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1966-03-11 第51回国会 参議院 予算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月十一日(金曜日)    午後四時三十七分開会     —————————————    委員異動  三月十一日     辞任         補欠選任      梶原 茂嘉君     柳田桃太郎君      小山邦太郎君     田村 賢作君      青柳 秀夫君     和田 鶴一君      小酒井義男君     佐多 忠隆君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         石原幹市郎君     理 事                 小沢久太郎君                 大谷藤之助君                 白井  勇君                 西田 信一君                 日高 広為君                 亀田 得治君                 小林  武君                 鈴木 一弘君     委 員                 赤間 文三君                 井川 伊平君                 植竹 春彦君                 大谷 贇雄君                 北畠 教真君                 草葉 隆圓君                 木暮武太夫君                 古池 信三君                 西郷吉之助君                 櫻井 志郎君                 杉原 荒太君                 田村 賢作君                 内藤誉三郎君                 平島 敏夫君                 増原 恵吉君                 松野 孝一君                 柳田桃太郎君                 吉武 恵市君                 和田 鶴一君                 稲葉 誠一君                 木村禧八郎君                 北村  暢君                 小柳  勇君                 佐多 忠隆君                 鈴木  強君                 田中寿美子君                 羽生 三七君                 林  虎雄君                 村田 秀三君                 矢山 有作君                 多田 省吾君                 宮崎 正義君                 向井 長年君                 市川 房枝君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        法 務 大 臣  石井光次郎君        外 務 大 臣  椎名悦三郎君        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        文 部 大 臣  中村 梅吉君        厚 生 大 臣  鈴木  善幸        農 林 大 臣  坂田 英一君        通商産業大臣   三木 武夫君        運 輸 大 臣  中村 寅太君        郵 政 大 臣  郡  祐一君        労 働 大 臣  小平 久雄君        建 設 大 臣  瀬戸山三男君        自 治 大 臣  永山 忠則君        国 務 大 臣  上原 正吉君        国 務 大 臣  福田 篤泰君        国 務 大 臣  藤山愛一郎君        国 務 大 臣  松野 頼三君        国 務 大 臣  安井  謙君     政府委員        内閣官房長官  橋本登美三郎君        内閣官房長官  竹下  登君        内閣法制局長官  高辻 正巳君        総理府人事局長  増子 正宏君        防衛庁長官官房        長        海原  治君        防衛庁防衛局長  島田  豊君        防衛庁人事局長  堀田 政孝君        防衛庁装備局長  國井  眞君        防衛施設庁長官  小幡 久男君        防衛施設庁施設        部長       財満  功君        外務省北米局長  安川  壯君        外務省条約局長  藤崎 萬里君        外務省国際連合        局長       星  文七君        大蔵政務次官   竹中 恒夫君        大蔵省主計局長  谷村  裕君        大蔵省主税局長  塩崎  潤君        大蔵省理財局長  中尾 博之君        国税庁長官    泉 美之松君        厚生省公衆衛生        局長       中原龍之助君        厚生省医務局長  若松 栄一君        厚生省社会局長  今村  譲君        厚生省児童家庭        局長       竹下 精紀君        厚生省保険局長  熊崎 正夫君        厚生省年金局長  伊部 英男君        農林大臣官房長  大口 駿一君        農林省農林経済        局長       森本  修君        農林省農政局長  和田 正明君        農林省農地局長  大和田啓気君        農林省畜産局長  桧垣徳太郎君        農林省蚕糸局長  丸山 文雄君        農林省園芸局長  小林 誠一君        