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1966-05-26 第51回国会 参議院 文教委員会 第16号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十一年五月二十六日(木曜日) 午前十時三十三分開会 ――
―――――――――――
出席者
は左のとおり。
委員長
二木
謙吾
君 理 事 北畠
教真
君 久保 勘一君 委 員 楠 正俊君 近藤 鶴代君 玉置 和郎君
内藤誉三郎
君
中上川アキ
君
中村喜四郎
君 山下 春江君 吉江 勝保君
小野
明君 小林 武君 鈴木 力君
鶴園
哲夫君 柏原 ヤス君 林 塩君
衆議院議員
修正案提出者
川崎
寛治
君
国務大臣
文 部 大 臣
中村
梅吉
君
政府委員
文部政務次官
中野
文門
君
文化財保護委員
会事務局長
村山
松雄
君
事務局側
常任委員会専門
員 渡辺 猛君 ――
―――――――――――
本日の会議に付した案件 ○
国立劇場法案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ――
―――――――――――
二木謙吾
1
○
委員長
(
二木謙吾
君) ただいまより
文教委員会
を開会いたします。
国立劇場法案
を議題といたします。 まず、
文部大臣
から
提案理由
の
説明
を聴取いたします。
中村文部大臣
。
中村梅吉
2
○
国務大臣
(
中村梅吉
君) このたび
政府
から提出いたしました
国立劇場法案
につきまして、
提案
の
趣旨
及び
内容
の
概要
を御
説明
申し上げます。
わが国古来
の
伝統的芸能
は、歴史的にも、
芸術
的にもまことにすぐれた
価値
を有するもので、世界の
芸能史上
において独自の位置を占める貴重な
文化遺産
の
一つ
に数えられるべきものであります。しかしながら、これら
伝統芸能
の
保存
のための諸
条件
は、近時急速に悪化してきておりまして、この貴重な
文化退廃
が
内容
的にも次第に正しい姿を失ないつつあることは、きわめて憂慮すべき事態であります。したがいまして、現段階において
抜本的措置
を講じ、その
保存
と
振興
をはかることは、
文化国家
としての重要な責務であると考えます。
国立劇場
は、右の
趣旨
から、この
伝統的芸能
を
公開
して、
一般国民
の鑑賞に供するとともに、
伝承者
の
養成
、
調査研究等
を総合的に実施する
中心機関
として
設置
するものでありまして、広く
各界
の協力を受けて
具体的構想
を練り、一昨年八月、
東京
都
千代田
区隼町において起工いたしましてから、現在まで順調に
工事
も進捗いたし、本年九月未
完成
を目途に鋭意
建設
を進めております。
国立劇場
の
運営
につきましては、その
業務
の
特殊性
にかんがみまして、
特殊法人国立劇場
を
設立
し、これに国が
建設
した
施設
及び
土地
を出資いたしますとともに、
運営費
についても一部
国庫補助
を行ない、もって、円滑適切な
運営
を期したいと思うのであります。 この
法律案
は、
特殊法人国立劇場設立
の
目的
を定めるとともに、その
資本金
、
組織
、
業務
、財務、会計、
監督等
に関し、所要の
規定
を設けたものであります。すなわち、第一に、
国立劇場
は
法人
といたしますとともに、この
法人
の
資本金
は、
政府
が
施設完成
後すみやかに出資した
財産
の価格の
合計額
に
相当
する
金額
といたしております。なお
政府
は必要があると認めるときは、この
法人
に追加して出資することができることといたしております。 第二に、この
法人
の
業務
についてでありますが、第一は、
劇場施設
を
設置
し、
法人
みずから
伝統芸能
の
公開
を行なうことであります。第二は、その
設置
する
施設
において
伝統芸能
の
伝承者
を
養成
することであります。第三は、
伝統芸能
に関して
調査研究
を行ない、並びに
資料
を
収集
し、及び
利用
に供することであります。第四は、
劇場施設
を
伝統芸能
の
保存
または
振興
を
目的
とする
事業
の
利用
に供することであります。なお、この
法人
は、これらの
業務
を行なうほか、この
法人
の
目的達成
に
支障
のない限り、
劇場施設
を
一般
の
利用
に供することができることといたしております。 第三に、この
法人
の
役員
としては、
会長
一人、
理事長
一人、
理事
五人以内及び監事二人以内を置くこととし、これらの
役員
は
文部大臣
が任命することといたしております。次に、この
法人
には、その
運営
の円滑を期するため、
会長
の
諮問機関
として、
評議員会
を置くこととし、また、
専門
の事項について調査
審議
させるため、
専門委員
を置くことができることといたしました。 第四に、この
法人
は、
文部大臣
の
監督
を受けるのでありますが、この
法律案
に
規定
する
文部大臣
の権限のうち政令で定めるものは、
文化財保護法
の
趣旨
にのっとり、
文化財保護委員会
に行なわせるものといたしました。 第五に、この
法人
の
設立
のための所定の
準備手続
について
規定
いたしております。 以上がこの
法律案
の
提案
の
理由
及び
内容
の
概要
であります。何とぞ十分御
審議
の上、すみやかに御賛成くださるようお願いいたします。
二木謙吾
3
○
委員長
(
二木謙吾
君) 引き続き、
政府委員
より
補足説明
を聴取いたします。
村山文化財保護委員会事務局長
。
村山松雄
4
○
政府委員
(
村山松雄
君) ただいま
文部大臣
から
趣旨説明
のございました
国立劇場法案
につきまして、若干補足して、御
説明
申し上げます。
わが国
には
古来
からすぐれた
無形文化財
が伝承されておりますが、その
保存
の
重要性
にかんがみ、
昭和
二十五年からこれらが
文化財保護
の
対象
とされることになりまして、
昭和
二十九年度には、
重要無形文化財
の
指定制度
が設けられ、伝統的な演劇、音楽、
工芸技術等
の歴史上または
芸術
上
価値
の高い
無形文化財
を指定し、その
伝承者
の
養成
とわざの
公開等
の
保存措置
を講じてまいりました。特に、
雅楽
、能楽、
文楽
、
歌舞伎
、
邦楽
、
邦舞
及び
民俗芸能等
の
伝統芸能
につきましては、
文部大臣
の
提案理由
にありましたように、社会的経済的諸事情の変遷により、これらが
一般
に興行的に成り立ちがたくなっていること等から、
内容
的にも次第に正しい姿を失いつつあるとともに、
伝承者
の不足と
技術水準
の低下もまぬがれがたい状況に立ち至りつつあったのであります。そこで、その
公開
を初めとして、
伝承者
の
養成
、
調査研究
、記録の作成、
資料
の
収集
、
保存
、
展示等
の
事業
を総合的に実施する
施設
としての
国立劇場
の
設置
につきまして、
関係各界
から強く
要望
が出てまいりました。 申すまでもなく諸
外国
においても多くの
国立劇場
が
設置
され、国が
相当
の援助を行なって、当該一
芸能
の
保護
に非常な
努力
を払っているのでありまして、
政府
といたしましても、右の
要望
の
趣旨
にのっとり、
国立劇場
を
設立
し、
わが国伝統芸能
の
保護助成
に
努力
いたすこととなりました。
昭和
三十一年四月に
国立劇場設立準備協議会
が
閣議決定
により設けられ、以後、広く
各界
の
意見
を徴しながら、
国立劇場
の
施設
の
規模
、
敷地
の
選定等
について
審議
検討
してまいりました。
昭和
三十二年六月には、
国立劇場設立促進国会議員連盟
が結成され、
国立劇場
の
設立
について
促進
に当たられ、また、同年七月十日、
衆議院
(しゅうぎいん)
文教委員会
において、
国立劇場
の
早期実現
について決議されました。次いで、三十三年十一月には、現在の
東京
都
千代田
区隼町に
敷地
が
決定
いたしまして、以来、幾多の曲折を経ながら、
建設規模等実施要綱
の
概要
を
決定
し、
建築設計案
の
公募等
を行ない、三十九年八月に、現在
工事
中の
施設
を着工いたしてまいったものであります。なお、この
施設
は本年九月末竣工、十一月開場を一途に
準備
を進めておりますが、この
施設
を適切かつ、円滑に通常させるため、
特殊法人国立劇場
を
設立
することといたしまして、この
法律案
を提出いたした次第でございます。
建物
の
概要
につきましては、
敷地面積
が三万四十七平方メートル、九千八十九坪、
建物延べ面積
が二万六千九百八十八平方メートル、約八千坪で、地上三階、地下二階となっておりまして、
公開施設
として、大
劇場
、千七百四十六席、小
劇場
、六百三十席が設けられ、
伝承者養成施設
のほか、
伝統芸能
に関する
調査研究
を行なうとともに、
資料
の
収集
、
保存
及び
展示等
を行なう諸
施設
がございます。なお、
劇場施設
は
伝統芸能
の上演、
観賞等
にもできるだけふさわしいものとするよう
専門家
の
意見
を徴し、
種々
の改良を加えております。
建設工事費
は
設備費
を含めて総額約三十七億円でございます。
国立劇場
におきましては、
伝統芸能
の正しい姿での
保存
に賞するため、
伝統芸能
を十分な
調査研究
に基づいて自主的に企画制作し、
公演
することを大きな特色としておりまして、この
自主公演
の
範囲
といたしまして、
歌舞伎
、
文楽
、
邦楽
、
邦舞
、
雅楽
及び
民俗芸能等
を
計画
し、さしあたり、
初年度
は大
劇場
百二十三日、小
劇場
七十五日を
公演日数
に当て、残余は
一般
に貸与する予定であります。また、
公演事業
のほか、
伝承者
の
養成
、
調査研究等
をも行ない、これについては今後漸次拡充いたしまして、もって、
伝統芸能
の
公演
の
事業
と相並んで
わが国
の
伝統芸能
の
保存
と
振興
をはかり、
文化
の
