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政府委員(
小林誠一君)
果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律案につきまして補足して御説明申し上げます。
この法律案を提案する理由につきましては、すでに提案理由説明において申し上げましたので、ここでは省略することといたし、以下この法律案の主要な内容を御説明申し上げます。
内容の第一は、果樹
農業振興基本方針に関する規定を新たに設けたことであります。
すなわち、現行法では、
農林大臣は、果実の需要と生産の長期見通しに即して主要な果樹の植栽及びその果実の生産についての長期見通しを立て、公表することといたしておりますが、提案理由で申し上げましたような事態に対処いたすためには、需要に即応する果樹の植栽及びその果実の生産の目標を示し、その生産の安定的かつ計画的な増大をはかりますとともに、果実の生産、流通及び加工の合理化についての基本的な
方向を明らかにすることが必要と
考え、
農林大臣は、主要な種類の果樹について、果実の需要の長期見通しに即した植栽及び果実の生産の目標、植栽に適する自然的
条件、近代的な果樹園
経営の基本的指標、果実の流通及び加工の合理化等を内容とする果樹
農業振興基本方針を定め、これを公表することといたしたのであります。
第二に、国の基本方針に即し、かつ、
地域の特性に応じたきめのこまかい施策を進めるため、都道府県知事は、その都道府県における主要な種類の果樹につき、植栽及びその果実の生産の目標、近代的な果樹園
経営の指標、生産基盤の整備、果実の流通及び加工の合理化等を内容とする果樹
農業振興計画を定めることといたしました。また、この計画には、特に必要と認められる果樹については、広域の濃密生産
団地の形成に関する方針を示すこととし、主産地における果実の生産及び流通の合理化をはかることといたしております。
第三は、現行の果樹園
経営計画についての規定を整備したことであります。
現行法は、果樹
農業者が共同して作成した果樹園
経営計画につき、都道府県知事が認定を行なうこととし、認定を受けた計画の達成に必要な資金について農林漁業金融公庫から長期
低利の
融資を行なうことといたしておりますが、果樹園
経営計画の認定の請求期間は、
昭和四十一年三月三十一日までとなっております。しかし、果樹
農業をめぐる諸情勢の動向から見て、果樹園
経営の改善をはかる必要性はますます強まっておりますので、この際、その期間を
昭和五十一年三月三十一日まで延長することといたしております。
また、新たに国の基本方針及び都道府県の計画に関する規定を設けることとしたことに伴い、果樹園
経営計画の認定の要件として、その計画の内容は、都道府県の果樹
農業振興計画の内容に照らし適当と認められるものであることを加え、今後の動向に即応した果樹園
経営の育成をはかることといたしております。
さらに、果樹園
経営計画に基づく未墾地等の取得資金についての農林漁業金融公庫の貸し付け金の据え置き期間についての特例を規定することといたしております。すなわち、公庫の未墾地等の取得資金の据え置き期間は、
一般に三年以内となっておりますが、果樹が永年性作物であり、収益があがるまでに時日を要するものであることにかんがみ、果樹園
経営計画に基づく未墾地等の取得資金については、特例として据え置き期間を十年以内とすることとしたのであります。
改正点の第四は、加工原料用果実の取引についての取りきめに関する規定を設けたことであります。
果実の流通及び加工の合理化に関しましては、国の基本方針及び都道府県の計画において取り上げることといたしておりますが、特に加工原料用の果実につきましては、生食用の果実と異なり、その流通形態は、農協等と果実加工業者との取引という形をとっており、しかも、その取引
関係は、きわめて不安定な状況にあり、合理的な取引を進める基礎を固めるためには特別の措置が必要となっております。
そこで、加工原料用果実について農協その他果実の販売
事業を行なう者と果実加工業者は、その双方またはいずれか一方が共同して、
農林大臣に届け出たうえ、果実の売買数量、
価格または取引方法に関する取りきめを締結することができることとし、この取りきめ及びこれに基づいてする行為には、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の規定は、適用しないことといたしております。
なお、取りきめの内容についての公正を確保するため、取りきめが一定の要件を満たさない場合には、
農林大臣は、その取りきめの締結を禁止し、その変更または廃止または廃止を命ずることができることとするほか、
農林大臣と公正取引委員会等との
関係を規定することといたしております。
第五は、果樹
農業振興基本方針等と果樹
農業の振興に関する施策との
関係についての規定を設けたことであります。
すなわち、国及び都道府県は、果樹
農業の振興に関する各種の施策を実施するにあたっては、果樹
農業振興基本方針及び果樹
農業振興計画に即して行なうべき旨を規定し、施策の総合的かつ効率的な推進をはかることといたしております。
このほか、国は、果実および果実製品の消費の拡大及び輸出の振興に関する施策を積極的に推進する旨を規定し、果樹
農業の健全な発展に資することといたしております。
最後に経過措置について御説明申し上げます。