食糧庁長官    武田 誠三君        通商産業省企業        局長       鳥田 喜仁君        中小企業庁長官  山本 重信君        運輸大臣官房長  深草 克巳君        郵政省郵務局長  長田 裕二君        郵政省電波監理        局長       上田 弘之君        郵政省経理局長  淺野 賢澄君     —————————————        会計検査院長   小峰 保栄君    事務局側        常任委員会専門        員        正木 千冬君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十一年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十一年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十一年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、小酒井義男君、梶原茂嘉君、小山邦太郎君、青柳秀夫君が辞任され、その補欠として、佐多忠隆君、柳田桃太郎君、田村賢作君、和田鶴一君が選任されました。     —————————————
  3. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 昭和四十一年度一般会計予算昭和四十一年度特別会計予算昭和四十一年度政府関係機関予算、  以上三案を一括して議題といたします。  昨日に続き、質疑を行ないます。鈴木強君。
  4. 鈴木強

    鈴木強君 昨日、総理は、沖縄攻撃された場合、日本はどうするかというわが党の稲葉委員質問に対しまして、その場合には経済力だけというなまやさしいものでは済まされない。そこで、第一義的にはアメリカがこれを守る。また、日本人らしく一体となって防衛の任に当たる。このことについてはアメリカ十分相談する。日本希望を述べれば、必ずアメリカは聞いてくれるだろう。また、希望はいれさすつもりだ。これは速記録を拝見しまして要約したものでございますが、こういう趣旨の御答弁をなさいました。しかし、この総理大臣の御答弁は、いま私が申し上げますような点において、従来政府が取り来たりました方針との間に、きわめて重大な食い違いを生じていると思います。すなわち、安保国会の審議の際でありますが、衆議院安保特別委員会で、岸元総理大臣は、自民党床次委員質問に答えまして、沖縄が不幸にして戦乱のちまたとなり、危険な状態にさらされた場合、日本はこれに対し無関心でおるわけにはいかない。防衛については、アメリカが全責任を持つが、住民福祉のために手を差し伸べることは当然であると答えております。また、合意議事録の中には、武力攻撃が発生したときは、日本島民福祉のために、これは沖縄島民のことでありますが、福祉のために取ることのできる措置を、米国とともに検討するとうたつております。そこで、日本が取り得ることのできるこの福祉措置ということの解釈について、同じように安保特別委員会において、わが党の戸叶里子委員質問をいたしております。当時の藤山外務大臣がこれに答えまして、福祉措置というのは、病人内地に連れてくるとか、食糧を送るとかのことであると、これは言明しているのでございます。さらに憲法上の施政権との関連におきましては、御承知のとおり、安保条約沖縄日本施政下の領域と認められませんでしたので、これは除外されておりますが、このことについては同じく安保特別委員会で岸前総理が、日本沖縄に対する潜在主権を持っていることは米国も認めているが、現実には施政権はないので、沖縄アメリカ自身防衛の全責任を持っているので条約の区域には入れなかったと答えているのであります。これを見ますと、いずれの点から見ましても、あなたのきのうお答えになりました答弁というものは、沖縄に対する今日までとってまいりました、また、国民約束をし国会約束をした日本政府沖縄に対する基本方針というものは明らかに変わっておると、こう私たちは思います。したがって、このことはわれわれの絶対に容認することのできないところでありまして、私はここに率直に佐藤総理反省を求めるとともに、きのうの御発言はお取り消しになっていただくように要求いたします。いかがでありますか。
  5. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私の発言にあるいは誤解があるんではないかと思います。私は第一義的には、アメリカ防衛に当たる、こういうことははっきり申したと思います。しかし、この土地は日本潜在主権を持っているところであり、沖縄はこれは私どもと同じ同胞だと、島民日本人だと、こういう考え方を持っておりますので、手をこまねいてただ見ているというのは、これはもう日本人として気持ちが実は許さないんです。私の気持ちは率直に昨日答弁したとおりであります。こういうような同胞が苦しい立場に立ち、また、万一攻撃を受ける、こういう場合に、日本がわれわれが安閑としてこれを見ているということは、実は許せない、私の気持ちが許さないんです。  そこで、昨日も申し上げましたように、これはもう第一義的にはアメリカ施政権を持っておるんですから私どもはどうしようもない。これはもう防衛の衝に当たる。しかし同時に、私は日本人としてまた日本政府としてその気持ちを率直に表明することが必要だと、かように思って答弁をいたしたわけであります・こういう点についてどうもやや誤解をされておるんじゃないかと思いますが、私は、岸前総理のこの安保条約の時分にやっぱり話をしておる、答弁しておりますこともただいまのような趣旨じゃないだろうかと、私はかように思います。
  6. 亀田得治

