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1966-03-24 第51回国会 参議院 法務委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十四日(木曜日)    午前十時二十五分開会     ―――――――――――――    委員異動  三月二十四日     辞任         補欠選任      辻  武寿君     山田 徹一君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         和泉  覚君     理 事                 木島 義夫君                 松野 孝一君                 稲葉 誠一君                 山田 徹一君     委 員                 後藤 義隆君                 鈴木 万平君                 中野 文門君                 中山 福藏君                 柳岡 秋夫君                 野坂 参三君                 山高しげり君    衆議院議員        発  議  者  田中 武夫君    政府委員        法務政務次官   山本 利壽君        法務大臣官房司        法法制調査部長  塩野 宜慶君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局総務局長   寺田 治郎君        最高裁判所事務        総局家庭局長   細江 秀雄君    事務局側        常任委員会専門        員        増本 甲吉君    説明員        法務大臣官房司        法法制調査部司        法法制課長    山根  治君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○会社更生法の一部を改正する法律案衆議院送  付、予備審査) ○裁判法及び裁判所職員定員法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 和泉覚

    委員長和泉覚君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、辻武寿君が委員を辞任され、その補欠として山田徹一君が委員選任されました。     ―――――――――――――
  3. 和泉覚

    委員長和泉覚君) ただいま報告いたしました委員異動に伴いまして、理事が一名欠員となりましたので、この際、理事補欠互選を行ないた  いと存じます。  互選は、恒例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 御異議ないと認め、理事山田徹一君を指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 次に、衆議院から予備審査のため送付されました会社更生法の一部を改正する法律案議題とし、発議者から提案理由説明を聴取いたします。衆議院議員田中武夫君。
  6. 田中武夫

