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1966-06-23 第51回国会 参議院 内閣委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十三日(木曜日)    午前十一時四十七分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         熊谷太三郎君     理 事                 柴田  栄君                 八田 一朗君                 伊藤 顕道君                 北村  暢君     委 員                 石原幹市郎君                 源田  実君                 船田  譲君                 三木與吉郎君                 森 八三一君                 山本茂一郎君                 山本伊三郎君                 鬼木 勝利君                 多田 省吾君                 中沢伊登子君    国務大臣        国 務 大 臣  松野 頼三君        国 務 大 臣  安井  謙君    政府委員        総理府総務副長        官        細田 吉藏君        総理府人事局長  増子 正宏君        総理府恩給局長  矢倉 一郎君        防衛庁長官官房        長        海原  治君        防衛庁参事官   鈴木  昇君        防衛施設庁長官  小幡 久男君        防衛施設長総務        部会計課長    大浜 用正君        防衛施設庁施設        部長       財満  功君        大蔵省主計局次        長        武藤謙二郎君        電気通信監理官  畠山 一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        大蔵省主計局給        与課長      辻  敬一君        日本電信電話公        社厚生局長    飯森  実君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○昭和四十年度における旧令による共済組合等か  らの年金受給者のための特別措置法等規定に  よる年金の額の改定に関する法律等の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付) ○昭和四十年度における公共企業体職員等共済組  合法に規定する共済組合が支給する年金の額の  改定に関する法律等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○防衛庁設置法及び、自衛隊法の一部を改正する法  律案(第三七号)(内閣送付予備審査) ○防衛施設周辺整備等に関する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  恩給法等の一部を改正する法律案昭和四十年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案昭和四十年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  前日に引き続き、三案を一括して質疑を行ないます。  なお、関係当局の御出席は、安井総務長官矢倉恩給局長大屋敷恩給問題審議室長園部日本専売公社職員部長飯森日本電信電話公社厚生局長中西日本国有鉄道厚生局長畠山郵政省電気通信監理官辻給与課長、以上の方々でございます。  御質疑のおありになる方は、順次御発言を願います。  速記をとめて。   〔速記中止
  3. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を始めて。
  4. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 前回に引き続いて恩給問題をお伺いいたしますが、時間の関係もございますので、従来総務長官恩給局長を中心にお伺いしてまいりました満・日ケースの場合の問題点の一点に集約して一点だけお伺いいたしたいと思います。  この問題については私はしばしば申し上げておりますように、数年にわたって本委員会において論議してきたところでございますが、政府としては、恩給支給上、公務員でない期間を公務員に準じて扱うかいなかの基準については、一つとしては、この機関国家機関に準じたものであるかどうか、こういう点が一つ。また二つには、政府人事交流があったかどうか、こういう点にあるということを再三論議してまいりました結果、満鉄の本質が政府機関であるということについては政府も確認してきたところでもあり、また、日本政府は国策として必要な際には命令によって大量の朝鮮総督官吏——これは日本官吏ですが、人事交流を行なってきたのであるから、この点も解決済みであると言えるわけであります。また政府は、擬制だから厳格に取り扱わねばならぬと言っておるわけでございますけれども、満・日も日・満・日も擬制であることは全く同一であるわけです。そこで最後の論点であります満州転出政府要請に基づくから自由意思で行った人と差別をつけるというこの点については、事実誤認に基づく判断であって、誤った結論であるからこれを正しく認識していただけばおのずから問題は解決する、こういうことについて前回あらゆる観点から論議を進めてまいったわけであります。  そこで、この問題を結論的に申し上げると、現行法規内における不均衡是正でありますから、ことさらむずかしく考えないで、これは他に波及するところが大きいというふうな御答弁もございましたけれども、これは現行法規内における不均衡であって、決して他に影響するところはないと、そういう点が確認されましたので、すみやかに日・満・日、日・満との均衡をはかっていただいて、公平な通算措置を講ずべきである、こういうことが結論的にお伺いできると思うのであります。したがって責任ある総務長官からこういう要約したお尋ねに対して、ひとつ政府の誠意ある前向きの結論的な御答弁をいただきたいことを強く要望するとともに、この点をお伺いいたしたいと思うわけです。
  5. 安井謙

    国務大臣安井謙君) いま日・満・日とあるいは日・満という関係と満・日の場合の通算関係については、これは法規的に不均衡是正がされるべきであるという伊藤先生の強い御主張は十分に拝聴をいたしておるわけであります。私どもこの問題につきまして、ただいままでしばしば御答弁も申し上げたような次第でありまして、十分に考えなければならぬと思いますので、これはひとつ先ほども申し上げましたように、でき得る限り均衡是正がはかられるように、今後できております恩給審議会等を通じまして私たちも努力をいたしていきたいと思っております。同時にまた、その際に、たとえば満・日が日・満同様に通用されるということになりますと、これは満だけの場合は一体どうかという問題も私は起こってこようかと思います。そういう問題もあわせて検討していきたいと思います。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この問題が満だけの問題にも影響するのだという意味のいま御答弁があったわけですが、これが全然現行法規から範疇の違うものであって、何ら満だけで云々ということは、恩給公務員施行されていない満鉄等においてはこういうことは全然考えられぬわけです。いま私が申し上げた満鉄等政府の、言うなれば、代行機関である、擬制であるからという点から考えても、満だけの問題はこれは別個の問題で、社会保障的な問題であって、この社会保障を進めなければならぬということは、これはまた別の論理になるわけです。ここでは恩給法範囲内においての論議を進めておるわけであって、社会保障的な問題としては当然考えられましょうけれども、これは恩給とは全然関係のないものであって、したがって、これは長官配慮されておるように、この問題を日・満あるいは日・満・日と均衡することにおいて満に関係するという論理は成り立たぬと思う。これは恩給法上の問題としては問題となり得ないと思う。これは社会保障的な問題であって、これをそういう角度から論議すれば話は別ですが、少なくもここでは恩給問題として論議を進めておるわけです。事、恩給という制約の範囲内でこの問題が満だけのものにも影響を及ぼすということはあり得ないわけです。そういう認識ではなくして、私が繰り返し申し上げた幾つかの問題を集約したことにひとつ考えをいたされて、ぜひ最終的な政府の回答としては、私がいま恩給局長を通じても申し上げましたように、これは現行法規内における問題であるということなので、この際、日・満あるいは日・満・日の不均衡是正という考え方に立って、早急にひとつこの調整をはかるという前向きの姿勢で最大限努力をされるよう、このことをひとつ明確に確認をいただけないと論議はなかなか進まぬと思うのです。ひとつ最終的にそういう意味の御答弁をいただくことによって、私ども不満ではございますけれども、一応了承したいと思う。
  7. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 満の場合だけというのは、この日・満あるいは満・日が同じレベルにあるということになりますと、そういった議論の派生する余地もあるかということを念のために申し上げたのでありまして、いまその問題とからんで私どもこの処置をしようというつもりは、いま伊藤委員の言われたとおりございません。でありますから、いまの伊藤委員に対する御答弁といたしましては、この現行法規内における不均衡是正という強い御主張を十分に政府は受け取りまして、さらにこれを恩給審議会にはかって、公平な通算措置がとれるようにひとつ今後は努力していこう、こういうつもりでございます。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 どうもちょっと弱いのですがね。恩給審議会にはかるということは、もちろん政府の自由でありますけれども現行法規内におけるこの日・満と日・満・日の場合は、恩給審議会答申を得て結論を出したものでないわけですね。その問題は恩給審議会で討議されて、そういう答申に基づいてそういう結論が出たということであれば話は別ですが、しかし、ひとつ今後は恩給審議会にかけるということであれば、これもやむを得ぬと思いますけれども、単なる努力でなく、ひとつ最大限努力をしていただきたい。努力にもピンからキリまでありますから、ひとつ最大限努力をして、この解決のために前向きで取り組む、こういう決意のほどをひとつ最終的にお伺いしたい。
  9. 安井謙

    国務大臣安井謙君) キリでなくてピンのほうの最大限努力をいたしたいと思っております。
  10. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 恩給法質疑に入るわけですが、国会も終末に近づいてきておりますし、総務長官の時間が一時にまた文教委員会ということですから、緊急な問題ですね、ちょっと自民党の理事にも了解を得ましたので、恩給法関係ないやつを総務長官だけにひとつお伺いしたい。  これはもうすでに御存じILO八十七号たな上げ部分公務員制度審議会においてすでに答申をされたと称して政令を出されましたが、それはもう結果としてわれわれとしては不満でありまするが、出た以上それの運用について、特に質問というよりも要請をしておきたい。  御存じのように、戦後、公務員関係労働組合の動きというものは幾多変遷をしてきております。御存じのように、この二十年間いろいろの変遷を経てきましたが、一応われわれ見るところによれば、安定したコースに進んでおると私たち見ておるのです。その際に、ILO八十七号批准に伴って出される政令自体にやはり考えてもらわなくちゃならぬ問題が多々あると思う。たとえば管理職範囲の問題、交渉方法の問題等重要な問題があります。時間がまあわずかでありますから結論だけ申し上げますが、管理職範囲でも、これはまあいろいろあなたのほうとわれわれの見方は違うけれどもILO八十七号に対して違反しておるという点もあるのですが、これは一応議論は別として、運用上やはりそれは十分考えておかなければ職場自体混乱を来たすきらいがあると思う。したがって、少なくとも総務長官として、政府の閣僚として政治の第一線の指揮をする人として、政党間においてはいろいろ問題はあるけれども、少なくとも公務員組合が今後どういう安定したコースを歩むかということを、十分ひとつ認識してやはり措置してもらわなくちゃいかぬと思うのですが、管理職範囲については、政府としては、いまのところどういう考えで出されるか、この点ひとつ。
  11. 安井謙

    国務大臣安井謙君) ILO八十七号条約の発効に関連しました国内問題の運用についての御質問でございまして、これは私も、山本委員のおっしゃるとおり、公務員あるいは公労協従業員当局の間というものは、でき得る限り円満にやっていくということは望ましいと思っております。また、いまも御指摘のように、逐次改良されつつある、これはどちらが悪いということじゃなくて、双方とも逐次改良されつつあるということも私ども認めておるところであります。したがいまして、先般、政令国内法に対する施行期日は発効いたすようになりました。これはまあ御承知のとおりの公務員制度審議会公益側委員全員一致答申、それに使用者側の大多数が賛成されたという形で成り立った答申でありますので、これはその措置をやったわけであります。同時に、まあしかし実施をするに際しましては、できる限り従来の円滑な労使関係というものをそこなわないという配慮は必要であろうと思います。施行をされます六月十四日の閣議におきましても、総理自身も、そういう点ではできるだけ円滑な実施をはかるようにという指示もあったような次第でありまして、私ども今後実施にあたりましては、十分円滑な運営ができるように、今後も心得ていきたいと思っております。  なお、この管理職の範四という問題につきましては、これは御承知のとおり、人事院がまず規則できめまして、そうしてそれによって、地方もそれに準じていこうということでございますので、いま政府がこういう範囲は妥当であろうとかあるまいということをあらかじめ申し上げることは、かえっていかがと思われますので、内容には触れませんが、精神は、いまおっしゃるように、できるだけ円滑にということを体して運用するようにしたいと思います。
  12. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 おっしゃるとおりに、国家公務員の場合は人事院規則、それから地方公務員の場合は条例ないしは人事委員会規則ということでやることもわかっておるのですが、やはり政府意図というものが支配的になりますから。きょうも地方行政委員会では同僚議員永山自治大臣にその点を一応ただしておると思うのです。何を言っても、やはり総務長官は元締めですから、あなたの思想というものは全般に影響するということで特に時間をさいてもらったのですが、管理職範囲におきましても、これはたとえの例でありますけれどもいなかの分校の学校小学校に行きますと、校長兼教頭、それから教師ということでほんの四、五名ほどしかおらない。そういうところで教頭は全部だめだということになると、もう組合は全滅する。全滅するのは、これはわれわれとしては問題ありますけれども、しかし、それらの人を、一体だれが待遇あるいは勤務条件等を、代表してこれを交渉するかということになると、非常に問題がある。また、一般地方公務員では大都市とか、県の場合は、私はその問題ないと思う。町村に行きますとわずかに三十人のところ、これ以上はいけないという、いわゆる管理職だと規定されると、それ自体全く壊滅状態になり、また、政府組合を壊滅するという意図であるなら別ですが、そうでないと思うのです。そういう場合には、その点は十分考えてやってもらわなければ、かえって、私は職場混乱を起こし、いままで対抗意識をなくしておったものが、お互いに対抗してくる、これは市町村行政なり、あるいは教育行政にも、相当私は悪い影響を与えると思います。それは組合が全く理不尽なことを指導しておるのだという時代はもう過ぎておると思うのです。その際、政府が、それに油をかけて火をつけるということは、かえって今後の組合運動に大きな逆転したところが出てくるのじゃないかと思うので実は発言したのですが、この点は十分政府自体も考慮してもらいたいと思いますが、その点管理職の点、もう一回聞いておきたい。
  13. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 御趣旨は、私もよくわかりますし、できるだけ円滑に今後政令施行に際しましてもやっていきたいということは、私自身もつとめていくつもりでおります。  それから管理職につきまして、いま地方小学校等の非常にきわめて数の少ない例、あるいはまた、学校に限りませんその他の機関の中にも、そういったような事情も存在するかもしれません。これは自治大臣あるいは自治省でもいろいろ配慮されておることであろうと思いますが、念のために申し上げますが、役職員であるならば、これはお入りになったって一向差しつかえない法律になっておるわけでもあります。でありまするから、そういったようなものの運営もありましょうし、また、その他どういう点があるか、具体的にいま私はどういう措置をするということは言えません。法律上でいうならば、この役員になる限りにおいては、別に何ら支障はないというような点もございますし、でき得る限り、そういう点も活用をして運営を円滑にはかっていくということに心がけたいと思っております。
  14. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その点は、わずかの時間でなかなか審議を尽くして質問もできないのですが、一口に言えば、私はやはり現状の事態というものを十分認識をして措置をしてもらいたいと思うのです。それが、はなはだしく教育行政なりあるいは町村行政に、大きな支障を来たしておるというならば、それはどこに原因があるかと言ったら単に管理職範囲原因を起こしておるのではない。別に私は、われわれのほうも反省をしなければならぬ場合もあるかもしれません、ことによっては。しかしまた、市町村なり、また長たる人反省を促さなければならぬ問題も多々あると思います。そういうところを糾明されて、管理職範囲さえこれを除いたら正常にうまくいくのだということにはならぬと思うのです。この問題強く繰り返しませんが、その点は十分政府としても考えてもらわなきゃいけない。  もう一点だけ、もう時間ありませんから、交渉の問題なんです。これが組合としては最も重要な問題であり、また、その交渉を受ける立場にある理事者についても相当これは大きい問題、したがって、交渉というものはこれはもうこんなこと釈迦に説法でありますけれども、その団体組合の各構成員意思がどう相手方に反映するかということ、これが交渉の要点です。外交も一緒ですが、それが何かそれに規制をしているということは、かえって私は一般大衆と申しますか、組合員意向というものが曲げられて伝わるということがある。これはかつて戦後、直後のときにはそういうこともありました、私経験したのですが、今日ではそういうことはありませんので、あの政令によってというところを見ると非常に制限を加えて、たとえば問題を指摘してやらなければ交渉に応じないとか、あるいは時間を制限するとか、こういうことは私はもう常識で判断もでき、問題によって私はそれは解決していく。かつては集団交渉ということで二昼夜も閉じ込めてしまって、そうして、うんと言わなければきかないというような脅迫的なものがあったと言われておりますが、そういうことは、まあ一応過去の問題として、きょうは私はそういうものは、問題が大きく出てくれば、これは避けられないと思うのです。ベトナムのデモじゃありませんけれども大衆運動というものは大衆意向というものが左右するのですから、代表者をどうとか、あるいは時間をどうとかいうようなかた苦しい規則をつくっても、規則をつくったことによって反発するということもあるのです。これは総務長官くろうとですからよく御存じです。そういうことも人事院総裁も言っておりますけれども、そういう点も政府は理解してもらいたい。それを強く抑えてくると、これは大衆運動ですから、抑えれば押えるだけ反発が強うございますから、この点もまだ実は規則もできておりません。これからつくろうということで各市町村あるいはまた首長においては考えておるようでありますけれども、この点は私は絶対に押えるような方法で、規則で規制しない。これは切に、特に私は総務長官に要望しておきたいと思うのですが、その点どうですか。
  15. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 交渉の問題につきましても趣旨は私、山本さんの言われるとおりであろうと、要するに、交渉手続をきめるということは、交渉が円滑かつ有効に行なわれるということのために必要最小限度のものをきめることであろうというふうに理解をしております。ただ、いまも御指摘ありましたように、集団交渉というような名のもとに相当不本意な交渉が皆無であったとも言えません。そういうものを今後律するということは、これは必要であろうかと思います。そのために団体交渉能力自体は非常に極端に制限するというふうな趣旨交渉手続のきめ方ということは、これは穏当じゃないと思います。また、政府としてもとるところじゃないと思っております。
  16. 北村暢

    北村暢君 山本委員質問に関連をして簡単に五分ぐらいのようですから、一点だけ御質問いたしますが、いま総務長官は、管理職範囲等については国家公務員の場合、人事院規則によって決定せられるということなんでありますが、私どももそのように理解しておるのですが、実際にどういうことが行なわれているかというと、この規則というものができる以前に、政府は、まあ行政当局はかくかくのものは管理職に将来なるであろうという想定のもとに、すでにたとえていえば四等級の者——しかも、その四等級の者で出先の支所長というようなものについては、組合を自主的に脱退するようにという指導が行なわれておる。これは、私は、まことに先走ったやり方であって、これはILO特別委員会のときにも私指摘したのでありますけれども、そういうことが事実上行なわれておるわけです。したがって、総務長官がおっしゃるように、人事院規則ができてから管理職範囲等について、しかも、総理意向もあり、運営等については、弾力性をもって紛糾の起こらないように処置したいと言っているのですが、その意図とは全く逆なことが今日行政当局で行なわれておるという事実があるわけなんですね。これは政府人事行政を行なう方針として人事局もできて、そういうふうなことを指導しているのか、していないのか。しているとすれば、これはたいへんなことですし、そういう事実があるということを御存じなのかどうなのか。私は事実あることを知っておるわけなんでありますが、そういう事実に対して、管理職範囲等について、人事院規則が出るまでそういう混乱を起こすようなことをやることもいかがかと思いますが、一体どういう考え方で指導されているのか、そこら辺のところを私はお伺いしておきたいと思うのです。特に政府の言っていることとやっていることとはどうも違うように私思うのです。したがって、総理府総務長官のおっしゃる、いま山本委員質問に対する答弁を聞いていると、非常にもっともらしく聞こえるのですけれども、実際はそうなっていないのじゃないかと、私はそう思っているのです。したがって、そこら辺の点について今後この管理職範囲の問題をめぐって、私は相当混乱するのじゃないかと思うのでありますが、この人事行政のたてまえから、どういう方針で臨まれるのか、この際お伺いしておきたいと思います。
  17. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 管理職範囲につきましては、いまも申し上げましたように、人事院は非常に慎重な態度でこれを検討中でございます。したがいまして、まだ結論も出ていないような状況でございます。ということは、やはり全体の実態をよくきわめて、そうしてなるべく現実に無用の混乱の起こらないようにという配慮もいたしつつやろうかと思っております。そういう際でありまするから、その人事院の解釈が出ます前に、政府がかってにこういうものであるべきだというような行政指導をするということは、これはもう決してあってはならぬことだと思っております。もしそういう事例があれば、私どもはこれは差しとめて、人事院規則が正式に出まして、それを円滑に運用するための必要な行政指導をするということは、これはあり得ると思いますが、それ以前に、そういういま御指摘のようなことはないように、また、事実あればそれはとめるようにいたしたいと思います。
  18. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いまの問題については、いろいろありまするが、時間もないので、今後ILO八十七号に伴う国内法運用について、特に総理府には十分われわれの意を体して運用されんことを希望しておきます。  恩給法の改正案に入りたいと思います。総理府総務長官の時間の関係もありますので、私は無理を言いません。したがって、いろいろありますが、特に総務長官にお尋ねしておきたい二点だけをまず先やりまして、あとはまた政府委員でもけっこうです。恩給法改正により、これは今回の改正にもありますが、恩給法のみならず、共済関係あるいはその他の年金関係、特に顕著なのは年金のスライド制の問題、恩給法第二条ノ二として、新たにわれわれとしては非常に期待の持てる条文が入れられました。これには相当問題点を私は含んでおると思うのです。  まず第一に、厚生年金法の改正にこれが入れられたのが始まりでありますが、特に恩給という制度にこれを取り入れられましたのでございますが、この中で問題の、「物価其ノ他ノ諸事情ニ著シキ変動ガ生ジタル場合」云々として、いわゆる年金改定、増額をしよう、こういうことの趣旨であると思いますが、これはどこがさしになるのか、どこがめどになるのかということですね。「著シキ」というのですから、「著シキ」には限度があると思うのです。一体政府としては「著シキ」というのはどういうことを考えておるのか、この点ひとつまず最初に聞いておきたいと思います。
  19. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 「物価其ノ他」と言いますのは、いろいろな条件を総合勘案して著しい格差が出た場合には、ひとつこれを直していきたい、こういう趣旨を今度新たに取り入れたわけでありますが、そのものさしにつきましては、いま御指摘のとおり、確かに非常にむずかしい要素がたくさんございます。したがいまして、結論的には、今度出しております恩給審議会でひとつこういう点についての具体的なめどといったようなものもひとつ御検討願って、それを根拠に合理的なもののきめ方をいたしたいと思っておるわけであります。
  20. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まあそういう答弁だろうということは予期しておったのですが、恩給制度審議会、これはまことにけっこうでございますが、やはり政府としては、この法律を出すには、ある程度のものさしと申しますか、私はそういうものが考えられておったと思うのです。ただ世論の反映でこの抽象的な条文だけを入れておけというわけではなかったと思います。フランスでは、御存じのように、賃金の上昇というものをものさしに、毎年改定するという基本的方法までもうたっておるわけですね。これであれば何ですけれども、ただこういう文章では抽象的にはなるほどわかるのですが、はたして、いつ、どういうときに上げてもらえるのかということは恩給受給者には全然わからない。そうすると、こういう条文は、一つの期待権というか、期待権ほどにもいかない、あわい望みだけ条文にうたったということしか考えられない。年金生活者の実情はもう御存じだと思いますが、いまのように物価が上昇している段階においては、五年もたてば全く価値が半減するという状態ですね。したがって、私の考えでは、毎年ということでは調査とか計算がなかなかむずかしければ、少なくとも隔年ごとに上げるような一つのシステムというもの、こういうものが私は必要であろうと思う。で、「物価其ノ他ノ諸事情」といっておりまして、このほかの条文も大体同じような文言になっておりますが、物価を基準にしてもよろしい。しかし、恩給あるいは年金の計算の基礎はすべて給与なり賃金です。賃金というものは物価その他の生活の事情を反映して社会的に決定される。したがって、私は、恩給であれば、旧官吏、公務員の給与の上がったというその事実によって変えていくべきだ、私はそういう一つの持論と考え方を堅持しておるのですが、この点についてはどうですか。
  21. 安井謙

