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国務大臣(
佐藤榮作君) 先ほどからお答えしたように、事務的の処置というか、事務的の結論、それを同時にやって、そこへまいりまして、事務的にはこうなんですが、
政治的にはどうでしょう、そこを最高の
立場で見まして、そのとおりだ、そのとおりやろうということに実はなったわけであります。
私は、ただいま言われますことにいろいろ
議論すべき点があると思います。これは昨日も佐々木君から緊急
質問を受けたのでありますが、とにかく
外交というものは幅広くやるべきだ、こういう
意味で野党もやってよろしいじゃないか、こういうような
お話。また、自民党の中にもそういうものは
中共に現に出かけて、そうして
交渉を持っている人がいるじゃないか、また、財界、産業界あるいは思想界、言論界等々にもいるんじゃないか。そのとおりだと思う。いわゆる国民
外交というのはそういう
意味で望ましい。私はそういうように積み重ねられて、そうしてりっぱな
外交の成果をあげることは望ましいと思う。
政府自身そういうものを全部ためるつもりはございません。しかし、その言われるごとく、
政府自身が責任を持って
外交をするんだ、かようには言われていながら、その政府の
考え方が非常にはっきりしておるにかかわらず、それと全然違う方向の
外交論戦を展開されても、実はこれは政府は了承するわけはにいかない。だから、いわゆる健全な国民
外交、こういうようなものは、政府の足らないところを補足するとか、あるいは政府の
外交をもっと元気づけてやる、こういう
意味の役立ったことはありますが、政府の
外交の行き方に足を引っぱるようなそういうことは、国民
外交としても、多面
外交としても、実はあまりない。こういうことは
政府自身も反省すべきそれは問題だと思います。それはそういう政府の
外交方針について足を引っぱるような
議論が出る、これは
政府自身も反省しなければならないものがあるかもしれません。しかし、政府が反省してみても、政府はやっぱり在来の
考え方と変わらないでその
外交方針を貫ぬく、こういう場合においては、
外交が政府の責任においてなされる限り、これはやはり他の
方面でもあきらめていただかなければならないんじゃないか、かように私は思うのであります。
これはそういう
意味から、
外交の問題だけはまあ水ぎわでやめようじゃないか、そうしないとどうも国益に反すると、しばしば外国でも言われております。だから、外国におきましても、与野党は国
内政策では対立する、いろいろの
考え方においては対立はいたしましても、少なくとも
外交の問題に関しては
お互いにその
論議はある程度慎んでいく、かように私は見受けるのであります。
私は、この問題について
政府自身ももちろん各
方面からの批判を受けておりますから、そういう
意味で十分考えるべきだろうと思いますけれども、私はただいままでのところ批判は受けたが、私はこの行きかたがただいまは
日本として正しいんだ、また大多数の国風はこれを支持してくれる、かように私は実は確信を持ってこのことをやっておるのであります。ただいま申し上げるように、
外交問題というのは非常なデリケートな問題でありますし、相手の国に対しましても非常な影響があるだろう、また国内の国民に対しましても非常に関心は持たれるし、また友邦等にも非常な影響を与えるものでございます。
外交の問題というのはそういう
意味でやっぱり扱い方も慎重でなければならない。この点で、今回の
中共の訪日団一行の入国を許可するかいなかということは、これは事務的には——これを事務的だけにまかすようなことはいたさなかったつもりであります。そこで、最終的には
政治的な判断からこれを決定したというのであります。
この点を先ほど来いろいろ御
議論されておりますが、社会党の御主張、これは社会党のいままでの
考え方からそういう主張になることは当然だと思います。しかし、また御理解いただきたいと思いますのは、今回の訪日団が最初からの過去四回、ことに問題になりますのは、
ベトナム問題が起こる前の、いわゆる米帝国主義という浅沼
発言、あの共同声明以来の問題だと思いますが、その問題で貫かれておるというところに問題があるんだ、この点を御了承願いたいと思います。