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木村禧八郎君 これは大蔵
大臣、あなた方
——あなた方というけれど、
財政学上大体きまっているんですよ、通念として。そうでしょう。あなたが
財政の担当者として、日本の
財政学界でも、世界の
財政学界でも、大体通念として赤字
財政というのはきまっているんじゃないですか。こんな常識的なことを、あなた方がかってに考えているという、そんなばかな話はございませんよ。ですから、普通
財政上の赤字というのは租税などの経常収入を超過する経常支出、これは異論がないと思うんですよ。であって、この経常勘定の支払い超過分をまかなう
公債が
赤字公債である。そうでしょう、これは通念ですよ。ですから資本勘定上の
借り入れとは明確に区別しているわけですね。これが
赤字公債じゃないですか。そうでしょう。ですから、今度は四十
年度補正で出すこの
公債は、いわゆる経常勘定の
一般会計における税収以上の経費をまかなうための
公債でしょう。つまり赤字が出たら、歳出のほうはけずらないのでありますから歳入のほうは足らなくなる。赤字が出たんですよ。経常勘定の赤字が出た。その赤字を埋めるための
公債は
赤字公債でしょう。あたりまえじゃありませんか。こんなわかりきったことをなぜこだわる必要があるのでしょうか。それからわれわれ日銀引き受けであるから、これは
赤字公債、そんなこと言っていませんよ。
〔
理事大谷藤之助君退席、
委員長着席〕
それはかってに大蔵
大臣が言っている、今度は。あなたが言う日銀引き受けの
公債が
赤字公債だと、こう言っている。そんなことはないですよね。日銀引き受けになるかならないか、市中消化だって
赤字公債の場合もあるんですよ。結局、四十一
年度以降出す
公債、これは私は回収性がない、あるいは収益性がない
公共事業費であるとすれば、これは
赤字公債と私は言わざるを得ない。そういう借金です。ですから
赤字公債として観念して出すのと、そうでない何だか建設的
公債であると観念して出すのとたいへん違うんですよ。何か
赤字公債であるのに建設的なごとく考えて出す場合は、建設的だからいいんだ、いいんだというんで非常に膨張する危険性があるんですよ。これは今後の
公債政策の実際問題として、また
財政上の実際問題として重大な問題です。この観念のしかた
——大蔵
大臣も、四十年の
補正の場合とおい立ちが違うと言われました、四十一
年度以降の
公債発行はですね。確かにそういう点は厳密にはっきりさせる必要があるんですよね。で、私は、四十
年度の
補正の赤字の場合と四十一
年度の場合と違います。違いますけれども、本質において
赤字公債である面においては、これは私は同じであると思う。大蔵
大臣は、
木村君は
公債を罪悪視しているということをよく言う。罪悪視しておりません。
公債は広義に解すと、地方債もあります、
政府保証債もあります。われわれ、
政府保証債、地方債、否定をしておらないんです。
一般会計における経常歳出をまかなう場合の
公債発行について問題にしているのであります。しかも、私も必ずしも
公債発行反対でないのです。社会党が政権とった場合
公債発行しないか、する場合もある。
公債発行がいいか悪いかは抽象論じゃないのであります。現在の時点において政治的な体質あるいは経済の体質、そういうものから、ここで認めれば、これが放漫
財政になり、そうしてインフレをもたらす。そうして租税の負担のしかたを非民主的にしちゃうんですね。それから防衛費を放漫にまかなう危険がある。そういうことから
財政法でこれはきびしく制限したんですよね。だから、その精神というものをいまの時点こそ守らなけばならない。しかも
赤字公債ですよ。あなたは、
特例法を出すから民主的だと言うんですよ。決してそうじゃないんです。そういう
歳入欠陥が生じたときに
公債でまかなってはいけないというのが
四条の
規定なんですよ、
公共事業費以外は。だから、これを歳出を削るなり、あるいは増税するなりしてまかなうべきですよ。
公債発行でまかなっちゃいけないんです。
いや、景気対策との関係はどうか。何も景気というものは、
財政の規模が大きくなったから景気対策なんというものじゃない。
財政規模が小さくなっても景気対策、有効需要を増進することができるならば、これは矛盾しないんですよ。そうですよ。さっき言ったように、金融政策の問題、金利の問題もあるんです。減価償却の問題もあるんですよ。その他歳出面でもっと所得の波及効果の大きい歳出をやるとか、減税でもですね。所得の増加の波及効果の大きいほうの減税をするとかすれば、何も
赤字公債発行しなくても、このいまの景気対策と矛盾しないで、
財政法四条を守りながらこの赤字の問題
処理することができるんですよ。そういうふうにしろというのが
財政法四条のたてまえなんです。それを
四条に
特例法を
出してまかなうから民主的だと言うんですよ。
特例法出さないではもってのほかですよね。しかし、出す前に、そういうことをしちゃいけないという
規定なんです。せっかく
財政法四条を守らなきゃならない時点にきたんです、とうとう日本の
財政は。いままで毎年自然増収がたくさんあったから、この
四条の
規定は眠っておったんですね。ところが四十
年度の
歳入欠陥、いよいよ
四条が大切になってきたんです。いまこそ
四条を守らなければならないときにきて
特例法を設けた。そうして
赤字公債発行できるようにしてしまうんです。これでは何のために
財政法で
四条を設けたのか、
意味なさないじゃありませんか。四十一年以後の
公債発行についてはまた別の議論が立つわけです。しかし、少なくともこれに、四十
年度の
補正については、私は、これは
特例法を設けたこと自体も、
財政法の
四条の精神をじゅうりんしているんです。そんなことできるなら、これは今度は日韓の案件と同じことなんです。多数を頼んで何でもできるということになる。
財政法規定は何のために設けたのか。多数でですね、そうして
特例法を設けて、
四条で禁止していることをどんどんできるということになれば、何のための
財政法の
規定ですか。守らなければ何にもならないんです。
ドイツだってワイマール憲法ありました。ヒットラー出てきて破っちゃったんですね。いかにりっぱな憲法があったって、いかにりっぱな
財政法があったって、守らなきゃ何にもなりませんよ、そうでしょう。
特例法出して
四条の精神をじゅうりんしてしまうこと、これは絶対私はまあ許されないと思うんですね。ですからそこのところは、もうこの四十
年度の
補正の財源としての
公債は、
赤字公債であることははっきりしているのですから、
赤字公債というのは非常にいやな印象を受けるなら、いっそ、はっきり
赤字公債なんだと、だから今後そういうものはもう出さないという決意を新たにするためにもはっきりさしたらどうですか、その点について重ねて伺います。これは通念です。総理について伺いたい。というのは、総理は
赤字公債は今後絶対出さぬと、総理が
赤字公債ということばを使っているんです、あなた
自身がそうでしょう。これはいかがですか。