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国務大臣(福田赳夫君) 景気が夏ごろからということを申し上げたことはないのであります。
昭和四十一年度という年は年間を通じて七・五%の成長ということを申し上げておるのです。それで、その七・五%を達成するにつきましては、夏だとか、秋だとからの景気回復成長カーブの変化、そういうことではできない。やっぱり今日から始まらなきゃならぬわけです。それでいろいろな指数、これはまあ時期的にでこぼこがありますが、指数を見ましてももうそういう
傾向が出てきておる。鉱工業生産の指数を見ますと、これは昨年の十一月から増勢に転じております。二月の指数はまだ発表になっておりませんけれ
ども、これは一月に比べると多少落ちるような
傾向があるのですが、一月は非常に高いのです。三・六%前月に比べてふえた。これは異常なことなんですね。それに比べれば修正の
数字が出てくるような
傾向にもなろうと思いますけれ
ども、とにかく、この四カ月を通じて見ますると、相当の上昇カーブに転じているわけです。
それから物価指数、これも同じようなカーブになってきております。
それから製品の在庫ですが、これは一昨年の十一月のところまで落ちてきている、こういうようなことを総合してみますると、毎月々々――これには多少のでこぼこはあるかもしれませんけれ
ども、これは上昇カーブに転じている、こう見るわけです。その
原因は何かというと、やはり設備投資の低調今日におきましては、財政が相当影響している。財政の支出の
状況を見ますると、四十年度は上期が停滞しておりまして、十二月ころから活発化している、それが相当の響きを持っている、こういうふうに考えるわけです。この暮れからの
動き、そのカーブが同じ勢いで四十一年度中は歩み続けるであろう。そういうために四十一年度の膨大化された予算の支出は、これを上半期にウエートを置いてやっていこう、こういうふうに考えておるわけでございます。私は、今日の趨勢というものは景気回復基調に向かっておる、かように考えているわけでございます。
それから景気循環は免れない、こういう
お話でございますが、私もそう思います。しかし過去においては、その山と谷に非常に開きが大きいわけでございます。それを調節するという考えをもちまして、今回は公債政策というものを採用した、つまり民間の経済が非常に好調であるという際には、公債政策の弾力的な運営によりまして、
政府財政をやや消極化する、また民間が落ち込んでいるという際には、公債政策の運用によりまして財政は積極化する。そうして民間と
政府を合わせた経済活動、それから金融と財政、この二つを合わせて見ますと、大体
日本の経済の規模がでこぼこなしに推移していく――成長していく、そういうことをねらっているわけでございます。多少の景気変動ということはありましょうが、過去におけるような、はなはだしい山と谷との開差というものは避け得るのではないか、そういうふうに考えているわけでございます。ただ景気変動のほかに、国際的な要因とか、そういうようないろいろな事情がございます。こういうことは、ある
程度わが国にも影響してくると思いますが、過去のようなことは今後ない、かように御承知願いたい。