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1965-12-21 第51回国会 参議院 本会議 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十年十二月二十一日(火曜日) 午前十時十八分
開議
━━━━━━━━━━━━━
○
議事日程
第二号
昭和
四十年十二月二十一日 午前十時
開議
第一
国務大臣
の
演説
に関する件(第二日)
━━━━━━━━━━━━━
○本日の
会議
に付した
案件
一、
日程
第一
国務大臣
の
演説
に関する件(第 二日) —
——
——
——
——
——
——
重宗雄三
1
○議長(重
宗雄三
君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。 —
——
——
・—
——
——
重宗雄三
2
○議長(重
宗雄三
君) これより本日の
会議
を開きます。
日程
第一、
国務大臣
の
演説
に関する件(第二日)。 昨日の
国務大臣
の
演説
に対し、これより順次質疑を許します。
木村禧八郎
君。 〔
木村禧八郎
君登壇、
拍手
〕
木村禧八郎
3
○
木村禧八郎
君 私は、
日本社会党
を代表いたしまして、現在提案されております四十
年度
補正予算
及び
福田大蔵大臣
の
財政演説
につきまして、
質問
をいたします。
質問
に入るに先立ちまして、今回の
補正予算
に対する
佐藤内閣
の
政治的責任
を追及しなければならないと思うのであります。(
拍手
)すなわち、わが
社会党
は、前回の第五十
国会
におきまして、
日韓案件
よりは
補正予算
を先に
審議
すべきであるということを主張したのであります。なぜならば、
日韓案件
は十四年間も
懸案
になっていたのでありまして、いま半年一年おくれて、どこに実質的な支障があるのでありますか。ところが、この
補正予算
は、御
承知
のとおり、
公務員給与
の問題、あるいは
災害対策費
、あるいはまた
義務的経費——社会保障
その他の
国民生活
に密着した、緊急な、どうしても措置しなければならない
経費
が計上されているわけでありまして、したがいまして、こういう
理由
から、われわれが
補正予算
の
審議
を
日韓案件
に先立って行なうべきことを主張したわけであります。しかしながら、どういう
理由
か知りませんが、
政府
は、あるいは自民党は、強引に
日韓関係
につきましてはこれを強行採決しようとしまして、
暴挙
をあえてしました。
衆参両院
におきまして、
特別委員会
、本
会議
を通じて、四回も
暴挙
をあえてしたわけであります。その結果として、この
補正
の
審議
がおくれただけでなく、第五十
国会
で第二次
補正予算
は
不成立
に終わったのであります。流れてしまった。いまだかつて
国会
で
予算
が
不成立
に終わったことがございましょうか。
法律案
と
予算案
とは、
憲法
におきましてもその
重要性
につきましてこれは区別しております。御
承知
だと思います。
憲法
五十九条では、
法律
につきましては、「
法律案
は、との
憲法
に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき
法律
となる。」。ところが、
予算
につきましては、
憲法
六十条にも、あるいは
憲法
八十六条にも、
予算案
という
ことば
はないのであります。
最初
から
予算
という
ことば
を使っております。当然
予算案
とすべきところを、案という字を使わないで、
最初
から
予算
という規定になっているわけであります。なぜこういう違いが出てくるか、
総理
も
御存じ
だと思うのであります、長い間の経験もございますから。それは、
予算
は
条約
と並んで非常に重要な
案件
であって、それで、多数党が
内閣
を組織したとき、
内閣
に
予算
の
編成権
、
提出権
があります。したがって、これは当然
国会
を通過するものだ、多数党の
内閣
が
予算
の
編成提出権
を持っているわけでありますから。したがって、よほどのことのない限り、
議決科目
に重大な修正なくして通過することが予定されているわけであります。しかも、もしまた
予算
が通らなかったら、
国民生活
なり
国民経済
に重要な障害が生ずるので、
予算
は提出されれば当然これはもう成立するものとの予定で、案という字は使わないのだ、私はそう理解しております。このような重要な
予算
が、
日韓案件
に重点を置いて
審議
をされたために、これが成立しなかったということは
——日韓案件
における
暴挙
によりまして
——政府
はこれが承認されたと言っておりますが、他方に
予算
が流れたことは、不信任を受けたのと同じことなのであります。
政府
は、この
責任
を感じて総辞職をするか、さもなければ解散をするか、この
責任
を明らかにすべきであると思うのです。あいまいにしてはならない。しかも、
予算
は、
条約
と並んで重要でありますが、
条約
以上に
憲法
で重要である規定があるのであります。
憲法
六十条では、「
予算
は、さきに
衆議院
に提出しなければならない。」、つまり、
衆議院
の
先議権
が規定されている。
条約
には
先議権
がございません。ないでしょう。なぜ、
予算
に
先議権
があって、
条約
に
先議権
がないのでありますか。ただ、六十条の二項におきまして、
自然成立
の点は
条約
と同じであります。しかし、
先議権
は
予算
にある、
条約
にないのであります。したがって、
予算
というものは、また
予算制度
は、御
承知
のように
民主主義
の発展の歴史をたずねれば、これは一番
基本
であります。
民主主義
の
基本
は、
予算
であり、
予算制度
なんです。これに対して、
政府
は軽く扱っているのです。 また、今回の
通常国会
に
——
第二次
補正予算
が流れましたので、
不成立
に終わったので、第3号として出しています。しかも、この
補正
の
内容
を、
政府
はどうでありましょうか、
補正
とはいえ、きわめて重要な
内容
を持った
予算
であります。まず第一に、これまでは
公債
なき
財政経済
であったわけです。ところが、この
補正
を契機に、
公債
をかかえた
財政経済
に転換するのではないか。そうした重要な
内容
を持っている。また、
財政法
第四条に対する
特例措置
を講じましても
——あと
で
質問
いたしますが、これは
財政法
第四条の
精神
に反することは明らかであります。
幾ら特例
を設けたところで、
財政法四条
の
精神
はじゅうりんされているのであります。これについて十分な
審議
をしなければなりません。重大な
財政経済
の転換なんです、今後、将来、かなり
長期
にわたって
日本
の
財政経済
を規制するのでありますから。あるいはまた、その
内容
につきましても、
公務員
の給与の問題、あるいは
災害対策費
、また、問題になった
日韓関係
の
予算
も、六十二億計上されているのであります。また、これに関連しまして、
公債発行
に関連しては、
景気
の
見通し
なり、あるいは物価の問題なり、十分に慎重に
審議
しなければならない。もし、二十五日か二十六日にこれを通過させるとするならば、十分な
審議
ができないじゃありませんか。また、これが成立しないとしましたならば、これは
国民経済
、
国民生活
にとって重大なる混乱を起こします。この
責任
は、
日韓案件
にのみ集中して、この重要な
予算
について
政府
がこれを軽視した、その
政府
の
責任
であると思う。この
責任
についてどう考えるか。ただ、口先だけではなく、真剣に
——予算
というものを粗末に扱ってはならないのでありまして、
予算
こそが
民主主義
の一番
基本
であります。この
予算
を軽視することは、
民主主義
を軽視することなんです。そういう意味で、
佐藤内閣
のこの
補正予算
、第二次
補正予算
が
不成立
に終わったことに対する
政治的責任
。 第二に、こんな
短期間
で、
補正
とはいえ、非常に重要な
内容
を持った、
日本
の
財政経済
に
一転機
を画するような重要なこの
補正
に対しまして、こんな
短期間
で
審議
を求めることは、非常識だと思うのです。この
責任
を痛感しまして、
——
もし
政府
に
責任
がないと言うならば、
国民
に問うてみたらいかがですか。解散して
国民
に信を問う必要があると思うのであります。この点についての
政府
の明快な御
所見
を承りたいと思います。(
拍手
) もう
一つ
、
政府
の
責任
につきまして追及しなければなりません。それは、この
補正予算
の重要な
内容
になっております、四十
年度
の二千五百九十億にのぼる巨額の
歳入
の
欠陥
であります。
歳入不足
です。これを生ぜしめた
責任
は、これは
佐藤内閣
にあると思うのであります。
福田大蔵大臣
は
財政演説
で、何かこれは、
景気
が悪くなって、そうして
税収
が異常に減少した。
——景気
に
責任
を転稼しているようであります。しかし、そうじゃありません。三十九
年度
の
予算
の場合に、はっきりと、こういう
条件
になることはわかっておりました。
田中
さんが
大蔵大臣
のとき、われわれは
質問
したのであります。三十九
年度
は、すでに実質において八百億以上の
歳入欠陥
になっているのであります。なぜそうなったか。それは、
高度経済成長政策
が破綻したからであります。もう、従来のように毎年
多額
の
自然増収
々期待することはできない。そういう
経済情勢
に転換したのであります。
歳入構造
が変わったのであります。ところが、
歳出構造
のほうはどうか。やはり、
高度成長
が
長期
にわたって続くという前提で
予算
が組まれておった。だから、
多額
の
歳入欠陥
を生じた。当時、
田中大蔵大臣
に対して、われわれは警告を発したのであります。また、四十
年度
におきましても、百億や二百億の
歳入欠陥
