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1966-05-12 第51回国会 参議院 農林水産委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月十二日(木曜日)    午後一時五十七分開会     —————————————    委員異動  五月十一日     辞任         補欠選任      鶴園 哲夫君     村田 秀三君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山崎  斉君     理 事                 野知 浩之君                 武内 五郎君                 渡辺 勘吉君                 宮崎 正義君     委 員                 青田源太郎君                 梶原 茂嘉君                 櫻井 志郎君                 園田 清充君                 田村 賢作君                 任田 新治君                 仲原 善一君                 森部 隆輔君                 八木 一郎君                 川村 清一君                 村田 秀三君                 森中 守義君                 矢山 有作君                 北條 雋八君    国務大臣        農 林 大 臣  坂田 英一君    政府委員        農林政務次官   後藤 義隆君        農林省畜産局長  桧垣徳太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出)     —————————————
  2. 山崎斉

    委員長山崎斉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  五月十一日、鶴園哲夫君が委員を辞任され、その補欠として村田秀三君が選任されました。     —————————————
  3. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 次に、畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行なうことといたします。
  4. 矢山有作

    矢山有作君 それじゃ、この間お伺いしたのが乳製品製造販売経費あたりまでだったと思うのですが、それに引き続いて、その問題で少しお伺いしたいんですけれども、それより前に、いま各地域乳価交渉が行なわれておりますので、現在の乳価交渉状況というものを一応御説明いただきたいと思います。
  5. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 御承知のとおり、本年の四月一日から新しい加工原料乳生産者補給金等暫定措置法が施行されることになりました。その制度をささえるための生乳生産者団体の新しい編成がえが行なわれました。制度上は指定生乳生産者団体として発足したのでございます。  まず、生乳生産者団体指定状況でございますが、四十六都道府県のうち本日までに四十二の都道府県指定団体と相なっております。あと新潟、埼玉、神奈川、京都の四県について指定が行なわれておりませんが、これらの諸県につきましても遠からず指定の手続が行なわれる予定でございます。  四月一日から新しい制度に移行いたしますに伴いまして、乳価交渉が新しい団体乳業者の間で行われるわけでありますが、現在までのところ、端的に申しまして、急速に整備をいたしました指定団体組織運営のスタートというようなこと等に相当のエネルギーを必要としてまいりました関係上、新年度の乳価交渉は現段階ではそれほど著しくは進んでおりません。達観をして全国状態を申しますならば、現段階ではまだ最終的な用途別乳価決定に至るまでの間の暫定乳価の取りきめの段階と見てよいかと思うのでございます。これも、地域によりまして進行の度合いがだいぶ違うわけでございまして、農業団体の側から乳価要求が出たもので、メーカー側の意向が示されていない地域、あるいはメーカー側から新乳価の提示がされて農業団体側がそれに対する態度を明確にまだしていない地域、そういうふうにいろいろでございますが、新乳価、つまり用途別の新乳価決定は今後の問題である、これからの問題であるというふうに御理解を願ってよい段階ではないかと存じます。
  6. 矢山有作

    矢山有作君 まだ十分進んでないようですが、そこでお伺いしたいと思いますのは、加工原料乳基準取引価格というのは、これは私が申し上げるまでもなしに、これを下回ってはいけないという最低限価格ですか、らしたがって、生乳生産者団体メーカーとの交渉によれば、むしろ現在の乳製品市況状況から考えて、この基準取引価格よりも上回ったところで交渉をやっていこうという傾向が団体の間には非常に強いのではないかと思うのですが、この点について畜産局ではどういうふうに考えておいでになるのか、この点の考え方をお示し願いたいと思います。
  7. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) お話しのとおり、加工原料乳についての基準取引価格は、この制度のもとでは、この水準を下回る取引をした乳業者生産をいたしました乳製品については、乳製品価格下落の際には畜産振興事業団が買い出動する場合の対象にしないというたてまえに相なっておりまして、そういう意味ではその基準取引価格はこれ以上下回ってはならないという意味を持つものでございます。ただ、これも矢山先生十分御理解をいただいておるところでございますけれども、従来の基準取引価格は、御承知のように、乳価需給事情によって上下変動いたします場合の変動最低限基準価格として定めておったのでございますが、今回の基準価格は、制度に基づきまして加工原料乳価格乳製品安定水準価格から誘導いたしました形で算出をいたしたものでございます。そういう意味ではいわゆる下ざさえ価格とは別個の性格を持っているものであります。したがって、乳製品安定水準にありとすれば、基準取引価格取引水準として妥当な価格であるという意味を持つものでございます。ところが、お話しのございましたように、現在の時点におきましては、乳製品価格水準法律に基づいて定められました安定指標価格水準よりも上回っておるわけでございます。でございますので、農業生産者団体におきましては、加工原料乳取引価格水準基準価格以上の線できめられてしかるべきであるという主張が広範囲にありますことは御指摘のとおりでございます。これにつきまして私ども畜産局としての指導の基本的な態度としては、乳製品価格安定水準は法の定めるところに従いまして、安定指標価格水準に落ちつけるよう操作していくというたてまえをとっておるのでありますから、基準的な加工原料乳取引契約価格は、政府が告示いたしました基準価格を採用することが適当である、ただし現段階におきまして乳製品が好況であります場合には、乳業者としては支払い能力がそれ以上あるということは当然でございますので、その支払い能力基準価格に加えて、支払い方法としては市価によって変動をする部分でございますので、これはどういう形がいいということで一律的に、あるいは有権的に指導をするという考え方を持っておりませんが、需給事情によって起こる価格変動及び価格変動に基づく支払い能力の変化ということでございますので、一種生産奨励的なもの、もしくは支払い余力の範囲でのあと払い的なもの、そういうもので季節的にも変動があり得るものでございますから、実質取引価格を新しくする、調整するような性格価格分として取り扱うことが最も適当であろうという指導のしかたをいたしておるのでございます。
  8. 矢山有作

    矢山有作君 先ほど不足払い制度が実施に至るまでの原料乳安定基準価格の問題についてもお触れになってお話がありましたが、この原料乳安定基準価格解釈のしかたについては、これは従来の委員会で論議されましたように、畜産局側とわれわれの側の解釈の間には相違があるわけですが、しかし、これはもうすでに実施されないで新しい不足払い制度に入っておるわけですから、だから前の原料乳安定基準価格問題云々については私はきょうは論議をいたしません。基準取引価格というものの性格というものは、先ほどおっしゃったように、これを下回って取引してはならぬ最低限価格ですから、したがって、そのワクの中で——ワクといったらおかしいですが、その最低限より下がることはもちろんないわけですから、それを一応一つの線として入れておいて、それから実際にどういう取引価格が生まれてくるかということは、これはやはりメーカー生産者団体との間の私は自主的な交渉にまかすべきだと思うのです。そうなった場合には、現在のメーカー経営状態、これは私は非常に不況が伝えられている中でも、いろいろ調べてみると、この乳業メーカーだけの利益というものは相当ふえても減ってはおらぬように言われておるわけですが、そういうメーカー側の大幅の利益をあげている状態なり、また、乳製品の現在の市況状態からして、生産者団体がそれ相応なものを要求するのは当然だろうと思うのです。ところが、それに対して農林省のほうが基準取引価格にしばりつけようとするような考え方で対処されるということになると、これは団体の、現在の乳製品市況を反映した自主的な乳価交渉の足を引っぱることになる、私はそう思うのです。その場合、理由をいろいろ局長おっしゃったのですが、畜産局の中で、たとえば鳥取あたり基準取引価格よりも相当上回る乳価を出そうということで大体話がきまったのじゃないかと思うのですが、それに対して、畜産局のほうは、基準取引価格相当上回って実際の取引価格がきめられるのは不足払い制度のたてまえから好ましくないというような、はっきりした指導方針を出しておるということなんですがね。こうなると、私はやはり団体の自主的な交渉に対して、畜産局が足を引っぱった形になる、そういうことは私はやらぬほうがいいと思うのです。もしおっしゃるように用途別乳価というものを徹底さしていこうというなら、それぞれの乳製品についての差別を設けないで、乳製品を全部一つにとらえて、しかも一年間を通じての価格をきめてしまおうというような基準取引価格決定自体に問題があるわけです。だからこの線より下がってはならないという基準取引価格というものがきまれば、あとはいまのメーカー経営状況、あるいは乳製品市価状況から、生産者団体が私は強い交渉をするのはあたりまえだと思うのです。強い交渉をした結果どれだけ上回るか、それは私は畜産局が足を引っぱって、不足払い制度のたてまえから上回ることはいかぬという指導は私はすべきではない。その点どうなんですか。
  9. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) お話しのように、基準取引価格というものは、それを下回って取引することは制度として認めないというたてまえをとっておるのでございますから、乳製品市況のいかんによって乳業者支払い得る能力がそれ以上にあるという場合の価格決定は、当事者間の折衝によってきめらるべきものであるということは、私ども同様に考えておるのでございます。ただ私ども多少心配いたしておりますのは、乳製品市況は常に変動的なものであります。で、現在の乳製品市況は端的に申し上げて、やや異常な乳製品価格高騰ぶりを示しておる。でございますので、年間あるいは半年間価格決定をいたします場合に、異常な市況状態のもとにおいてきめられたものが、将来市況変動によってまた紛争の種になるというようなことは、当事者双方にも私は必ずしも適当なきめ方であるかどうか、疑問があるということが一点。それから、現在のような市況基準にいたしました固定的な加工原料乳取引価格を定めました場合に、メーカー支払い能力というものを内外に非常に高いものであるというように印象づけるということになりますと、今後の基準取引価格決定について、長期に見れば生産農家の保護のために必要な不足払いをしようという基礎を危うくするおそれがあるということを心配いたしておるのであります。しかしながら私ども若干誤解を受けております点がありますので申し上げますと、メーカーに支払う能力があるにかかわらず基準取引価格以外のものを支払う必要はないとか、あるいはそれを要求してはならぬという指導をした覚えはないのであります。年間これ以上は絶対に下がらないという基本的な加工原料乳乳価基準というものは、これは法律基づました基準価格取引によって契約することが最も安全かつ適当であるのではないかという指導の態勢を現在まで持っておるわけであります。多少私はよけいなことを言うことになるかと思いますが、御理解をいただきますために若干触れさせていただきますと、鳥取乳価について御承知のような乳価交渉が進んでおるのでございますが、鳥取の場合に、飲用乳加工原料乳という分け方でそれぞれ乳価をきめようということで話が進んでおるようであります。ただ鳥取の場合には、乳業者というものが農業団体でございます。加工原料乳という中に、はたしていわゆる法律上の加工原料乳というものと、それから飲用乳向けでもなく、法律上の加工原料乳でもない、その他加工乳というものがあるわけでございますが、それについての価格のきめ方はどうなっているのか、実ははっきりしていない点があるわけでございます。で、鳥取の場合、これは特殊な乳業経営の形をとっておりまして、乳製品を一度つくりましても、それをさらに二次加工品としてみずから加工をし直売をするという形態をとっておる。それから飲用乳につきましてもいわゆる卸売り段階というものがございませんで、工場消費段階まで直接やる。したがって、この経営形態のもとでは通常の場合の経営とは違った一種営業利益——まあ営業利益というのは広範な観念でございますが、取り扱い利益といいますか、そういう部分相当の幅である、それの配分方法をどうするかということについては、これはいろいろ考え方があるわけでございますので、私どもとしてはそういう用途別価格の建て方をさらに合理的なタイプにする方法はないのかどうか。それから利益配分方法基準乳価として支払う方法が合理的であるのかどうか。そういう点は今後検討をされる余地があるのではないかということを指摘をいたしたのでございます。私も、ざっくばらんに申しまして鳥取の場合には交渉をされました総乳価支払い能力というものは十分あるものと認めます。したがって、農家受け取り価格総体が奨約乳価総体よりも下げてしかるべきだというようなことは全然申してないわけでございます。で、価格の、それぞれの用途別価格決定方法利益配分方法についてより合理的な安定的な価格をとることは可能ではなかろうかということを申しておるに過ぎないのでございます。
  10. 矢山有作

    矢山有作君 まあいろいろ説明はあったのですが、現在の乳製品市況というのは異常であるから、それを即、反映するような形で実際の取引価格をきめるのには多少問題があるような、そういう一つは御趣旨の御答弁だったと思う。ところが、市況の異常であるかなないというのは、これは安定指標価格というものが設けられて事業団による買い入れ売り渡しをやっていくわけですから、そこで、その乳製品の異常な市況というものは調整していったらいいのであって、そのことを直ちに実際の取引価格をきめる問題と結びつけてやるというのは私は間違いでないか。ただ安定指標価格が高い低いの問題はこれの議論は別として、少なくとも安定指標価格というものを設けて、そうして、大体乳製品というものをそういうところに安定させようという形なんでしょう。そうすれば実際の生乳取引価格というものは市乳状況を見て、メーカー経営状況を見て生産者団体メーカーとの自主交渉にまかせればいい、そのことと乳製品の異常であることとは関係ない。乳製品市況が異常であるならば、これは安定指標価格というものによって畜産振興事業団買い入れ売り渡しによって調整していく、それをこの問題と結びつけていくのは間違いだと思う。  それから第二点におっしゃった不足払い制度基礎をあぶなくする云々の問題ですが、この問題については、私はやっぱり保証価格のきめ方に問題がある。保証価格の問題はあとで論議しますが、保証価格のきめ方を再生産を償うものとして保証価格をきめるんだと言いながら、実態は、たとえば労働費算定のし方を見ても日雇い労賃でやっているわけでしょう、依然として。そういうことをやるところに保証価格がほんとうに生産実態を反映している価格かどうかということそれ自体に問題があるのです。保証価格のきめ方が低い、しかも安定指標価格それ自体のきめ方として過去四年間乳製品平均価格というものをもとにしているわけです。それから乳製品加工販売経費のつかみ方にしたところで、これはあとでまた論議しますが、問題がある。そういう中で逆算して基準取引価格というものがはじき出されておる。この基準取引価格の問題も、私ども計算上あまりにも低いところにきめ過ぎているのじゃないかということはいままでにも言っている。だから、そういうことを不足払い基礎云々ということに結びつけて考えるのは間違いじゃないですか。私はあくまでも実際の加工原料乳向け生乳取引価格というものは団体間の自主交渉にまかすべきである。それは現在の乳製品市況だとか、経営状況だとか、こういうものから割り出すべきだ、それを畜産局のほうから異常市況の中でやるのはおかしいとか、あるいは不足払い基礎云々というのは、私はちょっとわからぬのですがね、この辺は。
  11. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 加工原料乳の現実の取引乳価決定は、当事者間の自由な折衝できめらるべきであるという意見については、私どもももちろんそう考えておるのでございます。ただ、それのきめ方については、やはり生乳取引が安定的に行なわれるような価格のきめ方をすることが望ましい。また、用途別取引ということで発足をいたしましたので、従来のどんぶり勘定的な価格のきめ方というものから脱却してもらいたい、そういう希望を持っておりますので、きめ方について合理的な方法をとることを私たちとしては最小限行政上の指導として方針を持つべきではなかろうかという考え方をとっておるにすぎないのでございます。
  12. 矢山有作

