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1966-03-29 第51回国会 参議院 文教委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十九日(火曜日)    午前十一時十四分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         二木 謙吾君     理 事                 北畠 教真君                 久保 勘一君                 千葉千代世君                 松永 忠二君     委 員                 近藤 鶴代君                 玉置 和郎君                 内藤誉三郎君                 中上川アキ君                 中村喜四郎君                 山下 春江君                 吉江 勝保君                 秋山 長造君                 小野  明君                 小林  武君                 鈴木  力君                 林   塩君    国務大臣        文 部 大 臣  中村 梅吉君    政府委員        文部政務次官   中野 文門君        文部大臣官房長  安嶋  彌君        文部省初等中等        教育局長     齋藤  正君        文部省大学学術        局長       杉江  清君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君    説明員        文部省大学学術        局教職員養成課        長        安養寺重夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○公立高等学校設置適正配置及び教職員定数  の標準等に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○国立学校設置法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付)     —————————————
  2. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、これより質疑に入ります。御質疑のあるお方は順次御発言を願います。  なお、政府側より、中村文部大臣齋藤初等中等教育局長杉江大学学術局長が出席されております。
  3. 千葉千代世

    千葉千代世君 私はきょうは三点だけ質問させていただきたいと思います。その第一点は、養護教諭関連する関係法規整備ということ、それから二番目は、勤務量調査に関すること、この中の養護教諭の件です。それから三番目は年齢構成について、こういうことであります。  第一点の関係法令整備ということは、ちょうど四十通常国会の参議院の文教委員会の決議の中に、「養護教諭については、学校教育法第二十八条の趣旨にのっとり、年次的にその設置推進するとともに、養成計画についてもこれに即応して拡充を図り関係法令整備を図ること。」と、こうございますが、その中でまず伺いたいというのは、学校教育法の一部を改正して養護教諭というこの位置づけでございます。これは法律ができますときに、養護教諭養護助教諭と、こう続いているべきところを、率直に、落としたのじゃないかと思います。その内容というのは、学校教育法施行規則第四十九条、養護助教諭職務というのがございますが、これを学校教育法の二十八条の第五項の養護教諭の次に加える、この問題なんですが、この関係法令整備について、その後、文部省はどのように検討されたかということでございます。
  4. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) お答え申し上げます。当時制定のいきさつ、詳細をつまびらかにいたしませんですが、一般助教諭は本法に規定がございまして、養護助教諭講師等については、文部省令でまあ規定をしておるというような、多少違ったような形をとっていることは事実でございます。
  5. 千葉千代世

    千葉千代世君 養護助教諭の問題はあとから出たのですね。養護教諭法律あとになって出たものですから、つけ加えるのを、整備するのを落としておったという解釈をしているのですけれども、それでよろしいでしょうか。
  6. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) 養護教諭職務内容等からかんがみまして、養護教諭が原則であり、無資格者をかりにそういう仕事に従事させる——養護助教諭というものは例外的じゃないか。これは一般助教諭の場合よりもそうではなかろうかというような考え方で、現行のようなぐあいになっていると、かように理解しているわけでございます。
  7. 千葉千代世

    千葉千代世君 一般教諭の場合には教諭助教諭ですから、養護の場合には養護教諭養護助教諭と、これは職務内容は違いますけれども、法体系から言えば同じものだと思うのです。そこで、これは詳しい質問は避けますが、検討していただきたい。というのは、私のほうでもこの改正案を出す用意をしているものですから、そういう意味で、ぜひ検討をお願いしたいということです。
  8. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) いま御指摘の点は、一般教諭助教諭と、それから養護に関する教諭助教諭との権衡から見て、おかしいではないかという趣旨の御質問と承りました。で、おそらく一般教諭の場合、一般先生の場合の教諭助教諭というのは、かなり沿革的に長く学校教育法の中で取り扱っている。それから養護教諭制度というものは、比較的新しくて、そうしてそれも当初は流動的であったものが、逐年、職の性格としても位置づけられてきて、そうしてまいってきたという事情も、その取り扱いを異にする経緯の中にあると思うのです。で、いま御指摘の点は、養護教諭配置、それから何を本則とするかということとも関連がありますので、私どもとして十分検討してまいりたい、かように考えております。
  9. 千葉千代世

    千葉千代世君 先般の委員会でも、年齢の問題で皆さんから触れてもらったんですが、いま現在の養護教諭がどういう年齢構成かというので調べてみました。そうしましたらかなり高年齢が多いわけです。具体的には三十六歳から四十歳、これが二五%、四十一歳から五十歳、これが二五%ですから、合計で三十六歳以上が五〇%を占めているという、これはたいへん高い年齢を示しております。で、五十歳以上になりますと、これが九%、それから逆に二十五歳以下が一三%、二十六歳から三十歳が一三%、三十一歳から三十五歳が一八%になっているわけです。こういたしますというと、この養成計画相当急ピッチをあげていきませんと、これらの方々が退職するときに一ぺんにしてしまうという、こういう計算になるわけです。しかも、県によっては内規とか、あるいはいろんな申し合わせによって年齢制限がかなりあるわけです。採用にあたっては年齢制限があり、今度はやめるのは早めにということになりますと、これは非常に困りますし、私はまあ定年制については、これはまあ反対でいるわけなんですが、きょうはそのことは触れないでおいて、とにかく養成計画から見ていくと、この年齢構成を見ますというと、たいへん努力をしていただいておりますけれども、これじゃとても追っつかないという、こういうのが出てくるのですが、その点について文部省計画の中で、もう少しこの増設の面で考えてみるということ、その用意はございませんか。
  10. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) 繰り返しで恐縮でございますが、当面、充実五カ年計画の中では、現に養護職員としておられます人たち資格講習会等の結果を待ちまして、まあできれば優先的にと申しますか、養護教諭のほうに配置がえをしていただくというようなことを考えておるわけであります。その計画後の諸般の事態にどのように対処するかということを見越してのいろいろ計画につきましては、御指摘のように養護教諭養成所増設等も含めまして、なお十分検討したいと思っているわけでございます。
  11. 千葉千代世

    千葉千代世君 そこで一点要望しておきたいことは、同時に各県においても女の人が四十五歳、男は五十五とかという、こういうのがあったが、一番ひどいところで四十くらいで共かせぎの場合には対象になっている、こういう県もありますので、これは各県の教育委員会でやることだから云々ということではなくて、やはり年齢的についてもしかるべき指導が必要だと思うのですが、そういう点について、特に御配慮いただきたいと、これは要望にしておきます。  次に三番目の、超過勤務等実態調査を進めると、こういうわけで予算を計上していただきました。現実には各県のほうで相当指導されているわけです。内容勤務量調査とかいろんなあれがあると思うのですが、その中で教員勤務の量を調査するわけですから、学校にいるとき、それから校外で指導する場合とか、そういうものを含めてむろんすべきだと思うのですが、養護教員の場合を見ていきますというと、かなり授業を持っているのが多い。そうすると、養護教員本来の仕事の立場からいって、授業を持たないのが本体だから、授業を持っているのは調査対象にはしないという指導が行なわれているのですが、その点間違いありませんでしょうか。そういう指導をしていらっしゃるんでしょうか。
  12. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 調査を直接担当しております担当の局の者が来ておりませんけれども、今回の調査は、学校におきます教職員、これは教員、それから養護教員、それから吏員相当事務職員という、まあ学校の種別からも、それから教職員の職種からも、すべてにわたって調査するわけでございます。それは勤務実態。それから教科関連をして、授業あるいは授業に付随するところのいろいろな業務というもの、あるいはその他の学校行事、あるいは学校において行なわれます学校行事関連のあるいろいろな社会教育活動というような実態を見て、学校先生方勤務の量を正確に把握して今後の給与上の実際の参考資料をつくるということが趣旨でございまして、いま御指摘の点が、私、調査技術としてどういうふうになっているかということを承知しておりませんので、さっそく担当者に聞いてみまして調べてみたいと思います。
  13. 千葉千代世

    千葉千代世君 いま伺うと、ありのままを調べるというならば、実際授業を持っているならそれをやはり勤務量調査の中に入れるべきだと思うのです。それで間違いないですね。ただ、このことが間違いやすいというような懸念がありますのは、養護教諭授業を持つのが本体ではない。しかし、まあ学校勤務しておれば、保健の問題その他についての模範授業をする場合もありますし、いろいろ指導したり助言し合ったりすると、こういう中で教員身分というのが必要だというわけで教員身分を授与されているわけです。さればといって、授業してはいけないというあれもないわけです。しかし、養護教員仕事を、ほんとうに本務を遂行するためには授業を持っておったんでは遂行しきれない。だから授業そのものをすることをいいとは言っているわけではない。しかし、現実にはやって、授業しているのか、させられているのか、いるんですから、当然これは調査対象にすべきだということと、全国では大体養護教員がどのくらいの授業時間を持っているかという調査がございますれば、ちょっとお知らせ願いたいと思うのです。
  14. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 調査技術上どういう様式になっているかという点は、私、直接担当しておりませんものでわかりませんけれども、今度の調査がまず中心になりますのが、学校自体業務として、職務として命ぜられているものを勤務時間の外にはずすということはおかしいわけでございますから、そのような取り扱いはないと思います。しかし、技術的にどういうふうに重ねていくかということは私いま承知しておりませんが、ただ、お話しのように、授業を受け持たされておるそのほかに養護教諭本来の授業がある。授業を持たせられているものは勤務時間の外として、それがそもそもわからない。養護教諭本来のところだけが何時間だということで、その場合にそれがその人の勤務時間だということでは実態がわかりませんから不合理だと思います。その点は、私、担当者に確かめてみたいと思います。  それから第二の御質問授業を持っている時間数、人数という点は課長からお答えいたします。
  15. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) 前回委員会でお答えをいたした繰り返しになるわけでございますが、公立中学校養護職員がどのような教科担当しておるかという実態を、多少古い資料でございますが、調べたものが学校教員調査にございます。保健体育、それに最重点が置かれまして、あと家政、こういうものに多少従事しておるというような数値が幾らか出ております。ただし、その担当時間数等につきましては調べたものがございません。
  16. 千葉千代世

    千葉千代世君 私の調べたところによりますと、かなり多いわけですね。具体的には養護教諭保健教科を持っている者は九・一%、それから小学校でございますと、授業担当が六・八%、中学校が二八・四%、高等学校が一四・五%、特殊学校が二〇%、その中で、小学校で週一時間から五時間持っている者が八〇%という数字、それから六時間から十時間が一五・四%、十一時間から十五時間が小学校最高ですが、三・一%、中学校ですと、一時間から五時間が四三%、六時間から十時間が四四%、それから十一時間から十五時間が一一%、最高は十八時間持っている。高等学校ですと、一時間から五時間が五九・三%、六時間から十時間が三七・三%、十一時間から十五時間が三・四%、最高が十五時間です。特殊学校が一時間から五時間が七一・四%、六時間から十時間が一四・三%、それから十一時間から十五時間が一四・三%、最高が十三時間、こういうふうに数字に出てきております。そうしますというと、現実にこれだけの方々授業をしている。それを調査対象にしないということ、これは私はたいへん間違っていると思うんです。ですから、これは至急にお調べになって、超過勤務ということの調査がなぜ行なわれるであろうかという、こういうことを考えますと、やっぱり超過勤務の費用とか、宿直の問題に関連して、教師の本務を遂行していくためのいい条件をつくる、こういう趣旨から予算に組まれたと思うんです。そうしますというと、これが実態がちゃんと明らかに出ていないというと、そこでもうすでに調査から間違った段階、しかもその調査が、この授業養護教諭がかってに持つわけではない、学校計画の中で先生が足りない場合はどうするかということでやっているでしょうから、当然これは校長の命令といいますか、仕事の分担の中に入るのじゃないかと思うんです。そうすると、これを調査対象からはずすということは、かなりそういう県が多い。ですから、これは早急に何らかの機会——何らかの機会というか、機会をつくって調査対象にする、繰り返して申し上げますが、これは調査対象にして授業を持てという意味質問するのではないということであり、間違われると困るので、そこだけきちんとしてお調べいただきたい。それから調査する場合に、ある県では養護教諭授業を持つものではないから、しておっても明るみに出るのは困るので、だから調査対象にしないのだという県もあるそうです。だから、その点はあらためてひとつ善処していただきたいと思います。
  17. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 調査担当者によくいまの御趣旨をお伝えいたしておきます。
  18. 千葉千代世

    千葉千代世君 これは早急にしていただきたいと思います。と申しますのは、かなり話が進んでいるようですから、そういう意味で私も近い機会にあらためて質問したいと思いますから、御答弁用意をしていただきたいと思います。  まだ、いろいろございますけれども、私のこの法案についての質問はこれをもって終わります。
  19. 林塩

    林塩君 私は養護教諭の問題と関連があると思いますが、高等学校の中に、今回、一昨年からでございますが、衛生看護学科の新設を文部省でされましたが、これについて質問をしたいと思います。まず、第一番にお伺いいたしたいのは、この衛生護学科を設立されました目的でございますが、この目的について文部省の御意見を伺いたいと思います。
  20. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 高等学校衛生看護科設置についてでございますが、御承知のように、医療看護近代化に伴いまして、看護業務従事者資質向上要請ということもございます。また一面、准看護婦養成の機関の入学の状況を見ますと、これが思うように看護婦養成機能を果たしづらくなっておるという事情等がございまして、そういう要請もございましたので、この高等学校教育自体におきまして、看護従事者養成を兼ねてするということが必要であろうということを検討してまいった結果、これは一面におきましては、看護婦の需要の不足を補うということの要請と、一面におきましては高等学校段階におきます女子教育の振興という観点からも有意義のものであろうという判断に達しまして、文部省としてもこれを積極的に援助するということに相なったわけでございます。その結果、昭和三十九年度には一学科であったものが四十年度には十七学科設置されました。さらに四十一年度は三十七学科設置が予定されております。これに対しましては四十一年度の予算におきましてこの設置を促進し、また、その教育水準を上げますために新たに補助金等を設け、あるいは教員資質向上のための予算等も新たに計上したような次第でございます。
  21. 林塩