と違うのであります。二千五百九十億であります。しかも私は、この
歳入欠陥
は、これだけでは済まないと思います。
政府
が、二千五百九十億
歳入欠陥
を算定しました当時よりも、さらに九月決算は悪くなり、来年の三月決算は一そう悪くなる
見通し
であります。そうなれば、二千五百九十億では済まないのであります。もっと
多額
の
歳入欠陥
を生ずるのではないかと思います。
田中大蔵大臣
に対して、われわれが
——
このように、
歳入構造
も
歳出構造
も変化して、非常なギャップが生じたのであるから、このままでは、かなり
長期
にわたって
赤字財政
に転落することは明白なんである。だから、四十
年度
で、
歳入面
については、
租税特別措置
によりまして、利子とか配当のような
資産所得
に対して、
税制調査会
の答申を無視して、あのような
減税
をすることは反対である。なぜあんな
減税
をしたのか、
財政収入
が足りないのに。また、
農地報償
みたいな不当な
歳出
をなぜ認めたのであるか。
——
あの当時の
見通し
では、非常な大きな
歳入欠陥
が生ずることは明白であった。だから、
田中大蔵大臣
に対して、われわれは警告を発した。
財政面
において、少なくとも
税制調査会
の答申を尊重して、もっと
税収
を確保すべきだと。ところが、
税制調査会
以上に
減税
をしてしまった。しかも、利子、配当の
分離課税
、いままで
懸案
になっておったのを、とうとう認めちゃったじゃないですか。
税制調査会
では反対しておった。あらゆる新聞の論説も反対しておった。そうした
不労所得
の
大幅減税
を認めてしまった。しかも、
歳出面
では、過大な
歳入
の見積もりを前提として、放漫な支出を行なったのであります。
田中
前
大蔵大臣
の
責任
は重大であります。いま、
大蔵大臣
は
福田
さんにかわりましたけれども、しかし、その
責任
は
総理
の
責任
であります。この巨額の、前古未曽有でありますよ。二千五百九十億、さらにこれは、ふえようとしている。これを、単に、
景気
が悪くなったからだと、
景気
の変動に転稼せしめるようなことであっては、これは言語道断であります。こうした
政治的責任
をいかにお感じになりますか。 次に、しかも、この
政府
の言うように、
景気
が悪くなったから
税収
が不足したといたしましても、この
景気
に対して
政府
は全く
見通し
を誤った。
政府
は、七月二十七日に
景気対策
を打ち出しました。何らの効果をおさめていないじゃないですか。
福田大蔵大臣
は何と言いました。七月二十七日の
景気対策
を打ち出せば、大体
有効需要
が一兆円くらい造出します、そうして、秋ごろになれば
景気
は、
つま先上がり
によくなるだろう。
——
ところが実態はどうです。
景気
は、
つま先下がり
に悪くなっている。全く
見通し
を誤っている。
経済見通し
を誤り、
経済不況対策
を誤った。そのことがまた
財政収入
を
予算どおり
に得ることができない
一つ
の大きな
原因
になっている。やはり
政府
のこれは大きな
責任
であります。こういう
責任
に対してどうお考えか。総辞職をするか、あるいは解散いたしまして、
国民
に信を問うべきであります。
国民
に審判を求めるべきであります。これをわれわれは強く要求いたすわけであります。 次に、
質問
に入りますが、この
赤字
補てんのために、
財政法四条
の
特例法
を制定して、まかなっていこうとしております。これは
佐藤総理大臣
並びに
福田大蔵大臣
にお伺いします。
財政法四条
はどういう
精神
でこれが規定されましたか。これを伺いたい。前に、私はこの三月の
予算委員会
で一応
質問
をいたしましたが、時間がなくて十分にこの
質問
をすることができませんでした。これは私が言うのではなく、
財政法制定
当時、その制定に参加いたしました
大蔵省
の役人が、
財政法四条
を制定した
精神
についてこまかく解説をしているのであります。時間ございませんから、私がかいつまんで
内容
を紹介いたします。
財政法四条
を規定した
精神
には三つあるということをはっきり言っております。これは
平井平治
君であります。
大蔵大臣
は
御存じ
だと思います。これはもう非常にぼろぼろの本でありますけれども、
昭和
二十二年、
財政法制定
当時のものでありますが、
平井
君はこう言っております。 まず第一に、
財政法四条
を規定したその
精神
は、
健全財政
を堅持していくと同時に、
財政
を通じて戦争危険の防止をねらいとしているということを、はっきり言っているのであります。過去において、安易に
公債発行
によって戦費を調達し、
防衛費
を調達できた、そのことが
日本
を
軍国主義
に導き、また戦争に導いた
一つ
の
原因
である。ですから、
財政法四条
は、
憲法
九条を受けて、そして四条を規定しているのである、ということが解説されているのであります。これは重要な
精神
であります。 第二に、
平井
君はこう言っております。
資本主義財政
の
一つ
の特色は、
公債
によって二重に
階級的利益
を擁護することである。だから、みだりに
公債
を発行してはいけない。
公債発行
によりまして、当然、
富裕者階級
が負担すべき租税を免れしめる。現に
企業減税
をやるでしょう。
企業減税
によって足りなくなった
歳入
は
公債発行
によってまかなうのであります。そして
公債
の元利払いは
国民
の
税金負担
によって行なうわけであります。しかも、あとで
質問
いたしますが、四十
年度
補正
のこの
公債発行条件
は六分八厘
程度
であります。
日本銀行
の
公定歩合
は五分四厘七毛五糸であります。
定期預金
一年ものは五分五厘でしょう。それとの間に非常な
金利差
があります。このような高い
不労所得
を得る者はだれでありますか。
公債
を買って、こうした高い
金利
を得る者はだれでありますか。
資産階級
でありましょう。したがって、
公債発行
によって、当然負担しなければならない
富裕階級
に
税金負担
を免れしめる。それと同時に、その
公債所有者
に、
国民
の税金で
多額
の
不労所得
を得せしめる。さらに、
インフレ
が起こりますならば、それを通じて
——
いまの企業はたくさんの借金をしているのであります。つまり負債過剰のデフレであります。デット・デフレーション、この大きい会社の負債を、
貨幣価値
を低落せしめることによって軽からしめ、
インフレ
によって、
国民
の
実質収入
を切り下げ、
社会保障
が不十分なために、乏しい「さいふ」の中から営々としてやるその貯蓄のほうも切り下げるのであります。こういう重大な問題に対して、そうならないように、
公債発行
に対しまして、
公共事業
その他以外には、
公債
によって財源をまかなうことを禁止しているのであります。 第四条を規定した第三のこの
精神
は、これは
公債発行
と
インフレ
ーションとの関係、
——政府
は、
インフレ
は起こらない起こらないと言っております。また、
福田蔵相
は、その
財政演説
で、過去において
インフレ
が起こったのは、戦費を調達したとか、そういう異常な状態であった、
条件
が変わっている。現在では設備過剰である。
条件
も変わって、
日本経済
は大きくなっているのだから、
公債
を発行しても
インフレ
にならぬということを言っております。しかし、
インフレ
にならないという保証が一体どこにありますか。
公債発行
によって、
インフレ
を助長せしめる新たなる
原因
、
条件
が生じているのであります。先ほどお話しましたように、第一は、大会社は負債過剰で弱っているんですよ。ですから、
インフレ
によってこの負債を軽くしたい、そういう大資本からの
インフレ
的な圧力があるのであります。さらにまた、
アメリカ
は、絶えず
日本
へ
防衛費
の増加を要求しているじゃありませんか。
国民所得
に対して現在はまあ一・三%
程度
、
アメリカ
は、少なくとも三%くらいにしろと絶えず要求している。しかも、現在の
国際情勢
のもと、
アメリカ
が要求してきたときに、
公債発行
に踏み切ったら、これを拒否し得る
条件
がなくなるのである。いままでは
憲法
九条とか
財政法四条
をたてにして、これを断わることができたと思うのです。今後は、そういうことは困難になるのではないか、そういう
条件
も出てきている。 また、
公債起債市場
の育成ができていないじゃありませんか。そういう
条件
がない。また、非常な高利の、六分八厘
程度
の、この
高利回り公債
を発行しますれば、五分五厘で
預金
をしているよりは、
公債
を買ったほうが得ですよ。
預金
を下げて
公債
を買うでしょう。そうすれば、
銀行
には
手持ち資金
が足りなくなりますから、その
公債
を
日本銀行
に回収を求めていくと思うのです。あるいはまた、
日銀
の
公定歩合
と大きな
金利差
が出れば、
銀行
は、引き受けた
公債
を担保にして、
日本銀行
にお金を借りにいけば、非常にたくさんの利ざやをかせげるわけでありますよ。
日銀
は、これを貸さないわけにいかないでしょう。貸さなかったら、
公債
の価格は低落します、
公債
の
流通性
がなくなりますから。したがって、
インフレ
にならないという保証はないのであります。したがって、
公債発行
は
インフレ
につながるから、むやみに
公債
を発行しちゃいけない。
財政法四条
を、そういう立場からも規定したのである。この
特例法
を設けることによって、四十
年度
の
補正
については、これによって
赤字
の
公債発行
ができましょう。しかし、四十一年以後につきましては、これは
臨時特例法
であるから、四十一
年度
以後においては
財政法四条
によって
公債発行
するといっております。そうしますと、この
特例法
は一年限り、四十年の
補正
限りと理解していいと思うのですが、それでいいですか。そうすると、四十
年度
に生じました
赤字
二千五百九十億、これは
赤字公債
でまかないましたが、この
赤字
は後
年度
まで続くのであります。そうでしょう。この
