運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-12-27 第51回国会 参議院 法務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年十二月二十七日(月曜日)    午前十時三十九分開会     —————————————    委員異動  十二月二十七日     辞任         補欠選任      館  哲二君     丸茂 重貞君      田中 茂穂君     奥村 悦造君      鈴木 万平君     中上川アキ君      後藤 義隆君     近藤英一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         和泉  覚君     理 事                 木島 義夫君                 松野 孝一君                 稲葉 誠一君                 山田 徹一君     委 員                 石井  桂君                 岡村文四郎君                 奥村 悦造君                 後藤 義隆君                 近藤英一郎君                 鈴木 万平君                 中野 文門君                 中上川アキ君                 中山 福藏君                 丸茂 重貞君                 大森 創造君                 柳岡 秋夫君                 野坂 参三君                 山高しげり君    国務大臣        法 務 大 臣  石井光次郎君    政府委員        法務政務次官   山本 利寿君        法務大臣官房司        法法制調査部長  塩野 宜慶君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局総務局長   寺田 治郎君        最高裁判所事務        総局総務局第一        課長       長井  澄君        最高裁判所事務        総局人事局長   矢崎 憲正君        最高裁判所事務        総局人事局任用        課長       草場 良八君        最高裁判所事務        総局人事局給与        課長       武居 二郎君        最高裁判所事務        総局家庭局長   細江 秀雄君    事務局側        常任委員会専門        員        増本 甲吉君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○検察官俸給等に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 和泉覚

    委員長和泉覚君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官俸給等に関する法律の一部改正する法律案を一括して議題といたします。  両案についてはすでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑を行ないます。両案に対し御質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この前、裁判官報酬を上げたときに、上のほうの人が非常に上がって、まん中以下と言うと語弊がありますけれども、ことに戦後の全期生人たちですか、そういうところの上がり方が非常に少ないというふうな不満裁判官からだいぶ出たんですけれども、あのときには、どうして上のほうだけが上がって——上のほうだけが上がったという意味じゃないのですけれどもまん中以下というか、そういう人の上げ方が足りなかったのですか。
  4. 塩野宜慶

    政府委員塩野宜慶君) 昨年の給与改定のことに関する御質問でございますが、確かに、御指摘のように、昨年の給与改定におきましては、上位それから初任給がいずれもかなり高く増額されたにかかわらず、中間クラス裁判官につきましてアップ率が比較的に低かったのでございます。それは、昨年は、臨時司法制度調査会の要求に基づきまして、初任給の引き上げ、それから管理職手当本俸組み入れというような種々の給与制度の改善を行ないまして、それに伴いまして、給与間隔、各月額間隔、これを私ども間差額といふうに申しておりますが、この間差額を適正ならしめようということで、上のほうと下のほうからこう整理してまいりまして、その結果、中間段階においてややアップ率が低いと、こういう形で整理を行なった次第でございます。
  5. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは裁判官でも検察官でもそうだと思うのですが、あの当時、私らが行きますと、相当不満があったわけですね、まあ不満と言うとあれですけれども。そこで、今度の場合は、あれですか、そういう中堅クラスを上げるということを中心に考えたわけで、そこの手直しみたいなものは相当行なわれているわけですか。
  6. 塩野宜慶

    政府委員塩野宜慶君) 今回の裁判官報酬法、それから検察官俸給法も同じでございますが、今回の両法律改正内容は、御承知のとおり、本年の八月十三日に人事院勧告がございまして、これに基づきまして政府一般職の職員についての給与改定を行なうことといたしまして、ただいま国会で御審議を受けているわけでございますが、その一般職給与改定にならいまして、裁判官報酬検察官俸給についても同様な考え方改定しようというのがこの案の内容でございます。したがいまして、今回は、昨年の給与改定と違いまして、裁判官報酬検察官俸給というものを特別に取り上げて改定しているという考え方はないのでございまして、一般職並み裁判官報酬検察官俸給も上げていこうと、こういう考え方で法案が整理されているわけでございます。
  7. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 裁判官の人と話したときに、今度の報酬法では裁判官アップにならないんだといってだいぶ悲観している人がいたわけですよね。これはそんなことはないだろうとぼくは話したのですけれども、上のほう、十九万円以上ですか、ここのところは上がらなかったのですか。そこのところはどうなっておりますか。
  8. 塩野宜慶

    政府委員塩野宜慶君) 今回の報酬法俸給法改正におきましては、先ほど申し上げましたように、人事院勧告に基づく一般職給与改定にならっております。したがいまして、一般職給与改定が、いわゆる指定職の甲、これは、御承知のとおり、大学の学長とか、外局の長というようなものがそこにすわっているわけでございますが、この指定職甲につきましては増額の措置をとっていないわけでございます。したがいまして、裁判官検察官報酬俸給月額におきまして、判事特号、それから一号、二号——ただいま御指摘の十九万円以上の分でございますが、これにつきましては、一般職取り扱いにならいまして、このまま据え置くという方針をとったわけでございます。したがいまして、三号以下の裁判官検察官給与改定する、こういう内容になっているわけでございます。
  9. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、裁判官検察官が、修習生を終わって任官したときは同じ給与なんですが、それがこうたつに従って開いてくるのですか。そこの関係はどういうふうになっているのですか。
  10. 塩野宜慶

