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1965-12-28 第51回国会 参議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年十二月二十八日(火曜日)    午前十時三十二分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         仲原 善一君     理 事                 梶原 茂嘉君                 山崎  斉君                 武内 五郎君                 渡辺 勘吉君                 宮崎 正義君     委 員                 青田源太郎君                 小林 篤一君                 櫻井 志郎君                 園田 清充君                 田村 賢作君                 高橋雄之助君                 温水 三郎君                 八木 一郎君                 和田 鶴一君                 大河原一次君                 川村 清一君                 鶴園 哲夫君                 中村 波男君                 森中 守義君                 北條 雋八君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        農 林 大 臣  坂田 英一君    政府委員        農林政務次官   後藤 義隆君        農林大臣官房長  大口 駿一君        農林省蚕糸局長  丸山 文雄君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○繭糸価格安定法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○日本蚕糸事業団法案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  繭糸価格安定法の一部を改正する法律案日本蚕糸事業団法案を一括して議題といたします。  質疑に先立ちまして、農林省当局から資料説明を聴取することにいたします。丸山蚕糸局長
  3. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) 昨日及び本日お配りいたしました資料につきまして簡単に要点だけ御説明申し上げます。  昨日お配りいたしました「最近の蚕糸業概況」というのがございます。四十年十二月農林省蚕糸局ページを追いまして順次簡単に申し上げますと、第一ページ養蚕業の推移ということで、大体戸数面積、そういうものの増減傾向を整理したものでございます。この中で、しばしば御議論になることでございますが、昭和三十三年に十八万九千町歩あった面積が三十四年に十六万九千町歩になっております。これはいわゆるこの年に市価が暴落いたしまして、それで桑園を整理したという時期に該当するのでございまして、三十四年以降約三十三年対比二万町歩減傾向がずっと、若干変動がございますけれども、そういう状況で四十年に至っておるということでございます。ただし、この生産数量につきましては、三十三年に、面積的には二万町歩整理いたしましたけれども、生産量そのものはほとんど変化なく動いてきておるということをあらわしておるわけでございます。  次のページは、府県別でございますから省略いたします。  それから三ページにまいりますと、いわゆる稚蚕共同飼育普及状況共同飼育でございます。これによりますと、一令から二令までと、一令から三令までに分けてございますが、表でわかりますように、一令から三令までの共同飼育は逐年ふえてきている。これが戸数にしても箱数にしてもどんどん年を追ってふえてきている、共同飼育の最近の状況がこれでわかろうかと思います。  それから、四ページにつきましても同様に、いわゆる年間桑育及び屋外桑育普及状況というものを示してございますが、これも下の欄の飼育数量を見ますと、両方ともに三十九年度、たとえば年間桑育は全体の五四%、それから屋外桑育は三六%、いずれもこの四、五年の傾向としてはずっとこのようなかっこうの屋外年間桑育の割合が高くなっているということを示しているものと考えます。  それから、五ページは繭、水稲、陸稲、大麦、小麦、リンゴ、たばこ、牛乳、こういうそれぞれの比較における反当粗収益と、それから家族労働報酬を三十四年から三十九年まで比較したものでございます。  それから、六ページにつきましては、三十年からの繭の価格状況を春、初秋、晩秋、平均いたしまして、年ごとに出してございます。  それから、七ページは、これは工場数でございますが、省略いたします。  八ページグラフが、三十四年から四十年の十月までの糸価変動状況グラフで示したものでございます。  それから、九ページにまいりまして、生糸の需給、これは生糸年度でこの表はとってありますので、六月一日から翌年の五月三十一日まででございます。生産数量、それから輸入数量、それから輸出数量、こういう欄で整理してございます。この表でごらんいただきますと、輸入数量は三十七年に若干、それから三十九年に若干と、それから四十年に入りまして、月別にあらわしておりますが、四月ごろから輸入がありまして、五、六、七、一八、九、十、ずっと毎月相当数量輸入があるということでございます。  それから、一〇ページは、これは歴年の表でございますが、一〇ページにおきまして、輸出の問題を、生糸と、それからその他の加工品、いわゆる織物で輸出されるもの、そういうものの状況と、それから純内需、これを数量的に歴年比較したものでございます。ごらんいただくとわかりますが、たとえば、昭和三十年には生糸で八万六千俵の輸出があった。絹製品を合計しますと、十二万俵でありましたものが、三十九年では七万四千俵に減っている、こういう数字がこれで御理解できょうかと思う。その反面、純内需につきましては、昭和三十年に十六万俵であったものが、三十九年においては二十四万俵になっているという数字でございます。  それから、一一ページは、どういう国へどれだけ行っているかという表でございます。アメリカ及びヨーロッパに分けまして、それぞれこまかく整理してございます。  それから、一二ページは、絹織物をやはり同様に輸出先国ごとに整理してございます。  それから一三ページは、海外生糸事情といたしまして、アメリカにおいてはどういうところからどう入っておるかということで、この場合日本生糸イタリア生糸に分けまして、アメリカ輸入数量を整理してございます。  それから一四ページは、同様に、西ヨーロッパ——フランスイタリア、スイス、西ドイツ、イギリス、それぞれの国における日本中国その他の国からの輸入数量をこまかく整理してございます。  それから一五ページは、フランスにおきます日本生糸中国生糸価格比較をいたしております。たとえば四十年度を例にとりますと、これは月別になっておりますが、日本生糸フランス市場においてキログラム当たり五千三十一円であった。そのときは中国生糸は四千六百三十円である。その差が四百一円あるというようなことで、月別のその両国のフランスにおける取引価格比較表でございます。  それから一六ページは、これは世界の蚕糸業という見出しでございますが、日本中国、ソ連、インド、韓国、イタリア、その他、それぞれにつきましての繭の生産数量をあらわしてございます。  それから一七ページにつきましては、同様に、今度は生糸生産数量を整理してございます。  それから一八ページは、繭糸価格安定制度という見出しでございますが、この表を整理いたしましたときに、政府生糸買い入れ数量が幾らあったかという表でございまして、一番下の三十九年六月から十月の間に政府が幾ら持っておったかという数字でございますが、買い入れ売り渡し、差し引きまして在庫として七千九百六十俵というのがこの表の一番右側の下にある数字でございます。これが十月当初までは七千九百六十俵持っておったという数字でございます。  それから一九ページは、日本輸出生糸保管株式会社生糸買い入れ及び売り渡し、これは暦年で、生糸年度で整理してございますが、保管会社が買ったものが六ヵ月たちますと政府に渡ってくる。それで政府に渡ってきたものが今度の表で政府手持ち数量となるわけでございますが、その状況を年によって整理してございます。  それから二〇ページは、生産費及び安定帯価格生糸年度ごと生産費とそれからたとえば生糸製造販売費、そういうものと、それからそれによってきまっておる生糸最高価格最低価格、同時に最低繭価がそれぞれある年においては幾らであったかということを表で整理してございます。  二一ページは、いわゆる蚕業改良普及職員、公務員であるものとそれから養蚕団体に所属しておる普及員、これに分けまして年ごとにここで整理いたしてございます。  それから二二ページは、日本蚕繭事業団利益金でもって行ないました助成事業内容を、三十五年から四十年までそれぞれの表のように整理してございます。  最後が、蚕糸局関係予算の三十五年から四十年に至るそれぞれにつきましての数字を、表によりまして整理してございます。これが昨日お配りいたしましたもののうちの第一表でございます。  それからもう一つの表は、生糸輸出関係資料、これはただいま申しました表のうちのある部分数字グラフであらわしたものでございますので、ダブリますから、その部分は省略いたします。  それから、四ページにつきましては、三十三年をなぜ三十九年は輸出が下回ったかということについての想定される原因を若干簡潔に整理してございます。文章で整理してございます。  それから、五ページは、三十九年度、ことしの輸出状況月別に対比したものでございます。  それから海外市場、六ページも省略いたします。  そわから、七ページの、日本輸入生糸明細表というのがございますが、これはことしの四月から十月までの間にどこから入ったかということでございますが、中共が主でございまして、それから北鮮から七月、九月に若干、タイから七月に若干、そういう日本輸入しました生産国をここで整理してございます。  それから、八ページは、この輸入された生糸が大体どういう用途に使われておるだろうかということで、それぞれの関係業界に依頼いたしまして調査いたしたものでございます。もちろんこれが全部ではないと思いますけれども、そういう趣旨で整理してございます。  それから、九ページは、いわゆる生糸輸入業者のおもなる会社の名前でございます。  それから、一〇ページが、日本絹業協会というものがございまして、それでニューヨークとリヨンに支所を持っておりますが、それに対する、たとえば四十年度の予算なり事業計画なりの概要がどうであろうかということを一〇ページ及び一一ページに、数字及び文章でもって簡単に御説明いたしております。  それから、一四ページは、輸出増進に関する参考事項という意味合いにおきまして、どういう点に問題があるかというようなことにつきまして、文章で整理してございます。国際競争力強化の問題、価格安定の問題、輸出体制強化の問題、まあおもなる点だけを文章問題点という意味合いで整理してございます。これが第二表でございます。  それから、昨日お配りいたしましたうちのもう一つは、蚕繭事業団収支予算とそれから決算関係、そういうものを、第一表が三十八年度の収入支出予算決算、  それから三ページにおきまして同様三十九年度につきまして。  それから、五ページにおきまして、四十年度の収支予算、四十年度はまだ決算はございませんので、四十年度のは収入という形で蚕繭事業団について整理してございます。これが昨日お配りいたしました資料でございます。  それから本日お配りいたしましたものにつきましては、今後政令、省令に規定すべき事項についてのおもなる点につきまして整理してございます。これが一ページから三ページまででございます。  それから、四ページは、糸価安定特別会計概況、御注文に応じまして、四十年度予算概要ということで、四ページからずっと二四ページまで、糸価安定特別会計のおもなる点につきまして整理して提出いたしました。  それから、二五ページは、蚕繭事業団日本輸出生糸保管株式会社、それから社団法人日本絹灘協会、これにつきましての役員の氏名、経歴、報酬等を整理して提出いたしました。  それから、二九ページは、先ほどとちょっとダブりますけれども、生糸輸出業者名簿、それから、三〇ページは、輸入業者名簿、それから、三一ページは、日本蚕糸事業団必要資本額所要資本ということで、つまり、今後買い入れをする場合に、最高限度を何俵、どういうふうに買って、その場合に金が幾ら要って、資本金がそれで十分かどうかというような点に中心を置きまして整理したものでございます。  三二ページも同様でございます。  それから、三三ページは、臨時行政調査会答申内容につきまして、いわゆる蚕糸行政機構の問題と、それから日本蚕繭事業団についていろいろ問題がございましたことの要点を抜粋して整理してございます。  それから、簡単なもう一つの表は、農林省から海外に派遣されております在外公館派遣職員名簿を整理して提出いたしました。  以上でございます。
  4. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 速記をとめて。   〔速記中止
  5. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 速記を起こして。  提出資料説明を終わりましたので、これより質疑を続けます。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  6. 森中守義

    森中守義君 農林大臣に重要な二、三の点についてお尋ねいたします。  まず第一の問題は、農業基本法の八条だったと思いますが、「政府は、重要な農産物につき、」以下云々とあります。蚕糸関係は、ここにいう重要農産物の中に入るかどうか、この点ひとつまず最初に明らかにしてもらいたい。
  7. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) ただいまの御質問でございまするが、蚕糸、この養蚕を含んでおります事業は、最近非常に注目されておるのでございまして、農業基本法にいういわゆる拡大生産選択的拡大の種目の一つとして取り上げてまいっておるようなわけでございます。で、御存じのとおり、特に山村振興と結びつけてこれが大きく取り上げられようとしております。また、現にかように進みつつあると思います。
  8. 森中守義

    森中守義君 要するに、第八条に言う重要な農産物一つである、そういうことですか。
  9. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 結局そういうことになると思います。
  10. 森中守義

    森中守義君 いや、そういうことになるということじゃちょっとぐあいが悪いんですけれども、すでにこれはかなりの期間たって現在に至っていますね。だから、そうならそう、そうでないならそうでないというふうに、はっきりお答え願っておかないと、そういうことになるというあいまいなことじゃちょっとまずい。
  11. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) そのとおりでございまして、重要な作物でございます。
  12. 森中守義

    森中守義君 そうであるとすれば、ここに言う長期見通しですね。これらを策定する、もしくは改定をするにあたっては、第3項に言う農政審議会に意見を求めねばならぬ。要するに農業基本法の中に言う農政審議会というものは、農業政策決定をする最高機関であると私は心得ている。したがって、いま坂田農林大臣が言われるように、蚕糸事業というものが重要農産物一つの軸であるならば、当然これは農政審議会にはかられていると思うんですが、経過はどうですか。
  13. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 農政審議会にも審議をお願いしております。
  14. 森中守義

    森中守義君 はかられておるとすればなるほどけっこうなことですので、具体的にどういうようなことがはかられて、しかも政策として結論が出ているのか、私の言わんとするところは、農業政策最高政策決定機関であるこの農政審議会の議を経てすでに所定政策が策定をされておるとするならば、今日のような繭糸状態はない、私はこう思う。したがって、農業基本法が制定されて以来すでに三、四年経過しておりますから、もう少しその辺の事情をできるだけ詳しく御発表願いたい。
  15. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) もちろん審議会においてやっておりますが、別に審議会がこれを決定する機関ではないことはあなたも御存じのとおりでございまして、一定の問題、たとえば長期見通し等の問題については、審議会審議を経るということになっておりまするので、発表前には審議会の何にかけるということでございます。決定機関では絶対ございません。むしろこれはそういう農政の問題については、時の内閣皆さんのほうにいろいろの点を御相談を申し上げるのでありまして、審議会にはそういうときにおいての重要事項について御審議を願う、これは森中さんもよく御存じのことであって、繰り返して言うわけでもございません。いまの審議会の、具体的にどうということは局長からお話を申し上げますが、ただ私がその前に申し上げたい点は、農政上非常に農作物なり農産物あるいはそういうものがどういう変遷を辿るかという問題になりますと、時によっていろいろと違ってまいりまするけれども、本質的にはよほど考えなければならぬと思っておるのでございます。そこで私は、今日における農政の面からいきますというと、養蚕は非常に重要だと思っております。特に山村振興という問題というか、山村関係の問題と結びつけてまいりますときにおいては、特に重要な作物であるということを特に考えておるのでございます。これは数年前よりも最近において特に傾向が顕著でありまするので、時によっていろいろ変わりまするのでございまするが、そういう点を御了承願っておきたいのでありまするが、なお審議会にかかりました詳細については蚕糸局長からお答えいたします——そのお答えはもちろんいたしまするが、その前にいま大蔵大臣が……。
  16. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 森中君に申し上げますが、ちょうどいま大蔵大臣が御出席になりましたので、大蔵大臣関係する質問最初にお願いいたしたいと思います。
  17. 森中守義

    森中守義君 たいへん御多用の中をわざわざこの委員会おいでいただいたそうでございまして、まことに申しわけありません。しかし、福田さんも当然農林水産にはおいでになる責任があるわけだから、だいぶ恩に着せられたそうですけれども御了承いただきたいと思います。そこで、すでにこのセットになっている二法案関係では、あなたもかなり重要な責任の一端をになっておいでになることは、衆議院審議あるいは院内の雲行き等から言っても薄々御存じだろうと思う。何を言わんとするのか、またあなたは何をしなければならぬのか、まずひとつそれから聞こうじゃないですか。
  18. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 新しい蚕糸事業団法のことかと存じますが……。
  19. 森中守義

    森中守義君 かなり前のことなんで、ひょっとすると記憶が薄れているかわかりませんが、三十四年の十二月八日ですか、あなたが農林大臣をやっていらっしゃった当時、私は農水にはおりませんでしたけれども、あの当時、要するに繭糸業界が大混乱を起こしてたいへんなことになっていた。大体養蚕農家の千二百円を、これではまずかろう、したがって、千四百円ぐらい出さなくてはいかぬのじゃないかということで、国会関係をはじめいろいろの人があなたのところに集まって、それでひとつ農家一人当たり二百円ぐらい金を渡そう、しかし、それは直接還元をするということは、財政法その他の関係でうまくないから、事業団設立をするからその資金に充当しようということで、あらかた三十億だと私は記録によっては読んでおりますが、それを十億値切って二十億にあなたが約束された、結果的に出たのは十億であったと、こうなっておる。それがいまの事業団設立資金政府出資になっておるようですが、まあ私はあの当時そういう混乱を重ねている業界の背景あるいは養蚕農家、こういう当時のよんどころない事情からしまして、明らかにこの残余の十億というものは、当時の農林大臣であったあなたの国会約束をされた、いわば政府養蚕農家等約束をした債務だと私は心得ておる。どうですか。
  20. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 当時十億円出資をしまして、そしてなお必要があったらこれを補充いたしましょうというような気持ちを皆さんに申し上げたことを記憶しております。私こまかいことはいま記憶しておりませんが、大筋はそういうことであったというふうに了解しております。
  21. 森中守義

    森中守義君 議事録をあなたもひとつ読んでみてください、かなり正確なんですよ。すでに残余の十億というのは所定計画なんだ、こう言っておられる。ただ、出す時期、そういうものが問題なだけであって、どうでもこうでも出さなければならぬのだ、一定計画の中に入れてもらっても差しつかえございません、そういう趣旨をあなた答えていらっしゃるんですよ。だからいま少し、私は単に記憶しているということでは、少なくとも国会の中に残されている会議録、当時約束をされた農林大臣と議員との間における何としてもこれは動かしがたい証拠だと私は思う。きのうもどなたか——与党八木先生が、私は生き証人だと、そうおっしゃっておりましたがね。そのあなたが十億をどうしてもこれは出しますと、所定計画なんですということを、当時、衆議院おいでになってあなたの発言を聞いておられるも私は生き証人だ、こういう御発言もきのうあった。どうですか。
  22. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま申し上げたように、そういうふうに記憶をしておるわけです。
  23. 森中守義

    森中守義君 それでは、大臣も何代もかわっておられますが、事務当局あるいは農林省側で、当時の福田農林大臣のそういう発言を受けて、予算要求等やられましたか、その後の経過はどうでしょう。
  24. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) 従来、現在の蚕繭事業団につきましての増資につきましては、これは私の記憶する範囲では、三十八年ごろまでは増資の問題で検討したこともあるようでございます。しかし、今回蚕糸事業団に切りかえるに際しましては、新たな追加増資要求はいたしておりません。
  25. 森中守義

    森中守義君 蚕糸局長、ちょっと答弁趣旨が違うのですよ。私が聞いているのはね、要するに、福田農林大臣時代に、残余の十億を出そうという約束があったと。それで、その大臣発言を受けて、予算要求をされたかどうか、それを聞いている。
  26. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) ただいま申し上げましたように、この増資につきましては、大臣答弁を受けて考えたものかわかりませんけれども、具体的には三十八年度ころまでこの増資についてのいろいろ検討は行なわれたようでございます。
  27. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 関連。  どうも人ごとのような答弁で、私はきわめて不満であります。大体いまをときめく福田大蔵大臣が、かつて農林大臣のときに、「さらに、いきさつから申しますと、これも、私、十億円を追加するということを考えております。その時期、方法等につきましては、一般財政との関係もあり、その必要とする時期のタイミングも考えてやりますが、これはもう予定の計画というふうに考えておる次第でございまして、これを増資する方向において整備拡充して将来に備えたい、こういう考えでおります。」ということを、三十四年十二月八日の衆議院農林水産委員会で明確に農林大臣答弁をしておる。しかも、その時期とはいつか、タイミングとはいつか。それを明らかに、今度法改正をするところ、日本蚕糸事業団法が発足するとき以外にそのチャンスはないじゃないですか。かねて農林大臣として国民に公約したこの十億を追加するということの方向において整備拡充して将来に備えたい、万一の事態をおもんぱかって、事前にそういう措置を講じたいということが、この答弁の前後の各所に、大臣は当時農林大臣として答弁をしておられる。そうならば、私は、農林大臣としては先ほども森中委員質問の冒頭にありましたように、農業基本法の第八条に指定する重要農産物一つでしょう。そういう重要農産物であるという農林大臣の認識があるならば、なぜ一体こういうかねての約束というものをこの機会に堂々と要求し、当時の農林大臣、いまの大蔵大臣にそれを予算化せしめる措置を講じないか。これはまあいずれ後ほど農林大臣にるるお尋ねをすることでありますが、私は、福田大蔵大臣は特にこの養蚕については、全国屈指の生産県の中におられる方でありますから、こういう点は、二十二日の衆議院におけるああいう答弁では、私たち参議院としては、これは二院の一つの独自の性格からいっても容認できない問題であるので、こういう一つ増資をするということで整備拡充をはかるということを、三十四年に国民に明らかにした。そのタイミングというものは、従来の蚕繭事業団の十億と、輸出保管会社の三十万を持ってきて、それに民間に五億ずつ供与するという前に、この時期こそが私は政府が新たに十億をこれに投資してやる絶好の、これはただ一つの機会であると思うので、大蔵大臣としてはかねての公約をこの際に実現するという、そういう一つの債務を負うておるというふうに考えるのでありますが、この点をやはり十分踏まえた上で、満足のいく答弁大蔵大臣にこれは要求するわけであります。
  28. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私はその後農林大臣を離れまして、この蚕繭事業団がどういう動きをしておったかということはつまびらかにいたしません。しかし、今日まあ新しい構想のもとで蚕糸事業団ができるということになったのを非常に私も期待を持って喜んでいるわけであります。いろいろこの事業団がどういう活動をするか、また、蚕繭事業団がどういうふうになっておるか、そういう点を農林大臣ともとくと相談をいたしまして善処をいたすことにいたします。
  29. 森中守義

