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1965-12-27 第51回国会 参議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年十二月二十七日(月曜日)    午前十時四十二分開会     —————————————    委員異動  十二月二十七日     辞任         補欠選任      徳永 正利君     日高 広為君      草葉 隆圓君     久保 勘一君      矢追 秀彦君     小平 芳平君      高山 恒雄君     向井 長年君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         平島 敏夫君     理 事                 大谷藤之助君                 二木 謙吾君                 吉江 勝保君                 米田 正文君                 亀田 得治君                 小林  武君                 鈴木 一弘君     委 員                 青柳 秀夫君                 赤間 文三君                 井川 伊平君                 植竹 春彦君                 大谷 贇雄君                 梶原 茂嘉君                 北畠 教真君                 久保 勘一君                 小山邦太郎君                 木暮武太夫君                 古池 信三君                 西郷吉之助君                 白井  勇君                 杉原 荒太君                 林田 正治君                 旦尚 広為君                 増原 恵吉君                 松野 孝一君                 横山 フク君                 吉武 恵市君                 稲葉 誠一君                 木村禧八郎君                 北村  暢君                 佐多 忠隆君                 鈴木  強君                 田中 寿美君                 羽生 三七君                 林  虎雄君                 藤田藤太郎君                 村田 秀三君                 小平 芳平君                 多田 省吾君                 宮崎 正義君                 高山 恒雄君                 向井 長年君                 春日 正一君                 山高しげり君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        法 務 大 臣  石井光次郎君        外 務 大 臣  椎名悦三郎君        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        文 部 大 臣  中村 梅吉君        厚 生 大 臣  鈴木 善幸君        農 林 大 臣  坂田 英一君        通商産業大臣   三木 武夫君        運 輸 大 臣  中村 寅太君        郵 政 大 臣  郡  祐一君        労 働 大 臣  小平 久雄君        建 設 大 臣  瀬戸山三男君        自 治 大 臣  永山 忠則君        国 務 大 臣  上原 正吉君        国 務 大 臣  福田 篤泰君        国 務 大 臣  藤山愛一郎君        国 務 大 臣  松野 頼三君        国 務 大 臣  安井  謙君    政府委員        内閣官房長官  橋本登美三郎君        内閣官房長官  竹下  登君        内閣法制局長官  高辻 正巳君        総理府総務副長        官        細田 吉藏君        総理府特別地域        連絡局長     山野 幸吉君        公正取引委員会        委員長      北島 武雄君        経済企画庁調整        局長       宮沢 鉄蔵君        経済企画庁国民        生活局長     中西 一郎君        外務省北米局長  安川  壯君        厚生省公衆衛生        局長       中原龍之助君        厚生省年金局長  伊部 英男君        社会保険庁年金        保険部長     網野  智君        農林大臣官房長  大口 駿一君        食糧庁長官    武田 誠三君        労働省労政局長  三治 重信君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        労働省職業安定        局長       有馬 元治君    事務局側        常任委員会専門        員        正木 干冬君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十年度一般会計補正予算(第3号)(内  閣提出、衆議院送付) ○昭和四十年度特別会計補正予算(特第2号)  (内閣提出衆議院送付) ○昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第2  号)(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  まず委員異動について御報告いたします。  本日徳永正利君、矢追秀彦君が辞任され、その補欠として日高広為君、小平芳平君が選任されました。     —————————————
  3. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 昭和四十年度一般会計補正予算(第3号)、昭和四十年度特別会計補正予算(特第2号)、昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第2号)  以上三案を一括して議題といたします。  昨日に引き続き質疑を行ないます。田中寿美君。
  4. 田中寿美

    田中寿美君 私は初めて質問いたしますので、ふなれでございますから、先輩の議員皆さん政府側皆さん、もしふなれな点がございましたら、お許しいただきたいと思います。  初めて質問いたしますので、最初総理に対して要望を含めまして御意見を伺いたいことが二、三ございます。私は、生活する大衆の立場から、物価高をひしひしと身に感じておりますところの生活する者の暮らしを守り、家庭を守りたいという、そういう立場から、消費者米価中心にして、食料管理特別会計補正予算が組まれておりますが、そういう問題を中心にしながら物価や家計、国民暮らしの問題について政府の対策をお伺いしたいと思っているのでございますけれども、今日まで私は国会に対しましては外から眺めておりまして、七月に初めて参議院に議席を置くことになりましたものでございますので、まだいろいろと非常に鮮明な印象を持っております。そういう点で、特に国会に入って非常に驚いたことが幾つかございますので、その点を申し上げて御意見を伺いたいと思うのですけれども、私が何よりも驚いたことは、四十九、五十と臨時国会に出ましたけれども、その間、議員として審議に参加するということはほとんどないような状態でございました。それは、私たち社会党が、災害やそれから公務員の給与その他に関する補正予算審議したいということを申し出ておりましたけれども、そういうものでなしに、前国会、いわゆる日韓国会と呼ばれましたあの国会では、そういうことの審議をしないで、そうして強硬に日韓条約の批准の問題を進めようとなさいましたために審議することがなかった。私は、その間何となく、それこれ税金どろぼうであるような気がいたしました。こういう状態は好ましくないともちろんお考えだろうと思うのでございますけれども、その辺をどうお考えになりますか。そうして、今回は言論の自由が確保されたということになっておりまして、質疑の打ち切りなんかも一切なさらないということで、初めてこういう審議の席に出るようになりました。そうしてやはりこういうやり方がよいのではないか。その辺をどうお思いになりますかということでございます。  それから次に、非常に私が驚きましたことは、この前の日韓国会で、私たち新しく入ってきた国会議員の目の前で、あの全然審議しないものが、速記者の人が一つも審議を聞き取っておらない、そういうものが、強行されたという形になりまして、そうして私たちの目の前で書いておらない速記者に対して、かねて用意してあった自民党の方の紙きれが速記者のポケットに押し込まれるというようなことで議事録ができたというようなこと、これは外部におります人々はほとんど知らないような事実であり、私も実に驚いてしまったんですけれども、あのようなことで国会の記録ができ上がっていく、議事が進んでいくものだということにすることは、全く不当なことだと思うのですけれども総理はその辺をどうお考えになっていらっしゃるかということでございます。  それから、今度のこの国会では、審議を尽くすということで皆さんが非常によく質疑をいたしておりますし、政府側皆さんもある程度懇切に答えていらっしゃる方々もおありのように思いますけれども、ときとして、最初から私が感じておりますことは、野党の側の気に入らない質問なんかに対しては、非常にぞんざいなお答えが多うございます。ことにポイントをはずすというようなこともしばしばあるのですけれども、あれは故意にそうなさるのか、あるいは意識しないでそうしていらっしゃるのかわからないのですが、実は私も官庁におったことがございまして、いわゆる大臣答弁資料というもの——とらの巻でございますけれども、これを書いた経験がございます。で、あれはあくまで問題を想定しておりますので、質問者は必ずしもその想定されたメモのような質問のしかたをいたしませんのですけれども、ときどき大臣はそのメモによってお答えになりますので、ポイントかはずれるんじゃないかというような気がいたします。やはり質問者というのは、それぞれの党や、それからその背後におります国民の代表をしているのでございますから、たとえ気にいらなかったり、全く反対立場に立つというような意見に対しても、やはりまっすぐにお答えいただきたいということを思うのでございますけれども、いかがなものでございましょうか。  それからもう一点、非常に私は矛盾だ、不合理だと思いますことは、この国会というのは言論の府であるはずでございますけれども、ほとんど野党ばかりが法案勉強いたしましてもっぱら質疑をいたします。そして答弁するのは大臣でいらっしゃるし、そうして政府委員がそれを補充しているわけなんですけれども、こういう状態は非常に異様に私は最初から感じております。ちょうどそういうふうに思っておりましたら、昨日でしたか、ある新聞に、政府委員人たちが非常にたくさん審議の期間中くぎづけされて、時間を使い、精力を使い、自分たちの仕事ができないというようなことを不満をあらわしているような記事を拝見いたしましたけれども、これは長い習慣でそうなっているのだと思いますけれども法律案をつくるのも、予算案をつくるのも官僚だというようなことは、これは本来の姿ではないんじゃないか、それをどうお考えになるでしょうか。やはりこれは政党政治のもとでは、それぞれ政党に所属する者あるいは無所属の人たち政策でもって対決して、そうして互いに質疑をし、あるいは賛成討論反対討論をやり合わなければならないものではないかと考えるのでございますけれども、ほとんど現在の状態では、政府の役人や政府側説明会になってしまっているわけなんです。もちろん、行政機関というのは時の政府の代弁をすることになるのですけれども、しかし、それはあくまで政党の間で言論をかわして、そうして決定した政策に基づいてそれを執行する機関であるのに、ちょうど反対になっているような気がいたします。私も、相当の予算を使うような企画をそれぞれの官庁でもって原案をつくっていくわけなんで、これは将来、こういう姿は直さなければならないんじゃないか、こういうふうな気がいたします。で、それは官僚政府職員が悪いという意味ではなくて、そういうような機構にしてしまっているいまの日本の政治の間違いがあるんじゃないかというふうに考えます。実際、行政機関立法機関に対してもイニシアチブをとるような形になっているということは、これは非常に危険ではないか。やはり、立法機関のほうにイニシアチブを持たせるような方向に向かっていくのでなければ国会の権威もなくなって、それこそ形式だけで、政府職員行政機関人たちにたよっているというような感じになってしまいますので、これは私も何回か見ましたヨーロッパやその他の国々の国会あり方とはだいぶ違うと思いますので、ほとんど国会というものか政府機関——行政機関説明会のようになってしまっている。こういうことについて、総理はどういうふうなお考えを持っていらっしゃいますか。非常に私は矛盾感じるものですから、お伺いしたいわけです。そうして、現在の状態の中でも、私は、与党皆さんが、たとえば予算委員会のこの長い討論の過程で、大臣方もたいへん御苦労だと思いますけれども、しかし、与党皆さんが何も質疑もしないでじっとすわっていらっしゃるというのは、非常に御苦労だと思うのです。やはり賛成であればその討論をどんどんなすっていただくというようなことでないと、野党ばかりが勉強するというようなことになりはしないか。この辺はどうお考えになりますか。最初総理大臣の御意見を伺わしていただきたいと思います。
  5. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  議会がどうしてもマンネリズムにおちいりやすい、そういう意味新人批判、これはたいへん必要なことだと思います。また、新人がいま直観されたこと、あるいは簡単に理屈抜き感じ取られたこと、これが今後の議会運営の上に非常に進歩をもたらすものじゃないかと私は思います。  ただいま御指摘になりました諸点でありますが、第一、御当選になりまして、その直後においての臨時国会、これはたいへん、私どもも十数年おりますが、非常な異常な国会であるということをしばしば申しました。しかも、これについての反省を強く要望された。与野党ともこの臨時国会あり方については深く反省をしたのでございまして、船田議長のあっせんによる両党の申し合わせ、まあ、両党に限りませんが、この国会正常化についての申し合わせなどはその反省の結果だと思います。その反省の結果がまだまだ十分だとは思いませんけれど、やはり立法府言論の府である、この言論を通じて国民にその主張を訴え、また同時に理解を求めると、こういうことでなきゃならないというので、まず言論を尊重すべし、また少数党意見も尊重しろ、また物理的な抵抗はこれをやめると、こういうような申し合わせをいたしたのであります。先ほど田中君が最初議員になって感じたと言われたこと、これは国民大部分の感じだろうと思います。とにかく国会言論の府、しかも、主権者である国民にこの審議を通じて訴えるものがなきゃならぬ。これが強く言われておることだと思います。まあ、今日ようやくそういう形でお互い反省してこれからよくやろうというのでございますから、さらにその成果に期待をかけたいと思いますし、まだまだわれわれが努力をしていかなきゃならないものが非常にあると思います。これはそのうちおわかりになることだと思いますが、国会において原案が修正される、いわゆる与野党妥協によって成案を得る、最後の決を見るという事案は非常に多いのであります。したがいまして、少数党の聞くべき意見は十分それで取り上げられておる、かように私は思いますし、また、そうなければならない。そうして、そのことは同時に、与野党とも法案審議するがゆえにさような状態になるのでございます。もともと参議院は良識の府といわれます。二院制度のもとにおきましての参議院あり方は、ただいま言うように、与野党とも十分議案勉強し、そうして最終的には両者、あるいは三者、これらが相談の上修正を加えて、そうして議事進行の円満を期しておると、これがただいままでもあるのでございます。ところが、まあ田中君が当選されて御経験になったように、重大問題、あるいは外交上の問題、こういうことになりますと、ただいまのような方向になかなか審議が行かない。で、これがわが国におきましてはたいへん不幸な状態ではないか。過去の激突をした例、あるいは異常国会運営の例、議案等は一体何か。これが多く外交問題であったり、あるいは国の重大議案であったりする場合において、そういう事態になっておるように思います。このことは、民主主義のもとにおいてこの国会が運営されるという、そういう大局的立場に立ってのいわゆる民主主義のルールというものが守られれば、そういうことはないはずでありますけれど、しかしながら、なかなか、多数党は多数を頼むというような非難を受ける、少数党はあくまでも自己の主張を通したい、こういうようなことで、ときに言論を圧迫するとか、あるいは物理的抵抗をするとか、かような非難を受けるような事態に立ち至るのであります。この点は私が触れるまでもなく、これはおわかりのことだと思います。こういう点は今後ぜひとも注意されまして、そうして改正されて、そうして議会制度がりっぱに育っていくようにいたさなければならないと思います。  また、御指摘になりましたように、どうも行政府——まあ自分経験から見ても、事務当局といいますか、いわゆる官僚機構、それが非常に国会のために時間を取られる、しばしば行政が麻痺すると、かような非難を受ける、こういうことのないようにしたいものだ、もっと大臣諸公勉強したらいいだろう、こういうまあおしかりでもございますが、とにかく、ただいまの問題をつぶさに見ますると、行政の面にこれをくぎづけにする、あるいは行政の面にとらわれ過ぎておる。いわゆる立法府らしい議論がときになされなくて、たいへん行政の面にタッチすると、こういうような傾向もなきにしもあらずだと、かように思います。そういう意味で、国会中は行政が停止すると、こういうことを国民からしばしば非難されるのであります。田中君は労働省におられた経験があり、ただいまそういうような資料も整えたというお話を率直に言われておりますが、これは私ども十分事前連絡をして、そうして必要な資料等を前もって注意しておけば、これは事務当局といたしましても十分整備するだろうと思いますが、しかし、この席でもやはり事務当局に出て説明をしてもらわなければ要を得ないと、こういうようなことがしばしば見受けるのでありますが、こういう点は、今日、お互い勉強する、その熱心のあまりとは申しましても、やや議論がこまか過ぎやしないかというようなことも言えるのではないかと思います。私は、ただいまのような点もお尋ねになりましたので、もちろんこれは大事なことだと思います。  また、この国会審議にあたりまして、速記の諸君が私ども言論をそのまま速記しておりますが、重大な議案になると、この速記がしばしば要領を得ないようなことになっておるという御非難、御指摘がございました。これは申すまでもなく、速記は静粛な状態においては十分発言要領も得て完全にできるわけでありますが、一たん混乱いたしますと、速記にも一書いてありますとおり、聞き取れずとか、あるいは、発言、その後何々というようなことで、これはたいへんなことになるのであります。大事な速記でございますから、私は、やはり議場は言論の府である、どこまでもこれは静粛に保たれなきゃならない。この点は誤解をなされないようにお願いいたしますが、いずれが悪いとかいいとか、こういうことを非難するのではございませんで、私はありのままを申し上げておるのですが、これは静粛であれば、必ずそういうことが、速記も完全にできる。また、速記が聞き取りのできないような、まあそういう混乱はどういうところからできた、こういうことを実は指摘するのではございませんが、事実そのものを申し上げるので、ぜひとも、そういう点において静粛が保たれ、そうして議事進行が円滑に行なわれるということが大事ではないかと思います。  また、どうも政府説明は不親切だ、あるいは特につぼをはずすというようなことを心がけておるのではないか、こういうことでございますが、不親切のほうはおしかりを受けて今後注意をいたしますが、あとは、つぼをはずすのじゃないかというたいへん皮肉な御批判は、これは私ども、真正面からお答えをするつもりでございますが、もちろんこれについてはお互いにそれぞれの立場はあるのでありますから、立場についての発言、これはもちろん私どももかくあるべしと、かように思います。そこで、気に食わないこともありますが、お互いに、政府側から尋ねられる方に対しましても気に食わない答弁をすることもありましょう。しかし、お互いがやはり理解につとめるという、これだけの余裕は持っていないと、話がどうしても平行線になる。大事なことは審議なんだ。そこでお互い理解につとめると、こういう態度であってほしいと、かように私は思います。いろいろ国会正常化についての御議論でございますから、ただいま私も慎重に、また真剣にお答えをいたしたつもりであります。どこまでも立法府、これは言論の府である、これを通じて国民にその主張理解してもらうし、同時にまた、協力を求める機関だ、かように思います。いずれにいたしましても、衆議院において、ただいま異常国会正常化しようと努力がなされ、そうしてようやくその申し合わせができたばかりでありまして、その骨子は、先ほど申しましたように、どこまでも言論は尊重されなければならない、また少数党意見も尊重されなければならない、どうしても物理的な抵抗は、これを排除しなければならぬ、こういうことでございますから、その方向でわれわれも一そう勉強もし、努力もしてまいるつもりでございます。ただいまも申しましたように、気に食わないからといって、つぼをはずすわけでもございませんが、どうかひとつ、お互い理解につとめる、こういう大事な点もお忘れなくひとつ御協力を願いたいと思います。私がいま感じましたこと、これを率直に御披露いたした次第でございます。
  6. 田中寿美