赤字
を増税か
歳出
の節減によって埋めなかったのであります。
赤字公債
によって埋めたのである。この
赤字
は後
年度
まで続くのであります。そうした場合、四十一
年度
におきまして
——特例法
は四十
年度
の
補正
を
公債発行
でまかなう、これはもう一年間でやめる。四十一
年度
からは
財政法四条
でやる、いわゆる
建設公債
を発行するといいますけれども、四十
年度
に生じた二千五百九十億のこの
赤字
は後
年度
まで続くのでありますから、この
赤字
に対する処理は一体どうされるのか。これは
公債発行
によってまかなったら、これは
財政法四条
の違反であります。その点についての
大蔵大臣
の御
所見
を伺いたい。 また、この
財政法四条
は、単に
財政
技術的な規制ではないのであります。
日本
の平和と
財政民主主義
と
国民生活
の擁護、この三点から規制されているのでありまして、
特例措置
を講じて、一応、
法律
的、手続的には
赤字公債
は発行できるかもしれません。しかし、
財政法四条
の
精神
をじゅうりんしていることには違いないのであります。
幾ら特例法
を設けたって、その
精神
はじゅうりんされているのであります。したがって、少なくとも二千五百九十億のこの
赤字
は、
租税特別措置法
を廃止するとか、その他、
不要不急
の
歳出
を削減するとか、そういう方法によってなぜ埋めなかったのか。なぜ埋めなかったか。
財政法
の
精神
をじゅうりんしてまでも
特例法
を設けて、そうして、この
赤字
を埋めたということは、
財政
の
民主主義
なり、あるいは
日本
の平和なり
国民生活
につきまして、
政府
が真剣な熱意を持っての取り組みをしてない証拠ではないかと思うのであります。この点に対する
総理大臣
及び
大蔵大臣
の
所見
を伺いたい。 次に、
公債発行
問題について、
佐藤総理大臣
に
質問
いたします。
総理大臣
は、これは何回も
質問
して恐縮でございますが、しかし、これはもう、あなたが答弁されたのでございますから、これは何回
質問
されてもいたしかたがないと思います。本年三月までは、あなたは、
昭和
四十三年まで
公債発行
しないということをはっきり言われた。
中期経済計画
には、これは四十三年まで
公債発行
しないということになっている。さらにまた、
大蔵省
で出しております「
日本
の
財政
」、四十
年度
の
——
こういう本があります。この本の中でも、この三〇七ページに、
公債発行
問題について解説しているんです、
大蔵省
が。その中で、「要するに、
公債発行
に踏み切るには、
十分時機
の熟するのを待つ必要があるということである。
公債発行
が弾力的に行なえるという自信がつくまで、軽々に
財源不足
すなわち
公債
という議論は慎まなければなるまい。」と、こういうふうに書いてある。四十
年度
の「
日本
の
財政
」の
解説——大蔵省
で出している。これは三月のことなんです。四十八
国会
で
公債発行
しない。ところが、これは百八十度転換しまして、七月二十七日のあの
緊急不況対策
の一環としまして、
公債発行
に、はっきり踏み切ったのであります。その
理由
をわかるように説明されたい。 それから第二は、
中期計画
は
公債
なき
長期計画
でありました。
政府
の
中期計画
は、
所得倍増計画
にかわって
中期計画
になって
——
これは閣議で決定されているのです。ところが、今度は
公債
を発行しますと、
公債
をかかえた
財政経済
になるのであります。したがって、
公債
なき
長期計画
であった
中期計画
は、今後の
日本
の
財政経済
の
長期
的な
計画
の基礎にならないわけですよ。では、
公債
をかかえた
政府
の
長期計画
というものはどういうものなんですか。それをお示し願いたい。それがなければ、その日
暮らし
であります。
長期計画
なき
財政計画
になってしまいます。
所得倍増計画
も、
中期計画
も通用しないのであります。はっきり情勢が変わった。
公債
なき
経済
から
公債
をかかえた
財政経済
に転換するんでありますから、そのときの
長期
的な
見通し
、これをお示し願いたい。これがなければ、行き当たりばったり、その日
暮らし
の
財政経済
になるわけです。 次に、
公債発行
と関連しまして、
経済
の
見通し
であります。はなはだ失礼でございますが、
佐藤総理大臣
は、ことしの
年頭所感
で、冬来たりなば春遠からじ、こういうお
ことば
をつかいました。金融を緩和し、輸出も好調であるから、もう少ししんぼうすれば、春ごろには
景気
はよくなると、はっきり言いました。ところが、その後、
景気
はよくならない。
政府
は
景気
の
自律的回復
に非常に大きな期待を抱きました。しかるに、
日本経済
は、従来のように、
金利
を下げ金融を緩和すれば自律的に回復するような
経済
じゃなくなっている。自律的に回復しないのであります。しかも、七月二十七日の
不況対策
を講じても、なおかつ、
景気
はどんどん悪くなっているんです。これは、
政府
のいまの
日本経済
の
現状分析
に誤りがあるから、誤った分析の上に立って誤った
見当はずれ
の
景気対策
をやっているから、(
拍手
)何ら効果を生じないどころか、
景気
は、
つま先下がり
に悪くなっているんです。このように、
日本
の
景気——経済情勢
の
見通し
を誤った
原因
はどこにあるか。時間がありませんから、私は補足いたしません。また、
景気対策
を誤った
原因
はどこにあるか。これは、言えとおっしゃれば、時間が十分あれば言います。なければ、
予算委員会
で十分、たっぷりと論戦をいたしたいと思うのです。全く
政府
のこれまでの
経済
の
見通し
、
物価対策
もそうでありますが、支離滅裂ですよ。何ら方針がないじゃありませんか。
財界
の言いなりになっているじゃありませんか。
福田大蔵大臣
、失礼でありますが、あなたは
公債発行
について、
最初
、
日本銀行引き受け
でもよろしいようなことを言っておったのであります。これは、
財界
がそう言ったからです。
財界
が
日銀引き受け
でいいということを言ったので、
福田大蔵大臣
は、
日銀引き受け
でよろしいと。ところが、IMFに行って、
アメリカ
の
マーチン議長
に言われると
——マーチン議長
は、
中央銀行
の
公債引き受け
は健全ではないと言われた。こう言われたので、これは
国際信用
にかかわるかもしれないというので、あなたは
市中消化
に転換したといわれている。何ら
自主性
がないのであります。この点について、どうして
政府
はこの
経済
の
見通し
を間違ってばかりいるのか。また、七月二十七日の
不況対策
はどうして効果を生じないのか。一体、不況の
原因
はどういうところにあるか。この点について明快にお答え願いたい。これは
公債発行
と重要な関係があるのです。今後の
経済
の情勢いかんによりまして、
公債
の発行
条件
とか、あるいは発行の規模とか、その他いろいろ重要な関係が出てくるのでありまして、
経済
の
景気
見通し
につきまして、しっかりした
見通し
なくして漫然と
公債
を発行して、そうして、
インフレ
にならないと言われても、それは納得できません。 それから次に、
公債発行
と
インフレ
の問題について伺います。いよいよ重要な点であります。
政府
は、
公債
を発行しても
インフレ
にならぬと言われている。その保証がどこにあるか。
インフレ
にならない
理由
として、
政府
は、二つのことをあげております。その第一は、これからの
公債発行
はあくまでも
財政法
第四条による
建設公債
に限る。第二は、あくまでもこれは
市中消化
による。この二つを原則として
公債
を発行する。だから
インフレ
にならないと言っています。しかし、
建設公債
に限るといっても、この
建設公債
の範囲をどう規定しますか。これを明確にされたい。
財政法
第四条の
公共事業
費の範囲です。これを拡大すれば、幾らでもふえるのであります。しかも、実際問題として、本年すでに二千五百九十億、来年は約七千億円ぐらいといわれる。来年の
公債発行
の
見通し
につきまして
大蔵大臣
に伺います。七千億とすれば
——
あるいは七千五百億といわれていますが、
政府
は七千億
公債発行
、三千億
減税
、これでは
景気対策
にならないというので、自民党内部では、新聞の伝うるところによれば、一兆円
公債
を発行しろ、五千億
減税
しろと、突き上げが行なわれているといわれております。どうですか。
公債発行
に踏み切ると、すぐに一兆円ですよ。そうした安易な財源にたよろうとする、こうした政治の体質がはっきりと出ているじゃありませんか。二、三年たてば、すぐにこれが二兆、三兆になります。そのほかに、地方債もありましょう。
政府
保証債もありましょう。これでどうして
インフレ
にならぬか。また、
市中消化
にしましても、さっき申しましたように、今回大体内定したような高い利回りでは、みんなこれは
日銀
しょい込みになるのであります。
日銀
しょい込みにならないという保証はありますか。
大蔵大臣
に伺いたい。二千五百九十億の
公債
、四十一
年度
以後発行される
公債
は、
日銀
のオペの対象にもならない、貸し出しの対象にもならない、民間の蓄積資金で消化するということになれば、
景気対策
としては何ら意味がないでしょう。何ら意味がないでしょう。それで
景気対策
になりますか。結局、回り回って
日銀
に持ち込む。信用膨張を通じて、そうして物価を上げて、
景気対策
にしようとしているじゃありませんか。したがって、
インフレ
にならないという保証は
一つ
もない。
インフレ
にならないという保証を、あるならば、はっきりとお示し願いたい。
重宗雄三
4
○議長(重
宗雄三
君) 時間が来ております。簡単に願います。
木村禧八郎
5
○
木村禧八郎
君(続) これは
国民
の最も知らんとするところであります。 それじゃ、最後に、時間がございませんから、
物価対策
と
減税
について伺います。