    国務大臣安井謙君) まあいままでのベースの引き上げにあたりましても、やはり賃金といったようなものが大きな要素になっておることは間違いないと思います。しかし、まあスライドといわれることばどおり当たるかどうかは別としまして、いろいろな諸事情を考慮して、これからそのベースを直していくんだという思想を的確に法文に入れましたのは、御承知のとおり、今度が初めてでございます。そういう意味において数歩前進をしたという点は御理解いただけるだろうと思います。それじゃ、さらにその前進した点をどういうふうに具体化していくんだという問題になりますと、確かに賃金ベースというものが大きな要素になることは間違いないと思います。まあそれだけで機械的にきめるわけにもまいらぬというような状況もあろうと思いますので、そういった具体的な取りきめは審議会でひとつ御検討願う、と。しかし、まあ前向きで私どもはそういうものに踏み切ったというふうに御理解いただきたいと思います。
  22. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私はまあいろいろ問題——ILOも今度の祝日法の問題でも、いつも審議審議会という話が出るのですが、私は審議会ということについても、まあいわゆる民主的に一般の広い知識、学識経験者の意見を聞くということは一応納得はできるのだが、ある一方から見ると、もう年金のような明らかなものについてまで審議審議会いわれるのは、私は一つの隠れみのではないかという気もする、実際問題。政府がやるという腹になれば、別に審議会をつくってもよろしいです。意見を聞いてやるのは私は反対いたしませんが、もう意見を聞いても、いわゆる上げなくちゃならぬということは私はおそらくすべてが一致しておると思うのです。しからばどういう方法で上げるかということが一つの問題。そこで私は政府の決断を促しているわけなんです。私はここで、賃金の上昇によって改定する云々であれば私は非常に前進した条文だと見るんですけれども、「物価其ノ他ノ諸事情」ということは、全く私は政府の一時のがれの文言としか受け取れない。年金というもののまず規則なるものは私は賃金以外ないという考え方をしております。ほかの物価の事情、「物価其ノ他」といっても、そういうその他の事情は、すべて年金という限りその年金によって生活をしていくという前提に立てば、それ以外の要素といえば、これは一つの与件と申しますか、そう大きな条件には私はならぬ。また、ならぬというよりもそれにすべて含まれておるというのがわれわれの解釈です。恩給当局の専門家がおるから総務長官答弁でなくてもいいです。ひとつ専門家の意見を聞いてもいいのですがね。
  23. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 私のほうで今回この調整規定を置きましたにつきましては、ただいま総務長官の御答弁いただきましたとおりでございますが、御承知のように、いわゆる公務員給与が、いろいろな条件を加味して公務員給与の改定が行なわれているわけでございます。これと恩給との関係をどう結びつけるかという点については、御承知のように、最近の給与の実態というものが、この恩給が長い歴史の中で積み上げられてきております関係といかににらみ合わしていくかということがかなり技術的にも問題を含んでいるわけでありまして、公務員給与が増額改定をされたから直ちに恩給について増額改定をしていくかという点については、それなりにやはり問題がございまして、したがって、これからの恩給というものをそういう長い歴史の中で積み上げてきたものをどう見直していくか。そもそも恩給制度の基本は、先生も御承知のように、大体退職時俸給、それから在職年限というものを基本にして考えていくという立場に立っておりますので、したがって、退職時俸給というものが最近のようないろいろな条件の変化の中でどういうふうに見直していくか、そこに実質的価値の維持ということは必然的に課題になってまいりますので、そこでそういうふうな目から見ていく恩給というものと公務員給与というものをどういうふうに考えるか。ここらには必然的に私たちの事務ベースの段階で見る目のほかに、やはりそういった広い社会的視野に立っての審議会の意見も求めていくという一つの妥当性を私たちは考えまして、今回審議会においてやはりこの調整規定運用のしかたという問題について十分な討議をいただきたい、かように考えているわけでございます。
  24. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 きわめて意味深長、重大な発言だと思うのですがね。私は一つ考え方を出したのですが、そうすると、従来の恩給金額を決定する最終俸給そのものにも問題がある。長い歴史であるから、これは明治八年から続いておる恩給法であるから、それは言えます。われわれはそれがために相当反発をしておる。階級——官僚というのは階級制度における俸給制度そのものに問題があることは事実なんです。それは認めます。そういうものを超越して。この恩給年金を改めて、スライド制の際に取り入れて考えるという趣旨を含まれた発言であるかどうか、その点一つ
  25. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 御承知のように、恩給そのものが、基本的にはいま申しましたような退職時俸給ということと、在職年ということが基本に相なりますので、そこでその退職時俸給というものの見直し方が、やはり恩給制度の中ではいろいろな課題になるわけでございます。そういう点をひとつ大きな前提に恩給制度というものはございますので、それを今日の時点の中でどういうふうに光を当てていくかという点がやはり一つの制度の発展ということで考えなければなりませんので、そういう一つの連続の中における問題点としていかように措置をしていくかという点についての課題がございますので、そこら辺に審議会の御審議意味合いがあるのではなかろうかと考えておるわけでございます。
  26. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いやわかるのです。わかるというのは、抽象的にわからないにも通じるのだが。しからばあなたの説は、これは在職年限、最短年限は十七年にいままでなっていましたが、軍人の場合は戦時加算があって非常に短縮されておる。しかし、それは一つ年金の条件としてきめられておるのですね。受けておる年金というものの金額の差というものは、在職年限というものがあります。それは条件として十七年つとめなければ出ないという条件で、これは一つ決定しておるのですね。その上に立って与えられるものは最終俸給で計算しておるのですね。それが基礎でしょう。その最終俸給そのものが、いままでは、戦前もそうで、現在でもそうであるが、非常に職階級によって差がある。しかし、実際やめた人の生活実態、物価の上がった事情というものは、そういう最終俸給によって規定できない。もっとわかりやすくいえば、俸給の高かった位の高い人と、あるいはまた、何といいますか、一雇員という者との比較をすると、給与に非常に格差があった。しかし、物価の変動その他の諸事情によってそれは妥当でないということもあわせ考えて、私の言うことは、そういう最終俸給自体もこれは検討することが必要であるということを言われておるのかどうか、こういうことです。
  27. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 最終俸給というものの見直し方は、御承知のように、たとえば軍人の場合には仮定俸給という形で見ております。したがって、いま私の申し上げました、いわゆる退職時俸給というものを見直す見直し方としての仮定俸給も、退職時俸給というものがまるっきり無縁ではないということを申し上げておるわけでございまして、したがって、いわゆる俸給関係のいろいろな変化というものがどのように変化しているかということも、したがって、実は仮定俸給等を考えるときの一つの考慮の材料に相なりますので、さような意味合いにおいて私は申し上げたわけでございます。
  28. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは恩給局長ね、仮定俸給で軍人の場合は再々改正されております。しかし、改正されても、ここに附則別表第一、大将、中将から兵までずっと上がっておりますが、大将の場合は仮定俸給年間九十七万七千八百円、兵の場合は、十二万九千八百円と非常に差がある。私の言っておるのは、仮定俸給を変えるときには、若干そういう要素も考えて、上には薄く、下には厚い方法でやっておられるということも、戦後若干出ておることは事実でありますけれども、その基本的な格差というものはそう縮められたいということが改正後ずっと見ても出ている。私の言うのは仮定俸給をつくるたびに変えるということはわかるけれども、それは基本的には変わっておらない。やはり最終俸給というものが決定的な要素となっておる。私はこれをいかぬということを私は言っていないんですよ。この条文からきて、あなたが先ほど発言された物価その他の諸事情ということが重点になれば、こういう仮定俸給が大将は九十七万、兵は十二万、物価が上がったときに九十七万と十二万の方々にはその生活の実態から見て相当不公平が多いだろう。したがって、こういうものもあわせ考えて今後のスライド制を考えていくということを見ておるのか、この一点だけ聞いておるのです。
  29. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 先生の御指摘の点はわかるわけでございますが、ただものをどういうふうに見ていきますかという場合に、先ほど申し上げましたように、私たちで方針考えるということももちろんでございますが、審議会にいろいろ御審議をいただきますときに、一応恩給制度の基本的なあり方というものをはずして考えるということができるかどうか、むしろ先ほど申し上げましたように、一応のこれまでいろいろな改善措置考えてまいりました中には、いわゆる上薄下厚的な一つ方針というものを一応考えの中に入れながら、つまりそれがいわゆる恩給制度をある程度近代的にしていくというふうな考え方がその中に入っておりますので、そういう意味合いで申し上げておるわけでございますが、それが物価がどのように、たとえばこの仮定俸給全体の仕組みを動かしていくかというふうな点については、もし実態的にさような点についてのいろいろな御審議の過程で、たとえばそういうことの必要性があるという意見が出るかもしれませんが、私のほうでは調整規定運用のしかたというものについては、大体これまでのわれわれの態度といたしましては、たとえば公務員給与も物価も、それから国民の生活水準等々を総合的ににらみあわせていくという考え方は、実は恩給額のいわゆるベースという形において見直してまいったわけでございます。したがって、全体のいわゆるベースという考え方の中では、いま申し上げましたような物価とか生活水準あるいは公務員給与等が一つのものさしと申しましょうか、その動きがどのように一つ恩給への影響を与える与え方として考えるべきか、こういう点について、私は先ほど来そういう調整規定の動かし方の問題は必然的にいろいろな問題に波及してまいるであろう。こういう点で申し上げたわけでございます。
  30. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は納得するよりも、あなたはもう少し……これは失礼な言い方だけれども、今度の調整規定というものは恩給法だけではない、年金各法に全部一斉にとられている、厚生年金をはじめとして。それからいくと、恩給とほかの年金制度とは若干システムが違います。恩給は全く……全くじゃないが、一応国の財政でまかなっていくという恩給の発生過程から見ると、特に軍人、官公吏に対して優遇措置といいますか、そういう意味も加えてある。ほかの年金はそうじゃない。社会保険的につくられている。したがって、年金を論ずる場合に一番問題になるのは、ほかの年金であれば、御存じのように、自分のかけた掛金というものと相応して年金が決定する、これは御存じですね。これは賃金を基礎としてつくられておる、こういうことですね。したがって、ほかの、あとで共済組合の問題が論議されますから、そのときは別の話になりますけれども、その恩給の場合は特殊な問題があるんです。恩給は他の年金制度と比べてみて違う点がある。したがって、私はいま追及しておる。他の年金制度の基礎になった、年金額を決定する標準報酬なり平均給与というものがある以上、それを基礎にしなければならないという宿命的な決定的条件がある。それも問題があるが、恩給の場合には、いま言ったように、最終俸給あるいは仮定俸給というものは、いま局長言われたように、動かそうとすれば動かすことのできる要素がある。そういう階級による俸給制度でなくて、物価の変動その他の諸事情ということが、これが中心になるならば変え得る余地がある。それを仮定俸給とか、そういう給与はいままでのやめたときの俸給が高かったらそれでやらなければならない、低い人は低いなりでいいという宿命的なものでないという、あなたの発言の中にあるならば、私はそう理解したい。これは私は恩給制度の大きな前進である。しかもこれは社会保障制度の方針に通ずるものであるから、はしなくも局長が言われたので、それをはっきり確かめておきたいと思うのです。
  31. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 私のことばに多少舌足らずな点があって誤解を受けたかもしれませんが、私の申しているのは、やはり恩給そのものの基本的なものの考え方として、先ほど来申し上げておりますように、最終的な俸給というものが一つの要素になるという考え方はくずせないわけであります。これが過去に積み上げられてきた恩給の既得権という形で出ておりますので、そこでそれらの関係をいかように見直していくかということについての実質的価値という考え方をどのようにしていくかということが、今回の調整規定の中身になってくるのじゃないかというふうな観点で申し上げたわけであります。
  32. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなた方つくるときにいろいろ協議、検討されたと思いますが、この文面から見ると非常に、第二条、いわゆるスライド制、われわれ俗にスライドの期待というものをいまあなたが言われたような形で考えて、それで賃金をもとにしろと言ったのですが、物価その他の諸事情というような問題がある場合には、私の言ったようにもとれてくるのですね。「国民ノ生活水準、国家公務員ノ給与、物価其ノ他ノ諸事情」というものが入っておるならば、物価その他の諸事情ということが非常にわれわれとしては、逆に言うと希望的な観測を持っておる。私は、いま言い直されたが、少なくともそういう最終俸給にこだわることなく、特に軍人恩給なりあるいは官公吏の恩給なんかを見ますると、これは階級の上の人と下の者と非常に不均衡といいますか、あると思います。これはほかの年金のように、低ければ低いだけの掛金をかけておるというなら納得できますが、特に軍人の場合にはそれがはなはだしいのです。これは再三恩給法の改正のときには主張しておる。わが社会党が恩給に反対しておるかというと、反対しておらない。反対しておる理由というのは上のほうに厚く下に薄い、第一線で働いて指揮をとっておる人はなるほど苦労しておるが……、給料をもらわずに兵隊で亡くなったり、長くつとめておる人にはよけい国としては見なければならないという主張なんです。そういうことで、できればそういうことも勘案して将来スライド制をするのだというふうに局長も言われたので、私は恩給局長に敬意を表しましたが、やはりあとから、基本は最終俸給にあるのだというので悲観してしまいましたが、しかし私は、理解ある政府でありますから、将来スライド制をするときには、最終俸給であるけれども、それをくずせとは言いませんが、少なくとも年金額の実態を見て、物価その他の諸事情、生活が苦しいという実情があれば、国家予算にも限界がございますけれども、できるだけやはり軍人なら兵とかあるいは下士官というような、非常に数は多いけれども年金額の少ない人にはある程度スライドのときに考えるということをやっていくべきだと思うが、その点どうですか。
  33. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 今回の実は改善措置の中に御承知のように、長期在職者についてはいわゆる低額恩給の保障の制度も実は設けようといたしておりますように、制度の考え方といたしましては、そういった御趣旨の点がある程度今回の改善措置の中にも盛り込まれておるかと考えております。したがって、恩給制度運用の中において何を考えるべきであろうかという点につきましては、先ほど来申し上げておりますように、いわゆる旧来の一つの秩序の中においてつくり上げられておる恩給制度でございますので、それらはいわゆる一般の年金のそれと、社会保障年金等のそれとはかなり異質のものである。したがって、そういったことに恩給的な配慮を加えて運用をしてまいるというふうなことを考えとしてこれまでの改善措置が繰り返されておると承知しておるわけでございます。
  34. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 最低保障も六万円、三万円引き上げる。そういうことはこれは当然過ぎる当然のことであると思うのですが、それをもってそういうことを考えたのだということには私は理解できない。基本的には、先ほどから申しました計算基礎である、そういうものに逐次いま考えていくという方針はやはり考えてもらいたい、これはもう現実の問題として。兵下士官で実は苦労して、年金が幾らといったら五万とか七万とかいうことを言っておられる。これは大将というのは数少なくなったから、これは形式的に載っているかもしれませんが、やはりそういうものと比較すると、在職中にはあるいは階級によって違うけれども、やはりやめてしまう、しかも遺族になれば、ひとしく同じように生活をしている人だから、やはりそういう点を今後恩給法の改正に伴っては十分ひとつこの点を私は考えてもらいたいと思うのですが、総理府総務長官の御意見はどうですか。
  35. 安井謙

