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1966-03-24 第51回国会 参議院 予算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十四日(木曜日)    午前十時三十八分開会     —————————————    委員異動  三月二十四日     辞任         補欠選任      柳田桃太郎君     船田  譲君      平泉  渉君     藤田 正明君      大谷 贇雄君     土屋 義彦君      岩間 正男君     春日 正一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         石原幹市郎君     理 事                 小沢久太郎君                 大谷藤之助君                 白井  勇君                 西田 信一君                 日高 広為君                 亀田 得治君                 小林  武君                 鈴木 一弘君     委 員                 青柳 秀夫君                 赤間 文三君                 井川 伊平君                 植竹 春彦君                 北畠 教真君                 草葉 隆圓君                 小山邦太郎君                 木暮武太夫君                 古池 信三君                 西郷吉之助君                 櫻井 志郎君                 内藤誉三郎君                 平島 敏夫君                 藤田 正明君                 船田  譲君                 増原 恵吉君                 吉武 恵市君                 稲葉 誠一君                 加瀬  完君                 木村禧八郎君                 北村  暢君                 小柳  勇君                 鈴木  強君                 田中寿美子君                 羽生 三七君                 林  虎雄君                 村田 秀三君                 矢山 有作君                 鬼木 勝利君                 黒柳  明君                 小平 芳平君                 中沢伊登子君                 春日 正一君                 山高しげり君    国務大臣        法 務 大 臣  石井光次郎君        外 務 大 臣  椎名悦三郎君        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        厚 生 大 臣  鈴木 善幸君        農 林 大 臣  坂田 英一君        通商産業大臣   三木 武夫君        運 輸 大 臣  中村 寅太君        建 設 大 臣  瀬戸山三男君        自 治 大 臣  永山 忠則君        国 務 大 臣  藤山愛一郎君        国 務 大 臣  松野 頼三君    政府委員        内閣官房長官  橋本登美三郎君        内閣官房長官  竹下  登君        内閣法制局長官  高辻 正巳君        防衛庁防衛局長  島田  豊君        防衛庁教育局長  宍戸 基男君        経済企画庁調整        局長事務代理   田中 弘一君        経済企画庁総合        開発局長     鹿野 義夫君        法務省民事局長  新谷 正夫君        法務省刑事局長  津田  實君        外務省アジア局        長        小川平四郎君        外務省北米局長  安川  壯君        外務省経済局長  加藤 匡夫君        外務省条約局長  藤崎 萬里君        大蔵政務次官   竹中 恒夫君        大蔵省主計局長  谷村  裕君        大蔵省主税局長  塩崎  潤君        大蔵省理財局長  中尾 博之君        大蔵省国有財産        局長       松永  勇君        大蔵省銀行局長  佐竹  浩君        大蔵省国際金融        局長       鈴木 秀雄君        厚生政務次官   佐々木義武君        厚生省環境衛生        局長       舘林 宣夫君        厚生省児童家庭        局長       竹下 精紀君        農林省農林経済        局長       森本  修君        農林省農政局長  和田 正明君        農林省農地局長  大和田啓気君        農林省園芸局長  小林 誠一君        食糧庁長官    武田 誠三君        水産庁次長    石田  朗君        通商産業省貿易        振興局長     高島 節男君        通商産業省重工        業局次長     赤澤 璋一君        運輸省船員局長  岡田 良一君        運輸省航究局長  佐藤 光夫君        気象庁長官    柴田 淑次君        建設省計画局長  志村 清一君        自治省税務局長  細郷 道一君    事務局側        常任委員会専門        員        正木 千冬君    説明員        大蔵省印刷局長  遠藤  胖君    参考人        日本貿易振興会        副理事長     長村 貞一君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和四十一年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十一年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十一年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、柳田桃太郎君、平泉渉君、大谷贇雄君が辞任され、その補欠として船田譲君、藤田正明君、土屋義彦君が選任されました。     —————————————
  3. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 昭和四十一年度一般会計予算昭和四十一年度特別会計予算昭和四十一年度政府関係機関予算、  以上三案を一括して議題といたします。  昨日に引き続き、質疑を行ないます。加瀬完君。(拍手)
  4. 加瀬完

    加瀬完君 私は、主として富里空港について質問をいたします。  運輸大臣にまず伺いますが、運輸大臣は昨年の八月、千葉県知事空港敷地についての伺いに対して、敷地は霞ケ浦で、富里ではないとお答えになったそうでございますが、事実でございますか。
  5. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、富里地区は、御承知のように、農家かなり戸数ございまして、その方たちに立ちのいてもらわなければなりませんので、できるだけそういう地域を避けたいという考えのもとに、各地域に対しまして調査を進めたのであります。そういう意味を申し上げたことはございます。
  6. 加瀬完

    加瀬完君 昨年の六月、空港公団法通過の際、本院においては、富里が不適の意味附帯決議が付されておりまして、そのおり政府は、富里ではなくて、他の地域選定する意思が述べられたわけでございますが、御承知ですか。
  7. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は承知いたしておりません。
  8. 加瀬完

    加瀬完君 それでは附帯決議は御存じですか。
  9. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 政府委員から答えさせます。
  10. 加瀬完

    加瀬完君 いやいや、附帯決議大臣が答弁しているのですから大臣答えてください。引き継ぎがあったでしょう。
  11. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は承知いたしておりません。
  12. 加瀬完

    加瀬完君 では、あらためてそこでお読みになって、御見解をおっしゃってください。
  13. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) この決議の趣旨は、私が最初考えました意見と一致しておるように考えます。
  14. 加瀬完

    加瀬完君 それはあとでまた質問をいたすことにいたしまして、さらに、昨年の十月、千葉県の副知事から、富里反対の情勢を御質問なされたのに対しまして、七割が反対だという答えをなされているはずでございます。七割の反対がありますのに、急遽内定をいたしました理由は何でございますか。
  15. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は七割の反対があるという数字を聞いた記憶ははっきりいたしませんが、大体かなり反対があるということはお聞きいたしたようでございます。
  16. 加瀬完

    加瀬完君 それについて質問がもう一つある。どうしておきめになったか。
  17. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 先ほど申しますように、私は当初は富里地区かなり農家立ちのきを必要とするので、できるだけそういう支障のない地点にということで、あらゆる地点を検討調査いたさせましたが、結局ほかの場所に適当な土地がない、富里地域以外に適当な土地がないという結論に達しましたので、富里地域を内定いたしたわけでございます。
  18. 加瀬完

    加瀬完君 この新空港選定にあたりましては、気象等安全度というものが十分に調査をさるべきはずだと思いますが、この点はいかがですか。
  19. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 富里地区空港としてのあらゆる条件を備えておるという結論でございます。
  20. 加瀬完

    加瀬完君 いつ、いかなる機関でそういう結論をお出しになりましたか。
  21. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 航空局の中でもあらゆる調査をいたしまして、これ長年、御承知のように何年もかかった案件でございますので、その間あらゆる技術調査をいたした結果、富里地域以外に適当な場所はない、こういう結論に達したのでございます。
  22. 加瀬完

    加瀬完君 それでは超音速機の場合、特に気象上問題となるべき事件はどういうことになりますか。
  23. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 政府委員から答えさせます。
  24. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) お答えいたします。  航空機気象関係に及ぼす影響でございますが、われわれが技術的に承知しておるところでは、超音速機、特にマッハ二・二、三等の場合には、気象による影響は、従来の航空機に比して特に大なる影響はないというふうに承知しております。  なお、先ほど大臣お尋ねがありました気象条件についての調査でございますが、昭和三十八年、航空審議会におきまして、気象庁予報部長専門員として参加をいたしまして、各種データによって総合的な判定を加えました結果、該地区が卓越風がない。したがって滑走路方向について相当弾力的な決定が可能であるという答え出しておる次第でございます。
  25. 加瀬完

    加瀬完君 それでは航空審議会の答申のように霧、スモッグなし、問題なし、卓越風なしということに間違いございませんか。
  26. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 本件の調査につきましては、千葉県所在の布佐銚子千葉の測候所の観測の結果につきまして、専門気象庁予防部長判断をしてくれたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、卓越風はないということと、いまお話しの霧、降雨量、雷雨につきましても、過去の観測データによりまして作製しました分布図により見まして、空港位置について問題はないという結論を得ておる次第でございます。
  27. 加瀬完

    加瀬完君 銚子千葉は、あるいは布佐は、富里からどのくらいの距離にありますか。その三カ所の類推富里が的確につかめますか。
  28. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 千葉が約二十キロ、布佐が十数キロでございまして、これらの数値を専門的に解析をしていただいた結果であるというふうにわれわれは考えております。
  29. 加瀬完

    加瀬完君 それでは恒常風南東風に間違いありませんか。
  30. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) お答えいたします。  恒常風と申しますと、いわゆる定常的に吹いている風のことでございますが、これ、恒常風がないというようなことを気象庁で申し上げましたのは、一年中を通じて平均しての恒常風でございまして、申すまでもなく、冬は北西の風が定常的に吹き、夏は南西の風が定常的に吹くということでございます。
  31. 加瀬完

    加瀬完君 それでは月例風配図出してください。
  32. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 恒常風についての月例資料でございますが、これは非常に資料が込み入っておりますので、あとから月別にお書きしましてお渡し申し上げたいと思います。
  33. 加瀬完

    加瀬完君 あなたのお出しになっているのは違いますよ。ここに三里塚観測所がありますのに、三里塚観測所データは何にも取っておりませんね。
  34. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 三里塚観測所がございます。それからまた、そのすぐそばに佐倉観測所がございます。で、佐倉三里塚観測所と両方の観測所もあわせて考えておるわけでございます。
  35. 加瀬完

    加瀬完君 三里塚観測所定時観測は午前九時でしょう。午前九時の資料がなくて午後の風速あるいは風向というものがわかりますか。とってないでしょう。
  36. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 区内観測所とわれわれ称しておりますが、これはただいまお話のとおり、一日一回九時の観測でございます。九時の観測でございますけれども、大体その九時の気象データというものは一日の平均値——統計をとる場合の一日の平均値として最も適当であるというような技術的の見地から、九時一回ということになっているのでございまして、九時の観測の結果をもらまして、大体気象学的の、技術的の見地から午前はどういう風、午後はどういう風ということにつきまして、あらかじめ大体の程度推定できるものとわれわれは考えております。
  37. 加瀬完

    加瀬完君 それで卓越風なしという結論が出ますか。
  38. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 卓越風なしということは、先ほども申しましたように、一年じゅうを通じて平均して卓越風がないということでございまして、一日におきましては、もちろん御承知のように、海陸風がございますし、それから一年じゅうにつきましては、先ほども申しましたように、冬は冬の風、夏は夏の風というものがありますが、それらを平均しまして、一年じゅうを通じましては、卓越風はない、そういう意味でございます。
  39. 加瀬完

    加瀬完君 それでは突風はどうです、突風
  40. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 突風につきましては、この区内観測所においては特に突風観測というものはやっておりません。ただ、非常に激しい突風がありますと、観測記事欄というものがございまして、その観測記事欄にその突風記入するようになっております。突風観測についてはそういうことでございます。
  41. 加瀬完

    加瀬完君 記入はあるんですか。記入はどうなっていますか。
  42. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) その突風につきましては、これは関東地方のそのほかの観測所と比べまして、たいして差はございません。
  43. 加瀬完

    加瀬完君 それでは、三十八年、三十九年、四十年の突風状態をお知らせください。
  44. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 突風というものではございませんが、いまここに持っておりますのは暴風日数というものでございます。暴風日数につきましては、大体佐倉三里塚との中間と考えますと、年間約十日ぐらいのものだと考えております。
  45. 加瀬完

    加瀬完君 全然違いますよ、全然違います。もう一回再調査でお答えください。
  46. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 再調査ということでございますけれども、気象庁といたしましては、この富里に一番近いこの二つ観測所をもって考えておるのでございまして、そのほかのもっと遠い観測所参考にしまして調査をしろとおっしゃれば調査をいたします。
  47. 加瀬完

    加瀬完君 いやここですよ。区内観測所でけっこうですよ。——違いますか。
  48. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 私のほうのデータで、気象庁データは、先ほど申し上げたとおりでございます。
  49. 加瀬完

    加瀬完君 それは一応おいて、逆に運輸省に聞きますが、結局空港条件といたしまして、強風はどの程度以上あれば困るということでございますか。
  50. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 先生承知のように、離着陸の際には、風向を考慮して離着陸を行なうわけでございますから、その点を考慮すれば相当の風に耐えるわけでございます。通常二十三ノット以内であれば離着陸可能であるというふうに技術的には調べてあります。
  51. 加瀬完

    加瀬完君 突風は三十八年には十六日、三十九年には十七日、四十年には十六日——これは二十メートルから二十七メートルの突風という区内観測所の記録です。間違っていますか。
  52. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 年別の三十九年、四十年の資料は、いま手持ちでございませんけれども、大体いまおっしゃった日数は、われわれのほうのデータでは、三里塚では大体それくらいのデータでございます。佐倉はもっと少ないわけでございます。
  53. 加瀬完

    加瀬完君 富里というのは三里塚と同区域ですよ。佐倉と違うのです。現地調査を私は聞いておる。佐倉調査を聞いておるのじゃありません。それでは十五メートル以上の強風はどのぐらいですか。
  54. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 暴風日数とわれわれのほうは申しておりまして、風力六以上の、十メートル以上の日ということでございますが、それにつきましては、三里塚は十年間平均でございまして、過去十年間平均といたしまして、大体十六日ぐらいであります。三里塚についての話であります。
  55. 加瀬完

    加瀬完君 それでは突風と同じですね。
  56. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) あっ、先ほど私が申し上げたのは……。
  57. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 私語の形にならないように進行してください。
  58. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 先ほど私が十六日と申しましたのは、これは暴風日数でございまして、突風というのと、暴風日数というのとは少し違うわけです。
  59. 加瀬完

    加瀬完君 その調査も違いますね。三十八年には十五メートル以上の風が七十四日、三十九年は五十七日、四十年は六十口、こういう状態で、空港適地とみなされますか。調べてないよ。
  60. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 航空審議会における調査は、先生承知のように、どの地域空港地域として選ぶかということでございまして、したがいまして、気象庁から説明がありましたように、一般的な気象条件判断を得たわけでございます。したがいまして、具体的に飛行を行なう場合に、たとえば突風の場合あるいは気象条件によってはどういうような飛行を行なうかということは、個々の具体的の飛行場の建設その他の場合に考慮すべき問題でありまして、位置決定の際には、ただいま気象庁から御説明しました程度のもので、飛行場位置としては十分適切である、あと飛行方向として、先ほど一部申し上げましたような飛行方向横風用滑走路設置等によりまして、現実は、飛行は十分安全に可能であるという答え出した次第でございます。
  61. 加瀬完

    加瀬完君 気象庁調査は違いますよ、現地気象条件とは。違うことはお認めになりませんか。運輸省
  62. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) したがいまして、先ほど申し上げましたように、具体的の卓越風はない、年間を通じての特に卓越した風はない。あるいは霧、降雨量、雷についても特に空港設置に問題はないという点については、結論として現在でも相違はないとわれわれは考えておる次第であります。
  63. 加瀬完

    加瀬完君 私の言った数字は間違いかどうかか。年間二十日前後二十メーター以上の季節的な風が吹いても卓越風なしということが言えますか。
  64. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 暴風日数あるいは突風卓越風ということは少し意味が違うのでございまして、暴風日数先ほど申しましたように三里塚では。
  65. 加瀬完

    加瀬完君 突風だけ言ってください、突風
  66. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 暴風日数が十六日ですから、突風はもっとこれよりも少ないということは気象学的に考えられます。
  67. 加瀬完

    加瀬完君 そんなことはおかしいですよ。私は区内観測所データを言っている。あなたは区内観測所データじゃないでしょう。私は現地区内観測所データでものを申しているのですよ。あなたは区内観測所データ持ってないでしょう。それで議論になりますか。
  68. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 先ほどから申し上げておりますデータは、三里塚区内観測所データをもとにして申し上げているわけでございます。
  69. 加瀬完

    加瀬完君 違いますよ。朝の九時の報告だけしか気象庁にはやっていないのですから、こういうデータはあなたのほうで調べに行かない限りは出てこない。データ二つになるなんてないですよ。調べましたか、区内観測所データを。類推でしよう。
  70. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 区内観測所データというのは、先ほど申しましたように朝の九時だけのデータでございます。で、区内観測所データを調べるときにはその朝の九時のデータしかわからないのでございまして、その朝の九時のデータによりましてその付近の九時以外の気象状況を漸推するのでございます。
  71. 加瀬完

    加瀬完君 飛行機は朝の九時だけしか飛ばないわけじゃない。  じゃあ運輸省に聞きますが、一体富里突風は何時ごろが多いという把握ですか。調査をしたのだからあなた方わかっておるでしょう。気象庁に聞くまでもない。運輸省答えなさい。
  72. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 先ほど来御説明申し上げておるように、われわれとしては位置選定上の必要な条件ということで、突風その他については、これから具体的に飛行する場合の問題であるということで、われわれは具体的に承知しておりません。
  73. 加瀬完

    加瀬完君 それでは伺いますが、午後一時過ぎ前線通過のため空気が冷たくなり、西北の空まっ黒となり、五分間ぐらい風力十二、三メーター突風起こり、雲低く、三百メーター以下、これは気象条件としてどうですか、合いますか。
  74. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) そういう場合はあると思います。
  75. 加瀬完

    加瀬完君 合うか合わないか、気象条件として。委員長運輸省に催促してください、答弁を。
  76. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 飛行場設置の場合の具体的な気象条件についてのお尋ねでございますが、雲高三百メーター風速十二、三メーター程度のものであれば飛行場条件としては差しつかえない。  それから先ほど質問の、この具体的な区内観測資料調査でございますが、これは先生指摘のような観測値でございますが、これを気象庁予報部長専門的に解析をしてもらって、いまの条件に合わせて答え出した、こういうことでございます。
  77. 加瀬完

    加瀬完君 それでは黄塵万丈を呈し、視界十メーター以下、諸々につむじ風を生じ、その高さは三十メーターにも及ぶ、これは合いますか。飛行機飛びますか。風速二十七メーター
  78. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) これは具体的に飛行場を設置した場合に、航空の、飛行機の飛び方をきめまして、その飛び方から具体的に飛行場ごとに、御承知のように、最低気象条件というものを定めるわけでございます。この最低気象条件の場合に雲高風速その他を定めるわけでございますから、いま具体的にこの場合にどういう航空機について飛行が可能であるかないかということをごく一般的な条件として先ほど申し上げたわけでございますが、具体的にはそれぞれの状態に応じて最低気象条件を定める。したがって、先生指摘のように、非常に気象状態が悪い場合にはこの飛行場離着陸をさせないという方法をとるわけでございます。
  79. 加瀬完

    加瀬完君 政府安全度のために富里空港を急ぐという声明でしょう。そうであるならば、いま申し上げたような日が一年のうちに何日ぐらいあるかという調査もしないで、富里につくれば安全だという結論空港を急ぐということになりますか。こういう調査がないでしょう。しなくてもいいんですか。突風が起こってから条件をきめるのですか。
  80. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) あらゆる諸条件を検討いたしました結果、富里地区が一番適当であるという結論を得ておるのでございます。
  81. 加瀬完

    加瀬完君 だからいま言ったようなことは検討したのか。検討していないということははっきりしている。検討しなくてよろしいのか。もう一回念を押して伺います。運輸大臣……。
  82. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 飛行場としての必要条件はあらゆる調査研究をしておるはずでございます。
  83. 加瀬完

    加瀬完君 していないでしょう。だめだ。
  84. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 先ほど来お答えいたしておりますように、位置選定の場合に気象庁専門家によって考えていただきますのは、それぞれの地域卓越風、霧その他の条件の比較でございまして、それによってこの地区が空港として適地であるという専門的な判断をしたわけでございます。ただ先生指摘のように、非常に地域的な特殊な突風その他については具体的の飛行の場合の条件というふうにわれわれは考えておりますので、気象庁専門家による判定もただいま申し上げた程度で必要にして十分であるということで答え出したわけでございます。
  85. 亀田得治

    ○亀田得治君 同じことをずいぶん繰り返すようなかっこうになっておりますが、加瀬君の指摘しておるのは、地元において現にある現象ですね、それをつかまえて指摘しておるわけなんです。ところが、航空局のほうはそういう悪い現象のときには飛ばさないのだと、どうもこういう意味のようであります。そうでしょう、はっきり言うたら。だからしたがって、そう差しつかえないんだというような意味のようでありますが、しかし、せっかく飛行場をつくって、そうしてそういう悪い日が年間通じて非常に多いと、こういうことになれば、これはたいへん問題になるわけです。これはそうでしょう。だからそういう現象が地元において具体的に指摘されている以上、一体年間を通じてそういう状態がどれくらい予想されるのか、こういうことを現地に即してもっと検討する必要があるんじゃないですか。加瀬委員はそこを言っているわけなんです。そういうことを避けて通っていいものじゃ私はなかろうと思うのです。どうなんです。そういう悪いときには飛ばなきゃいいんだ、そういうことじゃちょっと、国費をつぎ込んで、極端なことを言えば、三分の一も年間そういうことがあったらたいへんでしょう。それでも、飛ばなければ安全かもしれない。しかし、そういうことじゃ納得できぬでしょう、関係者としては。どうなんです。
  86. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 先ほどから申し上げておりますように、空港位置選定する場合に、この位置が一般的の気象条件としてどうかという総合的判断が問題になるわけでございます。  で、加瀬先生のおっしゃっておられますのは、われわれの専門気象観測機関調査をした以外の、なおその他のデータを加えて精密にすべきじゃないかというような御見解のように承るわけでございますが、われわれとしては、一般的な条件を調べまして、御承知のように、関東地方気象条件に比較してこの地域が特段に悪いという要素はないわけでございますので、一般的な気象条件としてこの位置選定が必要にして十分な条件を備えておるという判定を下していただいたわけでございまして、その間にしかしさらに非常に例外的な突風その他があるということは、これは現実の事態に即して飛行状態その他を考えて処理すべき問題であるというふうにわれわれとしては考えておる次第でございます。
  87. 亀田得治

    ○亀田得治君 それでは、われわれも両者の言い分を聞いていて、とにかく加瀬君の指摘するような事実があることも事実で、否定もなされぬようであります。それで気象庁なり、あるいは運輸省のお持ちになっておる資料ですね、それを詳しく、われわれにわかるように出してもらいたいと思う。先ほどからのお話を聞いておりましても、一日のうちの一つの時点しか検討しておらないようだし、あるいはまた、相当距離も離れておるようだし、じっくり私たちもそれを見たいと思うんです。そういうことで資料出してもらいたい。それは平均とか、そういうことじゃわからぬわけでして、非常に悪いのといいのと平均したら、それは薄まってしまう。そんなことじゃない、具体的には毎日のことが大事なんですから。その平均じゃなしに、もとの資料をひとつ示してもらうようにお願いしたい。可能ですね。
  88. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) よろしゅうございますか、政府
  89. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 気象に関する資料につきましては、ただいま御指摘資料は提出するようにいたします。
  90. 加瀬完

    加瀬完君 その突風の起こっている時間は十一時から十二時、一時から二時という間が最も多いのです。そういう調査を一つもしないで空港をつくって、適宜気象条件に対する制限によって飛行機を飛ばそうと言ったって、どだい初めの調査としてはずさんだということになりませんか。  それでは、別に伺いますと、最低指定条件以下の日が何日ぐらいあれば空港としては不適ですか。
  91. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 羽田の例が、大体クローズニ%と聞いておりますが、わが国の空港においては、特に気象条件で現在あるものについて不適であって、飛行場として使用できないというものはございません。そういうような、何%までいかぬというような一般的な標準は定められてはおりません。
  92. 加瀬完

    加瀬完君 安全度をさらに高めるためには、指定最低条件は一年のうちに何日以下というように大体考えておりますか。
  93. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) そういうような、具体的に問題になって、これは飛行場として不適であるという事例が従来ございませんし、また、これは現実の運用——飛行場を設置する場合の判断の問題に御指摘のようになるわけでございますが、そういうことにひっかかるというような条件のものは従来なかったわけでございます。
  94. 加瀬完

    加瀬完君 じゃ、富里の指定条件は調べましたか。……だから三宅島の飛行場みたいになってしまう。つくっても使えない。これは運輸省に聞きますよ、持定条件ですから。
  95. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 具体的に富里の例について考えました際には、羽田が先ほど申し上げましたとおり一九六二年の例で、十二時間クローズされた、最低気象条件以下になりまして。これとそう大差はないというような判断の上に立って富里をきめたわけでございまして、これ以上どの程度になったら幾らというようなことは、現在われわれとしては基準的なものはきめておらない次第でございます。
  96. 加瀬完

    加瀬完君 それでは、羽田の指定最低条件以下の日が富里の場合は何日ぐらいあると推定をいたしておりますか。
  97. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) お答えいたします。現在までの羽田のウェザー・ミニマムすなわち最低気象条件の日を調べてみますと、その条件が指定による場合におきましては大体十四日ぐらいでございます。これに対しまして、先ほど申しました三里塚あるいは佐倉なんかの資料から推定いたしますと、大体富里付近ではその半分ぐらいの口になるように思われるのでございます。
  98. 加瀬完

    加瀬完君 思われる、では困ります。昨年の十二月一日から本年の二月末日までの霧の、羽田を基準にしての最低条件を割っている日は四十四日、九十日のうち四十四日霧です。これ違っていますか。
  99. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 羽田におきましては大体三十四日ぐらい。これは三十一年から三十八年ぐらいのところでございまして、ただいまのお話の一月から四月までですか、そういうところの資料はただいま持ち合わせておりません。
  100. 加瀬完

    加瀬完君 いやいや、富里富里の場合四十四日、少なくも九十日のうちに四十四日も霧で千メートル以下、視界が。その中には三十メートル以下という視界もありますよ。こういう条件調査しないで空港をつくって、安全度が高まったと言えますか。運輸省に伺います。
  101. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 気象庁専門的な調査の結果でありますが、相対的に申し上げまして、羽田に比較して気象上の条件富里三里塚付近は良好であるという相対的な判断のもとに、われわれは気象上の条件からしては可能であるというふうに判断をしたわけでございます。
  102. 加瀬完

    加瀬完君 気象庁は、三里塚区内観測所の霧の調査をお調べになりましたか。あるいは航空局は、現地の霧の状態をお調べになりましたか。
  103. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 三里塚の霧日数につきましては、昭和二十九年から三十八年——過去大体十年間の霧日数資料は持っております。(「その説明をしてくれ。持っているなら」と呼ぶ者あり)数字を申し上げます。
  104. 加瀬完

    加瀬完君 霧の調査はしていませんよ。それは去年からですよ、始めたのは。
  105. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) そうじゃございません。いわゆる霧日数という項目がございまして、霧日数が年に何日間あるかということを調査しております。それによりますと、三十一年は三十二日とか、三十二年は二十二日というような、あるいは三十八年は八日だとかいうような数字が出ております。(「その資料も出さしてください、よろしいな」と呼ぶ者あり)
  106. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 資料よろしいですか。(「いまのやつ全部。十年間というのだから」と呼ぶ者あり)
  107. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) この資料あとで提出いたします。
  108. 加瀬完

    加瀬完君 ゼロ、一、二の段階で、それじゃあ日にちを出してください。
  109. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) ただいまのゼロ、一、二というのは、霧の濃度のことではないかと思いますが、区内観測所ではゼロ、一、二という程度までやっているかどうかということについてはちょっと私いまここでお答えしかねます。
  110. 加瀬完

    加瀬完君 現地の霧の調査をあなたのほうでなさったかどうか。
  111. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) これは気象庁長官からお答えしましたように、気象庁資料を私どものほうで参照して承知しておる次第でございます。
  112. 加瀬完

    加瀬完君 区内観測所で正確に霧の調査を始めたのは去年の秋からです。それまでは正確な調査はしておらない。ですから、去年の秋からの調査を、特に去年の十二月とことしの二月までの間の、私の申し上げました四十四日、間違いがあるかどうか、ひとつ重ねて御調査をいただきます。
  113. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) その点についてはさっそく調査いたします。
  114. 加瀬完

    加瀬完君 これは中村運輸大臣に伺いますが、現地観測所調査は、われわれが見れば非常に飛行条件に不適だと思われる数々の問題があるわけでございますが、十二分に調査をなさるお考えがございますか。もう安心で調査はしなくてもいいということですか。
  115. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 新空港に必要な調査は、気象庁を通じてやっておることでございます。
  116. 加瀬完

    加瀬完君 やってないでしょう、私の出しデータと違うでしょう、私は現地調査をしてきた。念には念を押せということがありますが、安全度に一番関係あるのは気象条件です。その気象条件を、問題点があると提示されておるのに回答ができないでしょう、ただ気象庁まかせですよ。気象庁現地観測所でとったデータを手にはしておらないですよ。それに安心してまかせ切れますか。
  117. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 気象庁は、気象状況につきましては責任を持って私は調査をいたしておると信じております。
  118. 加瀬完

    加瀬完君 官房長官に伺いますが、この前、関連質問で総理大臣に伺いましたときに、こういう気象条件等にまだ問題点が残っておれば、十二分に調査をしなければ決定をしないというおことばがありましたが、当然調査をすべき問題点が残っておると思いますが、官房長官どうですか。
  119. 橋本登美三郎

    政府委員橋本登美三郎君) おっしゃるとおり、最近の航空事故の状況から考えても、飛行場安全度は重要な問題であります。したがって、政府としてはもちろん、運輸省気象庁と十分なる連絡をとって、気象調査は十二分にしておるものと考えております。なお、現状についても引き続き調査をいたしておると考えますが、これらの調査を終わってから云々ということは私自身も聞いておりませんが、とにかく安全度については最大の注意を払ってまいりたい、かように考えております。
  120. 加瀬完

    加瀬完君 霧、スモッグなし。特別の風はないと書いてある。突風が非常に多い。しかも黄塵万丈で、視界十メートル以下という日がもう十五日前後ある。しかも霧は九十日のうち四十四日もある。概算しても五十日を下らない。こういう条件がございますという——私が言うのではない、現地観測所の記録が出ておりますのに、十二分に調査をしておらないのが明らかでございますのに、再調査をなさるお考えはないか。飛行機落ちますよ。
  121. 橋本登美三郎

    政府委員橋本登美三郎君) 先ほど来から、日本の権威である気象庁調査等も御質問に応じて答弁をいたしておるような次第でございます。いま加瀬先生のおっしゃることも一つの事実であろうと思いまするが、これらを含めて飛行場建設については最善のものとして気象庁からの報告がある。これを受けて運輸大臣は、万全を期して国際空港をつくりたい、かように申しておるので、もちろん安全度については最善の注意を払い、かつまた、そのつもりでやっておることは御承知のとおりであります。
  122. 加瀬完

    加瀬完君 この指定最低条件に及ばない日が数十日あるということがわかっておりましても、空港に適地だという御判断ができますか。
  123. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 気象庁がいろいろ調査しました結果、新空港としては適当な地であるという結論を得ておる次第でございます。
  124. 加瀬完

    加瀬完君 そういうことを私は言っていない。飛行機の飛べないような日が六十日以上あっても空港に適地だと言えるかどうか。
  125. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 先ほど気象庁からお話がございましたように、霧日数その他から判断いたしましても、三里塚は特に条件が悪いという状況ではない。したがいまして、関東地方気象条件その他からいきまして、この場所が特に悪い、したがって、飛行場として不適だという答えは出てまいらないということを申し上げたわけでございます。
  126. 加瀬完

    加瀬完君 おかしいですよ。調査してないでしょう。私はしかしそういうことを議論しているのじゃない。気象条件として飛べないような日が六十日以上もあっても空港として適地かどうかということを聞いている。適地か適地じゃないか、それだけ答えればいい。あとは調べればわかることだから……。
  127. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 従来の気象調査その他からして、先生がおっしゃるように、六十日も飛べないという状態になるというふうにはわれわれとしては考えておらないのであります。したがいまして、これは非常に仮定の上に立つ問題でございますが、関東地区でこの地区が特に気象条件が悪いということでないわけでございまして、その上に立ってのあるいは六十日とか、あるいは百二十日とかいうようなことをわれわれとしては考えておらないということを申し上げておるわけでございます。
  128. 亀田得治

