運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-05-11 第51回国会 参議院 本会議 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月十一日(水曜日)    午前十時二十五分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第二十八号   昭和四十一年五月十一日    午前十時開議  第一 電波法の一部を改正する法律案及び放送   法の一部を改正する法律案趣旨説明)  第二 農地管理事業団法案趣旨説明)  第三 第三次国際すず協定締結について承認   を求めるの件(衆議院送付)  第四 地震保険に関する法律案内閣提出、衆   議院送付)  第五 地震保険特別会計法案内閣提出、衆   議院送付)           、  第六 厚生省設置法の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、新議員の紹介  一、常任委員長辞任の件  一、常任委員長選挙  一、日程第一 電波法の一部を改正する法律案   及び放送法の一部を改正する法律案趣旨説   明)  一、日程第二 農地管理事業団法案趣旨説   明)  一、日程第三 第三次国際すず協定締結につ   いて承認を求めるの件(衆議院送付)  一、日程第四 地震保険に関する法律案内閣   提出衆議院送付)  一、日程第五 地震保険特別会計法案内閣   提出衆議院送付)  一、日程第六 厚生省設置法の一部を改正する   法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。  議席第五十六番、地方選出議員、京都府選出林田悠紀夫君。   〔林田悠紀夫君起立拍手〕     —————————————
  4. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 議長は、本院規則第三十条により、林田悠紀夫君地方行政委員に指名いたします。      ——————————
  5. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) この際、常任委員長辞任につき、おはかりいたします。       社会労働委員長  阿部 竹松君       逓信委員長    田中  一君       建設委員長    中村 順造君       決算委員長    藤原 道子君       懲罰委員長    岡田 宗司君から、それぞれ常任委員長辞任いたしたいとの申し出がございました。  いずれも許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よっていずれも許可することに決しました。      ——————————
  7. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) つきましては、この際、日程に追加して、  常任委員長選挙を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
  9. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 常任委員長選挙は、その手続を省略し、いずれも議長において指名することの動議提出いたします。
  10. 栗原祐幸

    栗原祐幸君 ただいまの柳岡君の動議に賛成いたします。
  11. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 柳岡君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  よって議長は、  社会労働委員長千葉千代世君を指名いたします。    〔拍手〕  逓信委員長野上元君を指名いたします。    〔拍手〕  建設委員長松永忠二君を指名いたします。    〔拍手〕  決算委員長鶴園哲夫君を指名いたします。    〔拍手〕  懲罰委員長中村英男君を指名いたします。    〔拍手〕      ——————————
  13. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第一、電波法の一部を改正する法律案及び放送法の一部を改正する法律案趣旨説明)。  両案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。郡郵政大臣。    〔国務大臣郡祐一登壇拍手
  14. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 電波法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  この法律案は、放送その他の分野におきまする電波使用発達電波監理実績にかんがみまして、周波数計画的な使用をはかるための制度を設けますこと、放送局免許基準及び手続整備すること等の必要がありますので、これらの事項につきまして所要改正を行なおうとするものであります。  次に、その要旨を申し上げます。  改正の第一は、周波数計画的な使用であります。これは、電波使用する業務の種別に応じまして、業務別周波数分配計画を定めますとともに、これに基づきまして、放送局等に対する周波数使用計画を定めることとしようとするものであります。  第二は、放送局その他の無線局免許審査基準整備することであります。これは、申請無線局周波数分配計画または使用計画に適合すべきこと、及び、その開設が公益上必要なものであるべきことを明定いたしますとともに、一般放送事業者放送局につきましては、放送法に定める放送事業者としての適格性の要件を満たすべきこと等を加え、また、無線局の再免許審査業務実績に照らして行なうことを明らかにしようとするものであります。第三は、電波監理審議会への諮問事項とこれに関する公聴会であります。これは、さきに申し述べました周波数分配計画または使用計画の作成、無線局の再免許処分等を新たに諮問事項に加えますとともに、これらの諮問事項につきましては、従来の聴聞を公聴会等に改めようとするものであります。  なお、以上のほか、所要規定整備をすることといたしております。     —————————————  次に、放送法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  この法律案は、放送の健全な発達をはかりますため、放送に関する国の施策目標を明確にし、教育のための放送放送番組に関する規定整備し、放送世論調査委員会設置運営に関する規定整備、その他放送番組適正化をはかるための措置を講じ、放送事業を営む者に対する免許規定を設ける等、放送に関する法制整備を行なう必要がありますので、これらの事項につきまして所要改正を行なおうとするものであります。  次に、その要旨を申し上げます。  改正の第一は、国内放送施策等に関する事項であります。この法律目的といたしております放送の規律の原則に、「教育目的実現教養向上に資すること」を加え、また、国内放送日本放送協会及び一般放送事業者が行なう体制を明らかにしますとともに、置局に関する施策目標を定めようとするものであります。  第二は、放送番組適正化に関する事項であります。国内放送放送番組編集の準則といたしまして、青少年の豊かな情操の育成に役立つようにすること等の基準を設け、かつ、国民一般的教養向上に資するようにするとともに、放送番組審議機関に関する事項整備し、また、協会及び一般放送事業者は、その協議によって、公衆の意見放送番組に反映させるための放送世論調査委員会を設けるものとしようとするのであります。  第三は、日本放送協会に関する事項であります。協会目的について、国内放送を行なうほか、国際放送並びに放送及びその受信進歩発達に必要な業務を行なうこと、放送受信料について受信設備設置者にその支払い義務のあること、国内放送放送番組編集について教育番組を有すること、及び、教育番組審議会を置くべきことを明らかにしました。また、協会業務財務等に関する事項経営委員会議決事項及びその委員の任命に関する事項整備し、協会財務の諸表には監査報告書を添えて提出すべきものとしようとするものであります。  第四は、一般放送事業者に関する事項でありますが、これにつきましては、新たに、放送事業を営むためには郵政大臣免許を要することとし、その基準といたしましては、同一地域内に同一の種類の放送を行なう二の放送局開設しないこと、これに準ずる支配をしないこと、放送番組に関する規定を遵守すると認められる法人であること等を定め、また、その国内放送放送番組編集につきまして、当該地域の諸条件に応ずるようにすべきものとしようとするものであります。  なお、以上のほか、所要規定整備をすることといたしております。  以上が、二改正法律案趣旨でございます。(拍手
