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1966-06-09 第51回国会 参議院 文教委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月九日(木曜日)    午前十一時八分開会     ―――――――――――――    委員異動  六月八日     辞任         補欠選任      中村 順造君     瀬谷 英行君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         二木 謙吾君     理 事                 北畠 教真君                 久保 勘一君                 小林  武君                 鈴木  力君     委 員                 楠  正俊君                 近藤 鶴代君                 玉置 和郎君                 内藤誉三郎君                 中上川アキ君                 中村喜四郎君                 山下 春江君                 吉江 勝保君                 秋山 長造君                 瀬谷 英行君                 鶴園 哲夫君                 柏原 ヤス君                 辻  武寿君                 林   塩君        発  議  者  秋山 長造君        発  議  者  小林  武君        発  議  者  鈴木  力君    衆議院議員        修正案提出者   谷川 和穗君    国務大臣        文 部 大 臣  中村 梅吉君    政府委員        文部政務次官   中野 文門君        文部大臣官房長  赤石 清悦君        文部省初等中等        教育局長     齋藤  正君        文部省大学学術        局長       杉江  清君        文部省管理局長  天城  勲君        文化財保護委員        会事務局長    村山 松雄君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国立劇場法案内閣提出衆議院送付) ○産業教育手当法案小林武君外二名発議) ○へき地教育振興法の一部を改正する法律案(鈴  木力君外一名発議) ○私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○高等学校定時制教育及び通信教育振興法の一  部を改正する法律案秋山長造君外二名発議) ○教育文化及び学術に関する調査  (特殊教育に関する件)  (学術雑誌郵送料に関する件)  (青蓮院に関する件)     ―――――――――――――
  2. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。昨八日、中村順造君が委員を辞任され、その補欠として瀬谷英行君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 国立劇場法案議題といたします。  本法案に対する質疑は、前回の委員会ですでに終局いたしておりますので、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  4. 小林武

    小林武君 この法律案には賛成でございます。ただし、若干の条件といいますか、希望を申し述べたいと思います。  一つは、国立劇場現代芸能を含めてこれの振興をはかるということに、「主として」という修正があったためになったようには思いますけれども、しかし、まだ法律全体として、また、これを提案された政府側としては、現代芸能という点ではまだ不十分な点がたくさんあると思います。したがって、私は法律の形を、やはり最も近い将来に現代芸能振興ということをはっきりうたった内容にすべきである、法律改正の必要があるということを第一点として申し上げます。  それから第二点としては、伝統芸能といっても、どうも歌舞伎中心に過ぎるというような気がするわけであります。文楽であるとか、雅楽、邦楽、邦舞等保存振興具体案というようなものは、これまた不十分であるということは質疑の間に明らかになったと思うわけであります。また、全然見落とされております寄席芸能といわれるような、講談とか、落語等は顧みられておらないということは、これはやはり問題があると思います。一極の差別的な立場をとっておると、こう考えますので、芸能全般振興、これがやがて民族文化保存ということにひとつお考えをいただいて、この点に対しては早急にはなかなかできないから、まず運営面でこれらの欠陥を是正されるべきであると考えます。  もう一つは、国立劇場の場合の伝統芸能でありますが、この伝統芸能伝承者の養成というようなこともこれはきわめて大切なことでございますけれども、同時に、新しい支持層が開拓されるということが、それと大体同じぐらいのやはり大切さを持っている。これからの青少年に対して理解、共鳴を求めるという、そういう施策が積極的に行なわれるべきであると、こういうことについては十分に運営の面でこれまた考慮しなければならない。それから国立劇場自主公演をする場合に、日本国民全体にただいまのように支持層を拡大していくわけでありますから、したがって、入場料の問題が出てくるわけでありますが、これは言うまでもなく低廉にするべきである、それから芸能を公演するために劇場を貸す場合においては、この賃貸料については、これまた国立劇場のたてまえからきわめて低廉にすべきであるということを申し上げておきます。  それから役員及び職員というようなものは、何といっても運営の実際に当たるわけでありますから、国立劇場がうまくいくかいかないかは、この文部大臣役員の任命、さらには手続によって職員決定する場合、十分考えられて、単なる席を埋めればいいというような、そういう便宜的な解釈ではなくて、スタートにあたって十分将来の発展等を考慮した人事を行なうべきであるということが一つであります。  それから最後に、衆議院修正点でございますけれども、これは再三申し上げたように、第一条において「主として」という、こういう修正を入れて現代芸能を含めた。したがって、伝統芸能と同じ取り扱いを受けるということになるわけでありますが、そういたしますというと、第十九条の修正というものは、「第一条の目的達成支障のない限り、」というところをこれを消した場合においては、これは一般の利用ということの幅を広めることであって、日本伝統芸能あるいは現代芸能が十分にこの国立劇場を利用するという意味にはならないわけでありまして、この点は、何のためにこういう修正をしたかということを考えざるを得ないのであります。したがって、こういう意味のない修正、しかも矛盾を持っておる修正は、近い将来には十分検討して再修正をすべきであると考えます。  以上のいろいろな点を申し上げて本法律案賛成をするものであります。
  5. 北畠教真

    北畠教真君 私は、自由民主党を代表しまして、本法律案に対し賛成意見を述べたいと思います。  国立劇場建設ということは、国民の久しい要望でありましたし、文化国家を標榜するわが国としては、その建設がむしろおそきに失したという感もないではありません。しかしながら、いよいよその建築が竣工に近づき、今秋落成を見る予定となりましたことはまことに慶賀にたえないところであります。国立劇場が、敷地その他の関係から、古典芸能現代芸能とを並行して上演できるだけの施設を兼ね備えることができなかったことは遺憾ではありますけれども、事情やむを得ないこともよく了解されますので、現代芸能については近い将来に期待をかけることとし、今回建設される劇場の完成により、わが国古来伝統芸能保存振興の万全をはかり、わが国文化向上に大きな寄与をもたらすものと確信いたしまして、本法律案に対し心から賛意を表する次第であります。
  6. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 御異議ないと認めます。  では、これより採決に入ります。  国立劇場法案を問題に供します。本案賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手
  8. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 総員挙手全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 御異議ないものと認め、さよう決定をいたします。     ―――――――――――――
  10. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 産業教育手当法案議題といたします。  まず、発議者から提案理由説明を願います。小林委員
  11. 小林武

    小林武君 ただいま議題となりました産業教育手当法案について、その提案理由及び内容概略を御説明申し上げます。  現在行なわれております産業教育手当支給は、申すまでもなく、農業水産工業又は商船に係る産業教育に従事する国立及び公立高等学校教員及び実習助手に対する産業教育手当支給に関する法律に基づいております。また、この法律が、去る昭和三十二年に、その母法でありますところの産業教育振興法の第三条の三の規定の趣旨に基づいて制定されましたことも、御承知のとおりであります。自来約十カ年にわたり産業教育手当支給が行なわれてまいりましたが、その経過並びに実施状況調査し、検討いたしますと、必ずしも産業教育振興のために満足すべき現状にあるとは申しがたく、むしろ、産業教育手当支給対象とされるべき教職員学校教科及び手当額等について、早急に改善を行なう必要があることを痛感いたすものであります。  第一は、産業教育手当支給対象が、産業教育に直接に従事する教員及び政令で定められた助手のみに限定されている現実矛盾を解消する必要があるということであります。現在農業水産工業または商船に関する専門教育を主とする学科を置く高等学校においては、ひとり産業教育に直接に従事する教員及び助手のみに限らず、普通教科を主として担当する教員及び実習助手はもとよりのこと、事務職員から用務員に至るまで、すべての教職員産業教育振興の一翼をになって、それぞれ欠くことのできない重要な役割りを演じているのであります。まずこの現実の姿を直視し、確認すべきであると存じます。そもそも、これらの学校において、本来の使命である産業教育振興の実をあげるためには、その基礎となるべき一般教養教科が、普通課程高等学校におけるよりも、なお一そう重要視されなければならないことは論をまたないところであります。したがって、これらの学校において普通教科を担当している教員は、教科内容についても教授法についても、絶えず真剣な研修を怠ることなく、特に限られた短い授業時間内に最も効率的に生徒の学力を涵養するため、常に創意とくふうをこらしているのであります。その教育的責任感は、専門教科を担当する教員に比べ、まさるとも劣るものではありません。  さらに、これらの学校においては、生徒組主任はほとんどすべて普通教科教員の担当するところでありますから、個々生徒保健体育の面をはじめ、進学就職についての進路の指導に至るまで、それらはあげて組主任責務とされておりますし、加うるに、教務関係図書館等の広範複雑な事務処理は、すべてこれら普通教科担当教員にゆだねられておりますから、専門教科担当教員よりも、むしろハード・ワークが課されていると申しても過言ではありません。また、これらの学校事務職員は、一般的事務以外に、機械器具購入整備、保管、その会計の処理等についての責任を持ち、用務員もまた実習後の機械器具の整とん、清掃等、それぞれ普通課程高等学校における場合よりは、はるかに労働量の加重にたえながら、産業教育振興のための縁の下の力持ちとして、たゆまぬ努力を続けているのであります。  今日、産業教育を行なっている学校にとっては、過去の徒弟式教育を矯正し、脱却して、総合的教育実施することが最も大きな課題の一つであり、そのためにこそ、教職員の層が幅広く配置されております。そうして、おのおのの教職員個々の持ち場においてその責務に専念し、十分にその能力を発揮し、こん然一体となって使命達成に邁進するとき、初めて教育の成果を期待することができるものと信じます。その姿は、あたかも大洋を航行する船舶にもたとえることができるでありましょう。すなわち、船長から火夫に至るまでのすべての乗組員航海手当支給されておりますのと同様に、産業教育を行なう学校のすべての教職員に対して産業教育手当支給されることこそ、教育的見地から最も望ましく、また当然のことであると考えるものであります。  第二は、商業及び家庭科に関する教育も、当然、本法の適用対象に含めるべきであるということであります。産業教育振興法第十二条の産業教育定義には、商業及び家庭科に関する教育が含まれておりますにもかかわらず、これらの教科産業教育手当支給対象から除かれていることは納得のできないところであります。それゆえに、農業水産工業または商船と同様に、商業及び家庭科に関する教育実施している高等学校教職員に対しても、産業教育手当支給できるように措置する必要があると考えます。  第三は、盲学校聾学校及び養護学校高等部において、高等学校におけると同様の産業教育に従事している教職員にも、産業教育手当支給すべきであるということであります。盲、聾及び養護学校高等部における産業教育に関しては、これまた産業教育振興法第二条の産業教育定義に含めて規定されており、現にこれらの学校高等部の中には、産業高等学校におけると同様に木工、被服等に関する産業教育実施しているものがありますにもかかわらず、いまだその教職員に対し産業教育手当支給されていないことは妥当を欠くものであります。一面、これらの学校高等部においては、産業教育に従事する適当な人材を確保することがきわめて困難であるため、人事交流の面からもしばしば支障を招き、ひいては教育不振の一因ともなっております。このような実情にもかんがみ、すみやかに産業教育手当支給の道を開くよう措置する必要があると考えられるのであります。  以上申し述べました理由により、ここに新たに本法律案を提出し、従来の不備を改めて産業教育の一そうの振興をはかろうといたすものであります。  次に、法律案内容について簡単に申し上げます。第一に、農業水産工業商業家庭または商船に関する専門教育を主とする学科を「産業に関する学科」と規定し、これら「産業に関する学科」を置く高等学校と、盲学校聾学校及び養護学校でその高等部産業に関する課程を置くものを「産業高等学校一と規定しております。  第二に、国立産業高等学校校長及び教員事務職員その他の職員で、本務として産業に関する学科または産業に関する課程における教育事務その他の職務に従事する常勤者には、その者の俸給月額の百分の十に相当する額をこえない範囲内において、産業教育手当支給するものといたしております。  第三に、公立高等学校校長及び教員事務職員その他の職員産業教育手当は、国立産業高等学校産業教育手当基準として定めることといたしております。  なお、この法律は、昭和四十一年四月一日から施行するものとし、現行農業水産工業又は商船に係る産業教育に従事する国立及び公立高等学校教員及び実習助手に対する産業教育手当支給に関する法律は廃止することといたしております。  何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御賛同くださるようお願いいたします。  この法律施行に伴う経費は、昭和四十一年度において約二千二百万円を要する見込みであるが、そのうち八百三十一万三千円は昭和四十一年度予算計上済みである。
  12. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 以上で本法律案についての提案理由説明聴取は終わりました。     ―――――――――――――
  13. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) へき地教育振興法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、発議者から提案理由説明を願います。鈴木委員
  14. 鈴木力

    鈴木力君 ただいま議題となりましたへき地教育振興法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由内容概略を御説明申し上げます。  わが国には、山間地離島その他の地域にあって、交通条件及び自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれない、いわゆる僻地が散在しております。この僻地に、昭和四十年五月の調査によりますと、六千六十四校の小学校及び二千三百六十一校の中学校があり、全国公立小中学校のうち、僻地小学校は二三・六%、僻地中学校は二〇・七%の割合を占め、その児童生徒数小学校五十八万一千百九十二人、中学校二十七万九千五百七十一人であります。これらの僻地学校には小学校三万二千三百七十二人、中学校一万七千三百九十七人の教員が勤務しているのであります。ところが、僻地学校一般的にいって小規模学校が多いこと、学校施設設備貧弱であること、児童生徒通学条件が悪く、かつ困難であること、要保護、準要保護児童生徒が多いこと、保健衛生状況が悪いこと、教員の配置に困難が伴うこと等、その教育条件はきわめて劣悪であります。このような劣悪な教育条件のもとにある僻地学校に対しては、教育機会均等の理念に基づき、平地学校以上のきめこまかい行財政上の配慮が必要であります。  右のような理由から、昭和二十九年の第十九回国会においてへき地教育振興法が制定され、さらに第二十八回国会には同法の一部改正が行なわれ、僻地教育改善充実は着々と進められてまいりました。しかしながら僻地の一部は社会開発の進行中で交通条件等に多少の変化を加えられておりますものの、なお全体的にみれば、その生活文化水準及び教育水準は他に比べて一そう格差を生じつつあるのが現状で、僻地教育振興施策は特段に徹底される必要があると信ずるものであり、ここに本改正案を提出した次第であります。  次に、改正案内容のおもな点について申し上げます。まず第一点は、僻地学校定義についてであります。すなわち、現行法におきましては、「交通条件及び自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれない山間地離島その他の地域に所在する公立小学校及び中学校をいう。」とありますが、今回これを「交通条件及び自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれず、他の地域に比較して住民生活文化水準が著しく低い山間地離島」云々と改めたことであります。近年における交通機関の発達と産業開発の進展、テレビ、ラジオの普及等は、僻地状況に多少の変化を与えておりますが、僻地における地域住民生活文化水準は依然として低く、市町村財政貧弱平地との格差は一そう開いております。これが学校教育の面に対しても大きな影響を与えていることは当然であります。したがって、僻地学校定義を、その地域住民生活文化水準の低い山間地離島その他の地域に所在する小中学校と改めたものであります。  第二点は、市町村任務として、学校給食に関する規定を新たに掲げて、その任務を明確にしたことであります。学校教育の一環としての給食を特に必要とする僻地学校における給食実施状況は、昨年より高度僻地特別対策として、。パン、ミルク給食を開始した結果、その実施率は相当程度上昇いたしましたが、完全給食については全国平均約六〇%に比し、二三%といまだ低位にある現状であります。申すまでもなく僻地における給食普及率の低いことは市町村財政貧弱地域住民の貧困がおもな原因であります。それゆえに、ここに学校給食に関する規定を定めて、学校給食普及を一そうはかろうとするものであります。なお、その実施にあたっては、年次計画をもって逐次整備するものと考えております。  第三点は、市町村任務として、僻地学校児童生徒通学を容易にするための必要な措置を明確に規定いたしました。僻地における通学条件改善するための一つとして、バス、ボートの整備が必要であることは御承知のとおりでありますが、その運営費年間相当額にのぼり、財政力貧弱市町村にとっては過重な負担となっておりますので、これを国庫補助対象とするよう改めております。また、寄宿舎設置についての市町村任務を明らかにし、これに要する経費に対して国庫補助対象とするよう法の整備を行ないました。なお、これが設置計画といたしましては、僻地の四、五級地の最も条件の劣悪なところから年次計画をもって設置すべきものと考えております。  第四点は、僻地学校級別指定基準を定める場合に、僻地条件程度とともに市町村財政状況をも考慮することといたしたことであります。僻地学校級別指定基準には僻地条件程度によって級別指定が行なわれることは当然のことでありますが、当該市町村財政力貧弱度が、施設設備その他の面における学校教育困難性を招くことを考慮して、これを特に級別指定の要素とするように措置したものであります。また、僻地に勤務する教職員に対して、僻地手当支給割合を従来よりも最低二%から最高五%まで引き上げるとともに、その級地別最低保障額を設けることによって、教職員待遇改善を行ない、人事移動を円滑にし、有能な教職員を配置したいと考えております。  第五点は、市町村が行なう事務に要する経費のうち国の補助率現行の二分の一から十分の八に引き上げております。僻地市町村財政力貧弱であり、昨年の調査によれば、僻地を持っている千五百九十六市町村中、その財政力指数二〇%未満が二百四十四団体、二〇%以上四〇%未満が八百六十七団体であって、七〇%以上の市町村財政力指数が四〇%以下となっている現状であり、これがため積極的に僻地教育振興のための諸施策を促進させるには、国の二分の一の補助をもってしては実効をあげ得ない現状でありますので、補助率を大幅に引き上げて僻地における教育充実向上をはかりたいと考えております。  なお、附則におきまして、施行期日昭和四十一年十月一日とし、国の補助に関する規定につきましては、昭和四十一年四月一日から適用することといたしております。また、昭和四十年以前の予算にかかる国庫補助金については、従前の例によることといたしております。  以上が、この法案提案理由及びその内容概要でございます。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  15. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 以上で本法案についての提案理由説明聴取は終わりました。     ―――――――――――――
  16. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、文部大臣から提案理由説明聴取いたします。中村文部大臣
  17. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) このたび政府から提出いたしました私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  私立学校教職員共済組合は、御承知のように、昭和二十九年一月に、私立学校教職員福利厚生をはかる目的のもとに私立学校教職員共済組合法によって設立されたものでありますが、自来、本組合が行なう給付については、国公立学校教職員に対する給付水準均衡を保つことをたてまえとし、逐次その改善がはかられてまいりました。昨年の第四十八回国会におきましても、かかる観点からこの法律改正が行なわれ、これにより、ほぼ国公立学校教職員に対する給付水準との均衡がはかられることになったのであります。しかしながら、昭和三十六年十二月三十一日以前のいわゆる旧長期組合員期間の取り扱いや既裁定年金の取り扱い等において、なおこれを下回る部分がありますので、今回これらの点を改善するため、所要の改正を行なうことといたしたものであります。  次に、この法案概要について申し上げます。第一に、とのたびの長期給付改善に要する費用について、私立学校並びにその教職員経費負担の実情を考慮し、これが負担の軽減をはかるため、組合の行なう長期給付に要する費用に対する国の補助率を、従来の百分の十五から百分の十六に引き上げることといたしております。  第二、長期給付給付額算定の基礎となる平均標準給与の月額のうち、旧長期組合員期間にかかるものについて、その算出方法を組合員の資格喪失前五年間の標準給与の平均から三年間の平均に改めるとともに、最高限度額を廃止することといたしております。さらに、これらの点につきましては、既裁定の共済年金についても同様の措置を講ずることとし、本年十月分以降、その年金額を改定することといたしております。  第三に、私立学校教職員共済組合が発足した際、その権利義務を継承した財団法人私学恩給財団の年金のうち、昭和二十七年九月三十日以前に給与事由の発生したものについては、その裁定時点も古く年金額が低額でありますので、恩給制度並びに公務員共済制度等における年金額の改定の例にならい、これを一律六万円に引き上げることといたしております。  第四に、組合員期間が二十年以上の長期在職者に対する既裁定の共済年金につきましても、同様の趣旨から、本年十月分以降、退職年金または廃疾年金にあっては年額六万円未満である場合は六万円に、遺族年金にあっては年額三万円未満である場合は三万円に、それぞれその年金額を引き上げることといたしております。  最後に、この法律施行日につきましては、公務員共済等における既裁定年金に対する最低保障の制度が本年十月一日から実施されること及び財源的な事情等を勘案し、また準備の期間等をも考慮して、昭和四十一年十月一日といたしております。  以上が、この法律案提案理由及び内容概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申しあげます。
  18. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) この際、本案に対する衆議院における修正点について、修正案提出者衆議院議員谷川和穗君より説明聴取いたします。谷川和穗君。
  19. 谷川和穗