    国務大臣安井謙君) いろいろ専門的な部分につきましては検討を要する面も多かろうと思います。できるだけ下厚土簿と申しますか、そういう精神に沿って今後も運営されていくことが原則としては正しいと思います。ただ、いろいろ検討の結果、非常に例外的に著しく不均衡だというような点には原則どおりいかない是正もあろうかと思いますが、原則はそういうふうにやりたいと思います。
  36. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 時間がだいぶおいおい迫りますから、またこれはあとの機会で論議いたしますが、そういうことから考えて、今度新たに日本赤十字社の救護員に対する通算の問題ですか、これが出てまいりました。私はこれは多年主張しておったのでけっこうだと思います。これも内閣委員会質疑をしておりませんので、私はこの説明と法律案を見ただけですが、これも実は通算する場合に、階級と申しますか、その資格によって区別をしておるように思うのですが、これはどういうことになるのですか。赤十字社の救護員について、ちょっとこの説明を先に言ってください。
  37. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 今回日赤救護員につきましての通算措置考えましたのは、いわゆる日赤の救護員で戦時勤務等をなされた方々につきまして、その実態に一応焦点を合わして改善をしようとしたわけでございますが、御承知のように、恩給法というのは、いわゆる恩給公務員としての資格ある者が対象に相なりますので、したがって、日赤の救護員もいわゆる恩給公務員相当と申しておりますのは、看護婦さんで申せば看護婦長の方、医師あるいは薬剤師というふうな方々がこの対象になって通算措置が認められることに相なるわけでございます。
  38. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それにわれわれはまた不満があるのですよ。恩給法はそういうことだから、それに相当するのは看護婦長だけだと認定するのは私は問題があると思う。軍人の場合は将校から兵隊までずっといっておる。看護婦さんだけは看護婦長だ。これはわれわれとして見方があまりにも限定的であると思いますね。しかも総数からいってそんなに大きい数じゃない。看護婦長だけに限定するということ、これが非常に優遇された改正だとは、私は、看護婦さんの立場から見ると承認できない。同じように戦地で苦労しておる。あなたのほうは、これは文官として恩給相当とみなすものは看護婦長だという趣旨なんですね。しかし、戦地の野戦病院で看護婦長一人で仕事をしたわけじゃなし、むしろ看護婦さんのほうが私は苦労しておる人が多いだろうと思いますね。そういう取り方のあたたかみというものは、そういう点で私は異議がある。先ほど私が論じたように、いままでの恩給法も非常に階級制度にとらわれておるから、下のほうを考えておる。それを看護婦さんについては婦長だけであるということでは、私は出されておるから論議するけれども、あまりにも形式的な認定である。これは私はまた絶対に、看護婦さんも戦地で同じ苦労をしておった人があるとすれば、同じように通算の恩恵を与える。そういうかってな、看護婦長だけが相当するのだという認定は、これはその当時文官であってはっきりしておるのなら別ですよ。これはここで抵抗しても、その当時恩給の対象になかったのだからそれを入れるということは無理だけれども、新たに日本赤十字社の看護婦さんについて通算をしようという考え方であれば、やはりそれらを考えてやるべきだ、こういう私は主張をまげないのです。
  39. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 確かにいま先生の御指摘のような点があるわけでございまして、したがって、実はこの扱いをいたしますときに、必然的な問題として影響を与えるのは、いまのいわゆる看護婦であった方々、そういう方々は御承知のように、いわゆる共済制度の中において救済するという、つまり共済制度と恩給制度とが相並んでこの通算措置考えるということで、一つの制度的な基本の問題でございますので、そういう扱いになるわけでございます。  で、御承知のように、恩給の扱い対象というのはすべて、いわゆる旧来の公務員であった人たちの一つ年金制度でございますので、そういう中においての一つの制度的あり方というものが今度の改善の中においてもそれが根を引いてくるわけでございます。したがって、こういう措置に相なっておるわけでございます。
  40. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いま言われましたがね、看護婦長さんについてはこれはもういわゆる完全通算ですね、資格通算じゃないですね。それからあとのやつは、ぼくはそれだけわかれば承認するのですよ。婦長以外の看護婦さんは共済組合、この場合も、完全通算ということの趣旨に取れないものですからそう思ったんですが、それと同様ですね。
  41. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 共済制度は御承知のように、いわゆる総理府所管ではございませんで、大蔵省所管として扱われている問題でございます。
  42. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大蔵省だから私は知らないということなんですか。それはどうなんですか。
  43. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 決して知らないということを申しておるのじゃございませんでして、つまり制度の基本的な問題の取り上げ方は、それぞれの制度を所管するところで考えられるべき筋でございますが、これもいわゆる恩給と共済というものは同じく公務員というものを対象にいたしております関係上、できるだけ調整をとりつつ運用されていく、あるいは制度化されていくということに相なりまするので、したがって、日赤の救護員について看護婦長は恩給局で処理をいたしました関係上、それぞれの省の担当においてそれなりの措置考えられてまいっておるわけでございます。
  44. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大蔵省おられますか。どういう通算の状態になっておりますか。
  45. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 日赤の救護員の婦長以外の方、いわば雇い相当の期間が恩給法の在職年に通算となりましたこととの均衡を考慮いたしまして、従来外国政府職員についてとってまいりました措置と同様に、年金の受給権を発生させる期間、つまり資格期間として取り扱うことといたしております。したがいまして、年金の年額の計算には反映させない期間であることは御指摘のとおりでございます。
  46. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 わしのほうは恩給局だ、相手は大蔵省だからわしは知らないということでなく、政府として考えてもらいたい。何か私は差別されておるということを、まあ法律でずばり検討も足りなかったのだ。私は一読したところ違うと思ったんですが、看護婦長についてはもういわゆる完全通算、戦地におったときは全部通算するとなっておるんですね。それからそれ以外の看護婦さんについては、二十年なりあるいは十七年の資格期間が達せられるという資格を与えるための期間だけは見てやろうという差別、大きな差別ですよ。これは恩給法の問題で相当論議されたんですが、なぜ先ほど言ったように差別するようなことをやられるのか。これは大蔵省ですがね。これは政府の追加費用を整理資源で出されるものだと思うんですね。これは何も掛け金をしておらないんだから。しかもそういう場合に婦長だけは恩給法で全部通算をして優遇をしていく。片一方のほうは資格だけ与えるまでで、その期間は通算しないんだと、こういう差別待遇は、いわば何か同じ扱いのようにも思いますけれども年金制度からいったら雲泥の差なんですね。何でそういう差別したことをとるんですか。これは大蔵省。大蔵省は自分のところの管轄の連中は冷遇してもいいという考えであったんですか。
  47. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 現在の共済年金の制度は、御承知のように、他の公的年金制度と同様に、社会保障制度の一環でございまして、保険数理に基づいた制度でございます。先ほど山本委員の御指摘になりましたように、したがいまして、拠出と給付が見合うと申しますか、拠出に見合った給付を行なう、給付に見合った拠出を行なう、こういうたてまえになっておるわけでございます。したがいまして、そういうたてまえから申しますと、本来ならば組合員期間の取り扱いにつきましては掛け金を負担した組合員期間に限るのが本来の筋であるわけでございますが、従来の恩給制度なり旧共済相合制度を統合したという経緯がございますので、そういう旧制度におきます期待権はできる限り尊重するというたてまえでまいっております。そこで、恩給法のほうで今回の措置のように日赤の看護婦の従軍看護婦の期間が通算になりますと、こちらにもそれを取り入れるわけでございます。雇い相当の期間につきましてもそれとの均衡上、資格期間として取り扱うという措置をとってまいったのでございます。なおこの措置は、従来から外国政府職員等の通算に関しましてとってまいった措置と同様でございます。
  48. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはね、あなたは言われるけれども、まあしろうとに言うのなら別として、そうはいかぬ。一般の公務員の場合、辻さん聞いてますか。たとえば掛け金を払わない、要するに、恩給の資格はない人であっても、共済組合関係ではいわゆる資格通算でなくして、掛け金をかけておらないんだから全部ということはいかない。したがって、いわゆるその当時、看護婦さんであった当時のやつは五〇%として通算をするということの基本原則があるんですね。そういう恩給該当者とか、そういう関係の者については全額通算だったけれども、掛け金を納めてない雇用員については、これは一つの、五〇%政府から出す財源だけをやろうということで、全期間の通算ということになっておるのですがね、そういう点はなぜ考えられなかったのですか。私はそれを言いたいのです。あなたが、共済組合がそういう制度だからと言うからですよ、追い詰めていけば。それは看護婦長同様に全部を通算すべきだと言うけれども、あなたが共済組合の問題を出されましたから、少なくとも共済組合においてもそういう措置をとられておるのだから、特に戦地でそういう苦労をして、一方では看護婦長が全面通算、全額通算をしておるのに、なぜ看護婦さんだけは資格通算だけで切ってしまったかということを言っておる。
  49. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) この点につきましては、いろいろと御意見なり御議論のあるところだと思っております。ただ先ほど申し上げましたように、現在の共済年金制度が恩給制度なり旧共済組合制度を吸収統合いたしました限りにおきまして、旧制度の既得権はこれはできる限り尊重しなければならぬ。そのために恩給のほうで通算が行なわれますと、いわゆる官吏相当の者につきましては、その均衡なりあるいは共済の新制度ができます前後にやめた方との実質的なバランスという点がございまして、それはこちらのほうにそのまま取り入れていっておるわけでございます。雇い相当の期間につきましては、いろいろ御議論があるわけでございますけれども、従来から外国政府職員等その他の取り扱いは同様に措置してまいったのでございまして、それと今回も同様な考え方に立ちまして資格期間として取り扱うということにいたしたのでございます。
  50. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはあとでやります。  まあ総務長官が忙しいようで、一つだけ長官に聞いておいてもらいたい。  恩給関係で、沖繩で終戦になって、そうして沖繩でずっとその後つとめておるのだが、恩給法の改正については徐々にベースアップをしてもらったけれども、違うところは——よう聞いてくださいよ——昭和二十一年からですね、その二十一年における最終俸給で年金を決定してしまう。ところが、その後引き続いて七年、八年いったけれども、そのときの俸給で計算してないということですね。そうすると、先ほど申しましたように、恩給は最終俸給できめるのですから、非常に不利な人が二、三百人いるのですね、沖繩で。あなたは沖繩のいろいろ関係もよく御存じですから。そういう方々についてどう考えられますか。
  51. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 確かに先生の御指摘のように、二十一年の最終俸給で一応は見ておりますけれども、その後の分については昇給率という形で見ておりまして、したがって、その昇給率の高いか低いかということは確かに問題あるかもしれませんが、一応四・五%の大体昇給が、その後の一般の日本における公務員の昇給率を含めましたので、まあさような意味においてのいわゆる仮定給を増額して措置をしておる、かような考え方をいたしております。
  52. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それがね、そういう措置もおっしゃるように聞いておるのです。だが、その当時警察官であれば、内地におる警察官でその当時一緒にやめた人との比較が非常に違うのです。戦後ずっと、いわゆるインフレで上がったものですから、四%ということではだめなんですね。したがって、あなたが見たということになれば、そこまで見るならばですね、少なくともやめる最終俸給で見てやるということは、これは私は理論的であり、また実際的にもそうすべきである。それだけ将来考えるということでけっこうです。わずかな人なんです。
  53. 安井謙

    国務大臣安井謙君) よくいまの昇給を見ておるが、それも見方が非常に低いじゃないかという御意見もあろうと思いますし、また、いま御指摘のような点もあろうと思いますから、今後検討をするということにいたしまして、今度できる審議会でもその点はひとついろいろ御検討願って、政府のほうで処置をするということにいたしたいと思います。
  54. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは総務長官ね、審議会の条項ではないですよ。総理府の恩給局の措置ですよ。当然最終俸給でやるという恩給の原則はあるのですけれども、たまたまああいう形になってしまったものだから、それでこうなっておるということですから、これは私はそんなに何も根本的な問題でないのです。取り扱い上の私はミスというと、えらいおこられるかもしれませんが、ちょっと間違ったのがあるので、それはすぐかえてもらってもいいのです。
  55. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 先生の御主張もごもっともな点があるわけでございますが、御承知のように、恩給についていまも一つ問題点として指摘されておりますのは、いわゆる旧文官としておやめになった方、それから現在いわゆる退官者としてこれからやめていかれる方々とのいわゆる恩給額の開きの問題、年金との開きの問題も課題にされておるわけでございます。そういう点を一つの琉球政府職員にとってみますと、やはりいま沖繩におられる人たちの問題点として指摘されている点も、現在のいわゆる琉球政府職員の退職者と、それから当時の退職されて恩給受給者としておられる方々との均衡の問題についていろいろ論議されているということも私は承知いたしております。おそらく先生御指摘の問題もいまの問題ではなかろうかと考えます。そこでこういう点について、実は現在の一般の在職者と、それから旧恩給制度の中の適用の職員との間には一つの給与の立て方の問題として基本的な問題があるわけでございますが、先ほど申し上げました一つの基本的な制度としての考え方が在職時俸給というようなことが一つの要素になりますので、そこでそういう点がいま申し上げましたときに見直す見直し方として、昇給の、いわゆる率の問題としていまでは低過ぎるという御要望でございますから、したがって、これはいま申しましたような、その他の内地における一般文官の恩給受給者の問題ともからめて考えられる問題でありますので、したがって、沖繩だけの問題としての処置は困難でございます。そういうところから、先ほど総務長官がお答えしましたように、恩給審議会等においても御議論を願いたい、かように申し上げたわけであります。
  56. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この審議会にやるというそれほどの問題ではない、もっとはっきりした問題です。だから琉球政府の給与の立て方が違うことは事実です。だからわれわれは、それを言っておらない。最終俸給で若干そういうことは不均衡があるということは別として、向こうのほうが低いとは私は言わないが、少なくとも四・四%上げるということは、たとえばやめるときには向こうの地方事務所長、こちらの地方事務所長が昭和二十八年にやめたときに、大体どれくらいか、わかると思う、同じ階級におったのですから、内務省の関係におったのですから、そういう人を考えて、ある程度調整をすべきであるということを言っておるのです。だからその点は当然のことであって、それを否定するものはないと私は思っている。それは審議会にやらぬと結論が出ないということでは私は問題にならないと思う。相当おられるのですから、いま内地に。鹿児島におる人と比較したらすぐわかるのですね。そういう点を勘案して、一万一千円が最終俸給でなかったらいかぬということを言っておらない。そういう調整のしかたをすべきだ。これを審議会にまかしておくわけにはいかない。納得のいく結論を出さなければわからない。そういうことでは困る。だから少なくとも次の国会、来年の国会までにこの点は検討してもらいたい。こういうことです。結論を言うと。
  57. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 先生御指摘の点、これも結局昇給率として見るかどうか、そういう制度の扱いかどうかという点になりますので、したがって、制度をどうしていくかという課題でございますので、いま私が申し上げたように、審議会事項に相なる、こういうように申しているわけでございます。
  58. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 制度の問題は別に私は問題がある、制度の問題ではない。均衡の問題である。たまたま沖繩に赴任しておったから、そこで終戦になって、それは向こうでつとめさせられたからそうなった。内地のやめた人と同じ、同等の人々に比べて非常に差がある。差がなければいいのですが、差があるから、その人と同じように直すのは当然である。問題は審議会の問題ではない、制度の問題ではない。こんなものはほかにはないのですから、その人だけの問題です。そこでこの審議会に移さなければならないという根拠はどこにあるのですか。
  59. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 実は改善措置というものは、ほとんど御承知のように、いわゆる恩給制度として見ていく考え方で、それはすべて御承知のように、恩給法改正というふうな考え方措置をいたしているわけでございますので、したがって、こういった均衡問題は、おのずから一つの法案として考えていくという筋のものに相なりますので、さように申し上げたわけでございます。
  60. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは一体それはいつごろになるのですか、審議審議会と言うけれども、いつごろするのですか、そういうことを。
  61. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 現在すでに審議会が開催されておりまして、われわれは、この審議会にそれぞれの問題点というものをこれから御提出申し上げていろいろ御審議をいただく、かように考えます。
  62. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 では審議会の先議として、根本的な問題もあるが、いま言ったような行政措置でできると思っているが、そういう点もあるから先議案として……。とにかく年もいっておるからなくなっていく、なくなっていくということは、遺族もおるということであるし、わずか総数で三千もおらぬということであるが、全部合わせて。そういう問題ですから、一年おくれたら、何%か死んでいくのだから、これは審議会へ先議案としてそういう総理府から出して、少なくとも次の国会で、急を要する問題ですから考えてもらいたい。
  63. 安井謙

