局長殿」と。それであなたの局は幾ら、ここの局は幾らという金額の割り当てをして、集めるのは十二月二十五日で、出発は十二月二日に行ってしまう。帰ってからこれを受け取ることになるのでしょうね。これを東京基準局の庶務課長あてに送金してくださいよ、お願いいたします、そうしてこちらに有力者の名前が書いてある。こういうことで寄付集めというか、せんべつをやっているんですね。寄付集めというか、どうですか。
  162. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 私は知りませんので、局長から。
  163. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 武林君がいま御指摘の日に洋行したことは事実でございます。ただその手紙は私いま初めて耳にしたのでありますけれども、その内容が業者に金を集めたというのじゃなくて、武林君が行くので基準局長同士がひとつ壮途を祝してせんべつを集めようじゃないかという、役人同士でせんべつを集める文書のように伺いましたわけですが、これは地方局長が相互にそういうことをやりますことについていけないというべきものかどうか。たまたま文書で流すとすれば、そういうかっこうになったのだと思います。その点さらに先生の真意をお伺いいたしまして、お答え申し上げたいと存じます。
  164. 大森創造

    大森創造君 私もばかげたことを言っているのではない。役人の中で、だれか海外に行くときは自主的に寄付を集めることはいいと思う。その程度のことがないと、あまりかみしも着ちゃってはまずいから、それはいいと思うのだけれども、さてどうかな、このことがいいことかな、こういう文書を流しているんですよ、各基準局長に。私が疑問に思うのは、「従来の例に則り」と、こう書いてある。そうすると、たとえばこれは広島の労働基準局長の武林さんがILOに行かれるときにこういう措置をとったのだから、その他の局長が行くときだってこれをやっているに違いない。労働省事務次官が行くときはどのくらい、金額はずいぶん違うと思うのだが、百万円くらいになるのではないかな、労働大臣が行くときは今度はまたえらい金額になるのじゃないかな、そう類推されますね、この文書によると。これは常識的に「従来の例に則り」とこう書いてあるんだから。そうして集め先が東京局の庶務課長あてです。庶務課長というのはえせ者だね、どう言っても。特々会計などというものを扱っているのは庶務課長だからね。そこでこれは私の申し上げているように、役所の中であの人が行くならば私は一万円あげましょうとか、三万円あげましょうとか、これはいいと思うのです。こういうことを出すというのはいかがなものかということと、それからこれは滞納はないはずですね。大体こういうことをすると、さっきの基準協会の会費も滞納はないはずですよ。いやですからね、監督官や基準局の人に来られてお断わりするということはできないから。その意味で私は重大だと思う。あまりに業者と関係があるから、これはまずいと思うのです。そこでこういう形式がいいものかどうかということと、それから私は資料としてお出し願いたいのだが、不公平になっては困るから、武林さんばかりあげてはいけないから、過去三年間くらいに海外に出張した人のこういう式のもの、庶務課長のところにきっと従来の例にのっとってずいぶんあると思うのです、これをお出し願いたい。事務次官だとか大臣なんか出るときは金額多くなると思うのですから。
  165. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 私は就任以来二回海外へ旅行しました。ILOの理事会ですか、これに一回、それから日米間の経済貿易委員会と二回出ましたが、まあ先生が、大臣が行くときにはもっと集まるだろうと、こういうお話のようですが、私ははなはだ失礼ですが、びた一文もそういうせんべつはもらっておりませんから、念のためにお断わりしておきます。
  166. 大森創造

    大森創造君 大体大臣はもらわないですよ、これはわかります。大臣には集まらないですよ。役所の機構からして大臣には出さないですよ。大臣に出すなどというのは役所の関係でないですよ。小平さん、労働大臣になって日も浅いからおわかりにならないでしょうが、それ以外の者に出すのですよ。こういうことはいかがか。そこでお聞きしたいのは、くどいようだが、これはどこから出ているか、この金がさっきの特々会計から出ているのじゃないですか。必ずそうだろうと思う。
  167. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 先ほど申し上げましたように、そういう手紙が出ていることを私知りませんでした。それで想像の話になりますけれども、どの程度の金額を集めましたものやら、金額の問題と関連するだろうと思います。それとまた文書がたまたまいま申し上げました同僚局長間に流す場合に、基準局長というふうな肩書きを使いましたものか、本来なら個人の肩書きなしがいいのかもしれませんが、そういったいろいろの問題もありますので、その点につきましては、業界に対するどうこうというのと話が違いまして、同僚局長間における友情の問題であろうと存じます。ただそういったことから発展いたしまして、いま御疑念のようなことがあると、これは問題がありますので、その点十分注意いたしていきたいと存じます。
  168. 大森創造

    大森創造君 それはそれでわかるような気がするのだが、この金の出所、それから北海道の安全大会に行った飛行機代、それからさっき何回も言っているように、会費、広告代、こういうものを具体的に出してください。何回も質問中に繰り返しましたけれども、そういうものを出してください。  それから官房長来ましたか。
  169. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) まだのようです。
  170. 大森創造

    大森創造君 それから去年ですかな、全国労働衛生大会というのが大阪の体育館でありましたね。そのときに大阪の労働基準局で……。  官房長来ましたね。そこで選挙違反の問題に移りますけれども、鳥取の局長になった西辰夫さんというのは、前労働大臣の大橋武夫さんの選挙違反に引っかかったでしょう。
  171. 辻英雄

    政府委員(辻英雄君) 基準局長からお答えしたとおり、そういう事実がございました。
  172. 大森創造

    大森創造君 どの程度の違反ですか。
  173. 辻英雄

    政府委員(辻英雄君) 私詳細なことは存じませんが、罰金刑を受けたと存じております。
  174. 大森創造

    大森創造君 どうもその罰金刑を受けて、大橋元労働大臣選挙違反について、昭和三十四年のやつだと思いますけれども、罰金刑まで受けた人が、局長大臣は妥当な人事だとは言うが、役所の人は実は知っているわけなんです。局長大臣よりも。無数に同僚がたくさんいますからね。人事なんというものは今度こうくるだろう、ああくるだろうということは知っているのですよ、役所の人は。これが不自然な感じを与えたことは間違いがないのだが、さっきのことにまた戻りますけれども、私はどうもおかしな人事だろうと思うのですよ。  次に移りますが、官房長にお尋ねいたします。私は歯にきぬ着せずと局長に言われたから、歯にきぬ着せずにお答えくださいよ。齋藤邦吉さんの選挙、それから澁谷直藏さんの選挙、これはどっちも労働省の出身だね。小林章氏が専売公社出身であるがごとく。そこで一般の労働省の職員とは言わないが、まあありがちなことなんだが、福島県出身の労働省の役人は相当選挙運動やったね。その事実をお認めですか。
  175. 辻英雄

    政府委員(辻英雄君) 私当時、ただいまの職責でもなかった関係——もっとも、これは言いわけになるかも存じませんが、私の知っております限りそういうお話は伺っておりません。
  176. 大森創造

    大森創造君 大臣局長は知っているかな。
  177. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 私も当時私自身が選挙をやったほうですから存じませんが、しかし選挙運動をやれだ、いやしくも国家公務員が選挙運動をやれば、これは法に触れることでから、私はそういう事実はなかったものだと思っています。だれかがその当時問題にされたか、告発されたかどうか、それは私実はよく知らないのです。そういうことを聞かない限りにおいて、その選挙運動をやらなかったのだろう、こう思うだけであります。
  178. 大森創造

    大森創造君 どうも小平労働大臣はわれわれの大先輩の政治家であられるのだけれども、その選挙違反というやつは、刑事事件になって問題になったやつだけ問題になるけれども、そう問題にならない選挙違反が実は横行しているのですよ、お互い御存じのとおり。そうでしょう。これを知らない参議院議員や衆議院議員はないですよね。小林章君に聞いたらよくわかりますよ、おればかりじゃないといって。たまたまつかまらないだけの話だ。ここらのことわからない政治家はないですよ。だから、表面にあらわれたものはそれは新聞にも喧伝されますが、新聞には出ないけれども選挙運動をやった事実はおわかりでしょう。大臣は知らないかもしらぬけれども、きょうお集まりの労働省の方ひとつ手をあげてください、勇気を持って。この事実をわかっているという人は手をあげてください。いかがですか。
  179. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) そういう事実があって、この警察関係以外の方までもそういう事実がわかっているというような状況ならば、私は警察が見のがしておくわけはなかろうと思うのですね、これは。
  180. 大森創造

    大森創造君 そういうものでもないのじゃないですか、選挙というのは。そういうものじゃないですよ。これは労働省の役人で知らないのは、きょうおいでになっている方ばかりではないかな。おいでになっていない人は知っておる人が大半じゃないですかね、きっと。大臣とその他の局長がいるから手をあげないのですよ、損するから。さっきの特々会計じゃないけれども、そんなこと言うのはばかですよ。だから齋藤邦吉氏、澁谷直藏氏の選挙について一生懸命選挙運動をやったということはこれはわかっているのですよ、労働省の役人は。どんなことをやったかというと、執務時間中にはがき刷っていた人がたくさんいる。そういう事実おわかりでしょう、どなたか言ってください。
  181. 辻英雄

    政府委員(辻英雄君) 私の承知いたしております限り、伺ったことはございません。
  182. 大森創造

    大森創造君 それでは、まあいまの問題はあとからとして、ただ、さっきのILOの問題についての寄付、この文書ですね。こういう票数の割り当てをやると、小林章氏と同じようなことになってしまうのだよね。そういうことになりますよね、いままでのやり口から見て。いろいろなことが想像できるけれども、これはその憶測はやめましょう。そこで……。
  183. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) その点ちょっと……。私は何か先ほどお読み上げになられた中でも、従前の例によりとかなんとかいうのがあったように思うのですが、その性格がどういうものか、これはたとえば局長仲間なら局長仲間でお金つくって、外遊するときにはせんべつでもやり合っているのか、どういう仕組みでやっておるのかよく知りませんが、かりにそれが名前が、あるいは局長といった名前なり庶務課長ですか、何とかいう名前も出ているようですがね、そういう点でそういった職名を使うことは私も必ずしも適当ではないと思いますが、しかしお互いのこの同じような仲間で、いわばプライベートのつき合いとしてそういうことをやることをまんざらけしからぬ、いかぬ、こういうふうにも、私は私の立場からいって言えぬとも思うのです、これはそう簡単には。それでまた、そのせんべつをだれが幾ら出したとか、やれどこからその金を出したとか、そんなことまで、私は個人的なつき合いの金がどこから出たまで私が調べるということは、私はちょっと軽軽にはできない、いまのところそう思います。ですから、先生から資料の御提出の御要求もありましたが、公のことに関する限り、私はつとめてもうこれは当然責任ですから出します。出しますが、いまのような場合に私は軽々にごもっともですから出します、こうは私は言えません。むしろ私は、いまの心境では否定的でございます。
  184. 大森創造

