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1966-03-30 第51回国会 参議院 予算委員会第三分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月三十日(水曜日)    午前十一時四十八分開会     —————————————    委員異動  三月三十日     辞任         補欠選任      永岡 光治君     矢山 有作君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         井川 伊平君     副主査         鈴木  強君     委 員                 植竹 春彦君                 古池 信三君                 櫻井 志郎君                 白井  勇君                 平島 敏夫君                 村田 秀三君                 矢山 有作君                 浅井  亨君                 向井 長年君    国務大臣        農 林 大 臣  坂田 英一君        運 輸 大 臣  中村 寅太君    政府委員        経済企画庁総合        開発局長     鹿野 義夫君        農林大臣官房長  大口 駿一君        農林大臣官房予        算課長     大河原太一郎君        農林省農政局長  和田 正明君        農林省農地局長  大和田啓気君        農林省園芸局長  小林 誠一君        農林水産技術会        議事務局長    久宗  高君        食糧庁長官    武田 誠三君        林野庁長官    田中 重五君        水産庁次長    石田  朗君        運輸大臣官房長  深草 克巳君        運輸大臣官房会        計課長      須賀貞之助君        運輸省船員局長  岡田 良一君        運輸省港湾局長  佐藤  肇君        運輸省鉄道監督        局長       堀  武夫君        運輸省自動車局        長        坪井 為次君        運輸省航空局長  佐藤 光夫君        海上保安庁長官  栃内 一彦君        気象庁長官    柴田 淑次君    説明員        農林省農林経済        局参事官     岩下 龍一君        農林省農政局参        事官       横尾 正之君        農林省畜産局参        事官       太田 康二君        食糧庁総務部長  田中  勉君        海上保安庁警備        救難部長     猪口 猛夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十一年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十一年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十一年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 井川伊平

    主査井川伊平君) ただいまから予算委員会第三分科会を開会いたします。  分科担当委員異動について御報告いたします。本日、永岡光治君が辞任され、その補欠として矢山有作君が選任されました。
  3. 井川伊平

    主査井川伊平君) それではこれより審議に入りますが、その前に、本日の議事の進め方についておはかりいたします。  主査といたしましては、議事を進める都合上、本日は農林省から始めることにいたしたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 井川伊平

    主査井川伊平君) 御異議ないと認めます。  それでは、昭和四十一年度予算農林省所管を議題といたします。  まず政府から説明を求めます。坂田農林大臣
  5. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 昭和四十一年度農林関係予算について、その概要を御説明申し上げます。  最初に、各位の御協力を得て御審議をいただくに当りまして、予算の裏づけとなっております農林水産業施策基本方針について申し上げたいと存じます。まず、最近に一おける農業動向にかんがみ、農政推進に当たっての基本的な考え方について申し上げます。  その第一は、国民食糧安定的供給をいかにして確保するかということであります。国民所得水準向上に伴い、食糧中心として農産物需要は堅調を持続しており、これに対応し、農業生産もこれまでおおむね順調に増大してきましたが、最近、一部に増大する需要に対し生産が必ずしも対応し得ない面も見られるのであります。今後の農業労働力減少兼業化の進行、耕地壊廃増大等傾向を考慮しますと、農業生産性向上をはかりながら総生産維持増大につとめることにより、食糧その他産物の安定的な供給を確保することが強く要請されていると考えるのであります。  第二は、農業生産性農業従事者をいかにして向上させるかということであります。引き続く農業労働力減少のもとで、機械化等省力技術の導入、基盤整備等により農業生産性はおおむね順調に伸びてきておりますが、農業と非農業との生産性及び所得格差は、三十九年度には若干改善されたものの、現在なおかなりの開きがあり、この格差の是正をはかるためには、国民経済各部門の均衡のとれた安定成長を確保するとともに、今後さらに農業生産性の一そうの向上をはかることが必要であると考えるのであります。  第三は、どのようにして農村環境整備し、農業従事者福祉向上をはかるかということであります。農村は都市に比べて生活環境社会環境の面でも著しく立ちおくれており、社会保障制度も十分に整備されているとは言いがたいのでありますが、他方、都会にない自然環境のよさもあり、農村対策充実と農家の努力が相伴えば農村生活も決して暗いものではないと考えます。そこで、農業従事者福祉向上をはかるための施策と相まって、農村青少年が新しい農業経営について魅力と自信を持てるようその養成対策を講ずるとともに、農村環境整備充実をはかる等、豊かな住みよい農村の実現をめざして農村対策充実する必要があると考えるのであります。なお、開放経済体制への移行に伴って、農産物輸入数量制限の撤廃、関税引き下げ等国際的要請が一そう強まりつつありますが、これに対し、わが国農業特殊性について諸外国の理解を求め、わが国農業に急激な影響が及ぶことのないよう慎重に対処するとともに、基本的には農業構造改善生産性向上をはかり、国際競争力を強化することが必要であると考えるのであります。  次に、林業及び漁業につきましても、近年、増大する需要に対して生産が十分対応し得ない面が生じ、生産性及び所得水準はなお他産業にくらべて低位にあり、いかにして総生産維持増大生産性向上をはかり、所得及び生活水準向上に資するかということが当面の課題となっていると考えるのであります。  以上申し述べましたように、農林漁業動向とこれをめぐる内外の諸情勢のもとにおいて、農林漁業を近代化して、これを国民経済の健全な一環として育成するとともに、立ちおくれた農山漁村環境整備をはかる等、農山漁村対策充実することは、単に農林漁業従事者福祉向上観点からのみでなく、国民経済の安定した発展と国民生活の調和のとれた進歩向上という観点からも、きわめて大切であると存じます。このような考え方に立って、昭和四十一年度予算におきましても、これらに必要な経費を極力重点的に盛り込むほか、きめこまかい配慮も加えて予算を編成した次第であります。  まず、昭和四十一年度の一般会計における農林関係予算の総体について申し上げます。農林省所管合計といたしましては、四千百三十三億円となっておりますが、これに総理府、大蔵省、文部省、労働省及び建設省所管を加えた農林関係予算合計は、四千五百八十五億円となります。これを昭和四十年度補正後の予算四千四十九億円に比較しますと、五百三十五億円の増加、また昭和四十年度当初予算三千七百億円に比較しますと、八百八十五億円の増加となっております。  以下、農林関係予算重点事項について御説明いたします。昭和四十一年度予算編成において最も力を入れましたものは、農林漁業生産基盤整備農林漁業構造改善推進農林水産物生産、流通及び価格対策拡充農山漁村対策充実農林金融改善拡充の諸施策であります。  以下、これらの施策について順次触れてまいりたいと存じますが、御質疑の予定もございましょうし、以下は速記録にとどめ、朗読は省略させていただきたいと存ずる次第でございます。
  6. 井川伊平

    主査井川伊平君) おはかりいたしますが、ただいま農林大臣発言中にもありましたとおり、大臣の御説明のいままで残っております以下の部分につきましては、速記録に載せるということに取り計らいたいと思います。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 井川伊平

    主査井川伊平君) 異議ないと認め、さよう取り計らいます。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 私はいろいろ大臣にお尋ねしたいことがあるのですが、順序等もありますし、また時間の約束もありますので、予定しておりました中で半分くらいにしぼりまして、ほんの一、二点お尋ねいたします。  最近、特に農薬水銀農薬問題がたいへんやかましくなりまして、国会においても衆参両院において、しかも科学技術特別委員会あるいは農林水産委員会、各委員会でこの問題がやかましく取り上げられております。そこで非常に世人が、極端にいえば不安におののいておる。毎日食べる、三度三度食べる食べものの中に水銀が入っておる。そのことだけで非常に世人が不安にかられており、かつて放射能が何かに含有されておるということだけで、同じように国民に不安を与えたことがあります。しかし、含有されておる分量によってそれが人体に有害である場合と、全然人体影響がない場合、いろいろありましょう。影響が全然なくても、ただ放射能が含有されておるというその事実だけで、国民にたいへんな不安を与えておる。与えた責任についてはそれはいろいろありましょうけれども、いろいろな機関にいろいろな言い方で、またある意味では、特に世人の興味をあおるために、問題点を科学的に冷静によく究明しないで内容を誇張して書き立てる。そういう状況等からいたしまして非常に世人に不安を与えたことがあります。いま水銀問題については、不安の量という点からいきますならば、私は同じ現象にかられておるのではなかろうかと思うのであります。そこで、水銀農薬が開発されたのは昭和二十八年ごろでありますか、それから非常に使用度が進んでまいり、特に稲のいもち病に対するフェニール水銀農薬が非常に発展してまいり、また同時に種子消毒土壌殺菌使用するためのアルキル水銀剤が開発されて、今日では全量にして、金属水銀にして年々約四百トン程度使用されているといわれております。一方、食品衛生の立場では、厚生省が三十九年から三カ年計画で、全国的規模で米の水銀分析をやっておるはずでありますが、その結果については出ておるのか出ておらぬのか、私自身まだ承知をいたしておりませんが、いずれにいたしましても、農林省の発表によりましても、米に水銀が含有しておることは明白でありますし、いろいろな学者等研究の結果からいいましても、たとえそれを白米にいたしましても、玄米の半量程度水銀を含んでおる。その他野菜あるいは魚体、卵黄等を通じて人体水銀が移行され、蓄積されるというような記事があちこちに見えます。まあこういうことを言っていると、私の持ち時間がなくなってしまうのですが、結論は、かようなことで非常に不安を与えておる。であるから、一部には水銀農薬を即刻禁止しろ、こういう意見も強く出ておるやに承知いたしておりますが、私は問題は感情的な問題ではなしに、やはり厳正、冷酷な科学的な結論というものによって政府が即刻判断をして、その判断に基づいて急速な措置をとっていくということが骨子であろうかと思うのであります。政府側の一部でいうように、いもち病というのはたいへんな病気だ、これに対して水銀剤をもし禁止したら米の生産ががた落ちになる、そういうことだけで水銀剤禁止云々ということに抵抗する説明にするのも私は間違いじゃないか。問題は人体に悪影響があるかないかということを率直に検討して、その検討の結果、悪い影響があるかもしれぬということになれば、一般の法律でいえば犯罪の嫌疑がある者は、疑わしきは罰せずということをいいますけれども、私はこういうような問題は、疑わしい場合にはやはり適当な措置をとるのが当然ではなかろうかと考えるのであります。まず大臣考え方をお聞かせいただきたいんですが、時間が制約されておりますので、簡潔にひとつお願いいたします。
  9. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) ただいま櫻井委員からの水銀剤に対する御質問でございます。最もいもち病に対してはきわめて特効薬でございます。この水銀剤を用いることになってから、いもち病は完全とまでいかなくても、ほとんどこれは発生したところを絶滅できるというくらいの特効があるわけでございます。したがって、まあこれだけではございませんが、日本の米の生産量が六千四百万石程度が平年作であったものが、現在は八千三、四百万石という二千万石の増加をいたしたのは、これだけではもちろんございませんが、これらの点が非常に大きな効果をあらわしておるものでございまするので、このいもち病等に対する特効としてはきわめて効果の多いことは、これはもうここで申し上げるまでもないものでございます。これはまあすでに御了承のことでございます。これらの関係からいたしまして、これを使用することになりました当時におきましても、その使用方法、それからこれらの扱い方というものについてきわめて丁重に取り扱うということにいたしたわけでございます。さような関係でございまするが、とにかく、ごくわずかの水銀を使うのでございまするけれども、これの人体に及ぼす影響というものがどういう影響があるかという点について画然たる結論は得ていないように思われます。しかし、取り扱いその他の問題は十分注意をしなきゃならない、こういう事態であると存じます。しかし、これらについて非常にまあ水銀剤そのもの性質から見て、これは有害なものであることはこれは言うまでもございません。どういう使い方をし、どういう方法によってそれらを問題なしに使えるかという問題が重点であることは言うまでもございません。そういう関係で、現在の情勢としては問題はあります。問題はありまするけれども、画然たるまだ結論というか、こういう点について水銀剤を用いた米についての何はどういう結果になるかといったような、そういう点についての結論というものをまだ得ていない。ただし、人体には、とにかく日本人の頭の髪を見ても、外国人の、これは正確にはあるいは違うかもしれませんが、大体約二倍半か三倍ぐらいの水銀髪の毛の中にあると、こういうことを私も聞いておるのでございます。しかし、それが髪の毛を通じて発散するのかどうか。はたしてそれが人体にどういう害があるかという、そういう結論のところまで達していない、こういうことでございます。しかし、米については、いわゆる生産については、非常ないもちについては効能がある。したがって、取り扱い十分注意をすれば、この生産という問題についてはたいへんな功績がある。人体に対するあれは、取り扱いいかんによって、いま現在やっておるような方法でいくなれば、どういう程度人体に害を及ぼすかという問題については的確な結論が出ていない、こういうのが現状でございます。しかし、いずれにしても、これはこういうものを使わずして、そしていもち病を退治して生産を安定させることが重要な問題であると思いまするので、現在かようなものによらずして生産を確保する、いもち病をいわゆる退治していくという方向にいけるための無害な、いわゆる毒の少ないそういう薬剤を早くこれをつくり上げて、そして水銀剤にかわるものとしてそれを普及せしめていくということが必要であると、こういう結論に到達しておるのでありまして、現在はでき得る限り、これらの、別のいわゆる水銀剤にあらざるものの発達と申すか、そういうものの製造、それから普及という問題に努力を払いつつあるわけでございます。しかし、現在のところ、まだそういう薬剤数量が少ないというのが現状でございまするので、これらの面についてはさらに一段と努力を進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  10. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 日本人の毛髪の中に含有しておる水銀が外人の約三倍ぐらいあると、これは多数の学者が言っております。しかし、その三倍ぐらいあるということは、人体から水銀を排除する一つのあらわれであるというふうに言っておる学者が相当あるように私は承知いたしております。だから、三倍ぐらいあるということは、あながち悪いことの証明にはならぬので、とり方によっては、何といいますか、相当の悪条件にも耐えていく人体の特殊な能力の表現にもなるんだというふうにとれます。とれますが、一方からいいますならば、そういうことだから、またたとえば外国あたりの例を見ても、アメリカあるいはソ連あたりは、食品の中における水銀含有量ゼロ、水銀が含有されておってはいけないということを何か法定しておる。だから、日本水銀製剤を即刻禁止しろ、こういう意見を言っておる一部の方々もあります。そこで、大臣がいま触れられましたが、かわるべき低毒性いもち病を防止する農薬開発等の問題でありますけれども、水銀製剤を直ちに禁止しろ、いや、禁止しなくても、現在害がないからいいのだという論争を毎年繰り返しておりますと、私は水銀性質からいいましても、あるいは五年、十年、何十年とたったときには、日本の水田を中心にいたしまして、国土が相当水銀に汚染される時代がくるのじゃないか。そういうときに、あわててさあたいへんだから水銀をとめろ、こういうことを言ったのでは、これはなかなかむずかしい問題でもあろうかと考えますので、私は政府は、水銀というものは少なくとも好ましくないものだ、好ましくないものだが、直ちに人体被害がないならないと、これは厚生省研究いたしておりますから、そういう研究等を冷静に把握いたしまして、あるいは何カ年後には禁止する方向で、低毒性いもち病防止農薬を何カ年計画かで開発しておいて、そうして一方においては何カ年後に禁止するとか、そういうことを政府計画性を持って考えておかれないと、直ちに禁止しろとか、いや禁止する必要はないのだとか、こういう議論を毎年繰り返しておったのでは、国民日本民族に対して将来取り返しのつかないようなことが万々一起こったら、これはたいへんな問題だと、私はそういうことを心配いたしますがゆえに、よく農林省厚生省が率直に連絡をされて、何といってもこの水銀がもし人体に有毒でありといたしますならば、第一番に被害を受けるものは米を生産する農民であります。農民が第一番にやられる。食糧生産しておる大事な農民が第一番に被害を受けるということ等をもよく農林省はお考えになって、ほんとうに害があるかないか、また、現状だけで問題を判断しないで、毎年、水銀製剤使用を繰り返しておった場合にはどういう傾向が出てくるか、そういうこと等をも勘案して、長期的な判断をできるだけすみやかになされて措置をとられんことを希望いたしますが、大臣のお考えはいかがですか。
  11. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) ごもっともな所論でございます。農林省といたしましても、いまのところこの使い方を精密にやっておいた場合に、的確に、こういうようないわゆる害毒があるという結論は得ていないわけです。得ていないのでございまするけれども、やはり遠くおもんぱかってみまするならば、でき得る限りさようなものを使わずに、そして防除ができるということを期待して進めていかなけりゃならぬ、こういうのが原則でございます。しかし、一般に言われるように、現在のものが非常に必然的に、いわゆる人体に非常な毒性を及ぼしておるということをいう、そういう的確なところはとらえていないわけです。それは各方面ともとらえていないわけです。しかし、とらえていないからといって私どもは安心するものでなしに、とらえていないのであるけれども、これらはでき得る限り害のないものにかえていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。原則はさようなことからいたしまして、新農薬といたしましても現在すでに使われておりますものはブラストサイジンSといったようなものでございまして、毒性のきわめてこれは少ない、ほとんどないといっていい、そういうものをいま新農薬としてこれらが生産されるようになりまして、現在すでに一九%程度以上にこれらが使用される程度のところまで生産が伸びてきております。したがいまして、それらのことを順次進めてまいるということが必要であると同時に、さらにまた農業技術研究所においても残留毒性研究室、ここでもさらにこの問題を検討はいたしておるわけでございます。しかし、いま申しましたように、そういうおそれのないもので、同じ効力のあるそういう農薬を早くそれに置きかえていくことの努力と、それからして現在もう残留毒性研究と両々相待っていま進めておるのが現在の実態でございます。
  12. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 大臣の御答弁を伺っていますと、根本的には私が心配をし、私が考えておることとほとんど同じことを大臣がお考えのようであります。どうか大臣考えをぜひ強力に実行していっていただくということをお願いいたしましてこの問題はそれで打ち切ります。  ただ、現状人体被害かないという——ないであろう、ないという結論は出ていないにしても、長い間蓄積された場合にはどうなるであろうかという問題もありますこと、劈頭に私が申し上げたように、放射能の例をとって申し上げましたが、何がなしに米を食うことが不安であるという考え方が特に都会の人にびまんしておる。この不安感というものを、その不安が間違っておるなら間違っておるということを、やはりぬぐい取ってもらうことが行政として大切なことではなかろうか。三度三度不安な気持ちで飯を食っておるということであったのでは、これはまことに残念なことであります。どうかそういう点に、人間の気持ちなんというのは農林省所管でないという考え方ではなしに、農林省所管と密接な関係のある事項に関して、不安感を与えておるということに対しては、大臣のほうで十分ひとつ責任を持って御努力あらんことを希望いたしておきます。  それから最近、飼料中心にして食糧関係輸入がどんどんふえてきておるようであります。約二十億ドル程度になっておりますか、そんな程度輸入がふえてきておるように承知をいたしておりますが、たとえばその中で一つ例をとりますと、飼料用のふすまの輸入価格というものが相当上がってきておるやに聞いております。まあ言うなれば、麦の皮であるふすまと中身を持っている原麦というものとの輸入価格がほとんど開いておらない。何かトン当たり千円ぐらいしか違わぬということを私は聞いておるのですが、詳しい数字は要りませんから、そんな見当に間違いないかどうか、どなたからでもいいです。御承知の方からお答えください。
  13. 大口駿一

    政府委員大口駿一君) いま担当畜産局参事官が参りますけれども、詳細な御必要あればお答えをいたしますが、私が、手元に持っております資料によりますると、ただいま櫻井先生の御指摘のように、飼料用小麦価格とふすまの価格というものが相当値幅が狭まっておるという傾向はお説のとおりでございます。
  14. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 飼料用小麦食糧用小麦とどういうふうに違うのか、私は実は知らないのです。知らないからお尋ねしておるわけですが、私が農政の中で一番知らないことをお尋ねするわけなんですが、簡単にしろうと的に考えた場合に、人間の食糧にならない、いわばかすのふすまを輸入するのと、中身を持っている原麦を輸入するのと、ほとんど価格が開かないというのであれば、中身を持っている麦を輸入して、そうして小麦粉をとって、そのかすを飼料にしたっていいじゃないか、またそのほうがいいじゃないか。一方には大口製粉業者が小麦粉を値上げするとかしないとかいって一時は騒いだが、農林省のほうからの話、あるいは経済企画庁からの話で、しぶしぶ値上げをストップしたということを新聞等で見ております。そういうような関係もありますから、私の言うことは、これは全然見当が違っておるかもしれませんよ。いまのまるのままの小麦輸入して、そうしてそれからふすまをとる、また小麦粉をとって、一方においては人間の食糧である小麦粉を、より潤沢に提供することによって値上げなんというような意図を防止して、相なるべくは値下げの方向に持っていく、片一方においてはふすまをそれで供給するということがどうしてとられないのか、そういうことをやらないで、ふすまはふすまで輸入することがどういう国家的利益があるのか。あるいは悪く考えれば、何かしら大製粉業者を一これは社会党的な言い方になるかもしれませんが、大製粉業者を擁護するやり方じゃなかろうかというような考え方もちょっとするのですが、いかがですか。
  15. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 後ほど詳細にお答えいたさせますけれども、現在のところ、やはりふすまそのものを輸入するのは従来どおりのものを輸入いたしておるのであります。それから小麦そのものは年々輸入増加を見ておるわけでございます。その一つの何は、いまおっしゃったように、この小麦そのものでなしに、ふすまのときにはそれは比較的割り高でございます。ところが小麦粉の輸入増加をいたしておるのでありますが、そのふすまのほうは現状維持、小麦のほうは増加しておるのでございます。それは小麦のほうでふすまを取りましても、残りのいわゆる小麦粉の需要のほうが伴わないので、それはふすまでなしに小麦粉だけということで、それをふやすということになると、よけいなものを買わなければいかぬということになる。そういうことを照らし合わせまして、ふすまは従来どおり輸入する、小麦のほうは需要に応じて漸次増加をする、そして小麦のほうからまたふすまを、国内へ入ってふすまを取る、こういう行き方でおるわけでございます。それを小麦だけを増加することによってふすまを満たそうとすると、つまり小麦粉全体のいわゆる余分のものを輸入しなければいかぬ、こういうことになるので、その関係のつり合いの問題が大きなわけでございます。輸入のほうはひとつ……。
  16. 太田康二

    説明員(太田康二君) ただいま大臣が御答弁なすったことに尽きておるわけでございますが、わが国の畜産の現状におきましては、ふすまが非常に安定した飼料だということで、その需要が非常に旺盛であることは櫻井先生承知のとおりだろうと思うのでございますが、そこで、われわれ飼料需給安定法の運用によりまして輸入ふすまの売り渡しを実施いたしておりますほか、いわゆる専増産用の小麦の売り渡しを実施して、ふすまの供給力の増加ということにつとめておるわけでございます。四十一年度におきましても櫻井先生の御指摘なさったように、ふすま増産用の小麦の売り渡し量というものを四十年度より約十一万トン増加いたしまして百万トンというふうにふやしておりまして、趣旨に沿うような方向で対処いたしておるわけでございますが、御指摘のとおり、最近の国際市況を見ますと、外国におけるふすまの需要増等もございましてふすまの価格が堅調に推移しておりますので、価格面から見ますと小麦輸入したほうが有利であるという考えが当然出るわけでございます。しかし、小麦のまま輸入いたしまして、これを製粉して、現在の専増産のふすまの場合には五五%のふすまを取りまして四五%の小麦粉が出るわけでございまして、製粉してふすまを製造いたしますと、その製造過程で生産される小麦粉の消費の面から、ある程度の制約を受けることになるということでございまして、小麦粉の消費につきましては食糧庁のほうからお答えがあるかと思いますが、あまりふえないというような状況でございますので、そういった面から、現在の段階におきましてはふすま増産用の小麦の売り渡し量を著しく増加するというようなことが困難な実情にあるということでございます。
  17. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 食糧庁からあるんですか、ないんですか。
  18. 田中勉

    説明員田中勉君) いま畜産局の太田参事官からも申し上げたとおりでありますが、小麦輸入いたしまして、これを製粉をしてふすまの増産、あるいは専増産というようなことでふすまを相当大量にとるという方式は、粉の面からいたしますると、そういうところから発生する粉が一般の製粉の流通というようなものにやはりある程度影響が出てくる。最近では大体この制度によりましてふすまをとっておりますのが約九十万トン以上になっておるのでございますが、そのこと自体がやはりそういう形でとる粉が単体で流通するというようなことは、いまの製粉の一般の、いろいろな種類の製粉があるわけでございますが、粉があるわけでございますが、それに対して流通上いろいろある一定の制約というものがあるわけであります。これを急激にふやすということは、やはり市場流通上からみて好ましくないということは考えられるわけでございます。それからもう一つは、増産するための小麦というもにつきましては、極力やはりふすまを相当大量に取り扱うのでございますので、世界的に流通いたしております小麦の種類、あるいはハード系にいたしましても、あるいはソフト系にいたしましても、できるだけ低品位のものをなるべく格安に買いつけて、そうしてふすまを余計とるというようなことが望ましいと思うのでございます。そうなりますと、そこから出る粉の品質上からくる一般の粉の流通に対する影響というようなものも出てくるわけでございまして、急激にやはりこういうものによって振りかえるということについては、流通上いろいろ問題がある、こういうぐあいに考えておる次第でございます。
  19. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 もう時間もありませんので、もう少し尋ねたいこともあるのですがやめておきましよう。ちょっといまの説明はわかったようなわからぬような説明なんですが、ふすまの、何ですか、五五%をふすまにとっている。あるいはもっとふすまのほうに、六〇%も七〇%もふすまのほうにしたっていいじゃないか、中身のある栄養価の高い、よりカロリーの高いふすまになるということも考えてやっていけるんじゃないかというような考えもあるのだけれども、時間がないから私はこれでやめておきます。またいずれ農林水産委員会ででも伺いましょう。どうもありがとう。
  20. 井川伊平

    主査井川伊平君) 答弁しなくてもいいんですか、時間まだありますよ。
  21. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 けっこうです。
  22. 村田秀三

    ○村田秀三君 私は先般、総括質問で農業原則的な事項について質問をいたしました。そして、その中心的なものといたしましては兼業農家の問題を申し上げて、その具体的な対策、ここに触れる時間がなかったのでございますから、いわばその継続という意味で、これまたごく基本的なことでありますけれども質問をしてみたいと思います。  それで、兼業農家一種、二種と、こう言われますけれども、その内容、類型別にと、こう言いますが、同じ兼業でもいろいろな形があるわけでありますが、それがなされておるかどうかということであります。兼業農家の中身ですね、たとえばサラリーマンであるとか、出かせぎに行くとか、商業をやっているとか、それから農業の分野では畜産をやっているのか、あるいは田畑をやっているのか、果樹をやっているのか、そういうこまかい分類ということになりますが、その内容を掌握しておるかどうか、こういうことです。
  23. 大口駿一

    政府委員大口駿一君) 農林省で昨年の秋に取りまとめまして公表いたしました中間農業センサスに、ただいま村田委員の御指摘のような内容を把握したものを掲げておるわけでございますが、まず兼業農家は、御承知のとおり、昭和四十年で見ますると、専業農家が全農家の二一・五%、したがって、残りの七八・五%が兼業農家であり、その兼業農家がさらに第一種、第二種の兼業農家に分かれまして、その第一種兼業農家は三六・八%、第二種兼業農家四一・八%、こういう数字になっておるわけでございますが、この兼業農家のいろいろな形での兼業がどういう形になっておるかということについて申しますと、まず兼業の形が雇われる兼業であるか、自営兼業であるかという観点で分類をいたしておるわけでございますが、雇われる兼業と申しますのは、たとえば職員として、外に勤務をするとか、あるいは恒常的に賃労働に出ていくような形で兼業しておるとか、あるいはよその地域に出かせぎに長期間出かけていく形での兼業であるとか、あるいはいわゆる臨時的に人夫とか日雇いに出ているという兼業、これらを項目別に分けまして、雇われ兼業というものの数字を三十五年と四十年を比較して一定の傾向を見ようとする分析がなされております。それから自営兼業と申しますのは、たとえば林業を兼業としておるとか、あるいは漁業を兼業しているとかいうような形で自営兼業があるわけでありますが、これも同じく三十五年と四十年との数字を比較いたしまして、実数並びに構成比率を掲げまして、その間の推移を比較できるような表が中間の農業センサスにのぼっております。もし、さらに詳細な説明をせよということでございますれば、内容を数字で申し上げてもよろしいと思いますが、一般的な傾向を一言にして申しますと、雇われる兼業と自営兼業との比率が三十五年と四十年を比較いたしますと、自営兼業がわりあいに減って、雇われ兼業のほうがふえているという一般的な傾向は、第一種兼業農家につきましても、第二種兼業農家につきましても、同じ傾向が見られております。
  24. 村田秀三

    ○村田秀三君 そこで、そういうような資料をお取りになったということは、それぞれの形態別に対策を進める、そういう意味でとられたのではないか、こう私は推測するわけでありますが、まあこれはとってみたということであるのか、あるいはこれから、ここにどのように対策をしていくかという対策がおありであるのかどうか、ちょっとわかりませんか、意味は。
  25. 大口駿一