先に述べましたように、今回の改正によりまして、果樹園
経営計画につきしまては、都道府県の果樹
農業振興計画と関連を持たせることといたしましたが、国の基本方針が定められますのは
昭和四十一年度であり、これに即して都道府県の計画が定められますのは
昭和四十二年度になるものと
考えられますので、改正後の果樹園
経営計画についての規定は、
昭和四十三年四月一日から適用し、それまでの間は、改正前の規定によることといたしております。
以上をもってこの法律案の提案理由の補足説明といたします。
引き続きまして、お手元の法律案
関係資料について概略御説明申し上げます。
まず、その第一ページでございますが、
農業総産出額の中に占めます果実の生産額の表でございます。
昭和三十九年におきまして果実の生産額は千八百十五億になっておりまして、
農業総産出額の中において占めますパーセントは六・七%でございます。最近四十年の数字が発表になりまして、
農業総産出額が三兆五百十六億というふうに出ておりますが、その中で果実は二千億を突破いたしまして二千六十五億ということでございます。パーセントは六・八%ということで、ほとんど変わっておりません。
その次の、二ページの表について御説明を申し上げます。二ページの表は、主要果樹の栽培面積、
昭和三十年から四十年までの十一年間を列記してございます。
昭和三十年の果樹の総面積は約十八万ヘクタールでございますが、
昭和四十年では三十五万ヘクタール、その伸び率は一九四%となっております。四十年の欄で見ていただきますとおわかりのように、そのうちでミカンは十一万五千
町歩ということで、二九〇%になっております。それからブドウが二七二%、西洋ナシが二五一%というところが非常に大きな伸びを示しておるのでございます。そういうことで面積の増の中でもいろいろ樹種によりましてその違いがあるという表でございます。
それから、第三ページでございますが、主要果樹の新植による増加面積でございます。毎年大体二万ヘクタール以上増加しております。三十九年、四十年、二万ヘクタール以上増加しておりますが、四十年は二万二千五百六十六ヘクタールでございますが、その増加面積の中で一番大きいのは、ミカンでございまして、一万一千七百ヘクタールということで、半分以上はミカンの新植による増加でございます。
その次の四ページでございますが、四ページは、今度は主要果実の生産数量を見たわけでございまして、同じく
昭和三十年から四十年までの数字でございます。四十年の生産量は三百九十九万四千トンということで、三十年に比較いたしまして二四%になっております。その中でも大きいのは、ミカンが二八二%、それからリンゴが二九〇%、ブドウが三一三%、
日本ナシが二八四%、桃が二九〇%というのが平均以上の数字でございますが、先ほどの新植面積とこの違いは、生産量の伸びの違いは、最近新植されたものはまだ生産量としてあがっておりませんので、そのように書いてございます。
それから、五ページ以下は、主要果実の生産費及び収益性でございますが、これで見ていただきますと、右の欄から二欄目のところにございますが、一日当たりの家族労働報酬、ミカンでは三十九年度では二千六百七十四円、それから夏ミカンは三千九百五十三円ということになっておりまして、リンゴは千二百三十四円ということで、最近若干低下ぎみになっております。夏ミカンを除きまして若干低下ぎみになっておるのでございます。で、労働時間は、これは反当の労働時間でございますが、ミカンは三百時間以上ということで、米に比較しまして非常に反当の労働時間は長いということが言えると思います。そのほか
日本ナシ、西洋ナシ、桃、桜桃、ビワ、カキというのが次のページにございます。
それから、その次の七ページの表でございますが、これは
経営耕地規模別、果樹園面積規模別の
農家数の割合でございまして、最初の上の欄でございますけれ
ども、果樹園面積は大体ほとんどの
農家が三反歩以下ということになっております。これは
昭和三十八年の果樹の基本統計
調査報告によるものでございまして、六五%は三反歩以下でございます。その下の表は、これを三十五年と三十八年の広狭別の
農家数を調べてみたのでございますけれ
ども、これで見ていただきますとわかりますように、三十五年を一〇〇といたしました場合には、一反歩未満の
経営はパーセントとして減少しておりまして、その他の一反歩以上の
経営は増加いたしておるわけでございまして、そういうことで非常に零細ではございますけれ
ども、やはり相当
経営規模は伸びつつあるということが読み取れるかと思います。
それから、次は八ページの表でございます。これは
昭和二十五年から四十年までの間の果実栽培
農家戸数でございまして、
昭和二十五年には都府県で四十六万九千戸、全国で四十七万五千戸でありましたものが、それぞれ四十年には八十八万六千戸、八十九万六千戸ということで、非常に栽培
農家戸数はふえておるわけでございます。
八ページの右の9の果樹園の現況でございますが、それでは果樹園はどういう
地帯に植えられておるかということを見た表でございまして、傾斜度十五度以上の急傾斜、あるいは五度から十五度未満の緩傾斜、五度未満の平坦というふうに分けて、パーセントを書いてございます。これも同じく三十八年の果樹基本統計
調査の報告でございます。それによりますと、ミカンにつきましては急傾斜が四六%ということで、非常に急傾斜のところに植わっておる。リンゴはわりあいに平坦部に植わっておる。ブドウもそうでございます。