    大森創造君 大臣そうおっしゃいますがね、私はそういうことはあるだろうと言うのですよ。仲間の人が行く場合にせんべつなどを出すということはあるだろうと思うのですよ、そういうことは。だけれども、この金がどこから出ているかということを申し上げるのは、人が悪いようだけれども、先ほどからの問答でどうもこれがわからないのですよね、この金の出所が。そういうものを提出していただきたいということです。そういうことはあるだろうというこれは常識ですよ。
  185. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) そういうことは御想像で、そういうあなたがはっきりしているとでも言うのなら、これはいわゆる公私混同といいますか、そういうことが確かにあるという御証拠でもお示しくださるならば、私は職権上もやりますが、しかし、そういうことがなくして個人的なつき合いのものについて、その金がどこから出たのかわからぬものを、おまえ幾ら出したのだ、どこから出したのだということまで、そんなことまで私は聞くことはできない、こう言っているのです。
  186. 大森創造

    大森創造君 その理屈もわからないことはないのだけれども、いままでずっと私がお尋ねした限りでは、局長もりっぱな御答弁をされておるし、大臣もりっぱな御答弁をされておるけれども、どうもそのことでは信用できないような節々というものがあるのですよね、いままでの問題について。そこで、こういうことは慣習的にあり得るだろうと思うけれども、金の出所を問題にしたいということですよ。同様の意味で、私は、いろんな大会だとか何かあったときに、いま局長あたりは全部ほとんどの人が飛行機で行っているのですけれども、そういう旅費はどこから出ているのだろうか。それからあやしめば、竣工式の金なんというのはどこから出ているのだろうか疑わざるを得ない、何しろこういうことをやっているのですからね。だから私は、人が悪いわけじゃないですよ。そういうふうに私は要求せざるを得ないということでございます。せんべつそのものについては、これはふだんのことであろうと思うのです。それをいけない、そんなばかなことを言っているわけではございません。  そこで、私の割り当て時間がないそうでございますからやめますけれども、最後に行政監察局のほうからおいででしょうから、ひとつ私の問答についてどういうふうにお考えでございますか。どういうふうに処置するつもりでございますか。途中紆余曲折がございましたが、大臣局長がりっぱな答弁をされたから、会計検査院とそれから行管の局長にお答えをいただきたいと思います。
  187. 佐藤三郎

    説明員(佐藤三郎君) いま先生のいろいろの御指摘の点、国費でまかなうべきものを他人に転嫁して使わしておるというような点、こういった点は会計検査院としても厳重に検査しなければならない事項でございますので、今後の検査におきましては、そういう御趣旨を体しまして十分検査をやっていきたい、こういうふうに存じております。
  188. 稲木進

    政府委員(稲木進君) いろいろとお話を承ったのでありますが、ただいまのこの労働基準協会から金が出て労働基準局のほうにいろいろ寄付がある、あるいは物品等についての現物寄付がある、こういうような話につきましては、行政管理庁としても、そういう特定の問題じゃなくて、一般的な法令に基づかない寄付金、負担金というものは、これはいけないと、こういうたてまえになっておりますが、そういうような観点から、かつて監察を実施したことがございます。その際に、御指摘のように、労働基準協会から若干そういうような寄付が出ておるということが、若干の事例がわかりましたので、労働省に対してそういうことを申し上げておる。そういうことも将来ないようにやっていただきたい、こういう勧告をしたのでございます。今後もそういうような考え方は変わっておりません。今後もそういう点があれば、関係の省に申し上げたい、こう思っております。
  189. 大森創造

    大森創造君 労働大臣、それからその他の局長に申し上げますけれども、これはきょうは労働省について申し上げましたけれども、私は労働省は実は一番おかたい役所だと思っているのです。人と金の面で足りないのですから、一番おかたい役所だと思っている。しかし、私は目についたものは言わなければならない性分でございますのであしからず。私は目についたものは何でもいいですから言わなければならない性分ですから、ざっくばらんに申し上げるのであしからずお願いします。ただし、言うたことはやっていただきたいと思います。それからきょう申し上げました資料、できないならできないでけっこうです。しかし、出すべき資料は確実に出してください。私はいままで資料要求をしますというと、変な話でございますが、同一の資料について、行管とそれから会計検査院と担当省の資料が明らかに食い違っておることがございます。出すからには、うそ偽りのない資料を出していただきたいと思います。うそ偽りがあったら承知いたしませんよ、絶対に間違った資料は出してくださるな。ことにいままで問答しましたけれども、会計なんというものは明らかにしたいと思う。というのは、さっき局長言われましたように、こういう記事が全国の労働署なり労働局に回るのだから、どうせ言ったついでで、こんなものはヘビの生殺しではいけないから、徹底的に洗ってもらいたい。というのは、業者から寄付を基準局が受けるのじゃなくて、基準協会からこっちが受けるのですからね。そういうものについては資料を出していただきたいと思います。その資料については絶対に間違いないように、物理的な間違いは認めますから。そのことを要望して質問を終わります。
  190. 小柳勇

    小柳勇君 私は、最近の労働問題を中心に、当面している問題を質問いたします。なお、労働関係に対する予算委員会の質問は、私最後でありますから、そういう意味で総括的にこの予算案に対して質問しておきたいと思います。  ただいま大森君の質問の中で、私ども相当感ずるところがありました。私も八年社会労働委員をやっておりますし、社会労働委員長も先般までやっておりましたが、決算委員会で大森君のところへ投書がまいっている。しかも、それは労働省の一番現場で苦労している職員の人が、自分で思いあまって国会議員に実情を訴えるというその実態、同時に、監督行政に対して、われわれは再三再四人員が不足、あるいは予算が不足ということをいってきたのでありますが、もうはしなくもそういう問題を暴露されたような気がするわけであります。特に名古屋のタンカー爆発の原因すら、そういうものにつながるような発言があった。これはゆゆしい問題だと私は思う。したがって、ただいまの大森君の発言は私も非常に参考になりましたが、当局としても十分に検討していただいて、早急に対処してもらいたいと思いますが、その点について、重ねて大臣の御見解を聞いておきたいと思います。それでないと、私がこれから質問するのが無意味になるわけです。ただ、ここだけの議会答弁委員会で答弁を聞いて終わりましては、せっかく真剣に討論しましても無意味でありますから、そういう意味で大臣の見解を聞いておきたいと思います。
  191. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 先ほど大森先生に申し上げたとおりでございますが、私も率直に何事も申し上げるたちでありますし、やるといったことは私はやるつもりですし、そのかわり、できそうもないことは、私はあまり約束いたしません。そういう意味で、先ほどの私の答弁を御信頼いただきたいと思います。
  192. 小柳勇

    小柳勇君 ここに一千十五億四千九百万の一般会計労働省予算審議されているわけでありますが、この内容に新しい施策が相当織り込んであります。いまちょうど終戦後二十年たちまして、二十一年目になるわけでありますが、その二十年前の終戦後の混乱時期から、いまやっと労働者も自分の生活を見つけて、これからわれわれの生活をどうしようかという出発点にあります。私はそういうふうに考える。ちょうどいまから十年ぐらい前から、高度成長政策でどんどん日本の産業が上がりました。生産も上がりました。その生産の上がり方の中に、労働者と企業との間のかみ合いがどうなったか、企業はどんどん進んでまいった。労働者の生活はどうか、いま私どもが考えるのは、そこに一つの大きな問題があります。設備投資がだんだんなされて生産が上がった。生産は上がったが、一体労働者の生活はどうなっているだろうかという問題が一つあります。ところが、その高度経済成長政策が一応歯どめがかまされまして、ブレーキがかかりまして、これから安定成長に入ってまいるわけで、いままでやっきになって、労働者の労働力を企業が求めておりました。それがここでふるいをかけられるような情勢にあるような気がする。そこで、この新しい施策の中に、これからひとつ労働力の調整をしようというような思想があらわれているような気がいたします。いままでは追っかけ追っかけ、ふるい落ちる者を拾い上げながらこれに職業訓練を施して、何とかアフターケアをやっておったような気がするわけです、労働省が。今度は、これからは労働力を日本の経済の全般的な政策の中にからみ合わして、労働力をうまく調整していこうという思想があるような気がします。これからの政策の中にそういうものを、私がいま予算を見、大臣説明を聞きながら感ずるわけでありますが、まず基本的に労働省の取り組み、いままでの二十年間の労働省のやってきたことを振りかえりながら、これからどういうことをしようとしているのか、その取り組みをまず大臣から聞きます。
  193. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 日本の経済を顧みますときに、ただいま先生がお示しになられたような姿で今日まで大体変遷をしてきていると思います。その間において、労働者の生活というものがどうなったか、こういう点でございますが、この点はもう先生がよく御承知のところでございますが、三十五年を基準として考えますときに、賃金の面では、各目的には六四・八%上昇したと思いますが、実質賃金からいうと二二%の伸び、四十年度でございますが、そういう結果に相なっております。こういう間において、労働行政がどういう地位を占めておったかと、こういう反省をいたしてみますと、私の受けている感じでは、やはり率直に申しまして、一般経済施策と申しますか、政策と申しますか、そういうもののいわば大体においては、あとを追いながらやっておったというか、そういう傾向が相当うかがわれるように私は感じております。これはもちろんその当時の要請としてやむを得なかったことであろうと思いますし、その限りにおいては、労政当局も十分これは努力をいたしてまいったことと、かように私も見ておりますが、特に雇用の関係等を考えますれば、もうわが国の人口構成から申しましても、従来の様相とはだいぶ変わってまいりまして、特に若年労働力を中心とした不足ということが一面においては非常に問題でございますし、また他面におきましては、技術の革新等に伴いますところの産業構造の変化等も予見せられるところでありまして、特に中高年齢者等については、今日すでにもうなかなか就職が困難であるという問題が起きておりますが、この問題は当分まあやはり続くであろうと思う。いずれにしても絶対的な労働力というものが、以前の過剰の時代から、むしろ不足基調へ相当急テンポにこれは移っていくであろうと、こういうふうに私ども見ておるわけであります。したがって、労働施策というものが一般経済施策の単にあとを追っているということ、これは表現があるいは適当でないかもしれませんが、そういうふうな姿から、むしろ労働施策というものが、より積極的に脱出しなければならぬ段階にきておるであろうと、私はさように見ておるわけであります。  そこでわれわれの気持ちといたしましては、労働行政というものが、むしろ他の経済施策、あるいは場合によってはこれは社会政策と申しますか、そういう点にまで及んで、むしろ労働の面、さらに申せば人の面と申しますか、それを中心としたもろもろの施策というものが考えられなければならぬというふうにすら私は感じておるわけでございますが、先生も御承知のとおりなかなかそう一挙にこの一大転換をするというわけにはまいりません。しかし、今度御審議をわずらわしたいと思っております雇用対策法等におきましては、労働政策、雇用政策というものと一般の経済政策というものが、これがお互いに調和をとらなければならぬものであるというような原則もあの法案の中にはうたっておるわけでございまして、少なくとも、まあ対等というのはやや表現がなかなかむずかしいのでありますが、いずれにしても従来以上に経済施策全般の中においてもこの労働施策というものが重視されなければならぬし、労働施策を考える際には、この雇用の面ということが重視されて、これとのかみ合いというものを十分国策的に考えなきゃならぬ、こういうことに相なるわけでありまして、これも先ほど来申しますような、私どもの考え方を盛ったわけでありまして、私もいよいよ以上申し上げますような見地に立って、積極的な施策というものを逐次展開をしていくべきものであろうと、かように考えておるわけでございます。
  194. 鬼木勝利

