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1966-02-23 第51回国会 参議院 本会議 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月二十三日(水曜日)    午前十時三十一分開議     —————————————議事日程 第十三号   昭和四十一年二月二十三日    午前十時開議  第一 昭和四十年度政府関係機関補正予算(機   第3号)  第二 緊急質問の件  第三 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案   及び日本国有鉄道整備緊急措置法案趣旨説   明)  第四 日本放送協会昭和三十八年度財産目録、   貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関す   る説明書     ————————————— ○本日の会議に付した案件  一、請暇の件  一、検察官適格審査会委員、同予備委員国土   総合開発審議会委員離島振興対策審議会委   員、畑地農業改良促進対策審議会委員国土   開発縦貫自動車道建設審議会委員東北開発   審議会委員台風襲地帯対策審議会委員及   び北陸地方開発審議会委員選挙  一、日程第一 昭和四十年度政府関係機関補正   予算(機第3号)(衆議院送付)  一、日程第二 緊急質問の件  一、日程第三 国有鉄道運賃法の一部を改正す   る法律案及び日本国有鉄道整備緊急措置法案   (趣旨説明)  一、日程第四 日本放送協会昭和三十八年度財   産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこ   れに関する説明書     —————————————
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ─────・─────
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  この際、おはかりいたします。  曽祢益君から、病気のため十一日間、請暇の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。      ——————————
  5. 重宗雄三

  6. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
  7. 栗原祐幸

    栗原祐幸君 各種委員選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
  8. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 私は、ただいまの栗原君の動議賛成をいたします。
  9. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 栗原君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 重宗雄三

  11. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第一、昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第3号)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。予算委員長石原幹市郎君。    〔石原幹市郎登壇拍手
  12. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 ただいま議題となりました昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第3号)の予算委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、補正予算内容を御説明申し上げます。本補正予算は、四十年度の日本国有鉄道運輸収入が、旅客及び貨物輸送量の減少により、本年二月十五日以降運賃改定を行なうことを予定した場合の増収額百九十一億円を見込んでも、なおかつ、二百六十二億円の不足が見込まれまするので、これを鉄道債券発行等により補てんしようとするものであります。  予算委員会におきましては、二月四日に福田大蔵大臣から提案理由説明を聴取し、十七日衆議院からの送付を待って、一昨日及び昨日の二日間にわたり、佐藤内閣総理大臣以下関係大臣に対して質疑を行ないました。以下質疑のおもなるものについて、その要旨を御報告申し上げます。  まず、当面の景気見通し及び四十年度の租税収入状況に関しまして、「昨年来の一連景気対策効果は、はたしていつごろからあらわれるのか。四十一年度に実質七・五%の成長率を達成するためには、相当財政支出を早め、景気回復を促進する必要があるのではないか。また、四十年度は租税減収に見合うだけ公債を出すことにしているが、その後の租税収入状況はどうなっているか」等の質疑に対しまして、政府側から、「いままでの一連景気対策効果はそう顕著にはあらわれてはいないが、十二月を境によくなっている。四十年度は公共事業費支出がおくれたので、来年度予算の執行にあたっては、公共事業費支出促進につとめ、契約ベースで上半期中に六〇%、支払いベースでも、本年度の二八%に対し、来年度は四〇%程度支出できるようにしたい。これによって来年度の景気は次第に回復し、実質七・五%の成長率を達成できると思う。四十年度の税収については、金利低下ビール価格改定などの影響もあり、法人税、酒税が若干好転しているものの、大きく予定が変わるという状況ではない」との答弁がありました。  次に、国鉄補正予算に直接関連する問題といたしまして、「この補正予算は、運賃改定を二月十五日と予定し、それによる増収額を計上しているが、国鉄運賃法成立がおくれ、運輸収入不足を免ずることが必至となった事態に対し、どのように対処するのか。前提がくずれた以上、補正予算第四号を提出する必要があるのではないか」との質疑があり、これに対しまして、政府側から、「運賃法成立遅延で、一日約四億円の減収となるので、政府は、その成立の一日も早いことを望んでいる。国鉄予定している歳出はぜひとも確保したいと考えており、収入不足は、国鉄企業努力や、不用資産及び施設売却貯蔵品効率的使用などで何とかやりくりできると思うので、補正第四号は、ただいま出すことを考えていない」との答弁がありました。  また、補正の要因となりました国鉄赤字原因や、国鉄第三次計画の問題に関しまして、「国鉄運輸収入は、四十年度において運賃改定による増収分を見込まないと四百五十三億円の減収になるが、その原因はどこにあるのか。さらに、今回の運賃値上げによって国鉄七カ年計画資金収支はどういうふうになるか。また、工事規模約三兆円のこの計画は、今後における物価上昇を考えると、このままで、はたして計画を完遂できるのかどうか。計画期間中の人件費については、どの程度上昇率を見ているか。今後、計画期間中、運賃値上げは行なわないかどうか」などの質疑がありました。これに対し、政府側から、「四十年度における赤字原因は、不況影響で、運輸収入、ことに貨物収入伸びが予想以上に鈍化したためである。運賃値上げによる七カ年間の増収額は一兆二千億円で、七カ年の所要資金総額中に占める自己資金外部資金の割合は、自己資金が二三形、外部資金が七七%となる。物価変動との関係については、卸売り物価は安定しているので、計画予定どおり達成できると思う。計画期間中の人件費上昇率は七%と見ており、計画期間中、運賃値上げは考えていない」との答弁がありました。  次に、国鉄運賃引き上げ物価対策との関連についてでありますが、「国鉄運賃引き上げは、物価対策の見地から、非常に大きな問題であるが、国鉄運賃引き上げ物価に及ぼす影響はどのくらいか。政府物価対策に真剣に取り組むと言いながら、米価国鉄運賃郵便料金などの公共料金を次々に値上げしているが、一体政府のこれら公共料金に対する基本的な考え方はどうか」などの質疑がありましたが、これに対し、「公共料金引き上げ消費者物価に対する影響は、米価は〇・七%、国鉄運賃は〇・三%、私鉄は〇.〇七%、郵便料金は〇・〇六%程度である。貨物運賃引き上げ卸売り物価への波及については、正確に把握できない。公共料金値上げについては、政府の直接関係しているものは、現在計画しているもの以外は考えておらず、また、地方公共団体その他の公共料金については、値上げの時期、経理内容等を勘案して、慎重に対処していく所存であり、便乗値上げなどは厳に抑制する方針である。なお、国鉄運賃郵便料金については、今後五年くらいは値上げをしないつもりである」との答弁がありました。  このほか、質疑は広範にわたりましたが、その詳細は、会議録により御承知を願いたいと思います。  かくて、昨日をもって質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して小林委員反対、自由民主党を代表して日高委員賛成、公明党を代表して多田委員反対民主社会党を代表して向井委員反対日本共産党を代表して岩間委員反対の旨を、それぞれ述べられました。  討論を終局し、採決の結果、予算委員会に付託されました昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第3号)は、多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  13. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 本案に対し、討論通告がございます。発言を許します。鈴木強君。    〔鈴木強登壇拍手
  14. 鈴木強