    矢山有作君 わかりました。生乳取引を安定的に行なうことが望ましいのですから、その安定的に行なわれるために基準取引価格という最低限価格を設けてあるわけですから、それ以上どこにいくかということは、そのときどきの状況で私は自主的にやっていただきたい。ただ、実際の取引価格最低限を割るということは、これはもう不足払い制度で許されぬ。ですから、私はその辺はやっぱりがっちり踏まえてもらいたい。むしろ畜産局のとるべき態度は、酪農振興という立場から言うなら足を引っぱるような指導はやってはいけない、むしろ現在の乳業メーカーの非常に良好な経営状態あるいは乳製品市況から見たとき基準取引価格よりも実際取引価格は上がってよいのじゃないか、その辺はわきまえて指導してもらいたいと思います。  それから第二点は、酪農関係団体からは飲用原料乳取引について一応取引価格の目安というものを示してほしい、こういう強い要望、これは不足払い法案審議のときからの問題として出てきておるのです。この点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  13. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 不足払い法案審議の際から私どもも申し上げてまいったのでございますが、飲用乳につきましては最終商品であります、いわゆる市乳というものが乳製品と異なりまして非常に地域商品としての性格が強い。でございますので、それぞれ末端の市乳販売価格が異なり、また小売り段階までのいわゆる卸売り価格価格水準にも差異があるということでございますから、一作に飲用向け原料乳価格水準を示す、あるいは指導をするということは困難であり、ある意味では不可能に近いということであります。しかしながら飲用乳処理販売をいたします標準的な経費というものは、われわれも事例的な調査をしてまいっておりますので、それを自主的な交渉段階における交渉のめどとして提供する必要があるという点は私どもも認めておりますということで、そういう資料提供をいたしたいということを申し上げてまいったのでございます。農業団体側からもそういう要望がございまして、特にまとまった要望としては、中央酪農会議会長からの要請がございましたので、私ども加工原料乳不足払い制度の事務の一段落を待ちまして検討をいたしました結果、過日五月六日付でございますが、中央酪農会議会長あてに「飲用原料乳価格形成等について」という会報を出したのでございます。その中で普通牛乳百八十cc当たり製造販売費数字、それから加工牛乳いわゆるビタミンとかミネラル等を添加をいたしております加工牛乳の百八十cc当たり製造販売経費、これを事例調査による経費の、これも工場の大小でありますとる、あるいは販売地域飲用乳消費状況等で違っておりますので、変動幅標準偏差を求めまして、それを上下にこの幅程度開きがあるということを示して、会報の中に明らかにいたしたのでございます。同時に、各都道府県地方農政局長あてにも、今後の飲用牛乳折衝上の指導参考資料として通達をいたした次第でございます。
  14. 矢山有作

    矢山有作君 大体そうした場合に取引価格というのは、大体どのぐらいになる見当ですか。
  15. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) これは非常にむずかしい問題でございまして、実はむずかしく、かつ決定的に申し上げることはかえって弊害があるかとも思うのでございますが、普通牛乳につきまして、私ども算定をいたしました製造販売経費は百八十cc当たり中心点の平均的な数字は三円三十三銭、それに対して標準偏差をもって上下いたします幅がプラスマイナス三十八銭、それに平均的な利潤乳製品の場合と同様に二・五%というふうに考えますと、これが二十九銭ということで、利潤を留保しつつ製造販売経費をまかない得る価格経費幅というのは、三円六十二銭プラスマイナス三十八銭、同様に加工牛乳につきましては、平均的利潤を考慮を加えましたものが、四円六銭プラスマイナス四十八銭ということに相なるわけでございます。たいへん困難であるという意味は、この加工経費最低限構造、もしくは最局限の構造が、卸売り価格最低限構造、もしくは最高限構造と合うかどうか、全く関係がないわけでございます。それが第一点。  それから第二点は、普通牛乳加工牛乳販売比率というものが、全国全く同一ではございません。非常に差異があるということでございますので、この事例調査から求めました製造販売費というものを参考にいたしまして、具体的にその地域事情で推算をする以外にはないわけでございます。試みに、私どもがはじいてみましたもので、六大都市の建て値を基礎にいたしまして、製造比率——加工乳普通牛乳との比率を、全国平均比率と見なす。そうして脂肪率は、普通牛乳については三・二%という、工場着脂肪率であるということの前提を置いて計算をいたしますと、最も支払い能力のない場合が七円九十八銭、最も支払い能力が高い場合が八円八十四銭という数字が出るのでございます。これは、先ほど申し上げましたように、一つの単なる前提を置きました試算にすぎませんので、決定的なものと申し上げるわけにはまいりません。  なお、この場合の平均的な支払い能力水準は、八円四十一銭という数字に相なっております。
  16. 矢山有作

    矢山有作君 不足払い制度趣旨というのは、私どもは、市乳化を促進するところにあるというふうな説明を聞いてきたのですが、その点については、不足払い制度市乳化促進がどうして直接的な関連を持つのかということを、われわれはちょっとわからなかったわけです。不足払い制度をやったからといって、それが市乳化促進に直接つながっていくものではなかろうと、私はそういうふうに解釈しておったのですが、いずれにしても、不足払い制度は、市乳化促進にあるのだという説明がこれまでなされておったわけです。ところが、いま市乳向けの生乳取引価格が、大体お示しになったように、一升あたりに直せば七円九十八銭ないし八円八十四銭というととなんですね。これで、原料乳向けの保証価格が、大体七十円でしょう。六十九円幾らですから、大体七十円。それで市乳化促進ができるということになりますか。この点が、ぼくはちょっと疑問だと思っているのですが……。
  17. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 加工原料乳不足払い制度は、私ども考え方としては、わが国の牛乳、わが国において生産される生乳は、需要の最も伸びの大きい市乳に向けられるようにしていくということを前提としてものを考えるべきである。また、そういう政策的意図を持ってこの制度を立案をいたした、ということは、将来、市乳の需要増大に対応して供給余力を持ち得る地域というのは、御承知のように、比較的加工原料乳の多い地帯である。したがって、そこでの酪農の安定をはかり、そこでの牛乳の生産の増大を期待いたしませんと、市乳消費増大に対応できない時代がくるという趣旨を申し上げたのでございます。  で、御指摘のように、加工原料乳農家受け取り価格は、少なくとも法律上六十九円四十三銭というものが保証されているわけでございます。一方、飲用乳におきましては、これは単なる試算でございますと申し上げましたが、ただいま申し上げましたような一定の幅のことが考えられる。これで市乳化促進になるかというお話でございますが、現在の市乳の集乳圏というのは、最も大きな消費地域でございます東京を考慮に入れますと、東京の集荷範囲の先端は、岩手県に相なっているわけでございます。岩手県から東京への輸送コストというのは約十二円ないし三円でございます。でございますので、私どもとしては、この乳価差というものがあるならば、岩手に至るまでの加工原料乳は、少なくとも価格関係においては市乳化し得る可能性を持つわけでございまして、市乳化を阻害をするという関係にはならないであろう。問題は、飲用向けの原料乳価格水準いかんの問題でございます。それは、私ども考え方としては、制度としても自由な流通にゆだねられ、自由な取引にゆだねられているものでございますので、末端市乳需給事情いかんということによって形成され、また、その需給事情いかんは、加工原料乳価格水準と集乳範囲の距離の変動によって変化を受け、その関係において一つの均衡状態が出てくるというふうに見ているわけでございます。
  18. 矢山有作

    矢山有作君 なるほど、御説明のとおりのようになるようです。原料乳保証価格が七十円弱、それに対して岩手から東京への乳を送る経費というのが十二、三円ですから、そうすると大体七十九円八十銭ないし八十八円四十銭ということにきまるならば、高いほうにきまれば、確かに市乳化の促進にはなるだろう、こういうことはわかります。わかりますが、しかし問題は、現在の、先ほども言いましたが、保証価格のきめ方自体が私どもは低いと思うのだし、で、市乳化をやる場合に、私はやはり市乳向けの生乳取引価格というものは、ただ単にいまはじき出したようなことで、すぐ市乳化促進になるというふうに言えるかどうか。  ところが、別の観点から考えてみると、市乳地帯と原料乳地帯の酪農の状況というものを見ると、先ほど局長おっしゃったように、むしろ酪農は市乳地帯において早く崩壊している——崩壊というと言い過ぎかもしれないが、それで、消費地帯より遠い地域に大体酪農の重点が移っている。こういう傾向が出てきているわけですから、そうすると、市乳化促進というのはよほど力を入れてやらぬと、生産県と消費県はこれは完全に分かれてきよるわけですから、市乳地帯への原料乳の送り込みということが、むずかしい問題が出てくるんじゃないかというふうに考えるのです。だから市乳向けの生乳価格については、これはそろばん上いまおっしゃったように出ますが、私はこの交渉もいずれ行なわれると思うのです。そのときにひとつ足を引っぱらぬように、市乳向けの生乳価格についてはもっとそろばんではじき出されたよりも上回ったところにいったほうがいいんじゃないかというふうに考えておりますので、加工原料乳について足を引っぱるようなことがなされたようなことを聞いておりますから、市乳の場合に、そういうことのないようにひとつ考えていただきたい、こういうふうに思うわけです。
  19. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) お話しのとおり、飲用乳地域における市乳向け原料乳価格の形成については、メーカーの耐えられる限りの乳価を支払われるようにしむけてまいりたい。これは先ほどちょっと触れ落としましたが、端的に申しますと、メーカー側はやはりいまだにどんぶり乳価思想が強い。したがって、飲用乳については従来も乳価の紛争は比較的少なかったわけでございますが、飲用乳について、飲用乳加工乳とにおける格差、落差というものがあまりないことがどうもメーカーとしては望ましいという思想が強いようであります。この問題を放置をいたしますと、私どもとしては将来比率の伸びる市乳原料乳について若干でも不利な条件がきまることは、将来にとって非常に好ましくないという気持を持っておりますので、ただいま矢山先生が私どもに御注意がありました点は十分腹に入れて、価格形成が適正に行なわれるように指導をしてまいりたいというふうに思っております。
  20. 矢山有作

    矢山有作君 市乳向けの指導乳価を一応示されたので案外議論ができにくくなったのですが、しかし、いまの点はよく考えていただきたいと思うのです。ただ、そう言いながら、実は局長もいまおっしゃったように、メーカー側のほうはどんぶり勘定の思想が抜けていないし、それからメーカーのとっておる態度というのも、いま聞くところによると、やはり市乳向けの生乳について価格を上げていこうという気持はなかなかないようですね。夏場の奨励金程度、二、三円ですか、そのくらいなら出してもいいと、こういうかまえ方のようですが、そういうかまえ方であるとした場合は、せっかく市乳向けの指導乳価を示しながら、それが全くメーカー生乳生産者団体折衝の中で無視されるという事態が起らぬという保証はないわけです。というのは、飲用乳については法的な規制がないわけですから、不足払いの。その場合にどう対処されますか。
  21. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 私どもいままで御説明申し上げましたように、今回実施されます用途別価格制度というものを実効あらしめる一助として、一つの資料として標準的な製造販売経費というものを示したのでございますが、この数字につきましては、私ども乳価制度全体として妥当になるようにという考え方で謙虚に数字を出したつもりでございます。この数字は、いろいろ生産者団体なり、あるいはメーカー側に異論のあるところと思いますけれども、われわれの受けます印象では、メーカー側相当ショックを受けた形跡があるわけでございます。といいますのは、先生もお話しのございましたように、飲用乳価についてかなりしぶい態度をとろうとしておるということがあるからと思われるのでございます。でございますので、私どもこの数字基礎にいたしまして、新しくできました指定生乳生産者自体が従来は非常に数多くの折衝相手として細分化されて折衝されていた時代に比べますれば、飲用乳価の価格形成の方式というものは相当改善された形できまっていくのではないだろうかというふうに思う次第でございます。この点につきましては、私ども地方農政局なり、あるいは都道府県を通じましてそれぞれ内面的な指導を加えてまいりたいというふうに考えておる次第でございまして、本年  の飲用乳価の形成につきましては、まずもって飲用乳向け乳価形成のルールを確立をするという方向点に重点をおいて指導をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。で、これにつきましては、われわれもそれぞれの地域事情についてのデータもございますので、公正な立場から無理な乳価あるいは不適正な乳価の形成というものが行なわれますと将来に累を残しますので、その点を避けるようにできる限り指導を強化をしてまいりたいというふうに思っております。
  22. 矢山有作