    林塩君 私は少し違った考え方でもってこの問題を考えるわけでございますが、ただいま御答弁がございましたように、目下非常に看護従事者が足りないので、それで高等学校課程として入れてあるということでございます。文部省といたしまして、私はただ看護従事者が足りないからというだけのことであってはいけないんじゃないか、こう思うんでございますが、第一目的は、やはり何といたしましても、女子保健教育が足りていなかったというその現実をよくお考えになりまして、それはもちろんいい問題でございます。看護婦は非常に不足しておりますから、そういう意味で、これは看護婦にならないで准看護婦になるわけでございますけれども、施策としては非常にしやすいという面もございましょうけれども、従来、保健教育というのが足りておりませんというような国の教育のあり方の中で、ことに女子でございますから、女子は将来家庭を持ち、子供を育て、そして保健を主にした家庭の運営をしていかなければならない、そういうものがいままでの女子教育の中で足りていなかったんじゃないかというふうに私は考えるわけでございます。高等学校課程で、この准看護婦課程だけでなくて、もっと高等学校といわず、小学校あるいは中学校の中に保健教育が徹底して行なわれているならば、いま起こってきているような問題はもう少し軽減されたんじゃないか、こういうふうに思いますがゆえに、ただ准看護婦教育だと、それだけにお考えになってはいけないんじゃないかというふうに思いますので、あらためてもう一度文部省としては、なぜ高等学校教育の中に衛生看護学科ができたかという意味をしっかりお考えくださいまして、そして将来の対策をお考えいただきたいと思うわけです。それで、ただ衛生看護学科だけでなくて、高等学校教育の中にもう少し保健問題が入れられていいんじゃないかと思いますが、これなどは将来、カリキュラムの中で御検討がいただきたいと思いますので、このことを申し上げますが、もう一度御答弁をお願い申し上げたい。
  22. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 学校教育の中におきまして、男女を問わず保健関係のやはり教養を縛るということは、それ自体としてきわめて重要なことでございます。それから第二に、特に女子の場合に、将来、職場にあって、あるいは家庭主婦として、家庭における子女の保育という観点から見まして、特に保健あるいは育児等の基礎的な教養が必要であるということは、これは学科のいかんを問わず重要なことでございます。これは教育課程検討の際に十分考えたいと思います。さらに、将来の主婦としての地位を考えますならば、保健等を含めまして、さらに広く家庭における家庭自体の維持、あるいは家庭教育的な機能という問題に着目いたしまして、これらに関する学科というものを重視しなければならないと思います。そして、この衛生看護科の場合にも、私、先ほど申し上げましたのは、単にこの看護業務に従事する者が不足であるということをもって、直ちに文部省高等学校教育にこの衛生看護科を積極的に推進するという態度をとったのではなくて、それは先ほども申し上げましたそういう要請に端を発しましたけれども、それはやはりここまで設置が伸びてまいりましたのは、高等学校段階におきます女子教育の一環としてきわめて重要なものであるという認識があってここまで来たのだろうと思います。そして、一つには先般来申し上げておりますように、高等学校多様化というその面、七〇%以上も国民が高等学校教育を受けるという段階になりますと、従来のように普通科だけの色どりではなくて、こういうように特色ある学科というものが出てまいりますれば、非常に女子教育自体の、あるいは高等学校教育全般に及ぼす好影響もあろうかというふうに判断いたしまして、四十一年度から特に予算も新たに計上して、積極的に推進をするということといたしたわけでございます。
  23. 林塩

    林塩君 お説のように、この衛生看護科は二年、三年の間に非常な勢いで伸びました。三十九年でございましたか、二俣川の高校に新設いたしまして以来、昨年は十七校、本年は三十何校申請をしておりますが、それにつきまして、文部省としては、これを将来積極的に伸ばしていこうとする御意図があるのかどうか、それについてお伺いいたします。
  24. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 先ほども申しましたように、この衛生看護科は、単に看護婦養成のためでなく、女子教育のある分野として非常に有用なものと思いますので、文部省としては、これを積極的に推進をしてまいりたいと思うわけでございます。この点につきましては、高等学校のことでございますから、設置者である県、私学におきましてはこれを設置いたします法人のこれに対する意欲というものが必要でございまして、ことに地域の父兄の要望とか、あるいは進学者状況とかいうようなものを見ないと、その設置をどういう場所にどう設置するかということは、まあ机上のプランに倒れがちでございますが、その点につきましては各府県とも非常に積極的でございまして、現在の段階では、できました学校の様子を見ますと、まあ相当志願者もあって、かなり優秀な方々も入ってきておられるという実情でございまして、その状況を見ますと、これで十分ということでなくて、なおそれぞれの府県においても設置する必要があろうというふうに判断をいたしております。
  25. 林塩

    林塩君 それで、非常に積極的に都道府県ではこのことについて教育委員会努力をされていると聞いておりますのでございますが、この四十一年度におきましては文部省補助を出しておられる、設置に対する補助を出しておられます。たいへんこれはけっこうなことと思うのでございますが、将来それについてもう少し額をふやしていきまして、積極的にそれを新設するように努力をされるということであろうと思いますので、ぜひそのようにお願いしたいと思います。  それからこの機会にちょっと申し上げておきたいと思いますのは、これは卒業しますと、都道府県の免許を受けまして准看護婦になるわけでございます。看護婦対策としてということがよく出ております。これはおもにいまの看護婦制度文部省関係が少なくて各種学校になっておりますために、何か看護教育がその姿でいいように考えられているので、世間に非常に間違った考えを起こしております。この機会に申し上げておきたいと思いますが、この人たちがすぐにも准看護婦として働くか、あるいはそのまま家庭に入るかわかりませんのですが、まあ一応経過を見ていかなければならないかと思いますが、この衛生看護学科に入りました生徒の人たちの意見としては、社会がいろいろ看護自体に対して何か偏見を持っているように、学校においてもそういう感があって、学校先生方においても衛生看護学科は特別違うのだというふうに見られているために、高等学校教育をされているのか職業教育をされているのかわからないというふうな感覚もあるようでございますので、この点よろしく御指導をお願いしたいと思います。  それからなお、看護婦になりますためには、高等学校を卒業いたしまして、厚生大臣並びに文部大臣の指定を受けましたところの養成所がございます。文部省関係では、これは大学病院、大学の医学部付属の看護養成所となっております。それで三年課程でございますが、ありますので、その看護婦と、それから高等学校を出ました准看護婦とのことを文部省においてはっきり間違いのないように御認識をいただきたい。学校の校長先生方にもお願いをしたいと思いますが、なお、高等学校衛生看護学科を出まして、将来看護の道に進みたいという人がたくさん出てくることを私どもは期待をしておりますので、そのように指導方をお願い申し上げたいと思っておりますが、その上に三カ年の看護婦養成所を出まして、さらに六カ月以上の訓練、教育を得まして保健婦になり、さらに六カ月して助産婦になるということでございます。そういうわけで、これは国家試験になっております。それから衛生看護学科を出ました場合には、准看護婦の試験でございまして、都道府県で試験を受けて免許をとる、こういう形になっております。それで、ここで従来のそれでは准看護婦はどんな状態かといいますと、中卒で二年でございます。そうして都道府県の免許を受けるということになっております。将来この高校を出ましたところの准看護婦人たち身分の問題でございますが、これはどういうふうに資格づけられるか。高等学校を出ているからといって、必ずしも准看護婦という資格には変わりはないのでございますが、働きます場合に、そういう給与面などをどう考えられるか。これは文部省御当局ではそれについてお考えもあろうかと思いますが、御検討願いたいと思いますが、いかがなものでございますか。
  26. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) いま御指摘ございましたように、学校の在学期間だけを申しますれば、従来の准看護婦養成期間は中卒二年、それに対しまして高等学校衛生看護科は三年で、二年と三年、看護婦の資格ということにだけ着目すれば二年と三年で、同じ准看の資格であるということになります。この点は、高等学校のほうはやはりそういう資格を得るとともに、高等学校として必要な一般的な教養というものが加わるために三年になるわけでございます。本人にとりましてはそれだけの利点があるわけでございます。で、これがだんだん高等学校卒の准看というものがふえてまいりました場合の給与の定め方等についての御質問でございますが、その点につきましては、文部省が直接というわけのものではございませんけれども、私どもとしては将来こういう方々が卒業されて職場に働かれるという時期になりましたならば、その学校における修業の度合いというものが正当に評価されるように努力をしてまいりたいと、かように考えております。
  27. 林塩

    林塩君 それで、この問題はよろしくお願いしたいと思います。  次に、この衛生看護学科を教えますところの教師の問題でございます。激増いたしておりますのでありますが、専門の科目を教えますところの教師の問題で、たいへんどこの学校も困っておられるという状態でございますが、文部省としましては、それに対する対策をどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  28. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 四十年度の様子を見ますと、衛生看護の専門科目を担当いたしまする専任教員のうち、相当多くの方が臨免の所有者でございます。具体的に四十九名の専任教員のうち三十三名は臨免所有者でございます。そこで、昭和四十一年度におきまして相当数の学科の新設があり、また既設の学科も学年進行によって増大をいたしてまいりますので、百六十名くらいの先生が専任教員が必要となろうかと思います。現在はこのような先生養成課程は三つの大学だけでございます。今後、先ほど申しましたように、衛生看護科設置というものはなおふえてまいる。したがって、専任教員の需要も増大すると思いますので、文部省といたしましては、四十一年度から熊木大学の教育学部にはこの種の教員養成課程を新たに設けることといたしました。それから一方、看護婦の免許状だけを持っておられます衛生看護科の現職の教員、あるいは看護婦で将来教員を希望される者を対象といたしまして認定講習をいたすということと相なっておりまして、そのための経費も四十一年度の予算では新たに計上をしておるわけでございます。
  29. 林塩

    林塩君 それで、そのために今年度多少予算をとってございますかどうか。いまおっしゃいましたように、熊本大学のほうで、将来、高等学校衛生看護学科を教える人のためにとおっしゃいましたが、一応そういう課程もできたそうでございますが、非常に数が少い。二十名でございますから、すべてを満たすわけにいかないと思うのでございますが、さしあたり看護の免許を持っている人に認定講習をするという御答弁でございますが、これで間に合いますかどうか、それについてどういう御予定か、伺いたいと思います。
  30. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 先ほど申しましたように、現在も臨時免許状でこの学科担当せられておる方々が多いわけでございますが、その方々には今回衛生看護科教員の現職教育講座というものを設けますので、できるだけこれによりまして本免許状を取っていただくようにいたし、また、一挙に間に合いませんので、教育を志される方々は、臨免でも、適当な方はひとつとりあえず衛生看護科の教職についていただき、逐次、現職教育というものを拡充してまいりまして、正規の免許状が取れるように努力してまいりたいと思います。
  31. 林塩

    林塩君 この場合に、養護教諭との関係はどういうふうにお考えでございましょうか。養護教諭を、教師としての資格の問題はあると思うのですが、養護教諭養成所は三カ所ございまして、これについて先般来いろいろ質問があるのでございますが、これとの関連はどんなふうにお考えですか、
  32. 杉江清

    政府委員杉江清君) 直接には関係ないと考えておりますが、養護教諭養成所において単独の免許状を与えたらというような御意見もあったのでございますけれども、やはり教育内容も違いますし、あまり二兎を追うことは教育上どうかという考えもあって、そのような措置をいたしておりません。したがって、間接には関係あると言えましょうけれども、直接的な関係はないと考えております。
  33. 林塩

    林塩君 私はたいへん残念に思うわけでございますが、どこにでも利用できてるというようなことは、これはあまり目的を大きくすると目的のために使えないということにもなると思うのですけれども、せっかくできます文部省関係のことでございますから、養護教諭養成所を大学程度にしまして、そうして免許を与えると同時に、また高等学校で教えるというようなことになったらよかったのではないか。高等学校の教師が足りませんために特にあるわけでございますが、いま御答弁ございましたように、そういうことは考えていないということでございましたら、将来何とかそれは考えられますかどうか、それについて。
  34. 杉江清

    政府委員杉江清君) 高等学校看護課程の教師としては、先ほども初中局長から申し上げましたように、やはり四年の課程において正規のそのほうの専門教育を受けさせる、そういう形で教師養成をやっていきたい、こう考えております。ただ、現在のところ、わずか一大学にのみ設けましたので、それは大量の需要には応じ切れないのでございますけれども、今後この課程をもっとふやしていきたいと、かように考えております。養護教諭養成所は、これは大量の不足に応ずるというふうな配慮もあって三年の課程にしておるわけでありまして、これを早急に四年の課程にするということは、早急にはちょっと私どもなかなかむずかしい課題だと考えておるわけであります。だから、その三年の課程看護課程教員をも養成するというようなことは、そういう面からもかなりむずかしいので、別個のものとして看護教員養成機関をもっと数多くつくるように努力いたしたいと考えております。
  35. 林塩

    林塩君 文部省といたしましては、一貫したそういう対策をお持ちになってはいらっしゃらないかしらと思って、この際、看護の大学といいましても利用面が非常に多いものですから、生生になる人もあれば臨床に向かって働く人もあり、同時にまたいろいろの面で活用していくということで、大量につくらなければならないからというので、そればかりにしないで、多目的にもう少しお考えいただいたらどうかしらと、これは私の意見でございますが、申し上げておきます。  それで、それに関連いたしまして、一つこういう問題がございます。これも私ども看護向上のために、また保健教育という意味からいきましても、国民の体位向上意味からいきましても、だれがそれを実際にやっていくかという意味からいきまして考えるわけでございますが、教育がされていなければ、またそういう役にも立たないし、また、保健行政全体の中で看護の果たす役割りというのがうまく生まれてこないという考えでございますが、文部省は現在、医学部付属に看護学校を持っておられます。これは全国で相当数がございます。医学部付属でございまして各種学校になっております。これでお手元にそういうちゃんと学校がございまして、そうしてそこの教授陣もちゃんと整っておるのでございますが、それについて、これは大学に昇格させて、そうして活用したらどうかという考え方がありまして、いろいろ働きかけも文部省にはみんなそれぞれの道の人がしていると思いますが、それについて、この養護教諭は別、高等学校衛生看護学校先生は別、それから、せっかく看護関係教育をしながら、それも別というふうにお考えになっておらないで、もう少し総合的に考えられることがないかしらと思いまして、これを活用されるという意味で、現在、医学部付属になっております看護学校の昇格問題については、まあ急にはできませんでございましょうが、御計画があるのかないのか。それからまた、そういうふうなことについて御検討になったことがあるのかどうか、それを伺っておきたいと思います。
  36. 杉江清

