○小林武君 私は
文化財保護委員長にも、まあいま
質問しておるのではありませんけれども、お考えをいただきたいと思うのですけれども、決して皆さんに文句をつけていやがらせを言うなんていう気持ちは毛頭ないのです。やはり
文化財の問題というのはなかなかたいへんなものだということは、たとえば日韓条約の中でもこれは相当な議論が出たことは皆さん知っておる。私は時間が打ち切られたからやらなかったけれども、これは
日本と韓国との間でも相当議論がなされておるということは、向こうの文書を見ればそう書いてありますね。ですから、少なくとも
日本の伝統の
文化ということを日ごろ口ぐせのようにおっしゃっている
方々が相当
日本の国には多いわけでありますから、これは
文化財に対してはわれわれは相当真剣な態度で取り組まなければならぬと思うのです。そういう角度からものを考えました場合、これは単なる責任の追及とか、その場の言いのがれという問題ではなくて、いまある事実をはっきりわれわれは見きわめて、締めるものは締める、それから
文化行政上こうあるべきだという問題については、やはりはっきり方策を樹立していくということが必要だと思うのです。そういう角度からとにかくお話を申し上げているのでありますから、ひとつそういうつもりで御答弁をしていただきたいと思うのです。まあ最近においてあまりないといういまのおことばは私はいただけない。私が河北さんにおいでいただいたのは、本心を言うと、河北さんは近代美術館ですか、そこの次長さんとしてお呼びしていろいろ根掘り葉掘り聞こうという気持じゃなかったのです。これは美術評論家としての河北さんに来ていただいて、その河北さんの目を通して、外国に
日本の
文化財が行っているということが言われておるわけだ。あまり自分の責任になったり、
あとでいじめられるようなことのないような御答弁でけっこうだと思っているから、大体私はいまのようなことで、はあそうですかと聞いておる、これ以上のことは言わぬでもよろしいと。しかし、少なくとももう
説明せぬでもいいといったくらいに、このごろのものがずいぶん多いということがこの中にやはり書いてある。そういうことを河北さんもおっしゃったということを書いてあるのです。相当多いと見なければならぬ。いま一々たくさん見られたように、たとえば浮世絵のあれなんか
一つや二つじゃないはずだ。その中にどういうものがあるかということを、これはしさいに調べてみれば明らかだと思う。埴輪にしろ、その他の美術品にしろそうですよ。本来ならば、私は
文化財保護委員会からしかるべき専門家が行って各地を回って、もっとこういうものがあるということをはっきりするくらいの態度をとるべきだと思う。どこの国には何があるということを国民の前で明らかにすべきことはしていただいたほうがいい。まさか取り返してくるというわけにいかぬだろうから、そういうことを言っているのじゃなくて、あるものはあるとして、
日本の国に当然なければならぬもの、それがない。たとえば先ほど餓鬼草紙の話が出たが、私の読んだ本はきわめてちゃちなものかどうかしらんが、
昭和七年ごろに出た「
日本美術の知識」というものの中には餓鬼草紙というものは
日本に二つあると書いてある。
一つは曹源寺にあるし、片一方は河本家所蔵と書いてある。河本家本のほうがけっこうだし、国宝と書いてある。私は知識がないから、それを読んでなるほどな
あと思ったくらいであって、国宝だといってがんばるあれはございません。それが二つのものがあったらどうなるか。模写ならば問題にならぬと思う。にせものならば問題にならぬと思う。そういうものがあると言われていることはほんものだと見ておる。そうしたらかなりいわれの正しいものだと見ておる。そういうことを考えますと、事務
局長も、そういうことはないはずですというふうなことをおっしゃらないで、もっとあるかもしれないという立場に立って、あなたもひとつアメリカでもどこでも行ってみて、
文化財行政をやるからには、ひとつかけめぐってきて、これこれこうだというくらいのあれを出さなければならぬと思う。
文部省もそれくらいの予算を出さなければいかぬと思う。ほんとうは。だからそういうあれで聞いておりますから、ひとつ
お答えのときも、あまりかけ離れたことを言ってもらいたくない。それから坂元さんの談話なんかでも、まあ雑談で言ったんだろうと、これはいかぬですわ。自然科学者であっても、それから美術の専門家であっても、新聞記者が来たから雑談のときにはいいかげんのことを言ってもいいと、そんなばかなことはないでしょう。この間あなたのほうの役所の方は、談話と普通の話したことは違うということを言っておるけれども、これくらいにばかげたことはない。談話というのは役所のしきたりとして、これこれこうです。普通の話をするときはこうですと、普通に話しておるときにはうそばかり言っておるということになる。
文部省の役人だからといってそんなばかなことはないですよ。われわれが言う場合には、うちであぐらをかいて言おうが、あれであろうが、新聞に出たらそんなばかなことはない。私はがらくたと言ったことを上品だとか下品だとか言っているのではない。ただ、私が心配なのは、がらくたといって片づけられるものかどうか。あなたのほうでは三万とか四万とか言っている。数あればその中にはやはり相当のものがあるんじゃないか。
指定されているとかされていないという問題だけで一体判定できないんじゃないか。先ほど河北さんがおっしゃったけれども、
指定されなくても美術品としてしかるべきものがあるというようなことをおっしゃった。そういうものだってあるんじゃないかということを心配するから私は言ったんです。そういう角度でお話ししておる。そこで、あなたにもう
一つ質問したいんですけれども、その許可を与えるときには、その許可を与えるのに、直接品物を見てこうだこうだというのはだれがやるんですか。