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1966-04-01 第51回国会 参議院 予算委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月一日(金曜日)    午前十時四十二分開会     —————————————    委員異動  四月一日     辞任         補欠選任      北畠 教真君     柳田桃太郎君      青田源太郎君     赤間 文三君      山本伊三郎君     羽生 三七君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         石原幹市郎君     理 事                 小沢久太郎君                 大谷藤之助君                 白井  勇君                 西田 信一君                 日高 広為君                 亀田 得治君                 小林  武君                 鈴木 一弘君     委 員                 青柳 秀夫君                 赤間 文三君                 井川 伊平君                 植竹 春彦君                 梶原 茂嘉君                 草葉 隆圓君                 木暮武太夫君                 古池 信三君                 西郷吉之助君                 櫻井 志郎君                 田村 賢作君                 内藤誉三郎君                 平島 敏夫君                 船田  譲君                 増原 恵吉君                 松野 孝一君                 宮崎 正雄君                 柳田桃太郎君                 吉武 恵市君                 稲葉 誠一君                 木村禧八郎君                 北村  暢君                 小柳  勇君                 鈴木  強君                 田中寿美子君                 羽生 三七君                 林  虎雄君                 村田 秀三君                 森 元治郎君                 矢山 有作君                 鬼木 勝利君                 黒柳  明君                 小平 芳平君                 向井 長年君                 石本  茂君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        法 務 大 臣  石井光次郎君        外 務 大 臣  椎名悦三郎君        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        文 部 大 臣  中村 梅吉君        厚 生 大 臣  鈴木 善幸君        農 林 大 臣  坂田 英一君        通商産業大臣   三木 武夫君        運 輸 大 臣  中村 寅太君        郵 政 大 臣  郡  祐一君        労 働 大 臣  小平 久雄君        建 設 大 臣  瀬戸山三男君        自 治 大 臣  永山 忠則君        国 務 大 臣  上原 正吉君        国 務 大 臣  福田 篤泰君        国 務 大 臣  藤山愛一郎君        国 務 大 臣  松野 頼三君        国 務 大 臣  安井  謙君    政府委員        内閣官房長官  橋本登美三郎君        内閣官房長官  竹下  登君        内閣法制局長官  高辻 正巳君        総理府統計局長  野田  章君        警察庁警備局長  高橋 幹夫君        防衛庁防衛局長  島田  豊君        防衛庁人事局長  堀田 政孝君        防衛庁装備局長  國井  眞君        経済企画庁国民        生活局長     中西 一郎君        経済企画庁総合        開発局長     鹿野 義夫君        経済企画庁水資        源局長      鈴木 喜治君        科学技術庁長官        官房長      小林 貞雄君        科学技術庁研究        調整局長     高橋 正春君        法務省刑事局長  津田  實君        法務省入国管理        局長       八木 正男君        外務省アジア局        長        小川平四郎君        外務省北米局長  安川  莊君        外務省経済協力        局長       西山  昭君        外務省条約局長  藤崎 萬里君        外務省国際連合        局長       星  文七君        大蔵政務次官   竹中 恒夫君        大蔵省主計局長  谷村  裕君        大蔵省主税局長  塩崎  潤君        大蔵省理財局長  中尾 博之君        大蔵省銀行局長  佐竹  浩君        文部省初等中等        教育局長     齋藤  正君        文部省大学学術        局長       杉江  清君        文部省管理局長  天城  勲君        厚生省環境衛生        局長       舘林 宣夫君        厚生省援護局長  実本 博次君        農林政務次官   後藤 義隆君        農林大臣官房長  大口 駿一君        水産庁次長    石田  朗君        通商産業省貿易        振興局長     高島 節男君        通商産業省企業        局長       島田 喜仁君        運輸大臣官房長  深草 克巳君        運輸省航空局長  佐藤 光夫君        海上保安庁長官  栃内 一彦君        気象庁長官    柴田 淑次君        郵政政務次官   亀岡 高夫君        郵政大臣官房長  鶴岡  寛君        郵政省人事局長  曾山 克巳君        労働省労政局長  三治 重信君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        建設省計画局長  志村 清一君        建設省都市局長  竹内 藤男君        建設省河川局長  古賀雷四郎君        自治省行政局長  佐久間 彊君         —————        会計検査院長   小峰 保栄君    事務局側        常任委員会専門        員        正木 千冬君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十一年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十一年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十一年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告致します。  本日、北畠教真君、山本伊三郎君が辞任され、その補欠として柳田桃太郎君、羽生三七君が選任されました。     —————————————
  3. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 昭和四十一年度一般会計予算昭和四十一年度特別会計予算昭和四十一年度政府関係機関予算、  以上三案を一括して議題といたします。  これより三案の締めくくりの総括質疑に入ります。亀田得治君。
  4. 亀田得治

    亀田得治君 私は日本社会党を代表いたしまして、最後の質問総理以下にいたしたいと思います。  今回の予算委員会におきましては、以前の委員会にも増して重要な外交防衛に関する質疑がありました。したがって、私も本日は第一にその点について、諸般の角度からお尋ねをし、引き続いて政治姿勢等に関する諸問題について総理に主としてお尋ねをしたいと思います。  まず第一の問題でございますが、具体的に入りまする前に、総理考え方をお聞きしたいわけですが、御承知のとおりアジアには現在非常に緊張した状態、そういうものが幾つか存在しておるわけでありますが、私は日本政府としては、これらのアジア緊張を緩和していく、そのために積極的な努力をしなきゃならぬ立場にある、こういうふうに確信しておるわけでありますが、総理の基本的な考え方をまず明らかにしてもらいたいと思います。
  5. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 第一のお尋ねでありますが、これは私の政治的な内外に対する基本的理念、これをしばしば申し上げてまいりました。おわかりになっていると思ったのでございますが、ただいま同じような質問を受けました。申すまでもないことでありますが、日本アジアにあって、わが国の安全、平和、これを願う以上、ただいま言われるように、アジア緊張緩和といいますか、問題が解決されることは当然まず第一に努力しなければならぬ。これはアジアに国する日本として当然のことだと私は思います。そういう意味で特に意を用いておるつもりでございますが、アジアの国も多数あり、またそれぞれの国の政治形態等も違っております。こういう場合にどうしたらお互いが平和で繁栄への道を行けるか。そのためには何としてもお互い独立を尊重し、お互い内政に干渉しない。それぞれの行き方についてはそれぞれの国にまかすと、こういうことであれば必ず平和が維持できるんじゃないだろうか、こういうことを実は基本的に考えておるのでありまして、私がいつも申し上げる、自由を守り平和に徹する、そうして相手の国に対してどの国とも仲よくしていくのだ、こういう考え方で基本的には考えておるのであります。ただ、問題が起こらない場合においてはこの考え方で相手方も十分日本態度を理解して、日本に対する同じような節制あるいは礼譲を尽くしていただければたいへん仲よくなるのじゃないかと思いますが、しかし、現実に問題が起きる。たとえばベトナムのような問題、もうすでに戦火を交えておる。一日も早くそういうものが平静に帰すことが望ましいのでありますから、私は関係者相互に、お互い言い分はあるだろう、言い分はあるだろうが、とにかく同じテーブルについて、その場においてその言い分をはっきりさしたらどうか。とにかく相談もしないで、会議にも入らないで、ただ撃ち合いをしておる、ただ理屈だけ言っても、これでは望ましくないのじゃないかということで、私は無条件に話し合いに入れ、そうして解決の方途を見出だせ、こういうことを実は申しておるのであります。でありますから、基本的にもう誤解はないだろうと思いますが、私の自由を守り平和に徹するこの考え方、これではそれぞれの国にそれぞれの行き方があるのだから、お互いにその独立が尊重され、そうして内政に干渉しない、こういうことならば共存も可能ではないか。共存のためにはそれだけのことが絶対に必要だ、かように私は思うのであります。アジアの国のうちには外交的に外交関係の開始されておるものもあるし、いわゆる未承認国もありますから、未承認国につきましての行き方といたしましては、かねてから言っているように、政経分離の原則に立って、そうして仲よくしていこうじゃないか、こういうような態度をとっておるわけであります。これが私の基本的な態度であります。
  6. 亀田得治

    亀田得治君 私がきょう明らかにしてもらいたいのは、アジアに現在起こっておる個々の具体的な問題について、以下一つずつ指摘をして、この問題について、はたしていま佐藤総理が言ったようなことになっておるのかどうか、そういう立場から尋ねていきたいと思います。  まず、中国使節団の入国問題に入るわけですが、その前に、この最近アメリカにおける各種の中国に関する意見、これをどういうふうに理解しておられるか、これをお聞きしたい。といいますのは、例の中国に対する封じ込め政策というものが長く続けられてきておるわけですが、その再検討をすべき時期ではないか、こういうことがアメリカ国内において相当多くの意見が出されてきております。私はこれは非常にいい方向だと考えております。これはまたアジアのみならず、世界の外交に非常に大きな影響を持つ問題だと考えております。総理もおそらくマスコミその他の報道によりまして、この点について慎重に考えておられると思いますが、忌憚のないところを明確にしてほしいと思います。
  7. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) アメリカ中共観、最近これ論議が活発になっている、こういう意味で、アメリカ考え方が変わったのじゃないか、こういうお話がございますが、ただいまの状態中共に対しての考え方が変わったと、かように判断するのはまだ早いように実は思います。私は、いわゆるアメリカ中共封じ込め政策、これは非常に牢固として抜くべからざるものがあるのかと、ただいままで考えておりましたが、この封じ込め政策なるものは、いわゆる武力膨張に対しての封じ込めばするけれども、その他の事柄については非常な弾力的な考え方を持っておる。これがアメリカ基本的態度であります。ことに昨年参りましたハンフリー大統領に直接会ってみました際に、中共に対してアメリカ考え方は全然弾力的なものがないように世間では受け取っておる、しかし、はたしてそのとおりなのかと、かように聞いてみますと、いやそうではありません、御承知のようにポーランドにおいてはすでに大使会談、これも百数十回やっておる、あるいはまた新聞記者交換の提案も実はしておる、私のほう自身はとにかく弾力的な態度でこれに臨んでおります。しかしながら、各国においても同様なことですが、武力的膨張、これはどうも認めるわけにいかない、こういう意味でございますということを実は申しておりました。したがいまして、いわゆるアメリカ考え方というものは、過去においてもいわゆる封じ込め政策に徹底している、一本やりと、こういうものではない。この点は私はアメリカがもう少しよく基本的な態度各国の理解を受けるようにすべきではなかったかと思います。ただいまのように話を聞いてみると、なるほど弾力的な態度である、かように思います。したがいまして、今日議論しておることも、この弾力的な態度を持てというか、これをもっとはっきりさせろ、こういうのがアメリカの主張ではないだろうかと思います。しかし、とにかくアジアの問題が流動的であること、これは御指摘のとおりでありまして、またそういう意味中共に対するいろいろの論議アメリカ国内において各方面で行なわれること、活発に行なわれること、これは私は今後の中共問題解決への一つのきっかけをつくるのではないか、かように思いまして、ただいまの論議を十分注意しておるつもりであります。まだ、ただいまのところ基本的な態度は変わったと、かようには私は感じておりません。
  8. 亀田得治

    亀田得治君 アメリカ態度が初めから非常にかたいといいますか、融通のきかない封じ込め政策一本やりではなかった、そういうふうに言われますが、そういう認識は間違いなのと違いますか。それは諸般の、ベトナム戦争で手をやいたりいろいろなことから、最近においてアメリカ内において議論が起きてきておる。初めからそうだったといったような認識は、これはちょっと客観的に間違いなのじゃございませんでしょうか。
  9. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いや、私は、どうも相当弾力的な考え方をしている、ことにただいま申し上げるような、ポーランドにおける大使級会談、これはただ単に俘虜の送還というだけではなく、両国の間で何か解決方法はないかと、そういう糸口を見つけようという努力である、このことは、亀田君も大使級会談をやっていることは御承知のことだと思います。したがいまして、この大使級会談が始まる前、それは非常に窮屈なものであったかもわからない。しかし、大使級会談を始めて以来は、私が申し上げているような状態ではないかと思います。また、いま日本中共新聞記者交換をしておる。しかし、このことについてはアメリカ自身もすでにそういう交渉を持ったことがある、かように実は申しております。また、これは三、四年前でありますが、私がサンフランシスコにまいりました際も、サンフランシスコには中国人がたくさん住んでおりますので、そういう関係もあろうかと思いますが、アメリカがとにかく貿易をすべきだ、こういうような議論を民間では盛んにしておる。そういうことを州知事自身も知らないわけではない。また、アメリカ政府自身も知らないわけじゃない。したがって、このいわゆる封じ込めなるものは、経済封鎖をする考えではない、こういうことははっきり言っておる、かように私は思っております。もちろん共産国に対する禁止品目といいますか、貿易禁止品目、そういうものは非常に厳重に自分たちは守るつもりでおり、また、各国条約を批准しておる国に対してはそういう要求はしておりますけれども、その他のことについては弾力的な考え方を持っていたと、かように私は確信をしております。
  10. 亀田得治

    亀田得治君 それはどうも分析として私はやはり間違っておると思うのです。と言いますのは、アメリカ上院で御承知公聴会等が始まる、その前後から実際には変わってきておるとわれわれは考えておる。佐藤総理ハンフリー大統領にお会いになったころには、すでにその変わりつつある状態の中であったと私たちは思うわけなんです。で、結局どういうふうに変わりつつあるかというと、なるほどアメリカの基本的な態度は、百八十度は、変わりつつあるといっても変わっていない。封じ込め政策はやはり堅持しておる。しかしながら、孤立させてはいけない、こういうことをはっきり言い出してきているわけですね。単にそれは、たとえばコロンビア大学バーネット教授意見とかという、そういう外交専門家意見だけじゃなしに、ハンフリー大統領自身もこのバーネット意見に賛意を表明しておる。実際に権限を持っている人が言うのですから、これは相当大きな私は変化だと思う。あるいは御承知のように、フルベライト上院外交委員長も同じような意味のことを表明する。あるいはゴールドバーグ国連大使も最近それに通ずるような発言というものをやはり出してきておるわけなんです。こういうことは昨年中は見られなかったことなんです。実際のこの権限を持っておる政治家がそういう発言をするということは、私はこれは非常に大きな変化だと思う。だから、孤立なき封じ込め政策というものは、見ようによっては、これは封じ込め政策は半ば修正されたものと私は理解していいと思う。孤立なきというのですから、政治的にも経済的にも文化的にも接触はしていこう、大いに。こういうふうに、またそういうふうにしなきゃならぬという意図がずっとそれらの人の言動というものを、前後を読んでみますると感ぜられるわけですね。私は、これは昨年からことしにかけての具体的な封じ込め政策の大きな変化ではないかと、質的な変化が見られるというふうに理解しているんですが、どうでしょうか。
  11. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私がただいま申し上げましたとおり、論議が盛んになっておると、この事実は御指摘のとおりでございます。しかし、いわゆるワシントン政府筋、これが権威のある方法でこの議論をはっきりさしたというところまでまだいっておらない。だから、冒頭に申しましたように、こういう論議が非常に盛んになったことは望ましいことだし、こういうところに中共解決一つのかぎを見つける、こう言えるのじゃないだろうかと、こういう意味十分経過なども注意しておりますということを私申し上げましたが、ただいままでのところ、これが大学の先生であったり、あるいは国会の一部であったりいたしますし、だから、いわゆるジョンソン大統領がどう言った、あるいはラスクがどう言った、そういうところで最終的に変わったとか変わらないとか、こういう判断ができるんだと思います。まだそこまで申し上げるわけにいかないんじゃないか。したがいまして、私は、この種の事柄十分気をつけて見なきゃならないことだと。こういうことを無視していいと、かように私も思いません。また、せっかくそういう機運ができた、その機運をさまさないように、またそういう論議が活発に行なわれるように、これはもう民主主義の国ですから、たいへん望ましいことだと、私はかように考えておる次第でございます。
  12. 亀田得治

    亀田得治君 変わる可能性というものは、総理はお認めになりますか。
  13. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まだ私はやや早いように思いますが、一部でも、変わるんではないかと。また、盛んに報道されておるところを見ますると、変わることを期待しておる向きもあるんじゃないだろうかと、かように私は思いますが、どうも、私の見込みはどうかと、こう言われると、ただいままだわからないと、かようにお答えするより方法はございません。
  14. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっと関連。いま総理の御答弁聞くと、国会筋でそういう話が出されたのであって、ジョンソン大統領はそういうことは言っておらぬ、こういうお話ですが、三十一日のワシントン電によりますと、外交委員会での公聴会が終わりましたあと、ジョンソン大統領記者会見をいたしております。その記者会見の席上において、多少の留保づきではあるが、中共との接触を深めることに賛成であると、こう述べ、しかも、委員会での意見には聞くべきものが多かったと、こういうふうに述べておるわけです。いま亀田委員指摘されましたように、中共封じ込めの基本的な考え方はおそらく変わっていないかもしれません。しかしながら、二つの中国問題、国連加盟問題、昨年の経過を見ましても、可否同数、採決は七票差、こういうところまでいっているわけですから、このような経過も無視できないという立場に立って、考え方が変わってきているものと判断しなければならぬと私は思うんであります。そういうことからして、ジョンソン大統領は、この外交委員会での各方面意見を把握した上で、自分意見記者会見で発表しておるわけですから、あなたのおっしゃるように意見が出ていないのじゃないんです。すでに正式な記者会見においてジョンソン大統領意見が出ているわけですから、私はあなたの言うような、大統領意見を述べていないということにはならないと思うのです。したがって、亀田委員のおっしゃるように、アメリカアジアに対する考え方中国に対する考え方は、明らかに変わってきておる、こう判断するのが正しいと思いますが、どうでしょうか。
  15. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほどもお答えいたしましたように、大使級会談をやっておるのは、アメリカ中共、これはすでにポーランドにおいてやっておるわけでございます。したがって、アメリカ自身が全然交渉を持たないということではございません。だから、いまのジョンソン大統領発言にしても、在来の大使級会談、これが活発に行なわれるのか、そんなことかもわかりませんし、あるいはまた、別なルートをまた見つけるんだ、こういうことであるかもわからない。しかしながら、そういうものがまだ出ておらないのです。だから、そういうことで私は、ただいま直ちに変わったと、こういうことを言うことはちょっと早いように思う、かように先ほどお答えしたのでございます。  まあいずれにいたしましても、これは論議が活発になっておる。また、中共自身孤立化さしてもいけないとか、あるいは軍縮会議にはぜひ出ろというような議論も出ておりますし、これから中共問題についての論議が各界、各方面で出てくるということは、問題が問題であるだけに、その行き方、その推移を私ども十分気をつけて見なきゃならぬ、かように私は思っております。
  16. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっと関連。いまの亀田委員の御指摘のように、変化があることは事実だと思いますが、ただし、その実態は必ずしもどういう変化を示すかは、まだ明らかでありません。そこで、それの内容は別として、変化が起こった場合には、日本の対中共政策に変化が起こるのですか。アメリカ変化すれば日本変化が起こるということですか。この辺はどうです。
  17. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私が昨年ジョンソン大統領に会いました際も、アメリカの行き方はアメリカの行き方だ、日本の行き方は日本の行き方だ、こういうことで共同声明を出したわけでございます。アメリカ日本考え方の相違のあること、これは羽生君も御理解いただけるだろうと思います。私どもはその立場に立ちましてものごとを考えていくのでありますし、どこまでも国益、これを守る、また、これを発展さす、こういう考え方で私は考えてまいろうと思います。
  18. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) もう少し亀田君の質問を進行してから、関連、もしあるのならやってください。
  19. 亀田得治

    亀田得治君 ひとつ総理に提案をしたいと思います。変化の度合いについては、私と総理の御意見、ぴしっと一致しておりませんが、しかし、相当問題のあることは総理もお考えになっておられます。  そこで、申し上げたいのは、従来、日本人が中国人を理解するほどには、どうも米国のほうがわからぬ点があると、こういうことが一般にもいわれ、またはっきりした日本の識者からは、そういう点を米国内においても指摘された方もある。私はそのとおりだと思う。で、そうすれば、私は、米国内において多少でもそういういい意味での変化というものがあらわれたときにこそ、日本の政府、総理大臣は、その機会を逃がさないで、そうして中国に対する考え方というものをもっと現実に即するように前進させるという決意を持って働きかけるべきじゃないか。私はこのことがいろんな問題に響いていく重要な問題じゃなかろうかと考えているのですが、そういう積極性を総理大臣は持たれますか。
  20. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) もちろん、先ほど冒頭に申しましたように、アジアに国する日本、これはアジアの安全、繁栄、平和、これはもう一番気になっております。そういう意味努力をすることは当然であります。ただいまのは御提案ということでございますが、私は、アジアの平和、またわが国の安全を確保する、そういう意味努力は最善を尽くすつもりでございます。
  21. 亀田得治

    亀田得治君 いや、私のお尋ねしたのは、米国の中国に対する考え方変化のきざしが見られる、それを促進するために、ひとつ自分も骨を折ってみよう、たとえば具体的に、そういうためにこそアメリカに出かけてもいいわけなんです。場合によっては、そういう具体的なことをおやりになる決意がおありかどうか、それを聞いておる。
  22. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま私は一般的にお答えをいたしました。一般的な努力目標、これからただいまのような具体的な問題が発展してくると思いますから、それらの点は、ただいまのお話をよく伺っておきますと、かように申しておる次第でございます。
  23. 亀田得治

    亀田得治君 次に、中国使節団の入国問題についてお尋ねいたします。昨日、社会党の佐々木委員長からもすでに緊急質問がありまして、態度の変更はできないというお答えをいただいておるわけでありますが、われわれは了承できない、どうしても。いろんな角度からわれわれも検討して、了承できないわけです。総理の考えですね、なぜこれを断わるのか、入れないのかという点についての詳細な御説明をお願いしたい。
  24. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 中共使節団の入国問題につきましては、法務委員会、あるいはまた予算委員会の一般質問等の場合に、すでに法務大臣や外務大臣から詳細にお答えしたと思います。新聞等にもそれがしばしば伝えられております。  私は昨日、佐々木委員長の緊急質問に対しましても、政府の態度を明確にしたつもりでございます。この種の事柄、これは佐々木委員長もはっきり言っておられたように思いますが、外交は政府の責任においてやるものだ、かように思う、しかしながら、われわれの考え方もどこかへやっぱり入れるべきではないか、これはいわゆる国民外交の形において自分たちは主張するという話をされておりました。したがって、佐々木委員長も少なくとも政府が外交的な最終的な責任を持っておることはお認めではないかと私は思います。そういう意味で、ただいま絶対に賛成できない、こう言われるけれども、そこはひとつ最終的には政府にまかせていただきたい、かように私は思います。  これが、その経過は法務大臣あるいは外務大臣等からお答えしたので、重ねて申し上げる要はないと思いますが、しかし、この事柄は最も大事なことでありますから、お答えいたしますると、最初事務的な問題として、いわゆる未承認国からの入国許可についてどういうような扱い方が事務的にとられるかということで、事務当局がいろいろデータを集めて、そうしてこれの処置を最終的に、事務的にはどうも入国を拒否すべきだ、かように思うが、最終的に政治的などういう判断をされるか、こういうことでありましたが、政府も、これはただいま入国を許可して、そうしてこれが非常にうまくいくと、かようにも実は考えられない。それで、入国を許可した上でいろんな問題を起こせば、これはまたたいへんまずいことになるのじゃないか。それはもう最初から事務的な結論が出ているように、そういう処置をすることが望ましい、かように実は考えて、この際は入国を認めることが不適当だと政府は考えて処置したわけであります。
  25. 亀田得治

    亀田得治君 たいへんまずいことというのは、具体的にはどういうことでしょうか。
  26. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これがいろいろ政治的な論議に発展することが、私はまずい結果になるのではないか、かように思ったわけであります。
  27. 亀田得治

    亀田得治君 ちょうど政府から、法務省から拒否の回答がありました翌日の、たとえば朝日、毎日、この両大新聞の社説を見ても、もう少し広い高い視野でこういう問題は処理していいのではないか、そろってそういう指摘があります。私は、これは日本の国民の感情にも合った社説だと考えます。かたがた、冒頭議論いたしましたように、アメリカにおけるそういう中国に対する態度変化のきざしということと考え合わせてみますると、アメリカのほうが考え直そうと言っているときに、何か日本のほうが現実の行動においては逆なことをすると、これは日本の国民にはそう受け取られます。百の説法よりも、具体的な問題の処理において国民は非常にやはり敏感に感ずるわけです。決してこれは社会党だけの言い分じゃなしに、両大新聞の社説等を見ても、これはもう十分私は国民の気持ちがあらわれておると思うのですね。どうなんですか。
  28. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まず二つの問題をいま提案されました。アメリカがどうだと、いろいろ変わっておる際に、日本のほうが窮屈だと、こういうようなお話ですが、アメリカアメリカ日本日本、先ほども関連質問でお答えいたしましたように、だから、アメリカがどうこうするとかいうようなことで日本外交の基本がゆらぐわけではございません。これはどこまでも日本は独自の外交をしている。一部ではこれは盛んに言われておりますし、ことに中共の北京のほうで、新聞その他を見ても、どうもアメリカ追随の外交だ、こういうことを言われております。また、日本の国民のうちにも一部、アメリカ追随というように思っておる向きがあるのじゃないか。ただいまの亀田君の御意見もそういうように受け取りやすいのであります。実は私は、日本日本独自の外交をしていく、アメリカがどうあろうと。だから、これは北京におきましてもその点ははっきりしていただきたい。私はアメリカ追随の外交をしておる、こういうものじゃございませんから、この点はまず誤解のないようにお願いしたい。したがって、アメリカ自身は先ほど来お話を申しておりますように、アメリカ自身考え方は変わったと私はまだ見ておりません。それだからこういう政策をとる、こういうわけでもございません。これはもう全然別のものでありますから、混同されないように願いたい。  また、朝日、毎日等の社説、これが出ておること、私もよく読みました。しかし、これは政府に対しても大所高所からの態度を望んでおりますが、同時に、社会党に対しましてもいろいろ要望しておるようであります。これはそういう意味で私は社説を持ってくることはどうかと思う。問題はやっぱりこういう事柄が、先ほど話に出ましたように、外交の当の責任者は政府なんだ、政府の責任においてこういうことが処置されたのだ、かようにお考えをいただいて、そうして最終的には国民自身が批判する、かように私は思っておりますが、私はこの事柄はわが国の外交態度としてこれは当然のことだと、また同時に、国民大多数がこれを支持してくれる、かように私は確信してこのことをやっておるのであります。さような意味で、最終的に社会党の諸君と意見が違うことは、私はまことに残念に思いますけれども、ただいま申し上げるように、意見が違いましても最終的な責任はやはり政府が負わざるを得ないのじゃないか、かように思っておりますので、この点は社会党の御意見とは違いますけれども、また意見が一致しておりましても、社会党に責任を負わすわけではない。政府自身の責任において外交は遂行されておる、かように私は思っております。どうかさように御了承いただきたいと思います。
  29. 亀田得治

    亀田得治君 まあアメリカ追随の問題にからましますと、問題がややっこしくなるから、それは別の議論にしましょう。  それで、政府に何か危倶する点があったのであれば、その点の指摘をして、そうしてこれはこういうふうにいかぬものだろうかというふうに、まず私は一つの段階があっていいのではないかと思う。それが私は政治だと思う。そういうものが何もない。そうしてこう結論が出されておる。私ははなはだ残念だと思う。外交の責任は、あなた責任者だから、野党に対して、この点が気がかりだがどうかというような指摘はないじゃないですか。どうなんです。
  30. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは亀田君がどこまで御存じか私は知りませんが、この中国使節団の入国問題については、社会党で代理申請された、こういうことでございます。事務的には、その代理申請をされた方といろいろ接触をし、また直接の話もし、またいろいろ申し上げていたと、かように私は理解しております。私自身は代理申請をした方に直接会ってはおりません。  それから、もう一つ申し上げたいことですが、こういう事柄を、率直もよろしいのですが、率直に何もかもみんなぶちまけて言うことがはたしていいかどうか、これもひとつお考えをいただいて、将来に感情的に残るような問題も生じては、それこそ両国の国交のために私は非常に惜しむのでありますから、この辺は適当にすべきじゃないだろうか、かように思います。そこで、先ほど来申し上げておるように、その責任の所在ははっきりしておる。だから、この辺で御了承いただきたい、かように申しておるわけであります。
  31. 亀田得治

    亀田得治君 代理申請に行くとき、私も誘われたんですが、ちょうど予算委員会関係で行けなかった関係で、内部の事情は聞いております。しかし、私は納得いかぬから説明を求めておる。  で、法務大臣の所管でございますが、まず事務的に検討されたというが、こまかい点はよろしい、そのポイントは一体どこなのか、その点を明らかにしてほしい。
  32. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 初めに社会党から代理申請がございました。そのときの御説明では、社会党の御説明によりますると、両国の——社会党とお招きになりまする中国使節団との間にいろいろ話し合いをするが、それは決して内政干渉にわたるようなものはしないというような意味お話でございます。その御説明のとおりだとまことにけっこうなわけでございますが、その説明のときにお出しになりました向こうの電報は、御承知のように、あちらから来た電報の中には、相当強い、この会に出席する理由を書いてあるわけでございます。前のほうは略しますが、これまでに発表された四回の共同声明の基礎の上にアメリカ帝国主義に反対する闘争をさらに展開し、双方の友情を深めることについて意見を交換することを決定しましたということが書いてございます。で、これを読みますると、私どもがいままで中共から日本に来てもらっておりまする関係がどういうことになっておるかということは、御承知のように、まだ両国の間には国交が回復していないのでございます。国交が回復していない国の間において人の往復というものは原則的にないのがあたりまえでございますが、中共との間は近い国でありまするし、お互い親しい交わりをしておるわけでありますから、できるだけお互いの間に交流を認めたいという心持ちが両方にあるわけでございます。内政に干渉しない範囲において、貿易、文化等の交流をしようというので、ずっとやってきておるわけであります。政治的に、特に日本の国の政府そのものの批判、あるいはまた日本の国と友好関係ある国との間にいやな関係を起こすような言動等はしてもらいたくないというのが、私どものかねてからの考えでございます。昨年あたり入国した政治家の場合に、私どもはそういう条件を申し上げたこともあったわけです。そういうときも破られた例もございます。で、今度の場合ははっきりとこういう目的を掲げられておりますると、これはどうも認めるわけにはいかない。私のほうの事務的に入管の規定の上にもひっかかるものでございます。さらに外務省とも打ち合わせまして、外務の方面からの関係からも打ち合わして、どうもこれは好ましくないということにおいてお断わりをしてきたという判断をいたしまして、お断わり申し上げた事情は御発表申し上げたとおりでございます。
  33. 亀田得治