    政府委員杉江清君) 看護短大をつくるということは文部省でもかねてから考えておりまして、実は二年来この設置を要求してきておるのでありますけれども、残念ながらその実現を見ておりません。しかし、私どもはその必要があると考えておりますので、引き続いてその実現に努力いたしたいと考えております。ただ、全国国立大学に多数ある各種学校としての養成機関、これをすべて昇格するかどうか、なお疑問の点もあり、にわかにすべてを昇格するというわけにもいきかねるかと思いますけれども、少なくとも全国数地区において看護短大をなるべく早い時期につくりたい、かような計画を持っておるわけであります。その際、ただいまお話がありました養護教諭等の関連についても、いろいろ検討をすべきものがあると思いますが、私どもなかなか両者あわせて行なうという教育相当むずかしいのではないかと考えておりますけれども、この点もなお検討さしていただきたいと思います。
  37. 林塩

    林塩君 いつもそういう御答弁がございます。それで、私はかつて前文部大臣にそのことについても委員会質問をいたしましたところ、いま急にというわけにはいかないので、来年はそうしようと言われる。来年は常に来年であって、決してこない。それで、いまおっしゃいましたように、また来年、来年になりますとまた来年、こういうふうになる傾向がどうもございますので、たびたびそういうふうに言って、それは人的資源から、それから教育の場から、いろいろなものがもっと総合して考えられたほうが経済的にも非常にいい。人間の経済からいっても非常によろしいんじゃないかと考えますので、少し御努力をいただけばできるんじゃないかというふうに思いますが、常に来年は来年でございますが、やはり来年になるのでございますが、お願い申し上げたいと思います。
  38. 杉江清

    政府委員杉江清君) はなはだ残念ながら四十一年度予算には計上されておりませんので、どうも直ちにということはむずかしいわけでございます。  それからなお、ちょっと課長のほうからの注意もありまして、申し加えておきたいのでありますが、私、先ほど看護課程教員、あるいは養護教諭教員養成として、両者あわせるというようなことをちょっと申し上げておきましたが、これは短大でありますから、教員養成としてのものは実は持ち得ない。御質問がどのようでありましたか、はっきりいたしませんけれども、私その点で間違えておりましたら訂正いたします。
  39. 林塩

    林塩君 私も教員免許法を知っておりますので、わかるわけでございます。短大であることと、それから学校の問題と、わかりますが、それに何らかの課程を入れ込みまして、そうして活用する方法もあっていいんじゃないかと考えまして、御検討いただきたいわけでございますが、ここでぜひ伺っておきたいことは、四十二年度では、それでは看護短期大学になりますか、すべてではありませんが、これを一カ所なり、二カ所なり、まあ三カ所ぐらいはぜひとも御実現を願いたいと思いますけれども、それにつきましていかがでございますか、大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  40. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) ことしも看護短大の設置について予算要求をいたしたわけでございますが、初めての試みでございますから、予算に計上して目的を果たすことができなかったわけであります。私どもとしましては、現在、御承知のとおり数多くの医学部付属の各種学校がございますが、この中から看護短大という制度をつくって、だんだんひとつ口あけをして、将来はそうした短期大学としての方法で養成の道を講じていきたいという希望を持っておる次第でございますから、引き続き努力を続けてまいりたいと思っております。
  41. 林塩

    林塩君 いろいろ御努力をいただいておるということはよくわかります。わかりますが、その御努力が実るように、ぜひとも来年度は——本年度はできませんでしたが、来年度は実現方につきまして、予算その他の措置につきまして関係の皆さま方にお願いを申し上げます。と申しますのは、やはり国民の健康の増進ということは、何といたしましても大事なことでもございますし、文部省としましても、それについて現在していないからする必要がないというふうにお考えになりませんで、教育の中にもそれをしっかり入れていかれるというお考えでもって、教師も必要でございますが、それをどうしてつくるかということなど、現在ある大学などを十分に御活用になって、そうしていかれる方策を立てていただきたい、それは筋が違うからというふうにお考えになりませんで、もっと柔軟性を持って臨んでいただければできるんじゃないかと思いますので、よろしくお願い申し上げて私の質問を終わります。
  42. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 ちょっと関連して。この養護教諭の問題も切実な問題であり、また看護婦の充足の問題も切実なる問題であり、また市町村における保健婦等の充足の問題も非常に重大な問題だと思うんですが、いまの林さんのお話のように、こういう保健婦、それから看護婦、それから養護教諭、こういうものの総合的な養成機関をつくるというような考え方は、私はたいへん必要じゃなかろうかと思うのでございますが、いかがでございますか。
  43. 杉江清

    政府委員杉江清君) いままでのところ、総合的な養成機関というところまでの考えは及んでいませんが、ひとつ今後の課題として検討さしていただきたいと思います。
  44. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 それは厚生省や文部省の、その他の関係各省とひとつ連絡をとってやって、将来の綿密な計画を立てる必要があると思いますから、ぜひひとつ要望いたします。
  45. 松永忠二

    ○松永忠二君 それじゃあまり時間もありませんから、私は文部省からいただいた資料に基づいて少しお聞きをしたいのですが、小学校について養護教員配置状況を見ると、学校に対して一九%の配置状況のところもあれば、福岡県のように五六%のところもある。それから中学校については、福岡県あたりが八〇%であるのに静岡県などは二〇%、高等学校についていうと、愛知県は一%だが神奈川県は九九%の配置状況であります。こういう非常な配置のアンバランスがあるということについて、いわゆるいま小、中、高等学校の定数の配置法律等もあって、それが進行されているので、文部省指導というものがもっと強力になされてもいいのではないかと、まあこういうふうな趣旨の点で、少し明らかにするところをしていきたいと思うのでありますが、まず、このいま標準法の経過措置としての政令できめられている昭和四十年度の政令の小学校中学校高等学校の定員と、それと配置の実数というものはどういうふうになっているんですか、これをひとつ知らしてみてください。
  46. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 昭和四十年度の小中学校における養護教員の定数と現員との関係の御質問だと思いますが……。
  47. 松永忠二

    ○松永忠二君 配置、実施。
  48. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 現員と申しますのは、各県ごとの配置ということばになるわけでございます。それを全国数で見ますと、定数としては小学校が八千三百四十でございまして、中学校が定数が三千四百十人でございます。それに対しまして小学校の現員が七千九百六十二人でございまして、それから中学校は現員が三千二百九十六人でございます。
  49. 松永忠二

    ○松永忠二君 高等学校
  50. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) それで高等学校の問題は、これは定数と充足数はほとんど変わりはございません。小中学校と違いまして、ほとんど差はございません。
  51. 千葉千代世

    千葉千代世君 そんなことないですよ。
  52. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) ちょっと高等学校のはいま調べますので……。
  53. 松永忠二

    ○松永忠二君 それじゃ高等学校は調べていただくことにして、具体的にいうと栃木県の一体配当定員というのは、政令の定員というのは幾人になるんですか。その小学校の栃木の一九%、静岡の五十四人の実員に対して政令の定員というのは何名になるのか。この二つのところと、それから愛知県でいうと、やはり高等学校の標準法の経過の措置の政令で言っている定員は、九名のは実際には一体幾人になるのか、これをひとつ数字を具体的に示していただきたい。
  54. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) ただいまのは高等学校でございますが、小中学校高等学校合わしてお答えいたしたいと思います。  先ほど答弁漏れましたけれども、養護教員高等学校の財政上の措置は、全国合わせまして二千三百三十二人でございまして、それで実数が二千二百九十六人でございますから、未充足は三十六人でございまして、これは義務制と違いまして、定数と実員との差はあまりないということはいえると思います。  それからいま栃木で、その養護教員の定数と実際の数との差という御質問でございますが、栃木県では昭和四十年度の定数が八十八名でありまして、現員が八十五名でありまして、小学校では三人の未充足、それから中学校では四十一人の定数に対しまして四十一人の現員でございますから、差し引きゼロということであります。それからもう一つ愛知でございますが、愛知は小学校の定数が三百三十でございまして、現員が二百五十九でございますから、七十一の未充足、中学校におきまして定数が百二十五に対しまして、現員が百四でございますから二十一の未充足、すなわち、愛知県は小、中学校合わして九十二の未充足、こういうことになります。
  55. 松永忠二

    ○松永忠二君 高等学校については。
  56. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 愛知県の高等学校における養護教員の定数は八十四名でございまして、それに対して実数が九でございまして、七十五の未充足ということになっております。
  57. 松永忠二

    ○松永忠二君 ちょっとこれはひとつお聞きをするわけですが、養護教諭のワクというのは普通教員のワクへ流用するということは認めていないわけですか、その点をひとつ聞かしてください。
  58. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 小中学校とそれから高等学校は少し制度が違っております。小中学校におきましては、これは先般もお答えしたのでございますが、校長、教員とそれから養護教諭事務職員、すべて現在は定数上の仕切りをいたしております。で、過去におきましてはそれがプールで措置されておりましたので、いまの実情のように、あるところは事務職員というものに重点を置いて充足し、あるところは養護教諭というものを重点に措置する。それぞれバランスがくずれておるというのが実情でございますが、いまのたてまえは、この四十三年までの経過措置というものを彼此流用できないように負担法のたてまえとしてはいたしておるわけでございます。義務教育費国庫負担法において半額を持つべき人員については厳重に仕切りがしてあるわけでございます。高等学校のほうは、これは要するに地方交付税上の措置でございますから、全部が。要するにこれだけの職種についてこれだけの人数を見積ったということで、一括交付税で措置しておるわけでございます。ただ積算の基礎としては、校長、教員養護教員事務職員、あるいは実習助手とそれぞれに計上してあるということでございます。
  59. 松永忠二

    ○松永忠二君 そうすると、いま小中学校については養護教員のワクがあって、一般教員への流用は認めていないと、そういうふうなことでいいですか。——わかりました。  そこで、もう一つ聞いておきますが、ここに出てきている各都道府県で、標準法に基づくまあ政令の経過の中できめてある小中学校教員数、養護教員事務職員を入れた数よりも低い数を持っておる府県というそういうものはあるのですか。標準法に基づく小中学校教員助教諭事務職員を入れた数が標準法に満たないというような府県が全国にあるのかどうかということ、そのことをひとつ聞かせてください。
  60. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) いま数字を調べておりますが、もちろん定数よりオーバーしている県もありますし、少ない県もあると思います。
  61. 松永忠二

    ○松永忠二君 それじゃ、あとからお聞きをいたしますが、少ない県がどのくらいあるのか、お聞かせを願いたいと思うのです。  そこで、いまお話を聞きますと、たとえば愛知は小学校が七十一名、中学校は二十一名、一応交付税の積算の基礎だとは言いながら、高等学校についても愛知は八十四名の少ない数を持っている。一応国として予算措置がしてあるのに、しかもそれは流用できないというワクの中できめられているのに、これだけの数が少ないということについては、やはり相当これは問題があるのじゃないかというふうに私たちは思うのです。そこでいまお聞きするのは、たとえば非常に教職員養護教員事務職員の数が法律以上の数を持っているために、他のほうで持っているから養護教員の数が非常に少ないという場合には、まだそこにも考えようはあるけれども、そうでなくて標準法の定数の数よりも少ないのにかかわらず、なおかつしかも予算措置をしている養護教員の数よりも少ないというようなことになってくると、やはりその県の努力が非常に不足をしておるというようなことが端的に言えると思うのですね。そこで私がお聞きしたいのは、学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の中で、学級編制については市町村のきめたものを都道府県教育委員会は認可をしていくという形をとっているわけです。ところが教職員の定数については、都道府県の置いておるものについて、まあこれはただ文部省都道府県の数をきめていくわけなのです。しかも学級編制については認可事項になっているわけです。そこで、これの教職員の定数についてももっと前進した法律措置があってもいいのじゃないかという気持ちを自分は持っているわけなんです。そこでいまこの法律の第十一条に、「(報告及び指導又は助言)」という条文があるわけなんですが、これに基づいて文部省指導助言をなさなければいけない。学級の編制はある程度市町村の教育委員会に責任があって、それを県の教育委員会にまかしているという形だけれども、教職員の定数については文部省自体がきめてそれを都道府県教育委員会がやっておるわけだから、したがって、文部省のそのタッチのしかたというものは、教職員の定数については学級編制基準以上にタッチしてもいいという考え方がまあ法律的には成り立つと思うのです。そこで、こういう点について一体どういう指導とか助言とか、そういう措置がなされているのか、こういう点についてひとつお話を聞かしていただくと一緒に、こういう法律的な問題についてどういうふうに考えておられるのか、ここに書いてあります書き方もだいぶ違っているわけなんです。この教職員の数については、 「各都道府県ごとの、公立小学校に置くべき教職員の総数は、次の各号に定めるところにより算定した数の合計数を標準として定めるものとする。」というようなはっきりした言い方がしてあるが、片方は、都道府県教育委員会が定めた基準に従い、当該学校設置する地方公共団体の教育委員会が学級編制を行なうと書いてあるから、法律的にはよほどこの教職員定数について相当重味を持っているというふうにわれわれは思うのですが、これについてそういう法律的な解釈の問題と、具体的にそれをどういうふうに実行に移しているのか、この点をひとつお聞かせをいただきたい。
  62. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) ただいま御指摘ございましたように、文部省といたしましては都道府県ごとの教職員定数というものを定め、それにつきましては国庫負担もありまするし、それからそれに伴う交付税上の措置もいたすわけでございます。これは文部省というよりは法律自体において標準を定めて、その標準があって都道府県は基準を定めるわけでございます。ですから、標準を国が法律によって、あるいはそれに付随いたします政令によってきめたものをもとにして、目安として都道府県が基準をきめるわけでございますから、理論的にはその標準と前後して都道府県が基準をきめるということに相なろうかと思います。ただ、今度は具体的に市町村の配置、あるいはさらに末端の学校までの教職員の定数の配置となりますと、これは府県にいろいろな考え方も起ころうかと思います。いろいろな基準のきめ方は、先般来お話のありましたように、たとえば青少年問題等についていろいろ問題の多い産炭地域についてプラスアルファの基準をきめるというところもございまするし、あるいは同和地区に対してさらに政府の指導等も考えてプラスアルファの基準をきめるというようなこともございますから、これは都道府県内の事情によりましてきめて差しつかえないというより、それこそ府県教育行政として判断をしてやっていくべき事柄だろうと思います。そこで文部省としては、そういう形でもあるにもかかわらず、個々の学校、あるいはその職種間にわたって不均衡が起こっておるという事態についてどういうように指導、助言をするかということでございますが、これはすでに法律なり政令なりにおきまして、先ほど申しましたように、新標準法におきましては職種間の彼此流用というものを許しておきますと、調和のとれた職員構成になりにくいという実態にかんがみまして、ある意味では不便もございまするけれども、職種間の仕切りというものをするような形になったわけでございます。その趣旨から、できますならば全部の職種について、その標準法の定めるところによってバランスをとって充足していくということが一番いいわけでございます。ただ、先ほど申しましたように、事務職員養護教諭との間の問題はこれはいろいろ過去の経緯がございまして、府県ごとに事情が異なっておりまして、それを逐次是正をしていく段階にあろうと思います。でございますから、現行の四十三年度の計画完成の時期までには府県努力をいたしまして、事務職員にいたしましても養護教諭にいたしましても、標準法の定めるところによってバランスをとって配置していただけると思いますし、またそのように指導してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  63. 松永忠二