    政府委員塩野宜慶君) 給与法上は、修習生を終わりまして、検事に任官し、あるいは判事補に任官するその初任給は同じでございます。今回の改定によりまして、その月額がいずれも三万五千円ということになったわけでございます。その後の昇給の問題は、御承知のとおり、検察官につきましては法務省で担当しておりますし、裁判官につきましては最高裁のほうで担当しておられますので、昨年のこの委員会でも御質問を受けたわけでございますが、ほぼ同じように昇進しているというふうに考えられるわけでございますが、具体的に個々の人をとりますと、あるいは多少前後しているというものがあるかもしれません。
  11. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 裁判官検察官初任給が同じで、同じ年限たって昇給しているのだけれども昇給の年限は同じとしても、率なんかは違ってくるのじゃないですか。ずっと同じに行くわけですか。
  12. 塩野宜慶

    政府委員塩野宜慶君) 昇給いたします場合のそれぞれ次のランク、またその次のランクというその金額は、裁判官検察官月額は同じでございます。
  13. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、実際には、裁判官のほうが、裁判官優位の原則があると、検察官よりも給与は上のほうに行くのじゃないですか。この点はどうなっているのですか。
  14. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者矢崎憲正君) 御承知のように、判事補から判事になるには、やはり十年間の判事補の経験が必要でございます。そこで、判事の最初の初任給が八号俸でございまして、これが現行が九万二千五百八十円、こういうことに相なっているわけでございます。したがいまして、判事補報酬は一号から十二号まで分かれておりますけれども、要するに判事の八号まで行くにはどうしても十年かかるということに相なります関係上、判事の八号をこえて判事補商い報酬をもらうことができないということになっています。したがいまして、この判事補十年間というものは、ここにあります判事補一号から十二号までの報酬以上に抜けられないということになりますので、検察庁のほうのお取り扱いはどうか私どももあまり詳しいことは存じ上げておりませんけれども裁判所としては、それに頭を押えられて、そして十年間たってはじめて九万二千五百八十円ということになるということになっております。
  15. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、検察官のほうは、十年たつと普通の場合はどういうふうになるのですか、同じところに行くわけですか。
  16. 塩野宜慶

    政府委員塩野宜慶君) 検察官のほうは、初任からずっと上まで検事という一本でございますので、十年間で途中を押えられるということはないわけでございます。
  17. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、具体的には、十年たっとして、九万二千五百八十円よりも多いのですか少ないのですか。これは人によってもちろん違うでしょうけれども、平均的に言った場合はどういうふうになるのですか。
  18. 塩野宜慶

    政府委員塩野宜慶君) 私も、具体的に人事を担当しておりませんので、詳細にはお答えいたしかねますが、十年のところで中間に頭打ちがないということによって裁判官より上に上がっていっているという事実はないと存じます。
  19. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 裁判官より上に行くことはないのは別として、そうすると、いまの九万二千五百八十円よりも普通は下なんですか。
  20. 塩野宜慶

    政府委員塩野宜慶君) 具体的な人事承知いたしませんので、正確にお答えいたしかねますがおそらく下であると思います。
  21. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 裁判官が何年たったら一号上がるというのと、検事察官が何年たったら一号上がるというのは、ずっと段階は一緒なんですか、違うのですか。
  22. 塩野宜慶

    政府委員塩野宜慶君) 検察官給与準則と噂しますか、昇給準則、これは法務大臣大蔵大臣が協議してきめるということになっておりまして、一応の昇給準則というものがあるわけでございます。これは一般にはおそらく出していないものと存じますが、そういうものがございまして、それに従いましてあまり個人差のないように取り扱われているわけでございます。その点が、裁判官につきましては最高裁判所のほうでおきめになっておるということになっておりますので、その準則内容があるいは多少違うかもしれませんが、実際の運用におきましては、さほど違った運用にはなっていうふうに心得ております。
  23. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、最高裁判所のほうでは、判事補になってなり、あるいは判事になってからの、ある年限たったら上がるというのは、ルールできまっているのですか。それは検察官の上がり方と違うのですか。
  24. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者矢崎憲正君) 最高裁判所内部でその上がる準則と申しますか、準則というものはございませんで、いろいろと個人個人で、また能力等で違うものではございますけれども、大体において最高裁判所内部できめて上げる、こういうことにいたしております。ルールはその点については特にございません。大体においてそれほど検察庁のほうとは差異はないというように聞いておるわけでございます。
  25. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 一般公務員は、あれですか、法律で何年たったら幾ら上がるということがきまっているのですか。
  26. 塩野宜慶

    政府委員塩野宜慶君) 一般職公務員については、一年ごとに上がっていくようになっていると存じております。
  27. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは法律でもきまっているわけですか。
  28. 塩野宜慶

