運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-04-14 第51回国会 参議院 文教委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月十四日(木曜日)   午前十時二十五分開会     ―――――――――――――    委員の異動  四月十三日     辞任         補欠選任      山下 春江君     重宗 雄三君  四月十四日     辞任         補欠選任      重宗 雄三君     山下 春江君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         二木 謙吾君     理 事                 北畠 教真君                 久保 勘一君                 千葉千代世君     委 員                 楠  正俊君                 玉置 和郎君                 内藤誉三郎君                 中上川アキ君                 中村喜四郎君                 山下 春江君                 吉江 勝保君                 秋山 長造君                 小野  明君                 小林  武君                 鈴木  力君                 柏原 ヤス君                 辻  武寿君                 林   塩君        発  議  者  秋山 長造君        発  議  者  千葉千代世君    国務大臣        文 部 大 臣  中村 梅吉君    政府委員        文部政務次官   中野 文門君        文部大臣官房長  赤石 清悦君        文部省初等中等        教育局長     齋藤  正君        文部省管理局長  天城  勲君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送付) ○女子教育職員出産に際しての補助教育職員の  確保に関する法律の一部を改正する法律案(千  葉千代世君外二名発議) ○学校教育法等の一部を改正する法律案千葉千  代世君外二名発議) ○高等学校定時制教育及び通信教育振興法の一  部を改正する法律案秋山長造君外二名発議) ○教育、文化及び学術に関する調査(補習授業に  関する件)     ―――――――――――――
  2. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に引き続き、これより質疑に入ります。質疑のあるお方は順次御発言を願います。  なお、政府側より中村文部大臣中野文部政務次官天城管理局長が出席しておられます。
  3. 辻武寿

    辻武寿君 私は簡単に若干質問いたしますが、全国小学校中学校、これはいまどれくらいありますか、数は。
  4. 天城勲

    政府委員天城勲君) 全国小中学校の数でございますけれども小学校国公私立を含めまして二万二千六百七十六校、そのほかに分校が三千三百一校ございます。中学校国公私立を含めまして一万一千五百八十一校、分校が四百九十八校でございます。
  5. 辻武寿

    辻武寿君 この全国小学校中学校の中にですね、屋内運動場がある学校は幾つぐらいですか、その比率ですな。
  6. 天城勲

    政府委員天城勲君) 小中学校におきます屋内運動場保有状況でございますが、六五%でございます。
  7. 辻武寿

    辻武寿君 これは小学校中学校も、両方とも六五%ですか。
  8. 天城勲

    政府委員天城勲君) たまたま数字が同じでございます。両方とも六五%でございます。
  9. 辻武寿

    辻武寿君 昭和三十九年度から第二次五カ年計画を実施しているようですが、大体昭和四十年度までの実施状態は順調にいっているわけですか。
  10. 天城勲

    政府委員天城勲君) 五カ年計画は、御存じのとおり、三十九年、四十年と進行してまいりまして、ちょうど四十一年度がまん中の三年目に当たるわけでございます。これにつきまして、このたびの四十一年度の予算計画も含めますと、全体の五八%をこなせる予定でございます。過去の三十九年、四十年、四十一年等の流れを見ますと、大体一割から二割程度アップ率で来ておりますので、あとの四二%を四十二年、四十三年の予定計画で実施することができると、こう現在考えております。
  11. 辻武寿

    辻武寿君 昭和四十一年度から第三次五カ年計画というのはあるのですか。
  12. 天城勲

    政府委員天城勲君) 全体五カ年計画でやっておりまして、特に三カ年という計画はございません。
  13. 辻武寿

    辻武寿君 昭和四十一年度からの第三次五カ年計画というのはないのですか。
  14. 天城勲

    政府委員天城勲君) ただいま、先ほど申し上げましたように、現在の五カ年計画、三十九年から進行中でございますので、これを四十二年、三年と進めてまいりますので、その後のことは現在まだ計画としては確定いたしておりません。
  15. 辻武寿

    辻武寿君 市町村の中には、地方財政再建特別措置法により財政再建団体の指定を受けたため、起債の承認が得られない。やむなく改築中止計画の縮小があった。宮城県や島根県等はそういう実情だと聞いておりますが、こういう点は文部省のほうではどういうふうにお考えになっておりますか。
  16. 天城勲

    政府委員天城勲君) 義務教育施設整備につきましては、この現行法に基づきまして、国の補助金がつきますれば、自治省との話し合いをして、必ずその地方負担分についての裏起債というものは保証されておりますので、おそらく御指摘の点はそれ以外の単独起債についての制限かと思いますけれども義務教育補助金に見合う裏起債については確保されるものと私は考えております。
  17. 辻武寿

    辻武寿君 僻地とか、そういった不便な地方町村の中には、非常に多くの危険校舎がある。危険校舎をかかえながら、第二次五カ年計画期間中の改築のめどが立たない、そういうのが東京にもあるし、宮城あたりにもだいぶそれはある。こういうことに対しては、文部省はどういうふうに指導しておるか。
  18. 天城勲

    政府委員天城勲君) 私たち補助金配分あたりまして、できるだけ地方実情を伺いまして、単に形式的に配分するのではなくて、地方実情を十分伺った上で重点的なものから取り上げる、優先配分をいたしておりますが、そういう面で公共団体と十分お話し合いをして、学校建築整備をはかっているのが実態でございます。
  19. 辻武寿

    辻武寿君 市町村財政は、全国一律でないわけだ。非常に富裕なところもあれば、非常に財政困難なところもあるわけですね。そういうところに対して一律に三分の一の国庫負担であっては、どうしたっておくれていくところはできると思うのですよ。これに対する国の助成金ですね、あるいは地方特別交付税というようなもののあり方、何かここで考えなければならぬと思うのですが、その点についてはどういうふうに考えていますか。
  20. 天城勲

    政府委員天城勲君) 御指摘地方団体により財政力の差があることは当然でございまして、それに従って補助率を変えたらという御意見ではないかと思うのでございますけれども、現在地方団体財政力に応じて補助負担率を変えるという制度現行法ではとっておらないわけでございます。僻地などにつきましては、建築問題ではございませんが、他の部門で厚い補助をするというやり方も文教政策の中ではいたしておりますけれども建物につきましては、現在補助率差等ということはまだいたしておらないわけでございます。
  21. 辻武寿

    辻武寿君 団地等に対して、どんどん人口がふえてくる、そういうところに対しては、特別な措置を講じているのじゃないですか。人口がふえて学校をどんどん新しく建てるというところには、特別な措置を講じているのじゃないですか。
  22. 天城勲

    政府委員天城勲君) 学校建設について、社会増の激しい地帯に学校をつくる緊急の必要性がございますので、補助金配分において優先的な考慮をいたしますけれども補助率差等を設けるということはいたしておりません。
  23. 辻武寿

    辻武寿君 札幌あたりへ行ってみても、非常に毎年数万の人口がふえておる。で、百十九校のうち七十四校ですか、教室が不足して、不正常な授業を続けておるというのです。屋内運動場等もこれと同じようなことがある。地方交付税算定基準というものがありますね。算定基準に準じたようなこういう学校屋内運動場に対する交付税というか国庫負担金というかを、そういうふうに合わすということは考えて当然じゃないかと思うのですが、これは大臣、どうでしょうか。
  24. 天城勲

    政府委員天城勲君) 御指摘の点は、実情に即して伺いますと、その御意見も十分納得いくわけでございますけれども、国でいろいろな補助金制度がございます。たくさんございますが、それで一々公共団体財政力調整していくということでは非常にたいへんなことになりますので、補助金は原則としては全国同じような率を使いますが、その結果、地方公共団体に御指摘のような非常に財政力のアンバランスがございますので、それにつきましては、交付税制度最後調整をする、一括調整をするということでございまして、たとえば僻地のような例をとりますと、僻地に必要な、平場にないような特殊な条件がございますと、そういう要素を織り込んで、交付税僻地補整をするという最後調整をしておるのが現状でございますので、おのおのの補助金財政力調整をするということは、全体の立場からは必ずしも適当ではないのじゃないかと考えたわけでございます。
  25. 辻武寿

    辻武寿君 大臣、どうですか。
  26. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) いま局長からお答え申し上げましたように、補助率は、他の制度におきましても、地方団体財政力で変動を与えるということは、非常に複雑にもなりますし、困難な事情がありますので、補助率補助率で一貫をして助成をしていく、そのほかに地方の負担すべき部分につきまして、これはやはり交付税で調節をしていくという以外には適当な方法がないのじゃないか。現在もそういうふうにやっておりまする次第でございますので、政治全体として研究余地はあるかもしれませんが、私ども立場としましては、やはり補助率自体は一貫した方針で助成をする、こういうことが妥当であろうと、現在のところそういうふうに思っておる次第でございます。
  27. 辻武寿

    辻武寿君 地方財政が非常にスムーズに運営されているところと、非常に財政困難なところとがあるわけですけれども、そういうところは学校教育というものもおくれてくる。これは施設もおくれてくるし、施設がおくれてくれば、それに従って教育内容もおくれてくる。それだけ国民の資質が地方のほうがおくれていくと、こういうことになるのであります。文部省としては、そういう点を極力そういうことのないように平均化して、国民の知識、また文化的な素質というものが向上されていくように、はかっていくべきだと思うのです。そういう点は自治大臣等ともよく連絡をとっていただいて、補助交付税制度というものを極力考えていただきたい、こう思うわけです。今後、大臣のそういった努力というものをひとつお願いしたいと思うのです。  私はきょうはこれで質問を終わっておきます。
  28. 鈴木力

    鈴木力君 簡単に伺いますが、この前、松永委員質問で、ずいぶんいろいろ政府見解を聞いたんですけれども、もうちょっとはっきりしたいところがありますので、重ねて伺います。  一つは、校地取得費に対する国の助成について、いろいろありますけれども、特にいま校地取得の問題が校舎建築難点ということもありますけれども、さらに発展して、教育のあるべき姿の方向がゆがめられるような傾向さえ出ているということで、たとえばどういうことかといいますと、都会地周辺地区なんかでは校地取得ができないために、校舎建築ができない、そういう実情から、PTAの組織まで、地主がPTA役員にならないと校地取得できないというような問題が発生しているわけです。そうして校地取得して校舎建築するというためにPTA役員を変えて、そして学校建築運動を起こすという事態がぼつぼつ出ておるということなんです。こうなってまいりますと、校地取得のことで教育の中身までいろいろとゆがめられてくるということになると、これは文部省としても相当深刻に考えてもらいたいと思うので、この前にも申し上げたんですけれども、これに対する助成あるいは援助、これについては相当有利な方向努力をしてもらいたいと思いますけれども、まずこのことに対する文部省の御見解をひとつ伺いたいと思います。
  29. 天城勲

    政府委員天城勲君) 御指摘のように、今日校舎建築の場合の用地取得ということがきわめて公共団体にとって困難になっているということは、私たち関係者との会議の際にしばしば実情を伺っております。なかんずく、都市周辺におきましては住宅建設とあわせて用地取得が非常に困難であるということが訴えられていることも承知いたしております。これにつきまして国の助成措置をどうするかという問題もございますが、これはまあ広い意味での土地政策そのものにも関連する点がございますけれども、当面われわれのほうとしては土地を買収していかなきゃならぬという、その資金の問題でございますが、これについて国の補助金制度を創設すべきであるという御意見もございます。しかし、実際に実情を伺ってみますと、土地単価というものが非常にまちまちでございまして、補助金の道を一応開こうといたしますと、どうしても適正な単価というものをきめなきゃならぬわけでございますが、多少の補正の余地は残しましても、どうも適正な校地取得単価というものがきめかねております。それからまた、校地取得する方法も必ずしも買収だけでもございませんで、他のいろんな要素方法をあわせて、簡単に申しますと転用をしたり、交換をしたり、いろんな方法でやっておられるのもございますので、補助金でもって一定の標準単価をもって措置するということがきわめて困難な情勢であると考えるわけでございます。  しかし、現実に土地を購入するという必要がございますので、現在のところは、この前の松永先生の御質問にお答え申しましたように、私ども起債によりまして財源に充てるというのが当面一番適切ではないか、こう考えて自治省との交渉において、従来建物を建てますと、その補助金に見合う起債というものがつくわけでございまして、その点についての交渉を進めてまいりましたけれども、最近はむしろ用地取得の点について起債措置についての要求を強く進めておるような実情でございます。そういう風味で、当面は起債措置中心に進めていくつもりでおるわけでございます。
  30. 鈴木力

    鈴木力君 このいまの問題は、補助金のほうで難点があるということもわかります。しかし、起債措置にいたしましても、たとえばこの前に文部省からもらった資料の中でも、縁故起債が一番大きいわけですね。その縁故起債で一番困るということもあります。かりに起債なら起債という処置にするにしても、この縁故起債を率をぐっと下げていくというような方法を講ずるなり、相当具体的にこの問題の強化のためには努力をしてもらいたい、その努力をすることをひとつお願いしておきたいと思います。  町間がありませんから、もう一つだけ伺いたいのですが、この前の松永委員質問のときにもありました過大学級の扱いですね、何か文部省のお答えの中にどうもはっきりしないところがある。過大学級県庁所在地の古い校舎にあるので、危険校舎の取り扱いで何とかできるというような、そんな御認識の答弁があったように聞いておるのですけれども、これはもう少しやはり過大学級に対しての認識を改めてもらいたいと思うのです。たとえば、いまの学校統合の問題がありますけれども学校統合にも、これはまあその市町村事情によると言われればそれまでですが、われわれから見ますと、どうしても統合の行き過ぎもあります。したがって、学校統合によって、たとえば市町村の一校ということに無理してまとめるために学級数もものすごく大きくなる、児童生徒通学距離もものすごく遠くなる、こういう場所についても早晩これはやはり分離ということが考えられる。また統合したばかりのところを分離というのは、これはまあ相当無理があったとしても、現在ふくれ上がって過大学級になっておって、どうしても分離しなければならない状態学校が相当あるわけです。したがって、この過大学級分離についての、いわば具体的にいまの法律制度上からどうしろということは言えないにしても、この分離学校統合と同じように、分離による建築に対する補助強化あるいは助成強化、これを講じてもらいたいと思いますけれども、これに対する文部省の御見解を伺いたいと思います。
  31. 天城勲