    政府委員大口駿一君) 御質問の趣旨は、いまのように、たとえば出かせぎ、雇われ兼業を四つ、五つに分けて把握をいたしておるが、それぞれについて対策を講ずるということを頭に置いてこういう調査をしたのか、こういう御趣旨だと思います。農林省といたしまして、兼業農家対策を運営いたしまする前に、まず農業基本法に基づきまして、できるだけ数多くの自立農家を育成しようという方針で農政の基本を運営いたしておることは御承知のとおりでございますが、先ほどの答弁で申し上げましたように、すでに兼業農家の比率が七八%にものぼっておりまするので、当然これらの兼業農家というものについての対策を全然講ずることなしに農政を運営することはむずかしいという段階に立ち至っていることは、われわれも十分承知をいたしておるのでありまして、たとえば雇われ兼業の中で出かせぎが非常にふえている傾向に対処してどのような措置を講じたらいいかということは、私どももいろいろの対策を講じておるわけでありまするが、ただ、ただいま村田委員御指摘のように、いま申し上げましたこまかい分類ごとにそれぞれ質の違った対策をそれぞれ講じておるかということになりますると、必ずしもそこまで項目別にそれぞれあてはまる、また内容の違った対策を講じておるというわけではございませんが、ただこれだけの数にのぼっておる兼業農家の存在というものを、農政上十分頭において運営する必要があるということから、このような兼業の実態の把握につとめた次第でございます。
  26. 村田秀三

    ○村田秀三君 その中で一番重点的に対策を立てなければならないという問題というのは出てこないわけですか。
  27. 大口駿一

    政府委員大口駿一君) どれが特に重要かということになりますると、いろいろ御議論が出ると思いますが、当面、社会問題にもなっておりまする出かせぎ対策について、政府はどう考えるかというような御質疑予算委員会等にもいろいろございましたし、私どももこの問題につきましては、やはり農政の問題であると同時に社会問題でありまするので、この問題についていろいろ対策を講ずる必要があると思いまするし、また、現にいろいろな角度でこの出かせぎ問題を検討し、また必要な措置を講じておる次第でございます。
  28. 村田秀三

    ○村田秀三君 ちょっと別な見方から入りますが、この兼業なさっておる農家はほとんど全部がその状態で甘んじておるというのか。それから農政の方針としても、まあそういう現実を何となく認めながらも、総合的に何もかにもその対策を立てていくというようなことであるのかどうか。
  29. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 専業と兼業という問題についての御質問で、しかもそれは本質的にはどうか、こういう御質問のように思うのですが、農政から見ての本質としてはどうか、こういう問題だと思いますが……。
  30. 村田秀三

    ○村田秀三君 もう一度申し上げますが、少しひねくれた私は言い方をしているかもしれません。ただ、その兼業農家の方々がどう考えているかということを推測して私はものを言おうとしておるわけでありますが、その兼業農家の方々が現状に甘んじておるという状態なのか、あるいはいろいろな考え方を持っておるその兼業農家の方々が希望するような方向での農政をするという考えで、まあ四十一年度の今後講ずべき施策の中にも、兼業農家を対象にいたしましていろいろなことをやっていくということをうたわれておりますけれども、その現状を認めた形の中でやっていくのか、あるいは農家の方々が希望する方向でそれを抽出しながら施策を進めていくのか、こういうことを言っているわけです。
  31. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 非常に重要な御質問であると同時に、また非常にむずかしい御質問のように思われます。それは農業全般から申しますと、やはり農業を専業にして進めていく、そういう専業農家も相当部分存在する。われわれからそれを申しますと、自立経営といま申しておる、そういう農家が相当数存在する姿を、やはりわれわれとしては多く期待する一つの農家であると、こう思うのでございます。さればといって、今度兼業農家の問題といたしまして、しからば現実において兼業農家が毎年むしろふえるじゃないか、こういう点がそこの問題としてまたあるわけでございます。現在、統計上から見ますというと、やはり相当規模の大きいと見られる、一町五反以上と見られる、そういうような、いわゆる専業あるいは専業としてみられる、みるべきもの、そういう農家数が現在若干ではあるけれども増加傾向にある。これは私どもとしては、農村の将来を見る上において非常に望ましい姿の芽ばえであると存じまするので、この面を伸ばしていきたいということについては、これは大きなそこに期待を持って伸ばしていきたいということを考えておるわけでございます。ところが、数においては、どうしても兼業農家がふえておるということでございます。たとえば北陸地帯のほうへいきますと、兼業農家というのがもう九〇%にあたる、日本全体としては二〇%ちょっとぐらいに専業農家がある。特に専業農家が二〇%以上、それから北陸地帯では専業農家というと一〇%前後、兼業農家がその反面非常にふえておる、こういう姿が出てきておるわけでございます。これは一面においては、兼業農家のふえまするということについては、やはり土地面積と、それから農業を行なうところの人々の数、こういうものとの関連において出てくる問題であろうと思うのです、この問題は。したがって、農業以外の職業をやろうとする姿がございます。そういうことでございまして、これらの問題については、それぞれの内容についていろいろ吟味すべき点があろうと思う。兼業農家で必もずしもこれは不可ではない、こういうことであって、兼業そのものの内容を見ていかなければならぬということが一つ。それから一つは、この日本のいわゆる土地と人口との関連において、そういうことからくる現象であると思う。こういう現象をどう見ていくかという問題について十分検討を加えていく必要があると、こう考えるのでございます。それで、たいへんむずかしくなりましたが、要すると、私どもはやっぱり相当数の自立経営と申すか、いわゆる兼業をやらなくて、農業だけで進んでやっていけるというものが相当数ふえてまいるということを非常に大きく期待するものでありまするが、さればといって、現在の情勢のもとにおいて、それだけを期待するわけにはいかない、だからして、兼業であっても、農業の面から見ても、それからいろいろの面、社会構成上から見ても適当なるものであるならば、もちろんこれを排斥するものではないのであって、それらの問題も同時にこれは育成していく必要があるのじゃないかと、簡単に申しますとさような結論になろうかと思います。
  32. 村田秀三

    ○村田秀三君 ただいま大臣の答弁は、この前の総括の際にもいただいておるわけでありまして、そのことは私も承知をしておるわけであります。しかし、私がいま特に兼業農家を対象にして、ひとつ論議をしてみたいと思いますことは、そういうような抽象的、ばく然としたような考え方で平面的にやられておったのでは、結局現状を認めていくような形になる。農林省の方々が、これは現状を解決しなくちゃならぬという努力の姿はわかりますけれども、その努力とそれの対策、これがはたして効果的であるかどうか、効果的であったならば、これは幾ら息の長い農業であっても、三年、五年たつならば相当な効果が出てこなくてはならないわけでありますけれども、しかし、それが裏目に出ておる。それにはさまざまな理由がありましょうけれども、私がいま兼業農家の対策についていろいろとやってまいりたいと思います前段として、何かこうややこしい、理解のしにくいような質問をいたしましたけれども、しかし、少なくとも兼業農家を分類すれば、これは経営の内容もありましょうと同時に、兼業農家それ自体が兼業で甘んずるという状態ではなくて、いろいろな形の希望を持っておるわけでありますから、それに対しては個々に集中的に、いわゆる農政方向に基づいて指導する、行政措置をする、予算措置をする、こういうことがきわめて大切でないか、こういう立場で私はいろいろ申し上げてみたいと思っておるわけです。したがいまして、農業センサスを私も拝見いたしました。しかし、それをおとりになったということは、ここから何かしらの対策が生まれてくるのではないか、しかも今後とるべき施策の中には、ことばの表現、それの実施の際に強弱はあるにせよ、いいことを言っておられる。したがって、具体的な計画か何かお持ちになっておるのじゃないか、こう思って実は先ほどの質問になったわけでありますが、いままで話を聞いてまいりますると、それほどしかとしたものがあるとは考えられないということになると、これは私の意見を申し上げる以外になくなるわけでありますから意見を申し上げたいと存じます。  私は福島県でありまして、農業県でありますから、それだけに苦労しておるわけでありまするけれども、私はここではいわゆる酪農をやる、果樹をやる、そういう問題については触れません。触れませんけれども、兼業の農家の方々がどういうことを考えておるかという前に、現状について申し上げてみたいと思います。これに対して反論があれば、いやそうじゃないと言ってもらいたいのですが、これは二・五町歩の問題とも関連するわけでありますが、専業を希望し、かつ経営の拡大合理化をはかりたいけれども、耕地の入手が困難であるとか、あるいは近代化資金、これはいろいろ施策は講ぜられておるようでありますが、しかし、農家それ自体は資本力は非常に少ない、しかし、これからの農業というものは比較的資本を必要とするものであるというけれども、その資本の調達に非常に苦労しておる、こういうような問題、まあ既耕地を買い取るということがむずかしい状態の中で、付近に国有地があるとか、あるいは民間の大きな地主が土地を所有し、それを原野のままに放置しておるというような問題、こういうような問題があって、専業化を希望したいのだけれども、なかなか自力ではできないのだという層というのが、これは相当あると思うのですね。それと、その逆に、他に生計の道があれば離農してもよろしいんだ、こういう人々がおります。私たちが回っていろいろ話を聞いてみても、これは実際にいることは間違いありません。しかし、離農する際に、安定して、かつ生きるというだけではなくて、生活され得るような職場というものが、通勤可能な地域であろうと、あるいは遠隔地であろうと、そういうところが保障されておるかおらないか。これは保障されておらないというのが現実の問題でありますね。したがって、離農はしたいけれども、離農することはできない、こういう層というのは相当におるわけであります。それから、これは中間的な層といいますか、付近に安定した職場を持って、そして日曜百姓をやっておる。まあ安定した職場があっても賃金は非常に安いから、少なくとも食糧を自給して、そして生計を豊かにしよう、こういうクラス、あるいはおれは百姓が好きなんだ、農業が好きで、田んぼに朝行って稲の伸びぐあいを見たり、あるいは稲の状況はどうであるか、これはいもちであるからすぐに対策をしなければならぬ、こういうことに非常に興味を持って、園芸をやっているような気分でやっている層というものも、これはあるわけであります。  そして私は、最後に申し上げますけれども離農をしたいけれども安定した職場がないという方々の中では、つまり、付近に非常によろしい職場がないから、いわゆる農閑期を利用して、そして高い賃金の職場をさがして出て歩く、これがいわゆる出かせぎだろうと思うのです。出かせぎの問題については、いろいろ申し上げなければなりませんけれども、そう言ってみながらも、どうしても土地を手放したくない。まあ、手放したいのだけれども、しかし自分の気持ちの中では手放したくないという気持ちがあるという、その大きな理由、これは何であるかというふうに、私自身もこれは幾らか関係をしておりますので考えてみるわけであります。そうしますと、やはり一番先に考えるのは、戦争中あるいは戦後、食糧飢饉に遭遇したときに、たとえ幾らかの土地でも持っておれば、いわゆる生きることは可能である、こういう心理状態、それから、これは先祖から授かった土地であるから、どのようなかっこうになっても、これはずっと孫子の代まで継承したい、そういうような、まあこれは感傷的な考え方かもしれませんけれども、そういう者がおるということ、それから、これは一部の例でしょうけれども、開拓農家あたりで見られるわけでありますが、それをもう手放して出たい、出たいけれども、いままで借金がかさんでしまって、その借金を返さないと足が抜けないという、これはまさにむかしの売春婦じゃありませんけれども、吉原なんかに足を突っ込んだら、もう抜け出すことができないというような人も、これは一部ではあるけれども、実はおります。こういうもの、それから土地だけを売り渡す事業、それを活用する事業というのは、政府も、農地管理事業団等で考えておられるようでありますけれども、しかし、居を他に移す場合には、住宅、作業場、生産機材、これの処理をしなくてはならないわけです。ところが、土地を売るにしても、他に転売しようとしても、これは管理事業団は別でありますけれども、足もとを見て安く買うとか、あるいは宅地なんかはそんなにたくさんあってもしかたありませんから、宅地なんかは売れない。そのままにしておかなければならない。それじゃ倉庫はどうする、こういう問題があるわけでありますから、そういうものを一括して処理をしないと、これはなかなか解決しないという問題があるわけであります。  まあそういうような理由、他にもこまかく見るならばあるのではないかと思いますけれども、そういうような状態に分類できるのではないか、私はこう思うのでありますが、どうでございますか。
  33. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 確かにいろいろの農家がおられるので、ただいまお話しになったような実態のものではないかと思います。
  34. 矢山有作

    矢山有作君 ちょっと失礼なんですが、関連して二、三お伺いしたいのですが、今度、総理の施政方針演説でも強調しておられますし、それから農林大臣もたしかそう言われたと思うのですが、兼業安定ということが、農政の中で相当強く出ているわけですね。だから、具体的に、現在の兼業はただいま村田委員のほうからいろいろ申し上げたとおりなんで、その現在の兼業の実態をふまえて、どういうふうに兼業を具体的に安定させる方策を持っているのかということを御参考までにちょっとお伺いしたい。
  35. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) いまお話しになりましたように、兼業農家でも、いろいろの気持ちでいろいろに動いておられることは、ただいまお聞きのとおりでございます。そこで、えらい長くなりますが、私が生まれた地帯は北陸でございます。北陸地帯は、兼業がもう九〇%以上、一番早く進行しております。ここの兼業は、私はあるいは申したことがあるかと思いますが、大体において水田単作地帯でございまして、まあそうでない農家もいますけれども、そういうところで、機械とかそういうものが発達したために、いままで、普通ならば二町歩三町歩の農家ならば、大体一年中かかったのです、その農業をやるのに。ところが、最近は五カ月か、幾ら長くても六カ月くらいで済んでしまう。そうすると、残りの期間を何かしなければならぬ。その何かしなければならぬときに、農業的な、いわゆる農業によるところの副業というものがあれば、それは統計上、専業農家として出るわけです。ところがそういう地帯においては、多くはそういう人もおります。農業によって、またその期間、別の農業をやっていくと、こういうので専業としてやはり進む人もおりまするが、中には相当たくさんの人が、そのあいた時間をその農耕以外に労働を消化していく、こういうようになっておる。これは生活が苦しいからそこにいくというのじゃないので、むしろ普通の農家以上にいっておるけれども、他に労働を求める、こういう過渡的なものもあるわけです。でございまするので、この兼業の問題は、先ほどお話になりましたように、非常に数の多いものでございまして、これを一がいに一律に一束にしてこれを断じ得ないというところがあると思う。それから日本の人口と土地の関係だと思いますが、これは多くの諸外国において見られるものよりも非常に農村に人口が多数、これはやはり日本ではまだ現在おります。きわめて農耕地の少ないところに多数の人口がおります。そして、この多数の人口というものが一般の諸外国と、これは抽象的でございますが、国によってはそうでないところもございますが、総括的に申しますと、非常に小さな面積で、しこうして収益をうんと上げておるというのが全般的に見た日本の姿だと思うのです。すなわち、いままでの日本の状態は、小さな経営で相当の収益を上げてきたというところに特徴があると思います。したがって、たとえばいま現在農耕地は六百万町歩とかりに言っておりまするけれども、六百万町歩のところにこれだけの多数の農民生産しておるということは、これは他の諸国に例を見ないと私は思っております。これは従来の問題から見て、水田の発達という問題がその大きな理由であろうと思いまするし、その他のいろいろの点があろうと思いまするが、そういう実態からくるところのいままでの日本の特色であったと、これは完全にそう私は思います。しかし、現在のように、だんだん農業以外の商工業の非常な発展、発達ということによって労働生産性が非常に強くなったという、とれと農業とを比較した場合において農業生産性が非常に低い。その比較の検討、最近の要請から、そういうところに遭遇しておるための一つの大きなそこに混乱というわけではありませんが、そういう農業労働におけるいわゆる大きなそこに一つの動きが出てまいってきておることは事実だと思う。この事実を、いかにしてこの小さな面積に、そして農家、農業を、そして他産業と合わせて均衡をとって、他産業のところにほおり出せばいいというわけでもないのでありますから、他産業のいわゆる中小企業、農業、全体を眺めての人口の配置というそういう根本論にも入って、そうしてこれらの問題を処理していくという問題になると思いまするから、なかなかそう簡単にはいき得ないということであると思います。しかし、私はやはり自立経営というものが相当数存在していくということが日本農村において最も大切なポイントであると、こう思いますので、そのほうに力を入れてまいりたい。しかし、いま申しましたような実態でございまするので、兼業農家もこれはやはり十分にそれらの問題のいき方を考えていかなければならない、こういうふうに考えておるようなわけでございます。
  36. 矢山有作

    矢山有作君 長々と御答弁いただいたのですが、私がお尋ねしたことに対しての明快な答弁とはどうもちょっと申しかねるようなんで、私は兼業対策ということを強く総理なり農林大臣が打ち出されたのはことしが初めてだと思うのです。それは大臣よく御承知のように、非常に最近兼業化が進んで、専業は二一%しかない。第一種兼業が三七%であり、第二種兼業が四二%というようなことになってしまった。しかも兼業の実態自体も、内容を検討してみると決して兼業として労働条件がよくて安定しているとは言えない状態にある。そういうようなところから新たに兼業農家の安定対策ということを言われたんだろうと思うのです。そうすれば、ただ言うだけならそれはそれで事済みということもありますけれども、少なくとも総理がおっしゃる、大臣がおっしゃるのですから、その兼業安定対策として何か具体的なものがないと、これはいけないのじゃないか。だから具体的なものは何がありますかと申し上げたので、いままでのいろいろの兼業の状態なんかは御説明をいただかぬでもけっこうなんです。ありますかな。もし大臣でわからなければ事務当局でけっこうです。
  37. 井川伊平

    主査井川伊平君) 要領よく急所をお答え願いたいと思います。
  38. 大口駿一

    政府委員大口駿一君) ただいま矢山委員がおっしゃいましたように、兼業の問題に触れて、総理の施政方針演説であるとか、あるいは農林大臣の所信表明の中に兼業農家の問題について触れたのは初めてという仰せでございますが、そのことが直ちに兼業農家の存在をそのままにして、兼業農家については兼業農家だけの対策を講じていくというふうに必ずしも考えておるわけではありませんが、ただ、先ほどから兼業農家の増加傾向について数字をもって申し上げましたが、農林省としてはあくまで農業基本法のたてまえから、できるだけ多くの自立経営農家を育成するということが、農政の面から申しましても、また農業の総生産の確保という見地からいたしましても、あるいは農村社会の健全なる構成という面から申しましても、いろいろな観点から望ましいという基本的な考え方はくずしておらないのでありまするが、ただ数の上においてすでに八割に近い数にのぼっており、かつまたその中で第二種兼業農家が四割をこしておるというような現実に目を閉じるわけにはまいりませんので、これらの兼業農家に対しても、これは兼業収入というのは農政の問題ではないということではなくして、やはり兼業の機会を安定をしていくとか、あるいは兼業の収入を安定をしていくとか、あるいは農業以外に雇用の機会を安定をしていくということもあわせて行なっていくということが、農政の今後の留意をすべき点ではないかという趣旨で、総理の施政方針演説並びに農林大臣の所信の表明にも述べられたんだと思うのでございます。そこで、それでは兼業農家対策について具体的なものは何かというお尋ねでございますが、これはやはり全国地域によって非常に実情が異なっておりまするし、また、兼業農家そのものも、先ほど村田委員がいろいろおっしゃいましたように、兼業に満足をしているか、不満足をしているかという問題を一応のけましても、兼業の形並びにその農家が将来どういうふうなことを希望しておるかという点においてもかなり違いますので、全国一律的な兼業農家対策を具体的に言えと仰せられましても、簡明、明快に答えろとおっしゃいましても、なかなかそういうことはむずかしいのでありますが、ただ、先ほども申しましたような兼業農家についての対策も、農政の一環としてあわせて考えていくべきだという考え方に基づきまして、それぞれの地域の実情に応じまして、農林省並びに他の省と協力をして、それぞれの地域における、地域の経済の発展振興というものにつとめますことによって、兼業農家の就業機会を増大をするとか、あるいは雇用の安定をはかっていくとかいうようなことを、いろいろな角度から、いろいろな種類の対策がそれぞれの効果を生むことによって、結果的には農業所得以外の所得を合わせた農家所得全体の安定がはかられていくということではなかろうかというふうに考えておるのでございます。なお、具体的に、各地域において就業の相談をするとか、いろいろなこまかい問題については、いろいろ予算面でもこまかい経費を計上してつとめておるのでございますが、これの御説明がもし必要であれば、それぞれ担当の局から答弁をいたしまするが、基本的な考え方といたしましては、兼業農家対策というものをことしは大いに打ち出したのではないかということについては、そうではないのだということは先ほど申し上げたとおりでありまして、また、その兼業農家対策について具体的な大きな柱があるかということに対しましては、これは大きな柱でなくて、それぞれ兼業の実情なり地域の実情に応じて、それぞれの兼業所得の、結果的には安定がはかられていくような施策が、総合して農家所得の全体の安定がはかられていくのではないか、かように考えているのであります。
  39. 矢山有作

    矢山有作君 これでやめますが、関連して。いまのお話伺っておると、私は兼業農家対策としてすっきりしたものがあるようには思わないのですが、ただ、私が一言申し上げておきたいのは、現在の生活水準の調査を年次報告で見ましても、兼業農家のほうが専業農家より非常に生活水準がよいという統計が出ております。したがって、専業である自立農家の育成という概念と、それから兼業農家を兼業のままで安定させるということには、いささか矛盾する問題が起こってくるのではないかと思うわけです。というのは、兼業農家の場合に、御存じのように、農業外の所得が農家所得の大半を占めておるというような関係があって生活水準が高いと、そういうところから荒らしづくりになる、あるいは耕作放棄をやるという面がたくさん出てきておって、それだけその兼業が兼業のまま安定されると、私は生産力の増強ということには結びついてこない面があるのではないかということをおそれるわけです。そうすると、いわゆる自立農家の育成、兼業強化という概念と、それから現在の兼業そのままの状態を安定させるということの中には、大きい成策上の矛盾が出てまいりますので、その点をよくお考えになって、これからの兼業対策を進めていただきたい。特に当面、兼業の実態を調べてみると、出かせぎとか、あるいは臨時人夫とか、非常に劣悪な条件で働いている人が多いわけですから、これは現状の段階においては、私は早急に労働条件改善のために全力をあげなければならぬと思います。なければならぬと思うし、そのことをやっていただかなければなりませんが、兼業安定ということと、自立農家育成、専業農家育成、生産力増強ということは結びつかない面がありますので、この点を私どもは現在の農業生産動向からして心配しているわけです。したがって、この点の検討を十分なさっていただきたいということをお願いしておきますが、関連でございますので、私のほうの質問を終わらせていただきます。
  40. 井川伊平

    主査井川伊平君) 二時二十分まで休憩いたします。    午後一時二十五分休憩      —————・—————    午後二時三十三分開会
  41. 井川伊平

    主査井川伊平君) これより予算委員会第三分科会を再開いたします。  午前に引き続き、質疑を続行いたします。
  42. 村田秀三

    ○村田秀三君 お経は長いほどいいわけですが、答弁は短く簡潔に、要領よくひとつ。私の質問のしかたがなかなか理解しにくいということであれば、いつでも御指摘をいただいてけっこうでございます。  そこで、先ほど矢山委員のほうから関連して質疑がありましたが、兼業農家対策ですね、一種、二種ありますが、しかし、これは所得関係で一種、二種に分かれておるわけでありますから、区別する必要もないと思いますが、その対策を先ほど来いろいろ聞いてみますると、まあ、あるかのごとく、ないかのごとく、どうもはっきりしないわけですが、今後講じようとする農業施策、これには四ページの上段ですか、「第二種兼業農家についても」云々ということで、「必要である」と、こう結んでおるわけでありますから、やるということとはここでは違うようでありますが、それと関係するもの、中身を見ますと、ちょこちょこ出てきてはおるようでありますね。しかし、それが系統的になされておるかというと、御答弁もいままでの経過から見るとどうもそうじゃなさそうである。したがいまして、そこのところをもう一度、類型別に見て、こういう層にはこうします、こういう兼業農家に対してはこう対策しますということがあるのかないのか、その点だけをひとつ言ってもらいたいと思います。
  43. 横尾正之

    説明員(横尾正之君) 先ほど来、兼業の態様につきまして、さまざまな態様があるという御指摘がございましたが、そのとおりでございますので、可及的にどのような態様にも即応した施策考えてまいることが必要であろうかと存じます。  そこで、一つの問題といたしましては、兼業農家の中におきましては兼業面の就業の状況が非常に不安定であるというようなことがございますので、その点につきましては可及的に安定した兼業機会を確保し得るようなことが必要であろうかと思います。と同時に、兼業面に向かいます労働力と農業に従事します労働力との、労働力の調整をはかるということが同時に必要であろうかと思うのでありますが、そのような観点からいたしまして、具体的な施策といたしましては、農業委員会中心になりまして農家労働力対策事業というのを実施いたしまして、農業と兼業面におきます労働力の配分調整につとめますと同時に、兼業者につきましてもできるだけ安定した兼業を確保し得るように就業あっせん等を組織的に行なうことを実施しておるわけであります。  それからもう一つは、兼業農家におきましては、これは動向報告にも指摘をされておりますけれども、生産性につきまして問題がございますので、そのような兼業農家の生産面におきます問題点をできるだけ解消いたします見地からいたしまして、もちろん自立経営農家の育成に力を入れますと同時に、兼業農家につきましても、経営の実情に即して技術の導入、機械の共同利用、農協等による農作業の共同化等の推進によりまして生産性向上につとめておるわけでありますが、特に稲作等につきましては、地域につきまして低位の水準にある農家をできるだけ高位水準に持ち込むということが必要でございますので、労働生産性の同時並行的な向上のために、地域を集団的にとらえまして、たとえば高度集団栽培事業のごとき事業を通じまして兼業農家をも含めて生産性向上をはかるような施策を具体的に進めておるわけであります。  具体的な事例として一、二につきまして申し上げますと、以上のようなことでございます。
  44. 村田秀三

    ○村田秀三君 そのようなことをやりたいと、こう言われるわけでありますが、私も農業の問題、農政の問題、非常に複雑でむずかしいということはわかるわけであります。私がこれから意見を申し上げることが直ちに適用されるかどうかという点については、いささか私自身もしろうとでありますから、自信を持って言えるかどうかということになると問題でありますが、しかし、どうもやはりいままでなさっておることの意欲は認められるけれども、その対処のしかたがきわめてばく然としておる、どうもこう見られてしかたがないわけであります。たとえて申し上げるとするならば、専業を希望する。ところが、その中で息子さん娘さんが役場につとめたとか、農協につとめたということは、これは一部でありましょうけれども、そのことも少なくとも専業を希望したい、一生懸命やりたいというような希望を持ってやっておる農家であっても、とにかく近代化資金は貸し付けを受けました。自創資金を借りることができました。しかし、結果的にどうかというと、いろいろな例がありますけれども、たとえて言うならば、牛舎をつくりましたがどうも牛がなかなか入りにくい、牛が入りましたが牛舎がなくて、中途で資金がなくなって牛が雨ざらしになっている、こういうような例を相当聞く。そうかと思いますと、養鶏団地といいますか、これまただいぶ指導を受けて多頭羽飼育をしてみたところが、卵価が暴落をした、結果的に田を売ってしまったと、こういう例ば至るところにあるわけですね。そうすると、これはいいんだからやれやれと言った行政の指導、その責任というものが那辺にあるのか。そういうような対象農家が市役所に泣きついて、損害金のごく一部ではあるけれども、お恵みをいただいているような例があります、これは要求して抗議をして。他にあまり例のない話ではないかと思いますけれども、そういうような例があるわけですね。だから、その対策が常に中途ばんぱである、私から言わせるならば。もちろん、その卵価の問題なんかはこれは全体的な事業計画のうち飼料関係、いろいろ問題点がありますけれども、いずれにしても、この集中的積極的な施策というものが一応方向づけられてはあるけれども、現実の問題としては中途はんぱになっているので、かえって農家の方々が希望を失って、そして専業どころかこれは出かせぎに行ってしまう、こういうような問題が至るところにあるわけですね。  したがいまして、私が申し上げたいことは、いまの例の以外でも、耕地を多く買いたいとかいろいろ問題があっても、資金がないという問題、これは当然あるわけでありますが、対象を定めて、それに集中的に積極的にやって指導したならば、やはり責任を持つというそういう態度がほしいのではないか。もちろんこれは農家の経営のまずさ、こういうことも関連をするかもしれません。客観的な諸条件というものがうまくいかない原因であるかもしれないけれども、少なくともそういう中途はんぱであるということについては、私もこれは相当に意見のあるところであります。  それから、第二の問題といたしましては、離農を希望する場合、これはあります。率直にいいまして、相談を受けることがあるわけでありますが、これも中途はんぱなわけです。先ほど申し上げましたように、これと関連する施策、いうならば農地管理事業団ですか、これは農水委員会で慎重に審議されるでありましょうから、私は内容の点については触れませんが、しかし、管理事業団をつくったから、これで離農ができるか、農地が流動化するかなどという甘い見方というものは、これはなさってはおらないと思いますけれども、少なくともそれだけではこと足りない。先ほども申し上げましたが、安定的な職場を保証する。かつて炭鉱の合理化の問題が出てまいりましたときに、離職者対策で相当労働省は金を使ったようであります。使ったけれども、結果的にはどうなっておるかというと、二次就職、三次就職という問題が出て、おそらくこれは政府措置に基づいて就職をしたというのは、離職者のおよそ何十分の一、しかも就職をしても不安定のために二次就職、三次就職という状態に入っていくという問題があったわけでありますね。だから、このためにはやはり職場の安定、これを確保すると同時に、地域開発ということをよく言われております。東京の人間をこれ以上ふやしたのでは水も空気もなくなってしまう、しかるがゆえに、何か措置をしなければならぬということは多くの人が考えておるのだけれども、なかなか実行できない。こういうことで、地域の開発に踏み切るとするならば、いわゆる生家を離れないで職場の安定ということにもなるわけでありますから、そういう問題も含めてやはり積極的に詰めていくという態度、ばく然として放置しておくということじゃなくて、これがあるからいいじゃないかというような態度ではなくて、積極的に詰めていく態度、そうしてまたこの老齢者に対しては社会保障の充実といいますか、これは社会保障の充実が必要なんだということは書いてありますけれども、しからば具体的にどうなっているのかというと、これは満足できる状態ではない、こういうふうになるのではないかと思います。  だから、私が申し上げたいことは、先ほど来こうわかりにくいような質問を続けて、その中身の分析を執拗に質疑をしたわけでありますが、要は対象を定めて積極的に助成をしていく、そういう対策がなければ、これは農基法の精神というものは生かされてこない。これは農基法の具体的問題につきましてはいろいろ意見があるところでありますが、私はそう思うわけです。  それと、もう一つ重要なことは、生産の落ち込み、これは兼業農家階層に多いという資料も出ておるわけですね。これと出かせぎの問題というものが何か関係があるのではないか、こう実は考えておるわけであります。これも先ほどの分類の中の一部の問題ではありますが、この点については少しいろいろ聞いてみたいと思うのですが、この落ち込みと出かせぎという問題が関係するのかしないのか、こういう点についてお伺いしたいと思います。
  45. 大口駿一