    政府委員塩野宜慶君) 一般職関係につきましては、所管でございませんので、正確にお答えいたしかねますが、一年間たつと一段上に上がれるということになっているようでございまして、したがいまして、上がる人と上がらない人というのは実際には生じないもののようでございます。
  29. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 裁判官が一年なら一年たったら一号上がるとか、そういうようないろいろなきめ方がある場合には、必ず全部の人が年数を経れば上がるのですか、あるいは、上がらない人もあるわけですか。
  30. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者矢崎憲正君) 同期の方々の能力等がまあほぼ同じということになりますれば、これは裁判官会議で同じように上げることになるのでございますけれども、中には病気とかそういう点で長い間休んでおられるというようなお方もあるわけでございます。必ずしも全部が一律ということではないように承知いたしております。
  31. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 病気でほとんど出てこないというふうな形で上がるのがおくれるというのは、これはまあわかるわけなんですけれども裁判官でも、いわゆる考課表みたいなものをつくるわけでしょう、率直な話。それで、それが最高裁へ吸い上がってきて、そこで何か序列でもないでしょうけれども、いろいろなことをやって、そしてこの人は昇給させるさせないというのをきめるのですか。これは内輪話で非常に恐縮ですけれどもね。
  32. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者矢崎憲正君) 判事補の間では、そういうように格別に同期の者と違った扱いをするような取り扱いはきわめてまれのように承知いたします。
  33. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 あまり聞くのも悪いから聞きませんけれども、なぜこんなことを聞くかというと、裁判官が、とにかく事件を早く処理しよう早く処理しようというので、件数を上げることに非常に一生懸命なわけですね。それはまあそのことは必要なんだと思うのですけれども、そして、何カ月未済だ何カ月未済だといって、未済が長くなると困るからというわけですね。どうも最高裁がうるさいんだ、とてもうるさくてしょうがないから未済をなくさなければいかぬということで、非常に裁判を急がれる方があるわけですね。何かそれをいろいろ統計をとって、最高裁に吸い上がっていっているらしいんですね。これは法務省でもそうだと思うのですが、検察官の場合は直接法務省には来ないかもわかりませんけれども、ことに現に裁判官の場合にいろいろな統計最高裁に出すわけでしょう。どんな統計を出すわけですか。それが何か人事考課表みたいなものに現実にはなるのですか。とても気にしている人があるわけですよね、裁判官で。
  34. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者矢崎憲正君) たとえば、刑事関係について申し上げますと、これはいろいろの報告を徴しているわけでございます。しかし、報告を徴しておりますのは、事件関係については、もっぱら総務局刑事局刑事についてはですね、総務局刑事局でございます。そして、その目的とするところは、たとえば刑事について申し上げますれば、贈収賄事件、それから公職選挙法違反事件、それから特殊の大きな業務上過失致死傷事件等が、一体どのくらいの証人を必要とし、どのくらいの期間を必要としているか、それが一般の普通の事件自白事件それから否認事件等に比べて審理期間にどの程度の差異があるか、そして公判期日の間にどのくらいの期間があるかというような点につきまして、実質的な刑事事件処理状況を調査する。そして、場合によってはそれについて全国の裁判官会同へその資料を提出して、裁判官会同で、どのようにして事件をすみやかに処理していったらいいかというようなことについての資料を集める。また、内部では、何かそれについて特別に審理促進の方策がないだろうかどうだろうかというような点を調査するということについては役立てておりますけれども、個々的な裁判官がこれだけ事件をためてそうして能力がどうだとかというようなことについての資料とは一切いたしておりません。
  35. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 裁判官が十年たつと、いわゆる再任になるわけですけれども、あの場合はどうするんですか。一たん判事としての地位がなくなるわけですか。あるいは、なくなるのじゃなくて、そのまま引き続いて、いわゆる転職の自由というか、そういうようなものがなくなるのですか。
  36. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者矢崎憲正君) 再任がされないでそのままでおりますと、結局、そのまま身分がなくなるということに相なるわけでございます。しかし、従来の大体の運用の面では、その翌日から直ちに再任されているというのが実際の運用でございます。
  37. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その場合、あらためて辞令を出すのですか。
  38. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者矢崎憲正君) さようで一ございます。
  39. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、十年目の再任のときには、本人がその裁判所なら裁判所にいたいということを言っても、その場合は、いわゆる裁判官転職の自由がなくて、ほかに行けと言われればほかに行かなくてはいけないのですか。そこのところはどうなっているのですか。
  40. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者矢崎憲正君) そのとおりでございます。
  41. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、十年目の再任のときを機として——と言うと語弊がありますが、いろいろの意味裁判官異動というかそういうふうなものが行なわれる、こういうようなことに具体的にはなるだろうと思うのですが、この人はやめてもらいたいといいますか、まあ辞職を勧告したいというようなときには、あれですが、再任のときに、まああまりよくない所——と言うと語弊がありますけれも、あまり本人の希望しないような所に再任しろというようなことを言う。本人はそこに行くのがいやだ、結局やめるというようなことでやめていくような例が率直に言うと多いんじゃないですか。