    亀田得治君 後ほど鈴木君からも、さらに他の委員からもこの問題について質問意見等が出ると思いますが、それらの質問意見の対象をはっきりさせるために、昨日の議事録総理に見てもらいたいわけです。ただいま総理は何か誤解があるように私たちに言われましたが、決してわれわれは昨日の総理発言誤解などはいたしておりません。正確にこの速記録によりまして総理発言を検討した結果、これは従来の政府の見解とはなはだしく異なってきておるという考えを持っておるわけであります。鈴木君時間の御都合等もありまして、問題点の要約を指摘されたわけですが、議論を進めるためにもう一度昨日の言及された点を明らかにしたいと思います。「沖縄攻撃された場合に、」——これは総理発言です。「攻撃された場合に、それじゃこれをわれわれは見過ごしているかというと、沖縄に対する潜在主権もあるし、沖縄住民はわれわれの同胞だ、こういう立場でございますから、それは私どももただ腕をこまねいて見ておる、経済協力ばかりだと、こういうようななまやさしいものじゃないと私は思います。だから、そういう意味で、これに対して第一義的にアメリカがこれを守るにいたしましても、私ども沖縄同胞のために、日本人らしくその一体としての防衛の任に当たる、こういうことは考えられるだろう。」と非常にはっきりしているわけですね。自衛隊を持っていくような意味にだれでもとります。誤解などはしておりません。それはアメリカと私ども十分相談をすることだ、協議を遂げることだ。これを協議なしにこれは日本だということで私ども飛び出すわけにはいかない。一応協議を遂げて行くという意味のことが書かれております。ところが、そのあとが問題、「しかし、この希望を述べれば、必ずアメリカも私どもを入れてくれるだろう、」自衛隊の受け入れを認めるだろうという意味にこれはどうしたってとれます。「また、入れさすつもりでおりますよ。」これは非常な強い決意がここで述べられておるわけです。そういうところがやっぱり日本人らしきことをやると、かように私は思います。  こういうふうに昨日は繰り返し意見を述べられたわけであります。総理は先ほどの最初の発言で、昨日言われたことを別に間違いがないようにまず言われたのですが、そうすると、いま私が読み上げて、われわれが非常に注目をしておるこの部分について昨日のとおりということで確認していいわけでしょうか、まずその点からお聞きいたします。
  7. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま私がお答えしたとおりへまたお読みになったとおりでございます。私はこれを別に変える必要がないと思っております。
  8. 亀田得治

    亀田得治君 これを確認されました。私はこれははなはだ重大だと思う。私たちのいろいろの協議の中では、おそらく総理のほうでも若干これに対して弱める表現等が使われるのじゃなかろうか、そういう場合でも重要な問題だから明らかにそれらの点をしたいと思ってきたわけですが、ただいまの再度のお答えによりましても、これを確認されました。  それでは安保国会のときに岸首相戸叶委員に対するお答え、先ほど鈴木君が引用された以外の部分でありますが、端的にこういうふうに答えております。軍事的行動のために出てくれということであれば断わる、こういうことを岸総理が五月四日ですが、安保特別委員会ではっきり言われておる。この趣旨のことは、その場合だけではございません。沖縄に対して攻撃があった等の場合に、日本がやり得る限界というものは、あるいはこの病人内地に運んだり、そういったような島民福祉という立場を出でないのだ、こういうことは、再三確認されてきておるわけです。非常にこうその間に距離があります。安保国会のときと少しも意味は変わらぬというふうに、先ほどもこの発言を確認しながらおっしゃるわけですが、それが変わらぬというふうには私たちはどうしてもとれないわけであります。総理は何か沖縄同胞がわれわれと一体である、そういう同胞としての一体感という精神面を強調しておるのだというふうなことも言われておるようでありますが、しかし、この先ほど読み上げたのは、決してそれはそういう精神面だけの強調ではありません。具体的な、その場合に処する行動について相当詳しく触れておるわけでありますから、私はこれはもう非常に大きな隔たりがあると思う、どうでしょう、これは。
  9. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまも御指摘になりますように、これは精神面じゃないかというお話です。私は、まず第一は、日本国民として、また日本政府として、この沖縄同胞、これが攻撃をされておる、こういう状態を見過ごすわけにいかない、これは私の気持ちであります。これは、ただいま亀田君の害われるとおり、これは精神面であります。この精神面については御了承いただけるだろうと思いますが、ただその上につけ加えて、この気持ちを率直に私がアメリカに表明する、その結果が、ただいまのように出かけるというような云々に発展をする、その点が少し行き過ぎじゃないかと、かように言われるようでありますが、こういう点はもちろん、憲法もありますし、日米安保条約規定もありますし、合意議事録もありますし、そういう点で、もちろんいろいろ、すぐ率直に出かけると、こういうものでもないだろう、かように思いますが、私は、私ども日本国民の率直な感じを十分理解されるような方法をとりたいと、かように私はつけ加えて申し上げたのであります。私はその点でどうも間違っているようには、私は思わないのでありますが、なおその条約との、合意議事録との関係等につきましては、法制局、必要ならば条約局長から答えさせますが、これは必要なければ、私がただいま申し上げたような、私自身は率直に日本人感じを表明した、こういうことでございます。ただ感じだけではだめだろう、かように必ず言われるだろう、それじゃ、それを実現する方法として、私はアメリカ施政権者に対しまして、私どもの考えることを、率直な感じを訴えること、これは私どもの当然なすべきことだと、かように私は考えております。
  10. 鈴木強