    衆議院議員田中武夫君) 社会党提出会社更生法の一部を改正する法律案について、提案者を代表して提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  御承知のごとく、会社更生法は、株式会社の持つ社会的、経済的価値重要性にかんがみ、窮境にあるが再建の見込みのあるものについて、直ちにこれを破産、解体せしめることなく、その事業維持更生をはかろうとするもので、昭和二十七年に制定された法律であります。会社更生法による更生手続開始申請件数並びに更生手続開始決定件数は、統計の整備されている昭和三十二年以降昨年十月まで、それぞれ七百十一件、二百三十一件でありますが、ここ二、三年来、著しい増加傾向を示し、特に一昨年は申し立て件数開始決定件数ともに飛躍的に増加し、それぞれ百七十二件、四十七件、昨年は十月現在百十九件、五十一件にのぼっております。  言うまでもなく、会社更生法は、会社事業維持更生をはかるため、株主、債権者等利害関係人利害を公平、迅速に調整するものでありますが、更正手続の結果として、経済力の弱い中小企業下請企業である債権者に深刻かつ多大の犠牲を押しつけておりますことは、現行会社更生法制度上回避し得ないところであります。しかも、会社更生法は、その性格上、経済不況期に最も多く活用されるものであり、これら債権者のこうむる影響は、二重の意味においてきわめて重大であります。特に最近の経済情勢は、誤った高度経済成長政策の結果、ほとんど毎月企業倒産の記録が更新され、さきには東京発動機日本特殊鋼サンウエーブ等、近くは山陽特殊鋼のごとく、相当規模企業まで相次いで倒産する深刻な事態が生じており、そうでなくても苦境に立たされている中小企業下請企業は、まさに危機に直面しております。こうした情勢の中で、会社更生法不合理性はますます拡大されているのであります。  すなわち、これら中小企業下請企業に対しては、たとえ株式会社であっても、現実問題として、更生手続費用の予納、管財人選任更生計画樹立困難性等理由から、会社更生法適用されることはきわめてまれであり、会社更生法によって保護されるのは、相当規模企業や大企業に限定されるのが実情であります。この結果、大企業は、会社更生法によって再建の方途が講じられ、時には会社更生法を悪用し、これに便乗することによって計画倒産さえ可能であり、そういう事例も多いのであります。このような場合、大口債権者である銀行、系列親企業等は、事前に相談を受け、被害を最少限に食いとめているにもかかわらず、無担保債権者である中小企業、特に下請企業は、その従属的関係から平素不利益をしいられ、その上、全く知らないうちに一片の通知もなく、更生手続開始申し立てが行なわれ、はなはだしい場合は申し立ての当日まで納品を余儀なくされ、しかも下請代金更生債権として凍結されてしまうのであります。言うまでもなく、下請企業には、更生手続の終結まで下請代金の回収を待つ余裕があるはずはなく、金融機関からの約手買い戻し請求に応ずる力もないのでありまして、結局、何ら自己の責任によらずして自滅の道をたどる以外に方法がないのであります。  しかるに、会社更生法は、こうした点について、単に形式的公平を考えるにとどまり、経済実態に即応した実質的公平については、何らの配慮もいたしていないのであります。つまり、会社更生法は、下請企業犠牲において大企業を更生せしめる機能を果たしており、子の犠牲によって親を助ける法律となっているのであります。このような会社更生法の欠陥に対しては、すでに法律制定直後である昭和二十八、九年の不況期にも強い改正意見がありましたが、最近ますます顕著に露呈されているその不合理性は、もはや看過することのできないものがあります。  もとよりわれわれは、会社更生法経済実態に立脚した合理的な姿で機能せしめるためには、会社更生法あり方全般にわたり根本的検討が必要であると考えるものであります。しかし、当面最も緊急の課題である下請企業について保護措置を講じ、あわせて労働者利益保護等をはかることがまずもって必要であると考え、ここに本改正案提出した次第であります。  次に、改正案の内容を御説明申し上げます。  その第一点は、更生手続開始申し立て書下請事業者意見を添付させるとともに、裁判所に対し、下請事業者意見の陳述を求めることを義務づけることであります。すなわち、会社更生法適用は、下請事業者の存立にかかわる重大な問題でありますので、親企業の一存で決定させることなく、下請事業者意見を十分反映させようとするものであります。  第二点は、裁判所は、更生手続開始申し立て会社使用人の不当な人員整理を目的とするものであるときは、これを棄却しなければならないことであります。会社更生法適用は、ともすれば従業員人員整理のための一方法として利用される危険があるので、現行法をさらに明確にし、これを防止しようとするものであります。  第三点は、裁判所は、保全処分にあたり、会社使用人給料、その預金及び下請事業者に対する下請代金の支払いを禁止してはならないことであり、第四点は、更生手続開始申し立ての日前六カ月間及び当該申し立ての日から更生手続開始までの間に、会社下請事業者から受領した給付にかかる下請代金及び会社使用人給料は、いずれも共益債権とするとともに、会社使用人退職金は、更生手続開始前に退職したときは退職当時の給料の六倍に相当する額まで、また、更生手続開始後に退職したときも、共益債権となる退職手当の額が退職当時の給料の六倍に満たない場合は、更生手続開始前の在職期間にかかる退職手当の額をそれぞれ共益債権とすることであります。これらの点は、本改正案の中心をなすものであり、保全処分に制約を課することによって、下請事業者連鎖倒産を防止するとともに、下請代金労働者の賃金、退職金について、共益債権とされる範囲を現行法より一段と拡大し、下請事業者労働者利益を保護しようとするものであります。  第五点は、過怠更生罪の新設であります。御承知のとおり、破産法には、過怠破産罪規定がありますが、会社更生法にはこのような規定は設けられておりません。しかし、明らかに経営者過怠により企業危機におとしいれ、関連下請事業者労働者に多大の犠牲と損失を与えた場合、これを放任することは社会正義に反すると思うのであります。かような見地から、当該経営者社会的責任を追及するとともに、会社更生法悪用による経営責任の回避を防止し、あわせて一般経営者倫理感責任感を自覚せしめる意味において、過怠更生罪を設けたのであります。  以上、簡単に提案理由及び改正要旨を御説明申し上げましたが、親会社会社更生法適用の陰に泣く多くの中小下請事業者を救うために、何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛同くださるようお願い申し上げ、提案説明を終わります。
  7. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 本案に対する質疑は、後日に譲ることにいたします。
  8. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 次に、裁判所法及び裁判所職員定員法の一部を改正する法律案並び訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  9. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 家裁調査官のことをこの前質問しましたが、続けてやりますが、調査官が立ち会うのは義務制になっているんですか。その点はどういうふうになるのですか。家事少年の場合と違うわけですか。
  10. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 調査官は、家庭裁判所では、すべての事件に関与させるように運用上取り計らっております。
  11. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いや、家事の場合と少年の場合と違っているのじゃないですか。
  12. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 法律上は、家事事件につきましては必ずしも全部関与させなければならないことではございませんので、家事審判規則の第七条の二によりまして、「家庭裁判所は、家庭裁判所訓育官に事実の調査をさせることができる。」ということになっておるわけでございますが、しかしながら、実際上は原則として調査官調査をさせておるというの、が実情でございます。
  13. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いや、少年審判の場合です。
  14. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 少年審判の場合には、必ず調査官を関与させておるわけでございます。
  15. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 もう少し法律的に説明してください。
  16. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 少年の場合には、少年審判規則の第二十八条の第二項で、「家庭裁判所調査官は、裁判官の許可を得た場合を除き、審判の席に出席しなければならない。」ということになっておるわけでございます。
  17. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 実際に少年事件の場合にはほとんど列席しているわけですけれども試験観察が終わったときなどで出張尋問をする場合があるわけですね。そういうふうな場合に、出張旅費がないからというので調査官が立ち会わない例が相当あるらしいんですね。これは総務局のほうではあるいは十分おわかりにならないかと思いますが、家庭局のほうではわかるかと思いますが……。で、事実上まあ義務制になっておるというのに、旅費がないからというので立ち会わないでやっている、そういう例が相当あるらしいですね。これはどの程度わかりますか。具体的なこまかいことはいいんですけれどもね。
  18. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 私どものほうの正面の考え方からいたしますれば、旅費がないために立ち会わないということは、いわば理由にならないことでございまして、これは裁判費に属するものでございますから、裁判費は当然必要があれば措置を講じて、そして出席させなければならないということになるわけでございます。ただ、しかしながら、裁量によって出席させないということも法律上は可能でございますので、そういう判断が下されますれば出ないわけでございますが、それが実際は出張旅費関係がからんでおるということもあろうかと思いますが、その具体的な数字等、私いま手持ちいたしておりませんけれども、まあ正面の議論からいたしますれば、旅費がないために行けないということは申せない筋合いであろうと考えておるわけでございます。
  19. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そういうようなことが相当あるらしいんですけれども、それじゃ具体的にどういうふうなところにあるかということを別に聞くわけじゃありません、そこまで調べるといっても非常な労力ですし、それほど重要なことではありませんから。非常に旅費なんか少ないということで十分調査活動ができないという良心的な不満が相当あるように聞くわけです。たとえば、自分の受け持っておる少年調査のためにいろいろ電話をかけたりなんかするというと、電話もかけられない。市内の電話なら、まあ度数制で、いま七円くらいですか、あれだとしても、市外電話をかけるにも十分にかけさせない。市外電話をかけるには一々許可が要るわけですが、次席許可を得て、それから会計の許可が要るそうですね、市外電話かけるのに。そうすると、お金がないからあまり電話をかけちゃいけないと言って──調査をしようたって実際行けませんから、市外電話で済まそうと思っても、その市外電話までかけられないということで、良心的にこれじゃとてもできないという声が非常にあるわけですね。私どもにそれはよく来るんです、多少それはオーバーかもしれませんけれども。それで、現実にそういうふうなことがあちこちで行なわれているわけですか。だから、調査官なり調査官補のそういう現場のいろんな声というものを、どういうふうにして最高裁で吸い上げているんですかね。だから、会同なんかのときは上の人ばかり来るわけでしょう、上の人と言うと変ですけれども
  20. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 最高裁判所で申しますいわゆる中央会同と申しますか、これは首席調査官が参るわけでございますが、それ以外にブロック等会同もございますし、また、研修所等で研究会的に集まる場合もございます。そういう機会には、いろいろ調査官諸君意見を聞く機会もあるわけでございます。また、家庭局のほうで随時各家庭裁判所に出向きまして、これはいろいろ会同等機会に出向きまして、そういう機会家庭局の係官が直接調査官からいろいろ話を聞くというようなことも実際には行なわれておるわけでございます。ただ、それによりまして、いま稲葉委員の御指摘になりましたような調査官のほんとうの声がどの程度上のほうまで伝わってまいっておるかということは、私どももなお一そう今後努力いたしたいと考えておりますが、実際はそのような実情でございます。
  21. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 補導委託する場合がありますね。全国補導委託所というのはどのくらいあるわけですか。──これはこまかいことはいいですよ。大ざっぱでいいですよ。
  22. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) まことに恐縮でございますが、ちょっといま手持ちしておらないように思いますので、あとで調べましてその点は御報告申し上げます。
  23. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 補導委託はどういう選択基準でやっているんですか。
  24. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) その辺の関係家庭局所管でございますので、私もできる限り家庭局と打ち合わせて資料をそろえて参ったつもりでございましたが、ちょっとその辺について十分まだ手が回っておりませんので、早急に連絡いたしまして、家庭局のほうから御報告申し上げるようにしたいと思います。