  15. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。鈴木強君。   〔鈴木強登壇拍手
  16. 鈴木強

    鈴木強君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案趣旨説明がございました電波放送法案に対し、質問をいたします。  わが国において初めて放送が開始されたのは、大正十四年三月二十二日で、すでに四十一年の歳月が流れており、この間、放送事業は多くの紆余曲折を経て、今日では放送史上空前発展を見るに至ったのであります。すなわち、わが国ラジオ放送がうぶ声をあげたその初期には、東京大阪、名古屋の三地域において、それぞれ独立経営による放送企業体が併存していたのでありますが、大正十五年になって、統合組織体としての日本放送協会が発足し、実質的な独占形態として全国ネットワークの拡充をはかりつつ、その機能を発揮してまいったのであります。昭和二十五年以降、わが国放送事業形態は、放送法に基づく特殊な公共企業体としての日本放送協会と、民間経営によるいわゆる商業放送の二本立ての新放送制度が確立されたのであります。この間、最も大きな時期を画したのは、昭和二十八年二月一日、NHKによるテレビジョン放送の出現であったと思います。かくして、現在、わが国におけるラジオテレビ受信機数は二千万個をこえており、この二大メディア国民生活に強く深く浸透して、いまや絶対に欠くことのできない重要な文化機関となっているのであります。  ところで、一方、放送事業を規律する現行放送関係法令は、十余年前の制定にかかるものでありまして、その後、数次にわたり小改正は行なわれましたものの、放送事業の急激な発展等わが国放送界の事情の急変に即応するものではなく、特に放送局開設根本基準使用電波割り当て等、最も重要な事項法制化されておらず、また、テレビラジオ許可権はすべて郵政大臣の手中に握られており、時の政府考え方一つによって、いかようにもなるという盲点を内臓しているのであります。このために、放送局認可をめぐって十二チャンネルの訴訟問題が起こり、第一次チャンネルプランで姫路に割り当てられておりましたテレビ電波が途中で政治的に大阪に変更されたり、与野党がこぞって時期尚早と強く反対したNTSC方式によるカラーテレビの本放送が一部のものの圧力に屈服し、郵政大臣権限の発動という強行手段によって認可されたり、また、FM放送UHF帯によるテレビジョンキー局放送についても、何らの基本方針も確立されておらず、使用可能な多数のこれら電波は、長い間睡眠を続けているのでありまして、これは国家的損失と言わなければなりません。社会党は、常に政府御都合主義的電波行政を追及して、不備欠陥の是正を迫ってまいったのでありますが、そのつど、善処する、検討するという、その場限りの答弁に終始して、みずからの責任をサボリ、わが国電波行政を今日のごとき混乱状態におとしいれたことは、かかって政府の怠慢と言わなければならず、その政治的責任はきわめて大きいのであります。  私は、ここに、政府に対し、重大なる反省を求めつつ、基本的な問題についてお伺いします。  質問の第一は、両法案改正基本的態度についてであります。この改正案は、おそらく、昭和三十九年九月八日政府になされた臨時放送関係法制調査会答申を受けて作成されたものと思いますが、当時、徳安郵政大臣は、国会の論議を通じて、「電波放送法案改正にあたっては、調査会答申を尊重し、野党、特に社会党意見もよく聞いて、争いがあとに残らないようにしたい。また、両法案は四十八通常国会には必ず提出する」と言明されたのであります。しかるに、今回の改正にあたっては、立法作業の過程においても全く野党を無視し、政府与党のみで隠密裏作業が進められ、大詰めの段階に至って、与党の一部諸君の突き上げを食って、答申とかけ離れた重大決定がなされたともいわれているのであります。第四十八通常国会提出言明を一方的に破ったこととあわせて、かかる政府のやり方は、民主主義の否定であり、断じて許すことはできません。しかも、このことによって、UHFチャンネルプランをはじめ、FM放送局認可広域放送県域放送をどうするか等、当面緊急に解決を迫られております懸案問題の処理は延引延引を重ね、特にFM放送については、すでに二百十五社、四百三十三局、テレビについては百四十四社、百五十四局の新規放送局免許申請書提出されておるのでありますが、すべては法律改正後という、郵政省の合いことばのもとに、ほこりをかぶされたまま、放置されているのであります。総理大臣、あなたは、あなたの内閣の前閣僚が行なった国会における言明公約無視の事実と、今日までの電波行政無為無策と、これによって生じている電波行政混乱に対して、最高責任者として、政治的責任をどうお考えになっているのでございましょうか。また、郡郵政大臣は、徳安大臣より当然引き継ぎを受けておられたと思いますが、なぜ公約を守っていただけなかったのでしょうか、お伺いします。  質問の第二は、放送における言論表現の自由の確保についてであります。現行放送法が、放送の不偏不党、表現の自由の確保等保障していることは、御承知のとおりであります。しかるに、今回の改正案を見ると、従来から設置規定されております放送番組審議機関を改悪し、また、新たに放送世論調査委員会設置することといたしましたほか、答申をこえて、推賞や勧告権限を付与したり、本来規制が加わることが当然とされております事業免許制度民間放送に新設して、事業監督の道を開くなど、どのように見ましても、放送事業者に対する締めつけを強化しようとするものでありまして、放送による言論報道表現の自由の保障に重大なる脅威を与えることは、疑いないところであります。このことが、もしなされた場合には、単に放送だけにとどまらず、ひいては、わが国マスコミ全般にも重大な悪影響をもたらすことになると思います。申すまでもなく、言論報道における表現の自由の確保は、民主国家における不可侵の大原則であらねばなりません。総理は、言論報道の自由の保障について、どうお考えでございましょうか。今回の改正は、自由保障を侵すことになると私は思うのでございますが、いかがでございましょうか、お伺いします。  また、改正案では、NHK教育放送を義務づける等、教育放送強化方針が打ち出されておりますが、これは、教育番組に関し、放送事業者に対する文部大臣の助言と勧告の道を開かんとするものであると伝えられております。この改正機会に、文部当局放送に介入してくるのではないかと危惧されているのでございます。文部当局放送内容に介入することは、もちろん不当であり、許されるものではありません。最近は、小中高校において、テレビラジオ放送利用が盛んに行なわれていると思うのでありますが、文部大臣としては、一体、この放送利用基本方針として、どういうお考え方をお持ちでございましょうか、お伺いをいたします。  質問の第三は、広告放送についてでございます。商業放送におけるテレビラジオスポット広告放送のうち、特に薬品の広告規制に対しては、すでに厚生省が自粛の要望を行なったのでありますが、必ずしも関係業界に受け入れられているとは思えないのでございます。私は、スポット放送は、医薬品に対する知識の必ずしも十分でない聴視者に、誤った認識を持たせたり、乱用さしたりするおそれがないとは言えないと思うのであります。もし誇大広告等が行なわれる場合は、法に照らして取り締まることは当然でありますが、厚生省の指導のしかたといたしましては、あくまで業界の手による自主規制によって問題の起こらないようにすべきだと思うのでありますが、厚生大臣の御所見を承りたいと思います。  質問の第四は、放送行政基本に関する最も重要な事項として、調査会答申した放送行政機構についてであります。初めに述べましたように、わが国放送行政が今日のごとく混乱を生じております大きな原因の一つに、放送局開設認可権郵政大臣にあり、この権限行使が政治的に利用される等、とかく問題をかもし出したことは強く批判をされ、これが改善策は各方面から熱望されていたのであります。この点に関して、調査会は、新たに放送行政に関する委員会設置し、放送用周波数使用計画放送局免許等は、放送行政に関する委員会議決事項とし、郵政大臣はこの委員会議決に基づいてのみその権限を行使し得るようにするとの答申を行なっているのであります。私は、この答申はまことに時宜を得たものでありまして、このことによって従来の弊害が除去され、限りある電波を理想的に使用して、最大の放送文化を築き、放送行政が本来の方向に整備されて、効果的運営が行なわれるものと、かたく信じ、今回の改正案にこの点が入れられることを強く期待していたのであります。しかるに、かかる重要事項が完全に無視されたことは、何としても納得することができません。