    亀田得治君 問題の点御説明がございましたが、その点が実は了解がいかない。端的にいって、アメリカ帝国主義、理論的にいえば非常にいろいろ複雑な問題にもなりますが、端的にいいまして、アメリカベトナム自分の国の政策遂行のために大きな軍隊を動員しておる。これは法的な根拠の説明はいろいろありますよ。しろうとはそういうように考えているわけです。自国の政策遂行のために軍隊の力でやっていると。これをアメリカ帝国主義の一つの例として批判されているわけです。これはアメリカ帝国主義というかいわぬかは別として、事実は世界注視のとおり、これは否定できないことです。しかも、それがアジアの平和に大きな関係がある。そういうことについて、この野党が意見の交換をする。きまったことをここで実行しろと言うんじゃない。日本の中で一緒になってやる、そういうことではない。そういう問題について意見の交換をする、私はそれくらいのことは責任者としては認めていいんじゃないか。野党を認めているでしょう。あなたの論理をどうも追及していきますと、いざという場合には野党を圧殺するような感じを受けるわけです。(「違う」と呼ぶ者あり)違いやしません。そういうことになる。野党の私たちの言動を認めておきながら、全然一緒ではありません。向こうは共産党、こちらは社会党、一緒ではありませんが、共通の問題について検討する、そういうことについてこれが国益に反する。それは私は小乗的な見方ではないか。論説などが指摘するのはそこなんです。だから、そういう点について心配な点があれば、社会党に対してももっと注文をつけていいんじゃないかというのが、論説等においても見られる忠告なんです。  だから、どうもいまの法務大臣の説明は、政経分離といったような従来の立場から割り出した事務的なこれは常識なんです。それをすぐ国益に反するというふうに結びつけているわけですが、ここは私はもっと高い立場から検討する余地があるのではないか。私たちの感じでは、政府としてはそういうことはできないでしょうが、そういう機会をつかまえて自民党の適当な方がさらに接触して、中国考え方をざっくばらんに聞くだけは聞くといったようなことくらいやっていいと私は思う。決して何も、アメリカがやったからこちらも変われということではない。アメリカですら、これはどうもいままでのとおりをしていかぬということを言っておるときに、なぜこういうふさいでしまうというようなことをするのか。議論なんか大いにやらしたらいいじゃないか。それはみんな参加してもらったらけっこうです。案外そこに誤解があるかもしれない。あるいは向こうのほうも、佐藤総理大臣に会ったら、案外話せるわいということになるかもしれない。なかなかならぬと思いますけれども、ならぬでも、私は、人間はお互いに会えば、何らかの収穫というものはあろうと私は思う。なぜそういう高い態度がとれないのか、これなんです。いまの事務的な考え方ではだめです。総理大臣が、事務的な説明をちょっと待てと、事務的にはそうかもしれないがというところで、なぜもう一つ引き上げて検討されなかったか。それが惜しいわけです。どうなんです。
  34. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほどからお答えしたように、事務的の処置というか、事務的の結論、それを同時にやって、そこへまいりまして、事務的にはこうなんですが、政治的にはどうでしょう、そこを最高の立場で見まして、そのとおりだ、そのとおりやろうということに実はなったわけであります。  私は、ただいま言われますことにいろいろ議論すべき点があると思います。これは昨日も佐々木君から緊急質問を受けたのでありますが、とにかく外交というものは幅広くやるべきだ、こういう意味で野党もやってよろしいじゃないか、こういうようなお話。また、自民党の中にもそういうものは中共に現に出かけて、そうして交渉を持っている人がいるじゃないか、また、財界、産業界あるいは思想界、言論界等々にもいるんじゃないか。そのとおりだと思う。いわゆる国民外交というのはそういう意味で望ましい。私はそういうように積み重ねられて、そうしてりっぱな外交の成果をあげることは望ましいと思う。政府自身そういうものを全部ためるつもりはございません。しかし、その言われるごとく、政府自身が責任を持って外交をするんだ、かようには言われていながら、その政府の考え方が非常にはっきりしておるにかかわらず、それと全然違う方向の外交論戦を展開されても、実はこれは政府は了承するわけはにいかない。だから、いわゆる健全な国民外交、こういうようなものは、政府の足らないところを補足するとか、あるいは政府の外交をもっと元気づけてやる、こういう意味の役立ったことはありますが、政府の外交の行き方に足を引っぱるようなそういうことは、国民外交としても、多面外交としても、実はあまりない。こういうことは政府自身も反省すべきそれは問題だと思います。それはそういう政府の外交方針について足を引っぱるような議論が出る、これは政府自身も反省しなければならないものがあるかもしれません。しかし、政府が反省してみても、政府はやっぱり在来の考え方と変わらないでその外交方針を貫ぬく、こういう場合においては、外交が政府の責任においてなされる限り、これはやはり他の方面でもあきらめていただかなければならないんじゃないか、かように私は思うのであります。  これはそういう意味から、外交の問題だけはまあ水ぎわでやめようじゃないか、そうしないとどうも国益に反すると、しばしば外国でも言われております。だから、外国におきましても、与野党は国内政策では対立する、いろいろの考え方においては対立はいたしましても、少なくとも外交の問題に関してはお互いにその論議はある程度慎んでいく、かように私は見受けるのであります。  私は、この問題について政府自身ももちろん各方面からの批判を受けておりますから、そういう意味で十分考えるべきだろうと思いますけれども、私はただいままでのところ批判は受けたが、私はこの行きかたがただいまは日本として正しいんだ、また大多数の国風はこれを支持してくれる、かように私は実は確信を持ってこのことをやっておるのであります。ただいま申し上げるように、外交問題というのは非常なデリケートな問題でありますし、相手の国に対しましても非常な影響があるだろう、また国内の国民に対しましても非常に関心は持たれるし、また友邦等にも非常な影響を与えるものでございます。外交の問題というのはそういう意味でやっぱり扱い方も慎重でなければならない。この点で、今回の中共の訪日団一行の入国を許可するかいなかということは、これは事務的には——これを事務的だけにまかすようなことはいたさなかったつもりであります。そこで、最終的には政治的な判断からこれを決定したというのであります。  この点を先ほど来いろいろ御議論されておりますが、社会党の御主張、これは社会党のいままでの考え方からそういう主張になることは当然だと思います。しかし、また御理解いただきたいと思いますのは、今回の訪日団が最初からの過去四回、ことに問題になりますのは、ベトナム問題が起こる前の、いわゆる米帝国主義という浅沼発言、あの共同声明以来の問題だと思いますが、その問題で貫かれておるというところに問題があるんだ、この点を御了承願いたいと思います。
  35. 鈴木強

    鈴木強君 関連。外交権が政府にあることは、そのとおりでしょう。しかし、われわれが政府のおやりになっていることについて、悪い点があれば、指摘してこれを批判することも、これまた許された権限だと思います。そこで、いま亀田委員が法務大臣の御説明を聞いて納得できないという点の中で、私はちょっと総理にもう一回伺いたいんですが、これはいろいろいきさつはあるでしょう、しかし、中共が率直にそういうことを言ってきた。本来、もし日本社会党との間に親善友交を深めるといううたい文句だけであれば、これは許可せざるを得ないでしょう。そうしてこちらに来て、あなた方がおそれているような話がもし出るとすれば、かえってそのほうが困るわけでしょう。ですからね、正直に言ったんですよ、中共は来る前にはっきり。もし黙って、抽象的なことを言えば、これはわからぬでしょう。ですから、それだけにもう少し総理は、社会党の代理申請の場合に、接触に当たらなかったと、こうおっしゃるんだが、少なくともそういう段階においてもう少し党の最高首脳との話し合い等もやるべきではなかったか。私はその点を非常に残念に思うんですね。そういう点がひとつ指摘されると思いますが、もう少し事務的でなく、総理が直接おいでになったほうがよかったのではないかと思います。  もう一つ、きのうの本会議で社会党委員長にあなたが答えて、中国とは政経分離の原則で経済交流や文化交流を進めておる、もちろん社会党の人も自民党の人も政党に属さない人も中国に渡り、いろいろ交渉を打っておることは多とする、こう答えています。そこで、いま政経分離立場をとって政府はやっておるわけです。そこで、今回の入国拒否というものが、いまあなたが多とするという従来から積み重ねてきておりますいわゆる国民外交といいますか、そういったものに相当な悪影響を与えるだろう、そういうことをあなたは百も承知で、なおかつ拒否したのかどうか。これは非常に最近の、さっきから論議しておるようなアメリカ中国観というものも変わってきておる段階において、ますます、かりにあなた方が政経分離をとってくれば、その政経分離立場に立って推進すべきではなかったでしょうか。その推進しようとすることが今度の問題において挫折する、こう私は思いますがね。あなたはそれを拒否しても政経分離立場は何ら支障なくいけるというように判断しておられるかどうか、この点をお答えを願いたい。
  36. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 第一段のほうは、これはもう鈴木君の意見として伺っておきます。いわゆる党と党でもっと話をしたらどうか、こういうお話について、これは私は官房長官等にもいろいろ連絡はあった、かように考えておりますので、この点は政府だけが独自の立場で突っ走った、かようには私は思っておらないんです。少なくとも私自身が出なかったということで、それを出ろというお話については、御意見は御意見として伺っておきます、かようにお答えしておきます。  第二の問題について、先ほど来申し上げておりますように、なかなかデリケートな問題ですから、行くところまで行って議論が分かれた、こういうことがあと腐れがなくてさばさばするんだ、こういう言い方もあるかと思いますけれども、そこが政府としては、最初からそういう危険があればこれをお断わりしたほうがいいんではないか、さらに深入りするとこれはとんでもないことになるだろう、かえって非常に悪い感じをあとに残すんじゃないか、かように私どもは考えたのであります。ことに、私ども申し上げておるように、経済交流はぜひともしたい。昨日佐々木君には私お答えいたしませんでしたけれども、もう五億ドル、これがおそらくことしあたりはこすようになるだろう、かように思いますが、これはたいへん貿易は拡大しなければならない。いまのような変則的な貿易状態でも、すでに四億七千万ドル。これは全体の貿易額から見れば、全体の二・八%であります。二・八%でありますが、さらに両国の関係を見れば、戦前の姿、それまで貿易を引き上げるとすれば、さらにさらに両国は努力しなければならない。だから、私はいまのような状態でこれをほうっておくつもりはない。さらにそれが五%になり、一割になる、こういうようにどんどん貿易が拡大していかなければならぬと思います。だから、ただいまの状況でいいと私は申すのではございません。変則的なこの関係においてすらここまで拡大されておるのであります。だから、そういう貿易の拡大等については、ぜひこれは進めていきたい。そこで、私はしばしば申し上げる。お互い独立を尊重し、内政には一切不干渉だ、こういうような態度であってほしいのです。日本は戦後においては、これはもう平和国家です。何ら脅威を与えていないはずであります。私は、これはもう大いばりで中共に対しても言えるのです。日本の国自身はこれはもう脅威を与えるような、中共に脅威を与えるような国柄では全然ありません。だから文化的な、平和的な交渉をどこまでも持ちたい、これは私の念願でもあります。そういうことを十分理解していただいたら、中共においてもやはりある程度の節度があり、ある程度の礼譲が守られるんじゃないか。私は、社会党の皆さん方に、せっかく中共の方を入国させよう、連れてこよう、こう言うなら、日本のこの態度も十分よく説明して、そうして中共自身もそういうような協力をしてもらいたい、これがまた共存の不可欠の状況じゃないか、こうなれば両国は必ずうまくいくのです。そうして、そうすれば必ず中共に対する支持者もふえてくる。私は、いまのような状態ではなく、たいへん改善されると思う。このことが両国のほんとうに必要なことであり、望ましいことだ、かように私は思いますがゆえに、私の考え方を率直に申し上げますけれども、これをやはり中国にも十分理解してもらいたい、かように私は思います。
  37. 鈴木強

    鈴木強君 いまの総理の御答弁は、今度の入国を拒否しても、従来の政経分離態度はそのまま続いていくだろうという希望を持った御発言と承ります。しからば、一昨日、参議院の分科会で法務大臣は率直にこう答弁しております。「こんど中国代表団がきて政治問題について話をすると、外交問題に関するものであっても、国内問題に影響するので、おいで願わない方がよい。途中でお帰りくださいということにでもなれば、日中関係はさらに悪化する。こんどのことで日中関係は一歩後退したに違いないが、」いいですか、「こんどのことで日中関係は一歩後退したに違いないが、もう一度築き直すほかはない。」、こういうふうに、この拒否が明らかに政経分離の経済交流、文化交流に一とんざを来たすと、こういう判断を法務大臣はおとりになっておる。これは佐藤内閣の中の担当の閣僚の御発言でありますから、いまの総理の希望的観測を含めた政経分離のこれからの方針というものとは食い違いがあるんじゃないですか。これははっきりしてもらいたいと思う。これは石井さんが答弁してから、総理に答弁を願いたい。
  38. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私が申し上げたのは、ちょうどきょうあたりの新聞にも載っておりまするように、非常に日本に対して非難の声があがっておるようです。そういうふうなことはあり得るだろうと、だから感情の上においては一歩後退すると、そういうことはあり得るに違いないと、しかし、それをみんなの力によってこれからまた盛り上げていかなければならぬじゃないかということを、そのあとずっと申し上げたわけであります。
  39. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま石井法務大臣からお答えいたしましたので、これよくおわかりだと思います。全然問題のないときよりも、これは問題が起きると、これはやはりこのあと始末が完全につくまでいろいろなものが残るだろうということは言えると思いますね。だからこういう事柄が、その両国間がただいまのように未承認である、そういうところにおいてこういう事態が起こりますと問題になるわけなんです。だから、もう最初からこういう問題が起こらないようにすれば、これはもう一番いいわけなんです。それならいまのように入国を拒否しろと、拒否したらだめだと、だけれども入国問題が起こらないような事態が起こっておったら在来と変わらない、こうも言えるのですから、まあその辺の議論はあまり根掘り葉掘りしないことが両国の親善関係を将来に築き立てる、この上に必要だと、かように私は思うのであります。この点は、先ほど来いろいろ皆さんも聞きたいことをやはり遠慮しておられるが、外交の問題でありますだけに、やはりまあ十聞きたいことも七割程度でとめられる、その辺でまあちょうどいいくらいになるのじゃないかと私は思います。これはもう両国の関係お互いに十二分の表現をしておれば、ただいまのような状態ではまだ完全に了解ができてないだけにですよ、これはあとへ問題が残る、そのことを非常に心配しておる、かように言っておるわけであります。
  40. 亀田得治

    亀田得治君 総理にはだいぶん誤解がある。総理アジアの平和、冒頭に非常に重要な外交の柱として言われておる。われわれも同じことなんです。大体その平和をきちんと確立するには一方だけではだめなんです。アジアにおいては何といったって共産圏を無視した平和というものは、これはどうしたって底が弱い。だから、そういう情勢の中で、政府ができない、野党の諸君がやる、接触する、そういう立場で国益というものを考えてほしかったわけなんです。しかし、ただいままあ答弁を聞いておりますと、一歩後退することになるが、至急これをもとに戻していきたいというふうな御意見にまあ聞いたわけですが、そうですか。後退した、しっぱなしということにはならないのですか。
  41. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私はまあこういう事柄は後退しっぱなしだとは思わない。ただいま言われますように、アジアには共産圏、これは共産国たくさんある。まあ共産国と言ってしまうか、あるいは社会主義の国と言うか、あるいはまたそれぞれの国情の違う国があるわけです。そこで、そういう国と仲よくしていく、いずれの国も敵視しないのだ、こういう考え方に立って物事を考えれば、どうしたらいいか。そこで私は先ほど来からたびたび申すように、お互い独立を尊重し、お互い内政に干渉しない、そういう原則に立ってつき合いをしていくのだと、このことが望ましいのだ。でないと、これは国情が違いますだけになかなか言い分があってうまくやっていけない。しかし、それぞれの国はそれぞれの国民がきめた政治形態でやるのですから、それに干渉するようなことがあっては望ましくない、こういうことをまあはっきり申し上げておるのであります。私はいままで、これずいぶん議論してまいりました。けれど、社会党の諸君も言われますように、そういうような内政不干渉、独立は尊重すると、この原則をとにかく承認していただくことが一番先じゃないか、かように思います。この点を政府としてはどこまでもこだわるようですけれども、そういう行き方が望ましい。そうじゃないと仲よくやっていけない。すべてが自分のところで考えるのをどうしても押しつけるようなことになってはこれはまずいのじゃないか、かように実は申しておるのであります。社会党の方も国益増進ということについて私どもと同じ考え方だと、またただいま申し上げるような、国情が違っておる、政治形態が違っておる、そういうところだと、これはもう社会党の方が行かれてなにされることが望ましいところもあります。そういう意味でこれが経済交流に役立つならば、両国のねらっておるところ、それがますます発展して非常によろしいのじゃないか、かように思うのであります。しかし、まあ先ほど来言われておりますように、政治形態が違っておって、そうして、しかも未承認の間柄である、こういうことになりますと、政経分離、これがやはり守られて、そうしてお互いにこの政治の分野についてはもう進めないのだ、こういうことでブレーキをかけていく、そこにまあいまのところは必要なものがあるのじゃないかと、しかし、それは内密なうちにそういうことで意見を交換されることはあろうかと思いますが、これはまた社会党からも、佐々木委員長からも披露されたのですが、日中の間で、社会党は出かけても、中共の核武装については絶対に賛成しなかった、したがって、これで内政干渉とは言わなかった、かように言われましたけれども、私はこれはもう日本人であれば、社会党であろうが保守党であろうが、中共の核武装にはこれは賛成されない、かように私は確信しておりますので、その辺は堂々たる主張であったと思います。ただいま私はそういうような事柄内政干渉だとは申しませんが、私、社会党の方が使いされてたいへんけっこうな処置をとられた、かように思っております。けれども総体といたしまして、これはやはり社会主義の形において話し合いができる、これだけでは実は私は困るのじゃないか、かように思っておるのであります。だから政治の分野においてこれはせつ然と区別するのだということでいわゆる政経分離の原則が承認され、その上の交渉、これはもう私ども望むところですから、その辺では御遠慮なさらないように願っておきたいと思います。
  42. 亀田得治

    亀田得治君 内政不干渉ということは、これは中国側も絶えずいろんな国際会議なり決議等では出しておる一つの大きな原則なんです。ただ内政干渉になるかならないかという問題、具体的な場合における判断は、立場によって相当違っておる。おれのほうはやっておらぬけれどもアメリカのほうはやっておるじゃないかというふうに見れる事態がたくさんあるわけですしね。だから、これは中国立場を、そういうことについて中国意見を聞いてみたらどうかということを私たち申し上げている。そこで、総理にこれも一つの提案でありますが、政経分離というようなことはもう時代おくれじゃないか。貿易だけはやりたいのだと、いまも数字まであげて言われましたが、そういうことじゃなしに、何といったって平和といず問題はこれは政治の問題なんです。最終的には軍縮会議なりいろんな問題が御承知のとおり出ているわけですね。アメリカのことを引きますと、アメリカと別だとあなたはおっしゃいますけれども、アメリカだけじゃない。どこの国においても中国との政治的な接触の必要性というものを認めてきておるわけなんです。これは全部とは言いません。重要な相当の国が認めてきておるわけです。私はそういう意味で、近い日本、隣国の日本政経分離よりもさらにもう一歩踏み出して検討する時期に来ているのじゃないか。そうしないとこちらが取り残されますよ。アメリカが踏み切ってからついていったんじゃ、アメリカ追随じゃないかとあなたまた非難されますよ。まあそれはどうでもよろしい。アメリカのことになるとどうもややこしいから言いませんが、そういう時期に私は来ておると思います。政経分離なんていうものはこれはもう過渡的な一つの原則です。どうですか、そういう立場でこの機会にもっと積極的に自分としてはどう考えておるのだ、おれは断わったけれども、腹の中はもっと先を考えておるとかいうふうな考えがあるのかどうか、はっきりしてほしい。
  43. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 御提案かと思って一生懸命聞いておったら、最後に御質問ですから、お答えいたしますが……。
  44. 亀田得治

    亀田得治君 いや提案と同時に質問です。
  45. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、先ほど来申し上げておりますように、隣の国同士でありますから、これもいまのような状態がいつまでも続くことは好ましい状況でないこと、これはもうはっきりしております。しかし、まあ両国の間にはいろんなむずかしい問題がありますから、そう簡単に結論は出てこない。最近のアメリカの論理にしても、また国連におけるいろいろの各国の主張にいたしましても、私は非常な流動的な状況をいま示しておると、かように実は思っております。したがいまして、隣同士のこの問題をどういうことで、どういう方向で解決しようか、これはまあ日本の国にとりましても一番大きな問題である、かように私考えておるのでありますから、十分慎重にただいまの流動する状況、これの把握をいたしまして、そうしてその見通しを立てて、そうして結論を出す。それが慎重でありますために、いろいろな誤解も一部にはあるように見受けますけれども、ただいま申し上げますように、これは慎重に取り組んで結論を出してまいります。このことで御了承をいただきたい。
  46. 亀田得治

    亀田得治君 それじゃ、この問題は残念ですが、この程度でひとつ打ち切っておきます。  次に、中国の国連加盟の問題に触れたいと思います。中国の国連加盟も遠からずこれは実現する時期に来ておると私たちは判断しておりますが、政府の見解を聞きたい。
  47. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 国連加盟と言いましても、代表権問題だろうと思います。中国の代表権を国府から中共政権に移すという問題だと思います。これはそう簡単には解決しないと思います。
  48. 亀田得治

    亀田得治君 その中身を説明してください。
  49. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まず昨年の四十七対四十七、それに棄権が二十、それから初めから出席しない国が三ございます。それで、二十の棄権及び出席をしなかった三つの国、これらについていろいろわがほうの国連代表部においていろいろ分析し、検討を加えたわけでありますが、これらはどちらかというと中国加入、国府追放と、こういう問題について多分に疑義を持っておる、あるいは反対の立場をとっておる、こういう国が大部分であるという結論が出たわけでございます。その後、数カ月たっておりますから、またどういうふうな変化を見ておるか、さらに検討を要する問題ではございますけれども、そういったような点からいって、四十七対四十七、こういう表面の観察だけではなかなかそう問題は簡単ではないと、こういうふうに考えるからでございます。
  50. 亀田得治

    亀田得治君 今秋、秋のこの国連総会でも、それじゃ日本政府は同じ態度をとるつもりですか。
  51. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まだこれはことしの秋の問題でございますから、いまからそういう結論を急ぐ必要はないと思います。
  52. 亀田得治

    亀田得治君 そういうことはない。こういう大事な問題は、それこそ長期的に絶えず検討していかなきゃいかぬわけでしょう。外務省の中じゃすでに検討を始めておるわけでしょう。何か橋本官房長官から待ったがかかったとかいうので、ちょうどいま、うわさをすれば影とやらで、お見えになりましたが、実際はそうじゃないですか、実際はそうなんでしょう。検討を始めておるわけなんです。これは、いずれは近く中国の加盟というものは阻止できないと、どうなんです、実際のところを言ってください。
  53. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 検討は絶えずやっております。やっておりますが、まだ結論は出しておりません。あまり過早に結論を急ぐということは、かえって問題を見間違えることになるおそれもあります。十分に検討に検討を加えて間に合うように結論を出す。
  54. 亀田得治

    亀田得治君 それじゃ具体的に聞きますが、この至要事項指定方式の提案国になると、こういうことはまさか二度とやらないだろうと思いますが、どうなんです。
  55. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) それも検討に検討を加えて慎重に対処したいと思います。
  56. 亀田得治

    亀田得治君 総理大臣にお聞きします。最初に私指摘しましたフルブライト上院外交委員長意見の中で、中国はなかなか働きかけても乗ってこないかもしれぬが、しかし、中共国連加盟を支持するという最初の働きかけを——最初のというのは、われわれのほうからという意味ですね。そういうことをする義務がある、こういう強い発言までやっているんです。だから、そういうときに、日本政府がいつまでもぐずぐずして踏み切らない、私はこれはこの日中間に非常なやはり禍根を残すと思います。最後までいって、あと一票というところで日本政府は踏み切ると、どうもそういう感じですよ。四十七、四十七、二十のほうは、いろいろ分析してみると、まだこっちのほうだ、こういうことでははなはだもって私は、隣国の、アジア日本としていけないと思う。総理大臣として、いま外務大臣が言われたような、ああいうどっちを向いているかわからぬ態度、よくないと思うんですが、どうです、総理として。
  57. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これはよくないといっておしかりを受けてもちょっと困るんです。先ほど申しましたように、いろいろ流動的であることは私も了承しております。また、これは隣りの国同士ですから、これが将来も友好親善関係に禍根を残しても、これはたいへんだと思います。そういう意味で、私は、先ほど慎重に検討しているんだという話をいたしました。この慎重なのは、一体どこにそれじゃ問題があるのか、こういってさらに掘り下げてみますと、ただいま外務大臣がお答えいたしましたように、国府を追放して、そうして中共に代表権を与えての国連加盟、こういうことがただいままで問題の焦点になっている。ところが、これは御承知のように、国府と日本との間には講和条約を締結し、また、条約上の権利義務がある。また、国府自身は最初から国連の創設者でもある。そうして安保理事会では常任理事国だ、こういう関係にある国柄であります。中共は、なるほど中国大陸に国をつくり、そして中国大陸を統治しておるりっぱな、七億の住民を持つ大国だ。こういうような状況でありますから、そこで問題が非常にむずかしいのであります。でありますから、これらについてもいろいろの検討もしておりますけれども、まだまだ結論はなかなか出てこない。かような状況で日本政府自身がただいままだ結論を出していない。慎重にただいまの動向を見きわめて、しかる後で処理する、こういう考え方でございます。そのむずかしさというものは、これは御理解がいただけるんじゃないか。簡単に、どんなことがありましても、いわゆる中共の実力を認めて、代表権を持っている国府を追放しろ、簡単じゃないかというような御議論は、社会党の方もなさらないと私は思いますが、こういう条約上の権利義務を持つ日本として、ただいままで提案された案について、これが非常に結論の出しにくいものだということでございますから、どこまでも慎重にかまえておるわけであります。
  58. 亀田得治

    亀田得治君 この日本政府なり、外務省のねらっているのは二つの中国論、こういうものを持ち出して半ば中国に国連への道を開いたようなかっこうまでとろうと、アメリカ内ではそういう意見が相当強く出ておる。そっちを言うと何ですが、それは外務省で検討しているのもどうも同じ筋じゃないですか。そうすると、中国はなかなかそれには乗ってこぬだろう、乗ってこぬほうが悪いんだ、こういうことで、今度は事実上国連加盟をはばんでいく、そういうふうな立場で今後動こうとしているんじゃないですか。
  59. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私自身まだ二つの中国論というものを考えたことはございません。御承知のように、私どもは台湾、澎湖島、これは前の戦争で放棄したのでございます。そういうものの帰属等についても私どもがとやかく言う筋のものじゃございません。したがいまして、これはどこまでもはっきりしております。かつて国会におきまして私は議論したことがあると思いますが、二つの中国論はいずれの政府も賛成しないんだ、かように私は考えております。これは国府もまた中共——北京政府も二つの中国論には賛成しない。ここにまたむずかしさもあるんだということを申し上げたと思います。そういう状況でありますから慎重な態度をとらざるを得ない、かように御了承いただきたいと思います。
  60. 亀田得治

    亀田得治君 じゃ、二つの中国論賛成しない、それははっきりしました。そうすると、あとは一つ中国論しかない。これが一番自然で筋も通っている。ところが、現状のままは、これは維持できないでしょう。総理大臣、どうなんです。
  61. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 現状のまま維持できるか、できないか、これが問題であります。現状のままでできればこれはもう問題ない。 いわゆる流動的であるということは、これは現状が変わるのじゃないかということだと思いますね。その流動的な状態がそれじゃこれで落ちついたというものじゃない。そこに私どもが事態を把握するむずかしさがあるのだということでございます。先ほど来慎重にならざるを得ないというのはそこなんでございます。
  62. 亀田得治