    主査鬼木勝利君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  195. 鬼木勝利

    主査鬼木勝利君) 速記を起こして。  質疑の途中でございますが、暫時休憩いたします。    午後五時三十六分休憩      ——————————    午後六時四分開会
  196. 鬼木勝利

    主査鬼木勝利君) ただいまから予算委員会第四分科会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和四十一年度総予算労働省所管を議題とし、質疑を続けます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  197. 小柳勇

    小柳勇君 さっき私は、これからの労働省が取り組むべき方向の原則を質問いたしましたが、次に、労働問題を、いまほんとうに真剣に扱っている省というのは労働省だけです。日本の経済政策、経済の伸張、その他経済計画については、労働省を除いた全省で考えながら立案計画しているわけです。そこで、日本の経済政策に沿って工業生産が上がってまいりますが、そういう方面に政策が片寄りまして、それを実際遂行する労働者の対策について一体だれがほんとうに考えているかというと、政府としては労働省だけです。であるならば、労働省のその政策というものは、政府全体の政策でなければならぬ。内閣全部が労働政策に取り組まなければ、労働省だけでは、これはいかんともしがたいのではないか。いま春闘に立ち向かっておりますが、毎年毎年春季闘争というものが組まれる。それは、もし日本のいわゆる為政者が、半分は経済政策の立案実施、片一方のほうはいわゆる労働政策あるいは労働者の地位の向上なり労働条件を考えていくとするならば、私は、いまのように毎年毎年春季闘争というものが組まれて、それを追っかけて歩くようなことはなくて済むのではないかと、そういうふうに考える。そういう面について労働大臣の御見解を聞きたい。
  198. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) ただいまの政府の各省の所管事務からいたしますと、先生のお示しのとおり、労働者の福祉向上をはじめとして、労働問題、労働施策という面について考えておるというか、責任のある役所は労働省だけであるということになると思います。もちろん、他の省におきましても、それぞれの業界なり分野なりを所管するという意味において、そこに関する限りの労働者の立場というものを全然考えないというわけでもなかろうと思いますが、しかし、それはいわば第二義的なことでありまして、直接責任を持たなければならぬのは、まさに労働省である、かように私も考えます。  そこで、先生がお示しのとおり、労働者の賃金なり、あるいは社会的な地位なり、そういう問題とからみまして、毎年春闘といったようなことが、いわゆるスケジュール闘争といわれるぐあいに繰り返されておるということは、私もはなはだ残念なことだと思います。まあ、春闘を中心としたいろいろな労働問題というものが起こるにつきましては、やはりそれなりの理由もあることであると思うわけでありますが、願わくは、こういうことをいつまでも繰り返さんで済むような、なるべく早くそういう事態になることを私は心から念願をいたしておるものでございます。  そこで、それにつきましても、賃金を中心とした労働条件なり、あるいは労働権の問題なり、さらには、広く労働者諸君の社会的地位なりというものが相当に評価されて、その生活も安定し、また前途に希望を持ち得る、そういう姿になりますならば、こういったことを毎年繰り返さんでもいいだろうと思いますが、もちろん、言うべくして、なかなか一挙には、まいらないわけでありますが、少なくともその方向に、われわれとしてはできるだけの努力をいたしてまいりたい。それにつきましてもやはり、経済がいわゆる安定成長の線に沿うて伸展をいたす、物価等についても、そう、はなはだしい上昇がない、こういった姿になることが、まず前提であろう、こう思いますし、また、産業の進むに従って、いわゆる生産性が上がるに従って、それに準じて、あるいは国民各層の所得の姿等とも見合いながら、やはり賃金等においても、だれが考えましても、まずまず妥当であるという上昇を示し、また、それが物価との関係において、実質面でも相当の中身のある、要するに賃金になり得る、こういう方向に向かって、政府も及ばずながら、いま努力をいたしているわけですが、将来とも、そういう方向に努力していくことがどうしても必要であろう。その間にあって、先ほどから申しますように、経済の成長に順応し、やはり労働者の生活の安定向上、あるいは福祉向上、社会的な評価の上昇、そういう面に向かって、われわれはできるだけの努力をいたしていくべきである、かように考えておるわけでございます。
  199. 小柳勇

    小柳勇君 ところが、そうなってないわけですね。あなたがいまおっしゃるようになっておれば、毎年毎年春闘というものが、あれだけ激しく戦われるはずがないわけでありますが、私はこの間、総括質問で、経済企画庁長官に、労働力の計数などを聞きましたところが、うちではありません、内閣統計局などで数字を書いておりますという、御返事で、経済企画庁は日本の経済の政策をやると頭からきめております。経済だけちゃんと計画を出しまして、労働力はこれについてくるものだという考え計画される。労働力というものは自由で、経済計画さえあれば、労働力というものはどうでもなるのだという頭がある。これが日本の現状ですね。しかも、内閣がそういう方向で日本の経済計画をやる。たとえば、高度経済成長政策とか、安定経済とか、そこに一番、日本の国民、特に働く労働者の不幸があるのだと私は思うのです。  そこで、重ねて聞きますが、いま、たとえば労働対策については労働省中心にやりますとおっしゃいました。それでは、労働条件の向上については一体何省が真剣に取り組んでおるか。いまあなたは、賃金についてとおっしゃいましたけれども、賃金については、中央労働委員会や、あるいは公労委や、その他にまかせっぱなしですよ、労働省は。あるいは裏のほうからいろいろ注意なり指導をやられておるかもしらぬ。しかし、それは法律によってとおっしゃるかもしれぬが、その他のいろんな大きな問題——中央労働委員会にかかったものはそれでいいですよ。かからない問題が相当ありますよ。そのときに真剣に労働条件の向上についてはだれがやりますか。それはもちろん、労働組合がありますから、労働者が団結しましてそれぞれの機関に交渉する、ある場合いはストライキをやる。そのときに労働省はどちらの側に立つか。われわれの目から見ておるところでは、口では労働者の窓口だとおっしゃいますけれども、労働運動が激しくなると、労働省は先頭になって労働者を弾圧するほうに回りはせぬか、押さえるほうに回りはせぬか。私の経験でも、過去にそういうことがありました。いまはそういうことが変わっておるかもしれぬ。  そこで、労働対策については、以下私がずっと質問をするように、新しい政策も出てきたけれども、労働者の条件、少なくとも日本の全体の働く人口の中の八割くらいのそういう人たちの労働条件について、一体どのくらい真剣に労働省が取り組んでいるか、お聞きいたします。
  200. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) この点は、もう先生万事御承知のとおり、ただいまの法制から申しますと、労働省が各種賃金にタッチしておるというのは、最低賃金の関係、あるいは失対の賃金の関係等であろうと思います。その他の一般の賃金につきましては、現在の法のたてまえから申しますと、労使間でおきめ願うというたてまえになっておりますので、役所がこれに直接タッチするという立場に置かれておらぬわけであります。そこで、しからば、どういう方法でこの問題に対処するかということに相なるわけでございますが、この点は、広く労働市場の情勢なり、あるいは各国における労働事情なり、そういう一般のいわゆる労働事情、特に賃金等を中心にしまして、単に額ばかりでなく、賃金制度の問題もあると思いますが、いずれにしても、そういう情報をできるだけ労使双方に提供をいたしまして、広く、国内の事情はもとよりのこと、できるだけ諸外国の事情等についても各方面の認識を深めていただいて、先ほども申しましたが、労使ともに、特にわが国の置かれている現状、その国における、また労働市場の状況等々を広く認識いただいて、両者が、そうすることによって、より妥当な、またお互いに納得のいく決定あるいは協定をしていただく。要するに、そういう情勢に、われわれはできるだけの手を尽くして馴致してまいる、こういうことに、ただいまの法制から言うと、いくことが一番やはり妥当な線ではないかと、かように私は考えておるわけでございます。
  201. 小柳勇

    小柳勇君 抽象的にはいろいろ問題がありますから、端的に、労働省は、この春闘の処理にいたしましても、あるいは労働条件の向上にいたしましても、労働者側に立って、ものを考えるのだと、これは確認してよろしいですか。
  202. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 私は、その点が、労働者側に立って、ということが、なかなかそう簡単に言い切れぬと、実は正直に申して、そういう心境でおります。と申しますのは、なるほど春闘についても、それぞれ具体的な要求も掲げております。これも承知いたしておりますが、しからば、いま直ちにそのすべてを受け入れるということが、長い目で見て、はたして労働者の諸君をしあわせにするのかどうか、私は、そういう面でも、疑問に思う点を率直に申してございます。要するに、先ほども申しますとおり、なかなか一挙に解決することは困難だと思いますが、要するに、お互いに長い目で見て、将来ともよくなるのだ、そういう将来にやはり光明を求めるような方向に持っていくために、そういう環境をつくると、こういうことに私は努力をいたすべきだと、かように心得てやっておるわけでございます。
  203. 小柳勇