総理大臣
が、この三月、私は
物価対策
につきまして真剣に取り組むということを答弁されたことを記憶しております。そうして、あのときに、
中期計画
の
物価
政策についての論議をしたわけです。
総理
も御記憶があると思います。
中期計画
ではどうなっているか。
昭和
四十三年まで、
昭和
三十九年から五カ年間、消費者
物価
は二・五%に押えるということになっているじゃありませんか。しかも、
政府
の答弁では、もうすでに初
年度
の三十九年は、
政府
の
見通し
でも四・五%になっているから、この二・五%はもっと下げなきゃならないだろう。そうしなければ、平均して五カ年に二・五%にならない。ところが、実績はどうですか。八%じゃありませんか。あのときの
経済
企画庁長官は高橋衛さんです。われわれは、あの当時の実際からいって、それは無
責任
だ、そんなことはできっこない、二・五%に押えられっこないじゃないか、なぜもっとほんとのことを言わないか。
政府
はこれに対して、いや、二・五%で押えられるものと思うと、はっきり答弁しております。速記録にも載っております。
重宗雄三
6
○議長(重
宗雄三
君) 簡単に願います。
木村禧八郎
7
○
木村禧八郎
君(続) 全く無
責任
じゃありませんか。
佐藤内閣
の
物価
政策の
基本
は一体どこにあるのか。
物価
を上げようとしているのか、安定させようとしているのか。あれだけ真剣に
物価
問題に取り組むと言われた
総理
は、その後、二・五%に押えるどころか、逆に、鉄道運賃を上げる、消費者米価を上げる、医療費を上げる、郵便料金を上げる。
佐藤内閣
の
物価
政策は
物価
引き上げ政策にほかならない。事実がこれを証明しているじゃありませんか。
福田大蔵大臣
に伺います。あなたは、
不況対策
と
物価対策
は矛盾すると言っている。しかも、当分は
不況対策
に重点を置くと言われていることは、
物価対策
を第二義的に扱う、
物価
は上がってもしようがないということを意味していると思うのです。それと、
公債
を発行して
インフレ
にならないということとは、矛盾しているじゃありませんか。ところが、
物価対策
と
不況対策
は、これは矛盾しないのであります。最近の
物価
引き上げは、消費者米価、鉄道運賃、郵便料金、医療費
——
これは独占価格であります。これを引き上げることは一種の間接税を増税するのと同じであります。同じなんです。したがって、いまの不況は生産と消費の不均衡からきている。その場合に、消費者米価を上げる、医療費を上げる、鉄道運賃を上げる、郵便料金を上げる、大衆購買力を間接税という形でこれを吸い上げる。生産と消費のアンバランスはまたひどくなるばかりじゃありませんか。ですから、
物価
を上げない
物価対策
こそ、これはやはり
景気対策
の重要な一環でなければならないのを、
福田大蔵大臣
は、
物価対策
と
不況対策
は矛盾するというような認識に立っているのです。これは間違いですよ。
重宗雄三
8
○議長(重
宗雄三
君) 簡単に願います。約束の時間を過ぎております。
木村禧八郎
9
○
木村禧八郎
君(続)
佐藤内閣
のこの
不況対策
、
経済
対策につきましては、全く支離滅裂であります。したがって、この
物価対策
について、
物価
をほんとうに安定させようとしているのか、上げようとしているのか。池田
内閣
のときには
一つ
の方針があった。成長率の三分の一ぐらいの
物価
値上がりは、これは摩擦的騰貴として、しょうがない、それ以上は、(「同じことを何回も言うなよ」と呼ぶ者あり)何回も言わなければわからないのです。これほど言ってもわからない。だから言っているのです。(「口先だけだ」と呼ぶ者あり)口先じゃない、私の言っているのは。最近、ジャン・バレーというフランス人が、「政治家の終り」という本を書いている。その本の中で、「ヴェルボクラシー」という
ことば
を使っている。これはどういう意味か。「ヴェルボクラシー」
——
これは、
ことば
だけの政治だ。
重宗雄三
10
○議長(重
宗雄三
君) 簡単に願います。
木村禧八郎
11
○
木村禧八郎
君(続) また、「ヴェルボクラート」というのは、
ことば
だけの政治家ということであります。これまで何回も、
物価対策
、
物価対策
といって、安定させようといって、言うことと、なすことと違っているじゃありませんか。
佐藤内閣
総理大臣
こそ、失礼でありますが、ヴェルボクラートですよ。これでは、あなたは青年に希望を与えるとか何とか言っていますけれども、青年は失望しますよ。だから、
不況対策
、
物価対策
について、
政府
はほんとうのことを言ってください。そんなごまかしでなく、いいかげんに、ここの席で答弁を終われば済むような、無
責任
な答弁でなく
——
、これは
国民
は真剣に求めている。いま、
物価
の値上がりによってどんなに苦しんでおりますか。
物価
値上がりによる生活難によりまして心中も出ています。また、中小
企業
の倒産によって心中も出ている。そういう深刻な
情勢
です。
物価対策
について、はっきりした方針を伺いたいと思います。 最後に、企画庁長官に一点だけお伺いいたします。
重宗雄三
12
○議長(重
宗雄三
君) 木村君、約束の時間です。
木村禧八郎
13
○
木村禧八郎
君(続) これだけです。あなたは
物価
値上がりによる家計費の負担を
減税
によってカバーすると言われますが、そんなことができますか。できたら教えていただきたい。たとえば四十
年度
——
本
年度
ですね、夫婦、子供三人で五十万円の所得の人は、約三千三百円所得税が
減税
になったのです。ところが、消費者
物価
が八%上がりまして、三万二千円の家計費の増加になったのです。ですから、
国民
は、なまじっかの
減税
をしてもらうよりは
物価
を安定してもらったほうが、よほど
暮らし
が楽になるのだということを言っているのであります。ごまかしの
減税
は、やってもらいたくない。所得税も納められない低所得者の人は、どうするのです。
社会保障
も受けられないそうした人は、どうするのですか。ただ
物価
値上がりの負担だけをかぶってしまうのじゃないでしょうか。ごまかしの
減税
、ごまかしの
物価対策
は、これは、はっきりやめてもらいたい。ほんとうに
国民
が納得するような
物価対策
なり、あるいは
減税
対策につきまして、
政府
の
責任
のある御答弁を求めまして、私の
質問
を終わる次第でございます。(
拍手
) 〔
国務大臣
佐藤榮作君登壇、
拍手
〕
佐藤榮作
14
○
国務大臣
(佐藤榮作君) お答えいたします。ただいま各般にわたりまして御意見を拝聴いたしました。また、鋭い御批判もあったようでありますが、これらについての私の批判は省かせていただきます。しかし、具体的の問題についてのお尋ねには私はお答えしたいと思います。 まず第一は、
補正予算
が大事だ、日韓問題を
あと
にしろと、
社会党
は、かねて主張しておる、ところが、現に日韓が先に出てきたために
補正
がおくれたじゃないか。このような御指摘でございます。しかし、私は、臨時
国会
が七十日、この七十日の間に、ただ
一つ
日韓だけに終始するというような
国会
でないと私は思っておる。いままでの
国会
審議
におきましても、同時に各委員会は開会され、重要
案件
はそれぞれ並行
審議
されております。ただいま申し上げるように、
補正予算
の大事なこと、これに十分注意をいたせば、必ず
社会党
の諸君も並行しての御
審議
ができたはずだと私は思います。これらの点につきまして、これができなかったことはまことに残念に思います。しかし、今日
通常国会
が開会されるにあたりまして、前
国会
の
審議
等につきましても十分反省もし、
国会
の正常化に与野党とも話し合いをつけて、そうして今日スタートするのでございます。過去のうしろ向きの議論も、もちろん必要だと思いますが、ただいま申し上げるように、前向きに
国会
の正常化への一そうの努力をいたしたいと、私も決意いたしておりますので、どうか皆さま方の御協力を得たいと思います。 ただいまのお話の中に、申すまでもなく、この
補正予算
というものは、大事な、民主政治の
基本
であるという御指摘がございました。私もそのとおりに思います。その意味におきましても、この
補正予算
がまことに重大であり、また
経済
の実情等を勘案いたしますると、今日私どもが提案して
審議
をいただく
補正予算
は、まことに重大な意義を持つものであります。そういう意味で、たいへん恐縮でございますが、何とぞよろしく御
審議
のほどをお願いを申し上げます。 かような状態でありますから、
内閣
は総
辞職
をすべきではないか、あるいは解散すべきではないか、かような御指摘であります。私は考えるのでありますが、この一年、日韓問題等も解決いたしましたが、同時に、
経済
のいわゆるひずみ、
経済
の不況を克服するということが、私ども
内閣
に課せられた一番の課題である。かように思って、過去から今日まで努力いたしておるのであります。この重大なる課題を解決する、かような意味におきまして、さらにがんばるつもりでおりますので、御忠告ではありますが、総
辞職
などはいたしません。また、解散云々のお話でありますが、私は、もともと各政党の間でその政党がそれぞれの争いをすること、これは、しごくもっともなことである、いろいろ
国民
のために政治をするのであるから、われわれの争いも
国民
に迷惑のかからないような方法でやるべきだということが、私の考え方であります。かような観点に立ちますると、ただいまの状況のもとにおきましては、もしも政治が不在になる、一カ月の空白あるいは一カ月半の空白を生ずるということは、
国民
に多大の迷惑を与えるものだと、かように考えます。私は、そういう意味では解散も考えておりません。このことをはっきりお答えをいたしておきたいと思います。 次に、今回の
公債発行
についてのいろいろのお尋ねがありました。これは私がしばしば申し上げ、また皆さまからの御了解も得ていると思いますが、いわゆる今日の
経済
