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国務大臣(
佐藤榮作君)
お答えいたします。
議会がどうしてもマンネリズムにおちいりやすい、そういう
意味で
新人の
批判、これはたいへん必要なことだと思います。また、
新人がいま直観されたこと、あるいは簡単に
理屈抜きで
感じ取られたこと、これが今後の
議会運営の上に非常に進歩をもたらすものじゃないかと私は思います。
ただいま御
指摘になりました諸点でありますが、第一、御当選になりまして、その直後においての
臨時国会、これはたいへん、私
どもも十数年おりますが、非常な異常な
国会であるということをしばしば申しました。しかも、これについての
反省を強く要望された。
与野党ともこの
臨時国会の
あり方については深く
反省をしたのでございまして、
船田議長のあっせんによる両党の
申し合わせ、まあ、両党に限りませんが、この
国会正常化についての
申し合わせなどはその
反省の結果だと思います。その
反省の結果がまだまだ十分だとは思いませんけれど、やはり
立法府は
言論の府である、この
言論を通じて
国民にその
主張を訴え、また同時に
理解を求めると、こういうことでなきゃならないというので、まず
言論を尊重すべし、また
少数党の
意見も尊重しろ、また物理的な
抵抗はこれをやめると、こういうような
申し合わせをいたしたのであります。先ほど
田中君が
最初議員になって
感じたと言われたこと、これは
国民大部分の
感じだろうと思います。とにかく
国会は
言論の府、しかも、
主権者である
国民にこの
審議を通じて訴えるものがなきゃならぬ。これが強く言われておることだと思います。まあ、今日ようやくそういう形で
お互いが
反省してこれからよくやろうというのでございますから、さらにその成果に期待をかけたいと思いますし、まだまだわれわれが
努力をしていかなきゃならないものが非常にあると思います。これはそのうちおわかりになることだと思いますが、
国会において
原案が修正される、いわゆる
与野党妥協によって成案を得る、最後の決を見るという事案は非常に多いのであります。したがいまして、
少数党の聞くべき
意見は十分それで取り上げられておる、かように私は思いますし、また、そうなければならない。そうして、そのことは同時に、
与野党とも
法案を
審議するがゆえにさような
状態になるのでございます。もともと
参議院は良識の府といわれます。
二院制度のもとにおきましての
参議院の
あり方は、ただいま言うように、
与野党とも
十分議案を
勉強し、そうして最終的には両者、あるいは三者、これらが相談の上修正を加えて、そうして
議事進行の円満を期しておると、これがただいままでもあるのでございます。ところが、まあ
田中君が当選されて御
経験になったように、重大問題、あるいは外交上の問題、こういうことになりますと、ただいまのような
方向になかなか
審議が行かない。で、これがわが国におきましてはたいへん不幸な
状態ではないか。過去の激突をした例、あるいは
異常国会運営の例、
議案等は一体何か。これが多く外交問題であったり、あるいは国の
重大議案であったりする場合において、そういう
事態になっておるように思います。このことは、
民主主義のもとにおいてこの
国会が運営されるという、そういう
大局的立場に立ってのいわゆる
民主主義のルールというものが守られれば、そういうことはないはずでありますけれど、しかしながら、なかなか、多数党は多数を頼むというような
非難を受ける、
少数党はあくまでも自己の
主張を通したい、こういうようなことで、ときに
言論を圧迫するとか、あるいは
物理的抵抗をするとか、かような
非難を受けるような
事態に立ち至るのであります。この点は私が触れるまでもなく、これはおわかりのことだと思います。こういう点は今後ぜひとも注意されまして、そうして改正されて、そうして
議会制度がりっぱに育っていくようにいたさなければならないと思います。
また、御
指摘になりましたように、どうも
行政府——まあ
自分の
経験から見ても、
事務当局といいますか、いわゆる
官僚機構、それが非常に
国会のために時間を取られる、しばしば
行政が麻痺すると、かような
非難を受ける、こういうことのないようにしたいものだ、もっと
大臣諸公が
勉強したらいいだろう、こういうまあおしかりでもございますが、とにかく、ただいまの問題をつぶさに見ますると、
行政の面にこれをくぎづけにする、あるいは