    鈴木強君 たいへん重大な総理は御発言をなさっておるのですが、私が、また亀田委員が、これほど国会における政府の従来とり来たった御方針について、あなたとの食い違いを指摘しておりましても、それは誤解である、間違っておらぬと、こういう御発言でございます。これでは、われわれは一体、いつかもありましたように、何を信頼していけばよろしいでしょうか。あなたが感情として訴えられる気持ちは、われわれも沖縄県民が、不幸にして戦後アメリカ施政権下に呻吟しておるということはよく知っております。その事実は、安保条約を締結した昭和三十五年もいまも同じであります。戦後一貫した状態でございます。ですから社会党は、アメリカ軍事基地をなくして、早く祖国に復帰してもらうようにということを、もう三百六十五日訴えてきておるわけなんです。その気持ちにおいては私たちはあなたに負けませんよ。だから、そういった悲劇が起こらないようにするための根本的な解決は、やはり祖国復帰であります。そういうことをわれわれは今日まで訴えてきておるわけであります。ですからほんとうに、いまもここに当時の記録を見ますと、さきに申し上げましたように、病人内地の病院に移したり、あるいは収容するような方法を考えているというのがこの福祉ということであって、沖縄に出兵するようなことは考えていませんということを、これは当時の藤山外務大臣も言っておるわけでありますね。ですから、そういう当時沖縄県民の置かれている立場を十分理解しつつも、安保条約の締結の際に、日本自衛隊というものが一体どこまで動けるのだという規定をしたものだと私は思うのですよ。憲法第九条によって海外派兵を禁止しておる、だからその人間的な気持ちによって、沖縄が一たん緩急ある場合に防ごうという、何とかしてやろうという気持ちがあっても、なおかつ現在の憲法上、自衛隊法上できないということが、私はこういう答弁になってきていると思うのです。そのことを法律的に全然考えないで、ただ国民感情としてあなたがここに自分意見を主張し、あたかもわれわれの言っていることが誤解だ、そういうことで自分のおやりになっている御発言に対して反省もしない、そうしてそのまま進んでいくということは、一国の総理大臣として私はいけないと思います。ですから、法律法律としてちゃんと守らなければならない。あなたは合意議事録を守ると言っているが、この合憲議事録は一片のほごになるのですか、こんなものはインチキなんですか。そういう権威のない御答弁総理大臣からなさることは、私はほんとうに遺憾に思います。率直にこの事実を御認識になって、御発言取り消しになったらどうでございましょうか。私は重ねて総理にお願いします。
  11. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、先ほど来申し上げるような日本人気持ちを率直に披露いたしました。また、実際にはそれじゃどうなのか、実際にはさような状態は私は起こらないと確信をしております。私ども日米安全保障条約を結んだのは、このもとにおいて日本の安全を確保するのでありますので、万一の場合を考えるというのは、これはよくよくの、ほんとうの万一の場合だろうと、かように私思いますが、いわゆる沖縄攻撃されるというようなことはないだろうと思います。また、したがって、ただいまのように発展してこれを解釈していく必要はないと確信をいたしておりますが、しかし、万一ということがこの合意議事録にも載っておりますし、また皆さん方からも、沖縄攻撃された、同胞が戦火に苦しんでおる、こういう場合にはどうするのだ、こういうようなお話がございまして、私はそれで日本国民としての率直な気持ちを申し上げたわけであります。また、岸元総理が答えておりますのにも、やはりそういうような点もございます。これは十分よく研究なすったことだと思いますが、大貫君の質問に対して答えておる、これは私の気持ちと同じようでございます。これはお読みになったことがあるのだろうと思いますが——これは大貫君の質問に対してですよ、大貫君から当然のことですが、「非常にあぶない事態になって、沖縄中心として、極東の問題について非常にあぶなくなる。要するに、日本の安全には関係なく、たとえば沖縄中心として非常に危険な状態が出てきた。その場合に、日本をして戦争に参加させようとすれば、そういう危険な状態になってから、アメリカが世界に向かって沖縄施政権を放棄したということになると、自動的にそれが日本施政下に入ることになって、そこで沖縄中心としてやはり戦争に巻き込まれるという結果になると思うのです。これは大へんなことになると思うのですが、どうですか。」、岸国務大臣「さっきもお答え申し上げました通り、沖縄における施政権を放棄すれば、完全な日本のものになるわけであります。そうでなくても、われわれは、あそこにいる人々は日本人だという同胞の意識でおるわけであります。ただ、施政権を持たないから、かりに沖縄武力攻撃を受けても、これは米軍によってその安全とそこの秩序、治安を守ってもらう以外はないのであります。しかし、これを米軍が放棄したからといって、それではわれわれも戦争に引きずられる危険があるから、そこを何もしない、そうして米軍も、それに対して施政権を放棄した以上はしない、われわれもそれを見殺しにするなんていうことは、これは私は民族としてとうていできないことだと思います。」、これを一つ答えております。またさらにその次に大貫君からいろいろ尋ねられて、「自民党の諸君は手ばたきをされたが、私は、平和のうちに沖縄施政権日本に返還するというのは、問題ないのです。ところが、たとえば米華条約を考えましょう。これは日本の安全には何の関係もないという米華条約、その米華条約の発動に基づいて、たとえば金門馬祖に非常な紛糾が起き、沖縄基地からアメリカ軍中国本土攻撃した場合、そうすると、中国から必ず沖縄報復攻撃を受けるでしょう。その場合に、アメリカ日本をして守らせようとすれば、日本の安全には関係ないけれども施政権を放棄したと言うて日本戦争に引きずり込めるという、そういうことをおそれておるのです。そういうことはあるでしょう。どうです。この点からいけば、そうなるでしょう。」、こういう御意見に対しまして岸国務大臣は、「私は、実際問題として、そういうことがあり得るとは実は思いません。観念の問題であって、そんなことがあり得るとは実は思いません。むしろわれわれとしては、もしもそういうことがあった場合において、日本政府として、沖縄の平和と安全のためには、国をあげてこれを防衛するということを言うことが、私ども民族の確信であると思います。」と、かように岸君も答えております。
  12. 亀田得治