    政府委員大口駿一君) この兼業農家の中で特に第二種兼業農家は、専業農家に比べますと生産性が大体三割くらい低いという、一般的な平均の問題でございますが、こういう数字をわれわれ把握をいたしておりますが、一方、出かせぎに出ておりまする動機その他のこまかい問題がもし必要であれば、後ほど農政局から答弁があると思いますけれども、いろいろな動機の中でやはり所得が低いから出るということでございまするので、関係があると申しますと、どちらがどちらか、原因になって結果になっておるか知りませんが、たまたまその生産力が低い第二種兼業農家に結果的に出かせぎに出ている数が多いという傾向はあろうかと思います。  なお、出かせぎに出ました動機等で、たとえば新しい機械を買いたいということで出た者もあるでしょうし、それから生活費全体が足りないということで出るのもあると思いますが、要は全体の生活の規模がやや乏しいということで、いろいろな動機に基づいて出かせぎをしておるわけでありますから、やはりその両者には非常に大きな関係があるというふうに見てさしつかえなかろうかと思います。
  46. 村田秀三

    ○村田秀三君 出かせぎをすることが、いま現金収入を得るためであること、それはそのとおりですね。それから、やはり冬、遊んでいたくない、働きたい、幾らかでも家計にプラスしたいというようなことは、だれも考えることでありますが、そういう意味で、まあ生活はできるけれども、農閑期の労働力を活用しよう、そう考えている人も中にはいると思うのです。いま私が質問した、生産の落ち込みと、それからこの出かせぎというものの関係について聞いたが、その答えは出てこないわけであります。これは生産関係あるわけでしょう、出かせぎというものが。どうですか、関係があるということは。いわゆる出かせぎが生産性の落ち込みの原因になっているのではないか、こういうことですが。
  47. 横尾正之

    説明員(横尾正之君) 出かせぎとその生産面に与える影響関係でございますが、的確な資料がございませんので、必ずしも御質問に対して的確なお答えになるか、疑問がございますが、御承知のように、出かせぎは、秋の十一月ごろから出まして、三月ないし四月に帰ってくるという形態が大勢を占めておるものと存じます。そこで、その時期は冬作にかかる時期でございますが、その冬作にかかる時期において、たとえば基幹労働力が他出するということは、的確には判断しかねる点もございますけれども、何らかの好ましからざる影響を与えるであろうということは言えると思います。  それからもう一つは、夏作、稲作等につきまして表作につきまして、農閑期にいろいろな計画を立てて、新しい作付ないし営農のあり方を検討するという期間に出かせぎがあるとすれば、その面でも必ずしも好ましくない影響があるのではないかというふうに存じますが、それが具体的に、どのように生産性ないし生産量につながっておるかということにつきましては、的確な資料がございませんので、遺憾ながらお答えができかねる状態でございます。
  48. 村田秀三

    ○村田秀三君 時間がないので、意見だけを言ってしまうような結果になって、まことに私自身心外なんですが、これはもう重大な影響があると、私はこれはしろうと判断でありますが、思っておるのです。別に資料を取ったわけではありません。ですから、私は、何らかの機会にそれをひとつ農林省はお取りになってみると、いまの野菜の不足の問題も、それから農林省自身出かせぎを奨励しているわけではありませんから、これは社会政策としても、出かせぎをしないように、営農が確立するようにするのが、これが農政の目的でなければならない、こう思いますから、そういう意味では、この関係を、なかなかむずかしいと思いますが、取ってみるとよろしいのではないかと思います。  で、私の意見を申し上げますが、出かせぎというのは、冬仕事がなくなったということですね、率直にいうと。いままでですと、大体、まきをつくるとか、薪炭をつくるという仕事がありました。山仕事がありましたね。ところが、そういうものがなくなってしまったということであります。それから、別に野菜をつくりたくない、冬作をやりたくない、こう思っておるわけではありませんが、それだけでは非常に自分の経済が落ち込んでしまうので、出かせぎに行って収入を得る、こういうことになるのではないかと思います。  そこで、農村から冬仕事を奪ってしまった責任というのは、やはり大きくいえば高度成長政策というものにもあろうかと思うのですが、農林省にも私はあると思います。後ほど、時間があれば畜産の問題に触れてみたいと思いますが、畜産の一番の問題点というのは、飼料の問題であるわけなんですね。アメリカの小麦でなければ乳が出ないのかどうか、それはわかりませんが、そうでないということであれば、少なくとも冬作、麦作、これを奪ってしまったのは農林省であるわけです。農林省というよりも、国全体の政策が農林省にそうさせたということになるのかもしれませんけれども、とにかく冬作を取り上げてしまった。仕事がないから労働力を他に活用する、こういう関係が出てきたのではないかと思います。  それから、農業生産というのは、種をまいて肥やしをやればいいというものではないと思います。これは、耕地、耕土の手入れというのは、これは必要なものでありまして、それを普通は冬やるわけでしょう。客土をするとか、野ネズミを退治するとか、それから堆肥をつくる。堆肥をつくる期間というのは、これはやはり秋から冬にかけてということだと思うのです。それから、冬作業、冬季耕土、いまはもう冬季耕土をやっているところはほとんどないと思います。機械がありますから、半月か一週間くらい前に、だだだっとやってしまう。ということになると、やはり土のいわゆる力というものがだんだん減退をしてきている。こういうところにも私は相当原因がある。  したがって、出かせぎと兼業農家の生産の落ち込みというのは、きわめて重大な関係がある。いま私申し上げました数項目のことを冬作業としてやって、その農家の経済採算に合うかどうかということになると、非常にこれは問題でありますけれども、まあさように考えられるということであります。  それと同時に、野菜が非常に不足するという問題があります。これは日本古来の野菜から、高級野菜から、いろいろあるわけでありますが、しかし、秋から冬、春にかけての野菜などというものは、出かせぎによって、つくる人はいなくなった。その農家自体がいわゆるホーレンソーを買って食べるというような状態が、これはあるわけです、現実問題として。だから、むしろ生産地云々ということを言われますけれども、いわゆる地方の野菜の消費が、都会の野菜、生鮮食料品の圧迫になっている。こういう関係も、私はこれはかなりある、こう実は思うわけです。そうしますと、冬野菜の作付をやはり出かせぎをとめてやらせるということ、高級野菜の生産について指導してもいいのじゃないかと思います。これは相当値段の張るものでありますから、相当奥地に栽培をしても、その奥地の農家の経済からいうならば非常に助かるものである。  こう考えてまいりますと、どうしてもやはりこの生産と出かせぎの関係というものは無視できないのではないかと、こう考えておりますが、皆さん方のお考えはどうですか。
  49. 横尾正之

    説明員(横尾正之君) 出かせぎと生産面、各作目に関係する生産面との関係について御指摘がございましたが、先ほども申し上げましたように、冬作ないしは冬の期間に事前に準備すべきこと等を通じて、基幹労働力が他出する、出かせぎというような態様で他出するということにつきましては、生産面からしますと、いろいろな問題が——生産面のみでございませんけれども、生産面からいたしましてもいろいろな問題があると存じます。したがいまして、これに対する対策といたしましては、各種の対策を総合的にできるだけ効率的に講ずることによって、出かせぎをせずして、安定して農村にとどまれるような方向に基本的な考え方としては方向づけていくということと同時に、それにもかかわらず出かせぎをせざるを得ないような状況にあります者につきましては、これは農家労働力の対策をさらに効率的に進めることによりまして、正規経路で安定就業が可能なように進めてまいる。このためには労働省の関係者とも十分密接な連絡をとりつつ、このような方向施策を進めてまいる必要があろうかと、このように存じます。
  50. 村田秀三

    ○村田秀三君 これはまあ何回も申し上げるようでありますが、これまた兼業農家の分類の中の出かせぎ農家ですね、これを対象にして、かく施策するならばこれは畜産の飼料問題も、野菜不足問題も、総合してこれは解決するんじゃないかという考え方について申し上げたわけであります。これについても積極的に、これは中途はんぱじゃなくやるときにはきちっとやると、そういう態度で方向づけはいま説明を受けたようでありますから、そういうことで今後を期待いたしたいと思います。  それでは、問題を変えまして、野菜法案。これも四十一年に講じようとする施策の中にも触れておりますが、より具体化されたものが農林省で成案がなされたと、こういうことを聞きますが、これまた農水委員会にかかる問題でありますから、あまり詳細には申し上げませんが、ここのところを一つお伺いしたいと思います。  生産地区分、生産組織——まあ私の言うのかちょっと理解しがたければ質問を受けてもけっこうでありますけれども、それと輸送対策、流通対策、それから野菜の生産というのはご存じのように、これは天候に大きく左右されます。これは読売新聞の社説なんかにも出ておりましたが、私も率直にそう考えます。豊作の場合、不作の場合。そういったことについて、まあ概略でもよろしいですが、お伺いしたいと思います。
  51. 小林誠一

    政府委員(小林誠一君) 野菜の生産が天候によって非常に影響されるということは、お説のとおりでございます。実は明年度から指定産地制度を設けまして、そこで都道府県知事が生産、出荷の近代化計画を立てます。それに基づきます事業につきまして、土地基盤整備でございますとか、あるいは農作業の共同化でございますとか、あるいは集出荷施設とか、そういうものにつきまして助成をいたしまして、そこの生産の安定をはかりたいと、かように考えておるわけでございます。
  52. 村田秀三

    ○村田秀三君 概略といっても、もう少し詳しく知りたかったのですが、その計画があればあとでひとつちょうだいしたいと思います。  そこで、この野菜の生産価格生産価格ですね、それと消費者価格、それからその中間経費——中間経費の中には、これは輸送費ももちろんあります。それから市場、卸、小売り、こういうぐあいになっておりますが、そういうものを何か資料とったのありますか。
  53. 岩下龍一

    説明員(岩下龍一君) ただいま御質問のございました、野菜が農家の手から離れてから小売りに至るまでの間のマージンの比率あるいは額につきましては実態調査がございますので、もし必要でございましたら、資料として提出さしていただきたいと思います。
  54. 村田秀三

    ○村田秀三君 ただいまの資料は後ほどちょうだいしたいと思います。  そこで、これは計画の詳細を承知しないままに意見を申し上げるというのは少しどうかと思うのですが、たぶんここまでは考慮してまいると思いますことを申し上げてみたいと思うのですが、需要額に対して供給量がある、供給量に対して生産計画があるわけでありますが、これは何%に押えるかということであります。八〇%に押えるのか、あるいは一〇〇%に押えるのか、一二〇%に押えるのかです。そこまでは出ておりませんか。
  55. 小林誠一

    政府委員(小林誠一君) 需要の見通しでございますが、これにつきましては、四大消費地域の需要の見通しを立てまして、それに見合いましてそこの指定産地の数を勘案していきたいというふうに考えておるわけでございますが、大体私たちで考えておりますのは、品目といたしましてはカンラン、白菜、トマト、キュウリ、大根、玉ネギという六品目でございます。これでございますと、大体大消費地域の六割方になります。取り扱われております野菜の六割方になります。それぞれの品目につきまして、何とか七割以上を確保するような方向で指定産地を指定していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  56. 村田秀三

    ○村田秀三君 わかりました。実はこの押え方も、わが国の経済の状態の中では非常にむずかしいと私も思うのですが、ただ、これは私見として申し上げる、必ずそうしてもらいたいという希望ももちろん入るわけでありますが。非常に生産の進行が天候によって左右されるわけでありますが、そうした場合には生産計画というのは需要よりも多目に計画をしておく、このことが必要じゃないかと思うのですね。そしてそれが幸いにして豊作の場合、乾燥野菜にするとか、あるいは冷蔵野菜にするとか、かん詰めにするとか、そういうことも付随しないと、これは結果的に逆に非難が出てくるような事態にもなりかねない。不作の場合には、計画をしてみたけれども不作であるという場合には、そういうものを放出できるようなやはり設備というものがなければこれはうまくいかないような気がするわけでありますが、その点はどうですか。
  57. 小林誠一

    政府委員(小林誠一君) 指定産地の指定につきましては、いまの需要に見合って指定産地の数をふやしていきたいということでございます。ただ、そこで、多目に作付をいたしました場合、価格の暴落という問題が生じてまいりますので、やはりそこら辺は何とかうまく平均的に需要を満たすだけの数量の作付面積にいたしたいと思うわけでございます。  豊作の場合に乾燥貯蔵、かん詰めという問題でございますが、これにつきましては、現在生鮮食料の冷蔵と申しますか、あるいはコールドチェーンと申しますか、それにつきましては科学技術庁のほうで予算を計上しておるわけでございますので、その結果を待たなければならないわけでございますが、現在の段階におきましては、まだ技術的な問題、ことに一般に消費されますカンラン、白菜というものにつきましての技術的な問題あるいはそれを貯蔵しましてその次にそれを出荷いたします場合に、次に新ものが出てくるという問題があるわけでございます。そういうことでコスト的な問題、そういうものをいろいろ検討の上で実施しなければならないというふうに考えておるわけでございます。将来の方向としてはそういう方法が非常に必要だと思いますけれども、いまの段階におきましては、まだ実用化の段階に達していないわけでございます。
  58. 村田秀三

    ○村田秀三君 そういう設備がやはり早急に開発されて、そしてこの計画と対応しないと、やはりうまいわけにはいかない、そんなふうに実は考えます。次の年豊作の場合、ない米をインドネシアに二万トンですか、今度は援助するかしないか、するという方向らしいですが、インドネシアヘこれは乾燥野菜を輸出すればいい、こういう極端な言い方もできるわけでありますから、あってこれはむだになるということはないと思うんです。食糧について、そういうことをひとつ研究、積極的に開発されるということについてお願いをしておきます。  それと同時に、先ほど鶏卵の話をいたしまして、まあ知っておられることは存じますけれども、一応例証したわけでございますが、行政指導の責任というものを明確にしていくということ。これはここまでやったんだから、あとはおまえらの責任だ、そこまでやらなくてもいいのじゃないかというような気分的なものはわかりますけれども、やはり責任を持つのだという前提がないと、責任を持って施策が伸びていかない、私はこう考えておるわけでありますから、その行政指導の責任というものを明確にしていくというようなことが大切であろうかと思います。  次に、畜産の問題でありますが、畜生の問題いろいろ系統的にお伺いしたいと、こう思っておりました。しかし時間がございませんから、はしょりまして、中心的な問題だけをひとつ申し上げてみたいと思うわけであります。  非常に乳製品あるいは食肉不足等が大きな問題になっておることはいまさら申し上げるまでもないわけであります。と同時に、省として一応の計画も立てておられるということは私も承知をいたしております。しかし、その際に、需給の見通しは一応のものであっても、それに見合うようないわゆる畜産計画になるのかどうかということになりますと、私もよくわかりませんので、この辺のところをひとつお伺いをしたいということ。一応その点、ひとつお答えを願いたいと思います。
  59. 太田康二

    説明員(太田康二君) われわれ行政を進めてまいります場合に、もちろん短期長期の一応の需要通し等をもちまして、それをできる限り国内の生産によってまかなっていきたいということで、生産対策等を進めているわけでございます。しかし、実際の個々の生産施策なり、あるいは価格対策なりが、はたしてどれだけその生産にマッチして、供給増加に役立つかという点につきましての計測はなかなか実際上は困難かと思います。したがいまして、たとえば牛乳、乳製品等につきましても、これは実は価格決定の大きな要素にもなっておりますし、私たち明年度は、現在の供給数量、あるいは需要数量から見まして、生乳にいたしまして約五万九千トン、これを製品に換算いたしますと、バターでは約二千トン、脱脂粉乳では四千トンの輸入がどうしても需給バランス上必要であるというような場合には、やはり輸入にまたざるを得ないということで、御承知のとおり畜産振興事業団による一元輸入というものをやってまいりたい。  それから、牛肉の問題も出たわけでございますが、牛肉の問題につきましても、実は先生の御指摘のとおり、非常に最近は減っておりまして、今後、現在の需給から見ますと、ある程度国内生産を含みますわけでございますが、これによる効果というものは直ちに期待ができがたい。したがって、需給の安定をはかりますためには、ある程度輸入にまたざるを得ない。その場合にも、実は今回畜産物価格安定法の一部を改正する法律を今国会に提出いたしまして、従来の外貨割り当て制度による民間貿易のほかに今後ふえると見込まれる牛肉等につきましては、畜産振興事業団がこれを輸入いたしまして、価格の安定をはかってまいるということをやってまいりたい、かように考えております。
  60. 村田秀三

    ○村田秀三君 輸入輸入と、こう言われるわけでありますが、現状の中における価格の調節には、これはあまり緊急に輸入をするということ、あながちこれを悪いとばかりも言えない面があろうと思います、これは。しかし、輸入するのが農政ではないわけでありますね。そうしますと、いま足りないというのは、実際に足りない理由というのは何かという問題、これは特に答弁を求めなくとも、これは国内生産が低いからと、こうなる。そうしますと、国内生産が低い原因は何かという問題に直ちにこれはなってきます。  そこで、聞きたいわけですが、まあ畜産関係、酪業関係、これの経営分析をなさったことがあるかどうかということであります。それから、それと関係をいたしまして、酪農の場合でありますが、標準乳価、この標準乳価にもいろいろ問題ありますが、一応きめられた標準乳価をもとにいたしまして、四十一年度の課税最低限というのは六十三万幾らですが、これだけの収益をあげるためにはどれだけの規模の経営が必要なのかという点です。
  61. 太田康二

    説明員(太田康二君) 最初に酪農経営の分析をしたことがあるかというお尋ねでございますが、御承知のとおり、農家経済調査の中から、酪農部門が粗収入で一〇%以上ある経営につききして、酪農経済調査というものをやっておりますし、私のほう、三十七年か優良事例の調査、あるいは大規模経営の調査というような調査をいたしまして経営をいたしております。  そこで、第二の、標準乳価から推計して課税最低額を確保するためには経営規模は一体どのくらいあったらよろしいかというお尋ねでございます。大蔵省に聞いたわけでございますが、四十一年度の所得税法の改正によりまして、現在大蔵省が想定いたしております標準家庭の免税点は、夫婦と子供三人ということで、全体で六十一万七千円を免税点にしているようでございます。そこで、われわれが酪農を進めてまいります場合に、酪農振興法に基づきまして近代的な酪農経営の基本的指標、これは一応四十六年度が目標年度でございますが、そこで一応の近代的な酪農経営の基本的な指標というものを昨年公表をいたしまして、今後これにできる限り近づけてまいりたいということで、いろいろな施策を講ずるわけでございますが、その中で酪農専門経営という指標を実は出しております。酪農専門経営におきますその指標に基づきまして、一応の経営の試算をしたものがございますが、それによりますと、いま申し上げたように、大体六十万ぐらいの所得をあげますためには、これは先生御承知のとおり、飼料自給率等によって相当の所得の変化がありますが、北海道では大体飼料自給率を八〇%といたしますと、大体六十六万円、これは十頭規模でございます。それから南関東、北関東では大体飼料自給率を七〇%と押えますと、六十六万円。したがって、いま議論になりました六十万円見当を押えて考えてみますと、大体北海道、南関東、北関東等では十頭規模であればいまお尋ねのような経営に大体該当するのではないか、かように考えております。
  62. 村田秀三

    ○村田秀三君 飼料の自給率ですがね、八〇%確保できる酪農家というのは総体でどれぐらいあるわけですか。
  63. 太田康二

    説明員(太田康二君) 現在におきましては、酪農家の全体が約四十万戸でございまして、そのうちの二万四千戸程度と聞いております。
  64. 村田秀三

    ○村田秀三君 そうしますと、約五%でありますね。そうすると、ここで直ちに必ずしもただいまの経営規模がこれは好ましい状態だとは私は言いませんよ。これは別です。とにかく農家全体に所得税を納められるようになってもらいたいのがほんとうでありますから、そういう意味では六十万云々というのは私は別にしますけれども、しかし、ここにやはり問題になりますのは飼料の自給率でしょう、経営の一番の問題点というのは。そうしますと、この飼料対策というのが当然これは考えられなければならないと思うのです。そこで、これはどこでも論議をされるわけでありますが、輸入飼料の問題、これが云々されるわけでありますが、その輸入飼料の問題につきましてはこまかな話になりますから、これは別の機会に私は譲ります。しかし、少なくとも自給率を高めるということが、これは致命的な問題点であるということだけは確認できる。とするならば、それに対して積極的に措置をするというのが、やはり今日の農政のあり方ということにもなるわけであります。  そこで、何ほどかのことがなされようとしておる、このことは私はわかります。わかりますが、少なくとも、つまり生産計画に対して飼料対策をする。その飼料生産計画といいますか、それに対応する耕地面積、その耕地面積をいかにするかという問題、これは草地、それから濃厚飼料、さまざまあると思うんですが、その点について伺いたいと思います。
  65. 太田康二

    説明員(太田康二君) 先生のおっしゃるとおり、草食性家畜につきましては、できる限り粗飼料、特に良質粗飼料供給するということが経営の安定のために必要であることは申すまでもないわけでございまして、現在までに開発された草地が十二万三千ヘクタールでございます。それから、既耕地における飼料作物の作付されている面積が五十万九千ヘクタールでございます。  そこで、今回、農林省が土地改良長期十カ年計画を立てます場合に、昭和四十年から四十九年までの十カ年間に、さらに草地の改良造成といたしまして四十万ヘクタール造成をいたそう。これは大体山林でそのうちの四八%、原野で五二%というふうに考えておりますが、これによりまして、われわれが現在想定をいたしております各家畜の頭数に対しまして、いわゆる粗飼料の給与としては一応理想的なものに近ずけたいということで、四十万ヘクタールの草地造成の計画をいたしておる次第でございます。それから、既耕地における飼料作物の作付面積の強化対策ということを現に進めつつあるわけでございますが、これまた昭和五十年までに現在の五十万九千ヘクタールを百十万四千ヘクタールまで持っていきたい。先ほど申し上げました草地造成による飼料の給与、それから飼料作物による飼料の給与、それ以外は農場残渣とか野草の給与になりますが、そういったものによりまして、先ほど申し上げましたような粗飼料供給率をできる限り高めてまいりたい、こういう考えで、計画的にこの二つの事業を取り進めてまいりたい、かような計画をいたしておる次第でございます。
  66. 村田秀三

    ○村田秀三君 時間もなくなりますから、だんだんとまとめに入りますが、その飼料対策は、これはほんとうをいえば、十年だの二十年だのといっていられる話じゃないだろうと私は思うのです。そこに一番の問題があるとすれば、集中的にやってはどうか。先ほども出かせぎの問題と関連さして話をいたしましたが濃厚飼料の原料は国内で自給できるわけです。先ほど櫻井委員のほうからも飼料の問題が出ました、まあ、ふすまで買うよりも小麦で買ったほうが採算に合う、こう言います。しからば、その原料の麦を自家生産をさした場合どうなるかという問題ですね、これは農家で小麦をつくれば米が減るのですよ、米の消費量が。麦を持っていって、ふすまとうどんにかえてくる。ところが、アメリカの小麦で、なるほどうまいうどんだといって売っておっても、農家の人は買いませんよ。そうすれば小麦を自分のところでつくり、うどんを食べて、米は供出をする、ふすまは交換をしてくる、こういう関係が出てきますから、これはなかなか計算どおりにはいかない。もっと微妙に——これは相当日本全体の経済性に好影響を与えることになるのではないかと思うのですね、循環をしておるわけです。こんなことは百も承知だとお考えになることだろうと思うのですが、その考えておることがなかなか実行に移されていかないというところに、私は歯がゆいものを感ずるわけであります。その点は時間がありませんから、別途機会をあらためて個々の問題についてこまかにひとつやってみたいと思います。と同時に、農林省はすべておわかりになっておるわけでありますから、そのおわかりになっておることを着実に勇敢にこれを実行に移してもらいたい、私はそう思います。  それから最後に、これはもう私も長年何かの機会に言ってみたいと思っておったわけでありますが、農林予算のことです。二十七、八年からずっとひとつ話をしてもらいたいと思うのです。二十八年ごろからですね。食管会計は除いていただきます。
  67. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 村田先生御質問の食管を除きました数字が二十八年から手元に用意されおりますので、二十八年からの農林関係予算額を申し上げますと……。実額でございましょうか、全体の関係か、その辺実額を申し上げたほうがよろしいのか……。
  68. 村田秀三

    ○村田秀三君 農林省だけでよろしゅうございます。
  69. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) はい。それでは、補正後の予算で申し上げます。  二十八年度は千七百九億千百万円、二十九年度が千百十八億六百万円、三十年度が九百六十二億七千九百万円、三十一年度が九百十二億九千八百万円、三十二年度千二百十三億六千九百万円、三十三年度千五十三億三百万円、三十四年度千百五十二億六千八百万円、三十五年度千六百六十八億七千七百万円、三十六年度二千二百九十五億六千万円、三十七年度二千五百二億三千百万円、三十八年度二千九百八十七億千七百万円、三十九年度三千四百八十四億九千二百万円、四十年度四千四十九億三千万円でございます。
  70. 村田秀三

    ○村田秀三君 こうやって見てみますと、いや、実は私も一番関心を持って見てきたわけなんですが、二十八年、二十九年、三十年ですか、急カーブに農林予算が少なくなっておるわけですね。これはどういう理由でそういう状態になったのか。
  71. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) まあこまかくしさいに分析いたしますと、諸原因が重なっておりますが、戦後食糧不足時代で食糧増産に重点がございまして、その関係が土地改良予算中心といたしまして予算が増高した時代がございます。二十八年度ころはそれに災害が重なりまして、関係予算が非常にふえました。で、以後その辺の一般経済情勢の変化その他と、それからまた一兆円予算という予算総体のワクの制約等がございまして、その関係予算の伸びがにぶくなりましたし、また若干国の総体に占める予算の比率もやや低下してきたというような状態になっております。
  72. 村田秀三

    ○村田秀三君 まあほんとうのことをおっしゃっておるのかどうかちょっとわかりませんが、三十一年ごろですか、この麦の作付を制限したことがあるでしょう。それはどういう関係でしょうか。これはほんとうは大臣に聞いたほうがいいわけですが……。
  73. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私の所掌の仕事ではございませんけれども、当時多少関係しておったものでございますので、簡単にお答え申し上げます。  三十一年ごろというふうに明確に記憶はございませんけれども、一時大裸麦が相当ふえまして、麦の精麦の消費が減退をいたしまして、政府の大裸麦の手持ちが非常にふえたことがございます。ほとんど消費としてさばかれる見込みがないくらいにふえまして、それまでに大麦の輸入というものは相当ございましたけれども、ときによりまして、たしか八十万トンないし九十万トンに及んだことがございますが、三十四年ごろはもうすでに大麦の輸入の必要がなくて、デッドストックとして大麦が滞貨したことがございます。それで、それ以上大麦の増産——消費の減退ということでは需要がつかないものを生産することになっていかがであろうかということを食糧庁で議論をいたしまして、生産及び需要関係はいま私が申し上げたようでありますにもかかわらず、価格の決定方式はパリティ価格を下ることを得ないということで固定的になっておりましたので、麦の価格を含めて麦問題をどうするかということを食糧庁の内部で議論したことがございます。ただ、これは議論をするだけで、食管法によりますと、麦は無制限の買い入れでございますし、麦の価格というのはパリティ価格を下らないということで法律に明記してございますが、私どもも当時として麦の生産を押えたという、あるいは法的に制限したという事実はございません。ただ、二、三回いろいろ審議会、協議会等催しまして、学識経験者の意見を聞いて、麦を一体どうしたらいいだろうかということを相談したことはございます。その結果、たしか大麦買い入れにある程度の規制を行なうような法律案をたしか国会に提案して、審議未了になった経験がございます。それは三十四、五年ごろで、三十一年よりもっとあとのことであります。
  74. 村田秀三

    ○村田秀三君 私もこの制限を受けた一人なんです。それで、矛盾しているのですね。ずっと当時からの資料を調べてみますと、これはだれでも言うことかもしれませんが、畜産を非常に奨励をしながら、その飼料をつくるなということでしょう、はっきりいいまして。これは逆なわけですね。それは確かに輸入したほうが当時は安いということがあったかもしれませんけれども、しかし、麦をつくったから全部政府に売るということばかりではないと思うのです。牛を食べなさいということであるならば、そこでできた麦は直ちにその牛の飼料になっていく、こうしなければだめということであれば、これは麦を持っていけば交換に飼料をくれる。そういう措置であったとしても、これは農家の方々はわりあいに計数関係には薄いわけでありますから、同じ利益率を飼料会社があげようとしても、農家のほうはそのほうが経済的な負担というものは感じないで済むわけです。そうすれば、実情に即して農政が行なわれておったとするならば、麦の生産というものはセーブするどころか、むしろ拡大していく方向、とにかくこういう麦をつくる北限というものがあるのではないかと思いますが、その北限をどんどん延ばすところの研究というものがなされてきておったと、こう私は思うのです。したがって、これはもう農政の大きな矛盾、そのことが今日のいわゆる生鮮食料品の高騰の問題、出かせぎの問題、すべてに関係しておるということを私は指摘せざるを得ないわけです、これはどうしても。  そういうことでありまして、きわめて農業の問題は国民の全体の生活、つまりこれは重工業の方面にも影響してくるわけですよ。白書を見ればおわかりのとおりに、少なくとも経済不況をささえているのは、これは農村の消費の伸びである、こういうようなことを言っておるわけです。すべて循環するわけでございまして、きわめて重要なものであります。したがって、まあ農業政策というものはきわめて農民のために、日本経済のためにも重要であるから、ひとついろいろと話をいたしますると、皆わかる、そのわかることがなぜその施策に乗っていかないかという、そこに私は疑問があるわけでありますが、積極的にやっていただきたいということも要望いたしまして、終わります。
  75. 鈴木強