向上
に資したいと考えている次第でございます。 なお、
特殊法人国立劇場
の
初年度事業費
は約四億二千万円、これに対し約一億一千万円の
国庫補助
を
予算案
に計上いたしている次第でございます。 以上をもちまして、この
法律案
の
提案理由
の
補足説明
を終わります。
二木謙吾
5
○
委員長
(
二木謙吾
君) この際、本案に対する
衆議院
における
修正点
について、
衆議院議員
川崎寛治
れより
説明
を聴取いたします。
川崎衆議院議員
。
川崎寛治
6
○
衆議院議員
(
川崎寛治
君) ただいま議題なりました
国立劇場法案
に対する
衆議院修正
につきまして、御
説明
申し上げます。 まず、
最初
に
修正部分
について申し上げます。本
修正
は、自由民主党、
日本社会党
及び
民主社会党
の三
党共同提案
にかかるものであります。
国立劇場法案
の一部を次のように
修正
する。 第一条中「
国立劇場
は、」の下に「主として」 を加える。 第十九条第二項中「第一条の
目的
の
達成
に
支障
のない限り、」を削る。ことであります。 本
修正
の
理由
は次のとおりであります。
国立劇場設立計画
の再議に関する従来の経緯、
世代芸能関係者
の切なる
要望
もあり、この際、
伝統芸能
と並んで
伝統芸能
以外の
芸能
の
振興
をはかることは必要であると考えられます。よって、右の
趣旨
を明らかにするため、第一条(
目的
)に「主として」を加え、
業務
に関する第十九条第二項の
規定
中「第一条の
目的
の
達成
に
支障
のない限り、」を測ることとした次第であります。 以上であります。
二木謙吾
7
○
委員長
(
二木謙吾
君) 以上で本
法案
についての
提案理由
の
説明
及び
衆議院
における
修正点
の
説明
は終わりました。 それでは、これより
質疑
に入ります。
質疑
のある方は順次御発言を願います。 なお、
政府側
より
中村文部大臣
、
中野文部政務次官
、
村山文化財保護委員会事務局長
が出席いたしております。
小野明
8
○
小野明
君 この
国立劇場
かできるということは、
日本
にとりましても
芸術文化
の
政策
の上で非常に大きい意表があると思うのであります。したがいまして、この際、
国立劇場法案審議
の冒頭にあたって、
大臣
が
わが国
の
芸術文化政策
について基本的な方針をどのようにお打ちであるのか、その点をまずお伺いいたしたいと思います。
中村梅吉
9
○
国務大臣
(
中村梅吉
君)
わが国
の
伝統芸能
はまことに独特のものであり、まして、
日本民族
としては、この
伝統芸能
を将来とも長く
日本文化
のために
保存
をいたすべきものであると考えておりますが、御本知のように、このまま置きますと、次第に衰微し、あるいは
伝承者
がだんだん欠乏してくるという傾向もありますので、この際、国としてそういう
伝統芸能
を十分に広く
国民
に
認識
を徹底させていくということと、もう
一つ
は、そういう
伝承者
を育成し、できるだけ
わが国古来
のこうした
伝統芸能
を
保存
していく必要があると考えておりますので、今回のこの立法もそうした
趣旨
に基づくものであります。
小野明
10
○
小野明
君
大臣
がいま
お答え
になりましたのは、
伝統芸能
の
保護
、こういった面に限られまして
説明
をいただいたのでありますけれ
ども
、私かお尋ねいたしておりますのは、
国立劇場
というのは単なる
建物
ではないわけですね。やはり一国の
芸術文化政策
の、ある面からいえば
中心
的な存在でなければならない。その国の
舞台芸術
か表現され、集約される、そういったところでなければならぬと思うのであります。そういった面から考えて、いまのところ、この所管といいますか、これは
わが国
では
文化財保護委員会
、こういったところが当たっておるのでありますけれ
ども
、西欧、特に諸
外国
の西ドイツあるいはフランスでは、それぞれ
科学芸術省
、また
文化省
、こういったものが経営にあたっているようであります。こういった
芸術文化
に対する
政策
といいますか、そういった面もあわせてお伺いをしておきたいと思うのです。
中村梅吉
11
○
国務大臣
(
中村梅吉
君) こうした
伝統芸能
の問題も非常に重要でございますが、あわせて
一般
に
芸能
、
文化
の
向上
をはかることは、
近代国家
として最も必要なことであると私
ども
も考えております。したがって、将来そういう点につきましては鋭意
検討
を進め、国として配慮をいたすべきものであると心得ておりますが、ただ、今回の場八口は、いろいろこの
計画
が始まりまして以来、各方面の
意見
を聞きつつ、
設立準備協議会等
で
検討
を続けてこられたわけでありますが、結局、隼町の
土地
が、どうしても
最高裁判所
が一部使用いたしまして、
最高裁判所
をあそこに
建設
をいたしたいというような半特等もありまして、
土地
の
関係
から、
古典芸能
と
近代芸能
と併設するのは困難であるというようなことになりまして、結果的に、さしあたり
古典芸能
、
伝統芸能
についての
施設
をしようということになりましたのが今回の
国立劇場
でございます。したがいまして、将来といたしましては、
近代芸能
についても別途これは考慮すべきものであると考えております。できますことならば
町方兼用
ができれば一番いいのでありますが、こうした
伝統芸能
、
古典芸能
の
施設
と、
近代芸能
の
施設
とは、音響その他、あるいは関連の
施設等
が全く異なっておりますので、
一つ場所
で完全併用することは不可能でございますので、今回の
国立劇場設置
は、御
承知
のとおり
伝統芸能
を
中心
にいたしておりますが、しかし、
近代芸能
についても使用可能な
範囲
については、そこは活用も可能な道は考えてまいりたいと思っております。なお、別途
近代芸能
について、この
芸能
の
振興
をはかる道を講ずべきであるということは私
ども
も全く同感でございます。文部省にも、今年の
設置法改正
によりまして
文化局
が新たに設けられましたから、今後そうした点については
文化局
を
中心
に
研究
をし、
具体化
に
努力
をしてまいりたい、かように考えております。
小野明
12
○
小野明
君 どうもこうお尋ねをしてないところまでみんな
お答え
をされたんでありますけれ
ども
、次に進みたいと思うんですか、
国立劇場設立準備協議会
ですか、これがまあ
大臣
の
お話
の中にありましたように
答申
を出されておるわけですね。これの
メンバー
はどういう
メンバー
であるかを実は知らしてもらいたい。こういう通告をしておったのですが、まだ出ておらぬようです。出ておりますか。
中村梅吉
13
○
国務大臣
(
中村梅吉
君) お配り申し上げました。
小野明
14
○
小野明
君 ああそうですが。それでは、いま
大臣
が、
答申
はもらったんだけど、
土地
その他の
条件
によって
現代芸能
の面は割愛せざるを得なかった、こういうふうに
説明
がありました。もう少し詳しく
国立劇場
の
設立準備協議会
、これがしてきた
作業経過
ですね。そういうものを
お話
しいただきたいと思うのです。
中村梅吉
15
○
国務大臣
(
中村梅吉
君)
村山局長
から。
小野明
16
○
小野明
君
局長
でいいです。
村山松雄
17
○
政府委員
(
村山松雄
君) お手元に
国立劇場
の
設立
の
経過
、
施設
の
概要
、それから
連帯要綱
につきまして
資料
を差し上げてございます。それから
お話
の出ました
国立劇場設立準備協議会
の
委員
の名簿も差し上げてございます。実は
設立準備協議会
のほうは、
経過概要
にもありますように、三十一年の四月に
閣議決定
によって設けられまして、以後、
文化財保護委員会
としては、この
協議会
の御
意見
を
基礎
として
諸般
の仕事を進めてまいったんでありますが、御
承知
のように、先年米、
閣議決定
による
審議会類似
の
組織
はやめるようにという
お話
がございましたので、
国立劇場設立準備協議会
も、中途で、何と申しますか、消滅したような形になっております。しかし、
文化財保護委員会
といたしましては、形人的にはなくなりました後も、
設立準備協議会
の
メンバー
の
方々
にお願いいたしまして、
諸般
の
準備
は進めてまいった次第でございます。 そういうことで、
経過
の
概要
を
資料
によりまして御
説明
申し上げますと、
国立劇場
の
設立
の議は、遠くさかのぼりますと、明治のころからあったようでありますが、今回の
国立劇場
に関しまする限りは、
昭和
二一十年ころから起こった
議論
を
基礎
に進めておるわけであります。
昭和
三十年に、
文化財保証委員会
に
国立劇場
の
設立準備調査
のための
予算
が計上されました。それが初めてで、以後、
諸般
の
準備
を進めた次第でございますが、
文化財保護委員会
に
設立準備
の経費が計上されたということは、今回の
国立劇場
の議案が、
現代芸能
の問題ももちろん含めてはおりますけれ
ども
、
中心
的な
課題
は、まあ
伝統芸能
の
保存
、
振興
にあるのではないかというのを示唆しておるのではないかと、私
ども
は
承知
しておるわけであります。そういう次第で、
文化財保護委員会
に
準備調査費
が計上されまして、三十一年に
国立劇場設立準備協議会
が
閣議決定
で
設立
されました。それから
最初
のうちは、とにかくこの
建物
をつくるのが先決の
課題
であるというような
認識
があったようであります。特に
設立準備協議会
の幹部であった、なくなられた小宮豊降
先生
とか、
久保田万太郎先生
などは、いろいろ
議論
もあるけれ
ども
、
建物
をつくらなければすべての
議論
は
文字どおり空中楼閣
のようなもので根拠がない。
建物
をつくることに全力を集中すべきであるというような御
意見
であったようであります。
建物
をつくるためには、今度はまた
敷地