    政府委員天城勲君) まあ小規模学校適正規模への統合という問題、これは町村合併に伴う措置とも関連もございますし、また地域社会構成条件の変化とか、いろいろな条件からも来ると思いますけれども、やはり本質的には教育的な観点から、あるいは学校管理の基本からいって、適正な規模のほうがいいだろうという考え方がやはり中心でございます。したがいまして、小規模学校適正規模への統合について積極的な財政援助の方策をとっております。その考え方を裏返しにいたしますれば、やはり教育的に不適正な程度過大になってしまった学校というものも適正規模にこれを戻す、あるいは分散するということも、教育的見地からいえば同じ見方ができるのじゃないか、考え方としても私たちそういう考え方を持っております。また、現在までのところ小規模学校を積極的に適正規模統合するという施策を重点にしてまいりましたために、過大学級についての特別な法制上の措置がないということをこの前申し上げたわけでございますけれども実態についての認識とか考え方は私どももそういうつもりでおります。現に過大学級の分解と申しますか、分離というお話はしばしば伺っておりますので、私たち現行法の中で、これは別に違法なことをするというのじゃございませんけれども現行制度の中で、解釈でできる範囲の弾力的な運用をいたしまして、この前も老朽の例を一例で申し上げたわけでございますけれども、その他いろいろな組み合わせによりまして、できるだけ実情に即しながら、現にいままでも過大学級解消について手をつけてきた実例もございます。この点につきましては、御指摘のとおり非常に重要な問題でございますので、私たちもなお研究を進め、そういう御要望のあることについては十分御趣旨に沿えるような努力をいたしたいと、こう考えているわけでございます。  ただ、過大学級を一律に、何学級以上どうするという制度をいたしますことは、都市における土地取得の問題とかあるいは学区制の問題、あるいは逆に、いまお話のございましたように、学校統合を進める段階でも、私たち率直に申しまして、やや過大ではなかろうかと思われるような統合の御要望も出てまいっております。そういうところのお話をいろいろ聞きますと、新しい道路ができたとか地域社会状況が全然変わったとか、どうしても中心校というものを大きくつくらなければ措置ができないというようなことで、ややわれわれが想像するよりも大き過ぎるような要望も片っ方で出てくるような実情もございます。したがいまして、ただ一律に、何学級以上は解消、何学級までは統合ということもなかなかできかねますので、先ほど申し上げたような基本的な考え方のもとに、各公共団体実情に即しまして、しゃくし定木でないような方法で現在もやっているつもりでございますが、御指摘の点もございますので、特に過大学級の問題につきましては今後多角的に検討していきたいと考えております。
  32. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 御異議ないものと認めます。  北畠君から委員長の手元に修正案提出されておりますので、この際、本修正案議題といたします。  北畠君より修正案趣旨説明を願います。
  34. 北畠教真

    北畠教真君 私は、本案修正案提出いたします。  まず、修正案の案文を朗読いたします。  本修正は、本案の四月一日の施行が不可能となりましたので、これを公布の日とし、一部の規定を四月一日から適用するために必要な修正であります。  何とぞ御賛成くださるようお願い申し上げます。
  35. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) それでは、ただいまの修正案に対し、質疑のある方は順次御発言を願います。――別に御発言もなければ、質疑はないものと認め、これより原案並びに修正案について討論に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 御異議ないと認め、これより討論に入ります。御意見のあるお方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようですから、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより義務教育学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、北畠君より提出修正案を問題に供します。北畠提出修正案賛成お方挙手を願います。   〔賛成者挙手
  38. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 全会一致と認めます。よって、北畠提出修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案賛成お方挙手を願います。  〔賛成名港手
  39. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 全会一致と認めます。よって、修正部分を除いた原案全会一致をもって可決されました。  以上の結果、本案全会一致をもって修正議決すべきものと決定をいたしました。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  40. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 速記を始めて。  北畠君より発言を求められておりますので、この際これを許します。
  41. 北畠教真

    北畠教真君 この際、私は次の附帯決議案提出いたします。   以上でございます。何とぞ御賛成くださるようお願い申し上げます。
  42. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) ただいま北畠君から提出されました附帯決議案議題といたします。  ただいまの附帯決議案を本委員会決議とすることに賛成お方挙手を願います。   〔賛成者挙手
  43. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 全会一致と認めます。よって、北畠提出附帯決議案全会一致をもって本委員会決議とすることに決定をいたしました。  この際、文部大臣より発言を求められておりますので、これを許します。中村文部大臣
  44. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 公立義務教育学校施設設備についてのただいまの御決議につきましては、御趣旨を体して今後努力をいたしたいと考えております。
  45. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  47. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 女子教育職員出産に際しての補助教育職員確保に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、発議者より提案理由説明を願います。千葉君。
  48. 千葉千代世

    千葉千代世君 ただいま議題となりました女子教育職員出産に際しての補助教育職員確保に関する法律の一部を改正する法律案について、提案理由及び改正内容を御説明申し上げます。  一昨年の第四十六回国会における本法の一部改正によって、女子実習助手が法の対象に含まれ、国立及び公立小学校中学校高等学校、盲学校ろう学校養護学校及び幼稚園に勤務する女子教育職員のすべてが、この法律の適用を受けるに至りました。その結果、いまや、学校教育の現場に勤務する教職員のうち、ただひとり事務職員のみが、産休補助職員の適用のワク外に取り残されることとなったのであります。  事務職員は、その名称の下すとおり、学校の事務を担当し処理することがその本務でありますが、その専務内容は、文書の整理、起案、統計などの庶務的なものから職員給与、学校給食費、物品購入等に伴う会計の分野、施設、設備の管理の面に至るまで多岐多様にわたり、教員の教育活動と相まって有機的に学校運営を推進するためのきわめて重要な使命をになっているのであります。  たとえば、一人の事務職員が出産のための休暇に入った場合、その事務は、一括してクラス担任外の教諭が代行したり、教頭と教諭が分割して処理に当たったり、あるいはまた養護教諭に充当するなど、種々の方法がとられましょうが、いずれの方法によるにせよ、一人の専門家の事務量のすべてを、本来ふなれな教諭に課さなければならないことは、おのずから教育プロパーの面に手不足を生じて児童生徒の自習時間を設けたり、事務職員の代理として養護教諭が教育委員会等への出張中、児童生徒の負傷事故の手当てが粗略に流れるなど、しばしば正常な学校教育を阻害する要因をもたらしております。  このように、学校教育をより正常に運営し、より円滑に推進して、その教育効果の高揚を期するための蔭の力となっている事務職員の重要性にもかかわらず、事務職員配置の現状をながめますと、必置制が規定されている高等学校においては比較的充実しており、国立及び公立高等学校に勤務する者一万三千九百余人を数えますけれども、中小学校においてはいまだ十分な配置を見るに至らず、国公立をあわせ、その数約一万二千五百人にすぎない状態にあり、かつまた、その代替職員の臨時任用の道も開かれていないために、女子事務職員は安心して出産することができない状態にあるのであります。  ちなみに、女子事務職員の概数は、義務教育学校において約四千六百人、同等学校において約五千九百人であります。  ここに、昭和四十年の義務教育関係の事務職員の出産状況を申し上げますと、年間出産者八十五名のうち、産前六週間の休暇を完全にとれた者は、わずかに一〇%にも達しない七名にすぎず、休暇日数十日以内の者は三十七名、実に全体の四〇%をこえるという実情でありますから、出産者の大半が、産前においてはほとんど皆出勤、時間出勤、あるいは自宅執務を余儀なくされているのであります。これらはすべて複雑な事務をふなれな教員に依頼することの不安、給与事務や報告書提出期限の切迫、地教委の監査、学校行事や授業への影響に対する心づかい等、事務職員の旺盛な職能的責任感に基づくところであり、その教育に対する献身的態度を雄弁に物語るものであると申すべきでありましょう。  以上申し述べました理由により、女子の事務職員の出産の場合について、女子教育職員の場合と同様に職員の臨特任用を行なうことができるよう措置して、学校教育の正常な実施の確保に資する目的をもって、ここに本改正案を提出いたしました。  改正案は、第一に、法第二条第二項の法の対象に新たに「事務職員」を加えることといたしました。この改正を行なうことにより、女子の事務職員の出産の場合、補助職員の臨時任用を可能にするものであります。  第二に、法の題名及び本則中の「女子教育職員」の字句を「女子教職員」に改め、「補助教育職員」を「補助教職員」に改めることといたしました。  従来、事務職員は、その給与の面では、教員と同様に義務教育国庫負担法及び市町村学校職員給与負担法の適用を受けておりますけれども、「教育職員」とは呼ばれず、他の法律においても「教職員」と呼びならわされております。それゆえに、事務職を本法の適用対象に加えるにあたり、題名及び本則中の「教育職員」「補助教育職員」の字句を、事務職員をも含めて「教職員」「補助教職員」に改めようとするものであります。  なお、この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行することといたしてあります。  何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  49. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 以上で、本法案についての提案理由説明聴取は、終わりました。     ―――――――――――――
  50. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 学校教育法等の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、発議者より提案理由説明を願います。千葉君。
  51. 千葉千代世

    千葉千代世君 ただいま議題となりました学校教育法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由と内容の概略を御説明申し上げます。  学校教育に携わる教職員につきましては、学校教育の基本的事項を定める学校教育法において、それぞれの名称及び職責が規定されるとともに、公務員たる教育職員については別に教育公務員特例法において、その任免、身分関係及び研修等のことが規定されております。  しかしながら、現行法に規定されている教育職員の範囲は、必ずしも十分なものではなく、若干の重要な職種が欠落しており、したがって、これらの職種の教職員は、教育公務員特例法においても正規の適用はなく、準用の扱いを受けているのであります。そのような職種は、学校教育法関係では養護助教諭、実習助手、寮母があり、教育公務員特例法関係ではこれらの職種のほか大学における助手があります。  右のような法制上の扱い方から生ずる問題として、第一には、その職務内容と採用条件においての混乱、第二には身分及び待遇の不安定、第三には当該教職員の士気の阻喪が見られるのであります。したがいまして、かような職種の職務内容及び身分上の地位を法制上明らかにすることは学校教育の進展を期する上でぜひとも必要であると考えまして、本法律案提出した次第であります。  次に、これらの職種の現行法令上の関係及び職場の実情について御説明申し上げます。まず、護助教諭につきましては、現在、その資格に関しては教育職員免許法により、職務内容については学校教育法施行規則によりそれぞれ規定されております。なお、昭和三十八年に改正されました公立義務教育学校学級編制及び教職員定数の標準に関する法律において養護助教諭は、養護教諭とともにその職務の重要性が認識された結果、定数標準について別のワクづけがなされ、年次計画による増員がはかられつつあることは御承知のとおりであります。また、高等学校については公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準に関する法律において、同様に定数標準が定められております。このような地位にある養護助教諭が、一般の助教諭と同等に学校教育法上に明確に位置づけられ、教育公務員特例法の正規の適用職員とされるよう改めることはきわめて当然のことでありましょう。  次に、実習助手につきましては、現在、学校教育法施行規則によりその職務内容が規定され、高等学校設置基準並びに国立学校設置法施行規則においてその設置が規定されております。また、さきに掲げましたいわゆる高校定数標準法においては、その定数標準が厳格に定められております。なお、教育職員免許法においては、実習助手が所定の単位と経験年数を満たせば、実習教諭の免許状を授与される道が開かれております。一万名に及ぶ実習助手が、産業教育振興のために日夜努力しておりますが、また他面、現場におきましては、実習助手の名のもとに、実際は図書館司書のような仕事をしたり、一般事務の補佐をしたりする例も散見されるのであります。実習助手の職務内容を明確にしてその地位の安定をはかり、積極的な研修を促すためにも、学校教育法、教育公務員特例法の改正は必要でありましょう。  次に、寮母につきましては、その重要性が漸次認識され、さきに触れました公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準法の改正により、児童生徒数六人に一人の割合で配置されており、寮母が他の事務に従事させられるといった混乱も解消し、実情は大きく改善されておりますが、特殊教育振興という観点からは、養護助教諭、実習助手とともに同様の法律改正を行なうべきものであると考えます。  最後に、大学の助手につきましては、すでに学校教育法において、その名称、職務内容及び大学、高等専門学校への義務的配置が規定されておりますが、教育公務員特例法上は準用の扱いを受けているにすぎません。大学、短期大学、高等専門学校には、今日二万名に及ぶ助手が勤務しており、将来の大学をになうべく研究にいそしんでおります。そして学問分野によっては、たとえば物理学、数学等の世界などでは、世界的研究水準に達している助手も少なくないと聞いております。また、直接、学生の教育に携わっている助手は、東大で約五五%、地方大学では約八五%であると日本学術会議は報告しております。かように大学の研究教育陣の一翼をになっている助手が、正規に教育公務員特例法の適用を受けるべきことはこれまた当然のことと申せましょう。  以上、改正の主要点について申し述べましたが、これらの改正により、関連する多くの教職員の職務と責任を明らかにして、その地位及び待遇の安定をはかり、研修を促し、なお一そうの活躍を期待することは、わが国の教育振興の上に大きな利益があることを信ずるものであります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  52. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 以上で、本法案についての提案理由説明聴取は終わりました。     ―――――――――――――
  53. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 高等学校定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、発議者から提案理由説明を願います。秋山君。
  54. 秋山長造

    秋山長造君 ただいま議題となりました高等学校定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案について、提案の理由と内容の概略を御説明申し上げます。  最近、技術革新を機軸とした社会改革が急激に進行する中で、国民の資質及び能力の展開向上に対する期待が一そう高まり、教育の責任はいよいよ重大になってきております。  すなわち、義務教育はもとより、後期中等教育、大学教育の拡充整備が切実な課題として取り上げられております。特に、後期中等教育については、高等学校、各種学校、その他の教育訓練施設に学ぶ青少年の就学率が年々高まっており、いまや後期中等教育の義務制化が真剣に論議される段階となりました。このような情勢の中で、戦後の新教育制度として発足した高等学校定時制教育及び通信教育は、一段の飛躍が期待されておりますものの、その実態は、問題を数多く含んでおり、伸び悩みの状態にあります。  その理由としては、国全体として勤労青少年教育に対する理解、認識がいまだ不十分であるということに尽きるのではなかろうかと考えます。すなわち、各種の施策が、これらの教育施設に対して行なわれてきましたが、画龍点睛を欠くといいますか、一番根本のところにまだ手が届いていないと思うのであります。  その第一点としては、御承知の求人難、人手不足の深刻な現在、使用者は好むと好まざるにかかわらず、勤労青少年を労働過重に追いやり勉学の機会や学習の意欲を阻害しております。また、すでに就学している勤労青少年も、昼間の労働、夜の通学というぎりぎりの生活の中で疲労こんぱいしております。したがって、使用者側の理解、協力を一段と促進し、通学、勉学の諸条件整備してもらいたいのであります。  第二点といたしましては、この教育施設を経営する側、主として地方公共団体並びにこれに援助している国の責任として、全日制高校に劣らない適切な施設、設備を整備することはもちろん、生徒を教育指導する教師その他の職員に対する配慮を一段と厚くする必要があると信じます。現在、校長及び教員並びに政令で定める約半数の実習助手に対しては、定時制通信教育手当として、本俸の約七%の手当が支給され、国はその三分の一を補助しておりますが、実習助手について政令で支給制限していることは不合理であり、また、特に夜間定時制高校においては、校長、教員、実習助手のみならず、事務職員その他の職員ともどもに、困難な条件の中で勉学している生徒を指導し、かつ学習環境をよりよくする必要もあり、この手当を事務職員その他の職員にまで拡大する必要があると思います。  また、定時制通信教育手当は、さきにも申しましたように、現在、昼夜の別なく支給されております。しかし、夜間課程に勤務する教職員は、昼間勤務者に比べて、本人はもとよりその家族をも含めて、肉体的にも精神的にも苦労や疲労が非常に多いのであります。帰宅が毎晩おそいこと、食事もしたがって一日四回となり、しかも家族と一緒にとることがほとんどないありさまであります。このような職務内容の困難度という観点に立てば、昼間定時制にも支給されている手当を若干、夜間に限って増額することも当然であり、この際、定時制通信教育手当の増額措置を講じたいと考えるのであります。  以上、本法律案提出理由を申し述べましたが、次に、本法律案の内容について、簡単に御説明いたします。  本法律案は、第一に、勤労青少年を使用する者に対し、勤労青少年が定時制教育または通信教育を受けるのに支障がないように、労働条件に関し特別の措置を講ずるようにつとめる等の義務を課することにいたしました。  第二には、本務として夜間において授業を行なう定時制課程の事務その他の職務に従事する事務職員その他の職員及び本務として定時制教育または通信教育に従事する実習助手で、従前定時制教育手当を支給されなかった者に対しても一律に定時制通信教育手当を支給することといたしました。  第三には、夜間において授業を行なう定時制課程の教育に従事する校長、教員、事務職員その他の職員に対し支給する定時制通信教育手当の額を一律五千円増額することといたしました。  第四には、本法律の施行期日を昭和四十一年五月一日といたしました。  以上でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  55. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 以上で、本法案についての提案理由説明聴取は終わりました。     ―――――――――――――
  56. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 教育、文化及び学術に関する調査中、補習授業に関する件を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。  なお、政府側より中村文部大臣中野文部政務次官、齋藤初等中等教育局長が出席しております。
  57. 小林武