の不況の状態は、私どもが想像した以上にまことに深刻なものでございます。したがいまして、ただいま非常な
経済
の沈滞、予期以上の沈滞から、大幅な減収を生じ、その対策に、ただいまのように
公債
を発行するということで御
審議
を願っておるのであります。しかし、このことについていろいろ御議論が出ております。しかして、もしもいわゆる均衡
予算
ということを貫くならば、御指摘にもありましたが、増税をするか、あるいは実行
予算
の支出の削減をするか、こういうことでつじつまを合わせるより以外に方法はないと思います。しかしながら、今日の
経済
の現状はかようなことは許されない、増税も、また実行
予算
の削減も、こんなことはできることではございません。木村さんは十分御
承知
のとおりで、今日の
経済
の実情には御理解があると思います。今日は、私どもが各方面であらゆるくふうをいたしまして、
財源
を捻出し
——
もちろん
政府
自身も考えてまいり、いろいろくふうをいたしたわけでありますが、手持ち
財源
、これも、もうはたき、同時にまた、
公債
を発行して、所要の
財源
を確保して、そうして支出
予算
は削減しない、しかし、むだな点は節約をもちろんいたしますから、ただいまの
財源
捻出には、これらの既定
予算
にも協力を願っておるわけであります。そうして
経済
に対して需要を喚起するということが必要なように思いますので、ただいまのように
公債
を発行するということを決意いたしたわけであります。そこで、何にも
効果
があがらなかったというおしかりでございますが、私は夏以来、これらの問題に
——
不況克服に真剣に対処していく、こういうことで取り組んだのであります。少なくとも当時最も心配しておりました、萎縮したその気持ちはなくなったように思います、積極的なムードが起きたと思います。また、各方面におきましても
——
輸出振興にも特に力を入れた。この輸出についてもいろいろな御批評はございまするが、しかし、今日外貨がだんだんふえてきた。このようなことは、株価の面におきまして、いわゆる株式界の先見性がこの株価に出てきておる。その
原因
は、やはり国際収支が非常によろしいんだ、こういうことで将来の
経済
に期待がかけられているからだと、私はかように見ております。かようなことを考え、また、今日、夏以来とってまいりましたそれぞれの対策の
効果
がだんだん出てくるその時期になっておりますので、これもしばらく時間をかしていただきたいと思います。 また、
財政法
第四条についての御議論がございましたが、これは
大蔵大臣
からお答えさすことにいたします。 次に、この
財政法
第四条について、ただいまこれでやりますことは、どうもやや、むずかしいように考えますので、ただいま御
審議
をいただく
特例法
になったわけであります。で、この
公債発行
の
インフレ
への危険ということでございますが、これはもちろん
保証
がない、かように言われれば
保証
はございませんが、ただ、いま
インフレ
になることは最も心配でありますから、十分の歯どめをする、いわゆる歯どめとしての対策が講ぜられる。このことが木村君の了承のいく
保証
なりやいなや疑問でございますが、私どもは十分警戒していくつもりであります。いずれ詳しくは
大蔵大臣
からお答えいたします。 この
公債
問題につきまして、
中期経済計画
に書いてあるとか、あるいはいろいろな議論をいたされました。これについても批判はありますが、私は、大体、
経済
、
財政
の健全性ということはどこまでも貫かなければならない、かように思っております。その健全性というものは、いわゆる均衡という
ことば
とは違うことを、これも木村君は御
承知
だと思いますが、そのいわゆる規模なりその
内容
等が適正であり、そうして、そのときの
経済
の
情勢
につり合って、そうして
経済
発展に資するものであれば、これは
財政
が健全だと、かように私は言い得るのだと、かように思っておりますので、いわゆる均衡
予算
という、その限られた形にとらわれることはないのではないか、かように思います。 また、その次に、ことしの年頭の記者会見におきまして私の発言したことについての御批判がありました。私もいまなお記憶いたしております。そのとおりであります。この今日当面しております
経済
問題は構造上の問題である。われわれはあらゆる努力をしてまいりましたが、なかなかすぐ成果があがるようなものでなかった。こういう点につきまして、気の短い向きでは、もう
効果
が出ていいじゃないか、かように言う方があるようでございます。しかし、なかなか成果が、この問題が深刻なだけに
——
ことに一例を申せば、三十九年や四十年におきましても六千件以上の倒産者を生じておりまするが、これらの
負債
総額はたいへんな
多額
なものになると思います。この倒産者の
負債
総額、それこそは
日本経済
自身がしょっておるものだと、かように思いますので、このことを考えれば、この深刻な
経済
のいたみに対するその対策は、簡単には
効果
があがらない、かように御了承をいただきたいと思います。 次に、
物価
と
減税
との問題についてのお話でございますが、この
物価
は、いずれ詳しく後に説明があると思いますけれども、私自身は、この
物価
の見方は、いわゆる
経済
の一現象だと、かように実は考えておるのであります。この点は木村君も十分御
承知
のとおり、
物価
問題は
経済
の現象、
経済
全体と切り離してそれだけで解決されるものでないことは百も御
承知
だと思います。こういう意味において、
経済
を健全化する、安定成長へ乗せるという、これが私どものねらいである、その努力をいたしておるわけであります。ただいまの
物価
問題だけを抽出いたしまして、そうして議論することは、これは避けたいと思います。しかしながら、
国民
の生活を圧迫しておる
物価
、そういう意味のことは
政府
としても真剣に考えなければならないので、
物価
に対する対策は、ことに、公共料金の対策などにつきましては、その時期なり、その率等については、
国民
の生活を圧迫する、そういうことはできるだけ避けられるように、くふうをすることだ、かように私は思います。(
拍手
) 〔
国務大臣
福田
赳夫君登壇、
拍手
〕
福田赳夫
15
○
国務大臣
(
福田
赳夫君) ただいま木村議員の御高説をとくと拝聴したのですが、遺憾ながら多くの点において
所見
が違うのです。特に、木村議員は
公債
を罪悪視しておる。私は、
公債
はこの時点におきましては、わが国の
財政
運営上、どうしても採用しなければならない唯一の道であるとさえ考えておるのであります。
公債
をとらないというたてまえは、
財政法
第四条に書いてあります。しかし、ただ建設的な用途にはこれを使うことができる、かようになっております。私は終戦直後ああいう立法ができて、そうして均衡
財政
方針が打ち立てられまして、ずっと守られてきた、これはああいう大敗戦の
あと
で国の再建設をする、その際におきましては、どうしても
政府
の信用をつげる、そして
インフレ
の根源を断ち切る、こういう意味においてぜひとも必要なことであったと思うのです。しかし、今日は申すまでもなく、もう
日本
の国力は相当発展してきております。世界第五の生産をあげる地位まできております。こういう時点において、幾らか
政府
が借金をした、そういうことは、信用上、私は何の支障もないと思う。(
拍手
)一方、考えてみますると、
政府
のささえておる
企業
、家庭というものは、一体どうであるか。皆さんが御
承知
のとおり、
企業
はたいへんな不良経理でございまして、先進各国に比べまして、その財務比率は逆であるというような状態であります。今日、非常に不況が深刻な状態にありますが、その最大の
原因
は
企業
に蓄積がない、こういう一点にあると思うのであります。また、家庭の状態はどうであるか、戦後蓄積の取り戻しができない、最も重要であると考えられる住宅はどうだ、まだ数だけそろえるのでも八百万戸も建てなければならないという状態であります。そういうことを考えますときに、私は、ほんとうの
経済
の安定とは何であるか。これは
政府
がつじつまを合わしておるという状態じゃない。
政府
の、そこにあるところの
国民
、つまり
企業
と家庭の
経済
の安定こそが、ほんとうの
経済
の安定である、こう考えます。今日の時点になって考えますときには、もう
企業
と家庭の
経済
の安定のために、
政府
は犠牲をしょって立つという気概が
財政
運営に必要である、かように考えます。(
拍手
)そういうような観点から、
政府
といたしましては、
昭和
四十一
年度
におきましては、
財政法
第四条のただし書きの
精神
にのっとり、
建設公債
を発行いたしまして、そうして、この
財政
に与えられた今時点の任務を遂行するというたてまえを貫こうという考えでございます。ただ、
昭和
四十
年度
におきましては、これは異常事態で、
年度
の途中に収入が二千六百億近くも落ち込む、こういう事態であります。これは私は異例の事態である。したがって、これは
財政法
第四条に基づく
建設公債
というような、こじつけの議論ではいけない、そういう考え方で、
建設公債
を出せという議論も実はあるんです。私は、それはいかぬと、率直にこの事態を認め、
財政法
の
特例措置
を講じて、そして
国会
の承認を得ることこそが、民主的な行き方であると、かように考えまして、
特例法
の措置をいたしたのであります。 また木村議員は、
公債
を発行すると
インフレ
につながると、こういうことを非常におそれられておるのでありまするが、そもそも
インフレ
は、これは
財政
の面からも起こる場合もあります。また、
金融
政策の面から起こる場合もある。要するに、
金融
の面、
財政
の面、両面を通じまして、物資、資金、労務あるいは国際収支、この上に不均衡を起こすかどうかという問題です。で、いま問題になっている
財政面
から考えまするときには、私は、
公債
政策を活用いたしまして、
日本
の民間
経済
が落ち込んでいる、そういう際には、積極的に