がなければ問題になりませんので、
設立準備協議会
の当初の
努力
は、
文化財保護委員会
、
政府
な
ども
一緒になりまして、
敷地
をどこにするかということに集中されておりました。
敷地
さがしをするかたわら、どういうものをつくるかということも、もちろん並行的には進められておったわけでありますが、
敷地
さがしとして比較的いろいろな案があったわけでありますが、比較的具体的な案としては、結局きまりました隼町の元
パレスハイツ
のところと、それから
大宮御所
の一画を
国立劇場
に充てたいという両論が相並んで進んでおったわけであります。その間に
国会
のほうからも
設立
の
促進
についていろいろな動きがありまして、三十三年の十一月に、
国有財産中央審議会
におきまして、現在の隼町の
敷地
約三万平方メートルが
国立劇場
の
敷地
として
最高裁判所
と同時に
決定
されました。そこで、
敷地
がきまりましたので、今度は
敷地
に建てるべき
建物
、それから
建物
を
中心
として展開する
活動
の
内容
のほうに
準備協議会
の
議論
が移ってまいりまして、三十四年の六月から九月にかけまして
建物建設
のための
基礎
的な案が
答申
されまして、それには
伝統芸能
のみならず、
現代芸能
のための
施設
、能楽堂といったものまで含んでおったわけでありまして、
国立劇場
の
計画案
としては実は
最大規模
にふくらんだ時期でございます。そういう
答申
を得まして、
現実
の三万平方メートルの
敷地
に当てはめて、
建築基準法
の
関係
、あるいは
都市計画
の
関係
、それから当時進められておりました
高速道路
との調整、その他技術的な
検討
に入りますと、三万、平方メートルの
敷地
にこのような膨大な
建物計画
をはめることばとうてい不可能であるということが判明したのであります。 そこで、
現実
の
具体案
として、どういう順序でどういう
建物
をつくるかにつきまして、
国立劇場準備協議会
においても
種々議論
をいたしました、その結果、三十六年の二月に至りまして、現在の
伝統芸能
を
中心
とした
プラン
が
修正決定
になった次第であります。
伝統芸能
を
中心
にしぼった
理由
は、何と申しましても
国立劇場設立
の順位が、どちらかより衰亡に瀕しておって
振興
の必要があるかという
緊急度
を考えれれば、やはり
現代芸能
よりも
伝統芸能
のほうが先であろう。
現代芸能
につきましては、そういう
保存振興
をはかることもさることながら、自主的な発展を見守ってもよろしいのではないかというような
議論
がありまして、狭い
敷地
に何から先にやるかということになれば、
伝統芸能
のほうが先だということで、三十六年の二月に現在のような姿の
国立劇場建設案
が
修正可決
になったわけであります。 その
いきさつ
は、そのころから、実はこの
国立劇場設立準備協議会
は、先ほ
ども
申し上げました
法律
によらざる
審議会
の
対象
というような
意見
とも関連いたしまして、あまり全体
組織
の
活動
がひんぱんに行なわれずに、何と申しますか、
運営委員
といいますか、
常任委員
といいますか、そういう小
範囲
の
方々
で
議論
が進められておったわけでありますけれ
ども
、
決定
になりましたので、当時の全
メンバー
の
方々
には
いきさつ
を文書で御連絡を申し上げまして、御了解を願ったと考えまして、
伝統芸能
を
中心
とした案で以後の
作業
を進めたわけであります。 次に、
計画
がきまりましたので、
建築計画
につきましては、三十七年に至りまして
予算
の大ワクにつきまして大蔵省と折衝し、それから
実施計画
につきましては、
国立劇場
の
趣旨
にかんがみまして、懸賞公募いたしまして、
当選案
が三十八年になりまして
岩本博行
氏外十三名の
プラン
になるものがきまりました。で、この
当選案
を
基礎
といたしまして
予算
が
文化財保護委員会
に計上されまして、
実施設計
を行ない、三十九年に至りまして着工の
運び
となり、
文化財保証委員会
に計上された
予算
を
建設
省に執行をお願いいたしまして、それから
工事担当者
としては竹中工務店が
決定
しまして、三十九年の八月に起工式を行ない、三年
計画
をもちまして本年の九月には竣工する、こういう
運び
になったわけであります。 そこで、この
建物
を
運営
する
運営
の
組織
としては、これまた
設立準備協議会
でいろいろな
議論
がありましたが、主たる
議論
は大別して二つあったようであります。
一つ
は、直接、
国立国営
でやるべきだという案と、もう
一つ
は
特殊法人
の
方式
でやるべきだという案のようであります。この両案につきましては、実は先ほどちょっと
小宮先生
や
久保田先生
の御
意見
を御紹介いたしましたが、やはり
建物
のほうに主たる勢力が注がれまして、
運営方式
をそれほど
準備協議会
で深刻に
議論
したことは
建物
に比べるとないようであります。しかし、一応、
国立国営
か、
特殊法人方式
かというようなことが
当選案
にも出ておりますし、そういう考え方でまいったことは事実のようであります。
文化財保護委員会
におきまして、いよいよ四十一年度の
建物
の
完成
、それから
劇場活動
の発足を前にいたしまして、四十一年度
予算
を編成するにあたりまして、この
運営方式
につきましてもいろいろ
検討
いたしました結果、結果的にはいま
提案
しておりますように、
特殊法人方式
に踏み切ったのであります。その
理由
としては、これまた明確に御
説明
することは困難かと思いますが、
国立国営
というのは、国が全責任を持つ上におきましてはよろしい点もありますが、何と申しましても
相当
の
金額
の
規模
の
事業
でありますし、その
事業
の
内容
に、何と申しますか、いわゆる浮動的な要素が多い、いわば水商売的な
劇場運営
をするには、どうも
国立国労
では窮屈過ぎてまずいのじゃなかろうか、たとえば、早い話が出演する俳優の
出演料
にいたしましても、これはかりにこれを
公務員
というようなことにすれば、とても
公務員
の常識では考えられないような
出演料
を取っているわけでありまして、国でやるがゆえにこれを安くするわけにもまいりませんし、それから大体常識的に現在行なわれておるような
出演料
を払うとすれば、どうも国の給与的な考え方でこなし切れないものを含んでおるし、それから仕事の
内容
についても、必要があれば朝から晩まで時間かまわずやらなければならぬというような事情から、
公務員
の勤務体制ということには必ずしもなじまないというような懸念もございます。それらの
諸般
の事情を勘案いたしまして、
特殊法人
でも必ずしも十分な弾力性がないわけでありますが、
国立国営
よりは、
劇場
のような浮動性のあるリスクを持った仕事を
運営
するにはベターな
運営方式
であろう、こういう考え方のもとに
特殊法人方式
の
国立劇場
を発足させることに踏み切りまして、現在御
審議
願っておるような案を提出した次第でございます。
二木謙吾
18
○
委員長
(
二木謙吾
君) 暫時休憩いたします。 午前十一時九分休憩 ―――――・――――― 午後二時四十二分開会
二木謙吾
19
○
委員長
(
二木謙吾
君) ただいまから
文教委員会
を再開いたします。 午前に引き続き、
国立劇場法案
を議題とし、
質疑
を続行いたします。
質疑
のある方は順次御発言を願います。 なお、
政府側
より
中村文部大臣
、
村山文化財保護委員会事務局長
が出席をいたしております。
小野明
20
○
小野明
君 午前中に事務
局長
のほうから
国立劇場
の
設立
経過
の
概要
というものをお聞きしたわけなんですが、私のお聞きしたい点が抜けておるわけですね。その点は、あなたのほうかう配られた
資料
で、
国立劇場
関係
資料
というものの表紙をあけてすぐのところですが、三十四年の九月八日、ここで、第一
劇場
伝統芸能
、第二
劇場
現代芸能
、その他
関係
施設
、こういった案ができておるわけです。で、上記案が不可能な場合に、次の下の欄に書いてある第一、第三とそれぞれ
伝統芸能
、こう書いてあるわけです。私の質問しておる立場というのは、やはり
伝統芸能
というものは正しい
保存
をしながら、これが世代にどう生かされてくるか、創造発展させていくか、こういう立場から若干疑問を持っておるのでお尋ねをしておるので、結論として、この上の欄から下の欄に飛躍があまり大き過ぎると思うのです。それでこの間の問題を少し
説明
をしていただきたいと思うのです。
村山松雄
21
○
政府委員
(
村山松雄
君) 前回御
説明
申し上げましたように、主として
敷地
の
関係
で、当初立てました大きな
建設
計画
は入らないことが明瞭になりました。しからば
敷地
の中にどれだけのものを収容し得るかという次善の策を立てる段階になりまして取捨選択が行なわれたわけでありますが、結論的に申し上げますと、
伝統芸能
のみになったわけでありますが、その
経過
を若干詳しく申し上げますと、
一つ
は、
伝統芸能
のほうが考え方がまとまりやすく、
現代芸能
のほうはいろいろな
議論
がありまして、
一つ
のコンクリートな
建設
計画
を固めるのにむずかしい点があったということがいわれようかと思います。第二には、
現代芸能
のための
施設
は、大きさからいってもきわめて大きいものをという御
要望
が強かったわけであります。小さいものではとてもだめである。席数にしても、極端に言えば二千人をこえる大
劇場
でなければつくる意味がないというような御
意見
が強くて、狭い
敷地
に立てる
計画
としてはますます取り上げにくいといったような事情があったようであります。 それからややデリケートな問題になりますが、当時の
準備協議会
の
メンバー
、特におなくなりになった方を引き合いに出してぐあいが悪いわけでありますが、
会長
であった小宮豊隆
先生
とか、あるいは副
会長
であった
久保田万太郎先生
ですとか、そういう
方々