    衆議院議員(谷川和穗君) ただいま議題となりました私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案に対する衆議院修正につきまして御説明申し上げます。本修正は自由民主党、日本社会党及び民主社会党の共同提案にかかわるものであります。  まず、最初に修正案文を朗読いたします。   私立学校教職員共済組合法等の一部を改正す  る法律案の一部を次のように修正する。   第一条のうち、第三十五条第一項の改正に関  する部分を次のように改める。   第三十五条第一項第一号中「百分の十五」を  「百分の十六」に改め、同条第二項を同条第三項  とし、同条第一項の次に次の一項を加える。  2 国は、前項に規定するもののほか、財源調   整のため必要があるときは、予算の範囲内に   おいて、これに要する費用の一部を補助する   ことができる。   附則第六項の見出しを削り、同項中「これら  の年金」を「退職年金及び遺族年金については、  これらの年金」に改める。  次に、修正の趣旨を御説明いたします。  第一に、政府原案は、私立学校教職員共済組合の行なう長期給付に要する費用に対する国の補助率を百分の十五から百分の十六に改めることといたしておりまするが、このほかに、新たに財源調整のため必要があるときは予算の範囲内においてこれに要する費用の一部を補助することができることとしたことであります。  第二に、政府原案は、組合員期間が二十年以上である者にかかわる既裁定年金の最低額を保障することといたしているが、廃疾年金については、その給付事由が他の年金のそれと異なるので、組合員期間が二十年未満である者についても最低保障を行なうこととしたことであります。
  20. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 以上で本法案についての提案理由説明及び衆議院における修正点説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。  なお、政府側より中村文部大臣、中野文部政務次官、天城管理局長が出席をいたしております。
  21. 鈴木力

    鈴木力君 この法案についてのこれからの審議をしていく前に、まず、私学共済の概要について伺いたいと思います。  私学共済を構成している組合員について、学校数で言えば加入学校数はどれだけになっておるのか、それからその加入している学校職員数がどれだけあるのか、また、私立学校に勤務している職員のうち、私学共済に加入できる職員条件はどうなっているのか、それから全体の学校法人である私立学校の数と、それからいまの私学共済に加入している学校の数との比率等がどうなっておるのか、その辺を先に承りたいと思います。
  22. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 私立学校教職員の共済組合の加入学校数でございますが、七千七百六十八校、これは四十年の十月末の数字でございますが、七千七百六十八校、組合員数は十四万四千百三十人、なお、ついでに扶養者数は十万四千七百十六人ということになっております。それに対しまして、組合発足当初、選択加入を認めましたので、いわゆる未加入校が百十七校、組合員にいたしまして二万四千八百五十七人という数字になっております。比率はいまちょっと手元にありませんが、十四万四千人に対して二万四千人でございます。  それから組合員の資格ということでございますけれども、これは御存じのように、加入校の大学、短大、高専、高等学校中学校小学校、幼稚園、盲聾、それから特殊学校と共済組合職員という範囲が組合加入の資格要件でございます。
  23. 鈴木力

    鈴木力君 いまの米加入校の百十七校のうち、いま申されました学校種別に申しまして、大学がどれくらいとか、あるいは短大がどれくらい、高校がどれくらい、こういうのがおわかりでしたら伺いたい。
  24. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 未加入校はほとんど各種の学校に及んでおりますが、一応、数字的に申し上げますと、大学で三十六校、短大で十一校、高等学校で二十六校、中学校で十三校、小学校六校、幼稚園で十八校、各種学校で七校というふうになっております。
  25. 鈴木力

    鈴木力君 もう一つ伺いたいのは、さっきの加入資格ということですが、特に私立学校公立と比べて、教員といいますか、職員のあり方が非常に複雑なわけです。そこで、どういう職員が加入資格を持っており、加入資格を持っていないのはどういう職員であるのか。まあ定款を読んでみますと、非常勤とか、常勤はありますけれども、中にはいろいろ判断のつかないような職種がありますから、その辺を伺いたい。
  26. 天城勲

    政府委員(天城勲君) これは法律の十四条にございますように、学校から給与を受けるものということになっております。ただ、その中で、「専任でない者」、「臨時に使用される者」、「常時勤務に服しない者」というものが、この組合員になる資格がございませんが、原則として当該学校法人及び学校教職員で給与を受けている者というのが、この組合員の資格でございます。
  27. 鈴木力

    鈴木力君 大体わかったのですが、未加入校のうち大学が三十六校あるわけですが、この大学で、たとえば早稲田とか慶応が入っていないという話を聞いているのですけれども、おもな大学で入っていないのはどういうところなんですか。
  28. 天城勲

    政府委員(天城勲君) おもなところと、一応、非常に常識的な言い方で申し上げますと、六大学では早稲田、慶応、明治、立教、法政が入っておりません。それから上智とか、宵山学院、それから関西方面では同志社、立命館、関西大学、関西学院大学等でございます。
  29. 鈴木力

    鈴木力君 いまのこの加入してない大学を聞いても、大体常識的な話なんですけれども、名の通った大学が入っていないということになるわけなんです。それで、やはりこの種の共済制度というものは、できればそういう該当する学校職員が全員入るという姿が私は望ましいのじゃないかと、こう考えるのです。そして、おそらく当局も全員加入するような方向で努力をしておられるだろうと思います。そういう立場から、全員加入に至らない、特にこの有名校といいますか、名の通っている大学等が加入をしていないということについての何か理由なり、あるいは入らないという何かの事情があったら、そういう点についてもお答えいただきたい。
  30. 天城勲

    政府委員(天城勲君) その私学共済制度が制定されましたときに、すでに私立学校におきまして、健康保険とか、あるいは厚生年金保険にそれぞれ加入していた学校があるわけでございまして、当時この共済制度ができましたときに、の選択加入制度を認めたわけでございます。その当時、いま申しましたような百十七校がそれぞれ健康保険または厚生年金保険に加入したために、私学共済に加盟しなかったというのが一つの事情でございます。なぜそういう選択を認めたかということでございますが、やはりそれぞれの学校の立場がございまして、一極の教職員の既得権とか、あるいは期待権とかいうものが、その当時のそれぞれの学校の共済制度、いまの保険、健康保険あるいは厚年でございますが、その実施の上にございましたので、この既得権とか、期待権を尊重する意味において、そういう選択制が持たれたわけでございます。御指摘のとおり、私学共済の制度は私立学校教職員の共済制度であります。社会保障制度の一環でありますと同時に、私学振興という目的を持っておりますので、全員加入が望ましいわけでございまして、その後幾たびかこの適用除外校の加入問題について議が持ち上がりましたり、いろいろな加入促進についての努力も続けられてまいったのでございますけれども、先ほど申しましたように、やはりそれらの学校の持っております事情、それも主として教職員の既得権、期待権というようなもの、あるいは学校法人側のお考え等がございまして、私学内部にはなかなか意見の統一が現在までできておらないわけでございます。一方、社会保険制度という面から申しますと、厚生省におきます一つの社会保障制度一本化の考え方もございまして、政府部内の扱いについてのいろいろな考え方もございまして、従来とも国会で附帯決議をつけて、この点についての促進を言われておるのでございますけれども、なお今日まで、いま申しましたような事情で実現いたしておりませんが、事情は率直に申しまして以上のような形でございます。
  31. 鈴木力

    鈴木力君 この点についてもう少し伺いたいのですが、いろいろな事情がありましてというような話になりますと、どうもいろいろな事情があるだろうが、その事情はどういうことなのかということを伺いたいのですがね。もう少し伺いますと、いま厚生省との関係もあるというような話も伺いましたが、しかし、既得権、選択権というのを尊重する、まあ経過は私はよくわかっているつもりでありますから、その経過に従って既得権も与えており、選択権も与えておる。これは尊重しながらやってきた。であるけれども、私学共済について一本化していくことが望ましい、そうしてそういう努力もしてきた、この筋はわかりました。そこで、いまの御答弁にもありましたように、学校当局としての考え方もある。あるいは主として教育職員の意思がまとまらないで一本化できなかった、そういう話もありますけれども、そういたしますと、選択権を尊重したから学校当局の意思がまとまらなかったり、あるいは職員の意思がまとまらなかったりするとすれば、たとえば厚生年金なり、あるいは健康保険なりと比較いたしますと、私学共済が相当に不利な条件があるのではないかという感じがする。そういう点についても相当な理由一つになっていはしまいかと思いますが、そういう点についてお答えいただきたいと思う。
  32. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 一言で申しますと、各学校の現在の状況と私学共済とどっちが有利かという問題に帰着するのではないかと思うのでございますけれども、現在、未加入校の状況を見まして、私学共済よりも有利であると思われる条件がございます。全部がこういう条件を具備しているわけではございませんが、たとえば、組合員の掛け金率が共済よりも低い。そういうことは法人のほうが高いということになると思います。それから短期給付の付加給付をやっておる学校もございます。それから長期につきまして、厚年のほかに学内年金制度を持っておりまして、その両方によって年金給付をやっているために、私学共済よりも有利な条件にあるというような点が指摘されると思うのでございます。
  33. 鈴木力

    鈴木力君 たとえば、いまのお答えにありました学園年金制度があるから私学共済に入らないと、こういうことはぼくは直接の理由には何かならない気がするんですがね。つまり私学共済に加入する場合には学園内の年金制度は廃止しなければならないということでもあれば別なんですけれども、それは私学共済と両方に入ることができるんでしょう、単園内の年金制度については。そういたしますと、学園内の年金制度がありながら、他のたとえば厚生年金に加入をするとか、そういう例もあるとすれば、どうもよそとの比較論になりそうだ。いまの付加給付がないという話もあり一ましたけれども、これはまあこの付加給付の問題については、公共教職員共済との比較でも私学共済には付加給付がいまないのでありますから、そういう点でも比較をすれば劣っている点にはなるだろうと思いますが、まあそういう理由はあるだろうと思いますから、したがって、私は私学共済については選択権を与える、これを取り返すということは、これは私は賛成しません。やはり経過に沿って選択権も与えておる、それからまた既得権も与えながらも、しかし統一の方向に持っていくためにはやはり国が相当の補助を出すなり、あるいは国が助成をするなりして一本化をしていくという努力がなおなお必要ではないかという感じがするのです。そこで、適用除外校についてはそういう事情であると伺いました。あと組合員についてでありますが、同じような立場で、同じような経過で組合員に種類があるわけですね。何ですか、甲種組合員ですか、甲種、乙種、丙種というように分かれておる。で、この甲、乙、丙の組合員、まあ前にはもっとあったのだと思いますが、組合員になる条件について伺いたいと思います。
  34. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 御指摘のように乙種組合員、これは短期だけ私学共済に加盟しまして長期は厚生年金にいく、丙種のほうは逆に長期が私学共済であって短期は健康保険と、こういう種類が甲種以外に、両方入っているもの以外にございます。これの条件でございますが、これは組合の設立の当初、先ほど申したように選択して現在こういう形になっておりますので、学校選択でございますので、この学校がこういう組合員制度を取っておりますと、その後この学校に採用された先生は全部この方式でいくというのが現在の姿であります。
  35. 鈴木力

    鈴木力君 そこで、この組合員についての甲、乙、丙、だんだんあとのほうはなくなって丙までだということを聞いておりますが、これもさっきと同じ理屈になるわけです。どうしてもやっぱり甲だけにならなければいけない。ところが、この選択制がある学校は乙になって短期だけですが、ある学校は丙になって長期だけに加入をしていく、つまり有利なほうだけは選ぶけれども、平均から見ますと、他に有利なものがある場合には他とかね合って持っていける、こういうような制度がありますと資金の集結についても相当の支障も出てくるだろうし、あるいはまた事務からいいましても障害も相当出てくるだろうと思います。そこで、さっきの適用除外校に対する方針と同じ考え方なんですけれども、文部省としてこれらを統一するために何かこう考えてみたことがないかどうかですね。どういう方法があるかどうか検討してみたことはございませんか。
  36. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 御指摘のとおり、この有利不利というところの問題が結局障害といいますか、問題になるわけでございまして、たとえば、先ほどの学内年金の問題、厚生年金プラス学内年金の問題につきましては、学内年金というものは別にして厚生年金の問題だけ考えていくということも一つございましょうし、それから付加給付の問題、これは私学共済自身が付加給付ができる状態にならなければ現在よりも不利になってしまう。それから掛け金率の問題の違い、これらの点はわれわれも十分意識しておりますが、結論として申し上げたいことは、私学共済の給付条件というものが、当初、出発当時まだ国共済に比して不利な状況でございました。これをできるだけ早く国共済と同じような給付水準に持っていきたいという考え方で今日まで努力してまいったわけでございますが、これは教職員という、学校教育という観点からまいりますと、国公立あるいは私立を問わず、教職員の待遇という考え方から見て当然であろうと思うのでございますが、そういう意味で、今日まで共済給付制度の水準の向上と国家公務員公共済組合と同じようなところまで持っていきたいという努力を重ねてまいりまして、基本的な考え方においてほかの制度よりも不利でないというところまで持っていきたいという考え方でやってきたわけでございますが、しかし、すでに学校によりますと、それぞれのそれ以上に有利な点が若干ずつございまして、これは全部おしなべてじゃございませんが、個々学校によりまして有利な点がございますが、この最高の有利な条件まで全部そろえるということになりますと、これは実際問題として非常に困難な点でございます。したがいまして、基本的にいま国共済と同じような点まで参りました段階で、今度、私学の全体の振興という面から、それぞれの私学の、何と申しますか、理解を十分持っていただいて、私学全体の振興のために私学共済というものを全員加入制に持っていくのだという趣旨を十分理解して加入していただくというような方向で話を今後もしたいと思っております。ちょっと回りくどく申し上げましたけれども、いままでもそういう点の是正ということに主眼を置いてまいりましたし、今後とも趣旨と是正ということをあわせながら、この問題を解決していきたいと、こう考えております。
  37. 鈴木力

    鈴木力君 そういう方向で努力をしてもらいたいと思うのですが、たとえば公立の場合は、いま自主的に各県で互助会なり互助組合なりできておりますね。そうして公立共済の足りない点についてはそっちで補っておるわけです。あるいはものによりますと、互助会のほうが共済よりも給付なんかの条件のいいものもある。しかし、これがあわせて加入できるということになっておりますから、他に有利なものを持っておるということがこちらの共済制度に加入しないという理由にはならないのであって、二つに加入しておることがなお有利になる、そういう形に持っていき、そういう形に指導していくと、いまの問題が相当改善の方向に進むんじゃないかと、こういう感じがいたしますので、さらにそういうことについても将来の御検討をいただきたいと、こう思います。  それで、次に進みますが、この私学共済の運営について、相当やはり困難な条件一つになっていると思われるものに給与の問題があると思います。どうしたって掛け金の基礎になるのは給与でありますから、これが相当大きな問題になると思います。そこで伺いたいんですけれども、平均の給与については大体私のほうもわかっておりますが、公立と比較をしまして、大学、短大、高校、それから小中学校は一緒でよろしゅうございます。あるいは幼稚園がある、それらの給与の比較ができているものがあったらそれを伺いたいと思います。
  38. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 給与の私学関係、それから国立公立の比較でございますが、四十年度の十月末で、これはすべての平均でございますので、給与の平均でございますが、私学が三万五百四十二円、それから国立学校でございますが、三万九千四百十七円、それから公立共済、これは公立学校でございますが、四万七百四十五円というのがならした数字でございます。ここに、私たち大学、短大、小中校別に調べてみたのでございますけれども、大学を一例にとりますと、私立の平均、時期は三十九年になりますが、五万七千二百二十五円、国公立の平均で五万七千三百四十四円、これは比率で申しますというと九九・八というので、大学の本務教員の給与の差はそれほど目立っておりませんけれども、高校になりますと、私学の平均が三万一千四百九十四円で、国公立の平均が三万八千七百九十六円で、これは八一%ぐらいになります。中学校で、私学のほうが三万三千七百四十八円で、国公立のほうが三万四千三百三十八円、これは九八%ほどになります。全体を見ますと、先ほど申し上げた数字でございますが、特に高校においてかなりまだ開きがあるんじゃないかということをこの数字から見るのでございます。なお、この両者の比較でございますけれども、年齢層とか、経験年数、職種構成というものを正確に調べなければいけないわけで、一切そういうものを捨象した単純な比較でございます。
  39. 鈴木力