政府は、答申を尊重すると言いながら、なぜ改正案にこの点を取り入れなかったのか、総理郵政大臣に御所見を承りたいと存じます。  質問の第五は、マスメディア集中独占排除についてであります。マスメディア集中独占化は、非民主的な弊害をもたらすおそれがあり、かつ、電波の公正な利用という観点からしても、その排除電波放送行政基本でなければなりません。従来、郵政省においてもこの方針をとってこられたことは、高く評価されてよろしいと思います。しかし、最近は、この方針がどうもぐらつき出したように思われてなりません。この点につきましては、答申の中にも示されておりますように、いかなる形式にするかは別といたしまして、明確な根拠法律に置くようなぜ措置しなかったのでございましょうか。これはたいへん大事な問題でございますから、総理から御所見を承りたいと思います。  質問の第六は、NHKあり方についてであります。御承知のとおり、NHK公共企業体組織でありますから、経営基本方針とこれに基づく予算の大綱について国会承認を得ることは当然でありますが、それ以外の運営方針については、できる限り経営委員会経営者にその責任をまかせ、協会自主性を尊重して、思う存分力量を発揮させ、もって放送法目的たる公共の福祉に適合し、健全な民主主義発達に資するようにすべきだと思います。もちろん、NHK経営者は、業務運営にあたっては、その財源受信料にあることを常に念頭に置き、財政経理が安易にならないよう厳に戒めることは当然であります。総理の御所見を承りたいと思います。  質問の第七は、放送衛星実用化とオールチャンネル受信対策についてであります。通信衛星中継媒体として欧米両大陸間を結ぶテレビ中継に成功したのは、昭和三十七年の七月でありますが、その後、全世界的な規模に立つテレビ中継実現への期待は急速に高まってまいり、多くの国では、通信衛星利用による今後の開発に備え、準備を進めているのであります。わが国においても、郵政省国際電電NHK民間放送等において、それぞれの立場から鋭意研究を重ねているのでありますが、それぞれ考え方が違っておりまして、一体どれを信用していいのか、判断に迷うのであります。このことは、開発研究と将来の見通しについて、いまだ政府に一貫した計画方針の持ちあわせがないからであります。一方、科学技術庁東京大学においても、通信衛星開発研究を行なっているのでありますが、これらが一体化となっての研究国民の強く望むところであります。郵政大臣科学技術庁長官は、わが国における通信衛星の総合的、一元的開発研究基本方針を、宇宙開発審議会等において早急に確立すべきだと考えますが、いかがでございましょうか。また、郵政大臣は、放送衛星実用化はいつごろと判断されておられますか。そうして、これに対して、放送行政的観点からどのように対処しようとするのか、お伺いします。  今後、UHF電波本格的使用考えられ、わが国においてもUV混在による全面的な放送が行なわれることは必至と思います。これに対して、郵政大臣は、アメリカにおけるオールチャンネル法的な法律を制定して、受信者の利益を守るようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。  最後に、東京十二チャンネルについてお伺いします。東京十二チャンネルは、発足以来、一年有余ヵにして、約十四億円にのぼる経営上の赤字を生じ、全体としての負債額は四十五億円の巨額に達しております。そこで、やむを得ず、去る四月四日より、放送時間を五時間半に短縮し、百八十一名にのぼる人員整理を断行し、協力会費一億円を財源とする収支予算をもって再建計画を樹立し、風前のともしび的な放送を続けているのであります。昨年六月、郵政省が再免許に際して付された条件は全く破られて、今日のような最悪の経営状態となった十二チャンネルは、もはや放送局開設根拠を失っているのであります。十二チャンネルに対して設立の認可を与え、監督権を持たれる郵政大臣科学技術庁長官責任は、重かつ大と言わなければなりません。再建計画は、十分検討してみましたが、明らかにごまかしのものでありまして、その内容は、再建計画ではなくして、自滅計画であります。私は、ここに両大臣責任をきびしく追及するとともに、再建計画に対して確信が持てるという言明がここでできるでございましょうか、御所見を承りたいのであります。また、総理大臣は、この問題をどうお考えになっているのでございましょうか。この際、政府は、わが国における科学技術教育専門放送局あり方について再検討を加え、民放における教育放送経営可否等をも含めて、抜本的な考究を行なうべきではないかと私は思うのでございますが、総理の御所見を承りたいと存じます。  以上で私の質問を終わります。(拍手)   〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  17. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 鈴木君にお答えいたします。  ただいま、わが国におけるラジオテレビ等発達経過等については、鈴木君が御指摘のとおりだと思います。したがいまして、ただいまの放送法あるいは電波法が、御指摘にありましたように今日の実情にはなかなか合っていない、こういうことはお説のとおりだと思います。また、説明ではっきりいたしましたように——郵政大臣から提案理由説明いたしましたが、今回の改正は、過去の経験を生かし、同時にまた、国民放送に対する要望にこたえる、各界各層の良識、良知を集めて、そうして成案を得て、今後の放送あり方、あるいは電波政策あり方等をきめるまことに重大なものでございます。この点も御理解はいただいたと思いますが、ただ、それにつきましても、前大臣が具体的に社会党と相談をするとか、あるいは四十八国会提案するとか、かように申したと言われますが、私は必ずしも、そう具体的に、はっきりした約束があったとは思いません。ただいま申し上げますことは、一昨年、法制調査会答申を得まして、今回の改正はまことに重大だと、かように考えるがゆえに、各界各層意見を十二分に取り入れて、そして納得のいくようなものをつくりたい、できるだけ早い機会提案をすると、かように申したことだろうと思います。ただ、残念なことには、一昨年に、さような法制調査会答申があったにかかわらず、四十八国会提案することができなかった。同時に、この点では、提案のできなかったことは、重大な法案でありますだけに、郵政省も態度として慎重であったと、かように御了承いただきたいと思うのであります。したがいまして、今回の放送法改正にあたりまして、私どもが最も意を用いたものは何か。これは申すまでもなく、放送の自由、あるいは言論の自由、あるいは表現の自由、こういうことに制限を加える、こういうことは絶対に避けなければならない。今日、私が申し上げるまでもないことですが、民主主義国家としての最も誇りにするこの言論の自由、あるいは表現の自由、こういうことが確保されなければならない、かように思いまして、特に意を用いたつもりでございます。したがいまして、いろいろ社会党には社会党の御意見がおありだと思いますし、また、その他の公明党や共産党におきましても、同じようにこれについては御意見がおありだと思いますが、十分その審議におきましてそれらの御意見を戦わして、そして、りっぱな放送法電波法をここに成立さしていただきたいと、心から願う次第でございます。  ただいまもお話にありましたように、いろいろ問題が山積しておるのではないか、新規免許や、あるいは在来の免許の修正、あるいは増補等、いろいろ問題が山積している。しかし、そのつど言うことは、新しい法律ができて、その基本に従って解決いたします。これこそは事務の渋滞を来たす、けしからぬことだ、かようなおしかりを受けましたが、私は、最初に鈴木君が御指摘になりましたように、今日の法制そのものが実情に即しない部分もあるので、どうか皆さんの御協力のもとに、早くりっぱな放送法の成立を得まして、そしで、その定めるところによっての処置が、これがいい行き方ではないか、かように思いますので、おくれて迷惑を国民に与えておる、かように思えば思うだけ、早く法案の成立をさせていただきたいと、お願いする次第であります。  同時に、審議会において特別な委員会を設けて、そうして行政機構の改革をはかれ、大臣権限が少し強過ぎやしないか、そこらに問題があるのだ、事務能率も低下しておる、かようなおしかりでありますが、私は、この点につきましては、鈴木君とは別な考え方を持っておりまして、今日の内閣法のもとに各省制度というものがあり、そしてその責任が非常にはっきりしておる。したがって、大臣が許認可権限を持っておる、これは当然その責任の所在を明確にすることで、望ましいことだと思います。しかしながら、これは、ほんとうに責任がとれないような状態で行政が処理されてはならないと思います。ことに制度審議会において申しますことは、どこまでもこの種の国民に対しての権利の設定、こういうような事柄については十分厳正であって、公正な扱いをすべきである。