が、取捨選択するとすれば
伝統芸能
が先であるということをおっしゃり、そういうことが案の変更にかなり強い影響を及ぼしたのではないか、これは若干想像を交えた御
説明
になりますが、そういう事情があったようでございます。その他細部の点はいろいあろうかと思いますけれ
ども
、
伝統芸能
にしぼった最大の
理由
は、午前中に御
説明
申し上げました大ざっぱに比較
検討
すれば、より緊急なのは
伝統芸能
であるという線が一本あったのと、こまかい
理由
を申し上げすまと、いま申し上げたような三つの点がおもな
理由
となって
伝統芸能
中心
に
具体案
が固まった、かように
承知
しております。
小野明
22
○
小野明
君 そうしますと、
国立劇場設立
に関する
答申
ですね、これを見ますと、大体、文部省が諮問され
答申
をされたものにいままでのものはいいものはないんですけれ
ども
、これの
答申
、私のもらった
資料
の中では、この
目的
にこういうふうに書いてあるわけですね。「
国立劇場
は、
日本
芸能
の伝統を正しく
保存
するとともに、新しい
芸能
の創造発展をはかることを
目的
とする。」こういうふうに書かれておるわけです。そうすると、
メンバー
構成か何か知りませんが、非常に
答申
の
目的
、これに反する
計画
が実現されつつある、こういうことが言えるわけですね。
村山松雄
23
○
政府委員
(
村山松雄
君)
設立準備協議会
は三十一年にできまして、午前中に御
説明
申し上げたような経緯で、途中でいわば事実上廃止のような状態になり、
メンバー
もかなり出入りがあったわけであります。それからいわゆる
答申
なるものも何回かにわたって出されております。御
説明
申し上げましたように、ある段階では非常に広
範囲
な
現代芸能
を含めた
施設
の
設置
計画
の
答申
もありましたが、それが技術的にむずかしいということで、
設立準備協議会
それ自体におかれましても再三
議論
した結果、最終的な
設立準備協議会
の御
意見
は、
伝統芸能
中心
の
国立劇場設立
案になったわけでありまして、
文化財保護委員会
はその最終的な
答申
を
基礎
として今回の
国立劇場設置
計画
を進めたわけでありまして、
設立準備協議会
の
趣旨
に反した方向で具体的な
計画
が進められたわけではございません。
小野明
24
○
小野明
君 そうしますと、その
準備
委員
会の結論としてこれになった、こういうふうにおっしゃるわけですが、ところが、私のところに陳情書が出ておるのです。名簿をいただいておりますが、かなり重なった名前があがっておるわけです。
伝統芸能
だけになった。これではこういうことが言われておるわけですね。「
国立劇場
の
目的
や
業務
が、革に
伝統芸能
の
保存振興
だけではなく
現代芸能
の創造育成にあるということは、
伝統芸能
にたずさわる
方々
の代表も含めてほとんど全員の
意見
一致をみているのであります。ですからこの
法律案
が
国会
の
審議
を通過するということは、
現代芸能
に親しむ広汎な
国民
を裏切ることにほかなりません。そればかりか、国際交流の盛んな今日、諸
外国
にたいして時代錯誤の感を抱かせることをおそれるものであります。」、こういうことが、この
準備
委員
会の
委員
の中から、
相当
有力と思われる多数の
方々
から出ておるわけです、この
国立劇場法案審議
に当たって。それで、この
目的
には反しないとおっしゃるけれ
ども
、まあ結果的には、この
法律案
を見ましても「主として」という
修正
は入れられたようです。これはあとでお聞きしますが、
伝統芸能
だけを守り、
保存
していくというものなんです。それでお尋ねしたいのは、この
国立劇場設立準備協議会
委員
名簿、これをいただきましたが、これに
委員
と臨時
委員
というのがありますね。これはどれが
委員
で、どれが臨時
委員
になるのですか。
村山松雄
25
○
政府委員
(
村山松雄
君) お手元に差し上げました
資料
の二枚目の終わりまでが
委員
でありまして、三枚目以降が臨時
委員
であります。
経過
的に申しますと、
委員
で発足いたしましたが、いろいろ
範囲
も広うございますし、
専門
的な事項も出てまいりましたので、あとから臨時
委員
を補充いたしまして、
運営
としては
委員
と臨時
委員
とあわせて会議をやってまいった、それから必要に応じて分科会、小
委員
会をつくって
審議
をしてまいったというのが
準備
委員
会の
運営
の実態であります。
小野明
26
○
小野明
君 もう一回そこのところ
説明
してくれませんか。
委員
と臨時
委員
に分けた
理由
といいますかね。
村山松雄
27
○
政府委員
(
村山松雄
君)
資料
で御
説明
申し上げますと、
最初
の二枚に掲げてある方が
委員
であります。それから三枚目以降が臨時
委員
になります。分けた
理由
は、
最初
は
委員
で発足いたしましたが、
専門
的な事項があり、かつまた、
審議
する
範囲
も広範になってまいりましたので、臨時
委員
を追加して、
委員
と臨時
委員
とをあわせて
運営
してまいったというのが実態であります。
小林武
28
○小林武君 ちょっと関連
一つ
あります。
国立劇場
の
経過
というのは、先ほど
小野
委員
から質問されているように、だんだんA案からB案に、B案からC案、最後にとにかくA案となった、これは簡単にぼくがあれをつけたのですが、そういうふうに変わっていくでしょう。逆に
伝統芸能
に
経過
的にはしぼられていくのですよ。ところが、あとから
準備
委員
会に入った人たちというのは、これは必ずしもそういう
古典芸能
ばかりの人じゃないのです。ここらあたりがおかしいと思うのだ。案がだんだんせばめられていく。あとのほうでいろいろな方面からの
意見
を聞きたい。こういう行き方というのは、どうもぼくらには納得がいかない。だんだん広げられていくというなら話はわかるけれ
ども
。それとももう
一つ
は、結局、ぼくは聞いていて、久保田万太郎さん、小宮豊隆さんという二人の御
意見
でこういうようなことになったというようなことを言われては――先ほどのあれではそういうことになる。それじゃ何のために
国立劇場設立準備協議会
をつくったのか意味がなくなる。二人の
意見
によって左右されるという性格のものではないのです。ただし、
予算
がどうとか何とかということなら話は別ですよ。
村山松雄
29
○
政府委員
(
村山松雄
君)
設立準備協議会
の
審議
の
経過
につきまして、多少誤解されておられることがあるようでございますので申し上げますが、
最初
にできましたのは
昭和
三十一年であります。で、そのときは、実は
伝統芸能
を
中心
に考えたわけであります。と申しますのは、先ほど来御
説明
申し上げましたように、調査費も
文化財保護委員会
に計上されております。
文化財保護委員会
に仕事があずけられるということは、やはり
無形文化財
の
保護
、それから
振興
ということがまあ動機であったことを立証するわけであります。ところが、三十一年にこの
準備協議会
が発足いたしますと、
現代芸能
の方から、
範囲
が狭いこと、それから
委員
な
ども
もっと
範囲
を広げるべきであるというような御
意見
が出てまいりまして、
現代芸能
を含めた
方々
が参加されて、
現代芸能
を含めた
設立
計画案
が
審議
されるようになったわけであります。それが大体三十三、四年ごろで、これが、
委員
も一番ふくらみましたし、それから
計画
それ自体も大
規模
になった時期でありまして、それと前後いたしまして
敷地
がきまって、
敷地
に当てはめた具体的な
プラン
を練るに至った段階でまた
計画
が縮小していった。そういう
経過
をたどっておるわけでありまして、
計画
が縮小し始めてから臨時
委員
を増強したわけではありません。臨時
委員
を増強して
計画
がふくらんで、それがまた主としてその
敷地
の制約によって縮んでいったのが
経過
であります。 それから
計画
の変更が、当時の
会長
であった
小宮先生
や
久保田先生
の個人的
意見
に左右されたかどうかということにつきましては、これはまあ正確に立証することは困難でありますが、
委員
会として
運営
してまいった以上は、
会長
や副
会長
の個人的
意見
で
委員
会の結論が全面的に左右されるということはあり得ないと思います。そういう意味もありまして、たまたま二人とも故人でありますので、実は私お名前をあげるのも若干ちゅうちょしたわけでありますけれ
ども
、そういう発言もあったというような申し継ぎもございますので、参考までに申し上げた次第でありまして、お二人が
伝統芸能
を主にしたお考えの持ち主であったということは事実であるようでございますが、さればといって、お二人の個人的な
意見
で
委員
会が全面的にその方向づけられたということではないと考えております。
小林武
30
○小林武君 もうこれ一回でいいです。またあとで質問しますからいいですけれ
ども
、あなたの先ほどの
説明
からすればそういうふうに聞こえるのです。ぼくが誤解しているわけではない。
会長
、副
会長
がそういう御
意見
であった、そういう
説明
をあなたはされたでしょう。だから、ぼくの聞き方はそういうふうに聞こえるのです。誤解なんというものじゃない。ぼくが前に何か聞いておって誤解して言っているのじゃない。あなたのおっしゃり方がそういうものだったからそういうふうにぼくは受け取ったのです。 それから、人選の問題なんですがね。いろいろな人がいる。これは一体どういうふうにしてお選びになったのですか。たとえば
伝統芸能
であるからとか、それから一番
議論
のあるところですが、ぼくは金の問題もあると思うのです。金の問題があると言っても、金をくれる人を集めているわけではないと思う、国でやるのですからね。そうすると、一体、
国立劇場
を
設立
するという
趣旨
、それに沿うたどういう
計画
であって、どういう
建物
をやって、どういう
目的