  25. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 資料ばかり要求しても、それが実際に活用されないようなものをぼく個人の興味で資料ばかり要求しても、これはよけいな手数ばかりかかりますから、その点はチェックいたしますが、補導委託全国で幾つくらいあって、どういう種類のものがあるのかというのがある程度知りたいわけです。それはなぜかといいますと、補導委託になってから後に家裁が一体どれだけ関与しておるのか、これがまたはっきりしないわけです。補導委託した、これはお寺もあるし、それから教・会もあるし、それから技術的な訓練所もあるし、いろいろあると思うんですが、補導委託したらしっぱなしで、家裁のほうから全然行ってみたこともないというのが実際あるんですよ。旅費がないから行けないんだというような話もありますけれども、そういうふうなことで、しかも、最終的に補導委託が終わって終局処分するわけでしょう。終局処分するときに、また旅費がないからということで調査官が関与しないでやるというのが相当あると聞くわけですよね。これはまあ総研局が法案の提出についての責任かもわかりませんけれども、これは家庭局長が来られなければ、だれか家庭局関係の人が説明員でいいから来ていていただいたほうがいいのじゃないかと思うんですがね。
  26. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) お話の点、まことにごもっともでございまして、実は本日家庭局長も参る予定でございましたが、ちょっとやむを得ない所用でおくれておりますが、いま連絡をとっておりますので、もうしばらくしますれば出席いたすことになると思います。で、その補導委託関係の御質問は、恐縮でございますが、家庭局長が出席いたしました上でやっていた、だきますればまことに幸いと存じます。
  27. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 調査官昇格要求というので、役付以外の調査官の四等級昇格ということを非常に熱望しておるんですか。これはどういう関係になるのですか。何か等級別定数のワクが限定されておるので、四等級になかなかなれないんですか。
  28. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 家庭裁判所調査官につきましては、いま稲葉委員お話のとおり、等級別定数があるわけでございます。そうして、その等級別定数は、首席家庭裁判所調査官につきましては一等級及び二等級、それから次席家庭裁判所調査官につきましてはすべて二等級、それから主任家庭裁判所調査官につきましては二等級、三等級及び四等級、それから普通の主任以外の家庭裁判所調査官につきましては四等級及び五等級というようなことになっておるわけでございます。そうして、そのそれぞれの等級別の内訳というものが予算上厳格に定められておりますので、一定の年数がたちましても、その等級別定数余裕がございませんと、四等級になれないという場合も出てまいるわけでございます。そこで、私どもとしては、常に大蔵省のほうと折衝いたしまして、この等級別定数を獲得する、少しでも高い等級別定数を多く獲得するということに努力を続けておるわけでございます、が、これが十分にまいりませんために、いま稲葉委員の御指摘のような状況が出てまいる場合もある、かようなことになっておるわけでございます。
  29. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 調査官になるためには研修所を必ず経なければならぬ、これは法規的なあれになっておるのですか。
  30. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) これは、法規上、調査官研修所を必ず出なければならないということではございませんので、別に先般もちょっと申し上げました昇任試験という制度もあるわけでございます。
  31. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 昭和二十八年の上級職の甲以来の人の場合には、特別昇任ということはないわけでしょう。それはあるのですか。
  32. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) ちょっと御質問の趣旨が十分あれでございましたが、本日この前の御要求に基づきまして提出いたしました資料の中に「家庭裁判所調査官(補)の採用試験区分別人員等」というものがございます。縦に長い一枚限りの表でございますが、それの一群下の欄の「家庭裁判所調査官任用区分別人員」というところの中に、「研修所卒三百九十六」、「昇任試験等七百十三」と、こういうことになっておりますが、この「昇任試験等」の中には、純粋の昇任試験でなりました者と、それからずっと古くから少年保護司等をやっておりまして、そういう者で切りかえになってまいったような者も若干含んでおるわけでございます。大部分は昇任試験によって採用になった者でございまして、先般来稲葉委員お話の中に、これは昔はやっておったけれども、現在では全然やっておらないのではないかという御指摘でございましたが、この間家庭局長も申し上げましたように、これは、現在では、毎年定期的に必ずというわけではございませんけれども、二、三年おきぐらいにはやっておるわけでございまして、最近では三十八年にも実施いたしましたし、また、四十一年度にも実施する予定をしておるわけでございます。そういうもので少しずつ入ってまいります者がそういう数になっておると、かようなわけでございます。
  33. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私の聞いておりますのは、二十八年に上級職の甲ということになって、その試験に受かった人がいますね。その試験に受かった人は、調査官補から調査官になるためには、研修所に入って一年間卒業してからでないと調査官になれない。だから、その以前の人なり別な形で入ってくる人が昇任試験によって内部的に上がっていくんだと、こういう行き方と二つに分かれるのか、道が。──意味がわりますか。そういう意味なのかということを聞いておるんですが。
  34. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) お話の点も人事局所管でございますので、あるいは私の聞き違いがあるかもしれませんが、そういう調査官補採用になったときの任用なり入り方の区別によって研修所を卒業しなければならぬかどうかという差があるようには私どもとしては聞いておらないわけでございます。
  35. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 上級職の甲の試験に受かった形で入ってきた人が内部昇任試験によってそれが上がっていくという形は、何か公務員制度の本質にはずれるのではないかという印象を与えるのですけれども、それは私もよくわかりませんが、研修所を出て調査官になるという人は、比較的新しい年代の人なんでしょう。新しい年代と言うと語弊がありますけれども昇任試験で入ってくるという人は、昭和二十八年以前からいる人が多いということになるのではないでしょうか。
  36. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) いま御指摘の点は、そういうことはございませんで、二十八年以前の者というのは、これはお手元の一番上をごらんいただければおわかりいただけるかと思いますが、二十七年度までの試験で入ってきた者と二十八年度以降の試験で入ってきた者とを区別して現在員を出すようにというこの前の御指示でございましたので、それに基づきましてつくりました表でございますが、その表にございますとおり、二十七年までの試験で入ってきた人はもうすべて調査官になっておりまして、現在では調査官補はいないわけでございます。そういう点から申しましても、いまの御指摘のような点はないということになろうかと思います。
  37. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私の勘違いかもしれませんから、あとで何かの機会によく確かめたいと思うんですが、私の言うのは、二十八年度以降の試験で入ってきた人が、研修所に入ってそこから調査官になるというルートと、そこに入らなくて、別な内部昇任試験というか、そういうルート調査官になるという二つルートがあると、こういうふうに聞いておるわけですね。そうすると、なぜこの二つルートというものを区別しなければならないのかと、ここら辺のところがはっきりしないわけなんですがね。
  38. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 御指摘の点、まことにごもっともなお尋ねでございますが、これは、私どもとしては、研修所を卒業して調査官にしますのが原則でございます。本来ならば、全部それによってまかなってまいりたいというたてまえでございます。ただ、いろいろな理由がございまして、一つには、研修所の養成の規模と申しますか、そういう問題もございます。また、同時に、これは調査官には多数の女性がおいでになりまして、御主人をお持ちの方もおるわけでございます。研修所は、御承知のとおり、東京に一カ所で、一年間の集合教育でございますので、そういう方は必ずしも成績がよい方であっても研修灰に入ることを希望されない。しかし、調査官補としては優秀な方で、調査官になっていただいてもいいというような方も間々あるわけでございます。それ以外に、調査官研修所に、いろいろな意味で、つまり、実務はよくおできになるけれども、学科試験等があるとなかなかはいらないというような方もありますし、それからそのほかの理由研修所試験をお受けにならない方もあったりいたしまして、そういう場合でもやはり救済策も考えなきゃいけないというようなところから、昇任試験というようなものを実施いたしておるわけでございます。これは当初は全く競争試験的な形式でやっておったわけでございますが、最近ではむしろ研修的な要素も加味しまして、一つの特別研修と申しますか、そういうような方法をとって、その上でまた試験をする。こういうことでございますと、さっきの婦人の方なんか、がそれを受験をされる便宜も比較的得やすいというような面もありまして、そういうところでこういういわばわき道を認めておるということになるわけでございます。ただ、現在の数から申しますと、このわき道のほうがかなり大きくなっておりますが、これは私どもとしてはいわば過渡的な現象と考えておるわけでございまして、将来はできる限り研修所を充実してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
  39. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 なぜそういうようなことを聞くかといいますと、研修所にはいって出てくるのがレギュラーなコースで、そこには情実関係というようなものはないように考えられますけれども内部昇任試験という形になってくると、相当これは情実的なものも加味されてくるのではないか。情実ということばは悪いのですけれども、そういうような懸念があるものですからちょっとお聞きしたわけですが、これはいずれにいたしましてもそれはそれでいいです。いいというか、問題点は残るかと思いますが。  この表によりますと、二十八年度の試験以降の合格人員は七百五十六人おる。そうすると、一表に戻ると、二十八年度以降の試験で、家裁調査官が四百十九、調査官補が二百十一となると、六百三十しかいないわけですね。そうすると、百二十六というのはどうしちゃったわけですか。──そういうふうな問題の出し方でいいですか。
  40. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) これは減耗であろうと思いますが、さらに詳細には調査いたしますが、つまり、合格後他にかわったというような方であろうと思います。
  41. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そういう場合があると思いますが、それにしても多いのじゃないですか。七百五十六合格して、それが何人採用になったのか、あるいは自分の意思で採用を辞退しちゃったのか、採用になってからやめたのか、七百五十六から六百三十を引くと百二十六ですか、百二十六が何らかの形で減少しているわけですね。どういう理由なのか私が聞いた範囲では、家裁調査官は、この表でも見るように、ほとんど大学卒業ですね。大学の教育学、心理学、社会学というのを卒業して、非常な希望を持って入ってくるわけでしょう。入ってきたら、もう全くということで幻滅を感じちゃって自分の仕事にいろいろ迷いを生じてきたりなんかすることもあるでしょうし、ほかの事情もあるかもしれませんが、やめてしまう。こういうことになるのじゃないですか。だから、普通の裁判所の書記官はこんなにやめていないでしょう。
  42. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 私ども、普通に家庭裁判所調査官の自然減の率というか、数というものは、そう高くない、年間十ないし十五名というふうに言われておるわけでございまして、自然減の数としてはそう高いものとは考えていないわけでございます。この表でまいりますと、二十八年以降で十二、三年の間に先ほど御指摘の百二、三十人でございますから、その限りでは一年に十数人でございますが、ただ、二十八年以降におはいりの方が比較的若い方でございますから、その中で一年に十二、三人というのはちょっと多いような感じも確かに御指摘のとおりでございますが、一般的には一年の自然減というものを十五人ぐらいというふうに考えておるわけでございます。
  43. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そういうふうな自然減があったのを補充しているわけですね。
  44. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) これはそのとおりでございまして、つまり、毎年調査官補に五十名前後採用いたしまして、そうしてそれが逐次あるいは研修所に入る、またあるいは試験を受けて調査官になってまいる、これが給源になるわけでございます。どちらかと申しますと、私どもとしては、自然減の数が少のうございして、つまり年間十数名でございますので、その点だけから申しますと、かりに増員という要素を無視して考えますと、養成する人員も年間十数名でないといわばつかえてくるということになるわけでございます。その辺のところが、先般来御質問のこととも関連いたしまして、私どもとしてまあ方策を検討しており、また、苦慮しておる問題の一つでもあるわけでございます。
  45. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 調査官補が七等級が現在四十一人ぐらいですか。それが六等級に上がるのには何年ぐらいかかるんですか。普通の公務員と一緒になるのですか。
  46. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 調査官補の級別定数は、御指摘のとおり、七等級は四十一名ということになっており、大体一年ぐらいで六等級になるということになっております。
  47. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、六等級が百七十一人ですか。これは何年ぐらいかかるんですか。