    矢山有作君 最近のいわゆる牛乳ですね、牛乳とそれから加工乳と称せられるもの、まあ飲用乳と称せられるものの伸びの状況はどうですか。
  23. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 手元に月別の正確な資料がございませんので、別途資料として提出させていただきたいと思います。ただ傾向といたしましては、都市地域におきましては加工原料乳のほうが伸びが顕著であって、普通牛乳消費の伸びよりも顕著である。農村といいますか、地方におきましては、普通牛乳の伸びのほうがむしろ多いという傾向でございます。で、全国総体に見ますれば、やや加工乳のいわゆるビタミンとかミネラルの類を添加いたしました値段のいい牛乳のほうが伸びが大きいという傾向であります。
  24. 矢山有作

    矢山有作君 ここに生乳乳製品生産消費の四十一年の一月分の発表があるのですが、これでみると、確かにおっしゃるように一般の牛乳よりも乳飲料、それから加工乳の伸びのほうが非常に著しいように見受けます。これらの傾向から照らした場合に、やはり市乳化というものがほんとうに促進されてこないとやはり消費地における市乳向けの生乳が足らないという現象が起きて、その場合やはりいわゆるなま乳を使わない乳飲料だとか、そういったものがまだこれは増大してくる傾向が出てくると思うのです。したがって、市乳化の促進という問題はこれは非常にやはり重大な問題になります。その点を踏まえられて、先ほどおっしゃったおことばは、われわれとしては信頼する以外にはないのですが、この市乳向けの生乳というものがやはり生産農民にとって合うような値段にきめるということは、これは重大な問題になってくるのですから、したがって、これは相当強力な指導を私どもとしては強く要望したいのです。しかも加工原料乳向け生乳と違って、市乳向けの生乳の場合、法的な裏づけがないわけですから、指導価格を示されても、実際にそれが実施されるかどうかということはメーカーの強いかまえから見て問題があると思うのです。だから、この点は特にせっかく示された指導乳価ですから、少なくともそれは下回わらぬということは、これはやはり真剣に考えていただかなければならぬと、こう思うわけです。ところが、下回らぬどころじゃない、むしろ市乳向けの原料乳についてはもっと——まあ生乳全般について言えることですけれども、もっと価格条件が有利にならぬとなかなかむずかしかろうと思うのです。そういう点を特に考えておいてほしいと思います。その場合やはり問題になるのは、市乳原料乳に対する法的な、直接的な価格政策なり、流通政策がないということは非常に私は問題だと思うのです。幾ら指導されても裏づけがないんですからね。その点やはり問題だと思うのですよ。やはりわれわれが不足払い制度の問題を論議したときに言ったような、全生乳を対象にしての不足払いとか、そういったものを考える余地は現在全然持っておられぬわけですか、あるいは不足払いでないにしても、市乳向けの生乳価格というものが適正な価格に維持されるような法的な裏づけを将来考えていくというお気持ちもないわけですか。それとも、今年市乳向けの生乳取引価格指導をやってみられて、それがうまくいかなかった場合には法的な裏づけを考えていくという気持ちぐらいはおありかどうか、その点はどうですか。
  25. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 冒頭にもちょっと触れてお答えを申し上げたのですが、市乳向け原料乳につきましては、末端の市乳価格自体がそれぞれの地域の経済条件その他の事情を反映をいたしまして区々であると思います。また、そういう地域事情にあった市乳価格水準で、初めて市乳消費が増大をしておるのでございますから、これを一律にきめることは非常に困難であり、また、へたにきめますれば全体としてはマイナスになるおそれもあるわけでございます。法規上の基準価格、いわば最低価格をきめます場合には、最も末端市乳価格の形成が不利な地域をとらざるを得ないということに相なろうかと思うのでございます。このことは、現在の日本の飲用乳の流通事情から見まして非常に問題が大きいと思うのでございます。でございますので、今後、ともかくも一県一単位の生乳生産者団体が整備をされて、そうして乳業者との間で対等に取引をなす、あるいはある意味では原料乳がやや不足の状態のもとにおきましては、売り手としての位置は相当強化をされておるという事実の上に立って行なわれます乳価交渉の経緯を見る必要があるわけでございますが、法的な措置をとるかどうかというようなことを判断をいたしますためには、私は新制度の運営をかなりの期間十分に見定めた上でやるべきだ、また、そのこと自身がきわめて法規、行政技術上むずかしい問題を持っておるということでございますので、現段階におきましては、本年の事情を見て直ちに法的な措置に移すという考え方は持っていないのでございます。
  26. 矢山有作

    矢山有作君 市乳向けの生乳の場合に、価格を一律に決定することが困難だ困難だとおっしゃるのですが、それはやはり原料乳向けの場合も同じじゃないですか。生産条件というのは、各地域地域それぞれ非常な大きな差異があるので、そのことは何も市乳向けの生乳に限ったことはないんで、原料向けの生乳についても、これはやっぱり一律に決定することは非常に困難でしょう。それを原料乳向けの生乳生産県ということで、一道六県を取られてきめられた。それを一道六県だけに適用するのでなしに、これは全国一律に適用するのですから、その論法は市乳の場合にも同じことなんですよ。だからそういうことを主張なさるんなら、原料乳向けの生乳についても、それぞれ似通った地域ごとにこれを出していくとか、市乳についても出していく。そこまで徹底しなければならぬわけです。市乳の問題についてだけ一律に決定することが困難だ、困難だと盛んにおっしゃるのが私はちょっとおかしいと思いますがね。
  27. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) おことばを返すようでございますが、加工原料乳基準価格につきましては、乳製品価格というものを基礎にいたしまして基準取引価格というものを誘導するという方法をとっております。その乳製品価格は確かに多少の、地域における価格形成の有利不利の点はございますけれども、少なくとも商品としては全国一本で流通をいたしております。いわゆる一物一価原則が支配をしておるのでございます。でございますので、厳密にこまかい話をいたしますれば、ただいま先生のおっしゃったような問題はございますが、行政的に、あるいは法律的に割り切るに困難なほどの問題はないと私どもは考えておるのでございます。ところが、市乳向け原料乳価格ということになりますと、市乳価格自身が、たとえばある地域では百八十cc十七円である、ある地域では十九円であるという需給事情によって価格の形成が異っておるのでございます。しかもその末端の価格と、メーカーが取得をいたします全額つまり卸売り価格とにはまた変動性がある。普通牛乳十一円五十銭のところもあれば、十二円というようなところもあるわけでございます。ことに加工牛乳普通牛乳との比率は著しく違うのでございまして、非常に加工牛乳比率の少ないところは一〇%以下であるというようなところもございますし、東京都内のように、約五八%というような加工牛乳比率を持っておる。で、市乳向け原料乳支払い額は、この二つの販売額の総体平均から支払ってくるのでございますから、これを一律にきめるということは非常に困難である。ただ、市乳価格を、統制的にものを考えるということであればこれは私はできない相談ではない。しかし、市乳価格のごときものを統制的にきめるということは、私は現在の経済情勢のものではおよそ困難であり、かつ効果のないことではなかろうかというふうに思いますので、その間に差異がある、問題の違いが大きいということを御説明を申し上げたのでございます。
  28. 矢山有作

    矢山有作君 まあ説明は、ああ言えばこう言うで、幾らでも説明のしようが出てくるのですがね。もし、たとえば市乳価格が、冬地域でたとえば十九円のところがあり十七円のところがあるのだという言い方をされるなら、そういう価格変動は、乳製品価格のほうが市況変動は激しいのですからね。それを、一応安定させなきゃいかぬということで、過去四年間の平均というものを取り上げてきて、市況とはかけ離れようが、かけ離れまいが、一応ここで安定さすのだという形で安定指標価格を出して、それで逆算して基準取引価格を出しているわけですから、市況変動だとか、あるいは価格が違うのだということになれば、乳製品の場合も市乳の場合も同じことなんでして、市乳だけについてその地域地域価格が違うから基準取引価格を一律にきめられないのだというのは、これはやはり一つの議論で、いわゆる質問に対してああ言えばこう言うという形になるんじゃないですかね。もう一ぺん言いますとね、要するに、原料乳向けの生乳価格は一応最低の基準をきめて、それより下がらぬようにしよう、こういうこと。それには乳製品価格を一応安定したところに置いてそれをきめていこう、こういう考え方でしょう。安定指標価格から逆算して基準取引価格を出すという考え方は。ところが乳製品市況変動というものは非常に激しいわけですからね、これはしょっちゅう変動する。それから市乳の場合は案外乳製品ほどの市況変動というものはない、ただ地域によっての相違はありますよね、価格の多少の相違は。そこで市乳の場合に一応その地域による価格差を強調し過ぎて、そしてあるべき取引価格というものも強力な指導ができないようなふうに聞きとれるのですが、それはぼくはやはり疑問のような気がするのですがね。これ議論でなしに、どうなんですか。
  29. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 矢山先生は私から申し上げるまでもなく酪農の問題非常に通暁されておると思いますので、仰せの点は私どもよくわかるのでございます。乳製品価格変動は、これは地域的に価格変動が起こるというのではなくして、時系列的に変動が起こる。時系列的変動一種計算によって平均化することが可能である。ところが市乳価格、あるいは市乳のための卸売り価格地域変動計算方式で平均化するわけにはまいらないわけでございます。その点が違う。この点は先生もただいまわかっておるというお話でございまして、くどく申し上げませんが、そういう点が違う。それから、私ども今後先生の御注意にございました御趣旨を体していくとすれば、法律的な基準価格的なものを考える前に、飲用乳の処理加工経費というものについてもっと標準的な、つまり幅の狭いものを求めることができるかできないかということを努力することがまず第一ではなかろうかと思うのでございます。  先ほどもちょっと触れましたが、全指定生乳生産者団体が加入いたしております中央酪農会議という自主的な指導機構というものも整備されたのでございまして、行政上より幅の狭い標準的な処理加工経費普通牛乳加工乳の別に示すことが可能になってまいりますれば、実質上先生が御指摘になっておりますこれ以下で取引することは、それは農民にとってゆえのない不利な条件であるというようなことが明らかになってくるのではないかと思うのでございます。でございますので、御質疑の御趣旨に沿う方法法律に直ちに訴えませんでも、私は可能であろうというふうに思っておりますので、検討をさせていただきたいと思います。
  30. 矢山有作

    矢山有作君 たとえば市乳加工経費地域によって相当に開きがあるし、工場規模によって開きがあろう、それはやはり乳製品の場合にも、その工場の規模その他によって相当の開きが出てくるだろうと思う。その辺はやはり同じことじゃないかと思う。ただ市乳について一つの目安を示してそれを強く守らせていくことが統制になるというふうな考え方は私はする必要はないのじゃないかというふうに思うのですがね。たとえばイギリスなんかでは、市乳の最高の小売り価格というものを一応目安をきめてやっているようですね。その点は私はあまり統制だなんだとこだわらないで、やはり市乳の場合も乳製品と同じように変動もあり、相違もあるのですから同じことなんですよ。問題は、乳製品市乳もただ特徴的に求めるならば、あなたのおっしゃったように、乳製品は時期的な市況変動が非常に激しい、市乳の場合には地域的な相違があるというところに重点があるわけでしょう。その相違だけで、そのもとになっている製造加工経費の大小だとか、高低だとかいうのは乳製品の場合も市乳の場合も同じですから、だから市乳についてある程度の強力な指導価格を設けていくとかどうとかいうことが直ちに統制につながるというような考え方はあまりする必要はないのじゃないか、むしろ市乳化を促進するというたてまえから言うならば、強力な、市乳化促進に見合ったような、市乳向けの生乳取引価格に対する指導というものをやったほうがいいんじゃないか、こう思いますので、その点はひとついまおっしゃったような方向で御検討願いたいと思います。  市乳基準取引価格の問題はそのくらいにいたしまして、次に移らしていただきますが、わが国の生乳価格を国際的に比較した場合にどうですか、非常に大きな相違があるようにお考えになっておりますか。それともあまりたいして大きい相違はないようにお考えになっておりますか、その点をちょっとお聞かせいただきたい。
  31. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 諸外国の牛乳の価格も、実はこれまた地域商品性格が非常に強いものでございますから、かなりの開きがあるわけでございますので、いわゆる乳製品向けの加工乳を主として生産しますような、たとえばニュージーランド、豪州、デンマークというような国の乳価に比べますと、わが国の乳価は二倍以上になると思います。それに対しまして、飲用乳比率の比較的高い国の価格、たとえばイギリスあるいはイタリア、西ドイツ、そういうところの乳価と比べますと、飲用向けの乳価につきましては、わが国がやや高いという程度でございまして、加工向けになりますと、わが国の加工向け原料乳価は国際的にもかなり高いということが言えると思います。比較的日本の乳価水準に近い乳価水準はアメリカでございます。ちょっと手元に資料がございませんので、これもただいま概要を私の記憶で申し上げますと以上のようでございますが、別途資料として提出をさせていただきたいと思います。
  32. 矢山有作

