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1966-02-25 第51回国会 参議院 物価等対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月二十五日(金曜日)    午後一時三十六分開会     —————————————    委員異動  二月二十三日     辞任         補欠選任      岡本  悟君     温水 三郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         吉江 勝保君     理 事                 金丸 冨夫君                 岸田 幸雄君                 野上  元君                 田代富士男君     委 員                 木村 睦男君                 温水 三郎君                 北村  暢君                 木村美智男君                 松永 忠二君                 中沢伊登子君    政府委員        公正取引委員会        事務局長     竹中喜満太君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○連合審査会に関する件 ○当面の物価対策樹立に関する調査   (不況カルテル等に関する件)     —————————————
  2. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) ただいまから物価等対策特別委員会を開きます。  まず、委員異動について報告いたします。  二月二十三日付をもって岡本悟君が委員を辞任され、その補欠として温水三郎君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 次に、連合審査会に関する件についておはかりいたします。  ただいま運輸委員会に付託されております国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案について、運輸委員会に対し連合審査会開会を申し入れることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会日取り等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  6. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 次に、不況カルテル等に関する件を議題とし、まず本件の現況について、公正取引委員会当局から説明を聴取することにいたします。
  7. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 初めに、簡単に公正取引委員会物価対策を申し上げたいと思います。  物価対策の面で公正取引委員会が果たすべき役割りは、独占禁止法を厳正に、効率的に運用いたしまして、競争条件を整備するという本来の任務に尽きるわけでございますが、最近におきます物価問題の重要性にかんがみまして、公正取引委員会としましては、業務の運営の重点を三点あげております。  まず第一点は、違法な価格協定等カルテルの取り締まりでございます。御承知のように、独占禁止法第三条後段は、違法な価格協定等禁止しております。したがいまして、こういうものがございますれば、当然私のほうとしては違法の疑いがあるものとして審査することになるわけでございますが、最近におきまして、価格影響を及ぼすような協定が非常にふえております。具体的に数字を申し上げますと、昭和三十九年度におきまして、私のほうで違反疑い審査をしました事件は百五十八件ございます。この百五十八件のうち、価格協定が七十五件、価格影響を及ぼす協定まで含めますと八十八件という半数以上の数字になっております。それから、昨年一月から十二月までの一年間に、私のほうが法律違反としまして法的措置をとりましたもの四十一件ございますが、この四十一件のうち、価格影響を及ぼす協定が三十件ございます。  こういう情勢でございますので、これからも価格協定等の違法なカルテルについては、機動的に規制をしてまいりたいと思います。しかし、この点に関連しまして、消費者物価影響を及ぼすと思われる法律がかなりございます。これは独占禁止法価格協定等禁止しておりますが、特別の理由によりまして、この規定適用除外をしておる法律がございます。その数が三十九ほどございます。それで、消費者物価の面で特に注意しなければならない法律は、中小企業団体法及び中小企業団体法に基づきますところの商工組合調整事業、それから環境衛生法、この法律に基づきますところの同業組合事業、それから独占禁止法の中にあります不況カルテル規定に基づく不況カルテル、それから中小企業協同組合法に基づくところの中小企業協同組合対価決定、これらが消費者物価の問題を取り上げる場合に特に問題になる法律であり、事業であると思います。  このうち、中小企業団体法に基づきますところの商工組合調整事業及び環境衛生法に基づきますところの同業組合事業につきましては、主務大臣認可をするにあたりまして公正取引委員会同意を求め、あるいはこれに協議をすることになっております。で、その際、公正取引委員会といたしましては、関連事業者はもちろん、消費者利益も不当に害されることのないよう十分注意をいたしまして、同意及び協議に応じておるわけでございます。  それから第二の不況カルテルでございますが、不況カルテルは、現在十七のものがございます。不況カルテル認可するのは公正取引委員会でございますが、不況カルテル認可するにあたりましては、非常にきびしい条件がございますので、公正取引委員会としましても、それらの条件を十分検討するとともに、その中で特に関連事業者及び消費者利益を不当に害することがないという点につきまして、十分検討いたしまして、これを認可いたしておるわけであります。  それから、その次の中小企業協同組合法に基づきますところの協同組合対価決定でございますが、これが最近所々方々で多数行なわれております。独占禁止法は、御承知でありましょうが、協同組合行為については独占禁止法適用を除外しております。これを除外いたします趣旨は、協同組合は個々の企業では大企業に対抗できないものが一緒に集まりまして共同経済事業、すなわち原材料の共同購入あるいは共同加工、あるいは共同販売をするというためにつくるものであるという考え方から、これを適用除外したのでございますが、現在の協同組合は、まあほとんどと言っていいくらい共同経済事業を行なわずに、対価決定というようなことだけをやっております。で、これを一体どういうふうに規制するかという問題がございますが、独禁止法は、元来、共同経済事業を行なう本来の意味協同組合を頭に置いて規制をしておりますので、この規制につきましては、現在行なわれておりますような協同組合事業についての規制につきましては、なかなか法律的に論議がございまして、簡単にこれを処理することはむずかしいというような段階になっております。で、こういう問題がございますので、最近、政府中小企業政策審議会でも、その組織部会におきまして、協同組合のことにつきまして、いろいろ検討いたしております。  これが第一の違法価格協定等規制に関する件でございます。  それから第二は、管理価格等のいわゆる硬直的な価格実態の究明と、これが対策でございます。管理価格ということばは、いろいろな意味に使われておりまして、商品価格というものは需給のバランスによってきまるべきであるにもかかわらず、人為的にこれがきめられておる、これを管理価格という、これは非常に広い意味でございます。そういう場合には、いわゆるカルテル価格まで入ってくるわけでございます。そうなりますと、カルテル価格につきましては、先ほど申し上げましたように、独占禁止法のこれが規制の対象になりますので、当然これを規制することになりますが、狭い意味管理価格、つまり化繊の業界で、企業の事情あるいは価格に対する支配力が非常に強いもので、需給によらずに価格をきめることができる。しかもこれが硬直してはならない。で、生産性が向上しておるにもかかわらず、それでコストが下がっておるにもかかわらず価格が下がらない、こういう問題があるわけでございます。で、私のほうとしましても、いわゆる硬直的な価格と思われるものを調査いたしまして、いま申しましたような狭い意味管理価格に当たるものがあります場合には、これは協定ではございませんで、独占禁止法で云々する筋合いのものでございませんから、それぞれの主管官庁連絡をいたしまして、輸入の促進とか、あるいは関税の引き下げとか、競争企業の育成とか、競争条件の整備につとめてまいりたいと存じております。これが第二点でございます。  次に、第三点は、再販売価格維持契約制度の根本的な検討とその規制でございます。再販売価格維持契約と申しますのは、メーカー問屋契約をいたしまして、問屋商品を売る場合に、その商品問屋小売り出荷する価格をきめるわけでございます。それで問屋がそのきめられた価格以下の価格小売り業者商品出荷した場合には、メーカー問屋に対して出荷をとめることができる。この契約に基づきまして問屋小売り業者契約を結びまして、小売り業者一般消費者に対して売る場合の価格をきめまして、小売り業者がこの価格以下で一般消費者にその商品販売をした場合には、問屋小売り業者に対する商品出荷をとめることができる。要するにメーカーの希望する末端の価格を維持してまいる制度でございますが、この制度昭和二十八年に独占禁止法が改正されましたときに、いろいろ論議がございましたが、そのとき新しく加えられた制度でございまして、最近これを結ぶ会社の数が非常にふえまして、昨年の十二月の末で六十五社というような状況になっております。したがいまして、物価問題のやかましいおりから、この再販売価格維持契約制度が非常に世間で制度自身についての議論が行なわれておるわけでございます。で、私のほうといたしましても、この制度自身検討もさることながら、この運用につきまして現在いろいろ措置を考えております。再販売価格維持契約を結ぶことのできる商品は、公正取引委員会がこれを指定することになっております。著作物指定なしにできることになっておりますけれども商品指定をすることになっております。それで先般までは九つの商品指定されておりましたが、先般そのうちの四品目につきまして、現在のところ指定の必要がないという判断からこれを取り消しまして、現在五品目、それに取り消しました写真機の中の海外旅行者用免税品だけを入れまして六つとなっております。それと同時に、公正取引委員会商品指定する場合には、自由な競争が行なわれている商品でなければならないということになっております。そこで私のほうでいろいろの商品指定しましてから、もう相当の時日がたっておりますので、その後自由な競争がはたしてそれぞれの商品について行なわれているかどうかということを検討いたしまして、そういう事実がないということであれば指定を取り消そうと思いまして、その措置を現在とっております。再販売価格維持契約の問題に関連していろいろ論議されますことは、公正取引委員会指定をした商品以外のものにつきまして、こういう制度が行なわれておるということでございます。これは相当数あるのではないかと思われますが、指定商品以外につきましてこういうことを行なえば、当然独占禁止法違反になりますので、私どもとしましては、そういうものがあります場合には、逐次これを違反として処理してまいる覚悟でございます。  それから育児用の粉乳につきまして、現在審判手続を三社について行なっております。  はなはだ簡単でございますが、公正取引委員会が現在行なっております、また将来も行なおうとしております物価対策に関連しまして、基本の重点、三点を御説明申し上げました。  それから、お手元に差し上げました資料につきまして、簡単に御説明を申し上げます。大体ごらんいただけばおわかりになると思うのですが、「カルテル等に関する資料」一ぺ−ジは、これは独占禁止法法体系を簡単に図示したものでございます。  次にニページでございますが、これは公正取引委員会機構図でございます。これは四十一年度予算が成立した場合のことも頭に置いてつくってございます。  それから三ぺ−ジ以下が適用除外法、先ほど申しました適用除外法が三十九ございますが、この適用除外法に基づくカルテル資料でございます。これは五ぺ−ジですが、総計千五十二と出ております。その千五十二のうち、比較的多いものは、中小企業団体法に基づくところのカルテル、これが六百二十四ございます。それから輸出入取引法に基づくカルテル、これが二百七ございます。それから環境衛生法に基づくカルテル、これが百二十三ございます。それで全部で千五十二となっておりますが、この中には、機械工業振興臨時措置法とか電子工業振興臨時措置法というような法律に基づく合理化カルテルも入っております。で、これが全部価格影響あるカルテルと申すわけにはいきません。  それから次の六ページ以下でございますが、これが独占禁止法の二十四条の三の不況カルテルでございまして、現在十七ございます。で、お手元に差し上げてあります資料は、昨年の十二月末でございまして、このうち自動車タイヤ不況カルテルが十二月末で廃止になりまして、本年になりまして軸受け鋼不況カルテル認可になりましたので、数は同じく十七ございます。  それから十ぺ−ジに参りまして、独占禁止法第二十四条の四の規定に基づきます合理化カルテルでございます。これは現在十四ございます。これは大体禁止の制限を行なうカルテルでございます。  それからその次が十二ページでございます。中小企業団体法に基づきますところのカルテル実態でございます。全部で六百二ございます。岸てれで一番端に書いてございますのは、このカルテルの実施の年数を書いてございます。長いものは十年以上というのが相当数ございます。  それからその次の十三ぺ−ジでございますが、これが環境衛生法に基づくカルテルでございます。これは御承知のように、価格ずばりでございませんで、最低料金をきめると、この上は自由というたてまえをとっております。  それからその次でございますが、法令別価格協定一覧表でございます。そのうち中小企業団体法価格協定でございますが、これは業種にして六と書いてございます。これはこまかいものでございまして、この六は、マッチとか、たびのこはぜとか、ラムネとか、そういうものでございます。  それからその次のページは、独占禁止法違反事件一覧表でございます。これは年度別にあげてございます。  その次が違反行為類型別一覧表、それから類型別法的措置をとった一覧表でございます。これでごらんになりますと、価格に関する、価格影響を及ぼすような協定が非常に多いということがおわかりになると思います。  それから最後のぺ−ジは、これは上の段は届け出の何でございますが、下の段のはを、一番下をごらんになっていただきますとわかりますように、昭和三十八年度から再販売価格維持契約を締結している会社の数が載っておりますが、四十年の十二月末では六十五社というように増加いたしております。  簡単でございますが御説明を終わります。
  8. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 公正取引委員会当局に対し、質疑のおありの方は順次御発言願います。
  9. 野上元

