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1966-03-22 第51回国会 参議院 予算委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十二日(火曜日)    午前十時五十七分開会     —————————————    委員異動  三月十九日     辞任         補欠選任      市川 房枝君     山高しげり君  三月二十二日     辞任         補欠選任      塩見 俊二君     豊田 雅孝君      和田 鶴一君     増原 恵吉君      八田 一朗君     青柳 秀夫君      小山邦太郎君     平泉  渉君      北條 雋八君     多田 省吾君      向井 長年君     中沢伊登子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         石原幹市郎君     理 事                 小沢久太郎君                 大谷藤之助君                 白井  勇君                 西田 信一君                 日高 広為君                 亀田 得治君                 小林  武君                 鈴木 一弘君     委 員                 青柳 秀夫君                 赤間 文三君                 井川 伊平君                 植竹 奉彦君                 大谷 贇雄君                 梶原 茂嘉君                 北畠 教真君                 草葉 隆圓君                 木暮武太夫君                 西郷吉之助君                 櫻井 志郎君                 豊田 雅孝君                 内藤誉三郎君                 平泉  渉君                 平島 敏夫君                 増原 恵吉君                 松野 孝一君                 吉武 恵市君                 稲葉 誠一君                 木村禧八郎君                 北村  暢君                 小柳  勇君                 鈴木  強君                 田中寿美子君                 羽生 三七君                 村田 秀三君                 矢山 有作君                 小平 芳平君                 多田 省吾君                 宮崎 正義君                 中沢伊登子君                 春日 正一君                 山高しげり君    国務大臣        法 務 大 臣  石井光次郎君        外 務 大 臣  椎名悦三郎君        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        厚 生 大 臣  鈴木 善幸君        農 林 大 臣  坂田 英一君        通商産業大臣   三木 武夫君        労 働 大 臣  小平 久雄君        国 務 大 臣  藤山愛一郎君        国 務 大 臣  松野 頼三君    政府委員        防衛庁防衛局長  島田  豊君        防衛庁人事局長  堀田 政孝君        防衛庁装備局長  國井  眞君        経済企画庁国民        生活局長     中西 一郎君        経済企画庁総合        計画局長     向坂 正男君        法務省民事局長  新谷 正夫君        外務省アジア局        長        小川平四郎君        外務省北米局長  安川  壯君        外務省経済協力        局長       西山  昭君        外務省条約局長  藤崎 萬里君        大蔵政務次官   竹中 恒夫君        大蔵省主計局長  谷村  裕君        大蔵省主税局長  塩崎  潤君        大蔵省理財局長  中尾 博之君        大蔵省証券局長  松井 西行君        厚生政務次官   佐々木義武君        厚生省公衆衛生局        長        中原龍之助君        厚生省社会局長  今村  譲君        厚生省年金局長  伊部 英男君        農林省農政局長  和田 正明君        林野庁長官    田中 重五君        水産庁長官    丹羽雅次郎君        水産庁次長    石田  朗君        通商産業省貿易        振興局長     高島 節男君        通商産業省重工        業局長      川出 千速君        中小企業庁長官  山本 重信君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君    事務局側        常任委員会専門        員        正木 千冬君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十一年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十一年度特別会計予算内閣提出衆議 院送付) ○昭和四十一年度政府関係機関予算内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  十九日、市川房枝君が辞任され、その補欠として山高しげり君が選任され、本日、塩見俊二君、和田鶴一君、八田一朗君、向井長年君、小山邦太郎君が辞任され、その補欠として、豊田雅孝君、増原恵吉君、青柳秀夫君、中沢伊登子君、平泉渉君が選任されました。     —————————————
  3. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 昭和四十一年度一般会計予算昭和四十一年度特別会計予算昭和四十一年度政府関係機関予算、  以上、三案を一括して議題といたします。  まず、委員長及び理事打合会協議事項について御報告いたします。  一般質疑は、本日より開始して六日間といたしました。その質疑総時間は、七百八十五分とし、各党への割り当ては、自由民主党及び社会党はそれぞれ三百五分、公明党百分、民主社会党、共産党及び第二院クラブはそれぞれ二十五分といたしました。  質疑順位は、とりあえず社会党自由民主党社会党自由民主党社会党自由民主党公明党社会党自由民主党社会党自由民主党公明党社会党自由民主党社会党自由民主党社会党自由民主党社会党自由民主党公明党の順といたしました。  以上のとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  それでは、質疑を行ないます。木村禧八郎君。
  5. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は公債発行問題を中心に質問をいたします。  佐藤内閣が本格的なこの公債導入財政政策をとるに至りまして、今後の日本財政に重大な転換をもたらしたわけでありまして、今国会におきまして、この公債問題については、もう徹底的に審議し、究明しておく必要があると思うわけであります。そこで、まず第一に大蔵大臣に伺いますが、財政法四条あるいは五条等が、どうして一般会計における公債発行についてのきびしい制限を設けたのか、この点についてその理由、その精神を伺いたいと思います。
  6. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 政府財政経常収入をもってこれを支弁すればよろしいと、こういうことだと思います。しかし、公債発行する場合があるかもしれない、それに対しまして規制をいたしたいと、こういうので、第四条ではその発行目的、これをきめたことだと思います。第五条ではその発行方法をきめる、こういうことにして公債が乱に流れない、かような措置をとったものと考えております。
  7. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 なぜ公債が乱に流れないような規制を設けたのでありますか。四条は原則として一般会計では公債発行を禁止しているわけであります。例外として公共事業その他について認めている。その例外についても日本銀行引き受けについてきびしい制限を設けているわけですね。どうしてそういう公債発行について原則として一般会計では禁止し、きびしい制限を設けているか、その根本の精神をはっきりこの際明らかにしておく必要があると思うのです。
  8. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 公債発行は、公債が税その他の普通財源に比べまして安易な財源調達手段である。したがって、乱に流れる傾向がありはしないか、そういうことをおそれてその発行自体をきびしく規制し、またその発行目的また発行方法、これについても制限を加える、かようにいたしたことかと考えます。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 乱に流れるということは、具体的にやはりそれによってインフレを起こしたり、放漫財政に流れる、こういうことを意味していると思うのですが、そうですか。
  10. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 税でやる場合にはやはり直接国民負担になるものですから、なかなか、財政膨張しようというような傾向がある場合におきまして、そこに自動的な抑制作用が働くわけであります。公債は将来は国民税負担に帰するわけでございますが、当面、国民負担にはならない、さようなことから、ややもすればその自動的な抑制力が働き得ない、かようなことを考えておることかと存じます。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 したがって、乱に流れるから厳重に制限を加えていると思うのですね。そこで、私は大蔵大臣がはっきり系統的に言われませんから、私から簡単に財政法において、これは昭和二十二年制定された当時、三つの点から公債発行をきびしく制限したということが明らかにされているわけです。これは大蔵大臣十分御存じのわけなんです。第一は、この公債発行を安易に認めるとインフレを起こす危険がある。第二は、従来の経験から言って安易に防衛費を調達し、再軍備を強化、軍国主義になり、また戦争に巻き込まれる危険もある、そういうことを防止する。第三は、公債によって財源調達すれば、取るべきものから税金を取らない、むしろ四十一年度のごときは減税をしてしまうわけですね。取るべきところから税金取らないのです。税負担が非常に不公平になる。したがって、この三つの点から公債発行についてはきびしい制限を設けたと言われているわけです。この三つ理由精神について、大蔵大臣はこれをお認めになりますか。
  12. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 当時の立法に関係した人の意見も私聞いております。しかし、大体私が先ほど申し上げ、あなたもおっしゃられる第一の点を考えているというように私も存じておるのでありますが、第二、第三の理由につきましては、私はそうは考えておりません。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 第二、第三、つまり公債発行を安易に認めると防衛費膨張させる、あるいは税負担を非常に不公平ならしめる、この二点については大蔵大臣は認めないわけですね。私はこれからだんだんに伺っていきます。私は、この制定した当時の文章、文献等から見まして、単にインフレにさえならなければ公債発行していいということではないと思うのです、公債発行の問題は。インフレにならなくても、それが放漫財政をもたらす、またむやみに防衛費を安易に膨張させる、税金負担を非常に不公平ならしめる、そういう弊害があるのです。ですから大蔵大臣が、単にインフレの問題だけに限って、この公債問題を考えているといたしましたら、それは認識不足ですよ。そんな程度認識公債発行について考えては、これは私は重大な禍根を残すと思うのですが、いかがですか。
  14. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 第二に指摘されます防衛費との関係、これは私は公債発行は何も防衛費につながりを持つものとは考えておりません。これは税でありましても防衛費はふえるべきときにはふえる、これは同じでございます。第三の不公平になりゃしないか、こういう議論でございますが、これはあなたは税のほうばかり考えているからそうかもしれませんが、これは税ばかりでない、財政国民所得の再配分に及ぼす影響力、これは歳出の面でもあるわけです。これは公債発行いたしましても、それをどういうふうに使うか、これが問題なんです。それから将来、何年か後にこれを償還をする、そのときは税を使います。その税のあり方というものが問題なんです。私は幅広いそういう財政支出の面と収入の面、そういうものに配慮をいたしますれば、これはかえって再配分には有効に働く、あなたと逆に考えます。
  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それで非常におもしろくなってきたのですが、逆に考える——それでは具体的に、これから抽象論でなく伺ってまいります。まず、私は公債発行インフレの問題について伺ってまいります。大蔵大臣は、公債発行をすぐインフレと結びつけるのは飛躍し過ぎるのじゃないかということを絶えず言われておりますが、それはどういう根拠です。特に四十一年度のこの公債発行について言われておりますが、それはどういう理由でそういうことを言われておりますか。
  16. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 国家財政運営は、公債による場合もあり、また税による場合もある。この税によるか公債によるか、これは私は本質的に違いはないと思います。国の中において最大消費者である国ですね、政府、これが公債財源、あるいは税を財源とする、いずれにいたしましても、国民経済の中の物資資金、労務、こういうものを使い過ぎることになるかならないか、これが問題なんです。私は税でやるか公債でやるか、これは違いがあります。しかし、本質的には私は大きな立場からいうと違いはない。それによって国家財政がどういう規模になるか、規模自体が問題である、こういうように考えております。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 規模ももちろん問題ありますが、公債の場合は信用膨張というものになる可能性があるわけでしょう。税金の場合は信用膨張ということはあり得ないわけです。そこが根本的に違うわけです。それじゃなければ、政府公債発行するとすぐインフレになると国民が騒いで、株が上がったりはしないわけですよ。そこが問題じゃないですか。あなたが同じだというのはおかしいですよ。そんな、財政当局がそんな考えでは重大な問題ですよ。税金財源をまかなうのと公債でまかなうのは違うのだ。公債には利息がつくのですよ。その点をお忘れなく。根本的な認識の違いがそこにあると思うのです。
  18. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は全部一緒だとは申し上げておらない。一番大事な点、第一義的には同じ性格で、どこが一致しているかというと、それによって財政規模膨張するかしないか、この点です。これが違う。この点からは一緒なんだ。ほかの点においてはいろいろ、公債公債公債には利息がつく。つまり所得資産国民の手に残すわけですから、税の場合はそれを取り上げてしまう、こういうのですから、そういう面の違いはあるけれども、経済上に、また財政上における根本的な意味においては、これは一緒である、こういうふうに申し上げてけっこうです。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこが非常に……。これから政府が続けて本格的な公債政策をとり、巨額な公債をどんどん発行していくにあたって、そういう認識であっては、これは重大ですよ。公債というものは担保になるんですよ。税金担保にならない。もちろん、公債元利償還税金ですよ、最後には。そういう面では同じですけれども、実際の影響面からいって、公債というものは信用膨張になる要素を持っているわけです。そこが問題なんです。しかし抽象論をやっていても始まりませんから。  いま公債発行をするとしても、大蔵大臣インフレーションにならないと言っているんですね。ならないと言っている理由をひとつ伺いたい。それから、公債インフレ問題を国会で論議する場合、いつでもインフレにつきましていろいろな解釈をするわけです。そこで議論並行線で噛み合わない。ですから、その前に、インフレーションインフレというものを大蔵大臣はどういうふうに考えているか、その点まずあわせて……。
  20. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは学問的な意味におけるインフレと、それからわれわれの実生活の面におけるインフレ、これは私はそういうふうに分けて考えるべきだ、こういうふうに思います。学問的な意味におきましては、通貨価値下落だ、こういうふうに思います。それから、実生活でわれわれがインフレかどうかということを言う場合は、通貨価値下落ということも含みますが、それがとめどもなく続いて際限がない。通貨価値が坂をおりるような状態で、これがだらだら坂である場合もありましょう。あるいは急な傾斜の場合もありましょう。しかし、これがとめどもなくいく、こういう悪性というような意味を含めてのことばとして使われる場合が多い、さように存じます。
  21. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 じゃ、実生活は。あなたは理論だけ言った。実生活は。
  22. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) あとの場合が実生活の場面において使われるインフレということばである、こういうことであります。
  23. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どうもはっきりしませんが、ひとつはっきりしたことは、インフレーションというのは通貨価値下落であるということははっきりしましたね。実生活の面に適用した場合、通貨価値下落したことによってどういう影響が具体的に国民生活に出てくるかということも含めて考えなければいけないわけですよ。そのために実質賃金が切り下げられる、あるいは低額所得者所得が切り下げられる、そういうこと。それで低所得者ほど、いわゆる経済的弱者が非常に被害をこうむるというようなことですね。そういう影響面までも含めて考えなければいけないわけですね。  それじゃ、通貨価値下落ということをはっきりあなたが認めましたから、そこで、四十一年度七千三百億の公債発行しまして、それがインフレ、つまり通貨価値下落になるかならないか。私はなるというのです。大蔵大臣はならないという。しかも、四十一年度だけじゃない。これから四十二年、四十三年、七千億以上の公債発行するのですから、それをも含めてあなたはインフレにならない、つまり通貨価値下落をもたらさないという、その理由根拠を明らかにしていただきたい。
  24. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 公債を七千三百億円財源とします。しかし、それを財源にいたしまして運営する財政規模は、これは国民経済の中において、物資需給の面において、あるいは労働力需給の面において、あるいは資金需給の面において、国民経済に圧迫を加えない。つまり、今日は低圧型の経済である。したがいまして、このくらいの規模財政を編成しても、他の国民経済活動に不均衡をもたらすことはない、かように考えておるからであります。
  25. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 低圧経済ということをあなたよく言われますが、一体具体的にどういうことなんですか。
  26. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 一番まあ大きな問題点は、設備過剰の状態だと。したがって、設備をこれから増設するという、そういう民間の需要というものは当分の間、これは全然起こらないとはいいませんが、しかし、大体において起こらない状態である、低調な状態である、こういうことを言っておるわけです。
  27. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、成長率からいくと、どの程度をいうのですか。
  28. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 成長率からいって今後どうなるか、これはなかなかむずかしい問題です。
  29. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 低圧経済という場合はですね。
  30. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) つまり、低圧経済の場合は、経済成長の主動力に民間設備投資がならない、そういう状態と思います。
  31. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そのならない場合は、どの程度成長率でいくという意見ですか。
  32. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 一応これは腰だめになりますが、七、八%の成長、これでいってまあ状況を見る。かたがた、この状況を見ながら長期計画をきめて、その長期計画に基づく成長率、これを経済成長基本とする、こういう考えであります。
  33. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 おかしいじゃありませんか。あなたは、設備投資は当分起こらない、低圧経済になるから、四十一年度の積極大型予算を組んで七千三百億も公債発行して、財政景気回復の主動的な役割りを果たさして、七・五%の安定成長に持っていこう、どういうのでしょう。ですから、そこのところ矛盾しているじゃありませんか。
  34. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) どこが矛盾しているか、お聞かせ願いたい。
  35. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 あなたは、設備投資が起こらぬから低圧経済だというのでしょう。そこで、積極財政をやって七・五%の安定成長、これは低圧経済じゃありませんよ。低圧じゃないでしょう。安定成長でしょう。今後もそういうあれを目安でいくというのでしょう。それじゃ低圧じゃありませんよ。
  36. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 民間設備投資意欲が起こらない、これが低調だと、そういう状態を称して低圧と、こう言っておる。民間経済活動が低調である、それじゃ困る。そこで政府財政を拡大して、そうして七、八%の成長を達成しよう、こういうふうに考えておる。どこにも矛盾はないと思います。
  37. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 じゃ低圧じゃないじゃないですか。あなたは日本経済低圧低圧というけれども、じゃ今度は民間設備投資のかわりに財政支出をふやしてそれをカバーしていくというのでしょう。七・五%いくなら、低圧じゃないじゃないですか。あなたは日本経済は当分低圧だと言っているから、そういう……。
  38. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 民間経済性格低圧型だと、こういっておる。これを別に財政活動によって高圧にしようという考えはない。まあ高圧でもなく、低圧でもなく、中、圧ぐらいのところへ持っていこうじゃないか、こういう考えであります。
  39. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはあなた、民間経済というように、いますりかえましたけれども、そうじゃないのですよ。日本経済は当分低圧ということを言っておったのですよ。インフレ論争がはずれますから、もっと具体的に突っ込んでいかなければなりません。  七千三百億の公債発行して、あなた、これがインフレにならないという理由をまだ明らかにしていないのですよ。  それから、公債の歯どめ論というのがあるでしょう。あの歯どめがあるから、あなたはインフレにならない、こういうのですか。もっと具体的に明らかにしていただきたい。
  40. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 一番基本は、何といっても四十一年度における民間低圧経済ですね。この低圧経済下において、国の財政公債を使って規模を拡大いたします。つまり、その拡大された財政運営によりまして、政府のほうが金もよけい使います、物もよけい使います、労働力もよけい使う。そういうふうになりまするけれども、民間経済に対しまして不均衡を免ずる結果にはなりません。これが公債財政をやりましてもインフレにつながらない最大根拠であります。
  41. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 不均衡にならぬというのは、具体的には七千三百億の公債を市中消化する、日銀にこのしりが回っていかない、だから通貨膨張にならない、そこでインフレにならぬ、具体的にはこういうふうに理解していいですか。