    鈴木強君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第3号)に対し、絶対反対の立場を明らかにして討論を行なわんとするものであります。  反対理由の第一は、民主政治の根幹に触れる基本的な問題として、政府補正予算案国会に提出し審議を受ける態度についてであります。  本補正予算提案理由説明によりますと、ただいまも委員長から御報告がございましたように、昭和四十年度国鉄予算としてすでに決定を見ております運賃収入は六千九百三十一億円でありますが、そのらち、四百五十三億円が減収となるので、これを補うため、二月十五日より運賃平均二割五分引き上げ、これによって百九十一億円の増収をはかり、残余の二百六十二億円については国鉄特別債券を発行しようとするものであります。参議院予算委員会本案審議に入りましたのは、一昨日の二月二十一日でありまして、予定実施期日をすでに八日も過ぎていたのであります。また、本案の裏づけをなすところの運賃値上げ法案は、昨二十二日、ようやく衆議院を通過して参議院送付されてまいり、これから参議院審議が始まらんとしているのであります。法案の前途は容易に予断を許さない状態にあると存じます。  ところで、今回の運賃値上げは、前にも述べましたように、引き上げ率平均二割五分となっていますが、これを具体的に例をとって計算してみますと、二等の普通旅客運賃では、東京−広島間、現行二千十円が二千八百五十円となり、八百四十円の値上げとなります。また、通勤定期旅客運賃では、東京−吉祥寺間、現行一カ月九百九十円が千七百三十円となり、七百四十円の値上げとなります。こうして、国鉄は、一日平均四億二千万円の増収を見込んでいるのでありますから、十日では四十二億円、半月おくれますと六十三億円も、提案された予算より減収となるのであります。  かかる異常な事態に対し、政府は、一体計画変更をするのか、あるいは第四次補正を提出するのかという、われわれの正当な指摘についても、言を左右にして、数日間であれば何とかなると思う、資産充当でもできようし、短期借り入れの方法もあろうし、不用財産処分も考えられようと、このような、あいまいな答弁がなされていたのであります。この点につきましては、われわれの鋭い追及にあい、ついに政府は、運賃引き上げ実施時期のおくれによって生ずる収入欠陥の補てんのためには、国鉄資産売却、これで十二億九千万円、不用施設売却で七億一千万円、貯蔵品効率的使用で二十億円、増収努力で十億円、合計五十億円の財源を充てるようにしたいとの態度の表明があったのであります。しかも、資産施設売却については、すでに買い手もきまっているとのことであります。思うに、この五十億円は、あらかじめ準備されておったもののようで、うまくいって二月十五日から運賃引き上げができれば、もうけもの、黙っておいて、ほうっておいたほうが得だという、ずるい考え方でつくられた補正予算のように思われるのであります。  民主政治とは、政府に行政をゆだねますが、これを、予算という計画に基づいて執行することを求めているのであります。しかるに、政府の提出いたしました予算が、実施期日において狂い、予算計画どおり実施できないことが明白であるにもかかわらず、これを、ほおかぶりして通そうとし、通せなくなると思うと、手品師のように、どこからともなく、かわり財源を出してきて、つじつまを合わせようとしているのであります。このような佐藤内閣姿勢を見ますと、およそ財政民主主義の何たるかを解せざるものと言わなければなりません。  なお、関連して申しますが、今回の予算補正にあたり、政府は、できるだけ運賃値上げを表面に出さず、単に二百六十二億円の赤字が生ずるから同額の鉄道特別債券の増発をしてもらいたいという形をとっているのでありますが、その実態を指摘いたしますれば、ずさんな東海道新幹線運行計画失敗をはじめ、旅客貨物収入における水増し予算が、みずから招いた不況のため穴があき、四百五十三億という赤字を生んだこと、その穴埋めとして運賃引き上げ債券発行計画がなされたという次第であります。このような経緯は、予算書のどこにも出ていないということ自体が、財政民主化と、いかにほど遠いかということを証明するものでありまして、われわれの断じて承服できるところではありません。  反対理由の第二は、本予算の実体をなす国鉄運賃値上げが、はたして不可避であったのかどうか。また、今回の運賃値上げが、国鉄財政を安定ならしめるかどうか。こういう点でございます。御承知のとおり、今回の国鉄運賃値上げは、昭和四十年度を初年度とする国鉄輸送力増強七カ年計画の一環として計画されたものであります。この計画によりますと、七カ年間に国鉄は、二兆九千七百億円の工事と、七百億円の出資を行なうこととなっており、その財源として七カ年で一兆二千億円にのぼるものを運賃値上げに期待しているのであります。しかし、それだけの値上げにかかわらず、損益勘定からの利益として、資本勘定に受け入れ得る額は八千五百億円にすぎず、結局、三兆一百億円を外部資金に仰ぐこととなっているのであります。その結果、昭和四十六年度の姿を見ますと、利子支払いが二千億円をこえ、損益勘定上の利益が千億円を割り、九百七十八億円になっているのであります。一体、三兆円からの設備投資をいたしまして、この完成時の収益がいまよりだんだん減っていって九百億円ばかりになるという計画は、はたして健全にして合理的なりと認められるでありましょうか。  さらに、政府説明にありますとおり、この計画には物価騰貴が織り込まれておりませんから、現実には行き詰まってしまって、昭和四十六年度よりも、もっと早く、再び赤字になるという可能性は強いのであります。政府は、今回運賃値上げをすれば、五ヵ年間は値上げはしないと申しておりますが、だれもそれを信用することはできないのであります。  そこで、なぜこのように国鉄資金計画は不安定にならざるを得ないかということを考えてみますと、それは、国鉄投資計画性格に帰着するものではないかと思います。すなわち、国鉄が今後投資するものの中には、通勤輸送や山陽新幹線のように、投資とともに収益伸びるものもありますが、幹線電化複線化、踏切、信号機の増設など、必ずしも投資収益とは関係のないものもあります。そのほか、国鉄は、公企体として、独立企業の面と公益性の面、すなわち公共性独立性との二面的性格のもたらす矛盾に絶えず苦しんでいるわけであります。国鉄設備投資をまかなうべき財源として、通常の運賃収入借り入れ金というもののほかに、国家資金の直接投下、あるいはそれにかわる利子補給のごとき手だてを適切にかみ合わすべきことは、理論的に考えても当然であるし、イギリスやフランスの国有鉄道も、そうした方向をとっているのであります。日本社会党が、国有鉄道整備緊急措置法という法律案を提案いたしました趣旨は、運賃値上げだけでは、国鉄財政は安定しないこと、運賃値上げ借金政策は、結局、遠からず国鉄借金重圧下に押しつぶす以外にないことを明らかにしようとするものであります。国有鉄道性格にかんがみ、政府が、もっと早くから、国鉄資本投下の三分の一程度一般会計より出資していたならば、おそらく今日の値上げ問題は発生していなかったでありましょう。かりに、情勢の変化により、若干の運賃改定が必至であるにいたしましても、同時に、一般会計出資と低廉な政府資金の供給なしには、国有鉄道財政は安定しないのであります。  最後に、反対理由の第三は、政府物価対策欠除についてであります。  佐藤総理福田蔵相藤山経済企画庁長官は、いずれも池田内閣高度成長政策批判者として知られ、安定成長物価の安定に努力することを公約しておりました。しかし、皮肉にも、佐藤内閣となってからの二年間ほど、物価の高騰したことはありません。しかも、高度成長の裏目が出て、構造不況となって以来、雇用と賃金の伸びが鈍化し、勤労者収入は横ばいとなったため、消費物価の続騰は、直接に国民生活危機として映ずるに至りました。今日ほど国民が切実に物価の引き下げを望んでいるときはないのであります。しかるに、佐藤内閣のなすところは、本年一月一日から二度目の米価値上げ、さらに、一月二十日には私鉄運賃引き上げ、今回の国鉄運賃、次いで郵便料金と、相次ぐ公共料金値上げ追い打ちでありまして、全く国民生活をないがしろにするもはなはだしいものであります。  公共料金につきましては、他の消費物価と異なりまして、政府決定権ないし影響力を発揮し得るものでありまして、政府物価政策のきめ手として、公共料金政策はすこぶる重要な意味を持つものであります。その中でも、国鉄運賃の改宗が、物価水準に及ぼす影響は大きいものであります。それゆえに、米価に次いで国鉄運賃を急いで上げるべきではなかったのであります。また、国鉄運賃改定を既定のものとして、私鉄運賃大幅引き上げを認めた政府態度は、軽率であったと言わざるを得ません。国鉄運賃改定するにしても、その実施の時期を繰り下げ、政府出資をふやすことにより、その値上げ幅を縮めるならば、ひいては、私鉄、私バスの値上げを押え、あるいはその幅を縮小させ得たはずであります。政府は、このような考慮を全く払うことなく、むしろ、近く値上げの必要な料金は、ことごとく値上げをしてしまえと言わんばかりの姿勢であり、それは、やがて来たるべき総選挙対策に通ずるものだと解釈されるのであります。国民が切実に物価の安定を望んでいる今日、自己権力政策の打算から、物価政策をもてあそぶ佐藤内閣のやり方に対し、国民は衷心より憤激を覚えているのであります。  以上、私は、三つの理由から本補正予算案反対をし、その撤回を要求して、討論を終わります。(拍手
  15. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて討論通告者発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  16. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ——————————
  17. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第二、緊急質問の件。  小林武君から、早大事件等政府私学振興政策に関する緊急質問が提出されております。小林君の緊急質問を行なうことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。発言を許します。小林武君。    〔小林武登壇拍手
  19. 小林武

    小林武君 私は、日本社会党を代表して、授業料値上げ等にからまる早稲田大学学内紛争問題と、この問題の解決と全く切り離して考えることのできない、全私学振興に対する政府のとるべき責任と政策について、総理大臣及び関係大臣に対して、以下若干の質問をいたします。  早大問題も、遺憾ながら、型のごとく進行していると言ってよいのであります。二千五百の警官隊が学園に突入し、実力をもって占拠学生排除した。その次に来たるものは、予定されたごとく、学生の逮捕、これに学校側学生処分となれば、全く型のごとくと言わざるを得ないのであります。さらに、事態は、学生たちの再占拠によりまして、大学史上かつてない、警官警備下大学という状態を現出いたしました。今日、このような状態の中で、われわれがこの問題を取り上げる場合、単に、早稲田大学という特定された私立大学授業料値上げ反対の問題と理解するべきではないと考えるのであります。まさに氷山の一角とも言うべき、すなわち、曲がりかどに立つといわれる日本の全私立大学の問題、高等教育全体に共通する、教育と研究の基本に関する問題として、取り扱わるべきものと考える次第であります。私は、このような問題把握のない限り、ひとり早稲田大学の問題の解決失敗に終わらせるだけではなくて、今後この種の問題はあとを断つことなく、長く大学教育の禍根となることを断言したいのであります。  重大化した早稲田の問題は、政府の、問題に対する正確な認識と迅速な対処がなくては、解決は不可能と思っております。なぜ、国会稲門会議員団調停が、あれほどの熱意と努力にもかかわらず、大浜総長をはじめ学校当局を動かし得なかったのか。また、先輩のあっせんに敬意を表していた学生諸君の同意を得ることができなかったのか。この点、総理及び文部大臣はどう理解しているのでありましょう。理由は明確であります。白紙委任またはこれに近い条件による調停は、解決点の示されない調停だというとになります。学生は、相次ぐ法外な授業料等値上げに、負担にたえ得ないという切迫感と、果てることのない値上げの繰り返しに対する不安が、反対運動を激化させたと言うべきでありましょう。大学側といたしましても、教育者としての大学人という矜持も顧みる余裕もなくなり、「残る手段は、力ずくの排除しかない。災いを転じて幸いとしたい」と、学内への警官導入総長みずから宣言し、学生学内排除人民管理排除と声明するに至ったのでありますが、日本私立大学の中に伝統を誇る早稲田大学をここに追い込んだものは何でありましょう。それは私学経営危機そのものにほかなりません。もはやその段階は、早稲田学内や同窓だけで解決のできないところに到達しているのであります。しかも、解決のかぎは、私学全体の要望として提示されてからすでに久しいのであります。  総理及び文部大臣にお尋ねしたいのであります。事柄は、政府私学対策ちゅうちょ逡巡がこの問題を生起させているのではないでしょうか。「私学のことは私学内で処理することだ」という、たび重なる政府見解は、単なる逃げことばにすぎないと思うのであります。御見解をお聞かせいただきたいのであります。  次に、早稲田問題の関連において総理並びに文部大臣にお尋ねいたしたいことは、昨年から今日まで約一カ年の間に、国公立、私立大学に、延べ二十三、四校にも及ぶ学内紛争を見たのであります。月に割れば毎月二校、日数をもってすれば三百六十五日、雨の降らぬ日はあっても、大学に問題の起こらぬ日はないと言ってもよいのであります。その原因をあげるならば、授業料値上げ等経営の問題、学寮・学生会館の自治の問題、あるいは大学教科内容に関する問題等、そのことごとくが政府の文教政策に起因いたしておるのであります。大学当局は、この問題にあたって、いずれも例外なく、文部省の厳重な指導方針によって、教育的見地からはむしろ学生の主張に同調しながらも、自主的解決をはばかり、そのためいたずらに時日を遷延して、ついに最悪の事態を招き、当惑の果て、例外なく、学生処分という非教育的処置による解決を余儀なくされているのであります。この結果は、大学教育に対する自信の喪失、学生教育不信を招くとともに、また問題の連鎖的波及となってあらわれているのであります。これら大学問題に対し、政府の文教政策・行政のあり方等について、どのような反省なり見解なりをお持ちであるか、文部大臣には特に具体的にその所見を述べられたいのでございます。  次に、高等教育に対する佐藤内閣の取り組み方についてであります。  「高等教育によって育成された人材と学問の成果は、経済・社会発展の最も大きな原動力であるという考えかたは、いまや世界の常識となってきており、」と、これは「わが国の高等教育」に述べられた文部大臣見解であります。さらに、文相は、世界各国はあげて高等教育の質的改善、量的拡大に取り組んでいる実情を述べ、わが国もまた全国民の立場でそれと取り組むことの急務を力説いたしておるのであります。高等教育の質的改善と量的拡大の具体的内容、及び、全国民的なものとして取り組むとあるが、どのようなものであるのか、早大問題との関連において明らかにしていただきたいのであります。  大学曲がりかど論は、文部省から民間に至るまで、大学関係者はもちろんのこと、およそ大学教育を口にする者は、すべてこの曲がりかど論を述べるのであります。つまり、国公私立、例外なく、日本大学全体が曲がりかどに立っているというわけであります。私立大学側から見れば高ねの花のように見られている国立大学が、新制大学出発以来、慢性的と言ってよい予算不足に悩まされていることは、周知の事実であります。研究費や講義に必要な経費の中心になっている教官研究費についてこれを見るならば、講座研究費は、非実験系で戦前の三分の一、実験系で三分の二、学生経費に至っては九分の一という状態にあるということは、かつて中央教育審議会の答申に述べられたところであります。また、学術会議報告によると、教授の六〇%近くは副業をしているということであります。日本の経済・社会の最も大きな原動力として期待される高等教育が、最も恵まれた状態にあるとされている国立にして、なおかつ、このありさまであります。いま早稲田大学の問題が日本の視聴を集めていますが、この問題こそ、国立大学に比べてもっと切迫した危機的問題をかかえた私学の象徴的姿であると見るべきであると考えるのであります。  反対運動に取り組んでいる早大の学生が、「私立大学の経済的危機、それに伴う大学教育のあらゆる面にわたる問題が集中的にあられているのです」と述べています。この学生の、言うように、私学経営危機は、私学教育危機の問題となっているのであります。日本大学教育危機としてであります。したがって、この問題に対処する場合、日本高等教育の中に占める私学教育の位置、比重を忘れてはなりません。国立大学政府がめんどうを見る、私学のことは経営者の問題だというような議論は、教育政策の対象である限り、暴論と言うべきであります。  今日、日本大学教育において、学校数において、国立百七十五、私立四百十六、その学生数は、国立大学二十二万人、私立大学六十万人、大学生の約三分の二は私立大学に学んでいるのであります。高等教育の充実発展を言う場合、私立大学をおいて考えることができないのであります。いま、当面する私立大学経営危機、これに伴う教育危機は、すなわち日本大学教育危機とも判断されると思うのでありますが、文部大臣見解をお尋ねいたしたいのであります。  私立大学は、大学教育において圧倒的比重を占めていることはいま述べたとおりでございます。その教育的、研究的環境においては、格段に国立大学に劣っているのであります。国立大学学生数二十二万人に対して専任教員数は二万七千人であるのに対し、私立大学学生数六十万人に対し専任教員数は一万九千人であります。教員一人当たりの学生数は、私立は二八・三人、国立大学は七・九人になっているのであります。学生一人当たりの経費は、国立大学は三十三万円、私立大学十四万五千円と、半額以下であり、教育研究に要するいわゆる消費的支出は、国立大学学生一人当たり二十七万七千円に対し、私立大学一人当たり七万七千円と、三分の一以下ともなっているのであります。また、例を学生一人当たりの建物坪数にとれば、私立が〇・八坪に対し、国立が三・一坪となっているのであります。  以上の比較から、三分の二の大学教育を担当している私立大学教育の水準はきわめて低い。これを高めるために、教授、研究者の数的、質的充実の問題、また、最高の教育、世界的水準の研究を国から社会から要求されているのであるから、それに相応した環境、施設、設備等を、せめて国立並みに急速に充足する必要が私立大学に求められているのであります。私立の名門、早稲田大学学生たちが、講義がつまらない、味気ないと言い、マイクによる大量講義では、教育を受けることの喜び、学問をすることの楽しみを味わえないと、嘆いているのであります。「青年に大きな期待をかける」と声を大にして呼びかけた総理は、この現状をどう見るのか、また、その対策はどうなのか、承りたいのであります。また、文部大臣の現状認識と対策の具体的説明を求めたいのであります。  次に、私は私学経営面に対する質問を行ないたいのであります。早稲田の今度の学費の値上げは、法文系で、授業料、施設費、入学金を合わせて二十二万円、六〇%の値上げであります。理工系二十九万円、五五%、国立大学の一万二千円に比べて比較にならない高額と言わなければなりません。早稲田学生が、「真理の探求のためには平等に学問ができるという条件がなければならない。今度の値上げで、そういう教育の機会均等を奪うものだ」と、こう言っております。また、学費の値上げは有能な人材を締め出すことになるから、私学の質を低下させると、真剣に悩みを持っているのであります。愛校心、大学危機意識が、経営者側以上に強烈であるのにもかかわらず、大学学生はなぜ争うのでありましょうか。私は、ここで私立大学の収支バランスを見ますと、経営の基礎である基本財産が貧弱で、経費は学生の納付金と借り入れ金に依存していると言っていいのであります。収入の四五・一%を学生納付金に、借り入れ金は二四・三%、この二つが収入の約七〇%を占めているということになるのであります。いまの私学経営学生のふところに半分近いものを依存している。だから、先輩がどうあっせんの労をとろうが、血の雨を降らしても一歩も後退しないと言って、学校経営者側の強腰が生まれるのであります。教育とか研究とか、私立大学創設の理念が、ここでは、けし飛んでしまうわけであります。  早稲田大学学生は、三十七年度に法文系六七%、理科系五六%の値上げがありました。そのとき、すでに次の値上げは予測されたと言っております。値上げは繰り返される、なぜ繰り返される私学の経費の最もおもな部分が学生の納付金に依存されている限り、これは避けられないことを知っているからであります。ある大学の授業料対人件費率は、昭和三十八年度一〇一%、三十九年度一〇八%と、授業料収入をオーバーしている状態にあるのです。現在の私学が国立との格差を解消するために、教授、研究者の強化増強を強く要求されるとしたら、さらにその負担は学生にかかっていくことは言うまでもない事実であります。さらに、私立大学経営の行き詰まりは、増収のための定員増(水増し入学)とその対策としての設備投資という、悪循環を繰り返しております。どの私立大学も共通の財政危機状態を招いてしまったのであります。私立大学の当事者は……。
  20. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 小林君、時間が超過しております。簡単に願います。
  21. 小林武