    ○鈴木強君 きょうは農林関係は五時ごろに一応終わる予定でありますから、非常に質問の時間が制約されました。で私は約三十分くらい二、三の問題について質問いたしたいと思います。  その一つは、これは農林大臣、けさの新聞を見ますと、委員会でも指摘をいたしました第五十三海洋丸の韓国警備艇による不法捕獲の問題につきまして、朝野をあげて厳重に抗議をしておったわけでありますが、きのう午後六時半に外務省に在ソウル日本大使館から公電が入って、きょう釈放すると、こういうことでございますが、農林省はこれを知っておりますか。
  76. 石田朗

    政府委員(石田朗君) お答えいたします……
  77. 鈴木強

    ○鈴木強君 大臣に聞いたんです大臣に聞いたんですよ。
  78. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) それじゃ……。この五十三海洋丸の釈放のいきさつの点についてでございますが、外交交渉におきまして、第五十三海洋丸の操業位置は、韓国の漁業に関する水域では操業した事実がないという日本側の主張に対しまして、韓国側は同船の操業位置は漁業水域内であるという主張を行ない、操業位置の事実確認において一致を見ないまま、交渉は十六日間続いたのでありますが昨二十九日、韓国の最高検察庁が済州地検に送検しておりました同船船長以下四名を不起訴としてただちに釈放するように指示したわけでございます。  なお、韓国海洋警察からの連絡によりまして、海洋保安庁——ずっとその点を申しましょうか、経過を。
  79. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうじゃないんですよ。
  80. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) その点を申しましょうか。
  81. 鈴木強

    ○鈴木強君 あなた、ゆうべおそくまでやっておったから、御苦労さんでした。非常に疲れていると思うのですよ。そんなことはいいのですよ。すでに外務省に公電が入って、きょう十一時か十一時半ですか、釈放するという公電が入ったのを大臣は知っておりますかと聞いているのですから、その点だけでいいです。
  82. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 存じております。
  83. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうしますと、これから農林省としては、具体的に、漁業条約の発効後三カ月にしてこういった不祥事件のできたことは非常に遺憾だと思います。したがって、再びこれが起こらないようにするためにはどういうふうな対策を持っておられるか、これをお伺いいたします。
  84. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 現在、船長が参りましてそのいきさつをよくもちろん聞くつもりでおるのでございまするが、今回のようなことが起こらないように十分韓国ともよく話し合いを進めていきたいと、かように存じておるわけでございます。
  85. 鈴木強

    ○鈴木強君 で、私はいろいろいままで論議をしてまいったんですが、問題は、日韓漁業協定に基づく基本方針があるわけですから、これに基づいて韓国との間に、あるいは政府間は政府間として、あるいはこちらの水産業界は水産業界として向こうの水産業界との間に、この協定に基づいていかにしたら安全操業が確保できるかということを具体的に話し合うことになっているわけですね。ですが、そういったことを私が委員会でも指摘したようにやっていない。それは資料を拝見しますと、一回、二回やっておりますけれども、この内容についても私は伺いたいのですが、基本的な問題についてはまだ残されていると思いますね。  ですから、たとえば共同規正区域における追跡権があるか。共同規制区域におけるこれは旗国主義をとっている限りそれぞれの国が監視に当たるということであって、追跡権は認めておらないはずです。ところが、向こうは、この問題について追跡権があると、こう国会でも言っておりますね。ですから、そういう協定に基づく細部の安全操業に関する話し合いというのは、民間ベースにおいてはどうやられたか、それから日本政府においてはどうやられたか。  今回の問題については事実の認定が必要ですから、いずれ船長以下四人帰ってこられてから、よく実情を把握をしなければなりませんが、おそらくこれは水かけ論になると思うが、向こうで専管水域を侵したと判こを押されたという話も聞いておりますから、おそらくは水かけ論になると思う。ロランとかレーダーがある以上、これは明確な基礎によってやっておるわけですから、私はこういったことが必ず起きるということもわかるわけですから、政府間ベースにおいて、あるいは民間ベースにおいて、こういったロラン、レーダー等は韓国船もつけてもらう、最低これだけはやってもらわなければこういった問題が起きてくると思うのです。だから、そういった対策が欠けておったんじゃないですか。ですから、それを今後具体的にどうせられるか。もちろん交渉の間にやられておったとすれば、その事実を明らかにしていただきたいし、もしそれがやられていないとすれば、今後これらの問題を中心に、どういうふうに向こう側に折衝していくか、これは農林省の、外務省との関係もありますけれども、所管でありますから、腹を聞かしていただきたいのです。
  86. 石田朗

    政府委員(石田朗君) これは、ただいま先生からお話のありました点は、十分両国間で打ち合わせるべきであるという御意見は、まことにそのとおりであると思います。それで、先日も資料を提出いたしましたが、それには簡単にしか書いてございませんけれども、本年二月には韓国からは水産局長が参りまして、両国間におきまして、予備的にではございますが両国の監視船間の連絡方法あるいは相互連携して巡視する方法、そういうような問題について話し合いを行なったわけでございます。まだ最終的に話し合いがついておりません点も実はあるわけでございまして、この点は今後引き続き協議を進めなければならぬというふうに考えております。  かつまた、最初にお話ございましたように、今回の事件はまことに遺憾な事件でございまして、この事件にかんがみまして、またこの事件を契機としまして、さらに両国とも、特に韓国側においてその協定の本旨の徹底をはかってもらうように十分に話し合いを進めなければならないというふうに考えております。
  87. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうしますと、具体的に二月十四日から二十二日の間政府間の協議をやっておりますが、これは共同委員会における予備的な打ち合わせで、いうならば事務的な会合に終わってしまっておるわけですね。ですから、私はこういう会合があったとするならば、まず旗国主義をとる立場にある共同規制水域におる安全問題等は、こういう機会に当然話さるべきではなかったでしょうか。大体八日間程度会議をやったようですからね。ですから、そこらに、われわれが日韓漁業協定等の審議の際に、これでは問題が起きるだろう、資源保護法の問題李承晩ラインの問題等もありますから、それらは念には念を入れてと申し上げておったわけでございますが、これに対しましてはだいじょうぶというお答えもあって一応通っておりますが、しかし、われわれはその懸念は依然として持っておったわけであります。一番その大事なところを欠いておったんではないですか。これはひとつ行政をあずかる皆さんであり、しかもそこには多数の漁民の方々が今日までいろいろな不安の中にさらされて、この協定を契機に多少ながら心の安定が許されておったやさきですから、そういうことに対する私は行政上の足りなかった点があったのではないか。こういう点は率直に反省すると同時に、今後これらの問題についてもっと慎重に、しかも的確に、そして絶対安全を期すという立場に立っての強力な協議がなされて、それによって安全を保証していくということは当然やらなければならぬのではないですか。この点、どうお考えですか。
  88. 石田朗

    政府委員(石田朗君) 先ほど御説明いたしましたように、従来とも一両国間の関係行政機関の間等におきまして、この協定の実施についての打ち合わせは進めてまいっておったわけであります。で、それをさらに一そう徹底して推し進めるべきであるというお話はそのとおりだと思います。  これが単に行政事務当局間の打ち合わせであるというお話でございました。その点、より高度な打ち合わせが必要なこともあるかと思います。さらに何らかの決定を行なうことが必要なこともあろうかと思います。と同時に、私どもといたしましては、あらゆる両国間の折衝の機会をつかまえまして、相互に意思を徹底し、意思を統一しまして、これをさらに下部に徹底させるようにしてまいるということが最も必要ではないか。かつまた、私ども従来接触してまいりましたときにおきましては、それがやはり意思の統一が次第に実現しておるというふうに私考えておるわけでございまして、今回の事件はまことに遺憾でございます。これを転じて、さらに両国間の意思の統一をはからなければいかぬという戒めにもいたしてまいりたいというふうに考えております。
  89. 鈴木強

    ○鈴木強君 これはここで最終的な結論は出ないと思うのですが、大臣ね、いまお聞き取りのような経過の中で、これから外務省とともども積極的な安全操業に対する話し合いを進めていただかなければ困ると思うのですが、その場合に、向こうが言っている専管水域内における取り締まりのことですね、それから共同規制水域内における取り締まりの問題。これは専管水域については、これはわれわれも意見がありますが、一応取りきめの線で、いまは一応論外にいたしまして、問題は共同規制水域内における追跡権の問題ですね、これは明らかになったわけでしょう。こういう解釈の上に立っておるのでしょう。向こうはそれがあると言っているのです。そこらに大きな食い違いがあります。これは単に専務当局の段階ではなくて、きちっと政治的にこの問題を整理して解決しなきゃならぬと思うのですね。ですから、そういうことを私は大臣に積極的にやってもらわぬと、これは新聞報道もあるし、われわれも直接聞いておりますけれども、追跡権はあるということを向こうは言っているわけですから、こういう大きな食い違いの点をひとつ明確にしていただいて、そしてやらぬと、これはいつまでたっても問題を繰り返しますから、その点についてはひとつ大臣は非常な強い決意でやっていただきたいと思いますが、どうですか。
  90. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) この面につきましては、今度のような事件がさらに再び起こらないような覚悟でもって十分な折衝をいたしていきたいと覚悟いたしております。
  91. 鈴木強

    ○鈴木強君 十分、陳情外交にならぬように、き然たる態度でひとつやっていただきたいと思います。  それからもう一つ、日ソ漁業交渉の問題で伺いたいのですが、現状、この交渉が非常に難行しておる。委員会でも大臣にお尋ねいたしましたが、非常に抽象的な御答弁で、時間もなかったからしり切れトンボになっておりますが、いま現在一番問題になっておるところはどことどことどこでございますか。まずこれをお伺いします。
  92. 石田朗

    政府委員(石田朗君) 日ソの漁業交渉と申しますか、本年度の漁業の進め方をきめます共同委員会、これにつきましては現在モスクワで交渉を進めております。現在までのところ、まず資源に関する技術的な小委員会を持ちまして、ここで現在の各魚種におきまする資源の評価、これをどういうふうに考えるかということをまず検討いたしまして、これにつきましては一応結論が出た。これに基づきまして、今後いかなる、たとえば漁獲高なり規制を行なってまいるかということが今後の本会議の議題になるわけでございますが、実はただいま小委員会結論を採択いたしましたまでのところでございまして、本委員会において公式に両者が意見を交換するというのは今後の問題なわけでございます。
  93. 鈴木強

    ○鈴木強君 石田さん、たいへん恐縮ですが、ポイントだけ言っていただけばけっこうなんですがね。ですから、いま難航している、問題になっているところはどこですかと言ったら、ここですと、こう言ってくれればいいので、くどい経過は要りませんよ。経過はみんな知っていますから。
  94. 石田朗

    政府委員(石田朗君) ただいまお話ございましたが、公式会談において出てきたものはまだないわけでございます。ただ、昨年の会議を開きました最後のときに、ソ連側におきまして、マス資源の非常に窮屈であるという点にかんがみて、船をある程度減船したらどうかというような幾つかの問題を提起して帰っておるわけなんです。従来の非公式折衝におきましても、ソ連側でその見解を撤回したとは思えないわけでございまして、したがいまして、本会議の議題になりますときに、そのような諸点が今後問題になってまいろうかというふうに思うわけであります。
  95. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうしますと、いま盛んに報道されている問題点はわれわれはこういうふうに受け取っていますよ。B地区に対する漁船を減らすことですね、それから漁期を短縮する、それから流し網漁業の操業区域を縮小する、それからA地区においてもかなり規制行為を向こうが提案しているんじゃないか、こういう情報が伝わっているのですが、これは全然知らないのですか。国会でわれわれに質問されたときに、これは答弁できないということですか。これは大きな事実なんです。
  96. 石田朗

    政府委員(石田朗君) まず、これは外交交渉でございますので、内容が全部申し上げられない場合もございます。それで、いまお話がございました点につきましては、ソ連側から本年度の交渉におきまして公式に提案されたものはございません。
  97. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうすると、いまお話しの中にもちょっと出てきたんだが、カニ漁業の場合、昨年の話し合いの際に、今年度二十四万箱という割り当て量に対しては大体ソ連側は了承しておった、こういう話があるんだが、これは事実ですか。
  98. 石田朗

    政府委員(石田朗君) カニにつきましては、サケ、マスと同じように、公式の向こう側の提案はまだございません。
  99. 鈴木強

    ○鈴木強君 提案じゃないんだ。去年そういう話があったが、それは事実かと聞いているのです。
  100. 石田朗

    政府委員(石田朗君) 昨年度の話し合いにおきましては、昨年度のカニの漁獲高のみがきまっておりまして、会議の席上でその他の合意というものはなかったわけでございます。
  101. 鈴木強

    ○鈴木強君 それは合意というが、正式な文書にして残っているとは私も考えませんが、おおよそこのカニ資源については来年度二十四万箱という割り当て量についてはいいだろうという暗黙の了承といいますか、お互いに以心伝心というか、そういうような考え方で取りきめができたというふうに聞いているわけですがね。そういうことについて日本側としてはどう考えておるかという——まあ、あなたは次長ですからね、非常にむずかしいと思うんです、あんたの立場では。しかし、大臣もよく知らぬだろうからね。報告してあれば、大臣に答弁してもらってもいいんですがね、そういうことを聞いてんですよ。
  102. 石田朗

    政府委員(石田朗君) 昨年度におきましては、カニの資源については比較的安定的であるということに両国ともそのようなふうに意見が一致いたしておりまして、そのような考え方のもとに昨年度の漁獲もきまっておったわけです。それに対しまして、ことしは若干その点ニュアンスが違っておりまして、カニにつきましても、これは将来、これについて資源に若干の配慮をいたさなければならぬのではないかというような考え方に変わってきております。そのようなことがどのように今後の交渉に反映してまいるか、これは今後の経過によるかと思います。
  103. 鈴木強

    ○鈴木強君 大臣にお尋ねいたします。  いまわれわれが非常に心配をしておるのは、そろそろ出漁期も近まってまいります。したがって、例年のことですが、これは早く交渉、妥結して、準備を整えて、そして有利な漁獲をするというのがたてまえだと思います。したがって、早くこれは決着しなきゃなりませんがいまわれわれが知り得る範囲におきましては、非常に難行していると。その原因は、いま私が申し上げましたような、A地区内に特別の規制区域を設けようとしていること、B地区における出漁漁船の減少とか、あるいは漁期の短縮とか、あるいは流し網漁業の縮小とか、日本にとっては絶対承服できない問題が向こうから提案されているやにわれわれは聞くわけであります。もちろんこれは外交権の問題でありますから、いま明らかにすることについて、私も配慮をしている点についてはわかりますけれども、われわれはそういうように判断しているわけです、いまの難行しているところはどこかと言えば。ですから、これについては、ひとつ私はあなたに、あえてソ連に行く気はないかと、モスクワに。いまの段階ではないと、こうおっしゃいました。行かないで済めば、それでけっこうですよ。しかし、異常な決意で早く決着するということになりますと、やはり異常な態勢をつくらなきゃなりませんな、それに即応できる。そういう意味で、これらの問題点は絶対私は譲歩できない点でありますから、それをひとつ腹の中において、早期妥結への方向に、しかもわがほうの固い立場を堅持して、この交渉にぶつかってもらいたいと。これはもうあらゆる態勢をつくらないとだめですよ、これは。どうですか、その決意のほどは。
  104. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) いまいろいろの点につきまして、特にB地区の問題等については、お話にあるような問題について、私もやはり心配いたしております。しかし、正式な問題として、まだその点についての正式な交渉はありませんものですから、それがあり次第、直ちにこちらへ通報されることに内々なっておるわけでございますが、まだそれがないわけでございます。しかし、いままでの経過を見まして、B地区に対するいろんな問題は、確かに心配な情勢にあるわけでございます。したがいまして、近いうちにそれらの情勢を看取することができると思いまするので、その際においては、特に重要な問題であると思いまするので、これらの問題はほんとうに解決をしていく必要があると思います。いまのところ、私は何も申しておりませんが、ずいぶんこれらについての考え方を、まあ持っておるわけでございますが、まだ申し上げることはできません。
  105. 鈴木強

    ○鈴木強君 これこそ農林省所管でしょう。ですから、向こうへ行ってる代表が、もうとても手に負えないというのでね、引き揚げてきてるんじゃないですか。いまどっかヨーロッパの途中回ってるんじゃないですか。違いますか。
  106. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) さようなことはございませんので、いま二十九日までちょっと出かけておりますわけでございます。それは向こうと一諸に出かけております。したがって、もう今後の問題になるわけでございまするが、近く両方会うことに相なっております。
  107. 鈴木強

    ○鈴木強君 それば水産庁ですか、農林省からだれか責任者が行っているわけですね。ですから、そういう連絡はどうなっているのでしょうか。外交上の問題であるから、知っておるけれども言えぬというのならわかるのですね。ところが全然知りませんと、それは。そういう答弁だ、さっきからの話を聞いておりますとね。どうですか、その点。
  108. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) そうじゃございません。
  109. 鈴木強

    ○鈴木強君 その点を明らかにしてください。
  110. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) そうじゃございませんで、大体の問題はしょっちゅう了承いたしておるのでございまするが、いま申し上げる段階でないものですから申し上げられぬのであります。
  111. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうでしょう。私もそう思います。ですから、まあわかっているけれども言えぬというだけのことであって、私が質問してみればみんなそれが肯定できるわけだ。だから、さっき私は申し上げたわけですが、もし難行するような場合に、やはりひとつ責任者出ていくという、そういう気持ちは持っておく必要があるのじゃないでしょうか。ですから、私はこの前も大臣に、少し早いと思いましたけれども、そういうこちらの態勢がなければだめなんです。だから、ひとついざというときには出ていくだけの決意を持って当たってくださいよと、こういうことを申し上げたわけですからね。そのことについては少しは変わりましたかね、気持ちがあれから。
  112. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) その点についてはこの前お話し申し上げたとおりでございまして、いま申し上げることはできませんけれども、よく了承いたしておるわけでございます。
  113. 鈴木強

    ○鈴木強君 じゃ重ねてひとつ強力な交渉を展開して、日本の国に有利な解決をひとつしていただくように、特にお願いをしておきたいと思います。  それからもう一つ、これはさっき村田委員のことも関連があるのですが、皆さんのほうでは、今度のこの通称野菜法案というのを閣議で決定をいたしましたね、二十五日で。さっきの御答弁ですとね、非常に抽象的でさっぱりわかりませんですね。ですから、この法案は一体何をねらいにして、そして野菜の、いま非常に高くなりましたこの値上がりの状況を、この法案でどういうふうに対処していこうとしているのか、そこだけひとつねらいをはっきりしてもらいたいと思うのですね。
  114. 小林誠一

    政府委員(小林誠一君) お答えいたします。  野菜の価格が年々上がっておりますことは事実でございまして、三十九年度は三十五年度に比較しまして、百七十ぐらいの値上がり率になっていると思います。それにもまして問題になりますことは、やはり先ほどもお話がございましたように、気象の影響ということが大きな影響を及ぼしまして、それによります価格変動ということも問題になるわけでございます。で、いろいろ流通関係の問題もあるわけでございますが、やはりそのネックになりますのは卸売り市場の価格変動ということだろうと思うわけでございます。したがいまして、この法案の内容におきましては、農林大臣が四大消費地、京浜、京阪神、中京、北九州という四大消費地でございます。大体ここに出荷されます野菜の総量は、全体で約八百万トンぐらいあると思いますけれども、そのうちの三百万トンぐらいがこの四大消費地に集まっておるわけでございます。したがいまして、それにつきまして農林大臣需要の見通しを立てまして、それを頭におきまして指定産地を指定する。先ほど申しました六品目につきまして、集団的な産地というものを指定いたしたいと考えておるわけでございますが、で、その集団的な指定産地につきましては、都道府県知事が生産者の近代化計画というものを立てまして、そこにおきます作付面積でございますとか、あるいは生産数量でございますとか、あるいはそれを四大消費地にどう出荷するというようなこと、あるいはそこにおきます土地基盤の整備でございますとか、あるいは集出荷施設、農作業の機械化というような問題につきまして、その計画を立てまして、もっとも実施主体は、これはそれぞれ農協の場合もございましょうし、土地改良区の場合もあろうと思います。そういうことによりまして病虫害が集団発生いたしました場合に、共同防除というようなことを徹底いたしますとか、あるいは区画整理によりましてその地域の農作業が非常に共同化でき、能率があがるようにいたしますとか、あるいは水が出ますようなところにつきましては畑地かんがいをやりますとか、そういうことをやりまして生産のマイナスの面を除去していきたいというのが一つ施策でございます。それと同時に、やはりそういう地域につきましては、出荷されます野菜の値段でございますが、先ほどもお話がございましたように、やはり天候の影響を相当受けるわけでございます。したがいまして、それの値段が暴落いたしました場合には、やはり翌年度の作付面積にも影響するということがございます。農家所得が減りますということがあるわけでございます。そういうことで、値段が暴落いたしましたときには、農家に対します、どういいますか、影響を緩和するという意味におきまして、その対象と、いま予定しておりますのはカンランと玉ネギと白菜でございますけれども、非常に価格の変動が激しいものにつきまして資金を造成いたしまして、それによりまして生産者の所得について悪影響を緩和するということとあわせまして、やはり作付面積が減少しますため、減少するということを防止したいということで、その指定産地の出荷者をもって組織します生産出荷の安定資金協会というものの制度を設けたいと思っておるわけでございまして、従来からもカンラン、玉ネギにつきましてはその制度はあるわけでございますけれども、従来のその資金造成の割合でございますけれども、農家と生産者と、それから県と国がそれぞれ三分の一ずつ負担して資金造成をしたのでございますが、その負担率を国が二分の一にいたしまして、県と生産者が四分の一ずつということにいたしたわけでございます。そういうことで、主要な野菜につきましてその会員と申しますか、生産者の所得についての激減を防止するということについての施策を同時にやりたいと考えておるわけでございまして、それをやりまして生産と出荷を安定いたしますことによりまして、卸売り市場の価格なり、あるいは数量というものについて大きな変動がないように、需要に見合った生産を確保するという方向で、これは短期間ではなかなかできないことだと思いますけれども、そういう観点に立ちまして今後の施策を進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  115. 鈴木強

    ○鈴木強君 あまりにも大事な法案ですからね、短時間ではとてもできないと思います。これだけ伺っておきたいと思うのです。このために予算がついておるようですが、一カ所千四百万円ぐらい、それで問題は四大消費地、これは政令できめられるのですね、ですからこれが動く場合があると思うのです。その点についてひとつ。  それから産地指定の場合、現在たしか百九十八カ所ですか、野菜指定産地というのが、これが六品目で三百十カ所にふやすことになるようですが、これも将来政令事項になるわけですが、これはさらに追加していくということができるかどうか。それからもう一つは、これを運営するための基金として、何といいますか、特殊法人をつくって、最初農林省では野菜基金というものを考えたのですが、これが政府の方針でだめになったのですね。したがって、今度の法律では野菜生産出荷資金協会というものを設置するように法案でなっておりますが、これはどういう性格のものになるんでしょうか、それだけ一つ
  116. 小林誠一

    政府委員(小林誠一君) お答えいたします。最初の四大消費地が変わるという問題、ちょっと御質問の趣旨がわからなかったのでございますが……。
  117. 鈴木強

    ○鈴木強君 もっと追加できるか。
  118. 小林誠一

    政府委員(小林誠一君) 現在のところ四大消費地域を対象に施策を進めていきたいということを考えておるわけでございます。この地域につきましては大体全体の野菜の中で八分の三くらいのウエートを占めております。したがって、ここの価格が安定いたしますれば、波及効果としまして野菜全体の価格というものが安定するというように考えておる次第でございます。  それから産地指定でございますが、現在百九十八カ所指定いたしております。明年度それに追加いたしまして三百十カ所にいたしたいというふうに考えておるわけでございますが、将来の見通しといたしましては、やはり相当その品目についてのカバー率を高くしなければいかぬではないかという観点で、おおむねそれぞれの品目につきまして七割以上のカバー率になる程度まで指定産地の数はふやしていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、野菜の安定対策のために特殊法人をつくらなかったのはどういうことかということでございますが、野菜につきましては、この変動はどう申しますか需要というものは比較的安定いたしておりまして、やはり供給面が問題だろうと思うわけでございます。そういうことでやはりそのためには野菜についての生産出荷の安定対策ということを考えておるわけでございます。したがいまして、その一環としての価格補てん制度を確立するという考え方に立っておるわけでございます。そのためにやはり生産出荷の安定対策の中心をなしますものは、中核をなしますものは、その指定産地の計画的な育成、生産出荷体制の整備という事業でございますが、それが一つの大きな柱でございますが、それはやはり性格上生産者でございますとか、その組織する団体というものが主体となって推進するということが適当であるということも考えられますので、その一環といたしましての、この安定資金協会も指定産地の野菜の出荷団体によります自主的な機関によって行なわれるということが妥当であるというようなことも考えまして、また、業務の適正な遂行を確保するために必要な助成でございますとか、監督ということを行ないますれば、先ほどお話のございましたような特に特殊法人とする必要もないと考えられましたこと等の理由によりまして、自主的な組織によります制度ということにしたわけでございます。
  119. 鈴木強

    ○鈴木強君 予算は幾らですか。
  120. 小林誠一

    政府委員(小林誠一君) 全体の予算といたしまして明年度は六億三千万円を予定いたしております。この資金協会だけではございません、全体の予算としまして六億三千万円でございます。なお土地基盤整備考えられます金額を合わせますと約八億程度でございます。
  121. 鈴木強

    ○鈴木強君 最後ですが、この問題もう少しまたあとでお尋ねすることにいたしますが、一つ伺っておきたいのは、国の養蚕農家に対する保護政策ですね、これを伺いたいのです。おられますか、関係の方。  それで、まず養蚕農家を守るのには、生糸を輸出することを考えなきゃならぬと思うのですね。その生糸の四十一年度需要というのは一体どういうふうに見込んでおるか、そのうち外国への輸出は、国内と外国との関係、それはどういうふうになっておりますか、それが一つ。  それからもう一つは、従来養蚕農家というのは政府の方針で繭をたくさんつくれ、桑を植えろ、桑を植えると、今度三年たつと桑を切れということで、ずいぶんいじめられてきたのですが、去年ぐらいから安定しているように思います。最近の一状況ですと非常にいいニュースがあるようですけれども、しかし、非常に不安があるので、四十一年度の繭の生産目標は一体どこにおいてあるのか、そしてこれを各養蚕県に対して農家に大体目標を与えておると思うのですが、その大体目標わかっておりますでしょうか。それから問題は桑ですからね、桑園に対する改良政策といいますか、そういうものをどういうふうに考えておられますか。それだけ伺って終わります。
  122. 大口駿一

    政府委員大口駿一君) 養蚕農家の保護と申されましたが、現在の蚕糸業の現状を申し上げますと、需給全体から見て、繭の生産が旺盛なる繭の需要に追いつかないという現状でございます。そのために非常に価格が高騰いたしておりまして、そのことも一因となって輸出がきわめて不振である、大ざっぱに言えばそういう状況ではなかろうかと思います。そこで、養蚕農家についての生産性向上その他いろいろ予算措置がございますが、こまかいことは省略いたしまして、養蚕農家に一番、保護と申しますか、養蚕農家のために一番安定性のある施策というのは、やはり繭の取引が安定した価格で行なわれるということに尽きるのではなかろうかと思われるのでありまして、今国会において御審議をいただきました蚕糸事業団法案の成立に伴いまして、今後は製糸家、養蚕家に対して最低の繭価を保障するという仕組みが新たに導入をされましたので、その点では非常に養蚕農家の経営が安定をしたのではないかというふうに考えられるのでございます。なお、具体的に桑園その他についてのいろいろな予算措置について、さらに御説明を要する必要があれば後ほどつけ加えて御説明をいたします。  それから輸出の問題でございまするが、最近輸出が不振をきわめておりまして、これは国内の生糸の価格がきわめて不安定であるということが一番大きな原因でありまするが、そのほかにも中共、韓国等の生糸が世界市場に出回ってまいったということも一因でございまするが、やはり価格の安定をはかることが一番重要であることは申すまでもないことでありまして、四十一年生糸年度におきましては、昨年わずか一万五千俵台にまで低落をいたしました輸出を何とか持ち直して、三万俵くらいの輸出をはかりたいというふうに考えております。  それから明年度の繭の生産目標についてお尋ねがございましたが、具体的な数字で申し上げますと、集繭量で十万八千五百トン程度、生糸の生産量でおおむね三十二万六千俵程度考えておりまして、御参考に申しますと、四十生糸年度の生産量三十一万八千四百俵に比べまして、やや多目の数字を生糸の生産目標として考えております。
  123. 鈴木強

    ○鈴木強君 時間がございませんから、桑園の助成ですね、それからもう一つは、いまの生産目標の各県別の大体目標をつかんでおられると思いますから、あとでその資料を出してもらいたいと思います。  その点よろしゅうございますか。
  124. 大口駿一

    政府委員大口駿一君) 桑園に対する施策としましては、従来からあります労働生産性向上を主眼といたします消毒技術の普及でありますとか、協業経営の助長でありますとかという施策を講じまするほかに、本年度新たに——本年度と申しますか、明年度新たに予算措置を講じましたように、集団桑園を造成いたしますための大型機械の導入の予算措置を講じております。  なお、ただいま県別の繭生産目標につきましては、後刻資料を作成いたしまして提出いたします。
  125. 鈴木強