    森中守義君 善処するということは、まあ出そうというそういう趣旨のようにも私は受け取りたいと思うんです。それでいいのですか。
  30. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ですからよく農林大臣と相談をいたしまして、この機構がよりょく動くように私としても努力をしていく考えであります。
  31. 森中守義

    森中守義君 善処するということですから、それでもいいのですがね、ただ、もう少しこの件についてはきちんとしておく必要があると思う、といいますのは、全養連が発行されている刷りものがあるんですよ。これは農林省からきょうもらいました。三十七年の刷りものだそうですが、この中で、全養連の赤堀という参事がこういうように言っているんですよ。「御承知の通り蚕繭事業団はあの三十三年の不況の際、全国の晩秋蚕繭代金を政府が補償した中から十億円とってつくったものです。最初は三十億円要求したのであるが、それが二十億になり、さいごには十億になってそれをもって日本蚕繭事業団ができたのです。尤もあと十億は政府が必要の際は出すことになっております。」こういうように言っているんですが、少なくともこれは養蚕農家の代表である、しかも、責任ある地位の人がこれほど言い切るということは、私どもが三十四年当時の福田農林大臣答弁をずっと読みながら理解するのと同じようなことなんですよ。しかも、当時あなたの発言の中には、こういうところもあります。まあ一口に申し上げますと、田邉という衆議院の委員の方から、二十億というものを、二十億じゃもちろん足りないから、五十億でも、百億でも福田農林大臣は出していこうということのように思うが、そう言いながらあなたにどうですか、こういう詰めをしたときに、いやまあそれは五十億、百億とは言わなくても、二十億あれば大体うまく事業団がいくんじゃないか、こういう最後の結びがついております。したがって、今回この二法案審議をする両院の委員会ともに、当然先ほど渡辺委員からもお話がありましたように、タイミングとしては絶好である、しかも、三十万俵の中のその一割に該当する三万俵だけしか買わない、こういうたてまえのようですけれども、少なくともこれらについては二十億の資金の八倍あるいは十倍に近い資金が要る、こういう現状のようですから、もし出ないということになると、全部これは借入金でいかなければならぬ、こういうことになるのです。だから時期としては、衆議院、参議院通じましてぜひこの機会に出すべきである、衆議院の附帯決議ごらんになりましたか、十億出せとは金額としては示しておりませんけれども、福田発言の十億というものは、当然これは政府事業団等に対する債務である、こういう理解の上に立って附帯決議ができている。したがって、いまお答えになりました善処するということは、今明日中から新しい次年度予算に入られるようですが、その中で具体的に話をつける、解決をはかる、こういうように理解していいですか。
  32. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは農林省、大蔵省が相談いたしましていまのような発言になっているわけなんです。それに対して追加を要する事情があるかどうか、こういう問題になってくると思うのですが、いまはとにかく二十億の資本金——二十億幾らか、端数がつきましたかもしれませんけれども——で、政府の出したものをそれのほうにふりかえる、こういうふうになっておるようでありますが、生産者のほうでもそれに加えて出して、二十億何がしにする。こういうように伺っておりますが、一応、まあそういう形でここまできておるのを、いま、ここで私が変更するということを申し上げるわけにもいかぬ事情はとくとおわかりと思うのです。ですから、農林大臣とよく相談をいたしまして善処する、こう言うほかないわけであります。それをもってひとつ御了承願いたいと思います。
  33. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 関連して。  大蔵大臣も時間がないということで、私も要約してお尋ねするんですが、国会における大臣答弁というものにはわれわれは非常に信頼を置いておるわけであります。それで、政府の「二十億と借入金を使えば、目的とした機能は十分に果たせるというふうに考えておるわけです。」こう、福田大蔵大臣は、三十四年の十二月八日に、答弁をされておる。で、「その他のいろいろな施策と相待ちますれば、まずまずの対策である、こういうふうに考えておるわけです。その二十億円への増資につきましては、一般財政との関係等もありますが、これは、さような事態が予想される前に」——これは市況の大きな変動であります。そういうことが「予想される前に必ず作っておかなければならぬ、かように考えております。」と重ねて政府の所信を明らかにしておるわけです。したがって、私は、従来蚕繭糸事業団に出した出資、あるいはその他を肩がわりして事足れりというわけにはまいらないと思います。昨年の九月に、臨時行政調査会が、何とこの蚕繭糸事業団に対する意見を出しているかということから申しましても、この最も重要な農産物一つである養蚕に対して、政府が積極的にこれに取り組まないという従来の経過からいって、それは廃止するのが適当であるという勧告が出ておる。その中で、従来の十億をただ看板を変えたものにそれを譲渡して、新たに民間から五億・五億を出させるということで糊塗することにはまいらぬほどきびしい政府責任が私は感じられなければならぬと思う。農林大臣と相談をされて善処をされることは、その内容としてはわかりますけれども、この機会に三十三年、三十四年のこの国会審議経過を踏まえて、農林大臣ももっと積極的にこれに対して立ち向かい、大蔵大臣もそれを受けて立つ。予算編成は、きょうからいろいろ政府の内部で検討される。その際に、これを、国会の意見というものを尊重して、やはり取り上げていくということが、もっと具体的に、明確に、明らかにされなければ、私は、この際発足する日本蚕糸事業団、あるいはこの特別会計の操作等からいって、国民の期待に反すると思う。ですからこの点は私は、大蔵大臣に、農林大臣からは、いままでの経過では新たに出資増十億の増資要求がなかったようでありますが、きょうを契機として、農林大臣からそういう要求があったなら、それは当然、発足する新しい日本蚕糸事業団政府が新たに十億を増資してやる、従来の責任を果たすというふうに理解していいのですかどうですか、その点を大蔵大臣から明確に答弁をしていただきたい。
  34. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 農林大臣とよく相談をいたしまして、善処をいたします。よく相談をいたします。これでよろしゅうございますか。
  35. 森中守義

    森中守義君 先ほどあなたの言われた、いま大体固まっている資金内容というものを急に変えるのもどうかと思うと、そういう趣旨の御発言もあったわけですが、これは農林省が特別に十億の肩がわりだけきめていて、あとの十億というものを考えなかったというだけのことであって、関係の動きとしては、先ほど私が申し上げたように二十億三千万では足りない。当然百八十億から二百億くらい金が要る。したがって、それは借入金でまかなっていかなければならぬ、こういうことを言っておる。衆議院答弁の中でも出ておりますよ。そこで、農林省以外の団体ですね。たとえば全養連とか、あるいは現在の事業団、こういうところでは、当然、今回は十億は出るものだ、そういう認識、前提に立って五億・五億出そう、こういうことに私は聞いておる。したがって、本来ならばここに参考人なり何なりで、そういう関係の向きの人に来てもらって、いろいろ意見を聞けば、もっとその辺のことははっきりすると思うのですよ。ですから、あなたが言われたように二十億三千万の金がすでに用意されつつあるのだから、それに十億を加える必要がないじゃないかということは、これは適当じゃない。約束されているとおり、十億というものが出れば、それだけ事業の運行もよくなるでありましょうし、借入金も少なくて済むだろう。したがって、関係の団体等においては、十億というものは当然、これを機会に出るものである、政府出資すべきもので、してくれるであろうという認識のもとに五億・五億を出そう、こういうことなんで、先ほど渡辺委員から言われたように、いままで出されている事業団の十億と、それから保管会社の三千万をただ振り向けるということだけでは済まんのじゃないですか。だから、これは当然、農林大臣のほうから大蔵大臣に新しい角度なり、在来の関係なり、どっちにしても話を出されて、詰めに入っていくと思うのですが、いま、とくと相談するということは、このままで済まぬというような、こういう御意思だと理解していいのか、その辺もう一回最後にはっきりしてください。くどいようですが。
  36. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは衆議院のほうでも委員会で決議があるのです。すみやかに政府出資を、増額をせいと、こういうような御趣旨です。そういうようなこともありまするし——しかし、内容は先ほど申し上げましたように、新しいものをよく詳細には承知しておらぬ問題でもありますので、よく農林大臣と相談をいたしまして、皆さんの御発言のあれはよく私わかりましたから、相談をすることにいたします。これでよろしゅうございましょうか。
  37. 仲原善一

    委員長仲原善一君) それでは、大蔵大臣に対する質問はこれでよろしゅうございますか。ありがとうございました。
  38. 森中守義

    森中守義君 農林大臣、お聞きのとおりですが、さっそくひとつ、予算の折衝、お始めになりますか。
  39. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) いま大蔵大臣の言うとおり、大蔵大臣とよく相談をすることにいたします。
  40. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私は坂田農林大臣に、どうもいまの答弁は一体、どこら辺に腹があるのかわかりかねるので、素朴にお伺いするのですが、いまお聞きのとおり、あなたの前任者の農林大臣である福田赳夫大臣が当時、千二百円に暴落した千四百円とのその差額が約三十億ある。これを各養蚕家に配ったのでは一人当たり二百円程度で微細な金額だから、これを集中して、三十億程度のものはひとつ債務として政府責任を持つ、それを二十億に削り、十億に削って蚕糸事業団が出たが、あとの十億については体面を見てこの事業団がその運営上支障を来たすような事態になる前に、十億は当然増資をすると言うておるのですよ。いまの農林大臣は新しくこの日本蚕糸事業団をつくるにあたって、大臣、ひとつ、これは局長のまあ話は話として、聞いて下さい。これはとにかく大臣の立場で、これは高い次元で判断をしなければならない、これは政治的な問題ですよ。事務的な問題じゃないのです。いま福田さんは何と言って帰ったのですか、農林大臣ととくと相談するというのでしょう。それならば、主管大臣である農林大臣があくまで本国民に公約したこの十億は、この新しい日本蚕糸事業団設立のこの機会に、これは公約を果たす責任があるのだという姿勢で、ただいまからの予算編成その他に農林大臣としてはこれは立ち向かう姿勢が明らかにならなければ、私はこの二法案審議はこれ以上進むもう方向がこれでとだえると思うのです。基本的な問題です。そのときに農林大臣は一体どういう腹で大蔵大臣と折衝されるのかを森中委員は聞いているのですから、その主管大臣から、かねての公約の十億にどう立ち向かうかということを明らかにしてほしい。
  41. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) いま皆さんの御意見をよく拝聴いたしておって、また、従来ともこの問題はぜひともこれはなし遂げていかなければならぬ問題でもあり、業界からも非常な要望があってでき上がったものでありまするので、十分ひとっこれが活躍できるようにいたしたいということについては、主管大臣としては全くその気分で、決心でございまするが、いま大蔵大臣が言われたとおりに、そういう関係でありまするので、私としても十分相談をいたしていきたい、こう考えております。
  42. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 十分考えるということは、四十一年度の予算編成にあたって、農林原案にはなかったが、ここでこの委員会の意見を尊重して、新たに従来の肩がわりの十億三千万以外に十億をさらに政府では追加をして、この日本蚕糸事業団の対外的な信用というものを確立するということで、新たに予算要求し、大蔵大臣とその成立を促進する立場に立つ、こういうふうに理解していいですか。
  43. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) この問題を熱心に考えておりますから、十分検討して、そういう方向に進みたいと思うのでございます。
  44. 森中守義

    森中守義君 あまり苦々しいことを何回も言いたくありませんがね、先ほどもちょっと申し上げたように、福田発言以来すでに六、七年たっておるのですね。その間に繭糸業界というのはかなり大きな波動が絶え間がないのですよ。だから今回こういう機会でなければこういう問題が問題にならぬということではなしに、もっと早く私は実は処理さるべきではなかったか、そういうことも考える。農林省の役人がかわる、閣僚がかわる、かわったたびごとにこういう重要な問題が新しい議論として巻き起こるということそれ自体が、私から言わせるならば農林省の怠慢じゃないか、そういうようにも考える。しかも先ほど局長答弁によれば、福田発言以来、表向きにこの十億について予算要求をやったという、そういう話が一向出ないのですね。この点はどうなんですか、一体、大臣委員会で、国会約束をした、当然その年の予算編成の際等に、主要な政治問題としてこういうことは解決の方向にいくべきじゃないのですか。だから、私は、非常にくどいようですけれどもね、先ほど一度伺いながらどうもはっきりしなかったのであらためて聞きますけれども、福田発言以来、具体的な予算要求を出したかどうか、大蔵省がどういう返事をしたのか、その点ひとつ、もっと詳しく説明してくれませんか。
  45. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) 先ほど御答弁申し上げた線より出ないわけでございますけれども、先般来のときの農林大臣答弁を受け継ぎまして、その後この十億について、三十八年ごろまではとにかく予算要求という形でいろいろ財政当局とも相談をした経緯があります。その後、三十九年以降行なっておりませんが、一つには、これはきわめて事務的な話になりますので恐縮でございますけれども、そういう経過があったのでございますが、蚕繭事業団自身、事業を発動する機会がなかった。なかったと申しますことは、まあ繭価が蚕繭事業団の発動の要件になっておる価格よりも上であったということになるわけでございますけれども、そういう状況もございまして、さしあたり蚕繭事業団自体について資本増加という緊要の事態もなかったということも、これは事務的でございますけれども、からんでおったかと思います。そういう意味合いにおきまして、その増額の問題につきましては、経緯はありましても、ただいま申しましたようなことで増額に至らないという経緯になっております。
  46. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 関連……。関連ですからあまりくどくはこの際申し上げませんが、私は、一体ほんとうに政府がこの養蚕というものに力を入れておられるかどうか非常に疑わしいわけです。これはいずれ私もあとの質問でるるお尋ねをする予定でありますが、しかしながら、農業基本法第八条でうたうところの主要農産物一つである、養蚕は。これを確認される限りは、政府はもっと直接に養蚕に対して責任をおとりになる姿勢が必要であると思うのです。それがいまの蚕糸事業団あるいは特別会計というものを踏まえて中二階的な機能で操作をされるわけでありますが、本来ならばこれはやはり特別会計自体でもっと積極的に政府は直接管理をすべきものであるとさえ私は思う。これは意見であります。しかし、現段階ではそういうことを言うてもこれは木に竹をついだようなことになりますから、そういう将来あるべき姿は別といたしましても、政府がこの養蚕の積極的な生産性の向上なり、あるいは製品輸出の拡大ということに積極的に取り組まれるならば、わずか十億くらいのこのかねての公約すら果せないというところに、私はこの養蚕に対する政府の姿勢の責任回避を指摘せざるを得ないわけです。なぜもっと、そういう三十四年からの公約すらも果たせない、これは事務的な問題ではないと私があえて申し上げるのはその点であります。だから、私が期待するのは大臣の姿勢であります。専務当局の段階の問題ではない。あくまでも農林大臣が、日本養蚕を世界の大勢の中から見れば、中国あるいは韓国に逐次市場を圧迫されておる最近の情勢の中で、こういう斜陽的な傾向にある養蚕に対して積極的に取り組むには、幸いいま大蔵大臣をしているかつての農林大臣の公約を、この際十億をせめても増資をするということで、政府のやっぱり責任の一端を果すということは当然過ぎるほど当然ではないですか。だから、福田大蔵大臣はあの程度の答弁で退席をされましたが、主管大臣は、あの程度の福田大蔵大臣答弁に対してはより強い姿勢でかねての公約を果たすということをこの際公約してもらいたい。できるできないかは、これは相手との相談でしょうから、そこまで私は推測は申し上げませんが、少なくとも主管大臣は、この問題をこれだけ両院で審議された結果を踏まえて積極的に、この蚕糸事業団に対する従来の十億三千万円の横すべりの見せかけの政府出資の金に、新たにかねての公約の十億をこの際絶対にかちとる決意である、関係議員も大いに協力してくれぐらいのことをこの際明らかにして差しつかえないんじゃないですか。どうですか、坂田大臣
  47. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 蚕糸業について渡辺委員もずいぶん検討、研究されておられるのでありますが、私は、もちろん、この事業団に関する二法案はぜひとも皆さんの御協賛を得たいので参っておるわけでございまするが、これのみならず、養蚕に対する全般的な考え方については、ときどきやはりいろいろと世間が——世間というか、非常にその間において考え方が多少ずつ変わってきておるように思う。したがって、養蚕に対しては、桑園の木を少し整理するといったような問題もあります。これはそのときの実情によっていくのでありまするからやむを得ない時代でございまするが、先ほども申しましたように、山村振興の点との関連において、また、養蚕の新技術の面からいきましても、相当進んだ行き方があるのでございまするので、それらの点を考え、養蚕、製糸を通じてここに大きく伸び上がらなければならない、こう存じておるのでございます。私は、渡辺委員のおっしゃるとおり、現在は国内の需給は堅調であるけれども、お話のとおり、輸出の面においては相当やはりおもしろくない状態であることはこれは言うまでもないのでございます。これらの問題もだんだんとこれは考えていかなければならぬ、そういう点について渡辺委員のおっしゃるとおり私も強く存じております。ただ、人によっては、口では強く申しまするのと、心に強く期しておるのと種類はあろうと思いますが、そういう意味でございまするから、決して私は弱い考え方を持っておるのではないということを十分ひとつお考えを願って御協賛を願いたいと思うのです。
  48. 森中守義

    森中守義君 たいへんどうも強い種類の大臣答弁だからそのとおりされると思いますが、先ほど、具体的な内容として、今明日か開始される予算交渉の中で話に出しますかどうですか。ただ、もう強い種類の演説ばかりされたのじゃ話になりませんからね。もうちょっとこう中身のある話じゃないと。
  49. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 先ほどからも、気持ちのやわらかく申しておるとおり相談はいたします。必ずいたします。
  50. 森中守義

    森中守義君 それではいまの十億の点はその強い種類の態度でお願いいたします。また、なおこの点につきましては、まあ法案はきょう何とかかっこうはつきましょうけれども、これから先もこの委員会あるわけですから、経過いかんについては何回となくこの種議論が、大臣にお尋ねすることになりましょうし、私どももめんどうなことを何回となく同じことを繰り返すことは好きじゃありませんので、まあひとつ今回限りで、よかったという結論が出るように、特にこれは要望いたしまして、次の質問に入ります。  先ほど農林大臣の御説明の中にちょっと出てきました中共の糸の輸入の問題ですが、これは出された資料なり、あるいはいままで農水の審議経過等からいたしまして、かなり国内の混乱を招いておることは否定できないと思うのです。それでまあこれがどういうような措置によって国内の市場を安定化していくことができるのか、その辺のことを少しく聞かしてください。
  51. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) 中共の糸の輸入の問題かと思いますが、先ほどお配りいたしました表にありますように、中共生糸が本年の四月ごろから少しずつ輸入されておるわけでございます。これと日本の国内市場との関係でございますが、昨日も御答弁申し上げたと思いますけれども、現在中共から入ってまいります生糸は、まず品質において、日本のいわゆる生糸生産額の大部分を占めております格とは相当に違うものでございます。まあ具体的に申しますと、日本の検査の規格といたしましては、まあ繊維の品質に応じましてA、B、C、D、Eまで格づけをいたしておりますけれども、中共から入ってきますのはいわばF、国内的には格外品になるわけでございます。したがいまして、これも資料にお配りしてありますように、用途といたしましても、着物の裏地であるとか、あるいは帯であるとか、そういう用途に使われている。まあ俗なことばでございますが着物の表に、わかるような部分には使われていないという現状でございます。したがいまして、輸入される場合における格が違うということが一つと、それからもう一つは、これも昨日申し上げましたけれども、生糸に対しまして一五%の関税がかかっております。それから、輸入されますとまあ商社の手数料もいるわけでございます。そういうことをいろいろ計算してみますと、まあ大体日本糸価が、本年の経験で申しますと、五千円をこえたところに、その格差に関係なしに入ってくるという現状になっております。したがいまして、いまのところ中共生糸が、いわゆるヨーロッパにいっておりますような、実質的に日本生糸とそれぞれ違う面がありますけれども、大ざっぱに言いますと、品質その他大体似ておるといういいものは現在は入ってまいっておりません。まあそういうことで、さしあたりこれによって国内の養蚕業が破壊されるということは、現状においてはまあ考えられませんけれども、今後におきましてやはり国内生糸価格がひどく上がるということになりますると、先ほど申しましたような条件を克服して入ってくることになるわけでございます。そういう場合もいろいろ予想いたしまして、今後輸入問題についてはどういう考え方で臨むかということは、まあ非常な重要問題になるわけでございますけれども、さしあたりのところ、直ちにこういう方法というものは、御存じのとおり関税を上げるという問題でもそう簡単にはできる問題ではございませんし、輸入割り当てという問題でも、いわば世界経済がいわゆるケネディ・ラウンドというものを通しまして物資の交流を行なおうという時期でございますから、そういう方法は非常にむずかしかろうと思います。まあ、一つの考えられる方法といたしましては、今後この事業団等が発足いたしました場合に、これは場合によれば法律改正等の問題も生じようかと思いますけれども、この機能を活用する法法がなかろうかという点などを中心にいたしまして今後検討を続けてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  52. 森中守義