    亀田得治君 関連。論点をそらさぬようにしてもらいたい。ただいまの大貫君の質疑をお聞きしましたが、これは施政権を放棄した場合の事態を出してやっておるわけなんです。現在の場合はそうじゃない。施政権のある状態のもとにおいては岸総理も、これはアメリカ責任、出兵はいたしませんとはっきりこれはしているわけです。それはそこに通ずる同胞感といいますか、そういうものはそれはだれでも持っているわけです。皆さんも狩っている。われわれも持っているわけなんです。しかしそういうことがいま問題になっているわけじゃない。そういう単なる同胞感というような立場からの抽象的な論議がなされておるわけじゃない。昨日のお話はきわめて具体的、施政権のある、米側に施政権のあるそこへこの自衛隊を持っていくと、こういうことだからこれが安保のときと非常に違うではないか、こう指摘しておる。そこで私は、このことはたとえば昨年の、もう一つ問題点を関連するから同時に出しておきますが、五月三十一日の衆議院予算委員会において勝間田委員から佐藤総理にこの問題についてお尋ねをしております。ここにその速記録もございますが、そのときにはやはり相当佐藤総理は前向きの姿勢でお答えになった。勝間田さんが途中から、それはなかなか問題があるではないかという御指摘等あって若干後退されたようであります。同日、午後になりますか、石橋委員から非常に重要な問題として、その午前中の勝間田さんと総理の質疑に触れられまして、だんだん後退されたように、こうずっと速記録を見て思います。ところが、今度はそれらがもう吹っ飛んでしまって全くはっきりとしたかっこうで出てきておる。だから、これは私は佐藤総理の一時的な考えではないように思う。ないように思うんです。そうすると、これはきわめて重要なわけでありまして、私は総理が、昨日の発言が安保のときの岸総理答弁と少しも違っておらないんだというふうなことをここで一貫して言われるわけですが、これは私は了承できない。こんなことが同一だということであれば、これはもう一体違うものと同じものとの区別なんかつきませんよ。私はそういう意味で、そこだけでこれを——その点が少なくともこれははっきりしてきませんと、われわれは取り消しを求めているんですから、同じものなら何も取り消しを求める必要はないわけなんです。だから、ちょっと総理待ってください。そこで、この同じことを何回もやりとりしても困る。だから、私は委員長に要求する。昨月の速記録と安保当時のこの点に関する速記録と比較してはたして違っておるのか、同じなのか、これを私は検討してほしい、検討。そうしなきゃこれは議論が進みませんよ。土台が全然——認識が違っておるんじゃ、これは私は話にならぬと思う。
  13. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 総理が答えられるそうです。
  14. 亀田得治

    亀田得治君 委員長に要求している。何べんでも総理とやっていると同じことで時間つぶすのは私は困ると思う。鈴木さんも困ります。
  15. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) わかりました。
  16. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま私が読み上げましたものは、確かに岸総理が、施政権を放棄したとき、そういう場合についての日本政府の考え方を言っておるわけでございます。しかしながら、そうでなくともという点もありますし、私がここでお答えしておりますのも、一義的には、第一義的にはアメリカがこの防衛に当たるんですということを申しております。だからその趣旨は同じだと、かように御理解いただけるんじゃないかと、私もアメリカがこの施政権を持っておりますから、一義的に防衛の衝に当たるんだということを申しておるんでありまして、それにプラス日本国民としての感じを率直に出したと、こういうことでございますから、この点は誤解のないように願いたいと思います。
  17. 小林武

    小林武君 関連。それは総理、詭弁ですよ。あなたはこう言っている。「第一義的にアメリカがこれを守るにいたしましても、」、「日本人らしくその一体としての防衛の任に当たる、」、「その一体としての防衛の任に当たる、」、こう言っている。だから、アメリカ一体としての防衛に当たるんでしょう。そうでしょう。そうしたら、あなたのほうはあなたのさっき言っていることとは違う。精神じゃない。これは事実をさしている。その点は明らかに答えてもらわないと、あなたの見解は、だからアメリカが第一義的にやる、しかし日本人として当然一体としてその防衛に当たるということは、これはあなた言っているんだから、そのことは認めてください。
  18. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は私の日本人としての気持ちを率直に出しておる。だから、ただいま申しますように、アメリカが一義的には防衛責任を持っておる。それを持っておるにしても、なお私ども日本人としてこういうものを見過ごすわけにいかぬと、こういうことを率直に申しておる。先ほど来私が答えておることと昨日答えたことは別に違っちゃいないと私はなお確信しております。なお、しかし、皆さん方がどうしても違うとおっしゃれば、これはまた解釈の問題ですし、私の主張と皆さん方の主張がそこで立場上違うんでしょうから、これはどうも一緒にというわけにいかない。これは別であります。しかし、私はただいま申し上げますように、一義的にはアメリカがこの防衛の衝に当たる、これは施政権者の当然のことであります、これに当たることが。しかし、私ども日本人として、やはりこの沖縄同胞のそういう苦しい立場に置かれているのを見過ごすわけにいかぬ、これは私の率直な気持ちであります。同時にまた、日本国民の率直な気持ちだ、かように私は確信しております。
  19. 小林武