    田中寿美君 ただいまたいへん御懇切に長くお答えいただいたのですけれども、やはりポイントが違っております。これはやっぱり故意にはずされたのではないと私思います。私たちも、物理的抵抗よりは、このように審議を十分にすることのほうがはるかに好もしいので、私どもも牛歩よりはこのほうを選びたいと思う。しかし、私がお尋ねしましたことは、別に速記が間違っているというようなことを申し上げたのじゃなくて、何も速記がないのに、あれが議事録になったということについて非常に私はびっくりしたということを申し上げたので、あのようなことは今後しないというふうに総理がはっきりおっしゃっていただきたいと思います。  それからその次のことは、勉強の不足の問題じゃなくて、私が申し上げましたのは、行政機関、か立法機関よりも先行するような感じ状態国会があるのじゃないかということなんです。つまり、政府側野党との間の質疑討論に終始してしまうので、そうではなくて、政党同士の、与党野党意見を戦わして政策を決定したその結果を行政機関が執行するというような方向に将来向かうべきではないかということが、民主的な議会あり方として非常に私はいいように感じたということを申し上げているので、その辺をどういうふうにお考えいただくのかということを伺いたかったわけなんでございますけれども
  7. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 第一の速記の問題は、実はこれは国会運営の問題ですから、ただいま言われますように、議員諸公をはじめ委員長諸公が、ただいまのように速記のないような状態は困る、十分速記が聞けるように、ひとつ静粛に速記をとるようにしよう、こういうような在来からの申し合わせだと思います。政府が直接申し上げるよりも一、皆さま方においておきめを願いたいことでございます。これは別につぼをはずしたわけじゃありません。  第二、その次の問題、これは私が、お尋ねについての要点をつかみかねたということであります。ただいま言われるように、政治が先行し、そうして事務がこれに追随していくという、こういうお話なら、もうそのとおりであります。どこまでも政治は先行していかなければならない。そうして行政はそれについていくのだということであるべきだと思います。そうして、先ほど申しましたように、立法府におきましても、立法府はこれは最高機関としての権威を十分持っていただきたいと思いますし、そういう意味でこの行政の実情——実情は実情でしょうが、行政の実務にまてタッチすることはいかがか、かような意味で私は先ほどのような行政不在は非常に国民が困るのだという話をいたしました。しかし、ただいまのような、政治行政に先行するものだ、このことはお説のとおりでございます。
  8. 田中寿美

    田中寿美君 この間の混乱の原因に関してはもうさんざん言われて、私たちは最もはっきりと対立しております日韓条約に関しての考え方、そういうものについて日にちを設定してそれを強行しようとされたというようなことがあったのだというふうに私たちは思っているわけなのですけれども、そういうようなことをしないで、十分に言論の自由を、言論を確保して審議をやっていこうという方向で今後も進めていただきたいということを御要望申し上げまして本論のほうに入らせていただきます。  補正予算の中に、食糧管理特別会計の歳入欠損、つまり、食管会計の赤字を埋めるために二百九億ほどの繰り入れが提案してあるわけなのです。これに関連しまして、消費者米価中心に物価の上昇が国民生活を脅かしていることについて政府の対策をお尋ねしたいと思います。そして、いま日本経済の不況ということが盛んに言われておりますけれども、一体だれが不況にあるのかということなのですが、これは、不況の中でもどんどんもうけている銀行や金融業あるいは資本もあるわけです。で、一昨日、私は自民党の赤間議員質問演説をなさいましたときに、不況対策として減税をするように、そしてその減税を五年先までも計画を立ててくれるなら、企業は、非常に業界は安心するというようなおことばがございました。これは、減税といえば主として与党皆さんは企業減税のほうをお考えになるのではないか。私たちは、その企業に働いている大衆の暮らしの苦しさこそが不況だ。だから、不況対策というのは生活防衛対策、国民を生活の苦しさからこれを守っていくのにどうしたらいいかということが不況の対策だと思うのです。ですから、減税という場合には、勤労所得税を払っておりますところの働く大衆の税金を下げること、それから、所得税の課税の対象にならない——これは非常に多うございます——働く大衆の半分以上、六割近くもあるのですけれども、そういう大衆が税金を納めていないかといえば、実際には低所得層ほど間接税なんか高いものを払っている割合になっているわけですから、そういう間接税をも引き下げるということ、あるいは取ってしまう、こういうことを、減税という場合には、すぐ考えるわけです。そういう立場の違いがあると思いますのですが、そういう立場に立ちますと、減税どころではなくて、反対に、米の値段、今年の初めに米は非常に大幅に上がりました。一四・八%ぐらい上がりました。それから、続いて運賃が上がり、それから新聞代もたいへんに上がりました。授業料も上がりました。それから、来年はさらに米価を上げ、運賃を上げ、郵便料金を引き上げるという政策が立てられているわけです。一体そういう国民生活の苦しさについての実感がおありになるのかどうかということについて、つまり国民はどのくらい苦しく思っているかということをおわかりになるのかどうかということについて、総理大臣や企画庁長官、大蔵大臣、厚生大臣、農林大臣に伺いしたいと思うのです。  第一に、この驚くべき物価の上昇の中で、一体国民生活が向上しているというふうに思っていらっしゃるでしょうか。その点を総理大臣にお伺いしたいと思います。
  9. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えいたします。最近の経済状態は不況にあえいでいる。不況にあえぐということは、国民が生活の重圧を感じているという表現にもなるわけであります。したがいまして、この佐藤内閣に課せられた重大課題としては、不況克服、同時に物価問題と真剣に取り組むこと、そうして全力をあげて国民生活を守ることだ、かような実は意気込みで取り組んでおるのであります。しかしながら、いわゆる経済はひずみだ、ひずみ現象をあらわしている、こういうことでございましたが、確かにひずみもありますけれども、いわゆる経済の実情はひずみ現象で説明するよりもさらにさらに深刻なものがあるということを、ただいま私どもも直観——私ども感じておるのであります。現に一年間あらゆる努力をしてまいりましたが、なかなかそれが成果があがらない。そのことはまことに深刻な状態である、かように思っておる次第でございます。もちろん、国民生活の苦しさ、このものを実感的にどの程度感じているか、こういうようなお尋ねに対しましても、感じているとか、あるいはそれはどうも感じ方が弱いのだとか、こういうような御批判もあろうかと思いますが、私は、責任者として庶民の生活を守る、こういう点でたいへんただいまの状態は重圧を加えている、かように思っておりますので、あらゆる意味努力しておる次第でございます。
  10. 田中寿美

    田中寿美君 藤山経済企画庁長官はどうお考えでしょうか。国民生活は向上していっているとお思いになりますか。
  11. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) こういうような状態でも、私は非常に景気のいいときであれば、非常な勢いで上昇する。その上昇のしかたはそれぞれの立場において差異はございましょうけれども、しかし、経済が不況であればその上昇率というものは非常に低下していく。その影響がその立場立場によって違うと思います。したがって、その影響の強く来ているところもあり、まあそれほどでないところもある。しかし、みんなが低下しているということはそのとおりだと思います。ただしかし、低下しているからといって、非常に悪い、全然生活が向上しないで行っているというところまでまだ行っていないのじゃないか、こう思います。ですから、そういう意味において、やはりわれわれもいろいろなことを考えていかなければならない、さらにもっとよくしていかなければならない、こういうことでございます。
  12. 田中寿美

    田中寿美君 厚生大臣にお伺いいたしますけれども国民生活の実態の中で、どのくらいが低所得層ということになりましょうか。国民生活の実態をお調べになりましたですが、厚生省は実態調査をなすったのですが、それによってどのくらいの割合に国民の生活を分けることができるか、上・中・下というふうに分けるときに、課税対象になるもの、それから、その対象外のものの比率はどんなふうになりましょうか。
  13. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 国民の中におきますところの低所得階層をどういうぐあいに見るかという問題でございますが、これはいろいろの見方があると思います。私どもは、低所得対策を進めます場合の対象を生活保護を受けておりますところの階層、それから市町村民税非課税世帯、そういうものをおもに対象といたしまして施策を講じておるわけでございます。さらに、最近の経済並びに物価の状況等を勘案いたしまして、その範囲につきましてさらに検討を加えて措置せにゃいかぬと考えておるものもあるわけでございます。  そこで、私は、先ほど来お話がございました低所得者に対するところの対策、社会保障という問題につきましては、私は社会保障は国民全体を対象として生活の安定、福祉の向上ということを目標とするものでございますけれども、特に低所得階層につきましては、社会保障ということが重要な生活のささえになっておると、こういう観点に立ちまして今後社会保障に対しまして政府としてあらゆる努力を払っていかなければならないと、かように考えております。  消費者物価の値上げの問題が出ましたが、これは生活扶助基準の総額の二%程度でございます。今回の明年一月一日から実施しようとする値上げは、二%程度の影響でございます。標準世帯四人家族におきまして一カ月、二百四十五円程度の値上かりになるわけでございますが、これに対しましては生活保護費におきまして、ただいま御審議をいただいております補正予算の中に三億一千二百万円、予算を補正計上いたして措置いたしておる次第であります。
  14. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) ただいまの米価の問題についてのお尋ねでございますが、米価につきましてまたお尋ねによりましてお答えいたしたいと思いますが、現在家計米価の範囲内においてこれを定めていきたいという考え方を持っております。これは米価審議会、従来からの経過、従来からの審議の上においてそういう方向で進んでおるわけでございます。そこで、この家計米価をきめまするときは、御存じのとおりに所得の、いわゆる可処分所得ですね、それにスライドして、その範囲内においてやりたい、そういうのでございます。そこで、勤労階級の全体を見まして、その計算は一〇%に名目上なるわけでございます。実質的に見ますというと、物価が上がっておるものを計算いたしますと三・二%になります。最近ややまた下がっておるように思われまするけれども、かような関係からいたしまして、米価はまた別の意味でどうしても改正を加える必要がありましたわけでございまするけれども、そういう必要がありましても、いま申しましたように、家計米価の範囲内において決定するという考え方でいきまするのでございまして、そういう点から申しますると、まずやむを得ない改定と、かように考えておるわけでございます。
  15. 田中寿美

    田中寿美君 ただいまの農林大臣、まだ私がお尋ねしないことを答えていただきまして、そういうことが私はやっぱり最初総理大臣にお聞きしたことだったわけなんです。つまり政府政府委員がたいへんサービスがよろしくて、私たち質問する者に前もっていろいろ質問の内容をお聞きになるものですから、早くメモが回ってしまって、まだお尋ねしないうちに答えていただいた、こういうことがしばしばあるものですから、私は最初にそういうことを申し上げておいたわけです。その問題についてはあとでもう一度お尋ねいたしたいと思います。  で、さっきの続きでございますが、物価の上昇なんですけれども政府は七%から八%、政府の発表ですと。あるいは本年末になったら一〇%ぐらい本年度は上がっているということが発表されておりますけれども国民感じ方はその政府の数字以上に非常に大きく感じているわけなんです。これはいろいろの世論調査なんかで見ましてもそういう数字が出てくるわけなんですけれども総理大臣の官房で調べられました国民生活に関する世論調査というのによりますと、一年前よりも一〇%以上も上がったと感じている者が七〇%、それから二〇%以上上がったと感じている者が三〇%もいるわけなんです。これは数字の上で物価の上昇の数を出すというのは、この出し方にもよると思いますけれども、交際に生活する者は自分たちにとって一番必要な物資の値上がり、それが一番強く響くわけです。買いもしないものの上がっていくのがみんな計算に入っておりますから、平板にその比率だけでは国民の生活の苦しさ、物価の上昇というものを考えてはならないのではないかと私は思っております。そういう意味でいろいろの数字というのはたいへん人をごまかしやすいものでございますので、実際にこの世論調査の結果はたぶん総理大臣もごらんになったのではないかと思うんですけれども、今後も同様に上がっていくだろうという非常な不安感をみんなが表明しております。これについて非常に政府に対する強い要望として、その世論調査の中では、自分たち暮らしを不安定にしているのは物価の値上げである、だから一番強く望むのは物価の引き下げである、それから社会保障、減税、こういうものを要求しております。一体そのような要求に対して総理大臣、大蔵大臣は来年度以降の物価対策について、あるいはこれは企画庁長官にもお尋ねしたいと思うんですけれども、ほんとうに具体的にそういう不安を取り除く対策を持っていらっしゃるかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  16. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お話のように、なかなか物価が賃金の上昇を来たすというような状態でありますことはもう非常に私どもも心配しているわけであります。そういうようなわけで今後は物価に重点を置く。ただいま、不況対策というので物価とこう対立するような要因を含みまする施策もありますので、なかなか物価対策、全面的にもうこれだけでというようなわけにいかないのが非常に残念でございますが、一刻も早く不況を切り抜けました上は、この物価対策にもうまつ正面から全力をあげて取り組んでいきたい。企画庁長官からお話がありましたように、来年は五%台でこれをとめたい。また、その次の四十二年におきましては、さらに下げて、そうして皆さんに御安心がいただけるようにいたしたい。財政上におきましても、そういう心づもりでもって対処したいと、かように考えております。
  17. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) いまお話の、主婦の方が一割ぐらい上がったような感じを持っておる。おそらく、本年の四月が前年の四月から見て九・九%上がったわけでございます。したがって一割くらい上がった感じが年度初めに出たんではないかと思いますが、そういうような感じ——御承知のとおりなその推移で現在七%、七・七%ぐらいにとどまるような方針であります。しかし、感じからすれば、やはり一割くらいの感じをお持ちになる方があるかと思います。また、お話のように、主婦の立場から言えば、消費者物価の値上げの内容を見ておりますと、住宅、生鮮食料品及び教育費というようなものが非常に大きなウエートを持っております。したがって、そういう意味で、非常に男の人が感じるよりもよけいに家庭の主婦としては感じられるところもあろうと思います。しかし、そういうふうに感じられることだからいいんだということじゃなしに、感じられるからこそ、そういう問題について真剣に取り組んでいくということをわれわれも考えていかなければならないと思います。
  18. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょっと関連して、簡単に。  関連ですから簡単に質問いたしますが、大蔵大臣田中さんの御質問に対して——私の質問に対してもそうだったのですけれども——不況と物価の問題ですね。不況対策と物価の問題……。どうも大蔵大臣は、田中さんの御質問に対しても、不況対策をやるとどうも物価が上がる可能性があるようなお考えのようなんですね。ところが、不況対策というのは公債発行がこの不況対策の大きなテコになっているわけですね。大蔵大臣は、公債発行をしてもインフレにならぬということを言っているわけですよ。ところが、不況対策をやると物価は上がりインフレになるというようなお考えのようなんですね。そうすると矛盾するわけなんです。その点、もう少し具体的に、不況対策をやるとどうして物価が上がるのか。われわれの考えは、逆に、生産と消費の不均衡が不況の一番大きな原因だから、生産と消費の均衡をとるためには物価の安定、大衆購買力の強化がなければ不況対策にはならぬじゃないか、こういう考え方なんです。だから、そこに非常な、何というか、見解の違いがあるわけで、むしろ、現状では物価を上げない、公共料金あるいは米価、その他を上げないことのほうが生産と消費の不均衡を直すということに役立つのではないかと思うのですが、具体的に、ただ抽象的でなしに、具体的にこの点御説明を願いたい。
  19. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 申すまでもなく、物価は、これは消費者物価について言うと、構造的要因ということが言われておる。この問題も一つあるわけです。同時に需給の関係があるわけですね。そうして構造的要因の問題は、農村や中小企業の近代化で解決するというほかはない。しかし、需給の問題の角度からは、これはいま購買力をつけよう、こういうことを考えておる。それが景気対策というものにつながってくるわけでありますが、どうしても抑制力という点から見ると、マイナスの要因があるのです。しかし、そのマイナス——それからさらにたとえば、いま不況だ、不況だ、不況カルテルというものをやっている。これなんかはまっ正面から物価引き下げの問題と衝突をする一面を持つわけであります。そういうふうに不況対策をやっておりますと、どうしても一〇〇%物価安定対策だ、こういうわけにいかないのであります。ですから私は、もう一刻も早く不況を克服して、そうして、物価安定問題、つまり経済安定政策、これに取り組んでいきたい、こういうことを申し上げておる。ただ、木村さんが何回か言われておるのですが、矛盾するから——矛盾しっぱなしでおいていいのかというようなおことばですが、そうは考えていない。そういう矛盾している要素があるけれども、これは将来の物価の動きなんかに今日の不況対策が大きな影響があってはいかぬというので、これもできる限りの調整をとる、そうして不況克服も物価安定も両々相立つようにいたしたい、こういうのが私が言っている趣旨でございます。
  20. 田中寿美