    森中守義君 中共それから韓国、このアジア関係の糸の輸出というものが国内及びヨーロッパ等において相当日本に脅威を与えていることは、これはもうこの前からお話のあってるとおりです。そこで、具体的な措置ということにいま話が及んで、明確に局長からの答弁はございません。そこで、一つ考えられることは、積極的なやり方と消極的なやり方、この二つがとりあえず考えられてもいいのじゃないか、こう思う。それで、積極的な方法は何かということになりますと、最近いろんな会合がアジア会議ということで行なわれておりますね。たとえば放送関係におきましてもアジア放送会議、その他幾つもの種類が持ち回りのようなことでアジア・ブロックを一つの圏として行なわれております。したがって、政府提唱によるこの会議の開催というものが困難であるとするならば、民間ベース等においてでも、とりあえず今回の事業団等によってもけっこうだと思うのでありますが、アジアにおける蚕糸業会議あるいは絹糸業会議、まあ名前はどちらでもいいでしょうが、そういうもので関係の各国に提唱して、たとえば養蚕技術の内容をお互いに交換し合うとか、あるいは輸出問題を議論し合うとか、そういうことで進んで、アジアを一つの圏として会合等の招集は考えられませんか。それからいま一つ消極的な方法は、確かに局長がお話になりましたように、農業基本法の第十三条にいう関税規制、こういうものが規制条項としてあります。これはもう、うたっているのは、国内における農産物輸入農産物のためによって混乱を生じる場合には関税規制等を行なう、こういう条項がありますから、これは私は局長が言われるように非常に困難だと、そうも言い切れないと思うのですよ。これこそ政府は、外国からの生糸輸入によって国内のこの種関係が大混乱、こういう状態になったならば当然この条項の発動ということは考えられてもいい、こう思う。とりあえずいま積極、消極二面のことが考えられるんですが、まあ私どもがいろいろ聞き及んでる範囲からいきますと、現在の日本の繭糸の生産の量と中国、韓国の量とは、量的には問題にならない。しかしながら、これから先の状態を一応推定する場合に、かなりピッチを上げてこれら関係の国の養蚕業というもの、絹糸業というものは進んでいくんじゃないですか。そういうことに対処するためには二つの方法のいずれをとっていくのか、この際、私は、わが国としても一つ政策として明確にしておく必要があるんじゃないか、こう思う。この点、大臣どうでしょう。
  53. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) ただいま森中委員のお話の点は、関税の問題その他については局長からお話ししたとおりでありますが、後ほどの、いわゆるアジア全体の何か会合をして、そして技術協定なりいろいろの点についての会合と、そういったようなことでひとつ全体が協力していくということはどうかという御意見をいま拝聴いたしたわけであります。私もこれらについては十分ひとつ、ただいまの御意見を十分お聞かせを願いましてありがとうございました、検討いたします。
  54. 森中守義

    森中守義君 検討するということが、どういう答えとなってあらわれますか、これから先当分見守っていきたいと思いますが、いま一つこのことに関係をしてお聞きしておきたいのは、総理府の中に輸出会議というのがありますね。この中で、日本の絹糸の輸出ががた落ちに落ちた、激減をした、逆に中共あたりからどんどん入っている、こういうことなどについて、輸出会議あたりに一ぺん相談されたことありますか。
  55. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) お話しのとおり生糸及び絹製品につきましても、一口に言いますと繊維関係輸出部門ということでそれぞれ輸出計画ができているわけでございます。それがまあ四十年度につきましても実はそれを現在下回っているわけでございますが、そういう場合に、今日われわれといたしましてもいろいろ対策について通産省等とも相談はいたしているわけでございます。しかし、何ぶんにも御承知のとおり繊維全体についての国内市況は、繊維によりますと生糸等とは全く逆のものが現在は多いわけでございますけれども、いろんな問題を含めまして、やはり第一次的には何と言いましても業界輸出努力と申しますか、そういう輸出ドライブをかけるという以外にはないわけでございますけれども、ただいま申しましたように、物によって国内状況が非常にちぐはぐな状況にあるものでございますので、たとえば生糸あるいは絹製品だけについて、特にいい対策というものは現在のところなかなか見出せないという状況になっているのでございます。
  56. 森中守義

    森中守義君 輸出会議の設置目的ですね、あるいは運営の内容、こういうものからいきますと、これはこれなりに相当問題があるのですよ。あってないような状態ですからね。しかし、とりあえず日本輸出の大綱をきめて、最高の施策をきめるというのはこういうところにある。あるいは通産省の繊維局とか、あるいは貿易局とか、こういうところにも大いに関係があろうと思うのですが、一体農林省の場合には、絹糸の輸出についてはそういう総合的な連絡調整あるいは検討、こういうことをやっているのですか、どうしているのです。
  57. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) そういう検討はいたし  ております。
  58. 森中守義

    森中守義君 検討した結果どうなんです。どういう答えが出ているのですか。これでいいということですか。
  59. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) これでいいということではございませんので、昨日もお答えいたしましたが、たとえば生糸につきまして、織物につきましては原料である生糸が安くなればおのずから製品が安くなる関係で、これは輸出の可能性が出てくるわけでございます。そこで、生糸及び絹織物につきましては何と申しましても、生糸輸出の面につきまして生糸価格が問題になるわけでございます。そういう観点からこの国内糸価海外で需要する価格との差、これはまあその中にはそれぞれいわば取引もございましょうけれども、いずれにいたしましても価格の差が大き過ぎるということ、また、高いなら高いなりに安定してない、高いと思ったら急に下がった、下がったと思ったらまた上がったという、安定してないということと、絶対価格が高いということが、やはり一つの大きなネックになっておるということでございますが、そこで、国内の価格とそれから輸出価格というものにおのずからそこに差が出るような方法を講じますれば、それに安定させる差があり、かつ安定させるという両方の措置ができますれば、まあ従来の経験からいたしましても輸出は伸びるということがいえるわけでございます。そこで、この安定につきましては、御審議願っておりますこの法案ができますれば、これがフルに活動できる条件になりますれば、安定の問題は解決がつくわけでございますが、今度は絶対価格の問題につきましては、やはり何らかの形でその差を埋めるような措置が必要ではないか。まあ平たく言いますと、国内で高く売れるのに何も無理して外国に売る必要はない。これはあるいはそれぞれの会社、企業の経営からしますと、そういうことがいえるのかもわかりません。そういう意味で国内価格が高いためにドライブがかからないという現状でございます。その差を埋めることも研究しておるわけでございますけれども、何ぶんにもこれは輸出計画数量が多ければ多いほど差額を埋める金額というものは非常に張るわけでございます。そういうことからいたしましても、そのときそのときの価格差にもよりますが、なかなか根本的に一挙にこういうこれだけの金を集めて、これでもっていわば輸出補給金と申しますか、そういうものを出そうというところまでは至っておりません。しかしながら、こういう輸出減退の状況がございますので、さしあたりの方法といたしましては根本的な解決にはならないにしても、たとえて申しますと一種の輸出報償金と申しますか、そういうことを誘因といたしまして、それぞれのメーカーが輸出ができるように、そういう方法について目下相当関係業界の意見も煮詰まってまいりましたので、それと局の立場といたしましても検討を依頼され、かつ検討をしなければならない問題でございますので、来年早々あたりにでもさしあたりの具体案を提示いたしまして、それで効果のほどはこれはやってみなければわかりませんけれども、一種の報償金制度的なことでさしあたりはスタートしてみようかということについての腹案を目下練っておるわけでございます。
  60. 森中守義

    森中守義君 いまのその内需及び輸出の比率というのは、たしか九対一、そういう状態でしたね。それで、いままで私どもが理解してまいりましたのは、絹糸というのはこれはもう輸出産業である、こういう理解をいままでずっとしてまいりました。ところが、近年は輸出産業じゃなくて、むしろこれはもう国内の産業だと、しかも、実際問題として輸出は全体の一割にすぎなくて、内需が九割、こういう現状から考えていけば、私どもは一体どういうように理解したらいいんです。いま農林省がおやりになっているのは、なるほどいま価格のお話がありました。そこで、今回の事業団及び安定法の一部改正、それに二十億三千万の予算、しかも中間安定帯をつくっていく、これだけのことで在来から主張されてまいりました輸出産業というその目的に沿うことができますか。責任ある措置がとれますか。その点ひとつこの機会に明らかにしてもらいたいと思う。
  61. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) 御指摘のとおり、事業団ができただけですべて輸出が順調にいくとは思っておりません。事業団の機能といたしましては、ただいま触れましたように、価格一定の水準にできるだけ安定させようという機能を持っておるわけでございます。それと合わせまして、やはり輸出につきましては、どうしても、たとえば中共の場合、いろいろ国の経済流通のあり方も違いますし、まあそういうものと相当競争しなければならない。そこで、どうしてもやはりその価格差の問題が出てまいります。まあそういう問題につきましての方法といたしましては、いま触れましたようなまあ今後価格差補給的な問題をどういう方法で考えるかという問題が一つあろうと思いますし、それから、まあ長期的には何と申しましてもその繭、製糸、これをまあひっくるめまして極力生産の合理化と申しますか、生産性の向上と申しますか、新しい技術を導入いたしまして、できるだけ生産コストを下げていくということを長期的には考えなければならないと思います。またそれがある程度可能ではないかと考えておるわけでございます。
  62. 森中守義

    森中守義君 あと一、二問で終わりますが、大蔵大臣が見える前にお尋ねをしながら中途はんぱになったのが一つあります。例の農政審議会への対象になるかどうかということでしたが、これは大臣のほうから明らかに重要農産物一つである、こういう答弁がありましたが、これは確認してよろしゅうございますか。
  63. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) そのとおりでございます。
  64. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、これはまあ次の機会でもけっこうですが、農政審議会にはかられた内容、そうしてその与えられた答え、つまり重要農産物一つとしての繭糸が将来どういう位置づけに日本農産物の中で歩いていこうとするのか、まあその辺のことをですね、いま少し具体的に私は出してもらいたい、そう思います。これは資料要求です。
  65. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) この件は先ほど申しましたように、ちょうど局長からお話申し上げることになっておるところへ大蔵大臣が見えましたものですから、続いて局長から……。
  66. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) 農政審議会との関係を申し上げますと、まあたとえば、これは皆様御存じのとおりでございますが、需給見通し、そういうものにつきましても、従来われわれがまあ整理いたしましたものについて御審議御検討願っておるわけでございますし、また、最近、従来の計画についてのその後のまあそごの問題、たとえばまあアフターケアと申しますか、そういうことについての反省についても、ほかの作物と一緒に御意見を聞いておるわけでございます。  そういうことで、従来主としていろいろ議論のございました長期見通しの立場から、まあこまかい問題になりますと、反収の問題であるとか、面積の問題であるとか、面積の今後の増減の問題であるとか、ひいては全体の需給の問題であるとか、そういうことを主として整理し、御意見を拝聴し、今後の考え方をきめていく、こういうことをやっております。
  67. 森中守義

    森中守義君 最後に、半ば要請を兼ねて申し上げておきたいと思いますが、重要農産物一つである、こういうお答えでございますので、まあそれにふさわしいですね、つまり、成長部門にこの事業がなっていくように、長期にわたる展望あるいは見通し、このことは農業基本法の中にも明らかに規定をされておりますので、そういうものを、価格はどうする、あるいは現在の製糸企業はどうする、まあこれらの問題もいろいろあります。必らずしも近代化された部門だと私は言えない。この辺のことをどうするかとか、あるいはまた今回のこの二法案によって直ちに養蚕農家が潤うという答えにはならないと思う。養蚕農家自体、その辺の養蚕農家に対しての保障をどうするか、こういう問題だとか、あるいは輸出内需、これらをどうするか、そういうものを全体的にひとつまとめていただいて、財政策はこうこうである、しかも、そういうことができるならば、先ほど来私が幾つか指摘いたしましたように、繭価審議会もございましょう、あるいは輸出会議もあります。農政審議会等もあります。そういう現存する各機関にも十二分に相談をされて、再びこの種関連産業に混乱が発生をしたり、あるいはまた波動がこないように長期計画というものをできるだけ早い機会に策定をしていただきたい。  それと、最後に申し上げますが、やはりいままでのいきさつ等から考えますと、重要農産物一つであると大臣は言われるけれども、経過から考えると、必ずしも私はそうであったとは思いません。それは戦後においても二転三転政策は変わってきておりますね。桑園を補助金を出して撤去さしてみたり、あるいは奨励してみたり、大体どっちをどうとったほうがいいのかという、こういう混迷状態というものがかなり私は末端の養蚕農家にはあるんじゃないか、こういうようにも思います。したがって、そのような養蚕農家の生産の保障あるいは業界のいま少し近代化への親心、輸出に対するもっと抜本的な対策、そういう総合的なものを一つつくってみませんか。それによって初めて、大臣の言われる重要農産物一つである、そういうことが私は初めて言い得るんじゃないかと思う。現在まだ残念ながら、ああそうですかと言うわけにはまいりませんよ。  そのことと、先ほど来何回も繰り返しました例の十億の問題は、きょう、あしたから開始される大蔵省との折衝の中で必ず実現をするように、農林大臣の特段の御検討を切にひとつお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。一言何か言っておいてください。(笑声)
  68. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 森中さんの御意見やら、いろいろ包含しての申し出につきましては、私どもも十分その線に沿うように努力はいたしたいと思います。ただ、一言申し上げたいのは、この蚕糸に関しては、非常に変転いたしております。非常に盛んな時分から見ると、全くそれと比較したら、これはほんとうに衰えたものだということは言えると思う。しかし、ことまで小さくなりましたときには、今度は、かえって値が強くなってきて、御存じのとおり、輸出は別としても、内需は全く強調でございますことは先ほどお話しのとおり。しかし、申し上げまするとおり、私どもは、やはり内需だけでなしに輸出という問題は強く森中委員と同じく頭の中にありますので、そういう点について十分注意を、いわゆる検討を加えていきたいと思います。  ただ、その養蚕の技術的な進歩、いわゆるその省力的な進歩はかなり進んでおることは、これも御存じのとおりでございます。私は、これは一つの例でございまして、こういうことを申し上げて恐縮でございますが、元農業試験場長をやっておりました白石という博士がおりますが、あの人が自分のくにへ帰りましたところが、山ですから耕地がないのですね。ところが、何とかしなければいかぬというので、真剣に考えました結果、その付近に広い土地が遊んでいるというのですね。そこで、よう考えると、なんですな、バスを利用してやればこれはいい。道も相当できており、そういうことで安いバスを、六十人乗りかのバスを買って初めてやったわけですが、二十分行くとその現場へ出るのです。そこで、その二十三戸の農家と一緒に、子供も家族もみんな連れて、そのバスを利用するわけです。そこで桑園を集団的につくって、省力的な経営をやっていく。いままではそんなところへ行こうとしても、バスがないために、自動車も道もないために利用できぬから、せっかくいいところがあっても何にもならぬが、なるほど非常にいいところがあって、それをやったところが、まことにぐあいがよくて、そうしてそのときは子供も妻もみんな一緒に連れていって、まあ遠足みたいなものですな一つの。(笑声)それで非常にその家族全体が和気あいあいとして、共同の桑園ができまして、いま二年たっておるのです。そうしたら、おまえさん組合長になれといって、その農学博士がいまそこの組合長をやっておる。で、この前報告に来ましてね。山村深居といったって、考え方によって幾らでもいい点があってと、えらいいばられましたが、これは一つの例でございますが、ほんとうに養蚕はやはり日本としては、また山村振興という点からいえばなおさらのこと、これは私は重要農産物であると、こう考えておりますので、いま森中委員のおっしゃった点については十分その検討をしてまいりたいと、えらい蛇足でございますが、申し上げておく次第でございます。
  69. 仲原善一

    委員長仲原善一君) これをもって暫時休憩いたします。午後一時に再開いたします。    午後零時十七分休憩     —————————————    午後一時十九分開会
  70. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ただいまから委員会を再開いたします。  繭糸価格安定法の一部を改正する法律案日本蚕糸事業団法案を一括して議題とし、休憩前に引き続き本案についての質疑を行なうことにいたします。  質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  71. 中村波男