    小林武君 やっぱり総理の御発言はですね、ぼくは納得いかないんですよ。日本人としてというような市井一般の人間の立場というようなことをおっしゃっちゃいけないと思う。あなたがおっしゃるのは、総理大臣としておっしゃっているんです。そうでしょう。日本防衛の最高の責任者としてのあなたがおっしゃっている。われわれがあなたと質疑をするのは、これは市井の、町の話としてやっているのじゃない、国政という立場でものを言っているんですから。あなたはここで公的な、アメリカとの関係を第一義と言っておいて、自分の場合はこれはあまり責任のない日本人としてのこれは感じですというようなことをおっしゃるのは、これはちょっと筋が通りません。だからあなたはやっぱりその点は総理大臣としておっしゃった、防衛の最高責任者としておっしゃったということを認めておいて、そうしてわれわれの意見とどこが違うのかということを明らかにしてもらわないと困るんですよ。あなたが、その何か社会党と自民党立場が違うのだから議論してもだめだと、これは見解の相違だというような問題ではこれは絶対ありません。
  20. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど、きのうの速記を読まれたと思いますが、私はただいま申し上げますように、私の率直な気持ち、これで私は単独に飛び出す、アメリカ行動を共にする、ここまでの飛躍はいたしておらないはずであります。十分アメリカと私ども十分相談することだと、協議を遂げることだ。これを協議なしに、これは日本だということで、私どもが飛び出すわけにはいかない、かように実ははっきり申しておりますので、ただいまのような御心配はないと思います。
  21. 羽生三七

    ○羽生三七君 関連。それは総理、第一義的の場合と、これはよくわかります。アメリカがこの防衛の衝に出たる。その次の第二義的の場合ですね、この場合でも、もと安保審議当時におきましては、それが民生を重点に置いてやっておるわけですね。ところが昨日来、それからいまの御答弁では、その場合、第二義的な場合においても一体となって防衛に当たるし、これはアメリカに相談をするし、アメリカはこれを受け入れてくれるだろう、受け入れさせるように努力すると言う。努力するどころじゃない、喜んでやってくれます、アメリカは。そうなると、気持ちはわかりますよ、同胞を守らぬならぬ、気持ちはわかりますが、それは施政権が返還された場合、アメリカ軍事基地として沖縄を使用していることのない場合、そういう、全然そういう問題と関連のない、いわゆる区域として沖縄日本に入った場合のことです。その場合には、もう総理の言うとおり、これはいい悪いは別として、理論的にはそのとおりです。しかし、いま全く事情の違ったもとにおいての場合は、これは本質的に問題は違います。  そこでお尋ねいたしたいことは、そうなると、共同声明にあったいままでの解釈、もう全然これはここで破棄されて、新しい態度をとられるかどうかということ。  それからもう一つは、第二義的な場合ですね、いや一義的でも二義的でも、これは二義的と総理は言われておる。第二義的と見られておる問題ですね、この問題については、しかもそれをアメリカに訴えて共同防衛をやるというのですから、これは軍事的な行動に出ることは当然であります。ですから、これは安保審議当時と本質的に違うし、それから、総理は簡単に言われておりますけれども、いま小林委員も指摘されたごとく、気持ちの問題とこういう過去の経緯とは本質的に違いがあります。気持ちはよくわかります。事実問題として本質的に違いがあるので、この点は明白にしていただかないと、つまり、非常な大きな前進をした解釈と私は理解いたしますので、明確なるお答えをいただきたい。
  22. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えをいたしますが、先ほど来私が日本国民としての感じといいますか、気持ちといいますか、そういう同胞愛に徹するという、そういう感じを率直に申し上げましたが、その点で誤解があるならば、それは私がもう少しゆとりのある方向に移してもいいと思いますが、私は別に、いままで申し上げておりますように、この施政権者であるアメリカが、これは防衛の衝につくのだと、しかし、どうも日本政府として、日本国民としてどうもアメリカにまかしてあるからいいのだ、どうもこういうような気持ちになかなかならないということを私は率直に申し上げておるのであります。こういうことが合意議事録にどういうことになりますか、この点は条約局長から説明させたいと思います。(「だめだ、だめだ」「要らない」「答弁する必要なし」「委員長何だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く議場騒然)
  23. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 合意議事録には……(「そんなこまかいことはみんな知ってるんだ、勉強しているんだから。そんな者入ってきたら、だめだよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く議場騒然)
  24. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  25. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 速記をつけて。
  26. 藤崎萬里

    政府委員(藤崎萬里君) 合意議事録日本国全権委員発言は、「島民の安全に対し日本国の政府及び国民の有する強い関心を強調したいと思う。」、こういうことがございまして、それで実際にやることとしては、「島民福祉のために執ることのできる措置を合衆国とともに検討する意図を有する。」と、こういうことでございます。しかし、この趣旨は、これのもう一歩進みまして、福祉以外のことについて何かしたいと、しようということを禁ずる趣旨までも含むものじゃない、こういうふうに解釈すべきものでございまして、きのうの発言でもございましたが、沖縄日本の領土であり、沖縄住民日本国民でございますので、これに対して武力攻撃が起こった場合には、当然日本の自衛権の及ぶ範囲であると。しかし、それに基づいてすぐ行動をとれるかというと、そうではなくて、これは日本国との平和条約の第三条に立ち返りまして、ここで、アメリカ施政権のもとにございますから、その容認なくして日本がかってな行動をとるというわけにはまいらない、こういうふうに前々から答弁いたしておるわけでございます。