でやるのかということをまず
委員
会というものはやるべきだとぼくは考えている。それから、あなたのほうで出した
経過
のあれはほとんど読みました。だから、あなたのほうで誤解されるなんて言われなくても、ぼくのほうでは、
相当
あなたのほうで
委員
会前から出したやつを全部目を通しました。そんないいかげんなことを言ってはいけない。そこで、この
国立劇場
の人選、なかなかぼくはおもしろいと思って見ておったのです、私なりに。なかなかいろいろな方面の人を集めている。その集めるときに、一体どういうあれで集めたか、あまり
関係
のない人もこの中にいると思う。どういう尺度で――岩井君は労働組合の幹部だから入れておかなければぐあい悪いということで入れたのかどうか知らぬけれ
ども
、これは一体どういう気持ちで
準備
委員
というものを選んで、結論としてはどんな結論が出ようが、これだけの人を集めれば大体どういう方向のことが明らかになると一体お考えになったのか、そこらを聞きたい。それからもう
一つ
は、一体これらの人たちの出席の状況はどうであるのか。何回やって、これは全員出席のもとにやられたのかどうか。いつも出席の程度はどういうぐあいになっておったのかということも聞いてみたい。
村山松雄
31
○
政府委員
(
村山松雄
君)
委員
の選任の基準について、明確な基準があって、それにあてはめて選任されたというぐあいには私は承っておりませんが、およそ
劇場
をつくるということになれば、おのずから
劇場
でやる演目の種類、それから
活動
の方向ということは見当がつくわけでありまして、
歌舞伎
とか、それから
文楽
であるとか、
邦楽
であるとか、そういう
伝統芸能
の
専門家
を
最初
は
中心
に考え、それから
関係
官庁のそれぞれ所管の
方々
というような方でまず発足したように考えます。それからその後の追加につきましては、実はこういう議がのぼりましていろいろ御
意見
が出てまいったようでありますので、御
意見
がおありの向きをなるべく漏れなく含めるようにして、
委員
会になるべく各方面の
意見
が反映するように配慮したということだと思います。それから
協議会
の
委員
の出欠状況でありますが、一々出欠をとった記録は実はないようであります。聞いてみますと、必ずしも毎回全員出席というような状況ではなかったようでございます。なお、先ほど申し上げましたが、事項別に分科会をつくり、それから比較的少数の
方々
で
常任委員
というのをつくって
運営
してまいったようであります。そう長くありませんので、
常任委員
としてあげられた方だけを名前を申し上げますと、小宮豊隆、久保田万太郎、河竹繁俊――これは
文化財保護委員
に任命される以前の状態であります。これが
会長
、副
会長
ということです。それから
委員
に入りまして、加藤成之、伊藤圀夫――これは千田是也さん。新関良三――これは都民
劇場
の
理事長
で共立女子大学の文芸学部長をされた方です。吉田五十八。伊藤熹朔、阿部真之助――これはなくなられました。高橋歳雄、それから花柳芳三郎――これは現在の寿翁さん。それから小汀利得、それから石坂泰三、谷口吉郎、堀内敬三、福田繁――これは当時管理
局長
として
建物
の
関係
で入ったようであります。以上十六名を
常任委員
として
運営
してまいったようであります。
小林武
32
○小林武君 まああとでまた質問しましょう。
小野明
33
○
小野明
君 どうもその辺が、私もどうして
修正
議決が、三十六年の二月十六日に
準備協議会
において
修正可決
、これに至ったのか、その辺の経緯がよく理解できないのです。それで、先ほどの
準備協議会
ですか、
国立劇場設立
に関する
答申
、これの
目的
と実際がやはり背馳していない、間違っていないのだ、こういうように言われたのですけれ
ども
、やはり多少――多少ではありません。いまの
お話
を聞いてみますと、非常に無理があるように思うのです。この三十四年に
答申
をされた
趣旨
が、私のほうと、あなたからもらった
国立劇場設立
経過概要
と多少異なっている。
国立劇場設立
に関する
答申
というやつ、あなたお持ちでしょう。この
趣旨
をもう一回要約してくれませんか。
村山松雄
34
○
政府委員
(
村山松雄
君) 三十四年の
答申
は、実は二段階に分かれておりまして、五月と六月と二つあわせまして、いわゆる三十四年度の一番大
規模
の
答申
になっているわけであります。そこで、
答申
の
目的
として掲げられておりますのは、「
国立劇場
は、
日本
芸能
の伝統を正しく
保存
するとともに、新しい
芸能
の創造発展をはかることを
目的
とする。」ということになっておりまして、
施設
としては第一
劇場
、これは古典を主とするものであります。それから第二
劇場
、これは
現代芸能
を主とするものであります。それから能楽堂、これに
資料
、調査、
養成
施設
をつけたものをつくるべきである、こういう
答申
になっております。なお、六月にその一部を
修正
いたしまして、
文楽
に関する小
劇場
をつけ加えまして、これをあわせまして三十四年度の
設立準備協議会
の
答申
という扱いになっております。
小野明
35
○
小野明
君 そうしますと、やはり
答申
の
趣旨
からいくと、
日本
芸能
の上演に適すると同時に、
現代芸能
の上演にも応ずるようにくふうしなければならない。あるいは第二
劇場
は、今度は
現代芸能
が先で、あと
古典芸能
に応ずるようにしなければならない、こういうようになっているのですね。これが再度、初めの問いに返るのですけれ
ども
、三十六年の二月十六日に
修正可決
をした。
修正可決
をしていまの
劇場
構想というものはでき上がった、こういうのですが、やはり現在、これの問題として
現代芸能
家の
意見
が分かれた。これが
一つ
と、それから非常に
現代芸能
に応ずる
劇場
の
設立
といいますか、建築がむずかしいのだ、そういう技術的なものになるのかどうか、再度
説明
いただきたいと思います。
村山松雄
36
○
政府委員
(
村山松雄
君)
計画
変更の
理由
が明文をもって示されたわけではございませんので、自信を持って断言するのははばかれるわけでありますが、私
ども
の
承知
しておるところでは、一番根本的な
理由
は、狭い
敷地
にどうしても
目的
の一部しか実現できないとすれば、
伝統芸能
が先で、
現代芸能
は次の段階というのがきめ手となったようであります。
小野明
37
○
小野明
君 そうしますと、この
答申
されておる
趣旨
というのは、やっぱりあくまでも生かさなければならぬと、このようにお考えでございますか、どうですか。これは
大臣
がいいかもしれませんね。
局長
と
大臣
にひとつお尋ねしたい。
村山松雄
38
○
政府委員
(
村山松雄
君) 実は
審議会
等の
答申
を得まして、それを役所として実現するにはいろいろな段階があろうかと思います。もちろん
審議会
の
答申
を全面的に、実現でき得ればそれが理想でありますが、
国立劇場
の場合は
審議会
――
協議会
を便宜
審議会
と申し上げますが、
審議会
の
答申
のしかも三十四年の一番
規模
の拡大した段階の
答申
を全面的に実現することは、もうこれは不可能ということに
協議会
それ自体も
認識
せられたわけでありますし、したがって、
協議会
それ自体としても
答申
を
修正
せられておるわけであります。で、
文化財保護委員会
としては、その
修正
せられた
答申
を
基礎
として具体的な
計画
をつくり上げたわけでありまして、三十四年ごろの
答申
は実は、実現に着手せられなかったということを申し上げたほうが正確かと思います。しからば、その三十四年ごろの実現せられなかった
答申
の
趣旨
はどうであるかということであれば、これは長い目で見れば、そういう方向で
努力
すべき筋合いのものと心得ます。
中村梅吉
39
○
国務大臣
(
中村梅吉
君) 私
ども
も実は直接の
関係
のない時代、
国立劇場
に関するうわさ等を聞いておりましたが、いろいろな変遷があったようで、今度私もこういう担当者としてそれを大体総じて見ますと、
昭和
三十年に初めて
国立劇場
建設
の議が起こって
閣議決定
をしたころは、
伝統芸能
の
歌舞伎
を初め能楽とかいろんな
伝統芸能
をこのまま置くと種切れになってしまうのではないか。何とか国の力でやろうということで起こったのであって、したがって、その所管の役所としては、
文化財保護委員会
に
中心
にやらせようということになって、
文化財保護委員会
が
中心
でスタートしたわけですが、さて、この
準備協議会
をつくってみますと、
伝統芸能
だけでなくて、やはり
現代芸能
も大いに取り上げるべきだという
意見
が世間にもあり、そういう
意見
がこの
協議会
の内部でも起こりいたしまして、いろんな変化をたどりましたが、
昭和
三十四年の六月ごろの段階では、大体、
伝統芸能
、
現代芸能
とをあわせて四
劇場
ぐらい、四つぐらいつくろうということになってきておりました。そこで、先ほどの
運営委員
会ですか、管理会のような機関もありまして、
建設
関係
ですから、
東京
都の
都市計画
との
関係
もあり、
東京
都の建築建蔽率等を担当しておる部局ともいろいろ
検討
をされた結果、建蔽率の上からどうもそんなにはとうていできないということになってきた。その後、しからば
伝統芸能
と
現代芸能
と二つぐらいの大
劇場
をつくったらどうかというような案も出たようです。その段階でまた
東京
都と交渉をしたようですが、そのころには
昭和
三十四、五年ころから
高速道路
計画
というものが始まりまして、二つの大
劇場
をつくったらどうだという案ができたころには、
東京
都に折衝したころには、もう
高速道路
というものの
計画
ができ上がってきている、
高速道路
の三号線、四号線との
関係
で、そのほうにも
土地
を取られる、とても大
劇場
二つは無理だということになってきて、その後またさらに変化をしてきて、しからば、まず将来憂えられておる