    矢山有作君 畜産経営研究会で出された「酪農の現状と対策の方向」というのがありますね。これを見ますと、これ、参考に読みあげてみますが、一九六一年をとってみると、飲用向けの場合、カナダが、キログラム当たりですが、三十七円十五銭、それから日本が二十七円八十銭。それから乳製品向けの場合、カナダが二十四円十五銭、日本が二十九円。それからあと、デンマーク、オランダ、イギリス、合衆国は、これは飲用向けと加工向けと分けてありませんが、言いますと、デンマークが十八円四十九銭、それからオランダが二十七円九十六銭、それからイギリスが三十一円三十九銭、合衆国が三十三円五十九銭、こうなっております。で、この統計を示した後、集約して表現されておるのは、「国際的には我が国の牛乳価格はそれ程高いとはいえない。加工向で比べると、我が国より低いのはカナダ、デンマークである。」もちろんニュージーランドも低いだろうと思いますが、「更に北海道や東北三県の乳価を見るとデンマークを除いては大体似通った価格になる。」、こういうふうに表現してあるようですね。これは私はまあ権威のある資料だろうと思うのです。これで考えた場合は、生乳価格としてはわが国の生乳価格は諸外国に比してそれほど高いものとは言えない。これを信ずる限りはそういうことがやっぱり言えるのじゃないかと思うのです。それはもちろんおっしゃるように、国内でも地域でいろいろな相違があるのですから、まして外国と比べるということになれば、それはもう一律には言えません。いろいろな相違があるでしょうけれども、そういうような相違もある中で、権威ある畜産経営研究会がこういうようなデータを出し、集約をしておるのですから、これは信じていいんでしょうね、ある程度信じて……。
  33. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 畜産経営研究会は農林省の各局、酪農に関係をいたします担当官の合同の研究の場であったのでございます。その最終のレポートにつきましては私も目を通しまして、間接に関与いたしておるのでございまして、そこでは虚偽の報告をいたしておるとは考えておりません。ただ、当時その研究をやりました際の、私どもの政策的といいますか、制度的な方向として不足払い制度加工原料乳についてとりたいという気持ちがございまして、それに対して外部といいますか、酪農事情にそれほど詳しくない方面からは、日本の生乳は海外の乳価に比べて極端に高いのである、ある種の農産物の場合と同様に格差がえらくあるのであるという主張がされたのでございます。それに対する答えとして、ちょっと古い統計でございますけれども、一九六一年の当時の数字を示し、そういう声に対する回答としてただいま申し上げたような表現をとった次第でございます。決して間違った表明とは考えておりません。
  34. 矢山有作

    矢山有作君 それでは、私はこの資料というのをひとつ信用すべきものと考えて、次の質問をさせていただきたい。そうすると、乳製品価格というのは、これも一応国内の乳製品価格と、それから諸外国のそれを比べてどうか。これはやっぱり先にあなたのほうからお答えいただいて、それからまた申し上げます。
  35. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 乳製品価格につきましては、実は非常にむずかしい問題があるのでございまして、乳製品についても国ごとに価格水準相当違うわけでございます。ただ、先ほども触れましたように、主として乳製品生産をして世界市場へ売り出しておるという形の国がいわゆる乳製品の国際価格を支配をしておる国ということに相なるわけでございまして、そういう観点で最近の事情を申し上げますと、バターにつきましては、わが国のバターの価格水準は、現在の国内保護措置というものを加えて考えますならば価格差がそれほど大きくないのであります。現在の段階では、ほとんど国内価格と国際価格に関税その他港湾における諸掛かりを加えますと、とんとんに近い数字に相なっております。あと乳製品として国際上大量に流通をいたしておりまするものが粉乳でございます。粉乳につきましては、わが国の粉乳価格に比べて海外の粉乳の価格は最近はかなり上昇をいたしてまいっておるのでございますが、国内価格は約トン当たり三十四万前後かと思われますが、それに対して国際価格は国内保護措置を加えたもので十九万ないし二十三万というような価格水準に相なっております。ここには乳製品の国際価格とわが国の価格との間にかなりの格差があるということに相なっておるのでございます。これは乳製品の中で、バター、粉乳の類は主として先ほども触れましたような豪州、ニュージーランドあるいはデンマーク、それからアメリカ合衆国というようなところがこの価格形成にあずかっておるわけでございます。あと御質問がくるだろうという問題は、そういう観点をお含みをいただきまして進めていただけたらと思います。
  36. 矢山有作

    矢山有作君 まあ、おっしゃるとおりに、乳製品にすると、わが国の乳製品価格は非常に高くついておるということがやっぱりこれにも出ておりますね。そのとおりだと思うのです。そうすると問題が出てくるのは、私は、この酪農の現状と対策の方向にも集約してありますが、これはバターについてだけしか言っておりませんが、「バターの生産費を見ると乳業工場のマージンは、その絶対額においても、又その販売額に占める割合にしても我が国が割高である。」粉乳の場合はもっと割り高だろうと思うのですね。「以上より見て原料価格の引下げも必要であるがそれ以上に加工販売費の合理化を必要とする。」こう言うてあるわけですよね。そこで、国内で乳が高い、乳が高いといって各方面から言っているのは、この乳製品価格が諸外国から比べて非常に高いというところが案外焦点になって乳が高いということが盛んに言われておると思うのです。そうすると、今後の問題点というのはどこに出てくるかということなんですが、私はこの資料が信ずべき資料であるとするならば、ここに示されておるように、乳が高い、つまり乳製品が高いということは、生乳価格に原因があるのでなしに、基本的な問題はやっぱり加工販売費という問題に問題の中心があるのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、そういうふうに考えて差しつかえありませんか。
  37. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 加工原料乳価格についても、わが国の最近における価格を対比しますれば相当な開きがあるのでございます。手元でわかりました範囲では、欧州の加工原料乳の最近の価格水準は、キログラムあたり二十円ないし二十四円五十銭、豪州、ニュージーランド等は十五円ないし十八円。これに対しましてわが国の基準取引価格はキログラムあたり三十二円ということでありまして、原料乳価にも明らかに差があるわけでございますが、それにもまして加工処理工場における製造コストというものが高いということは御指摘のとおりでございます。外国の工場におけるコストというものは、製品の分類でありますとか、あるいは製造コストの段階の区切りが違うものでございますから、非常に比べにくいし、また、そういう資料は諸外国とも必ずしも対外的に明らかにしていないのでございます。私どもの手元で一九六四年にニュージーランドのバター専門工場調査した事例の発表があったのでございますが、それをわが国の一九六四年当時の工場コストというものに比べますと、ニュージーランドの製造コストは約三分の一ということでございます。ただこれは、わが国の乳業乳製品工場というものが北海道等の一部を除きますと、ほとんどが余乳処理工場でございまして、非常に規模の零細なものであります。ニュージーランドの工場は、標準的規模は年間バター一万トンという規模でございまして、一九六四年のわが国のバター工場年間平均製造量は六十トンということで、規模において全然問題にならないというような事情がありますので、直ちに比べることはどうかと思いますけれども、そういう大きな相違があるということはわれわれも把握をいたしておる次第でございます。
  38. 矢山有作

    矢山有作君 ここにこの間の審議会に出された資料があるのですが、諸外国における飲用乳価格段階配分比というのが出ております。飲用乳の小売り価格を見ると、アメリカが——一升あたりのようですが、百七十二円四十銭ですか、イギリスが百六円七十銭、カナダが百四十七円八十銭、ベルギーが百十二円七十銭、スエーデンが百四十円二十銭、こういうふうになっておりますね。日本の場合、十七円ないし十八円ということですから百七十円ないし百八十円ということになろうと思います。そうしますと、アメリカの飲用乳の小売り価格とそれほど大差はないといたしましても、そのほかとは飲用乳についても相当な差が出てきておりますね。それから乳製品については、あなたがおっしゃったように非常に高い、こういうことになっておる。だからおしなべて考えた場合、われわれの手元に出されておる資料が信ずべきものと考えるならば、生乳価格の高低の問題よりも、飲用乳にしても乳製品にしても高低の根源というのはやはり乳業施設の規模の問題になるのじゃないか。あるいは乳業施設の配置の問題にあるのじゃないかということが言えると思います。私は一般論として、個々に言ったらいま御説明になったようにいろいろありますから、一般論としてはそう言える、そういうふうに解釈してよろしいのですね。
  39. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 生乳価格水準の問題は、いままで申し上げてまいりましたので繰り返しませんが、末端の乳製品、牛乳ないし乳製品価格水準を支配しておるものとして、工場コストが非常に問題であるという点は、私どもも同様に考えております。ただ飲用乳につきましては、最近といいますか、集中化ないし新しい施設の導入等がはかられてまいりまして、国際的な処理加工水準に次第に近づきつつある、それほど大きな飲用乳の処理コストについては差はない。飲用乳についての末端価格の問題で一番問題になりますのは、小売り段階におけるコストの問題であります。乳製品につきましては御指摘のように、やはり過少、零細、分散的な工場の現状というものが反映いたしまして、処理加工経費が国際的に見て非常に高い水準にある、そのことが末端の価格を支配をしておるという点は御指摘のとおりでございます。
  40. 矢山有作

    矢山有作君 そのとおりだと思うのです、私も飲用乳については。それで問題は飲用乳乳製品とこんがらがしますと、ちょっとまた話が進めにくいので、そうすると乳製品を取り上げて問題にした場合には、問題は乳業施設をどう適正な配置にし、適正な規模に持っていって国際競争力にたえ得る形にするかということがやっぱり問題になってくるわけです。それから生乳価格の問題でいろいろ説明がありましたが、いまの説明を聞くと、豪州やあるいはニュージーランドに比べて加工向けの生乳価格が日本よりもかなり下回っておると、こういうことなんです。ことなんですが、私はまあごく最近の資料を持っておりませんから、私の議論はあくまでもここにいただいておる「酪農の現状と対策の方向」で議論を進めますからそのつもりでひとつ相手をしていただきたい。そうなると、私が繰り返し言っているように、乳製品価格というには、なるほど多少生乳価格の高い、低いも関係があろうけれども、それより以上に乳業施設の問題に私は重点があると思うのです。ところが、ともすれば各方面で行なわれる議論というのは、生乳価格を低くさえずればいいんだ、こういう方向に議論の焦点が向いているような感じがしてならないのです。そこで私は、その点は畜産局がこういう資料を整備するようにいろいろ勉強されて、必ずしも生乳価格というものはそんなに高いのじゃないと、いささか高いかもしらぬが高いのじゃないという結論を出されておるのですが、その前提に立って話を進めると、一番の問題は、繰り返しいうように乳業施設の問題ですから、それをどういうふうに国際競争力にたえ得るようにしていくのか、具体的な方策というのがあるかどうか、そのことは今度お示しになった酪農近代化基本方針の中でも非常に重視して取り上げられて、乳業の合理化ということで打ち出してありますね、これを具体的にどう推し進めていくか。もちろん、乳業施設の合理化についても、これまで多少努力をなさった成果が出ておるということは私ども承知しております。しかしながら、その時点でなおかつ問題があるわけですから……。問題があるから、基本方針にも乳業合理化という問題を大きく取り上げておいでになるのでしょう。これを具体的にどう進めるのかということが私は問題になると思いますね。手放しでおったのではなかなかこれは進まないという気がするのですが、これの具体策があればお伺いしたい。
  41. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) お話しのように、乳製品について今後その価格を安定をする、ないしはその低廉化をはかっていくということを第一の問題として乳業施設の合理化の問題があるわけでございます。乳業の合理化につきましては、まずわが国のコストの特徴的なものの一つに集乳経費が悔いという点がございます。この集乳経費が高いという点につきましては、一つは分散的な集乳組織がいままであったわけでございます。新しい制度によって、急速にはまいりかねるかとは思いますけれども、合理的な集乳路線の整備をやるということは相当大きな問題であると思っております。  それから、さらに集乳の場合に、かなりの距離を輸送いたします場合には近代的な手段をもって輸送をするという点も必要でございますので、直ちにこのことに直接関係するわけではございませんが、長距離の集乳輸送をするための手段、施設を提供する社団法人を先ごろ設立をいたしまして、生産者団体等に貸与するということをいたしたのでございます。この点も集乳輸送の合理化のために役立つであろうというふうに考えております。  それから、乳業施設の問題につきましては、これは本質的にはそれぞれの乳業企業の創意くふうによって合理化をはかっていくということが基本でございますけれども、政策的にもそれを支援をする必要があり、また指導をする必要があると思うのでございます。  で、指導の方向としては、私どもごく抽象的でございますが、先ほどお話に出ました酪農近代化基本方針の中に、改善を要する方向というものを明示をいたしたのでございますが、今後各都道府県の酪農近代化計画を策定するにあたりまして、将来の生乳生産量、需要量、それも用途別に想定をされます需要量に従って乳製品向けの乳業というものを前提とし、合理的に処理確保ができるような施設の配置、新増設等を計画的に指導をするようにしむけてまいりたい。その際、乳業企業に対しまして、われわれがなし得ます支援は、金融の問題、それから税制等による優遇措置であろうかと思うのでございます。  金融につきましては、開発銀行、それから、それぞれ地域にございます北海道、東北開発金融公庫あるいは商工中金、中小企業金融公庫等の融資の計画的なあっせん、さらに先般当委員会におきまして御審議、通過をさせていただきました農林漁業金融公庫法の一部改正による農林漁業金融公庫資金の導入という問題も含めまして、金融上の問題は考えていきたい。  また、税制上の問題としては、新しい機械の導入等につきまして、特別償却等の恩典を与えるようにしてまいりたいというふうに考えておるのでございます。地域生乳生産、需要の動向というものに即した施設の整備をはかっていくことが重要であるというふうに考えておるのでございます。  なお、一般管理費でございますとか、販売経費の類は需要量の増大によって逓減をはかっていくことが可能でもございますので、酪農の振興自体が、乳製品価格の安定なり、コスト逓減の力にもなり得るというふうに考えておるのでございます。
  42. 矢山有作

    矢山有作君 全部ぼくの質問を一応済ましてから農林大臣にお伺いしようと思っておったのですが、四時にお帰りになるそうですから、ひとつお聞きしておきたいのは、農林大臣、いまいろいろと畜産局長から御説明を聞きまして、私のほうからも申し上げて、問題は市乳化を促進するということが、いまの酪農政策の一つの重点になっておるようです。そうすると、市乳化を促進するためには、まあ保証価格自体の、六十九円何がしのきめ方が、現在の生産実態から見ていいか悪いかということはしばらくおいて考えたとしても、その保証価格に、市乳化を促進するためには、十分見合うだけの上乗せをした価格が、市乳向けの生乳取引価格として出てこないと、市乳化の促進ということは非常に困難になってくるということは御理解いただけたと思うのです。  で、畜産局長も、その点はよく考えて、市乳化促進に障害にならぬような、市乳向けの生乳取引価格はやはり指導していく、しかし、法的な強制力を加えて云々はしばらくできないにしても、強力な指導をしていく、こうおっしゃったのですが、そういうふうに、大臣、あなたのほうでも責任を持って今後後進めること、できますか。簡単に答えていただきたい。
  43. 坂田英一

