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1966-03-18 第51回国会 参議院 物価等対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月十八日(金曜日)    午後一時五十二分開会     —————————————    委員異動  三月十五日     辞任         補欠選任      山下 春江君     大竹平八郎君     ————————————— 出席者は左のとおり。     委員長         吉江 勝保君     理 事                 金丸 冨夫君                 岸田 幸雄君                 野上  元君                 田代富士男君     委 員                 大竹平八郎君                 岡本  悟君                 木村 睦男君                 塩見 俊二君                 豊田 雅孝君                 加藤シヅエ君                 木村美智男君                 松永 忠二君                 山本伊三郎君                 辻  武寿君                 中沢伊登子君    政府委員        経済企画庁国民        生活局長     中西 一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君    説明員        農林省畜産局参        事官       太田 康二君    参考人        灘神戸生活協同        組合専務理事   浜田 吉人君        群馬和牛肥育        農家協議会会長  小林松五郎君        東海村農業協同        組合組合長    鈴木 資生君        東京食肉事業        協同組合理事        長        島村 義雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○当面の物価等対策樹立に関する調査  (食肉価格等に関する件)     —————————————
  2. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。去る三月十五日山下春江君が委員を辞任され、その補欠として大竹平八郎君が選任せられました。     —————————————
  3. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) これより当面の物価等対策樹立に関する調査うち食肉価格等に関する件を議題として調査を行ないます。  参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。本日は御多忙のところ御出席をいただきまして、たいへんありがとうございます。本特別委員会は第四十九国会の当時、ちょうど昨年の七月三十日初めて本院に設置されまして、今日に至っておる次第でございます。本特別委員会は、昨年は、昭和三十九年度国民生活白書について政府当局から説明を聴取いたしました。また、愛知県、大阪府及び兵庫県下におきまする消費者物価につきまして、また、食料品流通等につきまして実地調査を行ない、ことしに入りましてからは、静岡県下におきまする生鮮食料品等流通、また野菜の指定生産地実情等調査を行ないますとともに、物価対策につきまして、政府の考えております基本方針藤山長官から説明を聴取いたしました。なお、公正取引委員会から不況カルテル等の現況につきまして、これまた説明を聴取いたします等、鋭意調査を進めてまいっておるのでございます。物価問題は目下国民関心を集めておりまする最も重要な問題でございまして、私たちの毎日毎日の生活に直接つながっておりまするので、非常に国民関心をもっておるのでございます。本委員会は、去る三月十一日、青果物の価格等に関する問題につきまして、参考人方々七人の方に御出席をいただきまして、それぞれの立場から貴重な御意見を拝聴いたした次第でございます。  本日は、食肉価格等の問題につきまして、皆さまから卒直な御意見を拝聴いたしたいと存じます。遠路から御多忙のところお越しいただきまして、御意見開陳に時間の制限がましいことを申し上げることは、たいへん恐縮なんでありまするが、一応お一人十五分ぐらいで御意見をお述べいただきまして、その後、委員のほうから質問をいたしますのでお答えをいただきたいと存じます。それでは意見開陳を……。
  4. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 その前にちょっと。委員長のおことばで国民関心が非常に高まっておるようなごあいさつでございますけれども、この委員会見ますと、与党の委員の方はまことに数が少ないようでございますけれども、これではせっかく公述においでになった方は、これが一体どうしたわけかしらと御不審に思っていらしゃるだろうと思いますので、委員長からどういうことか御説明になりますか、あるいはもっとたくさん御出席督促なさるか、御答弁をお願いします。
  5. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 委員の御出席が少ないので先刻来から督促をいたしておりますが、重ねていま督促をいたしたところであります。——それではよろしいですか、催促いたしますから。  神戸市灘の神戸生活協同組合専務理事浜田吉人さんから御意見開陳をお願いいたします。
  6. 浜田吉人

    参考人浜田吉人君) いま御指名をいただきました神戸市にありまする灘神戸生活協同組合浜田でございます。  私ども組合は約九万二千世帯に及びまする消費者家庭消費者の集団でありますとともに、一面食肉をはじめ生活必需品の、みずから供給を行なっておる性格の機関としてありますので、したがって、ただいまから申し上げまする点がその両様の面を若干持っておりますという前提の点におきまして申し上げたいと思います。なお、本日申し上げますに先立ちまして、私ども組合員でありまする家庭主婦方たちに若干お集り願いまして、そういう方たちの御意見を十分承りました上で本日申し上げるというふうな段取りで実は参ったわけでございます。  まず、食肉につきまして、そのうち牛肉でございますが、これにつきまして消費者としての願望と申しましょうか、そのものの中に、一つ小売り品質規格が、売られておりまする店によって区々である。したがって、何とかそのようなことにつきましてたいへんむずかしいことであろうとは思いますが、品質基準規格統一をしてもらうなれば消費者として非常にしわせである、こういうふうな意見でございました。特上とか、上とか、中とかそれぞれクラスによりまする値段は打たれておりますが、売られておりまする店によりまして品質が全く区々である。こういうことにつきましてどこを基準として消費者が買いものをしたらいいだろうか。品質等につきまして若干値段、それが統一してないためにたいへん不便をしている。こういう点をひとつ何とかしていただけないだろうか。こういうことでございます。  その次には豚肉でございます。豚肉につきましても、規格基準につきましては牛肉と同様でございますが、特に豚の性質上あぶら身が非常に多い。したがって、その点につきましてもあぶら身を、ただ、いままでの小売り屋さんの習慣だけで行なわれておる点で、もう少し何かの基準が明快に行なえないだろうかと、こういう希望でございました。  それから鶏肉につきましては、やはりこれはお店によりましてそれぞれ違っておりますけれども、おおむねその部位——ももでありますとか、手羽であるとか、あるいはささ身であるとかいうふうに、その部位を表示されておることが非常に消費者にとっては都合がいい、こういうふうな意見でございます。  それから牛肉に対しまする価格の問題でございますが、これが非常な最近におきまして高値のまま推移してまいりました。このことにつきましては、国としてもたいへんいろいろむずかしい行政上の問題もあっただろうと思いますけれども、このような高値をいつまでも持続さすという政策はとってほしくない、こういうことでございます。牛肉消費者価格は、家計支出の面から見まして、百グラムおおむね上肉で八十円から百円ぐらいまでで買えるならばたいへんうれしい、こういうのがすべての消費者主婦の願いでございます。恒久的には、国内産の増産その他のいろいろなことに手が打たれねばならないと思うわけでございますけれども、何としても、やはりそれぞれ嗜好の問題はありますけれども牛肉に対しまして非常に強い、食べたい、こういう希望が高いわけでございまして、一人が一回に八十グラムないし百グラム、この程度をほしいんだと、家庭消費の面におきまして……。いまの八十グラムから百グラムは、牛肉あるいは豚肉鶏肉等を合わしてでございます。で、月の献立で最小限度十回食肉の調理を——これは最低でございます。少なくとも十五回程度家族の健康と栄養を保つ面からはどうしても摂取したい。ところが、いまこれらの三つの主たる肉の平均価格を百グラム消費者価格におきまして七十五円とかりに仮定したとしますなれば、月十五回は千百二十五円になり、なお四人家族標準家庭といたしますなれば、大体四千五百円程度になる。この金額は、現在の勤労者収入においては少し重たい、こういうふうな皆さんの御意見でございます。実は、参考で申し上げますなれば、私ども組合におきまして、そのような家計調査を例年いたしておったのでございますがいま、少しデーターは古いのでございますけれども、一昭和三十八年の三月から四月までにおきまするこれは三十世帯家族方たち家庭から寄せられましたところの家計調査でございますが、その内容は、二十歳代三家族、三十歳代が——これは主婦世帯主との平均年齢でございます三十歳代が十五家族、四十歳代が九家族、五十歳代が三家族、合計三十世帯の中におきまする家計肉類摂取金額は、月ごとに多少の異同はございますけれども、おおむね三千二百三十七円ないし三千三百四十五円、この辺のところを毎月上下いたしております、十二月を除きまして。これらの中には畜肉加工品が入っておるわけでございます。そういうふうな実際の家計内容におきます消費状態からいたしまして、その後の食肉値上がりの中で特に牛肉値上がり、こういうものが著しく家計におきましてそういうふうな栄養をとろうとすることに対しまする支出抵抗を感じている、こういうふうな状態にございます。  そのほかに、ごく最近の、これは私どもみずからが供給を行なっておりますので、その内容を三月十三日の実態におきまして、数多くの店舗を持っておるわけでございますが、その中で全体の組合員が来店されました数が三千五百六十三人の中で豚並びに牛肉を買われた方が千五十人、それは全利用者の中の二九・四%である。それの一家族購入高平均百七十八円である。かしわにつきまして四百十九件、その利用%は一一・七%、購入金額平均は百四十五円、こういったような数字が現実に出ております。また、近接いたしました他のわれわれのほうが経営いたしておりまする店舗によってみましても、全店のその一日におきまする組合員利用者数は七千百七十九人、その中で牛肉並びに豚肉利用された方が千二百五十二件、一七・四%、その利用金額は二百二円、鶏肉におきまして八百三十三件、その%は一一・六%でもって、平均金額百三十円、おおむねこういうふうな数字が出ておりまして、先ほどの申し上げました推算とあまり大きく変わってないのでございます。まあそういったようなことの中におきまして、その次は肉類価格影響につきまして若干申し上げたいと思います。  牛肉それ自体の値段が非常な高騰をいたしてまいりましたけれども肉類全体におきまするグラム数家族当たり摂取量は減ってないと、こういう事実でございます。そのことは、すき焼きが週に一回食べられたけれども、もうそうでなくしてミンチでありまして、こういうふうに内容が変わってきた。あるいは牛肉から鶏肉にかわってきた、牛肉から豚肉にかわってきた、このような肉の価格によるところの選別を行なって、全体としての肉類家庭におけるところの摂取量グラム数においては変わっていない。むしろやや若干伸びつつある、こういう現状であります。特に最近のように——これは昨年からでごさいますけれども豚肉値段が大幅に下がってきておりますので、牛肉に対しまする豚肉のチェンジというふうな使用状態に入っております。栄養上もたいへん助かっておるというところが偽らざるところの主婦の声であります。けれども、やはり年齢、あるいはその淡白な味、そういうふうなものによりまして、牛肉に対しまする希望というものは、相当徹底的に強いものがあるわけでございます。一般的に好みの順位といたしましては、当然のことでございますけれども、中壮年層におきましては、やはり牛肉に第一番に手が出ております。老人層におきましては、やはりその特質上鶏肉になっております。二十歳代の若い方たちにおきましては、むしろ豚肉でございます。こういうふうな消費順位はございますけれども、もう一つは、関東と関西におきまする豚肉牛肉嗜好というものが、関西におきましては牛肉に対しまする嗜好が圧倒的に強い、こういうふうな東京とまた相違しておる点があるということもお認め願いたいわけでございます。  で、加工品に対しまする問題は省略いたしまして、何としてもこのような中におきまして、牛肉値段がもっと下がって、たくさん食べられるような措置を何とかお願いいたしたい、こういうふうな切なる希望があるわけでございます。ですが、先日われわれにおきまして集まってもらいました中年層から成年層に至りますところの家庭婦人の数多くの意見の中には、このような一部の意見もありましたということを申し添えます。それは牛肉にこだわることはない、豚肉でよいではないか特にこのような意見が三十歳代以下の若い主婦方たちに圧倒的にその意見がありましたということをつけ加えますけれども、しかし、そう思って豚肉を買ってまいりましたら、主人公からぼやかれます、こういう事実もございます。こういうふうなことでございまして、特に一つのレポートといたしまして、若干調査が古いのでございますけれども、私どものほうで毎月物価調査を行なっております。その中におきまする主婦の寄せられたものの中で、牛肉——これは並み肉程度でございますけれども昭和三十九年九月におきましては、自分の家計簿におきましては百グラム五十円であった。それが四十年一月におきまして五十五円、四月におきまして六十円、六月で七十円、九月で八十円、このような累次にわたる値上がりが行なわれておって、現在におきましては、四十一年の三月時点におきましておおむねこの等級程度牛肉が百グラム八十五円から九十円に及んでいるということは、非常に急激な値上がりであるということに対しまして、かなり不満を寄せられておりまして、成長盛りの男の子三人を持っておるので、どうしても安い牛肉にたよらざるを得ない、このようなことに対して、はなはだ何とかならないだろうかというふうな主婦の声がここに盛られております。  以上申し上げまして、消費者としての主婦のいろいろな意見を要約いたしましていま申し上げたわけでございます。終わります。
  7. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) ありがとうございます。     —————————————
  8. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) それでは次に、群馬県の和牛肥育農家協議会会長小林松五郎さんにお願いいたします。
  9. 小林松五郎