伝統芸能
について小
劇場
を
中心
につくったらということに議がまとまってきまして、
準備協議会
の中にももちろん
現代芸能
の
方々
も入っておったわけですから、この
方々
としては不本意であったろうと思うのですが、まあしかし場所がそういうことで、それだけのスペースがない。さらに
高速道路
に一部と取られるということであれば、自分らは希望を将来に託して、この案でいたしかたないだろうというのが、最終的に
昭和
三十六年二月十六日の結論になったというように、私は大局的に
経過
を見てみますと、変化して来ていると思います。そこで私
ども
の現在の考えとしては、いまお尋ねございましたが、さしあたりそういう
趣旨
にのっとりまして、今度の
国立劇場
を
設置
いたしますについて、今後やはり
現代芸能
というものについては、大いに助長、育成すべきことは、国家の
文化
的な発展の上から当然のことでございますから、これは十分に、何ということばが当たりますか、前向きの態度で積極的に
検討
を進めるべきであろう、こう実は現在考えておるような次第でございます。事の起こりのころから、中間から、終わりころからいろいろ変化をしてきて、その変化にはそれぞれの事情、
理由
があったように思うのであります。
小野明
40
○
小野明
君 現在建築されつつある
国立劇場
、これがいわゆる
古典芸能
だけを
保護
する、
保存
していくという立場で建てられているというのは、われわれはわかるわけです。しかし、
答申
をされました三十四年の
答申
の
趣旨
は、先ほ
ども
私は申し上げたのですけれ
ども
、
古典芸能
というのは、それだけに値打ちがあるものじゃないのですね。やっぱり
現代芸能
に生かされて初めて
芸術
としての
価値
があるものなんですね。そういう
趣旨
が
答申
の
目的
にもはっきり書かれておる。意地の悪い言い方をするならば、この諮問
委員
の
メンバー
がやっぱり頭株が非常に古いと言いますか、
文化財保護委員会
的な人が非常に強力な
意見
を持っておられて、金も制限がある、
土地
も制限がある、こういうことであるならば、いっそすっきり古典だけのものをこしらえようじゃないか、
現代芸能
の面はそれならどうするか、これは口やかましいやつがおるから、
努力
した、あるいは前向きで
検討
したと言うておけばいいじゃないか、具体的
計画
は持たぬでもいいじゃないか、こういうふうに見られないこともない。午前中の
村山局長
の話の中にも、
説明
の中にもこういうことばがあるわけです。それじゃ
現代芸能
については一体どうするのか、この
議論
については、しばらく推移を見守る、推移を見守るというのは、ことばはいいのですけれ
ども
、裏返して言えば放ったらかしておけ、こういうことなんですね。だから、諮問
委員
のこういった有力な
メンバー
から、この
法案
かかかってきた場合に、きびしいことはで
修正
してもらいたい、こういうことのつき上げが来ているわけです。だから、
古典芸能
の
保存
と同時に、やっぱり
現代芸能
についても三十四年の
答申
の
趣旨
を生かされた具体的な長期
計画
、構想というものがなければならぬと思うのです。こういった点について
衆議院
でも
修正
になっておるのですがね、
大臣
はどのようにお考えになっておるか、あるいはまた事務局はどういった
計画
をお持ちであるのか、その辺をお尋ねしておるのですがね。
中村梅吉
41
○
国務大臣
(
中村梅吉
君) 私の気持ちを率直に申し上げますと、大体、国としての理想としては、
昭和
三十四年の六月ごろ、
伝統芸能
、
現代芸能
について四つぐらいの大小の
劇場
をつくったらどうかという
答申
をされたころの考え方が、国の将来向かうべき理想であろうと私は思っております。ただ、
敷地
その他建蔽率あるいは
高速道路
との
関係
等でこういうふうに制約をされてきた。そこで、初めの発想の、起こりの
伝統芸能
が、このままおけば種切れになってしまうのじゃないかという憂慮から生まれたところに、一応それだけをさしあたり実脱するということになったと思うのですが、現在でも文部省としては
現代芸能
については
相当
の補助金を出しまして、創作
活動
やあるいは普及
活動
に、大体、
相当
といいましても年額六、七千万円の金でございますが、助成をしておるわけで、今後こういう
国立劇場
計画
というものについても、
設立準備協議会
が
昭和
三十四年のころに考えられた構想というものを実現に移していくべきものだろうと、かように思っておるわけです。そこで、
歌舞伎
や
伝統芸能
については、たとえば
歌舞伎
なら
歌舞伎
については
歌舞伎
保存
会という統一的のものができておりまして、それらと連携すれば白土
公演
をやったり、
伝承者
の育成をやったりすることも可能であるわけです。
現代芸能
につきましては、なお今後
研究
をすべきことは、非常に
現代芸能
はまだ派がたくさんございまして、たとえばイタリアとか、フランスのように、オペラならオペラというもので長い伝統があれば、その
国立劇場
をつくることも、また
自主公演
することも簡単にできますけれ
ども
、現段階では、
現代芸能
については
自主公演
ということはいまの状況ではいろいろな派があり、たくさんの流儀がありますから非常な困難が伴う。そこで、ただ場所貸しだけの
国立劇場
をつくるか、あるいは
自主公演
をある程度含めた
国立劇場
にするかというようなことは、今後やはり
相当
に
関係
者の衆知を集めて
検討
をすべき問題点ではなかろうか、かように考えておる次第で、私
ども
も
日本
の国の
文化
的な発展の上から
現代芸能
を軽視するようなことは好ましくないので、むしろ積極的に助長育成をしていく、べきもの、また、その助長育成の道は、現在のような補助金などの行き方よりはもっと具体的に、こういう
国立劇場
のような具体策を講じてやるべきであるというような点については、今後ひとつ積極的に、前向きに
研究
をすべき
課題
であろうと、こういうふうに実は目下のところ考えておる次第でございます。
小野明
42
○
小野明
君
衆議院
で
修正
されておるわけですね。「
国立劇場
は、主として
わが国古来
の」と、こういうふうに「主として」ということばを入れられた、あるいは附帯決議の
趣旨
はもういま
大臣
が言われましたように、「
施設
その他につき、必要な措置を講ずべきである。」、こういうふうにつけられておるのですね。これがきめられたときには、大田も御
趣旨
に従って
努力
しますというようなことを害われたと思うのですけれ
ども
、再度この附帯決議なり、あるいは
修正
についてどういったお考えをお持ちであるのか、その点をお尋ねしておきたいと思うのです。
中村梅吉
43
○
国務大臣
(
中村梅吉
君) 両院を通じてこの
修正
及び附帯決議が議決された場合には、私
ども
十分にその
趣旨
を尊重してまいりたい、かように考えておる次第でございます。そこで、「主として」というのに
修正
されることになりましたが、問題は
劇場
の音響効果・あるいは舞台などにつきましても、
伝統芸能
の場合と、
現代芸能
とは、舞台、それからオーケストラの場所、こういうものが非常に設備的に違いますから、今後、
修正
及び附帯決議の
趣旨
を尊重してまいるにいたしましても一、どこまで包容できるかという点は、やっぱり実際に使う
方々
と御相談をしてやりませんと、その
施設
の
利用
効果が問題があると思いますから、そういう点はありますが、とにかく
修正
及び附帯決議については、私
ども
もその御
趣旨
を尊重してまいりたいと、かように考えております。
小野明
44
○
小野明
君 先ほどの
施設
その他についても
検討
していくんだと
大臣
が答弁されましたから、その点とあわせていまの御答弁を伺っておきたい。
古典芸能
保存
のために
国立劇場
を建てられた、
現代芸能
のためにもそういったことを実現するために
努力
するのだと、こういうことでございますね。――それから、これは小さい問題になるかと思うのですが、われわれにとっては大きな問題ですが、
国立劇場
の入場料、それから、これはまあ何日か定期興行をやってあいているときがあるわけですね、貸し
劇場
をやるのですが、その貸し料、それからあわせてこれに対する
国庫補助
、あるいは入場税等の
関係
ですね、これはどのように
局長
お考えでございますか。
村山松雄
45
○
政府委員
(
村山松雄
君) まず入場料でありますが、これは考え方といたしまして、
国立劇場
でありますが、民間で同種の
芸能
をやっておるわけでありますので、それとの均衡も考慮しなければなりませんので、
種々
検討
しました結果、現在、
予算
で計上いたしておりますのは、民間の同種の演劇をやる料金よりはやや安くするけれ
ども
、
国立劇場
であるからといって非常に安くするという考え方はとっておりません。
施設
の貸与料金につきましても同様でありまして、民間の
劇場
型のところ、たとえば
歌舞伎
座であるとか、明治座であるとか、新橋演舞場であるとか、そういうところよりは安くいたしますが、いわゆるホール型と称するもの、たとえば三越
劇場
、それから東横ホール、それから産経ホールというふうに、いわゆるホールと称するところよりは高めになっております。これはやはり照明ですとか、それから音響ですとか、そういうサービスともにらみ合わせて実質的には安いと考えておりますが、
金額
的に申し上げますと、民間の演劇
専門
の
劇場
よりは安いが、貸しホールの形をとっておるところよりは高いと、こういうことになります。それから入場税の問題でありますが、これにつきましては、
国立劇場
で、行なう口上
公演
、
無形文化財
の
公開
を
中心
とする
自主公演
につき、なしては入湯税を課さないことになっております。それから、この
施設
を貸与する場合は、貸与された劇団が興行の主体となるわけでありまして、その場合につきましては入場税の非課税という措置はとられておりません。