    ○国務大臣(坂田英一君) いまのこの市乳の問題は、私もこれは非常に地帯的にもまた見まして非常に心配しておる問題でありましたのでございます。しかし、どうしてもこれは加工乳の問題をはっきりさせること。それで、市乳は、先ほど局長からもお答えいたしましたように、いろいろの実態がやはりまだはっきり、その地帯によってたいへんその点が違うものでございまするから、そこへ固定的な意味において全国的に統一するという、そういうことはむずかしいと思うのです。先ほど畜産局長からお答えしたとおりでありまして、この加工原料に対する不足払い制度を確保するということが第一であります。これに即応して、飲用牛乳の問題は、それらの実態、地方の実態によく即応させながら、どちらかというと、私どもも十分この点を考えて、この飲用牛乳の問題について対処していきたい、かように申すのでございます。その点は、先ほど畜産局長からお答えしたことで大体御了承を願えたかと思っておりましたような次第でございます。
  44. 矢山有作

    矢山有作君 先ほど畜産局長のほうから、集送乳施設整備の問題が一つ出されたのですが、これは私も集送乳施設の整備というととは、これはどうしてもやらなきゃならぬと思うのです、それはおっしゃるとおり。ただ問題は、ちょっとお伺いしたいのですが、この「酪農の現状と対策の方向」の中に示されておる、生乳価格の国際的な対比ですね、これの中には、やはり工場渡しでこれは示されておるのでしょうね。
  45. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 生乳価格の形成のしかたは、国によって非常にまちまちであり、また、国の中でもまちまちでございますので、それに示されておりまする価格は、工場渡しであろうという推測でございますが、工場渡しであると断定的に言えないものでございます。日本の価格水準も、これも工場渡しで表示されておる県もあれば、クーラーステーションのところもあり、また農家で集乳をするという場合のものもありまして、これも明確ではないということでございまして、これは資料自身がどうもはっきりいたしませんので、そういう性質のものでございます。
  46. 矢山有作

    矢山有作君 しかし、諸外国のは、これは工場渡しかどうか調査するのに外国にまで出向いて調査するわけにはいかぬし、なかなかむずかしいと思うのですが、しかし、少なくともこれに掲げられた日本の場合は、それは個々の取引は集乳所渡しもあるし、工場渡しもいろいろあると思うのですが、ここに示された場合は、これは常識的には私は工場渡しで示されておると思うのですが、違いますか。
  47. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 過去のものにつきましては、実は工場渡しと思われるものもありますし、そうでないものもあるということで、それが工場渡しの価格水準であると断定をするわけにまいらない。で、これはもう矢山先生御承知のように、いろいろな形の契約があって、そうして自分の県での、ある県での価格水準はこういう価格水準であるというものがいわゆる建て値として示されまして、それを用いておるのでございますので、工場渡しというふうに断定し切れないのでございます。
  48. 矢山有作

    矢山有作君 しかし、そうなると、局長さん、こういう資料を出してもこれは何のために出したのかわからなくなりますね。諸外国の場合は、それは実態が調べられないから……、それはその言いわけで私はいいと思うのです。ところが日本のものについて統計資料として示す場合、個々の取引としてはいろいろありますよ。しかし、日本の場合にはこういうふうな数字で出したんだということでなければ、これは説得力がありませんよ。あなたは乳が高い高いというのは、生乳が高い高いと言ってあまり各方面から攻撃されるから、そうじゃないんだという証拠を示すためにこの資料をつくったんだといわれるでしょう。たいへんな労力をかけて資料をつくっておいて、その辺がはっきりせぬというのじゃこれは説得力が全然出てきませんよ。これは農林省のひまつぶしにこんなものをつくったんだろうとぐらい言われたってしょうがない。そんなことでは、やっぱり私は将来の行政を推進をしていく上での基本にはならぬと思うのですね。そういう無責任なことじゃやっぱり困りますね。説得力がないでしょう。そんなことだったら、もし、たとえば大蔵省に予算要求した。何かいろいろな交渉をする場合、じゃ、この資料はどうなんですかね。といわれて、工場渡しやら集乳所渡しやらわかりませんということになる。そんなでたらめな資料を渡して、大蔵省がうんと言いますか。
  49. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 国内の乳価水準を示すための資料は都道府県を通じて毎年調査をしてまいりました。府県の課税建て値を集計平均いたしたものでございます。その際の府県の標準建て値というのは実は非常に複雑なものを一括をいたしておるのでございまして、これが工場渡しであるというふうに、どうしても断定するわけにはまいらない。その点はいままでは個々の契約でもばらばらな引き渡し価格になっておったのでございまして、今後はいままで御説明をしてまいりましたとおり、わが国では工場渡し建て値というものが明確になってくるわけでございますが、過去のものは、これは全部工場渡しの建て値であるというふうに言い切れない実態のもとで統計——統計といいますか、調査をいたしたものでありますので、お叱りを受けてまことにどうも弱っておるわけでございますけれども工場建て値であるというわけに言い切れないのでございます。
  50. 矢山有作

    矢山有作君 それはそれで私は聞いておきますけれども、少なくともこういうふうに資料をつくる場合、その辺がはっきりせぬと、われわれ議論する場合、非常にやりにくいのです。というのは、何でしょう、集送乳経費というものをあなたのほうで計算されておる。キログラム当たり二円六十一銭でしょう。そうすると、これはたいへんな相違になってくるわけです。工場渡しの数字を出すのか、工場渡しで出さないのかということは、これは大きな相違が出てきますよ。集乳経費が五十七銭です、キログラム当たり。輸送経費が二円四銭、合わせて二円六十一銭になっておるわけです。だからどこ渡しでこれを比較しておるのかということは、これは乳価水準をきめる上にはたいへんなんですよ。その辺はやはりはっきりしておかないと、私も議論するのにやりにくくてしょうがない。だから私は、この資料というものは工場渡しで出されるのが常識だから工場渡しの価格だろう、こうつかんでおるわけです。ですから工場渡し価格でこの資料というものを比較する。国際比較をやって出すとこの程度だから、したがってこの問題点は集送乳路線なり集送乳施設整備にも問題はあるけれども、同時に乳業施設に非常に問題があるということで議論を進めてきておるわけです。その根底がくずれてしまってはどこで議論していいかわからなくなる。そうなると私は一生懸命、乳業施設の整備が必要であるというところに力点を置いておるのに、あなたのほうは集送乳路線なり集送乳施設のほうがこうなるのですと、こういう形でこられると、議論がそれてしまうのです。われわれは、別にひまつぶしで質問をやっておるわけではないのです。真剣な気持で酪農の問題を取り上げて議論しておるのだから、そこらはやはり統計として示していただく場合にはよく御注意いただかなければならぬと思うのですが、これはくどく申し上げてもしかたがありませんから言いませんが、そういう観点から私は集送乳路線なり集送乳施設の整備というものは非常に重大な問題だから、これはもちろんやっていただく。これは生乳生産者団体というものを指定して、不足払い制度をやって、用途別乳価を確立しようということならば、これは集送乳路線なり集送乳施設の整備ということは国の責任で酪農振興のために絶対やるべきことですから、これは絶対にやってもらいたいが、きょうは私は乳業施設の問題に議論の中心を持っていっておるわけです。それで説明をしてください。  それで大臣、いま御答弁いただいた乳業施設の配置の合理化あるいは設備の合理化の問題では抽象的な御答弁をいただいたわけなんですが、これを国がやっていかれるのには非常にむずかしい問題がたくさん出てくると思うのです。ただ金融措置や税制措置だけで解決のつくものじゃ私はないと思います。というのは、これは集約酪農地域指定した場合、これは乳業施設の乱立を防いでいかなければならぬという考え方一つあって、乳業施設をそこにつくらす場合にかなりの規制をやっておったと記憶しておるのです。それでもなおかつ非常に小規模の工場が、私をもって言わしめれば、乱立をしておったと思うのです。そういう規制があってですよ。だからこの乳業施設の整備合理化というのはたいへんな問題なんです。大臣、このことが日本の酪農の振興にとっては非常に重大な問題になる。その点は大臣、抽象的な御答弁しか出ないと思うのですが、その困難を克服して推進をしていかなければいかぬのです。それに対する具体的な腹がまえというものはできておるのですか。
  51. 坂田英一

    ○国務大臣(坂田英一君) これはいろいろお話をすると、とっぴなことをお話しするようですが、これは特におわかりのことですから……、初期のところからおわかりのことだろうと思います。私ども飲用牛乳というものに主力を置く、これは矢山委員も御存じのとおりでございます。そういう方向で進んでいきたい、こう存じます。  そこで、いわゆる乳製品工場関係の支店については地域的に相当重点的に考えてまいりたい、こういうことが大原則でございます。飲用乳の増強という問題、これはもう主力です。そして酪農、この乳製品についてはいま立地的に十分、現在でも大体の傾向はそうでございましょうが、そういう方向に努力を払ってまいりたいというのが荒いところの方針で、それで進んでいきたい、かように考えております。
  52. 矢山有作

    矢山有作君 いや、市乳化の問題と、そこでからめてもらっちゃ困るのですよ。市乳施設の場合でもこれは小さな加工場がたくさん群立していることは同じことなんです、条件としては。だから私はいま乳製品が高いことが、案外日本では乳が高い乳が高いと言われる大きな原因になっているわけですから、その点を除去していくためにはやはり乳業施設の合理化が要るんだということを重点に置いて言っているわけです。もちろん市乳施設の合理化も要るんですよ、当然要るんですから、その点を間違えないでもらいたい。大臣も御用事があるようですからけっこうです。ただ、具体的にどう整備していくのかを言いなさいと言ったって、おそらくないだろうと思うのです。いま畜産局長が言ったぐらいの答弁しか出ないだろうと思うのです。それだけの腹がまえがどこまでできているかということすら疑問だと思うのです。いま乳業施設の整備合理化について具体的なことが積極的にいえない段階なら、私は、日本で乳が高い、高いというのは、これは生乳価格が高いのじゃない、決して。多少高いけれども、それよりも日本で乳が高いと言われる大きな原因は乳業施設の面にあるということを強調してください、強調を。それをともすれば、この「酪農の現状と対策の方向」を見ても、あるところには私が先ほど言ったように、「原料価格の引下げも必要であるが、それ以上に加工販売費の合理化を必要とする。」とぴしゃっと出しておいて、そして、ほかのほうを読んでみるといかにも酪農の合理化ができてない、生産者乳価が高いから乳が高いんだという印象を受けるような書き万になるのです、全体としては。そういうことでは、私はいま衰退をしておる酪農をほんとうに保護することにならぬと思うのです。酪農民が実際問題として一日の労働報酬を何ぼもらっているかということはおわかりのとおりですけれども、大臣が大臣の仕事をやめて、局長は局長の仕事をやめて牛を飼う気持ちになるかというと、私はならぬだろうと思うのです、一日当たりの労働報酬がいまのままでは。それをなお、乳が高い高いといって生産者のほうにしわがくる、それを防ぐためには、乳が必ずしも高いのじゃない、問題は乳業施設の点に問題があるのだ、さらに集送乳の点に問題があるのだと、この点を大きく強調してくださいよ。そのことが私はこれからのほんとうの酪農を振興させるもとだし、あなた方が今後日本の酪農の大きな矛盾点、乳業施設の問題、集送乳の問題を解決していく気運をこしらえるもととなると思う。焦点がぼけております大臣。
  53. 坂田英一

    ○国務大臣(坂田英一君) そういう御質問の趣旨については私も同感でございます。私もそういう点について非常に酪農民のほんとうの生産の、いわゆる取得というものが非常に小さい、小さ過ぎる、この点は酪農のみならず、もっとはっきり言いますと蔬菜にしても、くだものにしても同様の気持ちが私にもあるのです。これはいま申されたように、矢山委員とその点についての問題については同感でございますることを申し上げることができる。ただ、その方向に進むためには、これはやはり実直に、実際に即して進んでいきたいというところに、あるいは非常になまぬるいといったようなことが出てくるかもしれませんが、これはやはりどうしても実態というものを無視できないので、そういう方向にでき得る限りの努力を払っていくべきであるということを信じておるものでございます。たいへん恐縮ですが……。
  54. 矢山有作

    矢山有作君 その話が出たから一つだけ聞いておきます。そうすると、それほど大臣が口角あわを飛ばされるほど生産農民の立場に立って酪農というものをとらえていられるなら、なぜあなたは保証価格をおきめになるときに、国会で赤城大臣が約束されたことを実現されなかったのか。不足払い法案審議された過程というものをあなたはよく御存じでしょう。不足払い法案が衆議院で審議の対象になったときに、あなたは農林水産委員の一人であったはずなんです。そのときに主要加工原料乳地域における生産費の計算について、労働費計算はこれはいわゆる農村の臨時雇用賃金ではいけない、当該地域における他産業並みの労賃で計算をしなければいけないということが赤城農林大臣の口からはっきり出たということはあなたは御承知のはずなんです。それで他産業並みの労賃をとるという場合に、それが全規模平均になるか、五人規模平均になるか、三十人規模平均になるか今後検討しなければならない、しかし、他産業並みの労賃はとらなければならない、それについてそれが採用されるようにこれから一年間徹底的な調査をやって実現をしますということを赤城大臣がはっきりおっしゃっていることは、あなたは農林水産委員の一人として聞いておられるはずなんです。それをたまたまあなたが大臣になられたら、その大臣という大きな力で、赤城さんが約束されたことをあなたは実現される責任があったはずです。ところが、それをあなたは他産業並みの労賃をとらないで、農村臨時雇用賃金をとって労働費計算をやられたのです。これは大臣大きな矛盾ですよ。口先だけでいいことを言ったって、実際行政面にそれが出てこなければそれは意味をなさないのですから、その点どうなんですか、ことしは済んだことですから追及をしてもしかたがないと思うけれども、これは政治のあり方としてたいへんな問題なんです。国会で一旦大臣が声明をし、しかも全員の委員会の中でそれが異議なく了承された、異議なく了承されたということは、大臣が答弁をしたときに、与党の中からも反論は出なかったということから見ても明らかなんです。それを大臣、あなたはなぜ守られなかったか、それを守られないような強い圧力がどこからか加わってきたのですか。その圧力にあなたが負けたとするならば、いまのように口角あわを飛ばしてあなたが強調なさっても、それは農民をごまかすというふうに言われてもしかたがないと思うのです。だから今後あなたは、たとえば来年においては、ことしの誤まったあなたの態度というものを改めて、必ず赤城農林大臣が国会で約束したとおりに、他産業並みの労賃をとられるということをあなたがここで断言されるならばあなたの罪は幾らか軽くなる、どうなんですか。
  55. 坂田英一