    ○中村波男君 きのうから蚕糸事業団法等の提案説明並びに質疑討論を承っておりまして感じますことは、輸出はここ数年間糸価の大幅な変動によって極度の不振におちいっているとし、その弊害を除去するために、今回蚕糸事業団設立されるのが一大理由であると思うのであります。政府は、昭和二十六年の十二月に、生糸の需要の増進と、繭の増強のために、繭糸価格の適正な水準における安定が必要であるということから、繭糸価格安定法を制定いたしました。さらに三十四年四月に、日本蚕繭事業団を発足さしたはずであります。皮肉なことには、繭糸安定法ができた翌年から、糸価が上昇し始めまして、三十七年、三十八年に大変動が起き、これが大きな原因となって輸出が不振に落ち込んだことは、政府みずからもお認めになっていると思うのであります。政府は、今回蚕糸事業団法をお出しになったのでありますが、従来の繭糸価格安定法がまことに中途はんぱで、繭糸価格の適正な水準を維持するに足る内容でなかったのではないか。その結果として今回の措置がとられたのではないかと私は考えるのであります。したがって、以上のような認識の上に立ちまして、ただいまから率直にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、従来、繭糸価格安定法のもとに、事業団体として日本蚕繭事業団日本輸出生糸保管株式会社が、繭と糸との価格の適正な水準における安定をはかる目的で運営されてきたことは、率直な言い方をいたしますれば失敗をしたのである。したがって、今回繭と糸とを合併して事業団を発足させ、所期の目的を達成したいというのが、さっきも申し上げましたように、政府の提案の趣旨ではなかろうかと思うのであります。しかし、何度法案を読んでみましても、根拠法でありますところの繭糸価格安定法に手をつけずに、また、政府予算的な裏づけも行なわずに、ただ二つを一つにするだけで、政府のねらっている安定帯というものができるかどうか、どうしても私は納得がいかないのであります。したがって、具体的なひとつ説明を求めるのでありますが、そのためには、今日の事態を引き起こしましたところの制度上及び運営上の欠陥と盲点があったと思うのでありますが、それを具体的にひとつあげていただき、その盲点と運営上の欠陥を、今回の措置によってかくかくこのように補足できるのだと、ひとつわれわれのわかるように御説明をまず求めたいと思うのであります。
  72. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) 現在の制度上の欠陥と申しますか、これは提案理由でもございますように、現在の制度は、これは積極的に欠点があるという考え方ではございませんわけでございます。ただ、これでは不十分であるという認識のもとに、さらにもう一つ価格操作機構をつくろうということなのでございますが、そこで、まず現行制度の不十分であると考えられる点について申し上げますと、まあ一つは現行制度におきまして、いわゆる安定帯価格をまず取り上げてみますと、この幅が、たとえば四十年度の価格、これは現在それで動いているわけでございますけれども、最低価格が四千円であると、それから安定帯の上限が五千五百円であるということ、この幅の動きがいかにも多過ぎるという問題が一つございます。これは御承知のとおり、現行制度の政府の特別会計で操作しておりますもとになる繭糸価格安定法というたてまえが、価格の異常変動を防止するというたてまえになっておりますので、その範囲を出れば異常変動であるという考え方に立っているからそういうことになっておるわけでございます。ところが、その点から見ますと、たとえば輸出の問題にいたしましても、あるいは国内における繭の供給の問題、養蚕経営ということになろうかと思いますが、その面から見ても、安定帯価格が少し低過ぎるという問題と、逆に上限が少し高過ぎるという問題があるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、一つの方法といたしましては、しばしば御質問がございますように、政府自体の制度で安定帯価格の下限と上限をそれ自体の制度で狭めるという方法も考えられないではないわけでございます。ただ、問題は、現在その異常変動を防止するというたてまえになっておりますゆえんのものも、政府が直接、さらにことばをかえて言いますれば、通常変動と思われるような状態にまで政府会計が直接介入するということについての是非論が一つあろうかと思います。われわれといたしましては、これは政府が直接関与するよりも、むしろ提案いたしております政府業界共同の出資による機構でもっていろいろ、またその関係の識者の運営によりまして通常変動には対処したほうがむしろ合理的であるという意味合いにおきまして、今回の事業団というものをつくるということが一つあるわけでございます。  それからもう一つ、たとえば輸出の問題、これはもちろん国内相場にも関係するわけでございますが、現在、日本輸出生糸保管株式会社というものがございまして、これが平たく申しますと政府の代行機関的なことをやっておる。つまりそれぞれ政府と具体的に契約をいたしまして、それでたとえば六カ月間は、製糸家から一定価格以下で買った場合に、六カ月間は予約によりまして売り戻しをいたしますが、その期間を過ぎれば保管会社政府以外には売れない制度になっておるわけでございます。これは異常変動の防止ということから出てくるかと思うのでありますが、それではいかにも、さらに通常変動というワク内で考えた場合に、いまのその作用ではいかにも窮屈過ぎるという意味で、今度の事業団におきましては、現在の保管会社の機能を改変いたしまして、政府に売る以外の場合でも一定期間はみずから、たとえば競争入札等の方法によって糸価が高くなった場合には売りに出る、もちろんこれは買手がなければ話になりませんけれども、そういう機能をさらに追加していくということが大体中心になっておるわけでございます。そこで、いまの制度そのものを考えました場合に、たとえば保管会社の現在資本は、政府出資三千万、業界出資が五千万になって、合計八千万で動いておるわけでございますけれども、これを拡大してそういう機能を持たせるという方法も、検討としてはこれはできるわけでございますが、ただ、いまの保管会社の形そのままにしておきまして、事業団で考えておりますような売買操作をやることにいたしますと、非常な強大な市場支配力を持つことになるわけでございます。そういう関係から、たとえば独占禁止法の問題との関係、いろいろそういうことがございますので、これもやはり現在のままではこれは困難であるという考え方に立って、事業団に肩がわりして機能を拡大するという措置をとったわけでございます。  蚕糸事業団につきましては、ほぼ現在の蚕繭事業団の機能を受け継ぎますが、いずれにいたしましても、現行制度をただいま申し上げましたような観点から動かすといたしますと、相当な改変を要するという問題が出てくるわけでございます。そういう検討の経緯からいたしまして、むしろこの両機構を廃止して、繭と糸ということを一体に動かすということが、現在の二つの機構の資本等の活用からいっても、そのほうがよりいいという見地に立ちまして、新しい事業団をここにつくる、こういうまあ結論に達したわけでございます。
  73. 中村波男

    ○中村波男君 まあ安定法のいわゆる安定幅が大き過ぎるということは局長も認めておられるのでありますが、この問題については私も意見がありますので、あとに繭の価格の問題とからめまして、さらにお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、次に、生糸輸出が不振であるという問題について御質問を申し上げてみたいと思うのであります。  いまさら私が申し上げますまでもなく、生糸等の輸出状況は、昭和三十五年の十六万二千俵を最高といたしまして、逐年減少をしてきた、三十八年からさらにひどくなりまして、昨年度は七万四千俵と、半分をわずか上回わるような状態に落ち込んだ、ことしはさらにひどくなったのではないかと思うのであります。ここでお尋ねをいたしたいのは、このように輸出が減退した原因が、また、その理由がどこにあるかということについて、きのう来いろいろ御説明を聞きました中でまとめてみますと、こういうことになるのではないかと思うわけであります。すなわち三十八年及び本年の糸価の騰貴した結果、海外の需要家が警戒を抱いて、そのために輸出が伸びない。二つ目は、他国産の生糸、特にまあ中国生糸が安く、しかも安定した価格で積極的に売り込んできている。三つ目は、内需が強いため、業界が一般的に積極性を欠いてきた。四つ目は、合繊、化繊等の品質改良と生産の増大と価格が相当安くなった、こういうことから不振になったというような理由をあげておられると思うのであります。したがいまして、このような情勢の中で輸出を振興することは容易でないと私も思うのでありますが、したがって、ただいまからこの問題について具体的にひとつ質問を申し上げていきたいと思います。  第一番といたしましては、海外の需要を確保するために、繭糸価格の異常な変動を防ぐだけではなく、さらに一歩進めて、価格変動をより小幅にとどめて適正な水準に安定させるための措置として、日本蚕糸事業団設立してこれからやろうとされるのでありますが、しからば、具体的にどう対処していく考えがあるのか。  二つ目は、政府は、最高価格最低価格の中間における適性な水準に糸価を安定させる、すなわち安定帯を引こうとしておるのでありますが、当面して安定帯を幾らぐらいに置こうとしておられるのか、また、それと関連いたしまして、繭糸価格安定法第二条による最高価格は、いまもお話がありましたように、最高が五千五百円、最低が四千円との関係、いわゆる安定法との中間安定帯との関係がどうなのか、その点をまず明らかにしていただきたいと思うわけであります。
  74. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) 御質問の、対処のしかたと価格のきめ方の考え方、これは関連する御質問であろうかと思いますので、お答え申し上げます。  この価格のきめ方は、まず第一に、政府が行なっております安定帯のきめ方は、その年の六月一日から翌年の五月三十一日までに適用される価格でございます。いわゆる生糸年度と申しておりますが、その価格をその年の原則として三月中に、特別な事情がある場合は四、五月にきめることになっておりますが、これは毎年きめるわけでございます。したがって、来年度の問題につきましては、これは目下統計調査の、生産質調査その他をまとめておる最中でございますので、来年度についての予測は現段階でいたしかねますけれども、四十年度はどうなっておったかということを申し上げ、また、かりに、四十年度にこの事業団があったとすればどういう形の価格になるかということを申し上げて、御参考に供したいと思います。  四十年度は、御指摘のように、最低価格四千円で、それから最高価格が五千五百円でございます。そこで、この事業団がもしいまあったと、もうすでにできておったといたしますと、おおよそのところ、いわゆる基準糸価というものをおおよそのところ四千五百円前後のところ、そういうところに農林大臣がこれをきめまして、あとこの四千五百円前後、五%ないしは一〇%上下それぞれ異なりますし、また、具体的にはなお若干の移動があろうかと思いますけれども、たとえば、かりに事業団買い入れ生糸価格を四千五百円から五%引きということにいたしますと、四千二百七十五円という価格に相なるわけでございます。それから今度は、そういう価格で買った生糸を、値上がりのときに事業団が放出する売り渡し価格というものは、大体四千五百円から五%ないし一〇%ぐらいの範囲で考えますと、五千円前後のところというところが売り渡し価格になるわけでございます。したがいまして、四千五百円以下で買い取り、五千円前後のところで売り渡しをするという操作を行ないますれば、おおむね大体まあ四千五百円と五千円の間ぐらいのところに、これは一銭一厘違わないということになりませんけれども、大体このあたりの糸価水準というものが維持できるのじゃないだろうかというような考え方に立っておるわけでございます。それと同時に、繭自体の値段もきめまして、これは大体適正繭価といたしましては、ただいま申し上げました生糸の適正水準四千五百円に見合う程度の繭の価格五百七十円前後、一キログラムの繭にいたしますと五百七十円前後というものを基準繭価ということできめまして、それで、この価格で製糸家が買わない場合におきましては、養蚕農協等の申し入れに応じて事業団が受託をし販売の委託を受けるというシステムによりまして、下と上を、その下も極端に下がらず上も極端に上がらないという操作を行なおうという考え方に立っておるわけでございます。
  75. 中村波男

    ○中村波男君 考え方なりその他の態度はよくわかりましたが、そこで、その中間安定帯をつくるということはわかりましたが、しからば具体的にそれが可能であるかどうかということになると、しろうとの私にはさっぱりわからなくなるのであります。と申しますのは、問題は、高くなったときに放出する売り渡す繭を持たなければならぬということであります。そこで、幾ら機構をつくりましても、問題は繭を持っておらなければ絵にかいたもちになるのではないかと思うのであります。具体的に、しからば繭を持つ条件といいますか、時期といいますか、そういう事態というものがないとは申しませんけれども、事業団を発足せしめたならばなるべく早く操作用の繭を保有するということが考えられなければ、従来の繭糸事業団の二の舞いになるのではないかというふうに思うわけであります。そこで、読んでまいりますと、六カ月は買い戻しの請求に応ずるという契約をしなければならない。このことは売り渡したものを守るという立場でこういう条項が入れられたと思うのでありますが、そうだとすると、少なくとも六カ月以上一年程度、繭が最低価格以下になったときに初めて事業団が繭を保有することができ、事実上操作用として運用ができるという結果になると思うのであります。このことについて、どういうお考えがあるのか、そういうことをまずお伺いをいたしたいと思うわけであります。
  76. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) ただいま例示されました六カ月云々の問題にからんで御答弁申し上げますと、つまり製糸家が四千五百円を価格が下回りそうだというときには、事業団は四千二百七十五円で糸を買うということになりますが、事業団がそういう売りの申し込みに応じて買うことによりまして市場の流通量をある程度チェックするわけでございます。そうなりますと、おのずからその四千五百円以上に上がってくるだろうということが一つの前提としてございます。上がってきましたときに、一ぺん売り込んだ製糸家が、それではまた買い戻しをしたいということの場合の期限が六カ月でございます。これは一年も二年もそうやってきますと、いつまでたってもこれは切りがつきませんので、六カ月問はそういう買い戻しに応ずるということは、糸価がおそらく上がってきたときには買い戻しを言ってくるだろうから、そうすればそれを出すことによってまた若干下がるというのが第一次の段階、それからあとの六カ月につきましては、その後糸価等がなお売り戻しをいたしましてもなお上がるという事態もあるわけであります。その場合には、事業団のいわゆる安定帯の五千円くらいのところで事業団自体が今度は積極的に放出をするという二段がまえになりまして、そこで放出をすれば、買い入れた、また、売り戻しをしたときの状態よりもおそらく価格が上がっておる、自体においてもあるいは上がるであろう、自体においてもさらに五千円という頭でもって放出することにより市場価格を下げられるだろうという機能を考えておるわけであります。
  77. 中村波男

    ○中村波男君 理論的にはそのとおりだと思いますし、それをねらって事業団をつくられたことはわかりますが、実際問題として安くなったり高くなったり、それを調整するのが目的ですが、このままでずっといって、急に安くなったというときに、あるいは急に高くなって——安くなったときは問題ありませんが、高くなったときに輸出を伸ばすという目的も大きなものがあるのでありますから、そのときに実際糸を持っておらなければその操作ができないのじゃないか。この点が実際事業団を発足せしめても、私は絵にかいたもちになりかねないのじゃないかということを心配してお尋ねをするわけであります。  さらに、次の問題といたしましては、そういう場合に、もちろん予定の買い入れ数量というものをおきめになるはずでありますが、お聞きするところによりますと、一事業年度、全出回り数量の乾繭については百万貫、糸につきましては三万俵、こういうことをお聞きしておるのでありますが、これだけあれば安全弁の役割りが果たせるのだという理論的な、客観的な、また、過去の経験等から割り出された根拠があろうと思いますが、それと一応、それをそれじゃ示していただきたいということです。  それから、それだけ一ぺんに買うといたしますと、さっきのお話にありましたように、百七十億の資金を要するわけでありますが、事業団そのものは二十億の資金しかない、したがって、不足した資金はどうしてまかなうのだ、この点をまずお聞きいたします。
  78. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) 先般の御説明、ちょっと足りなかったと思いますので、補足申しますが、御指摘のとおり、買う機会がなければ事業団そのものの機能は動かないということに相なるのでございます。ただ、これは見通しの問題でございますので、そういう機会が起きないと具体的問題にはならないと思いますけれども、御説明しましたように、現在の政府の安定帯の下限よりも上に大体買い入れ価格はきまることになるわけでございますので、今後少なくとも時期的には毎年買うということをいたしますと、供給オーバーということでございますから、たいへんな問題でございますが、御存じのとおり春、夏、秋という三期がございますので、時期的にはいずれかの時期によってある程度の変動があるだろうということを考えますと、下限の引き上げと同時に、事業団生糸なり、あるいは繭なり買う機会も、現在の政府の買い上げの場合よりもふえるということを一応推定しておるわけでございます。  それから、ただいまの買い入れ数量につきましては、御指摘のとおり、生糸で三万俵、乾繭の受託保管数量が百万貫という計画をいたしております。この数字につきましては、いろいろ過去の、たとえば三十年ごろから現在までに至りますいろいろな価格変動状況を考えまして、極端に上がった年、たとえば御指摘の三十八年度のごとき場合でございますとか、そういう場合を除きますと、いわゆる通常変動と思われる時期にどの程度の年々に数量があればかりに防げたかということを——これは逆算でございますけれども、そういう一つの計算方法をとりまして、そういう中からおおむね三万俵程度という結論が出ておるわけでございます。また一方は、いろいろむずかしい方式もさることながら、総生産量の一割という、大ざっぱと申しますか、あるいは常識的ともいえるかと思いますけれども、そういういろいろな角度からの検討をかみ合わせまして、それで大体一割もあればいいだろう、結論的にはそういうことで大体三万俵という考え方に立っておるわけでございます。それと、今度は繭のほうにつきましては、現在の蚕繭事業団がやはり総生産量の一割ということで、現在そういう制度になっております。ところが、今度生糸につきましてもいろいろ買い入れ数量をふやし、それから乾繭、繭につきましてもいろいろこの事業団が繭の買い手である製糸家と、それから売り手である養蚕家との間に立って、まあいわば繭価の干渉と申しますか、これ以上値は下では買わないようにという介入もいたす関係もありまして、繭そのものの受託数量は現在よりは減ってもいいだろう、そういう考え方に立ちまして、受託数量のほうは三分の一、現在貫数にしまして三百万貫でございますので、百万貫に繭のほうは減らしてやるという、そういう一つの経験的なものから出てきておるということでございます。それからこの金額につきましては、これは当然御理解できますように、この生糸の三万俵と繭の一万俵とを買ったり受託をした場合における支払い金額、そういうものを計算しまして百七十億という総運転資金を考えておるわけでございますので、この金額は、数量が多くなればもちろんこれでは足りない、数量がまた少なくなればこれで済むということで、金額はもう数量から出てくるものでございます。
  79. 中村波男

    ○中村波男君 いまちょっと申し上げた中で、不足分の資金の調達計画をお聞きしたのですが、あとにひとつ、そういう場合にもちろん規定をすると思うのですが、借り入れの限度額とか借り入れ先というようなものは規定されると思うのですが、そういうものはいまあったらお知らせいただきたいと思います。
  80. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) この借り入れ限度額につきましては、これは事業団の業務方法書であるいはきめることにもなろうかとは思いますけれども、大体の動き出しました場合に予定しますのは農林中金、現在もそういうことになっておりますが、そういうことでございますので、おおむね資本金の八倍前後、資本金の八倍前後ということで大体借り入れできるものと考えます。そうなりますと、二十億といたしますと二、八、十六、百六十億、百七十億前後と、こういうことになろうかと思います。最高限度は現在もきめておりませんし今後もきめる必要はないようであります。
  81. 中村波男

    ○中村波男君 次に、農林大臣にお尋ねをしたいと思うのでありますが、私は、今回この事業団が発足するにあたりまして政府の態度に大きな疑問を持っておるのであります。と申しますのは、この事業団法を提案するまでに、政府というよりも農林省みずからが一つの識見と計画と熱意を持ってやってきたのかどうかということであります。私の見るところでは、業界の熱意に動かされてしぶしぶこれを受けて立ったのではないかというふうに見ておるのでありますが、その証拠に、製糸あるいは養蚕団体はおのおの五億円ずつ出資をいたしますが、政府は従来の繭糸事業団の出資金あるいは生糸輸出保管株式会社の出資金をそのまま充てた。この問題についてはさっき先輩の森中さんから質問がありまして、農林大臣は前向きで、さらに前々からのいきさつのある十億円を増資するように努力すると私は理解をいたしまして、これ以上くどくどしく質問はいたしませんが、さっき不足な金はどうしてまかなうのかという質問に対して、局長から農林中金で借りるのだ、こういうお話がございました。そこで、農林中金であっても借りれば利息が要るのでありまして、その利息は、表向きは事業団が負担をいたしますが、結局は製糸業者なり養蚕農家が負担するという結果になると思うのであります。こういうことを一つ見てまいりましても、政府のとっておる——いろいろ質問をすると、養蚕の振興のために努力をすると言われまするけれども、姿勢がまだほんとうのものになっておらぬのではないか、こういうふうに私は考えるのであります。したがって、今回の事業団法案なり、あるいは考え方を聞いてまいりますと、製糸家保護の色彩が全く濃くて、養蚕農家はつけたりになっているのではないか、こういう疑いを持つのであります。以上の点について、これはただ単に私の独断ではないと思うのでありまして、全国の養蚕家に対して農林大臣から率直なひとつ表明をこの機会に与えていただきたい、こう思うわけであります。
  82. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) お答え申し上げますが、この事業団設立そのものについて政府は熱心ではなかったのではないか、しぶしぶではないかという御質問でございますが、それは全くそうではありません。もちろんこの全国の養蚕農家においても多年にわたる要望でございまして、実は中村委員からお話しのとおりに、養蚕農家のほう及び団体、それから製糸家のほうも一生懸命にこれは検討していただいて、全く意見一致したといってもいいくらいでありますることは御存じのとおりでございまして、これはずっと前の通常国会のときにこれを提出したいということで、でき得る限り法律の何を急いでおりましたのですけれども、法制局の関係——いろいろの法律が錯綜しておった。いろいろな関係がございまして、でき上がりましたのですけれども、ちょうど会期が切迫しておりまして、いろいろ問題がございましたので、かえって困るというので、次の臨時国会に御提出して、御審議を願おうということになりましたことも御存じのとおりでございますが、それが運悪くといえば運悪くでございますけれども、ずっとおくれまして、実は、これは、春の、春蚕からひとつ適用していきたいということで、皆さんにたいへん御迷惑をかけ、また、熱心にお願いを申し、また皆さんのほうでもそれを受け入れられてやっていただいたわけでございまするが、ほかの関係でずっとおくれてまいりましたようなことで、たいへんその点は相済まぬのでございますが、そういうことで、政府のほうといたしましても、これはどうしても春の、春蚕のほうから間に合わしたいということで、極力この点については熱意を持っておるわけでございます。  で、この出資問題につきましては、先ほど申し上げたとおりでございまして、繰り返して申すまでもなく、ことば少ない、ことばべたでございますけれども、内心非常な熱意を持っておりますことは、申し上げるまでもないのであります。  それから、利子の問題でございますが、これは、事業団で利子を支払うことになりますのでございまして、その点は、養蚕業農家には御迷惑をかけないことに相なっておるわけでございます。  なお、中村さんもおっしゃっておられるとおり、非常に完全無欠というわけには、もちろん、これはまいらないわけでございまして、これを、ことしの春蚕から進めまして、さらに一段と、これでとどまるわけではないので、充実をさせてまいりたい。あわせてこれと並行して、先ほど申しましたように蚕糸事業及び製糸業その他全般にわたって力を入れてまいりたい。かように考えておるわけでございます。
  83. 中村波男