    国務大臣安井謙君) いまのような御趣旨で、審議会で根本問題あるいは急を要する問題というものは区別して、御趣旨の線に沿うように今後努力したいと思います。
  64. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ちょっと速記をとめて、   〔速記中止
  65. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を起こして。  午前はこの程度とし、午後は二時十五分より再開いたします。  暫時休憩いたします。    午後一時十六分休憩      —————・—————    午後二時二十九分開会
  66. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続き、三案の質疑を続行いたします。なお、関係当局の御出席は、武藤主計局次長、辻給与課長畠山電気通信監理官園部日本専売公社職員部長中西日本国有鉄道厚生局長飯森日本電信電話公社厚生局長、以上の方々でございます。それでは、御質疑のおありになる方は、順次御発言願います。
  67. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、午後からは、昭和四十年度における旧会による共済組合、それから公共企業体職員等共済組合、一括して質疑したいと思いますが、まず最初に、先ほど恩給法の実は審議の中で、給与課長と中途で実は消えておる問題ですが、看護婦長は恩給法による処遇をした。それから看護婦長以外は共済組合のほうで受け入れた、こういうことですが、私の理解する範囲では、国家公務員共済組合法によると、単なる公務員期間は五〇%認めて通算するという、国家公務員共済組合施行法によってうたわれておると理解しておる。その点理解のしかたが違うのですが、ちょっとその点を説明してください。
  68. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) ただいまお示しのように、新制度施行日まで引き続いております職員期間につきましては、その一部を金額の計算で見ていることは御指摘のとおりであります。
  69. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこで、これはいずれにしても特例なんですね。恩給法においても特例でいままで認められてないやつを認めるとなったんですから、一般の施行法によると、いま言われたような措置をしておるのだが、特例として認める以上はやはり引き続いておるものだとわれわれ認定するのは妥当だと思う。その点が私は恩給法の改正に伴って相当ある程度これがいわゆる不公平な措置である、この点について私は考慮する余地があるということを言っているのですが、この点どうなんですか。
  70. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) ただいま申し上げましたように、新制度施行日まで引き続いております職員期間につきましては、一部金額の計算で見ておるわけでございますけれども、新制度の施行日まで引き続いていない職員期間につきましては、資格期間として見ることにいたしておりますが、金額の計算では見ないということになっております。なぜこういうことになっているかと申しますと、旧共済組合制度のときからそういう取り扱いになっていたわけでございまして、引き続いておる職員期間につきましては、旧制度でもその分を見ておったわけでございます。したがって、新しい制度が発足いたしました際に、いわば旧制度の期待権という趣旨からそれを取り入れて、現在そういう制度になっているわけでございます。
  71. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は国家公務員共済組合法の問題を論議しておるのじゃないのですね。思給法で特例と認めて、それと相呼応する人々について同じような措置をすべきである、こういうことを言っておるのですよ、したがって、現在のいわゆる共済組合法の施行当時の措置はそうなっているのだが、特例として認めておるのだから、これもそういうことで認めてもいいじゃないか。したがって、従来のそういう資格のあることは承知の上なんだが、特例として、片っ方は看護婦長だけ完全通算をする。こちらのほうは共済組合規定があるから認めないということじゃいかぬじゃないか。特例として認めるべきじゃないか、こう私は言っているのですよ。
  72. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) そこで特例ではございますけれども、それじゃどういうところがバランスがいいかという問題になるかと思います。そこで私ども考えましたのは、外国政府職員あるいは満鉄とか満洲国とかは、そういう措置、それと同じようにやるのがいいじゃないか、そういうことで、先ほど申し上げましたように、期間としては、受納権を発生する期間としては見るけれども、金額の計算では見ない、そこはバランスがとれておるのじゃないか、そういうふうに考えておるわけでございます。
  73. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 満鉄とか外地におる人の措置はそうなっておる。これはそのものずばり言えば、私は文句はあってもやむを得ないと思う。片っ方は看護婦長だからこうだという一つのものが出ているのですね。それを片っ方は看護婦だからこういかないという、いわゆる差別をしたことをやるから、これはどうかということを言っておるのですね。そうかといって、片っ方のほうも、看護婦長のほうも満鉄のような形でやれといっているわけじゃない。その点がちょっとわれわれとしては合理性がないということを言っておるわけですね。だから、これは皆さん方は法律を中心にいろいろ吟味して答弁しておられると思いますけれども、一般的に聞くと、何か看護婦長だからこういう恩給法関係でこうやっている。片方は看護婦長というそういう身分がないから共済組合で受けるときにはこれしかしかたがない。こういう私は受け取り方をしているのですが、だから特例としてそういう措置がとれないかどうかということを私は言っているわけです。私はこれは全然だめだとは思っておらない。いわゆる階級によって差別をつけているということは、法律の実体は別として事実あることです。外国政府職員との問題もこれは何べんか論議したんですから、そういうことは全部わかった上でこの場合はどうなるかということを言っているわけです。私は考える余地があると見ているわけですが、これはどうですか。
  74. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 繰り返しになりまして恐縮でございますが、一つは、やはり現在の共済制度のたてまえということがあろうかと思いますが、先ほど申し上げましたように、やはり新しい社会保障制度の一環でございますので、本来ならば掛け金を負担したところの組合員期間に限るというのが本来の筋でございます。しかし、そうは申しましても、恩給と旧共済組合制度を統合した関係がございますので、旧制度の既得権ないし期待権というものはできるだけ尊重する必要があることは当然でございます。その意味におきまして、恩給のほうで官吏相当として措置されたものはこちらに取り入れる必要がございますし、先ほどちょっと申し上げましたように、旧共済組合制度でもってすでに措置しておりますのはやはり期待権として取り入れる必要があるのでございます。その点が第一点、それからもう一つは、先ほど次長から申し上げましたように、従来の取り扱いの慣行もございます外国政府職員あるいは満鉄の職員等につきましても、一部は官吏相当として恩給のほうで措置される。そういたしますと、それを受けまして、こちらもそれを取り入れる一部につきましては、雇い相当ということで共済の立場から措置している。そういうことになっているわけでございます。やはり現在の共済組合は、国家公務員を対象とする制度でございますので、日赤の職員は、本来ならば国家公務員ではございません。それを特例なり例外措置として措置されるわけでございますので、そこにはやはりおのずから一定の制約があるのもやむを得ない点もあるのではないか、そのように考えているわけでございます。
  75. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は率直に言ったら看護婦さんの場合は、婦長とか、そういうものと区別せぬで、恩給法で受けるのが妥当だと思っている。それが雇傭人の資格であるとか、日赤のほかの団体の資格を認定するのに、婦長だけが官吏の恩給法で受ける資格がある、看護婦の場合は、全部すべて雇傭人の資格であるというので、共済組合に入れるということに問題があるのです。あるけれども、受け入れた以上は、やはりそれを勘案して考えなくちゃならないということに私の論理はなっているのです。恩給法で婦長だけがなぜ旧官吏となりますか、恩給に該当する職員であるという認定自体に私は問題があると思う。そういう見方がおかしい、政府考え方があまりにもいわゆる第一線の実情から見て差別をし過ぎるのではないか。あなたのほうは雇傭人であるから受け入れた、受け入れた以上は、この法律で縛るというのは当然であると言いますけれども、どちらから言っても逃げていると判断するわけです。日赤の看護婦さんの実情を判断してやはり公平に措置すべきであるというのが私の朝からの論理です。あなたのほうはあなたのほうで主張する、これは一つ主張法律の根拠がある、従来そうやられた慣例もあるのだからそうされたのだ、恩給法のほうはやはり判任官の資格だから、これは婦長だけだ、こういう言い方は、国民が一般に聞いて、婦長さんだけをして、看護婦さん、非常に苦労した人だけは別に扱うのだというようなことは通らないと思う。これは政府部内の問題だから、ぼくは考えてもらわなくちゃいかぬと思う。したがって、きょうは恩給局の関係の方は帰られたのですが、そういう点を主張しておるのです。だから、それじゃ、受け入れるときに、この法律をつくるときに、分離して、婦長と看護婦と区別して受け入れたら、要するにどれだけの差別になるかということを検討した上でやるべきだと思う、それを受け入れてから、こちらこうだということでは納得できないというのが私の論理なんです。大蔵大臣に所見を聞きたいところですが、次長どうですか。
  76. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) これは午前中のお話を聞いておっても感じたのですが、どうもこの問題、先生のおっしゃられるところと、私どものお答えするところといつまで議論をしてもはてしがない問題じゃないかと思うわけでございます。私どもとしては、やはりこういう制度の例外を幾らでも甘くしていくということではきりがないので、やはりどういうふうにバランスをとっていくかということが相当大事な問題ですので、私ども先ほどから申し上げておりますように、バランスとしては、外国政府等の職員の場合に比べて、官吏相当のところは恩給あるいは恩給と同じような扱い、それからそれ以下の雇い相当のところは、その線で同じようなところ、これがバランスがとれているのだと思います。基本的に言って先生が先ほどからおっしゃられているように、そういう上厚下薄ということがよくないのだという御議論は朝から伺っておりますけれども、どうもその根本問題になりますと、全体の制度の問題になるのじゃないかと思いますので、私ども再三の御指摘でございますけれども、このままでいいんだ、従来とのバランスはこれでとれているのだ、そういうふうに考えておるわけでございます。
  77. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 バランスの問題じゃないですよ。要するに、政府認識の問題ですよ。結局看護婦長はこれは別の扱いである、看護婦はまた別だという、これは認識の問題ですよ。これは政府がそういう看護婦も——それは看護婦全体とは言わぬ。それはいろいろ区別あるけれども、婦長だけがいわゆるその当時の判任官と申しますか、任官した者に相当するのだ、こういう認定と申しますか、そういう考え方の問題ですよ。バランスの問題だとは思っておりませんよ。そういう認定をされるところに私は問題があると思うのですね。そういう政府考え方は打破してもらわなければ困る。今後こういう問題はどこで起こるか知らないのですが、同じものをやるときに、婦長と婦長以外の者をそこでさい然と区別して、これはこうだ、これはこうだという認定をする前に、もっと論議をすべきだと思うのです。その論議の過程は知りません。これはどうせ共済組合のほうへ救済されるのだから、恩給のほうはこれだけでいいのだというふうな形でやられたと思う。これは共済組合へ受け入れるときに、相当検討されたと思うのですよ。だから、そういうときに総合して、政府はそういう判断を下す前になぜはっきりとした態度をとらなかったか。差別をされるのだ、それでもいいんだ、こういうことでなかったと思うのです。そういう点が、政府考え方のようにバランスの問題でない、政府認識の問題が私は誤っておるということを追及しておる。一たびそのクラスに入ってしまったら、そういうことで終わる。大体日赤に限らず。政府職員にしろ、満鉄関係にしろ、やはり受け入れるところは、恩給関係へ全部受け入れるべきであるというのが私の思想ですよ。政府があとからこれは年金に該当する人であるという認定をする以上は、共済組合とか、そういう形で組織をしておる、しかも、社会保険システムでやっているところへ受け入れるべきでない。だから、そういうものは恩給法の中へ受け入れて措置すべきだ。財源は全部政府が持つのでしょう。これは間違いないのでしょう。政府が整理資源で出すのです。それも一つ問題があるんですよ。それについてはあとで論議をします。なるほど整理資源として、共済組合で旧法、恩給法なりに該当するものについては政府が整理資源として出すと言っておるけれども、それは出し方にも問題がある。現在は政府もだいぶ考えてきたけれども、やっぱり一般組合員の掛け金も実はその中に入って運用されておるということですね。したがって、そういうものはやはり恩給法という政府の責任で出しておる年金制度の中に包含すべきである、私はそういう考え方をもって質問をしておるわけなんです。共済組合に受け入れた人は共済組合法に、旧法にも何にも関係なかった人ですよ、そういう人が、たとえば日赤の問題が起ったから、婦長だけは恩給法に受け入れて、そのほかは共済組合に受け入れるのだ、そういうことになる。こういうことは私としては実は根本的なあやまちだと思う。そういうものを、しからば、そうなったからといって、これは大蔵省の管轄の共済組合関係については他のバランスの上でできないのだ、こういって本人を不利におとしいれておる。これは政府の責任ですよ。まあ大臣がおられないから、あなたに言っても、そういう責任のある発言をしてもあとで困るから言えないと思いますが、そういう思想だけはひとつ聞いておいてもらわなければならぬ。看護婦さんに聞いてみると、資格だけもらったからありがたいというけれども、一方と比較すると、なぜこういう差別をするのだ。野戦病院にいてこれほど苦労をした、たまたま戦争が済んだ、その直前に婦長になった人と、婦長の資格をもうすぐ目の前にしておった人を比較をしてみれば、その人は相当不満を持ちますよ。そういう実態というものを十分把握して、恩給法共済組合法の改正においても、そういうところまでやっぱり吟味して考えてやる親心というか、政府配慮というものが必要だということを言っているのです。主計局次長は政治の責任者ではないからそれは言えぬかもしらぬが、あなたなんかはこういう問題を日常処理していると思うから、そういう点も心して考えてもらいたいと思うのですがね。どうですか。
  78. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 先生の先ほどからおっしゃっておられることをずっと伺っておりますと、そこには、何といいますか、一つの哲学があって、それを前提にしておっしゃっておられるわけでございます。それで、その哲学でございますけれども、先ほどから先生がおっしゃっておられるように、私どもとしては、やはりこういういろいろないままで積み上げてきた制度がございまして、たとえばその制度ではいろいろなところで一日違いで非常に損ができたりするということもございます。しかし、一応こういう制度ができていて、その根本の上に立って、いままでの制度とのバランスで、どういうのがいいかということを考えますと、いま御審議願っているようなところがいいだろうと思っておるのでございますけれども、先生おっしゃられたように、根本的にそういう考え方を前提からくずさないといかぬ、考え直すべきだというお話になりますと、これは非常に大きな問題だと思います。  それから実際に一つ一つのケースというか、類型というか、そういうのを処理するときに、同情をもって考えてやらなければいけないというお話でございますが、これはこれからの制度改正のときにも特に肝に銘じてそういうふうに考えたいと思っております。
  79. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まあ一つ言い出したら切りがないのですし、これだけで水かけ論をしてもしようがないのです。しかし、主計局次長ね、哲学というようなお話が出ましたが、私は政治哲学を勉強したこともないんですけれども、政治をするときにはおのずから基本的態度というものがあると思う。どういう小さいものでも、一貫したものがなければ狂ってきますよ。これから共済組合の問題をやっている間に若干そういう問題が出ると思うのです。それから立法をするときに、大体私は立法過程が気に入らないのです。政府原案を出して、大体政府がつくったものを国会が認めるという以外に、国会修正というものはほとんど例外ぐらいになっているわけですね。したがって、われわれつくるときに、そういうものが、立法府でまず原則として立法するという形はとっておらないので、私は皆さん方に言うのです。ぼくら自身がやるのなら、私はまたやれる方法があると思う。しかし、政府が原案を出してくる以上、これがもうほとんど決定的だから、それをやるのは皆さん方、実は大臣よりも皆さん方がやってくる。そういうものをいつもわれわれは審議しておるのだから、そういうこと自体にも問題があるから、そういう点をひとつ十分考えてもらいたい。  それじゃ次に進みますが、今度の二つの法律案の改正は、恩給法に準じたものがもうほとんどだと思うのです。しかし、それは恩給法で、各同僚議員からも論議されたから、同じことに入ると思うのですが、一番大事な、先ほど言いましたスライド制について、共済組合恩給と若干考え方が変わってくるかと思うのですが、共済組合にもスライド制の条文を入れられたのですが、この入れる過程、これは恩給法が入ったからこれは入れたということじゃないと思うのです。もしそういうことをいえば重大な問題です。共済組合においてこのスライド制の条文を入れられたというその考え方の根底はどこにあるのですか。
  80. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) これは朝からもお話がございましたように、物価が上がる、賃金が上がるというところで、年金の受給者が年金を据え置かれているということですと非常に困る。それをいままではときどき救済をするという措置をやっておりましたけれども、こういう規定を入れまして、これからなるべくそういうものは改正に努力していく。いままでよりも一歩前進しようと、そういう考え規定を入れたわけでございます。
  81. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 恩給法における第二条ノ二、まあいまのスライド制という表現をしておきます。長いことばは使いませんから。しかし、共済組合法におけるスライド制の問題とは、これは本質的に異なってくる問題があるのですね。恩給法の場合は、幾らこれからスライドをして上げても、その財源は政府がすべて負担するということです。ところが、共済組合の場合は平準保険料方式をとっている以上は、掛金率にやはり影響してくると思います。そこでもしこのスライド制を実現する場合に、それによってくる財源というものは、恩給法と同様に政府がその整理資源に持つという考え方に立ってこれは入れたかどうかこの点一つ
  82. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 今度御審議をいただいております法律案で、いわゆる調整規定は三つあるわけでございます。一つは旧令措置法の中にある規定でございますが、これは旧令年金、御承知のように、旧陸海軍なり、旧外地の職員に対するものでございまして、これは法律恩給と同様に国の責任において支給するということになっておるわけでございます。  それから第二は施行法の改正でございまして、これがいわゆる旧法年金の分でございます。旧法年金は、御承知のように、保険数理に基づいた年金制度の年金ではございましたけれども恩給に代替する、雇傭人につきまして恩給にかわって措置するものであるという観念でございますので、やはり恩給と同様、その費用についても国が持つということに相なっておるわけでございます。  それから新法年金につきましては、御指摘のございましたように、旧令とか、旧法年金と違いまして、社会保険ということで貫かれておるわけでございます。したがって、その辺調整規定考え方をどうするかいろいろ問題があるところでございますけれども恩給と全く無関係のものではございません。同じような退職公務員の処遇という面では共通の面がございますし、それから新制度発足後日も浅い関係もございまして、現在やめられる方々の大部分については恩給公務員期間が大部分を占められておる。そういうような関係もございますので、恩給とバランスをとりまして、表現その他についても同様の表現で調整規定規定していくことにいたしたのであります。
  83. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いま言われた恩給に準ずる措置としてやられた旧令による共済組合その他については、これは政府がその財源を持たなくちゃならぬ。今回の改正案もそうであるが、将来も、かりにこれがスライド制が実現してやられても、これは政府が整理資源を出すということは、これは当然だと思う。私の言っているのは、きょうの法律関係のある公共企業体職員等共済組合並びに国家公務員共済組合において今後スライド制をするという条文を入れられたのですから、それに対する措置、いわゆる更新組合員でなく、更新組合員も入りますけれども、この法律施行前のやつは政府が持つということは、これは現在の法律もそのとおりですが、それ以後の場合はこれは問題になってくると思うのですがね。それについて措置をどうするかということです。
  84. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 新制度の新法期間分の年金額のベースアップの費用をどうするかという問題は、非常に大きな問題でございまして、将来の保険料でございますとか、そういう組合員の負担能力でございますとか、あるいは国の財政力等その他、ほかの公的年金制度とのバランスを考えまして、慎重に検討すべき問題であろうかと考えておるのでございます。しかしながら、御承知のように、公的年金制度の根幹をなします厚生年金におきましては、既裁定年金改定に要する費用は、従来から三者負担ということで貫かれている関係もございます。また、社会保険は相互救済を目的とする制度でございまして、その費用を社会連帯の責任で処理するという考え方に立っておるのでございますけれども、この場合に横の連帯性のほかに縦の連帯性と申しますか、過去の組合員の負担を現在の組合員が一部負担する。あるいは現在の組合員の負担を将来の組合員が負担をするというような考え方もあり得るところでございまして、この辺どうするか、今後の問題でございますけれども、現在までのところは、前回年金額の改定のときにいたしましたように、厚生年金の例にならいまして、新法期間につきましては三者負担でやっていくのが適正ではなかろうか。このように考えておるわけでございます。
  85. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 旧法の期間の場合は、これは論ずるまでもなく政府の負担ということは、これは法律上もまた実際問題もこれは問題がないのです。問題はいま言われましたね、三者構成の負担でいくと言われますが、私はそこに大きな問題があると思うのですね。御存じのようにですよ、スライド制をするというのは、この条文にあるように、物価の事情その他の事情によって、給与も入っておりますけれども、そういう事情によっていわゆる引き上げるということですね。もう年金が、そのやめた当時における年金額というものは、それ相当に価値があったんですね。ところが、物価とかその他の変動によって、実はその価値が半減した。これは自動的に相対的に価値がなくなる。金額としては二十万円は二十万円として変わりないのだけれども、物価その他が上がったので、その二十万円の価値が薄くなったということですね。そういうことからスライドアップするということが、これは実際の現実の問題ですね。その場合、いま三者構成で過去の既裁定ですでに年金をもらっておった。それを引き上げるために、現存おる人の掛け金を上げて、それを上げるというならば、これは問題ないです。これはもう、まあ政府が補助金を出すということは、これは社会保障としては当然ですから。いまおる人の負担で既裁定の方の年金を上げるというなら、別に政府が恩に着せてやることはない。問題はその資源をどうするかということが一つ大きい重要問題ですよ。まあこれからまた年金哲学ではないけれどもね、もらったときの価値、それからその人が過去何十年か納めたいわゆる掛け金の価値というものは、   〔委員長退席、理事八田一朗君着席〕 その当時の物価なり社会事情によって拠出したその価値に相当するものを掛け金しておるわけですね。したがって、その後、この価値が低下したということは、本人の責任じゃない。本人がそのときの、たとえば毎月五百円納めるということは、その当時の価値のある、給与と比較しても、物価と比較しても、同じような価値のものをかけておる。したがって、下がったのは本人の責任で下がったのではない。本人の責任でないけれども、それをいま現在おる組合員の責任に転嫁をして、政府は補助金を若干出すけれども、大半は掛け金でこれを処理しようというところに私はあやまちがあるのじゃないかと思う。わかりましたか。というのは、その年の国民総生産に寄与した総体の額に対する何千、何万分の一かしれないけれども、それに相当する掛け金をしておる。それが今後国民生産が非常にふえてまた物価が上がってそれが変わったからといって、私はその当時納めた掛け金の価値というものは下がっておらない、実質価値は下がっておらない。それなのに、その年金のいわゆるこの額が、価値が下がったからといってそれをいまの組合員に出せということは、それは無理だ。私はその責任は政府が持つべきだと見るのですね、スライドアップするものについては。私はそういう考えを持っておるのですが、その点についてはどうですか。
  86. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 先生御指摘された問題非常にむずかしい問題でございまして、まず最初のほうの、すでに貨幣価値の高い時分に自分で積み立てたのだから、それに見合うものをもらうのが当然だと、それがまず最初にあるわけです。そこのところにつきましては、御承知のように、今度こういう調整規定ということを考えておるわけでございますが、問題はその次にその財源をどうして捻出するかということでございます。これは非常にむずかしい問題でございますし、さらにいま先生非常に論理的に明快に割り切ってされたのですが、もう一つ、たとえば貨幣価値の変動のほかにも、給与改定で実質的に上がるという面もございます。そうしますと、そういう点については、厳密にいいますと、給与改定で高いのを積んだ期間は短くて、そしてあとずっとそれをベースにしてもらう。極端な例としてある段階でもって給与改定がぴしゃりと仮定の問題としてとまったと、こういたしますと、そのときにやめた人は得をする。いろんなむずかしい問題があるところでございます。と申しますのは、わずかな期間だけ給与改定に見合う掛け金をして、あとずっとそれでもらっていく、こまかいことを言いますといろいろあると思います。それから後ほど先生お話しになるだろうと思いますけれども、これはいろんなところで非常に難問でして、いろいろ検討しておりますが、しかし、これでいいんだというすっぱりした結論が出ませんのは、一番簡単なのは先生がちょっと言っておられるように、そういうものは財政が負担したらどうかということをちょっと言っておられたのじゃないかと思いますけれども、また財政のほうは財政のほうで、そういう状況のもとでいろんな問題が出ますので、それを簡単に財政で負担することはできないというのが現実の問題だと思います。そこで、またもう一つ考えなければいかぬのは、共済制度として現在の職員のめんどうを将来の職員が見るという面が多少あってもいいのじゃなかろうか、そういう問題もあります。これは議論しだすと非常に切りがない問題でございますし、ずいぶん長い期間かけてその問題を議論したところでもなかなかすっぱりと明快な答えが出ていない問題でございますので、しかし、先生御指摘されたように、これは放置はできない問題でございますので、今後ともさらに慎重に検討して、いろんな制度に波及する問題でございますので、多くの人がなるほどやむを得ない、この辺がいいだろうという答えを出すよりしかたがないのじゃないか、そう思っております。
  87. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 こういう深い論議をしておっても、それは果てしない。またやるところでやりたいと思うのだが、私はこの年金関係の問題では、国会の論議法律の文面だけで上走りしておると思っているのです。深く掘り下げておらぬと。非常に、ごまかされておるというわけではないが、非常に問題がある。で、いま言われたこの平準保険料方式、積み立て方式でなければまた別の問題があると思うのです。本人がこれだけ納めていけば将来自分はなくなって遺族にやってもそれだけで生活でき得るという保障のもとにあの掛け金を割り出しておるのですね、積み立て方式だから。それがやめてから物価の変動で、そういう約束で掛け金かけたやつが下がってくるということは、私はこれは年金制度としては全く不合理である。したがって、当然貨幣価値が下がったということの分だけ、あれは実質生活程度上がったんだから、給与はあれは区分があるからということは別にしましょう。別にしますが、それを何%か除いてもやはりそれだけの権利は私はあると思う。それが今日全然失われておるのですね。恩給制度のときに私言ったように、これは政府から出す金であるから、少々文句あってもしかたがないという論理は成り立つけれども、今度は毎月これだけ納めたら自分の遺族が保障されるという形で掛け金しておるのに、いわゆる物価が上がって生活費が上がったためにその価値がないというのは、一体だれの責任であるか。もしそういうことを論じないならば、積み立て方式でなしに財政方式ですね、物価方式でやるべきでないか。各国も大体物価方式に変わってきております。これは当然十年、二十年じゃない、四十年、五十年、百年の先の問題を論じてこれをつくっているのですから、無理なことはわかっている。無理なことをしいてやっておられるからこういう論議が出てくるのですね。物価方式でやって、少なくとも五年くらいのやつを見て、そのときどきの掛け金を取ってやるというのも一つ方法、各国もそうなっておりますね。日本の場合は積み立て方式をやっておる、これにも一つ問題がある。そういうものをぼくははっきり割り切ってこの問題を解決してほしいと思うのですね。積み立て方式をやられると、われわれはあの法律ができたときに、これだけ納めておればちゃんと遺族の者が食える。金額では、額面ではそうなっておるのだけれども、やめた後の物価の変動でそれが価値がなくなるのをだれが責任を持つか、ここが要点なんですね。それをあなたいまおる人が若干見てやってもいいじゃないかと言うけれども、見るのにもよりますよ。本人の責任でなくなっているやつを、しかもそういう契約でやったやつを、価値が少なくなってそれをあとの組合員が見たらいいじゃないかと、これは相互扶助じゃない、これは別です。どちらの責任でもないのですからね。そういうものをもう少し政府考えて、とにもかくにもスライド制を早くやってもらいたい。それでなければ共済組合はりっぱにできておっても、こんなものはやめた人から見ると、五年たったら価値がないということになる。したがって、あなたが言われましたが、恩給の場合は恩給制度審議会というのがあってやるという直接言質取った。これは一年先か二年先か知らないけれども国家公務員共済組合の場合はこのスライド制はどういう形で裏づけていくのか、このシステムを教えてもらいたい。
  88. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 国家公務員の場合につきましては、共済の審議会で検討願って、この規定がなるべく生きていくようにと、そう思っております。
  89. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 審議会は相当論議は深めて進んでおりますか。
  90. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 共済組合審議会においても、すでに再三御議論をいただいておるのでございますが、具体的な今後どうするかという運用は、まだ法案も通っていない段階でございますので、法案が成立いたしましてから具体的な御検討をいただくことになろうと思いますが、今後も共済組合審議会において御審議願うことになっております。
  91. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは単に共済組合だけでなく、厚生年金、船員年金その他関係ありますが、政府一体としてこのスライド制の問題の解決を、年次ですね、どのめどでやっておられますか。政府としては、ただ審議会が結論出すといったって、審議会は政府意向によってやるのだから、一体いつごろにこれを実現するか、具体的な方法はできるか、こういうめどはどうですか。
  92. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) ただいまのところ、いつごろをめどにしてこれを動かすのかと、年金改定するのかということ、まだお答えする段階になっておりません。これからのいろんな経済関係の指標等の動きも考慮しなければいけないと思いますし、それから先ほど先生御指摘になりましたあの基本的な問題も当然その過程では出てくると思います。そういうことも考えまして、法案が通りましたら、なるべく早く審議会でこういう問題について検討を始めてもらいたい、そう思っております。
  93. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 一ぺん大蔵大臣に出てほしいのですが、大体、政府年金制度では誠意を持っていると言うけれども、いままでからみると、ぼくは誠意がないと思うのですよ。スライド制はもう諸外国でも相当論議をし実施されておるところも相当ありますが、年金制度ができるときに、新法ができるときに、その際にすでにこの問題は論議してやっておかなければならぬのですが、ただ、日本にも、先進諸国と大体肩を並べたいということで、制度としてはもう皆年金です。現在、日本の国民はすべて年金に入っておるということも喜ばしいことですが、その内容たるや全くその場限りの法律だと私は思っておるのです。だから、政府として、もう少し真剣に、これはどこが担当するのか知らぬが、やはり厚生省ぐらいになると思いますが、私はもっと真剣に国民の年金制度については私はやるべきだと思うのですね。それが実はどの大臣が説明しても同じような答弁ですよ。政府は、一体、ぼくは言うのです。五年なら五年先にこうだ、三年先にこうだという一つのめどをつけてやらなければ、審議会の委員がこれを論議したって、政府意向がなかったらやれないのだから、決断ですよ、一つの。そういうのを、審議会が結論を出してどうこう言っても私らはもう信用しない。少なくとも政府は決断をして、財政措置はどうする、方法としてはどうするということを、まず私は基本方針を持っておらなければ、審議会の人がどんな学者か知らないけれども、学者でもいろいろ意見分かれておるのですから、こんな私はそう短時日にこの問題は結論を出し得ないと私は見ておるのですが、したがって、私は政府の決断以外にないと思うのですよ。あなたにそんなことは答弁できないか知らぬけれども、私は少なくとも大臣にこの問題は聞きたいのですが、これは上げるときに大臣来るのでしょう。きょうは来ないですか、委員長
  94. 八田一朗