    ○国務大臣(坂田英一君) その問題については私のほうからも申し上げたのでございますし、また、でき得る限りの努力をいたしまして、この保証価格が現在のように決定をいたしたようなわけでございます。先ほども申しましたように、農業の面は急速にやるべきことも、全体のつり合いということもあり、また、いろいろの問題がございまするので、急速に実行し得ないということもあるのでございまして、何ら圧力に屈したということだけは絶対ございませんから、先ほど申し上げましたように、漸次そういう方向に向かって努力を払ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  56. 矢山有作

    矢山有作君 この間のたとえば参議院の……、大臣ちょっとおってください。参議院での不足払い法案審議のときに、わが党の委員からこういうふうな質問が出ているのです。他産業並みの労賃を取ることについて、すみやかに資料を整備して、この保証価格を制定するまでの間には総動員をして、そうして大臣が衆議院で答弁したことを保証価格算定にこれをはっきり算入するということを大臣は約束できますか、こういう質問に赤城農林大臣は、いま統計とか実体の把握がありませんから、この保証価格をきめるまでには実体を把握するように私は督励をいたしたい、こう思います。と、こう言っているのです。というのはあなたも御承知のように、あのときに他産業並みの労賃を取るか、農村雇用労賃を取るかということが非常に議論の焦点になった。焦点になったときに、与党さんのほうからまとめられて、大臣の答弁としてこれが出てきたわけですから、資料整備をやって、保証価格制定までにはこれを実施するようにすると言われたわけですから……。そうすると、それをあなた守らぬわけですよ、国会できめられたことを。国会できめられたことが行政府によって破られるということは、たいへんな問題ですよ、大臣。ですからあなたは、もう国会できまったことを行政府が破るということに抵抗できなくて、あなたも国会議員なんですからね、抵抗できなくて、それに屈して農村臨時雇用賃金で計算したのですから、その罪というものはたいへんな問題ですよ。国会のあり方を冒涜するにもほどがある。その罪を自覚されたら、あなたは今後の方向として、来年度からこれをやるのかやらぬのかということなんです。抽象的な答弁は要りませんから、来年度はこの罪の償いのために赤城農林大臣が約束したことをやります、こうおっしゃっていただけば、それだけでもう終わりなんです。
  57. 坂田英一

    ○国務大臣(坂田英一君) 来年度から必ずやるということは、いまここで申し上げることはできないと思いますが、そういう方向に向かっての努力は進めてまいりたい、こう存じます。
  58. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、こういうことを申し上げると与党の方にはお気にいらんかもしれませんが、これはあえて言わしてもらわなければならぬので、与党の方なり政府は、大臣が国会で約束なさったことを破ったと、そのことは農民を裏切ったということに私ども解釈をいたします。大臣、それでよろしいか。
  59. 坂田英一

    ○国務大臣(坂田英一君) 別に破ったというわけではありませんが、そういう方向に向かっての努力はいたしたい、こう存じます。
  60. 矢山有作

    矢山有作君 まあどうせあなたを責めあげても、あなたは圧力がないないとおっしゃるけれども、それは口先きだけの話で、なかなかいろいろな問題があるでしょう。だからあなたにここで夜どおし議論をしたところで、来年度からやりますということはなかなかおっしゃらんと思う。しかしあなたは、少なくとも国会できまったことの責任だけは感じなければいけませんよ。それで期限が切れないなら、その方向に向かって努力するということだけはこれは絶対やらなければいけませんから、そのことはよく腹に入れておいてください。あなたがたとえ農林大臣をやめたって、国会議員の一員であることは変わりはないですから、しかも不足払い法案審議したときの農林水産委員の一員であることも変わらないわけです。このことはいつまでたっても消えないわけですから、今後のあなたの努力を期待いたします。大臣に対する質問は、大臣お急ぎのようですからこれでよろしい。あとこの問題については、まだまだ畜産局長も政務次官も残っておりますから、私はある程度の目安が立つまではやはりお尋ねしなければならないと思うのです。  その問題はさておきまして、次の質問に移らせていただきます。途中で質問が大臣のほうに向きましたので、乳業施設の設備合理化の問題が途中消えになりましたが、この問題についての困難性というのは私よりも行政担当の畜産局長のほうがよっぽどよく御存じだし、また農林省のほうがよっぽど御存じのはずなんで、たとえば集約酪農地域の問題でも先ほど言いましたような規制を加えてもなかなか思うとおりにいかなかったという、そのはなばなしい実績があるわけですから、したがって、今後の乳業施設の合理化についてはさらに真剣に取り組んでいただきたいと、こういうことを私は要望として申し上げておきます。そしてむしろ生産農民のほうにしわの寄るようなことはなされぬように、そういうふうな御努力をお願いいたしておきまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。  保証価格算定をするときに、主要加工原料乳地域における生産費というものを中心にして保証価格は算出をなさったわけですが、この主要加工原料乳地域というのは加工向けの原料乳生乳生産の五〇%以上を占めている地域だというふうに私どもは御説明を受けたと思うのです。そういう該当の都道府県というのは厳格にいってどれだけあるかということです。
  61. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 主要加工原料乳地域というものの考え方につきましては、不足払い法案の御審議いただきます際に、ただいま矢山先生がおっしゃいましたように加工向け原料乳のウエートが五〇%以上の都道府県を考えておるということでございまして、その後基本的な考え方はそのとおり貫かれておるのでございますが、実は加工原料乳というのが法律上の用語として出てまいりますと、加工原料乳を定義づけるための乳製品の範囲がきまってまいりまして、非常にやっかいな計算になる。と同時に、それは必ずしも過去のデータだけではつかみ得ないということに相なりましたので、行政的には飲用乳の、飲用向けの比率が五〇%未満の都道府県法律上の主要加工原料乳地域として取り上げるということにいたしたのでございます。常識的にはそれでいずれも問題なかろうと思うのでございますが、そういうやり方をしたわけでございます。具体的には該当の都道府県は北海道、青森、岩手、福島、山形、長野、鳥取の一道六県でございます。
  62. 矢山有作

    矢山有作君 これは私は詳しく実はこの問題自体については調べてないのですが、この間会議録を読んでおりましたら、渡辺委員の質問の中に、たしかいまおっしゃった道県以外に熊本と徳島が入っておったように記憶しておるのですが、その問題についていや熊本、徳島は違いますという明確な御答弁が出ていないのです。その点はどうですか。
  63. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 熊本はもともと加工飲用乳比率が五〇%未満という県ではないのでございますから、これは該当いたしません。徳島は実は法案審議の当時私ども加工原料乳地域に入るのではないかという予想をもっておったのでございますが、その後徳島が京阪神の飲用乳集荷地域性格が変わりまして、   〔委員長退席、理事野知浩之君着席〕 調製粉乳工場相当の規模のものがあったのでございますが、これが廃止をされたわけでございます。そういう事情がございまして、徳島は加工原料乳地域としての性格を持たなくなったのでございます。いずれもいまの私が申し上げましたような定義からは主要加工原料乳地域たり得ないのでございます。
  64. 矢山有作

    矢山有作君 私はこの質問をあえて申し上げたのは、もし主要加工原料乳地域がほかにもあった場合に、それをはずしてやられた場合には北海道のような非常に酪農の進んだところに足をひっぱられてちょっと保証価格が安目に出てくるのではないかということがちょっと気にかかったものですから、あえて他の委員が質問なさっておったことを確めたので、この問題についてはこれ以上申し上げません。私は局長の答弁を信用いたしますから。  次は、その生産される生乳相当部分加工原料乳であると認められる地域における生乳の再生産を確保することを旨として定められた価格、これが保証価格ですね。そうなるとこの保証価格は他の生乳生産地帯の原料乳価格より低いという感じがするのですがね。と言うのは、主要加工原料乳地帯として一道六県を並べておられるのですが、一般論として言えることはどちらかというと、大体これらの道県の労賃水準は他と比較してみて、これは案外低いところではないかというふうに考えられるのですけれども、そういうことはありませんか。
  65. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 実は一道六県の臨時農村雇用労賃というものの平均水準と他の都府県との比較をしてございませんのと、実はそれは容易ならざる作業でございまして、やってないのでございます。ただ常識的に考えられますのは、主要加工原料乳地域というのは、これはやはり比較的純農村地域的な、純農業地域的な性格を持っておりますので、御指摘のように、おそらく全国平均よりはやや低位に出るのではないかと思います。臨時雇用労賃に関します限りは一道六県の中では鳥取県が最も低いようでございまして、北海道は全国平均よりも高いようでございます。
  66. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、まあ主要加工原料乳地域はともかくとして、それ以外の地域ではこの不足払いが行なわれることによって、不足払いはこれは全国一律ですから、行なわれることによって、生産農民にはちょっと不利になりますね、やっぱり。
  67. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 従来の乳価の形成につきましては、私から申し上げるまでもなく、生乳生産費と全く無関係に形成されておったものでございますから、一道六県の生産費をもって加工原料向けの乳価を形成をいたすにいたしましても、直ちにそのために従来の乳価より低く出るということは論理的にはないはずでございます。事実保証乳価飲用乳価、飲用向け及びその他の乳価価格が、私ども指導してまいりたいと思っている水準で推移をいたしますならば、そのために不足払いを加えた受け取り乳価農家の立場で県、一県単位と言いますか、指定生乳生産者単位で下がるということは私は現実にもあり得ないというふうに考えております。
  68. 矢山有作

    矢山有作君 ちょっと私ぼんやりしていてよくわからなかったのですが、私が申し上げたのは、過去の乳価形成ではなしに、保証価格というのは全国一律に適用になるわけでしょう。そうすると、その保証価格というのは先ほど言いましたように主要加工原料乳地域における生産費というものに基づいてきめたわけですからね。そうすると、農村雇用労賃というものがこの主要加工原料乳地域以外のところのほうが高いと、あなたがおっしゃったように一般論として高いということが言えるならば、この保証価格でぴしっと締めていった場合には、これはやはり生産農民にとっては不利な面が出てくる、こういうことですね。それを申し上げたのです。そういうふうに解釈していいでしょう。
  69. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 私のほうも、先ほど申し上げましたように、厳密に他の都道府県との対比において一道六県の臨時農村雇用労賃がどのくらい低いかということを検証しておりませんので、はっきりいたしませんが、感じとしてはおそらくやや低目であろう。でございますから、採用します臨時農村雇用労賃のとる地域の幅を全国に広げた場合と対比をすれば、保証価格水準が低目に出るということは、これは仰せのとおりだろうと思います。
  70. 矢山有作

    矢山有作君 そこで私は問題になるのは、これまでの法案審議の過程で、たとえば基準取引価格よりも実際の取引価格が上回るところにきめられたとしても、それに上乗せする金額は保証価格基準取引価格の差額を実際の取引価格の上に上乗せするのだ、こういう説明を聞いているのですが、それはそのとおりでいいですね。
  71. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) その点はこの制度自身が基準取引価格、法定されます基準取引価格というものと保証価格の差額を不足払いするというたてまえに相なっておりますので、具体的にキログラム当たり五円二十二銭、一・八七五キログラム当たり九円七十九銭というものが上乗せされることは当時御説明を申し上げたとおりでございます。
  72. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、それだけに私は実際取引価格をきめるときが大切だと思うのです。というのは、保証価格というのは全国一律に行なわれるわけですから、だから基準取引価格というものをあくまでも全国一律にきめられたとおりにぴしっとそれで締めていくと、これは有利な地域と不利な地域とはっきり出てきますわね。出てきますね、保証価格全国一本なんですから。その保証価格全国一本ということは、主要原料乳生産地帯とそうでないところを比べれば、多少主要原料乳地帯以外のところのほうが不利になる、一般論として。これは局長おっしゃったのですからね。そうすると、その基準取引価格としてきめられたものを厳格にそのとおりに守らせるということになると、これは主要加工原料乳地域以外の農民は損をするというままでいくわけですよ。わかりますか。こういうことですよ。保証価格全国一律ですよね。ところがその保証価格というのは、主要加工原料乳地帯の生産費で出しているわけですから、そうすると、それ以外——主要加工原料乳生産県以外の地域のほうが一般論として不利になるということはお認めになったわけでしょう。そうなると、その不利なのを補うていくのは、実際の取引価格にかかってくるわけですよね。実際の取引価格基準取引価格でぴしっと締められないで、その地域地域、たとえば市乳化の強い地域ならばそういう地域が上がっていく。実際の取引価格基準取引価格より上がっていくということになれば、それに上乗せしていくのだから、主要原料乳生産地帯以外の農民の不利は救われるわけですよ。そういうことになりませんか。どうかなその点。
  73. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 矢山先生のおっしゃいましたことで、計算上の問題として、保証価格基礎となる労賃といいますか、生産費をとる地域を主要加工原料乳地帯にとれば、全国地域とする場合よりも、低く出るということは私も認めているわけでございます。しかし、いずれの水準をとりましても、保証価格というものは現地に一本になるわけですから、有利か不利かはどの地域の農民も私は同じことだと思うのです。ただし、加工原料乳地帯の生乳生産者は、私ども計算が正しいとすれば——正しいと思っておりますが、正しいとすれば、生産費を償う加工原料乳代を受け取っておる。それに対してその他の地域生産費を償う加工原料乳代を受け取れないという意味の差が出るという意味では、私も理解ができます。ただ、この問題につきましては、生産費のとる地域を主要加工原料乳地帯に限りましたのは、これは法律のときにも御説明申し上げましたとおり、一道六県主要加工原料乳地域以外には、飲用乳のウエートが、総体的に大きい地域でございまして、飲用乳は先ほどから申し上げましたごとく、また申し上げなくても御存じのとおり、交易条件が有利なわけでございますから、受け取る乳価としてはむしろ、ただいままでのお話と別の角度から、また有利になるはずでございます。でございますので、加工原料乳の再生産価格ということを旨として定めるための生産費をとる地域加工原料乳のウエートの高い地域をとるということに制度上したわけでございます。でございますので、あと基準取引価格以上の乳価を、取引乳価をきめる、あるいはそういうことによって取引をするということは、生産費のとり方の問題として私は出てくる問題ではなくて、乳業者が全体として、あるいはある都道府県事情として、さらにより多くの支払い能力を持っているという、その観点から折衝がさるべきものだと私は思うのでございます。その点については先ほどから申し上げましたとおりでございまして、私ども何も乳業者支払い能力があるのに基準取引価格以上のものを払うべきではない、あるいはそれを要求すべきではない、そういう指導をいたしているわけではないのです。ただ、用途別取引が明確になった現段階におきましては、用途別取引の本来の趣旨に従った乳価の形成が合理的に行なわれるようにしてもらいたいという指導をしているに過ぎないのであります。
  74. 矢山有作