また、一貫性が行政になければならない。かような御指摘だと思いますので、この点については、この御期待に沿うように今後とも十分努力してまいるつもりであります。  次に、マスメディア集中排除についてのお尋ねでありますが、申し上げるまでもなく、マスメディアに対して規制を加える、こういうようなことは民主主義のもとにおいては好ましいことではございません。しかし、実情は、ただいまの放送の媒体がとにかく非常に強力なものになっておる。その結果、放送が一カ所に集中される、かような事態が起こっておるのであります。そういう意味におけるこの集中排除、これはやはりしなければならない、かように思うのでありまして、このマスメディアの内部規制、こういう意味ではなくて、集中排除、こういうところに重点が置かれておるのでありますから、誤解のないように願いたいと思います。また、行政の遂行にあたりましても、この点は十分注意をいたしまして、そうして民主主義基本に反することのないようにいたしたいものだと思います。  NHKの企業体としてのあり方についてのお尋ねでありますが、これは申すまでもなく、放送法に基づく特殊の法人でございます。したがいまして、この特殊性を十分生かすということが大事であります。しかしながら、NHKも国家的なコントロール、これはやはり受けざるを得ない。しかし、その点では最小限度にこれを受けるということで、国会権限等にもきわめて制限がされておると思います。その他の放送自体の問題については、どこまでも自主性が尊重される、かように私は考えておりますし、また実際にも、自主性が尊重されてきております。  最後にお尋ねのありました科学放送の問題でありますが、私は、民間放送におきましてもこの種の事柄が行なわれることが最も適当だと、かように思いますので、ただいまの方針を変える考え方はございません。(拍手)   〔国務大臣郡祐一登壇拍手
  18. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) お答えいたします。  初めに、立法の経緯、基本態度であります。これは、ただいま総理からもお答えがありましたように、臨時放送関係法制調査会答申を基礎といたしまして、各方面——国会関係、報道、放送、世論一般、各方面の意向を十分参酌いたしました。したがいまして、社会党の発表されました放送法改正に関する党の態度等を十分参考といたしました。このように各方面の意見を参酌した上で、放送制度の健全な発達を期待してまいる、こういう次第であります。したがいまして、ただいま鈴木さんが御指摘になりました各種の懸案が、法律改正によって可能となるのであります。  第二には、放送行政機構についてのお尋ねでございました。放送行政機構については、調査会答申が要求しておりまするように、電波監理審議会諮問事項を増加したり、公聴会の開催をいたします等、改正法は十分慎重な手続を定めたのであります。調査会自身が指摘しておりまするように、諮問機関としての委員会が適切なのでありまして、純然たる行政委員会制度政府責任の所在を不明確にいたしますので、とるべきものではございません。  第三には、放送衛星実用化とオールチャンネル法的な法制が必要ではないだろうかというお尋ねでございました。総合的、一元的な開発が必要でありまするから、現に関係機関はきわめて密接な連絡をとっております。放送衛星は、御指摘のように、一個の衛星によって広い地域を対象といたしまするから、将来は十分、国際放送国内放送利用されるものと思います。しかし、放送衛星は、何分にも各国の研究がようやく緒についた程度であります。たとえば衛星の電源とか、アンテナをどうするとか、衛星から電波を送るが、その電波受信する設備の技術的な開発がなお残っております。さらに、国際的には、使用周波数の取りきめ等、事前に措置を要する問題が多いのであります。したがって、私にお尋ねのございました実用化の時期については、技術的に考えましても、放送衛星については十年以上かかるだろうと思うのであります。しかしながら、もし放送衛星ではなくて、放送中継専用の通信衛星による中継の実用化はどうかということでありまするならば、これは比較的容易に実現することと思っております。  なお、UV混在の場合の御質問がございましたが、混在方式をとってまいるといたしましても、地域的に順を追って実施してまいりまするから、この場合におきましては、UHF受信を可能とする受像機の普及措置を当然とるべきものと思います。  最後に、十二チャンネルについてのお尋ねでございます。現在のいわゆる再建策は暫定的な計画でありまするし、再免許の際は、財団の事業改善の制約等から見まして継続可能と判断したのでありまするが、財団が、本来の趣旨に沿いまするよう、すみやかに根本的な再建計画を立てることを期待している次第であります。  以上をもってお答えといたします。(拍手)   〔国務大臣中村梅吉君登壇拍手
  19. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 今度の放送法改正に関連して、教育放送等が非常に重視され、また、拡張されるようなことになってきておりますので、これに関連して文部省が不当介入するような懸念はないのかと、こういう御指摘でございましたが、これは現行法及び改正法、いずれも第三条に、放送番組編集の自由と責任規定がございまして、この条項はあくまで厳守されるべきものであると思います。従来におきましても、文部省はこうした放送に不当介入したことは全然ないと思いますが、今後におきましても、この点は十分第三条の規定趣旨を尊重して、さようなことは絶対ないようにいたしてまいりたいと思います。  ただ、教育放送の中には、御承知のとおり、幼稚園、小学校、中学校、高等学校等の教育に直接利用する教育放送がございます。この教育放送につきましては、別に、現行法の四十四条、新しい今度の法律で第三条の二と組みかえが行なわれましたが、この改正法の第三条の二にも、また、現行法にも明らかにされておりまするように、学校教育放送については、「その内容が学校教育に関する法令の定める教育課程の基準に準拠するようにしなければならない。」と、こういう規定がございます。これはおそらくこの放送事業者に対して責任を負わせた、放送事業者が学校教育放送をする場合には、教育課程に準拠するように、その基準に準拠させなければならないのだと、こういう規定であると思います。そこで問題は、放送事業者教育という専門の事柄について、専門の知識を要するという場合に、文部省の協力を求められれば、これは教育を担当しております文部省としましては、その要請に応じて、積極的に教育課程に準拠をしていただくように協力をするのは当然でございますから、これは介入とかなんとかいう意味ではなしに、こういう意味で今後も協力を続けてまいりたいと、かように存ずる次第でございます。  次に、宇宙開発の一元化について言及がございました。これは御承知のとおり、東京大学付置研究所としての宇宙開発研究所がございまして、この宇宙開発研究所は、御承知のとおり、広く門戸を開放して、国内の国公私立各大学の学者、科学者、こういう方々には広く御参加を願って、ロケットの研究をいたしておりますが、このロケットの研究は、目的は宇宙の純学術的な物理現象の研究にあるわけであります。かたがた、科学技術庁がやっておりますロケットの研究は、これはロケットの利用面を目的にしておるのでありまして、放送通信あるいは船舶の航行、こういうことに今後ロケットを活用しようということで、利用面を担当しておるわけであります。しかしながら、それぞれそういう作業をする上において、非常に緊密な関係を保って、御指摘のように、一元的な運営をしていくことが望ましいのでございますので、御承知のとおり、現在宇宙研の高木博士が科学技術庁の推進本部長も兼務いただいておる次第で、この宇宙開発の一元化については、われわれも極力今後つとめてまいりたいと、かように存じております。(拍手)   〔国務大臣鈴木善幸君登壇拍手
  20. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 医薬品の広告が、薬について必ずしも十分な認識を持っていない消費者に、誤った認識を与える、医薬品の誤用あるいは乱用を助長するおそれを与えるというものであってはいけないということは、鈴木さんが御指摘のとおりでございます。このことは、虚偽誇大の広告につきましては、薬事法に基づいてこれを厳正に指導をいたしてまいったところであります。さらに、広告の適正を期しまするために、医薬品等適正広告基準に従いまして、合理的な指導を行なってまいったところでありますが、テレビラジオの短い時間のスポットにつきましては、十分、意を尽くせない点がございますので、この指導につきましては、特に留意をしてまいりたいと考えております。(拍手)   〔国務大臣上原正吉君登壇拍手