    参考人小林松五郎君) 御紹介にあずかりました小林松五郎でございます。  こうしたりっぱな会議に参画さしていただきまして、日本の食肉について意見を述べさしていただくということをまことに光栄に思っております。  私は一百姓でございまして、うちでも現在二十頭の和牛を飼育してございます。群馬県の食肉肥育農家協議会会長をさしていただいておりますので、一生懸命に牛の肉を安くつくって、そうして皆さんに差し上げたいという念願に燃えているわけでございます。しかしながら、最近、農機具が非常に発達しまして、道具としての牛の必要がなくなりまして、牛は生まれながらにして肉であるというふうな方向にきております。したがいまして、道具であれば、機具であれば損をしても農家は持っていたんでございますが、これからは肉として経営の中に織り込むというような、そろばんづくで牛を買うというふうになりました。そこで子牛が一番逼迫してまいりました。というのは、親牛を飼ってそうして大体二十カ月たって種付けをしますが、種付けをして二百八十五日、つまり九カ月半たって子供が生まれます。その子供を六カ月飼いまして、大体百五十キロから二百キロくらいの牛にするのでございますが、現在その種牛になる子牛が八万円くらいしております。そこで三十何カ月間その牛を飼いまして、生まれた子供がやはり八万円で売れたといたしましても、その間十万円のえさを食べるわけでございます。一日大体百円のえさを食べております。したがいまして、三年間たって、一腹とっても、まだ二万円現金の収入が不足するというようなことでございまして、元牛が非常に逼迫しております。で、国でもいろいろお骨折りいただきまして、繁殖団地をつくっていただいたらと、そういうふうなことを、八月三日の全国和牛大会にもおじゃまいたしまして、そういう話を聞いたんですが、現在ではそのときの予算よりも減らされたというようなことで元牛の逼迫ということを非常に憂えているわけでございます。それから大体においてその牛を八カ月から一年くらい、途中で草をくれたりして飼うのでございます。その間二百キロくらいの増体をいたしまして、三百五十キロから四百キロくらいの元牛を今度は肥育にかかるのでございます。大体そういったケースをとっているわけでございますが、現在の方向といたしましては、子牛のままずっと肉牛に持っていくというふうな方向がたどられております。しかしながら、そうなりますと、一軒のうちで一年半飼わなくちゃならないので、資金繰りに非常に困るのです。一年半仕事をして一銭にもならない、また一頭や二頭ではそれを飼っても収入が少ないというので、多頭化ということが叫ばれておりますが、その資金の出るところがございません。いろいろ制度がございますがやはり全体のワクが少ないので、一年半も、二年も牛を飼っているという力が農家にはございません。そうした関係で、普通の場合は、二百キロの牛が四百キロになるまで分散して各農家であぜの草や、うちから出たえさをやる。そういうものをくれて、中間に大きくなりますその牛を、四百キロの牛を、大体最後の仕上げをいたしまして、六カ月ないし八カ月飼って、長いのになりますと、一年というのがありますが、そういうふうにして、五百キロから六百キロにして、大体同じような率で、枝肉をつけて売るわけです。そのときには、今度は、生体目方は同じ二百キロであっても、この枝肉歩どまりが非常に多くなるわけです。したがって、食べる量は、そのときが一番多くなる。そういうことで現在やっております。  きょう参考に持参してまいりましたが、これは県の畜産課で、ある農家経営状態経営診断をしてくれておりますので、それを抜萃して持ってきたのですが、簡単に御説明申し上げますと、一表にあるのは、これは同じ人が一年間かかって四十頭の牛を調べたわけです。そうして一番左側にあるのが一月八日に五百十四キロという牛を飼っている。これは特別に大きな牛です。それを九万二千円で買いまして、九月の十日に六百四十キロにして出しまして、芝浦屠場へ全部全販連を通じて共同出荷をしております。そうしてその中の枝肉が三百七十キロございまして、ごみ皮込み価格が十七万二千八百円、それから諸掛かりがございます。これは途中の運賃とかで経済連と全級連で二歩の手数料をとっております。それから屠殺料、それから途中の保険料——非常に大きなものですから輸送保険料等が含まれまして、手取りが十六万五千八百円、こういうことになっておりますが、二百二十四日その牛は飼ったわけです。なお、この表の中で十三号と二十三号の牛は事故といいますか、肥育に向かないので、一番末端にあります七十日の肥育で売ってしまった、したがいまして、これは欠損でございます。七万二千円で買って七万五千円で売っておりますから、十三号は非常に欠損しておる。それから二十三号の牛は鼓腸炎を起こしまして死亡しました。そこで保険金を五万円とって、農協から一万円の見舞金をもらいまして六万円になったわけです。そこで、一万四千円赤字になりました。こういうのは多くの動物のうちですから、注意をしましても必ず五十頭に一頭くらいは死ぬのができ、あるいは成績の悪いのが十頭のうち一頭ないし二頭そういうものが必ずございます。要すれば、これは牛は非常にむらだということでございます。産肉歩合の非常にいいのと悪いのとある、そういう方向でこれから登録なんかについてもいろいろ疑問があると思うんですが、いままでは使っていた牛のためにこういうことになった。しかし、これからは肉をつけるということから登録基準等を変える必要があるのではないか、そんなようなことも考えられるわけです。  それから、しまいのほうの平均のところをひとつごらん願いたいと思うんですが、平均で三百九十九、七キロ、つまり四百キロの牛でございました。その牛が七万九千九百三十円、八万円近い牛でございました。そこでそのキロ当たり単価が二百円でございます。申しおくれましたが、これは三十九年七月一日から四十年六月三十日までの四十頭でございます。それで、その次のカッコして二百円の隣が五百十九キロとしてございますが、これは平均の仕上がった牛の目方でございます。五百十九キロで、その単価は書いてございませんが、生体貫で二百六十三円で売れているわけです。枝肉が二百七十九キロで、枝肉単価にいたしまして四百八十五円でございます。そうして平均価格が十三万六千八百五十六円三十五銭、これが枝肉込み、ごみ皮を入れたところの価格でございます。それから肥育日数は百七十一日でございました。で、歩どまりは私のところでかけて、芝浦に送って、その地元の歩どまりで五五%でございます。それから肥育率は一二九・八ですから、三割くらい総体の目方でふやしていた、こういうことでございます。それから一日当たり増体量は六百九十五グラムです、大体七百グラムでございます。これは群馬県の試験場の八百グラムをやや下回っております。技術の点で一日百グラム少なかった、そういうことが言えると思うんですが、この農家は非常に優秀な農家でございます。  それから二表でございますが、二表はいまの同じ牛でございまして、二百二十四日飼って、それでそこのうちでふやした目方が百二十六キロ、一日当たりが五百六十三グラムでございます。そしてその価格が八万八百円、一日当たり三百六十一円ずつ太っていたわけです。で、これからえさ代とか販売諸掛かりとか、そういうものが引かれれば手残りということになるんでございますが、最後平均でやはり百七十一日の肥育日数と百十六キロの増体量、これが肥育者増体量です。それから一日当たりは、先ほど申し上げたとおり、一日七百グラム。それからそれが生体貫単価で二百六十三円でございます。二百円で買ったものが二百六十三円で売られた、こういうことでございます。それから一頭当たりの元牛と売り上げの差額でございますが、それが五万五千七百二十九円でございまして、これが一日当たり三百二十一円——一頭牛を飼っていて三百二十一円ずつ大きくなった、そういうことでございます。  次に、最後のページでございますが、全部労働時間その他入れまして、販売額が五百四十七万四千二百五十四円。それから次に二十万円と入れてありますのは、肥やしでございます、堆肥でございます。堆肥が二十万円あった、そういうことで収入が五百六十七万四千二百五十四円。それからそれに対して支出でございますが、一番先に書いてあるのは、帳簿を調べるときの期首でして、うちにおった牛が百四十八万一千円おったわけです。それから元牛をその後買ったものが三百十九万七千五百円、それからえさ代が百七十二万一千百三十円、それから自給飼料としてうちでつくったものが十五万円、それから手間賃が四十万三千。これは二千百九十五時間でして、一日六時間十分ほどでございます。一頭当たり十八分でやっているので、非常に合理化して手をかけないようにやっているという、これ以上手をかけないようにするのはむずかしいというくらいまで手をかけないやり方でやったわけでございます。それから建物費、大農具の消費等ございますが、それはわずかでございます。そこで大きく浮かばれているのが、その次の小計の次に、資本利子が三十六万七千七百五十七円ございます。それから販売諸掛かりが、先ほど申し上げましたとおり、各機関を通ずるために二十二万三千円。で合計いたしまして六百十七万四千五百五十八円。総計が七百六十五万五千五百五十八円で、そのときに残っていた牛が二百八万六千六百円、それを差し引きますと、五百五十六万八千九百五十八円で、純利益は十万五千九百六十円、こういうことに相なるわけです。これは申しおくれましたが、非常に優秀な農家がやって、県で七人の指導員がいて、指導されたデータでございます。  それから次にあるのは、あとでつけ加えたんですが、コンサルタント経営診断でなしに、一月の三日から三月の十六日までに仕入れた牛の価格でございます。これだけ価格が上がっているということをお認め願いたいと思うんですが、三百六十キロの牛が十二万一千円でございます。最初、前のページで見て単価が二百円で買えたものが三百三十六円というふうに、一番上で、値上がりしております。平均で見ましても三百八十キロの牛が十三万三千八百六十三円で、キロ当たり三百五十二円でございます。そうしますると、先ほど神戸の方が申された、牛を何とか安く食べてもらいたいというのと非常にさからってくるわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、三百八十キロの牛に百十六キロふやすと、こういうふうに肥育しますると、四百九十六キロ、約五百キロの牛ができるわけです。それには先ほどの表のとおり、百七十一日日数がかかって、そして五分五厘の枝肉ということになりますと、二百七十二・八キロ枝肉が出るわけです。これをいまの芝浦の相場の六百五十円で買っていただきますと、十七万七千七百八十円ということになりまして、赤字が二万一千八百十二円、こういう赤字が出るわけでございます。それで、私たちのことしの夏から先の目標価格というのは、これが七百三十一円となります。それで十九万九千五百九十二円でございまして、これでちょうどこの前の一年たって十万円利益の上がる五万五千七百二十九円という差額ができたと、こういう結果になるのでございまして、七百三十一円のキロの枝肉は小売りさんに持っていくと、この倍に売らないとやっていけないんじゃないかと私ども想像するわけです。したがって、百グラムの肉が約百五十円になる、こういうような結果になるわけでございます。私どもも真剣に牛の技術については勉強しているわけでございますが、その一番大きいウェートを占めるのは元牛でございます。いかにしても元牛が高過ぎるということと、その次は飼料が非常に高いし——けさも出がけに麦がなくなったよということで、砕麦が一番大きな飼料になるんですが、輸入されている砕麦がなかなか出回りがないというので、二十キロで百円以上高くなるというようなことで非常に恐怖しているわけでございます。それから元牛の次は飼料、それからその次が手間代ですが、これは私どもがこれだけ四十頭の牛を出して手間を四十万円いただいております。一頭でちょうど一万円でございます。これだけでは新しく畜舎を建てるとかあるいはもっとたくさん飼おうとかいう意欲は燃えないわけです。どうしてもこれだけは私たちに与えていただきたい。これが最低線でございまして、しかもこの中には二十万円というふん畜といいますけれども、牛のくそが二十万円で買わされているということでございます。昔は一頭の牛について肥やしが一万円の価値があったのでございますが、二十頭買っていてそのくそを二十万円で買えということでございますが、これは非常に無理な話で、捨てるのに困難をしたりあるいは近所の農家にやったり、一番条件のいいので踏み草と交換をするという程度でございます。ほんとうに真剣な叫びでございます。肥やしはもうこれから化学肥料が安い関係と、また、それだけの大量の肥やしは二十万円では買えない。したがいまして、そうすると、この四十万円からまた二十万円は引かなくちゃならない、こういうことでございます。  それと、ぜひ政治的にお願いしたいのは、牛は非常に大ものでございまして、一軒の農家、協業にしてもこれだけの金を都合するということはたいへんなことでございます。また、農家としてほんとうに度胸がないと、これだけの資金を投入し、借金をするなりして牛を飼っていこうという意欲が燃えないわけです。そんな関係でまず資金の調達ができなければならないということと、利息が高いと、現在農協が特別にしてくれまして、私のところでは、四月から二銭にしてくれる、こういうふうになっております。それから利子補給を国のほうでしてくれておりますが、飼っている頭数と、それから実際の利子補給のワクとが追っつきませんので、どうしても利子補給のワクのほうが小さいので、農協からの借り入れというのが多いわけです。そうした点をひとつめんどうを見ていただきたい。  それから販売の経費でございますが、四十頭で二十二万三千五百円、これは非常に痛いわけです。農協を通じ、経済連を通じ全販連で売っていただいておりますので、これはほんとうの正規な販路でございます。芝浦屠場で全部屠殺して肉でもって取引をしていただいている、こういうことですから、現在とすれば非常に筋の通った取引の、国の定められた中では筋の通ったことで一番——碁、将棋でいえば定石であると私どもは考えているわけでございます。  いろいろ申し上げたいこともございますが、私ども農業でございますので、真剣に技術を勉強し、試験場その他へ行って、できるだけ合理的に肉をつくり、手間を省き、そうして安いものを提供したいという考えでおりますが、日本の農業の中で和牛を飼っていくということはたいへん困難である。この秋非常な大きな赤字でも出るとつぶれてしまう。再び牛を飼うことのできない農家ができるんじゃないかということを非常に憂えているわけでございます。  まことにことばが整いませんですが、何か御参考になったらと思いまして申し上げた次第でございます。
  10. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) ありがとうございました。  本日出席しておりまする政府委員のほうをちょっと御紹介しておきます。経済企画庁から矢野参事官。それから農林省畜産局から太田参事官。それから農林経済局の堀川消費経済課長であります。     —————————————
  11. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) それでは次に、東海村の農業協同組合組合長の鈴木資生さんにお願いいたします。
  12. 鈴木資生

    参考人(鈴木資生君) ただいま御指名いただきました東海村の鈴木でございます。  本日は汽車の都合でおくれたりいたしまして、何とも申しわけございません。  私のほうは、大体が肉豚の飼育が多いわけでありますけれども、肉豚については現在非常に値段が安くなっておりまして、本日の新聞を見ますと、きょう十八日から畜産振興事業団の買い上げが始まる、こういうようなことが出ておりましたけれども、買い上げの価格の底値というのが三百十円になっております。三百十円を割るようになると畜産事業団の買い上げが始まるわけでありますが、大体現在上物建て値で三百十円を割るような状態になっております。これは上物の建て値でありますので、それよりも悪いものは当然三百円以下になっているということであります。それに対しまして生産に要する費用といいますか、これは枝肉価格にして一キロ当り三百五十円ぐらいかかっております。したがって、上物三百十円を計算してみてもキロ当り四十円程度の欠損ということになるわけであります。ところで、もう一つ重要な問題は、こういうふうに相場が非常に安くなってまいりますと、上物の建て値は、なるほど三百十円にはなっておりますが、格落ちが非常に多くなってくるということで、通常の場合ですと、上物六〇に対して格落ちというのは四〇%という程度なんですが、これは市況が悪化してきますと、逆にいいものが四〇%で、悪いものが六〇%くらいに取引されてしまうということであります。したがって実際はただいま申し上げました生産原価とそれから建て値との開きというものはもっと大きくなっている。現在実勢価格として平均的に取り扱われておるのは三百円割っております。二百九十円程度まで落ちておる。悪いものになりますと二百五十円くらいになってしまう。したがって、悪い豚を出荷したりしますと、キロ当たりにして百円程度の欠損になってしまう。大体適齢豚といいますと、枝肉にしまして五十五、六キロですから、四十円の差額について見ても、一頭について二千円からの欠損をしている、こういう状態でございます。こういうことが続きますと、農家の生産意欲というものは当然下がってくる。したがって、豚の飼育数が減る、その次また高値がくる。こういうことを繰り返すわけでありまして、これをいわゆるピッグ・サイクルといって、三年に一回くらいこういう現象が出ているわけです。このピッグ・サイクルの底値になるのが、実は昨年がその周期の底になるはずだったんでありますけれども、今度の場合は一年ずれまして、ことしになって下がってきた、こういう現象を見せております。これは従来養豚というものは、ただいま牛のほうからのお話も出ましたように、ふんをとり、堆肥をとる養豚、残飯養豚といいますか、うちの残飯で養豚をするという程度の一、二頭飼いが多かったのですけれども、最近になりまして多頭飼育ということが叫ばれまして、五十頭、百頭というような多数の豚を一軒の農家が飼うようになってきた。その結果やはり計画生産、計画出荷といいますか、一ぺんに五十頭、百頭という豚を買って、そうして出すわけにはいきませんので、毎月いわゆる出荷するような計画的なやり方に移行する、これが周期説を変えた原因であろうというふうに考えられるわけでありまして、こういうことをわれわれは今後に期待するわけであります。  それで、畜産事業団の買い上げについては、ただいまのところ比較的公正に行なわれていると思います。先ほど申しましたように、市況については、非常に悪くなってくると、格落ちを多く出されてしまうのでありますが、事業団の買い上げはそういうことはなくて、格づけに従って買い上げが行なわれるということでありますけれども、事業団の買い出動以前にも何か適用する方法はないだろうかというのがわれわれ生産農家としての一つ希望であります。  それともう一つは、事業団の買い上げ出動の三百十円というのではあまりに低過ぎる。三百五十円で生産原価がそういうものになっておるのですから、すでに四十円を損してから畜産事業団が買い出動するのじゃなくて、もう少し以前に買い出動をするような方法を考えていただかないと、養豚経営の困難を解消することはできないのじゃないかというふうに考えたわけであります。これは毎年三月ごろこの買い上げの価格、下限が三百十円、で上限三百八十円、三百八十円になったらその畜産事業団が買っておいた豚肉を放出するということになっておりますけれども、年々物価は上昇しております。したがいまして、昨年は三百十円でよかったものがことしは三百五十円でなければやれない、こういう状態になっておるようであります。これは市況の値上がりによるものが大部分でありますけれども、こういう点については、もう少し情勢の変化に対応し得るような方法を講じていただきたいというふうに考えるわけでございます。  そこで、もう一つ申し上げたいことは、政府では増産対策というものは相当熱心にとられているわけでありますけれども、あとの価格対策というものがないのじゃないかというふうに感ずるわけであります。で、ビッグ・サイクルが変わりつつあるということを先ほど申し上げましたけれども、これを変える、あるいは価格を安定させる一つの方策というものは、やはりどうしても計画生産、計画出荷以外にないんじゃないか。需要に見合った計画生産、計画出荷ができるようになれば、この価格平均化というものはある程度できてくるだろうというふうに考えるわけでありますけれども、それについてはやはり長期にわたる——まあ私のところでは、実は個々の農家と農協との間で五年間の約束をいたしまして、五年間の計画で生産出荷を月別にやっているわけでありますが、そういうことについては、単に一つの農協程度では荷が重過ぎるというようなことがたくさんあるわけであります。しかも底値になった場合どうするか。現に一頭について二千円ずつも損をしているわけでありますから、その間持ちこたえさせるためには——これは農家だけではとても、いつまで続くかわかりませんけれども、こういう非常に苦境にある養豚農家をどう持ちこたえさせるかということについてわれわれ苦慮しているわけでありますが、その間農協資金でつないでいるというような状況ですけれども、これが一年も続くようになりますと、別にまた続けさせてもいいんですが、最終的にその欠損をどう処理するかという問題が出てきます。こういう点について政府としてもう少し助成、あるいは最低値に対する補償というようなことを考えていだきたいというふうに思っておるわけであります。で、去年は鶏についてそういう現象が出てきたわけでありまして、ことしは豚がそういう状態になっておる。牛の場合は非常にいいわけでありますが、実は私どものところでは牛の肥育をやっております。しかし、現在がいいからといってなかなかあぶなくて手が出せない。いま、肥育牛について詳細の御説明がありましたので、私のほうでは重複して申し上げませんけれども、私のところでは、子牛を買い入れて、それから肉をつけて売りに出すわけでありますが、普通子牛を入れてから一年半ないし二年間農家肥育しないと肉牛として出荷できない。ところで、現在子牛値段は非常に高いわけであります。きのうも五、六頭買ってきましたけれども、大体普通もので八万円、いいものになりますと十万円をこえます。六カ月ぐらいの子牛でそのくらいの値段になります。それを一年半も二年も肥育してその後の相場が一体どうなるのかということを考えると、これは幾ら肉牛が、牛肉が少ないからもっと増産をしろといわれても、あぶなくてうかうか手が出せないというような状況です。こういう点について——もちろん国内産の牛の生産量から見て、そう急速に値が下がらないだろうという想定はつくのですが、そのほかに輸入をどうするかという政策的な問題が入ってくると、われわれの手ではとても負えない状況になるわけであります。しかも、こういうことはいままで何回か繰り返されて、その危険をどうするかという点になりますと、単に地方の農協程度ではどうにもならない問題である。こういう点について、不足したら輸入で補えばいいんだというような安易なやり方ではなくて、もう少し基本的な方針というものを確立しておいていただかないと、末端の生産農家は安心してやれないという現象が出ている。  それから流通対策でありますけれども、まあ現在の豚肉の小売り値段がどういうことになっているか、私はしょっちゅう豚肉を食べているわけではありませんので、よくわかりませんけれども、われわれ生産者の側から計算いたしますと、こういうことになると思うのです。枝肉が三百円であるとすれば、これは精肉歩どまりというのは大体六五%から七五%くらいになるわけです。これはあぶらを取って小売りに回せる程度のものがこういうことになります。そうすると、平均七〇%とすれば百グラム当たり豚肉値段というのは、四十三円ということになるわけです。これは、いいロースのほうから下まで入れた総平均でありますが、こういうことになります。さらに枝肉ですから、当然骨がついております。骨から肉を離す労賃、それから経費というものを加えたものがいわゆる小売り価格になるのだろうというふうに考えるわけでありますが、そういうものに比較すると、現在のところでは小売り価格枝肉価格の下げ方に対して小売り価格の、下げ方というのは少ないようにわれわれは見ている。これは問題はやはり流通の過程に問題があるのじゃないか。こういうことをもう少し肉の規格化とそれから流通の明朗化をすることによって、小売り値段をもっと切り下げるという手段が考えられるのじゃないかというふうに思っております。  それから最後に、これは牛のほうでも問題として提出されておりますが、飼料対策でありますけれども、豚の場合でも、御承知のように飼料というものは大半が輸入にたよっております。これは自給飼料とかいろいろなことを言われておりますが、結局、やはり安くてそれでわりあいに手間をかけないでやれるということになりますと、輸入飼料にたよらざるを得ないという現況でありますが、こういう輸入飼料にたよっている現在の養豚に対しては、やはり飼料対策というものが非常に大事な問題でありますので、こういう点について、年々枝肉の生産原価が上がっているということは、結局へ飼料が上がっているということに直ちに結びついております、現在の段階では。したがって、豚肉を安くしようと思ったら、やはり飼料を安くする以外にないのだ、こういうことになるわけでありますから、この辺について強力なひとつ手段を講じていただきたいということを特に、希望するわけでございます。  以上、ざっぱくでありますが、大体、養豚関係についてのわれわれ生産農家としての立場の説明とそれから希望とをまぜこぜにいたしてしまいましたが、そういう点で申し上げます。
  13. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) ありがとうございました。     —————————————
  14. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 次に、東京食肉事業協同組合理事長島村義雄君にお願いをいたします。
  15. 島村義雄