    小林武君(続) 私立大学経営は曲がりかどに立ったのではなくて、すでに曲がってしまったと言っているのであります。  文部大臣は御存じと思いますが、日本私立大学協会は、学費値上げ四カ年計画を立てて、今後毎年、前年度の五〇%の値上げを行ない、昭和四十四年度には四十年度の五倍に引き上げる。すなわち、四十四年度には、入学時学生納付金は、文科系約八十万、医科約三百万円になる計算であるが……。
  22. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 小林君、簡単に願います。
  23. 小林武

    小林武君(続) 文相はこの計画をどう見られているのでありましょうか。——もう終わります。  学生学生の父母の負担は……。
  24. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 時間が過ぎております。
  25. 小林武

    小林武君(続) すでに耐えられない状態まできていると見るべきであります。当然、国は抜本的対策を立てるべきときであると考えます。総理大臣私学経営のこの危機日本の将来に重大に影響する問題として考えられますか。また、文相は、私学の当面している危機を打開する道は、私学経常費の国庫助成をおいてないのであるが、これをどう考えますか。愛知文部大臣時代、趣旨として、私立大学に助成するには経常費を出す必要があることを認め、他のいかなる手だてもこれをおいてないと述べているのであります。いまさら例を外国にとるまでもありません。「援助すれども支配せず」の原則に立って、総理は経常費の国庫助成をする意思がないかどうか。また、大蔵大臣文部大臣は、所管の立場から、これに対してどのような見解をお持ちであるか、お述べいただきたいと思うのであります。  最後に、総理大臣にお願いいたします。どうぞ、早稲田問題については急を要するものでございますから、いたずらに時日を遷延することなく、これらの点について十分の政府努力をお示しいただきたいということを申し添えて、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇拍手
  26. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 小林君にお答えいたします。  今回の早大事件につきまして、ただいま詳細に報告、同時に質問をされました。私も、この早大事件が、学園、しかも伝統を誇る早大におきましてこの種の事件が起きましたこと、騒擾事件が起きましたこと、また、時期的に見ましても、子弟や父兄が最も心配しておる入学試験のその直前にかような事態が起こりましたこと、まことに遺憾に、残念に思う次第でございます。  ただいま詳細のお話がございましたが、ただいままで学園の問題については、学園自治と、こういうたてまえで、政府は干渉しない、こういう立場をとってまいったのであります。そういう意味から、先輩の稲門会の諸君の御協力等を得まして、事態が早急に終息するように心から願ったのでありまするけれども、事ここに至りますと、ただいまのお話にもありましたように、政府自身も、学園の問題ではあるが、時期的にもこれはたいへんな問題だ。かような意味におきまして最大の関心を示さざるを得ない事柄でございます。さような意味におきましてこの点では各方面の協力を得まして、ぜひとも平穏なうちにこの早期解決が実現するように期待するものでございます。これらの事柄は、問題はやはり私学の今日の経営、また、授業料その他各種の問題等がやはりからんでいるだろう、かように私も考えます。こういう意味で、今日教育界において私学が果たしておる役割り、これはただいまもお話がありましたが、たいへん大きいのでございますから、こういう意味、こういう立場からも、政府私学振興についてざらに積極的な方策を立てなければならないと思います。今日までは、もうすでに御承知のとおり、私学振興会で低利の長期の融資をするとか、あるいは特別な理科系統のものにつきましての設備の助成をするとか、あるいは研究施設の助成をする、あるいはまた、学費の十分でない者に対する育英資金等におきましても、官公立、国立あるいは私学等の区別なしにそういうめんどうをみるとか、あるいはまた、共済組合等につきましても、政府がその組合の結成、また充実等について十分見守るとか、いろいろの具体的方策をとってまいりましたが、どうも最近起こる学界の実情等を見ますと、ただいまのお話にありましたように、一年にもうほとんど毎月この種のことが繰り返されておる。こういうようなことでありますから、政府も積極的に私立学校振興方策調査会、かような調査会を設け、そうして基本的にいかにあるべきか、経営から同時にまた管理形態、また、その他の政府の助成、また、私学自身の経営の基礎的な考え方等々を検討いたしておる次第でございまして、政府は、いずれこの調査会が結論を出しました上に、これに対しましてその答申を待って善処していくつもりでございます。もちろん、この事柄はたいへん重大な事柄でありますから、そら簡単に結論が出るとは思いませんが、政府自身におきましても結論が出る前にこれにすでに取り組む、こういうことでございます。  ただいま、またお尋ねがありましたように、申すまでもなく、文教そのことこそは国政の基本的な問題でございます。そういう意味におきまして、わが国の発展は明治以来の教育がもたらした今日の発展だと、かように考えますので、今後ともこの教育は国政の基本問題として、特に重点をおいてまいるつもりであります。そうして教育の場が、ひとり産業の発展の基礎というばかりでなく、お互い人間形成の場として十分その成果をあげるように、りっぱな日本人、りっぱな世界市民をつくる、それにふさわしい勉学の場であると、かように私は指導し、また、そういうことを期待するゆえんでございます。(拍手)    〔国務大臣中村梅吉君登壇拍手
  27. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) ただいま早大紛争並びに私学振興の問題を中心に、非常にいろいろな角度からの御指摘がありまして、御質問がございました。本会議のことでございますから、こまかい点に一々お答えをいたしかねるかと思いますが、いま基本的な事柄につきましては総理大臣からお答えがございましたけれども、私ども、この早稲田大学の紛争につきましては、まことに学園の現状として遺憾にたえない次第でございます。しかりといって、われわれ政府側が、学園の自治の関係もありまして、かれこれ制度上も口を出す筋でもございませんし、幸い早稲田大学はたくさんの卒業生の有力な人たちもありますし、特に国会には稲門会の方々もおられまして、こういうまあ学園の外、OBではあるけれども、外でもない大いに関係のあるこういう方々のごあっせんで事態が収拾されることが、一番望ましいという観点に立ちまして、私どももそういう方々には切望してまいったのでございますが、遺憾ながら、事態解決状況に向かってこない。そこで、当面、私ども非常に心配しておりますのは、数多くの早稲田大学に学びたい希望を持って入学願書を出し、受験をする人たちが全国から集まっており、また、父兄も心配して来ておるこの現状にかんがみまして、学校当局としても、当然この受験を円満に遂行する責任もあります。同時に、先輩である在学生としては、今度の授業料問題にいたしましても、新入学からの値上げ学校当局は策しておるようで、在学生はその後輩のために戦っておるというか、主張しておるという段階であるとするならば、いっそのこと、先輩である在学生は、その後輩の受験だけは平穏に行なわせるように配慮されるのが当然ではないだろうか、かような角度に立ちまして、私どもも実は心配いたしておる次第でございます。いよいよ入学試験は明日に迫っておりますので、せめてこの点が平穏に遂行されることを心から期待してやまない次第でございます。  次に、私学振興の問題でございますが、これは確かに私学のになっております役割りから見まして、また、現状についてもいろいろ御指摘がございましたが、現状にもかんがみまして、私学振興方策をすみやかに樹立をして、私学のいまの難局を打開して、健全な発達を期することが必要でございますことは、申すまでもございません。昨年の国会で、御承知のとおり、私学振興方策調査会ができまして、自来、鋭意この調査会は検討を続けておる次第であります。しかし、私どもはこの結論をただ漫然と待つわけにはまいりませんで、さしあたり、応急の措置としましては、昭和四十一年度におきましても、従来から見ますると非常に大幅な私学援助の道を講じまして、御承知のとおり、私学振興会が私学に運用いたしまする資金量も昨年の倍程度にふえまして、二百四十二億円、また、私学の中には高利債を借りて建設等をいたしまして悩んでおるところがございますから、当面、これらのものに対しては、高利債の借りかえの道を講ずるようにしたいというような措置も講じておる次第でございますが、根本的対策といたしましては、私学は、私学の発展をしてまいりました点等もあり、歴史もあり、また、これは国費で援助するにいたしましても、そのあり方等については問題点が非常に多いわけでございますから、あくまで私どもとしては、私学代表者も入り、学識経験者が集まって検討しておられる私学振興方策調査会の綿密なあらゆる角度から見た検討の結果を待って、そうして善処をいたしたい、かように考えておる次第でございます。  なお、大学に最近非常に数多くの紛争が起きておるが、これについてどう思うか、こういうお尋ねでございましたが、確かにそういう現状にございますが、これについては御承知のとおり問題の点はいろいろあると思います。大学の管理体制についても問題がある。したがって、私どもは国立大学協会の中に大学運営委員会というものをつくっていただき、この運営委員会を中心に大学の管理のあり方について目下真剣に協議をしていただいておるわけで、最近ごらんになったかもしれませんが、東京大学では、大学の管理と学生のあり方、学生の自治、こういうことについて一つの結論を得まして、教授会等の決定も経て公表したものもございますが、そういうような研究が大学側においてもあらゆる関係方面で進められて、この管理体制と学生の自治活動というものには、やはり一つの限界がある。たとえば、一つの寮ができ、あるいは学生会館ができる、この管理を最近では学生が自分らに一切まかせろ、管理権をよこせという主張が起こるために、紛争が起こるのでありますが、やはり大学としては、大学の経費国立にしても私立にしても、大学の経費でそういう施設をした以上は、大学の責任者がやはり管理の最終責任者になってもらわないと困る。なるほど寮の一つの部屋なり、一つのむねを、どう自治的に管理するか運営するかというようなことは、それは学生の自治活動にまかしていいのかもしれませんが、根本は、やはりその大学当局の責任者がやってくれなければ、われわれ文教当局としても困る次第でございまして、こういうような点についていろいろ今後改善検討していく面があると思うのであります。  また、大学の質的改善についてのお尋ねがございましたが、これらにつきましては、私どもとしましては、今年度におきましても、大学の学部、学科の増設、改善等に、鋭意御承知のとおり努力をいたしておりまする次第で、また私学につきましては、理科施設あるいは研究施設費等につきましてはかなり膨大な負担をしておりますので、これらにつきましても、前年度に比較しまして大幅な補助の道を講じまして、理科施設、理科の研究費等については、大幅な国庫補助の道を講じておるような次第でございます。  たくさんの御指摘がございましたので、全体にこまかくは触れることが困難でございますが、以上をもちましてお答えにいたしたいと思います。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫君登壇拍手
  28. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 私学に対しまして、国がどういうふうな介入をすべきか、これはただいま総理からもお話がありましたが、非常にむずかしい問題であります。私は、私学は、その経営の責任は私学自体にある。しかし同時に、私学が行なっておる仕事は、これは次の世代をになう青少年の教育である。国家的目的であります。この私学性格と国家的目的とをどういうふうに調整されるかという問題が、私は財政問題を考えていく接点である、かように考えます。  ただいま私学に対して経営費を援助すべきではないかというお話でありまするが、この経営費につきましては、ただいまでも援助はいたしておるわけであります。文部大臣からお話がありまするように、昭和四十一年度におきましても百九十億円の財政投融資を私学振興会に割り当てておるわけであります。また一般会計予算におきましても五十億円の支出をいたすわけであります。そういうふうにいたしておりまするが、まあ早稲田大学の事件、こういうようなことを契機にいたしまして、との私学問題をどういうふうにやっておるかということを、私は、あらためて検討してみる必要がある問題である、かように考える次第でございます。ただいま総理文部大臣からお話のように、ただいま調査会がせっかくその問題に取り組んでおります。その調査会の結論等を見まして善処をいたしたい、かように考える次第でございます。(拍手、「答弁漏れはどうした」と呼ぶ者あり」)    〔小林武発言の許可を求む〕
  29. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 小林君、何ですか。答弁漏れがありましたら、自席から御指摘ください。
  30. 小林武