    田中寿美君 ただいまの大蔵大臣の御説明ですと、不況を克服してから物価安定に積極的に取り組むというお考えのようですけれども、不況克服の政策の中でさらに物価は上がっていくと思うのです。そうして国民の生活のほうから申しますと、公債を発行して減税を三千億来年はされるという予定ですけれども、その減税されました分は、公共料金が上がります。お米がまず来年の初め引き上げられますと、八・六%引き上げられますと、五百億から六百億よけいに国民が負担をしなければなりません。それから国鉄が上がります。運賃が上がりますと千七百億ほど負担をしなければならない。医療費の引き上げで五百億、さらに郵便料金が上がっていくわけですから、合計すると三下億以上減税分を上回って負担していくわけになります。一体こういうことに対して、だから私たちは、物価を上げないことのほうが、はるかに対策としてとらなければならないことだと思うのですけれども、その辺をどういうふうに大蔵大臣、お考えになりますか。
  21. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) それは、物価は上がらぬように、もう私としてもぜひいたしたいとこれを念願いたしておるのです。しかし、先ほど申し上げましたように、構造的要因という問題、これは時間のかかる問題だと思います。これの克服はなかなか容易じゃない。と同時に、いわゆる、ひずみといわれまする問題も、公共料金問題もその一つでございまするが、これも解決をしていかなければならぬ。そういうことでありますので、一〇〇%物価のほうに力を入れるわけにいかぬのがいまの段階と、それであるがゆえに、私どもが期待する以上の期待、希望しておりました以上の消費者物価の騰貴率というようなことが出ておる、こういうふうにまことに遺憾には存じておるわけであります。  それでいま、国鉄運賃で、あるいは郵便料金であるいはお米でという話がありますが、これは確かに個々の人をとって見ますると、そういう面があります。そういうことで減税の影響を減殺するという方もあるわけなんであります。これは私は否定はいたしません。しかし、大きく言いますると、たとえば、国鉄で幾らでしたか、千七百億ですか、の増収がある。そうすると、そのお金がカン詰めにされているわけじゃないのです。これは賃金となり、みんな放出されておるわけであります。国民経済全体の中ではそれがまた購買力となって浸潤をしていくというたてまえになるわけなんです。それが個々の人にとるとなかなか本末接合しない。そこで減税の問題も起こってくる。また、社会保障という問題も起こってくる。そういうふうにしてすべての人が、まずまずというようなことを大きくねらいながら施策を進めていく、こういう考えであります。
  22. 田中寿美

    田中寿美君 そういたしますと、減税の対象になる人の場合は、その減税分が相殺されてしまった上に物価高の犠牲になるし、それからこれは何度も言われたことですけれども、課税対象外の非常にたくさんの人は物価高の負担だけ、犠牲だけ受けるということになるんじゃありませんか。物価が上がっていくということはやむを得ない、上がらざるを得ないという見通しでいらっしゃるというふうに私はいま伺ったわけですけれども、先ほど経済企画庁長官が、物価対策を一生懸命にやるんだとおっしゃいましたけれども、実は先日、十二月一日ですけれども、全国の主婦の代表がエプロン・デモ、これは物価高にたまりかねて集まってきた人たちが経済企画庁に参りまして、何とか物価を下げてもらいたいという要望に上がったのです。そのとき私も同行いたしました。そして国民生活局というのができておりますが、国民生活局というのは国民暮らしを守るために物価対策のためにつくられたものなんです。そこの物価政策課というところでいろいろと主婦たちが陳情いたしました。そのときに、しばしばこれは企画庁長官もおっしゃるのですけれども、長期的な展望に立って、そして物価対策を立てるのだというふうにおっしゃっているのですけれども、その長期的な展望というのは一体どういうことなのか、そのときの国民生活局の物価政策裸でのお話では、経済企画庁というところは物価に関する基本的な政策の企画、立案と総合調整、それから重要物資の価格の調整、長期経済計画に関する各省庁の物価に関する重要な政策実施の総合調整という仕事を持っているようですが、こういうことがはたしてできるのかどうか、意思があっても経済企画庁というところは強制力を伴っていないので、いろいろとそのときの主婦の陳情で運賃値上げについても、米価についても、郵便料金の値上げの問題についても、あるいは公債発行額や何かの問題についても、経済企画庁としてはある対策があっても、それをそれぞれの各省庁の原局のほうに強制する力がないような私は印象々受けたのですけれども、その辺いかがでございましょうか。幾ら計画を立てても、そういう力がないとすれば非常に困ったことだと思うのですけれども、経済企画庁長官にお願いいたします。
  23. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 経済企画庁の機能からすれば、実施段階の権限を持っているわけではございません。しかし、それぞれ各省庁が実施をするにあたって、われわれとしては、企画庁の見ております観点からそれぞれの問題について意見を申し述べる、それはむろん政治力の問題にもなってまいりましょうし、あるいは理論的な問題の上に立ってもそう主張しなければならぬと思います。したがいまして、われわれとしても、一つの立場を持ってそうして各省庁とお話をするのですが、それぞれのやはり日本経済全体の動きというものも私どもからすれば見てまいらなければなりませんし、個々の物価の問題と全体の問題とを総合しながら考えていくということだと思います。そういう点につきまして、したがって、私どもがいまの現状から見れば、いろいろな物価値上がりが起こっている原因を除去するのじゃなければなかなかいかぬという立場に立って、そうしてこの問題を扱っていく、こういうことでありまして、権限がすぐにすべてのものを私どもで決定して全部いっちまえば各省は要らないというような、この問題に関して要らないということになりますが、従来やはり各省とすれば、それぞれの監督下における産業、企業の助長行政というものが主であった。国民生活局もできましたし、できないまでもそうでございますけれども、やはりもう少し広い観点に立って企画庁としてはやっていくということで、その意見が私は全然いれられないのだというふうには考えておりません。ただあるいはどうも企画庁の意見のいれられ方が少ないじゃないかというような場合は、それは私企画庁をやっておりましてもそう思うこともございます。したがって、それは権限を持っておらないからそうなるのだという場合もなきにしもあらずでございますけれども、しかし、現在の行政機構の上から言えば、何か全体の権限を持ってやるというのは、これは総理大臣がやられるわけでありまして、個々の企画庁が全体のそういうものに対する指示、命令権を持つというのは、いまの行政機構の上から言えば行き過ぎと申しますが、企画庁の役目ではないと考えます。
  24. 田中寿美

    田中寿美君 それではまだお尋ねしたかったことがあったのですけれども、時間の関係もありますので、厚生大臣にお伺いいたします。  今日の国民の一人当たりの食料費というのはどのくらいに当たっておりますか。大体各階層で考えてみて御説明いただきたいのですけれども。   〔委員長退席、理事吉江勝保君着席〕
  25. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 数字にわたることでございますので事務当局からひとつ……。
  26. 中原龍之助

    政府委員中原龍之助君) 公衆衛生局長でございます。  現在の国民の一人当たりの必要栄養量といたしまして、大体私ども昭和四十五年を目標にしてやっておりますが、それが一人当たり大体二千五百カロリーということになっておりますけれども、それを子供も入れまして平均二千三百カロリーでございます。それで現在昭和三十八年の栄養調査結果によりますと、大体二千百カロリーをちょっとオーバーしたところになっております。
  27. 田中寿美

    田中寿美君 たぶん私の声が低くてお聞き取りになれなかったのだと思いますけれども、一人一日当たりの食料費をお尋ねしたわけですが、これは栄養調査で出されておりますが、常用労務者の場合に百七十四・九十五円、それから日雇い労働者の場合には百三十四円幾らというので出ているわけですが、そういうことで栄養がとれるかどうかという点をお聞きしたかったわけですが、少し時間を節約いたしまして、消費者米価のことにほんとうはたくさん御質問したかったので、米価の値上げの比率——政府の発表によりますと、米支出係数は七%というふうに計算しておられる。だから、たいしたことはない、大体一カ月にして、平均して、各世帯で百九十円から、やみ米を入れて二百二十四円ぐらいの支出増になるのにすぎないというふうなことを言っていられて、だから米の値上げはたいしたことではないような印象を与えようとしていらっしゃいますけれども、実は米の値上げに関しては非常にみんなが、一般国民は強くこれの影響を受けているわけです。で、ことしの初めに米代が大幅に上がったということが全体の物価の値上がりのムードをつくってきたということになります。それに関連していろんなものがどんどん上がっていったわけですから、米の値上げというのは非常に重大なことでございます。で、七%ということですけれども、実は最低生活をしている人々の家計費で見ますと、七%をはるかに上回っております。これはやはり厚生省の調べでございますが、四人世帯で保護を受けております世帯の米代値上がりの比率というのは、家計費の中で一四・五——係数ですね、米の係数は一四・三%、それから老人二人の世帯の場合、これは二三・四%、母子世帯の場合は一二・八%、相当大きな比率を示しております。で、先ほど農林大臣が米価をきめるのには家計米価ということできめたんだというふうに説明なさいました。家計米価というのは、家計の上昇率に応じて、それを上回らないように、家計を圧迫しない程度で引き上げるんだという意味でございますか。そういうことであるとすれば、来年一月一日から引き上げられます八・六%というのは、非常に家計の上昇率に対してぎりぎりの限度のところにあるんで、一体家計米価というのは、家計に対して将来国民の家計をどういうふうに持っていこうという考えのもとにとられておるものでございますか、説明していただきたいわけでございます。
  28. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) いろいろお話を申し上げなければならぬのでありますが、この米価の決定については、いろいろの要素を含めておるのでありますが、それは御質問がありませんから、御質問のときにまたお答えすることにいたします。ただ、いろいろの要素といろいろの必要からこの米価の改定が行なわれておるのでありますが、御質問のうちでお答えいたしたいのは、そのうちで家計米価の範囲内においてどうするか、こういう問題であります。これについてもいろいろな説があるわけでございます。たとえば米価は一つのものであるから、生産者米価が上がれば、それと同じようにスライドして上げたらどうか、こういう議論もあるわけです。しかし、私は、それはとっておりません。それは反対であります。しかし、全然生産者米価と消費者米価とが無関係でいいかということになりますと、それはよくない。やはり米の値段でありますから、それはある秘匿の関連がなければならない、こう考えます。ある程度の関連はなければなりませんけれども、その範囲は家計米価の範囲内においてきめていきたい、また、きめることでいきたい。これは従来の米価審議会において、学識経験者が、長い間の経験でそういうことに、一応はそういうまとまり方になっているわけでございます。もちろんこれらについても、改善をすべきことはどんどん改善していいのでありますが、いままでのところそういうことになっておるわけであります。  そこで、家計米価はどうして見るかという問題の御質問ではなかったかと思うのですが、そうすると、それは家計のうちの可処分所得、先ほど申しましたのは先回りして申したのではないので、可処分所得が一〇%上がっておるということは、全般的に見てそうだということが一つの、この国民生活というものをあらわす一つの基準じゃないかと思って、それを申したのであって、先回りして申したのではありません。そこでこの一〇%以内において考えるということに一応はなっておるわけでございます。その範囲内において考えるわけでございます。そこでその可処分所得は、ちょうど一〇%にその当時の計算においてなるわけでございます。そこで、一〇%ということ(「そんなに上がっているのか」と呼ぶ者あり)これは名目でございます。名目の一〇%の範囲内、同じ価格でございますから、その範囲内において平均八・六%というところをとったわけでございます。しかし、米価の決定は、これだけで決定するというのではありませんので、あらゆるいろいろの面がございますのでありますが、これはまた御質問に応じてお答えしないといかぬと思いますから、御質問に応じてお答えいたします。
  29. 田中寿美