    ○小林武君 補習教育に関する問題を質問するということより、もっと広く、それももちろんありますけれども、これは予算委員会のときにも問題が出まして、日本のこのいまの入試地獄というようなことは、文部大臣もたいへん憂慮をされておるという、そういう御発言があったと記憶しておるわけです。それらを含めて、補習教育の問題、さらに補習問題とかかわり合いを持ちながら日本の教育にさまざまの影響を及ぼしている問題についてお伺いをしたいと思うわけです。  昨年の九月の初旬でございましたか、朝日新聞に、第四回の国際大学協会総会のときに世界から集まった学者たちが、高等教育への進学を話し合った。そうしてそのとき日本の試験地獄の問題が出ましたですね。試験地獄日本に驚いたと。その際、アメリカの代表が、いまの大学入試のやり方というのはちょうど七十年前のアメリカそっくりだと評したというようなことが書かれてあるわけです。これは津田塾大学の教授である伊藤昇氏が書いているわけです。もちろん表題は「試験地獄日本」などという表題ではなくて、「能研テストはこれでよいか」という表題であります。私は能研テストのことをここで申し上げるつもりは一つもございません。またこれは他日やることにいたしまして、ここではこの試験地獄の問題が一つ出てきている。そうしてまた、試験地獄によって、説をなす人は、日本の教育はもう破壊されたと、こういうことまで極論されるに至っております。  そういう角度から、ひとつ文部大臣にお尋ねをいたしたいのですが、このアメリカの学長の指摘をこういう角度からとっていただきたくはないのです。この書き方を見るというと、アメリカの大学は何か日本の教育の後進性を指摘したような受け取り方もされるわけでありますが、これは必ずしもアメリカと日本を直ちに比較するわけにもいかないわけでありまして、そういう議論をすれば、またこれ幾らも議論のしかたもある。そうでなくて、その中にとにかく国際的になった日本の入試地獄というようなものを、文部大臣はどう一体お考えになっておるか、その点からひとつ承りたいと思います。
  58. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 入試地獄の問題は私どもも悩みの種でございますが、これは要するに日本のそれぞれの段階における学校の現状が格差があり過ぎるということが一つ、それともう一つは、教育熱が非常に急激に高まりまして、まあ親としても本人としても、ぜひ進学をして、さらに高級の勉学をしたいという希望が非常に強くなって、受け入れ体制との関係が、非常にギャップができておる、こういうようなことから余儀なく起こっておる現状であると思うわけでございます。したがいまして、この入試地獄は何とかして解決をしなければならない重大な課題でありますが、ただ一つ方法だけではなかなかこの解決は困難で、いろいろな角度から多角的に検討もし、また対策を逐次講じていかなければこの現状を解決することが困難であると思うのであります。私どももそういう角度に立ちまして、いろいろ検討を加え改善に向かって進めてまいりたい、現在さように考えておる次第でございます。
  59. 小林武

    ○小林武君 その指摘を事実としてお認めになっておる。そうして入試地獄というものがどうしてできたかということについても文部大臣は触れられておる。まあいま述べられたことだけでは、私は入試地獄全体を言いあらわしておらない。しかし、このことをあまり、いろいろ理由はどうだとかなんとかということをやっていけば、これも相当時間のかかった議論になると思います。私はそういう議論はまずここであまりやらないつもりであります。  ひとつ言いますというと、これは国の要請というものが一つあるということは、やはり文部大臣としてはお認めにならなければいかぬ。そうですね、国の要請。日本の学問を高めていかなければならない、科学技術を進歩させなければならぬということは、これは科学技術基本法を出すというようなことからもうかがわれますし、昭和三十五年に時の政府が諮問をして、その答申のあった十年後の日本の科学レベルは一体どうでなければならぬかというようなことをひとつ考えてみましても、国の要請があったということ、このことをやはり頭に置いておかなければいかぬと思うのです。これについていろいろな角度から批判できると思うのです。高度経済成長政策というようなものの利害得失というような問題もあるでしょう。立場の相違によってさまざまの議論がある。これはさておいて、そういう国の要請であるということだけはここでひとつはっきりしておかなければならぬ。  同時に、あなたのおっしゃる進学率が高まった、優秀な技術屋、優秀な研究者、そういうものが必要だという国の要請ですから、ネコもしゃくしも上の学校に入りたがるというようなことを政府の人が考えることは、やはりこの点からもやめてもらわなければならぬと思う。まあその進学率が非常に高まったということ、そこで学校格差という問題ね、これもやはり試験地獄を非常に引き起こしている。これは一つの日本の問題だと私は思うのです。格差があり過ぎるということ、駅弁大学なんという大学があるかと思うと、たいへんもうりっぱな大学がある。文部大臣もお感じになっていると思うが、最近の新聞は一体どういうことを取り上げるかというと、入試の問題については東大へ何人入ったとか、その入れた学校はどことどこだ、一位がどこで二位がどこで三位がどこだと詳細に書く。週刊誌を見ると、今週の週刊誌の中には、国立学校のいわゆる一流校と比較的いわれる学校に、どこの高等学校から入ってきているかということを、ぼくはまだ見ていない、広告を見たのですけれども、それで週刊誌がきっと売れるということは、それは認めざるを得ません、新聞から雑誌から、みんなそれなんです。ということは、とにかくやはり学校格差という問題を一つ持っていると同時に、反面また学歴偏重というようなものをやはり否定できない。文部省あたりはほんとうは、文部省内で一番学歴問題ですぱっと割り切ったやり方をやっていればいいけれども文部省の中はどうなっているかよくわからぬけれども、一時資料をもらってぼくも調べたことがありますけれども、どうもやはり有名校出身者が優遇されているというか、頭がいいからそうなったのかもしれませんけれども、役に立つからそうなったのかどうかしれませんけれども、そういう傾向があるし、それからまた、実力があろうと、大体学歴の場合、高等学校卒業生くらいだったらとても局長なんかになれない、そういう仕組みになっていますね。前の文部大臣であった愛知さんに聞いてみたら、これ一体どうかならぬかと言ったら、いまの役人選抜する方法を変えなければどうにもならぬ、こういう話だった。  私がそういうことを考えると、いろいろな要因がそこにあるということを認めなければいかぬ。それをとにかく私はいまここでどうせいというんじゃないんですが、そういうあれがあるんだということをやはり認めてもらう。そういうことで一つ狭き門というのができてくる。これが私は入試地獄を生んだ理由だと思うのですが、文部大臣はどうでしょうか。この入試地獄というようなものが深刻な状態だというようなことを、またどういう一体地獄相を呈しているかということを、ひとつちょっとここでお聞かせをいただきたいんですよ。地獄地獄というのは何地獄なのか、えんまさまはだれなのか、鬼はだれなのか、そこへ落ち込んで罪の苛責を受けている者は一体だれなのか。これはどうも私は地獄というもののことばの使い方がよくわからないんですけれども、どうも地獄に落ちておるのは、あまり罪を犯したのじゃないと思うけれども、そういうことはともかくとして、一体、深刻な状態になっているということを文部大臣が認めているのかということだけは、私ははっきりしていただきたい。地獄というのはどんな地獄なのか。
  60. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) これはもう御指摘をいただくまでもなく、非常な深刻な状態であると認識いたしております。
  61. 小林武

    ○小林武君 どうも、文部大臣、そういう深刻な状況なんというのはちょっと困るんですよね。それだけしかお考えになっておらぬ。私はこの間テレビで、小尾教育長ですか、あれを見て非常に感じたことがあるんです。そればかりじゃないんですね。もう見ますというと、とにかくやはり教育委員会でもずいぶんの数の方がたいへんだということを言っているんだね。たいへんだ、たいへんだと、こう言っている。それを考えますというと、なるほど地獄なのかどうか知りませんけれども、たいへんなことになっている。  たとえば、まあ越境入学なんというのは、文部大臣の住んでいる区はどうか知らぬけれども、相当ある。私の住居区域の中のことを考えても、越境入学というのがある。どうしてあそこから番町小学校に行くのかとふしぎでたまらぬのが、番町小学校に行っているのがある。一橋中学校なんというのは、どうしてあそこから一橋中学に行くのかということもないわけじゃない。いろいろある。しかし、私は行っている者を責めるなんという気持ちは毛頭ない。そういうことじゃなくて、越境入学というものがどう行なわれているのか、塾というのはどんな塾が繁盛しているのか、テスト屋がどうなっているかとかいうようなことを、やはりもっと具体的に私は文部大臣としては考えていただきたいんですよ。越境入学なんというのは何ぼ声をからしてもだめだ。何ら越境入学のあとが断たぬ。テストというのはどういうことになっているのか、学校の内部はどうだ、ほんとうに一体教育というものをやれるような状況ではなくて、入学試験のためにすべてしぼり切っておると、こういう状況をひとつお認めになるだろうと思うが、非常に深刻な状況というのはそういうことをさしますか。
  62. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 深刻な状態はいろいろあると思うのです。しかし、いま具体的にお話のありました越境入学のようなことは、これがそれを管理する学校あるいは地方教育委員会等もこれを防止することに最善を尽くしてもらいたいし、また一般の父兄も私は考え直してもらう必要があるんじゃないか。最近、東京都あたりでは、小尾教育長もそういう感覚に立ちまして、越境入学はまかりならぬという号令をかけて熱意を傾けておるようでありますが、ただ、反面から見ますというと、それでもなおかつある。これはやはり親ぐるみ、子ぐるみ寄留をして籍を移してやられると、これはその所在地の学校なり区の当局にしましても、形の上で籍が自分の区に、通学区域にあるんじゃ、どうもこれまではねられないというような面もあると思うのです。ですから、親たちが、そういうような越境入学までさせて進学競争をすることが、一体自分の子供の生涯を通してそれがしあわせなのかどうなのか、そういうことも考えてもらい、やはり社会の世論にもこたえてもらう、こういう世の中全体にやっぱり何といいますか、良識観が徹底しませんと、一方で努力だけしても、努力だけでは防ぎ切れないものがあるのじゃないかというような気がするのでありまして、こういう点については大いにお互いにひとつ声を大にして、そういうことを改めるべきものであるということを、ひとつ広く世間の人に認識してもらうように努力をしていきたい、かように考えております。
  63. 小林武

    ○小林武君 まあどうも文部大臣の話聞いていると、悪いやつはほかにいてというような感じが受け取られるのですね。親も親だというようなことを言われる。しかし、それは先ほど来から言っているように、仕組みがそうなっているから、必ずしもぼくはそう言わぬと思うんです。番町小学校に入って、それから麹町中学校へ行って、それから日比谷高校へ行って、東大に入ると、まずここまで行けばとにかく、まずまず、とんでもないことでもなければ世の中にりっぱに生きていかれるというような、こういう事実が存在する限り、そこへ集まるというのはあたりまえです。学校格差はあなたは認めておる。先ほど屋内運動場の話が出ましたけど、屋内運動場の中を見ても、これは差がある。学校格差があれば、いいところへ行きたい。そういう場合にはいいところへ行きたい、刺激のあるところへ行きたいというのは当然なんです。それが是正されないで、いろいろなことを言っても、なかなか実績はあがらない。あなたは一体、そういうようなことはやってはいけませんと言うのは、ひとつの説教にしかすぎない。正直者がばかをみるというような、こういうものは政治じゃないわけですから、まあそういうふうに簡単にお考えになるのはどうかと思う。  私はそこで、あなたに、ここのところで締めくくりとしてはっきりお伺いしたいのは、そういう試験地獄があるということ、これはとにかく試験地獄というようなものがあって、それに対して文部省というものの果たすべき責任も相当あると、こうお考えになっておるかどうか、それを承りたい。
  64. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 申すまでもなく、文部省努力すべき点はたくさんあると思います。先ほどお話しのように、何々学校から何々高校、何々大学と、こういうこともお話がありましたが、実際ここまで日本の現状が来ているというと、私ども文教を担当しておる責任者でありますが、一発で、これはどう解決しようにもなかなか解決の道がない。  たとえば、私も話を聞いているのですが、戦後日本の学制をつくるときに、まあこういうふうに大学が非常に、かつての高等商業とか、高等工業とか、あるいは師範学校とか、統合して大学ができた。こういう大学制度ができるときに議論があった。私はそういう方法にでもなっていたら、もっと姿はよかったのじゃないかと。たとえば東大とか、京都大学とかというような、かつての帝大の、有名な、しかも実力の備わった大学は、これはもう普通の大学じゃなくて、大学院大学にしてしまう。そうして他に、その下に一般大学を置く。一般大学で十分に勉強して、選ばれた者がその権威ある大学院に入るという構想にすべきだという議論が当時あったそうです。しかし、それがいれられないで、こういう形のものができてしまって、何十年かこうまあ走ってきたわけですから、私はいまでもそのときにそういう――一部分の議論だったらしいんですが、そういう姿の日本の大学制度になっていたら、入学競争はこんなにならなかったのじゃないか。いま権威ある大学と目されているところは一段高い大学院大学で、他の大学で、どの大学でもそこへ入ってきて、そこでしっかり勉強した者が、すぐられて大学院へ行く、こういうかっこうであればよかったと思うのですが、これは何十年もたって、取り返しつきませんし、いまさらそういうことも急には進め方のないことでありますから。しかし、できないからといって、これはほっておくわけにいかない。  大学の格差是正ということは非常にむずかしいと思いますが、その前の高校段階で、私は少なくとも都道府共立の高校のようなものは、学区制のようなものを設けていくとか、何かあるいはそれをもっと格差をなくして内容を――それは一年、二年でできませんが、年次をかけて、そして内容を整備し、教育陣容を整えて、そして学校差をなくすということにつとめていくことなどは、まあ一番手っとり早い可能な道だろうと思うんですが、そのほかにも、こういう非常に好ましからざる現状というものを打開するについては、たくさん知恵が出ると思うんですが、われわれとしても、もちろん文部当局としては、一斉に、自分はこれがいいと思ったからといって号令をかけるわけにはまいりませんが、いまの時世でそうはまいりませんが、しかし、あらゆる角度から研究をして、この是正の道をひとつとっていくべき責任がある、こういうように考えております。
  65. 小林武

