○
説明員(
長島敦君) お
手元にございます「第五十一回
通常国会提出予定法案」につきまして、
大要を御
説明申し上げます。
ただいま予定しております
法案総数は十五件でございまして、そのうち、
予算関係法案が二件、その他の
法案が十三件でございます。これらにつきましては、まだ
内容が不確定なものも多数ございまして、したがいまして、ただいまから申し上げます
説明が、その
概要と申しますか、ただいま考えております
概要にとどまりますことを御了承いただきたいと存じます。
最初に、
裁判所法及び
裁判所職員定員法の一部を改正する
法律案でございます。先ほど
最高裁判所から御
説明がございましたように、このたび工業所有権及び税の関係につきましての
調査官が地方
裁判所に置かれることになりましたので、
裁判所法の改正が必要となるわけでございます。
裁判所職員定員法の関係につきましては、これまた先ほど御
説明がございましたように、
判事二十七名の
増員、これに伴います
裁判所書記官二十七名の
増員、
家庭裁判所調査官二十五人の
増員、及び、先ほど申し上げました
地方裁判所調査官六名の
増員がございますので、これらの
増員につきまして
裁判所職員定員法の改正が必要でございます。これらの
法案につきましては、来週中ぐらいには国会に提案になろうかと予測しておる次第でございます。
次に、
最高裁判所の
裁判官の
退職手当の特例に関する
法律案でございます。これも、先ほど
最高裁判所から御
説明がございましたように、
最高裁判所の
裁判官について国家公務員
退職手当法の特例が
予算的に認められることになりましたので、それに伴う
法案でございまして、
最高裁判所の
裁判官につきましては、退職の日における
報酬月額に勤続期間一年について百分の六百五十を乗じた額というのを基準といたしまして
退職手当を定めようとするものでございます。これも、来週中ぐらいには国会に提案になろうかと存じております。
次は、借地法等の一部を改正する
法律案でございます。これにつきましては、いろいろ問題がございまして、ただいまなお調整中でございますが、その主たる
内容は、建物に関します借地条件が事情の変更によりまして不相当となったような場合に、当事者の申し立てによりまして
裁判所が借地条件の変更その他の相当な処分をすることができる、また、借地権者が借地上の建物を譲渡しようとする場合におきまして、土地の賃貸し人が正当な理由がないのに賃借権の譲渡または転貸しを承諾しないときは、
裁判所が借地権者の申し立てによりまして賃貸し人の承諾にかわる許可を与えることができる、こういった点が借地法の主要な改正点でございます。このような申し立てがございました場合には、
裁判所は、原則といたしまして鑑定
委員会の
意見を聞きまして、なお、この手続は非訟事件の手続によることになるわけでございますが、これらの手続の点につきましても、当事者の利益を害しないように、ただいま慎重に検討が加えられておる次第でございます。次に、そのほかこの
内容といたしましては、たとえば、借地、借家につきまして家賃、地代等に争いが起こりました場合に、従来どおりの地代、家賃を
供託しておきますと、
裁判の結果、地代、家賃がきまりました場合には、その差額を支払う、あるいは返戻するというようなことで解決をしようとすることが含まれておるわけでございます。民法の改正につきましては、御承知のように、地下鉄あるいは高架線というような地下あるいは空間の部分のみを利用することがふえてきておりますので、そういうような地下あるいは空間の部分のみについて地上権を設定するということができるようにしようというような
内容を含んでおるのでございます。
次は、商法の一部を改正する
法律案でございます。これもまだ確定的な
内容がきまっていないわけでございますが、いろいろ
内容が含まれております。まず、株式の譲渡制限の問題でございますが、会社は定款をもちまして株式の譲渡について取締役会の承認を要する旨を定めることができるというのが株式譲渡制限の問題でございます。次に、額面株式と無額面株式との間に変更を認めようというのが第二点でございます。それから株券の発行停止または寄託の制度は、記名株式の株主が、定款に別段の定めのないときには、その株式について株券の所有を欲しない旨を申し立てることができるということでございまして、その場合には、株券を発行しない、あるいは株券を銀行等に寄託するということになるわけでございます。新株発行の手続は、証券会社等が新株を一括して引き受けて公募するというような場合につきましての手続を定めようとするものでございます。新株引受権の譲渡は、新株引受権証書というものの発行を認めまして、新株引受権証書の譲渡によりまして新株引受権が譲渡できるという道を開こうとしておるわけでございます。転換社債の転換の請求時期の問題は、転換社債を株式に転換いたします請求は、定款に別段の定めのない限り、株主名簿の閉鎖期間内でも転換することができる、こういった