    参考人(島村義雄君) 御紹介をいただきました島村義雄であります。私は東京食肉事業協同組合理事長をやっております。  組合の沿革といたしましては、東京都に食肉販売業者が五千余りあります。この中で鳥肉の専門業者が六百余り、一割ばかりのアウトサイダーがおりますので、私ども組合員の構成は大体三千九百十一名、東京都全部、伊豆の八丈島まで入れまして三千九百十一名おります組合であります。私はきょう、主として食肉の格価等に関する件についての意見をと、こういうことでございますので、食肉価格形成の面につきまして簡単に御説明申し上げます。不幸にして資料がちょっと間に合いませんので、皆さま方のお手元にお配りいたしました資料が、私どもが近代化に対する今後のビジョンを作文いたしましたもので、「食肉業界構成上の問題」というのがございます。その四枚目に、「食肉価格形成はどうか」、こういう項目がございまして、これにこういうことを書いております。   畜産物の商品化によるマージンの追及にあ  る。   生産された生畜を第一次生産とすれば、枝肉  は第二次生産と考えられる。小売業者は枝肉を  解体し各部位の肉を消費者の需要に適するよう  に品質の選択、配分または製品とする技術加工  をして商品化するもので、第三次生産に立って  いる。  I 価格形式の基礎は枝肉相場による。   枝肉は市場の卸問屋または仲買から仕入れ  る。市場相場は需給状態で変動している。  II 生畜価格は不定で変化に富んでいる。品質  も多様で日々の需給によって変るので価格安定  は難かしい。故に、小売の原料肉としての枝肉  も価格は動揺しているナマモノである。また目  減もはげしい。これを取扱う小売販売で価格の  安定バランスを保つのが容易でない。  III 小売価格構成要素   1 枝肉解体歩留による採算原価の算定   2 肉の部位別による価格の原価計算   3 営業諸経費の算定  以上のようなことが書いてございます。  まず流通段階、ここに第一次生産と私どもは言っております。生畜——要するに、生きた牛あるいは生きた豚。それから今度は次の段階、問屋の段階に参りまして、これを屠場で屠殺をいたします。そうしますと、内臓及び皮、頭、それから足、これらを除去いたしました一つの形態が枝肉という形態であります。骨のついた肉、この枝肉を実は私ども小売り屋としましては問屋さんからあるいは仲買いさんから仕入れるわけであります。仕入れました枝肉から骨を取り、あぶらを取り、筋を取るこういう整形をいたしまして、さらにその中から筋肉ごとに小区分をするわけであります。たとえば、普通消費者もよく存じておりますが、ヒレとかロースとかランプとかエイチ・ボーンとかあるいはばらの肉、すねの肉、ブリスケット、こういうような名称がついておりますが、大体部分的に分けますと二十区分くらいあります。その二十区の中からここが上肉でございます、ここが中肉でございます、こういう区分をしているわけであります。しかしながら、遺憾ながら食肉の過去からの一つの長い慣習だけで、規格がございません。先ほど消費者のほうからもありましたように、各店各様に違う。これはそのとおりでございます。生産されました牛そのものが実は一頭一頭全部異なっております。現在、芝浦で一日かりに三百頭屠殺されまして取引をされますると、価格形成が少なくとも五十種類くらい。偶然の一致で同じ値段になるものもありますが、それぞれ若干違う。こういうふうで、現在、きのうあたりを調べてみましても、最低四百二十円から最高が九百五十円くらいまである。それ以下のものがないことはございませんが、これは食肉としてわわれわれが一般家庭供給する価値なきもので、カン詰めとかその他加工品に回っております。大体肉屋が取り扱っておりますものは、先ほど群馬の小林さんからお話がありましたように、大体六百円から七百円程度枝肉牛肉で、これを一応小売りの分野におきまして現在の消費者に大体かなう品質として買い入れているわけでございます。  それから豚肉も大体同じような経路でございますが、ただ豚肉価格形成と牛肉価格形成、これは実はちょっと違うのであります。豚肉は幸いにして例の価格安定帯等ができまして、それから二、三年前、たいへん不備ではありまするが、枝肉規格ができました。牛の規格を一部市場ではやっておりますが、牛の規格は、いま申し上げましたように一非常に多種多様である。非常にむずかしい。ところが、豚は大体七〇%以上が上規格という規格にはまってまいりますので、まま、同一ではございませんが、大体同じようなものが多い。  それから、いま申し上げました枝肉を私どもは精肉という形態に直しますときの一つ基準がございます。大体牛肉ではこれはもう一つ一つは非常に困難ですが、平均にして骨が一五%ぐらい枝肉から出ます。その中には一〇%、つまり一割でとまるもの、あるいは二割以上二割五分にもなるような太い骨、そういうものがございます。これらを平均しますと大体一五%くらい。それから、筋、あぶら、これが大体一五%くらい。これはいいものになりますと非常にあぶらが多い、安いものになりますと非常に筋が多い、骨が多い、こういった関係から、平均しまして大体こういうようなことになります。  そこで、精肉は、七〇%くらいが精肉でございます。これから若干目減りが生じます。それは豚も大体同じようなんですが、豚はちょっと違いますことは、豚は大体平均して一割くらいの骨でございます。そして次に、筋はごくわずかですが、これらを含めましてあぶらが大部分です。あぶらを大体二〇%くらい取らないと一般の消費者の口に合いません。先ほど関西の方のおことばでございますが、関西豚肉があまり利用されていない。関東では非常に豚肉のウエートが高い。いまかりに東京で申し上げますと、七〇%近くが実は豚肉消費でございます。関西に行きますと逆な現象、それ以下でありますね。七五%くらいがたしか牛肉消費だと思っております。これは、非常に整形が違う。たとえば、関東では非常に整形をやる。豚のあぶらを取る。二〇%くらい取りますと、大体お口に合うような赤身の部分が多いもりが出てまいります。出てまいりますので、これらも長い一つの習慣で、これは地域的に非常に違いますが、そういう習慣で豚肉の整形をよくやっておりますので、関東では豚肉は、御承知のとおり、どこを食べてもやわらかい。味その他になりますと、私ども専門家からいいますと、牛と豚ではその比ではない。これは牛肉のかなりいいもので豚肉を見ますというとたいへんな相違があると私どもは思っております。しかしながら、栄養その他からいきましてはそうたいした格差もないようで、関東では、いま言う関東で豚肉を食べるということは、値段が安いということ、いま言うように、どこを食べてもやわらかい。しかも、関東では非常にあぶらをたくさん取る、こういう形において、非常に関東では消費のウエートが高くなってきた。そこで、そういうものからわれわれが精肉にいたしましたときに、大体目減りを四%見ております。きょうつぶしたものをきょうは販売をいたしません。生産地域になりますと、ごく小さないなかの肉屋さんになると、その日につぶしたものをその日に売るからかたくて食えないというケースがありますが、東京では、牛肉では大体最低でも五日から一週間熟成期間を置きまして、冷蔵庫等に入れまして熟成して、やわらかくして売るわけですから、こういうことをやると、その間に、つぶしたときの目方から、一晩ないしは二晩冷蔵庫に入れておきますと、大体二%目減りが出てまいります。これをさらに骨を抜き、筋を取り、あぶらを取り、各部分別に売りまして、末端小売り百グラム、二百グラムという販売をしていく過程に、どこでどう減るか——まないたにつくロスもあるでしょう、ほうちょうにつくロスもあるでしょう、あるいは落とすロスもあるかもしれないけれども、二%くらいロスがある。それで、豚肉を現在の消費者皆さんに食べていただくための整形をするのには、大体確実に六六%くらいが一番適当なものである、こういうことで一応やっております。そこからこの歩どまりによって価格形成がされていくのであります。大体われわれの適正マージンを、大体加重利益率——売り上げの面から見た利益率を二五%とわれわれは一つの適正販売利潤として強く指導をしておりますし、大体その線によって価格は形成されております。——ただ問題は、先ほど消費者方々がおっしゃったように、各店違う。こういう一つ基準に間違いはございませんが、価格形成においては、東京都内におきましても違います。消費の層において違う。住宅街、工場街、あるいは、商店街、これは非常に消費者のやはり層によって、違ってくる。なぜならば、規格がございませんので、どこを上に売る、どこを中に売る、こういうものはきまっておりません。適当に売れる層に従って、こま切れのたくさん売れるところはこま切れをたくさん売る、上肉のたくさん売れるところはさらによく整形をして上肉に売るといったような、非常にふぞろいな価格形成がされている。基準としましてはどこでも違いませんが、そういう消費の層に合わせた販売をやっておりますので、地域地域によってかなりの格差が出ております。特に牛肉におきましてはこれがひどい。いま申し上げましたように、四百円から九百五十円ぐらいの格差がありますので、それは一つ一つ牛が違いますし、たまたま歩どまりをやってみたら、非常に歩どまりが悪かった、歩どまりがよかった、あるいは枝で見たときはさほどではなかったが、精肉にしてみたら、非常に価値がいいものになった、あるいは価値が以下になった。あるいは牛肉では、霜降りとか、いろいろなものが出てきます。初めは、霜がないと思ったら、切ってみたらたいへんに霜が出た、こういうふうなことでいろいろ変わってるくわけでございます。それで、上肉につきましても、中肉につきましても、並肉につきましても、それぞれの店舗で同じものが売られていない、こういうことから、これは現在の日本の生産形態における一つのあり方から、やむを得ず、私どもは長い一つの経験の上からこれでいわば勘でやっているわけです。これはたいへん間違ったやり方でございます。しかし、実態、扱うものがそういう形になっておりますので。しかしながら、われわれは組合といたしましては、その中から不備ながらも一つ規格をつくって指導しているのですが、先ほど規格の問題が出ておりましたが、実は農林省のお肝いり等もございまして、私どもも自主的にこの規格をつくるべきものであるというので、先般ようやく規格ができまして牛肉小売り品質基準あるいは豚肉小売り品質基準、こういうものがようやくできまして、いま農林大臣にお答えをいたしております。そして来年度からは、これを大きく消費の層にも、私どもの業者の層にもPRをするような活動を続けるような計画を立てている。これができますと、大体全国統一規格ですから、そう間違った価格は出ないと思いますが、何ぶんにも、でき上がった品物が相場が一つ一つ異なっておりますので、実際言うと、ただ理屈だけでこの価格がそのまま実施されるかどうかというところに、われわれは懸念をいたしておりますが、食肉のウエートもたいへん上がってまいりまして、今後これが一部の嗜好品のみならず、国民生活の中に欠くべからざる重要な物資になってきておりますので、私ども組合関係といたしましては、これは学者といえども、あるいは先生方といえども、この食肉というやつは非常にむずかしいのです。私どもがもう三十数年間肉をやっておりますが、まだわかりません。価格を形成するウエートが非常にわからない。これをいろいろと掘り下げまして、現在不備ながらも、規格を実はつくりまして、この次の段階におきましては、用途別の規格をつくる。今度は等級でなく、いまできておりますのは、牛肉は特選、特上、上、中、並、豚肉は極上、上、中、並、こういう段階におきまして規格をつくりましたが、この次には、これは第一段階として、いま全国を実態調査をしてみますと、こういう形で販売をされている形が多いので、現段階においては、この中に並の肉とはどことどこどことでございます、あるいは、中の肉とはどことどこどことでございますという部位別の名称をつけまして、規格として販売させる、こういう形態をとりつつあります。まだ実施しておりません。早急にこの規格をひとつ徹底するように実は計画をいたしております。  先ほど申し上げましたように、価格の形成におきましては、そういったはっきりした基準はございませんが、ばくたるものではございますが、私ども歩どまり計算でやっておる。牛は特に仕入れ相場によって価格を形成いたしまして、大体その金額的なものからいきますと、そう大きな差はございませんので、これに合わせまして、現在東京都の組合といたしまして、また、全国の組合といたしましても、一つ基準を出しております。  さらに私はここで先般北九州の一角に起こりました非常な矛盾がございましたので、先生方に一言聞いてもらいたいと思います。それは、最近関西におきまして非常に値段が上がった。先ほど神戸消費者の方がおっしゃったように、五十円くらいのものが昨年の五月ごろから急速に値段が上がった。倍近くの価格になった。そのとおり卸売り価格も上がっているわけです。そこで昨年度九州あたりでも、これはやり切れない、もうとにかくがまんをして、お互いにがまんをしいしい売っていて、これでは経営が成り立たぬ。そんなことから一斉値上げをいたしました。たまたま小倉の組合でございますが、九州あたりでは、最低九十円に売らないと、これはどうしても採算ベースに乗らない。これでも原価に近い販売価格でありますというので、そういうことが話し合われたと言っては独禁法に抵触するようでございますが、皆さんの声がそういうところにございまして、大体九十円。ところが、小倉の組合では、あらゆる消費の層から見て下の階級の方が多い。だから、よそでは、いろいろの地域においては九十円ぐらいで販売をするが、この地域においてはしばらくの間八十円ぐらいで売ろうではないか、こういうことを申し合わせて、たまたま回覧板のようなものをつくって業者に配った。これが独禁法に抵触をしておりまして、先般勧告を受けました。よその地域よりは安く売ろう、こういう実例がございましたので、これは参考までに先生方にお聞きを願いたいと思います。特に私どもがいろいろと消費者皆さんから御注文を受けます。御苦情を受けます。いまおっしゃいました卸売り価格に見合っていない、小売り価格が非常に高い、下がらない。こういう御指摘がございましたが、これは私反駁は申し上げませんが、そうではございません。常にこの商人は、私どもは、何か昔から商人というやつは、といったような目で見られている方が私は遺憾ながらあろうかと思います。最近のわれわれはそんな立場ではございません。過当競争で、少し下がってくるとたちまち過当競争が起きてまいります。もうがまんはできません。上がるときにはがまんをします。これは上がるときにはお互いに近所、隣を見合って、よそが値上げをしなければ、おれは損をしても値上げをしないという、お互いに牽制しつつ実は価格を上げません。なかなか、思い余って、これは何とか、お互いに牽制し合っていたんじゃ食っていけないぞという段階に来ないとなかなか値上げというものはできるものじゃないです。下がるときにはやはりたくさん売りたい、この際に、といったような考え方から過当競争が起きてくる。かなり早く下げます。ただ、全体的に見ますと、若干の日にちのズレが出てまいります。ということは、牛ならば一週間から十日、長ければ仕入れた日から二週間ぐらい後でないとこれが回収されません。回転をされません。豚が大体三日から五日くらい。そうしますと、その間にきょうの相場は下がっても魚屋さんや八百屋さんとは違う。きょう買ってきたものをきょう売るのじゃない。きょう売るものは、三日ないしは四日、五日前に仕入れたものなんでございます。その関係上、これで日にちのズレが出てまいります。上がる場合にもそういう場合が出ますし、下げる場合にも日にちのズレがある。現在東京では最低大体こま切れが四十五円から五十円——大体五十円と思います。と同時に、安くなってきますと、あぶらをもう必要以上に取らなくてはならないという——ならいということではございませんが、そうなってくる。なぜならば、最近消費者皆さん方が適当なあぶらのついたものじゃもうおきらいになる。できるだけあぶらの少ないところを好む。そのあぶらはただも同然のものでございます。そのために、少しでも値段が下がってくると、また整形をよくしていくという形をとります。そういう関係から、実質的には、少し下がってきたときには、価格は見合っていっても、品質的に下がってくる。もちろん値段としましても間違いなく下げているわけです。その間の多少の時間的ズレがありまするから、そういう誤解を受けます。決してわれわれの、現在の私ども商業、小売り部門にしますれば、知らずんばもうけてやろうといったようなことはできません。それでなくても過当競争が非常に激しい。これは先ほどそういうお声がございましたので、私弁解がましいことになりましたが、申し上げました。特に私が要望申し上げたいと思いますことは、豚肉は、御承知のように、価格安定法ができまして価格安定帯ができたことによりまして、非常に増産されました。最近では、生産過剰という状態も出ております。非常に値下がりがしております。牛肉におきましてもかかる措置を講じていただきたい、安定帯をつくっていただきたいと思います。私どもは輸入肉も存じております。輸入肉もありますが、輸入肉は、現在日本ではまだ消費の層に絶対にこたえられない。入ってくるものもそう値段は安くございません。しかも、品質において非常に固いのです。こういった問題から、輸入肉が入ってきましても、なかなか業者そのものも扱おうとしないということと、消費者がなかなか輸入肉を食べてくれない。しかし、いいものもあるそうです。しかし、これは内地産とあまり値段が違わない。まだ高いそうです。そういった関係から、日本におきましても私は牛はまだまだ政治の持っていき方で、政策的な持っていき方で私はできると思います。現に牛のごときは、子供うちにどんどん殺してしまいます。これは、生産しても合わないのでこれをもう一年肥育すれば成牛になります。食べられる肉になります。ところが、子供うちにばたばた殺されていくのが三十万くらいあるそうです。飼料の問題しかりでございます。こういった面で、私先般も農林省あたりといろいろお話し合いをしております間に、いかにも残念なのは、今日食肉というものが国民生活の上にこれだけ大きく取り上げてある中に、国家の予算等を見ますと、まことに貧弱きわまるものがある。酪農予算に対する食肉の予算はわずか二十分の一、経済的比重を見れば、酪農に対する、牛乳に対する食肉の経済的比重は三倍以上。しかも国家予算等におきまするものから見ますると、二十分の一という、まことに貧弱きわまる予算でございます。そういった面からも、ぜひひとつ食肉増産のために政治的な御配慮をお願い申し上げたい。  それから、私ども今度環境衛生団体からお願いすることになろうかと思いますが、適正配置の基準をお願いしたいと思います。ここで申し上げることは不穏当であろうかと思いまするが、現在過当競争、その過当競争あることによって業者の取り扱う数というものが、肉の需要はふえておりますが、どんどん消費はふえておりますが、どんどん肉屋ができておる。肉屋の隣に肉屋ができて、肉屋の向かいに肉屋ができる。何の規制もない。そのために業者の間に殺人問題が一昨年起きている。こういったような事態において業者の一人一人の取り扱い数量が少なくなってくる。少ないために利潤をたくさん追求しなければならないというような結果にもなっている。もう少し適正な配置基準をお考えいただきますならば、これが需要がふえてくることによって業者の取り扱い量がふえてくれば、必ずしもマージンも現在の二五%は二〇%でもけっこうになるのではないか。しかし、現在の取り扱い数量の最低基準からいきまして、私どもは二五%、この中には必要経費として約一割、人件費として約一割、わずかに五%くらい純益としてわれわれは考えているわけであります。これらのことを御配慮いただきますように、あとは御質問等にお答え申し上げたいと思います。失礼いたしました。
  16. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) ありがとうございました。  以上で参考人意見の陳述は終わりました。  本件についてこれから質疑を始めます。御意見のある方は、順次御発言をいただきます。
  17. 田代富士男