    矢山有作君 いま主要加工原料乳地域以外は市乳地帯ということで、取引条件が有利だという話がありましたが、この問題は、こんがらがるから、あとにちょっと残しておきます。残しておいて、要は、加工原料乳向け生乳保証価格というものでぴしっときめていった場合には、主要加工原料乳地帯以外のところのほうがちっと不利になるということはいまおっしゃたわけでしょう、第一段階として。だから私の言いたいのは、基準取引価格というものを強く押しつけますと、これはその不利が救済されないから、だから基準取引価格というものは、それぞれの地域実態というものがあるから、したがって、むしろ市乳地帯になればなるほど、原料向けの乳の実際取引価格にしたところで基準取引価格を上回ってもやむを得ぬでしょうと、だからそれを基準取引価格に近いところに押えようとすることのほうが間違いだ、こういうことを申し上げたかったわけであります。そうすれば不足払いは実際の取引価格の上に基準取引価格保証価格の差額を上乗せするというのだから、主要加工原料乳地帯以外のところは不利なところが救われてくる。だから実際取引価格決定する場合には、基準取引価格をなるべく押しつけないように、それぞれの地域性によって適正な水準にきめられるようにかまえていったほうがいいと、こういうことを言いたかったわけであります。そのことです。  それから、飲用乳地帯は取引条件が有利である云々という話が出たのですが、その認識は、局長さん、ぼくはやはり再検討しなければいけないのじゃないかと思うのです。もしほんとうに過去の実績においても市乳地帯と目されておるところが非常に条件が有利だというなら、市乳地帯ほど酪農が後退をしていくという姿は出ないはずなんですね、これは。ところが、現実にはそちらから出された資料でも出ておりますように、ずっと見てみると、酪農が飼養戸数、飼養頭数とも後退をしておる府県というのは、市乳化の強いところが案外後退しておるのですよ、それから停滞しておるところもそうなんです。それで生産全体としては、先ほど一般論として局長がおっしゃったように、北へ北へとへんぴなところへ移っていくわけですよ、酪農の中心が。このことは市乳地帯の酪農経営者が必ずしも有利でない。こういうことがやはり実際の問題として出てきておるのじゃないか。だから飲用乳地帯ほど有利なんだ有利なんだという考え方は、やはり是正する必要があるのじゃないかと思います。これは話が横へ行きましたが……。
  75. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 私のお答えもやや不十分なところがあったかと思います。乳価だけの観点からしますれば、飲用乳地帯が交易条件としては有利であるということは、私ははっきりしておると思うのでございます。ところが経営の立場ということに相なってまいりますると、単なるといいますか、交易条件だけでは判断ができない点が出てくる。主要な飲用乳地帯というのは都市化が相当急速に進んでおる、あるいは他産業の雇用機会が非常に多いというような各種の要因がありまする上に、規模拡大の制約が相当強いというようなこともありまして、傾向として市乳地帯における酪農は停滞の傾向が強く、比較的加工原料乳のウエートの高い地域の酪農が伸びつつあるということは、御指摘のとおり私どもも認めるところでございます。
  76. 矢山有作

    矢山有作君 だから酪農振興という立場に立てば、有利不利の判断は交易条件だけに限って私はやってはいかぬと思う。やはり酪農を振興させるというなら、全体的な経営の中から見て、それが酪農民に有利か不利か、こういう判断をされぬと酪農振興にならぬと思う。そういう交易条件だけに限って考えると、いま言ったように、市乳地帯における酪農の後退というものに対して手が打てなくなる。だから交易条件だけに限るのでなしに、全体としてとらえてみた場合での酪農の経営が有利か不利か、こういう観点から考えていかなければならないと思う。  それからまだいろいろあるのですが、もう時間もだいぶん過ぎたし、私もいささか疲れましたので、最後に一、二お伺いしたいのですが、というのは、先ほど大臣にも申し上げた保証価格の問題なんです。これは大臣に申し上げたのは、あなたにも聞いておいていただいたからおわかりと思うのですが、あの不足払い法案審議のときに、やっぱり労働費をどうみるかというので、他産業の労賃並みにみるということに一番激しい抵抗を示されたのは、表に出た形では、私は、畜産局長じゃなかったかと思うのです。したがって、そういう過程の中でいろいろ審議のこんがらがる情勢等から、赤城大臣は、酪農の振興という問題を真剣にとらえて、日本のいまの酪農の現状というものを十分認識して、やはり他産業労賃並みで労働費計算しなければならぬということを言われたわけです。そのことは、大臣があなたの発言を是正されて、そういう方向を打ち出されたのですから、そうすれば、あなたとしたら、その大臣の発言を尊重してその実現に努力するというのがあるべき姿なんです。それをあなたは、あの法案審議のときに、自分が発言したことをあくまで貫こうとして、ことしの乳価算定の場合にも、あなたの主張どおりに、臨時農村雇用労賃というものでその労働費計算されたわけです。これはちょっと問題があるのじゃないですかね。私は、大臣が約束したことをあなたが守る責任があると思う。その点はどうですか。
  77. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 私ども事務当局といたしましては、法律趣旨に従い、かつ上司の指揮に従って行政を進めていくべきものと考えておるのでございます。赤城大臣の発言の趣旨も、私はそばにおりましたので十分承知をいたしております。ただ、といいますか、私は、ことしの保証価格決定をするにあたりましても、決して独断をもって決定をいたしたわけではございませんで、政府内の意見の調整の上に立ち上司の指揮を受けて原案を作成することに努力をいたしたのでございます。  多少よけいなことになるかと思いますが、赤城農林大臣は、かねがね私どもに、酪農の振興を本気でやるということであるならば、酪農家らしい酪農家は、少なくとも近所隣りの月給取りと均衡するような報酬、生活水準を得られるのでなければ実現しないだろう、ということをおっしゃっておられたのでございまして、赤城農林大臣の日ごろの私どもに対する指導精神というものは、今日も私どもは持ち続けてまいりたいというふうに思っておるのでございます。
  78. 矢山有作

    矢山有作君 しかし、赤城さんは他産業並みの労賃をとるのだということをはっきり言われているのです。しかも、私は先ほど言いましたように、他産業並みの労賃をとるという場合に、それが五人規模だとか三十人規模だとか全規模だとかいうことは言えません、これは検討しなければならぬが、他産業並みの労賃はとります、ということをはっきり言っておられるわけです。あなたはそばにおられたから聞いておられると思う。ところが、あなたの答弁によれば、上司の指揮によってやってると言う。そうすると、赤城大臣はうそをついたということになるのですが、赤城大臣はうそつきですか。
  79. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 最後のお尋ねは、私ども軽輩がこのような席でお答えすべき問題ではなかろうと存じます。   〔理事野知浩之君退席、委員長着席〕
  80. 矢山有作

    矢山有作君 赤城さんが、前大臣が言われたことを私がいま申し上げたわけですね。他産業並みの労賃をとりますと、しかし、その場合十人規模になるか二十人規模になるか、三十人規模になるかわかりませんが、それをおとりになると大臣が言ったことは認められるでしょう。会議録があるから。会議録が捏造されでなければ……。そのとおりなんですかね。
  81. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 会議録を私も持ってきたつもりでございますが、ただ、委員会の席上におきまして、赤城大臣としては、労賃の評価というものは安定的なものをとることが望ましいと、そういう意味を含めて当該地域の他産業等の労賃をもって評価がえをすることがよいのではないかと自分は思うという趣旨の御発言をしたと記憶をいたしております。
  82. 矢山有作

    矢山有作君 それで、それについていまのところ十分な統計その他の資料がないと、だからはっきりしたことは言えぬということは言うておられますわね。ところが、そういう統計とか実態の把握がなくても、それは実態を把握してやるべきじゃないかという重ねてのこれは渡辺委員の質問があった。それに対して赤城さんが、先ほど私が読んだように、いま統計とか実態の把握ができておりませんから、この保証価格をきめるについては実態を把握するように督励をいたしたい。それでその上で他産業労賃を労働費計算をしていくのだということは前の答弁でも出てくるのですが、そうなるのじゃありませんか。それで、あるいは百歩譲ってたとえば、そういうことになりませんが、たとえば即時四十一年度から実行するということを約束したわけじゃありませんとあなたはおっしゃりたいのだと思うのだが、だったらこの大臣の答弁はいつ生かされるのですか、問題は……。
  83. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 行政価格水準決定いたします生産費の算定の方式をいかにすべきかということは非常に広範な立場で実は検討すべきものと私は思っておるのでございます。それで当該農産物の生産事情あるいは流通の事情等また、他のといいますか、同じ市乳の中にも加工原料以外のものもございますので、それらの流通経済の実態というものと調和することがやはり総ワクとしてはあるのではないかと、私自身としては考えております。そこで、私も実はいわゆる農村臨時雇用労賃を採用するという方式で、しかも全規模階層を平均化して算定をするという方向を永久にといいますか、長く取り続けることが合理的であるかということに若干疑問を持っております。でございますので、私ども明年度につきましても、より合理的な、また生産性の向上というものが農民にも生産農家にも帰属する保証というものがどういう形で方式化されるかという点を含めて検討をしたいものであるというふうに考えておるのでございます。その点は法律にもございますように、畜産物価格審議会の御審議等を経た上で、さらにより合理的な方式というものがあるならばそれを採用していくということにすべきではないかというふうに思っておる次第でございます。
  84. 矢山有作

    矢山有作君 私はどちらかというと、あなたの逃げ道をこしらえるつもりで、百歩譲って質問したのですが、そういう御答弁になると、私どもはやっぱり国会の審議というものを立ててものを言わなければならぬことになる。国会の審議において、法律をどういうふうに具体的に適用していくかということが赤城さんによって明らかにされたわけです。そのことはあなたもちゃんと御存じのとおりなんです。そうしたら、審議会にかける、かけぬという問題は、その明らかにされた解釈の範囲内で審議会にかけていくのが行政府の仕事でしょう。赤城さんがはっきり言っているのは、こういうことを言っているのです。「具体的には米の場合にもありますように、他の製造業につきましても全部をとるとか、三十人をとるとか、五十人をとるとか、いろいろそういう問題もあります。そのほか、具体的に算定をやるときにはいろいろの資料によって相当問題があろうと思いますが、考え方は、私はそういう方向で考えたらいいんじゃないか、こう思うのです。」考え方というのは、他産業労賃でやると、この考え方です。そういう答弁をしている。そうすると私が繰り返して言っているように、他産業労賃をとるということは、大臣ははっきり言っておる。ただその規模をどの程度にするかということは、これは検討すると言っておる。それで参議院に来て、統計、実態の把握がないから、それを把握をしてやるんだと言っている。そうしたら、やはり審議会にかけるときには、その範囲で審議会に相談をかけるべきなんで、その明確に示された具体的な適用に対する大臣の考え方を逸脱した形で、審議会に示されるということは、これは間違いじゃないですか。これは明らかに間違いです。その点を私どもは追及しておる。そういうことが恒例化されてくると、国会でどんな約束をしたって、どういう話し合いをしたって、これは全然行政府で無視されるという前例ができてしまうのです。これは事、社会党だけの問題じゃありません。国会に席を置いておる者としては、これはたいへんな問題です。この点を私は言っておるわけです。これは一貫した赤城さんの答弁ですからね。しかもその答弁は、あなたが農村雇用労賃をとるのだということに対して、衆議院段階で紛糾をして、紛糾をした中で、与野党の理事の折衝の中で、大臣はこういう答弁をしておるのですからね。これはたいへんな問題ですよ。あなたは軽く言っておられますけれども、だから私はあなたが答弁できやすいようにと思って、あなたが国会無視だということにならぬようにと思って、百歩譲って考えた場合に、いつから大臣答弁のとおりにやるのかと聞いたのです。それに対して、のらりくらりさっぱり見当のつかぬようなことを言われるならば、われわれとしては国会答弁どおりにやらにゃいかぬじゃないかということになる。この見解ははっきりしなければならぬ。それからあなたは他の比較とか、あるいは加工原料乳だけじゃなしに、ほかの市乳取引の問題もあるとかなんとか、いろいろおっしゃるけれども、少なくとも加工原料乳なら加工原料乳に対しての方針がきちっと確立してこないのに、ほかが出てくるはずがない。原料乳価格については農村雇用労賃でいいのですと、ぱあっと示される。そのほうが公的な意味を持ってくる。もっと言えば権力的な意味を持ってくる。そうすると、その他有利なものがあったとしても、それが基準になって有利なものを引き下げるという作用をする。それはそうだろう。あなた行政をやっていて一番よく御存じでしょう。そういうことを私たちはおそれている。だからそれではならぬ。だからあくまでも国会で明らかにされた方針に従って乳価算定はなさるべきである。そのことによってはじめてその他の問題についても適正なものが出てくるはずだ。それをちょっと誤解しておられるのですよ、あなた。だからあなたがもしそれをやる上において、それをやったら、大蔵省その他あらゆる方面から徹底的に押えつけられてできませなんだ。ですから圧力に負けまして、臨時農村雇用労賃を採用せざるを得ませんでしたとおっしゃるなら、それは私どももそれだけのことについては納得いたします。その辺をはっきりしてください。
  85. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 四十一年度の総額の算定あたりまして、われわれも事務的にいろいろと検討をいたしてまいりましたし、政府部内も、もちろん意見調整ということもなければきまるものではございませんで、意見調整が行なわれたのでございますが、最終的には、事はきわめて重大な問題でございますから、上司の指揮を受けた上で、私どもは事務的に算定作業をいたしたわけでございます。明年度以降の問題につきましては、先ほど大臣からの答弁、大臣からお答えをいただきましたような次第でございますので、私どもは慎重な、事務的には慎重な態度で、本法の趣旨に沿うような方向の検討をいたす、上司の指揮のもとに価格決定作業にあたりたいというふうに思っております。
  86. 矢山有作