    小柳勇君 具体的に話を進めてまいります。  で、労働条件、まあいろいろございます。賃金もありますし、労働時間もございますから、その具体的な問題はあとにやりますが、雇用問題にしぼって質問いたします。まあ皆さん、雇用対策法などをいま考えておられるようでありまして、雇用の問題については真剣に取り組んでおられる姿勢が見えてまいりました。で、雇用一つにしぼっていま質問をいたしますと、あなた方は、たとえば、いま会社が操短をする——一万名使っておった会社が操短をして、八割に操短するから二千人首を切りたいといって首を切る。そのときに、労働者は、あとちょっと就職が困まるから、その二千名首切りは待ってくれと言われた事実があるかどうか。
  204. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 具体的な場面で、解雇について、雇用事情からいたしまして、解雇を一時ストップさせるというふうな具体的な措置は、私どもとっておりませんけれども、一般的な雇用情勢を、産業界、使用者側に認識させて雇用の調整をやらなければならないような場合においても、解雇という最悪の手段をとらなくても済むように、まあ、部内の配置転換、あるいは新規採用の手控えというふうな、調整手段としては弱い手段をもって事態を解決するようにということを絶えず要望をいたしておりますので、直接的具体的に、解雇の問題が出たときに、それは半分くらいにしてくれ、あるいは時期を半年ずらしてくれというような要請をいたしておることは、実はないわけであります。また、そういうふうな解雇の制限を妥当ならしめるような法的な根拠も、現在のところございません。そういった具体的な場面では直接指導をした経験は、私どもとしては持っておりません。
  205. 小柳勇

    小柳勇君 まあ、具体的な法律の根拠は、大きくいえば、憲法二十七条ですね、働く権利がありますから。われわれは働く権利がありますから。そこで私は、初めから言っているように、労働省が——経済企画庁は、あるいは政府は、日本の経済計画をやりますね。経済政策をやります。経済政策だけやれば労働力は自然についていくのだ、あるいは要らなくなったら首を切るのだという考えですよ。それで一体だれがほんとうに日本の政府として守るか。労働省じゃございませんかと言ったら、そうだとおっしゃるから、具体的にいま雇用の問題を聞いているわけです。  そこで、雇用対策法を皆さん今度つくられますが、私どもは先日一酸化炭素中毒法を党で出した。これは、なかなか政府も自民党もうんと言わない。なぜかと調査いたしますと、解雇制限がある。解雇制限——解雇するなということですね。それが一番ガンだと。これはそうでしょう。いまおっしゃったとおりだ。これは事務当局としてはそうでしょう。しかし、もうほとんどこのガス中毒で神経をやられてしまって、もう治癒する見込みは現在の医学ではないという。それをそれじゃ解雇を認めるのか。反対をしたら、あなた方は何と言うか。それは何とか行政措置いたしますと言うでしょう。行政措置するというなら、なぜそれは立法できないか。いま、これは自由主義社会でありますから、いま自由民主党が天下をとっているから、そこから選ばれている大臣だから、私が、労働省が全部労働者側に立ってと言ったら、さっき労働大臣答弁できなかった。やむを得ないかもしれんですね、これは、自由民主党の内閣だから。ただ、それであるならば、春闘がどうとかこうとか言えないですよ。解雇された者は野放しになるのですからね。あなた方、いま雇用対策法をつくられるが、その雇用対策法の中には、私がただいま言っているような思想があるのかないのか。むやみやたらに首切ってはならぬとか、あるいは、こちらのほうに一応職業訓練をやらし、配置転換の職場があるし、あるいはこの企業の労働者は熟練工だからそちらに出しますというような政策があって、初めて解雇してよろしいと、企業整備してよろしいと、合理化してよろしいという思想が、この雇用対策法の中にあるのかないのか、お聞きいたします。
  206. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 雇用対策法を本日提出いたしましたので、やがて御審議いただけると思いますが、私どもとしましては、雇用の安定、職業の安定ということを最も雇用対策法の眼目にいたしております。したがいまして、第一条の目的のところにも、一方で、労働者の職業の選択の自由を最大限に認めるとともに、事業主の雇用の管理についての自主性も尊重する、しかし事業主が労働者の職業を安定させるための努力を助長するということで、いわゆる雇用主の社会的な責任をまず冒頭に強調をしております。御指摘のような解雇の制限、西独がとっておるような解雇制限という立法条項はございませんけれども、大量の解雇については、解雇の事実があれば、すみやかに安定機関に通報させる義務を課しております。これは、解雇そのものに直接的な介入はいたしませんけれども、やむを得ず解雇された場合には、離職者に対しては万全の措置を安定機関としてはとるために、そういった報告義務を課しておる条項を設けております。ここは非常にむずかしいデリケートな問題でございまするけれども、直接的な解雇の制限というところまではいっておりませんけれども、解雇の事実があったならば、すみやかに離職者対策を積極的に講じていくという意欲は十分織り込んだつもりでございます。
  207. 小柳勇

    小柳勇君 いままでの説明でありますと、雇用対策法をつくりませんでも、職業安定法が、ございますし、雇用促進法がございますし、法律がありますから、それを活用していけばいいわけなんです。あらためて雇用対策法というふうな銘を打ってやらんでもいいわけでしょう。ほかにも問題がたくさんありますけれども、私はいま問題をしぼって、先を急ぎますから次に移りますけれども、基本的には、まだたくさんあります。  そこで、雇用対策法をつくろうとする思想の中に、まだ、あと保護ですわね。いま言ったように、大量の首切りの場合は通報しなさいよとか、通報したら、あと職業訓練をやって、適当な職につかせますよといいますけれども、職業訓練の種類だって、十か二十、多くて三十種ぐらいです、職業訓練というのは。そのあと、おれはこの仕事がいいという職業選択の自由というものはないのです。また、自分であそこへ就職したいといっても、できないわけですよ。私は、したがって、あとの問題を、具体的な例を申し上げなければならぬ。  それは、先般から通告いたしております小野田セメントの首切り、津久見工場で六十八名指名解雇しておる。これは、小野田セメントが経営放漫のために、一千二百名ばかりの首を切りたかったけれども、だんだん交渉した結果、ついに、首切りだけはそれじゃやらないと……。紛争している途中に、中央労働委員会が、希望退職者をつのったらどうかというので——希望退職者はあったのですよ。それで、初め会社は八百ぐらいの予定であった。それが七百三十ぐらい希望したのですよ、いろいろ条件がありまして。ところが、最後は、もう六十八名だけ指名解雇です。しかも、それは若い労働力です。思想的なもの、あなた方が常識的にいう思想的なものではない。私知っておりますけれども、思想的なものはない。ただ、組合活動をやったとか、あるいは活動分子であるとかいう理由で指名解雇をしておる。最近になりますと、会社の経営というものはだんだんよくなった。これから新規労働力を募集しなければならぬような情勢であると……。私は社長にも言ったし、現地の工場長にも言ったのだけれども、君たちは会社の経営が悪いからといって、ここで六十八名の者の首切り、指名解雇をする、ところが、解雇された者は新たに職業訓練をして就職させなきゃならぬ、みな働いていかなければ食えないではないか、会社企業というものは自分でいい者を採っていい労働者だけ、あとは切り捨てていく、退職金はやるかもしれぬが、その退職金は、それは半年か一年は食えるでしょう、それから先の生活はだれがめんどうを見るのかと……。それは、皆さんは、いま雇用対策法によって職業訓練をやりますとおっしゃるかもしれない。労働省は、そういう企業者が、自分がもうけるためにどんどん首を切った者を、あとは拾い上げて職業訓練をする、それだけでしょうか。まず、そこから聞いていきます。
  208. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 従来、大企業に見られましたような、若年労働力を大量に採用して、景気が悪くなると適宜調整をはかっていく、こういった、無計画といいますか、雇用の管理について、いわば無責任なやり方をする企業が間々ございましたけれども、私どもとしましては、この対策法の目的にも書かれてありますが、雇用の管理について雇用主側の責任を十分、何といいますか、追及するような慣行を今後つくってまいりたい。したがいまして、採るときには優先的に採って、解雇するときも解雇しっぱなしで、あとは国の離職者対策に依存するというふうな無責任なやり方でなしに、やはり長期的な観測のもとに雇用問題を解決する風潮を今後確立をしていかなければ、この問題は解決しないんじゃないか、そういうことでこの対策法のねらいもできておりますので、個別の雇用主に対しても、そういう角度から今後は積極的に指導をしてまいりたい、かように考えております。
  209. 小柳勇

    小柳勇君 それから、年末の賃上げの闘争のときにストライキをやった。ところが、その組合の役員に行き過ぎがあったということで五名首を切っておる。これは、いま裁判所に身分保全の仮処分を申請しておりますが、ストライキをやるということは労働法にちゃんと許してあるのですね。しかも、それが非合法でも何でもない。ピケを張っておる。それを気に入らぬからということで、三役並びにあと二名執行委員を首切っておる。指名解雇、これは不当だ。しかも指名解雇するためには、労働協約と就業規則をふいにするために、第二組合を多数つくらなきゃならぬものですから、肩たたきをやって第二組合を結成しておる。課長や係長が行って、その指名解雇をやって三日目には、もう第二組合が旗上げをして過半数をとっている。そして就業規則をふいにして、労働協約をペケにしておる。そういう不当労働行為がはっきりあるわけです。そういう不当労働行為、不当な首切り、そういうものについて労働省はお調べになっておるかどうか、事実を伺いたい。
  210. 三治重信

    政府委員(三治重信君) その不当ということにつきましては、私も何とも申し上げられないわけですが、それは、いま先生もおっしゃったように、その役員の処分については裁判所の仮処分申請になって現在係属中でございますし、なお、小野田セメントの問題につきましては、大分地労委に現在かかっておりまして、第一回、第二回、第三回とやられておりまして、事情聴取が行なわれておりますので、こういう個別的な問題につきましては、現在の法律から見ますというと、労働委員会の所管として、これが個別的、具体的に、その当不当、また違法性が検討される、その結果に従っていただくと、こういうふうに考えております。
  211. 小柳勇

    小柳勇君 基準局長にお伺いいたしますが、現地の担当の基準監督署長は——私ども社会党の国会議員団が行って現地調査をしておりますが、その後、不当労働行為の事実などについて調査しておるでしょうかね。調査しておれば、報告などがあったかどうか、お聞きいたします。
  212. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 津久見工場の状況については大体承知しておりますし、労働基準法の立場からは、解雇の問題が基準法との関係で問題になります。ただ、不当労働行為の問題については所管が違いますので、労働基準局は取り扱っておりません。したがいまして、お話ではございますけれども、不当労働行為に該当するかいなかといった点については、報告は受けておりません。所管外でございます。
  213. 小柳勇