    亀田得治君 まあ慎重でもちろんなければなりませんが、二つの中国論がいけない、一つだと、現状ではなかなかいかぬだろう、しかし、流動的でそれがいつということはもちろん言えない、しかし、行く先は大体これは勝負がついているわけなんですね。そこが、私は腹を早くきめるべきじゃないか。きめて、そういう立場でひとつうんと努力をすべきじゃないか、こういうことを申し上げている。国府との関係はもちろんわれわれも知っております。そういう点に対しましても、最後にはこうならざるを得ないということを早目に言う、私はそのほうが親切だと思う。それは公然とそんなことを言う必要はないかもしらぬが。だからそういう意味で、特に中国関係の深い日本なんですから、世界のほかの国がいろいろな情勢が変わってきて、やむを得ずついていくというようなかっこうじゃなしに、一つの見識を持った、この長期的な努力をしてもらいたい。これが私たちの希望なんです。
  63. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私、先ほど来何度も申し上げますように、実はこの態度をきめることについて慎重であります。ただいま亀田君から社会党を代表しての御意見を聞かしていただきまして、私は慎重な態度をきめる上の一つの問題だと、かように思っておりますので、これはよく検討し、十分慎重に考えてまいります。
  64. 亀田得治

    亀田得治君 それじゃ次に移ります。  中国の核開発の問題がこの委員会でも相当論議になりました。予定よりも相当テンポが早まっておる、総理はその点の認識どういうふうにされておられますか。
  65. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 中共の核武装については、ただいま御意見が述べられましたように、予定よりもやや早まっておるのではないか、かように私も情報をもらっております。
  66. 亀田得治

    亀田得治君 ややじゃない、相当だ。
  67. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 相当早いように情報をいただいております。
  68. 亀田得治

    亀田得治君 日本防衛との関係をどのように考えておられますか、総理防衛長官は聞いてある、これは前に聞いてある、わかっておるのだ。
  69. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 防衛問題は、いずれにいたしましても、国民が求めた平和、あらゆる場面に沿うていってわれわれは検討しなければなりません。しかし、基本は国民の防衛意識、それからその自衛隊の防衛の装備、組織、この上に兵器というものの研究、この三位一体が防衛の基本であります。したがって、今日の核に対する防衛というものは、今後非常な兵器の開発、防御体制の開発というものは今後重大な宿題であり、その意味で非常にわれわれとしては格段の努力をしなければならない、こういう考えを持っております。
  70. 亀田得治

    亀田得治君 具体的にはどういう中身なんです。
  71. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 三次防を増強して、十分それに対処できる体制、おそらく御質問はその次の兵器はどんなもの、防御兵器はどうだということが焦点だろうと思います。これについては十分いまから研究しながら、諸外国の状況を見ながら、あるいはおのれを知り、相手を知ること、これがお答えの焦点であります。おのれを知るよりも、相手も開発途上でありますから、まだ明快なものは出ておりません。したがって、それを調査し、あるいは知りながらおのれをみずから持していく、この体制を堅持して、兵器の開発と着工、まだ品名までは決定いたしておりません。
  72. 亀田得治

    亀田得治君 相手に応じてやるというわけですが、ただいまの抽象的なお答えだけ聞いておりますと、こちらも適当な核を持つというふうにもとれるわけですが、そういうことですか。
  73. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 日本においておのれを知ることは、核問題についてはすでに国の方針がきまっておりますから、まず、みずからがおのれを知っておりますから、それはもうきまったことであります。御承知のように国の方向に従って、その範囲内で研究、努力することであります。
  74. 亀田得治

    亀田得治君 中国の核のないときにきまった方針ですよ、戦術用の核兵器は持てるが、政策としては持たないという、ところが、進んだ段階におけることをいま聞いておるわけなんです。政策の変更ということは、当然いまの答弁だけを聞いていれば出てくる可能性もあるわけです。対応したことをやるわけですから、これはどうなんですか、総理大臣。政策の問題、対応したことをやるのだから、変更しなければ対応できない。
  75. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま、先ほどから中共の核武装の問題、これはテンポがなかなか早い、想像したよりも想像以上に相当早まっておる、かように言われておりますが、それはお答えしたとおりであります。中共が核武装をすればわが国の安全保障上に新しい一つの要因ができた、かように私は思います。これはまあただいま、核兵器を持たないときに、日本の安全を考えたんじゃないかというのでございまするが、そのとおりであります。そこで日本の場合は、この中共の核武装に対応しての問題は一体どうなるかというと、これは私が昨年アメリカに参りましてジョンソン大統領と話をしたときに、ただいまの日米安全保障条約、そのもとにおいて日本がどんな攻撃、外部からするどんな攻撃に対してもアメリカ日本を守る、こういうことをはっきり実は言ったのであります。そこで、私は委員会等でしばしばお答えいたしましたように、通常兵器による攻撃であろうが、核兵器の攻撃であろうが、アメリカはわが国を守るのだ、日米安全保障条約でわが国の安全を確保されるのだ、かように実は考えておるのであります。ただいま第三次防等の計画を防衛長官が触れておりますが、この第三次防というものははっきりまだきまったわけのものでもございません。しかし、絶えず自分の国の力でみずからの安全を確保するのだと、これは国民の防衛意識から見まして当然のことだと思いますから、そういう意味のことを実は申しておるのじゃないか、もうしばしばわが国の防衛体制、国状、国力に応じた防衛力を持つのだというのが政府の基本的な態度でありますし、また、具体的には核武装はしない、核兵器の持ち込みはしない、これも国民に対しましてしばしば明言したところでありますが、この二つの方針で自国の安全の確保のために国民が協力するのだ、これだけははっきり言える、かように思います。そういう意味松野君の答弁だと、かように理解しております。このことは同時に、私もその方針でわが国の安全を確保していく、その考え方でございます。
  76. 亀田得治

    亀田得治君 確かめておきますが、中国が核の開発を完成したというときになって、いや情勢が変わったからいたし方ないのだ、わがほうも持つんだといったようなことは絶対ないということをはっきり断言できますか、自民党内にはいろいろな意見があるのです、どうですか、大臣。
  77. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、ただいまはっきり申しましたように、すでにきめた核兵器は持たない、核兵器の持ち込みは許さない、これははっきりいたしております。
  78. 亀田得治

    亀田得治君 核兵器を全世界から全廃するということについて、日本政府はどんな努力をされておりますか。
  79. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 全世界から核兵器をなくすること、これは私はもう双手をあげて賛成しております。そういう意味で核兵器、最終的には全面軍縮というのが望ましいのであります。あらゆる意味におきまして、国連等におきましても、わが国の主張もそのとおりであります。また、部分的な実験禁止等の条約にいち早く参加いたしましたのもその努力のあらわれであります。今後とも人類の敵核兵器というものに対しましてこれを憎む、そういう意味で、あらゆる機会に、あらゆる努力を続けていきたい、かように考えております。
  80. 亀田得治

    亀田得治君 どういう具体的な努力を国際間においてやっておるか。外務大臣。
  81. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) やはりこの問題は段階的に進むべきものでありまして、いま総理からお答えいたしましたとおり、まず、実験禁止、そしてこれ以上活発な開発をやりにくくする、こういう意味で部分的核停条約というものができておりますが、これをさらに全面的な実験禁止というところまで進めなければならぬという主張を、あらゆる機会にわれわれはしておることは御承知のとおりでございます。そのためにアメリカとソ連との間にこの方法について食い違いがある。しかし、地震探知器の技術が進んだ今日においては、必ずしもその国の領域を侵さないで、地下実験があったかなかったかということを的確にこれを探知する方法があるのでありまして、わが国も地震国として、そういう技術については相当な自信を持っておる、この探知クラブにももちろん賛意を表し、そして全面禁止に進むことについても、わが国は絶えず主張しておる次第であります。それから、また、核拡散防止の問題はいまやかましい論議になっておりますが、日本としては、基本的にはこの核拡散防止条約に賛成でございます。ただ、それについてはいろいろな意見がございまして、この調整をみなければこれが成立しないという情勢になっております。それから、また、一般の核兵器を入れた軍縮問題については、御承知のとおり、国連にも委員会が置かれ、また、十八カ国委員会がジュネーブに置かれております。日本は国連の委員会には参画しておりますが、ジュネーブの十八カ国には参画しようと思ってもできなかった等々、いろいろな問題がありまして、これらが並行的に漸次進行することによって全面禁止の方向にだんだん進んでいくと、こういうことになるのでありまして、いまさような部分的な処理問題に参画して、そして全面禁止という目標のもとに努力をしておると、こういう状況であります。
  82. 亀田得治

    亀田得治君 総理に大まかな立場からお聞きしたいわけですが、私は、この核兵器の問題は非常に急ぐ問題だと思います。ほうっておけばどうしてもふえていく。だから、いま外務大臣の説明によりますと、いろいろできることはおやりになっているようですが、もっと強い立場で、日本外交の中の一つの大きな柱として打ち立てて、あらゆる機会にこちらから積極的な提案を持ち込んでいくと、こういう態度はとれませんか。
  83. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 核兵器の問題は、これはただいま言われますように、あらゆる機会にこの問題に触れることが必要だと思います。外務省の外交の中の一つの重要な柱にすること、これはもちろんいいことだと思います。かつて、皆さんがやられる万国議員会議といいますか、これあたりでも、この核兵器の問題を取り上げて、核武装をなくしよう、こういうような決意を、しかも、自民党のたしか福永君が音頭をとったんじゃないかと思いますが、こういうことでこれが議会会議の問題になったと、これなどは私たいへん適当なことだったと思います。ただ、政府筋から外交方法ということだけでこの問題を取り扱いますと、いかにも一国の何か政治姿勢、あるいはそれで国益を保護するとか、こういうようにとられやすい。しかし、核兵器の問題は一国の国益だけの小さな問題ではないのですから、これは地球上の人類全体の問題だと、かように考えますと、この取り上げ方は、もうあらゆる機会に意向をはっきりさそう、これが必要じゃないか、かように思います。政府もそういう意味であらゆるチャンスをつかむつもりでおりますから、なお、そういう意味の御鞭撻をぜひとも願いたいと思います。
  84. 亀田得治

    亀田得治君 そこで、私、総理に、これも一つの提案になるかもしれませんが、日本自分では核を持たないと、しかし、アメリカの核抑止力にその部分はたよるのだと、まあこういう考え方ですね、再三言われておるのは。これでは非常に弱いんじゃないか、核全廃という立場から言ったら。自分は持たぬけれども、ほかの人の道具は借りるんだ、これでは、ほんとうに核を憎んでおる立場の者から見たら大同小異なんです。そうお考えになりませんか。せっかくの努力も響きが弱い。自分としては持ちたいけれども、それを持たない、持たないで何とかやる方法はなかろうか、そういう苦しみの中から日本政府が核の全廃を唱えられるのなら、これはやはり相手にもこたえるわけなんです。自分は持たぬけれども、ほかのやつは借りておるんだ、これじゃ訴える力は弱いですよ。どうお考えになりますか。
  85. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは一つの提案であり、同時に、これは新しい問題だと思います。ただいま申し上げますように、核兵器を持たない、しかも、日本の行き方はもうはっきりしている、持ち込みも許さない。しかし、わが国の安全を確保する意味においては、わが国が外部からの攻撃を受ければ、アメリカもこれに対応して日本を守ってくれる、いわゆる安全保障条約の戦争抑止力、これが働くわけであります。私は、世界から核兵器というものが全部なくなった、どこの国もそれを使わないんだ、そういう事態がくることが望ましいのであります。核兵器が存する限り、そういうものの脅威を受ける。こういう状態だと、ただいまのような日米安全保障条約というようなものが必要なんじゃないか。わが国の安全はどうして確保できるか、ただ核兵器を持たないというだけでわが国の安全が確保できれば、それはたいへんけっこうですが、私はいまの状態ではできない。一日も早くこの地球に平和をもたらす、全面的な平和、このための核兵器の廃止、これが提案されることが望ましいのでありまして、私はそういう意味で、新しく核兵器を持つような国、これはひとつ慎んでもらいたい、かように私は思うのであります。ただいま言われることは、日本は自衛のためといえども核兵器は持たない、自衛のためといえども核の力は借りない、こういうような御発言だと思います。そういう意味から、新しく核兵器を持つことはもちろんひとつやめてもらいたい。過去において核兵器を持っておる米ソあるいはイギリス、フランス等も、これはもう核兵器は一切使わないんだ、こういうことをひとつ誓ってもらいたいと思うのです。そのためには、まず、その製造を禁止したい、あるいは管理、そういうものも運搬も、一切もうやめるんだということでなきゃならないんですよ。だけど、どうもまだそこまではいっておらないんだ、それを何とかしてこの軍縮会議でそういうような努力がいま払われているのが行き方だと思います。私は、ただいま言われますように、いかにも弱い、かように思いますが、やっぱりこの地球の上に核兵器というものがある限りにおいて、これはやっぱり日本の安全確保のためにもそれだけは必要だと、かように私は思っております。けれども、できるだけ持っているものも減らすと、こういうことであってほしい。したがって、核兵器を持ち得る能力、科学的な能力を持っておる国も、新しく持つことだけはやめてもらいたい、これが日本の言えることじゃないか。私ども自身も、科学的な能力はこれは十分だと思います。しかし、みずからが核兵器を持たないということ、ただいま申し上げるような、人類全体のためにこれをひとつ一切持たない、不使用、これを決心したからだと、かように確信をしております。だから、ただいま言われますように、いかにもそれは弱いと言われますが、わが国の安全確保のためには、どうも実情はそれを許さない状況だ、この意味において、現状の程度で一応がまんをしておるが、しかし、今後の努力は、この地球上から核兵器をなくする、それに最善の努力を払っていく、これが私の決意であります。
  86. 亀田得治

    亀田得治君 それで、なるほど核にたよりながらやるのは少し弱さがあるという点はお認めになった。きわめてこれは総理大臣の心境を率直に言われた点、敬意を表します。それで、総理大臣のような答弁でいきますと、結局は、現在核を持っておる国が非常に都合がいいと、こういうことになるわけなんです。で、日本としては直接関係のあるのは中国の問題ですね、何といっても中国の核開発の問題。だから、これに対しては、われわれもアメリカの核にたよらないと、そのかわり中国に対してもそのことをはっきり発言をする。核の開発をやめてくれ、われわれもたよらない、両方でいくんですよ。両方がうまくいかなきゃ、両方持っている状態で均衡をとってもらったって、決してこれはみんなが安心しません。私はそのことを言っているのです。こっちだけを撤廃せいというんじゃないですよ。それをやると同時に、この中国に対しても今度は常々と言えるじゃないか、このことを申し上げておるわけです。どうなんです、両方です。
  87. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 両方だと言われますが、中共が核武装をするということは、日本を相手にしてやっているわけじゃないのですよ。日本だけがこれを言ったらとまるのですか、私はそんなものじゃないだろうと思う。中共自身が核武装しておることは、これは日本を相手にしているわけじゃないと私は思います。いま言われるように、日本も核兵器の援護は一切受けぬから、おまえもやめろということで、両方が相対でここでやむんだと、こういうのはちょっと中共立場を御理解にならないのじゃないでしょうか。私はどうもちょっとおかしいように思います。私は、一国の防備というものはそんな簡単なものじゃないと思う。だから、私は、いまのようなお話だけでは中共は賛成しないだろう、かように私は思います。
  88. 亀田得治

    亀田得治君 一体、中国の核装備は、どうしてこういう問題が起きてきたのか、原因をどういうふうに理解されておるのですか。
  89. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは私、どうもいろいろ考えてみたがわからないのです、どういうことか。
  90. 亀田得治

    亀田得治君 これはアメリカの核包囲政策、ここから来ていることは、こんなことはあなた世界的な定評でしょう。
  91. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま核武装しているのは、アメリカ一つですが、ソ連もありますし、イギリスもありますし、フランスもあります。私は、中共のねらっているのはアメリカだけだと、こういうふうに簡単に割り切るわけにいかぬと、かように私は思います。
  92. 森元治郎

    ○森元治郎君 関連。亀田委員質問に対して、総理から、日本の核兵器開発の能力、この科学的能力が十分だと、きわめて明快な御答弁があったのです。これは私も外務委員会でも、あるいは予算の分科会で防衛長官にも伺ったのです。世間では、日本は核兵器開発の能力があるとアメリカも言っているし、新聞も書いている。能力とはどういうことでございますかと言えば、椎名さんは、森さんも御承知のように、常識的な工業水準だと、工業水準とは一体何だとなると、これは答えない。こういうふうで、非常に私はこの点をはっきり聞きたいと思っていたんだが、幸い科学的能力が十分だとおっしゃるなら、一体、核兵器開発の科学的能力とは何をいうのか。お金もかかるだろうし、物もかかるだろうし、時間もかかるだろう、電力がどんなふうでと、いろいろあるでしょうが、全然わかりません。いま十分だとおっしゃるので、具体的にこの際解明をしてもらいたいと思います。
  93. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは科学技術庁のほうでお答えをするのが一番明確だと思いますが、(「関係ない」と呼ぶ者あり)ただいま関係なしと大きな声で言われますが、原子力基本法をつくって、そうしてわが国の原子力の開発は、これはもう平和利用だけだ、こういうことで、かたくその他の研究は禁止されております。しかしながら、この平和利用におきましては発電能力もすでに持っておる、かような状況でございます。だから、したがって、ただいまの基本法で平和的利用に限られておりますが、しかし、それが解除されれば、すぐとは申しませんけれども、そのうちに、これは何年かかるか、非常に短かい期間、また、多額な金は要すると思います。しかし、そういう事柄は可能だと、かように私は思います。この点はすでに国会等におきましても、原子力基本法の審議にあたり、また、原子力発電の計画などについても御審議をいただいており、これはもうよくおわかりだと、私はかように思っておったのでございます。
  94. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 関連質問発言は、なるべく簡明に願います。
  95. 森元治郎

    ○森元治郎君 上原長官は、それは私どもの関係じゃございませんから、防衛長官にと、防衛長官もはっきりしない、外務大臣もはっきりしない、そうして総理大臣だけがはっきりしている。いまの答弁聞けば、原子力発電もしているからできるだろうというのでは、あまりに非科学的だと思う。科学的能力十分という総理のお答えは、きめて非科学的、少しもわからない。
  96. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま私もだいじょうぶと言ったけれども、いますぐできるとは申しておりません。これは短かい期間にということを申しただけです。また、どれだけ金がかかるか、そんなものを計算はしておりません。しかしながら、ただいまの技術をもってしてプルトニウムを製造するとか、こういうことは可能なことはおわかりだと私は思います。
  97. 森元治郎

    ○森元治郎君 総理大臣は、科学技術庁長官にと先ほどおっしゃったから、もう一回上原長官に、科学的能力とは何だということをおっしゃってください、できなければ、世間がそう言っているのだということならばわかります。
  98. 上原正吉

    国務大臣(上原正吉君) お答えいたします。  どうも私は科学的能力が十分でないものですから、できないとも答えられませんけれども、じゃあつくれと言われたらつくれるというお引き受けもできません。
  99. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) どうでしようか、質疑者からもうちょっとただして、そうして進行してもらって、また関連があればそれについてまた関連をやってもらう、そういう運びにしたいと思いますがね。
  100. 小林武

    小林武君 議事進行。いまの科学的能力というような問題が具体的に出されているのでしょう。それについて、私は科学的能力がないからなんていうようなことを、そういう答弁をこの国会の場でするということは不謹慎です。もっと質問に対して、真剣な態度で私は答えるべきだと思います。それを委員長に要求しますよ。
  101. 鈴木強

    鈴木強君 議事進行について。
  102. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 議事進行ですか。鈴木君。
  103. 鈴木強

    鈴木強君 森さんの質問ですと、上原さんは何もわからぬと、こう言ったという。それでは防衛長官に聞いてくれと、防衛長官も科学的に説明できなかったというので質問が出ているわけですから、上原さんはそういう答弁を森さんにきのうやったそうですね。ですから、もう一回連携をして結論を出さなければいかぬと思うのです。ですから、議事進行上、上原さんの意見はわかりましたので、防衛長官意見も聞いて、最終的に総理がぴしっとしてください。
  104. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 先般、分科会で、私は能力はある、わが日本のすべての水準——そのときに例を用いましたのは、放送の中継、宇宙衛星でさえ日本はすでにもう現実化しておる。その他一般的な科学工業の水準は、私はどこの国にも負けない。また、諸外国もそれを認めて、日本は能力ある国とさえ指摘しておる。したがって、私は能力はあると、いまと同じ答弁を分科会でいたしました。したがいまして、能力はある、判定はこれだということを森委員にいまのとおりお答えいたしましたので、御記憶あると思います。
  105. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私の答えから問題が紛糾したのですから、お答えをしておきます。ただいま防衛長官の申しますように、世間では、ただいま言うように、科学的技術水準は非常に高いと日本を評価しております。また、私どももさように思っております。しかし、森君の指摘されるように、日本では積極的にこの核兵器の開発をしたようなことはございません。これはもうちゃんと法律で禁止しておりますから、そういうことはございません。したがって、私は、その仮定の事実ではございますが、どのくらいで開発できるかというようなお尋ねには私も答えることができませんから、先ほど申し上げましたように、どのくいらの時間かかるか、それは知らぬ、また、どのくらい金がかかるか、これも知らぬということを申し上げたのはそういう意味でございます。
  106. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 亀田君、進行願います。
  107. 亀田得治

    亀田得治君 沖縄の施政権が非常にわれわれの関心事でありますが、この問題が片づかないのは、結局沖縄の基地の問題でしょう。現在ではその中心は核基地、これが片づかぬから現状のような非常に沖縄同胞に相済まぬ形になっておる。これは私は総理もお認めになると思う。だから、そういう沖縄同胞に対するわれわれの義務からしても、この核のかさというか、核の抑止力にたよるこの政策というものをほんとうに研究すべきじゃないかと考えるのです。この点についての見解を聞きたい。これを片づけなければ返ってこぬのですから、現実問題としては。
  108. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 沖縄の施政権はアメリカが持っておる、このことはサンフランシスコ条約までさかのぼるわけでございます。ただいまその条約で与えた施政権、これがそう簡単に条約改正ということにならない、かように私は思います。その問題が一つ沖縄の施政権についてはある。それから、もう一つは、ただいま核基地云々ということがございます。私は、今日までのこと、いろいろ研究しなければわかりませんけれども、核の戦争抑止力、アメリカの核戦争抑止力、こういうものは十分検討してみる必要があるんじゃないか。まず、私が国内に核の持ち込みを考えない、あるいは核基地も考えない、こういうようなことを申しておりますのも、ただいままでのところ、あるいはB52が核爆弾を輸送するとか、あるいは大陸弾道弾、これが効果があるんだとか、あるいは、また、潜水艦がそういう核輸送力があるんだとか、いろいろいわれておりますから、ただいま言われるように、外部からの攻撃に対して日本を守る、そういう力はどの辺にありますか、これらの事柄も総合的に十分考えて見るべきじゃないか、かように私思います。沖縄の問題はそういう事柄にも関連があると、全然ないとは申しませんけれども、この施政権の返還、その空気、これは別途の問題といたしまして私ども最善を尽くしてまいりたいと、かように思っております。きょうも小さな子供が、中学、小学の子供が沖縄から参りまして、これらが私に会いましても、願いは一体何か、一日も早く祖国復帰を実現してください、こういうような問題であります。これは沖縄島民、沖縄同胞のほんとうに一致した気持ちだと、かように思いますので、どういうことがあろうとも、この施政権の返還、祖国復帰、これが一日も早く実現するようにわれわれは最善の努力をしなければならない、かように強く感じておるところでありますし、また、その決意でございます。そうして私しばしば申し上げておりますように、これはただいまのようなサンフランシスコ条約に基づくものでありますから、アメリカの理解と協力のもとに祖国復帰を実現する、この在来の政府の態度、これに私はただいま変更を加えるつもりはございませんけれども、ぜひ早期に実現するように努力したいと考えております。
  109. 亀田得治

    亀田得治君 核の問題はこの程度にいたしたいと思いますが、ともかく中国の核開発は、これはもう経過的に見てアメリカの包囲政策の結果出てきておる。これは中国の責任者もそういうことはしばしは言っておるし、大体理解されておる事実なんです。それと日本のほんとうの、この全面的に核を廃止すると、そういう立場からものを一つ考える。さらに沖縄のこの施政権という問題の解決という面から、あらゆる面から、私は、日本と核という問題については、十分ひとつ前向きで検討してほしいと考えております。日本の安全を私たちはそれによって脅かされるというふうには考えておらぬわけなんです。検討をひとつ要求しておきます。  それから、何か本会の関係があるようでございますから、もう一つ、朝鮮問題に次に入るわけですが、海洋丸の問題についてだけちょっと触れて、一応中止したいと思います。第五十三海洋丸が釈放されて、私たちもたいへん胸をなでおろしておるわけですが、一体事実関係はどうだったのか、この点をまずはっきりしてほしいと思います。
  110. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) 事実関係は、前回から御説明いたしましたとおり、わがほうの資料によりますれば、第五十三海洋丸は韓国の漁業水域の中で操業した事実もございませんし、拿捕された地点も韓国の漁業水域の外であったということでございます。韓国側の主張は、漁業水域の中で操業し、かつ、拿捕地点も漁業水域の中であったということを言っておりまして、最近の報道によりますと、どうも傘捕地点は漁業水域の外であるというふうに主張が変わってきたように思います。現在のところ、そういう状態でございます。
  111. 亀田得治

    亀田得治君 韓国の主張が変わったというんですか、いまの答弁、もうちょっと。
  112. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) 韓国の主張は、釈放交渉中は先ほど申しましたとおりでございます。昨日あたりの新聞報道によりますと、そういうことが出ております。
  113. 亀田得治

    亀田得治君 この釈放された船長のお話を聞きますと、非常に脅迫をされて韓国の主張を認めるような調書に捺印をしたということのようです。これははっきりしておりますか。
  114. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) その点につきましては新聞報道で見ております。船長の抑留中の状況につきましては、現地におきまして海上保安庁及び水産庁がいろいろ事情を聴取しておると思います。ただいままで私ども承知しておりません。
  115. 亀田得治

    亀田得治君 冗談じゃないですよ、新聞報道で見ているということがあるものですか。釈放された人が下関に来ているじゃないですか。その前に何回もこの国会で、委員会で問題になっていることなんですよ。それを外務省の者が下関まで行って、そうして直接船長から聞くと、これは所管でないかもしれぬが、所管の人が事情を当然直接聞くべきではありませんか。何です、この段階になって、まだその新聞報道によりますとといったようなことは。こんなことはもう了承できない。外務大臣、そういうことでいいのですか。重大な問題じゃないですか。
  116. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 現地において海上保安庁及び水産庁が本人から聴取したようでございます。その報告をわれわれは待っている状況でございます。
  117. 亀田得治

    亀田得治君 海上保安庁おるかな。——当然にそんなことは外務省関係の者がつかんでおらなければだめですよ。それは運輸省の保安庁の直接の担当かもしれませんが、おかしいや、いまだにその報告すらも外務大臣のお話だと聞いておらぬ、そんなことじゃなっておらぬじゃないですか。委員長、運輸大臣を呼んでください、すぐ。
  118. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ただいま……。
  119. 亀田得治

    亀田得治君 委員長、海洋丸だけ済ましてからと思ったが……。
  120. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ちょっといま運輸大臣を呼びに行っておりますから、ちょっと待ってください。——午前の審議はこの程度にいたしまして、午後三時再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時五十四分休憩      —————・—————    午後三時十七分開会
  121. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  先刻、青田源太郎君が辞任され、その補欠として赤間文三君が選任されました。     —————————————
  122. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 午前に引き続き、昭和四十一年度一般会計予算ほか二案を議題とし、質疑を行ないます。中村運輸大臣。
  123. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 第五三海洋丸の引き取りの状況について御報告申し上げます。  海上保安庁巡視船「ひらど」が三月三十日に第五三海洋丸を海上で引き取りました。その際、船上でとりあえず調査いたしました結果は、次のとおりであります。  まず、乗り組み員の健康状態を最初に調べたわけでございますが、四名とも非常に元気でございます。  それから第二番目に、船体、機関、それから無線機等に異状はないかということを取り調べましたけれども、これも異状はございません。  それから真水とか燃料とか食糧の状態を調べましたが、これも十分そろっておるようでございます。  それから第三に、漁獲物はどうしたか、それを調べましたところが、大体これは一たん没収されたが、換価いたして代金をあとで日本に送金するというようなことであったということでございます。  操業日誌とか海図等は一たん没収したようでございますが、おおむねあとで返還されておるようでございます。  なお、その他詳細なことは、本人たちもかなり精神的に疲れておるようでございますし、下関に着きましたが、御承知と思いますけれども、あのような歓迎その他家族との混雑状態であるし、落ちついてゆっくりその他のことにつきましては、詳細に調べたい、かように考えております。そういう事情でございます。
  124. 亀田得治

    亀田得治君 また、同じ質問を繰り返さなければならぬ。事務当局からちゃんと伝えてないのかな。
  125. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それじゃ亀田君に言いますが、これ入れないから要旨だけもう一ぺん聞いてあげて下さい。
  126. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 向こうでの取り調べの内容は、やはり先ほど申しましたように、もう少し落ちついて詳細に取り調べたい、かように考えておるような次第で、いまのところ取り調べをいたしてはおりません。
  127. 亀田得治