    ○中村波男君 次に、養蚕家が売り渡す場合の繭の価格について、お尋ねをいたしたいと思うのでありますが、事業法の中にも、安定法の中にも、随所に繭の生産費という用語が使われておるのでございます。なるほど繭の価格をきめます繭価協定というものが行なわれるのでありますが、実際には、市場相場と、売り手と買い手の力関係というものが大きく支配をいたしましてきめられるのが実情ではないかというように私は見ているのであります。そういう関係から、生産費というものは全く無視をされている。その結果として、繭をつくりますところのいわゆる労賃というものは極度に低いのであります。蚕糸局からいただいた資料がこの実態を語っていると思うのでありますが、収益比較表の一日当たりの労働賃金でありますが、繭は、昭和三十七年によりますと、五百八十二円なんです。水稲は千三百九十三円、リンゴは千八百三十六円、牛乳が五百五十二円、たばこが五百五十円、最も生産の合わないといわれております大麦が四百七円でありまして、それにちょっと多いというのが繭の一日当たりの労働賃金であるわけであります。三十八年、三十九年を見ましても、三十八年に七百二十五円になったけれども、三十九年は五百二十二円に下がっている。物価は、御承知のように毎年平均六%以上上回っている。上がっている。ことしなんかは一割上がるのではないかということがいわれているわけでありますが、したがって、そういう計算の出し方でありますから、三十八年より三十九年のほうが五百二十二円に下がってきた、こういう結果が出ているのであります。  さらに、御質問を申し上げたいと思いますのは、繭の価格をきめますときに、いわゆる生産費所得補償方式を基礎にしてきめる考えがないのかということであります。参考までに、蚕糸局から資料をいただいたのでありますが、生産費計算の表をいただいたのによりますと、これは昭和三十八年でありますが、六百二十一円、三十九年が六百二十五円と、わずか四円しか上がっておらないのでありまして、これを都市の労働者の賃金におきかえますと、二百八十八円高くなりまして、九百九円になる。三十九年は二百六十九円高くなって八百九十四円になる。これはどういうことかというならば、繭のいわゆる数字というものは、農家の臨時雇いの賃金を基礎にしてはじき出しておりますから、それで安いという結果になっていると思うのであります。ここでちょっと注意してみたのでありますが、三十八年より三十九年が十五円安くなっているということは、これはいわゆる生産の合理化が多少でもなされたというふうにみるのかどうかということでありまして、まだ内容を具体的に私は検討しておりませんので、ここで何ともいえませんけれども、とにかく生産費の所得補償方式によるいわゆる主要農産物については、この方式をとって、そしてさらに価格の支持制を確立することが農家経済、農民の生活を守る上に一番重要なことではないかというふうに考えるのであります。  そこで、お尋ねいたしたいのは、繭糸安定法と事業団法の関連、さらに、繭価の基準価格をどのようにみており、どのように考えておられるかということを最初にお尋ねをいたしまして、さらに質問を続けたいと思うわけであります。
  84. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) 繭糸価格安定法事業団法の関係のほうから申し上げますと、繭糸価格安定法のほうは、しばしば御説明申し上げましたが、繭の生産費生糸生産費、そういうものを参酌して安定帯価格の上限をきめるということになっているわけでございます。それで、その部分の、たとえば生糸の問題で申し上げますと、事業団が買った生糸のうち、たとえば三万俵を買ったうち、二万俵は安定法に基づく特別会計法で買い入れるという相互関係に立つわけでございます。それと、具体的にはそういうことになるわけでございますが、事業団法の、たとえば価格面におきまして、繭糸価格安定法との違いと申しますと、たとえば安定帯価格の下限を例にとって申し上げますが、現在繭糸価格安定法におきましては、下限の価格のきめ方が、原則としまして生糸生産費の八五%を下らない、これは現在例外を若干加えておりますけれども、そういう原則になっております。そこで、事業団の場合におきましては、これも先ほど申し上げましたように、その安定法できめられる下限よりも若干上に買い入れ価格をきめていく。また繭の値段につきましても同様になるわけでございますが、要するに安定法が考えておる下値よりも上のところに安定帯の下限の買い取り価格事業団としてはきめていくということを考えておるわけでございます。したがいまして、いわば最低価格——これは最低価格という表現が正しいかどうかわかりませんけれども、最低価格が若干上がることによりまして、それで今後の繭の生産を保障し、かつ生産の増大にも寄与していこうということでありまして、いまのような安定法との、下限を例にとりますと、そういう関係で構成してまいりたいと、こう考えておるわけであります。
  85. 中村波男

    ○中村波男君 次は、輸出上の他国との競合の問題についてお尋ねをしたいと思うのでありますが、さいぜんにも述べましたように、輸出不振の理由として中国生糸が安く、しかも安定した価格で積極的に売り込んでいることを強調されておるのでありますが、言うまでもなく中国日本に次ぐ生糸の生産量を持っておるのでありまして、生産量も公表をいたしませんから正確につかむことはできませんが、しかしながら、政府資料を見ますと、昭和三十四年の七万三千トンが三十九年までの推定数字として載せてあるのであります。また、その後、政府の見解では、大きく伸びておらない、こういう見方をし、生産の面では楽観をしておられるように伺えるのであります。もちろん私も的確な実情を把握しておるわけではありませんけれども、三年前に中国を訪れました感じからいいまして、その後中国から出されておりますいろいろの資料等を勘案いたしまして判断いたしますと、相当伸びており、将来伸びる可能性があるように私は思うのであります。  その理由をかいつまんで申し上げますと、養蚕はもちろん人民公社が担当して繭の乾燥まで行なっておるのでありますが、もちろん人民公社は農業を主としておりますけれども、副業として相当養蚕を取り入れつつある。もちろん食糧がまだ十分でありませんから、食糧の増産に重点が置かれておりますが、中国の農業の進歩は目ざましいものがあるのでありますから、やがて食糧事情が万全になりますならば、外貨獲得という点からいいましても養蚕業に大きな力を入れてくることは明らかであります。また、人民公社等の報告等を中心に考えてみました場合に、相当生産性も高くなっておりますし、養蚕の指導機関がだんだんと整備されつつあることがうかがえますし、学術機関も相当に充実をしておって有能な指導者が養成されております。それから蚕糸業の分布は、陽子江の南が主産地でありますが、中国におきましてもやはり山のほうへ養蚕を伸ばせという、そういう計画が出ておるのでありまして、これらを考えますと、将来、中国養蚕というのはまだまだ相当伸びるということを予想しなければならないと思うわけであります。  そこで、私が申し上げるまでもなく、中国は社会主義の国でありますから、価格変動は国内的には起らないのでありまして、したがって、外貨を獲得するという必要な場合には、国際価格の最低でもどこまででもついてくるという、こういうことをまず私は考えておかなければならぬというふうに思うわけであります。現在、確かに日本の製品より品質が悪いのでありますが、これは長くいつまでも日本の水準についてこないという見方は間違っておるのではないかと思うのでありますが、こういうような点について、きのうからきょうの午前中にすでにいろいろ質問がされ、政府の態度等も表明をされましたから、私は多くを申し上げませんが、また、考えておかなければならぬのは、韓国も飛躍的に養蚕が伸びておるということであります。ブラジル等々の養蚕業の実態からいいましても、アメリカ市場における有力な競合相手であるというふうに認識をしなければならないのであります。そういう条件の中で、日本輸出の沈滞が価格の不安定に帰結させて価格の安定政策のみに期待をかけておりましても、これは私は根本的な解決にならないのではないか、ごう考えるのであります。したがって、新しく発足する事業団にすべてを政府はかけておられるわけではありませんけれども、この際、ひとつ政府責任——ただこれは農林省だけの問題ではないと思うのであります。たとえて言うなら、韓国と日本とがいわゆる養蚕、製糸等についての協定を結ぶとか、あるいは技術交流をやることによってともに他の市場に向かって競合しないような方策をとるかというようなことは、ただ単にこれは農林省だけではできない問題でありまして、こういう点からはひとつ国が総合的な施策を講じて、いわゆる国産的な産物としての養蚕というものを伸ばして外貨を獲得するという立場で、総合的な施策を検討してもらいたいと思うのでありますが、まずこの点について農林大臣に重ねてひとつ所信を承っておきたいと思うわけであります。
  86. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 中村委員からの御質問と、御意見についてはごもっともでございます。実際、中共は当分食糧その他の関係で、おそらくこの伸びが少し停滞の気味はあるようでございます。お話しのとおりだと思います。韓国のほうはいまのところきわめて少量でございますが、相当伸び率は非常に大きいようであります。これも中村委員のおっしゃるとおりだと思います。最近の状況はそうでございまするけれども、全般的からみますと確かにやはり中共にしても韓国にしても、特に中共のこの蚕糸業というものはやはり大きな問題でございまして、お話しのとおり、これは十分われわれとしても考えていかなきゃならぬことであることは言うまでもございません。そこで、二面においては、いまこういう制度をつくっておりまするわけで、御協賛を得たいわけでありますが、なお、一面においては、やはり省力経営によって生産性を日本自身もうんと高めていきたい。これは労賃がどうしても高いのですから高めていきたいという、そういう面について努力をうんと払っていかなきゃならぬことは、これは申すまでもございませんが、なお進んでは、先ほども申されましたいろいろの点について、民間協定なりいろいろな点があろうと思いますが、そういう点については御意見を十分私も拝聴いたしましたので、検討いたしていきたいと思います。
  87. 中村波男

    ○中村波男君 さらに、昨日八木さんから、中国からの生糸輸入問題について質問がございましたので、簡単に質問をいたしたいと思うのでありますが、実は、四十九国会におきまして、衆議院の農水委員会で、わが党の中澤議員が日本蚕糸事業団法審議の過程で、中国糸の輸入問題について農林大臣に善処方を強く要求しておられることは農林大臣も御記憶があろうと思うわけであります。ちょっとその速記録を読んでみたいと思うのでありますが、中澤委員は、「大臣は、さっき輸入したって数量的にたいしたものじゃないのだから、それは市況を乱すようなことは云々と答弁されたけれども、実際中共生糸が入ってきて投げ売りをやった某製糸家があるのではありませんか。そのために四千六百円まで下がっていったということは、もう実績が示しておる。これは大臣が、質問もないのに、うしろのほうで規制措置を講ずると読んでいましたが、これは私は問題だと思うのですね。この法案というものは、私は蚕糸業振興審議会でさんざんあなたの前で議論したのですが、少なくとも、この法案は、業者が中間自主安定をやろうじゃないか、こういうことで、その製糸家も金を出そう、養蚕家も金を出そう、そして政府の例の基金と合体したものでこの中間安定構想というものは立てられたわけですね。ところが、その立てられた業者の某製糸が中共生糸輸入して投げ売りをやって値を下げたという現実があるのですよ。大臣は後段に言われたように、製糸家に対しても規制措置を考えると言われたけれども、私は、これは実際蚕糸行政不在だと思うのですよ。ああいう輸入を何にも行政指導せずに輸入させたこと自体に私は問題があると思うのですね。そういう点においては、もっとやはり行政指導というものを強力にやらないと、片方で自主的中間安定構想をぜひやってくれと頼んでおいて、片方で中共生糸輸入して投げ売りをやる、そういうことをされたのでは、この法案を通しても、そういう不心得な製糸業者があるということは、私は断じて許すべきじゃないと思う。」まだずっとこのことについて触れておりますが、時間もありませんからくどくど言いませんけれども、そこで大臣は、「そういう問題は、私も実はあまり正確に知りませんけれども、十分ひとつ指導的にやっていきたいと思うのですが、」、こういうふうに答えていらっしゃるのであります。  そこでお尋ねしたいのは、昨日いただきました資料によると、八月から十月までに一千百六十二俵、七月から数えますと、一千八百二十五俵、十一月以降の輸入についてはあるのかないのか、まだ統計を出していただきませんから承知するすべもないのでありますが、糸が高くなっておる現状からいいまして、さらに続いて相当の輸入がされておるのではないかと私は思うのであります。日本生糸輸出量は、四月から十月までに九千八百七十二俵であります。この数字からいいますとちょうど三割が中国から日本輸入されておるということは、これは重大な問題であるというふうに私は考えるのであります。  私の重大だと考えるというのは、輸入したことももちろん重大でありまするけれども、中澤議員が指摘されましたように、製糸家が輸入したことがより重大だと思うのであります。中澤氏の言を借りますれば、ユダヤ根性的なその商魂に対して私は問題といたしたいと思うのであります。したがって、農林大臣は、さっきも読みましたように答弁で、今後は十分ひとつ指導すると答えておられるのでありますが、八月以後に輸入された業者というものが、どういうために輸入をし、またそれらに対してここで約束をされたように指導されたのかどうか。もちろん自由経済でございまして、政府みずからが自由貿易にしたのでありまするから、輸入を制限するという措置はないのでありますが、たまたまこういう法律を製糸業者がつくれという強い要望と、さっきの農林大臣のお話によるならば、養蚕農家の要望が一つになってここにできた、それがいわゆる中間安定帯をつくるということであります。それをみずからが踏みにじろうとするようなことは許されないのでありまして、少なくとも農林大臣が指導的立場で製糸業者を集めて、こういうことは今後断じてやるなという、いわゆる自主規制の行政指導というものはなされなければなりませんし、なされればある程度のこれは効果があるし、また、それを破るようなものがあるならば、ひとつわれわれにお聞かせをいただきたいというふうに考えるのでありますが、この点について御答弁をお願いいたします。
  88. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) いまお話しのとおり、中澤委員から衆議院でそういう御注意がございまして、さっそく警告を発しております。その内容等については、蚕糸局長から概略をお話しいたさせます。
  89. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) 衆議院農林水産委員会で、御指摘のような御質問があったことは事実でございますし、また、そのときに善処するという御答弁を申し上げてございます。そこで、直ちに該当者であろうと思われる製糸メーカーに対しまして注意いたしました。警告をいたしました。その結果、以前の契約による輸入はやむを得ないけれども、今後新しく契約しないということで、当該責任者も言明いたしておりますし、そういう措置をいたしましたので、いやしくも、御質問のように、国内安定をはかるために団結をしてやろうという製糸家がみずから破るようなことは困るわけでありますので、ただいまの事例につきましてはそういう処置をいたしました。今後またそういうものがありますれば、行政指導として注意してまいりたい、こう考えます。
  90. 中村波男