  48. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) まあ一番普通のコースで参りますと、六等級は三年ぐらいというふうにいわれております。
  49. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私のお聞きしたいのは、ここに  「研修所入所年度別人員」がございますが、定員が五十人といいますか、係に聞いたら五十人入っているという話だったけれども、まただんだん聞いてみると、三十五人ぐらいですね。そうすると、調査官補がいま二百十一名ですか。これによっても、これらの人が研修所に入ってそこを出なければ調査官になれないとなると、二百十一人が三十五人として六年ぐらい六等級にいなければならない計算になってくるわけですね、計算は。それは必ずしもそうでなくて、別な形で調査官にいまの昇任試験等の方法でやっているん、だということになれば、そうかもわかりませんけれども、そうなってくると、何かこう問題が複雑になってきて、同時に、あまり合理的ではないというふうに考えられるのですがね。そこに問題点があるのではないかと思うんですが、そこはどうなんですか。
  50. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) ただいまの点はまことに御指摘のとおりでございまして、まあ私どももその点は絶えずいろいろな面から検討し、どういうふうに制度なり運用なりを組み立てていったらいいかということを関係局寄り寄り協議してまいっておるわけであります。二百十一人を全部調査官研修所へ吸収して調査官任用するということになれば約六年間かかるということも、御指摘のとおりでございますが、これは、先ほども申し上げましたとおり、必ずしも御本人も調査官研修所に入所を希望されない、また、希望がないことに一つの合理的な理由があるというようなことで、他のコースで調査官任用してまいるという道も開いておりますのは、一つにはそういうところも関連するわけでございます。同時に、先ほどちょっと申し上げました調査官の自然減というものの数がそれほど大きくないわけでございます。したがいまして、これをどんどん調査官研修所で養成いたしますと、調査官研修所を卒業いたしましても必ずしも調査官任用できないという面も出てまいらないわけでもないわけでございます。そしてまた、同時に、私どもとしては、絶えず定員増ということを努力をしてその面の解決をはかっておるわけでございますが、しかしながら、これにつきましても、やはり政府全体の定員抑制措置等との関連もございまして、毎年大幅な定員増が必ずしも期待できるというわけでもございませんで、その辺の関連を相互ににらみ合わせながらいままでのところはやってまいっておるわけでございます。  しかしながら、稲葉委員の御指摘のような関連がいろいろありますことは、私どもとしても実は意識し、そうしてそれについてどういう方法でこの点をさらに一そう合理的なものにしてまいるかということについては絶えず検討を続けておるわけでございますが、現在のところでは、こういうふうに調査研修所に入れ、かつ、それとあわせまして、数年おきに、昇任試験と申しますか、特別研修と申しますか、そういうような方法をあわせとるということで、大体まかなえておるようには思うわけでございますが、個々の調査官の中には御不満のあることもある程度承知いたしておるわけでございます。
  51. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 昇任試験というのは、そうすると、毎年やらないわけですか。どういう基準でやるわけですか。私のお聞きしたいのは、研修所を出た人と出ないで調査官になる人との間で気分的な対立というか、研修所を出たほうが優位だということもありませんけれども、そういうふうな感じを持つとか、対立関係なんかできてきてもおかしな問題ではないか。そういう対立関係があるというのではないのですけれども、どうもそういうふうなことになってきては変じゃないか、こういうふうに思うのですがね。  それから研修所が五十名の定員なのに、三十五名しか入れないというのは、何か特段の理由があるのかどうか。それは、一つには、現地の家裁調査官補を引き抜かれて研修所へ入れられると事務的に非常に困るからというのでチェックするということも考えられるんですけれども、そこのところはどうごらんになっていますか。
  52. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) これは、正面から申し上げますと、研修所の入所の試験と申しますか、それの結果、採用に値すると申しますか、研修所に入れるのがふさわしい人がこれだけしか得られなかった、かようなことになるわけでございます。しかしながら、それが一人ふえましてもその成績上非常に困るかというような問題になってまいりますれば、なかなかそれはむずかしいデリケートな問題でございまして、そう言い切るわけにはとうていまいらないわけでごさいますが、一応調査官研修所のレベルを考えまして、そうして同じレベルの者を教育していくというようなところから試験選考いたしました結果、かような数でいまのところは入っておるわけでございます。しかし、同時に、先ほど来たびたび申し上げておりますように、優秀でも希望されない方も中にはあるわけでございます。そういうような関連か、いまのところかような数字になっておるというのが実情でございます。
  53. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 入って官補になって、何年たったら調査官研修所に入る資格が出るのですか。これは、いままでとこのごろと変わっているんですか。
  54. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) これは、私どもの基本としては三年に考えているわけでございます。つまり、調査官補になりましてから三年で研修所へ入所させるというたてまえでございます。ただ、しかしながら、実際にはそれより短い万でも成績その他によってお入りになっている万があるわけでございます。そういう点で、三年というものが絶対的な入所資格の基準ということにはなっておらないわけでございます。
  55. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 調査官研修所に入る人が、官補になってから何年たって入ったのか、最低の人はどの程度なのか、それから最高の人は何年たって研修所に入ったのか、それから研修所の合格人数と入所人員とが違っている場合があると思いますが、それも明らかにしてもらいたいと思います。佃かその点があいまいで、何といいますか、たって入る人もいるし、一年九カ月で入る人もいるし、そこら辺のところで調査官になるのに差がずいぶんついているのじゃないかという印象もあるんですがね。
  56. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) これは、先ほど申し上げましたとおり、一応基本的な基準としては三年でございますが、成績等によってお話の一年九ヵ月で入る方もあるわけでございます。それより短い方はないと存じますが、その程度までの方はあるようでございます。まあそれはいろいろ問題もあろうかと思いますが、結局その本人の能力なりいろいろな関係からそういうふうな差がついてまいっておるというふうに了解しているわけでございます。
  57. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 能力の差はもちろん各人にあるでしょうけれども、何年たったら研修所を受験できる資格があるということははっきりしているんですか。それははっきりしていないのですか。どうもそこがよくわからないんですがね。だから、調査官補の中では、一年九カ月たったら入れるんだ、一年間研修所へ入ってやってそれから調査官になれるんだというふうに考えている人もいるんですね。それから見ると、二百十一名官補がいて、三十五名しか採らないものだから、五年も六年もたってそれが全部済まないと官になれないんたというふうな──これは間違った感じかもしれませんけれども、そういう印象を持っておる人がいるわけですよ。
  58. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) これは、先般来稲葉委員からたびたびその点の御指摘がございましたので、私ども、これは所管人事局でございますが、人事局のほうに十分連絡しまして、一体そういうことを何らかの形で言った場合があるのかということを確かめたわけでございますが、それによりますと、外部に発表いたします文書としては、お手元に資料としてお届けいたしました「昭和四十年度裁判所職員(家庭裁判所調査官補)採用試験受験案内」、こういうパンフレット、及び、これと同内容のことを官報に掲載し、あるいは新聞紙に出し、あるいはラジオで放送する、あるいはビラで頒布するということでございまして、これ以外の内容のことを、最高裁の関係の者、あるいは裁判所所管の者が、外部に対して、あるいは受験生諸君に対して、書面でも口頭でもそういうことを意思表示をしたことはないと、そういうことでございました。この「受験案内」そのものにも、先般来申し上げておりますとおり、全然その記載はございません。  ただ、御指摘の一年九カ月云々という問題でございますが、これは、先ほど来申し上げておりますとおり、三年というものを基本的な基準と考えておりますが、それが実際問題として最低どこまでの者がおられるかという点で、つまりミニマムと申しますか、最低限を一年六カ月というふうに抑えておるようでございます。そこで、一年六カ月と押えておりますが、それはある時点における年数でございますので、結局、実際にそれが研修所に入ります時点までとって考えますと、そこに若干のズレがございまして、調査官補採用になりましてから実際に研修所の門をくぐりますまでの最低の期間をはかってみますと、つまり一番短い者では一年九カ月という者があるということで、これは、抽象的な基準から言うと、ある時点における年数として一年六カ月というところから算定になりまして、それで入ってまいりましたときに一年九カ月たっておる、こういうことで、ぎりぎりそういう若い──若いといいますか、そういう短い期間で入所する人が現実におりますので、そういう先輩の例を聞いて、なるほど一年九カ月ではいり得るんだというふうに受験生諸君のほうで理解される場合があるいはあるかもしれない、こういうことでございました。  結局、要約して申しあげますと、こちらからそういうことを言ったことはございませんけれども、しかし、実際そういう最低限の実例があるために、それが一般に伝えられておるということのようでございます。
  59. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 調査官補の代行でやっておる人は、あれですか、最高何年以上の人がいまいるわけですか。十年以上の人もいるとかいう話もあるのだけれども、そんなことがありますか。
  60. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) いま手元に正確な数字は持っておりませんが、十年以上という万は、まあかりにおられるとしてもきわめて例外ではないかと思いますが、数年の方はおられるように聞いております。かなり古い方もおられるようでございます。しかし、十年以上、という方々は全然おられないという断言をする自信はございませんが、きわめて少数であろうと思います。
  61. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これはあとでいいですけれども、何年以上代行をやっておる人がいるというある程度の統計を出してください。これはあまりこまかいのは要らないですよ、たいへんですから。五年以上の人も相当いるのじゃないですか。その点だけでも明らかになりませんか。
  62. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 五年程度の方は若干あるようでございます。
  63. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 何人くらいいるのか。それからどういう理由でそういうふうに代行を長くやっておるわけですか。
  64. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 人数の点は、あとで調べましてある程度正確な数字を申し上げられると思いますが、その理由は、結局、調査研修所に入ることを希望されない、受験されない。それからまた、昇任試験をも必ずしもお受けにならない、あるいはお受けになっても昇任試験のほうは合格されたいという場合もあろうと思いますので、そういういろいろな場合の成績等の関係と、御本人の御希望、これは先ほど来ちょっと申し上げましたやはり住居を離れて研修等を受けなきゃならないというところの隘路の問題があるわけで、その点自体も一つの問題だとは思いますが、そういうような点もあるわけでございます。
  65. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから、どういう理由で五年以上の代行がいるかという理由は、これは個人的な理由がありますから、これはお聞きするのはかえって失礼ですから、お聞きしませんけれども、それは要らないですけれども、ただ、五年以上の代行が何人くらいいるか、六年が何人いるか、これはあとで出るのじゃないかと、こう思うんですがね。  それから、研修所に入るのは一年間ですか。この間に宿舎なんかの設備はどうなっているのですか。
  66. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 研修所在所は一年でございまして、寮の設備があるわけでございます。
  67. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは全部はいれるんですか。ただ、まあ家庭を持っている場合、ことに女の人が多いですから、なかなかそこにはいれないという事情になってくるわけですか。
  68. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 東京及び東京近郊の在住を除きまして、全員収容いたしております。
  69. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 もうさっき話しました補導委託のある程度の資料、これはこの次でいいですがいただきたいのと、それから人員が足りないということが原因かもわかりませんけれども試験観察が全体の保護処分の中で非常に減ってきていると、こういうんですがね。これは全国的なものがなかなかわからなければ、ある特定の裁判所の例をとってもいいと思うのですが、そういうことが言われる、しかも、それが人数が足りないために十分できなくて試験観察が減ってきているんだと、こういうことを言う人があるんですがね。
  70. 細江秀雄

