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1966-03-31 第51回国会 参議院 農林水産委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月三十一日(木曜日)    午前十一時十八分開会     —————————————    委員の異動  三月三十一日     辞任         補欠選任      園田 清充君     山内 一郎君      高橋雄之助君     近藤英一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山崎  斉君     理 事                 野知 浩之君                 和田 鶴一君                 渡辺 勘吉君                 宮崎 正義君     委 員                 青田源太郎君                 梶原 茂嘉君                 小林 篤一君                 近藤英一郎君                 櫻井 志郎君                 田村 賢作君                 任田 新治君                 仲原 善一君                 森部 隆輔君                 八木 一郎君                 山内 一郎君                 大河原一次君                 川村 清一君                 鶴園 哲夫君                 中村 波男君                 森中 守義君                 矢山 有作君                 北條 雋八君    国務大臣        農 林 大 臣  坂田 英一君    政府委員        農林政務次官   後藤 義隆君        農林大臣官房長  大口 駿一君        水産庁長官    丹羽雅次郎君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○漁船損害補償法の一部を改正する法律案(内閣   提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 山崎斉

    委員長山崎斉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  漁船損害補償法の一部を改正する法律案について質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 森中守義

    森中守義君 農林大臣に伺いますが、この対象となる漁船隻数というのはどのくらいあるのでしょうか。できますれば各トン数別数字をお示し願いたい。
  4. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 事務当局から御答弁いたさせます。
  5. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 本委員会参考資料として御提出してあります資料の中にございますが、この一九ページでございますが、在籍漁船数は三十七万七千隻、これを内訳をつくりますと、無動力漁船が十七万一千隻。ゼロから二十トンまでが十九万五千隻。二十トンから百トン未満、九十九トンまでが八千二百九十六隻。百トンから九百九十九トンまでが千五百九十五隻。動力漁船全体としては二十万五千七百八十三隻、これが対象になる漁船の数でございます。
  6. 森中守義

    森中守義君 どうなんでしょうか。この三十七万余隻というのが国内における沿岸漁業の、いわゆる水産業として必要な隻数ということに正確に言い切っていいものか、どういうものであるか。あるいはまた、これから先にだんだん漁船隻数はふえるという見通しを持つべきであるか。あるいはまた減少するという見通しを持つべきであるか。その辺はどういうように思っていますか。
  7. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) その点につきましては、漁業動向報告でも触れておりますが、無動力船は明らかに減少傾向を示す。動力船増加傾向を示す。つまり無動力から動力のほうに移動いたしておる次第であります。かつ、その中におきまして、比較的零細のものの中に大型化傾向が見えている。大きなほうの船に相なってまいりますと、漁業の許可を拡大する大きな方針をとっておりませんので、大勢として大きくふえることは考えられない、かように存じております。
  8. 森中守義

    森中守義君 いまの長官答弁ということは、確かに漁業における近代化が漸次促進をされている、こういうように私は理解してもいい、こう思うんですがね。ただ、そこで隻数であらわすというよりも、むしろ私がその前にお尋ねした、大体将来の見通しはどうかということになりますと、延べの総トン数でひとつ聞かしてもらいましょうか、特に隻数は何ばいでこれこれということでなくて、総トン数が現在幾ら。その総トン数上昇の上傾向にあるか、あるいは下降状態をたどるのか、その辺の事情をよく聞かしてください。
  9. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) いま資料を取りそろえますので、御猶予を願いたいと存じます。
  10. 森中守義

    森中守義君 いまの、トン数はいいんですよ、あとで資料を出してもらえば。ただ、正確にしておきたいのは、近代化が非常に大きな問題として、大臣所信表明の中にもありました。また、先般出された、講じようとする漁業施策の中にも、近代化ということがかなり強調されておる。そういう意味で、だんだん無動力船から動力船に移行していくという大意はわかる。しかしながら、今回の白書にも見られるように、一昨年及び昨年の漁獲状態というものは、例年にない減少状態であるということが報告されている。それが直ちに水産物の輸入ということで、かなり大きな経済界にも波紋を呼んでいる。ですから、一体水産行政基本としてどのくらい国内漁獲目標を持っておるか、それを得んとする漁船あるいは漁夫の状態はどういうふうに考えておるのか、そういう原則のことを聞こうと、こういうことなんです。したがって、その辺の中心になるべき政策というものを少しく私はまず最初に聞いておきたいと思うのです。そういう意味で、隻数必ずしもオールじゃないでしょうから、総トン数としてどのくらいになるのか、将来それは増高のほうにいくのか、あるいは下降状態に見ておるのか、何も数字を根拠にしなくてもいいのですから、基本的な問題として一ぺん聞かしておいてもらいましょう。
  11. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 日本漁業の全体の問題といたしましては、御承知のとおり、現在輸入が総生産高の一割弱に相なっておる。ただ、一方、輸出を相殺いたしますと、全体としては一〇〇をこすわけでございます。そこで、いま先生のお話の御趣旨は、日本漁業全体が将来に向かってどういう形になるか、つまり需要は増大をいたしますから、それに見合って生産がどの程度になるか、また、それとの関係におきまして漁船トン数といいますか、実勢をどういうふうに見ておるか、こういう御趣旨と存じます。それで基本的には、生産の伸びというものは漁場との関係がございまして、現在の六百数十万トンレベルの生産高を大幅に伸ばすということは容易でない、かように存じております。ただ同じ数字を、漁業を営みますのにも結局高い生産性でこれをとるということがやはり必要である、これは結局、営みます漁業に従事いたします方々の報酬問題あるいは漁業の収益にもからみます問題でもあります。その意味におきまして、船は当然方向としては大型化をして、そうして能率の高い、手段も人力もなるべく節約した省力漁法と称しておりますが、そういう機械を積み込んだ漁船で同じ漁であってもとってまいる、でき得べくんば少しでもその増加をはかる、こういうふうに考えております。したがいまして、漁船の形としては、傾向としては大型化し、近代化していく、そういう方向トン数階層別実勢を大きいほうに移向させていくべきである、そういう立場で考えており、またいくであろう、かように存じております。
  12. 森中守義

    森中守義君 これに関連することで聞いておきますが、どうなんですか、ここ四、五年ぐらいの統計として、新しく漁業を始めた数あるいは転業もしくは廃業した数というものはどういうふうになっておりますか、それが一つ。  それと、確かに漁船それ自体態様大型化していっておるということは、これはもう間違いないでしょうが、事実問題として一年間にどのくらい……要するに廃業ということは漁船を消滅させることでしょうし、あるいは新規事業というものはふやすということなんでしょうが、その辺の状況はどうなっておりましょうか。
  13. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 端的にお答えになるか若干問題もございましょうが、経営体数について申し上げますと、昭和二十八年に二十九万五千でございます。これが三十三年に二十八万三千、それから三十八年に二十六万七千ということでございますので、二十八年に対しましては経営体数は九一%に相なっております。沿岸におきましてはそれが九一%、沖合い遠洋におきまして八三%ということでございまして、新規漁業を営むものと積極的に減っていくものとの分界は、いまここに手持ちはございませんが、新規に営む数は比較的少ないわけでございますので、大勢としては常に営んでいる方々がやめる傾向が非常に強い、かように思っております。
  14. 森中守義

    森中守義君 それから、これは何も漁業に限ったことじゃございませんが、最近の農漁村からの都会への人口の流出というのは非常に大きな社会問題でもある。それで、これもいまのと同じように、大体過去五年間ぐらい、特に、高度生長高度生産政策がとられて以来、漁業従事者が他の仕事に転業したとか、あるいは労働力都会等流出をした統計がとれておるならば、それもひとつお回し願いたい。
  15. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) いまお答えいたしましたのと同じ経営体数に見合いまして就業者人数を申し上げますと、二十八年の百二十二万三千人が、三十三年に百六万七千人、三十八年に八十四万三千人でございまして、就業者数としては六八%で、これを沿岸におきましては六八%で、沖合い遠洋におきましては八二%、つまり沿岸におきます、沿岸漁業に従事いたします漁業者の数が相当減っておる。それからなお御参考に、新規学卒者漁業及び水産業就業する者の数でございますが、三十五年が一万一千人、三十六年が七千三百人、三十七年が九千人、三十八年が一万九百人と、これはふえております。三十九年では九千五百人という新規卒業者で、これは中卒、高校が主力でございますが、やはり三十年ごろに一万六、七千人ありましたものが一万台に減るというかっこうでございますので、やはり若い人の沿岸漁業就業は比較的低下傾向が強く出ておる、かような現状でございます。
  16. 森中守義

    森中守義君 いま問題になっている資源の問題と、あるいは労働力低下、あるいはまた経営維持が非常に困難になって他産業への転業もしくは廃業等がどういう状態漁業生産の二割減という形にあらわれているのか、どういうように理解しますか。要するに、資源が非常に減少したことが最大の理由であるのか、あるいはいま説明を求めたようなことが生産減少の原因であるのか、どう思いますか。
  17. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) たいへんむずかしい御質問でございまして、いろいろお教えを願わなきゃならぬ点が多々あるわけでございますが、漁業の総生産高が昨年と一昨年減少をいたしておる。ただ、それにはアジサバあるいはサンマあるいはイカという回遊魚のそれぞれの年の減少がございまして、これが大きく左右をいたしております。そこで、これは構造的に漁業生産が減っておるということをにわかに断定すべきかどうかという問題につきましては、われわれ内部でいろいろ議論もし、審議会等でも御議論になったところでございますが、にわかに資源面あるいは労働面からの減少であるというふうにこれを断定するのにはもう少しそれぞれの分野における推移を検討する必要があるということでございまして、本年度の動向におきましても、その点については明快な断定を差し控えて、もう少し日本漁業の全体の形を見るべきではないかという立場で、動向報告は編さんされておるわけでございます。したがいまして、資源的に大きく、イカとか、この数字の非常に大きなものはイカアジサバという数十万トンのそれぞれ漁獲高を持つものの変動でございまするが、これらにつきましては、浮き魚であり、回遊魚であるという立場資源的に方向を限定するというのは学問的にもまだ問題がございます。そういう意味で、資源が減っているという断定はまだ私はいたしておりません。ただ、遠洋漁業等を含め、あるいは海外の漁業等を含めまして、昔のように新しい漁場に積極的に出まして、鯨なりマグロをどんどんとるという方法手段日本漁業生産高を急カーブに上げていくということはもはや困難な段階にきている。したがって、急激なカーブにおける上昇は困難である、これは相当はっきりいたしております。横ばいであるか、さらに低下をたどっておるか、資源論において。これについてはいろいろの議論内部でも行なわれたわけでございますが、現在のところそれを断定するまでには至っておりません。
  18. 森中守義