  21. 上原正吉

    国務大臣(上原正吉君) お答えいたします。  放送衛星に関しましては、郵政大臣並びに文部大臣の御答弁で尽きておりますので、いまさら加えることは何ものもございません。  十二チャンネルのことに関しましては、郵政大臣がほとんどお答えになりました。ただ、この再建計画に確信が持てるかというふうなお話でございましたが、何ぶんにも財団法人でございまして、もともと営利事業ではございませんのと、これには百社をこえる日本を代表する実業団体、会社その他がついておりまするので、これが協力会を結成いたしまして、応援をいたしておりますので、それにまた、当局は非常にすぐれた実業家ぞろいでございまするから、たぶんりっぱに更生できるだろうということを期待しておる次第でございます。(拍手
  22. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  23. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第二、農地管理事業団法案趣旨説明)。  本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。坂田農林大臣。   〔国務大臣坂田英一君登壇拍手
  24. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) 農地管理事業団法案について、その趣旨を御説明申し上げます。  農業生産を維持増大して国民食糧の安定的な供給を確保するとともに、農業と他産業との間における所得及び生活水準の格差の是正をはかることが、農政の基本であると考えます。そのためには、零細な兼業農家を含め農家全体を対象として農業生産を振興し、その所得を高めることに努力いたすことはもとよりでありますが、最近における農業の動向から見ますと、農業に専念し、農業所得によって生活することができる農家を相当数育成することがきわめて重要であろうと存じます。このような自立経営農家及びこれに準ずる協業経営が健全に育成されるためには、農業に専念する農家が漸進的に経営規模を拡大し、生産性の高い農業経営の基礎を確立することのできる条件がつくられることが必要であります。  最近における農家戸数の推移を見ますと、昭和三十五年から四十年までの間に年平均約八万戸の減少を示しました。この間、都府県で一・五ヘクタール以上の農家が多少増加しておりますが、経営規模の拡大の傾向は必ずしも顕著とは言えない状況にあります。また、農地についての権利移動を見ますと、自作地の売買等による有償移動の面積は年々増加し、昭和三十九年には約七万五千ヘクタールとなっておりますが、その内容においては、自立経営を目ざす農家の経営規模の拡大の方向に沿って行なわれているとは必ずしも言いがたいのであります。  そこで、年々移動している七、八万ヘクタールの農地に着目し、地域の実情に応じ無理なく経営規模の拡大に資するよう方向づけることにより、農業によって自立しようとする農家及びこれに準ずる協業経営の規模拡大を促進することを目途として農地管理事業団を設立し、農地及び未墾地の取得についてのあっせん及び融資、農地の売買その他、農地移動の円滑化に必要な業務を行なわせるため、この法律案提出したのであります。  政府は、第四十八回通常国会における法案の審議経過等を勘案し、農地管理事業団の業務の範囲に未墾地の取得についてのあっせん及び融資を加えるとともに、事業団の業務は、今後事業の実施状況を見、市町村の希望により農村らしい農村のすべてにおいて実施することを目途として、初年度四百市町村において行なうものとし、また農家に直接接触する事務は市町村及び系統農協に委託して処理することとする等、構想を改め、所要予算を計上するとともに、この法律案提出した次第であります。  以上がこの法律案提出する理由でありますが、以下、事業実施上特に重要な法律案内容について御説明申し上げます。  第一に、農地管理事業団の目的は、農地等にかかる権利の取得が、農業経営の規模の拡大、農地の集団化その他、農地保有の合理化に資するよう、適正円滑に行なわれることを促進するため、これに必要な業務を行なうことにより、農業構造の改善に寄与することと規定しております。  第二に、事業団の業務に関する規定であります。  まず、事業団の業務の範囲といたしましては、農地、採草放牧地、未墾地またはこれらの付帯施設についての売買または交換のあっせん及びその取得に必要な資金の貸し付けと、農地、採草放牧地またはこれらにかかる付帯施設についての買い入れ、交換及び売り渡し、借り受け及び貸し付け並びに信託の引き受けを行なうこととしております。  次に、事業団は、農林大臣の指定する業務実施地域内にある農地等について業務を行なうものとしております。この指定は、都道府県知事が関係市町村と協議し、都道府県農業会議意見を聞いて申し出た場合について行なうこととしております。  さらに、事業団の業務執行の方針といたしましては、自立経営になることを目標として農業経営を改善しようとする農家及びこれに準ずる農業生産法人の農地等の取得または借り受けを促進するように、その業務を行なわなければならないものとしております。  また、事業団の貸し付け金及び売り渡し対価の償還条件は、年利三分、償還期間三十年以内の元利均等年賦償還とするほか、一定の場合における一時償還及び償還の猶予、売り渡した農地等の買い戻し、農地等の信託にかかる信託法の特例、地方公共団体及び信用農協連合会等に対する業務の委託について規定いたしております。  以上のほか、農地法の適用につきまして、事業団による農地等の買い入れ、売り渡し及び借り受け、貸し付けについては許可を要しないこととし、また、事業団が農地等を借り受け、これを貸し付けた場合は、小作地の所有制限は適用せず、更新拒否等についての許可を不要とする等の特例を設けることといたしております。  さらに、税制上の特例といたしましては、本法案において不動産取得税を軽減することとしておりますが、また、別途、租税特別措置法の一部改正によりまして、所得税及び登録税を軽減することとしております。  以上が農地管理事業団法案趣旨でございます。(拍手
  25. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。武内五郎君。   〔武内五郎君登壇拍手
  26. 武内五郎

    ○武内五郎君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案されました農地管理事業団法案につき、総理大臣並びに農林大臣に対して若干の質問をするものであります。  私は、政府が今回ようやく基本法農政の背骨とも言うべき構造政策を取り上げるに至りましたことは、転換期に立つと言われる今日の日本の農業にとって、まことに重要な問題を提起したものであると考えるのであります。私は、まず、自由民主党歴代の政府がとってきた農業対策に対して、謙虚な反省を求めなければなりません。特に、自由民主党政府の農地制度に対する混迷した態度を指摘しなければなりません。  御承知のとおり、農地改革は、地主的土地所有を廃止して、農村の民主化と農業の近代化を進める重大な使命をもりて遂行されたものであります。しかるに、自由民主党政府には、機会があれば農地改革を打ち切ろうとする魂胆がつきまとっておったのであります。昭和四十年、いわゆる農地被買収者に対する補償法の強行をあげなければなりません。これは、農地を解放した地主に対する補償の二重払いであることは言うまでもなく、表面はいかに言いつくろおうとも、その腹の底では、地主制度の復活をねらうものであると言われてもいたし方のないほど、反時代的な態度であったのであります。農地改革によって、農民は、地主制度のもとでは思いも寄らなかった土地改良などへの意欲的な投資を行なってまいりました。進歩の最もおくれていると言われる東北地方でさえ、何人の拘束を受けることなく農業用機械を導入したり、また、早期栽培の新しい技術を取り入れて、生産力を高め、冷害の苦悩を軽減することができたのであります。しかるに、政府は、農地改革のもたらした農業生産力の前進から、ことさらに目をそらして、それを一そう発展させようとする施策を忘れて、ひたすら巨大な産業資本の育成に力を注ぐことに専念して、農業と農民を軽視する態度をとってきたのであります。  かかる政策の影響が強くあらわれた第一は、無計画な都市の拡張による工場の敷地、宅地の造成のための人為的な農地の荒廃であります。  第二は、農地価格の騰貴と農地の細分化及び兼業農家の増加等、きびしい事態が起きてまいったことであります。ことに、実質的小作制度の復活である請負耕作が各地に発生していることは重視しなければなりません。  いまや、農地制度は事実上くずれつつあります。専業農家の兼業農家への転落、出かせぎ者の増加、農業生産力の低下と、食糧自給体制の崩壊など、日本農業は危機に直面しているのであります。