    最高裁判所長官代理者(細江秀雄君) ただいまお尋ねの試験観察が減ってきているのじゃないかということでございますが、実は試験観察は年々むしろ増加しておるというのが現状でございます。
  71. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは、何と比べて、言われるわけですか。何と比べて減ってきているというあれがあるのじゃないですか。
  72. 細江秀雄

    最高裁判所長官代理者(細江秀雄君) これは、全体の事件の割合と比較いたしまして、年々試験観察の数は増加しておるということでございます。その割合のみならず、絶対数におきまして試験観察の数は年々増加しております。たとえば昭和三十九年度は、三万四千名余りが試験観察になっておるとただいま配慮しております。
  73. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは、一般事件の全体の事件の中で試験観察がどの程度かという決定の率でないとわからないわけですね。たとえば仙台の家庭裁判所では、それがかなり減少の傾向にあるということを言っておりますよ。
  74. 細江秀雄

    最高裁判所長官代理者(細江秀雄君) 正確な数を申し上げますと、昭和三十五年度におきまして、試験観察の決定は、一万三千七百八十一件、受理件数に対する比率は一・八%でございます。三十六年は、総数が少し減りまして一万二千十六人、パーセンテージは一・四%、三十七年は、一万五千百八十六人、パーセンテージは一・六%、三十八年は、二万三千六百一人、パーセンテージニ・四%、三十九年は、三万四千十五人、パーセンテージは三・三%と、こういうふうに年々試験観察の数は増加しておるというのが現状でございますが、あるいは裁判所によってはただいま御指摘のようにある特定の裁判所には少なくなっているところはあるかも存じますが、全国的に見ますと、ただいま申し上げましたように、年々試験観察の数はふえてきているというのが実情でございます。
  75. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私も、試験観察がふえてきているというふうにいろんな体験から思っているんですけれどもね。特定の裁判所かもわかりませんけれども、非常に調査官の人数が足りないもんですから、試験観察にすると非常に負担が多くなるわけですね。そういう関係で、試験観察に付してやるべきものをしないで終局終分にしてしまうと、こういうものが非常にあって減ってきているということを言っている人があるんですよね。統計なんかも出ているんですよ。この統計は、前が非常に一局い統計が出ているわけですがね。三十四年が五・四、三十五年が三・七、三十六年が四・六、三十七年が四・五、三十八年が三・二、三十九年が三・二、こういうふうな統計が出ていますけれども、これは特殊な例かもわかりませんから、これはまあ別にいたします。 家庭裁判所で、もうさっき聞きましたあれでは、試験観察なり、そうでない一般の調査の場合に、費用が非常にないので、市外電話もかけられないというんですね。市外、電話をかけるのに、次席を通って会計に行って許可をもらうわけですね。それで、そんな金はないから市外電話をかけちやいかぬといってやれないんだといって、非常に不満というか、不満というのは変な意味の、不満でなくて、良心的な仕事をやろうと思うのにできないんだという不満があるわけですよ。これはどこの裁判所か言いませんけどね。チェックされるんで調査ができないと、そういうようなことを言っているのもあるんですがね。  それから、自動車がほとんど使えないというんですね。自動車が家裁に配置になっていても、地裁なり簡裁がどんどん使っちゃって、ほとんど家裁で使っていないというんですがね。そういうふうな例も相当あるわけです。自動車というのは、地裁と家裁で、あれですか、一台ぐらいしかないので、家裁専属のものというのはあまりないんですか。
  76. 細江秀雄

    最高裁判所長官代理者(細江秀雄君) ただいまのお尋ねは、庁費に関する問題と、それから自動車の問題でございますが、庁費の問題につきましては、調査官電話をかけられないほど窮屈だというふうには私ども聞いておらないのでございます。それから自動車の点につきましては、家裁と地裁とはやはり専用の自動車がございまして、家裁の自動車が地裁に吸い上げられておるということはございません。しかし、何ぶんにも調査官の数が多い、また、裁判官の数もございますし、そこへもってきて自動車が一台あるいは二台ということになりますと、自由に調査官調査に自動車を使えるかということになりますと、これはかなり疑問であり、また、問題があろうかと存ずるわけであります。また、私どもといたしましても、家裁調査官専用自動車ということの必要性は痛感いたしておりまして、予算要求の際にも十分それを考慮したわけでてございますが、なかなか現在の段階では思うようにまいっておらないというのが実情でございます。
  77. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これはどの人がどうだということを言われると迷惑がかかりますから、その人に対しては絶対にあなたのほうで迷惑かけたりなんかしないことにしていただきたいと、こう思うんですが、転勤のときに、転勤旅費がないから、一たんそこでやめたかっこうにしてあるところをやめて、それで今度はこっちへ来たらそこで採用の形をとると、こういうんですがね。そういうようなことが具体的にあるんですよ。こんなことをやっているんですか。ぼくはそんなことはあり得ないと思うんだけど、現実にあるっていうんですがね。
  78. 細江秀雄

    最高裁判所長官代理者(細江秀雄君) ただいまの転任旅費の問題でございますが、これは私の所管でないので、正確に申し上げることばできないわけでございますが、私が聞いておる限りでは、そういう、一たんやめてまた新任地で採用されたという事実は、聞いておらないのでございます。
  79. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私もそういうことはあり得べからざることだと思うんですが、現実に転勤旅費がないっていうんですね。それは、無理にその人が転勤したいということを希望したからかもしれないんですね。それはだれだということは、言いませんよ。そういうことを言うとあれになりますから、それはぼくの口から、言えないし、あなた方のほうでも考えていただきたいんですけどね。それは無理に本人が転勤を希望したのかもしれないが、一たんやめたかっこうにして、こっちへ来てからその日に採用になった形にして、その間の日にちはずれないようにする、転任旅費がないから。そんなばかなことはない、おかしいと思ったんですが、そういうことが現実にあるらしいんですね。最高裁でそれをやっているらしいんですね、現に。おそらく、一たんやめたかっこうにするのか、あるいはその次の日で採用にすると正式な辞令を出すのか、そのところは内部操作でよくわかりませんが、いずれにしても赴任旅費がないからだというんです。
  80. 細江秀雄

