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国務大臣(
佐藤榮作君) ただいま企画庁
長官からお答えいたしましたので、物価問題に
政府が真剣に取り組んでおる、これはおわかりがいくだろうと思います。申すまでもなく、
国民生活を圧迫するといいますか、そういうような物価の
あり方、これはたいへんだと思います。もちろん私どもは
国民生活を向上さす、これが
政府の眼目でありますから、そういう
意味で物価問題も、圧迫をしておるとかあるいは非常な苦しみを与えておる、こういうことがあってはならないと思います。
一つの例で申しましても、公共料金
一つとりまして、これを上げる場合も、まずその
企業体自身の
企業努力、創意くふう、これによりまして上げないで済むようなそういうものがないかと、あらゆる
努力をさす。そして、もうやむを得ない、上げざるを得ない、こういう場合でも、その上げる率だとか上げる時期等につきまして、特に
政府は考慮してまいったのであります。ことに、また最近の消費者物価の中で、台所用品、そういうものが安くならないという、そういうところで、たとえば野菜も指定生産さすとか、あるいは貯蔵のきくものは貯蔵さして、これが不足を来たさないように、北海道からの御出身ですからよくわかっておりますが、このバレイショなんかもそういう
意味で貯蔵さして、そうして本土のほうでそういうものを必要とする、そうして長期の供給に不足のないようにするとか、また、魚介類等につきましても冷蔵庫をつくって、そうして漁獲の非常に多いときにこれを貯蔵して、そうして、消費地に持っていくとか、これが同時に価格安定にも役立つんだ、かようないろいろなくふうをいたしております。しかし、まだまだそういう
意味では不十分であります。今日は、物価の問題は総合的な施策をとらない限り十分
効果をあげないと思います。しかし、またこまかな注意で初めて物価を安定さすことができると、かように私は思います。でありますから、それぞれの部門でそれぞれの対策を立てていく、ただいまのような流通過程の改善もはかりまして、そうして需給の調節をはかる。まあそのために国内の生産性を向上さしていく。そういう
意味で栽培地の指定をつくるとか、同時にまた、その上足らなければ、貿易、緊急輸入をする、そのための関税措置、特別措置等を考慮していく、こういうくふうもいたします。それぞれの
効果がそれぞれ出てきつつある、かように思っております。
先ほど来、五・五%というものをことしの目標にしておる——目標ということで、いかにも弱いじゃないかというおしかりを受けましたが、私どもはこれ以下にするように最善の
努力をするわけであります。それが目標だと思います。また、
協力を求める、かように申しておりますが、これは基本的にぜひ
考えてもらいたいことは、いわゆるお互いの所得をふやす、こういう
意味で、ある生産産業に従事しておる者、これがうんと生産を上げる、それによって自分の所得もふえる、賃金の高騰を来たす、これでいかにも祝福すべき
状況のように思えますが、しかしながら、賃金は上昇したけれども、自分たちのつくっておるものを今度は高く売る、こういうことになれば、生産者はまた同時に最終消費者である、それが自分のほうにはね返ってくるのであります。だから、収入はふえた、だが同時に高いものを消費せざるを得ないような
状態になる。これでは一体何かわからない。ここがまず第一の根本の問題だと思います。でありますから、生産性を向上した、その向上した利益を賃金や配当だけに還元するのじゃなくて、やっぱり最終消費者の価格としてその
効果をあげていくようにしないと、これは十分でないと思う。私は、生産者も経営者も最終には消費者なんだ、この
考え方がまず第一に十分徹しないと、金欲ばかりで賃金ばかり上げる、あるいは配当ばかりふやす、こういうことであってはならない。ここが
協力のまず第一の根本的な問題だと思います。また、それから後におきましても、お互いに消費する場合において、やっぱり嗜好の問題等がありますから、どうもお互いに品不足のもの、そういうものが実はほしいのであります。これは嗜好上から、またお互いの性格からもそういうものが出てくる。そういう不足のものに集中すれば、ますますそのものが高くなる、かような
状況にもなりますから、お互いが
協力する場合において、ここはひとつしんぼうしてみよう、もっとそれと同じような需要を満たしてくれるようなもの、その代替物等もお互いにひとつくふうして
考えていく。そういうことになれば、品不足にもならず、また、みずからが売り上げる、これがいわゆる首を絞めるような、みずからの首を絞めるような物価の
あり方でなくて済むわけであります。そういう
意味の
協力が望ましいのであります。お互いの生活の向上は、もちろん
政府自身これが向上するように
努力してまいりますけれども、ただいまの物価問題、相互に重なり合うといいますか、お互いに関連を持つ今日の
状況のもとにおいては、総合的な対策をやらなければならない。
政府も熱心にこの問題と取り組むが、同時に、
国民全体が、各般におきましてやっぱり物価を上げたら自分たちが苦しいのだ、こういうことでこれに
協力する、そのことが必要だ、かように私は思います。