    森中守義君 長官答えは非常に率直で、私も嬉しいんですよ。ただ、いまここで審議しているこれら法案も、言ってしまえば、やはり生産を高めるために、あるいはまた漁家経営をよりよくしていこうという一つ立場を私は意味しているとも思う。ところが、一番大事なことは、大体需給体制がどうなのか、どの程度需給目標を持つのか、その辺の根本になるような政策政府が持たないと、この限りにおいては私は本法の改正ということも非常に意味はある、そう思うんですけれども、一番肝心なところが明らかになっていない。たとえば、いま長官の言われる年次報告にしても、あるいはこれから講じようとする施策にしても、表現されている内容をずばり私の感じとして申し上げるならば、いわば一種の評論的なものであって中身がない。この辺に私は今日の、あるいはこれから先の水産行政に欠けるものがあるんじゃないかということを実は憂えるものの一人です。いま、なるほど技術的に非常に困難である、あるいは学問的にいま少し検討の余地がある、御説は私は否定はしない、しないけれども、一昨年から昨年にかけてかなり早いテンポで、しかも高い率で下降線に立ち至っている日本沿岸漁業をどうするかということは、困難である、むずかしいということでは、私は政治の施策としては済まない、そう思う。ですから、まだ的確に答えが出し得る段階でないということを、さらに追い打ちをかけるということは、少々これは酷かもわかりませんけれども、どうなんでしょうね。私はなるほど予算書も拝見しました。しかし、この程度予算で、はたして新聞の社説等にいわれている日本漁業の危機というものを脱却できる可能性を持つのか、どうなのか。しかもその具体的な施策内容をそれぞれ拝見すれば、やはり前年度よりも若干の上積みをしているという程度のものであって、新しい事業の開発とか、あるいはそういう減少状況にある漁業生産を高めていこうというあまりフレッシュな、しかも意欲的なものの発見ができない。そういう意味でいま少し、なぜ困難であるとか、どういう対策を講ずれば広く国民の期待に沿うようなわが国の漁業の実現ができるのか。その辺のことを、いま答弁をいただいたことと繰り返しになるかもわかりませんけれども、私はその辺のことがきちんときまっておかないと、あれもこれも手はつけてみるけれども、一向に総合的な成果を上げることは困難じゃないか、こう思う。したがって、これは一つ水産基本政策になるでしょうから、大臣のほうからでも、もっと明快にお答えをいただいておきたいと思います。
  19. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 大臣お答えの前に一言私から。確かに日本漁業遠洋漁業におきまして鯨、サケ、その他の面におきまして国際規制が強まってきておる。それから沿岸沖合い等におきましても、同報告に触れましたとおり回遊魚サバあるいはサンマ等の漁況の変動を割合とダイレクトに受けやすいという状況に相なってきておりまして、したがって、決して日本漁業というものが過去におきますような、終戦後の飛躍的な状況下のようなステップを取り得ない、こういう段階におきましてどうするのだという点でございまして、私ども日夜苦慮いたしておるところでございますが、考え方といたしましては、やはりその漁業を営むいろいろの因子がございまして、やはり港の整備、それから船の整備あるいは労働力減少傾向化に対する対処の問題、あるいは価格に対する新しいあり方の問題、そういう各般の問題をそれぞれの角度から積み上げて対処をいたしていく。したがって、項目は多岐にわたり、それぞれすぱっとこれで一切がきれいにいけるという形はなかなか認めがたいのでございます。各分野にわたってそれぞれの手で極力充実をはかっていくという立場対処をし、また、現に対処しつつあるわけでございます。こういう方向で今後ともさらにいろいろの角度から前進を考えていきたい、かように私ども事務当局としては考えております。
  20. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) きわめて重要な問題についての森中委員質問に対しての答弁でございますが、私どもとしては、漁業問題について先ほど長官から一応お話を申してあるのでございまするが、なお漁族のいろいろの問題についての研究が、これからなおやらなければならぬ点が多数あることは、これはもう御存じのとおりでございまして、そういう点についての検討を十分進めてまいることは言うまでもございません。それと同時に、やはり養殖問題という問題については、これは特に力を将来入れてまいる。現在はそれと同時に、遠洋漁業という問題にさらに力を注いでいくということから、今度試験研究機関をそういう態勢でもってまたつくっていっておるのでございまするが、養殖問題につきましては、もちろん沿岸の問題が主でありましょうが、サケマスのような、松島湾において相当大規模と申しましてもそれはまだ大したことはございませんが、やはり海中におけるサケマス養殖という問題を研究中でございます。現に研究中でございます。そういうぐあいに、一面遠洋漁業その他についての、いま水産庁長官が申しましたような方面に向かっての努力はもちろん必要であると同時に、そういうぐあいにかなり大きな、いわゆるいままでは沿岸におけるノリ養殖とか、あるいは貝の養殖とか、あるいは琵琶湖におけるアユの養殖とか、いろいろ問題がございますが、今度は、先ほど繰り返して申すとおり、海中における大きなそういう意味養殖関係研究をいたしておるようなわけでございます。さようにして両々相まってこれらの問題、いわゆる水産資源の拡大をはかっていくというところへ最終的には進んでいくべきものであろうかと思われます。  なお、いま森中委員から言われたとおりでございまして、実際、最近世界的に見ましても、日本が世界の各所に漁業者として進出いたしておったことは、これは御存じのとおりでございまして、でありまするが、実際各国においてもそれらの問題が相当盛んに相なりまして、その漁業をめぐる国際的な問題が相当多くなってきておることは御存じのとおりでございまして、やはり養殖関係とか、それは大きな意味における養殖問題というようなものを日本としてはさらに進めていくべきものではなかろうか、かように存じておるわけでございます。
  21. 森中守義

    森中守義君 では重ねて聞きますが、三十八年、沿岸漁業振興法制定の際に、両院の審議を通じて、年間における生産目標を出そうと、需要供給計画を正確に国民に公表したらどうかと、こういうことをずいぶん強く叫ばれております。ちょうど私はそのころは休んでおりましたが、記録によればそういうことが出ておる。そのことは私はあたりまえだと思っておるのですよ。私から申し上げるまでもなく、この報告書等によれば、零細な漁家、あるいは中小企業漁家等がかろうじて生計をささえ得るのは、何といってもたん白質をどんどん国民がとる、つまり需要が非常に伸びておる。したがって、価格が比較的に安定というよりも上向きにあるということと、それとノリ養殖等が比較的に豊富である。そういうことが今日の漁業をかろうじてささえているというような言い方がされておる。ところが、一体、じゃ、価格はどうかということになれば、これはもう今日のように自由経済の時代だから、そういう計画的なことはできないということであれば、また話は別ですけれども、それじゃやっぱり国民が困りますよ、あるいは漁家それ自体が。だから年間生産需要供給計画をきちんとつける。それでいわゆる市場の価格等をある程度押えるというような方向にいかないと、だんだんまずいんじゃないかというように考える。それで私は、この質問一つの区切りとしては、大体、各年間にどの程度生産目標を持っているのか、その目標に到達するかしないかは、これはまた別な議論です。しかし、水産行政としては、当然その辺のところが最大の課題であり、目標でなければならぬ、私はそう思うんですが、その辺のことはどうですか。公にはしていないけれども年間目標はこのくらい大体見ておるんだ、この前の林業と同じですけれどもね。そういうものがなければ、行政基本にならぬ、まあ私はそう思うのです。ですから、その辺のところをいま少し具体的に御説明をいただいておきたいと思います。
  22. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) そういう立場で、実はいま沿振の審議会専門委員会等でも研究をお願いいたしておるわけでございますが、一般論といたしまして、人間のたん白質消費あるいは魚肉消費からどのように需要が伸びてくる、あるいは畜産の振興関係需要がどの程度に伸びていくか、これはある程度技術的測定が可能なわけでございます。ところが、生産面の問題に相なりますと、林業ならばあるいは計画的に造林をするということも可能かと存じますが、あるいは漁業におきましてある程度計画的にものをつくる、オリエンテーションをするということも可能かと存ずるわけでございますが、私ども非常にいま苦慮いたしておりますのは、同じ魚肉たん白を補給するとして、それに対象になりますものの魚種というものがこまかく膨大にあり得るわけです。同時に、一番大衆的といいますか、ベースをなしますところの、たとえば大衆魚と俗に言っておりますサバならサバをとりましても、年々の変化が三十五年から見ましても三十五万から四十何万、五十万、こういう非常に大きな幅を描いております。それからサンマ等につきましても、二十一万から四十八万というような幅を描いております。何ぶん他産業と違いまして、海洋におきまして一時的に確保する業でございますので、こういうだけのものをどういう形でとるという形での計画、あるいは方向づけということにつきましては、他の産業に見る以上のいろいろの特殊な問題等がございまして、現在、生産の面からそれをどういうふうに考えるべきか、私は技術的に非常に困離であるし、現在いろいろ苦慮いたしておるわけでございますが、魚に関しましては、今後何年間で何トンをとる、こういう形のものは、日本の魚の供給態様からいたしまして非常にむずかしい問題である。しかし、むずかしいから放置するという立場でなく、いろいろといま専門委員方々とも、方法が可能であろうかどうかという点については、現在も話し合いをいたしておる段階でございます。
  23. 森中守義

    森中守義君 大臣、ひとつ、わからなければわからない、それはできないならできないということで、端的に答えてもらっていいのですよ。なかなかむずかしい問題であるということは承知の上で私も聞いているわけです。しかし、これは仮定の話でもなければ、あるいはまたむずかしいからできないからということでも済まない問題、そう私は思うのです。といいますのは、なるほど二国間もしくは多数国間の中で幾つかの条約を結んでいますね。しかも二国間もしくは多数国間の条約を、一定の年限が来て変えようという場合、あるいは継続しようという場合に、全体的な国際情勢というものは確かに日本漁業に対し規制方向にきているということは、しばしば当局からも聞いてまいりました。またそのことが事実のようです。それで、条約の問題は明らかに互恵平等の精神に貫かれておらねばならぬということに尽きると思うのですが、要するに遠洋漁業がそういうような状態規制をされて、新しい漁場の開発といっても、そう一朝一夕にはできないということになれば、これはやはり遠洋漁業に対する沿岸漁業という両建てにおいて、いま少しきめのこまかなやり方というものが私は当然政府に要請される結果であろう、こういうように思うのですよ。ですから、何回も繰り返すようですが、正確に、この年次における生産量は幾ら、それが実現目標でなければなりませんが、あるいは期待目標であってもしかたがない。そう私は譲歩した気持ちもあるのですが、どうなんです。やっぱりこれは年間年間ごとに生産目標というものは一応持つべきものじゃないのですか。そこで、その目標に到達するにはどういう施策をすればいいかということが、これは漁業近代化にもつながってくるでしょうし、あるいは資源新規な開発ということにもつながってくるのじゃないか、こう思うのです。今日のように一切がっさいのことが近代化方向に向かっておる。しかも近代化ということは一つ目標を持った仕事だと、こう私は心得ているんですが、漁業にもやっぱりそういうことが必要じゃないですか。それがないところに、非常に変な表現ですけれども政策それ自体が無定見であり無原則であり無方針だというふうに言われてもしかたがないんじゃないかと、こう思うのですよ。ですから、いま、目標があるならある、ないならない、これからつくるならつくると、絶対的な目標でなくてもいい、いま私が言うように、目標は実現しなければならぬけれども、結果的にはそれが期待目標に終わる場合もあるでしょう。それ自体を私は責めないですよ。そういう意味で、目標を持つのか持たぬのか、この際ひとつはっきりさしておこうじゃありませんか。これはもう非常に大事な問題だから大臣から答えてもらいたい。
  24. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 非常に重要な問題についての森中委員の御質問でございます。現在、目標というものがあるかという御質問に対しては、まずないとはっきり申し上げたらいいんじゃないかと思います。ただしこういうことはございます。とにかく現状以上に伸ばしたいという宿願はあることはあります。しかし、これは目標というわけにいきませんので、いま御質問目標というものになりますとございません。ただ、沿岸漁業のたとえばノリとか、こういうものにつきましては一応の、これは一応でございますが、一応こういうことはどうかというので、これは目標と申していいかどうか疑問かもしれませんが、今年度は大体四十三億枚とかいうようなことを大体考えていくわけでございますが、これすらもなかなか気候の関係で十分まだそれらが、非常な被害がまだ起こってまいりますのが現実でございます。そういうわけでございまするから、まあ率直に申しますと、目標はないと申したほうがいいかもしれません。なお、検討は加えてまいりたいとは思います。
  25. 森中守義