    田中寿美君 いまの御説明ですと、可処分所得の伸びのワクの取り方というのは、たいへんいろいろ計算のしかたがあると思います。それで、いまおっしゃったことに対しては異論もございますけれども、実は先を急ぎます。いますでにもう、農林大臣が先におっしゃいました、その生産者米価が上がったから消費者米価も上げるのだという——最初の御説明では、どうもスライドさせるというふうにおっしゃったと思うのですが、いまスライドさせる気はないというふうにおっしゃいました。この問題は、もっと、より詳しく御質問するつもりでありましたけれども、もう時間もなくなりましたので、私はきょう実は、今回の食管会計の赤字に関しての補正の中で、非常に苦しんでいる低所得層の人あるいは生活保護を受ける人々に対する計算が入っているかどうかという問題に関連して、国立療養所に入っておりますところの結核患者の人たち、これは私は療養所に何カ所か行きまして、実にその施設も悪いし、それから食べるものも悪いわけなんです。それで、結核は、病気の中の斜陽族扱いを受けておりまして、ガンだとか日の当たる病気と違いまして、非常に冷たい仕打ちを受けているように思うのです。それで、国立療養所におります患者の食べておりますものが、一日の費用は、食費が正規の予算で百四十円、病人が食べるものです。実際にはいま収容する数を減らして、空床をつくって、何とかまかなって、百五十五円くらいでまかなっていられるわけなので、これに対して今回予算の補正がされるかどうかというごと、そうして、その百五十五円での内容を実は見ていただきたいと思って、実物をあそこに持ってきているのです。それは、国立療養所の患者の人が、先日厚生省に、予算だけでなしにいろいろと要望がございまして、この問題については、別にまたお尋ねしたい時期がきたらまたお尋ねしたいと思っておりますが、で、たまりかねて厚生省にすわり込みましたのでございます。そういう方々の食べているものをちょっと、あれは十二月二十六日の朝食と晩の御飯です。あれで二千四百カロリーというふうに称されておりますけれども、ごらんになってもわかりますが、みそ汁と御飯とつくだ煮とつけものが少し、これが朝の御飯で、晩はコロッケのようなものがついておりますが、ちょっと大蔵大臣や厚生大臣に見ていただいて、そしてこういうものに対して、ぜひとも、生活保護を受けている人、医療扶助を受けている人、これは結核療養者だけではございません。いろいろの、たとえばハンセン氏病なんかの療養所の人たちも非常に苦しんでいるのですが、そういうものへのあたたかい配慮が予算においてぜひされますようにお願いしたいと思っております。これをごらんになりまして、これで栄養がとれるものかどうか。どうお思いになりますか、ちょっと御意見をお聞かせ願いたいと思います。したがいまして、実はどうしても補食をしなくちゃならなくなります。そうして日用品費として充てられておりますところのものをそれに使っているわけなんです。二千七十五円、これがです。それでこれは東京の国立療養所の東京病院のものでございます。これは朝日訴訟に証人としてお出になりました院長さんの島村喜久治さんも、これではもう全然栄養にならないところの、これは病人のために食べさせるものですが、個性抹殺の制服料理だというふうに言って証言しておられるのです。厚生大臣、この点をどうお思いになりますか。そうしてこれに対してどういうふうに対処していこうとお思いになっていらっしゃるのかをお聞かせいただきたいと思います。
  30. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま国立療養所、国立病院の食費の問題につきまして、田中先生から御質問がございましたが、お話がございましたように、予算上一般食といたしまして一日百四十円、特別食が百六十九円でございます。で、カロリーは二千四百四十七カロリーということでございまして、これは健康で働いておりまする私どもと、大体同じ程度のカロリーということになっておりまして、あまりからだを動かさないで療養なさっておられる方々でございますから、カロリーの面では不足がないものと考えておるわけでございます。  ただ、はたしてこの実際の献立その他で、これだけのカロリーが確保されておるかどうかということが問題になるわけでありますが、国立病院や療養所の給食の実績は、毎年五月及び十一月に月間の実績をとって、これを検討いたしております。十一月分は現在集計中で、結果はまだ判明いたしておりませんが、五月の結果は、私どもが期待いたしましたとおり必要量を満足さしておると思います。  それを申し上げますと、国立療養所におきまして、カロリーは二千四百二十五カロリー、たん白が九十一・六グラム、脂肪が四十五・五グラム、国立病院におきましては、カロリー二千四百カロリー、たん白が八十三グラム、脂肪が三十六グラムということでございまして、おおむね予算に計上し、私どもが期待いたしておりまする必要量になっておると思います。
  31. 田中寿美

    田中寿美君 私はただいまのお答えでは満足いたしません。これは国民栄養調査で、普通の、病人でない者の調査で見ましても、二千四百はとっておらないし、それから、ましてこれをごらんになりましたら、たん白や脂肪なんかは全然足りないものだということは、一目見てもわかるもので、調査の数字だけでお仕事をなさらないようにお願いしたいと思いますし、なお補正予算、それから来年度の予算編成にあたって、ぜひこの生活保護の人たち、医療扶助を受けている人たちへの御配慮をお願いしたいと思います。総理大臣もひとつぜひこの点について御意見をいただきたいと思います。
  32. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) できる限りのことをいたしたいと存じております。
  33. 田中寿美

    田中寿美君 総理大臣いかがですか。
  34. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま大蔵大臣お答えいたしましたように、この上とも気をつけてまいりたいと思います。
  35. 田中寿美

    田中寿美君 実はまだいろいろ詳しく御質問するつもりでおりましたけれども、予定が変更になりましたので、私はたくさんの質問を残したままできょうはやめさしていただきます。たいへん残念ですけれども、またの機会にさしていただきます。(拍手)
  36. 吉江勝保

    ○理事(吉江勝保君) 田中君の質疑は終了いたしました。   〔理事吉江勝保君退席、委員長着席〕     —————————————
  37. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、高山恒雄君。   〔「委員長、そっち整理しなさいよ」と呼ぶ者あり〕
  38. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 静粛にお願いします。
  39. 高山恒雄

    高山恒雄君 私は、民主社会党を代表しまして、本予算に対する総括的な質問をしたいと、かように考えます。  まず、総理にお聞きしたいのですが、総理は、八月中旬に沖繩を訪問されまして、沖繩民の二十年の苦節に耐える感謝のあいさつをされております。ところが、その後の沖繩に対する方針なるものは、まだ何ら出てないように私は感ずるのであります。特に、施政権に対する問題については、総理はどうお考えになっておるのか。今回、主席の公選については、間接的な公選を容認するということになっておりますが、これは大統領行政命令の第十一節にしるされておりますので、当然これに基づいてそういう運営は弁務官にあると、こう見ておるわけであります。これはいつでもやろうと思えば、これに基づいてやれたことでありますが、いままではそれを秘密的なやり方にしておった、こう言わざるを得ないのであります。したがって、一体、その感謝だけをして、ある程度の政府の施策というもの、また沖繩民に対する今日の苦節を一日も早く幸福にしてやるという考え方の上に立つならば、何といっても施政権の問題が中心になろうかと私は考える。政府は、この問題についてはどうお考えになっているか。総理のせっかくの訪問であったので、沖繩民も感謝いたしておりますとともに、私個人としても感謝いたしております。ただし、それは根本的な問題でなくして、むしろ逆に、施政権の問題を、日本の政府としてはどうするかということのほうが、私は重要なポイントだと考えております。総理の見解をお聞きしておきます。
  40. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 高山君にお答えいたします。  私がこの春一月、アメリカを訪問いたしまして、ジョンソン大統領と話をした。その際に日米共同声明が発表されました。その共同声明の中に、施政権の扱い方については、完全に意見の一致した表現がしてございます。で、私はこの共同声明に基づいて沖繩を訪問し——潜在主権を持つ総理がその住民に対し、祖国同胞に対し、何らあいさつもしないと、戦後二十年もほうっておくと、こういうようなことはどうもよくないと、かかうに思いまして、実は私自身が沖繩を訪問したのであります。そうして沖繩同胞との、またこの九千万同胞との一体化をはかることに、私は十分努力してまいったつもりであります。  この施政権の返還が、私の訪問によって、それでは前進したか、かようにお尋ねになるが、この点は、遺憾ながら、一月にジョンソン大統領と話をした域を出ておりません。このことはまことに残念でございますが、私はこの一体化を進めることによって、少なくともわれわれ政府並びにこの本土同胞が、沖繩同胞に対するこの気持ち、また念願、これを十分伝えることができたと、かように私は思っております。これは容易なわざではございませんが、今後一そう施政権返還が早期に実現するように、この上とも努力してまいるつもりでおります。それまでの間におきまして、沖繩に対する行政上の協力等は積極的に進めてまいるつもりでございます。
  41. 高山恒雄

    高山恒雄君 総理のいまのお話承りますと、ジョンソン大統領との会談の中の発表、十分私も承知いたしておりますが、沖繩の施政権の返還という問題は、私は日本の国としてですね、いわゆる総理としての姿勢の問題にかかっていると考えるのです。その姿勢のいかんによって、早くもなればおそくもなるということが言えるのではないか。特にまた、それを進めるためには、国内の世論を起こしていくということも大きな一つの要素ではないか。なおまた、アメリカ国内においても、かなりこの沖繩については、施政権は返還すべきだと、こういう世論が出ておることも総理は御承知だと思うのですが、したがって、この問題に取り組んでいこうというその姿勢ですね、どういうふうにお考えになっているのか。時期的もあろうかと私は考えるのですが、むろん、その他の厚生その他における県民のあらゆる条件を引き上げる策をなされるという点については、これは当然のことでありましょうけれども、姿勢の問題を私はお聞きしたいのであります。
  42. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま政府に対しての御鞭撻をいただきましてたいへんありがとうございました。  私は、国民とともに、この施政権返還、祖国復帰、これを早く実現したいと、かように念願いたしておりますが、もちろん、これを念願いたします努力といたしまして、アジアの平和が確保されなければならないし、私どもの安全が維持されない限り、このアジアの平和はないわけでございますから、そういう意味で、われわれも努力すべき方向ははっきりいたしておると思います。国内において世論を喚起することも、また米国内におけるわれわれの主張についての理解を深めることは当然なすべきことだと思いますし、また、ただいま高山君からも政府に対する激励をいただきましたが、その国内の世論、そういう意味のものも高めていくべきではないか、かように思います。
  43. 高山恒雄

    高山恒雄君 お考えのほどは、積極的にやりたいという意思のあることは、ある程度私もわかります。ところが、総理はアジアの平和の問題も含めてという御意見があるのでございますが、むろん、切り離すことのできない大きな要因があることは私も認めます。しかし、アジア地域において数多くの紛争が続出しております現状からかんかみて、沖繩の返還というものは、そのことゆえに、私は早期の解決の態勢を整えることが必要ではないかと、こう考える。それがむしろ、そういう多くの紛争がなくして、従来のような平和的な方向に進んでおれば、これはある程度の期間が延びてもいいと思いますが、しかし、紛争が続けば続くほど、沖繩をき然たる日本の施政権だということにしなければ、万一の場合があった場合に、また戦火に巻き込まれる危険性はないのかあるのか。私はこの点が重大だと思うのです。二十年の苦節に耐えて、今日ようよう日本の国民所得の最低以下の生活をしておる沖繩県民を、ほんとうに助けていかなければ日本の国民として済まぬという気持ちに立つならば、私は早急にそうゆう対策を立てるべきが至当ではないかと。したがって、アジア平和ということの関連性と同時に、あるいはアジア平和をわれわれが主張するためには、もっと返還というものを先にしておかなければ、アジアどころではなく、日本の国民であるところの沖繩県民にどういう不安を与えるかということのほうが重大ではないか。私は、かかるがゆえに、その思想、もっとはっきりした世論と同時に、これは少なくとも自分としてはこういう決意を持っているのだということを、はっきり私は言っていただくことが正しいことではないか、かように考えるわけであります。
  44. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 高山君のただいまの御意見のとおりに私ども考えております。申すまでもなく、私がアジアの平和に触れたのも、アジアの平和なくしてわが国にも平和なしと、かように考えているからでありますし、また、わが国は御承知のようにちゃんと平和憲法ができております。このもとに、国民とともに約束をして、そして日本の行き方を決めているのであります。また、一部でいわれます自衛隊法などもはっきり、外地へ出ていかない、こういう意味で、いわゆるわが国自身が積極的な防諜政策もとらず、戦争へ巻き込まれるような危険はもちろんただいまございませんけれども、しかし、それにいたしましても、わが国自身がさような態度でも、四国の情勢はわが国の考え方をそのままにしておいてくれるかどうか、そこらに実は疑問がありますから、できるだけ早くアジアが平静になること、そのことを心から念願しているのでございます。そういう意味で、ベトナム問題についても、マレーシアとインドネシアの問題についても、あるいはインドとパキスタン等の問題につきましても、事柄はずいぶん遠いことのようでありますけれども、これらにも最大の関心を示しているのが現状でございます。私は、ただいま日本はもう安心だ、行く方向、平和に徹する行き方、たいへん安心だ、かように言われますが、だからこそ、お互いに独立を尊重し、内政に干渉しないことだ、こういう原則に立ってということを申しておりますが、なかなかその原則が守られない、その基礎か守られない、こういうような現状におきまして、その不安があるという現状におきましては、私どもも、わが国の安全のために、またこれも考えていかなければならない。  私は、沖繩の住民同胞を犠牲にするようなつもりはもちろんございません。そこで、沖繩同胞とわれわれ九千万同胞との一体化ということを特に強く申したわけでございまして、これらの点については、沖繩の方々も十分日本の安全、繁栄等については理解もし、同時にその一体のもとに今日の、今後のあり方をきめていこう、かように考えておりますので、その心配はないように思いますが、大事なのは、われわれ日本人の心がまえ、これがまことに大事なことで、それによりまして、ただいま言われるようなことも、早くもなり、おそくもなる、かように私は思うのでございます。
  45. 高山恒雄

    高山恒雄君 ただ、きのうの防衛庁長官答弁を開いておりましても、日本は侵略に対しては防備を整えると、こうおっしゃっている。これは当然のことでしょう。日本侵略の場合に備えて防備を整えておくのだ、そのための用意だと、こう言っておられます。ところが、施政権をもつ沖繩がもしそういうことになった場合に、日本の態度をどうするかというような大きな複雑な問題がたくさんあると私は思います。したがって、あくまでも本土国民と同様の沖繩県民である、こういう上に立てば、できるだけ施政権の問題は、このアジアのあらゆる紛争から見て、早急にやはり解決をつける方向に進まなければ、その矛盾が起こってくる場合に、日本は沖繩の侵略と見るのか見ないのか。もし見なければ、県民は見殺しにするということです。こういう点を私は首相に真剣にお考え願って、国内の世論を喚起すると同時に、アメリカにその世論の反映をし、てそして早急に返還を迫る、こういう姿勢をとっていただくことを強く私は要望いたしておきます。  さらに、その過程でございますが、いまの沖繩の実態を見ますと、船舶に対して日本の国旗すら掲揚できない、そういうのが今日の現状です。なおまた、もう一つの問題は、沖繩県民のいわゆる日本への渡航に対するいろいろな複雑な手続がございます。これは日本の承認というような形で、これを復活させるべきだと、私はかように思うのであります。なおまた、この海外旅行に関しては、日本が発行する旅券でやれるような方法、これは自由にできると思うんですね、交渉すれば。  この三つの問題を、私は政府は早急に、まずこういう面からその過程におけるひとつ交渉を早急立ててもらいたい、こう考えますが、御回答を願いたいと思います。
  46. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 沖繩の船舶に対して日本の国旗が掲げられない、これはまことに私どもも残念だと思っておりますが、御承知のとおり日本の船舶法がいま向こうに適用できないという状況のもとに、国際旗を掲げる、こういうことに相なっております。  また、御指摘の渡航問題というようなものにつきましても、簡易化ということがどうしても必要であるということで、目下鋭意交渉をいたしております。相当な成果が近くに得られるんじゃなかろうかと考えております。
  47. 高山恒雄

    高山恒雄君 次にお開きいたしますが、これは労働大臣に聞きたいのでございますが、沖繩から日本にどのくらいの労働者の方が来てみえるか、ちょっとお知らせ願いたい。
  48. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 沖繩から本土への就職者は、毎年学卒者を中心にしまして約二千人前後の人が来ていることになっております。現在員では大体六千人程度ではないかと、かように思っております。
  49. 高山恒雄

    高山恒雄君 厚生大臣質問いたしますが、この厚生年金の問題で、ただいま労働大臣から日本の国内に働きにみえておる労働者の方ですね、約六千人と、こう推定されておりますが、これは日本の国内の法に基づいて厚生年金をかけておるはずです。ところが、沖繩に帰ると、これは何もないんです。かけっぱなしです。こういうことを検討されたことがあるのかないのか、また検討されたとするならば、なぜこういうことがいつまでも放任されておるのか、一点お聞きしたい。
  50. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 厚生年金につきましては労使の関係でやっておりますわけでありますか、そこで、内地に参りまして雇用関係をはっきり確立をいたしまして厚生年金に入っておりました者が、その雇用関係が解かれて、そして沖繩に帰るということになりますと、現在のところ厚生年金からはずれるということになるわけでございますが、これは沖繩のほうにおきまして、先般御承知のように医療保険制度というものが発足をしたばかりでございます。私が向こうへ総理のお供をして参りました際に、医療保険が軌道に乗りました後に起きましては年金制度も考えたいと、こういうことを言っておりますが、沖繩の年金制度か確立いたしました場合におきましては、日本とのつながりをどうするかということを検討いたしたいと、こう考えておりますが、現在のところは、沖繩のほうにそういう制度かございません関係で、日本から帰っていった方につきましては対策がいまのところ立たないという状況であります。
  51. 高山恒雄