    ○亀田得治君 委員長、ちょっと。同じことを何べんも繰り返すのですが、しかも加瀬君の質問答えない。そういうことじゃなしに、加瀬君のほうも現地において具体的にやはり調べて、そうして問題点を指摘しておるわけですからね、私はこれだけ問題点があれば、少なくとも加瀬君の指摘しておる点については、調べましょうと、皆さんのほうにその反証があがればそれでいいのですよ。皆さんは何も現地に行って調べているのじゃないのですから、直接。しかも、飛行場の設置ということを前提にした調査ではないわけですね。一般的な調査、それをただ利用しておるわけなんです。現地には行こうとしない。しかし、現地の諸君はいろいろ問題点を指摘しておるわけなんです。わずかの違いなら、それは専門家にまかしていいわけなんです。ところが、これほど、霧の問題にしたって違うものを、それで押し切っていくということは、私は少し無理じゃないかと思うのです。だから、御指摘の点はでは調べましょうと、こんなこと、あなた、調べた結果じゃないとわからぬじゃないですか。運輸大臣、それを突っぱるのは私はちょっと行き過ぎじゃないかと思うのですがね、こういうことは。どうなんです。
  129. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私はことさらに突っぱっておるわけじゃございませんが、気象庁を通じまして、その点は気象庁の関係機関の発表を基礎に加瀬委員言っておられるようでございますから、その点はよく気象庁を督励いたしまして調べさせます。
  130. 加瀬完

    加瀬完君 気象庁は、それでは、いま大臣のおっしゃるように、私の指摘が間違いかどうか、再調査をなさってくださいますね。
  131. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 気象庁としまして現在までは、現在手持ちの佐倉だとか三里塚だとかいうところで区内観測所資料をもって十分調べております。しかし、なお御指摘の点につきまして若干調べなければならない点がございますとすれば、これはわれわれのほうで調べさせていただきたいというふうに思っております。現在のところは、そういう、先ほど申し上げたようなことでございます。
  132. 加瀬完

    加瀬完君 それではそれは十二分に調査していただきまして、運輸大臣、だいぶ御自信がありますから伺いますが、地質の調査はしておりますか。この前もちょっと伺ったのですが、CBR値はここの地層はどうですか。
  133. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 富里地区を設定するまでにはあらゆる技術調査をいたしておると、かたく信じております。
  134. 加瀬完

    加瀬完君 だから、CBR値は幾らなんですか。
  135. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 政府委員からお答えさせます。
  136. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 前回もお答え申し上げましたように、富里地区の地質の調査をいたしております。その資料は、昭和三十八年経済企画庁で発行した「全国地下水資料台帳」、その他建設省の計画局で発行しました「東京湾周辺地域の地盤」、千葉県の開発部で出しました「京葉工業地帯地盤調査報告書」、それから貝塚爽平という方の書かれました「関東平野の地形発達史」、関東ローム研究グループの「関東ローム」、深田地質研究所の「関東地方地質図」というようなものを参照しました結果、富里及び八街地区の土質につきまして土砂の処理、地盤の支持力等につき工事上問題がないという結論に達しておる次第でございます。  なお、CBR価はどうかということでございますが、われわれとしては、このようなことで一般的に飛行場地域として適地であるかどうかというようなことをもちろん事前に現地調査等もいたしてございますが、こういうような資料によって客観的に判断をしたわけでございまして、先生からCBR値が二ないし三であるというようなお話がございましたが、われわれとしてはそういうような具体的な数値は出しておりませんが、御承知のように、この富里周辺といわず、関東一帯がいわゆる関東ローム層でおおわれておるのでございまして、この条件はわれわれとしては同じ、あるいはもっと関東ローム層の厚い、条件の悪いところもあるという判断のもとに立ちまして、工法上適当な措置を講ずることによりまして支持力上何ら危倶がないというふうに考えておる次第でございます。
  137. 加瀬完

    加瀬完君 地質調査現地でなさったというわけですから、この断層図をお持ちですね。お見せくださいませんか。
  138. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 先ほど申し上げました経済企画庁の「地下水資料台帳」による柱状図でございまして、断層図をまだつくっておる段階ではございません。
  139. 加瀬完

    加瀬完君 ここはどこでも調査はまだしておらないのです。  建設省に伺いますが、ここは下が成田層、谷状をなしておる。上が関東ローム層であります。それでCBR値は三です。そういうところの工事費あるいは工事技術上は問題がありませんか。
  140. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 関東地域の地質調査というものは建設省、国土地理院等でやっておりますが、その特定の地域の地質についてはいま私は承知いたしておりません。ただ、飛行場をつくります場合には、おっしゃるとおりに、地盤と申しますか、あるいは飛行場滑走路の地盤、これは非常に重要なものでありますが、これは技術的に解決できるものと思います。
  141. 加瀬完

    加瀬完君 運輸省はどうですか。
  142. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 先ほど答えしましたように、一般的に地質としては特に条件としては特異なものではない。つまり、位置決定条件としては心配ないというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  143. 加瀬完

    加瀬完君 調査しましたか。
  144. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 先ほど申し上げました資料によって判断をしたわけでございます。
  145. 加瀬完

    加瀬完君 調査したわけですね。
  146. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) ただ、実際の工事をする場合には、もちろん断面図その他をもちまして十分その工法等を検討を加え、工事をすることはもちろんでございます。
  147. 加瀬完

    加瀬完君 事前に調査をしないで、決定をしてから調査をして不適地であったということでは困るでしょう。現地調査はしておらない、地質調査もしておらない、これははっきりしておりますね。  次に官房長官に伺いますが、千葉県知事はこういう条件出しておりますね。土地等の補償価格の基準については、千葉県知事が住民を納得せしめ得ると判断した価格とすること、これを承認しているということですが、そうですが。
  148. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 富里地区の用地を買収するためには地元の納得を必要といたしますので、知事が言われましたように、地元を納得せしめ得る価格というものを政府は承認をしてもらいたいというようなことでございましたから、これはやはり責任がある知事の立場に立って地元を納得させるために必要な程度はひとつ承認する方向でいく、尊重していくということを知事には申し上げた次第でございます。
  149. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、適正価格が二十五万ないし三十万という畑を、百五十万、二百万で買うということが宣伝されておりますが、地元で三百万、二百万を要求すれば二百万で買い取るということですか。
  150. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 土地の価格はその土地その土地によって多少の差異があると思いますが、これはやはり良識によって判断をして、あらゆる諸案件を勘案いたしまして、適正な価格というものによってわれわれは了承するつもりでございます。知事の要求を私らが聞いたのも、大体そういう意味での良識にのった一つの価格である、かように了解いたしております。
  151. 加瀬完

    加瀬完君 地元は二百万も要求したとしまして、地元を納得せしめ得る価格というのは二百万です。それを知事が要求した場合、適正価格が三十万である場合どうなりますか。百五十万、二百万ということで買えるのですか、買えないのですか。
  152. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 知事からはまだ具体的な数字が出てきておりませんが、私らはやはり価格というものには一定の常識的な基準がある、かように考えております。
  153. 加瀬完

    加瀬完君 公共用地の取得に伴う補償基準を適用するのか、しないのか。
  154. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私はどこまでも地元の方々の了解を得て納得ずくでものごとは解決していきたい、かように考えております。
  155. 加瀬完

    加瀬完君 建設大臣に伺いますが、そうすると、今後公共の必要性がある場合は、公共用地の取得基準はやめて、地主の納得する額で交渉を進めるという新しい方式に移るわけですね。そう認めてよろしゅうございますね。
  156. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私が先ほど申し上げましたのは、できるだけ地元の人と納得のいく方向で解決するように努力をいたしますということを申し上げておるのでございます。
  157. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 私に対するお尋ねの趣旨は、地価の問題をどう見るかということであろうと思います。地価の問題については補償基準等がありますから、それに準拠して解決すべきものであると思います。ただ問題は、ああいう場合に農業その他が多いと思いますが、そういうところを飛行場等に使いますと、いろいろ現地では移転等にお困りの場合があると思います。そういうあとの再建計画について十分考慮したいということは別の問題でございます。
  158. 加瀬完

    加瀬完君 公共用地の取得に伴う補償基準は守るのか守らないのか、お答えをいただます。
  159. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 当然にこれに従って算定するわけでございます。
  160. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、知事の要求というものもこれは聞きおく程度ですね。これによって価格がきめられるということはあり得ませんね。運輸大臣いかがですか。
  161. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は新空港の用地買収に対しましては、知事の地元の意向等を勘案されて出される意向というものを尊重して話を進めてまいりたい、かように考えております。
  162. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 大臣の答弁を補足させていただきたいと思いますが、先生指摘のように、公共用地取得に伴う損失補償基準要綱を用いることは、先生お聞きのとおりでございます。ただ、この要綱に書いてございますように、土地の正常な取引価格につきましては、第八条に、御承知のように、近傍類地の取引価格を基準として定める、基準とすべき近傍類地の取引価格については、取引が行なわれた事情、時期等に応じて適正な補正を加えるということがございますので、この補正等を加味をいたしまして正常と考えられる取引価格を形成するという趣旨のことを大臣は申し上げた、そういううことでございます。
  163. 加瀬完

    加瀬完君 建設大臣はけっこうです。  農林大臣に伺いますが、富里空港敷地のためにつぶれ地のできる農地の面積は、水田、畑、宅地、山林についてどういうことになっておりますか。
  164. 坂田英一

    ○国務大屋(坂田英一君) 空港敷地といたしましては七百万坪と聞いておるのでありますが、これが具体的に最後の位置を確定しないと正確にわからぬわけであります。すなわち、山林もあり、いろいろございまするのでありまするから、その地帯においてどこということに確定いたしまして初めてそこに農地が幾ら、山林として幾ら、その他幾らということが出てくるわけでありますが、その点がいまはっきりわかりませんわけでございます。
  165. 加瀬完

    加瀬完君 この富里の比率は、宅地一、水田三、山林一〇、畑二三ということになっております。この富里における山林はどういう農地上の役をしておるか御存じですか。
  166. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) 山林といたしましては、ところによりましては、薪炭、あるいは採草地の用をなし、また土地の保全上の問題、あるいは水、水源地帯ですか、いわゆる土地保全の用途といったようなことに相なっておると思います。
  167. 加瀬完

    加瀬完君 違うのです。ここは風が非常に強いので、みんな防風林の役割りをしておるのです。この防風林がないと、畑としての価値が出てこないわけです。それを推計いたしましても、少なくも千六百町歩は代替地を必要といたします。しかし、代替地はいま六百町歩といわれておりますね。千六百町歩が立ちのかなければならないのに、六百町歩にどうして入れますか。何か政府で具体的な案がございますか。
  168. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) 私といたしましては、その敷地が、具体的にそこの場所が確定いたしませんと、その点が私としてははっきりいたしませんわけでございまするから、何とも言われないと申したわけでございます。
  169. 加瀬完

    加瀬完君 つぶれるのが千六百町歩、代替地を必要とするつぶれ地が。代替地はないですよ。ございますか。
  170. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 運輸省として代替地を必要としておる土地は千六百町歩とは少し数字が違うようであります。その点は政府委員からお答えさせます。
  171. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 空港に必要な土地面積は約七百万坪でございますが、県当局との事務的な打ち合わせの結果は、約四百万坪の代替地が必要であり、またこれで十分だろうということになっておる次第であります。
  172. 加瀬完

    加瀬完君 じゃ、その代替地はどこですか。
  173. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 代替地につきましては、政府部内でもいま非常に県等と打ち合わせの上で具体的な地域を検討しておるわけでございますが、たとえば付近の山林百七十万坪、その他県の所有の土地、国有地等でおおむねこの必要な地域は充足し得るという内部の検討の一応のめどが立っておる次第であります。
  174. 加瀬完

    加瀬完君 数字を述べてください、詳しく。大臣、いまの内容の数字
  175. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 先ほど申し上げましたように、山林等を加えまして四百万坪という数字出しているわけでございますが、これはまだ部内の検討の数字でございますので、これは内容について申し上げることは御容赦を願いたいと思います。
  176. 加瀬完

    加瀬完君 ないですよね。御容赦にも何もないですよ。いまあなたがあげた県有林とか国有林とかというものは、国有林は御料牧場を充てているのでしょうが、これは畑になるのは三百五十町歩ですよ。千六百町歩つぶれるのに同質の畑とややみなされるところが三百五十町歩、あとは竹林でしょう。これは畑にはなりませんよ。五十年かかりますよ、畑にするのには。どこにもないでしょう。ありますか。
  177. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 具体的な地点につきましては、県の専門のところにもお願いしていろいろ調査をしているわけでございまして、われわれとしてはこれが代替地として提供し得るものであるというふうに考えているわけでございます。ただ、具体的にこれをどこどこということを申し上げることは、先生も御承知のとおり、まだ政府部内の打ち合わせの段階でございまして、地元等の影響もございますので、ここで申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  178. 加瀬完

    加瀬完君 農林大臣に伺いますがね、こういうことですから、全然代替地なんかないのですからね。補償も望まなければ、代替地も望まない、絶対反対だという農民が絶対多数です。こういう状態空港をつくられた場合、農村なり農民の生活というものはどういうことになりますか。これでも農林大臣としては空港に賛成だというお立場をおとりになりますか。
  179. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) 先ほど申し上げたように、この富里地区ということに相なっておりましても、具体的にどこにきまるかという問題は私は存じておりませんので、そこで、それらのどれだけの面積というもの、代替地がどうかという問題がわかりませんことが一つ。もう一つは、やはり代替地を要求するという農民の方と、それから農民以外の若干の方、あるいは農民の方であっても、話し合いによりまして職業転換という問題もありましょう。それらの点がはっきりいたしませんと、どれだけの面積が代替地として要求されることになるかという、そういう点については私にはわかりませんと、こう申したわけでございます。  なお、これらの富里地区は非常に農業地としてはりっぱな土地でありまして、できることなら私もこれには賛成はいたさなかったわけでござます。しかしながら、国際空港はどうしても急いでやらなければなりません実態にありまするし、しこうしてまた、この地帯が、東京都を中心にしてこの地帯以外にないという結論でありまするので、その結論でありまする以上は、これらに対してできる限り地元あるいは県当局その他全般としてこれらに協力して早く建設できますることを期待しておるようなわけでございます。
  180. 加瀬完

    加瀬完君 条件で賛成をするものを除いて、ぎりぎりのかえ地を要求する町歩が千六百町歩あるわけです。ところが代替地は、その三分の一にも満たない、こういう状態で、この地域の農業経営ができますか。
  181. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) お答えしますが、代替地としては、この富里地区だけでなしに、全般にこれはやはり考えなければならないと思います。国有林を見ましても、十五度以内の国有林と申しますと、千葉県だけでいきますと、先ほど指摘のように三百数十町歩ぐらいあるかと、こう私も調査はいたしておりますが、これらの問題点については、先ほど申しましたようなことが具体的にまいりまするということによっていろいろまた面積等についても考えなければならぬのではないかと、私はかように存じておるのでありまするが、なお、先ほど運輸大臣等からお話しのように、それらについての腹づもり等については、地元との話し合いもありまするから、ここで申し上げることはお控えしたいというとともありますが、私としてはその程度に申し上げておきたいと思います。
  182. 加瀬完

    加瀬完君 それは、お控えなくお答えをいただかなければなりませんが、千六百町歩の要求に対して四分の一か三分の一しかかえ地がないという状態空港の設置に農林大臣としてが御賛成いただいたいとすれば、一体農民の農地や生活に対する保護ということはどういうことになりますか、そのお答えを伺っておきたいのです。前の農林大臣反対とお答えになっておる。
  183. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) お答えいたしますが、それらについては、その全体の交渉の結果どれだけになるかという問題になろうかと思うのでありますが、あなたのお調べもあるいは間違いはないかもしれませんが、いろいろ交渉をいたしますることによって、いろいろとまたそこに問題が具体的にきまってくるわけでございます。なお、こういう問題でありまするから、この代替の問題とかあるいはこの転換に要する経費といったような問題については、十分これは考えていかなければならぬということは、私も強くそれを感じておるわけでありまするし、それらに対しては十分主張もいたしたい、かように存じております。
  184. 加瀬完

    加瀬完君 代替地もない、生活の保障も立たないというときには反対をなさっていただけますね、農民の立場から。代替地もない、保障もない、立たないという場合には。
  185. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) それは地元との話し合いの結果によるのでありまして……
  186. 加瀬完

    加瀬完君 結果がそうなったら。
  187. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) いま私からここで何も申し上げることはできないと思うのでございまするが、代替地は何も得られない、あるいはそういうことについてその生活の転換もできない、そういうことで農民を路頭に迷わすというようなことになるということであれば、これは農林大臣反対だけじゃなしに、そういうことは絶対させるわけはない、こう申し上げておきます。
  188. 加瀬完

    加瀬完君 新国際空港は、空港公団によって政令で決定された位置の区域に建設が始まるわけでございますが、この工事実施計画を作成して、これを運輸省が認可をして建設が始まるということになりますね。
  189. 中村寅太

    ○国務大原(中村寅太君) そのとおりでございます。
  190. 加瀬完

    加瀬完君 すると、この認可については、航空法は準用されますね。
  191. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) さようでございます。
  192. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、航空法三十九条一項の五号も準用されますね。
  193. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) さようでございます。
  194. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、工事実施計画の敷地内の所有権並びに使用権が確実に取得できない場合は認可することができないということになりますね。
  195. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 三十九条の規定は、先生のお話のとおりでございます。
  196. 加瀬完

    加瀬完君 敷地関係町村の議会が絶対反対決議をしておるのは、確実に使用の権原を取得できない状態とは判断できませんか。
  197. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 一般の飛行場の設置許可に際しまして航空法の規定が準用され、認可申請及び認可に際しての一定事項の告示、一定の基準に適合をしているかどうかの審査にあたって公聴会の開催ということは先生のお話しのとおりでございます。  なお、先ほどのお話しの、第一項第五号の規定によりまして敷地の所有権者のかりに反対が非常に強い場合に、この基準の趣旨に徴し十分なる検討をなすべきではないかということは、そのとおりで、そういうふうにわれわれとしても考えておるわけでございます。すなわち、運輸大臣空港敷地が確実に取得できる状態にあるかどうかを認定するにあたりましては、その実態を十分見きわめる必要があるわけでございまして、単純に反対者の数のみによって判断をすべきものではなく、反対の内容等をやはり十分に見きわめてこれを行なうべきであると実態的問題としては考えておるわけでございます。先生指摘のように、富里村付近に相当な反対が強いということはわれわれも知っておるわけでございますが、今後これらの反対者についてその反対理由等を十分調査検討をいたしまして、納得のいくような住民対策を講ずることによりまして、用地の取得について協力が得られるようわれわれとしては努力をしたいと考えておる次第でございます。
  198. 加瀬完

    加瀬完君 二年有半、反対がますます強まってきて現在は七割ではございません、八割をこえております。こういう状態でも一体敷地内の所有権並びにこれを使用する権原を確実に取得し得る段階だと御判断になりますか、大臣
  199. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、反対の内容等を検討いたしますときに、住民の方々と誠意を持って交渉を続け、納得していただけるものとかたく信じております。
  200. 加瀬完

    加瀬完君 では、確実に取得の有無はどうしてきめますか、これは法律的な問題。
  201. 高辻正巳

    政府委員(高辻正巳君) 法律的な問題として御提示になりましたので私から申し上げさしていただきます。  御指摘のように、航空法の規定によって、ただいまの規定が新空港の場合にも準用されておる。その場合に、「確実に取得することができると認められる」かどうかというのが問題の中心だろうと思うのでありますが、これは申すまでもなく、取得しようとすれば取得が確実に実現することになるという見込みが成立する、その場合には、見込みにはなりますけれども、とにかく確実に取得できるということが前段階にあるわけでございます。確実に取得することができるかどうかという場合には、いろいろな、当然のことでありますけれども、法的手段の有無あるいは法的手段によって目的達成の能否の問題、そういうものがあるわけで、通常の場合には、普通には契約というものがございます。また、ものによっては土地収用法の規定による収用ということがあり得ることは御承知のとおりでございます。契約の場合には、契約の締結者が契約を締結しなければ話になりませんから、むろんこれはどうも一人でも反対があればだめだということになるのも当然でございますし、また、土地収用法の収用の規定によることになれば、またそれはおのずから要件がございますので、その要件に適合するかどうかということが第二に問題になります。たとえばどういう要件があるかといえば、すでにその土地について公益上の目的のための事業に供されている場合には、より以上公益性が高い場合でなければいけませんし、それから、先ほど来いろいろ御議論がございましたように、土地を特定の事業の用に供することが公益上適正かつ合理的であるかどうかというようなことが問題になりましょう。したがって、反対論が大いに強いという場合には、むしろ、この後段の場合について一つの認識があるのではないか。その認識がそのとおりであるとすれば、土地収用法上の要件の発動ということができないわけでございますから、それもまたむずかしくなる。要するに、そういうかっこうで、ものごとの筋道としてはそういうことであろうと思います。
  202. 加瀬完

    加瀬完君 ついでに法制局長官に伺いますが、空港敷地のためには土地を売らないという委任状を地域関係者の九割が提出をして一人の人にまかせたという意思がはっきりしておる場合は、確実に取得する見込みが立つと御判断になりますか。
  203. 高辻正巳

    政府委員(高辻正巳君) まことに恐縮でございますが、その委任の中身は、恐縮ですがもう一言お示し願いたい。
  204. 加瀬完

    加瀬完君 空港には反対だ、したがって、空港敷地のために土地を提供することは一切断わる、で、そういう意味の売買は一切あなたにまかせる、こういう意味の……。
  205. 高辻正巳

    政府委員(高辻正巳君) これは売買……。
  206. 加瀬完

    加瀬完君 売買しないことをまかせる。
  207. 高辻正巳

    政府委員(高辻正巳君) これは所有権の中身として、おそらく所有権者はその所有の対象になっているものの処分権を持っているわけですから、いずれにしても、当該所有権者自身が売る意思がないという場合には、むろん、よくやる契約上の処理としてはできないことは確実であります。しかしまた、収用というようなことになりますと、さっき申しましたような収用上の要件に適合するかどうかということが残った問題になるだろうと思います。
  208. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、上地収得法を適用するということになりますか、官房長官
  209. 橋本登美三郎

    政府委員橋本登美三郎君) 法律問題はお得意のほうでありませんので、それは法制局長官からお答え願いますが、ただ、こういう問題は、御承知のように、社会党のほうでも、東京近辺に国際新空港の必要であるということはお認めになっているわけであります。問題は、富里飛行場として条件に適しているかいないか。加瀬さん等は条件として適していないじゃないか、こういう御意見のようであります。政府のほうは、従来三十数カ所にわたって調査した結果、富里が適当である、こういう結論出して、富里を昨年の暮れに内定をいたしておるわけであります。そこで土地の取得の問題ですが、もちろんこういう国家的要請に基づいての仕事でありますからして、何としても、これが正式の決定を見た場合はこれを実現しなければならないことは、これは当然のことでありますからして、最善の努力をして納得づくでできるだけ国家的要請に基づいて理解を願って、これが解決をはかる。単なる法律問題だけでこれを片づけるということでなくて、大きな政治目標から考えましても、十分に関係者のお考えに対して理解を求めて最善の努力を尽くすということになろうと思います。
  210. 亀田得治

    ○亀田得治君 関連。官房長官でも運輸大臣でもいいのですが、最終的には、土地収用法の発動ということを考えておるのですか。結論だけはっきりしてください。
  211. 橋本登美三郎

    政府委員橋本登美三郎君) ただいま申し上げましたように、法理論的に言えば、さようなことが、最終的に土地収用法ということが、法律的にはそういうことが言い得ると思います。法律上はそうであります。けれども、政治を行なう上においては、必ずしもその法律だけで事を運ぶだけではなくして、先ほど来から申しましたように、野党である社会党にいたしましても、いわゆる国際空港が必要である、今日の羽田空港だけでは航空の安全を保障し得ないということは、十分に認めておられるわけであります。したがって、これが国家的要請、国際上における日本の地位の問題、かような点から考えれば、これは十分に関係の方々に理解を求めてそうして解決する道があると確信をいたしておる。したがって、政府は、御承知のように、空港関係閣僚協議会を開いて、今日までいわゆる補償に関する問題——先ほど来適正価格の問題も出ましたけれども、この空港の場合は、いわゆるこの土地そのものに関する補償だけで済むべき性質のものではありません。たとえば道路で土地を買う場合は、その買われた付近の土地が値上がりをするとか、あるいは、道路、市街地の拡張の場合は、それによって利益を得るものがあります。けれども、空港の場合は、全くこの人たちがいわゆる職を失い、あるいは土地を失うのでありますからして、単なる土地の適正価格だけでこれは決定されるべき性質のものではありません。したがって、ただし書きにもありましたように、その他の条件を加味して考えるのでありますからして、地元の方々の要望するものに対して、これをそのまま受け入れるというわけではありませんけれども 最善の努力をして地元の人が十分に理解し得るような道を講じて補償のことも考えよう。あるいは、将来の生活安定についても、閣僚協議会でやっておりますことは、単なる土地の買収だけではなくして、将来のいわゆる住民、離職——土地を離れる人たちの将来のことも考えてこれを考えよう。先ほど来、はたしてそれに対する土地が余裕があるかというお話がありましたが、なるほど千葉県下においては千何百町歩というものが要求があれば、それを満たすところはないかもしれません。けれども、千葉県の付近の県あるいはその他を考えて、国として政府が政策を断行するのでありますからして、最善の措置を政府が講ずる。土地を離れる人に対しては、これはもうできるだけ国民の一員として路頭に迷うことのないように措置をする、こういう決心のもとに最善の道を講じたい。  したがって、単なる法律論でこれを解決する意思はありません。できるだけ地元住民の理解を求めて、お互いに国家興隆のために尽くしてもらう、かような精神でやってもらいたいと考えております。
  212. 亀田得治

    ○亀田得治君 ちょっともう一点。
  213. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 簡単に。
  214. 亀田得治

    ○亀田得治君 簡単にやります。たいへん親切な詳細な答弁があるんですが、端的にひとつお答え願いたいんですが、少なくとも現段階では収用法の発動といったようなことは政府は考えておらないというように受け取っていいですか、いまのところでは。
  215. 橋本登美三郎

    政府委員橋本登美三郎君) ただいまお話し申し上げました精神のもとにやってまいりたいと思いますから、いまの段階においては、亀田さんのおっしゃるとおり、直ちに土地収用法を準用するという考えは持っておりません。
  216. 加瀬完

    加瀬完君 航空法の三十九条の一項の五号の規定、あるいは一項の二号の規定というものを総合して判断をいたしますと、土地収用法を発動をして確実に取得できればよろしいという前提には読み取れないと思いますが、いかがですか。
  217. 高辻正巳

    政府委員(高辻正巳君) 収用法を発動することの有無については、官房長官仰せになったとおりで、私がそれに加えることはございませんが、いまお尋ねの点につきましては、確実に取得することができると認め得るかどうかという点につきましては、私は先ほど二つの方面から実は申し上げまして、契約による場合はもうこれは詳しくは申しませんが、飛行場のまん中にたった一人の反対者がいましても、これは契約による限り、相手が譲らなければ、それに乗ってこなければ話にならぬということがございます。したがって、そういうやり方でいえば、確実に取得ができるということにはならぬということは明らかであろうと思います。ところで、これは事業の性格いかんによってでございますけれども、たまたまいまの問題は飛行場のことでございますので、私がこれを特に法文をあげて御説明するまでもなく、実は土地収用法の対象事業になっております。そこで、だからそれではできるんだと簡単にはまいりませんで、実はそうでありましても、土地収用を発動する要件というものがやはりございます。でございますが、たとえばどういうのがあるかといえば、先ほども多少触れましたが、その土地がすでに他の公共の利益となる事業の用に供するために使用されている場合、これは飛行場の設置がその事業より公益性が強いと認められなければ話にならぬとか、それから土地収用法のまたもう一つありますのは、そういういま言ったようなととはなくても、その土地飛行場の用に供することが土地の使用上適正かつ合理的であると認められるかどうか、これはまた大事な要件の一つでございまして、これがそうでないと事業認定ができないということがございます。したがって、そういうことの見きわめがつかないと、やはり確実に取得されるということにはならないということになるわけです。したがって、土地収用法の規定がこの場合には問題にならないと言うことはできませんけれども、しかし、それができるとしても、その中身自体で何でも収用できるというわけではございませんので、その辺の見きわめがつかないときまりがつかないと、こういうことになるわけでございます。
  218. 加瀬完

    加瀬完君 ぎりぎり三分の一近い反対が残ればこれは要件が満されているとは認められないという法制局の御見解が昨年あったわけですが、それはそのとおりでよろしゅうございますね。
  219. 高辻正巳

    政府委員(高辻正巳君) たしか昨年でございましたか、加瀬委員の御質疑に対して私のほうの四部長だったかと思いますが、お答えをしたことがあることを私も承知しております。で、その点は、これはだいぶそのときいろいろ論議がありまして、先生からもだいぶ御議論があって、いま仰せになりましたようなところが出たのかと思いますけれども、いま申し上げたように、実は三分の二であるかどうかというのは、ほかの法律にはまあ出ておりますが、この場合には出ておらない。先ほども申し上げましたように、確実に取得することというふうに認められるかどうかというととでございますから、確実にということはこれは非常にパーセンテージは高いわけでございます。ただ、見込みでございますから、それが誤ることがないとは言いませんけれども、確実というのは相当高くなければいかぬということにはなると思います。しかし、その場合に、土地収用法の場合には、これはまあ憲法の規定を引っぱり出すのもよけいでございますけれども、要するに、公共の用とそれから市民の財産権の保護ということは、これは非常に微妙な関係がございまして、憲法二十九条では、公共のために利用することができる、補償をしなければいかぬけれども、というわけで、そういう道を講じておるわけでございますから、反対があれば収用ができないということを簡単には実は言えないわけでございます。要するに、反対があるというのが非常に多くの方々の反対であるというのには、何か理由があるんだろう。その理由を突き詰めて言えば、その理由になる事情というものが、収用法に合わせて言えば、その土地をそういう事業に使うことが適正かつ合理的であると見られることについての御疑問、われわれの法律屋としてはそういうふうなところにあるんではないか。もしそれが真実であれば、土地収用法を発動するわけにいきませんから、たぶんそういう意味で三分の一の反対があればそれはむずかしいと、こういうことにはなると思います。しかし、それはやはりそういう事情がはたして何であるかということを結局は認定権者がよく認定をしまして決断をしなければならぬということに相なるわけでございます。
  220. 加瀬完

    加瀬完君 この航空法の別の項に、飛行場の周辺の住民の生活を著しく害してはならないという意味のことが規定されておりますね。そうなってまいりますと、少数な一%、二%というならともかくも、三〇%以上の反対が残っておるのに、土地収用法をかぶせれば確実に取得できるという読み取り方は無理ではございませんか、航空法全体から推して。
  221. 高辻正巳

    政府委員(高辻正巳君) お答え申し上げますが、ただいま御指摘の条文は確かにございます。これは収用の場合に実はその意に反して——収用というのはその意に反して取る場合が大体の場合でございますので、その意に反するという者があれば収用ができないんだということは、これはわれわれとしては言い切れないと思います。しかし、そうであるから、やはりそういう場合についてはいろいろ国としても配慮すべき限りの配慮をする。むろん、補償は法律上の必要事でございますが、そのほかに生活上いろいろの配慮をすべきであるということが、実は規定があってもなくても私は同じだと思いますけれども、特にある場合でございますから、そういう考慮はさらに加えるべきであろうということは仰せのとおりであろうと思います。
  222. 加瀬完