    森中守義君 たいへん大臣答えも正直でけっこうですが、これは、言ったから、しかも言ったことが結果的に実現できなかったから、うそを言ったじゃないかとか、けしからぬじゃないかとか、決してそんなことを言うんじゃないのですよ。その点はあまり窮屈に思われないで答えてもらいたいと思う。そうしませんと、正確な審議になりませんので、それは私は特に申し上げておきたいと思う。  そこで、非常にくどいようですけれども、そのことが明確になっていないと、何をやろうとだめだということですよ。長官は小首かしげて、そんなことはないというような表情だけれども、残念ながらこれから講じようとする施策の中にも一番大事なことが抜けておる。たとえば浅網漁業についてはこうするのだ、あるいは遠洋における資源開発についてはごうごうということをやれ、国内漁業のためにはこういうように近代化するということが言われてはいる、言われてはいるが、その積み上げが目標であってもいいし、逆に目標がそういうものにおりてきてもいい。どっちにころんでも一緒だと私は思うけれども、大体ではこんなことをやって、あるいはまた国の政策として一年にどのくらいとれば完全にたん白質供給がいいとか、外国から輸入をしなくても済むとか、不足する分は不足する分として輸入計画も持とうと、ひいては市場の安定もはかろうというような、そういう総合性がないと、私はさっき非常に変な表現だけれども政策それ自体が無定見、無原則であり、無方針だと、こう実は言っているわけなんです。ですから、目標検討しようということじゃちょっとこの段階では答えになりませんよ。民間の企業でもどこでも見てごらんなさい。国の事業でもそうですよ。それぞれ到達すべき、それが実現目標であろうと、期待目標ということになろうと、それはいいのです、努力してできないということはしかたがないのだから。しかし、そういう努力に近づけていくには目標を持たざるを得ない。そういう意味で、さっきの大臣答弁はたいへん正直でけっこうであるけれども、やはり答えにならない。また、ここで審議しようとする法案にも、非常に重要な関係というよりも、これら法案あるいは法の基本をなすものは私はそれたと思う。この際、何も答弁を強制するわけじゃないけれども、一通り御理解いただきましたならば、目標をつくりましょうというようなことを、より正確なもの、より完全なものに越したことはないですけれども、かなり柔軟性のある意味でもけっこうですから、目標を持つなら持つようにひとつ約束をしてもらいたいと思う。
  26. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 非常にむずかしい問題です。とにかく養殖関係は、これはこれでもなかなかむずかしいのでございまするけれども、この養殖関係については、目標も立てて、はずれることはありますが目標を立ててやります。ところが、漁業の全体の問題では、いままでの全体の漁獲高というものを根拠にして、そしてことしはこういう程度漁獲は得られるであろうという推測はいたします。これはいろいろの点においていたしますけれども目標は先ほど申しましたように困難でございます。その理由等は森中委員も十分御了承であり、知っておられる点でありますから、くどくどしくは申しません、そういうことである。しかし、そういう点についても、わかったものとわからないものがあることは御承知のとおりでございますから、わからないものにつては、これからさらにその面の検討を加えて、研究を加えてまいることは言うまでもございません。そういうことで、研究が現実にだんだんと利用できるところまで発達いたしてまいりますると、これらについての問題も、十分実用的にきめることもできるようになるであろうと思いますが、そういうすべてを包含して、私どもとしても十分力を入れて検討を加えていきたい、かように考えておるわけでございます。
  27. 森中守義

    森中守義君 大臣、そんなに窮屈に考えなければならぬものでしょうかね。それはね、知っているだろう、むずかしいことはわかりながらそんなこと言わなくてもいいじゃないかというような意味にもとれるのですが、私は、何回も繰り返すように、絶対的なものとしては受け取りませんよ、それは。目標目標で持たなくちゃだめなんじゃないですかということなんですが、どうしてもそれが困難だという理由も私にはわからない。  昨年、私は北欧関係を回ってきました。大体、魚の国にも行ってきましたが、やはりそれなりに一定の目標というものは持っていますよ。だからそれが実績主義であろうと理想主義であろうと、その辺のことは決して私は、積算の根拠はどうかこうかということまではいま聞かないですけれども、やはり生産目標というものを持たなければ、何事によらずおざなりになるのじゃないですか。その辺に私は今日の漁業生産状態が下降状況にあるという何か片りんをのぞかしている気がする。もちろん、目標がないから下がったという、すべてじゃないでしょうが、しかし、もっと計画性というものはあるのは当然じゃないですか。いまそこにもちろん手持ちがあるとは思いませんけれども、これからの課題として目標をつくろう、そのくらいのことはこの機会に言い切っておいていいんじゃないですか、強制はしませんがね。もう一回、大臣考えてみてください。
  28. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) いま申されたような点については、私どももよく検討いたしたいと思います。
  29. 森中守義

    森中守義君 まあ、これは検討するということですが、まだ次の機会にでも若干の検討期間を置いてもらってお聞きすることにいたしましょう、しかし、強く私は要望しておきますよ、それがなければできない、幾ら法案の審議をやってくれと言っても、予算審議をやってくれと言っても、到達すべき一定の目標を持たない限り、とてもじゃないが、わが国の水産というものはうまくいくもんじゃないということだけ私は付言をして、いまの問題については一応終わることにいたします。  その次に、この法案関係で少し聞いてみたいんですが、お出しいただいた資料によれば、漁船の民間保険とこの種保険とは、かなり民間のほうが多いようです。それはどういうように理解すべきか。
  30. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 先ほど対象になる船の数いかんというお話がございまして、対象数字を申し上げてございます。結局二十トンから九十九トンまでは八三%がこの保険に入っておるわけでございます。百トンから九百九十九トンの間は七三%が入っておるわけでございまして、民間のほうが多いということではございませんで、むしろ相当数がこちらに入っておる。しかし、民間に入っているものもあるではないか、なぜ一〇〇%こっちにこないのか、こういう問題があろうかと思います。で、一つは、零細のほうに相なりますと、なかなか保険の魅力というものも、苦しい面もございましょうが、少ないということもあろうかと思いますが、比較的大きなほうに相なってまいりますと、保険会社、金融機関との結び付き等で、あるいはほかの保険との関係で、おつき合いで民間会社に入るものもある、こういう形でございますが、純粋な形での話としては、むしろこの制度に比較的小さいほうは多く入っておる、かような現状でございます。
  31. 森中守義

    森中守義君 それから、このことも非常にちぐはぐになった質問ですが、もっとほかに聞きたいこともたくさんあるので、十分整理ができておりませんが、今回十二億中央会に交付しようということが一つの法案の改正の骨子になっているようです。この十二億の金の使い方というのはどういうことになりますか。ちょっとその辺の事情をこまかく説明してください。
  32. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) この金の使い方といたしましては、形式的には、御審議願ってる法律では、計画を立て、予算を、十二億受け取りました中央会が立てて、農林大臣の承認を受けるという形に形式上はなっております。それから、実体的には、もちろん相談もいたし、ある程度行政指導もいたすつもりでございます。ただ、中央会そのものは、今度は総会という仕組みを持っておりますから、そちらにはそれなりの御意見もあり得るわけでございますが、目下いろいろお話し合いをしてます問題としては、昨日たいへんお話が出たわけすが、   〔委員長退席、理事野知浩之君着席〕 もともと漁船保険から発生いたしました金でございますから、漁船の海難の防止と、それから漁船の保険事業の円滑な遂行に使われるべきものである、基本的に考えて。それから、十二億というものは、いままでのものが累積してきたものでございまして、今後はこのような累積が出ないように再保険料の引き下げもいたしたわけでございまするから、今後も出るというものでもないということでございますので、この十二億を直ちに食ってしまうということについては、私どもも感心いたしませんし、関係方々も感心しないという立場をとっております。ということは、とりもなおさず十二億を運用いたしまして、その利子なり、果実でございますね、これでもって毎年の仕事をやっていこう、かような考え方が原則的に相なっております。  そこで、そういたしますと、平年度ベースでは八千四、五百万円が、日本の金利水準いかんにも影響されますが、毎年生まれてくる。この金の使い方といたしましては、一つは海難の防止のための問題として考えたい。で、昨日も申し上げましたのですが、いま一つの議題になっておりますのは、二十トン以上は明年から、難破いたしました際の救命ブイをつけることが法令上の義務に相なります。こういうものはつけてもらうのが当然ですが、それから出ます電波を、漁協が持っておりますところの無線局——漁協の無線局にもこの受信の施設がなければ死んだ施設でございますので、そういうところで備えられないという漁協等に対しては、それを援助してぜひ備えさせるというようなこと。あるいは現在、遭難がございますと、船同士が助けに行きますわけでございますが、船が助かりますと報酬がもらえるわけでございます。あるいは損失を埋めてもらえるわけでございます、助けに行った船の。それに対する保険もございますが、問題は、船が沈み切っちゃった場合には、ただ働きになり、持ち出しになる。これが僚船の援助活動に少しでもマイナスになっておるなら、積極的にお互い同士が助けるというために、そういう助けに行ったけれども助からなかった、船が沈んじゃっておったというような形については、この特別会計からお礼を出すというような形を考えたい。それから、無事故、非常に努力されていろいろの無事故をやっておられる方々に対しては、無事故に対してお礼といいますか、報奨をするというような問題、それから、現在漁協にいろいろと仕事を委託しておる面もございますし、人手の関係等で、いろいろ御批判も承るような事件等も出ておるわけでございます。   〔理事野知浩之君退席、委員長着席〕 漁協に対してこの仕事をお手伝いを願って、事務の的確を期していくというような立場から、その奨励金というようなものも考えてまいりたい。さらに、事故防止のための委託研究その他の関係もこの事業でやってもらいたい、こういうようなことを基本的に考えております。毎年出てくるわけでございますから、毎年の相談として、総会の御意見も尊重しつつ有効に使うという立場で、毎年の果実、八千数百万円を使ってまいりたい、かように考えております。
  33. 森中守義