内容のものでございます。いずれもただいままだ検討中でございまして、確定はいたしておらないわけでございます。
次は、会社
更生法の一部を改正する
法律案でございます。これにつきましても、
内容は全く現段階ではさまっておらないわけでございまして、近く
法務省にございます法制審議会の会社
更生法部会におきましてこれが検討されることになるわけでございますが、その検討の結果、早急に改正を要すべき点として答申がございますれば、それに基づいて
法案を立案したいという次第でございますが、主として問題になります点は、
更生債権、
更生担保権及び共益債権等をめぐる問題であろうかと考えておる次第でございます。
次は、刑法の一部を改正する
法律案でございます。これは先般すでに今国会に提案になっておるわけでございますが、前回の
通常国会に提案になりまして御審議をいただきました
法案と同一の
内容の
法案でございます。
次は、下級
裁判所の設立及び管轄区域に関する
法律の一部を改正する
法律案でございます。さしあたり考えておりますのは、市町村の廃置分合等に伴います整理でございます。
次は、司法試験法の一部を改正する
法律案でございます。これにつきましては、ねらいといたしまして、現在の司法試験が、かなり試験科目が多うございますし、むずかしい試験になっております。で、これを一般の在学生であってもそれほど困難でなく受験できるようにする、また、司法試験管理
委員会の中に学識経験者も加えるというような方向で検討をしておるわけでございますが、現在の段階におきましてまだ各方面の御
意見を徴して調整中でございます。確定的な要綱はできておりません。
次は、特許関係事件等についての
裁判所の管轄の特例等に関する
法律案でございます。これは、特許関係事件につきましては特別の知識が必要でございますので、東京地方
裁判所あるいは大阪地方
裁判所に特別の部を設ける。で、ここの部におきましては土地管轄にかかわらずこの特許事件を受け付けることができるというような
内容のものでございますが、なお
法律的にいろいろ技術的な問題もございまして、成案を得るに至っておらない状況でございます。
次に、執行官
法案、執行官費用
法案、執行官法等の施行に伴う関係
法律の整理等に関する
法律案の三案を一括して御
説明申し上げます。これにつきましても、近く法制審議会の強制執行部会が開催される予定でございまして、その審議の結果を待ちまして
法案を立案するわけでございまして、ただいま確定したものはございませんが、一応考、えられておりますのは、
執行吏を執行官というふうに名称を改めます。ただし、執行官になりましても、現在の
執行吏制度と同じように手数料制度を前提とするわけでございますが、執行官に対します
事務の配分あるいは監督につきまして
裁判所の監督権限を
強化していこうという
内容を含んでおるわけでございます。そういった方向で考えようとしておるわけでございまして、たとえば強制執行に際しましての予納金等につきましては、これは
裁判所が保管をいたします。そのかわり、執行官は各個の一つ一つの職務行為が終わったつど手数料を取ることができるというような
内容をも含んだものでございます。
執行吏が執行官というふうに改まってまいりますのに伴いまして、関係
法律の整理が必要でございますので、整理
法案が考えられておるわけでございます。
最後に、
訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する
法律の一部を改正する
法律案でございますが、これにつきましては、一般公務員の恩給につきまして、年間六万円に満たないものは六万円を最低限度とするというような改正がこの国会に提案されるふうに聞いておりますが、それに合わせまして、
執行吏につきましても年間恩給が六万円に満たないものは六万円にするという
内容を含む改正でございます。
最後にございます
裁判官及び
検察官の
報酬、俸給等につきましては、すでに昨年当国会において御承認を得て成立済みの案件でございます。
以上、簡単でございますが、御
説明といたします。
—————————————