    加瀬完君 収用法の適用をもしした場合、空港の用に供しない住居に対して土地収用法が適用できますか。
  223. 高辻正巳

    政府委員(高辻正巳君) 当該公共事業の用に供する場合には、たしか規定がありまして、それを収用することができるということになっていたと思いますが、そうでない場合には、これはある場合には移転をさせる、他の場合には、これは請求に基づいてであったと思いますが、収用することもできるという法制の立て方になっております。
  224. 加瀬完

    加瀬完君 移転というのは、法律的にどういうことですか。
  225. 高辻正巳

    政府委員(高辻正巳君) 移転というのは、法律的に特別に意味があるということではないと思いますが、御質疑に応じて申さなければならぬかもしれませんが、ある場所からある物件を他の場所に移すことをいうというのが通常の移転の概念であろうと思います。
  226. 加瀬完

    加瀬完君 ですから、運搬をして復旧をすることですね。破壊をすることもできますか。
  227. 高辻正巳

    政府委員(高辻正巳君) 通常、移転という場合には、むろん、その物件をその正常の姿において移すと、したがって、その移す段階において、ある部分の形状が変わるということはあり得るかもしれませんが、概して言えば、その物を一定の場所からよその場所に移すということになるべきものであろうと思います。
  228. 加瀬完

    加瀬完君 破壊はどうです。破壊できますか。
  229. 高辻正巳

    政府委員(高辻正巳君) 移転と破壊は同じかといえば、同じではないと思います。
  230. 加瀬完

    加瀬完君 破壊はできますか。移転ということで破壊をすることができますか。
  231. 高辻正巳

    政府委員(高辻正巳君) それは、先ほど申し上げた請求に基づいて収用するという口にならないと、移転という理由で破壊をするということはできないと思います。
  232. 加瀬完

    加瀬完君 それから、土地収用法で、土地の下に埋まっておる墓地の埋葬物件は、これは収用できますか。
  233. 高辻正巳

    政府委員(高辻正巳君) どうも、埋葬物件といえば、これを収刑するということはできないと思います。やはり移転の口に入るべきものであろうと思います。
  234. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、具体的に言って、墓場の下の仏さまは、これは墓地の所有管理軒が改葬申請をして町村長が改葬許可を与えなければ、移すわけにはまいりませんね。
  235. 高辻正巳

    政府委員(高辻正巳君) 墓地、埋葬等に関する法神によってそういうことになっております。
  236. 加瀬完

    加瀬完君 それなら、反対者が多くて墓場を移さないと言う限り、飛行場はできないじゃありませんか。どうでございますか。運輸大臣、ひとつ伺います。
  237. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) できるだけ地元の方に御相談をして納得してもらって移転をしてもらうつもりでございます。
  238. 加瀬完

    加瀬完君 相談に乗らなければできないということはこれではっきりしましたから、この質問は打ち切ります。もうできませんから、ひとつあきらめてください。  で、自治大臣に伺いますが、この敷地に該当する三カ町村、周囲の五カ町村、合わせて八カ町村が、議会の決議富里空港を設置することは反対だという決議をいたしておるわけです。これをどうお取り扱いになりますか。
  239. 永山忠則

    国務大臣(永山忠則君) 富里空港関係におきましては、その公共性等をよく認識していただきまして、そうして、地元民の土地の買収に対してはその価格の問題、また、離農就職希望者に対しましてはその職業のあっせん、あるいは、農業希望者に対しましては代替地のあっぜん並びに条件の整備、また、騒音対策等、あらゆる点を十分話し合いをいたしまして、これが御協力を願うように努力を続けまして実現に進みたいと考える次第でございます。
  240. 加瀬完

    加瀬完君 だから、大臣のおっしゃるような種々検討の結果、これは反対をすべきであるということで、条件は要りません、あるいは就職希望もございません、現状で農家経営をさしていただいておれば永久に子孫は安泰ですという結論になって、絶対多数で反対決議が行なわれたわけでございまして、これはどういう御説得があろうとも変わる様相はごうもございません。結論は、もう二年半の結果こういう結論になったわけであります。で、この自治体の結論というものを自治大臣としては当然これは尊重すべきだと思いますが、そういう趣旨で関係閣僚懇談会で御努力をいただけるものと思いますが、いかがですか。
  241. 永山忠則

    国務大臣(永山忠則君) 地元民の要望に対しまして十分あらゆる点で努力をいたしまして御協力をいただくように、今後もあらゆる点で努力を続けてまいりたいと考えておる次第でございます。
  242. 加瀬完

    加瀬完君 まあそれは大臣として当然でございましょうが、少なくとも、知事もそうでございますが、自治大臣といたしましては、現地状態というものをそのまま閣議に反映をさせるこれは義務があろうと思います、自治体では反対という議決が行なわれておるわけでございますから。この点を実情を十分調査をなさいまして、あるいは、町村長を招致いたしまして事情を聞きまして、これをそのまま——判断をするのは皆さま方ですけれども、一応自治大臣としては、閣僚懇談会でございますか、そこに住民の意思というものを反映するこの仲立ちをしていただけますか。
  243. 永山忠則

    国務大臣(永山忠則君) 住民の意思は、お説のように十分仲立ちをいたすのでございますけれども、また、住民に協力を願うことのできるように今後も努力を続けたいと考えるのであります。最初、まあ決定的ではございませんけれども、買収価格の関係やら、あるいは離農就職の問題やら、あるいは土地の代替の問題、騒音対策、こういうようないろいろの点を総合すれば御協力を願えるのではないかという情勢でございましたのでありますが、その後変わってきておりますが、そういうような気持ちも一時はございましたような関係がありますので、今後もあらゆる努力をして御協力を願うことはできるのではないかというふうに考えておりますので、引き続いて努力をいたす考えでございます。
  244. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 法制局長官がちょっと発言を求めておりますから。先ほどのあなたの質問に対する答弁の補足であります。
  245. 高辻正巳

    政府委員(高辻正巳君) 先ほど埋葬物に関しての御質疑がございまして、その際、私ではございませんでしたが、御質問がございました遺骨等の物件に関してでございますが、これについてもう一言申し上げておきたいのは、その移転につきましては、土地収用法の八十五条もしくは九十九条等に代執行の制度がございますので、その点を念のためにお知らせいたします。
  246. 加瀬完

    加瀬完君 代執行でも、町村長が改葬を許可しない限り、代執行ができないでしょう。それはまああとでいいです。  自治大臣千葉県知事からこういう申し出があるはずでございますね。最近の現地情勢は、政府よりの条件の提示があっても、すでにその時期を失し、説得は不可能に近いと判断せざるを得ない段階となりましたと。この現状をお認めになりますか。
  247. 永山忠則

    国務大臣(永山忠則君) ただいまのような状態であることを聞き及んでおるのでございまして、もう少し早く十分御了解を得るべく努力を続けていくべきであったとも考えるのでございますが、しかし、最初はいろいろな諸条件について折衝をする心がまえを持っておられたようにも聞いておるのでございますので、今後も努力をいたしたいと考えておりますが、ただいまのお説は聞き及んでおります。
  248. 加瀬完

    加瀬完君 官房長官に伺いますが、いま申し上げましたとおり、知事は、最近の現地情勢は、政府よりの条件の御提示がございましても、説得は不可能に近いと判断せざるを得ない段階でございますと、そういう報告を県議会においてもしておるわけでございます。そうなってまいりますれば、航空法三十九条の条項から推しましても、あるいは墓地埋葬の件の問題から推しましても、ここらで現地の情勢というものが反対が絶対にあるということでやはり航空法の制憲の趣旨で勘案をすべき段階でございませんか。
  249. 橋本登美三郎

    政府委員橋本登美三郎君) 友納千葉県知事も、この問題についてはたいへんに苦労しておられるようであります。まことに恐縮に思っております。いろいろ与党の国会議員関係の方々、あるいはまた野党の皆さんにつきましても、国際空港の必要なことについては一様に強く感じておられまして、特に与党といたしましては、政府の方針に従ってこれが解決をしようということで、地元国会議員各位が千葉県知事と幾たびか懇談を重ねてまいっております。ただいまお話がありましたように、現地の状況は必ずしも楽観を許さぬようであります。私たちも決して楽観はいたしておりません。しかしながら、何といっても、これは皆さん御存じのとおりに、この国際空港が日本にできないということになれば、日本の将来の上からとってもたいへんな損失になることは、これは明らかであります。もちろん、富里以外に適当の地がいままで検討の結果ありましたならば、これは問題もないわけでありますが、過去二年間にわたって十分に各方面を精査した結果、やはりいろいろな地理的条件等から考えて富里が適当であろう、こういう結論を得て、審議会の結論を得て、政府もその点に従って審議を進めてまいっております。したがって、友納知事といたしましては、この大きな問題をしょってたいへんに苦労されていることはまことに恐縮ではありますけれども、ただいまのような御報告がありましても、なおわれわれといたしましては、政府といたしましては、知事さんの御苦労に十分に感謝しながらも、なお一そうの御努力を願って、よく話せばわかることでもあろうと考えております。その意味で、うまずたゆまず、非常に困難な任でございますが、うまずたゆまず一人一人を説得して、そうして国家興隆のために御協力を願いたい、こういう方針に変わりはありません。できれば、なるべく早い機会に正式決定にもしたいと考えておるような次第であります。知事とも私は最近会っておりませんけれども、近い機会に知事さんとも会ってよく政府の考え方を述べ、かつまた地元の方々に対しても政府の考え方を理解してもらって、この国際的な大事業の完遂に努力いたしたい、かように政府といたしましては考えておる次第であります。
  250. 加瀬完

    加瀬完君 この法律に規定してある条項に照らしてみれば、現状の状態では、富里空港をつくるということは不可能という結論に当然なるわけです。そういう条件があります。にもかかわりませず強引につくろうということは、どういう方法でおつくりになろうとなさるのですか、それが一つ。  それからもう一つは、自然条件におきましても、あるいはまた、代替地、離職対策といった社会条件におきましても、現地についての調査というものは全然行なわれておらないわけですね。行なわれておるとすれば、閣僚のうち、あるいは運輸省の中で、責任者が最近にいつ現地においてあるいは町村長とあるいは現地の住民と話し合いなり現地調査をなさいましたか。全然行なわれておりませんね。そういう未調査の中で、未折衝の中で、頭からきめてかかってできるというお見積もりでございますか。
  251. 中村寅太

    ○国務大盤(中村寅太君) 第一点は、私は、御承知のように、富里地区に生活をしておられます農家の皆さん方が、非常に誠実な方であって、りっぱな方ばかりであると承知いたしております。これには立ちのいてもらうということはたいへん御迷惑であるということも重々承知いたしておりますが、それほどに大きな犠牲をしいることになりますので、皆さん方とよく相談をして、飛行場の必要なことを、あるいは、皆さん方を立ちのいてもらうために必要な処置、あるいは、将来の生活を整理、処理等をなさる場合は、そういう点に対するあたたかい処置を考えながら相談をすれば、納得していただける方々ばかりである、かように私は信じておるのであります。  第二点の、いろいろな調査をしたかということでございますが、これは、先ほどからも政府委員等がお答えいたしましたように、新空港決定いたしますに必要な調査研究等は十分いたしまして結論を得ておる次第でございます。具体的には、必要でございますれば、政府委員から御説明いたします。
  252. 加瀬完

    加瀬完君 具体的調査がないということは、前半において指摘を申し上げたとおりであります。現地に一回も行っていないじゃありませんか。折衝をするとか、あたたかい態度で対策を立てるとか言っておっても、現地に行っていない。現地に行けますか。
  253. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 現地には私も行きました。日にちはいまきちっと覚えておりませんけれども、知事さんのお世話であの地区の方々、たしか三百人くらいだったと思いますが、集まっていただきまして、いろいろ御相談をいたしました。翌日も、私は行けなかったので、政務次官その他航空局長あたり全部が参りまして、やはり二、三百人の方々とひざ詰めでるる相談をした。相談の過程におきましては、そういう団体的な相談をいたしましたが、その前に、事務当局同士は、いろいろ向こうの関係の方々との間で調査をしたり、話し合ったりするために直接行って相談をしたこともあります。かように考えております。
  254. 加瀬完

    加瀬完君 あなた、どうしてそうそらぞらしいことをおっしゃるのですか。現地といっても、富里ですよ。富里にいらっしゃいましたか。千葉にあなた行って反対派を呼んだら、反対派は全部拒否して、一人も来ない。代表だけ来て、おまえさんにはもう会う必要はない、おれらは絶対反対だと言ってしりをまくられて帰られた。それが折衝になりますか。
  255. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 集まっていただきましたのは、現地の生活しておられる方々でございます。ただ、場所千葉市でございましたけれども、そのとき一緒に話しました方々は地元の方でございます。
  256. 加瀬完

    加瀬完君 一番反対している人とは一人も話ができないでしょう。富里なり八街なり山武なりという敷地になる反対派は、全然大臣とはお話しにならない。賛成派だけの意見を聞いてお帰りになった。問題は、賛成派じゃない、反対派だ。反対派ががんばっている限りは空港はできないということは、いまるる話し合いにあったとおりです。もっと厳密に、使用条件にいたしましても、社会条件にいたしましても、調査をしてから結論を出すという態度はどうしておとりにならないのですか。
  257. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、最初申しました現地の方との懇談会のときには、反対の方も五、六十名来ておられまして、その反対意見は十分拝聴いたしました。地元となぜよく協力しないかということでございますが、私は技術的にはニカ年以上にわたりましていろいろ関係をつけながら調査検討を続けてまいっておると思っております。それから反対者と私のほうから出かけて行って会ったことは先ほど言います程度でございますが、決定いたします前、反対の方々の代表者三十人あるいは五十人というような方々と何回も運輸省でいろいろ御相談をした等のことはいたしております。
  258. 加瀬完

    加瀬完君 ぶしつけなことを伺いますが、あなた富里へ行けますか、いま。
  259. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、いま行こうと考えておりません。
  260. 加瀬完

    加瀬完君 行けますか、行けませんか。閣僚だれでもいい、富里現地へ行けますか。
  261. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 御質問の要点がよくわかりませんけれども、私は現在富里に行こうとは思っておりません。
  262. 加瀬完

    加瀬完君 行けないでしょう。反対が強いので行ったらあぶないと自民党の方がおっしゃっているじゃないですか。あぶないほど反対の強いという現状をなぜもっと現地に行って分析しないのか。反対の理由は何だ、それを分析しなくて、一体簡単に決定ができますか。これは自治大臣にひとつ伺います。どうですか、現地を見ていただけますか。
  263. 永山忠則

    国務大臣(永山忠則君) あらゆる努力をしなくちゃなりませんので、現地へも行かねばならぬと考えてはおりますが、その時期並びに行き方でございます。まず第一に考えられますことは、知事さんがこの二月二十九日の千葉県議会の際のあいさつの終わりに、なお知事は国から誠意ある地元対策の提議があって地元協力の要請があれば、この国策に対してあっせんの労をとることはやぶさかでないとの趣旨が入っておるというように聞いておるのでございますが、したがいまして、やはり現地は何といっても知事さんが中心でございますから、知事並びにその関係者と懇談をいたしまして、そうしてあらゆる点を総合して現地の御協力を願うようにいたしたいと考えます。最初、現地におきましても、三分の一賛成、三分の一が中立、反対が三分の一という状態であったのが、現時におきましては、われわれが聞いている範囲では、反対が三分の二になってきており、さらに反対の空気は一そう強まりつつあるのではないかというように聞いておりますので、よく話し合いをすればいくのではないかという気もいたしますが、やはり現地の関係者といろいろの手で懇談をやるべきである、また、やらねばならぬと考えております。
  264. 加瀬完

    加瀬完君 おっしゃるとおりですよ。そうすると、自治大臣は、現地へいらっしゃるお気持ちでございますね。
  265. 永山忠則

    国務大臣(永山忠則君) これは、政府のほうでは、対策本部長が——私もあるいは間違っておるかもしれませんが——運輸大臣でございまして、ただ閣僚協議会には入っておりますが、これを推進するのは大蔵大臣がいいか、自治大臣がいいか、どうも自治大臣やれということをまだ言っていただいておりませんので、その推進本部のほうへ私が協力するということになるならば、本部長その他政府と相談をし、地元の関係者と相談してお伺いする時期もあるかと存じますが、いまのところでは、いまの地位が推進の閣僚の委員に入っておりませんので、何とも言えないのでございます。
  266. 加瀬完

    加瀬完君 自治体を自治権を擁護する立場から自治大臣に重ねてお伺いしたいのでありますが、知事の話が出ましたが、千葉県なんか介入するから決定がおくれたんだ、われわれは土地を買収する用地マンだ、だから、初めから県なんかが入らないで運輸省だけにまかせておけばたちどころにあんなものは解決する、じゃまだから千葉県なんかどけと、どういう態度だというんですね、運輸省の用地の担当者は。こういう態度で地元に行ったら、これは流血の惨が当然起こりますよ。こういう自治体を悔辱した運輸省の考え方というものに対して、自治大臣はどうお考えになりますか。
  267. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) ちょっといま加瀬委員の仰せられましたことは、非常に大きな誤解があるようでございますから、誤解のないようにしていただきたいと思います。運輸省といたしましては、富里地区飛行場建設にあたりましては、地元の知事はじめ関係の方々の御協力を得なければ、できるなど毛頭考えておりません。今日までとってまいりました処置も、すべて県当局の意向を尊重しながら、あるいは地元の方々の意向を尊重しながら処してまいったのでございますから、その点は誤解のないようにしていただきたいと思います。
  268. 加瀬完

    加瀬完君 それでは、知事が、いまの事態では知事がどのように努力したところで結論は出ない、そこで、政府においては、今日の事態を認識して再考し、国の段階において政府部内及び各政党間の統一した見解を持って地方に接せられるように要請をいたしますと、こう述べておる。国際空港問題で政党間で話し合って結論を出すというお考えはありますか。
  269. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、知事もそういう意見のようでございますが、私自身も、こういう国際的な施設、しかも日本の現状から考えまして一日も早く決定して工事にかからなければならないような飛行場につきましては、これは政党のいかんを問わず力を合わすべきである、かように考えておりますが、先般新聞で拝見いたしましたのでございますが、民社党では、木更津がいいから木更津にやらんかという御意向だということでございますが、これは、私は、木更津が今日私らの調査で非常にむずかしいという理由等をよく説明をして民社党の御協力を願いたいと思っておりますが、さらに、社会党の皆さん方にも、ぜひ、ただ反対をするということでなく、やはり建設的な観点に立ってひとつ御協力もしていただきたい。私らのほうから必要でございますればいつでも社会党のほうへ参りまして、現地調査いたしました説明等もいたしまして、そうしてこの問題は各党一致でひとつ推進することができますことを私は心からお願いをしておる次第でございます。
  270. 加瀬完

    加瀬完君 あなた、ただ反対するとおっしゃいましたが、ただ賛成しているのがあなた方政府です。内容も何も少しも検討しない。ただあそこへつくりたいつくりたい。これでは話にならないので、富里問題が中心になりましょうが、新国際空港というものはいかにあるべきかという大きな視点に立って政党間の話し合いをなさると考えてよろしいですね。
  271. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、今日まで、二年以上かかって調査いたしました結果、富里地区が最適であるということによって内定いたしておるのでございますが、社会党のほうで、もしも富里以上にいい場所があるということをお示し願えれば、その地点について検討いたして、御相談をする気持ちは私は持っております。
  272. 加瀬完

    加瀬完君 富里にただ反対をしておるわけではございませんで、反対をしなければならないたくさんの理由は、るるいままで述べてきたわけです。政府はこれに対して一向に勘案をしないわけです。ですから、あなたのほうがつくりたいというのと、つくれないじゃないか、つくってはまずいじゃないかというわれわれのほうの意見と、十二分にこれは話し合いをなさると考えてよろしいですね。富里につくるときに協力をしろということでは困りますよ。
  273. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私らが考えておりますのは、富里地区が最適である、かように考えておるのでございます。社会党の皆さん方は、富里は不適当である、こう先ほどからも言っていらっしゃいますけれども、私らの検討いたしました結果、富里地区が適当であるという考え方には変わりはございません。しかしながら、それ以上にいい場所があるということをお示し願えれば、それは私は検討するにやぶさかではございませんということを申し上げておるのでございます。
  274. 加瀬完

    加瀬完君 それは話し合いじゃないでしょう。自分のほうは意見をきめておって、お前のほうはこれに従え、賛成しろ、協力しろ、ということでは、話し合いじゃない。話し合いをなさらないというならば、なさらないという態度で私どもも接しますけれども、それでは問題は解決しませんよ。話し合いをするという原則に、もう一度御反省をいただきます。  質問を終わります。
  275. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、話し合いをしないと申し上げたのではございませんで、御承知のように、政府は、現段階は、富里地区を最適の場所であると内定をいたしておりますことも御承知だと思いますが、この視点に立って話し合うということは、いわゆる社会党のほうで、もっといい場所があるというお示しがあれば、その地点については私らも白紙の気持ちで検討してみて、それは御相談もいたしたい、かように申し上げておるのでございます。
  276. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 加瀬君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  277. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 次に、櫻井志郎君。   〔委員長退席、理事小沢久太郎君着席〕
  278. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 経企長官にお伺いいたします。  最近、特に昭和三十五年ごろから、日本の設備投資が、非常に、ある意味で言えば過度に進みまして、それが、一方においては産業の近代化あるいは国際競争力、そういう方面に大いに役立ちましたが、しかし、他面から言いますならば、今日の不況の原因にもなっておる。需給のアンバランス、操短というようなことからいたしまして、相当不況の大きな原因にもなっておるんではなかろうかと私は思うのですが、そこで、政府がいろいろ施策をおとりになりまして、最近景気回復の徴候はほの見えつつあります。こうした状況が、時日は相当要するでありましょうけれども、漸次政府の意図する方向に進んで、やがて本格的な景気回復という段階に来ることを私どもはこいねがっておるわけですが、その段階というものは、ある意味で言いますと一つの危機ではなかろうか。と申しますのは、日本人の、何と言いましょうか、先物買い的な気質、それから企業間の過当競争、そうしたことからして、過去に繰り返した過大設備投資という方向に、また進むのではなかろうか。私は、そういうことをたいへん心配するのでございますが、あるいはこの問題は、本来ならば大蔵大臣にもお伺いすべきかと思いますけれども、景気調整の関係からいたしまして、特に長官にお伺いするわけでございますが、たとえば、フランスあたりも、国家信用審議会という機関がありまして、企業が新しく設備投資をやろうという場合に、ある限度をこえた場合には、この審議会で審議をして、銀行が貸し出してよろしい、いけない、そういう判定を下す、その判定に従って銀行が貸し出しをするというように、設備投資についてはある程度のチェックをやっておる。私は、こういう制度はたいへんけっこうじゃないか、特に日本人のあり方から言いましても、日本の企業、自己資本と他人資本の割合が西欧とは全く逆な姿での、はなはだ好ましくない状態にあることから言いましても、何らか国が介入するか、あるいは国家機関が介入するかして、過大な設備投資を抑制することを、近い将来に考えてもらったらどうかということを考えるのでございますが、長官のお考えを承りたい。
  279. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私も、いま櫻井さんのおっしゃったような心配を実はいたしておるのでございまして、将来景気が回復してくる、そうすると、現在の段階では、企業経営者も、ある程度自粛する必要がある、と申しますか、あるいは過当競争の弊害というものを考えておりますけれども、しかし、景気がだんだんよくなってきますと、忘れがちになって、そうしてやはりシェア競争等に走り過ぎるというようなことが起こりますと、これはやはり安定成長の路線に乗せていくわけには、私、なかなかいきにくいんじゃないか。したがって、景気が回復をしてきた状態のもとにおいては、その指導がなかなかむずかしい。で、これはやはり、政府として政策を実行するには、いまから考えておかなければならない問題でございまして、そういうようなきざしが見えてきたら、当然これは民間企業の経営者とも十分懇議しながら指導してまいらなければなりませんし、また同時に、日本の今日のような過剰設備ができました原因の一端は、企業経営者と同時に、金融機関が私はになっているんではないかというような感じもいたしますので、金融機関の方面においても、設備投資に対する貸し出し等の場合におきまして、やはり十分それらのことを念頭に置いて、そうして貸し出し態度をきめていただくということが必要ではないかと、こう思っております。それでないと、再び景気回復の後に——いま、日本人の特性の話もございましたが、私も、そういうような点は、日本人として、一面ではいい点でございますが、他面ではやはり欠点のところでもございますので、そういう弊害が起こると思います。  ただ、お話のように、何らか、そういうような審議会をつくるかどうかというような問題につきましては、現在、まあ若干、通産省にも、そういうような指導をする、あるいは企業者が集まって話し合うような審議会等もあるように思いますが、端的に、そういうことを目的とした審議会等をつくってやりますかどうかは、今後の問題としてわれわれも検討してまいらなければならないことだと、こう思っております。
  280. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 藤山大臣の非常に御理解ある御答弁をいただいたのでございますが、私は、完全なる昔の資本主義、あるいは完全なる自由主義、そういうものが存在していく時代ではないんじゃないか。やはりある程度社会政策的な点を加味して、国が、あるものについては統制をやっていく——まあ、いいか、合っているかどうかしりませんが、混合経済的な考え方をとっていく必要があるんではなかろうか。私自身、企業には一ぺんも関係したこともございませんし、経験は全然ございません。したがって、しろうとの申し上げることではございますけれども、やはり、そうしたことを本格的に政府が考えていく段階に来ておると思いますので、長官、まあ考えておくというお話ですけれども、大蔵大臣あるいは通産大臣等と、よく協議をしてくださいまして、この問題を必要だとお考えになれば、ぜひ具体的にやっていただきたいと思うのですが、長官のお考えをもう一度お聞きします。   〔理事小沢久太郎君退席、委員長着席〕
  281. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ただいまお話しのように、自由主義経済あるいは資本主義経済と申しますか、フランス革命当時のいわゆる自由主義の経済、レッセ・フェールの経済とは、ルーズベルトのニューディール以来変貌をしてきている。また、変貌をすべき当然の経済の状態になっているからこそ、全体が、社会、政治の上に立って、そういう変貌をしてきつつあるのだと思います。したがって、国家全体の利益、あるいは公共の福祉等に対しては、ある程度国家が相談に応じる、あるいは介入して指導するということは、これは今後の自由主義経済あるいは資本主義経済でも、当然あってしかるべきですし、また、そう各国がなっておると思います。したがって、経済の運営につきましても、やはり国家経済の大局からいきまして、個々の業者の考え方を指導してまいるというようなことは、たいへんに必要でありまして、そういう意味において、民主主義の中における指導性というものを私は考えておるわけなんですが、そのあり方については、いろいろな形があると思います。いま御指摘のような、民間の人も入れ、そうして学者も入れた、そういうような審議会で、投資の問題その他について、あらためて考えを立てていくということは非常に必要であって、経済見通しというものが誤まるのもそういうところにあるので、見通しをつくった、つくりっぱなしというのじゃなく、やはり毎年、そういう問題について、景気が回復してきたら、ある部分については、伸び過ぎのものは押えていく、伸び足りないものは、それに対して政府が特段の助成をして伸ばしていく、たとえば、七%の成長が正常な形においていくように、内容的にも正常な形にいくように……、こうしてまいらなければならない。そこにやはり指導がなければならぬ、こう考えておるのでございます。そのあり方等については、大蔵大臣、通産大臣とも相談して、今後の運営の上において参考にしてまいりたいと思っております。
  282. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 その点については、ぜひお願いいたします。  もう一点、長官にお伺いいたしたいのですが、例の、たいへん騒ぎました新産都市指定の問題ですが、法律をつくり、地域を指定する際は、たいへんな意気込みで、日本全土をあげてわき立ったわけでございますけれども、最近では、ほとんど世人は忘れかけたような気配さえある。こういう中において、現在における新産都市建設の進度と申しましょうか、それが計画に対してどのぐらいになっておるか。これは、あるいは長官からでなくてもけっこうでございます。政府委員からでもよろしゅうございますが、お答えいただきたい。
  283. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 新産都市は五十年度を目標にして計画をしておりまして、大体そのときの出荷額が年率一三%ないし一六%ということでございます。三十九年及び四十年の実績は、おおむねその辺まで行っているように思います。それから建設事業費は、各種のものが含まれておりますが、三十九年度一千六百六十億円、四十年度二千二百五十億円、これらの道路計画あるいは住宅計画等は比較的順調に進んでいると思います。ただ、これらの土地造成をやるというようなこともやりましたのですが、それに対して、ここに参りまして企業がなかなか新しい設備投資をいたしません。したがって、行こうといって、造成されました土地を確保していながら、そこに新しい工場をつくるというようなところで足踏みされておったり、あるいは、せっかくできた工場が、操業が十分でないというような点もございます。したがって、基盤的整備については、相当順調に進んでいると思いますけれども、実質的な工場誘致等につきましては、あるいは工場の稼動につきましては、所期どおりにはいっておらぬというのが現状かと思います。しかし、今後景気が回復してまいりましていけば、いまつくりつつあります基盤整備、道路ですとか、あるいは工場地域の造成、そういうものが必ず数年後には生きて、新産業都市の面目を発揮するような時期が来るのではないかということを考えておりますが、なお詳しいことが必要でございますれば、事務当局から御説明申し上げます。
  284. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 長官、公共団体のやる、あるいは国がやる公共施設等については順調に進んでいるとおっしゃいましたが、私は必ずしも順調に進んでいるとは実はとっておらないのでございます。それを言いますと、時間がなくなりますから、なんですが、企業の誘致等は、こういう不況の際ですから、当然これは、当初の計画よりおくれてくるのはあたりまえでしょう。しかしながら、企業を迎え入れるために必要な公共施設等については、好不況に関係なくやはり進めていくことが望ましい。これは、地方自治体の負担等もなかなかたいへんでありましょうけれども、それは適債事業にしていくというようなこと等で解決するといたしまして、やはり当初の政府が持っておった意気込みというものをにぶらせないでこの問題を進めていただくように、要望だけいたしておきます。長官、ありがとうございました。よろしゅうございます。  運輸大臣にお伺いいたしますが、再度空港の問題で、たいへんお疲れで恐縮ですけれども、現在の法律の空港整備法、それからこれの政令、施行令、この中を見ましても、たとえば、一種の空港、二種、三種と区別がございますが、どの空港にはどういう、何と言いましょうか、装備、整備がなされておらなければならないというようなことが、どこにも書いてないように思うのですが、どこか、ほかに規定なり何かにございましょうか。
  285. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 政府委員からお答えいたします。
  286. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 御指摘のような空港整備法には、第一種、第二種、第三極空港と定めておりまして、第一種空港「国際航空路線に必要な飛行場であって、政令で定めるもの」、第二極空港「主要な国内航空路線に必要な飛行場であって、政令で定めるもの」、第三種空港「地方的な航空運送を確保するため必要な飛行場であって、政令で定めるもの」という整備法の定義、並びにこれに伴う必要な補助要件等が規定してございますが、法律自体が、これに必要な設備の限度その他を直接定めたものは、御指摘のようにございません。
  287. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 私は、そのことを言って、ほかにどういうところで、どういう規定がしてございますか、それを伺います。
  288. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 失礼いたしました。したがって、との具体的な設備につきましては、政府部内で従来単年度予算で措置を講じておるわけでございますが、なおそのほかに、長期計画の作成の際に、これは政府部内の作業でございますが、長期ビジョンというようなものをつくりまして、一応の考え方の作業をしたものはございます。
  289. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 そうすると、法律、政令、施行規則等には全然ない。そこで、いま航空局長が言われた三十九年の六月に運輸省がつくっておる空港に関する長期的ビジョンというものがあるだけではないかと私は思うのですが、ほかにございますか。
  290. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 御指摘のとおり、閣議決定等でしたものはございません。
  291. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 非常に大切な空港問題について、この点は実に私、与党としても残念なんですが、そこで長期的ビジョンという中身を見ますと、地方線用の空港のうち運航回数の多いものには精密計器着陸援助施設(ILS、PAR)、無線航行援助施設(VOR、DME)、管制用レーダー(ASR、ASDE)を、また、これに準ずるものにはVORとDMEを、その他にはVORの各施設を整備する云々と、こう書いて、一応長期的ビジョンにはこういうような基準を示しておるのですが、このことが実際に、言うなれば各単年度の予算において実行されておるのかどうか、その点をお伺いします。
  292. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 先生指摘のように、航空路の保安施設、特にILS及びPARというようないわゆるレーダーによって航空機を誘導する施設は、長期ビジョンでも、第一種の国際空港はもとより、国内空港についても遜次整備していくというのが、長期ビジョンの考え方でございます。現在すでに、第一種国際空港のほかに、一部宮崎等にASR、PAR、いわゆるGCAの施設をいたしておりますし、さらにそれに加えまして、いまお話がありましたようなASRというようなものを、仙台、鹿児島等に四十年度、四十一年度に整備をしていくということで、逐次計画を進めておる段階でございます。
  293. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 どうも航空関係については、私不満というよりは不安な点が非常に多いのですが、そこで同じく三十九年でありましたか、航空審議会に対する諮問第十号に対する答申として——その諮問は、「ひん発する民間航空事故を防止するための対策」という諮問でございます。それに対しまする答申としては、総括ほか十二項目にわたって長大な答申が出ております。特にその中で、私の関心を引いたことは、第三の操縦士研修及び訓練の状況で不十分な現状を指摘し、訓練の推進、訓練用飛行場の整備——訓練用の飛行場は現在ございません。訓練用の飛行場の整備を説いており、それから第七番には操縦士の養成機関の状況で、その養成機関のはなはだ不十分なことを訴えており、第十では飛行場航空保安施設の状況について述べて、施設整備の急務を強調いたしております。特にその中で、ローカル空港について述べておりますが、ローカル空港滑走路は長さ千二百メートル、幅三十メートル、それから二バース分の広さのエプロンということに一応の基準はなっておるようでございますが、この規格というものは、十余年前に民間航空が再開せられた当時、DC3型機の性能、及びその当時予想された運航回数等から算定されたものであって、ローカル線における主要現用機では性能に見合うよう運航ができないで、運用を制限しながら就航している現状であると述べております。こういうようなことを述べておりますと、私の持ち時間がなくなってしまいますので省略をいたしますが、またその中に、大型消防車の全くない空港もあると、こういうことを指摘いたしておりまして、その答申ではいろいろこれらの整備の急務なることを指摘をいたしておりますが、この答申に対しまして運輸省では、どういうふうにその答申の内容を実行に移されたか、その点を、こまかいことは要りませんから大局的な方針を、大臣からひとつお願いいたします。
  294. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 航空行政のいろいろの問題点について、櫻井委員から御指摘を受けたのでありますが、承知のように、日本の航空需要が急激に上昇いたしてまいりましたのに対応しての空港の整備、あるいは保安設備とか、あるいは気象情報等を確保する施設等が、私は率直に申し上げまして十分でないということは認めるのでございますが、これにつきましては、運輸省としては逐年努力は続けてまいっておると、かように信じておりますけれども、先ほど言いますように、需要の増加に並行しては、なかなか設備等が進んでおらなかったということは、私はこれは率直に認めるのでございます。特に今回、引き続いて起こりました事故等を考えますときに、やはり審議会が答申にあげておりますような諸点を、早急にこれは整備せなければならない。そういうこと等も考えあわせまして、実は日本の空港の中では、第一種空港の東京と大阪を見ましても、羽田空港は一応これは世界的な水準に——国際的な水準にありますけれども、大阪空港に至ってははるかにその水準にも達しておらぬ。その他のローカル線等につきましては、櫻井委員指摘せられるようにきわめて不十分である。そういう点を考えまして、実はまず国際空港の整備、第一種の大阪空港を国際水準まで引き上げるという措置、それからローカル線等の空港につきましても、いわゆる管制施設、それからあるいは気象情報を受け取るような施設とか、それから滑走路を長めで——一応千百メートルないし千二百メートルがおおよそローカル線の中にある空港滑走路の長さであるわけでありますが、そういうものを長めで、そして空港での飛行機離着陸の安全を確保する。そういうことで努力をまあ続けておるわけでございます。特に今回の事故に当面いたしまして、航空機に対する国民の不安等が相当広まっておりますので、これを一刻も早く払拭して、国民が安心して飛行機を利用することができるように、早急に整備いたしたいということで、政府では非常的な措置とでもいいますか、予算等についても十分考慮をするし、それから管制官、その他安全を確保するための施設に対する要員等の整備につきましても、今回は政府できめております各省とも定員を補充しないという既定の方針、定員凍結のこれを運輸省だけははずしてもらいまして、そうして安全確保のための要員を整備していく。こういうことで、目下至急その整備に着手しておるような次第でございまして、いままでは櫻井委員が仰せられるようにいろいろの盲点がございましたが、一日も早くこの盲点を取り除きたい。さらに、これはローカル線等に至りましても、その実情に合うように航空機安全度を高めていくという処置を速急にやるつもりでございます。
  295. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 大臣の非常に懇切な御答弁でございますが、私はこの際、東京なり大阪なりの国際空港の重要性の問題については、この際は触れません。それは予算的には一応特恵されてやっておられるようですし、運輸省も相当力を入れておられるようですから、まあ申し上げたいこともありますが、時間がありませんので、その問題は一応さておき、特にローカル空港の問題——私は選挙区のことを言っては恐縮ですが、私の富山の空港の例を取り上げましても、別に気象的にひどい悪条件ではない、暴風雨とか豪雨とか吹雪とか、そういう状態ではない。ただ、われわれしろうとが見て、少し雲が低いなという状態のときでも飛行機空港に着陸することができない。そうしてお隣の石川県の小松空港へ行ってしまう。と申しますのは、富山県の空港にはレーダー設備その他の——どういう設備か私は知りませんが、必要な無線設備等がないからではないか、あるいは滑走路が短いか、とにかく、まあまあこんな程度のという天候でも着陸できない。着陸できないから、したがって東京へ行こうと考えている人が飛行機が着かないから——予備の飛行機がありませんから、その日はおじゃんになってしまう。閣僚の方々でもそうした問題に何べんも私の富山県ではぶつかっておられるのでありますが、これはひとり富山県だけではなしに、各県の飛行場においてこういうことがあるんではないかと思う。それから飛行場をつくっても、現実にその飛行場が利用されない。されないのは、おそらく物理的に何らか欠陥があるためじゃないかと思いますが、そういうのもあるんでございますけれども、そういう点については大臣、いかがでございますか。
  296. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 櫻井委員の御指摘になりましたような点が、私はいままででもこれはあったということを率直に認めるのでございます。私は、昨年の九月か、十月ごろであったかと思いますが、新しく空港を着手するということをしばらく見合わせまして、そうして、いま設置しております空港に施設を整える、そうして、いま櫻井委員指摘なさいましたように、いろいろの安全施設あるいは誘導施設等を完備いたしまして、特殊の悪天候でない場合は、やはりその飛行場におりられる施設を整える、さらに夜間の離着陸の施設も整える。そうしてこそ、初めて、私はやはり飛行場の一応整った姿だ、かように考えますので、そういう方向で昨年の九月か、十月ごろから、方向決定いたしまして、その方針で進んでまいっておったのでございますが、今回の事故に当面いたしまして非常に政府といたしましても、飛行機飛行場の整備、それから安全航空の確保のために、予算的にも非常的な措置をしよう、あるいは人員の配置等もやろうという今回の方針に沿いまして、私はローカル線もその中に含めて、特別の悪天候でない限り誘導施設等を整えまして離着陸のできるように、さらに夜間の離着陸もできるように、速急に現在のローカル空港を整備したい、かように考えて、いま計画を進めておる段階でございます。
  297. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 大臣には時間がないようでありますから、私は相当お尋ねしたいこともありますが、やめにいたします。やめにいたしますが、そこでもう一点。特に私は、夜間までとは申しませんが、せめて昼間だけは安全に離着陸ができるようにぜひ整備してもらいたい。と申しますのは、その他の一切の公共施設、道路であるとか、河川であるとか、鉄道であるとか、港湾であるとか、あるいは土地改良、あるいは公共施設でなく個人の住宅、それらのものがすべて法に基づくか、もしくは法に基づかなくても、長期計画をもって、その長期計画に従って推進されております。しかるに、近代国家として不可欠な空港問題については、法律に——先ほど劈頭に申し上げましたように何らの規定もない。全然長期計画がない、オーソライズされた長期計画がない。こういうことは私、近代国家としてまことに残念しごくなことでないかと思うんであります。特に国際的に見ましても、国内的にいいましても、その他の、たとえば列車等が脱線してどうこう——それはもう人命に大損傷を起こす場合もありますが、しかし機械が損傷しただけで終わることもございます。ところが空港における事故は、まずまず事故が起こったら一ころというのが普通でありますが、それほど人命尊重の点からいいましても大事な空港問題について、ぜひ長期計画を策定していただきたい。絶対にこれはやっていただきたい。これはお願い申し上げますが、大臣のお考えは……。
  298. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私も、空港行政というものには長期計画がなければならない、日本の航空行政につきましても、十年あるいは十五年ぐらいを見通した国際的、国内的に一つの青写真をつくって、その青写真によって、政策、行政というものが行なわれなければならないというようなことを考えまして、実は、いま航空局に検討をさせておる段階でございます。そういう長期計画の上に立って、大きな投資を必要とする、たとえて言いますと、今回国鉄が計画を立てております第三次長期計画を見ましても、二兆九千億というような大きな投資を考えておる、その中で、いわゆる通勤通学等の対策だけとってみましても、六千億に近い金をつぎ込んでおるというようなことを考えますとき、やはり航空施設にも、長期の計画で大きな投資をして完ぺきを期さなければならない、かような考え方を持っておるのでございまして、十年ぐらいの見通しを立てての上の、国際線、国内線を通じての計画を、いま航空局で検討をいたしておる。いま櫻井委員のおっしゃるような方向で善処をいたしてまいりたい、かように考えて準備をいたしておる段階でございます。
  299. 西田信一