財政
を運用したほうがいい。また、
日本
の
経済
界が非常に好況である、そういう際には
財政
はこれを縮小する。そうして、
日本経済
全体、つまり
財政
活動と民間活動との総和が、でこぼこなしに動いていく状態が一番よろしいのである。そういう考え方に立つときには、どうしても
公債
政策を取り入れることが、これが有力なる手段となってくるのであります。
公債
政策がその調節弁になるわけであります。そういう見地から、たとえば
昭和
四十一
年度
、これを展望いたしますと、民間の設備投資活動が弱い、それは
財政
が補うべきである。
財政
が補う手段として
公債
を採用する。そういう意味合いにおいて
公債
の額を
規定
する。そういう
財政
のワクというものに重点を置き、これを厳重に、適正にきめるということをいたしますれば、決して
インフレ
になる心配はございません。これが第一のかなめであります。 なお、木村議員は、
公共事業
費の考え方をどうするんだと言いまするが、私は、
公債
の額をきめる上におきまして、昨日も申し上げましたけれども、これは人件費とか、一般行政費の
財源
として使わない。
会社
でいえばこれは
経費
の
財源
には使わない。
資本
的投資の
財源
に使うんだ。その
国民
の財産として将来残る支出、つまり国の
資本
的支出の
財源
としてしか使わないという考えでございまして、そういう考え方をとりますれば、国の
公共事業
等のそういう範囲は、おのずから、これは皆さんに明らかにされることと思います。 また、
日本銀行
が引き受けることになるのじゃないかというお話でございまするが、これは
政府
の
公債
ばかりじゃありません。ほかに
政府
保証
債も相当出なければならぬ、あるいは地方債もあります。あるいは社債もある。それらを総合いたしまして、
金融
政策全体の運営を行ない、すべてが順調にいくように、適正な
金融
政策をとっていく。
日本銀行
に、成長率を越えてこれが持ち込まれるというようなことは、いたさない考えでございます。 また、
公債
の問題につきまして、木村議員は、
国民
資産の再配分にいろいろ問題を起こしはしないかということを言われますが、これも私は違うんです。
公債
を発行する、何のために
公債
を発行するのか、こういう問題であります。つまり私どもが
公債
を発行しようというゆえんのものは、それによって
財源
が浮く。そういうために
社会保障
も進める、あるいは非常におくれているいわゆる社会開発投資、住宅でありますとか、あるいは上下水道、道路、港湾、それらのものが建設されるのであります。また、
減税
も、その間接的影響として行なわれることに相なるのであります。その
減税
が一体どうなるのか、あるいは
公債
を
財源
として直接間接に国の
財政
がどういうふうに運用されるか、そこにこそ問題があるのであります。また、
公債
が
租税
の先取りだというふうに言われまするけれども、将来これを返さなければならぬ。これはもう
租税
によることになります。その
租税
が一体どういう形でこの
国民
から集められるかという点にこそ、問題があるのでありまして、私は、
公債
対策は、逆に
国民
の資産再配分に有効に働くと、逆の考え方を持っているのだということを申し上げるのであります。 また、当面の
不況対策
と
物価
問題とが相矛盾するのだ、これは、けしからぬというようなお話でございますが、いま私どもが当面している問題は二つあります。つまり、いまの不況を一刻も早く切り抜けたい、同時に、
物価
安定を基軸とする安定成長
経済
の基礎固めをしたい、この二点であります。この二つの問題は緊密に結びついておる、しかし、同時に、これは相矛盾する面があると思うのです。
景気
を刺激しなければこの不況を脱出できない、その刺激政策は
物価対策
にマイナスの影響がある、これは率直に認めなければならぬ。しかし、この二つは密接に結びついているのでありますから、
物価対策
を考えずに
不況対策
をすることはできない、こういうことを申し上げておるのでありまして、いまの不況を一日も早く切り抜けたいという施策を進めておりますけれども、片時も
物価
のことは忘れておるわけではない。早く不況を切り抜けて、全面的に
物価対策
に取り組んでいきたい、そうして
国民
に安心を与えたいということを、ひとえに念願をしているのだということを申し上げておきます。(
拍手
) 〔
国務大臣
藤山愛一郎君登壇、
拍手
〕
藤山愛一郎
16
○
国務大臣
(藤山愛一郎君) 木村議員の私に対する御
質問
は、家計費の負担を
減税
もしくは
社会保障
で補足できるかという、こういう御
質問
であったのでございます。今日の
物価
の値上がりというものは、私は、構造上からきている問題であると考えておりますので、この構造上の問題を解決してまいるのでなければ、本格的に
物価
の安定は期し得ないと考えております。したがいまして、
物価
を安定させますには、若干
長期
に時間がかかるということを申しておるのでございまして、それの
長期
にわたる閥に、お話のような家計費の負担というものをどうして見ていくかといえば、できるだけ
減税
もしくは
社会保障
でもって補完していくということが必要だ、ということを申しておるのでございまして、
減税
が、階層によって、全部それでは
物価
の値上がりだけをカバーするというわけにはいかない場合もあります。また、
社会保障
というものも、必ずしも
社会保障
の適用しない範囲はあるじゃないかというお話でございますけれども、まあ、それらのもので補完して、そうして、この
物価
の値上がりに対して、できるだけ
国民
に迷惑のかからぬように努力をしてまいるというのが、私の主たる趣意でございます。(
拍手
) —
——
——
——
——
——
——
重宗雄三
17
○議長(重
宗雄三
君) 渋谷邦彦君。 〔渋谷邦彦君登壇、
拍手
〕
渋谷邦彦
18
○渋谷邦彦君 私は、公明党を代表いたしまして、
政府
の
財政
方針について、
総理
並びに
関係
大臣に若干の
質問
をいたすものでございます。 まず、本論に入る前に、
政府
の政治
責任
としてただしておきたいことは、第五十
国会
における
政府
与党の
暴挙
であります。日韓
条約
承認
案件
は、いまさら申し上げるまでもなく、数多くの問題を残しながら、議会運営のルールを踏みにじって強行されたことであります。この異常な事態は、議会史上ぬぐい去ることのできない汚点であり、議会制
民主主義
の崩壊を意味すると申し上げても過言ではないのであります。貴重な代償を払って、ようやくかちえた民主政治は、この二十年間、成長するどころか、どろにまみれてしまったと言ってもいいのであります。しかも、日韓
条約
案件
は、複雑な要素を含んでいただかりではございません。十四年にわたる、その積み重ねてきた経緯があります。慎重に時間をかけて
審議
を尽くし、
国民
の疑問や不安を取り除くに足る、強い、そうして誠意のある説得力が必要であったはずであります。その上、国の進路を明らかにする外交上の重大な
案件
である以上、たとえば
国民
に強い反対があったといたしましても、充実した
審議
や討論の過程がなければならないはずであります。その最も初歩的な議会政治の原理すらも無視した事実は、まさしくファシズムの台頭と言うべきであります。与党の総裁である佐藤
総理
は、こうした重大な過失に対して、いかに
責任
を感じ、今後に臨まれようとしておられるのか、あらためて決意のほどを
国民
の前に明らかにしていただきたいのであります。 今回の
日韓案件
は、新たなアジア外交の路線を示すものでありますが、特に外交問題は、国の繁栄を左右する役割りを持っております。かかる観点から、
政府
は、常に国家的利益を大
前提
として国際政治に立ち向かわなければならないのは当然であります。
総理
の
基本
的外交姿勢の
一つ
に、善隣外交の推進ということが言われております。しかしながら、少なくとも日韓
審議
をめぐって知り得たことは、およそ観念的なものであったということを証明したにすぎなかったのであります。日韓
条約
の批准に伴い、
日本
の置かれた立場はきわめて微妙であり、激動するアジア
情勢
の中にあって、積極的な善隣友好のアジア外交が望まれますときに、
政府
は、いかなる方策をもって対処されるのか。新たな時点の上に立って所信を述べていただきたいのであります。 さて、次に
財政
についてでありますが、
政府
は、戦後十八年間維持してまいりましたところの均衡
財政
主義を破りまして、四十
年度
の税源不足を補てんするため、約二千六百億の
赤字
国債を
年度
途中に発行しようとしております。税源不足を正当化し、
政府
の
責任
をすりかえたこの措置は、
国民
の納得し得る
財政計画
に基づいたものではないと思います。
佐藤内閣
の
財政経済
政策の失敗によることは明瞭であります。ひいては、来
年度
予算
に対する膨大な
公債発行
を容易にしようともしております。それがわが国
経済
にもたらす多くの悪影響を予想いたしますときに、われわれは、
公債発行
について重大視せざるを得ないのであります。 そこで、
質問
の第一といたしまして、
政府
は、みずからの、こうした失政により招いた深刻な不況を克服する手段として、
公債
を国の
財政
に導入し、
景気
の振興に活用しようとしております。しかも、民間公募の原則さえ貫けば、一応歯どめができるから、
公債発行
が即
インフレ
に結びつくことはないとの見解を持っております。先ほどの
大蔵大臣
の答弁の中にも、そうしたことが強調されておったようであります。もちろん、
財政
は単なる
経済
問題だけではございませんし、それは政治的な問題が含まれていることは言うまでもありません。わが国の政治
経済
の実情から見まして、安易な
赤字
公債発行
方式による
財源
調達が認められるということになりますれば、
財界
をはじめ、圧力団体、特に政治家などによって、
予算
の規模というものが毎年膨張の一途をたどる、そのため、