    田代富士男君 ただいま各界の代表の方からいろいろお話を聞かしていただきましたが、いろいろ考えてまいりますれば、牛肉のもとになるところの牛の飼育に手間がかかりまして割合が合わないから、そういう牛がだんだん減ってきた、そういうようなお話もただいまお聞きいたしまして、聞くところによりますと、いま日本の飼育頭数は十年前の約半分ぐらいになっている。約百五十万頭ぐらいしかないと、そのようにもお聞きしているわけなんです。だから、このような反映で肉の値段等もずいぶん値上がりしているという一つの要因になるんじゃないかと思うわけなんです。昨年二月のキロ当たり単価は三百六十円じゃなかったかと思います。ところが、ことしの二月のキロ当たり平均単価は五百九十五円というような高い値段になっているわけなんです。一年間で約これだけの高い値段についているということは、牛自身が少なくなったということも原因でありますれけども、これ以外にも問題点があるんじゃないかと思うわけなんです。その一つの問題点というものは、いまも東京都の食肉事業協同組合の副理事長さんの島村さんからいろいろお話がありましたけれども、この食肉の扱い方は非常にむずかしいのだというお話もお聞きしまして理解することはできたのですが、この牛肉関係の仲買い人のお方というものは多分に投機的な商売である、そういうようなことも聞いているわけなんです。そこで、仕入れてすぐに売る場合もあるでしょうし、そういう投機的な商売でありますから、一時東京都の冷蔵庫に保管をしておいて、相場を見計らって安いときにその肉を出していくというような方法もとられるわけなんです。そこで仲買い人の方か一斎に売りを控えた場合には、小売りの値段等は上がっていくというような場合も言えるんじゃないかと思うわけなんです。こういう点も、実情は島村さんが一番御存じじゃないかと思いますけれども、こういう点に問題があるんじゃないかと、かように思うのが一点なんです。この点について島村さんにお尋ねしたいと思いますが、それと同時に、いま東京都では皆さん方も御存じのように、芝浦の屠場が全国で有名な屠場でありますし、牛肉あるいはそういう食肉等の相場は芝浦の相場が全国の相場と言っても過言じゃないと思うわけなんです。ところが、食肉の中央卸売市場は全国で九カ所あるわけなんです。農林省によってもちゃんと定められたところがあるわけなんですが、この芝浦の屠場というものは正式な市場ではないわけなんです。だから、こういうところにおけるせりの状況もはっきりして、こういうところも公開市場にしていくべきじゃなかろうか。現実において日本の中心地になっている、そのような基準となるべきところであるならば、公開市場に持っていかなくちゃならない。そういう点におきまして、農林省としては強くこういう点を打ち出していらっしゃらない点、この点については農林省当局から詳しくお聞きをしたいと思いますが、最初に島村さんからお願いして、そのあとに農林省当局からお願いしたいと思います。
  18. 島村義雄

    参考人(島村義雄君) 先ほど申し上げましたように、東京都におきましては問屋、仲買い——特に地方と違いまして、仲買いというのは東京だけだと私思います。——仲買い、それから小売りという段階でありまして、大体この仲買いが小売りに卸しております比重が七〇%ぐらいを握っているわけです。直接問屋で取引しているものがこの小売り業者の中で三〇%ぐらいだと思います。そこで、この仲買いですが、これは確かにいまおっしゃったような形のものがございます。たとえば、先ほど私が申し上げましたように、ある牛を一つ買ってきたところが、こう切ってみて非常によかった。これは相場が相当つり上がる。実際につり上がってくるのです。その逆もあります。このマージンが普通どのくらいかと言いますと、大体牛肉にして五分ぐらいのマージンを取る。豚肉にしますれば、大体三分ぐらいのマージンを取っております。これは、私は決して中間マージンとして高いとも思いません。しかし、これだけをなくすればそれだけ安くなるということは、それは間違いないところでございます。しかしその間に、いま芝浦屠場が市場制を敷こうとしておりますが、一番問題点は、東京芝浦一カ所に市場をつくったことによって、東京の四千軒業者をこれに全部かり出すということは不可能である。そこで、われわれの考え方といたしましては、各支部ごとに全部これを受け入れる体制をつくりたい、こういう考え方から、できるだけ、仲買い制度をつくるとかつくらぬとか東京都は考えているそうですが、私どもは制度的に仲買いというものはなくしてもらいたい。それから、いままでやっている、そういう面もありますので、なかなか一潟千里にそういうものを解決するのはむずかしいと思いますが、制度的には絶対仲買い制度をそこにつくってもらわないようにわれわれは考えております。これは若干でもこうした小売りのわれわれが受け入れ体制を必ずつくります。つくれば、それだけのむだは排除できます。だけれども、あえて仲買い制度をつくろうという考え方にわれわれは強く反対しておりますが、ところが、どういう考え方か、やはり仲買い制度をつくるのだという御意向があるようでございます。私どもは、あくまでもこれを排除していきたいという考え方です。いま先生が御指摘になりましたように、決して仲買いがあることによってそう膨大な、はたで考えられるようなロスはございませんが、しかし、若干のものはございます。間違いなくある。と同時に、品質によって、いま言った上積みをした値段、当然百五十円で売っていいものが百七十円になったり、百五十円の価値あるのが、場合によっては、百四十八円になる場合もあります。そういう上積みをせられたものが、食肉はそういうふうな非常に品質的にむずかしいものがございますので、だれの目から見ても百五十円のものを百七十円で売ってみてもわからない。それから、そういうものはわれわれ小売りとしましては多々問題点がございまして、これは農林省からお答えがあるかと思いますが、今後は市場ができますことによって、取引の原則を大体せりまたは入札と考えている。基本はそうなっておりますが、このせりまたは入札という形が全面的に行なわれますと、現在、御承知のように、肉は非常に不足しております。足りません。当分の間は足らないと思う。余るという状態は、豚がいまそういう現象が起こってきておりますが、余るという状態はなかなか出てこない。そこでなるべくこの中に一つ価格形成委員会でもつくりまして、消費者を交えて、あるいは学識経験者を交えて、そうしてガラス張りのやはり価格形成委員会をつくって綿密にその点は監視し指導する必要がある。そういうものを私どもは要求しようとも考えております。
  19. 太田康二

    説明員(太田康二君) 芝浦屠場の中央卸売市場化が非常におくれているんじゃないかというお話でございます。御承知のとおり、三十八年の七月に生鮮食料品流通改善対策要綱というものを閣議決定いたしまして、現在の芝浦屠場をできる限りすみやかに中央卸売市場化するという方針を打ち出したわけでございまして、その後農林省といたしましては、開設者でありますところの都と一緒になりまして進めてまいったわけでございまして、その間の経過を申し上げますと、東京都は四十年の一月の二十日に芝浦屠場の全部の卸売り業者——六十九社でございますが、六十九の卸売り業者から食肉中央卸売市場開設に伴います卸売会社の設立参加承諾書の提出を求めましたところその提出がございましたので、四十年の七月開設ということを目途として事務の推進をはかってまいったわけでありますが、三月中旬に至りまして、一部業者のほうから、設立発起人の選任につきまして非民主的であるという異議の申し出がございまして、これを東京都のほうで一応その異議を認めたような形になりましたために、業界内部が二派に分かれて事務が中断したという経過がございます。その後、東京都におきましては、発起人問題の解決に鋭意努力をいたしたわけでございますが、その結果、この問題につきましては、四十年の十二月二十一日に円満な解決を見まして、現在都は十九名の設立準備委員と設立事務につきましての協議を進めて、市場開設につき鋭意努力中でございます。ただ、現在私たちが都と連絡をとりまして聞いております問題といたしましては、まあ一応新しい卸売会社の資本金の問題にからみまして、都が三億出資、それから業者のほうが三億というような出資比率の問題、それから、なお、業界の出資のシェアをそれぞれどういうふうにきめるかという点につきまして、なお若干調整を要する問題が残っているというふうに聞いておるわけでございまして、これらが解決されれば、七月一日の上半期に開設ができるというふうにわれわれも考えておるわけでございまして、引き続き鋭意側面から援助いたしまして、できる限り早い機会に中央卸売市場化するという方向で既定の方針どおり進めてまいりたい、かように存じ上げております。
  20. 田代富士男

    田代富士男君 そうしますと、いま上半期の七月からその市場が開設されるという一応の見通しだと、そういうことでございますね。
  21. 太田康二

    説明員(太田康二君) 一応上半期ということで、一応七月一日を目途に市場化するということで準備を進めてもらっております。
  22. 田代富士男

    田代富士男君 そうしますと、いまそれぞれの業者がこういう食肉等を扱っているよりもやはりスムーズに流通されていくことは間違いなくなっていくと思うわけであります。そこで、島村さんのお話によりますと、われわれが一番食べやすい肉というのは屠殺をしてから一週間日くらいから市場に出すのだ、そういう話でございましたんですが、まあそういう法規的な面もありまして、二十日、三十日あるいは四十日と東京都の冷蔵庫に保管する場合があるわけなんです。それはなぜかと言えば、いま問題になっておりますとおりに、小売り価格が昨年の秋の三割ないし四割高になる。これであったならば、豚肉がいまあのような看板を出しましてサービスをやっている関係で、なかなか売れにくい。そうすれば、そういう卸としてもそれをいま出すわけにいかないから、四十日も保管せざるを得ない。そのときに起こってきた問題が、もう皆さん御存じのように、三月十五日の新聞にも載りましたけれども、この東京都の冷蔵庫に保管してありました枝肉に対して厚さ三センチないし四センチのカビがはえたという、こういう食肉に対する衛生上まことにかんばしくないようなことが起きたわけなんです。ところが、この食肉といえどもわれわれの食べものに関係のあるものでありますし、衛生面におきましては、特に注意をしなくちゃならないわけなんです。まして冷蔵庫内においてこのように枝肉に三センチないし四センチのカビがはえた。では、農林省としてはこういうところに対する監視といいますか、衛生管理といいますか、もちろんそういうところは東京都の衛生検査所においてもなされておりますけれども、いまも申すとおりに、食肉関係の需要というものはどんどんふえてきますし、既存の施設でそういうものが不可能であるのか、あるいはそういう検査官の怠慢であったのか、どこにそういうところに原因があるか。たまたま今回は発見されたからよかったようなものの、こういう問題が広がってまいりますと、食生活に関係がある関係上、農林省として今回のこういう事件をどのように見られ、また、これに対する具体策をお持ちであるかどうかということをお聞かせ願いたいと思います。
  23. 太田康二

    説明員(太田康二君) いま先生のおっしゃった問題、実はそう申し上げてはなんでございますが、屠場の関係は特に食品衛生の問題は厚生省のほうでおやりになっておるわけでございますが、今回のような事件が起きたということは、まことに遺憾に存ずる次第でございまして、全くいままであまり例のないことが起こったような次第でございますが、よく私のほうで厚生省とも連絡をとりまして、そういったことがないようにひとつ善処してまいりたい、かように考えております。
  24. 田代富士男