小野明
46
○
小野明
君 具体的に幾らという額は出てないかもしれませんがね、幾らくらいになるものか、それまで
検討
されておれば額がすでに出てくると思うのですが、額をひとつ出してください。
村山松雄
47
○
政府委員
(
村山松雄
君)
国立劇場
の諸料金につきましては、
法人
が発足後、料金
規定
といったようなものをきめて実施することといたしおります。現在の段階では、
予算
単価でございますが、入場料について申し上げますと、大劇物で
歌舞伎
の
公演
をする場合は、一等席千八百円、ニ等席千二百円、三等席四百円、それから
邦楽
、
邦舞
、指定
芸能
等々を実施する場合には、一等料金千五百円、
邦楽
の場合は千、
雅楽
は八百円、民族
芸能
の場合は五百円、それから小
劇場
につきましては、
歌舞伎
、
邦楽
、
邦舞
、
文楽
等の場合は千円、それから民族
芸能
や狂言などにつきましては五百円というような単価で計上いたしております。そういう
関係
もありますので、本ぎまりになるのは
劇場
発足後の料金
規定
にまつわけでありますが、
予算
が積算されておるわけでありますので、この
金額
から著しく増減をすることは実際問題としてできがたいので、この前後で
決定
されることと思います。それから劇物の貸与料のほうは、これは有料
公開
の場合、それから無料非
公開
の場合、それから演劇以外のものに使用する場合、たとえば会合ですとか、儀代とか、そういうものに使う場合、その三段階に分けまして、また、さらに平日とそれから土曜、日曜、祭日それから、全日とそれから午前、午後、そういうことでみんな違うわけでありますが、一番高い場合、つまり有料
公開
で全日を使う場合、平日で五十万円、それから土曜、日雇、祝日で六十五万円というのが
予算
の積算単価であります。それから一番安い場合、つまり儀式等に使う場合は、大
劇場
で全日使う場合、平日十二万五千円、それから土曜、日曜、祭日が十六万二千、そういう
予算
単価になっております。これも本ぎまりになるには
国立劇場
の料金
規定
ということできめるわけでありますが、
予算
単価がこうなっておりますので、大体これを
基礎
にしてきめることになろうかと思います。
小野明
48
○
小野明
君
国庫補助
。
村山松雄
49
○
政府委員
(
村山松雄
君) 失礼いたしました。
国庫補助
といたしましては、これは
初年度
は実は十一月に開場を予定しておりますので、ほぼ
事業
費としては半年分、それから人件費としては、実は
国立劇場
は、
法案
にありますように、公布の日から施行することといたしまして、年度早々から発足を予定しましたので、ほぼ十カ月分ぐらいを計上してお石わけでありますが、それに対する専業費は約四億円であり出して、
国庫補助
は一応一千三百万を予定いたしております。
小野明
50
○
小野明
君 値段を聞いて私は驚いたのですが、
国立劇場
という名を冠するならば、もっと庶民に親しめる私は料金であってほしいと思う。それはむちゃくちゃに高過ぎる。これは民間と変わらないですよね。ここでお尋ねをしたいのですが、特にまた貸しホールなんかの場合でも、五十万円といったら
現代芸能
を育成助長すると言われますけれ
ども
、とてもこれだけのものを払える人たちはないですよ。結局、こういった料金の面で、
現代芸能
に親しむ庶民といいますか、そういうものを締め出してい乙ということがはっきり言えると思うのです。そこで、特に諸
外国
、ヨーロッパの国々で
国立劇場
を持っておるところがありますね、これは一体、午前中もちょっとお尋ねをしたのですが、この例を、どういう
運営
になっておるか、あるいは入場料の
関係
ですね、
国庫補助
の
関係
、そういったもの、また年間
予算
、こういうものを
説明
をしていただきたいと思うのです、比較しながらね、
日本
の場合と比較しながら
検討
してみたいと思うのです。
村山松雄
51
○
政府委員
(
村山松雄
君) 諸
外国
と申しましても、網羅的に調べたわけではございませんが、おもな国について申し上げますと、大体の傾向としまして、ヨーロッパの大陸諸国は
国立劇場
を持っているのが常態のようであります。それからアメリカ、イギリスは
国立劇場
は持っていないようであります。もっともイギリスにつきましては、最近つくるべきであるという
議論
が固まりまして、
設立
計画
を進めておる段階と
承知
しております。そこで、まあヨーロッパ大陸の国々でありますが、一番たくさん持っておりますのはフランス、イタリアでありまして、これはまあ数個の
国立劇場
を持っております。で、いずれもそれぞれの国の
伝統芸能
、つまりあの国でいえばオペラですとか、バレーですとか、そういうものになるわけであります。まあフランスは
現代芸能
についての
国立劇場
も持っておるようであります。その
内容
でありますが、
芸能
の種類が違いますので、まあ中には専属の劇団、それからオーケストラ、それから衣装ですとか、道具ですとか、そういう付属技術者までも持っておるところがありまして、職員も四、五百人から多いものは千人にのぼるような職員をかかえておるようであります。それから
予算
額につきましても、これは貨幣
価値
とか、経理の方法も違いますので、まあ
金額
を申し上げてもあまり意味がないかと思いますが、たとえばパリのオペラ座で申し上げますと、年間の
予算
額が約三十億円程度、それに対して
国庫補助
は二十億円程度出しておるようであります。これが私
ども
の聞きました一番大きい
組織
であります。あとまあ
現代芸能
をやっておるオデオン座あたりですと、
予算
額が約四億に対して補助額が約二億というような状況のようであります。ドイツの場合ですと、ベルリンのオペラ
劇場
は
予算
額が十八億円に対して補助額が十三億円、それからシラー
劇場
ですと
予算
額が約七億に対して補助額が五億というような状況でございます。なお、
運営
の実態は、実は若干、
外国
に行くような演劇の
専門家
に委嘱して調べていただいたのでありますが、なかなか経営の実態はつかめない点がありまして、まあ御
説明
できるような
資料
は持ち合わしておりませんが、国が職員を
公務員
のような形で雇っておるところもあるようでありますし、それから
国立劇場
と申しましても、職員や演技者は契約によって
運営
しているところもあるようでありまして、一がいには、
外国
の
国立劇場
においてはまあこういう
運営
が常態であるということは言えないようでございます。
小野明
52
○
小野明
君 あなたの言われたことばじりをとるようですけれ
ども
ね、こういった諸
外国
の国立例場の
運営
というものが一がいに比較にならないのだと、こういうふうに言われれますけどね、これは
国立劇場
の場合、補助金が幾らでしたかね、ほぼ一億一千万、
予算
が四億ぐらいでしょう、そうですね、ここの場合はね。いま言われただけでも、一あなたの調べた
資料
だが、西ドイツの場合でも、十八億の
予算
計画
で十二億の補助、それからフランスの国立オペラ
劇場
、これでも二十七億の年間
予算
で二十一億、ほとんどこれは経営によって出た、あるいは入場者が少なくて出た赤字を、この
国庫補助
によって、埋めていると、こういうように私は聞いておるわけです。ところが
日本
の場合、この場合は、いまの
日本
の人たちから見れば非常に高い、あるいは貸し
劇場
の場合も演劇に親しむ人たちが借れないような
条件
、この金は入場料なり、この
関係
は、何ですか、最終的には
法人
、できめるんですか。それとも、それといまあなたが、もう
予算
額としてぴしっと、言われたんですけれ
ども
、これがまあ最終
決定
なんだと、これは
国庫補助
の
関係
もあるでしょうが、
国庫補助
はこれだけときまっておれば将来どうすのか、それは
大臣
からもあわせてひとつお聞きをしたいと思います。
村山松雄
53
○
政府委員
(
村山松雄
君) 諸料金につきましては、御
説明
申し上げましたように、
法人
が料金
規定
を設けてきめることになっております。そこのきめ方でありますが、
予算
に積算した
金額
は各種の上演を通じての平均単価のようなものでありまして、民間の
劇場
を見ますと、特別
公演
であるとか、あるいは
一般
の
公演
であるとか、それから比較的入りの悪い
公演
については料金を安くするとか、これは
劇場
でありますから
運営
に弾力性を持っております。
国立劇場
につきましても、
予算
できめた単価と一文の出入りもならぬというようなことは大蔵省言っておりませんし、私
ども
もそう考えておりませんが、さればといって大幅な出入りがあるということは、まあ
予算
の
計画
が、これまた大幅に狂うということになりますので、これはむずかしかろうと思います。まあ実情に応じて幅を若干持たせることは可能と思っております。
小野明
54
○
小野明
君
国庫補助
の
関係
をひとつ。
中村梅吉
55
○
国務大臣
(
中村梅吉
君) これは初めての試みでございますので、まあ事務当局も大蔵省と補助金を
中心
に先ほど来話か出ておりまするような積算をいたしますのには、かなり苦労をして折衝をしてきたようであります。いずれにしても初めての試みで、やってみて、それでまあ非常に、せっかく
国立劇場設立
の
趣旨
に沿うか沿わないか、まあ
諸般
のそういう影響を見て、財政当局と今後折衝を続けて、改善すべき点は改善をしていくというふうに進む以外には、どうもいまのところ方法がないようでございますので、私もいままで補助金の結論を出すまでの積み上げ
作業
については、十分しっかり
国立劇場
の
趣旨
を
説明
して
努力
するようには鞭撻してまいりましたが、先ほど来御
説明
申し上げておるような線に落ちつきましたので、初めてのことでしかたないと思っているわけでございます。したがって、
初年度
といたしましては、とにかくこういう線で進めてまいりまして、今後の推移によって、これはいろいろ
研究
もし、また改善もしていかなければならない。いずれにしましても