    高山恒雄君 これは労働省との開運がございますけれども、私は、こういうことはですね、個々の個人の問題に考えてみてもおかしいと思うのですね。沖繩から人を連れてくる。そうして総理大臣は日本の一億の国民と同じだと、こういうことを言っておられるのですね、そういう人たちが日本の国の施策によって日本に来た場合に、この厚生年金を取られておるわけですね。その厚生年金を取られたものを、沖繩には適用できないわけです。それなら特別の処置でですね、私は返すとか何かの暫定的な処置があってしかるべきじゃないか、六千人もの人が来ておる今日においてですね。むろん厚生大臣のおっしゃるように、この医療保険というのは、この間私の行ったときにですね、まだようよう何しただけです。それまではみなかけっぱなしですね。こういう問題をなぜもっと政府はあたたかい取り扱いとしないのかということを私は考えるわけです。これは早急にひとつ手配をしてもらいたいと思いますね。厚生年金に対しては、返すなら返すと。一時国内におるならばそのまま引き継いでもいいですけれども、もし帰るならばこれは返金するとか、所定処置ができるはずです。その点、ひとつ厚生大臣、希望として申し上げておきます。
  52. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 今後よく検討してみたいと思います。
  53. 高山恒雄

    高山恒雄君 労働大臣にお願いしたいのですが、失業保険は今の厚生年金と同様、どうなっておるかですね、失業保険は。これをはっきり御答弁願いたい。
  54. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 失業保険につきましても、厚生省関係の保険と同じでありまして、沖繩の人がこちらに、本土に参って就職をしておりまして、職を失してまた沖繩に帰ったという場合におきましては、現在のところ支払いは、保険の支払いはまあやっておりません。あちらでも制度はあるようでありますが、制度もこちらと違いますし、しかし、いずれにいたしましても、いま先生御指摘のような問題もおりますから、今後十分検討してまいりたいと、かように考えております。
  55. 高山恒雄

    高山恒雄君 労働大臣はですね、まあ検討してまいりたいと、こうおっしゃるのですが、日本の失業保険と沖繩で適用しておる保険は相違があるのです。したがって、そういう問題を取り上げて、私はもっと綿密なる交渉に入らないと、これも沖繩県民はかけっぱなしなんです。そういう適用者は一人もありません。だから、こういう問題をどういうふうにされるつもりなのかですね、これは労働省たけじゃいかぬと思いますが、今後どうしようとされるのか、具体的にひとつ前向きの回答をしてください、検討するだけじゃなく。
  56. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 沖繩へ帰っても、失業の状態である、求職活動を続けても職につけないというような者に対しましては、失業保険金を支払い得るような方向で検討をいたしたいと、こういうことでございます。
  57. 高山恒雄

    高山恒雄君 それから、沖繩に対する援助の問題ですが、大蔵大臣いないんですか。
  58. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 私からできれば……。
  59. 高山恒雄

    高山恒雄君 あんた大蔵大臣ですか。
  60. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) いや、かわって私が言うんです。
  61. 高山恒雄

    高山恒雄君 それはおかしいよ。委員答弁に大蔵大臣いないというのはおかしいよ。それまで持ちましょう。(「来た、来た」)と呼ぶ者あり)  大蔵大臣にお聞きしたいんですが、四十年度は二十九億九千万円の沖繩援助というのを出しておるんですが、本年の予算にはどのくらいこれを出そうとしておるのかですね。
  62. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 五十八億ばかりの腹づもりをいたしております。
  63. 高山恒雄

    高山恒雄君 今度の予算が五十一億ぐらいだと、こういうお考えでございますか。
  64. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 五十八でございます。
  65. 高山恒雄

    高山恒雄君 五十八ですか。
  66. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ええ、四十一年度でございます。
  67. 高山恒雄

    高山恒雄君 日米協議会におけるアメリカの援助としては、どのくらいあるのかですね、これは……。
  68. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 来年度につきましては、まだアメリカはきめておらぬようでございます。
  69. 高山恒雄

    高山恒雄君 それでは、沖繩の問題については、政府は、できるだけ民意の安定のために積極的な……、いま私が質問いたしましたですね、これは小さいような問題でありますけれども、ここの生活に対しては重要な問題だと思うんです。こういう問題については、私はもっとあたたかい手を、総理が言われるように真剣に取り組んで、アメリカとの交渉を続けてもらいたい、こういうふうに考えます。  なお、財政問題について御質問申し上げたいのですが、政府は今度——いままでは均衡予算ということでやってこられたんでありますが、いよいよ公債の発行に踏み切らざるを得なくなったと、こういうふうに考えられるのでありますが、しかし、この公債の問題ですが、私はまだ、全大臣——大蔵大臣があらゆる議員質問に対して答弁なされたことは、公債の発行はしないと、こういうことをき然として言い切っておられたわけですね。それが、わずか十カ月足らずの間にもう公債発行しなくちゃならない状態になってきておるということは、これは大きな政府のやっぱり責任ではないか。しかも、また、この国会のこの押し詰まった時期に、こういう重要な問題を審議しようということすら、これはあまりにも政府の不手ぎわであると同時に、責任があると私は考えておる。私はいまここで発言いたしておりますが、私の時間ですら制限を加えようといたしておりますが、そういう審議で、私は、こういう重大な問題をやるということについては、根本的にもっと総理自体も、時期その他を選んで、そうしてはかってもらうということにならなきゃいかぬと、こういうふうに考えております。これはまず、前置きにひとつ御注意申し上げておきたいと思うのであります。なお、この財政問題については、物価との関連性があると思いますが、総理は前回、発表された政府考え方というのは、経済の構造変化と景気の調整のかみ行わせだと、こう言っておられたんですね。それはなるほどそのとおりだろうと思います。ところが、経済の構造変化はですね、これは池田さんが言っておられる所得倍増計画で、あまりにも投資し過ぎて膨大な設備になり過ぎた、これはもう言うまでもございません。一体、しからば調整のかみ合わせを、この一年間に何をやってこられたか。調整のかみ合わせとは一体何か、これを聞きたいのです。調整のかみ合わせにはいろいろありましょう。そのかみ合わせをどういうふうにやってこられたか、総理、大蔵大臣に聞きたい。
  70. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 調整のかみ合わせということがはっきりどうもわからなかったんでありますが、景気対策と安定政策とどういうふうに調整するかと、こういう御趣旨でございましょうか。
  71. 高山恒雄

    高山恒雄君 これは、つまり、早く言えば重なり合っておると言われるんですね。これは、政府が言っておられるのですよ。構造変革と総理が言っておられるのです。経済構造の変革と景気の調整が重なり合っているということですね、早く言えば……。それだから調整がしにくいということじゃないですか。重なり合っていると総理が言っておられるんですよ。ところが、この重なり合っておるのを離すことはできないでしょうけれども、経済の調整は——構造は変革して、大きく拡大しておるのですからね。この調整は何を一体やられるのかということを聞きたい。景気の調整というのは、どういうやり方をされたのか、いままでに。
  72. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) よくわかりましたですが、つまり、政府全体の経済対策といたしましては、安定成長経済、つまり、いままでのような高度成長という考え方でなくて、あらゆる経済要素が均衡がとれた形でですね、着実に成長する、そういり経済政策をとり、経済が停滞なく進行するような状態でいきたい、これが基本的な考え方なんです。ところが、いま現実に当面しているのは、経済不況なのであります。これをとにかく、目前に迫ったこの火事の火を消さなければならぬ、こういうことであります。しかし、この火事の消し方が、将来の安定政長への道を傷つけるとか、あるいは閉ざすというようなことがあってなあらぬ、その両面が相調整できるようにやっていきたいと、こういう考え方なんです。それで、いまその調整をとりながら、どういうふうにやっていくかという考え方の主軸として考えておる問題はですね、公債政策を財政の面に取り入れていきたい、こういうことでございます。で、公債政策によって需要を喚起し、当面の不況を打開していく、同時に、長期にわたりまして経済界が不況であるという際には、財政を積極的にする、あるいは経済界が好況であるというときには、公債を収縮いたしまして、財政は引っ込んだような形をとる、こういうことで政府と民間とを合わした日本全体の経済活動が安定的に成長するという方式をとっていこう、こういう考え方を取っておるわけであります。
  73. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  74. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記をつけて。
  75. 高山恒雄

    高山恒雄君 大蔵大臣、よくわかりました、方策をとっておられることは。しかし、そのことだけで景気の調整ができるとお考えになっておることはちょっとあやまちではないかという和気がするのです。昭和三十九年度ですね。大蔵大臣就任されてからでしたか、それ以前だと思いますが、昭和三十九年の末期が私は大事だったと思う、下半期が経済企画庁が出しておられる経済月報を見ましても、そのことは明らかに出ております。というのは、三十九年度から日本の製品の在庫指数というものは二五%ずつふえておる。これは池田内閣の所得倍増計画が昭和三十五年から始まって、六年、七年、八年の間に日本の設備拡大か完全にできたとみてもいいんですよ、そうでしょう。それで経済成長した。その完全にできた日本の製品というものは、日本の国内の購買力というものと輸出というものを見た場合に、均衡がとれてないのですよ。したがって、在庫数というものは毎年ふえておる。月に見てもそうです。今日は二百二十四倍になっておるわけですよ。これだけの在庫があって、稼動、操業というものは、二、三日前に発表されたように六八%前後じゃございませんか。そうでしょう。そういう失格があるにかかわらず、なぜこういうときにそういう放漫なやり万をしたかということが私は言えると思うのです。企画庁長官自分の個人の意見も発表しておられますから、私はあえて聞かない。いろいろ持っておられると思うのです。しかし、これは非常に大事なところです。  そこで、私は総理に聞きたいのです。公債を発行して金さえ出せば景気がなおるという考え方はやめるべきじゃないかという私は意見を持っておる。公債が流れるのは金持ちです。滞貨にカルテルを適用すれば、もうけるのは金持ちです。それで独禁法があるのです。きのう独禁法の質問も出ておりましたが。したがって、やることはいかぬ、これだけの滞貨があって不況カルテルをかりにやったとするならば、値上がりしたら金もうけするのは資本家です。大資本です。こういう問題を尊重しないで、単に公債発行だけ——私はもっと詳しく申し上げたいのですけれども、単に公債だけを発行してこの景気が立ち直るということではだめだ、直らない、もっと底は深い、これ企画庁長官も言って、おられますよ。なぜかならば、今日の実態はどうですか。今日のように、これは散漫になるかもしれませんけれども、倒産が二月から始まった五百件がちょっとも減っておらぬじゃありませんか。いままたどういうことを大メーカーはやっておるかというと、系列下に入れて近代化し過ぎて、生産過剰になって、今日はその系列化を全部切りつつあるじゃありませんか。系列化を全部切り捨てていっているのですよ。そこに公債を発行されて、なるほど不況のムードを打開しようという、その刺激剤にしようという公債発行ということは、私は理解ができます。やらなければいかんでしょう。一面にはやらなければいかぬところがあるでしょうけれども、私は、それだけでは景気は立ち直りはできない、こういう見方をするわけです。その証拠には、いま言うとおりに、ことしの一月からのこの賃金状態を見ますと、いまの日本の賃金というのは追っかける賃金になっておるわけです。物価が先に上がって賃金があとから追っかけているのですよ。実質賃金はそうなっておるのです。こういう事態の中で、私は昨日、一昨日から小林委員なり、あるいはまた、きのうは藤田委員もだいぶん質問いたしましたが、なぜ政府はこんなときこそ購買力をつくるために公務員の給与の五月実施というものをやらないのかということです。当然これはやるべきである。さらにまた、公務員の給与のベースアップというのは、日本の中小企業の賃金のバロメーターになっておる。これを総理忘れてもらっちゃ困りますよ。これは日本の慣習ですよ。それを約半年に近いものを、まあ四カ月ですが、一昨年までは五ヵ月これは支払いをしなかったわけですが、それを四ヵ月も縮めてきて、賃金は六・八%しか上がらぬということで、一体購買力があると考えておられるのですか。新聞にも出ておりましたように、五万都市以下のサラリーマンは、全部追っかける賃金で台所の生鮮食料品の値上がりのためにお手あげだ、こういうことが出ておるじゃありませんか。それを、公債だけを発行すれば日本の景気が立ち直るという考え方自体に私は問題がある。したがって、こういり重要な問題の審議は、先ほど申しましたように、もっと余裕をもって、十分なる審議をさしてもらいたいと思うのです。  なおまた、もう一つ申し上げたいことは、時間がありませんから申し上げますが、賃金を上げると物価が上がる、悪循環だと、こういう考え方を持っておられるのです。これも大きな見方の誤りじゃないか。賃金の値上がりに対する生産物価の値上がりのこの影響度、いわゆる寄与率というものは、大体五%ですよ。八%物価が上がったときに、その中の二五%しかこれは寄与率はないのです。小売り値の場合は、マージンとしてこれをとるならば〇・八ですよ。これだけですね。皆さん悪循環だといわれるけれども、これだけしか、物価が八%上がった場合に影響はないのです。それよりも皆さん、影響どころじゃない、購買力を増大するという方向に私は進むべきじゃないかということを申し上げたいのであります。これはひとつぜひお考え願いたいと思います。  なお、もう一つの問題は、この物価の問題ですが、いまの物価の問題に対して、これは企画庁長官に聞きたいのでありますが、企画庁長官は、今後の物価値上がりに対するこの問題と、いわゆる政府か発行しようという公債の問題の関連性の中にあって、今後の経済はどうすれば立て直るかというお考えがあるのか。柱を何体立てておられるのか。いまの、私が主張しました労働者の購買力——給与も上げて、ある程度の給与も上げて、購買力も増大していくという柱が入っておるのか、入ってないのか。これが入ってない企画庁の政策というものは、これは全く日本の購買力を、これだけの滞貨をかかえて、購買力のないところに幾ら製品をつくったって、これははけ場がないです。この点をひとつぼくは企画庁長官にお聞きしたい。ノルマルな状態に返すときのうから言っておりますが、その状態に返す方法の中には何と何と何があるのか、この点ひとつ御答弁を願いたい。
  76. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 公債を発行してまいりますことによって、政府需要をつけてまいる、それが波及効果を持ってまいるのでありまして、景気対策としてはそうきいていく方法だと思います。同時に、その景気対策が物価の基本的な問題を解決するに役立つように財政支出が行なわれていくことが望ましいことです。そうやってくれば物価の上にも好影響、景気対策をやりながら好影響をもってくる。たとえば、住宅をつくる。いま非常に住宅費が高い、消費者物価の中で占めるウエートが相当高くなっております。そういうようなものについて住宅が、十分公党住宅等ができていけば、住宅問題の物価に及ぼす影響というものは緩和されてくるわけであります。同時に、住宅は波及効果が多いものでありますから、両々相まつと思います。  それから、いまの賃金の、ことに労働賃金の問題でございますが、賃金自身については、これは政府の介入すべきものでなくて、民間経営者と組合との間で話し合いによって決定されるものだと思いますが、現状から申せば従来の経緯から見て、それらのものが生産性の向上に伴ってそれぞれ拡大していく、賃金が上昇していくということは、これは従来の趨勢から見られますので、その意味においてわれわれは計算の基礎をそういうところに置いております。
  77. 高山恒雄

    高山恒雄君 住宅の問題というのは、他の産業から考えてみて、一番範囲が広いということは私も認めますけれども、賃金の問題は労使がきめるものだとおっしゃるけれども政府も公務員を使っておるので、私はそのことを言っておるのです。政府も公務員の今度のこの九月実施というようなことを考えないで、あくまできのう言われたように、人事院は代行としてある限りにおいては、人事院の裁定を今後は認めていくというような方針を入れてやっぱり政策の中にいかれるのかどうか、そういうことは企画庁の大きな仕事だと私は思うのです。これは当然そうなければならぬと思います。それを最後には総理大臣の裁断によってこれをきめてしまうということは、こういう不健全な行き方はないと思うのです。もし総理大臣がそれを誤っておったらどうなる、閣僚も全部責仕を負いますか。そういうわけにはいかないでしょう。やっぱり企画庁でそういう問題は当然これを入れるべきだ、したがって、賃金が物価の上昇よりも何%か上昇していくと、この安定策が正しいという見方を私は企画庁あたりでも考えるべきだと思うのです。そういう点をどうお考えになるか、労使だけできあるなんということは言わないで、政府としても多くの人を使っておるのですからね。
  78. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 人事院勧告の問題につきましては、きのう以来政府の方針が答弁されておりますので、私もそれと同じ考えでございまして、人事院勧告はできるだけ専心していくという考え方でございます。
  79. 高山恒雄