  27. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 沖縄攻撃をされるということの前提があるわけです。その前提を抜きにしてはぼくはいかぬと思う。沖縄アメリカ施政権下にあって軍事基地になっておる、しかも核基地になっておる、それからそこからベトナムへ出かけて行っておるということから、相手方から攻撃を受ける危険性があるということに問題があるわけですね。だから、沖縄が核基地にされておる、あるいは、核基地でないといえば、軍事基地にされておる、そこに問題があるわけですから、その点を抜きにして問題を論議しては私はいかぬと思うんですが、それはまあいずれにいたしましても。  で、総理がきのう言うように、戦争抑止力ですか、そういうようなものがあるから沖縄攻撃されないというのなら、合意議事録は要らないわけですよ。これは廃棄したらいいんじゃないですか。当然のことだと、こうぼくは思うんですね。それが一つです。  それから、あなたのお話を聞いていて、きわめてわからないことがあるわけです。わからないというのは、あなたが意識的に避けておるのだというふうに考えられるのですけれども、あなたが、希望を述べればアメリカもいれてくれるとか、アメリカにいれさすとか言っておる。それでは、あなたが述べる希望というのは一体何なのか、何をどういうふうに希望するのか、その希望の内容というものをはっきりさせなければ、私は論議は発展しないと、こう思う。その希望というのは、あなたはぼかしているわけです。はっきりさせないところに問題点が食い合わない。それはぼくははっきりしなくちゃいかんと思う、ここまで来た段階では。それを私はお尋ねしたいと、こう思うわけです。
  28. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま、沖縄軍事基地があるから攻撃されるということを言われますが、私は、まあよほどの場合でないとこういう事態は起こらないと、かように私は考えております。それならば、合意議事録は要らぬのじゃないかと、かように言われますが、確かに、絶対に攻撃を受けないというならば、合意議事録は不要だということですが、合意議事録をこしらえましたときの気持ちは、万一沖縄攻撃を受けたらと、こういうことで、これはもうたいへんレアーなケースだと思うが、それが攻撃をされたときのことを言った。なぜそれを言うかといえば、沖縄が、施政権日本にないけれども日本潜在主権を持っておるところだ、そこに住んでおる人たちはみんな日本人だ、こういう意味で、私どもが最大の関心を持っているところだと、こういうことからあの合意議事録がなされたと、かように私は思っております。したがって、私は、この沖縄日本人の保護には私どもが当然任ずると、こういう気持ちがあるのでございます。そこで、先ほど来のような議論がここで展開されている、かように私は思っておりますが、私はこういうような気持ちを率直にあらわし、同時に、そういう気持ちがあるなら、今度はその気持ちの実現をはかる、これは私どもの当然の責任だと、かように思いますから、昨日のような答弁をいたしたわけであります。で、私は、ただいま最も大事なことは同胞の保護ということが一番大事なことじゃないだろうかと、かように私は感じております。
  29. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 あなたのお話は、ますます抽象論になって、問題をぼくはぼかしていると、こう思うんですよ。なぜはっきり、あなたが希望するというのはこういうことなんだということをなぜはっきり言われないのでしょうか。同胞を保護すると言うのでしょう。それならば、どういうふうに保護するかというのは、自衛隊が出かけて行って一体となって守って保護すると、そういうふうに自分アメリカ希望したいのだと、こういうことなんでしょう。それなら、そうはっきり言ってくださいよ。
  30. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 稲葉君にお答えいたしますが、はっきり言えと言われても、実はこの事態自身が仮定の事実でございまして、どういう事態が起こるかわからないのでございます。だから、これをはっきり実は言うわけにいかない、これが現状なんじゃないだろうか。ただ、私は、沖縄住民、これも日本人だ、私ども日本人だ、その一体感、その気持ちから、そういうような沖縄日本人が苦しい立場になる、この状態を見過ごすわけにはいかない、手をこまねいて見ているわけにいかぬ、これが私のほんとう気持ちでありますから、これは抽象的にならざるを得ない、かように私は思います。ただいま具体的にと言われましても、仮定の問題でございますから、具体的にはなかなかできないと、かようにお答えいたします。
  31. 鈴木強

    鈴木強君 どうも、私が具体的に設問をいたしまして、しかもあなたの御発言と従来の政府方針との違いをこれだけ明確に申し上げてあなたに善処を促しているのですが、どうも論議している間に、あなたの率直な感情ということで、右に行ったり左に行ったりしておって、一つもそこに戻らないんですね。私はいろいろな論議をしておりますけれども、たとえば安保条約第五条の中にある「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、」というふうに、明確に共同防衛の地域をきめているわけですね、第五条の中で。それで、この問題は、すでに第三十回国会のときにこの条約の話が出てまいりまして、衆議院の内閣委員会で質問がされているんですね。当時、政府は、この共同防衛地域の中には沖縄を入れておいて、そうして、普通の場合は、施政権アメリカにあるわけですから、日本にないですね。戦争がかりに始まった場合には、そのときだけ、その期間の間は日本施政権の中に入ってくると、こういうふうないわゆる主権のへこみ論争というやつが当時やられておったことは、これは事実ですよ。したがって、そういう経過を経て、なおかつ、主権がない、したがって自衛権は持てないと、こういうことで、共同防衛地域の中に沖縄を入れなかったという経過があるわけですよね。ですから、そういった経過の中で、あなたが言われるように——これは岸前総理と違いますよ。全防衛責任アメリカ軍が持つんだと。日本が協力できるのは、いまも条約局長が言ったように、福祉の面における問題について相談するのであって、全面的に防衛アメリカが持つんだということが精神なんです。ところが、あなたは、そうではなくて、一体になってやるんだということだから、これは明らかに食い違いでしょう。だから、私は、こういうふうな問題についてこれだけ明確になっておるにもかかわらず、あなたが全然違ってないんだということで話を進めたのでは、私は質問できませんよ、きょうは。