    最高裁判所長官代理者(細江秀雄君) ただいま仰せのような例は、私どもは聞いておらないわけございますし、また、おそらくないと私信じておるわけでございます。ただ、女性の調査官の場合に、結婚するためにやめたいといってやめて、そして結婚した先でまたもう一度採用してほしいということで採用になった者があるかもしれません。しかし、旅費がないために、一たん退職させて、転任地でまた採用するというようなことは、聞いておりませんし、また、ないと私も信じております。
  81. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは私もないと信じますから、ここだけの話にしておいてください。それ以上になりますと、あなた方内部の問題だし、かえって変なことになりますから、ここだけにしておいてください。  いろいろほかに聞きたいこともありますけれども、予算委員会へ行かなければならぬものですから、この程度にさせてください。もしぼくのほうで資料でほしいものがあれば、ぼくのほうで政府委員室を通じて要求して、この次に間に合わせるようにいたしますから。
  82. 松野孝一

    ○松野孝一君 訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案、これについて質問したいと思います。  訴訟費用等臨時措置法の一部改正の第一条、宿泊料を、「「千五百円」を「二千円」に、「千二百円」を「千六百円」に改める。」と、こういうふうにありますが、これは一般公務員のほうはこう改める法案は出ているわけですね。
  83. 山根治

    説明員(山根治君) 国家公務員等の旅費に関する法律案が本国会に提出されております。
  84. 松野孝一

    ○松野孝一君 だから、そのとおりに向こうにならっでいるわけですね。
  85. 山根治

    説明員(山根治君) そのとおりでございます。
  86. 松野孝一

    ○松野孝一君 この証人などの宿泊料は──一般公務員のほうは幾つかに分かれていますね、何等級、何等級とか。これは何等級の一般公務員に準じているのですか。
  87. 山根治

    説明員(山根治君) 国家公務員等の旅費に関する法律によりますと、区分といたしまして、「内閣総理大臣等」、それから二番目に「指定職の職務又は一等級の職務にある者」、第三番目に「二等級の職務にある者」、四番目に「三等級以下五等級以上の職務にある者」、最後に「六等級以下の職務にある者」、こういうふうに五段階に分かれております。なお、「内閣総理大臣等」の中には、「内閣総理大臣及び最高裁判所長官」それから「その他の者」というふうに二段階に分かれておりますので、それを合わせますと六段階に分かれております。証人等の宿泊料につきましては、その国家公務員の「六等級以下の職務」と相当しているわけでございます。
  88. 松野孝一

    ○松野孝一君 いまお話しのように、証人等の宿泊料は一般公務員の六等級以下のものに準じて改正されることになっているのだが、このように定められた理由はどこにあるのですか。というのは、一方また、これは改正になっているわけじゃありませんけれども、日当は宿泊料よりも一般公務員に比較して比較して高く定められているように思っているんですが、それとの関係説明願いたいと思います。
  89. 山根治

    説明員(山根治君) 証人等の宿泊料につきましては、従来からの沿革がございまして、戦後、国家公務員の宿泊料が一律に甲地方につきましては八百円、乙地方につきましては六百四十円、こういうふうに定められておりました当時は、証人等はこれを、下回る六百──特別区の存する地につきましては六百円、その他の地につきましては四百八十円というふうに定めておったわけでございます。その後、国家公務員の宿泊料につきまして、先ほど申し上げましたような職務の等級に応じまして、区分が設けられましたときに、証人の宿泊料は最低の区分の定額に応じて回顧に定められておったわけでございます。その後、昭和三十七年に、国家公務員等の旅費に関する法律の一部改正によりまして、「七等級以下の職務にある者」という区分が「六等級以下の職務にある者」という区分に改められました結果、すなわち、その定額が、特別区の甲地方につきましては千、五百円、乙地方につきましては千二百円と定められたことに従いまして、証人等につきましては、この最高額も、特別区の存する地域等につきましては千五円、その他の地域につきましては千二百円というふうに定められたわけでございます。こういう従来の沿革からいたしまして、国家公務員の最下級の等級と対応関係になっております。これは必ずしもその宿泊料が相当であるかどうかということは問題でござ一いますけれども、従来の沿革からいたしますと、そういう国家公務員の最下級の等級に相当するもので認められておったわけでございます。  一方、いまお尋ねがございました証人の日当に関しましては、現在千円でございますが、これは、お尋ねのとおり、内閣総理大臣等の日当が現存七百円でございます。その七百円をこえる千円という非常に高額の日当を証人の日当として定められておるわけでございます。そうして、今度の国家公務員等の旅費に関する法律改正案によりまして、内閣総理大臣等の日当につきましては七百円から千円に改正されるように法律案として提案されておるわけでございますが、証人の日当につきましては、御指摘のとおり、非常に高いランクに位されておるわけでございます。これも沿革的な事情もありますが、当初は証人の日当は非常に低いランクに位置しておったわけでございますが、証人の日当が、公務員の日当と比べまして、公務員の日当と申しますのは、いわば諸雑費の実費弁償という性格を有するに対しまして、証人の日当が諸雑費の実費弁償というほかに、その日に収益すべき損失の補償という趣旨も入っておりまして、公務員のように単なる実費弁償という性質ばかりではないという点から、公務員の日当と必ずしも並行しなければならないということはないというふうに考えられまして、昭和三十六年には、国家公務員等の旅費に関する法律改正されなかった時代におきまして、証人の日当を三百円といたしました。さらに、昭和三十七年にも、公務員等の旅費に関する法律とは全く関係なく、証人の日当につきましてはこれを千円といたしたわけでございます。そういう次第でございまして、証人の日当につきましては、公務員の日当とは全く別個の角度から相当高い日当額を現在規定しておるわけでございます。
  90. 松野孝一

    ○松野孝一君 その次は、第二条の問題ですが、これがちょっとよくわかりませんが、「参考資料」の三「執行吏恩給受給者数調」というのがありますね、これをちょっと説明してくれませんか。このうちの注(1)、注(2)、注(3)というのは、どういうことを言っているか、ちょっとその関係説明してもらいたい。
  91. 山根治

    説明員(山根治君) 執行吏恩給額につきまして、昨年の訴訟費用等臨時措置法の改正によりまして、昨年約二割方執行吏の恩給額が増額されたわけでございますが、その増額された分につきましては、増額のすべてが支給されることになりませんで、六十五歳以上七十歳未満の者につきましては、昭和四十一年本年の十二月までその半額を支給するということになったわけでございます。つまり、昨年改正がされました当時、昭和四十年の九月三十日当時七十歳に満たない者につきましては、増額分の半額しか支給されないということになっておったわけでございます。それを、今回、三カ月ばかり停止期間を短縮いたしまして、本年の九月までに半額支給の期間を短縮いたしたわけでございます。  そこで、いま御指摘になりました「執行吏恩給受給者数調」でございますが、「給与事由の生じた日」というがございます。「昭和三六・九・三〇以前」と申しますのは、昭和三十六年九月三十日以前に執行吏を退職したわけでございまして、退職によりまして給与事由が生じたわけございます。すなわち、退職いたしました日が三十六年九月三十日以前であるということでございます。そして、その当時の「恩給年額算出の基礎となる俸給年額とみなすべき額」は、十五万三千六百円でざいます。そして、その受給者が、五十三人おったわけでございます。以下、昭和三十六年十月から昭和三十七年九月三十日までに退職いたしまして給与事由が生じた者についての額、これを仮定俸給年額と申しておりますが、その仮定俸給年額は十五万六千円ということになっております。  そこで、御指摘になりました注(1)でございますが、先ほど申しました昭和四十年九月三十日現在で七十歳米満の者は三人ございます。三人あると申しますことは、昨年増額になった分についてその増額分の二分の一しか恩給額を支給できない者が三人おりますということでございます。そのうら一人は昭和四十年中に七十歳に達しておりますので、七十歳に逃した日の属する翌月分からは、恩給の増額分の二分の一ではなくて、全額支給されることになっておりますので、この者につきましては、昨年中にすでに昨年度の改定分の増額分の全額を支給されるということでございます。「残り二人は昭和四一年一一月三〇日までには七○歳に達しない。」というふうに書いてございますのは、四十一年十一月三十日までには七十歳に達しないために、昨年度の増細分の半領支給が本年の九月分まで短縮されることになりましたに伴いまして、ことしの九月になりますとこの二人は増額全額の支給、がされるということになりますということでございます。  それから(2)の「昭和四一年九月三〇日現在で六五歳以上」と書いてございますのは、昭和四十一年九月三十日現在で六十五歳に満たない者につきましては、恩給法でさらにこの家族等につきまして増額分の一部を停止をいたしております。そういうような不利益は執行吏につきましては受けないという趣旨でございます。本年の九月三十日現在で六十五歳以上に達する者でございますから、恩給法の改正による影響を受けないわけでございます。  (3)は「すべて昭和四一年九月三〇日現在で六五歳以上」というのは(2)と同趣旨でございますけれども、つまり、注(1)の三十六人、注(2)の一人すべてを含めまして四十一年九月三十日現在で六十五歳以上になりますので、六十五歳を基準としまして、改正されました今回の恩給法の改正についての影響は受けないものである、こういう趣旨でございます。
  92. 松野孝一