    ○鈴木強君 これで終わります。
  126. 井川伊平

    主査井川伊平君) 引き続いて浅井亨君に御質疑を願います。
  127. 浅井亨

    ○浅井亨君 山村振興対策事業の指定地域でございますが、これは全国でいまどれぐらいあるのでしょうか。
  128. 鹿野義夫

    政府委員(鹿野義夫君) 山村振興法でいいます山村は、一応法律では、山村の要件を指定いたしておりまして、政令に基づいているわけでございますが、林野率が七五%、人口密度が町歩当たり一・一六未満ということで、一応第一の山村の要件と考え、その山村の要件を備えた山村から振興山村を指定いたしまして、山村振興計画を立て一これは都道府県が立てるわけですが、それを政府のほうに提出されて承認を求め、その計画に従いまして振興をはかるということになるわけであります。その要件を備えた山村は……。
  129. 浅井亨

    ○浅井亨君 数ですよ。
  130. 鹿野義夫

    政府委員(鹿野義夫君) 全国で新市町村の単位で千三百四十ぐらいございます。
  131. 浅井亨

    ○浅井亨君 その条件の悪い山村ほど人口の流出とか、あるいは家族ぐるみが転出してしまうというようなことが非常に多いのでございますが、こういうような条件の悪い山村に対してどのようにお考えになっておるのでしょうか。
  132. 鹿野義夫

    政府委員(鹿野義夫君) 先生のおっしゃるとおり、いま山村は、農村から都市へと人口の移動が非常に激しく行なわれて、特に山村では人口の流出が多うございます。国勢調査でも、三十五年から四十年の五年間で一〇%、二〇%も減少した山村が数多くございます。そういう実態を見きわめた上で、今後の山村がどういうふうに発展していくかということを考えなければならぬわけであります。すべての流出していく人々を山村にとどまらせるというふうに、すべての山村についてやるわけにはいかないのです。場合によっては、かなりの人口流出があってもやむを得ないのであります。場合によってはその山村の条件その他から、かなりそこに事業を起こしたり、あるいは新しい村落を形成して人口をとどめるということもできる、ケース・バイ・ケースで山村ごとにその自主性に応じた計画を立てて、それに対応する措置をとっていくというふうに考えております。
  133. 浅井亨

    ○浅井亨君 そこでその計画は、大体七カ年ですか、七カ年と聞いておるのですが、それで次から次へと指定していくわけですか。
  134. 鹿野義夫

    政府委員(鹿野義夫君) 本年度は初年度でございますが、七十二市町村を指定いたすことになりまして、今年中に公布されることになろうかと思います。来年度は約百市町村を指定することを、予算上、予定いたしております。百市町村でございます、新町村単位で。全体で大体これから五、六年の間に、振興山村の指定を終わって、その計画を立てていきたいというふうに考えております。
  135. 浅井亨

    ○浅井亨君 そうすると、五、六年の間に指定するとしますと、それから三カ年の間にそれを完了するというわけですか。
  136. 鹿野義夫

    政府委員(鹿野義夫君) 事業は四年間において大体完了するということを考えております。
  137. 浅井亨

    ○浅井亨君 そうすると、これから毎年指定していくわけですが、一番最後に指定を受けたところ、それはどんなふうに——それまでの指定を受けない、いわゆる四年間、最初がありますね。一番最後の指定を受けるまでは初めの四年間、こういうものに対する対策は、どのように考えておられるのですか。
  138. 鹿野義夫

    政府委員(鹿野義夫君) ですから、いま申し上げましたのは、この法律の期限は時限立法で、十年でございます。大体、おそくとも六年間は全部指定を終えたい。最後の指定を受けた市町村も、指定を受けてから四年間に、事業を一応完成して、期間を終えたいというふうな、一応目標を立ててやっていきたいと思っております。
  139. 浅井亨

    ○浅井亨君 そこで、先ほども地域別でいろいろな関連した問題がありますので、地域的に指定せられる、こういうお話がありましたけれども、その中でも特に注意しなければならないのは、その拠点、拠点におきまして、いろいろと関係があると思うのです。だから、市町村単位と言われてもそこにずいぶん関係がありますので、こういう点は大きな、広域的な考えの上でお考えになっておるのでしょうか。
  140. 鹿野義夫

    政府委員(鹿野義夫君) 確かに、山村の今後の指定地域面積は、旧市町村単位でやりますから、比較的小さいということでございますが、計画の構想は、一応全国的な総合開発とか、その地域ごとのいろいろ地域開発計画もございますが、それに基づいて、そういう計画との調整を考え、その地その地の特徴を織り込んだ振興計画をつくるべきだというふうに私ども考えて、都道府県に相談をいたしておる次第でございます。
  141. 浅井亨

    ○浅井亨君 ところが、町村長の意見によりますと、対象地域が非常にぐあいよく、うまくいっていないというような意見も聞くんですが、これはどうでしょうか。そういう点はありませんか。同時にやってもらったらいい、この町村とこの町村、こういうような意見をよく聞くんですが、こういうことをお聞きになったことがないでしょうか。
  142. 鹿野義夫

    政府委員(鹿野義夫君) そういう、先生のおっしゃられるような点で、私どもできれば、指定も飛び飛びにやっていくよりも、一つの新市町村の中に旧市町村が三つ、四つある場合は、それは一括して指定していきたいし、なるべく広域性を持った地域、つまり各隣接市町村をまとめて指定していくようにしていきたいということで、県とも相談をしておりますが、実際にまだ七十二しか指定しておりませんので、十分広域性を持たし得ない面もあろうかと思います。
  143. 浅井亨

    ○浅井亨君 まあ、この対策は特に、いわゆる生産面を考えておやりになっていると思うのですが、どうも一つ一つを拾って考えてみますと、何か貧農を救っていくというようなかっこうですか、その環境整備するというだけであって、ほんとうに生産目標の山村振興対策ではないというふうに思われるのですが、その点どうですか。
  144. 鹿野義夫

    政府委員(鹿野義夫君) 山村の振興を考える場合に、二つの面があると思います。一つは、やはりこれらの農業の近代化といいますか、新しい農業、畜産とか果樹とか、そういう面を受け持つ山村というものが非常に大きく浮かび出るといいますか、もう一つは、かなり山奥で取り残されていく山村といいますか、そういうものの、いわば救済的な面を非常に強く持った山村振興というような、二つの面があろうかと思います。その地域地域の、やはり今後将来性を十分持ち得るか、あるいはなかなか救いにくいので、むしろ救済的なことより、福祉を十分に与えるような形でごめんどうをみるというふうなことをしなければならん山村、というふうな点を、十分見きわめて振興計画を立て、われわれもお手伝いしたいというふうに思っているわけであります。
  145. 浅井亨

    ○浅井亨君 それでは地元の負担能力というものは、どういうようなところで考えておられますか。それによって、やはり補助率とかいう面も変わってくると思うのですが、こういう面についてはどういうふうにお考えですか。
  146. 鹿野義夫

    政府委員(鹿野義夫君) 山村の中にもいろいろございますけれども、比較的財政の豊かな山村は少なく、どちらかというと、財政力の貧困な山村のほうが多うございます。これから山村振興をやっていく場合に、基盤整備その他、かなりの事業を集中するとしますと、地元の市町村、あるいは地元農民、あるいは山村民の負担というものがかなり大きくなる面もございますが、その点は、本年度の予算の上では特別に補助率等について措置ができなかったわけでございますが、現在は、山村に対する事業の採択基準等をできるだけ引き下げて、きめこまかく山村に事業が行きわたるようにということで、事業の基準等を考えております。  地元の負担の問題につきましては、現在といいますか、これまで、全体の山村振興計画の内容が、いままでも固まっておりませんし、また、指定する山村の、どこをするかということすら、ようやくきまったという段階でございます。確かに地元の負担ということは、非常に大きな問題を今後起こすだろうと思います。私どもといたしましても、十分地元の財政状況等検討して、できるだけの措置をとっていくように、今後とも努力をしていきたい。ことしの予算では、その点がまだ措置できなかったということでございます。
  147. 浅井亨

    ○浅井亨君 それでは、地域地域によりまして、そのときはやはり補助率は変わってまいりますね、一定はいたしておりませんね。
  148. 鹿野義夫

    政府委員(鹿野義夫君) ただいまの段階ですと、補助率は事業別にきまっておりますから、町村ごとに、どの町村はたとえば農道が幾ら、どの町村は農道が幾らというふうに、補助率が変化いたしておりません。ただ、町村の財政的な負担をどうするかというような問題の場合には、市町村に対して財政全体を一つのものさしに考えて、財政の貧困度に応じてスライド制をとるとか、そういうようなことも、一つの方便として、今後は考え得ることではある。ただ、それも十分検討してのことでございますけれども、いまの段階では、個々の事業別に事業というものは補助率がきまっておりますので、地域別に補助率が変わっていないということでございます。
  149. 浅井亨

    ○浅井亨君 だけれども、それを今後考えていくお気持ちはおありになりますか。
  150. 鹿野義夫

    政府委員(鹿野義夫君) いまのこの段階で、あまり十分お答えできないと思いますが、今後、計画の実態と、それを遂行していく地元の財政状況を十分検討させていただきまして、それが過重な負担になるようでしたら、財政当局ともよく御相談して、できるだけの措置をわれわれとしては努力いたしてまいりたいというふうに、まあ申し上げる段階です。
  151. 浅井亨

    ○浅井亨君 林業でございますが、近ごろ、林業は非常に労賃も高いし、木材のほうの値段もどうも安くなったようですが、いわゆる運び出すのに労賃が非常にかかるわけなんですね。そういうわけで、いわゆる造林関係というのは非常に悪くなっているわけですが、こういうものに対して政府はどういうようにお考えになっておりますか。
  152. 田中重五

    政府委員田中重五君) お答えいたします。いまお話しのとおりに、農山村から人口の流出することに伴いまして、労賃は相当高くなっております。そこで、この伐採、搬出の生産性をできるだけ上げていく。その伐採、搬出のしかたを近代化するということで、機械化をいたしまして、そうしてその労賃の上昇部分をでき得る限り吸収できるように持ってまいりたいという考え方で、いま林業のお話がございましたが、林業では、林業構造改善事業というものをやっております。で、その改善事業地域におきましては、協業体と森林組合等を対象にいたしまして、機械の補助をできる限り進めてまいる。あるいはまた、製材業等を兼ねた素材生産業者に機械の補助をするということで、できるだけ労賃の高騰に対処してまいりたいというふうに考えております。
  153. 浅井亨

    ○浅井亨君 これは、アメリカとか、ああいうほかのほうから非常に材木がたくさん入るので、それでいわゆる労賃の問題ですね、そういうものによって、いよいよ林業というものがまずくなるという気配はないのですか。
  154. 田中重五

    政府委員田中重五君) 確かに、いまお話しのように、外材の輸入の率が相当にふえております。で、国内の供給量が国内の需要量に対しまして、需要の伸びほど伸びないという関係で、国内の価格がそれだけ上昇する、需要供給関係で上昇するわけでございますけれども、そのために外材の輸入がふえてまいってきておる。まあ輸入をいたしましても十分に引き合うということで入ってくるわけでございますけれども、それを、いまも申し上げましたような、国内生産の合理化をできるだけ進めることによって、国内の自給率をできるだけ高めてまいる。そういうことで外材の輸入に対抗をしてまいりたいと、こう考えておる次第でございます。
  155. 浅井亨

    ○浅井亨君 土地改良十年計画について御質問申し上げます。で、この土地の改良をして生産性を高めるということは非常にけっこうでございますけれども、これによって、その地方の地方財政や農民のその負担力、地元の負担力というのはどのようにお考えになっておるのですか。
  156. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 土地改良長期計画昭和四十年度から十カ年間で総体の事業費二兆六千億と予定いたしておりますが、そのうち融資事業が三千億で、国の直轄及び補助事業が二兆三千億でございます。二兆三千億の国の直轄及び補助事業のうちで、国費と地方費との合計、いわゆる行政投資分が一兆八千五百億円と予定されております。したがいまして、地元負担といいますか、受益者負担は四千五百億程度でございます。こまかく申し上げますと、一たん国費として出した分であとで償還させる分が若干ございます。
  157. 浅井亨

    ○浅井亨君 パーセンテージはどの程度になりますか、地元負担の。
  158. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 二兆三千億のうちで四千五百億がまず地元負担でございますから、その分については二割はございません。
  159. 浅井亨

    ○浅井亨君 二割……ですか。ところが、これは、なんですか、十カ年計画ですが、やはり毎年きめていくのですか。
  160. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 十カ年間の計画でございますから、年々の予算額は従来どおり毎年きめるわけでございますが、ただ毎年の予算折衝の一つのめどといたしまして、長期計画があるのでございます。
  161. 浅井亨

    ○浅井亨君 毎年毎年きめていくというので、何か農民が非常に不安を感じているということをちょっと聞いたのですが、そういう点はどういうことになるのですか。
  162. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) まあ戦後、戦前からでございますけれども、土地改良事業の意義といいますか、効果が非常に農民の間に行き渡りまして、土地改良に対する要望が非常に強いわけでございます。それで、昭和三十年から三十九年におきまする過去十カ年の事業費の伸びを見ますと、実質で大体七%になります。今度の十カ年計画によりますと、それをはるかにこえ、一〇%程度であります。そこで、毎年毎年の予算で、土地改良の予算額というのは、年々相当上昇しておりますし、国営事業、あるいは県営事業、団体営事業に対して、農民の要望も相当強いわけでございますけれども、現在までのところ、年々の予算増加によって、相当程度農家の方々の要望を私どもも満たしてきていると考えます。したがいまして、今後、従来にもまして大きな事業計画でございますから、私どもは、年々の予算で具体的な数字は当然きまるわけでございますけれども、この十カ年間の目標を掲げることによりまして、農家の方々にも土地改良の将来に対する安心感を非常に与えておると思っております。
  163. 浅井亨

    ○浅井亨君 その改良ですね、それを次から次におやりになっておりますけれども、改良したからすぐ生産が上がるというわけではないでしょう、立ちどころに。
  164. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 土地改良には、いろいろ種類がございまして、御承知のように、末端の区画整理でありますとか、末端の暗渠排水でありますとか、かんがい排水でありますとか、それから県営、国営というように、大きな川に頭首工をつけて、水を引っぱる、あるいはため池をつくる等々がございますし、また農用地の造成でありますとか、あるいは農用地保全の事業でありますとか、いろいろ種類がございます。具体的に土地改良として、農家が自分の経営に直接結びつきますのは、何といっても圃場整備のために私ども一番力を入れておりまして、二兆六千億のうちの事業のうちで、大体一兆一千五百億という相当大部分の金を圃場整備に投じているわけであります。この圃場整備によりまして、かんがい排水転業でありますれば、これは水かけ、水引きがよくなるわけでありますから、確実にプラスになることは間違いございません。それから区画整理によりますと、これは相当表土を動かして、いままで形が非常に不正確でありましたものを、最近におきましては、大体三反歩近く区画を整理いたしまして、労力が足りなくても、十分増産できるような態勢をつくろうとするわけでございますから、場合によりましては、表土を動かす関係で、一、二年は生産が上がらないということがままございます。それは私どもも十分現地における普及員等とも連絡をいたしまして、土地改良後の技術指導については、十分配慮いたしておるわけでございます。
  165. 浅井亨

    ○浅井亨君 それで、大体この表土を動かすとか何とか、私はヘクタールとかあまりわかりませんが、そういうような土地の整地ですね、そういうことをやるには大体費用はどのくらいかかるのですか。いわゆる農民の負担はどのくらいですか。
  166. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 土地改良で、まあ標準的な事業について申し上げますと、国営と県営と合わせまして、大体反当八万五千円ぐらいが標準的な事業費でございます、それから、末端で農家が団体営によりまして区画整理をする場合は、これも大体七万五千円程度でございます、事業費全体といたしましては。ただ、土地改良事業に対します国なり県なりの補助金なり国費負担は相当巨額でございまして、八万五千円の国営事業費に対しましては、国が大体六割程度の負担をいたします。県が大体二割程度の負担をいたします。農民は残りの一割程度の負担でございます。しかも、その二割程度の負担でも、まず国が金を出して事業をやりまして、事業が完成いたしましてから長期にわたって償還を求めるという形になっております。私ども農家の負担の適正化ということにつきましては、かねてから十分配慮をいたしておりまして、四十一年度から、従来国営事業の償還につきましては、事業完成後十年というものでございましたのを、四十一年度から十五年というふうに延長して、農民負担の適正化も考えておるわけであります。なお、七万五千円程度の団体営の区画整理を含む圃場整備につきましても、国の補助金は四割五分、残りの農家負担の八割分については公庫が融資をいたしまして、利子は六分五厘であります。償還期間は二十五年、そういう状態であります。
  167. 浅井亨

    ○浅井亨君 そうすると、その償還期限ですが、それは何年ですか。それでその利率はどれくらいですか。
  168. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 国営事業で申し上げますと、事業が完成いたしましてから十五年の償還期限であります。それで国営事業は特別会計と一般会計と両建てでやっておりますけれども、一般会計では五分、特別会計では現在六分五厘でございます。それから団体営につきましては、補助残の融資が六分五厘でございます。償還期間は二十五年でございます。
  169. 浅井亨

    ○浅井亨君 そこで、そういう整地なんかやりますが、そのときにはやはり農家の規模拡大というような面に対しまして、それをやはり一応考慮に入れておやりになっておるのですか。
  170. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 圃場整備につきましては、これは直接農家の経営規模を動かすということではございませんで、現在の農家の経営耕地を区画整理をして、水はけ、水かけをよくして、そして区画を、現在におきましては三反程度の成形にするということでございます。むしろ経営規模の問題は開拓その他の農用地造成、これも土地改良事業の一部でございまして、その関係でございます。
  171. 浅井亨

    ○浅井亨君 経営規模の拡大ということを同時にお考えになりませんと、これはやはりたいへんだと思うのですよ。こういう点については今後どのようにお考えになっておりますか。
  172. 井川伊平

    主査井川伊平君) 発言を求めないで発言しているというわけではありませんけれども、うまく連絡がつきませんから、速記がとりにくいと思いますから、どうぞよろしく。
  173. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 農用地造成につきましては、これは経営規模の拡大ということから、また、国としての農業生産の増強ということからたいへん必要でございますので、私ども土地改良長期計画におきまして、十年間で水田十三万町歩、畑二十二万町歩、合計三十五万町歩の農地の造成と、それから先ほどもお話に出ましたけれども、草地の造成を十年間で四十万町歩というふうに考えて、その必要なる措置を講じておるような次第であります。
  174. 浅井亨

    ○浅井亨君 いや、小規模農家の、いわゆるどこかへ出ていこうかというわけで、外へ出ていく人が小さないわゆる地面を売り払っていこう、いわゆる離農していこうという方もたくさんあるように聞くのですが、そういう方に対する離農対策というものはどのように政府ではお考えになっておりますか。
  175. 横尾正之

    説明員(横尾正之君) いま御指摘がございましたように、最近の傾向といたしましては、離農する農家の数は相当程度ふえております。一九六五年センサスの結果によれば、年率にいたしまして農家の減少率が一・三%、こういう状況でございます。しかしながら、その離農する実態につきましては種々の要因がからみ合っておりますので、したがいまして、離農対策を将来どういうふうに考えていくかということにつきまして、離農にかわります諸要因を十分に解析、分析、検討した上で慎重に対処いたしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  176. 浅井亨

    ○浅井亨君 離農年金制度というものはどうですか。お考えになっていることはあるのでしょうか。どんな、ふうになっておりますか。これが完備していませんからなかなかそう簡単にいかないのじゃないかというような気持ちがするのですが。
  177. 横尾正之

    説明員(横尾正之君) 御指摘の離農年金につきましては、先例といたしまして私ども聞いておりますのは、たとえばフランスにおきまして、構造改善社会基金の一環といたしまして離農年金を給付するという制度的措置があることを聞いております。このような措置がわが国に、同時に、現在におきます諸情勢の中でそのまま適用するかどうか、この点につきましてはなおかつ十分に検討してみる必要があるのではないか。そのような検討を経た上でどのように対処するかを考えてまいりたい、こういうふうに存じます。
  178. 浅井亨

    ○浅井亨君 それから、肉牛センターというのがこれから設けられるそうですが、本年度の予算に計上されておりますが、牛を飼うえさですね、このえさの問題は解決されているのですか。
  179. 太田康二

    説明員(太田康二君) 肉牛につきましてのえさの問題でございますが、一般的に肉牛につきましては、従来は農場残菜あるいは野草等によって育成され、肥育の段階で農厚飼料を使うというような段階が多いわけでございますが、われわれとしては、今回肉牛に対するえさ対策といたしまして、一つは草地改良事業で今回新しく蹄耕法の導入という、これは一種の耕法でございますが、そういった耕法を取り入れてやる簡易な草地造成を認めよう。これはもちろん肉牛を対象に考えたわけでございます。  それからいま一つは、野草地に対する民間施設の設置の助成をいたしまして、従来野草地等の利用があまりされていなかった肉牛地帯等につきまして、野草地で肉牛を使用したらいいのではないかということで、牧童とか、それから家畜の保護施設を設置するための助成を草地改良事業の補助対象に追加いたしたわけでございます。  それから、従来これは主として肥育地帯の対策になるわけでございますが、肉用牛につきまして飼料作物の強化作付対策という事業をやってまいりましたのでございますが、四十一年度には二万六千ヘクタールこれをやることになっております。これは従来、くどいようでございますが、酪農を中心にやってまいったわけでございますが、今回はその中の約六千ヘクタールぐらいは肉用牛の肥育地帯の対策としてこれをやってまいったらどうかということで、そういった事業を肉牛対策としてもやっていくということにいたしております。
  180. 浅井亨

    ○浅井亨君 そのえさですね、そのえさをいままで海外から輸入しておりますのは、全体の量の何%ぐらいですか。
  181. 太田康二

    説明員(太田康二君) 私のほうの飼料需給の状況で申し上げますと、昭和三十七年度が、全供給量のうち輸入飼料の占める比率が三十七年度が二二・九%、三十八年度が二八・二%、三十九年度が三〇・四%、四十年度はまだ計画でございますが二九・九%、かような数字になっております。
  182. 浅井亨

    ○浅井亨君 何か自給自足ができるようにというわけでおやりになっておるのでしょうが、国有林なんかを払い下げるとか、国有林の活用ということについては、いまどのような程度に進んでお考えになっておりますか。
  183. 太田康二

    説明員(太田康二君) 肉牛とか、乳牛のような草食性家畜につきましての良質粗飼料を確保するために、先ほど申し上げました既耕地における飼料作物の増産という事業をやっておるわけでございますが、山林原野等を対象としての草地改良事業というものを積極的に行なうことにいたしておるわけでございます。先ほども御説明を申し上げたわけでございますが、土地改良長期計画に基づきまして、昭和四十年度から四十九年度までの十年間、約四十万ヘクタールの草地造成を行なうということにいたしておるわけでございます。そこで、この計画におきまして、対象地といたしまして、国有林の活用につきましても、その土地条件あるいは地元の希望等も十分考慮いたしまして、積極的な活用をはかってまいりたい。すでに御承知のことかと思いますが、昭和三十八年に草地改良事業実施計画に基づいて、草地造成に必要な国有林野の活用手続に関する要領について、という通達を出しまして、三十八年から四十年度までに草地造成用に国有林を使いたいといって要望いたしました面積が、その段階での、四十年十一月末現在の調査によりますと、約三万四千ヘクタール。このうちすでに話し合いがつきまして、林野庁のほうから正式に草地造成に使ってよろしいということの確定をいたしました面積が四千六百九十五町歩、こういうことに相なっております。
  184. 浅井亨

    ○浅井亨君 四千六百何ぼですか。
  185. 太田康二

    説明員(太田康二君) 四千九百六十五町歩です。
  186. 浅井亨

    ○浅井亨君 次いで、ことしの米の問題ですが米のほうの問題は、経済高度成長とか、そういうものに非常に力を入れて、米のほうがおくれたんじゃないか、こういうように思われるんですが、ことしの米はどれぐらい生産しておるんですか。
  187. 武田誠三

    政府委員(武田誠三君) 昨年の米の実収高は千二百四十万トンでございます。
  188. 浅井亨

    ○浅井亨君 輸入はどれくらいしておりますか。
  189. 武田誠三

    政府委員(武田誠三君) 本米穀年度におきまして、準内地米につきましていま計画いたしておりますのが八十二万トンでございます。そのほかいわゆる普通外米、細長いお米でございますが、これを大体三万トンないし三万五千トン。それから、工業原料にいたします砕け米を九万トンないし十万トン程度を予定いたしております。
  190. 浅井亨

    ○浅井亨君 ドルに換算して何ぼですか、日本円と。
  191. 武田誠三

    政府委員(武田誠三君) 四十一年度、来年度の予算といたしまして、準内地米につきましては、いまちょっとドルがございませんので、円で申し上げますが、五百二十億九千八百万円……。
  192. 浅井亨

    ○浅井亨君 五百幾ら……。
  193. 武田誠三

    政府委員(武田誠三君) 準内地米が五百二十億九千八百万円、それから普通外米が十四億五千七百万、それから砕け米が四十九億八百万円、こういうことを来年度の予算としては一応予想をいたしております。
  194. 浅井亨

    ○浅井亨君 次に、今後は漁業の問題をやりますが、沿岸漁業ですがね、日本の沿岸の漁業というのは非常に漁が少なくなりまして、枯渇したような形勢があります。近年やはり遠洋漁業というほうに向いているように思うんです。そうしますと、非常に、この間もありましたが、災害というのがあるわけなんでございますが、こういう点について、各国との漁場の紛争もありましょうし、また、そういう災害もありましょうし、こういうことに対しまして政府はどのような対策を講じておられるか。
  195. 石田朗

    政府委員(石田朗君) ただいまお話をしましたように、沿岸漁業につきましても、たとえばわれわれといたしましては、養殖の振興その他の措置を講じまして、これらの充実をはかっておるつもりでございます。  さらに、海外漁場におきまする、一つには未開発資源においてさらに漁場を拡大するということ、及びただいま御指摘もございましたように、海難その他に対する対策を充実いたしまして、そのような面での不測の損害をなくしてまいるということは非常に重要なことであると考えます。で、われわれといたしましては、いまの沿岸漁場の培養と同時に、ただいまの遠洋への新資源の開発のための調査その他を進めまするとともに、海難防止につきましては従来からやっておるわけでございますけれども、漁船の規格その他につきましても、これを海難を防止し得るような基準を設けまして取り進めてまいりますとともに、さらに最近におきましては、漁船保険会計等におきまして十二億円ばかりの余剰金がございました。それを漁船保険等々の関係におきまする事業、したがいまして、事故防止等を含めまして、そのような仕事をやってまいるのに活用するというような措置を講じてまいっておるわけであります。
  196. 浅井亨

    ○浅井亨君 ニュージーランドが十二海里領海というのをつくりましたが、これに対してどのような……。
  197. 石田朗

    政府委員(石田朗君) ニュージーランドにおきまして、漁業水域法の制定ということが行なわれまして、これが本年一月一日から発効いたすということで、実は昨年十三月末に、日本からも政府の代表をニュージーランドに派遣いたしまして交渉をいたさせました結果、これを国際司法裁判所に提訴するという問題について、ニュージーランド側に提案をいたしました。ニュージーランド側におきましても、これに十分考慮を払いたい、こういうことで、現在その後、この共同提訴の問題について話を進めておるのであります。なお、それらの事態が最終的に解決いたしますまでの間において、両国は両国の友好ということを十分考えて取り進めてまいる、こういうことに両国の一致をいたしておるわけでございまして、本年一月一日以降におきましても、わが漁船の拿捕等の事案は生じておらないわけであります。
  198. 浅井亨

    ○浅井亨君 国際裁判所へ提訴をされておられまするが、どれくらいの日にちがかかってきめられますか。
  199. 石田朗

    政府委員(石田朗君) 私の御説明が不十分であったかと思いますが、ただいまは共同提訴をしようという提案をニュージーランドにいたしておるということでありまして、これには非常に考慮を払うと言っておりますが、まだ共同提訴の手続までは至っておりません。提訴いたしました場合の期間等は、これは事例によりましていろいろあるかと思いますが、やはり一、二年を要する場合もあるというふうに考えられます。
  200. 浅井亨

    ○浅井亨君 わが国のこの動物たん白質ですがね、これはもうとにかく非常に海洋のほうへ依存しなけりゃならぬと思うのですが、そうすると、どうしても大規模な、いわゆる遠洋航海といいますか、遠いところでその資源を求めなきゃならない、そういうことになってまいります。そういうことに対する政府のお考え方はどのように考えておられましょうか。
  201. 石田朗

    政府委員(石田朗君) 遠洋漁業のさらに一そうの進展ということにつきまして御意見がございました。これにつきましては、私どもも十分に配慮を払っておるわけでございまして、実は昨年来、二千八百トンの大型の調査船を三カ年計画で建造いたすことでただいま取り進めております。この調査船ができましたならば、これによって従来未開発と考えられておりまする遠洋漁場について、国が直接積極的に調査を行ないまして、今後の進展に資してまいりたいというふうに考えております。
  202. 浅井亨

    ○浅井亨君 いまアメリカとか、またいろいろな国が深海の漁場というものを探っておる。現在までにどういうところが見出されておりますか。
  203. 石田朗

    政府委員(石田朗君) ただいまお話のございました点につきましても、いまお話をいたしました大型調査船におきまして、従来は二百メーターくらいのところを引いておったのを、一そう深いところを引き得るという能力をこれは備えておるわけであります。したがって、そのような、いま言われましたような深海漁場の開発にもこの調査船が大いに活用されるというふうに考えておるわけであります。現在までのところ、たとえば、そのようなものとして有望な漁場といたしましては、たとえばアフリカの沖、あるいは北洋にそのような資源がございます。
  204. 浅井亨