    高山恒雄君 私はたくさん質問したいことがあるのですが、先ほど私は本委員会にも申し上げたのでありますが、あまり押し詰まった時間のようですから、質問はこの程度で打ち切りたいと思いますが、最後に、私は通産大臣にお伺いしたいのですが、御承知のように、繊維の不況カルテルが来年の三月終わります。したがって、これは設備過剰であって、非常に混迷状態に入っております。前回の不況カルテルもあまり効果はないのですけれども、一体、この後に起こってくる問題は何かというと、中小企業へのしわ寄せと倒産だと私は思うのです。それを防止するために通産省は何かお考えになっておるのか、この点ちょっとお聞きしたい。
  80. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 不況カルテルが、三月に終わりますから、いまの不況の状態などからいたしまして、これを不況カルテルを継続しないとするならば、何らかのやはり措置を講じなければならぬと、目下検討を加えておる次第でございます。
  81. 高山恒雄

    高山恒雄君 具体的にお聞きはいたしませんけれども、検討するということですから、私もこれ以上申し上げませんが、ただ、問題は、海外市場その他これを調査されるということにしになれば、後進国も先進国もいろいろあろうと思う。アメリカの輸出は増大しておりますけれども、カナダ、南アメリカ、こういりような問題があろうと思いますね、そういうものを調査すると、秋になっても私は不可能だと、再来年の予算しかならぬと、こう思うのです。したがって、暫定の措置として政府は何か暫定措置を考えてみえるか、この点をお聞きしたい。
  82. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 繊維産業には構造的に根本的にやはり検討をしなければならぬ。いま御指摘のような世界の産業構造の変化もございます。しかし、それは昭和四十二年度からにならざるを得ない。その間の暫定措置をどうするかということに対して検討を加えておる。検討を加えておるというのは、暫定措置について検討を加えておるということと御承知を願います。
  83. 高山恒雄

    高山恒雄君 それでは運輸大臣にひとつ聞きたいのですが、海員の争議において、非常に長期にわたる争議として、結果的に毎年で歳十労使紛争ということになっております。しかし、新聞その他を見ましても、この第三波の海員ストで大体解決がつかないで年越しをしますが、今日起こってきておる状況は、肥料業界等においては、輸出の契約の破棄、さらに、また、商談の不成立、アンモニア輸出計画などがもう全然できなかった、生産工場の操短をやらざるを得ない。さらに、また、台湾、中共、インドネシア等向けの船積みができない、滞貨で困っておったというような状態があの二十三日間の争議で起こっておる。これは大いに物価との関連性があるのですが、政府はこうした物価との関連性のある立ち場から、労働組合と経営者の間に立って、何かそういう立場からの話し合いをつけなければならぬという考え方を持っておられるのか、この点ひとつお聞きしたいんです。
  84. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) ストの関係は、いま仰せられましたように、非常に経済界にも大きな影響を与えつつあるし、また、将来も与えるおそれがございますので、幸いに組合のほうでもやはり経済界等に与える影響等を考慮いたされての結果だろうと思いますが、第四波のストは一月中旬ごろを目標としてやるというようなことで、目下ストが中止されておる事情にございますので、その間できるだけ労使双方に政府といたしましても要請いたしまして、相互に互譲の精神で、船中労のあっせんの案を中心に話し合いをまとめていただきたい、こういう考え方でそれぞれに向かって善処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  85. 高山恒雄

    高山恒雄君 この問題は一カ月後でなければその影響というのがあらわれないわけです。したがって、年末を控えての一時の休止でございますけれども、大体新聞を見ますと、十五日ごろまで休戦をして、十五日以後は第四波をやっぱりやるだろうということには間違いないようであります。したがって、その間、いま運輸大臣がおっしゃったように、最善の努力をする。そして、この物価の問題に大きな影響があったり、あるいは、また、争議に対して大きな影響のないように労使双方に、私は運輸大臣の立ち場から大いに努力をしてもらいたいことを要望いたしておきます。  なお、私は質問をたくさん持っておるのでありますが、いろいろ時間の都合もあるようでありますから、ここらで私も打ち切りたいと考えております。  最後に、私は委員長に御意見申し上げておきたいのです。私は、この今度の補正予算審議にあたっては、本日参加しておられる方々にはどなたといわず、全く一人の質問者に対して時間の余裕を与えて、私は、その質問者に対しては十分なる審議時間を与えていただいたと思うのです。ところが、私は少数派でございます。少数派といえども、与えられる時間だけは与えてもらいたいと私は思うのです。その時間を与えないで、そうしてこの予算は公務員の給与の問題もございます。地方に交付する金の問題もございましょう。いろんなそういう重要な問題が控えておって、銀行の取り扱いは、これはどんな人でもきょうまでだということぐらいは知っておるでしょう。それにもかかわらず、委員会で無制限な質問をさせることを理事会がきめて、そうして最後になって少数派の意見を十分聞いていただく余裕も与えないというような非民主的なやり方に対しては、今後絶対とっていただきたくない。私はそのことが確約できない限り——まだ質問はたくさん持っております。私、三分の一もやっておりません。皆さん方が解散されるなら解散してください。私はここに一人すわっておる。そこまで私は議事の運営というものはもっと正しいものであってほしい。院の権威から見てもそういうことはあるべきでないと考えております。今後こういう慣習をつくらないということを、委員長の責任において私はここでひとつ確言しておいてもらいたい。それなら、私、本日の質問はこれで終わりたいと思います。
  86. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 私自身は審議は十分尽くしてもらいたい。また、すべて公平に持っていきたいと、こういう念願をもってやってまいりました。しかし、御承知のような切迫した事情になりましたので、やむを得ず、あるいは予定されておった質問者にもやめていただき、また、小会派の方々にも一時間を制限せざるを得なくなった、短くせざるを得なくなったということはまことに遺憾であります。今後かかることのないようにつとめたいと思います。
  87. 高山恒雄

    高山恒雄君 これで終わります。
  88. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 高山君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  89. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、春日正一君。
  90. 春日正一

    ○春日正一君 政府政治姿勢、特に議会民主主義的運営について各党それぞれ質問しましたけれども、特にこの国会のいまの運営の状態、これを見ますと、やはり非常に心配だというふうに思います。だから、その点から質問したいと思います。  先日の日韓臨時国会が初めから終わりまで不正常な状態で運営されておった。このために国会の権威、信頼というものを著しく傷つけたと思います。特にあの理事会の取りきめを破って一方的に質疑を打ち切り、採決を行なった十一月六日の衆議院特別委員会の採決、それから、議長発議によって先議案件であった石井法相の不信任案、しかも、これが審議中であるのに一方的にあと回しにして、そうして委員長報告省略、質議討論抜き、四つの案件を四十五秒間——これは物理的にいったって異議の申し立てようも何もないですよ。そういう形で採択した十一月十二日の衆議院の本会議、さらに、委員長さえ何をきめたかはっきりしないというような状態で、あとから統一見解なるもので採決したと言い張っておるような十二月四日の参議院特別委員会での暴挙、こういうものはどれを見ても、国会の法規、慣例を踏みにじるというだけでなく、採決を有効とする条件を全く欠いておる。だから、当然法的には無効なものであるというように考えておりますけれども総理はこれに対してどういうお考えであるか。
  91. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) どうも国会審議総理批判しないほうがいいのでございます。私は自由民主党総裁でございますから、そういう立ち場で申し上げるのであって、ただいまのは政府の見解だ、かようにおとりにならないように願いたいと思います。  前置きをその程度にいたしまして、すでに前国会審議につきましての反省は各党各派においてもあるようでございます。ただいま衆議院におきましては、船田前議長のあっせんによって国会正常化努力し、その申し合わせがようやくできて審議をやっておるのでございますから、今後のわれわれの努力にひとつまっていただきたい。お互いに十分注意をいたしまして、国民の代表にふさわしいような働きをするようにいたしたいものだと思います。
  92. 春日正一

    ○春日正一君 いま総理は私の質問には触れなかったのですけれども、つまり有効であるか無効であるか。しかし、ほかの委員質問に対しては有効であるというふうにお答えになっております。ああいうやり方をやって、あれでも有効だということになれば、それはこれからやらぬと言ってみたところで、必要が出てくればいつでもやるということになるのじゃないか。それでは今後ああいうことの起こらないという何の保証があるか。必要があればいっても——現にこの国会でも、財政の根本方針を変えるような大問題を含む補正予算、これが二十日の召集の国会に出されて、二十七日ぎりぎり何とかきめなければどうにもならぬからというようなことで、先ほど高山君も言ったけれども、十分な審議も尽くさないというような形で無理やりに通さなきゃならぬ、ところてんみたいに押し出さなきゃならぬようにしむけてくる。初めからそれがわかっておるのだから、そうだとしたら、年末の処置はとりあえずこれだけだ、来年にかけて根本問題をやるというようなことにしなければならないのだ。それを全部ひっくるめて出してきて、さあ年内にあげてくれというようなのは、ああいう暴挙ではないけれども、今度は時間の圧力、金を払わなければならぬという圧力で無理やり国会審議権を踏みにじっていこうということになるのじゃないか。何ら反省していない。議長が辞任したって、あれは議長のせいじゃないですよ。政治考え方の問題です。特に政府、自由民主党総裁としての総理議会民主主義というものをどう考えているか、どうやっていくかという考え方の問題だと思います。そこのところを私はお聞きしておる。  ついでに、私のほうの意見を言って首相の答弁を求めたいと思うのですけれども日韓条約のような、国の進路にかかわるこれは大問題である。そうしてこれに対する国民の意思というもの、これはまつ二つに割れている。たとえば賛成している自民党と、反対している社会、公明、共産党と、参議院選挙の票数では、地方区においては、多くなっている、第二院クラブを入れたらずっと多くなっている、自民党の票より。だから、国民の中の意見というものはまっ二つに割れているのだ。これほど大事な問題を、事前に国民に十分徹底させ、そして条約の交渉の経過もはっきりさして、そして選挙にかけて、その支持されたという基礎でやるならまだいいけれども、何にも知らせずに調印してしまって、しかも、あの臨時国会でもって、何でもかんでもきめなければならぬというような形でやってしまう。そこに当然、過半数あるいは半数近い国民反対しているのだから、それに対する批判、そういうものが出てき、国会で徹底的に追及するというような態度も出てくる、そこに問題がある。そういう意味から言えば、今度のこの補正予算の問題も含めて、これほどの大問題なら、必ず一度選挙にかけて、その上で国会を通していくというようにしてこそ、国会での民主的な運営というものは保障されるのだ、そこをお聞きしたい。
  93. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まず第一は、国会におきまして有効だと、かように宣言ができたと、かように私は考えて、おりますので、政府国会の決定に従ったということであります。  第二の問題は、ただいま言われますように、どの程度が国民に直接聞くようなことが望ましいのか、これがただいま言うように、日韓の交渉などはぜひそうすべきだ、こういうことを言われるようでありますが、政府は不幸にいたしまして、春日君とは意見が違って、こういう事柄は、いわゆる総選挙あるいは参議院選挙の題目ではないにしろ、とにかく、あらゆる機会に、自民党が政権を担当すればこれをやるだろうと、そういうようなことがやっぱり選挙を通じて出ておるわけであります。したがいまして、私どもは、今日までこれは解放に値する問題ではない、かように実は考えていたのであります。  また、今日の問題において解散するかしないか、こういうようなお話でしばしばお尋ねがございますが、これはもう社会党の方にも私がお答えいたしましたように、今日、国民自身は一日も早く不況を克服してくれ、物価問題をひとつ鎮静化していくように、そうして、われわれ国民の生活を守っていく、これを一番願望しておるようでございます。私どもに課せられた課題はこの重大な問題だと、かように思っております。国民が迷惑するようなことはお互いに避けなければならぬだろう。少なくとも、一カ月とか一カ月半の政治の空白、こういうことは時節柄国民も一好まないことですから、そういう国民が迷惑するようなことは避けていく考え方でございます。
  94. 春日正一

    ○春日正一君 政府考えはわかったのですけれども、その考え方の中に国会を混乱の原因がある、このことを指摘しておきます。  そこで、第二に、補正予算の本質の問題についてですけれども、この補正予算の内容と、ここで明らかにされた政府の当面の経済政策、財政政策について総合して考えてみると、政府の言う当面の不況対策というものは、結局は、公債の発行と企業減税ということで、主として独占資本——独占資本ということばはこの前使った。藤山企画庁長官も、三木通産大臣も、独占資本なんかありませんと言った。私は笑うべきことだと思いますけれども、大資本家と言っておきます、ここでは。大資本家に資金と仕事を与えてこれを救済する。そして一方では、インフレと公共料金の引き上げ、重税、こういうものによって勤労人民の生活を一そう切り下げる。また、これに伴って、企業の合理化と農業と中小企業の近代化の促進ということで、労働者、農民、勤労市民、中小零細企業家、これらに対する搾取と収奪を一そう深めて、その生活と経営の困難を耐えがたいものにするということにならざるを得ないと思います。福田大蔵大臣は、豊かな家庭と蓄積のある企業というような、うまいことを言われましたけれども、では実際、こういう考え方、やり方で、どうしてそれが実現できるのか、これを説明してほしい。
  95. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) とにかく、当面の最大の問題は、いまの不況を克服する、こういう問題なんです。公債を発行して大いに公共事業をやろう、こういうことでございますが、これは回り回って国民大衆にいくわけなんです。ことに、勤労者の給与に直結するわけなんです。そういう財政を通じての需要拡大、したがって国民所得の拡大に努力しますが、同時に減税もやっていこう。しかも、その減税は所得税を中心にいたし、そうして課税最低限を引き上げ、また、中堅所得階層の税負担も軽減する。企業につきましては、この際、企業の体質を改善するという意味合いにおきまする税制改正をやりまして、なるべく企業が蓄積を持ち得るようにしたい、こういうことなんです。こういう政策をしばらくの間続けていきますれば、必ず企業にも家庭にも蓄積ができる。特に、家庭の施策の最も重要な住宅政策、これには来年度以降、財政の白牧童点を置いていこう、こういう考えであります。
  96. 春日正一

    ○春日正一君 いつでも政府はそう言っているが、そうなっていないところに問題があるわけだけれども、それではお聞きしますけれども政府は来年度に国鉄運賃あるいは消費者米価、電信電話料金、郵便料金、こういったものを引き上げようとしている。それから健康保険あるいは国民健康保険も引き上げられる。こういう政府の関係しているものでの引き上げで、どれだけの増収を予定しているのか、その数字を、心してほしいと思います。
  97. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 消費者米価で六百億、国鉄で千六百五十億、郵便で平年度三百七十億、それから健康保険が四百二十八億、国保が百五十億、国民年金が四十四億。
  98. 春日正一

    ○春日正一君 総計ではどうなりますか。その総計を私は頼んでおいたのですが、出してください。
  99. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 三千億でございます。
  100. 春日正一