    野上元君 竹中さん、御苦さんでございます。若干の時間拝借して、主として不況カルテル問題等についてお尋ねしたいと思うのですが、従来公取委存在について、ややもすれば通産省の下風に立ってともにカルテルを推進したというような批判もあったわけです。ところが、最近になりまして、セメントであるとか、あるいは小麦粉であるとか、あるいは明治商事であるとか、森永商事であるとか、いろいろな企業に対して相当きびしい捜査が行なわれており、適切な措置をとられつつあるということで、公取委存在が私は非常に最近は物価高騰とともにクローズアップされてきたと思います。その点非常にわれわれも心強く感じておるわけです。したがって、国民公取委に対して非常に期待を持っておると思います。  そういう考え方から立って若干の質問をしてみたいと思うのですが、先般も藤山経企庁長官に聞いたんですが、最近物価高騰が非常に国民の生活を圧迫してきて、これはもう社会的に大きな問題になってきた。したがって、物価上昇を食いとめるのが当面政治の最大の課題であるという認識に立っておると、こういうことでございますが、その点はわかります。しからば、どこをどうして物価上昇が起きたのかということになってまいりますと、いろいろと議論のあるところだろうと思います。特に一般的にいわれておるのは、三十六年から実施された高度経済成長政策、いわゆる所得倍増計画によって、さなきだに設備投資に燃えておった業界を著しく刺激をした。そのために大企業は非常な設備投資を推進していったと。ところが、生産性のあがらない中小企業であるとか、農業であるとか、あるいはまたサービス業であるとか、こういうところは、賃金の平準化という圧力の前に人件費が非常に高くなった。そのために物価上昇が起きてきた。こういうのがいまの特徴的な物価値上がりの姿ではないか、こういうふうに一般に言われておるわけです。したがって、この高度経済成長政策の功罪については、いまここで論じてもしかたがないと思います。現実にそういう現象が起きてしまっておるわけですから、しからばこれをどうするかという問題が出てくるわけですが、いま申し上げましたような低生産性部門における価格上昇、これが物価上昇に響く、非常に大きなウエートをもって響いておるのだということについては、一応皆さんの認識はあまり違わないと思う。ところが、どの政府物価対策を見てみましても、大企業がつくり出す製品価格についてほとんど触れておらない。触れてもおざなりの触れ方をしておって、これに対する積極的な対策というものがほとんどないわけなんです。というのは、よくいろいろと調べてみますると、政府の中においても、この問題についての態度が統一されておらない、ばらばらであるというふうにわれわれには見受けられるわけです。たとえば、ある一方の人は、今日の物価上昇のほこ先は、先ほど言った低生産部門に向けられるべきであって、大企業過当競争の中にあるのだ。したがって、この過当競争の中にあるものに対する価格の問題を幾らついてみても、それは筋違いである。したがって、もっぱら低生産部門にその対策を求めるべきである、こういう一つの考え方の人がおります。もう一方のほうは、そうではない。大企業相当生産性が上がっておるはずだ。それは過去における設備投資のあの膨大な額から見ても当然そうあるべきである。にもかかわらず、物価というのは、価格というものはちっとも下がっておらない。この一事をもってしても、この大企業生産費に対するメスを入れる必要がある、まあこういうお考え方がある。しかも好況期においては、彼らは極大利潤を追求しておるじゃないか、そして不況期になればカルテルを結んで、そして防衛しようとする。それでもだめなら、政府財政あるいはまた金融の応援を求めて、みずからを防衛しようとする。そしてまた不況を乗り切ったら、反動的に好況がきた場合には、また自由化に向かって彼らは強く要求していく。これでは日本財政金融政策、その他もろもろの物価に対する対策は、大企業保護であって、消費者に対しては、全然保護しておらないのではないか、こういう考え方二つ政府の中に明らかに出ておると私は見ておるのですが、公取委はどういう立場をとられるか。大企業製品価格の問題についてどういうお考え方を現在持っておられるか、その点をお聞きしたいと思います。
  10. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 御承知のように、公正取引委員会に対しまして、物価対策の面で、非常に大きな期待が現在寄せられておるようでございますが、御承知のように、公正取引委員会が行ないます任務は、価格協定がある場合に、これを取り締まるということだけに尽きるわけでございます。したがいまして、物価対策と申しましても、積極的というよりむしろ消極的な面といって差しつかえないのじゃないかと思います。で、私どもとしましては、大企業でも価格協定があれば、これは当然違反として処理しなければなりませんし、先ほど申し上げましたように、管理価格というような現象が現われておれば、これを検討いたしまして、カルテルに基づくものであれば、これは法的に処理しますし、カルテルに基づかず、生産性が向上しておるにかかわらず、コストが下がっておるにかかわらず、下がらぬというようなものであれば、それぞれの主務官庁連絡をして、競争条件を整備するような措置をとってもらおう、こう考えております。
  11. 野上元