    鈴木力君 共済の運営の基礎になる数字ですから、これはいまの単純比較の話はわかると思いますが、いま伺ったほかに、私はこの私学の給与について、特に私どもがいままで見ておる感じでは、平均はまあいまのようなことになっておる。この平均がくずれていくということの原因がどこにあるだろうということが考えられるんですけれども、特に男女の差が、私どもが見た限りにおいては、この私立学校職員の給与が男子と女子とでは非常に大きな違いがあるような気がするんです。特にこれは幼稚園が非常に多いということも原因になっておるんじゃないかと思いますけれども、幼稚園を除いてみても、どうも男女の給与の差というものの格差があり過ぎる、そういう感じがするんですけれども、この男女の差等についてお調べになっているものがあったら伺いたい。
  40. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 御指摘のとおり、私学の特殊な条件として若い女子の先生が多い、それも幼稚園が大きな要素になっておるわけでございまして、したがって、平均はかなり下がっていると思うのでございますが、組合につきまして男女別の、いま申したようなちょっと比率の資料を持っておりませんので、給与の差の男女別というものをちょっと持ち合わせておりませんので、ここでお答えしかねるのでございますが、全体としては女子教典のウエートが高いということから、かなり下がることは事実だと思います。
  41. 鈴木力

    鈴木力君 たとえば私学共済で出しておる「組合概要」というパンフレットがありますが、このパンフレットには、これはもう実態調査じゃなしに、標準給与で出ておりますけれども、この標準給与で見ただけでも、たとえば平均月額で、大学のほうは三十九年度では四万三千百二十三円になっておる。そうして女子の方が二万二千六百二十円になっておるわけですね。この男女の差が二万一千円もここで違っておるわけです、まあ概数で申しますと。それから短大でも一万三千幾らと、平均額でも違っているように見えます。こういう形で、男女の差が非常に大きいのですが、これは共済の運営の基礎になる給与ということになりますと、平均が高ければ何とかやっていけることになりましょうが、しかし、実際に職員の比率を見ますと、女子の比率が非常に高いわけですね、男女の比率から。職員数の比率でいいますと、女子の比率が非常に高い。そうして女子の給与が非常に、いま言ったように男子との間に差が大きい。ここから共済の収入源ということについてもいろいろと問題が出てくるのじゃないかとも思います。と同時に、これは私は文部省に伺っておるのでありますから、共済の運営という立場だけじゃなしに、私立学校そのものの運営上からいいましても、こういう状態では望ましい姿ではないはずであります。公立の考え方からいいますと、男女同じ給与体系になっておるわけでありますから、それが私学にいきますと、いま言ったように極端な開きがある。これについては私学共済の運営という面からいっても、あるいは学校経営という面からいっても、いずれも望ましいことではないわけであります。ただし、私立学校と文部省との関係は、一々給与がどうこうということまでは言えないという問題もそこにありましょうけれども、しかし、こういう実態に対する文部省の考え方なり、あるいは文部省としてのできる範囲内での何か方法がないものかという感じがするのですけれども、そういう辺についてもお考えがあったら伺いたいと思います。
  42. 天城勲

    政府委員(天城勲君) たいへん失礼いたしました。私ちょっと資料を見落としました。男女別、学校種別の標準給与月額が手元にございまして、たいへん失礼いたしました。御指摘のように、大学のお話でございましたけれども、四十年の十月末で平均いたしまして男子が三万九千二百四十八円、それから女子が二万二千五十七円というので格差がございます。なお、いまの御質問の中心でございます私学の給与水準の問題でございますけれども、私学の最近の経営の中で、いろいろ困難な問題の中で、給与問題が非常に大きな要素になっていることは、すでにいろんなところで論ぜられているところでございますが、私学の経営者の面におきましても、給与改善ということがやはり一番の課題になっておりますために、授業料問題とか、その他の問題まで発展したわけでございます。ここ二、三年の姿を見ましても逐次改善されてまいりまして、先ほど申し上げましたように、非常に近づいてきたわけでございますが、これは私学経営上の最大問題で、私学の方々の一番意識しておる点でございます。なお、これをどういうふうに改善していくかということにつきましては、現在、共済制度とは別でございますけれども、文部省で私学振興方策の調査会を設けて、全般的に私学の助成ないしは財政のあり方について審議をされておりますが、そこでも給与問題は非常に大きな焦点になっておりまして、御指摘のように、直接、文部省で給与問題をあれこれ言う立場で現在ございませんけれども、教育水準を上げるということを中心にして議論されておりますが、その中心がやはり給与費であるということは、皆さんも十分認識されておりますので、直接給与の問題にどうこうということでなしにしましても、全体として私学の運営が充実していくように、その中で教員給与の問題、あるいは教員定数の問題が十分解決されるようにという考え方で別途審議を進めておるわけでございます。
  43. 鈴木力

    鈴木力君 この給与問題は、直接は私学共済に関係ないみたいに見えますけれども、私はいまの問題は私学共済の面からいっても非常に大きな問題になっていると思うのです。これは掛け金の基準になるということもそうです。と同時に、私学そのものの経営という問題と、それから私学そのものの、これはあとで私の考えも申し上げ、それから文部省のお考えも伺いたいこともありますが、私学それ自体の運営がいまのような問題から、どうも私どもが見ると、ちょっと運営の方向がおかしいのじゃないかという点までしわが寄っているような気がするのですが、たとえば資金の運用などについてもそういう感じがいたします。これはあとで申し上げるのですが、その種の問題としてもう一つ私が考えたいのは、給与の問題がいま言ったように非常に男女の差がついておったり、それからバランスがくずれておったりするということと、職員の採用についてまたそういう傾向がありはしないかということが感じられるのです。私学の経営者側からいいますと、経営という問題がどうしても重要な問題ですから、できるだけコストを低くという考え方があるかもしれません。しかし、たとえば高等学校のある科目の教員についてみますと、たとえば高等学校の理科なら理科で申し上げますと、生物という科目は、あれは三個学年のうちで一個学年でやればあとはやらぬでいいことになりますから、そうしますと、学級数の少ない規模の高等学校においては、生物の教師は、教諭を採用しないで、時間講師でまかなっているわけです。これは生物に限ったことではありませんけれども、そういう一個学年で、しかも単位になっているような教科の教師は、時間講師が非常に多いという傾向があるのじゃないかというふうに感ぜられます。そういたしますと、その時間講師の人は、教員というような立場でその学校のその教科教育責任を持っておりますけれども、身分は講師である。月給はもちろん安いわけでありますが、月給が安いということと同時に、いまの私学共済の組合員の資格は獲得できないという問題があるわけですね。学校経営の立場からいうと、専任の教諭というものがなくて、ある何科目かの教科がそこでこなされておるという問題、一方からいうと、その教科責任を持っておる人の身分が不安定で、そして私学共済組合には加入できないというような身分の不安定という問題につながっておるわけです。こういう問題もやはり私学の教育責任という立場からしますと、何らかの形で、やはりそのままほうっておいたのではいけないのじゃないかという感じもするわけです。これはやはり私学共済を、もう少し共済の側に立てば、組合員数がもっとふえておって、そして正当な財源としての掛け金をかける基準が上がっていくという立場からもありますし、それから私学の振興という立場からもこういう問題があるような気がいたします。  それからもう一つ一緒に伺いたいのは、男女の比率の問題はさっき伺ったのですが、数の上からいっても女子が非常に多い。と同時に、公立と比較をいたしますと、高年齢層が非常に多いということが一つの問題点といいますか、特徴ではないかという感じがいたします。そこで、これも調べたものがありましたら、いまの私学の組合の中で、最高の年齢層は大体どの程度まであるのか、あるいは分布状態からいいますと、たとえば六十歳以上がどの程度割合になっているのか、そういう点、承りたいと思います。
  44. 天城勲

    政府委員(天城勲君) いまの二つの点でございますが、一言で申しますと、教員定数の問題にもなってくると思うのでございますが、御指摘のとおり、公立と私立の教員定数、これは生徒数との比率などでいろいろ検討しておりますが、小中学校の義務教育はほとんど同じでございますけれども、高等学校、それから大学は、確かに教員生徒数の比率が低いのでございます。高等学校も逐年直ってきておりまして、一番差があるのは大学でございますが、高等学校もまだ差がありまして、御指摘のような点は、共済組合の問題以前の問題として、私学の教育のあり方そのものとして十分考えなければならぬことだと思っております。先ほどもちょっと申し上げましたけれども、振興方策調査会におきましても、教育水準を高めるためということで私学の財政問題を議論している中で、先ほど申した給与の問題と同時に、教員の定数ないしは必要な教員、必要な教室の確保ということがやはり中心になっておりますので、先ほど申し上げたような意味で、この問題も含めて検討いたしております。  それから私学に高年齢者が非常に多いということは御指摘のとおり特色でございまして、女子若年、若い女子の方が多いということと、一方、高年齢者が多いということでございますが、何歳の方が何人というところまでこまかいものをちょっと持ち合わせておりませんが、六十五歳以上の方が五・八%、七千四百六十六人おられます。
  45. 鈴木力

    鈴木力君 もう一つだけ。給与関係について、給与と職員といいますか、組合員の問題について伺いたいのですが、標準給与を決定して、それで掛け金の基準やら運用していることはわかります。そこで、いまの給与の分布についてちょっと伺いたいのですが、標準給与で、いま一級といいますか、一級が一万二千円になっていると思います。この一万二千円以下の職員がどれくらいあるのか、それから標準給与の分布でいいますと、一番数の多いところが何級ぐらいになっているのか、大体の傾向でよろしいのですけれども、伺いたいのですが、一万二千円以下の方は数が調べられてあったら伺いたいと思います。
  46. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 一級から御指摘のとおり三十一級までございますが、十四万四千人の中で一級が一万五千人でございます。それから三十一級、頭のほうが千人、大体そういう形になっております。
  47. 鈴木力

    鈴木力君 一万二千円以下の給与の実態はありませんか。実際の給与額が一級以下の職員がどの程度あるか。
  48. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 標準給与の場合には全部一級にしてしまうものですから、ちょっといま手持ちの資料を持っておりません。
  49. 鈴木力

    鈴木力君 それではあとでちょっと調べてもらいたいんです。
  50. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 午前の委員会はこの程度にし、午後一時半から再開いたします。  これにて暫時休憩をいたします。    午後零時三十一分休憩      ―――――・―――――    午後二時十五分開会
  51. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  午前に引き続き、私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を続行いたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。  なお、政府側より中村文部大臣、天城管理局長が出席いたしております。
  52. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 午前の御質問の中で、現在の標準給与一万二千円以下の者が何名おるかというお尋ねでございましたが、調べましたので御報告申し上げたいと思います。現在一万二千円になっているものですから、この以下のこまかい数字が現在の時点ではございませんが、昨年の七月一日から一万二千円に改定いたしましたときの段階での数字がございますので、それと、今日の一括数字とを申し上げまして、大体その間の動きが推察できるのではないかと思いますので御報告いたしたいと思います。標準給与八千円の者が五千八十名、それから九千円の者が二千百九十四人、一万円の者が五千百九十九人、それから一万二千円の者が七千四百三十五人、合計で一万九千九百八人、四十年の六月三十日現在でおりました。それが一万二千円に標準給与の最低が引き上げられました後の六月三十日の数字で見ますると、一万二千円以下が一万五千人になっておりますので、五千人ほどの数が減っております。したがいまして、この間に五千人ほど昇給して上に上がってきたということがわかるわけでございますが、実情はいま申し上げたような数字でございます。
  53. 鈴木力

    鈴木力君 午前の質問で大体組合員数、それから給与等で、この私立学校共済の現状と、なお運営の困難点の理由一つはほぼわかりました。これから伺いたいのは、私立学校共済の経営面のことについて少し伺いたいと思います。  まあ経営全体より具体的に入りますが、短期給付について、短期給付給付内容とか何とかはこれはほぼわかっておりますから伺いませんが、短期給付関係の経理の状況を見ますと、これは私ども書類をちょっと見たぐらいでよくわからぬところもあるのですけれども、どうも赤字がずいぶん大きいようです。そこで、まず経理の状況について伺いたいと思います。
  54. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 短期給付の収支の現況につきまして、ごく簡単に概要を申し上げます。  短期給付の掛け金率が、ちょうど昨年の四月に料率の引き上げを行ないまして、現行千分の七十ということになっております。このうちには福祉財源分の千分の一と、事務費の千分の二が含まれておりますので、短期給付のための料率は千分の六十七というふうになっております。四十年度の短期給付の収支でございますけれども、本年二月までの実績が出ておりますが、収入のほうで二十九億三千万円、支出で二十九億四千万円でございますので、差し引き一千万円の赤字となっておりますが、四十年度の決算時におきましても大体この程度に落ちつくものと考えております。これは四十年度当初に見込んでおりました赤字見込みよりはかなり下回ってきておりまして、当初はもう少し多いのではないかと思ったのですが、下回ってきております。その原因は、いわゆる医療費の伸びが考えたほど激しく伸びませんで、むしろ若干低下したと思われるわけでございます。この短期の問題につきましては、一にかかってこの医療費の動きに影響されておるわけでございまして、これは私学共済だけではございませんで、健康保険その他医療保険全般の問題であろうかと思っておりますが、この傾向でいきますれば、現在のところ四十一年度も――まあもちろん医療保険制度が非常に変われば別でございますが、四十一年度もほぼ現在の掛け金率でもって均衡がとれるのではないかという考えと見通しを持っております。
  55. 鈴木力

    鈴木力君 いまの御説明は、四十年度の単年度赤字ということですか、一千万というのは。
  56. 天城勲

    政府委員(天城勲君) さようでございます。四十年度の単年度の収支で申し上げたわけでございます。
  57. 鈴木力

    鈴木力君 それは私がちょうだいした「組合概要」の二十四ページ、二十五ページに、「短期経理収支」というのがありますね。これを見ますと、これは私の読み方がちょっと間違っているかもしらないんですが、三十九年度で、収入と支出がこうありまして、「収支差引」のところが二億九千六百二十六万二千円ですか、こういうしりが出ているのですけれども、これは累積ですか、そうすると。
  58. 天城勲

    政府委員(天城勲君) その「組合概要」の二十五ページの数字でございますが、三十九年度の二億九千六百万、これは単年度の赤でございます。
  59. 鈴木力

    鈴木力君 先ほど聞きましたね、赤が何か一千万くらいという先ほどの御答弁と、いまの二億九千六百二十六万、この関係はどういう関係になっているんですか。
  60. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 先ほど申し上げましたのは、一番近いのという意味で四十年度の状況を申し上げたわけでございますが、その「組合概要」は三十九年度までしか載っておりませんので、その一年前でございます。なお、先ほど申し上げましたように、四十年度の四月から料率の引き上げを行なっておりますので、その「組合概要」に載っております三十九年度は、旧料率による収支状況でございます。
  61. 鈴木力

    鈴木力君 そうしますと、四十年度が一千万の赤字、これが繰り越しになりますと、やはり累積は三億をこすということになるわけですがね。
  62. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 累積でございますが、ちょうどこの「組合概要」の同じぺ-ジの下にございますが、三十九年度末で累積が二億三千百三十九万となっております。三十七、三十八年度は黒で終わっておりますが、三十七、八年の単年度の赤がずっと累積しまして、三十九年度でマイナス二億三千万となっておりますが、先ほど申しました四十年度が約一千万の赤で越せば、この累積はもう一千万ぐらい増加して二億四千万台になる、こういうふうに思っております。
  63. 鈴木力

    鈴木力君 いまの説明は資産の帳じりでしょう。三十九年度短期経理の資産のしりは二億三千百十九万、そうでしょう、赤で。それからその経理の収支からいうと二億九千六百二十六万になるわけですね。もちろん資産の赤と経理の収支というのがいつでも数字が一緒にならなければならぬということはないですけれども、資産勘定はまた別ですけれどもね。ただ、この運用の将来を見ていきますというと、この傾向からいうと、料率を改定してもなお赤字になっていく、こういうことがはっきりしておるわけです。そうすると、かりに資産面から見て二億六千万になったにしても、あるいは経理面で見て二億九千万になったにしても、料率改定したその年から単年度赤字が出るということは間違いないわけです。そうすると、今後のこの赤字を克服していく見通しなり計画なりというものがあるのかどうかですね、この点についても伺いたい。
  64. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 四十年度の料率の改定によりまして、前年度は三億近くの赤がございましたのが、一千万まで縮まってまいりまして、その理由として、先ほど申し上げましたように、医療費の動きというものが非常に大きな理由であるということを申し上げました。若干、この医療費の見通しにつきましてのいろいろな見方があるわけでございますけれども、四十一年度につきましては、先ほど申したような、一応現状でいくならば四十年度と同じような状況じゃないかと申し上げたわけでございますが、ただ、今後の見通しということをよく考えてまいりますと、医療保険制度の抜本的な改正ということも議題にのぼっておりますので、そのことが行なわれるようになりますれば、医療費の今後のあり方というものはかなりはっきりした見通しがつくのではないかと思っております。したがって、現在のところ、現状のままで  先ほど申したのですけれども、一つは医療保険制度の抜本的な改善策というものの出方が、この短期の動きに対して大きな影響があるというふうに考えておりますが、これが幸いいい方向で改善いたしますれば、医療費の安定的な見通しが立ち得るのじゃないかと、こう考えておるわけでございます。
  65. 鈴木力