    森中守義君 たいへん詳しい御説明でよくわかりました。  そこで、ちょっと気になりますのはね、二十七年にこの法が制定をされて、もうすでに十四年たっていますね。ついては、二十七年以降、現在の三十二億の余剰金を出すに至った年次ごとの、たとえば、その二十八年に至る一年間で幾ら、二十九年には幾らというように、その辺の資料があったら、ちょっと年次ごとに累積していった経過をお示しいただきたい。
  34. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 参考資料として御提出いたしてございます横書きの資料の二一ページに、その関係を計上いたしておきました。つまり、二十七年から簡単に申し上げますと、再保険収入その他の収入が利益として計上され、それから損失として再保険金事務費等の支出がありまして、当期の損益というものが出てまいるわけでございます。そして、三十年ごろからこの制度が安定してまいります。三十年一億、三十一年一億七千五百というふうに、この欄に書いてございまして、毎年、最近におきましては四億ないし五億出ておるわけでございます。これを繰り越し益といたしまして、翌年度に、何といいますか、累積させてまいりましたものが、右の欄の次年度繰り越し損益の益でございまして、三十九年度末で三十二億五千三百万円、この右から三番目のものが累積でこのようになるわけでございます。このうち二十億は保険でございますので、ときどきの移動の大きな被害も長期均衡をやっておりますので、準備金として保留いたしまして十二億を吐き出す、こういう処理をいたしております。
  35. 森中守義

    森中守義君 私はあまり保険のことはよく知りませんが、どうなんですか、一般の民間の保険あたりと対比した場合に、この程度の余剰金というものは保険計数として当然だということですか、あるいはまた、この保険に限りこういう三十二億という余剰金を出すに至ったということですか、その辺保険計数との関係はどうなんでしょう。
  36. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 直接民間保険の収支損益を、まあ数もございますが、洗って比較をいたしたことはございませんが、御承知のとおり、一般的に最近におきまして物的損害保険は非常にもうかると申しますか、益を生んでおるわけでございまして、保険料の引き下げ論等も民間でも数年前から起きたりいたしておるわけでございます。ただし、これは政府漁業者のためにやっております特別会計でございますので、先ほどのような処理をいたしたわけでございます。民間でやればこの程度のものを株主に配当してしまっただろうか、あるいはこんなに配当はしなかっただろうかというような点につきましては、比較をいたしたことはありせんので、ちょっと簡単な批評は差し控えさせていただきたいと思います。
  37. 森中守義

    森中守義君 これは別に収益機関じゃないのだから、そういうことを聞くのがちょっとおかしいかわかりませんが、衆議院で答えておられる会議録をちょっと見ましたが、再保険をかなり高額に見積もったというようなことが長官答弁として出ていますね。私もあまりこまかな数字的なことを知らぬけれども、そういう見方をすべきであるのか、それから他面において、かなり加入者への負担が高かった、こういう見方もできるのじゃないか、こう思う。したがって、すでに十三年、十四年経過の中に三十二億という余剰金を生んだわけですからね、これは今日にならなくてももっと早い機会に負担金を軽減をしていく、こういう措置はとれなかったのですか。
  38. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 先ほど申しましたとおり、この差は損失たる再保険、これは出るほうの金、それから再保険料が収入でございますから、その差から出るわけでございますから、その限りにおいては、一年ごとに見る限りにおきましては、保険料で保険金をまかなうわけですから、おつりが出るということは保険険料が払う金よりも高かったからおつりが出た、そういう意味で衆議院でもお答えをいたしました。しからば再保険料はどうやってきめるかということは、法律にもございますが、過去の事故率を基礎にしてきめる、十年間の事故率を基礎にしてきめるルールでございますので、過去の実績から算定した数学的なものでございます。その過去の十年間の事故率から算定したものに対し、実行の場面においておつりがくるということはどういうことかといいますと、その過去の時代よりも新しい時代において漁船の装備が向上した、あるいは無線その他の諸施設が発達した、あるいは救助が活発に行なわれるようになった、そういう事情が変わっている、保険料設定のベースと変わっているということでこうなる。したがって、先向きには下げてもいい、それで赤字を生ずるおそれはない、そういう意味で今年から再保険料も通常四・六%の引き下げを行なって将来もだいじょうぶであろう、こういう算出を数学的にやった。それで、いまの御質問の最後のところで、こんなことはもっと早く気がついて手を打つべきであったということでございますが、確かに三十九年の初め、あるいは三十八年の終わりごろからこのお話が出ておった、これをどう処理するか、もともと漁民なり何からきたものだから配ってしまえという御意見、あるいはどれだけはとっておく必要が保険上あるという問題、あるいは配るよりはどういう使い方をしたらいいのかという問題等がございまして、その保険経理上の安全のためにとっておくべき計算方法はどうかという問題を、学会その他に委託をいたしておりまして、それから、使い方につきましても研究会を、そういう何におきまして関係漁民の方々その他入って一年御審議願った。それで、その結果昨年の半ばに一つの意見が出ましたものですから、昨年の予算におきましてこの特別会計から出すことを財政当局の御決定をいただいたという経緯でございまして、三十七年ころには気がついて、かつ、どうするべきかということについて各方面に真剣に御審議を願って、御答申をいただいて、それに沿って今日までまいったということでございます。もっと早く気がつくべきであったという御意見もございましょうが、だいぶ前からこの問題は意識して進んでおるわけでございます。
  39. 森中守義

    森中守義君 私は決していやみで言うんじゃないのですけれども、十二億を中央会にやるのだから、もっと国会としてもこれは進んでひとつ法案の成立をしてもらいたいという、こういう言い方をされたかどうかしりませんがね、しりませんけれども、これによると、ただもう当然なことを当然やったにすぎぬじゃないか、本来ならば、特に十二億を出す、その金利六分五厘等を見て、おおむね八千四、五百万の金で海難を中心に仕事をやる、もちろん海難オンリーじゃありませんが、しかし、そのことはまたあとでお尋ねするといたしましても、本来なら海難をはじめ、いま中央会のほうが一応理事会を開いて大臣の承認をとらんとする事業内容、これは水産庁から言われた内容でしょうがね、当初の計画でしょうが、これらのものは元来——こういう金でやるべきものでは私はない、そう思うのですよ、国の仕事ですよ。だから、かりにそれを中央会でやらせるならやらせるでいいから、こういう余剰金の扱いというのは、もっと私は別な方向に使ったほうがいいんじゃないか、もっと極端に言うならば、この十二億という金が一般会計から持っていったということであれば、これはたいへんけっこうだと思いますよ。しかし、この事業で生んだ余剰金を出すということだから、あまりそれはよかったと言い切れない面も私はある。それで、そういうことを頭の中に描きながらお尋ねするのですが、大体三十二億の中から二十億をとったということは、いま長官お話からいけば安全度というのか、あるいは準備金というのか、そういうもので二十億ということのようですから、やはり十二億というものはその分を差し引いたいわばあり余まったものだから、何とかして金を生かして使おうじゃないかというように理解するのです。そういう理解のしかたでいいんですか。つまり二十億を特別会計に残さねばならぬという根拠、あるいは十二億はどうしても先ほど言われたような事業をやるために絶対必要な金であるというような、それぞれの根拠によって大ざっぱに二十億、十二億という分け方になったのか。私はこれから先、金利八千四、五百万円で中央会がやろうとする事業の運行に非常に大きな影響を持ってくると思いますので、その点を聞かしておいていただきたいと思うのです。
  40. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 先ほどお答えしたことと関連いたすわけでございますが、三十二億、ともかく益がたまっておる。そこで、これを全部吐き出してしまった場合には、保険ですから、年々の事故の変化がある。それに備えるためには、いかにあるべきかということが、先決問題として、保険の理論、保険の数理の立場方々を含めまして、非常に議論に相なりまして、結局、学問的にといいますか、専門的にいえば、標準偏差の三倍というものはやはり取っておく必要があるという問題がございまして、二十億が先にきまった。そして、しからば十二億というものは処分していいではないか、厳密に言いますと、国庫が援助した金も一部、ぐるぐる回って入っているわけでございますけれども、そういうことを一々言わないで、ともかくきれいに、十二億を中央会に出そうではないかというのが、昨年度の予算の確定の問題点でもございましたが、十二億を有効に使ってもらうという立場におきまして、十二億をきらりと中央会に出した。その使い方は、農林大臣が——自分でかってな使い方をしない、有効にその金の目的に沿うように使うという考え方でございます。したがいまして、十二億が先ではございませんで、一応の準備金が、二十億が先でございます。
  41. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 関連して一点伺いますが、その数字検討で、標準偏差の三倍でこれを、料率を改訂すれば、今後の再保険の機能も十分できるという、その資料はちょっといただけませんでしょうか。それをやはり、見ないと、われわれもわからぬのですが。  それから、いま森中委員が取り上げた前提について、私は大臣に、関連ですから簡単に伺いますが、結果的に出てきた十二億の、いわゆる余剰というものを元本として、それから生ずる利子所得で、中央会が新たな政府の委託を受けて事業をやるというのだが、これは一体、こんな一億足らずの金で、そういう所期の目的が達成すると、私は思わぬのです。もっとやはり、一般会計からこういう海難救助その他に、中央会が指導するならばするなりの、もっと積極的な、これはこの際、まあ十二億をはき出すことは一つのきっかけとして、さらにそれを、より十分な機能を発揮させるために、一般会計からも支出をして、その目的が達成するような、初年度からの事業をスタートさせるということが望ましいものではないかと思うのですが、その点は大臣としては、どういうふうに配慮されてこういう程度になったのか。その辺をひとつ、大臣から伺っておきたい。
  42. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 関連いたしまして、私も一つお伺いをいたしたいのですが、十二億の金を出して、その利子、約八千四、五百万円という金で中央会が、先ほど長官の御説明になったような仕事をおやりになるということなんですけれども、私はちょっと不審に思いますのは、これは森中委員も指摘をしたわけですが、救難作業報償——これは海難防止ですね。これは一体、中央会がやる仕事なのか。中央会は、自分の保険性によって組合員についてやるのはわかりますよ。加盟している組合員についてやるのはいいです。それ以外の一般の全体について、こういうことをやるのか。水産庁が漁業協同組合等を通じてやるべき仕事じゃないかと思うのですが、なにか金が少し余ったからといって、当然水産庁がやるべきことを中央会にやらして、しかもそれが、自分の仕事以外のことをやっているのじゃないか。無事故の漁船の報償とか、あるいは漁船保険推進事業をやるとか、これは中央会としまして当然だと思うのです。何か少し混乱しているのじゃないですか。その点をはっきりさせてもらいたいと思います。
  43. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 御質問の件でございますが、これらの点については、もちろん、別に予算をとってこれらの海難防止その他の問題はやっているのでございますが、ただ、この保険の問題についても、十二億の金を最も有効に利用するということから、先ほど長官からお答え申しましたようなことにも使うということでございます。別に、これらの問題については、この保険金によらざる、いわゆる予算によって別途に措置されているわけであります。
  44. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 渡辺先生の第一段の資料は、いま手持ちございませんので、整理いたしまして、資料として提出いたします。  それから第二点の、海難救助にからみまして、国の制度として、いま大臣お答えしたことともからむわけでございますが、いろいろな補助その他の問題は、一般会計で別途やっているわけでございます。  いま御指摘になりました、例の救難作業の問題でございますが、これは御承知のとおり、前のあれにも書いておきましたが、救難費というものを保険の対象にできる仕組みになっているわけです。自分の船が保険にかかりました際に、自分の船を助けにきた経費、ほかの船が助けにきた経費を保険にかけておくということが、この契約で認められているわけです。ただ、これは、その船が沈んだ場合に、いわゆる逆に言うと、救助不成功の場合において、この保険事故になるわけでございます。それで、助かった場合におきましては、この保険事故にならないわけでございます。そこで、保険に入っております船について、船が沈んでしまった場合に、保険の救助費が出ませんので、この金で、保険に入っている方が、救助に行かれた方々に、組合がそれらの方に報奨をするということで、その報奨をやるのに、中央会が助成ができる。今日の御審議願っている法律では、中央会が助成できるというところが一つの改正点でございまして、中央会は元請組合を通しまして、漁協を通じて、何といいますか、報奨費を出す。こういうことで、やはり保険に入った船を中心に考えている次第であります。
  45. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 もう一つ、海難救助の場合だけじゃなくて、自働受信施設助成というのがありますね。これはやはり組合に加入している船に対してのことですか、一般論としてですか。
  46. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) ラジオ・ブイそのものは、船の事故でやるわけでございまして、ラジオ・ブイが発信する電波を受ける漁業無船局で、大部分は海上保安庁の無線局にも入りますが、一部漁業無線局でその施設がない地域がございまするので、これに対して、弱電気、弱い電波でございますので受けるようにしたいということでございます。これは船が相当数が漁船保険に入っておるわけでございますから、発信する船の中には、入っておるものと入ってないものがございましょうが、無線局のほうの補助でございますので、かつ、船そのものが、先ほど来申しておりますとおり、相当数入っておりますので、無線局に対しては、この場合に、入っていない船の発信は受け付けていないというようなことではございませんでしょうけれども、そういうことで、無線の施設でございます。
  47. 森中守義