  32. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど藤崎君からお答えいたしましたように、合意議事録ではこういうことを禁止していないというので、これは全然触れてないことだと。これがどうも気に食わない御答弁のようですが、私は、第五条は、これは日本施政権下にない、沖縄は明らかに施政権下にない、これは別なものでございます。しかし、同時に、潜在主権があることは、もうこれははっきりしておりますし、また、そこにいる人は日本人であること、これもはっきりいたしております。だから、私は、民族愛として、あるいは民族的な気持ち、熱意といいますか、そういうものから、はっきりこの一体化の考え方が出てくる。これはどうもおまえはよけいなものを出すと言われておしかりを受けても、これは私は当たらない、に当たらない、それは私自身感じ、私自身気持ちでございます。おそらく日本国民としては、そういう気持ちのほうが多いのじゃないか、私はかように思っておりますので、それがおまえは大体よけいだと、こう言われることは、私はずいぶん御無理な話だと、かように思います。
  33. 亀田得治

    亀田得治君 議事進行。先ほど条約局長が不必要な答弁をしましたが、全く私はけしからぬと思っている。安保の特別委員会の当時、そんな解釈は出ておりません。はっきりしている。けしからぬ。  それから、佐藤総理は盛んに同胞愛という意味のことを言われますが、私たちは、現状のようなことをやっておれば沖縄はあぶない、だからこういう体制というものを変えて、そうして沖縄の人たちほんとうにわれわれと一体になって平和に結びついていかれると、そういう立場でこれはわれわれは要求しているわけなんです。何もあなたが、自衛隊を送ることだけが、何かいやに同胞愛という立場に立っているようにお感じになっているようですが、そういうことはもう二の次です。もっと先のことを私たちとしては考えているわけです。だから社会党のそういう立場というものを誤解せぬようにしてもらいたい。  それから、委員長にこれはやはり要求します。昨日あれだけ明確な表現をもってこの自衛隊沖縄に持っていくということについての答えがあり、さらに、本日もそれを確認された。これが安保特別委員会当時の政府答弁と食い違わないというようなことを言ったって、これは質問者は質疑続行することはできません。だれにだって聞いてもらいたい。食い違っておるという立場で、その取り消しを求め、あるいはそれに関連するいろいろな質疑をみんながやりたがっているわけです。そういう根本の土台の問題を不明確にして、こんなことをいつまでもやるわけにまいりません。だからわれわれは、委員長の善処を求めて、退場します。
  34. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ちょっと亀田君、待ってください。あなたの最初の点については、総理からひとつ御答弁願って、あとの問題については、理事の皆さん、ちょっとここへおいでいただいて……。
  35. 亀田得治

    亀田得治君 これは質問したわけじゃありませんよ。
  36. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、祖国復帰、これを念願しておりますが、この点では社会党の皆さんと同じような考え方でございます。その沖縄同胞一体化、これは施政権が返ること、祖国に復帰ができること、これによって、初めて完全に実施ができるんだろう、かように思います。この点は社会党の諸君も同じだと思います。ただ、党の諸君と私どもと基本的に違いますのは、私どもは、日米安全保障条約、これによりましてわが国の安全を確保しておる、かように思っておりますが、社会党の諸君は、日米安全保障条約は、これはじゃまなんだ、むしろ、これあるために安全確保ができないんだ、かような主張のように私はいままでとっておりますから、その基本的立場の相違が、ただいまの沖縄の問題についても違う結論になったんではないか、かように私は思います。
  37. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  38. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 速記をつけて。
  39. 亀田得治

    亀田得治君 議事進行ですが、私たちは、昨日のような速記録がそのまま残されるということには、これは絶対に承服できない。できないんです。私たちは、社会党の政治的な立場で言うだけじゃない。この点は、あまりにも安保当時と食い違いいが大きいから、これを明らかにしてもらわなければ、これはもう話にならない。そういう立場委員長の善処を求めておきます。
  40. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 速記をとめて。   〔午後五時三十三分速記中止〕   〔午後六時一分速記開始〕
  41. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 速記を始めて。  暫時休憩いたします。    午後六時二分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