    ○松永忠二君 私の言っておるのは、そのアンバランスが発足当時あったということについては認めるとしても、いまや相当な期間をとっているわけです。しかも、いよいよ完成の時期に近づいてきておる状況です。そして、しかも法律には教職員の定数について何か地方が基準をきめるなんということは一ところにも書いていないわけですね。法律には都道府県というものは、「算定した数の合計数を標準として定めるものとする。この場合においては、政令で定めるところにより算定した数を標準として、当該教職員の職の種類ごとの総数を定めなければならない。」、どこにも非常に下回ったものをつくっていいなんというようなことはないわけですね。だから、むしろ学級編制については認可条項ではあるけれども、「基準に従い」ということばがあって、ある程度そこに弾力性があるという解釈が法律では成り立つわけですね、数については。そういう都道府県法律に基づいて何か基準をつくって暫定的にやってもいいというような弾力性というものを認めるような語句というのはどこにもないわけです、法律の中には。施行令なんかにもそんなものはないわけです。だから、私はそういうことについて、この発足当時の事情はわかりますけれども、いまやもう二、三年で完成しようというときに、標準法の数からはなはだしく少なく養護教員なり事務職員なりを置いているところについては、これはやはり法律を守るというたてまえから言って、よほどの強力な指導があってしかるべきものではないか。学級編制の基準のほうが大切なのであって、教職員の定数の基準のほうがそれよりも軽いものだというふうにお考えになっておられるのかどうか。法律的にそれでいいのだという考え方を持っておられるのか、同等なものなのか、あるいはそこに差異があるのか、この三つのどれなのか。ひとつ学級編制と定数について、定数のほうが少しいわゆる法律的にはそう守らなくてもいいのか、あるいは同等なものか、学級編制の基準のほうがこれは守るべきものであるのか、そういう三つのうちのどれなのですか。学級編制と定数の関係、これをひとつお聞かせください。
  64. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 教員定数の点は、まあこの府県ごとの教員数というものについて、やはり財政的に保障してやるという考え方が私は非常に強いと思います。これを半分は義務教育費国庫負担金において、そしてその金額の半分は直接交付税の積算基礎等を用いて保障してやるということが強いと思うのでございますから、交付税を受ける団体にありましても、それはその標準法の定めるところによって、まあその府県努力によって多く置くということは別に、否定をしていないのであります。これは府県考え方であります。ですから、それはきまってそのとおりでなければならぬというよりは、むしろそこの点までは財政的に保障してやるという考え方であろうと私は思うのであります。  それから学級規模の点、学級編制という問題は、これはまあ標準法というもののほかに、もう一つは、先般来御質問のありました学校教育法自体に基づくところの付属の命令によって、国公・私立を通じて学級規模を妥当なものにきめるということがございます。公立学校につきましては学級規模という問題は二つの見方がある。一つは、義務制におきましては教職員の標準をはじく基礎として学級規模を、学級編制というものをどうするかという観点で非常に強くきめておかなければならないという面が一面でございます。それから、そういう財政問題を離れましても、教育上過度のすし詰め等が行なわれるといけないので、それを標準をきめるということを法律はいたしております。二つの機能を学級編制については果たしておる、こういうふうに考えております。
  65. 松永忠二

    ○松永忠二君 ややこしい話しですが、あなたの御答弁だと、それぞれその違った性格を持っているということだと思うのです。学級編制基準であったからと言って、これ以下の数でもってきめることが悪いというわけではないのであって、これは非常にそういうことをやればけっこうなことなのです。学校先生の定数だってこれ以上にやれればけっこうなことだということであって、そういう点では別に差はないと私は思うのです。で、あなたの言われたことはそれぞれに性格が違っているというお話しなんですけれども、それぞれに性格が違っているということであるならば、学級編制基準については相当きびしくやってもいるし、事実、認可事項にもなっており、実施もされているのだから、この標準定数の問題についてはもっと文部省考え方を強くして指導されていくことが必要なことではないのか。特に私はさっき申しましたように、法律的に見てもこれは各都道府県が自由にその基準をきめてしまうということはできない。各都道府県ごとの教職員の定数というものは、もう法律によってある程度定められておるということ、それが現実にこういうふうに特に私は養護教員事務職員などにその傾向は非常に強く出ていると思うので、これについてもっと的確な第十一条に基づく指導と助言というのがなされてもいいのじゃないか。まあ余分な話ですけれども、学習指導要領の基準なんということになると、これはたいへんな考え方をもっておやりになっているわけです。だから、もっとこういう定数なんかについても、これは法律にきめられているのであって、これ以下になるということは非常に妥当でないのだ。なるべく早い時期にこれにきめるべきだというようなはっきりした指導がなされてしかるべきだと思うのですけれども、第十一条に基づく法律指導と助言をなされたことがあるのですか、これをひとつ具体的にお聞かせをいただきたい。
  66. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) この点は毎年度、予算がきまりますと、担当の課長をさっそく集めまして、文部省としてはどういう形で編制をしたかということを数字をあげて言うわけでございますから、この法律のたてまえ、それから予算のとった措置というものは十分にわかるわけでございます。なお、それに加えまして、さらにアンバランスがあったならば、もう少しより強い助言を加えるべきだという御指摘でございますので、この点については今後十分に考えてまいりたいと思います。
  67. 松永忠二

    ○松永忠二君 まあこれはまた時間が長くなりますが、ここに一つ資料がありまして、たとえば静岡県について言うと、法律にきめてある数が小学校で言うと三百三であります。まだ不足している数が百五十四という数で、われわれの感じとしては、これがこの時期、この年度までに、本法を適用するまでにこれが充足ができないのじゃないかという感じを持っている。そういう感じを持つ県が非常にたくさんあるわけです。これについてはいま出ている法律案のように、養成について非常な御努力をいただくと一緒に、やはりそういう指導が強力になされることによって、養成もますます必要となってくるわけなんであって、この点の指導についてもっとやはり強力なものが必要だ。あなたの見通しとしては、この形でずっと進んでいけば、本法が施行されるころまでには大体養護教員の数は標準法にきめられた数に満ちてくるという、そういう見通しを持っておられるのかどうか、この点はいかがですか。
  68. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 先般も未充足の点につきましてはいろいろ御質問がありました。三十九年から五カ年で五千二百人でございましたか、充足計画養護教員について立て、そうして三十九年、四十年の二カ年の傾向を見ますと、私どもが予算で盛りました計画が思いどおりに進行していなくて、未充足の状況があるという実情でございます。それですから、五カ年計画の過去二年の歩み方を見ますると、これは適格者の不足あるいは養成問題等いろいろありまして、充足がおくれておるという傾向にあろうと思います。この点につきましては、養成の問題をつとめて努力していただくとともに、できるだけ標準法の定めるところに従って充足できるように今後努力してまいりたいと思います。
  69. 松永忠二

    ○松永忠二君 あなたおっしゃるように、ここ一、二年は非常にそういう傾向があると言うけれども、ある意味でいえば、不景気になっているから幾ぶんそういうことが出てきたという見方も成り立つわけなんですから、募集定員に満ちてきたということについて、あるいは大学の急増期になってきて進学が非常にむずかしくなったからそこに入り込んできたという、そういうことであって、何か非常にこれが理解をされて、必要性をもって計画的に増加をされてきたというふうには、私たちはそういう要素も多分にあるということを考えているわけですよ。したがって、それだからすぐいま都道府県知事がこういうふうな方向に行くだろうということも甘い観測じゃないか。しかも愛知県のごときは、こんな数を持たないでも十分にあれだけの財政力を持っている県だと私たちは思うのです。その県がこんな怠慢なことをやっているということについて、そのままに認めて置くということでは、せっかくつくった標準法というものの実施について法律の値打ちが私はなくなると思うのです。しかも法律には、さっき申し上げたとおりに、定数については相当はっきりした文章をもって表現をしているわけなんで、だから、もうあなたが言われたように、当初は養護教員が少ない、一般教員が少ないから、養護教員事務職員のプールということがあった。そのワクを切ったということは一つの進歩だけれども、そこでもう一歩出てきて、これについての充足について格段の措置をすべきである。私は個人的な見解では、認可事項にしたっていいじゃないか。とにかく非常に低い数をもってきめようとするというならば、事前に文部省の認可を必要とするというようなことは、ちょうど定数法で、県教委の認可を必要とするならば都道府県に対するものを与えている。文部省が認可を必要とするということをこれはやったっていいんじゃないか、行政措置としてもそれくらいのことは法律にきめないでもできる問題ではないか。一応認可ということばを使うかどうかは別として、とにかく事前に標準法以下でやっていく場合には、ちゃんと文部省に届け出せよ、届け出たものについて、文部省としてはなお努力が必要だということを具体的に指摘をするというような措置なども行なわれてもいいんじゃないか、そういうことをやらないと、養護教員とか事務職員というものの充実はない。それは前々から話の出ている、単に養護教員ということじゃなくて、学校の正常な運営というものをはかる正しい教育推進という意味で標準法がきめられている以上、それをやることが結果的には教育を正常に運営していくことになるという、こういう信念の上に立って、これはやはり行政措置としてまずもう一段強めてもいいんじゃないかと考えているが、これについて、文部大臣もいま聞かれておったわけですが、大臣の御見解をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  70. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 確かにお説のとおり、行政指導努力が非常に必要かと思います。御承知のとおり、先ほど来、齋藤局長から御説明申し上げておりましたように、以前は校長、教諭養護教諭事務職員、これはプールされておりましたものですから、県によって感覚が違って、養護教諭の重要性を非常に認識しておったところは八〇%も、九〇%までも充足していた。ところが、そういうことに関心の薄いところは、養護教諭はまあ少なくともいいというようなことで一〇%か一五%しかやらないで、事務職員とか一般教諭を充実してしまった、こういうことで、その結果、全国的に見れば非常なアンバランスになっておるようであります。そこで、三十九年から仕切りを、間仕切りをつけましてまいりましたから、これ自体相当の効果があると私ども期待をしておるわけですが、三十九年から新しく間仕切りをつくりましたので、いままで養護教諭を無視したというか、軽視をして非常に少ししか置かない、それで事務職員を充実をした、あるいは一般教員を充実したというところは、今度は現状の間仕切りから見れば養護教員については国庫補助のワクがあるにかかわらず、それはもらわないでおる。それから一方、事務職員とか一般教員については、よけいかかえ込んでおって、一定のワクよりも自己負担が非常にふえておる、こういう状況になっておるのじゃないかと思うのです。したがって、この状態でずっといくことは、その県自体も非常に不経済であり、国庫補助をもらえるべきものをもらわないで、それから持ち出さないでいいところを持ち出しておる、こういうようなでこぼこがございますから、県自体努力をすると思うのです。それとまた人材発掘につきましても、神奈川県のように九〇何%も養護教諭を充足しておる、こんなには人がいないはずですが、やっぱり県内で努力すれば、そういう経験者なり有識者というものは県内に相当あるのにかかわらず、その人材発掘に努力したところはそれだけの充足をしておる、その努力をしないで関心の薄かったところはたいした養護教諭を置いていない、こういうようなでこぼこもあるようでございますが、これらはまあ三十九年に新しく間仕切りの制度をつくりましてまだ早々でございますから徹底をいたしませんが、まあこれ自体相当にいま御指摘のようなアンバランスを是正して正常な配置状態を生んでいく大きな基礎になっておると思いますが、さらに行政指導として、大体、制度上目標にしておる目標はそれぞれ達成されるように、各県の教育委員会に対して、文部省としては行政努力をすべきものである、こう私も思いますから、事務当局を督励しましてそういう行政指導については努力をさせたいと思います。いずれにしましても、わざわざするのじゃなくて、各関係官を呼びまして、予算の確定後に念入りな会議をやっておりますから、この会議を通しましてそうした指示の徹底を期するように努力をするようにいたしたいと思います。
  71. 松永忠二