    ○浅井亨君 そういうことに対して政府は、先ほどお話がありましたけれども、強力にこういうことを今後やっていくんだという、この線をはっきりひとつ、大型化していくとか、こうおっしゃっておりますけれども、それのはっきりした線というのは、まだできていないのですか。
  205. 石田朗

    政府委員(石田朗君) ただいまお話がございましたが、沿岸漁場、沖合漁場及び遠洋の漁場、い、ずれも問題を持っており、いずれもいずれを捨てて、いずれだけに頼るということになってまいらないと思います。しかしながら、遠洋の未開発漁場を開発するということは、従来の資源にプラスになるわけでありますから、そういう意味で、ただいま申し上げましたような積極策を今後とり進めてまいりたいということを考えておるわけであります。
  206. 浅井亨

    ○浅井亨君 そうすると研究調査はやっておりますか。
  207. 石田朗

    政府委員(石田朗君) さらに研究調査という点で申しますと、現在実は設置法の関係衆議院で御審議をわずらわしておりますが、水産研究所の組織を再編成いたしまして、新たに遠洋水産研究所というものを設ける。そうして遠洋水産の資源研究について、さらに一歩を進めるというようなことでやっております。それから、ただいま申しました大型調査船といったようなもの、そのような諸手段によりまして、いまお話がございましたような遠洋水産研究を一そう進めたいというふうに考えております。
  208. 浅井亨

    ○浅井亨君 次いで、マリアナで大きな事故が起きましたが、これは無線のほうですね、これが非常に不備であったということですが、いわゆるこの無線施設について、各漁船はどのような状態になっているのですか。どのようにまた指導せられておりますか、これをお答え願いたいと思います。
  209. 石田朗

    政府委員(石田朗君) ただいま漁船につきまして漁船法というのがございまして、建造の際にこれを一つ一つ審査をいたしておるわけでございますが、その際に、漁業の種類によりまして、この無線施設等の設置が基準の中に入っております。外洋に出てまいりますものにはそのような施設を設置いたすということによって、初めて漁船の建造を認める、このような形にいたしておるわけであります。マリアナにつきましては、私どもいろいろあれに基づきまして、反省すべきことが多いかと考えておりますが、その際は漁船が無電を設置しておらなかったというわけではありません。
  210. 浅井亨

    ○浅井亨君 日本が、ブリとかハマチですね、これをずいぶん輸入していると聞いているのですが、それは時期はいつごろですか。
  211. 石田朗

    政府委員(石田朗君) ハマチは輸入はございませんが、ブリは輸入いたしております。
  212. 浅井亨

    ○浅井亨君 どれくらい……。
  213. 石田朗

    政府委員(石田朗君) ブリにつきましては、これは現在の大体の取り進め方といたしましては、関西方面で正月に非常にブリを食べる習慣がございますので、ブリの輸入は大体年末から正月にかけて輸入いたさせるようにということで、一切の割り当てをいたしておるわけでございます。
  214. 浅井亨

    ○浅井亨君 そうすると、日本のいわゆる漁業の方々もやはり一番かせぎどきだと思うのですがね、そういうときに入ってまいりますと非常に漁村の方が困るという声もちょっと聞くのですが、こういう点はどうでしょうか。
  215. 石田朗

    政府委員(石田朗君) いまも申し上げましたように、年末から正月にかけましては、ブリの需要が一番増大する時期でございます。おそらく諸般の情勢考えまして、輸入時期としては、これは一番一年の中で適当じゃないかというふうに考えております。
  216. 浅井亨

    ○浅井亨君 時期的にいいというわけですね。ハマチの養殖によっての漁業推進しておられますが、この面との関連性は何ら問題はありませんか。
  217. 石田朗

    政府委員(石田朗君) ハマチの養殖につきましては、特に瀬戸内におきまして最近非常に増大しており、かつ経営的にも前進を見せている例も一ございます。ただ、このハマチ経営につきましては、あるいはえさの問題とか、その他いろいろ今後経営上、指導面で考えていかなければならない問題があろうかと思っております。しかし、従来とも進展をしており、今後こういうようないわゆるかん水養殖と申しますか、沿岸漁業一つの形態として推進をいたしていくべきものであるというふうに思っております。もちろんブリはハマチが成長したものでございますから、その両者の間に価格関係、その他の影響関係もございますが、われわれといたしましては、それらの国内生産と、それから輸入につきましては、このブリは輸入割り当て制をとっておりますので、輸入割り当ての際に十分検討を加えて、悪影響の起こってくるということのないようにいたしてまいりたいと考えております。
  218. 浅井亨

    ○浅井亨君 次に、工場とかそういうところの排水ですね。それから汚水が出てまいりますが、そういうものに対する政府としての考え方は、どのように対処していかれるのか。
  219. 石田朗

    政府委員(石田朗君) ただいまお話がございましたように、沿岸漁業に対して、汚水の被害というものが重要な問題でございます。で、これにつきましては、単に沿岸漁業だけでございませんで、各種の衛生関係、その他の各方面と関連いたしまして、水質保全に関する法律というのがございまして、これに基づきまして水質の調査をいたし、必要があれば水質の基準を設けてまいる、こういうことになっておるわけでございます。  そのほか、特に漁業関係に深い問題といたしましては、特に稚魚を育てるという意味で、水産上重要だというようなものにつきまして、水産庁でそれとは別に水質調査を取り進めておりますが、今後の問題といたしましては、一種の水質査察と申しますか、こういう水質の問題になりそうなところを各県で見回りまして、これを早期に発見して、早期に対策を講ずるというような制度を今後やってまいりたいということで取り進めてまいりたいと思います。
  220. 井川伊平

    主査井川伊平君) それでは引き続きまして、向井長年君に御質疑を願います。向井君。
  221. 向井長年

    ○向井長年君 私は主として林野庁関係に質問をいたしたいと思います。特に主査、副主査のほうから話がありましたように、時間の制約もございますから、端的に質問もいたしますから、大臣初め関係者も端的に、簡潔にひとつ答弁を願いたいと思います。  まず、三十八年六月農林大臣から出されました中央森林審議会の答申に基づいて、いま農林省のほうにおきましてはいろいろ検討がなされておるようでございますが、大臣は、これについてどういう所信を持って、どう処置しようとされるのか、まずお聞きしたいと思います。大臣から……。大臣が時間を急いでおるようなので、先に大臣のほうに聞いているのですが……。
  222. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) あとで申し上げます。
  223. 田中重五

    政府委員田中重五君) 中央森林審議会の答申につきましては、その答申の内容について、答申の出た以後慎重に審議を重ねている段階でございます。それで、答申の趣旨といたしましては、国有林野事業に国民から課せられたもろもろの使命を達成するために、このようにすべきでないかという方向を示しておりますが、一番重要な問題といたしまして、独立した法人格を持つ公共企業体、そういうものに国有林野事業の組織を変えて、行政機構から分離することによってその内容の充実をはかるようにという点が一点でございます。  それから、それに従いまして事業の能率を上げ、生産性を上げるべきための諸方策を示しております。で、現在の段階では、なお検討を続けている段階でございまして、結論は出ていないというのが現在の段階でございます。
  224. 向井長年

    ○向井長年君 まだ結論は出てないということは他の委員会でも答弁されておりますが、林野庁のほうでは四月以降——これは去年の四月ですよ、国有林野対策本部を設置して、そして特に組織管理あるいは業務あるいは経理、労務、こういう四部会に分かれていろいろ検討が始まっておるようでございますが、その進捗状況と、なおまた、いま言われました公共事業あるいは行政の分離、こういう形で一応の基本線の上に立って、答申の上に立っていろいろ検討されておるようだが、これについて、こういう四部会に分かれていま検討が始まっておると思うんですね。この進捗状態と、いつごろ結論が出ますか、この問題について。
  225. 田中重五

    政府委員田中重五君) 慎重に検討を進めながら、なおできるだけ早く結論を出したいという考え方でございますが、特に機構等の問題につきましては、きわめて重要な問題でありますだけに、なお相当の検討期間が必要かと存じております。さらに関係の各方面の意見を十分に聞いてからその結論を出さなければならない。したがって、その時期につきましては、いまのところまだ明らかではございません。
  226. 向井長年

    ○向井長年君 各関係意見を聞くということですが、各関係というのはどういうところをさしておるのですか。
  227. 田中重五

    政府委員田中重五君) 国有林野事業の機構の点につきましては、林業政策上の重要な問題でもございますので、この面についての学識経験者、さらには林業基本法に基づいてできております林政審議会の意見その他権威のある関係方面の意見を聴取しなければならない、こう考えております。
  228. 向井長年

    ○向井長年君 もちろん学識経験者等の関係者の意見等は非常にけっこうだと思うのです。そこで少なくとも従事しているところのいわゆる職員、いうならば、組合がありますね。こういうところのやはり意見も聞かなければならぬのじゃないかと思うのです。そういう点については、少なくとも機構改革あるいは組織改革ということになれば、大きく人員の問題も出てくるし、あるいは定員の問題も出てくるだろうし、いろいろ事業の問題も出てくると思いますよ。こういうところでは、少なくともそういう問題については、十分組合とも話し合って、それに対するひとつの対策を樹立すべきだと思う。こういう点について、そういう用意がございますか。
  229. 田中重五

    政府委員田中重五君) 労働組合に対しましても、この機構等の問題については、ある程度成案ができた場合には、その意見を十分に聴取したいと、こう考えております。
  230. 向井長年

    ○向井長年君 そういう公団、公社といいますか、こういうかっこうに変わるであろう、こういう中から、ある組合においては、これに対してはあくまでも反対闘争を組んで戦っていくのだ、こういうようなことが言われて、あるいはそれによって人員整理が行なわれるだろう、こういう中からそういう問題が相当大きく沸騰したと思うのですが、したがって、私はそういう問題はおそらく行政整理というようなことはあり得ないことであろうと、こういう考え方を持っておりますけれども、そういう機構なり、あるいはまた組織の改革という問題については、人員の問題、労働条件の問題というのが必ずつきまとってくるわけです。そういうことになれば、少なくとも、こういう機構あるいはそういう組織の改善という場合においては、労使というものが、あるいは組合と十分話し合って解決していかなければならぬ問題だと思うのですよ。こういう点について事前にひとっこれを——結論が出た、したがって、これをあなたたちやるのだからという提示じゃなくて、事前にそういう問題を相談して、こうあるべきが国有林野の行政として最もいい方法である、こういう形から意見を聴取すべきだと思うのです。そういう点について林野庁長官なり、あるいは大臣がどう考えておられるか、あらためてお聞きしたい。
  231. 田中重五

    政府委員田中重五君) その点は御説のとおりでございます。で、現在林野庁におきましても、労使懇談会といいますか、非公式なそういう話をする場を持って、相互の意見を交換し合おうというような話もあるわけでございますから、そういう場で、煮詰まっておりませんけれども、ある程度話ができるようなものが用意できた場合には、意見を聞きたい、こういうふうに考えております。
  232. 向井長年

    ○向井長年君 大臣、答弁。
  233. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) この問題につきましては、長官がいまお答え申し上げたとおりでございまして、これらについてどうするかという結論は出ておりませんので、さような関係でございますので、そういうときがありました場合には、もちろん前もって、いろいろの点についての問題を十分われわれとしても考えまするし、その際における、いま打ち合わせ等と申しますか、それらについての話し合いもできると思います。
  234. 向井長年

    ○向井長年君 大臣、ありましたときにはじゃなくて、現在それをやろうとして検討しておるのでしょう。検討している以上は、結論は必ず出さなければいかぬ、そうした場合に、一応の方向性がきまれば、お互いが理解するために、そういう問題について事前に話し合う機会を持つか、持たないか、こういうことを私は言っておるのですよ。
  235. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) まだ、その問題については、つまり公社化するかどうかという問題だと思いまするが、それらについては、私には意見が固まっておりません。実は、まだ現在のところは、否定的であります。
  236. 向井長年

    ○向井長年君 私は、公社だけの問題を言っておるのじゃないのです。いま長官から、公共事業体と行政の分離を行なってやるんだ、一応答申に基づいて。そういうことが一応いわれて、それに対する具体的な検討をいま始めているはずですね。したがって、そういう問題は、組織、機構の改革になってくるではないか。組織、機構の改革になってくるならば、必ず人員の問題も、あるいは労働条件の問題も付随してくる。そうすれば、組合としては重大な問題であるから、そういう問題は事前に、やはりそういった方向性が固まれば、話し合いを十分すべきではないかということを、私は言っておるので、これはあなた、否定的と言って、公社は否定かもしらぬが、行政分離ということは、一応肯定しておるのでしょう。どうなんですか。
  237. 田中重五

    政府委員田中重五君) 公社かどうかは別といたしまして、行政機構から経営部門を分離するということは、やはり、もしそうするとすれば機構の改革になるわけでございますから、そこで、大臣が申しましたように、そういう機構の改革については、なお検討の段階であって、外に相談するような準備はまだ整っていない、こういうふうに、いま大臣から申し上げたわけでございます。
  238. 向井長年

    ○向井長年君 いわゆる組合との協議ですが、懇談会の形でいまやっているわけですね。ゆるやかな懇談会の形でいまやっておると思うのですよ。それも必ずしも悪いとは言いません。しかし、あらゆる労使問題については、紛争を避けて民主的に、円満に運営しようとするなら、少なくともそういう事業の性格である以上は、やはり事前に、労使協議制というものを採用してやるべきではなかろうか、こう私たちは思うわけなんです。この点について、ひとつ所信をお聞きしたい。
  239. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) これらの問題のみならず、林野庁、また林野庁自体に関するいろいろな問題については、一家同様でございまするから、決してそれらを抜いていろいろな問題を考えるということはないので、現在のところ、そういう点についての何が固まっておりませんのでございます。いま申しましたことは、私は、遠い将来は別として、現在のところはそういう、たとえば林野庁を二つに割って、いろいろ公社的なものをするとか、いろいろの機構の動き方について、大きな動きをやるという問題については、いまのところ私も、はっきりまだ確定はいたしませんが、いま急激に私に御質問になると、いまのところ否定的だ、こう私は申したのでございます。
  240. 向井長年

    ○向井長年君 大臣の言われたこと、わかるのですよ。私が言っているのは、いまの問題にしても何の問題にしても、将来あらゆる問題を民主的に、あるいは法律的に、理解ある運営を行なおうとするならば、事前に労使協議制というのが必要ではないかということを聞いておるので、必要であるならばあると、こういうことを言ってもらったらいいのですよ。
  241. 田中重五

    政府委員田中重五君) いま先生のおことばの、労使協議制とおっしゃったことばが、どういう意味かちょっとわかりかねるのでございますけれども、ただいまも申し上げましたように、労使懇談会を持とうというような考え方は労使の間で進んでおりますので、そういうような場でいろいろ意見の交換はいたしたい、こういうふうに考えております。
  242. 向井長年

    ○向井長年君 大体現業ですから、交渉権はあるわけですね、組合は。したがって、団体交渉は団体交渉で、労働条件の問題、法律上の問題で中心にやられるとして、これはけっこうですが、しかし、事業運営等の、先ほど言った問題については、これはやはり他の民間では、いわゆる労働協約に基づいて経営協議会というものを持っているのです。しかし、それを懇談会のゆるやかな形でいまやっていると思いますが、これはやはり協力を願うためにも、協議制というものを明確にしてやるほうがいいのではないか。こういう意見を私は持っているので、それに対しては、いまのところは懇談会で十分だ、こう言われるのか、あるいは将来そういうことを考えるべきものというのか、どちらか答弁願いたい。
  243. 田中重五

    政府委員田中重五君) いま申し上げておりました労使懇談会というのは、お互いに話が進んでおります形式でございますから、それでまずやってみまして、そうして、もし何か支障でもございましたら、その段階で別のものをまた考える必要があろうかと、こういうふうに考えております。
  244. 向井長年

    ○向井長年君 その問題はそれでおきまして、特に、こういう機構改革等が将来なされる——まだ大臣は決断をしてないということですが、人員整理は絶対やりませんな。言うなれば、行政整理はやらぬ、こういうことは言えますか。
  245. 田中重五

    政府委員田中重五君) いわゆる行政整理といいますか、いわゆる人員整理といいますか、そういうものを行なう考え方はございません。
  246. 向井長年

    ○向井長年君 ところで、現に形を変えて行政整理を行なっているのじゃないですか、形を変えて。ということは、特に林野関係におきましては、勧奨退職とか、あるいはもちろん自己退職もありましょうが、そういう一つの勧告めいた形において行なってきている。これはやはり形は違うが、一種の整理じゃないですか。これはどうなんですか。
  247. 田中重五

    政府委員田中重五君) 勧奨退職の制度は、政府職員に適用される一つの優遇措置だと考えられますが、そこで、いわば自然退職といいますか、そういう退職者のうち、ある一定の要件を満たした者が勧奨退職になるというだけのことになると考えております。それで、そのような退職につきましては、現在行なわれているということであります。
  248. 向井長年

    ○向井長年君 勧奨退職というのは、これは少なくとも性格は、一応勇退して新しい人を採用するという、新陳代謝の意味を持っているとわれわれ思うのです。新陳代謝であるならば、少なくともある程度の年齢に達し、あるいは勇退していく、こういう人たちは優遇して見送ることも、これは必ずしも悪いことばない。  ところで、これは少なくともやはり本人の意思でそういうことがきまらなければいかんので、これを強制的にそういう形をとるということは、現在ありませんか。
  249. 田中重五

    政府委員田中重五君) 強制的にそういうことをやってはおりません。いま先生のお話しのように、一方において新陳代謝といいますか、そういう要望も、職員の間には相当強いということはございます。そういう事情はあるにしても、強制するということで行なってはいないわけでございます。
  250. 向井長年

    ○向井長年君 林野庁では、五カ年計画で、五千名の縮小をするということをいわれていますな。五カ年計画で五千名の人員の縮小をするということを、これはいわれていますよ。これは、林野庁から出した資料に出ていますよ。だから、そういう五千名の縮小ということは、何を意味するのか。現在、新規採用あるいは勧奨退職その他、どういう現状で、この人員の行政を行おうとしているのか、一応明らかにしていただきたい。
  251. 田中重五

    政府委員田中重五君) その五千人につきましては、計画的に五千人というふうにその退職を考えているわけではないのでございまして、現に、先ほどお話にありました退職者の数が年に大体千名程度ある。四十年では大体九百人をちょっと上回る程度の退職者があるかと思いますが、そこで、四十一年度はどうかということについての見込みはあるにしましても、五カ年を計画的にそれで進めていくというふうには考えていないわけでございます。ただ、年にほぼ千人前後あるから、五カ年たてば五千人になるというようなことは言えると思いますけれども、それを計画的に推進していくというふうには考えていないわけでございます。
  252. 向井長年

    ○向井長年君 これはあなたのほうの資料ですがね、これは林野庁の職員の適正配置という立場から、いろいろ行政と経営の分離、あるいは職員の一般の配置転換、こういう問題から見て、昭和四十五年度までには五千名の縮小をはかっていこうと、こういう一つのことで検討しておると、こう書いてあるじゃないですか。
  253. 田中重五

    政府委員田中重五君) その五千人につきましては、いまも私が申し上げましたように、現在の退職者の実態をつかまえて、結果として五カ年たてば五千人という程度のものというふうに御理解をいただけばいいかと考えます。
  254. 向井長年

    ○向井長年君 そうすると、やはりいま言う勧奨退職をはじめ、その他の人員の削減の中から、結局五カ年で五千名をやはりやろうと、まあそうなってくる。したがって、そうやるのだということはいま検討しておるということですね、これは。
  255. 田中重五

    政府委員田中重五君) いまも申し上げましたように、結果として五カ年たてばそうなるだろうということでございます。
  256. 向井長年

    ○向井長年君 しからば、大体林野庁の定員は何名を設定して、そしてそれに対して先ほど言った今後の新規採用、あるいは勧奨退職その他、どういま考えておられるのですか。
  257. 田中重五

    政府委員田中重五君) 現在、林野庁の職員といたしましては、法律定員で約千七十人程度、それから、政令定員で四万二千人程度、これは定員としてでございます。ところで、こういうような定員のあり方が将来どのように設定されるべきであろうかというような目標につきましては、これは先ほど来お話に出ておりました機構の問題等にも関係はあるかもしれませんけれども、その点についてなお結論が出ておりませんし、したがって、将来の定員のあり方についてお答えする用意がございません。いずれにしましても、先ほど申し上げましたいわゆる人員整理、行政整理という考え方はないわけでございます。
  258. 向井長年

    ○向井長年君 定員四万一千、あるいは四万二千、こういうところに設定しておるようですが、それ以外に常用というのがあるんじゃないですか。
  259. 田中重五

    政府委員田中重五君) いわゆる定員外作業員といたしまして常用作業員というのがございます。常用作業員は現在大体一万人ぐらいでございます。
  260. 向井長年

    ○向井長年君 そうすると、勧奨退職、あるいはその他退職等で、新規採用というものは、これは毎年いろいろやっておられますね。新規採用というのは実はどういうものをさしているか、少なくとも新しく採用するということであるならば、あるいは新陳代謝という立場から考えるならば、やはり学校を出た新しい人たちをどんどん養成していくということがわれわれの通念なんですがね。そういう形で新規採用ということをとっていいのですか。
  261. 田中重五

    政府委員田中重五君) 普通、新規採用といいます場合は、いわゆる四級職でございますか、現在では高等学校を出た人たち、あるいは中級職、あるいは上級職、そういう人たちについて普通いわれております。
  262. 向井長年

    ○向井長年君 そうすると、一応こういうことですか、勧奨退職等で、先ほど言われたように、千名程度年々やめていく、そうすれば、それを補充するには新規採用でこれを採っていくと、いま言われたような通念で採っていくと、こういう考え方に理解してよろしいですか。
  263. 田中重五

    政府委員田中重五君) 新規採用という場合にはそういうふうなお話しの意味でいいかと思います。
  264. 向井長年

    ○向井長年君 新規採用以外に採用することはありますか、定員補充。
  265. 田中重五

    政府委員田中重五君) 新規採用以外に、いままで林野庁といたしまして行なってまいりましたのは、たとえば定員化の問題であるとか、あるいは定員繰り入れ、あるいは、また、欠員補充というような場合がございます。
  266. 向井長年

    ○向井長年君 これは本年度どうなんですか。これはきのうの新聞に出ておるのですが、大臣、四十一年度まで国家公務員の欠員補充を延ばす、これは去年やりましたね、一年延ばすということで補充しないということに閣議できまっておるでしょう。こういうことは林野庁はそういうことはない、やるのだ、こういうことなんですか、大臣。閣議決定との関係はどういうことなんですか。
  267. 田中重五

    政府委員田中重五君) その欠員不補充の閣議決定につきましては、これは一般会計の職員について定められたものでございまして、国の行なう企業体、現在公労法適用の公共企業体になっておりますけれども、この企業体につきましてはその例外に定められております。
  268. 向井長年

    ○向井長年君 そうすると、いま言う定員補充とかいろいろな問題については、行管と十分それは相談されての意見ですか。それは行管のほうでもよろしいということになっておるのですか。
  269. 田中重五

    政府委員田中重五君) この欠員補充、その他その職員の定数の問題につきましては、先生のお話のとおりに、行管ともよく相談をいたしましてきめなければならない問題でございます。
  270. 向井長年

    ○向井長年君 特にいま常用でしょうが、この常用の中から機械関係等二千七百名程度を今度は定員に繰り入れるんだと、こういうことを言われておると思うのです。これはやはり先ほど申しましたように、行管と十分相談されて結論が出ての問題であるのか、この点どうなんですか。
  271. 田中重五

    政府委員田中重五君) この機械要員を定員にするという問題につきましては、以前の定員化問題との関連におきまして、かねてから行管とは十分に協議を進めてまいっている問題でございます。それで、そのために行管は国有林野事業の実態等も調査をしたり、そうして、また、その結果によって林野庁と相談をしたりいたしまして、そうして今日まで進んできておる問題でございます。それで、そういう意味合いにおきまして、この機械要員の補充につきましては、この事情について行管も御承知ではあります。で、今後もそういう意味でよく行管と相談をしながら進めていかなければならない、こういうふうに考えております。
  272. 向井長年

    ○向井長年君 ぼくはちょっとこれね、行管のほうを調べてみたのですが、そういうことは行管は了解を得ていないわけですね。これから得ようとするのか。二千七百名を一応定員化するということについては、行管と連絡し、協議済みでございますか、その点どっちなんですか。これからしようとするのか、もうそれは済んでおるというのか。
  273. 田中重五

    政府委員田中重五君) いまのお話のございました欠員補充の問題、これにつきましては、先ほど私が申し上げましたような理由で、これは行管として認めているわけでございますが、そこで、いまお話の出ました機械要員の補充につきましては、今後も行管とはよく相談をして進めていかなければならない問題だと思っております。
  274. 向井長年

    ○向井長年君 いま長官のお話では、行管とはまだそれは結論ついていない。一応これから今後も協議し、了解を求めていきたい、こういうことであるならば話はわかりますよ。しかし、二千七百名の定員化ということについては、もう行管とも話がついているということであるならば、これはおかしい。そうではないと私は言いたいのですよ。ぼくも調べました。こういうまだ行管とも話がついていない問題が、もう定員化だというようにあなたのほうでは発表されていますね、そうではないですか。そういうことでいいのですか。
  275. 田中重五

    政府委員田中重五君) その点は、いまも申し上げましたように、行管とよく話をしなければならない問題でございます。それで、行管と話をつけたというような発言はいままで一回も行なってはおりません。
  276. 向井長年

    ○向井長年君 いや、そういうことを私が言っておるのじゃなくて、外部的に、二千七百名の定員化をするということを一応外向けに出した以上は、少なくとも、それは行政管理庁とも十分連携をとりつつ、それがそういう形において出されるのは当然であって、一応試案として持っていることはいいと思う。しかし、これはあなた組合に発表したでしょう、組合に。そういう形はとられたと思う。
  277. 田中重五

    政府委員田中重五君) この機械要員の欠員補充については、これを欠員補充という形で持っていきたいという考え方を行管に話をし、そういう方向で今後検討してまいりたいというふうに考えているわけでございます。それから、なお、そういう問題につきまして労働組合のほうから質問がございましたので、その時点における見解を話をしたということで、いわゆる発表したということではございません。
  278. 向井長年

    ○向井長年君 そうすると、まだこれは正式結論じゃないから、だからどうなるかわからぬと、一つの意図であると、こういう解釈をしていいですか。ということは、一組合においては、そうなるものとして下部にも情報を流していますよ、現にね。そういうことで、まだ行管とも相談しなくて結論が出ていないものをそういうことを言うならば、各職員、あるいは組合においては、これはこうなるものだということを組合員にこれは情報として出している。そういうことは、これはまだそういう域の段階じゃないのじゃないですか。少なくとも結論を持って、こうなりましたということならば、私は堂々と内外に出していいけれども、そういうことじゃないのじゃないですか。
  279. 田中重五

    政府委員田中重五君) その点につきましては、労働組合に話をしますときに、関係各省に十分に話をしなければならないということをはっきり申し添えてございます。で、機械要員の欠員補充についての林野庁としてのその段階の考え方、これを話をしたわけでございます。
  280. 向井長年

    ○向井長年君 それからね、長官、こういうもののやはり懇談会なり、あるいは団交なり、こういう中でいろいろと話をされることはけっこうなんですが、少なくとも、幸か不幸か知らぬが、林野庁には二つの組合がありますね、その二つの組合に対して公正な取り扱いをしておりますか。不公平な取り扱いしないか、どっちなんですか。
  281. 田中重五

    政府委員田中重五君) それは公正、かつ、適正に取り扱ってまいっておりますし、今後もそういう考え方で進めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  282. 向井長年

    ○向井長年君 まあそれは答弁としてはそうするでしょう。しかし、公正じゃないですよ、われわれ調べてみますと。いま言うこういう重要な問題について、一組合に対しては、それはできませんそれはできませんというかっこうで、やりませんやりませんというかっこうで回答がきているのですよ。そして一組合においては、こうやりましょうということを決定された。その後五日か一週間たって初めてこうなりますということを言っているのですな。これはちょっとおかしいのじゃないですか。大臣、どうなんですか、そういう運営のしかたは。
  283. 田中重五

    政府委員田中重五君) まあその点、先生のお話の気持ちはよくわかるわけでございますが、で、たまたまそういう質問がございましたので、それでこちらのほうから積極的に発表しようという考え方があったわけではございませんが、そういう話がございましたので、あらためて内部の意見をまとめた上でそういう質問に対して話をしたと、こういうことでございます。
  284. 向井長年

    ○向井長年君 そういうこと、あまり長く言う必要ないと思いますが、とにかく、やはり幸か不幸か知らぬが、とにかく二つあるわけですよ、林野には。そういう一組合に対しては一やはり少なくとも公正に一つ方向というものを、やはり同じように二つの組合に公平に言わなければならぬが、一方においては、できませんできませんということを言ってきて、あるいは、やりませんやりませんということを言ってきて、他方においては、日をおいて、やりますというかっこうでは、これは不公平と言わざるを得ない。この点は大臣もひとつ銘記して、今後公正な取り扱いをしてもらうように、強く要望しておきます。  それから、同時に、もう一点、時間がございませんので、できるだけ協力したいと思うのですが、この国有林野の経営について、いわゆる直営直用、あるいは請負、こういう形でやっておられると思うのですね。この問題について、この四十一年度の予算を見ましても、大体請負化の方向をいままでとってきたと思うのですよね、請負化の方向を強く。今度は直営直用でこれを拡充していくと、こういう方向のようですが、事実そうですか。
  285. 田中重五

