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1966-04-20 第51回国会 参議院 農林水産委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月二十日(水曜日)    午後一時二十三分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山崎  斉君     理 事                 野知 浩之君                 和田 鶴一君                 矢山 有作君                 渡辺 勘吉君     委 員                 宮崎 正義君                 青田源太郎君                 梶原 茂嘉君                 小林 篤一君                 櫻井 志郎君                 園田 清充君                 田村 賢作君                 仲原 善一君                 温水 三郎君                 森部 隆輔君                 大河原一次君                 川村 清一君                 鶴園 哲夫君                 中村 波男君                 森中 守義君                 北條 雋八君    国務大臣        農 林 大 臣  坂田 英一君    政府委員        農林政務次官   後藤 義隆君        農林省農林経済        局長       森本  修君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        農林省農林経済        局金融課長    今村 宣夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事の辞任及び補欠互選の件 ○農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○農業信用基金協会法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 山崎斉

    委員長山崎斉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず、おはかりいたします。  武内君から、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。互選は投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 御異議ないと認めます。  それでは理事矢山有作君を指名いたします。     —————————————
  5. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 次に、農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案農業信用基金協会法の一部を改正する法律案一括議題とし、質疑を行なうことにいたします。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  6. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、近代化資金中枢機関をになう農協自体について、一、二まずお伺いをいたしたいのでありますが、農業協同組合体質改善という声が、組織の内部はもとより外部からも提起されて、かなりの年月を経過いたしておるのでありますけれども、なかなかその実態は、体質改善が十二分に行なわれていないうらみを私は感ずるわけであります。ありていに申しますと、いまの農協はさか立ちをしておる実態ではないか、購買事業というものは現実には組合員の必要な生産、あるいは生活資材協同組織で購買するから購買事業と言っているのでありますけれども実態農協から組合員にこれを売り渡す販売事業的な運動の中で進められておる。販売事業はこれとはまた逆に、組合員生産して商品化する生産物をこれを系統を通じて共販する、その物資を買い集めるという購買事業的な運動をやっておる。もっと基本的にいえば、農協の本来のあり方は、組合員である農家営農指導というものを中心として、その農家営農計画に基づいて必要な資金の手当をするとか、あるいは資材の世話をするとか、当然出てくる生産物共同販売組織的に取り上げるとかという方向であるべきものが、どうも基本的な営農というものをあらゆる活動の基本にするという姿勢が、部分的にはそういう当然あるべき姿勢で運用を行なっている農協も私は認めるにやぶさかではありませんが、なかなかそういう点が、十分正しい姿勢農協運営にあたっておるということについては、全国的な視野からきわめて私は遺憾な実態であるというふうに理解をせぜるを得ないのであります。私たちは汽車に乗って旅行すれば、たんぼの中に「貯金農協へ」という看板は見受けるけれども、「農家に必要な資金農協から」というようなスローガンにいまだ出会ったことがない。これを唱えてかなり久しいわけでありますが、貸し出し積極化ということこそが私は共同体経営面中心課題でなければならぬというふうに考えるのだけれども、なかなかそういうことが十分行なわれていない。そうこうしているうちに、実態は低金利時代に突入して、むしろ積極的な外部活動等をせずしても資金農協に集中するという現象が出てきている。あわてふためいて信用事業立場からも貸し出し積極化というものがやっと最近当事者間でも真剣に問題の中心になるような、きわめて流れに即応するような形が出ていないと思うのであります。近代化資金はその中のプロパー資金制度金融というワクの中で行なわれるわけでありますが、こういったような一連の現実というものを見つめた場合に、大臣は、今後あるべき農協方向というもの、特に信用事業に限って、どういうふうに大臣としては行政最高責任者としてお考えになるのか、この点をまずお伺いをしたい。
  7. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) ただいまの渡辺委員の御質問の中に、農協重要性を認めて、その重要なる農協動き方について非常な心配というか、配慮をされておる気持ちはよくわかるのであります。私もその気持ちが非常に多い一人でございます。しかし、これはお答えをする前に申し上げたいのでありますが、とにかく何と申しましても、現在の農業の、いわゆる大きく近代化されたる農業といえども社会的に見てどうしても小農である、私はこう思うんです。そういう関係から、やはり農業者の有力なる団体であり、また、その構成されまする農業協同組合がきわめて重要であるという認識の上に立って私はおりまするし、また渡辺委員も同様であろうと思うのです。その意味において渡辺委員がいろいろ御心配になっておる点はもっともであろうと思う。私もその点は心配はいたしておりまするが、その度合いがある程度違うと思います。しかし、農協をりっぱに効果を上げしめるという立場から言えば、渡辺委員のように主張されることはもっともだと思います。しかし、そうであるかといって、現在の農業立場において、私は唯一のとも言いませんが、非常に有力なる協同組合としてこの農業協同組合のきわめて重要であるということ、そういう意味において、現在のいろいろの事業そのものから見て、やはりきわめて大きないわゆる仕事というか、分担を受け持って、その仕事の面に努力しておる姿は、私は十分ある意味においては認めていきたい。また、これを伸ばしていきたい。言い方が違うようでありますけれども、結局いい農協にしたい、いわゆる農民のための農協としての力をより以上発揮せしめたいという気持ちにおいては、私は少しも違わないのではあるまいかと、こう考えておるわけでございます。よけいなことを申すようでございまするが、やはり根本的な問題であるだけに、私もさようなことをつけ加えて申し上げておるわけでございます。  それから、もちろん信用事業の面につきましては、いままでの農協といたしまして、やはりいままでのいろいろの金融を見ましても、非常に高い高利貸し的な金融が大部分を占めておった当時と比較しますると、遅々といたしておりましたとはいえども、やはり農協農民に対する貸し付けの大部分を占めるように相なってきたということは、これは重大なやはり一つ成果であるとは思います。しかし、いま渡辺委員が言われたとおりに、確かに最近の情勢から申しますと、もっとよく、もっとやはり金融農民自身経営改善あるいは環境の整備という方面十分貸し付けができる方向にもっともっと向かうべきである、こういう点については私も同感でございまして、農協信用事業がその方面により一段と強く、また、大きく動くべき、また活動すべきものである。また、われわれとしても、これらに対しての突っかい棒を十分いたしていかなければならぬものであると、かように存じておるわけでございます。
  8. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 何しろどうも最近の世の中というのは、想像以上に加速度で進んでいる情勢なわけです。その中に、私から言えば、体質改善というような最大の課題もみずから解決できないで沈滞しておる、時勢の進展に取り残されておるのが農協であるというふうに心配して見ておるわけであります。たとえば、過般、農協法改正して、法律の中に農業協同組合中央会という第三章を設けた改正をした。その当時ばらばらな各事業面なり、あるいは県段階全国段階を通じてのそれを総合的な大所高所の立場から調整をし、合理的な指導を任務として法律改正され、中央会県段階全国段階と通じたのでありますが、当初の期待とは反して、全部が全部とは私は言いませんけれども、共通的には、いまの県段階あるいは全国中央会というものは期待した方向に進んでいるのじゃなくて、端的に言えば、寄り合い的な、クラブ的な性格に堕しておるというふうに私は見ざるを得ない。相撲で言えばちょうど行司のようなもので、着ている衣装はきらびやかである。置かれておるその立場というものはかなり期待した、名前の示すように中央会である。しかしながら、相撲の場合にもありますように、ちょっとその相撲で問題があれば検査役が出てきて文句をつける、さし違えであるというふうにあやまらなければならぬ、権力も持っていなければ金力もない、ちょうど行司のようなはかない性格を持っておる。私は法律を制定した当時の期待から非常に現実は遠いものに置かれておるということを感じるものであります。それは一つの例でありますが、これはよほど抜本的に、大臣もおっしゃるように、日本農政を担当する、これは共同組織体でありますから、よほど抜本的に体質改善をしませんと、取り返しのつかない、後手を、もうはっきり固定化してしまう。これは自主的な共同体であるから、自主的にそういう体質改善をすることは、共同体の本質からいって当然であるけれども、しかし、日本では、法律組合というものが規定されているから、大臣としても、この農協の抜本的な体質改善といいますか、というものには、おそきに失するけれども、勇断をもってこれは対処する、喫緊の政策課題一つだと思うのです。大臣はこれに対していかなる決意をもってあたられようとしておるのか、その点をひとつ。
  9. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) ごもっともでありまして、非常に重要なる団体でございます。日本農政の強力なる推進のために欠くべからざる重要な団体でありまするだけに、最近のいろいろの情勢からみまして、やはり農民のための農協という面について、強力な活動の行なわれる方向に向かって、より一そうの努力を払うべきものであると、私も考えておりまするので、昨年早々、有識者あるいは学者経験者等に寄っていただきまして、農協のあるべき姿等についての根本的な問題を現に検討を加えておるわけでございます。
  10. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いろいろ農協あり方については伺いたいのでありますが、きょうの法案には直接関係がありませんから、この程度にいたしますが、研究会を去年設けて、その成果を待つとか、そういうこともさることながら、よほどこれは真剣に政府でも、研究会答申待ちなんというような、ゆうちょうなことではなく、決意を新たにしてやはり立ち向かってもらわなければ、どうにも取り返しのつかないというふうな危機感を私は抱いておるということだけは、ここではっきりと申し上げておきます。  近代化資金法改正にあたって、まず前提となる農家の、信用事業を通じての実態というものをみますと、農協貯蓄増加率というものは、二四%程度増加率を示しておる。一方、貸し付け金の推移も、伸びてはおりますけれども、この割合というものが、貯貸率——貯金貸し付け比率でみますと、四六%ないし四七%程度ということになっておって、よほどアンバランスというものが、現実当面の問題になっておる。これは大臣もとくと御承知のことであります。よほどこれは組合金融に対する確固たる政府の指針というものを明らかにしなければならない段階にきているのではないかというふうに考えるわけであります。  その貸し付けの中で、私は指摘をしなければならんのは、農家負債の累増という実態であります。政府は、この実態把握をしているのか。いるとすれば、それは一体どういう実態なのか。農業白書でも、半行程度ちょっと触れている程度で、農業白書を見た程度では、その実態はよく理解しにくい。たとえば、北海道負債実態というものが、三月末で発表されておりますが、これは、新聞の記事を私は見ただけであります。信憑性その他は、責任を持ってこれを引用するものではありませんけれども北海道内の農家農協系統組織から借り入れた資金の中で、償還期限がきても返せない、いわゆる延滞金は、昨年の三月末で二百五十七億円に達している。その半分の約百三十億が、期限経過後一年以上の延滞ということが報道されているわけであります。  これは、ある学者指摘しているように、ここ二、三年のうちに、日本農政の中で、農家負債問題が重大な政策課題になると指摘している学者があります。私も、この学者意見には全く同感であるわけでありますが、単に農家だけではなくして、たとえば山村住民あるいは漁業従事者、この負債実態も、かなりせっぱ詰まった実態に置かれているのじゃないかというふうに私は思うのであります。たとえば、水産庁が三十七年三月に発表した漁家負債調査報告を見ましても、全体の負債の中で、返す見込みがないというのが、全体の一二・八%を占めている。これは、返す意思があるが、返す見込みがないというものが、全体の一二・八%を占めている、返す可能性はあるが、きめられた期日までには返せないというのが、全体の四六・九%ある。期日中に返せるという者が四〇・三%というのが、水産庁から、漁家負債調査として発表されている。これは、三十六年の調査から出たものが報告されているわけであります。  その後、四十一年まではかなりの歳月を経過している。それらを考えますと、この農家負債というものは、かつて開拓融資等で次々と新たな制度融資に旧債をのりかえて、表面づらは一応きれいにしているが、実体は返済不可能の沈澱した債務がある。既存農家は、まことに北海道のこの統計にして誤まりがなければ、きわめて憂慮すべき負債実態報告をしている。これは部分的に私は、調査したデータは、社会党としては手持ちがないので、あっちこっちのそれぞれの資料をつなぎ合わせて伺うのでありますが、二、三年を待たずして、私はこの農家負債というものについては大きな問題になるということを警告するとともに、一体政府は、近代化資金もけっこうであります。あるいは公庫融資その他、制度金融プロパー融資、一切を前向きにやる前提として、これらの焦げつき債務というものを、一体実態把握しておるのかどうか。しておるとすれば、その内容をこの機会報告をしていただくとともに、その実態にはいかなる対策をお持ちであるかをあわせてお聞かせを願いたいのであります。
  11. 森本修