予算
は硬直化することが目に見えております。例をあげて申し上げますれば、
昭和
七年、
日銀引き受け
の
赤字公債
の発行をめぐりまして、
財界
と軍部
——
なかんずく軍部であるといわれておりますが
——
により、雪だるま式に増大し、ついに悪性
インフレ
を招いた例を再現するおそれがなきにしもあらず、このように考えられるのでありますが、先ほどの答弁に引き続きまして、
総理
並びに
大蔵大臣
の
所見
をお伺いしたいのであります。 第二は、
公債発行
により、公共投資を拡充し、この面からの
有効需要
を誘発していこうとしておりますが、そうなりますと、民間の在庫投資は増大し、おくれた部分の設備投資は再燃して、そのために、輸出は伸び悩み、あるいは原材料の輸入の増加によって、せっかく好調を続けている貿易収支は、再び
赤字
基調になる危険も考えられるのであります。したがって、国際収支が悪化すれば、当然、
日銀
の
金融
引き締めの操作が必要となります。これが再び
財政
運営の困難さを加重するようなことになっては、たいへんでございます。加えて、労働力が不足したり、あるいは、今日のように
物価
高である、あるいは、またもや利潤が低下する、あるいは、
税収
の伸びがとどまってしまう、そうした
財政
上の逼迫は、ますます激しさを加えてくると思われますが、そうしたことが要因となって次に訪れる不況というものは、おそらく想像を越えるようなものではないか、このように推測されるのであります。この点について、重ねて
総理
及び
大蔵大臣
の考え方を述べていただきたいと思います。 第三点といたしまして、今回の
公債発行
が、
日銀引き受け
ではなく、市中公募であるから、
インフレ
に向かう心配はない
——
少々重複するかと思いますが
——
と言明されております。しかし、
市中消化
と申しましても、わが国の現状においては、民間資金に十分な余裕もなく、その上に、公社債を引き受ける市場もない。したがって、半強制的に市中
銀行
に割り当てるということになると思われますが、これでは、公社債を通じて民間資金を吸い上げ、民間資金が窮迫することも考えられるのであります。したがって、オペレーションの操作により、
日銀
に依存する以外はないのであります。そうなりますと、
大蔵大臣
の言明にある市中公募も、
日銀引き受け
と変わりなく、確実な歯どめにならないと思われますが、この点についてお答えをいただきたいのであります。 次に、
物価
問題について、
総理
並びに経企庁長官にお尋ねをいたします。
国民
大衆は、今日の
物価
高に対しまして早急に解決することを望んでおりますのは、言うをまたないのであります。ところが、
政府
は、来年一月一日から、消費者米価の引き上げをすでに決定しております。引き続いて国鉄料金、私鉄料金、あるいは地下鉄運賃、健康保険料、郵便料金というぐあいに、引き上げを決定しております。こうした一連の公共料金の引き上げというものが
物価
の急上昇を招くということは、火を見るよりも明らかであります。しかも、その急上昇は、約八%以上消費者
物価
にかかってくる、このように予想されているのでございます。これでは、ますます
国民生活
を窮地に追い込むことになりまして、見のがすことのできない重大問題になってくるわけであります。昨日の
大蔵大臣
の
演説
の中には、
物価
安定に関する対策は
一つ
も言及されていなかったように記憶しております。ここで、当然、経企庁長官にお尋ねをするわけでありますが、
政府
といたしまして、根本的に一体どのような
物価対策
を持っておられるのか。しかも、いままでの
物価対策
は、あるいは、閣議において決定いたしましても、一向にきめ手となっておりません。そうした事実がございます。それならば、何が安定をはばんでいるのか、証拠を示してお答えをいただきたいと思うのであります。 さらに、立ち入ってお伺いをしたいことは、
政府
の
物価対策
に対する姿勢であります。
政府
の
物価対策
は、産業
資本
奉仕に堕しているのではないかという疑念がございます。すなわち、産業
資本
が管理価格を設けて、大衆から富を収奪しているのではないかということでございます。需要が一巡し終わった、たとえば電気冷蔵庫であるとか、テレビ、そういう家庭電化製品が、わずかに一部分ではございますが、値下げがございました。しかしながら、そのほかは、供給が需要に比し大きくなっているにもかかわらず、建て値制のために、一向に小売り価格は下がらないという現状でございます。その上、不況カルテルを設けて、値下がりを防止し、大衆に不当な価格を押しつけ、その犠牲によって利益率の低下を防ごうという現状でございます。これに対し、
政府
は、管理価格を引き下げ、
物価対策
の一環にすると、かねて表明しておられます。しかしながら、一方では、また、公正取引委員会が反対しているにもかかわらず、
政府
もまた、そうした表明をしたにもかかわらず、鉄鋼の不況カルテルを認めるなど、まさに相反する行為をとっているのであります。このことは、
政府
に、管理価格を引き下げる熱意が全くないということを示しているばかりでなく、産業
資本
第一に奉仕する
政府
であるという印象を、
国民
に与えておると思うのでございます。
総理
は、かかる大衆に背を向けた政治姿勢を正し、断固、管理価格の引き下げ措置をとられるかどうか、また、不況カルテルが価格カルテルになる点をどう改善されるか、あわせてお答えをいただきたいと思うのであります。 いろいろな
物価
の値上がりにつきまして、最も
国民生活
に
関係
の深い消費者米価値上げについて、若干お伺いしたいと思います。
政府
は、一月一日より八・六%の米価値上げを決定し、すでに
補正予算
案は、その値上げ決定の線で出ております。私は、ここに問題があると思うのであります。米は、言うまでもなく、
国民生活
の
基本
をなすものであり、それだけに、すべての
物価
の基礎ともなっております。この値上げは、わずかであっても、すべての
物価
の値上げを招くことは必至であります。
政府
は、他
物価
に及ぼす影響は少ないと言うが、
国民
は、この点については多大の疑問を持っているのであります。その上、米価決定というものが
政府
の手で一方的にきめられている、こうした事実がございます。 そこで、
政府
に伺いたいことは、第一に、他
物価
への影響は少ないと言うが、その対策は、若干の生活保護費の増額だけでなく、どうやって
国民
に与える影響を少なくさせるのか、その施策について伺いたいのであります。 第二は、米価決定を、なぜ
国会
の場において決定しようとしないのか、そのための法改正の意図はないのか、ということをお伺いするものであります。 第三に、生産者米価との「逆ざや」を生じたため米価を上げると言うが、現在の農産
物価
格支持政策というものが、ほとんど米にしかたよれないのでありますから、
政府
は、
財政
支出の一割くらいまでを食管会計に注ぎ込んで、生産者米価を維持し、消費者米価をあくまでも据え置きにしておくべきではなかったか、そうしたような考え方は、今後においても、ないのかということを、重ねてお伺いいたします。 最後に、
公務員給与
についてお伺いしたいと思いますが、第一に、
政府
は今日まで、人事院勧告を尊重すると明言しながら、一度もこれを守ったためしがございません。これは、ただ単に、
財政
状況にのみよるものではなくして、
政府
が
公務員給与
改善に全く熱意がないのではないか、こう思われるのであります。もし熱意があるとするならば、勧告をなぜ忠実に実行されないのか、
総理
の熱意のほどをお聞かせ願いたいのであります。 第二に、五月にさかのぼることができないならば、いままで、どうして五月実施に近づける努力を見せなかったのか。今回の場合で申し上げますれば、何ゆえに八月実施とか、あるいは七月実施とかの措置に踏み切れなかったのか、そうした点を、また今後の具体的な方針と、からませて、お伺いいたしまして、私の
質問
を終わることにいたします。(
拍手
) 〔
国務大臣
佐藤榮作君登壇、
拍手
〕
佐藤榮作
19
○
国務大臣
(佐藤榮作君) お答えいたします。
国会
の
責任
についてお尋ねがありましたが、先ほどお答えいたしたとおりであります。ようやく、ただいま各党の話し合いができまして、
国会
の正常化に踏み出したというばかりのときであります。過去の事柄についての深い反省の結果が、ただいまのような申し合わせになったと思います。どうか、前向きの姿勢で、ひとつこの問題と取り組んでいただきたい。そういう意味で、どこまでも民主政治を守る、民主政治の花形である
国会
、ここで模範を示すということであってほしい、かように思います。これは、
政府
、与野党ともに
責任
があるものだと、かように考えます。 次に、積極的善隣友好
関係
を展開しろということでありますが、
日韓関係
は、ようやくスタートしたばかりであります。私は、官民ともに提携して、この成果をあげたいと、かように思います。もうすでに
経済
関係
等におきましても、出かけまして、いろいろ
経済
協力の具体的方法について話し合っているようであります。私は、今日の実情におきまして、お互いに、
日本
人がどういうことを考えるべきか、この点をはっきりさせておくことが最も必要なのではないか。戦前あるいは終戦前の
日本
のあり方が、戦後におきましてすっかり変わってきている。その立場において、私どもも自信をもって新しい生き方に徹したい、かように私は思います。私はしばしば、
国会
におきましても、平和に徹するということを申してまいりました。もちろん
軍国主義
でない、帝国主義でない、いわゆる膨張政策をとらない
日本
、これこそが真の平和に徹する国だと思います。この点を十分に考えていただきたいと思います。 次に、
公債
の発行についての
基本
的な考え方でありますが、
大蔵大臣
からもお答えするだろうと思いますが、
公債