    鈴木力君 いまの御答弁はこう聞いてよろしいのですか。将来、医療保険制度の抜本的な改正ができてうまくいけば赤字が解消するであろう、そうでない場合には現状の赤字でもやむを得ない、こういう意味の御答弁に聞いていいのですか。
  66. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 現在は医療費が非常に浮動的でございますので、私たちの見込みとしては、四十年度のことで申しますと、当初よりもかなり落ちついたと申しますか、姿で、年を越せるようなことになってまいりましたけれども、なお医療費の伸びというものが非常に浮動的でございますので、将来の短期給付の問題については、いまのままではなかなか見通しが立ちにくいということをさっき申し上げたわけでございまして、これが抜本的な改善が行なわれて安定した形になってくれば、むしろそう料率の問題に影響なしに収支の状況が成り立つのじゃないか、こういうふうな見方をいたしております。
  67. 鈴木力

    鈴木力君 それではもう少し伺いたいのですが、医療保険制度の抜本的な改正がいつごろ行なわれてどういうふうになるかという見通しは持っていらっしゃるのですか。
  68. 天城勲

    政府委員(天城勲君) これは私も詳細に承知いたしませんが、四十二年度中に行なわれるということを聞いておりますが、このこと以上に私詳しく現在存じておりません。
  69. 鈴木力

    鈴木力君 私が聞いているのは、果報は寝て待てみたいな、医療保険制度というのは私学共済自体がどうこうする問題ではありませんから、あるいはまた文部省だけでもやれない問題ですからね、他の問題です。他の問題の状況がよくなるまでは赤字はこのままにしておく、そういうことなのか。ぼくが聞きたいのは、現在のようなそういう状態の中でこういう赤字が出ておっていいのかどうか。つまり料率を改正しました、最近において赤字解消といいますか、短期給付に力を与えようとしたのは料率の改正ということでしょう。その料率の改正をやって、なおかつ単年度の赤字が出ているという状態、累積状態は、いま伺いましたようにいろいろと赤字があるわけです。そうしますと、あとは医療制度の抜本的な改正があるように聞いているから、運は寝て待て、それまで見ましょう、そういうことでは、ぼくが質問している、そして期待する答にはならぬと思うのです。こういう状態のときに私学共済がどういう努力をすべきなのか、あるいは文部省として文部省の立場からどういう方策を立てるべきなのか、そのことをお伺いしているわけなんです。
  70. 天城勲

    政府委員(天城勲君) ちょっと御質問の趣旨を十分に把握しておりませんでお答えが十分でなくて恐縮でございました。短期給付、それから医療給付の問題につきましては、先ほども申したような状況で一応見通しをとっておりますが、われわれといたしましては、基本的に共済の事業を円満に運営していくために、やはり学校法人、それから組合員の負担増というものをいたずらにしない、逆に、進んでこれを軽減するという方策はたえず考えておるわけでございます。   〔委員長退席、理事北畠教真君着席〕 これは残念ながら実現いたしませんでしたけれども、本年度も短期給付事業に対します国庫補助の増額を内部としてはいろいろはかってみたわけでございますけれども、他の共済制度にもまだ実現されていないようないろいろなことから残念ながら実現いたしておりません。全体の考え方といたしましては、先ほど申したいろいろな関連がございますけれども、ただ赤字が出れば掛け金率を上げていくというだけでなくして、共済の目的から考えまして、必要な部分につきましては国庫補助もいたすべきじゃなかろうか、こう考えておるわけでございます。
  71. 鈴木力

    鈴木力君 話の筋はりっぱなんですけれども、もう少しこの点についてはぼくは具体的に御意見を承りたいのです。国庫補助をやろうと思ったけれどもできなかった。それから掛け金は上げかくない。上げたくないという気持ちは非常によぐわかるのです。しかし、必要な面については将来も何かしたい。そういう話を聞くとそのとおりなんですけれども、必要だということはもうはっきりしておるわけですね。先ほど以来私がくどいみたいに組合員の年齢の構成でありますとか、あるいは給与のバランスでありますとか、それから持金の安い層の分布状態とかをくどいほどお伺いったのは、結局、短期にしても、長期にもそういうことが原因になろうと思いますけれども、そういう弱い-弱いということばはあまりよくないですけれども、低賃金の人たちが非常に多い。あるいは男女の差が非常に大きくて、しかも、組合員の構成からすると女子職員が非常に多い。これは必然的にやはり短期なら短期だけを見ても経営は、たとえば公立共済などとは比べものにならない苦しい条件がここにあるわけです。そういう条件がありますから、掛け金をかりに上げるとしても、掛け金を上げる金額も多くはならないわけだし、そういう状態であれば掛け金の料率をいきなり上げるということはもちろんできないことになりますから、一応やはり私は国庫補助をこの面についてもふやしてやらなければならないと、こう思うのです。ところが国庫補助をふやすということがうまくいかないから、他の条件、つまり先ほど何べんもあったように、医療制度が抜本的に改善されればというような話ですり変えられると、これはいつまでも赤字経営というものが続いてくるのですから、今回の提案されている法律には短期給付については全然触れていないように私は読みましたけれども、しかし、近い将来でも、どうしてもこの短期給付面についてもこの赤字を解消するような処置というものが、私はやはり文部省としては必要じゃないか、こういうふうに感じていまお伺いしておるわけなんです。
  72. 天城勲

    政府委員(天城勲君) やはり健康保険でございますので、健康保険全体の動きと申しますか、制度の中で、私学も給付事業が行なわれなければならぬという一つの性格を持っておりますと同時に、私学の持っております、いまいろいろ御指摘がありましたような条件の中で、学校法人及び組合員の負担ということもやはり十分考えなければなりませんので、その両者を考えながら、なお社会保障制度に対する国の立場というものを考えて私たち従来もきたつもりでおりまして、今後もそういう点につきましては十分考えながら私学共済の全体の運営をはかっていきたい、短期について特にそのことを感じておるわけでございます。
  73. 鈴木力

    鈴木力君 極力そういう御方向で努力を願いたいのでありますけれども、この点については実はもう少し当事者の苦心といいますか、これをひとつお伺いしたいと思いますが、これは直接文部省にお伺いしても無理だと思いますので、これはこの程度にいたしますが、もう一つ短期給付関係で伺いたいのは、公立共済と比べてほぼ大同小異なんですけれども、付加給付がない。これは先ほどの御説明にもあったとおりであります。しかし、そうしますと、いま赤字を掲げていながら、やはり公立並みに持っていくということが当面のねらいでありますから、付加給付を与えるという道も講じなければならないわけであります。その面も先ほどの国で処置をするという一つの中で、やはり考慮からはずさないような方向でいってもらわなければならぬじゃないかとも考えます。これは私の意見を申し上げただけなんですが、もう一つの短期給付関係で、休業手当というのがありますね、短期給付の中で。これはたぶん短期給付の中に入っていると思うのですが、入っていなければ別の項目で伺えばいいわけでありますけれども、休業給付の中に休業手当というのが入っておるわけです。これは条件はいろいろあるわけなのですが、こういう傾向がないかということを伺いたいのです。つまり休業手当というのは個人の事由によって休業した場合のこれは救済で、その分に見合う手当と、こういうふうに見ればそう見られると思いますが、普通、公立の場合ですと正当に給与が伴っておる、あるいは伴うべきものを、同じような例にあるものが何か私立学校の場合は私立学校当局の経営上の立場もあって、そういう支払い額を共済のほうに肩がわりしている、そういう傾向がないかということを伺いたいわけです。
  74. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 休業手当でございますが、これは一定の事由に該当して組合員が欠勤して給与が減額されたときに給付されるわけでございますが、御指摘のように、公務員制度による勤務条件等が統一的にできていないために、いろいろなふぞろいの事態があるのじゃないかいう御指摘だろうと思うのでございますけれども、私いままでこの組合の問題に関して、特に休業手当に関してそういうことを直接耳にしたことがないものでございますので、ちょっと的確にお答えいたしかねます。
  75. 鈴木力

    鈴木力君 これはちょっと調査をしていただきたいと思うのです。私はこれを問題にするとか何とかという意味で伺っているのではありません。ただ、私どもがどこのだれということは言いませんけれども、当然、普通であれば月給をもらっている、公務員の場合は給料をもらっているケースでも、何かこれは休業手当というケースに切りかえられて、そうして共済のほうに支払いがすりかえられているというか、あるいは肩がわりして共済のほうが払わなければいけないようなかっこうになる、そういう話を、そうたくさんの例ではありませんけれども、耳にしていることもあるのです。これは私立学校の経営とか、その他の事情から言いますと、そういうこともわかるような気がいたしますけれども、一方から言いますと、いま申し上げたような私学共済を強化していくという立場から、あるいは足りない財源をできるだけ拡充していくと、そういう立場からすると、どうも経営者側の支払うべき筋のものが共済に肩がわりされるということは好ましいことではないわけです。それで、これはせんさくしてこれをどうこうしますという意味ではなしに、そういう傾向があるとすれば、これは指導面で解決の方向に努力していくべきだ、そういうつもりでお伺いしているわけです。
  76. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 御指摘の点はよくわかりますので調査をいたしたいと思いますが、ただ、私たち先ほど申したような、あまり事情を聞いておりませんということも申し上げましたけれども、数字の上から見ましても、学校法人が当然負担すべきものを負担しないで組合に肩がわりさせたのじゃないかという御懸念でございますけれども、金額的に見ますと、この休業手当関係全体から見ますと非常に少ないのでございます。ですから、なお事情をよく調べてみますけれども、そんなにそういう傾向はないのじゃないかと思っておりますけれども、なおよく調べてみたいと思います。
  77. 鈴木力

    鈴木力君 まあ、なければいいが。  その次に長期給付について伺いたい。いよいよ長期給付が今度の法案でのつくろうとしたところなんですが、長期給付についても大体公立並みにそちらの方向を向いてやっているわけでありますし、これは始めてからの歴史もあまり古くはないわけですから、いろいろのことがあろうと思いますが、この長期給付支給の方法について、先ほども伺いましたように、この私立共済の組合員の年齢層を見ますと非常に高年齢の人が多い。それからもう一つは、女子が特徴的に多い。しかも、年齢の若い層が非常に多い、女子のですね。そういう年齢構成が一つの特長になっておるわけです。そうしますと、他の公立共済なんかと比較をしてみますと、傾向的に言えば、この長期給付を受ける年数が高年齢者層にとっては非常に薄くなる、そういうことがあるわけです。それからまた女子職員が多いということは、これはまあ女子なるがゆえにという理屈はないはずなんですけれども、傾向として、長期給付の年金のもらえる条件を満たす以前に退職という例が非常に出てくるわけですね。そういう傾向が若年女子の人たち、あるいは高年齢層の職員の人たちに非常に不利であるという印象を強く与えておるわけです。まあ事実あるいは不利になっておるかもしれません。したがって、私は先ほど以来加入していない、適用除外になっておるような学校、あるいは組合を全部加入させるべきだという方向からいいますと、こういう不利な条項を救うということがやはり考慮されなければならないのじゃないか、こういう感じを持っておるわけです。そこで具体的に言えば、高年齢層の人たちに在職中にも年金を支給するという方法がないのか。現在それがやられていないと私は承知しておるのですけれども、やられていないとすれば、何かそういうことを検討してみたことがあるのか。それがもしできないと検討をしたとすれば、できない事情がどういうことなのか。それからまたいま言った女子の待遇といいますか、女子の取り扱いですね、そういう面についても同様な御検討があるのかどうか、伺いたいと思います。
  78. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 御指摘のとおり私学共済におきまして女子の占める比率が非常に高い。おそらく五〇%を上回っておりますし、また、高年齢者も先ほど申し上げましたように六十五歳以上の方が五・八%というような形で、他の共済よりも高い。この点が特色だと思います。特に在職期間が短くて年金受給資格を取るに至らないという方の問題、それからいつまでも在職しておるために年金を受ける期間が少なくなってしまうという問題、これらにつきましては、私たちも私学共済の一つの特質と申しますか、問題点であるということを従来からも考えてきております。昨年だったと思いますが、厚年におきまして高年齢者の在職支給制度が設けられた事情がございまして、私たちもその点を十分検討してきたわけでございますけれども、まあ午前の御質問にもお答え申し上げましたとおり、この私学共済の給付水準を国公共済と差のないようにしようということを当面の目標にしていろいろ努力してまいりまして、おかげで逐次その方向に近づいてきておるわけでございまして、それを当面の課題にいたしてきております。いろいろな特色のある点を改善しなければいかぬと思っておりますけれども、基本的にそれを第一義的に考えたいと思ってきたのが、従来、直接手を触れなかった一つでございますが、同時に、やはり共済制度全般のバランスというと、いかにも他力本願に聞こえますが、やはり制度としては共済制度としてのあり方も考えなければなりませんので、私学共済だけが非常に特殊なこともなかなかしにくいという事情がございます。私学教職員の勤務状況とか、それから給与水準その他の点を十分検討しながらいきたい。特にいろいろな措置をいたしますと、財源負担という問題がどうしても最後に出てまいりますので、これも先ほど来印しておりますように、組合員や学校法への負担過重にならないようにということを留意しながら検討しておるわけでございまして、今回までまだその成案を得なかったような実情でございますが、われわれの今後の課題として将来とも検討を続けていきたい、こう考えておるわけでございます。
  79. 鈴木力

    鈴木力君 先ほど人数で伺いましたように、六十五歳以上というのが五・八%、七千四百六十六人という実在員なのですね。そうすると、他の共済とのバランスということを局長はおっしゃいますけれども、公務員のほうは六十五歳以上というのはおそらくあるのがちょっとふしぎみたいな状態だと思うのですね。そうすると、公務員関係の国公共済にそれがないからバランスがとれないから、こちらは入れるわけにはいかないという理屈はぼくは成り立たないと思うのです。逆に厚生年金のほうは在職中でも年限の条件が満たされるとこれは長期給付のあれがあるのです。年金が支給になっているでしょう。そうしますと、むしろバランスというほうから言ったら、そういう高年齢者層に対してはやはり年金を在職中にも支給するのがほんとうじゃないかという感じがいたします。特にまたこの私学関係の高年齢者の方々には、これは統計は私は持っておりませんけれども、比較的給与も大学あたりではずっと高い人が多いようだが、逆に、専任ではあるけれども、何かこう身分を切りかえたりして給与が安くなっている人も相当にいるという話も聞いておるのです。そういうことも考慮いたしますと、これはやはりどうしても処置すべきことではないか、こういうふうに考えるのです。問題は財源だと思うのですが、これはまああとでもう少し詳しく伺いたいところなのですけれども、端的に申し上げますと、この法案に、前にもこれは衆議院ですか、四十八国会かのときの附帯決議の中に千分の二十にすべきだ、こういう附帯決議がついておる。ところが聞いてみますと、これはまあ聞いただけの話なのですが、千分の二十になれば、いまの高年齢層に対する年金も可能になる、そういう計算があるという話も聞いておるわけです。だから、今度の法案提案されるまでのいきさつ等については、あとの機会にもう少し詳しく伺いたいのですけれども、そういう問題も関連があろうと思いますから、やはり今回の法案には間に合わなかったにしても、一つの問題点としてはチェックしていただいて、今後前進させる資料として、これはぜひ前進しなければならない課題としておいていただきたいと思います。  いまのは意見でございまして、一方的にしゃべりっぱなしなのですけれども、それでもう一つ伺いたいのは、同じこの年金のうちの、またいまのように高年齢層の人たちが非常に多くなっているために、たとえばこの人が死んだ場合には遺族年金に振りかわるわけなのですが、その場合の遺族がいなくなるという例がだいぶある。これはもちろん私学だけの問題ではなくて、公立共済にもあるように聞いておる。つまり遺族年金をもらう資格が民法とはだいぶ範囲が違うのですね。その組合員の給与によって生活する者という条件がついておって、範囲が非常に狭くなっておる。ところが、私学の場合には高年齢者層が非常に大きくなって、たとえば子という段階は、もう六十五歳をこえているとほとんど独立の生計を営んでおるとか、六十五歳をこえれば妻がないとは言い切れませんが、配偶者がいなくなるという場合も多くなる。そういう形で遺族年金の受給資格者がなくなるという問題も、これも組合員側から言えば相当不安な問題だということが提起をされている。したがって、これは先ほど申し上げましたように、公立共済のほうにも、あるいは国会公済のほうにも同じ条件に受給者の資格が決定をされていると思いますが、こういう問題については検討をしたことがあるのですか。
  80. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 先生御指摘のように、遺族という範囲ですけれども、確かに民法上一般に言っている遺族ないしは相続人と共済制度上の範囲は異なっております。特に共済新法改正以降、この遺族年金の遺族の意味が、組合員が生計を維持していた者、いる者という考え方に立っておりまして、一種の社会保障制度的な考え方から遺族年金の遺族という範囲を考えておりまして、民法上の親族としての相続人ないしは遺族という考え方とちょっと違っております点は、これは制度の上から出ている点でやむを得ないのじゃないかと思っております。ただ、旧法時代と新法時代と若干その内容が異なってきておりますし、新法に至りまして組合員が生計を維持していた者ということで、かなり社会保障制度的な考え方を厳格にいたしてきておるために、従前よりも範囲が狭まってきていることは事実でございます。これは私学共済一つだけの問題ではございませんで、共済制度全体の問題でございますが、御指摘のように、私学共済には先ほど申したように高年齢層の方が非常に多数おられるという実態をわれわれも十分考えておりますので、御指摘の点を十分考えて、今後、私学共済の改善すべき幾多の課題のうちの一つとして私たちも十分検討したい、こう考えております。
  81. 鈴木力