行政の面にとらわれ過ぎておる。いわゆる
立法府らしい
議論がときになされなくて、たいへん
行政の面にタッチすると、こういうような傾向もなきにしもあらずだと、かように思います。そういう
意味で、
国会中は
行政が停止すると、こういうことを
国民からしばしば
非難されるのであります。
田中君は
労働省におられた
経験があり、ただいまそういうような
資料も整えたというお話を率直に言われておりますが、これは私
どもが
十分事前に
連絡をして、そうして必要な
資料等を前もって注意しておけば、これは
事務当局といたしましても十分整備するだろうと思いますが、しかし、この席でもやはり
事務当局に出て
説明をしてもらわなければ要を得ないと、こういうようなことがしばしば見受けるのでありますが、こういう点は、今日、
お互いが
勉強する、その熱心のあまりとは申しましても、やや
議論がこまか過ぎやしないかというようなことも言えるのではないかと思います。私は、ただいまのような点もお尋ねになりましたので、もちろんこれは大事なことだと思います。
また、この
国会の
審議にあたりまして、
速記の諸君が私
どもの
言論をそのまま
速記しておりますが、重大な
議案になると、この
速記がしばしば
要領を得ないようなことになっておるという御
非難、御
指摘がございました。これは申すまでもなく、
速記は静粛な
状態においては
十分発言の
要領も得て完全にできるわけでありますが、一たん混乱いたしますと、
速記にも一書いてありますとおり、聞き取れずとか、あるいは、
発言、その後何々というようなことで、これはたいへんなことになるのであります。大事な
速記でございますから、私は、やはり議場は
言論の府である、どこまでもこれは静粛に保たれなきゃならない。この点は誤解をなされないようにお願いいたしますが、いずれが悪いとかいいとか、こういうことを
非難するのではございませんで、私はありのままを申し上げておるのですが、これは静粛であれば、必ずそういうことが、
速記も完全にできる。また、
速記が聞き取りのできないような、まあそういう混乱はどういうところからできた、こういうことを実は
指摘するのではございませんが、事実そのものを申し上げるので、ぜひとも、そういう点において静粛が保たれ、そうして
議事の
進行が円滑に行なわれるということが大事ではないかと思います。
また、どうも
政府の
説明は不親切だ、あるいは特につぼをはずすというようなことを心がけておるのではないか、こういうことでございますが、不親切のほうはおしかりを受けて今後注意をいたしますが、あとは、つぼをはずすのじゃないかというたいへん皮肉な御
批判は、これは私
ども、真正面から
お答えをするつもりでございますが、もちろんこれについては
お互いにそれぞれの
立場はあるのでありますから、
立場についての
発言、これはもちろん私
どももかくあるべしと、かように思います。そこで、気に食わないこともありますが、
お互いに、
政府側から尋ねられる方に対しましても気に食わない
答弁をすることもありましょう。しかし、
お互いがやはり
理解につとめるという、これだけの余裕は持っていないと、話がどうしても
平行線になる。大事なことは
審議なんだ。そこで
お互いに
理解につとめると、こういう態度であってほしいと、かように私は思います。いろいろ
国会の
正常化についての御
議論でございますから、ただいま私も慎重に、また真剣に
お答えをいたしたつもりであります。どこまでも
立法府、これは
言論の府である、これを通じて
国民にその
主張を
理解してもらうし、同時にまた、
協力を求める
機関だ、かように思います。いずれにいたしましても、
衆議院において、ただいま
異常国会を
正常化しようと
努力がなされ、そうしてようやくその
申し合わせができたばかりでありまして、その骨子は、先ほど申しましたように、どこまでも
言論は尊重されなければならない、また
少数党の
意見も尊重されなければならない、どうしても物理的な
抵抗は、これを排除しなければならぬ、こういうことでございますから、その
方向でわれわれも一そう
勉強もし、
努力もしてまいるつもりでございます。ただいまも申しましたように、気に食わないからといって、つぼをはずすわけでもございませんが、どうかひとつ、
お互いに
理解につとめる、こういう大事な点もお忘れなくひとつ御
協力を願いたいと思います。私がいま
感じましたこと、これを率直に御披露いたした次第でございます。