    理事(八田一朗君) 上げるときには大臣見えます。
  95. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 上げるときだけで、上げなかったらきょう来ないのですか。
  96. 八田一朗

    理事(八田一朗君) きょうはちょっとわからぬそうです。
  97. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大蔵大臣は忙しいか知らないけれども、上げるときしか来ないというのは誠意ないですよ。大体大蔵省は一番冷淡ですよ。なかなか大蔵大臣出てこない。予算委員会でやる以外に大蔵大臣とっつかまえることは非常にむずかしいですね。これは議事録にとどめてもらいたいと思うのですが、こういうことをあなたに言ったところで、大きい政策上の問題だから言い過ぎてはまたあなたしかられるだろうし、そういうことでなかなかあなたは言えないと思うのですよ。こういう政策上の問題について、これはもう事務的に答弁されたって、幾ら言われても私は根も尽きてしまうのです。きょうは理事の方々に聞いたら大臣が出てないと言われているから、私はいいですよ。大体大蔵大臣はこういうものはちっぽけな問題だと思って来ないのか知らないが、私はたとえ半時間でも出て大きな政策の問題だけ論ずべきだと思うのです。あなたに尋ねてもしかたないのですが、あなた、どう思うですか。
  98. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 大臣、非常に出席せなければいかぬ委員会が多くて、本日はここへ出られませんで、たいへん申しわけないと思っておりますけれども、これが上がるまでの間、一ぺん大臣に出ていただいて、そのときに先ほど先生がおっしゃられた基本的な問題も論じていただきたいと、そうお願いしたいと思います。
  99. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もうぼくも質問する根気もなくなったのですが、これは事務的に質問するのだったら給与課長に私のところに来てもらって説明してもらえば了解がつく問題ですね、しかし、やっぱり責任のある人の言質をとろうというのがぼくの考え方ですから。まあしかし、しかたないですから、若干言うことだけ言っておきますけれども、そこでこの法律案については恩給法と同じですから、朝論議したので尽きておるのですが、共済制度の基本的な問題について一、二だけ尋ねておきましょう。  今度は三公社の場合には、保険料率を引き上げられました。国家公務員の場合は三十九年度に引き上げられましたが、これについては、私は異議があるのです。大体とられた要素としては、引き上げの一つの大きな要因として平均余命、死亡率が非常に減ってきたということで相当保険料を上げられております。国家公務員の場合には幸いにも負担割合、国の補助率が五%上げられたので、従来どおりにとどまっておりますけれども、あれがなければ千分の四十七ということぐらいになると思います。これは平均余命が長くなったというデータはどうしてとられたのですか、国家公務員の場合です。
  100. 飯森実

    説明員飯森実君) では、電電公社の共済組合の財源率を再計算した場合の死亡者余命が伸びたことはどうしてかという御質問ございますが、第十回の生命表と私のほうの昭和三十六年から三十八年までの共済組合の実績でこれを補正いたしまして調べたわけでございます。
  101. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 補正はどういう補正をせられたのですか。口で簡単でいいです。わかっているのですから。   〔理事八田一朗君退席、委員長着席〕
  102. 飯森実