    鈴木力君 いまの社会保障制度という立場から受給者の範囲を狭めた、そういう形になっているわけですが、実はこの年金制度ができますときに、これは公立の場合なんですが、恩給法から年金法に変えましたときに、いろいろと財源や負担率や、それらで議論をしたことがあるはずなんです。その年金制度に変えるというときに、ある面から言うと、保険係数というのが基礎になって掛け金率や何か全部出したわけですね。決して社会保障が基礎になったのではなかったのです。そういう形で、ある面では社会保障的に考えていき、ある面では基礎になるものが保険係数でもって考えているというところに掛け捨てになるという不満が出てきたり、あるいは事実上は掛け捨てだというような、そういうこぼされている層が出てきているわけですね。そういう面の御検討をお願いしたいということを重ねてこれは申し上げておきたいと思います。  それで、時間の都合もありますので、実はもう少し運用面について伺いたいのですけれども、一応切りまして、衆議院修正をされました要点についてこれから若干お伺いしたいと思います。  主として改正点のうちのお伺いいたしたいのは、三十五条の二項の点です。「第三十五条第一項第一号中「百分の十五」を「百分の十六」に改め、同条第二項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。」、その「次の一項」なんですが、「国は、前項に規定するもののほか、財源調整のため必要があるときは、予算の範囲内において、これに要する費用の一部を補助することができる。」、こういうふうに修正をなさっておられるおけでございますが、これを私がちょっと読んでみてもどうもよくわからないので、修正の御意図を伺いたいと思います。まず、「前項に規定するもののほか、」とありますから、前項のほうはおそらく長期のほうを意味しているわけでありますね。それで国の補助額が百分の十五が百分の十六になった。それ以外に、「財源調整のため必要があるときは、」とありますけれども、この「財源調整」というのは何を指すのか、どういうことを具体的に言っているのかということが一つであります。それから「財源調整のため必要があるときは、」ということ、「必要があるときは、」とつけられたこの御意図をひとつ伺いたいと思います。
  82. 谷川和穗

    衆議院議員(谷川和穗君) この修正によりまして、大きく考えて三点あると考えております。まず第一点は、長期給付に関する給付内容改善、それから二点が短期給付に関する改善、それからその他と、この三つがあるように思うのでございます。短期給付の場合には、たとえば医療費、あるいは法改正その他による給付内容改善、こういうようなものがございましたときには、短期給付事業の収支が極端に悪化することも考えられるかもしれない。あるいは長期給付の問題につきましては、主として整理財源の問題になるかと思いまするが、ベースアップ等によってそれに要する費用をすべて掛け金収入においてのみカバーをするということになれば、著しく組合員の負担の過重になることもあり得るのではなかろうかと、そういうことを考え合わせて、第一項の規定に基づく国庫補助金以外であっても、組合の事業について財源調整の必要が生じた場合には、これを国が一部補助することができると、こういうふうにすべきであると、この考えであります。  それから、さらにいま御指摘がございませんでしたが、この「予算の範囲内において、」という問題にからんでまいりますけれども、これは逆に、予算措置のみによって、国がそれに要する費用の一部を補助できるんだと、こういうふうに衆議院の側としては了解をいたしておることをつけ加えさしていただきたいと思います。この二項の規定は、したがいまして、特別のケースを考えておるわけではございませんが、そもそもこの私学共済の趣旨が私学振興に資するという社会保障の制度を確立するというばかりでなく、私学振興に資するという組合設立の趣旨からしても、ただいま申し上げましたような事態が起こったときに、組合設立の趣旨からして、妥当を欠くような場合が起こってはならないと、こういう考慮から特にこの二項の項目を入れる必要がある、かように衆議院委員会におきましては考えた次第でございます。
  83. 鈴木力

    鈴木力君 そういたしますと、この財源調整というのは、財源ということばと調整ということばが二つ入っているわけなんですが、その財源ということばをこう解釈してもよろしいわけですか。いまの御説明によりますと、整理資源が一つですね。   〔理事北畠教真君退席、委員長着席〕 それからもう一つは短期給付、つまり、あるいは福祉も入るかもしれないですが、長期以外のこの私立共済の事業の財源、そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  84. 谷川和穗

    衆議院議員(谷川和穗君) この修正案は、先般御説明を申し上げましたように、三派共同の修正案でございますが、その三派の間で話し合いをいたしましたときには、私の記憶が間違いなければ、この第二項はすなおに読めば、ただいま御指摘のとおりに組合事業をそのまますべて含むというふうに理解をいたしております。
  85. 鈴木力

    鈴木力君 ちょっと具体的に、私学共済がこの二項が生きて将来非常に助かったということをはっきりするためにお伺いをもう少ししたいのですが、すべてを含むということになりますと、財源調整、その調整ということばがもう少しすなおに、財源の規定するもののほか、この私立共済事業を行なうために財源が不足する場合には、足りない場合にはというふうにいけば、もう少しわかるのですけれども、財源の調整ということになりますと、何かまだあるような気がするわけです。それから「必要があるときは、」、どうせ予算の範囲内においてという先ほどお伺いしたような意味がついているわけですから、そうしますと、この「必要があるときは、」というのを特につけ加えるという意味はどういうことなんですか、その辺を少し詳しく伺いたい。
  86. 谷川和穗

    衆議院議員(谷川和穗君) まずそのあとの「必要があるときは、」のほうから御説明をさしていただきたいと存じますが、先ほど申し上げましたように、私学共済組合の設立の趣旨は、もちろん社会保障制度の中には、この私学の先生方を保護していきたい、この点が一点あると思います。しかし、さらに積極的な意味合いを持っておる私学振興という性格もあるものだ、こういうふうに思うわけでございます。この私学振興の問題点から取り上げて、考えた場合には、先ほど申し上げましたように、たとえば短期給付事業の場合には、端的に医療費が動いただけで、これはもうこの事業に大きな変化が出てくるわけでございますし、長期給付の場合には、財源の問題はベースアップその他が動けば動くわけでございます。それをことごとく組合員の負担にまかせていいかどうか。したがって、そうは言い切れない問題があるだろうということから、私学振興という大きな柱から見た場合に、組合の事業がはなはだしく困難におちいるような、つまりそういうような私学振興に資するという組合設立の趣旨からして、妥当を欠くような事態が起こった場合には、これは必要である場合、その場合には三十五条の第一項にかかわらずこの二項で予算措置ができる、こういうふうに理解をいたしております。  それから最初の御質問で、財源調整の点でございますが、この問題に関しましては、実は今回のこの修正案は、衆議院におきましては、農林水産委員会においてもやはり同じ趣旨が共済制度の論議の中で起こっておりますが、修正案が出てくるまで文教委員会では審議をすることを控えておりました。農林水産委員会から出てまいりました修正案の中には、用語といたしましては、この用語と同じものが出てくるわけでございます。われわれ文教委員会の側からいたしますと、農林水産委員会においての論議と文教委員会においての論議は、たとえば整理資源その他が必ずしも同じような条件のもとにあるとは思っておりませんが、しかしながら、農林水産委員会において、まずこうした修正が三派の間で決定をいたしました。その趣旨並びに精神を尊重いたしまして、文教委員会でも同じ用語を使っておるわけでございます。そのように御了解をいただきたいと思います。
  87. 鈴木力

    鈴木力君 どうもくどいようで恐縮ですけれども、もう一ぺんだけ聞かしてください。そうしますと、まあ農林年金との関係でということはわかりました。大体この整理資源とそれから短期給付、その他福祉事業、その他の事業運営をしていく場合に、「必要があるときは、予算の範囲内において、」費用の一部を補助することができる、こういうふうに解釈してよろしゅうございますね。
  88. 谷川和穗

    衆議院議員(谷川和穗君) ただいまの御質問に対しましては、私は的確にお答えする資格を持っておるものでございませんが、私どもが少なくとも論議をしておる間に理解をいたしました「必要があるときは、」と申し上げますのは、先ほど申し上げさせていただきましたように、私学共済の組合設立の趣旨において、著しく妥当性を欠くような場合が起こった場合には、これは何かの修正をしなければならない必要があるときだ、こういうふうに理解をいたしております。
  89. 鈴木力

    鈴木力君 ちょっと文部省に伺いますが、この衆議院修正した点だけに限ってお伺いいたしますと、いま御説明を伺いましたように、私学共済が著しくその目的達成するのに困る状態になった場合、これが「必要があるときは、」ということになりますと、どうもこの範囲が狭くなるような気もするのですが、文部省は、これは議院が修正したのですから、文部省の意図はと聞くのはおかしいのですけれども、この修正をどう解釈をなすっているのか、ちょっと伺いたいのです。
  90. 天城勲

    政府委員(天城勲君) これは衆議院の院の修正でございますので、修正者の意図が中心であると思いますが、私たちの了解いたしますところで御返事いたしたいと思いますが、第一項で補助率が十六ということが出ておりまして、その二項としていまの問題が出ておりますので、両方とも国の財源補助規定でございます。そうしますと、両方合わせて考えてみるわけでございまして、第一項のほうは、十六ということを明定いたしております以上は、社会保障制度に対する国の責任と申しますか、それを明定しているのだというふうに了解いたしておるわけでございまして、それとの関連で後段を見てまいりますと、その責任、十六と明定した責任以外になお必要があるときというふうになるのじゃないかと思っております。十六というもののきめ方でございますが、一応、私学共済に対して国の補助責任の限界として、十六が現在妥当であるという明定でありますれば、それ以外に必要なときということは、やはり組合の本旨に照らしてということになりますし、そうなりますと、社会保障制度であると同時に私学振興という二つの性格を持っておりますから、具体的に申し上げますと、いろいろな、先ほど谷川先生もお触れになっておりました医療費の急激な上昇とか、あるいはそれに伴って給付の収支が悪化した場合とか、そういうようなことを考えますと、結局たてまえでいくと、組合給付で解決する、法人ないしは組合員の負担率の増高という形になってくる、それが非常に過重になってまいりますれば、やはり私学振興、あるいは組合設置の趣旨から妥当を欠くと谷川先生のおっしゃった点に当たるのじゃないか、そういうような点を予想して言っておられるのじゃないか、こういうふうに了解しております。  それから、「財源調整」の「調整」という文字につきましても、端的に財源といわないで「調整」ということばがついておるという点でございますが、これもやはり組合の負担ということが組合経理においては原則としてあるわけでございまして、それの限界あるいは過重になるというような判断の上から、全体の財源を調整するという観点からという意味じゃないか、ただ足りないからすぐという意味ではなくて、そこに「調整」という文字が入ったのじゃないかと私は理解しておるわけでございます。
  91. 鈴木力

    鈴木力君 谷川先生に、くどくて恐縮ですが、もう一つだけ伺いますが、具体的に、ここの修正の意図は短期も含んでいると解釈してよろしゅうございますね。
  92. 谷川和穗

    衆議院議員(谷川和穗君) 私どもはさように解釈をいたしております。
  93. 鈴木力

    鈴木力君 それでは、時間がだいぶ私にきょう予定されましたのを過ぎましたので、このあと共済全体の運用なり、それから経営なり、あるいはまた、その間に文部省と共済自体との関係なりをお伺いしようと思いますけれども、きょうは時間がございませんので、きょうの私の質問はこれで終わっておきまして、あと、この次の機会に質問したいと思います。
  94. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) ほかに御発言がなければ、本法案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。     ―――――――――――――
  95. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 高等学校定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案議題といたします。  本法案につきましては、すでに提案理由説明聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。  なお、発議者秋山長造君及び政府側より中村文部大臣、齋藤初中局長が出席いたしております。
  96. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 ただいま議題となりました定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案について若干の質疑を行ないたいと思います。  まず、先般、中央教育審議会から、後期中等教育の拡充とその多様化の傾向について中間報告がなされておりました。私は、この傾向はおおむね正しいと思いますので、今後、文部省においてこれが推進をしていただきたいと思いますが、文部大臣はいかにこれをお考えになっていらっしゃいますか。
  97. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 後期中等教育の多様化の問題につきましては、確かに審議会の出されました考え方は時代に即したものと思いますので、その方向に従いまして、具体化については研究をいたしたいと思います。
  98. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 そこで、後期中等教育の積類としていろいろございますが、その一つの中に、一番大きい比率を占めているのが全日制の高等学校でございます。それから、いまここに議題となっております定時制通信教育、さらに各種学校、企業内訓練等がございまして、そのほかにも未就学の青年たちがあると思いますが、そこで、これは秋山委員にお尋ねいたしたいのですが、おわかりでしたら教えていただきたいのですが、その後期中等教育に、義務教育を終わって就学しておる者、あるいはさらに未就学の者もあると思いますが、その分布図のようなものがおわかりでしたらお示しいただきたいと思います。
  99. 秋山長造

    秋山長造君 これは全日制、それから定時制全部の……。
  100. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 はい、各種学校も。
  101. 秋山長造

    秋山長造君 手元に持っておりませんので、文部当局のほうから答弁していただきたいと思います。
  102. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 昭和四十年度において、若干推定数が入っておりまするけれども、十五歳から十七歳までのいわゆる後期中等教育に該当する期間をその年齢に限って見ますと、総数といたしまして七百十三万四千人、総数でございますが、そのうちの六三・八%が全日制高校でございまして、五・八%が定時制高校、それからその他経営伝習農場、あるいは事業内訓練等はいずれも〇・一とか、〇・八とか、少ない数字でございまして、その他のもので多いのが各種学校でございまして、これは五・五%になっております。それから青年学級が一・一%でございまして、通信制高等学校が〇・四%、最後に何らかの意味教育訓練を受けていないものが二一・二%という分布図に相なろうかと思います。これはしかし若干の推定が入っておることを御了承願いたいと思います。
  103. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 定時制通信教育の後期中等教育における位置でございますが、この中で、最近、定時制通信教育の伸びが私悪いように思うのですが、五カ年間の統計でもありましたらお示しいただきたいのでございますが。
  104. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 定時制の昼夜間、あるいは昼夜間両方やっておるものを合わせた数字で申し上げますと、四十年度が五十一万二千強、それから三十九年度が四十七万九千強、それから三十八年度が四十五万九千、三十七年度が四十四万七千、三十六年度が四十六万四千、端数をいずれも省略いたします。これは比率としては減少しておりまするけれども、御承知のように三十八年度からはいわゆるベビーブームの時代でございますので、絶対数はさようなことになっております。  それから通信制につきましては、これは四十年度が十二万三千強でございまして、三十九年度が十万八千、三十八年度が九万五千、三十七年度が七万九千、三十六年度が七万二千でございまして、これは絶対数におきましても、また傾向といたしましても非常に最近通信制の教育というものが振興してまいりまして、三十一年度の指数を一〇〇といたしますならば、十年後の四十年度は二五〇という指数に相なっておりますから、これはかなり伸びておるということでございます。
  105. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 いまお示しいただいた定時制の生徒数の中で夜間と昼間があると思いますので、その内訳がおわかりでしたらお教えいただきたいのですが。
  106. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 四十年度の数字で申しますと、昼間が公、私立を合わせまして九万八千四百十人、それから夜間が、これも公、私立を合わせまして四十万六千四百三十四人、それから昼夜間生が七千四百三十一人でございます。合計いたしまして、先ほども申しましたように五十一万二千二百余人、こういうふうになっております。
  107. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 いまお示しになった数字を拝見いたしますと、大体この定時制の教育は数においては若干の伸びがございますけれども、これはいまお話しのとおり高校急増の期間でございまして、むしろ比率としては減少しておるという状況でございますので、この定時制がむしろ減ってきたというようなことは、何か私は一つ根本的な原因があると思うのですが、秋山委員はこれをどういうふうに把握していらっしゃいますか。
  108. 秋山長造

    秋山長造君 それはいろいろな事情があると思うのですけれども、やはり根本の事情としては、国全体としてこの勤労青少年教育というものに対する理解あるいは認識というものが、まあ口では一応いわれるけれども実質的にまだまだ不十分ではないかということがまず根本としてあると思います。したがって、その根本の認識が不十分だといことから具体的なものとして出てくるのは、どうも全日制の高等学校に対して定時制の高等学校というものの評価が自他ともにこう低い。したがって、それに対して従事する者、さらにまたそこに学ぶ者いずれも、どういいますか、熱意というか、自尊心というか、そういうものに少し不十分な点がある。それからもう一つは、いまのやっぱり数字をもってみても端的におわかりのように、夜間の高等学校生というものが圧倒的に多いわけですね。したがって、夜間に行っている者というのは昼間大部分がどこかにつとめているわけですね。そうしますと、やっぱり今日のこの経済事情、求人難なり人手不足というようなこととも関連をして、どうも昼さんざん働いて夜また勉強に行くということにいろんな障害が起こってくる。そういうことから長続きしないというような事情があるのではなかろうかというように思っております。その他いろいろあるでしょうけれども、大体このおもだったところ何点か申し上げると、そういうことだと思います。
  109. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 私、一つはこういうふうにも考えるのですが、端的に言いますと、就職のときに全日制と定時制を差別しておりますので、たとえば定時制に入った者は大企業では試験さえも受けさせないというようなことで定時制に対する魅力がないと思います。これはいま秋山委員お話しのとおり理解が足らないせいもあろうかと思いますが、私はもう少しこの面、文部大臣が積極的にひとつ就職の面で差別のないように御指導していただきたいと思いますが、何か具体的におやりになっておる点ありますか。
  110. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) まことにごもっともでございます。私どももいろいろな企業者関係の集会等で、そういう趣旨を実は要望をいたしておるような次第でございますが、私、就任より前に、あるいは文部省として何か方法をとっておるかどうか、その点は詳しく存じません。
  111. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 私はせめて試験ぐらいは平等に受けさしていいのじゃないかと思うのでね。ところが大企業あたり見ておりますと、定時制なるがゆえに門前払いをしておるというのは、私はあまり酷ではなかろうかと思いますので、今後この点は文部大臣におかれましても積極的に御指導願いたいと思います。  それからこれは秋山委員にお尋ねしたいのですが、雇用主の無理解という点もございますけれども、定時制に行けないのは、私思いますのに、むしろ大企業よりは中小企業のほうが多いのじゃないかと思うのですが、最近はなかなか人手不足なために、できるだけ定時制に通わせるとか、あるいは通信教育にやるというようなことで実は採用しておる面も相当出ておると思うのですが、一番困っておる中小企業にこういう義務を課して、はたして実現可能なのでしょうか、この点どういうふうにお考えですか。
  112. 秋山長造