    小柳勇君 不当労働行為については、いま中央労働委員会が調査しておるということの労政局長からのお話、これは一つの例ですが、もう一つ、その中で私が非常におこりましたのは、八幡の工場です。同じ小野田セメントでありますが、八幡の工場で二十二歳の女子を指名解雇した。なぜかというと、これは有夫の婦である、御主人がいるからやめなさいと勧誘したけれどもやめなかったから指名解雇した。しかもその人は、組合の書記として会社が労働協約によって派遣している職員ですね。その御主人がやはりそこで働いている。二十四、五歳。現在、結婚いたしましても、おそらく夫婦でなかなか生活できないわけですよ。だから一緒に働いているわけです。まだ子供もいませんし、これは優秀な書記さんです。就業規則によって組合に派遣しておる。その女の書記さんを、有夫の婦だからというので指名解雇している。これは私は、就業規則を無視し労働協約を無視するだけではなくて、社会問題だと思うのですよ。現在、青年諸君が結婚いたしまして、女房を働かせないでやっていけるような給料をやっているところは少ないわけですね。したがって、働ける間は一生懸命働く。だれだって、結婚したら御婦人は家におって御主人の帰りを待ちたい。でも働くわけだ。それを、有夫の婦だからといって、これを一方的に指名解雇するということは、私は社会的にも許せぬと思う。まずひとつ大臣に、有夫の婦だ、そういうことで、いまの青年が結婚を逡巡するようなやり方を許すのかどうか、大臣の見解を伺います。
  214. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 一般的に申しますならば、現実に八幡工場の場合どうなっているか、私も実は承知しませんが、労働協約なりにおいて、結婚をしたならば退職するというような取りきめをしておる向きもあるやに聞いておりますし、それからこれは、いわゆる定年制とも関連するかと思いますが、いずれにしても、そういう取りきめがあるというような場合もある。これも私は、原則論というか、常識論というか、決して好ましいことではないと思っています。しかし、これが法律的にどうかということになりますと、法律違反であるとまでは、どうも、いまのところ割り切った考えにもなり得ないという段階のようでありまして、現実に小野田セメントの場合に、いま先生がお話しのような事態があったとして、これが不当労働行為に該当するやいなや、これはいま労働委員会のほうで審査をしておる段階のようでございますので、この問題について私がどうと申し上げる立場にはないと、かように申し上げるほかございません。
  215. 小柳勇

    小柳勇君 それではもう一つ、それに類似した問題。これは先般の予算委員会で田中寿美子議員が質問された問題でありますが、私もきょう聞きまして、びっくりしておりまして、質問に加えるわけですけれども、たとえば北海道庁では、女子職員の特別優遇措置という、これは条例でありますけれども、「結婚の日又は第一子分娩の日前後二ケ月以内の者」、これは申し出て希望退職したら、特別に退職金をやろうという……。それからたくさんあるのですが、富山県における勧奨退職実施要綱、それから前橋市における勧奨退職実施方針に「共稼の二子以上の子持女子職員で退職を希望する者」、その理由が「女子職員の構成状況は、市の事務部局職員数八九〇人に対し二八・七%を占め、また女子職員二五六名中既婚者は三四・七%と非常に高い率を占めているため、女子職員の結婚による生活環境の急激な変化と育児による家事の繁忙等による肉体的、精神的減退により、能率が抵下するので、二子以上の子持女子職員から退職希望者を募り、一回限りの優遇措置を与える機会を講ずる必要があると認められるため。」という理由を付して退職勧奨条例をつくっている。これは、婦人少年局長、この間田中さんが御質問になったようでありますけれども、ILOでも問題になっておりますし、ILOでは、働く婦人が家庭と職場と両立するように特別の措置をせよといい、もっと高いILO条約で勧告されている。世界の情勢がそうであるときに、このような退職勧奨条例がほうぼうでできてまいったら、女子職員は働く場がないですよ。しかも、御主人一人の給料では子供が十分な勉強ができないというときに、一体どうしようとするのか、まず婦人少年局長の御意見をお聞きいたします。
  216. 高橋展子

    政府委員(高橋展子君) お答えいたします。  女子のみにつきまして結婚を条件に退職を勧奨するというようなことが間々見られるというようなこと、私どもも情報として把握いたしているところでございますが、そのことにつきましては、先生御指摘のとおり、婦女子の働く機会を不当に制限するものでございまするし、また、男女同権という考え方からいっても、たいへんに不適当な扱いだと思います。さらにまた、日本の経済の進展とともに、労働力としましても中高年の婦人労働者が非常に重要性を加えつつある今日、中高年婦人に多いところの、結婚という条件によりまして就職の場が閉ざされるということは、非常に経済社会的に見ましても適当でないと考えます。そのような観点から、婦人少年局におきましては、従前から、このような取り扱いが改善されますように一般的な啓発活動を行ないますとともに、個別的なケースにつきましては、実態に即した行政指導ということにつとめてまいったわけでございます。その際民間の企業に対しましては、主として婦人少年室が行政指導の衝に当たっているわけでございますが、ただいま御指摘の地方自治体におけるそのような事案に対しましては、原則といたしまして自治省に対しまして申し入れを行なって、自治省の善処方をお願いする、このようなやり方をいたしてまいっております。
  217. 小柳勇

    小柳勇君 自治省の佐久間行政局長が見えておるようでありますから、いまの問題について、自治省に善後措置をお願いするとおっしゃったのか、お願いしたとおっしゃったのか、はっきりわかりませんでしたけれども、行政局長から見解をお聞きします。
  218. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 私おくれて参りまして、先生のお尋ねの全体をお聞き漏らしいたしまして、たいへん申しわけございませんが、地方公共団体におきまして、男女の性別によって退職勧奨の年齢の差別をいたしておりますものは、私どもが調査いたしましたところによりましても、若干あるようでございます。特に都道府県の教職員にかなり多いようでございます。ただいまお話のございました結婚ということを条件に勧奨退職をするということは、労働省からお答えがございましたように、私どもといたしましても、これは適当な措置ではないというふうに考えておりまするし、このような事例がございました場合には、私どもとして注意をいたしておるわけでございます。
  219. 石本茂

    石本茂君 関連質問でありますが、小柳委員のおことばに対しまして、婦人少年局長からのお答えがございましたが、たとえば一般的に啓蒙的な指導をしているとか、あるいは個別的な指導をしているというおことばがございましたが、具体的にはどういうことをしておられるのか、これを一点お尋ねしたいと思います。  それから恐縮でございますが、佐久間行政局長さんにお伺いいたしたいと思いますが、先ほど小柳先生のおことばがございましたが、これに重なることでありますが、地方市町村の保健婦さんの数の不足で、いまたいへん厚生省が困っておりますのに、四十歳をこえた者に対して相当数退職の勧奨が出ているわけであります。先ほど一般論としてお答えになったと思いますが、その中で、労働省というものがあり、自治省というものがあると思うのですが、こういうふうな特定の技能職にありながら、足らなくて困っているという事態においてなぜそういうことが起きているのか、非常に不思議に思うのですが、これをあわせて当局の御意見、あるいはそれに対して具体的にどういう指導なり、その他の面で措置をしておられるか、伺いたいのであります。
  220. 高橋展子

    政府委員(高橋展子君) 婦人少年局が女子に対する若年定年制、あるいは結婚退職勧奨というようなことに対して行なってまいりました措置といたしましては、一般的な啓発と申しますのは、労働者、使用者また社会一般の方に対しまして、若年定年というような制度の好ましくないという趣旨をよく御理解いただくということのために、たとえば研究会議を開きますとか、それから懇談会を開きますとか、あるいは連絡会を開くというような、主として会合を持ちまして、そこで、ただいま申し上げましたような方たちの御参集を得て、私どもの考えを述べさせていただくとともに、意見の交換をはかるというようなことをいたしております。また、特に専門家の方々によって研究されました女子の定年制に関する資料というものも編集、発行いたしまして、広くこれを頒布することによりまして、一般の御理解というものを得るようにつとめてまいったわけであります。  それから個別的な事案に対する行政指導といたしましては、これは先ほど大臣も仰せられましたところでございますが、若年定年制というものが直ちに労働基準法の違反を構成するとか、あるいは憲法に違反すると、そのようには結論づけられないところでございますので、このような事態が発見されました場合にも、その当事者に対しまして折衝を重ねまして、よくその考えを是正していただきまするように勧奨するという、このような態度で臨んでいるわけであります。現実には、それらの事案がございましたときに、婦人少年室がそれらの相談を受けるという形で、これに応ずることが多いのでございます。そうして、主としてそれら企業の使用者側との話し合いを通じまして、漸次改正していただくようにいたしております。しかし、多くの場合、この若年定年制等が行なわれております事業所におきましては、それが労働協約という形などに盛り込まれている場合が多いものでございますから、その契約を改めるということのためには、かなりな時間がかかるということはあるわけでございますが、漸次改善の運びを見ているケースが多々あるわけでございます。
  221. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) お尋ねになられました点でございますが、自治省といたしましては、市町村の指導は第一次的に都道府県におまかせをしておりますので、私どもといたしましては、個々の団体でどういうようなことが行なわれているか、特異な事例がございまして、私どものほうに報告があったり、照会がありました場合は別といたしまして、詳しい事情は存じておりません。なお、先生が例におあげになりました保健婦などにつきまして、不足しているおりから、若年で退職を勧奨するというようなことにつきましては、私も好ましいことではないというふうな感想を持っております。
  222. 小林武