    ○松永忠二君 ひとつ大臣の答弁のようにやっていただくと一緒に、来年度またこういうふうな定員の配置と実員の配置状況を見せていただいて、その指導が充実して行なわれたというような成果のあがるように、ひとつ私たちも希望をして質問を終わりたいと思います。
  72. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 午前中の委員会はこの程度とし、午後一時五十分から再開いたします。この間、暫時休憩いたします。    午後零時四十八分休憩     —————————————    午後二時二分開会
  73. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) これより文教委員会を再開いたします。  公立高等学校設置適正配置及び教職員定数標準等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、これより質疑に入ります。質疑のあるお方は順次御発言を願います。なお、政府側より齋藤初中局長が出席しておられます。
  74. 松永忠二

    ○松永忠二君 高等学校の定数について設置基準というものがある、この設置基準と標準法の関係というのはどういうふうな関係になるのか、これをひとつ見解をお聞きをしたいわけです。
  75. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 高等学校設置基準は、学校教育法に基づきまして文部省令で定められておるものでございますが、この中にいわゆる高校標準法と同じ事柄の事項が規定されております部分もございます。たとえば、学級規模等につきましては、高等学校設置基準の第七条、経過規定としての第二十九条等がございます。定数法につきましても、学級の標準を示しております。この省令は、国公私立を通ずる一種の準則を示したものでございます。ここで相異なった数字があらわれておりまするけれども、一面、標準法は現在の時点にかんがみまして、公立高等学校のまあ財政的な観点から、これを設置者である都道府県ないし市町村に保障をするというような制定の趣旨が背後にございまして、御承知のように現実的な意味で、たとえば学級数を標準を五十人ときめてあるというような措置をとってあるわけでございます。したがいまして、高等学校設置基準がこのように設けられておりますのは、教育上の要請ということを考えますならば、考え方としては設置基準というものがもとにある、こういうふうに私は了解しているわけでございます。
  76. 松永忠二

    ○松永忠二君 設置基準の甲号によると、一学級の生徒は四十人、乙号が五十人ということになっております。法律上は経過的に五十名にしているという法律になっております。これはもうすでに御質問があったと思うのですが、小中学校は四十五人ということにしていきたいということで法律がすでに制定をされている。これに比べると高等学校の標準定数というのは、少しそういう点では基準が低いのではないかという気持ちを強く持っているわけです。この標準法ができたときに、やはり学校設置法をそのままにしてあるということは、ある意味では省令というものを目ざして進んでいきたいというようなことを考えているためであろうと思うのですが、小中学校四十五人、学校が普通学級五十人というこの数については、今後やはり改めていく必要があるのじゃないかということを考えるわけですけれども、この点は、設置基準と法律関係ですけれども、そういう考えについてはどういう考え方を持っておられるのか。一番問題な点は、やはり学級の編制の基準が高すぎはせぬかという、こういうことなんですが、どうですか。
  77. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 現行法に定められております定数の標準が、教育上これをもって満足すべきものではないというふうに私も考えております。将来の課題としてこのことは検討してまいりたいと思います。ただ、この前も申し上げましたが、そういう要素と、それから高等学校自体教育に着目いたします場合に、学級規模ということを中心にしてものごとを考えるか、あるいは学級規模というものは一つの要素で、むしろ教職員の構成の厚みというふうに相乗的に考えるのがいいのか、この辺が将来の検討問題だろうと思います。おそらく現行法ができました際に、この法律はそもそも立て方といたしましては義務制の標準法と違いまして学級数というものを根拠に置かない立て方をして、第九条はあくまで普通の教職員の定数をはかる際の通常の標準である教師と生徒との比率という観念で九条は組織されております。そのほかに、この標準法が別個にその学級規模につきまして置きましたゆえんは、あるいは当時の状況といたしまして、非常な急増期を迎える、しかも非常に最低のところから最高のベビーブームを迎えるという時期でございますので、この教員定数の財政保障という観点だけではなくて、おそらく放置しておけばすし詰めということが起こるんじゃないか。これは定数だけの問題ではございません。教室にも関係いたしますから、そういたしますと、当時といたしましては過度のすし詰めということを公立学校において抑制する必要もあるという観点に立ちまして、この教職員定数の比率によるはじき方というほかに、独立の条項といたしまして、学級規模自体についても標準を法律をもって定めたということは、そういう事情もあろうかと推測いたすわけでございます。いずれにいたしましても、この点につきましては将来私どもとしては検討してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  78. 松永忠二

    ○松永忠二君 単に学級の編制の基準だけの問題ではなくして、高等学校については特に教員の厚みというか、そういうものに問題もある、こういうことについてはお話のとおりだと思います。この基準というものは、そういうことも考えて、両方から基準がきめられている、そしてまた校舎等につきましても相当な基準を定めているわけです。そういうたてまえからいえば、私は両者をやはり並行するというか、そういう意味で進めていくべきものであって、その片方の基準よりも片方が問題だということではないというふうに思うんです。そういうことはこの基準にももう明確に両者が出ているし、高等学校一般現場の人が特にそういう点の両方の要望が強いということは承知されていることだと思う。まあお話のように急増期に備えるという一つの目的が標準法にあったと思うんです。またその目的を達したと思うのですけれども、この義務教育の諸学校法律に比べてみて、やはりなお一歩前進をする必要があるということをひとつとくとお考えいただいて、順次ひとつ計画的に進めていっていただきたいと思うわけです。  そこで、私は特に高等学校の標準定数法の中に、盲聾養護学校の高等部の定数というものがきめられていないということについて、やはりこれは何らかの形で今後整備をしていかなければいけない性質のものだと私たちは考えるわけです。そういう意味でお尋ねをするわけですけれども、現在の盲聾養護の高等部の定員の基準というものはどこをもとにしてやられているのか、これはいかがでございましょうか。
  79. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 盲聾養護学校の高等部の教職員定数は、いま御指摘がございましたように、養護を除きましては法制上特に定めがなくて、もっぱら交付税上実際どういう歳出によってやるかということにかかっているわけでございます。この点につきましては、なるほど義務制の中学部、小学部につきましては法の定数の中に載せてあって、高等部はなぜ載せてないかということがあるわけでございますが、これは一つには盲聾学校の高等部発足につきましては、なるほど学制切りかえのときから存在しておったものではございますけれども、その内容がかなり流動的に、逐年いろいろな政策を立てて学科等の試験的な一種の改革をし、組織をしていくというような状況にございまして、実は本年になりましてようやく盲聾学校につきまして、従来の学科よりさらに多様化した職業教育を加えるという措置をとり、またその方向を伸ばそうとして、本年度は新たに予算も計上したような次第であります。また、これに並びます養護学校につきましては、御承知のように高等部の設置というものもまだ努力中でございます。そういう状況で、必ずしも直ちに法律その他によって制度をきめてしまうということが、はたしてこれらの高等部の充実のためにいいかどうかというような考慮もあったのではないかと思いますが、しかし、だんだんこういう施策で年々内容の充実をはかり、また一種のタイプというものも固定化するようになれば、当然に法制的な措置を講じて、義務制の小学部、中学部同様の体系に持って行かなければならないという点は私ども承知しておりますので、今後の課題として検討してまいりたいと思います。そこで、現在は交付税制度におきましては高校標準法の定数の算式に準じております。しかし、準じてと申しましても、これは非常に手のかかるものでございますから、たとえば全日制の普通課程におきまして二十人に一人の教員というところを、そのままにするわけにはまいりませんから、それに、さらに十五分の五十をかけるということでございます。その意味は、普通の学校であれば五十人の規模の学級であるけれども、それは十五人の学級にするという考え方でいたしております。その結果、高等部のこの盲聾等の教員は六人弱に一人という率に教職員の配当がなっておるわけでございます。
  80. 松永忠二

    ○松永忠二君 そういうふうな措置をとってきた経過というのは一応わかるわけです。しかし、そうすると、いま盲聾に対する定員の配置というものについては、結局、学校教育法の施行規則の中の第七十三条の六の学級の編制基準というものをもとにして、それに標準法の計算を加味してやっているというその法的な根拠というものは、そこだけにしかないと思うのですが、いかがですか。
  81. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) お話のとおりでございまして、まあ法的な根拠と申しますのは、交付税で、そういう交付税の基準財政需要額を算定すべき場合の標準団体における教職員の定数というものを、いま申しました学校教育法関係の省令に基づく学級規模という規定と、それから標準法に定められております一般高等学校教職員をはじくための数式というものを両方合わせて、そうしてそれを標準団体における財政需要額に換算をするということをとっているわけでございますから、これは法制的な措置というか、他に法律があって、それをそのまま交付税の積算に用いるということではなくて、交付税の積算基礎として、いまありましたような規定を借りながら計算をしているというのが実際でございます。
  82. 松永忠二

    ○松永忠二君 そうなると、まあ盲聾のごときはもう義務設置になっているし、法律的な根拠を持っているわけです。そういう法律的に明確になっているようなそういうものについて、やはり法律的な根拠を与えて数を積算していくということは私は必要だと思うのです。これはやはりいままではそういうふうな状況になっていたのかもしれませんが、盲聾あたりはもう六〇%以上の就学率を持っているわけですから、これはやはり早い時期に法律的な根拠を明らかにしていく必要があるというふうに私は考えるのですが、この点はいかがですか。
  83. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) お話のように将来そういうふうにあるべきだと思います。ただ私が申し上げますのは、定数をはじきます場合に、たとえば学科の構成とか、そういうものの標準的なものが確立いたしません時期にやりますと、あるいはむしろ不十分な手当ということも起こりかねない。その意味で私どもも現在の特殊教育実態から見て、高等部における教育、その実業的教育というものが、この特殊な児童生徒に、やはり世の中に立つ道を与えるという意味で非常に重要視して現在進行中でございます。これも本年になりまして、ようやく学科の基準というものも盲聾それぞれについて第一歩を踏み出したのでございますから、そういうこととあわせて、いま御指摘のような点については検討してまいりたい。将来、盲聾の高等部だけが基準というものが法律的な根拠がなくてもいいというふうには毛頭考えておらないのであります。
  84. 松永忠二

    ○松永忠二君 その場合に、小中学校高等学校学校教育法に見出しとして出ている大学、そういうふうに一つの標準定数を考えていくように、特殊教育については特殊教育としての標準法というようなものをまとめていくというような、そういうふうな考え方も一つあると思うのです。いまの定数の、盲聾に対する高等部の定員配置というのは、学級の編制基準については法律事項を守っている。しかし、あと高等学校の工業とか、あるいは実業科の科目の配当定員に見合うように定員をしているので、そういう意味からいえば、その配当定員はもっとやはりあなたのおっしゃるような考慮を払っていくべき筋合いのもので、あなたのおっしゃったようなことが考えられていくということになれば、もっとやはり配当定員というものは多くなってもいいのじゃないかという気持ちを持っている。工業学校、実業学校並みの基準しかない。学校の定員については法律できめたものをもとにしているだけだと思うのです。こういう点は、お話のようにそういう点が明確になってきている段階では、できるだけ早い時期にやはり法律的な根拠を与えるということが必要だと思うのです。特にそういう点について一貫して特殊教育というものについての定数というものなり、あるいは編制基準を明確にして、この教育の振興をはかるというような点については一つのそういう考え方があると思うのですが、これについては初中局長はどういうふうな考え方を持っておられますか。
  85. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 定数につきまして法的な根拠を持つ小中学校、それから持たない幼稚部、高等部というようなものがございます。私どもとしては、もちろんその設置の根拠いかんにかかわらず、現在でも幼稚部につきましても高等部につきましても特殊教育実態という面から最大限の努力をしておるわけでありますが、しかし、だんだん特殊教育というものも全国的に配置をされ、しかも内容もだんだん定制化してくるという時期になってまいりますれば、お話のようにできるだけ法制的な整備をすべきものだと考えております。
  86. 松永忠二

    ○松永忠二君 一貫してつくるということについて……。
  87. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) この点は、定数法と申しますのは公立学校、しかも大部分は高等学校で申しますならば府県立のものということを対象としておりまして、定数の関係につきましては都道府県単位で物事を考えるわけでございますから、別の系列で特殊教育だけを切って定数管理が行なわれることがいいのかどうか、法律の立て方としてはいろいろ検討すべき問題があろうかと思います。御質疑の点が、どちらが実態に即し、どちらが有利かというようなことをあわせて検討してまいりたい。
  88. 松永忠二

    ○松永忠二君 この点はいますぐどうこうということじゃありませんが、盲聾特殊教育については幼稚部、小学校部、中等部、それから高等部というふうなことで、やはりやや一般の小中とは違う性格もある。しかも学校教育法にも明らかに区分けをしたものをつくっているわけで、この点は義務教育の定数、それから高等学校、大学等、個々にやはり一つの基準を持ってやっているわけなんで、特殊教育について学校教育法に基づく一つの基準を定めていくということは、私は一貫性を持つ意味ではそれほど無理な主張ではないというふうに思う。しかも、そういうことをやることによって特殊教育そのものの振興というものは非常に大きく前進をする面もあるので、この点はやはり検討を要するものだと思う。  最後に、この点についてはできるだけ早くひとつ盲聾の高等部の定員の基準を法律化してもらいたい。そういうことの必要というものはいまの法律から見て非常にあるというふうなことをぜひともお考えいただきたいと思うのですが、そこで、もう少し問題を変えまして、高等学校の生徒数というのは非常に減少してきているけれども、同時に高等学校の進学率というものが非常に高くなってきているというふうに私たちは思うのです。いま高校の進学率でもって八〇%をこえているもの、八〇%台のもの、あるいは七〇%台のもの、こういう県が一体どのくらいあるのか、この点をひとつお示しを願いたいと思うのです。
  89. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 四十年度の数字で申し上げますと、これが全国平均七二・三%の進学率でございますが、一般に東北地方並びに九州の相当の部分というものが進学率が低うございまして、これが五〇%台というところがございます。東京が九八%という数字が出ております。しかし、この東京の数字というものはかなり吟味してみなければなりません。九八なのかどうかという点が、実は要するに中学校の人数を押さえ、高等学校の人数を押さえました場合に、それを比率でとることがいいかどうか。しかし、いずれにしても九〇%はこえておるというふうに私は判断しております。それからあと八〇%をこしておりますところは、山梨県が八一・四%、それから京都が八五%、大阪が八五%、奈良が八〇%、それから岡山が八〇%、広島が八六%というところが八〇%以上の数字でございます。一番低いと思われますのが青森県の五五・二%というのが一番低い数字でございます。
  90. 松永忠二