    説明員飯森実君) 第十回生命表の男子の死亡率に対しまして、私どもの三十六年——三十八年まで三年間の実績死亡率を比較検討いたしましたところ、国民生命表に対し実績は大体二〇%減となっておりましたので、国民生命表を二〇%減じたものを財源率の計算に使いましたわけであります。
  103. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大蔵省の管轄の国家公務員については……。
  104. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 国家公務員の場合には、三十九年度の再計算の際に退職年金者の消滅率をどう見たかということについて申し上げますと、第十回生命表の男子の死亡率によります予定死亡数と実績死亡数との比率を勘案いたしまして、第十回生命表男子死亡率の八五%という数値を用いております。なお、第十回生命表の男子の死亡率による予定死亡数と実績死亡数との比較を申し上げますと、三十五年度におきましては、百二十四人予定死亡があるところを実績は九十一人である。三十六年は百九十八人あるところが百七十六人である。三十七年度は二百九十六人である。ところが二百七十人である。この三カ年を平均いたしますと、八四・三%というような数字になります。また、三十五、三十六、三十七全部トータルいたしますと、六百十九人の予定死亡数に対しまして、五百三十七人の実績死亡数でございますので、この比率が八六・七%になります。この両者の比率を勘案いたしまして、八五%という数値をとったのでございます。
  105. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これで相当論議をしたいんですがね、国対の通知がきましたから、残念ですがね、国会としては重要な問題をやるんだから、あとまた来ますけれどもね、これだけの結論出しておきますがね。いろいろ私も検討した。国家公務員は一般国民よりも一割五分、実は平均して死亡率が少ない、電電公社は二割死亡率が少ない、こういう数字でやっておられる。これはもうとられた統計資料を見なけりゃわからないのですが、私は論理上、そういう実績と言われても、とらえた実績というものは、いわゆる国勢調査による生命表から見れば、対象者はほんのわずかです。したがって、それを基礎として、一般の国民よりも一割五分だけ国家公務員の場合は死亡率が少ないという認定をしておる。私はそれに対して相当異議がある。しかも、その一割五分死亡率が少ないということは、年金に大きく財源率に影響すると思うんですね。したがって、そのとらえた方法を全部とらなきゃいけない。統計数字というものは相当正確であるけれども、対象が問題なんです。こういうわれわれ矛盾——一口で言っておきます。もうあとの時間迫られておりますから。厚生年金も八五%として、いわゆる厚生年金も一般国民よりも一割五分死亡率が少ない、平均余命は二年ほど長いんだと、こういう大体基礎に立って保険料をきめておる。国家公務員一割五分、電信電話公社の場合は二割、こういうことの推定でやっておるのですが、現存厚生年金を含め、共済組合を含めた対象者は約二千万だといわれております。そうすると、厚生年金の対象者も合わせますと、厚生年金含めて約二千万、国民年金対象者は、これが二千万。そうすると、国民年金以外の方々は、一律に一割五分死亡率が少ないという数字でこの保険料を計算しておる。ところが一方、半数を占める国民年金のほうは生命表ずばりで平均余命、死亡率いずれも計算して保険料出しておるのですね。その場合ですね、しからば——それ以外にないんですよ、対象者はない。日本の国民は全部——年金関係するのは全部、オール含めて四千万余りですね。そうすると、国民年金の場合は生命表そのままの寿命である、平均余命である、ところが、その半数を占めるところは一割五分長く生きておるんだというと、一割五分早く死ぬところの者は一体どこに入っておるのかというふうな疑問が起こるのですね、論理的に言って。一体それはどういうことになるんですか。国民年金のほうが一割五分早く死ぬんだという統計数字出しておるんならわかる。こちらのほうは一割五分だけ長生きすると、長生きするところのものがあれば、早く死ななければ全体の生命表と合わなくなるんですね。そういうことがわれわれとしてはどうしても理解に苦しむのです。それはどういうわけですか。わかりますか、ぼくの言っていること。黒板持ってきてもらって、黒板に書けば皆さんよくわかるのですがね。全体がかりに七十歳まで生きると、ところが、共済組合関係や厚生年金のほうは七十二歳まで生きると、こう言うのですね。一方のほうは七十歳までというと、あとの二年間早く死ぬ人はどこにおるのかということがわからないのですよ、ぼくらは。したがって、われわれ悪く考えると、国民年金の場合は、これは文句はつけられないから生命表でいくと、いわゆる有利な——これも有利と言えば有利と言えるし、早く死ぬんだから、七十歳まで生きるように計算すると、片一方のほうは、こういう実績がありますといって、ただ一割五分長生きするような計算でいくというと、どちらもいいような形で保険料を高く取るような形にしておるんじゃないかという私の疑いが出てくるのですね。こういう点が、これはあんたのほうは厚生年金知らない、国民年金知らないから、どうなっているかわからぬということは言えるけれども、われわれ国会の立法府としては、国民年金も扱っている、厚生年金も扱っている、各種共済組合年金も扱っている。もう全体を見ると合わないのですよ。こういうものを、私がずっと数字を黒板に示して書けば、皆さん御理解いくのだが、もう呼びに来ましたから言えませんが、結論だせ言うと、そういう一つの矛盾をどこで合理的に説明するかということを、ちょっと教えてほしいのです。
  106. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 先ほどおっしゃいましたように、国民年金、厚生年金につきましては、直接所管しておりませんので、十分事情を承知しておりません。私どものほうにつきましては、先ほど申し上げましたように、三十五年度、三十六年度、三十七年度の実績死亡率を勘案して数値を出したわけでございます。ただ、たいへん推測になりまして申しわけございませんけれども、第十回の生命表は昭和三十年のデータが基礎になっていると承知しておりますので、こちらは三十五、三十六、三十七のような最近のデータをとっております関係上、若干そこに死亡率の低下その他の要因があるのじゃないかということも考えられるのではないかと思います。
  107. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それも検討したのだ。しかし、第十回生命表——第十一回は昭和三十五年。第十二回は、四十年の国勢調査が出ておらない。第十一回も出ておらない。第十一回のほうは、あなたが言われることになれば、要するに死亡率は、あなたの説からいうと、国家公務員だけの範囲だと言うけれども、それならば平均余命は長くなっているという推論がどこで出るか。これは厚生省の、あれは何とかいう博士ですかね、三十五年——三十年までは平均余命も平均寿命もずっと上がってきているが、平均余命も六十歳からすると、三十五年ごろからはこれはずっと横ばいになる——これは生命表が非常に出てきて、これは諸外国も同様な状態です。したがって、あなたが第十一回生命表が、平均余命が伸びているという推定ですが、これも私ははっきり言えないと思う、もし正確を期するならば。そういう傾向があるかどうかは、私は知らないけれども、あなたの説明だけでは私は聞けないね。
  108. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 先生の算術の問題ですが、算術はわかったのですけれども、私どもの担当じゃないところで、これは私のほうでかえって想像で御答弁いたしましても、どうも先生のほうがよく勉強しておられるようでありますので、実際どうなっているかということを調べた上で答弁さしていただきたいと思います。
  109. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはぼくはね、各三公社の方も来てもらって、ここで私はそんなこまかいことというのはせいぜい聞いております。これは単に政府を責めるのじゃなくて、こういう年金制度の財源ということは、これを税金ですから、相当高い税金ですよ。これはあいまいな計数でやられるということは、非常に、保険数理の問題ですから、やっかいですから、国民の方は知らない。したがって少なくとも参議院という場であれば、こういうことも若干論じてもいいじゃないかということでやっているのだね。したがって、保険料は幾らにきめた、ああ高い、安いと論ずるのは、やはりまじめに考えれば、なぜこれだけ要るのだということを明らかにしておかなければならぬ。その上でこれは生命保険も一緒ですが、平均余命、これが一応大きな重要な要素になっております。一年伸びても相当大きい費用が要りますからね。そういうものをあいまいな形で基礎をとって保険料をきめるということは、私は不当な課税である、保険料であるということからやっているのですね。したがって、この点は主計局次長が言われたように、ここで論じたってこれはなかなかむずかしい問題だ。一ぺん政府部内で十分検討してもらいたい。で、つけ加えて言っておきますがね。厚生年金の場合は、女子の場合は特殊な扱いをしておるんです。これは平均余命も違うし、また日本の実情から違う。ところが、共済組合の場合は、女子職員に対しては全然特別な措置をしておらないんですね。これも私は共済組合一つの欠陥だと思う。先ほど言ったスライド制の問題と同様に。女子職員、一体国家公務員の場合、三公社の場合、勤続年数、いわゆる被保険者、組合員期間が一体どういう状態になっていますか。そういうデータとってますか、女子職員についてのみの。
  110. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 初めに女子の数でございますけれども、連合会の場合には、一般の組合員につきまして男子が三十五万五千二百三十一人に対して、女子が十万四千二百二十七人でございまして、女子の割合が二二・七%程度でございます。
  111. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは二十年のLT期間ですね。LTということばを使ってもわかりませんが、組合員期間で、二十年でどれだけ残りますか、女子で。
  112. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 二十年の残存数は、連合会の一般の場合に四十四・二人でございますが、男女別の残存数につきましては、十分詰めた数字を持っておりませんが、一応の推定でまいりますと、女子の場合が二十五・七という数字になっております。
  113. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは正確にとったんですか、女子の場合。
  114. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 調整のやり方その他については若干御議論があるところだと思いますので、一応の試算であるということで申し上げます。
  115. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこでだ、それの数字を見ただけで、男子の場合は二十年の最短年限ですから四五%と。百人に対して、まあ十万単位でありますけれども、わかりやすく言うと百について四五%程度が年金がつくという資格があると、その統計数字からね。あとの半分以上は年金がつかない。女子の場合は、同じ条件でいくと結局百人のうち二十二、三人しか実は年金をもらえないということになるんですね。それの差別があるんです。だから厚生年金では三十五歳以上入った女子については十五年で年金がつくという特別措置をとっておる。それから保険料も低いと、こういう措置をとっておるんだが、公務員関係、いや共済関係はすべて同じようにしておるんですね。これも私は考えるべき一つの大きい要素だと思います。そうして現在やめた場合の選択権、通算退職年金制度があるから、一時金は凍結することになっておるけれども、女子の場合は若干認めて四十五年までですか、認めるということになっておるらしいんですが、当然私はこの問題もあわせて考えなくちゃならぬと思うんです。したがって、言いかえれば女子の場合はこういうありがたい年金制度を持っておるけれども、実際に年金をもらえる者は二割前後だということしかならないんですね。男子の場合でも五割です。そういう私は実態上出ておるやつをずさんにも男子と同じような形で制度をきめることは、この制度としては一つの大きい欠陥である、私はそう思っておるんですが、これについてどうですか。
  116. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) この問題なかなかむずかしい問題でございまして、お示しのように、女子が男子に比較して早く退職する者が多いことは事実でございます。しかし、現在の給与制度におきましては、女子公務員と男子公務員と何ら差がないということもございますし、かりに女子につきまして独自の財源率を適用いたすといたしますならば、当然男子組合員の財源率が上がるというような問題もございます。国家公務員共済組合の場合だけではございませんで、ほかの共済制度全般の問題でございます。慎重に検討する必要があるというように考えております。
  117. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 給与がまあ性別で差別してないないということは、これはもう一応いいんだが、それを基礎に置いて年金制度が不公平にできておるということですよ。女子の場合はですね、よけい出して男子が低いというなら別のことですが、それと、これはわかっておると思いますが、一時金で、二十年未満でやめた場合、一時金もらった場合は、本人の掛けた掛け金に複利で、五分五厘で計算して出すという程度しかないのですよ。したがって、年金をもらって初めて政府の補助金なりあるいは事業主の負担金というものが乗ってきて年金の価値が出てくるのですね。したがって、二十年まで何人残るかということが実は年金制度の大きい問題ですね。そういうことから、私は、給与の問題はそういうものじゃない。統計上出ておるその数字が年金制度の基礎としてなっておる以上、この統計数字を忠実に守って制度を考えるべきである。保険料だけ下げろと言っておらない。男子が二十年で年金がつくなら、十五年ということで短縮すべきである。現に警察官そうでしょう。警察官、あの法律できるときにも、警察官は平均して早く退職するから十五年にしますということを言っておるのですよ。恩給制度のときには、一般文官は十七年、警察官、監獄の職員は十二年という五年の差があったけれども恩給制度変わったから、前の五年の格差をそのまま共済組合年金制度に認めたのかといって、あのときは佐藤さんが大蔵大臣のときだと思いますけれども、そのときはそうではありませんと、あのデータから見て、警察官が早くやめるから、したがっていわゆる十五年にいたしましたという答弁なんですね。そうすると、女子も同じような立場におるのです。女子も。それがどうも答弁が食い違っておるのですよ。いままでずっと私は総ざらいするということは、三日間かかっても尽きないのですが、三日かかればもう国会終わります。そうは言っておられない。そういう矛盾だらけのものを出してわれわれ論議されることは、われわれとしてですね、これは制度の根本的な問題だから、給与課長責めるわけじゃないが、政府でももっと深く検討して、やはりこういう制度をつくるべきである。制度としてはいいんですよ。制度は私は悪いと言っておらない。制度はいいのだけれども、その組み立てが私は矛盾がある。そういう点についてこれを私は改正すべきだと思うのですがね。この点について、大臣いないから言ってもしかたないから、どうですか、次長。こう言ってえらい失礼なことばだけれども
  118. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) おっしゃるとおり、非常に基本的な問題ですので、私どもも、しかしこれはまた非常に理論的な問題でもありますので、よく今後とも検討いたしたいと思います。
  119. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止
  120. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) では速記を起こして。
  121. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 長官が見えてないですからね。恩給局長に御答弁願いたいと思いますが、この恩給法、今回の法案について大体お尋ねするのですが、この恩給法はしろうとに非常に難解で、非常にわかりにくいのですね。私ども地方に参りまして、恩給申請、その他恩給手続のことについて非常に尋ねられ、また申請しても一年も一年半もかかる。これは結局恩給法が非常に難解であるからです。その原因は条文にもあると思いますが、内容をよく検討してみると、恩給法の本体を附則で何回となくこれは改正されておるのですね。また、すでに廃止されたと思われる条文が通用されたりして、まことにわかりにくい点が多い。この点については、本委員会においても何回か指摘されたと思いますが、政府は、最も恩給法の理解しやすい、また理解しやすくするための法律の一元化というようなことについて努力するという御答弁が何回もあったと思いますが、そういう点について、どういうふうに具体的に研究されたか、局長にちょっとお尋ねいたします。長官がおられるとたいへん都合いいんですが。
  122. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 鬼木先生の御指摘になりましたように、恩給法が非常に難解であるという点については、たびたび御指摘を受けておるわけでございます。私も実は恩給局長を拝命しまして一年でございますが、恩給法をながめましたときに、われわれこれを専門的に運用する立場におきましても、確かにかなり困難があるというふうに私も感じておるわけでございます。ただ、先生にちょっと御了承を得ておきたいと存じますのは、御承知のように、恩給というのは年金制度の一種でございますが、年金制度は全体的にやはりある程度の問題を含んだ規定の立て方になっておるわけでございますが、これは特に恩給の立場で申し上げますと、大正十二年にこの恩給法が制定されまして今日まで実は幾度となく改正されてきておるわけでございます。そうしますと、改正されることによってそのつど既得権の保障ということが出てまいるわけでございますが、そういたしますと、本則の条文の上からは姿を消すわけでございますけれども、結局附則で改正前の規定も生きているという措置をとらざるを得なくなるわけでございます。しかも、こういう措置が改正のつど積み重ねられまして、非常な膨大な法体系となって今日に至っておるわけでございます。しかし、これは考えますに、法令は本質的にその適用を受ける方々にわかっていただかなければなりませんし、その意味においてわかりやすくしていくということは、当然私たちの責務ではなかろうかと考えるわけでございます。その意味において技術的な制約はございますけれども、できる範囲の中で、たびたび御指摘いただいておりますので、私たちはこの法改正のときにもその問題を実は取り上げて検討いたすわけでございますが、何しろ非常に多年にわたって積み上げられておりますために、この改定が簡単にまいらず、私たちも苦慮しておるのが現状でございますが、今後さらにそういった点について、御指摘の点も、法改正のたび、あるいはこれからの法改正に際しまして、そういった点に十分な考慮を加えてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  123. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そこでお尋ねしたいのですが、先ほどから申しますように、恩給の申請というようなことについて、私はたびたびそういうことにぶつかるし、行政管理庁あたりにも相当件数これが持ち込まれておるというようなデータが出ておる。申請をして決定するまでに一年あるいは二年、相当時日がかかっておるということですね。それはあなた方が非常に慎重に審議されるのはけっこうだと思いますが、その申請をする手続、これは簡単にだれでもできない。ことに軍人恩給なんかは厚生省のほうの援護課を経てあなたのほうにいく。普通恩給のほうは直接あなたのほうにいくことになっておると思いますが、そういう点も私は多少あるのじゃないかと思うが、恩給局のほうで整理にそれだけ手間どるということは、どういうところにそういう事務が渋滞するのですか。人が足らぬのですか、怠慢であるのか、そういう点をひとつ局長。
  124. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 先生の御指摘のいわゆる一年あるいは一年半も要するという案件は確かにございます。これは実は通常いわゆる裁定に要する期間としてはもっと早いわけでございまして大体一カ月から二カ月ぐらいのところでほぼ裁定が終わり得るわけでございますが、御承知のように、軍人恩給についてはその方々のそれぞれの旧来の御経歴なり、あるいは特に問題として御指摘いただきますのは、いわゆる傷病恩給であろうかと存じます。傷病恩給についてはそれぞれの傷病についてのいろいろな原因がどういうふうなことになっておるかという調査もございまして、それらの点が都道府県なり、厚生省の援護局を通じて上がってまいりますので、その段階でもかなりの期間を要しますが、われわれ恩給局に参りましてからの処理は比較的早いかと存じます。ただいわゆる傷病恩給等についてはそれぞれのいわゆる相当因果関係判断の問題に時間を若干要するという点があるわけでございます。以上のような点で、私たちのほうはできるだけ受給者の立場もございますので、恩給の事務処理については努力をいたしておるわけでございますが、ただいま先生御指摘のような受納者の側から見られれば、どこでどういうふうにひっかかるかは別として、やはり一年、一年半かかるということはそれだけ影響も重大でございます。したがって、私たちは、これらの事務の進捗には常々配慮を加えておるわけでございます。
  125. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 結局、あなたのお話を聞くと、特別の場合だということになると思いますが、いずれにしましても、私がそういう相談を受けても、なかなか簡単に的確にこれはこういうわけだということがわかりにくいというのは、先ほどから言っているように、やはり恩給法が非常に難解である。そこでお尋ねしたいのは、最も恩給法のわかりやすいような、何か恩給法を勉強する最も簡略な方法があるかどうか。先ほどからお尋ねしていると、恩給局長もまだ就任して一年くらいで、私どももなかなかこれは難解であるということは認めておりますと、職にあるあなた方でさえもそういうおことばであるから、ましてしろうとはなかなかこれは簡単にわかりにくい。  そこで先ほどからおっしゃっておった恩給法の大正十二年の法律第四十八号ですか、あるいは昭和二十八年の百五十五号、そういう恩給法を最も簡明にわかりいいような方法ですね。そういうことを研究されたかどうか。何かあなに方もそういう点を研究されて、最も恩給法をみんなによく知らしめるということが私は大事なことだと思う。まあ意地の悪いことをお尋ねするようだけれども、結局私はそういう理解のできないような膨大な恩給法をそのままにして、たびたび指摘されておりながら研究しない。大衆の便宜をはからない。そういうようなところに、少しまだあなた方のお考えが旧態依然じゃないか。少しも進歩していない。大衆のため、民衆のために何とかして恩給法を理解させる方法という考えを何回もこれは指摘を受けておるのだから、どういう研究、どういう考えをされておるかということをお尋ねしたいのだ。
  126. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 恩給法につきましては、先生の御指摘のように、また私も申し上げましたように、かなり難解なものでございますので、そこでまあ部内のいろいろな資料の調製はもちろんでございますが、外への刊行物として恩給という雑誌ができておりますが、そういうものをできるだけ一般の方々にもお読みいただき、また、私たちのほうでそれぞれそういう方面の専門家に、一つ恩給の手引き的なものを用意する等、実はそういうことについては現行法の法体系をどういうふうにして理解していただくかという点についてのそれなりの努力はいたしておるわけでございますが、先生から御指摘をいただきましたように、恩給法そのものの実は制度の簡易化という点がやはり基本的に課題になろうかと存じますが、これらにつきましてはさらに今後の研究を待ちまして、できるだけ早い時期に御指摘のような点のないようにつとめてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  127. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 最も簡素化にですね。そしてだれにでもわかりやすいようなもの、あなたのおっしゃったような手引きみたようなものを早急にひとつつくっていただきたい。このように重ねて要望いたしておきます。と同時に、いまあなたのおっしゃるように、関係条文を整備していただく。これがあなたのおっしゃるように先決であろうと思う。これは長官がおられると長官にも私はっきりと確約をいただきたいのでありますけれども。  次に、恩給局長に私一言これは御注意申し上げたいのですが、先日本委員会で、伊藤委員質疑の中で傷病恩給に対する御質疑があった。ところが、その問題については恩給局長が、あなたが、その問題については百五十五号で処理しておりますと、こういうふうに答弁された。これは伊藤委員などはよく御承知で、それでけっこうだけれども、私らはここで聞いておって、百五十五号で処理しておりますとこう言われて、それは昭和二十八年の法律第百五十五号で、私はそれで恩給法を見たのです。百五十五号で処理しておりますなんて、そんなばく然たることをおっしゃっても、百五十五号の附則の第何条でやったのか、どういうふうに処理したのか、すこぶるこれはあいまいである。そういう答弁をされたんでは全くわれわれは理解ができない。もう少し政府委員として、恩給局長であれば丁寧に私はわかりやすく説明すべきであると思う。そういう点について局長の見解を承りたい。
  128. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 確かに先生御指摘いただきました点でございますが、一応法の根拠を明確にするという点におきまして、傷病恩給は一応軍人恩給復活に伴う法的措置として、それぞれの必要な対策が講じられ、また、それによって現在まで実施をいたしてきておりますので、そのようなお答えを申し上げたわけでございますが、いわゆる旧軍人につきまして、第七項症の増加恩給及び傷病年金につきましては、この百五十五号の附則第二十二条によって措置をいたしておるわけでございます。
  129. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それを私は言っているんです。第二十二条だとおっしゃればよくわかるけれども法律百五十五号で処理しておりますと、そういう簡単な答弁でなく、もう少しわかりやすく、理解しやすいように答弁をしてもらいたい。こういうことです。まああなたのいまの答弁で私は了承しますが。  それからよくこの恩給法の中で、「従前ノ規定ニ依ル」という規定を引用して、いろいろな問題を処理してあるようでございますが、ここらが非常に恩給法の難解な理解しにくいところですが、大体まあ私はわかっておるんだが、これを確かめたいと思うのですが、これはどういうことを意味しておるんですか。
  130. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 恩給法の附則で、「従前の例による」というような規定は、あちこちに出てまいるわけでございますが、これは法律を改正いたします際に、特定のケースにつきましては法律の改正後も、いわゆる改正前の規定、つまり法律の上では一応これはなくなるのでございますが、この規定をいままでどおりに適用していくという場合に、技術的に用いられる表現形式でございます。これは恩給その他の年金関係の法令では、権利が発生したときに、そのときの法令の規定によって、その内容が定められるという、また、既得権の保障という観点からよく用いられる規定のしかたであるわけでございます。  そこで例を一つ申し上げてみたいと思いますが、たとえば昭和二十八年の恩給法改正におきましては、普通恩給の最短年限が大体十五年でございましたのが、この十五年から十七年に延長されたわけでございます。この際改正前に退職された公務員につきましては、既得権尊重の趣旨から、従前の規定によるということが必要だということに相なりまして、このような場合に従前の例によるというふうな規定のされ方をするわけでございます。
  131. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 大体これは既得権の場合を、「従前の例による」というような意味のものであろうと、これは大体想像はついておりましたけれども、非常に各所にこれが多いわけですね、「従前の例による」というのが。こういうところを私はもう少し整理して、もっと簡明に、附則か何かではっきりやったらいいじゃないかというような考えを私は持っているわけであります。  その次にお尋ねしたいのは、恩給受給者で、現在、生活保護法による生活費を支給されている者より低い額の受給者は、現存どのくらいおられるか。
  132. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) いわゆる恩給受給者でこういう生活保護よりも低いという人が事実ありますのは、これは恩給のいわゆる制度のたて方が在職年と俸給との関係の組み合わせでできておるためでございますが、それは在職年の短期間の方々についてはそのような点から年額が低いということになってまいるわけでございます。  そこで、今回、いわゆる長期在職者につきまして六万と三万のいわゆる一つの保証額を考えようといたしたわけでありますが、御承知のように、生活保護の五級地がほぼ六万円程度ではなかろうかと存じますが、したがって、その程度の限界の人たちが今回の予算措置の中では四万六百件を見込んでおるわけでございます。
  133. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そこで、恩給受給者は、これは申し上げるまでもないことだが、在職中に国庫納金をしておるわけですね。これは申し上げるまでもなく、百分の二ですか、ずつ国庫納金をしておる。生活保護法の適用者よりも支給金が少ない。これは、私はまことに不合理だと思う。かつて国庫に納金をしておりながら、しかも、生活保護による保護法の適用を受けておる者よりも少ない。これは性質が違うんだと、いまのあなたの御説明のように、社会保障制度による年金である——私は、まあこの生活保護費も、これはもっと上げてもらいたい。社会保障ということは、特に佐藤さんは、社会福祉ということに対しては内閣の表看板だということを言っておるわけでありますが、社会保障制度は、これは徹底的にやってもらいたい。だがしかし、国庫納金をして、在職中まじめに一生懸命働いた方々が、老後働くことができないようになった。それに社会保障による生活費よりも下回る額をもらっておる。支給されておる。こういうことに対しては、私はどうしても納得がいかない。極端に言ったならば、国は国庫納金をさせて、その金をただ取りしたようなかっこうだ。極言すれば、そのようにも私は言われると思う。この問題に対しては、長官がおられれば長官に私ははっきり申し上げたいのですが、長官がいらっしゃらないので、局長の見解を承りたいと思います。
  134. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 先生の御指摘のように、いわゆる、国庫納金制度というのがかつてございまして、いわゆる、文官については百分の二、それから軍人の将校、下士官については百分の一、兵の方々については国庫納金がないという制度で運用されてまいりました。  ところで、そういうような国庫納金をしてきた人たちと、それからいわゆる生活保護の関係が当然に課題になることで、御指摘の点は私たちもこの点についてはそれなりに問題点がひそんでいるということを考えるわけでございますが、ただここで申し上げておきたいと考えますのは、生活保護は日々の生活を営む上の最低限度を保障するものでございますが、恩給制度は、公務員が左職中誠実に勤務したことに対して、国がその使用主として公務員またはその遺族に経済上の保護を与え、その生活に寄与するというたてまえになっておるところから、やはり、こういった社会保障恩給とはおのずから異質のものであるというふうに考えておるわけでございますが、ただ先生も御承知のように、いわゆる恩給受給の恩給金と、それからいわゆる生活保護の保護費との間の調整がとられておることは御承知のとおりでございまして、したがって、これまでそういった、いわゆる生活保護の関係より低い者については、その差額が生活保護から補償されるというふうな制度的な要因によってこれらの問題が一応措置をされてきておるわけでございます。しかしながら、いま先生の御指摘のごとく、一方で国庫納金をしているという、そういう義務負担があったところから、考えていきますと、恩給の額についてはやはり、それなりの配慮が必要であるということについては、今後の私たちも研究の材料にいたしてまいりたいと存じます。これまでの考え方で、いわゆる低額保障という線を出しましたのも、一応、それなりに制度的改善を考えたわけでございますが、これにつきましても、財政上の理由等がございまして、この程度の改正に終わったわけでございます。
  135. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それは社会保障制度による、それから恩給年金、これは当然、性質が違うでしょう。違うでしょうけれども、あまりに懸隔がはなはだしいのですね。御承知のとおり、東京の標準世帯を見ましても、御夫婦それからお子さん二人、それで計、月に二万七千百六十二円ですか、それだけの生活保護費をいただいていらっしゃる。ところが、恩給受給者においては、月に二万七千円の恩給をいただいていらっしゃるという人は、これは相当な人である。平均公務員のベースは御承知のとおり、三万九千円ですか、片方は二万五千円、公務員の給与ベースは三万九千円、恩給は二万四千円、その点においても一万五千円違う、恩給の平均が二万四千円ベースです。生活保護は、東京の標準の保護家庭で二万七千百六十二円だ。非常に私は、懸隔があまりにもあり過ぎる、開き過ぎると思う。こういう点について十分ひとつ考えていただきたいと思うのです。今日、恩給受給者は非常に困窮されておるのです。事実。しかも、先ほどからたびたびお話があったように、公務員の給与ベースなんというのはどんどん上がっていくのだけれども、先ほどあなたのお話にもあったように、恩給といっても公務員の給与の上がるたびに恩給を上げるわけにはいかない、そういうわけにはいかない。それはそうでしょう。そうでしょうけれども恩給なんというようなものは、三年に一ぺんか四年に一ぺん、しかもわずか、どこで算定したのかしらぬけれども、算定基準たるやまことにあいまいなことで、お茶を濁しておる。そこで生活保護法による適用者の支給額と、恩給受給者の年金との開きがあまりにも大きいという点を私はあなたに申し上げておる。その点は研究する余地は大いにあるのじゃないかというわけです。
  136. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 確かに先生の御指摘のごとく、年金とかあるいは生活保護費とか、それぞれ制度のよってきたるところによって若干の相違がございますが、ただ恩給といい、あるいは社会保障といい、いずれもそれなりにいわゆる金の問題につながるわけでありますし、それが生活にも必然的に関連を持ってまいることは事実でございます。ただ先ほど来、申し上げておりますように、制度の多少の相違というものがやはり恩給の実際的な制度化の中で必然的に課題になりますので、そこでいま御指摘のごとく、恩給は現在二万四千円、一般職の国家公務員の平均ベースが三万九千円、まあそれが直ちにやはり恩給を受給しておられる方々からすれば、二万四千円と三万九千円の差があるじゃないか、こういう、実感としてお持ちになっておられる、それだけに私たちも実はこの点について非常に苦慮するわけでございますが、ただまあ実質的にその内容を調べてよく御理解をいただけば、たとえば現在の給与の建て方というものが、やはりかなり戦後変わってきておりますので、それが直ちに結び付くものではないというふうにお考えをいただくことがなかなか困難でございまして、そこに私たちも当然恩給額というものを見直していくときの一つの課題になろうかと、かように考えておるわけでございます。
  137. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 これは社会保障制度によって支給されておる金ですね、生活困窮者が救われるということは大いに私はけっこうで、むしろ私どもは現在の生活保護費はもっと倍にでもすべきだ、国民の最低生活を、文化的な最低生活を営む、憲法で規定されておる、憲法で保障されているのだ。最低生活はむしろ低きに過ぎておる。もっとこれは生活保護費は高めるべきだ。しかも佐藤内閣は、社会福祉、大衆福祉を目ざしておる内閣であって、当然のことじゃないか、私どもはそう叫んでおるのでありますが、大いにそれはやっていただかなければならないが、社会保障による支給金とかつて納金をしたところの自己負担による各種年金との関係を、十分考えていただきたいという意味のことを私はあなたに力説をしておるわけなんです。これはまああなたに一人責任を持てといったって、それはそうもいかぬだろう。不幸にしてきょうは長官いませんから、これは十分ひとつ皆さん考えていただきたいと思う。  そこで先ほどから、山本委員からずいぶんこれはお話があったから、もう私、重複しますけれども、今度いわゆる年金に関する調整規定が設けられることになっておりますが、それを背景にしますというと、これはまさしく先ほど山本委員も相当痛烈にお話しになっておったようでございますが、これまた極論すれば、中途半端な、実態を伴なわぬ私は規定だと思うのですね。いささかもこれに対しては具体性がない。先ほどから私たびたび申し上げておりますように、公務員の給与ということになれば、民間ベースが五%を上回ればこれは毎年勧告をする義務があるのですね、人事院は、御承知のとおり。ところが、恩給に対しては、それは先ほどあなた恩給制度審議会があると、こうおっしゃっておるけれども恩給に対しては何ら勧告するあれもない。先ほど申し上げましたように、三年に一ぺんか四年に一ぺんわずかにびぼう的に調整する、今回のこの調整規定も何ら具体性がない。やってもよければやらなくてもいいと、責任規定でないと私はこれは思うのです。これははっきりした責任規定でどういう場合にはどうすると、こういう場合にこうする、こういう場合には恩給の手直しをやる、そういう具体性がないのです。これは。この点、もう一回ひとつ局長、あなたの見解を承りたい。
  138. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 調整規定につきましては、非常に本委員会におきましてもあるいは衆議院の委員会におきましても議論になったところでございます。  この調整規定を設けますときに、いろいろな調整をする先例になっている法規というものを参照したわけでございますが、この恩給の調整規定の一応参照をいたしましたときに、厚生年金の調整規定におおむねよりつつ、恩給の特質を出していこうという考え方で、この調整規定を一応具体化したわけでございます。これまで、いわゆるスライド規定を置くようにという非常に長い間の御要望等がございましたのにつきまして、どのようなこの調整規定を設けることが適切であるか、いま御指摘のごとく、国家公務員については人事院という勧告機関があって、その勧告機関が五%以上の改定を必要とする場合には云々……という規定があるわけで、それらも必然的に私たちのいわゆる参照いたしました先例的制度であったわけでございますが、しかし、この調整規定は、結局は厚生年金のそれにほぼ根拠を求めながら考えていくことはいかがであろうか、かようなことになりまして、今回の調整規定に相なったわけでございます。しかし、この調整規定の中身といたしますところは、先ほど来も問題になっておりますように、物価なり、国民の生活水準なり、あるいは特にこの恩給についての特別な措置としての国家公務員の給与というものを明文規定の中に入れて、そして、これまでそういう点については何らの制度的保障がなかったものを、新たにこういう措置を設ける、成文を設けることによって、今後の政府側の考え方というものを明確にしてまいるというふうなことになりまして、これらの内容につきましては、先ほど来も問題になりましたのは、確かに具体性の問題等について課題がございます。そこで、そういう課題について、恩給制度の中でこの調整規定を今後どういうふうに見ていけばいいのか、こういう点について、それぞれの御卓見のある審議会委員の方々のいわゆるお説を伺って、そうして政府側として、それらに基づいて、今後の調整規定運用を進めてまいりたい、かように考えたわけでございます。
  139. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それは説明はわかるのですよ。あなた方のおっしゃる説明はそれはもうそのとおりでしょう。この恩給法改正の提案理由の説明にもそう載っている。「恩給扶助料の年額は、国民の生活水準、国家公務員の給与、物価その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情を総合勘案し、すみやかに改定措置を講ずるものとする旨の調整規定を設けようとするものであります。」その調整規定というものに具体性がない。「物価その他の諸事情に著しい変動が生じた場合」というのは、どの点からどの点が著しい変動であるのやら、「変動後の諸事情を総合勘案」するのは、どのように総合勘案するのやら、やらなければやらないでそれで終わりで、著しい諸事情と解釈しなければ、やや事情は変わったと、この程度だったら、差しつかえない、こういうことにもなる、すこぶる抽象的でとらえどころがない。結局これではやってもやらなくてもいいということに解釈ができるわけなんです。極論すれば仏つくって魂を入れないということになるのが今回の調整規定だと私は思う。そういうところを、先ほどからたびたび申しますように、人事院の勧告規定のようなものでも、はっきり、こういう場合にはさっそく勧告するのだ、こういう場合には恩給のベースアップをやるのだ、調整をやるのだと、こういう具体性を持った法案に私は改正してもらいたい。そうしなければ、今日の恩給というものは御承知のように、もう三年に一回か四年に一回か、わずかずつ恩給受給者の、退職公務員の方々が団体をつくって、そういうことで続々と陳情に来られる、それによってじゃしかたがない、そういう行き方では私は従来と何ら変わりのないこれは法案になってしまうんじゃないかということを憂える。だから、総理府の中にでも勧告機関でも置いたらどうだ、私はそういうふうにまで具体的に考えている。これは一つの私の私案であり、愚見ですけれども総理府の中にでも恩給調整勧告機関というようなものを置いたらどうだろう、たとえばそういうような考えあるいはそういう気持ちに対するあなたの御見解を伺いたい。
  140. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 確かに先生の御心配いただきますこの調整規定の具体性のないという点に一つの問題があるという御指摘、ごもっともでございますが、ただこれまで何らそういう制度的保障がなかったことが新たにつくられたということは、それだけやはり一つの制約が加わってくるというのが当然でございましょうし、恩給に対する見方がかなりこれによって積極的な態度が出てくるのではなかろうかと考えるのでございますが、ただこの規定のいま御指摘のようないわゆる具体性のないという点については、たびたび総務長官もお答え申し上げておりますように、実は審議会そのものがこういった広い社会的な視野に基づく御意見として、あるいは勧告機関ではないかもしれませんが、ややそういったことに近いようないわゆる審議会の意見というふうな形で今後の具体性についての問題の指摘があるのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
  141. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 これは私も恩給受給者の一人ですけれども、現在はほとんどいただいていませんですが、もう職を去って私は十数年になるのですが、ほとんど上がっていない。額面だけはさまっておりますから、少々だけはもらっている。ほとんど上がっていない。だから一般の方もみなそうだと思っている。いまあなたの御答弁を聞いてなるほど一歩前進といえば一歩前進、いまだかつてこういうことはなかった、一歩前進といえば、これはまさしくあなたのお説のとおり、一歩前進ですけれども、これを一歩も二歩も三歩も前進していただきたい、そうしてかつて国家に功労のあった方に対して老後を安んじていかれるようにしてあげていただきたい、これを要望しておきます。  時間がありませんので、最後にもう一問、公務扶助料ですが、これは戦争等で主人をなくした遺族の方がお受けになるのだと思いますが、増加恩給は、これは公務で傷病を受けた方々が適用を受けられるんで、これは私はほんとうに気の毒な方々であると、対象はまことに気の毒な方々であると思うんですが、その人たちにお子さんがある、そのお子さんが成人した場合、不具廃疾であったならば、扶養加給として四千八百円を支給する、働けないと、不具廃疾として。そういう方には年に四千八百円、こういうことが今度のこの公務扶助料の改正だと思うんですが、月に四千八百円というなら私はわかる。年に四千八百円だと、これは一体どこからこういうわずかな金額を算定されたのか、どういう基準によって算定されたのか、いままでは何にもありませんでした、一厘もなかったのですから、だからこれはたいへんな、あなたの先ほどのお話のように、これは一歩も二歩も前向きで前進したことであります。かようにお答えになると思うけれども、年に四千八百円で、一体それは何のためにどうするのか、四千八百円で不具廃疾者に。一体その算定基準はどこから出たのか。佐藤総理は、国民のために、福祉増進のためだと口にうまいことを言って、不具廃疾の一人の子供に年間四千八百円なんて、一体何のための金なのか、四千八百円でどうするのか、その算定基準をお尋ねしたい。
  142. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 確かに年間四千八百円という額は、御指摘のとおり、非常に額として少ないという感じはごもっともでございますが、このいわゆる家族加給という点につきましては、すでに恩給制度の中でも、いわゆる未成年の子につきましては四千八百円の家族加給ということで家族加給制度があるわけでございます。ところで、この不具廃疾の成年の子については、かりに不具廃疾でございましても、旧来は成年に達しますといわゆる家族加給四千八百円が落ちてしまうというふうなことであったわけでございますが、この御指摘のいわゆる重傷病者の増加恩給受給者、あるいはその方がなくなられたときの遺族に対する公務扶助料、こういう増加恩給または公務扶助料の支給の方々に成年の不具廃疾の子があります場合に、加給額ぐらいはせめてつける必要があるという御要望がかねてから出ておったわけでございます。そこで今回そういうことについての改正措置として、いわゆる家族加給というものを認めていくという制度化にしようと考えたわけでございますが、その四千八百円の基礎は、一つは、いわゆる他の年金制度におきましても加給額が四千八百円というふうに相なっておりますので、そこで制度全体の立場からいたしまして、四千八百円という額にいたしたわけでございます。
  143. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 一応の御説明はまあそうでしょう。だけれどもこれに対しては、普通の一般の方に対しても加給額は四千八百円だと、それ承知いたしております。承知いたしておりますけれども、こういう不具廃疾の方で、しかもその家族は戦争で主人をなくした家庭である。その家庭そのものがもうすでに非常にお気の毒な家庭で、かてて加えて成人になっても働けないところの不具廃疾である。それを一律に四千八百円で、いままでなかったのをつけるんだと、それでは私は、いささかも思いやりのない、あたたかみのない施策だと思う、これは私は、加給であるならばもっと加給すべきだと、さようにあって私はしかるべきだと思う。その点も十分ひとつ研究していただきたいと思います。  ちょどう約束の時間が来ましたので、またいろいろお聞きしたいこともありますけれども、一応これで。もう答弁要りませんから。
  144. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  145. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記起こして。  それでは、三案につきましてはこの程度にいたします。     —————————————
  146. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 次に、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(閣法第三七号)を議題といたします。  本案は、去る六月二十一日、予備審査のため本委員会に付託されました。  それでは提案理由の説明を聴取いたします。松野防衛庁長官
  147. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 今回提出いたしました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案の提案理由及び内容の概要について御説明申し上げます。  まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。  これは、第二次防衛力整備計画にのっとり防衛力を整備するため、昭和四十一年度において防衛庁の定員を改め、防衛庁本庁の職員を六百二十九人増加するための改正であります。この増加分は、自衛官の増員六百三十人と、自衛官以外の職員の減員一人とを相殺した員数であります。  自衛官の増加は、海上自衛隊及び航空自衛隊の自衛官の増員でありまして、海上自衛隊における増員は三百八十人で、艦艇の増強に伴い必要とされる人員の配置及び後方支援部門等の充実のために充てるものであり、また航空自衛隊の増員は二百五十人で、自動警戒管制組織の設置及び救難、施設等の部門の拡充のため必要な人員であります。  減員一人は、外務省の定員に振りかえるものであります。  次に自衛隊法の一部改正でありますが、これは自衛隊の予備勢力確保のため予備自衛官三千人の増員を行ない、予備自衛官の員数を合計三万人とするための改正であります。  以上法律案の内容を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願いいたします。
  148. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 以上で提案理由の説明は終わりました。  本案につきましては、本日はこの程度にいたします。     —————————————
  149. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 次に、防御施設周辺の整備等に関する法律案を議題といたします。前回に引き続き、本案の質疑を行ないます。なお関係当局の御出席は、松野防衛庁長官、小幡防衛施設庁長官、沼尻防衛施設庁次長、大浜会計課長財満施設部長、鈴木防衛庁参事官、以上の方々であります。それでは、御質疑のおありになる方は、順次御発言を願います。
  150. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは本法案に対して、基本的な問題、具体的な問題について、数点まずお伺いしたいと思います。  この防衛施設周辺整備等に関する法律と特損法の関係は、どういう関係になるのですか。
  151. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 今日まで、特損法が現存しておりますが、自衛隊に対するものが今日まで行政措置で、立法がございませんでした。したがって、今回ある意味においては、特撮法に並行する——それにちょうど並ぶ自衛隊法の改正を行なうというのが一点。いま一点は、今日まで予算措置でやっておりました諸般の施設、諸般の補助金、諸般の運営等を、今度は立法で権利、義務というふうに明確なものにする、この二つがこの法案の内容の趣旨であります。
  152. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 すると特損法は依然としてそれは生きているのですか。競合した場合の措置はどうなるのですか。
  153. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 競合する場合——それ以外のものは全部今回の法案に網羅いたしました、あと競合するというのは損失補償の件だけであります。損失補償は米軍の場合は特損法、自衛隊の場合は今回の法律でいく。その内容につきましては、これはその対象が自衛隊と米軍ですから、その対象によって、特撮法と今回の法律というものの運営をするということ、内容についてはほぼ同様な趣旨でございます。
  154. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この整備等に関する法律ですが、同僚議員がずっと審議された過程に明らかにされているようですが、いままでの行政措置でやっておられるほうが、むしろ自衛隊という問題のある国家機構でありますから、こういう法律で、政令委任の問題、相当ありますけれども法律規定するよりも、行政措置のほうがむしろ運用が妥当にいけるのじゃないかと思うのですが、その見解はどうですか。
  155. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 今日の運営はそれで別に支障があるというわけじゃありません。しかし、逆に言うならば、関係町村住民から言うならば、根拠法がなければ、ただ陳情によって動くというふうに不安定を私は感ずるのじゃなかろうか、今回は法律がありますから、みずからその権利が明確になるという点では、立法のほうが一歩その関係住民にとっては大きな私は前進であると思います。
  156. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この法律規定されていることは、防衛施設なり基地のある周辺としては、政府は当然やらなくちゃならぬ私はものだと思うのですね。いま大臣答えられたように、法律がないから政府がやらなぬという性質のものでは私はないと思います。第四条の「(民生安定施設の助成)」ということもいろいろありますけれども、これもすでに政府としては、そういう点で積極的にやっておられると思いますがね。この法律ができて住民が安心すると、大体住民はこの法律があろうとなかろうと、それはもう政府が当然そういうことをやらなくちゃならぬということを思っているのですが、政府としては、やはりこの法律をつくってやったほうが運用がしやすいという点はどこにあるんですか。
  157. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) この第一は、かねてからこの立法は関係町村住民から非常な長い間要望がありました。したがって、今日まではこの法律内容が御承知のごとく各省にまたがる、各般にまたがるために、立法措置というものはなかなか政府が踏み切れなかった。それを今回多年の懸案を解決するために踏み切った。この経過を見るならば、これが政府の側からというよりも、関係住民からの要望にこたえて立法したという趣旨は各所に私は明快に出ていると思います。また、当然被害については政府がそれのめんどうを見るというのはこれは義務であります。しかし、被害の内容、状況、方法については常に交渉を持つ、あるいは政府に要求する、そうしてその問題が解決するという非常な明確性を欠いたと私は思います。今回は、いままでの運営の中での経験を生かして規定をもって今回法律化したために、その関係者、は非常に安定感が私はあると思います。
  158. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この法律全体を見ると、他の法令に見ないほど政令委任事項が多いんですね。もちろんこのような、この種法律では、法律できちっと列挙主義でやれない場合があることは私も了解しております。しかし、あまりにも政令委任事項が多いということは、政令自体出てこなければこの法律案審議できないというような、われわれ立法府におる者においては受け取るんですね。したがって、もうすでに政令というものは、法律つくる以上は、政令に委任する以上は、将来考え政令事項もあると思います。しかし、それを除いては、大体政令はこういうものであるという、そういう原案を持っておられるんですか。
  159. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) ごもっともなことで、これは非常に政令事項が多い。それは内容が多岐多様にわたるために政令が多い。しかも所管省が各省にまたがる。その意味で、この法律に網羅することは非常に大きな繁雑であると同時に、運営がうまくまいりません。したがって、この政令についてはもちろんこの提案をいたす前にある程度の事前の打ち合わせをいたしました。政令の内容というものも明確に、全部とは言いませんが、各省と打ち合わせた上にこの立法というものを提案をいたしております。御趣旨のごとく、その政令を白紙で御審議を願っているというものでもございません。ある程度の政令というものは今回も用意いたしております。
  160. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、第三条第一項の政令、これはどういうことですか。
  161. 財満功