    ○中村波男君 いろいろまだお尋ねをしたいことがあるわけでありますが、私の割り当てられた時間がすでに経過をいたしておりますので、最後に農林大臣に対しまして産業振興の基本についてお尋ねをいたして、質問を終わりたいと思うわけであります。大臣もきのうからのいろいろなお話の中で、今後繭生産の増大をはかり得る余地がきわめて大きいということを言われるのでありますが、その御熱意のほどは今朝来、私も感ずることができましたが、そこで、大臣はそう言われまするけれども、従来の農林省のとってきた蚕糸業に対する施策からいいますと、大臣が言われたからといって、私も心からそれを信じて、農村議員として農村を太鼓をたたいて回るという気にはまだなれないわけであります。そこで、いつだったか、大臣の演説を聞いて、その結びで、私は万古不動の姿勢をもって蚕糸業の発展を進めていくと、胸を張られたことがあるのであります。私は万古不動の姿勢をもってとおっしゃっても、また精神教育や精神運動では、高度経済成長政策に押しつぶされようとしておりますところの農民を救うことにはならないと思うわけであります。さいぜんも大臣が述べられたように、養蚕振興策はいろいろあるでありましょう。また私も、いろいろ私は私なりに考えているのであります。  そこで、時間もありませんから、輸出の問題についてさらに御意見を申し上げてみたいと思うのでありますが、将来、輸出不振のネックを取り除くという道は、いい品を安く売るということ以外に私はないと思うのであります。そのためにどうするかということが、私は、この蚕糸事業団の発足と同時に、いわゆる農林省農業政策の中で検討をし、さらにこれを具体的に進めていただかなければ、こうしたいと思います。こう考えております。ではおくれてしまうと思うのであります。それに対しまして少なくとも長期的な計画を立てて、それに予算を裏づけていくということが私は不動の姿勢であると思うわけであります。したがって、農林大臣は来年度のいわゆる予算要求の中で、蚕業振興に対する予算をどのように要求し、どのような具体的な政策をお考えになっているかどうか、この機会にひとつお伺いをいたしておきたいと思うのであります。早くひとつ具体的におやりをいただきませんと、農民は野たれ死にをよぎなくされてしまうと思うのであります。農政に生き抜いてこられた農林大臣に釈迦に説法でありますが、ほんとうに蚕糸業の発展を進めようとされますならば、輸出を増大されようといたしますならば、さっきも私が少し触れましたように、いわゆる価格支持制を設けまして、輸出内需長期見通しの上に立って計画的な生産を行なう、また、それに必要な資金をつぎ込んでいくということが必要であろうと思うのであります。それさえおやりになれば、大臣大臣室のソファーにどんぐり返っておられても、私は蚕業は振興するというふうに考えるのであります。したがって、これらの点につきましてこの機会に具体的な来年度の予算に対する考えを御説明いただきますと同時に、長期計画についてそういう構想なり準備なり計画を持っておられるかどうかということをお伺いして、質問を終わらしていただく次第であります。
  91. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 中村委員の御意見を含めたいまの御質問に対しましてはほんとうに敬意を表します。  で、わが国のもちろん蚕糸業につきましては、内需は堅調でございますが、輸出の点についてはほんとうに私どもも心配はいたしております。しかし、海外市場の面についても、これは決してやり方次第によっては心配がない——心配がないのではない。心配のないように進め得る、こう考えて進めていきたいと存ずるのでございます。で、それについては、先ほども中村委員からお話しのとおりに、何といっても生産性を高めて、そうして安くていいものをつくらなければならぬということの一言に尽くることであろうと思います。で、その点についての具体的な問題といたしましてはこれはいろいろの点において考えておるわけでございまするが、一つは省力技術の普及徹底という問題については引き続き努力を進めていくわけでございますることは、これは御了承であろうかと思います。それからこの集団桑園の造成を中心に、今度はしたがって予算的な配慮を十分加えてまいりたい。これはまたどうしてもそこへ進まざるを得ないのでございまするから、その点に力を注いでいきたいと、こう考えております。  それからなお、その問題と関連いたしまして先ほど来申し上げておりまするとおり、山村振興という問題と——これはこの現在の既存の養蚕地帯というものを無視するわけじゃございません。それらの点についてももちろん同様のことを考えてまいりまするが、加えて山村における振興という問題と、そうしてこの養蚕の問題、先ほどもちょっと例を申し上げましたのでありますが、そういう方向に力を注いでまいりたい、こういう点などをも考えておるようなわけでございます。  なお、長期計画の問題につきましてのお話がございますが、これは中途において中期計画というものがごさいましたが、これはまあ改廃——改廃というふうに申しては相すみませんが、これはやはりお話しのとおり、長期計画を立てて、そうして進むようにいきたいと、かように存じております。これはでき得る限り早くこれらの問題を完成させたいと、こう考えております。
  92. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いままでの、さきの森中委員、また中村委員の質問の中に、あるいは重複する点があるやもしれませんけれど、あらかじめ御了解を得たいと思います。  ただいま農林大臣がおっしゃいましたように、山村振興の対策の意味からもこの問題は大きく取り上げて、そうして長期的な見通しを立ててやると言われましたこと、まことに意を強うする思いでありますが、農林大臣の私批評をしてはまことに申しわけございませんけれど、言葉短くして、私は、実践の農株大臣だと思うわけでございます。そのことからさらに一歩進んで申し上げたいと思いますのは、私がいまさら申し上げるまでもなく、養蚕は古くから山村に伝統されてできている産業でありまして、絹糸業の発展を今後どう安定さしていくべきかというために今度の事業団の発足等もあるように思えるわけであります。そこで、その山村振興法ができまして、この山村振興法について蚕糸業界に対するあり方、また養蚕家に対するあり方等の助成のし方、そういうことを伺ってみたいと思うのであります。
  93. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) ただいまおほめのことばをいただきまして恐縮でございます。(笑声)この山村振興養蚕との関係をどうするかという問題でございましたね、それはもちろんこれからほんとうに進めていく問題でございまするが、例を一つずつ簡単に申しますと、あまり長くなっても恐縮でございますが、一つは開発パイロットというのでやっておりますが、それは山村の開発地帯に対してやっぱり桑園が非常に大きい比率でもってそれが行なわれております。そういう点からいきまして、やはり桑園というものと、山村の振興というものを結びつけることについてより以上の熱意を示していきたい、これが一つであります。それから午前中、私ちょっと申し上げたのでありますが、その部落に農耕地がなくても交通機関及び道路がこういうふうに発達するということになりますと、バスでもって二十分ぐらいで、足で行くならば三時間以上かかるようなところに二十分ぐらいでいい耕地が、耕地といっても遊んでいる土地が相当あるんですね。私も回って見ておる。そういうのを現実に利用して、そこに桑園の集団桑園ですね、いわゆる集団桑園、そういうものをつくる。もっともその部落にあればなおさらでございますが、したがって、今度の予算でも集団桑園というものに相当力を入れるということでありますが、具体的にはただそう文字で言うだけでなしに、その地帯地帯によってそれぞれの実相に合うたような集団桑園をつくってまいることが必要だと思うのであります。そういう方向に進んでいく、もちろんそういうことでございますから、昔といってはいかぬことはいうまでもないことでありまして、機械力による省力経営、そうして屋内というよりもむしろそういう点については設備にそう金もかけないので、それで十分技術を伸ばし得るという、いわゆる簡単にいえば省力経営という方向に力を進めてまいるというようなことによりまして、山村振興というものと相当濃密に結び得るものであると、こう考えておる。もちろんこれからさらに一そうそれらの問題を進めていく必要があろうかと、こう考えておるわけであります。
  94. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 地域的に大体日本の全体感から見ていきまして、地域的に計画をお立てになっていることがあるかどうか、その点をお伺いしてみたいと思います。
  95. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) 現在のところ地域的に逆の言い方をいたしますと、この地方は不適当であるとか、この地方は適当であるということまでこまかく立ち入った指導と申しますか、そういうことはいたしておりません。しかしながら御存じのように、おのずからやはり他の各種農産物との比較におきまして大体従来の経験、それからまあ土壌と申しますか、土性、機構、そういうことから考えまして、やはり全体的には主産地形成という傾向をたどっております。ただ、最近新しい傾向といたしましては、御存じのとおり戦前は方々の各県で広く行なわれておったものでございますけれども、戦時、食糧増産等の関係で食糧作物に変わった、これは当然でございますが、そういう歴史を逆に若干繰り返している県もございます。たとえば、南九州でいいますと、宮崎でありますとか、鹿児島でありますとか、そういうかつて養蚕があって、最近また復活してきておるという地域もございますが、大体は、たとえば関東周辺あるいは岐阜県であるとか、そういう形で主産地形成の方向に進んでおるのが現状でございます。
  96. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 ある一つの県の、これの実態を申し上げてみたいと思いますが、先ほど大臣からもお話がありましたように、屋内から屋外への養蚕というふうになっているということは、これは非常に喜ばしい傾向だと思うのです。ところが、屋内から屋外へ移行しようとしても、そのわずかな設備の費用もこと欠いている農村の方々が多数あるわけであります。こういう方々の実態をどういうふうに見ておられるか、また、先ほどお話がありましたように、パイロット事業によるところの桑園の作業等につきましても、それをこなしていけるだけの財力といいますか、それがなくて、非常に行き悩んでいるという実態を私は幾つも見ているわけでありますが、こういうところにあたたかい手が差し伸べられるという、そういうことが私は山村振興法の精神に基づくものじゃないかと思うのでありますが、こういう点につきましてどういうふうにお考えになっておりますか。
  97. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 山村振興法は、御存じのとおりに、昨年の国会ですか通りまして、企画庁に山村振興課ですか、名前ちょっと記憶……できましておるのでありますが、これは中心かつ実質的には林野庁が相当幹事的に動いておるわけでありますことは御存じのとおりであります。そういう関係でございまして、山村振興法の関係は、これは一ところでやってもうまくいきません、道路の問題もあれば、いろいろたくさんの問題を総合的にやる必要がありますので、ことし始まったばかりでございますから完全ではありません。これからというところであると思うのでございます。間違いました、林野庁ではなしに農政局が中心でございます。そういうわけでございます。蚕糸関係といたしましては、蚕糸局が極力この問題について力を注いでおるのでございます。蚕糸局長からお話しさせることにいたします。
  98. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) 御存じのとおり、いろいろ養蚕農家ないしはその団体、集団に対する助成といたしましてはいろいろございますが、たとえば構造改善地域でございますれば、構造改善事業の各種補助融資、そういうものが参ります。また、たとえばお話がございました屋内飼育施設等につきましては、農業改良資金の制度でもって融資措置がございますし、これまた従来とも逐年伸びてまいります。また、今後も伸ばしていくつもりでございますが、そういうことを考えまして、いろいろな制度としては大体網羅しておろうかという感じがいたします。ただ、もちろんこまかい点になりますと、これは予算のみならず各種農作物に関しましても、まだ利子が高いとか、償還期限が短かいとか、そういう一般論はございますが、とにかくそういう制度のもとでとにかく伸びておるのが現状でございます。ただ、やはり考えられますのは、特に経験の比較的浅い地域において新しく始めた場合に、御存じのとおり、これは蚕は動物でございますので、昔から言われておりますいろいろな病気にかかりやすいというようなことがあろうかと思います。その結果、償還金にも不自由するとか、そういう問題が派生的に起こり得るということは考えられます。そういうことも考えまして、先ほど来いろいろ話があるわけでございますが、やはり今後は個々の農家独自の経営というよりは、いろいろ病気予防その他の一般的な労働節約という点も考えまして、できるだけ共同でやっていくという方向で指導いたしておりますし、また、現実にいまそういう方向で動いておるわけでございます。繰り返すようでございますけれども、新興地域と申しますか、新しい地帯におきましてはなかなか不なれのため、あるいは土地がまだ桑園として熟してないというような原因、そういうことからいまだなお各種の被害、病気が根絶するに至ってないということでございますが、今後われわれといたしましても、できるだけそう  いうことについての防除態勢を完備いたしまして、そういう不測の損害を受けないようなことに指導してまいりたい、こう考えておるわけであります。
  99. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いまちょっとお話が出ましたけれども、構造改善事業等で、これは全部が全部じゃございませんと思いますが、一部ではこの事業計画を立てまして、一年目の費用というものは予算どおりになるほど出ている傾向が非常に見られますが、二年目になりますと、この五年なら五年の計画を立てましたものの、二年目になりますと、半減されるようなところがずいぶん予算措置上にあるように思えるわけなんです。これで非常に農民の方々は所期の目的を達するために、たとえば五カ年計画やるといってせっかく立てた一年、二年の計画に基づいて、土地を整理するものは整理する、山を売るものは売るというふうに計画を立ててやったことが、二年目に予算の減額によって非常に生活にも大きく影響を及ぼしてくるというような実情を数多く見ておるわけであります。いまお話がありましたように、こういうところが、今日のいろいろな事業計画をなされましても、それが最後までうまくいかないような原因になっているのじゃなかろうか、こういうことを思うわけでございますが、この点について一言伺っておきたいと思います。
  100. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 確かにいま宮崎委員のお話しのとおり、構造改善の問題につきましても非常に重要な大事な問題であって、われわれもうんと力を入れておるわけでございますけれども、やはりその地方にきわめて合う、即応しておるということであり、また、その時期に即応していくという両方の事柄が合いながら進むということが大事な問題であること、これは言うまでもありません。そういう関係からまあ四年にもなりますので、この構造改善の経過がどうなっておるかということを調べております。大体においては目的を達しておるものが非常に多うございます。やはりいま申しましたように、その地方に即せず、その時期にも合わずといったようないろいろな点において、行き違いになっておるのも若干ございます。そういう点については、調査を待って是正してまいりたいと、こう考えております。  それから先ほどちょっと申し上げました山村振興の助成でございますが、これはいわゆる総合助成でありまするので、蚕糸関係が幾らとかそういう計上でなしに、総合助成方式をとってやっております。しかし、その中の実行の上においては、かなり多いパーセントを占めておるようでございます。
  101. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 ついでに、そのパーセンテージ聞かしていただきたいと思います。
  102. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) いま申しましたことは、予算要求の点を申し上げておるでありまして、まだ実行の結果でありませんので、その点を御了承願いたいと思います。
  103. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 山村振興法の面からの点につきまして、これで私打ち切りたいと思いますが、大臣が仰せになりましたように、山村振興の法律をつくった以上は、山村振興をしていくのには、これは先ほど中村委員のおっしゃったように、万古不動の姿勢で発展を期していかれるというお話がございましたが、これをことばを合わせまして将来に大きく期待しておきたいと思います。まだこの点につきましても深くお聞きしたいのでございますが、次にいきたいと思います。  先ほど来からお話ございました中共との貿易のことでありますが、提出をいただきました資料の中で、三十五年までしか出ていないように見受けられるわけなんですが、少なくとも私の考えるところは、日本蚕糸事業をどうするかという政府の考え方、立場からいけば、当然三十五年以降の中共の実態ということも、当然政府は掌握されなければならないのじゃないかと思うのですが、この点についてお伺いしたいと思います。
  104. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) 中共の、正式と申しますか、詳しい状況といたしましては、お配りしました表に整理してございますように、三十五年以降ははっきりはわかっておりません。これはまさしく御質問のとおり、有力な輸出競争国の実情がわからないというのは非常に遺憾でございますけれども、実際問題としてなかなかわかりにくいのでございます。先ほど来、いろいろ、特に中共との関係につきまして今後相談をして進めたらどうかという御意見もあったのでございますが、実はこの蚕糸業界におきましても民間団体ベースでいろいろ問題の検討なり技術交流なり、まあ技術交流と申しましても、実際上は向うからこちらが学ぶべきものがあるかどうかわかりませんけれども、とにかくいわゆる技術交流の問題なり、そういうこともからみ合わせて、相互に意見の交流をし合おうという動きはだいぶ前からございますが、いまだにその話し合いの土俵が実現するに至らないという現状でございます。しかしながら、個々の話といたしましては、先ほど来、中共をごらんになった委員の方もおられるようでございますが、そのほかに、たとえば蚕糸関係でも製糸の指導などが若干向うに出ております。そういう場合の技術指導という形でメーカーが行なっておるような事態もございますので、現段階におきましては、そういう方々の実地見学のお話を聞かしていただきまして、それによって何らかの推定あるいは推測を下すよりしようがないという現状でございます。今後もそういう方々の意見を参考にいたしまして、まあ皆目わからないという状況からできるだけ推測でも出していきたい、目下のところはこの程度を申し上げる以外に方法はないかと考えるわけでございます。
  105. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 実地に見学された方々を参考にして、いろいろお話を聞かれて進めていきたいというお話の内容のようでございますが、私はそうじゃなくて、政府機関の人たち、その人たちが積極的に乗り込んでいって、技術面も生産面も、はっきりこれは知っていかなければならないのじゃないか。そうしなければ、将来の日本養蚕業も、蚕糸業の問題につきましても、他の国と中共との面においてもやがては劣っていくようになるのじゃなかろうか、こう思うわけです。また、価格安定法の面からいきましても、日本価格が安定してしまう、高値の価格が安定してしまってその線から出ないということになりますと、中共は日本の実態をよく知って、むしろこの範囲の品物をこの範囲の値段で入れればいいんじゃないかというようなところで、先ほど中村委員の指摘されたような問題も出てくるのではないか、こういう点を憂えるわけですが、この点につきましても大臣のお考えをひとつ伺っておきたいと思います。
  106. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) いま中共の養蚕の実態、それから韓国の実態等もありましょうが、特に中共のほうとしては、現在の状態では役人が出ていけないので、調査にいけないので、たいへんその点はむずかしいのです。しかし、そうかといって、これはおっしゃるとおりなかなか大事な問題ですから、これはやはり民間においてそれぞれやはりいろいろの点をやっていただきたい。たとえば漁業問題にしても日中漁業協定というのをやって、この前も協定を結んできたような関係もありまするし、いろいろございまするが、それぞれの方法がございまするので、この漁業の面についてもまた一面それぞれ中共のほうに出かけており、現在たとえばお米の問題とか、あるいは硫安とお米との交換ということはありませんが、硫安の余剰を向こうへ輸出していく、そのかわり、米をまた輸入するといったような問題についても、国会議員の方が中に入ったりして、非常にそれぞれ話を進めていただいておるようなわけでございます。そういう場合、そういうときには特別の関係でまた出かけ得る、そういう面から出かけるようなわけでございます。こういう養蚕の問題についてもお説のとおりやはりよく実情を把握する必要があるとこう考えております。
  107. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 事業団ができまして、事業団は今度その点に対してどういうふうになるのでしょうか。政府機関——やはり同じような見解ですか。
  108. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) その点はよく検討を加えます。検討いたします。積極的に……。
  109. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 それはぜひ積極的に研究をして実践に移していただきたいと、こう思うわけでございます。そうしませんと、輸出等の問題というのは将来大きな禍根になってくると思う。今度の価格安定法をせっかくやったことが大きな禍根になることを非常に憂えるわけです。その点をお願いしておきたいと思います。  それから、私に与えられた時間が少ないので、今度の日本輸出生糸保管株式会社日本蚕繭事業団との両会社事業団とが解散することになるわけですが、一つのものが解散していくということになりますと、いろいろな問題点が残されてくるのじゃないかと思います。こういう点につきまして、万遺漏なく手続が完了されることであるかどうか、一応念を押しておきたいと思うのであります。
  110. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) この移行の問題でございますが、経過的に申しますと、いろいろ各種法律の条文その他の関係で、安全を見ますと、大体半とし、法律施行の時点から発足するまで半としかかるという計算の上で、実は先般の臨時国会にも御審議をお願いしたわけでございますけれども、そういう当初の目的からしますと、だいぶ日にちが切迫しております。そういう意味で、当初安全、完全に大事をとって移行するというたてまえに、若干の事務的無理はあろうかと思いますけれども、しかし、実態的にはそれほど無理もなく新設し、解散するということもできる見通しがついておりますので、いろいろな面で混乱なく、おそらくは当初予定どおり来年の春から条件が整えば運び出せるような態勢には持っていける、こういうふうに考えております。
  111. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 引き続いて、それについてお伺いしたいのですが、事業団法の第十四条だとか、第二十三条の役員の数だとか、また、現行安定法等の保管株式会社日本蚕繭事業団との人的な相当差があるわけです。こういった点について、今後発足される事業団がこれをどういうふうな様相で、早く言えばまとめていくのかどうかということなんですが。
  112. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) 御質問のとおり、現存の蚕繭事業団保管会社、これと今度できます事業団との総人員その他若干違います。それから職員の待遇等にも若干の違いがあるわけでございますけれども、これらのことを勘案いたしまして、できるだけスムーズに新事業団ができるように、われわれとしては努力をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  113. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 技術面の点も新しく今度はできるように思われるのですが、こういう点につきましても将来間違いのないような方向でいっていただきたいと思うのであります。さらにこの二十四条の、運営審議会及びその二十五条による委員の件でございまするけれども、この委員の方々が将来大きくこの事業の、早く言えば推進をしていけるようになるわけでありますが、この委員の構成十五人をどのような編成でなさっていくか、その点についてお伺いしておきたいと思います。
  114. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) 運営審議会の委員は十五人でございます。これは御存じのとおりでございますが、大体おそらくこれは新しくできました機関責任者が選任するのでございますけれども、予想される範囲を申し上げてみますと、やはり養蚕関係、それから製糸関係——これは会社で言えば大きな二つの株主になるわけでございます。そういうところが相当人数を占めることになるんではなかろうかということがまず考えられます。それからいわゆる輸出関係の問屋の代表と申しますか、そういうもの、それから国内流通の問題で地方問屋、それから輸出商、それから生糸を原料として絹織物をつくって輸出する、あるいは国内で使う織物業者、それから学識経験者、こういうところからそれぞれの適当な人数を選定いたしまして十五人にする、こういうことになろうかと考えております。
  115. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 生糸の標準売り渡し価格等とか買い入れ価格等とか、基準を勢いきめていくようになるわけでありますが、この運営委員会にはかられてやっていくのですが、この任期が二年でございましたか。−二年でありますね。二年の任期でいいかどうかという、この点について伺っておきたいと思います。
  116. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) まあ任期の問題につきましては、考え方によりますと、まあできるだけ長いほうがいいという考え方もできようかと思いますけれども、再選ということもあるわけでございますので、大体一般的に二年ということをきめておけば、事実上運営には支障がないのではなかろうかと、こういうふうに考えます。
  117. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私の質問は以上で終わりたいと思いますが、農業基本法選択的拡大の中にこの蚕糸事業予算等の問題も取り上げられて、今後大きく、農林大臣のおっしゃっているように、発展をするために大きく努力していただくということでありますが、常にどの地域に行きましても貧しい農民の人たちが私たちの需要をまかなってくれている、その人たちを私は忘れてはならないと思うのであります。こういう面から考えていきまして、ただ計画だけで終わるのじゃなくて、そういう最末端の方々にどのようにあたたかい手が差し伸べられるか、どう今後それを生かしていくかということが私は大事なことじゃないかと思います。これは私が申し上げるまでもありませんが、常にそういう方々の立場に立って法の精神も施策もやっていただきたいということを希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  118. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 答弁ありますか。
  119. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 一言、大臣……。
  120. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) ただいま御希望をお述べになりました点でございますが、全くそのとおりに存じております。真剣に取りかかりたいと思いますので御了承願います。
  121. 武内五郎

    ○武内五郎君 きのう来同僚各位から、いろいろな方面からの質問がございまして、私の聞きたいこともだいぶ重複の点もあるようでありまするので、それを避けつつ二、三点にわたってお尋ね申し上げたいと考える次第であります。  きのう、きょうの質問の多くの問題の中で最も重要な問題は、今日、かつて日本の重要な産業であった養蚕、製糸、この産業が年々衰退の形をとってまいりました。しかも輸出の大宗であった生糸が最近著しく減退の形が見えてまいり、まことに憂うべき状態になってまいりましたのですが、端的に申し上げまして、農林大臣はこの原因を何であるとお考えであるか、それをお伺いしたいわけでありますが、ひとつ端的にお話願いたいと思います。
  122. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 養蚕生糸が一時の非常な盛況からここまでまいりましたことの端的な原因と申せば、やりは人工——人絹とか、あるいは石油製品、いろいろ名前はありますが、そういう、いわゆる総称的にどう申しますか、そういう工業繊維、化学繊維の発達というものが、これは大きく影響しておるものであろうと存じます。それが一番大きな問題じゃないかと思います。  ただ、最近ここまで減少いたしますというと、今度はもうこれで底をついたような感じになりまして、むしろ、天然繭糸としてのすぐれたところが非常によく認められつつある。こういうことであって、非常に大きなものがずっと下がったのでございまするが、今後はこれより下がらないで、今度はほんとのいいところがずっと伸び上がろうとしておる曙光であると、こう考えております。
  123. 武内五郎

    ○武内五郎君 まあそれも一つの要素ではあろうと存じます。かなり強い要素であると考えまするが、何といいましても、私は繭の価格生糸価格が不安定な状態に置かれておることが大きな原因をなしておるのではないかと考えざるを得ない。  できるだけ、私は、話を簡単に申し上げたいので、いろいろ申し上げたいのですが、超スピードで進みます。  本年の六月にスイスのチューリッヒでインターナショナル・シルク・アソシエーションの大会がございました。そこで、これには世界じゅうの二十六カ国の約三百名近い代表が参加いたしました。日本からも、あるいは中共、韓国等からも参加されて・約五日間にわたって討議が行なわれたのであります。その討議の中で、私どもがきわめて関心を持って、重大なる考えで対処しなければならない問題が実はあるのであります。それはほとんど、日本のシルクをできるだけボイコットしようという考え方が強くあらわれた。中共その他の生糸生産国日本生糸と競争させて、安い絹をそこに仕入れようという考え方が非常に強く出ておったといわれる。特に私は、その中で、その会議の二本の柱の一つは、インターナショナル・シルク・アソシエーションの会費の負担の問題、これは生糸の特に宣伝費の負担の問題、それから第二は、ほとんどといっていいくらいその発言日本の絹に対する攻撃であったということです。特に韓国から行った某代表、これは中共の参加を是認するならば、まず、宣伝費の負担と技術と情報の交換をしなければならない、この義務を負ってもらわなければならない、と言っている。これはまことにそのとおりだと思うのでありまするが、ところが、そう言っている肝心の韓国では、その負担すべき宣伝費は一文も出していなかった。そういう状態でありながら、日本のシルクに対する攻撃を韓国は行なってきている。私はこれは非常に重大な問題だと考えます。ことに欧米人の発言の大部分というものは、昭和三十三年前後における日本生糸の暴落、昭和三十八年前後における日本生糸の暴騰、この現象の中でとうてい安心して日本のシルクを買うことができないのではないか、というのが欧米人の大部分の考えなんです。私は、これは一つの現象である。要は繭の価格の不安定、生糸価格の不安定がもたらした一つのあらわれであると思います。  したがって、その大会に出席いたしました日本代表の何人かは、フランスのリヨンの非常に有名な工場があるそうですが、絹織り工場が。そこの視察に行ったのです。フランスは昔から日本のシルクがかなり入っている国です。日本のシルクを原料としてその工場が絹織物の生産を進めておるものと考えて、わが道を行くような気持ちで、日本の人々がその工場を見学した。非常にりっぱな近代的な工場の中に、機械がまことになめらかに運転されている。そうして、いろいろ今度は伺っておりますると、ここで日本生糸が使われているかどうか、どの程度まで使われているかどうかということを質問をしたら、ノー、ノーと言う。全然使われていない。私は、まことにこれは今日の日本生糸の生産状態を端的に物語るものだと考える。ことに昭和三十八年度における生糸の暴騰の大きな原因というものは、それはいろいろあったかもしれません、あったかもしれませんが、無謀な市場操作にあったんじゃないかと考える。ことに横浜、神戸における取引所を中心として投機的な操作が行なわれておったことは、これは否定できないのであります。私は、そういうようなことが日本の産業、重大な産業に大きな打撃を与えておるということを考えると、まことに重大、はだにアワを生ずる。それについての大臣のお考えはどうですか。
  124. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) ただいま武内委員からのお話はごもっともでございます。私が申しましたことの体制の中において、さらに価格の不安定ということがやはり貿易の面においては非常に障害になっておるんだと、したがって、まあ政府としても価格の安定をはかるべく安定対策を設けていろいろやっておりますこともそのとおりでありまするが、今回さらに皆さんに、この糸価安定両法案の御審議を願うのもその目的でございますので、武内さんの御意見どおりでございまして、確かにさように存じておるわけでございます。
  125. 武内五郎