  42. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いま、第一に、物は設備が三割も遊んでおる。これは三割かどうかわかりませんけれども、そういう三割という見方が多い。これは潜在的な生産力がそれだけあるわけなんです。余っておるというわけなんです。政府で物を使いましても、需給関係には不均衡なんかとても生ずる状態にない。いわゆるあなたもおっしゃるデフレギャップが大きい。これは確かに大きいと思うのです。これが一部しか埋まらぬ、むしろこういう状態だと思います。  それから、金の面、これはいま貯蓄性向が非常に高いのです。その中におきまして、私どもは国債ばかり考えてはおりません。政府保証債も、地方債も、あるいは事業債も金融債も、みんな含めて考えておるのでありまするが、それらの総額一兆三千五百億内外のもの、これの消化はそうむずかしくはありません。六、七兆の資金の増加、その中においてそういう証券類の消化、これはそうむずかしくはないというふうに判断しております。  それから、労働需給の問題は、そう大きな変化をこの財政が与えるものではない。たとえば公共事業等、相当時期的なんかの関係で気を使わなければならぬところもあります。ありますが、これが基本的にアンバランスを生ずる状態ではない、さように見ております。  したがいまして、民間経済に不均衡要因というものを与える、さような状態ではない。
  43. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いま大蔵大臣公債発行しても市中消化に心配ないと言いましたが、しかし、実際には市中消化は、これはアメリカなんかにおける市中消化とは違って、これは市中消化といっても割り当てなんでしょう。
  44. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 割り当てではないのです。割り当て割り当てとよく言う人がいますが、これはシンジケートと相談をいたしまして、そうしてシンジケートが引き受ける。シンジケートがブロックとして引き受けたものを、またシンジケートの内部で幾ら持とうかということを相談する。割り当てじゃございません。
  45. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは実際には事前に銀行を中心としてシンジケートをつくって、そこで談合をやっておるわけです、話し合いを。利子とか発行価格とか応募者利回りをきめて、それから市中銀行の半強制的保有可能な範囲で発行するのでしょう。そうでしょう。ですから、発行する前に大体このぐらいの利回り、このぐらいの割り当て率ときめるのでしょう。談合ですよ。ですから、これは完全に市中消化じゃないでしょう。
  46. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 今度公債発行するにあたりまして、私は半年もの間、どのくらいの規模のものを市中消化できるかということを検討してきておるのです。まあ大体金融機関が中心になりますので、金融機関側とも細部の詰めをする。これは昨年の暮れの話でございます。まあ大体七千億見当か、こういうことも一つの判断材料といたしまして、今度の予算の編成に立ち至っておるわけであります。  その後これを、今度は予算が成立する、そうすると、現実にみんなが引き受けられる額というものをきめていかなければならない。そういう話し合いに移るわけであります。その過程をずっと見てみまして、私はこれはいわゆる割り当てと称すべきものじゃない、やはりシンジケートと政府との契約が基本的なベースになる、かように考えております。
  47. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その公債の公募とか市中消化というのは、たとえば公社債市場ができまして、プライス・メカニズムを通じまして、そうして発行してこれが消化されていくのが、ほんとうの市中消化なんですよ。日本の場合は、これは一種の、いまお話ししたように、談合、話し合いによって割り当てをやっておる。ですから、その裏には、たとえば生命保険とか、あるいは農林中金等、逆ざやのところがありますね。そういう逆ざやのところは損するわけではない。これは慈善事業をやっているわけじゃないのですから、農林中金や生命保険は。ですから、その場合、手数料をやったり、その裏で金が困ったら日銀が担保として融通してやりますという取引ができておるわけです。取引というと語弊があるかもしれませんが、話し合いができておる。これは談合ですよ。実際は割り当てですよ。あなたは市中消化というけれども、完全に市中消化じゃないですよ。必ず日銀にしりが行くようになっているのです。それをあなたはごまかしておりますよ。
  48. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 何回かここで申し上げておるかと思いますが、新規に発行する公債は一年間オペレーションの対象にいたしません。そういう日本銀行に内規があるわけです。内規を改正する意図もございません。それから、担保に取って金を貸すかというと、そういう内規はございませんけれども、運用上オペレーションの場合と同様に一年間は新規債を担保とする貸し出しはいたさない、こういう方針をとっておるわけです。決してあなたの言っておるような状態でやっておりません。
  49. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵当局、事務当局でいいのですが、現在日銀のオペの対象となり得る政府債とかあるいは電力債とか、そういう有価証券を金融機関というのはどのくらい持っていますか。
  50. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 日銀の保有資産のうち、ただいまお話がございましたような一年未満とか、そういう内規によりまして仕分けによりますところの内訳は発表がございませんので、承知いたしておりません。日銀の責任において管理をいたしておるわけであります。
  51. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 質問の趣旨を取り違えている。大蔵大臣ならすぐわかる。どうしたのですか。
  52. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 今年度初めにおきましての計数が集計いたしてございますが、それによりますというと国債、それから地方債、政府保証債、それから各種の事業債、金融債、これは全国銀行、相互銀行、それから信用金庫、その他金融機関、全体でおおむね二兆八千八百億でございます。
  53. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 日銀のオペの対象となるものは……。
  54. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) それはただいま申し上げましたように、内規の関係がございまして、一年未満のものがどれくらいあって、それからそれ以上のものはどれくらいかということは、日銀が自分の責任において管理いたしまして、発表いたしておりません。承知できないしかけになっております。
  55. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いま伺いましても、大蔵大臣、大体すでに発行されて、金融機関が持っている日銀のオペの対象、あるいは貸し出しの担保となり得るものについては二兆円以上あるのですよ。半分と見ても一兆円あるのですよ。ですから大蔵大臣が、ことし四十一年度に七千三百億公債発行しても、それは一年間日銀のオペの対象にしない、担保にしないと言っても、ほかにこういう担保があるのですから、こういうものを日銀に持っていけば、オペの対象にもなるのです。貸し出しの対象にもなるのですから、いまの御説明は、これはごまかしですよ。しり抜けですよ。ほかのものを持っていけば、幾らでも日銀貸してくれるのですから、もしそれまであなたが禁ずるというならわかりますよ。
  56. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) それはそのとおり、二兆円以上の担保債があるわけです。ですからそれを持っていけば、日銀はオペレーションの対象にすることもあるし、貸し出しの対象とすることもある。何も新規国債を使う必要はない。こういう状態です。しかし、問題はそうじゃない。ごまかしと言うが、ちっともごまかしでも何でもありません。それは日本銀行が、これまた別の問題、金融政策上の見地から成長性通貨、つまり過度の信用膨張はいたしません。こういう方針をとるわけです。時期的に上がったり下がったりということはあります。それは金を吸い上げて、そうして政府がその金を使うわけです。そのずれという問題がある。その間のつなぎをとらなければいかぬ。そういう際のでこぼこはありますけれども、これを少し長い目で見た場合におきましては、信用膨張によって財政をまかなうというような措置は断じてとらない方針です。これは政府も日銀も一致した方針です。
  57. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは口で言っても、どの程度成長通貨の供給であるかどうかは、これは判定つかないのですよ。あとで結果論になるのですから、ですから、そこに抜け穴のあることだけは事実でしょう。あなた認めたわけですから、何もことしの公債を持っていかなくとも、ほかの有価証券があるのですから、それを貸し出しにして、オペの対象にもなる。貸し出しもできるのですから……。だからそのとき出てくる通貨が成長通貨として出てくるのだというあなたのお話だと、それがどの程度成長通貨であり、どの程度がほんとうは実質的には日銀にしりがいく通貨であるか、これはあとの結果論になるのです。ですからいまの公債の市中消化というのは、しり抜けなんであって、実際は銀行中心に割り当てをやっておりますが、日銀引き受けの一変形にすぎない。そうなんです、実態は。それをあなたごまかしている。  第二にもう一つ。公債が消化されてもインフレになり得る場合がですね、この間の公聴会で法政大学の先生が公述されましたが、必ず財政資金を先に撒布するわけです。財政支出先行型というのですね。つまり四十一年度でいえば五千億大蔵省省券を発行すると、それで先に、これは日銀引き受けが可能ですから、通貨を出していく。それできょうの新聞を見ますと、また短期証券もオペの対象にするわけですよね。そうなれば通貨を先に出しておいて、そしてあとで公債発行するのでしょう。ですから、かりに市中で完全に消化されたって、結果として日銀引き受けと同じことになるじゃありませんか。
  58. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま木村さんのおっしゃることをまた私は逆に言いたいのですが、二兆八千億も質草がある。ですから四十一年度に公債発行するかしないか、これは関係のないことなんです、その議論からいえば。公債発行というような政策転換をとらぬでも、もし貸し出そうと思えばそれだけの余力というものが制度上あるわけですから、ですから四十一年度の公債発行しようがしまいが、それが問題というよりは、むしろ日本銀行がどういう金融政策をとるか、そこに問題があると思うのです。お話のように時期的にでこぼこが出てきます。しかし、その間の調整はいたしまして、そして少し長い目の見方としては、日本銀行は成長通貨の程度はこれを造出しますけれども、しかし、これをのり越えて通貨を出すというようなことはいたさない。こういう固い金融政策をとっていきたい。かような考えであります。
  59. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは方針はそうであっても実際問題としてそうならないということを私はいま具体的に追求しているわけですよね。  それで次に、本来公社債市場が育成されてから公債発行すべきであったわけですよね、従来の経過からいって。だから佐藤さんは四十三年まで公債発行しないと言っておったのです。ところが、公社債市場が育成されない前に先に公債発行してしまったでしょう。ですから、これからほんとうの意味公債消化ができるかどうかは、これから公社債市場が開かれ国債が上場されてくるわけです。その結果を見ればはっきりしてくるわけです。これはいつごろ上場するのですか。
  60. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いまその点につきましては、準国債というような性格を持ちます政府保証債ですね。これを上場する用意をしているわけです。それで瀬踏みをしてみる。これはいきなり国債を上場するというと若干の不安も持ちますので、まず瀬踏みをしておいてそれから国債と、こういうふうに移ろうかと思いますので、これはいま瀬踏みの段階で、瀬踏みの段階が済みましたならば国債上場と、こういうふうに考えておりますが、そう長い時間を要しない。さよう御了承願います。
  61. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 結果をみればわかるので、実際は順序が逆であったのです。公社債市場がまだ育成されないうちに巨額の公債発行してしまったのです。ですから、これからほんとうの意味の市中消化ができるかできないかがはっきりしてきますから、ここにも一つ問題がある。それからもう一つは、一年間公債について日銀のオペの対象とか貸し出しの対象にしないと言いましたが、これは今後もずっとこの方針は貫くわけですか。
  62. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、もともと新規国債だからオペの対象にいたしません、あるいは貸し出しの担保にいたしません、そういうようなことは枝葉末節のことである、こういう考えです。金融政策、金融の調節、金融政策上必要となれば新規国債でもあるいはいつでも担保に、あるいはオペレーションの対象にしてもいいと思う。ただ、それじゃ新規国債がすぐ日銀の信用創造の種になるのかというふうに考える人がいるものですから、まあ、一応一年間は、それを担保にはいたしません、オペレーションの対象にはいたしません、こういうふうにしたいと思っておりますが、これも根本は、金融政策を一体どういうふうにするか、通貨発行規制をどういうふうに運営していくか、そこにあるわけなんです。そういうような次第ですが、民間の一部に、ただいま申し上げたような危惧を持つ人があるものですから、そういう一年間の措置をとったわけです。今後もそういう方針でやっていきたい、かように考えております。
  63. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから、特別会計の予算総則の第五条——この前、質問しましたが、あそこでは、公債の借りかえについて、日銀引き受けが許されているわけですね。これも一つの抜け穴じゃありませんか。
  64. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 借りかえは、新規購売力を注入するという性格のものじゃございませんものですから。したがいまして、これを、新規発行の国債とは違いまして、きわめて軽く扱っておるわけなんでありますが、別に抜け穴というふうには考えておりません。
  65. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは、従来もこういう規定はあったのですけれども、従来は公債発行しませんでしたから、大して問題にならなかった。今後、巨額の公債発行するようになって、従来と同じような形で、この特別会計に、第五条でこういう規定を入れておくということは、これは財政法の四条に違反するのじゃないか。四条では借りかえを認めていませんよ、四条は。それを特別会計のほうで、日銀で保有しているものについては、借りかえを許すわけですね。そうすると、日銀はオペで持っているものは、これも借りかえできるのですよ。そうしたら、やはり日銀引き受けということになっていくわけですよ。その点を、一つの抜け穴と言うのですよ。これも、従来の規定をそのまま存置するといいますけれども、これは、こんなに公債を巨額に発行するようになったら、これは再検討しなければいけないと思いますよ。どうですか。
  66. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 借りかえは、公債の当初発行するその期限を長くみたという場合と、性格は少しも変わらない。新しい購売力を注入するという性格のものではございません。したがいまして、私はその借りかえに対する制度的な考え方、これは、新規発行の国債とは区別して考えるのが筋じゃないか。いまの方式でよろしい、かように考えております。
  67. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 さらに伺いますが、政府は、景気がよくなったときに、資金需要が起こってくる。そのとき、公債を巨額に発行していれば、これは公債が売れなくなる。結局日銀でも引き受けなければならなくなりますから、そのときは公債発行を減らすと言うのでしょう。そんなこと、簡単にできますか。
  68. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 景気がよくなれば、租税収入がふえるわけであります。したがいまして、公債への依存度が減る、そういうことを言っているわけであります。
  69. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そのとき、公債発行を前提として予算を組んでいるのでしょう。予算は、金融みたいに、そんなに伸縮自在にできませんよ。それから、財政法、これは二十九条だと思いますが、前の予算のように、実行予算というものは組めないのですね、今度は。予算を変えるときには、修正予算を組まなければならないのですよ。そういう手続が必要なのです、いまの財政法では。簡単に予算を組んでおいて、急によくなったから、そこで財政収入でまかなって、それで予算を直すということは、簡単にはできないですよ。
  70. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 租税の自然増収があるから、公債発行が減っていく、また、減らすべきだと思うのです、私は。現に四十年度、この年度におきましても、租税収入の欠損が二千五百九十億円、こういうふうに見たわけです、御承知のとおり。ところが、幾らかそれを、その二千五百九十億円というものが、ひっこみそうな形勢がある。そういう際には、これは公債発行を減らしておる、こういうふうに考えております。決して、それによって歳出面を異動させようということじゃないのであります。租税収入がふえたら公債を減らす。これは当然のことだろうと思います。それをしなければむしろ怠慢である、かように考えます。
  71. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは、歳入面についてそんなに伸縮自在にできますか。それからまた歳出のほう、景気がよくなったとき、政府は歳出を——景気が悪いから歳出を膨張させているのでしょう。それをやはり直さないでいいのですか。
  72. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは、予算は一年一年でやっておりますから、かりに四十二年度、経済が——かりにですよ、経済が過熱の傾向にある、租税収入もうんと集まるという際におきましては、これは、財政は私は圧縮ぎみでいくべきである、こういう方針で予算を編成するということにすべきものである。まあこれは仮定の議論でありますが、そういうふうに考えます。
  73. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ですから、そんなに、一たん組んだ財政を圧縮できますかというんです。
  74. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは、財政と申しましても、その中に、御承知のように政府の行政費的なもの、官庁の維持あるいは社会保障、そういうようなものがあります。これは、私はそう縮めたり、あるいは伸ばしたりというわけにはいかぬと思います。まあある一定の線に従ってこれを運営していく、こういうことになると思うのです。しかし、もう一つの財政の大きな部面は、公共投資的なものであります。これは経済の動向に応じまして、どうも民間経済が落ち込んでいるという際には、昭和四十一年のごとく公共事業を拡大する、こういう考え方、これはとるべきである。しかし、民間経済が非常に好調だという際には、先ほど申し上げましたように、民間資金物資労働力、こういうものを圧迫しないように、政府財政は消極的にやっていくべきだ、また、やらなければならん、こういうふうに考えております。
  75. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほど、公債発行によってインフレにならない一つの理由としまして、非常に民間設備が過剰である。いま、こういった操短をやっている。だから物価が上らぬ、こういっておりますが、通産大臣に伺いますが、現在のカルテルですね。通産省の勧告操短を中心に、広般に操短が行なわれています。これは政府積極財政をやって、どんどん購買力を造出していく、これにつれて通産行政としてカルテルを緩和し廃止させる行政指導をやって、それで物価も上がらないように、できるのか、できないのかですね。
  76. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 御承知のように、不況カルテルは十七ぐらいあります。時期が来るので、ハードボードなどやめる。できる限りこれは短期に終わらしたい。あまり不況カルテルを長期に、また、しかもそれが普通のような状態ということは、いろいろな悪い影響がある。そういうことで、できるだけ短期に終わらすということでありますが、まだ市況の回復が、こういう景気の低迷期ですから、多少、三月で切れるようなのが七業種あるわけですが、まだ続けなければならんものもありますが、できるだけ短期に終わらして、そういうことからくる影響というものは、ことに物価などに対しての影響は、悪い影響を与えたくない。御承知のように、不況カルテルをつくる場合の条件というのは相当きびしいのですから、それで、このことが非常に物価をつり上げているというような事態にはなってないと考えております。
  77. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは非常に問題点でありまして、物価の引き上げになっていないと言いますけれども、生産性が上がって、ちっとも物価が下がっておらない。それから昨年八月から、ずっと卸売り物価は上がりっぱなしなんです。今後、大蔵大臣も、デフレ・ギャップは非常に大きいものだと言っております。で、政府のこの積極財政で少しぐらい予算をふやしたぐらいではなかなかデフレギャップは埋まらぬと、こう言っているわけですよね。ですから、私は、この操短が急速に緩和されそうもない、そうすれば、これから卸売り物価も上がってすでにおるのですが、どんどん上がる。卸売り物価が上がれば小売物価も上がって、そういう面からもどうしてもインフレにならざるを得ない。そうならないというような確信ございますか、そういう指導できますか。
  78. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) この生産調整は、いま平均生産費を下回るようなものばかりに厳格な審査のもとに認めてあるわけですから、その市況が生産費を償うようになれば、これはもう不況カルテルは直ちにやめるべきだ。御承知のように、卸売り物価というものは、諸外国に比べても、日本の場合は多少上がってきておるといっても、まあ横ばいといってもいい程度であります。諸外国に比べて、卸売り物価というのはそんなに消費者物価のような状態ではないわけです。これが生産費を償うようになれば、不況カルテル、いわゆる生産調整のようなことに直ちにこれはやめる方針で行政指導をするつもりであります。
  79. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうちゃんとできれば、これはまあその面からインフレをある程度緩和できると思うのですが、私は困難ではないかと思うのです。それは見守らなければなりません。  次に、先ほど大蔵大臣は、このインフレにならない理由として歳出のほうの面もあると、こう言われたのです。ところが、四十一年度の予算歳出を見ますると、巨額の公債発行というもので安易に財源を調達できたものですから、選挙対策的なこの不急不要の予算が非常に計上されておるといわれておりますが、大蔵大臣、この点いかがですか。
  80. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いま選挙対策ということを申されましたが、さようなことは私は夢にも考えておらないことです。私が考えました点は、不況をどうやって克服していくかという問題、また、同時に、日本経済運営を安定化する、物価の問題もある、あるいは社会保障の問題もあります。まあいろいろな面もありますが、その二点をにらんでやっておる。選挙とはおよそ縁のないものであります。
  81. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この予算編成過程で新聞に報道されたところによりますと、税制の面、歳出の面で、来年の地方統一選挙、あるいは衆議院選挙が秋にあるかもしれない、そういうものを目当てにして、かなり選挙対策的な放漫の歳出が計上されているということが報道されております。私はこれをノートして持っております。その一つを言います。これは大蔵大臣には耳が痛いかもしれませんがね。道路公団でバイパス道路について五本予算要求をしたところが六本ついて、一本よけいついたというのですが、どこが一本よけいついたのですか。
  82. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) よく承知しませんが、バイパス道路が五本ですか。
  83. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 五本要求したところが六本ついちゃった。
  84. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 主計局長が答弁します。
  85. 谷村裕