  42. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者矢崎憲正君) 再任を契機にして名簿を出さないというような場合は、やはりその御本人再任されるに値しないという点を中心として考えますので、したがいまして、任地をへんぴな所へやって、そうして受けなければやめさせるというような、俗に言ってみますればいやがらせの人事でやめさせるというようなことは、比較的——ほとんどないようでございます。
  43. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私がよくわかりませんのは、たとえば再任の場合でも、この人を再任するに値するかどうかということの具体的な判断を、裁判官の場合、どこでどうやってするのか、それが私らにははっきりしないわけですがね。それと判事補の間は同じように昇給していくといたしまして、それが判事になってから昇給が、片方の人は昇給し、片方の人は昇給していないという差がだんだんできてくるわけですね。これは、裁判官の場合、そういう一種の考課といいますか、そういうようなものは、具体的にはどこでどういうふうに行なわれているんですかね。私どもの聞くのは、たとえば一審ではなかなかわからない。そうすると、控訴審に来るわけですね、民事でも刑事でも。そこで、一審の判決が大体そこで見られるわけですね。控訴審のほうで見ていると、「何だ、この判決は」——「何だ、この判決は」というのはことばが悪いから訂正しますが、とにかく一審の判決がよくできていないとか、判断が誤っているとか、いろいろありますが、そういうことで控訴審でコントロールしていってその裁判官のいわゆる考課といいますか格づけといいますか、そういうようなものをするんだということも聞いているんですが、それが一つ。それから、そればかりじゃなくて、裁判官会議か何かやるんでしょうけれども裁判所所長に、そういう裁判官勤務評定というか、名前は何と言うのですか、その人の成績というか、判断する権限を与えて、所長最高裁のはうへ上申する、こういうような行き方もとっているんですか。
  44. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者矢崎憲正君) これは、裁判官といいますのは、御承知のように、現在のところは大体においてキャリアの多い方が多うございます。そこで、十年の判事補の年月を経て、判事に任命された方、それから判事に任命されましてから相当の間公判をやっておられる方につきましては、おのずからお互いの中でそれぞれ評価が出てまいりますわけで、これはもう御承知のように、一つの職域の中で仕事をやっておりますと、それぞれそれに応じてお互いの間に評価が出てくるわけでございますが、そういうような一つ評価がおのずから長い間のうちには出てまいりまして、それがお互い裁判官仲間評価、それがおのずから所長のほうにももちろん伝わりますし、所長自身も独自の立場で評価をしておられることになるわけでございます。そういった評価は、一審でもございますし、また、いまおっしゃいました控訴審で一審の判決を見てそしてそこでおのずからそういう評価が出てくる場合もございます。こういうような一審、二審、それを通じまして全体の評価というのがおのずから出てまいった結論というものが最高裁判所のほうにももちろん伝わってまいりまして、そうして裁判官会議でその点について論議されておきめになる、こういうことになるわけでございます。
  45. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは自然に最高裁のほうへ伝わっていくんですかね。そこのところはどうなるんですか。
  46. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者矢崎憲正君) 具体的なことになりますので、なんでございますけれども、それはおのずからと申し上げるのが一番適当じゃないかと思うのでございますが、あるいは長官所長会同というのがございまして、そういうのを機会に伝わることもございますし、また、長官事務打ち合わせという会議がございまして、それで伝わる場合もございますし、また、最高裁裁判官が年に一、二回出強されると、そういうときにおのずから伝わってまいる場合もございますし、また、人事局長のところに伝わってくる、また、事務総長のところに伝わってくる、いろいろな伝わり方がございますが、そういういろいろな形から入ってまいりまして、一つ会議でこういうことがきまるということはない、これが実情のように承知いたしております。
  47. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 まあそういう点はあまり内部のことですから聞きませんけれども、やり方によっては裁判官の独立というものを何か害するような問題が起きてくるのではないかということを私はおそれるわけですけれども、それは最高裁内部の問題ですし、やめておきますが、もう一つの点は、簡易裁判所判事の方は何人ぐらいおって、前歴——と言うと非常に語弊がありますけれども、それを分けると、どういうふうになるのですか。
  48. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者矢崎憲正君) 今年の七月の数字について申し上げますと、定員が七百三十一名でございまして、実員は七百十九名、そうして欠員が十二名ということに相なっております。そうして、これは少し日にちが前後いたします統計でございますけれども、大体におきまして、判事判事補検事弁護士、それから特別任用簡易裁判所判事、こういうように出身を分けることができるのではないかと、こういうように思うわけでございます。——数字について申し上げましょうか。
  49. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 はい。
  50. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者矢崎憲正君) これは三十九年十二月の統計でございますけれども判事出身が四十七名、判事補出身が百五十五名、検事出身が十八名、弁護士出身が七十四名、それから特別任用簡易裁判所判事が四百五名ということに相なっております。
  51. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 副検事のほうは、いま何人ぐらいいて、その前歴というようなものはある程度わかりますか。
  52. 塩野宜慶