    ○春日正一君 いま政府の言った数字だけでも、すでに計画している三千億減税をもうそっくりとってしまう。しかも、その政府の減税の中には、企業減税というものが四割ぐらいですか、福田大蔵大臣は「エコノミスト」で四分六と言っているようだが、大体それだけとってしまえば、国民が取り上げられる分が減税分よりもはるかに多い。これは間違いない事実だ。それにさらに水道料金とか、その他地方公共事業での値上げ、私鉄、バス、家賃、その他一般の消費者物価の値上がりということを加えるならば、国民生活の切り下げということは、これは争う余地がないと思います。しかも、大幅な公債増発ということによって、当然インフレの高進は避けられない。で、大蔵大臣は、いまは過剰生産の状態で、ものが余っているんだから公債を出してもインフレにはならぬというような答弁をされたように思いますけれども、しかし、現にいま、この不況の時期にさえ、消費者物価が絶えず上がっている、国民生活を切り下げておる、これがいまの経済の特徴であります。昔だったら、過剰生産になれば、物価がどんどん下がって側面も起こるというような状態があったけれども、いまは、この過剰生産という状態のもとで物価が上がっている。過剰生産という形が外へ出てこない。過剰設備というような形にされちまっている。そういう状態のもとで、この公債を発行していけば、いまでも上がっているものが上がらぬという保証がどこにあるか。これは政府の統計でも、国民生活の切り下げ、これははっきりしておるし、この委員会でも答弁があったように記憶しております。で、東京都の水道の場合を言っても、これは一つの東京都の例ですけれども、公債の元利払い、これが経営を圧迫して、そのために水道料金を上げるか上げぬかということで、いま大問題になっている。こういう具体的な事実を見れば、膨大な建設公債の発行がインフレにならぬというような保証がどこにあるか。これはだれも信じることはできないと思います。この点、インフレにならぬと言うなら、その根拠を示してほしいと思います。
  101. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 公債を出して、政府の財政が拡大するわけですから、そのこと自体は、私はインフレにつながるという問題を含んでおらない、こういうことを申し上げております。問題は、その公債を財源にしようが、租税にしようが、拡大された財政が、たとえばこれを物資に例をとりますれば、政府が使い過ぎて、国全体の需要に圧迫を加える、ものの需給の不均衡が生ずる、そういう状態でありますれば、これはインフレの要因になる。労働需給につきましても同様であります。あるいは資金につきましても同様であります。あるいは国際収支の面にもそういう影響が出てくるわけです。財政の規模を最適正にきめつつ、公債の額を資金需給の中で安定した額でいきますれば、絶対にインフレになる心配はない、かように考えております。
  102. 春日正一

    ○春日正一君 そういう説明では、だれも納得しないと思いますけれども、論点を次に移して、特に財特法の問題ですけれども、これは財政法四条の、当年の歳入によって歳出をまかなう、軍国主義の復活強化と戦争の危険を財政面から制約する、インフレを抑制し国民生活を守る、こういう平和的、民主主義的な条項を破って、将来の公債発行政策、公債政治への道を開くものになると思います。で、政府は今度限りだということを言っておりますけれども、しかし、一度こうやって四条の制限を破ってしまえば、これは必要に迫られればいつでもやれるという前提をつくったものなんです。大体財政法四条の歯どめを破ったのが、はずしたのが、今度の赤字公債なんだから、歯どめをはずしておいて歯どめをするからと言うのはおかしな話だ。だから、そういう意味から言って、将来赤字公債を出さないという保証はないと思います。ただ、出さないという保証だと政府説明するのは、私いままで聞いた限りでは、政府あるいは総理の主観的な願望——出したくないと思う、出さぬ覚悟であるというだけの願望と決意であって、経済的な条件とか、そういうものによって必ず出さぬというような保証はない。現に今度の赤字公債だって、まだ一年足らず前に国会できめられた歳入の予算が、これだけ大きな欠陥を生じてきた、見込みが狂ってきたという状態考えれば、政府がどう決意しようと、現実にそれは出てくるおそれがある。だから、もし将来絶対出さぬということを説明する願望や決意でなくて、科学的な論拠があるなら、それを説明してほしいと思います。
  103. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 先の先までのことはわかりませんけれども、私どもは、三年間は大体財政の状況を見通しまして公債政策を進めていく考えでおります。いずれにいたしましても、経常財源のために公債は発行しないという財政法の四条の趣旨は、昭和四十一年度以降におきましては、これは断固として守っていくと、こういう考えでございます。
  104. 春日正一

    ○春日正一君 その見通しが現実に狂ってきておるということなんだから、だれも納得しない。  そこで、次に論点を移して、防衛庁のほうで、第三次防衛計画を四十一年度から繰り上げ実施するということですけれども、どういう状況、どういう事情で、この繰り上げをやるようになったのか。そして、この三次防の全体の予算規模はどのくらい見込んでおるのか、それを示してほしいと思います。
  105. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 年度計画というのは、その年が終わって直ちに翌年度ということは、計画実施上、はなはだ支障がございます。したがって、一年ダブらせておいて、一年予備期間を置く、この予備期間は開発研究計画をきめておく。そうすると翌年からスムーズに動くと、こういう意図でございます。
  106. 春日正一

    ○春日正一君 予算規模……。
  107. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) 予算規模は経済計画、総体的な国民所得に合わせて、国民の圧迫にならない規模でございますので、総体規模がきまらなければ、私どものほうの予算規模もきまりません。
  108. 春日正一

    ○春日正一君 えらいどうも逃げを打ったようなんですね。こういう答弁というのが問題をこんがらがせるのです。もっと率直にぶつけ合って、そこで結論出していくということにしなければいかぬと思うのです。世間に発表されたもの、あるいはこの前までの答弁でも、三兆五千とか四兆とかというような数字も出したり、終年度においては、国民所得の二%くらいまで持っていくというようなことは言っておった。それをなぜ、共産党の質問に対しては、そんな御遠慮なさる。
  109. 松野頼三

    国務大臣松野頼三君) どの政党に対しても同じことを私はお答えしております。ただ、質問者が違いますから答えがたまに違いますけれども質問によってはそのとおり、同じ質問なら同じことをお答えいたします。
  110. 春日正一

    ○春日正一君 まあ、そういうことを言っておるのだけれども、とにかく、三次防の計画の繰り上げということが、ただ年度がダブるからというような問題じゃなくて、やはり前の国会でも言ったことあると思うのだ、私、速記録を持ってきてないけれども。アジアの情勢、特に中国を中心とする軍事情勢、そういうものを考えて適応していくために、そのものに応じて防衛庁は考えていかなければならぬし、やっているのだということを言ったことがあると思う。  そこで、それを前提にして私、次に言いたいことは、いまアメリカ帝国主義がベトナムで御承知のように戦争を拡大しておる。どんどん基地として日本を使っていくことを広げてやっておりますよ。病院持ってきて、戦病傷者を日本へ持ってきて治療するというようなことで、いま大問題を起こしている。原子力空母が来る、潜水艦が来る、そういう状態になっている。しかも、佐藤内閣は、安保条約、MSA協定に対する義務があるということで積極的にこれに協力するという態度を示しておるだけでなく、非常にアメリカのそういう極東政策の一部になっておる日韓条約を強引に批准して、米・韓・台という反共の好戦的なグループの中に日本を引き入れてしまっておる。こういう事実と、自衛隊を急速に増強し、装備を拡充していくというような計画、あるいは三矢作戦計画、こういうものがつくられておるというような事実その他を考えてみると、将来軍国主義と戦争準備のために赤字公債が出される危険というものはきわめて大きいわけであります。建設公債といえども、港湾とか道路とか空港とかいうような形で軍事目的に使われるということがないということは保証できない、そうされるというふうに考えたほうがいいと思います。そういう点を考えて結論的に言うなら、この補正予算に示されておる政府の不況対策というもの——池田内閣の高度成長政策すなわち労働者、農民をはじめとする勤労人民に対する搾取と収奪を強め、それによって独占資本に膨大な資本と生産力を集積させた政策の結果生じた過剰生産、それによる不況というものをさらに大きくし、人民の犠牲によってこれを乗り切っていこうというものだと思います。こういう行き方——池田内閣の高度成長政策のあのやり方を今度は不況の状態に企業減税、赤字公債というような形でやっていこうとするやり方、これでは貧富の隔たり、生産と消費の矛盾というものをさらに拡大して一時的には多少景気の刺激にはなると思う。しかし、その中でさらに矛盾が大きくなり、大きな経済的な困難をもたらし、その打開のために人民にさらに大きな犠牲をしいるという悪循環にならざるを得ないと思います。これは経済の法則だ。こういうやり方が結局戦争と侵略への道に通ずるということも過去の経験が示しております。今日の不況と財政危機というものをほんとうに打開して日本の経済を正常にしていこうとするなら、公債の発行や独占本位の企業減税ではなくて、租税特別措置を取り上げ、徹底した高度累進所得税の制度を創設して、あるいは警察費、軍事費というような反人民的な費目を大幅に削減するというようなことによって財源を確保して、労働者や農民、勤労市民、中小企業家など国民の圧倒的多数の生活と経営を安定させ、これを土台にした政策によって日本経済の平和的、自主的な繁栄の道を開いていくべきだし、そうしてこそ経済というものはほんとうに、あなた方の口で言っておられるように、安定成長の道にのぼると私たちはそう考える。そういうふうにやるかどうか。  特に最後に一言大臣諸公に聞いていただきたいことは、大資本に仕事を出してやればそれで国民に回るという考え方は、池田さんも言われたけれども、現実はそうならなかった。大きいところへ全部集まってしまっている。下のほうはますます困難になっている。たとえば福岡県でもって最近半年ぐらいの間に生活保護者が四人死んでおります。しかもそれは生活保護を打ち切る、仕事に行けとかおどかされて、それで自殺しておる。厚生大臣考えてほしいと思う。あるいは労働者が合理化で首切られるというので自殺した人もおる。農民や中小企業家も少なからず自殺しておる。これは氷山の一角ですよ。自殺するということは、これはよくよくのことだ。
  111. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) どうぞ簡単にお願いします。
  112. 春日正一

    ○春日正一君 自殺する思いで苦しんで生きている何百万の国民があることをあなた方は真剣に考えて、口先だけではなくてほんとうにこの苦しんでおる人たちをいますぐどうするか、そこを考えてやるべきだと思う。このことを警告して私の質問を終わります。
  113. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 春日君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  114. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) なお、この際委員異動について御報告いたします。  ただいま草葉隆圓君、高山恒雄君が辞任され、その補欠として久保勘一君、向井長年君が選任されました。     —————————————
  115. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、山高しげり君。(拍手)
  116. 山高しげり

    ○山高しげり君 どうも共産党と議席の数は同じでございますが、第二院クラブは小会派でございますので、あるいは発言の機会を失わされるのではないかと心配をしておりましたけれど、委員長の御努力で、たいへん少ない時間でございますけれど、この席に立たせていただいたことに対して、できるだけ簡単に御質問は申し上げるつもりでございますから−私は主として総理大臣に御質問を申し上げたいと思います。ほかの閣僚にも申し上げたかったのでございますが、時間が許しませんから、その意味佐藤総理大臣にお願いをしたいと思います。  先日来、この予算委員会補正予算案の審議を承っておりましても、総理以下各大臣のくちびるから、事態がここに立ち至ったことは遺憾であるというようなおことばをたびたび伺っておるのでございますが、その遺憾に対して今後どのような決意で臨んでいただくかということが残った問題だろうと思います。  まず総理に伺いたいのは、先ほど来数人の方々から問題になってまいりました消費者米価の値上げでございますが、それについてなぜ四十一年の一月一日からお上げにならなければならないのか。これは農林大臣が御答弁になりたいのかもしれませんけれど総理にお願いをしたいと思います。そのお尋ねをいたします理由は、子供のわらべうたにも、「一夜明ければお元日」、子供の喜ぶお正月と、松や竹はあまり立てなくなってまいりましたけれど、子供が待っておりますその一月一日、親たちもともどもに子供のしあわせを願いますその正月元日という日に、佐藤内閣のお年玉が消費者米価の値上げという形で、国民がいや応なしに受け取らされようとしておりますことにつきまして、一体なぜ一月一日からお上げにならなければならないのか、それを承りたいと思います。
  117. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 山高さんにお答えいたしますが、この正月、御指摘のとおり元日、子供もみんな喜ぶ日、またそういう日から上げることはどうも好ましくないのじゃないか、そういうことで、せめてモチ代といいますか、おモチは前のようにしようとか、こういうようなこまかな配慮はいたしましたが、たてまえ上ただいまの、今度は給与その他も上がると、こういうようなことでございますから、いま上げるにしてもただ一日を下げて十日にするとか、かような小手先をするまでもなく、こういう事柄は必要に応じてそうして処理するのがよろしいのじゃないのか、あるいはこまかな注意を払ってこそ政治じゃないのか、こういう御議論がございまするが、私たちはただいま申しますように小手先の問願じゃなくて消費者米価を上げる、それは一日と、かように実はきめたのでございます。
  118. 山高しげり

    ○山高しげり君 小手先、小手先ということばをお使いでございますけれど、また総理のおことばの中には、たてまえ上というようなこともあったかと思いますが、いろいろな慣習というものもあるのかしれませんけれど、国民感情というものもやはりお考えを願わなければならないと思います。そういう意味でモチ米だけは取り残した、少し待ってやるぞ、けれどとうちゃんのサラリーもちっとは上がるのだからと言わぬばかりにどうも聞き取れて残念でございますけれど、たてまえというようなものも人間がつくったものでございますれば、そのたてまえを破るというようなことも——破るというとことばが荒立つかもしれませんけれど、改善をしてもよろしいのではないか、結局一月一日から米の値段を上げたのは佐藤内閣であったということは、全国の主婦の心に銘記されるであろうと思います。そのことがあとからどういうものになってあらわれるかは十分お考えの上、小手先などとおっしゃらないで^こまかな配慮を今後お願いをしたいと思います。  時間がございませんので先を急ぎます。その消費者米価の値上げでございますが、いただきました書類を見ましても、国内米の管理勘定の損失増加というものの幾つかあげられた理由の中には、政府政府米の買い入れ価格の引き上げ、いわゆる生産者米価の引き上げということも一つの大きな理由になっているようでございますが、その引き上げにつきまして、政治米価というようなことばがよく使われております。その含む意味は深長のように思いますが、総理はそういうことばをお認めになりますでしょうか。なぜこれを伺うかと申しますと、かりに生産者米価の値上げが政治米価ということばで表現をされるような意味合いのものでございますれば、消費者国民はそういうものを肩がわりをされるということははなはだ不当に思うからでございます。
  119. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この生産者米価を決定いたしました当初におきまして、ただいまのような、あるいは政治的にそれがきまると、こういうことで政治米価というようなことばが使われたかと思いますが、その後いろいろ議論を戦わされて、ただいまは生産者米価の算定方式はまあほとんど固定的にきまってまいっておる、かように思いますので、政治的な米価が決定されると、こういうことは実はなくなって、これはよほど科学的にきまるように私は考えております。(「百姓の苦労を思え」と呼ぶ者あり)
  120. 山高しげり

    ○山高しげり君 議論をしておる時間がございませんので一応承っておきますけれど、農村の主婦でさえも、ただいまどなたかのお声で百姓の苦労を云々とおっしゃいましたけれども、お百姓のおかみさんたちも、こんなに諸物価が上がるのでは、消費者物価がこのように続々、しかも公共料金を筆頭に上がってくるのでは、ある程度生産者米価を上げてもらっても何にもならない、むしろ上げてもらわなかったほうがよかったのではないかと、農村の主婦の間からも声が上がっておることを申し添えておきます。  次に伺いたいのは消費者行政でございますが、実はこの間も国民生活審議会から意見書が出たようでございますが、消費者を守る政治、それを消費者は望んでおります。そうしてまた消費者行政というものは幾らか芽ばえが出てきているように思います。しかし、現状は、たとえば農林省、通産省あるいは経済企画庁等、それぞれ手をつけていらっしゃいまして、統一がないような行政機構の確立がまだ遠いように思いますけれど、総理はたとえば青少年問題にしても、青少年対策をしっかりやれよと総理のお声がかかると、わりあいに何ですか内閣でもお仕事が進むようでございますけれど、消費者行政の確立のためにこの機構を統一するというようなこと、どうお考えでございましょうか。
  121. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 消費者を守れと、これはたいへん大事なことだと思っております。私どもの、この佐藤内閣も国民の生活を守る、国民を守る、生活を守る、こういう立場でございますと、これはただいまの消費者行政が十分、一面にいくとこういうことだと思います。かねてからかような意味で統一した機構考えろ、こういう御要望かございました。たしか山高さんその他の方々、市川さんなどもこの点を強く主張しておられたと思いますが、ようやく経済企画庁に国民生活局をつくった。このことがただいまの生活行政への政府の意気込みなんですが、まだ開店早々で、これというまだ仕事もできてない、かように思いますが、せっかくつくりました機構でございますから、これをひとつ中心にいたしまして、ただいまお述べになりましたような消費者、消費行政をほんとうに国民生活にマッチするように、対応するような措置をとるようにいたしたいと思います。
  122. 山高しげり