    秋山長造君 これは最初提案をしたときから今度で三回目ですが、そのつど、そういうことがいつも問題になるのですが、だけれども、外国の例なんか見ますと、こういう義務を課する反面、何か特別融資とか、何かそういうことを考えておるというような国もあるようですけれども、日本もできればそこまで徹底してやってもらいたいと思うのですけれども、しかし、少なくとも第一段として、この程度のいわば訓示的な規定ですけれども、現行法には国なり、それから地方公共団体なりの義務だけをうたっておりますけれども、一番肝心の、特に夜間の高校生なんかの場合、学校のほうの受け入れ態勢のほうも大事ですけれども、送り出すほうの態勢が、雇い主に気がねをしたり何かして、どうも思うようなスムーズに学校に行けないというような事情があることは事実です。ただ、中小企業者のほうには、いろいろそう一方的なことばかりいわれても困るという面もあるでしょうけれども、ただ、教育面から見ると、中小企業であろうと大企業であろうと、使用者の理解、協力、応援というものがぜひ必要で、せめてその程度のことは国なり公共団体任務と並んで、ひとつ一本入れておきたいと、こういう気持ちのあらわれでございます。
  113. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 たいへんごもっともだと思いますけれども、私はできれば雇用主が、たとえば一人やった場合、所得税から、あるいは法人税から損金に算入して差し引くとか、何かもう少し奨励的な方法を講じられたほうがいいのではないかというふうに考えますが、秋山委員はどういうふうにお考えですか。
  114. 秋山長造

    秋山長造君 それはもうぜひそこまでやりたいことは、これはもう当然のことですけれども、ただ、税金の面ということになると、また税法のほうまで手を伸ばして並行的に改正をしていかなければならない。これはなかなか技術的に私のいまの力ですぐ間に合うことではないから、とりあえず教育面だけのことを出しておいて、そして税金面のことは、こういうことは大体文部省自身がおやりになることですが、おやりにならぬからこっちがお手伝いしているのですから、せめて税金ぐらいの裏づけは大臣のほうでひとつ考えていただきたいと思っているのですけれども、大臣のほうの御意向もひとつこの際伺っておいていただきたいと思います。
  115. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 文部大臣、いまの問題いかがですか。
  116. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 勤労青少年が働きつつ学ぶための就学奨励ということにつきましては、御承知のように、今回、中間答申を出されました中教審におきましても、一つの課題として述べられているのでございまして、その審議の際に、いまおっしゃったように、これは中小企業等に一方的に経済的負担をかけるということでもまた実情に合わない。それから、これは就学奨励ということを考える具体策としては、その企業に対して何らかの措置をとるというのも一つだろうし、あるいは直接今度は無給休暇ということで、これは本人に就学奨励の道を与えるということも検討の課題なので、そういうことであわせて今後検討したらどうかということが一つの課題となっているわけでございます。
  117. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 その問題はひとつ今後よろしくお願いいたします。  第二番目に、この法案によりますと、実習助手手当をもらってないのがございますが、この手当をもらってない人はどういう範囲か、範囲とその人員、今後これに手当を出すとすれば、予算的にどのくらいの経費がかかるか、秋山委員おわかりでしたら。
  118. 秋山長造

    秋山長造君 実習助手が現在、これは三十九年の基本調査ですが、千百十五人いるわけです。千百十五人の中で、御承知のように、政令で、定時制通信教育手当対象となる実習助手の制限を設けておりますが、高校卒業については三年間の実績とか、中学校卒業については六年間の実績という制限を設けておりますが、結局もらっているのはその千百十五人のうち半数で、五百五十七人という計算でやっているわけです。それで、本俸を、去年の、四十年八月の人事院勧告によるベースアップを含めた平均の金額を出しますと、二十九万七千八百五十二円になるわけです。それを七%の、国庫補助が三分の一で、五百五十七人ですから、それで計算いたしますと四百五十六万円少々ぐらいになるわけです。
  119. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 実習助手に対して制限を設けた一つ理由として、高等学校の場合に、実習助手なのか事務職員なのか判別つかないような層がございますので、おそらくそういう意味から制限を設けたと思います。一面お話のように、不合理な点もあるわけでございますが、との改正案によりますと、今度は事務職員とは差別しないで、事務職員にも手当を出す、こういう趣旨でございますが、産振手当の場合に、事務職員にも出すとすれば、どれだけの数と、それから予算、この点おわかりでしたらお知らせいただきたいと思います。
  120. 秋山長造

    秋山長造君 これも、さっきの三十九年の学校基本調査を資料にしているのですが、事務職員が全部で千九百七十一人、それから事務職員以外のその他の職員が千七百九十七人、両方合わせて三千七百六十八人、その事務職員事務職員以外の職員とは多少俸給の額が違いますけれども、それのそれぞれに百分の七を掛け、さらにその三分の一が国庫補助ですから、その三分の一を掛け、さらに、人数としましては、この三千七百六十八人は昼間のそれから夜間のと両方ですから、そのうち生徒比率からしますと、昼間と夜間と大体一対四になっておりますから、だから夜間をやはり同じような比率ではじき出しますと、大体三千七百六十八人の五分の四ということになります。その数字でずっと乗じますと、二千四百五十万円という数字が出る。だから夜間の事務職員その他の職員に七%の手当をつけるということになると、二千四百五十万円という、たいした額ではないのであります。
  121. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 いまのお話伺いまして、昼間の事務職員にもこれは適用になると思うのですが、そうなりますと、他の公立学校あるいは国立の昼間の事務職員との均衡はどういうふうにお考えになっておりますか。
  122. 秋山長造

    秋山長造君 いや、これはそうじゃない。事務職員は夜間だけ。それは昼間までつけたいところですけれども、そう広げても自民党さんのほうでのんでいただけるかどうかわからぬので、第一段として夜間だけに遠慮をしてつけるわけです。
  123. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 よくわかりました。そこで、今度は夜間の問題ですが、夜間には、このほかにそれじゃまた五千円の夜間手当が出るわけですか。
  124. 秋山長造

    秋山長造君 そのとおりなんです。これは夜間の事務職員にはいままでついてなかった定通手当をつけ、さらにその上五千円一挙につけるわけですから、相当大幅につくことになるのですけれども、これはたまたまそういうことになったので、本来から、順序からいいますと、夜間の事務職員との七%の手当というのはもっと早く一般職員の定通手当をつけるときにやはりつけておくべきだったのです。それがいままで不幸にしてついてなかったものですから、たまたまここで夜間の事務職員についてだけダブるような形になるのですけれども、その点は、そういう順序が、本来はいま申し上げたような順序になっておるべきであったのになってなかったために、こういうことにたまたまなってくるわけなんで、そういう事情があるということもひとつ御了解願いたい。
  125. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 わかりました。そこで、月額五千円の手当の五千円の理論的根拠はどういうことなんですか。
  126. 秋山長造

    秋山長造君 精密な科学的の理論的な根拠はありません。ありませんが、ただ、提案理由にも言うておりますように、夜間の職員というのは、大体、昼間に比べて、本人にとっても家族にとっても、肉体的にも精神的にも苦労が非常に大きいということと、それから帰宅が毎晩おそいし、食事もどうしても四回食べるようなことに事実上なるわけですね。だから、今日の食費だとか、いろいろそういうことを勘案して、そうして月五千円ぐらいがいいところじゃないかという計算から出ているので、これに対する科学的な精密な根拠ということは別に申し上げるようなことはないわけです。
  127. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 実はこの定通手当でございますが、本来は、いまお話しのように、夜間でたいへんやっかいなおつとめでございますので、七%の手当がついたと私は記憶しておるのですが、本来、この昼間のことはそのときにあまり実は問題にされずに通ってしまったので、定通手当そのものが夜間が中心だったわけなんです。そういたしますと、実は夜間手当が足りないから手当の率をふやすというなら私は一つの考えかと思うけれども、その上にまた五千円というこぶをつけるのは一体いかがなものでしょうか。
  128. 秋山長造

    秋山長造君 これは、定通手当というのは読んで字のごとく、夜間だけでなしに、昼間、夜間を通じての定時制通信手当として一般的につけるという性格を持っておるのですね、元来。それから夜間の五千円というのは、これは昼間とは全然別個の理由で、夜間の教職員並びに事務職員につけるということですから、昼間の職員にも適用している七%というのを率を上げるということとは多少問題が違うように思いますので、あえてこういう形を考えたわけです。
  129. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 私、夜間のほうは賛成なんですけれども、実は昼間の場合、他の職にも同じようなことがあるわけなので、あまり昼間のほうを優遇しますと、ほかのほうに波及するわけなので、そうすると、この点、私どうかと思うのです。それから一律五千円という点は、これは一体いいんでしょうか。それとも率のほうでやったほうがいいのか、秋山委員どういうふうにお考えですか。
  130. 秋山長造

    秋山長造君 いや、昼間は他の職にもとおっしゃるけれども、だからこれは昼間につけるわけじゃない。昼間の教職員に七%の手当がつくということは、これは前から現行法できまっておるのですから。それで、いま言うているのは、夜間のことだけ言うておる。そうでしょう、夜間のことだけいま言っておる。
  131. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 事務職員が入っておるわけでしょう。
  132. 秋山長造

    秋山長造君 事務職員は夜間の事務職員、昼間のは言っていない。昼間の事務職員はつかぬのですよ。夜間のことだけ言っておる。だから、夜間の事務職員についてだけは、昼間と違って教職員と同じような七%の手当をつけるということと、まあそれで一応あるべきところまで来たわけです。その上に、さらに今度は夜間だけに教職員とそれから事務職員とに通じて、含めて五千円の手当をさらに夜間手当としてプラスしようと、こういう考え方です。だから、昼間の事務職員にはつけるわけじゃないのですよ。それは現行法でもつかぬことになっておるし、今度の改正案でもつけることにはしていない。それはつけるに越したことはないのです。つけぬでもいいと私は思うわけではないけれども、しかし、そうそう幾らでも広げていくということは、実際問題として限度があることですから、いまおっしゃるとおり。昼間のほうにはつけることにしていない、夜間だけです。
  133. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 そこで、それならば、いまお話を承りまして、夜間の場合には、一食よけい食事をしなければならぬというような事情もあるということですから、この場合に、五千円というものを一律にやるほうがいいのか、あるいは夜間の場合には定通手当の七%の率をまあ一五%にするとか、別の方法も私あろうかと思うのですが、これは一律五千円にしなければならぬ理由は特別おありなんでしょうか。
  134. 秋山長造

    秋山長造君 これは率を上げるということも一つの方法ですが、まあ私としては、率は七%ということは昼も夜も通じて定時制通信教育に携わるすべての教職員、それからさらに今度の改正で夜間の事務職員というものにつけるということに一応したわけですからね。普遍的なものですよ、この定時制通信教育というものについてのね。それから、それとはまた別個なたてまえで、その中でも夜間には、また定時制通信教育の中でも夜間という特別な事情があるために、その夜間の特別な事情ということにかんがみて、さらにその上に別な手当を上積みをしていこうと、こういう考え方で五千円という金額を出したわけです。その一律に五千円出すのが適当かどうかということになると、あるいは教職員事務職員、あるいは実習助手、さらに小使さんなんかの用務員、あるいはその他の職員、こういう人たちで、じゃあ差別をするかと、こういうことになってきますからね。大体本俸に相当差別があるわけですからね。だから五千円ぐらいの夜間の特別な手当ぐらい――またそれに五千円とか、四千円とか、三千円とかいう差別を設けなくても、どうせそうたいした金額でもないわけですから、それは同じような苦労をしているわけですから、ひとつこの際は同じ額のものをみんなに平等に支給するということのほうが、ほんとうに夜間高校の教育を発展さしていくということのためにプラスになるのじゃないかというように考えたわけであります。
  135. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 よくわかりましたが、実は夜間の場合に実費弁償のようなものはいま出しておるわけですね、お弁当とか何か。そこで、いまお話のように一律五千円というような給与体系がほかのほうの職種にありますかどうか、他の職種にあればひとつ教えていただきたいと思うのです。
  136. 秋山長造

    秋山長造君 その点はあまり広く調べておりませんけれども、むしろ政府のほうへ聞いていただいたほうがいいのじゃないかと思います。
  137. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 一律五千円という給与体系というのは、そういうものが私はいまの人事院の給与体系の中には非常に少ないのじゃないかと思いますが、こういう例がほかにあるかどうかお聞きしたいと思います。
  138. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 手当というものの制度で定率とするか定額とするかという考え方の問題でございますが、私もすべてについては存じませんが、定額というのは日宿手当のようなやや実費弁償的な性格のものであって、職務自体にからむものにつきましては、職務給与的なものは何か俸給にスライドするというようなものが多いように承知しております。全部は存じませんが。
  139. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 時間がございませんのでもう質問を終わりますが、いま秋山委員、定時制通信教育手当はわかるのですけれども、夜間手当を出すことになりますと、他の、たとえば大学の夜間部、そういうものとの均衡はどういうふうにお考えですか。
  140. 秋山長造

    秋山長造君 そこまで精密に均衡を考えたわけじゃありませんけれども、しかし、この定時制教育、特に定時制夜間教育の重要性、また後期中等教育の重要性ということにかんがみて、まあこれくらいのことはやらなければ足踏み状態のこの定時制教育、特に夜間高等学校教育というものに活を入れることは言うべくしてできぬのじゃないかということを考え、そうして、この際ぜひこの夜間高校だけでもこの程度のことはひとつ国のほうでもぜひふんばってもらいたい。これが一つの足がかりになって、今度は夜間大学なんかのほうもこの定時制高校との均衡上、夜間大学のほうにもこれに準じた手当をつけるべきじゃないか、こうなってきますから、やはりこれが一つの足がかりになって他にも押し及ぼされていくということになれば、全般の水準が前進していくのじゃないかというように考えるので、マイナスの面の均衡ばかり考えると消極的になりますから、今度は積極的にプラス面の均衡を考えていったほうがいいのじゃないかというふうに私は思っておるのであります。
  141. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 これで終わりますが、その予算面、いまお話のように事務職員が新たに入り、あるいは夜間手当等が入りますと、総額で相当な額にのぼると思いますが、これはこの案によりますと、四十一年四月一日からの施行になっておりますが、すでに予算は成立しておりますし、予算をどういうふうにお考えなんですか、その予算の額とその処理の方法について。
  142. 秋山長造

    秋山長造君 これは四月一日じゃない、提案したときがもう四月になってからですから。だから五月一日ということで提案をしたのですが、その五月一日も済んだわけですから、いずれこれを通していただくときには施行日をまた修正をして通していただかなければならぬ。いずれにしても五億円足らずなものです。政府には六百何十億円という予備費もお持ちのようですし、それから、それでどうしても五億円の金が出せぬということなら、秋にはまた補正予算もお組みになる機会がおありでしょう、いずれにしても五億円足らずの金です。それでいまの沈滞している後期中等教育に相当気合いが入るということになりますれば、これは決して惜しい金ではないと思っております。いずれにしても私が出すわけじゃありませんから、政府に出していただかなければならぬので、文部大臣によくお考えをいただいて、ぜひひとつ予備費か何かからくめんしていただきたい。
  143. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 他に御発言がなければ、本法案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
  144. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 速記をとめてください。
  145. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  146. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 速記を始めて。     ―――――――――――――
  147. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 教育文化及び学術に関する調査中、特殊教育に関する件を議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。  なお、政府側より中村文部大臣、齋藤初中局長が出席いたしております。
  148. 秋山長造

    秋山長造君 引き続いて今度お尋ねいたしますが、この前、野溝さんの特殊教育の問題についてのお尋ねのときに、私ちょっとそれに関連をしまして、養護学校の問題について、一言、初中局長にお尋ねをしたんですが、その続きでこの際もうちょっと確かめておきたいと思いますので、ごく簡単に御質問いたします。  そのときに保留になっておった御答弁で、養護学校の教材費の単価が盲学校聾学校と比べて非常に低いのはなぜかということを御質問したのに対して、後刻調べてから答弁するというお話だったんですが、それがおわかりでしたら。
  149. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) いま御質問のありました盲聾、養護学校の教材費の負担の単価について申し上げますと、盲学校につきましては四十一年度三千九百九十円、聾学校につきましては三千六百三十円、養護学校につきましては肢体不自由児の関係が二千二百四十円、精薄が千四百五十円、非常に格差があって、これはどういう理由であるかという御質問であるわけです。この点につきましては、実は盲聾学校関係の特有の教材といたしまして、盲人用の実習用具、あるいはいろいろな特殊な黒板でありますとか、あるいは聾学校につきましては聴力補聴の器材でありますとか、音声教育用の器材、あるいは感覚訓練の器材というように、わりあいにこの盲聾のほうは伝統がございまして、同じ基準というか、教材を想定するにいたしましても、かなり積み上げの実績がございますが、養護学校のほうは、盲聾教育に比しますれば、まああとから出ていま非常に進展をしつつあるという状況等がございまして、実はこの教材費を算定いたします過去のときに、当時、養護学校等に比べられるべき治療用の諸教材というものの範囲が、この盲聾学校に比しまして数も少なかったし、それから、新しい施設設備というものも勘定に入れなかったりというような実情の実態調査に基づきまして、実は所要の単価を算出したような経緯があるわけでございます。ただ、いま御指摘ございましたように、それではこういうような差があっていいかということを現時点でもう一度考えてみますならば、私はやはり養護学校の教材につきましても、教育の充実等、時代の進展に伴いまして、まだ相当整備しなければならないものがあって、盲聾等の教育の実態に落ちついていかなければならないということは、これは肢体不自由児につきましても、精薄につきましても、虚弱教育につきましてもあると思いまするので、この点は私どもももう一度この基準の取り方等につきまして検討いたしまして、この向上をはかっていくように努力いたしたいと、かように考えております。
  150. 秋山長造

