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委員以外の議員(
加藤シヅエ君) 私、
委員外発言をお許しをいただきましてありがとうございました。
ただいま林
委員から看護婦養成の問題につきまして非常に専門的な御質問、御説ございまして、私もたいへんに教えられたことがあって喜んでおります。ただ、それに対しまして厚生当局の御答弁は、ややもすれば非常に消極的で、
大臣がかなり積極的におっしゃったので、林さんも喜ばれたと思いますけれ
ども、それでもまだまだこれは消極的で、私
ども委員外の者といたしましては、看護婦がいかに必要であるかということがたびたび言われておりますので、もうどうにかなっているのかしらと考えておりましたら、いまだにまだこの
程度で、林さん一人で奮戦していらっしゃるというような事情であるということはたいへんな驚きであったわけでございます。
厚生大臣には、どうぞこれはたいへん大事な問題でございますので、どんどんと
予算の面も獲得なさって、積極的な手を打っていただきたいと思います。どんなに積極的な手を打っても三年間かからなければ一人前の看護婦はできないと林さんがおっしゃるのですから、よほど積極的に力を入れていただきたい、これはもう
国民一般の要望であろうと思います。
私は、先ほどから林さんの御質問を伺っておりまして、ちょうどけさ外務
委員会に出ておりまして、移住者の事業団法というのを取り扱っておりましたので、海外に技術移住者というのが今日非常に歓迎されているという、これは
一つの新しい傾向でございます。で、
日本といたしましては、ことしあたりからカナダに技術を持っている移住者を技術移住者として送ることができる、これは全く新しいことでございまして、カナダのように、
生活程度は高い、人口は非常に希薄である、こういうところに
日本から何か専門の技術を持っているというような条件で歓迎されるということは、これはたいへんな明るい見通しだと思います。しかも、いままでは全然そういうことが許されなかった医者、看護婦、こうした者も歓迎される、こういうことになりましたので、私はそのときにも、将来
日本の看護婦というものをもっと養成し、この地位を高めるためにもたいへんにこれは
一つの助けになるんではないかということをそのときから感じまして、たまたまこの
委員会に参りましてそういう質問と合致いたしましたのです。それは
日本の赤十字社看護婦が、戦前は世界的にたいへんな信用を獲得して、
日本の名誉が赤十字社看護婦によって高められたというようなことを私はいろんな国際会議で聞かされまして、非常に感銘もいたし、うれしくも思いました。それほど高く評価されておった看護婦が、今日、
日本はこんな状態に置かれている。ややもすれば前の伝統というようなものにとらわれてしまって、十分才能があり、生かせばどんどんりっぱな看護婦ができる素質がある
日本婦人をそうした職業に向けることができない、こういうことは残念なことだと思っておりました。そこで
厚生大臣に伺いたいのでございますが、先ほどから看護婦の
待遇が非常に低いということで、それにはいろいろの具体的内容があるということが林
委員からも御指摘があったのでございますが、
一つは、この海外移住者として、たとえばカナダに
日本の看護婦の資格を得た者が、さらに語学のほうの訓練を得まして——また今日は語学の訓練も非常に即席に、しかも役に立つ語学の訓練方法というのもいま試みられておりますので、そういうようなものをまぜ合わせて、
日本の看護婦がカナダに移住者としてどんどん発展して出ていく、こういうことになりますと、さっそく
月額三百ドルぐらいの給料がもらえる。しかも、欧米における看護婦の地位というのは、御承知のように、非常に高くて、病院などでも地位のある、責任を持った看護婦に一にらみされたらもうだれも何にもすることができない、全部看護婦の命令に服従しなければならない、それほど権威を持った看護婦さん。そういうところに、
日本婦人もカナダに行けば何とかできるというようなことにいまなりつつある。そういうようなチャンスをつかんでいただきまして、養成された看護婦の中から希望する者はカナダに技術者として移住する。そして、向こうでそういう高い境遇と権威ある地位を確保する、そういうようなことがたいへんに看護婦の地位を高めるための
一つの刺激になるんじゃないか。民間の看護婦の給料が安いから、
国立のほうもなかなか上がらないというようなことはとんでもないことで、外国ではそんなに歓迎してくれている国があるというようなこともひとつ考えていただいたらどんなものだろうか。これは
日本の看護婦の地位を高め、その給料を高める刺激としても考えていただけるんじゃないか、
厚生大臣いかがでございましょうか。