    政府委員(谷村裕君) お話の日本道路公団の建設する有料道路の本数、新規の着工の地点を五つ要求したかどうか、私もちょっと存じませんが、幾つかついたということにかかわる問題でございますか。私、ちょっと所管が違いますので、ちょっとお待ちくださいませ。
  86. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) バイパス道路と仰せられますものでどういうことを御指摘でありまするか、理解しがたいのでありますが、縦貫道路の関係で五本というものは新規に発足したわけでございます。そのほかに有料道路といたしまして、そういう縦貫でないものが六本新規として発足いたしておりまするが、これは別にバイパスでございません。それから、これは非常に要求の強いものでありまして、五本とか六本というような要求ではございません。もっとたくさんございまして、そのうちから厳選をいたしまして六本予算化することができたのでございます。その辺が何かまじっておるのじゃないかと思います。
  87. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは新聞が報道しておりますから、もしこれは事実でないとしたら新聞に抗議してください。道路公団が五本要求したバイパス、有料道路、ところが、一本よけいついてしまった。それは革津温泉と長野の志賀高原の間、福田大蔵大臣の選挙区であるというふうに言われておるのですが、これはまあ一例でございますけれども、あとまだたくさん新聞には報道されていますが、予算編成過程でずっと皆さんお読みになったと思うのです。一級河川の指定が、大蔵省原案五本が四十本新規指定になっておるということや、国土縦貫道路の建設費が百六十億円復活したことや、永久選挙人名簿の作成費に十五億円計上されていることや、こういうような、また、恩給につきましては、すでに三カ年計画で二〇%アップになっているのに、また恩給をふやしているということや、こういうことはみんな選挙対策であるということが新聞に報道されておるのですよ。だんだんこういうように予算が放漫に流れる一つの原因は、公債によって財源が安易に調達できる、やはりそういうところにも私は原因があるのではないかと思うのです。こういう点は、今後この公債発行——われわれが反対しても、おそらくこれは通るかと思うのです。これは国民の血税なんでありますから、厳重に警戒をして注意を促しておかなければならないと思いますが、大蔵大臣、こういう点についてはどうですか。
  88. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 公債は、その性質上、租税の場合と違いまして、乱に流れる、こういう傾向は私はあると思います。したがいまして、公債財源とする財政、その規模、内容、これにつきましては、これは税でやる場合以上に、細心の注意を払わなきゃならぬ、さように考えます。しかし、民間経済が非常に停滞しているという際に、私は、これは財政規模が拡大する内容はどこまでも吟味しなければなりませんけれども、拡大していい、それが経済を安定的に運営する機軸をなすものである、こう考えておるものであります。
  89. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっと関連。けさの閣議で、従来の国土縦貫自動車道法というのが幹線自動車法に名前を変えて、具体的に七千六百キロの道路計画がきまっていますが、その際、いまの木村委員公債発行と関連があるのですが、大体六兆ないし七兆の資金が必要だ、そのうち、初年度一千億、二年度ぐらいから二千億、大体いま一億ぐらいの道路公債発行するという内容になっております。揮発油税がだいぶあなた方の考えたようにあがってこないということもあって、なかなかその方面の資金の期待ができない、そこで道路公債に切りかえざるを得ないというようなことになったと聞いているのですが、その点は、将来の国債発行をされない——七千三百億からずっとあがってまいりますものと合わせまして、相当の額になると思うのです。そういうことが今後の日本財政関係でたいへん問題になると思いますから、その点をちょっとお聞かせいただきたい。  それから、もう一つ、たいへん恐縮ですが、今年度発行の二千五百九十億ですね、これはさっきお話がありましたように、大蔵大臣が、これはある程度徴税がうまくいけば、多少国債発行二千五百九十億をダウンさせることもあり得る、これは御答弁の中でも言っておりますからわかりますが、大体当時二百億ともいわれておりました。しかし、大体が見通しですから、はっきりしたことはわからぬと思うのだが、どのくらい二百億をオーバーして、どのくらいまで税は当初よりか上向いてきたのか、結果的にはどのくらい発行すればいいか、その点も少し、この場所でたいへん恐縮ですが、お伺いしたい。
  90. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 第二の点は、まあ少なくとも百億円は進むだろうと思います。これが二百億円までいけばどうかというふうに思いますが、いまのところ百億は引っ込まし得る、こういう状態でございます。三月末になって締めてみないと、それがどこまでいきますか、これはまだ判定できませんです。  それから、第一の点は、きょう閣議でそういう法律案の改正の議題があったわけです。これはいままで高速自動車国道法等、縦貫自動車道法のほかに幾つかありまして、ばらばらになっておるわけです。これを統一しようという法改正だけでありまして、この法改正に基づきまして、どの路線をどういう年次でやっていく、あるいはその路線を全部やったらどのくらいの金がかかるんだとか、あるいはそれを全部やるには何年かかるんだとか、その財源をどうする、そういうような話題はきょうは一切ない状態であります。それは今後の問題であります。
  91. 鈴木強