国立劇場
を
設立
した
趣旨
、
目的
にかなわなければ相済まぬわけでありますから、将来としてはとにかく、その
趣旨
からははずれないように、改善すべき点は改善をしてまいるべきである。ただ、まあさしあたりはそういうような次第で、今年の
予算
関係
の積み上げ、積算は一応できておりますので、これで進めて、その後の状況を見た上で
研究
をしてまいりたいと、かように考えております。
小野明
56
○
小野明
君 きょうの私の質問はこれで終わりたいと思いますが、この
法案
について参考人を呼びたいと思っております。で、あとで、
理事
を通じて御協議を願いますので、よろしくお願いしたいと思います。終わります。
小林武
57
○小林武君 関連して、ちょっと一言だけお尋ねをしておきたいのですがね。これはダブらせないという意味であと聞かないことにしますから、そういう意味で。
目的
以外の使用というのはこれはどういうことですかね。
目的
以外の使用といったかな、とにかくたとえば
歌舞伎
なら
歌舞伎
とか何とか、そういうものをやる以外のことで何か使用させるというのがあったでしょう。そういうことを見とめるつもりなんですか。
村山松雄
58
○
政府委員
(
村山松雄
君)
国立劇場
の
施設
の使用の態様といたしましては、
一つ
は
国立劇場
が企画製作いたします自主
公開
でございます。それから第二は、他の演劇団体が実施する演劇
活動
に対して
施設
を貸与することでございます。これには
公開
の場合と非
公開
の勉強会の場合があろうかと思います。それから三番目は、演劇以外のものに貸与する場合でありまして、これはまあ国家的な行事ですとか、儀式ですとか、
国立劇場
のH的に照らして不都合でないと認められるものに対しては、あいている場合は
施設
を貸与して差しつかえなかろうと、かように考えております。
小林武
59
○小林武君 ぼくはやはりこの点では
相当
配慮すべきだという考え方なのです。なぜかというと、ぼくがちょっと想像しますと、大体、
国立劇場
の一年の使用ということを考えましたときに、やはり
歌舞伎
なら
歌舞伎
というものがどの時期にいったら――やはり予定かあると思うのです、突如出てくれということはない。九月なら九月に、ある期間みんな予定があると思うのです。そうすると、申し込みのその
目的
外といった――
目的
外にしておきますわ、その他のあれですから。
目的
外のものもやはりいろいろな何か行事を予定しているところが借りると思うのです。
相当
の金を出して借りるわけですから、
相当
の大
規模
な。そういうものがずいぶんはまり込んできた場合は、これはやはり私は経営するものというのは妙なもので、やはり金が向ければいいし、完全に金が入ればいいというようなところから、どうもやはりそういうもののワクを広げ石おそれが
一つ
あると思うのです。そういうことがあってはならないと思うので、これはどこまでも、やはり先ほど来の
小野
委員
から質問のされておることにもそういう
趣旨
があるのですが、やはり
芸能
というようなものに提供するのだ、しかも力のないものにはひとつ安くやはり貸してやるべきじゃないか、そういう
趣旨
のほうに傾いていかなければならない。たとえば、私はこの間西洋美術館に行ったんですよ。西洋美術館で、何の会合か知らぬけれ
ども
、何かちょっと小人数の――小人数といってもかなりの人数を入れる会合が開かれておった。 それはまるっきりとんでもないもんじゃない。たしか役所の
関係
のもんだと思うんですよ。そこで
相当
の人がたむろしているんですね、いろいろ参会した方が。そこにはまた絵を兄に来ておる人も、修学旅行なんかがあって、少なくとも西洋美術館の絵を鑑賞するという雰囲気からすれば、やや雑踏している。たいへん好ましくないというようなあれをやっている。ぼくはそのとき思ったんです。何でこんなものに貸すかということですな。まるっきりとんでもないものに貸したとは私は思わない。やはり国の仕事の一連のものだと、何か思い出せないんですけれ
ども
、そういうものだということははっきりわかるんですけれ
ども
、やはりあそこは美術館らしい使い方にするべきじゃないかということを考えたのです。だから
国立劇場
というようなものも、そういう点で、私は
計画
の初めからやはりなるたけそういう諸行事、どこそこの学校の卒業式だとか、それから明治百年祭なんとかいうようなこともけっこうでしょうけれ
ども
、まるきりやっぱり
芸能
が入らないというようなことに、はじき飛ばされているというようなことになっちゃ私はまずいと思うのです。その点はどうなんですか、金のことを考えるものですから、われわれも当事者になればそうなるかもしらぬけれ
ども
。
村山松雄
60
○
政府委員
(
村山松雄
君)
運営
の実態につきましては、
特殊法人
発足後さらに練り上げてやることになりますが、私
ども
が考えておりますのは、
劇場施設
の
利用
の方法としましては、お示しのように
芸能
の
公開
、自主
公開
と、それから部外者による公用と、それを主体としてやっていきたいと思っておりますし、実は年間の
利用
計画
を立てます際に、その二つを優先的にスケジュールを組みます。そうして、なおかつあきができた場合に、演劇
活動
以外の、
芸能
活動
以外のものに貸与してもよろしいのではないか、実はかように考えておるわけでございます。特に、たとえば
歌舞伎
の上演などは、これはでき得る限り一部制で、やりたいと思っております。そうなりますと、午前、午後、かなりの時間はあいているというようなことになりますので、これはけいこに使うといいましても、限度がありますので、やはりあきの時間ももできるので、そういう場合に貸さないというのも、かどが立つので、
目的
に
支障
がない限りは貸してもよかろう、この程度に考えておるわけでありまして、大いに借りてを誘引して借り料をかせごうというような気持ちは全然持っておりません。
小林武
61
○小林武君
文部大臣
に聞いていただきたい、別に答弁していただかなくてもけっこうですからね。いまのように断わればかどが立つというような式の、これではちょっと弱いのですけれ
ども
。しかし、事務
局長
にしてみれば、それは気打ちはよくわかりますし、立場もありますから。しかし、
大臣
のほうとしては、ぼくはやはりこれは本来の、これは私はその方面からいろんなかなり期待を持っていると思うのです。だから、そういう意味ではひとつはっきりしてやってもらいたい。それから
小野
さんの質問の中に料金の話が出ましたが、私は料金の話は、これから自分の質問のときは、この次ですけれ
ども
、やらないつもりですが、やはりこれは考えにゃいかぬと思うのです。向こうの金の換算できないということをおっしゃるけれ
ども
、一体、経費の何%ということは割り出せますね。もし、かりに換算がなかなかピンとこないというようなことだって、何%はとにかく国が補助しておるということになる。そういう、とにかくこれをやれと言ってもできないことはぼくもわかります。すぐやれとは言わぬですけれ
ども
、少なくともそういうものを見習えということはあってしかるべきだ。将来のやはりそれは到達点として考えるべきだと思うのです。大胆、私はこういうことを聞いたのです。あの科学博物館、あそこで料金をとるなんて、世界じゅうどこにもないというのですね。これはある大学の学長さんで、その面で
政府
のほうでも非常にいろいろのことを頼まれている、これは私は直接聞いたのですが、科学博物館、あそこでああいう金をとって、いまは学校の子供から何から修学旅行にくると、あそこへ必ず行きます。金をとってやるというようなけちな考え方がそもそも科学の
振興
に影響するという
お話
、私も実は直ちにただで入れろというところまではいかぬだろう、実際、
予算
なんか見た場合には考えられますけれ
ども
、これなんかもやはり
検討
する余地はぼくはあると思うのですよ。だから、かってなことをわれわれ言っているというふうに御理解されないで、こういう問題についても、やはり先ほどの小町
委員
の質問に対しても十分ひとつ耳を傾けて、漸進的にでもいいから、やはりだんだん補助はふやしていって、そうして、資力のないたとえば劇団とか、そういう
芸能
の集団とかに対して使用できるようなやはりやり方を考慮する必要があるのじゃないかと思うのです。
中村梅吉
62
○
国務大臣
(
中村梅吉
君) 二つとも非常に大事な御指摘であると思っております。前段につきましては、
局長
から
お答え
申し上げたようにあくまで
自主公演
及び
芸能
、演劇団体の
公演
、こういうふうなことに
中心
を置いてまいるべきである。これは当然なことで、もっともこれらは
相当
、半年も一年も前から
計画
しなければできないことでありますから、かなり早く
計画
をされる。その間、
自主公演
にいたしましても、役者が切りかえのときに、二日なり三日なりどうしても休みたいというようなことが起こるかもしれません。あるいは団体の
公演
と
自主公演
との間に、役者が関西へ行っておって、若干の空白ができるかもしれない。こういうようなものが、年度を通して早くから
計画
をされていて、そうして、そういうあいたところにはまって、合理的な使用者が出てくれば考えてもしかるべきだと思うのですが、こちらがわざわざそのためにこの
計画
を変更するというようなことがあってはならない。かように私
ども
思いますので、御指摘の点は十分に注意をしてまいるようにいたしたいと思います。 第二段につきましても、非常にごもっともな点もありますので、しかし、
国立劇場
としては初めての試みでございますから、今後の推移を見て、改善すべきところは財政当局とも相談をして改善につとめていくと、こういうようにいたしたいと思っております。
二木謙吾
63
○
委員長
(
二木謙吾
君) 他に御発言がなければ、本
法案
に対する本日の
質疑
はこの程度にいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十七分散会