    亀田得治君 どうもこの問題について、両者が政治的にうやむやにしていくということがあっては、今後のために私はよくない、こういう立場からしつこく聞いておるわけなんです。時間の関係もありますのでまとめて四つ一度に言いますから、漏れのないようにひとつ答弁してもらいたい。  その第一は、末広船長が下関に着いて語ったところによると、自認書を書かないと釈放しないと、こう言われてくやし涙でついサインをした、こう言っておる。それからさらに、重大なことは、韓国艇の海図には専管水域も記入してなかった、むちゃくちゃじゃありませんか、こういう警備艇は。どうなんです、この事実は。  それから外務のほうに聞きます。先方は現在でも追跡権の主張をしておるようです。それから損害賠償請求、これはいつされるのか、外務大臣この二点。  以上合計四点、はっきり答えて下さい。
  128. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 取り調べの向こうの実情あるいは海図の中に専管水域が書かれておったとか、書かれてなかったとか等の問題は、亀田委員のおっしゃられますとおり、重大な問題でございますので、本人等も落ちつきまして、そうして冷静な気持ちになったときに詳細に取り調べたい、かように考えまして慎重を期しておるわけでございます。
  129. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 追跡権は、特に漁業協定におきましては明記しておりません。でありますから、一般の国際法に従ってこの問題を律するほかはない。それからなお、この問題につきましては、条約局長から詳細申し上げます。それから賠償をいつ要求するか、これはやはり事実関係をはっきりいたしまして、しかる上でないと、この問題に手をつけるわけにまいらないのであります。ただいま運輸大臣がお答えしたように、目下取り調べを進め中であります。そういう段階でございますから、そのあとでこの問題を処理したいと思います。
  130. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 追跡権の問題につきまして、先方が何か言い出したとすれば、これは従来の先方の事実についての立場を変えまして、拿捕地点は専管水域外であるということを認めたことを意味するものかと思いますが、私どもの現在の立場といたしましては、少なくともこの追跡権の問題は、海洋丸の問題とは関係ないという立場で御説明申し上げますので、そういうふうにお聞き取りいただきたいと思います。原理原則の点は先ほど大臣から仰せになりましたとおり、今度の漁業協定というものにその規定がない限りは、一切ほかのことは一般国際法によるほかないわけでございまして、一般国際法によれば専管水域を侵したものについては、追跡権があるというような規定はございませんので、追跡権がないことは明瞭であると考えております。
  131. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 関連。いま亀田さんの質問に対して答弁があったわけですけれども、それに関連をして二、三お尋ねをしたいと思うのですけれども、あるいは前に出たかとも思いますけれども、釈放をするについて、あるいはされるについてと言ったほうがいいですか、そのときに事実関係として、韓国側は、その日本の船が共同規制水域にいたのか、あるいは韓国側の専管水域に入っていたのか、その点は事実関係をどういうふうに認めて釈放をしたのか、この点についてはっきり事実関係をさせなければいかぬと思うのですけれども、その点はどうだったのか、その点はうやむやのままに釈放ということになったのかどうか、これが第一であります。  それから第二は、木村大使ですか、それが何か釈放されたからといって、向こうの政府かなんかにお礼に行っておるということが伝えられておるわけですね。どういう意味で何のお礼に行ったのかお尋ねしたいと思うのですがね。あるいは間違いかもしれませんよ、何の意味でお礼に行ったのか。ただお礼に行っただけならば、そのときに具体的に向こうの事実関係、あるいは抑留されていた期間におけるそれらがどういう処遇を受けておったか、こういう問題について当然こちら側として確かめておったはずだと、こういうふうに思うわけですね。その間の話が、一体木村大使からどういう話があったのか、これは。それからお礼に行ったというふうに新聞に伝えられておるのですけれども、外務省のほうが韓国のほうへお礼に行くというようなことでも訓令したのですか、ちょっと変な質問で恐縮ですけれども、何を言いに行ったのか、それが第二点です。  それから第三点は、いま追跡権の話がありました。日韓会談の中で、一体その追跡権の問題がどのように討議をされたのか、一般国際法上の問題だからといって全然討議されなかったのですか。日本側の主張と韓国側の主張とがからみ合っていて合わなかったのかどうか、この点ですね。韓国側は、日韓の漁業交渉の中で、専管水域からでも追跡権があるという主張をしていたのかどうかですね、これをはっきりさせなければ私はいかぬと思うわけです。その点はどういうふうになっておったのかということ。  それから第四は、損害賠償に関連をするのですけれども、こういうような事件の不法行為が起きた場合に、本来損害賠償として日本が主張し得べきものは、一体どういう範囲のものが損害賠償として主張し得べきものなのか。だから、そこで失った魚の換価代金というもの、これは七十万だとか言っておるようでありますが、そういうものは当然ですけれども、そうでなくて、当然失ったもの、あるいは当然その間それがそこで漁業をやって働いておれば得べかりし利益というものが損失に入るわけです。あるいは精神的あるいは肉体的慰謝の問題、慰謝料というような問題も当然損害賠償の中に入ってこなければならぬわけですね。だから、本件の場合に、本来日本側が韓国に対して損害賠償として請求し得べき範囲はどの程度のものなのか。具体的な額はいま聞きませんけれども、本来どういう範囲のものなのか、こういう四点にわたってお尋ねをしたい、こう考えます。
  132. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) 最初の事実関係でございますが、先ほど申し上げましたとおり、釈放に至るまで、先方は、先方の漁業水域の中で拿捕したものだということを言っております。  第二点の木村大使がお礼を言ったという点につきましては、そういう報告は全然きておりません。  次の点につきましては条約局長から……。
  133. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 漁業協定というものの本質からいたしまして、ここに書いてないことは、すべて国際法の一般原則によるということは、もう当然のことでございます。これは公海の自由という国際法の原則に対して、日韓の間の取りきめによりまして、それに対して特約としての性格のものでございますから、そこの特約に書いてないことは、一般の通則によるべきは、何も書いてなくとも当然のことでございますが、それでもなお不安だとおっしゃれば、協定の前文に「公海自由の原則がこの協定に特別の規定がある場合を除くほかは尊重されるべきことを確認し、」という文言もあるわけでございます。それほど明瞭なことでございまして、交渉の過程においては、特にその点について話し合いは行なわれておりません。  それから損害賠償の点については、やはりこれは事実関係が確立いたしましてから検討すべき問題であると存じます。
  134. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 関連。いまの答弁は非常に不十分ですね。
  135. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それでは簡略に願います。
  136. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 事実関係が、初めの第一の点が、韓国側の主張するのは、依然として韓国の主張しているとおりである。日本の主張と食い違っておる。それは、まあそういうようなことを言っているということですから、それはそれといたしますが……。  第二に、木村大使がお礼かどうか別ですよ。とにかく、釈放について交渉したことは事実ですね、それについて、どういう主張を木村大使がしたのか、外務省の訓令に基づいて主張しているに違いませんから、どういう主張をしているのか、これをはっきりさせなければ私はいかぬと思う。そのときにいま言った事実関係、その他の問題について、当然これは確めておるべきはずですね、こういう点、もっとはっきりさせなければ私はいかぬと思いますし、それから第三の、いまの追跡権の問題は、公海自由の原則がある。それはわかります。そうすると、条約局長の言うのは、日韓漁業協定の中で、韓国側からは、専管水域から追跡権があるという主張は、韓国側からは一回も出なかった。——結論だけでいいですよ。一回もそういう主張は出なかったと、こう承ってよろしいですか、それをはっきりさせてもらいたいと思います。  損害賠償の問題は、私は具体的な事実がわからなければできないというのは——それは具体的な数字の問題を言っているわけです。私の言っているのは、本来こういう事件の場合に、どういうものが損害賠償として請求できるのかということを私は言っているのであって、事実関係を確めた後の具体的な数字の問題を聞いているわけではないですから、その点は食い違っておりますので、もう一ぺんあらためて明らかに答弁を願いたい、こう思います。
  137. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) 第一の点についてお答えいたします。木村大使は釈放交渉中数回先方と面会しております。その他館員が連日交渉しております。一貫して当方の資料に基づきまして、拿捕地点は共同水域内である、その以前にも先方の漁業水域内で操業した事実はないということを資料をもって説明しておったわけでございます。
  138. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 追跡権の問題が交渉の過程において話題にならなかったわけでございますから、したがって、先方がそういうものがあると主張したこともないわけでございます。  損害賠償の範囲につきましては、抽象的にこういうものがこういう場合には当然賠償の請求権があるんだということを原理原則的に申し上げるには、国際法がそういうことをきめておりませんので、結局個々の場合について判断するほかないわけでございまして、この個々の場合についての判断は、結局事実関係に基づかざるを得ないわけでございます。
  139. 亀田得治

    亀田得治君 まあ海洋丸の問題、たいへん時間がありませんので、この程度にいたしておきます。
  140. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっと関連。
  141. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) どうでしょうか。もう発言者は発言を始めたのですから。いいんですか、亀田君。
  142. 亀田得治

    亀田得治君 いいです。
  143. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それじゃ羽生君、一言。
  144. 羽生三七

    羽生三七君 先般当委員会で外務大臣その他関係の方々に、私が次の点をただしたことは、御記憶だと思います。それは事実関係が明瞭でなく、韓国側が専管水域を侵したから拿捕したいという立場をとっておるのに、日本が何か政治的な妥協か話し合いムードで、まあ今回に限って釈放してもらうという態度はいけない、明らかにこれは共同規制区域内であったということを明確にしなければ、日韓条約ができ上がったのだから、ここで融和のために、日本が明らかにあやまちを犯したのだけれども、今回に限って釈放するというようなやり方はいけない。それは事実関係を明確にして、今後事故の再発を、そういう意味で、規制しなければならぬということを明確に申し上げたはずであります。ですから、いま事実関係がもし韓国の言うように、向こうの専管水域を侵したから拿捕したという立場をとって、しかし、やむを得ないが今回は釈放するということであるならば、今後こういうことは幾らでも起こります。日本側があくまでも専管水域を侵したと、共同規制区域外の事件であったとするならば、その事実関係を明確にして今後の処すべき対策を講ずべきだと思いますが、この点を外務大臣から明確にしていただきたいと思います。
  145. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) アジア局長から申し上げたように、当方はあくまで共同水域内の問題であって、専管水域は侵してない。それは計器によって明らかなように、専管水域外四マイル半のところにおって、そこで操業して、そこで拿捕されたということをあくまで主張して、向こうがこれに同意したかしないか、その点は明らかでございませんが、とにかく釈放した次第であります。でありますから、自後の措置といたしましては、そういう点を明確にしたいと思っております。
  146. 亀田得治

    亀田得治君 朝鮮問題に移りたいと思います。  私は、民族的にみて朝鮮民族と日本民族との関係は非常に濃い関係にある。一番外国人としては密接な関係にある。それから在日朝鮮人の方がたくさんおられるわけですが、これは日韓併合、こういう歴史の産物として生じておる現象であります。私はこういう点を考えてみますると、たとえ日韓条約ができたといたしましても、北朝鮮との関係政治じゃなしに民族という立場から十分間違いのない配慮をしていきませんと、日本人と朝鮮民族との間に、非常にいやなあやまちを後世に残すことになろうと思うのであります。そういう点について、総理大臣の基本的な考え方を日韓条約ができた今日の段階で、あらためてひとつお伺いしたいと思います。
  147. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 日韓併合という歴史的な事実、それからただいま言われるように韓国人が雑居しておった、こういうことは確かに御指摘のとおりであります。しこうして朝鮮半島において、ただいま韓国、同時にまた北朝鮮というものがあることも、これもすでに私どもも認めておるところであります。韓国との間に今回の条約、友好善隣関係を樹立した。しこうして北にまた異見があることも、これも否定しておるものではございません。したがいまして、この在日韓国人、いわゆる韓国人、かように言われておりますが、その中にはこれは南の韓国、大韓民国、その国民、同時にまた朝鮮人としての北の方の国民、これらの事柄の規律等につきましては、ただいま亀田君の言われるように、過去の歴史等からみまして、なかなか冷たい法制一片で片づきかねるもの、そういうものもございます。今回は大韓民国国民の処遇につきましては、これは条約によりましてはっきりいたしておりまするが、問題は北のいわゆる北鮮系、北鮮のいわゆる朝鮮、これの扱い方が一つの問題だと、かように思っております。しかし、いままでのなんで、在来の居住しておる、そういうものについて直ちに規制を加えるというようなことなしに、それらのものが円滑に推移できるような、そういうことを考えていこうというのでございます。したがいまして、いわゆる北朝鮮の帰還問題等は、これは人道上の問題でございますから、いままでも帰還促進、そういう意味で、種々の対策を立ててまいっておる。これらのものがもうすでにあまり帰還する人もないじゃないか、こういうような話もあります。これも帰還船の新潟の発着の問題もケリをつけたらいいじゃないかというような意見も一部にはありますが、まだそういう点について決しかねておる、また北朝鮮の連中が、いわゆる一時帰還、こういうような場合には、それまた人道上の問題等もありますし、これは政治的な問題に結びつかない限り、ケース・バイ・ケースでそれを処置していく、こういうような態度をとっておるわけであります。その点はただいま御指摘になりましたように、将来に禍根を残さないように、われわれはくふうしていかなきゃならぬ問題だ、かように思っております。
  148. 亀田得治

    亀田得治君 里帰りの問題について、いま総理大臣から理解のある御意見がありましたが、ところが、いままでに二名しか許されておらぬわけですね。二名帰って、そうしてこちらへ来た。そのあと韓国政府から抗議があったらしい。そういうことのためにあとはストップになっておるわけなんです。私ははなはだこれは遺憾だと思う。法務大臣、いかがでしょうか。どういうふうに処置されるつもりでしょうか。
  149. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 里帰りの問題は、ただいまおっしゃったとおり、ようやく道がおいおい開けかかったところでございます。ただ、そのあとをどうするかという問題は、何もこれでおしまいということを言うているわけでもありませんし、またただいま、それじゃそのあと引き続いてすぐ許すということがきまっているわけでもございません。要は、こういう問題をすべて、いつも申しまするように、ケース・バイ・ケース、うまいこと逃げ口上言うようでございますけれども、いろんな情勢を考えなくちゃならないのでございます。いまあなたのおっしゃいました、韓国側の云云というようなこともありましたが、そういうことも私どもは考えなくちゃならぬと思っております。何でもかでもかまわない、どんどん許すべきだというわけにはいかないと思います。いろんなことを考えながら、だんだんやっていきたいと、こういうふうに思っております。
  150. 亀田得治

    亀田得治君 法務大臣、ともかく二名では、これ、たくさんの希望者があるのに少な過ぎるんじゃありませんか、ケース・バイ・ケースにしましてもね。
  151. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) ゼロから始まるときは、一、二と始まるのはあたりまえでございます。だんだんと多くなっていくわけでございます。
  152. 亀田得治

    亀田得治君 時間の都合で先に進めますが、日本人で朝鮮へ行く旅券ですね、これはきわめてわずかだ、いままで。朝鮮人で日本のほうに入ってきたのはスポーツとか、きわめて例外。私はなぜ北朝鮮等が——便宜上北朝鮮と言います、これは正式名称じゃありませんが、北朝鮮に対してだけ特にこういうきびしい態度を続けなきゃならぬのか、その点を総理大臣からひとつ考え方を明らかにしてほしい。中国などはもっとゆるいんでしょう。
  153. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 未承認国に対しましてなかなか自由ではございません。亀田君がことしになって行かれた第二の団と——かように記憶しておりますが、やっぱりいままでの関係等から見まして、そう自由にはいかない。まあちょうど北ベトナムも同様な関係にあるのじゃないかと、ただいま考えております。今後こういう事柄がだんだん改善され、政治的な問題にあまりかかわり合いがなしに出かける、こういうようなことで、順次改善されるのじゃないかと思います。順次というように私は考えております。
  154. 亀田得治

    亀田得治君 中国と北朝鮮、ほとんど客観情勢は同じだと思うのです、現状では。せめて、中国に対して政経分離立場でいろいろなことをやっておられる、その線までは進んでいいのじゃございませんか。
  155. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ケース・バイ・ケースでやるわけでございまして、必ずしも中国と北朝鮮を同一にするというわけにはまいらぬ問題であります。
  156. 亀田得治

    亀田得治君 理由をおっしゃってください。同一にできない理由を……。
  157. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) いろいろ情勢を総合的に判断した上できめるのです。
  158. 亀田得治

    亀田得治君 総合的判断というが、中身をもう少し納得のいくように説明してもらいたい。
  159. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 大体おわかりだろうと思いますから……(「わからぬ、わからぬ」、「いろいろの中身を言わなければ」と呼ぶ者あり)いま中国と北朝鮮は、やはり事情を異にするということを申し上げたわけでありますが、中国のほうは、政経分離の原則のもとに、両国の経済あるいは文化の交流を今後進めてまいるという方針をつとに立てております。そうして積み重ねていく、こういうことになっておりまして、だんだん私はその積み重ね方式によって、さらに前向きに考えるべきことも出てまいると思います。北鮮のほうは、ずっとおくれて始まったわけでありますから、同じ積み重ね方式でも、やっぱり事情が少しおくれてだんだん進んでいく、こういうことになるわけでございます。
  160. 亀田得治

    亀田得治君 貿易関係者の入国ですね、前から問題になっております。たとえば、そういうことのためにいろいろ日本としても損をしておる。で、現在問題になっておるのは、アクリル・プラントの輸入に関する関係者の入国問題、こういうことは、なぜもっと早くきちんと処理できないのか。どんどんこれは西欧に取られてしまいますよ。通産大臣の所見はどうなんです。
  161. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) アクリル繊維と塩化ビニールの関係の技術者が入国したいという要請があることは聞いております。こういう貿易とか、技術に関係しておる場合は、これを積極的に処理したいという考え方関係各省とも相談をいたしておる次第でございます。
  162. 亀田得治

    亀田得治君 法務大臣、どうですか。入国ですから法務大臣。
  163. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) ただいま相談中でございます。(「だれと相談しているんだ」と呼ぶ者あり)
  164. 亀田得治

    亀田得治君 法務大臣が最高責任者ですから、相談中というのは……。
  165. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 通産省、外務省等と相談中であります。
  166. 亀田得治

    亀田得治君 これは懸案のことですが、総理大臣の見解はどうなんでしょう。
  167. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは、ずいぶん前からそういう話が出ております。私も、これには同情的な見方をしております。同情的というのは、こういうのをいつまでも入れないのは、いかがであろうか、こういうことでございます。先ほどお答えいたしましたように、政治的な関係を持たない、純経済的な問題、というように整理することが必要だろう、かように考えております。
  168. 亀田得治

    亀田得治君 崔承喜さんも来たがっているのですけれども、こういうのは政治的な関係がないですから、いいんじゃないですか。舞踊……。
  169. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 新聞では私、そのうわさを承知しておりますが、まだ正式の申し入れも何もございません。
  170. 亀田得治

    亀田得治君 申し入れがあれば、考慮いたしますか。
  171. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) その上で考えてみたいと思います。
  172. 亀田得治

    亀田得治君 法務大臣、どうですか。
  173. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 考慮いたしまして、よく相談いたしまして、決定いたします。
  174. 亀田得治

    亀田得治君 これは総理お尋ねしますが、石橋湛山さんが北朝鮮に行かれる。これに対して自民党内で、何か、行かさぬようにする動きがあるやに承るのですが、はなはだ私は遺憾だと思う。ああいう人にこそ、行ってもらいたいと思う。総理大臣の考え、どうです。
  175. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私、存じ上げないのですが、ただいまどんな状況であるか。もう石橋さん、ずいぶんお年でもありますし、はたして外国へ行かれることが適当なりやいなや、よく考えていきたい。
  176. 亀田得治

    亀田得治君 在日朝鮮人の中でも、特に北朝鮮系の人々に対して、日本政府は非常な偏見を持っておられるのではないか。ことばの上では否定されますよ、総理も。だけれども、いろんな各機関の動きを見ておると、そういうふうに取れる。総理の気持ちをひとつ伺っておきたい。
  177. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまのような誤解のあるのは、たいへん残念に思っておりますが、私は別に、偏見を持っておるとは思いません。
  178. 亀田得治

    亀田得治君 せんだって一般質問のときに、矢山君から、尼崎警察署の問題が、ここで出されました。これは、北朝鮮の系統の、尼崎におる人たちに対して、非常ないやな調べを、別に犯罪者でもないのにやっておるわけであります。これに対して、一体どういう処置をその後とられたのか、聞きたいと思います。
  179. 永山忠則

    国務大臣(永山忠則君) 当時におきましても、本特別巡回連絡の推進にあたっては、居住外国人に対して差別的取り扱いをしているとの感を抱かせないように、特にその言動は慎重でなければならぬということを言っておるようでございますが、しかし、先般御指摘もございましたので、御試問の件について、御質問ございましたので、特に行き過ぎのないように、人権を侵害したりすることがあってはならないということを、よく注意をいたしておきます。
  180. 矢山有作

    ○矢山有作君 関連。この内容について、いずれこれは総理のほうからのお考えも聞かなければなりませんので、亀田委員のほうから申し上げておったのでは時間の制約もありますから、私のほうから申し上げますが、ひとつよく聞いておっていただきたい。
  181. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 関連質問の場合は簡明にしてください。
  182. 矢山有作

    ○矢山有作君 ただいま国家公安委員長は、この事態が悪いことでないようにおっしゃった。これは警察庁長官も、そういうふうな答弁をなさっていらっしゃるのです。ですから、内容を言いますから、聞いておってください。「尼崎中央警察署長、警視正西浦二三」この人の名前で訓示が出ているわけです。これは「尼中秘訓」昭和四十一年一月十九日付ですが、これは「部外秘」で、題目は「外国人(朝鮮・中国)世帯に対する特別巡回連絡の実施について」こうなっているわけです。  その目的とするところは、「尼崎地域における不審外国人の実態を把握するとともに、これらの絞り込みによる工作員の発見と工作活動実態を究明する。」こうなっております。実施期間は、四十一年の一月十五日から二月の二十八日まで。対象は「部内居住の外国人」。実施の要領として示されている——これが問題なんです、いいですか。まず、「巡回連絡の、実施にあたってはつぎの事項に該当するものの発見ということに着眼して実施すること。」こうなっております。「生活実態として」——この問題、特にきわ立っておると考えられる点だけを抜いて言います。「急に成人の人数が増加した家庭」「日本人と自称するも朝鮮人の容疑あるもの」「近隣との交際をことさら避けるもの」「日本語・中国語・英語または朝鮮語を解しながら、知らぬふりをするもの」「服装などに変化が多く、また言動に特別な噂が多いもの」それから「職業関係」でこういうことがあります。「大阪方面に勤務先を有する朝鮮人」「無線通信、その他特殊技術を有するもの」「その他」として、「海岸附近を徘回するもの」こういうことがあるわけです。  それで、「報告その他」という欄でこういうことを言っております。
  183. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 簡明に。
  184. 矢山有作

    ○矢山有作君 「巡回連絡中案内簿未登載のもので「親せきの者だ」あるいは、「ちょっと遊びに来ている」などと申し立てるものについては必ずその者の外国人登録証明書の呈示を求め外国人登録の有無について確認すること。」外国人登録法が、今日まで在日朝鮮人に対してどういう働きをしてきたかということは、これはよく御承知だと思います。そうして、しかも、これをやった者に対しては表彰するということまで言っております。「本期間中出入国管理法違反、外国人登録法違反の検挙あるいは、その他の容疑情報入手者については、その都度、検討の上又は期間終了後表彰する。」  こういうことで、私どもが問題にしているのは、一々これは各警官に配られたであろうと思う「不審外国人発見表」というのがありますが、この中に、さらに問題があるわけです。  それは、まず第一に、「巡回連絡立入調査に際して」いいですか、立ち入り調査をやるんですよ。次のような事実があった場合に、立ち入り調査をやる。先ほど言いました「急に成人の人数が増加した家庭。」あるいは服装などに変化が多い者、また、言動に特殊なうわさが多い者、それから……。
  185. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 結論を急いでください。
  186. 矢山有作

    ○矢山有作君 「深夜外国放送を聞いているもの。」「夜間遅くまで電灯がつき会議など話し声がよく聞かれる家庭。」いいですか。「本籍が、北鮮、或いは中共大陸にあるもの。」「北鮮或いは中共大陸に家族がいるもの。」「大阪方面に勤務先を有する朝鮮人。」「無線電信その他、特殊技術を有するもの。」こういう者に対しては立ち入り調査をやるということになるわけですね、これは。  それから、さらに「職務質問取調べなどに際して」といって、次のようにいっております。だから次に私が言うような事実があったら、これは職務質問をやって取り調べるということになるわけです。「歩行中ときどき後ろを振り返るなど警戒心の強いもの。」「携帯ラジオを所持しているもの。」「職業、身分から不相応な高級カメラを所持しているもの。」「海岸付近を徘回するもの。」総理、こうなっているわけです。したがって、これをたとえて言うなら、大阪方面に勤務先を持っておる在日朝鮮人が、たまたまの休み、トランジスターラジオを肩にかけて、散歩に出て、たまたま海洋附近を歩いておって、周囲の風景を観賞するためあちらを見、こちらを見た場合には、これはさっそく職務質問の対象になる。立ち入り調査の対象になる、こういうことが許されていいのか。これが人権侵害にならないのか、これが警察法、警職法等のたてまえから警官に許された行為であるのかどうか、こういうことが大きな問題になっている。これは私は、社会党が言っているのじゃないですよ。これはいまたいへんな問題になっている。その点をよくお考えになってひとつ御答弁をいただきたい。総理の答弁をいただきたい。どういうふうにお考えなんですか。
  187. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 永山国家公安委員長
  188. 矢山有作

    ○矢山有作君 国家公安委員長じゃない。われわれは総理と言っている。
  189. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) まあ一度指名したから答えてください。
  190. 永山忠則

    国務大臣(永山忠則君) お説のように行き過ぎがあったり、人権の侵害にならないように、よく注意をしてやるように厳に指示してございまして、なお、これが取り扱いに対しましてさような行動に出たということを承っておらないのでございます。御存じのように、昭利四十年度におきまして外国人登録法違反で一万四千七百六件ございまして、朝鮮人はそのうちで一万一千七百二人あるのでございます。その他関連した出入国管理法、あるいは外為法、電波法、いろいろな関連犯罪がございますので、治安の任に当たっておる警察といたしましては、その責任を全うせなければならぬと思うのでございます。しかし、警察国家になったり、権力行政にならないように、国民に愛される警察官になることを厳に指導をいたしておる次第でございます。
  191. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 矢山君、どうでしょう。もう亀田君に移りたいと思いますがね。
  192. 矢山有作

    ○矢山有作君 関連させたっていいでしょう。
  193. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) では、この前も発言ありましたから、読み上げたりしないで結論を言ってください。
  194. 矢山有作

    ○矢山有作君 総理に聞いている。総理、あなたのほうからひとつお話を聞いて、御所見を承って、それからもう一つお聞きしたい。
  195. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま公安委員長がお答えしたとおりでございます。私も人種的な差別待遇になったりあるいは人権侵害にならないように注意すべきことだと、かように私は思っております。
  196. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 簡単に。
  197. 矢山有作

    ○矢山有作君 私は二点お聞きしたいのですが、第一点は、こういう特別な訓令を出して尼崎警察署がやっておるというのは、ただ尼崎だけにとどまらぬのじゃないか。これは中央から指令が出ておるんじゃないかどうかということなんです。これが第一点。  それからもう一つ、いま私が読み上げたようなことをお考えになって、こういう事実に基づいて立ち入り調査や職務質問その他をやった場合に、これは人権侵害にならないという保証がありますか、こういうことがなされた場合に。外国人登録法のことを国家公安委員長持ち出されましたが、この外国人登録法のことはきょうは論議はいたしません。ただ外国人登録法というのは、つい外国人の登録証明書を忘れておったというようなことで全部そのままに違反事件としてひっかかって処理されるのです。これは外国人登録法の問題がかつて参議院の法務委員会論議になったと思いますが、そのときに、この外国人登録法というのは世界にまれに見る非人道的な悪法だということが明らかにされておるようです。したがって、私どもは、そういう立場に立って外国人登録法というものを見ておりますから、したがって、きょうは外国人登録法の論議をするんじゃないのですから、それに触れない。この問題がこれが人権侵害にならないかどうかということを総理、あなたはお答えになっていただきたい。あなたの身辺を、あなたがもし高級ラジオをかけて、そして海岸を歩いていておまわりがうしろからひっついてきてあなたに一々職務質問されたらどうですか。
  198. 永山忠則

    国務大臣(永山忠則君) 中央から指令をいたしておりません。該地域には七百十何軒、二千数百名の関係者がおりまして、さらにスパイ活動でかつてあの付近で関連があったものも、事件もございます。さらに職務を執行する上におきましては、断じて法に違反するような、人権侵害になるようなことをやってはならぬということを注意をいたし、またその方向でやっておるものでございます。
  199. 矢山有作

    ○矢山有作君 いまのその答弁聞き捨てならぬ。スパイ活動があったとかなかったの問題ではないでしょう。この見方というのは、私がいま読み上げたこの見方というのは、在日朝鮮人なり中国人全体を犯罪容疑者として見ておるじゃないですか。たとえばスパイというものがあると仮定をいたしまして、そのことが行なわれておる確実な何か理由があるなら、そのときにこういうようなことが行なわれるならそれは別ですよ。ところが、そういう事実が何もないときに、一般の在日朝鮮人や在日中国人に対してこれをストレートに適用することは、これはすべての在日朝鮮人、中国人を犯罪容疑者として見ておることでしょう。それを私は言うのですよ。
  200. 永山忠則

    国務大臣(永山忠則君) 在日朝鮮人を犯罪容疑として見ておりません。すべて善良なる者と見ておるのでございますが、中には前に申しましたような問題がございますので、取り締まりに関して十分配意をするというだけでございます。ことにスパイ活動は、国際共産主義活動の一環で対日工作をやっておるのでありますから、わが国の利益を害し、各種法規に違反する者がございますれば、そういう者に対してのみ注意を喚起いたしておるのでございます。全般の者に対しては善良の人々です。十分注意ある行動をするようにいたしております。
  201. 亀田得治

    亀田得治君 これは非常に重要な問題なんです。あそこに指令された事柄を人権侵害を伴わないで実行することはできません。これは、あの三十六項目を。総理には後ほど写しをお上げします。真剣に考えてもらわぬといかぬです。  そこで、この日韓条約ができましたけれども、永住許可申請が非常に少ないのですね。この理由をどういうふうにごらんになっておりますか。法務大臣……。
  202. 八木正男