    ○小林武君 関連。婦人のこの労働者に対する差別的な待遇というのは、先ほど御答弁の中にも教員にかなり多いというお話がございました。これは、すべての職業に共通して起こることだと思うのであります。そこで、個々の問題については、それぞれ御質問中でございますから、申し上げませんけれども、この予算書の概要を見まして、ちょっと私の印象としてですけれども、「婦人年少労働者対策の推進に必要な経費」と、ここに書かれている要求の概要の中に、婦人労働者というようなものが、何か私は、男の労働力が不足であるから、それの補助としてという印象を私ここで受けるわけです。「労働力不足の現状に鑑み、婦人の職業についての啓発」、「婦人労働力有効活用対策」云々と書いてある。私は、この中にそういう意思があるのかどうかわかりませんけれども、どうもやっぱり感じとして、そういうことが受け取られるわけです。ほかの役所ならともかく、労働省は、もっと婦人の労働というものに対して、すっきりした態度をとってもらいたいと思うのです。これは、必ずしもそういう考え方に立ったからというばかりでなく、日本のいろいろな社会の状況というものが婦人労働者にいろいろな問題を持ち込むわけでございますけれども、労働省だけは、しゃんとして婦人の労働に関する意識だけは持ってもらいたいということを感ずるわけですが、どんなものでございましょうか。
  223. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) あるいは先ほど御説明申し上げた表現が、先生御指摘のように、妥当でなかったかとも存じますが、私ども気持ちとしては、先生のお示しのように、婦人労働者を単なる男子の代替物というような考えは持っておりません。このことは、これまた先生すでに御承知かと思いますが、今回の雇用対策法案に関しまして雇用審議会からちょうだいしました答申の中にも、そのことについて特にこの御指摘がございまして、「婦人の雇用問題を一つの柱としてとりあげ、憲法をはじめ、関係国内法並びにILO条約の趣旨を生かすことが重要である。この観点にたって、婦人労働力を、単なる代替的なあるいは補充的な視角から便宜的に考えるようなことを改め、この能力の開発向上、家庭責任を負うものとしての特質を考慮した就業機会の確保等の対策を確立すること。」、こういった特に御指摘もございました。したがいまして、私どもも、従来から、先ほど申しますように、決して婦人を単なる便宜的な代替物といったような考えではございませんでしたが、施策の面で、あるいはそういう面が十分あらわれておらなかったかとも思いますが、そういう点がありますれば、十分反省をいたしまして、この答申にも盛られたような精神において十分善処をいたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  224. 石本茂

    石本茂君 もう一度佐久間行政局長さんに確認しておきたいと思いますが、さっきのおことばでございますと、自治省としては、各個々の市町村の問題でございますので関係がないというふうに受けとめてよろしゅうございましょうか。それはむしろ個々の市町村を背景にしての話し合いでございまして、自治省としては、そのことには介入しないというふうに解釈してよろしゅうございましょうか。
  225. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 勧奨退職は個々の団体が自主的に職員団体等と話し合いをしながらやっているのが普通の状況でございます。私どもといたしましても、どういうやり方で勧奨退職をやるべきだというような指導はいたしておりません。なお、先ほど申し上げましたのは市町村行政全体についてでございますが、指導は都道府県が大体一次的な責任を持っておりますので、私どものほうには、非常な特異な事例でございますとか、あるいは都道府県で判断しかねるような問題が照会があるという、それを受けて指導をしていくということでございますので、市町村の実情につきましては、そういうことであるということを申し上げた次第でございます。
  226. 小柳勇

    小柳勇君 石本さんの質問に対する答弁、それでは困るのです。それでは各地方地方条例ができまして、どんどん首を切っていくわけです。だから私は問題にしている。労働省なり自治省行政指導していきませんと、そういう誤ったことをやられますから、いまここで問題にしているのです。  そこで、さっき行政局長は、結婚について勧奨するのは行き過ぎだとおっしゃいましたけれども、それでは、有夫の婦人ですね、有夫の婦人、及びこの北海道庁のように、「第一子分娩の日前後二ケ月以内」と書いてある。こういうものについてはいかがでしょうか。それは、まず先に労働基準局長から法律的な運用について御意見を聞かなければならぬのですが、基準法の十九条、解雇制限のところは御存じのとおりですね。六十五条の産前産後のところも御存じのとおりです。最低基準を定めたこの法律によってさえ、解雇制限は産前産後七十五日ですよ。その間は、精神的にも肉体的にも非常に敏感であるし、判断力だってたいへんでしょう。そういうことであるから、この基準法については特に配慮をしておるものと思う。解雇してはならぬと書いてある。産前産後の人を特に守ってやるべきでしょう。そういうものを、この地方の勧奨条例では、「第一子分娩の日前後二ケ月以内の者」と書いてある。まことにもってけしからんと思うのだ。そういうものを、自治省としても、もちろん労働省としても、見過ごしておっていいのかどうか、お聞きしておきたい。
  227. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 御指摘のように、産前の二カ月前に解雇するという、そういう規定がありますということは、私初めて承知したのであります。形式的に言いますと、前後六週間でありますから、二カ月でありますと、さらにその前になってしまう。こういうことになりますわけで、一種の脱法——と言うのはちょっと失礼かもしれませんが、それを意識して措置したように思われます。そういう観点から見て、労働基準法第十九条第一項の後段の精神からいいまして適当でないというふうに私は判断いたします。したがいまして、十九条は御承知のように解雇制限条項ですが、ただ、この精神から見まして、退職の勧告が、いかにも十九条の法のここのところをねらいまして、前後二カ月とったということにつきましては、やはりいろいろ検討すべき点があるというふうに私どもは考えております。  また、有夫の女子についての問題につきましては、小野田セメントの場合にそういう規定があるようでございます。この点につきましては、基準法上の問題は生じませんけれども、就業規則に違反した解雇になるという問題はございます。しかしながら、小野田セメントの場合を見ますると、労働協約で協議制を定め、解雇基準は就業規則の定めるところによると、こういう立て方になっておりまして、その就業規則の中に有夫の女子という解雇基準がある。そのような趣旨の……。ちょっといま失礼いたしました。基準法による就業規則ではないようでございまして、別に設定した解雇基準であると思います。そういった条項があるようでございます。ただ、この点につきましては、いずれにいたしましても、労使の交渉によりまして、こういった問題について調整するとか、いろんな余地が残されておるわけであります。したがいまして、直ちに労働基準法違反の問題は生じませんけれども、こういった問題が、社会一般のみならず、当該企業の立場から見ても適当であるかどうかという幅広い見地に立ちまして、労使がさらに十分こういった問題については検討すべきではなかろうかというふうに考えております。
  228. 小柳勇

    小柳勇君 少し頭の整理をされるために具体例を言っておきますけれども、小野田セメントの場合を見ますと、七、八年前に有夫の婦はやめてもらうという勧奨の提案が会社から出ました。それが団体交渉で否決されまして、それは労働協約にもないわけです。それも相当の戦いで否決して今日まで来ておる。そして今度解雇の条件として有夫の婦の条件が出たから、組合はこれを否決して団体交渉が決裂した。そして中央労働委員会に持っていった。そして中央労働委員会は、希望退職だけをやる、一カ月延ばして、指名解雇しなさんなと言った。それを組合側が受諾したけれども、会社側が強引に指名解雇したという事実がございます。これを頭に入れて判断してもらいたいと思います。したがって、労働協約には、有夫の婦は解雇してよろしいという条項はない。これは団体交渉で否定されておるということの、その上に立って判断してもらわなければならないと思います。  それから地方自治体の場合に、新潟県の鹿瀬町というのがございます。東蒲原郡鹿瀬町でありますが、そこの町議会では、そういう全国的な様子がわかったのでありましょうが、十四名有夫の婦人がおられるものですから、ただ定数減の条例だけを決定しておるわけです。十四名減の議会決定をいたしまして、そして希望退職者を募りまして、十名はやむを得ず希望した。残りの四名はどうしても希望しないものですから、四月一日に地公法二十八条四号で解雇する、こういうことが決定されておるらしいのです。このこともさっそく調べていただきたい。四月一日施行するようでありますから。  こういうものを、われわれが、法を扱う労働省が、私ども社会労働委員会が見過ごしておったら、婦人労働者の職場はないですよ。したがって、これは自治省行政的にいろいろ御指導いただいているようですけれども、早急に地方条例について御検討いただきたい。基本は、何といいましても、働く権利義務、そこから出発して労働基準法があるわけでありますから、その労働基準法の精神は、特に産前産後など、そういうものを保護しておりますし、また有夫の婦人の生活実態もございますから、したがって、いま婦人の職場を守らなければならぬ。労働省がここに予算を出しておるときに、こういうことがあってはならぬと思いますから、労働省自治省とで行政指導をやってもらって、今後こういう不幸な事態が起こりませんように善処してもらいたいと思います。同時に、小野田セメントについて、私は——私と、ほかの社会党の国会議員が骨を折っておりますが、何とかこの指名解雇だけは撤回してもらわなければならぬ。これは、小野田セメントの事業も非常に前向きでありまして、新たに新規労働力を募集するような情勢になりましたのに、まことにけしからぬということで、会社側にも、再三社長にも会ってかけ合っておりますが、その実態は労働省も把握してもらわなければ困るのですよ。将来また、こういうことが起こりますから、これは至急に調べてもらいたい。私が言った、その労働者を守る立場、こういうときこそ、その立場をとって、そして会社にもかけ合ってもらうくらいの、ひとつ情熱を、大臣、出してもらいたいと思う。  もう一つ問題があります。それからこれは一般的に、今後企業整理がありますと起こる問題でありますが、会社がつぶれまして借金が残ります。つぶれない会社も赤字になりますと、その赤字を解決するためには、金を貸しておる銀行から役員がやって来るわけです。その会社の管理者としてやって来るわけです。そうしますと、いままでやっておりました重役陣は、その新しく参りました銀行、いわゆる金融ひものついた重役陣に対して、いろいろメンツもありましょう。政策をわからせなければならないから、その人にわかるような方法で首を切っていく、労働者の首を。労務管理というものはわからない、金融のわかった重役陣が、労働者の首を切ることを経営の合理化考える傾向がほうぼうにあります。このことはたいへんなことでありまして、私は、この前の一般質問でも、このことをやろうと思いましたが、時間がありませんでしたので、ついに最後になりましたが、これは大蔵省、大蔵大臣にもよく言っておきませんと、労務管理も事業のことも、ほんとうによくわからない、ただ金のことだけわかる重役が参りまして、労働者の首を切ることが経営合理化だと考える。こういう事例がありますから、このことは労働省もよくわかっておいてもらって、将来会社の赤字を処理するときに銀行から乗り込んで来る場合に、十分に警戒をしておいてもらわなければ困る。申すまでもなく、事業は経営者と資本と労働です。その労働にだけしわ寄せして日本が経済を再建しようなどということは、私は絶対に許すことはならぬと思います。私どもの立場はそういうことですから、したがいまして、労働省は——冒頭に私は、もう少し時間があれば、基本的な問題を大臣に聞きたかったのでありますが、きょうは時間に追われまして、基本的な問題が抜けましたから、私の言うことが十分に理解していただけなかったと思いますけれども、そういう立場からも、雇用対策の問題も、職業訓練の問題も、失業対策の問題も、至急に対策を立ててもらいたいと思います。  以上のようなことは大臣もよくおわかりのことと思いますから、お答えは要りませんが、私の希望を述べまして私の質問を終わります。
  229. 石本茂