その上、農産物の価格は安定せず、公共料金をはじめ、消費物価の高騰は、農民の生活を著しく脅かしておるのであります。お人よしのイワンのような農民は、農地を離れて、追われるごとく村を出て、仕事をさがし、流浪しなければならない運命へと追いやられているのであります。農民が窮迫するところに、また、農業生産力の低下は避けられないのであります。この農業の現実の姿は、農業の危機と言う以外に何の表現がありましょうか。私は、日本の農業の実情を直視して総理大臣はいかに考えているか、偽りのない心境を伺いたいのであります。  次に、この法案は第四十八国会提案され、次のような批判があり、ついに審議未了となったのであります。すなわち、  その第一は、農地価格が高く、農業所得率が低く、拡大再生産を期待する条件の乏しいもとでは、たとい融資による農地の取得を進めても、自立経営の維持は困難であるということであります。  第二は、離農する農家に安定した就職の保障のないもとで農地を手放させようとすることは、小農切り捨てとなるということであります。  第三は、本事業団の事業の推進は、自立経営たり得るものと、そうでないものとを差別することとなり、差別農政が行なわれる危険があることであります。  第四は、事業の対象は、農業のよって立つ農地であり、農民に対して差別農政が行なわれるところに、官僚統制の生じるおそれがある等の、多くの批判や反対意見があったのであります。  政府はこれらの批判をどれだけ尊重し消化したか。また、本事業の推進のための諸条件が成熟したものと考えるのか、お尋ねしたいのであります。  質問の第三、本事業団の目的である農業経営規模の拡大、農地の集団化、その他、農地保有の合理化など、いかなる方法によってこれを進めようとするか、お尋ねしなければなりません。  農業の生産性の低下を克服して農業所得の増大をはかり、食糧自給体制の確立という立場からも、経営規模の拡大が要求されましょう。事実、何とかして農業で生きようとする農民の中から強く要求されているのであります。また、他方、農業就業人口の激しい流動によって生じる労働力の不足を補おうとする新しい農業経営形態への移行が見られるのであります。すなわち、省力的農業の形成が要求されているのであります。しかるに、新しい農業経営形成の要請にもかかわらず、農地移動の実情は、たとえば、昭和三十九年に移動した農地の面積は、自作地で七万六千町歩、このうちには、零細農家が取得した分も含まれておりますから、経営拡大のための農地移動は、全耕地面積のわずか一%にすぎないのであります。しかも、本事業によって集中をはかろうとする耕地面積は、年間わずかに一千九百町歩ということでは、なおさら問題にならないではありませんか。  質問の第四は、この事業団では、自立経営者たり得る農家だけを区別して、その対象としようとすることであります。すなわち、自立経営農家を造成するためには、農業から追い出される者を選び出さなければなりません。計画がまだ中央政府や都道府県段階のうちは、むしろ農民の中には、あるいは期待する者があるかもしれません。しかし、市町村の手に移り、実際の問題に直面したとき、そこにはもはや、自立農家としての保護育成を受ける者と、農業から追い出される者とが明らかにされるのであります。だから、しばしば農民の首切り政策だという批判が起こるのは当然であります。  かつて、秋田県北秋田郡比内町が農業構造改善事業の地域に指定されましたが、農民の強い反対を受けて返上した事件がありました。この比内町では、育成する自立農家は何戸で農地は何町何反、そうして離農する者は小坂鉱山などに就職をあっせんするなどの計画を立てたところが、大騒ぎになったのであります。今日の構造改善事業の指定地区の七〇%は何らかの形で農民の抵抗を受けているといわれております。構造改善事業の推進は、残酷な生体実験だと言われるのは、こういうことからであります。  農地管理事業団の構想は、このような構造改善事業の失敗を繰り返すものとなるのではないでしょうか。農民の分解と対立を引き起こし、生活のよりどころを失わしめて、政府に対する不信感を育てることになるのではないでしょうか。追われる不安のつきまとうところの農民は、寒い北風にマントのえりをかたく押えるイソップ物語の旅人のごとく、農地に執着するのは当然だと言わざるを得ないのであります。農地の流動化を促進するためには、離農しても就職も住居も心配のない措置がとられなければなりません。離農者に対するあたたかい保障対策を示していただきたいのであります。  本事業は、自立経営農家の育成にのみ重点を置き、零細農民の離農を促進しようとする差別農政のもとでは、農業は混迷におちいり、生産は減退しましょう。現に、過去三年連続して米は減産しており、また、各作物の作付面積は、三十五年の二百二十八万町歩が四十年には三一%減の百五十六万町歩と、大幅な減歩を示し、農業生産の停滞を明らかにしているのであります。したがって、主要農産物の自給率は年々下降線をたどり、食料農産物だけについて見ても、三十三年から三十七年までは、おおむね八七ないし八八%程度であった自給率が、三十九年には八一%に低下しておるのであります。生産の減退を補っていき、需要にこたえるためには、もっぱら輸入農産物に依存しなければなりません。近年わが国の農産物輸入の増加は真に著しいものがあり、三十六年、三十七年には、ほぼ十億ドルからの輸入が、三十八年には一挙に十五億ドルに、三十九年はさらに十八億ドルに達しようとし、四十年度もまた、引き続き高率な増加を見せておるのであります。白書は、食料を中心とする農産物の自給率を、できる限り維持することが望ましいと述べながら、一方では、その著しい農産物の輸入の増加を、開放経済体制へ本格的に移行し、輸入市場としてのわが国のシェアが高まって、世界農業との結びつきを深めていると、みずからを高く評価するごとくに見えるのであります。これでは、政府が本気に食糧自給度維持のための農業政策を持っているのかどうか、疑わざるを得ないのであります。  経営規模の拡大は、第一に農地の集中をはかること、第二に経営内容を近代化することであります。しかるに、最近の耕地の動きを見まするに、水田も畑も、人為的な決壊を中心とする壊廃面積は、開墾、干拓等により拡張面積を上回って、はなはだしく面積の減少を来たしておるのであります。それは同時に、農地価格の騰貴を刺激し、かえって農地の流動化を妨げておることであります。たとえ、若干の移動はあっても、その面積は零細であって、経営規模拡大の方向をとっていないのであります。加えて、農地保全の目的をもって発足した農地信託制度利用はほとんどなく、逆に、請負耕作制度の広がりは、実に目ざましいものがあります。請負耕作は、農地法の目をくぐる、やみ小作制でありまして、それ自体、経営規模の拡大を妨げておるのであります。かかる事態は、政府の政策を信頼しない農民が、みずからの生活を守ろうとする無言の抵抗であることを、深く銘記しなければならないと存ずるものであります。  農業は、いま厚い壁に突き当たっており、農民はまた、迷路に立っております。私は、混迷する日本農業のあり方と、窮迫する農民を思うとき、政府が、今日の農業政策を抜本的に改め、反省と良心に基づく政策の打ち出しができるまで、本案を撤回して、検討を加える必要があると考えるものであります。総理並びに農林大臣のお考えを承りたいのであります。  以上をもって私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  27. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  ただいま、農業の現状をいかに見ているかと、こういうことで、武内君の所感をまじえてのいろいろのお話がございました。申すまでもなく、ただいまたいへん苦しい状況にある、一言でかような言い方ができるかと思うのであります。同時にまた、農業自身が曲がりかどに来ているというような表現もあります。さきに、農業基本法を御審議の上で御制定を願ったのも、こういうような現状に対処するためであります。また、最近の近代経済の発展の結果、工業部門あるいは商業部門との間にたいへんな格差を生じておる、これも私どもは、しばしば指摘したところでありまして、農業と他産業との格差をなくする、こういう意味のあらゆる努力を今日まで続けてまいったのであります。申すまでもなく、生産性を向上することがその主要なる対策だと、かように私は考えます。そういう意味で生産性向上のための努力がいろいろなされてまいったのであります。その一つとして、農地管理事業団をただいま発足しようとして、おはかりをしておるわけであります。申すまでもないことですが、専業農家の育成強化、これがやはり、農業の自立、他産業との格差をなくする上において、最も重点を置くべき点だといままでも申し、またかように考えておりますが、同時にまた、農業所得の増加ばかり考えないで、現状では農家所得がふえるような措置もとっていかざるを得ない。