○白井勇君 まことにありがとうございました。私は、
総理のおっしゃるような目標のもとに国民とともに進んでまいりたいと、こう思っております。
総理にお伺いしたいことはもう二つございまするが、時間の都合でまとめまして要点だけ申し上げてみたいと思います。
一つは、
政府はいま長期
経済見通しというものを示しておるわけでありまするが、私は、この長期の
経済見通しとともに、国づくりのビジョンというものを樹立をいたしまして、国民の祖国建設の指針とすべきものでないかという一点であります。
所得倍増計画というものが中期
経済計画に書き直されまして、そうしていままた新たなる長期
経済計画が立案中であるようでありますが、わが国の開発計画について見ますると、
昭和二十五年に国土総合開発法というようなものが制定をされ、その後低開発地域
工業開発促進法というものとか、あるいは新
産業都市建設促進法、さらにまた
工業整備特別地域整備促進法でありまするとか、あるいはまた離島振興法、さらに東北三法でありまするとか、あるいはまた中部、四国、北陸、近畿というふうに、各地区にわたりましてそれぞれの開発の立法というものがありまして、それが二十二を数えておると私は記憶いたしておりまするが、それらのものは関連があってないようで、ばらばらに立案をされておるのであります。総合的な国づくりの計画というものは明らかでない。私はこれではならないと思うのであります。特に自然を相手にいたしまする、しかも長年月を要する
農業におきましては、特にこの計画性というものが必要であろうと思うのでありまするが、
農業におきましても、法律はありまするけれども、国づくり全体の計画に基づいての長期の展望もなければ、また地域計画というものもないように私は思うのであります。国民の知りたいことというのは、
農業に例をとって見まするならば、この地帯でわれわれというものは、ここで酪農をやるべきか、果樹園を
経営すべきか一かりに果樹園をやったほうがよいということがわかりましても、それならば果樹園を
経営します場合に、ブドウがよいのか、モモがよいのか、あるいはナシを植えべきか、リンゴを植えべきかというような判断は、これはなかなかむずかしいことであります。世界の
経済の渦の中におりまして、一
農家の力をもってそういうことを的確に判断をするということは困難なわけでありまして、そこにどうしましても
農家が判断をし得るに足りまする一つの指針というものが私はなければならないと、こう思うのであります。わが国は南北に長い国だとは言いまするけれども、最近のように道路、通信網というものが整備をされまして、加速度的に一つの小さな島に圧縮されつつあるわけであります。にもかかわりませず、現在四十五、六に達しまする旧藩制の残渣をとどめておりまする都道府県というものがある。しかし、そういった縄張り的な区域というものを超越しまして近代化しました
産業経済の基盤といたしまして、この
日本の国土というものを最も有効に活用するようなそういう地域
政策、あるいは総合的な国づくりのビジョンを示すことが、国民の今後の祖国建設の指針になるのではなかろうかと私は思うのであります。そういう点につきまして、
総理及び主管省の企画庁
長官の御所見を伺いたいのであります。
もう一点は、政治に国民の総意というものが反映をしまして、他面また、
政府の
考え方なりあるいは施策というものを国民に徹底させるような体制というものを私は確立をすべきものじゃなかろうかと思うのであります。
総理は国民に溶け込んだ政治を行なうというようなことを言われたと私は記憶をいたしておりまするが、まことにそのとおりと思うのであります。でありまするから、為政者というものは国民の感覚とズレがありましては困ります。国民生活の実態に即しました政治が行なわれるようにならなければ私はならないと思います。一方また、
政府が行なうその施策のPR活動について見ましても、わずか六億円の予算しかない
総理府の広報室があるだけなのであります。府県庁の姿を見ておりましても、各町村の末端まで広報連絡員というようなものがありまして、県政のPRに当たっている実態であります。私たち、かつての教育二法、あるいは安保協定、日韓条約等の場合を振り返って見ましても、
政府の
考え方なりあるいは施策のPR活動というものはほとんどなきにひとしい姿でありまして、与党でありまする自民党がこのことのPRの衝に当たっておるというようなことは、私は本末転倒のかっこうでなかろうかと思うのであります。
政府は常に国民生活の実態というものを把握いたしますると同時に、国民の暮らしの実感というものを背景といたしましたあたたかい政治を行なえるようにしまするとともに、一方また、
政府の
考え方なり施策を国民に納得をさせまして、国民の協力を求め得るような体制というものを確立をしなきゃならぬ、こう私は思うのでありまするが、
総理の御所見を伺います。