日本ナシもそうでございます。大体ミカンを除きましてはわりあいに平坦部のパーセントが多くなっておるのでございます。
それから、九ページの表は、これは果樹園の集団化状況でございまして、同じく三十八年の
調査でございますが、最初の表にございますように集団化しております個所の面積が、五
町歩未満というのが四七%ということで、四七%は五
町歩未満の集団であるということでございまして、五
町歩から十
町歩が一三%、十
町歩から二十
町歩が一二%、二十
町歩から五十
町歩が一二%ということで、五十
町歩以上の集団というのはほとんどないということでございます。
それから、
農家が
経営します果樹園の分散状況でございますが、これは一、二カ所というのが大
部分でございまして、三カ所は一五%、それから四カ所は八%ということで、果樹園の一戸当たりの面積が少ないことから、
一般の田のように分散はしておりませんけれ
ども、それでも比較的分散しておるということは言えるかと思います。
それから、果樹園の
団地の大きさ別の個所数でございます。これで見ますと、大体二反未満というのが七〇%を占めておりまして、
団地の大きさはほとんど二反歩未満であるということが言えるかと思います。
それから、一〇ページの表でございますが、これは現行法に基づきまして、果樹園
経営計画を三十六年度から認定いたしておりますが、その状況でございまして、大体毎年七百件
程度のものを認定しております。三十九年度は五百八十二件と若干下がっておりますけれ
ども、大体七百件
程度の認定になっておりまして、その
融資額が下欄にございますように三十九年度では公庫からの
融資が二十七億一千百万円ということになっておるわけでございます。
それから、一一ページでございますが、これは主要果実の入荷量と卸売
価格でございまして、三十九年まで出ております。これは
一般の歴年の統計ではございませんで、ミカンにつきましては八月から七月までということで、その前年にとれましたミカンについて、七月までに売れたということで、歴年の
計算をとっておりません。それのほうがより実態に合うのではないかということでございます。
リンゴにつきましては七月から翌年の六月というふうにとっております。その他は全部歴年でとっておりますけれ
ども、入荷量で見ていただきまして、さらに
価格を見ていただきますとおわかりのように、最近は大体横ばい、ないし軟調ぎみであるというのが、ミカンあるいはリンゴにおいて言えると思います。ことしはまだその八——七ではとっていないのでございますけれ
ども、歴年で
計算いたしますと大体ミカンでキロ当たり八十円ということで、昨年の台風によりまして若干強含みになっております。リンゴも若干横ばいということになっております。そういうことで、これは三十九年までの数字でございます。
それからその次の一二ページでございますが、これはかん詰め企業の現状でございまして、資本金階層別の企業数、非常に資本金も少ないのが多いということを三百三十四企業の実態を
調査いたしましてそれを出してあるわけでございます。
工場の従業員数も非常に少なくて、百人以下というのがほとんど大
部分であるということがいえると思います。日産処理能力も、ここにございますように、大体千五百箱以下というのが過半を占めるということでございます。
それから、その次の一三ページでございますが、主要果実かん詰めの生産数量でございます。これは果実のかん詰めの合計で、三十九年度では、これは二十一・六キログラム換算でございますが、千百十二万二千ケースということになっております。そのうちで一番大きいものは、温州ミカンのかん詰めでございまして、五百二十二万一千ケースということになっております。それから白桃が多くなっておりまして、百九十八万一千ケースということでございます。
それから、14の表でございますが、これは主要果実加工原料の供給地と購入地でございまして、左のほうが供給地でございます。その購入地は各県にまたがっているということを出したわけでございまして、神奈川県のミカンは神奈川、静岡、福島、山形、三重、長野、山梨、広島、宮城、東京、千葉というような各県に供給されているということでございまして、その他各県産のミカン等についてそれぞれ購入地を列記してあるわけでございます。
それから一四ページでございます。これは主要果実の用途別消費でございまして、まあ加工されますおもなるミカン、ブドウ、リンゴ、桃等についてそれをあらわしたわけでございまして、加工に回りますものはミカンについて約二割が加工に回っております。桃については、生食が十四万トンでございますが、加工用が六万六千二百トンということで相当ウエートが高くなっております。その他ブドウ、リンゴ等は、それに比べましては加工の度合いが低いという表でございます。
それから、一五ページでございます。これは、おもなる果実及び果実加工品の輸出でございます。計が出してございませんが、
昭和三十九年の計でまいりますと、金額といたしまして百三十七億円になります。そのおもなものは、温州ミカン、これが九十六億五千万円というのと、なまのミカン十五億一千百万円というのが大きいのでございまして、リンゴのなまで出ておりますのは八億一千四百万円、ナシが三億六千百万円ということになっております。右のほうにそのおもな輸出先が書いてございます。御参考に供していただけると存じます。
以上で、法律案、
関係資料の説明を終わります。
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