そういう意味で地方開発等も積極的に推進するし、工場の誘致その他農家所得がふえていくような施策をとっておる、またとらなければならぬと、しばしば申し上げたことであります。そういう点で、政府基本的な態度、これは御了承いただきたいと思います。  ところで、今回農地管理事業団法案をおはかりいたしておりますが、すでに昨年もこれを提案いたしまして御審議をいただいたつもりであります。その際に、いろいろ御意見も出てまいりました。今回の再提案の場合には、それらの御意見も十分参酌いたしまして、事業の内容あるいはその経営の規模、あるいは市町村の協力の問題、さらにまた、税制上の問題等々、それぞれ手直しをいたしまして、今回御審議をいただいておるのでございます。  申し上げるまでもなく、農業の基本的対策、これを推進していく上において、これはどうしても必要だと、政府はかように考えておりますので、十分御審議をお願いするのであります。  その際に、ただいま御指摘になりました、大体、土地が高いじゃないか、専業農家を育成するといっても、高い農地を代価を払ってはなかなか専業農家の育成にならぬだろう、これも御指摘のとおりでありますので、こういう場合におきましては、農地管理事業団あるいはまた、金融等におきましても、特別に低利長期の資金の融資をする、三十年の返済期間、同時に年三分と、かような非常な低利長期の資金を用意する。あるいはまた、税制上でも、特に新しい取得者の負担にならないように、農地を手に入れる人の負担にならないようにくふうもいたしておるわけであります。  また、離農の人たち——あるいはこの制度を設けて離農を慫慂するのではないか、あるいは、はなはだしきは、離農を強要するのではないか。ただいまも農地あるいは構造改善の事業等について、地方における非難あるいは不平の点としてこういう点が、強要あるいは慫慂するんじゃないかというような御指摘でありますが、これは絶対に、離農を強要したり、あるいは奨励したりするような制度ではございません。むしろこういう事業のもとにおいて農業に専念して、そうしてその規模を拡大していくといういわゆる専業農家、これを育成強化する、それのお手伝いをすることが一つでありますし、また、現実には実際に離農しておる、何らのめんどうも見られないで離農し、その土地が荒廃に帰しておる。こういうのは、私ども政府からいたしましても、そのままほうっておくわけにはいかない。むしろ積極的に慰留しなければならないような方々、その場合の所有の土地に対して農地管理事業団がこの仲に入ることによりまして、十分その離農者の利益も確保する、こういうことでありたいと思うのであります。そういう意味の措置が今回とられておるわけであります。  次に、差別農政のお話に触れられましたが、これはただいま申し上げるような意味で、専業農家だけを育成強化するわけではございません。農政の基本が、専業農家も必要だ、同時にまた、零細農業あるいは兼業農家、これらの利益の確保も絶対に必要だと、かように思いますので、一方で協業も進めてまいります。同時に、農家収入がふえるような副業の道も開いてまいっておるのであります。  次に、請負耕作制がどんどん出ておる、これは旧小作制の復活ではないか、かように御指摘でありますが、この請負耕作制が出たのは、おそらく協業の関係等から効率的な制度としての請負制が生まれたのだと思います。私どもが十分注意しなければならないことは、逆行することは厳に戒めなければなりませんから、いわゆるやみ小作、かような批判を受けないように、これは正しいもの、あるいは役立つものであるような方向で使われることであるならば許されますが、同時に、農地制度は十分守っていきたいと思います。  そこで、旧農家に、いわゆる旧地主に対する農地補償の問題まで引き合いに出されて、これこそは旧地主制度への復活の道を開いだのではないか、かようなお話であります。旧地主に対する補償は、当時十分御審議をいただきましたように、政府の処置そのものが農民対策であったことだけは申すまでもない。旧地主は、多く農村にいて、農民である。しかしながら、これは農政にはつながっておらない、この点はぜひ武内君にも理解していただきたいのであります。私どもがあの補償制度をやりましたことは、当時十分説明をいたしましたように、旧地主のあの犠牲によりまして日本の民主化がはかられた。ひとり土地制度だけの問題ではありません。それを私どもは多とする。同時に、その後の経済界の変動によりまして受けた旧地主の方々の心理的ないろいろの点も考慮して、そうして、あの処置をとったのであります。これが農政の一環であるかのような御批判は、当たらないのでありますから、その点はもうすでに御了承を得た、そうしていま実施中の問題でありますから、蒸し返されないようにお願いをいたします。  最後に、この問題はまだ機が早い、機が熟さない、かような意味で、ひとつ撤回をして出直したらどうかというお話でございますが、政府は撤回はいたしません。どうか、昨年に引き続いての御審議でありますから、農政のために、農民のために、この制度に御協力願うよう心からお願いいたします。(拍手)    〔国務大臣坂田英一君登壇拍手
  28. 坂田英一

    国務大臣(坂田英一君) 武田議員の御質問にお答えをいたしたいと思いますが、大局は総理から御答弁されたことに尽きておるとは思いますけれども、なお、補充的に申し上げておきたいと思います。  御存じのとおり、前回の法案審議の経過にかんがみまして、先ほども申し上げましたとおり、業務の範囲、それから業務の実施の規模、いわゆる四百市町村にする。市町村等への事務の委託、それから税の軽減をするといったような改善をやっておることは、先ほども申し上げたとおりでございます。  それから農地価格の問題についても、大体総理からお話がありましたわけでありますが、もちろん農地価格が非常に高いときには、それを取得した経営者が困ることは当然でございます。さような関係からいたしまして、農地事業団があっせんをしてまいる、そういうことによって、いろいろの経費も要らないし、時間もかからないし、前もって十分調査をしたことに従って売買されますから、非常に簡便にいくということ、それから年三分、長期償還の融資でございますから、この負担が非常に軽いという問題、登録税及び不動産取得税を軽減するといった問題等でございまして、まずこれならば農地取得後においても経営に因るようなことはない、かように考えておるわけでございます。  それから離農の問題については、総理からお話があったことでございまするので、特別に繰り返して申し上げる必要はないと思うのでございまするが、今度の制度は、申すまでもなく、強制したり、あるいは奨励をして離農してもらうという考えはないのであります。現に七、八万町歩の移動がございまするので、それを経営の規模拡大あるいは合理化の方向へ持っていくことにしようと、こういう考え方で出発いたしておるわけでございます。しかし、手放す人に対しても十分やはり手厚い処理を配慮する必要がございますることは言うまでもありませんので、そういう場合において、譲渡所得の所得税の軽減、それから売却するほうの人が年寄りであれば、いわゆる中高年齢層の職業促進措置の活用をはかる、これらの問題、それからまた、処分する資産の取得者に対する融資を十分考えていく、すなわち、それらの円滑化をはかるということによりまして、これらの便宜をはかっていくという仕事はもちろんやるわけでございます。さらに、本年度においては、離農等に関する実態調査を行ないまして基本的な施策の検討に資したい、かように考えているわけでございます。  それから先ほど、いわゆる小さい兼業農とか零細農などの首切り的ではないかといったようなことを意味されましていろいろ問題がございまして、いわゆる差別農政、そういう点については、総理からお話がありましたので、そのとおりでございます。ただ、われわれといたしましては、重複する必要もないのでありますが、重ねて申しますると、農業によって自立しようという熱意を持ち、その能力を持つ農家を育成していこうということであります。このことは、兼業農家あるいは零細農家を含めた農家全体を対象としての農業生産の振興及び所得の増大をはかるために、政府として各般の施策を進めていることと決して矛盾するものではないことは、これは言うまでもないと思うのでございます。  次に、農地の保全等についてはどうかという問題、つまり、人口の都市集中や、産業の発展に伴って、農業以外の土地需要が増大し、農地のこのいわゆる潰廃が増加しておる、また、農業労働の減少、農家の兼業化が依然として続いておるのは、それはそのとおりでありまするが、この農地の転用につきましては、各般の緊急の社会的、経済的事情等、優良農地の維持保全等の調整をはかっていくことが必要であることはいうまでもないのでありまして、そういう意味で農地転用制度が行なわれておるのでございます。これらについては十分これらの関係を調整してまいっておることは御了承のとおりでございます。そういうことでございまして、でき得る限りわれわれとしては努力いたします。  それから、全体の問題として、現在の農業政策の根本としてはどういうふうに進むかという面についていろいろ問題がありましたが、そのうちの大きな面としては、この圃場整理、あるいは農用地の造成、その他農業生産の基盤の整備等について、十分これらは、本年、土地改良長期計画を策定いたしまして、政府としても特別に積極的にこれを実施してまいるのでございまして、経営の拡大その他についても十分考えてまいりまするし、また、この牧畜関係から申しましても、畜産の飼料用としての草地の造成等もこれではかってまいるということでまいりたいと思うのでございます。  その他いろいろ御質問もありましたけれども、広範囲にわたっておりますので、なお委員会において申し上げたいと思います。(拍手