    田代富士男君 これはまた厚生省との管轄でありますけれども、一応はこういう食肉に関係ありますし、やはり先の先まで検討も考えていかなくちゃならないのじゃないかと思いますが、まあ、厚生省が善処されれば幸いじゃないかと思います。  そこで、この値段が高くなっている問題点でありますが、いまも市場に出てきてから、高くなったという見方も一つありますが、そもそもこの牛のおい立ちから考えてまいりますれば、東京の屠場に来るまでに、まあ一つの例でありますと、小牛の名産地であります山陰地方であるとか、あるいは九州であるとか、そのような牛の生産地からずっと出されてくるわけなんですが、その小牛の生産地の価格をちょっとお聞きしたのですけれども、倉吉市のほうから出される場合、子牛価格というものが、大体せり市にかけられるときの値段ですね、そのせり市にかけられるときの値段、それから最終的に売り渡されるときの値段というものに対しては、あまりにも違いがあるわけなんですね。そして、その間のことを考えてみますと、四回ほど倉吉市から——まあきょうもお見えになっていらっしゃいますけれども、倉吉市のせり市におきまして、栃木県下の石橋の家畜市場の人が買っていくわけです。そしてそちらで子牛肥育して、今度はまた再び県内においてそれがせりにおいて提供される。そのようにしてだんだん大きくなってきた牛が再びせりにかけられて帰っていくところが生産地であるところの鳥取県へ帰っていかなくちゃならない。そのような子牛自身のおい立ちを考えてみましても、鳥取県から関東へ来て、関東からまた鳥取へ帰る。それから神戸あたりの屠殺場へ回されていく。そうしますと、子牛の運送賃が約千円ほど、それから成牛でありますと四千円もするわけなんです。そのように、何回も何回もせりにかけられる。そういう飼育地ということも考えられないわけはありませんが、このように一貫した生産体制というものがなされていくならば、牛自身の価格というものもずいぶんと安くなっていくんじゃないかと思うわけなんです。これにつきまして、幸い生産地の方がおいでになっていらっしゃいますけれども、生産地のお方の立場として、こういう現状に対してどういうお考えをお持ちであるか。前橋の小林会長さんにお願いしたいと思います。
  25. 小林松五郎

    参考人小林松五郎君) たいへんけっこうなところへ目をつけていただいておるので、まことにありがたく思っているわけです。実は、正月の三十日に私も前橋の市場に行ったのでございますが、業者の数が非常に多うございまして、私ども農協の関係の者が圧迫されているような関係でございます。したがいまして、私どもの仲間の農家がつくった牛が人に取られてしまって、買いたくっても買えない。それから、Aの業者からBの業者というふうに渡り歩いてまた私どものほうの顔なじみといいますか、そういう人に渡ったときに私どものほうの農協に入ってくる。そういうふうにくどいことをやっている面が非常にございます。ただ、子牛価格について、何と申しますか農家同士の、農協同士の話し合いということで価格の線がなかなか出にくいというようなことがございます。したがいまして、Aの農協あるいは連合会、あるいは県とある規格をきめて、それによってすぐ生産されたところから次の段階の人にバトンがタッチされるということであれば非常に合理化するということはお説のとおりでございます。それともう一つ、飼育の形態が非常に変わってきました。いままで、まあそういうことを言っちゃどうかと思うのですが、学者が本であらわしたものによりますと、一応乳離れしたものを、胃腸をじょうぶにするために粗飼料をたくさんくれて、肉を落として——落としてと言うとちょっとなにですが、ある程度こわいものをくれて、じょうぶにしてそれに肉をつけていくのだ、こういうふうに言われておりますが、現在では肉を落とさずにそのまま濃厚飼料を多分にやって、そこへ落とさないままのものを持っていく、そのほうが肥育日数が少なくて基礎飼料が少なくて、しかも肉屋さんに喜ばれるいい肉ができる、こういうふうになっております。したがいまして、技術の面についても、元牛をつくる人と飼育をする人と同じような基準で飼料供与をし、バトン・タッチがスムースにできるという形態をつくっていくことが非常に大切じゃないか、こう思うわけです。できれば子牛のままを百五十貫なり百六十貫までにずっと持っていけばなおいいと思うのですが、その間には非常に資金がじゃまをしまして、先ほどこちらの方が言われたとおり、農協さんにおいても、それを三年後まで保証するということはむずかしいことでして、いまの段階では二度にやっているという形態が非常に多いわけですが、途中で生産に関係のない、ただ流通のことだけでばく大な費用がかかるということは、運賃もかかることですし、その人たちの入場料とか輸送賃を幾度も幾度も払うということで非常にむだなことだ、こう思うわけです。
  26. 田代富士男

    田代富士男君 いまの小林会長さんのお話でも大体わかりましたが、いまの牛は鳥取県では四万九百円で取り引きされておるのですね。それが最後には二十三万円になっているわけなんです。そういう点におきまして、いまの点はずいぶん参考になったと思います。そこで、いまも申しましたとおりに、全国の食肉の需要は三十年には四十一万トン、三十九年には八十四万トン、このように約倍近くになっているわけなんです。そこで農林省の所得倍増計画の食糧事情の基礎になった農産物の長期見通しでは、三十九年には六十三万程度食肉需要と見込んでいたわけです。ところが、その予測を実際は三割三分ほど上回るわけなんです。これに対しまして消費量は、三十九年におきましては三十年度の一・五倍ぐらいになっているわけです。二十年の一・五倍。また牛の頭数というものは、三十年から三十八年までは二百三十万頭ぐらいであった。まあ二百三十万頭ぐらいあるならば、大体国内の需要はやっていけるのじゃなかろうかというのが最初の見込みでありますが、三十九年から四十年にかけまして、食肉の需要というものが進んでまいりまして、また農家の機械化というようなことも考えまして、だんだんだんだん飼育頭数が減ってきて、百九十万頭ぐらいに減ってきた。そのために、いま問題になっております食肉価格の問題等も起きてくるのじゃないかと思いますから、こういう点から考えていきますと、生産対策というものに対する読みが浅かったのじゃなかろうか。もっとそういうことも考えて対策を講じていかなくちゃならなかったのじゃなかろうか。こういう点も今日の物価値上げの一面に考えていかなくちゃならないのじゃないかと思いますが、その点について農林省の見解はどうでございましょう。
  27. 太田康二

    説明員(太田康二君) 確かに先生の御指摘のとおり、乳牛は昭和三十一年がピークでございまして、二百七十二万頭いたことは御承知のとおりでございまして、その後いまお話しのございましたとおり、大体二百三十万頭台で推移をしてまいりましたが、三十九年二百二十万八千頭が四十年は百八十八万六千頭というふうに比較的安定的に推移してきたものが四十年で非常に減ったわけでございます。こういった点につきましては、いま先生の御指摘のありましたとおり、実は農業基本法に基づく生産と需要の長期見通しを三割方上回る消費があったという面でわれわれの見方が若干甘かったということは御指摘のとおりでございます。ただ、われわれが従来和牛対策を講じてまいります場合に、先ほど来話のございましたように、従来のわが国の和牛の飼養というものはもっぱら役飼養並びに肉飼養というような形であったわけでございまして、最近はもちろん肉目的の飼養が大部分でございまして、そういった生産構造の変化が非常にあったということが第一点と、実は従来末端の卸売り価格等値上がりいたしましても、農家肥育の牛の値段が必ずしも上がらない。したがって、子牛値段も下げないというような形で、実は価格が一本筋が通っていなかったというふうにわれわれ理解をいたすわけでございます。今日の段階になりまして、いま先生の御指摘のありましたように、需給の不均衡で実は消費者の方にはたいへん御迷惑をおかけしているわけですが、卸の価格が非常に値上がりしたと、したがって、肥育農家の元牛の値段も非常によくなった。したがって、繁殖育成農家から子牛をある程度高く買ってもペイする。したがって、子牛値段も出たということでタイム・ラグがあったわけでございますが、ようやく価格の筋が一本ここで通ってきたわけでございます。そこでまさにおくればせではございますが、昭和四十一年度におきましては、従来、畜産局はとかく酪農のほうに力を注いでおったわけですが、いま言ったような客観情勢が熟してまいりましたので、何と申しましても、元の段階をふやさざるを得ない。したがって、繁殖育成部門に重点を置いた生産対策というものをまず最重点的に取り上げまして、もちろん肥育地帯の対策も大事でございますが、先ほど小林会長のお話にありましたような繁殖育成センターというようなものを国が補助いたしまして、そこに導入する元牛につきましては、国と県で全額負担をいたしまして、県有貸し付けの方式でやり、草地改良事業につきましては公共事業の予算を使用すると、あるいは中につくります利用施設については、国が総合的な補助をするというような形の繁殖育成センターというものを将来百カ所つくっていくというような計画で、何しろ元をつくらなければなりませんので、その点に重点を置いて今後の施策を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  28. 松永忠二

    ○松永忠二君 二つばかりちょっとお聞きしたい、小林さんに。いまお話があったように、中国から関東に移って、また松阪とか、あるいは神戸に行くと、こういうふうに一貫してあなたのおっしゃるように、肥育をされる場所が移っていくというようなことは、これは肥育をするに適当なところへ移っていかなければできないものなのか。あなたのところみたいに、子牛からずっと成牛までやるということでなしに、さっき話が出ているように、中国地方からまた関東にやって、また神戸牛という名前で、また神戸のところに戻ってきて育成して売るという、こういうことをやっていると、実際に。これはどうしてもやっぱりそういう方法をとらなければできないものなのかどうなのか、この点はもしも小林さんの御答弁が得られなければ農林省のほうからお聞きしたいですがね。  それからもう一つ小林さんにお聞きをしたいのは、子牛が非常に高いというわけなんですね。どういうところに原因があって子牛が高いのかというようにお考えになっておられるのか、これについてももちろん補助を出すとか、あるいは利子補給をする金を回すとかいうような方法もあるとしても、子牛自身がどうしてそんなに高いのかということについてはどういうふうにお考えになっておられるのか。  もう一つ消費者浜田さんにお聞きしたいのはあなたのところでは売る肉についてどういった仕入れをしているのか、何かその問題についてお考えになっておるところがあるのか、この二つを関係の方からお聞きをしたいと思います。
  29. 太田康二

    説明員(太田康二君) 従来のわが国の肉牛飼養につきましては、まず子供を取る段階の繁殖部門、それからそれを六カ月ぐらいのところで引き取って使役に使いながら肉として大きくしていく育成地帯。それから最後に育成地帯で二、三年使われて、出されたものが肥育される肥育地帯、こういう三つの地帯があったわけでございます。ところが、最近におきましては、これも先ほど話があったわけでございますが、機械等の進出によりまして、そういった使役してから肉需要というものがなくなってまいりまして、繁殖育成地帯と肥育地帯に分かれてきておるわけでございます。  そこでいま先生のおっしゃった基本的な問題は、やはり何と申しますか、はっきり地帯を分けての行政もそういうふうに行なわれていなかったわけでございますが、主産地の形成という形のものができていなかった。もちろん改良の中心地は、わが国の最も多く飼養されております黒毛の和牛で申し上げますと、中国地帯が中心の地域になるわけでございますが、今後におきましては、私どもの方針といたしまして、増殖、繁殖育成地帯と肥育地帯という地帯を各県別に地域を指定いたしまして、先ほど申し上げましたような施策を、それぞれ重点的にその地域に対してやっていく。その際、どういった基準でやるかということでございますが、繁殖育成地帯につきましては、生産の重点を、土地の総合的利用が適当かつ可能で、草資源の利用が十分に期待できる山村または農山村、こういったところに重点を置いていくわけでございして、従来の西日本の、先ほど申し上げました中国の生産地帯あるいは熊本等の赤毛の地帯のほかに、新しく草資源の豊富でございますところの北海道、東北、南九州というような未利用地の活用をはかることといたしまして、こういった繁殖育成地帯での飼養規模の拡大をはかるということに重点を置いて、繁殖育成地帯というものを育ててまいりたい。  一方、肥育の問題でございますが、肥育地帯につきましては、これは先ほど来話の出ておりました雌牛の若齢肥育、あるいは雌牛の普通肥育ということを基本といたしまして、むしろ生産の重点は濃厚飼料の確保が容易であるところ、あるいは飼料作物の生産ができるような平坦農村地帯に重点を置いて肥育地帯というものをつくってまいりたい。  そこで、いま今後考えなければならない問題は、そういった主産地を形成してまいりまして、同時に農協等の力をつけまして、農協等を通じて、繁殖育成地帯から肥育地帯に、まあ特約取引のようなことができれば一番いいわけですが、そういった形で両方の地帯を結びつけるようなことを考えていく。これを基本の方向として、その間、もちろん農協等が家畜商等を自分の配下に置さめて使うというようなこともあるかと思いますが、そういった地帯をはっきり分けまして、主産地を形成して、その両者の間でも特約取引が円滑に進むように、それに重点を置いてやってまいりたい、かように政策を講ずることによりまして、いま申し上げたような問題は相当程度改善されるのではないかというふうに、その点につきましては考えております。
  30. 小林松五郎

    参考人小林松五郎君) ただいま先生から子牛が高いということなんでございますが、これは育成地帯のように多頭育をするということが非常に困難だったわけです。家畜というものはやはり子供を育てるということから、愛情を持って一頭一頭に対する管理をしなくちゃならないというようなことから、日本の繁殖というものは、個々の農家が一頭ないし二頭ずつ片手間にやる、そういうふうな形がとられてくると思うのです。で、従来はその牛を使いながら大きくし、そして副業——まあ金のことはあまり考えずに子供を取っていたということでありました。ところが、最近は道具としての役牛は必要ないということから、子供だけを取るのだ、こういうふうなことになりましたので、元牛の親牛の価格と、それから生産する子牛価格というもののつり合いの中から、従来よりも子牛が高くなるということは、これはやむを得ないのじゃないか、そういうふうに思うわけです。先ほども申し上げましたとおり、小さい牛を買ってから二十カ月たたないとその牛が子供を産むようにならない。二十カ月たって種つけしたものが、九カ月半で子供を産み、なお六カ月たたないとそれが金にならないというふうに、非常に牛はのろいものでございまして、回転が悪い。そういうことから、これを喜んで飼う人が少ない。したがいまして、子牛は高くなる、こういうことだと思うのです。それからもう一つ……。
  31. 松永忠二

    ○松永忠二君 わかりました。よろしゅうございます。ほかの方もありますから、大体わかりました。浜田さんにちょっと……。
  32. 浜田吉人

    参考人浜田吉人君) それじゃお尋ねの点につきまして申し上げます。  私どものほうにおきましても、みずから供給を行なっておるわけでございますが、この場合、牛肉につきまして申し上げますと、牛肉は愛媛県経済連——農協の連合会でございます。そのほうから、愛媛県に所在します畜肉センターで屠場を兼営いたしております。そのものから屠体にいたしましたものを枝でもちまして保冷車で積送いたしております、直ちに私どものほうへ。そういったような経路でもちまして、もちろんその中におきまして、決済につきましては全販連を経由いたしておりますが、これは事実上そういう系統的な動きだけでございまして、日常におきましては県の経済連で行なっております。これが主流でございます。  それからそのほかに、北海道の北連と、コンテナによりまして、五トン・コンテナでもちまして、釧路港から大阪港に輸送をいたしております。これが大体プラス四度でもちましてテストが終わりまして、ほぼ温度の差等がございませんので、いまのところ成功いたしております。そういうものを入れておりますことと、現在冬季になりますと、このことが少し困難でございますので、乳牛に飼育したものでないもので、肉用として飼育したものがございますが、それがカットされております。そのカット肉をやはりこちらのほうへ、冷凍でございますが、そのものを毎回五トンの単位でもちまして積送させております。こういうものが牛肉に関しまするものでございます。  それから豚等につきましては、ほとんど現在におきましては、屠体でなくしてカットを中心として行なっている、こういうふうな現状でございます。それでもちまして、全体の一カ月におきまする肉、これは豚と牛肉でございますが、これにおきまする取り扱い高は必ずしも直営ばかりでございません、依頼いたしたものもございますが、約一億円でございます。  以上でございます。
  33. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 関連していまのようないき方でまいって、生活協同組合の販売価格は、一般市価とどれくらい違うか、その点が一つと、それからあわせて、生活協同組合組合員に販売しておるものと、組合員外に販売しているものとの、大体のパーセンテージがわかりましたら承っておきたいと思います。
  34. 浜田吉人