    鈴木強君 もう一つ。それは私も審議会の委員でありますから、十八日の審議会には参加しております・具体的には七千六百キロ、さらに六兆円ないし八兆円ということが出ております。ですから、いずれにしても、今後国債発行との関連で、きょう出ないとすれば、それ以上あなたに聞くのは失礼でございますが、やはり建設公債の一環といいますか、すなわち、道路公債として発行しなければ、その法律を変えて整備しようというその内容についてはできないわけですよ。ですから、私は、おそらく公債発行しなければならぬということになると思いますけれども、その際に、大蔵大臣がいま、おれはそんなことはしないと、こうおっしゃるかどうかわかりませんが、いずれそういう話になると思うのです。それで、そういうことは私たちも大体聞いておる。ですから、道路公債発行しないという意味じゃないのですよ。やはりそういう事態になれば道路公債発行もしていかなければならぬ。そうしますと、だんだんと雪だるま式に公債発行が多くなっていく。そういう関係で、私は、やはり木村委員の言われている、財政全体の今後の姿勢といいますか、弾力性といいますか、そういったものについての危惧がありますから伺っておるわけです。どうですか。
  92. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 道路だけを特定目的といたしました公債を出す考えはありませんが、しかし、公債発行をすれば、回り回ってそれが道路の拡張財源になる、こういう場合もあります。しかし、いずれの場合におきましても、公債は国の経済全体の中で、先ほどからるる申し上げておりまするとおり、民間経済を圧迫しない、こういう限度内にとどめらるべきものである。道路がつくられるからといって、よけいに公債発行するようなことはいたしません。
  93. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほど大蔵大臣は、公債発行によると支出が放漫になる危険があるから十分注意すると言いましたが、四十一年度では公債発行して公共事業をまかなっていく、その余裕財源税金の余裕ができるからほかの歳出をふやすのでしょう。今度は税金のほうですよ。そういうほかの歳出のほうのそれが放漫になる。いま言いましたように、いろいろな方面にいままで税金公共事業費をまかなっておったのが、今度は公債でまかなう、できた余裕財源を放漫に使う、全体が放漫になるのですね、この点を十分に注意すべきであると言っておるわけです。  それから、次に伺いますが……。
  94. 羽生三七

    ○羽生三七君 ちょっと木村さん、そこで一つ関連さしてください。これは大蔵大臣よりも総理大臣に聞くことかもしれませんが、いまの既定経費が非常な硬直性を持っている、しかも、今後ますます増大していく趨勢にある、公債発行下ではなおさらである。この場合に、この既定経費の硬直性を打破するために総点検をしたらどうか。これは超党派でやらねばだめであります。ただ、はたして政府与党とわれわれと中身では一致するかどうかは疑問でありますが、しかし、これは非常な決意で超党派でやらなければなかなか打破できません。おそらくこれは物価が大幅な下落でもすれば格別、そうでない限り、この歳出の増大、この硬直性を打破することは非常に困難でありますから、そういう意味で私は前々からずっとそういうことを考えておったが、これはなかなか言っても簡単に行なわれないし、また、抵抗もあるので差し控えておりましたが、いま木村委員の御質問でだんだん明らかなように、これは採来非常に大きな問題になると思うので、これは総理にお尋ねするのが筋でありますけれども、そういうことを一度お考えになってはいかがでありますか。
  95. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 行政費の問題につきましては行政調査会の答申もあるわけであります。また、大蔵省には財政制度審議会という機構もあるわけであります。お話の点はまことにごもっともなんですが、硬直性に堕することがないように、できる限りの努力をいたしていきたい、これが私は大蔵省の重大な任務である、さように考えております。
  96. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういう硬直性が公債発行することによって固定化されてしまうんですよ。いま羽生委員が言うように、総点検をやろうと思っても、公債発行で安易に財源が調達できるからそういうことが怠られて、ますます硬直性になる。だから、重大決意をここでしなくちゃならないのです。公債財源とする財政経済に大きな転換をするでしょう。そういう面で国民が心配しているのは、安易に財源を調達して放漫財政が生まれるのではないか、そういうことが問題で、この予算委員会を通じまして、これはもう厳重に政府に警告を発するとともに、われわれは監視しなくちゃならないと思うのです。  次に伺いますが、四十年度の補正で二千五百九十億の赤字公債発行しました。その赤字は今後もずっと続くわけですよ。四十年度で終わりだけじゃないんです。これは増収により、あるいは経費の削減によってこれは埋めたわけじゃないんです。ですから、四十一年、四十二年とずっと続くわけです。そうしますと、四十一年の七千三百億の公債発行には、この二千五百九十億に相当する赤字公債が含まれている。そうなると、これは財政法の特例で四十年の補正は許されましたが、今度は特例がなくなるのですから財政法違反になるのです。この点はどういうふうに理解されますか。
  97. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 四十一年度は財政法の特例じゃなくて、財政法第四条に準拠して運営されるわけであります。この財政法第四条では、公債を出す場合は、その目的が公共事業費等、つまり国民の資産としてあとに残り、しかも、これが国家運営上有効に働く、こういうものでなければならない、こういうふうに規定してありますが、そのとおりに発行する。それから、昭和四十二年度以降においてもそういうふうな方針でやっていきたい。そののりを越えることはいたしません。
  98. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはごまかしです。それは四条のみでこれは実質問題として割り切れないのです。この赤字は消えないのですから、歳出を削るか増税するか増収によって埋めるかしないと消えませんよ。それはごまかしですよ。  それから、次に伺いますが、物価を政府が押える押えるといいますが、今日まで非常に物価は上がりまして、昭和三十五年を一〇〇とすれば、三五%も消費者物価は上がっているわけです。この影響をどう考えるか。物価を押えようたって上がるんですから。そこで、私は、労働省に伺いたいのは、労働基準法を改正して、この賃金規定を実質賃金でなければならないようにしたらいかがですか。すべきだと思うのです。それから、賃金のスライドについてはどう考えるか。また、所得政策を云々されておりますが、どう考えるか。  また、厚生省については、恩給についてはスライドのことが問題になっているそうですが、社会保障関係についてスライドの問題をどう考えるか、その点。  それから、経済企画庁については、このスライド制、あるいは所得政策についてどう考えるか、この点を伺いたい。
  99. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 第一に、法制上、賃金の規定を実質賃金でやったらどうかという点でございますが、この点につきましては、外国にも例があるようでありますし、また、わが国でも、終戦直後のインフレがあった場合には、実際問題として実質賃金になるように、これは第二と関連しますが、スライドでいくといったような協定をしたところもあるようでありますが、これを法律的に実質賃金でいくという点につきましては、まあ、いろいろ問題があると思うんでございます。御承知のとおり、終戦直後、ベースアップというようなことが逐次行なわれまして、まあ名目的に申しましても、むしろ、物価の上昇よりも名目賃金の上昇のほうが上回って今日までまいっておりまして、これを実質賃金で見まするというと、三十五年以来四十年度におきましては、大体二二%実質賃金においても上昇をいたしておるわけでございます。したがってこれを、賃金の支払い等を実質賃金でやるべきだと、こういうことによりますことは、これは事務的にも非常にもちろん繁雑になりますし、また、実際の状況が、いま申しましたとおり、実質賃金でも相当の上昇を今日いたしておるんでありますから、これを法制的にきめるということはいかがであろうかと思います。もちろん、次のスライド制とも関連しますが、政府の関与いたします賃金につきましては、たとえば最賃の問題であるとか、あるいは失対事業の賃金であるとか、そういうものは十分実質的にも物価の上昇を上回るように、十分その点も留意して決定をいたしておることは、先生も御承知のとおりでございます。  それから、スライド制につきましても、先ほどちょっと申しましたが、これは全然例のないものではございませんが、しかし、これを一般にまでやるべきだと、こういうところまではいかがかと考えております。終戦後には、わが国でもあったようでありますが、逐次これを廃止をいたしてまいっておりまして、今日では一、二の会社等で、やはり協定によってやっておるとこういうことでございます。というのは、やはり先ほど来申しますように、相当ベースアップ等がありまして、あえてスライド制をとる必要性も薄くなってきたと、こういう点に廃止の理由があるようでございます。  それから、第三の所得政策の問題でございますが、これにつきましても、先生がよく御承知のとおり、外国等でもそういうことをやっておる向きもありますが、しかし、われわれの承知しておるところでは、必ずしも目的を果たしておらない、こういうことでございますし、まあ所得政策といいますと、ややともすれば、賃金の上昇を抑制するというような部分に、その点にだけ重点を置いて考えられがちのようでありますが、しかし、賃金だけについてそういうことをやるということは、これは現在の諸般の情勢から、もちろん、一般の納得する、特に労働組合等の納得をするところとはならぬと思います。そういう各般の情勢から考えまして、これは検討には値いたしましょうが、まあ、これをやろうという考えは私は持っておりません。
  100. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私は経営者でおりましたときに、あの戦後の非常なインフレのときに、私の会社ではスライド制をやったわけであります。東京商工会議所の物価指数によりましてスライド制をやりました。短年の労働組合との争議なしにやってきた。それで三年続けましたです。ただし、振り返ってみますと、あのときの状況から申しますと、これは日本経済全体がそういう状態におちいっている中で、経営者としてはやむを得ずやらざるを得なかった立場でありましたし、そのこと自体は悪くなかったと思いますが、しかし、今日私が政治の場におります立場で考えますれば、そういうような状況になることを抑止することこそ、私は政治の場におる者のつとめじゃないか。ですから、スライド制で解決するのでなくて、スライド制をとらないでやれるような政治の場をつくっていくということが、私の政治家としての責任だ、こう思っております。
  101. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 物価の上昇が社会保障の給付の水準を実質的に低下をさせるということは、御指摘のとおりでございます。私どもは物価の上昇を極力これを抑制することに努力をいたしておるのでありますが、現実に明年度五・五%の物価の上昇が見込まれるという面につきましては、社会保障の面で予算を編成いたします際に、十分これを考慮いたしまして予算の編成に当たっておるのであります。特に、低所得の方々につきましては、その影響が多いわけでございますので、生活保護基準の引き上げにあたりましては、十分この点を留意いたし、むしろ、一般の生活水準が一〇・二%程度上がるのに対しまして、一三・五%、格差の縮小をもあわせて考えておるのであります。その他、福祉年金でありますとか、あるいはまた、低所得世帯に対しまして、妊産婦、乳幼児に対するミルクの支給の範囲を拡大をするというような配慮を十分いたしておるのであります。いま、生活保護基準の関係で見ますと、昭和三十五年を一〇〇といたしますと、昭和四十一年度におきましては、名目で二一三・八%、実質でも一六九%、こういうぐあいに改善をされておるのでございます。また、所得保障の面につきましては、長期的な年金等につきましては、審議会の御意見等も伺いまして、スライド制等につきましても検討を進めておるわけでございます。
  102. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この物価値上がりによりまして、実質賃金が切り下がるだけでなく、社会保障が不十分なために、非常に無理して貯蓄をしているのですが、その貯蓄が切り下がっているのですよ。昭和三十五年を一〇〇として三五%も貨幣価値が下がっている、こういう点も十分に考えて厚生行政を私はやらなければならないと思うのですが、時間の関係で、次に、公債発行防衛費との関係について質問いたします。  松野防衛庁長官から、第三次防衛計画の構想内容、特徴等をここで明らかにしていただきたい。
  103. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 第一次、第二次防衛計画、第二次が四十一年で終了いたします。それに引き続いて、第一、第二の精神を受けて第三次の防衛行政に対応できるものをつくりたい。内容、構想、金額等については、目下検討中でございます。
  104. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 四十一年度の予算に、第三次防の構想は、部分的かもしれませんが、これははっきりあらわれていると思うのです。それを、内容を明らかにしていただきたい。
  105. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) これは説明のしかたですが、第三次防衛計画の内容はあらわれておりません。第二次防衛計画の内容が全部四十一年度に入っております。ただし、四十一年から継続する第三次は、おのずから第二次のあとを受けて成長するということは理の当然であります。したがって、四十一年予算には、第三次防衛計画の構想は入っていない。第二次の最終年度である。しかし、新規に開発とか研究とかいうものは将来第三次に成長するものであろうということが、厳格に申せば、いまのことばが一番正確なことばでございます。
  106. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 あなたは、昨年九月二十日の経団連防衛生産委員会との懇談会で、四十一年度予算には、第三次防の重要事項構想を大胆に織り込み済みであって、これによって第三次防への移行をスムーズにしたいと述べております。また、CX、つまり、次期輸送機の研究費等四十億円の計上、戦車調達量の二倍化、建艦量、国産ホークの大幅増強、陸上師団の機動化を発表して、メーカーの不安を一掃することにつとめております。また、第三次防の最終年度には、防衛費負担率を大体国民所得の二%にしたい、こういう意向も明らかにしているのであります。このようにもうはっきりしているのに、どうしてあなたは四十一年度予算に第三次防の予算が計上されているのを明らかにしないのですか。
  107. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) ただいま木村委員がお述べになったことは私が話をいたしました。そこで、その説明の内容ですが、第二次防の中にいろいろなものが入っています。その中から第三次防として成長するに価値のあるものを拾い上げたのが今回の問題です。第二次防の計画の中にいろいろなものがあります。ことに開発というものの中にいろいろなものがあります。その中で三次防に有効であるものを二次防の中から私が拾い上げました。それがただいま申し上げた旅客機のものとか、あるいは将来の戦車のものとか、あるいは飛行機の改良のものとかいうものが開発に入っています。これは第二次防計画に入っているものの中から生まれるもの、成長するもの、必要なものを拾い上げました。したがって、それが第三次防につながるものではありますが、二次計画にないものは一つもない。そこに、同じことばでも、とり方によって説明のしかたが、正確に言えばそうなんです。二%というものは、今後私の希望であります。将来において、最終年度において国民所得の二%程度のものを国民負担の中に耐える可能性日本成長の中にあるであろうと、こういう希望を私は述べたのが、二%ということばであります。木村委員がおっしゃったことは、みなそのとおりでありますが、その内容は私が申し上げたような意味で、私はよそでおしゃべりをしたことはございます。
  108. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 第一次防、第二次防、第三次防の特徴を言ってください。第二次防はしかし発展すると言っても、それでは特徴が出てくる。国際情勢なり、あるいはまた防衛は、あなたは相対的と言いますが、よその国の装備等によって変わってくるわけです。したがって、その特徴を言ってください。
  109. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 第一次防は、日本の防衛の基本的スタートでありますので、局地戦に対する対応、第二次防も、それの国内的な普通兵器に対する対応、国防の。第三次防も、おそらくその第一次防、第二次防の長所、短所を生かして、五、六月ごろ国初会議にはかってきめたいと思います。したがって、一次防、二次防と異質なものだとは私は考えられない、こういうものは長期計画ですから。一応、二次よりも成長改良したものにしたいというのが、基本的構想であります。そのほかに何も他意はございません。そのほかに何も私がつけ加えることはございません。これを枝葉をつけて、肉や骨をつけると、第三次防というものが、どうやら内外ともにおわかりいただく時期があるかと私は思います。
  110. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 防衛予算、防衛費との関係では、どういう特徴が出てまいりますか。
  111. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 防衛費の総額的特徴は、昨年四十年予算が国民所得に対して一・三三くらいであったと思います。あるいは四十一年度が三八くらいに今年なっております、一・三八。その成長率国民所得経済に応ずる、国情に応じてそれを成長したい、そのカーブをずっと伸ばしていく希望としては、二%くらいは国民も納得していただけるだろうという、そのカーブのかき方が今後の問題であります。したがって、財政的には、その範囲内でおそらく財政予算の中にこれが織り込まれるであろうと私は期待しております。
  112. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういうことを聞いているんじゃないんですね。たとえば防衛費につきましては、アメリカが——前にはアメリカの援助を期待しておったが、それが非常に減ってきたとか、アメリカはドル防衛のために、アメリカの防衛費の肩がわりをいろいろ要求してくるとか、あるいは、それならまた伺いますが、国際情勢の変化によりまして、防御需品費がだんだん多くなってくると思うのですよ、人件費よりは。国産化の問題も起こってまいりますし、そういう変化を聞いているわけです。今後、公債発行関係ありますから、防御費の今後の動向は。それで聞いているわけです。
  113. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 大体御質問の概略がどうやら私にも理解できましたが、MAP打ち切りによりまして——六百三十億であったものが、MAP打ち切りによりまして三百三十億、MAP打ち切りによって計画が狂いました。その一部が四十年、四十一年予算に約百四十億、MAP打ち切り後、MAP打ち切りの品目の中から計上いたしました、四十年、四十一年で百四十億。そうすると、六百三十億から三百三十億を打ち切り、百四十億を引きますから、あと百七十億は、今後検討しましてどうするか考えたいと思いますが、それは品目の内容によって、兵器によって変わってまいります。しかし、大部分において国産の調達がふえ、全防衛費の中で物品費が五割、いままでは大体五割です。五割の中で、初期は国産は三割です。最近は八割まで国産調達が前進してまいりました。したがって、第三次防は国内調達を八割以上にふやしてまいりたい。MAP打ち切りはそう大きなものじゃありません。その中においては、もうほとんど私は終了済みと言ってもいいくらいのもの、ただ、国債との関係は、あまり私は関係ないと思いますので、これは大蔵大臣のほうにおまかせいたします。
  114. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その需品費が多くなれば、それだけ防衛予算がいままでよりは非常にふえてくるんじゃないですか。それからアメリカからの援助打ち切りもあるんでしょう。
  115. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) アメリカからの援助打ち切りは、ただいま申しました六百三十億の中で三百三十億が打ち切りであった。これは第二次防の五年間の計画の中の総数量ですから、第二次防の総計画が一兆三千億になっております、その中の三百三十億の問題ですから、そう大きな私は計画の内容ではない。また、第三次防においては、MAPなどを期待しなくても十分私はやっていけると思います。また、アメリカからの要請ということばがありますが、私たちは要請を実際受けたことはありません。計画についても、内容についても、日本の希望するものについて、私たちは要請あるいは協議をしたことはほとんどありません。こちらの希望を言う場合に言うだけであります。アメリカから言うものは、MAP以来一つも実はありません。したがって、MAP計画は、今後われわれは何も束縛もされなければ、計画もなければ、日本独自の立場で独自な国内調達を進めてまいりますから、MAPにはほとんど、全然影響ございません。
  116. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この国債と再軍備費との関係、また、戦争との関係は、過去の歴史からいって非常にそれは関係あるわけです。そこでいま質問しているわけですが、この第三次防の前提としまして、前に防衛庁長官は、日本のこの防衛力というものは相対的であるということを絶えず言っておるのですね。相対的ということは、国際情勢というものが一つあるわけですね、変化が。もう一つは、相手のほうの装備というものがある。そこで最近はこの国際情勢が激動して、特に一番いま国際的に心配されているのは、ベトナム戦争が発展して米中戦争になるんじゃないか、そういうことが心配されているわけです。そこで、外務大臣にその点を伺いたいのです。いまベトナム戦争を中心とする今後の国際情勢、それと米中戦争の問題、これをどういうふうに把握しておられるか、伺いたいと思います。
  117. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) アメリカのベトナムにおける軍事行動は、あくまで防衛的なものでございまして、相手が武器をおいて話し合いに入るならば、いつでもアメリカはその用意がありということを言っております。かつこの軍事行動は、限定的であるということをしばしば声明しておるのでございまして、私は少なくともアメリカの側から観測いたしまして、米中戦争は起こり得ないと考えます。また、中共の意図でございますが、これは一般に中共は直接ベトナム戦争に介入するという意図もないし、いままでそういう行動に出たこともない。そういう状況でありますから、米中戦争というものは起こり得ないと、こう考えております。
  118. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう一つ伺いたいのですが、中国の核武装ですが、大体第三次防の中ごろぐらいには、中国の核武装が完了するのではないかということが言われておりますが、この点は外務大臣に伺いたいのですが、どういうふうに中国の核武装の問題を把握されておるか。
  119. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 中共の核武装の今後の進展については、いろいろな人がいろいろな推定を下しておりますが、先般マクナマラ国防長官が国会においてたしか証言をしておるのでありますが、その詳細の数字的な説明は、事務当局から説明申し上げます。
  120. 安川壯