    森中守義君 先ほどの渡辺君の資料要求で、それを見てまたいろいろお尋ねする機会もありましょうがね、要するに、今回の改正からいけば、料率を下げる、あるいはその満期の払い戻しをするということになれば、かなりいままでよりも準備金というものは操作が変わってくるわけですね。ついては、そのことがさっき資料要求の私は根本であろうと思う。そこで、資料によってまたものは言いますけれども、大体二十億で、しかもその資金の操作が変わってもやっていけるという、そういうことがはっきり言えますか、将来の問題として。
  48. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 理論的にどれだけの引き当てを用意しておけば年々変動にたえ得るかという問題でございますので、まあ御承知のとおり、数額的に三、四万というのがマキシマムでございますから、極端にそのいまの現在の漁船災害の態様あるいは船の装備が全般的に悪化するとか、どうとか、そういう事情のない限り、十分やっていける数字と私どもは考えております。また、そのために、非常に保険数理研究者の間での慎重な審議を願った次第でございます。
  49. 森中守義

    森中守義君 そこで、もう一つお尋ねしておきたいのは、まあ将来の問題として、なるほど満期の払い戻し、料率の引き下げ、そういうことで変わっておりますが、そのために二十億がいよいよもてなくなったと、不足を生じたと。ついては、またその制度を変える、あるいは加入者の負担を増額をする、そういうことは将来あり得ませんね。要するに、二十億でやっていけるという、そういうことが明確にできればそれでいい。その点を一つはっきり聞かしていただきたいのと、それと、二十億がとってあるけれども、今回の十二億を入れたと同じように、さらに余剰金を生んだという場合に、一応先例が開かれたわけだから、さらに二十五億とか、あるいは三十二億というように、また余剰金出た場合には中央会に入れるという、そういうことも考えておいていいですか。
  50. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) まず前段の問題は、現在考え得る技術的な立場のマキシマムという立場で考えておりますので、あり得ないと信じております。  それから後段の、今度は逆にもっともうかったらどうかという点でございます。これはいま言ったように、保険設計が実態に近づいておりますので、もう余りが出ないように保険料の関係も考えたつもりでございますので、出ないはずだとは思いますが、出たらどうするか。これは一つの先例が開かれたことは御指摘のとおりでございます。ただ、それをどう処理するかについては、もう一度、私は今回のように、関係者集まっての御意見を十分聞いた上で、一番いい方法を考えるのが筋であろう。出たらいままでのをふやすというように、現在、この前も関係者の御意見いろいろ承りまして、答申をいただいたその方向で考えるべきものと、かように存じます。
  51. 森中守義

    森中守義君 それから、先ほどちょっと話が出たように記憶しますがね。この十二億の元本というものは、大体いつごろまで据え置くつもりですか。つまりね、その海難事業を中心に、私はものの考えがちょっと違うですよ。それは金が余ったから、何かいっちょうやらにゃあいけまいという印象でやらせたという、そういう印象しか持ちません。しかし、事実問題となれば、海難ということは非常に重要なことです。だからあり余った金でやらせるという立場でなくして、もっとこれは力点を入れなければならぬという場合に、八千四、五百万の金で一体何ができるか。さっき無線関係でも話が出ましたが、それはまたあとでお尋ねするようにしますけれども、要するに八千四、五百万では何もできぬだろう、さっき長官が言われたようなもろもろの事業をやるにはですね。そうなると、それがあり余った金としてやるという出発点でありながら、本腰を入れてやるという場合には、やっぱり十二億の元本を手をつけざるを得ないというふうに私は考えると思う。また、そうしなければ困ると思う。そこで、絶対的な条件として、十二億はいつまで据え置くか。未来永劫なんということばはちょっと当てはまらないかもわかりませんけれども、やむを得なければ十二億の元本も食っていいというのか、あるいはそれは長期にわたって据え置いて、金利所得によってやらせるということなのか、その辺はどうなんですか。
  52. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 先ほどの、おはかりいたしました研究会のその御意見も、ともかく逆にいって、元本はすぐ処分しちゃうのは適当でないという立場でございますので、私どもは原則としてこれは持っていて、そして果実で、それは未来永劫か何年かということについては、まだきめておりませんし、またすぐ、ことし、明年きめなければならぬ問題とは考えておりません。少なくともしばらくの間は、当然そういう形を期待いたしておるのであります。  それから、そのことは、先ほど来お話が出ておりますが、むずかしい海難対策をこの果実の八千万なり、あるいは一歩進んで、根っ子の十二億でやるという筋合いではない、かように存じます。これはあくまでこの保険に関連をして、漁船保険の関連において、漁船保険がなめらかに動くための最大限サービスの段階でやるべきだと、この金は。それで、それが全体をうまく動かすというために、役に立つというなら尊重をしていくべきであろうかと存じます。そこで、一般的な海難の問題に相なりますれば、これは当然国の一般会計で今後も充実をはかっていくべきである。ことしの問題といたしましても、たとえば保安庁の巡視船の増設、飛行機の増設、レーダー、気象レーダーの問題、これも十数億、全体では二十数億かかる金でございますから、ことしは十三億ぐらい要しているわけでございます。それから気象庁関係で、いま測定局の新設、超短波通信施設の整備などというものも約一億七千万、飛行機が二億三千万というふうなものがそれぞれ要しておりますほかに、私のほうでも、船の安定性能確保のための積載基準、漁船建造行政の問題でございます船の積み方の設計の問題とか、それから海難避難港の修築の問題とか、あるいは小型無線機の補助とか、こういうものはみな一般会計でずっとやっておるわけであります。こういうものは、今後ともさらに一般会計で充実をはかっていく。本末は決して転倒してはならない、かように存じます。
  53. 森中守義

    森中守義君 長官ね、聞かないことまで答えなくていいのですよ。それはまたあとで聞くから。  それで、要するに、元本はいつごろまで据え置くのか、あるいは場合によっては食っていいということであるのかということを私は聞いたわけですよ。それで、まだきめていないということだから、それ以上聞くのは無理かわかりませんが、やはりこういう審議の際に、ある程度その辺のことをきちんとしておきませんと、私はあとの事業に、中央会にしても、あるいは水産庁でも欲がついてくると思う。あるいはまた、せっかくやり出したことだから、あり余った金でやったからその分だけでいいだろうということじゃ、これはやはり済まないと思います。そうなると、十二億の元本というのは、何をやらせようかということで一応事業設計をしようと、こういうことですから、その事業の発展の過程、あるいは内容的な充実というそういう段階に入ってきますと、やはり元本を食わざるを得ない。また、そのくらいのことは、私は、たとえ余剰金にしても金の使い道、その金の性格からしても当然そのくらいのことは考えておいてもいいじゃないか、こう思う。だから、本来ならば国会にこの改正案を出されるにあたって、その辺のことを検討してほしかったですね。むしろ非常に大事なことだと思いますよ。私は、本来ならばこれは一般会計から渡してやったんだということであれば、多少条件をつけてもいいと思う。しかし、この金というものはそうじゃない。そういうことから推しはかっていけば、前向きの姿勢でできるだけある期間は据え置きのほうが望ましいけれども、将来は事業が中心になる可能性も強いから、また、そうしなくちゃいかぬという前提に立ち、ものの考えに立って効率的に元本を使うとするならば、それは大臣の認可あるいは許可等を得て、やむを得ないことだという程度の余裕を持たした答弁がほしいですね。どうなんですか。
  54. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 衆議院では、原則として元本には手をつけないように、という附帯決議をいただいております。これは原則としてというところに意味を置くか、つけないようにというところに意味を置くかという考えがございます。考え方としては、いただいた附帯決議としては、原則として元本は手をつけないように、という御趣旨と理解しております。私ども行政当局立場としては、元本を食ってこういうことをやるのだから、食ったほうがいいではないかという議論が積極的な根拠になるので、各関係者一同の一致した御意見である場合は別として、一般論としては、これは果実でもってこの事業を続けていっていかせたいというのが私ども基本的な趣旨でございます。
  55. 森中守義