    石本茂君 私は、婦人少年労働者のために、特に労働省のほうで、これらの人々の対策のために相当額の予算を計上しておられますし、特に四十一年度は、ただいま、概算でありますが、前年度に比べまして相当の、五千数百万という金の増額計上になっておりますことは非常にうれしいのでありまして、このまま通りますことを心から希望いたしますが、つきましては、この予算書の内容等を拝見しておりますと、非常にそれぞれ対策的な手を打つ項目があげられておりますので、これもうれしいことでありますが、先ほど来のお話の過程におきましても、また、私どもがいままで一労働者の立場で働いてまいりました次元におきましても、労働省というところは、先ほどお話がありましたが、真に働く者のためにある省なのか、それとも労使両方の間に立って国の労働上の問題を取り扱っておるというところなのか、これはいずれでもいいと思いますが、しかし、せっかくこういう対策のために相当額の予算を計上し、それを獲得しておられますのでございましたら、どうぞそれが実るように御努力がいたできたい。一国民、一人一人、特に婦人労働者につきましては、先ほど来、特定な条件、自然的肉体的な条件を持ちますために、どうしても男子労働者の中に入り込んで人並みにという扱い方はむずかしい面があると思いますけれども、せっかく労働基準法等によりまして守っていただいているのでございますから、そういう面々につきまして一、二お伺いしたいのでございますが、先ほど、若年退職者の勧奨に関します問題もございましたが、ひとつ、さっきもちょっとおっしゃいましたが、中高年齢者の再就職といいますか、そういうことにつきましても特段の配慮を払われているのでございますが、具体的な事例を、一つでけっこうでございますから、どのようなことを従来されまして、どの程度に効果をあげておられますのか、ひとつ聞きたいわけでございます。お願いいたします。
  230. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 御婦人に限るわけではございませんが、中高年一般の問題といたしまして、ここ数年来、石炭の離職者対策をひな型といたしまして、離職者に対して再就職までの生活保障をするために各種手当制度を創設いたしてまいりました。これだけでは必ずしも十分ではございませんので、今回、雇用対策法の中には、さらにこの制度を拡充発展させる仕組みを用意いたしております。これも、主としては、年齢的に見ますと中高年の離職者がその主たる対象になるわけでございまして、私どもは、従来から、雇用対策の重点は中高年問題にある、今後もこれは、人口構成の老齢化という必然的な傾向から申しまして、どうしても中高年問題を重視しなければならぬという角度で、また、対策法では、中高年の雇用促進という一章を設けまして、適職を中高年に優先的に開放する、さらにそれでも不十分な場合には、強制ではございませんけれども、雇用率を設定をいたしまして中高年の職場を確保していきたい、こういう政策を法案の中で用意いたしております。これはもちろん、先ほど大臣から御答弁ありましたように、女子を含めて、あるいは特に家庭を持った女子労働力というものをさらに一段と重視しろという注文もついておりますので、私どもは、この答申をすなおに受けて今後の政策を展開してまいりたい、かように思います。
  231. 石本茂

    石本茂君 御意見、御意思、よくわかりましたが、私は非常に枝葉末節的なことを聞くかもわかりませんけれども、ただいま中高年齢者の再就職方につきまして相当程度の考慮を払われておられます部分的なお話はわかりました。ところが、社会の中には非常におもしろい現象がございまして、先ほどちょっと申しましたが、いま医療業界におきましては非常に看護婦が不足でございます。そのために、現在職を離れております免許取得者が相当程度おります。二十万をこえるかもしれません。これらの人々が再就職したいのでございますが、先ほど来お話がたびたびありました労働条件、雇用条件等の問題もあろうかと存じますが、なかなか再就職することが困難な情勢に置かれておるのです。これは非常にふしぎな現象なんです。こういう事柄につきまして、労働省とされまして、特に婦人少年局長さん、あるいは大臣におかれましては、どのようにお考えか。これは特定な一事項であるかもわかりませんが、非常に大きな社会の問題になってしまっております。それなのに、労働者として働く場を見つけていこうとしますと、お前は四十を過ぎているから要らない、子持ちだから要りません、というようなことで、せっかく持っている免許状までが何の役にも立たないという現象があって、二十万をこえているという現実をどのように考えておいでになるか、お伺いしたいと思います。
  232. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 看護婦さんの不足の問題、その他に関連しまして、先般予算委員会において御質疑がございました。私もその際御質問を伺っておりまして、大体の事情は承知したわけでございますが、私に対しましても御質問がございましたのですが、私は、率直に申しまして、看護婦さんの給与、まあ第一に給与、これが、ああして病人を看護するという、非常に苦しいというか、一般の職業に比べて、むしろ苦労の多いお仕事をやりながら、しかも、だんだん承りますと、夜勤等も相当多い。もっとも、この点につきましては、婦人少年局で、さきに実態の調査をいたしたわけですが、これによりましても、大体病院等においては月の間に五回以上も夜勤をしている。先般の話を承りますと、中には十回をこすという例もあるやに承りましたが、いずれにしても、そういうこともやらなければならない。こういう状況でありながら、私は、これは絶対的なことは、なかなか申し上げかねますが、私の受けておる印象では、どうもやや賃金等も低いのではないか。この点についても、労働省調査をしたものがございます。いま、私ここに資料持ってきてございませんので、具体的に申し上げませんが、やや低いという私は印象を受けているということを率直に申し上げたわけであります。でありますから、まず勤務の条件なり、環境なりというものをよくする方向で、ひとつ関係方面で御努力を願うということが、私の立場からすれば第一ではないか、かように私は考えておるのであります。いま先生がお話しのように、たぶん二十万ぐらいだったと思いますが、せっかく資格を持ちながら職につかぬでおられる、こういう方もおありだそうでありますので、まあ、そういうことを考え合わせましても、やはり労働条件、環境というものをよくすることによって、それらの方々のうちの相当の方も職につかれる、こういうことになって、看護婦さんの不足ということもある程度解消するのじゃないか一もちろん、新規の養成等も、十分厚生省等でも考えておられるようであるのでございますが、いま申しましたように、資格を持っていながら職につかぬでおられるという方、いろいろこれは事情はございましょうが、いま申したような方向で努力することによって、そのうちの何分の一かは再就職なさると、こういうことができるんじゃなかろうかと、私はさように考えておるわけです。
  233. 石本茂

    石本茂君 ただいま大臣のおことばを承っておりますと、いろいろお考えをいただいておりますが、具体的に手のつけようがないというふうにも受け取れるわけでございます。雇用者、労働者においていい労働条件を確立するしか手がないじゃないかということになりそうに思うのでございますが、私は、むしろ、看護職というものについて労働省がもうすでにいろいろ調査もしておられますし、実態についても十分把握しておられますから、いまさら言う必要もございませんが、たびたび問題になっております深夜勤務等につきまして、女子労働者には深夜勤務をさせないというような大項目を掲げておきながら、特定業務であるために深夜勤務をしなければならない情勢があるわけです。ところが、労働省の所管であります労働基準法等の関係条文を拝見しておりますと、その特定な状態に置かれている女子あるいは年少労働者に対しまして、お前たちはしかたがないじゃないか、医療業務に従事しているのだからしかたがないというので、何ら法律の次元において考慮されておらないということでございます。せめて、深夜勤務手当の男子女子平等であるのもけっこうでございますが、そういう特定業務に従事する者につきまして、深夜勤務手当のいまの割り増し歩合いを多少なりとも御配慮願えませんかということは、ずいぶん関係の者におきましては、ここ数年間労働省にもお願いしてきたつもりでございます。そういう基本的な条件について、予算とははずれますけれども、全然お考えに今後ともなる可能性がないものでしょうか。考える必要ないとお考えでございましょうか。そういう特定の者について、特に深夜勤務という、全く他の多くの女子労働者にはない面をかぶっているわけですから、このものを何とかして基本的な法的条件の中で考慮してやろうというようなお心がまえがございますのかどうか、これももう一ぺん聞いておきたいと思います。
  234. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 看護婦さんの深夜勤務につきましては、すでに御承知だと思いますが、国立病院の看護婦さんにつきましては、昨年の人事院勧告におきましても、これを考慮せよと、こういう勧告がございましたので、これはもっともである、こういうことで、まあ金額はわずかといえばわずかでございますが、直ちに、たぶん一晩百円ぐらいだと思いますが、特別の手当を差し上げる、こういうことにいたしたわけでございます。こういうことが、やはり、おそらく民間、公共団体等のやっておられる病院におつとめの看護婦さん等にも逐次実施せられることを、私どもとしては期待をいたしておるわけでございます。  なお、基準法の割り増し率を考慮するという問題については、まあ、他との関係等もあるかと思いますが、私の気持ちとしては、いずれにしても、よく検討さしていただきたいと思います。また、法律的の問題がございますから、あるいは研究しておるところもあるかと思いますから、基準局長から御説明申し上げます。
  235. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 御指摘の、看護婦あるいは電話交換手といったような人につきましては、人の生命を守る、あるいは非常緊急の用務がございまして、それが大衆に及ぶといったような特殊な観点から、例外的に深夜勤務を認められておるわけでございます。こういった特殊のいわば作業態様の方々には、こういう特例が認められておるわけでありますが、そういった勤務につきまして、格別の、別段の超過勤務手当を認めるべきかどうかという問題になりますと、超過勤務一般の問題とも関連するわけでございますので、これはなお慎重に検討を要することであろうと思います。しかし、いま大臣が仰せのごとく、労働基準法は、いわば最低労働条件法でございます。したがいまして、この基準の上に、さらに労使の交渉によって上積みされるとか、そういった措置はもとより考えられるわけでありまして、まあ、人事院勧告の場合におきましては、法定基準、労働基準法的な基準を上回ると申しますか、特殊な態様のものとして夜間勤務の特別な手当を設けたわけでありますが、そういった特別な手当を設定した趣旨を、民間企業においても、くみ取られまして、ただいま大臣が仰せのごとく、最低労働条件以上のものとしてこれを設定するというようなことはどうであろうか、そういった実態の成熟といったようなものと相関連いたしまして、今後の問題として慎重に検討すべき点があろうかと思います。
  236. 石本茂