    参考人浜田吉人君) 申し上げます。  大体一般市場の、ほとんど調べてはございますが、現実に一割以上供給価格が安くなっております。もっとも、これは肉質によりますから、同等のものと見受けられるものにおきまして一割以上安くなっておる、こういう状態でございます。  それから、組合員組合員外に関する問題でございますが、これは御承知のように、消費生活協同組合は員外の販売は法律上許されておりませんので、したがって、それにつきましては避けておりますので、たまに例外的にそういうことが発生するかもわかりませんという程度でもちまして、全部組合員でございますというふうになっております。
  35. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 関連して。いまの、豊田先生の御質問でございますが、私も生協の組合員でございますけれども、灘神戸生協の組合員でございますけれども、灘生協というのが非常に範囲が広うございます。  肉や何かの恩恵は私どもは受けられない。結局私どもはやっぱり自分の宝塚なら宝塚の普通の肉屋さんから買わなくてはならない、こういう状態もございます。  私は二、三の点について御質問をしたいと思うんですが、牛肉が非常に高くなって、昨年の五月ごろから、もう一カ月に十円ぐらいずつ値段が上がってしまったわけです。非常に高くて、私ども牛肉がなかなか食べられないので、豚肉あるいはかしわに切りかえているわけですが、島村さんのほうでは、牛肉の売り上げが非常に減っているか減っていないか、そういうことをひとつ伺いたいのと、それから値段というのは、上がってしまいますと、何か下げるのを忘れてしまって、なかなか値段が下がらない。実際に下げられない状態なのか。もしも販売量が減っていれば、私は少し下がるんじゃないかと、こう思うんですが、そういうことについてひとつお伺いしたいのと、それから小林さん、鈴木さんのお話を伺いますと、牛を飼育するのに非常に飼料代が高くて、それがずいぶん大きな今度の値段の上がる原因になっているように思うんですけれども、そういう飼料対策について、農林省のほうではどういうことをやっていらっしゃるか、そのことをひとつ。  それから浜田さんに、神戸牛とか三田牛というのがずいぶん東京でも珍重されているわけですけれども、私が聞いたところでは、兵庫県の神戸牛というのは、もうほんとうは全体の三割ぐらいしがなくて、あとは山口だの何だのという所から移入しているというふうなことを伺うんですけれども、そういうことについて御答弁願いたいと思います。
  36. 島村義雄

    参考人(島村義雄君) 牛肉の点でございますが、最近牛肉の販売の率がどのくらい低下したか、こういうことでありますが、たいへん低下しております。牛肉はただいまではほとんど嗜好的な面で、非常に値段が高くなっております。最近、東京都内だけでも、私、推定でございますけれども、三割減になっております。それから豚肉は、これまた妙な現象を来たしております。最近、物が下がったというのは豚肉ぐらいなものだとPRされておりますが、これも逆に昨年から見ますと二割減しております。安くなっても売れておりません。
  37. 太田康二

    説明員(太田康二君) 飼料対策の御質問でございますが、飼料は、御承知のとおり、草食性家畜に対する乳牛、和牛等に供給する粗飼料、これももちろん濃厚飼料を使うわけでございますが、飼料と、それから豚、鶏等が主として食します濃厚飼料、配合飼料でございますが、この二つがございます。  そこで、まず粗飼料の対策でございますが、国のほうといたしましては、一つは土地改良事業の長期計画に基づきまして、現在十二万三千ヘクタールの草地があるわけでございますが、これを昭和五十年までに四十万ふやしまして、五十二万三千ヘクタールにする。その際、一応われわれは、その五十年に想定をしております草食性家畜につきましては、理想的な粗飼料の給与率にいたしたい。なお、もちろんそれは草地改良の問題でございますが、それ以外に既耕地における飼料作物の作付強化事業というのを現在補助をいたしてやっております。これが現在五十万九千ヘクタールほどございますが、これをできれば引き続き行ないまして、昭和五十年には百十万四千ヘクタールくらいまでに持っていきたい。さらに、それと野草地あるいは農場残渣等を含めまして、粗飼料の供給を、いま申し上げたように約千百万トン程度にいたしまして、理想的な給与に充ててまいりたいということでございます。  それからいま一つ、濃厚飼料の対策でございますが、実は国内産の濃厚飼料をどうやってふやしていくかということは、麦対策あるいはイモ対策等の関連におきまして、現行の食糧管理制度あるいは農地制度等、いろいろ突き当たる問題がございまして、現在鋭意検討中でございますが、それ以外に、豚、鶏等の使用の増に伴いまして、トウモロコシ、マイロ等の輸入が非常にふえていることは御承知のとおりでありまして、政府は、食糧管理特別会計に輸入飼料勘定という特別の勘定を設けまして、そこで現在取り扱っておる政府の操作飼料といたしましては、輸入ふすま、それから専増産用の小麦、それから粒用の小麦、大麦、トウモロコシ、大豆油かす、魚粉、こういった濃厚飼料、配合飼料の原料を食管特別会計で買い入れまして、これをある程度の財政負担をいたしまして、それぞれ実需者団体等に売り払いをやっておるわけでございます。四十年度におきましては、輸入ふすまが二十万トン、ふすま専増産用の小麦が八十九万二千トン、粒用の小麦が五万トン、大麦四十万トン、トウモロコシ、大豆油かす、魚粉等は、いわゆる調整補完用としてやっておるわけでございますが、トウモロコシが十五万トン、大豆油かすが四万トン、魚粉が三万三千トン、全部合わせまして百七十六万五千トンの操作をいたしたわけでございますが、このための財政負担として一般会計からの赤字繰り入れ四十一億円という予算を計上いたしておったわけでございますが、四十一年度におきましては、輸入ふすまは前年度と同様の二十万トン、それからふすま増産用の小麦が、これは特に乳牛用に主として使われるわけでございますが、これを十万八千トンふやしまして百万トン、それから粒用小麦は五万トン、大麦につきましても、先ほどお話のありましたように、最近非常に需要がふえておりまして、これを二〇%ふやしまして四十八万トン、それからトウモロコシ、大豆油かす、魚粉等につきましては、前年度と同数量の政府操作をするということで、総計といたしまして百九十五万三千トン、大体輸入濃厚飼料のたしか二二%程度だと思いますが、政府が操作をするということで、これを供給することによって価格の安定をはかってまいるという飼料需給安定法という法律がございまして、いま言ったようなことをやっておるわけでございまして、四十一年度におきましては、そのための一般会計からの食管特別会計への繰り入れが四十三億ということに相なっておりまして、供給を潤沢にすることによって価格の安定をはかっていくというような施策を講じておる次第でございます。
  38. 木村美智男

    木村美智男君 時間もございませんから簡単に二つばかりお伺いします。  島村さんに、一つはさっき規格の問題がいろいろ話されたのですけれども規格がまちまちな上に、過当競争といっても、まるきり混乱状態にあると思うのですが、私最近物価対策の仕事をするようになってからよく買い物をするわけですが、この間かしわを買いに行ったら、上肉に皮がついておって、皮だけは売ってくれないという店が一つありました。デパートに行きましたら、皮は皮で別になっている。ここら辺になりますと、あるいは栄養その他の関係から、皮のついているほうがほんとうの上肉で、ついていないのがインチキなのか、ちょっとよくわかりませんけれども、そこら辺を一つと、それから過当競争の話がありましたけれども、しかしいままで一軒の店のときには残念ながら、まあ売ってやるんだという態度だったのですけれども、二軒になり三軒になりまして——私のほうは練馬で、どんどん発展するところでございますので、先ほどおっしゃることは、よくわかるのです。まさに過当競争でしよう、数軒置きに肉屋さんができるということになりましたら、非常に品質も選び、お互いに売らんかなの競争を行なって、消費者からいわせると非常に喜ばしい現象が反面出ておるわけです。こういう点を一体、島村さんのところの組合のほうでは、どういうような御指導をなされておるのかということ、この規格の問題とからんで、その点を一つ。  そうしてもう一つは、物価対策の面から、この間、生鮮食料品の野菜、果物関係では、月に一回野菜デーという日を設けて、特別ひとつこの日は値段を一割なり一割五分なり下げて売ろうじゃないかという話が四月を目途に具体化してくる段階になってきておる。肉屋さんのほうはそういうことが自主的に計画されているか、あるいは御相談をされているか、ここら辺をひとつお伺いをしたい。  それから農林省のほうに、先ほど鈴木さんからお話があった中で、いろいろ今日対策をとらなければならぬ点が述べられたんですが、きょうは詳しいお話というか、何か論争をしようと思っておるわけじゃないんですが、伺いたいのは、増産対策はとるけれども価格対策というものはないというお話がされたわけです。そこで増産という問題がほんとに、大体経済状態はある程度物価高の状況にはありましても、国民消費水準というようなものは、そういう中での一つの安定的な方向をたどっておると思うんです。したがって、年間の日本の国内の肉の消費量というものは大体どのぐらいかということは、農林省としてつかんでおるだろうと思う。したがって、もうここら辺で当然物価対策の面から生産計画というものが立てられなければいかぬじゃないか。で、生産計画というものを考えてみれば、多少の上下はあったにしても、年間牛は何十万頭、あるいは豚は何百万頭というふうな、これがひとつ一体立てられてあるのかないのか。もし立てられているとすれば、それは何か値段が高くなったので、さあひとつ来年はよけいつくれという意味の増産対策じゃなしに、その一本筋の通った生産計画の上に立った増産対策というものでなければならぬじゃないか。  それからいまの輸入政策は、どうも肉が不足しておる、値段が上がったと。さあこれはマトンでも入れて何とか急場のしのぎをせんきやならぬという、こういうふうな輸入対策のように考えられます。そうじゃなしに、年間の生産計画を立てた上に、その一環として輸入対策というものがやられておれば、生産者のほうに不安なものを与えることもなく、それから需要に対する十分な供給もなし得るという関係になると思う。ここら辺について、これはまあ流通の問題、先ほど中沢さんの言われた飼料対策の問題と、一連の総合的な価格安定というか、物価対策的な立場における、いまのような生産計画を基本とした体系的なものが一体今日あるのかないのか。詳しくはいいですから、これはあとでまた物価対策委員会の本論になる問題ですから、きょうは論争しようとは思いませんが、ひとつ御意見を伺いたい。
  39. 島村義雄

    参考人(島村義雄君) 規格の問題ですが、先ほど私が申し上げましたように、豚肉は別として、特に牛肉には種々さまざま、これをひとつ規格化するにはどうするか。かりにいま私どもが考えております——考えておりますというのは、農林大臣に答申いたします規格の中で、ヒレ、ロースというものが特選という形で出ておりますが、これは枝肉規格というものが一応出ております。枝肉規格ですね。それからその次に部分肉の規格というのがその次の段階にあります。その次に小売り標準規格というものがあるわけですが、ヒレ、ロースの極上のものは、極上の枝肉のヒレ、ロースが特選だ。ところが、同じヒレ、ロースであろうとも、これが中の部位になると、中の規格になったヒレ、ロース、これは上以上には売れない。こういったようなものですね。あるいは並規格のヒレ、ロースはもう中肉である。こういったように、部分的に、そういう商品価値から見まして、大体現在私どもが、過去におきまして長い間ひとつの習慣的にやっておりましたそういう価値によって、物の価値によってですね。だから、ヒレとロースが、一番最上のもののヒレとロースが特選のものになる。その次は肩ロースとか内もも、ランプ、シンタマ、エイチボーン、あるいは外もも、これが中、並の部分に入っております。これは一番上等のもののそれでなくちゃならぬ。その次の枝肉規格の中で、中の規格のものは、それは上には売れないのだ、中肉でなきゃ売れないのだというものをつくっておりますので、大体価値から見て、決してそういういままでのような種々雑多なものでなくて、価値的なものから見てりっぱな規格が私どもはできると考えております。  それから、先ほどかしわの問題出ましたが、これは皮をつけておる、これは不親切ですね。それは例外的なものであって、そういうことは一般にはやっていないと思います。  それから、先ほど、肉屋が非常に店舗がたくさん出てくると、非常に親切になって、かえってそのほうが消費者は喜ぶと、確かにその面が過去においてございます。職人気質と申しますか、非常に職人気質的なものがありまして、あいそうがないというか、それは最近なかなかむずかしくなってまいりまして、いまそういう教育もお互いにされるようになりまして、最近はだいぶみな、あいそうもよくなっておりますが、それは過当競争ということからくるということでなくて、私どもはやっぱり職人気質というような気質が、古い人間がだんだんなくなってきますと、現在の若い人々はなかなかおせじがうまいのです。私どもが商売をやるのと、せがれが商売をするのと、だいぶ変わってきました。私なんか、だいぶ気をつけていますが、きのうの肉はうまくなかったと言われると、あんたの口が悪いのだと、こういうような反発をするのです。それは自信をもって売っていますからね。そういうような反発をして、お客さまにどうも不親切だということをよく言われますが、これは悪気でなく、そういうような職人気質的な考え方がいままで確かにございました。しかし、これもだんだん近代化していると思います。  それから、過当競争の面におきまして、私どもはこういうことを考えております。だんだんだんだん、たくさんできるということは、資本主義経済の基本というものは、とにかくたくさんの人たちが自由に競争することだ、こういうことをよく言われております。だが、これが過当に過ぎますと、非常に不純なものが販売せられる過去の事例がたくさんございます。値段の競争を始めていると、豚肉ならざるものを豚肉と称して売ってみたり、牛肉ならざるものを牛肉と称して売ってみたり、牛肉と称さなくても、肉と言ったり、あるいはミックスしてみたりですね、馬の肉であろうと何であろうと、ミックスされたものであろうと、これは法律的に、法規的に何らおとがめを受けません。肉と言えばいいのですね。肉のこま切れを幾らと、こう言いますと、その中には、まあいま馬がだんだん減ってきまして、ございませんが、戦後には相当馬肉があった。この中に、これはもう先生よく御存じだと思います。ミックスされていた。豚肉の中に、マトンの肉まで入れませんが、ウサギの肉が入ってみたり、あるいはその他のものが混ってみたり、まさか犬、ネコのものは、これは絶対入りませんが、四、五年前には犬の肉が販売された実例もございます。そういうように、値段の競争をさせますと、過当競争になってきますと、不純なものも、つまり値段を安くするということでもって、勢いそうなってくる。取り扱い数量が少なくなってくれば、利潤を何する、こういう結果から、私どもこの過当競争に対する店舗配置の規制というものが絶対必要である。  それから、最近東京都が考えておる割り引きデーの問題ですが、私ども実はほんとうは賛成をしておりませんです、このやり方は。しかし、せっかく都や国が物価対策の一環としてこういうことをおやりになるので、できるだけの私ども協力をしようというので、いま作文をしております。それは、月に一回、二十九日を、これを肉の日ということにしまして、それから、一割引きは絶対にできません。できないので、私どもはせいぜい五分程度だと、それから、二品目以上くらいをやっぱり割り引きをしようと、そうして、でき得れば東京全都一円にわたって、一人もこの運動に参加されない人がないように、全部参加をさしたい。そのためにはもう少し内容的に東京都とも話し合ってみたい。ということは、こういう苦い経験を持っているのです。一年に一ぺん、もう十五回続けておりますが、毎年土用のうしの日を中心としまして、肉を食べなさいという肉まつりというものをやっております。ところが、当初大々的にこれをPRをしますというと、肉は売れるのです。確かに売れます。安くしますし、景品等もつけますから、二割ぐらいはふえるのです。そうしますと、相場が非常につり上がっていく。それを何年かやってみましたところが、肉まつりをやるのだというムードが出てきますというと、もう生産価格が高くなる。価格が上がってくる。芝浦価格が、肉まつりをやれば肉が売れるのだというムードが出てきまして、価格が逆に上がってくる。そのために、最近はポスター宣伝と、それから東京都の御調査によって、援護施設、養護施設の方々に、全部肉を、わずかながらでも、東京全体の肉屋が、店舗からお互いに同等の金額を出しまして、養護施設の方々に全部ただでお肉を上げる。これを十五年間続けています。肉まつりのポスターだけの宣伝、これをあまりやり過ぎますと、その前後に必ず肉が上がる。これはかえって私どもも苦しいし、消費者の皆さま方にも御迷惑がかかりますので、この問題も、割引日をつくって、この日だけに安く売るのだというと、これが、きょうは肉が売れるのだというと、相場がその日でみんな動いてくるのです。そういう関連等もございますので、あまり一割引きとか、二割引きとかいったようなことはやりたくはない。しかし、せっかくのことですから、私どもとしましては参加いたします。協力はいたしますが、その内容等におきましては、十分考えてやらないと、かえって逆に消費者に御迷惑をかける結果になりはしないかということを、実は心配しております。
  40. 太田康二