    野上元君 独禁法をすなおに読んでいけば、確かにいま竹中さんの言われたような立場に立たれると思います。しかし、独禁法そのものは、消費者保護のために存在する法律だと思うのです。消費者保護ということになれば、結局価格の問題だと思います。あるいは品質の問題だと思います。したがって、必然的に公取委のやっておられる仕事は、価格の問題に結びついて当然じゃないかというふうに私は考えております。しかし、公取委がどこでも、たとえば、セメントに手を入れたとか、あるいはその他のカルテルに手を入れた場合に、すくある一方の官庁は——正確に言えば通産省は、公取委価格の面までにメスを入れようとしておる、これは明らかに越権行為である、こういっていますし、かつまた、せっかく経済が協調的なベースに乗ろうとしておるのに、それをまたまた再び古い過当競争の姿に引き戻そうとするのが公取委考え方じゃないか、これは明らかに現代の経済活動を十分認識しておらないのじゃないか、こういうふうな批判があるのですが、それについてはどうですか。
  12. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) いまおっしゃられたようなことが新聞には出ておったようでございますが、私どもは単なるゴシップとしまして問題にはいたしておりません。それで、価格について公取が云々ということを言われましても、私のほうは協定した価格価格協定を問題にしておりますので、価格が幾らでいいというようなことを言っておるわけではございません。  それから、私のほうは、そういう違法な状態を排除して、何も昔の状態に返すとか何とかいっているわけではございませんで、自由競争の場をつくろう、ただそういう考えで法を運用しておるわけであります。
  13. 野上元

    野上元君 それではちょっと質問を変えますが、これもやっぱり新聞の記事なんですが、朝日新聞中田経済部長が主宰して討論会を開いておりますが、その中で、日本興業銀行の常務である梶浦さんがこういうふうに言っております。「本来さがるべき大企業製品価格がさがっていないといわれる。しかし、現在はこれ以上価格が下がったら相当数企業経営があぶなくなる」のではないか、こういうふうに言っておりますが、公取委としては、いまの梶浦さんのおことばを是認をされますか。
  14. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) これ以上下がれば企業経営があぶなくなるということであれば、それは独占禁止法の二十四条の三の不況カルテル条件に乗れば、不況カルテルをおやりになればよろしいので、それぞれの企業はそれぞれの経営者判断で、しかるべく価格の値上げでも値下げでもおやりになればよろしいのじゃないかと思います。
  15. 野上元

    野上元君 現在の日本における経済状態は、自由競争状態にあるのか、それともカルテルのほうが強いのか、その点はどういうふうに公取委ではお考えになっておりますか。
  16. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 独占禁止法が制定以来、経済の基本法というようなことをいわれておりまして、あくまでも日本経済自由競争立場を貫いておるのだと思います。ただ、現在非常にカルテルの数が多いということは事実でございます。
  17. 野上元

    野上元君 独禁法が生まれたのは、たしか昭和二十二年ですね。そうして、これは総司令部の指導のもとにつくられた。そうしてアメリカは、御承知のように、独占というものに対する考え方は非常にきびしいのですね。それは悪であるという強い立場に立ってアンチ・カルテル・トラスト法というものができておるようです。最初のスタートは私は確かにそうだったと思うのですが、二十八年に改正になっています。その改正になって、例の合理化カルテルであるとか不況カルテルであるとか、あるいは再販価格維持契約であるとか、こういうものが認められたわけです。ところが、最近の情勢を見てみますると、むしろカルテルは善であって、これを否定するのは悪であるというようなむしろ強い考え方が出てきておるんじゃないかということを私は感ずるのですが、公取委としてはどうですか。
  18. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 私ども法律のたてまえからいいまして、現在の法律が原則禁止主義をとっておりますので、カルテルが善であるなどということは考えておりません。何らかの特別の理由があって適用除外せざるを得ないものは別といたしまして、われわれは善であるとは考えておりません。それから、一般にもカルテル自体が善であるという風潮がそれほど高まっておるとは私ども認識しておりません。
  19. 野上元

    野上元君 後ほど資料として、これにはないと思うんですが、国民の消費生活がカルテルにどれくらい影響されておるかというような資料がありましたら、あとでいただきたいと思います。
  20. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) はい、承知しました。
  21. 野上元

    野上元君 いま私が、独禁法昭和二十八年の改正以後非常な質的変貌を来たしたという、こういう一つの考え方を持っておるその論拠は、独禁法適用除外カルテルの総認可件数をちょっと調べてみましたら、二十八年からウナギ登りに多くなっておるのです。そして、特に不況好況の差別がないのです。このウナギ登りの登り方が、不況カルテルですから、不況のときには緊急避難として私はあるいは許されると思うんです。しかし好況のときでも、なおかつどんどんとふえていっておるということは、独禁法というものが、すでに今日骨抜きになって、むしろカルテル行為日本経済を安定的にささえておるのだというふうな考え方が出てきておるんではないかというふうに思うんですが、なぜ不況期好況期の差別なくカルテル数がふえているか。これについては公取委としてはどういうふうにお考えですか。
  22. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 適用除外カルテルで多いのは、何といいましても、中小企業、それから輸出入取り引きに関するものでございます。で、まあ中小企業につきましては、先ほど申しましたように、中小企業団体法に基づくカルテルがございまして、このうち一つを除きまして、全部が不況カルテルでございます。で、長いものは十年以上も続いておるというような状況でございまして、これにつきましては、中小企業安定審議会でも問題になりまして、これを早い機会にどうにかしなければいかぬのじゃないかというようなことも議論されております。また一方では、中小企業近代化促進法ができまして、業種の指定をして金融のめんどうを見るというようなことで、できるだけ早くこの事態を解消しようと努力しておるようでございますが、まあ、いまおっしゃるように、私どもとしましては、大企業などにつきましては、それほど好況不況を問わずいわゆる不況カルテルのようなものがあるとは考えてはおりません。
  23. 野上元

    野上元君 そうしますと、二十八年以後、好況不況の区別なく伸びていっておるというのは、一体どういうふうに解釈したらいいんですか。それは、日本の産業の規模が大きくなったのだから、それに比例して当然増的なものだというふうにお考えなんですか。
  24. 北村暢