    石本茂君 労働基準法は最低の条件だということは、みな承知しております。ところが、その最低の基準さえも守られておらないのが、私は、現在の労働者の実態ではないかと思うのです。特に医療企業というのはそうでございます。自由でございます。何ら統制するものもありません。そして、格差がすごい。というのは、医療機関そのものの体系も違います、規模も違います、そういうことで、そういうところに働いております女子であり、年少者であります多くの者が、何とも言えない不遇な状態にある。むしろ、人事院勧告を受けることのできた国家公務員は幸いなんです。労働組合もございますし、あらゆるものによって守られておりますけれども、守られておらない者がむしろ巷間多いわけです。そういうところが、幸いに人事院勧告などに右へならえしてくださればよいのですが、そういうことは、まあ考えられないと私は思っております。それほどに医療の現場実態というものは、こんとんとしております。そういうふうな、一部分かもしれませんが、労働条件の形を全然なしていないようなものをほったらかしにして、どんなにすばらしい政策、政見をお立てくださいましても、救われる人は救われていくでしょう。ますます救われると思います。ところが、そういうものがあることによって劣等意識を持ち、労働に対する意欲が薄れてしまって、ますます看護労働者が減っていっておる現状があるわけでございますから、この際、婦人少年局長でいらっしゃる高橋先生も、こうした場合には特段の御指示をしていらっしゃると思いますが、何らかのよい手でございますね、やはりお願いしておきたいことは、そういうふうな特別手当とか特別措置なんというのは良識によって行なえるものでございますから、基本的な条件として、だれもが守らなければならないんだという一線のところで御配慮いただきませんと、絶対に浮かび上がれない部分が多くあるということを特にお考え願いたいと思うわけであります。  ですから、四十一年度のあらゆる施策の中で、そういうことは全般的なものじゃありませんが、普遍性はないかもしれませんが、人間の生命を守るという一つの条件から考えましても、特段の配慮をお願いできないものか。これは、おこがましいことを言うようでありますけれども、全体論からいって私はそう思うのです。他の部分をほったらかしてもいいとは私は思いません。しかしながら、ほとんどが婦女子であるということ、十八歳に満たない青少年で准看護婦という名称のもとに資格を持って医療現場の中で人さまの命を守っておるというこの現実をよく知っていていらっしゃるのでしたら、どうぞ、法律には簡単に手をつけられないと思いますけれども、法律を変えてくださるのがお役所の使命じゃないかと私は思うのです。ぜひ、このことは、何としてでも御配慮いただきたい。いますぐとはいかぬと思いますが、局長さんも検討すると言ってくださいましたが、三年も五年もかかる検討じゃ何にもなりませんので、ぜひ、ここ一、二年の間に御配慮いただきませんと、人事院勧告が出ますと、こういうことがさらに医療職場を混乱さしていくわけです。ですから、小さい、中小企業以下の医療機関でございますために、みんな涙をのんで泣き寝入りしているのが現状でございますから、どうぞよくそのことをお願いしたいと思います。  それから次に、育児に関しまする問題でございますが、これも、現在労働基準法には相当程度考慮していただいておりますが、人事院勧告の段階で見ますと、これは非常に飛躍的に、われわれ女子である労働者をかばっていただくと思うのですが、こういうことについての、あの勧告を中心にして、何か労働省のほうで御検討になりましたかどうか、あるいはまた、これからしようとしておられますのかどうか、お聞きしたいと思います。婦人少年局長さんにお聞きします。
  237. 高橋展子

    政府委員(高橋展子君) 看護要員の労働条件につきましては、婦人少年局では、かねてから非常に大きな関心を持って臨んでおりまして、先生御存じのとおり、調査なども実施してまいったわけでございますが、まあ、近年の看護要員不足ということから、たいへんに憂うべき事態になっているかに見受けられるわけでございます。で、私どもといたしましては、従来の調査で、ほぼ問題の所在が把握されたように思いますので、今後はさらに、先生も多大の御関心のあります深夜業勤務等につきまして、これをいわゆる労働科学的な見地から調査をいたしまして、そうして看護要員の方々が夜勤によってどの程度の疲労度といいますか、労働量があるかということなどを的確に把握いたしまして、その結果によりまして適正な労働条件というものの実現に向かって一そうの措置を進めたいと、目下そのような計画もいたしておる段階でございますが、その調査の中で、ただいま御指摘の育児その他の面につきましても触れてまいれるのではないかと、このように考えております。
  238. 石本茂

    石本茂君 非常に気を使っていただいてるようでございますが、いまおっしゃった疲労度などというものは、すでに物理学的にも化学的にも分析してございます。厚生省が、かつてやったことでございます。しかし、そういうことでは精神的な問題が出てこないのでございます。数十人の患者を一人でかかえて、とにかく、あすの朝まで完全にわが任務を果たそうということになりますと、そんな、はかりにかけて出てくるようなことと違うんです、これは。その辺もやはり良識的にもお考えいただきまして、ただ何か物を持っていってはかれば、すぐわかるんだ、そんなものではございません。これは全部の労働者に言えることだと思いますが、特に精神的、肉体的条件、二つを持った労働者、特に生産ではございません、人間の生命ですから、それは何とも具体的に表現できない条件を山ほど持っておるということも、やはり御勘案いただきまして——むしろ、そういうことの考え方は古くさいと思うんです。何かしら物を持っていけばわかってくるというものじゃございませんから、そういう見地に立たれまして、どうぞこの問題は、ぜがひにでも局長さんの御在任中には必ず何とか片づけていただきたいというふうに考える一人でございます。  続きまして、もう一つでございますが、先ほどちょっと申しましたけれども、非常に給与差にばらつきがございます。医療機関の背景そのものが、公立あり国立あり県立あり私立あり、こういうことで、何とも言えぬ背景が違っております。そして医療収入そのものが、保険点数といいまして、保険行政の面で、経済背景の点で、一応点数がきめられているんです。ところが、働いている者の給与格差、これはもうすごいものです。そうしてまた、働いている者自身は、ただどこからでもだれかが来て何とでもしているということと違いまして、ほとんど全部、国の定められました法律に基づいて身分を持っている者なんです。これほど一致した条件の労働者が、いま言いました非常なばらつきの中で仕事をしていて、給与によっぽど差があるのです。今日、三千円の者もおります、五千円の者もおります。と思うと三万、五万もらってる者もおります。この辺のことから考えまして、先ほど局長さんか、大臣からお話があったかと思いますが、最低賃金制も、これはただいま炭鉱労働者だけだと思うんですが、将来何かそういうようなことも、いまの日本の医療が、国家統制ができない自由業であります限り、これはよくお考えいただきませんと、ほんとにみじめを通り越してしまって、命はそこにあっても、病気をしておられる者がありましても、見る者がなくなってしまう可能性があるというように先の読みを持つものでございますので、たいへんかってなことを申しますが、こういうことにつきましても、ぜひ御検討の段階にのせていただけますものかどうか、お伺いしたいと思います。
  239. 小柳勇

    小柳勇君 関連して。具体的に私は提案するんですがね。炭鉱労働者が全国一律の最低賃金が実施されたんですが、十六条方式によって大臣職権による最低賃金を実施されたい。今度の国会は、非常にこの看護婦の問題が問題になりまして、非常な収獲を得たのでありますが、最後に私提案いたしまして、大臣の見解、決意を聞きたいと思います。
  240. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) まず、賃金の格差の問題でございますが、これは、先生にもあるいは差し上げてあるかと思いますが、三十九年四月、やや古い調査でございますが、これによりましても、規模別におきまして相当賃金の格差があるということがはっきりいたしております。したがいまして、お話のとおり、病院と一口に申しましても、その間、規模その他において格差がずいぶんあるようでございますから、こういうことになっているのだろうと思いますが、まあかねがね私は、さきに申しました、どうもぼくの受け取る印象では、他の同じ、と申しますか、たとえば高等学校を出て、あと国家試験等を受けて資格をとるといったものと比べても、どうもやや低いのじゃないか、これがやはり看護婦さんの少ない一つの原因なのじゃないかということを、実は厚生大臣などとも率直に話をいたしているのであります。そういうことから逐次改善されることを期待いたしているわけでございますが、なお、これとの関連において、小柳さんから最賃制をというお話で、ございまして、この最賃制の問題も含め、あるいは石本先生の先ほどのお話の、種々の勤務条件等に関する問題等も、これは実際人間の命を預かる重要な仕事に携わっている方々の問題でございますから、私どもとしても真剣にひとつ検討さしていただきたいと思います。
  241. 石本茂

    石本茂君 最後に、お願いでございますが、ぜひ大臣のお力と、各関係部局の局長さんのお考えの中で、非常に一部分的なことで言いづらいのでございますが、職場の性格が非常に重要でございますことと、それから、ともにあります医師がほとんど経営者でございますために、どうしても特別に不遇な状態が出てきております。その辺のこともお考えいただきまして、この職務の性格と、そしていまおっしゃいましたように、医療そのもの、日本の国の医療に対する考え方、あらゆるものを総合いたしましてその一番大きなしわをかぶっているのが医療従事者であり、特に看護労働者だと、私ども、ひが目でなく、思ってきたわけでございます。正当な御判断の中で、ぜひ何とか解決へのめどを、この労働に従事する者がしあわせになれるめどを、おつけいただきたいと思います。  それからもう一つ、最後にお願いしたいと思いますのは、先ほど申し落としましたが、労働組合すらない医療機関がほとんどでございます。県立とか国立とか市立とかというりっぱな病院ほど、そういう労働者として守られる諸条件が整っておりますが、そうじゃないところにおりますものほど、どこにたよっていいかわからない、自分たちのことをどこに訴えていっていいかもわからない。地元に労働基準監督署がありますからそこに行きなさいと、事あるごとに教えておりますが、そこに行くだけの勇気を持っておりません。そんなところに行ったらあしたから首を切られてしまう……。それで私は、先ほど小柳先生がおっしゃいましたが、私どもには一人一人に働く権利があるのです。生活する権利があると同時に義務もございます。そういうことから、ただ、この関係法規には何もそんなことはきめられておりませんとか、関係がありませんというのじゃなくて、基本的な人権という憲法のたてまえに立ちまして、ぜひこのことをよろしくお取り扱いいただきますことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  242. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) お話、よく承りました。さきに申しますとおり、私どもも真剣にひとつ検討したいと思います。
  243. 鬼木勝利

    主査鬼木勝利君) 以上をもちまして、労働省所管に関する質疑は終了したものと認めます。  本日は、これにて散会いたします。    午後七時三十九分散会