    政府委員(安川壯君) マクナマラ長官は、ただいま大臣が国会と言われましたが、私の持っておる資料は、昨年の十二月にパリで行なわれましたNATOの閣僚会議の席上で説明したという資料を持っておりますので、これについて御説明申し上げます。これはすでに新聞にも発表されておると思います。ただこの説明も、アメリカが直接中共の情報そのものをもってそれによって説明したというものではなくて、あくまでもこれはアメリカの過去の核開発の経験に基づく理論的な推定であるというふうに御了解願ったほうがよかろうと思います。  それによりますと、まず第一に、中共は今後二年間にわたって実験を継続して、小規模であるけれども効果的な核兵器の貯蔵を開始するに十分な核分裂物質を所有する可能性がある。これが第一点であります。  それから次に、中共はIRBM、中距離誘導弾の開発に努力している。これは一九六七年にはたぶん使用可能となり、一九六八年から九年には若干の発射台、さらに一九七六年には数ダースの発射台を展開させることができると推定されると、こう言っております。  それからICBM、いわゆる長距離誘導弾につきましても、建設計画に着手した節がある。そして十年あるいは十五年後には実用段階に入るかもしれない、大体こういう説明をしております。
  121. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 こういう中国の核開発の情勢に対しまして、日本の防衛計画は一体どういうふうに対処するのですか。
  122. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) そういうふうに世界情勢が必ずしも平和という状況ばかりではありません。したがって、われわれは日本の国の防衛という観点から、この世界情勢をいかに把握し、いかに防衛するかということが、今後の一つの問題点であります。しかし、第一次、第二次、まだ日本も防衛を始めましてから日なお浅く、必ずしも世界情勢に応ずるだけの装備が一ぺんにできるものじゃありませんので、そういうものを目標にしながら、日本の完全自主防衛に向かうという努力は、なかなか容易なものじゃありません。また、それだけに国民経済負担考えますと、容易なものじゃありません。したがって、あらゆる世界情勢、ある場合には日米安保というものを、そういういろいろな状況の中に日本の防衛がどこまでできるか、どこまでが負担できるかということが、やはり一番問題点になります。したがって、われわれが防衛の必要をいまさら言うまでもありませんけれども、そういう立場で三次防を検討する、そのために今日各般の情勢分析をしながら、予算計上というものを考えながら、国民の気持ちに合う私は三次防をつくりたいと思っております。
  123. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 第三次防の後期には、ナイキハーキュリーズの導入が考慮されているといわれていますが、これは核弾頭の装備が可能なわけですね、そういう計画はあるのですか。
  124. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 核弾頭の装備はできるとかできないという——日本では製造もしない、また持ち込みもしないというならば、核弾頭を日本が私たちは装備することはあり得ないと思っております。したがって、ナイキハーキュリーズというのは、これは防空兵器として今日世界ではまず一番進歩したものといわれております。いまの日本にありますナイキアジャックスよりもより進歩した安全なものといわれるならば、それを三次防に導入する、という気持ちをただいま検討しているわけであります。
  125. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほどの中国の核装備等から、これまでの日本の防御体制あるいは戦略というのですか、それが対ソ中心が対中国中心に変わってくる、そういうようなことはないですか。
  126. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 対ソ、対中国というわけじゃありません。やはり日本の国は、いかなる国からも日本が侵略を受けるに備えるというのが、いまの防衛計画の基本であります。したがって、どこの国とかどこのあれとかいうものじゃありません。したがって、いかなる国からも日本の国を守る、少なくとも日本国民の生命財産を守る、これに今日終始しておりますので、どこの国というわけではこれはございません。
  127. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうでしたら、今後の防衛費は、これはものすごくふえていくのではないですか。
  128. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) どこの国もものすごく防衛費がふえるとは——木村委員御承知のように、やはりどこの国も国民に対応するものしか防衛費はふえておりません。しかし、上昇カーブはどこの国もとっております。しかしこれが永遠のものであるかどうか、これは予想がつきません。防衛力を持つ以上は、その効果がなければ意味がない。それには相対的に日本の国が防衛できるという最小限度の効果を、われわれは期待しなければいけない。したがって、防衛費ばかりじゃありません。防衛費の中における装備品の問題、あるいは日本の地形に応ずる問題、ただ防衛費ばかりが国防というわけでもありませんが、それに応ずる装備と効果のある防衛ということが、私は基本でなければならないと思います。
  129. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 こういう情勢のもとで公債発行に踏み切りますと、いまものすごくではないけれども、とにかく防御費はふえていく過程にある。こういう状態のもとですと、単に私は政府インフレ対策のために公債発行に踏み切ったのではないと思うのです。また公債発行をして、単にインフレになりさえしなければよろしいというものではないと思うのですね。やはり防衛との関係日本の安全との関係ともにらみ合わして、これは重大視されなければならないと思うのです。  それじゃ、最後にもう一つ、この公債発行に関連して重大な問題は、公債財源を調達すると、取るべきところから税金を取らない——日本のいまの税制は、ものすごい資本蓄積を中心とした税制になっているわけであります。ですから、まず日本の税制をここで根本的に改めて、その上での公債発行ならまだ話はわかりますよ。いまのままのものすごい不公平なこのような資本優先のこの税制をもとにして公債発行して、ああいうふうに財源を調達することになると、この日本の不公平ないまの税制が固定されてしまうのですよ。ですからこの点、さっきの歳出とあわせて、根本的にいまの税制を再検討するお考えがあるかどうか。
  130. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いまわが国において非常に重大な問題は、個人でも企業でも、その蓄積が少ないということであります。そういう点を考えまして、個人の資産あるいは所得、それを収奪するというような形の租税一本やりでいくべきでない。公債発行下において大幅な減税計画を実行しょうといたしますゆえんのものは、そこにあるわけであります。しかし、税制はあくまでも公平でなければならぬ。そういうことを考えて、今後も税制ができる限り公平であるように、また同時に、企業や家庭の蓄積に貢献し得るように大いに努力していきたいと、かように考えております。
  131. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この企業に蓄積を持たせるということは、企業はこれまでうんと、日本銀行を通じての銀行のオーバー・ローンを通じて、うんと借金しているのですよ。この借金を企業減税によって肩がわりするということになると思う。それで公債発行して、その財源で企業減税をやるわけです。企業の蓄積ということは、結局信用インフレ財政インフレに切りかえるということだと思うんです。ですから、この点については、私は大蔵大臣の説明には賛成できませんが、私の質問時間切れましたので、この点についてはまた大蔵委員会等で質問いたすこととしまして、終わります。
  132. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 木村君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  133. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 次に豊田雅孝君。
  134. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 大蔵、通産両大臣にお尋ねしたいと思いますが、まず第一は、日韓の保税加工貿易の問題であります。御承知のとおり、韓国の労賃は、日本に比べると三分の一と言われておりますが、日本から原材料をあちらに送りまして、保税加工をやる、そのことだけでも関連の企業に及ぼす影響は大きなものであります。さらに、保税加工済みのものを日本に再輸入する、その場合に輸入関税について軽減措置を講ぜられたいという要望が来ておるやに承知するのでありますが、もしもさようなことになりますると、日本の関連企業に及ぼす影響というものは、非常に大きなものになってくると思うのであります。この点について大蔵、通産両大臣はいかなる御見解でありましょうか。
  135. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 韓国との間に貿易を促進する、そういう意味におきまして韓国の低賃金を活用する、さようなことから保税加工制度を活用したらどうだろう、こういう話は私も聞いております。しかし保税加工制度は、わが国の関税政策運営上、非常に重要な問題であります。しかもこれを制限的に考えております。ただいまのところ、韓国に対しまして、保税加工による免税をいたすという考えは持ち合わせておりません。
  136. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 大蔵大臣と同様でございます。
  137. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 ただいま大蔵大臣からは、免税の考慮はしておらぬ。これは、関税定率法第十一条の関係からいっても、もちろんできないことだと思うのでありますが、軽減指貫について、減税についての要望もあるやに聞くのでありますが、これもまた非常に大きな影響を与えると思うのであります。その点についてのお見通しはどうでございましょうか。
  138. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) わが国といたしましては、わが国の中小企業のことも考えなければならぬわけでございます。したがいまして、韓国との間に特別の免税をいたすとか減税をいたすとか、さようなものは考えていかない方針でございます。
  139. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 大蔵大臣公共事業等施行推進本部長をおやりになっておるようでありますから、その立場としての大蔵大臣に承りたいと思うのでありますが、官公需の発注が、当分の間日本の景気浮揚の中核になるということは、これはもう政府の方針、また大蔵大臣の御方針のようであります。それだけに、この際、中小企業に対する官公需の発注確保につきまして、真剣なる対策を樹立いたしませんと、さなきだに大企業と中小企業との格差は増大する傾向があるのでありますので、この官公需発注が今後の景気浮揚の中心になればなるだけに、これに対して十分の配慮を中小企業に対して加えるか加えないかということは、大きな問題になると思います。この点について法律を制定して、これが対策の確立をはかるというお考えがあってしかるべきだと思いますが、これについて大蔵大臣、いかにお考えになりますか。
  140. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 全くお話しのように考えるわけであります。つまり今日の中小企業は、長期の不況に対しまするその抵抗力、これは大企業に比べて非常に劣っていると思います。長期化した不況下におきまして、中小企業は非常に困窮する立場に立っている、こういう認識は持っております。官公需の中小企業に対する発注につきましては、今日までも特別の考えを使ってきております。相当能率もあげております。しかし、予算が拡大され、財政主導型の経済運営が行なわれておる、こういう段階におきましては、特にその中小企業の受注のチャンスを拡大いたしたい、こういうふうに考える次第でございます。ただいまその入札の資格条件の緩和でありますとか、あるいはいわゆるランク制について、さらに再検討をいたしますとか、あるいは分割注文の方式によって中小企業への受注のチャンスが拡大できないかというような問題でありますとか、あるいは協同組合に対する発注がさらに拡大できないか、こういうような問題を詰めておる段階であります。もうぽつぽつ結論に来ると思うのですが、その際、必要がありますれば、法的な改正もいたしたい、かように考えております。
  141. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 いろいろ措置を講ぜられておることは、もう十分われわれも承知しておるのでありますけれども、これが法律が制定せられ、その対策の基本方針が明示せられるかどうかということが、非常に大きな問題だと思うのでありまして、その点では、早急に法律制定があってしかるべきじゃないか。この点について通産大臣と大蔵大臣の間においてやや見解が多少違うかのようなことも聞くのでありますが、通産大臣は積極的に早急に法律をつくらねばならぬというふうにお考えかと思うのでありますが、御見解はどうでありましょうか。
  142. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 要は、何とかして中小企業に受注を確保したいという見地からこういういろいろ不況回復策を講じても、それが中小企業に均てんすることが必要ですから、そういう意味から、まあ法律は、豊田さん御承知のように、立法としてはこれはむずかしい法律ですね。しかし、何とか立法化すれば、確保する上において、ただ運用だけでよりも一歩前進するのではないかということで、できるだけ立法化という線で検討しておるのですけれども、この間大蔵大臣との考え方の相違は全然ありません。ただ、立法技術上の困難性があるので、まだ結論には達してない。むろん、結論に達すれば、今国会に御審議を願うつもりであります。
  143. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 大蔵大臣いろいろ御研究になっておるようでありますけれども、時は早急を要すると思いますので、その面で法律を制定するということがほんとうにやはり何といっても中核のキーポイントになると思われますだけに、この点について重ねて大蔵大臣の御見解をお伺いいたします。
  144. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま通産大臣からお答えがありましたように、私と通産大臣の間は全く意見が一致しておるわけであります。何らの違いはございませんです。できる限り受注チャンスを拡大したい、そのために必要がありますれば立法化も考えましょう、こういうことでいま打ち合わせをいたしておる最中でございます。
  145. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 通産大臣は、やはり法律はつくるべきだというふうにはっきり言われたのでありますが、大蔵大臣のほうは、いろいろ研究をして必要があれば法律を考えるというようなことで、やはりそこに多少のニュアンスの相違があると思うのでありますが、これは急速にひとつ御研究を願って、官公需の景気浮揚策がどんどん進めば進むほど早急に法律の制定も必要だろうと思います。その点特にお考えを願いたいと思います。それで、その場合の官公需の範囲でありますが、官公庁のみならず、公社、公団、公庫、また事業団等にも当然及ぶべきものだというふうに考えるのでありますが、御見解はどうでありましょうか。
  146. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) もちろんさような状態考えております。
  147. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 アメリカでは、日本の防衛庁に当たるところへたとえば日本の通産省に匹敵するような官庁の関係者が出向しまして、そうして仕様書を克明に見て、これはもう当然中小企業でこなせると思うものはどんどん中小企業に発注しておるというので、このくらいアメリカでは細心の注意を払ってやっておるのでありますが、日本でも官公需の中小企業への発注を確保するということになりますると、少なくとも品種別に見てこの程度のものならば中小企業に発注するというような基準であるとか、あるいはこの程度の金額のものならば当然中小企業に発注すべきものであるとかいうような基準を策定いたしておきませんと、かような問題がえてして絵にかいたもちになる、掲げるだけに終わるというおそれがありますので、この品種別あるいは金額別による基準くらいはつくってしかるべきである、そうして推進すべきであるというふうに考えるのでありますが、御見解はいかがでありましょうか。
  148. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) そういう見地からいま検討を加えております。
  149. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 そういう点も法律をつくるにつきまして非常に関係あることであって、これは極力銘記せられるようにせられたいと思います。と同時に、現在でも各省の担当会議を開いてやっておるようでありますけれども、これはやはり事務次官くらいが各省横の連絡をはかって推進すべきで、それをまた法律で制度化すべきであるというふうに考えるのでありますが、その点はいかがでありましょうか。
  150. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) まあ政府のほうでも、非常にこれに対してはいま、単に政府機関ばかりでなしに、広い範囲内で指導しておるのですから、一段と力を入れていく必要がありますので、いま御指摘のようなことも考えてみたいと思います。
  151. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 次の問題に移りますが、この四月の一日から政府系の金融機関に対しまして三厘の金利引き下げを行なわれるようなことになる、まことにけっこうでありますが、その場合に、商工中金に対しては、これを補強する意味において、四十一年度二十五億、四十二年度二十五億、四十三年度には十億、合計三年間に六十億円の政府出資を行なうということになっておるのでありますが、予算書あるいは予算説明書を見ましても、それは明らかになっておらぬので、したがって、役所関係は人の異動も激しいものでありますから、これに対して確認措置を講じておかないといけないのではないかというふうに考えるのでありますが、この点通産、大蔵両大臣の御見解はいかがでありましょうか。
  152. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 御承知のように、金利を昨年の九月にまあおおむね三厘引き下げた、引き続いてやったわけでありますが、中小企業の金利負担を軽減しようということで、これは英断と言ってもいい金利の引き下げをやったわけですから、中小企業金融機関、ことに商工中金に対しては相当出資をしなければ無理がくる、政府の方針として三カ年間に六十億の出資をする、御承知のように、四十一年二十五億、四十二年二十五億、四十三年に十億、これは政府の方針でございます。自民党政府は、これは変わるようなことはございませんから、この方針は受け継いでずっと予算編成の場合に引き継がれるものであるということは間違いないことでございます。
  153. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 間違いはないということでありまするけれでも、何かここで明らかな措置を講じておく必要があると思うのでありますが、その点について大蔵大臣、いかにお考えでありましょうか。
  154. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 商工中金は政府と非常に密接な関係があります金融機関でございます。さようなことで、ここで何か法的措置とか何とかいうことは必要ないのじゃないか。まあ豊田さんが御質問され、これに通産大臣、私どもがお答えしておるわけですから、これでも十分ではないか、かように考えるわけでありますから、四十二年度、三年度において必ず実行するということが政府の固い方針でございます。
  155. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 いまの問題に関連してでありますが、中小企業対策も、この段階になりますると、三カ年計画とかあるいは五カ年計画とか長期にわたる対策を樹立しなければいかぬ段階にもう来ているんじゃないか、当面の対策だけほころびを縫っていくようないき方でなく、長期計画あるいは少なくとも中期計画というようなものは必要な段階に入ってきておるんじゃないかと思うのでありますが、今回の商中政府出資六十億でもこれは三カ年計画であります。こういう点から考えまして、長期ないしは中期の中小企業対策、その計画の樹立、これが必要かと思うのでありますが、通産大蔵両大臣の御見解を承りたい。
  156. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 中小企業の問題は大問題であります。これは一年度に片づく問題ではない、ある意味において日本経済の宿命的な課題でありますから、御承知のように、一年だけでというのでは解決しないのですから、やはり長期的な計画といいますか、長期的な考え方のもとに中小企業対策を進めていくべき性質のものである、お説のとおりだと思います。予算が年度々々になっていますから、一ぺんになかなか切りかえるということはむずかしいが、ものの考え方として、そういう長期計画的な中小企業の対策を考えていくべき性質のものであるというお説は、全く同感でございます。
  157. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私も通産大臣と同様の考えでございます。
  158. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 では、法務大臣がお見えになっておるようでありますから、法務大臣に。  会社更生法によりますると、更生会社が債務のたな上げをいたしまして、特に中小企業債権者にしわ寄せをいたしまして、反対に当該の会社は身軽になる。その結果、安売り、乱売をやる、これがために経済秩序をかえって混乱するというようなことになっておるという非難は非常に強い。これは法務大臣も御承知のことと思うのでありますが、会社更生法を改正すべしという声は相当前から出ておりまして、これについて法務省では御考慮になっておると思うのでありますが、これについて進捗状況、また今後のお見通し等を承りたい。
  159. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 会社更生法の発動すべきような事件が次から次に出るわけでございます。そういうことを決定をいたす会社更生法が、どうもお話のようないろいろな点において不十分だというか、どうもおもしろくないという点が多々見受けられるのでございますが、昨年の十二月に法制審議会にこの法律を再検討してもらうということにお願いをいたしまして、それからずっと引き続きただいまこれの審議をやっている状態でございます。
  160. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 まず今後考えなければならない一番の重点といたしましては、中小企業債権者、具体的に言いますると、下請代金、これは全く更生会社の従業員の給料などに匹敵するものでありまして、これに対しては同様に優先弁済の道を確保していく必要があると思うのでありますが、これにつきましてはどういう御見解でありましょうか。
  161. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 中小企業の関係の点は、三つ四つおもな点があると思うのでありまして、この機会に申し上げたいと思います。  第一番目に、会社更生法の適用の範囲と申しますか、そういうもので、中小会社については簡易な更生手続を設けるべきかどうか、これは更生手続をしなければならぬ会社の側の問題、これが一つ出ているわけであります。それから、ただいまお話しのような問題につきましては、まず第一に保全処分につきまして、下請企業の持っております債権等の弁済を禁止してはならないものとすべきかどうかということを一つの案といたしまして、これを研究をしているわけであります。それから次には、下請企業の持っております債権及び小額債権については、法律上特別の扱いをすべきかどうかということについて、審議会に研究をお願いするというふうにいたしております。こういうふうな点が答申が出てまいるわけでございますが、こういうことになりますと、中小企業の持っております債権の扱いの問題について相当救済される点が出てくるであろうということを期待いたしております。これによりまして私どものほうの改正案の腹をきめたいと思っております。
  162. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 さらに、会社更生法の運用は、言うまでもなく経済に非常に関係が深いのでありますから、その問題からいたしまして、更生手続の開始決定あるいは更生計画の認可等にあたりましては、高度の経済知識を持っている者を一つの補佐機関といたしまして、これを裁判所に置いて、そうして裁判官を補佐させる、こういういき方が実情に即するのじゃないかというふうに考えられるのでありますが、この点について御見解はいかがでありましょうか。それと同時に、時間もないものでありますから、あわせて伺いますけれども、中小企業債権者の代表を管財人あるいは調査委員等に極力参加させることによって小口の債権者を擁護していくという行き方が必要であろうと思うのでありますが、この点についても御見解を承っておきたいと思います。
  163. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) お話の点等も、当然考えなくちゃならない問題だと思いますので、あわせて研究をいたすつもりでございます。
  164. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 農林大臣に伺いますが、食料品の生産確保はもちろんでありますが、これの卸小売り、要するに商業流通関係も、食料品に関する限りは一切農林省の所管であります。特に中小商業関係の過半数は農林省所管と言ってもいいくらいでありまして、この点では農林省という名称がむしろ適しない、農商省と言ってしかるべきものだというふうに実態は相なっているのであります。ところが、この農林省所管関係の中小企業が一番トラブルが多いのでありまして、そのトラブルの先端に立っておるものが農協スーパー、農協デパートなんでありますが、これについて農林省ではどういうふうにごらんになっておるのか、その点をまず伺いたいと思います。
  165. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) お答えいたします。農協スーパーと申しますと、実はどういうのかはっきりした定義は自分もわかりませんが、まず生活物資を売って、そこへ買いに行った者が選択して代金を払って買ってくるといったような意味合いのいわゆるスーパーということで考えますというと、この農協スーパーというのは、現在、三十九年度の末における調査でございますが、五百九十九ぐらいの組合がございます。それで、これがその後の調査は私どもの手元にありませんのですが、しかし、その後だんだん増加しているように思われます。この定義につきましては、購買いたしておりますものが、生産資材だけでなしに、もちろん消費資材もやっている、購買事業の対象になるわけでございます。また、これを利用する、いわゆる買う、購買事業を利用する面といたしましては、やはり一定限度は員外利用もできるということになっておりまするので、その全部が全部、これはみな間違いであるとも言えませんし、違っておるとも言えませんのでございまするが、これが員外利用が非常に限度をこしておるというようなことになりますと、やはり中小企業との間のいろいろの紛争もあります。また、限度をこしておる問題で、ございますので、これらの点について、私どもとしては、さらにこの実態をよく把握していきたいと思いまして、現在農協全般の調査の一環としてこの問題も調査いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  166. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 最近の読売新聞、これは日付は三月十九日付でありますが、これによりますと、農協に破産宣告があった、全国初めてということであります。農協に対する破産宣告は今回初めてとはいいまするけれども、非常にそういう危険をはらんでおるのではないか。と申しますることは、この新聞によりましても、スーパーマーケットを経営しているのでございますが、年間八千五百万円近い取引をしている。そうして約六千万円の不渡り手形を乱発し、組合員預金四千九百万円の払い戻しもできなくなっている。約一億四千万円の負債で身動きのできない状態になっておるということが出ておるのであります。しかも、預金を取り扱っておりますだけに、これは農家に対しての影響は非常に大きいと考えられるのでありますが、かような場合の措置というのはどういうふうにお考えになっているのでございましょうか。
  167. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) 先ほど大体のお話を申し上げましたが、最近の情勢からいきますと、たとえば市街地、いままで農村であったものも市街地になった、たとえば練馬、そういう地帯があったり、その後それらの地帯における農協の合併等もございまして、そういう地帯において特にいろいろの問題、たとえばスーパーとしても相当多くこれらが利用されておる、したがって、いわゆる利用面が員外利用が非常に多いのではないかといったような点がありますのでございます。そういう点については、全体は一万以上の組合でございまするので、全体としてはごく少数、パーセントからいいまして非常に少数ではございまするが、そういう事例が若干あるわけでございます。それがどういう傾向にあるか、どうなっておるかということについては特に調査もし、また、それらの問題をひとつ十分指導監督してまいらなければならぬ、こう考えておるわけでございます。
  168. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 先ほどもお話が出ましたが、員外販売、これにつきましては、生活協同組合のほうは規制をしておるのであります。農協関係につきましても、員外販売につきましては大いに規制もしかるべきじゃないか、こういうふうに考えるのでありますが、今回の長野の農協の破産宣告におきましても、これはあまりに放漫経営になっているということが非常に問題でありまして、健全経営の立場に立たなければいかぬ、そういう点においては、預金を取り扱っている農協のことでありますので、特に考えなければならぬと思うのでありますが、御見解はいかがでありましょうか。
  169. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) お答えいたしますが、その員外利用の限度は、現在のところ二割ということに、いわゆる五分の一までの員外利用は認められているわけでございます。しかし、いま言ったような、その後における変遷、つまり都市化したところに農協の事務所があるといったようなところに合併いたしたという、いろいろの問題がございまするような急激な変更の結果として、いま申されたようなことがございまするので、そういう点についても特によく調査もし、また指導監督してまいりたい、かように存じておるのであります。
  170. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 都会地におきましては、御承知のとおり、中小企業者自身が過当競争であります。そこへさらに農協スーパー、農協デパートというのが進出するということは、また経営上も非常に危険が伴いまするし、そういう点で都会地での農協スーパー、農協デパートの進出ということについては、農協本来の使命、また農協の健全経営という立場から、これは適当な調整、規制をすべきだろうというふうに考えるのでありますが、農林大臣の御見解はいかがでありましょうか。
  171. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) 農村のほうから都市にまで進出してまで、いま申されたようなことができ上がっておるという例は比較的少ないのじゃないかと、実は思うのでございますけれども、先ほど申しましたように、都市化したというところ、そこに事務所があるといったようなところにまた農協が合併したというような事態のところに、そういう事態が起こったようなことがあるのではないかと、私はその多くはその例を見ておるのでございますが、なお、そういう点については十分調査もいたしておりませんので、いま一環として調査をいたしておるわけでございまするので、そういう点についても十分考えておる、注意いたしまして、また指導監督もいたしていくようにいたしたいと思います。
  172. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 次の問題に移りますが、中小企業の年次報告、これを見ますと、倒産件数、これが東京商工興信所の調査ということで、負債総額一千万円以上という前提で出ているのであります。これは、三十八年は千七百三十八件、これは倒産件数であります。三十九年が四千二百十二件、四十年は六千百四十一件、ずっとふえてきておるのでありますが、これは負債総額一千万円未満のものまで入れると相当変わってくると思うのであります。今日不況克服の点から見ましても、また、中小企業対策の点から見ましても、負債総額一千万円以上のものだけを押えておるその倒産件数調べでは、私は不十分だと思うのであります。この点について通産大臣はいかにお考えでありましょうか。
  173. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 御承知のように、一千万円以下の零細企業の動向も、その実態を調べることによって、傾向的にも零細企業の倒産の動向というものがはっきりするわけでありますが、いままでなかなか、豊田さん御承知のように、調べにくいのですね、一千万円以下は。これはそれだけを全部を調べるということになってくると、実は通産省だけではなかなか手に負えないものがあるわけであります。しかし、これはやはり必要だと私も思っております。したがって、商工興信所とか、あるいは出先通産局等を通じて、この一千万円以下の倒産というものを調べることにいたしております。これはやはり調べてみる必要があるということで、今後これはできる限りその動向を把握することにいたしたいと考えております。
  174. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 全国銀行協会が、毎月銀行取引の停止処分件数というのを発表しておるのでありますが、これは銀行から取引の停止処分を受けると当然倒産ということになるのでありますから、この数字をつかまえるということが、私は一つの方法じゃないか。一例をあげますと、これは二十日付の日経に発表せられておりますが、二月の取引停止件数は六百八十五件であります。ところが、負債総額一千万円以上の倒産件数として発表せられておりますものを見ますと、五百四十二件、倒産件数のほうが百四十三件も少ない。それでは非常に惑わされると思うのでありまして、早急にその点は是正をしなければならぬと思いますが、さしあたり銀行の取引停止処分を受けたものだけを押えるということになりましても、私は一歩前進だと思いますが、この点についての御見解を伺いたい。
  175. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 取引停止が直ちに倒産と、こう言えない面もありますが、しかし、確かに一つの動向を調べる上の手がかりになる、これも大きな手がかりとして、調査を進めてまいる場合の手がかりにしたいと思います。
  176. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 豊田君の質疑は終了いたしました。  午後三時再開することとし、これにて休憩いたします。    午後一時二十三分休憩      —————・—————    午後三時十五分開会
  177. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  先刻、北條雋八君が辞任され、その補欠として多田省吾君が選任されました。     —————————————
  178. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 午前に引き続き、昭和四十一年度一般会計予算外二案を議題とし、質疑を行ないます。北村暢君。(拍手)
  179. 北村暢