    政府委員森本修君) 農家負債といいますか、借り入れ金状況でございますが、最近の農家経済調査などによりまして、私どもが、農家がどういうふうな借り入れ金状況になっておるかというのは調査をいたしておりますが、それによりますと、三十五年から三十八年ぐらいまでの間に、農家の一戸当たり平均でございますが、借り入れ金は二〇%強年率にいたしまして増加を来たしております。で、借り入れ金増加をいたしております理由といいますか、要因はいろいろあると思いますけれどもかなり大きな部分は最近の農業経営合理化といったような面、いわゆる設備投資でありますとか、そういった前向きの資本投下のために借り入れ金をしておるというのが大きいのではないかというふうに思っておりますが、中には、ただいま御指摘がございましたように、災害でありますとか、あるいはその他の事情によりまして、いわゆる固定化負債というものもその中にはまざっておるのではないかというふうには思いますけれども、こういった借り入れ金の中で、いま申しましたような固定化いたしました負債がどの程度占めておるかということは、実は詳細に私どものほうではわからないというふうなことでございます。ことに北海道等につきまして、いろいろそういった固定化負債があって、あるいは営農を今後続けていく、また新しい追加の借り入れ金をするときに支障をきたすというふうなことを指摘されることが多いのでございますが、そういう点につきましても、私どもとしては、事情調査をし、またその事情をつかんだ結果、そういった困難な部面がありますれば所要の対策を検討していきたい。そういう考えでおるわけでございます。
  12. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 一般の負債調査はある程度あるようですけれども、私のお尋ねして一おるのは、負債の中のいわゆる固定化債務焦げつきになっておる部分、これは農家営農実態からその内容を調べて判定をする、きわめて至難なものだと思うのであります。単に借り入れ農家の主観的な意見で、これは返せるとか返せないとかいったって、客観性がないわけですから、あくまでもその償還能力があるかないかという実態を踏まえた上でこれは測定をすべき困難なことであることは承知をいたしておりますけれども調査をするという局長のお考えでありますから、全国的にそれらの調査を、農家といわず漁家といわず、農林漁業者農林省所管の地域、第一次産業に従事している農林漁業者負債の中の固定債務固定債務の中の返済不能な債務という内容についての調査は、いつごろまでにこれは調査をされて、その結果の発表を聞かしていただけますか。
  13. 森本修

    政府委員森本修君) 全国的に漏れなく調査をするということも、実はいろんな何といいますか能力等関係もございますので、あるいは北海道等特にこういう問題が多そうだというふうな地帯につきまして、特に北海道などは、現在道庁においてもこういう方面調査をしておるやに実は聞いておるわけです。まあそういうふうな調査等とも関連いたしまして、いつごろまでとこれは言われましても、ただいまお答えする用意はございませんけれども、必要な向きに対しては、できるだけ早い機会にそういう実情を調べてみたいというふうな考えでございます。
  14. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私は先ごろ宮城に行ったときに、宮城信用農協連でやはり県内の農家負債調査というものにかなり精力的に取っ組んだ中間のデータ報告を受けました。私の出身地の岩手県も、県庁がまた精力的な調査をやっております。内地といえどもかなりこれには問題意識を感じて、それぞれの調査をやっておる事態があるわけでありますから、単に北海道と限定せずに、これは全農家を対象としてやる必要もないわけでありますから、やはり全国的なその趨勢というものを押えるに足る調査を、精力的にあなたの所管でひとつこれを取っ組んでもらいたい。これはかなり費用もかかるでありましょうし、容易ならざる仕事一つだと思うのです。そういうことを、その問題を提起するのは、これは無理でしょうか、大臣どうでしょう。
  15. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) ただいまも経済局長からお答え申し上げましたとおり、全面的にこれ調査することは、かなり困難な問題であるとは思いまするので、必要な地帯をいわゆるピックアップして、でき得るだけその用途に使いたい、かように私も存じます。
  16. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 別段ここで調査期限を切ってどうこうというやぼったいことは言いませんが、大臣のその方針を体して、ひとつこれを大きなやはり農林省仕事一つとしてやってもらって、すみやかにその結論を得た上で、私はその資料に基づいて、いろいろ新しいそれに対応する施策もまた政府みずから発議されることを期待して、この負債問題はこの程度にいたしておきます。  最近、ここ二、三年来のことでありますけれども金融農政ということがしきりに言われるようになってきておる。これは言うまでもなく、農政の上に占める金融役割りがいかに大きいかということを表現しておるものと理解をするのであります。しかしながら、実態は、たとえば農業構造改善、これにも基本的に問題はありますけれども、そういうものを、あるいはその他の政府農業政策に関連する融資という実態を見ましても、補助残融資というものと、融資単独事業というものとのその消化方法というものを見ますと、この補助残融資のほうが消化割合によくて、融資単独事業というものは思うように進んでいないというふうに実態把握をしておるのであります。これは一体どういうことからきておるか、これも政府としては分析をしておられると思うのでありますが、その実態をどう理解し、それに対応する前向きの施策はどういうふうにお考えになっているかをお尋ねをいたしたいわけであります。
  17. 森本修

    政府委員森本修君) 融資実態でございますが、御指摘の、補助をつけましたものの補助残融資と、それから補助のないいわゆる融単事業についての融資、その進捗の度合いでございますが、特に御指摘は、あるいは構造改善事業等につきまして端的に補助残融資と非補助融資というのが比較をされるのは多いのでございますが、実績を見てまいりますと、たとえば、数字を申し上げて恐縮でありますが、三十八年と三十九年の構造改善事業補助残、非補助融資伸び率などを見てまいりますと、補助残融資が三十八年が約八億、それから三十九年が十六億、それから非補助につきましては、三十八年が十九億、それから三十九年が三十八億というふうな形になっておりまして、融資実績自体伸び方というものはそれほど大きな差はないというふうに、これは公庫資金でございますが、見えるわけでございます。ただ一般的に言われておりますのは、構造改善資金のいわゆる計画額実績額比率をとってまいりますと、補助残融資のほうが計画に対する実績達成率、いわば消化率のようなものが高いというふうな形になっていまして、そういう点から補助残に対する融資は比較的伸びており、非補助に対する融資伸び方は少ないというふうに言われておるようでございます。その要因はいろいろあろうかと思うのでありますが、一つは、何と言いましても構造改善事業を推進してまいります際には、公共的といいますか、共同的な事業、また補助がついておるといったような事業を優先して取り組んでいくというふうな傾向は御案内のようにあるわけでございます。それから非補助などの融資計画を組みます際に、非補助事業についても三年間で希望があれば融資が達成されるというふうなことで実は計画を組んでおりますけれども事業実行面におきましては五年ぐらいで非補助事業をやっていくといったような実情になっておるようにも聞いております。そういった計画額の計上のしかた、それから事業の遂行のしかたの間に若干の差があるというふうな点から、計画額に対する実績、特に非補助事業についてはずれが出てきておる、こういうふうに私ども理解をいたしております。
  18. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 まあそういう理解のしかたもわかるわけでありますが、私はもっと客観的に見ると、やはり農家負担力の弱さというものが融資単独事業計画に比して消化割合が低い、補助残融資のほうが比較的いいというふうなことの一因をなしているのではなかろうかというふうに私は思うのであります。この点は後ほどまた別な課題の中で少しく詳細にお尋ねをいたしたいと思います。  それから、大臣にお尋ねしますが、農業金融全体の中で大きな政策課題一つは、この複雑多岐にわたり過ぎておるいまの各般の制度金融あるいはプロパー金融、そういうものの交通整理ということが唱えられて、これも何年にもなっておるわけであります。一体、こういう点を大臣はいかように理解し、いかような交通整理を考えておられるのか。これは大局的な見地からひとつ大臣の見解を明らかにしておいていただきたい。
  19. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) いま御質問の、いわゆる交通整理ですか、この点については、お説のとおり今日までも努力をしてまいりましたのでございます。今後ともそういう方向に向かっての努力を進めてまいりたいと、かように存じておるわけでございます。  なお、農協法資金融資という問題につきましては、いまここでいろいろ御審議を願っておる近代化資金のこの制度をさらに拡充してまいるということで進みたいと、かように存じておるわけでございます。
  20. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 従来も考えたが、これからは一そう積極的に交通整理については取っ組むという大局的な御答弁でありますから、そういう大局的な方向の中で、私は具体的にそれじゃ問題を提起してお尋ねをいたします。  いま法案として出ております農業近代化資金制度、これも融資分野の拡大、融資対象の拡大等が内容の根幹になっておる。これはこれなりにそういう内容が前向きで出されておるわけであります。しかしながら、他面、制度金融のバックボーンをなしておる農林漁業金融公庫資金についても、毎年のようにその条件緩和なり融資対象の拡大なりというものがまた並行して取り上げられておる。そこで、末端の立場から見ると、どちらか一本にしてもらったほうがいいという素朴な感じがあるわけであります。もっとも日常接触をしておる組合金融系統にそれを整理をするということが一つの世論になっておる。たとえば共同利用施設のごときも、いろいろ、近代化資金と他の制度金融との間で同じ項目を扱っておるものが、経済局金融課で出された制度金融の手引きにもわかりやすく載っておる。これ、私もゆうべ一応見たわけであります。たとえば土地改良の場合、いろいろあります。しかし私は、その幾多ある交通整理を必要とする中で、一つだけ問題をしぼってお尋ねをいたしますが、共同利用施設、この共同利用施設も、もう少し事務的な問題を整理をいたしまして、少なくとも共同利用施設資金のうちで農業団体に対するものは、少なくとも近代化資金にこれは一本化する、いま直ちにやることは無理ならば、四十二年度には共同利用施設資金の中で農業団体に対するものは近代化資金にこれは一本化する、公庫資金からはこれをはずす、こういうまことにささやかな問題の一つぐらいはここで明らかに、大臣方向の中で、具体的にはそれじゃそれをひとつやろうじゃないかということでもあれば、大局的な交通整理に努力をするという御趣旨はわかるわけであります。それをすんなりと理解をした場合には、こういう点について四十二年度からは交通整理の一端としてやろうというようなことにこれは当然なる問題だと思うのであります。御見解をどうですか。
  21. 森本修

    政府委員森本修君) 多少、資金内容などが入りまして詳しく申し上げる必要もありますので、私からお答えを申し上げますが、御指摘の、共同利用施設につきまして、公庫資金と近代化なり、あるいは系統資金との交通整理の関係でございますが、現在具体的に公庫資金貸し付けの種目の対象になっておるものは、特に交通整理上問題になるというふうに思われますのは、一つは電気導入の施設、二つは農協病院の施設、三つは農事放送施設、こういうふうに考えられるわけでございます。特に農協病院及び農事放送につきましては、御案内のように、交通整理問題としてきわめて複雑な問題を持っておったのでございますけれども、今回近代化資金制度の改正融資対象の拡大という意味合いから、新しく近代化資金をもって貸し出しをするというふうな対象に加えたわけでございます。そういうふうな観点から、私どもとしましても、できるだけ、先ほど大臣がお答えになりましたように、農協の共同利用施設は農協系統金融機関へということで努力をいたしてきておるつもりでございます。ただ、いままでいろんな経緯がありまして、公庫資金を利用しておったというような実績もございますので、一時に公庫資金のほうから落として近代化に一本化するということは、今回の経過的な措置としてはしなかった。両建てのような形でしておるわけであります。  ただ、現実の運用面におきましては、できるだけ、先般もお答え申し上げたつもりでありますが、農協系統でもって貸し出しをする、そういうふうなことに私ども指導上やっていきたいというふうに思っております。  なお、電気導入の施設につきましては、御案内のように、特別の法律がございまして、農林漁業金融公庫から貸し出すようになっております。そういう関係もありますので、そういったものとにらみ合わせて交通整理問題は検討しなければならぬかと思っております。  なお、四十二年からというようなお話がございましたけれども、御案内のように、いろいろの経過なり事情のあるものでございますので、できるだけ早くというような方向で私どもひとつ検討をさしていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
  22. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 病院施設は、いま四十一年度の公庫のワクはどのくらいですか。
  23. 森本修