    政府委員(八木正男君) 協定による永住の申請が実は私どももっと多いと思っておりましたけれども、予想よりもだいぶん少ないようであります。理由はいろいろあると思います。一番大きな理由、理由と申しましてもこれは関係者が多いので一々当たるわけにはまいりませんが、われわれの耳に入りますところでは、一番大きい理由は五年間申請すればいい。それで御承知のとおり、日本にある朝鮮人社会にはいろいろ派がありまして、協定永住をとったらいいとか悪いとかいう議論が盛んに行なわれております。そこで、大多数の該当者の人々は、そういういろいろなことを言われるものですから、それを明確に判断ができないので、こっちの意見に耳を傾けたりあっちを考えたりして、まあ五年あるからゆっくりやろうというような理由、これが一番大きな理由だということを、私のほうの入管の出先からの報告によるとそういうことを言っております。  それから副次的な理由でございますが、この協定永住というのは、御承知のとおり、終戦のときより以後引き続いて在留しているということが一番の条件になっておりますが、実は日本におる朝鮮人の中には、終戦以来引き続いておると称しながら、実はそうでない人がかなりおるようでございまして、この人たちは、その引き続いているということの証明が十分にできないために、いまここで申請をすると、かえって自分が密入国したということがわかるとかいうような懸念もありまして、そういうようなこともかなりの理由になっておるというふうに聞いておりますけれども、大体のおもな理由としては、やはり五年間あるからゆっくりやろうというような気持ちでやっておる。そのために、いまだに、受付を始めましてからそろそろ二月でございますが、まだ三千件くらいしか申請が出ていないというわけでございます。
  203. 亀田得治

    亀田得治君 ちょっと法務大臣に次に質問しますから。
  204. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 法務大臣見えましたから。
  205. 亀田得治

    亀田得治君 端的に聞きますがね、ともかく、予想よりも永住許可申請が少ない。ただいま入管局長からの一応の説明はありましたが、その理由はああいうことではない。つまり、これを出しますとね、いろいろなことを調べられるわけなんです。偏見を持って自分たちの生活内部にタッチされることがいやなんです、これは。私はたくさんそれを聞いております。そういうことを言っているときに、尼崎警察署のこの事件が起きてきた。それがずっと朝鮮人の中に広がっておるわけです。総理、この事実をどう見ます。たいへんな問題ですよ、調査をされる立場のほうから見たら。総理は、偏見は持たないと言っておりますが、相手はそういうふうに感じて、したがって、この永住許可申請も、飛ばっちりを受けて、少ないのです、これは。法務大臣、そうでしょう、ほんとうの理由は。そんな、五年間あるから、じゃない。
  206. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 許可申請を受け始めてまだわずかですが、一月、二月、三月と、だんだんとふえてきております。私は三月の二十日までの表を見たことがありました。二月の総計より三月二十日までのほうがそれよりも多かったと、そういう状態で、だんだんとふえてくるだろうと思います。これはやっぱり一番大きな理由は、五年間という長い間あるのでありますから、あわてることはないということ、それからまた、大多数の人は、手数をかけていろいろやるのはやっぱりめんどうくさい、むずかしいことではないかと、お隣近所の人がまずやったらそのとおりまねてやればいいので、まずあとからゆっくりやろうという心持ちが、私一番多いのだろうと思います。いまおっしゃったようなことは、私はどういうところから出てくるのか知りません。しかし、いまの日韓永住の——日韓協定によりまして永住権得た者の問題といたしまして、そのおくれている理由は、私はそういう手数のめんどうなという打算、簡単にいけば一番いいのでしょうが、これは永住権を得るのでありますから、相当出すほうにすればめんどうくさいだろうと、できるだけわかりよく御説明をしようというようにいって、われわれのほうは手順をいたしますと、まあよく申しますように、あんまり説明を詳しくやると、何だか無理やたらに、すすめたように、いろんな批評を受けるというようなことでありまするから、無理にはすすめないというようなことで、なかなかむずかしい状態でありますが、できるだけわかりいいように説明をするという手順でやっておりますので、これは大体において、私はだんだんだんだん、まあこれがさっき、相当な数ふえてくるだろうと、まあこういうふうに思っているのです。いまおっしゃった問題とこれが直接な大きな関係あるとは、必ずしも思っておりません。
  207. 亀田得治

    亀田得治君 まあ見ておってごらんなさい。尼崎事件に対して、先ほどのような安易な答弁をされておられる程度では、これはふえませんからね。ほんとうにそれは行き過ぎなら行き過ぎ、それに対してはこうしたということでなければ、それはもうみんなはね、自分の生活内部に入られることをいやがるのですから、あたりまえですよ、これはふえませんからね。それだけ申し上げておきます。  それから次に、文部大臣に聞きますが、在日朝鮮人の民族教育ですね、私はこれは圧迫してはならないと、こういうふうに一口に言って確信するわけですが、所信を承りたい。
  208. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 日本人も外国におります子弟に対して、日本の教育をいたしておりますから、そういう意味では、外国人が日本の国内で自分の国民に対して自分の国語その他の教育をしておることについては、私どももかれこれ申すべき筋合いではないと思っております。
  209. 亀田得治

    亀田得治君 厚生大臣に一点聞きます。  せんだって、私朝鮮に参りましたときに、朝赤の委員長の朴辛徳さんが、遺骨とか墓参の問題は、政治的な関係を離れて人道的な立場から検討すべきものだという意思表示を、基本的にされました。厚生大臣、どういうふうにお考えですか。
  210. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 私ども、まだ、そういう御提案を聞いておりませんが、御提案があれば検討いたしたいと思っております。
  211. 亀田得治

    亀田得治君 その際には、当然日本側の問題でもあるわけですね。お互い、相互的なものじゃなければならぬ。そういう意味で、厚生大臣お答えになったわけですか。
  212. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) そういう趣旨でございます。
  213. 亀田得治

    亀田得治君 これも懸案事項ですが、日朝間のいろんな人道上の問題が多々あるわけですね。朝赤の代表団が日本に一度来て、そうして日赤の方とお話し合いをしたいという希望は前からある。この入国をもっとスムーズにできるようにできないのでしょうか。これは法務大臣の管轄。
  214. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) いまのような、のような、打ち合わせの問題のためのものであるなら、私はどんどん来てもらって、そうしてよく話し合ったほうがいいと思っております。できるだけ簡易な手続で来てもらうようにしたいと思っております。
  215. 亀田得治

    亀田得治君 まあちょいちょいい答弁をされます。  それでは朝鮮問題はこの程度にして、ベトナム問題に移ります。これも問題点は多々あるわけですが、端的に総理に一、二点お聞きしたい。  第一は、米軍はベトナムにどんどん物量をつぎ込んでおるわけですが、結局これはどろ沼にはまったようなもので、勝てない。総理はどういうふうにそこを認識しておられますか、見通し。
  216. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 勝つとか勝たないとか、そういういろいろのあれも出ているようですが、私はどんな状況であるかよく知りません。しかし、とにかく平和に早くなるように、かように思いまして、あらゆる機会に両者、関係者が同一テーブルについて話し合うことだ、こういうことを実は申しておるのでございます。しばしば北からの情報として、米軍は絶対に勝てない、われわれは必ず勝つ、こういうような話も聞いております。私はそういう予想の立たない状況でございます。全然わかりません。
  217. 亀田得治

    亀田得治君 やっぱりほんとうに助言でもしようかというのであれば、実態に触れなくてはだめですね。個人間のわれわれの調停案にしたってそうなんです、一応実態に触れなければ。北ベトナムは御承知のとおり、四条件というものを解決の方針として出しているわけですね。第一は米軍の撤退、第二はジュネーブ協定を守る、第三はベトコンの計画による南ベトナム問題の解決、第四は民族自決による南北の統一、これが四条件。最近のアメリカ態度は、このうちの一、二、四までは大体認める方向です。経過的にはいろいろ検討しなければならぬ問題があると思いますが、結論的には。問題は第三項だけなんです、第三項。ところが、第三項につきましても、たとえばケネディ上院議員などは、ベトコンの立場というものを相当尊重した立場での意見を出しております。そこまでいきますと、相当問題は煮詰まってくるわけなんです。私はそういう事態について、日本政府こそがもっと実態をつかんで、こういう案でやるべきじゃないかというふうなものを持つべきではないか、アジア日本として。どうでしょうか。これは提案であり、質問であります。
  218. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私はかねてから申しておりますように、そういう今後のあり方、そういうことは話し合ってきめるべきことだ、とにかくいまやっている戦いを、撃ち方やめい、そうして話し合いに入る、このことが何よりも先決だと、かように思います。その次善の方法としていろんな打診が行なわれておる。ただいま言われるように、北からの条件について、アメリカの一部でも非常に理解をしておる、またアメリカ側の提案しておる条件につきましても、北のほうでも理解をしておる、こういうような話がございますけれども、いずれにいたしましてもこの案というわけになかなかいかない。双方、いまの戦いがやんで、そしてとにかく話し合って、これから先どうしていく、こういうことを話し合っていくことが何よりも大事なことだ、かように私は思って、いままでもそういうふうに主張し続けてまいりました。また、今後もこの考え方をただいま変えるような考え方は持っておりません。私はこれが一番いい方法だと、かように思っております。
  219. 亀田得治

    亀田得治君 四月六日、七日、東京で開かれる東南アジア開発閣僚会議、この点について一点お聞きしておきます。  それは、この参加国にはベトナム戦争に直接タッチしておる国もあるわけですが、もしそういう国からベトナムに対する、援助という政治的な問題が出た場合には、そういうものは議題にしない方針を日本政府は固めておられるんでしょうか。
  220. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これは純粋に東南アジアの開発に関する会議でございまして、一切他の政治的な問題を取り扱わないという立場でございますから、御指摘のようなことは万々、提案も私はないと思うが、たとえ提案があっても、それは取り上げないつもりでございます。
  221. 亀田得治

    亀田得治君 午前以来、現在アジア地域で問題になっておる諸般の問題について、きわめて簡単でございますが問題点を指摘してまいったわけです。そこで、最後に安保の問題について、もう一度総理の所信を伺いたいわけですが、総理は、もし条件さえそろえば、安保のようなものはなくして日本の安全が保てるということが一番いいんだということを前に言われましたが、それにはお変わりないでしょうかね。
  222. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 理想的なものは、しばしば言われておりますように、完全軍縮、これが実施できることが一番望ましいことでございます。
  223. 亀田得治

    亀田得治君 そういう立場でおられるとすれば、なぜこの段階において、安保の将来性についてあのような相当はっきりしたことを言明されたのかふに落ちない。ベトナム問題にしても中国問題にしても、非常にこれは流動的、そうしてわれわれ政治家の任務としては、これらが平和につながるように解決していかなければならぬわけなんです。そういうふうに解決すれば、アジアの客観情勢も変わってくるわけですね、変わってくる。安保のようなものがなくいければ一番いいというのが信念であれば、なぜ四年先のことにつきましてあのような見解を出されたのか。世間では、外交技術的に見ても、そういう腹の中を先に打ち明けるということはおかしいじゃないかというふうな指摘すらある。私はその技術的なことよりも、客観的に見ても、私はもっと慎重であるべきではなかろうか、こういうふうに考えておるんですが、きょうの外交論議の最後の締めくくりとして、この点をもう一度お聞きしておきたいと思います。
  224. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま申し上げましたとおり、私はこれは人類の悲願だと思います。ただいまのような理想的な状況、これは二、三年のうちにできるとは思いません。ただいま私どもは、全部がそういう意味努力をしておる、これはもう人類の悲願であります。かように私は考えております。そうして、私に課せられたただいまの責務、これは何と申しましてもわが国の安全友確保する、わが国が安全であること、これが私に課せられた大きな仕事でございます。したがいまして、別にこれは矛盾しておるわけのものじゃございません。二、三年でただいま申し上げるような人類の悲願が達成されるとはだれも思っていないのだ、かように私は思っております。
  225. 亀田得治

    亀田得治君 それじゃ、政治の姿勢に関することで若干お尋ねします。解散問題についての総理の見解をお聞きしたい。
  226. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 解散問題についての私の考え方——ちょっとどういう意味か、はかりかねておりますが、ことしでもあるいはただいまでも、解散を考えているということでございましたら、私は解散など考えてはおりません。はっきりお答えしておきます。
  227. 亀田得治

    亀田得治君 まあ白紙のような立場でお答えがありましたが、しかし、いろんな説があることも事実です。まあことしの秋というものが一番多く言われておるようです。藤山さんもこの間どっかでそういうふうに言われたというふうに新聞に出ておる。秋にはないのだと、そういうふうに言えるのですか。
  228. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私はただいま、秋にはない……。これ言ったからといって、皆さん信用なさればそれでいいのですが、なかなか信用なされないだろうと思う。私は申し上げておきたいのは、解散というのは非常事態と言いますか、そういうことを考える、国民自身が一体解散したら政治の空白を招来する、そのことを、非常に国民が迷惑するのではないか、かように私考えておりまして、二、三カ月の政治の空白、これはたいへんな国民の負担だ、かように思いますので、ただいま解散など考えてない、またそういうものを簡単に考えるべきでない、かように私考えております。
  229. 亀田得治

    亀田得治君 まあどちらにもとれますが……。  次に、昨年十一月新潟知事選挙で、例の塚田前知事の二十万円中元事件というものが発生しました。新潟地検では起訴の確信を得たと、こういうふうにわれわれ伝え聞いておるのですが、一向に処分がない。政治的の圧力が加わっておる、こういうふうに言われておるのですが、真相を明らかにしてほしい。
  230. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 塚田知事の問題でございますが、そういうことはないのでございます。この問題が告発されましてから以来、私は検察当局が慎重にこの問題を扱って、そうして厳正なる立場においてこれを取り扱い、そして決定を正しくやってくれることを期待して待っておるのでございます。
  231. 亀田得治

    亀田得治君 どうなんですか、端的に。違反になるのかならぬのか、検察庁内部の意見は。違反だけれども、知事をおやめになったから起訴猶予にするという腹なのか、どうなんです。
  232. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 刑事局長から答弁させます。
  233. 津田實

    政府委員(津田實君) この事件につきましては、昨年十月に告発したのでございまして、その後、新潟地検で捜査しておることは御承知のとおりでございます。  その後、あらかたの捜査が済みまして、検討いたしましたが、さらに補充捜査を要する点、問題の検討を要する点がありますので、現在新潟地検においてそれをいたしておるわけでございます。しかしながら、遠からずこれに対する処分は決するものと私は考えております。  ただ、内容につきましては、捜査段階でございますので、申し上げますことを差し控えさしていただきたいと思います。
  234. 亀田得治

    亀田得治君 それでは次に、春闘につきまして一、二点お伺いします。  物価の上昇のために、労働者の皆さんはたいへん生活に窮しておられる、そういうことを反映してことしの春闘もたいへん険しいわけでございますが、総理大臣のこれに対する見通しなり所感というものをこの際大まかな立場から明らかにしてほしいと思います。
  235. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ことしの春闘、ただいま言われるように、どういうような結果になるだろうかということで、私も心配して、詳細に成り行き等につき、また、その経過等もぜひ注意するように、こういうことを労働大臣に申しておりました。まだ労働大樹のほうから詳しい報告を受けておりませんから、ただいまお尋ねになりました点については、労働大臣から答えさせたいと思います。
  236. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 今年の春闘につきましては、大体、各組合の要求は三月の中ごろまでに大体出そろったようであります。その要求額は、昨年よりも大体一割程度上回った要求を出しておるようでございます。基本的には、組合側は、本年は物価の上昇の関係等もあって、いわゆる生活防衛の闘争である、まあこういうたてまえで非常に強くその要求をいたしております。一方、これに対しまして、経営者側は、今日の経済情勢からいたしまして、企業の防衛立場ということを非常に強く主張いたしておりまして、結局、従来のように産業別というようなことでなくして、各企業のいわゆる支払い能力と申しますか、企業別に、そういうことは企業者の責任においてどういう立場をとるべきかは決定すべきだ、こういうことを主張いたして、これまたきびしい態度で臨んでおるようでございます。  今後どうなるかということでございますが、まあこれは、もちろんまだはっきりしたことはわかりませんが、おそらく今月の中旬から下旬ごろにかけて、一番激しくなるのではなかろうかと見ておりますが、い、ずれにいたしましても、以上申し上げますような情勢でございますので、従前に比べまして、より一そう険しい情勢があらわれるのではなかろうか、かように推測されるわけでございますが、政府といたしましては、労使ともに今日の日本の経済の置かれておる立場、あるいは各企業の立場等々をよく理解し合って、いわゆる相互理解の精神のもとに、できるだけ話し合いによって円満に解決してもらいたい。もし、それができない場合には、労働委員会等の公正な第三者機関の処置を待って、この解決をしてもらいたい、かように考えておる次第でございます。
  237. 亀田得治

    亀田得治君 春闘全体のことを取り上げる時間はもちろんないので、公社の関係だけについて一、二点お尋ねしたいと思います。それは、政府は、表向きはともかく組合側と使用者側との交渉で話が解決つくようにやってくれ、初めから政府が出るのはだめなんだというふうなことを、表向きは言われる、組合側が使用者側に対して大いにそういう立場交渉をするのでありますが、しかし、実際は、どうも政府が裏に回って、この使用者側に変な回答を出したらだめだ、あるいは時期についてももうちょっと待てといったようなことをやっておられるのじゃないかという、疑われる節もあるわけなんですが、この点はどうなんでしょう。
  238. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) いわゆる三公社五現業関係につきましては、もう先生もすでに御承知かと存じますが、組合側から公労委のほうに事件が持ち込まれまして、公労委としてはすでに調停に取りかかっておる、こういう段階でございます。この間にあって、政府が裏から回って何か各理事者を牽制しているのではないかというお尋ねではないかと思いますが、そういう点は絶対にございません。政府といたしましては、各理事者がいろいろ法的な確かにいま、いわゆる当事者能力について問題もありましょうが、そういう間にあって、できる限り当事者能力を発揮して、それで組合側と折衝をしてほしい、こういう立場で臨んでおるわけでございます。
  239. 亀田得治

    亀田得治君 表向きはそう言われるのですけれども、ともかく毎年のことですが、団体交渉を何回やり、あるいは調停段階になってもゼロ、全く非常識なんです。だから労働組合の言うほどまでは出ぬでも、たとえば団体交渉の過程において、この程度まではどうだろうかというようなものがかりに出てこなきゃうそなんです。政府もそういうふうに指導されておるといいますか、ということであれば。それがいつも出ない。そういうことでは、団体交渉とかいいましても、全くこれはもう熱意が欠けるわけですね。熱意の欠けるところにそんないい話し合いなんというものは生まれるものじゃございません。形はそういう経過をいつもたどるわけなんです。私はなはだこれは遺憾だと思っている。労働大臣どういうふうにお考えですか。そういう指導はしておらぬとおっしゃるんなら、はなはだそのあらわれる結果というものが、使用者側の頭がかたいか、ちょっと変だと言わざるを得ぬわけなんです。
  240. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 従来のと申しますか、まあ昨年までの状況を見ますと、率直に申しまして、先生がいまお示しのようなきらいが私は全然なかったとは言いかねると思います。そこで、政府としても、先ほども申しましたとおり、各理事者がいわゆる当事者能力の点で確かに法的に制限も規制もございますが、その中にあって、できるだけひとつ当事者能力を発揮して、もっと熱意を持って労組側と折衝をしてもらいたい、こういうことを言っておるわけでありまして、私は各当事者もそういう心がまえで本年は臨まれることを期待をいたしておるわけでございます。
  241. 亀田得治

    亀田得治君 かりに団体交渉あるいは調停段階で労使間において意見が一致した、こういうことであれば一番いいことなんです。その結果は政府としても尊重されるでしょう。仲裁の尊重だけじゃだめですよ。ほんとうに労使間を軌道に乗せていこうというなら、その前段階においてまとまればそれほどいいことはないのですから、その結果は尊重されるでしょう。そういう考えありましょうか。
  242. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) その点は、原則としては私はやはり尊重すべきものであろうと考えております。もちろん財政事情その他の事情もあるかもしれませんが、原則論としてはどこまでも尊重されるべきものである、かように考えております。
  243. 亀田得治

    亀田得治君 もう一点。公社の場合には民間賃金との比較をやられるわけですが、百人規模以上でいつもやっておられるわけですね。しかし、これは現実には非常に非科学的ではないか。やはり千人規模以上の民間企業と比較すべきじゃないかということが絶えず組合側から言われるわけなんです。千人規模についても、それは理論的にあらをさがそうと思えば幾らでもあるかもしれませんが、しかし、百人以上というのは、私はこれはむちゃくちゃの議論じゃないかというふうに思うわけなんです。その根拠を明確に説明できるものならしてもらいたい。
  244. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) この間の事情につきましては、労政局長から御説明申し上げます。
  245. 三治重信

    政府委員(三治重信君) その百人の規模というときの事件は、四・一七のときに民間との較差があるということでそれを資料的に比較するというときに公労委が使ったものであります。しかし、昨年のときの仲裁裁定の場合には、その資料を、そういうふうな民間と公労協関係の企業との資料は、毎年そういうものを比較するような資料はございません。大体各民間の組合の賃上げ状況を見まして仲裁裁定で出しておる、これが現実でございます。
  246. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっと関連。  労働大臣からいま御答弁いただきましたが、私には納得できませんからもう一度お尋ねします。すなわち三公社五現業の場合、それぞれの当事者にわれわれから見ると能力がない。わずかなところはあるかもしれませんがなかなかない。したがって、それの根本的なことを私はこの次に聞きますけれども、とりあえず、団体交渉の中で賃金の確定をしようとしてもなかなかいま申し上げたような民間賃金との比較、諸般の情勢等を考慮することになっております関係で、自主的な団交では結論が出ない。その間においてこれは新聞にも出ておりますから間違いないのですが、政府のほうでは自主交渉の段階においてはこれはもう金額を出すべきじゃない。こういう指導のもとに各労働組合に対して一斉に相手方はゼロ回答しているわけです。これはもう国鉄が昭和二十四年、電電公社が昭和二十七年、そのほか五現業がそれぞれ公労法の適用を受けて以来問題になっている点で、そこで、そういう政府からの指導によってゼロになる。やむを得ずこれは公労委のほうに調停申請がされているわけでしょう。やらぬというわけじゃない。これはやっています。きょうは官房長官おられませんから直接伺えませんけれども、こういう指導のもとにあえてゼロ回答が行なわれて事態の紛争が続いている、こういうことじゃないですか。正直にこれは言ってもらいたい。できないのです、これは。
  247. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 先ほども申しますとおり、従来の公社側理事者の回答等は必ずしも何といいますか、適正と申しますか、そういうふうに常識的に見てもそうとれぬような節もなきにしもあらずであったということを、先ほど亀田先生にも私は率直に申し上げたわけでありますが、そういう状況では困りますので、今年度は各当事者ができるだけ当事者能力を発揮して組合側と折衝を、交渉をしてほしい。そういう精神で、あるいはそういう方針でやってもらうことを各当事者にも伝えてあるわけでございますから、私は各当事者が政府の意のあるところを十分くんで善処をしてくれるものと、かように期待をいたしておるわけでございます。
  248. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 鈴木君、簡略に願います。
  249. 鈴木強

    鈴木強君 それは理屈上から言ってもおかしいですよ。いま当事者能力がありますか。また去年五百円の回答が出たことはこれは事実でありますが、それもなかなか現在の予算総則上の点から言いますと問題があるのです。ですから、できないからいつも政府のほうに問題が移っていくのであって、ことしもまあいろいろそういう経過の中でやられたことはこれは事実です、幾ら労働大臣がおっしゃってもね。そこで、公労協の代表が労働省を通じて政府との会見を要請し、四日か五日ごろに第一回会っていただけるそうですが、私はやはり何回でも公労協の代表と政府が会って説明する、話し合いをしていくという態度を堅持してもらいたいと思いますが、これは労働省の所管ですからこれをもう一つ聞いて、あとは総理大臣に聞きたいことがある。  それは結局結論として、これは総理大臣は電電公社の発足当時、公社法を国会に提案したときの郵政電気通信大臣だからよく御存じだと思います。そこで、給与総額というものが一応予算上設定されております。しかし、この給与総額も、昭和三十二年予算総則の改悪によって基準内外の流用が禁止された。電電公社総裁、国鉄総裁からその権限を奪い取った。こういう中でいまやほとんど自主団交ができない。当事者能力がない。したがって、昭和二十九年の臨時公共企業体審議会、三十一年の公共企業体審議会、それぞれ答申が出まして、公社のこういう自主的な立場を認めるべきであるという、総理大臣、答申が出ております。さらにまた、三十九年九月−おととし、臨時行政調査会からも、公社公団等に対する改革の意見が内閣に出ております。その中にも、私は明らかに公社設立の趣旨にかんがみて現在の監督上の統制が強過ぎる、したがってそれを排除しなければ本来の公社企業の運営ができない、こういうことがはっきりうたわれております。時間の関係で読むことができませんが、自主権の確立、さらに労使関係については、審議会を設けて労働基本権の拡大を争議権を与える方向で検討をし、そして公社の当事者能力を確立しなければならない、こう書いてあるわけです。ですから、こういう案になっている基本的な問題を一日も早く解決をしてやらなければ、労使間の自主的な団体交渉はできないわけです。したがって、私は総理お尋ねしたいのは、とりあえずひとつあなたがおつくりになった公社法の予算給与というものは予算総額を越えてはいけない、こういう制限は一応これは撤廃してもらいたいと思いますが、一応それはそれとして、とりあえず三十二年に予算総則上の改悪をして、移流用を禁止したということは直ちに直すべきである、これが一つ。もう一つは、いま言った基本的な問題については、あなたに何回かお願いしておりますけれども、公務員制度審議会等もあるわけでして、こういうものの中で、ひとつ何回かの答申、勧告を今回はひとつ生かしてもらうように、積極的にひとつ政府としても態度を示してもらいたいと思いますがいかがですか、お答えを。
  250. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 先ほど来御説明申し上げておりますように、当事者、いわゆる労使関係におきましては、三公社五現業は原則的には当事者能力というものを認める立場にもちろんなっておるわけでございますが、しかし、公労法の規定において、予算上資金上超過の支出をするという場合にはこれは国会の承認を得なければならないというたてまえになっておることは御承知のとおりでございます。これというのも、一方においては事業の公共性という問題もありましょうし、また一方においては国会の審議権という問題もございますので、その調整と申しますか、そういうたてまえからこのような制約がある、現行法ではあるということでございまして、さような事情にはございまするが、先ほど来申しますとおり、私は労使間でできるだけ話し合いをやりまして、その結果というものは原則として尊重をさるべきものである。最終的にはもちろん国会の御決議、こういうことに場合によってはなるわけでございますが、いずれにしてもそういうことで、しかしできるだけ当事者能力を発揮してもらう、こういうたてまえから、当事者能力そのものについても、これはより広い立場から検討を将来要する問題である、こういう考えは持っております。これにつきましては、昨年の次官会議等においても、公務員制度審議会等において、この当事者能力というものはどうあるべきかというようなことについて、これは三公社等の性格とも関連する問題でございますが、検討をしていただこう、こういう決定をいただいておるわけでございます。 ですから、とりあえずの策としては、先ほど来申しますとおり、政府のこういった方針というものを受けて、当事者ができるだけその能力を発揮して、団交等でその力を発揮してもらいたい、こういうことを期待しておるわけでございます。これは繰り返し申し上げておるとおりでございます。
  251. 亀田得治

    亀田得治君 公労協と会う問題は。
  252. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 私はまだ正確に会うという連絡を受けておりませんが、近々の御希望があれば、私はお会いすることに決してやぶさかではございません。
  253. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま労働大臣がお答えいたしましたのでいいかと思いますが、御承知のように、三公社五現業、これはまあしばしば一緒に扱われる。だが、まあ三公社五現業と一口に申しましても、やっぱり公社といわゆる五現業の間には差があると思います。そこで公社をつくりました際に、一体どうあるべきかと、これがいわゆるその事業の公共性に主体をおくと、これはもっと予算その他でみんな縛るべきじゃないかと、いわゆる国営の形でやるべきじゃないかと、こういうような議論がある。しかし、公共性もさることながら、やはり事業として能率的に国民の福祉を増進するという方向にもっと活発な活動のできるようなものがほしい。そうすると、これはまあ民間的なものになる。そのちょうど中間を縫ったのがただいまの公社でございます。私はそういう意味で国有鉄道の公社もつくったし、電電公社もつくった、こういう経験がございます。そこでしからば公社はみんな、全部が同一の形になっているかというと、必ずしもなっていない。最初できました国鉄よりも、その次にできたいわゆる電電のほうがややゆとりがあるように思います。しかし、最近になりますと、お互いにその長所をみんなまねて、均てんしていくというようになっておりますから、そういうことはもうないだろうと思いますが、とにかく発達の経過から見ると、私がただいま申したような経過を踏んでおるわけであります。そこで、ただいまも言いますように、公共性、それから自主経営がなかなかできにくい。そうして予算と同じような審議を受ける。こういうことで資金等の調達にも何かと困る。これがいまの現状だと思います。したがいまして、ただいま言われますような点が、これは循環しておる。労働関係からいえば当事者能力がほしい。また、経営から申しても、もっと自主経営のできるような、だれからも干渉を受けないような方法がほしい。これがまた経営者としての希望だと思うし、労使双方でそういう希望も持っておる。しかしながら、どうも事業の性質、その公共性から見ると、全然国家あるいは国の機関がこれに関与しないというわけにもいかない。それがただいまも言うように、予算的な審議を受けるとなると、その資金の調達も予算に準じてこれがきめられる。そこで本来これを窮屈なものにするつもりはなくっても窮屈にならざるを得ないという、そういう結果になっておるということでございます。だから、まあ臨調その他がこれらの点につきまして何かくふうすべきじゃないかということで政府にも答申をしておりますし、また政府部内におきましても、大蔵当局やまた労働省等におきまして、何らか一つ方法はないだろうかというので、わずかではあったが、この前当事者能力を認めたと、また今度は経営の面においても、もっと資金的に活発な活動ができるような方法はないかと、まあ比較的借り入れ等についても申し出は大蔵当局もこれはあまり断わるというようなことはしないように、その経営上の便宜ははかっておると思いますけれども、しかし、これも民間のようなわけにはいかないというのでございます。したがいまして、これは衆参の議員さんの方ですから、ただいま置かれておる事情はよくおわかりだと、そうしてまあみずからがそういう点について縛っておるのだと、こういうことになっておる。これは御理解いただけると思います。しかし、その事業の性質から、これは公共性、そういう点から当然来る一つの制約ではないだろうかと、かように思います。まあこういう点がどんなくふうによりまして緩和できるか、これは私どもに課せられた一つの問題だと思います。それによりまして能率をあげていくようにさらに考えるべきだ、かように私は思っております。いままでも取り組んでまいっておりますが、今後ともそういう意味の取り組み方で検討するつもりでおります。
  254. 亀田得治