    小林武君 ぼくの一番質問の重点になるのは、経常費に対して国が援助をしなければこの問題の解決がないのではないかと思うから、その点を非常に大きく出しているのに、だれも答弁してくれない。答弁漏れであります。    〔国務大臣福田赳夫君登壇拍手
  31. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) ただいま、私学経営費について援助すべきであるというふうに聞きましたので、お答えを申し上げましたが、ただいま、政府におきまして、理科の振興施設費でありますとか、あるいは研究費でありますとか、そういう補助をいたしております。施設費は施設に対する補助であり、研究費はこれは経営費に対する補助であります。でありまするから、まあ経営費について補助をいたしておらないというわけではございませんけれども、しかしながら、経常費一般について、ある基準を持って補助すべきかどうか。これは国でも、いま昭和四十一年度予算で非常に問題になっております。経常費の財源は、一切公債を用いません。これは経常費を借金でやるかどうかということ、あるいは援助でやるかどうかということは、非常に重大な問題であります。この問題は軽々にここでお答えをするわけにいきません。これは私学の問題全体を検討した上、慎重にきめていきたい、かように考えます。(拍手)      ——————————
  32. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第三、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案及び日本国有鉄道整備緊急措置法案趣旨説明)。  両案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者から順次趣旨説明を求めます。中村運輸大臣。    〔国務大臣中村寅太君登壇拍手
  33. 中村寅太

    ○国務大臣(中村寅太君) 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。    〔議長退席、副議長着席〕  日本国有鉄道は、かねてより輸送力の増強及び輸送の近代化につとめてまいりました。しかしながら、輸送需要は、わが国経済の高度成長に伴い、輸送力の伸びを大幅に上回る増加を示しております。国鉄におきましては、現有施設を極度に活用することにより、これに対処してまいりましたが、いまや列車ダイヤは過密化し、主要幹線の輸送力は弾力性を失い、ひいては輸送の安全性すら脅かされるに至っております。ここにおきまして、国鉄では大都市付近の通勤輸送改善、主要幹線輸送力の増強による過密ダイヤの緩和及び保安対策の強化を主眼とする第三次長期計画を策定いたしました。  政府におきましても、日本国有鉄道基本問題懇談会を開催し、同計画内容等を慎重に検討いたしましたが、逼迫した国鉄輸送の現状を打開し、国民経済に占める国鉄の任務を当面遂行するため、おおむね二兆九千億円の投資規模をもって、昭和四十年度から昭和四十六年度までの七カ年間に同計画実施せしめることといたしたのであります。  この計画を遂行するために必要な資金につきましては、その大部分を借り入れ金によることとし、政府といたしましても、財政投融資の増額等につきましては、できるだけ努力する所存であります。しかしながら、もし現在の運賃水準のままで不足する財源をすべて借り入れ金によってまかなうとすれば、昭和四十六年度末における国鉄借り入れ金の残高は四兆数千億円の巨額に達し、同年度における支払い利子は膨大な額に達することに相なります。  一方、国鉄財政の現状は、昭和三十九年度においてすでに三百億円の欠損を生じ、このまま推移すれば、昭和四十年度においては一千億円に近い欠損が見込まれ、経営状態は極度に悪化しているのであります。  これらの諸点にかんがみ、日本国有鉄道の健全な経営を維持し、第三次長期計画の円滑な遂行を期するためには、この際、運賃改定を行なうこともやむを得ないものと決意した次第であります。  この法律案の提案にあたりましては、運輸審議会の答申を尊重したのはもとよりでありますが、国鉄運賃改定国民生活に与える影響を考慮して、国鉄経営の合理化等により、所要改定率をできるだけ少なくするよう配慮いたしました。  次に、運賃改定の具体的内容についてでありますが、まず、旅客運賃について申し上げますと、現行の遠距離逓減制を距離比例制に近づけるために、二地帯制の境界を四百キロメートルとし、一キロメートル当たりの賃率は、第一地帯においては、現行の二円七十五銭を三円六十五銭に、第二地帯においては、一円三十五銭を一円八十銭といたしました。  また、航路の旅客運賃については、ほぼ旅客賃率の引き上げと同程度改定をいたすこととしております。  次に、貨物運賃についてでありますが、最近の輸送構造の変化に即応して、現行貨物等級の上下の幅を圧縮して四等級とするとともに、その賃率の引き上げはおおむね一七%といたしました。  以上がこの法律案趣旨でございます。(拍手
  34. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 衆議院議員久保三郎君。    〔衆議院議員久保三郎君登壇拍手
  35. 久保三郎