    ○山高しげり君 たぶんそれにもときがかかるとおっしゃるのかもしれませんが、先を急ぐことにいたします。ただ、たとえば四十一年度の予算をおつくりになる場合にでも、農林省とか、通産省とか、それぞれ消費者行政のいろいろな御計画がございまして、その予算の査定にあたって、大蔵省は大蔵省にまたお考えがあるというようなことでは、国民が見ておりますと、せっかく出てきた芽ばえをつまんで捨てるというような心配がございます。ことに先ほど藤山長官もお触れになりましたが、現在の経済企画庁の機構はやや弱いというようなことを国民感じておりますので、いまの総理のお約束どおりにお進めいただきとうございます。  次に一言、これはほんとうにもう減税にも社会保障にも届かないところにおります人の問題を一言申し上げたいのですが、この間、労働省の臨時家内労働調査会から御報告がようやっと出たようでございますが、この調査会三十四年に発足をしておりまして、ヘップサンダルに基づくベンゾール中毒で、働いているおかあさんが、内職のおかあさんが死んだということを契機にして、日本に家内労働法をつくろうかどうしようかということでたしか発足をいたしておりますけれど、三十五年にただ一回中間報告をしただけで、六年間何にも声が出なかった。これ労働大臣お答えになりたいところでございましょうが、私があえて総理に申し上げますものは、この家内労働者八十四万人の中で六十八万人が内職者、八〇%を占めております。そうしてそういう人の中には、だんだん時間がある奥さんたちが内職でかせぐ人もふえてはまいっておりますが、大部分は一日百円から三百円のそのしがない内職の収入で生計を立てでいくというか、補助に、当てにしているような、そういう零細な生活者がおもでございます。しかもその一方そんな内職では食べられないから外へ行って働こうか、共かせぎということになりますと、今度はかぎっ子の問題が出てくる。そうすると、婦人よ家庭に帰れというような風が吹いてくるというような、そういう現状におきまして、私が前回も総理に家庭問題についていろいろお願いをいたし、総理府に現在家庭問題審議会はできておりますけれど、家庭の問題を御熱心にお考えになる佐藤総理として、労働省が六年間もブランクにこの問題を放置したというようなことについて、総理としてはどうお考えでございましょう。簡単でけっこうでございます。
  123. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 労働省の責任、これはまことに重大だと私は思います。こういう事柄こそ労働省も気をつけて推進すべきことだ、かように思います。
  124. 山高しげり

    ○山高しげり君 どうぞひとつ青少年問題につながっておりますので、よろしくお願いをします。  これがいよいよほんとうの最後でございますが、これは佐藤さんに自民党総裁として一言でよろしゅうございますが、小林章氏の問題とか、あるいは新潟県知事の問題とか、そのことは要するに国民をとうとうとして政治不信の方向に追いやっているように私ども感じるのでございますが、総裁はそのことについていかがお考えでございますか。もし私が申したとおり、多少とも国民に対して相済まないとお思いになる点がございますれば、国民政治不信の方向へ動きつつあるということを幾らかでもお認めになるのでございましたら、総裁としてはこれらの現象に対してどんな決意を持って新しい年にはお臨みになりましょうか、これ承って私の質問は終わります。
  125. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 小林草あるいは新潟知事選挙等についての私の感じは、しばしば他の職員のお尋ねに対しまして表明をいたしました。私は、最も大事なことは、ただいま主権在民の姿にあるこのもとにおいて民主政治を育てていくことだと、かように思います。そこで、私の政治姿勢は、国民とともに国民のためになる政治をするとしばしば申しておるのでございます。国民の信頼を失うようなことを政治家みずからがとっては相ならないと、これは強く深くわれわれが反省していかなければならない。絶えず注意することは、国民の信頼をいかにしてつないでいくかということにあると、かように思います。
  126. 山高しげり

    ○山高しげり君 そういうおことばは、もう毎回聞いてまいりました。それをあえてこのわずかな時間の中からもう一ぺん伺いましたことは、何か総裁としてこの段階において、しかも新しい年を迎えようとしている今日において、その御決意について何か、どうせ口でしゃべることばを通してでございますので、抽象的だというやじも飛んでおりますけれども、まあある程度抽象的なことはやむを得まいかとも思いますが、またことばには、ことばの響きとか、それがございますので、いままでたびたび言ってきたがというだけでは、私はたいへん不満でございますか、どうぞ新しい年とともに新しい決意をお固めになって、それを行ないであらわしていただきたい。国民とともにそれをお待ちをいたしとうございます。国民の半数以上が婦人であることも、もう一ぺん申し上げておきます。
  127. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 山高君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして補正予算二案の質疑は終局したものと認めます。     —————————————
  128. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) この際、委員各位に一言申し上げます。  理事会の申し合わせで、質疑を行なうことになっておりました方々の質疑が時間の都合でできなくなったことは、委員長といたしましてまことに遺憾にたえません。今後かかることのないように関係の向きに対しましても厳重に注意を喚起し、審議の万全を尽くすようにいたしたいと存じます。  これより三案の討論に入ります。通告がございますので、順次発言を許します。賛否を明らかにしてお述べを願います。亀田得治君。
  129. 亀田得治

    ○亀田得治君 私は、この補正予算案に対しまして、社会党を代表して反対をいたします。  詳細な討論は本会議のときに譲りますが、反対の第一の理由は、この予算案が公債政策を新たにここに導入してまいったということであります。重要な財政法の第四条の精神を踏みにじるものである、こういう立場から絶対了承し得ない点であります。  第二の問題点は、この補正予算案で各種の国民生活にとって必要な経費も計上されておりまするが、はなはだこれは不十分であります。たとえば公務員の給与に関する点をとってみましても、人事院勧告というものが全く無視されておる——全く無視されておると私は言いたい。政府はあるいは四カ月しかおくれていないのだというふうな言い方かもしれませんが、今日の公務員の生活の実態からするならば、そのような言い方はできないのであります。たとえ二月、二月分といたしましても非常に大きな意味を持っておるということをほんとうに反省してもらわなければいけないと思います。あるいは地方財政の問題に対する手当てにいたしましても、現在の地方財政の窮迫しておる状態から比較するならば、これもたいへん不満足であります。災害対策も同じこと。村ごと押し流されてしまった、つぶれてしまったといったような特別な災害なども起きたところがありまするが、それらに対して特殊な手当てというものはなされない。従来どおりの法規によって処理されておる。私は、これは親切な政治ではないと、こういりふうに考える次第であります。  第三の理由は、物価の問題。本委員会におきましても、あらゆる角度からいろんな委員の方々が議論をしたところでありまするが、この補正予算案ではこの問題については全く触れておらない。触れないどころか、逆に反対消費者米価の値上げということが織り込まれておるわけであります。現在の国民の皆さまの気持ちからするならば、全く逆行しておる予算案であると言わなきゃなりません。  以上三点を明らかにいたしまして、私たち反対立場を明確にしたいと思います。(拍手)
  130. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 米田正文君。
  131. 米田正文

    ○米田正文君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和四十年度補正予算案三件に対し賛成討論をいたすものであります。  本年度予算は、最近の経済情勢を反映いたしまして、租税収入の大幅な減収が見込まれるに至りました。他方、新たに人事院勧告による給与の改善、災害対策、食管会計への繰り入れの追加等の追加財政需要が生じてまいりました。その緊急対策として、今回の補正予算案が提出をされたものであります。本案においては、臨時応急的な措置として歳入補てんの公債を発行して現下の経済情勢に対処せんとしておることは、特に注目すべき点であります。すなわち、政府は、過去の財政政策の基調を転換して、公債政策を導入することを決意いたしたのでありますが、現在の情勢においては最も適切なる方法であると信じ、本案に賛成をいたす次第であります。公債発行のインフレヘの懸念、またその歯どめとしての規模、範囲及び消化について細心の注意を払われることを要望をいたしまして、昭和四十年度補正予算案三案に対する私の賛成討論を終わります。(拍子)
  132. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 鈴木一弘君。
  133. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 私は、公明党を代表して、本予算案——ただいま議題となっております予算案に対しまして反対討論をいたすものであります。  その第一の理由は、公債発行であります。公債発行は、当然増税をもって補う場合には大企業が高度な累進課税によってまかなわなければならない。その負担が、発行された当座には大衆には直接の影響はありませんけれども、将来大衆の課税によってこれがまかなわれていく。これは悪税の一つの見本であり、さらにインフレーションを巻き起こす原因でもあり、この赤字公債発行に踏み切った点について第一の反対の理由としております。  第二には、物価対策については、経企長官が四月より国鉄運賃の値上げを約束して言明しておりながら、わずかのうちに二月十五日に変更するというように、何ら対策に見るべきものがなく、今回も物価対策についての費用が上がっていない。  第三の反対の理由は、公務員ベースについてであります。財政上の見地からどうしても九月実施以前には踏み切れなかった、このようなふうに言われているのでありますが、公務員ベースのことを考えたときには、政府にもし熱意があるならば、九月実施を八月実施に一カ月また繰り上げて、さらにまたそれを七月実施にと、人事院勧告尊重の線に漸次一歩ずつ前進してほしかったのであります。  最後には、中小企業について信用保険公庫へ十億の追加がなされておりますけれども、現在の中小企業長期低利融資の点から考えた場合には、さらにこれを十二分に補う必要があったと思うのであります。  以上の四点の大きな反対の理由をもって、本予算案三件に対しては反対をいたすものでございます。(拍手)
  134. 平島敏夫

  135. 向井長年

    向井長年君 私は、民主社会党を代表いたしまして、政府提出の昭和四十年度予算補正案につき反対の趣旨を表明するものであります。特にわが党は本会議において反対討論ができないようでございますので、わが党の態度を明確にいたしたいと思います。  今回の政府案は、一般会計予算補正規模を六百五十一億円とし、歳出面では、人事院勧告に基づく公務員給与改善、災害復旧対策費、地方財政の赤字補てん等増額補正が千四百十二億円、これに対して、既定経費の節減、出資の減額、予備費の削減等で減額補正が七百六十一億円、歳入面では、公債発行二千五百九十億円を含む増額補正が三千二百六十一億円、これに対して税収減による減額補正が二千六百十億円であります。このように、今回の政府案の特徴は、歳出増額補正については、公務員給与や災害復旧事業費など緊急歳出を要するものを含んでいる点と、歳入増額補正について、二千億円をこえる大幅税収減に見合う赤字公債に踏み切っている点、さらにもう一つ、予算総則において二千億円の大蔵証券の追加発行を行なわんとしている点にあります。  わが民社党は、政府案が計上しているような歳出増額補正の緊急性を率直に認めます。また、大蔵証券の追加発行についても、もしこれが年内に実施されないと、年末の国庫支払い繁忙期に小切手支払いが困難になりますので、この必要性もこれまた率直に認めるものであります。  しかし、赤字公債の発行については、断固として反対せざるを得ません。  そもそも、本年度の税収の伸びに大きく期待できないことは、当初予算編成当初より明らかであります。しかも、政府のたびたびの言明とは逆に、不況は一向に緩和されようとはしておりません。現在の不況は、過剰設備に基づく過剰生産、並びに企業経営が措入金依存が極端になり過ぎて損益分岐点がはなはだしく高水準となるなど、短期間にこれを解消することが不可能なことはわかり切った事実であります。政府は、この憂うべき事態に対して、税収が不足すれば赤字公債、景気刺激には融資の増額というように、単に資金手当てをすればよいという安易な方針、自分政策失敗について何らの反省もない場当たり方針について、私は政府の責任を追及せざるを得ないのであります。  私は、今回の赤字公債発行は、今後の経済体質の是正、物価高の是正を前提とせざる目先だけの資金調達策として、これは財政インフレを招来するものであり、私はむしろこの中止を政府に勧告いたしたいのであります。  私は政府に申し上げたい。二千六百九十億円の赤字公債発行にかわって、外為特別会計のインベントリー資金の使用、資金運用部資金特別会計保有の金融債の使用、並びに行政費用の節減によりまして、同額を調達すべきであります。財政法を改正して、予算制度そのものを改正して、建設公債も発行していく点につきましては、わが民社党は積極的な具体策を持っておりますが、ここではこれには触れません。  私は、繰り返し赤字公債発行の危険を政府に警告し、政府案に反対討論を行ないたいと思います。(拍手)
  136. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 春日正一君。
  137. 春日正一

    ○春日正一君 私は、日本共産党を代表して、本補正予算案に反対するものであります。  この補正予算案には、公務員給与引き上げ及び災害対策費が若干組まれております。しかし、そのいずれもが、公務員労働者や被災人民の要求を無視した欺瞞的なものにすぎません。この予算案のおもな内容は、二千六百億円に近い赤字公債の発行を中心とし、さらに国庫債務負担行為一千億円、政府保証債の追加七百四十億円、また国鉄運賃と消費者米価の大幅な引き上げなど、勤労人民に対する収奪を一そう強める独占資本本位の景気対策であります。特に最も重大な点は、財政法の平和的、民主的原則をじゅうりんする赤字公債の発行であります。これは明らかに財政法第四条の違反であります。財政法第四条は、戦時中の深刻な経験から、財政民主化の大原則として、赤字公債の発行を禁止したものであって、これこそが財政の不当な膨張を防止する根本的な歯どめであります。政府はしばしば、赤字公債発行をしても歯どめをしておくから心配ないと言明しておりますが、この財政法四条の歯どめをはずしておいて、今後どうして歯どめができるのか、その制度的保証がなくなるのであります。いま政府が赤字公債を発行するねらいは、これを当面の独占資本本位の不況対策に役立てると同時に、今後の軍事費や侵略的な対外進出費のために、財政支出を無制限に膨張させる突破口を切り開くためにほかならないと思います。これによって現在のインフレを一そう激しくし、物価の上昇や、税制合理化や近代化の名による労働者や農民その他の勤労人民の搾取と収奪を強め、人民の生活をますます耐えがたいものにすることは必至であります。  また、この予算案には、消費者米価と国鉄運賃の大幅値上げが組み込まれており、このほか政府は、私鉄運賃、郵便料金、電報電話料金、健康保険料金などと、多くの公共料金の引き上げを一せいに実施しようとしています。これは、赤字公債の発行によるインフレの促進とあわせて、物価の全般的な値上がりを引き起こすことは明らかであり、人民の生活に深刻な影響をもたらすものであります。  さらに、この予算には日韓条約の批准に伴う国際関係費用が計上され、南朝鮮への侵略的進出を具体的に始めようとしております。言うまでもなく、日韓条約は、政府自民党が議会民主主義を不当に踏みにじって、世論のごうごうたる非難の中で批准を強行したものであり、明らかに無効であります。したがいまして、この条約に基づく経費の支出は不法であり、われわれはこれを認めることはできません。  以上述べた理由によって、わが党は本補正予算案に反対するものであります。  いま佐藤内閣は、財政民主化の基本法である財政法四条を、一片の臨時特別措置法によってくつがえそうとしております。このような日本経済と人民の生活に重大な影響を及ぼす内容を持つ予算であるにもかかわらず、ろくに審議もせずに、これを強引に押し通そうとしています。これこそ、日韓国会のあのファッショ的暴挙の繰り返しであり、政府自民党の仕組んだ国会正常化なるものが全くのごまかしであることを端的に証明しております。われわれは、このような不当なやり方を絶対に認めることはできません。佐藤内閣の責任はきわめて重大であります。わが党は、佐藤内閣の反人民的、反動的な財政経済政策を糾弾し、直ちに国会の解散を要求するとともに、佐藤内閣打倒のために全民主勢力とともに戦うことを明らかにして、討論を終わります。
  138. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 以上をもちまして討論通告者の発言は全部終了いたしました。よって、三案の討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  昭和四十年度一般会計補正予算(第3号)、昭和四十年度特別会計補正予算(特第2号)、昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第二号)、以上三案を衆議院送付どおり可決することに賛成の方々の起立を願います。   〔賛成者起立〕
  139. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 起立多数と認めます。よって、三案は衆議院送付どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき三案の報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時十九分散会