    政府委員塩野宜慶君) 副検事は、ただいま定員が七百六十二名ございます。現在員としては、これも少し古い資料でございますが、本年十月一日現在で実員が七百五十六名したがいまして、欠員が六名ということでございます。  その前歴につきましては、検察事務官出身が圧倒的でございまして、約九割が検察事務官出身でございます。そのほか、出身別に見まして比較的多いのは、警察官出身が二十三名ほどおります。それから法務事務官出身が十八名、それから裁判所の書記官出身が現在では八名ございます。おもなところはさようなところでございまして、中で警察官とそれから裁判所関係、これは以前にはもう少し多かったのでございますが、現在のところ多少減っております。
  53. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 簡易裁判所判事特別任用の四百五名というのですが、これは各地裁なり家裁の事務局長を経験した人がそのうちどの程度おるのでしょうか。
  54. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者矢崎憲正君) 事務局長とだけでは統計を実はとっていないのでございますけれども裁判所事務官——この中にはもちろん事務局長の経験のある者もあるわけでございますけれども裁判所事務官の中から選考試験を受けまして合格した者の数が総計九十五名ということに相なっております。
  55. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、四百五名のうち、裁判所関係九十五名というと、ほかはどうなんですか。
  56. 矢崎憲正

    最高裁判所農官代理者(矢崎憲正君) ただいま申し上げましたのが裁判所専務官から選考試験を受けて簡易裁判所判事になったものでございますが、そのほかは、裁判所書記官から選考試験を受けまして簡易裁判所判事になりました者が二百十八名ございます。それからそのほか、家庭裁判所調査官から選考試験を受けまして簡易裁判所判事になりました者が三十九年十二月末では十名ございます。それから行政官から簡易裁判所判事になりました者が、これはいずれも簡易裁判所判事の選考試験を経てなったものでございますが、六十二名ございます。弁護士からなりましたものが五名ございます。それからそのほかが十五名ございます。分数は大体以上のようなことになっております。
  57. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 弁護士からなった者が七十四名という話ではなかったですか。
  58. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者矢崎憲正君) ただいま申し上げております弁護士は、特任の簡易裁判所判事が五名ということでございます。
  59. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この数字を見てわかるのですけれども、この前家庭裁判所に行って調査官の人と会っていろいろ話しましたら、調在官の人の中で簡易裁判所判事を希望する。ところが、一次試験には受かるというんですね。一次試験は受かるけれども、二次試験では全部落とされてしまう、こういうことを言って非常に不平を言っているわけですね。これを見ると、やはり数字の中では家裁の調査官は十名しかいないわけですから、そういうようになるかとも思うのですけれども、家裁の調査官が簡裁の判事になるという希望は現実問題としては少ないのじゃないかと思いますけれども、受けた人は、一次は受かるけれども法律か何かでどんどん落とされてしまうということを言っておりますけれども、そういうような具体的な事実はありますか、何名受けて何名受かるか。家裁調査官はあまり、受けませんか。
  60. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者矢崎憲正君) 御承知のように、家庭裁判所調査官は、採用時に人事院の国家公務員上級甲種試験に相当する厳格な試験を受けて裁判所に入ってまいります。これは稲葉委員十分御承知のとおりでございますが、そこで入ってまいります者が、社会学、心理学、教育学ということのエキスパートが非常にむずかしい試験を受けて入ってまいるわけでございます。したがいまして、いわゆるプロベーション・オフィサーとしての知識は十分持っているのでございますが、しかしながら、他面、簡易裁判所判事の選考試験では、憲法、民法、刑法、それから民事訴訟法、刑事訴訟法、この五つについて非常にむずかしい試験があるわけでございまして、家庭裁判所の調査官は、比較的この法律面での試験の合格率はよくないようでございます。試験に合格いたしまして、そうしてその後口述試験というのが簡易裁判所判事選考委員会で行なわれるわけでございます。実は私初めて人事局長として立ち会ったのでございますけれども、なかなか専門的なむずかしい口述試験を受けることになりまして、あの司法科試験の口述試験と比べまして決してそれに劣らない程度の非常にむずかしい内容の口述試験をいたします。この口述試験で、実際に見ておりますと、なかなかむずかしくて答えにくい。そうして、その関係でとにかく法律面で十分に勉強しておりませんと落ちる可能性が非常に多いということは、はっきり私の経験から申し上げることができるのじゃないか、こう思うわけでございます。
  61. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 家裁の調査官は特殊な試験を通っておるし——特殊な試験といいますか、特殊な研究なんかもしている人も多いし、また、そういうのもありますけれども、普通の大学の法学部を出た人がほとんどじゃないかと思うのです、ぼくの接している範囲では。ですから、家裁でそういう専門的なことをやっている関係があって、簡易裁判所判事としては採らないほうがいいというか、そういうような方針でもとっているのですか。そういうことはどうでしょうか。
  62. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者矢崎憲正君) 稲葉委員がお接しになる家庭裁判所調査官は法学部出といたしますと、相当年輩の方じゃないかと、こういうふうに推測するわけでございますが、いまの家庭裁判所調査官の層は、ほとんどが法学部以外の出身の方が多うございます。そして、年輩のお方になりますと、いまさら憲法、民法、刑法、刑事訴訟法、民事訴訟法というものを勉強し直すということが非常にむずかしくなるわけでございまして、勉強してもなかなかそれを表現され、覚え込まれるのが困難だということになるわけでございます。しかし、家庭裁判所調査官と裁判所書記官出身の方々とを試験において別な扱いをするということは、これは絶対にございません。
  63. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、家裁の調査官がずっと上まで行った場合と、簡裁の判事が行った場合とでは、相当給与が大幅に——全然号俸は別ですけれども、ずいぶん違うわけですか。
  64. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者矢崎憲正君) 家庭裁判所の調査官の報酬とそれから簡易裁判所裁判官報酬とを比べますと、これはどうしても簡易裁判所裁判官報酬のほうが高いということになるのは当然のことと存じますが、他面、裁判所書記官と家庭裁判所調査官との俸給を比べてみますると、これは裁判所書記官よりも家庭裁判所調査官のほうが一般的に言って高いということは申し上げることができると存じます。
  65. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 家庭裁判所に行きますと、これは率直な話は、裁判官が本務でやっているというのと兼務でやっているというのとを比較しますと、兼務でやっておられる方のほうが——東京なんかは別ですけれども、東京とか大阪とか家庭裁判所が専属にあるところは別ですけれども、そうでない地方は、兼務でやっているところのほうが実際には多いのですか。そこはどうなっていますか。
  66. 細江秀雄