    政府委員森本修君) 四十一年度の融資のワクは、一応十二億ということで計上いたしております。ほぼ前年並みに押えているということでございます。
  24. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私の把握している限りでは、四十一年度、いわゆる農協で持つ厚生病院の施設は六十億の希望があるわけであります。それに対して、公庫ワクが十二億しかないということになれば、それは一体どういうことになるか、そういう点から考えて、まああとでも伺いますが、近代化資金消化度合いが逐年低下をしてきておるということも考えますと、私は、この際、そういう融資の希望が公庫ワクの何倍かあるという実態から見ましても、これは近代化資金に整理をする——直ちにできない事態もわかりますので、私は四十二年ということを申し上げたのでありますが、従来の経過も取り上げるという、そういうものもやはりかなり思い切ってカットしなければ私は交通整理などということはお題目に終わっておる、従来の経過からいって。これはごまかしだと、少なくとも、そういう従来のいろいろないきさつがあればこそ交通整理という問題が末端では問題になっておる。だからそれをもう少し、たいしたこれは決断も何もいるものじゃないですから、政府ですっきりと割り切って、交通整理ということは、それぞれの合理化にもつながることであるし、四十二年ということを目途に、そういう方向一つの私は具体的な課題を出したに過ぎないわけでありますから、この共同利用施設ということは、一事が万事であるということで、可能なものについては逐次交通整理をしてすっきりさせるという方向を、これは強力に推進をしてほしいと思います。あまり一般論だけを伺っていると、大臣の時間の都合もあるので、いろいろ法案の具体的な内容に入りかねますから、先を急いで伺いますが、この近代化資金が発足してから、この資金の硝化率というものを提出された資料で見ますと、三十六年度は九三・七%の消化をしておる、翌三十七年度は九五%、三十八年度は九三・四%、三十九年度は八三・八%で、特に最近の消化率が低くなっておる、まあ一応そういう傾向からいって、この近代化資金は制度的に限界にきているんじゃないかという見方も出ておるようであります。私は、こういう消化の傾向が低下をしておるという中には、やはりその背景をなす条件というものが考えなければならぬと思うのでありますが、それは、果樹にしても、あるいは畜産にしても、いわゆる農業基本法でいう選択的拡大と宣伝されておる、そういう成長部門が、農家の肌で感ずる理解のしかたとしては、どうも不安でならないという面があるわけであります。私は、きょうの本論ではないから、その内容は一切触れません、結論だけを申し上げます。したがって、生産が停滞する、零細経営というものの相克矛盾もある、これを今後どういうふうに進めていくかということのために、私はいま言ったような交通整理で共同利用施設なり土地改良なり、逐次この近代化資金消化の対象を拡大することが、近代化資金だけを見た場合ですよ、手段の一つではなかろうかと思うのでありますが、そういう実態がある。  それから、これは大臣に伺うのでありますが、この近代化資金が創設された大きなねらいというものは農業経営の近代化である、協業化の促進である、助長である。政府の打ち出した農業基本法のこれは金融版として近代化制度が発足したわけであります。三十六年からこれが現実消化されて現在に至った間に、はたして近代化資金が意図した方向が政策金融として効率的な結果であったと判断しておられますかどうですか。農業経営の近代化あるいは協業化の助長、その点はどうなんですか。
  25. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) いまこの問題については、やはり経営の近代化あるいは協業化等に向かって、非常な早い速度ではありませんけれども、着実に進んでおりまするのでございまして、それに対してこの近代化資金の制度は相当の効果をあらわしておるということを私も感じておるわけでございます。ただ、この近代化資金の面について考うべき点がありまするので、たとえば債務保証の面とか、あるいは単協における資金の融通という面において、その貸し付けをいたしまする際に、やはり十分それらの仕事をやる上において不足な面もございまするので、これらの点の補充といったようなことも当然考えなければならぬという実態にありまするので、今回これらに対する、いわゆる改正と申しますか、補充の意味合いにおいて今度の法案を皆さんに御審議を願っておるわけでございます。
  26. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 具体的に今度の法改正内容に入ってお尋ねをいたします。  今度の改正案では、貸し付け対象者について農業者農協が主たる構成員、出資者となっている団体で政令で定めるもの、こういうふうに法第二条第一項で規定を改めることにして、この団体には任意団体を追加するように法文解釈は受け取れるのであります。これから審議をすることにも関連いたしますので、この法律施行に伴う政令案というようなものが、まだコンクリートになっていなければ、なっていないもので、要綱なりその他でひとつお示しを願って、その資料に基づいてまた伺っていきたいと思いますが、そういうものを提出していただくことはできませんか。
  27. 森本修

    政府委員森本修君) 政令の規定見込み事項、大体何といいますか、見込みでありますので、現在予定しておりますものについて早急にお出しいたすようにいたします。
  28. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 なるべくきょうじゅうに私はその資料を見せてもらえば、きょうじゅうにその資料に基づく質問を終わりたいが、何時ころまでできますか。
  29. 森本修

    政府委員森本修君) 多少いま用意したものがございますが、もしよろしければ、いまからでもお配りいたします。
  30. 山崎斉

    委員長山崎斉君) それでは、すぐ配ってください。
  31. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いま農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案の政令規定の見込み事項のものをいただきましたから、これをひとつ、ちょっと簡単に説明していただきます。あわせて信用基金の政令見込みも……。
  32. 森本修

    政府委員森本修君) それでは、ただいまお手元に配付をいたしました政令規定見込み事項の要点を御説明いたします。  まず近代化資金助成法に関連する分でございますが、第一は、ただいま御指摘がございました環境整備資金貸し付けます相手方なりいわゆる任意団体の要件でございます。二つございまして、一つは(一)にございますように、農業を営む者が主たる構成員となっているということ、それから(二)は代表者なり代表権の範囲その他について、農林大臣の定める基準に従った規約をつくっていただくというこの二つが要件でございまして、この要件を備えたものに貸し付けをいたす予定でございます。  それから二番目は、育成資金関係でございますが、育成資金関係は、融資の条件といたしまして、償還期限が十五年以内、うち据え置き期間は七年、これは果樹その他の永年性植物についての分でございますが、利率は年六分以内とする見込みでございます。なお、従来から貸し付けておりました果樹その他永年性植物の植栽資金につきましても、据え置き期間が従来三年でありましたものを七年に延長をする予定でございます。それから。といたしまして搾乳牛、繁殖用肉牛及び繁殖豚でございますが、これの育成資金償還期限が五年、それから据え置き期間が二年、利率は年六分以内とする予定でございます。  それから三番目は、環境整備資金でございますが、環境整備資金融資の対象といたしまして、ここに書いておりますように診療施設、農事放送施設、それから簡易水道の施設ということに一応政令上はする予定でございますが、なお政令に、農林大臣が定めるものというふうに書きまして、(注)のところにございますように、農林大臣の指定する施設といたしまして、託児所、それから集会施設、研修施設等を指定する予定にいたしております。融資の条件といたしましては、償還期限が二十年以内、据え置き期間が三年以内、それから利率は七分以内とする予定でございます。  それから第四番目に、農林中金の貸し付け関係でございますが、利子補給の契約をいたしますので、その契約の内容なり手続を一、二として書いてございます。一は、農林中金からそういう契約の申し込み書を農林大臣に提出をしていただくということが第一点、それから第二は、利子補給金はそれぞれ契約に定めた期間ごとに農林中金からの請求により支払うということでございまして、農林中金との関係の手続規定を定める予定でございます。  以上が近代化資金助成法の関係でございます。  次は、農業信用基金協会法の一部改正に関連する事項でございます。  第一は、保険準備資金及び融資資金の経理の手続を四つばかり書くという予定でございます。第一は、保険準備資金融資資金とは区分して経理をするということ。第二番目は、事情によりましてそれぞれの資金を取りくずす場合がございます。取りくずした後におきまして利益金を生じた場合に、それの組み入れの順序でございまして、順序といたしましては、保険準備資金にまず組み入れをいたしまして、残余があれば融資資金のほうに組み入れる。それから損失を埋めるための準備金の取りくずしは保険事業で生じた損失の補てんに優先的に充当される。それから第四番目に、ここに書いてありますように、損失を埋めるための資金の取りくずしは保険準備資金については保険事業の損失を埋めるため、それから融資資金については融資事業の損失を埋めるために行なうということで、それぞれ取りくずしの区分を規定する予定でございます。  それから第二番目の、農業信用保険協会の議決権の点でございますが、議決権について若干の制約を加えることになっておりますが、そのやり方といたしまして、会員のうち一億円以上を出資した者に対しまして議決権の総数の〇分の一というふうにしておりますけれども、あるいは三分の一程度に限りまして議決権を与えるというふうな予定でございます。  それから第三は、包括保険と選択保険の区分の基準でございますが、現在のところは約五十万円程度で区分をしようという予定になっております。  それから第四番目は、保証保険の保険料率でございますが、一日について百万分の八程度ということで、年率にいたしますと約〇・三%程度ということになるわけでございます。  第五番目は、融資保険についての包括保険と選択保険の区分でございますが、一件あたりの金額、これも約五十万円程度で区分をする。あるいはこの点につきましては若干保証保険とは事情が違いますので、この区分の金額につきましては差別を設けるのが適当ではなかろうかというふうなことで、目下検討をいたしておる次第でございます。  それから第六は、融資保険の保険事故の要件である貸し付け金延滞の期間は三カ月を経過したものについて発動をするというふうなことを規定する予定でございます。  それから、融資保険の保険料率は、先ほど申し上げました保証保険の保険料率と同一にする予定でございます。  概略でございますが、以上でございます。
  33. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 政令規定見込み事項は、もっぱら私、前半は近代化資金助成法について伺いまして、それが終わったら引き続いて信用基金のほうを伺うことにしますから……。新たに設定されるいわゆる育成資金というもので植栽資金でありますが、果樹その他の永年性植物については七年据え置き、それを含めて償還期限十五年、利率は年に六分以内ということでありますが、具体的に一、二例をとって伺いますが、ミカンの場合はどういう程度の据え置き期間を考えておるのか。まあリンゴについて七年を考えておると思うのだが、リンゴは一体何年据え置いて何年償還、ミカンの場合はどういう程度考えておるか、そういう点と、ついでですからもう一つ、搾乳牛、繁殖用牛、種豚というものが五年以内の償還、そのうちには二年の据え置きを見る。これはそれぞれの、搾乳牛の場合、あるいは繁殖用肉牛の場合、種豚の場合はこの範囲内でどういう程度の据え置き、あるいは全体の償還期間を考えておられるか。この二点をまずお伺いをします。
  34. 森本修

    政府委員森本修君) 現在のところは、お尋ねの果樹の償還期限及び据え置き期間は、償還期限を十五年、かんきつ、あるいはリンゴにつきまして十五年、うち据え置き期間を七年というふうなことにしたいと思っております。  それから搾乳牛以下の家畜の関係につきましては、償還期限を五年、それから据え置き期間を二年ということで運用していったらどうかと思っております。
  35. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 豚はどうですか。
  36. 森本修

    政府委員森本修君) 種豚につきましても大体同様に取り運んだらどうかと思っております。
  37. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私はどうも従来よりの経過から見まして、制度金融を受ける側の立場から見ますと、その営農実態とは非常にかけ離れた条件であるにかかわらず、その条件をまあフルに使うという場合もある。たとえば種豚の場合を例にとってみた場合、二年据え置きであと二年で償還できるという一つ営農計画が出た場合でも、五年という最大の期限を利用する。これはプロパー融資よりは有利であるから、そのほうが農家としても得だとは思いますけれども、こういう一つのワクを乱用するとでもいいましょうか、そのために経営自体にも一つのめどというものが出てこないというようなことも出てくる場合もあるので、やはり実態に即した一つの償還条件というものは、もう少し運用の場合には内訳をそれぞれつけるべきがほんとうは親切じゃなかろうかというふうに思うのですが、大体こういうふうな、たとえば植栽資金にしても七年据え置き、その後八カ年で償還するとなれば、かりに十年かかってそれが全部償還する営農計画があっても、資料作成等ではそれを十五年のぎりぎりまで延ばすという場合もある。これは民間その他の資金よりは比較的有利な場合、そういうふうな理由等を考慮して出てくる場合もあると思うのですが、私はこの限度というものはあくまでも限度であって、実際はその営農実態によって適正に、これは金融機関の判断で査定をすべきことは論を待たないのでありますけれども、ままそういう制度金融を機械的に、観念的に受け入れるような通例もあるわけで、私はやはりそういう点からいけば、もう少し実態に即したそれぞれの種目別の償還条件というものがあっていいのではないかという立場から伺ったつもりであります。内訳に違いがあるのかないのかという、その点はどうなんですか。
  38. 森本修