    ○武内五郎君 そこで、それはまことに重大だと考えます。確固たる御決意で、まず日本産業の育成保護ということを重点にしてお考えになっていただくようにして、一業者や少数の投機を行なう諸君の利益だけを考えずに、日本の国民の、日本の農民の利益ということを重点においていただきたい。したがって、私の質問の中心は、やはり糸価の安定をどうするかということになってまいりまするが、これもいろいろな方面から御質問を申し上げたいんでありまするけれども、実は私自身も早く宿舎へ帰って休みたいものですから、(「賛成」と呼ぶ者あり)この今回の改革にあたりまして、蚕糸事業団の形成にあたりまして、特に今日までのいろいろな経験、その経験のいいこともあったでしょうし、あるいはまた悪かったこともあったでしょうし、端的にこれは悪いことは悪いと、よいところはやはり取り上げてその成長をはかっていって、日本の絹の産業の育成にやはり向かわなければならない、私どもそう考える。したがって、先ほど申し上げましたような、いたずらに価格の不安定を招来するような投機を行なわれる日本のシルクの市場のあり方については、これはもう断固として磐石の決意でひとつやっていただくことをお願い申し上げます。  その次に、そういうような外国との絹の取引の場合、主として外国との技術の研究交換あるいは日本のシルクの市場の開拓開発というような業務をやっておることと私は考えておりまするが、その日本の絹業協会のあり方をいささかお尋ねしたいと思います。  きのうもこの委員会に出た際、日本絹業協会は今日すでにマンネリズムにおちいっている、局長もそれを肯定しておる、そうだと私も考えるわけですが、きょう配付されました協会に関する資料がある。社団法人日本絹業協会生糸及び絹織物輸出振興事業費補助金を交付して、絹の主要消費国である欧米並びに豪州において、宣伝、新規消費の開拓、市場調査などの事業を実施するとともに、国内においては輸出絹製品の品質改善研究事業などを行なうものであるといって、政府から年々多額の補助が出ておるはずであります。今日、絹業協会の何といいますか、支所というんですか、事務所、外国における事務所はフランスアメリカ、ニューヨークとリヨンですかに置いてある。この協会は、私は先ほどのインターナショナル・シルク・アソシエーションの会議状況から判断いたしましても、一体そういう多額の金を政府からいただいておりながら、日本シルクの宣伝にどういう活動をしておるのか御調査になっておりますかどうか、それをお伺いしたいのであります。実は非常にこれは重大だ。マンネリズムの形が私はそこに出ているんじゃないかと考えるんです。この点は大臣は少し無理かもしれませんから、局長からひとつ。
  126. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) 日本絹業協会内容につきましてはこのリコピー、これは通産省から出たもののようでございますが、全部農林関係の補助金もひっくるめまして、昨日お配りしてございます。生糸輸出関係資料、これに統合してございます。輸出関係資料の一〇ページにございますが、いわゆる宣伝費の分担金その他、この協会といたしましては全体の経費が大体四億二千七百万くらいでございます。その中で、お話にございましたいわゆる国際絹業協会ISA、インターナショナル・シルク・アソシエーションでございますが、これに対しまする分担金は一億八百万ということに相なります。これは政府の補助金とは関係がございません。これはこの協会の構成員である関係団体がそれぞれ拠出をして出しておる経費でございます。それから政府の補助にかかる経費といたしましては、農林省から出ておりますものと通産省から出ておりますものと二つに分かれますが、合計いたしますと、この表で御理解できますように、国庫補助金といたしまして二億二千八百万、それに対しまして大体三割程度の協会負担と申しますか、絹業協会の団体拠出の自己負担と申しますか、要するに政府補助に足し増しをしまして、政府補助事業内容を充実して行なっておる金額が三億一千九百万でございます。そこで先ほどの国際絹業協会に対する負担金の一億八百万、それから政府補助にかかる宣伝事業費を加えまして三億一千九百万、合計四億二千七百万、これが四十年度の日本絹業協会計画になっておるわけでございます。  やっておる内容は、これもこの資料ページに書いてございますが、たとえばいわゆるシルク・ファッションショーの開催であるとか、それからニューヨークであるとか、あるいはフランスであるとか、そういうところの流行に関するいわば衣料関係の雑誌、そういうものにこのシルク製品の広告をやるとか、あるいは絹の宣伝映画をつくって上映するとか、それから百貨店であるとか、絹の宣伝販売活動に対する援助、それから絹製品の展示会でありますとか、あるいは新規消費分野の拡充のため、それぞれの地元の絹製品をつくっておるアメリカならニューヨーク、ニューヨークで綿製品をつくっておりますところに研究委託をいたしまして、生糸の消費分野の新しい面を開拓するための経費であるとか、それから生糸、絹の消費の実態の調査であるとか、今後の動向の調査であるとか、こういうことをやっておるわけでございます。
  127. 武内五郎

    ○武内五郎君 先ほど、申し上げましたように、日本の絹の宣伝と市場の開拓のための活動が行なわれなければならない仕事を持っておりまする協会が現地に事務所を持ちながら、その地方で行なわれた大会においては、日本の絹のむしろ逆宣伝の対象になっていかなければならなかったというようなことは、一体私はその機能の活動の成果に対しては疑問を持たざるを得ない。その中で、先ほども申し上げましたように、実は非常に具体的に先ほど来中国の絹はまだ技術が劣っておるからというような話も出ておりまするが、その大会を中心とした日本の絹に対する攻撃の中には、こういうことがある。日本の絹糸は練り減りがある、そういうような商品として致命的な攻撃を受けておる。しかるに、中国の糸についてはまことにほめておる。どういうほめ方をやっておられるかということは、昭和三十八年に日本生糸が暴騰してわれわれが日本生糸を買うことができなくて困ったときに、中国は多量にわれわれに供給してくれた、まことに感激にたえない。その上、日本生糸の持っている多くの欠点を中国生糸はこれを改良してきた。私はそういうことにぶつかってまいりますると、一方、斜陽産業だと言われて、農業政策の中でも成長作物だけは大きな成長を遂げ、強力な援助を受けて成長してきておる。生糸はほとんど日本農業政策から埋没した形になっておる。私はそこに農林大臣の磐石の決意を要求せざるを得なくなっておるのであります。ぜひひとつ御感想をお願いいたたします。
  128. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 武内委員の切々たる御意見に対してはよく感銘いたしておる次第であります。シルクの市場開発につきましても、先ほど申しましたいろいろの養蚕の技術開拓と並行して、これらの問題にさらに一そうの努力を払いたいと存じ、なお、この投機的ないろいろのことがあるといういろいろのお説もありましたが、取引所につきましても今後さらにきびしい態度で臨んでまいりたい、かように存じます。よろしくお願いいたします。
  129. 武内五郎

    ○武内五郎君 私もその磐石の御決意を伺って意を強くする次第であります。どうかひとつお互いにがんばりましょう。それで、ただ、私が先ほどそう言ったのも、だからといって、中国のシルクを目のかたきにしたり、あるいは韓国のシルクを目のかたきにしたりするようなけちくさい考え方で申し上げているんじゃなくて、しかもシルクの産業の中心というのが極東であります。多くの生産量を持つものは、何といっても極東、極東のわれわれが、中国も朝鮮も東南アジアも、あるいは中近東の諸君までお互いに手をとって、シルクの道を開拓しなければならぬのじゃないかと考えまするので、けちくさい考え方からじゃなく、もっと大きな考え方でひとつ対処していただくようにお願いいたします。決してシルク・ロードは夢に包まれたはだざわりのいい道じゃございません、今日。むしろシルク・ロードは険しい道であることを私どもは考えなければならない。  そこで、また価格の点に返ってまいります。特に私は繭を生産する農民の立場を考えていただきたいと考える。昭和三十三年の暴落の際に、農民は全く困った、繭の値段というものは全くこれはもう値段になっていない。ところが、三十八年の暴騰にあたっても必ずしもこれはよくなっていない。三十三年には繭が一貫目九百円台であります。これでは農民が生きていけるはずはございません。日本の農業の四七%までは大なり小なり蚕を飼っているのです。これがみすみす損をしていくことで、どうして農民に蚕を養っていきなさいと言われるかどうか。昭和三十八年の暴騰の際にさえも、ようやく千六、七百円から八百円の程度なんです。これでは農民に養蚕をやりなさい、絹は日本の大事な産業ですからやってくださいと、とうてい言われるはずはございません。私は、本年の四十八国会提出されました昭和四十年度において講じようとする農業政策の中で、その養蚕を取り上げ  ている個所というものはきわめて小さい、農業政策の重点、中心からはずれているのです。私は、日本農業政策をこの機会に真剣に考え直さなければならぬのじゃないかと考えておるのであります。農林大臣のお考えをお聞きしたい。
  130. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) いま申されることごもっともな点でございます。ただ、ここで御参考までに申し上げたいのでありますが、ごく最近でございますが、九月一日現在で、転業としての農業に対する農民的評価というのを、その農民自身に三万五千人のわずかでございますが直接聞き合わしたのでございますが、それをまとめたごく概数を申し上げますと、作物別拡大縮小意向というものを聞きますと、養蚕については一五・二%増加したいというので、減少のほうは七・六%減少している。でありますが、最近養蚕については、過去において確かにいま武内さんのお話しのとおりの状況でございましたが、最近の状態から言うと、いまの直接農家に聞き合わしたのでございますけれども、数が非常に少ないので、これはどうということはありませんが、二、三年前に比較しますと、ようやく養蚕もひとつやろうという気持ちがかなり起きつつあるという段階でないかと思われるのでございまして、この機会において、私ども先ほど来申し上げておりまするとおり、十分ひとつ養蚕並びに養蚕業の、蚕糸業の発展という問題に対してうんと力を入れてみたいと、こう考えておるような次第であります。御了承を願いたいと思います。
  131. 武内五郎