    森中守義君 いまの答弁から、絶対的なものでないということだし、将来の課題として私ども研究してみたい、そういうことでいまのことは終わっておきますが、計画を策定する場合に、大体加入している加入者あるいは組合等の意見というものがどの程度中央会の計画の中に反映されていきますか。大体理事会で計画をし、立案をして、大臣の承認を求める、こういうことのようですが、全体のものに金が使われていくには、私は中央会の機構、あるいは構成、あるいは定款等、よく読んでおりませんから、その辺の事情わからぬけれども、一応一般論として言えることは、すべての関係者の意思というものが計画の中に反映をされるような民主的な方向にいくことがこの金の性格からしても当然だと、そういう意味で少しくその辺の事情を説明しておいてください。
  56. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) この中央会が計画を立てます際に、理事者が理事者として原案をつくることはあると思いますが、結局は総会にはかるわけでございますから、全部の元請組合が総会にきてそれを審査するわけでございますから、少なくとも、その意味においては、元請組合の全部の方が総会において決定される、向こうでつくります案は、当然そういう意味におきまして、全員の意向が反映された案が出るわけです。
  57. 森中守義

    森中守義君 それから、これは愚問かわかりませんが、当然会計検査院の検査の対象になるんでしょうね。
  58. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) なります。
  59. 森中守義

    森中守義君 そこで、さっきの海難の問題ですが、事業の主要な一つの柱である、これは先ほどもちょっと申し上げたように、元来こういう金でやるべきものですか。それと、いままでの海難の対策はどうなんですか、特に具体的にちょっと資料をお持ちであれば聞いておきたいのですが、大体一年間に海難によって死亡する人は何人おりますか。
  60. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) まず、後段の、海難による死亡でございますが、行くえ不明を含めまして、三十七年で四百九十三人、三十八年で八百三十五人、三十九年で五百六十五人、四十年で千三十五人、これはマリアナが入ります。  漁船は、このうち、三十七年は四百九十三人に対して三百四十二人、三十八年は八百三十五人に対して五百三十三人、三十九年は五百六十五人に対して三百八十三人、四十年は千三十五人に対して七百七十八人でございます。  船舶関係について申し上げますと、海難を受けたという、つまり必ずしも沈んだというわけじゃなく、こわれたということも入れて、三十七年が二千八百六十隻、三十八年が二千九百四十四隻、三十九年が二千八百六十五隻、四十年が二千七百七十八隻でございますが、このうち漁船部分を申し上げますと、三十七年は千百九十九、三十八年が千百八十八、三十九年が千百四十六、四十年が千百五十三でございますが、このうちで沈んだり行くえ不明になりましたものは、三十七年が漁船について申しますと二百五十一、三十八年が二百七十一、三十九年が二百五十一、四十年は保安庁でいま整理中でございますが、大体二百四十前後、かようになります。  それから前段の海難対策の問題でございますが、これは大きく分けまして、発生した場合の救助の問題、それから発生をさせないための措置の問題、大きく分かれようかと思います。  それで、発生いたしました場合におきます救助の問題といたしましては、今回、遠く離れた海におきましての大規模な遭難、たとえば、マリアナのような事態に備えまして、海上保安庁を中心にいたしまして、いつでもボタン一つ、発生すれば関係各省が集まって対策を講ぜられるようなための対策、本部の設定について申し合わせを昨年いたしました。それから、これに対してはやはり巡視船の増強、飛行機の増強、それから気象庁におきます気象の対策の問題、これがあろうかと思います。気象庁の対策の問題は防止のほうにも入ります。それから防止の関係では、運輸省におきます船舶安全法による検査、修理の際の基準の問題、それから船舶安全法の対象にならない部分及び対象になるものにつきましても、漁船につきましては漁船法による検査、許可の際の基準、津波の問題、船倉の位置、そういう設計基準の問題等の、要するに、船の安定性の問題に対する研究行政と検査、こういうものを内容といたしております。それから、あとは無線通信関係で、漁船に無線機を持たせる問題等がございます。大きく申しまして基本的にはそういうことでございます。
  61. 森中守義

    森中守義君 いまのお答えによりましても相当な数であり、人あるいは船ともに驚くようなものですよ。むしろ私がつかんでいる数字とちょっと違う、これは。過去五年間に大体七千五百人から八千人、海難による死亡者は。そういうように見ておるんですが、その数字は多少統計のとり方等もありましょうから、まあここで議論いたしませんが、問題は、こういう仕事を中央会にやらしていいものかどういうものかという議論一つある。それと、いま一つは、私も聞こうと思ったらお答えがあったので、あえてそれに入ってまいりますが、海難に対する対策本部がつくられた、こういうことのようですが、これはマリアナのあの事件のときにつくったんですか。それともそれ以前のものであるのか、あるいは恒常的な機関であるのかどうか。そしてまたこの機関の性格はどういうものなのか。ちょっとその辺から入ってまいりましょう。
  62. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) まず初めに、ぜひ御認識、御了解願いたい点は、中央会でやる仕事は、先ほど申したきわめて漁船保険の限定した仕事を中央会でやるということでございます。保安対策、海難防止対策は当然国の立場で考えるべきであり、その基本線は私どもは堅持いたしたいということはぜひ申し上げたつもりでございます。  それから後段の、海難救助連絡本部の問題でございますが、マリアナのような事故が突発いたしましたので、あのときに臨時に、総理府にマリアナ対策本部を設けまして、総理府で各省庁を集めまして緊急的にやったわけでございます。しかし、その経験にかんがみまして、そういう臨時的なものでなく、常設的にそういうものを用意しておく必要があるという立場で、マリアナの経験にかんがみまして、その後におきましてこれを関係各省で申し合わせまして、今度は、海上保安庁にその本部及び事務を置いておこうということでございます。その性格は何かといえば、これは申し合わせの何といいますか、電話でいつでもすぐ集まれる、そうして緊急の相談のできるための組織というと、ちょっと誤解があるかもしれませんが、運営ぶりである、かように御了解願いたいと思います。
  63. 森中守義

    森中守義君 もちろん、行政組織法、あるいは設置法等によったものじゃないということはよくわかっておりますが、いま少しその性格を聞いておきたいと思ったのだが、また午後にそれはやることにしまして、ちょっと資料を……。できなければ、これは時間がないからいいんですよ。可能な限りということでちょっと集めてみてください。海難関係、さっきちょっといわれたようだけれども、保安庁で海難対策として幾ら持っているのか、四十一年度の予算で幾らついたのか。それから気象庁で幾らか。あるいは郵政省の電波関係で幾らか。水産庁の場合、全然ありませんね、その金は。ですから、要するに、そういう海難を予防せんとする、阻止せんとする四十一年の各省庁関係予算。まあそれを大ざっぱでけっこうですから、拾い上げてもらいたい。  いま一つは、電波の、無線の話ですが、これは電波局とどの辺まで話が進んでいるのかしりませんけれども、要するにメガが通称二千九十一KCということで、B第三地域アジア全域に発生するSOS、この辺との関係等がどうなっているのか、少なくともこれは単に海岸局に設備をするということが、なるほど船舶安全法とか、そういうことできめてあるようですがね。技術的にひょっとすると、そういう金は要らぬのかもわからぬのですよ。あるいはまた、場合によっては、この設備をするために人が要るかもわからない、所定の資格を持ったオペレーターが。そういうものがどの程度まで考えられて積算の根拠になっておるのか。その辺を少し私も午後聞きたいと思いますので、可能な限りでいいから、集められるなら資料を集めておいてもらいたい。そういうことで午前中の質問を終わります。
  64. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 御趣旨に沿うように集めます。
  65. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  66. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記を起こして。  暫時休憩いたします。    午後一時八分休憩     —————————————    午後二時十七分開会
  67. 山崎斉

    委員長山崎斉君) ただいまから委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行ないます。
  68. 森中守義

    森中守義君 委員会の終了の時刻等の関係もございますので、簡潔にお尋ねいたします。したがって、答弁もできるだけ簡略に要領よくお答え願いたいと思う。  先般私が一度問題として提起しました漁業災害補償の問題、これがいまだ正確に方向づけができておりませんが、今回のこの法改正の機会に、大体、制度の内容からしてもほぼ同質のものと解釈してもよろしい、かように私は考えるのであります。したがいまして、この際、漁船補償並びに漁業災害補償、これを併合することはできないのか、この辺のことをお答えいただきたい。  それから第二番目の問題は、昨年十二月の十八日に、農林大臣が韓国の車農林大臣と会談をされて合意に達した事項について、共同声明が発表されている。その共同声明の中に明らかにされているのでは、定期的に日韓両国の農林大臣が諸懸案の解決のために、定期的に会談を開くということが合意事項として発表されております。ついては、その会談の具体的な計画をお持ちであるかどうか、これが第二点。  いま一つの問題は、共同声明の中で、日韓漁業共同委員会を構成をする、こういうことがいわれております。つきましては、日韓漁業共同委員会のその後の進展の状況はどうであるのか、これが第三点。  さらに先般の、第五十三海洋丸でしたか、あの拿捕事件があります。もちろん、朝鮮半島の東海岸あるいは南部海岸、西海岸と、資源の開発がいまや緊急な課題になっております。したがって、卓捕事件あるいは資源の開発並びに日韓漁業協定に伴う諸問題をいかように共同委員会で消化しようとするのか。これが第四点。  最後に、水産庁では中国に、ことに淡水漁業の今日の中国の状態は刮目すべきものがある、こういうことで、過去に代表を派遣をして、純然たる漁業の技術、その他いわゆる漁業に関する事項の視察等を行なわれており、本年もまたそのことに準じて、中国に水産庁より代表を送りたい、このように聞いておりました。しかるに外務省は、どういう意味であるのか、純粋な日本漁業振興のために寄与せんとするこれら視察について、ことわっておるようであります。その後、外務省と水産庁との間にどういう話が進められているのか。あるいは外相、農相の間で政治的な解決の方法があるのかないのか。あるいはまた、水産庁は外務省のそういう意図のもとに、中国への水産庁員の派遣を断念をされたのか。  以上のことをお答えをいただきたい。
  69. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 漁船損害補償制度と漁災制度というものの組織的な統合の問題だと思います。漁災制度が発足したのは昭和三十九年十月で、制度発足後なお日も浅く、同制度については漁災法附則第二条に規定しているように、再保険の問題を含め、なお検討を加えるべき事項が少なくない。したがって、現段階で早急に両制度を統合することには無理がありまするので、可及的すみやかに漁災制度の整備につとめ、漁災制度が相当程度安定し、制度的に整備された段階において、あらためて両制度の組織上の関連について検討いたしたいと存ずるのでございます。  それから、この前、韓国へ私がまいりましたときに、前農相の車長官と話し合いをいたしました合意事項につきまして、その後具体的な問題について話をいたしたかという御質問であったかと思いますが、さよでございましょうか。具体的な問題について何か考えておるかと。
  70. 森中守義