    ○北村暢君 私は、まず第一に、本月十四日、韓国警備艇が第五三海洋丸を臨検、捕獲した事件について質問をいたしますが、その一点は、韓国側は、第五三海洋丸に専管水域を侵したというたてまえを堅持しておるようでございますが、共同規制区域まで追跡して捕えたというようなことになるんじゃないか。そういう主張をする可能性があるわけでありますが、この場合、追跡権というものについて、共同規制区域に対する追跡権について、追跡権はあるのかないのか、政府当局の見解を明らかにしていただきたい。
  180. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 追跡権というものはないという解釈をとっております。これは日韓諸条約の特別国会でもそのように御答弁申し上げております。
  181. 北村暢

    ○北村暢君 その特別国会の論議にもかかわらず、捕獲されたのが共同水域であるということは、もう政府の主張しているとおりであり、現認せられておるわけです。にもかかわらず、専管水域を侵したと、侵犯したと、こういうことでありますから、そこに問題が出てくるんだろうと思うのですが、この追跡権なしとする根拠をひとつ明らかにしていただきたい。
  182. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 現在の問題におきましては、日本側は専管水域に入っておらなかったといいますし、向こうは入っておって、つかまえたところもその水域内であるというように、事実の点において食い違いがあるようでございまして、したがって直接、追跡権の問題は、この問題とはいまの段階においては少なくとも関連はないようでございますが、それと一応離れまして、追跡権がないと解釈する理由を申し上げますと、まあ簡単に申し上げますと、追跡権があるとする根拠が、この協定にはどこにもないということでございまして、この協定というものは、一般国際法に基づく公海の自由に対する例外をなすわけでございますから、例外として明定されていない以上は、一般国際法に立ち返って考えることになる。そうしますと、国際法には、そういう場合に追跡権があるという規則は何にもございません。したがって追跡権はないというのが本筋の議論でございますが、かつ、さらに、まあ根拠をあげろということでございましたらば、第四条に、「取締り及び裁判管轄権は、」、地域的に分けまして、漁業水域の外側におけるそれは、「漁船の属する締約国のみが行ない、及び行使する。」と、こういうふうに明文で規定されておりますから、ここで臨検、拿捕等のことはできないはずである、こういうことになると思います。
  183. 北村暢

    ○北村暢君 そこで、次の点についてお伺いしますが、十八日、第五三海洋丸の般長がですね、専管水域を侵犯したことを認めたと、書類にサインをしたというふうに、ソウルの新聞は報道しておるようでございます。この場合、事実認識は違うのでありますけれども、これをたてに専管水域に対する韓国の裁判権に基づいて乗り組み員を起訴するような場合、どのような処置をとられるつもりなのか、この点についてお伺いいたします。これは大臣答弁してください。
  184. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まだその段階にいっておりません。それで、私どもといたしましては、船長の侵犯を認めたかどうかということを確認しておりませんが、少なくとも計器類を搭載しておりまして、明らかに自分の船がどこに所在しておるかということを常に確認しながら漁をしておったようでありますから、そういう点から言うと、接触をした地点は明らかに共同水域内であって、専管水域外の四・五マイル離れたところであると、こういう事実が確認されておりますので、これを拿捕するということは不法不当である、すみやかに乗り組み員及び漁船を釈放してもらいたいということを、いま強く交渉しておるという段階でございます。まだその点まで進んでおらないということであります。
  185. 北村暢

    ○北村暢君 そういう日本政府の解釈なり何なりにかかわらず、韓国は一方的に、専管水域を侵犯したというたてまえで起訴しようということは起こり得ないことではないわけです。専管水域を侵したということになれば、これは協定に基づきまして、韓国に裁判権があるわけでありますから、そういう判断に立ってやる。したがって、日本政府の解釈ではそうではないんでありますけれども、韓国では一方的にそういう判定をして、起訴するという可能性があるわけです。したがって、これについての態度をひとつ聞いておる。なかなか折衝をしても話がつかないような状況でしょう。そういう段階について、いつまでもほうっておくわけにいかない。したがって、これは日本政府として、そういう場合の措置というものも十分考慮をして、態度を決定すべきであると、このように思うんでありますが、もう一度ひとつお伺いいたしたい。
  186. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) わがほうとしては、あくまで侵犯をしておらない、これを即時釈放すべきである、そういう立場に立って強く釈放を要求するつもりであります。もし、それが不法不当に次の段階を踏むようなことがあれば、これに対し、また適宜な処置をとりたいと思っております。
  187. 北村暢

    ○北村暢君 適宜の措置といいますけれども、それじゃ次に進めますが、専管水域を侵したか侵さないかということについては、これは両当事者の判断に差がありますけれども、それ以外でも韓国は、韓国の国内法の漁業資源保護法の違反だということで起訴しようということまで言っているわけなんですね。これは私は裁判権はない、このように判断しております。したがって、そういう国内法によって起訴をするという場合に対して、日本政府はどのような態度で臨まれるか、この点をひとつお伺いしておきます。
  188. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 漁業資源保護法は、かつては向こうの一方的に主張しておった李承晩ラインまで及んでおったようでありますが、今回の日韓漁業協定の締結によって、条約の線まで引っ込んで適用されてまあ法律が生きているという関係にあろうかと、私は考えているのでありますが、法律関係のことでございますので、条約局長から詳しく御答弁いたさせます。
  189. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 漁業水域内では大韓民国が沿岸国としまして、排他的管轄権を持つわけでございますから、韓国の国内法は適用できるということが協定上では認められるわけであります。韓国の国内法で規制できるのみならず、これに対する違反の処罰も韓国でできる。したがいまして、専管水域の内部で適用されるのは存じませんが、推測するに、おそらく前から漁業資源保護法の適用ということになるのじゃなかろうかと思います。
  190. 北村暢

    ○北村暢君 これは専管水域でなしに共同水域でこの問題が起こっている。その場合でも、韓国側は、国内法を適用するということであるけれども、共同水域は、これは旗国主義で、明らかにこの第五三海洋丸は漁業をして差しつかえないところなんですよ。したがって、条約上からいって、これは一方的に韓国が自国の国内法を適用するということについては、私は国際法上からいって裁判権はない、条約が優先するというふうに、日本政府はやはり主張すべきであるし、私は、裁判権はない、こういうたてまえで折衝すべきだと思うのですが、いかがですか。
  191. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 御指摘のとおりであります。しかし、向こうのほうは事実関係まで、これは専管水域内である、こういうことを主張しているのであります。それで自国の法律を適用するということになるのだろうと思うのでありますが、その基本の事実関係が食い違っている。しかも、わがほうの主張は、私は絶対正しいものである、こう考えております次第であります。
  192. 北村暢

    ○北村暢君 乗り組み員の釈放要求に対しては、韓国側は応ずる気配がないようでございます。で、問題の解決は長引きそうな様相を呈しておるわけなんでありますが、留守家族をはじめ、関係者の切実な釈放要求というものがあるわけですが、問題の早期解決のための目途があるのかどうなのか、そうしてまた、今後の取り組みの方針について明らかにしていただきたい。
  193. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) この的確な見通しがあるかと言われますと、必ずしも楽観を許さないものがありますが、この問題は多分にこの向こうの主張の根拠が薄弱であると思うのであります。正確な計器類を積んで、そして緯度、経度を的確に把握するという能力がはたしてあるのかどうかという点が、だいぶ向こうの立場が薄弱である、かように考えられておりますので、あくまで強く主張してまいりますれば、向こうのほうも釈放に応ずるのではないか、かように考えておる次第であります。もししからざる場合は、全く理不尽に向こうが、せっかく条約実施以来三カ月の間順調に進んできた、築いてまいりました秩序を破壊するということになり、ゆゆしき重大問題に発展する可能性がありますので、十分にその点を警告して、わがほうの主張を貫徹したいと、こう考えております。
  194. 亀田得治

    ○亀田得治君 ちょっと関連。だんだん問題が、新聞等を見ておりますと明らかになってきておりますが、いままでの交渉の結果で、もし以下に述べる点が明らかであればここで説明をしてほしいと思う。その一つは、この韓国の警備艇が計器類を積んでいたのか、いないのかということなんですね。で、これはいままでの説明ですと、いないようだというふうな説明でありますが、この点は非常に重要なんです。で、外務省のほうですでに先方と折衝しておるわけですから、その点はおそらく確かめておると思いますが、一体それはどうなのか、こちらからその点を主張されて、ああそうだ、わがほうの船はそういうものは積んでおらぬけれども、しかし、目測でだいじょうぶだというような主張なのか、これは第三者から見ると非常に重要な点なんです。だからおそらくこれは明らかになっておると思いますから、積んでいたのか、いないのか、それをはっきりひとつお答えを願いたい。  それからもう一点。この海洋丸の船長が侵犯の事実を認めたというふうな情報が、若干われわれのほうに流れてきておるわけですね。もし認めたとすれば、それは客観的に反しとるから、あとからどうせわかることだといったようなことでやったとかやらぬとか、そういうことは抜きにして、一応そういう形式的にそのような調書ができたのかどうかということを、これも私はいままでの折衝の経過ではっきりしていると思うのです。できておるのか、おらぬのか、形式的に。たとえできたとしてもそれが真実かどうか、これはまた別ですよ。そういう点をひとつ明らかにしてほしい。  それからもう一つは、これは法律問題になりますが、資源保護法ですね、外務大臣はいままで認めないように言っておられた。ところが、どうも先ほどの説明ですと、資源保護法によって取り締まる海上の範囲ですね。これはこう条約によってへこんだけれども、資源保護法そのものは、こう生きておるような立場で、どうも説明され、条約局長もそういうふうに説明されたと思う。私はこの点は、はたしてそういう立場でいいのかどうか、非常な疑問を持つわけなんです。これは現在と全然違った時代にできておる韓国の法律ですね。そういうものが、ただその範囲だけを少しへこまして、そのまま生きておるんだ、こういうことが一体許されるのかどうか、罰則等についてもそのまま、あるいは調べる手段、方法等についても、その関係法規等が捕獲審検令等がありますね。そういう一連のものが、そのまま存続していいのかどうか、それは私は重大な問題点じゃないかと思うのですね。外務大臣、せんだってまでは否定していたようですが、どうもきょうは少し何かそういうものをお認めになるような感じもするお答えでありますので、非常に重大であります。第三点としてその点を明らかにしてほしい。
  195. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) 第一点の、計器類を積んでいたかいないかの点でございますが、現場におきまして、わがほうの巡視船が交渉していましたときには、少なくとも外部からは計器類は見えなかったようでございます。はたして内部に積んでいたかどうかは、現在先方は申しておりません。  第二点の船長が侵犯した事実を認めたかいなか、これにつきましては、船長がいろいろ取り調べを受けまして、調書類に拇印を押したという事実があるようでございますが、その内容についてどのような供述をしたか、あるいは侵犯の事実を認めたかいなかは確認できません。  第三点の資源保護法については、韓国側は、これは専管水域以外まで適用されるということは言っておりません。
  196. 亀田得治

    ○亀田得治君 それは食い違った答弁だ。だめですよ。  第一点の計器類ですね、先方が積んでいたかどうか申しておりません、こういうお答えですが、一体日本政府はそういうことで引き下がっておるんですか、こちらの日本の船から見たときにはそれは見えなかった。しかし、いまのお話ですと、どうも内部で積んでおるかもしれぬというような意見にもとれるわけだ。しかし、この重要な事実関係の認定に関係のある問題について、先方が黙っておるほうはないじゃないですか。黙っているままであなたたちが……黙っているということがおかしいじゃないですか。なぜ言わぬのだ。私たちの推測では、ほんとうにそういうものを積んでおるのであれば、積んでおりますよと、こう言いますよ、だれでも。だから黙っておるということは、積んでいなかったと、私たちやはり推測できるんですよ、いまのあなたの答弁からでも。しかし、そういうことで日本政府が黙っておるのをそのまま見過ごしておるというのはおかしいじゃないですか。外務省が軟弱だというのはそういうところなんですよ、具体的に。そうでしょう。黙っておるほうはないでしょう。  いまからでもやってあすの朝までにそれははっきりしてください。  それからもう一つ……。
  197. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 亀田君に申し上げますが、関連だから、関連の範囲内でひとつやっていただきたいと思います。
  198. 亀田得治

    ○亀田得治君 関連ですが、答弁がはなはだ軟弱でほっておけぬ。  それからもう一つは、そのようなうわさされるような調書ができたかいないかわからぬ、こうおっしゃるんでしょう。これもはなはだふがいのない話だ。釜山の領事館から児玉副領事が済州島に行っているんでしょう。一体そのくらいのことが確認できないような役人ですか。首にせいとは言いませんけれども、それを指揮する者はもっとはっきり指示しなければいかぬじゃないですか。そんなことがわからぬようなことで、一体どうして強硬な交渉が外務省としてやれるんですか。私はこの二点を聞いて、はなはだこう世間では、外務大臣何しておるというようなことでずいぶん電話もかかるようですが、私はなるほどと思いますよ。この二点、これはあすまでにはっきりして、あすのあさの羽生氏の質問までにはっきりしてください。それがはっきりしなければ、もう一ぺん関連質問しますから。できますね。
  199. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 外務大臣。——じゃアジア局長が先に。
  200. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) 計器類の点につきましては、先ほど申しましたように、われわれとしては積んでいなかったんではないかという疑いを持っておりますけれども、したがって、この点については、現地で両者の資料を突き合わせておるときに、こちらから提起しております。しかし、積んでいたかいなかったかということは先方は申しておりません。  第二の船長がどのようなことを言ったかという点でございますが、これは現地に参りました釜山の副領事がいろいろ船長から事情を聞いております。はたして副領事に話したことと同様のことを調書の中に書いておるかどうかということについては不明でございます。
  201. 亀田得治

    ○亀田得治君 せっかく済州島に行ってそんなことをどうして聞いておらぬのか。
  202. 北村暢

    ○北村暢君 次に、ただいまの亀田委員の質問にありましたように、この計器を積んでおったかどうかということは非常に重要に問題だと思うんですが、韓国は今後もゲリラ戦的に強硬方針をもってこういうような事態がしばしば繰り返されるということが伝えられておるわけです。そういう場合に日本の漁民は安心して操業することはできない。そういう点について、安全操業について——農林大臣寝ているようだけれども、起きて答弁してください。安全操業に対してどういうふうな対策を持っているのか。これをひとつはっきりさしていただきたい。
  203. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) ただいませっかく外務省、いわゆる外交ルールを通じて極力いま推進しておるところでございます。
  204. 北村暢

    ○北村暢君 だめだよ、農林大臣は寝てて、あんた、起こされてからびっくりして答弁するから、そういうとんまな答弁をするんだよ。だめだよ、ほんとに。  今後、いまゲリラ戦のような形でもって今後もどんどん韓国はこういうことをやろうとしているんだけれども、これでは日本の漁民は安心して漁業はできないじゃないかと、出漁ができないじゃないかと、安全操業に対して一体どうするのかということを聞いておる。外務大臣と農林大臣、おのおの答えてください。
  205. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 今度の漁業協定によって、漁業に関する両国の秩序が整然とでき上がっておるわけでありますが、この秩序を守るという、守らせるという努力がやはり両国の当局者の間に、十分な了解のもとに努力が払われなけりやならぬと思うわけであります。そういう努力に対して今回の事件を契機といたしまして、足りないところは十分に今後努力をいたしまして、秩序をあくまで守るというたてまえをとらなければならぬ。その一つの問題となるのは、まだ搭載しておったか不明であるという計器の問題であります。これは実力をもってこっちから押しかけてまいるまだ段階……そういうことが許されておりませんので、まあ向こうの実力内に連行されて、そして取り調べを受けておるという状態でございまして、さらに状況が進めばその問題を的確に突き詰めて、そしていやしくも巡視艇ともあろうものが正確な計器類を持たずに、ただ目の子でいいかげんやっておるというようなことがもしありますれば、自後は再びさようなことがないようにしなければならぬ。その他の点につきましても、十分に、精密に、今回の事件を分析して、そして将来こういうことが起こらないようにしなければならぬ、こう考えております。
  206. 亀田得治

    ○亀田得治君 委員長、さっきの答弁抜けてますね。委員長、さっきの答弁。
  207. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) どの答弁……。
  208. 亀田得治

    ○亀田得治君 条約を、日本政府がですね、向こうの資源保護法を認めておるような答弁をさっきしておる。それに対する答弁抜けております。
  209. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これはまあ向こうの国内法の問題でありますから、とやかく干渉すべき問題ではない。少なくとも条約の規定する範囲内においては国内法はこれは排除される。専管水域内の問題であるとすれば、これは向こうの純然たる国内法の問題でありますから、それについてとやかく言うべきではないと私は考えております。
  210. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) 外務大臣のお答え申し上げたとおりでありますが、なお安全操業の面に関しまして、民間同士においても、私ども昨年の秋以来この安全操業問題についてお互いに話し合いをするということも非常に大事なことでありまするので、そういう点も進めておったわけであります。今後とも、なお、さらに外務大臣のお答えに加えまして、さらにそういう面についても努力を払ってまいりたい、かように存じております。
  211. 北村暢

    ○北村暢君 次に、第三次防衛計画についてお尋ねいたしますが、第三次防衛整備計画の立案にあたって、もうすでに立案が終了する段階だろうと、まあこういうふうに思うのでありますが、日米安全保障条約体制のもとに、在来兵器による局地戦以下の侵略に対処するというこの第二次防の基礎前提というものに変更はないのかどうなのか、この点お伺いいたします。
  212. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 三次防は目下検討中で、まだ詳細に申し上げる機会がございませんが、第一次、第二次の成長した第三次ですから、そう大きな変革は基本的にはないと、部分的にはあり得るであろうと、こう思います。
  213. 北村暢

    ○北村暢君 次に、防衛力漸増の限界についてどのように把握しているかをお尋ねいたしたいと思いますが、この防衛力漸増の問題については、防衛庁内部でいろいろな意見があるわけです。で、たとえば二次防はほぼ予定どおり完了しようとしておるわけですが、これに対して満足せずということで、三次防においては飛躍的にこれを強化しておる、増強する、こういう考え方でいくべきだという考え方もあるわけです。それからまた、防衛力は相対的なものであるから、それに対応して装備をしなけりゃならぬ。これはこの前の防衛庁長官の答弁でも出ております。したがって、中国が核武装をしたということによってですね、これは非常に大きな状況の変化であります。したがって、これに対してわが国の国防の方針に重大な変更があるのではないかと常識的に思われるのでありますけれども、どのようにお考えになっておりますか。
  214. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 国防力の増強は、基本的には国民の納得、国民の理解、その中における財政の比率、それが基本国民負担に直接結びつくものであります。同時に、第三次防衛計画においても国民の理解、国情に応ずるものにまず限定をして、その予算を最終年度、大いにまあ自粛して、国民所得の二%程度というふうな感じで、一つの歯どめを持ったわけであります。したがって、無制限に、三次防でふやすという気持ちはありません。最終年度に、だんだんだんだんいきまして、最終年度が国民所得の二%を目途に、われわれは、かく考えを持っておるわけであります。したがって、そんなに無制限なものじゃありません。まあ御承知のごとく、諸外国の例を見ましても、日本よりも国民所得の少ない国でも相当な比率の国防費を負担しておる今日から見るならば、私はそう大きなものではないと、こう考えます。  また第一次防、第二次防を比較してまいりますと、第三次防もそんなにむちゃくちゃなこともできない。やはり、第一次防、第二次防の成長度合いに応じて、ある程度それを地固めしたいという気持ちでございます。たまたまその機会に、中共の核装備でも完成されますならば、それはそれに対応するもの、別にそれに直ちに対応と言いませんが、国民に、物心ともに受ける脅威というものが国内に感ぜられるならば、それに応ずるもの、国民が安心できるもの、というものは国防の必要上当然考えなければならないと思います。
  215. 北村暢