    衆議院議員(久保三郎君) ただいま議題となりました日本国有鉄道整備緊急措置法案について、提案の理由並びにその内容について御説明申し上げます。  日本国有鉄道は、わが国交通機関の大動脈として、国民経済の中で重要な地位を占めており、将来にわたってその地位は確保さるべき立場にありながら、今日の国鉄は、幹線輸送の渋滞、殺人的な通勤輸送、さらには続発する事故等々、その使命である「大量客貨の安全、正確、迅速な輸送」を遂行することが、はなはだしく困難な状況にあります。  御承知のごとく、戦時中は戦力増強、戦後は経済復興の名のもとに長期にわたってその施設を酷使してまいりました国有鉄道は、昭和二十四年マッカーサー指令により、公共企業体に移行し今日に至っております。公共企業体として国鉄に引き継がれたものは、開業以来とられてきた国営事業の実体をそのままとする、あいまいな公共性と企業性であり、それを包括する独立採算性のワクであり、そして極度に荒廃した老朽施設でありました。国鉄はしばらく経済復興の至上命令とインフレの中で、その老朽施設をさらに食いつぶしながら輸送を続けてきましたが、ついに桜木町、洞爺丸等の相次ぐ重大事故の発生を見るに至り、その食いつぶすべき老朽施設の限界を示すものとして、昭和三十二年度から老朽施設の取りかえを中心とする第一次五ヵ年計画実施されるに至ったわけであります。  しかし、この第一次五ヵ年計画実施中途で改定を余儀なくされました。言うまでもなく資金計画の破綻であり、改良計画そのものが輸送の伸びに追いつけないほど小さなものとなったからでありました。またそのことは、財源を主として運賃値上げに求めたこと、政府がこの計画に責任を持たなかったことであります。  かくして、第一次五ヵ年計画は四年目で打ち切り、昭和三十六年度から第二次五ヵ年計画として再出発しましたが、これまた、主たる財源運賃値上げに求め、加えて東海道新幹線建設の大事業を織り込み、結果として新幹線工事が先行し、予定どおり完成されましたが、幹線輸送の渋滞、通勤輸送の混雑は一向に改善されず、運賃値上げの際の公約は再度にわたって破棄されることになりました。しかも、本計画も第一次と同様輸送の実情からして計画自体過小であり、この過小計画すら計画どおり実施できぬありさまでは、三河島、鶴見の二大事故の反省の上に立つ積極的な保安対策など、もはや国鉄のみの責任と能力では解決を期待することが困難であるとし、かつ、昭和三十九年度予算要求にあたって、国鉄当局は、政府に対して、この計画による残工事のすべてに対する予算要求をいたしましたが、希望はいれられず、国鉄当局は大きな決意を迫られました。すなわち、このままでは引き続く事故も起り得るとしたことです。ここにおいて政府は、昭和四十年度までに委員会をつくり、資金についても責任を持つとしました。  国鉄をしてかかる状況におちいらしめた原因の一つは、公共企業体とはいうものの、公共性も企業性も何ら解明されないまま、独立採算制のみ画然と与えられたことであります。  国鉄公共性とは、隆上輸送の根幹として、安全、正確、迅速に輸送を行なうことにより国民経済に寄与することであり、いわゆる公共負担と称される産業政策、社会政策、文教政策からの運賃割り引き等は、当然国家の政策としてその財政支出によってまかなわれる性質のものであって、独算制のワクで運営される公共企業体の国鉄が負担すべきものでないにもかかわらず、そのまま押しつけられ経営を圧迫していることであります。  また、国鉄が陸運における独占的地位を失いつつあるとき、独算制のワク内運営の行き先は当然のごとく企業性の追及となり、その結果、目前の投資効果をねらう投資と、合理化に急なあまり、優等列車の増発のみが行なわれ、その結果は時代に逆行してローカル列車及び貨物の足をおそくし、過密ダイヤは神わざといわれながらも、しかもそこからは現状を打開する資金を生み出すことはとうてい不可能なのであります。  また、二次にわたる五ヵ年計画がいずれも過小であり、しかもその過小計画すら計画どおり実施されなかった。もう一つの原因は、それぞれの改良計画国鉄だけの計画であり、その予算を握る政府の責任によって、何ら権威づけられておらず、その資金計画は毎年度の予算編成の中で左右され、不安定な自己資金は過大に見積もられ、財政投融資すら思うにまかせず、計画は何らの権威も認められず、政府の手によって踏みにじられたことであります。また、この財政投融資を中心とする借り入れ金の重圧は、遠からず経営の破綻となることを予告されておることも、御承知のとおりであります。  以上申し述べたとおり、国鉄は今日国民の要望にこたえるサービスの改善が行なわれないばかりか、安全輸送への不安もあります。  しかしながら、わが国の地理的、経済的条件からして、自動車、航空機の発達にもかかわらず、大量輸送機関としての国鉄を今後も必要とし、国鉄の「安全、正確、迅速」は、国民的経済の中で一そう強く要求されるところであります。  この要求にこたえる国鉄を再建整備するには、これまで申し述べた諸点に留意した対策が必要であるにもかかわらず、政府は部内につくった国鉄基本問題懇談会の結論さえ忠実に守らず、従来どおり運賃値上げによる資金調達を計画しておりますが、物価対策からもこれを抑制し、また、国鉄の機能と役割りからも、道路、港湾、空港等と同様、政府が公共投資として所要資金の一部を出資し、緊急整備をはかることが肝要と考えられる次第であります。  第二は、二次にわたる五ヵ年計画が中途において挫折を余儀なくされた直接的原因は、何といっても、計画政府によって正式に承認され、政府の責任が明確でなかったことでありますから、これまた、道路、港湾と同様、政府の責任によって計画は承認される必要があります。  以上が本法案提案の理由であります。  次に、法案内容について申し上げます。  本法案は、以上述べました理由により、日本国有鉄道の現状を緊急かつ計画的に整備し、国民的経済の中で、その使命を十分発揮できることを目的といたしており、  第一に、幹線輸送力の増強、通勤輸送の緩和等に必要な線路増設、車両の整備、輸送の近代化及び今日国鉄に強く要求されております安全輸送のための保安施設の整備等を鉄道施設整備事業といたし、第一次五ヵ年計画以来とられてきた輸送力増強及び保安対策の計画を踏襲発展させようとするものであります。  第二は、これらの整備事業は、昭和四十一年度を初年度とし、十カ年間に所期の目的を完遂しようとするもので、これを二期に分け、国鉄昭和四十一年度を初年度とする第一期五ヵ年計画昭和四十六年度を初年度とする第二期五ヵ年計画のそれぞれについて計画を策定し、運輸大臣はこの計画について閣議決定を求めるものとし、この整備事業が政府によって承認され、政府計画完遂に責任を持つ体制とするものであります。  第三は、整備事業についての財源措置についてであります。前に申し述べたとおりの理由から、所要経費の三分の一を政府出資といたし、国鉄の健全な運営と整備事業の計画的な実施をはかろうとするものであります。  なお、整備事業の規模についてでありますが、第一次五ヵ年計画では、約一兆六千五百億を投入し、立ちおくれを解消し、安全輸送の確保を重点といたし、第二期五ヵ年計画においては、需要の伸びに応じた輸送力の増強、近代化等に主力を置くこととし、十カ年間の総事業量はおおむね三兆三千億円程度と見込んだ次第であります。  次に、本計画実施にあたっては、特に次の二点につき留意すべきものと考えております。  すなわち、その一つは、本法案による国鉄整備の目的は、国鉄をして国民経済上その使命を忠実に実行させるためのものでありますから、さきに指摘したごとく、採算と利潤のより得られるための投資に偏した方針は強く反省されねばなりません。利潤を生まない保安対策の拡充あるいは通勤輸送の緩和等は、本計画で優先実施すべき事業であり、そのためにこそ、公共投資として政府出資する意義も、ここにあるのであります。  二つには、国鉄投資不足の回復と経済成長についてであります。高度成長政策は幾つかの矛盾と問題点を露呈してまいりましたが、その中でも、社会資本、公共投資の立ちおくれから来るアンバランスが、はなはだしくなってきており、資本の側からも社会資本の拡充が要求されておりますが、かかる事態になったことに対する反省と検討が必要であります。本計画が、民間企業の無政府設備投資の尻ぬぐい策として実施される場合には、との計画による投資は、さらに新たな矛盾を生み出し、とどまるところを知らぬものとなり、とうてい国民的要求は満たされないことになるのでありまして、当然、この無政府的な設備投資をコントロールする中で本計画実施される必要があります。また、国鉄を含む総合的交通体系が確立され、その分野と方向に沿って本計画実施され、国民経済の中で調和のとれた国鉄の姿になる必要があることは言うまでもありません。  以上で御説明を終わりますが、何とぞ慎重御審議のほどをお願いいたします。(拍手
  36. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑通告がございます。順次発言を許します。木村美智男君。    〔木村美智男君登壇拍手
  37. 木村美智男