    秋山長造君 もうおっしゃるとおり、内容については大体同じようなことをやっておりながら、盲聾と養護学校とでこういうような大きい隔たりができているということは、やっぱり伝統的な事情ということがあるんだろうと思うんです。で、盲聾はもうずっと昔からやっておって、一つの型のようなものができて、まあ起動に乗っているわけですね。養護学校のほうはまだほんとうにここ数年来の実績しかないわけで、こういう点が、まだ軌道に乗り切ってないというようなところから、こういうことになっているんだと思いますが、しかし、今日の時点でいいますれば、この養護学校、あるいは特殊学級等における教育というものが非常に大きな比重を占めてきておるし、また、社会的な関心も非常に高くなってきているわけですから、いつまでもこのままでよろしいということにはならぬと思うので、ひとつぜひ文部省のほうでも至急に再検討をされて、そして、何も盲聾学校とせり合う必要はないんですけれども、盲聾学校の単価ももっと引き上げて充実していけばいいわけですけれども、少なくとも盲聾と肩を並べて、養護学校のほうも、教材費の単価――これはたとえばの話です。一つの例ですけれども、単価の引き上げということをぜひ至急に考慮さるべきじゃないかというように考えておりますが、その点についてもう一度文部当局の御意向を確かめておきたいと思います。
  151. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 比較的おくれております養護学校関係教育を充実いたしますために、また、教育の方法等の新しいものの導入に伴いまして、所要の器材等を整備する必要がありますので、御指摘の点については検討をし、充実に努力してまいりたいと思います。
  152. 秋山長造

    秋山長造君 それから、この点もこの前ちょっとはお尋ねしたんですけれども、十分に徹底してお尋ねできなかったのでもう一度お尋ねしますが、いま宙ぶらりんに身分がなっている機能訓練士の身分のことですね、法律上の位置づけ。これは別に法律改正とか何とかということでなくても、文部省令でやれることじゃないかと思うんですが、この前はいま検討中だというような御答弁だったと思うのですが、もうこれは検討とか何とかでなくて、省令でやれることだし、機能訓練士の身分上の位置づけということは即時やれることじゃないかというようにも思うんです。この肢体不自由児の教育については、機能訓練士の役割りというものは非常に大きいんだそうですね。その方面の人の話を聞くと、非常に大きい役割りをしておるそうですが、にもかかわらず、免許状がはっきりしていない、身分がはっきりしていないために、調整額の八%というようなものをもらえぬ。まあ銭金じゃ必ずしもありませんけれども、この調整額の八%の手当がもらえぬということは、とりもなおさず、機能訓練士の地位が非常に低いということに通ずるわけです、これは。その点で、これを早急に処理される御意向があるかどうか。
  153. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 肢体不自由児関係学校につきまして、すでに教科の面では、保健体育、それから機能訓練というふうに合わせた特別の教科を設定しておりまするので、これに伴いまして、この教科の資格を定めて、そして現在、実習助手あるいは養護教諭という形で機能訓練を実施しておられます方々の地位を、学校教育の中ではっきりさせるという必要はございます。ただ、省令でできます限度は、一つ高等部関係につきましては現行制度がそうなっておるんでございます。ですから、その点につきましては私はさっそくでも担当の局と折衝をいたしまして、現行制度でできるものからすみやかに実施されるように努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  154. 秋山長造

    秋山長造君 それからもう一点ですが、この前のお話で、養護学校教職員についての八%の調整額ということに対して、一般学校の特殊学級の教諭の手当が四%で、これを八%に、養護学校並みに引き上げたかったが、それができなかった、さらに次の機会にその努力をしたいというようなお話があったわけですね。これはぜひ次の機会にはおやりになってもらいたいと思います。  それからもう一つ僻地教育振興ということで、文部大臣、文部省大いに奮発されまして、去年から僻地学校教職員については、僻地教育手当のほかに三年に一回の特別昇給をすることに踏み切られたわけです。これはまあ十分だとは言えぬまでも、とにかく現状よりは数歩前進で非常にいいことをやってくださったと思っているのですが、まあ僻地教育と比べるわけじゃないのですけれども、この養護学校なんかのような特殊教育に携わっておる教職員についても、やはり似たような趣旨でこういう特別昇給の制度ぐらはやはりお考えになるべきじゃないか、なかなか盲学校でも聾学校でもみな同じことですが、こういう特殊教育の分野に飛び込んでいくというのは、やはりただ単なる銭金とか何とかいうことではいけるものではない。やはり相当何か使命感でも持って相当な犠牲を覚悟の上で飛び込んでいくわけだし、また、それでなければ長続きもせぬだろうと思いますので、何かそういう篤志に報いる意味においても、また反面こういう特殊教育にてこ入れをする意味においても、僻地教員についておやりになったと同じような特別昇給の制度ぐらいお考えになるべきじゃないかと思うのですが、その御意向はありませんか。
  155. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) ご質問の御趣旨はよくわかりました。ただ給与上の問題についてお答えするまでには相当研究いたさなければならないこと等もございますが、よく私としても検討してみたいと存じます。
  156. 秋山長造

    秋山長造君 まあこういう問題は、むしろ大臣の政策的な御決断ということのほうがむしろ大事かとも思うのですが、文部大臣の御意向いかがでしょうか。
  157. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 僻地につきましては、御承知のような特別昇給の道を開いておるわけでありますが、こういう特殊教育については、そういう方法で使命感に徹するような人が集まっていただくようにするのがいいのか、あるいは職務手当の方法がいいのか、これらの問題は相当研究に値する問題であると思いますから、今後そういうにらみ合いの上に立って検討をして改善に努力をしたいと思います。
  158. 秋山長造

    秋山長造君 それからもう一つ。いまの小中学校なんかについては、ある程度それでも法律の根拠法もできまして、こうやってこうだんだんわずかずつでも前進しておるわけですが、高等学校設置ということについては、こういう今日のような時代ですから、やはり高等学校まで設置していきたいという要望が非常に強いのではないかと思うのですがね。ところが、その高等学校ということになると、義務教育でないために府県が独自でやらなければならぬ状態なのですね。で、こういう学校ですから、普通の高等学校の場合よりもだいぶ費用なんかもかかるらしいので、地方財政の苦しいのと両方でなかなかやりたくても高等学校までは踏み切れないというような状態のようですが、さっきも後期中等教育の問題が出ましたが、やはり今日のようになると、高等学校といっても事実上義務教育化しているようなときでもありますし、特にこういう特殊教育等、これは特殊な分野ですから、高校の設置なんかについても、何か文部省のほうで小中学校並みに補助をしていくというような方法をお考えになれないものだろうかと思うのですが、いかがですか。
  159. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 実はいろいろな振興策の上で、この高等学校段階を考えます場合に、御承知のように就学奨励等につきましては、普通の人には高等学校段階でやらない、しかし、高等部については措置をしているというようなこともいたしております。いま御指摘のありました各県にできるだけ養護学校の分野を積極的に設置してもらう、どこもくまなくやってもらうというつもりで、本年度は肢体不自由児の関係をまずやろうということで、財源の措置は全県に対して出したようなわけでございます。まず小中に設置していただいて、順次、高等部のほうに伸ばしていただくということをいたしたいと思いますので、よくその方向で検討してまいりたいと思います。
  160. 秋山長造

    秋山長造君 最後にちょっと参考にわかったら教えていただきたいと思いますのですが、いまの肢体不自由児、精薄児、まあいろいろな者をひっくるめて心身障害児、これが一体全国でどのくらい実数があるのかということ、これはこの前、野溝さんの質問のときに厚生省の課長から、あるいは厚生大臣でしたか、何か数字が出ておりましたけれども、どうも私どもそれぞれ調査の時期か基準か何かで違うのかどうか、厚生省のおっしゃること、文部省のおっしゃること、何かみなそれぞれ数が違うような気がするのですよね。まあよその調査のことはいいですから、文部当局としてどういう数字を持っておられるのかということをちょっと念のために聞かせておいていただきたいと思うのです。それで、その総数が幾らということと、そのうち養護学校とか、特殊学級、あるいは盲聾学校、こういうしかるべき教育施設に収容されているのがどのくらいで、未収容で放置されているのがどれくらいいるか、将来それをどういうふうに取り扱っていく計画かというようなことまで、御答弁できればちょっと答弁していただきたい。
  161. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) これは数字的把握が、この前も厚生省から実態調査の済んでいる分もあるし、済まぬ分もあるというお話もございましたが、そのとき、あるいはその方法によりまして非常に違うわけでございます。文部省が一応長期計画の前提として考えている数字というものは、過去にその出現率というものを、サンプルでありますけれども、調査いたしまして、それをそれぞれの年次の児童生徒数の総数にかけてみるということを一つの仮定の作業としてやっております。これが、各特殊教育対象になるべき心身障害児童生徒の数が四十年度五月一日の総数に比較してみますと九十六万人、これは非常に軽いのから特殊学級に入る者までそういう推定がなされるわけであります。ところが、この特殊教育を受けている者の数というものはその時点で十一万二千人であります。で、この数字をもって実は就学率を一二%というふうに押さえるという見方もあるのでございますが、実はこれは正確でないので、一面から言えば、それでは未就学になっているかといいますと、この就学の猶予免除の今度は人数とその事由というものを調べますと、これはそういう多い数字ではない。そうしますと、この出現率というものが、これはやはり一種の仮定の作業でございますから、それ自体に問題があるのかという点が一点、それからもう一つは、純然たる未就学でなくて、その特殊教育を受けるのが適当な児童生徒一般教育の中に相当数まじっておるというのが多いと考えるのか、それからもう一つはもっと徹底的に考えたならば、これらの数字に乗ってこないで、その放置されておるという、どこもかかってこないという方々があるのかどうかというような点が問題になるわけであります。私どもといたしましては、この推定数というものは非常に膨大なようでございまするけれども、とにかくいま非常に特殊学級等は前進する時期でございますから、そういう数字をひとつ仮定の数字で置いて、そして市町村段階に展開してみたらどういうことになりますか、それを昭和三十九年からの十カ年計画で、毎年どのくらいの学級を入れていったらいいかというようなことをいたしております。しかし、この数字は、先ほど申しましたように、到達すべき数の正確性としては、先ほど申しましたように不正確でございますが、まだ初年次のわりあいに若い時代の段階でございますから、そこまで詰めなくても、いまのベースでやっていって、これは数字が小さくなりましても計画は膨大になるどころか、まだ歩み方としてはもっと速度を早める必要があるというふうに考えておる次第でございます。それから区分でございますが、肢体不自由児の養護学校なり、それから小中学校の肢体不自由の関係の特殊学級に入れるべきものと想定されます出現率が〇・三四%、そうすると、その数がこれが四十年五月一日の数字をとってみますならば、五万四千人で、そして、これが実際に入ってるものは約一万であるというような数字、したがいまして、この出現率をもとにいたしますれば、肢体不自由者の就学率は一七・六%だという数字があるわけでございますが、これらの数字は、いずれも先ほど申しましたようなかなり仮定の要素が入っておって、これを現状をどう判断すべきかということについてはなお検討してまいりたいと存じます。
  162. 秋山長造

    秋山長造君 いま出現率と言ったのは……。
  163. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 子供が産まれました場合に、心身の障害のある者がどの程度出てくるであろうかということをサンプルにいたしまして、それを出現率と、こう言っているわけです。
  164. 秋山長造

    秋山長造君 とにかくこの分野はこれは教育の分野として新しい分野で、現在軌道に乗りつつあるというところだと思う。まだなすべきことがあまりにも多いし、また問題もこれは際限なく、こまかいことを言うと幾らでもあるわけですけれども、そういうことをこれ以上申し上げませんが、いずれにしても、最近のこの一般の啓蒙も徹底してまいりましたし、それからまた、文部大臣御自身も、就任早々からこの特殊教育振興ということを大きく掲げて努力をしておられるわけで、関係各方面とも非常に期待をかけておる分野でもあるわけですから、ひとつ、いま端的に何点かお聞きしましたけれども、そういうことも含めてひとつこの教育の画期的な前進のために一そうがんばっていただきたいと思います。文部大臣のもし何か御答弁がありましたら承りたいと思います。
  165. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 先ほどのお話、それからそのほかにも特殊教育については問題点が非常、に多いわけであります。それから、これだけ教育全体が伸展してきたのに比較しては非常に手おくれをしているというふうに私どもは考えておりますので、今後十分意を用い努力してまいりたいと思います。
  166. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 他に御発言もなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。     ―――――――――――――
  167. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 教育文化及び学術に関する調査中、学術雑誌郵送料に関する件を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。  なお、政府側より、中村文部大臣、杉江大学学術局長が出席いたしております。
  168. 小林武

    小林武君 郵便料金が値上げになったとき、学術雑誌に対する特別な扱いについて政府は特例の選別といいますか、学術雑誌として特別の扱いを受けることについて選別をすることを各学会に申し出るようにということをやったそうですが、これはどういうことですか。
  169. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 従来は、学術雑誌については第五種で扱われておったわけでありますが、それを今度は立て方を全面的に変えますので、これをほうっておくと非常に不利な扱いになる。そこで学術雑誌については特別な扱いをすべきだという意見もあり、郵政省でもその点を考えられておられたのでありますけれども、私どもとしても、その点はぜひひとつ特別な扱いをしてもらいたいと、こういうことでお願いして、新しく第四種の中に学術雑誌という特別のワクを設けまして、その取り扱いを特に別にしているわけでございます。基本的には百グラムまで十円という非常に安い料金で扱っていただくようになったわけでございます。そういう特別なワクでございますから、その扱いをしていただくためには、学術雑誌という範疇に入る、それに相当するものだという認定をどこかでする必要が出てまいるわけでございます。
  170. 小林武

    小林武君 その点はよくわかりました。そこで、学術雑誌でございますけれども、これはやはりかなりいろいろな配慮がされなければならないと思いますが、私の聞いたところでは、自然科学の分野は学会の統合といいますか、そういうものがよく進んでいるために、雑誌について大体そういうものを選別することはかなり合理的にいっているようでありますが、そうでないものがある。それで、特にそういう合理的にいかないというか、なかなか選別できない分野がありまして、そのためにやはりいろいろな不合理なことが起こっている。一つ例をあげますと、たとえばここに考古学会の雑誌がある。それから史学会の雑誌がある。考古学界では日本考古学会の「考古学雑誌」、それから日本考古学協会、そこの学術誌、これは選ばれたもの。選ばれなかったのは、岡山、東京に根拠を置く考古学研究会の「考古学研究」、それから大阪、京都からは古代学研究会の「古代学」、それから上代文化研究会の国学院大学の「上代文化」、それから東京考古学会の明治大学の考古学集刊」、これは考古学会で選ばれなかった。史学雑誌でいえばかなり古い歴史を持っている東大の史学会の「史学雑誌」が選ばれておりますけれども、早稲田大学の早稲田史学会の「史観」、慶応の三田史学会の「史学」、国学院の「国学院雑誌」、この種のものは除外された。これについては考慮を要するのではないかと思うのですよ。この種のものは学会の経済力というのはきわめて弱いわけです。で、これらのものの中には、われわれのような者でも大体目につくような古い歴史を持ったものがあるわけです。このごろ出ておる学問的な価値なんかを云々されるようなものではない。これらのものまで落とされるということになるとたいへんであるというふうに私は考える。そとで、再考の余地がないのかどうかということですね。これはどうでしょうか。何かこの点では学術会議なんかでもたいへんこれは困ったということであるらしいのですが、私は再考の余地があると思うので、この際思い切って特別扱いのほうに踏み切られたほうがいいのではないか。ほかの雑誌と違って、もうかる仕事じゃないわけですから、いかがなものでしょうか。
  171. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 学術雑誌であるかどうかは最終的には郵政省の決定するところでありますが、私どもの立場においては、もちろんこれを学術雑誌としての実態を持っているものは極力適用させるようにすることが適当である、こういう立場で今後とも努力したいと考えております。まだ実は具体的にこの範囲を学術雑誌として扱うという決定はなされていないわけであります。それは今後の議題になっております。ただ、日本学術会議で一応あげられたものがあるわけであります。それは大体まあ学協会として十分社会的評価を受けておる、また全国的な規模のものとかというような制約を考えて、かなりきびしく設定されたものであります。で、一時はかなり厳選しなければこの特別な取り扱いを受けるということはむずかしいという状況判断もあって、そのような考え方で一応リスト・アップされたものと私は考えております。しかし、その日本学術会議が一応あげられたこの範囲にまだ限定されたわけではございません。その点は今後とも私どもなるべく広めるような努力をしてまいりたい、こう考えております。
  172. 小林武

    小林武君 その点は配慮があってよかったと思うのですけれども、やはり非常に学会の間にいろんな雑誌があるということになると、少し整理してはどうかというような考え方が出るということも多少理解できないわけでもないのですが、先ほどから申したように、やはりここに私が読み上げたようなのは、大体学者でなくても一応そのことに関心を持った者の間では、かねがねやはり相当見ているものですから、特に早稲田とか、慶応とか、それから国学院とか、明治とかいうものは、それぞれ考古学では私学でも特色のあるものなんです。それらのものがのけられるということはどうかと思うのですが、そこでまあ一例をそこへあげたわけでありますけれども、学術雑誌については、ひとついまの局長のお話のようにいろいろ配慮いただいて、学術発展に関してはやはり相当の思い切ったワクを広げるというふうにやっていただきたいと希望いたしておきます。  これは大体いつごろまでにきまるわけですか。
  173. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 詳細なことは私まだ承知いたしておりませんけれども、郵政省の方も、今後の実施にあたってはよく連絡をとりながら当たっていきたいということを言っておりますので、今後できるだけ早く連絡いたしまして、ただいまのような方向での努力をいたしたいと考えております。
  174. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  175. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 速記を始めて。  他に御発言がなければ、学術雑誌郵送料に関する本日の質疑はこの程度にいたします。
  176. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 教育文化及び学術に関する調査中、青蓮院に関する件を議題といたします。     ―――――――――――――  質疑のある方は順次御発言を願います。  なお、政府側より中村文部大臣、村山文化財保護委員会事務局長が出席いたしております。
  177. 小林武