    政府委員森本修君) 一応私ども融資条件としましては、先ほど申し上げましたような最高限度でもございまするので、いま果樹等につきまして十五年、七年というふうなことで規定をしたらどうかと思っておりますが、ただ、実際に貸し付けに当たられます農協におきまして、十分農家経営実態等についても触れておられるわけでありますし、また多年、営農指導等もやっておる団体でございますから、そういうふうな面から見まして、現実貸し付けの契約の際におきましては、それぞれ農家実態に合ったようなことで契約をしていただくということで指導していきたい、そういうふうに思っておるわけであります。
  39. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私、疑問に思いますのはね、この育成資金、いわゆる運転資金が例示されて——例示じゃなくて、具体的に出されておるんです。(二)の繁殖豚までは書かれておりますけれども、繁殖豚がある限りは、私は養豚、養鶏というものも対象にすべきものだというふうに考えるわけです。もとよりこれは資金の回転等もありまして、同じ条件でなくてもいいわけです。これはあくまでも一つのマキシマムの条件なわけであります。この繁殖豚まであって、なぜ養豚なり養鶏という、これは養豚も養鶏もあれでしょう、政府の言う選択的拡大のうちに入ってるんでしょうな、鶏も。これはなぜ落ちてるんでしょうか。
  40. 森本修

    政府委員森本修君) 先般もちょっとお答えを申し上げたかと思うんですが、今回融資対象の拡大ということで、新しく対象に加えてまいりました資金考え方でございますが、一つは、近代化資金制度の従来からのたてまえといいますか、性格からいきまして、固定的な投資の促進をはかっていくといったような観点がございます。そういうふうな観点からいたしますと、いわゆる生産家畜といったようなものがそれに該当するのではないかと、こういう考え方が一つあるわけであります。それからもう一つは、御指摘がございました資金の回転、期間でございますが、ここに掲げましたものは、いわゆる中期的な運転資金ということで、育成をいたしますにも相当の期間、費用の投下が要るわけであります。御指摘の養鶏なり養豚なりは、ある意味では一年以下の短期的な資金ということになっております。そういう点からいきまして、二点から、私どもとしましては、生産家畜についての中期的な育成資金というものを今回新しく対象にしたいということで、養鶏、養豚等は将来の検討課題にいたしたいということであります。
  41. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 問題点をそういうふうに整理されてこう出されたことは、経過としてはよく理解いたしますが、なお、それらの問題、生産家畜といろ育成資金の回転の問題等も踏まえて、私はこれも前向きにひとつ検討して、検討するにもしかたがあるわけですから、やはり実際の農家立場から言えば、おぼれる者はわらをもつかむというたとえもあるように、できるだけ有利なやはり融資を得て、養豚あるいは養鶏を継続していきたいという意欲を持っている農家があるわけですから、そういうものの必要な運転資金は可能な方向で検討してもらうように、これは要請をいたしておきます。  それから、この政令規定見込事項の第三の、環境整備資金でありますが、これはきのう北條委員も指摘したとおり、私もここに並べてある、農林大臣の定める診療施設、農事放送、簡易水道、その他託児施設なり、集会、研修施設というものの融資対象は、きわめて、この近代化資金資金効率からいっても、また、金融政策の上からいっても至当だと思うのでありますけれども、これは一体まあ出たところを一つ受けるというようなことではならぬと思うので、北條委員もそういう意見をきのうも出しておったのでありますが、おおよそ四十一年度のこの各般の環境整備資金については何億ぐらいを見込んでおるか。その内訳はいいですよ。研修は幾らとか、あるいは託児施設は幾らという、そういうこまかいことまで私は聞こうとは思いませんが、新しくこういう環境整備資金というものを設定するについては、おおよその一つの全体の資金量の中で、ワクの腹がまえがあるべきものだ。そこら辺は一体どういう程度政府としては環境整備資金考えるのか。あなた方のやはり心がまえによって国民の受け方も違う。やってみたがどうもこれはなかなか渋いぞという受け取り方もあるし、そこら辺は一体どこら辺にこれは理解してかかればいいか。
  42. 森本修

    政府委員森本修君) まあ御案内のように、資金需要の把握というのはそう正確になかなかいきにくいのでございますが、特にこういう資金につきましては、おそらく部落なり、村なりで多数相談をされて設立の計画を立てられるといったようなこともございましょうから、正確な見込みというのはなかなかいまのところは立てにくいのでございますが、およそ私どもが現在考えておりますところでは、あるいは六十億、七十億程度、こういったものに資金が充当されるのではないか。もちろん御指摘がございましたように、資金量もかなりゆとりがございますから、その運用につきましては弾力的に扱いたいと思いますので、それ以上の融資の申し込みがありましても、できるだけ貸し出しを促進していく、そういうふうな心がまえで運用してまいりたいと思います。
  43. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 じゃ、ついでですから、育成資金についてはどの程度の腹がまえを持っていますか。
  44. 森本修

    政府委員森本修君) 育成資金につきましても、大体五、六十億、あるいは多ければ七、八十億ぐらいというふうに想定をいたしております。
  45. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それでは次に進みますが、中央金庫にも直接利子補給の対象がうたわれているわけでありますが、これをただ表面から見れば県信連と競合する場合があるんじゃないか。二十億ですか、一つのワクも出ておるようであります。そこら辺は一体、指導方針としては、同じ組合金融の内部問題、そういう縦の中の交通整理がまた混乱するようなことがあってはいかぬので、それは一体政府としてはどういうふうな行政指導をもってこの中金融資等を考えておられるか。
  46. 森本修

    政府委員森本修君) 農林中金に対しまして、国が直接利子補給をするように考えましたのは、あくまでも補完的な作用を農林中金としてはしていくということで、借り受けた者が信連なり、あるいは単協なりから、どうしても借り受けることができないというふうな場合に中金が融資を担当していくというふうなことでやっていただくつもりで、実は今回加えたわけでございます。そういう趣旨からいたしますと、私ども系統内部に指導いたします場合には、直接中金に借り受けの申し込みがございましても、中金のほうで、一応その関係の深い信連に紹介をいたしまして、信連のほうで貸すことが事情としてできない、中金に頼むというふうな場合に、中金が貸し付けをするというようなことでひとつ運用していただくように指導していきたい、そう思っております。
  47. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 了解しました。  今度、従来の近代化資金の金利を五厘ダウンしたようであります。共同利用施設は従来七分五厘であったものが七分、あるいは個人施設が六分五厘のものが六分、末端の基準金利を九分というふうに予定をしておるようでありますが、私は、環境整備資金も、あるいは果樹、畜産の育成資金も、その必要性は非常に高いものがあると思うのです。六十億とか八十億とかいうけちなものじゃない、もっとこれは巨額な要請があると思うのでありますが、それがなぜ政府考えているように、五、六十億程度を見込むかという中には、五厘下げたけれども、個人施設が六分である、あるいは五厘下げたけれども、共同利用施設が七分であるという金利水準にやはり消化が意外にチェックされる問題があると思うのであります。しかしながら、緻密な政府としては、共同利用施設が七分としたその積算の根拠が、それぞれの一つ経営計算、原価計算の上から、納得するような結論で出たものであれば、その内容を全体として了承するにやぶさかではありませんが、一体、ここで共同利用施設を七分にする、あるいは個人施設を六分にするというその基準金利というものは、どういう一つの積算によって出たものか、その内容が納得ができれば私はけっこうだと、賛同するにやぶさかでありません。ただ、末端基準金利を従来の九分五厘から五厘下げたから、それぞれこれも五厘下げたのだという、そんなラフなものではないと思います。農家実態融資を受けるものの立場に立って、少なくとも近代化資金と名のって登場した——近代化ですから、名前は——というものである限りは、その内容実態に沿うようなものであるかどうか。たとえば共同利用施設でも公庫資金の場合は、建物については六分五厘というものが出ておる。そういうものと比べて近代化資金の七分というのが適正なのか、何か外からそういう比較をしてまだ高いのじゃないかという気持ちで質問しておるわけです。いや、そうじゃないのだという納得するような説明があればけっこうであります。その点はどうですか。
  48. 森本修

    政府委員森本修君) 近代化資金の金利につきましては、農家なり施設をつくりますところの方の負担の軽減あるいは経営の安定といったような角度からなるべく金利を適正な、かつまた、低い水準に押えていくということは、私どももかねてから願望をしてきたところでございます。従来におきましても、出発当初七分五厘といったようなところから六分五厘、今回六分というふうなことで漸次引き下げをしてまいりましたのも実はそういう願望から出ておるわけでございます。ただ、御指摘のように、それぞれの農家あるいは施設をつくります協同組合の経済計算といったようなものを基礎にして金利というものはあるいはつくらるべきものというふうにも思うのでありますけれども、そういった計算をもとにいたします経営そのものが、御案内のように、かなり複雑多岐でございますし、また、客観的な情勢によっての経営収支というものはかなり変化をするといったようなことを考えますというと、なかなか理論どおりそういった計算がしにくいというふうな面もございます。したがいまして、私どもとしましては、抽象的にはいま御指摘になりましたようなことであるいは計算を出すべきであるかというふう思うのでありますが、まあそういう点につきましては、大局的に判断をいたしまして、できるだけ金利を引き下げていくということで漸次努力をしてきたわけであります。で、現在のといいますか、これからやろうとしております金利の水準につきましても、あるいはまだそれでは高過ぎるというふうな批判はあり得ると思いますけれども近代化資金系統の原資を使っておるといったようなこと、また、国なり県なりの財政負担にもそれぞれ限度があるというふうな点から考えまして、とりあえず五厘下げて四十一年度は出発いたしたい。なお十分そういったことにつきまして検討を深めましと、将来できるだけ金利の軽減につとめていきたいというのが率直な利ども考えでございます。
  49. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 答弁を返すようですけれども、もとよりこれは農協内部に蓄積した資金の運用でありますから、その点はまあ承知の上で意見をまじえた質問をしておるわけであります。答弁の第二点は、政府の財政負担にも限界があるということでありますが、まさか近代化資金にあと五厘ないしは一分を出しかねるような政府の財政事情でもなかろうと思います。少なくとも農業の所得格差が一そう拡大しておるという、白書でも政府みずから認めざるを得ない事態を考えれば、これは大臣、ひとつ大臣立場で、もう少しこの事務当局の考え方というものを、大所高所からこれを新しく、四十二年度かちは少なくとももっとこれが魅力ある一つの制度にしていくことが、私はその金利の一分五厘というものが非常に大きく響くと思うのです。これは大臣のひとつ見解を伺っておかなきゃならない、どうなんです。
  50. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) この問題は非常に大切な点でございまするので、今後ともこれは十分前向きで検討いたしたいと思います。
  51. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 大臣はいつも前向いて、いるから前向きなことはけっこうでありますが、ぜひとも、私ほんとうを言えば、四十一年度から新たなるこういう資金が発足する場合にこそ前向きが具体的に、せめて一分ぐらいこれは低下したもので出してもらうと非常に農家からも喜ばれ、また、こういう点が肉用牛の一つの育成の促進にもなり、あるいは選択的拡大の果樹の促進にもなるというふろに期待したのでありますが、すでにコンクリートになった現段階では、四十一年度からそれを望んでも無理なことでありますから、四十二年には少なくともこれらが金利の低下の傾向を一そう促進する意味でも積算の根拠というものがなければ、ないでもこれはやむを得ませんから、もっと金利の低下をひとつ四十二年度には実施するという決意で望んでもらいたいと思うのであります。四十二年度まではまだ間がありますからそれを強く要望しておきます。従来の傾向からいって金利が多少下がったということは、それなりにわかるのでありますが、それならばなぜ五号資金なり、六号資金、耕地防風林の造成資金あるいは小土地改良資金、これは防風林の造成資金は五分五厘が据え置きであります。まああまりこれは用途もないようでありますから、ないからといったって、いま言うようにこれを据え置くという理由はないはずであります。小土地改良にいたしましても、これは五分に据え置いていいという理由にはならない、やはりこれも以下同文で五厘ぐらい下げてこれはスタートしてもらいたかったのであります。特に私は考えますには、小土地改良には、これは農道等も入っていると理解するのでありますが、私もヨーロッパへ行って見てきた一人でありますけれども、欧州の農道はことごとくこれは舗装された農道である。わが国でも逐次機械化が浸透して、この農道が舗装されるものであることが望ましい。しかしながら、五分という金利ではこれはなかなかペイしないという問題があるわけであります。だから、これに農道を整備していくという、そういう地域住民の意欲をもり立てるためにも、なぜこれを据え置いたのか、これは一体どういうことになるのですか。
  52. 森本修