    ○木村美智男君 私は、ただいま提案されました国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に対し、日本社会党を代表して、運賃値上げ反対の立場から、佐藤総理並びに関係大臣に対して質問するものであります。  冒頭に、総理に伺いたいのは、本法案はきわめて重要な問題でありますので、私は、慎重な、かつ十分な審議を要すると考えるのでありますが、成立を急ぐあまり、衆議院のような強行採決もやむを得ないと思っておられるのかどうか、自民党総裁としての考えをただしておきたいと思うのであります。  次に、政府の交通基本政策について伺いたいのであります。  今日、すべての交通機関における行き詰まりの現象はいよいよ深刻となり、過密ダイヤをはじめ、通勤ラッシュ、路面交通の混雑、安全輸送の軽視、劣悪な労働条件、大都市における交通の麻痺状態、そして過当競争と、いまや交通における混乱は、一刻もゆるがせにできない社会問題となっているのであります。これは明らかに、高度経済成長政策失敗によるひずみが交通にあらわれたものであって、その決定的な要因は、輸送力の不足に基因していると思います。したがって、これを打開するためには、事故が起こってから場当たり的に対策をとるのではなくて、すべての交通機関を有機的に総合した長期にわたる交通基本政策を樹立をし、政府が強力な政治力をもって実践する以外に道はないのであります。  そこで総理に伺いたいのは、第一に、輸送力増強とそのための投資のあり方についてどう考えられるか。第二に、過当競争緩和のためには、当面、運輸交通機関の一元的運営をはかるとともに、将来は輸送分野を政策的にきめる必要があると思うがどうか。第三に、大都市交通の改善は、単に輸送力の拡充だけではなく、強力な都市行政の改革もあわせ行なう必要があると思うがどうか。第四に、安全確保のためには、施設の整備とともに、交通労働者の過労防止と生活の安定か必要であります。したがって、深夜労働、変則勤務、休養設備の最低基準等について、法改正の必要があると思うがどうか。特に基本的な事柄だけに、総理考え方をただしたいのであります。  次に、日本国有鉄道の運営についてであります。国鉄は、日本国有鉄道公社として公共企業体の経営形態をとり、わが国交通機関の大動脈として、国民経済の発展と国民生活の安定の立場から、公共性を強く要求をされ、他方、一般交通産業と同様に独立採算制をとっていることは御承知のとおりであります。国鉄が、大量の旅客貨物を安全正確かつ迅速に輸送すべき使命を持ちながら、その最も大事な安全が脅かされ、今日国民の輸送要請に十分こたえられない理由は、一体どこにあるでしょうか。戦時中は臨時軍事費特別会計によって、もっぱら戦力増強のために、戦後は経済復興の美名によって、歴代内閣は、産業振興、地域の開発、あるいは社会文教政策の立場から、各種の運賃割引や政治路線など、公共負担を押しつけ、経営面では独立採算制のワクをはめて、その赤字負担は運賃値上げによる大衆収奪によって国民に転嫁し、独占奉仕の政策をとってきたからにほかならないのであります。かくして、政府独占にとってきわめて都合のいい、公共性と独立採算制という二つの足かせの中で、企業の努力も、労働者の犠牲的な奉仕も、何ら報いられることもなく、経営は行き詰まりを来たし、三河島をはじめ、幾多の事故を惹起することにもなってきたのであります。国鉄の資本の構成を見ましても、自己資本が一兆三千五十七億のらち、政府出資はわずかに八十九億円、その他は国民が支払った運賃による蓄積であります。国有などとは全くおこがましいのであります。また、外部資本のほとんどは、借り入れ金鉄道債券、すなわち借金であります。しかも、借り入れ金は年々増加をし、今日すでに一兆一千百十一億、その元利償還は千五百六十二億であります。実に一日四億円をこえる膨大なものとなって、もはや借り入れ金や債券の発行によって資金調達を行なうことは限界にきていると言わなければならないのであります。しかるに、政府はこのような国鉄経営の問題点には目をふさいで、政府の腹の痛まない運賃値上げによって当面を糊塗しようとしているけれども、さなきだに、今日物価抑制策をとり得ない佐藤内閣では、近い将来またまた運賃値上げを繰り返すことは必至である。政府は今日、高速道路、あるいは港湾、空港の整備等に対しては、大規模な投資をやっているのであるけれども、この際、同様の条件にある国鉄に対しても、思い切った政府出資借り入れ金利子補給等の措置をとるべきであると思うが、その決意を伺いたいのであります。また、不合理な公共性と独立採算制の矛盾を是正するために、法改正を検討する用意があるかないか、この際、総理の明快な答弁を求めます。  次に、国鉄運賃値上げ物価対策との関係であります。  総理は、過般の施政方針演説の中で、特に物価問題に言及をして、まことに耳ざわりのよい文句を並べました。しかしながら、物価問題は、将来の問題ではなくて、さようの問題であります。政府は、本年早々に、消費者米価私鉄運賃引き上げ、そして今回の国鉄運賃、さらに、郵便料金、際限もなく、公共料金引き上げを策定し、そのために、消費者物価は続騰をし、いまや物価問題は、国民の日常生活にとって死活の問題となっているのであります。経済企画庁長官の諮問機関である物価問題懇談会は、一体何を懇談しているのか。いま、ちまたでは、あれは物価値上げ懇談会だと、こういう皮肉の声を長官は御存じでしょうか。政府は、最近、内閣に物価安定推進本部を設ける、こういうことを聞くのでありますが、このように政府物価対策は、いたずらに特別の機関を設け、そのことが、あたかも物価対策であるように錯覚をして、国民に対してゼスチュアを示している、全くの欺瞞政策と言わなければなりません。いま国民は、政府こそが物価値上げの張本人であり、公共料金一つ押えることのできない佐藤内閣の政治的無力に、激しい怒りをぶちまけているのであります。一体政府は、ほんとうに物価を押え、そうして国民生活を安定させようという熱意と愛情があるのどうか。経済界や財界に対して、本気で物価対策上の行政指導を行なったことがあるのか。あわせて、今回の運賃値上げが、物価上昇とならないという確信と見通しがあるならば、国民の納得のいくように、総理並びに藤山長官の答弁を求めるのであります。  次に、福田大蔵大臣に、今回の国鉄運賃値上げの基礎となった、国鉄基本問題懇談会の意見書に関連して伺いたいのであります。  この答申は、国鉄の第三次長期計画を遂行するには、当面二兆九千七百二十億円の投資の必要は認めるけれども、計画期間は若干延長されてもやむを得ないと述べている。今日、国の補正予算審議を通して明らかなように、佐藤内閣財政経済政策失敗によって、経済の不況と停滞をもたらし、そのために、四十年度二千五百九十億の税の歳入欠陥を生じ、国家財政は、赤字公債を発行しなければやっていけない現状にあるときに、このような膨大な投資計画に対して、七カ年が適当であるとした根拠は何であるか、明確にしてほしいのであります。  また、この答申は、資金調達の方法について、第一には、財政投融資を増加すべきである。第二は、政府出資またはこれにかわる負担金等について検討の必要があるということを、政府に対して特に要望しておるのでありますが、福田大蔵大臣並びに中村運輸大臣は、今回の四十一年度予算編成にあたって、この点どのように受けとめ、どのように措置をされたのか、具体的にお答えをいただきたいのであります。  次に、今回の運賃値上げ案は、旅客三一・二%、貨物一二・三%となっており、昭和三十二年の一三%、三十六年の一五%に比べ、平均二五%という大幅なものである。そして貨物運賃は、これを低率に抑え、旅客にしわ寄せしているところに、今回の運賃値上げの特徴があるのであります。たとえば、従来社会政策的な立場から割引を行なっておりました通勤定期については、一キロ当たりの基礎賃率を引き上げた上に、さらに現行平均割引率を引き下げるのでありますから、これは二重の値上げとなるのであります。また、賃率においては、従来からの遠距離逓減法というものを、今回は距離比例に近づける結果、低額所得層の遠距離旅行は重大な制約を受けざるを得ないのであります。一方、貨物運賃は、依然として原料あるいは工業製品等の独占物資が比較的低廉に据え置かれ、直接国民生活に響く消費物資は割り高になっているのであります。物価戦争といわれるこの状況のもとで、今回の運賃値上げが連鎖反応的に消費者物価の値上がりに拍車をかけ、便乗値上げを誘発をして、国民負担を一そう増大させることは間違いないと思うのであります。経済企画庁の発表によりますと、国鉄運賃値上げ物価上昇に及ぼす影響は〇・三%程度だとしておりますけれども、現実を無視するもはなはだしい暴論だと言わなければなりません。以上の点から、私は、今回の運賃値上げ案は、多くの勤労国民、特に減税すら受けられない低額所得層を犠牲にする反国民的な運賃値上げ案であると断ぜざるを得ないのでありますが、藤山長官並びに中村運輸大臣見解を伺いたいのであります。  また、二月十五日以降、値上げ実施の日までに生ずる増収見込みの不足分は、予算上どう措置されるのか、明快なお答えをいただきたいのであります。  なお、先ほど続いて提案をされました日本国有鉄道整備緊急措置法案関連をいたしまして、政府が所要経費の三分の一を国鉄に交付するということは、利用者負担でなければおかしい、こういう議論があるのでありますが、この点、提案者の久保議員に、その議論についてぜひ提案の立場からお伺いをいたしたいのであります。  最後に、政府は、この際、英断をもって、いま申し上げましたような不当な国鉄運賃値上げ案というものを撤回をし、そうして、政府出資を基本とする国鉄の再建整備を進められるように強く要求をいたしまして、私の質問を終わる次第であります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇拍手
  38. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  申すまでもなく、経済の急激な非常な発展がありまして、そうして交通輸送力がこれに追随することができなかった、設備その他において、たいへん時間的にも、また巨額の投資を必要といたしますので、それが間に合わなかった、こういうことで今日の混雑を来たしておりますことは、御指摘のとおりであります。したがいまして、こういう問題について、どういうようにこれに対処していくか、これはもう基本的な問題であります。基本的に申せば、申すまでもなく、交通政策は総合的にこれを樹立しなければいけない。空、陸上、あるいは地下、水上、また、交通機関一にいたしましても、各種交通機関が総合的にお互いに助け合って、そうしてまたその長所を発揮していく、それで初めて交通の機能を発揮できるのであります。しかしながら、そういうような基本的な交通政策を樹立いたします前に、当面いたします現状に対して、われわれは、輸送力がその需要に追いついておらないのですから、あらゆる機関がその機能を十二分に発揮して、そうして今日の輸送需要にこたえる、こういうことでなければならないと思います。また、そういう立場に立ちまして、各交通機関は、国鉄をはじめ航空会社におきましても、また自動車会社におきましても、また私鉄あるいは船会社等々が、ただいまのような総合的な機能を発揮する、そうして、その立場に立って自分たちも長期計画を持つと同時に、今日の問題に善処していこう、かようにしておるわけであります。  そこで、ただいまお話がありましたように、この投資が今度は必要になってくる。この交通事情の問題では、いわゆる収益を上げるような投資ばかりではございません。保安の観点から特に保安の整備をするとか、あるいはまた、過密ダイヤの解消等にいたしましても、これは直ちに収益が上がるだけのものではございません。そういうような投資もしなければならない。そこで、長期低利の資金が必要だ。ただいま国鉄を中心にしてお話を申し上げれば、国鉄に対しましても、政府が、ただいまのような低利長期のものをあっせんする、あるいは財政投融資等を十分に使えるように、くふうして、あんばいしてこれを割り当てる等々のくふうをいたしております。しかしながら、やっぱり基本的には、申すまでもなく、この公共企業、これは本来が独立採算制で経営されている。いわゆる公共性を持ち、同時にその独立採算制、その二つをうまく調和していくところに今日の仕事があるわけであります。ただいま言われるように、公共性と独立採算制は矛盾する、かように言われますが、私はそれを調和していくところがこの経営の企業としてなさなければならないところだと思います。そういうような意味で、経営の衝に当たる者も、また、この場所で勤労する立場の者も、どこまでも利用者にどうすれば一番りっぱな利便を提供できるか、こういうことでいろいろくふうし、いろいろ努力しておる、私はさように見ておるのでございます。交通の利便を利用者に最終的に提供する、これが本来の考え方である。また、政府も、そういう立場に立ちまして、公共企業のあり方等を見ていくわけであります。  そこで、公共企業におきましては、安易に運賃だけを上げる、こういうような考え方ではございません。もちろん、経営の合理化をする、あるいはまた、最善の努力を払って値上げ要因を吸収する、できるだけのことはする。しかしながら、その上でもなおかつどうしようもないのだ、やむを得ない処置だ、こういう場合におきましては、ただいま申し上げるように、やむを得ない措置として、そこで、政府は、その上げ幅並びにその時期等について十分の考慮をしてこれを決定いたすのであります。ただいま御審議をいただいているのも、そういう立場に立っての問題であります。  また、都市交通の麻痺についてのお尋ねがあります。都市交通の麻痺については、それぞれがただいま長期計画を持っておるお話もいたしました。しかし、何といいましても、この都市計画については、都市の再開発の問題、あるいは人口問題、都市問題等々、基本的に取り組んでいかなければならない、かように思います。しかし、今日、非常に急がれておりますのは、高速輸送機関の整備、そういう意味で地下鉄あるいは省線等の線増の問題があります。また、同時に、自動車の混雑等から、道路を急速に整備していこうという、これもたいへんな計画でございます。  次に、安全確保、それから労働者の給与等の問題についてもお尋ねがありました。ものによりましては最低賃金制を必要とするような職場もまだ残っておるようであります。しかしながら、木村君が御承知のように、労働関係は組合の結成は非常によく普及しておるのでございますから、そういう意味におきましては、私はこの賃金問題をいわゆる労使双方の話し合いによってきめると、こういうあり方で適当だと思います。最低賃金法の制定、これはただいま審議会等で、いかにあるべきかと、改正案等も研究しておる際でございますから、これは重ねては申し上げません。また、労働の過労にならないように、超過しないように、それが事故誘発の原因になる、こういうことでありますが、これまた労使双方におきまして十分研究されておるので、一部非常にプリミティブな労働時間などはいま制定していない、かように私は確信をいたしておるのであります。  もう一つ、政府出資あるいは借り入れ金利子補給等のお話がございましたが、これは先ほど、まあ独立採算制を本来のたてまえにいたしますので、ただいま利子補給、また借り入れ金出資等は政府自身が考えるような状態でもございません。政府財政状態も十分ではありませんし、これは考えません。また、それを一般の国民租税負担に転嫁する方法は政府として好ましい方法だとは考えません。  ただいまこの法案が今日から参議院にかかるわけでありますが、これを政府はもちろん早期に成立を期待し、またこれをお願いいたしておりますが、この審議そのものは皆様方がなされるのでありますので、私は審議を指図するようなことは絶対にいたしません。また、政府が協力いたしまして、そうして早期成立を期するように、期待ができるように努力するつもりでおります。これは重要法案であることはただいまのお話にもありますから、御審議をいただく、それについて政府が最善の協力をする、こういうことを申し上げておきます。  次に、運賃値上げ物価対策との関係についてのお尋ねがございました。これはもうしばしば各機会において申し上げておりますが、申し上げるまでもなく、安易に運賃値上げ計画しておるのではございません。国民生活に及ぼす影響、さらにまた心理的物価対策、心理的な影響等も考えまして、運賃値上げは慎重でなきゃならない、これは御指摘のとおりである。私どももあらゆる面で慎重に取り組んで提案をいたしておるのであります。皆様の御審議をいただきまして早期に成立するように心からお願いいたします。(拍手)    〔国務大臣中村寅太君登壇拍手
  39. 中村寅太