    矢山有作君 あくまでも上司の指示に従ってこれをやったということになりますと、これは赤城さんが食言をした、うそをついたということになるし、それからさらに坂田農林大臣も自分が農林水産委員会委員として、この審議に参加して、そのいきさつというものは承知しておりながら、大臣の席にすわってそれを破ったということになります。で、政務次官ね、これはたいへんな問題なんですよ、このことは国会のあり方の問題として、ただ単に乳価決定の問題だけがなしに、国会のあり方の問題として、これは重要な問題です。その点についてどういうふうにお感じになりますか。これは直接審議に携わっておらんから、よく御承知ないと思いますけれども、私と局長とのやりとりを聞いておられて、そういうことがあったということはおわかりになった次第だと思う。だから国会議員であるという立場、政務次官であるという立場、そういう立場から、国会できめられたことが、行政府で一方的にねじ曲げられたということについて、どういうふうにお考えになりますか。
  87. 後藤義隆

    政府委員(後藤義隆君) この問題につきましては、先ほど農林大臣から直接詳細な御答弁がありましたから、私が申し上げることはどうかと思いますが、それと同時に赤城農林大臣の国会における答弁が、どういうような趣旨の答弁をしておるのか、そこも実は私存じませんから、正確なことは申し上げにくいのでありますが、ただ私は、農林大臣が国会で一応答弁されたことは、できないことはやむを得ないけれども、できることはなるべく趣旨を生かしてやはりその方向に向かっていくことが必要である。なお私どももその趣旨に向かって、その方向に向かっていくようなふうに努力をいたしたいと、こういうようなふうに考えております。
  88. 矢山有作

    矢山有作君 政務次官のほうから、率直なお話があったわけですが、やはり国会ではっきりされたことは、私はこれを守るように、責任ある政務次官としては今後努力していただきたいと存じます。それで私は、こういうふうに保証価格算定というものが、せっかく方針が出ておりながら、ねじ曲げられてくるということは、どこでそういうことが問題になってくるのかということを私は疑わざるを得ない。それでもし畜産局長が先頭に立って、大臣の答弁をくつがえしたということならこれはたいへんなことだ。畜産局長、ところが、もしそうでなくて出てきたというなら、これは政府全体の責任になってくるわけです。たとえば、私はその点について、いろいろといきさつがあっただろうと思うのは、あの不足払い法案審議になるときに、私は実は政府部内でいろいろあの制度を実施する上に問題点になったものを集約した資料を持っております。これは四十年の三月十日付で出ております。その中に「保証価格については、乳製品需給事情等を反映した抑制係数の採用等不足払い額が乳製品需給実勢に関係なく増加することを抑制する仕組を考慮すべきである。」こういうことが論点としてあげられておるわけですね。このことが私は保証価格算定についてあらわれてきたんじゃないか。このように解釈しているんですが、これは畜産局長の立場に立って、私はあなたの立場を救済する意味で善意で言っているんですよ。そういう姿勢が政府部内全体にあったんじゃないかということ、私は少なくとも畜産局長が自分の発言を国会の段階でくつがえして、大臣がはっきり示したものを、その事情を御存じになっておって、あなたが先頭に立って、大臣の示された見解をお破りになったとは考えたくないんです。ですから政府部内のいろんな関係からしてそれができなかったんじゃないか、そう思うんですがね。そうであるとするならば、やはり今後畜産局としては、その大臣の答弁が一日も早く実施される方向で全力をふるう必要があるんじゃないか、私はそのことを申し上げたいと思うのです。これ以上あなたを責めても、これはどうにもこれ以上のおそらく前進した答弁は出ないだろうと思います。ただ問題点は、ただ単なる乳価決定の問題でなしに、国会の立場に関係してくる問題だということをお考えいただいて、今後の態度というものを、やはりあなたは大臣答弁どおりに実施する責任というものを負うんだ、そういうことをやりますということだけはあなたの口から私はおっしゃっておいていいんじゃないかと思うのです。
  89. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 私どもも赤城農林大臣の国会における発言の御趣旨は、先ほど申し上げましたように、体してまいりたいと思っておりますので、保証価格決定につきましては赤城大臣の御発言の趣旨を体しつつ、より合理的、より前進をし得る態勢のために努力をしてまいりたいというふうに思います。
  90. 矢山有作

    矢山有作君 まあ努力の成果というのは一年先ではっきりしてくるわけですが、ただ単なるここでの答弁ということでなしに、赤城大臣の発言が一年後に実がなるように、これは全力をあげていただきたい。このことについてはもうそれ以上申し上げませんから、これは農林省畜産局として全責任をもっていただきたいと思います。  それから最後に一つだけ伺って、やめます。先ほど局長が言われた集送乳の面の合理化の問題なんですが、これは私はやはり国の責任において強力に推進していただく必要があるんじゃないかと、こう思います。それというのは、現在の集送乳施設等の状況、集乳所、それからタンクローリーその他の集送乳施設を見ても、これは乳業メーカーがかなりみずからやっているところもあるし、それから提供してこれを酪農民に使わしておる形もあるし、いろんな複雑な形があるわけです。ところが集送乳の合理化を考えて、工場渡しということで、その制度を確立していくためには、これは私はそういう集送乳施設面を国が責任をもってやって、メーカーに頼らない姿勢というものがどうして毛必要になってくると思うのですがね。そういう方向でやはり行政を進めていただきたいと思うのですが、その点どうですか。
  91. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 矢山先生の御質問の御趣旨ども全く同様に考えておりまして、ただ現段階では御承知のように、全国ほとんど津々浦々にわたります集送乳施設というものがメーカーを主体として設置されたものが多いわけでございまして、これを本来の姿として、工場までは生産者側だという理想的な姿に近づけるように努力をしたい。なおそれを通じて集送乳コストの逓減ということをはかっていくようにいたしたい。現在も計画的な集送乳路線の整備のための施設の新設、統合等については助成の道を講じておるのでございますが、金融措置等とあわせ、ただいまの御意見の方向で努力をしてまいりたい。相当の期間を要すると思いますが、根強くその点を進めてまいりたいというふうに思っております。
  92. 矢山有作

    矢山有作君 それから乳価の問題なんですがね。乳価は基本乳価以外にいろいろな俗称裏乳価というものがくっついていて、非常にこれは複雑になっておるのですが、用途別取引を確立して、そして不足払い制度を有効に使うという上からこの乳価のあり方というものに対してやはり考えていかなければならぬのじゃないか、乳価を一本できめるように……。私調べたのに、裏乳価と称せられるものだけでも大まかに分けて、出荷乳量に応じて定期的に生産者に支払われていると思われる裏乳価、こういうもの、それから不定期に支払われていると思われる裏乳価、組合に対して支払われると思われるもの、これらを寄せると裏乳価と考えられるものは二十以上あるのですよね、二十以上あるのですよ。言ってみましょうか。たとえば(1)の中には乳量に対して支払われるものということで大口出荷奨励金、専業手当、増産奨励金、多頭化奨励金、それから乳質改善奨励金、一等乳生産奨励金、原乳衛生奨励金、それから市乳補給金それから不定期に支払われているものでは、導入資金の利子補給金、それから経営改善奨励費、冷却装置設置補助金、それから牧草種子購入補助金、それから組合に対しては、運賃助成金、組合活動費、指導事業助成金、指導協力費、獣医助成費、酪農経営安定助成金、組合育成助成金、協力費、単協手数料、こうなるのです。こういうものがいろいろな形で出て、これがやはり乳価のきめ方に非常な不明朗な余地を残しておるわけです。ですからこれをやはり一掃するということを考えていく必要があるのじゃないかと、それはむずかしい問題でしょうがね、その点が一つ問題なんです。特に指導関係のものだとか、獣医に対する助成費だとか、いろいろとこんなものを乳業メーカーまかせにしておくことが間違いなんで、こういう点はもう少しこれは生産者団体がやり得るような態勢をつくってやらなければ、これは乳業メーカーとの関係が切れませんよ。しかもいま乳業メーカーは、自分たちが確保しておる集乳圏をくずすまいとしてやっきとなっておるでしょう、地方の実情というものは何だかんだといって裏工作やっておるわけですよ。だからそういう弊害を断つためにこの裏乳価の一掃、これはやはり今後、非常に重視してもらわなければならぬと思うのですがね、この点の方針……。
  93. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 私どもも従来からいわゆる裏乳価といいますか、公益条件として非常に不安定な対価が支払われているということについては適当でないという考え方をもって、具体的な事例が示されました場合にはその整理を慫慂してまいったのでございますが、今回一県単位の指定生乳生産者団体ができました機会に、乳の販売に対する反対給付として出されるものは、できる限り単純化し、公正なものにしていくというふうに指導してまいりたい。ただ奨励金といいますか、そういうものの種類の中には、生乳生産者団体の立場から見ても生産の合理化なり、あるいは乳質の改善等を誘導するためにある程度のことをせざるを得ないというものも残るかと思いますが、二十数種の基本乳価以外のものがあるということはきわめて不適切でございますので、御意見の御趣旨に従った方向で指導してまいりたいというふうに思います。
  94. 矢山有作

    矢山有作君 乳質改善なんかも、これはやはり国なり地方公共団体が責任をもってやるべきです。こんなものをメーカー指導にまかしておいて、メーカーがそういうことで金を出すようなことをいつまでも続けるとこれはやはりぐあいが悪いのです。そういったもの——技術面だとか集送乳の施設だとか、いろいろな問題たくさんあるわけですから、それはやはり全部国なり地方公共団体として責任をもってやらなければ、これはメーカーの暗躍を避けられないです。メーカーとの手が切れませんよ。いままでの既成の酪農組合と会社はやっぱり割り切って考えてやらないといかぬと思う。特に生産者団体に自主性を持たせる、乳業メーカーにかき回されないように生産者団体に自主性を持たせるということが一番です。その上から考えたら、乳質改善だってメーカーにまかしていたのではいけない。乳質改善をやらなければならないのは当然なんですから。たとえば例にあげられたような、そんなことも国なり地方公共団体がやるべきです。そうお思いになりませんか。
  95. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 乳質の改善の問題等、これはもちろん行政庁、それから生乳生産者団体自身、末端の指導を行なうべきであると思います。その点は御意見のとおりでございますが、生乳生産者団体自身が乳質の改善のために一種の奨励措置をとるということが私はやっぱり現段階では必要ではなかろうかという感じがいたします。このメーカーが末端の単位酪農組合、あるいは個人に対してやるというようなことは、これは避けさすべきだ。すべてメーカーとの関係における代価の授受の窓口は、これはあげて指定生乳生産者団体にするということで従来の乳業者の、乳業企業の単協なりあるいは酪農民に対する経済力をもってする支配力というものは排除する方向で私どもも姿勢を正して指導したいというふうに思います。
  96. 矢山有作

    矢山有作君 私もそういう意味で申し上げたのです。生乳生産者団体が乳質改善等をやっていくのはあたりまえなんです。それがメーカーから金をもらわなければできないという形がいけないということなんです。そういう方向でやっていただければいいのです、自主的にやっていただく。  それでまだお尋ねするといろいろあるのですが、あまり時間が長くなりますから、私はまあこれで質問を打ち切りますけれどもね。問題は、現在の酪農の実態というのは、私が申し上げんでもよくおわかりのように、停滞傾向というのがはっきりしている。停滞だけでなしにむしろ減退の傾向すら出ているわけですから、それをただ単なる不足払制度を採用しただけでは私は解決がつかないと思うのです。やはり酪農全体の積極的な振興策というものは、生産加工それから流通、あらゆる面にわたって進められていかなければならぬわけです。特に先ほど局長のほうからの指摘がありましたように、市乳なんかの問題を考えた場合に、小売り段階にいろいろ問題があるとおっしゃった。そういう全般的な施策というものをやっぱり強力に進めていっていただきたい。そうせぬというと、おそらく私は、麦が国内の生産がさっぱりだめになり、最近はまた米が不足になり出したように、酪農がまた崩壊するのだということになってはたいへんだと思う。少なくとも選択的な拡大ということで、主食の米というものにつぐものとして牛乳というものを考えてゆくなら、そういう点についての施策の充実、強化ということを私は強く要望いたしまして、質問を終わります。  それから言い落としましたが、そちらから質疑の中で提出すると言われた資料については、これは御提出を願いたいと思います。
  97. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) ただいまお触れになりました、私のほうから提出したいと申しました資料は、整備の上、御提出を申し上げます。
  98. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 本件についての質疑は、本日は、この程度にとどめ、散会いたします。    午後五時五分散会      —————・—————