    亀田得治君 最後に大蔵大臣に一点お伺いします。きょうとあすの暫定予算を組まないで、これはどういうふうに処理されたのですか。されつつあるのか。
  255. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私はただいま非常に当惑をいたしておるわけです。きょうは四月一日で、新年度が始まるわけです。しかるに、新年度に使用すべき予算がない、こういう事態でございます。こういう事態に対しましては、旧憲法では施行予算という制度があったのですが、ただいまお話しのように、今日では暫定予算というものがある。で、私は、予算は年度内に成立する、これが本則である。十年間守られてきておる。したがいまして、固くそれを信じて今日に至っておったのですが、不幸にして昨日までに、またさらに今日まで予算は成立しない。暫定予算を組もうかということを考えていたのですが、これは編成に一週間以上かかるのです。御審議は一体いつになるかわからぬ。そういうことを考えますと、暫定予算を組むということも無意味でございます。しかし一面、本日からいろいろ支払いをしなければならぬという要因がたくさんある。一番金かさのかかるのは国債費でございます。これが三十数億円あるわけでございます。それから第二は失業保険金の支払いでございます。これが六、七億円ぐらいになろうかと思います。それから、何としても支払いしなければならぬというものは、あるいは刑務所の収容者でありますとか、あるいは病院等における勤務者でありますとか、あるいは患者でありますとか、そういうものであります。そういうことを考えますときに、どうしても国政をほっとくわけにはいかぬ。幸いに、国債費に対しましては繰り越しの規定がありまして、四十年度の予算の残額を繰り越して四十一年度とすることができるわけであります。ですから、それで支弁いたします。ところが、失業保険金になりますると、前年度の残額はあるのでございまするが、支出権はない。そこでまたいたしかたがない、失業保険者に金を払わないでいいかというと、これは払わないわけにいきません。でありまするから、これは政府が責任を持ちましてその支払いをいたす。その財源は四十年度の予算の残であります。これを、予算が成立いたしますと同時に四十一年度の支出として更正をする、こういうふうにいたしたいと思います。それから食糧費等につきましては、これは現物があります。これを極力使います。しかし、それでも追っつかないという場合につきましては調達をする、そしてあとで予算ができてから支払うというようなふうにいたしたいと、こう思います。失業保険金の支払いといい、あるいはそういう食糧の支払い等といい——にも若干ありますが、私は決して好ましいやり方ではないと思います。しかし、これは国家を維持していく上にどうしても必要な行為である、緊急行為、こういうふうに理解をいたしまして、本日その支払いを実行いたしておるわけであります。しかし、こういう空白状態が長引くということは、私はほんとうに遺憾なことだと思う。一時間も、一分も早く御審議をいただいて成立せしめるように、御協力方をお願いしておきます。
  256. 亀田得治

    亀田得治君 会計検査院、これはどうなんですか。合法的であるかどうか、政治的な立場じゃなしに。
  257. 小峰保栄

    会計検査院長(小峰保栄君) お答えいたします。どうも現在の制度が、すべて三月三十一日には予算が国会で議決される、こういうのを前提に、御承のとおり、できているわけであります。こんな事態になりましたことはまことにどうも政府も困るわけでございまして、予算がございません。それで、いままでの扱いというのは、先ほど大蔵大臣からも御説明がございました。これに対しまして、会計検査院としても十分の検討は加えてきたわけでありますが、どうもやはり予算が空白になりましても国政をやらぬわけにはいかない、金を支出しないわけにはまいらぬのでありまして、そうしてこれが数日後には予算ができるわけであります。それで私どもとしては、緊急事態に対処する支出、こういうふうに考えて従来も取り扱ってきたわけでございます。
  258. 亀田得治

    亀田得治君 その法的な根拠はどこから来るのか。
  259. 小峰保栄

    会計検査院長(小峰保栄君) 先ほど御説明申し上げましたように、これに対してどう処理するかという規定はないわけでございます。したがって、明文の違反ということにはならないわけでございますが、どうも規定がないからと申しまして、政府はほうっておくわけにはいかないわけです。それで支出をするわけであります。私どもとしては、先ほど申し上げたように、緊急事態というか、ちょうど緊急避難と同じような考え方でこの問題を考えているわけでございます。
  260. 亀田得治

    亀田得治君 緊急避難でこっちの金をこっちへ持ってくるというようなのは、それはあまり拡大されますとたいへんなことになりますよ。それで、従来私たち大蔵省の関係者からも、まああんなことを言ったって、二、三日はいいんだよというようなことを聞いていたんですが、この説は一体どういうことなんです。
  261. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) さようなことは片言も申しておりません。
  262. 亀田得治

    亀田得治君 これは与党の諸君もちょいちょい——これは放言に類するかもしれませんが、田中幹事長も、一日ぐらい越してもいいような話もされておりますし、だから、そういうことであれば、もっと厳に慎んでもらわなければいかぬわけです。しかし、幾ら予算がおくれて参議院に来ても、必ず三十一日に上げるという意味ではないのですよ、いま申し上げたのは。しかし、そういう点をよく聞くわけです。四日になるとぐあいが悪いとか、今度三日は日曜だからまあだいじょうぶだとか、そんなことをずいぶん言われていたのですよ。  それから最後に総理にお聞きします、もう時間がございませんので。新聞を見ますと、政府与党の首脳部の会議で、秋、外遊されるということを了承されたというふうに聞くわけですが、回る国、目的、そういったような大体の構想についてこの際お伺いしておきたいと思います。
  263. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) たいへんおかしな話なんですが、外遊するということをきめて、まだどういう国を回るとか、何日に出発するとかということはまだきめてないのでございます。今まで私がいろいろ希望しておりましたのは、あるいはソ連とか、また東南アジア諸国だと、こういうことがいわれております。いわれておりますが、まだ具体的にきめないで、六者でただいまのような話をした、それが新聞に出たわけであります。やや、新聞に出たのが、その具体性を欠きますだけに、早かった、かように私は思っておりますが、ただいま申し上げたように、秋口にはひとつひまをつくってやろう、こういう六者の諸君の言い分でありますから、これから具体的なその外遊計画を立てよう、かように考えておる次第であります。
  264. 亀田得治

    亀田得治君 それは解散との関係はありますか。
  265. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私が外遊すれば、もちろん解散はできないわけでございます。それはもう御承知のとおりでございます。けれども、ただいまいろいろ説をなす者がありまして、とにかく解散説がどこからか出ておる。それを打ち消すためには総理が外遊でもしたほうがいいんじゃないか、こういうようなことも、それは一部そういうような外遊を計画する理由になっているかと思いますが、しかし、私自身はそういうこととは考えておりません。これは関係がないのでございます。
  266. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 亀田君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  267. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 次に、西田信一君。
  268. 西田信一

    ○西田信一君 私は、自由民主党の立場から最後の締めくくりの質問を若干行ないたいと思います。  私がお尋ねしたいのは、問題は、わが国政治経済の最も基本的な問題でございまして、それはわが国の人口の動態と、それを根本的な要因として動いておるわが国経済産業の動向と、これに対する対策についてお尋ねをいたしたいと思うのでございます。  まず、その前提といたしまして、若干基礎的な事実をお伺いいたしておきたいと思います。これは私の質疑の土台になるものでございますので、総務長官、あるいは事務当局でもけっこうでございますが、次の二点についてお伺いをいたします。  その第一は、三十五年の国勢調査と四十年の国勢調査とを比べまして、人口の増加したところと人口の減少したところが相当ございます。都道府県別、あるいはブロック別、どういうふうになっておるか、どういう地域がふえ、どういう地域が減っておるか、人口移動の状況をお伺いしたいことが第一点です。  第二は、このような人口移動の結果、わが国の人口地域別構成比は現在どのようになっておるのか、なお、人口の集中がどのように進行したかを知るために、三十年、三十五年、四十年の構成比をおわかりでございましたら比較して御説明を伺いたいと思います。
  269. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) お尋ねの、昨年度の国勢調査の結果で出ておりますのは、全国で申しますと、昭和四十年度が三十年度に比べまして四百八十五万六千四百六十人の増ということに相なりました。全体から、比率で申せば五・二%ということでございます。一番大きな増加率を示しておりますのは、関東ブロックでございまして、これが一三・九%の増、近畿地方が一二・四%の増、その次が東海地方でございまして八・三%、それから北海道が二・七%、それ以外はブロックとしては減っておりまして、一番減っておりますのが東北の四・五%の減、それから九州の四・一%、四国の三・六%、北陸の一・一%、中国の一%の減ということで、これを県別に申し上げますと、おもなふえましたのは神奈川県が二八・七%、埼玉県が二四%、大阪府が二〇・九%、千葉県が一七・二%、愛知が一四・一%、東京が一二・二%、兵庫が一〇・三%、減ったほうからのおもなものを申し上げますと、島根県が七・六%、佐賀県が七・五%、長崎県が六・八%、鹿児島県が五・六%、宮崎県が四・八%、山形が四・四%、秋田が四・二%といったような状況でございます。もっと詳しい……。
  270. 西田信一

    ○西田信一君 ただいまの御説明にもありましたように、関東、東海、近畿、すなわち東京、名古屋、大阪を中心とする地域に全国の人口の六割が集まっておる。しかも、十年前の三十年には五割であったのが六割まで一挙にふえておる。このようなわが国の人口の過半数が太平洋岸沿いの工業地帯に集中して、それ以外の東北とか、北陸、四国、中国、九州、こういう後進地域ではどんどん人口が減っているわけです。ところで、人口の増減と経済の盛衰とは無関係ではなく、むしろきわめて密接な関係があるわけでありまして、つまり、人口の増加率と経済成長率の相関関係はきわめて高いわけであります。そこで、人口の増加率の高い地域は経済成長率も高いし、人口の増加率の低いところ、むしろ人口の減っているところは経済産業も後退しておる、こういうふうに言ってよろしいと思うのであります。三十六年度から発足しました所得倍増計画の場合でも、太平洋ベルト地帯を根幹としておりましたけれども、「地域格差の是正、過大都市の防止も十分考慮しなければならない」、こういうことを申しておりました。また、三十七年十月の閣議決定で全国総合開発計画ができましたが、これでは、さらに一歩進んで、「都市の過大化の防止と地域格差の縮小ということを配慮しながら、地域間の均衡ある発展を図る」ということを目標としておるわけです。また、中期経済計画においても同様なことを指摘しておるわけでありますが、こういうような政策がとられてまいりましたが、ところで、ただいま申しました全国総合開発計画では目標年次である昭和四十五年におけるところの一応人口の地域別の構成比が出されておるわけでありますが、これが今日実際値とそれから目標値とはどんなふうになっているのが、違いが出ているのか、地域別の構成比、あるいはまた同時に、工業出荷額等についてもどういうように目標と実際とがなっているのかという点を経済企画庁長官からお伺いいたしたいと思います。
  271. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) お答え申し上げます。  全国総合開発計画の想定数値四十五年人口構成比は、四十五年が北海道は五・六でございますが、これは四十年で五・三でございます。それから四十五年で東北が二・三で四十年が一一・七、それから関東が二八・五に対して二九・四、それから東海が二・四に対して二・一、それから北陸が二・八の目標に対して二・八、近畿が一六・三に対して一六・一、中国が七・四に対して七、それから四国が四に対しまして四、それから九州が一二・八に対して一二・六。  それから工業出荷額構成比が全国総合開発計画の想定数値が四十五年に、これは三十九年の統計しかまだございません、四十年のはございません。北海道が三に対して二・四、東北が六に対して四、関東が二九に対して三六・一、それから東海が一九に対して一六・二、北陸が三に対して二・二、近畿が二〇に対して二四、中国地方が九に対して七・一、四国が三に対して二・四、九州が八に対して五・六、以上が工業出荷額構成比でございます。  それから一人当たりの平均所得の地域格差、四十五年の想定数値でございまして、これは三十八年しかまだございません。関東を一〇〇といたしております。北海道が四十五年一〇一に対して七八、東北が七九に対して六一、関東は一〇〇として数えております。それから東海が一〇〇に対して八二、北陸が八九に対して六八、近畿が一〇六に対して一〇一、中国が九一に対して六九、四国が八〇に対して六六、九州が八七に対して六五、これは所得格差です。
  272. 西田信一

    ○西田信一君 大体のところを伺いましたが、私が先ほどから指摘しておりますような地域的にこれが片寄るというような傾向であると思いますが、ただいまのお述べになりました数字の上から、傾向的にはどうなっておりますか。
  273. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 多少のでこぼこはございますけれども、傾向的には関東、近畿がやはり非常にすべての割合が大きくなっておりまして、予定よりもずっと大きくなっている、他の地方はそれほどには及んでない、こういうことでございます。著しくそれに達しない地方、九州あるいは東北等がございます。
  274. 西田信一

    ○西田信一君 ただいまの御答弁でも明瞭になりましたように、せっかくのいろいろな施策にかかわらず、人口の動きというものがその経済の消長をはっきり示しておるということが言えると思うのです。そこで、この大都市周辺の工業地帯の爆発的な膨張、これが大量に労働力の移動を起こさしておる。私が調べたところでは、三十九年一年だけでありますが、新規の学卒者四十万人を含んで百万人の労働力が東北、九州などから流出しておる。そうして関東臨海あるいは東海、近畿臨海地帯に流入しておる、こういう状況であります。一年間に百万人もそういう大きな移動がある。これは後進地域から先進地域に集中しておる現象を示しておるわけでありますが、これは過度に集中する企業の労働吸引力ということが大きな原因であることは間違いありませんが、それに加えて、やはり地域的な格差があり、所得格差があり、格差があるということでありまして、大幅な賃金格差、一例を言えば、東京を一〇〇とすれば、最低の鹿児島では五七です、半分しかない、こういう状況であります。この影響も相当出ておることは明らかであると思うのでございます。悲劇的な人口の不均衡の是正は、経済社会開発のために限られた人口をどのように配置するか、人間能力を経済の発展にどのように結びつけるか、調整するか、経済成長と一体化したところの社会開発構想というものが絶対に必要だと、こういう数字の上から明瞭に言えると思うのでございますが、経済企画庁長官はどのようなお考えを持っておられますか。
  275. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 日本の経済が総合的に発展してまいりますことは大企業、中企業の場合、あるいは業種の場合同じでございますが、同時に、地域の場合にやはり各地が平均して発達してまいりますことが、そうして過大、過密の地方ができますことが経済の運営を必ずしも円滑にするものとは思いません。やはり過密都市ができますれば便利である一面、過密化のために起こってきます経済的障害というものは相当多いのでございますから、そういう意味からいいまして、国土総合開発計画というものはどうしても推進してまいらなければならぬと思います。
  276. 西田信一

    ○西田信一君 総合開発計画を実施して、またもろもろの政策が行なわれておって、なおかつ、こういう現象があらわれておる。したがいまして、私のお尋ねしたいのは、現在のような状態で放置しまするならば、これはますますそういう傾向が強くなって、そうしていろいろな政策がありましても、なおかつ、こういう状態が起きているのは、まだ政策の上に考慮すべき面があるんじゃないかというふうに考えるわけでございまして、そういう点に対するまあ進んだ構想はお持ちにならないのか、こういうことであります。
  277. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 新産業都市でございますとか、あるいは低開発の工業開発促進計画でありますとか、あるいは最近できました山村振興法、そういうようなものが総合的に運営されることが必要でございますが、どうも地域開発の一番の基本的な問題は、私はやはり交通輸送の解決だと思います。したがって、道路の計画あるいは鉄道の運営というようなものが、やはり総合的に地域開発の基礎的条件として成り立ってまいらなければならぬ。何としても地方に工業を興したりなにかしますのには輸送関係が十分でなければこれは興りません。ですから、それが基礎的に一番大きなところだ。幸いにしてまあ道路計画その他国鉄整備計画等もできるだけ複線化をやる、あるいは新五カ年計画を立てるというようなことで進めておりますので、その基盤の上に立って今後やってまいりたい、こう思います。
  278. 西田信一

    ○西田信一君 藤山長官、私はお話はわかるんですけれども、そういう道路の必要、港湾の必要、それから新産都市の工特地域も、いろいろ政策はけっこうです。しかし、それだけではまだこういう現象を食いとめるのには力が弱いんじゃないか、こういうふうに実は思うわけです。この考えは間違っているかもしれません。ですからして、もっと高度ないろいろな政策というものが一いまおっしゃったことはやや技術的な開発だと思うんですよ、もっと、もう一歩進んで、いろいろな、もろもろの政策というものが打ち立てられなければならない、こういう観点でお尋ねしているわけでございますが、失礼でございますが、もう一度お答えいただきたいと思います。
  279. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 経済開発がある程度地域開発の先行的条件であることは、これは申すまでもございませんし、また、住民が土地に定着する必要条件でもあろうかと思います。ただ同時に、そうした経済活動が興りましても、地域社会の生活状態が改善していかなければ、あるいは文化、教育の設備、機関等が充足してまいりませんと、やはり子弟を学校に出す、東京にやらなければならぬ、そういうようなことで、地方と中央との文化的格差、生活的な状況の格差というようなものが、これは地域社会に人が足をとどめるということのために私は必須条件だと思います。そういうことによって中央、地方のできるだけ文化的な教育的な差を解消していくということは、これはやはり基本的問題の一つだと考えております。
  280. 西田信一

    ○西田信一君 地域開発と同時に並行してやらなければならないのは、過密都市対策であろうと思うのであります。いろいろな政策が行なわれております。たとえば、私ここでどなたにお聞きすればよろしいかわかりませんが、お尋ねしたいのですが、かつて河野さんのときと思いますが、新官庁都市の建設というような構想が明らかにされたことがあります。これなどは一体どのようになっておるか、あるいはまた研究学園都市の建設ということも現在どのような状況において進行しておるのかというような点を、ひとつどなたでもけっこうでございますが……。
  281. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 過密都市の問題は、御説明するまでもなく、いまや重大問題であります。新官庁都市あるいは研究学園都市等のいろいろ構想がありましたが、研究学園都市については、昭和三十八年にそういう構想が出され、三十九年に方針がきまっております。四十年から予算等の裏づけをしてその計画の推進に当たっておりますが、なかなか調査あるいは用地の問題で時間がかかりまして、四十一年度からこれを実施に移すと、こういうことで相当にいま進んでおりますが、これは相当長期を見計らってやる仕事でありますから、強力に進めたいと思います。  ここで申し上げておきますが、先ほど来いろんな数字等のデータを出されまして、また経済企画庁長官からお話しありました現状を、私どものいわゆる国土建設と申しますか、建設行政の面から、私ども分析をいたしておりますが、これは非常に現在の人口移動あるいは都市集中、産業の偏向、したがって、文化の偏向、あるいは国民所得の非常な差、あるいは生産力の差、こういうものがやはりすべて相重なっているように思います。そういう意味で、わが国の現状を考えますと、私どもは昭和四十五年一億四百万ぐらいの人口を現在想定いたしておりますが、問題はわが国の地形、御承知のように細長い帯状の地形で、複雑な地形をなしております。これはどこの国でも同じでありますが、やはり地の利を得たところ、便利なところへ集中するのは人間の常であります。また、産業、文化も、どうしてもそういうところに集中する。それがずっと明治以来、急速に発展いたしまして現状をなしておるわけです。現状はもう弊害に転化しておる、これが現状でありますから、しかも自然の状況が、そのままにしておきますと、これはますますその弊害というものは、いやがおうでも集中してくる。したがって、今後の、簡単に申し上げておきますが、建設行政の面から見まする施策は、自然の状態に大きな改善を加わえ、結局、地の利その他を人工をもって改善するということでないと、いかに理論を立てて、計画を立てましても進みませんから、そういう意味で、先ほど経済企画庁長官が言われました、新たな道路網の整備等をやっておる。明治以来、相当進歩いたしましたが、これは鉄道網によって相当解決いたしました。いまや時代が違っておりますので、いま自動車網によって解決するという重大な時期に来ておる。もう一つ加えておきますけれども、いまの道路網というのは、まあ徳川時代から引き継がれました人口三千万に応ずる道路網になっております。私どもはやはり一億一千万の道路網をこれに今日つくる段階に入っている、こういう前提等織りまぜて、すべての施策をいたしたいというのが私どもの建設行政に置かれた今日の弊害を打開する、こういう考え方でございます。
  282. 西田信一

    ○西田信一君 建設行政に対するお考えをお聞きしようと思っておりましたが、いまお話がございまして、ぜひそういう方向で御推進を願いたいとお願いを申し上げておきます。  そこで、自治大臣に一つお尋ねをいたします。先ほど来申し上げたように、お聞きのとおり、非常に人口の偏在が目立ってまいりました。特定地域の人口過密化ということが、これが国民の福祉に反することは、この激化の一方にある交通地獄を見てもわかる。また、公害の問題を取り上げましても、これが証明になります。また、住宅難などを取り上げただけでも、十分これは言えることだと思う。一方人口減少の地域における人口の過疎−まばら過ぎる過疎の問題が非常に深刻になっている。先ほどの総務長官の御説明によりましても明らかなように、前回の国勢調査のときは人口の減少率が四%をこえたのが二県でございましたけれども、今度は十県をこえているわけですね。こういうふうに人口の過疎化が進むにつれて、一定の生活水準の維持すら困難な状態がだんだん出てまいっておるように思います。たとえば防災、あるいは教育、あるいは医療活動、こういうような地域社会の基礎的な条件の維持すらむずかしくなってきておる状態であり、公共団体の財政状況もともに悪化しておる。こういう現象に対しまして、地方自治の立場から自治大臣はどのような見解をお持ちになり、かつまた対策をお持ちになっておられますか、自治大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  283. 永山忠則

    国務大臣(永山忠則君) お説のとおり、非常に憂慮すべき情勢でございますので、とりあえず本年度は、国会へお願いをいたしておりますことは、人口減に対します補正をいたし、交付税の配分に対して留意をすると同時に、また傾斜配分をいたし、あるいは辺地、離島等の起債を強化するというような方向で暫定的な処置を講じておるのでございます。  さらに、過密地帯の問題につきましては、首都圏法並びに近畿圏法等をいま国会へお願いをいたし、そうして都市の再開発という方面に対して財政的援助をいたそうというように考えておるのであります。なお、いま検討中でございますが、府県合併等のほうにつきましても、やはり広域行政推進の一環のものとしていま鋭意検討を続けておるような次第でございますが、しかしそういうような消極的のことではとてもいかないのではないかということを感じておりまして、さらに五月から地方制度の調査会を発足をいたしまして、そうして財源の再配分等を考えまして、地方の自主性を強化しながら自治体の経済の確立をはかっていく。ことにまた、この地方開発に対しましては勇断な施策をやって地域間の格差を是正して、そうして工場を分散をする。さらにまた、農山漁村等に対する産業の育成強化をはかって農山漁村の経済をうんと高めていくというような関係等は、すべて国と地方とが一体になって積極的な施策をいたしまして、地方開発に力を入れ、さらに過密都市の再開発という方面には勇断な、画期的な施策をやりたいというように考えておる次第でございます。
  284. 西田信一

    ○西田信一君 都市の再開発の問題については若干私も意見がございますが、当面のことについてお話を伺ったのでありますが、まあ何年先だったか私はわかりませんが、どなたかの研究の結果発表されたところによりますと、こういう姿で進行していけば、何十年後だったかそれは明確には知りませんけれども、東京周辺に日本の人口の三分の一が集まってくる。三千何百万。そうして、私は北海道に住んでおるが、北海道あたりは、大いに人口問題解決するという政府の構想もあってやっていただいているのでありますが、ようやくいま五百万そこそこ。これが何十年後、東京がふえるときには、北海道は三百万に減ってしまう、こういうような数字をあげて研究発表したものを見ております。ですから、私はここで、ただ当面のことだけでは糊塗できないのではないかというように思うわけであります。後ほど総理にもお伺いしたいと思っているわけでありますけれども、やはりひとつここで、すべてのいろいろな法律を国会で何百もつくります、予算も審議しておるけれども、根本の問題はこういうところにあるんじゃないかと思うんです。ちょっとこんなことに時間をとって恐縮なんでありますが、そういう意味でひとつ政府とも真剣に御相談したいということで御質問申し上げておるわけであります。  で、文部大臣にもちょっとお尋ねをしたいのでありますが、私はいろいろ——これはたとえばいなかでは医者もいられないという医療の問題もございます。あるいは学校の問題もいろいろありますが、たとえばこういう同じような趣旨から学校——特に大学の地方分化ということ、非常に私は大事なことだと思うのです。その点、私学におきましてはたいぶこういう方向に進んでいるように思いますけれども、残念ながら官立校におきましてはそうはいっておらない。で、こういう点につきましても、できるだけひとつ積極的な方向を打ち出していただきたいと思うのでありますが、こういう点について、文部大臣としてのお考えをひとつお聞きをしておきたいと思うのです。
  285. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 先ほど来、人口の過度集中についていろいろと貴重な御意見を賜わりましたが、私ども文教行政のほうからも、特に大学等について考えますと、この空気の悪い人口過密化されている大都市に勉学する人間が集まってくるという姿は、どうも自然に合致していない、そういう考えから、理想としては、できるだけ地方大学を充実強化して、大学の格差を是正すると同時に、むしろ大都市から地方の理想的なところに勉強に出ていくというくらいになったほうがいいと思うのです。しかしこれには、これを理想達成するのには、ばく大な経費も必要になりますから、さしあたり私どもとしましては、目下大学生急増対策の一環として行なっております学部、学科の新設等につきまして、できるだけ地方大学の充実をはかりたいという方向で、目下努力をいたしている次第でございます。今後とも、私の気持ちとしましては、そういうことが正して、またよろしいのじゃないか、こう思っておりますから、そういう方向で努力をいたしたいと思います。
  286. 西田信一

    ○西田信一君 通産大臣にお尋ねいたします。先ほどから申しているような趣旨でお尋ねをするわけでございますが、通産省で、これは新聞に大きく発表されておったのでありますが、こういうような状況にかんがみまして、わが国の産業の国際競争力を強める、これは大事なことであります。こういうためのいろいろな施策をおやりになる、会社の合併とかいろいろなこともございますが、それと並行して国際競争力を強めるというそのねらいに沿った立場において、新しい産業立地政策を確立するということを御検討になっている、こういうように報道されているわけであります。その内容がここにあるのでありますが、それを見ますというと、過密地域の重工業の規制の立法、こういうことも御検討になっている。また、いろいろ地域開発の立場から、これまでの工業用地、工業用水、あるいは道路、港湾等の地域産業基盤の整備に加えまして、この大企業、企業の移転等に対する税制上あるいは金融上の誘導政策をひとつ打ち立てたい、こういうお考えがあるように伺ったのでありますが、ひとつ通産大臣の御信念を伺いたい。
  287. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 西田さんのお触れになっておるのは、やはり日本の最大の課題だと私は思います。この過密都市の問題は、もう飽和点に来ている。公害、犯罪、これはもう脳溢血のような状態になっている。そういう意味からも、やはりもう少し産業の地方分散ということが必要だ。しかし、そのためには、いま御指摘になったような国際競争力のためには、港湾とか、道路とか、輸送の関係なども整備しないと、あんまりへんぴなところへ行くと競争力にならぬ。それで、私どもの通産行政の中では、産業立地政策というのを今後特に重点的に取り上げたい。いま御質問のあったような、過密都市から地方へ行く場合に、新しく地方で事業を取得した場合に税制上の特別措置があるんですけれども、あるいはそのために開銀などに対して融資の便宜を与えられることになっているけれども、総じてこの政策は私は不徹底だと思っている。やはりもっと産業立地政策というものは再検討しなけりゃならぬ問題である。あなたの御指摘になったことは、われわれ考えさせられるまことに重大な問題を含んでおると考えて拝聴をいたしておったわけでございます。
  288. 西田信一

    ○西田信一君 具体的に何かお考えを——四月からの産業構造審議会に、具体的にいろいろ御検討なさるという内容が新聞で報道されておりますが、もう少し具体的な何かお考えを伺うことはできませんでしょうか。
  289. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) まあこれは各産業ごとの——少し日本の産業の構造改革というものを各産業ごとにやってみようという場合には、当然に立地的な問題も検討されるわけです。どうしてももう少し地域的にきめのこまかい一つの計画が要るのではないかという点で、立地、産業構造、これをもう企業ごとにひとつ検討してみて、まあビジョンというものが要るのではないか、こういう点で検討いたしたいと思っている。いままだ結論得ておりませんから、結論を得ておれば具体的に申し上げるのですが、これから取り組んで、いろんな従来の計画をもう一ぺん再検討したいと考えているわけでございます。
  290. 西田信一