    ○小林武君 いまの件、別に文部大臣のあれに考えていることが最大のいい手だとは私は思いませんけれども考え方としては、私もいまそうやっておったらいいんじゃないかと思っておるのです。それは東大やなんかを抹殺するとか、そういうわけじゃないのです。これやったら東大閥がなくなるとか、そんなけちな考えで言っているのじゃない。私はそうじゃなしに、科学技術の振興などという立場から見た場合に、それは日本の研究者、高度な研究者を養成するということになると、大学院とか付置研究所とか、あるいは共同研究所とかいうようなものでいろいろからめて考えた場合には、学制としてはそういうものも考慮していいんではないかということを考えている。ぼくの考えの中には多少あるのです。これはしかし、ぼくの個人的見解ですけれどもね、そういうこともありますけれども、それを直ちに――何か問題の解決とはちょっと違う性格のものだ、これはもっと積極的な別の立場で論ずるものだと思う。  そんなことを議論していたのでは時間がかかりますから、そこでひとつ、最後にこの項目のところでお尋ねしたいのですが、いわゆるテスト屋とか塾とかいうような問題いろいろありますが、どうもここでいままでやられている試験のやり方といういうようなものは、いわゆる客観テストなんです。これについてどうですか、文部省としての見解ございますか。これは文部大臣でなかったら初中局長ね、大体テストというと客観テストの形をとっておる。こういうものが非常に問題を起こしていないか。それからまた、先ほども言ったが、やはりいい学校へ入りたいということになると、競争心をあおって、何人あすこの学校へ入れたというような、そういうことのために無理な補習教育が行なわれているというようなことを、どうですか、そういう点について初中局ではどういう判断をされていますか。
  66. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 入学者の選抜の問題につきまして、主として初中局で検討しております問題は、中学校の段階から高等学校へ行く同等学校選抜の問題についてでございますが、その点に関しましてお答えいたしますが、現在、この選抜方法については、昭和三十八年に全国的な指導をいたしまして、学力検査というものと、それから中学校における学習というものを両方を評価して入れる、大ざっぱにいえば、そういう考え方で指導しておるのでございます。そこで、学力検査のみでは、いま御質問のような点で不十分であるというような点を、内申書重視という考え方で進んできているわけでございます。  で、今回三月に、私ども三十八年度の通牒をどう考え直すかという作業をいたしておりまして、これは主として専門家の方々にお集まりを願いまして、ただいま検討を加えております。で、これは六月ごろまでにひとつ、各都道府県の改善案の参考になるべきものを出し、また三十八年度の通牒が非常に強く一律にその都道府県の考えをきめるのに役立っておって、現状としてふぐあいな点があるかということを主として考えているわけでございます。その点につきましては、たとえば当時の通牒にありますところの、これは趣旨としては非常にいいことでありますけれども中学校教育に軽重をつけないということはいいことでございますけれども、いま御指摘の点にも関係ございますが、九教科全部についてペーパーテストをやるというようなことがはたしていいか、また中学校の教科に軽重をつけないという趣旨はごもっともでありますけれども、そのことが理屈抜きにいわゆる準備教育というものを過重にするという実態があるということ等でありまして、この点についても検討を加えているわけでございますが、ただいまの段階は、各委員が具体的な自分の案というものを持ち寄りまして、近くそれを集めまして、四月にもう一度検討し直そう、そうして六月には府県にその資料も出して、府県におきましては大体それ以後、東京都ではすでに始まっておりますが、これは七月ごろには改善案を出して、次年度の入学試験から改善案を実施しようというのが、いまの進め方でございます。  それから、第二の、補習授業の点の御指摘でございました。補習授業は――まあ補習授業ということばは非常に不正確でございまして、一番指摘されております試験準備のための補習授業もあります。あるいは中学校の遅進生徒に対する学校の補習という問題もございます。あるいは非常に僻地に参りますと、中学校段階の家庭学習というものに全然関心を持たない地域で、特に手助けをしてやるという形のものもございますから、補習授業という名前で一括弊害があるという言い方は、もちろん誤解もあろうかと思いますが、いま論議されておりますのは、試験準備のために行なうところの補習授業というものが非常に全国にびまんをしている。で、これは幾つかの調査がございまして、あるものは八時間以上の補習授業を行なうものが五〇%以上も占めているというようなことで、全国に行なわれております。これにつきましては、実は本年に入りましてから、指導担当の部課長と会議を開きまして、各府県の対策等もいろいろ意見を交換いたしまして、それぞれ地元の実情に合った方法で、この補習授業の廃止ないしは抑制方法というものを各府県の段階の教育委員会としては検討もし、またすでに実施に入っているところもございます。ただ、そのやり方につきましては、府県によりましてかなりその背景になる実態が違っているように思いました。直ちに一挙に全廃することについて、なお、私塾あるいは家庭教師というようなものにいたずらに流れてしまうかというような心配を持ちながら、段階的にやっていきたいという府県もございました。それから、むしろすでにもうそういう心配はなくて、一切そういうことはしない、しないことによっても、何も学校の先生たちが私塾や家庭教師につとめるというようなことは全くない、そういう自信を持っているという府県もございました。この補習授業の抑制あるいは廃止という問題は、それぞれ府県の段階において鋭意努力中でございます。  これらの問題も、この高等学校の入学者選抜方法に関する研究会議を持ちまして、さらに具体的に検討いたします。それから、近く再び指導部課長を集めまして、その後の措置等も聞き、十分に指導していきたい、こういうふうに考えます。
  67. 小林武

    ○小林武君 やはり問うていることにあなた答えない。失敬なこと言っちゃいかぬですよ。何ですか、補習授業だと言ったのを不正確とは何です。そういうばかなことを何で言うのですか。業がそのくらいの種類あることは知っておりますよ。あなたに聞いているのは、入試に対する補習授業のことを言っている。補習授業説明をあなたから聞かなければならぬほどこっちはわからずに質問しているのじゃない。そんなばかなことは言わぬでください。あなたはいま補習授業のことをいろいろ説明されたけれども補習授業というようなものを通して、日本の教育に一体いい影響を与えるのかどうかということを聞いているわけです。悪い影響を与えているのじゃないかと言っておる。試験地獄、入試地獄といっているから、言っているわけです。  それから、文部省はどうもわりあいにうまくないと思う。たとえば、中学校から高校に入る段階とか、高校から大学に入る段階と切って考えることがおかしい。これは与党の方の質問の中にも出ている。いまや幼稚園から何々と言っている。ぼくらもそういうことは経験しているのです。幼稚園の子供に、ある有名な私立の小学校に入れるために、予備校にやっているといって、私のほうへ、やったらどうかなという相談をしてきた。私は反対をしたけれども、反対の意見をたっぷり聞きながら、ちゃんと予備校へ行って、幸い有名校に入った。私が反対といっても、おやめになったほうがいいじゃないですかというくらいで、しゃにむにやめろという力も権限もありませんから、言いませんでしたけれども、そういう幼稚園からずっと来ている。開拓地なんかへ行けば、進学競争というのはないですよ。進学競争どころじゃないのだ。もっと深刻な、別なことが深刻になっている。だから、日本の入学試験の大問題をとらえた場合、補習教育というものは、何ぼ文部省がいろいろなことを言っても、日本の教育に非常な影響を与えているでしょう。子供の心身の上に大きな影響を与えているでしょう。それを認めないわけにはいかないでしょう。その種のことを一切文部省としてはやらせないという態度がなければならないわけです。それがありますか、ないか、こう聞いているのです。  それから、もう一つ、客観テストというものの弊害が、日本の教育にどういう弊害を与えたか、このことです。
  68. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) まずおわびいたしておきますが、私、別に先生のおっしゃったことを不正確という意味で申しているわけではないのです。私は、補習授業問題を従来指導部課長会議でいろいろ議論してきた、委員会等でいろいろな要素があるということを申したのでございまして、別に先生のおっしゃったのが不正確だというような意図で毛頭申しておりませんので、その点は御了承願いたいと思います。ただ、私どもがいろいろ話しておりました場合のことでございます。  それから、私、受験準備のために非常に広く行なわれております教育、それがはなはだしいのは夜間にわたったり、あるいは通常の授業のほかに非常な過度の学習が行なわれたり、そういうことが体力やあるいは生徒の情操という面で弊害があるということは、私は認めております。そう考えております。  それから、第二の御質問の、私、客観テストという意味について、どういうふうにお答えしていいのか、ちょっとその点がわかりにくいのでございますが……。
  69. 小林武

    ○小林武君 通俗的にいえば、マル・バツ式というものですね。それに類するものです。
  70. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 試験の方法といたしまして、わりあいに思考力とか体系的に物事を考えるとかいうことが困難であり、そうしてある意味で簡単に選択をマル・バツで表現するというようなことで、学力を検査するのに不十分な面もあるということは、これはすでに専門家の間におきましても、また文部省自体においてもそういうことをとっておりますので、その点はあれでございますが、ただ、おそらく専門的な議論としては、ある能力を検査をする場合に、マル・バツ式で弊害のないものもあり得るわけでございますから、私は必ずしもマル・バツ式と記述式というものを全部二者択一に考えていいのかどうかという点は、私はまだ不勉強でわかりません。それは適当な、混在することもあり得るのではないかと思います。ただ、御質問の客観テストという意味になりますと、私も十分に、不勉強で御質問の内容がよくわからない点があるわけなので、申し上げたわけでございます。
  71. 小林武

    ○小林武君 わからない人を相手にしてもしようがありませんが、たとえば、あなた、専門家がどう言ったとかなんとかいったことはけっこうです。いろいろ御勉強なさることはけっこうです。しかし、あなたのほうにものを聞いている。私は、あなたのほうの、文部省意見を言わなければいかぬですよ。私らだって、何も何でも知っているわけではない。聞きにいくのです。聞きにいって、納得すれば、自分が納得して自分の知識になれば、自分の意見として述べるわけです。だから、あなたたちも、いろいろな審議会だとかいろいろなものをお持ちになって、そしてやられて、文部省が納得して、この方針でいこうというときには、文部省の方針はこうだ、こう言えばいい。たとえばマル・バツでよくやっているようなああいうものは、いまや常識としてああいうことが日本の教育というものに問題を投げかけているということは、あなたも御存じだと思う。マル・バツを一切やっていけないという議論も、これもしかし成り立たないかもしれない。簡易にやって、何かそれはもうたいした思考力をどうするということでない場合はあり得るかもしれない。しかし、概してそういう一つの行き方というものが、ものをよく考えるとか、そういうことをやはりどうもおくれさしたというようなことがいわれている。その点は、ひとつあなたのほうの御意見として述べるときには、しっかり述べていただきたい。  そこで、大体あなたたちの御意見もわかったし、入試地獄けっこうだという考えでもないようで、問題点も大体わかりましたから、お尋ねをするのですが、東京の都教委の、入試偏重の姿勢を正せ、こういう通達が出ている。そして入試準備テスト、それから補習授業、学習塾などの自粛というようなことを指示した。私はそういう指示が出てきたのは、よくよくやはりたまらぬと思ったからだと思うのです。小尾さんという人は、やはり学校教師をやった人でしょうから、あなたのあれからいえば専門家です。そういう人がそういう通達を出した。先ほどちょっと話に出たが、文部大臣学区制の問題を一つ取り上げた。高等学校の問題を考えれば、学区制があれば、何もことさらこんなものすごい入試地獄というものは起こらなかったかもしれない。しかし、それをこわしたのは文部省だ。いまやっているのは京都府だけです。だんだんこわしていって、有名校に集まるように、わが名門校をぶっつぶすつもりかというようなことで、有名校復活に導いていったのは、どっちかというと文部省でしょう。文部大臣は、なかなかそのとき関係がないから、卓見だと思って聞いておった。別なことを言っているかどうか知りませんけれども、とにかくそういうことに賛成している。  そういう議論でなしに、今度は別のことを言いますが、そういう入試偏重をただせと言ったのは、そうして今度やろうとしている東京都の問題を考えるというと、やはり学区制の問題に触れていますね。だいぶ反対論出ると思います。どうもわりあいにいい考えのようだが、一歩一歩いいほうへ近づきそうだが、相当反対があるのじゃないかと思う。私は、この問題を取り上げる場合に、やはりおのおの責任というものを考えなければいかぬと思うのです。ただだれかを責めるというだけでは、私はぐあいが悪いと思うのです。小尾さんは内申書の問題に触れてテレビでやっておったが、たとえば内申書を出して、そうしてとにかくあまり、何というのですか、試験をやるようなところにはあまり重点を置かぬようにしながら、しかも学校配分なんかというのは、本人がその一つの群に入ったらどこへやられるかわからない、そういうこともまかせるというようなことを考えているらしい。そのときに、内申のことが話が出たときと思っているのですが、そこからちょっと目をそらしておったが、そのときに、問題があるのじゃないかという質問に対して、だから教育の姿勢を正してもらわなければ困りますと、こう言った。私はそのときに、だいぶきびしい顔をしてやっているのを見ながら、やはりちょっと不満を感じたのです。なぜか。これは教員だけが悪いということになっているのだ、いまの入試地獄というものをやったのは教職員だけだというふうに聞こえるのですよ。私は、教職員には責任ないなんというようなことは言ってはいけないし、言わしていけないと思うのです。だけれども、全体がこれについてやはりそれぞれの責任というものを感じなければいかぬですよ。一体それでは、日比谷高校の校長が処罰されたという話は聞いたことがない。それから、よくいれる名門中学というのがやっつけられたという話はあまり聞いたこともない。たくさん日比谷高校に入れてけしからぬ、それはおまえのほうでたくさん補習授業をやるからだろう、そういう行き過ぎたことをやるというのは教育上けしからぬというようなことを聞いたことないですから、有名校にたくさん入れれば、あそこは教育熱心でたいへんりっぱだ、こういってほめられる。とにかくだんだん弊害が強くなったから、一体教育の姿勢を正さなければいかぬといってしかられるのは、今度は先生だ。私はそんな持っていき方ということをやっているというと、いつだってだめだと思うのです。そう思いますが、文部大臣はどうですか。私は、入試地獄というものに対して教師にも大いに責任があると思うのです。教師、学校だね。私が、いうならば、教育現場としての学校、これは一つ責任がある。しかし、教育委員会にも責任がある、文部省にもある、こう思っているのです。この責任の意識をはっきりしないでおいて問題を解決しようなんといったって、これはおこがましい話だと思うのです。順序からいえば、一番責任を感じなければならぬのは文部省だ。それは一番強いのだから、一番責任を感じなければならぬのは文部省だ。その次は教育委員会、教員となるようないまの仕組みになっているからね。ほんとうは一番責任があるのは私ですよと、教員がこう言えるような世の中ならいいのだけれども、そうでないでしょう、残念だが、いまのような仕組みの中では。それぞれの責任をやはり明らかにする。これはどんな世の中になってもそうだろうと思うのです。この点はどうですか、文部大臣、それぞれの責任、お認めになりますか。それは学校だけの責任ですか。
  72. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 試験地獄というものについては、これはいろいろ日本の教育制度やあるいは教育環境や社会環境、いろいろな面があると思いますが、当面しておる補習教育の是非、こういうことからいいますと、これらについてももちろん文部省は、文教全体のいわば指導助言の権能でありますけれども、そういう意味において責任をになっているわけでありますから、責任は重大であると思っております。同時に、社会環境とか、父兄とか、同時に教職員も責任があるでしょう。しかし、そうならざるを得ない、そういうところに来てしまって、ならざるを得ないから、来た面もあるでしょうから、これはやはり社会環境や父兄の心理状態、こういうものが一番影響力が大きいと思うのです。  先ほどもお話がありましたように、学歴偏重なんということも、これは大いに影響があるので、最近一部の企業体などで始まったように、もう採用して社員になったら履歴書を燃してしまうんだ、それから先は大学出だろうが高校しか出ていない人間であろうが、その人間の能力に応じて会社は運用していくのだというようなことを言っておるようですが、ほんとうに社会全体がそういうような雰囲気になればこういうことも防げるし、また起こってこないわけでありますから、社会環境とかあるいは社会環境に支配された父兄の心理、こういうものがやはり先生を動かし、先生もそういう要望にこたえざるを得ないから、教師もつらいけれどもこたえてやっておるというのが状況じゃないかと私は思うのです。ですから、今日のようにこの問題が一つの大きな課題として取り上げられて、論議されておるということは、私はこのこと自体非常に意味のあることでけっこうなことだと思うのです。この機会に関係者はもちろん、世の中全体がもう少しじっくりと考え直して、こういう弊害を除去するようにつとめていくことによって逐次解決ができるんじゃないか、こういうように思います。確かに責任論をいいますと、これは一や二の単位の責任じゃなくて、非常に総合的な責任問題だと思うのです。そういう観点に立って私どもとしては、この弊害がある――児童の心身にも影響がありましょうし、またそういう補習教育をやる教師の負担の上の問題、健康上の問題、あるいはまた同時に、いろいろ追跡調査なんか一部のところでやった結果を見まするというと、詰め込み教育というものがそのときだけは何といいますか、特効薬的な効果があるにしても、永遠の効果のないものであるということはいろいろな調査から出てきておるところでありますから、これはそういう詰め込み教育というものがそのときは効果を発揮しても、それがその児童生徒あるいは人生全体を通して決していいものではないと思いますので、あらゆる角度からこれはひとつみんなで力を合わせて是正につとめていくべきものである、こういうふうに考えまして、いま私ども立場としては、大いにまた文部省のできることについていろいろな角度から研究をして是正につとめていきたいと、こう思っております。
  73. 小林武