    ○松野孝一君 ここはややこしいな。注(1)の二人の分は、「残り二人は昭和四一年一一月三〇日までには七〇歳に達しない。」と書いたのは、十二月に入ると七十歳に達するという意味じゃないのですね。私の言うのは、ここの二人は、今度の改正によって短縮される部分に入るのですか入らないのですか。
  93. 山根治

    説明員(山根治君) この二人は、短縮される分に入るわけでございます。
  94. 松野孝一

    ○松野孝一君 それから注(2)、注(3)は、わかったようなわからないようなんですが、この前にいろいろ参照条文が載っておるようですが、そこのどこに該当するものですか、ちょっと説明してくれませんか。第何項、第何項と書いてあるのがありますね。
  95. 山根治

    説明員(山根治君) この資料の二〇ページでございますが、二〇ページの二十三項──これは訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律の附則二十三項でございますが、附則二十三項によりますと、「前項の規定により年額を改定された恩給は、昭和四十年九月三十日において七十歳に満ちていない者については、昭利四十一年十二月分まで、改定年額と改定前の年額との差額の十分の五を停止する。」ということになっておりますが、これが、先ほど申し上げました本年の十二月分まで七十歳をこえない場合には改定年額の半額の支給を停止しておるわけでございますが、その二十三項がそういう趣旨でございます。  二十四項は、これは特段関係はございません。
  96. 松野孝一

    ○松野孝一君 注(2)と注(3)のことを条文について……。
  97. 山根治

    説明員(山根治君) 注(2)につきましては、したがいまして、これは本来の恩給法によっておるものですから、ここの条文の中にはなっておりませんのですが、恩給法の昨年の改正の附則の第三条に、「年齢の区分」といたしまして、「六十歳未満」の場合と、「六十歳以上六十五歳未満」の場合と、それから「六十五歳以上七十歳未満」の場合とを年齢を区分いたしまして、それぞれ増額分の停止をいたしておるわけでございますが、執行吏につきましては六十五歳未満の者はおりませんので、今回執行吏の恩給については関係がないという意味で、恩給法の資料はつけてございません。そういう趣旨でございます。
  98. 松野孝一

    ○松野孝一君 それから、こまかいものですけれども、この資料を見ますと、執達吏規則第二十一条というのがありますね。ここに書いてありますが、「執達吏ハ官吏恩給法ニ照シ恩給ヲ受ク其恩給年額ハ第十九条二定メタル金額ヲ俸給額ト看倣シテ算定ス」と書いておるのですが、十九条にあります「国庫ヨリ其不足額ヲ支給ス」というその基準ですが、その国庫補助基準額というのは、「恩給年額算出の基礎となる俸給年額とみなすべき額」となるわけですか、ちょっとそれをお尋ねしたい。
  99. 塩野宜慶

    政府委員(塩野宜慶君) 国庫補助基準額と恩給の基礎となる仮定俸給年額の関係についての御質問のように存じますが、御指摘のとおり、執達吏規則におきまして、国庫補助基準額とそれから恩給の基礎となる仮定俸給年額との関連が規定されているわけでございますが、その後に訴訟費用等臨時措置法が制定されまして、その第五条、第六条にあらためて同趣旨の規定が設けられておりますので、現在におきましては、この訴訟費用等臨時措置法第五条と第六条でその関係を定めた、こういうことになっているわけでございます。  第五条によりますと、「執行吏一年間二収入シタル手数料が政令ノ定ムル額二満タザルトキハ国庫ヨリ其ノ不足額ヲ支給ス」ということで、その国庫補助基準額は政令で定めると、こういうことになっているわけでございます。続きまして、第六条で「執行吏ノ受クベキ恩給年額ハ前条ノ政令ノ定ムル額ヲ俸給韻ト看做シテ算定ス」ということで、恩給の基礎となる仮定俸給年額は国庫補助基準額がそのまま使われると、こういうことになっているわけでございます。したがいまして、執達吏規則のほうでは現実に金額が掲げられてあったわけでございますが、物価等の関係を考慮いたしまして、訴訟費用等臨時措置法ではその金額を政令で定めると、こういたしたわけでございます。現在は、この五条、六条で執行吏の国庫補助基準額並びに恩給の基礎となる仮定俸給年額が定められる、こういうことになっているわけでございます。
  100. 松野孝一

    ○松野孝一君 いや、いまのお話はわかりますけれども、ここをちょっと見ますと、第三の「執行吏恩給受給者数詞」の中に、第一番目に書いてあるのは、十五万三千六百円というのがありますね。その金額がこっちのほうについていないものだから、私ちょっとそれを疑問に思うのでお尋ねをしたわけです。
  101. 塩野宜慶

    政府委員(塩野宜慶君) これは、御承知のとおり、恩給は、一般の恩給でございますと、退職するときの最後の俸給が基礎になって恩給が計算される、こういうことになるわけでございます。それと同じように、執行吏につきましても、退職時の国庫補助基準額というものが基礎になりまして恩給が計算される、こういうことになるわけでございまして、その国庫補助基準額が、この資料にもございますように、物価の変動に応じまして逐年上がっているわけでございます。したがいまして、古く退職した者につきましては、その退職当時の国庫補助基準額が基礎になりますので、恩給の額が非常に低いということになっているわけでございます。そこで、ある時期に古く退職した君についての恩給の額をベース・アップしてやろうということで、なるべく最近のものに近づけていくという措置がとられるわけでございます。前回その措置をとりました結果、この二五ページの「執行恩給吏受給者数調」の最初の欄に三十六年九月三十日以前ということで十五万三千六百円という金額が書いてございますが、これは古く退職した者につきまして、その仮定俸給年額をこれまで引き上げるという措置を前回とりましたので、これに該当しますのは古い退職者でございます。その後の者は、その次の欄に昭和三十六年十月から三十七年九月三十日、それから三十七年十月から三十八年九月三十日というふうに、それぞれの期間に退職した者につきましては、それぞれの時期の国庫補助基準額が上がっておりますので、これが基礎になって恩給が計算される、こういうことになっているわけでございます。
  102. 松野孝一

    ○松野孝一君 昭和四十一年度の予算において、執行吏のいわゆる基準額、それは増額されているはずですね。その増額されているのは政令でこれまた定めるわけですね。その関係をちょっと……。
  103. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 便宜私どものほうからまず述べさせていただきたいと存じますが、松野委員指摘のとおり、現在参議院に御審議いただいております明年度予算案におきまして、執行吏の国庫補助基準額は、現在の二十四万二千円から六十二万二千円というように上げていただくという予算的措置を講じていただいておるわけでございます。この予算が通りますれば、予算上はさようなことになるわけでございます。ただ、現在の執行更すべてにつきましてこの補助基準額を適用するかどうかという点には問題がございますので、その細部の点は現在まだ大蔵省といろいろ打ち合わせしておるわけでございます。一応基準といたしましてそういう六十二万二千円に当たる予算的措置は講じていただいたわけでございます。そこで、予算が通りますれば、いずれこの国庫補助基準額に関する政令も改めていただくというふうに法務省のほうにお願いする段取りになると考えているわけでございます。ただ、そうなりますと、先ほど塩野部長からるる御説明ございましたとおり、それに伴いまして機械的に恩給額も増額になるということに現行法制の上ではなるわけでございます。しかしながら、これまた、いま申し上げましたとおり、従来の執行吏について直ちに六十二万二千円の国庫補助基準額が相当であるかどうかという点に問題がございますことと相関連いたしまして、一律に恩給額というものをそのように増額することが相当であるかどうかということにもやはり問題はあるわけでございまして、私どもとしては、できる限り高い恩給額にきまりますことを希望いたしましていろいろ大蔵省とも折衝いたしておるわけでございますが、現在のところまだ最終的な結論に到達いたしておらないわけでございます。  いずれこれらの点につきましては、この国会に提案を予定していただいております執行官法あるいは執行官費用法その他関連の法律案におきまして具体的にきめていただきまして、大蔵省とも十分打ち合わせをいたしまして、また、法務省にも十分お願いをいたしまして、妥当な線で案をつくっていただきたいと、かように考えておるわけでございます。
  104. 松野孝一