    ○国務大臣(中村寅太君) 総合的な交通政策につきましては、各交通機関は、それぞれの機能的に特有の性格、適性を持っておりまして、その特性に応じて活動領域がおのずから定まるものと思われますが、これを合理的に行なわせるためには、各交通機関相互の公正な競争を確保することが必要であり、これらの点を十分配慮して交通行政を強力に推進いたしてまいりたいと考えております。ただし、交通投資が経済の急速な発展に対応しまして著しく立ちおくれております現段階での交通政策といたしましては、さしあたり輸送需要の急激な増大に対応して、全般的に交通投資の拡大をはかることが最大の急務であると考えております。  次に、輸送力を増加させるための投資の配分及び進め方については、それぞれの交通機関の実情に応じまして考えるべきであると思いますが、交通部門に対する投資は全般的に立ちおくれております。そういうことによって、輸送力の不足を来たしておるのが現状でございますので、交通機関全般にわたってこれを大いに押し進めてまいる必要があると存じます。このための資金調達につきましては、鉄道、港湾あるいは道路等、交通機関の性格に応じまして、国としても十分な配慮を行なうとともに、利用者負担及び受益者負担の原則によるべきものにつきましては、その負担を適正化することによって所要資金の一部を確保することが必要であると考えております。  次に、過当競争緩和のための輸送分野の確立については、各交通機関相互間の公正な競争を通じて適正な輸送の上に誘導していくことをたてまえとして、輸送の近代化、経営の合理化等を進めることによって、各企業の経営基盤の強化をはかるなど、不況対抗力をつけさせるための各般の措置を講じてまいりたいと存じております。  次に、人口、産業の急激な都市集中により惹起された大都市交通問題の根本的解決のためには、都市機能の地方分散、大都市再開発等の過密都市対策を強力に推進する必要がありますが、当面、高速鉄道網の整備及び道路整備の飛躍的な増強をはかる必要があります。このため国鉄は第三次長期計画私鉄各社は第二次輸送力増強三カ年計画をおのおの策定し、地下鉄の新線建設と相まって輸送力増強につとめており、道路も第四次道路整備五ヵ年計画に基づいて整備をはかっておる次第でございいます。  国鉄は、公共の福祉を増進することを目的として業務運営を行なう点からいきますと、きわめて公共性の高いものでありますが、その経営は能率的かつ独立採算制によって行なわなければならないたてまえになっております。この公共性と独立採算制とは一見矛盾するように見えますが、この両者を調和させて所期の目的を達成するように経営すべきものであると考えております。  次に、本来国鉄は利用者負担による独立採算制をたてまえとしてきておるものでございますが、今後も原則としてこのたてまえを貫いていくのであり、政府出資利子補給等の国の援助につきましては、国の財政の現状からいっても当面これを行なうことは困難でありますが、今後の問題としていま少し検討してまいりたいと存じております。  次に、一般には運賃改定によって物価に相当な影響があるようにいわれておりますが、物価に占める運賃の割合はきわめて微小であり、また物価は需要と供給の関係その他複雑な要素で変動するものでございまして、運賃改定が直接物価に及ぼす影響は心配するほどのものではないと考えられますので、今回の運賃是正は国鉄の独立採算制を維持するためにやむを得ない処置である、むしろこれによって国鉄輸送を近代化しまして物資流通経費の低減をはかることによって、物価問題の根本的な解決に役立つものであると考えておる次第でございます。  次に、運賃決定原則については、国鉄が独立採算制をたてまえとする以上、国鉄運賃は基本的にはまず原価主義によっていると考えられますが、その他、運賃決定の原則についても十分考慮しており、たとえば今回の運賃改定において生活必需物資等に特別措置を行なう等、物価への影響をできるだけ少なくするように配慮しておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣藤山愛一郎君登壇拍手
  40. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) 答弁申し上げます。  消費者物価に対する今回の運賃値上げによる影響は、乗客の指数をとりまして〇・三%であることは従来申しておるとおりでございます。物資に関する運賃につきましては、産業連関表をもちましても必ずしも正確なものは出ておりませんので、われわれがCPIに対して〇.三という数字をとっておるわけであります。これらの数字が〇・三では少ないというお考えもございます。ただ問題は、この物価問題を扱っておりまして、CPIに対する〇・三というのは、これは全国的な問題、つまり平均の問題でございまして、やはりそれぞれの家族構成なり、あるいは所得の立場なり、それぞれによって物価値上げりに対する影響もそれぞれ違ってまいります。したがって、いろいろな意味において影響を深く感ずる。ことに生鮮食料品その他が上がってまいりますれば、家庭の主婦の方も、ある場合には、主人よりも、もっと深く関心を持つというようなことになってくるわけでございまして、これらの精神的な、いろいろな影響というものは、われわれ物価問題を取り扱っていく上において十分考慮してまいらなければならぬ問題だと思います。したがいまして、今後の物価政策に対しても、そういう意味において、数字だけにあらわれている問題以上に、これらの問題について考えてまいらなければならぬと、こう考えております。  また、一言御了解いただきたいのは、先ほど、物価問題懇談会は値上げ懇談会だというふうな御指摘がございました。実は、この物価問題懇談会は企画庁につくりまして、消費者、学者、労働界の代表等に御参加を願ってつくったものでございます。私も、太田、岩井両氏に会いまして、その趣旨説明して御参加を願った。太田、岩井両氏とも御相談の上で、春闘が終わったらば、趣旨賛成だから入ると、こういうことでございまして、現に滝田氏は入っておられます。そういうことでございますから、この委員会が、決して物価値上げを促進する委員会でないことだけは御了解いただきませんと、委員の皆さまに失礼になると思いますので、弁解をいたしておきます。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫君登壇拍手
  41. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 私に対する質問総理や運輸大臣でおおむね尽きておるのですが、ただいま木村さんのお話を承っておりますと、国が国鉄に対して何も援助をしないじゃないかと、こういうような御不満のようでございまするが、国は国鉄公共性にかんがみて非常に大きな援助をしておるのであります。つまりあれだけの独占路線を与えておる、これは最大の援助であります。同時に、その上さらに財政投融資計画におきましては、大体あの膨大な計画の中の一割をさきましてこれに投入をいたしておる、非常な援助をいたしておるのだということを申し上げたいのであります。補給金を出す、あるいは出資をすると、そういたしますれば、これは運賃問題もこういうふうな状態にはならないというようなお話でもございまするけれども、だれが一体この出資をするのだ、あるいは補給金を出すのか。これは国民であります。国民の税金であります。国民全体の税金で国鉄を利用されるお客さんの利益をはかるということは、私は、国民感情は納得しない、同時にまた、それだけの負担を負うことを国民は、私はおそらく承知をしまい。かように考えます。この問題は国鉄問題懇談会で検討してきたのですが、国鉄基本問題懇談会の結論は、財政投融資をふやせ、これはそのようにしております。また、利子補給金やあるいは出資は検討しなさいというので、検討いたしましたが、ただいま申し上げたような考え方のもとに、これはいたさないことにした。第三の点を木村さんはお忘れのようでございますが、第三の答申は、運賃改定をせよと、こういうことを言っておる。私ども運賃改定はそうしばしばすべきものじゃない、こういうふうに思いまするけれども、国鉄の現状、これも考え、国民の負担ということも考えまするときに、これは利用者であるお客さんに負担をしていただくほかはない。こういう結論に到達いたした次第でございます。  なお、七カ年計画をさらに延ばしたらいいじゃないかというようなお話がございましたけれども、これは御承知のように、いま交通輸送でも殺人的な状態である、あるいは過密ダイヤ、非常な危険を包蔵しているというような状態であります。国鉄が与えられました任務を完遂する、そして、しかも安全にこれを運営していくためには、どうしても七カ年で増強計画をやっていかなきゃならぬ、延ばせば延ばすほどそういう使命が貫徹できない、こういうことになりますので、延ばすという議論には賛成いたしかねます。(拍手)    〔衆議院議員久保三郎君登壇拍手
  42. 久保三郎

    衆議院議員(久保三郎君) お答えを申し上げます。お尋ねの点は、私どもの提案している緊急整備法で所要財源のおおむね三分の一を政府出資にすることは、ただいまもそれぞれ政府のほうから答弁があったように、国民全体の税金で払うことはいかがかという、その点はどうかというお話であります。なるほど、いままでお答えがあったように、税金の使い方にはいろいろ解釈がございます。しかし、問題は、一国鉄運賃だけに限定して考えてみた場合、論争の大きな点である公共性の問題がございます。結局、今日、その真偽はもちろん政府自体でおわかりのとおりでありますが、私は正しいと思った立場から申し上げますならば、いわゆる国鉄が公共負担としてしょっている財政負担は、大体八百五十億からおそらく九百億、そして四十一年は一千億以上になるだろうというのが定説になっております。また、政府自体もそういうことを承認しているわけであります。で、公共負担とは、はたして名前のとおりこれは正しいものであるかどうか、これは非常に問題のある点で、今日いろいろな政府機関の中でも論争があり、結論として、そういうものは国鉄に押しつけるべきじゃないという結論が出ております。結局、公共負担とは、たとえば文教政策上から、学生生徒の定期については大幅の割り引きをする、そして教育費の負担を軽減していく、教育を最もやさしくやっていく、これは国家政策上必要なことであります。さらに産業政策上、あるいは社会政策上からいろいろな問題があります。たとえば農林水産物資の特別措置は、今回の値上げをやりながらも、またやっていくということであります。これは国民生活上、あるいは農漁民の立場からいけば、当然一方的な値上げだけではバランスがとれないし、経営が困難になるという立場から、これはやるのであります。さらに最近では、卑近な例では、御承知のように、石炭政策、このために過去三十六年からの値上げの際は延納を認めるという決定政府はして、おそらく三十億ぐらいあると思うのでありますが、今日ただいまも国鉄の会計の中には、びた一文入っておらぬ。また、今後も、この石炭対策のために、かなり運賃の軽減というか、実際は減免でありますが、これをやっていくことを閣議では決定いたしております。なるほど、今日ただいまの石炭、そしてエネルギー全体の政策からいけば、炭価を維持していくためには、国鉄自身が今日やっている運賃をもってしては不可能であるから、運賃の差額を何とかせねばならぬのは理の当然であります。これはみんな、そういうことからいくならば当然であるけれども、その責任はだれが負うのかが問題なんです。ただいままで、総理並びに大蔵大臣、運輸大臣のお話を拝聴しておりますというと、切符を買って乗る人が負担をしなさいというのであります。切符を買って、乗客である国民大衆が負担をするのが当然だというのが、いわゆる国民全体の税金を国鉄出資するがごときは間違いだという論法であります。皆さん、国家の政策を遂行するのに、特定の汽車に乗る人、その人が負担するなどということは政策じゃありません、これは。だからそういう意味から言っても、この際は公共負担の軽減、その制度は必要なんだが、これは独立採算のワクでやっていこうとするならば、国鉄自体にしょわせるものではない。だから、三分の一相当額を国家の税金でまかなうのが当然である。またそうすることは、単に公共負担を解消するばかりでなくて、今日ただいまの国鉄経営から利潤を生まない事業、言うならば保安対策あるいは通勤対策、こういうものにこの出資は利用すべきだというのであります。ちっともこれは曲がった話ではないとわれわれは考えております。そういうことで、しかも、いままでお話し申し上げたように、たとえば今日の運賃値上げを招来した国鉄長期計画、それをきめた政府自体の機関である基本問題懇談会の結論も、先ほど大蔵大臣かどなたかが反論しておりますが、この政府出資についても考慮することになっている。考慮したがやらぬというのか、いままでの御説明では理論的にやるべきでないという結論をしている。はなはだしいこれは矛盾であります。さらには、政府が任命している国鉄監査委員会の結論のごときは、毎年のごとくいまわれわれが主張するようなことを言っておるわけです。さらには、国鉄経営諮問委員会それ自体の結論も同じであります。そういうことを、しかも、運賃法は御承知のように運賃の原則、これをきめております。その第一番目には、運賃は公正妥当のものでなくてはならないときめております。はたして国家の政策をある特定の乗客が負担することが公正妥当であるかどうか、お考えをいただきたいと思うのであります。  以上、御答弁申し上げます。(拍手
  43. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 白木義一郎君。    〔白木義一郎君登壇拍手
  44. 白木義一郎