    最高裁判所長官代理者(細江秀雄君) ただいまの御質問でございますが、全国の家庭裁判所で十四カ庁が独立の家裁でございまして、その十四カ庁の独立の家裁はもちろん専任の裁判官が少年事件及び家事事件を担当しております。そのほか、所長が兼任庁の家庭裁判所におきましてもなるべく家事係あるいは少年係は一名ずつは専任の裁判官を置いていただくというふうに私どものほうでは希望しておりますし、また、現場でも大体そういうふうにされているところが多いと思いますけれども、中にはやはり地裁民事、刑事と兼務で来件を担当しておられるというところがあると存じます。
  67. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 こまかいことは聞きませんけれども、実際にはその家裁の判事が一人いると、そのほかに若い判事補の人二人くらいが家裁事件を持つという形にして配点をきめて三人ぐらいでやっておられるというのが多いのじゃないかと思うのですがね。まあ場所によるかと思いますけれども、全体的には。そうして専属の家裁の裁判官でも、家事審判、家事調停があって、そちらのほうが非常に忙しい。ですから、少年事件の場合には、率直な話まあ調査官まかせ——と言うと語弊がありますけれども、記録などもあまり読んでおられないで、審判の場所で記録をひっくり返して読んでいるというのが相当あるように思われるので、調査官の中では、裁判官が家事事件、少年事件に対してあまり熱がないといって非常に不満を持っている人もいるわけですね。実際には公判の合い問か何かに町席の若い人がちょっと出てきて、審判をやるというのも実際にあるし、それから所長がやる場合には、とにかくやったって延期、延期が多かったりなんかして、ほかの仕事で延びてしょうがないわけですね。所長に審判をやられる、家事調停をやられると、かえって当事者が迷惑するというようなのも相当あるのじゃないかと思います。いずれにいたしましても、家裁の調査官が相当簡易裁判所判事にあるならば、家裁の調査官にある程度の家事審判権というか、そういうものを認めるという行き方は考えられないですか、これは限定しましてね。家事審判でも、少年審判でも、限定してですけれども
  68. 細江秀雄

    最高裁判所長官代理者(細江秀雄君) ただいま御質問の点でございますが、昭和三十二年と思いますが、当委員会におきましても、ちょうどだだいま稲葉委員からの御質問と同じような御質問が出まして、当時、私どもといたしましても、家裁の調査官のレフュリー制度を、ある程度審判に関与させてはどうかという問題を考慮し、検討するということをお答えいたしたわけでございますが、現在もやはりレフュリー制度の問題につきましては、私どもも研究をいたしておる最中でございます。
  69. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 裁判所の書記官や事務官が簡裁の判事になれる道があるとすれば、家裁の調査官もそういうふうな形が同じような道が開かれると、非常に張りが出てきていいんじゃないかと、こう思うのですが、これはなかなか裁判制度の問題等、むずかしい点はあるかと思いますが、実際、率直な話を言うと、家裁の調査官のほうが、これはこんなことを言うとあれですけれども裁判所の書記官より学歴はずっと上なんですよね。学歴だけで判断してはいけませんけれども。そういうような点があって、家裁の調査官と裁判所の書記官はあまり仲がよくないというようないろいろあれがあるんですね。それは別として、そういう道も開くことは相当考えなければいけないのじゃないかと、こう思います。  もう一つの問題は、書記官で首席書記官とか主任書記官というのがおりますね。あれは管理職手当なんかがついて、一般の書記官よりもいいわけですね。何と何に管理職手当がつくんですか。
  70. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者矢崎憲正君) 裁判所書記官と家庭裁判所調査官との学歴等でございますけれども裁判所書記官は数が多いので、学歴等の全体的な比較においては、調査官から比べますと少し劣るというようなこともあるかもしれませんが、しかし、裁判所書記官の中にも、家庭裁判所調査官と比較いたしましてま、登るとも劣らない学歴を持っている者もございまして、そういう点は、全体的な点ではそうかもしれませんけれども、個々的に当たってまいりますと、裁判所書記官の中で非常に学歴の高い者があるということは御了承いただきたいのでございます。  それから管理職手当でございますけれども管理職手当は、首席書記官、主任書記官、これが四等級以上の者につきまして管理職手当がつくということに相なっております。
  71. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはずっと前からついたのじゃなくて、近年特につくようになったんですか。
  72. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者矢崎憲正君) 主任書記官につきましては近年でございまして、首席書記官につきましては前からついておる、こういうことになっております。
  73. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの学歴の点は、ぼくは別に聞くべきじゃなかったかと思います。この点は、深く考えないでいただきたいと思います。  それから、検察官のほうは、あれですか、検察事務官なり何なりには、いま言ったような管理職手当に相当するものはどういう面につくわけですか。これは公安職になっているのが全部ではないわけでしょう。全部公安職になっているわけですか。
  74. 塩野宜慶