    政府委員田中重五君) これも請負化の方向を積極的にとってまいったということではないわけでございます。それで、請負の事業につきましては、臨時的に作業員が短期間に大ぜい必要とするというような場合がある場合、あるいはまあ事業自体が臨時的であるというような場合、まあそういう請負事業で片づけていきたいというような場合を除きましては、やはり直営直用事業で進めてきたわけでございますが、なお、この点につきましては、やはり国有林野事業というものの性質から見まして、たとえばその林業労働者の確保、それから林業労働者の技術の向上、あるいは地元の雇用対策、そういう面から考えましても、直営事業はこれを広げていこうというような考え方でいるわけでございますけれども、また、四十一年度予算におきましては、そういう意味で請負化の方法予算を組まれているというふうには編成していないわけでございます。
  286. 向井長年

    ○向井長年君 簡明に答えてください。時間がないので、こちらも簡明にやりたいと思います。  大臣が、三月二十五日の農林水産委員会ですか、そこで直営直用を拡充していきたいということを答弁されているのですよ。過去の実績を見ると、これは直営が減っておるのです、そうでしょう、違いますか、減ってますよ。したがって、請負関係は四十年以降五カ年どういう種類になっておりますか。ここで見ますと、大体おそらくこれは製品と造林でしょう、中心は。一番大きな問題は。そういう中で、三十五年から三十九年までの間ずっと減ってますよ、この造林も、あるいは製品も。このように減っておるにもかかわらず、今度は拡充していくということになれば、過去においては請負が多いということですよ、現に。それを今度これを直営直用にするんだ、請負は少なくしていくんだということを大臣は言明されておる。それを変えられた一つの大きな理由は何ですか。
  287. 田中重五

    政府委員田中重五君) 直営生産事業と立木請負との比率はほぼ三対七になっておるわけでございますが、大体そういう形で推移しておると思います。それで、将来に向かって直営事業を広げていくという考え方につきましては、先ほど申し上げましたように、国有林野事業としての性質から言いまして、また、林業経営という面の立場から見まして、やはり直営直用の面で仕事を進めていくほうが妥当だというふうな考え方を持っておりますので、大臣からそういう答弁をしたわけでございます。
  288. 向井長年

    ○向井長年君 そうすれば、特に造林あるいは伐採、輸送、こういう問題について、ひとつ長期の見通しを出してください。あるいは、また、直営直用に対する具体的な計画を出してください。いま出ますか。
  289. 田中重五

    政府委員田中重五君) 現在、事業の計画は、それぞれ経営計画というのがございまして、それでこの経営計画の中に、もしこれが丸太の生産でございますと、立木処分、あるいは製品というふうに分けまして経営を進めているわけでございまして、まあそれのそれぞれの編成の時期がまちまちでございますが、将来それをどういう方向で——方向としてはいま申し上げましたようなことでございますけれども、どういう率で持ち込んでいくのかということにつきましては、まだ申し上げられるだけの結論を得ていないわけでございます。
  290. 向井長年

    ○向井長年君 いま直ちにそういう見通し資料は出ないと思いますが、これはまあ早急に計画資料を出していただきたいと思います。これは要望しておきます。  それから、時間がございませんから、もう一点で終わりますが、大臣にひとつ特に答弁願いたいと思います。林野庁の職員の賃金は特に非常に安いのですね、安いでしょう、これはお認めになると思います。先般の委員会でもそういうことが答弁されております。これは民間のパルプなり木材なり、そういうところと比較した場合、あるいは、また、公務員と比較した場合、非常に安い賃金で、たとえば公務員においても三千七百円、あるいは現業、公社においては二千八百円、われわれのほうではそういう一つの経緯があると思います。今度は賃金を二つの組合が要求されまして調停にかかっておると思います。それで、これはほかの現業、あるいは公共企業体とも非常に関係を持っておりますけれども、これはまず第一に大臣に、この賃金は安い、安いから上げなければならぬという考え方を持っておられるのかどうか、これをまずお聞きしたいと思います。
  291. 田中重五

    政府委員田中重五君) 作業員のことから……。
  292. 井川伊平

    主査井川伊平君) 大臣に対する御質問だったが、大臣、答弁しないのですか。——それでは林野庁長官
  293. 田中重五

    政府委員田中重五君) お答えいたします。  作業員の賃金につきましては、これはその比較するものは地場の同一職種の賃金ということになると思いますが、国有林野事業の作業員の賃金は、その地場の賃金に比べまして必ずしも低位にあるというふうにも考えていないわけでございます。それから、一方、定員内の職員の給与につきましては、これはたとえば三公社五現業というようなものとの比較が一番適当かと思いますけれども、これはなかなか把握しがたいので、一般公務員との比較、これをいつも頭に置いているわけでございます。で、これにつきましては、ただいまのところ、その比較においてどうなのかを検討をいたしておるわけでございますが、ちょうどたまたま定員内職員の給与につきましては、公労委の調停にゆだねられている段階でございます。
  294. 向井長年

    ○向井長年君 これは一般公共企業体なり三公社五現業にも言えることでございますが、当事者能力の問題ですが、これは少なくとも、やはり何と申しますか、当事者が十分この賃金問題については理解ある一つの回答を出さなければならぬし、あるいは話し合わなければならぬ、こういうことになっておるのですが、法律で、結局それ以上予算上の問題については国会の承認を得るとか、いろいろな規定があるわけですよ。いま公務員制度審議会でこの問題は問題になっておる。したがって、少なくとも現業をあずかっておる農林省においては、そういう審議会の中で、やはり当事者が堂々と組合と話し合って、そうして解決のつけ得られる制度をつくらなければならぬ、こういうことについて大臣はどういう所信を持っておられますか。どうもいまであれば他人まかせのようなかっこうで、何ら具体的に当事者で話し合って解決できないという状態です。この問題について大臣の所信をお伺いいたします。
  295. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) ただいま向井委員から仰せられた御趣旨どおりだと思いますので、私も組合の諸君とときどきお会いしてはいるのでありますけれども、いまちょうどいろいろ国会中でございますので、十分な話し合いもできませんが、できるだけそういうふうにつとめたい、かように存じております。
  296. 向井長年

    ○向井長年君 時間がございませんので十分質問できなかったのですが、何はともあれ、先ほど申しましたように、労使の紛争をなくして、できるだけ円満に話し合っていくという姿勢が必要だと思います。そのためには、まず、先ほど言ったように、幸か不幸か知らぬが、二つ組合がある、これについては公正にやはり対処するということと、そして、いま大臣が言われましたように、労働条件等の問題については、十分ひとつその態度をきめて取りかかっていただきたい、こういうことを強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  297. 井川伊平

    主査井川伊平君) 以上をもちまして農林省関係に関する質疑を終了したものと認めます。
  298. 井川伊平

    主査井川伊平君) 引き続き、昭和四十一年度総予算中運輸省所管を議題といたします。  まず、政府側から説明を求めます。中村運輸大臣
  299. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) 昭和四十一年度の運輸省関係予算について御説明申し上げます。初めに、予算の規模について申し上げます。  まず、一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は、二十三億五千五百万一千円、歳出予算総額は、他省所管計上分百六億八千四百二十三万二千円を含み、一千百六十六億五千百九十六万一千円でありまして、この歳出予算総額を前年度予算額と比較いたしますと百四十五億三千六百五十三万六千円の増加となっており、約一四%の増加率を示しております。  この増加額の内訳を見ますと、行政費では七十一億六千三百三十三万九千円、公共事業費では七十三億七千三百十九万七千円の増加となっております。  次に、特別会計について申し上げます。  まず、木船再保険特別会計の歳入歳出予算額は三億七千百五十一万五千円で、前年度に比較して約五千万円の減少となっております。  自動車損害賠償責任再保険特別会計につきましては、加入対象車両数の増加と、新たに原動機付自転車を保障事業の対象にすること等によりまして、歳入歳出予算額を前年度予算額の約五割増に当たる九百五十六億三千五百二十二万四千円といたしております。  港湾整備特別会計の歳入歳出予算額は、新港湾整備五カ年計算の第二年度として港湾の整備推進するため、前年度より約七十五億円を増額して六百二十七億八千八百四十万八千円といたしております。  自動車検査登録特別会計の歳入歳出予算額は二十二億七千四百七十一万五千円で、前年度に比較して約四億九千万円の増加となっております。このほか、昭和四十一年度財政投融資計画中には、当省関係分といたしまして、約三千九百二十六億円が予定されております。  昭和四十一年度予算におきましては、当省は、経済、社会の発展に伴って、投融資不足の弊害が目立つ交通関係社会資本の充実をはかり、国際収支の安定のため、貿易外収支の改善と、船舶、鉄道車両等の輸出の振興につとめることとしております。また、物価安定に資するため、生産性の低い運輸関係事業の近代化と基盤強化をはかり、さらに、交通機関の基本的使命である交通安全対策を推進すること等に重点を置き、諸施策を積極的に推進する所存であります。  次に、昭和四十一年度日本国有鉄道予算について申し上げます。  四十一年度の予算の編成にあたりましては、まず、四十一年度におけるわが国経済の見通し及び国鉄輸送需要動向並びに運賃改定による増収を考慮して収入を見積もり、損益勘定において収入支出予算八千五百三十八億円計上し、資本勘定において収入支出予算四千四百十三億円を、工事勘定において収入支出予算三千六百億円を計上いたしまして、新長期計画の第二年度として、引き続き、大都市通勤輸送の改善及び主要幹線の輸送力増強並びに保安対策の強化等を推進してまいりたいと考えております。  運輸省関係予算の部門別の重点施策の概要につきましては、お手元に配付いたしてあります昭和四十一年度運輸省予算の大綱及び昭和四十一年度日本国有鉄道予算説明によりまして御了承を願いたいと存じます。  なお、お手元に配付してあります予算説明につきましては、主査におかれまして会議録に掲載していただくよう御配慮をお願いいたします。
  300. 井川伊平

    主査井川伊平君) おはかりいたします。運輸大臣の御発言中にありましたとおり、以下の説明速記録に載せることに取り計らいたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  301. 井川伊平

    主査井川伊平君) 御異議ないものと認めます。そのとおり取り計らいます。  これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。まず、鈴本強君に御発言を願います。
  302. 鈴木強

    ○鈴木強君 最初に、海洋丸の釈放の問題についてお尋ねいたしますが、不当に抑留されておりました海洋丸を釈放するという正式な公電が昨夜おそく入ったようでありますが、そこで、海上保安庁は、この海洋丸の引き渡しの任につかれたと思いますが、すでに無事にこちらに引き取ったかどうか、最初にお伺いしたいと思います。
  303. 猪口猛夫

    説明員(猪口猛夫君) お答え申し上げます。  昨晩公電が入りましてから、私のほうで巡視船で引き取り準備をやりまして、本日午前十時三十分、予定の位置で第五十三海洋丸を引き取りまして、洋上におきまして手続を終わり、目下壱岐に曳航中でございます。
  304. 鈴木強

    ○鈴木強君 たいへん御苦労さまに思います。で、当時巡視に当たっておったのは「ひらど」であったのでございましょうか。
  305. 猪口猛夫

    説明員(猪口猛夫君) 当時と申しますと、臨検拿捕のあった当時だと思いますが、そのときは「せんだい」が哨戒しておったわけでございます。
  306. 鈴木強

    ○鈴木強君 まだ途中のようですから、詳細な報告はないかと思いますが、末広船長以下元気であったかどうか、健康状態一それから、特に専管水域内であったというように、何か署名してそういうことを認めたというような情報があるのですけれども、その点など、その後判明している点がありましたらお知らせ願いたいと思います。
  307. 猪口猛夫

    説明員(猪口猛夫君) 先ほど申しましたように、本日午前十時半引き取ったばかりでございまして、第五十三海洋丸の船長につきましては、直ちに当方の巡視船「ひらど」に引き取りまして、船は巡視船で曳航しながら、船内で船長が、第五十三海洋丸の船長につきまして取り調べておる次第でございます。まだその間の事情は入電いたしておりませんが、第五十三海洋丸は壱岐で第五十二海洋丸と邂逅いたしまして、午前零時ごろ下関に入港の予定でございます。途中洋上で、船内におきましても、また、下関に入港いたしました後は、先ほども先生申されましたような事情につきまして、十分調査する予定になっております。
  308. 鈴木強

    ○鈴木強君 次に、運輸大臣にお尋ねいたしますが、悲惨な全日空の事故が起きまして、かなり日数もたったわけでありますが、その後この事故に関連をするまず遭難者の遺体捜査については、これはもうたいへんな御苦労をいただいておるのでありますが、その後の捜査の状況ですね、これを伺います。
  309. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) 海上保安庁のほうから詳細に答えさせます。
  310. 猪口猛夫

    説明員(猪口猛夫君) もうすでに御承知かと思いますが、あと四遺体残して現在に至っておるのでございますが、捜索の態勢は、現在も、それから、百二十九遺体を引き上げたときの状況も、全然変わっておりません。ただし、ごらんのように、高気圧が張り出しまして、いわゆる西高東低の冬型の気候になりましたので、昨今十三メートルないし十五メートルの風が吹いておりますので、底びき漁船が操業不可能という状況で、残念ながら、この四、五日は底引き捜索ができないというので、巡視船による浮遊遺体の捜索を続行いたしておる次第でございます。なお、天候回復次第、底引き漁船による捜索も続行したいということで、態勢を整えております。
  311. 鈴木強

    ○鈴木強君 これは大臣も当時言われておりましたように、全部の遺体が引き上がるまでは捜索はやめない、こういう方針には変わりないわけですね。
  312. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) あと四遺体を残すのみとなりましたので、最後まで遺体の引き上げに全力を注ぐ方針に変わりはございません。
  313. 鈴木強

    ○鈴木強君 それから、遺族に対する補償はどういうふうになされたのでしょうか。
  314. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 遺族に対しましては、とりあえず葬祭料として四十万を差し上げる手配を会社はとったのでございますが、それ以外の補償につきましては、まだ遺体捜索続行中でございますし、具体的な話は進んでおらないようであります。
  315. 鈴木強

    ○鈴木強君 これは航空機に対する災害保険というのですかね、搭乗した場合のそういったものもあると思うのですが、遺体が全部が引き上げられないのできまってないということなんですが、すでに遺体の見つかっております方は百二十九名おられるわけでしょう。ですから、全部上がるまでは補償はしないということですか。
  316. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 現在の段階の事情を申し上げたわけでございまして、ただ、御遺族の方にはいろいろな生活の御事情等もおありのようでありますので、会社といたしましては、十分その支払いに応ずる用意があるということを申しておる次第でございます。ただ、現実にはまだ補償の話は進んでいないという事情を申し上げた次第でございます。  それから、先生御指摘のように、航空機の事故によりまして被害を受けられました方に対する賠償の責任につきましては、会社が保険を付しております。したがいまして、この賠償責任保険金等も含めまして賠償に当たるということに相なるわけであります。
  317. 鈴木強

    ○鈴木強君 これはひとつ、それぞれ遺族の方のお考えもあると思いますが、補償の点については万全の対策を立てていただくように、これは特に私からも要望しておきたいと思います。  それから、これの原因の追及は調査委員会も設置されて慎重にやられていると思いますが、いままでの調査の結果、大体どういうところに原因があったかということはつかめておるのでございましょうか。
  318. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 今回の事故は非常に重大な事故でございますので、先生御承知のように、日本大学の木村教授を団長とする事故技術調査団を特に編成いたしまして、二月七日以降、現在までに八回の総会及び六回の現物小委員会を開きましたし、本日三月三十日は実機を使用いたしまして事故機の推定飛行経路を飛行いたしまして、当時の機体状況等を調査をいたしておる状況でございます。現在までの調査の段階といたしましては、総会並びに現物小委員会、あるいは実機の調査等で当時の状態を詳細に現在調査を進めておる段階でございまして、まだ中間的に何らかの結論を出すような状態には至っておらないわけでございます。
  319. 鈴木強

    ○鈴木強君 まあこの結論を出すまでには相当な期間が必要であることはわれわれもわかるわけでございますが、現にボーイング727という飛行機は運航しているわけでありますね。したがって、その後も世界の各地とは言わないんだが、事故を起こすような状態も出ておるように聞いております。したがって、できるだけ早くその結論を出して、そして改善すべき点は改善する。われわれは、むしろ、この前も申し上げたように、事故原因が追及できるまでは運航を停止したらどうだろうか、こういうふうに申し上げたくらいなんです。ですから、大体おおよそこれはいつごろをめどに結論を出そうとしているのか、まあ見通しですからむずかしいと思いますが、伺いたい。
  320. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 御指摘のように、現在実用に供している航空機でもありますので、われわれとしましては、慎重でありながらも、かつ、迅速に、できましたならば、われわれの希望としては二カ月以内ぐらいにという希望も実はお話をしたわけでございますが、しかし、何といたしましても、やはり技術的に十分内容を詰めていただくということでございまして、まだ現在のところ、調査団のほうとしていつというようなめどはつけておられないわけでありますが、しかし、われわれとしては一日も早くということを希望としてお願いをいたしておる次第でございます。
  321. 鈴木強

    ○鈴木強君 これはアメリカ製の飛行機でありますから、アメリカの技術者、それから製造会社——ボーイング社ですね、そういうふうな関係の各位はどうなっているのですか、この事故調査委員会との関係は。たとえばこちらから向こうに出かけて行って現地調査をするとか、あるいは先方からこちらに来ていただいて、この調査委員会の中でいろいろとただすべき点はただしていくとか、そういう点は運営上やっておられるのでございましょうか。
  322. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 御指摘のように、事故機は米国製でございますので、米国の事故調査の専門機関でありますいわゆるCAB——民間航空委員会並びにFAA——連邦航空局からも専門家が参りまして、われわれの調査に協力をいたしておる次第でございます。同時に、航空機の製造会社からも参っておりますので、必要があればいつでも専門的な知識を供給することができるという話もございまして、この調査団におきましても、随時必要に応じまして参考人として出て話をしてもらう、あるいは米国の事情を聴取するということも、従来の調査の段階において実施をいたしております。
  323. 鈴木強

    ○鈴木強君 アメリカには調査に出かけたんですか。
  324. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 現在までの段階では、こちらからはアメリカに調査に行くというようなことはいたしておりません。
  325. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうしますと、会社かCABかFAAか、いずれにしても、そういうアメリカの関係者が常にこちらに常駐をして、この調査団の意見に沿っていつでも出ていただく、こういう態勢をとっていただく、こういう態勢をとっているわけですか。そのつど向こうから呼ぶということですか。
  326. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 当初は相当の人員が来まして、すでに帰国した者もございますが、現在も専門家は残っておりまして、調査に協力をいたしております。
  327. 鈴木強

    ○鈴木強君 それから、二十五日の午前十時五十分に、千歳空港に着陸しようとした日航のコンベア880型の飛行機、これは松井機長で、乗客は九十四人、この飛行機が、無資格の管制官の不手ぎわな着陸誘導のために再度着陸をやり直した。これは機長の非常に時宜を得たかんによって、一度着陸しかけた飛行機がまた上空に上がって事故を免がれた、こういう事件がございますね。私はこの新聞の記事を見まして驚いたことに、いまも申し上げましたような無資格管制官が誘導に当たっておったということです。われわれが、あれだけ全日空やBOACやカナダの飛行機等の事故が相次いで、航空管制についてあれだけうるさく国会で追及しまして、十分な体制をつくり、定員を考え、待遇を考え、機器を考える、こういう御答弁をいただいておるにかかわらず、応機を移さずこういう事態が起きるということは一体どういうことですか。私は、日本の航空行政というものはきわめて重大な要素を含んでいると思うんですよ。こんなばかげたことが現に起きているじゃないですか。どうして無資格の管制官がこんな誘導をしたんですか。この事実をひとつ説明してください。
  328. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) これは事実がわかりましたので御報告を申し上げますが、実は管制を運輸大臣から防衛庁長官に委任をいたしておるところでございますので、防衛庁の実施しておる業務でございます。内容といたしまして、したがいまして、われわれが防衛庁に照会して得た事実でございますが、いま先生お話の中に、現実に管制を行ないましたものは、御指摘のように、管制の見習いの職員であったようでございます。ただ、それには監督官がつきまして、監督官が十分そのうしろに控えて、この管制の指導をしておったという状況であるようでございます。なお、若干詳しく経過を申し上げますと、九時五十九分にまず管制に連絡があった。それからちょうど十時にレーダーに連絡があって、いわゆるレーダー・コンタクトをして、十時十二分ごろ約五マイルの点から誘導を開始したというような状況のようでございますが、いま御指摘のように、十時十三分三マイルで最後のコースに入ろうとしたときに、コースをはずれたので、いま御指摘のように、航空機側でいわゆる着陸復行態勢に直ちに入った。管制のほうでも監督官がすぐうしろに控えておって、いわゆるゴー・アラウンドを指示をしたということでございます。しかし、いずれにいたしましても、こういうような事態は、先生御指摘のように、望ましくないことでありますので、われわれとしても十分防衛庁と連絡をとりまして、見習管制官の実習のしかたその他につきましては、将来十分に慎重にやっていただくように連絡をとっておる次第でございます。
  329. 鈴木強

    ○鈴木強君 これは大臣、非常に問題があると思うのですね。要するに民間航空機と自衛隊機、あるいはまあ米軍機ですね、こういったものが同一飛行場を使っているケースが他にもあるわけです。ですから、運輸省として、少なくとも民間航空の監督をあずかっており、その絶対的な安全を保障する問題について委託をしておるから、それは向こうの責任であって、運輸省としてはこれに対して介入できないということは私はないと思うのです。少なくとも、あなたが防衛庁長官にかりに委託をして仕事をしていただくとしても、その点に対する絶対保障というものをやっぱりとっておく必要があるのじゃないですか。少なくとも、日常どういうふうに私はやられておったか知りませんが、こういう具体的に無資格の者が誘導するというような事実が起きた以上は、これをただそのまま放置しておくということは断じて許されない。これは委託をしたことはどういう条件になっているか、私はどのくらい向こうに金を運輸省からやっておるのかよく知りませんけれども、一体どういう権限に基づいて、どういうことをどういうふうに防衛庁に委任しているのですか。
  330. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 航空法第百三十七条に委託の根拠があるわけでございます。この百三十七条の規定に基づきまして、具体的には運輸大臣と防衛庁長官の間に、その仕事のやり方に対する覚え書きをかわしておりまして、運輸大臣は、管制業務の統一ある実施を確保するために必要があると認めるときは、防衛庁長官に委任した業務の実施の方法等について助言し、または勧告することができるというようなことで、その斉々たる実施をはかる覚え書きをかわしておるわけでございますので、私が申し上げておりますのも、その趣旨に沿ってひとつ十分に連絡をとって、斉々たる管制業務を実施するように今後ともする必要があるという法令上の規定を御説明申し上げておる次第でございます。
  331. 鈴木強

    ○鈴木強君 これはまあ航空法何条とか、それは皆さんも一つのよりどころがあってやっていると思います。しかし、そんなものは条文によってどうとかこうとかいうことでなしに、現実にこういう問題が出てきた場合、もしまずい点があればこれを改めて、やはり航空局並びに運輸省が全責任を持って誘導保安に当たるということがたてまえでなくちゃいかぬと思います。問題は、もう自衛隊の飛行機と民間機が一緒に飛んでいるという飛行場があるから、これはけしからぬのであって、本来そういうものは分離して、運輸省として責任を持っての保安体制ですね、誘導体制というものをつくることが筋じゃないですか、それが筋でしょう。大体委任するということが間違いでありまして、同じ所を使っているからそういうことになる。要するに、もう一つの飛行場というものを自衛隊さまの思うようにやるのであって、そこへ民間航空機が乗っかっておるというようなかっこうじゃないですか。だから人命尊重——いまジェットで五十分か一時間で行っております。かなりこれは伺ってみればわかるのですけれども、冬季ば除いて、夏季なんかはかなり旅客も多いですよ。そういうものをあなたまかせでおるなんというところにこれは問題がある。これはまあ航空局長は事務的に法律や規則に基づいて覚え書きを結んでやっておられると思うのだが、問題は運輸大臣で、これは政治的な問題ですからね。あなたは、こういう事件が起きて、幸いにまあこれはパイロットの機敏な措置によって事故を免れておりますが、少なくとも、この飛行機には九十四人が乗っておった。これはこのままじゃ済まされないでしょう。何らかの対策を立てて、完全な人命保証をやる必要があるでしょう、これは厳重に。これは私は覚え書き違反だと思います。あなた方は無資格の管制官でもよろしいなんということを言ってるはずがないんだから、一定の基準を設け、訓練を受けて経験を持った一人前の人が航空官として当たることになっているはずなんだから、そういう落ち度については、きびしくこれを追及しておく必要があるでしょう、事故を再び起こさないためにも。幸いにしてこの事件はこういうことで済んでおりますから、世間の問題になりませんけれども、捨てておけませんよ、重大問題ですよ。だから、大臣として責任ある立場に立って、この問題の解決に最善を尽くしてもらいたいと私は思いますが、いかがでございますか。
  332. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) この問題は、御承知のように、防衛庁のほうに委任して管制をやってもらっておりますが、私も、いま鈴木委員が仰せられるように、今回の一つの事故を起こした原因というものは、いわゆる無資格者が練習の形でやっておったということだろうと推測もするのであります。少なくとも、民間機に一般の人が乗っておる、乗客の乗っておる民間機に対して練習をすることは厳重に差しとめるように防衛庁と話し合いをしたい、かように考えております。
  333. 鈴木強

    ○鈴木強君 また自衛隊の演習に民間機が使われたんじゃかなわぬから、その点は注意すると、これはけっこうでした。しかし、それでも問題は解決しないのであって、根本的には、民間航空というものと自衛隊の飛行場というものを、飛行場の選別をする必要がある、分けることが必要だと思いますね。これはにわかにはなかなかできないと思います。できないが、そういう方向に基本的にはやっていきませんと、これは一つだけでなくて、随所に、大臣承知のとおり、あるわけですから、それが根本にならざるを得ないでしょうね。ですから、そういう方向政府としても航空行政のあり方を持っていっていただくということについて、時間がかかり、金がかかり、いろいろな困難があるかもしれませんが、それをやはり克服することがなければいけませんね。その点をあわせて、どうでしょう。
  334. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) 将来、いま鈴木委員も言われますように、自衛隊の飛行場と民間飛行場とは、できるだけやはり別に設置していくという方向検討をしたいし、さらにそういう方向で行政を進めてまいりたい、かように考えております。
  335. 鈴木強

    ○鈴木強君 そこで、私はひとっこれはお伺いしたい。航空局長にも大臣にもお伺いしたいんですが、昨年の補正予算の際に、私が非常に時間のない中で早口で言いましたから、あまり関心を得られなかったんですが、実は、私は昨年の補正予算の際、運輸本省の予算書を拝見しまして驚いたのに、補正要求の中に修正減少額というのがございます。この項目を見てみますと、たとえば航空機の検査機器購入費は五十九万三千円減らされている。それから、航空保安施設飛行検査庁費、これが四百九十六万八円、それから、航空機運航費、これはどういうのか、あとから伺いますが、これが四百十五万四千円、それから、各所修繕ですね、これが十八万八千円、こういう問題がある。航空機検査旅費、これは額は十二万円でありますけれども、これが減らされている。それから、研修旅費というのが六万八千円減らされている。それから、航空管署のほうで、空港照明施設維持費が千四百七万一千円、航空路照明施設維持費が二十二万円減らされている。これはいずれも航空の安全を期するために最低限度必要だとして予算を要求し、われわれは認めたはずです、国会で。ところが、財源が不足するという理由のもとに、こういう大事なところまでメスを入れて予算を削減しておる。口には保安設備を拡充する、機器を整備する、こう言っておきながら、やってござることは、大事な予算を一律的に五%なら五%という大蔵方針に基づいて削ってしまったじゃないですか。今度のこのばかげた予算の修正というものはないということをあのときに私はあなたに申し上げたはずだ。もしこれらの問題が修正されずにやっておったら、あるいはもう少し安全が確保されたかもしれない。これは仮定のことですからわかりませんが、こういうことに対して大臣はべんべんとして、大蔵から言われた場合に、本省の予算を査定されてしまって減額をされるということはどうしたことでしょうか、これは。私は具体的にこの航空機検査旅費、研修旅費、航空機検査機器の購入費、以下私が申し上げました保安施設の飛行検査庁費、こういうものの内容も聞きたいと思いますが、こんなばかげた予算の修正はない。これは大臣どうですか。なぜやめさせなかったのですか。
  336. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) 航空局長から答弁させます。
  337. 鈴木強

    ○鈴木強君 航空局長じゃないよ、あなたが査定したんだもの。
  338. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 先生御指摘の、本省航空行政費を補正減して十分仕事ができるかという御趣旨の御質疑でございますが、われわれとしては、一般に節約をするという方針でございましたので、そのうちの機器等で、特に年次を繰り下げその他のやりくりをいたしまして、どうやら安全上いけるというようなものを選びまして、実はそういうような補正減というような措置を受けたわけでございまして、たとえば航空機検査旅費等につきましては削減を受けておりません。保安関係では、航空機検査器の購入費、それから飛行検査庁費、航空機運航費、こういうようなものにつきましていま先生の御指摘になりましたような節約を受けたわけでございます。
  339. 鈴木強