    ○西田信一君 関連。運輸大臣、簡単にお聞きをいたしますが、ただいま櫻井委員から、航空の安全という立場で、いろいろ御質問がございました。ことに地方空港に重点を置いた御質問がございましたが、私、この機会にお聞きしたいことは、航空の安全ということは、もとより一番大事なことでありますが、同時に、あわせて、空港の確保ということが必要だと思います。と申しますことは、最近ローカル空港がだいぶできました。できましたけれども、このローカル空港は、もちろん日本の国内航空が担当しておるわけでございますけれども、もちろん建設には地元の協力がありますが、地元の協力があってでき上がった空港が、お客が最初は少ないということで、なかなか飛行機を飛ばしてくれないという悩みがある。そうして、できるならば地元で特別な負担をせいというような要望まで出て、特別に負担までして飛行機を飛ばすということは、なかなか地元は背負い切れない。それで、せっかくつくった地方空港を十分活用しなければならないと思いますが、これには、業界の再編成とか、いろいろなことで御苦労なさっておると思いますが、そういう立場で、せっかくつくった空港が十分地方の方にも役立つように、いろいろお考えを願いたいと思うのであります。こういう点について、何かお考えがございましたら、お伺いしたいと同時に、また、私からも、ぜひ適当な手を打っていただきたいことを要望して終わります。
  300. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 西田委員質問にお答えいたしますが、御承知のように、最近航空事業が非常に地方に盛んになってまいっておる、そのために、地方公共団体、あるいは地方の国民の皆さま方の、飛行場をつくれという要請が非常に強く、政府のほうが抑え切れないで、つくっていっておるという空港も、私はなきにしもあらずと考えるのであります。しかしまた、 ローカル線は、たええ引き合わなくても地域開発のたてまえから必要な空港施設というものも、かなりあると考えられます。そういうことで、飛行場はつくったたが、なかなかお客さんが少ないというような場所もありますが、しかし、これは現在、国内航空企業の集約化といいますか、再編成と申しますか、そういうことを考えまして、もうかる線と、もうからない線と、プールで考えてもらうというような一つの配慮の方法もあるんじゃないか、そういうことで、できるだけ、ローカルに対しましても、航空企業が、やはりあたたかい態度で地方の人たちの満足にこたえるような方向で指導すると同時に、どう考えてみても採算が合わない路線である、しかしこれは地域開発のたてまえから必要であるという路線については、将来やはり何らかの補助というようなことでも考えなければならぬのではないか、そういう構想で、いま航空再編成の方向も検討して善処してまいりたいと思っておる次第でございます。
  301. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 運輸大臣、まだ、管制官の問題や、操縦士訓練の問題、いろいろあるんですが、時間がなくなりましたので、お尋ねいたしませんけれども、長期計画の策定の問題は、これはひとつ、運輸大臣の生命をかけて実現方をお願いいたします。同時に、大蔵政務次官がおいでですから、それに対するお考えを、ぜひお述べ願いたいと思います。運輸大臣、どうですか。
  302. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 櫻井委員の御指摘の、いわゆる管制施設の要員等の問題につきましては、私は、要員の不足の点も、これは確かにあるようでございますから、これも整備いたしますし、さらに、要員の処遇の問題、あるいは、非常に特殊の仕事でございますので、まあ、ことばは適当でございませんが、出世の見通しといいますか、希望というようなものも非常に少ないというような特殊事情もございますので、そういう点につきましても配慮を加えて、そうして労働環境を整備していく、そういうことも考えるし、さらに、要員を確保する施策といたしましても、やはりこれは、航空企業にだけまかしておいたのでは、なかなか金のかかる仕事でございますので、容易なことではございませんので、これにもやはり国が何らかの形で力をつぎ込んで、そして航空機の発達に並行して、要員の整備をすることのできるような体制を強化してまいりたいと考えておる次第でございます。
  303. 竹中恒夫

    政府委員(竹中恒夫君) 航空事業につきましては、お説のとおり、きわめて政治全般の上からも重大な問題でございますし、また人命尊重の見地からも、ゆるがせにできないものでございます。長期計画に対しましては、財務当局といたしましても、あとう限りの協力体制をとりたいと、かように存ずる次第でございます。
  304. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 その点については、与党の質問だからということで軽く見ないで、ぜひ実現方に努力をしてください。  それから農林大臣に実は質問したかったんですが、時間がなくなりましたから、残念ながら分科会ででもお願いすることにいたしまして、私はこれで終わります。
  305. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 櫻井君の質疑は終了いたしました。  午後三時三十分再開することとし、これにて休憩いたします。    午後一時三十九分休憩      —————・—————    午後四時五分開会
  306. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  先刻、岩間正男君が辞任され、その補欠として春日正一君が選任されました。     —————————————
  307. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 午前に引き続き、昭和四十一年度一般会計予算外二案を議題といたします。  まず、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  本日、三案審査のため、日本貿易振興会理事長長村貞一君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  308. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  309. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それでは質疑を行ないます。  稲葉誠一君。
  310. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 最初に、いま問題になっておりまする海洋丸の事件ですが、この事件に関する今日までの経過、交渉の模様なり、相手方の返事、それから、聞くところによると、韓国政府が何か釈放するような意向であるというようなことがちょっと出ておったわけですが、これは外務大臣答弁されたようですけれども、そういうような点について詳細にお答えを願いたいと思います。
  311. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 釈放の問題については、かねて強硬に申し入れをしておりますが、向こうのほうで釈放するという、言明をした事実はございません。ただ、こちらの強硬な申し入れに幾らか反応があると、こう思われる程度でございます。なお、この問題の具体的ないきさつに関しましては、事務当局から。
  312. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) 事件の経過はおおむね新聞に出ておりますので。事件が起こりましてから、直ちに在日の韓国大使及び公使に事件のあらましを通報いたしまして、直ちに本国に善処方を求めたのであります。同町に、ソウルのわがほうの大使館に事件を通報いたしまして、まず釈放を促進しろということを申しまして、逐次入ってまいりました海上保安庁その他からいただきました資料を送りまして、こららの事実、認定しております事実を詳しく説明いたしました。当初、先方はいろいろ理由を述べておりましたけれども、現在のところ、漁船が先方の漁業水域において操業し、かつ、拿捕したのも先方の漁業水域であるという主張をしております。わがほうは、これに対しまして、ただいま申しましたように、詳しい事実の資料を送りまして説明をしておりまして、それに対しまして、ただいまお話のありましたように、わがほうの説明をよく聞いてくれるようになっております。いい反応が出てくることを期待している次第でございます。
  313. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 韓国側が主張をする法律上の根拠はどういうところにあるわけですか。
  314. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 専管水域を侵したと、こういうのでございまして、韓国の国内法によってこれを処理することができるというような態度を示しているようであります。
  315. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 国内法というのは何か説明してください。
  316. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 漁業協定ができましてから、日本側では専管水域を設定するための特別の法律をつくりましたけれども、韓国ではそういうことはないようでございまして、したがいまして、韓国側では、これは推測でございますが、漁業資源保護法というものを専管水域内では適用するというたてまえをとっているものではないかと、かように考えます。
  317. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いや、非常にあいまいですね。日本のほうでは専管水域を設定したと、そうすると、韓国は専管水域を設定する義務があったんですか、ないんですか。
  318. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 義務はございません。
  319. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 じゃあどうして日本だけ専管水域を設定したんですか、これは外務大臣
  320. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 漁業協定に基づいて専管水域を設定することのほうが、わがほうに利益でありますから、日本はさっそく設定をしたのであります。
  321. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、韓国では専管水域を設定しないほうが韓国の利益だったと、そういうことになるわけなんですか。
  322. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 韓国のほうも専管水域を設定したと、こう承知しております。
  323. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 条約局長は専管水域を設定してないと、こう言ってるんじゃないですか。
  324. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) そのために特別の法律を制定してないということでございまして、専管水域を設定することは大統領告示ではやっておるわけでございます。
  325. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 漁業資源保護法によって逮捕したというのですか、あるいは、韓国がどういう法律上の根拠でやったかがわからないんですか、わからなくて交渉してるわけですか。
  326. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 専管水域内においては、排他的独占権を漁業に関しては持っております。それでつかまえた。ただ、今後どの法律によってこれを処罰するかという段階になると、それは国内法によるであろう、よらなければならぬと、こう思うのであります。その国内法の関係は、おそらく漁業資源保護法というものを使うのではないかと、こういうこれは推察でございます。まだそこまでいってない。
  327. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 しかし、書類送検したということが、あなたのほうの副領事からのこちらへの連絡なんかではっきりしてるんじゃないですか。
  328. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) 書類送検したということは先方も言っておりますし、外務部の長官の談話にも出ております。
  329. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 書類送検したということは、刑事上の問題として取り扱っているわけですから、どういう法律で、どういう罰条だということがわかっているわけです。それを日本側でつかまえてなくて交渉したって始まらないじゃないですか。
  330. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 日本側では明らかに、計器数によってはかったところによりますと、初めから専管水域を侵してない、専管水域外の共同水域で向こうの逮捕を受けたと、そういうことでございますから、われわれがその事実に基づいてまず釈放を申し入れておる、こういう関係でございます。
  331. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 はっきりしないのですが、韓国の専管水域内を侵したからといって、韓国が日本の漁船を拿捕したりなんかする法律の根拠、韓国側の法律上の根拠をですよ、それをもう一ぺん明らかにしてくださいませんか。どうもわからない。
  332. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これはわがほうの主張が正しいのでありまして、向こうのほうは誤認に基づいておる、こう考えておるわけであります。
  333. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それでは書類送検したということは、身柄を入れて送検してないというわけですから、韓国側の主張によっても、身柄を拘留なりなんなりして事実上とめておくという権限はないわけですね。
  334. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 船長以下の三人の者は、もとの船にそのままとどまっておるようでございます。
  335. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 だから、船にそのままとどまっているのは、一体何なんですか。どういう法律上の根拠が向こうにあるんですか、あるいはないんですか、その根拠は。
  336. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 向こうの国内法のことでございますので、私どもは有権的に、こういう法律に基づいてこの措置をしているのだろうということを申し上げるわけにはまいらないわけでございますが、いまの日韓間の話し合いにおきましては、そういう法律上の論争に入る前の段階で、事実が違うということで交渉いたしておる次第でございます。
  337. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 事実が違うのはわかりましたけれどもですね。向こうがそれを書類送検したと言うんなら、身柄を拘留なり何なりしていく法律上の根拠はないわけですよ。こっちが帰ってこいと言ったらいいんじゃないですか、当然帰れるわけじゃないですか、これどうなんですか。その船長たちがこっちに逃げてきた場合に——逃げてくるというのもおかしいけれども、こっちに来た場合に一体どうなんです。変な質問で恐縮ですけれどね。
  338. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 向こうが専管水域を侵したと、こう言っておるのです。こちらは計器類によって、はっきり水域外であるということで交渉をしておるのであります。法律の関係は事務当局から。
  339. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 先ほど申し上げましたように、日本側の立場は、事実が違うから早く帰してもらいたいということで要求しておるわけでございます。
  340. 亀田得治

    ○亀田得治君 委員長、ちょっと。また同じことを繰り返している。アジア局長に聞きます。これは毎日、答弁のニュアンスが違っている。最初のときには資源保護法、これについてあなたのほうでちゃんとこう認めるようなそういう答弁があった。それに対して、なぜそういうものをわがほうが積極的に認めるのかという反論的な質問を社会党のほうでいたしたわけです。そういうことの結果かもしれませんが、本日はどうもそういう点がぼやかされておる。そう毎日毎日答弁の態度というものが変わるということでは困ると思うんです。だから、その点について何か再検討でもされておるのかどうか。資源保護法に対する日本政府の見方なり態度ですね。これをひとつ明らかにしてほしい。  それからもう一つは、稲葉委員先ほどからお聞きしておるのは、ともかく韓国のほうはどういう法律でやっているんだろうか、この点を聞いておる。外務大臣は、いや、それは協定上の立場でやっているんだ、専管水域が協定できまっておる、それを侵したからつかまえたんだ、しかし協定は、これはただそういう行政面のことが合意されておるだけであって、それによって刑事処分まで持っていくというふうな中身のものではないわけですね。それで稲葉さんが聞いているわけです、向こう側の国内法の措置というものを。ところが、そこははっきりお答えにならないが、アジア局長に聞くのは、先方との交渉の過程の中で、韓国、おまえさんのほうは一体どういう法律でやっているか、協定じゃないのですよ。この送検したとかいったようなことをやっているわけですから、これは明らかに刑事的な処分の段階に入っている。その点をこれは確めておらぬのですか。これは他国のことだからというようなことを先ほどおっしゃったが、それは違いますよ。たとえば労働組合等が弾圧を受けたという場合に、警察に行く、検察庁に行く、一体おまえさんのほうはどういう法律でこういうことをやるのだ、これは聞くのはあたりまえですよ、不当なことをされた場合には、まず相手方の根拠を聞くのが。そうしなければその相手方の間違いの指摘のしようがないじゃありませんか。協定のことはわかっておりますよ。向こうは協定違反と言っている、こちらはそうじゃないと言っている。そこの論争のあることはわかっている。しかし、刑事処分の段階に入っているから、一体どういう法律なんだということを稲葉さんが聞いている。意味がわかりますか。事実関係についてもどうも向こうに対してはっきり皆さんのほうで確かめてくれないわけですね。私がこの間から言っていることを二点、向こうに突っ込んで聞いてくれない。法律についても、向こう側の根拠、言い分をはっきりさせないままでおるということは、これは私は怠慢だと思う。はっきり答えてください。漁業資源法なら資源法である、確めたところ、これでやっておるというのならはっきり言ってください。そうしたければ論議が進まぬ。
  341. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) 先方は当初これを起訴するというようなニュースが非常にたくさん流れてまいりました。しかし、その後起訴が行なわれませんで、ただいま申し上げましたように、こちらからの事実に基づいて再検討をしているようでございますので、おそらくどの法律を適用するかという段階までいっていないのではないかと考えます。(「書類送検したんだから、あなた。」「適用したかせぬかは別として、疑いがあるから書類送検ということが出てくるのでしょう。」「どうも話がきちんとかみ合わぬですな。」と呼ぶ者あり)
  342. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 稲葉君そのいまの点あなたから……。
  343. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 なぜあなたのほうでそういう答えをされるかぼくはわかるのですがね。外務大臣は、韓国の国内法を日緯条約の中で廃止をすることは条約に基づく韓国の義務と考えるのだから廃止を期待すると、こういうことを答弁されたことがありますね。この意味はどういう意味なんですか。
  344. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 義務というような表現を用いたのを私は覚えないのですが、とにかく国内法でございまして、それが条約に抵触する部分については、これはもう実は問題になると、それは条約が優先するということは当然のことでございまして、ただ、まぎらわしさを防ぐ意味においても、あるいはさような自国民に対する心がまえを植えつける意味においても、そういう法律を改正する、改廃するということは道義上の責任ではないか、こう思われるという程度のお答えはしたようにも考えますが、そう国内法の問題を切り込んでいくいわゆる権限はないのでありますから、とにかく条約に抵触する以上は条約のほうが優先する。でなければ条約を結んでも話にならない。あとでまた国内法でそれに抵触するようなことを定め得るということになったら、何のための条約かわからぬのでありますが、とにかく条約は優先する、しかし、まぎらわしいので、そういう問題はさっぱりと改廃するのが道義上の責任ではないかという程度のお答えはしたように考えます。
  345. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 あなたの言われたのは違いますね。四十年の十月二十六日の衆議院の日韓特別委員会で、あなたの小坂さんに対する答弁ですから、はっきりそういうふうに答えている。「国内法を適当な時期に廃止するということは、これは韓国側の条約に基づく義務である、かように考え、これを期待しておりますが、」云々ということを言っている。これは違うなら違う、取り消すなら取り消すと、時間があれですから、差し上げますから、内容を検討してください。
  346. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 道義的にそういう義務があるという意味でございます。(「冗談言うな、おかしい」「道義的ということばを使っていない」と呼ぶ者あり)ことばはどうもじょうずでございませんので、ただ条約を結んで、そうしてそれに反するような国内法をぽんぽんやれるということは、だれが考えても不合理なことでありまして、一国と一国との条約は国内法に優先すべきものである、でありますから、事、漁業に関して日韓の協定に違反するような法律は、事前のものであろうと事後のものであろうと、これは成り立たないと私は考えているので、そういう信念のもとに出たことばでございますが、ことばは足りなかったかもしれませんから、ひとつ訂正してもよろしゅうございます。
  347. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、条約に基づくそれと違う国内法が韓国にあるというのですか。
  348. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 李承晩ラインというものを設定して、そうしてこれを侵すものは云々ということになっておるやに私は聞いておりましたが、それは今度の協定によって専管水域まで引いたということは解釈上は推定できるのです。できるのでございますが、まだその国内法を使えるという段階になっていないから、その点、向こうの国内法の問題でございますし、ただいま問題になっているわけでございます。ただ、その場所が専管水域であったか、共同水域であったかという争いの段階でございます。どの法律を適用するかということについては、まだ具体的に問題になっていない、こういうふうなわけでございます。
  349. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 あなたの言う国内法、国内法というのは一体どんな法律なんですか。
  350. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 法律上のことでございますから、事務当局からお答えいたします。
  351. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) その法律につきましては、先ほど来申し上げておりますように、漁業資源保護法という名の法律ではないかと想像しているわけでございます。ただ、それがそのものがあるとおっしゃると、そのままの形で法律上有効なものとして残っているということを認めるように聞こえますけれども、そういう意味ではございませんので、ただ整理されておらないようである、したがって、協定と矛盾しない限りにおいてそのままそれを使っておるのじゃなかろうかというだけのことでございまして、この法律がそのままの効力を持って現在も存続しているということを認める趣旨ではないのでございます。
  352. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 あいまいな立場をとられる、いまそういう段階ですから、微妙な外交段階ですからわからないわけではございませんけれども、それでは漁業資源保護法、これはあなたのほうで資料としてくれたわけですから、この法律が、どこがどういうふうに条約によって修正を受けているのですか、説明してくれませんか、資料によって。
  353. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 韓国側の国内法のことでございますから、そこまで立ち入って私どもがこういう場所で御説明申し上げることは差し控えたいと存じます。
  354. 亀田得治