    政府委員森本修君) 小土地改良等の金利でございますが、これは御案内のように、近代化資金制度が始まります前に、すでに改良資金の施設資金関係でやっておりまして、それを近代化資金制度のほうに引き継いだといったようなおい立ちの資金の種類でございます。そういうふうな関係から、従来金利を三十七年にも引き下げをいたしましたけれども、そういった資金性格的な問題もございまして、他のものとは多少扱いを異にしてきたといったような関係がございます。今回の改正にあたりましても、御指摘のように、あるいは他のものと同様の扱いをするほうがいいかなということで検討はいたしたのでございますが、何ぶんにも御案内のように、利用をいたしております額がきわめて少額だといったようなこともございますし、また公庫資金等本利用されておるというふうなこともございまして、従来のしきたりにならいまして、他のものと多少扱いを異にしたといったような関係になっております。まあそういった従来の経緯もございまして、御指摘がございましたような点はあろうかと思いますが、四十一年度からはとりあえずただいま考えておりますようなことでひとつ取り扱いをさしていただきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  53. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 末端基準金利が五厘下がったこの機会にこそ、私はこういうのもぜひ引き下げてもらいたかったのであります。しかし、これも下げないでまかり出たのでありますから、四十二年度にはこれもおそまきながら整備をしてもらいたい、これは要求いたしておきます。  それから、近代化資金ではもう一つで私は質問を終わりますが、ここに掲げられた資金の種類が一号から六号まであるわけでありますけれども、このほかにもいろいろな資金需要が近代化資金に対してあり得るわけであります。たとえば礫耕栽培あるいは水耕栽培、あるいはシイタケ栽培、シイタケの場合は当然対象はビニールハウスなり、あるいはホダがありますけれども、シイタケ菌は対象になっていない。これは菌を植えたホダを買うわけではなくて、農家はそれぞれホダを買い、菌を買う、ビニールハウスを建てる、一貫したものとしてはそういうシイタケ菌は対象からはずされている、そういうこれは全国的に普遍的なものではないでありましょう。あるいは一件単独の要求のものもあるかもしれない、そういう礫耕栽培とかそういうものを近代化資金の対象にする道は、私は七号資金として、農林大臣の指定する資金として弾力的に運営していく、政令等で一々定めなくても、七号資金として活用するという道を開いてこそ近代化資金のこれは意義というものが一そう高まると思うのであります。そういう要請等があれば、適正なまた内容であると確認された場合は、七号資金としてそれらの種類を近代化資金の対象とする御意思があるでしょうか、どうでしょうか。
  54. 森本修

    政府委員森本修君) 御指摘がございました礫耕栽培あるいは水耕栽培等の管理用の施設等につきましては、現在すでに農作物育成管理用施設というふうな資金の種類がございまして、その項目によりまして貸し出しができるものと思っております。
  55. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 一号ですか。
  56. 森本修

    政府委員森本修君) 一号ですね。なおそれ以外にも種々希望があればどういうふうにするかというお尋ねでございますが、もちろんわれわれとしましては、こういう資金種類をそう厳格に限定をしようというつもりはございません。もし現在の資金種類で読めないというふうなものが出てまいりまして、どうしてもそういうものについて貸し出しの対象にしたほうがよろしいというふうな事情が出てまいりますれば、できるだけ、手続きの関係はともかくといたしまして、資金種類の対象に加えて農家の要請にこたえていきたい、こういうふうに思っております。
  57. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それでは次に、農業信用基金協会法の一部を改正する法律案に入って若干のお尋ねをいたしたいと思います。  ちょうだいいたしました資料を見ますと、信用基金が発足をしてから三十六年度に保証依存率というものが五二・六%というものが出ておりますね。それから三十七年度は五七・五%、三十八年度は六〇・五%、三十九年度は六〇・九%、四十年は見込みでけっこうですが、この保証依存率がどの程度なのか、見込みでおわかりなら、それをあわせて伺いたいのであります。この三十六年からの保証依存率の傾向というものを見ますと、依然としてこのパーセンテージは低位に推移しておると理解せざるを得ないのであります。この原因は那辺にあるのか、どういうふうに政府ではこの依存率の低さというものを理解されておるのか、この理解の上に立って新たなる保険協会の構想が出てきたのかもしれませんが、まず冒頭に、この保証依存率がわれわれとしては低過ぎるんじゃないかという受け取り方をするのでありますが、それがどういう理由によると政府は分析しておられるのか、それをまずお伺いをいたしたいわけです。
  58. 森本修

    政府委員森本修君) 保証依存率の推移でございますが、先ほど言われましたような推移をたどったようでございます。四十年度の見込みでございますが、大体私どもとしましては、趨勢的に若干ずつ依存率が上昇しておりますから、ほぼ三十九年度程度か、あるいはそれを上回るようなことで推移するのではないか、こういうふうに思っておるわけです。正確なところはちょっと実績が判明いたしませんとこれはわかりません。保証依存度がこういうふうな推移をたどってまいった原因でございますが、何といいましても、保証にかけるかけないかというふうなことは、まず第一には、資金貸し付けをいたしますもの、それから、借り受けをいたしますものの間の取り扱いによるところでございます。ただ、それにしても低過ぎるのではないか、こういうお話であろうと思いますが、御案内のように、こういった資金の供給の指導、あるいは保証の指導をしております関係者、県なり、あるいは農業関係団体なりといったような方々の間にも、県により地方により、それぞれこういうものの取り扱いについての考え方が若干ざっくばらんに言いまして差がございます。また、各県の基金協会の活動状況を見ましても、御案内のように、この制度が発足をいたします前から、財団法人等の形で存在をいたしておりました保証協会を引き継いで基金協会といったようなものに改組をしたわけでございますので、従来からの運営の経緯と、あるいはそういったものの惰性というものもあろうかと思います。そういうことで、一口に言いますると、こういう制度を取り巻きますところの関係者の指導方針なり考え方の差というものも、各県に反映をしてきているというふうなこともあろうかと思います。なお制度的な問題といたしまして、一つは、基金協会のいままでの制度的なあり方といったようなものも、これに対して大きく影響をしているのではないか。端的にいいますと、御案内のように、保証をいたしまして、債務が返済できないという場合には、基金協会が債務者にかわりまして、代位弁済をしなければならない。代位弁済をいたします資金といたしましては、国なり県なりから補助を受けて出資をいたしましたもののほかに、各県の信連なり、単協、市町村等から出資をしてもらっているわけであります。もし代弁をその基金を取りくずしてやるということになりますると、基金が減少をいたしますので、保証を継続をする、あるいは将来拡大をする際には、再び基金の積み増しをしなければならないといったような関係になっております。それからまた、基金そのものが基金協会の運営の事務、人件費を生み出すところのファンドになっておるといったような関係もございまして、知らず知らずの間に保証なり代位弁済に対して消極的になるといったような側面があったと思います。そういう点から、できるだけ私どもといたしましては、制度的な不備によりまして保証を渋るというふうな点については、今回制度を改正して完備をしていきたいというふうに思っております。そうういことから、御審議をいただいております信用保証についての保険制度、また融資制度というふうなものを整えまして、制度的な不備から保証に対して消極的になるものをできるだけ補強をいたしたいというのが、今回の改正の主眼目でございます。そういった制度的な点を補いますと同時に、そういう制度の上に立って、できるだけ各県の基金協会が積極的に保証をしていくように、私どもとしても指導をしていきたいということで、制度的な欠陥の是正と、さらに今後はそういった関係者に対する指導督励、両面相まちまして、従来の保証制度の欠陥をできるだけ補強していきたいというふうに思っておる次第でございます。
  59. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 この保証依存率の低さというものを、おおよそ二つの理由で説明があったわけであります。その制度自体は、これはその内容にわたってこれからお伺いをいたしますから、これはしばらくおくとして、全国にある各都道府県の基金協会ですか、これの運営の上から、当事者の熱意の不足あるいは関係団体理解の不十分さというものは、各県共通に指摘されるのか。非常にこの目的に沿って、基金協会自体もさることながら、関係者が十分これを消化をしておるという基金と、しからざるものと一応分類すると、どういうふうな実態になっているでしょう、全国の都道府県段階で。
  60. 森本修

    政府委員森本修君) 保証に対するやり方が各県同様であるか、あるいは県別に差があるかというようなお尋ねであろうと思いますが、資料を見てまいりますと、各県のいわゆる保証依存率というものは、必ずしも一様ではございません。高いものは九〇%以上に至っておる県もございますし、あるいは低いものは三〇%内外といったようなものもございます。そういうふうな点から見てまいりますと、各県一様に六〇%程度というふうな形にはなっていないようであります。ただ、そういった割合の推移を見てまいりますと、若干平均が上がってまいりますことで推測いただけると思うのでありますが、そういった保証依存率の分布状況を見ましても、少しずつ上のほうにずり上がってきておる。年次別に見てまいりますと、そういうふうな状況になっております。
  61. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 平均した依存率の中には、高いものは九〇%ランクもあるし、低いものは三〇%もある。おおよそその水準から見て、下にある部分と上にある部分との割合はどんな割合になっておりますか。
  62. 森本修

    政府委員森本修君) 端的に調査をいたしました実績を三十九年度について申し上げますと、三〇%以下の県が四県ございます。それから、三〇%から五〇%の県が七県ございます。それから、五〇%から七〇%までの県が十二県、それから七〇%から九〇%までが二〇県、九〇%以上が三県、こういうふうな分布になっております。
  63. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 今度の法律改正の中に、新たに保険制度というものが設けられるということであります。この保険制度を新設することによって、従来の基金協会の保証能力にどういう一つの反映をすると考えておられるのか、また、その保険制度の併設を効果的にはどう測定しておられるのですか。
  64. 森本修

    政府委員森本修君) 今回の保証制度の改正は二面ございまして、先ほど申し上げたわけでありますが、一つは、保険の仕組みによりまして、各県が保証し、代位弁済をするリスクを軽減していくという面と、それからそういった代弁をいたしますために必要な資金貸し付けることによりまして、直ちに代位弁済によって、従来積んでおりますところの各信用基金協会の基金が減耗しないというふうなことに実はなるわけでございます。そういう点からいきますと、計数的に一体どの程度上がってくるか、保証の依存度なり、あるいはその他の保証活動がどの程度上がってくるかということは、これはなかなか端的に測定することはむずかしいというふうに思いますけれども、先ほど申し上げましたように、従来保証を渋り、あるいは代弁を渋っておった要素に、かなり基金の減耗をおそれるという要素があったのではないかというふうに思っております。そういう点からみますと、保険によりまして、代位弁済をする際に、保険にかけましたものについては、七〇%中央の保険協会から代位弁済に要する資金がくるわけであります。また、それ以外の各県の自己負担にかかる部分についても、融資をいたしまして、その金でもってとりあえず代位弁済ができるというふうな形になるわけでありますから、基金の減耗をおそれまして保証を渋り、代位弁済に消極的であるという面は、理論的にいいますれば、かなり改善になってくるものと、そういうふうに私ども考えているわけでございます。
  65. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いずれこれは具体的な内容に触れてお尋ねをすれば、もう少し私も理解がはっきりできると思いますので、逐次具体的にその保険制度の内容にわたってお尋ねをいたしますが、その前に、近代化資金も三十六年からですか、実行してまいって、償還期に入っているわけです。できれば三十九年度の延滞実態はどうなのか、この基金協会の扱っている、それが資金種類別に、借り受け主体別にわかれば、その内容でひとつ延滞内容というものを報告を願いたい。この延滞部分というものは、約定の何%に相当しているのか、さらに、この延滞の中で、代位弁済の見込み額というものがあるわけであります。それが一体どのくらいを見込んでいるのか、まずそこら辺をひとつ伺いたいのでありますが、できればその延滞の発生の原因をどう把握しておられるか、あわせてお答えを願いたいと思います。
  66. 森本修