    ○北村暢君 関連して、ちょっと……。  不況カルテルの、「不況」というものに対する概念をちょっと説明願いたいと思うんですけれどもね。というのは、たとえは精糖業——精製糖ですか、精製糖の不況カルテルやっているわけですね。その場合に、設備が過剰で、これは一般経済不況だからカルテルを認めるというのと、この設備過剰の状態一般経済好況不況にかかわらず、その精糖業から見れば過剰生産になって、これは不況ということを言い得るのでしょうけれどもね、どうもそこら辺の「不況」の判断のしかたがいつまでたったってこれは解消しませんよ。そうすると、合理化がなされて、スクラップなりなんなりやるとか、その精糖工業会なら精糖工業会が自主的に何らかの方法を考えない限り、これはどういうふうな方針で、認可を、いつまでこれをやろうというのか。次から次にやっていかないというと、何年たったって解消しないということです。まあ中小企業の——長いものは十年になるというけれども中小企業なんて、大体過当競争なわけでしょう。そうすれば、いつまでたったって過当競争なんだから不況、だ、そういうようなことで、不況というものの観念がどうも、いま野上君が質問しているのを聞くと、何か「不況」を一般化しちゃって、それが不景気であろうと好況のときであろうと、ずっと続いて不況だと、こういうことになっちゃうというようなことで、その「不況」に対する公取委判断がどういう認識を持っておられるのか。ここら辺のところが私は非常に疑問に思うので、そこら辺のところをちょっと説明していただけませんか。
  25. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 初めに野上委員の御質問にお答えいたします。昭和二十八年ごろから非常にふえておりますカルテルは、先ほども申しましたように、中小企業団体法に基づくカルテル、あるいは環境衛生法に基づくカルテルでございます。環境衛生法のほうは、後に議員提案で、「経営の健全」というようなことをうたうことになりましたけれども、最初は、衛生設備をするということがカルテルのねらいでございました。それで、中小企業団体法のほうのカルテルは、何といいますか、中小企業は万年不況だというような考え方で、ずっと続いておるわけでございます。それで、それぞれの業種につきまして、中小企業団体法に基づくカルテルも、非常にその業者の数が多い。しかも零細なもの、が多い。われわれも常に、これに大臣が認可をするにあたっては、協議に応じ、あるいは同意を与えておるのでございますが、その際、常に言っておりますことは、さらに整理統合なり合理化なりして、早くこういう事態をやめてもらわなければ困るということは、常々申しておるわけでございますけれども、なかなかその事態がはかどらないようでございます。私どもとしましても、先般も中小企業安定審議会の議長をしております方とたまたま会い、お話ししたのですが、この議長の方も非常に困っておりまして、一体どうしたらいいだろうというようなことを言っておりましたけれども、まあ結局は整理統合なり、あるいは共同の施設をつくって、共同の工場をつくってそこで仕事をするというような方向に持っていって、こういう事態はなるべく早い機会に直さなければならぬと思います。  それから、いま独占禁止のいわゆる「不況」とは一体どういうものかというようなお話がございましたけれども独禁法では、「商品需給が著しく均衡を失したため」、「当該商品価格がその平均生産費を下り、且つ、当該事業者の相当部分の事業の継続が困難となるに至るおそれがあること。」こういう場合を「不況」と、こう考えております。それに、いま精糖業のお話がございましたけれども、現在十七ほど不況カルテル認可しておりますが、そのうちのほとんどは結局設備過剰という問題をかかえているわけでございます。独占禁止法不況カルテルを認めております趣旨の一つは、不況の場合に過度の競争をして生産設備が荒廃する、その後になりまして需要が出てきたときにそういう状態でありますと、有効な競争がかえって行なわれなくなるのじゃないか、だから、いまの段階では温存しても、将来さらに有効な競争期待できるというようなことがありまして、不況カルテルを入れたのでございますが、現在の不況は御承知のように、先ほど申しました構造的な面を含んでおりますので、不況カルテルだけで現在の不況を脱却するということは非常にむずかしいと思います。したがいまして、私のほうで不況カルテル認可をする場合には、常に体質の改善なり整理統合なんということを強く要望しまして、その線に沿って努力をしていただいております。それで精糖業なんかについても強くそれを言っておるところでございますけれども、なかなかそこまで話が進まないようであります。あまりこれも長く続くというようなことになると、不況カルテル規定にありますように、これはあくまでも臨時的な緊急避難的なものでありますから、あまり長く続くということは、制度それ自体から考えても不合理なものであるわけでございまして、それに消費者間の利益を不当に害するということも出てまいりますので、私のほうとしましては、認可なり不認可決定するにあたっては、経済情勢一般を考えるとともに、関連事業の諸利益を十分考慮しまして、それから合理化なり体質改善の進め方を考えまして、そういう措置をとりたいと考えております。
  26. 野上元

    野上元君 いま竹中さんがちょっと読まれました、それは独禁法の二十四条の三のことですか。
  27. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 三です。
  28. 野上元

    野上元君 それじゃ重ねてお聞きしたいのですが、それがいわゆる不況カルテル認可をする一つの最低条件となっておる、こういうふうに私は思いますが、ところが第二回の物価問題懇談会が開かれました一月二十五日に、そのときに公取の委員長の北島さんが出席されておるわけですが、その中で物価問題懇談会で五つか六つの当面する問題についての意見を統一しておるわけです。その中にこういうのがあるのです。カルテルの結成要件がきびし過ぎるので公取委が敬遠されておる、もっと要件をゆるめ、業者がまず公取委に相談にこれるように指導すべきではないか、こういうふうに言っておるのですが、こういうふうに見てみますと、公取委独禁法の番人としてあくまでも厳正にやろうとしておるけれども、社会全般の見方は、公取委が、特に政府機関においては公取委が少しきびし過ぎる。先ほど読まれたああいうものではなくして、もう少し余裕のある認可要件にしてもらいたい、でないと、結局日本経済はうまくいかないのだ、こういうことを言っておると思うのですが、そのときにこれは北島さんも入って一緒にまとめた案なんですが、これはどういうことになるか。
  29. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 実は私もその懇談会に出ておりまして、発言を聞いております。その方だけがそういうお考えをお持ちのようでございました、私の印象では、それでその方は、そのときにそういうことをおっしゃいまして、公取が不況カルテル認可をする場合も半年もかかる、認可申請してから、というようなことを言っておられました。私どもはこの不況カルテルの積極要件がきびしいものとは決して思っておりません。それで認可にとても半年などかかるわけがございませんので、現在は大体一週間か二週間で認可をいたしております。この認可要件がきびしいとか、公取の認可に時間がかかるとかということは表面の口実でございまして、不況カルテルを結ぼうといたしましても、それぞれ事業者の間でシェアその他の話し合いがつかない。私のほうは認可申請するからというので待っているんですが、いつまでたっても認可申請が出てこないというような事例がむしろ多いようでございます。
  30. 松永忠二

    ○松永忠二君 ちょっと関連。いまの御説明通産省が行政指導等でやっているのは、言っていることは、不況カルテルでは非常に時間がかかるので、行政的な指導のもとにそういうことが行なわれている、それの行なわれているものに非常に問題があると言われているのがたくさんあるわけですね。この辺は通産省と公取の意見というのは一致をしているんですか。
  31. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 私のほうと通産省は最近話し合いを随時行なっておりまして、非常にお互いうまくいっているつもりでおります。ただ報道関係あたりが、どうも両方をかみ合わせようというような風潮がございまして、私のほうが非常にうまくいっているのだと言うにもかかわらず、何らかそういうことが気になるというような面もあるようでございます。  それから通産省の行政指導でございますが、これは昭和三十五年当時は相当数でございましたが、たとえば勧告操短の問題につきましても、私のほうで、とにかく勧告操短というものは業者のやみカルテルの隠れみのになるおそれが多分にある、それからまた、結果としてはカルテルと同じ結果が出てくる、それから、先般来物価対策上は非常に望ましくないということで、できるだけこれをやめろということで進んでまいりまして、ほとんど全部なくなったんです。ところが、昨年、御承知のように、粗鋼の一割減産という問題が出てまいりまして、これにつきましても、私のほうは、不況カルテルの要件を備えているのであれば、独占禁止法不況カルテルでやってもらいたいということを申し上げたのでありますけれども、あちらでは要するに粗鋼は素材である、会社の数が八十五もある、それから、これは鉄鋼の不況対策ではなくて、一般的な景気振興対策のてことして早くやらなければならないので、なかなか話が簡単にはつかないから行政指導でやりたいということですが、私のほうはそれを認めたわけでもなしに、それでは御随意にということになったわけでございまして、私のほうは常に、やはりああいうものも不況カルテルに乗せてやっていきたいという考え方を持っております。その点では、何といいますか、多少の食い違いはございますけれども、ほかの点では新聞で報道されているような食い違いはないと私は確信しております。
  32. 松永忠二