    ○松永忠二君 平均七二・三%で、高いところは九〇%を突破し、八〇%台のところも相当ある、そういうお話ですね。それでもう一つは、志望者と進学者の比率というものはどういうふうに全国的にはなっておりますか。
  91. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) これは全体の志願者と、それから入った者を全国でならしてみますれば、九六、七%は入学率ということになっております。
  92. 松永忠二

    ○松永忠二君 この九六、七%というのは、進学にあたって中学校の就職指導ということで一応落として、そうして志望者が出てくるということですから、私はもう少しいわゆる現実に高校を志望している者と進学者との間に差が出てくるというふうに思うわけですが、いずれにしても全国平均が七二%をこえているということは、高等学校の問題についていろいろ検討する場合に、十分に考えておかなくてはいけない問題と思うわけです。そこでこの前私は、文部省として特に高校の入試の問題について何らかの積極的な措置をとるべきだということを申したわけですけれども、その後、初中局でも中心になって、高校入試の問題についての一つの有識者を集めての会合というものを計画をされて、すでに人選等発表されたようでございます。そこで、一体これをどういう形でまとめていくつもりなのか、文部省でできたもの、あるいは地方の教育委員会がすでにそれの審議会をつくったもの、あるいは教育長協議会がつくるもの、あるいはまた一般の日教組だとか、そういう関係のものも具体的な案をつくって努力をしていると思うのですが、とにかくこうした問題についてどういう形で集約をしていくつもりなのか、この一つの考え方というものを、これは文部大臣、すでに一応の考え方を持っておられると思うので、大臣に、どういう一体方法の処理のしかたを考えておられるのか、お聞きをしたいわけです。
  93. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) すでに高等学校選抜方法に関します調査に協力する方々を依頼いたしまして、懇談会を第一回発足いたしまして、教育大学の三輪学長を座長といたしまして懇談会をいたしました。私ども文部省考えます場合には、全国的にどういう角度で指導すべきかという観点で私どもは作業をやります。すでに新聞で御承知のように、東京都におきましてもすでに一極の審議会を発足させる用意をして人選中として承っております。各地でも同じような問題があると思います。これは入学試験、入学選抜の方法につきましてはそれは非常に抜本的なこと、たとえば全国一律にある種の試験をやっているとかいうようなことでない限り、府県判断によっていろいろの形がとり得る余地がありますし、またそれでいいことであります。ただ共通して問題になる点、たとえば三十八年度に高校に対して通牒を出しまして、その通牒の内容というものも、どの部分を一体共通的に指導し、どの部分を地方の委員会なりでおきめになるかというような点をふるい分けてみる必要もございます。でございますから、私どもとしてはこの協議会がかなり基本的なものから、それから当面実施すべきもの、いろいろの角度のものを議論していただきまして、この問題は非常にむずかしい問題でありますから、すべてのことを来年から右のものが左にいったら物事が解決するというようなものではございません。当面解決すべきもの、あるいはくふうをこらすべきものはこらす、それからもう一つは、将来にわたってどういう角度で検討すべきかというようなことも、私はこの協議会で検討していただきたいと思います。特に私はこの会議に出席いたしまして、各位に要望いたしましたところは、単なる結論ではなくて、これをどういう見地に立ってその方法がよいという、その論議のプロセスというものも非常に重要であるから、それもやはり私どもとしては十分に承っておきたいということを申しております。そういう意味で、次回は各人が、とにかく短時日にできるにしろ、できないにしろ、どういう方法があるかという具体案を一応全部に出していただいて、それを素材にしてこの議論をしていこう、そしてできますならば、六月くらいにその審議会の意見をまとめていただきまして、これを地方に示す、そういたしますれば、地方はそれを参考としながら、今度は自分たちの府県段階におきまして、四十一年度の選抜方法に改善を加えるべき具体策というものを検討できるのではないかというふうに考えておって、鋭意そのための作業をいたしております。なお、その間に教育長等の会議等のいろいろ意見があります。これもその材料として検討されることになります。あるいは何もそういう行政当局の考えだけではなくて、世の中に事実上発表されておりますいろいろな意見というものは、十分に審議会の審議の素材としては活用すべきものだと、かように考えております。
  94. 松永忠二

    ○松永忠二君 大臣はあとで聞きます。そうすると、いまのお話だと、地方の教育委員会なりが検討する素材を提供しようということで、地方の教育委員会に積極的にこの問題について審議させて、そしてそれをとるべきものをとって、文部省として出てきた結論を結びつけて一つの案をつくるということを考えているわけではないですか。
  95. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) もちろん検討の過程におきましては、各教育委員会が現在の段階で具体的に、明年とるにしろ、将来の改正にしろ、どういうことを考えているかというようなことは、これは十分に材料として意見も聞きます。また、この担当者を集めました会議におきましても、公式にとる態度にしろ、指導部課長等の個人的な考えにしろ、どういうふうな考え方を持っておるかというのは、われわれ直接事情を聴取いたしまして、そういう趨勢というものも議論の材料にはなりますけれども、それを全国的に指導すべきもの、あるいは各府県がそれをとって参考にすべきもの、そういうものの材料をつくって、その後は府県自体においておきめになるというものだろうと思います。これは高校選抜というものは、そういう形のものでございまして、ただ全国一律に指導をする。それも指導の限度でございますけれども、指導すべき中心というものは何かということをこれから検討するわけでございます。
  96. 松永忠二

    ○松永忠二君 私は、いま文部省がそういうことを考え相当な各府県教育委員会がそういうことを研究し、審議会もつくって発足をしているわけです。また将来、文部省がこの案をつくって、それを各県教委に示して、県教委の自発的なひとつ検討も待って、この問題についての改善をはかっていきたいと考えておられるので、私はもう全国的に各府県とも、この問題について最もいい機会なので、この審議会なども発足させておくべきだと思う。要するに受け入れ態勢というものを整えておくべきだと思うのです。文部省がそういうことをやるのを待ってやるのではなくて、独自にそういうことを検討しておき、その検討がさっきお話のように、中央の文部省が案をつくるときにはね返るということで努力するというならば、よけいに私はその各地域的な地域性をも加味していかなければできないので、やはりもうこの辺で全国的に各府県とも、この来年度の入試の問題、準備教育の廃止の問題等について自発的にもう審議会をつくって、相互に受け入れ態勢と発足の準備をしていくべき時期だと思う。そういうことをやっていかなければ、結果的にはいろんなことを言ってみたところが、相当努力も必要なことなので、いわゆる完ぺきを期していくわけにはいかぬのではないか。だから、こういう点について、文部省側の努力というか、やはり強力な指導とか助言というものがあってしかるべきだし、そういう全国的な審議会発足、受け入れ態勢というものを整備をしていく必要があると思うが、この点は、ひとつそういう用意をすでになされたのか、あるいはそういう用意があるのか、この点をひとつ大臣からお聞かせをいただきたいと思いますが、いかがですか。
  97. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 補習教育の弊害、あるいはあまり詰め込み教育をやることが、児童生徒の保健上重大な関係のあること等から見まして、幸い世論が非常にいま盛り上がって、何とかこの入試の改善について名案を生み出すべきであるという段階でございますから、私どもも真剣に取り組んでやってまいりたいと思います。で、いま局長からもお答え申し上げましたように、そういう教員の機関をつくりまして、まず、いろいろな角度からひとつ名案を持ち寄っていただいて、これが一つではなく併用する方法もあろうと思いますが、その上で適切な結論を得て、全国的に指導助言をしてまいりたいと思いますが、同時に、いま御指摘がありましたように、文部省でそういう努力をするのもいいが、各都道府県がやはり受け入れのためにもその都道府県関係機関をつくって研究をし、並行して進めるべきじゃないかという御指摘はまことにごもっともであると思います。すでに自発的に各都道府県においては審議会等の組織を考えておるところもあり、あるいは組織をつくらないまでも、真剣に取り組んで、この改善方法について検討をしておるところもございますが、文部省としましては、具体的にこういう機関をつくって、こうしろとは言いかねるにしましても、とにかく中央地方とも一体となって名案を見出だし、実施に不都合のないような方法を講じていくのには、中央地方一体になって考えなければならないと思いますので、この点につきましては、各都道府県教育委員会等と十分連絡をとりまして、御指摘のような方法で成果の上がるように私どもとしては努力をいたしたいと思っております。
  98. 松永忠二

    ○松永忠二君 大臣のお話しされたことが、そのまま実行されて、われわれの県なりにも具体的にそういう動きが明確に出てくるように、ぜひ御答弁だけでなしに、何らかの措置を考えていただきたいと思う。  そこで、私はそういうことをやっていただくだけで、それでこの目的が達成できるということではないと思う。これはもうすでに補習教育の廃止の問題等について、各教育委員会が父兄を集めていろいろ意見を聞いている中に、単に準備教育を廃止するだけではなく、入試の改善も必要だということ、あるいはまた全校一斉にやってもらわなければ、私のところだけそれをやられては困る、あるいは一、二の時間を少し短かくしてやってもらいたいという要望が出てきたり、あるいは学校差をなくしてくれ、とれが前提だ、あるいはまた社会的な学力偏重の気風をなくしてほしいという気持ちで言われているわけです。そうなってくると、私はそういうことをやられると同時に、いま文部省ができる仕事、いまこれをバックアップして、そういう要望にこたえることがまた別にあると思うのですね。私はこの中で一番一つの問題にしたいと思うのは、やはり学区制の問題、入試の改善をはかるとか、あるいは学校差をなくすということになってくれば、当然ここで学区制という問題のやはり考え方をきちっと考えなければできないと思う。これは私の言っていることは、観念的に学区制の問題を言っているのではないのでありますが、学区制というものについては、一体、文部省はどういう考え方を持っているのか、この考え方をお聞きしたい。
  99. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 三十八年に選抜の方法だけでなく、高等学校問題についていろいろ寄り寄り協議をいたしております。その結果、入学選抜とともに、学区制について文部省としてはその通牒の中で一つの考えを明らかにしております。すなわち、「公立高等学校の通学区域特に普通科の通学区域の定め方については、一つの通学区域内に数校の筒等学校が含まれるようにすることが適当であるが、この場合において生徒の通学の便や地域の要望等を考慮して、通学区域の広さやその中に含まれる学校数を適切に定めるように」してほしいという通達を出しております。非常に簡単に申しますと、厳密な意味の小学区制でもなく、非常に大きな大学区制でもなく、いわば中学区制というものを指導の中にいたしておるわけであります。
  100. 松永忠二

    ○松永忠二君 昭和三十八年のこの通達の中には、学区制は中学区制が適当であるということをはっきり言われておるわけです。ありませんか、そういうことは。
  101. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 中学区制と申しますのは通称でございまして、いま私が読み上げました「一つの通学区域内に数校の高等学校が含まれるようにすることが適当である」、そうしてその「通学区域の広さやその中に含まれる学校数を適切に定めるようにする」、これが通牒の本文でございます。これがいわゆる中学区制と理解されている。厳密な意味の小学区制でもない。それから非常に大きな大学区制でもない。この考え方を端的に言えば、いわゆる中学区制ということに相なろうかと思います。
  102. 松永忠二

    ○松永忠二君 現実は一体どういう方向へ向かっているんですか、学区制について。
  103. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 全日制の課程普通科における通学区域を定めたものを見ますと、小学区のみが二道府、ただし現在は京都一府だけでございます。それから中学区制のみが六県、それから大学区制のみが十県、それから小学区と中学区の併置が十県、小学区と大学区の併置が一県、中学区と大学区の併置が十四都府県、小学区と中学区と大学区の併置が三県ということになっております。近年の傾向として見ますと、小学区が減少し、中学区、大学区が若干ずつふえておるという実情でございます。
  104. 松永忠二

    ○松永忠二君 小学区については、完全に小学区をやっているのは北海道と京都だけで、北海道も実はもう大学区に移る、小学区のものが大学区に移るわけで、つまり中学区というのが適当であるというふうなことを指導されていても、現実には大学区に移る、小学区が大学区になってくるという傾向が非常に強いわけなんです。だから、結果的に言うと、学校の通学区が非常に拡大をされてきて、そうして一つの学校に集中的に志望者が増大をしていくという結果になってきているわけなんです。そういうふうな点を考えてみると、学区制という問題をやはりいまの入試の改善の問題、あるいは補習教育の準備廃止という問題とからめて、学区制の問題をやはり明確に、いまある学区制についてそれを指導していく態度を堅持していく必要があるんじゃないか。しかし、現実にはもうどこの教育委員会も実際は準備教育なり入試問題を検討していながら、片方ではどんどん大学区制というものに移ろうとしているという傾向がなくはない。これでは、口でそういうことを言ってみたところが、現実の面でそれと逆な方向を示しているという点が強く指摘をされるわけなんで、こういう点についてやはりこの際改めて、学区制の問題などについてもこれと逆な方向にいくというようなことについて、やはり適切な考え方なり指導をしていくべきじゃないかと思うのですが、この点は局長はどう考えますか。
  105. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 今回の私どもがお願いしました入試方法の調査研究会におきましても、昭和三十八年八月二十三日の通牒というものをどう考えるか、改善すべき点は改善をするということが、やはり一つの目標になろうかと思います。全国の指導という観点では、その意味におきまして、いまここに盛られておりますいわゆる学区制の問題、それから現在の趨勢との関連、それと過度の入学試験準備との関係、そういうようなものも十分に議論をしていただくつもりでございまして、それに盛られております指導通達についてさらに改善を要する点があれば、それによって措置をいたしたいと思うわけであります。この学区制の問題というものはなかなか理論だけでいかないのであります。小学校自体においても、ややもすればいろんな脱法的な行為が行なわれるという事態もあって、この学区制というものはかなり現実に即してきめ、しかも教育的に見て適当な範囲であるということが必要でございますので、その点で各府県とも非常に検討されておると思いますが、いずれにいたしましても、この通牒にあります考え方自体も、今回の調査会におきまして十分検討してもらう、その結論によって適切な措置をいたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  106. 松永忠二