    ○西田信一君 先ほども、過密都市の弊害については十分に御認識の御答弁もいただきました。大都市再開発の問題についても先ほどお触れになりましたが、今度また都市開発資金融通特別会計というようなものもできまして、予算措置をとられた。東京や大阪などの大都市過密のたての半面に、後進地域の過疎問題、これは先ほどから繰り返しておりますように、重大な問題でございます。人口が減るということは産業の後退を意味するということもくどくどしく申しているわけでございますが、そこで大都市の生活は、過密のため、すでに耐えられる限界にきている、こう思います。都市再開発というようなことは、人口、産業の都市集中によってすでに起こっている問題を、いわば事後的に処理するにすぎないと思うのです。また、少し逆な言い方をしまするならば、こういうような都市再開発というようなことはかえって都市集中に拍車をかけるという逆効果を生む危険もあると思うのでございますから、地域開発ということを真剣にやるためにはもう少し根本的な問題に触れていかなければならぬと考えるわけです。ある週刊雑誌に、東京と大阪以外には将来商売ができなくなる、こういう、ばかな記事でございますが、笑えない記事が出ておる。こういう点から、もっと適切な手を打つ必要があると思います。問題は、地域政策を推進するためには、社会資本の整備であるとか、国の財政上の援助であるとか、あるいは先ほどお話がありましたような税制金融上の措置など、徹底的なこの対策を立てなければ悔いを将来に残すと考えるわけでございますが、いままでの地域政策に根本的な再検討の時期が来ておるように思うわけでございます。こういう意味において、最近政府には、全国総合開発計画の改定を考慮されておるというふうなことも伺っておるのでございますが、事実でありますかどうか、その方向をお示し願いたいと存じます。
  291. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) まだ総合開発計画を全然改定するとまでは考えておりませんけれども、今日までの経過に従いまして、これをある程度修正していく必要はあるのではないかと、こう考えております。
  292. 西田信一

    ○西田信一君 いろいろ述べてまいりましたが、財政の責任者として、将来のあるべき日本の姿はどのように考えられておるか、大蔵大臣の将来に対する方針とお考えを伺いたい。
  293. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいまじっと西田さんのお話を承ってきたのですが、過密都市対策ばかりじゃないと思いますから、この問題も非常に重大な問題だと思います。これは一朝一夕になかなか解決できない問題だと思いますから、財政上、金融上、税制上できる限りの努力をしなければならぬ、かように考えております。
  294. 西田信一

    ○西田信一君 総理、一九六五年の三月二日にジョンソン大統領は議会に教書を送って、アメリカでも人口の七割が都市に住んでおる。もう少し、半世紀後には八〇%の都市人口になる。これではこの増加人口の圧力を最大限に受けることを警告して、いまから抜本的対策を立てるということを実行せよということを言っておるわけです。これは日本だけのことではないと思うのでありますが、そこで、佐藤総理は非常に社会開発ということに御熱心でございますが、先ほどからお聞きのとおり、私はもっと進んだ、技術開発だけではなくて、もう少し財政、経済、金融すべてを考えた、政策の根本に触れた対策が必要であると思いますが、総理の御信念を伺います。
  295. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど来いろいろ意見を述べられております。私も東京都——この付近に近く四千万の人口が集中するだろう、こういう話を聞きました。いろいろそういうことも考えているようでございます。そこで、過密都市対策ということが言われておりますけれども、私もこういう事柄は、ものの考え方としてもう少し根本的なものがあるのではないだろうかと思います。たとえば、アメリカのいまの都市に集中するだろうというジョンソン大統領の話もありますし、片一方で共産主義国、ソ連のような統制をやっておりましても、シベリア開発はなかなか計画どおりにいかない。これなどは、ゴスプラン、積極的にそういう開発計画を立てながらも、なかなか動員できない。やはり自然の姿、流れというものを、これを変えていくことは非常にむずかしいのだと思います。そこで、先ほど来、各省におきましてそれぞれの計画を持っておる——過密対策はどうしたらいいか。あるいは文部省は、いわゆる学校の分散を考える。それで、御提案になりましたように、私立大学をどんどん地方につくったらどうか。あるいは自治省においては、広域行政都市を考える、こういうこともあるようですし、また通産省におきましても、立地条件等から見まして産業を分布させるということも考える。いろいろのことをやっておりますが、これがいわゆる経済開発という立場においてものごとを考えると、ただいまのような都市集中、それが簡単には片づかなくなる。いわゆる経済主義的なものの考え方から見まして、どうしても都市のほうが便利だ、何をするにも、経済活動をしても、また生活をしても文化的な生活ができるんだから便利だ、こういうことになる。また、この経済開発、これに便する意味においての国土開発というだけでは、これはなかなか目的を達しないだろう。そこで、ただいまのお話がありましたように、社会開発の理念を持って経済活動をし、経済開発をする、国土開発をして、そして安心のできるような国土にする、これは一体何か、何が目的なのか、やっぱり住みいい社会をつくること、国土をつくること、それがいわゆる社会開発なんだ、豊かな生活のできるようにするんだ、この考え方でただいまの経済開発と結びつけて社会開発を推し進める、こちらにむしろ重点を置いていけば、ただいま言われるように、この地域、ここにそんなに非常な格差を生じなくても済むんじゃないだろうか。ここに、いわゆる観念的といいますか、基本的な理念としての社会開発の思想というものを取り入れなきゃいけない、私は実はさように考えるのであります。先ほど経済企画庁長官が申しておりましたように、この社会開発を進めるについてどうすればいいか、それはやはり何といっても交通整備することだ、最近の近代的道路網を整備すること、高速道路をつくる、これはもう何よりも緊急な問題である。また、社会開発の面から見まして最も恵まれない住宅建設は、これもただいますぐ問題になる。実はこれはただ単に技術的な問題ではない、かように思うのでございまして、いわゆる建設省の縦貫道路計画、これは国土開発法に基づく縦貫道路計画、これを推進していこう、そうしておくれておるこの地方等におきまして、都市と同じような社会的な利便が提供されるような、上下水道の整備であるとか、あるいは学校だとか、あるいは病院だとか、こういうようなものがとにかく整備されれば、これは地方と都市との間の格差もよほどなくなってくる。ただいま言われるように、都会だけに集中して非常な混雑を来たすということはなくなるんじゃないか。やはり基本的な観念としては、ひとつ新しい観念を取り入れないとこの問題は解決しないのじゃないかと思います。アメリカにおきまして偉大なる社会の建設というのが、こういう意味だろうと思います。また、日本におきまして社会開発の理念を取り上げたことも、ただいま申し上げたこの非常に片寄った最近の経済活動、経済開発というものを、まんべんなくひとつ地方にもその恩典に浴さすという、浴さすためにも社会開発が必要だ、かように思います。これは何と申しましても総合的な必要性があるのでございまして、個々の省においての企画よりも、総合的にどうすれば最も効果があがるか、こういう意味で、ただいまお尋ねになりましたように、総合開発計画、こういうものも絶えず真剣に取り組んでいく必要があるだろう、かように私は思います。いろいろ話をしていけば長いのでございますが、ただいま西田君のお尋ねになりますのは、あるいは私の答えるものとやや違っておるかもわかりませんけれども、私はどうも、新しい観念を取り入れる、そして政治を進めていくこと、これがただいまのような過密都市対策にもなるんじゃないだろうか、かように思っております。また、過密都市と申しましても、これは全部が吸収できる限りにおいては、収容できる限りにおいては、りっぱに効果をあげるんでありまして、これは不都合だとは言えないと思いますけれども、そのために地方が非常にさびれる、こういうことになってはたいへんだと思いますので、ここらでもう一度考えなおしてみる必要があるだろうと思います。
  296. 西田信一

    ○西田信一君 総理に御信念を伺いましたが、ぜひともひとつ強力に御推進くださるように希望を申し上げます。  次に、最後でありますが、三月七日の本委員会以来、経済、あるいは物価の問題、財政の問題、いろいろ議論がございましたが、この委員会の非常な特長と申しましょうか、外交防衛の問題が非常に大きく浮かんでまいりました。活発に論議されました。私は、外交の問題はいまおくといたしまして、防衛問題だけをあげましても、いろいろな議論がなされました。核の問題、あるいは拡散防止の問題、あるいはまた中共の核武装の問題と日本防衛力の問題、いろいろなことが論議されました。あるいは日米安保の問題、あるいはベトナム等に関する極東の範囲の問題、いろいろございました。このように、おそらくこれほど防衛問題が広範多岐にわたって論議されたことはあまり例がなかったのではないかと思うのであります。このことは何を意味するかと申しますと、現代の緊迫した国際情勢からいたしまして、防衛あるいは国防という問題がいかにわれわれの切実な関心の対象になっておるかということを物語っておると考えるのでございます。言うまでもなく、国防とは、国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、略に対して国を防衛することでありますから、国といたしましては最も基本的な事柄であり、国としての固有の権利でもあるのであります。したがいまして、あたかも国の基本法たる憲法が、イデオロギーや党派の別なく尊重され、擁護されなければならないと同じように、国としても固有の権利である自衛権については、やはりイデオロギーや党派をこえて、少なくとも基本的には一致した考え方に立たなければならぬと、こう思うわけであります。国の独立と安全がおびやかされれば、憲法そのものの問題も危うくなるからであります。しかし、国防は他のいかなるものよりも最も現実的な問題でございます。世界じゅうのありとあらゆる国の利害関係がするどく対立をしている中にあって、自国の安全と独立を守るということは、イデオロギーや固定観念ではいかんともしがたいきびしい現実の問題と申さなければならぬと思うのであります。こういう意味から、イデオロギーや観念論ならば見解の対立もやむを得ないと思いますが、こと国防に関する限りにおいて、国民の間に高い防衛意識が持たれ、そして少なくとも基本的には考え方の一致が必要ではないかと考えるのでございます。こういう意味において、ひとつ防衛長官総理お尋ねをしたいのでありますが、代々の防衛長官は、自衛隊について、国民とともにある自衛隊、国民に愛される自衛隊、こういうことを常に申しておられます。私は全く同感でありますが、まず、国民に防衛意識がなく、国に適切な防衛施策を持たない国の将来は、非常に悲劇であると思うのでありまして、この意味におきまして、国民の防衛意識の高揚ということがきわめて大切であると思いますが、こういう観点に立って防衛長官の御見解を伺いたいと思います。  さらに、一緒に申しますが、内閣総理大臣であると同時に国防会議の議長でもある佐藤総理といたされましては、わが国の基本である防衛の問題について、最高の責任者として常に御苦心のことと思いますが、わが国の独立と安全を守るための国防の問題について、どのようにして国民の防衛意識を高揚するか、また国防という基本的な問題についてどのようにして……。
  297. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 念のために申し上げます。時間がきております。
  298. 西田信一

    ○西田信一君 わかりました。すぐ終わります。  国民の全部の考え方の一致点を見出す、こういう点について総理の御信念をお伺いいたしたいと存じます。
  299. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) お説のように、いま地球上には世界の独立国が、共産圏、自由圏、中立、合わせて百二十五の独立国がございますが、ほとんどすべてが防衛力を自力で、あるいは条約でもっております。軍隊のいない、あるいは防衛専門の部隊のいない国は七カ国ぐらいであります。その中に、日本も当然世界の独立国としての十分な権利と義務、安全の保障を保たなければなりません。したがって、国民の意識というならば、部隊の規律、自衛隊員の行動行為というのが国民に愛され、信頼されることが、一番大事な国民に対する私たちのつとめであろうと思います。それを基本に部隊が国民に近づく、国民もまた部隊をみずから身近に感じる、これが一体にならなければ防衛の意識というものは出てこないし、自衛隊のみならず——自衛隊だけでは防衛力は完全ではございません、国民の意識がその一番大きな防衛力の基本であると考えまして、その方向に部隊の指導を私はいたしたいと思います。
  300. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 西田君もお尋ねのうちに御意見をまじえてお話しになりましたので、私も西田君と同じような考え方を実は持っておるのであります。ただいまの独立を守り、そうして安全を確保していく、そのために何が大事か、これは国民全体が自分たちの力でこの国の独立を守り、そうして安全を確保していくんだという、その決意が出てこなければ、これは描いたもちになってしまう、かように私も思います。しかして、国民が自分たちの力でこの国を守るんだ、この決意は、その守るに値するような国である、こういうことを考えたときに初めてその力が出てくると思います。私どもが経済発展をさすとか、あるいはまた、文化的なりっぱな国家をつくるとか、こういうこと、これこそ、これはただ景色が美しい、風土が守るに値するとか、こういうようなものではなく、これは真に国際平和にも寄与する、それだけの力がある、そういう意味でこの独立は守っていくんだ、そこに自分たちの力でこの国を守り抜くんだ、こういう決意が出て初めてりっぱな国防、防衛ができるんだと私思っております。そういう意味でございまするから、何としても日本の国がお互いに守るに値するような国につくり直さなければいけない。今日、戦後におきまして、日本が新しいいわゆる平和国家として、そうして再建ができつつあります。経済的にすばらしい発展を遂げた。また同時に、国民自身の教養その他の点におきましても、他におくれをとらないようなりっぱな国になりつつあります。私は、国民から見ましても、ほんとうにこの国はりっぱになりつつある、われわれの力でりっぱな国に成長した、こういうような確信を持っておるだろう、その自覚のもとに初めて、ただいまの国防の完ぺきを期する力が生まれるのじゃないか、かように思います。その意味におきまして、われわれ政治家のつとめがたいへん大事だ、かように思っておる次第でございまして、国防の責任のあります私は、ただいまみずからの力で守るに足るようなりっぱな国をつくるということに、さらに努力をしていくつもりでございます。
  301. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 西田君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  302. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 次に、小平芳平君。
  303. 小平芳平

    小平芳平君 私は、公明党を代表いたしまして、総理並びに関係大臣に最後の締めくくり総括質問をいたします。  私のお尋ねいたしたい根本は、きょうから始まったこの昭和四十一年度において、国民がどれだけ明るい希望が持てるか、また、当面する内外の多くの問題、不安を克服して安定と成長を期待できるか、こういう点について質問したいわけであります。  初めに、外交について、もう特にきょうは朝から亀田委員質問に対して、いろいろ総理からも、政府から御答弁があったわけでありますが、私たちといたしまして、政府の外交方針についてもいろいろ意見があり、また、不満も持っているわけであります。要するに、日本政治のあり方、外交のあり方というものが大切であって、たとえば東西両陣営の対立、あるいは思想の対立、民族や人種間の対立、そういうような相いれない対立があるということを頭に入れてやっていく政治外交でなくて、日本外交というものがその両方とも生かし、また、片方に片寄って、日本だけがやっていくというのではなくて、両陣営を溶け合ってやっていかれるという、そういう基本的な立場に立って、ものごとを処理していかなくちゃならないと思う次第です。  そこで、中国問題についてもいろいろ御答弁がありましたが、また、佐藤総理が過日の本会議でも、重要問題として中国問題は、国連加盟問題は取り扱われるのが当然であると、このように答弁なさって、また、けさ以来の総理の答弁をお聞きしておりましても、やはり同じようなことを繰り返しているようにしかとれないわけであります。で、アメリカにおいても、二つの中国の問題とか、あるいは孤立化、封じ込め政策一本やりについての批判とか、こういうものが出てきている現在において、総理として相変わらず同じことで押し切っていくお考えかどうか。その点についてもう一度念のためにお聞きしたい。
  304. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 中共問題についての重ねてのお尋ねでございますが、私は、ただいまアメリカにおいてもいろいろな論議がある、また、国連におきましてもいろいろな議論が出ている、これをいわゆる流動しておる状態だと、かように私考えております。したがいまして、この国際情勢の流動のさなかにおいて、ただいまいう隣国中共のあり方——中共のあり方じゃなくて、中共日本とのあり方、これにつきまして私は真剣に考えるべきだと、かように思っておりますので、在来の考え方にさらにただいまも慎重にこれと取り組んでおる、これが、けさ、朝からの答弁したところでございまして、そのとおりを重ねて申し上げます。とにかく、国際的な流動状況でございますから、ただいま結論はこうだと、かように申し上げることはやや早計だと、かように思っておりますので、十分流動する状態、これを、真剣に取り組みまして、そうして見きわめた後に結論を出すべきだ。かように思っております。
  305. 小平芳平

    小平芳平君 もとより、そういう流動の状態にある段階で、早急に結論を総理として出すことはむずかしいとは思います。ただ、私たちとして、けさからもずいぶん論議されてきた点でありますが、国民としての立場から、日本外交方針、特にアジア外交に対するいろいろな方針というものが、政策というものが、アメリカからまず方針がきまって、何となく日本も独自で同じ方針がきまったというような点についての不満があるわけです。したがって、日本こそ、アジアの民族として、本会議でも申し上げたように、むしろ、アメリカに働きかけてやっていくという、そういう新しい外交路線というものが打ち出されてしかるべきじゃないかと、こういう点についてお尋ねします。
  306. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいままあ皮肉に私が実は聞いたんですが、アメリカがきまったら日本がそれと、独自の立場で同じような結論を出すと、こう言われたようでございます。そうじゃございませんので、私もかねてから申し上げておりますように、自由を守り平和に徹する、これはわが国の基本的態度であります。したがって、この立場に立ちまして、いずれの国とも仲よくしていく、これは言いかえれば、特定の国を敵視するというような考え方ではございません。また、ただいま問題になっております中共に対しましても、私は、ただいま申し上げるように、自由を守り、平和に徹する、その考え方でつき合っておるつもりでございます。したがいまして、アメリカがどうであろうと、そういうことは別だと、かようにお考えをいただきたいのでありまして、ただいまの平和に徹した日本、特定の国を敵視するというようなことはない、どんな国とも仲よくしていく、そのために、お互い独立を尊重し、内政に干渉しないことで、ひとつつき合っていこうじゃないか、これが私の基本的態度でございますから、その点は誤解のないように願っておきます。
  307. 小平芳平

    小平芳平君 総理がそういつもおっしゃる点もよくお聞きしているわけですが、たとえば、けさも言われておりましたところの、国連で問題になった場合に、たとえば重要事項としてまたやっていくかどうか、そういうような点についても、日本のほうからむしろ積極的に行動をとる、それが当然じゃないか、こういうような意見に対しては、いかがですか。
  308. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この点も午前中いろいろ申し上げたように、台湾に国民政府がある、そして、その国民政府と私どもは講和条約を締結しておる、条約上の権利義務がある、しかも、この国民政府は、国連におきましては最初からの創設者であり、そうして、いわゆる常任理事国でもある、安保理事会のです。そういう関係にあります国府を追い出して、そうして中共中国代表権を持つということ、そういうような関係でただいま論議されております。これにはそう簡単に私どもが賛成はできない、かように実は申し上げたのでありまして、これは、けさほどからの話をまた重ねて申し上げるようでございますが、午前と午後と私の考え方が変わるわけでもございませんので御了承おき願いたいと思います。
  309. 小平芳平

    小平芳平君 次に、モンゴル人民共和国と日本との外交関係について外務省では慎重に検討しているというような報道がありましたが、いまの対中国との問題も当然でありますが、また、モンゴルとの国交についても積極的に外交関係を樹立していくべきではないか、当然のことのようにも思いますが、いかがですか。
  310. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) モンゴルの承認問題がアメリカのほうで問題になったということが新聞に出ておりました。この問題については、わがほうといたしましては、いろいろこれに対する研究を続けてまいったのでありまして、アメリカが問題を取り上げたから日本が急にこの問題に手をつけ始めたというような印象を世間の一部で持っておるように受け取られますが、実はこの問題については、絶えず研究はいたしております。しかし、この段階において承認をするかしないかという結論を急ぐべきではない、こう考えております。
  311. 小平芳平

    小平芳平君 結論を急ぐべきでないというのは、なぜですか。
  312. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 国連加盟の際に事実上の承認を与えたような形に解釈されるふしもございますけれども、この問題を正面から取り上げて、いま一そうこの問題を強く取り上げるという考え方は、もう少し慎重を期する必要があると、こう考えております。
  313. 小平芳平

    小平芳平君 それは慎重にやらなければならない、外交関係でありますから、何事によらず慎重でなくていいということはありませんが、とにかく、長年こういうふうに来ていて、いまなおほうっておくというその理由を聞いているわけです。外務省として検討を始めているというふうにも伝えられておりますが、いま外務大臣は、当分まだほうっておくようにも言われますが、その辺の食い違いはいかがですか。
  314. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 微妙な外交関係でございますから、何の理由でもう少し慎重を期さなければならぬかというお尋ねに対しては、ちょっとお答えは控えたいと思いますが、いずれにしましても、これをただほうっておくというような意味ではございません。
  315. 小平芳平

    小平芳平君 何か総理、差し控えなければならないような事情がございますか。
  316. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ちょっと私もわからないのですが、外務省、外務大臣が先ほど来お答えしているように、別に方針が二途に出ているわけでもございませんし、これは外務大臣にまかしてありますし、そのとおりでございます。別にこれをせんさくしてみるほどでもございません。
  317. 小平芳平

    小平芳平君 そう、その一国と国交を樹立しようということは、その国がどんな大陸のまん中であっても、どんな島の国であっても、小さい国であっても、これは重大問題でありますから、それを何となくほうっておくような、いうにいわれないような、はっきりしないような答弁だと、ちょっと迷うのですが、いかがですか。
  318. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) どの国とも仲よくつき合いをするのが、ただいま政府の方針でございます。できるだけ正常な国交を開け得るならば開いてまいりたい、そういう考え方に立っているわけでございます。
  319. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 関連して。外務大臣のいままでのモンゴルの御答弁ですが、国民政府がモンゴル共和国については、これを非常に反対をしているわけです。そういうところの配慮があって、日本としてはいまのところ、いまのように、わかったようなわからないような態度でいきたいと、こういうことなんですか。
  320. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) そういうことでもないのです。国連に加盟するときは、日本としても賛成票を一票投じたのでございます。他の国に気がねして、やりたいこともやらないのだというのではございません。
  321. 小平芳平

    小平芳平君 もう少しはっきり答弁をして、うやむやじゃおかしいですから、委員会として。
  322. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 答弁ありますか。——なければ進行してもらいます。  小平君に申し上げますが、いまの外務大臣の答弁ですね、これ以上は答弁ないそうでありますから、続けていただきたいと思います。
  323. 小平芳平

    小平芳平君 台湾政府との関係も問題はないと——先ほど総理は、中国の国連加盟については、台湾政府との重要事項の問題は重大な関係があって、そう簡単にはいかないのだと言われましたが、外務大臣は、モンゴルの問題については、台湾との関係はないと。これでよろしいですか。
  324. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 後ほど外務大臣からも答えさしたいと思いますが、私は、中共そのものについての話としては、いわゆる中国代表権問題、いわゆる台湾を国連から追放して、そうして中国の代表権を持つ中共を入れろ、こういうのがただいまの国連の中における一つの提案でありますし、また、その問題をめぐって賛否が出ておるという状況でありますから、ただいま申し上げるように、中国の代表権をめぐっての中共の国連加盟、これはたいへんむずかしい状況でございますということを申し上、げたのです。ただいまのモンゴルと中共と、これを同一にしているわけではございません。
  325. 小平芳平

    小平芳平君 ですから、モンゴルの国連加盟問題が生じた場合は、日本としては直ちに賛成すると、こういうわけですね。
  326. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 国連にはもう加入しております。それで、日本がこれに大使を交換して、より正常な国交を開くかどうかという問題でございます。この問題については、なお慎重に考究したいと、こう考えます。
  327. 小平芳平

    小平芳平君 それで、あまりそればかり時間をとられると困りますので、次に、要するに、最初に申し上げたように、日本外交日本政治のあり方が、片面でいこうという、そういう態度が最もよくないのであって、両方……。  そこで、次に今度は、日韓問題について、これも先ほど来お話がありましたのですが、要するに、この日韓条約、それから日韓漁業協定に対しては、公明党は時期尚早と言って反対していたのですが、政府自民党は強行採決をして、強引にこれを成立させたのですが、今回の韓国の警備艇の日本漁船の捕獲事件、これについても、やはりその日韓交渉を急ぎ過ぎたと、そこで、協定実施にあたっての細目にあいまいの点があって、そのために、また漁船捕獲というような事件が起きておるのではないか。そこで、まず第一にお尋ねしたい点は、韓国側がその自国の専管水域外で拿捕したんだ、こういうように先ほど御答弁がありましたが、日本政府はそういうように主張しておりますが、韓国のほうではそういうようには言ってないと思うのですが、その点の食い違いはいかがですか。
  328. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 後ほど韓国の漁船拿捕については、外務省筋から答えさせたいと思いますが、ただ、私、いまの質問にやや不満があるというか、何か日本が片面の交渉をしている、かようにきめつけられることに実は不満なんであります。先ほど申し上げましたように、いずれの国とも仲よくするというのが私の考え方であります。これはいわゆる片面ではございません。だから、この片面ということだけは、それは誤解を生じやすいから、その点は私はいただけない、かように思いますので、どうか誤解のないように願いたい。私はどんな国とでも仲よくしたい。だから、ソ連とは現にどんどん交渉を持っておりますし、また、中共自身とも政経分離ではございますが、経済的な交流はどんどん進めていこうと、かように考えておるのでありますから、日本の国のあり方、これはどこまでも自由主義国でございます。これはもう共産党の理念は私どもは納得ができない、かように思っておりますが、いわゆる片面の交渉はしておらない、これだけはひとつ御訂正を願っておきたいと思います。
  329. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) 交渉の過程におきまして、先方は拿捕が韓国側の漁業水域で起こったという主張でございます。わがほうは、拿捕は漁業水域外である、共同水域内であるという主張を続けたわけでございます。
  330. 小平芳平

    小平芳平君 それで、その相違点についての今後の交渉の見通しについては、いかがですか。
  331. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) これは詳しく、してまいりました船長から当時の模様など海上保安庁で聴取してもらいまして、その結果によって交渉いたしますが、私どもが現在得ております資料によれば、外であったことは間違いないと信じております。
  332. 小平芳平

    小平芳平君 ですから、そういうように問題が起こるそもそもの原因は、漁業協定自体にあいまいな点がある、そういうあいまいな点をはっきりさせるための交渉をしなければならないじゃないか、基本的に。で、まず、これも先ほど出ました、専管水域から共同規制水域まで韓国が追跡していって拿捕するというような、そういう権利があるかどうかというような点についても、日本の主張ははっきりしているわけです。韓国の主張もわりあい新聞では報道されて、はっきりしている。そういう対立したままで、まだ協定ができたばかりだのに、すでにそういう全く正反対の意見をもってやっていこうということ自体に、無理があるのじゃないか。もっとそれをはっきり交渉してきめなくちゃならない。それについてのお考えはいかがですか。
  333. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これは協定の不備から起こるものではございません。事実の認定の方法に、どっちかが欠陥がある、こういうことになると思うのであります。協定のきめ方に原因があるのではない。協定はちゃんとしっかりきめてある。きめてあるけれども、自分がどういう地点におるかということの認識でございますね。日本はりっぱな計器を備えて、そして絶えず自分の位置を測定しながら漁業に従事をしておると、漁労しておったところもつかまったところも同じ地点であると、すなわち、それは専管水域から四マイル半も離れたところである、こういうことは計器の上にはっきりと出ておるのです。向こうはどうも、推察でございますからわかりませんけれども、どうもそういう科学的な方法によって自分の所在を確かめておらないような形跡がある、ですから、そういう進歩した計器というものを備えておれば、このようなことがなかったと思うのであります。でありますから、これは協定の不備にあらずして、それ以後の問題である、こう考えます。
  334. 小平芳平

    小平芳平君 不備じゃないかもしれませんが、あいまいじゃないですか。あいまいなればこそ、そういう意見の違いができてくるのじゃないですか。あるいは巡視船あるいは警備艇というものがいながらも、片方では計器を持っておる、片方では勘でやっておる。そういうあいまいさが、そういう事故のもとになりませんか。
  335. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 協定を守るという努力が不十分であるということになると思うのです。これはどんなに協定を精密に書きましても、自分のおるところが全然もう科学的なその方法じゃなくて、勘でやっておるというようなことになると、これはどうもならぬです。ですから、この方法についてお互いに十分に努力する、そういう必要は私は将来あると、もちろん思います。それからまた、そういうことの起こらないように、共同パトロールという制度も設けたらどうです、どっちの船に乗ってもいいのです。とにかく同じ船に乗って、そしてまあ非常に問題の起こりそうなところを絶えず巡視するというようなことがあれば、これ非常に少なくなると思うのであります。そういったようなことは、将来この協定を実効あらしめる上において、お互いが協力して努力すべき点である、こう考えます。
  336. 小平芳平

    小平芳平君 総理から、きょう両国の巡視船、警備艇に相互乗り込みをするなり、あるいは共同パトロールするなり、とにかくそういう方法をとって、二度とそういう事故の起きないようにという指示があったようにお聞きしましたが、いかがですか。
  337. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、ただいまの、どこでそういうお話か、あるいは閣議でこの問題が出たそのときに、私がいろいろ注意した点がございますので、そういうことでただいまのような御披露があるのかと思いますが、私は、日韓両国におきましてこの協定ができた、しかしながら、なかなか関係するものが非常に多いのでありますから、この書いてあることがはっきりしておりましても、実際の衝に当たっていろいろな議論が出てくる、こういうことがあって、問題が両国の紛争にまで発展をする、これはたいへんだと思うのであります。したがいまして、できるだけ両国間に  おきまして、新しい協定をしろというわけじゃありません。ありませんが、いま結ばれておる協定についてこれを円滑に遂行していく、そういう上において何かと交渉を持つことが望ましいのではないだろうか。こういう点が他にもあるわけです、他にもあるわけで、いわゆる拿捕というような事態にはなりませんけれども、やっぱり話し合って十分の理解をつけていくということが望ましい。それがほんとうの親善友好関係を樹立するゆえんである、かように思っておりますので、関係者等につきましても、私の気持ちを率直に伝えたような次第であります。それがただいまのお尋ねではないか、かように思っております。
  338. 小平芳平