    ○白木義一郎君 政府は今回国鉄運賃値上げを断行せんとしておりますが、物価高のおりから、ますます国民大衆の生活を圧迫するものとして、公明党は深く遺憾の意を表するものであります。この際、次の諸点について総理初め関係大臣にお尋ねいたします。  まず第一に、国鉄の第三次計画によれば、大都市における通勤ラッシュの改善、幹線の過密ダイヤの緩和、事故防止対策の強化などがうたわれていますが、現在の殺人的通勤ラッシュも、息の詰まるような過密ダイヤも、おびただしい交通惨事の発生も、基因するところは、人口の都市集中とそれに伴う無秩序な都市形成にあるのであります。この根本的な人口配置、都市配置に、総合的な計画性を持たせ、道路、鉄道、海運を一体化した輸送対策が確立しない限り、国鉄のいかなる膨大な投資も焼け石に水であり、悪循環を続けるだけであります。政府は、しばしばこの問題については、学園都市建設や新産都市建設等の人口分散施策のあることをあげてはおりますが、これらの施策は何らの効果をあげておらず、学園都市のごとく行き詰まってしまい。遅々として進捗しておりません。これでは、未曽有の運賃値上げも、人口の都市集中化・輸送力増強・運賃値上げと、習慣的に繰り返すのみで、これは政治とか政策とか呼ぶものではありません。金が足りなくなったら値上げをする、子供のやるようなもので、ますます大衆に政治不信の念を与えるにすぎません。言うまでもなく、国鉄はわが国交通機関の大動脈として、国民経済の中で重要な地位を占めており、その影響国民生活のすみずみまで浸透しております。このような国鉄のあり方は、直ちに大きな社会問題となるのでありまして、ただいま提案されておる法案内容は、一般旅客は三割一分の値上げ、貨物運賃は一割二分、通勤定期のごときは、実に一・七倍という、国鉄史上かつてない大幅な値上げであります。これでは物価抑制策を今年度の基本方針としておる佐藤内閣が、国鉄運賃を通して国民大衆に対し強行採決をもって高物価政策による大攻撃の進軍ラッパを吹き鳴らしていると思わざるを得ないのであります。総理並びに運輸大臣の所見をただすものであります。  次に、このような無計画と無秩序な人口集中と都市形成という、政治の貧困と怠慢によって、通勤ラッシュや過密ダイヤ及び多くの事故を引き起こしているのであります。これらの問題を国鉄の独立採算制の中で解決せよという政府考え方が、今回の未曽有の値上げを招いたものであります。もちろん国鉄政府関係機関として、善悪はともかく、政府の施策の一翼をになうべきでありますが、政府政策の貧困と怠慢の結果を、国鉄の独立採算制のもとで、その負担と犠牲を直接国民大衆におっかぶせるということは、佐藤内閣性格を如実に示したものであり、典型的な国民不在の政治であり、無責任きわまる仕打ちといわねばなりません。この際、国鉄に対しましても、造船関係同様、国鉄が背負い込んだ借り入れ金利子補給をはじめ、企業努力経営合理化等により、当然、政府政策としてその財政支出によってまかなわれるべきであるが、そのような考え方の一片すらも見られないのはまことに残念であります。この点、総理、大蔵並びに運輸大臣の意見を伺っておきたいと思います。  第三に、運輸白書では、国鉄私鉄などの運輸機関が全国一斉に一〇%値上げをしたとしても、物価に及ぼす影響はせいぜい〇・五%から〇・六%の上昇にすぎない。また、藤山長官は、去る十二月二十八日の衆議院会議で、今回の国鉄運賃値上げ消費者物価指数に及ぼす影響は〇・三二%と見ていると発言しております。また同日、中村運輸大臣は、過去における国鉄運賃改定の際、物価への大きな影響を直接与えたとは必ずしも考えられないと述べております。このように、今回の運賃値上げ物価影響がない、ないと、懸命につくろってはおりますが、それが政府姿勢であり、これは消費者米価値上げのときと同じ政府の手口であります。私は、このような政府のごまかしにもかかわらず、すでに、ほころびと、ぼろが出ていることを指摘したい。それは初め値上げの時期を四月と主張していた藤山長官は、値上げ平均三〇%が二五%になったので、二月十五日実施賛成したといわれております。これはもちろん物価対策上の考慮だといわねばなりません。つまり長官の腹では、二カ月足らずの値上げ期間の繰り上げと五%の値上げ率の引き下げは同価値と見られたようであります。昨年の消費者物価指数は、公共料金値上げをしなかったにもかかわらず七・二%の上昇でありました。長官は、四十一年は、公債発行を背景とし、また一斉に公共料金値上げするという悪条件の中で、六%以内に押えると言っておりますが、このような苦しい立場から三〇%を二五%に引き下げたわけであり、たとえ五%の引き下げでも、生きた物価動向からすれば、重要な意義を認めたからだと思いますが、藤山長官の見解をお聞かせ願いたい。  また、運輸白書の〇・五%ないし〇・六%と長官の〇・三二%とは、物価影響から雲泥の差がございます。政府は、計算のやり方により、いろいろ言えると言われるかもしれませんが、そのこと自体、政府関係各方面の言いわけ的計算を悪用して、口先だけで国民をごまかそうとしている態度であります。このことは、政治不信にもつながる重要な問題でありますので、総理大臣、運輸大臣、経企庁長官の答弁を求めるものであります。  第四番目には、国鉄運賃改定は昨年来の懸案であり、政府としてもその態度決定を迫られていたわけでありましたが、このたびの決定は、あまりにも政治的であり過ぎたように思います。なぜかならば、政府は運輸審議会を全く無視した。今回は中村運輸大臣が運輸審議会に諮問したばかり、またその上、当日は運輸審議会が公聴会を開いている最中に基本方針を決定してしまった。とのやり方は、審議会がいかに無意味な存在であるかを示すものではないでしょうか。政府はこの審議会無視の暴挙についてどのように考えているか、明らかにすべきであります。総理、運輸大臣の弁解を求めます。  最後に、総理大臣は、衆議院会議では、特別の事情のない限り第三次計画期間中には値上げをしないと答え、その後、閣議決定では、三年ないし四年間は値上げをしない方針だと述べ、二月十四日の衆議院運輸委員会では、また、計画期間中は値上げをしないと言い、一昨日の参議院予算委員会では、大蔵大臣とともに、五年ぐらいは値上げをしないと、ネコの目のように答弁が変わっていらっしゃいます。政府は、値上げ法案さえ通ればよいという無責任な態度だと言わざるを得ないのであります。「特別の事情のない限り」の「特別の事情」とは、どのような事情をさすのか。  以上、政府の輸送事情並びに物価対策に大きな不安を感じつつ、総理大臣、大蔵大臣の所信を伺って、私の質問といたします。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇拍手
  45. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 御指摘のように、今日の交通問題、これは基本的に申せば都市問題であり、あるいは人口問題である、こういう問題についての基本的な考え方で、初めて今日の都市交通の混雑に対処することができる、かように私は思います。そういう意味で、都市分散計画あるいは地方の産業都市の形成その他を提案して、それぞれを実行しておるわけであります。ただいまお話のありました学園都市の問題にいたしましても、これはもうすでに各省の協力を得つつありますので、四十一年度におきましては、おおむね土地の買収ができるというように期待いたしております。今回の予算も、さような計上をいたしたような次第でございます。私は、この問題は、先ほどもお答えいたしたのでありますが、交通問題は、今日ただいまのような人口問題、都市問題、同時にまた総合的対策によって初めてこれが解決ができるのだ、かように思いますので、大動脈である国鉄を中心にいたしまして、一そうただいまとっております政策を強く遂行してまいるつもりでございます。また、お話にありますごとく、国鉄自身は、運賃改正、これを安易な改正を提案しておるわけではありません。お話にありましたように、企業努力も必要だし、合理化も必要だし、そうしてなおかつ吸収ができない、こういう場合に、やむを得ざる措置として運賃の改正をお願いしておるのでございます。ただいま御提案になりましたように、利子補給をしたらどうかというお話でありますが、先ほどもお答えいたしたとおり、独立採算制をとっております関係上、また、今日の国の財政から見ましても、利子補給をする考えはございません。  次に、経済企画庁と運輸省との間で考え方が違うじゃないか。いわゆる物価に与える影響、その率等の計算におきまして、経過的には違っていた、かように私は思いますが、ただいまは経済企画庁の提示しておりますこの率に統一いたしておりますので、政府としては別に食い違ったような考え方ではございません。  また、運賃審議会に提案をし、審議中に、先に提案をしたのではないか、かようなお尋ねでございますが、私どもはさようには考えません。いわゆる運賃改正の実施期等についていろいろ相談をいたしました際に、二五%程度増収計画したらどうだろう、こういうことを提案した、かように話をしていた、こういうことでありますので、運賃改正の具体案は、これは運賃審議会において十分審議されたものであります。また、運賃値上げは、今後向こう五年程度は、これは上げない、かように申しておりますので、別にネコの目のように変えてはおりません。(拍手)    〔副議長退席、議長着席〕    〔国務大臣中村寅太君登壇拍手
  46. 中村寅太

    ○国務大臣(中村寅太君) まず、物価への影響について経済企画庁の言と食い違いがあるのではないかという御質問でございますが、運輸省は、この問題を所管しております経済企画庁の見解によって大体やっておるものでございます。なお、昭和四十年十月の運輸経済年次報告の中で示しております数字は、すべての運輸機関がそれぞれかりに一〇%の値上げを行なった場合を仮定して、昭和三十五年産業連関表により、物価に及ぼす影響を試算したものであります。  国鉄の基本問題の性格につきましては、公共の福祉を増進することを目的として業務運営しておるという観点から、きわめて公共性の高いものでありますが、その経営は、能率的に、かつ独立採算制を旨として行なわなければならないたてまえになっております。この公共性と独立採算性との間には、何か一見矛盾するような感じも受けますけれども、この両者を調和させて、そうして運営をいたしますことによって、所期の目的を達成するよう経営すべきものであると考えております。  そのほかの質問の諸問題は、先ほど私が木村議員にお答えしたものと同じものでございますし、さらに、総理からも詳細にお答えがありましたので、省略させていただきます。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫君登壇拍手
  47. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 私に対するお尋ねに対しましては、ただいま総理大臣から詳しくお答えいたしましたので、省略させていただきます。(拍手)    〔国務大臣藤山愛一郎君登壇拍手
  48. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) お答えいたします。  時期を四月と言っておりましたのを、二月十五日に話し合いをいたしましたのは、いま白木議員が御指摘のような理由でございまして、率を下げますことのほうが、施行時期を若干早めます上りも重要だと思います。したがって、原案から二五%になりましたことで、私どもも時期を早めたわけでございます。  それから、この指数のとり方について、いろいろ違っているじゃないか。——私どもは、大体、先ほど申し上げましたように、CPIに対しての関連から〇・三という数字を使っております。運輸白書に出ておりますのは、国鉄運賃が、旅客、貨物を通じて一斉に一〇%上がったときには、連関表として〇・一九三%消費物資が上がると、こういう数字をもって説明された。したがいまして、今度は二五%でございますから、〇・一九三に対して二・五をかけると、ほぼ〇・五%ぐらいの数字が出てまいります。これは先般、衆議院予算委員会においても御説明申し上げたのでございます。私もこれは申したのでございますが、いまの貨物運賃の物資別連関表を、正確な連関表をとることはほとんど不可能なことでございます。同時に、現在まだ物資の中では、通産物資あるいは農林物資等で、それぞれ国鉄当局あるいは運輸当局に御折衝になっているものもございます。したがって、私どもは、CPIに対しての直接乗客の影響というので〇・三を出しているのでございまして、この三十五年につくりました、はたして、この産業連関表における〇・一九三%がよろしいかどうかということについて、まだ問題がございます。本年はあらためて新推計をつくりまして、あらゆる統計を整備してまいります。その際に、この数字も再検討をいたす必要があろうかと思っているのでございまして、そうした数字ができました上で、将来の計画数字として採用していきたい、こういう事情がございましたので、若干食い違ったかのごとき御印象を与えた場合がありましょうけれども、理由はいまのとおりでございます。(拍手
  49. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて質疑通告者発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  50. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第四、日本放送協会昭和三十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。逓信委員長田中一君。    〔田中一君登壇拍手
  51. 田中一

    ○田中一君 ただいま議題となりました案件は、放送法第四十条第三項の規定に基づき、会計検査院の検査を経て内閣より提出された日本放送協会の昭和三十八年度の決算についてであります。  日本放送協会の昭和三十八年度末の資産総額は、六百五十三億六千七百万円、負債総額は、三百六億三千四百万円であります。  次に、損益計算では、事業収入総額六百一億二千四百万円、事業支出総額四百九十八億七千九百万円、資本支出充当八十二億五千三百万円でありまして、差し引き十九億九千二百万円の剰余となっております。これらについての詳細は、説明書によって、ごらんを願いたいと存じます。  なお、本件に対し、会計検査院は、「検査の結果記述すべき意見はない」旨の報告をいたしております。  逓信委員会は、政府並びに日本放送協会当局につき質疑を行ない、慎重審議の結果、多数をもって、本件については異議がないものと議決いたした次第であります。  右、御報告申し上げます。(拍手
  52. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本件全部を問題に供します。本件は、委員長報告のとおり決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  53. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本件は、委員長報告のとおり決せられました。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時六分散会