    政府委員森本修君) 延滞状況でございますが、私どもが手元にもっております資料によりますれば、三十七年度、三十八年度に償還期に達しました資金について調べておりますが、そういう資金関係につきましては、償還期を過ぎまして一年を経過してなお償還がされていない、つまり延滞になっておりますものは、約定償還額に対す偽比率でもって申し上げますと、両年度を平均をいたしますと三%程度ということになっております。なお、そのうち代位弁済の見込み額というものは、ちょっとこれに即して計数を持っておりませんので、よくわからないのでありますが、代位弁済の実績を申し上げますと、代位弁済が若干おくれて出てくると思いますが、実績によりますと、代位弁済は三十八年度はわりあい少なくして、約三百三十万円、三十九年度が一千百万円というふうな調査が出ております。なお、延滞要因は何だというお話でございますが、延滞になりました要因は、おそらくそれぞれの借り入れ者によっていろんなものがあると思います。あるいは災害等不慮の事故によりまして借り入れました額が返らないといったようなものもあるかと思いますし、あるいはまた、よくわかりませんけれども経営をやってまいりまして、いろんな諸条件が変化をして、予定どおり借り金が返らないといったようなものもあるかと思います。要因別にちょっと分析をいたしました資料がございませんので、きわめて一般的なことを申し上げて恐縮でありますが、大体そういうふうな原因が多いのではないかと、そういうふうに考えております。
  67. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 何だかわかったようなわからないような実態ですが、それ以上の資料がなければ、どうも聞いてもこれ、ぬかにくぎで、しようがないと思うんですけれども、これはもう少し実態というものをつかんでおらぬのですか。こんなおおよそなことでやっておるんですか。たとえば三十一年から償還期に入る。これが一年経過して、いまだその調査時点で未収部分が約定の三%である。その代位弁済が翌年で三百三十万ということが大体出てくると思うのですが、これは基金協会でもわからないからわからぬのですか、政府では。それを取りまとめていないだけのことなんですか。どうなんですか。
  68. 森本修

    政府委員森本修君) 実はただいま申し上げました計数も各基金協会から報告を聴取いたしました結果の数字でございます。もちろん、それぞれこういった延滞なり、あるいは代位弁済は、一件ごとやっておるわけでありますから、詳細に単協までさかのぼりまして、一体どういった事情で何号資金について延滞が発生したかということは、調査をすればもちろんわかる事柄に属すると思うのでありますけれども、きわめて件数も多いわけですし、それからそういった実態調査ということになりますと、どういう要因延滞が発生しておるかということを調べますにも、かなり手数がかかるのではないかというふうに思うわけであります。借り金が返らない要因というのも、あるいは一つであるか、二つであるか、いろんな分析をしないと出てこないというような事情があろうと思います。もちろん制度を組み立て、また私ども仕事をしていきます上に、そこまで十分調査をしてかかるべきが当然だということであろうと思いますけれども、まあかなり繁雑な仕事を末端にお願いをしなければならないというふうなことにもなりますので、実はそこまで手が回りかねて今日に至っておるという実情でございます。
  69. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 これは私もあっさり聞きたいほうですけれども、なぜ要因まで掌握しないかということをお尋ねするゆえんは、それには必ず原因があるわけです。その原因の究明の中に、私は融資条件というものがあると思うのです。だから、こういう近代化資金制度金融として登場したからには、いろいろ経験も必要でしょう。その経験の中からより現実に即した、生きた金融を制度の上でやっていくためには、これらの事故発生の原因の究明なしには前向きな具体的な施策は生まれてこないと思うのです。したがって、繁雑であってもそれは必要な作業ではなかろうかというふうに思うからです。期待するそういうものがあるのではないかと思って聞いたので、まあなかなかないようだから、したがって、現状というものに必ずしもマッチしてないと、こう言われても強弁できないでしょう、政府は。だとすれば、私が先ほど言うたように、融資条件のより以上の実態に即した緩和というものが必要になってくるわけです。で、衆議院の附帯決議でも、金利は五分以内にせよということをつけていますね。私はやはり何といっても償還期限なり金利というものが高きに失する、近代化資金と銘を打つ限りはですよ。プロパー資金はあれはもとより別である。だから原因というものを聞きたい。それは単にその原因の究明というものは、その延滞した農家農業経営実態の中から延滞というものを確認した要因というもので前向きに金融政策というものが出てくると思うから、ひつこくまあ聞かざるを得ないわけです。まあ伺ってみると、ないようでありますが、そういうことでは地方の基金協会としても安易に流れる。さらにこれに信用保険制度を制度的にバックアップしても、そういう安易感というものは私は払拭しなければならぬと思うから、そういう点を実は伺いたかったわけであります。近代化資金延滞したことによって、融資機関の、たとえば単協のプロパー資金に、融資にしわ寄せになるという、そういう事例は政府としてはお調べになったことがありますか。あるいは調べた結果はどうなんですか。
  70. 森本修

    政府委員森本修君) 組織的に実はそういうものがどれだけあるかということを網羅して調べた計数はございませんけれども、私どもが地方へ参りましても、あるいは担当者が地方へ参りましても、そういうふうなケースがあるということは十分伺っております。
  71. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そういうケースがあるとすれば、なおそれを踏まえたやっぱり実態の認識というものがなければ、非常に問題がさらに残るということをこの際明確にして指摘をしておきます。  時間がありませんから次に進みますが、新しくこの際設定されんとするこの信用保険協会、この組織は一体どういう仕組みなのか。この保険協会の財政規模は、政府出資あるいは農林中金出資あるいは地方の基金協会の出資等で構成されるでしょうが、それによってどういう運営が考えられ、事業計画が四十一年度はどういう内容になるのか。それから協会の役員の構成は一体どういうふうに考えておるのか、そこら辺を少し詳しく説明してください。
  72. 森本修

    政府委員森本修君) 保険協会の組織、財務等の点でございますが、保険協会は、御説明を申し上げておりますように、会員としましては、各県にありますところの基金協会とそれから中央の農林中金が会員になるということであります。役員等の構成でありますが、役員は四名程程というふうに考えております。なお、事務的なスタッフ等につきましても現在検討をいたしておりますが、役職員合わせまして三十名強といったようなことで、こういう団体でありますから、できるだけ経費の節約といったようなことも心がけなければいけませんので、組織としては簡素、強力なものにしていきたいと、そういうふうな考えであります。  それから、財務でございますが、事業といたしましては二つございまして、保険の事業融資事業と、こういうふうになっております。で、保険のほうはいわゆる支払いの保険の準備基金というふうなものを設けることになっておりまして、四十一年度は国の交付金としまして四億円、それから会員の出資によりまして二億二千万円、合わせまして四十一年度六億二千万円程度の準備金が造成されると、この点は一年限りではございませんで、約三年間にわたりましてほぼ四十一年度と同額をそれぞれの年度に造成していくと、したがって、三年後におきましては十八億から十九億程度の保険についての準備金ができ上がると、そういうふうに計画をいたしております。なお、融資の点は、政府から四十一年度に融資資金に充てるものとして交付金を四十億予算に計上いたしております。一定の期間はこの四十億で必要な融資に充てる額は造成をされておるものというふうに思っておりますが、将来融資の額が増加してまいりますと、ある時点におきましては、必要な額をさらに追加しなければならないといったようなことも想定をいたしておるわけであります。資金関係につきましては大体以上のようなことであります。  なお、事業の規模でございますが、主として保険の関係は各年度を追いましてそれぞれ保証の額もふえてまいります。したがって、保険にかかる額もふえてくるわけでありますが、四十一年度は発足当初でありますから、それほど多い額ではございません。
  73. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 役員の構成はどういうところを考えてるんですか、大臣
  74. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 役員のほうは、この会員の代表者から互選するもの、それから学識経験者を加えていくと、こういう腹づもりでおります。
  75. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 学識経験者は何名ぐらいそのうちに見込んでいますか。
  76. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 学識経験者のほうはできるだけたくさん入れないように考えております。数字はまだ考えておりません。
  77. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 民間と官界という内訳ではどうなんです。
  78. 森本修

    政府委員森本修君) 役員の中にも、おそらく非常勤の役員と常勤の役員といったようなことの区分をしなければならぬと思っておりますが、まあ四十六県の会員がございますから、四十六県の会員をブロックごとに分けまして、そういったブロックの代表県から適当な方を非常勤役員といったような形で参加をしていただく、それから、常勤の役員につきましては、学識経験者あるいは会員の中から少数といったようなことで、実はまだその点は確定といいますか、はっきりはしていないのですが、いまのところはそういうふうなことで御相談をしたらどうかというふうに思っておるわけでございます。
  79. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 法律も通らないから確定しているとは私は思っていないわけです。常勤役員のうち民間——まあ地方の県の基金協会からはあるのかないのか、そういう意味でこの会員を民間とひとつ言いましょう、そういう場合に常勤役員のポストに民間から出るのか官界から出るのかというおおよその考え方ぐらいは、大臣、あるでしょう。
  80. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) まだ確たるところではございませんけれども、大体、常勤のほうは学識経験者あるいは中金その他からごく少数常勤として入るようにいたしたいとこう考えております。まだ確たることは考えておりません。
  81. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 あまりしつこく聞きたくないのですが、役所からは常勤は入らぬのですか。
  82. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) まだその点は私は考えておりません。
  83. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 何といっても、運用は人でありますから、だれが見ても、これは最もいい人材を得たとほめられるような常勤体制をぜひひとつこれは考えてもらいたい。払い下げ人事とかそういう受け入れ態勢として考えるという従来のマンネリズムは、これは廃止してもらいたいということを強く意見として申し上げておきます。  それから、この農業信用基金協会についてだんだん伺いましたが、保証機能を拡大しなければ、現実には保証をしようとしてもできない場合があるわけです。現実にということは、これは政府も百も承知のことだと思うのだが、特に単作地帯においては一つの償還のピークがある、そういう場合には、その基金協会の持っておる保証限度をこえた一つのはみ出た要素が、大なり小なり出てきておるわけです。たとえば単作地帯の代表である新潟の場合をとって、新潟の基金協会の例でいえば、この保証をこえて上回ったピーク時の要素としては約十億という実態がある。あるいは岩手の場合でもそういうピーク時の一つの保証をこえた問題点が現実にあるわけですね。それから、あるいは予想せざる延滞等のために保証に支障を来たすという場合がある。したがって、政府としては、この信用基金協会に対する、政府の県に対する協会出資補助というものについては、いかなる場合でも保証が可能であるという出資の造成を促進する政府役割りが必要なわけであります。現在は、県の出資が国の補助を得て四十八億ですか、正確な数字は私はわかりませんが、おおよそその程度、民間が五十億程度、約百億近くのものがある。これは平均残で見れば、いま私が言うたような問題はないわけでありますけれども、繰り返すようですけれども、単作地帯のような年一回の償還というような場合、そういう場合には、ピーク時にこの各県の基金協会の持っておる保証を上回った一つの保証をしかねる事態というものが出てきておる。これに対して、やはり政府が積極的に県の協会出資補助というものを出すことでなければ、これは出資の造成というものは基金協会では望むべくもない実態であることは政府承知のとおりだと思うのであります。この現在約百億の出資というものを全国的に見て。これは新たに保険協会が発足することによって十倍の保証限度というものが、さらにネズミ算式にこれを計算すれば、二千億の保証限度というものが出てきますけれども、これはあくまでも平均として見た場合の数字であって、ピーク時の保証をこえる要保証額の解決にはならない。これに対して政府は、県に対する協会出資補助について、今後、少なくとも逐年、県に対する補助というものを継続して基金協会の出資造成をはかり、保証機能を拡大する措置をとるべきだと思うのでありますが、まず、その意思ありやいなや、当然あると思うのだが、あるとしたならば、それはどういう構想であるかを明らかにしてほしい。
  84. 森本修