    小平芳平君 ですから、外務大臣、その協定に不備はないと、要は考え方の問題だと言っておられないと思うのですね。現にそういう事故が起きているのですから、ですから、とにかく意見の食い違いがあると、そのままでまた漁船が事故が起きる。早く言えば、犠牲になるみたいなそういうやり方は、非常にうまくないと思うのですが、いかがですか。
  339. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ですから、漁業協定によって新しい秩序が確立されたわけであります。その新しい秩序を、両方でいかにしてそれを順守するか、間違いなく、そういう努力において解決もあるということは、先ほど来申し上げておるとおりであります。この点につきましては、今回の問題を契機として、かなり双方において反省すべき、そうして新しく努力して、そして実行する細目についてなお協議すべき点が出てきたように思います。さかのぼって協定そのものを変える必要は私はないと思います。
  340. 小平芳平

    小平芳平君 協定そのものをさかのぼって変えろと言っているわけじゃないのです、私も。要はそういう事故の起きないように、はっきりとした、ものをしておかないことにはだめじゃないかということを申し上げているわけです。よろしいですか、それで。
  341. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) そういう点も一そう努力するように……、これはもう御指摘のとおりでございます。
  342. 小平芳平

    小平芳平君 それから次に、東南アジア開発閣僚会議についての問題ですが、四月六日、七日に東京で開かれるということにお聞きしておりますが、わが国が工業先進国としてアジアの産業開発につとめる。また、このための技術援助、借款あるいは物資の買い付けというような点が問題になっている。また、そういう点がその推進されていくというふうにお聞きしておりますが、やはり総理は、先ほど日本外交は片方だけじゃない、方方ということは、大きな間違いだと言われましたが、今回のこの開発会議にしても、やはり片方で、いわゆる同盟だけでやっては、全然意味がないじゃないか。要するに同じ南北ベトナムが参加するくらいの、いますぐそれが実現できないまでも、そういう努力というものが必要じゃありませんか。また、どのように努力をなさったかということについてお尋ねしたい。
  343. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 招請をいたしました国は、インドネシア、シンガポール、マレーシアそれからタイ、ビルマ、インドシナ、韓国、フィリピン等でございます。それで不参加を通知してまいりましたのが、インドネシア、ビルマ、カンボジア。しかるにインドネシアはその後最近になりまして、新内閣の方針として、とにかくオブザーバーを派遣するということになりまして、これは公式の申し入れがございました。  ビルマは、これはもうどういう国から誘いがかかっても、多数国間の国際会議には一切出ないことにする。片一方に出て、それからその次の機会に他方から招請があった場合出ないわけにいかぬ。それで多数国間の国際会議には出ないというこれは鉄則を立てておる。事柄の内容いかんにかかわらず出ないというのでしょうがない。それでオブザーバーも、どうしても出さない。ただ、二国間の協議には喜んでどこへでも出かける。まあこういうようなことを言っておりますので、われわれとしては、出席しなくとも戸を、扉をあけたままで、いつでも参加し得るような状況になったならば参加してもらいたいというふうに、こちらのほうとしてはかまえを見せておる。それで、会議の結果について二国間で話し合っていくについては、これは応ずる気配を見せておりますので、自後においてその線に沿うた二国間の協議というものは可能である、こう考えております。  カンボジアも同様に参加しない。参加しない理由は、ビルマとはこれは違います。政治的ないろいろな配慮から参加しない態度をとっておるような状況でありますが、やはりこれまた、その自後の、今回の開発閣僚会議の結論についてカンボジアがもしこちらから協議を申し入れた場合には、これまた喜んでこれに応ずるであろう、こういう観測をいたしております。  でございますから、必ずしも片面というのではございません。しかも、あくまでこれはもう政治的な問題を離れて、純粋にその東南アジアの気候風土、その他の自然条件あるいは文化の関係であるとか、そういったようなものが共通した部分が相当に多い。産業にしてもまたしかり、そういう状況に顧みて、一種の連帯感を持ってそうしてお互いに協力して、どうすれば東南アジアの開発というものが達成されるかということを、全く自由に討議して、そうしてそこに結論を見出していく。こういうことでございまして、ただいきなり金の勘定から始めるとか、そういったようなものではない。まず、協力組織と連帯感、そういうはっきりした基盤のもとに、まず、東南アジアの経済開発に踏み出すべきである、そういう線からスタートするというのが、今回の会議のねらいでございます。
  344. 小平芳平

    小平芳平君 それでやはり、同盟、非同盟という区別のない会議を望んでいるということは、先ほど申し上げたとおりであります。  次に、やはり新聞で見た程度ですが、一九六八年には、国民所得の一%を援助に充てるというように方針をきめたというようにお聞きしましたが、これについて外務大臣と大蔵大臣にお尋ねしたい。
  345. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) DAGの会議におきまして、わが国に対しても、先進国として後進国に対しまして国民所得の一%これを援助すべしと、こういうような勧告を受けているわけでございます。年度のことははっきりは申し上げかねますが、ここ数年じゅうには、そこに到達するように努力しよう、これがただいま政府の方針となっております。
  346. 小平芳平

    小平芳平君 それでは、その点については大蔵省とも話はついているというふうに理解していいのですか。
  347. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 政府部内のほうで話はついております。
  348. 小平芳平

    小平芳平君 次に、農林省の関係で、米などの農産物の長期買い入れ契約を、農林省としては国内の農業政策上からこれをおそれているというふうに伝えられておりますが、また総理からは、この閣僚会議の終わったあと六カ月あるいは一年以内に、参加国による農業開発会議を開くように提案するというふうな意見があったというふうに伝えられております。ところで、過日の当予算委員会で公明党鈴木委員質問に対して、農林大臣も外務大臣もわざとはっきり答えをしなかったように私聞いたのですが、要するに、この開発会議とこの農産物の長期買い入れの問題についてどのようになっているか、お聞きしたい。
  349. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) お答えいたしますが、農産物について買い入れをするのかしないのかという問題ではないのでございまして、たとえば米のようなものについて見ると、定期的にずっと買い入れるかという問題については、これはいまこちらへ見えるところは大体細長い米でございまして、あまり日本には適していないわけでございまして、そういう関係でございまするので、これはむずかしい。しかし足らないときとか、あるいはその他必要なものがございまするので、必要なときに必要なやはり輸入をするということはございまするけれども、長期的にずっと契約を結んで買い入れをするといったようなことは、米については考えてないということでございます。そのほかの農産物については、たとえばタイの国からは、いま、えさとしてトウモロコシあるいはマイロといったようなものを買い入れておるのでございます。そういうわけでございまして、米についてはさようなことはいたさないわけでございます。しかし、現在日本においては不足いたしておりますから、それらのものの輸入については細長いものも若干輸入いたしておる、こういうのが現状でございます。
  350. 小平芳平

    小平芳平君 したがって、この問題と国内農業との関係についての心配はないと、こういうわけですか。
  351. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) お答え申しますが、むしろ東南アジア全体といたしては、食糧が非常に不足したところでございまするので、それらのいわゆる東南アジア諸国の食糧の増産という問題について、向こうの各国が非常に希望するであろうし、そういう場合においては、日本としてもできるだけの技術援助をいたしましょうと、こういうことになっておるわけでございます。
  352. 小平芳平

    小平芳平君 じゃ、次に、総理からこの会議の持ち方について農業開発会議を開いたらどうかとか、あるいは定期的にこれを開催するように考慮したらどうかとか、このような意見が伝えられておりますが、いかがでしょうか。
  353. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) いま、農林大臣からお話がございましたが、東南アジアの人口増加の比率とそれから農産物の増産の比率というものはマッチしない。それで何年かたつと、非常な飢餓状態がおとずれるというようなことも懸念されるわけでございまして、日本との関係をしばらくおいて、まず東南アジア自体が食うだけのものはとっていかなければならぬという必要が出てくるのでありまして、経済開発といいましても、もう食うものも食えないというような状態では全然問題にならぬ。そういう意味で、日本のこの技術を中心といたしまして、できるだけ援助をしてやらなければいかぬのじゃないか。  それから飼料等については、これはもう多々ますます弁ずで、あまりこの粗悪なものではこれはいけませんけれども、相当指導をいたしまして、そして日本の給源をここに求めるということにすれば、これは日本としても非常に必要なもののようでございます。それやこれやどの国も人口の六割、七割がみな農民である。農業をまず安定させるということが、経済開発の大前提ではないかというように考えられますので、大体参加国の意向を打診をいたしまして、そして一定期間内に、この会議の生んだ一つの機構として、東南アジア農業開発会議というようなものを提案をしてみたらどうかというようなことが、いま政府部内において考えられておる、こういうことでございます。
  354. 小平芳平

    小平芳平君 定期的にやるのか……。
  355. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まあ開いてみた上で定期的に、農業の問題にかかわらず、定期的にやるか、あるいはまた特別の、農業のみならず他の部門においても一つの機構を考えていくか、そういったようなことは、いまあまり固定的にそれを固めて臨むということはどうかと思いますので、かえって忌弾のない意見交換の結果、あるいはそういうことになるかもしれません。
  356. 小平芳平

    小平芳平君 次に、アジア外相会議についてですが、これについては積極的に参加しようというような意向もお聞きしましたし、またそうでもないようにもお聞きしておりますが、このアジア外相会議に対する態度はいかがでしょう。
  357. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) この問題は、すでに一年以上前から韓国によって提唱されておるのでございます。日本にも、しばらくたってから呼びかけがございましたが、やや消極的な返事をしておりましたが、とうとう、昨年は日韓条約の問題等もありまして、この問題が実現を見るに至らなかったのであります。今年になって、ぜひアジア外相会議を開催したい、参加してくれというお申し入れがございましたので、しかし、準備会が近くバンコックにおいて開かれるのでありまして、その準備会に参加して、そして一体どういう議題を取り上げて、いかなる運営をするかというような点を十分に見きわめた上で参加するかしないかを決定したい、こう考えております。
  358. 小平芳平

    小平芳平君 では準備会へは参加すると、それ以後の態度については、準備会に出てからきめると、こういうわけでありますね。それに対しての考えは、先ほど来申し上げておるとおりであります。  で、次に、外交は以上にいたしまして、私が質問いたしたいことは、国内問題でも公害対策について質問いたしたいと思います。
  359. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 ちょっとその前に。いまのアジア外相会議あるいは開発会議に関連してですが、インドネシアの経済援助に対して、「東京クラブ」を結成して債権繰り延べについていろいろ考えたいと、そういう構想が外務省にあるということが報道されているわけでありますけれども、日本と西ドイツとオランダと三国で債権繰り延べを検討したいというような考えがある。それは具体的に動き出しているんですか。また構想があれば、その構想をこの機会に承っておきたい。
  360. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まだその段階に進んでおりません。
  361. 小平芳平

    小平芳平君 公害といいましても、大気汚染とか水質汚濁とか、騒音とか悪臭とかいろいろ公害が生じております。で、政府が公害防止について対策がないかといえば、政府としてもいろいろ対策はしている。また新聞を見ても、もう絶えず公害についての問題が報道されております。また社説でも論じられております。ところが、公害そのものがなかなか減らない、ますます激しくなるものもある、こういう現状であります。  そこで、私が特に総括質問お尋ねする趣旨は、まず各省で昭和四十一年度予算に、公害対策の費用をどれだけ計上されていらっしゃるか、それをお聞きしたい。それで、そのまた各省ごとに公害対策を全部ここで説明されると、非常に時間がかかって困りますので、たいへん失礼とは存じますが、各省で公害対策としてどういう項目を取り上げていらっしゃるか。それに対して幾らの予算を計上しておるか。とともに、また調査研究のための予算か、それとも公害防除のために実際の事業を興すための予算かということ、それから調査研究のための予算の場合は、調査を何年来やっておる調査もありますので、一体その調査がいつ終わるのが見込みか。その調査が終わった場合に、どのような公害の減るという見通しがされるか。以上の点についてお尋ねしたい。
  362. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 各省の四十一年度予算で公害対策に充当されておるものをまとめてみますと、大体こういうことでございます。  総理府で四千四百万円で、この中に経済企画庁の水資源関係、水質調査、三千七百七十万円が含まれております。それから厚生省が四十五億九千万円、公害防止事業団の資金増額、下水道終末処理施設等の整備費。それから農林省が七千七百三十万円で、そうして水質汚濁に対する対策。通産省が三億五千万円で公害防止事業団の資金の増額、厚生省と共管でございますが。それから産業公害防止技術研究費、運輸省が水質汚濁対策として五十九万円、建設省が水質汚濁対策として百五十九億六千万円、合計二百九億六千万円。前年度のそれぞれに対して五十四億六千万円増額となっております。
  363. 小平芳平

    小平芳平君 そうすると、政府から出ている資料の中には、まだ科学技術庁もありますし、あるいは労働省もありますし、そういう点はどうですか。
  364. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私のところは水質汚濁あるいはばい煙等の問題を集計したものでございまして、まだほかに炭鉱災害とかいろいろ公害がございましょうから、その点落ちているかもしれません。
  365. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 労働省所管の関係で公害対策に関連をする研究費の予算は、労働衛生研究所で二百九十万円、産業安全研究所で千四百二十五万円と相なっております。
  366. 上原正吉

    国務大臣(上原正吉君) 科学技術庁では、各省庁にまたがります研究問題を取りあげまして、特別研究促進調整費というものから支出をいたしております。そのうちに、公害に関しまするものは、昭和四十年度で六千二百万円、昭和四十一年度で、これはまだ支出しない項目、これから支出する項目もありますから、いまあらましの見当は約五千万円、こういうことになっております。
  367. 小平芳平

    小平芳平君 そういうようにはっきりしないので、やはりもうそうなると、総理にお聞きするよりほかにないわけですが、たとえば政府から出ているこの資料で見ていきますと、科学技術庁でやっている公害対策の項目だけ拾っていきますと、大気汚染と水質汚濁。厚生省は大気、水質、悪臭、騒音、水銀。農林省は水質、大気、農薬。通産省は大気、水質、騒音、振動。運輸省は大気、騒音。労働省は悪臭、大気、振動。建設省は大気、水質、騒音。経済企画庁は水質と、こういうわけです。  そこで政府が一生懸命にやるからそういうふうに各省に予算がつくんでしょうけれども、一体公害のために非常な被害を受けている人がどこへ行ったらいいかという問題です。実際問題、市民としては、あの会社のあの害毒だというふうに思っても、なかなか会社が受け付けてくれない、あるいはどの会社といってわからないのが大体公害は普通ですが、どこに行ったらその苦情を受け付け、それを解決してもらえるか、それはどうですか。
  368. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま小平君のお尋ねは、公害防止、こういうことで各省やることはいいが、総合的な関係ができていないから、国民とすれば非常に困ると、こういうお話だろうと思います。また事実、私どものほうの公害防止対策にいたしましても、予算がだんだん分割され、そのために十分な効果をあげない、こういうようなうらみもございます。しかし、ただいま言われた問題そのものについて申せば、行政管理庁に行けば大体農林省へ行けとか、あるいは運輸省へ行けとか、こういうことがわかると思います。しかし、そういうことよりも行政機構として、こういう問題について政府自身がもっと本腰を入れないと、とうとい予算が十分効果をあげないじゃないか、こういうことは確かにあるだろうと思います。そういう意味でこの研究をいたしておりますが、ただいままでの行政そのものが、いわゆる縦割りとでも申しますか、そのためにこの種の横割りの問題になりますと、なかなか専門的な人を集めることもいろいろ困難でありますので、やむを得ず各省間で協議会を設けて、その協議で共通問題等を意見交換する、こういうような方法をとりまして、総合的な施策で効果をあげるように、実は計画いたしておるわけであります。ただいま言われますように、国民のほうから、公害を受けたほうから申せば、たいへん不便な状況だと思います。しかし、ただいま申し上げますように、行政管理庁はそういう場合に、そういうような苦情処理等につきましても積極的に活動しておりますので、まあどこへ行かれてもそれでいいというわけでもございませんが、大体私はわかるのじゃないだろうか、かように思っております。  ただいまむずかしいような問題については、ただいまの行政管理庁、これをひとつ御了承願いたい。それと同時に、ただいま申すように、総合的な企画官庁、これが望ましいが、ただいまは連絡会議、その協議会で総合的に機能を果たす、こういうようにしておる、御了承いただきたい。
  369. 小平芳平

    小平芳平君 行政管理庁へ行っても受け付けてくれませんよ。
  370. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 実際問題としましては、各都道府県が責任を持ってこれは実施をしておりますので、大体都道府県でこの実際問題は受け付けておると思います。特にめんどうなのは、いま総理お話しになりましたように、行政管理庁なり、あるいはわれわれのところで事務の取りまとめをやっておりますので、そういったようなぐあいで交代する場合もあろうかと思います。
  371. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) 公害問題という深刻な社会問題につきまして、行政管理庁は三年ほど前から監査を実施いたしまして、関係省庁に勧告をやっております。一つ実例を申し上げますと、たとえば隅田川の水質問題、これは昨年夏また再調査いたしました。その結果、通産省、厚生省、東京都、それぞれ非常に活発にいたしまして、相当の成果をあげました。なお、取り上げないというお話がございましたが、それは事実に反しまして、全国で三千六百名の行政相談委員がございます。各地区でいろいろな苦情がありますならば、その苦情を受け付けております。関係の庁あるいは機関に連絡しまして相当解決いたしております。  具体的実例は明日書面をもって提出いたします。
  372. 小平芳平

    小平芳平君 公害で悩んでいる人が市や県へ行けばいいと言われますけれども、市や県へ行っても、公共団体で解決できる問題はもう限度があるわけです。結局、あるところまでいけば国の施策の問題だということになるわけです。ところで、それじゃ同じ水質が悪いと、この水が濁って困るということになると、それじゃ市や県はどこへ行ったらいいか、さっき読み上げたようなぐあいに、各省ずっと回らなければ話にならないわけです。行政管理庁で受け付けてくれれば一番いいけれども、そうはなっていない。そこでやはりこの際総理お尋ねしたいことの一つは、行政の窓口をもう少し、これは全部ひっくるめて一本にならないまでも、それは公害についてはこういうふうになるのだという対策が必要だと思いますが、いかがですか。
  373. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほどお答えいたしましたのは、行政管理庁、これは苦情処理委員会、苦情処理委員が問題を取り上げますと、こういうことであります。それは必ずしも公害ばかりじゃございません、いろいろな問題があるだろう、行政機構がよくわからないために、非常な不便を与えておるということで、窓口を一つにしたということであります。公害自身につきまして、ただいまのように苦情処理のほうで受け付けてくれるということでございます。また、これは私は先ほどお答えしたのは、予算の効率的な、能率的な使い方をするためにも、これは一カ所にまとめるほうがいいのじゃないか、こういう意味のことを申したのですが、それが一カ所にまとめるわけにはいかない。だからただいまのところは連絡協議会でそれを補っております。こういうお答えをいたしたのであります。
  374. 小平芳平

    小平芳平君 その連絡協議会もいまここでお尋ねすれば、あまりやっていないわけですけれどもね。  私は、次に公害基本法をつくるという意見が厚生省ですか、新聞で拝見しましたが、これはいかがでしょう。
  375. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま昨年の十月に発足をいたしました公害対策審議会におきまして、公害問題につきまして各界の権威者の方々で御審議を願っておるのでありますが、その審議会におきましては、できるだけ早く、公害対策の基本的なあり方を方向づけをいたしますために、公害基本法を制定をしたいと、そういう目途のもとにいま審議を鋭意続けておる段階でございます。
  376. 小平芳平

    小平芳平君 そうすると、今度は産業公害を対象に取り上げた場合に、市民のための福祉、衛生ということから、厚生省が動き出すと、通産省のほうでは今度は企業の立場というものを主張する、その辺の調整がなかなかむずかしいのだと、こういうふうにいわれますが、いかがですか、通産大臣。
  377. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 企業の立場といっても、やはり公害というものは人間の生命にも影響するわけですから、これは優先的に考えることが時代の要請だと考えております。
  378. 小平芳平

    小平芳平君 ほんとうに、ですからそれを守っていただきたいと思うのですがね。それで今後ともまた問題にしていきたいと思うのですが、そこで次にお尋ねしたい点は、その都市計画が、結局、計画的に工場配置なり都市計画なりができてないものだから、たとえばその山紫水明の農村にあるいは漁村に近代的な工場ができる。たとえば四日市の例の場合のように、いままで市営住宅があるところへわざわざくっつけてそういう工場ができる、これじゃ公害をまともにひっかぶるのは初めからわかっているはずなのです。そういう点について、さあ公害が発生してからだと、もうあっちへ行け、こっちへ行けということになってしまう。そういうような点もひっくるめた検討、対策というものが必要じゃありませんか。これは一体どこでやってくれますか。
  379. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 小平さんのお話のように、工場立地の場合に、やはり公害を防止するような、防止できるような形で工場は建てられなければならない。できてからあとでといったらたいへんですからね。そういうために、いまは強力な行政指導をしています。工場の立地の場合に、公害防止の見地からこれをやる。それと同時に、工場自体も、公害というものは社会的に解決すべきだということは許されない。もうできるだけ工場自体が企業の責任において公害を防止する、その社会的責任というものは企業にあります。それもやはりコストの中に入れるべきです。自分がかってにつくって公害は出して、国とか公共団体で公害のしりぬぐいをせようということは企業のモラルではない、今日では。企業自体がまずやる。また、立地的にも公害が防止できるような条件のもとに工場を建てる。これは強力に指導することが今日の社会的要請だと私は思っております。その方向でやっております。
  380. 小平芳平

    小平芳平君 大きな企業はある程度そういう施設もつくっているのを私も知っておりますが、また、中小企業の団地のようなところですね、中小工場の、そういうところでは、公害防止事業団というものができた。これによって融資を受けて公害防止の施設をつくるんだというふうになっておりますが、なかなかこれも思うとおりに動いてないですね、実際は。いかがですか。
  381. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) これはまあ去年の十月に始まったですから、いまあまり日がたってないですから……。これはやっぱり中小企業のためには次第に効果を発揮すると私は思っております。まだ始まったばかりですから、いま評価は少し時期尚早であると考えております。
  382. 小平芳平

    小平芳平君 評価は時期尚早にしても、少なくとも昭和四十年度にはこれという、予算も大部分繰り越しているわけですから、四十一年度に対する事業の見通しはいかがですか。
  383. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 四十五億円の事業費を持っておりますから、相当これは今年度は、いよいよ去年発足して動き出すときですから、相当な効果を四十一年度にはあげるもの、また、あけなければいけないというふうに考えております。
  384. 小平芳平

    小平芳平君 それから、ほんとうは、先ほど私がお聞きしたように、各省から、こういう調査をして、こういう効果をあげるんだという点を説明していただけるといいんですが、どうもそれは無理のようですから、そこで一、二やむを得ずお尋ねしますが、たとえば自動車の排気ガス、これについての研究ですね、あるいは今後の持って行き方はいかがですか。
  385. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 自動車の排気ガスにつきましては、ことしの秋から出る自動車には一つの規制の基準をつくりまして、それによって規制していく、順次設備等を強化させて、排気ガスに対する対策を立てていく、こういう計画を立てて、いま進めておる段階でございます。
  386. 小平芳平

    小平芳平君 この自動車の排気ガスによる問題は、まあこれはほんとうに被害甚大なんですから、そう簡単にしないで、もう少し、何年来予算もとっているのですから、将来に対する見通し、あるいは何年たてばこうなるというようなものはありませんか、何も。
  387. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 排気ガスの規制の一つの設備等が、いまことしの予算にも、御承知のように運輸省としてもとっておりまして、排気ガスを完全に規制する設備を開発することに努力をしておりますが、現在ある程度の規制を自動車の中に設備させます。そうしてことしの秋からは一定の一これは私は機械の具体的な内容についてはよく、専門でございませんから、承知しませんが、そういう規制の手段をとり、そうして逐次機械が開発されていくにつれて、これの完全な防止策が確立されるようにやろうとしておるのであります。さらに、ことしはアメリカとの間に排気ガスの問題を研究する会も持つということになっております。そういうところで研究を重ねました上、有効適切な設備等が開発されますとこれを取り入れて、そうして排気ガスによる被害から大衆を守っていきたい、かように考えておる段階でございます。
  388. 小平芳平

    小平芳平君 なお、いろいろな問題が数多いわけですが、そこでもう一つ、いま、法律では大気汚染、煙ですね、あるいは水質についての規制がありますが、そのほかの規制が法律上ないわけですが、これに対するお考えはいかがですか。
  389. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 水質の問題でございますが、私のほうの所管は、これは一つ小平委員質問の中に入っていると思いますが、海水の汚濁の問題で、油による汚濁、これはもう港あたりに行きますと、ほとんど海の色はしておらぬというようなほどによごれておりますが、これは国際条約がございまして、それを主要国は批准しておるのでありますが、日本では国内の規制等の関係、あるいは油等を処理します処理場等の設備等がまだ未完成でございまして、わが国ではこの批准をやっておらぬのでございますが、非常に漁村等にも、沿岸漁業等にも被害を与えておりますところの実情から、来たる次の通常国会を目途といたしまして、国内法の整備をいたしまして、そうして批准をしていきたいと、かように考えておりまして、各省庁と連絡をいまとって準備を進めておる段階でございます。
  390. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 自動車の排気ガスの規制のほうは、これからアメリカのほうといろいろ協議もしたいというような話があったのですが、すでにアメリカの州法では、排気ガスを二次燃焼さして、そうして完全にとることでなければ輸出もできないし、使用できないという状態になっておるわけです。当然、これは運輸大臣だけが御答弁なさっているわけでありますけれども、日本の国においても技術が進んでいないわけではないし、そういう一酸化炭素を除くことについては、真剣にいままでも研究がされているわけです。それだけのメーカーがそろっておるわけです。通産大臣にひとつお伺いしたいのは、自動車のこれからの計画、生産をされていくときに、どういうように考えているのか。当然第二次燃焼さして公害を除去しなければならないのはあたりまえのことです。今回は物品税も当然上がるべきところが据え置きになったわけですから、自動車については真剣に考えていただいていいし、政府からも強く発言ができるだろうと思います。その点が一つと、それから運輸大臣には、これから研究をというようなことは、その内容は、基準の問題なのか、除去の方法なのか、その両方のどちらに当たっているのか、お伺いしたいと思います。
  391. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) いま御指摘のような、カルフォルニア州では、そういうふうな規定が置いてあります。全体としては六八年に全米的にやろうという計画のようであります。日本の場合も、これは一酸化炭素を除去するということはまだ技術的に解決されていないわけです。しかし、できるだけ完全燃焼さして排気ガスを少なくするということは、これはやはり現在の技術においても可能ですから、この秋から新車に対しては、排気ガスの排気装置をつけなければならないような規制をしたいということで、いま運輸省とも検討しておる、新車に対してはそういう規制を行なう、そういう装備をしなければ新車は出してはいけないというくらいの規制をしたいということで運輸省とも連絡をとっておる次第でございます。
  392. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 基準の内容と同時に、技術開発にも努力をしておる段階でございます。
  393. 小平芳平

    小平芳平君 時間がありませんので以上にいたしますが、要するに、これだけみんなが考えてもなかなかはっきりしないところに、公害対策の一番悩みがあると思うのです。で、生産増大あるいは生産者の利益を守っていく、それももちろん大事でありますが、やはり根本は、国民全体の健康の増進、福祉の向上というものが、これが政治でなくちゃならない。これは当然のことだと思うんです。しかしながら、あまりにもいままでの公害対策というものが、総理のおっしゃる縦割りで、窓口ばかりたれ下がって、また、窓も各省庁別に、説明してもらうとたくさん項目があるわけですから、そういう状態で、実際の効果はあがっておらない。  そこで最後に、厚生大臣に、さっき私が申し上げた水と大気はすでに法的な規制がありますが、それ以外の公害についての対策をどうお考えになるか、今後どう推進していかれるか。また最後に、総理大臣に、どうやっていかれるか、お尋ねして終わりたいと思います。
  394. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 御指摘の騒音でありますとか、あるいは自動車の排気ガスでありますとか、そういういまだ規制をやっておりません公害の問題につきましては、ただいま公害審議会の未規制公害小委員会というものをもちまして、そこで鋭意検討いたしております。また、各省の公害対策推進連絡会議におきましても、この問題を取り上げまして、できるだけ早い機会に、未規制の公害対策につきまして、できれば法的規制もやるべきであるという方向でいま検討を鋭意進めておる段階でございます。
  395. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど通産大臣がお答えいたしましたように、公害対策、これは産業以前の問題と申しますか、まずこれをやらなければならない、何ものにも優先してこれに取り組む、これが政治の姿勢でなければならない、かように私も思っております。したがいまして、ただいま厚生大臣からお答えいたしましたように、今後その審議会等におきまして、さらに立法措置を必要とすると、こういうことであれば進んで立法措置をとっていく。また各界、各層の協力を得まして、ぜひともこの公害対策に成果をあげるように努力したいと、かように考えております。
  396. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 小平君の質疑は終了いたしました。  次回は、明日午前十時開会することといたしまして、本日はこれをもって散会いたします。    午後七時三十四分散会