    ○亀田得治君 議事進行。条約局長、きょうはいやに資源保護法についての発言が急に慎重になってきた。それはその慎重なことはよろしい、それは。もうちょっとこういうものに対してはっきり初めからそうでなければいかぬ。だから、そこでいま稲葉委員の聞いておるのは、どことどこが矛盾するかと聞いておる、漁業協定と資源保護法で。せんだってから問題になっておるわけです。単に第一条のその海域だけじゃなしに、われわれは矛盾点があると、こういうふうに考えているわけです。だから、そこをお聞きしているわけです。何も向こうの法律を認める認めぬじゃない。どことどこが矛盾しますかと、こう聞いておる。それはあなた答えなければならぬでしょう。
  355. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 条約局長
  356. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 最初から、この漁業資源保護法のことを申し上げましたときは、推測でございますと言ってお断わりして申し上げている次第でございまして、この点は今日も少しも変わらないのでございます。ただ、推測でございますから、それ以上に立ち入って、ここがこう変わるべきであるというところまでは申し上げたくないというわけでございまして、これも最初からそういうことは申し上げておりませんから、本日もひとつこの辺で推測の点は勘弁していただきたいと思います。
  357. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、韓国の国内法、条約に違反する韓国の国内法というのは修正を受けるんだと、これは認めるんでしょう。
  358. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 修正と申しますか、とにかくもとのままの形では効力を持ち得ないというのは、今度の協定に矛盾する点があるということでございます。
  359. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 だから、どの点が協定に矛盾するのか、それを明らかにしてほしいと、それでなければ話が進まぬと、ここに戻ってきているわけですよね。時間を非常にとって、私のほうは損というとおかしいが、マイナスになるから、この程度にしておいて、それはやはりはっきり答えたほうがいいんじゃないですか。遠慮する必要はないんじゃないですか。
  360. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 元来、今度の問題には私どもはその法律は関係がないと思っていわけでございます。
  361. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 向こうは関係あると言っているんでしょう。こっちは関係ないと言っておる。向こうは関係あると言っているんでしょう。
  362. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 事実を誤認しているということが争点でございまして、現在の段階においてあまり立ち入ってこの資源保護法を問題にすることは、かえって何か誤解を与えるんじゃないかという懸念もあるくらいに存ずるわけでございます。
  363. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、それじゃ専管水域は領海とどういうふうに違うのですか。韓国の領海は幾らと見ているわけですか。これは外務大臣、どうですか。
  364. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 領海は基線から三海里、それから専管水域は十二海里、こうなっております。
  365. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、領海と専管水域との法律上の効力の差はどういう点にありますか。
  366. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 領海は無害航行権を認める以外には全くほかのほうの領土と同じ国の権限が行使される、専管水域のほうは事漁業に関してのみ排他的な権利を持っておる、こういうふうに解釈しております。
  367. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 漁業に関する排他的権利というわけですね。そうすると、その専管水域には韓国の主権が及ぶことになるのですか。
  368. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 主権ということばを使ってよろしいかどうか存じませんが、とにかく漁業に関しては韓国が管轄権を持つということを日本は認めるというのが漁業協定の趣旨でございます。
  369. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 領海の中で取り締まって裁判権を行使するというのは、これはわからないわけではありません。当然でしょう。しかし、専管水域の中で裁判権まで持つということは理解できないですね。そこまでの具体的な話し合いが日韓協定の中であったのですか。あったとすれば、いつあって、どこの議事録に載っているのですか。
  370. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) その点は、交渉の過程をまつまでもなく、協定の文言上明確であると存じます。
  371. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 どこにどういうふうに書いてありますか。
  372. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) まず第一に、第一条に、この十二海里までの水域では沿岸国が排他的管轄権を行使する、こういうことでございまして、排他的管轄権ということばの意味は、沿岸国だけが管轄権を持って、ほかの国は管轄権を持たないということでございます。それから、第四条に、漁業に関する水域、つまり専管水域の外側では取り締まり及び裁判管轄権はその漁船の属する国が持つというふうに書いてあります。まあその裏としましては、その内においては沿岸国が持つという意味合いが含まれておるわけでございます。
  373. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 単管水域でその取り締りを、裁判、処罰する権限まで持っているという、そういう例が世界でありますか。あったら、詳しく説明願いたい。
  374. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 専管水域をつくります場合に、いままで歴史的にそこで漁業しておった者に入り会いを認めるということがあるわけでございますが、その入り会いを認めた場合には、その入り会いを認めた限度においてその船舶の所属国の管轄を認めるということはございますけれども、そうでない場合にはすべて沿岸国にあるというのが例であると存じます。
  375. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それはまあ私どもの調べたのとは違いますけれども、議論を進めますが、そうすると、韓国側の主張する、まあ実体法はある程度推測かもしれぬけれどもわかったと。そうすると、送検したりなんかしてとめておく手続法はどういう手続法なんですか。
  376. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) そのような韓国の国内法については、私は存じておりません。
  377. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 あなたのほうでは、韓国のそういうような国内法、実体法、手続法について研究していないのですか。また、研究する必要はないわけですか。
  378. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) ただいまどういう手続法を持っておるか、承知しておりませんので、至急調べます。ただいまどういう手続法を韓国が持っておるか承知しておりませんので、至急調べます。
  379. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 向こうがどういう実体法に基づいて——それから書類送検したというのですからね。書類送検した手続法というものがあるのですよね、それは近代的なものであるかどうかは別として。それから、身柄を船の中に残しておくというその根拠がわからないわけですよ。日本ではとてもそんなことできないです。書類送検したということはいわゆる釈放したわけですからね。そこら辺のところがはっきりわからないで、韓国に対して交渉していると言うのは私は納得できないわけです。  たいして研究する時間がかかるわけじゃありませんから、これはもう十分か二十分でできるんじゃないですか。すぐ連絡をあなたのほうでして。それまでちょっと待たしていただきたいと、こう思います。
  380. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) われわれは、いま韓国の国内法上の手続に従って交渉しているのじゃないんで、これはもう漁業協定違反なんですから、そのたてまえで交渉しているのですから、国内法の手続云々ということは関係のない問題です。協定違反なんです。向こうの国内法の手続によって云々という問題、そういう段階じゃないですから。われわれはあくまで、協定違反と。はっきりしているのです、単管水域外でつかまったということは。そういう事実関係のいま交渉に当たっている。
  381. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 国際法なり日韓の協定なりに、その向こうのやった手続が、あるいは実体法といいますか、そういうようなものが違反しているかいないか、国際法ですよ、あるいは日韓の漁業協定に。それを確かめないでいて交渉していたのでは、問題の解決にはならないんじゃないですか。事実認定を争っているわけでしょう。事実認定でこっちの主張を認めたとか向こうの主張を認めたとかいうなら、話は別ですよ。事実認定を争っている段階ですから、当然その問題に入らなければぼくは筋が立たないと、こう思うのですが、これはここでやっていても時間がたってしまいますから……。(「稲葉君、らよっと待て」と呼ぶ者あり)いや、しばらく。私のほうでは必要だと、こう考えますから、それを研究してください。それが国際法なり日韓漁業協定にどう違反するのか、韓国のやっている根拠が。それを明らかにしなければ進めないんじゃないですかな。
  382. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) あくまで国際法的にいま取り扱いつつあるのでありますから、向こうの国内法上の手続がどうであろうとこうであろうと、そう問題じゃない。その専管水域外におったということは明らかなんですから、それの交渉をやっているんです。ただ、交渉に手間どっているというだけの話なんです。向こうがただ無法なことをやっている。これ以上はもう実力を用いる以外にないんです。しかし、われわれは実力は用いたくない。あくまで交渉でやっていく。
  383. 亀田得治

    ○亀田得治君 関連。同じことばかり繰り返して、質問者が時間をほんとうにむだに使うので困る。  それで、条約局長だってちゃんと知っているんだから、向こうの国内手続は。資源保護法については、これは想像して言われておるわけでしょう、たぶんこれだろうと。きょうはそう言っているわけです。だろうの程度でいいから、どうもこういうものでやっているようだと、それは私はすなおに答えるべきだ。あなたのほうでちゃんとこちらへ資料もよこしているわけでしょう。何のためにそんな資料を持っているんですか、第一。だから、それは資源保護法と一体となった、くっついたやはり手続なんだから。  なぜわれわれそういうことを言うかというと、事実関係はなるほど、専管水域に入ったか入らぬか、これは争いをやる。争いをやるとしても、不当な手続を進められた場合には、やはり日本政府としては守ってやる義務があるわけでしょう。たとえ専管水域に入ったとしても、おまえさんがやっている手続は、何でそういう手続を進めているのか。その手続が行き過ぎていたら、当然これは、あなた、日本国民として外務省は守ってあげる義務があるんじゃないですか。それをあなた、そういう手続を知らぬというようなことを言うのは、これはだめですよ。想像でもいいから、たぶんこれらしいというふうなところを指摘してもらわなければ、それは第三者は納得しませんよ、聞いておって。どうなんです。もう一ぺんはっきり言いなさい。ほんとうに知らぬものだったら、そんなものはだめだ。
  384. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) やはり推測するにも限度があるわけでございまして、私は漁業資源保護法であろうというところまでは申し上げましたけれども、それ以上にいろいろ想像したりすることは差し控えたいと存じます。手続的なことについては、私は正直に申しまして存じません。  それから、かりに手続に合ってやっておったとしても、当然日本政府としては、それは返してもらわなくちゃならぬわけでありますから、その後問題の最終的な処理の段階において、手続的にどういうことがあったかということは、あるいは調査するということに段階としてはなるかもしれませんけれども、現在の段階は早く船を返してもらいたいということで交渉しているということでございます。
  385. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 時間の関係がありますからね、次に進みましょう。
  386. 羽生三七

    ○羽生三七君 ちょっと、関連。私のはそういう法律論じゃないんです。昨日、現状維持を確認するルールをすみやかにつくれということを申し上げたけれども、政府もそれにはもっともだということなんです。そこでね、経済協力や漁業協力で、余分なことと言ってはどうかと思いますが、他のことで韓国に協力する前に、日本の計器を向こうが持っていなければ貸してやって、相互に、何人乗って、どう確認するか、そういうことを具体的にすれば、二度とこういうことは起こらないようになる。起こらぬようにすることをまずやらなければだめだ。経済協力や漁業協力ではなく、そういうことを先にやったらどうですか。
  387. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 今度の事件には間に合わないんですから、この次、これからそういうことが起らぬように、御指摘の点は十分にかけ合いまして、そうしてりっぱな計器を備えつけるようにお互いにしなければいかぬと思います。
  388. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、この問題は、将来の見通しですね、これはどういうところにありますか。
  389. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 両国の漁業協定は、かなり詳細に守るべき秩序については遺憾なきを期したつもりでございます。問題は、この秩序を実際に即して漁民がこれを守るかどうかという点にあるのでございまして、これは両国の政府が自国の漁民等に対して十分に趣旨を徹底して、これを順守させるという努力が今後とも十分に払われなければいかぬ、こう考えております。
  390. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 両国の政府といって、日本の政府は十分やっているわけですよ。韓国側が十分その趣旨を順守させておらないというところに原因があるんではないですか。
  391. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) どうもそういうことじゃないかと思います。とにかくこちらは明らかに専管水域を侵犯しておらぬという科学的な根拠をもってかけ合っておるわけであります。向こうはこれに対してあまり明確な科学的な知識をもって応酬しておると思われない節がございます、詳細はわかりませんけれども。両国とも、日本としてもこれでもう十分であるということがあるいは言えない点があるかもしれません。いずれにいたしましても、両国で十分にこの秩序を順守するということにつとめていくべきであると、こう考えております。
  392. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 専管水域に入らない、入った、この問題をはっきりさせた上で処理をすると、こういうふうに承っていいですか。その点をあいまいにした形で処理をしないということ。
  393. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) もちろん、この問題は将来の一つの例になりますから、その点ははっきりさせなきゃいかぬ。しかし、それと漁船及び船員の釈放とはまた別だと思います。
  394. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 その場合の損害賠償の請求は、どこがどこに対してやるわけなんですか。それははっきりさせますか。
  395. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) わがほうの漁船に対して向こうの政府機関がやったことでございますので、政府政府で処理すべき問題であると考えます。
  396. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それでは、話を、何か未解決な点もありますけれども、先へ進めます。  請求権の問題で、何と何が——韓国側のですよ、日本に対する何が消滅して、まだ消滅しないものは残っているんですか。韓国の個人が日本の個人に対する請求権、これも消滅したことになるんですか。
  397. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 第二条一項に、「両締約国は、両締約国及びその国民……の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の闇の請求権に関する問題が……平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。」、こうなっておるわけでございまして、個人間のものも含まれておるわけでございます。
  398. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 その私人の私人に対するものを国が消滅させることはできるんですか。特別な国内措置が、立法が必要なんですか。
  399. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) これはあくまで国家間の関係でそういうことを取りきめておるにすぎないわけでございまして、国内法上どういう措置が必要であるかということは、それぞれの国によって決定さるべきことであると、かように考えます。
  400. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 韓国はその国内法上の措置をどういうふうにとったんですか。それから、日本はどういうふうにとったんですか。
  401. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 私は、韓国がどういうふうに措置したか存じません。日本のほうは、例の平和条約第四条(b)項におきましてすでに米軍政府がとった措置の効力を承認するということで、請求権は処理済みになっておる。したがって、新たに日本政府として処理の必要は生じない、こういうことであると存じます。
  402. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それじゃ、韓国の国民が韓国の政府に対する請求権という形になって残っておるんじゃないですか、いまの段階では。韓国がどういう国内措置をとったか、全然研究したことはないんですか。
  403. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) そこまで研究いたしておりません。
  404. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それは調べりゃわかるわけですよ。それはあとに響いてくるんだから、それ、答えてください。アジア局長、わかるでしょう、答えてください。いまの点は非常に重要な問題になってくるわけですよ。これは外務省でわかっているわけだから、答えてください。
  405. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) いかなる措置を具体的にとったか、現在承知しておりません。
  406. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 とったかとらないかもわからないんですか。
  407. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) とったということを承知しておりません。
  408. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、日本からの経済協力で無償でいきますね、その金は、韓国のいま言った国民に対する補償として使われてもかまわないですか。
  409. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 無償の経済協力でいきますのは役務及び生産物でございまして、金がいくということはないのでございます。
  410. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 しかし、これは見返り資金と同じで、それを売り払えば金になるわけでしょう。その金がどういうふうに使われるかということはかまわないわけですか。
  411. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 協定上は第一条1の末段に「前記の供与及び貸付けは、大韓民国の経済の発展に役立つものでなければならない。」ということがあるわけでありますが、それ以外に、たとえば何か処分した代金の行くえとかというようなものまで追及する規定はございません。
  412. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、日本としては、経済協力の金が、いま言ったような韓国の私人の日本人に対する請求権が条約によって消滅をしたのだ、その補償という形で韓国政府が払ってもいいというんですか、悪いというんですか、どっちなんですか。
  413. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 協定違反になることはないと存じます。
  414. 亀田得治

    ○亀田得治君 関連。この間の答弁と違う。この間関連質問のときに、民間補償の点をお聞きした場合に、それは協定に反するというふうに条約局長がお答えになったのと違います。そういうふうに私記憶しておりますが、速記録を見ればわかると思いますが。
  415. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 私はそういう記憶がございませんが、もしそういうふうな問答になっていったとすれば、私は何か勘違いいたしておるわけでございまして、本日申し上げておることが協定第一条の規定の正しい解釈であると、かように考えます。
  416. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いま調べて、あとで来ると思いますが、そうすると、別のことになりますが、朝鮮人ですね、韓国人と朝鮮人がいるわけでしょう。それが戦争中に徴用されて、その賃金をアメリカの命令かなにかで日本の法務局へ供託していますね。これは幾らぐらいあって、いまどうなっているか。
  417. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 戦争中に発生しました給与その他の賃金等の債務につきまして、特別に供託の特例が昭和二十五年にできました。これは国外居住外国人等に対する債務の弁済のためにする供託の特例に関する政令でございまして、昭和二十五年の政令二十二号ということになっております。この供託の特例法規に雄づきまして、従来の朝鮮人その他外国人に対する債務を弁済するために供託いたしたわけでございます。賃金その他の給与だけで総額幾らになるかということを的確につかめませんが、若干給与以外のものもございますけれども、それを含めまして総額一億四百四十四万六千四百五十二円、こういうふうになっております。これは各省からいろいろ資料を集めまして集計した数字でございます。
  418. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そのうち日韓条約によって消滅したものは幾らぐらいですか、しないものは幾らぐらいですか。
  419. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 日韓条約によりまして消滅したものと申しますと、韓国人に対する債務でございます。供託を受けました当時、これは昭和二十五年以後でございまして、まだ平和条約発効以前でございます。その当時、朝鮮人は日本の国籍を持っておりまして、これが韓国人なりやいなやということが確認できない状況下に置かれておりましたので、その当時供託いたしましたその相手方である債権者、言いかえれば、その朝鮮人がいかなる国籍を持っておったかということは確認できないわけであります。現在韓国の国籍を持っておって、今回の請求権協定あるいはそれに基づく財産権に対する特別法律、これによりまして消滅する要件がございますが、それに該当するものがどれくらいあるかということは、実のところ的確につかめません。今後その消滅したであろうと思われる債権額について私どもも正確にキャッチしていく必要があるわけでございます。これは今後の調査によって確認するほかはない、このように考えております。
  420. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、観念的には消滅したものと消滅しないものとあるわけですね。韓国人以外の朝鮮人ですね、この賃金が供託してあるものは消滅しないわけでしょう。
  421. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 韓国人以外のものは供託金として残ってまいります。
  422. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 その人たちの債権が日本の政府に供託されているわけですね、それをどうするのですか、権利でしょう、それ。
  423. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 日韓協定に基づきまして消滅したものにつきましては、これから確認の手続をとってまいるわけでございます。その債権者は現在韓国に居住しております。その人たちがはたして韓国の領域内に住んでおりますか、それともそれ以外の地域に住んでおりますか、これは私どものほうでは確認できません、現在の状況下におきましては。そこで、現在供託書に出ております書類をまず調べまして、韓国領域内に居住しておるだろうというふうに思われるものがおそらくつかめると思います。これらのものにつきましては所管省を通じまして、あるいは私どものほうから韓国政府あるいはその代表部に照会いたしまして、韓国国籍を持っているかいないかということを確認しなければなりません。もしも韓国の領域内に住んでおるということがはっきり認められないものにつきましては、これは韓国政府にその照会をするわけにもまいりません、韓国側にその証明をする権原はございませんから。したがいまして、そういったものにつきましては、これはしばらくそのままにしておきまして供託されたままにとどまる、こういう結果になると思います。
  424. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、韓国人のものは観念的に消滅しておるわけですね。それ以外の朝鮮人がいますね、そのものは観念的に消滅しないわけでしょう。それをどうするのですか、権利として。日本の政府は消滅させちゃうのですか、どうするのですか。
  425. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 法律的には特別に消滅の措置をとるというふうなことは考えておりません。これはいま申し上げますように、韓国人のものにつきましては協定なり法律によりまして消滅することになっております。これは消滅したとして扱いますけれども、それ以外の外国人につきましては特別に条約も何もございませんので、特別の消滅の措置をとることはできません。ただ、一つ時効の問題がございます。これは御承知のように、供託されますと、供託金の還付請求権が十年の消滅時効にかかります。それから、すでに政令二十二号によって供託されておりますもの以外のもの、この政令が二十五年に出ましたので、それ以前におきましては民法の規定によって供託してあるのもございます。これはもうすでに民法上の供託でございますので、昭和二十五年以前の供託金につきましては、十年の経過によりまして時効によって消滅いたしておる、また、供託していないものも若干ございます。これはもう当然労働賃金として、民法の一年の短期特効で消滅いたしております。したがいまして、それによってこの時効で消滅するかどうかということは別同額といたしまして、特別にこれ以外の措置をとってこれを消滅させるということは、これは政府としてはできないわけでございます。
  426. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 消滅させることを聞いているのじゃないのです。韓国人でない朝鮮人が日本の政府に対して債権を持っているわけですよ、その債権どうするのだと聞いているのですよ、払うのかと聞いている、日本政府は。これは法務大臣どうですか、常識的にどうですか。民平局長専門的な話は別として、常識論としてどうですか、法務大臣
  427. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 韓国人以外の者から還付請求がございますれば支払いいたします。
  428. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 じゃ韓国人以外の者の債権があると支払いをするということは、日本の政府は告示したことあるのですか。
  429. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 昭和二十五年の政令二十二号と申しますのは供託法の特例でございます。特にそれを告示するとか公告するという措置は規定されておりません。したがいまして、一般の供託と同じような扱いでございまして、ただ、還付請求でございますれば、これは所管大臣の承諾書をつけて、還付請求が出るわけでございますが、そうなれば支払いに応ずる、こういう立て方になっております。
  430. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 朝鮮人が賃金請求した場合、どういう手続を経て朝鮮人に支払うのですか。
  431. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) これは、供託の手続は一般の場合と若干違っておりまして、終戦後の占領下におきまして、諸外国との交通が途絶されている状況下で、外国に帰った外国人に対する弁済の方法がないために、この特別の供託政令が出たわけでございます。したがいまして、その段階におきまして供託したものにつきましては、その債務者が供託いたしますと、その供託の書類を主務大臣に寄託いたします。主務大臣が今度は供託者の立場に立つように、法律上なっております。したがいまして、主務大臣のほうから承諾書が出ますれば、承諾書を添付して還付請求をするように法律上はなっております。主務大臣の承諾書がついて還付請求ございますれば、支払いに応ずるわけでございます。
  432. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それは非常にむずかしいといいますか、朝鮮人の日本政府に対する権原が事実上消滅させられる危険性が非常にあるわけですね、これは憲法の精神から言ってもいかぬと、こう思うのですが、具体的に手続その他については私どもよく研究しなければならぬと思います。いずれにいたしましてもそういうふうな形で韓国の関係は消滅した、しかし、韓国人でない朝鮮人の日本政府に対する賃金請求権なり何なりが、そのまま事実上ストップされている状態、これは私はいかぬと思うりですね、したがって、手続を今後とる場合があるかもわかりませんね、こういう場合には当然権利を保護するということについては、法務大臣いかがです。結論だけでけっこうです。
  433. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) お答えいたします。韓国人以外の朝鮮人からの供託についての、いろいろの権利を主張いたしまして、それを返してくれというのでありましたら、あらゆる便宜をはかって、私どもは返す方法を講ずる、また、私どものほうで供託の道を開いて、しかもそれをいつまでもほうっておくことは、お互いに迷惑な立場であります。御本人もそうでありましょうが、政府のほうとしても迷惑でありますから、できれば何とかして知らしめる方法等も考えられれば考えるというようなこともしてきたいということも考えております。
  434. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 じゃ別な問題に入って、防衛庁長官の関係になると思いますが、自衛隊が沖縄へいままで行っているのは、どの程度でございます。
  435. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 昨年当委員会で一千名と御報告をいたしまして、その後四十年の後半にふえまして千七百名ばかり行っております。
  436. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 年度別と、どの程度のクラスの人がどういう目的で行っているか。明らかに、ひとつ。
  437. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 三十二年に六名、三十三年に二一六名、三十四年に十六名、三十五年四十五名、三十六年四十八名、三十七年五十九名、三十八年七十八名、三十九年六百五十一名、四十年八百四十二名、合わせて千七百七十一名でございます。このおもなものは防衛研修所の職員、航空自衛隊の幹部学校の卒業生、陸上自衛隊の幹部候補生学校の学生その他統合幕僚学校の学生、ほとんど研修、卒業生であります。
  438. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 その行く目的はどういう目的ですか。
  439. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 史跡の見学、それから一つは広く防衛上知識を広めること、これであります。
  440. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 行くときには何で行くのですか。乗りものや何かは。
  441. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 数の多いときには船、少ないときは飛行機でございます。
  442. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 その船はどうなっているのですか。どんな船か。
  443. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 主として民間の船を利用させております。また、ある場合には民間の船を借りてこれを利用して行く。まあ、あるいは軍艦で行ったのではないか——もちろん艦籍のあるものはありますが、そういう意味で行っているわけではございません。輸送機関として使っているわけであります。
  444. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 LSTで行っているのはどの程度ありますか。
  445. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 自衛隊の船として行っているのはLSTを主として使っております。
  446. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それで行ってきて、向こうへ行くと何をするのですか。帰った後の話よりも向こうで何をするのですか。どのくらい行っているのですか。
  447. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) ほとんど期間は三日ないし四日であります。
  448. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 みんなそうですが。長く行っている人はいませんか。
  449. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) ほとんど四日ないし五日、長くて五日、短ければ三日でございます。
  450. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 全部そうですが。長いのは、一番長いのはどのくらいですか。
  451. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 集団的に研修に行っておりますのは、いま申し上げましたような長くて五日ぐらいでございます。ごく個人的に視察とか出張とかで行ったのもごくわずかございますが、それも非常に日数は短いと思いますけれども、正確には覚えておりませんが、あるいは一週間ぐらいのもあるかもしれません。
  452. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 しかし、三矢研究のときの統幕会議の事務局長田中義男、この人は札幌の恵庭事件のときに証人として出ていますけれども、これは沖縄戦史調査団として約三週間おったといっていますよ。こういう事実はあるのですか。
  453. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 正確に存じておりません。
  454. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 調べてください。すぐ調べてください。重要なことなのだから。
  455. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  456. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 速記をつけて。
  457. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これを数字的に見ますと、三十九年、四十年になって急激にふえていますね。これは何か特別な理由があるのですか。
  458. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) ただいまお尋ね田中陸将の話は、三十四年か五年ごろの話で、ちょっと調査が古いものですからちょっと時間がかかるかもしれません。  なお、最近ふえましたのは、卒業生がふえたことと、それから、おのずから研究課程における入校生がふえたこと、また、なるべくそういう機会に沖縄に見学に行きたい、こういう希望でおのずからふえたわけであります。
  459. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 卒業生が急にふえたのですか。そのふえた経過もずっと数学的に明らかにしていただけませんか。
  460. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 卒業生もふえましたし、学校を卒業の生徒たち、その機会にいままで行かなかった者にも行く機会を与えた、その意味でふえたということです。
  461. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 沖縄へそういうたくさん行くのは、何か防衛庁としての特別な目的があるわけですか。目的というか、当然なことですが。ある一つの効果を考えて行ってるわけでしょう。
  462. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) なるべく広く見聞を広めるということは必要なことであります。しかしながら、なかなか陸海空あわせて遠洋航海をやるというわけにはまいりません。したがって、一番身近かである沖縄というものを選んで、そこにある意味においては見聞を広める、その意味で沖縄と——非常に卒業生がふえたわけであります。
  463. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 沖縄へ行くとどういう見聞が広まるのですか。
  464. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) これはおのずから同じように修学旅行という意味もありましょうし、卒業を機会になるべく一つの地方を見るということは、それはおのずから各人の心理的影響、個人個人にありましょうが、防衛庁としては効果があることだと私は思っております。
  465. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 沖縄はなかなか私らでも行けないのですけれども、アメリカのほうと十分連絡をとって、向こうの許可を得て入るわけですね。
  466. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) もちろん国内的な手続をとり、また、必要な手続を正式にとってやって行っております。
  467. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 だから、これだけ数多く行くについては、アメリカのほうとの話し合いがあるわけでしょう。アメリカが入国を許可するわけでしょう。それでないと入れないわけでしょう。
  468. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) これは日米の話し合いというより、外務省の手続、一般的渡航者の手続というものが緩和されたということが一つの手続上非常にふえた理由だと私は思っております。
  469. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それはわかりますが、アメリカが入国を許可しなければ入れないのでしょう、これははっきりしているのでしょう。
  470. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 外務省の渡航手続によってやっておりますから、おのずからその先はアメリカの許可が当然あったと私は思います。
  471. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 向こうへ行って——あなたが行ったわけではないでしょうが、何をするのですか。
  472. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) ただいま申しましたような、見聞を広める、主としてやはり日本の一番大きな戦史としての沖縄というもの、また、日本の同胞のいる沖縄というもの、これに対してなるべく卒業生が将来の資料にするために沖縄に行くことは非常にいいことだという意味でだんだんふえてきたわけです。
  473. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それらの人が帰ってきて、そうして報告書を出すわけでしょう。
  474. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 特に卒業における本人の一つの研修ですから、義務的な報告書というものは徴収しておりません。本人が感想を述べるものは進んで述べておるし、義務的に報告書を出せということはしておりません。
  475. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、防衛庁には、沖縄に行っていろいろ調査をしたその調査の結果を報告したようなものはないのですか。
  476. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) この卒業における研修旅行にはそういうものはございません。
  477. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 何かあるのですか。
  478. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 何もありません。本人が研修旅行によって感想を述べるものは述べておるし、義務として報告を必ず出せ、そんなことはありません。もちろん引率者が印象を報告するということはあります。今回の卒業生の沖縄における印象はこんなものであるというものはありますが、文書で報告する義務のものじゃありません。
  479. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 義務を聞いているのではないのです。聞いているのではなくて、沖縄に行って、その結果の報告が防衛庁に提出されたのがありますか。
  480. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 義務じゃありませんから、口頭で大体報告を受けております。したがって、そういう群類で提出すべしというものではないということで私は申し上げたのです。
  481. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 あるのかないのか聞いているのです。
  482. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 報告は義務的なものはない。したがって、ほとんどのものはありません。
  483. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 若干はあるということですな。
  484. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 個人的に感想を述べたものがあるかもしれません。自分の意見書として提出するのは、これはいつでも自由なんですから。しかし、そういうものは私は見たことないんですから、おそらく個人が、自分が進んでこういう感想を建言すると申しますか、主として上司に訴えたいというようなものは、それはあるかもしれません。しかし、そろってあるかと言えば、ないということです。
  485. 亀田得治

