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説明員(矢野智雄君) お答えいたします。
物価の問題につきましては、昨年来幾つかの重要な項目を立てて推進してきてまいっておりますが、それには、まず第一は、経済全体を安定成長に導くということでございますが、この点につきましては、経済全体を軌道に乗せるという一般的な問題でありますので、もう少しあと具体的な幾つかの項目について申し上げます。
一つは、物価、特に消費者物価が上がってまいりました基本的な要因は、何といいましても、おくれた部門、つまり、具体的には、中小企業、あるいは農産物、あるいは流通、サービス部門、こうしたところの価格が上がっておるということがその問題の焦点でありますので、したがいまして、対策の
方向といたしましても昨年度来こうしたところに重点を置いてきております。
その
一つは、先ほど農林
大臣からお答えがございましたように、野菜、あるいは魚、あるいは肉類についての諸対策でありますが、そのほかのものにつきましてお答えいたしますと、
一つは中小企業の合理化、近代化でございますが、この点につきましては、中小企業近代化資金あるいは高度化資金をもちましてそれぞれ指定の業種の近代化のためのプランをつくっていくということでございます。この点につきましては、すでに昨年度におきましても、中小企業近代化のための資金といたしまして約五十億円財政投
融資から出してまいっておりますし、こうした資金を個々の業種につきましてその近代化のプランと合わせてその資金を投入し、こういう面でコストが上がらないようにしてまいっておるというのがその
一つの具体的な方策であります。
こうした中小企業に対して資金を投入するといいますのが、その効果としてどの
程度物価に影響したかということでございますが、この点は、中小企業を合理化いたします場合に、それが即座にその半年の間あるいは数カ月の間にすぐそれが価格に結びつくということは、なかなか測定が困難であります。問題は、そういう中小企業の価格が上がりました原因が、そうしたところの合理化、近代化、がそう簡単に進み得ないいろいろ社会的、経済的条件がございましたので、それを基本的に改めていくという
努力を
一つ一つ積み重ねていくということが半年あるいは一年たつにつれて漸次効果を発揮していくということがねらいでありまして、すぐそれが本年度においてどれだけ効果があがったかということは、非常に測定が困難であります。その点におきましては、先ほど農林
大臣がお答えなりましたように、野菜の指定産地を育成するとか、こうしたことはむしろその年度においてかなり端的に価格に響いてきておる一番有力なものだと思います。具体的に申しますと、野菜の価格は昨年の四月に非常に暴騰いたしましたが、その後、夏から秋にかけてかなりこれが下がってきております。これはもちろん天候等の条件もございますが、
一つには、そうした野菜の生産地の拡大、こういったものが効果を漸次あらわしてきておる。もちろん、この場合に、非常に変動がいたずらに大きくなるというだけでは安定したものになりませんので、さらにこの点については、来年度も、指定生産地を拡大すると同時に、それの生産あるいは出荷を合理的にやっていくということ、あるいはそこに安定基金を使っていくとか、いろいろ諸
施策をまってさらにこれを進めてまいるわけでございますが、端的に本年度における効果ということにつきましては、やはりそうした野菜の近代化と指定産地の育成ということが相当大きな効果をあげてきており、それが年度の途中から消費者物価を何がしかやはり安定さしてきておる。一時は、一年前に比べて八%、高いときは九%ぐらい上回っておりました消費者物価指数が、最近では七%あるいは六%ぐらいに前年度比が落ちついてきたという
一つの原因は、こうしたやはり何と申しましても生鮮食品の動きにあると思います。したがって、そのほかのいまの中小企業の近代化、あるいはさらに小売りにつきましても、中小企業の一環でありますが、これもいろいろ近代化資金を出していくとかいうことで合理化の
方向をたどっておりますが、こちらのほうはやはり若干時間がかかると見なければなりません。そうした
努力を逐次積み重ねていくことによって、漸次、来年度は五・五%に押える、あるいは三年以内には三%台にする、こうした多少長期的に時間をかげながら
努力を積み重ねていくという以外に即効的な効果は——こうしたいろんな物価対策の基本であります構造的な対策につきましては、すぐ即効的にその年度内に全部の効果を発揮するということはちょっと困難な問題ではないかというように
考えております。
したがいまして、そうしたおくれた部門の近代化、中小企業の近代化、小売りの近代化とか、こういったことが昨年度どれだけの効果を発揮したかという御質問に対しましては、先ほどの農林
大臣がお答えいたしました野菜とかこういう生鮮食品以外では、若干やはり時間をかけてみませんと、一気に大きな効果を消費者物価の上にあげたということはちょっと言えないかと思います。