    政府委員塩野宜慶君) お尋ねがちょっと錯綜しましたように思いますが、公安職になっているかどうかという問題と管理職手当とはまた別の問題でございます。  管理職手当のほうにつきまして御説明いたしますと、最高検察庁では、事務局長それから課長管理職手当がついております。高検におきましては、事務局長と課長と支部の課長、それから地検では、事務局長と、それから課長の中の一部、これは人事院が定めることになっておりますが、それと、同じく支部の課長、これも人事院が定める者、それから区検の課長のうち人事院の定める者、こういうことで、事務局長で申しますと、最高検の事務局長が一種、それから高検の事務局長が二樺、地検の事務局長が三種ということで管理職手当のパーセンテージがそれぞれ違っております。課長の場合にはまた違っております。
  75. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 公安職は全部なっているわけですか。管理職とは関係なくて、一般の検察事務官のほうは。
  76. 塩野宜慶

    政府委員塩野宜慶君) 検察庁の職員は、公安職の(二)の俸給表というものを原則として適用するとになっております。ただ、それからはずれますのは、たとえば最高検の事務局長、これは行政職(一)の俸給表を適用する、こういうことになっております。これは、おそらく、一線の検察事務に従事するというよりは、もっぱら管理事務に従事するということからさようなことになっていると思います。そのほかに、東京と大阪の高検の事務局長、これが暫定として行(一)のほうになっております。  それから、規定といたしましては、検察庁の職員でございましても、もっぱら庶務、会計というものに従事する者は公安職ではない、かようなことになっておりますが、御承知のとおり、検察庁の職員の場合には、事務職員でありましても、特別の事件の場合には常に検察官とともに出動する、あるいは、宿直の場合には事件報告を受け、現場出動するというような仕事をしておりますので、もっぱら庶務、会計に従事するという者はほとんどないわけでございまして、かりにあるといたしますと、事務官に採用されたばかりで、まだほんの見習いで、検察関係の事務に使うことができないというような段階の者につきましては、まあここに言う庶務、会計等の事務に専従するこういうことになるかと思いますので、そういう者につきましては行政職の表に該当する、こういうことになっております。
  77. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そこで、公安職になったからということで勤務時間が長くなったのですか。あれはどういうのですか。
  78. 塩野宜慶

    政府委員塩野宜慶君) 公安職の場合には、行政職よりは勤務時間は多少長いという事実はあります。
  79. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 公安職になると、職員組合はつくれないのですか。
  80. 塩野宜慶

    政府委員塩野宜慶君) 必ずしもさようなことはないと存じます。
  81. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 現実には、検察庁の場合は、いままで組合があった。それを、公安職にして、いままでよりも待遇をよくしたということと引きかえに——引きかえと言うとことばが悪ければ、それと関連させて組合がなくなったということではないんですか。
  82. 塩野宜慶

    政府委員塩野宜慶君) 引きかえにということではないと存じますが、それとほとんど時期を同じくして組合がなくなったという事実がございます。
  83. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは、引きかえになるかどうか議論はありますけれども、とにかく検察庁の職員なんかが、待遇をよくしてもらうために組合をなくした、ところがやってみたら結局ちっとも現実にはよくならないということで、何といいますか、やはり組合があったほうがよかったのじゃないかというような意見も相当あるわけですけれども、これは検察庁内部でそんなこと言うとたいへんだから、押えられているのかもわからないけれども、そういう空気があることはあるわけですね。  それから、話は別ですけれども、いま言ったように、首席書記官なり主任詳記官という形になってきますと管理職手当がついて相当待遇がよくなる。そういうことからして、簡裁の判事になるよりは首席書記官や主任書記官でいたようがいいんだというような空気といいますか、そういうことを言う人が相当あるんですけれどもね。それの一つの原因は、簡裁の判事になると、そのなったときにその裁判所に世かないで、非常に遠い所に飛ばされる——と言うとことばは悪いですけれども、俗に言うと飛ばされるというか、簡易裁判所判事になったときにその裁判所の付近やその裁判所に置かれないで、相当遠い所にやられる。全然離れた遠い所にやられるわけです。それではかなわない、子供の教育やなんかからいっても。それよりは、首席書記官や主任書記官になったほうがいいんだ、こういうことを言う裁判所の書記官やなんかも相当いるんですけれどもね。それはそういうような空気があるんですか。
  84. 矢崎憲正