    ○鈴木強君 いや、受けたじゃないんですよ。だから私は、あなた方が必要だといって国会に要求したんでしょう。われわれはそれを認めてやったのですよ。にもかかわらず、こういう航行の安全に必要な航空保安施設飛行検査庁費とか、航空機の検査機器の購入費とか、こういうものをなぜ削らなきゃならなかったかというのですよ、私は。その分だけはおくれるでしょう。削られれば買えないんでしょう、物が。そうすれば、あなた、保安上重大問題が起きるのじゃないですか。ほかのところをもっと削りなさいよ、削るならば。なぜこういう費目を削らなければならなかったのですか。そんなばかげたことがあなた、ありますか。なぜそれなら国会に要求したのですか。要求したのなら、ちゃんとそのとおりやって航空の安全を期するようにやるべきでしょう。そんなばかげた、あなた、そういうところに官僚的な画一的な考え方、これは大蔵省の方針、政府の方針も悪かったかもしれないけれども、まあ航空局長を責めてもしようがないけれども、しかし、そこをあなたは職を賭してもがんばるべきでしょう。私は、航空安全の責任を持つなら、航空局が一体になってやるべきでしょう。そしてほかのところはもう少し差し繰っても、ここは残すべきですよ、私はこう思うのですね。具体的に、この航空機検査旅費と、その下の航空機検査機器の購入費というのは、内容はどういうことだったのですか、要求した当時は。
  340. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 航空機検査機器の購入経費の中の内訳といたしましては、飛行試験用精密外気温度計七十万、標準ILS受信装置百八十万、標準VORフィールドチェッカー二百二十五万、こういうような内容で、その他を入れまして五百九十三万四千円、こういう内容のものを節約対象源として残していた、こういうことでございます。それから、航空検査庁費の四千九百六十七万五千円でございますが、これは大きなものは航空機の部品費千九百十九万二千円、機上無線機消耗品七百七十六万八千円、機上無線機点検調整費千二百六十六万三千円、その他で四千九百六十七万五千円、こういう内訳でございます。
  341. 鈴木強

    ○鈴木強君 内容をお聞きしますと、いずれも大事な機器ですね。これはもう欠くことのできない私は内容を持ったものだと思います。しかるに、こういう措置をとったことは非常に遺憾であって、今後これは予算査定もけっこうです。これは冗費をなくすということ、既定経費の中でも、むだなところがあれば、それは節約していくこと、合理化していくことはわれわれもけっこうです。だけれども、こういう絶対必要なものについてまでメスを振るうというような方針については、これは今後そういうことがあっても返上して、既定方針どおりやはり計画を進めていく、まだまだ日本の航空保安施設は貧弱ですよ、きわめて貧弱ですよ。ですから、そういう点にかんがみて、最近起きつつある大きな航空機事故、こういったものをもう一回われわれは頭の中に想起して、たたみ込んで、そうしてこの痛ましい悲惨な事故を再び繰り返さない、そうしてとうとい人命を守る、みんなが安心して飛行機に乗れる、こういう態勢をつくることこそ運輸省に課せられた使命じゃないですか。私は厳粛に大臣に要求しておきますが、こういう予算の削減は間違いです。いいですか、あなたに責任がありますよ。ですから、こういう機器、安全上の必要なものについては、今後再びこういうことのないように、ここで誓ってもらいたいと思うのです。いかがですか。
  342. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) 鈴木委員の指摘を受けた点は、私は、やはりこれは一つのわれわれの微力もそういうことをなしあげた結果でありますけれども、一つのやはり政治の盲点だと私も考えます。今後はそういうことのないように、必要なものに対してはどこまでも要求を通していく、そうしてその実現をはかっていくという決意を持って行政の前進につとめてまいりたいと、かように考えております。
  343. 鈴木強

    ○鈴木強君 ぜひそういう御所信をお願いしたい。私たちは予算編成に対して委員会でいろいろ意見を申しますけれども、一たん原案として出てきますと、なかなかこれはくずせないのです。これはわれわれは反対したけれども議決されておりますから、そういう意味においてはあまり追及することもどうかと私思います。しかし、予算の編成権が政府にある、そういうことですから、やはり予算の編成時期において抵抗しなければだめですよ。そういう意味においてわれわれも反対し、あのときも私がこれを摘出してあなたに申し上げたのです。この点は、だからよくわかっていただいたと思いますので、いまの大臣の答弁で私もいまの段階では了承いたしておきますので、ぜひ実現できるように御配慮いただきたいと思います。  それから、時間もたいへんないようですから、もう一つ二つにとどめますが、気象庁の長官においでいただきましたのは、最近の松代地震がたいへん新記録を出すぐらいにどんどんとふえておるようでありまして、からだに感ずる程度の地震も一日に相当多いようであります。これは御苦心なさって研究をされているようですが、なかなかどういうところに震源のあれがあるのか、つかみにくいようにも思います。小康を得たのでだいじょうぶだなと思っておりましたら、またゆれ出した。地下のことですから、なかなかむずかしいと思いますが、しかし、科学というものは、これを克服してその原因を追及できるんじゃないでしょうか。それほど日本の地震学というのは貧弱なんでしょうか。もう少し的確に原因を追及して、少なくとも住民が安心できるような方途を講じていただけないものでしょうか、これをちょっとお伺いいたします。
  344. 柴田淑次

    政府委員(柴田淑次君) 松代地震につきましては、ただいま先生のお話のように、最近にまただんだんふえまして、一日に二千回ぐらいになっております。それまでは高原状態から少し下がりぎみで、大体このままで済んでいくのじゃないかというような見方が強かったのでございますけれども、最近になりましてそれがまた急にふえ出したというような状態で、どういうわけで地震がふえましたかというようなこと、それから、今後どれくらいまたこういうような頻度が続いていくものかというようなことにつきましては、気象庁のみならず、地震関係学者が寄りまして検討をしておるわけなんでございますけれども、どうしてもやはり何と申しますか、はなはだ残念でございますけれども、現在の地震学の知識の範囲内におきましては、今後どのくらい続くとか、あるいはどういうように情勢が変化するかとかいうことを明確に申し上げられるような学問の段階ではないように私も思います。したがいまして、ただいまのお話につきましては、何とも将来の見通しにつきましては申し上げかねるという状態でございます。
  345. 鈴木強

    ○鈴木強君 実に私は残念なお話を聞いたのですが、これは新聞の報ずるところですと、二千回どころじゃないのですよ。これは国際標準地震というのですか、これは私よく内容はわかりませんが、地震計によると、二十八日の朝九時まで一昼夜の間に二千九百二十四回も地震を記録した、それは昨年八月に地震が起き始めて以来の最高だ、前日の記録を上回り、平均約二十五秒に一回の割合で地震が起きておる、こういうのがその内容じゃないですか。その問題は、現在の科学の粋を集めてもなかなかわからぬ。ガンも大体同じようなところですが、しかし、ガンはかなり進んでいますよ、地震よりも。何たることでしょうかね。それには金がないからできないとか、陣容がなくてできないとか、とにかくもっと地震探求のための予算も人もさいてもらってやったら追及できるという、学者としてのやはり一つの見解を持っておられるでしょう。これを長官はどういうふうに判断しておられるのですか。いまの地震学としていろいろやる場合、気象庁として責任を持った研究ができないのはどういうところに原因があるのですか、もっとやればできるのじゃないでしょうか。
  346. 柴田淑次

    政府委員(柴田淑次君) 実は、この地震予知の問題に関連するわけでございますが、気象庁の地震業務といたしましては、現業的の業務を主として気象庁がやっておるのでございまして、地震予知のように、いわば研究段階にあるような業務につきまして、気象庁にある気象研究所でもその一部を担当しておりますけれども、これは大学だとか、あるいはほかの研究機関だとかいうようなものと一緒になりまして、いまそういった研究をやっておるのでございます。それで、先生御承知だと思いますけれども、地震予知研究グループとか何とかいうのがございまして、いろいろな大学、あるいは研究機関がその中に入っておりまして、それで何年計画——五年計画ですか十年計画ですか、というものを立てまして、予算もちゃんと組みまして年次計画を立てまして、いまそれが緒についたばかりでございまして、気象庁としましても、そのうちの一部の仕事を気象研究所及びわれわれの地方のほうの気象観測の一部で分担をして、それに協力しておるというような現状でございます。私、実は地震のほうは専門家じゃございませんので、学問的の話になりますと、結論的にこうだとかああだとかということをこの席上で申し上げることはできませんが、ただ、現状といたしましてはそういう現状でございます。
  347. 鈴木強

    ○鈴木強君 だから、その大学だとかあなたのほうだとかが一緒になって研究グループ的なものをつくってやっていくというのが問題なんですよ。ですから、これを統合して地震研究をやるような方法を国家的に考えないといけないと思うのです。日本の行政というのはいろいろなわ張りがありまして、そういうところに原因があると思うのです。東京の大震災があってもう四十何年ですか、そうしますと、六十年周期でくるということが昨年新聞なんかに出ましたが、最近どうも東京地区、関東地区なんかに地震が起こるのじゃないかという報道もあるわけですよ。それを聞くと、何かこう小さな地震でもすぐ戸外へ出るというようなことで、みんな警戒するから、いい面もあるかもしれませんが、一面、また、日常不安を感ずるわけですよ。だから、そういうようなことをやはり適切に研究して、安心できるようなことがもっと積極果敢にやられてしかるべきだと思うのですよ。あなたの気象庁の中の地震研究所だってきわめて貧弱でしょう、そんなものでできるものと思っておりません。気象そのものもまた貧弱だと思いますよ。エッサ気象衛星ができまして、少なくとも最近私拝見したのですが、たいへんあれがいまの気象の基礎資料としてかなり役立っていると思いますがね。ですから、金をかければかなりのものができると思います。そういう点において、気象行政、これは地震も入れまして、一般的に貧弱だ。富士山の上につくったレーダーだって、一年三百六十五日働いていないでしょう、時間で働いているのでしょう。そのくらいのものを三百六十五日働かして、人もちゃんと配置して、食糧も運んで、せっかくつくったものを有効適切に活用しなければだめじゃないですか。台風が、低気圧が右へいったとか左へいったとか狂うのは——このごろあまり気象が当たりませんよ。ですから、もう少し、長官、日本のこの気象レーダー、そういうものをきちっとどうしたらいいかという構想を技術者でなくても持って、ひとつそういう方向、思想を持っていくようにしなければならないと思う。行き当たりばったりではいけないと思います。そういう意味で私は伺ったのです。なければこれはしようがないですから、少しでも当たっていたら考えてください。あいつかってなことを言っていると思ったらそれでもいいですが、当たるところがあったらあなたもひとつ真剣に考えてみて、大臣に直言して、どうするということを出してもらいたいと思いますが、どうですか。
  348. 柴田淑次

    政府委員(柴田淑次君) 先生御指摘の点、まことにそのとおりでございます。地震につきましては、実はそういった研究的段階でございますので、総合的にそれを取り扱うべきところ、たとえば科学技術庁だとか何とかいうところで世話をしてそういうものをおやりになっておりまして、われわれはそれに対して協力しているというような段階でございまして、あの年次計画を見てみますと、何年か後には相当の地震の予知に対しての基礎ができるような状態だと思っております。また、富士山のレーダーに対していまちょっと御発言がございました。富士山レーダーにつきましては、たまたまその機械の一部を取りかえる時期に達していたというようなことで天気予報に活用できなかった日がございましたけれども、御承知のように、それが昨年の台風なんかにつきましてば非常にいいような写真をとりまして、まあ世界一と申しては僭越でございますけれども、十分活用するだけの能力を持っております。したがいまして、今後も十分活用するように、なお一そう努力したいと思います。
  349. 鈴木強

    ○鈴木強君 私はまだ質問をしたかったので自動車局長さんや何かに来ていただいたのですけれども、時間も七時を過ぎましたので、また別の機会に質問させていただきます。それで主査にお願いしたいのは、さっきの千歳飛行場の航空管制については、これは防衛庁のほうに委任されているそうですから、防衛庁にいませっかく事務当局から連絡をとっていただきましたが、みんな帰っていないそうですから、これはどこかの機会に取り上げていただくようにして、これで私の質問を終わりたいと思います。
  350. 井川伊平

    主査井川伊平君) 承知しました。  次に、浅井亨君に御発言を願います。
  351. 浅井亨

    ○浅井亨君 一番先に自動車局長さんにお願いします。  タクシーの問題ですが、この間タクシーの料金値上げということについていろいろ論ぜられてきましたけれども、これは運輸省のほうで見過したというようなことでございますが、これはやはり早晩上げるというような方向に持っていくと思うのですが、この間のあの件につきましてどのようにお考えですか。
  352. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) タクシーの料金改定は、今回出されておりますのは、御承知のように、いろいろ距離、時間制等を併用したメーター制とか、あるいは夜間割り増しというような、運賃体系の基本に相当触れた案でございまして、しかも、引き上げ率も相当高い要請でございますので、利用者に非常に大きな私は影響を与える点等を考えまして、向こう一カ年間以上値上げを認めないという政府の方針がきまったわけでございます。
  353. 浅井亨

    ○浅井亨君 タクシーですが、個人タクシーと一般の会社経営のタクシーですが、その間に何かわれわれ利用者の面から考えまして、どちらが便利であり、どちらがわれわれに密接しているかということはどのようにお考えになっておりますか。
  354. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) 個人タクシーと会社組織のタクシーの比較の問題だと思いますが、個人タクシーにつきましては、われわれとしては非常に監督の問題がむずかしいものでございますので、これは運転者自身が企業を営んでいるというかっこうになりまして、したがって、これを免許する場合には、相当高い基準を設けて免許いたしておるわけでございます。それによって質を保持するという考え方でやっておりますので、ただいままでのところ、個人タクシーは評判がよいようでございます。しかし、数が多いものでございますので、中には一部運転者等によっては、相当われわれの目につかないところでかわりの運転者にやらしておるというような事例もたまにありますので、われわれとしても、免許の更改その他のときには、十分そうした事実についても調べたい、そうして質の向上を期していきたいと、さように思います。
  355. 浅井亨

    ○浅井亨君 いまそのようなお話ですが、われわれから見ますと、いまお話にありましたとおり、個人タクシーのほうが非常に便利でありますし、安心感があるように思うのですが、いっそのこと全部個人タクシーにしたらいいのではないか、このくらいまで考えられるわけなんですが、そうすると、そういうお気持ちはないわけですね、いまのところは。
  356. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) 全部個人タクシーにするという考え方は現在持っておりません。営業者の会社組織のものにつきましても、相当われわれとしては内容の改善について十分監督しておりまして、昔もぐりタクシーと言われたのが、ある程度こういったレベルが高まったということは、やはりそういった会社の組織によるみんなの努力の結果ではないかというふうに考えております。いま直ちに個人に全部切りかえるというような考え方は持っておりません。
  357. 浅井亨

    ○浅井亨君 そこで、結局はこの料金の問題ですが、いわゆる会社経営のタクシー、個人であるとそんなに料金の問題については、いまの現状のままで生活できるのだ、非常に個人タクシーはそのように困っていないようにわれわれは見受けるのですが、そういう点はどうなんでしょうか。
  358. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) 個人タクシーにつきましても、経営が苦しいことについては同じではないかというふうにわれわれは推測いたしておりまして、その点、個人のいま申請が出ているかどうかについては、まだ明確に聞いておりませんけれども、近く出すというような話は聞いております。
  359. 浅井亨

    ○浅井亨君 次にお聞きしたいのですが、非常に近ごろ乗車拒否ですか、これが非常に多いように私は見受けるのです。私自身もそういう目にあったのですが、こういう点に対する指導の面はどのようになっておりますか。
  360. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) 乗車拒否の問題については、常々頭を痛めておるのでございますが、この原因と考えられますことは、交通混雑の結果による運行の能率の低下、あるいは運転者の不足に起因する運転者の質の低下、あるいは運転者に対する歩合給制度等の問題、また、運転者不足によって一時輸送力が非常に不足しておった、増強が困難である、こういったような事情が重なりましてあらわれていると思うのでございます。  なお、運賃問題につきましても、今回の申請に時間制併用というようなものが出たわけでございますが、これもそういった点では乗車拒否対策の一つというような考え方もあるようでございます。われわれといたしましては、できるだけ輸送力をまずふやすということが先決でありまして、そのために慎重に資料その他によりまして輸送力増強の方法考える。それから、さらに運転者の質の向上、あるいは歩合制の改善、こういったことについても労働省等と連絡をしまして指導、改善をはかっております。そのほか、取り締まりの強化、街頭取り締まり等につきまして、警察方面の協力を得まして取り締まりを強化する。そうして、また、取り締まった結果、違反者については厳罰に処する、使用停止その他の処分を行なう、こういうことで総合的対策を講じておるわけでございます。
  361. 浅井亨

    ○浅井亨君 次に、四十年の八月、去年ですが、安治川口で起きました海難ですが、そのあと始末はどういうふうになりましたでしょうか。
  362. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) 本件につきましては、現在海難審判のほうでやっておると思いますが、海上保安庁といたしましては、事件の調査をいたしまして、これを検察側に手続をとったと、こういうことになっております。
  363. 浅井亨

    ○浅井亨君 あとのその補償のほうは全部完結いたしておりますか。
  364. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) 死亡されました方の補償問題につきましては、海上保安庁というよりも、むしろ海運局のほうで所管しておられると思います。
  365. 浅井亨

    ○浅井亨君 じゃ保安庁長官に一つだけお聞きしておきますが、職員ですが、非常に近ごろ海難がありますが、こういうものに対する救助というようなことについて、まあいろいろと保安庁としては大きな役割りを果たしておられるのですが、現在見てまいりますと、私自身としては保安庁の予算が少ないのじゃないか、こういうような気持ちもするのですが、この点どうでございましょうか。
  366. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) ただいま御指摘のように、海上保安庁の予算が決して私十分であるとは思っておりません。ただいままでの状況によりますと、おかげさまで毎年若干ずつ伸びております。ただ、これで十分かというと、決して十分でございませんので、今後巡視船艇の代替を促進しまして、いわゆる古い船をなくしていくというようなこと、あるいは航空機の整備も緒についたようなわけでございますが、これを今後拡充していく。その他いろいろな通信の問題その他の施策も進めていきたい、こういうふうに考えております。
  367. 浅井亨

    ○浅井亨君 港湾整備五カ年計画のことですが、現在はどのようなところまでいっておりますか。その実績をひとつ。
  368. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 港湾五カ年計画は、全体で基本施設の整備が五千五百億円でございますが、そのうち、地方単独分を除きまして、全体計画は四千八百五十億円になっております。このうち、昭和四十年度におきましては六百六十五億円、昭和四十一年度におきましては七百六十八億円を予定しておりまして、四十一年度末の進捗率は二九・六%になるわけでございます。
  369. 浅井亨

    ○浅井亨君 昨年はちょうど八百万坪くらいしかできなかったと聞いておるのですが、どうなんでしょうか。
  370. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) ちょっと聞き取れなかったのですが。
  371. 浅井亨

    ○浅井亨君 工業用地の埋め立て、造成ですね。
  372. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 工業用地の埋め立てにつきましてはこの五カ年計画とは別でございまして、これにつきましては、大体年間に約一千万坪ずつの土地をつくっておりまして、昨年度はこの工業用地の埋め立てのための融資を四百三十億円あっせんすることにしておりましたのですが、四十一年度におきましては、昨今非常にこれは不景気でございますので、若干減っておりますが、四百億円程度を予定しておるわけでございます。
  373. 浅井亨

    ○浅井亨君 昨年は八百万坪と、こういうのですが、平均しますと一千万坪くらいになるのですか、五カ年で。
  374. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 大体この工業用地の予定が一千万坪程度でございまして、そのほかに都市開発用地というのがございまして、これが約百二十万坪程度ございます。大体一千万坪内外を毎年やっている、こういう実情でございます。
  375. 浅井亨

    ○浅井亨君 近ごろこの船のほうも大型化いたしまして、マンモスタンカーなんかが非常に多くなったのですが、こういうことになりますと、各港湾でそれを受け入れる態勢というのはどういうような整備をされていますか。また大きなやつができるとどのような港に入れるかというようなところはどうなっていますか、この点ひとつ。
  376. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 石油タンカーの大型化に対しましては、大体十六メーター、すなわち七万五千トン級を対象にいたしまして工場のある港についてしゅんせつをやっておるわけでございますが、最近十万トンという大きなタンカーが出てまいりましたので、これら十万トン以上のものにつきましては、シー・バースと申しますか、沖がかりで、そこからパイプでもって油をタンクに持っていく、こういうような方向整備を進めております。
  377. 浅井亨

    ○浅井亨君 港湾の整備につきましてポンプ船がだいぶ出ておりますが、このポンプ船の稼働率ですが、これはだいぶ休んでいるように思うのですが、この点いかがでしょうか。
  378. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 数年前のブームのときに非常に船がよけいできたわけでございますが、最近は工場の新設というものがだいぶストップされてまいりましたので、最近は船の稼働率は悪くなってまいっております。はっきりした数字はいま持っておりませんが、大体五〇%程度の稼働率ではないかと思います。
  379. 浅井亨

    ○浅井亨君 結局は、いわゆる仕事がないというわけですね。  じゃ、次に国際空港のことですが、長い間懸案になって、何かきまりそうできまらないようになっておりますが、大体のところは富里というところへ落ちつくのではないかと、こう思うんですが、私が思いますのには、やはり霞ケ浦、こういう気持ちもあるんです。ところが、いろいろ調査の結果、水位が高いとか、また、はけ口をつくるとか、また湖水の水がどうとかいうふうなことで、また、ヘドロですか、そういうようなことでなかなか霞ケ浦もよくない条件だ、こういうような話を聞くのでございますけれども、霞ケ浦でも稲敷というんですか、どこかあっちのほうへ行きますとそんなこともないようだと、こういうような話を聞くんですが、こういう点についてはどのような調査をされ、どのような結果があらわれているんですか。その点ひとつお聞きしたいと思うのです。
  380. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 新空港の候補地につきましては、浅井先生御承知のように、航空審議会におきましていろいろな地点を検討されました結果、いまあげられました富里並びに霞ケ浦周辺というものが有力な候補地としてあげられたわけでございますが、ただ、その後の、いま御指摘がありましたように、主として霞ケ浦周辺につきましては、治水、利水の関係、あるいは百里基地との管制上の関係に非常に問題があるということで、むしろ富里は非常に代替地の提供、あるいは移転というような問題がございますが、諸条件からして富里が最適であるということで、昨年の十二月に富里村付近に内定をみたというようないきさつがございます。
  381. 浅井亨

    ○浅井亨君 今日までいろいろとそういう話は聞いてまいりましたのですが、過去においてもいろいろ御相談されておると思います。内定でなくして、もうほかのところをいろいろと検討し、調査しまして、また、いろいろな論争もありましたが、大体内定というよりも、決定というほうに方向は向かっているんじゃないか、こういうふうに思うのですが、そういう点はいかがですか。
  382. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) 新空港の点でございまが、ただいま航空局長も申しましたように、霞ケ浦につきましては、いろいろ技術的に検討いたしました結果、どうしてもやはり飛行場としては不適当であるという結論を得ましたので、富里地区がただ一つ新空港の条件のそろった地点として決定いたしたわけでございます。事務的には内定でございますが、技術的にいろいろな調査等から考えましても、これ以外にないという事情にございますので、地元等との話し合いを通じまして、できるだけ早い機会に正式決定にいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  383. 浅井亨

    ○浅井亨君 日米航空協定ができ上がりましたのですが、具体的にこの日本の航空料金をエコノミストで一五%値下げをするというようなお話があるのですが、こういうことに対して、日本のほうではどのような方向でお話になったのでしょうか、その点ひとつお伺いしておきます。
  384. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 太平洋運賃の値下げということにつきましては、米政府は非常に熱心にこれを主張しておるわけでございますが、わがほうの態度としては、これはいわゆるIATAを通じて決定すべき問題であるという態度をとっておるわけでございます。先生のお話のように、先般、米国におきまして関係の航空運送事業者のこれに対する会談がございましたが、これは結論が得られずに終わっておるというような現状でございます。ただ、太平洋運賃につきましては、わが国の航空運送事業者としても全体の収入は増す。しかし、ある程度、たとえば団体その他についての割り引きをすることによって旅客を誘致できる面もあろうかと思いますので、この問題については、なお慎重に諸般の事情を考えながら検討を進めておるというのが現在の段階でございます。
  385. 浅井亨

    ○浅井亨君 以上で終わります。
  386. 井川伊平

    主査井川伊平君) 次に、向井長年君に御質疑を願います。
  387. 向井長年

    ○向井長年君 時間もだいぶおそいので、私はいろいろ質問点を持っておりますが、別の機会にいたしまして、一点にしぼりまして質問申し上げたいと思うのですが、昨年ILO八十七号条約が非常に問題になって、一応解決ついておりますが、国際海上労働条約のいわゆる条約案件が多数あると思うのです。これについて現状はどうなっておるか、ひとつお伺いしたいと思うのです。
  388. 岡田良一

    政府委員(岡田良一君) 国際海上労働条約関係でございますが、ILOで決定された条約は全部で三十件ございます。そのうちで、いまだ発効いたしておりませんものが九件ございまして、現に発効しておるものが二十一件ございます。で、日本政府といたしましては、そのうち八件を批准をいたしております。
  389. 向井長年

    ○向井長年君 一九六〇年、五年前ですか、五年前に運輸省の船員局長がイニシアをとるというか、中心になって、条約問題について、国際海上労働条約懇談会なるものが発足したと思うのです。これはおそらく労働大臣の諮問のようなかっこうになったかもしれませんが、労働者側、あるいは使用者側というかっこうでこういう懇談会が発足して、可能であるかないか、これをひとつ検討してもらいたい、こういうことで発足したように私たちは聞いております。これは事実ですか。
  390. 岡田良一

    政府委員(岡田良一君) 昭和三十五年の八月に、これは法律に基づかない事実上の打ち合わせ会でございますが、使用者側、労働者側、それから運輸省側と入りまして、ILOの海事関係の条約をまだ日本として批准しておらないものを全部検討いたしまして、どの程度批准の可能性があるかということを検討いたしております。で、昨年の六月に一応結論が出ております。
  391. 向井長年

    ○向井長年君 ここで、これは非公式と申しますか、法律に基づかない懇談会、こういう中で可能か可能でないかということがいろいろと協議されて、現状、私たちが聞いておる中におきましては、特に百十三号、これは健康検査ですか、あるいは六十九号の船舶料理人の証明問題、あるいは二十三号の海員送還の問題、こういう問題はこれは可能である、こういう結論が出たように聞いております。しかも、これは経費が伴わないものである、そういう条約である、だから早急にこれは批准してもよろしいというような形が出たようでございますが、この点つかんでおられますか。
  392. 岡田良一

    政府委員(岡田良一君) ただいまお話のありました海員の送還に関する条約と船舶料理人に関する条約につきましては、運輸省といたしましては、大体批准できるのではないかということで、外務省、法制局あたりと交渉をしたいと思っております。  それから、百十三号の漁船の健康検査に関する条約につきましては、労働基準法との関係がございまして、現在のところ、まだ法制局、条約局に相談する段階に至っておりません。
  393. 向井長年

    ○向井長年君 昨年の六月か七月でしょう、こういう結論が出たのは。大体まだ一年にはならぬけれども、相当の期間があるわけですよ。しかも、四十年の四月に東京においてILOの海事会議が開かれましたね、そのとき船員局長から、批准可能なものは逐次批准するんだということをこの会議で言われておると思うのですよ。そうだとすれば、いま申し上げましたような条約は批准可能である、それを現在批准しようとしているのか、しようとしていないのか。時期的に相当期間がたっているじゃないか。この点どうですか。
  394. 岡田良一

    政府委員(岡田良一君) 海員の送還と船舶料理人に関する条約につきましては、至急に外務省、法制局との間で国内的な措置を進めたいと思っております。それから、健康検査に関しましては労働基準法の関係がございますので、労働省のほうと打ち合わせた上で進めたいと思っております。
  395. 向井長年

    ○向井長年君 進めたいと思っていることはわかるのですが、これはもう一年たっているのですよ。その海事会議で船員局長がそういうことを言われてから一年たって、まだしかも労使ではこれが問題ない、あるいは経費が必要でない、こういう案件を一年間おいてあるのはどういうわけですか。やる気がないのかあるのか。
  396. 岡田良一

    政府委員(岡田良一君) ILO関係につきましては、昨年、漁船の新しい条約が二つと勧告が一つ予備技術会議で取り上げられまして、そちらのほうに非常に準備その他で手をとりましたために、こちらのほうまで具体的に進めることができなかったのは非常に遺憾に存じているわけでございますが、そちらのほうも終わりましたので、至急にこれを進めたいと思っております。
  397. 向井長年

    ○向井長年君 おくれていることは認められたと思うのですが、これはいつ批准しますか。その手続はいつとりますか。
  398. 岡田良一

    政府委員(岡田良一君) これにつきましては、外務省の条約局、法制局のほうと連絡をいたしませんと、運輸省だけできめられませんので、至急に条約局、法制局と折衝したいと思っております。
  399. 向井長年

    ○向井長年君 今国会でやりますか。
  400. 岡田良一

    政府委員(岡田良一君) 至急に手続をとりまして、もし間に合うようであれば今国会にも出したいと思っております。
  401. 向井長年

    ○向井長年君 間に合うようであればというのはどういうわけなんですか。間に合わそうという意欲はないのですか。労使もいいと言っているし、船員局長も、これはもういいのだ、こう言っているし、しかも、国際信義上、ILO問題は、できるものから早期にやらなければならんということを海事会議で船員局長が言っておられるわけですよ。だから、間に合わそうというかっこうで努力されるのか、間に合うならばと、それはちょっとぼくは受け取れないのです。少なくとも、意欲を持ってやるとすれば提案できるはずなんです。この点いかがですか。これは運輸大臣からもひとつ御答弁願いたいと思うのですが。
  402. 岡田良一

    政府委員(岡田良一君) 間に合わせるように努力をしたいと思います。
  403. 向井長年

    ○向井長年君 運輸大臣、いま船員局長からそういう答弁ですが、いま申しましたのは三件でございますが、健康検査の問題については労働省との関係もあり、基準法との関係もあって、いま検討しつつある。あとの二件は問題ないといわれる。そうして今国会に間に合わせるように出す、こういうことを船員局長が言われましたことを確認されますか、大臣
  404. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) 労働省、外務省と打ち合わせを進めまして、間に合うように全力をあげてやりたいと考えております。
  405. 向井長年

    ○向井長年君 けっこうです。終わります。
  406. 井川伊平

    主査井川伊平君) 本日の審査はこの程度とし、明三十一日午前十時より開会することとして、これにて散会いたします。    午後七時三十六分散会      —————・—————