    政府委員財満功君) 第三条第一項の政令で定めます行為は、法律の第二条第二項に規定いたします防衛施設を整備するための土地の著しい形質の変更、艦船または舟艇のひんぱんな使用、航空機の離着陸のひんぱんな実施というふうに現在予定いたしております。
  162. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 艦船または船舶のひんぱんな使用、航空機の離着陸等のひんぱんな実施、現在はそれだけですか。
  163. 財満功

    政府委員財満功君) 現在関係各省間におきまして検討いたしましたこの第三条第一項の政令に定める行為はただいまのところその程度に考えております。
  164. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは一々尋ねていくと実は際限なくあるんですが、実は五時からまた国対がありますので、わが党だけの問題ではないんですから、時間がないので、問題点だけひとつ大臣にぜひ尋ねなくちゃならぬ問題だけひとつ明らかにして、そうしてまた質問はあとにやりたいと思いますが、第四条の「国は、防衛施設の周辺地域を管轄する市町村で当該防衛施設の」云々という規定があるんですが、私はずっとこの法律案を受け取ってみて以来、市町村に限定するというその考え方が私は了解できない。地方自治法から見ましても、市町村を代行するいわゆる自治団体と申しますか、地方公共団体が相当あると思うんですがね。私は当然そういうものも含まれておるという解釈でおったのですが、いままでこれは明らかにされておるかどうか知りませんが、この点ひとつ明らかにしていただきたい。
  165. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 第四条の措置は、防衛施設の運用によりましていろいろな迷惑を受けるのが直接あるいは第一次的には市町村でございますので、市町村に補償することになっておりますが、いま先生がおっしゃいましたのは、おそらく特別区といったようなものではないかと思います。そういうものに対しましては、市町村に準ずる公共団体に対しましては、民生安定施設の整備を行なわせるのが適当な場合には、市町村がそれに援助するというふうな場合には、市町村を通じて助成をすることもあり得るというふうに御理解になってもいいと思います。
  166. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 市町村を通じてということがちょっとぼくには理解できないのですが、たとえば事務組合もありますし、それから地方公共団体ではないが、地方自治法で公共団体的な土地改良、森林組合、漁業協同組合等々があるのですが、そういうものがいままではすべて補助なり、そういうものは直接政府からいっているのですね。なぜこの防衛施設周辺のことだけは市町村を通じてやらなくちゃならぬかという、その理解にちょっと苦しむ。
  167. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) これをつくりますときには、いろいろたとえば自治省が出しております地方交付金というようなものとのかね合いも問題になったことは御存じのとおりでありますが、たとえば地方交付金が市町村あてに出ております。これはそういった出し方とは違いますが、趣旨は施設の動的な面に着目して施設の補助をするという趣旨でございますが、対象はやはり市町村に限定したのが妥当であろうという意味で市町村に限定した次第であります。しかしながら、先ほど申しましたように、市町村がたとえば特別の市町村に準ずるような特別区等につきまして、いろいろな補助をする場合には、これはひとつ市町村に補助してあげよう、そのために必要な措置を講ずる、つまり第三条では必要な工事をやるということになっておりますが、ここは必要な措置を講ずるというふうに少しゆるやかに書いてありますのは、そういう意味であります。
  168. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この法律が通ると、やはり地域で問題を起こすのはそういう点でなかろうかと思うのですね。市町村を通ずるということは、補助金と申しますか、そういうものの順を一応通るというだけでもって、補助する目的のいわゆる団体というのは、たとえば農業団体であれば農道をつくったり、そういうことによって、かりにそういう必要があると第四条に該当するものであれば、そこを通してその団体に交付することになると解釈していいのですか。
  169. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) この規定はあくまで法文に書いてありますように、普通地方公共団体と称するのは市町村に補助するというたてまえでございますので、その市町村がさらにそれを特別区等にやるという第二のかまえになるわけでございます。その点は法律上直接には市町村にいくというふうに御理解願いたいと思います。
  170. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その点が私は法律が少しずさんだと思うのですね。地方公共団体というのは何も市町村だけじゃないです。あなた、地方自治法御存じでしょう。地方公共団体は府県もありましょうし、一部事務組合もありましょうし、特別区もある。市町村もある。地方公共団体でしょう。
  171. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 地方公共団体にはいろいろございます。私が申しましたのは、いわゆる普通地方公共団体でありますところの市町村ということに限定しておりますので、市町村自治体が、そういった特別な公共団体につきましては、市町村を通じて補助をすることがある。しかし、どこまでも市町村に補助をするというかっこうで補助すると、こういうことを申し上げております。
  172. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこが、ぼくはあいまいな規定だと思うのです。実際、そういう民生安定施設についてやるという団体はあると思うのですよ、私は。なければ私はいいと思う。あった場合に市町村はそれをやらせるのじゃなくして、その団体がやるのですね、現実にやる。やった場合に市町村に補助をやって、それじゃその補助をやった団体に、どうしてそれが行くのですか、現実に。たとえば、その農業団体なり、そういう団体がやりますね。この防衛施設周辺の地域を管轄する市町村範囲内にある団体がやった場合に、その金は市町村にやる。費用を使っているのは別の団体だ。その場合に市町村にやった場合に、市町村はそれをそのまま別の費用に使われてやった場合に、認定するところは結局市町村ですわね、この法律からいくとそうなるのでしょう。ぼくの言うことわかりませんか。
  173. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) わかります。
  174. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 わかるでしょう。その場合に、市町村でそんなことはしませんけれども、要するに、ネコババやってここに使ってしまって、おまえがやったけれどもそんなことだめだと言われた場合に、どこでそれが是正されるか。
  175. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) それは間接補助という形式で市町村を通じてやりますから、これは補助金の、先生御衣知のように、適正化の法律がございまして、そういう金の使途というものは厳重に監督されるようになっておりますので、そういう心配はないと思います。
  176. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 法律ができるときにはみんな政府はそういう御答弁で通ってしまうのですよ。通ったあとで問題が出てきた場合に困るのはいつもの例ですね。それで、私は問題点、特に大臣が見えておる間に明らかにしておきたいのは、そういう、たとえば、いま一部事務組合、特別区、それから土地改良区、森林組合、農業協同組合等々が、民生安定に該当すると認められたものをやった場合に——もうすでにやるのですよ。やった場合にそういう団体に対しては、政府としてはどう見るか。それは市町村はやっておらない。政府はどう認定して、その団体に補助金が行くようにするか、それだけ明らかになればいい。
  177. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) ただいまおあげになりましたように、教育の一部事務組合、あるいは一部事務組合というのは、結局これは地方自治体に準じ、各村の合同議決というものが必要になるというふうに、まあこれは一つの自治団体として認められております。しかし、その場合にはその自治団体、市町村の行政単位を対象にすると同時に、その事業の内容によってきまるものであります。市町村から来たから、それを補助金やるというわけにではありません。市町村の中の何の事業によって何を要求するかということを村会及び市町村会で議決された上に、そこに行くわけでありますから、ただ市町村につかみ金で補助金をやるという性質のものではありません。事業内容、事業場所、個所、それを市町村を通じて、それに適正であるという場合に、私たちが市町村を通じて今度は補助金を流すのでありますから、行く場所に横に漏れるということは、私はないと思います。
  178. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 漏れるとか、そういうことを言っておらないのです。これは第四条は非常に、この法律案としては、まあいわば、前進した条項だと私は見ておるのですよ。民生安定ということは、いわゆる基地周辺というものは、相当迷惑を及ぼしておるだろう。したがって、実際の損害があるなしにかかわらず、民生安定として、こういう補助をしようじゃないかと、こういうことですね。その場合に単に市町村だけでそういう民生安定の施設をやるのじゃないのだ、いま言われた一部事務組合の合同会議を議員をもってやっておられるということはそのとおりだけれども、そういうものは市町村という、この限定した範囲では、かりに、そういうものはあっても入らない。関係しております。関係しておるけれども、それはどこまでも一部事務組合であって、市町村ではない、補助金出す場合に、行く場合にそれは含まれておるのだというのならばいいのですよ。それならばけっこうですよ。それを別個のものだというから問題が起こる、別個のものだと。そういうものが含まれておるのだということになれば、私はそれで了解する。
  179. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) まあ一つの一番いい例が学校区の一部事務組合があったと、これは自治法によって自治体に準じてその学校教育に関しては自治体と同様な権限、権能を持たれております。同時にそれは御承知のごとく、各市町村においてもさらにその確認を求められております。三カ村で一部事務組合をつくった、そのとき、その議決は、三カ村の議決を合わせて議決されたというふうに自治法では規定されていると私は記憶します。したがって、これは市町村は、その教育区で議決されたということは、その関係の三カ村も同じように議決を、負い、その責任、権限は一緒に負ったということになっておるわけです。したがって、各市町村を通じてということも、その一部事務組合を通じてということも、その権限をあわせて各市町村がその議決を承認しなければ、この教育一部事務組合というのは成立いたしません。したがって、その議決は同じ市町村の議決とみなして今日やっておるわけであります。したがって、この系統というのは私は、議決のほうは別として、内容においては市町村を通じてということばと同じものであると私は思います。
  180. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 説明が、私は食い違っておるとは言わないのですが、理解のしかた、ちょっとぼくの質問が要点得ないかもしれないが、いま学校に関する一部事務組合を取り上げられましたが、その他民生安定に入るような施設というのはほかにもたくさんあると思う。一部事務組合もありましょうし、特別区もありましょう、あるいは先ほど申しましたように、土地改良区または森林組合、農業、漁業団体等もやはりそういう施設を、その団体範囲内であるけれども、やはり民生安定に関する施設をやるというとともあると思うのですね。その場合に、言われるように、市町村の議会あるいは一部事務組合の議会を通じておればそれでいいのだと言われるけれども、相当、問題によっては地域に行くと、そう簡単にはいかぬ場合があるのですね。だから、この場合は、市町村いわゆる地方公共団体に類するようなそういう団体も民生安定施設の助成に関するものであるということであれば、補助金を出すのかどうか。したがって、市町村というのは、そういうものも含めてわれわれは理解していいのかどうか。こういうことです。
  181. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 漁業協同組合というものを市町村と同一視してはおりません。漁業協同組合においてその必要がある場合には、市町村において、同じ市町村も民生安定の責任と権限のあるところであります。したがって、市町村会においてその議決を経て市町村会を通じてやっていただくという趣旨であります。
  182. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それならば、あなたの言われることが、ぼくはこの民生の安定施設と言っても、きわめて、いわゆる政府としては局限した考え方でおられると思うのですね。ぼくは市町村もおそらく迷惑をこうむるけれども、この基地周辺については、私は、私設団体まで——私の団体までと言っているのじゃない、公共的な仕事をしておるもので、あるいは協同組合にしても、その施設、そういう基地ができたということでいろいろ障害があると思うのですね。これは単に損害を言っているのじゃない、基地のためにあるいはその漁業協同組合、農業協同組合において取り上げなくちゃならぬ問題が私は出てくると思うのです。その場合にはそういうものを含まれておらない、市町村が取り上げればそれをやればやるけれども、そういうものはやったって、そんなものは知らないのだ。こういう私は不親切な、いわゆる法律であれば、せっかく民生安定施設として出されても、私は市町村ということに限定されることについては非常に問題がある。私は実際問題どういうことをやるか、これはそうたくさんないと思っているのですよ。これは民生安定やったって、あなたのほうで予算のワクをきめてやるのだからそういう危険性は私はないと思う。認定するのはあなたのほうだ。それを市町村に限定されるということについては私はこの法律をつくられたときには、悪く見ればある程度そういう民生安定については一つのワクをはめて、市町村のほかのものがやったってだめなんだ、こういう私は思想が流れているのじゃないかというので、実は疑うわけではないのですが、私は質問をしているわけです。それを明らかにしていただきたい。
  183. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 市町村の住民の受ける障害を緩和するという見地から言いますと、とりあえず第一次的には、住民全体が入るのはまず第一に市町村でございます。そういった意味でまず第一次的に市町村を取り上げました。たとえば林業とか農業とか漁業とかという公共的な団体は、それなりに一つの職域団体であります。住民を包含するものではございません。その意味でそういったものの均衡を調節するという意味も兼ねまして、市町村を通じて全体とのバランスの上でわれわれは施設の補助をしていこう、そういうかまえになっております。そういうものとして了解していただきたいと思います。公共施設をつくろうとしているのに、それを認めるとか認めないとかということを頭からわれわれは考えているのじゃございませんし、市町村のほうを通じましてバランスのとれたいい案なら事案として十分採択したいという感じでおります。
  184. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは防衛庁長官もそういう点は十分認識をされていると思いますが、私は各方面の基地周辺をいろいろ、視察じゃなしに、見ることがありますが、市町村は包括的な一般行政、地方自治団体にまかされた一般行政をやるのですから、それよりも特に必要なのは、特殊な団体のやるその業務を阻害している点が多々ある、そういう点がここでうたわれているんだという私は解釈でおったのですね。それを市町村を通じてというと、それはあなたのいま言われていることを言えばなるほどそういうことも言えると思うのだが、これが法律になって市町村に下がってくるとそう簡単にいかない。これは各種農業団体、漁業団体その他、森林組合等々の実情を見ても、なかなか、市町村は市町村一つの行政範囲がありますから、これはいかないのですね。だから私は、少なくともそういうものはやった仕事について、それが民生安定のことであるかどうか、あなたのほうで認定をするのでしょう。何でもかんでもやるというわけじゃない。そういう認定する権限があなたのほうにあれば、どの団体がやっても、お金は市町村を通じてでもいいですよ。これは一つの便ですからね。しかし、やったものに対する補助というのはその団体にやるべきであるというのが私の主張なんです。認定はあなたのほうでするのだから、かってにやってかってにくれというのじゃないのですね、これは。だからこの「市町村」の中にはそういう公共的団体が含まれておるんだという解釈で運用すべきであるというのが私の主張なんです。それについてどうですか、あなたの見解を伺いたい。
  185. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 今日、農業団体法、林業団体法、各種協同組合法という法律がありますが、その趣旨は御承知のごとく、ある意味においてはこれは住民関係業者の非常に限定されたものであります。住民全部ではありません。一つの地域、またこれが自由に任意でありますから、一つの地域に二つできても三つできてもこれはそれを禁止はいたしておりません。そういうふうな構成から考えますと、やはりそこに一つの統一的な市町村というものを今回は対象にするということは、おそらくほとんどの行政が今日そういうふうな方向でやっているんじゃないかと私は思います。漁港をつくる。その漁港はそこの住民しかつくりません。しかし、そこの市町村において、政府から補助金も出す、一部は市町村からその負担金も出す、そうして漁港を使うのは全町民にあらずして漁業者であります。そういう行政は各種今日まで行なわれている一つの系統であると思います。それを個々の任意団体までこれを採用いたしますならば、農協が二つある。片方はこれだ、片方はこれだというふうな系統になるならば、行政は非常に繁雑だと私は思います。ことにこれは限定されておりますので、当該市町村に基地のあるのは望ましいわけではありません。したがって、なお被害の状況も限定されておる。したがって、その行為も限定されておる。住民は希望し市町村は反対するというようなことはおそらく私はないであろう。その一致した意見であろうというならば、行政措置の上からいって、市町村を通じていってそれを圧迫するわけではありませんし、おそらくその考えは同じ方向に向かうのじゃなかろうか。言うならば、われわれから見るならば、一つの行政のルートとして市町村を通じ申請を出し、市町村を通じこれに補助いたします。ということは、そんなに圧迫するというふうな私は考えじゃなしに、一つのルールとしては妥当であるというように市町村というものを考えております。
  186. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ぼくは市町村そのものを否定しているわけじゃないのですよ。当然なんですよ、市町村は。だけれども、これだけでは——少なくとも基地整備の法律の性格ですよ。一般その他の行政上の問題でないのです。特に基地があるために迷惑をこうむっているだろうということでこの法律案が私はできると思うのですよ。その他のほうには適用しないのだから、基地周辺だから、これは特殊な法律ですよ。その住民に対して民生安定をやろうということは、市町村以外にも個人はあるけれども、個人の問題はこれは別によくあるから、これは性格が違うけれども、少なくとも民生安定事業という名においてやるならば、そういう何も私立——私の団体じゃないのですよ。農業協同組合にしろ、いますべて法律によってやっているのですよ。そういう一つ団体がやったものについてもやはり市町村と同様に考えるべきである、それが法律の性格だと言っている。あなたの言われるように、一般行政から言えば市町村は単位ですから、それに限定してやっているのは、ほかの法律みなそうですよ。しかし、この法律はそういう特殊な法律だから、私は、そういうものを含まれるのが当然である、こういうことを言っているのですよ。それを否定されるというならばわれわれ承認できないのですよ。
  187. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) これは否定というよりも、市町村の民生安定の責任は私は行政機関としての一つの職務だろうと思うのです。それを抜きにして、同じ市町村を管轄する市町村長は別にして、その任意団体に対してのみこの法律を適用するならば、市町村長はお困りになるのじゃないかと思うのです。やはり市町村長というものはその地域において関係住民の民化安定行政をおやりになっていらっしゃるのですから、したがって、その市町村と相談を抜きにしていきなりこれをやっていくというのは、私は行政上必ずしも妥当じゃないと思います。
  188. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 実態をあなたは調べられたらいいと思うのですわ。たとえば市町村がやらなくちゃならぬがやれないところにこういう団体ができたのですよ。同業組合ではないが、できているのですよ。たとえば森林組合の場合は、林道をつけなくちゃならぬけれども、そういうことはなかなか手が回らない。そういう場合に、そういうものを市町村に言って、どんどん市町村の議会がよろしい、やりましょうと言わない。そういう一つ団体がその場合にやらざるを得ないのです。基地があるために回り道をつけなくちゃならぬという場合がある。そういうものをやった場合に、すべて市町村の議決とか、市長なり町村長がそれを認めなければできないのだというと、せっかくやらなくちゃならぬやつはやりますけれども、そういうものを考えられて初めてこの整備法というものが生きてくるのだと思うのですね。そういうものは市町村でやったらいいじゃないかと、市町村がそのまま受けてやってくれますか。やれないですよ、市町村自体が。あなたはそれは市町村でやったらいいと言うけれども、市町村がそれをやらなければ、申請してこなければあなた取り上げないでしょう。なんぼその団体から市町村に言っていっても、いやそこまではやれない、これは違うのだといって否定されたら、あんたのほうに問題は上がってこないでしょう。それで私は前に言った行政措置の場合であれば、そういう団体から陳情がいってこうだと言った場合私はやるべきであるが、法律ができたためにそういう限定をされることは、むしろ法律ができてそういうことがチェックされる、こういう心配がある。わかりますか。
  189. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 私のほうで、そこの住民はやりたい、市町村はこれを否決する、そういうふうな私は事例というのは非常に少ないのじゃないかと思うのです。大体住民が希望し、市町村長はそれにまあいろいろ意見はありましょう。しかし、大体一致しておられるので、市町村はだめなんだ、その住民は希望するのだというふうなことは非常に私は少ないのじゃないかと思うのです。ことに道路になれば町村道というものと関連がありましょうし。だから、私はおそらくこの行政の中で市町村長の権限外の行政をやるというなら、これは別な話です。市町村長は、これは何も行政でやることはないのだ、だからこれだけは国とそこの関係団体と現実にやれと、交渉しろとおっしゃるものがあるなら、これはまた一つ議論です。市町村の行政区域、行政範囲というものとこの法律は一致しておると私は思う。したがって、市町村長を通じてやる方法がないのだ、これは市町村を通じてやる権限もなければ、ルートがないのだ、だから、直接この団体交渉しろという行政があるなら、これは別です。市町村長が持っている行政と今回の民生安定の行政とはほとんど一致しております。したがって、同じワク内ならば、市町村長というものが、そこの民生安定行政権というものを市町村長が持っておられるのだから、それを通ずるほうが二重行政にならずに、私たちは、ルートとしては正しいのじゃないか、こういう感じがいたします。あるいは言われることと多少食い違いがあるかもしれません。
  190. 北村暢