    ○松永忠二君 まあお話は、答弁はそういう意向の答弁のようですがね。事実は、具体的に出ている問題もあるわけですし、それからまた、言うとおりのようなことばかりが報道されたりあるいは考えられているわけでもないわけなんですが、そういうような点では、こういうことを通産省が行政指導としてやる場合には、やはり一応公取との間で話し合いが行なわれた結果、公取としてもそれを適切なものと考えて了承するというような、そういう意思統一がなされる必要があるわけですね。そしてまた、それが公表されることによって、そういう誤解を解くこともできるわけなんで、こういう点については、やはり少し手抜かりというか、十分でない点があったと思うんですがね。こういうことは、やはり特にいまそういう問題について関心も深いし、それが実は価格の値上がりの一つの原因をももたらしているというような感じを強く持っている面もあるので、特にその点はいまのやり方でいいというわけじゃないと思うんですがね。
  33. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 私は何もいまのやり方でいいとは存じておりません。しかしながら、従来何か通産省がおやりになるときには必ず私のほうに相談に参りまして、できるだけ意思統一をはかっております。ただ粗鋼の問題につきましてだけは、御承知のように、向こうの考えとこちらの考えが方法についてだいぶ食い違いがあったということは言えると思います。
  34. 野上元

    野上元君 実はこの二十四条の三による不況カルテルの数は、いま十七でしたね。これは大体二月、三月にはほとんど期限が切れることになっておるようですが、ところが、通産省はいち早く、これは当然延期すべきだと、こういうことを言っておりますが、これについて公取委は相談をされておるんですか、公取委の意見をひとつ聞きたいわけです。
  35. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 十七の不況カルテルのうち十一が二月、三月に期限が切れるはずとなっておるようでございます。その中には延長を決定しているものもございますし、それから廃止するとしているものもあるようでございます。それから、まだ態度がきまってないというようなものもございます。通産省がどういうことを申しておるかは別としまして、私のほうは、あくまでも独禁法の二十四条の三の規定に照らしまして認可、不認可をきめるわけでございます。ただ、通産省認可する場合には協議をしなければならないということにはなっておりますけれども、あくまでも認可公正取引委員会認可するわけでありまして、積極要件の判断も、消極要件の判断も私のほうでやることになっております。
  36. 野上元

    野上元君 先ほど私が基本的な問題に触れたんですが、二十八年以来の独禁法というのは、むしろカルテルのためにある独禁法であって、消費者保護のための独禁法ではないというのは、いまずっといろいろとお話を申し上げてきた内容を見てまいりますると、将来はカルテルだけになって、それを今度は公取委が干渉しなければならぬというようなことになってしまう傾向が非常に強いのではないか。公取委の気持ちはわかります。最近の皆さん方の動きによって、非常に活発に動かれていることはわかります。わかりますが、しかしながら、あなた方の意思とは別に、産業界はますますカルテルカルテルヘというふうに動きつつあるような気がしてならないのですが、実勢はどうですか、産業界の。
  37. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 確かに業界の一部には、不況期になりますと、必ず独占禁止法の改正の問題が出てまいります。しかし半面、独占禁止法の現在の運用は手ぬるいとか、あるいはまたこれを強化すべきであるというような意見もございます。私どもはそういう意見に励まされまして、独占禁止法の運用に力をいたしまして、一般消費者利益保護ということをやってまいっておるのでございますが、野上委員の言われるように、これは私の個人的な考えでございますが、そうそう自由経済のもとでカルテルばかりになるとは考えてはおりません。
  38. 野上元

    野上元君 私もそうありたいと思うのです。現在の資本主義制度のもとにおいて公正な競争というものが妥当な価格を生み出していく、したがって、国民の消費生活にプラスを与えるというのがねらいであろうと思うのですから、それがうまくいけば、これにこしたことはないと思うのですが、しかし、現実の姿はそうではなくして、緊急避難のための不況カルテルあるいは合理化カルテルがもう長期化していってこれが常態になってしまう。むしろ今後は防衛カルテルではなくして攻撃的な意味カルテルに転化するおそれが十分にあるのじゃないかというように考えますし、また、企業の中で政治力があったり、あるいはまあその他の工作がうまくて非能率な面を隠しておりながらカルテルの中へ逃げ込んでしまうということになれば、正直者がばかを見てまじめにやっておるところは非常な過当競争の中で生きていかなければならぬ、そうしてふまじめなものをカルテル保護をしていこうというような結果が私は必ず出てくると思うのですが、それについて公取委の見解はどうですか。
  39. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 私どもも、先ほど申しましたように、不況カルテルというものは緊急避難的なものでありまして、これが長く続くということは制度の趣旨から見ましても好ましくないことでございますので、野上委員のおっしゃられるような事態が起こらないように、十分力をいたしたいと考えております。
  40. 野上元

    野上元君 それから中小企業カルテルの所管官庁通産省……
  41. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 中小企業カルテル認可は通産大臣でございます。認可にあたりましては公正取引委員会協議をする場合もありますし、同意を求めてくることもあります。同意を求める場合は、価格についての協定でございます。
  42. 野上元

    野上元君 環境衛生の場合は厚生省、こういうことになっていますね。しかしね、だからといって、独禁法適用を除外されておるからといって、不当な価格カルテルを結ぶわけにはいかないと思うのですね。その問題について、これもやはり座談会の中で出ておるのですが、経済企画庁の中西国民生活局長は、不当な価格によって協定がなされておるというならば、独禁法をかりに適用除外されておるといえども公取委がこれにタッチすべきだ、公取委がもっとしっかりしてもらわなければ困る、こういう発言をされたのですが、これについて公取委の見解はどうですか。
  43. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 中小企業団体法に基づきますカルテルの中で価格についての協定をやっておりますのは、先ほどもちょっと申し上げましたが、六つございます。これはマッチ、ラムネ、たびのこはぜ、自転車用ベル、印刷、それから歯みがきの原料などになります軽微性炭酸カルシウムなどでございまして、この価格決定する場合には通産大臣が認可をし、その際公正取引委員会同意を求めてきております。この同意を与えるにつきましては、先般たびのこはぜの値上げがございましたけれども物価抑制の立場物価対策のやかましくいわれておる段階でございますので、非常に慎重に私ども検討をいたしまして同意を与えております。  それから環境衛生法のほうは、御承知のように、きめております料金が最低料金でございますので、その上は自由になっておるわけです。その上で自由競争をすべきであるにもかかわらず価格協定が行なわれておる事態がかなりあるのではなかろうか。これは理容とか美容とかクリーニング業等に見られると思います。そういうものは、私どものほうで発見次第、独占禁止法によりましてしかるべき措置をとっております。
  44. 野上元

    野上元君 いまの二つのカルテルの問題については、公取委としては最初スタートするときに相談を受ける、協議されるということですが、これはカルテルが結ばれてしまってから相当年数がたっておるわけですね。その場合に、いつまでも同じ価格協定をされておるということはおかしいと思うのですね。これは再販価格維持契約についても同じだと思いますね。十年たってもやっぱり同じようような状態にあるということもまたおかしいし、そういう点について公取委が不当な価格という問題についてそれを審査するという権限はあるのですか。
  45. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 中小企業団体法及び環営法に基づくところのカルテル認可は、原則として一年ということになっております。一年ごとに認可申請を出して、認可する場合には一挙に私どもはするわけでございます。したがいまして、そういう不当な状況が出るというようなことでありますれば、協議に応じあるいは同意を与える場合に、私どものほうは厳重に注意をすることになっております。  それからもう一つ、何でしたか。
  46. 野上元

    野上元君 それでいいです。
  47. 松永忠二

    ○松永忠二君 ちょっと関連。その点で、たとえば再販価格維持契約などで、原価計算とかそういうふうなものの提示を求める、まあ他の独占禁止法なんかの場合でもそうでありますが、こういういう一体、そういうふうにして認可したものについてのそういう措置というものはやっているのか、また、する権利があるのか、また、それがやり得る体制があるのかどうか。この点をひとつ——特に再販の価格などについては非常に問題があると思う。その点はどうですか。
  48. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 再販売価格維持契約は、公正取引委員会指定をしました商品につきまして契約を結びますと公正取引委員会に届け出をするということになっております。それで、これが二十八年にできました当時の規則が非常に簡単なものでございますので、最近この規則を改正しましていろいろな点について届け出を求めようと考えております。それからその価格の問題でございますが、これは元来この制度の設けられました趣旨は、大量販売、大量消費ということでコストも下がり消費者に対してもさほど迷惑は及ばぬだろう、むしろ利益かもしれぬ、それから自由な競争が行なわれているという条件がございますので、価格もそう上がることはないだろうというような考え方でございましたけれども、最近、この制度を用いますと、従来よりかなり価格が上がるような現象が見られます。それで二十四条の二の再販売価格維持契約の第一項のただし書きに、再、販売価格維持契約の対象商品であって契約を結んでおっても、消費者利益を不当に害する場合にはこの限りにあらずという規定がございますので、非常に高いところで再販売維持契約をやっておる場合には、われわれのほうで原価計算なりなんなりを求めまして、これを違法として処理する、この契約自体を違法として処理することができます。ただ、いままでは残念ながらそういうことはやっておりません。これからはそういうことをやろうといま考えておるところでございます。
  49. 松永忠二