    ○北村暢君 これは、内容的にあとからまたお尋ねいたしますが、したがって、中国の核武装というのは伝えられるところによると、一九六七、八年ごろには中離距弾道弾等の装備がなされるというようなことが情報としてあるわけです。したがって、いまのお話によりますと、これは当然第三次防の期間中に、こういうことが起こり得るわけです。したがって、いまの説からいくというと、相当対応するということになれば、これはたいへんなことになるのではないかと思う。そこで、お伺いいたしますが、大蔵大臣にお伺いいたしますが、いま松野長官は、国民所得の二%と、こういうようなことを、これはたいしたものではない、こうおっしゃるのでございますが、四十年度は国防費は国民所得に対して一・三三%程度でありますが、これに対して二%ということになれば、最終年度の四十六年度では、大体防衛費は八千億をこえるのじゃないか、そして五カ年間の総ワクでは三兆円弱でもって、大体二次防が五カ年間の総ワクが一兆一千五百億でありますから、約三倍になるのではないかというふうに思われるのであります。したがって、この三次防に対して、そういう二次防の三倍程度になるものを大蔵当局としては認められる筋合いのものであるのかどうか。松野長官の二%という希望は希望だけであって、大蔵当局はどのように考えておられるのか、この点をひとつお伺いいたします。
  216. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) わが国の防衛力はあくまでも防衛的なものであります。外国からの侵略にのみ備えるものでありまして、これが積極的に他国を侵すということは考えていないわけであります。しかし、それにいたしましても、今日のわが国の防衛は足りないと、力が足りないというので、日米安全保障条約に依存をしておるのであります。そういうような状態考えますときに、わが国の防衛力は国力に相応させながら、逐次増強していかなければならない。かように考えます。また、そういう考え方からでありまするが、第三次防というようなものにつきましては、私は何も聞いておりません。おりませんが、国民所得の二%というと、これは相当なものであります。お話のように七千億とか、そういうことになると思いますが、私は最大の防衛というか、それは国民生活がおのおの安定していくことだと、こういうふうに考えます。したがいまして、防衛力増強という自衛隊の増強計画、これをどういうふうに扱っていくかということにつきましては、あくまでも民生の安定、財政の中におけるバランス、さようなものを総合的に見て考えなければならぬ、かように考えておる次第であります。
  217. 北村暢

    ○北村暢君 相談を受けていないとおっしゃるのですが、これは松野防衛庁長官は、この国民所得の二%程度ということで、先ほどから何回も言われておるのですが、これで三次防の計画を立てるように指示をしたと、こういうふうに、まあ立案の段階ですよ、指示をした、それに基づいてこの作業がなされているというふうに私も聞いているわけです。したがって、そういうことになれば初めから認められないものを基礎に置いて計画を立てるというのもおかしいのですが、大体において二次防は、まあほかの各省では計画どおりいくことなんかないのですけれども、防衛庁がこれは目測がいいのかなんかしらぬけれども、大体九十何%いっているわけであります。したがって、松野長官のこの国民所得の二%というのは相当な自信を持ってやっているじゃないか、こう想定するのですけれどもね。それで大蔵大臣は全然相談を受けていないということですか。もう再来年度から、この八月から、四十二年度の予算折衝に入るわけですから、もうすでにこの三次防というものはできておらなきゃならない。検討中、検討中と言いますけれども、実際はできておる。ですから、その点をひとつ、もう一つ明らかにしていただきたい。
  218. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 防衛庁長官が言われますのは、防衛庁内部で検討している、こういうことだと思います。まだ大蔵省に対しては何らの接触もございません。これはほんとうでございます。
  219. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連ですから簡単に……。先ほども私は質問をしたのですが、これはいままだはっきりしていないと言いますけれども、防衛生産との重要な関係があるわけですよ。これははっきりさせておかなければ、今後この防衛産業、防衛機器ですよ、これはどういうふうにして段取りをつけていきますか、最近では非常に技術がどんどん進むでしょう、いままでの五年計画じゃ足りない、七年あるいは十年計画でやられてきている。ですから、これと関連して通産大臣に伺いたい。経団連の防衛生産委員会から第三次防に対する要望が出ているはずです、これは、要望が。それでいま日本のこのような状態ではとても防衛生産できない。もっとはっきり総合計画を立てなさい。こう言っているのでしょう。そうでなければ段取りつかないわけです。それでまた兵器を輸出しなきゃ成り立たないという要件もあるのですよ。兵器の輸出もあるのですよ。ですから、どういう要望をしてきているのか、それを明らかにして、それといまの二兆円のこの第三次防と関連させて考えなければ全く意味がないじゃありませんか。いまからすでにやらなければ防衛生産に間に合わない。だから、もうできていないはずがないですよ。その点を松野防衛長官、あなたはっきり業者にそういうこと言っているじゃありませんか。業者に言って、国会で言えないというはずがございますか。
  220. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 業者に言える以上のことを国会に申し上げております。経済団体からの要望は、大きなものは、第一には防衛生産の安定的、長期的な計画を立ててくれ。第二番目には国民所得の二%程度のものを自分たちは目途としていきたい。第三番目には国防省にひとつ昇格さしてくれ。この三つがおそらく経団連から、同じパンフレットならば通産大臣にも同じようなものがいっている。大体要項はこの三つに尽きると私は思います。
  221. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それと、二兆円との関係を聞いている。
  222. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 二兆円という数は経団連から出ておりません。(「二%」と呼ぶ者あり)二%というのは、かりに防衛庁長官が二%と言うなら、われわれもその二%を目途に長期安定需要をしてくれ、ということばが二%という頭についております。おそらくこの三つで私は尽きると思います。通産大臣にも同じ書類がいっておれば同じ項目だと私は思います。
  223. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 私が受け取った書類は、機械工業審議会、防衛産業の地位に関する答申というのを受け取って、去年の八、九月ごろでしたか、これはちょいといまの防衛長官と趣が違っているのです。それは違っている面がある。たとえば国防省などはその中にはない、第一番には、いまお話のように、長期的な防衛計画を立ててくれ。二番目には契約は継続的に契約をしてくれ。三番目には技術開発というものに政府が——技術が、まあああいう兵器産業というものは先端を行くものですから、そういう意味で技術開発に対する助力を政府はすべきである。それから第四番目には、できるだけ国産化をやる。それから最後には、輸出にも、御指摘のように、触れてある。こういう答申を私は受け取っておるわけであります。
  224. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 よくわからないから、もう一度松野防衛庁長官に。
  225. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 何度も同じことを申しますが、最終年度を二%を目途に私のほうは今日一つの希望として置いているということであります。したがって、いきなり四十二年度から二%というものを大蔵省に要求する気持ちはもちろんありません。したがって、そういう作業はもちろんいまごろする必要はありません。一般的に第三次防全般としてどこに今度は目途を置くか、これが一つの問題でございます。何も計画がない、ないと言っておりますけれども、この前の場合は、第二次防のときは、所得倍増計画というものが、北村さんも、皆さんも御承知のごとく、ありました。あれは七・五から八・五という一つの所得倍増計画、つまり国民総生産計画、あれは五年間の成長率という一つの目途がありましたから、したがって、一兆何千億という数字がわりに明らかに出ております。しかし、今回はまだ中期経済計画の策定、改定と申しますか、新たなものができておりません。したがって、国民総生産あるいは国民経済成長率あるいは総国民所得というものが今日予想というか、政府でまだ決定しておらない今日ですから、私の言う目途として二%という以外に、何兆だとか言われたって、それはその言う数字が無理な話であって、各人、あるいは政府の発表の中にも七・五%とかいろいろなことが言われております。来年は七・五とかいろいろ言われております。そういう段階の今日ですから、私が隠すわけではない。言おうとするほうが、言う基本の数字がまだ固まっていないときに、まだ先を言うことはできない。これくらい正直に私のように申し上げておる者はいないのじゃないかと思います。
  226. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょっと委員長
  227. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) もう少しして、また関連でやってください、あまり関連が中心になっているようなかっこうでございますから。それじゃ、それだけ簡単に木村君。
  228. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 何回も質問して悪いようですけれども、しかし、松野長官はもっと現実的に進めなければいかぬと思うのです。そうでしょう。防衛の場合には、防衛産業というものがあるのですから、それも、さっき通産大臣が言われたように、あれは機械工業部会ですか、あそこの小委員会で答申があったように、非常にこれは長期の計画が必要なんですね。新しい技術開発をするにしましても、すぐには間に合わない。ですから、この業界のメーカーに対して大体の目安を与えておかなければできないでしょう。ですから、あなたはこの今度の第三次防の最終年度において国民所得の二%という目途を与えておるでしょう。それはそうしなければメーカーがどこまで設備を拡大していいのか見当がつかないからじゃありませんか。ですから、二%という数字は単なる空なる数字じゃないのですね。それはそういうあれが示されると、大体それを目途として防衛生産のほうで、たとえば航空機なり艦船なりあるいは武器なり、あるいは電子工学的な産業でもずっとそれについて作業が行なわれてくるわけなんです。ですから、そんな抽象論をわれわれは聞いているわけじゃない。ですから、さっきのような御答弁では困ります。また、具体的に第三次防の内容は、大体四十一年度予算にかなり出ているのです。それをなぜあなたは明らかにしないかですか。たとえば潜水艦に対する作戦、あるいは空に対する作戦、この二つが重点であると聞いておるのです。そういうことももっと明らかに率直にする必要があるのですね。それをされないから何回でも関連質問が行なわれるのです。
  229. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) いまいろいろ関連がないように明確にお答えいたしますが、私のほうは、開発費というのは四十一年度の開発費で、これは四十二年の三次防につながる一つの研究科目です。一つは旅客機が入っております。一つは陸上の戦闘用の機械が、試験用のが入っております。もう一つはバッジ・システムというのはもう完了いたしますから、それを将来拡大するという意味で、ある意味の研究費が入っております。その程度のものが入っておるだけで、それから戦車が四十両入っております。これが、おっしゃるならば、はっきりもう今日おそらく二次防の末期において三次防につながるものといえば、こういうものが出ております。その他は、二%とか、総予算の二兆とか言われるのはまだこれから先の話ですから、これがきまらなければこういうものが出されないわけではございません。当然日本が国産としてできる最高の能力の試験研究費も入れてある。これも入っております。しかし、それだから二兆にしなければいけないという数字は、これは違います。戦車一両当たり、御承知のとおり、わずかな費用です。飛行機の開発費は一億何千万しか入っておりません。だから、これが二兆八千の基礎数字というのは少しまだ話が早過ぎるんじゃないかと思います。大体これだけお答えすれば私はすべてお答えしたことになるので、これはほかに何も関連質問の必要はないくらいお答えしているわけでございます。
  230. 北村暢

    ○北村暢君 それでは具体的にお伺いいたしますが、三次防の一つの方針の重点である防空関係し防空体制ですか、このF104の耐用年数は一体どのくらいなんです。そうして、次期戦闘機のFXと称するものの検討はどのようになっているか。そうしてまた、その技術の切りかえの時期はいつごろを想定されているか。また、国産化の見通しはどうなんですか。
  231. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) F104の耐用年数と申しますのは、これはアメリカからの導入国産であります。したがって、米軍として試験いたしました場合には、F104は三千時間以上の耐用という、飛行時間の限定の規格に合格した飛行機でございますから、三千時間以上を耐用年数としておりいます。F104は、したがって、十年と申しますと、四十五年以上までは十分使えると私は思います。このアメリカの規格を日本に当てはめまして、したがって十年以上は持つ。それで四十五年といえば、何年か先ですから、したがって、それに応ずる新規の飛行機の研究あるいは装備の準備をしなければならないというのが三次防で、いまから始まる防衛計画の基本になってまいります。次期FXにつきましては、まだ調査委員会をつくっておりません。実はいまから委員会をつくりまして、世界の中で日本の防衛に適したものの選定をしたい。それが国産化できれば非常にけっこうでございますけれども、まだ日本の研究技術ではそこまでは、私がいかに希望しても、とてもほど遠いのじゃなかろうか。その手前の練習機をひとつ国産化したいと思って練習機の国産に力を入れておりますけれども、練習機の国産も、なかなかいまの日本の技術では、できるほうが五分、できないほうが五分という現状でございます。まして戦闘機にはまだほど遠い実は日本のいまの状況ではなかろうかと思います。この問題は、国産は非常にむずかしい。ただ、練習機の国産ができるならば、将来戦闘機の国産も可能であろうというので、なるべく国産技術の水準に合わせてわれわれは防衛計画をつくりたい。これがすべてでございます、いまの御質問にお答えする。
  232. 北村暢

    ○北村暢君 次に、地対空ミサイルの点についてお伺いいたしますが、ナイキ・ホーク部隊の増加を計画されるのか、それともナイキ・ハーキュリーズの輸入に切りかえるのか。で、ホークはもうすでにアメリカは生産を中止しておりますから、ホークをやる場合は国内生産というものになってくるわけでありますが、これはやはり輸入するか、国内生産かでだいぶ変わってまいりますので、しかも、これは早期に拡大をするということのようですが、どちらの方針をとられるのか。
  233. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) ナイキ・ホークのアメリカにおける新規生産は、お説のように、もう今日は中止しております。ただし、ホークがもう要らないという意味じゃありません。ホークの必要な部隊は全部装備してしまったから、もう新規なものはアメリカとしてはつくらぬでよろしいという意味で、完全装備を済ましたという意味で生産を中止しております。部品補給の生産は中止しておりません。今日も継続しております。日本においては、まだ二個大隊しかおりません、いままで第二次防で。三次防ではやはり防空というものが国民の防衛に必要だと考えますので、少なくとも三個大隊以上のものはやはり装備するならば必要であろう、この辺が今日考えられることで、それを国産にするか、輸入にするか。なるべく国産でいきたいと思って、今日、各技術を、私どものほうの技本を中心に研究しておりますが、これはできるほうが可能性が多いようにいま私のほうに報告を受けております。
  234. 北村暢

    ○北村暢君 バッジの開発完成が、来年ですか、ことしですか、完成するわけですが、それでもなおかつ、今後の対空警戒網について充実する必要があるということで、これを強化する施策というものを第三次防で考えておるようですが、この内容を明らかにしてもらいたい。
  235. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) バッジは予定どおり四十二年には完成いたします。あるいは一部の方が四十三年と言われておりますが、もうそれは四十二年に完成いたします。したがって、バッジはこれで完了。そのバッジ以外に、将来のレーダー網の進歩発達に応じて、レーダー網におけるレーダーの能力の発展のために、第三次防では改良強化しなければならないという点は私どもも今日痛感いたしておりますので、おそらく、そういうものも第三次防の中に入れたいと私は思っております。
  236. 北村暢

    ○北村暢君 その内容はどういうものなんですか。
  237. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) この内容は、最近のレーダー網は、御承知のごとく、相当高い空には、高空には電離層がありまして非常な性能がよくなりまして相当な高度まで届きます。しかし、何と申しましても地球は丸いものですから、水平のところだと、あまり——水平線までしか行かない。そういうことは、非常にいまの飛行機の発達から見ると、守るほうから見ると非常に不便なんだ。水平線の向こう側まであるいは警戒網が広がることが日本の防衛に必要だ。その意味でそちらのほうのレーダーの能力技術をいま考えて、それに合わせるようなものが私は必要じゃなかろうか。それがいまの構想の内容になっております。
  238. 北村暢

    ○北村暢君 その内容はまた別の機会に聞くとしまして、三次防で問題にいまなっているシェルターの計画があるかどうか。
  239. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 計画はございません。
  240. 北村暢

    ○北村暢君 次に、海上自衛隊の強化の方針でありますが、内航、外航各二個護衛隊群ですか、これを整備してきたわけですが、今後のこれらの整備の方針を承りたい。
  241. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) いままでも内航、外航と明快に分けて整備計画を進めたわけじゃございません。日本の海域における、日本の国内の周辺海域における防衛ということで重点的に一つの地域をきめまして、船舶の出入の多いところを海上護衛隊は警戒をする、また、その安全を確保するという意味で、内航、外航といままでも分けたわけではありません。しかし、あらゆる場面に想定を考えて、内航の場合はどうするのだ、外航の場合はどうするのだという一つの想定はありますけれども、整備計画として厳然として分けた計画はいままでも立てておりません。まだそれほど大きな艦艇の整備が、残念ながら、二つに分けるような、今日船の数が足りませんので、どっちも一緒、同じ船しかないので、十四万トンしかおりませんので、そんなものはありません。
  242. 北村暢

    ○北村暢君 最近伝えられるところによると、タンカーの護衛のための整備をやるというふうに聞いておるわけです。これはまあ外航のほうに属する。しかも、これはフィリピン海域まで護衛するというようなことが新聞に伝えられているわけです。そういうような点から、一体この点について三次防でどのように考えられておるのか。  もう一つこれはお伺いしたいのですが、この外航の護衛の行動範囲ですが、これはフィリピン海域までというのですが、これはずっと、アラビアならアラビアまで護衛つきでなければならないというような問題が将来出てくる。一体どういう方針をとられるのか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
  243. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 海上の守備範囲というのは、御承知のごとく、領土、領空、領海から外に出まして公の海ということになります。したがって、どこまで護衛すればいいかということは、これは議論の多いところです。しかし、その国における必要性の限度においてこれをきめる以外に私はないと思います。したがって、今日は小笠原、もちろん台湾の手前ぐらいの範囲しかまだ演習もしたことはありませんし、それ以上の能力はありません。かりにこれを縦にずうっと並べればどこまで行くかという、まあ想定問答と申しますか、一つの研究とすればこの辺までは伸びられる。ただし、それをやるとあと全部船がなくなってしまうのですから、それはまああらゆる場面の一つの場面として研究したかもしれませんが、そんな実施計画は、まだそれにはとても及びません。それにはいまの十四万トンがまあ五、六十万トンにでもならなければ、とても手が一ぱいですから、かりに全部の日本の能力ある船を縦に並べたらどの距離まで護衛ができるかというふうなことは、これは研究——机上としてあらゆる想定の中の一つかもしれません。しかし、それに合わせて装備するにはまだ日本の能力はありません。せいぜい日本の近海周辺、小笠原程度の距離しか、今日はまだ私は日本の防衛能力は海上においては残念ながらその程度の能力しかありません。
  244. 北村暢