    政府委員森本修君) 従来から、御案内のように、地方の基金協会の要出資額に対しまして、政府なり県なり必要な補助をいたしておりまして、それに要する所要の予算は確保して実行してきたものであります。今回の保証制度の改正によりまして、各県の基金協会の負担といいますか、リスクはある程度軽減をされてくる。そういうふうな関係で、従来よりも要出資額というのが従来の制度に比較いたしますと、必要額がそれほどふえないというふうな関係になってくると思います。ただ、御指摘がございましたように、出資が必要になる場合には国が十分手当をするかというお話でございますが、もちろん私どもとしましては、各県において要出資額が出てまいりますれば、従来どおり国としても継続をして出資に対する補助をやっていきたいという気持ちには変わりはございません。その計画はどうかというお話でございますが、計画といいますか、一種の見込みということになると思いますが、現在私どもが想定をいたしておりますところでは、ここ四、五年の間に現在の基金の出資の必要額が、御指摘がございましたように、現在百億足らずということでございますが、手元にあります試算表によりますと、四十五年あたりには百四十億ぐらいまで逐次基金の必要残高が増加してくるという見込みであります。それに対しまして今回から保証料を徴収をするといったような点、あるいは資産の運用の収入が見込まれるというふうなことで計算をしてまいりますと、現在の額よりも二十四、五億新しくよそかち出資を必要とすると、こういうふうな見込みになってございます。それに必要な国の出資補助につきましては、もちろん各年度を追いまして基金協会に対する補助額を計上して出資をふやしていきたい、そういうふうに思っております。
  85. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 四十五年度は百四十億を目途とするわけですか、ちょっと聞き漏らしたのですが。
  86. 森本修

    政府委員森本修君) 目途という表現が適当かどうかわかりませんけれども、私どもが一定の前提を置きましてどの程度基金の必要額が各年次別に出てくるだろうかという、まあ一種の試算を申し上げたわけであります。もちろんその試算は、先ほども申し上げましたように、百四十億ということになるると、百四十億というのは、現在すでに積んでおりますところの基金の額はその内訳でありますので、ネット増加になりますのは、その内訳を引いた四十数億ということになるわけであります。もちろんそれは試算でありますから、その実情がそれと違ってくれば、もちろんその事態に応じて出資の補助をするということには変わりはございません。
  87. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それはまあ見方の問題でありますが、基金協会が発足する当時から逐年この保証金額が増大することが見込まれた結果、百五十億といろ目途の一つの数字というものがあったはずであります。で、これは繰り返すようでありますけれども、常時百五十億が必要なのじゃなくて、その時期、時期によってそれだけのマキシマムがなければ完全にこの基金協会の保証能力というものをフルに発揮できない。常時はまあ余裕のある限度であるということからいけば、百五十億というものを私はまあ期待しておったわけであります。これはいずれ事態の推移によって動き得る数字であるという答弁でありますから、必ずしも四十五年百四十億にこれは固定的に考えていないようでありますから、これを弾力的に見るということに理解をいたします。私は百五十億を目途にして考えるべきだという説は捨てないわけであります。そうしますと、約百億程度の現状に対して、とりあえず四十一年度からはどのくらいを政府の県に対する協会出資補助として見込んでおられるのか。
  88. 森本修

    政府委員森本修君) 四十一年度の予算では、国が基金協会に対しまして補助する額として二億円計上いたしております。それは四分の一の補助でありますから、末端におきましては八億程度積み増しをするというような見込みになっております。
  89. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 国が四分の一を出しますから、県が二億に対してまた二億を出し、民間が四億出して八億、これが四十一年度のネットの増加額ですね、この八億を何年くらい継続する予定ですか。
  90. 森本修

    政府委員森本修君) ちょっと私先ほど試算を申し上げましたときに多少数字に誤まりがあったかと思いますので、もう一回繰り返して説明をさせていただきますと、四十五年の私どもの見通しでは、百四十億基金の必要額が出てまいります。それに対しまして、先ほど申しましたような収入の見込みもございまするので、収入の見込みが二十四億程度あるものというふうに見込んでおります。したがいまして、新しく県なり国なり、あるいは民間の各団体から積み増しを要する分が十六億というふうに考えておるわけであります。で、それに対しまして、先ほど申し上げましたように、四十一年度の予算で、予算ベースでまいりますと八億積まれるということになるわけでありますから、ほぼ現在の見込みどおりまいりますれば三年間で大体四十五年目標のような基金の造成が、基金といいますか、要出資額に対する補助が継続されれば十六億が造成されていくというような見込みで四十一年度予算は積算をいたしておるわけであります。
  91. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 もう一回聞きますが、収入見込み額の二十四億というのはどういう内容ですか。
  92. 今村宣夫

    説明員(今村宣夫君) ただいま局長が御説明申し上げました長期見通しについて、ふえんして御説明申し上げます。  四十一年度から四十五年度を見通しまして基金必要残高というものを試算いたしますと、先ほど申し上げましたように、百四十億に相なるわけでございますが、一方、保証料収入でありますとか、それから資産運用益収入、これは四十億を保険協会が各地方の基金協会に低利で貸し付けて、それを運用するという等の資産運用収益をみますと、漸次、それが四十一年から四十五年までにわたりまして積み立てられていくわけでありますので、単年間の収入だけを見ますと、保証料収入が約三億三千万円、それから資産運用収入が約十一億であります。一方、運営を行ないます上の経費が要るわけでありまして、それが約七億九千万円程度でございます。そういうふうに各年出ます収入と経費を差し引きました最後の金が基金の繰り入れ可能額になるわけでございます。その基金繰り入れ可能額の累計が四十五年におきまして二十四億になるわけでございます。したがいまして、先ほど申しました百四十億のうち百億はすでに造成されておりますので、四十億から各年にわたって累積されました基金運用可能額二十四億を引きますと、資金造成必要額は十六億ということに相なるわけでございます。
  93. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 農林大臣が四時二十五分でよそへ行かれるという約束がありますので、私は農業信用基金の質問はちょっと中断して、農林大臣所管しておる他の信用基金——大臣は全部掌握しておられるわけだから、林業信用基金を一つの例にとって、このアンバランスをひとつ是正する方向で、大臣のお得意の、前向きの答弁を期待しつつお尋ねしたいと思うのであります。  林業信用基金は、御承知のように、三十八年十月に設立されたのでありますが、私の知っている限りでは、発足以来の保証額は百四十四億、融資額としては百八十億と称されております。しかし、他方、出資しながら利用していない出資者も少なくはない。これらの出資者をはじめとして都道府県なり融資機関等関係者から、もっと信用基金制度も、幸いいま国会に提案されておる農業信用基金制度の法律改正に準じて、その不十分な点の改正を求めるという声があるわけであります。  第一点は、保証の範囲が林業信用基金の場合は八割にとどまっており、農業信用は四十一年度から十割保証ということになっておる。農業と林業とを比べた場合に、林業のほうが農業よりもさらに信用力が低いということは、大臣承知のことであります。したがって、これは何もあらためて、あわてて国会に法律改正を出す必要もないことで、要するに林業信用基金の業務方法書を改正すれば足りる問題である。農林大臣中心になって大蔵大臣と折衝して、これを解決しようという意欲さえあれば、現行八割保証というものが十割保証ができる問題である。なぜそういうことをこの際に申し上げるかといえば、結局、融資機関は八割保証ということのために融資にきわめて消極的であるということであります。したがって、保証の範囲を十割に上げることは、林業者の要請にこたえて融資機関も積極的に融資するということになるわけでありますから、何としてもこの際十割保証というものを、しかも農業の場合は、これに加うるに信用保険協会まで設置して万全を期そうとするこの法案の審議の際に、私はこの林業信用基金の制度をもっと魅力あるものにして、受益者にも融資機関にも前向きに対応できるような道を開く大事な時期にきているのじゃないかと思うのです。この点は大臣も十分御承知のことでありますから、農業だけにこういう日の当たるような制度をやることはたいへん心苦しく感じておられると思うので、林野庁も全部総括している最高責任者の農林大臣として、林業信用基金に対して業務方法書を改定して、四月一日からおそまきながら十割保証の線に踏み切る、こういう決意のほどを伺えば、まず質問の第一点はこれで終わるわけです。ただ、やると言っていただければそれでいいのです。
  94. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) これらの問題はごもっともの点でございまして、実は目下事務当局にこの点を検討さしておるのでございますが、いろいろ問題もありまするので、今後特に積極的に検討をいたしたい、かように存じております。  それから保証制度及び再保証制度との関連もありまするので、なお、これらの点についても検討を申し上げたい、かように考えております。
  95. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 問題もあるというのはどういうことですか。アンバランスという問題があるだけですか。それをバランスとるということにすれば問題は解消するのじゃないですか。事務当局の折衝をこえて、これは農林大臣として善処をするぐらいのことをやらぬとこの法律が泣くんじゃないですか。一そう跛行的になるでしょう、この保証制度が。農業だけは十割保証も当然やるし、信用保険制度もこれに加えて万全の保証措置をとるのだ。林業は八割の保証の現状でいいのだということは、まさか大臣はお考えでないでしょう。
  96. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 問題があるといって、特別に問題があるわけではありません。ほかの制度との関連もありますので、積極的に検討を進めておる段階でありますので御了承願いたいと思います。
  97. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 他の制度との関係があるから、四時二十五分までにいなくなるというから、中断して伺っているわけです。他の制度とは農業信用基金制度でしょう。農業信用基金制度は基金協会が十割を保証するのですよ。その上に保険制度をこれからやろうという法律を出しておられるのでしょう、大臣は。他の制度とはこういう制度を言うんでしょう。しかも、実態農業よりも林業従事者の信用力とというものはさらに低いんです。だからこれは何も法律で国会へ出す必要もない、業務方法書を大臣決意をして関係方面と折衡すればできることですから、十分検討して善処をするくらいなことばはここで出してもらわぬと私は引っ込みがつかぬですよ。
  98. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) どうも私のことばが足らなかったか、あるいは通らなかったか知りませんが、積極的にその点は善処するべくすでに検討を加えておるわけでございまするから、その点が十分徹低しなかったのであろうかと思いますが、そのつもりでありますから御了承願います。
  99. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 次の問題でございますが、これは施行令を直さなければならぬのでありますが、林業者の設備資金を保証の対象にすることについて、これも前向きに検討して善処してもらいたいわけであります。御承知のように、チェーンソーなり、あるいは集材機なり製材機等の購入に必要な資金が保証の対象からはずれているわけです。そのためにせっかくのこの林業信用基金が活用されていない、むだに出資をしておるという事態があるわけでありまして、この林業関係者の設備資金を保証にするということは、これは当然施行令を改正して対処してもらわなければならぬ問題の一つでありますが、この点の大臣の腹がまえはどうでありますか。
  100. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) この機械等の貸し付けその他については、農林漁業金融公庫においても貸し付けておるようなわけでございまするので、その点との関連において検討を加えておる、もちろんその他についても積極的に考えています。
  101. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 第三点は、融資対象範囲をもう少し広めなければ困るという現実の問題についてであります。連合会が出資をしておる場合に、その連合会の構成員である会員が連合会から転貸を受けた場合、すなわち連合会みずからが保証づきで借り入れをした資金がその会員である単位組合に転貸する道が閉ざされているわけであります。もう一つのケースは、組合が借りた資金組合員に転貸をするという道が閉ざされている場合があるわけであります。こういう転貸を拒んでおるということは、またこの制度を硬直しているネックの一つでありますが、この再転貸と転貸、こういう道をそれぞれ開くということを、この際実現するように善処してもらいたいと思うんですが、この点はどうですか。
  102. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) ただいまの問題は、系統組織との関連も十分考えなければなりませんので、いますぐこれは申し上げられませんが、同時にあわせて検討をやることにいたしたいと思います。
  103. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私も少し元気がなくなりましたが、もう一つだけ聞きますが、政府の林業信用基金に対する出資であります。これも農業の場合、先ほどから明らかになったように、政府は従来約二十五億程度の出資補助をしておる、これを受けて県が四十八億の出資をしておる、さらに四十一年度には二億の出資補助をしている、四十五年度には百四十億の出資を目途に考えておる、あるいは融資基金、これは後ほど農林大臣が退席したあとで伺いますが、これも四十億というものを政府が出しておる、こういう手厚い措置をして、農業経営金融に対する保険制度として発足せんとしておるときに、林業信用基金の場合は、設立当時政府が出したのは三億五千万、しかも私の記憶にして誤りがなければ、このうちの大部分は国有林特別会計からこれはひねり出せたはずである、なお翌年には三十九年同額の出資三億五千万を出して七億の出資にとどまっておる。ところが、その後御承知のように、林業者等の民間の出資が予想以上に集まってきまして、この割りでまいりますと四十二年あるいは四十三年には国の出資が林業者等の出資を下回るという事態になってまいります。そこで、この点を勘案いたしますと、林業信用基金の受信力を拡大する意味においても、これを融資機関に預託をするという点も考えて、さらに政府としては農業信用基金等に対するものとはけたが違う金額でありますけれども、相当の林業信用基金に従来二年にわたって三億五千万ずつ出す程度のものは、四十二年度を目途として、これは政府でも林業信用基金に出すというぐらいの決意をここで明らかにしてほしいのであります。そういうことがないと、他の制度との不均衡があまりに激しい、私はそういう均衡をたてまえとして、全体を掌握する農林大臣の客観的な立場から、こういう林業信用基金というものを同じくレベルアップするならするという方向で善処をすべきだと思うのですが、大臣いかがですか。
  104. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) この問題についても民間出資の状況及び利用状況を勘案しまして、先ほどの事項等もあわせて積極的に検討してまいりたいと思います。
  105. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それでは、政務次官以下がおられますから、もう少し農業信用基金に関してお尋ねをいたします。  経営の安定化と保証業務の積極的運営をはかるために、この際新たに融資基金として、先ほどの説明にもありましたように、四十億を投入するということであります。この融資基金の四十億というものは非常に努力をされた所産であることを認めるにやぶさかではありません。しかしながら、これを他の保証機関の政府投資等から見ますと、低きに失すると指摘せざるを得ないのであります。たとえば中小企業保証公庫、これはただいま審議中の農業信用保険協会と同じ性格のものだと理解するのでありますが、名称は公庫であり、こちらは協会でありますけれども、この中小企業保証公庫に対して四十年度までには融資基金が二百二十八億政府から出されておる、四十一年度予算では七十五億が決定をしている、三百億をこえる融資基金が確保されておる点から考えますならば、この融資基金の四十億というものは、さらに今後にわたって大幅に増額をしなければ、私は、県段階の基金協会ともどもにこの保証、保険、融資という三位一体の機能が完全に発揮されないと思うのであります。質問の第一点は、この融資基金四十億というものを踏まえて将来にわたって大幅に増額する方向で努力をされると思うのでありますが、その点はいかがですか。
  106. 森本修