    ○松永忠二君 その点についてはむしろおそきに失したということだろうと思うのですね。大量生産をし大量販売をして生産費を低下さしていこうと、こういうことなんですから、むしろ価格は順次下げていってしかるべき性質のものです。それをそのままにしておいて、それが非常に高いと思ったときにやるというようなことも、これも少しおかしな話です。それからまた、一体そういう担当官というのは数が非常に少ない。われわれ聞いたのは三人。これだけ。しかも、この中には大会社が入っているわけですよ。大企業ですよ。しかも、言うとおり配当なんかも非常に大きいものがあるわけです。だから、これあたりはもう公取委あたりが、物価問題がやかましくなれば、直ちに自発的に、いま言ったような措置などはやるべき筋合いのものだと思うのですよ。これは単に、ぼくは再販売価格の問題だけじゃないと思うのですよ。たとえば、いま言った中小企業団体法に基づくものであっても、これは一体正しく実施をされているものなのか、あるいはまた、その成果をおさめて、一体不況カルテル実施の必要がないかということについて、やはり常に調査をしていないから——事は非常に必要なことだとぼくは思うのですよ。しかも、環境衛生法などの適用なんかは、むしろ一般のわれわれの印象としては、正しく行なわれていないという印象のほうが強いわけなんですよ。だから、こういうことについてどれだけの一体公取委には調査の体制を持って、常にそれを自分の権限を行使して法の正しい運用をはかるということについての努力がなされているかというところにやはり問題があると思うのですよ。ただ、公取委だけを責めることはない。やはりその機構等についても改善しなきゃできないけれども、まず権限を持っている者が権限を発揮をしないことには効果をおさめることはできないと思うのですね。そういう点で非常に——その点が要するに、正しく不況カルテルが行なわれ、正しい再販価格が行なわれていれば、これはおっしゃるとおり、何もこれを非難するに当たらぬ性質のものだけれども、現状はそれと非常に内容が異なったものになってきている、それがいま野上君あたりも指摘している一つの問題点だと思うのです。やはり公取委として今後そうしたことを実施をしていきたい。実施していくための陣容をそろえ、あるいはまたそういう要求もして完備してやっていくというこの点について、考え方と今後のやり万をひとつ聞かしてください。
  50. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) まさにおっしゃるとおりだと思います。それで再販売価格維持契約の問題につきましてもおっしゃるとおりで、二人くらいの人間がこれを処理しておったわけでございますが、ただいま国会に提出いたしております四十一年度予算では、新しく一課を新設することになりましたので、この点でかなり力をさくことができるのじゃなかろうかと思います。それから、中小企業団体法に基づくカルテル主務官庁中小企業庁でございますが、私のほうも、協議に応じあるいは同意を与える立場から、常に十分注意をしておりますけれども、何ぶんにも業種が多くカルテルの数も多い、私どもの人間が少ないということで、十分とはいきませんと思いますが、相当これにつきましては、私のほうは努力をしているつもりでございます。ただ、中小企業団体法カルテルがどこまでうまく実施されているかどうかということにつきましては、これは相手が中小企業でございますので、なかなか統計資料なんかの提出がむずかしくて、判断が困難だというようなことは言えると思いますが、あまり長く続いておるということは、やはりうまくいってないんじゃなかろうかという見方も出てまいります。
  51. 松永忠二

    ○松永忠二君 環境衛生。
  52. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 環営法は、理容、美容、クリーニングにつきまして最低料金をきめておりまして、これより高いところでおやりになることは一向差しつかえないわけでございます。大体の業界ではこれがうまくいっていると思いますけれども、クリーニングの業界あたりでは、新しい機械設備が入りまして、アウトサイダーで多少それよりも安いものが出てきておるということが言える状況だと思います。
  53. 松永忠二

    ○松永忠二君 そうすると、再販売価格などについて、その他についても原価計算を出させるということをやるということですね。その点どうです。
  54. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) これからも十分その点は努力いたしたいと存じております。
  55. 野上元

    野上元君 環境衛生カルテルの場合には最低の価格をきめておる、それ以上のものについては自由であると、こういうふうに言われたんですが、いまね、散髪屋に行ってみますとね、値上げをする場合には、「必ず組合の協定により」と、こうなっているのです、が、あるいはまたひどいのは、「その筋のお達しにより」と、こうなっている。こんなのはどうですか。違反ですか。
  56. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 最低料金、たとえば東京では男子の理容が、整髪が百六十円ということになっておりまして、百六十円以上であればこれは幾らでもいいのでございまして、個々に判断して価格をきめるわけでございますが、おっしゃるように、各地では三百円、三百五十円、四百円というような協定があるようでございます。それで、私どもできる、だけそういうものを発見いたしました場合には、これを独禁法違反として処置しているのでございますが、何分にも数が非常に多い、地方的な問題もございますので、なかなか目につきませんし、手が回りにくい。したがいまして、いろいろな消費者団体などから申告がございますと、直ちにそれにつきましては必要な措置をとっております。
  57. 野上元

    野上元君 私はよく散髪屋へ行ってみてふしぎに思うのですがね、これはもう公取あってなきがごとき状態なんだとね。まさにこれ、無政府状態です。そういう場合の取り締まりというものは、それは公取委の権限に属するのですか。その所管官庁の権限に属するのですか。
  58. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 価格協定でございますから、これは私どものほうの権限でございます。
  59. 野上元

    野上元君 もう一つ聞きたいのですがね、たとえば公取委のほうにですね、不況カルテル認可申請を持っていくやつを、中身をおそらく検討されると思うのですが、日本の産業界の行き方を見ておりますとね、たとえばカメラの先発メーカー極大利潤を求めた価格で売り出すわけですね。したがって、比較的非能率な後発メーカーがその中へすぐ参入していくということがあるわけなんです。そうして結局その後発メーカーがどんどん参入してきても、十分やっていけるだけの価格で大企業は利潤をもうけていく。ところが、あまり過当競争になってくると、これはやはり問題になってくる。そこで自由競争が行なわれれば、非能率のところは私は落ちていくと思うのです。それは落とさないで、そこでカルテルを申請してくる。そうしてそのカルテルの申請は、一番非能率なところが相当な利潤をあげた価格カルテルを結ぼうとする。こういうところにね、やはり問題があるような気がするのです。したがって、先発メーカー極大利潤なんと言わないで、適正な利潤のもとに適正な価格で売り出していけば、そんなに非能率な後発メーカーがどんどん参入していくことはあり得ないのです。いわゆるその参入阻止価格というものが、日本にはないような気がするのですが、公取委としてはそういう点については検討されないのですか。
  60. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 私のほうは、御承知のように、協定以外の価格につきましては、別にこれを問題にする権限もございません。で、いまおっしゃられましたように、そういうものがカルテルをつくりますと、一番能率の悪いところに大体基準を置くということは仰せのとおりでございます。したがいまして、そういう場合に私のほうは、これは不況カルテル一般認可の場合でございますが、原価計算をとりまして、その原価計算を相当厳重にしかも慎重に検討して認可なり非認可をしております。
  61. 野上元

    野上元君 この独禁法の中には、「不公正な取引」ですか、あるいは「不当な取引」というような表現がありまして、たとえば自動車業界に例をとってみて、大企業相当生産性をあげておりますから、価格を引き下げることは可能だと思うのです。そうして、過当競争から非能率な企業をつぶすために、ある一定の価格引き下げを行なって、そうしてやるというようなことは、これもやはり不公正な不当な行為になるのですか。
  62. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) おっしゃるように、独占禁止法は、私的独占、不当なる取引と並びまして、不公正な取引とその方法を禁止しております。不公正な取引方法で価格に関係のあるものは、まず第一はダンピングでございます。したがいまして、われわれの解釈といたしましては、生産原価を切って、あるいは仕入れ価格を切ってこれを売るという場合は、これはダンピングになって独占禁止法違反になる。それから、相手方の地域によって値段を変える、競争者のいるところは安く売り、競争者のいないところは高く売る。これも独禁法上問題になる、この二つだけでございまして、原価を割らずに値段を下げるという場合には、これは独禁法上問題にはなりません。
  63. 野上元