    森中守義君 いやいや、会談を定期的にやると言っているけれども、合意に達しているか、その予定があるのかないのかということです。
  71. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) その点についてはなお考え中でありまして、具体的なものはいまのところございません。というのは、相手の方との関係もございまするから、最近かわられましたような関係で、具体的なことには相なっておりません。しかし、でき得る限りこの問題は、やはり軌道に乗りかけているときでございまするし、いろいろ問題もあると思いますから、でき得る限りこれをやりたいと、かように考えているわけでございます。  それからあとは水産庁の長官から……。
  72. 森中守義

    森中守義君 漁業共同委員会
  73. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 日韓漁業協定に基づきます共同委員会の件でございますが、これにつきましては先月の末に第一回の顔合わせをやりまして、議事手続等と、相互の委員の紹介を終えまして、五月以降あらためて会合をしようということだけがきめられております。五月以降の問題といたしましては、共同の資源調査等の問題がございますので、それらについて私のほうも韓国も、いろいろ準備の都合がございますので、五月以降に調査の問題を一つの議題として会合をしようということで、第一回は全く議事手続、議長のきめ方等をやっただけでございます。  それから、第五点の、中国への視察団の問題でございますが、今月の初めに、もとの全国漁港協会長の井出正孝氏から、わが国の水産関係者を、中国の漁業協会から招待があったので、顔ぶれ等もいろいろ自分で考えて、中国の漁業事情を視察させたいということの要望がございました。その中に、水産研究所の職員も入れたいという御要望がございました。が、その後、公務員が休暇をとって向こうの経費で中国の視察に行くことにつきましては、やはり取りやめますということになりまして、現在、五人、民間の方々を中心にいたしまして五人で編成しまして、一昨日か、一昨々日でございましたか、出発をいたした状況でございます。
  74. 森中守義

    森中守義君 もっと法案それ自体について、あるいは関連する諸事項についてお聞きしたいことがたくさんございますが、委員会の運営等の都合で、とりあえず私のこの点に対する質問は終わりますが、後日、まだまだ残された諸問題についてはお尋ねしたいと思います。  なおまた、先ほどの定期的な日韓の農相会談あるいは共同委員会等につきましては、問題があまりにも重要であり、しかも、正規な会合ルートで解決をするには多少無理な点もありましょうから、極力、いわば両国の農相会談あるいは共同委員会等で問題の消化をはかる必要があると思いますが、極力農林当局のこの辺に対する配慮をわずらわしておきたいことを要請をいたして、私の質問を終わります。
  75. 川村清一

    ○川村清一君 時間がもうほんとうに限られておりますので、長々と質問しておる余裕がございませんので、私は許された時間内に、そのものずばりで要点だけお尋ねいたしますので、御答弁も、ぜひひとつ、だらだらしないで、要点だけお答え願いたいと思います。  第一にお尋ねしたいことは、これは先日の委員会で、私資料要求をいたしまして、いただいたもの、それは領海の問題、それから国際条約に関する問題でございますが、これは先日の本会議で、私が漁業白書について総理にいろいろお尋ねをした。その中で、この領海の問題でございますが、世界の多くの国々はすでに領海、三海里といったようなことを主張しないで、むしろ六海里あるいは十二海里という国が非常に多くなって、日本が領海三海里といったようなことを主張してもなかなか容認せられないので、これを主張を変える考えがないかということをお尋ねをいたしましたところが、総理の御答弁は「伝統的に大多数の国がただいまの三海里説をとっております。わが国もさような意味で三海里説をとっておりまして、これを変える考えはございません。」という御答弁であったわけです。そこでそれを証明するためにこの資料をいただいたわけでございます。大臣ごらんいただきますように、領海三海里説を主張しているのは二十三カ国でございます。領海六海里説を主張しているのは十二カ国であります。領海十二海里説を主張しているのは二十二カ国でございます。これで一体世界の大体の国は領海三海里説をとっているということになりますかどうか、この点をまず大臣からはっきりひとつ御説明を願いたいということと、もう一点、この漁船保険に関係してくる問題でありますが、特殊保険に一番関係のある海域でございますが、たとえば日本の近くの国であります中国、それから朝鮮民主主義人民共和国、それからいま日韓条約の中にある韓国、こういう国が領海が何海里なのか、この中に入っていないわけです。専管十二海里の問題は、これは日韓議会のときにいろいろ論議されました。ところが、外務大臣農林大臣も、三海里なのか何海里なのかわからない、多分三海里だと思います、というような答弁をしてみたり、よくわからないといったような答弁をしてみたり、それから中国も全然領海が出ていない、それから北朝鮮も領海が全然出ていない、これは一体どういうのですか、これで質問して時間をかけているわけにいきませんので、この点をお尋ねすることと、もう一つは、国際海洋条約でございますが、これは一九五八年の会議を経て一九六〇年の会議でもってこの四つの条約ができました。そしてこれは世界の二十二カ国が批准をすると発効するということになりまして、その結果、この領海及び接続水域に関する条約は二十八カ国の批准によってこれは発効したわけです。それから公海に関する条約は三十六カ国が批准しておりますから、これは発効しております。それから漁業及び公海の生物資源の保存に関する条約、これは二十一カ国が、まだ一カ国足りないので未発効でございます。次に、大陸だなに関する条約は三十一カ国が批准しておりますから発効しております。そこで私は、これはあとのほうの二つの条約に加盟することは、いままでの行き方の日本漁業から見れば相当損になるということがよくわかっている。しかしながら、世界の国際条約があって、世界の一流の漁業国である日本がこれに加入しないことはどういうことかということと、むしろ加盟して、加盟した中で世界の一つの国際協力、そういう関係をつくって、その中でこの両国の漁業条約とか、そういったことの一つの話し合いをつけて、世界的な観点の上に立っていくことが正しい日本遠洋漁業のあり方でないか、こういうふうなことを聞いたわけでありますが、総理は、一番目と二番目は、これは世界慣行だから、慣行を法文化したものであるから、日本も入るかということで検討しておる、第四のやつは、これは入る気はない、こういうような御答弁になっております。これについて大臣から直接簡単にお考えだけお聞かせいただきたいと思います。
  76. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) この前の、この三海里の問題でございますが、申し上げたことはあるいはことばが足りなかったかもしれませんが、伝統的に古い国はとにかく三海里説が多いということを申し上げるつもりであったと思うのでございます。その点御了承を願いたいと思います。  それから、次のいろいろいま申しました問題の中で、条約に対する問題につきましては、国の利害の点から申し上げておるわけでございまして、したがって、その立場から検討いたしまして態度をきめたいと、かように存じておる次第でございます。  なお、その他につきましては水産庁長官から申し上げたいと思います。
  77. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 資料の点でございまして、先般資料要求ございまして、領海の三海里、六海里、十二海里に分けて資料を提出いたしたわけでございまして、国連がこれを整理いたしました資料で整理いたしました関係上、中国、北朝鮮、中共が落ちておりました。この点は若干資料として不適当であったかと反省をいたしております。ただ、中共はかつて昭和三十三年に領海十二海里を宣言したというふうに伝えられておるわけでございます。それから、領海の問題は、宣言をするか、法律を出すか、黙っているかという形の態様が多いわけでございます。北鮮については、そういう宣言も聞いておりません、法律も出しておりません。それから韓国につきましても、そのような宣言、法律はございません。ただ、日韓交渉の過程において、日本は三海里と理解しておるということに対して、向こうは直ちに異議は唱えないで、将来韓国が三海里以上の領海を設定することに対する自由は保留するのだ、こういう立場を表明いたしましたので、間接的に韓国は現在の時点では三海里である、かように私どもは解釈をいたしておる次第でございます。
  78. 川村清一

    ○川村清一君 この問題につきましては、議論していると時間かかりますので、これはまたいつかの機会に議論をすることにいたしまして、これは保留しておきます。  次にお尋ねしますことは、漁船保険法に関連してお聞きいたしますが、この水産業協同組合法第百二十三条の四項、これは文章は、法文は、「行政庁は、出資組合又は共済会の業務又は会計の状況につき、毎年一回を常例として、帳簿検査その他の検査をしなければならない。」こういう規定であります。次に、漁業災害補償法の第七十条、これは「農林大臣は、漁業共済団体の業務又は会計の状況につき、毎年一回を常例として検査しなければならない。」こういう規定があるわけでございます。水産業協同組合法と漁業災害補償法にはこういう規定があるにもかかわらず、漁船損害補償法ですね、いま問題になっているこの法律には、この規定がないのはどういうわけですか。
  79. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) お答えいたします。漁船損害補償法の八十四条で「農林大臣は、組合の業務又は財産の状況に関して監督上必要があると認めるときは、組合からその業務又は財産の状況に関し報告を徴することができる。」この規定を根拠に置きまして、必要な報告を徴し、あるいは調査もいたしておる次第でございます。
  80. 川村清一

    ○川村清一君 ただいま長官のお読みになったその規定は、これは水産業協同組合法にも、漁業災害補償法にもあるわけです。農林大臣が必要と認めた場合にはその組合の、ただいま長官の言われたような検査をするという規定があるわけです。必要と認めた場合です。ところが、私の申し上げているのは、これは必要と認めるのではなくして、毎年一回常例として検査をしなければならないという規定なんです。この規定がこの漁船損害補償法にはないわけであります。その理由を聞いているのであって、時間がないので先に進みますが、それでこの問題につきましては、会計検査院が昭和三十八年と三十九年と両年におきまして、漁船再保険金の支払いに当たり処置が当を得ないものとして、これは会計検査院の報告があるわけです。で、こういうような会計検査院の報告が出てきた原因は一体どこにあるのか。  それから、中には、保険事故でないのに再保険の支払いをしている、こういう点もあるわけです。これは会計検査院から指摘されておるわけです。こういう誤りというものはどこから出てきたか、これをひとつ御説明願いたい。
  81. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 会計検査院の指摘がありましたのは遺憾と存じておりますが、いまの御質問の、保険事故でないものを保険事故として扱われるというのはどういうケースかといいますと、船の修理をいたします際に、造船所に行って調べましたときに、事故の発生前に発生していたものの修理であるということが造船所の検査で明らかになって、これは通常の保険、その保険法による保険事故でないものでございますから、保険事故でないものに支払ったという形に相なるわけでございます。  それから、ことに事故発生の以前に修理が行なわれたというようなことは、造船所で調べますと、これは保険事故でないものに支払われた典型的な例でございます。そういうのはどうして発生するかということでございますが、現在人手の関係その他で、書面審査をやっております関係でこのような事件が出てまいることでございまして、私どもといたしましては、事故報告に基づく実地の調査を極力励行したい、かように考えております。
  82. 川村清一