    説明員(太田康二君) 牛肉につきましては、基本はあくまで国内自給度の向上でいくということでございまして、牛肉の国際的な需給というものは、所得水準の向上に伴いまして、今後とも逼迫基調をたどるであろうというふうに見ておるわけでございます。現在、大体世界の生産量が三千万トン、これに対しまして、貿易に回ってきておる数量はその五%の百五十万トン程度でございます。特に、わが国が期待できます輸出国は、事実上、衛生等の関係もございまして、豪州、ニュージーランドに限られるというようなことでございますので、基本はあくまでも国内自給でいくということでございます。なお、そういったことが同時に、先ほど申し上げましたように、特に他に見るべき作目のない農山村の産業振興にもつながる問題でございますので、基本はあくまで国内自給度の向上でいくという姿勢はとっておるわけでございます。  そこで、そういったことを効果的に進めるために、なぜ牛肉価格についての安定をしないのかという御質問であるわけでございますが、現在、畜産物価格安定法でとっております指定食肉制度、これは現在豚肉について指定食肉として価格安定をはかっておるわけでございますが、これは価格の変動に対処いたしまして、その価格を一定の価格安定帯の幅の中で安定させる。これを通じて、需給操作を行なうということにねらいがあるわけでございます。そこで牛肉の場合でございますが、現在の需給実勢から見まして、長期的にも相当長い間需要の堅調が続くというふうに、われわれは見ておるわけでございます。もちろん国内の生産対策を講ずるわけでございますが、御承知のとおりの供給でございまして、一年に一頭しか生まない、しかも雄と雌のできる数が半々であるというようなことで、そう簡単にはふえないわけでございまして、われわれ当面、昭和五十年度に二百五十万頭規模ぐらいに回復したいということを目途に施策を続けていくわけですが、いま言ったような基調でございますので、長期的にも需要の堅調が続くと思う。したがって、指定食肉として畜産物価格安定法で価格操作をするというような実態にないのではないか。  それから肉牛の生産、あるいは肉牛及び牛肉の取引の現状というものを見てまいりますと、これも先ほど来話が出ておったわけでございますが、整形の方法が不統一である。品質についても非常にバラつきがある。取引の基準となるべき具体的な牛肉規格を定めることがきわめて困難であります。そこで一体何を基準にして、いま申し上げたような安定帯価格というものをきめるかというような、これは技術上の問題でございまして、今後規格の問題が解決してまいりますれば、あるいはできるかもわかりませんが、いま言ったような問題があるわけでございまして、いま直ちに、現在豚肉についてとっておるような安定帯を設けて、その中で操作をしてまいるというような実態にないのではないか。そこでそれでは生産を非常に進めても問題があるのではないかというような御懸念もあるかと思うわけでございますが、われわれ今後検討すべき課題といたしましては、先ほど申し上げましたように、価格が一本筋が通ったということに着目いたしまして、むしろ子牛の再生産の確保と、価格形成の適正化をはかる。何と申しましても、子牛を生ませることが基本でございますので、この段階に着目いたしまして、現在豚について、子豚の価格の安定基金というものを各県で設けておりまして、畜産振興事業団から、これに所要の融資もいたしておるわけですが、それと同じような手法を用いまして、まず子牛価格の安定基金というような制度をつくりまして、生産農家が安心して子牛の生産に励めるというような、子牛の段階での価格安定基金制度をつくったらどうかということで検討をいたしておりまして、ぜひ四十二年度にはこれを実現したいというふうに考えております。  それ以外にいま一つ考えておりますことは、農家が保有しております優良な基礎雌牛、これを登録いたしまして、一定期間子を生ませるように、保留制度をつくる。そうして、その間まあ保留に伴います農家の現金化の問題があるわけでございますので、それに対して何らかの形での奨励金と申しますか、そういった形の援助をいたしまして、できる限り子をとるような政策を進めていくことも、今直ちに予算化はできておりませんが、四十一年度、この子牛価格の安定基金制度と優良な基礎雌牛の登録保留制度というものの制度化をぜひ実現してまいりたい、かように考えております。
  41. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 ちょっとだけ伺いたいのでございますけれども、このいただきました表でもって、日本の一年一人当たりの肉の消費量六キログラム、南米や豪州では百キログラム以上の消費量と、日本の場合非常に違うのでございますけれども、豪州みたいなところ、あるいは南米みたいなああいう広い土地では、価格形成の上で非常に安くつくのだろうと想像いたします。日本の場合には、さっき表もいただきまして、ずいぶん、なかなか利益もないというような状態であるということなんでございますけれども、こうした広いところで、たくさんの、大量の食肉を生産しているところでは、価格形成はどのくらいだろうというような何か数字でもあるのでございましょうか。——それじゃ、いま調べていらっしゃるうちに、一つだけ島村さんに伺いたいのですけれども、これは別に物価対策とは直接関係ないことだと思いますけれども、日本人は非常に味覚が発達しておりまして、牛肉なんかが、日本の牛肉が世界一おいしい牛肉だというふうに言われておりますのですけれども、そういう牛肉というのは、普通とは全然違う飼い方をするのでございますか。
  42. 小林松五郎

    参考人小林松五郎君) 池田さんが大蔵大臣のとき、貧乏人は麦を食えといって、たいへん国民からいろいろ非難されたというようなことを聞かされているので、いまの大蔵大臣が実は私のすぐそばから出ているわけです。先生、貧乏人も肉が食えるようにひとつやってもらいたいものだと、こんな話をしたのですが、実は群馬県は非常に麦がたくさんできるのです。それで、麦の県と言って、裏作がほとんど麦なんです。麦を六割使って牛をつくっているのですが、それが非常にいい肉が、白い霜降りのいい肉ができるわけです。ただ神戸牛のような最高級の肉ではございませんが、去勢肉の、何といいますか、一般の人のちょっと上の人の食べる、私はまあ課長さんぐらいの人が食べる肉だと言っているのですが、課長肉と言っているのですよ。神戸牛に比べてその程度の大衆向きの上等な去勢牛ができるわけです。そこで、それは運動をあまりさせないで、箱の中に入れて大事に飼うと、そういうようなことから、使わないために豚のようなやわらかさを持って、そうして麦のサシが入るというようなことで、非常に日本の牛はうまい。県会議員で、この間欧州のほうへ行ってきたのですけれども、小林君、向こうへ行ったら歯が通らないよと、日本の肉はうまい。それでオリンピックがあった年に、オリンピックのお客さまに群馬の肉をうんと食べてもらって、ひとつ世界じゅうに日本の肉はうまかったと言ってもらおうじゃないかというようなことを仲間同士で話し合って、一生懸命つくったわけです。それで、そのとき非常に牛の肉を便ってしまったために、ここでよけいに肉がなくなったのじゃないかというようなこども私は考えているのですけれども、それと同時に、先ほど農林省の方が言われた繁殖に力を入れることは、非常にけっこうなことなんです。しかし、それは五年たたないと肉にならない、そこで、いま百五十貫になる牛が百貫くらいでどんどんつぶされておるという現象があるんです。それを最高度に使って、肉をつくって大事に使うということは非常に大切ではないか、こう思うんです。それには資金がないと、十万の牛を十六万とか十七万くらいまでに持っていくということは困難であると同時に、えさと肉とのバランスがとれないと、それは持っていけない。ですから、麦を人間が食べなくとも、麦を牛に食わして、一カ月一カ月肉ができていくわけです。すぐ肉になって食べられるんだという考え方で、私どもはぜひ麦を肉にして売りたいのだ、群馬県人は麦づくりできらわれてはかなわないから、一生懸命肉をつくって、いい肉を食べていただきたいということを一生懸命念願しております。ぜひ麦が肉にできるように、施設とかいろいろの面でごめんどうをみていただきたい。特に、金がたくさん要るんです、牛づくりは。そのために、資金を、農協なりあるいは信連なり、そういう方面から貸していただいて、そうして、しっかりした技術のもとで、絶対間違いないというふうなことで、多頭育をしなければだめだと思うんです。これからは一頭とか二頭の牛を飼ったら、肉質もがらがらになりますし、それからふえたり、減ったりしております。牛がようやく大きくなっても、金網がなくて、蚊に食われたり、アブに刺されたりして、大きいのが小さくなる、そういうようなことで、いままでは五歳になっても六歳になっても、いい肉にならなかった。そういうロスがたくさんあったわけです。今度は、現在は二歳から三歳の牛を肥育しておるということで、だんだん小さいものになってきた、こういうことだと思うんです。したがって、頭数が非常に少くなった。すでに、国で考えた統計その他から、消費と生産のバランスがとれなくなって、すでに食い込んできておる。だから、いまいる牛を大事にして、十貫もよけに肉をつけて、そうして実際に口の中に入るようにしなければならないというのが私どものつとめだ、このように考えております。
  43. 浜田吉人

    参考人浜田吉人君) 先ほど中沢先生のお尋ねでございますが、私の記憶に間違いがございませんければ、大体兵庫県におきまする牛は、全体で約六万頭内外しかおらないと思っております。そのうちで、神戸牛と称されるものはその六万頭を全部さしているのかどうかはわかりませんでございますけれども、おいしい肉の代名詞といったような形で受け取られているわけで、実際は、それをもし神戸牛肉として、店頭にそうでないものが並んでいるならば、それは少し問題であると思うわけでございますけれども、ままそういったような名付けといいますか、名称のつけ方が行なわれている例もございます。それから、最もひどいのは、これは兵庫県の神戸市ではなくて、他の、四国のある県庁所在地の町で、たまたま私、食肉センターに用件があってまいりましたときに、ある大型のスーパーさんを拝見いたしますと、神戸肉と書いてあるわけでございます。これは先ほどのお話もございましたが、神戸肉、しかも百グラム四十八円、これはおそらく輸入肉だと思うわけでございますけれども、このようなまま販売がなされておるということにつきましては、かなりこれは自戒を要する問題であろうというふうにみて帰ったわけでございますが、あるいはやはり牛肉が非常に、先ほどの説明のように、増産におきましても、かなり根本的な対策とその時間がかかる問題でございます。ところが、片方、豚におきましては、すでに食肉事業団の開発等をしなければならないというふうに、かなり余っているというときにおきまする私ども消費者消費態度というものにつきまして、やはりここに反省と、そして指導がなければいけない、こういうふうに考えておるわけでございまして、現に私どもの九万二千世帯に及びますところの組合消費者家庭に向かっては、高い牛肉をお食べになるよりか、いま安い豚肉をどんどん食べてほしい。そして嗜好上の問題は別といたしまして、栄養上におきましては変わらない。むしろ豚のほうにおきましてはBがあるんではないか、こういうふうな訴え方をいたしまして、かなり実績はあがりつつございます。そういったような国民全体に対する消費の指導といったものがまだ十分……これは国全体として本格的に取り上げられるならば、これは私どものささやかな、いち九万数千世帯家庭だけの問題ではないわけでございまして、こういうことにつきましても、私どもはそれをやっておるだけに痛感をいたしております。そしてなお鶏肉等におきましても、ブロイラーなりを、私ども組合におきましては、岡山県経済連と兵庫県の経済連の両方から取ったりいたしまして、積送を願っておるわけでございますが、このような点におきましても、かしわあるいは豚ともに、いまむしろ余っているという現状におきまして、そういうふうなことをやっております。あわせまして価格につきましても、大体豚が——どもの、これは消費者の立場と若干協調を行なっております立場から見まして、先ほど御指摘がございましたが、私昨日神戸地方におきまする豚肉価格を、実際にやや安値であると思われるところのものを調べてまいりましたところが、百グラム、並みと書いて、五十五円、中六十五円、上七十五円、極上八十五円、こういうふうな価格になっております。豚肉は関東方面におきましては、皮つきのまま、関西では皮をはいだものと、大体枝におきましては習慣がございますようですが、ともかくその点におきまして、もう少し御指摘の点は、あるいは若干あるのではないかというふうに考えております。で、私ども組合におきましては、現在豚肉は並みにおきまして四十五円でございます、中肉で六十円、上は七十円、この辺のところに目安を置きましてやらしておりますが、これにおきまして、なお供給手数料は、人件費込みにおきまして約一八%ございます。こういうふうなこと。それからその職に当たる方たちには、技術職としてかなりの高給を出しておる関係上、どうしてもやむを得ないのでございますが、これは平常の価格でございますけれども、もっともっと豚肉を召し上がっていただきたい。そうすることによって、生産者もそこで救われるじゃないかといったようなことにおきまして、私どものささやかな力だけでは足りない、こういうふうに思っておるわけでございまして一ちょっと若干その点につきまして私見を述べさしていただきました。
  44. 太田康二

    説明員(太田康二君) 牛肉の各国の消費でございますが、日本は、先ほど先生がおっしゃいましたとおり、昭和三十九年で六・六キログラムということに相なっております。これに対しまして、先進国でありますところのアメリカ、イギリス、フランス等の数字を申し上げたいと思いますが……。
  45. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 それはここにいただいております。
  46. 太田康二

    説明員(太田康二君) それでは価格について申し上げます。私の手元にございますFAOの資料によりますと、牛肉——枝肉価格で一キログラムでございますが、概括的に申し上げますと、輸出国が安くて、やはり輸入国が高いという姿が出ております。で、輸出国でありますところのオーストラリアが一九六四年で、百七十二円、それから同じく輸出国でありますところのニュージーランドは一九六四年の数字が出ておりませんが、大体百五、六十円というところでございます。それから輸入国でありますところのフランスは四百十円、それからイギリスが、場所によって違うようでございますが、安いのが二百六十一円、高いのが三百三円、それからアメリカが三百十三円、このときの日本はまだあまり値段が高騰しておりませんで、三百四十七円というような価格になっております。ただし、先ほど来、話にもございましたように、それぞれ品質の格差がございまして、こういった比較がはたして正しいかどうかという問題はあろうかというふうに存じております。
  47. 野上元

    ○野上元君 もう時間がありませんから、基本的な問題について一、二、御質問申し上げたいと思いますが、先般、当委員会は青果の物価の問題について参考人をお招きいたしまして、いろいろと御意見を聞き、本日は食肉関係で御意見を聞いたわけなんですが、両者の間に、見ておりますと、非常な相違があるわけです。青果の場合には、特に消費者の方が言われたのははっきりしておるわけです。生産地で大根一本十円であるのに、われわれの手に入るのは五十円、六十円もするのはどういうわけだ、これは明らかに流通過程における中間マージンが高過ぎるのじゃないか、あるいはむだが大き過ぎるのじゃないか、こういう御意見が非常に強かったわけです。それについて、生産者あるいは仲買い人、あるいは小売りの皆さん方から、いろいろと意見が述べられたわけなんですが、きょう皆さんのお話を聞いておりますと、いわゆる十円のものが五十円するというような問題じゃなくて、元の牛が高いんだ、こういうことになっているわけです。したがいまして、流通過程の問題はあまり出ておらないわけですね。たとえば、小売りのマージンが二五%、しかし、それは当然だろう、生産者の方々がすでに倍ぐらいで売らなければならないから、小売りはとてもじゃないがやっていけないだろうと、こういうお話もあるわけです。そうしますと、これはやはり構造的な、根本的な問題じゃないかという気がいたします。青果といえども、物価でありますから、需給の関係が作用することは当然であります。しかし、青果の場合には、需給関係よりもむしろ流通過程におけるむだというのが大きい問題として取り上げられてきた。そしてきょうの問題は、食肉の場合はやはり需給のアンバランスが非常に大きい、そのために元牛が高いんだ、したがって、小売りが高いのは当然なんだ、こういうお話を伺ったわけなんです。そこで、実はそれに対する対策ということになれば、いろいろあろうかと思いますが、先ほど小林さんからお話が出ましたように、これはもう牛の場合の、生産を増強する場合には、いわゆる公共事業と同じであって、投資をするけれども、すぐ食肉として出てこない。その間にタイムラグが出てくるわけです。しかも、それは相当長い、時間のズレは相当長い。だから、その間に生産者のほうがはたして金利で持ちこたえることができるかどうかというような問題が出てまいります。これが一つの大きな私の疑問でございます。したがって、農林省あるいは政府から生産者に対する相当思い切った金融措置を行なわないと、とてもじゃないが、この長いタイムラグを消化することはできない。その間につぶれてしまって、小林さんが心配されておるように、肥育をやらないうちにどんどん殺して売ってしまう、こういう防衛措置が生産者でとられてしまうということになりますと、農林省が先ほど計画を発表されました、二百五十万頭までに持っていくんだ、こう言っておられましたけれども、今日の消費構造の非常な大きな変革から見まして、将来ますます食肉の需要がふえると思いますので、そうしますと、国民が食いながら、そして人口を増しながら、今日の状態を続けていった場合に、先ほど心配な資金的な措置が適切でなければ、むしろ逆に縮小されていくんじゃないか、生産が。そういう心配が私にはあるんです。これの一時的な措置としては輸入対策というものがあり得ると思います。思うけれども、先ほどお話のように全世界で三千万頭——そしてそのうち——牛の場合ですが、三千万頭、そして貿易可能の頭数は約百五十万頭であります。こういうことになりますと、全部日本がこれを買い入れるというわけにはいかないと思います。そのうちの幾分かを日本が輸入することになる。しかも、これも恒久的な対策とならない、やはり農林省当局において、需給対策をかためなければならないのだ、これは全世界的に見た傾向なんだ、こういうことになりますと、非常に私は対策がむずかしいと思うのですが、このタイムラグの問題、それを補なう資金的な措置、それと人口を増しながら、そうして今日の食肉を食いながら、しかも、消費構造がますますぜいたくになっていくだろうというふうに見通しをされると、需要はますますふえていくだろう、こういういろいろな予見を計算をしてみて、農林省ではたして計画されたような数字にたどりつくことができるかどうか。もしもそれが不成功に終わるということになると、これは大混乱におちいるということも考えられるんですが、その場合の農林省の考えをお聞きしたいのと、生産者のほうには、その資金的な措置が思い切ったことがなされないならば、五年、六年と持ちこたえて、そうして金利を払っていくだけの能力があるかどうか。依然として今日の状態子牛のままで売り飛ばしてしまう、あまり大きく肥育しないうちに、体重を増さないうちに、どんどん売ってしまう。こういう傾向が出るのではないか、それにたえ得るかどうか、生産者の立場からも、ひとつ議論をお聞かせ願いたいと思います。それだけでございます。
  48. 太田康二