    ○北村暢君 次に、自衛隊の欠員がまあ慢性化して募集難の壁にぶつかっているようですが、こういう現状は簡単には解消しそうもないように思われるのでありますが、その原因と対策はどのように考えておられますか。
  245. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) いままではとにかく日本の若手の人手不足という時勢が昭和三十五年から続きました。しかし、これもやはり防衛庁の自衛隊にもその影響がございまして、非常に募集に苦労いたしました。それでもやはり最近は非常に応募者がふえまして、陸上では悪い悪いといわれながら八七・八%の募集に上昇してまいりました。来年は八八、また翌年は私は九〇近く行くと思います。苦労しておりますけれども、その見込みと方向はだんだん明るい募集状況になります。一番は国民の防衛意識、第二番目には隊員に対する処遇、待遇というもの、この二つがやはり非常に隊員の応募に影響すると私は思います。
  246. 北村暢

    ○北村暢君 通産大臣にお伺いしますが、このベトナム特需の状況は最近どうなっているか、お伺いしたいと思います。
  247. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) ベトナム特需はまあ大体昭和三十四、五、六ぐらいまでは四億ドルベースであります。いまは三十七年あたりから三億ドルベースで、三億ドルです。その中で、一月には二千六百万ドル、これはベトナムでないですよ。ベトナムだけを区別せよということはできないですけれども、アメリカの特需、それから二月がきょう集計ができて三千五百万ドルぐらいになるのではないか。しかし、二千六百万ドルの内訳を見ますと、千九百万ドルまでは駐留軍の家族やらの消費です。それから七百万ドルが米軍の役務あるいはまた資材の購入、いわゆる米軍の預金の支払いということになって、その半分以上は米軍関係に働いている人たちの給与ですから、そういうことになっておるし、二月の分の集計でも一番ふえたものは米軍の軍人、軍属、家族等の消費です、二千二百万ドル。これは一番大きくふえております。そして物資の中でふえておるものは繊維、木材、金属製品あるいは石油製品、こういうものがふえておる。しかし、やはり今年も三億ドルベースで、従来よりも多少はふえると思いますが、そんな急激なアメリカの特需の増加というふうには考えていない、やはり三億ドルベースです。
  248. 北村暢

    ○北村暢君 一ぺん詳しく聞きたいんですけれども、時間がございませんから。いま通産大臣は相当慎重な答弁をされておりますけれども、これは国際入札をやっておりますから、間接的に、韓国あるいは中華民国を経て、ベトナム特需につながっておる。有刺鉄線あるいはナパーム弾の原料のようなものが韓国のレッテルを張って出ていくというような場合もあり得るわけです。そういうようなことでベトナム特需に対する基本的な考え方をひとつお伺いしておきたいと思います。
  249. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 御承知のように、安保条約によって米軍の地位に関する協定があるわけです。物資、役務の調達に対して差別待遇をしてはいけない、これも一つです。協力の義務がある。それからまた、輸出に対しては輸出管理令の特別措置で輸出の承認を要しない。この二つの条約、協定を持っているわけです。したがって、俗にベトナム特需、特需とこう言うが、なかなかやはり輸出の承認を要しないですから、そういう点でそれを捕捉するためには、あるいは仕向け地が大使館などを通じてわかるような場合に、できるだけこれを捕捉することができれば参考になると思ってしておるわけでありますが、しかし、そういう二つの協力の規定、協力の協定を持っておるということが背景にあるわけです。しかし、武器弾薬等については武器製造法によって、米軍といえども届け出を要するわけです。これは届け出は一件もないわけです。ナパーム弾という、北村さんお話があったが、そういうことはありませんですから、武器弾薬に対しては、これはベトナムのほうに行っているということはないんだ。そういう届け出はないわけですから、行っているという事実は、これは世間にそう言う人がおりますけれども、これは全く事実に反します。ナパーム弾はない。そういうことはない。しかし、いろんな、たとえば繊維製品などはアメリカが調達して、そしてベトナムに行くようなことはあり得るでしょう。しかし、全体の傾向から見ると、従来ベトナムの紛争が起こらない前の三億ドルのベースというのは、四億ドルのベースになると私は考えていないんですよ。これは去年よりもふえますよ。ふえても、そういうことで朝鮮の戦争のときのような特需ブームというようなものはありません。全然ない。まあ多少の物資の調達は、アメリカ軍の物資の購入はふえてはいるけれども、それは特需ブームと称すべきものはないということで、武器とか弾薬とかいうことになれば、考えざるを得ないでしょう。しかし、それ以外の物資に、これだけの協定を結んでいる日本が、しかも武器弾薬でないという場合において、これは非常な急激なブームというような形は、われわれは特需の形において貿易を伸ばしたくはない。正常な形で貿易を伸ばすことを希望するわけでありますから、それが非常なブームみたいになってくるといろいろ問題が起こると思いますが、いま、従来の昭和三十四、五年ごろの三億ドルのベースを多少上回るというようなところで、これらに対しては何ら、ベトナムにその物資が行くにしても、このことがわれわれがいろいろ考えなければならぬという段階だとは思わないのであります。やはり、こういうことは特に問題にすることではないというふうに考えております。
  250. 北村暢

    ○北村暢君 今月ですか、先月初旬ですか、アメリカの国防省ブリック氏が見えましたね。この特需との関連で、ナイキ・ハーキューリズを中心とするバーター制の問題について協議があったはずであります。これの内容とそれからバーター制について防衛庁、通産省はどういう態度をもって臨まれるか、この点をお伺いいたします。
  251. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) そういう使節員——団と言うほどでもないが、使節の方が来られて、防衛庁で二回ばかり話をしましたが、その内容は、アメリカの兵器を日本円で調達してはどうだという話でありまして、特にそれと特需と結びつくかどうか、それはわかりません。要するに、ドル払いを円払いでやる気はないかという話であります。したがって、私のほうは、まだ向こうのお申し山山の兵器は日本の三次防で決定しておりませんので、もしも三次防で必要だ、買うのだというなら、経済ベースで買うのか、国産をするのか、あるいはその申し出のような政府政府の間で買うほうがよりいいかということはそのときに検討すべき一つの提案はございました。しかし、私のほうは、その兵器を三次防でまだきめていませんので、きめた暁において御返事をするというままになっております。案としていいか、悪いか、そのときになれば買うときめれば、不利な条件ではないように思います。しかし、まだ国産ということも考えますので、まだいいということまでには踏み切れずにいるわけでございます。そういう提案はございます。内容はそんなものでございます。
  252. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) いまのようなものでしたら、防衛庁から連絡を正式に受けるような問題でもない。新聞で私も知った程度でございます。
  253. 北村暢

    ○北村暢君 この前の補正予算のときの質問の続きをひとつ農林大臣にいたしますけれども、蓄積経理の問題については、経理の方法について、中央森林審議会の答申にもかんがみ、その当否について検討したいということを言われておりましたが、だいぶ長く検討されたようでありますから、検討の結果をひとつ御報告願いたい。
  254. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) お答えしますが、現在目下検討中でございます。慎重に検討しております。
  255. 北村暢

    ○北村暢君 検討中ということは、いつごろ結論が出るのですか。
  256. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) ただいま林野庁長官から具体的にお答えいたさせます。
  257. 田中重五

    政府委員田中重五君) 蓄積経理の問題につきましては、いろいろ重要な問題ございますので、四十一年度において実態調査を十分に実行をいたしまして、その上で結論を四十一年度中には出したい、こういうふうに考えておる次第であります。
  258. 北村暢

    ○北村暢君 要求資料がけさ届きましたので、検討するのにだいぶ時間をとりましたが、そこで、いまの蓄積経理の問題は、非常に明瞭なんでありまして、その点、具体的な例をあげて私は質問いたしたいと思います。  たとえば、資料の中の十番目の成長量、標準年伐量、伐採量、これについて、これがかりに三十九年度千八百万立方切ったということになりますというと、これは成長量ははるかにオーバーしておるわけですね。しかしながら、標準年伐量からいけば、これは低いわけですね、千八百万立方ですから。二百万立方ばかり切り残したことになる。経理上は、これでいくというと、伐採不足ということで、これが蓄積がふえた経理になるわけです。ところが、現実には、成長量をオーバーして切っているんですから、国有林の資産の最大のものである蓄積というものは減っている。現実に減っているのに、ふえたという経理になるわけなんです。こういうふうな点から言って、これは明らかに標準伐採量そのものに問題があるのであって、この経理というものは、現実の成長量と標準年伐量というものは一致すべきである。これが企業的会計というもののほんとうのあり方だ。企業的会計というのは、その蓄積の状態というものがはっきりするように経理をするのが会計学上のたてまえです。いまの形でいくというと、この標準年伐量に将来の見込みの成長量というものが入っておりますから、いま申したような結果で、現実に蓄積は減っているのに、経理の結果はふえるという結果が出てくる。こういう点について、明らかにこれは矛盾をするのであります。この点についてどう解釈されるか。
  259. 田中重五

    政府委員田中重五君) お答えいたします。  国有林野事業の経理につきましては、国有林野事業特有の蓄積経理の方法をとっているわけでありまして、その趣旨は、蓄積価を一定不変の状態に置いておくという考え方がその根底にあるわけでございます。それで、一定の伐採を行なった場合には、その伐採に見合う造林量を実行すれば蓄積価は不変であるという考え方に立っておるわけであります。それで、ただいまお話しの成長量とそれから現在行なっております標準伐採量との差につきましては、いまお話にございましたように、成長量に対しては非常に大きな額にはなっております。しかし、こういうような標準伐採量のきめ方につきましては、国有林野経営規程に、国有林野の樹種あるいは林相を急速に改良していく場合の伐採量のきめ方として認められている次第でございます。
  260. 北村暢

    ○北村暢君 これは前からそういう答弁をしているのですけれども、明らかに誤りであって、量がほんとうは基本になって標準年伐量というものがきめられなければならない。したがって、経理面からいくというと、現実の三十九年の成長量は千百五十二万三千立方ですが、標準年伐量は二千八十五万三千立方、この差というものが会計学上からいくというと消えているわけなんです。落としているわけなんです。したがって、森林を改良期を使って山をよくしていくというその思想はいいのでありますけれども、発生主義をとる、あるいは企業会計的な性格をとりますというと、この差というものが経理の中にあらわれてこない。一ぺん落とされているわけなんです。したがって、山の状態というものがはっきりしなくなってしまって、蓄積は現実に減っているのですが、ふえているというような経理のやり方というものは、これは明らかに間違いなんです。この点は、長官いかに答弁しようといえども、私はこれを図を書いて説明すればいいんですけれども、これは論争のあるところで、認めるわけにはいきません。中央森林審議会でも蓄積経理のあり方については問題があると指摘しているのはそこなんです。これを正しいのだと言われるならば、これはたいへんな問題になってまいりますので、それがこの前も検討するということだろうと思うのです。そこの検討を大臣はされるかどうか。長官の答弁では納得いたしませんので、私の言う点について認められるかどうなのか、これをひとつ大臣に答弁願いたい。
  261. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) ただいま御指摘の面については、私のほうでも経理方式を含めてその点について十分検討をいたしたいというのは、この前お答えしたとおりでございます。その意味で検討を加えておるわけでございます。
  262. 北村暢

    ○北村暢君 私の言っている趣旨の意見を入れて検討すると、こういうことですか。
  263. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) 先ほども申したように、経理方式を含めていまの点を検討いたしたい、かように申しておるわけでございます。
  264. 北村暢

    ○北村暢君 それじゃ、資料の10による伐採量ですね、これは標準量より毎年全部超過をいたしております。これは、超過しているのは、許容限界の点についてはどういうふうになっているのか、根拠を明らかにしていただきたい。
  265. 田中重五

    政府委員田中重五君) 標準伐採量に対する実行の伐採量につきましては、その許容限度を五%というふうにきめてございますが、なお、それ以上の場合には、営林局長は農林大臣の許可を得て実行することができるということになっております。
  266. 北村暢

    ○北村暢君 この資料に基づいて説明してください。相当許可を与えていることになりますね、それじゃ。
  267. 田中重五

    政府委員田中重五君) お答えいたします。  いまお手元に差し上げております伐採量につきましては、保続の対象になる部分のほかに、計算外の伐採量をそれぞれ含んでいるわけでございます。で、計算外の伐採量を、その中で、たとえば三十七年では四十五万九千立米、それから三十八年度では三十六万三千、三十九年度では二十九万六千というふうに相なっております。
  268. 北村暢

    ○北村暢君 それはどういう説明なのかわからないのですが、この伐採量の中に調整外伐採というのが入っているということですか。それにしても、五%を上回った数字が圧倒的です。これは農林大臣が認めて切らしたということになるのですか。
  269. 田中重五

    政府委員田中重五君) いまお手元に差し上げております資料は、全国の百七経営計画区の総計でございます。それで、この内容につきましては、それぞれの標準伐採量とそれから実行伐採量の対比が経営計画区ごとに違うわけでございますので、そこで、その超過の程度が先ほど申し上げましたような状態になっているものについては、その経営計画区について許可をしておるということでございます。
  270. 北村暢

    ○北村暢君 とにかく、この資料でも明らかなように、成長量の約倍ぐらいずつ切っておりますね。  それじゃ、次に造林の点についてお伺いいたしますが、造林の不足の実態がどういうふうになっているか。造林不足ですね、実態がどうなっているか。
  271. 田中重五

    政府委員田中重五君) 資料でそれぞれ御説明をいたしたいと思いますが、造林不足という実態は実行の面ではないわけでございます。それで、搬出期限等の期間中のものを除きましては、造林不足というものはないというふうに御理解をいただきたいと思います。それで、それにもかかわらず造林不足がなぜ出るのかということに相なりますと、予定された伐採面積に実行の伐採面積が及ばなかったというような場合には、その実行の造林面積はそれだけ減るわけでございますから、そこで標準造林量に対しまして損益の計算の面では造林不足として出てくるということはございます。
  272. 北村暢

    ○北村暢君 具体的に三十七年の統計雷に基づいてお尋ねいたしますが、伐採面積が十六万二千九百町歩、それに対して人工造林が七万六千五百三十九、それから天然更新が六万九千九百二十一、計で更新面積が十四万六千四百六十ヘクタール、これは明らかに伐採面積に対して更新面積が少ない。この点は、一体どう説明されるのか。
  273. 田中重五

    政府委員田中重五君) ただいまも申し上げたわけでございますが、造林量といたしましては、その伐採量に見合う——伐採量を基準として、それに対して造林を行なうわけでございますから、伐採の量からはすぐ造林の面積につながってはこないということでございます。
  274. 北村暢

    ○北村暢君 伐採面積ははっきりしてる——ちょっとこれを見てください。
  275. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  276. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 速記をつけて。
  277. 田中重五

    政府委員田中重五君) 造林未済地は先ほど申し上げましたとおりで、造林未済地はないというふうに考えておりますけれども、いま先生お示しの資料については十分検討いたしたいと、こう思います。
  278. 北村暢

    ○北村暢君 この統計書がでたらめなのか何か知りませんけれども、この次の「統計要覧」という林野庁の監修のやつでいきますと、これの六四ページの林野庁所管の人工林、天然林の用材、薪材別の伐採皆伐面積というのが、これが皆伐面積だけで十二万八千七百六十ヘクタールというふうになっておる。それに対して七万六千五百三十九ヘクタールしか造林をしていない。これでは、あなた、一体どういうことなんだ。本会議で鶴園君が統計のでたらめ性を指摘しておったのですけれども、またこの点についてどうこれを判断されるのか、お伺いしたい。
  279. 田中重五

    政府委員田中重五君) いまの数字につきましては、それは択伐作業を行なった場所の面積が伐採面積として加算されているためにそういう数字が出てきているのではないかと、こういうふうに考えますけれども、いま申し上げましたように、その資料につきましてよく検討してみたいと、こう思っております。
  280. 北村暢

    ○北村暢君 これはもうむちゃくちゃなんですよ、この統計が。この一ぺージ前の数字と全然合っていない。こういうものを政府が刊行していいのかね、一体。この責任、まず大臣、でたらめもはなはだしい。一ぺージ前と二ぺージ目とは数字が全然違う。それを何も説明なしにこういうものを載っけている。けしからぬ。どれを信用すればいいのか。
  281. 田中重五

    政府委員田中重五君) お答えいたします。  統計につきましては、林野庁におきまして、府県を通して集計する統計、あるいは、統計調査部によるところの調査の統計、あるいはまた、調査の方法が違うために、同一のテーマについて数字が違う場合があるかもしれません。それは、それぞれ出典を明らかにして掲示すべきものというふうに考えております。それぞれ、そういう趣旨によって、方法によってできておる統計というふうに考えております。
  282. 北村暢

    ○北村暢君 いまの統計の問題は、伐採面積が前のページでは十六万二千九百ヘクタール、それが次のぺージへ行くというと、全部で二十五万五千三百二十七ヘクタール、したがって、十万ヘクタールも違っているんだ、これは。こんなでたらめな統計はないと思うのだけれども、こういうことを論議していると時間がございませんから……。いずれにせよ、伐採量は確実に標準年伐量をオーバーしている。造林量は必ず指定造林量より減っている。これでは国有林の蓄積が減っていくのはあたりまえです。こういうことで実は国有林の黒字というものが出ている。この点、大臣、はっきり認識しておいていただきたい、これはまた続いて農林水産委員会でやりますから。  時間がなくなりましたので、私の質問はこれで終わります。
  283. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 北村君の質疑は終了いたしました。  次回は明日午前十時開会することとし、本日はこれをもって散会いたします。    午後四時五十八分散会