    ○小林武君 それはしかし、文部大臣ね、あなた何か間違いを起こしているんじゃないですか。あなたがいま話した中に、文部省は責任ありますということを一言も言っていない。学校の教師、学校、父母は問題がある、責任があると、こう言っておる。速記録を見なさい、そう書いてある。しかし、文部省教育委員会が責任があるかということについては、私が質問しているけれども、あなたは一言も答えていない。ないと思いますか。私は、逆にいえば、いまのような文部行政のあり方からいえば、文部省が一番責任がある。それから、教育委員会がある。それから、学校がある。しかし、父母は私はそれほど責める理由はないと思う。だれだって要領よく生きたい。いまのような世の中にどうやって生きていこうかという人間の営みに対して、だれが一体文句を言えますか。もっと信頼されるようなやり方をして、協力をしてくれと、こう言ったらいいじゃないですか。あなた、どうして言わないのですか。しかし、これは私一人の意見ではありませんよ。北海道新聞の四十年の十一月二十三日に「入試編重の教育を正せ」ということにも書いてある。これは文部省をはじめ、学校教育に携わる全組織をあげて効果をあげなければならないと書いてある。私はそういうもんだと思う。いまのような一体予備校化した状態はどうだ。「テストはあるが授業がない。授業はあるが教育がない。」と、こう言っておる。日本の教育の根本的な病根だ。この根本的な病根を一体なおすのに、だれに責任があるのですか。それはすべてのものが、というのは、文部省とか、直接そのものは社会のあれだとか、日本の国のどうだとかいうようなことを言うのは、そんなあれはもっと別のところで言うべきであって、これは文部省教育委員会の責任があるのじゃないですか。これからあとにずっとその責任のあるところは申し上げますけれども、責任はどうですか、ありませんか、どうですか。
  74. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 私は、総体としては文部省の責任があると、こう申し上げたつもりですが、もしそうでなかったら、さらにここでつけ加えておきます。総体としては確かに、文教行政の総体の責任をになっているのでありますから、文部省は大いに責任があるということを申し上げたつもりでございます。  それで、決して私は父兄に責任をなすりつけたわけではないので、父兄の心理の状態ということを申し上げた。父兄の心理状態というものが起こってくるのは、社会とか現状とかいう環境に支配されてくるのですから、父兄の責任と私は言っているのじゃありません。父兄の心理状態がそうあらしめておるという状態は確かにあるでしょう。私はそういう意味で申し上げたので、心理状態はどっから起こってくるのかというと、環境に支配されてくるということでありますから、これはどこどこといって一カ所の責任じゃなくて、やっぱりここまで歩んできた日本全体の私は状況というものを見直して、各人間を採用します企業体にしても、官庁にしても、できるだけやっぱり学歴偏重の弊を改めるというようなことも一つの根本問題じゃないかと。確かに文教全体としては文部省の責任は重大であり、責任はありますけれども文部省だけがこれはしゃちほこばったって直るものじゃないのじゃないか。やっぱり、だから、文部省のつとめるべき役割りはおのずからありますから、その点については十分に検討を加えて、最善を尽くしてまいるべきものだ、こう心得ておるわけであります。
  75. 小林武

    ○小林武君 どうもやっぱり逃げを打っている答弁のように思うのですね。あなたどう思っているか知らぬが、総体ということは、ぼくはよく理解できないのですが、総体の何とか……。これは何か日本全体がそういうところにあるから、だから、そこから来る問題であって、文部省に責任があるとか、学校に責任があるとかというようなことではないというふうに言っているのかどうか知らぬけれども、そういうものじゃないのじゃないですか。たとえば社会がそういう環境になった、社会環境がそういう問題になったということ、これは当然ですよ。一体教育というものを論ずる場合には、その社会の背景を考えなきゃならぬ、社会の要請ということも考えなきゃならぬ。だから、総体の責任ということは言えないことはない。しかし、その総体の責任というようなことを考えた場合には、政府というものの責任、国会というものの責任、それぞれありますよ。しかし、いろいろなところへ広げていっちゃぐあい悪いから、教育関係者の責任という場合に一つ限定したほうが議論しやすいと思ったから、ぼくは言った。それはそうだ。総理だって責任ありますよ、最高の責任者です。しかし、それを言う前に、もっと具体的にするために、もっと身近に問題を持ってきて言うために、ぼくが言うのは、文部省の責任一つじゃできないと思う。教育委員会がどうするという責任、学校が一体どういうふうにするという責任、こういうやり方が教育の中で講ぜられて、そしてどうですか、父母全体の協力を求めるのじゃないのですか。その声を反響にして今度はあれじゃないですか、さらに教育に及ぼすいろいろな日本の問題をひとつ解決していくということになるのじゃないですか。文部省は私はその意味で最高の責任があると思うのですが、どうですか、それは。私はどうしてもこだわるのですよ。あなた責任ないなんて言われると、私はまだまだ言わなきゃいかぬ。文部省が最高の責任あるんじゃないですか。  学校の先生はどうですか。学校の先生が、一体文部省の言い方にちょっとでも間違ったようなことをやったら、たいへんなことするでしょう。たとえば教育課程の問題ならば、教師というものが教育課程について責任があるのだというようなことをずいぶんいままで議論してきたでしょう。それはおれのほうの責任だ、おまえらよけいなこと言うな。日本の教員の組織であるという日教組を相手にしないと言ったのは、そこから始まったのでしょう。だから、あなたたちがそういうことをやる限りにおいては、文部省の責任であるということを言わなければならない。文部省学校を動かしている、教育の内容までやり過ぎると思いますけれども、現状がそうなんです。それは教育の内容についても、その他制度なりについても、それを守れない場合には、これを強制するやり方、そういう何を持っているでしょう。どうですか。最高の責任があるんじゃないですか。あなたのほうで一つやり方を間違えるというと、たいへんなことになるということになりませんか。
  76. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) そういうふうに分析して話が進めばまた別でありますが、それは広義の、広い意味ではいろいろなことが言えますが、狭義の責任はどこにあるかといえば、確かに教育関係者の責任です。教育関係者の責任といえば、それは文部省がその範囲においては最終的な責任を持っているわけでございます。私ども文部行政を担当しているものとしては、責任の重大なるを痛感いたしております。また、たとえて例を申し上げますと、たとえば交通事故にいたしましても、交通事故が多い。これはどうも交通に関する交通道徳なり、交通知識についての教育が足らないからだという議論もできます。あるいはまた、だんだん運転手が悪い。運転手の悪いのは何か。やがて小学校中学校の生徒が大きくなって運転手になっていくのだから、その小学校中学校の生徒が運転手になったら、こういうように心がけるべきだという教育をすべきだというのは、そこまでも責任になってきますし、ものは考え方でいろいろになってきますが、こういうような教育がいろいろなゆがみを持っている。これについてだれに責任があるかといえば、狭義には、確かに教育関係者に責任がある。現場では、地方教育委員会なり、教育長が責任があるでしょうけれども、最終的には、文教行政を担当している文部省に責任があるわけです。そういう責任を痛感して、われわれとしてはわれわれのになうべき分野についての解決は最善を尽くして逐次改善していきたい、こう思っているわけです。
  77. 小林武

    ○小林武君 総合的とか分析的とか言わなければなかなか責任が理解できないところに問題点があるわけですが、そんなことをやかましく言わなくても、文部省の責任をやはり感じなければいかない、何といっても。入試地獄のようなものがここに起こった、文部省は入試地獄というものがどういうところから起こるか、教師がそこに落ち込んでいくのはどんな理由によるのか、もし父兄の要望というものがたとえあったとしても、教育上それはよろしくないということになって、父兄の要望に対して文部省はある程度やはり間脳が起きたら正しい判断を下してやるべきだ。私は文部省に通達を出せとは言わない。しかし、正しい判断を下すべきだ。正しい教育のあり方はこうだということを、いまの状況の中であなたたちがやらなければ、だれもやらないという状態です。本来ならば、私は教師がそれだけのやはりはっきりした筋を持っていなければならないと思う。何と言われても、正しい筋は守りますということを教師が言えるような状況に置くべきだと思いますけれども、残念ながらそういうことをやったら、たいへんなことになる。だから、文部省は、みずからがやるなら、その責任を負わなければならない。ですから、いま運転手がどうしたとかなんとかというそういう例は、取り消したほうがよろしい、そんなばかなことは。入試地獄の一体問題点は何かということははっきりしている。そうしたら、文部省としては、これだけのことをやらなければならないということをはっきりしておかなければならない。  そこで、それではどうでしょうか、文部省の人たちが誤りをおかして、そういうものに油をかけておるという事態があったら、文部大臣はどうしますか。
  78. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 文部省は最終的な責任を負っていて、歴代の文部大臣あるいは文部当局の立場にある人たちも人間ですから、過去においてあるいは間違いもあるかもしれません。間違った判断もあり、あるいは間違った行政もあるかもしれません。まあできるだけ悪いところは是正し、そして今後改善を加えることにわれわれとしては最善を尽くすべきである。文部省が最終的の責任をになう以上は、文部省としても真剣に取り組んで諸般の検討を加え、あるいは広く知識を持った方々の知識も拝借し、そして改善に向かって、これは一ぺんにはできませんが、逐次やるべきものだ、こう思っております。しかし、これに対してはやはり地方教育関係の機関、あるいは広くいえば一般世人の協力を得ないと、協力態勢がなければ、私は思ったことが思うようには運ばないのじゃないか、こういうように思いますから、教育の改善充実についてわれわれも努力いたしますが、広く国民全体の協力を得るように、これまたつとめていきたいと思っています。
  79. 小林武

    ○小林武君 たとえば、もし文部省の人が間違ったことをした場合に、現場の教師とかあるいは教育委員会とかというものが従わないでいくというのは当然でしょうね。あなたのおっしゃるところによると、間違いがあったら改めるというのですから。どうですか、やはり間違ってもいいですから、一応従ってやらなければなりませんか、どうですか。具体的な問題はあとで出しますからね。
  80. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 考え方としましては、人間のやることには、神ならぬ人間ですから、判断の間違いもあり得ると思います。しかし、ものには秩序が必要でございますから、秩序を立てていくことの必要な範囲においては、やはり全部が間違うわけじゃないのですから、十のうち一つか二つ間違ったからといって、それにいわゆる実力行使などをして反対されたら、秩序もできないし責任も負えないと思います。
  81. 小林武

    ○小林武君 本質的なあやまちをおかしておった場合にはどうでしょう。
  82. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) それがあやまちであるかあやまちでないかは、やはりほかの人の判断を受けなければならないし、また同時に、時期がたってみなければ、あるいはよく人がものを言う場合に歴史が解決するということを言いますが、時期がたってみなければそれが絶対に悪いものか悪くないものかわかりませんから、ですから、個人の判断や一部の人の判断で、おれたちの判断からいえばこれは間違いだ、これは実力をもって阻止するのだという行き方は、私はお互いに民主主義国家として慎んでもらわなければならない、こう思っております。
  83. 小林武

    ○小林武君 文部大臣は何で実力行使、実力行使と言われるのかよくわからないけれども、あなたは頭へきちゃっているのじゃないですか。実力行使を言っておるのじゃない。文部省の指導が本質的に誤っておった場合に、これは違いましょうと。これは秩序を乱すかどうですか。
  84. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) それじゃ、誤っておったか誤っておらないかという判断は、だれがなさるのですか。
  85. 小林武

    ○小林武君 その判断は文部省の出している尺度ではかってやりますよ。文部省の出している尺度ではかるのです。そういう問題でも、間違っておったらどうする。それが本質にも違う。どうです。
  86. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 事と次第によりけりですけれども、抽象的な議論じゃちょっと困るですがね。
  87. 小林武

    ○小林武君 そういう問題は具体的にやりますよね。やりますけれども、やはりほんとうは言い切ってもらいたいような気持ちがする。ほんとうのことをいうと、こういう問題は、あなたがおっしゃるように歴史が証明するとかなんとかいう問題になると、これはほんとうの純粋な立場に立ってもなかなか議論が多くて、直ちに右、左というようなことを決定できないものがある。現実的処理というものができないものだってあるですよね。たくさんの思想の違う者もあるし、当然なんです。私はいまそれを言っているんじゃない。そういう問題ではなしに、私はそういうものがさまざまな意味で大きな影響を及ぼしているという考えを言ったけれども、だんだん文部大臣も心配になってきたとみえて、なかなかはっきり言わない。ただ、しかし、あなた、こういうことを考え違いしちゃいかぬですよ。何か、あなた、実力行使、実力行使と言うけれども、実力行使なんということは関係のないことなんだ、これは。ぼくが実力行使をするとすればどういうことになるかわからぬけれども、国会議員であるぼくが実力行使しても、どれだけの実力行使ができるのかわからぬ。暴力をふるうというわけでもない。あなたの実力行使とはどういうことをやるのか知らぬけれども、そういうことじゃなく考えてもらいたいですがね。  それじゃ、もう一ぺん別なことをちょっと聞いておきますが、先ほどから入試地獄の問題についてはたいへん深刻な状況になったということは話に出た。それはみんなお互いに肯定した。そしてこの解決についてはそれぞれの責任というものがあるということだけは、これは納得いった。この種のもの、そのほかにもありますな。いたずらに、たとえば競争させるというようなこと、これは野球でもそうですよ。この間文部大臣が選抜野球に行って、だいぶぼくは文部大臣を選抜野球にやったといっていじめられた。そういうことを許すのは大体きさまは甘いといってだいぶやられたけれども、私は、そういっても年に一回ぐらいあるもので、ぼくの常識論からいえば、まあ、さあさあ行っていらっしゃいとまではいかぬけれども、行くなとは、年に一度ぐらいだったら言わぬで済むという考え方がぼくはできるわけです。これはいい。これが、しかし限界をこして、もう高等学校の生徒なのかプロ野球なのかわからないというところにいったら、これはやっぱり問題になりますよ。これは何ぼ体育であろうが何であろうが、これはだめです。ぼくはある私立高校の野球練習場のそばにいますがね、学校へ行ってきてから、ものすごく暗くなるまでやりますよ。しかし、それは認めていい。ぶらぶら遊んでいるやつより、とにかく大きい声を出して一生懸命やっているというのは、からださえじょうぶで耐えられるならば、とにかくぼくは認めてもらいたい。その選手の家庭と何の因縁もないのに、そんなことを思ったりする。しかし、何でもとめどなくやり過ぎるといけないということは、これは教育的見地から考えなければいけない。この点は認めるでしょう、ほかのものであろうと何であろうと。どうですか。そういう事態に対して文部省はやはり責任ある立場ではっきりした態度をとらなければならぬということは当然でしょう、これは少なくとも。だから、文部省の役人とかなんとかいうものは、そういう際にき然たる態度がなければならぬということは、これはあたりまえでしょう、ルールを守るということは。どうですか、その点は。
  88. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) いまの抽象的な御議論に対しては、私は同感でございます。
  89. 小林武