    ○亀田得治君 局長、どうなのか。委員長局長に命じてください。同じことを五回も言っているんだ。
  486. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 引率者の学校長等から幕僚長等に口頭のあいさつ、報告、あるいは内局の人にあいさつ、口頭の報告程度のことはございますが、報告書、そういった形式のものは出しておりません。
  487. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 じゃ、教育局長ね、あなたのところではどうでもいいんでしょう、これは。そんな大きな問題ではないというと語弊がありますけれども、時間をとりたくないんですよ。あるならあるでいいんじゃないですか、調べてください、じゃ電話をかけて。
  488. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 私は答えたとおりで、ありませんから、すなわち、ありません。
  489. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 じゃ、幹部学校の副校長として田中義男が行って、沖縄戦史調査団と行ったわけですね。沖縄には約三週間おったと、調査した結果を沖縄の戦史として現在保存されておりますと、こうはっきり言っていますよ、証人として宣誓をして。あなたの言うのと違うのじゃないですか。だからぼくは念を押しているんですよ。それほどのあれじゃないんですから。
  490. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) それは卒業者で研修あるいは視察という目的で行ったものにはないと私は申し上げました。一つの目的であるいは行ったかもしれません。これはわかりません、調べませんと。その目的で行った者は、その目的が任務ですから、報告というものは、それはあると私は思います。先ほどの応答は、この千数百人というのはほとんど研修旅行で、もしかりに田中君が行ったというなら、先ほど答弁しました三十四、三十五年はわずか十何名ですから、そのときは卒業生というよりも、ある意味において卒業化のみならず、個人的に行ったり、あるいは一部の要務を持って行った者もあるかもしれません。それは要務ですから報告を受けるでしょう、大多数の者の、いわゆる研修ではないということ——ちょっと議論が行き違いました。
  491. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 研修ではないことはわかったと、そうすると、防衛庁が要務として沖縄の戦史を調査しろとか、あるいはそれに類することを命じていって、その結果の報告はあると、こう承ってよろしいですか。
  492. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 戦史の要務で行った者については、それは報告はあると思います。
  493. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 あるかないか、はっきりしてください。
  494. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 先ほど貴重な時間を中断したように、その問題はいま調査しておりますから、その田中君の問題については。その調査の報告がさましたら、そのことについては確定的に御返事ができます。しかし、一般的に防衛庁の運営というものはそういうものである。その中に該当するならあるであろう、該当しなければない、こういうわけであります。
  495. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 この人は陸上自衛隊で行くわけですね。行くのは二班に分かれて、片方はLSTで行く、片方はC46ですか、これで行くと、陸海空の三隊が一体となっての一つの訓練という目的もあるのだ、それによって非常な成果があがったと——非常かどうかは別として、成果があがったのだ、こういうふうに言っておるのですね。そういう意味も含めておるわけですか。
  496. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 輸送の都合で飛行機で行った者、船で行った者というのは、それはありましょう。しかし、主として海上出身の者はなるべく船に乗せるということは、これは常識ですし、飛行機の者はなるべく飛行機に乗せる、これも常識でしょう。しかし、それがLSTに乗ったからといってどんな訓練かと言われれば、それは一つの体験的なものの訓練と言えるかどうかわかりませんが、それが目的ではありません。乗ることが目的ではない、行くことが目的であります。輸送の機関は、これは第二義的であります。
  497. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 しかし、それは行くことに関連して、陸海空の三隊が一体となっての一つの訓練をするという意味での成果をあげようという意図もあることはあるのですか、あるいは結果としてそうなったのかは別として。
  498. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) いや、私のほうはそういうものを考えておりません。そういうものを今日卒業生に一々当てはめて、なるべく行く途中も訓練しろということが主じゃなしに、行く必要の便宜な船を、便宜な飛行機を、便宜な輸送機関を使うことは便宜上使うわけであります。なるべくならばそういう目的もあわせて行ないたいと思うかもしませんが、それが主目的というか、そんな訓練が私のほうには、たいして——日本の自衛隊が今日沖縄に行くときに、船で行ったからおまえは優秀だ、飛行機で行ったからおまえは航空兵だ、それほどのものじゃないと私は思います。しかも、C46とかLSTという船から免れば、いまの自衛艦とは少し差があり過ぎるのじゃないかと思います。
  499. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 しかし、その行った田中さんは、これは三矢研究のときの主宰者、統幕会議の事務局長をやっておった人です。この人は、沖縄に往復する間に相当キロ数があるのだけれども、これ自体が一つの訓練なんだということをはっきり言っておりますがね。訓練という意味も込めてあることは間違いないわけですか。
  500. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 訓練といえば二十四時間訓練です。したがって、その一つの移動、あるいはその動き、あるいは汽車に乗ることも、隊列をそろえて整然とやる、これも訓練だと、その意味で訓練でないと私は言いませんよ。訓練のウエートとしては、何もそれがやらなければならない必修課程ではないということです。
  501. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 何も訓練を目的として陸海空がずっとそろって行く、一体となって行く訓練を目的として沖縄に行っているとまでぼくは言っていないのですから、あまり先ばしって考えなくてもいいのではないかと思うのですが、それはあと資料が出てくればあとの問題にします。  一つは、検察庁を中心としてと思うのですけれども、治安対策連絡会議と、こういうふうなものが開かれて、これに自衛隊もオブザーバーか何か知りませんけれども、参加していることはあるのですか。
  502. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) それは何のことか、私はわかりませんが、どういう会議か、あるいは会議の名前でも言っていただいたらいいかもしれませんが、私のほうは、私はそういうものは全然知りません。あるいは何か会議の名前で言っていただければ、まあ御返事がもう少し簡単かもしれません。
  503. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 四十年の四月二十七日に広島地方検察庁で開かれた治安対策連絡会議ですね、これはオブザーバーとして陸海が出席しているわけです。出席して悪いと言っているのじゃないですよ、ぼくは。そういう治安対策の連絡会議というようなものに自衛隊もオブザーバーなり何なりで出席することがあるのかと、こう聞いているのです。
  504. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 特にその地方から、自衛隊も一緒に参列してくれという要請があれば、個々にはその事態において出るかもしれません。これを禁止しておりませんが、また、出ろという命令を附したこともありません。おそらくその地方地方において、おそらくただいまおっしゃるように、オブザーバーと言われたとおり、正式メンバーでなしに、まあ自衛隊も出てくれと言われたならば、出ていけないというものではこれはないと思います。
  505. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 じゃ、いま言った事実があったかないか、あとで調べてください。参加した、オブザーバーですから参加といえるかどうか別として、どういう目的があって自衛隊が出るのでしょうか。
  506. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 御承知のごとく、自衛隊法の内容については、警察と常に連絡をとること、警察と治安行動に非常な支障があるときには自衛隊というものの要請があることは、地方出動、都道府県知事から要請があった場合の要請出動ということがございます。したがって、その場合に地方においてまあ必要があるかないか知りませんが、オブザーバーとして出ていくというならば、それは当然任務の一部であると私も思います。
  507. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、自衛隊と警察との間の任務の、何といいますか、連絡、連携というか、そういうことについては、従前どういうような通達だとか、あるいは何といいますか、連絡といいますか、そういうようなものが行なわれているのですか。
  508. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 昭和二十九年ですか、自衛隊と警察の協定、三十一年に双務協定というのが二つ行なわれております。それがおそらくその連絡の今日の基本になっておると思います。
  509. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そういう関係の資料は、これは雑誌などに出ていますからね、訓令二十五号というのはそれですか、基本ですか。
  510. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 防衛庁訓令二十五号というのが昭和三十五年、赤城君が出しておりますが、そういう基礎のもとに訓令として出しているわけでございます。
  511. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 間接侵略に至らない段階でいろいろなことがあるわけですね、そこに至るまでの間の。それについては自衛隊としてはどういうような研究をされているわけですか。
  512. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) これは御承知のごとく、警察の要請、あるいは地方の都道府県知事の要請に応ずる場合というのが大部分の場合を占めます。したがって、その想定というものも、必ずしもどういう場面で出てくるかという想定は容易ではありません。したがって、個々にその出動に対処するだけの行動は個々にはやっておりますけれども、総合的なものというものは情勢が把握できませんので、個々の問題しかやっておりません。
  513. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 大正十二年に関東大震災があったわけですが、あのときの状態について自衛隊でもいろいろ研究されていますか。
  514. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 大正十二年の大震災だけを想定しているわけじゃございません。もちろん時世が変わっておりますし、交通、通信、生活様式が変わっておりますから、したがって、そういう場合には、かりに言えば食糧輸送に協力するときにどうするんだ、避難民を指導するときにはどうするんだという、個々の問題については訓練をする。しかし、その大震災を想定するとか何を想定するとか、総合的なものは今日の時世では私はできないと思います。
  515. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 大震災を想定しているということではなくて、その関東大震災のときの具体的な状況の中から、自衛隊というものはいまどういうふうにすべきかと、こういうことを研究しているかと、こういうのです。
  516. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) まあこの場合は、御承知のごとく、災害出動というのが今日あらゆる場面を想定してやっておりますから、災害出動の訓練実績というものがおそらくそれに該当するものであろう。大正十二年を想定して、あるいはそれを議題としてやってはいないと私は思います。
  517. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 自衛隊と警察との役割りが違うと、しかし、そういうような国内でかりに何か起きたときに、自衛隊が警察に対して要望をするということが、自衛隊の——私の手元にあるのは、関東大震災から得た教訓、関東大震災における軍官民の行動とこれが観察、陸上幕僚艦部窮三部から出たものですが、これを見ますと、警察に対してこういうことをやってほしいということを、特に警察に期待すべき事項は次のとおりである、こうあるわけですね。その中で、たとえば一つは、要注意人物の監視、警戒があるんですよ。こういうようなことは自衛隊としては警察にやってもらいたいことなんですか。
  518. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) どこでその書類を入手されたかわかりませんが、おそらくそれは一つの何かの想定か何かでやったもので、そんなものが、この自衛隊全部が同じものを教科書みたいに持ってやっているものじゃありません。おそらくいろいろな訓練の想定をするというときにやったものと思います。私はその書類を見たことがありません。そういうものを重視しているわけじゃ今日ありません。
  519. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これは三十五年の三月に陸上幕僚艦部第三部で出したものですが、これはあなたも調べてください。しかし、その要注意人物の監視、警戒ということは、そういう災害出動なり何なりの場合に当然必要になってくる、こう考えておられるわけですか。
  520. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) いまお手元にありますのは、それは一つのまだ制定する前の草稿か原稿か、一部の者がそれはやったもので、それは今日はまだ制定というか、成案にまで至っておりません。一部のその当時の状況として、こういうものはどうだ、こういうものはどうだとしてつくろうとした細部協定の一つの資料かもしれませんが、まだ自衛隊として正式に細目公示、実施というのは、赤城君が出しました訓令だけでございます。それ以外に、隊として一般に隊員全部の行動を規制したというものはまだできておりません。
  521. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 自衛隊が警察に要請するものとして中にあげているのは、新聞、出版物その他の報道機関等取り締り、これをあげているのですね。これは正式なあなたのほうで決済を経た文書でないというかもしれませんけれども、あげているのですね。こういうようなことは、現在の憲法のもとで一体あなたのほうでできると考えているのですか
  522. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) そういうことを考えておりません。その書類は、私も大体概要はつかみました。それは成案を得なければ、そういうものは自衛隊として、あるいは防衛庁として制定しておりません。一部研究課題とか、いろんな場合を想定して、希望とかいろんな場合を書いたもので、これは正式のものでありませんので、私の責任でもなければ、自衛隊全部が持っておるものでもなければ、一部そんなものがあるいはでまたかもしれない。そのときはそう議論されるものでもないし、今日また生きているわけでもないのですから、それは何もそう重要な議論としては、私はそれを資料に議論される必要はないと思います。
  523. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 重要でないか重要であるかは、あなたが判断するよりも、ぼくのほうで判断しますけれども、これはあなたが判断してもけっこうです。それは別として、成案かどうかは別として、こういうようなものの考え方が自衛隊の中にあって、現実に研究が行なわれておって、しかも、それが幕僚監部第三部の名前で出ているわけですよね。これは市販したかという意味ではないですが、印刷されているわけですね。こういうようなものの考え方が一体いいのか悪いのかというのですよ。要注意人物の監視、警戒は、これは警察にやらせるのだと、新聞出版物その他の報道機関の取り締りも警察にやらせるのだと、その他ありますけれども、こういうようなことを自衛隊としては警察にやってもらいたいのだとはっきり書いてあるのですよ。そんなことは日本の憲法のもとで、いま言ったように、できるのですか
  524. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 先ほどからお答えしたように、そういう考えを、また、そういう事態を——大体その自衛隊法に書いてあるのは警察の要請に応じて出動することであります、治安出動の場合には。したがって、警察に要請するという、そのことば自身も、私に言わせるならば、基本的にこれでは想定もできない、制定もできないというわけで、それは一時没になっている原稿だとお考えいただきたい。それは別として、そんなことを私は考えておりません。
  525. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 私の言うのは、そういうようなことは日本の憲法でできるのかできないのかということを聞いているのです。
  526. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 憲法上は言論の保障、各種の条項がありますから、憲法において照らせばおのずからその答えはお互いに議論しなくてもわかるだろうと思います。
  527. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そういうような場合に自衛隊として特に考慮を要するのは、その装備、特に武装をどの程度にするかの問題が一番大きな問題なんだと、こういうことを言っていますね。そうすると、これは資料としての価値は別として、そういう場合に自衛隊の武装をどういうようにするかということが問題であることは間違いないですね。
  528. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) その書類は別として、いま正しい議論としてはおかしいが、新たな問題として議論すれば、それは治安出動における装備というのは重要なことです。それは私もよくわかります。その文書は別にしていただいて議論を進めていけば、かえって議論が正しく、スムーズにいくのじゃないかと思います。  先ほど調査がわかりましたので、御報告いたします。昭和三十五年十一月三十日から十二月十九日まで二十日間、田中将補、幹部候補生学校副校長、それに陸幕六名、幹部八名、研修員、富士学校三名、合わせてこれは二十名ばかり、これが先ほど指摘昭和三十五年度であります。
  529. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 報告書、報告書。それに関連する報告書。
  530. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) その政府に対する報告書は、これは任務が戦史研究ですから、報告書は出ていると思います。
  531. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それは純粋な戦史といっても、それが問題として、私どのほうは、それが日本の基本的ないろいろな問題に関連してくる重要な問題であるかと思うのですね。いいですか、ですから、差しつかえない資料ならばお出しを願いたい、それは。
  532. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 重要なものでは——私は今後に影響するものではないと思います。ということは、私がまだ読んでいないんですから。といって、こういう個人の報告書を——個人じゃない、隊内におきましても、任務遂行のためにものを出すという、一々それを議会に出すというのはどんなものかと、これが非常に何らかの影響があるからというなら別ですが、また、一つの部隊に命令を出して、その報告書を一々出せというにはあまり小さいものではないかと思います。ただ、それはもう三十五年のころですから、それが将来大きな防衛計画に影響するわけじゃないのです。
  533. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 わけじゃないから出したらいいじゃないですか。
  534. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) それはどうしてかというと、個人的なものですから、個人的と言うとおかしいですけれども、今日もうすでに三十五年のころですから、それを一々出せということは、これはまあ私は内容についてどうこうじゃありませんが、こういう書類を一々議会に出すほどの重要な大きな——あまりおこがましいから御遠慮いたします。
  535. 亀田得治

    ○亀田得治君 議事進行。防衛庁長官、私語をせぬように。長官説明によっても、それほど重大に考えておられないようです。しかし、われわれのほうからいたしますると、いろいろ憲法上の問題等についても、ある程度考えさせられる点もあるので、それで出してもらいたい、こういうことを言っているわけです。特に古いものでもあるし、差しつかえもないようでありますから、これはぜひひとつ提出をお願いしたいと思います。いいですな。
  536. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 御質問があればいつでもお答えいたしますが、その原文を出せというふうなことは行政上の問題で、しかも、それが一つの、私が言うならば、そんなにあれじゃありません。ただ、行政上の書類をみな出せということ、それは少し無理なことで、その内容について御質問があればお答えいたします。
  537. 亀田得治

    ○亀田得治君 書類を見なければわからぬじゃないですか、だめですよ。
  538. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 御質問があればいつでもお答えいたします。しかし、こういう小さな書類というとおかしいですが、一々部内の書類を出せということは……。
  539. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 あなた読んでいないでしょう。
  540. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) まだ私は読んでおりません。
  541. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 読んでいないならわかりっこないじゃないか。
  542. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 読んでいないから、もし御質問があれば、その内容について私が直接読んで、そうしてお答えいたします。
  543. 亀田得治

    ○亀田得治君 それじゃ委員長質問者に書類を見せてください、そうして質問しなければいかぬ。これはいいですな。
  544. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) そういう必要が私はないんじゃないか。もし何か御質問があるならば、その問題について御疑問があるならお答えいたしますから、質疑においてこれは明らかにしていきたい。一々行政上の個人の小さな書類まで出せというわけにもこれはいきませんし、また、それが草案、原案の場合には、それは結論として迷うことが多いのですから、その途中の過程のことまで責任を私は負うということは、防衛長官としてまだそんなものじゃないんじゃないかと思います。
  545. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 稲葉君、どうですか。
  546. 亀田得治

    ○亀田得治君 だめですよ。質問者に対してそんな失礼なことはないですよ、長官が見てもしないで、それは必要ないでしょうというのは。何も防衛庁の一々の書類を全部出せなんて言っているのじゃないのだから。
  547. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) したがって、その内容について稲葉委員が御質問があるならお答えいたしますと。
  548. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、それは公文書であることは間違いないですな。そうして保存されていることも間違いないですね。
  549. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) それじゃ私が一度読みまして、それから御説明、御質問にお答えいたしたい。それで私が御説明いたします。その上で質疑をしたい。それならばもう一番正しいかと思います。
  550. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 あなたの話を聞いていると、まるで、読んで内容をよく知っていて、それで自分で判断をして答えているんですよね。読まないなら、その内容がどうであるとか、価値があるとかないとか、わからないのじゃないかと思うのですが、いずれにしても、それはあとで理事会のほうではかっていただきたいと思います。話を進めます。  ベトナムの特需の問題——特需というか、何というか、それが免税になっておったり、それから輸出承認を受けないわけでしょう。その法律的な根拠をずっと詳しく説明してくれませんか。
  551. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 現在米軍が軍用に供するため、国内で物資を調達する場合には、安保条約に基づく日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定、これで物品税等の内国消費税が免除されておるわけであります。それで、その消費税の免税手続を申し上げますと、米軍の権限ある機関が発行した証明書に基づいて行なわれるもの、こういうことになっております。米軍がこの公用証明書を発行するにあたっては、当然保安条約及び地位協定に照らして証明が行なわれているわけであります。したがって課税当局としては、証明書に基づいて消費税を免除しておる、これが法源及び手続でございます。
  552. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それは、安保条約の基本はどこにありますか。
  553. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 安保条約第六条かと思います。
  554. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 ベトナム戦争——戦争と言えるかどうかは別として、日本の安全にどういうふうに関係があるんですか。
  555. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) やはり極東の平和と安全を確保するためにあの軍事行動がとられておるのでありますから、日本の安全には関係があるのであります。
  556. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 ベトナムは極東ではないでしょう。
  557. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 極東の一応地域外でございますけれども、そこに起こっておる事態が、極東の平和と安全に関係のある場合には、これに準じてこれを取り扱うということになるわけであります。
  558. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 ベトナムは極東でないことはわかったんですけれども、それが極東における平和にどういうふうに関係をしているんですか、現在。
  559. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) その周辺に起こった事件が極東の安全と平和に関係がある場合には、やはりその取り扱いをすると、こういうわけであります。
  560. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 だからベトナムのあれが極東のどこの平和や安全に影響しているのですか、いま。
  561. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 何と申し上げていいか、これはとにかく近いところでああいう戦乱が起こるということは、極東の安全と平和に非常に関係があると、現にあなた方が戦争に巻き込まれるのじゃないかということをおっしゃっておるのでしょう。まあそういうくらいに平和と安全に関係がある。
  562. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いや、あなたのほうの考え方を聞いておるのです、ベトナムにおけるあれが……。  まず、ベトナムは戦争かどうか聞きましょう、そこからね。
  563. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 国際法上の戦争かどうかということでございましたら、戦争のいずれの当事者も、戦争の宣言はいたしておりません。
  564. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 だから、ベトナムで、まあ戦争であるかどうかはいいですよ、国際法の問題だから。それは別として、それが極東の平和や安全にどういうふうにいま寄与しているのですか、関係しているのですかね、具体的に説明願いたいのですよ。それでなくちゃあなた、免税やなんかする根拠はないわけでしょう。あるならあるで、はっきり答えてもらいたい。
  565. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まあ絶えず社会党の方々が……。
  566. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 社会党はいいですよ。あなたのほうを聞いているのだから。社会党じゃない。
  567. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 紛争に巻き込まれるじゃないか、非常に重大だ、重大だとおっしゃっているように、これはきわめてわれわれも関心を持たざるを得ないわけであります。それで、アメリカとしては南越の要請に従って軍事行動を起こしておるのでありますが、いつでも無条件話し合いに入る用意がある、相手方がこれに応ずれば。まあそういう努力をしておるということは、やはり極東の安全と平和を終局的にこれを収拾すべく努力しておる、それに寄与をしておる、こう考えるわけであります。
  568. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それでは、日本国の安全にはどういう関係がありますか、ベトナムの戦争か何か知らんけれども。
  569. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まあ巻き込まれる巻き込まれぬは別問題として、とにかく日本としては非常な関心を持たざるを得ない。それが、平和裏にこれを収拾されるということになれば、日本としても、まあ平和を脅威されるとか、あるいはその波動、影響を受けるというようなことがなくなりますから、日本にとってはまことにけっこうなことになる、こういうことであります。
  570. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 関心を持っていることを聞いているのではなくて、それが日本国の安全といま直接関係がないということですか、ベトナムの戦いは。そういう議論もあるわけでしょう。
  571. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 社会党のお考えになっているように、それほどではありませんけれども、とにかく、やはりあの地帯が絶えず混乱しておるということは、日本の安全と平和に関係はあるのであります。
  572. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 どうもよくわからないですね。社会党がどうしたのですか。社会党がどうしたから日本の安全に関係があるのですか。よくわからない。ぼくの聞きたいのは、ベトナムの戦争なり何なりが、日本の安全にどういう関係が直接あるか。
  573. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 社会党は戦争に巻き込まれる危険があると、こうおっしゃっていますが、日本は戦争に巻き込まれる危険はないと思う。そこまでは心配しておらぬけれども、とにかく地域を接しておるこの東南アジアで、平和に帰るということは、日本にとっては非常に大きな影響を受けるわけであります。
  574. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いや、日本が戦争に巻き込まれるおそれがあるとは社会党が言うことなんで、あなた方は言わないでしょう。言わなきゃベトナムと日本との安全は関係ないということでしょう、あなた方の主張によればね。
  575. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) あなた方が考えているほどではない。ないけれども、とにかく近所でああ、いう戦争が行なわれておるということは、何となくわれわれとしても安泰な気持らではいられない、こういうわけです。
  576. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 安泰な気持ちでいられないと、気持ちだけのことなんですか。そうすると、戦争に巻き込まれるということは絶対ないというのでしょう。絶対ないなら、安泰もへったくれもないじゃないですか。あなたの言う論理矛盾じゃないですか。決して誘導訊問じゃないですよ。論理的な矛盾ですよ。
  577. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) いま世界のその一角に起こった戦争でも、非常に世界全体を不安のうちに巻き込むわけであります。そういう意味において直接戦争に巻き込まれる懸念は私は万々ないと考えておりますが、とにかく、同じアジア、しかも近い東南アジアでああいう戦乱が起こっているということは、日本にとって決していいことではないと思います。
  578. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 時間をとっちゃってほんとうにあれなんですけれども、ぼくの質問のしかたがまずいのかもしれませんけれども、申しわけないのですが、「日本国の安全に寄与し、並びにに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、」ですね、第六条は。エンドでつながっているわけですね。そうすると、ベトナムのあれが「日本の安全に寄与する」というこの条文に引っかかってくるのですかね、どうもそこのところおかしいのじゃないですかね。拡大解釈じゃないですか。ベトナム特需で免税なんかをやっているのは、だれが見てもそうじゃありませんか。あなたのところの川崎さんがそういうふうに言っているのですよ。自民党の中で言っているのですからね。そうじゃないですか、どうです。
  579. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 日本は極東に占めておりますから、極東の平和と安全、すなわち日本の平和と安全。
  580. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、世界で起きたことは、どこでも、それは極東以外のアジアのどこかに波及する。そうすると、それは極東に波及すると、それは日本に波及すると、世界のどこかの遠いところで起きたことでもそういう可能性があるというと、アメリカが駐留してその目的を達すると、そのために特需や何か起きても全部無税だ、こういう論理になるわけですか。
  581. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) どうも御質問の要点がわかりませんので。
  582. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それじゃね、いや、日本の安全に直接関係がないことでも、アメリカ軍は安保条約六条の適用を受けるのですかと聞くのですよ、直接ですよ。あなたの言うのだと、極東以外のところでも、ずっと回ってきて、間接じゃないですか。
  583. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 極東というのは、フィリピン以北ということになっておりますが、極東の周辺であっても、極東の安全と平和に影響を与えるという問題についてはこの安保の適用範囲である、こういう解釈をとっておるのでございますが、この場合はこれに該当するものである、こう思います。
  584. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、この六条の「並びに」というのと四条の「又は」というのとは違うのですか。
  585. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 条約局長から。
  586. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 第六条の第一項の趣旨は、アメリカ軍が日本に施設、区域を使用することを許されてこの辺におるということ自体が、日本国の安全に寄与し、また極東の平和安全に寄与すると、そういう目的に資するということをうたっておるわけであります。第四条の、いわゆる一般的な協議の場合は、日本の安全が脅威を受ける場合はもちろんであるが、直接的に日本の安全が脅威されてなくても、「極東における国際の平和及び安全に脅威が生じた」というようなときには、いつでも協議する、こういう趣旨でございます。
  587. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これは、時間がないのであれしますけれども、明らかな拡大解釈ですね。ベトナムは極東外なんですからね。そこで起きたことが極東になってきて、極東であることが実は日本に対して直接な関係があるかというと、そうじゃないわけですからね。これは拡大解釈で、ぼくだけじゃないのですよ、あなたの党の中で言っているのですよ、みんなそのことを、良心的な人は。非常にこれは大きな問題があるわけですよ。これはまあ私、時間の関係もあるし、別な方にまた深く掘り下げてやってもらうことにして、私はまあこの程度にしておきます。  それから、LSTの問題になるわけですけれども、このMSTSというのは、これはどういうのですか、これはLSTに関係ないとして。
  588. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) MSTSというのは、極東軍に対する補給の小さな船で、港湾の中における船でございます。
  589. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これは防衛施設庁が中へ入ってやるかしりませんけれども、そこで人を募集してベトナムへ行っているということはあるんですか。
  590. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) おそらく労務提供という形で行ってやっていると思います。しかしベトナムということじゃありません。MSTSの提供労務は、労務協定によってやっているということでございます。
  591. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それがいままで何人ぐらい提供されているかということを、これを明らかにしていただいて、それがベトナムへ行っているかどうかはわからないんですか。
  592. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 労務協定によってやっておりまして、人数は百二、三十人だと思います。
  593. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 ベトナムへ行っているかどうかわからないのですか。
  594. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) それは私のほうの協定の範囲外であります。それは私のほうの運航命令とか運航方法とか、これはありません。
  595. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 LSTで行くのはどういう経路で行くか、いままでどのぐらいの日本人が行っているのですか。これは運輸省ですか。
  596. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 御承知のように、LSTは運輸省所管の船で、MSTSが調達庁によって労務提供をやっているわけです。百二十人ぐらいいると私は存じますが、間違いないと思います。
  597. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 政府委員からお答え申し上げます。
  598. 岡田良一

    政府委員(岡田良一君) LSTに乗り組んでおります日本人船員は、昭和四十一年一月一日現在で千二百九十七名でございます。これはMSTSが直接雇用しておるわけでございます。
  599. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それはどこへ行っているのです。ベトナムへ行っておるんですか。
  600. 岡田良一

    政府委員(岡田良一君) 大体韓国から沖縄、極東地域、ベトナムにも行っておると思います。
  601. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうするとあれですか、ベトナムへ行ってどういうことをやっているのですか。
  602. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 米軍関係の資材の輸送に従事しているというふうに聞いております。
  603. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 聞いておりますで、それ以上調べられていないわけですか。これらの人が事故が起きた場合はどうするのですか。
  604. 岡田良一

    政府委員(岡田良一君) これはLSTの船員の雇い主である先ほどお話の出ましたMSTSと全日本海員組合との間に確認されました日本人船員管理規則という規則がございまして、それによって事故の場合の処理、その他をやっております。
  605. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そういうふうに特需の面において、あるいはLSTその他の面においてベトナム戦争に協力しておる、こういうふうに私は考える、直接間接に。ベトナムのあの戦いというのは、日本の憲法に引き直しますと、憲法九条に引き直しますとどういうことになるのですか、変な反問ですが。憲法九条による武力による威嚇、武力による行使に該当するわけですか。
  606. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 日本の憲法に該当するかどうか、日本の憲法を引き合いに出すのは少し無理じゃないかと思います。
  607. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 どうして無理なのか。
  608. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 日本の憲法は、国内における自衛権あるいは国内における憲法九条によって対外的な戦力というものを保持しない、または海外派兵はしないということになっております。ベトナム戦争は、その規定どおりにやっているようにも見られない、日本の憲法にちょっと比較することが無理じゃないかと、私は考えてお答えしたわけです。
  609. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 だが日本の憲法にいうところの国際紛争を解決する手段としての武力による威嚇又は武力の行使ということが、現実にアメリカによって行なわれているわけですね。日本の憲法からいえば違反なわけですよ。変なロジックになりますけれども、それに日本は直接間接に協力しておるという結果が、そこから出てくるのじゃないですか、ぼくはそう思いますがね。
  610. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) いまの例でMSTSの例をとられましたけれども、これは非常に輸送だけであって……
  611. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 直接、間接……。
  612. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) したがって、間接的にはそれは米軍に対する輸送ですから、その米軍に対して協力したらいかぬじゃないかという非常にこれも拡大解釈をされれば、それは関係ないとは言いませんけれども、ちょっと日本の憲法にこれをベトナム戦争該当して議論するという、私はとてもその知恵がありません。またそういうことは日本の憲法では、日本が逆に言うなら、そういう事態が起こらないと思いますから、またそんなこととうていあり得ないと思います。したがって、日本の憲法論議は何ら関係がないとしか考えられません。
  613. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 あなたの言うことも、確かに一理あるわけです。ぼくもだから変なロジックだと断わっているのですね。ロジックとしては変なんです、確かに。だけれども、日本の憲法で禁止されているものなら——いいですか、それだからそれに協力するということは、おかしいわけなんですね、と考えられるものならば、だからぼくはその点で憲法の精神からいって、これに直接、間接という、間接的にも協力することは、日本の憲法の精神からいって許されないことである。これはぼくの考え方です。社会党の考え方はこういう考え方です。あなた方はそれは協力してもかまわないのだという考え方のようです。これは論理が対立していますから、またいずれ別なときにやらざるを得ないのじゃないか、こう思います。基本的にはやっぱり違うと、こう思います。  時間がなくなりましたので、自治大臣に聞きますけれども、ちょっと違ったことですけれども、県に盲学校やろう学校があるわけですね。その舎に対していままで課税していたわけですが、電気、ガス税。これは今後どういうふうにするつもりですか。
  614. 永山忠則

    国務大臣(永山忠則君) 盲ろうあ学校の寄宿舎は、文部省令によりまして義務づけられておるのでございまして、教室の延長とも考えられるものでございますから、やはり非課税にすべきものであるという考え方で指導をいたしておりますが、しかし、十分指導が徹底いたしておらないと考えますので、お説のように……。したがいまして、政令等の改正によりまして非課税にするように、今後十分措置を講じたいと存じます。
  615. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 まだほかにもいろいろ聞きたいことがありますけれども、どうも論議が、外務大臣と防衛庁長官にいっっちゃいましたけれども、時間の関係や何かがあって、論議がかみ合わないのですね。これは私の質問のしかたも悪いかとも思いますけれども、どうも残念に私は思います。もっとこういう点で十分論議を、かみ合わせた形で、重要な問題ですから、論議をしていきたいと、そういうふうに考えます。  きょう資料として出してほしいといったもの等については、あとでお計らいのほどお願いしたい、こういうふうに考えて私の質問はこれで終わります。(拍手)
  616. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 稲葉君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  617. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 次に、鈴木一弘君。
  618. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 大蔵大臣に、四十一年度の一般会計の繰り越し明許が一兆三千六百六十四億、大体一般会計の三一・五%になっているわけですが、いままでの実績、いかほど繰り残されてきたか、繰り越されてきたか、それについてお答え願います。
  619. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 大体繰り越し明許は、いま鈴木さんがおっしゃるとおり、大体三百億円ぐらいが実際繰り越されておる、こういうことになります。
  620. 谷村裕

    政府委員(谷村裕君) 細目をやや過去にさかのぼって申し上げますと、繰り越し明許いただきました予算のうちで、実際に明許繰り越しをいたしましたものは、昭和三十五年度が三百九十九億、三十六年度は六百十億、三十七年度は四百九十五億、三十八年度は三百八十八億、三十九年度は三百九十八億。ただいま大臣がほぼ三百億程度と言われたのは、大体この三百億見当のとこのをさして申し述べたと思います。
  621. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それについて。パーセンテージはどうなりますか、一般会計の当初に比べて。
  622. 谷村裕

    政府委員(谷村裕君) ただいま鈴木委員がおっしゃいましたように、繰り越し明許を予算でいただいております。パーセンテージは、ほぼ三十五年度辺から四十一年度にわたりましては三〇%あるいは三%、あるいは三四%というぐらいのところをいっておりますが、私がただいまお答えいたしました実際の明許繰り越しになりました分を、一般会計予算総額に対するパーセンテージで申しますと、三十五年度は二・三%、三十六年度は二・九%、三十七年度は一・九%、三十八年度は一・三%、三十九年度は一・二%、こういう数字に相なっております。
  623. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 繰り越し明許に対してはどのくらい……。
  624. 谷村裕

    政府委員(谷村裕君) 繰り越し明許予算額に対します現実の繰り越し額は、いまの順で三十五年度から申し上げますと、三十五年度六・五%、三十六年度八・六%、三十七年度六・一%、三十八年度四・一%、三十九年度三・七%、これが繰り越し明許予算額に対する現実の繰り越し額のパーセンテージでございます。
  625. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 大臣、いまのでわかると思いますが、繰り越し明許が三〇%前後ある、しかし実際に繰り越されたのは、総予算に対して一%前後である。繰り越し明許費の中で、明らかに繰り越し明許となったのは、三十九年度三・七、三十八年度四・一%と非常に少ない。もっと詰めることができるのじゃないですか。
  626. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) それは、こういう費目の経費は、場合によると繰り越しになる可能性が多い。その可能性を見て明許をとっているわけです。しかし現実に繰り越されるものは少ない。つまり繰り越しと言いますけれども、昭和四十一年度予算に例をとれば、繰り越されるべき経費は、昭和四十一年度の予算なんです。四十一年度において執行されるととが、これが本則なんであります。したがいまして、繰り越される額は明許の三%というふうに少なくなる、そういう実情であります。
  627. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そうすると、明許費の考え方、またその算定のこれは明許費にすべきであるという基準、これはどういうふうに考えておりますか。
  628. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) いろんな事情があると思いますが、いろんな事情によりまして年度内に使い切れないという可能性を持つもの、これを広く繰り越し明許をとっておる、こういうものであります。
  629. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは、予算にまずのせておけと、そうなれば事業は繰り越しになってもいいと、こういうことで、当然その年度内に上がるだろうということが予想されるにもかかわらず、わざわざ何というか大づかみにつかんで繰り越し明許というふうにしているのじゃないのですか。そうなると、ずいぶんといいかげんなやり方であるというふうに考えざるを得ないのですけれども、繰り越しの実際の額から見るというと非常に少ないということから、そういうことが思われるわけです。
  630. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 予算はその年度に執行されることがこれは本則なんであります。したがいまして、これはもう年度内に執行するように全力を尽くすわけでございまするが、いろんな事情で繰り越さなければならぬというようなものも出てくる、そういう出てくる可能性のあるものを広く繰り越し明許をとっておる、こういう考え方でございます。あくまでもその年度内に執行するというのが、たてまえでございます。
  631. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 年度内に執行させるのがたてまえであれば、三〇%も残していたものが三%程度に詰まってくるというような残り方は、だから、執行させるということであれば、もう少しこれを詰めさせることができるのじゃないですか。そのほうがほんとうじゃないですか、いき方としては。初めから繰り越しをさせるというような考え方でいくのか。やはりその年度内に執行させるという考え方で立つほうが、予算編成としては本筋じゃないのですか。
  632. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まあそこは議論のあるところなんですが、しかし、予算はもう当該年度に執行すべきものであります。ただ、何らかの事情によりまして執行できない場合がある。その場合を考えて繰り越し明許というものをとっておる、こういうわけでございます。しかし、最近こういう考え方もあるのです。予算を一年度一年度で区切ってこれを執行する。これは財政の時期的機動性というものをそこなうのではないかと、そういうようなことを考えて繰り越し、たとえば非常に年度の途中ではからずも景気がよくなってきた、財政をそう使うのはいかがかというような場合にこれを繰り越すというようなことを考えたらどうだ、一面、債務負担行為というのがあります。その逆の場合ですね、年度が始まらないけれども、その年度の始まる前において契約をするような制度を活用したらどうか、こういうような意見も出てきておりますが、いま私どもは繰り越し明許を御審議いただいておりますのは、そういうまだところまで決定しておるわけではないのです。従来の慣例に従いまして、各省でこれは繰り越すおそれがあるというその費目を特定しておる、こういう状態でございます。
  633. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 非常に安全係数だけをとって考えておるような気がするわけでありますけれども、じゃ、今度は観点を変えまして、繰り越し明許でやった事業で三年以上かかったという実例はありませんか。
  634. 谷村裕