    ○武内五郎君 まことに価格の問題は、実はこの問題の中心だと思います。ことに農民にとっては今日の繭の価格は地獄の価格だと言われておりまするので、その点をよくお考えになって対策をお立ていただきたいと存ずる次第であります。それで、私の時間がもう切れるのだそうで、これでやめますが、これは局長にひとつ解明をお願いをしたいと思います。この事業団法の二十八条二項の「前事業年度における損益計算上の利益金から積み立てられた積立金に相当する金額に政令で定める率を乗じて得た金額の範囲内で、繭又は生糸の生産又は流通の合理化を図るための事業に対する助成を行なう」、その3に「事業団は、前二項の規定により行なう事務の遂行に支障のない範囲内で、あらかじめ農林大臣の認可を受けて、生糸の流通の円滑化を図るための生糸の買入れ、保管及び売渡しの業務並びにこれに附帯する業務を行なうことができる。」、こういうふうになっておりまするので、これは私はこの事業団の業務の重点だと考えますが、ここで解明をお願いしたいことは、かりにここで剰余金ができたものに「政令で定める率を乗じて得た金額の範囲内で、繭又は生糸の生産又は流通の合理化を図るため」ですね、私は、この流通の合理化という問題がきょう二、三点触れました重要な問題に関係してくると考えますが、これらについての解明をひとつ願って、どういうふうにして流通を合理化していき、流通の円滑化をはかり、農民の利益になり日本生糸業の発展になるかということを解明していただきたい。私はそれだけでもうきょうは終わる。
  132. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) この条文は、現在の蚕繭事業団の法律にもこれに似た条文があるのでございますが、現在はこの条文と対比いたしますと、流通の合理化ということは入っておりません。もっぱら繭の生産の合理化ということだけでございますが、これはこの冒頭の第一条にございますように、「蚕糸業の経営の安定と生糸輸出の増進に資するため、」これこれこれをすることを目的とするという事業団の本来の目的を受けて、ややことばを追加して整理されているものでございます。そこで、今後ここへ流通の合理化ということで一体どういうことが出てくるかという問題になるわけでございますけれども、もちろんここにありますように、剰余金の中で、利益金の中で、これは積み立て金に一応回りまして、その中からまた一定率のものを助成に使えるということに相なっておりまするので、金額にも関係する問題でございますけれども、何に使うかということもまた、使用目的と金額が相関関係は持つと考えます。たとえて申しますと、想定されることを申し上げるわけでございまして、具体的にはそのときの金額、その時点、まあいろいろ具体化するわけでございますが、たとえば先般来問題になっております輸出の促進の問題、輸出の促進ということをはかるためにどういう形で利益金の相当額が使えるかというような問題が最も重要な問題ではなかろうかと、こういうふうに考えております。
  133. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 農林大臣に二、三点お伺いいたしますが、政府から出された資料を見ますと、昭和三十年度におけるわが国の輸出総額が二十一億三千万ドル、それに対して生糸、絹織物等の蚕糸類が八千三百万ドルであって、総体の二・五%を占めております。昨三十九年度は、輸出総額七十一億八千万ドルに対して七千三十六万ドルでありますから、蚕糸類の総輸出量に対する割合は一%に低落をしておる。しかも、この蚕糸類の外貨獲得のピークは、昭和三十五年度の一億二千三百万ドルをピークにして逐年大幅な減少を来たしておるという実態であります。同僚議員が取り上げましたように、たとえばヨーロッパ市場においての中国生糸の消費量がわが国の生糸のそれをしのぎ、さらに品質がすぐれておるという点、ことしに入っては、アメリカの長い好況の中におきながら戦後最低の輸出に転落をしておるという実態、一九五五年以降十一万トン程度にその全体が停滞しておるということ、衣料消費の高級化なり絹織物の需要が非常に強く、原糸は供給不足であって、最近中国生糸が一千俵を輸入しておるという事態、これらを客観的に見ますと、蚕糸業が逐次内需産産業化していく傾向の中で、日本農業の全般的な構造的解体の中で、養蚕が特にその構造的な大きな危機に直面をしておると指摘せざるを得ないのであります。まさに養蚕業は他の農業に先がけて、目に見えず音も立てないが大きな地すべりをいたしておる。そういうきびしい状態に置かれておると思うのであります。  そこで、いろいろお尋ねをいたしたいのでありますが、お尋ねの第一点は、要求いたしまして出されました資料「政省令規定見込事項等に関する資料」の中の三三ページ、昨年の九月に臨時行政調査会内閣総理大臣に出した意見の中で、この蚕糸局の——農林省の機構に対する意見及び日本産繭事業団に対する意見が出ております。これはこの資料に抜粋してありますから、私はこの意見をさらに繰り返しはいたしませんが、結論は、この意見としては、蚕糸局の事務の大幅な整理を行ない、その機構を縮小する方向で検討せよというております。また、日本産繭事業団設立されてから今日まで、本来の業務である法第二十三条第一項の事業は全くやっていない。したがって、これは廃止すべきものと指摘をいたしておるわけであります。私は、先ほど森中委員が指摘いたしましたように、この臨時行政調査会の意見とは反対の見解を持っております。農業の中で特に重要な作物であるということは、大臣の御答弁によっても明らかなことであります。しかるにもかかわらず、こういう臨時行政調査会が大きな問題を提起しておる。ということは、よほどのこれは前向きの姿勢で取り上げないと、私は第三者を納得せしむるに足るものではないと思うのであります。抽象的な問答では解決ができない。こういうふうにきびしい情勢に置かれておる中で、一体政府はこの蚕糸政策に本気に取っ組む意欲というものがあるのか。あるとすれば予算編成その他において具体的にはどういう裏づけがあるのか。単に新しくできる日本蚕糸事業団を従来の繭糸事業団の十億出資と、日本輸出生糸保管会社政府で出しておった三千万を合わせて、横すべりでここに新しく事業団をつくる。さらに製糸業界あるいは養蚕団体に民間協力を求めて五億ずつの出資をさせる。政府は何ら積極的にこれに対応する機能を発揮していない。これは冒頭に、十億、さらに政府の債務を完済することについての大かたの方向づけが出ましたから、私はこれをさらに重複しては取り上げませんが、一体こういうきびしい情勢の中で、農林大臣は、蚕糸局を決定的に圧縮をせよ、地方における取引所の機能というものをきわめてこれは規制する意見、あるいは大方の行政事務は地方庁に移管せよという意見、それを納得させるだけの——克服するだけの積極的な政策を持ち合わしませんと、国会におけるきょうの答弁だけでこれは事足れりとするものではないわけで、よほどこれは積極的に前向きな、あらゆる政府の与えられた限界ぎりぎりの予算を確保して、生産基盤の整備をするとか、輸出に対しても思い切ったその振興態勢の確立を期すとか、価格安定にしても、もっと政府の財政投資を前提とした、国民が納得し得るような機能の拡大につとめるとか、そういうことがなくしては、私は臨時行政調査会の意見というものは不本意ながらこれを容認せざるを得ない事態に追い込まれるんではないかとおそれるのであります。農林大臣はこういう素朴な意見に対して、どういうふうに説得するような内容をお持ちでありましょうか、お伺いいたします。
  134. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) この調査会の答申は、蚕糸業の地位が低下かつ将来の発展性が乏しいという見解から、蚕糸局機構縮小を述べておるのでありますが、この考えの基礎となった蚕糸業の現状に関する認識と判断は必ずしも正当なものと言いがたいのであります。また、かりに機構の整理縮小をやるということになれば、国際蚕糸業界に対する信頼の喪失、国内養蚕農家の生産意欲の阻害等、重大な事態を招くおそれが強いと考えまするので、慎重な態度をとる必要があると考えておる次第でございます。
  135. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 具体的にそれではお伺いいたしますが、一番新しい昭和四十年度の政府のこの蚕糸関係予算を見ますと、総額でわずか十四億程度であります。十四億のうち、生糸検査所はその半分に近い約六億、五億八千万が検査所に使われておる。この検査所の機能というものは、同僚議員によって指摘されたように、むしろ方向としては廃止すべき方向を私は主張するのであります。それは急速にはできないとしても、厳重なこれは行政における規制をしなきゃならない過当なこれはスペキュレーションの対象になっておる。これが健全な蚕糸業の発達を阻害しておる一大要因である。そういう投機の場に貴重な税金が五億八千七百万も使われて、あとの分は大体八億六千万でしょう。八億六千万のうち、それでは基本的に養蚕の振興をはかる費用にどれだけを見ておるか。養蚕対策費としてはわずかに二千二百万であります。技術改良としては五億九千八百万、約六億ありますが、これは養蚕の改良普及員を中心とする費用であります。何らここに、いま大臣が御答弁になった、納得し得るような積極的な養蚕の抜本的な制度刷新をうたうものが、予算としての裏づけがない。しかし、これは四十年のことでありますから、四十一年度はかなり期待するものがあるかと思うのでありますが、そういうような中で、私はどうも磐石の態勢か何か知りませんが、なしくずしに地すべりを起こしているという、これを阻止するような強力な行政というものが欠除しているのではないか。いや渡辺は非常に見当違いのことを言う、こういうことをやるのだ、積極的には、具体的にはかくかくの行政措置を講ずるのだ、だからあまり要らぬ心配はしないで、ひとつ積極的にその方向にやはり協力をしてくれというなら、私は喜んでその内容には協力をするにやぶさかではありませんが、一体どういうことが、こういう生産を停滞し、海外市場においてはマーケットをみずから縮小し、奨励金を出して根を掘り返したりまた植えつけたり。民間では政府の言うことの裏をかけば、農業に損はないという、そういう一つのサンプルに養蚕というものを戦前から取り上げてきている。こういう不信感の累積の養蚕というものを、磐石の国民の信頼にこたえるようなものにするには、私はよほどのこれは御決意がなければいかぬと思うのであります。具体的にはそういう点はいかなる御施策がおありなのか。農業基本法重要農産物一つである養蚕に対しては、国民の期待するようなどういう御決意があって、ここに新しい法律を制定し、新しい事業団をつくり、あるいはその特別会計の機能を発揮するのか、どういうことなのですか。ありていに言えば、私は、事業団に名をかりて政府蚕糸行政の責任を転嫁していると言わざるを得ない。どうですか。
  136. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) ただいま渡辺委員から蚕糸業に対する非常な熱意を示されたことに対し、私も同感でございまするが、この予算蚕糸局の予算として表面に出ているものだけでなしに、たとえば養蚕に関する技術導入資金というものには九億円入っておりまするし、構造改善事業としてはこれは四年間にだんだんふえるわけでありますが、三十四億、いま特に山村振興との関連においてこれはまた別に考えられてくるものであります。それから特別会計として五十億、現に蚕糸局として養蚕事業のためにあるわけであります。金融公庫としてもまた農業近代化資金等もこれは別途考えられているわけでございまして、蚕糸局の予算だけを見ると小さいようでございまするが、かような点から言いまして、かなりそう非常に姿勢が貧弱だというほどでもないと思うのです。ただし、お話しのとおり養蚕はさっき申しましたように、非常に困難な道を、皆さんがお話がありましたとおり、ときには減反もしたり、いろいろむずかしい事態を経過してまいりましたのでございまするので、そういうことからして、現在——ごく最近です。現在非常に増産とか、あるいは技術改良の、技術の発達とか発展とかいう点から見て非常に伸びてきている。そして農家の、先ほど申しましたように農家自身から言うても拡張の意思そのものを聞きますと、一五・何%というところへきているというようなことで、最近いろいろの意味からやはり養蚕はこれは進むべきであるという思想も、また、農村の意欲も出ておるときでございまするので、いろいろの困難な道をたどってきた私どものいろいろのことから、一般的には非難、批評をされておるということは、これは一般社会から見るとやむを得ぬことでもあると思いますけれども、私どもは決してそうは考えませんし、先ほど申したとおりでもあり、また、事実予算の面においても相当力を注いでいこうと、もっともこの養蚕が非常に山村振興その他と結びついて大きく浮き上がらそうとするところの考え方というか、機運というものが、ごく最近のことでありますから、初めからまた大きな予算を要請するわけにもいきません。山村振興のほうは、総合助成ということでいっておりまするが、そこで、養蚕には幾らということは出ておりませんが、相当大きな部面を、パーセントを占めて、そのほうに要求もいたしておる。こういうわけでございまするので、御了承を願って、わが日本の大切な養蚕業のために、さらに一段の努力を払いたいと思いまするので、ひとつできる限りの御協力をお願い申し上げる次第でございます。
  137. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 出された資料が、蚕糸関係予算一覧表ということから、私はこの表を見て伺ったのですが、それ以外に五十億とか三十億とかいろいろあるなら、それはやはり出して、十分理解できるような資料を出してもらわぬと、ぼくのような不勉強な者は、出された資料しか見られない。これは、いずれまた来年蚕糸のことについてお尋ねする場合に必要ですから、そういう関係のあるものは、どうぞ遠慮なしに出して、蚕糸関係予算の中に出して、ひとつ理解できるような資料をいただいて、その際に、また、この点についてはお尋ねをいたしたいと思います。  時間がありませんから具体的な質問をいたします。  事業団が新しく出るわけであります。この法律によれば、理事長、きのうも八木委員が取り上げたように、監事、これは大臣の任命、その他に理事四名とあります。以内ですから、おそらく四名満員でこれは考えておると思うのであります。この理事長なり理事というものは、従来の公社、公団にこれは共通する問題でありますけれども、悪口を言うようでありますが、官僚の古手の払い下げをもってしては、そのねらいとする公社、公団の機能を十全に発揮することがなかなか困難である。特にこういう日本蚕糸事業団のような、きわめて国際商品性の高いものを扱う公団の理事者は、きびしいこういう対外的な情勢の中で、市況にフレキシブルに対応する機能を持ったものでなければ十分にこの事業団の機能というものは発揮できない。他の国内的な公団以上に、これは、そういう機能が要請されるものだと思います。これは、理事者の資格の第一条件、絶対条件であるといってもよいと思うのであります。したがって、この新しく出てくるところの蚕糸事業団の理事長、理事、そういう最高責任者には、生産関係なりもあるいは流通関係なり、あるいは消費関係なりの、それぞれの分野における日本のトップレベルの最高度の有識者をもって充てるのでなければ、私はこの事業団の期待するがごとき運営は容易ではないと思うのであります。具体的に申し上げるつもりはございませんが、そのことについては、一体大臣は、いずれこの法律は間もなく成立するでありましょうが、直ちにそういう作業にお入りになるにあたって、主管大臣は、一体私の意見をどういうように御理解になられ、どう対処されようとするのか、その点をお伺いいたします。
  138. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) ただいまの御説ごもっともでございます。私は、適材適所主義で決定していきたい、かように存じております。
  139. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 適材適所主義ということで、私は具体的に、たとえば要求しまして出た資料日本蚕繭事業団の役員の名簿、経歴、それを見た上で申し上げたいと思います。現在の蚕繭事業団の理事長の略歴、あるいは理事の略歴等からみて、さらに、こういう方々を上回ったほんとうに適材適所というものを、非常に敏感なこういう経済市況の中に迅速適切果敢にその機能をトップレベルで果たさなければならないという場合には、この適材適所というものは最高度に、国民がみて納得できるような人材を充てなければならない。これ以上繰り返しては申しませんから、その点においては、せっかく国民が期待して誕生しようとするのでありますから、私がお尋ねをするその意図を十分くんで、単なる観念的な適材適所ということだけで、従来の弊に陥ることなく、役所につとめてかなりの経験をもっておっても、こういう非常に敏感な経済市況に対応していくというのは、私は、なまのやはり地場で苦労した、そういう経験者こそが最も適当であるということを、この際、意見としてつけ加えておきます。一体ここは職員は何名ぐらいで発足をするのですか。
  140. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) 大体発足当初におきましては、三十人弱で発足いたしたいと思っております。漸次また事業状況によりまして、若干ふえることも予想されますが、極力そういう面は節約することにいたしまして、平年度三十五人弱、そのあたりの見当で事業が可能ではないか、こういうふうに考えております。
  141. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 三十数名の職員に対して、理事長以下常勤理事四名、あわせて五名、頭でっかちではないですか。
  142. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) 大体構成といたしましては、横浜と神戸におそらく支所を置くことになろうかと思います。現在輸出生糸保管株式会社にも小規模な支所をそれぞれ持っておりますが、こういう現場と申しますか、こういうところも充実する必要がございますので、そういうところの長を理事をもって充ててしかるべきではないかということを考えておりますので、あと、まあ本社と申しますか、そういうところに総務、営業というような形で二名と、あと理事長、こういう考え方に立っております。
  143. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そうすれば、木所には理事長と理事二名、あとは出先に一名ずつ、こういう配置ですね。
  144. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) そういうことを考えております。
  145. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 出先では、大体一事務所何名職員がおりますか。
  146. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) これはまあ何名ぐらいずつ配置するかということは、発足までにいろいろ検討したいと思っておりますが、まあ本社にそれぞれ課も若干置きますので、出先につきましては、むしろ職員の数というよりも長の責任ということに中心を置きまして、そういう考え方から、陣頭指揮と申しますか、そういう意味で常勤理事をもってあてたいという考え方に立っております。
  147. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私はあまりもうこだわるつもりはありませんけれども、頭でっかちと言うたのは、これだけの小人数の世帯の中で、理事長のほか常勤理事四名とある。もちろん課制も敷くでしょう。管理職だけで、そういう実際の働きバチというのがきわめて少ない。こういうことでは私は人のために機構をつくったような一種の感すら抱かざるを得ないわけであります。これはまあ一つの意見であります。どうも少しよけいじゃないかという意見を申し上げておきます。しかし、法律を修正する段階ではもうないですからやむを得ないが、四名以内ですから、少なくともそういう意見があったということは、これは銘記しておいていただきたい。  それから、政府は、従来の経過の中で審議会の意見はかなり尊重してきて、今度の事業団をつくったようであります。しかし、私が見ますと、政府に都合のいいところは審議会の意見は尊重したけれども、なかなかどうも全部を取り上げていないようなうらみもある。たとえば生糸輸出振興対策というこの項目が、ことしの四月十六日に審議会長から大臣に答申されたものにある。その輸出振興対策の中で、日本蚕糸事業団生糸輸出の振興に関する重要事項を調査、審議するため輸出委員会を置くということがうたわれておるが、この点が蚕糸事業団の中に消えておるようであります。これは私の読み違いで、いやいやこれは事業団の中に、審議会の答申にあるように、輸出振興対策の大きな柱として輸出委員会を置いているんだという御注意があれば、私の質問はそれで済むわけであります。ないとすれば、一体いかなる理由でこれらの審議会の意見がここで現実には抹殺されておるか。その間の経過をお伺いしたい。
  148. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) 答申の内容は御指摘のとおりでございます。答申の内容に従いまして法律構成をいたします場合に、事業団の性格を考えました場合、輸出という問題に限定しましてここに委員会を置いて、輸出問題をどうこうするということは、必ずしも事業団そのものの法律構成としてはなじまないんではないかというようなことを考えたわけでございます。したがいまして、この事業団自体はこういう輸出委員会、あるいは輸出に直接タッチするという構想はとっておりません。しかし、この答申の趣旨にありますことは、しばしば申し上げましたように、委員会の必要があれば、まあ、たとえば一例でございますけれども、いろいろ現在のいわゆる綿業協会なるもののあり方についても御指摘があるわけでございますので、そういうものとの関連において輸出委員会等をつくり、それをどこに赴くかという問題につきましては、別個いろいろ今後の輸出対策とのからみ合いとの中で、答申の趣旨を生かしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  149. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私はいまの答弁にははなはだ不満であります。審議会は、少なくとも輸出委員会日本蚕糸事業団に置けと言うんです。なじまないとあなたはおっしゃる。しかしながら、われわれの素朴な考えは、輸出の窓口は一体どこにあるのか。新しくできる日本蚕糸事業団こそが輸出振興の一つの窓口として強力なものにこの機能を期待するこれは考え方に立たなければいかぬのではないか。日本絹業協会とかいろいろなものがありますけれども、それはもう有名無実であることは、同僚委員によって指摘されたことである。この際に、毛糸なり絹織物の輸出を増進するためには、輸出機構を整備することが喫緊の要務ではありませんか。そういうときにこの審議会の答申を尊重してです。日本蚕糸事業団にその委員会を設置し、その統一した機能を発揮してこそ、輸出に対応できる積極的な施策がこれは可能だと思うのであります。そういうせっかくの芽ばえが審議会の答申の中にありながら、なじまない云々でその委員会を抹殺したということは、はなはだこれは遺憾であります。  時間がありませんからもう質問はやめますが、お伺いしたい問題は、まだ、同僚委員によって取り上げられた以外にたくさんあるわけであります。たとえば、製糸企業というものを近代化しなければならない。再編成をさせなきやならない。これにやはり政府は勇気をもって立ち向かう行政指導の責任があるわけであります。それが一体どういうふうに政府では考えておられるのか。あるいは生糸の問屋なり機屋なり商社なりの段階での流通の合理化ということは、これがまた非常に重大な課題であります。これに一体政府はどういうふうに行政指導の立場から立ち向かわれようとしておるのか。それもお伺いをいたしたい点であります。まあ、それらは一切次の予算審議なり政策の場合にあらためてお尋ねをすることにして、価格の点についてもお伺いいたしたいのでありますが、これももう省略をいたします。  最後にお伺いしたいのは、事務的なことであります。この法律がこの十二月中に発足をしないと、新しい事業団なり、改正された特別会計の機能が春繭からこれは対応できないということ。そこで、われわれもこうして無理をして審議を急いでおるわけであります。かつて政府では、これを四十八通常国会に出された際には、いろいろな設立段階の事務的な手続をこの法律、商法に基づいて考えてくれば、三月中に蚕糸事業団設立して業務を開始する、四月から対応する機能を発揮するというスケジュールがまあ試案として出されたわけであります。しかし、その中には商法第二百四十五条の三による、いわゆる輸出生糸保管会社の反対株主の株式取得請求の手続として、株主総会の後三カ月を要するという点も、異論がなければ、これは期間は短縮されることを期待します。それらの点を圧縮してですね、あすの本会議でこの法律が成立したならば、三月中にこの事業団の業務方法書が整理され、基準繭価なり生糸価格決定され、輸出適格生糸特別買い入れの契約も締結がなされ、初年度の事業計画なり収支予算が作成されて、期待されるように四月一日からこの日本蚕糸事業団が発足できると、政府では太鼓判を押していただけますでしょうね。そうでないと、われわれのこうして無理をして審議を急いでおる意味が半ば消えるわけであります。春繭からぜひともこの法律に基づく事業団の発足をしなければならぬ、そういう大義名分に従って審議をすれば、まだまだ問題点があるにかかわらず、それを一切はしょってここで最終の質疑を終えようとする段階にあたって、その事務的な見通しについての御答弁をいただいて、私の質問を終わります。
  150. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) 御指摘のとおり、われわれ、これも先ほど一部御答弁いたしたと思いますけれども、前々臨時国会からお願いしておりますゆえんのものは、万全のかまえをもってという余裕を考えておったわけであります。と申しますのは、御案内のとおり、附則の第八条におきまして、株式会社である日本輸出生糸保管株式会社は、商法の手続に準じましてこの法律の施行の日から「二月以内に商法に規定する株主総会の決議を得て」と書いてございます。二ヵ月以内というのをまるまる見れば、ここで二カ月かかる。それから御指摘の、この法律で準用いたしております商法第二百四十五条ノ三の規定によりましても、株価の、株式の価格決定に、現在の保管会社の株主がその保管会社に対する株を売り渡す場合の決定に不服があるときには、九十日以内にその支払いをなすことを要すという意味の条文がございます。これを算術的に足してまいりますと、二カ月それから九十日、これで大体五カ月、それからその他の諸準備で一カ月ということで、六カ月ということを申し上げておったわけでございます。そこで、事実上短縮できますのは、御指摘のとおり、たとえば第八条の「二月以内」、これを二週間以内くらいにもう株主総会を開く準備を進める。あるいは商法の九十日以内というのも、事実上問題がなければこの規定は発動の場合があり得ないわけでございます。そういう意味で法律論的には、法律の形式論的にはいろいろ問題があろうかと思いますけれども、事実問題としましていろいろそういう問題を起こさないような事前準備を進めてまいりますれば、大体四月一日ないし五月、したがって、事業団事業開始は来年の六月一日に間に合うような手続で事業団設立が可能であるというふうに考えております。
  151. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 六月に発足して、春繭に十分な機能を対応できますか。
  152. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) 事業団は六月以前にできていなければなりません。いわゆる買い入れ価格売り渡し価格、そういうものが動き出すのが四十一生糸年度、六月一日でございますので、それで事業団はもちろんその前にできていなければいけないわけでございます。そういう意味におきまして事業団設立完了いたしますのが四月、おそくとも五月一日、そういう方向で準備すれば、当初いろいろ御無理申し上げましたように、要するに四十一生糸年度の六月一日から事業開始の態勢に入れる、こういう意味でございます。
  153. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 国会でもこれはかなり無理をして春繭から対応させるためにやっているのですから、行政指導その他もやはりそれにこたえるような万全のそれこそ措置を講じて国民の期待に反することのないようにいたしませんと、何のために大みそか前にこうしてやっているかわからぬですよ、その点は大臣、ひとつ特に御留意の上、期待する方向にこれはやってもらわなければこまるわけです。大臣いかがですか。
  154. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) この点は私も前から非常に心配しておる点でございまして、春繭からこれが実施できるように、この問題を提案するときから考えておりましたわけでございまして、したがいまして、いま渡辺委員から言われましたとおり、厳格にこれができ上がるように督励いたしたいと、こう存じておりますから、よろしく。
  155. 森中守義

    森中守義君 私の質問が終わったあとで、私のきのうお願いした資料が出ました。たいへんどうも時期がおくれてすみませんけれども教えてください。綿業協会の海外に派遣されている農林省の職員が二名、これは資料で出ております。それから、綿業協会の本部にたしか十五名農林省からおいでになると、こういうことのようですが、その初のいきさつを——なぜ綿業協会に十五名も人を派遣しなければならぬのか。さらにまた、海外に出す場合、たとえば各国に出している、農林省が外務書記官で出しているのですね。そういうかっこうのものでは出せないのか。綿業協会にどういう意味で出しているか。これはまた後日、予算なり何なりのときに、定員の問題とも関係がありますから詳しくお尋ねしますが、大体わかっている範囲だけでもよろしゅうございますからちょっと教えてください。
  156. 丸山文雄

    政府委員丸山文雄君) ただいまの御質問の、綿業協会十五名というのは、これは出ておりません。これは何かのお間違いではないかという気がいたします。この表で整理しております。一番最後の表の「日本絹業協会派遣職員名簿」のアメリカ。ニューヨーク事務所一名、農林補助事業にかかる生糸需要増進事業、それからリヨン事務所に伊藤というのを派遣しておりますが、これはいわゆる役所の身分のままで行っておるわけではありませんので、ここに整理いたしました趣旨は、実質的にはまたこちらへ役人として戻るということがありますので、こういう整理をいたしておりますが、しいて言いますとこの二人でございますが、絹業協会にはほかには派遣いたしておりません。
  157. 森中守義

    森中守義君 それは私のひょっとすると聞き違いかわかりませんから、一回聞いたことですから、なお私どもも少し念を押してみましょう。  それからいま一つ、これはもう何回も言われたことを重複するようなことになりますけれども、こういう法案審議する、こういう時期等が一つの整理の時期ではないかと思いますので、特にあまり耳ざわりのいい話じゃありませんが、端的にお答えいただきたい。と申しますのは、少なくとも今日のこの種産業、あるいは業界というものは、正常であると私思いません。そこで、一体なぜこういう状態になったのか。きのうきょうあたりの政府側のお話を聞いておりますと、今回の二法案によって一応正常化していきたい、こういうことがたびたび強調されておりますが、本来ならばこういう立法措置、あるいは法改正、こういう時期にならずとも政府の適切なる指導監督、あるいは措置、そういうものが行なわれたならば今日こういう状態には立ち至らずに済んだのではないか、私はそう考えます。  それで、一体何が原因であるか。簡略に言うならば、蚕糸行政自体が非常に弱体であったのではないか。あるいはまた政府全体としての政策がこの種問題を片すみに追いやっていたのではないか。あるいはまた、企業家の投機行為になれ合いになってしまって、これを抑制するという、そういう措置を講じていなかったのではないか。大体この三つくらいに要約をして、私はこれから先の問題を見ていきたいと、こう思うのですが、もし私の三つに整理をした内容が見当はずれであれば、そのとおりのお答えでもいい。まあ、しかし、この三件のどれかに、あるいはどれにも関係があるかわかりませんが、農林大臣からひとつずばり答えてもらいたい。もちろんこういうことは後ほどの討論の際にも触れることになるかと思いますが、一応質問ということで、この三点を確かめておきたいと思います。
  158. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) いま、三つのいろいろの原因を申されましたが、どれがどうということは、私としてもはっきりしませんけれども、要するに、いろいろとやっぱり原因が相まじわっておったものだろうと、こう存じまするので……。
  159. 森中守義

    森中守義君 なかなかそれはむずかしいお答えでしょうが、ひとつそれらのことを一ぺん事務当局のほうもよく検討されて、また、後日の委員会で、この辺のことをいろいろと話し合うことにいたしましょう。けっこうです。
  160. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 御異議ないものと認めます。  それでは繭糸価格安定法の一部を改正する法律案について討論に入ります。  御意見のおありの方は、替否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  繭糸価格安定法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  163. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、日本蚕糸事業団法案の討論に入ります。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  日本蚕糸事業団法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  165. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  渡辺君から発言を求められております。これを許します。
  166. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 ただいま可決されました日本蚕糸事業団法案について附帯決議案を提出いたしたいと思いますので、御賛同を願いたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)  案文を朗読いたします。
  167. 仲原善一

    委員長仲原善一君) おはかりいたします。渡辺提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  168. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 全会一致でございます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、坂田農林大臣から発言を求められております。この際、これを許可いたします。
  169. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) ただいま賜わりました附帯決議につきましては、政府として十分にその趣旨を体し、誠意をもって善処することにより、蚕糸業の振興に遺憾なきを期する所存でございます。よろしくどうぞ。
  170. 仲原善一

    委員長仲原善一君) それでは、ただいま可決されました二法案についての諸般の手続につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  171. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時五十七分散会