    北村暢君 この問題、いま山本委員質問の問題ですね。市町村関係のない団体で、たとえば農業団体であれば土地改良区——土地改良区の問題は市町村関係ないのです。行政的に。国営、県営、団体営といった土地改良区で仕事を直接やっている。したがって、予算の流れ方は市町村を経由せず県から直接行きますよ、補助金その他が。あるいは森林組合であれば、これは施設組合というのがあって、やはり林道その他やっているわけですね。これは市町村を経由せずに、国の補助金その他が行くようになっているわけですね。漁業協同組合でも、共同施設その他についてやはり補助金があります。しかし、それは市町村を通じて行ってない。行かないものもある。したがって、民生安定ということでいま山本委員主張されるように、いま申した具体例なんかは、これは行政の組織からいって、必ずしも市町村を経ないで事業主体が事業をやっているわけです。そういう問題が出てくると、その基地周辺にそういう事業をやっている事業主体があって、しかも、それは市町村と直接関係なしに仕事をやっておるということで、市町村の認定の副申書かなんかを持ってこいというなら別でしょうけれども、とにかくそういう事業主体があるわけですよ。したがって、それは民生安定といえば、土地改良区でも、森林組合の施設組合でも、漁業協同組合の共同施設でも、そういうものは、その事業主体がやはり民生安定のための補助金なりなんなりをもらおうといった場合に、独自で県なりなんなりを通じて申請するということがあり得るので、市町村と限定するということについては問題があるのじゃないか、そういうことなんですよ。そういう点どうなんでしょう。
  191. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 各種の団体が、今日協同組合法で規定されている範囲、またその定款で規定されていることでやっていることは承知しております。したがって、その対象が第三条による障害を与えた場合は、それはその団体と直接やることになっております。第四条は一般的住民の福祉という条項ですから、農業協同組合だけでは住民一般にはならないのじゃないか。したがって、市町村というものがそこの住民一般の福祉を考えているのですから、したがって、市町村を通ずる。そのときに農業協同組合の共同施設に障害を与えた場合には、策三条によって、これは農業協同組合にそれぞれ補助の措置をする。障害防止の補助というのは、これは第三条で規定されております。第四条は市町村が入っている。第三条には市町村は入っておりません。そこに適用の違いがあります。
  192. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 時間がないから、質問はこれで終わらざるを得ないのだが、どうも防衛庁長官認識は私は違うと思うのです。住民全体といったって、一つの市町村で基地で迷惑するというのは、その周辺の人たちですよ。特に民生安定といっても、基地周辺ということに限定されておるのですよ。住民全般の福祉と言われるが、住民全般ということは簡単に言えても、住民全般については、これはもう別な解釈の問題になって出てくるのですよ。したがって、われわれとして民生安定で一番問題になるのは、当該周辺におるところの住民です。公会堂をつくってどうこうするということは全市民の、全町民の福祉か知らないけれども、そういうことを言っておらない。現実に基地によって迷惑をこうむっているところについては特に民生安定事業としてこういうことをやってやろう、こういうのでしょう。そういうときに、土地改良区とかその他そういうものをやる場合にほんとうに迷惑をこうむるのはその人たちだ。そこで、民生安定の林道なりあるいはその他の施設をしようとするときに、それが「民生安定施設」に該当するかどうかあなたのほうが認定するのだ。その認定のあった場合に、市町村のほうでは、「一部を補助する」とあるので、市町村が一部を補助されて、そうして、そういう事業を団体へ流してやろうということは言いませんよ。その他の費用も市町村がつけてやろうとは言わない。市町村の負担は一部なんですから、その大部分の仕事の費用というものはそういう団体がやることになる。あなたが言うように、そういうものも市町村は同じ住民の福祉のためだからやるのだと言われるけれども、そんなことはやらない。しかも、いま北村さんが言われたように、市町村を通じて補助金が出ているところが相当ある。  私はこの法律全般を通じて見たときに、一つ問題点を提起しただけですが、これは防衛施設周辺整備等に関する法律案ですね、そもそもそこに大きい重点を置いておると私は思うのです。したがって、民生安定事業にしろ、そういう公共的な団体が、これは農業でも、漁業でも、森林組合でも、その他それに該当する公共的団体であれば、市町村と同様にやっぱり考えてやるということがこの法律の精神だと私たちは見ておる。それが市町村が議決してやってこなければ、それは知らないのだということになれば、そういう団体が幾ら言っても市町村は取り上げてくれない、そういう例がずいぶんあるんですよ。それなら、そういう冷淡な法律だ、そういうふうに再認識をいたしますよ。ぼくらはそういう解釈で、法律としてはここまできておるのだから、市町村範囲内においてはこういうものも含まれておるということならばいいけれども、そんなことは市町村がやることを一部補助するということだけじゃ、われわれはそういうことには解釈できない。どうですか。
  193. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) これは私どもの見解ですが、そこの周辺の住民の福祉というものを所管する団体というのは何だというならば、第一に市町村じゃないかと思うのです。それ以外のものは、おのずからその目的というものが、農業、林業の問題というように限定されていて、全部の住民というものを目的とするのは私は非常に少ないと思う。もしそれを厳格に言うならば、それは特別区です。特例区というのは、市町村の中にあって、その中にさらにその地域だけの特別に構成された団体です。これは行政であります。しかし、行政が二重になって、市町村も民生安定をやる、また別なものも民生安定を行なうということは、私は、現実にはそれはないんじゃないかと思います。ただ、そこに組合に入っておる者の、組合員相互の福祉、あるいは相互の親睦というものは、これはあるかもしれません。それはあります。そういう民生安定はあります。しかし、そこに住んでおる、職業のいかんを問わず、全住民を対象にするというのは、それが市町村というものの仕事じゃないかと私は思うのです。そういうものは、私は無理に言えば、おそらく特別区というものになるかもしれません。それ以外に、各種法律できまっているものでは、私はないんじゃないかという感じがいたします。
  194. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはあなたの認識とは全然違いますよ。ぼくは、一般行政で言われるならば、それはいいんですよ。それは民生の安定は市町村の責任ですよ。いまさらあなたから言うてもらわなくてもわかっている。基地で迷惑をかけているからこういう整備をやりますという法律でしょう。特別法ですよ、一般行政から離れた基地に関する法律ですよ。そういうものが市町村に限定する。市町村が一般の民生安定に寄与することは、これは憲法でもきめておる。何もあなたに教えてもらわなくてもわかっておる。基地整備の法律だから、そういう団体でやった——あるなしは別ですけれども、やった場合でもやはり基地整備で補助金を出すのが妥当じゃないかというのがぼくらの主張ですよ。それが市町村に限定して市町村が言ってこなければやらない。そういうことでは、せっかくできた法律も実際には困ってくることができますよ。そういうことは全然考えないというならば、われわれは第四条だけでも私はこれはどうしても納骨できませんよ。これは一ぺんゆっくりと防衛庁と施設庁と相談してください。市町村以外にはやらぬということは、一般行政の民生安定を市町村やるということは当然です。それならば補助をもらわなくてもやるのです。市町村を通じて政府が交付金をやって、何もこの法律ができなくても、政府のほうから市町村に対してそれだけの金をやって、この法律をつくらぬでもいいのですよ。自治省から交付金なりやって、基地のあるところにはこうしなさいということでやれば、こういう法律一つも要らぬ。そういう以外の問題があるから、特にこの整備法ができてやっておるのだということで、市町村の限定については私は問題があるのだということを言っておる。一般行政のことはあなたに聞かぬでも、そんなことはわかっておる。
  195. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) たびたび申しますように、市町村にやるのじゃなしに、市町村を通じてその事業、その地域にそれを補助するのですから、市町村だけであって、それをどこへ使ってもいいというのじゃないのですから、市町村を通じて基地周辺の地域に補助する。市町村を通じていくのですから、通じちゃいかぬという感じも私はしないのです。市町村を通じて結局その事葉に対して補助するのですから、そこの事業、基地周辺の問題のところに行くわけです。
  196. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 さっきの御答弁とだいぶ変わってきておりますね。市町村を通ずるというけれども、その出す目的のやつは、その団体がやったらその団体に出すということですね。あなたの言ったことはそういうことの理解でいいのですね。
  197. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 市町村を通じて申請をしていただく。市町村を通じてその団体ですか、その事業ですか、その地域ですか、その地域に行くと、こういうことであります。
  198. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ具体的になったですよ。そうすれば、その団体がやった場合にあなたは何か議会の議決とかなんとか言うから、私は問題になるのですね。そうすればその団体意思というものは市町村を通じてあなたに上がる。それが認められたら、市町村を通じてその団体のやった施設に補助金が行く、こういう認識をしていいのですね。
  199. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 市町村を通じというのは、御承知のとおり、市町村行政としての市町村であります。その行政を通じて補助金を出す。また、市町村はその事業を議決前に、あるいは議決後において、その事業の内容、地域というものをもちろんお話しいただく。それでこの法律に該当する場合には、市町村長に対して補助金を交付する。それがそれを通じてその団体に行く、こういうことであります。
  200. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ぼくは何で執拗に言うかというと、これは法律ができたら必ず問題が出てくる。土地改良区のように市町村を通じないものがある、補助金の関係で。その場合にこの法律については、これは「市町村で当該防衛施設の運用により」と限定してやっているが、いま防衛庁長官が言われたように、一部事務組合であろうと、公共的な団体であろうと、それは限定してもらっていいですよ。公共的団体というのは、今度の質問でこういうものとこういうものだということを言ってもらっていいですよ、問題があるから。そういうところでやった施設については、これは民生安定施設であるということを、もちろん市町村も認めさせるように努力しますわ。しかし、最後の認定権はあなたのほうで持つのでしょう、補助する段階になれば。かってにやったやつは何もあなたは認めないのだから。そういうものをやったときには市町村を通じてあなたに行く。また、市町村を通じてその団体にその補助金が行き、その費用に使わす。こういうあなたの答弁、いや答弁というよりも、この解釈はそれでいいということを明らかにしてほしい。
  201. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 市町村に対して私のほうはその補助金を出す。事業内容は市町村を通じてその事業の是非をきめる、こういうことですから、別にそう大きな差はない。最初から同じことを言っておるのです。
  202. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 具体的にこれはもうきょうでなくても、もう一ぺん十分、ぼくは前から言ってないから、ちょっとあなたも判断を誤ったらいかぬから、私はここで、私の質問であなたの答弁を引き出して言質を得てどうこうということは言いません。ただやはり法律施行されて起こる問題をきょうは言っておるんですが、これは十分にあなたのほうで相談してもらいたい。この条文を見ると、なかなかそうなってないのだ。この条文を見ますると、もう市町村以外は全部排除されておる。限界を明らかにしたような条文なんです。これは。が、長官言われたやつは、うっかり取ると、ぼくはいいように解釈すると、そういう団体がやった仕事でも、民生安定の施設であれば、市町村を通じて補助金をやるのだと、そういう解釈にも立ってくる。この点はひとつ政府部内ではっきり思想統一をして、あなたは変わりはないというけれども、大きく変わりが出てくるのですよ。この法律上をたてにとられると。法律を修正してもらうと別だけれども、いまさら修正なんということについて、われわれも考えておらないので、運用上の問題として明らかに防衛庁、施設庁当局は認定をしてもらいたいというんですね。
  203. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 基地周辺という限定のもとに、そこに民生安定事業をしたいといわれるならば、市町村におそらく申し出をなさるでしょう。市町村長もそれは自分の住民の民生安定に必要だということで申請をされる。申請によって私のほうはそれが妥当でこの法律に合致しておる、予算も十分あるというときには、市町村に補助金として交付する。したがって、その事業にこの補助金が行くわけです。ほかの事業に行くわけではありせん。そういうことを先ほどから申し上げておるわけです。
  204. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、あなたの言われるのは、この法律で受け取るのとあなたの言われたのは、若干ニュアンスが違うのだが、事業主体は市町村でなくてもいいということですね。
  205. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 事業主体が必ずしも市町村でなければならないと限定しておるわけではありません。
  206. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは一つわかる。そしてそれが申請の手続きは政令で定めるとあるが、これはそういう手続は、かりにいままで市町村を通じて何もやっておらないところでも、この法律によると、いわゆる市町村を通じてやる場合に、市町村はそれを受け入れるということになっておるんですね。
  207. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 市町村でそれを承認と申しますか、議決と申しますか、市町村の責任においてそれを認めてもらう。したがって、それに対して私のほうは補助金を出すんですから、事業主体は市町村でなければならないと限定しておるわけではありません。
  208. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 市町村でそういう場合は認めてもらうというのは、どこに条文があるのですか。
  209. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 「周辺地域を管轄する市町村で」ということばがあります。「防衛施設の運用によりその周辺地域の住民の生活又は事業活動が著しく阻害されていると認められるものが、その障害の緩和に資するため、」「市町村に対し、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、その費用の一部を補助する」ということであります。したがって、市町村に補助金を出し、その事業内容は事前にこれを認定するということであります。
  210. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 追い詰めていくと、やはり問題が変わってくるのですよ。ぼくが言っておるのは、そういう団体がある事業をしますね、さっきの答弁で。いま、事業をやった団体は、認めるということですね。その団体から市町村を通じて申請をしてこいと、こういうことですね。その場合、この法律は市町村がそういう団体からそういうものを受け付ける権限はここに何も与えておりません。この法律では与えてない。ただあなたがそういう運用でそうなるんじゃないかと言われるけれども、この法律から見て市町村は、ほかの団体から見たら、そんなことは知らないと言われたら、この法律がそういうことは決して義務づけてない。あなたのほうは行政運営で市町村に示達をするかわからないけれども、そういうことはない。これはどこまでも市町村に対してというから、ほかの団体がそういうことをやりますからこうこう伝えてくれといったって、それを受けましょうという法律はない。いままでは市町村の一部事務組合であればそういう関係があるが、全然そういう関係がないところは新しいルートをつくってやらなければそれはできません。どう法律をうまく解釈してもできません。できるというならそういうことをやったらどうかということで、あなたのほうが市町村に訓令を出すかどうかですね。この法律ではやれない、やれないでしょう。やれますか、それは。
  211. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) その手続をこういうふうな手続でこうしろという規定を私のほうは言うわけじゃありませんが、市町村を通じてその事業というものは認定される。また、市町村長というのも同じように民生安定の問題をやっておるのですから、当然当該市町村長がその責任者である、したがって、市町村長が、そういうものが必要であると認めるならば市町村長から申し出があるであろうと私は思っております。また、そうあるべきで、そうしなければならないという規則はありませんけれども、そうあるであろうという、一般的な行政運営からそう答弁を申し上げておるのであります。
  212. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止
  213. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を起こして。  ほかに御発言もないようでございますから、本案につきましては、本日はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十三分散会      —————・—————