    政府委員(谷村裕君) 明許繰り越しは翌年度までというのが例でありまして、さらにそれ以上に必要である場合には、事故繰り越しということになるわけでございますが、例としては、たとえば明許繰り越しをとっておいてやって、とうとうやり切れずに、ついに事故繰り越しになって、それでやっとけりがついたというのがままございます。確かに例はございます。
  635. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 その場合だったら初めから繰り越し明許でなく、継続事業ということではっきりしておいたらいいんじゃないですか。
  636. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 継続費と繰り越し明許、これはもう性質が違うのです。先ほどから申し上げておりますように、繰り越し明許のほうは当該年度にやっちまう、これがたてまえです。たまたま何かの事情が起こった際に繰り越しが許される、こういう性質のものでありますが、継続事業の場合は、数年度にわたってあらかじめ支出をする、これがたてまえでありまして、性格が全然違うのであります。
  637. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 ぶんどり合戦というようなことが、このような繰り越し明許を大きくしておる、こういう心配はありませんか。
  638. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 全然ありませんです。
  639. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 政府資産整理収入のうちの国有財産処分収入のうち、土地売り払い代、建物売り払い代、工作物、船舶、機械というものがあがっておりますけれども、ことごとく旧軍用土地建物等ということになっておる。この算定の基準というものは、どういうふうに算定しておられますか。
  640. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) あすこの土地をどうの、ここの土地をどうのというあれではないのです。従来の実績、これを勘案いたしまして、去年はどのくらいになるというグローバルの数字、これが歳入見積もりになっております。
  641. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 この毎年ふえてくる原因は何ですか。
  642. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 土地につきましては、価格が上がってくるという面があると思います。それからやはり行政能率がだんだんと進んでくる、こういうことだと思います。
  643. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これの処分収入のほうですが、実行予算とはっきりなってくるのは、いつごろでしょうか。
  644. 谷村裕

    政府委員(谷村裕君) 御質問が……
  645. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 はっきり確定するのはどことどこですか。
  646. 谷村裕

    政府委員(谷村裕君) 国有財産の売り払いが個々に行なわれて、個々にそれぞれの収入として入ってくる時期は、当該年度に、初めから年度末にかけて、ずっとそれぞれが個々にあるわけでございます。そして最終的には決算をもって確定しておるわけでございます。
  647. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そうすると、予算にあらわれた金額のところまで、できるだけ歳入については努力を傾けるということになると、必要な土地までも売らなければならないという事態が発生してくるわけですけれども、そういう点についてはどうなっていますか。
  648. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 必要な土地を無理して売るというようなことはいたさないつもりでおります。私は特に今後の国有財産の処理につきましては、そう売り急がない、やはり国が土地を持っているということは、将来大事な用途に使える。そういうようなことを考えますときに、そう売り急ぐというような考え方はよろしくない、こういうふうに考えまして、今後やっていきたい、さように考えております。
  649. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは話が小さくなりますが、冗費の節約ということは、かなりうたっていると思うんです、政府は。ところが防衛庁の残飯売り払い代金が五千三百十五万二千円という膨大なものになっている。この算定が過去三カ年間平均収入ということ、実績からの算定ということになるわけでありますけれども、こういうものについての単価のきめ方とか、そういうものについてはどういうふうになっていますか。
  650. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 残飯収入というのは、だいぶんあることは御指摘のとおりであります。何しろ二十何万人という兵隊さんが食べるその食費でございますものですから、どうしても余りが出る。これはやむを得ないことかと思うんです。しかし、その自衛隊給与の合理化、近代化、これはまあずいぶん努力しているわけで、だんだん数字も減る傾向になってきております。なお努力を続けていきたい、かように考えます。
  651. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 確かに三百万ぐらいことしは先年度より減っておると思いましたけれども、しかしむだの排除という問題、それからその単価の基礎はどうするのかということ、これだけは答えていただきたい。
  652. 谷村裕

    政府委員(谷村裕君) ただいまの御質問は、歳入のほうとしてたとえば四十一年度に五千三百十五万あげているのはどういう見積もりによったのであるかということだと思いますが、これは過去においてそれぞれ予算に、それはいわゆる実績によりまして大体こういう程度のものが出るであろうというところから算定しているわけでありまして、非常にこまかく一つ一つのくずが単価で幾らであろうというふうなことではやっておりません。
  653. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 例の碑文谷マンションの問題で、楽石社に対して違約金九千万円の請求がなされておりますけれども、四十一年度予算の中には入っているのか入っていないのか。
  654. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 入っておりません。
  655. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 入れていない場合、すでにあそこは抵当が二番、三番ついていると、とうてい取れないのではないかと思うんですが、少ししか取れない、あるいは九千万請求したけれども十分の一も取れない、そのときには一体その国損というのはどこへあらわれてくるのですか。
  656. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) ただいま係争中でございますから、裁判の結果を待って国の収入になるかどうかこれがきまるわけでございます。もし国に不利な判決が出まして取れないということになりますれば、それだけ収入が減る。これは国民全体の損失になるわけであります。
  657. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 今回の予算書には入っていないと。そうすると、その国損をした場合は、どこでもって予算なりあるいはそのほかの一面で国民の目にはっきりあらわれるように出てくるんですか。
  658. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 収入がそれだけないと、こういうことにまあなろうかと思います。
  659. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 予定された収入がないということなんでしょ。そうなると、それはどこへ、私としては、予算書に出てこないならば、一体どこへ出てくるのかと。
  660. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 四十一年度の予算ではまだ予定をいたしておらないんです。まあ裁判の確定を待ってこれを歳入予算に見積もると、こういうことになりますが、裁判がうまくいかなければ、その際収入に見積もれないと、こういうことになろうかと思います。
  661. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 収入に見積もれなくても、損したことは間違いない。それは一体どこでつかまえることができるかというんです。国民の前ではっきりできるのは、どういう場所でできるかということです。
  662. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) じゃあ政府委員から。
  663. 谷村裕

    政府委員(谷村裕君) 御質問の点は、二つ問題があると思います。第一は、裁判上の取り得なかったという点だと思います。それから第二は、かりに裁判上取り狩ることになったとしても、事実問題としてその執行ができなかったという場合であろうかと思います。  いずれにしても、裁判上これが取れないというような、その判決と申しますか、あるいは判示と申しますか、そういうのがあったときには、いわゆる国としての努力をしなかったとか、十分のことをやらなかったというふうに責めがあるわけじゃなくて、これはそういうふうに判定をされたわけでございますから、そういう事実はなかったということになります。  それから第二段の問題になりますと、これはいろいろ例がございます。実際、債権を国が持っておっても、どうしても取れない、そういう場合には、一つは、私どもの関係でいえば、債権管理法上の問題として、国の債権放棄という手続をとらなくてはならないということになると思います。しかし、そのことは、国が、あるいは当該官庁が法規に従って一生懸命やったけれどもどうしてもできなかった——怠慢であったとか何とかということでない限りは、会計検査院のほうから非違事項としたりなんかして指摘を受けるというようなことにはならないと思います。しかし、もし当方が十分な努力をしないで、怠慢であったりして、そうしてうまく取れなかったような場合には、場合によっては会計検査院から不当事項として指摘を受けて決算報告の中に出てくる場合もあり得ると思います。それでなければ、普通にはそういう形のものはどこにどう出てくるかと言われましても出てこない。公には——公と申しますか、正式の文書なり国会への報告というような形においては出てこないと思います。
  664. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いままでにそういうのでもって形に出てこないでいたものはどのくらいあるのでしょうか。
  665. 谷村裕

    政府委員(谷村裕君) 金額で私いまちょっと記憶しておりませんが、たとえば出納官吏が現金亡失をした場合であるとかあるいは窓口現金を横領したというようなことがあって、そうしてそれを本人に追及いたしましてもついに取れないというふうな例は、過去においてもありましたし、現にまたそういう金が幾らでありましたか、この間ちょっと記憶していたのですけれども、忘れましたが、ある程度そういう金はまだ残っておるという例もございます。それから、たとえばそのほかにも、いろいろ私の記憶しております、目を通しました範囲で、債権放棄の手続をとった例はいろいろございます。
  666. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 あとでその資料出していただきたいと思うのですが。
  667. 谷村裕

    政府委員(谷村裕君) 会計検査院から不当事項として指摘をされて、そして国損になるべきものとして、それを追及すべきものであるとしていまだに取りそこなっておる金額でありましたら、明日でも直ちに提出いたします。
  668. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 財政資金の対民間収支の問題ですが、三十九年と四十年との間にかなりの相違があると思いますが、その原因はどういうわけですか。
  669. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 三十九年度の財政資金の対民間収支におきましては、約四千億円の散超がございました。四十年度の見込みは、現在のところもう年度の末になっておりますのであらましの見当はつけられておりますが、大体千八百五十億から千九百五十億程度を見込まれます。したがいまして、二千百億円ないし二千二百億円程度散超が減るという状況にあるように察せられます。その原因といたしましては、一般会計の予算規模がふえておりますから、その関係で先ほどからお話がございましたような前年度の予算の支出がずれ込んで現金ベースで出てくることと、当該年度の予算から後年度に今度はズレを出していく、その差額がだんだんふえてまいります。そういう関係で散布が減ってくるということが一つございます。三十九、四十の関係では、これが二百億程度あるような見当に察せられます。それから特別会計等におきまして制度の改正がだいぶございまして、三十九、四十の比較について申し上げまするならば、厚生年金保険の保険料率の引き上げが四十年度にございました。これが千百億円程度揚げの要因といたしまして出ております。それからあと、三十九年度におきまして簡易保険がちょうど満期が集中する時期であったのでございます。四十年度もなお若干の集中はありましたが、その最盛期を終わったという関係で簡保の資金の揚げがふえた。それから郵便貯金が若干伸びがよかったということがございまして、約七百億ほどの揚げの差が出てまいっておるものでございます。なお、国鉄におきましては、三十九年度は若干歳入が予算よりも少なかった関係の年阿りであったのでありまするが、四十年度は例の景気対策の関係もございまして政府保証債を大幅に発行いたしまして資金を揚げました。そういうような関係で約八百億程度の揚げが見られるのでございまするが、一方で食管におきまする生産者米価の関係で逆に百六十億ほど散布がふえる関係もございまして、ただいま申し上げましたように全体で二千一億ないし二百億程度資金散布が減りました、こういう事情によるものでございます。
  670. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 政府の景気刺激策とは反対なような方向でありますけれども、まあこのところへきても現在楽観は許せない。一月はやや払い超が多いようですけれども、納税期に入っておりますし、それについてお伺いしておきたいのですが、そのような動きについてはどういう対策をお立てになっているか。
  671. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 国庫資金が支払い超過になりますると、他の条件が少しも変わらないという状況でありますると、これはそれだけ通貨増発の要因になってくるわけであります。そういう意味合いにおきまして、ただいま理財局長から申し上げました、散布超過になるか、あるいは引き揚げ超過になるかということは、通貨政策と非常に関連の深い問題でございます。それで、昭和四十一年度の状況を展望してみますと、支払い超過が二千八百億円内外になるんじゃないか、そういうふうに見ております。しかし、それが時期的にどういうタイミングでやってまいりますか、これは非常に複雑でございます。そういう、ときによりましては揚げ超になったり、ときによりましては散布超過になったり、そういうことを繰り返しながら、結局散布超過というようなことになりますと、その間の日本銀行の金融操作、これがまあ大事な問題になってきます。金融操作といたしましては、日本銀行が賢いオペレーション、売りオペレーション、あるいは貸し出し政策、そういうようなことで、なだらかに民間の資金が全体として流れていくようにくふうをするわけでございます。
  672. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 買いオペの話がちょっと出ましたから、関連して伺っておきたいのですが、四十一年度の金融調節について、短期証券をオペの対象にしたい、こういうことも大蔵省は考えておるようですが、私どもが考えてみると、民間資金をだぶつかせるというようなことで、先にそういうようなオペレーションをやってから公債を引き受けさせる、こういうようないき方をしておるのじゃないか。日銀引き受けと変わらないものになってくるのですけれども、そういうような御意図があるのじゃないかというふうに疑わざるを得ないわけでありますが、その辺の考え方はどうですか。
  673. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 今度は従来と違いまして国債を発行します。したがいまして、この金融の調節というものには特段の配慮をしなければならぬ、こういうことに相なるわけであります。そこで、日本銀行といたしましては、ただいまお話がありましたように、短期証券をオペレーションの対象にするということもいたしまするようになりましたし、また新聞でよく買い切りオペ、買い切りオペということがありますが、あれは買い切りオペということは適切なことばでないのですが、オペレーションのやり方というのもいままでと違いまして、売り戻し条件をつけない無条件買い入れ、こういうようなことをいたしますとか、またオペレーションでは片づかないという際には、証券担保金融をいたしますとか、そういうようないろいろなことを取りまぜまして、金融がなだらかにいくように、つまり民間における金の流れがでこぼこがないようにということをくふうしてまいるわけであります。
  674. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 次に、ジェトロのことで伺いたいのですが、今回の予算に十五億円の一般会計からの出資が出ておりますが、これは何の目的のために使われますか。
  675. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 御承知のように、現在のジェトロは非常に不便であるし、また設備も悪いので、新しくジェトロの本部をかわるということで、その経費を計上したわけです。
  676. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 ジェトロの副理事長が来ておりますが、現在の場所を移転されるのにそんなに手狭なのか、移転の必要性について。
  677. 長村貞一

    参考人(長村貞一君) お答えいたします。いま私どもの事務所が東京駅のそばにございますけれども、実は非常に手狭でございまして、現在でもそのほかに、飛び地と申しますか、分館をつくっております。この両方を合わせましても実に手狭、満足な会議室一つとれないということで、多年にわたりまして、私どもジェトロにおります全部が、何とかこの問題を解決したいと強く実は切望しておる次第であります。
  678. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 移転をするということになれば、入居先についてもいろいろ当たられたと思うのでございますが、その点についての経緯を言っていただきたいと思います。
  679. 長村貞一

    参考人(長村貞一君) 先ほど答え申しましたような状況でございますので、何とか新しく十分な仕事のできる場所をというつもりでございまして、今回幸いに予算に計上もしていただいておりますので、いままであちらこちら場所の関係等も考えましていろいろと心当たりをさがしておる現在でございます。もちろん、まだ予算をいただいておりませんので、どこというふうに決定はいたしておりませんが、具体的にいろいろと検討を進めておる、こういう状態でございます。
  680. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 ジェトロに電話をかけたときには、だいぶあちらこちらと候補地をさがしておったような、そうしてどことどこというような名前があがっておったわけです。大体どの辺ということを言っておったわけです。その辺の経緯について書ってくれませんか。
  681. 長村貞一

    参考人(長村貞一君) ただいま申しましたようなわけで、具体的にあちらこちらさがしております。たとえて申しまするならば、これはやはりジェトロの仕事の関係もございますので、やはりロケーションと申しますか、これも非常に私どもにとっては大事な問題でございます。おのずからそういうところの制約も出てまいると思います。ただいまのところ具体的な検討の対象としておりますのは、たとえばアメリカ大使館の前にございます共同通信のビルでございます。あるいはまた虎の門付近にございますほかのビルでございます。こういうところを二、三対象といたしまして、いま検討を進めているわけでございます。
  682. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 新橋の第十一森ビルというのがあったのだけれども、そこは安いのに、むしろアメリカ大使館前の共同通信のビルのほうがいいのであろう、こういうような結論に大体きているということであります。どうですか。
  683. 長村貞一

    参考人(長村貞一君) いまお話しのビルも、その候補地の一つでございます。これは値段の問題むろん重要な問題でございまして、これを頭に置かないわけにはむろんまいりませんけれども、今度私ども新しく事務所を移るといたしますと、今度ここをまず本拠としてこれからのことを考えていかなければならぬとなりますと、使いやすいと申しますか、仕事を取り運ぶ上からいってどこがいいかということの、実質と申しますか、こういう点を大いに考えなければならぬ、そういう点を考えますと、たとえばいまの共同ビルと申しますか、非常にスペースも、一つのフロアーのスペースが非常に大きい、何やかやで非常にこれはわれわれの仕事からすれば使いやすい建物ではないか、こういう感じを現在率直に申し上げまして持っている次第であります。
  684. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 大蔵大臣に。共同通信の会館の場所というのは、印刷局のあとですね。印刷局が電電公社と取りかえたというところですが、その電電公社と取りかえた理由と、共同に売り渡した理由ですね、それについてお答えいただきたい。
  685. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 印刷局長から申し上げます。
  686. 遠藤胖

    説明員(遠藤胖君) お答え申し上げます。電電公社と交換した理由、それから共同通信に売り払った理由、こういうことでございますが、電電公社と現在共同通信会館が建築しております土地と交換をいたしました理由は、当時市ケ谷に戦災後の仮住まいをして印刷局が所在しておりました。非常に古い建物でございます。国会、諸官庁と非常に離れております。ぜひ虎の円地区に印刷局を移転したいということで、当時電電公社が新しく大手町のほうに移るということで、大手町所在の印刷局の土地と電電公社所有の現在の場所と交換をいたしたのでございます。それから共同通信に一部を売り払いました理由は、当初電電公社の本社であった建物——現在の共同通信の建物が建っております土地並びに建物は、印刷局の研究所あるいは教習所の用に供したいということで交換をいたしたのでございますが、その後偽造券の頻発といったような事情が交換決定後に免じまして、その結果、研究所の建物等も若干機械なんかも入れなければならないというようなふうに、研究所の機能を多少変化をさせることになりまして、そんな関係もございまして、かたがたまた、建物そのものが非常に古うございまして、強度の点でも問題があるというようなことで、もともと研究所がありました場所を改築をいたしまして、そういう用途に充てた。したがいまして、研究所を入れるつもりでございましたもとの電電の本社の部分が印刷局としては要らなくなった。そこへたまたま共同通信が土地建物を求めておりました。共同通信に売り払いをいたしたといったような次第でございます。
  687. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 印刷局としては建物が非常に古くて困ったということらしいのですけれども、あるいは不便を感じておったということですが、その共同通信が払い下げを受けてからどうしてあれをこわしていったのか、あのままでは使えなかったのか、その理由は。
  688. 遠藤胖

    説明員(遠藤胖君) 共同通信も、当初その建物を使うということで申請がございまして、共同通信に売り払いを決定したのでございますが、その後共同通信から申請がございまして、使うつもりであったが、たまたま当時建築基準法の改正というようなことに関連いたしまして、付近に高層建築物ができる。そういたしますと、共同通信としては野田の送信所から送ってまいりますものを受信いたしますのに非常に高い鉄塔を建てなければならぬということに相なったようでございます。そこで、共同通信としては、その建物の上に塔を建てるととは不可能である。また、土地の余積等の関係もあったようでございます。したがいまして、申請をいたしてまいりまして、当該建物を取りこわして新たに建築をしたい、かような申請がございまして、当時検討いたしました結果、事情やむを得ないと認めて承認いたした、かような状況でございます。
  689. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 この会館の完成はいつになっておりますか。
  690. 遠藤胖

    説明員(遠藤胖君) ほぼと申しますか、大体落成をいたしておりまして、共同通信自身も近く入居する、かように聞いております。
  691. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 すでに入居しているものがありますね。
  692. 遠藤胖

    説明員(遠藤胖君) 三月になりまして、東京銀行に共同通信から貸し付けて、東京銀行が一階に入居いたしております。
  693. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 ここで大蔵大臣に伺いたいのですが、この大蔵省の印刷局とそれから共同通信社の間でかわされた国有財産売買契約書の第十三条によるというと、直接売買物件を社団法人共同通信社の通信事業及びこれに付帯する事業並びに通信機器総合技術研究事業の施設の用途に供しなければならない。ところが、実際問題は、すでに東京銀行が入っておる、それからいまお話がありましたようにジェトロも入ろうとしているということになりますと、用途指定、指定用途というものがすっかり変わるわけです。この計画を見るというと、まだあと五年ぐらいは使えないはずだと思う。通信事業並びにそれに付帯する事業——共同通信からの申請書を見ましても、非常にいまのところを追い出されるからということと、それから通信事業を行なうためにも、いろいろな通信社を入れるためにもぜひ必要である、そういう売却申請が出されて、それによって許可をされておるわけです。そうなりますと、あくまでもあの建物は指定用途としては通信事業並びにそれに付帯する事業でなければならぬ、銀行業務やあるいはジェトロの業務というものが付帯業務になるのかどうか、通信事業になるのかどうか、この点伺いたい。
  694. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 銀行業務も、ジェトロの業務も、これは全然関係のない問題でございます。つまり、付帯業務じゃないわけです。しかし、共同通信から大蔵省に対して用途変更の申請があるわけです。東京銀行に一階を使用させたい、こういうことでございます。これは、東京銀行というのは国際金融で非常に大事な銀行であり、東京銀行はあの地点に支店を出したい、こういう要請もあるわけでございます。そういうことを考えまして、用途指定の変更を大蔵省としては承認をした、こういういきさつになっております。ジェトロにつきましては、事務的にいろいろな話があるようですが、まだ私の段階まで参っておりません。
  695. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 用途を変更する場合の規則というのは、あるいは法律というのは、どこにありますか。
  696. 松永勇

    政府委員(松永勇君) お答えいたします。用途を変更するということ自体は、契約書の十六条に、用途を変更する必要性が出た場合、それが真にやむを得ない場合には許可をする、その許可は書面によって行なうということを契約いたしております。一般的に申しまして、本来用途に供するということは、国の立場から見れば、その用途に供する、供してもらいたいということを契約にうたって約束さしておるわけでございます。しかしながら、事情の変更等によって必ずしもそれを強制することがかえって適当でないという場合もあろうかと考えて、こういう契約書になっております。本件の場合には、用途の変更をすることが、その真にやむを得ないという十六条の規定によって、変更を認めたほうが適当であろうということで許可したことになっておるわけでございます。
  697. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 その真にやむを得ない事情というのを言っていただきたいと思います。
  698. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 先ほど大臣からも御答弁がありましたように、ここに入るという相手方が公共的な——公共的というのはちょっと言い過ぎかと思いますが、非常に公益的な性格のものであり、そのことがそれほど非難に値するものではないということが第一点。それからもう一点は、共同通信社のほうに当初予定した建築坪数の全体を使うに至らない、すなわち、まだ全部を使わないという、すなわち、もしこのまま造成すれば、この余った余積を遊ばしておかなければならないという事情があった。この二つの理由でやむを得ないと認めたわけであります。
  699. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 その余った余積があった場合はやむを得ないのは、余った余積というのは、延べ坪のうら、どのくらいと見ていらっしゃるわけですか。
  700. 遠藤胖

    説明員(遠藤胖君) お答え申し上げます。延べ坪で約三千坪余るということです。
  701. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 ジェトロの副理事長に伺いますが、ジェトロとして使用しようと思っていた部分はどのくらいですか。何坪くらいですか。
  702. 長村貞一

    参考人(長村貞一君) いずれにいたしましても、私どものほうとしては、新しい事務所としてまず三千坪程度はないと困ると思っております。
  703. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 東京銀行が占めているのは何坪ですか。
  704. 遠藤胖

    説明員(遠藤胖君) 約四百坪でございます。
  705. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 ジェトロで三千坪、東銀で四百坪、残りは何坪になりますか。
  706. 遠藤胖

    説明員(遠藤胖君) 一万一千三百坪強でございます。失礼いたしました。一万一千四百坪から三千四百坪を引きました八千坪というふうになっております。
  707. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それは、全部八千坪は共同通信が使うという予定ですか。
  708. 遠藤胖

    説明員(遠藤胖君) 現在共同通信から私ども聞いておるところでは、共同通信の事業関係に使う、かように聞いております。
  709. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 第十六条の、非常に余積が出た、使っても余った場合が出たということで、真にやむを得ない事由であると、先ほどそのような答弁があったわけでありますけれども、一万一千坪のうら、ジェトロは三千坪と言うが、四千坪はなくては困るだろうと言われておる。そういうのと、東銀の四百坪を抜きますというと、七千何ぼにしかならない。つまり、三分の一以上というものがほかの使用目的に使われる。そのほか、共同以外に通信関係となれば、ほかの通信社というようなものも一緒に入るかもわかりませんが、それは別として、通信以外の一番最初の奨約のときの用途指定と違ってくるものが、かなりの額にのぼってくる。これは大臣にここで御答弁願いたいと思うのですが、こういうような事態がありますと、国有財産を受けたときに、一部分だけ自分が使って、あとを真にやむを得ない事由である、余っておる、資金繰りがたいへんである、こういうことから、ほかのほうにどんどん貸すとか、あるいは、これを転貸する、売るとか、こういうことが発生してくるわけですが、このケースも小さいかもしれない。しかし、相当大きな問題です、はっきり言いまして。この大きな問題についても、同じようなことが言えると思うのです。特に政府機関であり、政府からもかなり出資をされておるジェトロが入っておるのでありますから、入るという話もあるくらいですから、この点についてどういうようにお考えになりますか。
  710. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 東京銀行につきましては、先ほど申し上げたとおりであります。それから、ジェトロにつきましては、まだ私まで正式な話は来ておりません。おりませんが、ジェトロは国が全額出資し、わが国の対外貿易上非常に重要な機関でございます。したがいまして、用途指定の変更、ジェトロに、それに基づいて売却したいというようなことがあれば、これは積極的に考えなければならぬケースかと、こういう感じを持っております。
  711. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 大臣は、公共的な、国の事業のようなものだから積極的に考えたいと言うのですが、われわれのほうから、国民の目からみると、印刷局の一部分の土地から、それをこわして、建物をこわして、建てる、そうして一階は東銀、二、三階が共同という、あるいはそのほか、その上がジェトロ、こういうような使い方をされますと、明らかに用途指定からははずれてくる。一番最初の契約は、それではこれはインチキではなかったか、最初からそのような、そのほかの、こうこうこういうものも入れたいという契約をすべきじゃないか、それがここのところへ来て、完成寸前に来て、あるいは完成前にもうすでに東銀は入っているようでありますけれども、そういうこが許されるということになると、政府をごまかして、大蔵省をごまかして国有財産を取得して、それからほかの用途に使うということが自由自在にできるということになる。この点どうなんですか。
  712. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 本件の場合には、共同通信社がこの建物をこわさなければならなかった事由、先ほど印刷局長から説明申し上げましたように、建物の上に高いアンテナと申しますか、鉄塔を建てることが不可能になって、構造部分がそれではもたないというので、前の建物をこわす、そのこわした際に、従来の建物よりも大きな容積の建物を建てたわけでございます。それを建てるときには、建てる、そういう許可の申請をいたしました際に、共同通信社としてこれを自分で使うという計画でその建物を建てたわけでございます。しかし、その後、通信社のいろいろな情勢で、計画しておった事業が直ちに着手できない等の事情もあって、この建物全体は使えない、余る、こういう事態になった模様であります。
  713. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 直ちに使えないなら、いつ使うのですか、そのときははっきりしているんでしょうね。
  714. 遠藤胖

    説明員(遠藤胖君) 共同通信が、それ自体として使いますのは、近々使用の予定のようでございます。ただ、それに関連いたします通信事業と申しますか、付帯事業、そういうものは当初もくろんでおった状況が変わりまして、目下のところは、いつからそういうものに使用されることになるかという点は、まだきまっておらないように聞いておるのであります。
  715. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それじゃ変じゃないですか。直ちに使えないというんなら、それじゃ、いつということがはっきりしていなければ変じゃないですか。
  716. 遠藤胖

    説明員(遠藤胖君) お答えいたします。  当初アジアニュースセンターあるいはFM放送というようなものに使用をするという計画でありましたものが、それの見込みが立たなくなったということで他に転用するということ、かように聞いております。
  717. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは大臣、扱いが非常におかしいと思うんです。直ちにできない、一ぱいにならないからということなら、一時的にあいているわけですから、そういう場合ならば、こういう用途指定を変更さしたのを許可をした、そうならば、永久的にそこは東銀が使えるようになるわけです。そうすると、共同として直ちにということでなければ、一年か二年ということになるでしょう。広がってくることはわかっているじゃないですか。ずいぶん不安定なものだと思うんです。それをどうして用途指定を変更したのですか、大臣からひとつお願いいたしましょう。
  718. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) いま印刷局長から申し上げましたが、二つの点が違っていたのです。つまり、FM放送に予定した積が不要になった、それからもう一つは、アジアニュースセンター、これに予定したものが要らなくなった、こういうことでありますが、FMにつきましては当分実現性がない、こういうふうに実は考えているようでございます。また、アジアニュースセンターについても、一年くらい前ですか、ずいぶん努力が行なわれておったようでありまするが、これも実現の可能性が当分ない、こういうふうに判断したもの、こういうふうに印刷局長は言っております。
  719. 小平芳平

    ○小平芳平君 関連。大蔵大臣、いつも国有財産の管理について用途指定を——売る場合にですね、用途指定を厳格にしてやっていきますということをよく大蔵大臣も言われておると思うのですが、それがいま鈴木さんが言われているように、用途指定をして売り払ったけれども、実際使うのは三分の二である、あと三分の一は変更して積極的にジェトロというものが名のりをあげてきた場合には、積極的に自分も考えてやるみたいにさっき言われましたけれども、そうすると、用途指定というものが何も意味がないようになりませんですか。
  720. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 今回の事例は、ただいま申し上げましたように、当初に予定しておりました二つの計画が変更というか、挫折といいますか、まあ変わってきたわけであります。そういうようなことを考え、これは真にやむを得ない事情じゃないか、どういう判断になるわけです。それから同時に今度は、じゃやむを得ないで、その場所にどういうものが入るかというと、東京銀行、これはもうすでに承認をしたのですが、まあ大事な国際金融機関でございますので、これに承認を与える、これは私は差しつかえないことじゃないかと、こういうふうにまあ考えました、まだ、ジェトロにつきましては、私のところまでは話は来ておりませんです。
  721. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 その真にやむを得ない事情というのは、あき室の場合でしょう。直ちにふさがらないということで云々というんですが、それじゃあ、直ちにふさがらないのだったら永久にふさがらないような印象をいまの大臣の答弁からは私は受けたわけです。永久に変えるということだと、どうしてそれじゃあ、直ちに使わないなんて、そういう申請が出たんですかね。ずいぶんおかしいじゃないですか、申請のほうが。これは当然そんな申請だったら却下しなければならないわけだと思うんですが、なぜなさらなかった。
  722. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まあ永久にということじゃないと思いますが、当分所定の目的には使用できない、あけておいたらこれは非常に損失にもなるわけで、そういうようなことから、どうしてもこれを承認したいと、こういう考え方になったようであります。そういう考え方自体におきましては、これはやむを得ないことじゃないかと、こういうふうにまあ考えておるわけであります。
  723. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それから例の共同が鉄塔を建てる問題で、鉄塔を建てるのに建物が脆弱であると言うけれども、隣接のところ等を使えば十分鉄塔が建ったんじゃないかという懸念があるわけです。現実にあすこを見てくるとそういう感じがする。それもほかの方法を考えさせなかった。むしろ、言われたから、けっこうでございますと、一等地でもあることだから、りっぱなビルをお建てくださいということになったんじゃないかという心配が私はあるんですけれども、その辺の経緯はどうなっているんでしょう。
  724. 遠藤胖