    ○小林武君 抽象的だけれども同感だと、こういうわけですね。そうでしょう。迷うの。
  90. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) そうです。
  91. 小林武

    ○小林武君 そこで、私は、ここで同じような補習教育の問題を取り上げたい。目的は一つ、片一方のほうは入試だと。上の学校へ上がりたい、この場合は何かというと、学力テストにもいい成績をとりたいと、こういう問題。しかし、日本じゅうそれをやっているかというと、やっていないですね。全部でもないと。しかし、一番問題になっているところをしぼってひとつ申し上げるんだが、その前に、学テの結果処理のたてまえとして、これはどういうことになっていますか。一番から百番までが――百番まではないか、四十六人だから。そういう場合は公表することになっていますか。
  92. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 順位をつけて公表するたてまえをとっておりません。
  93. 小林武

    ○小林武君 おらない。なぜです。
  94. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 学力調査は、これは現在も指導要領によって実施されておりますところの教育実態とその到達度を把握をいたしまして、これを学習指導要領の改善の資料にする、あるいは教育条件との相関関係を見るというものでございますから、順位がどうであるというものではございません。
  95. 小林武

    ○小林武君 文部大臣、それを文部省の人が発表して歩いたら、どういうことになります。
  96. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) ……
  97. 小林武

    ○小林武君 政府委員じゃない。よけいなことまで言っちゃいかぬ。
  98. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) さような人間はいないと思いますが、おったら、これは不都合だとと思います。
  99. 小林武

    ○小林武君 たいへん明快な御答弁であります。そうだと思います。文部大臣はそう言い切らなければいかぬ。しかし、これはどうでしょう。四十年の十一月六日の大阪の毎日新聞、四十年十一月六日の愛媛新聞、ここで福田さんが学テ日本一を発表した。それはちょうど中間発表をする二十日前のことです。二十日前に、あなたの県は学テ日本一です、こういう発表をしたのです。発表したと書いてあるのだが、これはどうでしょう。
  100. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 私から……
  101. 小林武

    ○小林武君 あなたに聞いていない。
  102. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 私から一応……
  103. 小林武

    ○小林武君 何であなたが答えるか。私は文部大臣に聞いている。
  104. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 私は、それはどういう事情かよく確認して存じておりません。
  105. 小林武

    ○小林武君 確認しなければそれはだめですか。知らないのですか。――福田さんを呼んでください、急いで。
  106. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 速記をとめて。    〔速記中止
  107. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 速記を始めて。
  108. 小林武

    ○小林武君 「第五回愛媛県教育研究大会の席上、祝辞を兼ねた講話を行ない「本年の学力調査で本県は小学校が昨年に続いて全国で一位、中学校は五教科を通じ三年生が一位、二年生が二位に躍進したが、これは本県がここ数年、現行の教育課程に真剣に取り組んだ努力の結果である」、こう言って、日教組対策など――実力行使のほうをやったのかどうか知らないけれども、日教組対策など当面の教育の問題についてあいさつした。全国一位というのを発表したのはどういうことですか。発表しないことになっているのに、これはどういうことになったのですか。これは違うか、違わないか。新聞を信用しないなんというと、だれかみたいで、いやらしいけれども、あるいはまた違うかもしらぬけれどもね。どうなんですか。中間発表の二十日前に発表するというのはどういうことでしょう。
  109. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 私……
  110. 小林武

    ○小林武君 いや、あなたは何も必要ないでしょう。何ですか、あなたは福田さんと同じことを言われるというのですか。
  111. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 私、若干次官から聞いたことがございますので……。
  112. 小林武

    ○小林武君 あなた、責任を持ちますか。福田さんの問題にあなたは責任を持つのですか。文部大臣ならあれでしょうが、あなたは次官のあれに責任を持ちますか。
  113. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 私は聞いておりますので、聞いて記憶しておる限りにおいては責任を持ちます。
  114. 小林武

    ○小林武君 そんなあやふやなことで、他人のことまで責任持てますか。私の記憶は間違いでございましたと言われたら、それきりの話。そのほかにも毎日新聞の「教育の森」、これは私はほとんど切り抜いて持っているのですが、これは愛媛のところだけとったのじゃありませんから、いじわるしているのじゃないから、よく見てください。「これはひとえに本県の教員諸君の不断の努力のたまものでありまして、敬意を表するとともにご同慶にたえません」、「これでわしらの苦労も報いられた」、「学力テスト日本一」、こういうようなことがここに書かれている。この記事は署名が入っていますから、まさかうそでもない。あなたたちもお読みになっていると思うが、文部大臣、これはどうですか。読まないから、いまのようなお話をするのですか。それとも、ほんとうにお知りにならないのですか、どうですか。
  115. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 私も、「教育の森」は、毎日の新聞は読み切れませんので、ときおり毎日新聞で集録をしたものを発行しておりますから、ひまのある限りときおり見ますが、いま御指摘の分は私は見ておりません。  ただ、感じられますことは、先ほど申し上げたように、学力テストの結果は新聞その他世間には公表いたしません。いたしませんが、教育関係者の限定された場所の集まり等で、非常に教育成績が上がっておるようなところに激励の意味で言う場合は、私は言ったことはありませんけれども文部省の関係官が言うことは、それはあり得るかもしれない。そういう感じが、いまお読みをいただいたので、いたしますが、それはまあ教育を奨励するといいますか、非常に努力しておってけっこうだ、あるいは、こういうことで一そう教育にみんな努力してもらいたいという激励の話であれば、どうかもしれませんが、一般にはとにかく公表をしていないわけでございます。
  116. 小林武

    ○小林武君 間違いないですか、文部大臣、いまのおっしゃることは。先ほどの事務的な発言と違うのじゃないですか。これはわれわれも少しその点で問題にしたことですからね。これは激励にはならぬですよ。おまえのところは何位だ、どことどこは何位だというようなことを、一体激励をすべき性格のものなんですか。そういうことがあってはならないという条件のもとに行なわれたのじゃないですか。調査でしょう。激励ということばはだいぶやっぱり違うのじゃないですか。あなたがおっしゃらないところを見れば、いろいろなことを考えているからおっしゃらないと思うのですが、どうなんですか。発表しないというのがそういうたてまえじゃないですか。あなた、やっぱりいまおっしゃったことを言うと、これは重大な問題ですよ。それは日本の教師全体をだましたことになる。もっとやれと、御同慶にたえませんと、そういうことを一体言うべき筋合いですか。私が先ほどから言っておるのはそれなんです。これは単なる調査ではないと。必ずこのために日本の教育がゆがめられるような競争心を巻き起こすんじゃないかということを、ずいぶん指摘した。そのときにあなたのほうは、これは単なる調査だと、こう言った。抽出調査にするならばともかくも、これを悉皆調査にするということは大問題なんだ、大議論なんだと。そのときはあなたたちは、この問題をやらないと、そういうことをしませんということを言い切った。それがさっき齋藤局長の言ったたてまえだ。どうしてそういうたてまえを破るか。破った人は当然なんですか、あなた。私は、教育関係者だってだれだって同じだと思うんですよ。そうでしょう。これからだんだん具体的に入りますから、あなたにおわかりになるように言いますけれども、どうですか。これは福田さんのやったことはりっぱですか、間違いですか、どっちです。福田さん呼んでくださいよ、もたもたしてわからぬのなら。どうですか。いないのですか、きょうは。福田さんの所在だけだよ、あなたの答えるのは。
  117. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) ただいま次官会議だそうで、行内におらないそうでございます。
  118. 小林武

    ○小林武君 次官会議やめて、来たらどうだね。重大な問題だよ。あなた、次官会議委員会と、どっちが大事か、判断してもらおう。先ほどの文部大臣の話だというと、けしからぬということになるでしょう。
  119. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) とにかく、申し上げるまでもなく、学力調査の結果は一般には公表しないことにいたしております。そこで問題は、いま御指摘になった程度、範囲、状況ですが、これは私もいますぐにはわかりませんし、ここにおる者がやったというなら、それは事態はすぐわかりますけれども、そうでなければ、私としてもよく調査をいたしまして、その実情を御報告することにいたしたいと思います。
  120. 小林武

    ○小林武君 そこまでおっしゃれば、しゃにむにここに呼ぶということもいかぬだろうから、ひとつここへ来て弁明してもらうことだけは、次の機会にそういう取り計らいをしてもらいたい。そこで、どうですか、文部大臣、こういうことによっていたずらに学テの競争心をあおり立てて、学テ学テととにかく一年じゅう熱中するというようなやり方は好ましいのですか、好ましくないのですか。こういう激励が一体、あおりたいのだとしたら、いいのですか、どうですか。学テの練習、学テの成績をよくするための学校の対策、そういうものはどうですか、好ましいですか。
  121. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 学力テストを行なっておりまするのは、要するに教育全体の傾向を調べたり、あるいは教育課程の今後の検討あるいは学習指導要領等の検討をする資料にしたいということでやっておるわけでございますから、そういう競争心をあおり立てて、要するに、何といいますか、過度の競争をさせることが目的ではありません。したがって、まだ全体を聞いておりませんし、私も関係者から聴取しておりませんから、事情はわかりませんが、激励のことば、まあ激励をする意味で それが一つ学校じゃないんで、県全体ですから、どの学校がどういう成績であったとか、学校ごとの競争心をあおっているわけじゃありませんから、その範囲なり程度なりというものが問題であろうと思います。あるいはまたある県に行って、よその県のことまで、どの県はこうだ、隣の県はこうだ、あの県はこうだと言ったら、またこれも非常に競争心をあおることになって弊害が起こるかもしれませんが、そこらは私どもとしては極力そういう弊害は伴わないように、学力テストを施行するとすれば全力を尽くしたいと思います。また、従来もやっておると思うのですが、学力テストはそういう大局に立った目的でやっておるわけでありますから、その場のテストがどうなったとかこうなったとかいうことは、むしろ作為的でないことが望ましいんで、そういう指導をしていると思うのです。しかし、全国の何かもある学校の中には心得違いをして、作為的にそのテストに応ずる、何というか、準備的なことをやるとすれば、それはわれわれの意とするところをはき違えておるもので、そういうものは絶滅をして絶対にないようにさして、あくまで学力テストをやるとすれば、そのテストは教育政策を立てていく上における大局的な資料を得る、こういうことにいたしてまいりたい、かように考えております。
  122. 小林武

    ○小林武君 激励ということばはもっと慎重に使ってもらいたいですね。学力テストには激励なんていうことはないんですよ。調査でしょう。それはどういう激励をするわけですか。ほかのことでやるならいいですよ、教育のためにしっかりやってくださいということは。あなたの学校は学テ日本一ですよ、去年は何番でした、中学は何番ですと、二年連続ですと、こういうあれは、あれですか、あなたの激励の中に入らないでしょうね。そんな激励なら、文部大臣、たいへんですよ。  この道新の社説の中にも、朝日の今日の問題という中にも書いてある。「松山で開かれた教育研究大会の席上、福田文部次官の口から公表されたことが、まず先例のないことである。」、このことがたいへんな問題だ。そうしてこういう激励のしかたが、あなたが言うどんな結果を呼んでいるかということを書いておる。「入学して間もない生徒がカンニングしていたので注意したところ、「中学では先生も黙ってさせてくれた。おれがカンニングせなんだら、クラスの平均点が下がり、先生の点数も悪うなるぞな」」、こう言ったという。これは朝日ですよ、私が言っているんではない。北海道新聞では何と書いてある。「福田文部次官は愛媛の教育研究大会で、同県がことしの学力テストで全国一位になったことを公表して、問題になった。学力テストはすでに周知のとおり、学力の実態を究明し、教育条件整備に資するところに異議がある。このため、学校の順位は公表しない建て前だ」、これは文部省のたてまえだ。「学力コンクールではないのだから、順位を公表し一、二位を争う必要は少しもないわけだ。それにもかかわらず、文部省の責任者がこれを公表したのはなぜか。これでは、文部省が学力テストを府県や学校の学力コンクール化していると非難されても弁解のしようがあるまい。」、こう言っておる。そうじゃないですか。そうでしょう。どうです。
  123. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) その実態は、先ほど申し上げたように、よく事情を調査してみませんと私も触れるわけにいきませんが、確かに学力コンクールでないことは間違いない。そういう方向でわれわれ指導して実施していきたいと思っております。
  124. 小林武

    ○小林武君 だから、もしそういう新聞に指摘されているようなことが言われたとすれば、誤りでしょう、行き過ぎです。しかも、文部次官という立場で、どうですか、いいことですか。私は先ほども言っている。およそ教育の中に問題を起こすようなそういう変な競争は、それぞれの立場でしっかりしなければいかぬと、こう言っておる。責任者の文部省としてこれはどうですか、悪いことでしょう。はっきり言ってください。
  125. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 場所がどういう席であったか、どういう言い方をしたか、それらは新聞は新聞としての立場で報道し、あるいは新聞の北海道新聞……。
  126. 小林武

    ○小林武君 朝日、毎日、愛媛新聞みなです。
  127. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) その新聞の批評といいますか、これは確かに学力テストは大局的な立場でやっているわけでありますから、各学校ごとのコンクールをやらせている意味では全然ありません。
  128. 小林武

    ○小林武君 ないからいまのようなやり方はだめでしょう、文部大臣。次官という立場からけしからぬでしょう。言うなれば、それを聞いているんです。
  129. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) それはよく事情を調べた上でお答えをいたします。
  130. 小林武

    ○小林武君 このとおりの事実であったらけしからぬでしょう。本人は言わないかもしれないから、それは認めますよ。もしかりに文部省がそれをやっているとしたらけしからぬではないでしょうか、どうでしょうか。
  131. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) それがどういうふうな内容ですか、私は読んでおらないからわかりませんが、学校ごとに、この学校がと言ったのだということであれば、私は非常におだやかでないと思う。
  132. 小林武

    ○小林武君 県であればいいんですか。県だって同じでしょう。
  133. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) そういう場合には若干ニュアンスが違ってくるのじゃないかと思います。
  134. 小林武

    ○小林武君 何もニュアンスも何もありませんですよ。たてまえから違うのじゃないですか。県の競争をやったらなお悪いでしょう。
  135. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) まあその点はよく研究します。
  136. 小林武