    説明員(太田康二君) 肉牛に対する現在の金融措置でございますが、一つは、これはもちろん繁殖用の元牛でございますが、農林漁業金融公庫から畜産経営拡大資金というものを融資をしております。これは金利がたしか——間違ったらあとで訂正さしていただきたいと思いますが、五分五厘の三年据え置き十五年償還というようなことで、農林漁業金融公庫の、政府の財政資金を融通しております。それからやはり繁殖用の元牛でございますが、農業協同組合の資金を原資として、農業近代化資金助成法という法律に基づきまして、これに政府と県で利子補給をいたしまして、末端の金利を下げて、家畜を導入する農林漁業近代化資金という制度がございます。これに末端の金利が六分になるように、国と県で一分五厘ずつの利子補給をして、現在はこれに対しまして施設ももちろん——家畜の施設はたしか三年据え置き十二年償還だと思いました。家畜につきましては、多少問題があるわけですが、二年据え置き五年償還という形の融資をいたしております。それから先ほど申し上げました畜産経営拡大資金というのは、やはり家畜と施設とをセットにして融通する、最高二百万を融通することにいたしております。  それで、現在の金融で十分かということで、実は今回、いま申し上げました近代化助成法の一部を改正いたしまして、繁殖用のめす牛につきましては、いままさに先生が御指摘なさったように、資本を投下してから、それが果実を生んで、現金化するまでに相当の迂回生産の機会がある。その間のいわば中期的な運転資金、えさ代とか、種つけ料とか、農機具の修繕費代とか、そういったものがございます。こういったものは農業近代化資金助成法が農家の資本装備の高度化というようなことで、固定施設的なものに対する導入資金の利子補給補助であったわけですが、今回中期の運転資金に対しましても利子補給補助をするということで、現在国会で御審議をいただいているようなことでございまして、およそ中期の運転資金につきましては、従来利子補給補助の道がなかったわけでございますが、今回、先ほど申し上げました家畜とか、施設と同様に、中期の運転資金に対しましても、政府と県で利子補給補助をいたしまして、農家経営の拡大ができるようにやってまいりたい、かような改正をこの国会に出しているような次第でございます。  金融制度につきましては、いま申し上げましたようなことでございますが、やはり先ほど来申し上げておりますように、繁殖育成部門に重点を置きまして、今後の生産対策を進めてまいるわけでございますが、なお、それ以外にこれを効果的に実施してまいるためには、やはり子牛価格安定ということが一番の基本であろう。と申しますのは、もうくどいようでございますが、現在の需給実勢から見まして、末端の牛肉価格というものは、もちろん現在のような高値であっては消費者物価対策上いろいろ問題があるわけでございまして、これにはまた別途、私のほうで今回畜産物価格安定法の一部を改正する法律を提出いたしまして、御審議をいただくことにいたしておりますが、事業団が、先ほど申し上げたような事情で、生産対策を講じても、直ちに即効的な効果が出ない。したがって、その間の需給の調整をはかるために、従来民間貿易で、もちろん外割制度でございますが、やっておりましたもののほかに、畜産振興事業団で輸入をする。そして、外国におきます屠殺時期とわが国の需要期とがずれております。で、南半球の豪州、ニュージーランド等から輸入するわけでございますので、その屠殺時期に契約をいたしまして、日本で最も需要が旺盛な秋から冬にかけてこれを放出する。で、もちろんその際、国内の豚肉価格に対する影響、牛肉価格に対する影響等も考えまして、現在の卸売り価格が一割程度下がるようなことを目途に、輸入を効果的に計画的に行なうための畜産振興事業団による輸入制度を制度化するための法制も出しておるわけでございますが、こういったことをやりつつ、いままでのような過大屠殺、輸入を締め過ぎたことに伴います過大屠殺を防ぎつつ生産対策を講ずることによって、ぜひ二百五十万頭を達したいと思っておるわけでございますが、このためには、いずれお時間をいただいて、詳細に生産対策をひとつ聞いていただきたいと思うわけでございますが、先ほど申し上げたような子牛価格の安定事業もやる。さらに、優良なめす牛につきましては登録保留制度も考えて、さらに人工授精等につきましては、できれば国で精液代はただにするようなことも考える、あるいは、従来、とかく改良については、むしろ肉質に重点を置いた政策が進められてきたわけですが、肉質もさることながら、増体量が非常に早いというような外国種を入れまして、これと日本の在来の和牛との雑種をつくっていくというようなことも生産対策としてやってまいりたい。こういったことをやることを通じまして、ぜひ昭和五十年には二百五十万頭にふえる規模に持ってまいりたい。しかし、当面の間はなお減りまして、四十七年度か八年度あたりで二百万頭規模を回復して、五十年度には約二百六十万頭になるというような計画で生産対策を進めてまいりたい、かように考えております。
  49. 島村義雄

    参考人(島村義雄君) 先ほど中沢先生の御質問の中で、三割も消費量が減っているのに、値段が下がらないがどうかという点につきまして、私は値段の点でちょっと回答いたしませんでしたけれども、いま御請求がありましたので申し上げます。牛肉に限っては、現在のような生産形態においては、おそらく下がる可能性はございません。もう少しいまの肥育状態が変わってこないと、いまのような生産の形態では、おそらく牛肉については、私は売れなくても下がらないと思います。そこで、先ほど先生から御質問がありました中で、銘柄の問題が出ましたね。日本の肉は世界で一番おいしい。そして日本の肉では、代表するものは神戸牛と言われておりますが、大体肥育地におきましては、近江牛、伊勢牛、これが二大銘柄で、それから松阪牛と、こう言っていますが、これが非常に悪用されているんじゃないかと。私は、業者から相当、国会においてそういうことを言ってという突き上げを食うかもしれませんが、勇気を鼓舞して申し上げますが、これが非常に価格形成の上に相当な障害があるわけでございます。たとえば、新潟でできた牛、山形でできた牛、四国でできた牛、九州でできた牛、それでもいいものは、先ほどこちらからありましたように、伊勢牛であり近江牛であるという虚偽の看板を掲げて売っているという状態が非常に多いんじゃないかと。現実に近江でなくてあちらからきた、つまり山形からきた牛、新潟からきた牛を近江牛と称して、あるいは松阪牛と称して銘柄を偽って販売がされている。私は今度の市場開設にあたって産地銘柄をはっきりするということをきめていただきたいと思う。そのことによって、近江牛であり、松阪牛であるという名称によって、特別価格が形成される、こういう実態がございます。近江牛だから同じ価値のものでも高いのだ、こういった特別価格が形成されている。しかも、東京でわずか十頭か二十頭しかつぶせない近江牛が、東京全域の肉屋に近江牛として売っております。これは近江牛ですといったような、そういう虚偽の名称が悪用されている。これは業者から私は強い突き上げを食うかもしれませんが、こういうことをやり直さなくちゃいけない。そのためには、市場開設等ができましたときには、これは法か何かによって産地銘柄というものははっきり私はつけてもらいたい。われわれ小売り屋としましてはそれを希望している。近江牛、伊勢牛と名称がつくだけで特別価格ができている。おいしい、おいしくないということは、いままでのような小売り形態からいって、そんなものはもう、ほんとうの近江牛、ほんとうの伊勢牛は、上がり屋さん、つまりすき焼き屋さん以外は使えない、一般には売れません。しかしながら、長い一つの習慣から、また消費者の考え方から、神戸牛はうまいのだ、近江牛はいいのだということを相当悪用して、そういう虚偽の名称を使って売っても一般にはわからない。もう向こうから判を押してきます、近江牛です、伊勢牛です。ほんとうはそうじゃない。長くやっている連中なら大体一目見ればわかりますが、そういうことによって特別価格が形成されるおそれがあり、まだ過去においてそういう事例がたくさんあります。だから、今度の問題につきましては、市場等が開設せられた暁には、そういう産地銘柄というものをはっきり表示する、こういう形態をとっていただきたい。これは業者としましては、私はたいへん突き上げを食うかもしれませんが、私はこういう面を直すべきであると考えますので申し上げます。
  50. 岡本悟

    ○岡本悟君 島村さんにちょっとお尋ねしたいのですけれども、先ほどのお話では、牛肉が非常に高くなったため、昨年に比して大体三割売り上げが減っている、おまけに豚も二割ぐらい減っている、こういうふうなお話ですね、そうでしたね。ところが、私のうちなんかの経験によりますと、牛肉が高くなったので、当然のことなんでありますけれども、これを豚に切りかえておる。ですから、ごく常識的に考えますと、豚の消費量がふえなければいかんというふうに思うのですけれども、それはどういうことなんでしょうか。  それからもう一つ小林さんに、労働力が相当急激に減っていると思うのですが、今後牛を大いにふやそうというのに、この労働力の点はどうなんでしょうか。これをお聞きしたい。
  51. 島村義雄

    参考人(島村義雄君) 私は先ほど申し上げましたが、牛肉は確かに三割減っている、なお、豚におきましても消費量が減っている、これは東京だけの見方で、全国的には減っておりません。先ほど申しましたのは、私は東京だけのことをちょっと申し上げましたけれども、全国的に見ますと、農林省等にも資料があると思いますが、減ってはいないはずなんです。ふえてはおりません、大して。いままで大体二〇%ぐらい伸びてきたものがストップしております。東京の現象におきましては、私はやはり税金月であり、やはり不況ムードがお口まできた、こういうふうな解釈をいたしておりますが、どんどん伸びておりました豚の消費量が、昨年の大体十一月ごろから依然として伸びない。むしろ最近におきましては、東京周辺だけにおきましては売り上げが非常に減っている。こういう状態で、かえって関西辺では牛が豚に転化してきておりますから、全体の量から見ますと、若干ふえているかと思いますが、東京だけの状態は減っております。
  52. 小林松五郎

    参考人小林松五郎君) ただいまの御質問ですが、昔と畜産の構造を変えまして、この経営診断にもございますが、二十頭の牛を一日六時間で管理しております。したがいまして、つなぎ式にして、水道で水をやるようにして、えさはほとんど濃厚飼料と、粗飼料もやりますが、かわいたままのものをやり、そうして管理を非常に楽にし、ふん等はすぐその場で一輪車につけて片づけるというふうに、その日に仕事が片づくように、工場のようにやっているわけです。ちょうど鶏がバタリーで飼われているように、畜舎を全面的に改良しまして、多頭育をし、拡大化するというような方向で、労働力の不足を補っております。  それからもう一つ、農林省のほうのあれですが、現在、これは百姓として言いたくないのですが、雌牛を貸し付けた場合、資金の関係で子を取らないで肉にしてしまって、早く出してしまうというようなことがあると非常に困ると思うのです。それは管理上の間違いであるというふうな判断と、故意にやったという判断と二つの判断があると思うのですけれども、そこら辺のところは悪気でやっているわけではございませんので、ぜひ、その目的が達せられるように、子を取るための牛は子が取れるような御指導と何といいますか、あと押しをしていただいて、そして、増産ができるような方向へ持っていってもらいたい。特にその点は注意していただかないと、手のうちでやることですから、えさをたくさんやれば、発情がこなくなって、肉牛として回転が早くなって、三年たたないうちに、わずか十カ月か十五カ月で肉になって出てしまいます、その点をひとつお願いしたいと思うのです。
  53. 鈴木資生

    参考人(鈴木資生君) 私のところでも、大体、年間百頭くらいの牛を出しているのですが、先ほど倉吉の牛が回り回ってまた鳥取へ戻ったというお話を伺いましたが、私の周辺というのは、もと馬産地であったのが、子牛の産地になりまして、子牛の産地は非常に近いわけです。子牛を東海へ持ってきて、二年程度肥育して出しているのですが、東海村内では相当ぐるぐる回っているわけです。よそへは出ていかないのです。これは組合が売りたいという人のを買い上げて、また、必要な人に貸し付けをしているということで、防いでいるわけなんですが。  それから一体、値段の根本原因は何だということを言われましたが、私は農家の生産意欲が根本原因だというふうに考えております。というのは、先ほど来、不安があるということを言っておりますが、どうなるか先行きわからない、あるいは殺してしまうかもわからないという不安があるために、適当にもうけたところで手放そうということが、やはり一番大きい原因だというふうに考えております。そこで、考えられることは、牛が高いから、これは下げるくふうはないかと言い始めたって、手おくれなんです。実は一番安くなったときに対策を考えなければだめだということなんです。そこで、先ほど私が増産対策はあっても、物価対策はないということを言いましたが、物価対策といえば、一般的な消費物価の対策ではなくて、その前の生産者が手放すときの対策がないということなんです。豚については、畜産振興事業団の買い入れ価格というものはありますけれども、これで効果があがるのは、大体四〇%ないし五〇%程度だろう。いまの程度ではまだまだおそらく十分とは言えないということなんであります。で、豚でさえこういう状態ですから、なおさら牛について、いろいろ増産対策をどうするこうするということは言われましたが、この程度では、おそらく生産農家としては不安で手がつけられないということだと思うのです。したがって、その先の対策をどうするか。牛を増産して余った場合には、どうするのかということまで考えて増産対策をやらないと、農家の生産意欲は上がってこないということを申し上げて、その対策をひとつ同時に立てていただきたいということをお願いいたします。
  54. 小林松五郎

    参考人小林松五郎君) もう一つぜひ話したいのです。  農林省の方が一割くらい下がるようにしたいというふうに申されておりまするが、隣の方が言うように、一割下がると、私どものほうでは、いま現在六百五十円で買ってもらっておるものを、いまの元牛だと七百三十一円で買っていただかないと採算割れになる。現在では一頭飼って二万一千八百十二円損になる、こういうことなんでございます。したがいまして、やはり安いときに対策を立てていただかないと、いまになっては急場に間に合わないということになるのじゃないかと思います。このままでいきますと、私は実際つぶれてしまいますし、私につながる群馬県の去勢をやっておる方々がみんなつぶれてしまいます。このとおり、ことしは一千頭私のところでは出荷しましてお祝いしたわけであります。これだけ協力させていただいておる私たちが倒れてしまうということになりますので、何とか牛が飼っていけるようにひとつしていただきたいということが最後のお願いでございます。
  55. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) それでは、他に御発言がなければ、本件に関する調査は、本日のところはこの程度にとどめておきます。  参考人皆さんに一言お礼を申します。  きょうはお忙しいところ遠路おいでいただきまして、陳述の御親切、かつまた質疑に対しましても非常に懇切に御答弁をいただきまして、本委員会としましても非常に得るところがございました。厚くお礼を申します。  別に御発言がなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後五時七分散会