    野上元君 聞きたいことはたくさんあるのですが、時間がありませんし、私一人でしゃべっておってもまずいので、この辺でやめたいと思いますが、最後に、いまお聞きしたのは大体表面に出ておるカルテルあるいは再販価格維持、あるいは管理価格というようなものですが、地下にもぐっておるカルテル行為あるいは再版価格維持契約というものが相当行なわれておるのだということが、しばしば問題にされておるのですが、公取委ではそれはどのくらいに把握されておるのですか。
  64. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) どのくらい把握をしておるかとおっしゃられても、まあどのくらいということはちょっと申し上げかねるのでございますが、いろいろ報道関係の人その他から聞いてみますと、いわゆるやみのカルテル、あるいはやみの再販というものは相当あると思います。で、私のほうとしましても、やはり事件を処理する場合に、審査部で職権によって審査をし、あるいは申告によって処理しておるわけでございますが、何ぶんにも人間の関係がございまして、大体申告に基づいて処理する場合が多くなっております。できるだけ努力はいたしておりますけれども、まあ人手その他の関係から力が及ばないところもあると思いますが、私どもとしましては、物価対策の問題もございますので、大いにその点努力いたしたいと存じております。
  65. 野上元

    野上元君 私が実はそれをお聞きしたのは、先ほどの問題に返りますが、自由経済でありながら、正式なカルテルでも、もう相当多岐にわたっておるし、長期にわたっておりますからね。国民は自由経済の恩典に浴しておらない。いわんや地下カルテルの膨大な数を把握することができれば——いまや日本における産業界は全く自由競争ではなくして、もうカルテルの中で息づいておる、そして国民は全く自由競争の恩典に浴しておらないんじゃないかという心配を私はしておるからお聞きしたので、できればそういう資料が、あなたのほうで推定できるならば、一度お出し願いたいと思うのですが、どうですか。
  66. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) どうもそのやみのカルテルが推定できるようであれば、私のほうも違反としてすぐ取り上げるわけでございまして、なかなかどのくらいあるかということは、もう何といいますか、想像もちょっとできないんじゃないかと思うのです。ですから、そういう資料もちょっとお出しできかねると思います。
  67. 松永忠二

    ○松永忠二君 資料のことを……。いま話の出てきておる環境衛生について、基準料金とそれから実施している料金、それの資料を出してもらいたい。これは一地域というだけでなくて、日本全体に及ぶんで、これはもう僕は資料として持っておられると思うし、出してもらいたい。
  68. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 環営法の主管官庁は厚生省でございますので、厚生省ともよく相談いたしまして、向こうの協力も得て提出するようにいたしたいと思います。
  69. 松永忠二

    ○松永忠二君 ただ私はね、それは冗談でなくて、環境衛生について、公取だって問題があるということは御承知でしょう。また僕ら、実態をつかまえないで、それを論議することはできないと思う。公取だって論議されていると思うのですよ。だから、部内でも部内としてできるだけの努力をして集めてあるはずだと思うのですよ。何も厚生省に相談しなければできない筋合いじゃないでしょう。もうすでに相当あなたのほうは自信を持ったものをお持ちだと思うのですよ。だからこれは、厚生省と相談なさることはけっこうですがね。物価対策委員会としては最も関心のある問題だ、特にいま議題になっている不況カルテルカルテル行為として、すでにそういうふうなことについていま論議をされているので、これひとつできるだけ早い時期に出していただきたい。
  70. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) できるだけ御期待に沿うように努力いたします。
  71. 松永忠二

    ○松永忠二君 努力じゃなくてやってください。
  72. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) やります。
  73. 野上元

    野上元君 新聞の料金が一斉に上がりますね。これもおそらく協定して上げるのだと思いますが、これはどうですか、独禁法違反しておりますか、どうですか。
  74. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 昭和三十四年に私が審査部長をやっておりまして、新聞料金の問題をやりました。それで、あれは結局実らずに終わったのでありますが、先般新聞料金の値上げがございました。これは常識的に考えますと、社告の日にちは一日、二日ずれておりますが、同じ日から同じ値幅で上がっております。常識的に見ますと、必ず話し合いがなければ、こういうことはできないということでございます。それで私のほうも審査官を数十名動員いたしまして、東京ばかりでなく、大阪、名古屋、福岡、北海道その他を調べたのでございますけれども、三十四年の例もございますがなかなか証拠がつかめないというような状況でございます。ただ、新聞をかえる場合に、頼みに行った新聞屋のほうで、従来の新聞代を相手方の別な新聞屋に払わないうちは、うちの新聞は入れない、あるいはAという新聞の集金をBという販売店がやり、Bの新聞の集金をA店がやるというようなことをやっているということ、が私のほうに出てまいります。そういう点から、いま問題を調べておりますが、今回の値上げにつきましては、的確な証拠というものはっかんでおりません。これは常識的にはまさにそのとおりでございますが、私のほうの審決に対しましては、東京高等裁判所、あるいは最高裁判所まで上訴できる仕組みになっておりまして、公判を私ども維持しなければなりませんので、ある程度のしっかりした証拠がないと、どうにもならんというような状況で、はなはだ残念な状態になっております。
  75. 野上元

    野上元君 証拠がつかめないと言われるのですが、一斉に同じ日に同じ幅で値上げをされるということが、それが一番大きな具体的な証拠じゃないですか。
  76. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 証拠の今度問題になるのですが、これは非常にむずかしい問題でございまして、同じ日に同じ値幅で上がったというので、そこに共同行為ありと認定して、はたしていいかどうかという問題でございます。ですから、アメリカあたりでは、あるところで集まって、話をした事実がある、その結果、何日かたって値段がこれになった、したがって、このときにはそういう話をしただろうと認定するということはありますけれども、そこまでいかないで、十月一日なら十月一日から幾らに一斉になったというだけでは、やはり集まった証拠か何かないと認定が非常にむずかしいのじゃないかと思います。
  77. 野上元

    野上元君 長々と質問しましたが、最後に、要望しておきたいと思うのですが、今度四十一年度予算では、三十名の定員が増員になることになり、したがって、それはとりもなおさず、公取委の機能を強化しよう、こういう政府考え方だとも思います。したがいまして、いま、質疑応答で明らかになったように、日本の産業界はいま自由経済状態にない。したがって、国民相当カルテル行為のために犠牲をこうむっている面もある。したがって、それを保護するのは私は公取委だと思います。したがって、公取委の今後のひとつ不偏不党の御活躍を特に期待いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  78. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 大いに努力いたしまして、御期待に沿うようにいたします。
  79. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 先ほどから環境衛生法の料金のことがいろいろ問題になっておりますけれども、この最低料金をきめたほんとうの趣旨をちょっと聞かしていただきたいと思います。
  80. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) これはたしか議員立法でできた法律でございまして、初めはその目的は「当該営業における過度の競争により、適正な衛生措置を講ずることが阻害され若しくは阻害されるおそれがあり、」こういうことで最低の料金をきめて、衛生措置を講じさせる、こうだったわけです。ところが、その後また議員立法で改正されまして、「営業の健全な経営が阻害され若しくは阻害されるおそれがある」ということが「又は」で加わったわけでございます。こうなってきますと、中小企業団体法とも非常に似てきて、衛生だけじゃなくなってきているわけです。まあしかし、そういう衛生にしろ経営にしろ阻害されるおそれがあるという場合にその最低をきめる、こういうことになっております。
  81. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それについて、先ほど男の人の頭百六十円、もうおそらくどこを探しても百六十円という料金のところはないと思うんです。それからまた女の人のパーマでも、何かだいぶ安いですね、最低料金、幾らですか。
  82. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 五百五十円くらいですか。
  83. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 たいてい千円前後ですね、高いところは三千円ぐらい取られるところもある。それで、みんな婦人団体が騒ぐのは、何か上は幾ら取ってもいいというような感じを受けるというわけで、最低料金がきめられたということをよくいわれるが、実際は最低料金というものはいまあり得ないような状態です。これを改正なさる意思はありませんか。
  84. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 私のほうの法律じゃございませんで、厚生省の法律でございます。最低料金をきめまして、上が野放しでは非常におかしいじゃないかということは、常々議論されるところでございまして、そういう議論が出るのでございますけれども、最高をきめるというところまでは話は進んでおらないようでございます。最低料金が非常に安いとおっしゃいますが、これは七、八年前にきめたことだと思いますので、ほんとうはこれは適正化基準といいますか、適正化規定で改正する必要があると思いますが、改正しますと上がりますものですから、厚生省もわれわれも改定したほう、がいいということは、あまり言わないほうがいいと言っては、ぐあい悪いですが、そういうことは申しておりません。
  85. 北村暢