    ○小林武君 それはだめです逃げ口上は。愛媛には東高南低ということばがある。東が高くて南が低い。愛媛は初めはびりっけつのほうであった、そのびりっけつの理由はどこにあるか。東のほうはいいんじゃけれども、南が悪い、それだから南に馬力をかけ出した、そしてついに一位になった。ようやくわしらの苦労も報いられたと、こういって喜んだのはそのためです。そういったことにしたのは一体だれか、文部省がこういうやり方をやっているからです。しかし、福田君ばかり責められない。これを見なさい。全面これを広告、四年間連続教育日本一香川を育てたこの力、四年間連続勝ったときにこれが出た、広告が。えらい人もたくさんおります。大平正芳氏とか、自民党の皆さん、平井太郎氏、津島壽一氏、こういったようにずっと並べてある。県知事も教育長も、それから各市の教育長、市長、みな連名で出しております。こういうようなことがまともなのかどうか、どうです。隣県の香川、香川が四年一位であった、いいですか。しかも、こういうことがあるというのだね、真偽のほどは、私はここでこのあれによってということはちょっと言いかねる。いろいろと迷惑をする人があるから言いかねるが、香川は文部省の天領である、こういうわけだね。どうですか、齋藤さんに聞くけれども文部省の天領というのはどういうことですか、文部省の中にはそういうあれがあるのですか、天領とか御三家というのが。
  137. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 私はそのようなことばも聞いたことはございません。
  138. 小林武

    ○小林武君 天領は、久保教育長がある人に話して、その人からぼくは聞いたので、ただし、これは教育関係行なんかではない。天領ですよ、直轄ですよ、こういうことを言っている。だから高専をひとつ非常に競争者が多いけれども建ててあげましょうという演説があったという話も聞いている、くわ入れ式のときにもね。天領なんて一体どこから出てきたのですか、そんなことばは。何でも掘っくり返してやるということになれば、それでは証人を呼んでやろうかということにもなるわけだけれども、久保教育長をここへ呼んでやって聞いてもいいけれども、久保さんを連れてくるのに、そんなことで天領論をやるわけにもいかぬが、しかし、そういうことは不謹慎であります。四年間もようやくやって天領だと、こういう一体ものの考え方が少なくともこれは確かにおかしいじゃないですか。学テ日本一は教育日本一なんてスローガンはどこから出てきたのですか、そんなことば。そうして記念の像を立てたそうです。風光明媚なところに何か記念像を立てた。そういうことをやったのはだれかと言ったら文部省でしょう、ほかのものがやったってそんなことやりませんよ。文部省が天領であると言ったり、愛媛に行けば、学力日本一、御同慶にたえませんというようなことを言うから、情ないことに、文部事務次官が行ってそういうことを言うと、私らの苦労が報いられたという情けない声も出てきた。そんなことでは日本の教育が危機に瀕しているとか、学力テストの補習教育で日本の教育が破壊されたということは防ぐことができませんよ、これは。だから私は福田発言を問題にするのです。これは委員長がこの次の機会に福田事務次官の釈明をさせると言うから――そうでしょう。
  139. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) そのとおり。
  140. 小林武

    ○小林武君 そのときに譲るとして、文部大臣、やはりこのことの重大性というものをひとつ考えてくださいよ。あなたも、もしこれがほんとうだったら、とにかくやはりきちんとしたことをやってもらいたい。実力行使実力行使と言うけれども、実力行使をやらぬ者があっていろいろな目にあっているということは、これからひとつ具体的に申し上げてみます。教員だけ、弱い者だけがそんなことをやられてはたまらぬですよ。まあ文部大臣も返答に困っておるのだろうと思うから、ひとつ十分調べて、私は、やはり先ほど来言っておるように、責任というものをはっきりしてもらいたい。責任をとらずに教員けしからぬなんというようなことを言っちゃ困る。県の教育委員会なんかも、教育の姿勢を正すときは教員のほうに向いて、教員の姿勢を正せと、こう言っておる。自分の姿勢のくずれておることは一つも言わぬようなやり方は困る。そこでどうなんですか、これは齊藤さんに聞きますが、愛媛は一体私が、心配しているような学テのものすごい補習教育をやっておると思いますか、やっていないと思いますが、どうですか。
  141. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 私、学力調査のための補習教育ということは聞いておりません。
  142. 小林武

    ○小林武君 そこで私はあなたにひとつ聞いてもらいたいことがある。これは愛媛県議会定例会会議録で教育長もそういうことを言っておるのですね。しかし、なかなかこの文章を見るというと含蓄がありますから、ひとつ最初に聞いておいてもらいたい。前のほうは省略しますから。「次に東予」――これは東伊予の意味です。「東予の某市の学校の学力調査の成績が九十七点という」――これは平均ですよ。「九十七点というよい成績を取った子供がおって、それは常識的には考えられない」、これは注釈をつけておきますが、九十七点一人がとったならば問題がない、平均点が九十七点です。その点はあとで御不審があれば次に出しますから、ひとつ聞いてもらいたいのですが、「学力調査は当然教うるべき学習指導要領にある重要事項から御承知のように出題をされるわけでありますので、平素の学習指導がこの指導事項によって決定しており、ベテランの教師が急所を押さえて練習して、練習問題を出しますれば的中するのは当然であるかと思うのであります。およそ知識にいたしましても、技能にいたしましても教師が徹底して練習練磨がその極に達しますと常識では考えられないようなよい成績をあげ得ることは当然のことでありまして、成績のいいことはそれは喜ばしいことであって、まことにいいことだと私は考えておる次第でございます。」この練習、練磨すると常識で考えられないような、その極に達する。「その極に達する」は愛媛では一時流行語になったそうですね。やあ一ぱいいこうかと言うと、その極に達していると、この調子、「極に達する」というこのことばの中に、徹底的にとにかく学テに対してやったあれが明らかだと思います。対策がやってないなんというのはおかしい。これは名前もあるし、はっきりした南のほうの南低のほうです。そこの人が書いたものです。   〔委員長退席、理事北畠教真君着席〕 どういうふうに対策が立てられたか。木村指導主事、上甲主事、木村主事、石城教諭、狩野主事、こういうような人たちがいろいろとテストについて指導している。学力調査結果説明会というのをやっている。南宇和はトップである。誤答が集中しているもの、分散しているものというふうに各校で調べて指導せよ、指導要録には換算して記入せよ、来年度は学力調査は五年生で、音楽、国語、算数がある。音楽が入ることを非常にここで言っているわけです。準備せよ、こういうわけです。社会科のテストの結果、指導の方法、理科のテストの結果、指導の方法、国語も同様、算数も同様と、こう書いてある。二月一ぱいで各教科を終わらせ、三月一ぱいにまとめて指導せよ、なおそれで問題が出たら教育的補習の中でやっていくように。音楽の指導については、今度のテストで問題になるのは十五分の放送聴取である。予想されるものとして、鑑賞、フレーズについて長調、短調を聞き分けること、和音として与えるのではなく、和声として出る。和声感を養うことが、必ず和音と並べ、和声にして問題が出る。音程感の問題、美しい旋律をつくらせる。早い曲かおそい曲か、こういうような音楽についていろいろな説明をしている。ところが、聞いた先生が音楽については全然専門外なのでわからなかったと、こう書いてある。道理でこの書いた書き方がちょっと私もおかしいと思う。こういう指導が行なわれておることを局長は知らぬのですか。あなた初中局長で知らんのですか。
  143. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 学習の学力調査をデータといたしまして、学習指導要領に求められておる事柄について指導方法を改善していくこと自体は、何ら差しつかえないばかりでなく、これは当然のことだろうと思います。それは学習指導の徹底を期する、あるいは改善を期するという努力を指導主群がなすことは、これは任務だろうと思います。ただ、音楽の教科が終わって、それがどこが出そうだと言っても、これはその人の考えでありまして、学習指導要領の中で、一体五学年においてそれまでにどういうものが重点であるかということは、これは専門の指導主事ならばいろいろな指導の内応というものはわかると思いますから、私は、学習指導を強める、あるいは改善をするということ自体は、学力調査の目的から別に逸脱するものではないというふうに考えております。
  144. 小林武

    ○小林武君 齊藤さん、ちょっと待って。あなたはこれを普通の指導主事の仕事の聴聞だとおっしゃるのですか、いま私の読み上げたこと。
  145. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 私は具体的なことは存じませんし、指導主事がどういう言動をなしたかということを知っているわけではございません。ただ、学習指導について、指導主事が学校に対してどういうことを気をつけろというようなこと、それは指導主事の任務じゃないかと思います。
  146. 小林武

    ○小林武君 だれもそんなこと聞いてない。いいかげんな答弁しては困るよ。ぼくがあなたに言っているのは、学力調査の結果、説明会で、来年の学力テストをどうやるかということについて指導方法を述べておるといっておるんじゃないですか。どうなの、一体そういうことあなたやるべきだというんですか、あなたは。
  147. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 学力調査につきましては、これはねらいというものがあるわけでございます。教科、音楽なら音楽を、音楽的な感覚を中心として学習の到達度を見るということを今回新しい重点として見たのでございまして、これはあくまでも日常の教育活動において学習指導要領に基づいて行なわれるものを見るわけでございますから、学習指導というものをいろいろな観点でくふうをして指導の改善をはかっていくということは、私はそれは当然なことではないかと思います。
  148. 小林武

    ○小林武君 それじゃまた結論的にひとつ聞きますというと、当然のことだとおっしゃるのだね。私の読み上げたものが当然のことだと、このことに書いてあるのは当然なことだと、こう言われるわけだな。
  149. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 私の申しますのは、学習指導の方向なり何なりについて指導主事が示唆することは当然であるということを申しておる。
  150. 小林武

    ○小林武君 あなたね、もう少しまじめに答えなさい。そういう開き直ったようなふてくされたようなことをやらんでもらいたいね。私は別にほかのことを聞いているわけじゃないのだ。学力テストに対してだ、年間こういう方針で学力テストの対策を立てるというようなことが正しいのか正しくないのか、こう聞いておるのだ。そういう内容のものをここに読んだのだ。ただし、私はあなたと違うから、現場を見ておるわけでもないのだから、そういうこのことが絶対に正しいという立場に立って言っているんじゃない。こういうことを言っておる者があるが、あなたのほうではそういう事例があると聞いておりませんかと聞いておる。それを聞いておるのですよ。そういう意味でこの内容のことも言っておる。一体何のためにこれを集められたかというと学力調査の結果を説明して、来年のあれをやるのだという立場で言っている。そのことをあなたはいいと言う。ぼくの聞いていることをあなたは答えればいい。指導主事が何をするかというようなことをぼくは聞いているのではない。指導主事はどういう役目をするかというようなことはぼくも知っている。   〔理事北畠教真君退席、委員長着席〕
  151. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) そういう事実があったかどうかおまえは知っているかと言われると、私は存じません。
  152. 小林武

    ○小林武君 存じません、そうでしょうかね。問題の愛媛報告というのは、「教育の森」の中のあれはあなたお読みになりましたか、齋藤さん。
  153. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 「教育の森」は全部精読はいたしません。ぽつぽつ読んでおる程度でございます。
  154. 小林武

    ○小林武君 そのぽつぽつ読んだところからはずれていますね。愛媛のところは読まなかったね。私は、あなた初中局長ですから、学テの闘争にしてもよく知っておるし、それから学テでいろいろ問題の起こっておるものもある。それから、きのうちょうど公判あったのも御存じでしょう大阪で。学力調査というものに対して裁判官のものの考え方もおわかりになっている、これも議論のあるところだ、裁判官によってやっぱり違うのも出るから。しかし、あまり一方的にあなたが言うというのもいかぬということもあのことでよくわかるのです。少なくともあんなことをやる筋合いじゃないと、こう言っている、文部省で。そういうものを知っているでしょう。あなたが一体読まないというのはぼくはちょっとふしぎなような気がする。少なくとも、一体いろいろ教育上の問題のあるところについてはあなたたちも目を通さぬのですか、どうなんですか。これはやっぱりそういうものはみなうそだから読まぬということになりますか。新聞は読まないなんという人もありますからね。これはどうなんですか、読まないのですか。あなたはこういうのは興味はないのですか。
  155. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) できるだけ教育関係の論説等は読むように心がけますけれども、全部を読むというわけにはまいりませんから、できるだけ読むようにします。  なお、私は、この愛媛の問題でいろいろ論議がありました。この点につきましては、実はこの学力調査を実施いたしますその調査局の調査課長がかなり現地についても聞いているようでございまして、その調査課長の中間的な話というものはいろいろ聞いております。ただ、私は、その一々読む読まぬにかかわらず、学力調査というものは、何もそれ自体について調査をすること、あるいは調査の結果を文部省が利用するわけじゃなくて、学校長なり教育委員会が指導上利用するということは、そういう機会を利用したことはいいことじゃないかと思っておるわけでございます。ですから、それで弊害弊害というその論説については、私は共感を覚えないということを申しておるわけでございます。
  156. 小林武

    ○小林武君 そう言えばあなたはいいと思っておっしゃるけれども教育的ではない、都合はいいだろうけれども。まあその学テそのものについての基本的な問題、学テを文部省がやるかやらぬかという問題については、公判が開かれて判決も出る。あの判決どおりあれが正しいということならよけいなことをやった、反対する者があったらやめるべきだと、こういうことだ。しかし、あなたのほうでは正しいと思ってあなたがやっているのじゃない、あなたはやらされている。やるなんというあなたは責任があるはずがない。これは政府がやることになっている。あなたはやらされている。やらされた者としてそれぐらいのことは言わなければぐあいが悪いわけです、それはよくわかる。しかし、実際、一体具体的に問題がそれに起こらないかどうかということに目を向けていないということは、これはちょっとあなたもおかしいです。かりにあなたのような考えを認めるにしても、問題があるものならば、一体どういう実情だろうということを確かめるということは、これはしかし当然やるべきことじゃないか。ぼくらは反対する。反対だけれども、反対の立場に立っても、一体どうだろうというようなことで、やっぱり言いますよ、そうでしょう、当然じゃないですか。あなた見ないというようなことを得意になってやるのは何が悪いというようなものの言い方をするのは、はなはだもってけしからぬとぼくは思う。  そこで、文部大臣にお尋ねしたい。さっぱりこれはもうとにかく問題があるようにあなた受け取っているだろうが、文部省の方は知らない。たとえば「教育の森」に書かれているようなこともお知りになっておらぬ。ひとつ実情をはっきりする必要があるんじゃないか、どうですか。私もどっちがいいとかこうとかいうようなことをお互いに手探りでものを言っていいかげんなことをやるといかぬと思うのですよ、学テもいままできたんですから。もうとにかくこれが弊害を及ぼすところまできている、あなたこう見たら、やっぱりこれはなかなか問題だと思うところがあるでしょう、正直に言って。どうしたら一体弊害があるとかないとか、私はこういう問題を解決しないと入試地獄をどうするかということには手がつかぬと思うのです。だから、ひとつどうですか、あなたこれについて十分調べてみると――調べてみるというのは、ひとつこういうふうに文部省の人まで明らかにいまのような答弁をする状態ですから、ひとつ愛媛の代表に来て説明してもらうと、こういう手立てをとにかくとったらあなた賛成するでしょうね。これはこの委員会でやるということについては、委員長のまたあれをやっていただかなければならぬ。どうですか、文部省としてはそういうことはもうそろそろやるべきだとお考えになるのが当然と思うが、いかがです。
  157. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 学力調査自体は、繰り返し申し上げておるように、いろいろな学習指導要領の今後の再検討、あるいは教育課程の検討を審議会に願うとかというような教育全体の全国的な傾向を把握するための調査でありますから、私は、理論として正しいことだと思っておりますが、全国も広いし、対象も多いものですから、はき違えた面が一部にはあるのではないか。これはそういうはき違いしないで素直に受け取ってやってもらいたい。あるいは先ほども指摘があったようですが、ねらい撃ちをして、音楽ならば管楽全体の素養をつかもうということをこちらが調査をするのに、どこが出るだろうか、ねらいをつけて一発勝負というような指導のしかたは間違いで、これは指導主事にせよ、学校長にせよ、担当の教員にせよ、そういうことは大体学力調査の一体精神なり目的というものを理解しないやり方、そういう実情があれば、これは極力是正をして素直に受けてやってもらいたい。そうして入学試験とは違うわけですが、入学試験ならば及第するかしないかの境目ですが、そうじゃなくて、これはほんとうにできるだけ平素の教育課程や教育指導要領によって、はたしてどの程度の成果をあげているかあげていないかということの傾向を把握するための調査でありますから、そういう一発勝負のような考え方でなしに、もっと広い目で、一体学力調査というものはどういうように利用されるのかということを検討をしていただきたいと思う。文部省としては国全体のそういう傾向を把握してやり、あるいは、また、県教育関係担当者としては、その県内の傾向を見て自分の県内の教育行政の材料にするということでなければならぬはずです。私は、もっと対象になる学校関係者、あるいは都道府県の教育関係者の人たちにもつと素直な気持ちで受け取られ、そうして曲げた考えをさせないように、われわれとしては全力を尽くして正しい姿の学力調査の成果をあげる、こういうことにいたしたいものだと、こう思っておるわけです。
  158. 小林武