    説明員(遠藤胖君) お答えいたします。  当時の事情をいろいろ検討いたしてみておるのでございますが、やはり建物そのものが脆弱であるということ、その他、全体の土地の建物そのものにおいて余積に鉄塔を建てるというようなことが困難ということのために、当時やはりやむを得ないと認めたようでございます。
  725. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 アンテナは隣の建物に建ててもよかったんじゃないですか、借りても。
  726. 遠藤胖

    説明員(遠藤胖君) ちょっと御質問の趣旨が、あるいは間違っておるかもしれませんが……。ただいま申し上げましたように、建物の上に建てることが建物構造上困難である、共同に売りました土地の余積に建てることも困難だということでございます。
  727. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 近所から借りる……。
  728. 遠藤胖

    説明員(遠藤胖君) 近所にさような適当なものがなかったのではないかと、かように考えます。
  729. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 なかったのではなかったかと、のではなかったのかということは、確認していないということですね。少しやり方としてはあまり感心できない。インチキじゃないかという感じがする。  大臣にここで伺っておきますけれども、先ほど答えをいただけなかったわけですが、一部分を使ってですね、大半——大半というとおかしいですが、三分の一以上となれば二分の一近くなる。大半です。大半を用途指定地域、用途指定以外に使うということになってよろしいですか。そういうようなことは許せばどこもできるようになるじゃないですか。幾ら国の機関である、あるいはジェトロであるといっても、あるいは国際的な金融機関である東銀であるからやむを得ないというような考え方をすればですね、それはどこでもそれは通用できることになる、理屈はあとからつければということで。そういう考え方での管理というものは、これは直さなきゃならぬ。まず、共同を私は憎むわけでも何でもありませんけれども、用途指定をしたものを正しく使わせるということにまず全力を注いだらいかがですか、その辺について。
  730. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 共同通信社も一つの事業体でございまするから、これを、採算を度外視してその会社を運営するわけにはいかぬだろうと思うのです。部屋がどうしても計画が変更になって使えない、これに何が何でもアジアニュースセンターをつくりFM放送をやって、それでやりなさいと、こうはなかなか言えないのじゃないかと思います。でありまするから、そういうずっといきさつを見ますると、これが何か利害関係にからまるとか、あるいは私の、ほんとうの純粋の会社なり個人に使わせるようになるとか、そういうことでなく、公的な機関がこれを使うことになる、この公的機関というものが、申請があれば、国有財産を売り払ってもいいような性格のものである、それに対して、いろいろ用途の変更をする、こういうならば、用途の変更、これはみだりにやるべきものじゃありませんけれども、これはやむを得ないのじゃないか、そういうふうな感じを持つわけでございます。
  731. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 建設費はどのくらいかかっていますか。
  732. 遠藤胖

    説明員(遠藤胖君) 共同通信会館の建設費は、共同通信のことでございますので、多少間違っておるかもしれませんが、三十億程度ではないか、かように記憶いたします。
  733. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 売り払は代金が、土地だけで六億三千七百万、いまの話ですと三十何億、合わせても三十六億程度、それで、ジェトロが入るのに十五億の出資、しかも、それが四分の一、こういうことになると、自分で国有財産を払い下げてもらって建てて、そうして用途指定変更をしてから、高い金でほかへ貸したほうが有利である。そういうそろばんが立つわけでございますが、そういうような行き方というのは厳重に排さなければならない、国有財産を幾ら公共の事業であるからといっても、利用して収益を得るような考え方というのは排さなければいけないし、そういうおそれがあるからこそ、私は、用途指定というものをはっきりきめられたからには、それをきらっと守るようにさせなければいけないと言っているわけです。大臣の考えはどうですか。
  734. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まだ幾らで入るというような話は聞いてないんです。これはまあ、そういう問題は監督官庁である通産省でよく調べまして、これが適切な価格であるということできまるだろうと思いますが、まだそこまで私ども実は聞いておりません。
  735. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そういうような行き方でいいのか、予算十五億ついている。
  736. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) もしかりに、国家機関であるジェトロに対し、建設費の割合より割り高な価格をもってこれを売却する、こういうようなことは決していいことじゃない、これは不当のことである、こういうふうに思います
  737. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 じゃ、大臣はそのときには、大蔵省としては厳重にきちっと押えるということですね。
  738. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まあ一次的には、これは通産省が監督官庁でありまするから精査すると思います。その精査をさらに大蔵省としては見てみると、こういうことになると思います。
  739. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 通産大臣に伺いたいのですが、あそこにもしジェトロが入るとなったときには、地上権なんですか、入居権なんですか。
  740. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) そのジェトロが入るところを買い取るということです。
  741. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 私は、そういうような黒いような霧というものがかかっているようなうわさがあるような、何となくすっきりしないような用途指定の変更を伴わなければ、どうしても入っていかれない、こういうところについては、当然通産省としても遠慮をし考えなければならないのじゃないか。むしろ、建物の一部分を使うより、全部の、そっくりビルを買えるようなところをおさがしになったほうがいいんじゃないですか。大臣の方針はどうなっていますか。
  742. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) この問題は、ジェトロの理事長、ジェトロの意向というものを中心に考えるべきものである、こういうふうに考えております。
  743. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 じゃ、ジェトロの副理事長から伺いたいと思います。
  744. 長村貞一

    参考人(長村貞一君) 私どもといたしましては、いまの用途指定の問題その他は、何と申しますか、きれいに解決をされるということを前提にしまして、しかる上で、われわれ将来、仕事の上からどういうところを選ふほうがいいかという見地に立って場所をきめたいと、そう考えておるわけであります。
  745. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 副理事長に聞きたいのは、全部の建物をお使いになるほうを買ったほうが得なのか、それとも、そういう一部分だけをお買いになって使ったほうがジェトロとしては便利なのか、むしろ、活躍としては、一つの建物のほうがいいんではないか、その辺の考えはどうかということです。
  746. 長村貞一

    参考人(長村貞一君) 全部の建物を使う、あるいは一部の建物、その全部一部だけでは私は必ずしもどちらがいいと申しかねるのではないかと思います。全部の場合、あるいは、そのうちの一部の場合、その問題もございまするし、あるいはまた、全体の建物の構造と申しますか、そういう場合もございましょう。全部をひっくるめまして、仕事の上からどれがいいかということを考えていただくというようなことではないかと思います。
  747. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 この問題は、まだかなり聞きたい疑問の点があるのでありますけれども、いずれ、決算のほうでやってもらうことにして、次の問題に移りたいと思います。  貿易の問題で、これに関連して一点聞きたいのですが、ジェトロとしての海外活動のうち、中小企業の輸出に対して非常に努力をしているということをうたっているわけですが、われわれの見るところによると、少しもそういうことは考えられない。むしろ、海外の派遣員は一番ゆうゆうと遊んでいらっしゃるように見えるのでありますけれども、その点について、どういうような効果をあげてきているか、報告をしていただきたい。
  748. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 鈴木さんも海外に出られた場合にごらんになってもわかるように、私はジェトロは相当やっていると思います。ことに大メーカーは直接支店を接っておりますから——ジェトロというものは大体中小企業中心のものだと私は思っております、性格的には。大きい会社はみな出張所がありますから。そういう点で相当な中小企業の面において貢献をしている。ことにマーケッティングなんか、六十種類くらいのマーケッティングをやっている。それを検討しても、五十種類くらい中小企業向けのものである。まだまだやらなければならぬ。これで満点だとは思っていないのですが、中小企業のために相当ジェトロは市場調査あるいは宣伝、情報、そういう面で貢献をしていると評価をいたしている次第であります。
  749. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 貿易の自由化に伴いまして、かなり貿易問題では各国が過当競争といいますか、シェア拡大のために血のにじむような競争をやっておるわけでありますけれども、現在の輸出の現状というのはどうなんですか。特に東アフリカであるとか、あるいはアルゼンチン方面であるとか、非常な障壁があるということを聞いておるのですが、なぜそういうことが起きてきたのか。その現状と、起きてきた理由を答弁していただきたい。
  750. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) いま貿易の、御指摘のような東アフリカは、非常に日本に対して輸入制限の措置を四月ごろからとり始めた。これは非常な片貿易なんですね。日本の輸出に対して向こうから買う物が少ない。日本から輸出する物が多いという、五対一、極端な場合は十対一になったりする場合もある。これは向こうで第一次産品の品質、値段の点で、なかなかやっぱり国際競争力を持ってない。そういうことで日本が買うことが困難な場合が多いわけであります。そういう発展途上の第一次産品というものをどのようにして、できるだけこれを日本が買って、貿易のバランスを保つかということは大問題の一つであります。各地でやっぱりこういうアンバランスに対する不平が起こっておる。しかし、すぐに要らぬ物を買うというわけにもまいりませんから、本年度も、第一次産品の輸入促進費というものを三億円計上したわけであります。これは私は、この一年の運営を通じて、何らかのくふうをしなければならぬ時期に来ておる、いま金額は少ないですけれども、政策としては、新しいこれは政策の芽である、その運用を通じて第一次産品買いつけのくふうが日本はされなきゃならぬ。それに対して一方においては、貿易の面でバランスを合わせなくても、あるいは円借款であるとか、あるいはまた直接の投資とか、そういう経済協力を通じてこれを補っていくのでなければ、低開発国に対する貿易というものは非常な障害にあうのではないかということが大問題であります。全体としてのまあ日本の貿易は、アジア、アメリカが中心なんで、三〇%ぐらいのもの、西ヨーロッパが二%ぐらい、アフリカが一〇%、共産圏がまあ六%ぐらいですが、アメリカとアジアというものは伸びるだけのやっぱり理由があると思います。アメリカだって非常にこの原料は豊富だし、市場としては非常に広大ですからね。アジアは地域的にまあ非常に近いわけですから。このアジア、アメリカが三〇%を占めておるということは理由がある。これから伸ばさなければならぬは、西欧とか、あるいはアフリカとか共産圏とか、こういう点はもう少しやっぱり貿易を伸ばしていかなきゃならぬ、というその努力をするためには、いろいろヨーロッパにおいても、日本の輸入に対する制限を、これは外交を通じてやはり制限を緩和していったり、あるいは市場の開拓をしなきゃならぬ、あるいは共産圏に対してはこれを、だんだ伸びておりますが、できるだけ伸ばしていくという努力もしなきゃならぬ、こういうことで均衡のとれた貿易拡大ということに今後は努力をする必要があるということを考えておるわけでございます。
  751. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 現在、現実に輸入制限あるいは輸入禁止というのを受けておるところは、どことどこですか。
  752. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 東アフリカのケニアとウガンダとタンザニアの三カ国。
  753. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 おもに片貿易と先ほど大臣が答弁されたようでありますけれども、インドの製鉄所の入札についても、日本の態度というものが、借款供与そのほかの形がなされなかったということから受け入れられなかった。あるいは片貿易是正についても積極的な働きがなかったのじゃないか、こういうことから、こういう東アフリカであるとか、東南アジア関係の貿易というものが、輸出がどんだんと先細りせざるを得なくなってしまった。そういう面についての考えはどうお持ちですか。
  754. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) どうしても低開発国に対する輸出のバランスというものを貿易だけでとるということは、なかなかむずかしい。それでやはり経済協力、ことに、御指摘の東南アジア地域などに対しては、経済協力というものをもっと積極的にやって、そういう点で、貿易上のバランスのとれない点を経済協力によって補っていくということが基本だと思います。そうでないと、貿易上の要求、要請をそのまま全部日本が応ずるというわけにはいかないというふうに考えております。
  755. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 ローデシアの商工大臣あたりが、日本は先進国だから貿易バランスを形成するに際して、常に先輩の役割りを果たしてほしいと、発展途上のそういう未開発国にとっては、先進国のほうが買う力がある、できるだけ先進国が買ってほしい、そういうことによって初めてできるのではないかということで強くわれわれに訴えておるわけです。その点で、いわゆる片貿易是正の問題も、いままで消費財というものを大きく出していたと、だんだん生産財というものを向こうがほしがるようになってきておる、そういうことに対しての対処のしかたというものはどうなっておるのですか。
  756. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 貿易のバランスの面では、開発輸入という問題があるのですよね。向こうで日本のほしいものを開発する、たとえばタイなんかのトウモロコシなんか相当なる効果をあげておる。そういうふうな第一次産品を向こうで開発して、長期的にはやはり買うという、そういうふうな安定して日本が輸入できるような計画を先方が立てられる、これは向こうが輸入する力がふえてくるわけですから、そういう面もしなければならぬが、一方において、生産財ということになれば、これは延べ払いの方式で、これはまあ五年というが、五年というのはほとんどもう延べ払いという、何か経済協力の分野には世界は入れてないわけですね。もう普通のコマーシャル・ベースで、多少のやはり経済協力というものが伴うような延べ払いというものはもう五年以上である、非常に長期化していく傾向があるわけです。日本もまたこの延べ払いの条件というものを緩和して、そうして低開発国の求めておる生産財を輸出すると、延べ払いの条件緩和ということが、いま鈴木さんの言われるようなことの要請にこたえる道だ、こう考えます。
  757. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 大蔵大臣、いまのような延べ払いの問題になってくると、かなり政府のほうとしても考えなければならないわけでありますけれども、その点についてのお考えを聞かしてほしいわけです。
  758. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 延べ払いにつきましては、逐次条件の緩和につとめてきております。一応の基準も持っておるわけでございますが、その相手方の事情によりまして、これを弾力的に運用していく、こういう方針で臨んでおります。
  759. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 現在のまあ輸出構造が消費財から生産財へだんだん移ってきておることは、これは間違いないんですけれども、それに伴って日本の産業のほうの構造も変えなければならない。その辺の産業構造について、これからの考えというものを経企長官から聞いておきたい。
  760. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) お説のとおり、生産財の輸出をやっていくとなれば、産業構造を変えなければなりませんが、大体開発途上の国がだんだん開発をしてくるとなれば、将来軽工業、消費財工業というものが主としてそういうところにできてくる。したがって、日本としては、たとえばそういう軽工業自身もやっぱり高度なものをつくっていかなければならぬ。たとえば昔普通のおもちゃをつくっておったのですが、このごろでは電気でやるリモート・コントロールの自動車を走らせるとか、ああいうような精巧なおもちゃを出していく。ですから、やはり日本の重化学工業の体質改善はもちろんのこと、中小企業もそういう体質改善をやって、そしてやはり低開発国あるいは後進国がだんだん自分たちのものをつくってくるということになれば、それよりも一歩先のものをつくっていかなければならぬ。繊維がまさにそうだと思います、人絹になり化繊になり。そういう意味で日本の産業の構造改革ということは非常に重大な問題だと思います。
  761. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 次に、食糧の問題について農林大臣に伺っておきたいんですが、最近の日本の農業関係者の間に、主要食糧について、国内自給を政府の八割計画はなまぬるい、全部完全自給しなければならぬ、こういうようなことを言っている人があるわけでありますけれども、それについての政府の見解はいかがですか。
  762. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) お答えいたしますが、いま八〇%の自給率と申しまするのは、肉類からすべて食糧全部を通じて、畜産のための飼料も入れ、全部の食糧ないし半要作物、主要農産物、それらを全部包含した上において、それからそれにプラスして、ココアとか、そういうような国内に生産されないものも全部入れまして、そうして全体の食糧のうちの八〇%ということを申しておるわけでございます。で、主食の米について九六%自給率という問題になりますと、今年のような不作の年でも、九六%の自給を持っておるわけでございます。その八〇%、そういう意味でございますから、決して少ないというよりも、非常な大きな負担であると思うくらいでございます。これを将来とも八〇%を維持するということは、努力はするけれども、そう容易ではないと、かように考えておりますわけでございます。
  763. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 世界のお米の余剰ですね、いわゆる輸出できる高というのは、全体でどのぐらいになっていますか。
  764. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) 世界の食糧輸入可能と申しますと、大体合計で六百八十万トンないし七百二十万トンになると思います。そのうち、いわゆる準内地米として日本で食糧に輸入しまするものは百四十万トンないし百七十万トン、それから普通の外米というのが五百四十万トンないし五百五十万トン。
  765. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 おもな輸入先はどこですか。
  766. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) お答えします。おもな輸入先は、アメリカそれから韓国、台湾、スペイン、これは準内地米でございます。それからそのほかに、タイ、ビルマ、カンボジア、ベトナム、これはいわゆる長粒種でございますが、いわゆる普通外米でございます。大体そういう国から輸入しているわけでございます。
  767. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 なぜこんな質問をするかというと、大体世界のお米の需要量というもの、いわゆる余剰量というものがだんだんなくなってくるであろうという予想がされております。それで伺っているのですが、これから先の日本の米の消費量の見込みというのはどのくらいですか。大体一人当たりの消費量が減っても、人口がふえてくる、したがって、絶対量はますますふえる、そのときの輸入量は一体どのくらいになっておりますか。消費量の見込みと輸入量の見込みを、一九七〇年、一九七五年というふうに出していただきたい。
  768. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) 一九七〇年のときの完全なるものはございませんけれども、農業基本法をつくりまして、それによる十年後の見通しというものを発表しておるのでありますが、それによりますと、需要は千三百十二万トンないし千三百七十九万トン、こういうことになっております。それに対して、国内生産で千四百二十三万トンないし千四百五十五万トンの国内生産ができるという見通しに相なっております。そしてこの見通しにつきましては、数年前までは大体その方向に進んでおったのでございまするが、需要のほうは大体この線に沿ってふえていっておるようでございまするが、生産のほうはここ二、三年停滞の状態でございます。したがいまして、この生産の千四百二十三万トン——千四百五十五万トンというものについては、さらに検討を加える必要があると思いまして、昨年中間的にその吟味をいたしておるわけでございます。その結果は大体そういう傾向でございます。
  769. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そのときには何万トンぐらいになる予定ですか、吟味した結果というのはございませんか。
  770. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) そのときの、まだ一九七〇年のときの需給については、最後の結論をいたしておりませんが、たとえば昨年の状況から見ますと、大体収穫が千二百五十三万トンですか——国内の生産に対して不足量として輸入いたしましたのは、年度にしますのと米穀年度で違いまするが、年度にいたしますると、五十万トン前後輸入しております。本年はどうなりますかというと、大体不作でございましたが、千二百四十万トン程度の生産がありまして、輸入量としては、準内地米は四十二万トンの計画でございます。それはほとんど手配はついておるわけでございます。
  771. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 外米はどのぐらいですか、普通外米はどのぐらいになりますか。
  772. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) 普通外米は三万トン、それから砕け米がそのほかに十万トン。
  773. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 アメリカは、契約栽培方式であれば台湾米より安いといわれているカリフォルニア米を供給する意図があるというのですが、これが事実だとすれば、政府としてはどういうふうにお考えになりますか。
  774. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) お答えいたしますが、現在この米につきましては、二、三年停滞の状態でございますが、気候風土も非常に適しておる日本でございまするので、また、昭和四十六年、つまり一九七〇年の長期見通しにおいても、生産量を先ほど申しました見通しをいたしたようなわけで、技術的にも国内で自給し得る見込みは十分立っておるわけでございます。これは、したがってその生産政策その他によって、この停滞を防ぐことができる確信も持つものでございます。米についてはさような関係がございまするが、いま直ちに自給ということはもちろんこれはできませんので、輸入をいたしておるのでありまするが、これは契約栽培的に契約を結ぶということになりますというと、これは各国に対して同じようなことをやらなければ、この貿易の自由、いわゆる最恵国的になっても困ると思います。一つやれば全部というようなことに相なりまするし、これらの問題については十分検討をしなければならぬと、かように存じております。
  775. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 一九七〇年になれば自給できるというお話なんですが、農林省からいただいた統計を見るというと、三十五年以来年々輸入量がふえてきている、はたして可能なんですか。
  776. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) 昨年の、つまり天明時代以来の冷害じゃないかといわれた昨年におきましても、一千二百四十万トンの生産を得ておるわけであります。それでも九六%であります。でありますから、多い年には九八%に到達している年もある。ここ数年間たるんでおるという実態でございますので、政策よろしきを得てこれらの問題はそう困難ではないと、かように存じているわけでございます。
  777. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 外務大臣に。きょうの夕刊ですが、東南アジア閣僚会議に対して、きょうの外交関係閣僚協議会で首相の指示として、片貿易是正のために米の長期継続買い入れなどを重要項目として検討する、こういうことがいわれている。タイ、ビルマ、カンボジア等について、長期買い付け契約を結びたいということでありますが、これについてのお考えはどうなんでしょう。
  778. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 米の需給に関しましては、農林大臣のほうで所管しておりますので、農林大臣のほうからお答えするのが適当だと思います。  なお、きょうの午前中に、東南アジア開発の会議の準備の会議をいたしましたが、その準備の会合においては、さような問題は出ませんでございました。しかし、その問題に出る出ないは別問題なんで、実態は農林大臣の所管でございます。
  779. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 大臣は、そういう話は出てなかったと言うが、それでは、新聞のほうで、佐藤首相が最初に次のように指示したという中にある、いまの長期買い付け契約の問題は、これはうそだったわけですか。
  780. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) お答えいたしますが、その問題はきょうはやっておりません。ただ、問題としては、片貿易の問題については、先ほど通産大臣からお話しのように、えさとしてのトウモロコシあるいはマイロのようなものですね、これは国内においても非常に必要でありまするし、自給も困難であります。そういう点について、この問題を主題としたわけではありませんが、片貿易に関係してトウモロコシ、マイロといったような問題は話はしておりまするが、いまの米の問題については、全然ございません。
  781. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それでは、きょうの新聞報道やテレビはうそであったということになるわけでありますが、外務省ではそういうことを検討しているというのですが、ほんとうですか。
  782. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 日本を中心にした米の需給の問題は、これは農林省が全責任を持ってやっておるのでございますので、外務省としてこの問題の研究はしておりません。ただ、いわゆる南北問題として、東南アジアがいかに経済開発をするかといったような問題について問題になるのは、やっぱり人口増加に比例して、食糧の増産というのがどうも思わしくない、従来のカーブをそのままにしておけば、また一そう東南アジアに飢餓状態が濃くなってくるのではないか。そういうようなことから、もし経済協力をするという場合には、こういったような問題もとらえていかなければならぬのではないかと、しかし、こういったような問題は、専門は何といっても農林省でございます。農林省のほうに外務省の見解を申し入れて、そうして十分にこれに対する対策を、技術的に十分研究してもらったらどうかというぐらいのことは考えております。
  783. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 農林大臣のほうとしては、国内農家の圧迫であるということ、で強く反対している、そういう関係があるらか外務大臣なかなかお答えがしにくいのかもしれませんけれども、農林省としてはこれに反対なんですか。
  784. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) この東南アジアの問題は、先ほど外務大臣がお答えいたしましたとおり、ほんとうに食糧そのものの不足を訴えるような状態にありますることは言うまでもございません。現在でも全体の関係から見ますというと、東南アジアから出る食糧、農産物のほうが入るよりもはるかに多いというのであります、普通の年においても。今年のようなインドの非常な飢餓の年はなおさらでありますが、そうでなくて普通の年においてそうでございます。そういう実態でございまするので、でき得る限りこれらに対しての技術援助というものは、これは日本としては十分やっていかなきゃならぬということについては、外務大臣先ほど答えになったとおりの考えを持っておるわけでございます。
  785. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 長期買い付け契約について大臣は御答弁をそらされたのですが、長期買い付け契約については反対なんですね。
  786. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) 長期買い付け契約というものになりますと、これはやはり日本の国に必要なものでなければならぬ。それは、しこうして物がよくて、そして安いという問題も考えなきゃならぬ。世界各国の関係も見なければならぬといういろいろな問題もございます。これは貿易の面からいって多少のことはできても、そういういろいろのことを考えなければなりませんので、長期買い付けという問題になりますと、これは物によってずっとやはり検討を加えていかなければならない。現に農産物においても長期買い付けをやっておるものは、そう多くはないけれども、先ほど例に出しましたようにトウモロコシ、マイクロのごときは、やはり長期買い付けをやっておるわけでございまするので、物によっていろいろ検討を加えておるわけでございます。
  787. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 外務大臣先ほど技術協力の面を取り上げて言われたのですが、FAOの推計によっても、一日に十四万人の割合で世界の人口はふえておる、低開発国の場合特にひどくて、先ほど話があったように、インドのケララ州あたりでは一日の配給量が百四十からやっと百六十グラムに引き上がったというような飢餓状態、こういうのに対して、これはアメリカは今回小麦の作付制限をやめたり、あるいは米の増産ということにもっとめるというような態度がある、アメリカに追従しろというわけじゃありませんけれども、世界的視野に立って考えると、どうしても食糧問題として考えておかなければ世界の不安定というものは除かれない、こういうような差し迫った問題もあるし、これから先さらにこの問題がひどくなってくる、世界中が米が足りなくなることはわかっている、そういうのに対処してどういうようにこれから方策をとっていかれる気か。技術援助だけですと、どうしてもカースト制度があるとか、あるいはその国の民度が低いということで、現実には日本の技師が行っている間はいいのですが、帰ってしまえば増収が見込めないというのが現状で、そういうのに対して、そういう社会変革を伴ったようなあるいは進め方をしなければならないわけでありますけれども、それについての政府の考え方、方針というものを伺っておきたいと思います。
  788. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 問題の所在については全く御同感でございます。米食のみな民族でございまして、それに米が足りないとますます将来は心細いという状況でございますから、これらの問題、日本との関係ということも、飼料であるとか、あるいは大豆というような油脂原料の問題に関して日本との物資交流ということもありますけれども、東南アジア自身の食糧問題という非常に深刻な問題がもう一つあります。これらの問題に関して、どういうふうに今後考えていくべきかというようなことは、四月上旬の責任閣僚の会議においてもおそらく議題として論議されるであろうと思いますので、十分に各国の代表者の意見を聞いて、その問題の討議をしたいとこう考えております。
  789. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 日本政府として、差し迫ってのインドであるとか、インドネシアの食糧の困難な問題についてはどういう態度でいかれますか。ここで緊急援助をざらにインドにはやる、あるいはインドネシアに対しても考えるというようなことはあるわけですか。
  790. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) インドに対しましては、御案内のとおり緊急な対策を日本としても講じます。インドネシアに対しては、大体政情の山が見えてまいりましたので、要請があれば考えざるを得ない、こう考えております。
  791. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 食糧問題は、これは政治であるとか、あるいは国境を越えた問題であります。同じアジアの民族として本格的にこちらが考えてあげなければならない問題である。それが要請があればというような態度でなく、またインドについても、百六十グラムというのはどんな生活だか大体おわかりになるだろうと思います。考えなければならないと思います。
  792. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) この全体の食糧、世界の食糧問題については、一九六三年に食糧会議のFAOにおいてやっております。これは飢餓状態というものが世界的になる状態であるけれども、多くの文明国においてあまり気がつかぬのではないかという問題を土台にして、一九六三年にこれはおそらくワシントンであったかと思いますが、会議を開いております。その後世界指標計画というものを立てるというので、各地域においてのいわゆる安定食糧供給計画とかいうので、地域ごとの食糧の計画を立てようというので、これもFAOにおいて研究を、現在作業をいたしておるという状況でございます。お説のとおり、やはりこれは全世界的に考うべきことでありまして、これらに対して日本としても十分協力をして進んでいくべきものである、かように考えております。
  793. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 法務大臣に。昨年の五月十日の吹原事件の首謀者として逮捕された森脇将光が、現在拘禁性ノイローゼだというような声が聞こえておるわけですが、これについての現状を答えていただきたい。
  794. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 森脇は昨年からずっと拘束されておる状態でございますが、健康状態はいろいろうわさされておるようでございまするけれども、特に悪いわけでもないようでございます。まあ老人にありがちの老人眼病というような性質のものがあるようでございます。それの手当て等をやっておる状態でございます。そのほか眠られないとか、あるいは食欲がないとかというようなこと等は言うておる状態でございまして、これらについては手当てをいたしておりまして、特に健康上の悪い状態はないように承知しております。
  795. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 実際に会っている人たちから聞いてみると、拘禁性ノイローゼだというような話が出ている。三億円という保釈金があるわけでありますけれども、これについても思うようにいかないというような話がある。そういうことでかなりの拘禁性のノイローゼにかかっていると思われますが、これは人道上の問題として実際に健康診断等はやっていらっしゃるのですか。
  796. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 健康上の問題につきましては、十分手を尽くしておるという状態だと私は思っておるわけです。ひどく悪い状態であれば、またいろんな手を尽くす道があるのでありますが、ただいま申す程度のことでございまするから、別にそれらについての手当て、服薬等をして、そうして現在においては別に悪い状態ではないということでございます。これ以上のこと、何か異常でもあり、また本人が非常に苦痛を訴えるようなことがありますれば、もちろん特に注意をいたして病院に入れるなり、その他の方法を講ずる気持ちでございます。
  797. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 時間がございませんので、最後に厚生大臣に伺いたいんですが、工業用水を食品業界が使っている。実際問題として塩釜であるとか、あるいは仙台市で余った工業用水で魚肉の加工をやっておる、びん詰め、かん詰めに使っておるという傾向が出ているといいますが、それについての現状はいかがでしょうか。
  798. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 塩釜における現状は私まだよく把握いたしておりませんが、このびん詰め、かん詰め等の食品製造に使いますところの水、これは衛生上安全々ものでなければならないということはもとよりでございます。ここで申しますところの安全な水というのは、食品衛生上厚生省が告示をいたしておるのでありますが、飲用適の水と、こういうことに相なっておるわけでございます。ただ、その飲用適の水と、こういうことは上水道の水でなくてはいけないとか、そういうことではございませんで、地下水でありましょうとも、あるいはまた工業用水でありましょうとも、完全なろ過あるいは浄化の装置がありまして、衛生上安全性が確保されるように十分それによって管理されておる、こういうことであれば差しつかえないことに相なっておるわけであります。御指摘の塩釜の工業用水がそういう浄化装置なりあるいはろ過装置なりが十分に設備されて、そうして安全性が確保されておる、こういうことであれば、工業用水であろうと差しつかえがない、こういうことになるわけであります。
  799. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは水質検査をして飲用に適しているということならいいんですけれども、実際問題としては工業用水の場合とそれから一般の水の場合ですね、飲料水の場合では水質の基準というものは全然違う。これは法律をごらんになればすぐわかると思いますが、まるっきり違っているのを、ただ浄化槽を設けさえすれば使える。業者としては安いから使うということであるらしいのでありますけれども、外国においてはすでにそういう工業用水を使ったために腸チフスが発生したとか、あるいは現在日本で使われている工業用水には下水の浄化槽を通った処理水を使っているところもあるわけです。これがただ厚生大臣が言うように水質検査さえらやんとしてあれば、飲用適であれば飲用に適しているということであれば、どんな水を使ってもいいんだということになると、工業用水の場合には非常におそろしい問題が発生してくるのではないか、このように思うわけですが、これは厳重に規制方を考えてほしい。
  800. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) いま御指摘のとおりでございまして、工業用水をもし使います場合には、十分な安全性が確保されるように厳重な管理がなされまして、飲用適の水の状態でなければならない、こういうことになるのであります。一般的には私はやはり大衆の食用に供する飲食物でございますから、工業用水のようなものはあまり使わないほうがよろしい。国としても、また県の試験機関等におきましても、厳重に基準を守るように指導してまいる所存でございます。
  801. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 法の規制はやっていないのか。
  802. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 鈴木君、念のために、時間がきておりますから。
  803. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 法の規制はやっております。
  804. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 厚生省は法の規制を検討するというように報道されているのですが、検討するのですか。いま規制を厳重にやっていると言うけれども、この工業用水を食品に使う問題について法規制を検討中である……。
  805. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 先ほど申し上げましたように、大衆の食用に供する食品の製造でございますから、私はやはり一般の飲料水——上水道を通る水を使うべきである。こう考えるのでありまして、特別にこれを食品用に使いますために、工業用水についての規制を新たに設けようという考えは持っておりません。
  806. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 鈴木君、時間がきました。——鈴木君の質疑は終了いたしました。  次回は明日午前十時開会することとし、本日はこれをもって散会いたします。    午後八時二十四分散会