    ○松永忠二君 そうすると、大学区制というものと、いま問題になっている準備教育とか、入試の問題等考え合わせて、大学区制が適当だというような、そういう考え方を持っておられますか。
  107. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 私自身は、従来、文部省が堅持しておりました中学区制が適当であるということを、私自身は感じております。ただ、この点につきましても、現実の入学試験の趨勢とのからみ合いで、議論は十分にしていただきたいと思いますが、いま私の考えを問われますならば、私は中学区制が適当であろうというふうに考えます。ただ、じゃ現在、学校を広げるだけの検討が主であるかというと、各府県の実情必ずしもそうではございません。東京都におきましても、すでに今回に至らない前にも学区制の再検討というものも始め、それは大学区制に延ばすというようなことではなくて、現在の区切りというものをもう少し細分化できるかどうかという点が、検討の中心の課題のように承知いたしております。
  108. 松永忠二

    ○松永忠二君 そうすると、すでに方針として中学区制ということばは使わなくても、中学区制の方針である。局長考え方からいってもそういう考えであるとすれば、この際、学区を大学区にしていくというようなことについては、やはりもう少し時期を待つべきじゃないか、そういうことについてすでに検討を始めておるし、この問題はすでに文部省としても一つの方針がきまっておるのだから、これについては、直ちにそういう方向へ持っていくということについては、しばらく検討を要するのじゃないかという、こういう指導がなされてもいいんじゃないかと思うのです。そうしないと、逆な現象を片方でやりながら、片方で検討し、いま、問題を確かめていこうという方向と違った方向になってくると思うので、こういう指導というものは文部省として行なっていくべきではないか。しばらく、学区制変更については検討の時期を待つべきではないかというふうに考えるのですが、この点はどうですか。
  109. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 私どもは中学区制がいいと——中学区制といいましても、府県の狭小、あるいは学校配置等から見て、いわゆる中学区制ということは、あるいはいわゆる大学区制ということばの限界いかんという点が問題になると思います。大学区制の中でも、極端な大学区制、それから極端な小学区制というようなものは、これは私ども率直に申しまして、これは避けたほうがいいというふうには考えます。しかるべき府県事情に応じて、とにかく中学区制という形を維持するほうがいいというふうに考えております。その考え方は、文部省といたしましては常に申しておるところであります。ただ、私どもはせっかく調査会を発足いたさせましたから、単に教科指導を、入学試験にどう用うるというような狭い範囲じゃなくて、一応少なくとも通達に盛られている事項全般について御論議を願うし、あるいはこれに盛られていない将来にわたる問題等についても議論をし、他日、われわれなり府県なりが検討いたすべき参考にしてもらいたいということは思っておるわけでございますが、その点は、われわれがいま考えておりますことと、それから協議会を設けて検討してもらうということとは矛盾はないと思いますけれども、いま伺われますれば、私は中学区制というものが一番適当ではないかというふうに私自身も考えておりますし、従来、文部省のとった態度はそのように承知しておるわけでございます。
  110. 鈴木力

    ○鈴木力君 関連。いまのお話で大体わかるような気がいたしますが、はっきりお伺いいたしたいのは、小学区制が適当でないということですね。その理由を少し明快に説明してもらいたい。やや完全に近いと思う小学区制は京都が採用しておる。京都が採用しておること自体教育的な起こっている弊害等を具体的に御説明をいただきたいと思います。
  111. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 初めにお断わりいたしておきますけれども、私どもはこの問題について指導をし、どう考えていったらいいかというと、中学区制ということでございまして、地方が学区を定めることは教育行政法によりまして府県教育委員会の権限に属することでございまするから、自分の判断で小学区制をとっておるものを直せとかいうようなことは毛頭申してもおりません。ですから、京都は京都でそのお考えをとっておられることでございますから、それでいいわけでございますが、ただこれは私申しましたように、学区制の問題は単に理論上の問題でなく、実際いままでやられた経験から見まして、ここを出ればこの学校にそのまま入るというようなことは、一面、競争というか、選抜が行なわれるための弊害というものもありますけれども、一面、これは青少年のことでございまするから、これは理屈の外として、やはり自分なり父兄なりがどの伝統のある学校に行こうか、どのタイプのものの学校に行こうかということの適度の選択があることは、これはやはり理屈抜きにして、私はやはり一種の青少年の士気というものに関連してあったほうがいいのじゃないかと、私は率直に思うわけでございます。これはそういう点がありましたので、小学区制というものは、やはりそういう経験にかんがみて府県が減らしてきたのじゃないかと思うのであります。で、その点は、競争をなくす、そして競争が弊害だという観点に立てばなるほど一番いい、その時点だけをとらえれば一番理屈の上ではいいのでございますが、これはやはり実際のことを考えますと、むしろそういう実際上の弊害と申しますか、というものも起こるし、また、あまりに厳密に行なわれますならば、高等学校のことでございまするから、極端にわたりますと、小中学校でも、あれだけ義務教育にも行なわれておりますような脱法行為というものがまた行なわれる危険性もあるというようなこと等も考えまして、私は適宜の選択と適宜の通常における競争というものは私は何も非難すべきことではない。そこは私は入学試験問題というものについての世論と、ややもすれば自分の適性、能力に応ずるところに行くということ自体の競争というもの自体も否定するようなことが可能で、しかもすべてうまくいくんだというふうに考えると、これは私は大問題であって、この過度の準備教育、過度の競争、そのために手段を選ばないというようなことこそ排除すべきであって、適宜の選抜というようなことは私はさしつかえないし、また適度のものはあっていいのではないかというふうに私は考えるわけでございます。
  112. 鈴木力

    ○鈴木力君 これはどうも学校教員の定数と直接問題でないような気がするので、あまりこの問題に時間をとるのは少し気がひけるのですけれども、いま学区制の問題が出たからもう一つだけ伺いたい。それはいま局長が、過度の競争を排除するためだけでは学区制の問題は考えられないという意味のお話をなさったと思うのです。私は文部省に入学選択制度の問題を考えてもらう場合、現在のような過度の競争がどこから起こったのかということまで思いをはせて検討してもらわないといけないと思います。いま現象的にあらわれておる入学試験の競争率が高くなる、そこで過度の受験準備が必要となるから、そこだけ焦点を合わせてもらってはちょっと足りないのではないかというような気がするのです。これはいまの六三制が始まりましたころ、私どもも経験をしているのですけれども、そのときには今日のような一それは志願者がふえたということもあるけれども、傾向としての今日のような試験地獄は出ていなかった。学区制がこまかいときの話です。それが学区制がだんだんに大きくなるということと、それから生徒数がふえていくということと、進学率が高くなるということとあわせて学校の格差がだんだんに年とともに開いてくるということも、ここのところに焦点を合わせて検討してもらいたいと思うのですね。そういう意味からしますと、京都の場合に機械的に小学区制というような話があるけれども、これは私も正確な統計は持っておりませんが、しかし、私どもの調べたところの一部から見ますと、それだけが決定的な要素にはなりませんけれども、大学の進学率なんかを見ますと京都のほうは比較的学校差が出ていないのですね。やや平均しているわけです。京都府内の各高等学校からそれぞれの大学に合格をしていく率というものはやや平均に近づいておる。ところが、学区制が大きくなりますと、中学区制といっても、数校といっても、どこからどこまでが数校なのかわかりませんけれども、そういう地域に行くほど、同じ県内の高校の大学の合格していくところの差というものは非常に大きな差が出てきておる。もうすでに各県ともいわゆる有名校というのがあって、東大コースなり、あるいは私のほうですと東北大学コースなり、こういう学校がもうきまりきってしまって、そこから学区をはずせというのですね。また上の学校をいいところを選ぼうとする人たちから、選択の自由という理由で学区を大きくせよとか、あるいは数%なり十数%なりを全県に開放せよという議論が出てきているわけです。ですから、学校の格差をどう埋めるかという点に真剣に取り組んでまいりますと、いまの学区論というものも、局長がさっきおっしゃった議論だけでは足りないような気がするので、その点もあわせて検討してもらいたい。
  113. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 学校の場合の格差と申しますのは、私申し上げるのは口はばったいのでございますけれども、なかなか複雑な要素でございまして、単に施設とか、あるいは形式的な教職員の資格というようなものだけできめられない幾つかの伝統なり、校風というものもまた作用するのでございますが、しかしまた、格差をなくすということも必要でございます。また、その格差の意義を、先般も申し上げましたように、特色のあるものをつくっていく、とにかく七〇%も八〇%も入学をするということになりますれば、これはとにかく義務教育九年の上にさらに教育を積むわけでございますから、何らかの点の角度において、ある程度の高さが要求される。これはどうくふうしても要求される。そうすると、それを適合させて、とにかく三年間の高等教育を有用に過ごすためには、同じ種類の学校について格差をなくす努力をいたしますとともに、学校なり学科というものにそれぞれ特色を持たしていって、そうして八〇%に近く、将来、進学をする高等学校というものの教育というものを相当変化を持たして、それぞれの個人の適性においては何も格差がないんだというような形に持っていくことが私はいいことだと思うのであります。私はその意味で先般も申し上げたのでございますけれども、高等学校自体の編成というようなこと等をあわせて、将来に向かって努力することが文部省の責任ではないかということを申したのでございます。その意味でやはり格差はなくすべきであるし、また、それぞれの特色を持った学校学区というものが各所に点在をし、その中で生徒が選択をしていくというような形が最も適当ではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
  114. 鈴木力

    ○鈴木力君 もう一つだけ。いまの局長の言う意味学校の特色なり、そういうものをねらっての格差なり選択の自由ということは、これは私も賛成なんです。ただ、私がいま申し上げているのは、入学試験の競争が非常に激しくなっていろいろな弊害をもたらしている、そのために、学区を広げることによる弊害は、いま局長が言われるような、そういうふうに描かれているイメージとはおよそ事が違うということですね。そこを見てもらって学区の問題に取り組んでもらいたいのです。何かおっしゃっていることを伺うと、私が言いたいことを局長が言って、局長が言うべきことを私が申し上げるみたいな、どうも変な感じがするのです。たとえば私の郷里の例をもってしても、盛岡一高が全県に二〇%なり開放されまして、それからもうほとんど全地域から集まってくる。上のほうの大学進学のいいところをねらおうとする者は盛岡一高に集まる風習になってきている。それは盛岡一高が入学に強いからだ、これも特色だと言われればそれまでの話です。そういうことによって学校の格差というものができてくる。いまの段階における入学試験競争で父母は頭にきている。そういう父母が考えているものから格差というものは生じてくると私は見ているわけです。そちらの学校に入れようということから、ますます大学進学率という形で学校の格差が出てき、したがって、学区を拡大しようという声がまた大きくなってき、これが統計的には決して正しいものでないのだけれども、そういう空気がまき散らされることによっていろいろな問題が起こってくる。東京だって同じことが言えると思う。日比谷高校から東大に何百人入ったとか、そういうことだけが世間の注目の的になっておる。そうしてもぐり入学という問題が出てきているのです。もぐり入学があるから、いきなり学区をどうこうするわけにいかないという現実論と、それから局長が描いておる、私は夢というとしかられるでしょうから、夢とは申しませんけれども、りっぱなイメージとの間に、ものすごくつながらないギャップがあるということ、そういう意味で、学区というものをいまの時点に下ろして考えてもらわなければいけない、こういうことを申し上げるわけです。
  115. 松永忠二

    ○松永忠二君 学区の問題についてもそうでありますが、いま具体的には長野あたりが小学区制を取り入れるということについて、これは男女共学とあわせて——男女共学はほとんどもう影に没してきようとしてきている。こういうような意味で、いまの高校の教育というものが一つの危機にきているということとあわせて、長野は小学区の問題を検討していこうという動きが生まれておるわけです。また、あるいは横須賀の市が準備教育を全然やっていない。これが学区制としては小学区制を実施をし、それを中学区程度のものにしていくという程度の動きしかない。横浜市のごときは一番そういうふうな準備教育が激しく行なわれるであろうと思うと、全然準備教育が行なわれていない。これも一つには学区制との関連があるという指摘がされているわけです。私がいまここで問題にしているのは、いま起こっている入試の検討とか、準備教育というものは、イデオロギーとかそういうものではなくて、特に教育の正常化ということから出ていることだと私は思う。いまの義務教育というものが正常でない、そういうことについて何かこの際正常な義務教育を実施することが必要だという強い念願からこの問題は起きているわけなんです。したがって、そういう意味で、学区制の問題についても、いま行なおうとしている正常化の中で、準備教育というものも入試問題という形で取り上げられていることであるので、少なくとも学区制を大学区制にしていくというようなことについては、その検討をとめていくというような動きが背後になければ、これはやはり元に戻って、教育の正常化というその熱意もだんだん薄れていくのじゃないか。しかも、一般の父兄はこの問題について必ずしもそれをそのまま受け取れるという状況にはないんで、この点について、その一つとしては学区制の問題も手を打っていくべきではないか。少なくも、いまこの際、大学区制にしていくということについてはブレーキをかけるくらいなことをやっていかなければ、この問題を解決し、教育の正常化をはかるということはできないのじゃないかという意味で私は申し上げているわけなんです。こういうふうな意味で言えば、たとえば、私はその理屈でいろいろなことをとやかく言うのではありませんけれども、学力テストの実施の問題についても、これはとにかく二〇%の抽出の学力テストをやっていこうじゃないかということで検討をされているのです。このテスト教育というものは準備教育に結びついているという批判とか、そういう考え方というものがいま起こっているわけなんであって、こういうときにこそ、学力テストの実施などについても、これを全面的に無理やりにやっていくというやり方については、やはり正しい配意をしていく時期にあるのじゃないか。また、前に私は申し上げたのでありますが、学歴偏重の社会的風潮を直していかなければだめだと文部大臣は言われているので、これについて具体的に一体何をもとにしてやっていくのか。口で、これでなければだめだと言っているのであれば、何で一体今度の学歴偏重の社会的風潮を打破していくのか。これも大学入試の問題と結びつくのだが、これを具体的にやっていこうとしているのか。こういうこととあわせて問題を考えなければならない。これが大学入試の問題にも関連があることははっきりしているわけなんであって、大学入試について何らかの具体的措置を考えていく。これはもう単に準備教育や入学試験の問題ではないと思う。この考え方というものは、もう教育の正常をはかるのには、いまの教育では改むべきものが相当あるのじゃないかという、こういう正しい考え方の上に立っての準備教育廃止や、あるいは入学試験の検討であることを考えてみれば、こういうことに熱意をはっきり具体的に示すことが、私は教育を正しくする上に非常に重要だ。いまや全くチャンスであるので、もっとこの点について、学区制の問題についても一応のブレーキの措置をとる、そうして、いままでの方針をとにかく堅持させていくようなやり方を実施をさせていくとか、学力テストについてもテストをあおるというような形に対してはよほど正しい措置を指導していく。あるいは、いま言う学歴偏重の社会的風潮について何を一体やるかということ、大学入試についてはどうして検討していくのか、こういうことを検討してもらうことによって、一般父兄が入試や準備教育廃止に対して抱いている不安をなくしていくということなくしては、私はこれは成功をおさめることはできないと思う。こういう意味で、もっと具体的に自分のできること、との風潮を高めることのできる具体的な措置として何を考えているのか。ただ地方の審議会をつくってそれに相談していけばいいというのか。何かそういう点について積極的な施策を考えているのかどうかということについて、私はまあ必要だと思うのですが、その点について何かあれば具体的にお聞きをしておきたい、こういうことであります。
  116. 齋藤正