    ○小林武君 私の聞いていることとは違った御答弁をされたが、私が言うことはこういうことですよ。いまここで学テがいいとか悪いとかという論争は、それは言えばあるけれども、時間の関係上、そんなことは抜きにして、まず学テを実施したそのことによって、いわゆる過当な、ともかくものすごい行き過ぎるようなあれが出てきている。これはあなたも先ほど来のあれから見て、かなりお認めになっていると思う。だからそれについて一体この際学テというものがそういうものになっているのかどうか、これはひとつここで問題をちょっとあれしますというと、県議会の中でもこの問題で大騒ぎをしている。それで、これについて質問した議員が懲罰にかけられるということが起こっている。その中でおもしろいことを言っているのは、父母がやってくれというものをやって何が悪いか、教育に対する熱意だ、こういうことばがある。だから県議会の中でも非常に賛否両輪があって、かなりの混乱を起こしているような状況になっている。それでいまのようにともかく過当な競争が行なわれているが、一方においては文部省は知らぬけれども、知らないのは文部省だけで、たとえばこういうことを言っている。この人は名前をはっきり書いてあるから私は申し上げるのですけれども、中浦小学校山下四郎という校長さんは、猛烈な補習をやりますからね、年間毎日すべてこれテストですからと、こう言っている。これは名前をあげているのですから、この中に出ているのですから発表してもよろしいと思う。毎日すべてこれテストだ。しかし、この人はテストを悪いと言っていない、一石二鳥だと礼賛論を言っている、だからいいと思ってやっている。準備をしないのがおかしいと言っている。だから準備が行なわれていることはここで認められている。いいですか、そういうたとえば問題について、これはやっぱり親たちの問題が出ていますよ、ここに。私はカンニングなどを問題にしようとは思いません。しかし、学校から帰るのは、土曜日を除いては、たいてい補習があるので夕方だ、時によってはまっ暗だ、迎いに行かなければならぬこともたびたびある。それをやれば宿題にかかって平均十一時ごろまではかかる、子供がたいへんだ、かわいそうだ。一晩でできないような宿題を持ってきて、親子みんながかかって十二時までもやる。四年生になって友だちと遊ぶということがなくなっちゃった。よその子供も皆同じだろう、便所に行くときにも、早く行ってこないというと宿題ができないといって走って行く、狂気のさただ、こう言っている。先生方も、テストが悪いと勤評に響くということで、とにかく一生懸命にやる、こういう父兄の声もある。すると、一体どうですか文部大臣、私はこういう事態というものを取り上げて、やはり明らかにする必要があると思うのですが、どうですか。どうです、ぼくはもうここへきたらお互いに明らかにしたほうがよろしいと思う。
  159. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 相手が子供さんですから、おそらく担当の先生方にしても、宿題を出したり、あるいは問題を出したりするほうがただ遊ぶだけに熱中しないで、やはり勉強もよくするように先生としては努力をされる。そういう結果、日々これテストなんということの考えも起こるかもしれないけれども、要するに文部省のやっております学力調査は、先ほど来申し上げておるように、学力の傾向を調べておるのでありまして、この学力調査をやることによって全国的に教育内容が向上することが望ましいので、そのために破壊されるということがあってはならない。ですから、受け取り方に私は誤解を招く。各都道府県の教育関係者はもちろん、学校の校長さんにしても先生方にしても、すなおに受け取る、そうしてできるだけ日本全体の教育状況を向上させるということに協力していただけるような体制が望ましい、こう思っております。
  160. 小林武

    ○小林武君 何か大臣用裏あるのですか。用事があるということで切ってもらいたいという話があるが、用事を足す時間なら行ってもかまわないんですよ。(「指名を受けて発言しろ」と呼ぶ者あり)何だ、一体。何で委員長はそういうことをやるのか。委員長と言って立っているじゃないですか。
  161. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 小林君と言って指名したじゃないですか。
  162. 小林武

    ○小林武君 先ほどから委員長と言って立っているじゃないですか。委員長、もし文部大臣が用事があるというならば、用事のある時間くらいはこれはいい。ただし、きょうでなくてということであるならば、こういう問題はいつまでもとっておくようなことでもないから続けさしてもらって、なるべく早く終わってこういうふうにするとか、その点は委員長においてひとつ判断してもらいたい、そのどっちなんです、こういうことです。
  163. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 速記をとめて。   〔速記中止
  164. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 速記を起こして。
  165. 小林武

    ○小林武君 まあしかし、なるたけ能率的にやりましょう。  文部大臣、「猛烈な補習をやりますからね。年間、毎日すべてこれテストです」というのは、これは中浦小学校という学校の校長さんの言うことです。しかし、これも校長さんだけだと思ったら間違いだ。この校長さんは特別な人でこういうことを言っていると思ったら間違いで、ここでまた名前を出していいのは、書いてあるからいいが、八幡浜の教育事務所長の篠原祐一さんという人は、学徒の成績が悪いほうなので私は肩身が狭い、そういう会合に出るときには肩身が狭いと言っている。こういうことを詳しく書いているんです。お読みください。これにも書いてあるし、別な資料にも書いてあるが、肩身が狭いと言っている。そうなれば、おそらくこれはとにかく相当な準備をやっているということだけは間違いないでしょう。これは私は、そういう見方をするのは理解できないという人もあるけれども、これは見方の問題だから、ぼくはあまりそのことについては文句を言わない。受け取り方というのは、人間が違えば別なことに受け取るから、これはかまわない。しかし、日本の教育をどうするかということになると、そこはお互いの意向だけではだめだ。やはり客観的にものを見てどうなっているかということを言わなければ日本の教育の問題点というのはそれは除去できない。与野党一緒になってやらなければだめなことでしょう。これは少なくとも教師の協力を求めなければならぬ、父母の持っておる考え方を変えてもらわなければならぬことになるというのはあたりまえのことなんです。それを言っておる。文部大臣は一体そういう事態があるということに対してどう思いますか、そういう校長さんや事務所長さんがいて。それから、ここで読んでおる母親の手紙――これも名前がありますけれども、差しさわりがあったら困るから、この人の名前は言いません。しかし、新居浜の人、子供をどうしてくれるんだということ、小使へ行くのにも、宿題があるからといって走って便所に行く、情けないという、こういうこと。それは学校の先生が成績あげるためにはやるか知らぬけれども、こう言っておる。そして最後のほうに何と書いてあるか、私は日教組の味方でもなければだれの味方でもない、子供をどうしてくれるのだ、こう書いてある。私は、このことについてはお互いにひとつ謙虚になってものを考えなければいかぬと思うのです。そういう立場はどうですか、文部大臣は私のようにお考えになりますか。
  166. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 学力調査に関連してそういう補習のようなことをやるのは私はもってのほかだと思うのです。まあ入学の補習授業とこれとはまた意味が違うと思うのです。そういう受け取り方でなしに、正常な教育で一体教育の結果はどうなっておるかということを知りたいのがこちらのねらいでございますから、正常な教育で、教育課程に応じ、あるいは学習指導要領に応じてその授業をやって、その結果どうなっておるかということを知りたいのがこちらの目標でございますから、それをはき違えて、県の教育あたりがはき迷えた鞭撻をしたり、あるいは校長さんがはき違えた努力をされたり、あるいは教員の人たちがはき違えた努力をされては困るので、そういうことのないように、今後われわれとしては十分正常な姿でやってもらうようにつとめて、全国の都道府県を通してわれわれとしては指導助言をし、そういう弊害が、なるほど広いこの日本全体、あるいは何万の学校の中ですからあり得るかもしれません。あり得るかもしれませんが、あることは好ましくないのですから、そういうことのないように指導助言を徹底していきたいと思います。
  167. 小林武

    ○小林武君 ひとつ協力をしてさらに前に進めると、たとえば不正な試験の受け方ですね、父親が子供に対して「どうじゃテストはようできたんか」と聞くと、「絶対百点じゃ」とこう言う。えらい自信じゃのう、間違っているかもしらぬぞというようなことを言ったら、子供が「絶対よ、おとうちゃん。なぜかいうと、あれと同じテスト、何回も繰り返しやったけん、答えはみんな知っとったんじゃ。絶対百点よ」、これで父親の顔が真剣になったと、こう書いてある。私は、やはりこの「教育の森」というようなものを、そんなことはでっち上げだというふうにお考えになってもらいたくない。少なくとも相当の新聞がこれだけのやはり努力をして集めたものの中には真実があるはずです、この中にも書いている。名前をあげないのは残念だ、しかし、名前をあげなければどうにも信憑性がどうかというようなことを言うのは残念だというようなことも書いてあるけれども、実はそういう問題なんです。また、宇和島の中学生の母親の問題として、数学が不得手なんだが、ばかにできるという、そうしてどうしてできるのだと聞いたら、よくできる子と並べてくれたのだという。つまりカンニングだといって母親は嘆いている。こういう事実がもしあったとしたら、私は重大な問題だと思う。「田植え」というのがあるそうですね、先生が「田植え」をやる。これは校長さんにしいられたとこの中に書いてある。おまえもおやじさんと長いこと別れて――遠くに離れて赴任しているらしい――一緒にいたほうがいいだろう、子供の世話やしゅうとの世話もよくみれる、ことしこそ成績をあげなければならない、思い切ってやったらどうだと言われて「田植え」をやっている。「田植え」というのは何かというと、試験に行って指さすやつを「田植え」というのです。苗を植えるあれらしい。「田植え」をやってやったという、それが先生のことばとして非常に残念だという気持ちで書いてある。そこまできたら、ぼくはそれはどういう計らいがあるか知らないけれども文部大臣としては、少なくともやはりこの問題は明らかにしなければいかぬ、こういう態度をおとりにならぬというと、最近、学力テスト反対だ賛成だという議論のもっとあとの問題ですからね、実施されている状況の中でそういうことが出ているのだから、やめるという前に、私があなたにやめろと言ったってなかなかやめられないと思うけれども、しかし、やめる前にそういう風習の除去だけは私は責任があると思うのです、正しいからやるというからには。そうでしょう。そういうことをとにかく言えば県議会の中では懲罰騒ぎも起こるというような状況の中で、だれかがこの問題についてほんとうに手を下さぬとだめなんですよ。それをお互いが教育の問題としてやはり取り上げようじゃないかと、こういうことなんです、私の言うことは。その考え方は間違いじゃないでしょう。そういうことがあったらたいへんでしょう。そのことが一つ。  もう一つは勤評とのかかわり合いなんだね。学校の先生がこれについて成績が悪いというと、おまえは何番ぞというようなことをいわれる。これは一体どういうことなのか、私はそのあとでひとつ文部大臣に聞いてもらいたい、人事のことで。これは学テ反対の人に対するやり方だと思う。特昇というのが出た、これは昭和三十三年から九年間特別昇給というもの、この中で日教組の組合員中、ただの一人も特別昇給というのはないというのだな。これはよくよく悪いのが集まったとあなたたち言うかもしれない。一体そういうことがあるもんだろうか、人事として。それから、昭和三十三年以降、組合員は学校長に一人も任命されておらない。三十六年以降は教頭に一人もなっておらない。こういう人たちはなぜにらまれるか、その激しい競争ということをようやらぬからで、そのことは詳しくここに書いてある。お読みくださいひとつ。勤評とこれがからまってきておる。こういうことになって一体いいものかどうか。これが真実だとすれば重大な問題だと私は思う。まあしかし、ややほんとうだろうなと思うことは、新任の教師に対するこういう教育委員会からのあれが出ている、実におもしろい。大体どういうことなのかね、「学校が、地域が、「おはよう」「さようなら」「ごめん」「ありがとう」で充満したいものである。「あいさつ」はだれからしてもよい。だいたい「あいさつ」の意味がわかっている人から先にするのがふつうであろう。そう思えば、答礼がなくても腹は立たない。(相手の精神年齢が低いと思えば。)」、新しい先生に教えている。これ一体――こういうような「電話のうけ方」ということも、「まず、学校名と自分の名を言うことを忘れない。」これが大学四年の課程を経た者に対する心得なんだ。「話すときは、相手が眼前にいるように、頭をさげる気持ちで。――すると、その誠意は相手に通じるものである。」あるいは「酒の飲み方」「よい酒をほどほどに飲んで、明日への活力を養うのである。帰りはなるべくハイヤーで帰り、事故を起こさぬようにしたい。その方が安あがりになる場合もある。――酒は人間関係の入り口である――」こういって書いてある。その次におもしろいことが書いてある「――二日酔いは後悔と溜息と疲労とが残る――」そうしてその次に啄木の歌が書いてある。「酒のめば刀をぬきて妻を逐ふ教師ありき村を逐はれき」何のためにここへ響いてあるのか、意味がわからない。これは刀を抜いて振り回して追っかけろということなのか、そうやったら悪いというのかよくわからない。ぼくはこの啄木の歌の解釈というものを知らないのじゃないかと思う、これを書いた人は。職員便所、宿直室のそばの男子の教員便所、これは生徒は用いないが、それに「あなたのものは、そう長くありません。」と書かれていた。ばかにするにもほどがある。「「あなたのものは、そう長くありません。」と書かれていた。にっこり笑って、前へ進み出て用を足したのは、私だけではないと思う。」何ですかこれは。こういう程度のものが「子どもとともに」に書いてある。「新任教師のために」と書いてある。「あなたのものは、そう長くありません。」、何の話を一体言っているのだ。こういうばかげたことをやるところに人事の問題でも何でもろくなことは始まっておらない。だから私は文部大臣に、この際、とにかくこの問題の解決をもっと高いところから考えてもらいたい。委員会が云々というような話もあったけれども文部大臣は与党の文部大臣なんだ。少なくともこの点に関しては、意見を述べるときには、やはりこの際、教育の姿勢を正すということをみずから範を示してもらいたいと私は思う。やはり教育委員会教育委員会の責任があり、教師には教師の責任がある。教師にほんとうにやっていけないことはやらないというような気がまえを持たせる意味においてもやるべきだと思う。委員長もひとつそういう立場をとってもらいたいと思う。  だいぶきょうは長くなって文句が出そうだったからここでやめますが、福田次官が来て、そのときにまた問題があればやりますけれども、きょうはこれで終わります。その点はなお委員長にあれしておくが、理事会でひとつ検討してもらいたい。それは愛媛県の県教委の責任者という人にここへ来てもらってなお聞きたい。それをやらないうちは――これはやはり愛媛の教育というのは重大な問題だと私は思う。
  168. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) ほかに御発言がなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十三分散会