は何といっても、これは借金であることには間違いがありません。借金をするということは、これは積極的な意味も持ちますが、同時に、将来の負担になる、かように考えますので、積極的なものを持つ意味においての使い方、これは十分考えていただきたいと思いますが、同時に、これが借金だと、こういう意味で、放漫に流れるということは慎しんでもらいたい。もちろん、
政府
が、チープ・ガバメントといいますか、安い
政府
であることが望ましいのでありますから、そういう意味におきまして、借金であるという実態を十分認識して、そしてそれが有効に使われる、放漫にならないように努力するのは、これまた当然であります。 その次に、ただいまこういうような
公債
を発行したら、将来、
政府
が何かとこれに関与する、
経済
界に指示するようになるだろう、その危険を言われたのであります。しかし、私どものとっているのは、自由
経済
そのものであります。ファッショなどでは絶対にありません。したがいまして、この自由
経済
のもとにおいてそれぞれの施策が行なわれるとすると、ときに行き過ぎがある、ときに間違った方向に行く、そういう際の「かじ」はとりますが、いわゆるファッショ的な動きはいたさない。これが最も大事なことであります。したがって、
アメリカ
自身におきましても、これはだれもファッショだとは言わぬと思いますが、
景気
が過熱した、かように考えますと、連銀などは、ちゃんと
金利
を適正なものにする、こういうことをとっております。この点も、今後の
経済
のあり方から見ると、いろいろ私どもが、くふうしなければならないことが起こるのではないか。ただいま
公債
を発行するのも、
経済
の実情から見まして、今日考え方をひとつ変えてみよう
——
先ほど来、
大蔵大臣
がお答えするとおりでございます。 次に、
物価
安定策についてのお尋ねがありましたが、これは、ただいま公共料金等にも触れられましたが、先ほども木村君にお答えいたしましたように、
物価
問題だけを抽出して、
経済
そのものと切り離して、これで対策を立てましても、十分
効果
があがらない。だから、
経済
そのもの
——
不況を克服し、そうして安定成長へ
経済
自身を乗せることが最も大事なことだ、そのことでこれをやる、しかも、
国民生活
に最も影響のある消費者米価、その他、運賃、郵便料金等につきましては、その時期なり、その上げる率なり等におきまして、できるだけの、くふうをしていくというのが、今日とっている態度であります。また、管理価格
——
言われるような管理価格というものが今日
経済
界にあるかどうか、私はちょっと理解いたしませんが、いわゆる管理価格に近いもの、そういうものについての価格を
政府
のほうで指導すること、これは、もちろん、お説のとおりやるべきことだと思います。 最後に、人事院の勧告と
政府
の
予算
との
関係
であります。これは、いつも言われておるのでありますが、人事院勧告を尊重すると、かように申しましても、
予算
の実行途中において人事院勧告が出てくる、こういうことで、たいへんな苦労があるのであります。したがいまして、これについて、
基本
的に制度そのものを改正することができるかと、いろいろ研究されておるようでありますが、まだ結論が出ておりません。ことしの
経済
状態から申せば、たいへん困難な
経済
状態でありますし、そういう意味で、昨年並みに実施することに、たいへんな努力をいたしたのであります。私は別に、
政府
が特別な考慮を払ったということを自慢するのではありませんし、恩着せするつもりはございません。もっと人事院の勧告が完全に尊重されるように、そういうことでありたい、かように思いますが、そういう際でございますので、私どもは、できるだけの努力をしたのでございます。(
拍手
) 〔
国務大臣
福田
赳夫君登壇、
拍手
〕 〔発言する者あり〕
重宗雄三
20
○議長(重
宗雄三
君) 御静粛に願います。
福田赳夫
21
○
国務大臣
(
福田
赳夫君) ただいま、
総理大臣
からの御答弁で、大体尽きておるようにも思うのでありますが、私が
公債発行
ということを言い、
政府
がそういう政策を打ち出しますようになりますと、二つの方面から批判があるのです。
一つ
は、
公債
なんかやっちゃいかんという、先ほどの木村さんなんかのようなお考え。それからもう
一つ
は、私どもが言っているような
程度
の額では足らぬ、一兆円も、一兆五千億円も出せ、こういう勇ましい議論がある。しかし、私は、先ほどから申し上げておるとおり、
公債発行
政策は、どうしても踏み切らなければならぬ時期にきておる、端的に言って、これはまた時勢の要求であるというところまで考えておるわけでございますが、しかし、これが乱に流れてはいけない、守るべき一線は守らなければならぬ、こういうように考えるのであります。 渋谷議員から、ただいま、
昭和
七年ごろのことを御引用がありましたが、浜口・井上コンビでデフレ政策が強行された。どうもならぬという状態まで
日本経済
が来て、その脱出という
国民
的要請を受けまして、高橋
大蔵大臣
の登場というふうになったかと記憶しておるのです。高橋蔵相は、
日本銀行引き受け
の形で
公債
を増発するという政策をとったわけであります。しかし、私は、当時を見ておりまして、高橋さんは、
公債
政策はとるが、守るべき一線というものは厳重に守っていたと思うのであります。つまり、
日本銀行引き受け
の形はとりましたけれども、その民間消化ということにつきましては、非常に努力されております。記録によりますと、八割までは民間で消化させております。民間に
日本銀行
は売り払っておるわけであります。それから、
財政
の規模ということについては、特に関心を持たれて、
昭和
十年の十一月ごろでしたか、十一
年度
予算
の編成の閣議があった。これは、有名な「三十六時間閣議」というのです。この二昼夜ぶつ通しの閣議におきまして、高橋さんは軍部と戦っております。ソ連と争うべきか、争わざるべきか、という問題を中心としての議論であります。そういう戦いを通じて、この
財政
の守るべき一線、
財政
のワクというものを守り通しておるのであります。また、その反動も来ております。その翌年の二月二十六日の事件では、高橋さん自身が犠牲になっておりますが、その高橋さんがやられておった時代は、
日本経済
が、
昭和
、大正、明治を通じて、比較的安定をしておった時期だと、こういうふうに思うのでありますが、その高橋さんが去られた
あと
に、この支那事変、また大東亜戦争と、
日本経済
が
インフレ
化をいたしておるのでありまして、私は、ただいま御引用になりましたが、
昭和
七年のあの
財政
政策の転換は、今日私どもの大いに学ぶところがあるのだというふうに考え、高橋さんが守られた
——
この
公債
を発行する、
財政
を転換して、
経済
の立て直しをするという考え方はとりまするが、しかし、守るべきところはあくまでも守る、御安心を願いたい、かようなことを言っておるのであります。(
拍手
) 〔
国務大臣
藤山愛一郎君登壇、
拍手
〕
藤山愛一郎
22
○
国務大臣
(藤山愛一郎君) お答えいたします。
物価対策
が、現実に閣議その他でいろいろきめているけれども、どうも進まないじゃないかと、こういうような御
質問
が第一点だと思います。御
承知
のとおり、
物価
の問題につきましては、当面の対策と
基本
的な対策があるわけでございまして、
基本
的対策は、先ほど木村議員にもお答えしたように、根本的な諸般の
経済
構造上の問題を解決してまいらなければなりませんので、これについては、若干の時間がかかることはやむを得ないことだと思います。当面の対策につきましては、たとえば緊急輸入をするとか、そういうような対策につきましては、できるだけ措置をいたしておるのでございまして、決してないがしろにいたしているわけではございません。 第二に、管理価格の問題は、すでに
総理
が御答弁になりましたとおりでありまして、不況カルテルの場合は、今日のような産業
経済
、産業の不況の時代において、一応緊急避難的な措置でございまして、これが長く続いて
物価
に影響するような結果をもたらすような
長期
にわたることはないと思っておりますので、緊急避難として考えざるを得ないと思います。 なお、米価につきましては、先ほどお話がございまして、米価が上がったら他の
物価
にも影響するだろうという御
質問
でございます。米価自身によりまするCPIに対する影響というものは、配給、非配給を加えて〇・七くらいに、われわれ想定いたしているのでございますが、他の各種のものに、米価が上がりまして、どの
程度
影響してくるかということは、非常にむずかしい問題でございまして、計算上パーセンテージを出すわけにはまいりません。ただ、米は、何としても
国民
主食でございます。したがって、これが引き上げによる影響というものは、相当
精神
的に考えてかからなければならぬので、今後とも、われわれとしては、
物価
問題を扱う上において慎重に考えてまいりたい、こう思っているのであります。(
拍手
) 〔
国務大臣
安井謙君登壇、
拍手
〕
安井謙
23
○
国務大臣
(安井謙君)
公務員
のベースアップにつきましての人事院の勧告は、御
承知
のとおり、これを全面的に守るという
法律
的義務を
政府
は持っているわけじゃございません。義務のある、なしにかかわらず、これをでき得る限り尊重しようというたてまえで、今日までもまいった次第でございます。今回も、人事院の勧告の
内容
につきましては全部を採用いたしました。また、国、地方を通じましての非常に
財政
的に困難な事情でありますにかかわりませず、従来までの最高である、昨年と同様、九月実施に踏み切っているわけであります。今後とも、できるだけ、そういう方向で前向きに進めてまいりたいと思っている次第でございます。(
拍手
)
重宗雄三
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○議長(重
宗雄三
君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。本日は、これにて散会いたします。 午後零時四分散会