    最高裁判所長官代理者矢崎憲正君) 最初選考試験を受けまして簡易裁判所判事に任命されますと、司法研修所で研修を受けまして、それからさらに今度は出身庁の本庁に帰りまして、実際に先輩たちから仕事を教わりまして、そして当分そこにおれるわけでございますが、しかし、その後はやはり全国の欠員状況等に応じましてそれぞれ異動してもらうということに相なります。したがいまして、簡裁の判事になったときに、そのいままで勤務していた庁で必ずしも補職しないということは、いま稲葉委員の御指摘になったとおりでございます。  それからもう一つ俸給の点でございますけれども、首席書記官につきましては、御承知のように二五%の管理職手当がついているわけでございます。それから主任書記官につきましても、あるいは二〇%あるいは二一%というような管理職手当がついているわけでございます。しかし、この主任書記官というのは比較的年齢がそう高くない者が主任書記官にはたくさんおりますし、また、主任書記官から簡易裁判所判事に任命された者につきましては、先ほど御指摘がありましたような俸給面で現在よりも低くなったというようなことは、これはもう絶対にございません。要するに、主任書記官としてもらっていた俸給額と、今度新たに任命される簡易裁判所判事俸給とをそれぞれ対比いたしまして、そうして上のほうの報酬を主任書記官から簡易裁判所判事になった人には格づけするようにするというのが慣例でございます。  ただ、首席書記官ということになりますと、この首席書記官にも年齢がいろいろございまして、非常に——非常にと申しましてもそう若くはございませんけれども、比較的年齢が若い方が首席書記官になっておられてしかも二五%の調整額を受けているということになりますと、それをそのまま簡易裁判所判事に移しました場合に、それは、できるだけそれに見合う、あるいは高い報酬に格づけしたいんですけれども、それにした場合に、今度は御承知のように簡易裁判所裁判官は七十が定年でございますから、その間の報酬の刻みが非常に少なくなりまして、そうして非常に高い報酬額でもう全然動かないで定年までというようなことになるような心配もないわけではございません。したがいまして、そういういろいろな点と見合いまして首席書記官から簡易裁判所判明になりました者については報酬を決定いたしますので、若干そこにずれがあるということもないわけではございません。
  85. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 委員長、ちょっと速記をとめてください。
  86. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 速記をとめて。      〔速記中止〕
  87. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 速記をつけて。  議事の都合により、暫時休憩いたします。   午前十一時三十五分休憩      —————・—————   午後一時八分開会
  88. 和泉覚

    委員長和泉覚君) ただいまから法務委員会を再会いたします。  休憩前に引き続き、裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。両案に対し御質疑のある方は順次御発言を願います。
  89. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 引き続いてですけれども、これは法務大臣のおられるところでちょっとお聞きしたいのですけれども法務省内部でたとえば検事長だとか検事正が相当古い方もやっておられるわけなんですが、昭和何年の人が検事正に何人ぐらいいるという大体のことはわかりませんか。
  90. 塩野宜慶

    政府委員塩野宜慶君) ただいま、何年組が何人という資料を手元に持っておりません。検事正で一番新しいところは、昭和十三年に司法修習生になったという者が一番新しいものでございます。
  91. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それで、現場へ行きますと、いま言った十三年組が一番新しいのですけれども、十四年、十五年、十六年、十七年ですか、そこら辺がもう非常に数が多いわけですね。数が多くて、それで上のほうがつっかえているものですから、もやもやした空気が相当あるわけですよ。こんなことを言っちゃいけないんですけれども検事仲間では、国会のほうでもっと検事正なり検事長クラスの人事というものの若返りというか、そういうようなものを徹底的にやってもらいたいという空気を出してくれないか、そういうことを言う人もあるのですけれども、これは内部の話ですけれども、いずれにいたしましても、元来、検事長、ことに検事正なんか、何カ所もやって相当古い方がおられる。新陳代謝をはかったら、検察庁全体の士気の高揚という形にもいいんじゃないかと考えるわけです。差し出がましいことを言うわけではございませんけれども、そういうこともございまするので、そういう点も十分御考慮していただきたい、こういうふうに考えます。一言何かあれば、おっしゃっていただいてけっこうだと思います。
  92. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 検察官というものは、動く範囲が非常に狭いものでございますから、どうしてもいまおっしゃたようにだんだん古くなっていく傾向を持つと思うのでございまして、ただ、あまり若い者ばかりでもならぬという心持ちもありますけれども、そこのところがかね合いのところでございまして、いつまでも古い人だけがやっておりますると、水が濁ってしまうといいまするか、そういうおそれがありますので、十分そういうことを考えてやっていくことが大事なことだと思うのであります。検事総長などともよく相談いたしましてその道を開いていきたいと考えております。
  93. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 速記をとめて。     〔速記中止〕
  94. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 御異議ないと認めます。  ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  96. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 速記を起こして。     —————————————
  97. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 委員異動について御報告いたします。  本日、館哲二君、田中茂穂君、鈴木万平君、後藤義隆君が委員を辞任され、その補欠として丸茂重貞君、奥村悦三君、中上川アキ君、近藤英一郎君が委員に選任されました。     —————————————
  98. 和泉覚

    委員長和泉覚君) それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を一括して問題に供します。  両案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  100. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 多数と認めます。よって、両案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 和泉覚

    委員長和泉覚君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。  午後一時十九分散会