    政府委員森本修君) 私どもとしましては、融資基金の四十億の計算をいたしました前提は、大体近代化資金融資ワクが九百億程度になりましても、融資をいたしますファンドとしては、まあこの四十億程度でまかない得るもの、そういうふうなことで予算を計上いたしております。御指摘のように、将来近代化資金融資のワクも、資金需要の増大に従って年々ふえていくものと思います。したがいまして、そういった将来年々ふえていきます融資ワクに即応いたしまして、こういった融資基金も増額をしていく必要があるだろうというふうに思っております。そういった事態になりますれば必要な予算措置を講じていくという方針でございます。
  107. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 四十億は決して頭打ちではないと、九百億を踏まえた結果出た金額であるから、今後保証額の増高によって、この融資基金の増額も考慮するという答弁でありますから了解をいたします。この四十億の各県に貸し付け内容等はどうなっておるのでしょうか。
  108. 森本修

    政府委員森本修君) 内容でございますが、主として融資の条件をお尋ねになっているかと思うのですが、中小企業におきましても、大体二分ないし三分というふうな金利で貸し付けておるようであります。私どもも大体それにならいまして、ほぼそれに準じたような金利で貸し付けをしていきたい、こういうふうに思っております。
  109. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 二分ないし三分の、一分の違いが非常に大きいので、二分ですか、三分ですか、二分五厘ですか。先ほど答弁の中に資金運用益十一億というものが出ておるから、当然これは原資を何分で出して、そうして基金協会はこれを何分で運用する、その運用利差益を何分に見ておるかということから、十一億というのがトータルで出ておると思いますから、この点を明らかにしたいわけです。
  110. 森本修

    政府委員森本修君) 貸し付けは大体二分五厘程度でやっていきたいというふうに思っております。なお、それを借り受けました基金協会の運用の見込みは、六分五厘程度と予定をいたしております。
  111. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それでは次の点を伺いますが、保険協会、新しく出る保険協会について一、二伺って、私のきょうの質問は終わりにいたしますが、保険協会が基金協会に対して支払う保険金は、迅速、的確であることが当然望ましいわけであります。で、基金協会が代位弁済をしてから何カ月日に請求を完了し、何カ月以内に保険金を支払うことになるのか。これは基金協会と保険協会との契約の内容になるわけで、従来、ともすれば、たとえば漁業信用保証の場合等はきわめて遅延して、この問題についての不満が絶えないわけであります。そこで、農業は、漁業、林業のサンプルになるわけでありますから、その間の事務処理の内容が、契約の中でどううたわせようと役所では考えておるのか。
  112. 森本修

    政府委員森本修君) 保険金の支払いの時期でございますが、私どもとしましても、なるべく事故発生後迅速に保険金が手に渡るように指導していきたいと思っておりますが、いまのところでは、事故が発生いたしました後一カ月経過後に請求を末端からして、その後できるだけ迅速に保険金を支払うように督励をいたしたいというふうに思っております。
  113. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 事故発生後一カ月経過後に請求することはわかります。請求を受けてから何日以内に保険協会が支払うかと、これが大事なんです。そこを抜いては私の質問の意味がない。請求は、事故発生後代位弁済して、事故が発生して請求する時点から一カ月経過後に請求させると。これはもらうほうですから、それを怠ればもらうほうの損失でありますから、一カ月というものをめどにする、それはわかります。請求を受けてから何日以内に支払うのか、保険協会は。そこを聞いておるわけです。
  114. 森本修

    政府委員森本修君) ちょっといま事務手続の関係がございますので、必ず請求があれば何カ月以内というふうなことは申し上げかねますけれども、それほど手続が複雑であるとも思いませんし、また所要資金につきましても、先ほど申し上げましたようなことで、一定の支払い準備資金を造成をいたしておるわけでありますから、できるだけ早い期間に支払いをするように十分ひとつ督励をしていきたいと思っております。
  115. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 一つのワクでこういうふうに理解できないのですか。請求を受けてからおそくも一カ月以内には支払う、そういう行政指導をやるという御意思はありませんか。
  116. 森本修

    政府委員森本修君) できるだけまあそういう線に沿って努力をしていきたいというふうに思います。
  117. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 もう、できるだけと言わずに、遠慮をせずに、それはやはりこの制度を魅力あるものにするか、せっかくお互いが苦労してここで法律をつくろうというときに、わずかなそういう事務的なルーズさを見のがすために、この制度に画龍点睛を欠くようなことがあってはいかぬから私は言うているので、一カ月ぐらいの余裕があったらこれは当然やらなきゃならぬというふうに、これは局長もはっきりした姿勢で臨んでくださいよ。  それから、最後にお尋ねしますのは、この農業信用保険協会の保険金は借り入れ元本の七割ということになっていますね、先ほどの説明にありますように。これが元本の七割ということになっておりますために、県段階の基金協会の求償権は、全国段階のこの保険協会のそれに比べて相当上回る多額な金額になるわけであります。そこで、融資機関の残存債権と基金協会の求償権は、保険協会の求償権より優先回収させる必要があるわけであります。御承知のように、融資機関は、代位弁済の対象外の遅延損害金、これは延滞利息と約定利息との九分との差額、そういうものを損害金として持つ、基金協会は、約定利息と遅延損害金、これは代位弁済の対象分でありますが、それと求償権そのものの金額に対する利息、この三つの部分は保険金支払いの対象の外になっているわけですね、保険金が元本の七割というものに規制をされている結果。したがって、融資機関の残存債権と基金協会の求償権は、新たに設立される保険協会の求償権より優先して回収させなければ、これは公正がとれない。それは法律的にもこれを拒む理由はないわけであります。たとえば農林漁業金融公庫の前身であった特別会計のときにも、融資機関の優先回収権が認められておった。こういう措置をやはり講じなければ、私はこの信用保険協会の公正な運営とはなりがたい、こういう角度からお尋ねをするのでありますが、この点はどういうふうにお考えになっているわけですか。
  118. 森本修

    政府委員森本修君) 代位弁済をいたしました後に、債務者から一定の額の返済があった、つまり融資機関なり保証機関から見ますと回収があったという場合の、保険協会と基金協会の関係というふうなことと思うのでありますが、御指摘になりましたようなことも一つの筋道というふうにも思いますけれども法律的に実はそういった関係を分析してまいりますというと、回収をし、あるいはおくれてその支払いをした金額は必ずしも元本が幾ら、あるいは利息分が幾らというふうな正確には分類できないような性質の金になるように私は伺っております。そういう関係からいたしまして、お尋ねの点は、込みにいたしまして保険金支払い割合によって回収権を取得するというふうなことで運用をしていったらどうか、そう思っておるわけであります。
  119. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 法律的に云々という答弁ですが、それはどこの法律にそういう規制がありますか。
  120. 今村宣夫

    説明員(今村宣夫君) 通常の各保険と類似の、まあ中小企業もそうでございますが、類似の保険制度と合わせまして、いろいろ法制定のときに議論をいたしたのでございますが、現在の法律が、該当条文としましては法案の八十条でございますけれども、先ほど局長も申し上げましたように、金が返ってまいりましたときに、それをどういう比率で基金協会と保険協会に分けるかという計算を規定をしてございます。その計算をまあ分かりやすく申し上げますと、回収金がありましたときに、回収金のうちで、先ほど述べましたような利息の占めるウエイトに相当する金額だけは除きまして、それの残りの金を七、三に分けるというかっこうになるわけであります。ですから、式で申し上げますと、回収金かける分母としまして元本プラス利息分の元本、それに七〇%をかけたものを保険協会に納付するというふうな形になっておりますので、利息分がそのままの形で先き取りという形ではありませんで、利息分のウエイト分だけは除くという計算方法になっておるわけであります。
  121. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 その点をもっと割り切って、元本の七割ということに保険金が規制をされているから、この基金協会の求償権部分は私は優先回収をさせれば元本の七割、三割というものがすなおにこれは適正に処理されるということを言うているわけです。ところが、あなたがつくった分母、分子にとらわれないで、こういう点を考える気はないのですか。
  122. 今村宣夫

    説明員(今村宣夫君) 各都道府県の基金協会の立場考えますと、保険の対象となりますものは、いまおっしゃられましたように、元本部分だけでありまするし、都道府県の基金協会の保証しますものは、元本と利息を含んでおるわけでございますから、利息分を優先回収するというふうに考えることが、最も基金協会の立場を考慮したことになるかと思うわけでございますが、実は局長もちょっと申し上げましたように、通常の金融の観念でいきますと、元本部分と利息部分というのが分かれまして、そのお金は利息分に充当すべきものである、あるいはこれは元本幾らで利息分幾らというふうな観念の整理になるかと思うのでございますけれども、一度基金協会が代位弁済をいたしまして保険協会が保険料を支払ったという今度の法律関係に立ちますと、決して法律の理屈にとらわれて申し上げるわけではないのでございますけれども、返されました金は利息部分幾ら、元本幾らというふうな形として法律上観念することがなかなかむずかしい状態に相なりますので、通常のこういう保険制度にならいまして、先ほど申し上げたような回収といいますか、納付の計算をいたしたわけでございます。
  123. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 まあ他の事例等もあって、そういう考え方であることもわかるのでありますが、私が主張する点もわかってもらえると思うのであります。だから、そう突っ放した答弁でなく、私が提起したことについても、大臣でないが検討をして善処をするというようなことにならないと、これかっこうつかないじゃないですか。
  124. 森本修

    政府委員森本修君) 重ねての御要望、お尋ねでございますので、私どものほうとしましても、一応先ほど来申し上げておりますようなことで予定をいたしておりますので、そういうことで出発をさせていただきまして、運用の経緯、実情等を見まして、そういったことがぜひとも必要だと——もちろん御主張なさっておるわけですから、必要だということであろうと思いますけれども、十分ひとつ運用の過程において検討をさせていただいて、必要があれば善処をいたしたい、そういうふうに思います。
  125. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 本件についての質疑は、この程度にとどめ、散会いたします。    午後四時四十八分散会