    ○北村暢君 私、最後の野上さんの公取のあり方の問題で、大いに激励されて、最近小麦粉の問題、セメントの問題、上がる寸前に操作をしたということで、上がらずに済んだということで、この点公取も、物価がこれだけやかましくなるから国会でもうるさいし、この際、一つ二つやむを得ずやったのかもしれないが、まあそういうふうにしか判断できない、実は。実際は公取は不況カルテルの申請をしてきたものを認可するの、がぼくは役目じゃないと思う。これは正式に出てくるのですから、先ほども答弁のありましたように、どうも不況カルテルやっているらしい。そういうものは、行政指導でなくて、なるべく申請してください。しかし、申請しないでも行政指導でもやっておる。まあ、行政指導ならまだわかっているからいいけれども、わからない不況カルテルもずいぶんあるのじゃないか。先ほども言われているように再販契約違反の問題、相当多数あるだろう。もうすでにあなたもそう言っておられるのですよ、あるだろうという。、だから、いまこれが九件のうち四件は解除になって、あと五件だけ残っていますというのだけれども、それ以外のものは一体どのくらいあるかということですね。ですから、公取のそういう物価がやかましくなったから手が回りません、なんのかんのということで、なかなかできない点もあるでしょう。やはり経済の基本を守る独禁法で憲法である、これを守っていくという気概の問題だと思うのだが、それがどうもこの小麦粉のあの操作をやったことによって、あの業者団体はすでに農林省に圧力を加えていますね、事実問題。そして、今度の予算編成の際の予算等においても、製粉会社からふすまの問題について、あれは専管工場とかなんとかで、私のほうではやりませんといってたいへん圧力を加えていますよ、農林省に対して、もうすでに。それだから、この独禁法を守るということは、独占資本というものは相当強大なやはり力を持っておる、こういうふうにやはり判断しないと、それがあらゆる行政なり政治なりというものに連らなって、それは目に見えない、公取で何ともしようのない問題がたくさんあるのですよ。やりたくてもできないもの、がある。そういうことは私は許されないと思う。したがって、今日公取に対する期待というか、国民の公取に対する期待というものは非常に強くなってきているだろう。それにこたえるだけの、やはり基本的な考え方の問題としてあると思うのです。いままでやはり公取というのは、これは非常に不評だったと思うのですよ。不評だったというのは、どうも公取の使命を果たしていないのじゃないかという国民の不信感というものは非常に強かったと思うのですよ。ですから、そういう面で私は、これはあなたは事務局長だからあれたけれども、北島さんにも——まあ北島さんになってからなかなか見たところ非常にしっかりやっておられるような感じを受け取れるのですけれども一般的な観念としては非常にそういう面で、やはり不信感を持っていると思うのですよ。ですから、そてれをひとつ挽回しない限り、これは物価問題に非常に影響があるので、あなたのほうからは、違反しているかいないかを監視すればいいのだ、高いか安いかなんかそれは私の知ったことではないのだ、こういうふうにおっしゃられるけれども国民はそういうふうに感じていない。その違反されていることが、直接やはり生活にこたえてくる。私ども管理価格というものについて大きな疑問を持っています。そういう面について、やはり心がまえとして国民期待にこたえる公取になってもらわなければ困る。こう思うのですけれども、どういうふうに……。
  86. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 御承知のように、公正取引委員会は何ものにも影響されず、独立して職権を行なうということになっております。それから事務局も、従来もそうでございましたが、最近特にこの法律の厳正な運用に熱意を燃やしておりますので、御期待に沿えると存じます。
  87. 松永忠二

    ○松永忠二君 ひとつ、いまちょうど料金のいろいろな問題出たのですが、非常にひとつ矛盾で、何か法律的に規制する方法はなかろうかと思うのは、左官とか、大工とか、そういうものの料金のきめ方ですね。これは組合で非常に簡単に協議をして、そうして極端なことをいえば、総会のようなところでわいわい騒いで、そうして大体料金がきまる。それを一般にどんどん実施しているわけですね。だからやはりこれなんかも事業協同組合ですか、きちっとして、やはり料金を審査をするとかなんとかいうような方法を講じていかないと、やはり見えないところで物価の値上がりに非常に関係を持っていると思うのですが、こういう点について何かやはり新しい構想というものはないのですか。
  88. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 大工、左官などの料金につきましては、私のほうでもときどき問題になるのです。これが独占禁止法規制の対象になるか、あるいはこれが労働賃金じゃないか、労働賃金でありますと、これらの対象になりませんので、そこに問題があると思いますが、お説のとおり、これが自由にかってにきめられることは好ましいことじゃございませんので、もし独禁法でできないことであれば、何らかの筋できめるほうがいいと私は思います。しかし、いまのところ、そういうことは考えておらぬのじゃないかと思います。
  89. 松永忠二

    ○松永忠二君 これはやはり公正取引委員会あたりで考え方をはっきりさせるということは必要だと思うのですよ。これは現に組合できめたことが直ちに実施をされるわけですね。しかも、そのきめたのが、その次の今度は隣の組合のほうに直ぐ反映していくということで、これこそ見えないところで値上がりというものが行なわれて、これはだれもこれに対して異議を申し立てることの方法がないわけですよ。事実また異議を申し立てれば、自分のうちの仕事がおくれてしまう、いま人の少ない時代にそういうことはできないということで、これは非常に国民生活に影響のある問題なんですね。だからこれはやはり、われわれも適正な労働賃金に見合うものを取ることは何もさしつかえないとしても、やはりこういうものは一つの料金ですからね、道具を使って壁を塗るということは、人の頭を刈るのと何も変わりはないわけです。ですから、要するにこういうものについては、公取あたりがさつきの話じゃないけれども、公正な競争が行なわれるという状態の中で、こういうものはどうしなければいけないのかということを、やはり公取がまず意見を固めて、そうしてしかるべき方法を講ずる。これはこういうところで法律化する必要がある、こういうところで認可制にする必要がある。少なくとも環境衛生のようなふうに料金の認可をするという程度のことをやらぬと、私はこれだけじゃないと思うのですよ。私立大学の入学料なんというのは、一体どういうことになるのか。これだって現在は野放しです。これは明らかにどこかでやはり認可をするとか適正なものにとか何とか——私は入学料金が全部高いということを言っているのじゃないのですよ。しかし、やはりこういうものをチェックできる機関、方法というものを考えていかないと、全体の物価というものは、ほんの局部的なところをいじっていても問題にはならないわけですよ。だから、特に大学入学の料金というのは、これは経営にも関係していることですから、そう簡単には言えません。しかし、左官が道具を持ってやるとか大工が木を切るというのは、これは明らかにそういう一つの単純な行動というものがあるわけですから、こういうことこそ、公取は意見を出して明確にして関係方面に要請をしていく、そういうことが、ぜひともなされるべきである、こういうことをぜひ実行するように要請をしておきます。どうですか。
  90. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) お説のとおりだと思います。大工、左官の料金につきましては、これが独占禁止法の対象になる、そういうことができるかどうかという問題がございまして、従来はこれは大体労働賃金ではないかという扱いをしてまいりました。しかし、私どももこの点につきましては疑問を持っておりますので、検討をしまして考慮いたしたいと思います。
  91. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 他に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後三時十三分散会