    政府委員齋藤正君) 私どもも入学試験をめぐって、ことに大学を頂点といたしまして、それから次々に連鎖反応を起こしていく事態、あるいは一般に、まあ非教育的な教育熱ともいうべき教育ママというような実態が喧伝されておるということの事態は、あらゆる方法をもって正常な落ちつきに戻すべきものだと考えるのであります。でありますから、私はこの問題に対処いたしますために、何か一つの手段でできる対症療法というものは私はない。非常に強引なことをやれば逆の副作用が起こってくることも起こるわけでありまして、私は先ほど申しましたように、高等学校段階のためにはまず高等学校自体の特色を持たせる施策というものをできるだけ本年から推進をし、それぞれの府県設置者の責任者に私どもも説いて、そして現行法のワク内でもできますことは、それぞれのそういう県によってやってもらうということを第一段にし、また、制度上の改変を要することは審議会の御検討をまって措置してまいりたい。それから、とりあえず入学試験の方法というようなことに限って見ましても、たとえば、これは中学校教育の正常を害しないためにということで十分理論的な根拠を持って現在の通牒を発しております。九教科一列横隊のような入試制度、そういうものが理屈を離れて、実は過度の準備教育に持っていくということであるならば、この選抜の強化の問題、方法の問題、あるいは内申の問題というようなもの、そのものを一歩ずつ改善をしていくという必要があろうと思うのであります。  それから大学の問題につきまして、これはすでに文部省といたしましては、できるだけ一発の入学試験ということでなく、能研テストの成果というものを一面で利用してもらうということでこの普及に努力をしておるところであります。また、この問題は大学学術局におきましても、国立大学協会等とも常に接触を保ち、入学試験の制度の改善ということをはかっておるわけでございます。  それから学歴の偏重という問題につきまして、あるいは過剰な家庭学習の問題につきましては、実は文部省としては、施策といたしましてかなり前から始めておるわけでございます。これは当時私も直接その方面を担当いたしておりまして、家庭教育の学級というものを全国に展開いたしましたのは、やはり家庭教育的な機能というものを十分に知っていただく、ややもすれば学校における学習というものをただ追うとか、あるいは方法を間違って、おかあさんたちというものがテキストや塾通いに狂奔をするというようなことを直したいということが一つあったわけでございます。その方法として何があるかといえば、結局、父母の教育しかないのであります。教育の場を何に求めたらいいかということは、一番いいのは、やはり社会教育の場にそういう子供を扱うことの教育とお互いの研さんの場を求めることが一番じみちであって、また効果もあがるであろうという考え方で、文部省家庭教育学級というものを全国に展開をしたのであります。で、そういうこと、あるいは企業の側、社会の一般の風潮として、学歴偏重の弊を方々でとなえることが、やはりそれが役立ってくると思いますけれども、結局、先生がおっしゃったように、一歩一歩できることから具体的に改善をせざるを得ないというのが私どもの考え方でございます。その面は、学校教育の面でも社会教育の面でも具体的にできることを心がけていきたい、このように考えるわけでございます。
  117. 松永忠二

    ○松永忠二君 文部大臣に。文部大臣は、これは非常に複雑な問題だから、いろいろな研究を要することだが、学歴偏重の社会的風潮を是正しない限りはできないと、こういうお話でございます。この社会的な学歴偏重の風を直す具体的な方法として、何を考えておられるのか、それをひとつお聞かせください。
  118. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 学歴偏重は好ましくないと私どもも思っておりますが、しからば、これを行政の上でどうすれば直るのかといいますと、その名案がありませんので、私ども機会あるごとに各方面にそれを訴えておりますわけで、世の中全体がそういう雰囲気になりませんというと、やっぱり本人なり、あるいは子を愛する親なりにすれば、できるだけいい職場を得たいとか、いろいろな関係で過度の競争が起こりがちでございますから、世間全体があまり卒業学校や履歴書にとらわれないように、むしろ人物本位の世相になっていただくことが望ましいと思って、まああらゆる機会にそういうことを、私ども自分の考えに従って申し述べておるわけでございます。学歴偏重を世の中から一掃するということについては、なかなかこれ一発でどうもきき目があるという名案が私ども持ち合わせがないわけでございます。
  119. 松永忠二

    ○松永忠二君 私もとれ一発でやるという名案はないと思うのです。同時にまた、さっきから話の出ている、これでいいというのじゃなくて、できることをやっていく、学歴偏重についてこれをやれば学歴偏重をなくすというものはないけれども、前に話をしたとおり、たとえば定時制高校については、全日制と同一ないわゆる処置をすべきだ。経営者——日経連だってあるわけです。就職についての方法というものを、具体的にやはり文部省は出して、そうしてこれを要請していく、そういうことをやっていって、まだなかなか十分じゃないがという話ならいいが、一番これに問題があるけれども、この問題には名案がないというのじゃ、結局これはだめだという話にだんだんなってきてしまう。私はこれだって、大学の入試の問題の一番中心点もここへくるわけで、これについてもやはり十分な識者の意見を聞けば、具体案というものがあると思う。これは万全ではないけれども、これをやったほうがいいというものを、大臣がやはり見つけてやってもらわなければ、こういうことをやっているけれども、こういうことはなかなかこれじゃ打開の名案がないということになると、結果的にはさっきの話にさかのぼって、私は教育の正常化という国民から起こった世論をまさに使ってその正常をはかるべきを、初中局などは、自分の分野にそういうものが出てきたのであって、これに向かって考えている施策を次々に実行していくということの、そういう計画などを持ってもらいたいと思うのですよ。そうすることによって、この世論を——せっかく上がった世論が、結果的にはやっぱりやってみたらだめだったということになるのか、これだけ前進だということになるのか、これは非常に大きな問題だと思う。ぜひ具体的に一つずつ、十分でないけれども、方法を考えてもらいたい。  そこで最後に一つ、私は準備教育については方法はあると思う。これはもういま初中局長が、家庭教育が大事だ。社会教育が大事だ。そこから出発していかなければだめだということがあるけれども、私は小学校中学校の校長と教師を含めて、準備教育はやらないということを決意し、決定をして、それを実行に移していく、現に横浜で、なぜ準備教育がされないのかといえば、横浜の校長会がそれを決意をして廃止をしたからです。だから、ただ廃止をして、ほかの施策が伴なわなければ、非難ばかり出てくるので、今度の場合には審議会をつくり、いろいろな措置もしてくれるわけですから、やはり教師が教育の正常化をはかる意味から言って、いまこそ準備教育廃止の決意をして実行に移すと、こういうことが私はまず準備教育については、やるべき最初のことだと思う。これは人が、金がなければできないとか、制度がなければできないという問題じゃないと思う。ただ問題は、そういうことをやった場合に、小中学校の校長会なり教師が、世間から非常な圧力を受けるということなんであって、これを防ぐ決意が国や県にあれば、これはもう正しく、それだけは実行できると思うので、いま成果をあげているところはやはりそういう決意をもってやっているところだ。また、県によってはそういう決意をもって廃止を打ち出したところがある。これをくずさないように守ってやらないと、全国また同じようなことになってくるので、このことについては、文部省が小中学校なり高等学校の校長によく十分指導することを、ほかにいろいろやられているので、もう全国中学校長会も、この夏には私の県あたりでやられるというようなことを言ってこられているのですが、そういう機会を逸することなく、全国一斉に決意をもって立ち上がると、こういうことについて国も十分責任を持ってバックアップするという、こういう措置を私はやってもらいたいと思うのですが、大臣に最後にその点についてお話を聞いて質問を終わります。
  120. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 御熱心に鞭撻いただきましてありがとうございます。確かに、こういういま社会的に補習教育の全廃をすべきである、あるいは学歴偏重の弊を改めるべきである、いろいろな盛り上がりがございますから、この盛り上がりの期を逸せず、適切な方法を講ずるというということは最も肝要なことだと思いますので、私ども高校入学にしましても、大学入学選抜につきましても、極力その知恵を、知能を集めて適切な方法を講じてまいりたいと思っておるのであります。要は、高等学校などの場合で言えば学校差をなくすという努力もまず基本的に必要だと思います。しかし、これを幾ら努力しても、設備が同じであり、教授陣営が同じ学歴ばかりの人がそろっても、やはり完全にそれじゃどこも同じかと言えば、そうもなかなかいきかねると思いますが、とにかく学校差をなくす努力をするということが一つの要点である。同時に、それから一発試験だけで入学選抜をしてきまってしまうというところに、過度の詰め込み教育ということが行なわれることになりますから、そういうことのないような方向が、無理のないところで見出せれば、そういう道も講じたり、いろいろこれからいま盛り上がっておる時期でございますので、その選抜方法の改善について協議を遂げておりますから、いろいろな知恵が集まってくると思いますので、それを最高度に活用して、ひとつ御鞭撻をいただきましたように、われわれとしても努力してまいりたいと思っております。
  121. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 速記をとめて。  〔速記中止〕
  122. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 速記を始めて。     —————————————
  123. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) この際、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、文部大臣から提案理由の説明を聴取いたします。中村文部大臣
  124. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) このたび政府から提出いたしました国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、昭和四十一年度における国立大学、国立大学の学部、大学院及び付置研究所の新設、国立の学芸大学及び学芸学部を、それぞれ教育大学及び教育学部に名称を改めること、並びに短期大学の廃上等について規定しているものであります。  まず第一は、北見工業大学の新設につきまして御説明いたします。現在、北海道には中堅技術者の養成機関として四つの工業高専が設置されておりますが、四年制の工学関係大学は国立二大学すなわち北海道大学、室蘭工業大学、この二つでございます。近年、北海道総合開発の進展に伴いまして高度の工業技術者の必要が高まり、その養成が望まれております。このような事情から、まだ四年制大学のない道東地区に、地元の強い要望もありますので、北見工業短期大学を昇格させ、新たに四年制工業大学を創設するものであります。  第二は、国立大学の学部の新設についてであります。信州大学に文理学部を改組して人文学部及び理学部を、佐賀大学に文理学部を改組して経済学部及び理工学部をそれぞれ設置するものであります。これは大学入学志願着の急増に対処する国立大学の拡充計画の一環をなすとともに、昨年から始まった文理学部を改組し、その教育研究体制を整備充実する措置の一環であります。  第三は、国立大学の大学院の新設についてであります。これまで大学院を置いていなかった国立大学のうち、充実した学部を持つ七大学に修士課程設置し、もってその大学の学術水準を高めるとともに、研究能力の高い職業人の養成に資するものであります。ちなみに、新たに大学院を置きます大学は、宇都宮大学、東京外国語大学、東京学芸大学、岐阜大学、三重大学、和歌山大学及び山口大学であります。  第四は、国立大学の付置研究所の新設及び名称変更についてであります。最近ますます発展してきております経済学について、数理経済学的方法により研究を推進するために、社会経済研究所を大阪大学に設置するとともに、東京医科歯科大学に付置されております歯科材料研究所の名称を医用器材研究所と改め、これに伴いその研究目的を医用器材全般に拡大するものであります。  第五は、北海道、愛知、京都、奈良、福岡の五学芸大学をそれぞれ教育大学に、北海道学芸大学の学芸学部ほか二十二国立大学の学芸学部をそれぞれ教育学部に改めるものであります。国立大学の学芸学部は、現在、教員養成を行なっておりますが、中央教育審議会の答申等においてこれらの学部の目的性格を明らかにし、一そうの整備充実をはかること、名称も教育大学、教育学部と改めることが要望されております。この趣旨に沿い、大学の意向をも尊重して、上記の大学、学部の名称を変更するものであります。今後、教員養成目的とする大学、学部の教官組織、施設設備等の整備に十分努力してまいりたいと考えております。  第六は、国立の工業短期大学の廃止についてであります。昭和三十七年に設置しました長岡、宇部及び昭和三十九年に設置しました久留米の各国立工業高等専門学校の新設に伴い、経過的に存置してきた長岡、宇部及び久留米の国立短期大学並びに昭和三十九年に室蘭工業大学工学部第二部の設置に伴い経過的に存置してきた室蘭工業大学短期大学部を廃止するものであります。  以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
  125. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 以上で本法案についての提案理由の説明聴取は終わりました。この際、都合により暫時休憩をいたします。    午後三時四十七分休憩      —————・—————