  29. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  30. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第三、第三次国際すず協定締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。外務委員長木内四郎君。    〔木内四郎君登壇拍手
  31. 木内四郎

    ○木内四郎君 ただいま議題となりました第三次国際すず協定は、第二次協定の有効期間が本年六月末日に満了いたしますので、それにかわるものとして作成されたものでありまして、輸出統制制度及び緩衝在庫制度の運用によって、世界におけるすずの需給の均衡及び価格の安定をはかるとともに、開発途上にあるすず生産国の経済発展に寄与することを目的としておるものであります。  委員会におきましては、慎重審議、特に価格安定に対する本協定の効果、わが国が加入する利益等について、熱心な質疑応答がございましたが、詳細は会議録によって御承知を願いたいと思います。  昨十日、質疑を終了し、討論、採決の結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  以上御報告いたします。(拍手
  32. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。本件を問題に供します。  本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  33. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本件は承認することに決しました。      ——————————
  34. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第四、地震保険に関する法律案、  日程第五、地震保険特別会計法案、  (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長徳永正利君。    〔徳永正利君登壇拍手
  36. 徳永正利

    ○徳永正利君 ただいま議題となりました二法案中、まず、地震保険に関する法律案は、住宅及び生活用動産を対象とする地震保険の普及をはかり、地震等による被災者の生活の安定に寄与するため、保険会社等が負う地震保険責任を、政府が再保険できることとする等、所要規定を設けようとするものであります。  そのおもな内容は、第一に、地震災害の特質にかんがみ、保険の対象物件を住宅及び家財に限定するほか、保険事故の種類、契約方法、保険金額等、保険会社等が締結する保険契約に一定の要件を付することとし、その要件を満たすものについて政府が再保険することといたしております。  第二に、政府の再保険は、超過損害再保険方式によることとし、一回の地震等について政府が支払うべき再保険金の総額は、毎年度、国会議決を経た金額の範囲内とするほか、再保険者としての政府の措置等を規定しようとするものであります。     —————————————  次に、地震保険特別会計法案は、地震保険に関する法律の施行に伴い、政府地震再保険事業に関する経理を明確にするため、新たに特別会計を設けようとするものでありまして、この会計の歳入歳出事項を定めるほか、予測しがたい大地震等の発生に際し、再保険金の支払いに支障を生じないよう、借り入れ金等の所要規定を設けることといたしております。  なお、これらの両案については、衆議院において施行期日の修正が行なわれております。  委員会におきましては、両案を一括し、参考人から意見を聴取する等、慎重審議を行なったのであります。  委員会のおもなる質疑を申し上げますと、松代地区に対する政府の諸対策、個々の契約者への支払い保険金及び保険金総額について限度額を設けた理由、全損の定義及び査定基準内容、保険料率引き下げの可能性、責任準備金の運用等について質疑が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、両案を一括して討論に入りましたところ、自由民主党を代表し、青柳委員より、両案に賛成するが、今後の推移に応じ、地震保険の対象に分損を加え、保険料率の引き下げ、保険金額の限度額の引き上げを行なうとともに、火災共済協同組合が地震保険事業を行ない得るよう指導育成につとむべきである旨の、自由民主党、日本社会党、公明党、民主社会党四派共同提案にかかる附帯決議案が提出されました。  次いで、日本共産党を代表し、須藤委員より、地震等の天災による被害は、保険によらず、国による救助がなさるべきであって、両案及び附帯決議案に反対するとの意見が述べられ、日本社会党を代表し、成瀬委員より、地震等による被災者の生活の安定は広義の社会保障制度によるべきであり、両案にも不備な点があるが、一歩前進という意味で両案及び附帯決議案に賛成するとの意見が述べられました。  討論を終わり、両案を一括して採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定し、また、青柳委員提出の附帯決議案は多数をもって委員会の附帯決議とすることに決しました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  37. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  38. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。      ——————————
  39. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第六、厚生省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長熊谷太三郎君。    〔熊谷太三郎君登壇拍手
  40. 熊谷太三郎

    ○熊谷太三郎君 ただいま議題となりました厚生省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法律案改正点は、第一に、国立病院に衛生検査技師養成所を付置することができることとすること。第二に、社会保険研修所の名称を社会保険大学校に改めることであります。  委員会におきましては、衛生検査技師の現況と養成計画、看護婦不足の実情とその対策、社会保険研修所を社会保険大学校に改称する理由、食品衛生、健康保険の赤字対策等について質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、自由民主党を代表して船田委員より、原案の施行期日を公布の日に改める修正案が提出され、修正部分を除く原案に賛成する旨の発言がありました。  次いで採決の結果、船田委員提出の修正案、並びに右修正部分を除く原案は、いずれも全会一致をもって可決され、本法律案は修正議決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  41. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案の委員報告は修正議決報告でございます。  本案全部を問題に供します。委員報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  42. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって委員会修正どおり議決せられました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時八分散会      ——————————