    小林武君 だいぶお疲れの御様子でございますから、なるたけしぼって質問をいたしますので、お答えのほうもひとつあまり詳しくなくともいいから、きちんと御答弁いただきたいと思います。  一つは、この青蓮院の問題は経過的にどういうことになっておるのですか。何かこれは東伏見門跡が知っておるとか、了承しておるとかしてないとか、永井という事務長が独断でやったとか、いろいろなことがあるのですよ。それから、それについて寺のそのほかの重要文化財についても、あるいはその他の文化財についても何かずさんな管理のしかたをしておる。これが一つです。その経過をお知らせいただきたい。  それから正直に申し上げて、これはもう新聞なんかでも書かれましたがね。いささか文化財保護委員会のものの言い方も少し責任のがれのようなところがあるのです。どうも青蓮院は札つきであるというようなことを言ってみたり。そうしますと、札つきであるあれを一体どういうふうに扱ってきたのかという問題が一つあるわけです。さらには、まあその青蓮院の問題ではすでに前からそのことを知っていながら保護委員会では手を打っていなかったという、こういう朝日新聞の記事もある、こうなりますというと、私はまあいささか反省するところもなければならぬと思うのであります。法の不備とか何とかおっしゃるけれども、私に言わせれば法もさることながら、運営上やはり相当やれるものがあるのじゃないかということが一つです。それから担当の課長さんのお話で、五億あれば――いまは一億だと、予算は。このいゆわる古美術のこの点について、問題の対象になったものについては、五億あれば大体変なところに売られて行くえがわからなくなるというようなことがない、国で買い上げられるのだということだが、この点については一体どうなのか。そうだとすれば、一体その五億という予算の要求はいままでどうして通らなかったのか。文化財がみすみすなくなるということがわかっていて、そうして一体どうしてやらなかったかということ、それが一つです。それからもう一つは、この間に重大な問題は、やはりブローカー、古美術商の介在ということだと思うのです。これはもう容易ならぬことだと思うのです。一番、文化財保護委員会の強敵だと私は思う。その人たちの介在を――いい人もいるんだと思うんだが、悪質なと言ったらいいか、文化財保護委員会の仕事の裏をくぐるようなこういう人たちに対して、一体どういうような手だてを講ずるか。罰則もあればいろいろ文化保護法もあるわけです。それに基づいてどうするか、今後どうするのか。また、きびしい態度で青蓮院の問題を契機にやろうとするのか。  それと、私は古美術商の問題とひとつ関連して、かつて私が取り上げましたパカードの問題、どうしてパカードを文化財保護委員会は野放しにしておくかということですよ。北魏の金銅仏を持ち出して所有したということは明らかだ。そうしてその間において、あなたたちの関係者の間でだましたり、すかしたりしてパカードをどうしたなんということを言っているやつもほかの記録には残っているということになれば、パカードをどうするか、どうしたらいいか。私はそういうものについてやっぱりき然たる態度をとらないというと、説をなす人は、文化財保護委員会の中に、パカードに一体あれだけのことをやられて、何らこれを摘発したり問題の究明をやったりするところのことができないような何か関係があるのかということさえ勘ぐる人がある。私もそう思うのです。そういうふうにちゅうちょ逡巡しているということはどういうことか。たとえば、私はあなた、事務局長の答弁だったと思うが、こういうことを言われている。例のこのアズキの相場で失敗したお手の問題について関係がございますと、こう言っている。こういう答弁をしている。そうするなら、あのお寺も一体美術品を持ち出した、それに関係しているといったようなことになったらなおさらですよ。こういう点については、私ははっきりしないというと、国内の問題もさることながら、国外に持ち出される問題もたいへんなんですから、問題の解決は私はできないように思うんですけれども、そういう点についてこれは一々聞いて、一々何だかんだのやりとりをやれば、これはたいへんな時間になりますから、時間の経済上、どうぞいままでの点について、これは簡単でいいですから、ひとつ要点だけをきちんきちんとお答えいただきたい。
  178. 村山松雄

    政府委員(村山松雄君) まず、青蓮院の国宝、重文の問題でありますが、いわゆる青蓮院の事件というのは、刑法事件が二件、それと、それらに関連して文化保護法に基づく届け出義務違反というような手続違反が関連してからまり合った数件の問題がございます。最初に、今回世間に出る発端になりましたのは、青蓮院の所有の重要文化財の大手鑑というものがございますが、これが詐欺横領事件の証拠品として本年の四月に東京の上野署にとめ置かれたということから明るみに出たわけであります。この事件は、事件が起こりましたときには、大手鑑は大阪の人の所有になっておりまして、これを京都の美術商が売却を頼まれて東京へ持って来た。東京へ持って来たところが、また美術商二人がそれを売ってやるということで預かって、そのまま行くえをくらました。で、京都の美術商が上野署に訴え出ましてさがしておったところ、質屋に入質したのが発見され、同時に二人がつかまったと、こういう事件であります。こういうことからいたしまして、青蓮院はほかにも国宝や重要文化財等が散逸しているんではないかということが問題になりました。で、文化財保護委員会では、実は数年前からそういうことは承知しておったわけであります。承知した動機は、買い取った側から届け出があって承知したわけであります。ところが、買い取りの届け出には、売り渡し側の正規の譲渡書がついておりませんと、手続として完結しませんので、売り渡し側も手続をするようにということを買い取り側並びに青蓮院にも京都府の教育委員会を通じて連絡いたしましたところが、青蓮院側が言を左右にして所定の手続をしない。その間において係官を派遣しましたけれども、寺を預かっておる執事は、自分が関知したことではないというようなことから調査に応じなかった、かような経緯であります。  もう一つの刑事事件は、これは昭和三十七年七月に起こった事件でございまして、青蓮院にあります重要文化財の浜松図のふすま絵、これは未指定の部分を含む数枚からなるふすま絵でございますが、そのうちの重要文化財の分一枚と未指定の分二枚を切り取って観光客が持ち去ったということになっておりますが、そこで、これは窃盗並びにに重要文化財損壊というような刑法違反並びに文化保護法違反、複合犯であります。所轄の松原署において捜査いたしましたが、手がかりがつかめず、犯人もあがらず今日に至っております。  そこで、今回の一連の事件を契機といたしまして、京都府の文化財保護委員会並びに文化財保護委員事務局が協力いたしまして、青蓮院の国宝重文の所在の確認につとめる一方、上野署並びに松原署は、刑事事件として別途捜査を継続しておる、こういう状況であります。いままでわかりましたところでは、青蓮院の蔵も実地に調査いたしまして、寺には二点だけ残っておるようであります。その他は外部に出ておるようでありまして、博物館に預かっておるものを除きますと、大体個人あるいはお寺の美術館などに渡っております。最終の末端のほうでは、売買行為としてはもちろん合法的にやったようでありますが、文化保護法による所有者の移動の手続はなされないままに今日に至っております。  この問題の処置でありますが、刑事事件は別といたしまして、文化保護法としては、売買それ自体は悪ではないわけですから、一つには多少事後になりますけれども、所有権移転に関する手続をするのが一つの方法でありますし、それから青蓮院側では、実はあれは寺が窮乏して散逸したのですけれども、買い戻すつもりであると言っております。買い戻されれば、もちろん文化財保護委員会としては、けっこうでございますが、買い戻す具体的プランが現段階ではないようであります。これが事件の概要でありまして、まだ最終的に解明されない部分もあり、未解決の事件になろうかと思います。  それから第二段の、こういう問題を起こさないための基本的な問題でありますが、私どもは法が不備だとは必ずしも思いませんけれども、何と申しましても、私有財産権を基礎として文化保護法に基づく指定物件について一定の公用負担を課するという文化保護法として、究極的には所有権のほうが優先して、文化保護法違反は罰則でこれを追いかけるということになるわけでありまして、その点不徹底の点がございますし、それから実態調査にしましても、指定物件の件数が多くて、それからまたこれが一面において社寺の寺宝であったり、個人の秘蔵品であったりする関係がございまして調査が行き届かない面があります。かような法的な面、それから調査し、これを適正に管理するという運営面についても、今回の事件を契機に一そう管理の適正化につとめたいと考えておる次第であります。  その一つの方法として、これは結局個人ないし社手が持っておるところに問題があるので、国が買い上げて保存すべきではないかという議論があります。これに対して国の買い上げ費が一億円できわめて不十分ではないかという識者の指摘がございます。この点に関しましては、この国の買い上げ費というのは、文化保護法では、元来、所有者が基本的に管理するたてまえでありまして、売買それ自体がむしろ例外的というとらえ方でありますし、それからまた売買に際して国がこれを買い上げるというのは、何も売りに出た国宝、重文を極力買い上げるというような方針がとられたわけじゃなくて、売りに出された国宝、重文の中で、特に類似品も少なく、その時代を代表するようなものであって、国が買い上げて保存するのが適当であるものについて買い上げるというような例外的措置の財源として一億円用意しておるわけでありまして、従来の経過にかんがみますと、買い取りの申し出は必ずしも非常に多数にのぼるということではございませんので、最近の実績も、一億円に対してこれに数倍するというような買い取りの申し出ではなかったのでございます。大体二億円をこす程度の買い取り申し出はございますが、その中では必ずしも買い取る必要がないものもありますし、多少不足でありますが、まあまあやっておったのであります。そこで、担当課長としては、せめて五億円でもあれば、かなりこの問題が解決できるのではないかという考えで、おそらく新聞記者等にそういう話をしたのだと思います。問題は、従来の買い上げのたてまえが例外的な場合に対する財源でありますので、もしこれを国がかなり積極的に買い上げるという態度を示した場合に、はたして五億円で足りるかどうかについてはかなり問題があろうかと思います。私どもとしては、この買い上げ費の増額は、今後これを契機といたしまして、できるだけふやしたいと思いますけれども、一体どれだけふやしたらば需要に応ぜられるかということにつきましては、なかなかむずかしい問題がございます。従来はどちらかといえば買い取り申し出の実績などを参考として要求しておったわけでありまして、要求自体が必ずしも思い切った金額ではなかったのでありまして、今後はひとつ考え方を新たにしまして、増額をはかりたいとは思いますけれども、直ちに飛躍的な増額がはかれるか、また一体適正買い上げ費はどうかというような点については、かなり研究すべき問題があろうかと思います。  それから次に、こういう問題に関連して美術商が明朗ならざる動きをするという問題でございます。それは率直に申しまして、御指摘のような事実はないとは申せませんし、青蓮院事件につきましても、お寺から現在の所有者、管理者が所持するに至ります間には数人の手を経ておるようでございます。ただ、文化財保講法としては、先ほども申し上げましたように、所有権を基礎として所定の手続を課しておる。で、手続違反について事後追及するというようなたてまえになっておりますので、古美術商取り締まりというふうな角度でこれを規制することはなかなかむずかしい問題がございます。しかし、これもひとつ研究課題として管理適正化の観点から検討いたしたいと思います。  それから最後のパカードという名前をあげてどうするかという問題でありますが、北魏金銅仏の事件におきましては、警察の調べによりましても、パカードが国外にこれを持ち出したという確証はなかったのでありますし、それから京都の九品寺の場合ですと、これはたしか指定以前の行為にかかる問題でありまして、文化保護法違反として追及するには若干要件が欠ける問題もありましたし、売買行為それ自体としては、警察の調べでは、パカードが九品手の仏像を所有するに至った経緯は合法的であるという判定を受けまして、一たんはパカードに返されたというふうな経緯もございます。そういう意味合いにおきまして、パカード氏を文化保護法の観点からこれを何か規制するというような手順が発見できないでおるのが現状でございます。
  179. 小林武

    小林武君 まああなたの答弁を聞いていると、大体この種の問題が尽きないということがよくわかると私は思いました。たとえば、いま五億円の問題でもそうなんですね。一体、適正な額、これを五億円の金で国が買い取るといったところで、何でもかんでも皆買い取るということは不可能、そんなことは常識で考えてもよくわかることです。したがって、国が一体やれるところのものはどのくらいにしたらいいのか、それは文化財保護委員会でそういうことの研究をやるべきなんです。この問題が起こったのは、きょうこのごろの話ではない。青蓮院の事件がいま起こったというのならば、私はこれはこれから大いに言うことになるけれども、あなたの答弁の中で言われているように、だいぶ以前からわかっておると、こういうことなんです。文化保護法が出てから相当の年数がたっているのに、いまだにそういう問題ではっきりしないというのはおかしいですよ。それがはたしていい手なのかどうかというようなことをあなたがおっしゃるのは、ちょっとこれはおかしいと思いますよ。たとえばあなたの課長の言われた五億というのは、これはほらを吹いたかどうかわからぬけれども、私はほらじゃないと思う。直接そういう問題にぶつかって非常に苦労しているから、そういうことを言ったのだと思う。大体そんなに当たらない話じゃないと思う。だから、そういうことについて検討して、やはりここらでははっきりしたことをおっしゃらなければいかぬですよ。五億円と言うが、一体どのくらいで大体やれるのかということをおっしゃらなければだめですよ。しかし、その予算が通るか通らぬかということはこれまたあるわけですから、あなたのほうで何ぼ要求したって、大蔵省がそっぽを向いたらどうにもならぬということはわれわれもよく知っておる。しかし、そういうことは関係者ばかりでなく、その他の文化財を愛する人たちによって、皆が努力すればその目的に達しないこともないと私は思うのですよ。あなたのようなことを言っておったら、大体うまくいきようが私はないと思う。だから、そういう態度でなしに、きょうはそのことを議論する気持ちはございませんから、ひとつ検討して、はっきりしたどのくらいのものというあれをお立てください。  それからもう一つ、パカードとか、古美術商の問題ですね。これはもちろん、そうですね、合法的といっても、法の適用ができないものもあるだろう。だから、したがって、私は直ちにそれをどうしようということではない。しかし、文化保護法の立場として、古美術商の中に非常に悪質なやり方をやっている者には、いろいろな手が私は打てると思うのですよ。今度の問題でもそうでしょう。一つのものが売られるという過程で、どういうやり方をやっているか。もう明らかに前科を持っているというような人のところに紹介をして、それがまた今度外国人をひとつ仲間に入れてやっているというようなやり方をしているでしょう。だから、まともなことをまともに売り買いするというふうな態度ではないですよ。だから、詐欺事件も起こるようなあぶない橋を渡らなければ、こういうものの売買はできないような仕組みになっているのかもしれない。こういうことに対してもっと検討して、そうしてやはり対策というものを立てなければいけないと思うのです。それからパカードについてあなたはそうおっしゃるけれども、パカードについてはかなり詳しく言ったから、ぼくはいまここでは言いません。しかし、これはあなたと私の間の問題ではおさまりません。もう一ぺんパカード問題をやりましょう。パカードをあなたのほうで白と言い切る自信がどこにあるか。警察がとうとう追い詰められなかったというのなら話はわかる。その際の預かり証というような問題はどうなのか。そういうことについてはあなた何も言わないで、いまのようなことを言うと誤解される。だから、この問題については、いずれあなたともう一ぺん質疑をやりたいと思うから、あなたもひとつ白だという確証の上に立った御答弁をそのときにお願いしたいと思う。  文部大臣に私は申し上げたいんですけれども、これは衆議院でもとかく議論になったんじゃないかと思うけれども、同じような問題でやっぱり後手、後手と文化財保護委員会が動いているように思うんです。だから、やはり私はそれは、この間も西洋美術館の問題で、絵というものに対し、それが投資の対象であるかどうかということについては、西洋美術館の嘉門さんは投資の対象ではないというようなことを、非常にこれは美術家、評論家としての立場から強調なさったけれども、何ぼ言ってみたところでこれは投資の対象になっているんです。その証拠に日本の古美術も投資の対象としてちゃんと売られて歩いているんです。だから、そういうきれいごとでなしに、やはり投資の対象としてそういうものも持ち出されることもあるだろうし、国内で売買されることもある。これは単に買う者が全部愛好家だと思ったら間違いだ。そういう点で相当のこれはしっかりした対策をお立てになる必要があるのではないかと思いますので、文部大臣としてはひとつ、これは委員会行政でありますから、おのずから限界はおありだろうと思いますけれども、文部大臣の立場でひとつ適当な御措置を講ぜられることを希望申し上げる次第です。
  180. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 確かにいまでも政府としては重要文化財以上の文化財を所有しておる者が他に売却等の処分をしたい場合には、まずもって文化財保護委員会に買い取りの申し込みをしなきゃならぬことになっておるわけですから、これを励行さしていくのには確かに現在の一億円の予算では不十分だと思います。問題は、ただ実績が、いままで聞いてみますと、それではたくさん申し込みがあるかというと、やっぱり申し込みはいままでそう殺到してきてないというところに予算化の事務当局としては困難性があるわけです。まあ今度の青蓮院のような場合で、何か執事のような人たちが、管理者が不当に処分をしようという場合には、これはどうしても正規の申請をしていたのじゃ正規のルートに乗ってしまうものですからやらなかったのじゃないかと思うのですが、もう少しやっぱり文化財、重要文化財についての一般認識を高めて、こういう制度がある以上は、よほどの困難があっても正規のそういう制度のとおりに、処分せなければならない事情があって処分するものは、まず文化財保護委員会に申し入れてもらう。そうして文化財保護委員会は鑑定の組織を持っておりますから適正な鑑定をして、無理にこれをたたきますというと、どうしてもほかへやみに流れますから、適正な価格で引き取れるというような体制を講ずるということが、まあいろいろな理屈や考え方がありますけれども、現実のやり方としてはそれが一番適当なやり方ではないか、こういうふうな点、したがって、申し込みの実績としては、先ほど局長が言われたように、一億円の予算じゃあまりにも現実に沿わないほど申し込みがないわけでありますが、そういう点にはある程度の余裕を持ったやっぱり予算措置というものが必要だと思いますから、こういう点について私ども今後考慮し、また努力してまいりたいと思います。
  181. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 他に御発言がなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四分散会      ―――――・―――――