    ○川村清一君 だからそれは、各地域にあるところの漁船保険組合から、国に対してそういう保険事故の発生したことが申請されてくるわけであります。その申請に基づいて再保険特別会計からその保険金を支払っているわけでありましょう。そういうような問題がたくさん出てくるわけであります。したがって、保険組合の会計事務、それからその他の事務等につきましては、十分国はこれを監督しなければならない私は義務があると思う。大事な国民の税金を組合に出しているわけでしょう。ところが、そういう組合に対して水産業協同組合法、いわゆる水協法あるいは漁業災害補償法に、必要と認めなくても毎年一回常例的にその組合を監査しなければならないという規定があるのにかかわらず、この法律にはそれがない。いわゆる漁船保険組合に対しては、国は非常にルーズな監督をしておるという一つの証拠になりませんか。その結果、こういう会計検査院から指摘されるようなあやまちがたくさん出るとするならば、これは重大な責任じゃないかと思うから、私はそれを質問しているわけです。いいです。それじゃ時間がないからその次をお尋ねします。  大体、国が三十二億という剰余金を出したというところに、これは全然初めから誤りがある、保険というものに対して。これはもう国の保険がまるで民間の生命保険みたいなものになる、三十二億の剰余金を出したということは。すなわちでたらめに保険料率や保険料金をきめるわけじゃないですね。それは保険事業でありますから、特に漁船保険のような場合には、年々においてフレがあるわけでありましょう。特別な災害が起きたり、また昨年のマリアナのようなああいう事故が起きたり、それは長い経過の中では特別のそういうフレがあるときがあるわけです。しかしながら、ずっと一貫して考えて見るならば、これは数学的に一つの確率があって、その確率に基づいてその保険金額をきめるとか、保険料率をきめて保険料金をきめるということなんですね。ですから、民間の会社ならばやはり利益を追求していますから、その利益を勘案して料率をきめていく、あるいは保険料金をきめていくわけですな。国の保険はそんなもうけを当てにした保険じゃないわけですね。その保険が三十二億の剰余金を出したのはどういうわけですか。初めからこれは見通しがあやまっておったわけでしょう。その点を明らかにしていただきたい。
  83. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 法律の百十七条で料率のきめ方が書いてございまして、政令で定める一定期間ごとに事故率を調べて、その事故率に合わせて料率を算定する。現実にも三十五年、三十八年と料率改訂をやってまいったのでございまして、料率のきめ方そのものは法令の規定によって算定をいたしておるわけであります。  それから、先ほど午前中にも申し上げましたが、その期間等におきまして非常に船の設備等の改善があって、事故率の過去十年をとることにやはり実態的なズレがあると見ております。
  84. 川村清一

    ○川村清一君 もちろんその料率は法令によってきまっておる。だからその料率に基づいて保険料を徴収しておる。それはそういうことをちゃんと前提にして話をしておるのです。したがって、その料率をきめたその法令が間違っておったんじゃないかということなんです。もちろんそれを議決した議会にも責任がありますが、それを初めに計算したあなた方に間違いがあったんじゃないかということを私は指摘しておるわけです。現在、国の保険は三十二億の利益を上げておる。ところが、今度は地域の組合でございますが、これも水産庁からいただいた資料でございますが、この資料の損益計算の表を見ますと、地域組合において相当いま利潤を上げておる。剰余金を持っておる地域組合があります。その組合に対してはどういう処置をされますか。国のように、少し余っておるからその金は組合員に返せとか何とかいうことで指導をなされるというお考えですか、その点はどうですか。
  85. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 現在の法令では、組合に余りました剰余金については、一定額を準備金にし、一定額を無事戻し財源に使うように指導しております。したがいまして、準備金の額が著しく個々の組合について多いかどうかという点も若干吟味をいたしたわけでありますが、現在のところその大勢といたしまして、組合の金を取りくずしてこの十二億の処理のような形で処理する必要があるとは考えておりませんで、やはりこれは無事戻しその他の財源に使い、一定額は準備金として積み立てる現在の形がよろしいのではないかと、かように私どもいまのところ考えております。     —————————————
  86. 山崎斉

    委員長山崎斉君) ちょっとここで、委員の異動について御報告いたします。  本日、園田清充君、高橋雄之助君が辞任され、その補欠として山内一郎君、近藤英一郎君が選任されました。     —————————————
  87. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 質疑を続けます。
  88. 川村清一

    ○川村清一君 法律の中に、剰余金が生じた場合に、一定のあれをもって割り戻すという条項があることは私承知しておるわけであります。法令にそういうことがちゃんと書かれておりますから、いま長官の言われたことをぜひひとつ検査をして実施をしてもらいたいと、こういうことを要望しておきます。  次に、なお損益計算書を見ますと、事務費であります。これはたとえば北海道に例をとります。どこの組合ということはちょっとはばかりますので申し上げません。北海道には八つ組合がありますが、この組合の実力というものは、私は北海道人でありますから大体わかるのであります。ところが、組合の実力に合わない相当な事務費を使っておるのです。これはどうも解せないわけです。国のこの組合に対するところの指導監督がルーズでないか、もしこんなに事務費を使うならばもっと保険金を、いわゆるこれは純保険料ではないのです、付加保険料なんですからもっと安くする必要がある、こういうふうに指導すべきではないか。要すれば、国のこういう保険組合に対する監督指導、こういうものが結論的に言えばきわめてまずいと、こういうふうに考えられるわけでありますが、この点についてのお考えを伺いたいと思います。
  89. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 一般的に北海道の組合、特に一部の組合について事務費が、よく審査いたしますと、相対的に高いという傾向が認められます。反面これは内地におけるよりも事故率が高いといういろいろな北海道における問題があろうかと思いますが、いずれにいたしましても、事務費が多額であるということは決して適正ではございませんので、私どものほうもこの事務費のあり方の問題につきましては、先生の御注意もございますが、まあそれを待つまでもなく、逐年一定の計画で下げてまいるようにしております。
  90. 川村清一

    ○川村清一君 時間がありませんから一括してみんな申し上げますが、今度の法改正によって、いわゆる今度は満期保険については、結局普通損害保険の分については料率を下げていく。それから積み立て保険については、その途中で損害が起きたときに一定の率でもって還付する、こういうことなんです。そこで自己負担分も国庫負担分も軽くなるわけです。そこで、自己負担分と国庫負担分が今度の法律改正によってどの程度一体軽くなるかということの資料をあなたのほうからいただいておる。これを見ますというと、国庫負担分はこれは実に九・五%軽くなる、国庫負担分は。ところが、自己負担分は五・二四%しか軽くならない。これはちょっと矛盾しているでしょう。これは自分のほうの、組合の保険のほうの自己負担が軽くなる率と、国のほうの負担分の軽くなる率を比べたら、どっちのほうが多く軽くなるかというと、これは自己負担のほうが軽くなるんならいいけれども、国のほうの負担率がうんと軽くなる。そうして自己負担よりも軽くなる。これは矛盾していると私は思うのです。これが一つ答弁願いたいことと、もう一つは、きのう北條委員の御質問に対する長官の御答弁を聞いておりました。この災害で漁業が災害を受けた。いわゆる天災によって災害を受けた。これに対するいろんな処置ですね。これはどういうふうになされておるか。長官は実際のところ御存じないと思うのですよ。いないからああいうような御答弁をなされておると思うのです。実際面を申し上げますから、ひとつよく大臣聞いておって、矛盾だと思ったらこれはぜひ改めように努力していただきたいと思います。秋に台風災害があります。台風ですから、たとえば北のほうの土地に例をとるならば、青森県、岩手県、秋田県、それに北海道も一緒に大災害をうける。秋ですから、そうすると農業と漁業と一緒に災害を受けるわけです。そうしますと、農業のほうは、かりに五十億災害を受けた、それに合わせて漁業のほうは二億災害を受けた、合計で五十二億災害を受けた。この場合には天災融資法の発動といいますか、適用といいますか、天災融資法によっていろんな融資の面において助かるわけですよ。特にもっと激しい激甚法なんかになるというと、たいへん助かるわけですよ。ところが、漁業の場合だけ考えてみましょうか。昨年一月に北海道で高潮災害があったんです。そうして北海道の南のほう、渡島から檜山海岸、それから胆振、日高、十勝、釧路にかけまして、大体、漁船といったって無動力漁船あるいは五トン以下のほんとうの零細漁民の小型漁船です。これが滅失大破でもって総額六億の災害を受けたんです。そこで、ぜひこの天災融資法によって救済してもらうような処置を要望して政府にやってまいりましたけれども、これは受けられないんです。漁業だけで六億を受けても受けられないんです。ところが、農業と抱き合わせて漁業が二億災害を受けたならば天災融資法の適用を受けるわけです。これはなぜか。法律にそんなことは書いてありませんけれども、これは運用においては、その損害が数県に及び、しかも三十億をこえなければこの法律の適用を受けないという農林省に一つの内規があるんですよ。だから受けられない。こういう矛盾があるのですよ。この点はどうですか、矛盾しておりませんか。時間がありませんからこれでやめますが、ひとつ、この二つの問題について御答弁願います。
  91. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 私も簡単に御答弁させていただきます。前段の、国庫負担の問題ですが、国庫負担には一定のルールがありまして、やった結果、そういう問題が出ている、おかしいじゃないかという点でございますが、よく検討さしていただきたいと思います、今後の問題として。  それから、昨日の御質問に関連しましての天災融資法との関係でございますが、現在、御指摘のとおり漁業と農業と合わせて、総額で判断しております。この方法が適当であるかどうかということについては、内部でも検討いたしておるのです。いい場合もあるし悪い場合もあります。簡単に分けるということの当否も十分検討する必要があろうかと、かように考えております。
  92. 川村清一

    ○川村清一君 残念だけど、時間がないからそれじゃやめます。
  93. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  漁船損害補償法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  96. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  森中君から発言を求められておりますので、これを許します。
  97. 森中守義

    森中守義君 ただいま可決されました漁船損害補償法の一部を改正する法律案について、附帯決議案を提出いたしたいと思いますので、御賛同願いたいと存じます。  案文を朗読いたします。    附帯決議案 一、小型漁船特に二十トン未満階層の付保率が未だ低い実状にかんがみ、今後この種階層の保険料の国庫負担増額を図るための措置を強化し、もって漁業者の経済的負担の軽減と満額加入の実現に努力すること。 二、損害審査の適正化と保険金の支払の迅速化を図る等業務運営の充実を期すること。 三、地域組合については、特に零細規模の組合の解消を図るための施策について検討を行なうことはもとより、現状においては、政府は、組合事務費補助金の増額を図ること。 四、漁船保険中央会に対する交付金は、その性格にかんがみ、これが使途については、組合の意思が十分反映されるようつとめること。   右決議する。  以上でございます。
  98. 山崎斉

    委員長山崎斉君) おはかりいたします。  森中君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  99. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 全会一致と認めます。よって、森中君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林大臣
  100. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) ただいまの御趣旨を尊重いたしまして、善処いたしたいと思います。
  101. 山崎斉

    委員長山崎斉君) なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 御異議ないと認め、きょう決定いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後二時五十八分散会