    ○松野孝一君 この前、今国会に提出予定の法案について説明がありましたが、いま、執行存法一連の法律案は、どういうぐあいに進行しておりますか。
  105. 塩野宜慶

    政府委員(塩野宜慶君) 執行官法の進行状況についてのお尋ねでございますが、基本的な構想につきましては、先般法務省の法制審議会で答申が出まして、基本的な構想というのは大体きまっているわけでございます。したがいまして、その基本的な考え方に基づきまして現在法案を作成し、内閣の法制局と協議をして法案固めに急いでいるという段階でございます。
  106. 松野孝一

    ○松野孝一君 それから裁判所法及び裁判所職員定員法の一部を改正する法律案についてちょっとお聞きしたいのですが、この配付を受けている「法律案参考資料」によって、四ページから七ページですね、これを簡単に説明してもらいたいと思うのですが、-11、+11という増減がありますね、これはどういう関係のものですか、それもあわせて簡単に御説明願いたいと思います。
  107. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 法務省のほうから出していただいた資料でございますが、資料のもとの案を私どものほうで作成いたしました関係で、便宜私どものほうから説明さしていただきますが、まず、四ページないし五ページの表でございます。これにございます増減、あるいは+27、これはまさに現在御審議いただいておりますこの法案で増員していただくその数でございます。裁判所調査官、すなわち地方裁判所調査官を六人増員していただく、あるいは書記官を二十七人増員していただく、こういうことでございます。  それから一番御疑問の点が-11、+11の点であろうかと思いますが、これはきわめて技術的なことでございまして、事務官から技官に組みかえるということでございます。これは、今度営繕関係の技官を高裁のほうに充実いたします関係で、事務官職より技官職ということを正面から認めて配置いたしたい、そういうことで、ただ要するに官職区分を組みかえてもらった、その数字がちょうど十一人ということで、差し引きゼロでございますが、それ、だけのことでございます。  それから六ページから七ページの表でございますが、これは現在の定員と現在員、それから欠員を示したものでございまして、この「欠員」のところにいろいろ書いてございますのが現在の欠員でございます。そうして三角印のついておりますのは過員でございます。上から七、八番目のところは事務官八十六名過員ということでございますが、これは事務雇のほうに百六十七名欠員がございまして、そういうものと見合って過員になる、かような関係になるわけでございます。
  108. 松野孝一

    ○松野孝一君 去年でしたか、一般公務員のほうは、何月何日かの現員で、これはそれ以上動かしてはならぬ、動かすときは新たに定員をふやしたことになるというようなお話がありましたが、裁判所のほうはその影響を受けないわけですね。
  109. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) その点は、いま松野委員指摘のとおり、内閣のほうでは、昭和三十九年九月四日現在の欠員は補充しないといういわゆる不補充の原則をお立てになりまして、最高裁判所に対してもそれについての協力方を求められてまいったわけでございます。それに対しまして、私どものほうとしては、いわゆる裁判部門につきましては、これはきわめて特殊の事情でございます。裁判部門で欠員ができたからといってそれを補充しないということでは、これは裁判がますます遅延するばかりでございますので、裁判部門につきましてはこれはどうもその趣旨に応じかねるということを申し上げてあるわけでございます。ただ、いわゆる一般部門につきましては、司法行政部門と申しますか、そのほうにつきましては、これは裁判所の独自性を主張するということにも限度がございますので、この点につきましては、できるだけ御協力いたすというたてまえをとっておるわけでございます。
  110. 松野孝一

    ○松野孝一君 今度は判事は二十七名増員になっておるわけで、それは判事補から採るわけですが、判事補はそれだけまた司法試験に通った者、判事補になる者から採っていくというわけでしょうけれども、現在のところ、司法試験を受けて司法修習生になっておる者で裁判官になりたいと思う者はどのくらいおるのですか。
  111. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 現在まだ最終的に採用試験等が終わっておりませんが、ただいまのところ、見通しとしては七十数名は志望者がある、かように考えておるわけでございます。
  112. 松野孝一

    ○松野孝一君 それからもう一つお伺いしますが、今度地方裁判所にも調査官を置くようになったようでありますが、それは工業所有権あるいは租税に関するものに限るというふうになっておりますが、これの今後の計画ですね、充員計画、それをちょっと御説明いただきたい。
  113. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 裁判所調査官は、御承知のとおり、従来から最高裁判所と高等裁判所に置いていただいておるわけでございますが、そのうち、最高裁判所調査官は、これはいわゆる有資格者でございまして、つまり一般的な法律事務につきまして補助をしておるわけでございますが、高等裁判所調査庁は、特殊事件、すなわち工業所有権事件とかあるいは海難審判事件というようなものの調査の補助調査をいたしておるわけでございます。そこで、今度地方裁判所に置いていただきますものは、この高等裁判所調査官制度に類似すると申しますか、それを模範として考えました制度でございまして、いわゆる特殊事件、すなわち工業所有権事件あるいは租税事件等について審理及び裁判の調査をする、それに関する必要な調査をする、かような趣旨でございます。  そうして、私どものほうの現在の腹案といたしましては、工業所有権関係に三人、それから租税関係に三人、合計六人を一応三人ずつに区分して充員いたしたいと考えておるわけでございます。  工業所有権の関係につきましては、御承知のとおり、いろいろな分野が分かれておりまして、一人の調査官ですべてをまかなうというわけにまいりませんので、化学関係、機械関係、あるいは電気関係、こういうような専攻部面があるわけでございます。そこで、そのそれぞれの部面の専門の人を一人ずつ採用いたしまして、現在工業所有権関係事件が圧倒的に多数を占めております東京地方裁判所に配置したいと考えておるわけでございます。  それから租税関係事件につきましては、これは全国裁判所に広がっておるわけでございますが、今回は、最初のことでございますので、まず大都会であります東京と大阪に配置する、東京に二名、大阪に一名という割合で、配置したいと考えておるわけでございます。  それからその充員の点でございますが、工業所有権関係につきましては、主として特許庁の方面から来ていただく、また、その他大学のそれぞれの専攻の方でおいでいただければ非常にありがたいと思っております、が、主たる給源は特許庁であろうかと考えておるわけでございます。それから租税につきましては、これは税務職員の方、あるいは公認会計士、税理士等の方から来ていただけるのではないか、かように考えておるわけでございます。
  114. 松野孝一

    ○松野孝一君 この資料──「裁判所法及び裁判所職員定員法の一部を改正する法律案参考資料」の一〇ページをちょっと説明してくれませんか。「その他」というのが非常に減っておりますね。昭和三十九年に「刑事」の「その他」というのがぐっと減っておりますね。それはどういう関係のものですか。
  115. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) これはきわめて統計の技術的なことのようでございまして、その「備考」に善いてありますとおり、三十七年、三十八年では、検察官の仮納付の裁判の請求事件というものの中で、交通即決関係の請求事件だけを除いておったのを、三十九年の統計では交通略式事件におけるこの種の請求事件をも除いた。これがかなり大幅な数になっておるために、これが統計上非常に少なく見えてあらわれてきておる。御指摘のような奇異な感じを与えるので、その趣旨をここに「備考」で書いた、こういうことでございます。
  116. 松野孝一

    ○松野孝一君 全体としては、合計欄では減ってきているわけですね。民事はそうじゃないね。刑事関係はそういうことですか。
  117. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) これは、つまり、実質的には減って──事件そのものとしては減っておらないわけでございます。ただ、この種の事件は非常に簡単な事件でございますので、それについて一々事件を立てて統計をとるということはかえって煩項であるというので、別件として立てておらないような扱いになった、こういうことでございます。この点は、実はこれに限りませず、一般的に私どものほうの統計の立て方の技術的な問題として、いろいろ問題がございまして、一連の事件の中のどこで別件に立てるか、あるいは、派生的、付随的事件を独立の別件として一件に立てるかどうかということが、それによって件数というものが非常にふえもすれば減りもするわけでございます。しかし、そういういうことをしょっちゅう変えますと、統計の信用力といいますか権威をそこなうことになるわけでございます。しかしながら、また、同時に、その一つの事件二つに区切りまして途中から別件として立てて、まあ水増しということばは妥当ではございませんが、そういう印象を与えるということも妥当ではない。そこで、定期的に一定の期間、これを別件に立てるような扱いにするか、包抱的な一件として扱うかというようなことについての検討を絶えずしておるわけでございまして、それがたまたまこの年度でここにあらわれてきておるということでございます。実際には、実質的には減っておらないわけでございます。
  118. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 両案に対する質疑は、本日はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十分散会